伊奈帆提督「界塚伊奈帆、指令本部より鎮守府に着任しました」(74)

鎮守府 作戦会議室

長門「皆、知っての通りここ最近未知の力を行使する特殊な深海棲艦の出現により、どの鎮守府も苦戦を強いられ、あるいは陥落された」

長門「その驚異は我々の鎮守府にも迫ってきている」

吹雪「なんか…怖いね」

睦月「うん…」

夕立「…ぽい~」

長門「そこで、事態を重くみた上層部は各鎮守府司令官の配置転換を命じた。それは我が鎮守府も例外ではない」

金剛「提督ゥ~」しくしく

比叡「お姉さま…」

長門「そして、先ほど新提督がこの鎮守府の港に到着された」

…ガチャ…バタン…

響「…!」

伊奈帆「界塚伊奈帆、上層部の命により鎮守府に着任しました」ザッ!

暁「あの人は…!」

陸奥「あなた達。提督とお知り合いなの?」

雷「知り合いというか…」

電「こ、この前…遠征に行った時に…」

---
--

…二週間前…

-敵艦見ユ!-

空母ヲ級「…」スッ…

深海棲艦艦載機「…」ズダダダ!

電(小破)「はわわ!囲まれたのですっ!」ズダダダ!

暁(小破)「しつこいとレディに嫌われるのよ!」ズドン!

響(小破)「数が多い…これはまずいな」

雷(大破)「…みんな、もう動けない私なんかを置いて…逃げて…」ボロ…

暁「そんなのできるわけないじゃない!」

暁「…当然だ」

深海棲艦艦載機「…」ズドン!

暁(中破)「きゃっ!」

響(中破)「くっ…!」

電(小破) (このままじゃ…みんなやられるのです…)

電(小破)「誰か…誰か、助けて下さーーい!」

…ザー…ザザ…

『…マスタング00…了解』

電(小破) (今のは…無線?)

…ブーン…

響(中破)「向こうから何か来る…」

暁(中破)「…オレンジ色の…零式艦上戦闘機…」

…友軍機見ユ!…

『…救護目標、並びに敵艦、敵艦機を確認…』

『…マスタング00…攻撃開始…!』

https://youtu.be/X012-_UBcvg
【イナホさんのテーマ】

深海棲艦艦載機「…」ズダダダ!

『…一合旋回で回避しつつ、迎撃』ズダダダ!

深海棲艦艦載機「!?」チュドーン!

『…次!』ズダダダ!

…チュドーン!…

『…次!』ズダダダ!

…チュドーン!…

空母ヲ級「…!」

暁「あっという間に三機も撃墜…」

響「…ハラショー」

空母ヲ「…ッ」ズドドン!

雷「…!…砲撃…!」

電「はわわ!」

『…砲弾の弾道を計測…』キュィキュイーン…

『救護目標へ直撃するのは3発の内中央の一発のみ』

響「…私が盾になる」ズィ…

雷「響…やめて…!」

『…小型ロケット弾…ファイア』バシュッ!

…チュドーン!…

暁「当たら…なかった…?」

響「いや…当たらなかったんじゃない…敵の砲弾にロケット弾をぶつけて軌道をそらしたんだ…」

暁「そんなの…可能なの!?」

…チュドドドーン…

『…敵航空機、全機撃墜』

『…深海棲艦の空母への攻撃に移る』ズダダダ!

空母ヲ級「…」チュインチュイン!

『通常弾ではダメか…H E弾ならどうだ…?』ズドドドド!

空母ヲ級(小破)「…!!」バッ!

電「深海棲艦が…撤退していくのです!」

雷「助かった…の…?」

『護衛対象全員の生存と深海棲艦の撤退を確認』

『マスタング00…帰投する』


~数週間前~



『………な……さん』


(……頭が、痛い……ノイズが……走る……)


………レンジ……ろ……


(……何、だ…?…僕は……どうなったんだ……?)


………おくん……な……


(……僕の、大切な……)


『伊奈帆さん』


(あな、たは………どう、なった、ん…だ…)

伊奈帆「………ん、ぅん…」

伊奈帆「こ、こは……?……何処だ?」キョロキョロ

伊奈帆(確か僕は……ザーツバルム伯爵の揚陸城で……)

伊奈帆(『ディオスクリア』……火星カタフラクトを倒して、揚陸城のアルドノアドライブが停止して……そうだ)

伊奈帆「セラムさんが……撃たれた」

伊奈帆(そして……僕も……コウモリに撃たれたんだ)

伊奈帆「となるとここは病院……」キョロキョロ

伊奈帆(……と、いう訳でもなさそうだ)

伊奈帆(部屋は豪華な内装に、高そうな置物…床にはカーペット)

伊奈帆(僕が眠っていたのはベッド……じゃなくて、豪華な革製のソファーだ)

伊奈帆「………まるで、居眠りでもしてたような……」

伊奈帆(!……そうだ、撃たれた傷……)

伊奈帆「………傷が、無い……?」

伊奈帆(部屋の鏡を見たけど、僕の撃たれた筈の左目は、何もなかったかのようにそこにあった)

伊奈帆「………誰か、居ないかな」

伊奈帆(そうだ、まず情報を……)

伊奈帆(ここが何処なのか。僕はどのくらい寝ていたのか。戦況はどうなってるか。皆は無事なのか。それから……)

伊奈帆「………セラムさんは、無事なのか」

伊奈帆「それにしても、この部屋……まるで…」

伊奈帆(昔、本で読んだ……海軍の……提督室……みたいな……)

コンコン

伊奈帆「……!?」

伊奈帆(……ユキ姉?……いや、火星人という可能性もある。その場合、僕は捕虜ということになるけど……)

伊奈帆(……でも、ノックしたと言うことは、僕が起きてるって気付いてるからだ)

伊奈帆「………どうぞ」

ガチャ……キィィ

大淀「……失礼します」

伊奈帆(女性?……眼鏡を掛けてて、黒くて長い髪……知らない人だ)

伊奈帆「あの……貴方は?」

久しぶりに書こうとしたら誰かが続きを書いてくれてるみたいなんだが…どうしようかな

>>27が来ないようだから続き書くわ
現在の時系列は艦これアニメ3話前~、アルドノアは12話後ぐらい
伊奈帆さんの左眼は普通です アナリティカル邪気眼はありません
設定とか口調とかシーンとか間違ってたらごめんなさい
始めます

大淀「…ええと、お疲れになっておられるのでしょうか…?私、先程も自己紹介をしたつもりだったのですが…」

伊奈帆「は……?」

伊奈帆(『先程』?何だ?何かおかしいな…)

伊奈帆「……」



ユキ『判断は臨機応変にっていつも言ってるでしょう!?』



伊奈帆(……うん、分かってるさ。ユキ姉)

大淀「あの……」

伊奈帆「いえ、すみません。人の名前を覚えるのが苦手なもので」

大淀「あ、いえいえ……」

大淀(……覚えるのが苦手?『あの』界塚伊奈帆【少尉】が?)

伊奈帆「…それに、さっきまで居眠りをしていたもので……あまり頭が働いてなくて。申し訳ありませんが現状確認をお願いします」

大淀「はあ……」

大淀(まあ、この方だって人ですしね……調子の悪い時くらいあるか)

大淀「……おほん、では改めまして…【大淀】と申します。ちゃんと覚えてくださいね?界塚【提督】」

伊奈帆「すみませんでした。改めて宜しくお願いします、大淀さん」

伊奈帆「あの、……界塚【提督】とはどういう意味ですか?まだ少しボーっとしていて」

大淀「大丈夫ですか?……まあ本当に今日の今日からですからね。無理もありませんよ」

大淀(……ボーっとしてるようには、見えないけれど……)

伊奈帆「大淀さん?」

大淀「あ、はい!では……おほん!」

大淀「……海軍大臣に変わって改めて命じましょう。界塚伊奈帆少尉――」

伊奈帆(……成程、僕は少尉になったのか。でも……海軍、大臣?)




大淀「……ただいまをもって貴官を水雷学校教官の任から解き、【――鎮守府】の司令長官への異動を命じる!」





伊奈帆(……正直、状況の理解はさっぱり追いつかない。……けど、一つだけわかった)


伊奈帆「――マスタング22、界塚伊奈帆…了解」


伊奈帆(僕はきっと……戦うために、ここに来たんだ)


伊奈帆(それから数時間、ここの設備を紹介して貰いながら色々情報を聞くことができた)

伊奈帆(【深海棲艦】という謎の生命体のことや、それに対抗する【艦娘】と呼ばれる人たちのこと)

伊奈帆(僕は何故か海軍士官学校で教官をしていたこと、教官をやる前は色々と功績をあげていたこと、昨日、いや今日の早朝にこの【横須賀鎮守府】に来たこと、そして疲れていたのかソファーで眠ってしまいこと)

伊奈帆(数週間ここで過ごし、その後に【――鎮守府】という場所で司令官となり、艦隊を率いる予定になっていること)

伊奈帆(教官をやっていた前の功績というのは火星人からの侵略を阻止したことではないこと、そもそも火星人なんていないということ)

伊奈帆(アルドノアも無いということ、カタフラクトも開発されていないこと、デューカリオンなんて船はないこと)

伊奈帆(――ユキ姉もいないこと、韻子もいないこと、カームも、ライエさんも、起助も、鞠斗大尉も、マグバレッジ艦長もデューカリオンのみんなも、そして―――)

伊奈帆(―――――セラムさんが、いないこと)

伊奈帆「……………」

伊奈帆(一人ぼっち、だな)

伊奈帆(……大淀さんが少し不審そうな顔をしていたのでそれ以上を聞くのは難しだろう。でも十分過ぎるほどに情報をもらった)

伊奈帆(これらの状況を総合的に考えて、帰る方法を調べてみよう)

伊奈帆(……帰れるかどうかなんて、わからないけど、それでも―――)

伊奈帆(―――僕を、待ってる人がいるから) 

大淀「それにしても、あの界塚伊奈帆少尉が私たちの提督になる日が来るとは……いえ、それだけ深海棲鑑も力をつけている、ということなのでしょうね」スタスタ

伊奈帆「まるで最終兵器みたいな言われ方ですね。僕のこと、どういう風に聞いているんですか?」スタスタ

大淀「あら、海軍大臣もそう仰っていたので、てっきり国公認の最終兵器かと」クスクス

伊奈帆「……僕はそこまで凄いわけじゃありませんよ」スタスタ

大淀「ご謙遜を。界塚提督専用、零式艦上戦闘機『グングニール』の不敗神話は有名ですよ?」スタスタ

伊奈帆(グングニール……全能神オーディンが使ったとされる百発百中の槍か)スタスタ

大淀「グングニールの名の通り一度出撃したら相手を必ず沈め、味方艦隊を全員連れて必ず戻ってくる……と」スタスタ

伊奈帆「成程…」スタスタ


大淀「着きました。ここがグングニールの格納庫です」ガラガラ

伊奈帆「………」


伊奈帆(【そいつ】は、歴史の教科書や昔読んでいた戦争についての資料で見たことのある、立派な【零戦】だった。でも、一つだけ普通の零戦ではないとわかる特徴があった)

伊奈帆(その機体はオレンジ色だった。僕と共に戦っていた【スレイプニール(あいぼう)】と同じ、鮮やかなオレンジ色……)

伊奈帆(それを見て僕は、無性に【こいつ】に乗ってみたくなった)


伊奈帆「ちょっと、こいつで飛んできてもいいですか?」

大淀「うふふ、構いませんよ。申請をしますので、少々お待ちくださいね」

伊奈帆「すごい……」バラバラバラ

伊奈帆(資料で情報は知っていた。でも、実際に乗ってみると本当に凄い)

伊奈帆(スピードが、風が、僕に何かを語り掛けているみたいだ……)

ガガッ・・・ピー

伊奈帆(通信?大淀さんか)

伊奈帆「どうしました?」

大淀『緊急の救援要請です!――鎮守府から、W島にて奇襲作戦失敗!至急救援を求む!』

伊奈帆「――マスタング22、了解。座標をお願いします」

大淀「はい!座標は―――」

伊奈帆(……行こう、【グングニール】)

バラバラバラ・・・



睦月「吹雪ちゃん!絶対……絶対お家に帰ろうね!」ズガーン!

吹雪「はい!」ズガーン!


伊奈帆「……あれか、制空権が取られてる……反撃してるけど、このままじゃまずいかもしれないな」

伊奈帆「とにかく数を減らそう。マスタング22、援護に入……!?」

ドカーン!ドカーン!

川内・伊奈帆「「三式弾!?」」



金剛「…比叡!」

比叡「はい、お姉さま!主砲、一斉射!」



大淀『どうやら、――鎮守府の遠征組が応援に到着したようです』

伊奈帆「……そうだね、僕の出番は無さそうかな」

大淀『残念ですね……』

伊奈帆「そんなことありませんよ。味方が無事なら、それでいい」

大淀『……そうでした。我々の戦う理由を、間違えてはいけませんね』

伊奈帆「ええ……敵も撤退していくようですし、帰投しま……ッ」




如月「やだ……髪の毛が痛んじゃう……」


敵機「シュミーン…シュミーン」ジャキッ



如月「―――!?しまっ――」


ズダダダダダ!!

ドゴーン!!





如月「……んっ…あれ…?生き、てる……?」

睦月「き、如月ちゃーん!凄い音したよ!?大丈夫!?」

如月「え、ええ……」

如月(さっき、視界の端に…オレンジ色の戦闘機が見えたような……)

睦月「よ、よかった……」

吹雪「睦月ちゃーん!!」

夕立「これでみんなで帰れるっぽーい!!」

睦月「うん……うん!」グスッ




伊奈帆「……間に合ってよかった」フフッ



長門「――以上が報告です。全員無事に戻り、今は入渠中です」

長門「……提督、何か悩み事でも?」

長門「?…如月…ですか?いえ、特に何も。先ほど報告しました通り敵艦載機に狙われ、奇跡的に助かった、と」

長門「……は、それでは失礼します」

長門「……む、そういえば…」

長門「いえ、如月がその報告の後、何か妙なことを…」

長門「て、提督!?そんなに慌ててどうし……近っ…///」

長門「お、おほん…///……ええと……確かこう言っていました」

長門「『オレンジ色の戦闘機』……と」

長門「……?ど、どうされたのですか?今度はそんなに笑い転げて…」

長門「は?『呪われし運命を変えるもの』?『二人目』?」

長門「あの、仰っていることの意味が…提督?……提督!?」

今日はここまで
読み返すと展開早すぎて涙目の俺氏
もうちょっと頑張って書き溜めます
しかし本編を考えようとしてもどうしてもカレー作る伊奈帆さんが邪魔してくる

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年01月22日 (金) 15:27:25   ID: yU7Yazjx

続きが読みたい

2 :  SS好きの774さん   2016年01月24日 (日) 18:47:39   ID: NHRXqGUT

完結まで読みたい

3 :  SS好きの774さん   2016年02月25日 (木) 00:01:15   ID: vfFrCU6-

待ってますよ

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom