アブノーマル・デュオ(トール×みやび) (27)

最近アブソリュートデュオの巨乳ちゃんにすっかりやられ、
数年振りにSSくずれみたいなものを書きなぐったのですが、
中途半端なサイズを某掲示板に落とすのもためらわれたので
はじめて一スレお借りしようと思います。

現在アニメは10話で、穂高みやびちゃんが俗に言う闇落ちし、
意外な形で再登場するところからの分岐妄想です。
元ネタ程度のR18要素はなきにしもあらず

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1425993522

みやび「とおるくん、わたし強くなったんだよ。
    どれぐらい強くなったか、見せてあげるねっ!」

とおる「くっ、どうして、みやびが? しかし、確かに以前とは
    段違いに強くて、俺が押されてる?」


うさ先「ケッ、さっさと抱いてやらね-からこんな面倒な事に
    なるんだよ! オメーもさっさと覚悟決めろや!」

とおる「覚悟って何だよ。大体、これ、みやび洗脳されてるん
    じゃないのか?」

うさ先「だったら、オメーがその上から洗脳するなり蹂躙する
    なりして寝取り返してやればいいだけだろうが!」

とおる「・・・寝取るっておい、仮にも教育者だろうに」

ともえ「いけ、九重。正式なデュオだった私が許す」

ヤー 「みやびを助けてあげて欲しいです」

リリス「二度は認めないけど、この場合、仕方ないわね」


とおる「・・・。み、み、み、みやびぃっ!!」

みやび「・・・え? 急に何・・・。」

とおる「つかまえたよ、みやび」

みやび「と、とおるくんはヒドイよ。こんな姿になってから
    わたしを抱しめるなんて・・・。」

とおる「みやびっ、みやびっ!!」

みやび「ひゃうん! 直に揉まないでっ、装鋼の両胸の所のは
    手とか入れるための穴じゃないから!」

とおる「目を覚ましてくれ! 俺の方も何か目覚めて来た」

みやび「そんなの知らないよ」

とおる「戻ってくれよ。・・・可憐で、優しくて、一生懸命で、
    可愛らしくて、抱しめたら折れてしまいそうじゃなく
    俺の秘めたる決意の方が折れそうなぐらいに、めちゃ
    柔らかそうで、暖かそうで、いい匂いのするみやびに」

うさ先「おまえ女子に幻想を抱き過ぎ」

みやび「でも、あなたは弱いわたしを受け入れてくれなかった」

とおる「謝るよ、みやびを受け入れる事が出来ないでいるのは
    まだまだ弱い俺の、弱さだと思う。
    けど、みやびを放っておけないと思うのも事実だ。
    そんな俺を、みやびが受け入れてくれるなのら、俺も、
    ちゃんとみやびを受け止められるような一人前の男に
    なりたい、と、そう思う・・・。」

みやび「とおるくん。もう少し早く聞きたかったな・・・」

鋼技師「む、我が装鋼と焔牙との競演は予想通りの真価を見せ、
    学園ごっこに興じるガキ共を圧倒した訳だが、やはり、
    急ごしらえの洗脳回路に難があったか。
    というか、中二やビッチの考える事はよくわからん。
    ここらが幕引きか、水爆起動ポチっとな」

みやび「ううっ」

とおる「どうした、みやび!? 苦しいのか!? どうしたら
    この全く似合ってないケバいスーツを脱がせられる?」

みやび「この装鋼はね、物理的な力じゃ脱がせられないんだ、」

とおる「理事長! うさ先生! どうしたらいい!?」

理事長「・・・」

うさ先「ある程度身体と同化してる、ってんなら、自分自身で
    それを追い出すように仕向けねーと無理だろうな、
    体温を上げて病原体を追い出すようによ。」

とおる「風邪の療法かよ、無茶言ってくれちゃって。
    なぁ、みやび。この、おへその辺りの小さなボタン? 
    これを押すと解除されて楽になるんじゃないか?」

みやび「それは第三開口部用のボタンって聞いたけど」

トラ 「第三ボタン? 待てとおる、あかんそれ死亡フラグや!」

とおる「・・・けどヤルしかねぇ! ぽちっ」

みやび「いやン! 見ちゃ嫌ぁ!」

とおる「ここで使うぜ、理事長から預かった、スティック状の
    キメたらいろいろ力がみなぎる薬物をっ」

みやび「こわいよ、とおるくん」

とおる「俺を信じろ! 後でどんなフォローでもするっ!」

みやび「どんな? ・・・うん、信じるよ、とおるくん」

とおる「ああ。うん、元のみやびのいい笑顔になった」

ヤー 「ともえ、あれは何をやってるのですか? あんな所や
    そんな所にルキフルを吹き掛けたり、こすり付けたり」

リリス「ユリエは見ちゃ駄目!」

ともえ「さすがレベルⅣの腕さばき、あの早業には驚愕するな。
    ああっ、ついにアプリケーターごと、みやびの中に?」

みやび「はっ、はっ、・・・とおるくんは好みじゃないんだね、
    この装鋼のデザインっ」

とおる「うん、駄目だな。体のラインを全部そのままトレース
    すればいいというモノじゃないと思うんだ。
    隠すところは隠す、とみせて、わずかにチラ見せし、
    見せるべき所はガバーっと大胆にいくのが好みだ」

みやび「、、そうなんだねっ」

とおる「ああ。・・・だから、凄く良かったよ、あの水着」

みやび「嬉しい。・・・えっ? あっ、何か来そうっ!?」

とおる「うん、みやび、戻って来いよ」

みやび「い、、いく、、とと、と、とおる、くーんっ!!」

ヤー 「みやびの身体が真っ白に輝いてます」
リリス「だから指のすき間から見ちゃ駄目!」
ともえ「・・・」

エピローグらしきもの


ともえ「みやび」

みやび「ともえちゃん、ゴメンね」

ともえ「デュオは解消だ。私はリーリスとでも組むとしよう。」

みやび「・・・うん。寝返った娘なんてもう信頼できないよね。」

ともえ「馬鹿者。私はお前が大好きだ。よく戻ってきてくれた」

みやび「?」

ともえ「あんな事になる前に、みやびをケアしてやれなかった。
    全ては私の力不足だ。私は一から修行し直す。だから
    自由にどこへなりと行ってしまうが良いぞ。
    ところで聞いた話だが、この学園には異性と組む事も
    辞さない掟破りのイレギュラーがいるらしいのだが、
    そういう奴が立派に成長すると複数のデュオを同時に
    組んだり、あるいは、そ、その、デュオでなく3人の」

うさ 「3P?」

ともえ「そう、さんぴーやよんぴーを組んだりできるのでは
    ないだろうか」

リリス「それを言うならトリオやカルテットでしょ、私もそれ、
    一口乗るわ。作りましょう、トールのハーレムを」

トラ 「モモ乙」
タツ 「ムン!」

みやび「ともえちゃん、ありがとう。わたし、頑張るよ。」

以上、短く中身もなく失礼しました~

今回はTV11話の

闇落ちした揚げ句、敵方のスーツを身にまとって主人公透流たちの前に
立ちはだかるみやび。
彼女一人をその場に残し移動しようとする敵本隊も無視できない状況で
明らかに普通ではない状態のみやびを元に戻そうとする役に名乗りを
上げたのは彼女とデュオを組む巴だった。

一対一で何度跳ね飛ばされ組み伏せられても諦めず語りかけ訴え続ける
巴に、みやびは最後には己を取り戻す。

からの分岐妄想、少々百合仕立てで

寮の自室。みやびとの格闘で負傷、療養中の巴と、謹慎を言い渡され、
この数日、片時も離れずみやびに付っきりで日常の世話を焼くみやび。

ともえ「なぁ、みやび。別にずっと付いてなくてもいいのだぞ。もう、
    起きて自由に歩き回れるのだしな。」

療養のために身を横たえたベッドの上から、抹茶のカップと和菓子を
載せたトレイを持って傍らに近付いて来たみやびを見上げ、巴は言う。


みやび「でも、こんな、消えないかもしれない傷を巴ちゃんに付けて、
    わたしどうしたら・・・」

俯き気味に、そっと巴のベッドに腰かけると下腹部にあるその傷痕を
それこそ腫れ物に触るように慎重に、数度、優しく撫でるみやび。

学園の演習など、見た目にどんなにハードな死闘を繰り広げようとも、
実際の身体は一切傷つかない、それが今の日常の前提だった。

だがしかし。見間違えようのない現実が目の前にある。

ともえ「気にするな。武道に身を置くと決めた時から、こういうのは
    普通にある事だと思っているよ。というか、むしろご褒美だ。
    お前をこの手に取り戻す、その戦いに勝ったという勲章だ。」

みやび「巴ちゃん・・・。わたし恥ずかしいよ。あの時『巴ちゃんに
    私の何が解るの』なんて酷い事を言っちゃって。こんなにも、
    わたしの事を考え、思いやってくれてるのに。」

優しい視線で見上げてくる巴に、消え入りそうなか細い声で、まるで
消えてしまいたい、と言わんばかに顔を伏せて告白をするみやび。


ともえ「いや、あの時、みやびの事を本当に解っていなかったのは、
    恥ずかしながら事実だと思う。」

もう何日も前のこと。きっと二度と無い、そんな、特別なはずの一日。
できればもう、二度と起こって欲しくない、そういう黒歴史。

しかし、それは、間違いなく、自分が糸口を作ってしまったものだ。
みやびは少し口を震わせながら、思い切ったように話しだす。

みやび「あの時のわたし・・・。でもあれは”別人”なんかじゃなく、
    きっとあれもわたしの一面なんだよ。巴ちゃんは、それでも
    私を信頼できるの? なぜ?」

普段のみやびが、演習でもない状況下で透流や巴たちと敵対する事は
あり得ないはずだ。
しかし、自分の力が彼らに認められると嬉しいと考えたりするのは、
普通にある事で、つまり、あの洗脳されていたような状態のみやびと、
普段のみやび、両方に共通した考えだ、と言っても、おかしくはない。

ともえ「・・・あの時のみやび、か。そうだな、あれも確かにみやび
    だったのかもしれないな。あんな時なのに、お前は最後まで
   『巴ちゃん』と呼んでくれていた。」

巴は、みやびの目をしっかりと見ながら、続ける。

ともえ「・・・そんなお前だったから、私は話せばきっと通じる、と
    考えたのかもしれないな。」

みやび「でも、わたしは巴ちゃんや透流くんたちを本当に危ない目に」

ともえ「いや、あれだけの力を持っていた、あのみやびが、本当に
    私や九重達を亡き者にしようとしたのなら、多分、私は今、
    ここにはいないぞ。
    あの時『みやびは間違った力をまとっている、』と言ったが、
    あれは普段は現れないでいる、みやびの中に秘められた物が
    無理に引き出されて形になったものではないかと私は思う。」

みやび「・・・」

ともえ「いや、私には技術的な事なんてさっぱり解らないのだが、
    奴らがみやびに使ったのは、人が考える事を無理にねじ曲げ、
    考えと考えを正しく繋がらなくしたり、まったく別の突飛な
    考えに無理やり繋げようとしたり、とか、誰にでもある筈の
    事情や制限のようなものを見えなくしたり、などといった、
    錯覚を起こさせるものだったのではないか?」

みやび「そう・・・なのかな」

ともえ「でもみやびは、あやふやなバランスの中で、ちゃんと自分を
    保っていた。私を完全には排除しなかった。それはつまり」

みやび「つま、り?」

ともえ「どこかでみやびは、私に助けられたがっていた。
    だから私は助けた。違うか?」

あの時の事は、確かにみやびは自分の目で見て、記憶にも残っている。
しかし、その時のみやびの精神状態は、明らかに普通の状態ではなく、
またその自覚も確かにあったものの、今、自分の頭で難なく普通に
考えられる事が、その時のみやびは、同じ真っ当な結論を出す事を
禁じられていた、としか言いようのない状態だったのかもしれない。

そういう、不完全で不十分過ぎる思考の中でも、わたしは巴ちゃんを、
そして透流くんを、自分を救い出してくれる人として、無意識に認識
していたのだろうか。

みやびは自問自答する。

いや、それは解らない。だけど、そうだったら、嬉しい。

あれだけの迷惑を掛けておいて、だけど。
・・・それでも許されるなら。
みやびは巴の言葉を信じたい、と思った。

みやび「・・・巴ちゃん!」

ベッドの中と、その傍らとで交わされた数分の会話の後の静寂の中、
感極まったように抱きついて、甘えさせて貰うように、しかし巴の
身体を気遣う事を忘れず、注意深くゆっくり上体を預けていくみやび。

ともえ「・・・ん」

巴は、すっと近付いて来て僅かに触れたみやびの髪の感触を受け流し、
それはそのまま、胸にそっと押し当てられて、その周りから徐々に
伝わってくるのは、みやびの規則正しい呼吸、小さな吐息、微熱。

無言になった中で、ふと触れた片手と片手は、離れるのを惜しむよう、
どちらからとなく握り直され、やがて互いの全ての指同士が絡み合う、
簡単にはほどけることのない、しっかりとした繋ぎになる。

ともえ「あの時、万一の際にはお前と刺し違えて止める、と、考えた
    一瞬がある。・・・いや多分、学園や仲間を守る為と思えば、
    そう考えるのが正解なのは間違いがないはず・・・なのだが、
    果たして実際に、私にそんな事ができたのだろうか」

みやび「もういいよ。巴ちゃんがいてくれた・・・いてくれる、だけ
    で、私はすごく幸せなんだ、って、今は本当にそう思う。
    ごめんなさい、巴ちゃん。こんなわたしだけど、よかったら
    これからもデュオでいてください」

ともえ「当たり前だ。みやびは俺の嫁」

みやび「ええっ、なにそれ?」

ともえ「いや、TVやらクラスの男子が言ってたのだが、今のみやび
    みたいな、いじらしい女の子の仕草にキュンとした時、こう
    表明するらしい。・・・まぁ、みやびが嫁になりたい相手は
    別に居るんだろうが」

みやび「巴ちゃん、意地悪だよう・・・」

雨振って地固まる、ではないが、この、しっかりと繋いだ手のように、
以前よりもずっと強固な絆を手にした、と巴は感じた。

が、取り戻したはずのみやびの表情が、また少し曇ったように見える。

ともえ「どうした、みやび?」

みやび「あ、うん。あのね、透流くん・・・だけじゃなくて、ユリエ
    ちゃんと、リーリスちゃんと、それから、トラくんたちにも
    迷惑を掛けた事をちゃんと謝りたいんだけど、」

ともえ「?」

みやび「その、みんなにどう声をかけていいのか、とか、そもそも、
    許してくれないんじゃ、とか、・・・あと透流くんもね、
    寮の廊下で何度か見かけるんだけど、毎回すぐ視線を外して
    不自然な早歩きで反対の方に行っちゃうみたいで・・・、
    わたし、やっぱり透流くんに嫌われちゃったんだね。もう
    許してもらえないのかなぁ」

ともえ「こら、みやび!」

繋いだままの手にも、少し力を込めて、巴が言う。

ともえ「困った事があった時は?」

みやび「あ、うー、・・・巴ちゃんに、相談する。」

ともえ「そうだ。私がいつでも相談に乗る。任せておけ、とまでは、
    言い切れないのが残念だが、一緒に考えよう、な。」

みやび「うん。巴ちゃん、ありがとう。」

沈んだ表情から悔やむ表情、そして泣き顔になってしまう寸前から
笑顔を少しだけ取り戻したみやびが、思い出したように半身を起こし
ベッド横の小さなテーブルに置いていたトレーの小皿から、片手で
器用に羊羹の一切れを切り分けて、その楊枝を巴の目の前に差し出す。

みやび「はい、お礼だよ。巴ちゃん、あーん?」

ともえ「いや、だから、一人で歩けるし、食べられると何度、」

みやび「あーん?」

ともえ「分かった分かった、みやびには優しくしてやらないと、また
    えらい事になるかもしれんからな。」

と、うっかり本人の前で不謹慎な事を口にしてしまい、巴はみやびの
表情を伺う。

みやび「大丈夫だよ。」

言葉とともに力強く握り返されてきた手。

巴は少しの間目を閉じて、そして静かに口を開ける。

みやび「はい、」「・・・もうひとつ、はい」

ともえ「うむ、・・・これは、なかなかいけるではないか」

羊羹の上品な甘さが口に広がっていく。

ともえ「が、これはお茶も欲しくなるな」

と巴が口に出した瞬間。

みやびの繋いでいない自由な方の手が、楊枝をカップに持ち替えると、
中に満たされた、少し熱目の抹茶を少量、口に含んだみやびの顔が、
ややふくらんだ頬のままで、少し目を細めた表情になって、巴の顔に
極端に近付いていき、

みやび「・・・んっ」

くちびるとくちびるが、少しの角度を成してそっと合わさり、その
小さな交点から、巴の中へ少しずつ暖かな液体が注ぎ込まれていく。

ともえ「!」

びっくりして息を呑み込むのと、みやびの口から送り込まれた抹茶を
ごくりと飲み干すのとが、完全にシンクロして、すぐに少量の抹茶は
喉へと降りて、口の中は再び空になる。

そこに、間髪を入れずにもう一度、おかわりが近付いてくる。

ともえ「・・・み、みやび、」

声になり切れていないような上擦った声が出た瞬間、その動いた口が
見事に狙われて、再び、みやびの愛らしい小さなくちびるで塞がれた。

さっきは味を感じる間もなく、ただ驚かされた巴だったが、今度は、
少しのほろ苦さを含んだ暖かくて甘いものが口を満たしていること、
それが少しずつ喉へと流れ落ちていくことを自覚する。

目の前の、というか、ベッドに仰向けでいる巴の顔のすぐ上には、
澄んだ表情で目を閉じ口を寄せてくる、みやびの可愛らしい顔。

外からはきっとふしだらな行為に見えるだろうな、と他人事のように
考えながらも、どこかでみたような既視感がある、暖かなふれあい。

唐突に思い出した、昔見たTV番組の動物の親子。
私は雛鳥か。

しかしこの親鳥、将来ちゃんと雛鳥を厳しく教育できるのだろうか。
全く想像がつかない。あ、でもそれは私も一緒か。

そんなどうでもいい事を考えていると、カップをテーブルに戻す音。

みやび「ごめんね、嫌じゃなかった?」

ともえ「嫌ではないが! 何なのだ、今のは」

少し頬が赤い気はするものの、意外と平然と聞いてみせるみやびに、
必要以上に憤慨してみせる巴。

みやび「何って、味見?って言うか、温度調節? かな」

悪びれたりせず、さも当然のように言うみやびに、すっかり毒気を
抜かれた形で、巴は言葉も無い。

みやび「あ、巴ちゃん。羊羹、一切れ残ってるけど、半分こする?」

ともえ「それは、ものは公平に分けるのが当然の事だが、」

みやび「うん、じゃあ。」

みやびは、今度は楊枝を使わず、一切れの端をじかに口にはさむと、
例によってそのまま巴の顔のすぐ真上に顔が来るよう、上体を動かす。
もちろん、片手同士は、さっきからずっと握り合い、離れないままだ。

そこで動きが止まり、一切れの羊羹と僅かな空気のすき間をはさんで
巴とみやびが至近距離で見つめ合う格好になる。

さっきまでは、巴自身の意思とは無関係なタイミングでのサプライズ
だったから、変にドキドキする事もなかった。

でも今のこれは、明らかに、巴のアクションを待つ構図だった。

・・・いや、ほら、これはバラエティー番組のゲームとかであるじゃ
ないか。ポッキーゲーム? とかいう。あまり高尚なものではないが、
うん、その何だ、まぁ、余興とか、そういうものと思えば。

観念するように、自分に暗示を掛けるように、羊羹の反対の端に口を
つけようとする巴。そして、小刻みに少しずつくちびると舌を使って
送るようにして羊羹を口の中に納めていく。すると当然、その分だけ
近付いてくる、栗色ショートの髪から少し覗いた頬がピンクに染まる
とても可愛らしい顔。

ごつん!

あいた!

良かった。おでこがぶつかったせいで、この変な空気を脱する事が
できて、などと巴が内心、胸をなで下ろして、すぐ。


もう抹茶も羊羹も残ってない、本当にくちびるだけの感触があって。

だから、これはもう、病人への口移しとか、そういう種類の言い訳は
完全にできなくて。

触れただけでなく、明確に押しつけ、重ね続ける、という意思が感じ
られて。

その後、ちゅっ、という小さな、しかしはっきりとした音を残して。



みやび「あのね。わたし、透流くんも好きだけど、巴ちゃんも大好き
    だよ。」

この章 fin です。失礼しました。

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