【艦これ】高雄「私と」愛宕「私と」提督「俺」 (1000)


< しかいない >





提督「戦争は膠着」

高雄「後方はやや安定」

愛宕「本土防衛への比重はだだ下がりよねぇ」

提督「まぁ……俺たちが役立つ事態なんて、な」

高雄「確かに。無い方がいいに決まってます」

愛宕「でも」




「「「…………暇」」」




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< 流れたか、流されたか >





提督「前までは横須賀にいたのになぁ」

愛宕「それは提督が権力争いに負けたからじゃない」

提督「いや、そうだけどさ……オブラートとかないの? 」

高雄「でも悪くはないと思います。
本来は少将以上で名乗る提督という名も一応は名乗ることができていますし」

提督「執務も大したことないしな」

愛宕「権力争いに敗北、からの半ニート……」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「負け犬ね☆ 」

提督「やめろ」


< 図星にも限度が >





愛宕「ただ、ね……」

高雄「ええ、そうね……」

提督「……なんだよ」

愛宕「陸軍の基地を守るのが主目的というのは……」

高雄「基地航空の重要性は理解しているつもりなんですけれど」

愛宕「無駄飯食いとか臆病者とか言われるのはちょっと」

高雄「まぁ、それはあながち間違ってはいないのですが」

愛宕「ハーレム3Pとかの陰口はさすがに……」

高雄「はい」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「…………間違ってないだろ」




「「…………そういう問題じゃない」」


< 言葉は剣よりも強し >





提督「いや、でも待てよ? ってことは俺は」

愛宕「色ボケ提督」

高雄「キズを舐めてもらう惰弱者」

提督「え、えぇ……」

愛宕「横須賀では若手No.2だったのにねぇ」

高雄「前線の艦娘や将校にもそれなりに味方はいるのに」

提督「おう、決して完敗だったわけでは……」

愛宕「まぁ、負けは負けなんですけどね」

提督「」

高雄「ずっとNo.2のままでしたし」

提督「」


< 決め手 >





高雄「ま、まぁ私たちはそう思ってませんから」

愛宕「そうねぇ……嫌いならここまで着いてこないわね」

提督「お、お前たち……っ! 」

提督( これが仲間か。これが絆か。ここまできてよかったなぁ )

高雄「ルックスとかスタイルはかなり上位ですし」

愛宕「島流し扱いでも高級軍人だしぃ」

提督「……ん? 」

高雄「私たちも将来を考えなくては」

愛宕「大体私や高雄に釣り合うとなると、ねぇ? 」

高雄「そうよね」

提督「最低じゃねぇか! 感動を返せよ畜生 」


< 逆もまた……然りじゃない >





愛宕「そういえば」

提督「なんだ。無理矢理な転換だなおい」

愛宕「逆に提督が私たちを選んだ理由ってなんなの? 」

高雄「あ、それは確かに気になりますね」

提督「俺? うーん……お姉さまっぽいかつ甘えさせてくれるとことか」

愛宕「あらあら ♪ 」

提督「ときに厳しいけどお茶目さがギャップになるとことか」

高雄「なるほど。それは悪くないですね」

提督「あと身体」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「な、なんだよ。そっちも大した変わらないこと言ってただろ」

愛宕「サイッテー」

高雄「これは……ありえませんね」

提督「えぇ…………なにそれ」


< やっぱり……然りかもしれない >





愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「あ、あの」

愛宕「でも実際は割とそこ大事よね」

提督「で、ですよね」

高雄「本人が言っていいことではないですけど……概ね同意」

愛宕「そうねぇ……この人がぶよぶよだったり」チラッ

高雄「その……小さかったりすると……」チラッ

提督「…………」

愛宕「そもそもこんなこと言い合える仲だものね」

高雄「ええ、なんだかんだ言って私はあなたに満足していますよ、提督」

提督「お、おう……そうか」

提督(今日から筋トレ増やそう。うん。いつかぶよったりしたらアレだし)




< 姉妹 >





提督「関係ないけどさ、鳥海とか摩耶は最近どうなの」

愛宕「そんな……私たちでは満足できずに妹たちまで」

高雄「クズですね。明らかに」

提督「いや、関係ないと言ってるだろ……で、どうなの? 」

愛宕「うーん……良くも悪くも変わらないみたいね」

高雄「深海棲艦側との境界がある程度確立されてしまいましたからね。
前線とはいっても精々が小競り合いなのは変わらないと」

提督「うん、さすがに知ってるけどさ。一応軍属なのは俺もだよ。
そうじゃなくてプライベートがさ」

高雄「それも変わらず、だと思います」

愛宕「そうね。そもそも提督よりもスペック高いのは大体が老齢だしぃ」

提督「…………この下半身脳が。そっち関係しか考えられないのかよ」ボソッ

愛宕「あらあら……今なんと? 」ニコッ

提督「いや別に」

高雄「愛宕と同じ扱いはちょっと……」

愛宕「えっ……裏切るの? 高雄」

高雄「ただでさえ色ボケとかビッチとか言われてるので……これ以上は」

提督「はははっ、普段の行いの所為だな」

愛宕「うっそぉ……」


< 強弱あるいは >





愛宕「……まぁ、こんな感じで」

提督「ん? 」

愛宕「大体私たちの力関係ってあれよね。
提督 > 高雄 > 私 >、よね」

高雄「むっ、私が提督より弱いという根拠は」

愛宕「ベッド」

高雄「」

提督「じゃあ俺がお前に弱い理由はなんだよ」

愛宕「ベッド」

提督「」

愛宕「……ただそれだと私は別に高雄に弱いわけじゃないのよねぇ…………うふ」


< 結局は >





提督「いや、やっぱ普段の行動で測るべきだろ」

高雄「そ、そうですよ! 大体夜のことなんて時と場合によって変わるじゃない! 」

愛宕「例えば? 」

高雄「お酒の有無とか雰囲気とかプレイ内容とかっ! 」

提督「お、おう……」

愛宕「なるほど……ふふふ」

高雄「? ……あっ」

提督「いや……うん、俺は嫌いじゃないよ、うん。むしろ好き」

愛宕「もうっ……普段からそうやってはっきりすればいいのに」

高雄「あ、あの…。ああっ…………」カァァ…

愛宕「うふふ」

提督( 高雄はむっつり。まぁ、知ってたけど )


< 大体いつもこんな感じぃ ♪ >





高雄「そもそもですね」

提督「おう、なんだむっつり」

愛宕「高雄はむっつり」

高雄「…………」

提督「で、どうしたの? 高雄ちゃん」

愛宕「高雄ちゃん ♪ 」

高雄「」

提督「えっちなえっちな高雄ちゃんなぁに? 」

愛宕「いやーん、私よりもえっちだなんてぇ」

高雄「…………もうやだこの人たち」


< feat with ローなんとかさん >





提督「で、なんだ? 高雄」

高雄「……もう、喋ってもいいんですか? 」

愛宕「いいわよぉ。飽きたし」

高雄「はぁ…………そもそもですね、オープンにビッチみたいな愛宕よりはマシかと」

愛宕「ん、そうかしら? 」

提督「どうだろう? 」


「「んん〜、わかんない☆ うふふっ」」


高雄「……本当腹立ちますねこの人たち」


< ムードを感じろ >





提督「つーかさ。それこそ雰囲気とか内容によるよな」

愛宕「なにがですか? 」

提督「ん、むっつりがいいのかオープンがいいのか」

高雄「そうですかね……」

提督「例えばさホテルのレストランとかオープンテラスで美味い酒飲んでるときにオープンだったり」

愛宕「はぁ」

提督「一晩ヤリまくって早朝二度寝寸前に淫語言いまくってくるのはどうよ」

高雄「それは……ちょっと遠慮したいですね」

愛宕「じゃあ、今はどっちなの? 」

提督「えっ……どっちだろう」



< 灰色無し。白か黒 >





提督「まぁ人それぞれだよ。うん」

高雄「はぁ」

提督「それにさっきとは逆にさ。
ベッドに入って何もしない言わないマグロとか嫌でしょ? 」

愛宕「まぁ、そうかも」

提督「愛宕は愛宕。高雄はむっつり。これでいいんだよ」

高雄「ちょっ……まぁ、仕方ないか。
でもそれなら提督はどっちなんですか? 」

提督「そりゃ」

愛宕「それはHENTAIでしょう? 」

高雄「なるほど」

提督「いや、うーん……否定はできないけどさ。そんな即効同意とか」


< 話術△ >





提督「マグロは好き? 」

愛宕「私や高雄が本気出したときの提督? 」

提督「ちげーよ。色んな意味で違う。いや、違うはず。
……単に、魚の好みだよ」

高雄「私は好きですよ。赤身全般が好きです」

愛宕「私も好きよぉ。逆に白身は苦手かなぁ」

提督「なるほど。そうか」

高雄「はい」

愛宕「そうね」

提督「……」

高雄「……? 」

愛宕「……? 」

提督「いや……そんなオチは? みたいな顔されても。
常にそんなオチは考えねぇよ」



< 条件付話術○ >





愛宕「やっぱり会話は上手くないと」

高雄「そうですね。やはり味のある声。楽しい会話。
それがないとルックスだけの男になってしまいますよ」

提督「おおう……ズバッとくるね」

愛宕「ピロートーク……なおざりにしたりしてませんか? 」

高雄「男性は目で女性は耳で恋をするとも言います」


「「今の立場に胡座を掻いていませんか? 」」


提督「こえーな、おい。どこぞの双子姉妹かよ 」



< 計り切れない >





愛宕「でも……提督ってかなりタフよね」

高雄「ええ、しかも両腕で腕枕からのピロートークで最後まで起きてるとかザラですし」

提督「まぁな。これでも女の子のこと考えてるし」

愛宕「…………はぁ」

高雄「まぁ……仕方ないわよ。これは」

提督「えっ? なに? なんなの」

愛宕「そこで私と高雄じゃなくて女の子って言うあたりが提督よね」

高雄「良くも悪くも提督ですから」

提督「えっ、ダメなの? 」



<ふとした瞬間惚れ直す >





提督「でも仕方ないだろ。そもそもで言えば他人から見れば、
愛宕か高雄かで迷ってるってのが俺への評価だろ」

愛宕「じゃあ……選んでくれるの? 」

高雄「はっ……そんな勇気ないでしょうけどね」

提督「…………」

愛宕「まぁ、私たちは完全に人間ってわけではないから。
考え方をトレースしきる必要もないし」

高雄「ええ。私を見るときは私がオンリーワン。
私と一緒にいるときは私がナンバーワン。
それで私は十分です」

愛宕「それに私たちって仲間意識とか姉妹意識強いから」

高雄「提督は同列に見てくれますからね」

提督「…………おう」



提督(たまにシリアスになったりすると……カッコいいのもアンニュイなのも似合うな)


< 言葉はいらない >





提督「二人とも佳い女だからな」

愛宕「提督こそ」

高雄「そうですね。いくら私たちが人外の考え方をするといっても、
提督でなければ二人で身を任せたりはしませんよ」

提督「……そうか」

愛宕「はい」

高雄「そうですとも」

提督「……」

愛宕「……」

高雄「……」

提督「……晩飯でもつくるか」


< 提督はつらいよ >





提督「確かに左遷みたいなもんだけどさ」

高雄「みたい、ではなくそのものでは? 」

提督「むむっ……兎に角そうだけどさ。
いくらなんでも食堂要員も工廠担当者もいないのはおかしいよな」

愛宕「でも陸軍の基地なんだからそっちに行けばいいじゃない。
なぜか行かないけど」

提督「いや……行こうとはした、というか高雄と行ったことはあるんだよ」

高雄「あー……ありましたね。異動初日で愛宕はまだいなかったけど」

愛宕「はぁ。ご飯が美味しくなかったとか?

提督「……いや、結構美味かったよ。
ただ、ね……」チラッ

高雄「はぁ……仕方ない。
……女侍らしていい気になってる穀潰し扱いされるのよ。あそこに行くと」

愛宕「なるほど……」

提督「なんもせずに黙々と二人で食べててあれだぜ?
ただでさえ不名誉なあだ名付けられてんのに、
今更お前ら二人連れてくとか……」

高雄「提督は帰ってこれないかもしれませんね」

愛宕「…………私と高雄だけ行ったらどう思われるのかしら」ボソッ


< 背中で語る強さが欲しい >





提督「まぁ、そこそこ皆つくれるしいいけどさ」

高雄「あなたはチャーハンくらいでしょう美味しいと言えるのは」

提督「つ、つまみもつくれるし……」

愛宕「それ確かに凄いけどダメ人間の兆候よね」

高雄「私たちよりお酒弱いのに」

提督「そりゃ、ある程度消化酵素いじくれるやつには勝てねーよ」

愛宕「でも、ね? 」

高雄「ええ、女の子より弱い男とかちょっと……」

提督「どうしろってんだ。この世にお前らより強い男とかいんのかよ」

愛宕「提督がなればいいのよ」

高雄「気合でなんとか。漢は背中。そうでしょう? 」

提督「死ぬわ。つーか、死んでも無理」


< 自分の為に悩んでほしい >





提督「と、言っている間に完成っと」

高雄「私たちはもう終わってますよ」

愛宕「サラダとスープだものね」

提督「うーん……俺もチャーハン以外真面目に頑張った方がいい? 」

高雄「いえ、特には。私はお料理好きですし」

愛宕「私もぉ。一応はまだ女子力は磨いていたいし」

提督「おっ、いい心掛けですね愛宕さん」

高雄「……これ以上何を上げればいいの?
割と私たちなんでもできるわよね」

愛宕「えぇーっと……そこはほら。
私たちの女子力を必要としている人たちに訊きましょ? 」チラッ

高雄「なるほど。合理的ね」チラッ

提督「えぇ……そこは女の子の努力に萌える部分じゃん」


< 女子力も進化する >





提督「つーかさ。厳密には女子力に料理は含まれないと思う」

愛宕「えー、どうして? 」

提督「だってさ、今の時代一人暮らしの学生なら自炊してるやつ沢山いるぜ?
女の子でも惣菜中心の子いそうだし」

高雄「それは確かに」

提督「そりゃ美味しいにこしたことはないよ。
だけど一番は俺のために頑張ってくれたとか、
美味しい? って不安そうに上目遣いで訊いてくるとこだろ」

愛宕「……美味しい? 今日はコーンをいつもより大きめにしてみたの」

提督「美味いよ。つぶつぶのスープいいよな」

高雄「お味はどうでしょう? 普通のシーザーサラダなんですけど」

提督「うん。いつも通り美味しい。心が篭ってるからかもな」

愛宕「……」

高雄「……」

提督「……? 」

愛宕「あの……普段からこんな会話してない? 」


< こんな間柄だからこそ >





高雄「はっ……もしかして」

提督「ん? どうした」

高雄「先ほどの会話に新鮮味が感じられなかった理由。
わかったかもしれません」

愛宕「ふーん……なぁに? 」

高雄「私たちに必要なのは女子力ではなく既に嫁力だからでは?
もう恋ではなく愛の領域に」

提督「……」

愛宕「……」

高雄「どうです」

提督「……いや、確かにそうかもな。うん」

愛宕「私もそう思うわ、高雄」

提督「でもなんつーか……高雄って時々本当に直球ストレートぶん投げてくるよな」


< 恋人、夫婦、そして >





愛宕「まぁ、高雄の言いたいことも一理あるとして」

提督「はい」

高雄「私は何を…………もしかしていつも……なんてこと……」

愛宕「そろそろ嫁力に並行して必要なスキルがあるんじゃない? 」

提督「? 」

愛宕「母力、よ」

高雄「はは? 」

愛宕「そう。愛ばかり追って見つめ合っているのもいいけど。
そろそろ愛を感じて同じ方向を向くときじゃない? 」

提督「……あぁ、テグジュペリね」

高雄「うーん……」

愛宕「だめ? 」

提督「まぁ、悪くはないけど。愛宕はどうなの? 」

愛宕「私? やっぱり戦争が終わって……あっ」

提督「うん。戦争、いつ終わるんだろうな」


< このままでも、むしろ >





愛宕「はぁ……やっぱりそこに戻ってくるのね……」

提督「まぁ、気にすんな。俺はお前と高雄がいればいいよ。
高雄もそうだろ? 」

愛宕「! 」

高雄「え、ええ。大体提督が子供みたいなものですからね」

提督「ほーん? ベッドではよく啼く高雄さんが何を言っているので? 」

高雄「…………本気で泣かせて差し上げましょうか? 」

提督「夜のお相手ならどうぞよろしく」

高雄「何を言ってるんです。今から外行くんですよ」

愛宕「…………これだからこの人は。こんなの好きになるに決まってるじゃない」


< 日常って素晴らしい >





提督「こちそうさま、っと。午後の執務は」

高雄「いつも通りです」

提督「あぁ、うん。そうだよね。
……報告書なんて全部つまらないはずだけど戦果もたまにはなぁ」

愛宕「本土防衛のための戦力である私たちに戦果なんてない方がいいですけどね」

提督「そうなんだよなぁ……ただ食料とか二人分の艤装整備の報告はもう飽きたよ」

愛宕「いっそのこと夜の戦果でも報告しちゃう? 」

提督「いや、いいです。二度とその戦果あげられなくなるぞ」

愛宕「それは嫌ね」

高雄「…………こちら陸軍側との調整資料ですよ。色ボケ提督さん」


< メリハリ( 表 ) >





提督「ほい。判捺しといて」スッ

高雄「はい」

愛宕「提督。ここの数値はこれでいいんでしょうか」

提督「ん? ……あぁいいぞ。陸軍側に便宜はかってやったんだ」

高雄「……大丈夫なんですか? 」

提督「あぁ。横須賀の方に話はつけてるから」

高雄「なるほど。さすがです」

愛宕「うん、それなら……」

提督「……」カリカリ

高雄「……」カタカタ

愛宕「……」カリカリ

提督(…………有能だよな。あの愛宕ですら真面目だし高雄に至ってはキーボードの酷使パネェよ)

高雄「入力、終わりました」

提督「うん、お疲れ」


< メリハリ( 裏 ) >





愛宕「んー……ちょっと疲れちゃったかも」

高雄「……そうですね。お茶にしますか」

提督「ん? あぁ、もうおやつの時間だもんな」

高雄「今回は私が淹れましょう。二人ともコーヒーでいい? 」

提督「おう」

愛宕「いいわよぉ。……提督? 疲れたから肩解すの手伝って? 」

提督「はいよ。っと」スクッ

愛宕「お願いしまぁーす」

提督「お姉さん凝ってるね。やっぱりそれ重い? 」モミモミ

愛宕「うーん……そうねぇ。ちょっと重いかも。
お兄さんも持ち上げてみますか? 」

提督「いやぁ、それはさすがに。お姉さんにも相手がいるでしょう。
自分がそんなことやるわけには」モミモミ

愛宕「あぁん、堅物なんですからぁ。
ちょっとだけ、ちょっとだけですからぁ……試してみない? 」

提督「そ、そこまで言われたら自ぶ」

高雄「何を茶番劇やってるんですかこの色ボケどもは。
大体提督はそれの重さなんて知ってるでしょう」カチャカチャ

提督「ん、いややっぱ日々の生活で変わるかもしれないし細かな計測がだな」

高雄「それは別の機会にお願いします。まだ執務は残ってるんですからね」


< 中毒症状 >





提督「うーん……やっぱコーヒーはブラックだなぁ」

愛宕「まぁ、悪くないけど。私はミルクが好き。変な意味じゃなく」

高雄「提督ってアレですよね。
ちいさい頃にブラックコーヒーとか無理に背伸びして飲むような子ですよね」

提督「そうだったな、確かに。で、気付いたら三食の後には必ず飲まないと気が済まなくなってた」

愛宕「完全に中毒じゃない……」

高雄「まぁ、クスリや煙草じゃないから……」

提督「だろ? しかもそこまで禁断症状とかもないし」

愛宕「あと、あれね私と高雄中毒」

提督「はっ、それは確かに禁断症状出るかもな」

高雄「それは威張ることじゃありませんよ。………………ちょっと嬉しいですけど」


< 仕事はなんのためか >





提督「っと……再開するか。美味かったよ高雄」

高雄「はい、ありがとうこざいました。明日はお願いね、愛宕」

愛宕「はぁい」

提督「ってもな。たぶんこれあと二時間かからず終わるぞ」

高雄「私たちの仕事が」

提督「少ないのはいいこと。まぁ、それに俺も楽だし」

愛宕「じゃあ、私は今日はお休みで」

提督「あぁ? ……まぁ、いいよ」

高雄「仕方ありませんね」

愛宕「えっ、いいの? 」

提督「その代わり今日は一人で寝てくれよな。
たまにはそういうことがあってもいいだろ」

高雄「ふふ、キングサイズベッドに二人というのも中々にいいかもしれませんね提督」

提督「おう」

愛宕「はぁ…………やります、やりますとも。
私もお仕事やりますぅ……」


< You Can Say Good Bye 〜 ♪ >





高雄「でも」

提督「ん? 」

高雄「たまには一人寝もいいかも知れませんね」

提督「そう? 」

高雄「いつも提督の近くにいすぎると、
そのありがたみみたいなものがわからなくなるかもしれませんし」

提督「なるほどな。確かに俺もいつも三人ってのが普通になってる」

愛宕「じゃあ、今日は高雄が一人ということで」

高雄「それはそれ、これはこれ。
今はまだ大丈夫。十分に提督のこと、わかってるつもりですから」


< 雛祭り >





提督「今日は三月三日です」

高雄「……知ってますけど」

愛宕「ボケてないわよぉ」

高雄「色ボケは二人いますけどね」

提督「それはいいんだけどさ。旧暦の五節句の一つ上巳。つまり雛祭りの日なわけだよ」

愛宕「はぁ」

高雄「今更ですね」

提督「おう。その割に二人とも雛人形とか白酒とか言わないと思って」

愛宕「それは……私たちってそんなキャラじゃないしぃ」

高雄「第一ここに来てからは日にち感覚もおかしくなってますし、
その……既にあなたがいますからね」

提督「うーん……まぁ、ひなあられすら用意してないしな。
今から言われても困ったんだが。そんなもんか」

高雄「いいんですよ。それにあまり大きなイベントでもないでしょう」

愛宕「あっ! あとあれよ。私たちがお雛様みたいなものだし。
お内裏様も不満はないでしょう? 」

提督「うん、まぁそうだな。毎日が雛祭り気味ってのもあれだけど」



< 学生時代に磨かれた腕 >




提督「あとは2001年からtotoが始まった日らしいぞ」

愛宕「toto? 」

提督「旧東洋陶器じゃないぞ。スポーツ振興くじのことだな」

高雄「なるほど」

提督「どうよ。宝くじとかギャンブルやってみたいとかないの? 」

愛宕「私はUNOとかBJとかバカラなら」

高雄「そうですね……あまり運要素の比重が重いものは好きではないから……。
チェスや将棋なら横須賀ではなかなかの勝率でした」

提督「そうだったな。俺の勝率がまともなのって大富豪くらいだしなぁ」

愛宕「まぁ、話を戻すと……いらないわね。
正直お金には困ってないし」

高雄「私一人の給金でも優に三人で遊んで暮らせるくらいですからね」

提督「だよなぁ……どうやっても最後は賭博勝負になってしまう」


< まぁるい鉢ですーいすい >





愛宕「そういえば金魚は好き? 」

提督「金魚? 」

愛宕「三月三日は金魚の日でもあるんですって」

高雄「江戸時代の後期には雛壇に金魚を飾る風習があったんだとか」

提督「それどこ情報だよ……まぁ、嫌いではないな。
魚特有のアホ面好きな方だよ」

愛宕「あの子たちも子孫を残せないのよね……なんだか変な親近感」

高雄「私たちは……まだ改善の余地がありますし。
それを言えば彼らもゼロとは言えないのかもしれませんが」

提督「……そういや学生時代に友達が酔っ払って部屋の金魚踊り食いしたの思い出した。
あれなんだったんだろうな……」

愛宕「えぇ……」

高雄「……提督ではないんですよね? 」

提督「幸いなことに、な。食われたのは俺の金魚ちゃんだったけど」


< 普通は欲しいかもしれない >





高雄「気を取り直して今度は綺麗な話を」

提督「おう」

高雄「本日の誕生石はルチルクォーツ。
石言葉は……幸せ・明るさ」

愛宕「ゴールドっぽい色彩から金運アップのパワーストーンとされているみたいよ」

提督「おう」

高雄「……」

愛宕「……」

提督「……」

高雄「……金運いらないんでしたね」


< 名誉挽回 >





高雄「や、やはり慣れない話をするものではありませんね」

提督「まぁ、うん。仕方ない」

提督(今度プレゼントでもした方がいいんだろうか……うーん )

高雄「しかし諦めませんよ。今度は花ですよ、お花」

愛宕「はい。三月三日の誕生花とは! 」

提督「ジャジャーン! 」

高雄「桃です! 花言葉は、あなたに夢中・気立ての良さ、そして……愛による幸福! 」

愛宕「おお! 」

提督「いいじゃん! 」

高雄「はい! やりました! 」


< 金だってあっても腐らない >





提督「いや、でもちょっと待てよ? 」

高雄「はい? 何か問題でも」

提督「金運はこれ以上いらないって言ってたよな。それはいい。
でもさ、恥ずかしさを抑えて言うけど割とヤバイくらい夢中だしそれで幸せだし。
気立ての良さとかカンストレベルじゃね? 」

愛宕「あー……私たちもそうよね。気立ての良さっていうのはちょっと違うけど」

高雄「……」

提督「……」

愛宕「……」

提督「……まぁ、あれだよ。愛や幸福に限界なんてないからな」


< 妄想の中のあなた >





愛宕「よくそんな歯が浮いて全部抜けるようなことスラスラ言えるわよねぇ」

提督「悪いかよ」

高雄「悪いか良いかで言えば良いことですけどね」

愛宕「こういうのに堕とされちゃったものね」

高雄「むしろこれがなければどれだけ淡白なのか」

提督「ん? やってみる? 何言われても頷くだけか行動だけで返すの」

愛宕「頷くか……? 」

高雄「行動だけ……? 」

提督「おう」

愛宕「……」ポワワン

高雄「……」ポワワン

提督「どう? 」

愛宕「……悪くないかも」

高雄「ルックスの影響で大体は様になりますね」

提督「いや、うーん……そこは今の俺が一番とか言ってくれよ」


< 見栄だってアクセサリー >





提督「……っはぁ…………粗方終わらせたかな」

高雄「はい。あとは食後に回ってくる陸軍からの資料に目を通して終わりですね」

愛宕「あぁぁぁぁぁ……つっかれたぁ」

提督「おう、お疲れ。飯は……適当でいいか」

高雄「そうですね。夜はあまり重いもの食べたくありませんし」

提督「学生時代は夜こそ重いものばっかだったんだけどなぁ」

愛宕「女の子には色々あるの」

高雄「ええ。そうね」

愛宕「提督も嫌でしょう? 食後からのお酒とお風呂からのベッドでぽっこりお腹の女とか」

提督「まぁ……確かにそうかな。つーか、それは食べ過ぎのレベルだけど」

高雄「私たちには私たちのプライドや見栄ってものがあるんですよ。
……じゃあ私が適当につくってきますね。
二人は寛いでいてください」


< 生命の洗濯 >





提督「ごちそうさま。あのパスタよかったな」

愛宕「そうねぇ。あれは私もレシピ知りたいかも」

高雄「お粗末様でした。提督がチャーハンに使ったエビの余りですけどね…………愛宕はあとで」

提督「うーん……今日もあと少しか。結局俺の寝室来るの? 」

高雄「ええ。まだ一人寝には寒い季節ですから」

愛宕「夏は夏でいいものなんだけどね」

提督「はいよ。じゃあ、俺は皿片付けておくから風呂行ってこい。
すぐ寝るわけじゃないだろ? 」

愛宕「はぁい。一緒に入る? 」

高雄「了解。……嫌です。愛宕と入ると碌なことがないのに」

提督「どっちでもいいけどさ。まぁ、しっかり癒されてこい」


< 洗濯の後は >





愛宕「スッキリスッキリ」

提督「ん? 愛宕が先か」

愛宕「高雄はお酒持ってくるから遅れるって」

提督「そうか。で? 一緒に入ったの? 」

愛宕「んーん。逃げられちゃった。残念」

提督「ははは……お前がちょっかいかけなきゃいいんだけどな」

愛宕「それじゃあ一緒に入る意味がないじゃない」

提督「うーん……? まぁ、いっか」

愛宕「そうよ。親しき仲にも礼儀あり。
私には私の考え方があるの」

提督「おう。そうだな」



高雄「……それを言う権利は私にあるような」


< なでしこ >





提督「本日もつつがなく終わるでしょう。乾杯」

愛宕「かんぱーい」

高雄「乾杯。ん……悪くないですね」

提督「日本酒ね。なんか最近は愛宕が日本酒飲んでるのも慣れてきた」

愛宕「中身は純和風の大和撫子だと思うんだけどねぇ〜 」

提督「いや、それはない」

高雄「ないですね」

愛宕「えぇー……ひどくない? 」

提督「金髪は兎も角、撫子は一緒に風呂入ったやつに手を出さねぇよ」

高雄「そもそもネグリジェの上にバスローブを羽織って足を組むような撫子はいません」

愛宕「それは高雄もじゃない」

提督「それは……やっぱ普段の行いの差だろ」

高雄「まったくです」

愛宕「納得いかなーい。もうっ」


< まぜまぜ >





提督「そういえば」

愛宕「ん、なぁに? 」

高雄「ちょっと……まだ全然酔ってないでしょう。
何をしなだれかかってるのよ……あと提督も簡単に受け入れない」

提督「ははは……まぁ、あれだ。さっき一人になったときに誕生カクテルってやつを調べてみたんだ」

高雄「ほう? 」

提督「三月三日のカクテルはスプリングオペラ。
ジンベースに二つのリキュールと、
レモンとオレンジのジュースを混ぜるみたいだな」

愛宕「ふぅん。提督がそれつくってくれるわけじゃないの? 」

提督「試してもいいが……今は道具も材料もない。
最後にグリーンチェリーを添えて完成らしい」

高雄「上背もありますしバーテンダーの衣装似合いそうですね」

愛宕「確かに。今度試してみてね? 」

提督「はいよ。時間があればな」


< それは花も石 >





提督「あぁ、忘れてた。カクテルには一つ一つ込められた思いがあるんだ」

愛宕「花言葉や石言葉みたいなものね」

提督「あぁ。ただそこまで一般的ではないらしいけどな」

高雄「それで? そのスプリングオペラの場合はどうなんです」

提督「期待に夢を膨らませた乙女」

愛宕「ん? 」

高雄「はい? 」

提督「いや、だから期待に夢を膨らませた乙女」

愛宕「……それをバーで貰うの? 」

高雄「もしかすると同席した男性が奢ってくれたりとか」

提督「……」

愛宕「……」

高雄「……」

提督「……」

愛宕「それかなり気持ちわ」

提督「やめろ」


< 三月三日は耳の日 >





高雄「はぁっ…………ん…………ぃゃ……」モゾモゾ

提督「…………はぁぁぁぁぁ」

愛宕「ふふふ…………」ペロッ

高雄「そんなっ…………りょ、がわっ…………からなんッ……」ビクビク

提督「………………ん」

愛宕「……………まだまだこれから、よ」

高雄「………………そんあっ……! 」


こんな感じでゆるゆる進んでいきます
三人が基本で時々ゲスト、みたいな

見てくれた方がいれば、ありがとうございました

今日誕生日だったんだけど色々勉強になるな

>>49
一日遅れですがおめでとうこざいます

ネタがなくなると唐突に終わります


< 風物詩 >





愛宕「さて、朝の執務を始めますか」

高雄「そうね。早速陸軍から嫌がらせの様な量の資料が回されてきてるけれど」

愛宕「大体は読まなくても判捺せちゃうような内容なのよねぇ」

高雄「こちらに手間をかけさせたいだけですから」

愛宕「あっちも大したことはしてないのに」

高雄「まぁ……」チラッ

愛宕「そうね」チラ


提督「ん? コーヒーのおかわりいるか? 」


高雄「この人の所為ですけどね」


< 寄っていく >





高雄「そろそろ始めますよ」

提督「おう。気合入れていくか」

愛宕「その前に」

提督「ん? 」

愛宕「いつものを頂戴したく」

提督「いつもの? 」

高雄「何かありましたっけ? 」

愛宕「仕事始めのキ・ス欲しいなぁ」

提督「あぁ? そんなことしてねぇだろ。
さっさと始めるぞ」

愛宕「そんなぁ……いっそあだ名に自分たちから寄っていこうと思ったのにぃ」

高雄「そんなことしなくていいわよ」


< まぁ、女神ではある >





提督「俺の所為で書類が増えるとか言うけどさ」

高雄「明らかにそうでしょう」

愛宕「そうよそうよ」

提督「お前らがお前らなのが悪い」

高雄「は? 」

提督「たとえばだぜ? 俺がブス専だったりしたらこんなに嫉妬されなくね? 」

高雄「それは……いえ、騙されませんよ」

愛宕「でも確かに私と高雄を従えるとか意味わかんないわよねぇ〜」

提督「それを自分で言うのか」

愛宕「だってぇ……私よ? 」

高雄「……はぁ」

提督「…………深いようでただのナルシスじゃねぇか」


< 何事にも本気 >





高雄「……でも」カタカタ

提督「ん? 」カリカリ

高雄「よくさっきスルーできましたね。色ボケ筆頭のくせに」カタカタ

提督「そりゃ一時の快楽に溺れてちゃ今頃こんなとこにいないし。
あと筆頭は愛宕だ」カリカリ

高雄「なるほど」カタカタ

提督「おう。にしても……」チラッ

高雄「はい? ……あぁ」

愛宕「……」カリカリカリカリカリカリ

提督「…………集中力すげぇな」

高雄「……私たちに全く反応しませんからね」


< 研鑽のその先には >





提督「ごちそうさま」

高雄「ごちそうさまでした。うどんもなかなか工夫できるものなのね」

愛宕「そうねぇ。粗方のメジャーどころは私も高雄も試しちゃったから。
一周回って初歩に立ち返っていかないと」

提督「すげーな、おい。俺がつくったらうどんなんて載せるものを変えるくらいだよ」

愛宕「提督はそれでいいの。私が自分に課しているだけだから」

高雄「まぁ、提督がこれで自分も料理を完璧にこなすようでは私たちに立つ瀬がありませんし」

提督「そんなことはないと思うけどな。
うーん……食後のコーヒーはっと……」


< それは悪魔で地獄な天使の愛>





提督「あー……美味しくて蕩けるぅ……」

愛宕「ほんっと中毒者よね」

高雄「趣味にコーヒー豆集めとかもう末期なような」

提督「いいだろ。金もそこそこしかかからないし豆は場所を取らない」

愛宕「でもねぇ……カフェインばかり取ってると夜眠れなく……普通に寝てるわね」

高雄「それは私たちが疲れさせているからでは……」

愛宕「私は紅茶派だったんだけどね」

高雄「私も今ではコーヒー党に寝返ってしまいました」

提督「……」

愛宕「……」

高雄「……」





「「「……はぁ…………美味しい」」」


< 彼女は元気だろうか >





愛宕「まぁ、紅茶派じゃなくても紅茶は飲むのよね」

提督「俺だってコーヒー原理主義過激派とかではないんだが」

高雄「そもそも茶請けがスコーンなのですし」

提督「……スコーンか」

愛宕「……何してるのかしら」

高雄「それは……あまり変わらないのでは」

提督「……妹に追われて」

愛宕「一緒に料理をつくってあげて」

高雄「眉根を寄せて我慢しつつ食べてみて」

提督「で、安心して笑う」

愛宕「……」

高雄「……」

提督「……すげぇいいやつだったなぁ」


< まだ生きている >





高雄「いや、なんでこんなしんみりしてるんですか。
普通にまだ生きてるでしょ」

提督「そうだな。どうもここに隔離されてると、
世の中からずれていくような気がする」

愛宕「それは元々じゃあ」

提督「そんなことねぇよ。……たぶん」

高雄「どうせなら手紙でも出したらどうです。
横須賀の方達に」

愛宕「それいいわね。最近は摩耶や鳥海もくれないし」

提督「便りがないのは息災の証、だったかな。
まぁ、考えとくよ」



< 考えとく。それは便利な言葉 >





提督「自分で言っといてなんだけどさ」

愛宕「はい」

提督「考える、とか行けたら行く、とか全く当てにならないよな」

高雄「当てにならないどころかむしろ考えない、来ない、に安定しますものね」

提督「まぁ、今回の手紙は真面目に考えておくとして。
あれどうして言っちゃうんだろうな」

愛宕「そうねぇ。私なら気に入らない男から誘われてもその場で断るのに」

高雄「確かに。その方が楽よね」

提督「…………」

愛宕「それは私たちが艦娘だからかしら」

高雄「物理的に強ければある程度は対応できるし。
そうかもしれませんね」

提督「…………」

愛宕「どうしたの? 」

高雄「変な顔して」

提督「…………やっぱ俺はこれからも機会があれば言い続けるよ」

提督(こんな血も涙もない断られ方するより大分マシだな、うん)


< 興味の埒外 >





提督「三月四日は実は凄い日だぞ」

愛宕「そうなの? 」

提督「あぁ。なんてったってあの傑作ハードPS2が発売された日なんだからな!
ちなみに2000年のことだ」

高雄「なるほど……それで? 」

提督「えっ……いや、それだけだけど」

愛宕「……」

高雄「……」

提督「えぇ……ここはあの時の思い出とか懐かしのゲームを語ったり、
せめて最近はしないよな、みたいな話をする場面じゃあ……」

愛宕「あの……別にそこまでゲームに思い入れとかないから」

高雄「そうね」

提督「そっか…………ちなみに1999年の同日にワンダースワンも発売している。
同日に発売してるんだぞ! 」

愛宕「そう……」

高雄「はぁ」

提督「」


< 高校では世界史 >





提督「くっそ……じゃあ今度は少し身近な話にしてやるよ」

高雄「そうしてください。お茶が冷めてしまいます」

提督「つめてーな、おい。ちなみに駄洒落じゃない」

高雄「……」

提督「……まぁ、いい。1394年の今日、イベリア半島の名家であるアビス家にある男が誕生した。
その男の名はエンリケ。人呼んでエンリケ航海王子」

愛宕「あぁ、船に乗れない航海王子」

高雄「最近は航海術の先駆者としての評価は殆どされない場合もあるみたいですよ。
つまり精々がただの王子ですね」

提督「……なんでそんなに辛辣なんですかお二人とも」

愛宕「え? なんだか変な喋り方するからそれに合わせてたんだけど」

提督「せめてもっと暖かみを持てよ。
なんで冷淡になるんだ」

高雄「そういう気分? 」

提督「あぁ、そう。もうやめるよこの喋り方。心折れそう」


< ほんのりと暖かく >





高雄「大分暖かくなってきましたね」

提督「そうだな」

高雄「これで朝も楽になってきます」

提督「まぁ、一応は軍人だから朝はそれなりに強いんだけどな」

高雄「コンスタントに昼寝をしている人が何言ってるんですか」

提督「それはお前らもだろ? 」

高雄「あなたが一緒に寝ろというからでしょうが」

提督「俺は休憩しろって言ってるだけだぜ?
別にソファの上で俺を挟まなくてもいいじゃねぇか」

高雄「むっ……それは」

愛宕「やめときなさいよ。それ続けても墓穴掘るだけよ」

提督「そうだそうだ。あ、紅茶のおかわりいる? 」


< ルビーと同時 >





提督「本日は三月四日です」

高雄「はい」

愛宕「そうね」

提督「高雄さん、どうぞ」

高雄「ふっ……私も昨日の体たらくの二の舞いは踏みません」

愛宕「あと、提督の微妙な話題みたいなのもやめてよね」

提督「ぐぬぬ」

高雄「いいでしょう。本日の誕生石からいきましょう」

愛宕「本日の誕生石は! 」

提督「ジャジャーン! 」

高雄「ブルーサファイアです! 」

愛宕「綺麗なやつよね」

提督「俺でも見たことあるくらいにはメジャーだしな。
あと某ゲームのタイトルにもあっ」

高雄「それはいいです」

愛宕「そろそろ諦めなさいよ」


< 二番じゃだめなんです >





高雄「で、ブルーサファイアの石言葉は“ 表現豊かに ”や“ 微笑み ”」

愛宕「表現豊かに、っていうと芸術関係かしら」

提督「俺は大したことできねぇぞ。音楽も絵もな。
工作とか図面ならそこそこできるが」

高雄「それは私たちもですけど……料理は化学、とも言いますね」

愛宕「自分で言うのもなんだけどあれだけできればそこそこは芸術関係もこなせそうよね」

高雄「そうね。手先や要領も悪くないってことだし」

提督「うーん……でも芸術関係はそこそこじゃだめな世界だからなぁ」


< 微笑みには微笑みを >





愛宕「もう一つの微笑みっていうのは割と自信あるわよ」

高雄「それは……でも笑顔と微笑みって少しニュアンスが違いますよね」

提督「確かにな。微笑みにも種類があるし」

愛宕「たとえば? 」

提督「たとえば、か。うーん……コトが終わったあとに鼻を寄せ合って見せてくれるのと、
その朝に優しく起こしてくれるのの違いとか? 」

高雄「なんですかそのたとえ……でも確かに種類はありそうですね。
これはどの微笑みのことなんでしょう」

提督「まぁ、石言葉なんてそんな思い詰めるものじゃないし。
自分の考えられるやつでいいんだよ」

愛宕「それは言わない約束よ」


< 笑顔について:とある次女の場合 >





提督「やっぱり女には笑っていてもらいたいものだけどな」

愛宕「ふーん……それ男次第だって理解してる? 」

提督「……たぶんおそらくきっと」

愛宕「頼りないわねぇ……でも私だって笑っていたいわよ。泣くと疲れるし」

提督「涙は女の武器と言うが」

愛宕「はっ……女の最大の武器は笑顔よ。
笑顔に魅力のない女なんて女やめればいいのに」

提督「お、おう……いつになく辛辣だな」

愛宕「自分を磨かなかったのを涙で誤魔化すなんて卑怯よ」

提督「おう。確かな筋は通ってる……かな? 」

愛宕「でもやっぱり私をずっと笑顔でいさせてね?
その代わりずっと魅力的でいるから」


< 笑顔について:高雄 >





高雄「私は逆ですね。私自身よりもむしろヘラヘラ笑っているような人間が苦手です」

提督「ほーん? 」

高雄「笑顔が武器なのは男性も変わらないと思うんですよ」

提督「ん? 俺の笑顔好き? ねぇ? 」

高雄「はっ倒しますよ。……それに察してください」

提督「すまんな、つい」

高雄「……で、武器なら常に、ではなくて要所で使ってほしい。
お料理の感想を言うときだとか、朝の挨拶のときだとか」

提督「なるほど」

高雄「まぁ、普段は無表情、というのもあまりよろしくはありませんが」

提督「うーん…………難しいね」

愛宕「そうね。でも好かれたいと悩むのは楽しいのよ」


< 白くちいさい花です >





高雄「宝石はこんなものですか」

提督「じゃあ次は花かな」

愛宕「はーい。じゃあ花言葉は私が」

提督「どうぞ」

愛宕「三月四日の誕生花はラズベリー。
花言葉は深い後悔と愛情」

提督「……」

高雄「……」

愛宕「……セカンドラブでも探したいのかしら」


< 妄想するだけ >





提督「……」

高雄「……」

愛宕「あの……別にただの花言葉じゃない」

提督「いや、でもなぁ……ときどき違うパートナーだったらって考えない? 」

高雄「あなた以外、ですか」

愛宕「提督を除けば筆頭候補が高雄なんだけど……」

高雄「えっ」

愛宕「うふっ」

提督「……なんていうかな……たとえばそもそも軍人じゃなくてさ。
サラリーもらって普通の奥さんと郊外の戸建てに住んでんの」

高雄「はぁ」

愛宕「それでそれで? 」

提督「いや、それだけだよ。たぶんそこそこ幸せではあるなぁ、と」

高雄「それで……今に後悔してますか? 」

提督「まさか」


< なんぞ来るらしい >





提督「はぁぁぁ? なにこれ」

高雄「どうしました。今度は離島防衛にでも回されるんですか」

愛宕「日差しが強いところは嫌ねぇ」

提督「いや、そんなわけあるか。ここで既に墓場だぞ。
……そうじゃなくて明日、特務から監査が入るんだと」

高雄「は? この時期に、しかも前日という微妙な通達があってですか? 」

提督「おう。普通やるなら抜き打ちだと思うんだが……。
しかもこれ表向きはよくわからない業者の物資搬入作業になってる」

高雄「うーん……陸軍側の嫌がらせでしょうか」

提督「さすがにそんな暇人ではないと思うが」

愛宕「まぁ、どんなのが来ても大丈夫でしょ。
暴露て困るようなことなんてそもそもさせてもらってないし」


< コクピットに乗ってみたい >





提督「ちいさい頃は特務機関とか憧れてたんだけどな。
本職にしたら……うん。だめだな」

愛宕「それは、ね。特務には特務たる所以があるのだし」

提督「法王庁の非公認組織だったり箱根で人型兵器運用してたんだけどなぁ。
現実は厳しい」

高雄「私たちも人型兵器と言えば間違ってはいませんが」

提督「いや、なんというかこう……俺が乗ってだな」

愛宕「それなりに乗ってるじゃない。逆のときもあるけど」

提督「そうだな。戦いでもある……ってそんなわけあるか! 」


< 組織の名 >





提督「しっかしどうしてこの国の特務ってのはセンスがないんだ」

高雄「F機関とかアパカ機関とか悪くないと思いますが」

提督「そうだけどさ。やっぱりイメージとして諜報機関ってのは、
アルファベットでいてほしいんだよ」

高雄「はぁ」

提督「まぁ、今じゃあ艦艇装備の名称とか覚えにくくて話にならんけどな」

愛宕「でも、一応は覚えるのよね」

提督「それが軍人ってものだろ? 」キリッ

高雄「なるほど……提督が未だに中二病を患っているのは理解しました」


< それはお互い様 >





提督「で、いつの間にか本日も終わりですか」

愛宕「いいことじゃない。何事もなくて」

提督「まぁな」

高雄「それにまだ終わってませんよ」

愛宕「そうね。寝るまでが今日だもの。
明日の朝まで寝かせないんだからっ」

提督「なに言ってんだ。明日は特務がくるんだっつの」

高雄「さすがにあまり激しいことはできませんね」

提督「おう。首筋狙って痕付けたりするなよ」

愛宕「ふふ……服で隠れればいいのね? 」

提督「付けること前提にすんな」


< ママはちょっと…… >





愛宕「提督ってときどき、お前は俺の母さんか、とか言うけど」

提督「そうだな」

愛宕「お母様のこと母さんって呼んでるの? 」

提督「まぁ、そうかな。お母さんってのもプライドが邪魔するし、
ママって歳でもないからな」

高雄「マザコンではない? 」

提督「たぶん。ただ、母さんは好きだぜ?
未だに父親も母親も尊敬できる人たちだ」

愛宕「へぇ……いい人たちなんですね」

提督「おう」

高雄「いつか紹介してくださいね」

提督「ん。できることを祈ってるよ」


< じゅにゅうはきらいじゃない >





愛宕「ママとは呼ばない、と」

提督「あぁ」

愛宕「なら私のことをママって呼んでみない?
包み込んであげるわよ? ぼくちゃん」

提督「けっ……俺のことどんな風に見てるんだよ」

高雄「身体だけでかいガキ」

愛宕「おっぱい好きだし」

提督「いや、お前そりゃ……むしろ嫌いなやついんの? 」

高雄「そんなの知りませんよ。サンプルがあなたしかいませんから」


< 氷まで入れてカクテル完成 >





提督「今日の誕生カクテルだが」

高雄「はい」

愛宕「まだシェイカーとか届かないの? 」

提督「昨日の今日だぞ……さっき頼んどいた」

愛宕「バーテンダーの衣装は? 」

提督「抜かりなく。……ってのはいいんだよ。
で、三月四日のカクテルはテキーラサンライズだな」

高雄「サンライズ……? 」

提督「あぁ。テキーラベースでオレンジジュースとグレナデンシロップをカクテルするらしい」

愛宕「グレナデンシロップってたまにお菓子作りにも使うわね」

高雄「ザクロ果汁と砂糖のシロップですからね。
ゼリーの色付けに使ったことがあります」

提督「おう。ただ色付けが主だからシャンパンで代用してもできそうだな」

高雄「その場合はテキーラの苦味が強そうね」

提督「ま、お好みでどうぞ」



< >





提督「カクテルワードは“ 新しいものを思いつく想像力 ”だとさ」

愛宕「至極まともね」

高雄「昨日のはちょっとアレでしたから」

提督「花や石もだがカクテルワードも大体似通ってくるみたいだな。
なんとなくではあるけど」

愛宕「新しいこと、ね。どう? 新しいプレイでも試してみる? 」

提督「そこそこ魅力的な提案だけどな。
明日は大事な日だからまた今度」

高雄「……明日がそれでちょっと安心しましたよ、私は」

提督「まぁ、大体は高雄で試されるもんな」

高雄「それあなたの所為じゃないですか」


< HPやTwitterまであります >





愛宕「あと、今日は三姉妹の日なんですって」

高雄「三姉妹? 」

愛宕「三姉妹総合研究所が決めたとかなんとか」

高雄「なんなのその組織は……」

提督「三姉妹ってーと川内たちとかか」

愛宕「三姉妹が一番絆が強いらしいわよ」

提督「まぁ、あいつら仲良かったけどな。
四姉妹の高雄さんはどうです? 」

高雄「それは愛宕もなんだけど……まぁ、悪くはないと思いますよ」

愛宕「私と高雄はただの二人姉妹でもあるのだけどね」

高雄「え? 」

提督「あっ、オチが読めた」

高雄「? 」

愛宕「ほら……棒姉ま」

高雄「やめて。……聞かなければよかった」


< 針から熱く >





提督「あぁぁぁぁぁ…………布団やべぇ」

愛宕「あったかぁぁぁぁぁい」

高雄「まだまだお布団が素晴らしい時期ですねぇ」

愛宕「提督ぅ〜……」ギュッ

高雄「では私も失礼して」ギュッ

提督「あー……これいいわやっぱ。
ただの布団もいいけど肉布とぐえっ」

高雄「……今日はそういうこと言わない日でしょう? 」

提督「はいはい。わかったから。ちょっと暑い」

高雄「それはすみません。ミネラルウォーター取りますね」

提督「いや、離れればいいだけ……あぁ、うん、ありがとう」

愛宕「あっ、私に頂戴? 」

高雄「はぁ、どうぞ」

愛宕「ありがと。ん、ん、ん、ていとふ? 」

提督「ん? 」

愛宕「ん、……ん、ぢゅ……ぁー、っ……れぅ……ぁ……んふぅ」

提督「」

高雄「なにやってんのこの妹……」

愛宕「どう? 冷たくなった? 」

提督「なるわけないだろ! むしろ熱くなったわふざけんな」

愛宕「♪ 」


< 結局あのあと >





提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………Zzz」

提督「……何時? 」

愛宕「……マルサンマルマルちょっと過ぎ」

高雄「…………んぅ……Zzz」

提督「…………」

愛宕「……気付いたら寝てたわね。
なんで盛り上がっちゃったんだろ」

提督「……お前の所為だぞ」

愛宕「…………」

提督「…………」

高雄「…………ふふ……て……ぃ……う」

愛宕「……寝ましょ」

提督「……そうだな。ほい腕」

愛宕「ありがと。……ぅんん……またあとでね」ギュッ

提督「おう。また、な」


× 針

○ 芯

針熱くしてどうすんだ……

ありがとうございました


朝から一日あったことや妄想したことを書き殴ってるだけなので、
書き溜めというほど書き溜めじゃないですね

あと、一年間とかしんでしまいます


< また新しい朝 >





提督「……………………」

高雄「…………ん……あれ? 」

提督「…………」ペラッ

高雄「……提督? 」

提督「……ん? 起きたのか。おはよう」

高雄「おはようございます。今日はとっても早起きですね」

提督「おう。殆ど寝てないからな」

高雄「……私いつ寝たんでしたっけ」

提督「ん……愛宕の二回目のときには」

高雄「二回目って……あのあとまだヤってたんですか」

提督「俺ってばモテるから」

高雄「…………はぁ……否定はしませんけど……はぁ」


< あなたの細めた目 >





高雄「でも……確かにカッコいいですよ」

提督「あん? 」

高雄「窓際に椅子寄せて読書だなんて」

提督「んー……ライト付けたら迷惑だからな。
朝焼け綺麗だったよ」

高雄「そう……何読んでるんですか? 」

提督「『虚無への供物』」

高雄「今度借りても? 」

提督「もちろん。ただし読むなら時間つくれ。
一気に読まないとだめだぞ」


< 夢でもあなたと >





愛宕「んふふー…………Zzz……」

提督「なにを笑ってんだそいつ」

高雄「さぁ? 幸せそうで羨ましい」

提督「…………幸せ、か」

高雄「…………もちろん今も幸せですけどね」

提督「…………そっか」

高雄「…………ええ」

愛宕「てい……くー…………まってぇ」

高雄「あら、呼ばれてるんじゃ」

提督「まったく……可愛らしい寝顔しちゃってまぁ」


< 怖がらなくてもいいのよ? >





愛宕「……んふー…………つかまえたぁ」

高雄「ほう」

提督「なにしてんだろ」

高雄「鬼ごっことか? 」

提督「この歳でか。…………揺れそうだな」

高雄「…………」

愛宕「たかおのぶんまでぇ…………つっこんじゃうんだからぁ………………うふ」

提督「はぁ? やめろよ。突っ込むって何をどこにだよ夢でもこえーよおい」

高雄「夢の中の私は逃げたんですね……よかった」

提督「助けろよ。せめて道連れ 」

高雄「そんな無茶な」

愛宕「ふふふふふ…………」


< どんな目覚ましよりも >





提督「……そろそろ起こすぞ。とりあえず執務終わらせて午後前の監査切り抜ける」

高雄「そのあとは? 」

提督「昼寝」

高雄「仕事残らないといいですね。……愛宕? 」ユサユサ

愛宕「…………Zzz……」

高雄「愛宕? 起きて愛宕」

愛宕「ぬふー……たかおぉ……」ギュッ

高雄「ちょ、やめっ……引きずりこまないでよっ」

提督「なにやってんだ……」スクッ

高雄「助けてくださいよ……これ変な寝ぼけ方してますよ絶対」

提督「ん…………愛宕」

愛宕「んふ………………Zzz……」

提督「………………愛してる」ボソッ

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「………………私も」ボソッ

提督「……おう。起きてこいよ。高雄が困ってるぞ」


< 早起きは三文の >




高雄「やれやれ…………早朝からなぜこんな茶番を見せつけられるのかしら」

愛宕「茶番って酷いじゃなぁい。
高雄だって言われたら嬉しいでしょ? 」

高雄「それは…………そうだけど」

愛宕「朝起きて何も抱きしめるものがなくて、
寂しい胸を必死に満たそうとして、
でもそれじゃあなにか足りなくて」

高雄「もしかして“ それ ”って私のこと? 」

愛宕「優しい低音であんなこと囁かれたらッ…………あぁ、どうして今日に限ってお客様が来るの? 」

高雄「来る予定があってよかったわよ。
あなたはそれでいいかもしれないけど、
私は結構に感傷浸ってたんだから。
あのまま盛られても困るの」

愛宕「ふーん……なにかあったの? 」

高雄「まぁ、ささやかな、ね。……これは秘密にしておきましょうか」

愛宕「えぇ〜……ずるーい」


< 末路 >





提督「眠い…………」

高雄「監査が入るのって午後からでしたっけ」

提督「ん、作業自体はそうらしい。
ただ一度ここに来るだろうから午前中は起きてないと」

愛宕「……ふわぁ…………Zzz」

提督「おい、寝るな元凶」

高雄「朝食のあとですから」

提督「無理矢理執務を始めないとな……あぁ、カフェインが効かない」

高雄「まぁ、いつもいつも飲んでますからね。
耐性でも付いてるんじゃ……」

提督「かもなぁ……おかわり」

高雄「はい、どうぞ」


< 終わった >





提督「あぁー……終わった終わった……急な執務はなし。
特務のアホに資料も渡してやった。
俺は寝る。寝るったら寝る」

愛宕「私もぉ……ていとくぅ…………」ギュッ

高雄「まぁ、お疲れ様でした。自業自得だけれど。
……お昼はどうします? 」

提督「んー……いらない」

愛宕「私も」

高雄「そうですか。……それではしばし」

提督「ん、寝たくなったら寝ていいから」

高雄「いえ、なんとなく今はあなたの寝顔を見ていたいので」

提督「悪趣味ぃ…………さっきの本……引きだしの三段目」

高雄「ええ。ありがとうこざいますね。
今はしっかりお休みください」

愛宕「…………Zzz……」


< 読書中特有の感傷 >





提督「Zzz………………Zzz……」

愛宕「…………Zzz…………」

高雄「…………」ペラッ

高雄(この構図だけ見れば…………どんな構図なのかしら)

提督「………………Zzz」

愛宕「……Zzz………………Zzz……」

高雄(あまり褒められた関係ではないけれど……抜け出せない、抜け出したくない)

提督「…………Zzz」

高雄(私は人間ではないからとそれを言い訳にして。
……でも、でも私は人間だとも思っている)

愛宕「…………Zzz」

高雄「………………あなたたちがあと少しだけ嫌なひとたちならよかったのに」


< どんな美人だってそう >





提督「………………ん…………んん……? 」

高雄「…………? 」

提督「…………たかお? 」

高雄「なんですか? 」

提督「もうすこしで起きる」

高雄「はぁ」

提督「たかおのキスがあればなぁ……今すぐ起きれるなぁ」

高雄「嫌です」

提督「えぇ……」

高雄「寝起きの口って臭いですもの」

提督「」


< スリットもその対象 >





提督「……あー…………起きた起きた」

高雄「本当ですかね……まだぼんやりしてるような」

愛宕「……んん…………」

提督「コーヒーと茶菓子でなんとか。
そういや高雄は昼食どうしたんだ? 」

高雄「あぁ、試しに陸軍側の食堂行ってきました」

提督「おっ、大丈夫……なのは当たり前か。目の前にいるし」

高雄「ただあまりいい気分ではありませんね。
ヒソヒソと話したり嫌な視線も感じました」

提督「んー……まぁ、しゃーない」

高雄「それにその…………ちょっと……」

提督「ん? 」

愛宕「仕方ないじゃない……ふあぁ……身体のラインが出る服だもの」

提督「……なるほど」ジ-

高雄「…………意識するとかなり恥かしいわね」


< 緑の恐竜……ではない >





提督「ちいさい頃からさ」

高雄「はぁ」

提督「で? とか、それで? とか一々言ってくるやつが一人はいたんだよ」

愛宕「はぁ」

提督「あれさすっげぇ嫌なの。どう思う? 」

高雄「それは提督の話があまりにもつまらなかったからでは」

提督「そうかもだけどさ……せめてスルーしてほしかったよ」

愛宕「……」

高雄「……」

提督「……」

高雄「……」

愛宕「……でっていう」

提督「だからオチなんてない……これがダメなのか」


< あはっ >





高雄「三月五日の誕生石はアンバー……琥珀の方がわかりやすいですか」

愛宕「虫入り琥珀なんてのもあるのよね。
琥珀自体が天然樹脂の化石なんだとか」

高雄「石言葉は“ 陽気 ”や“ 乙女心 ”それに“ 好奇心 ”」

提督「琥珀……好奇心……マジカル…………うーん」

愛宕「? 」

提督「いや、なんでもない。ちょっと懐かしかっただけ」

高雄「ロシアや東欧。ポーランド辺が原産らしいです」


< 正確にはソ連 >





提督「ロシアかぁ……あいつを思い出す」

愛宕「響ちゃんね」

提督「ロシアンって感じではなかったけどな」

愛宕「身体も毎日洗ってたし」

提督「えっ」

愛宕「えっ? 」

高雄「……あちらの方では身体の菌は落とし切るものではない、と。
それに水が冷たいので毎日洗っているわけではないようですね」

提督「へー……愛宕? 」

愛宕「や、私は毎日入ってるわよぉ。
髪色くらいでしょう? それっぽいのは」

提督「つーか、ロシアンってよりはアメリカンな感じだしなぁ」

愛宕「というかほぼ毎日お風呂上りにいるじゃない」

高雄「一緒に入ったりしますしね」

愛宕「今日は……どう? 」


< いつ失ったのだろう >





愛宕「乙女心、ね」

提督「ん? 」

愛宕「この中で乙女心を一番残してるのって誰かしら」

提督「この中でって俺もか」

愛宕「女子力みたいなもので男性でも間違ってはないと思うのよね」

高雄「まぁ、提督はありえませんが」

提督「なんだって? ……と思ったけど別にいいや」

愛宕「そう言われると私も別に……」

高雄「私もいいですよ。むしろ汚れてる気がします」

提督「うーん……全員横一列で最下位とトップ兼任かな」



< 軍属である以上は >





愛宕「で、誕生花は矢車菊ね」

提督「なんだ? どんな花だよそれ」

愛宕「地中海東岸に自生する植物みたい。
紫色の綺麗な花よ? 」

提督「へぇ」

愛宕「花言葉は……“ 繊細 ”と“ 幸福感 ”」

高雄「幸福感は言うまでもないとして……繊細? 」

愛宕「割と皆図太い方よね」

提督「そうかもな」


< 目をそらす、頬が赤い >





高雄「でも……愛宕は割と繊細な方よね」

愛宕「……そう? 」

高雄「自分が一番役に立っていないとか思ってない? 」

愛宕「…………」

高雄「お料理とか行動とか、
全部私や提督と被らないようにしたり」

愛宕「……………」

高雄「……………」

愛宕「……たまたま、よ」

高雄「……そう」

愛宕「ええ。…………でも、ありがと」

高雄「礼を言われるようなことはなにも」


< 下着も履かないで >





提督「今日は巫女の日らしいぞ」

愛宕「我らが主? 」

提督「それは御子」

高雄「経たてもなく緯ぬきも定めず未通女を? 」

提督「それは大津“ 皇子 ”」

愛宕「それじゃあ、えっと……」

提督「や、もういいから。巫女は巫女だよ。赤と白の」

愛宕「金剛姉妹とか扶桑姉妹とか」

提督「うーん……なんか違う。ミニスカメイドくらい違う」

高雄「その拘り……わからないわ」



< ヴァージンスノウにも言えるか >





愛宕「さっきの和歌だけど」

提督「おう」

愛宕「誰も踏んでない、踏み入れてない紅葉をそのままにしてって意味なのよね」

提督「そうらしいな。より正確には霜がおりるのは嫌だっていう」

愛宕「あれって未通女で“ をとめ ”読みって狙いすぎ」

提督「いや……少女の美しさと儚さが紅葉のそれと被ったとか考えられないの? 」

愛宕「あぁ、なるほど。やるわね」

提督「お前の方がある意味すげぇよ」

愛宕「未通のネンネじゃないから」

提督「……なるほど」



< 軍はなぜ許すんだ >





提督「あとあと……スチュワーデスの日でもあるし、
日本ではミスコンの日でもあるってよ」

高雄「巫女も合わせて女性に関係したものが多い日なのですね」

提督「愛宕とか特にスチュワーデス……今だとCAか。似合いそうだな」

愛宕「そう? ふふふ」

高雄「私はないんですか? 」

提督「高雄か……なんかスカートがそもそもそれっぽい気がする」

愛宕「……苦情がきそうな丈よね」


< あんどうももふく生誕 >





提督「あー……なんかカップメン食べたい」

高雄「今日はラーメンにします? 」

提督「いや、うーん……今日はいいや。あくまでカップメンなんだよ。
インスタントがいいの」

高雄「はぁ」

提督「そりゃ高雄たちがつくった方が美味いよ。
だけどさ、なーんか時々あのチープさが恋しくなるの」

愛宕「残念だけどないのよねぇ。
お酒や茶菓子はやたらあるのに。あとコーヒー豆」

提督「まぁ、身体に悪いだけだしな。そこまで食べたいわけじゃないから」


< スーパーマリンより哀をこめて >





提督「ビスマルクたち元気かな」

高雄「そりゃ元気だと思いますけど。なんですいきなり」

提督「うん、今日スピットファイアが初飛行した日なんだって」

高雄「はぁ。でもそこで思い出すならせめて金剛じゃ」

提督「でも関わったってーと第三帝国の方がさ」

高雄「そこまで彼女たちだって関わってませんけどね。
空と海ですし」

提督「そうかな」

愛宕「無関心な人より嫌いな人の方が考えやすい、みたいな」


< 感謝はいつもしてるけれど >





提督「本日のカクテル」

愛宕「はい」

提督「カクテル言葉は“ 感謝の気持ちを忘れないピュア ”です」

高雄「なるほど」

愛宕「……」

提督「……」

高雄「……」

愛宕「えっとぉ……好きでいてくれてありがとう? 」

提督「好きでいさせてくれてありがとう? 」

高雄「……“ 好き ”を教えてくれたのはあなたたち。……ありがとう」


< ピュア >





提督「で、肝心のカクテルはトロピカルファジーネーブル、だ」

愛宕「トロピカル……? 」

高雄「ただのファジーネーブルならわかりますけど」

提督「普通のファジーネーブルは桃のリキュールにオレンジジュースだけど、
トロピカルはそれにマンゴーリキュールが入るんだってよ」

愛宕「なるほど」

高雄「すっっっっっごい甘そう」

提督「だろうな」

愛宕「あんまり好みじゃないかも」

高雄「お酒の好き嫌いが材料でわかる…………普通の意味でのピュアではないですね」


< 湯船の形がこうさせる >





愛宕「んー…………もう少し下にして? 」

提督「はいはい」ギュッ

愛宕「いやん……もう少し下げたら……キちゃう☆ 」

提督「どっちにすりゃいいんだよ……」

愛宕「ちょっと押してくれると……ぁふっ」

提督「うーん、スベスベ。どうして女の子のお腹ってこんなに気持ちいいんだろ」

愛宕「提督は硬いけど? 」

提督「まぁ、腹筋鍛え…………腹筋だよな? 」

愛宕「どうかしら? ふふっ」


< 後ろめたい >





高雄「逆上せてません? 」

提督「逆上せた」

愛宕「高雄、水」

高雄「はいはい、どうぞ」

愛宕「ありがたうぇ……これ水じゃないじゃない……」

高雄「あら……ごめんなさい。お酒と間違えちゃった」

愛宕「そんな間違えるわけ……怒ってる? 」

高雄「どうして? 」

愛宕「あの人を一人で連れていったから」

高雄「…………」

愛宕「だって高雄誘ってもお風呂来てくれないからぁ。ごめんね? 」

高雄(…………普通に間違えたなんて言えない)


< 唐突にしたくなった >





提督「んー…………高雄」

高雄「はい? 」

提督「ん」ギュッ

高雄「ぁ」

提督「あったか……」

高雄「んぁ……首筋くすぐったいです」

提督「酒でほんのり赤くなってる…………んー、高雄の匂いがする」

高雄「当たり前ですよ……んやっ?! 」

提督「ちょっとミスった。お腹に腕回そうとしたんだけど」

高雄「それ……はぅ…………」



< うさぎさん:裏 >





提督「今日は寝るったら寝るからな。
今日中に寝つくから」

高雄「そうですか」

愛宕「私も今日は寝るー」

提督「……明日は多分バーテンダーセットくん届くぜ」

高雄「なんですかそのセット……楽しみにしときます」

愛宕「どうせなら私たちもバニースーツ頼んどけばよかったかしら」

高雄「私も着るみたいなのやめて」

愛宕「着ないの? 提督も見たいわよね? 」

提督「めっちゃ見たい」

愛宕「こう言ってるけど? 」

高雄「……はぁ。あれば、ですよ」


< あとは婦警さんとか >





提督「あぁぁぁ……でも迷うな」

愛宕「なにが? 」

提督「バニーじゃなくてハスラーみたいなかっちりしたやつとか、
ビアガールみたいのも捨てがたい」

愛宕「なるほどなるほど。高雄はハスラーとかいいわね」

高雄「私ビリヤードとかできないんだけど」

提督「まぁ、あくまでイメージだし。
やったことなんてなくていいんだよ」

愛宕「そうよぉ、ただのイメージなんだから。
それにそんなこと言ったら看護師の資格とか教員免許だって持ってないじゃない」

高雄「………………そうね」


< 子供の頃は一人で行けなかった >





高雄「……あれ? 起きてたんですか? 」

提督「ん……高雄か。さっき無性に水が欲しくてさ。
ミネラルウォーターなくなってたから取りに行ったんだ」

高雄「なるほど」

提督「悪い、起こしたか? 」

高雄「いえ、ちょっと自分でも用があったから」

提督「そうか。……早く寝れば中途半端に起きる。
遅いと朝が辛い。ままならねぇな」

高雄「子守唄でも歌いましょうか? 」

提督「いらねぇよ。ま、歌いたいなら聞くが」

高雄「ふふ……そのときはあなたの歌も頼みますよ」

提督「そうか……うん、いつかな」


< 虫の鳴声はまだ >





提督「………………ふぅ」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………? 」

提督「…………」

高雄「あの……どうしたんですか? 」

提督「あぁ……用済ませてこいよ。
深夜の静けさってやつを楽しんでただけだから」

高雄「ガキなのか大人なのか。……足元気を付けてくださいね? 」

提督「転んだってまぁ泣くぐらいだろ。……じゃあな」

高雄「はい。……佳い夜を」


きっと加速度的にネタがなくなる

ありがとうございました


や、楽しんでいただけるなら……

ちなみに当スレッドはシリアス分をほぼ含みません


< 酷い寝起き >





提督「ほげっっっ、なんだ寝相悪いやつなんていた」

高雄「そんなこと言ってる場合じゃないです!
さっさと外套と帽子揃えて外来てください」ユサユサ

提督「なんだおい……いきなりぶっ叩かれた身にも」

高雄「もう一回やられたいんですか? 」ニコッ

提督「はい! いますぐ行きます! 」

高雄「よろしい」

提督「おう」



ガチャ、バタン



提督「……愛宕すらいねぇ。一体なんなんだよ。
つーか、頬が痛いだけじゃなくて腹も痛え。
明らかに上官に対する扱いじゃないだろ……っと準備OK」


< 朝は頭が働かない >





提督「っと、どうした」

愛宕「こちらに」

提督「あ? なんだ港にまで呼ん……あ? 加賀? ……加賀ぁぁぁ? 」

高雄「そう。加賀型正規空母艦娘加賀です」

提督「いや、そんなのは知ってるが……なにこれ? まっさか軍港とも言えないようなお粗末なここに流れ着いたとかそんなわけ」

高雄「自分の目を疑うのならそうかもしれませんね」

提督「…………」

愛宕「さっきお水が欲しくて起きたら窓から震電が見えて」

高雄「この近辺でそんなものが飛んでるはずがありませんからね」

愛宕「で、窓開けてなんとなーく下を見たら加賀さんが流れ着いてたわけ」

提督「…………意味わかんねぇんだけど」


< 謎は深まるばかり >





愛宕「寝かせてきましたよ」

提督「ん、ご苦労様。コーヒー淹れたから」

高雄「……」

提督「……」

愛宕「ふぅ…………なんなのかしらね」

提督「そんなの俺が知りてぇよ」

高雄「……」

愛宕「……加賀さんの右肩見た? 」

提督「あ? いくらなんでも意識ない怪我人の着替え覗くほど悪趣味じゃ」

高雄「いえ、衣装が裂けていましたから……私は見えたわよ」

提督「そうか。で? 肩がどうした? 」

愛宕「たぶん……あれって銃創だったと思う……拳銃かなにかの」

提督「は? 」

愛宕「殆ど治りかけてたけど……きっとそう。
深海にあんな小口径の火器なんてないし……」

提督「…………」

高雄「…………コーヒーおかわりしますね。提督は? 」

提督「あぁ、くれ」


< SMはMの方が難しい >





提督「……まぁ、いいや。とりあえず横須賀には連絡入れといたし。
なぜか誰も派遣しないから自力で帰らせろとか言ってたけど。
あとは加賀が起き上がるだけだな」

愛宕「そうね。記憶障害にでもなってない限り大丈夫でしょ」

高雄「そういえば」

提督「ん? 」

高雄「……申し訳ありませんでしたッ!
非常時とはいえ殴りつけた上に頬を張り飛ばすなど」

提督「んー……いや、仕方ないって。
理由が理由だからね」

愛宕「そうよ。提督が寝坊助さんなのが悪いんだから」

提督「……普段より早かったんですがね愛宕さん」

高雄「ですが」

提督「じゃあなに? 俺が高雄のこと殴り飛ばしてビンタでもすればいいのか? 」

愛宕「過度なSMはちょっと……」

提督「なんでも下半身に繋げんな。
……今日の昼食はオムライスが食べたいな。気持ちの篭った」

高雄「………………わかりました。よりを掛けてつくりましょう」

提督「ん」


< 弱い犬ほどよく吠える >





提督「猫は好きか? 」

愛宕「猫? 」

高雄「嫌いではありませんけど……私は犬派なので」

愛宕「私は猫の方が好きよ。犬はなんだか怖くて」

提督「砲弾の雨潜り抜けといて犬が怖いって……」

愛宕「なんというかこう、キャンキャンしてくると……」

高雄「たまにイラっとくるかもしれませんね」

愛宕「いえ、それはいいんだけど」

提督「いいんだけど? 」

愛宕「……吹き飛ばしちゃいそうで」


< 太く長く生きるのが理想 >






提督「まぁ、俺もグレート・デンとかは怖いかもな」

高雄「あれは確かに。確かドイツで猪狩りに使われていた大型犬とグレー・ハウンドを掛け合わせたものだとか」

愛宕「でも性格は穏和で優しき巨人とかってあだ名もあるのよ」

提督「寿命も6年ちょっとだしなぁ……。
あれと暮らしてる人は凄いと思う」

高雄「小型犬の方が寿命は短いような気がするのですが」

提督「中型から大型まではな。グレート・デンみたいに超大型だと心臓が負荷に耐えられない」

愛宕「心臓……提督も気をつけてね」

提督「お前が自重すれば長生きできそうだよ。
俺の身体は酷使されっぱなしだ」

愛宕「難しいこと言うわね」

提督「えぇ……」


< 胸に手を当てて考えた >





愛宕「まったく関係ないんだけど」

提督「おう」

愛宕「谷間をスウィープする感じの舌遣い好きなのよ」

提督「…………執務中なんだけど」

愛宕「こう……おっぱいで守られてるこの辺だけど」タユン

提督「この辺ってお前。持ち上げんな」

愛宕「唯一なにもない谷間を委ねてる感覚がいいのかもしれないわねぇ〜 」

提督「……と、いうことらしいぞ」

高雄「……話を振らないでもらえません? 」

愛宕「んふふ……提督も舐められるの好きでしょ? 」


< 自分ととは限らない >





提督「コーヒーと茶菓子が揃ったところで毎日恒例の」

愛宕「愛の告白? 」

提督「……」

愛宕「……」

高雄「……」

提督「好きだよ…………高雄」

高雄「! 私もですよ……ええ」

提督「……高雄」ギュッ

高雄「ん……」ギュッ

提督「…………」ギュウ

高雄「…………」ギュウ

愛宕「……………………なにこれ」


< 見せつけないでよ >





愛宕「はいはいはーい! 茶番はここまででーす」

提督「……まったく……お前の所為だぞ」

高雄「でも……悪くありません」

愛宕「もうっ……どうして私じゃないのよ」

提督「ん? 今からする? 」

愛宕「いい……そんな気分じゃない」

提督「そうか」

愛宕「ええ」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……後でね。優しく心を籠めて」


< 責任は取るつもりだけれど >





提督「えー、紆余曲折ありましたが恒例の」

高雄「まずは誕生石です」

愛宕「どうぞー」

高雄「んん……三月六日の誕生石はシェルオパール。
石言葉は“ 熱血 ”と“ 責任感 ”それから“ のんき ”です」

提督「熱血……ではないな」

愛宕「責任感なんてもっとないでしょ」

提督「そうだな。否定できない」

高雄「のんきって程でもないような」

提督「うーん……誰も当てはまらなさそうだ」


< 悪いとは言ってない >





愛宕「誕生花はデイジー。他にも長命菊とかヒナギクとか呼ばれるわね」

提督「なんとなくだけどヒナギクが一番メジャーな気がする」

愛宕「そう? ちなみに花言葉は“ 無垢 ”“ 純潔 ”そして“ 明朗 ”」

提督「うわぁ……」

高雄「…………」

愛宕「……なによ」

提督「純潔とか一番言っちゃいけないだろ……」

愛宕「いいじゃない。一人だけに捧げてるわけだしある意味無垢みたいなものよ」

高雄「…………」

提督「…………そういうことにしとくか」


< 神前はだるかったです >





愛宕「無垢……無垢ね。もし、というか絶対したいけど」

高雄「結婚式ですか」

愛宕「そう。神前とチャペルならどっちがいい?
今のうちにきいておこうと思って」

提督「……」

愛宕「……提督? 」

提督「えっ、俺? 」

愛宕「他に誰がいるのよぉ」

提督「いやぁ……あぁいうのって女性側が決めるものじゃない? 」

愛宕「でも……私たちの家族というか親族なんて艦娘の皆とそれこそ提督しかいないし。
単純にあなたがどんな私たちを見たいかじゃない? 」

提督「…………そうか。それならだけど割とマジでどっちも見たい」

高雄「……そもそもできるのかしら」


< いっそ甲板で挙げるとか >





提督「できるかどうかとは? 」

高雄「戦争が終わったとしてですよ?
私と愛宕の両方と挙げるんですか? 」

提督「そのつもりだが」

高雄「どうなんですそれ。倫理的に」

提督「そんなの知らねぇよ。こんな爛れた生活しといて今更な話だし」

愛宕「そうよぉ。それに私は譲らないし、
高雄がしないなら諦めるから」

提督「ま、俺のわがままに付き合うと思ってくれよ。
神前かチャペルかは知らないけど」

高雄「そう、ですね。そもそも他の鎮守府とかよりマシな気がしてきました」


< 本日の演目は >





高雄「あとは明朗、ですか」

提督「明朗快活とか言うな」

愛宕「加古ちゃんとか? 」

提督「加古かぁ……どんなだっけ」

高雄「明るいのはそうなんですけど割と居眠り常習っていうよくわからない娘でしたね」

提督「あー、思い出してきた」

愛宕「……高雄型重巡の二番艦、愛宕ってんだ、よっろしくぅー! 」

提督「っふ……うっそだろおい。いきなりはやめろ」

高雄「…………くっ」プルプル

愛宕「あたしゃね! やるときゃやるんだよ! だから、帰ったらいっぱい寝かせて~ ! 」

提督「ぶっほぉ……おま……やめ」

高雄「や、やめなさい……き、きついから」プルプル

愛宕「我慢はよくないぜぇ? 思いっきり笑っちゃいなよ〜 」


< 夕食でも抜いてやろうか >





提督「愛宕劇団員にはきついお仕置きをかますとして」

愛宕「いやーん。オシオキこわーい・」

提督「……うっぜぇ」

高雄「まぁ、大したことできませんけどね……懲罰なんて大したこと」

提督「なんか納得いかねぇ」

愛宕「うふっ、今から始めてもいいのよ? オ・シ・オ・キ☆ 」



< 調子に乗った >





提督「仕方ないので残りの書類整理を押し付けたわけだが」

高雄「……だから大したことはできないとあれほど」

愛宕「ふふふふふ……優秀すぎてごめんなさぁい」

提督「……速攻で終わらせやがった」

愛宕「こんなものなのぉ? まだまだできるわよぉ」

提督「なんでそんな意味わかんねぇテンションなんだよ」

高雄「……これはなかなかに腹が立ちますね」

愛宕「ふふふ」


コンコン


愛宕「ふ、ふ? 」


「提督殿。緊急の要件で参った」


愛宕「……? 」

提督「あ、どうぞ」


< タイミング○ >





愛宕「」チ-ン

提督「陸軍のやつすげぇタイミングで書類持ってきたな」

高雄「しかも嫌がらせ以外の何物でもありませんでしたからね。
緊急性皆無の」

愛宕「」チ-ン

提督「ま、調子に乗った罰だな。
とりあえず終わらせたことは褒めてやる」

愛宕「……なにあれ。あんなんだからモテないのよ……」

高雄「……因果応報、ですかね。どちらも」


< 努力の持っていき方が大事 >





高雄「提督って実は有能な部類ですよね」

提督「実は、は余計だ。有能だぞ」

愛宕「横須賀から飛ばされたくせに」

提督「くっ、殺せっ」

高雄「なに言ってるんです。前から訊きたいと思ってたんですけど」

提督「なんだ? 」

高雄「なんかコツとか心構えってあるんです?
一応後学のために」

愛宕「それちょっと気になるかも」

提督「コツ? ……あぁ、あれだ。なるべくちいさい頃に天才ではないと気づいたことと、
夢を持ったときに凡人だと思わないことだな」

高雄「なるほど」

提督「まぁ、それこそ島流しされて再認識したんだけどな」

愛宕「へぇ……」

提督「カッコよくない? な? 」

高雄「少しだけ見直しました。……台無しですけど」


< 醤油 → 塩 >





提督「高雄」

高雄「はい」

提督「さんきゅ」

愛宕「あ、提督私にも」

提督「ん」

愛宕「ありがと」

高雄「あぁ、そういえばあれ減ってましたよ」

提督「確か倉庫に替えがある」

愛宕「そうなの? 今度別のにしたかったのに」

提督「ま、次回だな」



< どんな印象だ >





提督「ふぅ……今日もご馳走様」

愛宕「ふふ、つくり甲斐があるから」

高雄「ですね。自分だけが食べるならここまでしません」

提督「そっか」

愛宕「そうよ。だってあなたが食べ……そういえば」

提督「ん? 」

愛宕「……加賀さんのこと忘れてたわ」

提督「あっ」

高雄「……これは」

愛宕「……」

提督「まぁ……大丈夫だろ。起きたらまず間違いなく飯要求してくるし」

高雄「確かに」

愛宕「それは言えてる……けど酷いわね」


< 夢中になった >





提督「ジャジャーン! バーテンダーセットです! 」

愛宕「おおっ! 」

高雄「これはなかなか」

提督「コスプレ用のやっすいやつじゃないぞ。
オーダーメイドで頼んでみた」

愛宕「さっすがー。確かに生地が肌に馴染むわね」サワサワ

高雄「……やはり上背があるので似合います」サワサワ

提督「……さて、衣装は兎も角だな」

愛宕「バニースーツを買うときもオーダーメイドの方がいいかしら」サワサワ

高雄「そうかも。……スリーサイズや身長も送らなければいけないのでしょうか」サワサワ

提督「あの……皆さん? 」


< 貯めた資金は何に使うのだろう >





提督「あのぅ…………」

愛宕「あぁ、ごめんなさいね。似合ってるわよ」

高雄「ジャケットがあった方が引き締まっていてカッコいいです」

提督「うんうん。そういうの待ってたんですよ僕は」

愛宕「でもよくこんなの二・三日でできたわよね。
いくら軍服用のサイズ測ってて流用したと言っても」

提督「だよな。なんか最近できたサービスらしい」

愛宕「なるほど。女性用も受けてくれるのかしら」

提督「さぁ? そこに付いてきたパンフがあるけど」

高雄「これですか……Clothing-D・P…………Dwelling princess? 」



< 竜宮城からこんにちは >




提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

愛宕「……気付かなかったの? 」

高雄「……さすがに偶然でしょう」

提督「…………だよな? 」

提督(dwellで棲む。princessは……言うまでもないな)


< 素直に頑固な素直人 >





提督「誕生カクテルはヴァレンシア。
カクテル言葉は“ 周囲を大切にする頑固者 ”」

愛宕「三人とも頑固者よね」

高雄「そう? 」

提督「高雄が筆頭だろ」

高雄「そんなつもりは」

愛宕「まぁまぁ。それに私は二人から大切にされてるつもりよ? 」

提督「してるつもりだぞ」

高雄「私も」

愛宕「こういうときは素直よね。もちろん私も」

提督「ちなみにアプリコットブランデーをベースに、
苦めのオレンジリキュールとオレンジジュースだ。
オレンジを添えるとお洒落かもな」


< まさかのキメラ >





提督「ちいさい頃に母さんがリストラは恐ろしい生き物だって言ってたな」

高雄「そりゃ……家計を預かる人なわけですから」

提督「いや、単なるギャグなんだよ。
栗鼠の俊敏さと虎の破壊力を併せ持つみたいな」

高雄「ははぁ」

愛宕「なるほど」

提督「なんだよ」

高雄「さすが提督のお母様ですね」

愛宕「ある意味この人の始まりだものね……」


< 本当にわからないです >





提督「紅茶の初摘みってさ」

高雄「はい」

提督「ファーストフラッシュって言うじゃん。
あれってなんでフラッシュなの?
摘んだら光り輝いたりするの? 」

高雄「そんなわけ」

愛宕「でも、どうしてかしら」

提督「うーん……なんでだろ」

高雄「……」

愛宕「……」

提督「……加賀のことだけどさ」

愛宕「オチのない会話やめたら? 」


< 愛することは信じること ♪ >





提督「『月のワルツ』って曲があるんだけどさ」

高雄「はい」

提督「あれはヤバイね。みんなの歌屈指の曲だよ。
難しい曲だけどカラオケでいっつも入れちゃう」

愛宕「いいわよねぇ。チャンドラマハルの王子。
……月の城の王子様だったかしら」

提督「カラオケだと映らないけど動画サイトだとまだ残ってるはずだ。
あのオリジナルの映像がまたいい」

高雄「なるほど……ここにカラオケでも増設します? 」

提督「おう、それいいな。曲覚えとけよ」

高雄「……本気ですか? 」


< もってのほか >





提督「たかおっぱい」ボソッ

高雄「聞こえてますよ、色情狂」

提督「や、狂ってるほどでは」

高雄「本当ですかね」

提督「ん、他の人試してみる? 」

高雄「いえ……そんなおぞましいことしません」

提督「そっか」

高雄「大体私を他の男に渡してもいいんですか? 」

提督「嫌だ」

高雄「なら言わないでください」

提督「あぁ、ごめんな」

高雄「いえ」



愛宕「…………いきなり変態発言したの誤魔化してる」


< 皆が好きなだけ >





提督「今日は弟の日らしい」

高雄「提督はご兄弟いないんでしたっけ」

提督「おう、一人っ子だ」

愛宕「その割に人の扱い上手いのよねぇ」

提督「あん? 」

愛宕「な・ぜ・か、駆逐の子たちも懐いちゃって」

提督「たまたまだよ、うん。皆いい子だったし」

高雄「どうだか」

提督「ロリコンじゃねぇよ。つーかお前らロリには程遠いじゃねぇか」

愛宕「それは私たちが若くないってこと? 」

高雄「ギルティ」

提督「そんな極端な……」


< 三日六日:世界一周記念日 >





高雄「提督は海外に行ったことは? 」

提督「駐在武官としてドイツになら」

愛宕「だからビスマルクたちと話せたのね、あっちの言葉で」

提督「まぁな」

高雄「私は……国内旅行すらないですね」

愛宕「当たり前だけど私も。……新婚旅行はどこがいいかしら」

提督「んー……またドイツに行きたいなぁ」

愛宕「むむむっ」

提督「ん? 」

愛宕「……FKK」ボソッ

提督「いや……新婚でそんなとこいかねぇよ」

高雄「では経験は? 」

提督「……黙秘」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「……武官って付き合いとか接待があるんだよ」



< 刻んであげる >





愛宕「これはお仕置きね」

高雄「さすがにいい気分はしませんね」

提督「そんな殺生な……お前らと出会う前だぞ……」

愛宕「とやかく言いたくはないんだけど……記憶にあるのが許せないの」

高雄「私たちがどうもできないのが嫌なのです」

愛宕「これは私たちで」

高雄「塗りつぶすしかありませんね」

提督「…………優しくしてね? 」


< 滅茶苦茶……した >





提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「…………あーあ……ジャケットとかぐっちゃぐちゃ」

愛宕「……洗濯すればいいでしょ」

高雄「……ある意味正しい使い方でしたよ」

愛宕「私たちだものね」

提督「……うーん」

愛宕「提督もバニーとかいたら……そうでしょ? 」

提督「……なるほど」

高雄「それはそれでどうなんでしょう」


< ソファは本当にまずい >





提督「つーかさ……俺も大概タフだよな」

愛宕「一対二ですものね」

高雄「なんで私たちと同じくらいの消耗なんですか」

提督「ほんとな。まぁ、一応鍛えてるし」

愛宕「好きよ。その筋肉」

提督「ん」

高雄「……」

提督「……」

愛宕「……片付けましょ。ソファにはねなくてよかった」

提督「だな」


< 本人はスヤスヤと >





加賀「…………Zzz」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「……起きそうもねぇな」

高雄「……明日には起きると思いますが」

愛宕「可愛らしい寝顔ねぇ」

提督「あぁ」

高雄「無表情とか鉄面皮とかどこいったんでしょう」

提督「……」

愛宕「……」

高雄「……」

提督「それにしても……」

高雄「……私たちはどこで寝れば」


< なぜそこに寝かせたのか >





愛宕「私とよね? 」

高雄「譲れません」

提督「……」

愛宕「わ・た・し」

高雄「私です」

提督「あのぉ」

愛宕「提督。提督が決めてよ」

提督「あ? 」

高雄「私と愛宕のどちらのベッドで寝るのか」

提督「いや……だからさ」

愛宕「ま、もちろん提督は私ですよね?
選んでくれたら……イ・イ・コ・ト、してアゲル・ 」

提督「だからさ。話聞けよ」

高雄「なんですさっきから。今重要なですね」

提督「だからね。俺は今日はソファで寝るから。
二人は自分の部屋で寝なよ。
それにさっきしたからさ……正直寝たい」

愛宕「そんなぁ」

高雄「これが一人寝の寂しさ……違うか」


< 非日常にわくわくするあの感じ >





愛宕「これはミスね……今日中に起きると思ったんだけど」

高雄「仕方ないわよ。あのときは動転していたのだもの」

提督「よし……毛布は持ってきた」

愛宕「この人はなんだか楽しそうだし」

高雄「キャンプのようなものかしら。……経験はないけれど」

愛宕「まぁ、いい経験だと思いましょうか」

高雄「そうね。前は一人で寝ていたのだし」

提督「なかなかソファも悪くない。
よし、俺は寝るぞ。なんかあったら言ってくれ」

愛宕「はぁい。また明日ね」

高雄「加賀さんが起きたら起こしてくださいよ」

提督「はいよ。また明日」


< 予想通り >





加賀「………………」

加賀「………………」

加賀「………………」

加賀「………………」

加賀「………………」

加賀「………………」

加賀「………………」

加賀「………………」

加賀「………………」

加賀「………………」

加賀「……………………お腹が空きました」


あまり沢山のキャラがいるのは苦手なので少しずつ……

ありがとうございました


期待に沿えるといいんですけどね……

本日のゲスト:加賀


< 挨拶もそこそこに >





「……く……ーー……て…………ーー……て……」

提督(……なんだ? 愛宕か高雄か…………愛宕かな…………んん)

提督「あぁぁぁ…………? んー…………あと、五分」

「…………待てません」

提督(でもなんか忘れてるような……)

「今すぐ起きないとそれ、潰しますよ」

提督(それ? それってなんだ? )

「彼女たちには悪いですが…………致し方ありません」

提督(嫌な予感…………あっ! )

提督「あぁぁぁぁぁ! 加賀ぁぁぁ 」

加賀「はい」

提督「……なんだその振り上げた拳」

加賀「別に。ハエがいたもので」

提督「こんな時期にか……おはよう」

加賀「おはようございます。早速ですが」

提督「朝食ね…………ふぁぁ」


< シェフ仲間を呼ばねば >





提督「何つくるかなー……ってまだマルヨンマルマルか……」

加賀「……ハエがいたような」

提督「いや、やめてくれよ……もう寝ないよ、うん」

加賀「安心しました」

提督「おう。……愛宕と高雄起こしてきていい? 」

加賀「構いませんが……まだこんな時間ですよ」

提督「俺はいいのかよ……約束したんだよ昨日」

加賀「では私が起こしてきます」

提督「そうか。執務室出て右だ」

加賀「了解です」


< 稀に見せるその >





加賀「あぁ、そうそう」

提督「ん? まだ行ってなかったのか」

加賀「ありがとうこざいました」

提督「あ? 」

加賀「わざわざソファでなにかあったときの為に待機していたのでしょう?
感謝を忘れるようなことはしたくないので」

提督「や、たまたまソファで寝たかっただけだ。
いいからさっさと起こしてこい。
飯つくるのは大体あいつらだぞ」

加賀「ふっ……それは困ります。では」

提督「おう」



ガチャ、バタン



提督「…………ま、笑えば可愛いいのは当たり前か」


< うすーく。でもそれが大事 >





愛宕「うーん……まだ眠い」

高雄「まだマルヨンマルマルと少しだもの」

愛宕「加賀さん早く来てって感じだったわねぇ」

高雄「そうね。やっぱりご飯かしら」

愛宕「絶対そうよぉ……シャワーとメイクどれだけ縮められる? 」

高雄「……なんとか三十分で終わらせましょうか」

愛宕「ちょっときついかもしれないわね……」

高雄「ま、提督が頑張ってくれるでしょう」


< 僕は貴女がほしい >





提督「ほい。とりあえずチャーハンとサラダ」コトッ

加賀「まだチャーハンしかつくれないんですか」

提督「あとつまみな。まぁ、嫁sが優秀だから」

加賀「まったく羨ましい……いただきます」

提督「はいよ」

加賀「……」モグモグ

提督「……あっ、スープもつくったんだった」

加賀「……」モグモグ

提督「……コーヒーは食後でいいか? 」

加賀「ええ」

提督「あとは……サラダ増やすか」

加賀「……」

提督「……なんだ? 」

加賀「いえ…………嫁に来ませんか? 」

提督「は? 」


< いっそ難聴鈍感なら >





提督「嫁ねぇ…………一応男だから」

加賀「まだ二股かけてるの? 」

提督「まだというかなんというか……たぶんずっとこのままだよ。
それに俺たちは三人とも二股とは思ってない」

加賀「……汚れている」

提督「そうだな。否定はしないよ」

加賀「……そう」

提督「あぁ」

加賀「……」モグモグ

提督「……」

加賀「……」モグモグ

提督「……」

加賀「……危ういわ」

提督「うん? 」

加賀「あなたたちのこと。とても危うい。
あなたは……もし他の女に迫られたら断れるかしら」

提督「……たぶんな」


< 瞳は口ほどにものを >





加賀「たとえば私が抱いてと言ったらどうするの? 」

提督「……赤城はどうする」

加賀「もちろん秘密」

提督「そんな関係が続くかよ。俺はぬるま湯に浸かっていたいんだ。
それがはたから見れば泥沼でもな」

加賀「ゆきずりの関係ということもあるでしょう」

提督「はっ……なるほどね」

加賀「ええ」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「……どう? 」

提督「……思ってもないこと言うなよ。早く食え」


< 今だって半ニート >





加賀「…………」

提督「…………」

加賀「……ふっ……そうあってほしいものね」

提督「そうだな。俺もそうありたいよ」

加賀「それにしても……まさか私が振られるとは」

提督「大層な自信ですね」

加賀「間違っているかしら」

提督「いや……惜しいことしたと思うよ」

加賀「そう……彼女たちに飽きたらいつでも来なさい。
ヒモ一人くらい余裕だから」

提督「あぁ、覚えとく」

加賀「そうして。…………それと」

提督「ん? 」

加賀「おかわり」


< 揃った >





愛宕「おはよー」

高雄「おはようございます」

提督「おう、おはよう。悪いけど速攻で料理」

加賀「ふむ……早めにお願い」

高雄「ははは……」

愛宕「昨日のうちに材料運んどいてよかったわねぇ」

高雄「特務の物資搬入があってよかった」

提督「陸のやつらも役に立つんだな」

加賀「……あの……」

提督「あーほら。さっさとつくり始めないと。暴れ出すぞ」

加賀「…………失礼な」


< どちらがマシか >





加賀「気分が高揚します」

提督「これだけ食ってやっとか。つーかマジでどんな身体してんだ」

加賀「調べてみます? 」

提督「いや、遠慮しとく」

加賀「ヘタレね」

提督「ヘタレとかそんな問題じゃねぇよ。なぁ? 」

愛宕「あぁ……あれだけカッコよかった提督がこんな甲斐性無しだったなんて……よよよ」

高雄「また悪ノリを」

提督「甲斐性無しってお前……むしろ二人相手にしてる」

高雄「クズですね」

提督「…………そうだな。甲斐性無しかクズでいえば……甲斐性無しでいいや」


< 女には秘密が沢山 >





提督「はい。お腹も膨れたところで」

加賀「デザートですか」

提督「いや、食っただろ杏仁豆腐。
……そうじゃなくてこんな場所に流れ着いて一日寝込んでた事情を聴取する時間です」

加賀「軍機です」

提督「あ? 」

加賀「ですから軍機」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「……あのさ」

加賀「軍機です」


< 少しだけ気になる >





愛宕「まぁ、いいじゃない。面倒なことに関わるの嫌でしょ? 」

提督「そうだけどさ」

高雄「大体左遷されたあなたに機密が知らされるわけないでしょう」

提督「一応ここのトップなんだけど」

愛宕「平時は部下が二人しかいないけどねぇ〜 」

提督「それでも長は長だ」

愛宕「いいから。加賀さんもいつかおしえてくれるでしょう? 」

加賀さ「ええ。そのときがくれば嫌でも知るわ」

提督「…………」

愛宕「はい! この話はお終い。いつも通りにしましょう! 」


< いつも通り……の会話 >





提督「そうだな。……でもいつも通りってなんだ? 」

高雄「それは……執務をこなして昼食をとって執務をこなして」

愛宕「夜戦ね ♪ 」

加賀「…………」

提督「おい、なんだその表情。俺がなんかしたか」

加賀「…………ケダモノ」

提督「あのさ。どっちかっていうとこいつらの方が獣じみてんの。
ぼくは草食動物並みに捕食されてるんですぅ」

愛宕「あぁら。昨日なんてここのソファで」

提督「やめろ。生々しい」

高雄「あんなに執拗に責めてきたのに」

愛宕「そうね。あんなに快楽を刻み込まれて……もうあなたのいない生活なんて考えられない☆ 」

提督「こんな……こんなとこ普段通りにするなよぉぉぉ! 」

高雄「……」

加賀「……」

愛宕「……」

加賀「ふむ、それで」

愛宕「まず始めに高雄の首す」

提督「いや、続けんなよ」


< やっぱり気になる >





提督「そろそろ始めるか。普段より開始遅れちまった」

加賀「私も少し……通信室に案内してくれる? 」

提督「あぁ、案内するほどじゃない。
この鍵持ってこの部屋の右真っ直ぐだ。
プレート見ればわかる」

加賀「ありがとう」


ガチャ、バタン


愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「……通信室に盗聴器でも仕掛けておけばよかったかな」

愛宕「やめなさいよ。趣味の悪い」

高雄「秘密があるとはいえ仲間でしょう? 」

提督「まぁ、うん。言ってみただけだよほんとだってマジで嘘じゃない」


< 映像には映像のよさ >





愛宕「でもそんなスラッと盗聴器なんて発想が出てくるってことは……」

高雄「はっ、もしや私たちの部屋やお手洗いにも」

愛宕「うわぁ……見損なったわ」

高雄「もしや盗撮まで手を出してるんじゃ」

愛宕「いやっ……ここは悪魔の巣だったのねっ」

提督「なに言ってんだ。そんな暇ないのはお前ら一番知ってるだろ」

愛宕「……そうね。四六時中一緒にいるからそもさも必要ないもの」

高雄「それで思い出しました。あの……お手洗い我慢させるのやめてくれません?
本当に辛いんですけど」

提督「それは嫌」


< 軍の備品はカウントしてないです >





愛宕「それに悪魔の巣ってよりは愛の巣よねぇ」

高雄「そう、ね」

提督「それにしては殺風景じゃねぇかな」

愛宕「まぁ、お酒とお菓子とコーヒー豆くらいしかないし」

高雄「あとはそれに関係した備品くらいですね」

提督「……もしかして俺らって食っちゃ寝食っちゃ寝しかしてない? 」

高雄「もしかしなくてもそうでしょう」


< 目的だけが全てじゃない >





提督「あ、あと俺の本とかあるし……」

高雄「本棚すっかすかですよね。
私室なのに書類突っ込んだり」

提督「……そういや最近は新刊買ってないな」

愛宕「私の料理本もあるわよぉ〜 」

提督「あぁ……本屋行きてぇなぁ」

高雄「通販でいいじゃないですか」

提督「違う。違うんだよ高雄くん。本屋でぐるぐるしたり新しいジャンルを開拓するのがいいんだ」

高雄「はぁ」



愛宕「官能小説とかもあるのかしら」


< 色 >





提督「今日の下着何色? 」

高雄「唐突に何言ってるんです……これだから色ボケは」

愛宕「何色がいい? 」

提督「あ? 」

愛宕「おしえてあげてもいいけどぉ。
どうせなら好きな色だと嬉しいじゃない? 」

高雄「嬉しいってなによ」

提督「んー……割と色んな色好きだけどなぁ。今日は薄紫と見た! 」

高雄「はぁ……根拠は」

提督「なし! 」

愛宕「……や、やるじゃない。もしかして見たの? 」

提督「マジか」


< 好きな色 >





高雄「そういえばいつだかに……」



高雄『提督。好きな色ってありますか? 』

提督『色? 好き嫌いなんてないけどなぁ。
強いていえば紫と黒と白と水色かな。あっ、赤も嫌いじゃない』

高雄『なるほど』



高雄「って言ってましたけど……」

愛宕「好きな色というか……好きな下着の色よね」

提督「……悪いかよ」

愛宕「悪くはないけどぉ。私たちで簡単に好きな色増やせそうよね」

高雄「サテンでもいきますか」

愛宕「いいわね」

提督「それ色じゃなくて材質…………まぁ、うん。なんでも好きだよ。お前らならな」


< あくまでお仕事中です >





提督「それにしても遅いな」

愛宕「加賀さん? 」

高雄「横須賀との通信ですかね。もう二時間くらい経ってますけど」

提督「何してんだか……通信か」

愛宕「テレホン……長い……ここから導き出される答えは」

提督「テレホンセッ」

高雄「ノらないでください」

愛宕「横須賀の人ってなかなかダンディだったわよねぇ」

提督「赤城かもしれないぞ」





高雄「…………頭が痛い」


< あれで何故酔わないんだ >





提督「そういや兵学校の同期でさ。滅茶苦茶な酒飲みがいたよ」

高雄「提督も大概だと思うのだけど」

提督「俺なんて比じゃない。料理をつくりながら飲み、
食べながら飲み、つまみをつくりながら飲み、
つまみを食べなから飲み、風呂上がりに飲み騒ぎながら飲み、
寝る前に飲んでた」

愛宕「え、えぇ……」

提督「しかもあれでいて飲まないとなったら飲まなくても大丈夫なんだぜ」

高雄「それは……メリハリがきいているというかなんというか」

提督「あと、俺のつまみの師匠だ」

愛宕「なるほど……それについては感謝ね」

高雄「おつまみだけは勝てませんからね」


< 体内時計は健康に左右される >





提督「さて、執務も一段落したし昼食の用意でも始めるか」

高雄「食材足りますかね」

提督「さすがに……食べるって言っても女性にしては、ってレベルだからな」


ガチャ


加賀「そろそろお昼ですね」

提督「わお」

愛宕「凄い」

高雄「これが人間時計」

加賀「は? 」


< よくわからないツボ >





提督「……さすがに茶菓子はバクバクいかないか」

加賀「あなたは私をなんだと」

提督「フードファイター加賀」

愛宕「ふっ……ふふ」

加賀「失礼な。少しだけ燃費が悪いだけです」

提督「少しだけ、ね」

愛宕「ふふふふふ、ひっ」

提督「……」

加賀「……」

愛宕「ひひ、ふーど、ふふぁいたっ」

高雄「ちょっと……大丈夫? 」


< ハルカッス……ではない >





提督「あべのハルカスが開業した日らしいぞ」

高雄「はぁ……私たち東京タワーもスカイツリーも行ったことないのだけど」

提督「あっ」

愛宕「いつか行けたらいいわね」

加賀「甲斐性の見せ所ね」

高雄「今から楽しみです」

提督「旅行、か」

愛宕「ただし風ぞ」

提督「だから行かねーの。俺そんなに信用ないの? 」


< 美しさはそれを殊更に示さない >





愛宕「本日の誕生石」

提督「はい、どうぞ! 」

加賀「どうぞ」

高雄「では……三月七日の誕生石はアクロアイト。
石言葉は“ 洗練 ”と“ 上品です ”」

提督「洗練か。上品なものに洗練されんのかな。この石持ってれば」

加賀「品や格とは持って生まれたものと言いますが」

提督「生まれながらにして高貴、みたいな」

愛宕「私たちは……うーん」

提督「? エレガントな服とか似合うじゃん」

愛宕「そ、ありがと」

高雄「そもそも高貴さみたいなものに左右される生き方自体が、
洗練されていないとも言えますね」


< 恒例ったら恒例です >





加賀「なんとなく加わったけどこれはなんなのかしら」

提督「あまりに暇でな。今日が何の日か知って日にち感覚を失わないようにしてるんだ」

愛宕「えっ、そうなの? 」

高雄「初耳です」

加賀「だそうですが」

提督「……ま、まぁ今日からはな」

愛宕「どうせ明日になったら忘れてるような」

高雄「毎日執務をこなしてるんですから日にちだって正確ですし」


< 誠実な二股 >





提督「まぁ、いいや。次」

高雄「はい。本日の誕生花は……カンパニュラ。
花言葉は“ 感謝 ”や“ 誠実 ”と…………“ 思いを告げる ”」

提督「……ほう」

愛宕「…………」

加賀「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………あの」

提督「待て。今が悪いとは言わないけどさ。
頼む。別の機会にしよう」

加賀「それは私がいるから? 別に目の前で盛ってもいいのよ」

提督「俺が気にするんだよ……男にだって羞恥とかムードとかあるの」


< でも、あなたが望むなら >





加賀「しかし感謝ですか。ふむ、ありがとうございます」

提督「あ? 」

加賀「愛宕と高雄にも。助けてもらった恩があります」

提督「大したことはしてない。加賀だって逆なら同じことするだろ」

加賀「だからといって……恩には報いますよ」

愛宕「それなら今日は一緒に寝ちゃう? 」

加賀「…………」

提督「……あぁ、それはだな」

加賀「お断りします」

愛宕「そう……残念ね」

加賀「悪くないけれど……明日まで盛られては困るから」

提督「……あのさ」


< 貴女もですよ >





提督「ん、加賀も酒はイケたよな」

加賀「はい。いただけるなら」

提督「そうか。うーん……今日こそバーテンダーセットとカクテルを……」

加賀「今日こそ? 」

提督「きくな」

愛宕「それはぁ、昨日はバーテンダー衣装のこの人がカッコよすぎて発情しちゃってぇ」

加賀「なるほど」

提督「違……くねぇか」






高雄「私も同じ扱いにしないでもらえない? 」


< 我が家では常にロングです >





提督「本日のカクテル。ヴェネチアンサンセットでございます」

愛宕「わお。お洒落ね」

高雄「カクテルグラスですか。今までは全部同じグラスでしたからね」

提督「ロンググラスだな。さすがにあれで焼酎手酌するのはきつい」

加賀「私はイケますが」

提督「ワクが何言っても意味ねぇよ」

愛宕「でもやっぱり様になるわぁ。これは昨日の私も仕方ないわね」

高雄「それはもういいから。……これの材料は? 」

提督「ん、グラッパが1/3にオレンジジュースが2/3だ。シンプルで簡単だな」



< ゴールデンルーキー >





加賀「ん、ん……かなり甘いですね。これはつまみが必要です」

提督「それはいつもだろ……とりあえずピスタチオで」

加賀「ふむ」

愛宕「これ、ヴェネチアンサンセット? 甘いけど……」

高雄「かなりきついですよこれ。グラッパってなんなんです」

提督「イタリアの蒸留酒だ。別名火酒。強いのだと酒ってよりは希釈しなきゃ飲めないアルコールみたいなものだな」

愛宕「だからオレンジが強いのね……」

提督「ちなみにカクテルワードは“ 前向きに立ち向かうルーキー ”だ」

高雄「……カクテルに立ち向かう勢いですね……この人以外」チラッ





加賀「バーテンダー……おかわり。甘口もなかなか」


< 本日もつつがなく >





提督「ふわぁぁぁ……今日は眠い。いや、いつも眠いけど」

愛宕「早起きして朝食つくってたものねぇ」

高雄「あっ、別に責めているわけでは」

加賀「ええ、わかっているわ」

提督「いや、わかってないね。俺は怒ってる。
なんせ起きたら拳振り上げた鬼がいたんだからな」

愛宕「拳? 」

高雄「鬼? 」

加賀「あぁ、ハエが飛んでいたもので」

提督「ふざけんなよマジで。縮んだよ畜生」

加賀「た」

提督「ま、じゃねぇよ。肝と寿命だよまったく」


< 全てを捨てて >





提督「じゃあ、部屋は用意してあるから」

加賀「ありがとう。夜這いにきてもいいのよ」

提督「いかねぇよ。酔ってるんじゃないのか」

加賀「かもしれないわね」

提督「早く寝ろ」

加賀「ねぇ」キュ

提督「あ? 」

加賀「………………どう? 私と来ない……?
あなたとならそのままここも軍も彼女たちからも……赤城さんからも逃げるのも悪くない」

提督「…………随分と買ってくれてるんだな」

加賀「……気付いたの…………あなたが横須賀からいなくなって。
それで…………いつも、あなたを想って、私は……」

提督「…………ごめんな」

加賀「…………そう」

提督「…………でも…………お前のこと好きだぜ、俺」

加賀「………………ありがとう」


< どこにでもいるのか >





提督「……嬉しいんだけどさ」

加賀「ええ」

提督「……」

加賀「……」

提督「目の前にこいつらいるんだけど」

愛宕「うふっ」

高雄「これが三角……四角関係」

加賀「それで? 」

提督「それでじゃないよまったく。
俺が困るんだぞこの後」

高雄「ギルティ」

提督「…………はぁ」





愛宕「…………こんなところに劇団員仲間が」


< また明日ね >





提督「いいからさっさと行け!
明日は早く起きて朝食なんてつくらないからな」

加賀「そう」

愛宕「また明日ねー」

高雄「洗濯物はそのままカゴを用意しているので」

加賀「ありがとう。それでは」

提督「はいよ……俺らも寝るか」

高雄「そうですね。なんだかんだいって私もはしゃいでしまったから」

愛宕「その前に……」

提督「なんだ? 」

愛宕「お・ふ・ろ。もちろん二人も一緒に」

提督「はぁ……まぁ、一々待つのも面倒だしな」

高雄「判断力判断力! …………酔っているのは加賀さんじゃなくて提督じゃあ」


< あなたのいる幸せ >





提督「電気消していい? 」

愛宕「いいわよぉ」

高雄「大丈夫です。ただちょっとスタンド点けるので気を付けて」

提督「ん」

愛宕「はぁ…………ねっむい」

高雄「よし……スタンドも消します」



カチッ



提督「…………」

愛宕「…………」ギュッ

高雄「…………」ギュッ

提督「…………」

提督(これが……これが続いてくれればいい。
三人ではしゃいで、落ち込んで……ときどきゲストが来て。
これが泥沼だっていい。薄汚れてたっていい。
暇であっても…………他人のことを考える暇なんてないくらいにーー )

提督「……幸せだからな」ボソッ

愛宕「……? 」

提督「なんでもない。また明日な」


< 冷たい寝台に腰掛けて >





加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「……………………幸せ、か」


激甘カルーアでも焼酎でもハイボールでもロンググラスで飲む。そんな>>1です

ありがとうございました


深海側は……どうなんでしょう
割となにも考えずに出しちゃったので

加賀さんは一応考えてます

あと今日はちょっと短いかもです


< 邪魔? ならくれへん?>





提督「…………ねっむ」

愛宕「よしよし。お姉さんのお膝で寝てもいいのよ? 」

提督「ん……」トスッ

愛宕「ふふ、いつになく素直……どうかしら」ナデナデ

提督「うぅぅぅん……幸せぇ」

愛宕「そう。よかった」ナデナデ

提督「でも」

愛宕「? 」

提督「愛宕の顔が見えないのはなぁ」

愛宕「それは……服を脱げばなんとか」

提督「あぁぁぁ……うん……そうね」

愛宕「今は我慢して? まだ朝だし起きたばかりだもの」ナデナデ


< 見つめる顔は天使のように >





高雄「ちょっと席を外したらいつの間に」

愛宕「しー。今寝ちゃったから」

高雄「まったく……そろそろ加賀さんも起きてくるわよ」

愛宕「そうだけど……あと少しだけ。
少しだけ休ませてあげて? 」

高雄「仕方ありませんね。私は早めに朝食の下拵えをしてくるから」

愛宕「ありがと」

高雄「貸し一つ」

愛宕「はーい」

提督「………………Zzz」


< いつだって平常通りに >





提督「…………なんでだろ。やたら眠い」

加賀「……」モグモグ

愛宕「歳? 」

提督「そんなわけ……そんなわけないよな? 」

高雄「わかりませんよそんなの。まぁ、たまたま疲れが溜まっていたんじゃないですか」

提督「そうかな」

加賀「……」モグモグ

高雄「今日の執務ですが、代わりましょうか? 」

提督「いや、大丈夫。それに俺しか捺せない判とかサインとかあるし」

高雄「そう、ですか」

愛宕「そういうところ真面目なのよねぇ」

提督「俺は真面目だぜ。マジで」

加賀「…………ふむ、このサラダはかなりいけますね」


< 微笑む時を知っている >





加賀「では私はまた」

提督「通信室ね。はい、鍵」

加賀「ありがとう」

提督「つーかよくそんなに通信することあるな」

加賀「そうね。……したいからしてる、というわけではないのだけど」

提督「ふーん? 」

加賀「まぁ、これも仕事だから」



ガチャ



提督「いってら」

加賀「行ってきます…………あなた。ふふっ」

提督「! …………」


< 加賀:偽 >





愛宕「……鉄面皮とか無表情はああいうとき役立つのね」

高雄「同性の私も今のは……」

愛宕「キュンとした? 」

高雄「キュン……? ええ、この感情はきっとそう」

愛宕「というかあの人ほんと何しにきたのかしら」

高雄「まったくです」

提督「おっ、皆さんも気になりますか」

愛宕「でも参考にはなるわね」

高雄「ちょっと淡白な反応ってやつを試してみますか」

提督「ん、んん? 」

愛宕「そうね。…………」

高雄「…………」

提督「……はい? 」


< 加賀:擬 >





愛宕「これが先月の艤装整備に関する書類です」

提督「ん」

高雄「提督。ここに判を」

提督「ほい。問題なし、と」

愛宕「ではこちらにも」

提督「はい」

高雄「データ記録は、と」

提督「こっからここまででいいよ。
陸のはどうせ重複してるし明日あたりまたくるから。
一緒に修正した方が早い」

高雄「了解」

愛宕「…………」カリカリ

高雄「…………」カリカリ

提督「…………」カリカリ

提督(加賀の真似をしている……らしい。らしいんだが)

提督「……執務中は割といつもこんな感じじゃねぇかな」

愛宕「提督、うるさいですよ」

高雄「職務中です」

提督「あっ、はい」


< それはちょっと…… >





提督「そろそろ飯の準備だな」

愛宕「ええ」

高雄「そうね」

提督「……」

愛宕「……」

高雄「……」

提督「…………お二人はもちろんそこも加賀の真似をするんですよね」

愛宕「! 」

高雄「! 」

提督「いやぁ、楽しみだなぁ。今日は頑張ってチャーハンつくっちゃうぞぉ。
やっぱり美味しく食べてくれると嬉しいもんなぁ」

愛宕「あ、あの」

高雄「そのですね……」

提督「楽しみだなぁ……はっはっは」


< でも時々プレイの一環としては >





提督「言っておくけど」

愛宕「はぁ」

高雄「何でしょう」

提督「俺は普段の二人が好きだよ」

愛宕「……タイム」

提督「は? 」

高雄「作戦会議です」

提督「は、はぁ」



愛宕「どうする? 」

高雄「ここまできたらしかし」

愛宕「でも普段がいいってあの人……もうっ」

高雄「はぁ……や、そもそも執務中では効果が薄いのはわかりきっていたことよ」

愛宕「……」

高雄「……」



愛宕「提督」

提督「はい」

高雄「私たちは普段のままでいいんでしょうか」

提督「おう。つーかさ、普段の俺思い出せよ。何も嫌がってないだろ。飽きてもないの」

愛宕「うーん、そもそも変なノリで始めてしまった気がするし。仕方ないわね」


< そして明日は月曜日 >





提督「そういやさ。俺割と沢山変な記憶持ってるんだよね」

高雄「はぁ。それは中二なお話でしょうか」

提督「いや、そんなんじゃなくて現実の話だよ。
こう……酔ったときの記憶で」

愛宕「たとえばどんな? 」

提督「いつだったか忘れたけど目の前で愛宕がフラメンコ踊ってて」

愛宕「ふ、フラメンコ」

提督「俺は高雄に肩車されて拍手してたんだよね」

高雄「肩車、ですか」

提督「あれってなんなんだろう。記憶なのか、それとも夢なんだろうか」

愛宕「私としては」

高雄「是非とも夢であってほしいのですが」


< 本人は頑固爺だったらしいです >





加賀「なんと本日三月八日は海軍技術中将平賀譲の誕生日です」

提督「マジか……なんで知ってんの? 」

加賀「平賀中将ほどの方のことなら覚えておくものですよ、提督」

提督「おおう……すげーな」

愛宕「私たちは平賀造船大佐……当時は大佐だったんだけど。
じゃなくて後任の藤本喜久雄大佐の設計だったのよね」

高雄「ちなみに藤本大佐の誕生日は一月十二日ですよ」

提督「へぇ……えっとなに? 前進の艦艇についたの知識って当然のことなの? 」

加賀「? 」

愛宕「? 」

高雄「? 」

提督「あっ……なんか皆の凄さってやつを改めて知ったよ。
基本スペック高いね」


< にこにこと >





提督「……すげーな皆……」

高雄「? ……まぁ、ブツブツうるさい提督はおいといて。
本日の誕生石や花をお知らせします」

愛宕「どうぞ! 」

加賀「じゃじゃーん」

高雄「ま、真顔……んん……三月八日の誕生石はアメジスト。
石言葉は“ 素敵な笑顔 ”に“ 清純 ”」

提督「俺も勉強を……」

愛宕「笑顔……」

高雄「ふむ」

加賀「……清純……ふふっ」

提督「よし、三日坊主にならないように…………は?
なんで皆笑顔なんだ? あと、加賀はどうしてちょっと黒い笑いなんだ? 」


< 栗の花のにほひ >





提督「こえーよ……なんで皆笑ってるんだよ……」

高雄「……話は聞きましょうよ」

提督「聞けばわかるのか? ……まぁ、気を付ける」

高雄「はい。次に誕生花ですが」

愛宕「昨日は“ 思いを告げる ”だったわね。
私まだ告げられてないんだけど」

提督「すみません。でもちょっと待って。はい。あの必ずしますんで」

高雄「約束ですよ? ……誕生花は栗。花言葉は“ 豪華 ”、“ 満足 ”、“ 真心”」

提督「く、栗の花……」

愛宕「うふっ」

高雄「? 」

加賀「あなた栗の花見たことないの? 」

高雄「はぁ。写真ならありますが」

加賀「……なるほど」

高雄「? 」


< 酔ったときのシャワーは最高 >





提督「……酔った」

愛宕「ま、まだ意識はあるし」

高雄「加賀さん一升瓶とおつまみ抱えて行きましたけど……」

提督「まだ飲むのかよ……うぇ」

愛宕「ちょっとっ、私に向かって吐かないでよね」

提督「おう……気を付ける」

高雄「誕生カクテルのカクテルワードは“ 綺麗なものを感じ取る才能 ”だったわけですが」

提督「サザンオレンジね……サザンカンフォートはそのままロックでもいけるぐらい美味いリキュールだな」

愛宕「いけてないじゃない……ほら。つかまって」

提督「うあぁぁぁ……ありがとぉ……」

高雄「朝から二度寝したり泥酔したり……大丈夫? 」

提督「ちょっときつい……風呂はいいや」


< まずは甘いキスを >





提督「うへぇ…………ぅぉ…………」

愛宕「はい、ベッドに御到ちゃーく」

提督「ぁりぐぁと」

高雄「何が言いたいのやら……ん? 」

愛宕「どうしたの? 」

高雄「あの……これ」

愛宕「ん? ……うふっ、勃ってるわねぇ」

高雄「はい」

提督「…………んぇ? 」

愛宕「提督はそのままでいいですよぉ〜 。
はーい、ぬぎぬぎしましょーねー」

高雄「大丈夫でしょうか……いえ、参加しないとは言ってません」

提督「あん? …………うぅ……なんかスースーする」


今日は日曜なので……はい

誤字や脱字があればお伝えください
気をつけます

ありがとうこざいました


RJさんもいつか出したい


< 誰でもできる記憶喪失 >





提督「…………ベッタベタだなおい……。
しかも全裸で寝てるし……えぇ……」

愛宕「…………Zzz」

高翌雄「…………Zzz」

提督「……まぁ、普通に状況は把握できるけどな」チラッ

愛宕「…………んふ……Zzz」

高翌雄「……Zzz……ぅん……」

提督「でも頭痛いし記憶無いのは変わらねぇんだよなぁ」

愛宕「……はぁ…………待っ……え……Zzz」バタッ

提督「うっわ、危なっ……セーフ。万全じゃなくても躱せちゃう俺ってすごぶぁっ! 」

高翌雄「……あぁ…………殲滅かんりょー……Zzz」

提督「………………痛ぇ」


< どっから来た、言え! >





提督「あぁぁぁぁぁ…………シャワー気持ちいい…………」

提督(昨日たぶん風呂入ってないしなぁ。
その割にヤったとかもうね。しかも記憶なし)

提督「マジでニートかヒモに……あ? 」

提督(シャワー誰か浴びたのか? いや、タイル濡れてなかったし脱衣所も変化なんて……あれ? )

提督「……なぜこんなとこにこんなものが…………なぁ? 一升瓶くん」


< つまみは食べた >





提督「意味わかんねぇ……まさか一升瓶が勝手に風呂に入るわけ」

「ん…………なんです……頭が痛い」

提督「な、なんだ? 一升瓶くんが喋っただとっ」

「何を言っているんです。……あと、身体を隠してください」

提督「あ? っておーい! 加賀じゃねーか! 」

加賀「そうですが」

提督「そうですがじゃねぇよ。なんで俺の部屋の風呂にお前がいるんだ」

加賀「わかりません。……とりあえず前だけでも隠してください。ブラブラと非常に目障りです」

提督「あ、あぁ……悪いな。……いやいやいやこれ俺が悪いのか? 」

加賀「当たり前でしょう? 」

提督「えぇ……釈然としないんですけど……」


< 裸ワイシャツ >





ガラガラ、ピシャッ



提督「……なんか満足にシャワー浴びれなかったんだけど」

加賀「仕方ないでしょう。まさか私にこのままでいろと言うの? 」

提督「そうじゃないけどさ」

提督(絶対酔っ払ってただけだろ。
酔って湯船で眠りこけたやつになぜこんな譲歩を)

加賀「提督」

提督「んー? 」

加賀「まだそこにいるつもり? 私としては構わないのだけどあなたは困るのじゃなくて? 」

提督「あぁ、そうだな。……愛宕か高雄に着替え用意させるから」

加賀「ありが……いえ、遠慮しておきます。
自分で部屋に戻って取ってくるわ」

提督「いや、シャワー浴びてるじゃん。そのまま出てくわけ? 」

加賀「とりあえずあなたのワイシャツでも貸してくれればいいわ」

提督「あ、そう……まぁ、用意しとくよ」

加賀「ありがとう」

提督(……自室に見られたくないものがある?
だけどあの部屋を用意したのは愛宕と高雄だしな。
……一昨日の朝以降に何かあったか? )


< しっかり見た >





加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「……………………あれがあの人の…………頭から離れない」


< 誤解です。誤解なんですってば >





提督「おーい、起きろー」

愛宕「…………んぅ」

高雄「……私はもう起きてますよ」

提督「愛宕も起こしてくれ。加賀はもう起きてる」

高雄「はぁ。朝食でも待ってるんですか? 」

提督「いや、シャワー浴びてる」

高雄「は? 」

愛宕「ちょ、ちょーっと聞き捨てならないわねっ」ガバッ

提督「あん? 」

愛宕「どうして提督が加賀さんの行動を知ってるの?
しかもシャワーとか廊下にすら出てないのに」

提督「あぁ。俺のシャワー使ってるから」

愛宕「えっ」

高雄「えっ」

提督「ん? ……あっ」


< 本当に誤解ですから >





高雄「なるほど……昨日一升瓶を抱えて向かったのはバスルームだったのですね」

提督「おう。そうらしい」

愛宕「なーんだ。ついに襲われちゃったのかと」

提督「襲われるってなんだ。どっちかというと襲う方だと思うんだが」

愛宕「そんな気がないことくらいわかるもの。
その勇気がないとは言わないけど」

提督「それはお前……加賀だってないだろ」

愛宕「……」

高雄「……」

提督「……ま、とにかくだ。今からワイシャツ届けに行かなきゃならないから」

愛宕「えっ」

高雄「えっ」

提督「ああ、また……」


< そのままぶらぶらと >





加賀「悪くないですね。廊下は肌寒いでしょうが」

愛宕「いいじゃない。加賀さん普段は和装ばかりだから」

高雄「……」

提督「……」

加賀「ワイシャツ一枚が洋装というのは違うような気もしますが」

愛宕「うーん……ワンピースとかセーターも似合うと思うんだけど」

高雄「……」

提督「……」

愛宕「でもサイズが合わないし……今頼むのも……。
提督、業者を呼べないです? 」

提督「それはいいけどさ。あのね」

高雄「いい加減加賀さんは着替えてきてください。湯冷めしますよ」


< 別のよさがある >





愛宕「でも提督も裸ワイシャツ好きでしょ? 」

提督「まぁね」

高雄「ブラウスとは違うんですか? 」

提督「違うね。全然違う。ブラウスはまた身体のラインにピッタリしてるのがいいんだけど」

高雄「はぁ」

提督「ワイシャツはさ。女の子の華奢な身体に男物の大きさで少しダボついてるのがいいんだ。
袖口が余ってたりしてるとなおいい」

愛宕「ふーん」

高雄「それはさすがにあざとすぎるような……」

提督「でもなぁ……あんな無表情で着ててもそれはなんか違うというか。
起き抜けの寝ぼけ顔とか恥ずかしさがないと」

愛宕「ていうか加賀さんって寝ぼけるの? 」

高雄「酔いはするみたいですけどね」


< 何を着ていても好きですよ >





愛宕「さぁ、恒例の下着当てタイムよぉ」

提督「そんな恒例があってたまるか」

高雄「大体当てたからって何があるのよ……」

愛宕「んー……当てられたら一日御奉仕するにゃん ♪ 」

提督「……ほう」

高雄「にゃん……にゃんってちょっと」

提督「ふっ、舐めるなよ。横須賀のランジェリーマイスターと呼ばれたこの俺にかかれば、むむっ」

愛宕「かかれば? 」

提督「ふっ……読めたぜ。黒のブラとお揃いのショーツだな? 」

愛宕「おおっ」

提督「それに……片方の鼠蹊部が紐になってるローライズだな? 」

愛宕「す、凄い。さすがですマイスター」

提督「はっ、容易いことよ」





高雄「…………ちょっと気持ち悪いです」



< 弟子 >





提督「よっしゃ高雄のも当ててやるぜ」

高雄「や、別にいいです」

提督「よいよい。案ずるな」

高雄「この心配は至極真っ当なものだと思うのだけど」

提督「むむっ……わかったぞ! 水色のレースにブルーのポイントがついたやつだ! 」

高雄「違いますけど」

提督「な、なぬっ」

愛宕「はい! マイスター! 私が仇をとります」

高雄「貴女は知っていて当たり前でしょうが。
同じ部屋で着替えたんだから」

愛宕「むむっ……紫レースのどぎついやつです。ショーツはT! 」

提督「なんと」ジ-

高雄「そんな見ないでください…………Tバックだと下着のラインを心配しなくて済むんですよ。それだけですから。本当ですからぁ! 」


< 調理後に個人が合わせる >





加賀「ふむ……今日は英国式ですか」

高雄「フル・ブレックファストというわけにはいきませんが」

愛宕「朝からブラックプディングをつくるのはさすがに面倒なので」

加賀「これが英国唯一の美食ですか。なるほど」

高雄「そんな失礼な。ウェールズやスコットランドを個別に見ればそれなりにありますよ」

提督「だがウナギゼリー、てめーはダメだ」

愛宕「あれ金剛はつくるのかしら。それで美味しいと思うのかしら」

加賀「彼女は妹よりはまともなセンスでしたよ」

提督「……スコーンとかスープはまともだったな。あと紅茶」


< 普通にイチャイチャ >





愛宕「だーれだ」

提督「愛宕さひえっ。冷たい。指が冷たいです愛宕さん」

愛宕「だってお皿洗ってたからぁ。温めて? 」

提督「はいよ」ギュッ

愛宕「はぁ……あったかぁい」

提督「済まんな。本当は全部俺がやりたいんだが」

愛宕「仕方ないわよ。当番制にしたのは私たちだし」

提督「うーん……でもね。女の子の手が荒れるのは痛々しくて見てられないよ」

愛宕「まだ大丈夫だから。それに」

提督「ん? 」

愛宕「こうやって温めてくれるから。こうする理由ができると思えば悪くないでしょう? 」

提督「そうかな」

愛宕「そうよ」


< 少しだけ離れた席で見ている >





加賀「あれ、いいの? 」

高雄「? 」



愛宕「ふふっ」

提督「……だからさ」



高雄「あぁ、なるほど……ええ、私はこのままで十分ですから」

加賀「……そう」

高雄「一般的に考えればやはりオンリーワンであるのが普通なのでしょうが……」

加賀「……」

高雄「私は二人とも同じくらい大切ですから。
もちろん少しは妬けたりもしますけど」

加賀「……」

高雄「もし彼が貴女を求めても……。
きっといつの間にか慣れてしまえるくらいには、
私と愛宕を特別扱いしてくれているのもわかっていますし」

加賀「……」

高雄「……」

加賀「…………ご馳走様」

高雄「え? 」

加賀「いいえ……コーヒーのおかわり、いただける? 」



< あくまで並より多いくらいですよ? >





加賀「ちょっと出てきます」

提督「また通信室か? 」

加賀「いえ、今日は陸軍の方に用があるの」

提督「ほーん……? 」

加賀「だから私の分の昼食はいらないです。
久し振りに私抜きの食卓を楽しんで」

提督「別に加賀がいても嫌じゃないけどな。
……待て。もしかして陸軍の食堂行くのか? 」

加賀「そう言っているのだけど」

提督「…………また、嫌味言われるぜこれ」

加賀「は? 」

提督「なんでもない。精々食いまくって困らせてやれ。いっそ食い尽くしてこい」

加賀「さすがにそれは無理よ。……いえ、赤城さんがいればあるいは」





高雄「…………本当に赤城さんのこと好きなんですか? 馬鹿にしてません? 」


< 執務椅子の上で >





提督「と、いうことで加賀はなにやらしに行ったわけだが」

愛宕「はぅぅぅん……提督ぅ」スリスリ

提督「君はなにをしているのかな愛宕くん」

愛宕「? 提督に跨って胸板に頭を擦り付けてるだけだけど? 」

提督「だけ、ね。ふーん」

愛宕「ベッドもいいけど椅子の上の提督に跨るのはまた別のよさがあるのよねぇ」

提督「まぁ、場所とかシチュエーションとか大事だよね。うん。
場所とか時間とか」

愛宕「そうねぇ」スリスリ

提督「うん……空気読めよ」

高雄「………………仕事ですよ。まったく」


< とても印象深い >





提督「高雄」

高雄「はい」

提督「今日は何を……何チャーハン食べたい? 」

高雄「つくってくれるんですか? 」

提督「おう。カニとかも確かあるぞ」

高雄「そう、ですね。やはり五目チャーハンで」

提督「そんなんでいいのか? 」

高雄「ええ。……あなたに始めてつくってもらったものですから」

提督「そっか」

高雄「はい」

提督「…………」

高雄「…………お慕いしていますよ、提督」

提督「…………あぁ。俺もだ、高雄」


< 今でも梅サンドを思い出す >





愛宕「でもそこで何でもつくってやるぜ! って言えないあたり提督よねぇ〜 」

提督「仕方ないだろ。未だにチャーハンしかまともにつくれない、
というかお前たち二人より不味くてもよければ他にもつくれることはつくれるんだぞ」

高雄「結構です」

提督「だろ? これだからいつまでたっても上達しないの」

愛宕「だって今更お料理覚えなくても私たちがつくっちゃえばいいからぁ」

提督「そうだよ。……でもあれじゃね?
女の子と一緒に料理の練習とかやばくね? 」

高雄「は? 」

提督「それ自体なかなかのイベントだけどさ。
あるだろ一大イベントが」

愛宕「あー……指チュパ? 」

提督「そう。指チュパ」

高雄「…………普段もたまにしてません? 」

提督「違えーよ。夜のそれとお料理包丁ミス指チュパは違うの」

高雄「わ、わからない……わかりたくもありませんが」


< 3月9日 >





提督「っていう曲があるじゃん」

高雄「そうですね」

提督「あれ良い曲だとは思うんだよ」

愛宕「そうね」

提督「気づいたことは1人じゃないってこと ♪ 」

高雄「はい」

愛宕「割と上手いのね」

提督「ありがと。……これって二人が主人公だけど俺たちみたいに三人でもいいの? 」

愛宕「さぁ? 」

高雄「ゆ、友人の結婚式の歌ですし……大丈夫でしょう」


< サンキュー >





提督「さっきの曲もそうだけど……今日はサンキューの日なんだってよ」

高雄「あぁ、語呂合わせですか」

愛宕「提督」

提督「ん? 」

愛宕「いつも側にいてくれてサンキュー」

提督「お、おう……別にありがとうでいいだろ」

高雄「……私からも。私をお側に置いていただいてありがとうございます」

提督「こちらこそ。選んでくれてありがとう」





愛宕「うーん……ノッてくれない二人はノーサンキュー」


< 誰を想像しましたか? >





提督「今日は三人か。……三月九日の誕生石コーナーのお時間です」

愛宕「お時間ですー」

高雄「はい、それでは。……三月九日の誕生石はアクアマリン。
石言葉は“ 創造力 ”、“ 独創力 ”、“ 発想力”」

提督「大体才能に関する言葉って印象かな」

愛宕「お料理にも作戦指揮にも必要な力よね」

提督「そうだな」

提督(最近指揮取ってないけど)

高雄「お料理なんかはそういう力がないことの方がいい場合もありますけどね」

提督「あぁ……」

愛宕「そうねぇ……」

高雄「…………誰とは言いませんけど」


< 使い所が難しいような >





高雄「誕生花はアセビですね」

提督「アセビ? 」

高雄「はい。アシビやアセボとも言われています」

提督「ふぅん」

高雄「これはこの国に自生しているツツジ科の常緑樹ですね。
……漢字でどう書くかわかりますか? 」

提督「いや、わからん。見たことすらないし」

愛宕「同じく」

高雄「馬が酔う木、です」

提督「はぁ? 」

高雄「馬が葉を食べて毒によって酔ったようになる、
というのがその理由らしいです」

提督「へぇ……なんかすっげぇ勉強になった気がする」

愛宕「明日使える無駄知識、ね」


< たとえあなたに拒まれても >





高雄「で、花言葉は“ 犠牲 ”と“ 献身 ”です」

愛宕「犠牲と献身、かぁ」

高雄「それから“ 清純な愛情 ”」

提督「…………」

愛宕「……あんまり愉快な組み合わせじゃあないわねぇ」

高雄「……花言葉とかって割にきついこともありますよね」

提督「…………」

愛宕「提督? 」

提督「……愛を向けてくれても、犠牲とか無理な献身はいらねぇよな」

高雄「……いえ、それはあなたのエゴです」

提督「あ? 」

高雄「確かにそんなものを受け取るくらいなら、そういう気持ちもわかります。
ただ、その犠牲になることによってあなたに……大切な人の幸せになりたい」

提督「……」

高雄「そう思う気持ちを否定するのはあまりにも酷ではないですか。
せめて……せめて受け取ってあげてください。
そうでなければそんな犠牲を払わなければならない状況になる前にあなたが救ってください」

提督「…………そうだな」

愛宕「……明日は我が身、かもね。守ってくださいよ? 私たちの王子様? 」


< 時には快楽に耽るのも >





提督「つーか、清純な愛情の逆ってなんだ?
そもそもの清純な愛情もよくわからん」

高雄「えーっと……邪な愛? 」

愛宕「NTR……不倫……調教……」

提督「なるほど。……ちなみに俺はそんな趣味ないからな」

高雄「いくらあなたから求められても無理です」

愛宕「どちらかというと提督が奪う側じゃないかしら」

提督「そんな見境なくねぇよ」

高雄「どうだか」

提督「…………人妻とかにはその良さがあるんだよ」

愛宕「鳳翔さん逃げてー! ケダモノがいますー! 」

提督「何言ってんだてめぇ。………………やっぱあの人人妻の雰囲気ある? あ、そう……」


< な、なんだ? 海軍からの刺客か? >





加賀「ただいま」

提督「…………おう、おかえり」

提督(無表情のただいま、ね。
いや、あの加賀がただいまとか言う時点で凄いことな気もするけど)

加賀「陸側の食堂は不思議なところね」

提督「ま、まぁな……ちょっと事情があるんだよ」

加賀「そうですか。……人が食べてる間にざわざわと……耳障りな」

提督「んん? 」

加賀「視線を向けるだけでなく影口のようなことまで。
大体トレーを渡すときくらい笑顔でいられないものかしら。
いくら私が海軍所属とはいえ」

提督「あ、あー……やっぱそれ俺の所為じゃねぇわ」

加賀「はぁ。というと? 」

提督「お前が食べ過ぎなんだよ。いきなり見ない顔が来て、
体格度外視した量食い漁ればどこでも笑顔引きるだろ! 」

加賀「……そういうものですか」


< 辛さがわからない >





提督「そろそろやつらが来る頃だな」

高雄「やつら……深海棲艦? 」

提督「いや、やつらの時期なんて知らないけど。花粉だよ花粉」

愛宕「なるほど」

加賀「私たちの場合回復力を上げれば大概は治るので」

提督「でも常時力を発現させとくのは疲れるだろ?
いつ何時出撃命令が出るともわからないから体力は温存しとかないとだし」

高雄「そうですね。ただ、それを差し引いても私は花粉症ではありませんね」

愛宕「私もー」

加賀「同じく」

提督「まぁ、俺もだけど」

高雄「…………なんでこの話したんですか? 」

提督「さぁ? 」


< それは魅惑のライン >





提督「唐突だけどなんで鼠蹊部って言うんだ? 」

愛宕「さぁ? 」

高雄「なぜでしょうか……わかりません」

加賀「誕生の直前に精巣が体内で移動するのだけど、
その動きを鼠の動きに擬しているそうよ」

提督「そ、そうか」

愛宕「加賀さんもっの知り〜 」

加賀「造作もないことです」






提督「…………蟻の戸渡みたいなもんか」

高雄「……そうですね」


< 甘口好きにはオススメ >





提督「こちら本日のカクテルのワニンクスエッグノックです」

愛宕「ありがとう」

高雄「これは……口当たりが柔らかいですね」

加賀「卵……かしら」

提督「はい。アドヴォカートというオランダの卵リキュールと牛乳のカクテルですね」

高雄「うん。これは優しい味です」

提督「そして本日のお供はビターチョコです」

高雄「お酒とおつまみで相性のいいものをマリアージュと言いますが」

加賀「カクテルの甘さとビターチョコの苦さがマッチしているわね」

愛宕「とっても美味しい☆ 」

提督「カクテルワードは“ 安心感のあるものに身を委ねる乙女 ”でございます」



< 乙女とオンナ >





愛宕「乙女、ねぇ」

高雄「乙女には若い女、という意味もあるのよ」

加賀「貴女たちはそれ以外の意味では乙女ではないわね」

愛宕「そうだけどぉ……まだまだ心も身体も若いんですぅ」

提督「今日は愛宕が悪酔いしてるな」

高雄「口当たりがいいからって沢山飲むから……」

提督「乙女でもいいけどさ。俺はオトナの女というか……色々できる女の方が好きだぜ」

愛宕「色々(意味深)」

加賀「処女は面倒? 」

提督「それはそれでいいことあるんだけどねー。
二人のはありがたく貰ったし」

愛宕「責任取ってよねぇ〜 」

加賀「提督、日本酒お願いします」





高雄「……全員違った酔い方してる…………もしかしてツッコミって私だけ? 」


< TPOを選べよ >






提督「おーい……高雄さーん? 」

高雄「あのですね……あなたは私を蔑ろにしてると思うんですよ。
そりゃあ大事にされてるとは思いますけども。
もっと求めてくれてもいいと思うんですよ」ギュ-

提督「は、はぁ」

高雄「まず始めにキスですよぉ。
心を込めて優しく、私だけで頭を一杯にして。
深ーくディープに、それだけで孕むくらいに」

提督「いやぁ、キスで妊娠とか今時あざとさの塊のぶりっ子もねぇよ」

高雄「いいから! 」

提督「ん、んー? 」

愛宕「はははははっ、提督ぅ……ヤっちゃってぇ! 」

加賀「ふむ……これが女の甘え方ですか。勉強になります」

提督「えぇ……悪酔いじゃん……」

高雄「んー」

提督「…………まぁ、俺も酔ってるしな、うん」

高雄「んぅ…………ゅる…………ちゅ…………ぁん…………はぁっ…………」

提督「はっ……どうよ。心込めたつもりだけど」

高雄「ぜんっぜん足りないですぅ……もっとぉ……濡れっ濡れぬなるまでしてくださーい」

提督「………………はわわっ」

愛宕「キモイです」

加賀「あぁ……これが嫌悪感……ぅっぷ……」

提督「……済みません。でも見世物じゃないんですよ」





高雄「まだー? そーいえばちょっと濡れてきましたー。あはははっ」


あぁぁぁ……頭痛い
月曜日だからといって酒は避けない……ふふっ

ありがとうございました


や、プロデューサーと提督は兼任が普通……だと思う



< 目深に被ったあなた >





提督「おいーす」

加賀「おはよう」

提督「ん……コーヒー淹れよ」

加賀「お願いね」

提督「おう」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「……あのさ」

加賀「なにか? 」

提督「俺の軍帽返してくれない? つーか、なんで被ってんの? 」


< 我が家は合わせ味噌 >





愛宕「はーい、ご飯ですよー」

提督「ん、ありがとう」

加賀「今日は純和風ですか」

高雄「ブレックファストやフリューシュトックも悪くはありませんが……。
やはり和食が一番ですね」

提督「味噌汁があればそれだけでいいもんなぁ。
なんとなく心身共に暖まるし」

愛宕「今回はわかめと豆腐のスタンダードなものにしてみたのよ」

提督「うん、いい匂いだ。……さて、食べるか」

高雄「ええ、冷めてしまう前に」





「「「「いただきます」」」」


< 早速飲んでみた >





提督「三月十日、つまり今日サントリーの新しいウイスキーが発売したぞ」

高雄「響 JAPANESE HARMONY……ですか」

提督「従来の『響』ブランドの正当後継でありながら新しい味を目指したんだと」

愛宕「んー……ちょっと甘いかも」

加賀「しかしなかなか複雑な味かもしれません」

提督「そうだな。……最近はウイスキーブームでウイスキー愛飲者としては嬉しいよ」

高雄「ドラマの影響ですかね」

愛宕「やっぱりロックよりハイボールねぇ。バーテンダーさん? 」

提督「はいはい。どうぞー」





高雄「なお現在まだヒトロクマルマル夕食前の模様です…………はぁ」


< ウイスキー、ウォトカ、ブランデー >





愛宕「響……響ちゃんは元気かしら」

提督「あいつならウイスキーってよりはウォトカか」

高雄「あとはフランスから来た娘がいればブランデーとかも嗜むのでしょうか」

提督「フランス女か…………ふむ」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

加賀「その続きは? 」

提督「いや…………この空気で続ける気力なんてねぇよ」


< フランス女は気が強いと聞いた >





提督「はいはいはい! 」

加賀「芸人? 」

提督「違う。……恒例の誕生石&誕生花タイムですよ! 」

高雄「……」

提督「どうぞ! 」

愛宕「……」

提督「……どうぞ!! 」

高雄「……興味あるんですか? 」

提督「……ど・う・ぞ!!! 」

愛宕「これだから男は……」





加賀「……………………幸せ者だこと」



< 空気を変えたかった >





提督「イチゴの下? の方の種ってさ」

高雄「はい」

提督「毛が生えてるじゃん。産毛みたいなやつ」

愛宕「そうね」

提督「あれってさ。なんとなく形が精子に似てない? 」

高雄「……」

愛宕「うわぁ……」

提督「……」

加賀「どうしてこの流れでそんなことを言ったのかしら」


< アイドルにも必要 >





高雄「まぁ、茶番は置いておくとして」

提督「茶番だったのか」

高雄「……本日三月十日の誕生石はイエローダイヤモンド。
石言葉は“ カリスマ性 ”」

愛宕「カリスマ、ねぇ」チラッ

加賀「無くはないと思うけれど」チラッ

高雄「ただ……」チラッ

提督「…………」

提督(…………左遷された程度の人望でしたね……はははっ)



< アイドルにも必要 >





高雄「まぁ、茶番は置いておくとして」

提督「茶番だったのか」

高雄「……本日三月十日の誕生石はイエローダイヤモンド。
石言葉は“ カリスマ性 ”」

愛宕「カリスマ、ねぇ」チラッ

加賀「無くはないと思うけれど」チラッ

高雄「ただ……」チラッ

提督「…………」

提督(…………左遷された程度の人望でしたね……はははっ)



< 陸軍としては…… >





高雄「誕生花はニレ。花言葉は“ 尊厳 ”と“ 高貴 ”。
……私の大切な尊厳を荒らしたあなたはそこのところどう思っているんですか? 」

提督「人聞きの悪い。……まぁ、ちょっとした優越感みたいなものはあるかな」

愛宕「その癖提督は初めてじゃなかったのよねぇ〜 」

提督「仕方ないだろ……」

高雄「イケメン無罪ですか……腹立ちますね」

提督「えぇ……それを高雄さんが言っちゃいます?
確かに腹立つワードだけど世の中には美人無罪みたいなのも同列でしてね」

高雄「それがなにか」

提督「それ本気で言ってるんですか? いや、マジで」

加賀「この集まりを外から見ると」

愛宕「ルックスと権力に物を言わせて女侍らせてるって感じよねー」

提督「…………すみません……はい。僕が悪いんですね……はい。
謝るのであんまり酷いこと言わないで」


< あなたのどんな顔も好き >





愛宕「酷いことというか……いじめてあげると楽しいのよねぇ」

提督「うわ、こいつひっでぇ」

高雄「『蔑むような目で睨みながら罵ってください』……誰でしたっけ? 」

加賀「…………」

提督「ほ、本気で蔑む顔じゃん……いや、本当出来心だったんだよ」

愛宕「その割に楽しんでたわよね」

提督「それはそっちもだろ」

高雄「まさか」

愛宕「私は好きよぉ。いじめるのも滅茶苦茶にされるのも」

高雄「……」

提督「……」

加賀「……」

愛宕「本当は好きでしょう? 」

高雄「…………少しだけ」


< 割と新鮮な眺めだった>





提督「ちなみに今日のカクテルのカクテルワードは、
“ 思いやりの心を持ち続ける優美な女 ”だぞ。
俺を思いやってくれ」

愛宕「十分思いやってると思うんだけど……」

高雄「そもそも思いやれと言われて何をすれば」

加賀「……抱いて移動するとか」

提督「それ要介護かよ」

愛宕「でもいいわね。私も抱っこされるの好きよ」

提督「え? ってことはなに、俺がお姫様だっこされるの? 」

高雄「肩車した仲じゃないですか」トントン

提督「いや、それ夢の中あぁぁぁ! やめて! 酒入ってるから急激に動けなぐえっ」


三月十日は大空襲の日……というのは知ってる人も多いでしょう

加えて1906年から1945年は陸軍記念日でもあったそうです
理由は日露戦争の勝利を記念したことから


ありがとうございました






もし誤字脱字や粗相があれば全て響の所為です
酔ってる酔ってるやばい
誰だロックの楽しみおしえたやつ


もう雪は降っても積もらないと慢心していた
五分どころではない時間降ってたけど



< だいかんぱ >





提督「さっむ……あー……寒波かぁ」

愛宕「んぅ…………すぅ…………Zzz……」ギュウ

高雄「…………ぅぅ…………ぅ……Zzz」ギュウ

提督「…………」

提督(身動き取れないんですけど……なんなのこの子ら暖かい柔らかい可愛いいい匂い……)

提督「…………」ゴソゴソ

愛宕「…………Zzz」ギュッ

高雄「……だめ…………Zzz」

提督「…………ぬう」

提督(まぁ、たまには……大寒波が来てもこんなことがあるならいいかな)


< 逆襲 >





提督「…………」

提督(でもなぁ。なんとなく目が覚めたけど何もできる状態じゃない……うーん)

提督「…………」モミモミ

愛宕「んふっ」

提督「…………」サワサワ

高雄「ぁふっ」

提督「…………ふむ。これだけでもなかなか。別に眠姦の趣味とかないが」

愛宕「……Zzz…………あはぁ……」ギュッ

提督「ん? なんだ寝てても股間触痛い痛い痛い握るな潰すな死ぬ死ぬ死ぬ寝ぼけんな起きろやめろおいこらてめぇあぁぁぁ! 」


< 使用目的を守って >





提督「あのさ、ほんとやめてよね。というか気をつけて」

愛宕「うん、ごめんなさいね」

高雄「しかし寝ているのですからどうやって気をつければ」

提督「そこはあれだよ。掴んだり握ったりするモノではなくて、
舐めたり挟んだりするものだって二重にも三重にも刷り込んどくんだよ」

高雄「それは……」

愛宕「もう大分していると思うの」

提督「もっとだよもっと」

愛宕「……これ以上というと執務中に机の下でとか? 」

提督「おおっ。いいね。それは燃える」

愛宕「そう……そうね。悪くないかも」

高雄「悪いから。そんなことする前に仕事してください」


< 男の格 >





80〜51……貴方は素晴らしいポテンシャルを秘めています。
サイズ・硬度・形・持続力。どれをとっても一級品。
初心な駆逐に教え込むのもよし。人妻風な空母を貴方色に染め上げるのもよし。
なにもかもが貴方次第です。


50〜21……大体標準的からやや小さめの間。
サイズなどはまずまずですがどこか物足りないかも。
ソレに頼りすぎず技術を磨いたりピロートークを熱心にしてみましょう。
(ただしここではハッピーエンドは望めません)


99〜81……サイズからして既にほぼ敵なしです。
反り返ったその姿を目にすれば普段は貴方を馬鹿にする軽巡娘も、
ビッチ風潜水艦娘もたちまち発情。
ヤってヤってヤリまくってください


20〜01……貴方は本当に栄えある帝国軍人の一人なのですか?
そのように粗末でなんの役にも立ちそうもないモノをぶら下げていても、
優しい駆逐娘に苦笑いされたり、
ちょっと前まで貴方に従順だったのに、
今では他の男の牝に成り下がった重巡娘にお情けでオモチャにされるくらいです。
貴方がせめてそんな趣味を持っていないことを祈ります




00……貴方が大元帥です
この国どころかこの世界でも類を見ないまさに逸物
女にとっても他の可哀想な男どもにとってもそれはまさに兇器
貴方にとっては姉妹スキーなサイコたちも皆ただの牝でしかありません
気に入れば秘書艦にしたり嫁にするもよし
戯れに肉オナホとして扱うもよし
そのまま軍も国も世界も貴方のハーレムに致しましょう



< 誰だよつくったやつ >





提督「普段は鉄面皮な彼女」

加賀「はぁ」

提督「思わせ振りな態度をとってくる彼女」

愛宕「はぁ」

提督「堅物に見えて実は隠れドMの肢体を持て余していて男性への耐性がない彼女」

高雄「や、それだけ盛り過ぎじゃあ」

提督「彼女たちやその他の女の子たちを奪う昏い悦びを得たり、
あるいは奪われる哀しみに上下の涙を流そう! 」

加賀「……」

愛宕「……」

高雄「……」

提督「完全ランダムのコンマで主人公である貴方のステータスが決まります。
ステータスによって天国と地獄両方を楽しめる作品となっております、と」

提督(…………このエロゲ少しやりたい)


< HENTAI国家 >





高雄「……これ、なんです? 」

愛宕「いつの間に手に入れたのかしら」

提督「いや、俺が買ったわけじゃなくて送られてきたんだよ。
呉鎮守府の士官がつくって販売しようとしてたんだと」

愛宕「なにそれ……」

提督「横須賀・呉・佐世保・舞鶴の有志十数人が一斉に捕縛されたらしい。
オータムなんとかさんの告発で暴露たんだとか」

高雄「はぁ。この国の軍人は大丈夫なのでしょうか」

提督「なに、まだ俺がいる」

高雄「だから心配なのですが」

加賀「……どことなく見たことのある登場人物。
これが愛宕……かなり似ているわね……これは……ロングの高雄かしら。…………私みたいなのはなぜスモッグを着ているの? 」

提督「知るかそんなもん。つくったやつに訊け」


< 一航戦の誇り >





提督「手倉森、か」

高雄「サッカー好きですね」

提督「ん、まぁね。大体のスポーツは好きだよ。
身体動かすの好きだし」

愛宕「身体動かす」

加賀「(意味深)」

提督「……これでも剣道と柔道はかなりできる方なんだぞ」

愛宕「組み伏せる」

加賀「(直球)」

高雄「愛宕はもう諦めましたけど加賀さん加速度的に酷くなってません? 」


< いかずち >





提督「皆は雷苦手じゃないの? 」

加賀「海上では耳元を砲弾が飛んでいたりするのよ」

高雄「そもそも私や愛宕は自分も放ちますし」

愛宕「そうそうってあぁぁぁ! 」

提督「ん? 」

愛宕「ミスった……そのまま雷が苦手な設定にして甘えればよかったのに」

高雄「そんな理由必要ないでしょう」

愛宕「はぁ? 高雄はわかってないわね。
内容は同じでもそこまでの道程が違えばそれを楽しむのが男女なのよ! 」

高雄「はぁ」

提督「まぁ、前戯と本番みたいなもんで…………はい、すみませんでした」


< お巡りさん:加賀 >





提督「去年の悪党はまだ笑える部類もいたんだけどなぁ」

高雄「今年は……ディープなものが続きますね」

提督「別に作曲家とか研究者を擁護するわけじゃないけどね。
さすがにこう国内であんな犯罪犯されると」

愛宕「まぁ、一応国家の藩屏ですからね。
治安維持にはあまり役に立たないけど」

加賀「もし戦争が終われば私は艦載機を飛ばす仕事でもすればいいのかしら」

提督「それはなぁ……たぶん監視がどうだプライバシーがどうだって言われるぜ」

愛宕「面倒な世の中ねぇ」

高雄「まぁ、私たちをそれなりに受け入れる度量のある世の中ですけどね」


< 本音 >





高雄「三月十一日の誕生石はカラーレススピネル。
石言葉は“ 共感 ”と“ 本音の遣り取り ”。
誕生花はチコリで花言葉は“ 待ちぼうけ”」

提督「おう」

高雄「ここから導き出される答えは……すれ違う心」

提督「何言ってんだ」

愛宕「待ちぼうけもそれはそれで恋愛では楽しみたいところよね」

加賀「その相手に共感できれば、ですが」

高雄「提督」

提督「ん? 」

高雄「好きですよ。言葉では伝えられないくらいに」

提督「おう」

提督(……共感しっぱなしだよまったく)


< 花より団子 >





愛宕「雪桜かぁ。風が弱ければいいんだけど」

高雄「殆ど吹き飛んでましたね。さっきのニュース」

愛宕「桜の木の下には死体が埋まっている」

高雄「梶井基次郎、ね」

愛宕「……そういえば提督に借りた本面白かった? 」

高雄「ええ。あなたも時間があれば読みなさい」

愛宕「うーん……ミステリはあんまり。オススメなら読むけど」

高雄「そうね。ミステリ好きなら確実に読むべきよ、『虚無への供物』」





加賀「桜………………花見酒」

提督「そればっかだなおい」


< 3.11 >





提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

加賀「…………」

提督「……俺たちは乗り越えただろうか」

愛宕「……乗り越えないと」

高雄「“ 俺たち ”の範囲が皆共通していると願っていますよ」

加賀「…………こういうときくらい綺麗事だけを見ていたいものね」

高雄「それは理想ですよ」

愛宕「理想の価値を疑ってしまったら……そのときは人類に未来なんてないわよ」

提督「……………………色んな考え方の人間がいるからな」


< 激甘 >





提督「ちなみに誕生カクテルはカルーアミルク。
カクテルワードは“ 綿菓子のように当たりの良い白雪姫 ”だ」

愛宕「白雪姫ぇ? 」

提督「そう」

高雄「綿菓子のように……八方美人のような気も」

加賀「確かにカルーアらしいといえばそんな感じね」

愛宕「白雪姫といえば」

提督「そりゃリンゴだろ」

愛宕「じゃあ……キスで吸い出してよ。王子様」

提督「ん、顔」グイッ

愛宕「ぁ……ゅる…………ゃ…………あふっ」

提督「姫……ご満足いただけましたか? 」






高雄「……こういうとき無駄に様になりますね」

加賀「この辺りモテるって自覚してないとできない茶番ね」


< UTAGE ♪ >





提督「まぁ、確かに花は咲き乱れてるな。咲き並んでる」

愛宕「ふふっ」ギュッ

高雄「風雲急を告げてませんけど」

加賀「むしろ対極よ。ここ」

提督「まぁ、それでいいんだよ。ここで朽ちていくならそれで俺は構わない」

愛宕「花もそれでいいわよ。もちろんまだまだ枯れる気も朽ちる気もないけど」

高雄「そうね。私も同じかんが、ってそんな脱がないで。
そんな脱ぎ癖みたいなのまで本家をならわないで」


< 半ニート × 居候 >





提督「そういや加賀はいつまでここにいるんだ? 」

加賀「さぁ? 」

提督「横須賀のやつは呼んでこないのかよ」

加賀「呼ばれてはいるけれどここの居心地がいいから」

提督「そっか」

加賀「今ならちょっと私と火遊びするだけでいつまでもあなたのそばにいるけれど? 」

提督「火遊びで済まねぇもん。お前にはまって抜け出せなくなりそうだし」

加賀「それでも構わないけれど」

提督「や、俺にはそんな勇気ないね。少なくとも今は」

加賀「そう。……期待、しているわ」

提督「…………そうか」


大体一度に10レスくらいに安定したいです

ありがとうございました


いやー、そうですよね
居着いてもいいですよねー


< 何を話すべきだろうか >





加賀「それでは」

提督「おう。……本当に行くのか? 愛宕と高雄には何も言わずに」

加賀「戻る、のよ。……それにまた来るから」

提督「そうか」

加賀「ええ」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「……横須賀の皆によろしくな」

加賀「ええ」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「……こういうときにどんな話をすればよかったんだったかな」

加賀「なにも。彼女たちと同じで……一緒の時間を共有できるだけで、私は」


< 苦しみを愛に変えて >





加賀「そういえば」

提督「なんだ」

加賀「三月十二日の誕生花はアネモネなの」

提督「…………それで」

加賀「花言葉は“ 儚い希望 ”、“ 恋の苦しみ ”」

提督「…………」

加賀「女々しい男と…………それが望みの女には相応しい言葉ね」

提督「…………」

加賀「……私にこんな苦しみを与えたこと、覚えていなさい」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………もう一つ」

加賀「え? 」

提督「アネモネの花言葉はもう一つある」

加賀「きかせて」

提督「……“ 真実 ”だ」

加賀「そう……」

提督「…………これが真実で、それで…………」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「………………本当に、女々しい男」


< 迷い惑う >





加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………そろそろ行きます」

提督「……おう」

加賀「…………」クルッ

提督「…………」

提督(……俺は、俺はどうしたい。どうしたかった?
こんなときほど鈍感難聴になりたいと思ったことは……くそっ)



加賀「…………」

提督(……俺は二人を、それでも、俺なら……)



提督「……加賀ッ」

加賀「……? 」

提督「俺……俺はお前のこと好きだぜ」

加賀「そう…………あなた優しいのね。知っていたけど」

提督「ッ…………」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「……でも……今はそれで十分よ。…………ありがとう。私もよ」


< こんな自分に誰がした >





提督「……と、いうことで加賀は横須賀です」

愛宕「はぁ」

高雄「そう、ですか」

提督「あぁ」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

愛宕「……あの、どうしてそんなにテンション低いの? 」

高雄「加賀さんにはまた会えますよ」

提督「あぁ、そうね。うん………………はぁ」


< 女々しい男 >





提督「……まぁ、いいや」

高雄「はい? 」

提督「とりあえず思い悩むのはやめた。こんな辛気臭いやつがいても邪魔なだけだしな」

愛宕「そうねぇ。理由を言ってくれないと慰めることもできないし」

高雄「そうね」

提督「あんまりなぁ。自分の弱いところなんて見せたくないから」

愛宕「もうかなり見せてるけど? 」

提督「…………まぁ」

高雄「それに今更な話ですから。弱いところも含めてあなたなんですよ」

提督「……そうか。…………ありがとな」

愛宕「精々これからの一日私たちを楽しませて? 」

高雄「私から理由は訊きませんけど……話したくなったのなら聞きますから」

提督「あぁ……………………本当佳い女だよな」

提督(俺に比べて、ね)


< あの人は今何をしているだろうか >





提督「トワイライトエクスプレス廃止かぁ」

高雄「電車と艦船ではありますが少しだけ親近感がないこともないですね」

提督「別に乗ったことないんだけどね。……なんだろうなぁこの寂寥感みたいなの」

愛宕「そういうものじゃない? なくなって初めてわかる、みたいな」

提督「…………あぁ」

愛宕「あっ」

高雄「…………本当なんでこんなに感傷的になっているんです? 」





提督「……………………」


< 決して無能では…… >





高雄「さあさあ。気を取り直して今日の誕生石ですよ! 」

提督「おう」

愛宕「はーい、じゃじゃーんっ」

高雄「三月十二日の誕生石はシルバーパール。
石言葉は“ 仕事 ”、“ 伝統 ”、“ 凄腕 ”です」

提督「す、凄腕」

愛宕「あー……別に無能ではなかったわよね? 」

高雄「そうね。単に横須賀の彼が優秀すぎただけで」

提督「……そうか」

愛宕「それにあれよ。提督は別の腕は凄腕以上よ! 」

提督「へっ? 」

愛宕「私、提督の指好きよ? もう離れられないくらいに」

提督「えぇ……この流れでそっちネタなの」

高雄「…………この流れもある意味ここの伝統ですね」


< ちょっと今は耐えられない >





高雄「次に花言葉ですが」

提督「あっ、ちょっとトイレ」

高雄「はい? 」

提督「適当に話といて。ちょっと時間かかるかも」

愛宕「いや、ちょっ」



ガチャ、バタン



高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「……ちなみにアネモネよ? 」

愛宕「そ、そう」


< 罪 >





愛宕「加賀さんも急な話よねぇ」

高雄「ええ、言っていただければ昨日の夜だって豪華なものにしたのに」

愛宕「それに、あの人は何を言われたんだか」

高雄「やはり加賀さん関係なのかしら」

愛宕「それはそうでしょう? 逆にそれ以外であんなに悩むことなんて」

高雄「…………アネモネの花言葉は“ 儚い希望 ”、“ 恋の苦しみ ”」

愛宕「ふーん……なるほどね」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……加賀さんも罪な女ねぇ」

高雄「彼ほどではないわよ」


< しゃがんで溜息混じりに >





提督「俺だってさぁ、わかってるんだぜ?
自分が贅沢な悩みともいえない悩みで情けないことしてるとか、
ここまできたら受け入れてもいいだろとか」

「…………」

提督「でもさぁ……うん。…………やっぱ女々しいのかなぁ」

「…………」モゾ…モゾ…

提督「愛宕と高雄に相談するわけにもいかないし」

「…………」モソ…モソ…

提督「いっそ分裂したいよ、俺は」

「…………」ヨジ…ヨジ…

提督「なぁ、君はどう思う? ……廊下にいたわらじ虫くん」

「…………」ヨジ…ポトッ…

提督「あっ……わらじ虫くんは凄いなぁ……壁登ろうってのか?
俺も勇気が欲しいよ」

わらじ「…………」モゾ…モゾ…

提督「…………」

わらじ「…………」モゾ…モゾ…

提督「…………」

わらじ「…………」ヨジ…ヨジ…

提督「………………そろそろ帰るか。じゃあね、わらじ虫くん。その壁、登れるといいな」


< 犬用ケーキとかもあるし >





提督「猫のエサと犬のエサは猫の方が美味しいらしい」

高雄「は? 」

愛宕「食べたの? 」

提督「うん。俺じゃなくて友達だけど」

高雄「……提督の友達ってそんな人ばかりですね」

提督「んー……まぁ、そうかな。
それに犬と猫一緒に飼ってるとよく猫のエサを一緒に食べるらしい」

高雄「ははぁ、彼らもグルメだったりするんですか」

提督「そりゃ、好みもあるだろうよ」

愛宕「泥棒猫ならぬ泥棒犬ね」


< 挟めそうな気がする >





提督「白鵬関強いなぁ」

高雄「ですね。勝ち星の記録も伸ばし続けてますし」

愛宕「単独三位らしいわよぉ」

提督「うん」

高雄「……」

愛宕「……」

提督「力士のおっぱいって柔らかいのかな? 」

高雄「や、知りませんよ。見た感じ中身は柔らかいけど皮膚がかなり硬い、のように見えますが」

提督「へぇ……さっすがおっぱいマイスター」

高雄「やめて」

愛宕「よっ、マイスター! 」

高雄「だからやめて。……揉み倒すわよ? 」


< 挟める >





愛宕「私たちのは柔らかいわよぉ」

提督「うん、知ってる」

高雄「私も入れるのね」

提督「だって柔らかいじゃん? 」

高雄「じゃん? って言われましても」

愛宕「まぁ、提督は硬いものね」

高雄「はぁ」

提督「そうだな」

愛宕「その硬さがいいんだけど」

提督「そうか」

愛宕「ふふっ」

提督「……ふむ」

高雄「…………あくまで胸筋の話ですよね? ね? 」


< ホッと一息 >





提督「今日の誕生カクテルはホットカルーア。
カクテルワードは“ 多彩で豊かな人生経験を持つ ”」

愛宕「ミルクも含めて暖めても美味しいわ」

高雄「冷たいときには白雪姫がどうのというワードだったのに」

提督「あぁ、なんでこんなに変わったのか……」

愛宕「でも、丁度よかったかも。なんだか肌寒いし」

提督「……そうだな」

高雄「……これ凄い好きかもしれません」

提督「そうか。……覚えとくよ」


< 人肌が >





提督「…………ごめん、ちょっと我慢できないかも」

高雄「はい? 」

提督「……ごめん」ギュッ

高雄「あ、ああのまだお風呂に行ってふぁ」

提督「…………」ギュウッ

高雄「……っぁう…………ゅる……んなぁ…………く……」

提督「……たかお…………はぁ」

高雄「……っは……………るゅ…………んぅ…………」

提督「…………脱がすよ」

高雄「ま、まだ愛宕、っが、シャワ」

提督「耐えられない…………逃げさせてくれないか」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………嫌なら」

高雄「……そんなわけないじゃない。………………あなたを、拒めるわけ」


< 壁一枚隔てて >





「っは…………はぁ、はぁっ…………」

「……ッ…………ちょっ…………ペ、エス…………はやっ」

「…………たか、っお………………っぅ……」

「…………やっ…………ゅる…………んんん……! 」

「……もっ…………止まれなっ…………」

「いい、っで………………すか、…………らぁ……! 」

「…………背、中ッ…………爪立てて、い…………からっ……」

「………………はぁーーーー……! 」

「…………はぁ…………はぁ…………」

「……はぁ…………はぁ………………はぁ」





愛宕(……………………シャワー浴びてるうちに何が? )


< 沈んでいくこともまた >





ガチャ



愛宕「はーい。お二人さーん。私も混ぜてくださーい! 」

提督「っはぁ…………はぁ……はぁ」

高雄「あた、ごっ…………はぁ……」

愛宕「…………ねぇ、まだ一回目でしょう? どうしてそんなに消耗してるわけ? 」

高雄「そ、れは提とんむ…………ゅる……ちゅ………………んぁ…………はぁ! 」

提督「理由、なんて、いいから」

愛宕「……そうね。理由とか意味なんていらないわね。
目の前でそんなことされたらーー」

提督「お前もッ……相手してやるよ…………こい」

愛宕「ん、んん……高雄の味がする」

提督「そうか。……お前で塗り潰せるならそうしてみろよ。愛宕」

愛宕「言われなくても」

高雄「ふん……私もいることをお忘れなく」

提督「…………なんでもいい。お前らで俺を、俺を殺す勢いでこいよ」


< 背中の痛みは貴女の痛み >





提督「…………甘えちまったなぁ…………」チラッ

高雄「…………Zzz」

愛宕「…………Zzz」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………背中も腰も痛ぇ。…………寝よ」



< 噛み跡付けて、爪立てて >





愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「…………Zzz」

愛宕「…………高雄? 」

高雄「……なに? 」

愛宕「どうしたの? 」

高雄「……? 」

愛宕「この人、いつになく暴れてたけど」チラッ

提督「…………Zzz」

高雄「あぁ。……わからない。ただ、何かに没頭したいのと人肌が恋しかった印象ね」

愛宕「貪られちゃったものねぇ」

高雄「……少しは癒せたかしら」

愛宕「さぁ? ……でも」

高雄「でも? 」

愛宕「引きずるタイプじゃないじゃない?
きっと明日、じゃなくて朝からはカラッとしてるわよ」

高雄「そうだといいわね」

愛宕「ええ」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「……寝ましょう」

愛宕「……そうね」


< さてさて、場面は変わりまして >





「恐らく二人、いえそれ以上の複数でも問題ないと思うわ」

「それは……理論的には可能ですが」

「そもそも想いの指向性をエネルギーにする概念武装なわけでしょう? 」

「まぁ、そうです。……一応は武装ではなく強化パーツ扱いですけど」

「なんでもいいけれど。なのだからちょっとした嫉妬や妬みもエネルギーになるのではなくて? 」

「…………そう、ですね。まだ理論値しか出ていない段階なので断言はできませんが」

「そう。…………私は上にその旨を上申するけれど。……構わない? 」

「ええ、構いませんよ。たぶん割と簡単に許可も降りるでしょうし」

「そうだといいわね。……でも指輪の形にしたのは英断だったわ」

「そうでしょうか。最初はイヤリングというのも考えていたんですが」

「ふふ…………やはり、私もだけれど……指輪には格別の想いがあるものよ」

「……なるほど」


そのうち多分また出てくる……きっと

ありがとうございました


眠い……


< 職人 >





高雄「…………」

愛宕「ふあーぁ……提督いた? 」

高雄「……そこ、というかキッチンに」

愛宕「ん? 」



提督「…………ふふふ……………ふふふふふ」コネコネ



愛宕「こっわ」

高雄「寝起きでお手洗いでも行ったのかと思ったら、
見つけたときには既にああやってクッキーをひたすら捏ねてました」

愛宕「む、無表情も怖いけど、何あの愉悦スマイルクッキー職人」

高雄「……このあとケーキもつくるらしいわよ」

愛宕「……嬉しいけど、大丈夫かしら…………私たちが」


< 菱餅菱餅菱餅菱餅菱餅 >





愛宕「お菓子といえば、だけど」

高雄「? 」

愛宕「あの人菱餅って好きだったの? 」

高雄「さぁ? 私は聞いたことないけど」

愛宕「そう。なんだか一時期菱餅ってひたすら呟いてたことがあって」

高雄「なんですそれ。むしろ嫌いなんじゃないですかその感じだと」

愛宕「そうねぇ。今度訊いてみようっと」


< どんな気持ちだよそれ >






提督「ふぃー……今日はこれで終わり! 」

高雄「お疲れ様です? 」

愛宕「大丈夫? ちゃんと戻ってきてる? 」

提督「あ? 戻る? ……まぁ、たぶんしっかりしてるぞ」

高雄「……不気味な笑い方しながらつくってましたよ」

提督「えっ、マジかぁ……言ってくれればよかったのに」

愛宕「ちょーっと、話しかけたくない雰囲気だったから」

提督「そ、そんなにか」

高雄「変なもの混ぜたりしてませんよね? 」

提督「そんなことするかよ……しっかり気持ちだけ込めたって」


< 夢中になりすぎて忘れてた >





愛宕「まぁ、それは明日まで楽しみにしておくとして」

高雄「朝食どうします? 」

提督「あっ」

愛宕「……」

高雄「……」

提督「……トーストとサラダでいい? 」

愛宕「いいんじゃない? 私はスープだけつくるから」

高雄「では私は食器でも揃えておきますか」

提督「はいよ。いやー、済まんね」


< 帰ってきた日常 >





高雄「はい。この書類にサインをしてお終いです」

提督「ん」

愛宕「あぁぁぁ……肩凝ったわぁ」

提督「揉んでやろうか? 」

愛宕「お願ーい」

提督「はいよ。っと、サイン書いたぞ」

高雄「はい。では私はコーヒーでも淹れてきますね」

提督「頼む」

愛宕「お願いね」

高雄「ええ。……変なことをしないように」

提督「変なこと? 」

愛宕「肩を解してもらうだけよ? 」

高雄「……どうだか」


< 心の初めてが欲しいんです >





愛宕「んぅ……きーくーぅ……」

提督「愛宕たち……艦娘でも肩って凝るんだな」モミモミ

愛宕「そうねぇ、一時的に身体を強化したり、
高速修復したりすることはできるけど、
平時はちょっと力の強い女の子だもの」

提督(ちょっと……?)

提督「まぁ、じゃないとその……膜も毎回復活するもんな」モミモミ

愛宕「できるわよ? 」

提督「えっ」

愛宕「やったことはないけど……復元してみる? 」

提督「いや、しなくていい。つーかやめろ」

愛宕「わかった。でもどうして? なんとなくだけど男の人って処女好きじゃない? 」

提督「……まぁ、嫌いとは言わないけどさ。
肉体的には痛みを強いてるし、
その癖ヤってヤってって発情する女の子は見たくない」


< 彼の持論 >





提督「つーかさ」

愛宕「うん」

提督「実際処女とか面倒いだけだもん」

愛宕「え、えぇ……」

提督「文字通り初めてだとそれまで盛り上げてるからこっちだってハイになってるし、
初々しい反応とかそのときしか見れないけど」

愛宕「……」

提督「それがないとしっかり整えて、
でもこっちはあまり激しく動けないし時間考えなきゃいかさないし」

愛宕「……」

提督「別に処女厨じゃねぇしむしろ慣れた女の方が好きだよ、俺は」

愛宕「……」

提督「……」

愛宕「……終わった? 」

提督「ん、まぁ」

愛宕「…………割と考えてたのね。
気持ち悪いとかよりも私の初めてのときに、
そんなに考えてたってことに少し感動したわよ。
ただのケダモノじゃなかったのね」


< 本当なんの話だよ >





高雄「何の話してたんですか? 」

提督「処女と艦娘と回復について」

高雄「……は? 」

提督「うん」

高雄「どう考えても同じ会話の中でできない話題だと思うんですが」

愛宕「まぁまぁ。そんなことはおいといて。お茶始めましょ? 」

提督「そうだな」

高雄「むぅ」

提督「あー、ほらあれだ。俺にとっては初々しい高雄も嫌いじゃないけど、
今みたいなむっつり受け淫乱発情期の方が好きってこと」

高雄「……は? はぁ? 」


< 表現力が欲しい、マジで >





高雄「まぁ、いいでしょう。……3月13日の誕生花&石のお時間です」

提督「イェーイ! 」

愛宕「ぱんぱかぱーんっ! 」

高雄「はい、では……本日の誕生石はブラスインゴット。
石言葉は“ 規律 ”、“ 自信 ”、“ 表現力 ”、そして“ 職人 ”です」

提督「ほーん、石言葉四つってもしかして初めてか? 」

愛宕「しかもなんだか関連性の薄そうな四つねぇ」

提督「……当基地では鉄の規律が自信の源です。
それによって職人気質の艦娘たちを汎用性の高いプロフェッショナルへと育て、
それが結果的に表現力の向上にも繋がるのです」

愛宕「うーん……無理矢理、60点」

高雄「努力有り、70点」

提督「そっか……厳しいな。精進します」


< 適性○ >





高雄「続きまして誕生花」

提督「はい」

高雄「誕生花は甘草。花言葉は“ 順応性 ”。
……ここの状況に適応した私たちにこそ相応しい言葉のような」

提督「思えばなぁ……島流し同然に飛ばされて、
暇、ヒマ、ひま、で陸のやつらには嫌味言われて」

愛宕「することといったらお料理とお酒と……夜戦くらいだもの」

提督「よく腐らずにいられたな」

高雄「……ニート適性があるだけかもしれませんけどね」


< あいつには勝てない >





提督「あっ」

愛宕「? 」

提督「俺たちより上がいたのを忘れてた」

高雄「はぁ」

提督「どう考えても俺たちよりここに順応してただろ、あいつ」

高雄「はぁ。順応というより朱に交わって真っ赤になったような」

愛宕「あれほっといたら私すら越えてたかも」

提督「いやー……ヤバかったな」







………

……………




??「くちゅん…………花粉かしら」


< お詫びと提と……訂正 >





提督「ここでお詫びと訂正があります」

愛宕「なぁに? 」

提督「先日、十二日の夜に誕生カクテルはホットカルーアと言って、
カクテルを提供しました、が」

高雄「はい」

提督「実際は本日十三日のカクテルでした!
本当は十二日のカクテルはルジェカシスティーでした。
本当に申し訳ありませんでした」

高雄「そうですか」

愛宕「まぁ、いいんじゃない? 」

提督「うーん……でもなんか謝っとこうかなって」

高雄「まぁ……昨日は仕方ないですよ」

愛宕「しっかり立ち直ってきてるんだからそれでいいわよ」

提督「そっか。……ありがと」


< お風呂にて >





提督「痛ぇ……滅茶背中染みた」

愛宕「ごめんなさいね? 」

提督「あぁ、いや俺がアレだったからなぁ」

高雄「でもかなり食い込んでましたね。
そんなに爪を立てた気はなかったんですが」

愛宕「ふふっ、じゃあ手も足も絡めて叫んでたのは覚えてる? 」

提督「あれなぁ……今思えばちょっと耳痛いかも」

高雄「はぁ、すみませんね。まぁ、そもそもあなたがあんな激しくっ」

提督「うーん……たぶんなんもなくても月に一、二回はあぁなるしな。
次からは指でも貸そうか? 」

高雄「や、それは遠慮しときます」

提督「そう? 」

高雄「はい。噛みちぎってしまいそうなので」





愛宕「私より感じやすい。さすがむっつり性艦体高雄」

高雄「あなたは何をほざいているの? 」


本当に眠い……というか単に酔ってる
誤字脱字や抜けがあったら明日直します

ありがとうございました


まぁ、その……できる限りは続けたいとかいうわがままなんです


< この想い、詰め込む器が見つからない >





提督「…………」

愛宕「…………うん」モグモグ

高雄「…………はい」モグモグ

提督「…………」

愛宕「…………悔しいけど美味しいわ」

高雄「あんな不気味な笑いをしてたのに」

提督「や、それは知らないけど……お返しになったかな」

愛宕「うん。とっても美味しい」

高雄「あなたの想い、確かに受け取りました」

提督「そうか。……まぁ、そのクッキーとマカロンとケーキと……。
兎に角その辺のやつ全てで二人が感じたものは、
俺が二人に貰ったモノだよ」

愛宕「……こんなに? 」

高雄「……過ぎた光栄……愛ですよ」

提督「それでいいんだ。
俺は二人の想いよりも大きく二人を想ってるって自負してるから」


< 本当に時間がないんです >





提督「高」

高雄「十四日の誕生石はイネサイト。
石言葉は“ 挑戦的 ”、“ 企画力 ”、そして“ 研究開発です ”」

愛宕「た」

高雄「誕生花はチューリップ。花言葉は“ あなたの目の美しさ ”。
提督は私の瞳を見ていなさい」

提督「は、はい」

高雄「で、カクテル」

提督「ん、んん? 」

高雄「い・い・か・ら! 」

提督「はい! ……本日の誕生カクテルはビターカルーア。
カクテルワードは“ 暖かな親切心に満ちた人 ”だ」

高雄「以上! 」

愛宕「あの……なにこれ? どうしたの? 」

高雄「兎に角時間がないの」

愛宕「いつも通り、というか今日ホワイトデー……時間はあるような」

高雄「ないものはない。ない袖はふれない。ない胸は張れない。いいですね? 」

愛宕「はい」

提督「はい」

提督(…………どうしたんだこいつ)


< 言葉はゼロ距離まで近付けない >





愛宕「ん……」

提督「…………んぅ」

愛宕「れる…………んぁ…………ゅる………………ちゅ…………はぁぅ」

提督「っはぁ……! 」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「想いは……私のこの想いはあなたに貰いました」

提督「…………」

愛宕「確かに生まれ出でた瞬間から心を得ていた私だけれど。
……真のココロはあなたに……提督……いいえ、__さんにいただきました」

提督「…………」

愛宕「あなたを愛する気持ちを与えてくれたあなたを私は愛している。
今日という日を与えてくれたあなたを私は愛している。
明日も、その次も……! 本当に……言葉の稚拙さがこんなに悔しいほど」

提督「…………伝わったよ」

愛宕「でもっ、でも……! 」

提督「そんな涙流してさ……伝わらないはずないだろ」

愛宕「…………ッ」ギュッ

提督「それに……伝わらない、伝わりきらないと思ってるのは俺も、
きっと高雄も同じだから。
……その想いを共有できてるんだから。
それは伝わったのと同じだよ」ギュッ

愛宕「………………悔しいほどに……全てを捧げても足りないほどに……あなたと溶け合いたい」ギュウ

提督「あぁ。……今日ばかりは仕事も親も、軍も世界もなにもかも。
全部忘れて…………一緒だよ、おいで」


< 風吹く寂れた岬にて >





提督「…………」シュボ……スゥ……ハッ……





高雄「…………__さん? 」

提督「ッハァ……近付くなよ。匂いが移る」

高雄「……」ギュッ

提督「……高雄」

高雄「構いません。それも……普段は吸わない煙草の匂いも含めて……あなたという人の一部だから」

提督「……はぁ…………ん」ギュッ

高雄「ぁ……」ギュウ

提督「…………カッコつけてヤって…………こんなときは煙草でもっとカッコつけるしかないんだよ、男って」

高雄「…………」

提督「ッゲホッ…………」

高雄「……大丈夫? 」

提督「ん、大丈夫。……普段は吸わないこいつもさ。
こんなときだけベッドサイドで目立ってるんだ」

高雄「…………昨日から探してたくせに」

提督「カッコつける男は嫌いか? 」

高雄「そう、ですね。あなた以外の男なら嫌いです」

提督「…………まったく……一途なやつだよ」

高雄「いえ……愛宕も同じくらい好きです。私の一部です」

提督「ふっ……あいつに聞かせてやりたい」

高雄「やめてくださいよ。私のキャラじゃない」

提督「俺の煙草もだけどな。…………ッハァ……わかったよ。俺とお前の秘密だ」

高雄「………………はい」ギュッ


< 寒空の下で >





提督「…………っはぁ」

高雄「…………はぁ」

提督「……煙草なんて吸うなよ」

高雄「女の煙草は許せない? 」

提督「そういうわけじゃ……身体に障るだろ」

高雄「ふふ……優しいのですね」

提督「当たり前だろ…………ふんっ」

高雄「……ご心配なく。艦娘としての力を発言させればニコチンやタールなんていう小物は跡形なく消滅させっはぁっ」

提督「……」ガチッ

高雄「っんあ…………はぁ……ぅあ…………ゅる…………」

提督「……」

高雄「っはぁ……痛いです。キスで歯を当てるなんて童貞ですか? 」

提督「…………」

高雄「…………私は人間じゃないんですよ。
姿形も普段の行動もそう見えるけれど。
その成り立ちも存在理由も人間じゃない。……もちろん愛宕も」

提督「…………」

高雄「……ふふっ…………そんなあなただから私は惹かれたのかもしれません。
頑なに私を欲しながら私という存在を認めない姿に」

提督「…………寒いな。俺は部屋に戻る。お前は精々煙草がなくなるまで冷えてろよ」クルッ

高雄「あらあら…………怒らせましたか? 」

提督「…………」

高雄「……いえ、いじめ過ぎたかもしれません。私は仰せの通りに風でも浴びてから戻りますよ」


< 不貞腐れて、甘えて >





ガチャ、バタン



提督「…………」

愛宕「…………ん、__さん? 」

提督「……顔」

愛宕「? ……!……んぅ……ゅる…………ちゅ…………ぇろ……」

提督「…………急ですまないな」

愛宕「煙草の匂い」

提督「…………すまない」

愛宕「それはいいけど…………高雄に何か言われた? 」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………もう少し、やりましょうか」

提督「あ? 」

愛宕「私、あなたがまだ欲しい。半日くらいじゃ全然足りない。
丁度高雄もいないじゃない? 」

提督「…………」

愛宕「口の中のニコチンも、それ以外の苦味も私に共有させて?
私をあなたから離さないでほしい」

提督「…………お前たち、強いな」

愛宕「……ええ、あなたの、__さんの女だもの」

提督「ククッ……違いない。あぁ、俺もお前が欲しいよ、愛宕」ギュッ

愛宕「うんん……私が癒してあげる。それができなくても……忘れさせてあげる」ギュッ


今日はこんな感じで
ちょっと時間がないのです。すみません

ありがとうございました


そう言ってもらえると嬉しいです、はい

変な時間ですけども


< まるで仮眠じゃないか >





提督「……んー…………眠い身体痛い怠い」

高雄「仕方ないでしょう。何時までヤってたと思ってるんです」

提督「えっと……マルゴーマルマルくらい? 」

高雄「そうです。正確にはマルゴーヒトサンが最後に時計を見た時間です」

提督「そっか」

高雄「で、ですよ? 今現在の時刻をもう一度確認していただけますか? 」

提督「…………マルロクマルマル」

高雄「はい」

愛宕「私が落ちてからもう一回シてただなんてっ。んもうっ」

提督(……とかいう愛宕に無理矢理起こされた。
なんというか仕方ない気もするけど……眠い)

高雄「…………」

提督「…………」

愛宕「今日も執務は待ってくれないわよ……ふふ」


< 目の球磨……隈が酷い >





提督「」ドヨ-ン

高雄「」ドヨ-ン

愛宕「」ドヨ-ン

提督(言葉を発する気力もない……こういう日に限って面倒な裁可案件が多いし)

提督「…………コーヒー」

高雄「…………あ、私も」

愛宕「…………いやよ。提督か高雄が淹れてよ」

提督「……や、上官命令で」

愛宕「……汚ない。さすが提督汚ない」

高雄「…………はぁ」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………ジャンケンするか」


< 惨めな敗者 >





提督「…………はぁ」

提督(こんな予感はしてた)





提督『…………負けた』

愛宕『ふふ……腐れ上官滅びたり』

高雄『じゃ、お願いしますね。久々に砂糖入れて』

提督『…………死ぬほどしっぶい渋いやつ淹れてやろうか』

愛宕『あぁ……恨みの目線が心地いい』

高雄『…………苦かったら怒りますよ』

提督『…………へい』





提督「…………せめて高雄との最後一発はやめればよかった」


< 勝ち誇る勝者たち >





愛宕「ふぁーぁ……私このまま溶けそう」

高雄「そうね……コーヒーの後はちょっとお休みしましょう」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……んふ、あのジャンケンで負けたときの提督の顔」

高雄「ははは…………あれは傑作だったわね」

愛宕「やっぱり初手はグーが鉄板なのよ」

高雄「そうかしら? 結局最初は全員違ってあいこだったのだし」

愛宕「でも決まり手はグー二つとチョキ一つだったじゃない」

高雄「決まり手って……まぁ、これが本当の決まり手? 」

愛宕「ふふっ……それちょっと面白いかも」





提督「…………戻ってきたらジャンケン談義が始まっていた。なんだこれは」


< 少しだけ湿気ったクッキーも悪くない >





提督「茶請けはクッキーの余りだ」

愛宕「うーん……やっぱり美味しい」サクサク

高雄「チャーハンとおつまみ以外にお菓子もつくれるのを忘れていました」サクサク

提督「あぁ、母さんにおしえてもらったんだ」

愛宕「……提督のお母様って一体」

高雄「本当に何者なんでしょう」

提督「ん? 普通の人だよ。
ただ昔から一つのことに集中するとそればかりに執着する人ではあったかな」

愛宕「なるほどねぇ……コーヒーおかわり」

高雄「あ、私もいいですか? 」

提督「ん」


< もういっそこのままにしたい >





提督「ふぅ…………お昼寝お昼寝っと」

愛宕「お布団幸せぇ……」ボフッ

高雄「執務は大丈夫ですか? 」

提督「あぁ、夕食後にちょっとやればな。
今はとりあえず睡眠とらないと死ぬ」

愛宕「………………」

提督「? ……どうした愛宕。もう寝たのか」

高雄「そんな馬鹿な」

愛宕「…………忘れてた」

提督「あ? 」

愛宕「……わ、忘れてたのよ。シーツを交換するのを」

提督「あっ」

高雄「あっ」

愛宕「…………すっごいベトベトカピカピするし……牡臭い牝臭い」

提督「…………今のでどっと疲れた」

高雄「…………仕方ありませんね…………はぁ」


< 眠気限界時の謎テンション >





提督「本日二度目の敗北……無念」

愛宕「替えのシーツと取り替えるだけじゃなーい」

提督「そうだけどさ。気分の問題だよ」

高雄「どうせ同じ部屋にあるんだからさっさと替えてください」

提督「……へーい」ゴソゴソ

愛宕「…………それにしてもヤったわねぇ」

高雄「……かなりヒリヒリします」

愛宕「んー? どこがぁ? 」ニヤニヤ

高雄「…………なんなのこの妹」

提督「うぃー……どいてどいて。シーツ替えるから」


< グルグル巻きで >





提督「おらー! ミイラにしてやるわっ」

愛宕「キャーキャー! 」

高雄「…………」

提督「さっさと古いシーツを洗濯籠に入れるのだ」

愛宕「ま、負けないんだからぁ」

高雄「…………」

提督「それならば、ふむ。お前ごと洗濯機に突っ込んでやろう」

愛宕「いやー! 回されるー」

高雄「…………」

提督「回す? ふむ…………エロい」

愛宕「ちょ、ちょーっと今どんなこと考えたのよぉ」

高雄「…………」

高雄(この人たちなんなんでしょう。
……眠いのとか疲れとかどうでもよくなるくらい脱力しそう)


< 布団と一体化したい >





提督「」チ-ン

愛宕「」チ-ン

高雄「……そりゃ、無駄にはしゃいでたらそうなりますよ」

提督「」チ-ン

愛宕「」チ-ン

高雄「ま、とりあえず寝ますか。一応シーツは替えてくれたみたいですし」

提督「…………起きれないかも」

愛宕「…………同じくぅ〜……」

高雄「ご安心を。無理矢理にでも叩き起こしますので」

提督「えぇ……」

高雄「特に愛宕は」

愛宕「」

提督「……朝の仕返しかぁ。高雄ちゃんこわーい」

高雄「あなたもそうしますよ。今決めました」

提督「」


< 眠たいのに、寝れない >





提督「…………そういえばさ」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「ベッドの真ん中にいるとなかなか寝返りうちにくいんだよ」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「だからたまに一人で昼寝すると新鮮なんだ」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「……もう寝てた? 」

愛宕「…………」

高雄「…………背中を向けてほしくないんですよ」ボソッ

提督「え? 」

高雄「…………」

提督「え? 」

高雄「………………寝ましょうよ。本当眠いんですよ」


< 祝:開通 >





提督「ふぁ…………北陸新幹線か」

高雄「加賀さんの地元ですね」

愛宕「地元……? 」

高雄「そのようなものでしょう? 」

愛宕「うーん……それなら私たちは京都なのね」

提督「でも愛宕が呉で高雄が横須賀でもいいと思うよ」

高雄「現在の私自身も艦艇の高雄と同じで横須賀出身ですしね」

愛宕「……それだと私は京都と呉工廠と横須賀にルーツがあることに」

提督「まぁ、なんでもいいよ。とりあえずここを家というか実家だと思っとけ」

高雄「ですね」

愛宕「そうね」


< 唐突にこんな話 >





提督「愛宕は無駄に絶妙な力加減だったな。しかも身体寄せてくるし」

高雄「はぁ」

提督「高雄は相当おっかなびっくりだった。握るのが怖いみたいな」

愛宕「へぇ……」

提督「俺は思ったね。全然違う二人だけどどっちもエロい」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「ち、ちなみにオチはない! 」

愛宕「……ついに開き直ってるし」


< 耳舐めとは違う >





愛宕「あっ、でも私もちょっと」

提督「ん? 」

愛宕「提督って結構耳元で囁いてくるじゃない? 」

高雄「まぁ……そうね」

愛宕「あれってかなりクるのよねぇ。
あぁ、私今耳を犯されてるんだなって」

提督「なんだよそれ……」

愛宕「感覚的にいえば耳から指突っ込まれて脳に直接提督を刻み込むみたいな。
すっごく気持ちいいんだから」

提督「うーん……? 高雄は? 」

高雄「………………わからないので今度試してみてください。私がわかるまで」

愛宕「えぇ……ずっるーい。私も私もぉ」


< 酷い……言わせるなんて >





提督「……」チラッ

愛宕「……」チラッ

高雄「……なんです」

提督「なにって……なぁ? 」

愛宕「ねぇ? 」

高雄「私はあなたたちよりも恥じらいを持っているので」

提督「そんなぁ。あたごーん、高雄ちゃんがひどーい」

愛宕「そうねぇ。我が姉ながら……よしよし」

提督「……」チラッ

愛宕「……」チラッ

高雄「…………持ち上げられるのが」

提督「うーん? 」

高雄「私は一応自分が重い方だと……大柄な方だと思っていますので」

愛宕「それでそれで? 」

高雄「身体を持ち上げられたり、逆に押さえつけられただけで……その」

愛宕「濡れる? 」

高雄「…………」カァァ…


< まことに小さな国が…… >





提督「これさ。俺かなり好きで原作の方の小説も学生の頃読んだんだよ」

高雄「私もお借りして読みました」

愛宕「私たちが生まれる、というか建造される前の話だものね」

提督「おう。金剛すらまだだ」

高雄「そこで出すなんて彼女に怒られてもおかしくないですよ」

提督「いいんだよ。本人の前でも言ったことあるし」

愛宕「それは別に許容されてるわけじゃないと思うの」

提督「まぁ、顔引きつってたけど」

高雄「当たり前でしょう……」

提督「そうかな? 」

高雄「……はぁ」

愛宕「………………『坂の上の雲』、か。私も読んでみようかしら」


< 三笠 >





提督「連合艦隊の旗艦がマザーの時代だもんなぁ」

愛宕「その呼び名本気で嫌がってるんだからやめてあげなさいよ」

提督「えっ、マジ? 」

高雄「どう考えてもそうだったでしょう……」

提督「うっそだろおい……フリだと思ってた」

愛宕「まぁ、彼女なんでも許しちゃう人だから……」

高雄「今度機会があったら謝っておくんですよ」

提督「おう。……や、マザーって名前好きなんだけどなぁ」



< ベッドでは一日しおらしい >





提督「本日は三月十五日です」

愛宕「はーい」

高雄「……三月十五日の誕生石はオレンジムーンストーン。
石言葉は“ 気前 ”、“ 気まぐれ ”、そして“ ナイーブ ”です」

提督「ムーンストーンにオレンジなんてあったのか……」

高雄「まぁ、宝石というよりは感覚的にはパワーストーン側ですし」

愛宕「うーん……ナイーブねぇ」

提督「なんか前にも言ったけど割と図太いのばっかだよな」

高雄「まぁ、一応兵士ですから。それなりに図太くないと」





愛宕「と、言いつつ喧嘩の後には嫌われないか悩む高雄であった」

高雄「うるさいわよ。いいでしょ別に」


< しじまの向こうへ >





提督「じゃあ次はお花で」

高雄「はい。……誕生花はレースフラワー。花言葉は“ 静寂 ”」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「……ガーデニングではドーム状に整えるのが人気らしいです」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「……別に黙らなくても」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「……肩が凝りました。解してほしいです」ボソッ

提督「よしきた。任せろ」

高雄「……」

提督「……」

高雄「……ふっ」

提督(は、鼻で笑われた……)


< 自由がほしい >





提督「で、誕生カクテルはローザロッサ。
カクテルワードは“ 理屈抜きで人付き合いができる自由人 ”」

愛宕「んー……隼鷹とか? 」

高雄「あの人はお酒が条件なような」

愛宕「じゃあ……龍驤? 」

提督「自由ではないな。あいつ割と真面目だったぞ」

愛宕「ならもういっそ足柄とか」

提督「いや……勝利に囚われまくってるだろ……」

高雄「そもそも私たち全員が戦争にも生き方にも囚われてますからね」


< 脚を組んで長椅子にバスローブで >





愛宕「…………」ペラッ

高雄「……まだ寝ないの? 」

愛宕「……うん。もう少し」

高雄「そう」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」ペラッ

高雄「…………」

愛宕「……あの人は? 」

高雄「あと少しで執務が終わると思う」

愛宕「そう…………」ペラッ

高雄「…………」


< あなたと私を繋ぐもの >





ガチャ、バタン



提督「ふぃー……終わった終わった」

高雄「お疲れ様です」

提督「ん」

愛宕「…………」ペラッ

提督「ん? あぁ、もう読み始めたのか」

愛宕「……借りてるわよ」

提督「どうぞどうぞ。……明後日の昼前に新兵装が運ばれてくるらしい」

高雄「新兵装、ですか? 」

提督「おう。なんかよくわからない効果だったけどな。
演算力の向上だか思考野の励起だかなんだか」

高雄「ははぁ。こんな場末にも支給されるくらいなので、
大したことのないものなのでしょうか」

提督「さてね。ま、貰えるんだから貰っとけ」


< 額に手を置いて、鼻にはあなたの香りを >





愛宕「…………ふぅ」パタン

提督「…………Zzz」

高雄「…………ん……Zzz」ギュッ

愛宕「……ふふ、幸せそうだこと」

提督「…………Zzz」

高雄「…………Zzz」

愛宕(…………今から寝ても背中向けられちゃうじゃない)

提督「…………ぅ……Zzz」

高雄「…………Zzz」

愛宕「……あっ、それなら…………」ゴソゴソ

提督「……………Zzz」

愛宕「…………好きよ」チュ

提督「…………? ……Zzz」

愛宕「………………ふふ」


乳風で誰かわかるとか酷い
いつか書きたいけど酷い

ありがとうございました


< 唐突なのは苦手 >





提督「ラブちゃんラブちゃん。ちょっと」チョンチョン

愛宕「ら、ラブちゃんって私? 」

提督「おう」

高雄「……私はなに? ハイちゃん? メールちゃん? うーん……? 」

提督「うん? 高雄はあれだ。夫人」

高雄「はい? 」

提督「だから高雄夫人」

高雄「ちょっと意味がわからないんですが」

愛宕「ていうか私に用があるんじゃないのー? 高雄夫人とイチャイチャしないでよ」

高雄「夫人はやめて」

提督「まぁまぁ。夫人はお淑やかにな? 」

高雄「…………」

提督「ん? 夫人怒った? 」

高雄「……いえ、夫人と呼ぶからにはお嫁さんにしてくれるんですね? 」

提督「おう。お前も愛宕も俺は嫁だと思ってるよ」

高雄「えっ」

提督「顔、真っ赤だぞ」

高雄「えっ……えっ……」カァァ…

愛宕「うふっ、旦那様♪ 積極的ぃ」ギュッ

提督「うん。なんでもいいからちょっと着いてきてくれ。」


< 見下ろす瞳は悪戯気で >





愛宕「で、用ってなにかしら? 別の部屋に呼びたして」

提督「ん、ちょっとな」

愛宕「も、もしかしてこんな朝早くから、や、ヤられちゃうの?
いやん、今日はフルバックのあんまり可愛くないやつなのにっ」

提督「いや、そんなんじゃねぇよ……むしろ犯してきたのはお前だろ? 」

愛宕「え、えっ……? 」

提督「……夜寝てるときにさ。キスしなかった? 」

愛宕「えーっと……寝ぼけてたんじゃない? そんなことないような」

提督「……実はさ。起きてたんだよね。最初ライトキスだったからそれでいいかなと思ったんだけど」

愛宕「……」

提督「そのあと寝る前に滅茶苦茶ディープなのかましてったよな?
あれで滅茶苦茶ムラっときた上にその所為で寝不足なんだけど」

愛宕「……」

提督「だ・か・ら。今日はもしかしたら高雄に隠れてきつめのセクハラするかもな」

愛宕「……」

提督「キス自体は嬉しかったぜ? ま、言いたいことはそれだけだ」

愛宕(……ば、暴露てたなんて……は、恥ずかしいじゃない)


< 彼女の印象 >





高雄「明日、新兵装が届くんですよね? 」

提督「あぁ、その予定だ。気になるか? 」

高雄「うーん……そうですね。新たな装備というよりは既にある能力を増強するタイプのようなので。
どのような方法なのかな、と」

提督「確かにな。薬品タイプとかだろうか」

高雄「あー……それでホルモンバランスとかを操作するような」

提督「それに常用なのか取り外しができるのか。なんにしろ危険はないと思いたいが」

高雄「そうですね。拒否権なんてないのでしょうが……」

提督「あ? それくらい嫌なら俺から拒否してやるよ。
左遷組って言っても数人しかいない提督身分だしな。
人脈だってフルに使ってやる」

高雄「そう、ですか。……ありがとうございます」

提督「礼はいらねぇよ。それに……たぶん大丈夫だろうよ。
開発主任は横須賀の明石だったし。設計から一人でやったらしいぞ」

高雄「横須賀のって……あの? 」

提督「あの」

高雄「…………別の意味で不安になりました」


< 無い >





提督「今日も今日とて書類仕事ばかりなわけだが」

愛宕「あ、あのぅ……これやってなきゃだめ? 」

提督「当たり前だ。よかったな、高雄が明日の為に客室を用意しに行って」

愛宕「まさか高雄がいてもさせたの? 」

提督「なにか問題が? 」

愛宕「それはもちろんっ。恥ずかしいじゃない? それにとってもはしたない」

提督「今更なに言ってるんだ。高雄型の色ボケ筆頭」

愛宕「なんだか落ち着かないのよ。あるのとないのじゃ全然違うのっ」

提督「ふーん? まぁ、スカートだと特にそうなのかな」

愛宕「そうかも……これじゃあ脚組んだら見えちゃうっ」

提督「…………普段のパンチラはいいんですか」

愛宕「それはそれ。これはこれ…………うぅっ……」カァァ…

提督(新鮮な反応だな。今度高雄にも理由つけてやらせてみようか……ノーパン)


< 暑い× 涼しい○ >





高雄「あなたなんでそんなに顔赤いの? 熱でもあるの? 」

愛宕「ちょーっと、ね。暑いだけ? 。大丈夫、大丈夫だから」

高雄「そう? 明日新兵装が届くんだから気をつけなさいよ」

愛宕「ええ、明日は元気になってると思う」

高雄「そう……でも、万が一があるし。私が代わっておきましょうか?
提督には私から言っておくから休んでいても」

愛宕「あの人には絶対言わないで」

高雄「はぁ」

愛宕「揶揄われるだけだもの」

高雄「そんな体調とかを揶揄する人では」

愛宕「いいのっ。本当に……ええ」

高雄「? ……そう。ならいいけど」


< パンツスーツなんてどうでしょう >





愛宕「………………慣れたかも」

提督「ほんとか? 」

愛宕「たぶん。よく考えたら一日婦警コスでいたときの方が、
客観的に見てよっぽど恥ずかしいと思うの」

提督「まぁ、そうだな。これは俺しか他に知ってるやついないし」

愛宕「というかあれよね。
この機会にたまにはジーンズとかも穿いてみればよかったわ」

提督「今からは? 」

愛宕「うーん……もうお昼も過ぎちゃったし。今日はもう諦めようかなって」

提督「そっか。……いっそフレアミニとかデニムミニでもいいんだぞ」

愛宕「や、そのときはノーパンなんてしないけど? 」

提督「えぇ……そんなぁ……」

愛宕「当たり前でしょ……えっちなんだからぁ、もうっ♪ 」


< そうであることは否定しない >





提督「はい、本日のお前が言うな、いただきましたー」

愛宕「そりゃあ、高雄よりはちょっとだけ積極的かもしれないけどぉ」

提督「ちょっと……? 積極的……? 」

愛宕「さすがにあなた程じゃないわよ」

提督「いやいやいや……おっぱい性獣あたごん程では」

愛宕「なぁに? それ。失礼しちゃうわぁ〜 」

提督「はっ……何かご不満でも? 」

愛宕「不満しかないわよっ。その呼び方だと私はおっぱいだけの女みたいじゃない! 」

提督「じゃあなにか? 欲求不満熟れ熟れドスケベスキモノボディとか言えばいいのか? あ? 」

愛宕「そこまでは言ってないしぃ。
普通にナイスバディお姉さんとかでいいと思うの」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………なんの話してたんだっけ? 」

愛宕「さぁ? 」


< あなたのためなら火の中でも >





高雄「三月十六日の誕生石はローズクォーツ。
石言葉は“ 行動力 ”と“ 外向性 ”です」

愛宕「行動力、というと何人も思いつくわね」

提督「んー……俺は大井かな。主に姉妹愛で」

高雄「私は島風で」

愛宕「私は……私? 」

提督「ん? どうして? 」

愛宕「どれだけ行動したかよりもその行動で何をしたかだと思うのよね。
だからここまで提督に着いてきた私もなかなかだと思うの」

提督「なるほど」

高雄「ならば私もですね。…………外向性? 」

提督「あー……なくはないだろ。うん。現在は三人とも引きこもりみたいなもんだけど」


< 思いやる理由とは何か >





提督「じゃあ次は花か。その後はそろそろ飯の準備」

高雄「えっ、もうこんな時間? 長々と休み過ぎましたか」

愛宕「いいんじゃない? 珍しく執務は書類が少なかったから」

提督「そういうこと」

高雄「そうですか。それでは……本日の誕生花はスペアミント。花言葉は“ 思いやり ”です」

提督「思いやりかぁ。うーん……」

愛宕「私たちある方じゃない? 」

提督「まぁな。ただ、さ。あるなしって話じゃないような気が」

高雄「人によって基準も違いますしね」

愛宕「でも、それなら私の基準は私よ。
で、私にとって思いやりの基準は提督といるときの私だから」

提督「へぇ……」

高雄「……気持ちはわかりますけど。
それを基準にしたら他の人なんてほとんど思いやりに欠けてることになるじゃない」

愛宕「問題ある? 」

高雄「あぁ……いえ、ないわね、私もそうだし」


< 赤ワインベース >





提督「誕生カクテルはオータムリーブス。
枯葉や紅葉って意味の単語だな」

愛宕「綺麗な色ね」

提督「おう。どっかの漫画やジャズスタンダードの曲でも見るかもしれない」

高雄「なるほど」

提督「で、カクテルワードは“ 複雑な問題もシンプルに片付ける ”」

愛宕「まとめ役に必要な能力? 」

提督「つまり俺か」

高雄「まぁ、そうですね」

提督「おっ、認めてくれんの? 」

高雄「はい。あなたに“ 必要な ”能力ですから」

提督「」


< それはちょっと恥ずかしい >





提督「…………で? 一日ノーパンで過ごしてみてどうだった? 」

愛宕「思ったより快適だったかも」

提督「そうか。まぁ、全裸健康法とかあったし開放感みたいなのはありそうだが」

愛宕「うーん……開放感もそうなんだけど……ふとした拍子にムラっときたりするのがよかったような」

提督「はぁ? 」

愛宕「こう、物を拾うために屈んだときとか」

提督「はぁん……で、なんでそれがいいんだよ」

愛宕「提督が一々視線動かすのが楽しくて」

提督「えっ」

愛宕「ときどき凝視してなかった? 普通に気付いてたし高雄も気付いてたと思うわよ? 」

提督「マジかよ……」

愛宕「ふふ、だからたまにはしてみてもいいかなって、思ったりしてぇ」

提督「ほう」

愛宕「でもいつしてるかはおしえてあげなーい。
ときどき脚を組んでたりしたら覗いてみるといいかもね」

提督「……や、さすがにそんな……いやいやいや」



誤字脱字があれば指摘お願いします

ありがとうございました


ありがとうございます
その言葉で二、三日断食できる嘘です


<風も大分暖かくなりまして >





提督「あー……大分暖かくなってきたなぁ」

高雄「そうですね。三月も半ばまできましたから」

愛宕「今年は最後の最後で寒波が来て辛かったわねぇ」

提督「そうだな。どうさ降るなら雪もせめて騙し討ちみたいなのはやめてほしい」

高雄「そこは自然の難しいところですね」

愛宕「まぁ、もうさすがに、ね。……もうそろそろ来るかしら」

提督「予定だとあと二、三分だけどな」

高雄「横須賀からの新兵装ですか。私たちが何かを出迎えるのって初めてじゃないです? 」

提督「そうだったか? 」

愛宕「……一番最近のお客様がほら……漂流物だったから」

提督「あぁ…………元気かなぁ、あいつ」


< そこは軍内でちょちょいと >





提督「お、あれか? 」

高雄「トラック? そんなに大きなものなのでしょうか」

提督「パワードスーツみたいな? ちょっとワクワクしてきた」

愛宕「さすがにそれは……って、どうしたの? 」

提督「……運転席」

高雄「はい? ……あっ」

愛宕「明石じゃない…………滅茶笑顔。運転ってそんなに楽しいものなの? 」

高雄「私たち免許取る機会ありませんからね」

提督「おう。…………なんであいつ乗ってるんだ? ここまで公道走ってるだろ……」


< 内部はかなり快適に改装されている >





ブロロロロロ……キィ……



明石「提督ー、お久しぶりです! 」

提督「お、おう、久しぶり」

明石「沢山お話したいところですが、
まずはコンテナ内の機材を運び込むの手伝ってください」

提督「はいよ。……まさか、コンテナ一杯には入ってないよな? 」

明石「そんなことないですよー。
それに後ろに二人乗ってるのですぐ終わらせちゃいましょう」

提督「二人、ね。艦娘五人と俺か。なんとかなる、か? 」



ガチャ、ガチャ、バタン



雲龍「…………酔った、気がする」

天城「姉様、大丈夫ですか? 」



高雄(よかった……知らない子だけど一人はツッコミっぽい子がいる。
提督、愛宕、明石は言うに及ばず雲龍も天然型……あの子に期待ね)


< 四人並ぶと壮観 >





提督「で、挨拶もそこそこに機材を運び込んだわけだが」





愛宕「和服ってどうなの? ここ締め付けられて苦しくない? 」ツンツン

天城「ひゃっ……そ、そうですね。慣れてくると苦しくない着付けもできるようになるので」

雲龍「美味しい……横須賀のものとは違う、美味しさ」モグモグ

高雄「…………それ月餅だから。横浜の月餅なんですけど」





提督「……馴染むのはっや」

明石「どうしました? なぜ、私だけこっちなんです。
まぁ、提督がいるからいいですけど」


< こんなことがあった >





天城「雲龍型航空母艦、その二番艦、天城です。
お初にお目にかかります、提督」

提督「はいよ。雲龍の……なるほど。似てるね」

雲龍「……特にどこが? 」

提督「それはお前……雰囲気? 」

雲龍「そう……まぁ、なんでもいいけど」

天城「あ、あのっ。姉様は提督たちとお知り合いなんですか? 」

雲龍「ええ。あなたが来る前に横須賀にいたの。愛宕も高雄も」

愛宕「よろしくね。天城ちゃん」

高雄「よろしくお願いします」

明石「はいはいはい! 挨拶も終わりましたね?
とりあえず機材運んでこのトラックも移動させちゃいますよ! 」

提督「そうだな。早く飯食いてぇし」


< お昼ですよ、皆さん >





天城「わぁ! 手巻き寿司ですか。美味しそうです」

高雄「何人かわからなかったので一人一人自由に食べられるものを選んだんです。
多めにあるので遠慮せず食べてくださいね」

天城「はい! 姉様。お寿司ですよ、お寿司! 」

雲龍「え、ええ。よかったわね……」

愛宕「さ、明石もそんなの放っておいて食べるわよぉ」

明石「や、そんなのってこれ受け渡しについての報告書……。
あぁ、はいはい、わかりましたから引っ張らないでっ」

提督「カオスだな、おい。俺の執務室じゃなくて食堂開けるべきだったか」


< 匂いにやられた >





雲龍「…………胃が痛い」

提督「あ? お前はまだそれやってんのかよ」

雲龍「これはおいそれと治せるものじゃ……お水」

提督「はい」スッ

雲龍「ありがとう。……はぁ、美味しそう」

提督「……高そうな食べ物に拒否反応出るってなんだよ。食えるか? 缶詰あるぞ」

雲龍「私だけ缶詰って……いじめ? 」

天城「姉様……天城のお料理は食べられるのに……はっ、もしかして」

雲龍「ち、違うから……家庭的なものは食べられるだけだから。
こういう普段は見ないものが……あぁ」

提督「まぁ、ゆっくり食え。すぐそばに明石がいるんだし大丈夫だろ」

雲龍「……そうね」



< 初めて >





提督「……ふぅ…………食べた食べた」

高雄「このあと執務が……ふぁ」

愛宕「可愛い欠伸ねぇ、高雄」

高雄「くっ……不覚」

提督「可愛いけりゃいいんだよ」

高雄「そうですか…………ふふ」

愛宕「私も、と思ったけど欠伸ってどうやって出すのかしら」

提督「……感染? 」

高雄「私ももう出ないような」



雲龍「……あぁ、相変わらずなのね」

明石「加賀さんの言っていた通りです」





天城「え? え? なんですこの雰囲気。ぽわぽわしてません? ここ一応基地ですよ? はい? 」


< 説明した。それはもうぼかしまくって >





天城「えっ……じゃあ、なんですか?
お二人とも提督のお手つき? 」

雲龍「そうね」

提督「まぁ、うん……間違ってはないかな」

高雄「間違ってないどころかまだ柔らかめの表現じゃないですか」

天城「これ以上酷い……? 」

愛宕「高雄も同じ穴の狢なのだけどねぇ~ 」

高雄「……」

天城「こんなに真面目そうな高雄さんまで……雲龍姉様は違いますよね? ね? 」

雲龍「……」チラッ

提督「ん? 」チラッ

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……まぁ、今のところは」


< 便利な言葉 >





提督「あぁ、もう俺の印象が……つーかどうしてこの二人なんだ?
雲龍は兎も角天城と俺たちには面識ないしなぁ」

明石「最初は加賀さんが立候補してたんですよ。
そもそも強化後の動作確認演習で空母の力を使いたいと言ったのは私なんですが」

提督「はーん。で、なんであいつはダメだったんだ? 」

明石「軍機です」

提督「は? 」

明石「だから軍機」

提督「あのさぁ……またそれ? 」

明石「軍機ですから」


< キャミとジャージでした >





明石「で、この際着任して間もない天城さんの練度上げも並行して行おう、と。
雲龍さんは仲介みたいなものです」

提督「なるほどな。……どうする? 強化ってどんなんだ? パワードスーツか? そうだろ? な? 」

明石「やけにパワードスーツ推しますね……。
や、私もいつかつくってはみたいんですが今回は違います」

提督「そうか………………」

雲龍「なぜそんな見るからに落ち込むの……? 」

高雄「この人ガキですからね。未だにそういったものが好きなんですよ」

雲龍「ふーん……? 」

明石「ま、それは明日のお楽しみですよ。
今日はまずバイタルの検査です。
健康問題はないでしょうが、
他の子に対応するために少しのデータも採っておきたいですから」

提督「それであの機材か。よし、じゃあさっさとやっちゃってくれ。
俺は書類でも相手にしてるよ」

明石「はーい。じゃ、高雄さんと愛宕さんは着替えあるんでこっちに」

提督「……着替え? 」

明石「…………なぜそこに反応するんです」


< 普段はまとも >





提督「くっ……検査着みたいなやつかと思ったらキャミにジャージだったぜ」

雲龍「当然のようにキャミソールは見たことあるのね」

提督「まぁな。そのせいでキャミに種類が沢山あることも知ってしまった。
キャミソールってんだから下着類だけなのかと思ってたよ」

雲龍「そう……」

天城「さぁ、提督。今日は私と姉様が執務をサポートしますから!
高雄さんたちが帰ってくる前に終わらせちゃいましょう」

提督「ん、そうだな。さて……」

雲龍「……眠い」

天城「ね、姉様? お昼のあとで辛いのはわかりますが、あの」

雲龍「……そうね…………Zzz」

天城「姉様? ちょっと姉様ぁ…、」ユサユサ





提督「…………サポート? 」


< 揉まれるとやはり……? >





明石「あの人はまったく……普段から見ているんだから今日くらい」

愛宕「違うのよぉ。着ているものが同じでもシチュエーションによって」

明石「は、はぁ」

高雄「まずは何をしましょう? MRIみたいなものまでありますけど」

明石「あぁ、まずは三計測とかですね。
そっから脳波や艤装展開時の心拍などを」

愛宕「てことは……もしかしてスリーサイズとかも測るの? 」

明石「必要ないですけど……測ります? 」

愛宕「そうね。是非」

明石「了解です。高雄さんは? 」

高雄「え、いや私は……わかったから。ええ、私も測るわよ」

愛宕「ふふ……最近ブラがきつくなってきてたのよねぇ」


< 天国か地獄か >





愛宕「んっ……」バイ-ン

明石「……はい、大丈夫です。身長はよしっと」



高雄「顎を引いて……はい」ギュ-

明石「座高もよし……」



愛宕「きゃあっ……やっぱりおっきくなってるぅ」

明石「あの……次ウエスト」



高雄「…………私もだ」

明石「……よかったんじゃないです? 」





明石「……私が並よりあるくらいでよかった。複雑な気持ちだけど、うん。
どっかの軽空母さんとかなら大破してた。間違いない」


< 執務は乳……遅々として進まず >





提督「雲龍は俺渾身のコーヒーで覚醒させた」

天城「ありがとうこざいます。私までいただいてしまって」

雲龍「…………苦い」

提督「砂糖とミルク入れたからマシになっただろ」

雲龍「それなら最初から入れて」

提督「だってそれだと覚醒しないじゃん」

天城「私普段は緑茶が多いんですが……コーヒーも美味しいですね」

提督「だろ? ここにいる間はいつでも淹れるから。
なんなら横須賀に戻ったら布教してくれ」

雲龍「紅茶党と緑茶党には勝てないような」

提督「いや、いつかは勝てる。そう、コーヒーならばな」

雲龍「何言ってるんだか」

天城「うーん……この苦味がお茶菓子にも合いそうです」


< 執務中はまとも >





提督「…………」カリカリ

雲龍「…………」カタカタ

天城「…………」カリカリ

提督「…………ん、雲龍」

雲龍「これ? 」

提督「うん、それ。サンキュー」

天城「…………」

提督「…………」カリカリ

雲龍「…………」カタカタ

天城「…………」

提督「…………」カリカリ

雲龍「…………」カタカタ

天城(早い……認識も判断も。ただの変態じゃなかったんですね)

提督「……天城。資料室の3C-17からファイル持ってきて」

天城「は、はい。ただいま! 」



< 不思議ちゃんも好き >





提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……天城だけどさ」

雲龍「はぁ」

提督「さっき露骨に俺のこと見てたけどなにあれ」

雲龍「……あの子真面目だから。高雄と愛宕が二人ともイかれてるの見て不審がってたんでしょ」

提督「そうか。で、俺が雲龍になにかしないかって? 」

雲龍「たぶん。……してみる? 」

提督「や、遠慮しとく」

雲龍「そう……残念ね」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……真面目な子を堕とすのってワクワクしそうじゃない? 」

雲龍「……クズね。…………否定しないけど」


< 懊悩しない者など…… >





雲龍「天城もいいと思うけど……私じゃだめなの? 」

提督「そんなことねぇよ。何度その谷間と太ももに目を奪われたことか」

雲龍「……嬉しいような嬉しくないような」

提督「実際さ。俺ってクズじゃん」

雲龍「まぁ…………そうね。普通の人間ならば」

提督「おう。まさに問題はそこなんだよ」

雲龍「……? 」

提督「高雄も愛宕も言ってたけど艦娘は人間じゃない。
俺の気持ちは兎も角必ずしも人間として扱ってほしいわけじゃないって」

雲龍「……」

提督「あと、加賀にも似たようなこと言われたな。
……だからさ。俺がいつか踏ん切りをつければたちまち更なるクズになると思うよ」

雲龍「ふーん……私が他のものに気を取られる前にそうなるといいわね」

提督「俺はむしろそれを願ってるよ」

雲龍「…………本当に」

提督「…………ごめんな」

雲龍「いいえ…………会えたことは、嬉しかったから」


< エセじゃないデース! >





提督「さーて、執務も粗方終わらせたし」

雲龍「終わらせたし? 」

提督「ティータイムデース」

天城「わぁ、そんな時間が? 」

提督「え、あぁ、うん」

雲龍「……金剛? 」

提督「まぁ、今日は珍しいメンツだしな。
茶菓子もコーヒーも俺の担当だ。
一応紅茶も緑茶もあるが俺が淹れても大して美味くない」

雲龍「……コーヒーで」

天城「あっ、私も。先ほどは本当に美味しかったので」

提督「ん、ゆっくり待ってて」



< 本日は代理が >





提督「コーヒーと茶菓子が行き渡ったところで……本日の誕生石&誕生花のお時間です」

天城「……? 」モグモグ

雲龍「そう……」モグモグ

提督「興味ないんですね……はい」

天城「そういわけでは……」モグモグ

雲龍「これ美味しいわね」モグモグ

提督「あ、そう。よかったね。……まぁ、聞いてってよ」

天城「……」モグモグ

雲龍「……」モグモグ

提督「うーん……本当に聞くだけって態勢。……ていうかよく食べるね君ら。
ちゃんと普段から食べてる? 」


< エメラルド色の宝石たちと >





提督「……三月十七日の誕生石はエメラルド。
石言葉は“ 穏健 ”、“ 快活 ”、そして“ 協力的 ”、だ」

雲龍「へぇ……それで? 」

提督「や、ここから普段なら会話に持ってくんですが」

天城「……私も姉様も快活って感じじゃないですよね。
穏健というか穏やかな方だとは思いますけど」

雲龍「そうね。協力的かどうかといえば相手によるけど」

天城「提督は割といい人そうなのでちゃんと協力しますよ? 」

提督(割と、か……いいのか悪いのか)


< 的確に突く能力も >





提督「で、誕生花はルピナス。花言葉は“ 貪欲 ”だ」

雲龍「貪欲……まさにあなたじゃない」

提督「いや、菓子貪り食ってたお前らだろ……」

天城「そんな貪るだなんて」

雲龍「どうせ毎晩貪ってるんでしょう? 」

提督「それがだな雲龍。むしろ子羊が俺で狼二人を相手にしなくちゃならないんだよ」

雲龍「それなら今更何人か増えても変わらない? 」

提督「変わるよ。少なくとも一日何リットルも出るようにはできてない」

雲龍「そこはほら、高速修復で」

提督「高速なのは腰だけだ」

雲龍「ふーん……? 」

天城「…………はぁ……耳から爛れていってる気がします。やはりこちらが本性なのですね……」


< でもそれを聞いて少し…… >





ガチャ



愛宕「たっだいまー」

提督「ん? あぁ、おかえり。どうだった? 」

愛宕「提督が揉んでたからまーた大きくなってたわよぉ」

雲龍「…………」ジ-

天城「…………」ジ-

提督「あ、あぁそう……俺は体調とか訊いたんだぞ。本当に」

高雄「……これならばおそらく予定通り明日試用できるそうですよ」

提督「そうか。安心安心。……飯の準備でもするか」

高雄「ですね。……執務ももう? 」

提督「おう」

愛宕「明石はしばらくデータをまとめてるから遅れるって」

提督「うん。……さて、久々に本気出すか」

高雄「ちゃんと指示に従ってくださいね。変なもの出せないんですから」

提督「……はい」


< たまたま二人になって >





高雄「大丈夫でした? あの人ちゃんと仕事できてました? 」

天城「はい。こう言ってはなんですが……考えられないくらい早かったです」

高雄「あれで一応提督の名前は伊達じゃないですからね……」

天城「あの、私も質問いいですか? 」

高雄「ええ、どうぞ」

天城「あの人の……提督のどこがいいんでしょう?
確かにルックスや仕事はできるようですが」

高雄「まぁ、クズで変態ですからね」

天城「じゃあ、どうして」

高雄「うーん……優しいとか愛してくれるとかありきたりなことなら沢山あるんですが。
……そういう言葉じゃ表せない部分ですね。
天城さんも雲龍さんのどこが好きか上手く説明できないでしょう? 」

天城「いえ、私は説明できると思いますけど」

高雄「そうですか。……あぁ、そうですね。
天城さんに一番伝わりやすい言葉なら」

天城「……」

高雄「私も愛宕も同じなんです。提督と一緒にここまで堕ちてしまいましたから。
この泥沼がどれだけ泥濘んでいて毒を放っていても」

天城「……」

高雄「抜け出そうとは思わないほど馴染んでしまって。
あの人無しじゃ生きていけないんですよ」

天城「……私にもわかるときがくるでしょうか? 」

高雄「さぁ? ……ただ……わからない方がきっと幸せですよ」


< あの人無しじゃ、もう…… >





雲龍「そんなに凄いの? 」

愛宕「は、はい? 」

雲龍「提督のアレ」

愛宕「えーっと……他の人と比べたことないけど……凄いわよ? 」

雲龍「ふーん……痛かったりしない? 」

愛宕「最初はね? でも段々慣れてくるし前戯とかアフターに時間かけてくれるから」

雲龍「そう……」

愛宕「あとあれね。パブロフの犬みたいな」

雲龍「…………調教の成果? 」

愛宕「そうかも。そういう雰囲気になったら勝手に濡れやすくなってるし」


< 味付けには手を出さないで >





提督「…………」トントントントン

明石「好き放題言われてますよ」

提督「…………そうか」トントントントン

明石「そんなに凄いんですか? 私にもメンテさせてくれません? 」

提督「…………処女だろ? 」トントントントン

明石「そうですけど」

提督「……面倒いからやだ」

明石「そんな無茶苦茶な。初めてよりビッチがいいってことですか? 」

提督「そこまでは言わないけど……ちょっとよけて」

明石「あぁ、すみません。……何やってるんです? 」

提督「……サラダとか野菜のカット。これしか許可されなかった」

明石「……は? 」


< 自覚があることが逆に >





提督「大体さ。俺のなにがいいわけ? こう言うとマジモンのクズみたいだけどさ」

明石「ルックスだけでも割と最初は寄ってくるんじゃないです? 」

提督「……その後が続かないだろ。あんまり大きな声じゃ言えないけど加賀とか雲龍もだぜ」

明石「まぁ、その辺はわかりやすい部類ですから。
赤城さんから離れても着いていきたいだなんて普通の理由じゃないですよ」

提督「あいつは……まぁ」

明石「じゃあ、あれです。ルックスで引き寄せて下半身で虜にする」

提督「下世話だなぁ……俺高雄と愛宕以外とは寝てないぞ」

明石「…………」

提督「…………」

明石「……ちょっとマジなことを言うと」

提督「? 」

明石「愛とか好きとかそういうのでしょ。
私はあなたのこと好きですけど理由なんて説明できないですよ。
科学の徒にはあるまじきことですけど」

提督「あぁ…………愛、ね。最低だ」

明石「…………そこで笑い飛ばさない辺りが好きです。……クズな部分でもあるけど」


< 同列の者同士でしか >





明石「それに他がダメでしょ。軍なんてあなた以外も色んなベクトルのクズの集まりですから」

提督「確かにな」

明石「その中で無茶な作戦を立てない。拒否権を認める。
執務室でお菓子を貰えたり食堂で奢ってくれたりする。
多少変態でも……ね。肉欲が湧かなくても嫌いにはならないでしょ」

提督「なるほど……でも、なんで肉欲」

明石「愛とは肉欲の別表現……なんて言いませんけどね。
恋愛感情ほど悲劇的でもピュアでもなくて、
直線的にあなたが欲しいと想うなら、これは肉欲では? 」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……そんなに欲しい? 」

明石「はい」

提督「…………」

明石「私たち艦娘って図太く見えて実は怖がりなんです。
力尽くで押さえ付けても繋がることはできます。でも、しない」

提督「…………」

明石「あなたや、他の想い人に嫌われては生きていけないからです。
基地や海の上の狭い世界しか知らないから。
だからせめてちいさな箱庭では愛を受けたい」

提督「…………」

明石「くれるなら何番目でもいい。それはそれがいいと思っているんじゃないです。
それでもいいから欲しいと渇望しているから。覚えていてください」

提督「…………あぁ」

明石「…………」

提督「…………ほんと最低だな」

明石「…………私も、ですけどね」


< やっぱり食事は楽しくなきゃ >





提督「えー、時間が遅くはなりましたが食堂を開放してささやかなパーティとしました。
自分も面倒な挨拶は嫌いなのでこれで終わります。……乾杯」



「「「「「「 乾杯 」」」」」」



天城「こんなに沢山お料理もお酒もいただいて……天城、感無量です」

高雄「一応はホスト側ですからね。
それにホールケーキなんて人がいないとつくる機会もないですから」

雲龍「け、ケーキまであるの? 胃、持つかしら……」

愛宕「大丈夫でしょ。お昼も凌いだんだし。
大分治ってきてるのよ」

明石「その体質もいつか研究してみたいですね。なにかの役に立つかもしれませんし」

高雄「なんの役に立つんです……」

愛宕「人々の食生活を変える? 」

天城「民衆には質素な生活に不満を抱かせない……自分たちは気兼ねなく食べる……」

雲龍「ディストピア……? あなた我が妹ながら怖いこと言うわね……」

明石「提督ー。世界でも取りにいきますかー? 」

提督「いや、いかねぇよ。とりあえず飯でも食ってろ。
雲龍と天城は酒も飲め。普段はカクテルとかウイスキーには縁ないだろ?
あと、愛宕はドサクサに俺の腕を抱くな。
高雄は止めろ。笑ってる場合じゃねぇ。それお前の仕事だろうが。あとはえーと……ーー」


< 着替えるのが面倒だった >





提督「酒も程よく回ったところで……本日の誕生カクテルのお時間です」

明石「イェーイ! 」

高雄「い、いぇーい」

愛宕「ぱんぱかぱーんっ! 」

提督「ありがとう。……んん、三月十七日の誕生カクテルはビトウィーンザシーツ。
カクテルワードは“ 氷の結晶ように繊細な心の持ち主 ”」

天城「カクテルって初めてなのですけど……食堂の木製テーブルにちいさなカクテルグラスって……」

雲龍「……味がよければ」

提督「内容はブランデーとコアントロー……コアントローはロックでもなかなかいけるな。
あんまり聞かないかもしれないが薬用として胃によかったりする。
レストランなどでは食後酒としても」

愛宕「話がなっがーい! 早く出してよー」

明石「おっそーい」

提督「……の二つにホワイト・ラムをカクテルして、レモンジュースを一匙だ。
……今からカクテルするから見てろよ」

高雄「……失敗して軍服汚さないでくださいね。洗濯面倒なんですから」

雲龍「…………夫婦どころか母親じゃない」


< カクテルなのにストレート >





愛宕「ん、結構甘いのね」

提督「あぁ。コアントローはオレンジのリキュールだからな。
他はそれを抑えるのと酸味用だ」

高雄「……このカクテルって意味が……」

明石「ふふ……ベッドに入って、ですか」

愛宕「全員相手にしちゃう? ふふっ」

提督「や、あの」

天城「私と姉様は遠慮しておきます」

雲龍「え、私もなの……」

明石「サラッと私は狼に捧げられてますけど」

高雄「あなたはむしろ少ない方が喜ぶんじゃあ」





提督「いや、酷い酔い方とか絡み酒するよりマシだけどさ。
俺滅茶苦茶居心地悪いんだけど」


< 有名なだけあった。マジで >





天城「あのれすねぇ…………姉様はあんなにお綺麗なのひ……。
あなたみひゃいなぁっ……あなたみたいな人にはっ……ぅぅっ……」

提督「はぁ」

天城「私は別にですね……どっかの軽巡や重巡みたいにレズじゃないれふ。
でも姉様の相手がこんな人非人だなんてっ……認められないですぅ」

提督「……人非人って」

天城「…………くぅっ、姉様がいい人だって言うからぁ……っ」

提督「…………」

天城「…………バーテンダー、おかわり」

提督「……バーテンダーに喧嘩売る客とかねーよ」

天城「早くぅ……」ダンダン

提督「……何がいい? 」

天城「獺祭」

提督「……ちょっと待ってて。さっき一本空けちゃったから」

提督(これ三ヶ月待ちであと二本しかないんだけど……恨むぞ雲龍)


< それを遠巻きにして >





明石「なんかやたら哀愁漂わせて出ていきましたけどどうしたんですかね」

高雄「あぁ……天城さんが頼んだ日本酒ね。ストックが少なくて」

明石「はぁ。そんなの補充すればいいんじゃ」

愛宕「それがねぇ」チラッ

雲龍「ん、そうね。認めるのは癪だけれど」

明石「? 」

愛宕「酒飲みは急に飲みたくなって仕方なくなったりするものなのよ。
それに天城だって価値がわかるからあれだけ飲んでるんだし」

高雄「あれ、見た目ほど酔ってませんよ。絶対酔ったフリして八つ当たりしてるだけです」

明石「ははぁ……あの人そんな風には見えませんが」

雲龍「女ってそういうものよ。…………もちろんあなたも」


< 朝ドラ的なチョイス >





高雄「あの子手酌で飲んでる……あれは、ボトル……うーん21年かしら」

雲龍「……今まで日本酒と麦くらいしか飲んだことないはずなんだけど」

愛宕「あははは……お酒の味広がっちゃったわね、あれは」

雲龍「頭が痛い。二日酔いとかじゃなくて」

明石「私既に死にそうなんですけど……よく皆そんなに飲めますね。これでもかなり調子よかったのに」

愛宕「んー……これは体質だものねぇ。でも、艤装の力展開させればよくない? 」

明石「や、疲れますし。……それに無粋ですから」

雲龍「そうね。あなたは正しいわ」

高雄「さて……それなら口元が寂しいでしょうしおつまみでも持ってきますか」

明石「ありがとうございまーす」

雲龍「あっ、それなら場所をおしえて? お手洗いついでに行くから」


< いっそ二人で月でも見に行こうか >





提督「うーん……どこやったかな」

雲龍「…………どうしたの? 」

提督「おうっ? あぁ、雲龍か。びっくりした」

雲龍「ここでおつまみ貰えるからって」

提督「あぁ、それならそこの棚とそっちのケースかな」

雲龍「ありがとう」

提督「…………ここじゃないのか」ゴソゴソ

雲龍「…………」

提督「…………」ゴソゴソ

雲龍「…………」

提督「…………」バタン

雲龍「…………ねぇ」

提督「別の棚か…………うん? 」

雲龍「…………私、酔ったかも。いえ、酔っている」

提督「…………部屋に案内しようか? 」

雲龍「……まさか、部屋の前でさようなら、なんてことはないわよね? 」

提督「さぁ? …………本当に行くか? 」

雲龍「………………ええ、案内して」


< 明日になれば >





高雄「これは…………途中で寝落ち? 」

愛宕「雲龍にそれは……でも、そうかもね」チラッ




天城「…………Zzz……姉様ぁ…………」

明石「…………Zzz……ふふ…………手を……アームに……」





愛宕「そういえば提督も帰ってこないけど」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………まさかね」


呼び方がわからなかったので印象で決めました
違和感あったらおしえてください

ありがとうございました


確かに偏っているような気もします

エアでも楽しめるものが書けて、
もし提督が増えたならとても嬉しいことですね


< 今夜月の見える丘で ♪ >





雲龍「…………単車なんて初めてだった」

提督「そうか。どうだった? 」

雲龍「正直に言うとあまり好きじゃない」

提督「……そうか」

雲龍「でも……あなたの後ろにつかまっていられるなんて……これくらいよね」

提督「……そうだな」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………月が、いや……星が綺麗だな」

雲龍「…………ええ、本当に」


< 傷を舐めて重ね合ったその痛みも ♪ >





雲龍「少し、寒い」

提督「……ん」バサッ

雲龍「ありがとう。……あなたの匂いがする」

提督「それ大丈夫かよ。臭くないか」

雲龍「そんなわけ……いえ、相当なものね」

提督「え? 本当? 割と冗談だったんだけど。
普段ジャケットなんて着ないしなぁ。匂いなんて殆どないと」

雲龍「…………他の女の匂いがする」

提督「……なるほど」

雲龍「……あなたが抱き締めてくれない? まだ、今日は他の女の匂い、付いてないでしょう? 」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………ん」ギュッ

雲龍「ぁ……」ギュッ

提督「……………………ごめんな」


< あなたを想う私を想って >





雲龍「…………あなたはこんなに近くにいるのに」

提督「……近いか遠いかなんて個人の主観だろ」

雲龍「そうね。だからこれは私の主観。世界で私だけが持つ感情」

提督「…………」

雲龍「でも、私自身を受け取ってくれる人がいるなら。その人のモノにもなると思う」

提督「…………所有しても中身がわからないんじゃあな」

雲龍「わかってるくせに。……所有していない今でも」

提督「…………わかんねぇよ。わかってたらこんなとこ来てない」

雲龍「……あなたがわかっていないのは自分の感情の先でしょう?
私の気持ちを理解しているからこそこんなところに逃げて来たのだから」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………厳しいね」

雲龍「…………厳しいと感じるってことは、と返してあげる」


< ここではあなたと私だけだから >





提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………帰るか」

雲龍「…………そうね」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………離してくれないか。歩けない」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………イヤ」ギュッ

提督「…………仕方ない、な」


< 深夜というよりも既に >





愛宕「あぁぁぁっ……! 」

高雄「なんです、うるさぁぁぁっ……! 」

提督「………………うるさいぞ夜中に。頭に響く」

愛宕「どこほっつき歩いてたのよ! こっちは天城と明石が酔いつぶれてそれを介抱して、
それからあなたと雲龍を探すに探せなくて……もうっ」

提督「……すまない」

高雄「……まぁ、ちゃんと何事もなく帰ってきたんですから。それでいいじゃない」

愛宕「何事もなく? 私たちほったらかして消えて、
他の女抱き上げて帰ってきたのが何事もない? 」

雲龍「……ん…………ぁ……Zzz」

提督「……起きちゃうから。静かに」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………あた」

愛宕「私もう寝るからっ」クルッ

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………明日謝るんですよ」

提督「…………あぁ」





雲龍「んぅ…………ふふ…………Zzz」


< 起きたのは昼過ぎでした >





提督「…………あぁ、そう」

明石「すみません。……羽目を外しすぎまして」

提督「いや、問題な」

愛宕「この人ほどじゃないからいいわよ。
どうせ期間は決まってないんでしょ? なら明日でも明後日でもいいのよ」

明石「はぁ。それでも、です。申し訳ありません」

提督「…………」チラッ

愛宕「なに? 」

提督「い、いや………、あー、兎に角だな。
愛宕の言った通り新兵装の試用実験は明日の朝を予定に変更。これでいいな? 」

明石「はい。了解です」

提督「じゃあ、また寝てこい。明日は体調を万全にしてくるんだぞ」


< 事情を知らない人 >





明石「……あの」

高雄「はい、なんでしょう」

明石「提督と愛宕さんどうしたんですか? なんかやたら険悪ですけど」

高雄「あははは…………や、昨日あなたが潰れた後に、
提督ってば雲龍さん連れて二人で出かけまして」

明石「ははぁ」

高雄「しかも私と愛宕すら乗せてもらったことのない単車で二人乗りだったのが暴露て……」

明石「あー……それはもうあれですね。ギルティ」

高雄「はい。なのであんな感じで一方がビクビクして、
もう片方がそれに満足するまではあのままです」

明石「……明日まで続くでしょうか? 」

高雄「わかりません」

明石「それは……ちょっと困るかもしれませんね」

高雄「ただなんとなくですが愛宕もそこまで怒った様子ではないので。
おそらく今夜単車か別の排気音が聞こえたら明日は大丈夫です」

明石「なるほど。……じゃないとアレに支障が」ボソッ

高雄「はい? 」

明石「いえ…………じゃあ私は寝てきます。作業をこれ以上遅らせるわけにもいかないので」


< 事情を知っている人 >





天城「あのですね、姉様」

雲龍「…………はぁ」

天城「姉様があの男と二人きりで出かけたのも問題です。……ですが! 」ダンッ

雲龍「……」ピクッ

天城「そもそも彼には一応心に決めた方がいるでしょう?
それを知りながら関係を持とうとするなんて……。
姉様は道義というものを知らないんですか? 」

雲龍「知ってるけど」

天城「そ・れ・な・らっ。姉様がとるべき行動、わかりますよね? 」

雲龍「さぁ? 」

天城「姉様! 」

雲龍「……」

天城「……」

雲龍「……ねぇ、天城」

天城「……なんですか? 」

雲龍「……私にも譲れないものがあるの。たとえそれが人の道に外れているとしても」

天城「…………」

雲龍「既に人ならぬ身だからとは言わないけれど。……落ち始めたらもう這い上がることはできないのよ」

天城「…………姉様」

雲龍「……それにこれは私の問題だから。あなたには……ただの妹である天城には関係ない」

天城「ッ……! 」

雲龍「ごめんなさい。…………でも、そういうことだから」



< 意味深な眼差し >





愛宕「はい、では本日の誕生石&誕生花&カクテルのお知らせです」

天城「はぁ……あの、私たち昨日しか聞いてませんけど、
こんなに素早く終わらせるものなんですか? 」

高雄「……今日は特別です。提督が夜まで私たちの補助無し休憩無しのお仕事なので」

提督「……」コクコク

愛宕「そういうこと」

高雄「はい。……と、いうことで。三月十八日の誕生石はエピドート。石言葉は“ 責任感 ”」

愛宕「へぇ……」チラッ

提督「…………」

高雄「誕生花はハナミズキ。花言葉は“ 夢中 ”と“ 幸福 ”」

愛宕「…………」

提督「…………」

高雄「提督の代わりですが……誕生カクテルはアレキサンダー。
カクテルワードは“ 前を行く冒険者 ”」

愛宕「冒険ねぇ……ふーん……」

提督「…………」

高雄「…………はぁ」





天城「…………なんですかこの雰囲気。…………まぁ、いい気味ですけど」


< 待つことも幸せ >





提督「…………いいのか? 」

高雄「ええ。今夜は愛宕を連れて行ってあげてください」

提督「……俺が言うのもなんだがお前も来たいんじゃないのか」

高雄「そうですね。……前にも言いましたが私はあなたと愛宕を同じくらい想っているので」

提督「…………そうか」

高雄「…………でも、いつか連れていってくださいね」

提督「あぁ、約束する」

高雄「はい。さ、今夜はあの子だけの王子様ですから。迎えに行ってあげてください」

提督「……じゃあ、行ってくる」

高雄「いってらっしゃい…………佳い夜を」


酒に飲まれたのは明石さんではなく>>1というオチ

ありがとうございました


< 光る金糸がよく映える >





提督「…………よくそんなの持ってたな」

愛宕「悪い? 」

提督「いや、悪かないけど」

愛宕「そう」

提督「……似合ってるよ」

愛宕「ありがと」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………あなたの単車見たときからずっと期待してたんだから」

提督「あぁ……ごめん」

愛宕「いいけど。……うーんと飛ばしてよね。苛々とか振り切れるくらい」

提督「法定そ……まぁ、わかったよ」

愛宕「さ、出発出発」

提督「はいよ。手、腰に回してくれ」

提督(ライダースーツがここまで似合うってのもすげぇな。
あのファスナー今度触らせてもらおう)


< 二人だけの展望台 >





愛宕「海の見えない場所って始めてかも」

提督「まぁ、山奥だしな」

愛宕「……よくこんな場所知ってたわね」

提督「いや? なんとなく走らせて偶然着いただけだよ」

愛宕「よくそれでこんないい眺めの場所に……それ、今日よね? 」

提督「ん? ……あぁ、お前と来たのが初めてだ」

愛宕「そう……よかった」

提督「…………ごめんな。軽率だった」

愛宕「…………それはもういいの。一日一人で執務こなしてもらってそれでチャラ」

提督「…………」

愛宕「ただ……私と高雄もまだだったのに雲龍を単車に乗せたのはねぇ」

提督「……それも含めて、な。軽率、というか周りが見えてなかった」

愛宕「本当に、ええ。周りが見えていなくてもいいから、
私だけ見ていてくれればそれでよかったのに」

提督「…………今は」

愛宕「…………」

提督「今はお前しか見えねぇよ」

愛宕「当たり前じゃない。そうじゃなかったら許さないわよ」


< 伝えたいことがまとまらない >





愛宕「……加賀さんが来たときには受け入れられると思っていたのに」

提督「うん? 」

愛宕「ダメね。私、兵士としての矜恃も兵器としての意識も失ってきてる」

提督「…………悪いことじゃないだろ」

愛宕「んーん、悪いことなのよ。私にとっては。
どんどん人間らしくなるってことは素晴らしいことに聞こえるけど」

提督「…………」

愛宕「人間を馬鹿にするわけじゃないわよ?
ただ……私は提督が好きになった私でいたいから」

提督「俺はお前が仮に人間で……たとえば同級生だったり同僚だったりしても好きになったはずだぞ」

愛宕「ありがと。……でもね。私これでも艦娘としての自分が誇りだから」

提督「…………」

愛宕「……狭い世界であなたが皆の希望なら。
私はそれを独り占めしちゃいけないって思ってたのに。
思って、たのに…………私は」

提督「…………それが、普通なんだよ」ギュッ

愛宕「私、あなたの特別でいたいから……だから……普通、なんて」ギュッ

提督「……………………胸、貸すよ」


< 月が、星が、夜空が >





艶やかな金糸の大河が不規則にゆらりゆらりと揺れ動く。

大泣きという程大袈裟でもなく、ただ単に涙を零すという程簡単でもない。

複雑で自分さえ何に涙を流すのか完全にはわからない彼女。

悲しいから泣くのではない。

痛むから泣くのではない。

さりとて嬉し泣きでは決してない。

行き場の無い感情が溢れ出て身体を軽くするためのそれは自浄だった。

嗚咽を堪え、涙を彼の服の布地に染み込ませながら何かがゆっくりと溶けてゆく。

肩を抱き胸板に押し付けるように彼女を抱き寄せた彼も、また。

黒光りする特異なスーツは撫でるにはやや不向きで、
自然と肩に回したのと逆の手は嗚咽で揺れる髪の束の始まりからその下へ。



「…………あったかいな」

「ふふ…………生きて、いるから」



人間ではない。人間ではありたくないと漏らした彼女。

それでも生きていることは確かだから。

涙を流し身体を苦悩で震わせ深く懊悩する。

彼女は彼女として。

彼も彼女を彼女として。

人間ではないなにか別のモノを定義するには決定的になにかかが足りないけれど。

彼と彼女と。

その他に何人かを知っておきたいだけならば。

今は。今だけはそれでいい。



「……………………月が綺麗だな」

「……………………ええ、本当に」



< どれだけ辛くても愛は >





提督「…………満足した? 」

愛宕「ぜーんぜん」

提督「それは困った」

愛宕「これからは今までよりも一層私を楽しませてよね」

提督「おう、努力する」

愛宕「あー……でもね」

提督「なんだ」

愛宕「…………もし、加賀さんや雲龍や……誰か別の人に求められたときに。
少なくとも私に気兼ねする必要はないから」

提督「…………」

愛宕「提督自身とか高雄のことは知らないけど。
……私はあなたが好き。でも皆の希望でいてほしいから」

提督「…………」

愛宕「狭くて息苦しくて戦場で気を張って。
そんな特殊な環境にいる私たちだから。
同じ世界にいるあなたを求めるのは仕方ないと思う」

提督「…………そうか」

愛宕「うん。最後に私のところへ帰ってきてくれるなら。
それならあくまであなたを貸すくらいなら。許さないといけない気がして」

提督「…………まったく。なんでお前はお前なんだろうな」

愛宕「それは…………提督が提督だからでしょう? 」

提督「はっ……違いない」


< 愛LOVEユー >





提督「それにしても……月が綺麗だなぁ」

愛宕「ふふ……そうね」

提督「満月とか三日月でもないんだが。
やっぱあの独特の光り方がいいのかな」

愛宕「……月の光は太陽の光」

提督「あぁ、聞いたことあるよ」

愛宕「まるで、そう……私たちみたいに」

提督「俺が……いや、どっちでもいいか」

愛宕「ええ、どうせ意見合わないでしょ」

提督「…………帰るか」

愛宕「そうね、高雄が待っているもの」



< 一方で >





雲龍「ん……よく待てるわね」

高雄「あなたが付き合ってくれますから。こんなにいい酌婦もなかなか」

雲龍「酌婦って……まぁ、私から見ればあなたが、だけど」

高雄「……待つ、ということに楽しみを覚える者もいるんですよ。
私はこのなんとも言えない焦燥感みたいなのが好きです」

雲龍「……趣味悪い」

高雄「今更なにを」

雲龍「…………私は割とまともな部類だと思うけど」

高雄「はっ……つまらない冗談ですね」

雲龍「本気なのに……」

雲龍(待つのが好きってより私相手に喋り続けて発散してるだけじゃない。面倒な酔い方してるし……)


< さらに他方で >





天城「大丈夫ですか? 」

明石「はい、さすがに一日寝て過ごせば」

天城「そうですか。次回から飲むときは抑えるんですよ? 」

明石「そうします。ザルとかワクと飲むのがこんなに辛いとは」

天城「むっ……並だと思っているのですが」

明石「いやいやいや……さすがにそれはないです」

天城「はぁ……」

明石「……もう、寝ますね。色々ありがとう。
お水持ってきてくれたりとても助かりました」

天城「いえ、普段から助けていただいてますから。
……明日……あぁ、もう今日ですか。よろしくお願いしますね」


< あれから暫く >





天城「姉さ」

雲龍「天城っ……ちょっと助けて」

天城「はい? 」

高雄「大体ですね……愛宕はズルいんですよ。
いつもいつも積極的にいくのにときどきしおらしくなったり泣いてみたり。
私だって、私だって……」

天城「」

雲龍「さっきまでは普通に飲んでたんだけど……」

高雄「なんなんですかもう……私がお姉ちゃんなのにぃ」

天城「……この基地大丈夫なんですかね。
責任者と補佐一人は抜け出してもう一人は飲んだくれって」

雲龍「…………私たちがいるから、まぁ」

天城(姉様もかなり酔ってると思いますけどね。明石さんは寝たし。
……もしかしてまともに動けそうなのって私だけですか? )


< 帰ってきた >





提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………ぅん…………Zzz」

提督「…………なにがあった? 」

愛宕「天城は着替えさせて寝させたって言ってたけど」

高雄「…………Zzz」

提督「…………滅茶苦茶はだけてるしさぁ……なんで一升瓶抱えてんの」

愛宕「さぁ? 」

高雄「…………しゃけぇ…………Zzz」

提督「鮭? 酒? ……とりあえず服直してやれよ」

愛宕「そうね。瓶で殴られないといいけど」

提督「いや、さすがに……」



< 過保護 >





提督「あれ……鼻血出てる」

愛宕「大丈夫? 」

提督「まぁ、詰め物しとけば大丈夫だろ」

高雄「これ、コットンです」

提督「ありがとう。……うーん、疲れてたかな」

愛宕「二日連続で朝帰りだったものねぇ」

提督「そんな負担にはなってないと思うんだが」

高雄「……なら、今夜も行きますか? 」

提督「いいよ」

高雄「や、行きませんけどね。しっかり休んでくださいよ」

提督「……そう? 」

愛宕「お酒も今日は控えてね? 」

提督「えぇ……」

高雄「当然です。なに考えてるんですか」


< 嬉々として語る >





明石「工作艦明石、今日は大丈夫です」

提督「おう。じゃあ説明頼む」

明石「了解です! ……と、言っても大した説明というほどの説明なんてないんですけどね」

提督「そうなのか。うーん……じゃあその新兵装の具体的な効果はなんなんだ? 」

明石「効果はですね現行の艤装能力と能力発現時の身体能力を強化・向上させることです」

提督「なるほどな。だから強化パーツみたいなこと書いてたのか」

明石「はい。まぁ、理論的には思考野を強制励起させて演算能力を拡大させるものなんですが……」

提督「聞いてもわからないし興味ないな」

明石「でしょうね……ただですね。
内容は兎も角これを行うエネルギーには興味が湧くと思います」

提督「はーん? 」

明石「なんとですね……資源や開発費の乏しいこの国の限界を越えるための画期的な」

提督「ほーん」

明石「…………少しくらい語らせてくださいよ。いじけますよ」



< いいから聞け >





明石「まぁ、仕方ありませんね……簡単に言うとある種の想いをエネルギーにするわけです」

提督「は? 」

明石「人間も艦娘も誰しもが意識や想いの指向性を持ってますからね。
そのベクトルの向きと元を動かせば半永久機関として成り立つわけです」

提督「いや、ちょっと待て。今度は説明が雑すぎる。
まるで意味がわからんぞ」

明石「はぁ……や、じゃあレクチャー用にまとめた箇条書きがあるのでそれ見てください。
それでわからなければ最初から理論立てて説明するので」

提督(まるでわからなければいいみたいな顔してやがる……。
誰かちゃんと聞いてやれよ。俺は嫌だけど)


< 明石さんの簡単解説 >





弌、新兵装は正式採用までケッコンカッコカリと称する

弐、この兵装は強い想いの執着を互いに持つ者同志が、
相互に装備することで効力を発揮する

・、ただしあくまでもこの強化は、
意識のベクトルをエネルギーとするため強い想いがなくては効力を発揮しない

肆、なお兵装の形は想いを確実にしダイレクトに意志を向けることができるように、
指環の形にするものとする




提督「わっかりやすっ。最初からこう言えよ! さっきまでの前フリいらねぇよっ。
つーか、なんだこの名前! 」



< ロード・オブ・ザ・指環 >





提督「で、まぁなんだ。その指環を嵌めれば燃費が向上して、
さらには一発の威力も上がるって? 」

明石「はい! まさにこの国の実情に即した発明ですね」

愛宕「……指環、ね」

高雄「……私たちの指に合うんでしょうか」

提督「そこかよ問題は……あ、ちょっと待て。
これって一応は婚約指環みたいなものだろ?
本式の結婚指環じゃないとしても複数と契約、というか使えるわけ? 」

明石「理論的には。まぁ、本来は一対一が理想であって複数の艦娘と契約して、
万が一依怙贔屓による破局や心変わりがあった場合は割と悲惨なんですが」

提督「ひえー」

愛宕「ま、私たちの仲が認められたってことでしょ?
私と高雄は今のところお互いを認め合ってるし」

高雄「三人で指環を交換する、というのも悪くありません」

明石「と、いうことです。完全な机上の空論ですが、
もし仮に十字架の御子がいたなさとして、
その忠実な信徒たちにこれを配ったならば」

提督「全ての指環が効力を発揮すると。……慈愛と平等ね」

明石「そういうことです。式を挙げるってわけにはいきませんけどね」


< 年にイニシャルに愛の言葉 >





明石「ちなみに現物はこれです」

提督「……ほう」

高雄「ちゃんと箱に一つずつ入ってるんですね」

愛宕「これ嵌めればいいの? 」

明石「はい。ただ、一度嵌めれば自動でチューニングされるので、
首に掛けるなりポケットに入れるなりしても大丈夫です」

高雄「これって使い回しとかはできたり? 」

明石「うーん……さすがに難しいと思いますよ。
指環自体はただの指向性操作装置ですから不可能ではないでしょうけど。
高雄さんも他の女性が提督に嵌めてもらった指環を自分のものにはしたくないしできないでしょう? 」

高雄「そう、ですね」

明石「大事なのは提督と高雄さんの結びつきとそれへの意志のベクトルです。
それをエネルギーに変換するわけですから、
指環にもある程度執着していただかないと困ります」

愛宕「うーん……プラチナはいいんだけど……どうせならこの人に選んでもらいたかったのは確かねぇ」

明石「それはいずれ本物を貰ってくださいよ。
これは婚約だと思って次は結婚指環を」

提督「…………そうだな。それがいい」


< 節操くらいある >





提督「……ちょっと出てくれないか」

明石「はぁ」

提督「その……これを嵌めるだけだろ?
それなら俺だけでもできるし」

明石「そうですけど」

提督「色々言いたいこととかもあるしな。
雲龍と天城が艤装の整備してるはずだから。
見に行ってやってくれないか」

明石「……わかりました。遅れないでくださいね? 」

提督「なんでだよ」

明石「ほら、感情が昂ぶって燃え上がったり? 」

提督「ねぇよ。ほら、さっさと行け」


< こもっているのは力だけだから >





バタン



提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「……それだけどさ。ずっと嵌めていたい? 」

高雄「はぁ」

愛宕「どういうこと? 」

提督「提案なんだけど、その指環今嵌めたら首に掛けておかないか。
確かそれに使えるチェーンは持ってるから」

高雄「なぜそんなものが……というのは置いておいて理由を訊いても? 」

提督「……俺が自分で選びたいから」

愛宕「ん? 」

提督「二人には……別の機会に三人で選んだ指環を渡したいんだ。
明石には悪いがそれには仮初めの想いしか宿ってないと思う」

高雄「なるほど」

提督「もし嵌めていたいなら止めないが……できれば俺の見えるところではやめてほしい」

愛宕「わかった。私はいいわよ? むしろそうしてほしいくらい」

高雄「そういうことなら。私も愛宕と同じ意見です」

提督「そうか。……ありがとう」


< 光差す窓の下で >





提督『…………今までも、そしてこれからも……俺と共にあってほしい』

愛宕『ええ、私こそ』

高雄『死が私たちを別つことの無きように、尽力しましょう』





………

……………



提督「…………写真なんていつ振りかな」

愛宕「さぁ? でも三人だけで撮るのは初めてのはず」

高雄「これからは何度も撮れるといいですね」

提督「あぁ……ほら、もっと寄って」

愛宕「はーい」ギュッ

高雄「では……」ギュッ

提督「タイマーくるぞーー」





提督(殺風景な部屋にそこだけ輝いて見えるような。
そんな存在があってもいいんだと。
そう思えるようなこの幸せがいつまでも続きますように)


< 科学の発展に〜(中略)〜デース >





提督「よっ、待たせたな」

明石「もういいんですか? そんなに待ってませんけど」

提督「おう。今更長々とお喋りして誓い合う仲じゃねぇから」

明石「おおう……ご馳走様です」

雲龍「……私たちも準備できてるけど。始める? 」

天城「まさか観測機ばかりの出撃とは……これが左遷? 」

明石「この後には攻撃機の出番もありますよ。
とりあえずはお二人の単純な能力の伸長を計測します」

提督「高雄と愛宕は海上へ。雲龍と天城は湾から観測機の操縦。
で、俺と明石は隣でモニタ観測か」

明石「ふっふっふ……我が最高傑作の運用第一号ですよぉ……! 」

提督「おい、人格変わってるぞ。直せ直せ」


< 強さは誰がため >





明石『えー、じゃあまずは砲塔などの艤装を最大展開してください』

愛宕『いいの? 最大限に出しても完全な操作はできないけど』

明石『はい。まずはどれだけ展開数を増やせているかを計測。
その後徐々に展開を減らして基準値を満たした操作を何基からできるかを確認します』

高雄『なるほど……では』





………

……………



愛宕「うーん……なにか変わったようには思えないけど」

高雄「展開数は増えたし砲弾の初速は速くなってたじゃない。
疲労度に比べて今までより火力が上がったということでしょう」

明石「そういうことです。むしろ理論値より大幅に能力の向上が見られましたけどね」

愛宕「と、いうことは……私たちの結びつきが」

高雄「強かったということでしょう。……なかなか嬉しいものですね」

愛宕「本来は想いの程度なんて形や数字には現れないものね。
これは艦娘である特権かしら? 」

明石「…………惚気はあっちでお願いします。はい」


< 花自体は綺麗 >





提督「本日の誕生花だが」

明石「はぁ……今、四人の模擬戦闘中なんですが」

提督「いいじゃんいいじゃん。俺暇なんだよ」

明石「暇でいいじゃないですか」

提督「だって、ねぇ? 」

明石「ねぇ、じゃないですが。……まぁ、聞くだけは聞きますよ」

提督「よし。んん……三月十九日の誕生花は芥子。
花言葉は“ 幸せ者 ”。芥子と言えば真っ赤で綺麗な花だな」

明石「…………普通は危ない使い方の方思いつくと思いますけど」

提督「…………」

明石「あー……あと芥子粒はおクスリの原材料ですが、
芥子の葉は新鮮だとレタスのような味で、
なかなかに美味しいサラダになるそうですよ」

提督「お、おう……どこで知るんだそんなこと」

明石「科学者の嗜みです」

提督「…………何言ってんだこいつ」



< 人にはあらず、化け物にもあらず >





提督「あー……続きまして誕生石」

明石「わー……楽しみー」パチパチ

提督「雑な扱いでも嬉しいぞ。……誕生石はバイカラークォーツ。
石言葉は“ 社会的 ”、“ 行動力 ”、そして……“ 人間らしさ ”」

明石「人間らしさ……ねぇ」

提督「一応はいい意味の言葉だろ」

明石「それは提督から見れば、でしょう?
私たちにとっては必ずしも褒め言葉ではないです」

提督「……そういうもんか」

明石「提督にこの感情を理解していただくのは難しいでしょうけど……。
そうですね、提督が女らしさを褒められるような」

提督「んー……? 」

明石「別に嬉しくないというわけではないです。
ただ、あまりにも自分や自分の目指すものから外れているんです」

提督「なるほど……わからないけどわかったよ」

明石「……感覚的にはわかっているはずですよ。
そうじゃないと高雄さんも愛宕さんも……私も好意を持ちませんから」


< 中破しなくても割と…… >





雲龍「…………けふっ……」

天城「姉様……大丈夫ですか? 」

雲龍「大丈夫……模擬弾だったし」

提督「そうか……中破しないのか……」

明石「あったりまえじゃないですか」

愛宕「ていうか……そんなに見たいの? 」

提督「見たい」

高雄「……中破といわず大破させて差し上げましょうか? ……あなたを」

提督「や、遠慮します、はい」


< 感度に感動 >





提督「で、どうだった? なんか変わった感じした? 」

愛宕「そうねぇ……なんとなく身体は軽かったし、
判断力とかも上がったような」

高雄「視野は広がったように感じますね。
感覚も鋭敏で背後の艦載機も認識し続けることができました」

提督「そうか。……感覚が鋭敏になる? 」

愛宕「……また、ダメなこと考えてる顔ね」

高雄「変態チックな……」





提督「触ったときに感じやすくなったりするのか? 」

明石「知りませんよそんなこと。試してみればいいんじゃないですか」


< 名前が少し気恥ずかしい >





提督「で、まぁ新兵装のえー……まぁ、名前はいいや。
兎に角実験の成功を祝して本日も細やかなお酒タイムです」

愛宕「結局飲むのね」

提督「そりゃお前。鼻血程度で断酒とかするなら最初から飲んでねぇよ」

高雄「なにを意味のわからないことを……」

提督「で、三月十九日のカクテルはアプリコットフィズ。
カクテルワードは“ 伝統や文化を重んじる自信家 ”、だ」

明石「あっ、これ凄く飲みやすいです。甘い香りなのに酸味も程よく効いてて」

提督「それはよかった。こいつはアプリコットのブランデーをベースに、
レモンジュースをシェイクしてる。
砂糖とソーダは適量だな」

天城「ブランデーにも沢山種類があるのですね。天城、また一つ賢くなりました」

雲龍「だからと言って飲みすぎないでね。……あなたもよ、明石」


< 折れそうな腰に手を >





提督「高雄」

高雄「はい」

提督「……別に今日から何か変わるわけじゃない」

高雄「……そうですね」

提督「それでも、ケジメとしてかな。
ちょっと目、瞑ってくれないか」

高雄「……はい」

提督「…………」ギュッ

高雄「ぁ……」

提督「……ん」

高雄「…………こんなに優しいキス……久しぶりです」ギュッ

提督「そんな言い方だと俺が乱暴なキスしかできないみたいじゃねぇか」

高雄「……いつも貪るだけ貪るくせに」

提督「…………お前が悪い」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………あなたと出会えてよかった」

提督「あぁ……俺もだ」


< 咲き誇るあなたへ捧ぐ >





彼女と共にあると心にまるで太陽ができたように暖かくなる。

彼女が笑えば世界にまるでもう一つ太陽ができたように輝く。

彼女と苦難を味わえば全てを敵に回してもよいと思えるほど自分の強さが感じられる。

彼女が泣けばその強さもたちまち使えないガラクタにさえ感じる。


可愛らしい小さなそれでいて本人の意志を示すようなやや鋭い耳を隠す程度には長い髪の房も。

短く切り揃えられてともすれば男性らしさすら醸す後ろ髪のハネも。

長めの前髪の中にあって一部だけまっすぐ揃えられた前髪も。

そして細く、しかし力強さも感じる足の指先も。

その上から下まで全てがとても狂いたくなる程に愛おしい。



「…………指、細いな」

「…………あなたのそれは逞しいです」



抱きしめあって、折れてしまいそうになるくらい反った背中を支える。

もう片方の腕は彼女の片腕と同じ形に曲げて。

絡めあったその指先同士がひんやりと、しかし確かな生の体温を伝える。



「…………お前といると幸せって怖いんだなって」

「…………ふふ、身に余る言葉です」



薄暗い寝室でおとことおんなが。

男に見えて少年のようで。

童女のようで牝のようで。



間違いなくこの夜の主役は彼らだった。



< 機微とは万化 >





愛宕「高雄は上手くやってるかしら」

雲龍「あなたはここにいていいの? 」

雲龍(これ昨日と同じ役回り……)

愛宕「ええ、昨日の……もう今日だったけど。
あのときに私は十分もらったから」

雲龍「そう……」

明石「…………妬けますねぇ。高雄さんもですけどあなたのその余裕に」

愛宕「ふふ……悔しかったらあの人を振り向かせてみせなさいな」

明石「あの人よりもいい人、とは言わないんですね」

愛宕「あの人よりもいい男がいるわけないでしょう? 」

雲龍「……そうね」

天城「はっ……」

愛宕「……諦めなさい。少なくともこの場であの人を嫌ってる人なんてあなたくらいなんだから」

天城「……嫌ってはいませんよ。単に認められないだけです」

愛宕「そう。……あなたが絡め取られないことを祈っているわ」

天城「当たり前のことを。祈る程のことではありません」

明石「…………ははは……そうだと、いいですね」


どうしても天城さんが拗ねる
それはなぜでしょう……?

ありがとうございました



< ふと周りを見渡して >





高雄「…………Zzz……ぅぁ……」

愛宕「……んぅ…………Zzz」

提督「…………んー……よく寝た」

高雄「…………Zzz」

愛宕「…………Zzz」

提督「……ふぁ…………幸せ過ぎてハゲそう」

高雄「…………Zzz」

愛宕「…………Zzz」


< もちろん無い方がいい >





提督「マリッジブルーとかなかったな」

高雄「本式のものではありませんし。
そもそも唐突すぎてブルーになるものでは……」

愛宕「マリッジブルーって結婚後にすれ違ったり、
他の男に目移りすることよね? 」

提督「ん、そう聞くな」

愛宕「それならあるわけないじゃない。
最初から普通の結婚よりも濃いことしてるし、
他の男なんていもしないんだから」

高雄「ですね」

提督「陸軍のやつらとかすぐ近くだぜ? 」

高雄「……目移りしてほしいんですか? 」

提督「……そういうわけじゃない」

愛宕「高雄ー、二人でしけこんじゃうー? 」

高雄「遠慮しておきます。割と本気で」


< 本人にその気はない >





高雄「多くのカップルは男性側からプロポーズするので、
男性側は覚悟しているけど求婚される側は、とも聞きます」

提督「なるほどな」

愛宕「私たちの場合確かに提督からだったけど……切っ掛けは明石? 」

提督「あいつがキューピッドだと言えなくもないのか」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

高雄「……キューピッドにしてはマッド過ぎませんかね」

愛宕「とうも立ち過ぎよ」


< あくまで彼の妄想です >





提督「艦娘の嫁姑問題! 」





高雄『愛宕さん? ここ、まだ汚れが目立っていますよ』

愛宕『すみませーん。そこ掃除してたの提督でーす』

高雄『……息子に掃除をさせたの? それはもっと問題じゃない』

愛宕『でもー、彼がー、やってくれるって。やさしー☆ 』

高雄『そこに直りなさい。そもそも最初から私は気に入らなかったのよ。
チャラチャラした髪してなんか日本人じゃない容姿みたいで』

愛宕『これは地毛で……ここは自前よーっ。キャハッ』





愛宕「私こんな頭の緩い感じに見られてるの? ちょっとショックなんだけど」

高雄「なぜ私が提督のお母様役なのです」

提督「そもそも母さんこんな人格じゃなかったわ。色々すまんな」


< 割とありそう >





愛宕「こうでしょ」





提督『高雄さん……でしたっけ? 』

高雄『はい。お義母様』

提督『すみませんねぇ……うちの息子だらしがなくて。
折角こんな美人で気立てのいい方をもらったのに』

高雄『いえ、彼は私のことを考えていてくれますから』

提督『そうかしら……そうだといいのだけれど』

高雄『はい。……あっ、そうだ。昨日彼が珍しい茶葉を見つけてきてくれたんです。
一緒にどうですか? 』





提督「理想的な関係だなおい」

高雄「私はここまでできませんよ」

愛宕「ふふ……女の子の方が妄想は得意なのよ」


< 既に遊び >




高雄「そうですね……私なら」





愛宕『ちょ、ちょっと今隣にお義母様がっ』

提督『いいじゃん。最近ヤってないから溜まってただろ? 』

愛宕『そ、そうだけ……で、でもダメよ。もし暴露たら……』

提督『暴露るかもってなると……燃えない? 』

愛宕『そんなこっあぁぁぁっ……ダメぇん……』





提督「おかしいだろ。母さんどこにも出てきてない。嫁姑問題どこいった」

高雄「でもかなり可能性としてはありそうでしょう? 」

愛宕「その場合は私が責めでしょ」

提督「そういう問題じゃあない」


< そして >





提督「でもなぁ……母さんも父さんも普通だからな。
いきなり女二人連れてったらどうなるんだろ」

愛宕「それは……なんとかするしかないでしょ」

高雄「そもそも二人で済めばいいのですが」

提督「……まぁ、今のところ同居するつもりもないしな。
別に必ずしも認めてもらわなくても」

愛宕「それはダメよ。提督にそんな負担をかけるわけにはいかないわ」

提督「別に負担では」

高雄「私たちには親、という存在がいませんからね。
できることなら義理の親となる方たちには認めてもらって、
それで祝福していただきたいのです」

提督「そ、そうか……いきなりガチの話ぶっこんできたな」


< 慰めはいらない >





雲龍「……自分を自分で慰めたこと、ある? 」

明石「は? ……それはどういった意味でしょうか」

雲龍「それはもちろん指でこう」スッスッ

明石「あっ……やっぱり。できれば別のことであってほしかったんですけど」

雲龍「今更取り繕う程のことじゃないし。……で、どうなの? 」

明石「…………ないわけじゃないですけど」

雲龍「そう。……虚しくならない? 」

明石「そりゃあ……でもそういうものでしょう」

雲龍「…………もういっそ天城でも取り込もうかしら」

明石「やめてあげてください。泣きますよあの人」


< 絡みつくのは意志か手足か >





明石「というかあの人そっちじゃないんですか? 」

雲龍「そっち……? あぁ、別にレズとかじゃないわ」

明石「やたら姉様姉様言ってる印象だったんですけど」

雲龍「それは提督がいて警戒していたから。
あの子真面目なだけなのよ。だからレズとかではないはず」

明石「ははぁ……じゃあ取り込むのなんてもっと無理じゃないですか」

雲龍「ええ、そうなのよ。……あなた、してみる? 」

明石「嫌ですけど…………よっぽどのときならあるいは」


< 実はいた >





雲龍「えっ……どうして断らないの? 」

明石「……言い出したのあなたじゃないですか」

雲龍「だって……断ると思ったのに」

明石「…………私もですね。それなりにストレス溜まるわけです。
で、自分で慰めるわけですがかなり虚しくて」

雲龍「そう……天城貸しましょうか? 」

明石「や、その話はさっき終わりましたよ」





天城(いつ部屋に入ればいいんでしょう……タイミングがわからないです。
あと勝手に貸し出さないでください姉様)


< ホウ レン ソウは基本ですよ >





提督「お前らいつまでここにいんの? 」

明石「酷い……用が済んだらもう興味もないということですかっ」

提督「そうだが」

明石「えぇ……そんなぁ」

提督「まぁ、それは大体は冗談だけど」

明石「完全な冗談ではないんですね」

提督「食材とかの用意があるからな。
足りなくなるようなら要請しなきゃならないし」

明石「あぁ、それなら大丈夫です。
明日か明後日に物資が横須賀から届くので」

提督「は? なにそれ俺知らないんだけど」

明石「今、お伝えしました」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……飯やらんぞてめぇ」

明石「ひえー…………マジ? 」


< 民族衣装 >





提督「愛宕はディアンドルかな」

愛宕「そう」

提督「高雄はカフタンかアオザイ」

高雄「はぁ」

提督「愛宕のディアンドルはまぁ愛宕だからいいとして」

愛宕「ひっどーい」

提督「迷うなぁ。エキゾチックさを残してやや芋っぽいカフタンにするか、
身体のラインが出て下着が浮きそうなアオザイにするか」

高雄「普通に和服でいいじゃないですか」

提督「違うんだよ……わかってない。普段着ないからいいんだ」



< 嬢ちゃん! ジョッキ一杯! >





愛宕「ていうかディアンドルってあれよね。
オーストリアあたりの民族衣装よね? 」

提督「おう」

愛宕「かなり胸元空いててえっちぃやつじゃあ」

提督「んー、でも踝までのスカートにエプロンとか露出が多いわけじゃないんだぞ」

高雄「でも胸元は空いてるんですね」

提督「やけに食いつくなぁ……いいんだよそれで。
深い襟ぐりの谷間に手ぇ突っ込みたいの」

愛宕「…………ブラウスだから今でもできるわよ? 」


< 何を今更 >





高雄「カフタンはトルコ周辺のものですね」

提督「あぁ。和服とかに近い前開長衣タイプの衣装だ」

高雄「さほど露出はありませんが」

提督「いや、俺の好み露出基準じゃないから。
……ゆったりしてて薄い生地だからかなり着やすいらしいぞ」

愛宕「男女共用なのね」

提督「だから高雄が着たあとに俺が」

高雄「させませんよ」

提督「えぇ……」

高雄「…………汗とか……恥ずかしいじゃないですか」



< 駆逐には夢を抱きたい >





高雄「本日の誕生石&誕生花」

提督「はいよ」

愛宕「ぱんぱかぱーんっ」

高雄「どうも。……三月二十日の誕生石はドラゴンパール。
石言葉は“ 無邪気 ”と“ 想像力 ”です」

提督「無邪気ってーと……駆逐の娘たちは大体そうだろ」

愛宕「浜風……潮……浦風……夕雲……」

提督「いや、彼女たちも無邪気だろ。な、そうだろ? 」

高雄「……女が無邪気。そう定義すれば無邪気ですが」

愛宕「無邪気な女なんていないのよ」

提督「あのさぁ……そういうところではプラスの想像力だけあればいいの」

愛宕「女は現実よ? 想像の中にはいないの」


< なくならないものはなく >





高雄「続きまして誕生花ですが。
三月二十日の誕生花はイエローチューリップ。
花言葉は“ 永遠の愛情 ”」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「……個人的に、だが。そんなものはないと思うね」

愛宕「……そう? 」

提督「あぁ、永遠に存在するものなんてないさ。
永遠にしようという意志はあるけどな」

愛宕「愛、なんていう曖昧なものだものね。愛には努力が必要、か」

提督「もちろん努力は惜しまないぜ?
俺は二人と永遠にいられるならなんだって差し出すさ」

愛宕「……重いわね。私もだけど」





高雄「……見つめ合ってるところ申し訳ないですが私もいるんですよ。……盛りすぎ」


< メディアと踊る >





高雄「あれから20年ですか」

愛宕「私たちは存在していないけどね」

提督「……まぁ、今だけ神妙な顔をしてるだけでいいんだからお手軽だよな」

高雄「……言いますね」

提督「ま、酒も入ってるしな。津波もそうだ。
本当に辛ければ、悲しければ、こんな綺麗事言ってる場合じゃない」

愛宕「……身内が被害に遭ったわけじゃないものね」

提督「あぁ、不幸は彼らの不幸としてあるだけだ。
それにそうあるべきなんだ。部外者の俺たちには少しばかりの慰めくらいしか出番がない」

高雄「……綺麗事だけを見ていたい、とか言ってませんでした?」

提督「そりゃな。暗い話はできれば聞きたくないさ。
……ま、大人は汚いってことで許してくれよ。こういう気分のときもある」


< 天然艦娘って誰だ >





提督「三月二十日の誕生カクテルはブラックルシアン。
カクテルワードは“ 大胆な考え方を示す無邪気な人柄 ”だ」

愛宕「それって平たく言えば空気読めない天然ちゃんじゃない」

提督「や、そんなことないだろ」

高雄「……まぁ、無邪気って柄でもないですから。
本当のところはわからないですけどね」

雲龍「私は無邪気」

提督「ダウト」

明石「私こそ無邪気ですよー」

提督「ただのマッドじゃねぇか」

天城「私は……少なくともあなたたちほどすれてはいませんよ」

提督「…………否定できない」



設定の捏造が留まる所を知らない
設定厨のサガなのか

ありがとうございました


ありがとう……ありがとう……
とても嬉しいです、はい

それと祝日は素晴らしい


< 寒波とか勘弁 >





提督「もうさすがにないよな。また来たら俺は心折れるぞ」

高雄「前回も特に被害なかったじゃないですか。
なにがそんなに嫌なんです」

提督「いやー……仕事が増えるのはちょっと」

高雄「たかだか数枚の書類に目を通して判を捺すだけでしょう」

提督「その数枚が岐路なのだよ。高雄くん」

高雄「何言ってんだか……さっさとコーヒー飲んで執務始めますよ。
今日は横須賀から物資が届くんですからね」


< 酒嫌いに通じるものが >





提督「カレーが嫌いな人とかラーメンが嫌いな人って辛いよな」

愛宕「どうして? 」

提督「大体のファミレスで出されたり付き合いで食べに行ったりするし。
つくるのもそれなりに簡単でカレーなんておふくろの味だったりするだろ」

高雄「まぁ、チャーハン頼んだりすればいいじゃないですか」

提督「ラーメンしか出ないとこあるぜ? 二郎系とか」

愛宕「あのやたら盛ったやつね……」

高雄「あれは既にそういうジャンルでしょう。
あれが出る店に入る人でラーメン嫌いとかありえませんよ」

提督「確かにそうだな」

愛宕「それに私あれ好き嫌い以前に食べられないわよ。多すぎて」

提督「……加賀なら。やつならやってくれる」


< 謎の持ち物 >





明石「三人ともリングはチェーンに通してあるんですね」

愛宕「ええ。提督に頼まれたから」

明石「ははぁ……それはまたなにゆえ」

愛宕「いつか三人で選びたいから。
そのときまで自分が見えるところでは指に他のものを通さないでほしいって」

明石「うわーお……提督の言いそうなことですけど……うわぁ」

高雄「明石さんには申し訳ないのですがやはりそこまでの愛着を湧かせるのは……」

明石「あー……大丈夫です、はい。
ようは強化が成功すればいいわけですから。
それに……考えてみれば予想してしかるべきことでしたしね」

明石(でもどうして最初からチェーンが三人分あったんでしょうか……? )


< デッキブラシでエアギターしたり >





提督「え、なに? 大浴場? 」

高雄「はい。雲龍さんたちにはシャワー付きの個室を使ってもらっていたんですが」

愛宕「やっぱり人が増えたら皆で入りたいじゃない?
それに一々お部屋のシャワー室掃除してもらうのもね」

提督「うーん……いいんじゃない? 物資搬入も割とすぐ終わったし」

高雄「では、あとの三人も集めてきますか」

愛宕「そうね。水着水着っと」

提督「水着? ……いっきに楽しそうな気がしてきた」


< 拘り >





提督「……本当さ。なんなのなの。意味わかんないの」

明石「提督。それだとアイドルなのか潜水艦なのかわからないですよ」

提督「や、別にどっちも意識してないし。……なんで水着持ってきたわけ? 」

明石「さぁ? 備えあれば憂いなし、ですから」

提督「そうだけどさ。この時期に海水浴とかもしないだろ」

明石「まぁまぁ。Tシャツから薄く透けるトップス。
その裾からチラ見えするボトム。素晴らしいでしょう? 」

提督「まぁな。……おい、裾をチラチラさせんな」

明石「またまたぁ。こういうの好きじゃないんですか? 」チラッ

提督「人工的なのはだめだ。無意識にチラ見えさせてるのがいい」





天城「……本当にこの人の考えてることは意味がわからないです。……はぁ」


< 老若男女関わらず楽しい >





愛宕「それー、それそれぇ! 」

提督「しれぇ、みたいに言うんじゃねぇ! あと冷たいからやめろぉ! 」

高雄「はっ、私にもかかったのだけど。愛宕! 」

明石「ふむ……二対一ですか。加勢しますよ愛宕さん! 」

雲龍「……じゃあ、私は提督チームで」

天城「私は姉様……いえ、空気くらいは読めますよ。
提督ぅ……覚悟してください! 」

提督「冷たっ。おい、俺ばっか狙うな。ホース恐怖症になるだろっ。
つーか、掃除開始五分も経ってねぇ。駆逐か潜水艦かよぉぉぉ! 」


< 本気で遊んだ >





提督「…………ガキかよ」ポタポタポタポタ

愛宕「…………」ポタポタ

高雄「…………」ポタポタ

明石「…………」ポタポタ

雲龍「…………」ポタポタ

天城「…………」ポタポタ

提督「…………まぁ、水と洗剤はばら撒けたな」

愛宕「……疲れたぁ。お休みしたーい」

高雄「疲れるのはこれからですよ」

提督(Tシャツが水でピタピタになってる……。
疲れたしやたら冷たいけど……やってよかった)

天城「むっ……なにやら不純な視線を感じます」


< 真っ赤な三角が三つ >





提督「赤も似合うな」

天城「はぁ。ありがとうございます」

提督「それに割と大胆なタイプの水着だよね。
戦闘衣もかなり際どいけど」

天城「……自分の魅力は広げていきたいと思っているので」

提督「なるほど。結構自信家な方? 」

天城「自分を知っているだけです。
特別美しいとか自賛するつもりはありませんけど……。
卑下するには材料がありません」

提督「ふーん……」

天城「なにか? 堅い女や冷静な女はお好きではない? 」

提督「いや、嫌いじゃない。それに俺は天城のこと、好きだよ」

天城「ッ…………! 」

提督「ま、天城が俺のことどう思おうと勝手だけどね。
……じゃあ、俺は洗剤足してくるから」


< ちょっとそこでお茶してかない? >





愛宕「あっちでさらっと妹が口説かれてるけど」

雲龍「……それなら口説いてる方は自分の男じゃないの? 」

愛宕「私はもう諦めたから。それに……ナンバーワンならいいかなって」

雲龍「そう……別に私も天城がどう思おうといいから」

愛宕「ふーん……? 」

雲龍「……それにしても流れるように口説いていったわね」

愛宕「ふふ……苦虫口一杯飲み下して顔真っ赤ってなかなか見れないわよね」

雲龍「…………あの子も認めればいいのに」

愛宕「提督がイイ男だって? 」

雲龍「それもあるけど……まぁ、いいか」

愛宕「やーん、気になるじゃないの 」


< 最低の一歩前くらい >





高雄「“ 自分は好きだけど ”」

明石「“ 君の考えはわからないな ”」

高雄「……実に身勝手な言い逃げ……口説き逃げですね」

明石「はぁ……あれ、犯罪ですよもう」

高雄「……横須賀で鈴谷が言っていたことをお教えしましょう」

明石「なんとなく予想できましたけど……どうぞ」

高雄「“ イケメン無罪 ”」

明石「やっぱり」

高雄「……あれを半分無意識で言ってるあたりがもう」

明石「半分は理解してるんですか……」

高雄「鈍感でも難聴でもありませんからね。……女の敵ですけど」

明石「いっそ難聴だったら……いや、大惨事ですね、それ」


< 何も無いところで >





愛宕「提督ー。こっちは大体終わったわよー」

高雄「こちらも終わりました」

提督「はいよ。うーん……じゃあそろそろ終わりにするか」

愛宕「はーい。ブラシはこっちに集めて」

明石「あぁぁぁ……疲れた。久々ですよこんなに身体動かしたの」

雲龍「掃除より遊んでたときの方が……ま、私も疲れたかな」

天城「姉様もあんなにはしゃいだりするんですうぇっ? 」ツルッ

明石「あっ」

雲龍「ん? 」

天城「いやっ」ゴツッ

愛宕「うわぁ……いったそぉ」

高雄「……頭から真っ直ぐ落ちましたね」

提督「いや、そんなこと言ってる場合じゃないだろ。血、出たりしてない? 」


< 背に確かな体温を >





愛宕「天城は一応提督が医務室に連れていきました」

雲龍「……おんぶで」

明石「あそこで抱きとめてたら完全にラブコメ展開だったんですけど」

高雄「まぁ、ラブは兎も角コメディじゃないですし。
……自然に話しかけながら額に手を置いて速攻おんぶしていったあたりはまぁ……アレですけど」

明石「あれなかなかできませんよね。
しかも声と口調が優しいのなんの」

愛宕「ころっとイっちゃうのよねぇ……あれ」

雲龍「……我が妹ながら心配」

明石「大丈夫ですよ。さすがに」

高雄「…………これでは何を心配して何が大丈夫なのかわかりにくいですね」

明石「えっ、もちろん怪我ですよ? 他にあるわけないじゃないですかー」


< メリハリ:正対 >





明石「でも完全に役得でしたよね」

高雄「? 」

明石「ほら……こうおんぶすると背中に当たるじゃないですか。
しかも天城さんのアレですし、今は水着と薄いTシャツだけでしたし」

高雄「あぁ……たぶん、さっきの提督はそんなこと考えてませんでしたよ」

明石「そうですか? あの性欲魔人が? 」

愛宕「魔人って……ああいうところで本気で心配しかしないところがあの人のいいところなのよ」

高雄「そもそもいつでも発情してるのはここでは愛宕だけですから」

愛宕「はぁ……? ちょーっと納得いかないんだけどぉ」

雲龍「……とりあえず片付けましょう? お昼も準備しないと」


< 保険医の真似事など >





提督「んー……額ちょっと切れちゃったかな。
でも前髪に隠れてるところだし。うん」

天城「…………」

提督「そんなんでもなかったかなぁ。大丈夫? 痛くない? 」

天城「……大丈夫です」

提督「そっか。よかったよ。傷なんて治せるけど普段痛いのは嫌だからね」

天城「あなたが……提督が大袈裟過ぎるんです。
足を痛めたわけでもないのに背負ってこなくても」

提督「嫌だった? どうしても、女の子が怪我すると、ね」

天城「はぁ……本当に、あなたは……」

提督「……」

天城「……」

提督「……じゃ、戻ろうか。それとも寝てる? 」

天城「いえ、戻ります。寝ている間に何をされるかわからないので」

提督「ひっでぇ。なんもしねぇよ」



ガチャ



天城「…………」クルッ

提督「…………? 」

天城「…………ありがとう」

提督「ん。どういたしまして」


< 好きな人の前では良く見られたい >





提督「艦娘の皆って仲いいよな」

愛宕「……そこそこじゃない? 」

提督「いや、姉妹仲悪いのとか見たことないし。すげぇな」

愛宕「…………」

提督「しかも同僚と和気藹々してるし。
俺の同期を考えたらありえないよ」

愛宕「…………」

提督「……どうした? 」

愛宕「……そのままでいてね? うん、それだけ」


< 女という生き物 >





高雄「……あの、それ本気で言ってるんですか? 」

提督「へ? 」

明石「そりゃあ、殺し合う程の人はいないと思いますけどね」

高雄「……女だらけで、しかも男が極端に少ない状況で……」

雲龍「単に猫被ってるだけよね」

提督「え、えぇ……や、理解はしてるつもりだけどさぁ」

愛宕「それだけあなたの前では猫被るのに気を付けてたってことよ。
あっ、私は違うわよ? 」

提督「…………女は女、ね。人間も艦娘も変わらないか」


< 磨く理由 >





明石「そういえば」

提督「ん? 」

明石「なかなかいい筋肉してますね。腐っても帝国軍人ってことですか」

提督「腐ってるつもりないんだけど。……まぁ、ぶよぶよして嫌われたくないから」

明石「へぇ……」

雲龍「それに体力がないと夜は戦えないでしょう? 」

明石「なるほど」

提督「なるほどじゃねぇよ。普通に義務感もあるし、
男としてカッコよくありたいの」

明石「ははぁ」

提督「女の子もそうだろ? 別に綺麗になるのは男のためだけじゃないじゃん」

雲龍「……むしろ他の女への対抗心よね」

天城「……ここで振らないでください。同意はしますけれど」


< やきう >





提督「始まったか。もうこんな時期なんだなぁ」

愛宕「提督の地元は出てるの? 」

提督「出てるよ。精々一回戦くらいしか勝てないだろうけど」

高雄「どうもこの砂っぽいのは苦手です。嫌いというわけではないのですが」

提督「選手のお母さんとかは洗濯辛そうだよな。
部内ではマネージャがやってくれたりするのかもしれないけど」

愛宕「自分で洗うんじゃない? 私はやりたくないけど」

提督「まぁ……マネージャになる人って色んな人いるからね。
彼女たちも目的があるんだよ、それぞれ」

高雄「……不純ですね」

提督「大会自体不純だもん。それでいいんだよ」


< 内心楽しみなくせに >





提督「そんなことよりさ。俺は思い出したよ。この情熱を」

高雄「はい? 」

提督「チアリーディング……いいねぇ。
今度オーダーで買うからチアの衣装着てくれない? 」

高雄「何言ってるんです……野球の話じゃないんですか」

愛宕「私はいいわよ? あなたを応援して……元気にしてア・ゲ・ル☆ 」

提督「おおうっ。なんかそれっぽい。かなりクるかも」

愛宕「ふふ……高雄も、ね? 」

高雄「……仕方ないですね……はぁ」


< アイアンハートが欲しい >





高雄「三月二十一日の誕生石はアイアン。黒鉄の方がそれっぽいでしょうか」

提督「一気に中二チックになったな」

高雄「石言葉は“ 気品 ”、“ 男性的 ”、そして“ 爽やか ”ですね」

提督「おっ、これは俺だろ」

愛宕「……男性的、よね」

高雄「……そうですね」

雲龍「……気品は……なくはないけど」

天城「爽やかとか笑わせにきてますね」

明石「全て同意」

提督「君らね……まぁ、いいや。否定できないし」


< やけに強調する >





提督「あと、今日は春分の日でお彼岸な次節だな」

天城「おはぎでもつくりましょうか? 」

提督「え、マジで? 」

天城「任務とはいえ滞在させていただくだけなのも申し訳ありませんし」

愛宕「あー……そんなの全く考えてなかったわね」

高雄「ええ、それにあまり和菓子は得意ではありませんし」

愛宕「後学のために私もお手伝いしていい? 」

高雄「あっ、私も是非」

天城「構いませんよ。お二人にはとてもお世話になっていますし。
お二人には少しでも恩返ししたいです」

提督「…………お二人には、ね」


< 一心不乱なあなたを一心不乱に >





提督「お前は見にいかなくていいのか? 」

明石「はい。私は工作だけできればいいんで」

提督「そうか。少しは料理できた方が夜食とかつくれると思うけど」

明石「や、夜にインスピレーションきたらそれしか考えられなくなるタイプなんですよね」

提督「それ身体に悪いだろ。誰か見ていてくれないと」

明石「提督」

提督「あ? 」

明石「提督が一日中見ていてくれてもいいんですよ?
今なら工学系女子を養う権利が無料で」

提督「……まともにつくれるのチャーハンと菓子類くらいだぜ? あとつまみ」

明石「ま、まぁそれでもなんとか」

提督「つーか、俺晩酌に付き合ってくれない女は嫌だ」

明石「我儘ですね。……人並み以上には飲めるんだけどなぁ。
他の人がワクすぎるんですよ」


< 草の根掻き分けてでも >





高雄「誕生花はマダガスカルジャスミン。
花言葉は“ 二人で東へ ”と“ 自惚れ ”」

愛宕「愛の逃避行? 」

提督「軍紀違反かもしれん」

雲龍「そもそもそれの主役が自分って考えるあたり自惚れじゃないかしら」

提督「だってほら……俺って主役っぽいだろ? 」

天城「…………はっ」

明石「鼻で笑われてますよ。……私と逃げますか? 東でも西でもいいです」

愛宕「何から逃げるのかしらぁ? 」

高雄「まったくです」

明石「ははは……冗談ですよ」

提督「…………そら……鬼嫁? 」

雲龍「誰にとっての鬼なんだか」


< 美味ければ大概許せる >





提督「三月二十一日の誕生カクテルはブラックベルベット。
カクテルワードは“ 自然を愛する叙情家 ”」

雲龍「これは……ビール? 」

提督「おう。今回はスタウトだけどギネスとかでもいいな。
それにシャンパンを同じ量。
ヨーロッパの伝統的なカクテルらしいぞ」

高雄「少し炭酸が強いですね」

愛宕「しょっぱいおつまみが欲しいわね」

提督「はい、ピスタチオ」

愛宕「ありがと。…………提督、よくそんなのと一緒に飲めるわね」

提督「これ? だって美味いじゃん」

天城「…………嬉しいですけど……ビアカクテルとおはぎ? 」


< 気付けば懐に入られている >





天城「…………姉様」

雲龍「なに? 」

天城「あの男、危険ですね」

雲龍「あぁ……そうね」

天城「なんとなくですけれど……好かれる理由がわかった気がします」

雲龍「天城も? 」

天城「いえ、それはありません。
ただ……理解はしました。認めたくはありませんけれど」

雲龍「…………」

天城「……頑張ってくださいね、姉様」

雲龍「……ありがとう」

雲龍(あなたも、ね)


今日は祝日で明日は日曜
なんて素晴らしい酒日和
天城さんにお酌してもらいたいなぁ……

ありがとうございました


背中を刺されないように気を付けてくださいね

また寒波が来るらしい
本当にやめてください


< 夢でもあなたと >





高雄「……私は……私なら殺せます」

提督「ふぁ……ふぁ? 」

高雄「きっと……そのあと泣いて泣いて……後を追うでしょうけど……」

提督「…………」

高雄「…………たとえ……あなたが罪を……犯したとしても…………」

提督「…………」

高雄「あなたを殺した自分を…………私は……私は許せません」

提督「…………」

高雄「…………それに……そんな汚れた自分を……許せない」

提督「…………」

高雄「……愛宕にも、合わせる顔が…………Zzz」





提督「……本当に寝てるんだよな? な? つーか、どんな夢だよ」


< 進水を誕生日とした場合 >





提督「この中で一番の年上って一応は高雄だよな」

高雄「……あくまで前身の艦艇である重巡洋艦は、ですけどね。ちなみに1930年の5月12日です」

愛宕「次は私ね。お姉ちゃん? ……私は1930年6月16日」

明石「そこからかなり飛んで私ですね。1938年6月29日」

雲龍「私と天城は特殊だけれど……とりあえず1943年9月25日」

天城「同じく10月15日です」

提督「……高雄よ。頼むぞ」

高雄「なにをです。お年玉でも差し上げましょうか? 」

提督「くれんの? 」

高雄「……ふふふふふ……何がいいかしら」

提督「あ、やっぱいいや。うん。あと年齢のことはもう言わないぞ。今決めた」


< 本日のデザート:焼きプリン >





愛宕「はい、あーん」

提督「あーん」モグッ

愛宕「美味しい? 」

提督「ん、美味しいよ」

高雄「…………」

雲龍「…………」

明石「……よくこの衆人環視の中そんなこと臆面もなくできますね」

提督「ん? まぁ、今更だろ」

愛宕「ふふ……皆もやってみればいいのに」

高雄「…………別に」

雲龍「…………見てただけだから」





天城「…………その割にスプーン握って左右に目やってますね皆さん」


< 大富豪? 大貧民? >





高雄「で、何故かカードで勝者を決めることになったわけですが」

愛宕「勝者が提督への罰ゲームを決められるのよー」

提督「あの、俺も参加してたんだけど」

明石「提督が勝てばチャラだったんですから」

天城「……で、勝者は私、ですか」

愛宕「なんでもいいのよ? ストレス発散に張り倒すなり、
一日人間椅子になってもらうなり」

提督「お前例えがひっでぇな」

天城「そう、ですね……決めました」

雲龍「どうするの? 」

明石「……ちょっとワクワクしてません? 」

天城「提督はこの中の誰かを単車に乗せて港を見回りしてくること」

提督「は? まぁ、いいけど。いいのか? 見回りっていうけどデートみたいなものだろ」

愛宕「あらあら。どこが罰ゲーム? 」

雲龍「まさか、あなたが行きたいんじゃないの? 天城」

天城「いえ……提督には誰と行きたいかを“ 自分で ”決めていただきます」

提督「? ……! ……ひえー……不和のリンゴだよこれ。策士すぎんだろ」


< 結局選んだのは >





天城「なぜ私なのです」

提督「……そりゃあの場合一番波風立たないのは発案者だろ」

天城「……せめて姉様を選ぶべきです」

提督「それはさすがに。……それに天城と二人で海を見てみるのもいいかなって」

天城「…………そうですか」

提督「そうですよ。……寒くないか? 」

天城「いえ、暖かくなってきましたし上着も貸していただいたので」

提督「そうか」

天城「はい」

提督「…………」

天城「…………」

提督「…………」

天城「…………」

提督「…………」

天城「…………っくちゅん」

提督「…………」

天城「…………」

提督「……可愛いくしゃみだな」

天城「……くっ」カァァ…


< 嫌いではないのだけれど、でも…… >





提督「寒いんなら……」スッ

天城「? 」

提督「あっ、いやなんでもない」バタバタ

天城「……なぜ珍妙な動きをしているのですか。舞踊でも始めるおつもりで? 」

提督「や、その……癖で」

天城「はぁ? 」

提督「……寒いっていうから……いつもの癖で抱き締めようかと。
でも、天城は嫌がりそうだったから」

天城「はぁ……」

提督「……ごめん」

天城「…………」

提督「…………」

天城「……少し、寒いです」

提督「え? 」

天城「寒い、と言ったのです」

提督「…………そうか」


< 後ろから、被さるように >





天城「はふっ……手まで握らなくても」

提督「かなり冷たいぞ」ギュッ

天城「ぁ……」

提督「……思ったよりちいさい。結構思ったことを言うから印象だと大きいのかなって錯覚していた」

天城「……男性よりは、あなたよりはちいさいです。
提督は平均よりも大柄なようですし」

提督「そうだな。……すっぽり抱き締められちゃうんだ」

天城「…………何人も抱き締めたからこそわかる経験ですか」

提督「……今はやめてくれよ」

天城「…………」

提督「本来は女の子が言うものだろうけど……。
男だって今いる二人以外の名前は出してほしくないものなんだ」

天城「…………否定はしないのですね」

提督「できないよ。すれば嘘になってしまうから」

天城「…………とても……優しい……同時にひどい人」


< こちらは相変わらず >





明石「見に行かないんです? 」

愛宕「提督たちを? うーん……さすがに趣味悪いし」

高雄「そこまで品位を落とすわけにはいきませんから」

雲龍「ある程度落ちているのは認めているような言い方ね」

高雄「それはまぁ。お上品とは言えない体たらくなのは確かでしょう」

愛宕「男と女がいてお上品なんていうのは幻想なのよ」

明石「ははぁ。まぁ、それはいいんですけどね」

雲龍「……早く出してくれない? 」

愛宕「待って。高雄がクラブの7を持っているかどうか読んでいるの」

高雄「……そもそも上品であればカードを睨みつけてぶつぶつなんて言いませんね」


< 目的は娯楽です >





高雄「残念。読み間違えたわね」

愛宕「くっ……まだ、まだ取り返せる」

明石「提督と天城さん帰ってきませんしねぇ。
じゃ、シャッフルお願いします」

愛宕「はーい……次こそは」シャッシャッ

雲龍「……次は私もダイレクトな罰ゲーム狙おうかしら」

高雄「ご自由に。ただ、それをここで宣言することに意味があるかどうか」

雲龍「……牽制? 」

愛宕「全力で潰されるだけじゃないかしら」

明石「……自分が一位になろうとするか。誰かを妨害するか。
中途半端だとどちらも逃しそうですね。うーん、厳しい」

高雄「……そんな本気になるゲームじゃないでしょう」


< その頃に培われた >





明石「提督って一人っ子でしたっけ? 」

高雄「そうらしいですよ」

明石「うーん……妹とかいそうな感じですけどね」

雲龍「あとは弟とか」

愛宕「どうして? 」

明石「女の子の扱いが異様に上手いじゃないですか。
だから下の兄妹がいてそれで慣れてるのかなーっと」

愛宕「なるほどね。……単に経験の差じゃないの?
あれ私たちに会う前とか相当やってるわよ」

高雄「初めての夜の翌朝に髪をすいてもらったんですが……。
あれは女性の髪を触り慣れてる手でしたね」

愛宕「強さとか速さとかかなり気を使ってたわよ。
私でも時々ミスって抜けたりしちゃうのに」

明石「…………はぁ……可哀想ですね」

雲龍「過去の女が? それとも今の女が? 」

明石「そんなの」

愛宕「…………両方に決まってるじゃない」


< 敵を知り己を知り……敵? >





愛宕「ま、客観的に見れば可哀想かもしれないけど、
私は自分が不幸だとは思わないわよ」

高雄「同じく。客観視なんてものに意味があるとは思えませんし」

雲龍「むしろひどく主観が混ざった場というか……澱んだ関係よね」

愛宕「この場所そのものが、ね。触れてもらうことが幸せなのよ。
想い出に彼がいたとしても触れてくれないし」

高雄「過去の人が想い出を持っているかは知りませんがね」

愛宕「そもそもルックス最高、甲斐性まずまず、雰囲気重視で、
身体の相性も抜群のおまけに話も合う男と一緒にいられて不幸せとかありえないわよ」

明石「随分な高評価なんですね」

高雄「あの人も私たちをそう見てると思いますよ。……ええ、確かにこれは自慢ですね」


< それは言わない約束 >





愛宕「そういえば明石」

明石「はい? 私はハートとダイヤのキング出しましたよ」

高雄「くっ……忌々しい」

愛宕「提督にラブコメがー、みたいな話してたじゃない? 」

明石「そうでしたっけ? そういえばしたかもしれません」

愛宕「決定的にラブコメ主人公じゃない理由をおしえてあげるわ」

明石「や、結構違いますよね。難聴鈍感じゃないし、
高校生とかじゃないし」

愛宕「まぁ、それもあるけど。……恋愛運>金運じゃないところよ」

明石「はぁ」

愛宕「あまりラブコメの方はわからないけど……少なくとも提督は存分に甲斐性発揮してくれるし。
恋愛運=金運よね? 」

高雄「そうですね。……よし、ここで使いましょう。クラブとダイヤのエースです」

明石「ひえー……パス。
…………まぁ、軍人ですしね。でも明らかに複数の女の子侍らせてるような」


< 好悪は矛盾することなく >





提督「……帰ろうか」

天城「……そうですね」

提督「久し振りだよ。こんな長時間海見てたの」

天城「海軍軍人とは思えない一言ですね」

提督「左遷組だからなぁ。……前線はどうなの? 」

天城「太平洋戦線は割と安定、というよりは我々もあちらも万策尽きたという感じですね。
どちらも決め手に欠ける」

提督「なるほどな」

天城「むしろシーレーン防衛の方が悲惨ですよ。
いつ何時現れるかわからない敵の為に四六時中神経を尖らせているわけですから」

提督「……そっか」

天城「こんな平和で……澱んでいられる場所では信じられないくらいのそこは悲劇です」

提督「……俺は間違っているかな」

天城「はい」

提督「……俺のこと嫌い? 」

天城「はい」

提督「…………」

天城「…………」

提督「…………俺のこと好き? 」

天城「…………」

提督「…………」

天城「…………はい」


< 生まれながらの…… >





高雄「本日、三月二十二日の誕生石&誕生花」

明石「いぇーい」

提督「いぇーい! 」

高雄「はい、まずは誕生石ですが……ソグディアナイトです。
半透明で紫に光るタイプの石ですね」

天城「紫といえば高貴な色、という印象ですけれど」

高雄「はい。ただ、石言葉は“ 自然体 ”と“ しなやか ”。あまり高貴とは関係ありませんね」

提督「まぁ、高貴な者は自然体である、みたいにこじつけようと思えばな」

愛宕「ノブレスオブリージュ? 」

提督「うーん……や、できる人はできるのかもな。俺には無理だ」

高雄「……対等な関係と、上と下。どちらが楽なのやら」


< おふらんす >





高雄「続きまして誕生花」

愛宕「続きまして、というとなんだか芸人さんみたいよねぇ」

雲龍「シュールギャグでもしてみる? 」

高雄「やるなら雲龍さんがどうぞ。
……二十二日の誕生花はレッドチューリップ。花言葉は“ 博愛 ”」

明石「また偉いというか高貴な人っぽいですね。
博愛というと……トリコロールとか? 」

提督「自由はまぁあるとして……平等? できてる?」

愛宕「平等でしょう? 」

高雄「ですよね」

提督「うーん……それならまぁ」


< つまり平坦な者がさいつよ? >





提督「愛宕たちってさ」

愛宕「うん」

提督「艦艇の概念とか想念をヒトガタに形作ってできたわけだ」

愛宕「そうね。自覚はないけど」

提督「憑坐みたいなものだと思ってるけど。
……で、兵器の概念を宿らせているわけだから戦闘に特化してるってことだ」

愛宕「だから夜の戦いも得意なの? 」

提督「知らねぇよ。……なのにおっぱい大きかったり髪長かったりするのはどうなんだ? 」

愛宕「さぁ……? 」

提督「おっぱい邪魔になったりしないのか? 」

愛宕「肉弾戦するわけじゃないし……提督はおっぱいちいさい方がよかった? 」

提督「まさか。ありえないね」

愛宕「ならいいじゃない。私も提督が好きでいてくれるんだからこれでいいわよ」


< 真昼に戦うのもまた >





明石「さらっと流してましたけど夜の戦い、得意なんですか? 」

提督「……なんて答えればいいんだ」

明石「お好きなように」

提督「……まぁ、かなりいいんじゃない。
俺と会うまでヴァージンだったことを考えると凄まじいよ」

明石「へぇ……開発ってやつですか」

提督「人聞きの悪い。本人が得意って言ってるんだからポテンシャルだろ」

明石「……こんなことにポテンシャルなんてあるんですか」

提督「そりゃな。高雄みたいに恥じらいがあっても付き合ってくれるならいいけど……。
結局付き合ってくれないこともあるだろ?
そういう子はポテンシャルがなかったってことだ」

明石「ははぁ」

明石(この人ならいつの間にか染め上げてそうですけどね)


< リンゴはバラ科の植物 >





提督「今日のカクテルはブランデーアメリカンだが……。
ま、ただの水割りだな。ブランデーと水さえあればできるぞ」

高雄「基本はそれだけで美味しいです。王道たる所以ですね」

愛宕「そうね。そもそも普段からカクテル即行で消費して各自ロックか水かお湯か……炭酸はいないわね」

雲龍「私はハイボール好きだけど」

天城「私は……麦でも芋でも割と」

明石「……カルヴァドス。さすがにありませんよね」

提督「ん? あるぞ。フランスのじゃないから名前は違うけど。
リンゴのブランデーだろ? 」

明石「ま、マジですか。なんでもありますねここ。……ニッカ? 」

提督「あぁ。……ちなみにカクテルワードは“ 優しく見守られて成長する温厚な人 ”だ。
酒と同じく見守られて熟成されたいものだな」

雲龍「……箱入り娘を……食べる……いや、飲む? 」

提督「違う」


< もちろん量も >





明石「バレンタインのお返しは三倍というのが通説らしいですよ。
しっかりお返ししましたか? 」

提督「貰ったの前提かよ」

明石「貰わないなんてことあるんですか? 」

提督「や、貰ったけどさ。……まぁ、返したんじゃない? 」

明石「適当ですねぇ」

提督「だってあれだろ? 三倍返しってのはそれ以上でもいいんだよな? 」

明石「まぁ、それは……。そもそも三倍返しというのもお菓子業界の広告ですし」

提督「なら余裕だろ。数字で表せないくらい返したつもりだよ」

明石「そ、そんなにですか? 」

提督「? おう。なになに倍とかってのは愛情だろ? 」

明石「…………そうですね」





雲龍「…………これだからあの男は。…………はぁ」


< あなたの心を知っているからこそ >





愛宕「提督の一番大切なモノってなあに? 」

提督「うーん……まずは愛宕のを聞こうか」

愛宕「それはもちろん提督よ」

提督「……そっか」

愛宕「提督は? 」

提督「……高雄、かな」

愛宕「ふーん……」

提督「勘違いしないでほしいけど俺は愛宕にも高雄にも上下はつけてないよ」

愛宕「…………」

提督「もし同じ質問を高雄にされたら俺は愛宕って答える」

愛宕「…………なるほど」

提督「卑怯でごめんな」

愛宕「んーん、大丈夫。私も試すようなこと言ってごめんなさい」


あたごんは髪が絶対邪魔になると思う
普段生活でも煩わしいような……

ありがとうございました


まず間違いなくウェディングが絶頂になりますね
以降は下降線という……

その一瞬があるだけで生きていけるような気もしますが


< 噴き出したものは >





高雄「なぜあんなことをしたんです」

提督「興奮しちゃって、つい」

高雄「つい、じゃないです。どうするんですか。
シーツべっとりですよ」

提督「……このシーツはもうダメだな」

高雄「資源も無限にあるわけでは……というかそれよりも盛りすぎです。
雲龍さんたちが滞在してるんですよ? 」

提督「それで? 」

高雄「そ、それでって……」

提督「仕方ないだろ。誰がいようと高雄たちがエロいのが悪い」

高雄「…………」

愛宕「…………あーあ、内腿が真っ赤……。鬱血痕ってなかなか消えないのよねぇ」


< あなたのワインをいただきます >





提督「そうは言うけどな。俺だって身体中ヤバイぞ。
特に首筋なんて噛み跡が……痛ぇ」

愛宕「私より高雄が」

高雄「たわけたことを……愛宕でしょう」

愛宕「高雄が最初でしょ」

高雄「最初にというのと量や強さは違います」

愛宕「むっ」

高雄「むっ」

提督「…………どっちでもいいよ。これ絶対他人に見せられない。
今日上官とか来なくてよかったぁ」


< 噛み噛まれ吸い吸われ >





明石「うわぁ……雲龍さんたちには聞いてましたけど」

提督「なんだ」

明石「それキスマークとかじゃないですよね?
鬱血とかそういうレベルでもないし」

提督「……俺より高雄たちの方が盛ってたんだ」

明石「愛宕さんは愛宕さんで内腿がどうのって言ってましたけどね。
……今度はどうしてまた盛り上がっちゃったんですか? 」

提督「……ドラキュラ飴って知らない? 」

明石「あの舐めたら口が真っ赤になる? 」

提督「おう。で、真っ赤な肉色ってなんかさ……そそらないか」

明石「は、はぁ」

提督「……まぁ、ヴァンパイアプレイってやつ?
お互いに色んなモノ吸いまくったよ。ははは……」

明石「内容は……いえ、やっぱりいいです。
生々しすぎてここでは……や、だからいいですって」


< 偶々ナーバスだっただけ >





明石「発想が大事とは言いますけどねぇ」

提督「想像から理論を構築できない者に科学は理解できない」

明石「はぁ」

提督「気のない返事だけどそれ明石から聞いたんだぞ」

明石「あぁ、覚えてますよ? ただ……こんな斜め上に跳躍する想像力はちょっと」

提督「でもさー、楽しまないと損じゃん?
しかもマンネリで女の子がつまらないのはダメだと思う」

明石「はぁ……で、そこからなにか理論は生まれたんですか? 」

提督「え、えーっと……二人の性感帯? 」

明石「そんなの理論でもなんでも……あぁ、男女の間のってやつですか」

提督「……なんで今日こんな絡んでくるんだよ。まだ素面だよな? 」


< あの人に呼ばれたならば >





天城「姉様。起きますよ」

雲龍「あとごふん…………」

天城「まったく、だらしがないですよ?
たとえ殆ど敵襲の恐れがなくても淑女ならば」

雲龍「…………Zzz」

天城「ああ、もうっ……」

雲龍「…………Zzz」

天城「……姉様。先程提督が呼んでいましたよ」

雲龍「え? 」ガバッ

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「……あの、ごめんなさい。そんなにガッカリするとは…。
でも、折角起き上がったんですから、ね? 」

天城(キラキラして目を開けて徐々に冷静になって状況を把握して目が落ちて不機嫌になって……。
ここだけ見ればかなりの乙女なんですね……ここだけ見れば)


< 僅かに口角が上がる >





雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……どうした。なにがあってそんな不機嫌顏なんだ」

雲龍「……天城が」

提督「うん」

雲龍「天城が嘘を吐いたの」

提督「そうか。……それは誰のための嘘だったわけ? 」

雲龍「……天城と、私」

提督「悪いのは? 」

雲龍「……私」

提督「なら仕方ないな」

雲龍「…………そう」

提督「ま、それとは関係ないが……なんかやってほしいことあるか?
今なら割となんでも許せるぞ」

雲龍「…………そう」


< 二人で揃いのエプロンを >





天城「……なんです、あれ」

高雄「さぁ……? ここに来たときには既に」

愛宕「幸せそうな顔ねぇ」

明石「……ちょっと羨ましい」

天城「…………まぁ、姉様の機嫌が直ったならいいです」





提督「こんなのでいいのか? 」

雲龍「ええ。……あっ」

提督「ん? あぁ、レタスが」





愛宕「二人で朝食の準備、か。……あれを私たちに食べさせるのね。…………牽制? 」


< 塩を加えるタイミングとか >





提督「雲龍も料理できたんだな」

雲龍「和食だけだけれど…………ふふ」

明石「うーん……同じ食材と調味なのに。また違った味わいですね」

愛宕「癖とかあるもの。茹でる時間を変えるだけでも大分風味が変わったりするんだから」

高雄「ええ。だから別の方とお料理するのもなかなか」

天城「……やはりおひたしは姉様には勝てませんね」

雲龍「……あなたのお味噌汁程じゃないわよ」





提督「いやぁ……毎朝色んな物が食えて俺は幸せだよ。はっはっは」


< 諦めた。いつの間にか増えてやがるし >





提督「ふぃー……昼前に粗方執務は終わらせてやったぜ」

愛宕「お疲れ様」

提督「ん」

高雄「最近は陸軍側からの嫌がらせ地味た確認とかも減ってますね」

提督「あぁ、いい加減飽きたのかな」

愛宕「でも食堂はまだ使いにくいのでしょうね」

提督「……加賀は気にせず食い荒らしてたけどな」

高雄「あの人と同じにしないでください」

愛宕「まぁ、人数は増えたけど料理人も増えたし。
あまり負担はないから大丈夫でしょ」

提督「そうだな」


< 昼間だからこそ抑えられないことが >





提督「…………むぅ」

愛宕「……? 」

提督「…………」

愛宕「どうしたの? 」

提督「いや……」

愛宕「珍しく上の空よ? 」

提督「…………」

愛宕「…………うーん? 」

提督「……執務終わったよな」

愛宕「ええ、終わったわね」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………あぁ……こっち来い」グイッ

愛宕「きゃっ……ちょっと……どこ……私の部屋? 」


< 浅ましいこの…… >





ガチャ、バタン



愛宕「んぁ……ね、まだお昼ぅっ…………ゅる……ちゅ…………っはぁ」

提督「……抑えられないんだ」

愛宕「いやん……かったーい……」

提督「愛宕も……身体熱い」

愛宕「それはぁっ……んっ…………もっとぉ……」

提督「はぁ……浅ましい」

愛宕「あなたの所為じゃないっ」

提督「そうかな? 」グイッ

愛宕「そ、んんんっ……! 」

提督「……そうかな? 」グリッ

愛宕「だから、そうあっっっーー……ゅる…………んぁ」

提督「…………っはぁ……そうかな? 」

愛宕「…………わ、私の所為、ですはぁぁぁんッ……! 」


< 食堂にて >





高雄「あら……提督と愛宕知りませんか? 」

雲龍「さぁ……私は知らない」

天城「私もです。ここに姉様と来たときには誰もいませんでしたよ」

高雄「……ふむ」

明石「…………」

高雄「あ、明石さんも来ましたか。提督と愛宕知りませんか」

明石「……知ってますけど」

高雄「そうですか。そろそろここに来そうでした? 」

明石「さぁ……でも、たぶん来ませんね。下手すると夜も食べないかも」

雲龍「……あっ」

天城「……こんな時間から」

高雄「なるほど。まぁ、それならいいです」


< いつか自分も…… >





高雄「結局二人は来ない、と」

雲龍「……慣れたものなのね」

高雄「ええ。当事者ですから」

天城「唐突にいなくなりましたね。なにか切っ掛けでもあったのでしょうか」

高雄「いえ……経験で言えば発作的なものですよ。
なんとなくソワソワして普段はしないことなんかして。
一応は予定を気にしてから、ですね」

明石「いやー……もうね。廊下で手を引っ張って行きながら、
二、三回壁に押し付けてキスした後にまた歩き出すとか」

雲龍「野獣ね。……待って、どうしてそんな細かく見てたの」

明石「それは……興味ありません? 」

雲龍「…………」

天城「…………」

高雄「……まぁ、お仕事もありませんしね。
お茶でもして待っていましょう」


< 噴水みたい……とはいかないか >





高雄「本日は三月二十三日です」

天城「はい」

高雄「誕生石はピクチャードジャスパー。
石言葉は“ 誰にも出せない味 ”と“ オンリーワン ”」

明石「……確かに誰にも出せない味ですね」

雲龍「それは出てくるものの味? 」

明石「雰囲気とかですよ。……そっちもなんですか? 」

高雄「知りません。他の殿方を知りませんので」

天城「……味わったことは当然のことなんですね」


< どういう意味だろうか >





明石「オンリーワンですか」

雲龍「……そうではないみたいだけど」

高雄「それは……私は気にしてませんので」

明石「なら、いい……のですかね」

高雄「まぁ、思わないものがないではないですけど。
少なくとも私を見てくれているときは私がナンバーワンで、
殆どがオンリーワンですからね」

雲龍「殆ど……3P……」ボソッ

高雄「……私だって彼と愛宕を選ぶことなんてできませんし。
もちろん男性で、とならばナンバーワンかつオンリーワンですが」

明石「羨ましいですねぇ。私は姉妹なんていませんし」

高雄「問題はそこなのでしょうか……私が言うのもおかしいですけど」

天城「必ずしもいいものではありませんよ」

雲龍「えっ」

天城「……ふふ」

雲龍「えっ…………え? 」


< 空と君のあいだに ♪ >





「あぁぁぁっ…………ーーーー……ッ……」

「……っふぅ…………クク」ス-ッ

「ひやぁっ…………や、やめて……今、イッたばっかぁぁぁん……ばかぁ」

「…………背中を見せるやつが悪い」グリッ

「んなぁッ……っはぁ…………ッ」

「ほらほら…………俺、まだなんだけど? 」

「そ、んなこと、言っても……寝バックで…………どう、やっへぇっ」

「んー…………どうやるんだろうね」

「…………ぁあ? 間に、手入れないっ……でぇ……ッ! 」

「はぁ…………やわらか」


< 最下位が一位の命令を >





高雄「…………座位で……その……キスをしながらが」

明石「ははぁ……高雄さんは愛あるちゅっちゅが好きなんですね」

雲龍「……明石は押さえつけられる方が好きだというの? 」

天城「……姉様もそっちなくせに」

雲龍「なっ……」

明石「やけに雲龍さんに厳しいですね」

天城「偶然ですよ、偶然」

明石「……それにしても……高雄さぁん。詳しくお願いします」



高雄「嫌です。……本当にやめません?
この罰ゲーム私しかダメージ負ってないと思うんですけど」


<悪鬼羅刹の如く >





高雄「ふふふ……私だけダメージを負うなんて……許しません」

雲龍「…………あの」

高雄「なにか? 」ニコニコ

雲龍「ひぃっ」

明石「……言った方がいいですよ」ドヨ-ン

天城「……一人だけ避けるなんて、ダメです」ドヨ-ン

雲龍「…………」

高雄「さぁ、雲龍さん」

雲龍「…………」

明石「さぁっ」

天城「さぁっ」

雲龍「……………………あの人のことを想ってシてます、はい。
無理矢理組み敷かれて濡れる前にグチャグチャにされて……。
そのまま首輪で飼われて……痛いのも好きです、はい……はい。
ごめんなさい……あの……ま、まだですか…………。
最近はその……首を絞められたり……お尻を叩かれたり……。
もう……すみません…………ドMならまだいける?
いや……それはあの人限て…………あぁ……まだ経験はないですけど後ろも……。
それにバックで首輪の鎖を掴まれてみたい、です…………ーー」


< 子豚の邪神様が如く >





高雄「ふふふ……次はバカラでもしますか」スッスッ

明石「…………」ドヨ-ン

天城「…………」ドヨ-ン

雲龍「」チ-ン

高雄「そういえば……罰ゲームですが」

明石「や、やめるんですね? 」

天城「……慈悲はあったのですね」

雲龍「」チ-ン

高雄「いえ、次回もあるのかどうか訊いてみたかっただけです」

明石「で、ですよねー」

天城「……まぁ、一度のダメージですし。
勝てば、勝てさえすれば」

雲龍「…………もう、いやぁ……生きていけない……」





高雄「……ふふふ」


< 横臥して見つめ合って >





「うーん……なにか不吉な……」

「なぁに、それ」

「いや、こう……なにか呼び出してはいけないものが目覚めたような」

「もうっ…………今は私のことだけ」

「あぁ、ごめん。ちょっと、な。水飲む? 」

「うん。飲ませて? 」

「ん、ん、ん……くひ」

「んぅ……ゅぁ…………るぁ…………ちゅ……れぁ…………っはぁ……。
あのー、お水だけで舌まで要求してないんですけど? 」

「ん? いらなかった? 」

「んーん、もう一回、ちょーだい? 」

「…………っはぁ…………あっつ」

「……今度こそ勝つんだから」

「勝ち負けじゃ…………おおう」

「……ふふふ」


< 因果応報は誰にでも…… >





高雄「忘れていました。三月二十三日の誕生花はデルフィニウム。
花言葉は“ 陽気さ ”」

明石「…………なるほど」

天城「…………」

雲龍「…………」

高雄「皆さん陽気さが足りませんね。
まぁ、普段からそんな柄ではないかもしれませんが」

明石「そう、ですね」

天城「……誰の所為だと」

雲龍「…………開き直る力が欲しい。そしていつか……殺ってやる」


< あの子の分なのよ? >





「んー……出ないの? 」

「いやん…………出るわけないじゃない」

「そっか」

「……出るようにしてみる? 」

「ん、いつかそうなると……いいな」

「…………」

「…………」

「……と、言いつつまだ吸うの? 」

「出なくても美味しいから」

「ふふ……おっきな赤ちゃんねぇ」

「…………本当のガキはこんなことできないぞ? 」

「そうね。……あふっ…………またぁ♪ 」


< 孤高には孤高たる理由が >





雲龍「……私、あまり馴れ合いって好きじゃないんだけれど」

明石「おっ、復活しましたか」

雲龍「まぁ、開き直ればいいだけだから」

明石「そうですね。……それで? 」

雲龍「でも、私がどちらかといえばマイノリティなのはわかってるの」

明石「ははぁ……確かに私もどちらかといえば一人でいたいタイプですね」

雲龍「だけど……馴れ合えもしないクズが馴れ合いを嫌うのって無様よね」

明石「や、雲龍さんはそれほどでもないでしょう? 」

雲龍「そうかしら。……馴れ合いを嫌う人に限ってそれすらできないのよ」

明石「私とのこの会話は? 」

雲龍「んー……飲み合い? 」

明石「お酒とつまみしか目の前にありませんもんね……あっ、注ぎますよ」


< 諦めて走り切ろうか >





提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………何時? 」

愛宕「…………えーっと……フタヒトマルマル」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………もう、いいや」

愛宕「え? ……ちょきゃぁっ」

提督「もう夜だし……このまま、ね? 」

愛宕「さすがにお腹、あぁぁぁっ……ふぁ…………ひやん……ッ……! 」


< おめでとうございます >





高雄「ポテトチップスが発売40周年らしいですよ」

明石「はえー……これにもそんな歴史が」

雲龍「存外つまみにもなるのね」

天城「スナック菓子なんて、と馬鹿にできない味わいと種類ですね」

高雄「やはり……のりしお」

明石「コンソメが一番だと思いますけどねぇ」

雲龍「私は……梅風味とか期間限定品が」

天城「うすしおでしょう。基本と薄味です」

明石「まぁ、美味しければいいですよ」

高雄「……手が油まみれにならなければ言うことなしなのですけれど」


< っぽい? >





高雄「ちなみに二十三日の誕生カクテルはルジェカシスウーロン。
カクテルワードは“ 仕事を楽しむ仕事人 ”です」

雲龍「私たちが仕事、というか任務を楽しむのはダメよね」

天城「……何人か予備軍を見た記憶が」

明石「私も割と……工学分野の方ですけど」

雲龍「そもそも仕事人ってなに」

天城「必殺? 」

明石「あれ観たことないです」

高雄「まぁ、観たからどうという話でもないのですが」


< 誰の目線からの言葉か >





雲龍「浮気とか考えたことないの?
私たちという意味ではなくて」

高雄「たとえば? 」

雲龍「うーん……基地に出入りする業者とか、風俗とか」

高雄「…………ないとは言い切れませんが……いえ、ないですね」

雲龍「そのこころは? 」

高雄「あの人変態で性欲魔人ですけどラインは守る人ですから。
仮に加賀さんと致していたとしても私や愛宕には秘密にはしませんし、
たぶん話を通してきますよ」

雲龍「……通してきたとして許すの? 」

高雄「さて……加賀さんやあなたにも事情はあるでしょう。
思うことはありますが許してしまうかもしれませんね」

雲龍「ふーん……」

高雄「ナンバーワンの余裕、という程ではありませんが、
浮気ということは少なくとも私が本命ということですし」

雲龍「……なるほど」

雲龍(でも浮気は浮気のような……高雄もここに毒されているのかしら)


< なんとはなしに >





提督「ほんっと……お前淫らってのがぴったりだな」

愛宕「なによ唐突に」

提督「唐突でもないだろ。……半日以上ヤっててさぁ」

愛宕「まだヤレるけど? 」

提督「まぁ、そこまでするのもな。……腰がいてぇ」

愛宕「ふふ……馬乗りって征服感あるのよねぇ」

提督「否定はしない。……全く関係ないけど愛宕は淫ら」

愛宕「うん? 」

提督「高雄ははしたない」

愛宕「はぁ」

提督「雲龍とか天城は……ふしだらだな」

愛宕「どう違うの? 」

提督「さぁ? まぁ、なんとなく雰囲気というか醸し出しているというか……」


やり過ぎた気がする……
まぁ、許してくだち

ありがとうございました


ポテチ専用の箸があるとかないとか


< 無性に惨めな気持ちが >





高雄「…………」

愛宕「…………Zzz」

提督「…………Zzz」

高雄「…………牝臭いし牡臭い」

愛宕「…………んふ……Zzz」ギュッ

提督「…………Zzz」

高雄「…………私も混ぜてくださればよかったのに」

愛宕「…………ぅ……Zzz」

提督「…………」

高雄「……はぁ…………まさか今から自分を慰めるのも、ね。
客人を襲うわけにもいきませんし、暖かさとは無縁ですものね」

高雄(…………こんな自嘲もできたんでしたっけ。忘れていました)


< 朝帰り前に枕元に立って >





高雄「…………Zzz」

提督「…………昨日はすまなかったな」

高雄「…………Zzz」

提督「……ちょっと我慢できなかったというか」

高雄「…………」

提督「……時々、こう……身体のラインとか下乳の影とかうなじの匂いに、ね」

高雄「…………」

提督「……でもそれは愛宕だけじゃなくて高雄にも思うんだぜ?
今だって寝たままの状態で抱えて連れ出して愛宕のいない場所に監禁して首輪でお前を…………いやいや」



ガチャ、バタン



高雄(お前を……なんなのでしょうか。少し気になりますね)


< 出した分は補充しないと >





明石「おっはよーございまーす」

提督「んー……おはよう」

明石「何やってるんですか? 」

提督「見たまんま」

明石「……卵? 」

提督「おう、卵飲んでるんだよ」

明石「はぁ」

提督「……動物性蛋白だからな。どれだけ意味があるかわからないけど」


< その慣れた仕草に >





明石「赤玉とかって本当にあるんでしょうか」

提督「さぁな。俺はそれただの血尿だと思うけど」

明石「その方がリアリティはありますね」

提督「リアリティ? いや、普通そんな状況にならないだろ」

明石「どの口が」

提督「俺は自分が普通な状況にいないって自覚してるからいいんだよ」

明石「そうですか……でも出す限界とかは考えますよね? 」

提督「そりゃね。つーか、ヤリ過ぎたら徐々に入れないでじゃれたり、
指とかでする方向にするんだよ。
入れて腰降るだけがそれじゃないの」

明石「…………」

提督「……おっ、コーヒー淹ったぞ。いるよな? 」


< お姉ちゃーん >





愛宕「…………」ヌボ-

高雄「……どうかしたの? 」

愛宕「…………」チラッ

高雄「……愛宕? 」

愛宕「……高雄ぉ……ふふ」ギュ-

高雄「な、なんなの……なにがあったの」

愛宕「ねむーい……一緒に寝よ? 」

高雄「はぁ、あの執務とかですね」

愛宕「いいじゃない。高雄をほったらかして快楽貪ってた提督なんて」

高雄「あの、それは愛宕もなんだけど」

愛宕「いいからいいから。お昼前には起きればいいのよ」

高雄「…………」

愛宕「…………」ギュウ

高雄「…………そうね」

愛宕「でしょ? お姉ちゃんと寝たかったのよぉ」

高雄「何言ってんだか……ふぅ」


< どうしたんだろうね? >





提督「や、すまんな」

天城「いえ、お料理は好きですから」

提督「でも一応は客だし。ありがとな」

天城「……いえ」

明石「高雄さんも愛宕さんも起きてこないなんて珍しいですね。特に高雄さん」

提督「あぁ……いや、たぶん一回起きたと思うぜ。
そのあと愛宕に引きずり込まれたんだよ」

明石「はぁ」

雲龍「……天城がいてよかったわね」

提督「そうだな。……俺もつくれないわけじゃないんだけどなぁ」


< タチネコ……とは違うか >





明石「基地内ヒエラルキー」

提督「あ? 」

明石「ここのヒエラルキーってどうなってるんですか? 」

提督「や、俺と高雄と愛宕しかいねぇんだけど」

明石「そんなの知ってますよ。階級とか所属じゃなくてですね」

提督「はーん……いつだったか高雄<俺<愛宕みたいな話をしたことがあるけど」

雲龍「……ベッド? 」

天城「でしょうね」

提督「……でもおかしいと思うんだよね。
そんなのプレイ内容とか気分で変わるだろ」

明石「ノーコメント。……経験させてくれるなら……意見できますけど」


< 普段とは違った行動には >





愛宕「……んー…………高雄あったかぁい」ギュッ

高雄「生きてますからね」

愛宕「その反応はつめたーい」

高雄「…………」ギュッ

愛宕「…………んぅ」

高雄「……寝ないの? 」

愛宕「……寝たいの? 」

高雄「誘ったのはあなたでしょう」

愛宕「そうだったかしら」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「……私は気にしてませんよ」

愛宕「なにを? 」

高雄「……いえ、なんでもないです」


< 蠱惑的泥沼温泉郷 >





高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………柄にもなく嫉妬していたかも。
気にしていない素振りをしていたのに」

愛宕「……うん」

高雄「佳い女か……理解のある女を演じていたかったのですが」

愛宕「できていたと思うわよ? 」

高雄「ふっ……あなたは昨日いなかったでしょう?
私も人間に近付いてしまっているのかもしれませんね」

愛宕「高雄も、か。でも仕方ないわよ。
そう思わせて、そうさせてしまうなにかをあの人が持っているから」

高雄「ええ、憧れ、とは違いますか……なんでしょうね」

愛宕「言葉にはできない素晴らしさ……か、毒よね」

高雄「……蠱毒のように」

愛宕「私たちが好きになった相手なんだから。
それくらいあって当然でしょう? 普通は私たちに溺れても仕方ないくらいなんだから」

高雄「ふふ……ええ、そうかもしれません」


< あなたが姉/妹で、私は >





愛宕「それに高雄は柄にもなくって言ってたけど」

高雄「…………」

愛宕「そんなことない。嫉妬は女を綺麗にするものよ」

高雄「…………嫉妬に支配されるような……女の子は卒業したと思っていたので」

愛宕「女の子は最初から女だし、女はいつまでも少女なの。
嫉妬くらいは男がどうにかすればいいんだから」

高雄「ふふ……随分と男性に厳しいわね」

愛宕「男性、というか彼に、でしょ?
それくらい簡単にできちゃう人なんだから」

高雄「…………そうね」

愛宕「…………起きたらとりあえずどうする? 」

高雄「そう、ですね。……優しく抱き締めてもらいましょうか」

愛宕「ふふ……やっぱり女の子じゃない。乙女ちっく」

高雄「あなたも、ね。愛宕。…………ありがとう」


< 工廠が開放されていませんものね >





明石「提督は一人で執務。雲龍姉妹は海上で演習。高雄姉妹はまだ起きてこない」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………高雄姉妹も普段は執務に就いていますね」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………もしかして私が一番ニート……? 」


< その身に纏う温もりを >





明石「と、いうわけで工廠開放してください」

提督「いいけど」

明石「あ、割と簡単に許可下りるんですね」

提督「使うやつがいないだけだしな。
出撃しないだけで修復・修理関係は二人が持ち回りでメンテしてるぞ」

明石「なるほどなるほど」

提督「ただなぁ……大した装備とかないぞ。
必要なかったから仕方ないんだが」

明石「いえ、なにも常に新しいことをしているわけではありませんから。
既存の装備を点検したり艤装関係の書籍でも触ってますよ」

提督「はぁ。雰囲気が好きみたいな? 」

明石「そうですね。提督もなんとなく高雄さんに触ったりふにふにしたくなりませんか? 」

提督「…………おおう」

明石「……? 」

提督「いや、すっげぇ納得したわ。ほい、これ鍵」


< 普通とはなにか >





バタバタバタ、ガチャ



明石「ちょ、ちょっと提督ぅ! 」

提督「なんだ。あれからまだ全然経ってないじゃねぇか」

明石「ここなんにも手入れされてなかったんですよね?
そうとは思えないくらい資材溜まってるんですけど! 」

提督「いいことじゃねぇか。なんか文句あるのか」

明石「や、そんな滅相もない」

提督「…………横須賀から飛ばされたときにな、横須賀の元帥が流してくれたんだよ。
絶対必要になるときがくるとかなんとか」

明石「ははぁ……もしかしてあれ使ってもいいんですか? 」

提督「多少はな。それこそ装備品開発とか本式なものは書類必須だけど。
ちょっと手慰みって程度なら、まぁ誤魔化してやる」

明石「わぁ……! 」

提督「……いい顔するなおい。キラッキラじゃねぇか」

明石「提督大好きッ。愛してますー! 」



バタン、バタバタバタ



提督「…………こんなので喜んでくれるのか。工学系女子……謎である」


< あなたを見ているから >





提督「んー……考えてみればカラオケ増築も早めにぶっこまないと工事あるしなぁ」カリカリ



ガチャ、バタン



高雄「おはよう、ございます」

提督「ん? あぁ……おはよう」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……シャンプー変えた? バラっぽいね」

高雄「はい。……よくわかりましたね」

提督「おう。高雄のことだからな」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……機嫌どう? 昨日はすまなかった……ごめんな」

高雄「いえ、気にしては……否定はしませんけど。今、良くなりました」

提督「ふぅん? 」

高雄「…………ふふ」


< 笑顔で帳消しに >





提督「うーん……なかなかいい匂いだね」

高雄「そうですか」

提督「バラかぁ……昨日までは柑橘っぽかったけど」

高雄「愛宕がくれたので使ってみたのですけど」

提督「そうか。やっぱり姉妹だと似合うものもよくわかるのかな」

高雄「どうでしょう? あの子、センスがいいですからね」

提督「んー、高雄もいいと思うけどな」

高雄「私はとてもとても」

提督「まぁ、高雄はそう言うけどさ。俺は高雄の好みも好きだよ」

高雄「……ありがとうございます」





愛宕「…………うんうん。ちょっと安い女にも見えるけど……仕方ないわね。
お互いが惚れた弱みってやつだもの。……私もだし」


< 空母姉妹は見た >





天城「…………演習から帰ってきたら」

雲龍「……風呂上りらしき雰囲気を纏った女が執務室前で覗きをしているという」

天城「……なんですかあれ」

雲龍「さぁ……愛宕がいるってことは中に高雄がいるんじゃないの? 」

天城「なるほど」

雲龍「……機嫌直ったのかしら」

天城「直ったと思いますよ。下手すると今日一日普段よりいいかも」

雲龍「…………はぁ。またこっちがダメージを受けるのね」

天城「……仕方ありませんよ。馬に蹴られに来てるのは私たちの方ですから」


< 楽しみ方 >





高雄「あっ……提督……っ……」

提督「ん、痛かった? 」

高雄「いえ、あの……なんでもないです」

提督「ん」コショ…

高雄「ああっ」

提督「ん? 」

高雄「……」カァァ…

提督「うん」

愛宕「膝枕で耳かき、か。……初々しい反応するわねぇ」ニコニコ

提督(なんでこいつ平然と隣に座ってコーヒー啜ってられるんだろう……俺はいいけどさ)

高雄「ぅぅ……」


< 寝食を忘れて >





愛宕「今日は明石なのね」

高雄「どうも最近全員揃いませんね」

愛宕「というか明石どうしたの? 」

提督「工廠の鍵貸したら狂喜乱舞してた」

高雄「はぁ……大丈夫でしょうか」

提督「飯食いたくなったら出てくるだろ。それまでは引きこもるかもしれないけど」

愛宕「どうかしら」

高雄「資材に埋れて力尽きている未来も予想できますけど」

提督「さすがに……俺はあいつを信じてるぜ? 」


< 富士山の絵なんてないけれど >





天城「はふぅ…………やはりお風呂はいいものですね……」

雲龍「…………そうね」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「……姉様、最近とっても綺麗……」

雲龍「そう? 」

天城「はい。特にお肌のハリとツヤがもう」

雲龍「……ありがとう。天城も、ね」

天城「嬉しいです、姉様」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………お風呂、いいものね」

天城「……はい。とても」


< 見ているだけでも幸せ >





天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………浮きますね」タユ-ン

雲龍「…………そうね」タユ-ン

天城「これ……邪魔じゃありません? 」

雲龍「あんまり。ずっとあるし」

天城「うーん……身軽な方が楽だと思うのですが」

雲龍「…………彼はこっちの方が好きだと思うわよ」

天城「……そう、ですか」

雲龍「……まぁ、使ってもらえないなら確かに邪魔かも」

天城「使うって……姉様、言い方がはしたないです」

雲龍「なら……挟む? 」

天城「それ以外にも楽しみ方はあるでしょう? ダメです」

雲龍「そ、そう」

天城「はい」

雲龍(耳年増なのかしら? ……いえ、問題は別のところにあるような……)


< 視線を感じた >





提督「太ももはむっちりだよなぁ」

高雄「何を言ってるんですかいきなり」

提督「や、さっき膝枕しただろ? それで駆逐の子の太ももとか思い出してたんだよ」

高雄「……変態が」

提督「まぁまぁ。それでさ触ったことはないから一概には言えないけど」

高雄「当たり前です」

提督「肉付きのうっすいほっそりした太ももはなぁ……。
なんか違うなって。やっぱり高雄みたいな細いけど太くない。むっちりだけど細い太ももが一番だなって」

高雄「はぁ」

提督「すっきりしたよ」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………なぜ、私は短いスカートを選んだのでしょうか」

提督「さぁ? 」


< 悪くないと思うのだが >





愛宕「……ダメ? 」サワッ

提督「おおう……ダメ、じゃねぇわ」

愛宕「でしょ? 」



高雄「……何をしてるんですか? 」

提督「あぁ、幼女以外の指咥え上目遣いおねだりはダメかダメじゃないか」

高雄「はぁ? 」

提督「ガキっぽさがあって愛宕くらいには合わないんじゃないかと思ってたんだが……なかなかどうして」

愛宕「ポイントは手のひらを重ねて上目遣いの前に一度目を伏せることよ」

高雄「はぁ」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「……やりませんよ。私は。…………どうせ似合いませんし」


< 御髪の為に >





天城「あっ、その櫛って……」

雲龍「ええ、天城に貰ったものだけど」

天城「使っていただけていたのですね」

雲龍「当然でしょう」

天城「嬉しいです、姉様。姉様はあまり天城を頼ってくださいませんし、
感情をあまり表に出さないから」

雲龍「…………貧乏性なだけよ。他にないから」

天城「ふふ……そうですか」

雲龍「そうよ」

天城「……あっ、天城が梳かしますよ。姉様癖っ毛だから後ろ髪はなかなか難しいでしょう? 」

雲龍「……お願い」

天城「♪ 」ニコニコ


< この傷すら愛と欲に変わる >





高雄「そういえば」

提督「ん? 」

愛宕「なぁに? 」

高雄「……雲龍さんドの付く被虐趣味らしいですよ」

提督「はぁ」

愛宕「そう」

高雄「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「あ、あの」

提督「見た感じそうだよな? 」

愛宕「そうねぇ。眠たげな目をしてるけど……強く瞑ったり見開かせたりしてみたいわぁ」

高雄「…………なぜわかるんです」

提督「こう……なんでだ? 」

愛宕「SとMは惹かれ合う、みたいな? 」


< 潜在的な…… >





雲龍「…………? 」

天城「雲龍姉様? 」

雲龍「いえ……大丈夫。大丈夫」

天城「はぁ」

雲龍「…………お昼をもらいに行きましょうか」

天城「そうですね」

雲龍(不吉な……なにか怖気の振るう気配が)

天城「姉様? あっ、毛先に……」スッ

雲龍「い、いやっ」

天城「ね、姉様? 」

雲龍「……ごめんなさい。ちょっと考え事をしていただけだから」

天城「? 」


< それは愛宕さん、あなたもですよ? >





高雄「で、では天城さんは? 」

提督「Sだろ」

愛宕「Mでしょ」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……そうか? なんか笑顔で頭踏みつけたり、
ヒール……というか下駄で押さえつけたり鼻緒のゴミ取らせたりしそうな」

愛宕「私は和服の裾を自分で上げさせたり、
荒縄を食い込ませるとか、逆に思いっきり薄いノースリーブと、
ベリーショートのショーパン履かせたら似合うと思ったんだけど」

提督「……それ、いいな。特にショーパン」

愛宕「うーん……冷たい天城ちゃんも悪くないわね」

提督「洋装の天城かぁ」

愛宕「逆に雲龍に和装も……ふふ」

高雄(……やはり使い物になりませんね……。
欲がディープというか業が深いというか)


< 三時の……おやつです >





提督「あぁ……女の柔らかさだ」

高雄「つあっ…………んっ……」

提督「んふー……ほっそい肩」

高雄「んんっ……ゃぁ…………女の子、ですから」

提督「あぁ……腰も細いなぁ」ギュッ

高雄「! …………女、ですから」

提督「…………」ギュウ

高雄「…………あなたは……硬いです」

提督「おう…………男、だからな」

高雄「ふふ…………あぁっ……んなぁ…………」


< 自己評価 >





高雄(ぬ、濡れてる……)

提督「高雄? 」

高雄「い、いえ……本日三月二十四日の誕生石はグリーンアベチュリンクォーツ。
石言葉は“ 華麗 ”、“ 無邪気 ”……“ 穏やか ”」

愛宕「華麗、ねぇ。そんな子いたかしら」

雲龍「……華麗に出撃よ〜 」

提督「荒潮か」

高雄「一応は無邪気な部類ですよね」

天城「少なくともここにいる人たちよりは」

提督「俺、無邪気だろ」

高雄「…………」

愛宕「…………」

雲龍「…………」

天城「…………はっ」


< 前戯より後戯 >





提督「誕生花は蛇結茨。花言葉は“ 賢者 ”」

高雄「…………」

愛宕「賢者タイム……」

提督「や、そんな直結させるなよ」

高雄「……まぁ、提督はアフターしっかりしてますよね」

愛宕「だからそのあと第二ラウンドにいっちゃうんだけど」

提督「ヤったら放置しろってのかよ」

高雄「それは……イヤです」

愛宕「私も。ちゃんと構ってくれないと」

提督「…………賢者タイムっつーけどあの時間割と好きだぜ。
女の子と無邪気に戯れられるし」

雲龍「無邪気を引きずってるのね」

天城「……それでも無邪気には程遠いですよ。汚れています」


< 言わないでください >





提督「明日からケンタッキーとか丸亀値上げだってさ」

愛宕「ふーん……」

高雄「私たち行ったことありませんね」

提督「あぁ、そうだったか。……俺もあんまねぇな」

愛宕「チキンというと加賀さんが」

提督「やめろ」

高雄「それを言うなら焼きと」

提督「だからやめてやれ」

雲龍「……焼き鳥っていいつまみよね」

天城「日本酒には特に。……バーテンダー! 『黒龍』の冷」

提督「へい」

愛宕「『黒龍』、か。福井といえば青葉山……青葉」

高雄「今でも色々と嗅ぎ回っているんでしょうか」


< スルメ >





愛宕「なんとなく必要な気がした……『美女殺し』、です」

天城「んー……それなりに辛めですけど。そこまで強くないですね」

雲龍「スルメ誰か知らない? 」

提督「値段もお手頃だな」

高雄「……なぜ必要だと思ったかは聞かないでおきましょう」

雲龍「……スルメはどこ? 」

天城「おつまみもいいですけど……姉様」グイッ

愛宕「ふふ……人間美女殺しさーん」ギュッ

提督「や、やめろっ。瓶が倒れるぅ」

雲龍「あの……スルメ……天城、グラスは持ってるから……スルメ」


< 連日連夜 >





天城「『黒龍』……姉様も“ 龍 ”……ふふ」

雲龍「ちょっと……この子に好きなだけ出さないで。
出したら出しただけ飲むんだから」

提督「いいだろ。金余ってんだよ」

高雄「そこまで高いお酒じゃないですしね」

愛宕「酔いが深くなったらカクテルで誤魔化すのもありよねー」

雲龍「……同部屋だから困るのは私なんだけど」

愛宕「いっそレズっちゃいなさいよ」

雲龍「イヤ。絶対イヤ」

天城「姉様ぁ……天城は、天城ぁ……」

高雄「『乃姫』というライチ酒が」

提督「それは台湾の高雄だろ……あぁ、もう……なにがなにやら」


< 快楽とはあなたを欲するということだから >





提督「誕生カクテルはチョコカシスソーダ。
カクテルワードは“ 自分の生き方を持つ自由人 ”」

天城「姉様ぁ……この男はダメですよぉ……」

高雄「自由と奔放は違うと思うのですが」

愛宕「というかこれは奔放というより……傍若無人? 」

提督「まぁ、俺も自由な生き方してるけどな。
それが自分の生き方かどうかは知らんが」

雲龍「十分そうだと思うけど」

愛宕「艦娘で自由人じゃない方が珍しいわよねぇ」

高雄「私は自制していると……すみません、快楽的でした」

提督「謝ることじゃねぇよ。それはいいことだ」

雲龍「……いいこと? 」

愛宕「享楽的でも……いいじゃない。気持ちいいもの」


本当に赤玉経験者がいるとは思わなかった
実際にみたらパニックになると思います

ありがとうございました


や、別に一途ってキャラではないですしね

明石は……明石は明石ですから


< 花札とかタロットとか……無理だね >





提督「艦娘って99%秘匿事項だよな」

高雄「三笠さんなんかはある程度メディア露出もありますけど」

提督「マザーは別だ。……で、だな。もし民間に親しみをー、なんてなったらトランプにするといいんじゃないか? 」

愛宕「それ絶対揉めるじゃない。
トランプカードなんてジョーカーが二枚としても54枚なのよ?
半分も出演できないじゃない」

提督「そこはまぁ二枚組セットやランダム商法でだな」

高雄「……売れはしそうですけど」

愛宕「軍への批判は強そうねぇ」

提督「俺は欲しいんだが」

高雄「……いらないとは言いませんけど」

愛宕「……うーん……でも握手券とかイヤよ?
私、提督以外の男には触られたくないから」


< 青葉さんもジョーカーでいいと思う >





提督「まぁ、色々なものをなんとかして実現したとして」

高雄「はぁ」

提督「どのカードに誰が当てられるか考えるのは楽しくないか? 」

愛宕「たとえば? 」

提督「うーん……好みにもよるだろうが俺的には高雄姉妹四人が各クイーンだろ」

高雄「……ほう」

提督「で、ジョーカーには夕立と……いや、ジョーカーは大和と武蔵で夕立はスペードのエースかナイトだな」

愛宕「なるほど」

高雄「…………」

愛宕「……他は? 」

提督「…………他は知らん」

高雄「まさかの丸投げですか」


< ひっどーい! >





愛宕「これ四人姉妹とかはいいけど一人だったりすると難しいわね」

提督「島風とかな。明石は夕張・大淀となんとなくペアでもいいかな」

高雄「それなら島風だって……」

愛宕「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「……いや、天津風とか仲良かっただろ。忘れてやんなよ」


< 逆にフラットチームでも >





高雄「では逆に艦娘からどれに当てはめられるか考えてみましょう」

提督「ほう」

高雄「たとえば……雲龍さんと天城さん」

愛宕「…………割と微妙よね。一航戦と二航戦を同じ数字に入れたとして、
五航戦と同じ枠ってのも……」

高雄「軽空母の方達はそもそも人数いますしね」

提督「うーん……」

愛宕「……」

高雄「……」

提督「……面倒だ、千歳と千代田を合わせて8とかに入れとけ」

愛宕(8……ぱい……あぁ、なるほど )


< 忘れていたということは…… >





愛宕「……そういえば明石は? 」

提督「だから夕張たちとだな」

愛宕「そうじゃなくて。あの子今何やってるかわかる? 」

提督「あっ」

愛宕「……」

高雄「……」

提督「……爆発音とかはなかったよな」

愛宕「あそこ壁厚いから……どうかしらね」

高雄「死にはしてないでしょう。死には」

提督「……見にいくか」


< 実際どうにもできませんし >





提督「明石くぅーん。生きてるかーい……ん? 」





明石「…………」ペラッ

提督「…………明石」

明石「……んぁ? 影? 」

提督「あのさ。何やってるわけ」

明石「提督。いやー……大口径の砲を安定させる方法を模索してまして」

提督「そういうわけじゃねぇんだけど。……自分がどういう状況かわかってる? 」

明石「資材に挟まれて上半身しか動かないし、
艤装を展開すると何とぶつかったり発火するかわからないのでそのまま誰か来ないか待ってました」

提督「…………」

明石「…………てへっ」

提督「…………ばっかじゃねーの」


< らしさってやつ >





明石「どうせ死なないんだから慌てず騒がず読書をですね」

提督「……そうか」

愛宕「うーん……さすがに少しは騒いだ方がいいと思うの」

高雄「冷静に騒ぐというのもおかしな話ですが」

明石「や、でも工廠の壁厚いじゃないですか。
私の声量と厚さでシミュレートして音の伝わりの概算出しましたけどー」

提督「無理っぽかった、と」

明石「はい」

提督「……お前普段からそんな考え方してるわけ? 」

明石「はぁ……どこか変ですか? 」

提督「どこかって……いや、やっぱいいわ。明石はそれでいいよ、うん」


< 充分すぎる箱庭に不満を >





天城「こんなに平和でいいのでしょうか」

雲龍「……いいんじゃない? 少なくとも私たちがここにいてもいい位には世界も平和なんだから」

天城「はぁ……なにか、引っかかりますね」

雲龍「それなら前線に志願でもする?
シーレーンの方は空母なんて引っ張りだこだと思うわ」

天城「…………」

雲龍「……それは嫌? 」

天城「…………兵器としては失格なのかもしれませんね」

雲龍「いいじゃない。兵士としては実に人間……いえ、生き物らしい」

天城「…………」

雲龍「罪悪感なのか、生の実感が湧かないのか。
それとも自分の生きる意味が見つからないのか。
まさか血が見たいとかそういう理由じゃないし」

天城「……なんでしょうね。あぁ……なんとなくこのままではいけない気がするのですけれど」


< ふしあはせのいぬ……豚でも >





雲龍「私は……幸せを至上命題にして生きたい」

天城「…………」

雲龍「自由だとか束縛や監視のない世界だとか……そんなものはまやかしなのよ」

天城「……不幸せになる権利、ですか」

雲龍「ええ。それは権利と可能性を履き違えていると思うわ」

天城「……姉様は、狼ですか? 羊ですか? それとも……羊飼いですか? 」

雲龍「さぁ? 単に羊が大それた自由を嘯くのが嫌いなだけ」

天城「……不幸せになる、という権利は自由に生きる権利と同価値のものだと思いますが」

雲龍「私はそんなもの認めない。
誰がなんと言おうと不満なく飼ってくれるならそれは幸せなのよ」

愛宕「つまり監禁レイプでビクンビクンして隷属するのも幸せってこと? 」ヌッ

雲龍「それが快感で人格が壊されて再構築されたならあるいは」

天城「……愛宕さん一体どこから」





提督「ぜってー違う」

明石(…………結局相手次第ですね)ボソッ

高雄(そもそも私がしたいですよ。この人いつもフラフラしてますし)ボソッ


< そもそも護衛艦ですぞ >





提督「“ いずも ”就役か」

愛宕「私たちの輸送とかに使われるのかしら」

提督「そうだろ。イージス艦だって今のところは警戒レベルの低い場所を哨戒してるし。
ヘリ運用もできれば指揮官だって移動しやすくなる」

高雄「私たち艦娘がいなければ……どう運用されていたのでしょう」

提督「さぁな。それこそ世界の軍事事情がひっくり返るし」





雲龍「少しだけ親近感が湧くのだけど……ダメね」

天城「絶対戦闘空母じゃないですからね。絶対に絶対。戦闘空母じゃなくてDDHですから」


< 大和は263m >





提督「“ いずも ”だけど雲龍型よりやや大きいくらいらしい」

雲龍「2mくらい? 」

提督「そんなわけあるか。お前は人型だろうが。248mだっつーの」

天城「ちなみに姉様と天城は227.35mです」

愛宕「私は203、76mね。まぁ、空母ほどはさすがに」

高雄「あ、私も愛宕と同じです」

提督「あぁ、俺は……2mもねぇな」

愛宕「ふふ……ちっちゃーい☆ 」

提督「…………その言い方やめてくれない? なんか心にダメージが」

愛宕「えー? そっちがとっても大っきいのは知ってるわよ? ふふっ」

提督「なんかそれはそれで嫌だな」


< 皆エロくて皆いい >





提督「ヤンデレという言葉があるな」





愛宕「……ふふ」

高雄「……ふふ」

雲龍「……ふふ」

天城「……ふふ」

明石「……ふふ」





提督「どう考えてもえっちぃことを連想するしかないやつと、
マッドサイエンティスト笑いにしか見えないやつがいるな」

提督(……天城が一番病むの似合いそうだ)


< 色々と歌ってほしい >





天城「ここって凄まじい趣味と娯楽の量ですよね」

提督「趣味って言っても多少のコーヒー豆と酒とつまみだけだぞ」

雲龍「……多少? 」

愛宕「娯楽室にはビリヤードとダーツもあるわよぉ」

明石「えぇ……」

提督「いや、そんなのは横須賀にもあっただろ」

雲龍「三人しかいなかったここにそんなものをつくったのが問題なんじゃないの? 」

高雄「……カラオケルームの予算も捻出してましたね」

提督「ちゃんと大部屋も用意するぜ? 」

愛宕「そういう問題じゃ……まぁ、楽しいからいっか」


< 低音かつまろやかで >





明石「雲龍さん的にはあの人のどこがいいんですか? 」

雲龍「提督? 」

明石「はい」

雲龍「…………えーっと」

明石「…………」

雲龍「……あえてあなたが思っていないようなことを言うとすれば」

明石「すれば? 」

雲龍「声、ね。あの人に目を見られて囁かれたらそれだけでイけそう」

明石「そんなですかね」

雲龍「じゃあーー」





提督「ん? なんだなんだ……睨めっこ? 違う? はぁ? 」


< 家長が箸を付けてから……みたいな >





高雄「今日はオムライスです」

提督「おおうっ! 」

愛宕「提督のにはハートも書いちゃいましたー」

明石「うわぁ……なんというか」

雲龍「イチャイチャとかなんだとかより……見た目が」

天城「芸術的ですね。本当にケチャップだけなんですか? 」

提督「うーん、やっぱオムライスは美味いな」

高雄「ふふ……私たちも食べますか」

愛宕「そうね。……皆もどうぞー。いただきまーす」


< 雑音混じりのカーラジオとか >





提督「雲龍は『星めぐりの歌』かな」

雲龍「? 」

提督「や、どんな曲を歌ってほしいか考えてたんだ」

雲龍「はぁ。それどんな歌? 」

提督「んー……星座の歌だけど。結構難しいかな。伸ばすところばっかだし」

雲龍「そう。……覚えておくべきかしら」

提督「いつか聴きたい」

雲龍「……そう」

提督(あれ? ……そういえばカラオケに入ってるの見たことねぇや。
……まぁ、いっか)


< ガーデンクォーツ >





高雄「誕生石ですけど」

提督「はい」

高雄「石言葉は“ あでやかさ ”と“ 美意識 ”です」

愛宕「華やかで艶めかしく美しい……私ね」

雲龍「私かも」

天城「……私も」

高雄「えっと……じゃあ私も」

提督「全員でいいだろ。俺は皆別の良さがあると思うが」

愛宕「そこは美意識の目指す先によっても違うわよね」

明石「…………ここでは大体同じだと思いますけど。
誰のために美しくあるか、ということでしょう? 」


< 空母だからといっても >





提督「墜落……なんか思うところないの? 」

雲龍「……それ無茶振り」

天城「悲劇だとは思いますけどね。
10年以上機長を務めたベテランだったそうですし」

明石「それよりデュッセルドルフといえばペーター・キュルテンですよ」

提督「や、お前はなぜそんな知識を……」

明石「中二みたい? 」

高雄「それならデュッセルドルフの切り裂き魔を知ってる時点で提督も」

愛宕「別に中二を隠してないものね」

提督「別に殺人鬼の知識は中二ジャンルじゃ……まぁ、いいけど」


< 恋人に嫁を乗せる >





明石「そういえば提督って単車持ってましたよね? 」

提督「貸さねぇよ? 」

明石「えぇ……なんでですか。単装砲くらい装備しましょうよ」

提督「俺は公道走りたいの。あと俺の恋人に変なことすんな」

愛宕「車も持ってるわよね? 」

高雄「確かFTOでしたね。詳しくは知りませんけど」

明石「げっ……まさか三菱信者ですか? 」

提督「いや、そんなそこまでの拘りはねぇよ。
その前はコルベットだったし。ちなみに81年式な」

明石「なんでまたそんな微妙な……そこまでいったらですね」

提督「うっせぇな。ぐにょーんとしたやつが好きなの」

明石「ぐにょーんて……まぁ、言いたいことはわかりますけど」

愛宕「ふふ……私たちのためにツーシータはやめたのよね〜 」

高雄「……あれも悪くありませんでしたけど」

提督「と・に・か・く。絶対に触らせないからな。
弄りたいなら自分で買え。話くらいはつけてやるよ」


< 空耳 >





提督「那珂ちゃん今日も可愛ィ♪ 」

愛宕「まぁ……そうね」

提督「赤ちゃん今日も可愛いィ♪ ……に聞こえない? 」

高雄「はぁ……聞こえないこともないですね」

提督「おう」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「……オチはない」

愛宕「やっぱり」

高雄「どこから那珂ちゃんは出てきたのか」

明石「…………赤ちゃん……明ちゃん? 」

提督「呼ぼうか? 」

明石「や、いいです。バカップルかなんかですかそれ」


< 理由は関係ない >





提督「二十五日のカクテルはチョコレートカイピリーニャ。
カクテルワードは“ 思いやりのある心優しき正直者 ”」

愛宕「思いやり、あるわよねぇ〜 」

高雄「心根も優しいこと、知ってますよ」

雲龍「基本的には正直でもある、はず」

提督「お前ら……」





明石「下半身に正直で楽しむために優しく思いやるとかじゃ」

天城「……あなた結構酷いですよね。
あの人だって普段も優しいです、たぶん」


< 理由はなんでもいい、飲むぞ! >





提督「あぁ! 」

愛宕「ど、どうしたの」

提督「録画し忘れた……加賀酒紀行」

高雄「は、はぁ」

提督「やっちまった……ごめんな加賀」

愛宕「別に加賀さんが出るわけじゃないでしょ」

高雄「あの人の場合お酒も強いですけど……普通の食べ物旅番組になりそうですね」

愛宕「感想とか言えるのかしら」

高雄「まぁ、量だけじゃなく質も重視する人ですし。
あれで責任感もあるので、たぶん」

提督「加賀ぁ……よし、酒飲んで供養だ」

愛宕「供養って……飲みたいだけでしょ」


< ネグリジェ、スリッパ、そして欲求 >





提督「…………今日も終わりか」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「……ん? 」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「どうした」

高雄「誕生花、言ってませんよね」

提督「あぁ、確かに」

愛宕「二十五日の誕生花はカリフォルニアポピー」

高雄「花言葉は“ 拒まないで ”」

提督「……そうか」

愛宕「私、ちょっとあなたが欲しいなぁ」

高雄「私も……優しく、抱き締めてほしいです」

提督「…………そんなこと言われなくても、な。
拒むわけないだろう。…………おいで」


あたごんとか高雄さんでも免許証の写真は間抜け面なんだろうか……
うーん……それはそれで

ありがとうございました


果実酒好き。梅酒苦手

>>1に書き忘れましたが当スレッドは捏造設定マシマシであります


< 寝ているあなたを連れて >





提督「…………高雄」

高雄「…………Zzz…………んぁ? 」

提督「…………高雄ぉ」ユサユサ

高雄「……んぅ…………っ…………あな、た? 」

提督「うん、俺」

高雄「……はぁ…………ここ、どこです」

提督「うーん……外? 」

高雄「そりゃそうでしょうけど……くちゅんっ」

提督「あぁ、一応服は着せたんだけど……うーん」ギュッ

高雄「着せたというか……ブラウスとコートだけですね」

提督「寒い? 」

高雄「多少は。……でもこのコート私の部屋にあったはずで」

愛宕「そ・れ・は。私もいるからよぉ」ヌッ

高雄「ッ! ……いきなり飛び出してこないでください」

愛宕「んふふー、ごめんね? 月夜に二人っきりのデートじゃなくて」

高雄「いえ…………私はこれで充分ですから」ギュッ

愛宕「むっ……ねぇ、提督ぅ。次は私にもしてね? お姫様抱っこ」

提督「おう」


< 最高のスパイス……みたいな >





高雄「ん……やはり肌寒いですね」

提督「うーん……やっぱり下着とかって他人に着せられると違和感あるの? 」

高雄「ショーツはともかくブラは割と。
愛宕の場合いつも見られていますしサイズも同じなので少ないかもしれませんが」

愛宕「脱がす専の人にはわからないお話よねぇ」

提督「……着せてやろうか? 」

愛宕「ドレスとかならお願い」

高雄「…………そもそも意識のない者を引きずってまでなぜ外に」

提督「や、なんか空が見たくなって」

高雄「それで基地の屋上に……」

愛宕「それなりに綺麗な空ね」

提督「まぁ、田舎だし。海上だともっと綺麗なのか? 」

高雄「どうでしょうか。そんなことに注力していられませんからね」

愛宕「ふふ……この空の方が綺麗に決まってるじゃない、ね? 」チラッ

高雄「? ……あぁ、そうですね。確かに」チラッ

提督「ん、二人がそうなら……俺もそう思うよ」


< つま先立ちで首に手を回し >





提督「今度ベンチでも持ってこようか。ずっと立ってるのもな」

高雄「私はこのままで構いませんけど」

愛宕「そりゃあプリンセスはねぇ。私はずっと立ってるのよ? 」

高雄「……愛宕がいじめます」ギュッ

愛宕「! 」

提督「ふーん? 」チラッ

高雄「ふふ……」ギュウ-

愛宕「…………」

提督「…………ふぁ」

高雄「……眠気が」

愛宕「……提督さん? 」

提督「ん? 」

愛宕「お顔をこっちに向けて下さらない? 」

提督「? 」

愛宕「ふふ……ん……ゅる……っぁ…………ちゅ……っはぁ」

提督「……息が……手が塞がってるし」

高雄「…………私の頭上とは」

愛宕「…………ふふふ」


< 冷んやりとした寝台に飛び込んで >





提督「ふぁ…………眠い」

愛宕「まぁ、ヤってから少ししか寝ないで外出てたし」

高雄「あぁ、まだこんな早い時間なんですね」

提督「布団やわらか」ボフッ

愛宕「あーん、身体冷えちゃったぁ」

提督「ん、こいよ」

愛宕「あったかーい」ギュッ

高雄「…………」

提督「ん、どうした? 」

高雄「いえ、目が冴えてしまったな、と」

提督「ふーん……」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「……眠いままってのも悪くないしな」


< 粛々、淡々、シコシコ >





「ッ……! イきそ…………っはぁッ……」

「ふふ……ドロドロ」

「…………目、目に入った……」

「だ、大丈夫かよぉぉぉッ? 」

「まだ出てくるわねぇ〜 」

「や、やめて……出したばっかだから……敏か、敏感んんっ」

「……とりあえずティッシュは」

「おっぱいだけじゃないんだぞぉ」

「ひぃ、知ってる、知ってるから」

「…………いっそ顔洗ってきますか」

「た、助けろっ」

「すぐに戻りますので」

「ふふ……お姉さんとア・ソ・ビましょ? 」


< 嫌よ嫌よも >





「ひゃうっ……そっちはだぁめ」

「知るか」

「苦手なのっ…………んぅ」

「…………ふむ」

「? ……な、にそれ」

「さぁ? 身体で確認しろよ」

「や、やめ……いやぁぁぁ」

「てめーもやめてくれなかっただろうが」

「いーーやーー、壊れちゃうー」

「前には入ってやるよぉ」





「…………いつの間に逆転しているんです。…………もしやこれはやり返すチャンス? 」


< 欠けた月はまるで私の >





雲龍「…………あら」

天城「ん……姉様。起きていたのですね」

雲龍「ええ、月が綺麗だったから」

天城「あぁ……心が洗われるような」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「……お酒でも貰ってきましょうか」

雲龍「寝てるんじゃない? 」

天城「いえ、ちょっと拝借して朝に伝えればいいのです」

雲龍「……悪い子ね」

天城「姉様も共犯ですよ? ……ふふ、行ってきます」


< 部屋から漏れ聞こえるほどに >





ガチャ、バタン



天城「…………」

雲龍「おかえり……どうして真っ赤なの? 」

天城「……は、破廉恥すぎます」

雲龍「うん? 」

天城「提督の部屋の前を通ったのですが……あぁ」

雲龍「なるほど……でも初心なネンネじゃないのだし」

天城「いえ……普通じゃないというか…………あんなにイき続けたら……」

雲龍「…………」

天城「死んじゃいそうとかどうとか……どうなるのでしょうか」

雲龍「……手伝いましょうか? 」

天城「遠慮します、ごめんなさい姉様」

雲龍「いえ、私も嫌よ」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………お酒、飲みましょう」

雲龍「そうね」


< 快美な姿とは >





高雄「……誰か外にいたような」

提督「そうか? 」

愛宕「あ、アヘぇ……」

提督「つーか、お前その間抜け面やめろ。萎えるだろ」

愛宕「そうなの? 」

提督「誰が顔面崩壊した女に興奮するかよ」

高雄「……世の中には、まぁ」

提督「いや、否定してるつもりはないぜ?
でも、あれって普段は美しい顔を歪ませるのがいいんだろ?
ツボはわかるけどあくまでギリギリのラインがいいんだよ」

愛宕「……へいほふのぉ、おちん」

提督「やめろ。あのさ……なに、笑わせにきてんの? 」

高雄「…………そろそろ寝ますか」

提督「いや……なんかオシオキが必要な気がする」

愛宕「えっ」

高雄「……仕方ないですね。お助けしましょう」

提督「ククッ……本当に歪ませてやるよ。演技じゃなくな」

愛宕「…………優しくしてね? 」


< パジャマパーティ:偽 >





明石「いやぁ……どうもどうも。まさか呼んでいただけるなんて」

雲龍「……たまにはこの三人で飲むのも、ね」

明石「はは、確かにそうです。客人三人ですしね」

天城「明石さん可愛らしいパジャマなんですね」

明石「そうですか? ガーゼパジャマっていうんですよー」

天城「なるほど……私はずっと襦袢なんですが」

雲龍「……私は最近ナイトウェアに変えたわ」

明石「こうして見ると色々あるんですね。
横須賀だとTシャツとかスウェットなんて方もいましたが」

雲龍「……あっちだとどうしても気を抜いちゃうのよね」

明石「女ばかりですからねぇ」

天城「……愛宕さんや高雄さんはどうなんでしょうか? 」

明石「そりゃあ……見られるの確定ですしね」

雲龍「ベビードールとかネグリジェとか……まぁ、そんなものよね」

明石「シャネルの五番とか? 」

天城「それ誰でしたっけ? ……あっ、お注ぎしますよ」


< 七億食を突破しているらしい >





提督「眠い……眠い……寝る寝る寝るね」

雲龍「どうし……程々にしなさいよ。腎虚になるわよ」

提督「うん……それは勘弁だな」

愛宕「大丈夫よぉ。この人絶倫だしぃ」

天城「……逆に絶倫でも疲労する内容ってことですか。
欲望に忠実すぎるのではないですか」

高雄「ははは……」

提督「卵でも……玉子酒ってあんまり美味くないよな」

天城「こんなときでもお酒のことを言い出すようでは早晩死にますね」





明石「ねるねるねるね……侮り難い味ですね」


< 私の夢が、犯されている >





明石「これ、面白いですよ」

提督「ん? アニメDVD? 」

明石「はい、九十分くらいだからすぐ終わります」

提督「ふーん……お前でもアニメとか映画観るんだな」

明石「や、夕張に勧められまして。なかなか発想もいいなー、と」

提督「……ふむ」

明石「提督は映画とか観ないんですか? 」

提督「あんまり。本は読むんだが映像だと疲れちゃってな」

明石「はぁ」

提督「でもこれは観るよ。久々だしな。明石の勧めなら」

明石「そうですか。同じ人の作品他にも持ってますから気に入ったら言ってくださいね」

提督「おう。……いま? こん? ……いまびん? 」


< 夢が犯されていく >





明石「ときに提督」

提督「ん? 」

明石「……高雄さんや愛宕さんの夢、見てみたくはありませんか? 」

提督「まぁ……見れるならな」

明石「いつか……いつかつくって見せますから。
そのときは提督にも試してもらいますよ」

提督「期待してるよ」

明石「それを私がさらに見る、と」

提督「あいつらの夢ね……愛宕は全年齢じゃなさそうだな」

明石「高雄さんは……どうでしょう。
雲龍さんはたぶんやめた方がいいですね」

提督「ははは……お前のは? 」

明石「どうでしょう、ね。提督が出演しているかも」





愛宕「失礼しちゃう。淫夢ばっかり見てるわけじゃないのに」

高雄「ばかり……たまには見るのね」

雲龍「…………つくらせない。見させない」ドヨ-ン

天城「ね、姉様? 」


< 消された高雄 >





提督「アニメといえば……うーん……」チラッ

高雄「はい? 」

提督「いや……なにか高雄が消えるような」

高雄「私が消える? 」

愛宕「そうしたらぁ、とーっても残念だけど私が高雄の分まで幸せになっちゃいまーす」ギュッ

提督「……愛宕も……うーん」

高雄「……それは困りますね。いっそのこと私と二人で消えてしまいませんか? 」ギュッ

愛宕「慰める女……」

高雄「手を取る女」

提督「どっち? 」





明石「いや、なんの茶番ですかこれ。
あなたたち程俗物すぎて現世に根を張ってる人なかなかいないでしょ」


< 踊る乳、振られる腰、そして乱れる艶髪 >





提督「セクササイズってあるじゃん」

高雄「……そうですね」

提督「あれのカロリー消費ランキング上位五つ全部騎乗位なんだってよ」

愛宕「うーん……別に今の所は体重計怖くないんだけど」

提督「しかも女の子が動くやつばっかなんだよ」

高雄「はぁ」

提督「でもさ。セックスに積極的な女の子で不細工なんていないと思うんだよね」

愛宕「……だって? 」

高雄「……あなたでしょ」

提督「高雄ちゃんもだよ? 認めよ? 」

高雄「引きちぎりますよ」

愛宕「それはダメ」

高雄「…………なぜ愛宕が反応するの」





明石「単に提督と付き合った子が提督に染められて淫乱になっただけですよ、それ」

天城「……ある意味で女の敵ですね」

雲龍「それは普通の意味でもじゃない」


< 欲望と指輪と >





高雄「本日三月二十六日の誕生石はプラチナですね」

提督「プラチナか。……指輪の、うん」

高雄「待ってますよ。……石言葉は“ 才能 ”、“ 欲望 ”、“ 努力家 ”、そして“ 勇気 ”」

愛宕「最も努力家な艦娘といえば! 」

雲龍「朧? 」

天城「長良、とか」

高雄「ここは全員でしょう」

明石「……私だって戦いたいんですよ」

提督「うん、俺は知ってるよ。それでいいじゃないか。
それに明石の主戦場は縁の下の力持ち的だって皆知ってるさ」


< 犬の人もいるかもしれませんね >





明石「提督のファーストキスって誰です? 」

愛宕「あ、気になるかも。学生時代の同級生とか? 」

高雄「まさか風俗とか言いませんよね」

提督「…………猫」

愛宕「うん? 」

提督「小学生の頃家にいた猫」

高雄「なんと」

明石「商売女よりはいいのですかね」

愛宕「ね、猫畜生に負けるなんて」

雲龍「畜生って……まぁ、間違ってませんけど」

明石「確かに人間に負けるよりある意味屈辱かもしれませんね」

提督「まぁ、ヒトガタなら……中学生のときだな。何してるんだろ」ボソッ

愛宕「私も猫は好きよ? 本当よ? 」


< 私の高校はブレザーでした >





提督「海軍といえばセーラー服なわけだが」

愛宕「コスプレする? 」

高雄「……とうが立ち過ぎているような」

明石「下手なAVみたいなものですよね」

提督「お前セーラーが戦闘衣だろ」

明石「や、私は似合ってますから」

愛宕「なぁに? 私には似合わないって言うの? 」

明石「そういうわけじゃ」

提督「お前が着たらエロすぎてな」

愛宕「むぅ」


< 信頼を担保にして >





高雄「誕生花は橙金盞花。花言葉は“ 静かな想い ”」

提督「静かな、ね」

愛宕「熱血ではないけど静かって感じでもないわよね」

提督「俺はあくまで指揮官だからな。
指揮権が無きに等しいとしても自分を失ってはならない。
逆に冷徹すぎても信用を失う」

雲龍「そんなものいらないのではなくて? 」

天城「私は指揮に従うだけです」

明石「……士気に関わりますからね。
命令に従う中でもそれを信じるか否かで成功率にも影響します」

高雄「私は……あなたの命ならば死も受け入れます」

愛宕「あなたは死を命じない。だからこそ死地へもゆけるのよ」

提督「……そうか」


< アーティスティック……かな? >





提督「酒だ酒だ! 」

明石「イェーイ」

愛宕「ぱんぱかぱーんっ! 」

高雄「ん……カンパリ、ですか? 」

提督「違うよ。似てるけどね。二十六日のカクテルはチナールトニック。
洋アザミベースのチナールっていうリキュールと、
トニック・ウォータのカクテルだ」

天城「このトニックというものは香りがいいですね」

提督「だろ? 香草や糖類、柑橘エキスを混ぜた炭酸だからな」

雲龍「……これは……レモン? 」

提督「あぁ。ちなみにカクテルワードは“ 物事に拘りを持つアーティスト ”だ」

明石「私もアーティストです! 」

提督「いや……さすがに認めらんねぇよ。拘りは認めるけどな」


ふえぇ……高雄さんに踏まれたいよぉ

ありがとうございました

横須賀にいた頃の話も見たいね

今さら指摘するのすごい申し訳ないんだけど3/24と3/25の誕生花が逆になってない?


>>692横須賀……シリアス病が発症して中途半端になる気が
できればやりたいのですがあまり欲張ると今のすらできないという
マルチタスクできない無能なので

>>693
ありがとうございます
他にもあったら指摘……酷いことになるかも


< 自分では気付かないことも >





提督「頭痛い……久し振りに二日酔いかな」

愛宕「んー……本当に珍しいわね」

高雄「大丈夫ですか? 」ピトッ

提督「あっ……手の平冷たくて気持ちいい」

高雄「…………」

愛宕「……もしかして」

高雄「風邪ですね。明らかに発熱しています」

提督「マジかよ……」

愛宕「氷嚢持ってくる? 」

高雄「……今日はお粥ですね。梅にしますか? 」

提督「やだ。味噌粥でネギ」

高雄「はいはい。……いやに我儘ですね」

愛宕「……こうして母性本能が擽られる高雄ちゃんであった。ちゃんちゃん」

高雄「…………妻、ですよ」

提督「ふふ……新妻高雄ちゃん」


< ネグレクト……ではない >





雲龍「えっと……お休み? 」

天城「無茶な生活を続けているからです」

明石「で、高雄さんと愛宕さんにつきっきりでメンテされる、と」

雲龍「メンテって……でもそれで私たちには食料庫のスペアキーだけなのね」

天城「過保護にも程がありますよ」

明石「あの、私自分で言うのもなんですけど使い物になりませんよ」

天城「まぁ、姉様と私がいますし」

雲龍「洋食は諦めてね」

明石「それは無問だ……あ! 」

雲龍「どうしたの? 」

明石「……お酒とつまみの方の鍵貸してもらってませんね」

天城「……一日くらい……いえ、借りてきます」


< 毛布を被るなら抱き締めさせて >





高雄「二十七日の誕生石はパープルジルコン。
石言葉は“素朴 ”、“ 温厚 ”、“ 華やか ”、“ 無邪気 ”」

提督「あのさ……看病してくれるのは嬉しいんだけどなぜにナースの格好なのかな」

愛宕「華やかでしょ? 」

高雄「誕生花はジキタリス。花言葉は“ 胸の思い”、“ 健康的 ”、“ 熱愛 ”」

提督「なぜに水差しとかコップを使わずに口移しなのでしょうか」

愛宕「胸の思いの現れなの。早く健康になって愛しあいましょ? 」

提督「と言いながら胸板に手を這わせるのは何なんだい」

高雄「……熱を上げて生体防御機能を活性化させるとか? 」

愛宕「そうそう。それよぉ〜 」

提督「ぜってぇ違うだろ……」


< オタクのサガ >





明石「まぁ、つまりですね。
発熱は身体にいいと現代では思われているのは知ってますよね」

天城「はい」

明石「それはですね。何種類かあるサイトカインという物質に影響されているんです」

天城「なるほど」

明石「そもそも発熱時には白血球やマクロファージなどの免疫活性食細胞がーー」

雲龍「もうやめない? 」

明石「えっ……」

雲龍「なにその傷付いた、みたいな顔。
私興味のない話を聞き続ける優しさは持ってないから」

明石「や、でも天城さんは」

天城「…………」

雲龍「聞きたいわけではないと思うの」

明石「……そうですか」

天城「あ、あのほら……姉様も私もそういったことへの造詣が浅いですから」

明石「…………そういえばこういう話をあの人って最後まで聞いて、
なおかつ質問までしてくれるんですよね」

雲龍「なぜ、そんな知識があるかは置いといてある種才能よね」

天城「……早く治るといいですね」

明石「そうですね」


< すりおろし >





明石「あの、私は別にいいって言ったんですよ? 」

雲龍「……なにか持っていこうって言い出したのはあなたでしょ」

天城「それにすぐさまノッたのは姉様ですけどね」

雲龍「あなたもじゃない」

天城「わ、私は……そもそも明石さんが何もつくれないから手伝ってと言われて仕方なく」

愛宕「仕方なく? 仕方なく来たの? 」ニコニコ

天城「……提督が心配で、はい。すみません」

明石「と、兎に角ですね。提督には私たちも早く治してほしいと言っていたと伝えてください。はい」

愛宕「はーい。ありがとね? あの人リンゴ大好きだから。……それじゃ」



バタン



明石「…………」

雲龍「…………」

天城「…………あの」

明石「言わないで。言わないでください。
私だって最初見たときびっくりしてパニクっちゃったんですから」

雲龍「……なぜ彼女はナース服だったの? しかもちょっとだけ牝くさ」

明石「いいですから……本当に、ええ」


< でもやっぱり彼に着てほしい >





明石「このメンツだと一番バーテンダー衣装が似合うのは……」

雲龍「明石じゃないの? 」

天城「私は姉様も……」

明石「巻き髪にして前に垂らせば天城さんも似合いそうですけどね」

雲龍「……まぁ、全員悪くはないか」

天城「ある程度整っていれば大概のものは似合いますからね」

明石「おっ、言いますねぇ」

天城「今更のことですし……間違ってないでしょう? 」

明石「そうですね。……誕生カクテルはティフィンカシスティー。
カクテルワードは“ 繊細なロマンティスト ”、です」


>>651あたり >





雲龍「この前羊か狼か羊飼いか、みたいな話したじゃない」

天城「自由とはなにか、みたいな話でしたっけ」

明石「……そんな小難しいお話を姉妹でするんですか」

雲龍「そんなに堅い話じゃないわよ。
私や天城が何を目的・指標にすればいいかって話」

明石「それ十分堅い話だと思います」

雲龍「……まぁ、それでいいのだけど。
ただ、ちょっと考えてて……答えが出た」

天城「はぁ」

明石「答え、ですか」

雲龍「私は……牧羊犬よ」

天城「…………狗? 」

明石「…………イヌ? 」

雲龍「なんだか含みがあるわね……まぁ、そういう意味だけど。
あの人に飼ってもらえるなら牙にでもなんにでも…………ちょっと何その顔」


< たなとすのはな >





「…………ふふ……汗、びっしょりね……? 」

手を握り合わせ上からこちらを見下ろす愛宕がとびきり艶っぽい笑顔を見せる。

笑顔、というよりもそれは獲物をついに仕留めて捕食するような、
ある種底冷えするような表情だったが。

「…………俺、熱で寝込んでる、はずなんだけど」

そう、自分でも気付かない程度の軽い症状の熱ではあったが、
確かに彼は本来寝台でゆっくり養生すべき身であった。

「だからぁ……挿れただけで殆ど動いてないでしょ?
ときどき腰が動いちゃうのは……あーん、だって気持ちいいんだもの」

「私も……忘れないでください」

半強制的に肉バイブのように弄ばれている状態ゆえに、
もう一人の存在を束の間失念していた。

彼の上で時折妖しく揺れる愛宕と同じく高雄もまた揃いのナース服を着込ん……着崩していた。

ギシ……ギシ……と高雄が寝台をこちらに進むごとに地平が軋む。

軋むごとに重力に引っ張られ少しだけ下向きに伸びた二つの瑞々しい果実が揺れる。

「んっ……ゅる…………ちゅ………………ぁあ……っはぁ」

「…………酒かよ」

魅惑的な乳房を横目に見ながらの口移しは水かなにかかと思えばそれはアルコールだった。なぜだ。

顔の横から顎と額を固定されて斜めに流れ込む液体と熱をこそげ取ろうとするような長い舌。

発汗によって損なわれた水分を補給する為のはずが逆に加速度的に失われていくようだった。

「……ふふ…………まだ、沢山ありますよ? 」

「ちょっとぉ……私もいるんだからね? それっ」

「ッア……! 」

熱で膜がかかったような思考のせいかいやに頭が回らない。

そのくせ感覚だけは鋭敏で、いきなり鋭く振られた腰の動きに思わず情けない声を上げてしまった。



……ふふ………………ふふふふふ

…………ふふ……ふ…………ふふ

……ふふ…………ふふふ

……ふふふ…………ふふ……

………………ふふ…………ふふふふふ



視界には妖しく異様な程に悪魔的な笑む蠱毒のような魔女。

火照った身体を持て余して目の毒のような身の捩り方をしながらも一心不乱にキスという名の暴力を続けるさらに魔女。

そんなよく分からないほどの快感の渦の中彼は思った。



ーーーーーー普段とあまり変わらないじゃないか、と。


もしかすると日付が全部ずれていたり……
考えたくもありませんね

ありがとうございました


や、ミスはミスですし
できればこれからも見てやってください

それに応えられるよう続けていきたいです、はい


< “ 嵐 ”が去ったその朝に >





ピピッ



提督「ん……36.3℃か」

高雄「…………Zzz」

愛宕「…………Zzz」

提督「……治ってきたようだが……まさか熱吸ったりしてないよな」チラッ

高雄「…………んぁ……Zzz」

愛宕「……んふ……Zzz」

提督「…………ありがとな」

高雄「……Zzz…………ぅ」

愛宕「………………Zzz」

提督「……シャワー浴びてこよ」


< 姦しいとかそんなんじゃない >





提督「…………おい、明石」

天城「…………Zzz」

雲龍「…………Zzz」

明石「……もう…………何です早くから。まだ、マルヨンマルマル過ぎですよ……ふぁ」

提督「知るか。俺はずっと寝て……はいなかったが」

明石「……ははは……ナース」ボソッ

提督「素晴らしかった。……ってのはいいんだよ。なんなのこの惨状」

明石「まぁ……女三人集まれば、みたいな」

提督「いやいやいや……普通は女の子三人くらいで空瓶散乱しないから。
あと、誰だ俺のコレクション空けたやつ」

明石「そうですかね。あと、どれのことを指してるかは知りませんけどたぶん天城さんでしょ」

提督「だろうね。……チューチューしてやろうか」

明石「……うわぁ」

提督「引くな。冗談だ」

明石「…………これが現代版汚れた眠り姫。キスで起きますかね」

提督「だから違う」


< ザルがいてワクがいてさらに >





明石「というかどうして私なんです。他の二人起こしてもよかったでしょ」

提督「だって明石一番弱いし。早く冷めてまともな反応しそうだから」

明石「そりゃ天城さんには絶対敵いませんけどね……雲龍さんくらいなら本気出せば」

提督「無理だな」

明石「いや、あの」

提督「無理だ。……こいつ普段セーブしてるぞ」

明石「えっ」

提督「……介抱役でも気にしてるのか知らないけど」

明石「…………マジですか」


< あくまで想像上の生物です >





提督「……天城起こしたくねぇなぁ」

明石「私は起こされたくありませんでした」

提督「あとで寝直せ」

明石「……もう」

提督「こいつさぁ……絶対機嫌悪いもん。
早朝に起こしたが最後何人か殺った目で睨みつけたり、
普段の淑やかとは真逆の暴言で文句言ってきそう」

明石「でも早朝から仕込む料理多いじゃないですか。そんな弱くはないと思いますけど」

提督「いや、これはヤバイね。下手をすると勢いで蹴り上げてきそう」



天城『はぁ……こっちは気持ちよく寝てたんですが?
その牝くっさい汚い手で起こされて淫欲塗れの息かけられて。
こっちは頭きてんですよぉ。
もう一生そんな考え起こせないように引っこ抜いてケツに突っ込んで差し上げましょうかぁ? 』



明石「くひっ、くひひひひっ」」

提督「ど、どうした。いきなり笑い出すとか食べ合わせでもミスったか?
あと、笑い方がマッドすぎる」

明石「い、いえ……違います、から……ふふ…………天城さん、面白いですね」

提督「……は? 」


< 泡ひ……じゃなくて人魚姫に >





提督「で、起こすのが怖かったので二人とも部屋に運び込みました」

明石「お姫様抱き」

提督「仕方ないだろ」

明石「……どうして私だけ先に起こしたんですかぁ……ねぇ」

提督「いや、気分でだな……つーかさあいつらたぶん意識ないぜ?
意識ないうちにされたことでも嬉しいか?
そもそもされたことわからないだろ」

明石「目の前であんな情景見せられるよりマシですもん」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………むぅ」

提督「…………風呂入ってないよな? 」

明石「…………」

提督「…………よし。ちょっと体重気を付けて」グイッ

明石「えっ? え、あのっ」


< その長く艶やかな細糸を >





明石「貧相ですみません」

提督「や、バランスいいと思うけど」ワシャワシャ

明石「…………」

提督「…………」ワシャワシャ

明石「あ、あのっ……油臭かったりしません? 」

提督「しないよ」ワシャワシャ

明石「…………」

提督「…………」ワシャワシャ

明石「じゃ、じゃあっ」

提督「そんな口開けて泡でも食いたいのかよ。
あと俺はエロい子としか風呂には入らない主義だ」

明石「…………」

提督「…………耳の方、触るぞ」

明石「はい。……まったく……何言ってるんですか。…………くすっ」


< 鼻歌だけが支配する空間を二人で >





提督「流すぞ。目瞑れ」

明石「ん、だいじょぶです」

提督「うぃー」シャ-

明石「…………」

明石(よく考えなくても彼と二人でお風呂入ってるんですね。
しかも裸。や、もちろんお風呂なんだから当たり前なんですけど。
これ色んな意味で大丈夫なんですかね……)

提督「ごめん、ちょっと髪洗いにくいから頭倒して」

明石「はーい」

明石(あぁ……自分でやるより気持ちいい。
根元から毛先までゆっくり、ゆっくり……。
自分の女子力低くて悔しいとかこの上手さって愛宕さんとかその前の髪が長い女の子のときに上達したのかなとか……あぁ、あぁ……)

提督「ふーんふふーん♪ 」シャ-

明石「…………あの」

提督「ん? 痒いところあった? 痛くはないと思うんだけど」

明石「いえ、すっごく気持ちいいです。……そうじゃなくて、ありがとうございます」

提督「んーん、明石の髪綺麗だもん。こういうの好きだよ」

明石(…………これなら、たまには早起きも、いいかもしれませんね)

明石「…………ふふっ♪ 」

提督「うーん……腰にかかる髪…………エロいな」


< わしゃわしゃ >





明石「はーい、痒いところないですかー? 」ワシャワシャ

提督「ん、ない」

明石「いやー、初めてですよ。自分以外の髪洗うのなんて」

提督「そうか。……俺さっきシャワー浴びたんだけど」

明石「まぁまぁ。してもらったらお返ししたいじゃないですか」ワシャワシャ

提督「……でも早く乾かさないと髪痛むぞ」

明石「そこはほら。ちょちょっと復元能力を使えば」

提督「まったく、都合のいいやつだな」

明石「都合のいい女にもなれますよ? 」ワシャワシャ

提督「…………」

明石「…………」ワシャワシャ

提督「……貧相じゃねぇじゃん」

明石「はい? 」

提督「ときどきおっぱい当たるし。柔らかいし」

明石「…………そう、ですか」

提督「あぁ」


< 抱き枕に性別は必要だろうか >





愛宕「…………んふふ」ギュッ

高雄「愛宕」

愛宕「…………ん」

高雄「……愛宕、起きて」

愛宕「…………んー? 」

高雄「んー、じゃないです。愛宕」ユサユサ

愛宕「…………提、とく、じゃない? 」

高雄「違います」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………高雄でもいっかぁ。んふー」ギュウ

高雄「…………私は起きたいのだけど」


< いっそワンピースも。あとは…… >





明石「や、大丈夫ですってば」

提督「そう言ってお前適当にリボンで纏めて終わりだもん」

明石「でも提督に結んでもらわなくても」

提督「いいからいいから。たまには別のヘアスタイルにもしろよ」

明石「……でも」

提督「あ? 似合わないわけないだろ。俺がアレンジするんだぞ」

明石「…………」

提督「大丈夫だって。明石のチューニングは任せろ」

明石「…………信じますよ? 」

提督「おう。期待しとけ」


< 今日だけは許して >





雲龍「…………」

天城「…………」

明石「あ、あの」

雲龍「……イメチェン、する? 」

天城「……似合ってますよ」

明石「今日だけですよ……ありがとうございます」

提督「いやー、いい仕事した。明石ー、ワンピースとかツーピースないの? 」

明石「何着かは」

提督「じゃあ、着てこい。命令だよ君」

明石「は、はぁ」タッタッタッ

雲龍「…………羨ましい」

天城「…………頼めばいいんじゃないです? 」

雲龍「…………頼むのはなんか違う」





提督「うーん、明石は普段対称だからなぁ。
思い切って片側に寄せるのもいいと思ってたんだよ。
逆側の首元出して女っぽく……いいねぇ」


< 俯いて、裾握り締めて >





明石「ど、どう、ですか……? 」

提督「おおう……」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………提督? 」

提督「ん? いや……似合ってる。普段から着ててもいいのに」

明石「……自信なくて」

提督「そっか。まぁ、セーラーも好きだけどね」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……サンドウィッチでもつくろっか」

明石「は、はい? 」

提督「なんとなくバスケットにサンドウィッチ詰めてレジャーシートって感じ」

明石「はぁ」

提督「基地前の丘。お昼はそこに集合ね。あとで帽子貸すから」

明石「了解です」





高雄「で、サンドウィッチつくるのは私たちですか」

提督「高雄のタマゴサンドが食べたいな」

愛宕「いいじゃない。あの子普段はお洒落全然しないし。
それにピクニックっぽくて」

高雄「イヤではないですよ。……とりあえずタマゴサンドですね。それから……」


< 一方で >





雲龍「……ガーリーって言うの? あれ」

天城「どうでしょう。あまり詳しくはないのですけど……赤毛のアンみたいな」

雲龍「そんな感じでも……うーん」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「……私たちも着てみますか? 」

雲龍「……そうね。確か揃いのフリフリがあったはず」

天城「ライムグリーンのレイヤーワンピですね。ピクニックに合うかは知りませんけど」

雲龍「いいのよ、それで。……髪、結ってくれる? 」

天城「はいっ。天城のもお願いしますね」


< 横一列に並んで、空を見上げて >





提督「うーん……いい空気」

愛宕「そうねぇ……空が青いわぁ」

高雄「ええ、爽快な気分になりますね」

明石「あぁ……引きこもりには眩しい光っ」

雲龍「何言ってるのよ。……いい風ね」

天城「はい。草の匂いもいいものなのですね」

提督「普段は海の上だもんなぁ……はいっ、ここにシート持ってきました。
各自楽しんでください、以上」


< サンドウィッチは美味しかったです >





提督「あげる」

愛宕「いいの? 」

提督「うん、なんとなく」

愛宕「……花の輪っか、ね。ふーん、ありがと」

高雄「それどうやってつくるんですか? 」

提督「ん、簡単だよ。おいで」

明石「あっ、私もつくりますっ」

愛宕「輪っかなら……三つ編みにでもしてくればよかったかしら」





天城「…………健全すぎるような」

雲龍「そういうこともあるでしょ。
まぁ、青春くさいというか幼い気もするけれど」


< また、 >





提督「さて、そろそろ戻るか。いつまでも基地空けてらんないし」

高雄「本来ならこれでもダメですけどね」

提督「まぁ、そこは許してよ。軍人にも春は来る」

雲龍「……頭の中は常に春じゃない」

提督「その春じゃねぇ」

愛宕「その春ってどの春? 」

提督「えっ、いや、あの」

天城「あぁ……これが……名残惜しいという感情、なのですね」

明石「……明日とは言いませんけど……また、来られるといいですね」

天城「ええ……きっと、また」


< 酒造が主軸のはあるんですかね? >





提督「朝ドラ終わったな」

高雄「そうですね」

愛宕「終わったっていっても観てなかったじゃない」

提督「だって毎回同じ時間に拘束されんの嫌だし」

高雄「それドラマを根本的に否定する発言ですよ」

提督「んー、ただ一応はニッカ愛飲者だから。
ラストも感動できるやつだったらしいね」

愛宕「愛飲じゃないメーカの方が少ないような……」

提督「まぁまぁ。……とりあえずお疲れ様でした? 」

高雄「……それなら疑問符は要らないでしょう」


< 原曲の姿はどこへやら >





提督「始まったぜ! この季節がなぁ! 」

雲龍「? 」

高雄「野球ですよ、野球。昨日からですけど」

明石「提督って野球好きでしたっけ? 」

提督「や、それなりにね。地元に球団あるし。
まぁ、サッカーもバスケもあるけどね。
一応ローカルメディアでは野球が一番出てるから」

天城「……今やってるのとは違うんですか? 」

愛宕「これは高校生の大会なのよぉ。……そういえば勝った? 提督の地元」

提督「うん、勝ってた。つーか二試合目も勝った」

明石「うーん……あ、これ知ってます。ヤマトですよね。色んな応援があるんですねぇ」

提督「おう。時々珍しい曲使ってて面白いぞ」


< 嫌いにもなれないけれど >





高雄「二十八日の誕生石はピンクゴールド。
石言葉は“ 神秘的 ”、“ 自然が好き ”、そして“ 天賦の才 ”」

愛宕「神秘的ってミステリアス? 」

明石「オカルティックじゃないです? 」

雲龍「それは隠秘でしょ」

天城「……先程の丘は素晴らしいものでした。
自然……敵さえいなければもっと海も好きになれるのですが」

提督「海、嫌いなのか」

天城「いえ……嫌いというわけでは。
ただ海を眺めていると自分の怠惰を責められているようで」

提督「そうか。……俺は天城がそうやって悩んでいるの凄いと思うよ。
自分の本分を果たしていないんじゃないかって。
俺なんてここで埋れちまいそうだ」

天城「あなたは……少なくともあなたは高雄さんたちには必要とされています」

提督「俺は天城を必要としてるけど? 」

天城「ッ…………だから好きになれないのです」ボソッ





愛宕「…………天賦の才、ね」


< 山吹色の財布とか使いたくない >





高雄「天然すけこましは置いておいて」

提督「いや、俺口説いた女の子は手放さないから。
売り飛ばしたりするわけない」

高雄「……誕生花は山吹。花言葉は“ 金運 ”ですね」

愛宕「金運ねぇ……まぁ、十分あると思うんだけど」

雲龍「高いお酒もたくさんあるものね」

提督「あっ、それで思い出した。天城だろ、俺のコレクション引っ張り出してきたの」

天城「違います」

提督「いや、明石が」

天城「……明石さん? 」

明石「や、あの……私かもしれません」

提督「おい」

高雄「…………そろそろ補充しないといけませんか」

愛宕「今度こそ新しいお味噌頼むわよ」


< 舌に馴染んでからじゃないと >





提督「缶チューもいいよな」

高雄「好きですけど……どこのメーカのもあまり変わらないですよね」

提督「や、ちょっとずつ違うって……つまみがあれば舌がこんがらがったりするレベルだけど」

愛宕「プライベートブランドのとかわかりやすい味よね」

提督「あぁ、あれはね。大味な、というか……まぁ、嫌いじゃないよ」

明石「このオマケの柿ピー美味しいです。初めて食べました」ポリポリ

提督「マジ? ぜってー損してるって」





天城「……天城知りました。ビールあんまり好きじゃありません」

雲龍「そう……それはいいけど。
どうして半ダース飲んでからじゃないと気付けなかったの? 」


< 女神コスってどんなの? >





提督「誕生カクテルはドマーニ。カクテルワードは“ 人や動物を引き寄せる女神様 ”」

愛宕「提督の女神様ことあた」

高雄「高雄がいます」

愛宕「いや、わた」

明石「わ、私もっ、ダメですか? 」

愛宕「だ・か・ら! 私でいいじゃない。どうして遮るのよぉ」

提督「皆でいいよもう。そんなの考えたことなかったけど」





天城「……一番引き寄せてるのあの人ですよね」

雲龍「それは……女装でもしてもらう? 」


< ポケモンではない >





提督「まったくもってどうでもいいことなんだけどさ」

明石「はい」

提督「今日はマクシム・ゴーリキーの誕生日なんだって」

明石「……誰ですか? 」

提督「さぁ? 『どん底』って戯曲知らない?
ロシアの作家らしいけど」

明石「提督も知らないんですか……作品聞いてもわかりません」

提督「だろうね」

明石「で、その人がなんなんです。
その作品に海軍でも出てくるんですか? 」

提督「え、知らないよ」

明石「え、えぇ……」

提督「なんとなくファミリーネームに目が止まっただけだから」


< 完全無欠ではね >





提督「ふぃー……飲んだ飲んだ」

高雄「いつもじゃないですか。たまには酒絶ちでもしたらどうです」

提督「いいじゃん。悪酔いしたり絡んだりしないだろ? 」

高雄「…………酔いに任せて外に引きずり出されるのはちょっと」

提督「えっ、外嫌い? 」

高雄「外は嫌いじゃないですけど外に出てなにもしないままってことないでしょう」

提督「あぁ……そういうこと。ごめんね駄目人間で」

高雄「酒断ちすれば成長するかもしれませんよ」

提督「んー……まぁ、絶対にしてほしいなら考えるけど。
成長してほしい? 」

高雄「…………今のままで」

提督「ん」


< 少年の心を >





提督「つーかさ、俺が言うのもなんだけどこれ以上成長してもいいの?
入りきらなくなるかもよ」

高雄「…………精神的に、という方向では考えないんですか」





明石「そ、そんなに……? 」

雲龍「入りきらないって……割と伸縮性あるはずよね」

明石「この前のお風呂掃除のときはどうでしたっけ? 」

雲龍「ゆったりした膝丈のやつだったはず」

明石「あぁ……それじゃあはみ出しはしませんね」

雲龍「形も浮き出さない、か」

明石「うーん……あっ、愛宕さーん。ブーメランとかないんですか? 」

愛宕「ぶ、ブーメラン? なに、投げるの? 狩るの? 」





天城「姉様、おいたわしい……どうしてこんな汚れ方を」

提督「いたわしいっつーかある意味の被害者は天城だよな」

天城「あなたの所為なのですけど」


どんな私服を着てるかとか考えるの楽しい
あとヘアスタイルとかも

ありがとうございました


< 綺麗な空気を汚すのがまた >





提督「…………っはぁ」

高雄「ん……寒いです」

提督「そりゃ、早朝の外だもん。別に来なくてもよかったんだぜ」

高雄「いえ、あなたといたかったから」ギュッ

提督「……そっか。…………ッ……はぁ……フー……」

高雄「ヤニつけないでくださいね」

提督「うん。……どうもね。いいセックスした朝は吸いたくなる」

高雄「カッコつけたいと? 」

提督「平たく言えばね。……ん、ブラウス透けてる」

高雄「うそ……あぁ……見ましたね? 」

提督「まぁるいいちご……ほどでかくはないか」


< 戦闘兵器ならば意志など >





高雄「私たちって体温無い方がよさそうですよね」

提督「兵器としてってこと? 」

高雄「はい。痛みなんて感じない方が怯んだりしないような」

提督「うーん……それなら意志とか意識もいらないというか……。
たぶんどちらかだけの存在だと欠陥品だと思う」

高雄「そう、でしょうか」

提督「うん」

高雄「それなら……」

提督「…………」

高雄「それならどちらもある今の方がいいです。
あなたの体温を感じて幸せを実感できないのは嫌ですもの」

提督「……そうだね。俺もえっちぃことできないのは嫌だな」

高雄「……そうですね」

提督「おっ、いつになく素直」

高雄「気まぐれです。これも……感情がないと無理な代物、ね」


< 努力は隠れて……とも違う >





提督「一緒にシャワー浴びない? 」

高雄「いえ、そのままメイクするので自室に戻ります」

提督「そう。別に今更だと思うけど。
すっぴんなんて見放題だし。そもそもナチュタイプだし大したことしてないだろ? 」

高雄「うーん……なんというか整えている最中は見せたくないんです」

提督「ふーん」

高雄「目を見開いたり変な顔したり……それに恥じらいの最後のラインを越えるのには抵抗が」

提督「なるほどね。まぁ、無理にとは言えないよ。……じゃ、あとで」

高雄「はい。それでは」


< そもそも重婚 >





提督「そういやお前らの戸籍って超法規的措置で艦娘用のがあるじゃん」

愛宕「そうね。実物は見たことないけど確か名前欄は“ 愛宕 ”だけなんでしょ? 」

提督「そうそう。苗字がなくて……皇族みたいなものか」

高雄「まぁ、年金は貰えませんし各種税金も納めてないので何の意味があるのかわかりませんが」

提督「あれ? 知らない? そーいうのを飯の種にするさ、いるじゃん。
権利だ自由だって主張する政治屋とか利権屋って人たち」

高雄「はぁ。その人たちが出てくる前に、と? 」

提督「そ、軍にしちゃ判断早かったね。……ってのはどうでもいいんだよ」

愛宕「そうなの? 」

提督「おう。……もし俺らが結婚するとしたら役所には何をどう出せばいいんだろうな」

高雄「さぁ……」

愛宕「うーん……」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「…………事実婚でいいか」


< 一文字苗字だと座りが悪そう >





提督「でもってさ。表札に書くときはどうすればいいんだろ」

愛宕「全員名前だけでいいんじゃない? 」

提督「あっ、確かにそうだな」

愛宕「うん」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………答え出るの早すぎですよ」

提督「だって考えてみれば二世帯住宅でそういうの見たことあったし。
……あと高雄は男だと思われるかもね。名前」

高雄「うーん……そればかりはどうしようも。
……仮に戦争が終わったあとは改名というかこの名を捨てるとかあるのでしょうか」


< こういう会話をしていると >





提督「え、好みの女の子? お前そりゃ……ここにいるメンツとか横須賀で仲よかった子思い出せばわかるでしょ」

明石「…………龍驤さんとも結構仲よかったですよね? 」

提督「いや、当たり前だろ。別に好みの人としか仲良くしないとかねぇよ。
それだと男友達できないじゃねぇか」

明石「あぁ、確かに」

提督「おう。……でもまぁ……そうだよ。おっぱい大っきくて色っぽくて……。
うーん、時々ギャップを感じさせてくれて甘えさせてくれるけど甘えてくれて……えーっと他に」

明石「……そんなにあるなら好みとかじゃないような」

提督「そうか? 」

愛宕「基本的に女の子好きだものね」ヌッ

提督「そうだな。……お前どっから現れた」


< 滅茶使えますよこれ >





提督「雲龍、ハイボール好きだったよね」

雲龍「ええ。覚えてたの」

提督「まぁ、難しいことじゃないし。……これどうぞ」

雲龍「……? 」

提督「ステンレス鋼製のハイボールタンブラ。
グラスと迷ったんだけどグラスならここにあるし」

雲龍「ふーん……」

提督「そんなに高いものじゃないけど結構使い勝手いいよ。
沢山入るし保温性高いし」

雲龍「そう……400くらい入るかしら」

提督「そうだったかな。……よかったら使ってよ」

雲龍「ええ、ありがとう。……大事にするわ」


< もちろんネット >





提督「ごたあ」

愛宕「え? なに、もう一回」

提督「こたあ」

愛宕「ご、ごたあ? 」

提督「おかた」

高雄「……私たちの名前を逆にしただけでしょう。どうしたんです」

提督「いや……スク水の当て布は右から書いてもらおうかと」

高雄「あなたまた何言って」

愛宕「紺の新スクよね? 」

提督「なんでも。俺旧スクでも新スクでもいいや。色が変な色じゃなければ」

愛宕「そう? でも私が着れるのなんてちゃんと買えるのかしら」

提督「余裕だよ。現代を舐めるな。な、高雄? 」

高雄「私に振らないでください」

高雄(…………提督は兎も角我が妹はどこからそんな情報を仕入れてくるのかしら)


< 唐突ですが言いたいことを自由に >





提督「眠い。死ぬほど眠い」

高雄「提督が仕事をしてくれません」

愛宕「さっき新しい下着届いたわ。通販の」

雲龍「ハイボール、いいわね」

天城「姉様……嬉しいのはわかりますが抑えてください」

明石「私はマッドサイエンティストじゃないです」





高雄「ほら、手伝いますから。こんなことやってる場合じゃないですよ」

提督「だって新年度近くて書類が……うーん」

愛宕「さっき届いたの着てあげるから。……今はお仕事しましょ? 」


< 最低のクズは免れたい >





提督「自慢していい? 」

愛宕「どうぞー。……はい、高雄」

高雄「はい。……仕事はしてくださいよ」

提督「兵学校にいたときにさ。同期がゴムくれっていうからあげたらブカブカだったって泣きそうな顔で言われた」

高雄「……大きい方がいいんですか? 」

提督「そりゃな」

愛宕「でも私あなたがゴム使ってるの見たことないんだけど」

提督「だって学生で妊娠とか嫌だっただけだもん。
あと、ラージでもキツくて嫌。できれば付けたくない」

高雄「まごうことなくクズですね」

提督「や、女の子のこと考えて付けてたんだよ? 」

愛宕「……まぁ、私たちは妊娠しないものね」

提督「今はできてもいいぜ? ただ、艦娘の妊娠は将来的な課題だな」

高雄「私は……あなたと愛宕がいればいいですけど」

愛宕「ほしいの? 」

提督「うーん……どうだろう」


< 自分と他人 >





天城「マッドサイエンティストではないなら何者なんですか? 」

明石「や、何者でもありませんよ。
強いていうなら艦娘専門の工学者ですね」

天城「それがいき過ぎているからマッドと呼ばれるのでは」

明石「そんな気はないんですけどねー」

天城「そういったものの評価は周囲がするものです」

明石「うーん……でもマッドってレッテルですし」





提督「でも、あいつワクとかうわばみって言ったら否定するんだぜ? なんなんだよもう……」


< 太陽のようなお人 >





高雄「三月二十九日の誕生石はマーキースカットダイアモンド。
石言葉は“ 暖かい心 ”と“ 新たな出会い ”」

愛宕「これ以上新たな出会いはいらないんだけど」

提督「そうなの? 」

愛宕「あなたが、ね」

提督「あぁ、そういう……」

高雄「誰にでも暖かい心を持つのも考えものです」

提督「誰にでも冷たいよりはさぁ」

愛宕「限度があるでしょ」


< ( イケナイ )太陽のようなお人 >





高雄「えっと、誕生花はタンポポ。
花言葉は“ 飾り気の無さ ”」

提督「えーっと……誰かいたっけ? 」

愛宕「うーん……摩耶とか」

高雄「あの子は割とロマンティックなこと好きですけどね」

提督「へぇ……」

明石「愛宕さんとか高雄さんは対極にいるような人ですよね」

愛宕「お洒落好きだしー……必要な生活ですもの、本当に」

高雄「ええ、私も愛宕とお洒落で対立することになるとは思っていませんでしたとも」

提督「…………やけにしみじみとしてるね」


< なんのためにか >





雲龍「あの人がガチギレしそうなこと」

天城「お酒のコレクション空けたときはあまり怒りませんでしたね」

明石「私もミスとかはやれやれみたいな感じでむしろ心配されますね」

雲龍「うーん……いきなり後ろから殴りつけるとか」

明石「それ誰でもそうですよ。……まず理由訊いてきそうですけど」

天城「じゃあ、自殺とか」

明石「や、私たちがですか? 理由がないと悲しみも実感できないと思いますよ。
ましてや怒りなんて」

雲龍「……高雄か愛宕を傷つける」

明石「あー……なるほど……でもどうやって? 」

天城「……物理的なのは無いとして偶発的に精神的な傷を……」

雲龍「…………結局あの二人を一番傷つけるのも彼のことなのよね」

明石「どうしようもないです」


< 重なる雲からこんにちは >





提督「うっそだろおい……」

雲龍「どうしたの? 」

提督「……勝った」

雲龍「? 」

提督「高校野球な。俺の出身地の代表がベスト4なの」

雲龍「ふーん……嬉しいものなの? 」

提督「まぁ、特に好きではないけど……郷土愛みたいな」

雲龍「そう……よかったわね」

提督「おう。……雲龍は命名由来も地名じゃなかったな」

雲龍「そうね。あえて言えば空かしら」

提督「空母としては縁起のいい名前か」

雲龍「……今度こそ、役にたつわ」


< そうでもないですけどね >





天城「バーカウンタとかつくらないんですか? 」

提督「や、今カラオケ施設を……わかったよなんとかする」

天城「ありがとうございます」

提督「……まぁ、いいや。二十九日の誕生カクテルはフレンチコネクション。
カクテルワードは“ 妄想力豊かな不思議な世界の住人 ”。……ここでは雲龍だな」

雲龍「……そうなの? 」

提督「妄想力は知らねぇけど。割と不思議ちゃんだと思うよ。
少なくともこの中では」

愛宕「皆目的とか明らかだものねぇ〜 」

高雄「そうね」

天城「私もそんなにわかりやすいですか? 」

提督「酒」

天城「むっ」

提督「酒だろ。さすがに認めろ」

天城「……むぅ」


< 物は言いよう >





愛宕「女の子には絶対優しくて紳士的でイケメンで筋肉があって高身長で……」

高雄「話が合ってムード考えてくれてお酒が強くて高給取りで……」

明石「お料理もできないわけじゃなくて甘いお菓子づくりが得意で夜の戦いはピカイチで……」

天城「悪いとは言いませんけれど……全部すけこまし要素ですよね」

明石「そうですね」

高雄「否定できません」

愛宕「い、イケメン無罪……。それに私は好きよ? 」


< 薄暗く、薄暗く、薄暗く…… >





提督「んー……アマレット、やっぱりいいね。
クルボアジェのルージュってのも」

雲龍「フレンチコネクション、ね」

提督「…………」

雲龍「……私も甘口のカクテル、好きよ」

提督「…………」

雲龍「……どうしたの? 」

提督「…………ここ誰もいない客室なんだけど。視察の偉い人用の」

雲龍「……あなたもいるじゃない」

提督「俺はいいんだよ。……風呂入ったんだろ? 湯冷めするぞ」

雲龍「……どう? こういうの。透けてるの好きそうだと思ったんだけど」

提督「…………」

雲龍「…………ここ、海と空がよく見えるのね」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………こういうことする雲龍嫌いだ」

雲龍「そう………………ふふ」


< love me , I love you ♪ >





雲龍「……ねぇ」

提督「うん? 」

雲龍「触って、くれない? 」

提督「…………酔ってる」

雲龍「あなたに」

提督「…………はぁ」

雲龍「ふふ……こういうあなた、好きよ」

提督「…………」

雲龍「困った顔してどうやって自分以外傷付かないようにできるか考えてるの」

提督「…………わかってるなら、さ」

雲龍「わかっているから。応えてくれないなら困らされるくらいされてよ」

提督「……それだけで満足なの? 」

雲龍「全然」

提督「…………そうか」


< ○○○。 >





明石「テーマ。今彼氏とやってみたいこと」

愛宕「相合傘。彼が外側の肩濡らしちゃって私が引き寄せて、みたいな」

高雄「ワルツ。あまり激しくないダンスを、はい。見つめあって」

天城「観覧車。なにやら定番のスポットらしいので」

明石「ふーん。……皆さん健全なのとか乙女ちっくなのばかりですね」

愛宕「明石は? 」

明石「工作。……なんですか皆さん異端者を見るような目で」


< 相剋し螺旋する…… >





提督「……応えても俺は傷付かないんだよ」

雲龍「そうね」

提督「高雄も愛宕もまぁ……だけどね」

雲龍「…………」

提督「俺、今でもダメなやつだと思うよ。
それでも高雄と愛宕は特別なんだ。ずっと一緒にいるし」

雲龍「…………」

提督「でも他の女の子を平等に愛せるかわからない……というか無理だと思う。
あの二人ではたぶん差を付けてないと思うけど他の子はね」

雲龍「それが嫌なの? 」

提督「うん。嫌じゃないの? 」

雲龍「嫌よ? 」

提督「…………でも欲しいの? 」

雲龍「嫌? 」

提督「……………………」

雲龍「……愛と恋は矛盾するものなのよ」


< 手を伸ばしたその先に >





提督「…………じゃあどっちが恋でどっちが愛なんだ」

雲龍「……あなたに触れてほしいと思うのが、恋」

提督「…………」

雲龍「……あなたに触れたいと思うのが、愛」

提督「…………つまり愛は満たされてるわけ? 」

雲龍「そういうわけじゃないの。どっちも絡み合ってるのだし。
ただ……あなたが触れてくれればどちらも満たされるけど」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………もし今までに俺が」

雲龍「…………」

提督「……雲龍を拒んでいれば今は変わってたかな」

雲龍「きっと、ね。……でも悪化していたと思う」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……………………未来、変えてみる? 」

雲龍「…………喜んで」


< この身に刻まれたそれは >





愛宕「あの人と雲龍はどこ? 」

高雄「さぁ……彼の部屋でも雲龍姉妹の部屋でもないどこか」

愛宕「……そういうこと」

高雄「ええ」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………案外と傷付きも悔しくもないわね。
嫉妬心がないとは言えないけど」

高雄「……正妻の余裕というやつかしら」

愛宕「二人だけどね。……今の私性格悪そうな顔してないかしら」

高雄「いいえ」

愛宕「……そう」

高雄「ええ」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………二人で、シてみる? 」

高雄「……愛宕がそれで満足できるなら」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………寝ましょうか」

高雄「そうね」


< 吸いついて、押し倒して、そして >





提督「…………」

雲龍「…………ふふ」

提督「…………」

雲龍「……不機嫌そうな顔」

提督「…………それで合ってる」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………私の顔は? 」

提督「ん…………」

雲龍「…………」

提督「……今は見たくない」

雲龍「…………今だけは見てよ」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……………………見なくてもできること、しようか」

雲龍「え……ぁ………………んっ……」


ハイボールタンブラ……
最初はグラスでよかったけど今ではなくてはならないです

ありがとうございました


< シーツを腰に巻き付けて >





提督「…………サイッテー」

雲龍「…………Zzz」

提督「…………あぁ、もう……」

雲龍「……ふふ…………ぅ……Zzz」

提督「…………」

雲龍「…………Zzz」

提督「…………」

雲龍「……Zzz……」

提督「…………何もかもサイテーだな」

雲龍「ふふ…………ぁ………………すき…………Zzz」


< それはまるで敗残者のように >





ガチャ、バタン



提督「…………」

愛宕「あら……」

高雄「おかえりなさい……? 」

提督「……シャワー浴びる」

愛宕「そう」

高雄「シャンプー新しいの使ってくださいね」

提督「おう」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「…………責めないの? 」

愛宕「責めてほしいの? 」

提督「思いっきり」

高雄「…………すると思います? 」

提督「……………………サイテーだ、何もかも、本当に」


< 都合のいい >





高雄「責めてほしいならば」

提督「…………ん」

高雄「……女に身を捧げられたのですよ。求められて。
幸せそうに、とは言いませんが時化た不幸面はやめなさい。不愉快です」

提督「…………」

愛宕「ふふ……高雄ちゃんやっさしー。
ここは何も言わないで逆に優しくする方がダメージ入るのに」

高雄「ええ、だからこれは優しさですよ。
責めてと言われて責めてあげる都合のいい女の」

愛宕「ついでに負け犬みたいな気分もヒーロー気取りのこころも慰められるわよねー」

提督「…………そこまで言えとは言ってない」

高雄「指図できる立場だとでも? 」

愛宕「私は高雄より寛容よ? 」

提督「…………」

高雄「…………シャワー、浴びてきなさい。
その後なら慰めでも罵倒でもいくらでもして差し上げますわ」


< あの人は今 >





愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………そういえば」

高雄「……? 」

愛宕「これ加賀さんの立場はどうなるのかしら」

高雄「あぁ……」

愛宕「……激おこ? 」

高雄「どうでしょう。……まぁ、これであの人の枷が外れたと思えば」

愛宕「そうねぇ。……新しく別の枷ができたけど」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………朝食、つくりましょうか」

愛宕「そうね」


< 傍目ですぐわかるような >





雲龍「…………ふふ」





明石「……幸せそうですねぇ」

天城「…………姉様」

明石「嫉妬、ですか? 」

天城「それはどちらに対してでしょうか」

明石「うーん……どちらも」

天城「そうですか。……天城はレズじゃないです」

明石「…………そうですか」

天城「あなたはどうなんですか、明石さん」

明石「素直に羨ましいです。あんなに幸せそうな姿見せられちゃね」

天城「…………」

明石「…………」

天城「……でも……姉様が幸せなら、それで」

明石「天城さん……」


< 食器の音がよく響く >





提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

雲龍「…………」





明石「……これもしかして私たちだけ邪魔者? 」

天城「そんなことは……どうなんでしょう」

明石「まぁ、誰も声荒げたりしないのは大人なのか何なのか」

天城「うーん……単に姉様は周りが見えてなくて、
高雄さんと愛宕さんが提督で遊んでるようにも見えますけどね」


< 朝から飲んでも夜から飲んでも酒は酒 >





明石「まぁ、ここって誰が何をしていたか察せる能力が平均的に高すぎますよね」

天城「あなたが時々異様に鈍いのです」

明石「ははは……」

天城「そもそも合計で六人しかいないのに平均もなにも」

明石「や、それでも平均は平均ですし」

天城「…………」

明石「…………」

天城「…………はぁ。冷酒」

明石「…………あのですね。本当にアル中に……はいはいわかりましたから。
だからそんな睨み方しない」


< 不貞寝の誘惑には勝った >





高雄「…………今日はお一人で……ふーん……」

愛宕「まぁ、たまにはいいでしょ。
執務なんて私しない方がいいわよ」

高雄「それはそうですが」

愛宕「ふふ……拗ねたというか引きこもったというか」

高雄「最近は大人だと思ってましたけどやはり本来はガキでしたね」

愛宕「そこまで気にしてないのにね。…………私は」

高雄「私もですが」

愛宕「…………へぇ」

高雄「はい」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……一番気にしてたのがあの人なのは確かね」

高雄「そうね」


< 不機嫌なシーン >





ガチャ、バタン



提督「…………」

愛宕「あら……どうしたの? 寂しくなっちゃった? 」

高雄「はっ……」

提督「……ちげぇよ。…………今日の夜に市長と陸軍側と会食あるの忘れてた」

愛宕「あっ」

高雄「……はぁ」

提督「ついでに知事も来やがる……迎えがヒトサンマルマルに来るんだが……どっちか来てくれないか」

高雄「…………」チラッ

愛宕「…………」コク

高雄「今回はあた」

愛宕「ごちゃんではなく高雄と行ってね? 」

提督「そうか。……早めに昼食を取ったあとに正装。
ドレスコードはないが軍装は整えておけ」

高雄「いや、あの私は」



ガチャ、バタン



高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「……愛宕」

愛宕「なぁに? 提督のことよろしくね〜 」

高雄「…………はぁ」


< そして四人だけになった >





提督「じゃ、行ってくる」

愛宕「はーい。お土産待ってまーす」

提督「遊びに行くんじゃねぇんだけど」

高雄「……今からでも遅くはないからあなたが行ってもいいのよ」

愛宕「残念だけどぉ、私には子守があるから」

明石「子守って……私たち? 」

天城「……でしょうね」

雲龍「だとすればやけに手のかかるガキね……」

提督「まぁ、いい。……出してくれ」



ブロロロロロ……



明石「……でもあんなんで大丈夫なんですかね」

雲龍「提督と高雄? 」

天城「大丈夫でしょう。まさか戦場に行くわけではありませんし」

愛宕「会食なんて戦場みたいなものなのだけどね。
……さっ、今日は奮発しちゃうわよぉ。あの二人はいいもの沢山食べてくるんだから」


< でも練習する気は無い >





明石「愛宕さんは洋食」



愛宕『ふふ……スープスープぅ』



明石「でも笑顔でスープ鍋ぐるぐる回してるのはちょっと。
……雲龍さんと天城さんは和食」



雲龍『汁物はどうするの? さすがに和洋の汁物があっても両方あるのは』

天城『それは愛宕さんに任せてしまいましょう。
私たちはその分の小皿を一品増やせば』



明石「麗しき姉妹愛ですねぇ。
……それに引き換え私は……ははは。
一人で提督の書類整理ですか…………ちょっと寂しい」


< 車中での出来事 >





提督「…………高雄」

高雄「なんでしょう」

提督「今日は近隣市町村の首長が来るわけだが」

高雄「はい」

提督「知事だけには注意しておけ。他は大なり小なり無能が暴露かかってるからな。
次はもう会わない、というか会えないだろうから」

高雄「そうですか。……有能であればあるほど警戒されるとはね」

提督「アホを注視してたってシュールギャグみたいなもんだろ。意味ねぇよ。
……俺が警戒されているようなものかな」

高雄「どうですかね」

提督「お前、見てるだろ? 」

高雄「あなたを? 」

提督「俺を」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………有能だから見ているわけではありませんよ」


< お互いの顔など見ずに >





『ーーなるほどなるほど。つまり提督殿の考えでは』

『しかしですね、駐留しているだけで我々にはなにも』

『今度私もお邪魔してみますかなァ』

『……では、この話はまた夜にでも』





提督「ふん……無能な政治屋どもめ」

高雄「……もう少し表情を柔らかく」

提督「彼らがいたときはにこやかだっただろうが」

高雄「私の目の前では取り繕う必要などないと? 」

提督「……そういうわけじゃ」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……三十日の誕生石はエンジェルスキンコーラル。
石言葉は“ 親切 ”、“ 気さく ”、そして“ 人懐こさ ”。
今日くらいは人懐こさを演じてみなさいな」

提督「……手本見せてみろよ」

高雄「…………ここでやれと? 」

提督「ここではやれないことしか思いつかないのか? 」

高雄「それはあなたでしょうが。……………………今日の夜は会食後、ホテルでしたね」

提督「あぁ。……それまでこの話は無しな」

高雄「ええ、仕方ありませんね」


< ベタな料理下手 >





明石「いくらなんでも悲しいのでおひたしだけ挑戦してみました」

愛宕「別に気にしなくてもいいのに」

明石「や、私が気にするんです」

天城「でも、おひたしってなかなか奥が深い料理ですから。
マスターするのは難しいんですよね」

雲龍「そうね」

明石「まぁ、料理は科学って言葉もありますし。
美味しいかはわかりませんが食べられはしますよ」

愛宕「その言葉ほど食べたくない言葉もなかなか」

雲龍「見た目は普通だけど」

天城「……本人すら…………というかわからないってことは味見は……あ、はい……」


< つまらないことも面白く >





「提督殿もこの考えには」

提督「ええ、私としても賛成、ではあります」

「なるほど。しかし、あくまで艦娘……そちらの高雄女史のような方の存在そのものが秘匿されるべきものだと」

提督「そうです。彼女は私の補佐ですから本日のお招きにも伴っていますがね。
ですから基地で軍との交流行事を行うならばできる限りお助けはします。
ただ、彼女たちの参加は表立ってはできないと思っていただきたい」

「そうですか。……いや、それにしてもお美しい方ですね。
私も秘書や副知事に女性を起用しますかな」

高雄「知事ほどの方なら私とは比べものにならない程優秀な方でも喜んでお助けするでしょうね」

「いやいや……これは男女に限りませんが……。
優美さと優秀な事務能力を兼ね備えた存在はなかなかいないものです」

提督「よければ高雄をお貸ししましょうか? 」

「悪くない。もし、私が海軍軍人であれば、だが」

提督「はは、確かにそうですが……ふむ」

高雄(気さくというか道化というか……まぁ、無能ではありませんからね。
これでよしとしましょうか)


< ぱんぱかとはなにか >





愛宕「ぱんぱかぱーんっ! 」

天城「ぱんぱかぱーん……」

愛宕「今日は食べて飲んで飲んで飲みまくるわよぉ〜 」

天城「なぜ、なぜ私まで……」





雲龍「あの子の顔……ふふ」

明石「天城さんが困惑顔でなにかするって割と珍しいですね」

雲龍「やりたくないことは本当にやらない子だものね。
……今までこんなに私以外と同じ空間を共有したことがなかったのもあるけど」

明石「ははぁ……ここに派遣されたのはいいことだったんでしょうか」

雲龍「私はよかったわよ」

明石「まぁ、あなたはそうでしょうよ。
……出会ってしまったんだから天城さんもなんですかねぇ」

雲龍「ちなみに今日の誕生花であるアルメリアの花言葉は“ 同情 ”よ」

明石「…………誰が誰になにゆえするんですか」

雲龍「さぁ? 」


< 袖が余ってるあざとさも >





愛宕「三月三十日の誕生カクテルはホットバタードラム。
これラムベースにバター入れてるのよー。
バターとドラムみたいな間違え方しないでねー」

明石「しませんよそんなの。お酒にドラム入れるなんて」

天城「そうですよもったいない」

明石「……や、入らないでしょっていう話なんですけど」

愛宕「ふふ……ちなみにカクテルワードは“ 好きなものを手にする美的感覚の持ち主 ”よ」

雲龍「……似合ってるわよ? 提督のバーテンダー衣装」

愛宕「そう? ありがと。裾とか袖とかを締めたりするのも結構そそる着方よね」

雲龍「私の戦闘衣これ以上縮められないんだけど……私服か」


< ヒーローは遅れてやって……くればいいね >





高雄「……………………遅い」

高雄(知事と二人で話したいこと、ですか。
知事の客室前で立っているのはいいのですが……)

高雄「…………遅い」

高雄(なにをこんなに話しているのやら。
会食中に話せないことなど……沢山ありますか)

高雄「…………」



「おや……君は海軍の」



高雄「? ……あぁ、市長でしたか。本日はとても楽しい会でしたね」

「そうかい。ここのホテルはおれも普段から利用していてね。
気に入っていただけたかな」

高雄「ええ、今日も市長がセッティングなさったとか」

「そうだとも。どうだ。今度また来てみたくはないかね」

高雄「是非。ただ、私にも職務がありますのでいつになるやら」

「そんなもの奴に……上官にでも任せてしまえ。
どうせ敵も来ない場末で燻っているんだ。
書類でも相手にしていればいい」

高雄「はは……厳しいですね」

「君のような女を半ば閉じ込めているようではいかんよ。
美しい女は皆華やかに、だな」グイッ

高雄「! …………市長、手をお離しください」

「おれと来てみたくはないか。あのような軟弱者よりよほどーー」



ガチャ、バタン



提督「よほど、なんですかね」

高雄「ぁ……」

「…………チッ」


< 初 >





明石「そういえばどうだったんです? 」

雲龍「どう、とは」

明石「アレですよ、アレ」シュッシュッ

雲龍「あぁ、なるほど。……その指の輪に指突っ込むのやめなさい」

明石「またまたぁ。生でヤった人がそんなこと」

雲龍「生ってちょっと」

明石「生じゃなかったんですか? 」

雲龍「…………痛かった」

明石「泣きました? 」

雲龍「んー……泣きはしなかったかな。
でもあの人の背中に食い込ませちゃった」

明石「爪? 」

雲龍「そう」

明石「……デカかった? 」

雲龍「それはもう。……怖かった」

明石「なるほど。敵の砲撃より? 」

雲龍「ある意味では」

明石「へぇ……気持ちよくなりました? 」

雲龍「んー……最後の方、痛みは大分なくなったけど……次回に持ち越しかな」

明石「次回あるんですか? 」

雲龍「ある。……ヤってみせる」

天城「…………もうイヤこの姉と友人」


< お疲れ様です >





愛宕「まぁ、仕方ないわよ。
処女でいきなりイクとか天性の淫乱か童貞シャイボーイの戯言なんだから」

明石「愛宕さん童貞知ってるんですか? 」

愛宕「ええ、と言いたかったんだけどね。……あの人だから」

明石「あぁ……」

雲龍「初めて、痛かった? 」

愛宕「かなり。前戯と後戯がなかったらセックス嫌いになってたかも」

明石「今は? 」

愛宕「大好き」

雲龍「私もそうなるかしら? 」

愛宕「さぁ? ……開発してあげましょうか? 」

雲龍「…………遠慮しとくわ」

天城「…………もうイヤこの姉と友人と友人」


< 打ち震え、睨み、目を瞑り >





提督「ふん……俗物が」

高雄「……酔っておられましたから」

提督「どうだか。お前は酔っていれば許すのか? 」

高雄「そうではありませんが。何かされたわけではありません」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……手、掴まれただろうが」

高雄「それだけですが? 」

提督「ッ…………そうか」

高雄「……そう、です」

提督「…………来期は国政に挑戦するようだ。着いていってみるか? 」

高雄「許してくれるので? 」

提督「…………」

高雄「……あなたのその悔しそうな顔、好きですよ」

提督「……そうかよ」

高雄「…………ええ。それはもうゾクゾクと」

提督「…………ふん」


< 切っ掛けと原因は >





然程気にしていないつもりだった。

元々妹と二人で着いてきた存在で、普段から自身それでいいのだと思ってもいた。

だが……彼が似たような状況に陥ったときにこの背中を走り、
身を熱くするものはなんだろう。

溜飲が下がる、とはまた違うのだが、しかし。

その感覚のためならば少しばかり不愉快なことも許そう。

手に触れられただけ、そうだ。

それだけで彼を歪ませ、その表情に傷を付けられるならーー

「…………提督」

「あ? 」

「…………人懐こさ、なんて話をしましたね」

「…………」

「その話は夜に、とも」

「…………したかな」



私の愛する人。

何をするのも見ていたい、見てほしい人。

心の柔らかい部分を力任せに握り締めてあげたい人。

その硬い意志と鋼の身体を撫で回し、舐め回し、蕩かせたい人。

そして、その逆もまた許せる唯一の、人。



今夜は……甘えてみたいですか? 逆に甘えてほしい?

今なら特別に死にたくなるほどいじめて差し上げてもいいです。

勿論……生意気にも逆らって気を逆撫でした身の程知らずの女を捩じ伏せるのも。



「…………あなたは…………どうしたいですか? 」


< 一人寝の夜に >





愛宕「はぁ〜……久々に自分のベッドで一人ねぇ」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………久しぶりに一人でシちゃおっかな」


ウーロン茶ですら絵になる加賀さんはいつかきっと……

ありがとうございました


< 親がいない夜のような >





愛宕「…………ん……ッ………ゃん…………あぁ…………ッッッ〜〜〜……っはぁ……」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………今何……じ……? …………うそ」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………仕方ない、仕方ないわよ。うん。一人なんて久しぶりだったもの」


< お互いにお互いを >





提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………腰痛い」

高雄「…………私もです」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……少しくらい抑えようぜ」

高雄「あなたこそ」

提督「お前の所為だろ……お前顔がエロいんだから。
なんだよあれ、そんなに体重かけられて突かれるの好きかよ」

高雄「……その場合は顔なんて見えないのでは? 」

提督「そこに鏡あるだろ」

高雄「えっ……うそ……ぁ」

提督「……涎だらだらしてるところも、意識飛んですぐ醒めるのもあと」

高雄「いいですからっ。……本当に……あぁ、不覚」

提督「……あんなの見せられたら止まれないよねぇ」

高雄「…………それ以上言うともぎ取りますよ? 」

提督「ふーん、できるの? 」


< それはもう何度も何度も執拗に >





提督「…………しかもお前さ」

高雄「……はい」

提督「……いじめられるの好き過ぎじゃない? 」

高雄「……あなたがいじめるの好きなんでしょう? 」

提督「まぁ、好きだけど。……それにしてもさぁ……俺がイラついてたとしてもさぁ……」

高雄「…………」

提督「確かにね? 手を腰に回したキツツキとか気持ちいいよ?
でもさぁ……折角ムードあるホテルのベッドでさぁ」

高雄「……不満足ですか? 」

提督「とんでもない」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………あと三時間くらいは寝れるかな」

高雄「たぶん……起きれますか? 」

提督「起こしてくれ、キスで」

高雄「わかりました。キスは臭いので嫌ですが……わたしが起きれば、起こしましょう」


< 続く道の先を見つめて >





雲龍「まさかあなたもとは」

明石「いやー、なんだか最近やけに早く起きちゃうんですよね」

雲龍「そう……でも、明石らしくないわね」

明石「外の景色を眺めるのが? 」

雲龍「ええ」

明石「……私だっていつも工廠に引き篭もってたわけじゃ」

雲龍「……そうね」

明石「はい」

雲龍「…………」

明石「…………」

雲龍「……まだ、きっと帰ってこないわよ」

明石「そうですね」

雲龍「ええ」

明石「…………」

雲龍「…………」

明石「……寒いですね」

雲龍「ええ」


< 誰がこんな姉にした >





天城「…………で、なぜか愛宕さんが起きてこないと」

明石「まぁ、義務じゃないですしね、早起き」

雲龍「私たちが早起きしすぎたもの」

天城「一応海軍基地ではあるのですけれど……うーん」

明石「でもどうしてですかねー。
提督いないんだから寝坊する大半の理由はなかったと思うんですが」

雲龍「…………一人で? 」

明石「あれだけヤってるんですから今さら一人でするものなんですか? 」

天城「……お願いですから私に振らないで」

雲龍「処女だものね」

天城「」

雲龍「? ショック……? 」

天城「……いえ…………絶句してたんですよ、姉様の変わりように」


< 女の子だけの方がね >





バタバタバタ



明石「来たみたいですね」

雲龍「ええ」



ガチャ、バタン



愛宕「はぁはぁ……おっはようっ」

天城「おはようございます」

雲龍「おはよう」

明石「おはようございます。別に走らなくても」

愛宕「でも、朝ごは……もうあるのね」

天城「すみません。差し出がましいとは思ったのですが」

愛宕「あ、いいのいいの。天城の御飯美味しいし」

雲龍「愛宕の分、よそってくるわね」

愛宕「自ぶ、いえお願いね」

明石「どうして寝坊したんです? 別に責めてるとかではなくて」

愛宕「…………」

明石「? 」

愛宕「……うふ、聞きたい? 長くなるかもよ? 」

明石「き」

天城「結構です。結構ですったらぁっ」


< 外人さんは普通にしてるものね >





明石「そういえば後ろでしたことあるんですか? 」

天城「……私が今ヨーグルト食べてるのが見えないのでしょうか? 」

愛宕「バック? 」

天城「……こっちはこっちでノるし」

明石「いえ、そっちは好きでしょ。なんとなくですけど」

愛宕「そうねぇ」

明石「体位の話じゃなくて穴の話です」

雲龍「……私でも引くくらい直接的ね。穴ってちょっと」

愛宕「んー、ないわね。別にそこまで興味ないし」

明石「へぇ、もうバッコバコなのかと」

愛宕「あの人に訊いてみたことあるんだけど怖いんだって」

明石「怖い? 」

愛宕「ほら……大きいから。裂けたり閉じなくなったら嫌だなーって」

明石「なるほど」

愛宕「まぁ、単に興味ないだけでしょうね。ふっつーに指とかあとーー」





天城「……姉様。普段の姉様は私にはこう見えているんですよ? 」

雲龍「そう……少し自重するわ」


< 花、ボリジ、“ 心を刺激する ” >





提督「今日もう一泊してかない? 」

高雄「はい? なにかありましたか? 」

提督「や……これ」スッ

高雄「? ……上着と……スカーフ? 」

提督「そう」

高雄「そうって言われましても。これなんですか? 」

提督「…………ホテルのスタッフさん、というかコンシェルジュ? に貰ったんだ。
ちょっとそのスカーフと小さめの水色ブラウスにピンときて。
あと濃い紺のジャケット」

高雄「……はぁ…………まぁ……構いませんけど。貰った? 」

提督「正確には金握らせた」

高雄「…………問題ですよそれ。暴露たらどうするんです」

提督「まぁまぁ。一応はコーヒー掛けちゃったかもってことで買取の形だし。
あの子はたぶん軍に太っ腹な印象持っただけだよ」

高雄「こういうとこは上手くやるんですね」

提督「ん、ありがと」

高雄「褒めてるわけないじゃないですか。……試着してきます」


< そのスカーフを引っ張りたい >





高雄「あの……これ丈ピッタリなんですけど」

提督「当たり前じゃん。背格好同じくらいの子に声掛けたもん。
まぁ、胸元は結構きつそうだけど」

高雄「きっつきつです。あとどこにも全く当たり前要素ありませんけど」

提督「んー……いやー……うんうん……」ジ-

高雄「…………」

提督「いや、素晴らしいね……滅茶珍しいコスな気がする」サワッ

高雄「! ……なにさり気なく触ってるんですか」

提督「だめ? 」

高雄「だめです。まだ昼過ぎですよ」

提督「…………ちょっとお土産でも外で買ってこようか。
こっちの酒とつまみはバーとルームサービスでいいし」

高雄「そうですね。それなら」


< 女か恋人か妻かそれとも >





愛宕「三月最後の日、三十一日の誕生石でーす」

雲龍「もう、四月なのね」

明石「どうぞー」

愛宕「ありがとう。……誕生石はイエローオーソクレーズ。
石言葉は“ 神秘的 ”、“ 優しさ ”、そして“ 永遠の女心 ”」

雲龍「若作り? 」

天城「姉様、その発想は女性としてどうなのでしょう」

愛宕「まぁ、いつまでも同じ心持ちっていうのは大事だと思うわよ?
ただ、精神年齢に成長が必要なだけで」

明石「その二つって違うんですか? 」

愛宕「その違いがわからないうちは大丈夫ね」

明石「はぁ。……愛宕さんはダメなんですか」

愛宕「いいえ? いいのよ私は。パートナーがいるもの。永遠のね」


< 私とあなたは同じだから >





雲龍「永遠の? 」

愛宕「永遠の」

雲龍「ふーん……」

愛宕「……ふふ」

天城「…………」

明石「…………」

愛宕「私の魅力がなくなったわけじゃないもの。
あの人に飽きられたとか、私より上の人が現れたわけでもないし」

雲龍「そう……根拠は? 」

愛宕「私が幸せで好きだから」

雲龍「ッ…………」

天城「…………随分な自信ですね」

明石「……まぁ、それが嘘ではないんですけどねぇ……あぁ」


< 罪悪感と欲求は正比例する >





愛宕「あー、うん。一日延びたのね? うん、わかった。はーい。
お土産待ってまーす」



ガチャ



愛宕「…………はぁ」

明石「提督帰ってこないんですか? 」

愛宕「ええ、一日延びたから連絡あれば同じホテルにだって」

明石「はぁ。なにかあったんですかねー」

愛宕「さぁ? ま、高雄がいるし大丈夫でしょ」

明石「ですね」





提督「…………なんか罪悪感が」

高雄「今からでも帰りますか? 」

提督「や、それはない」


< 全て実在します >





愛宕「やる気なくなったので今夜は提督のコレクション開放しまーす……」

雲龍「カップ麺、ね。初めてかも」

天城「私もです。まぁ、私はお酒のコレクションがあれば満足ですけれど」

明石「わぁ。カップ麺食べてみたかったんですよねー。
沢山あって選べないです」

愛宕「ここにあるのってご当地の珍しいやつとからしいわよ。
もしかしたら不味いのもあるかもしれないけど、
その時はあの人を恨んでねー」

雲龍「これは……豆腐ラーメン? なぜにさいたま……」

天城「ふかひれラーメンとは。しかもカップ麺で」

明石「うーん……は、は? 熊出没注意ラーメン? これです。こういうの待ってたんですよ! 」

愛宕「私は…………余ったのでいいか。おつまみは? 」

天城「まずはたこわさで」

愛宕「はーい。じゃあ、お酒はこれが鍵だから」

雲龍「了解」


< 客とスタッフ >





「ねぇ、仕事って大変なの? 」

「いえ、お客様の喜びが私どもの幸せですから。
大変だと思ったことはありません」

「ふーん……凄いね」

「ありがとうございます。……こちらご注文のッ……! 」

「でもさ、ストレス溜まってない? 結構力仕事もあるでしょ」

「お、お客様、おやめくださァァァっ」

「それにこんな重そうなものぶら下げてたら肩凝るんじゃない? 」

「そん、なこぁぁぁ……んっ……」

「もしかして感じやすい方? ふーん……えっちな下着だね。真面目そうなのに」

「お客様……だめっ…………んぁ……」

「…………彼氏いたりする? ま、いてもいっか。
俺から離れられない身体にしてあげる」

「いやぁ……助け…………あん……」





高雄「…………この茶番いつまで続けるんですか」

提督「え、このままだめ? 」

高雄「…………さっきルームサービス頼んだばかりですよね? 」

提督「や、なんかムラムラきて」

高雄「知りませんよ……しかもなぜ若干NTR風味なんです」

提督「んー……気分? 」

高雄「まったく……とりあえずスカートから手離してください」

提督「おう。……でもさ」

高雄「? 」

提督「……濡れんの早くね? 結構楽しかった? 」

高雄「……………………少しだけ」


< ゲロ甘……そして甘甘甘 >





提督「あぁ、そうだ」

高雄「なんです」

提督「もうっ……高雄ちゃん怒らない。
濡れてたのは事実でしょ? ね? 」

高雄「…………」

提督「まぁ、いいや。耳だけ赤くなるの可愛いね。
……今日の誕生カクテルはカルーアコラーダ。
カクテルワードは“ 上品でエレガントな絶世の美女 ”」

高雄「へぇ……」

提督「で、これココナッツリキュールとパイナップルジュースと牛乳と」

高雄「カルーアコーヒー」

提督「あぁ、知ってた? しかもこれ内容聞けばわかるかもしれないけどかなり」

高雄「甘い、ですか? 」

提督「うん、そうだけど……知ってた? 中身でやっぱわかる? 」

高雄「……先程地下のバーで一度席を立たれたでしょう? 」

提督「あぁ」

高雄「あのとき……バーテンダーさんに口説かれましてね。
で、そのカクテルいただいたんです」

提督「……は? 俺聞いてねぇんだけど」

高雄「今、初めて言いました」

提督「は? はぁ? 」

高雄「ふふ……どうしました? もしかして女を繋ぎとめる自信が揺らいだとか」

提督「ふーん……」

高雄「なんです」

提督「…………その服、もう使えないかもね」

高雄「あら……折角いただいた綺麗なドレスだったのに」

提督「二日連続で、ね。…………ホテルのスタッフプレイは今度だな」

高雄「ふふ…………私も今夜は、本気を出しましょうか」

提督「1ラウンド目で堕ちるなよ? 」

高雄「まさか。あなたこそ泣き叫んでみっともない声を出さないでくださいね? 」


そろそろ加賀さん戻ってきてほしい
一体いつなんだ

ありがとうございました

乙です
ただ、31日の誕生カクテルはカルーアベリーじゃないかな?


>>810
ありがとうございます……ごめんなさい

どうしてこう間違えるかな
普通に昨日カルーアコラーダ飲んじゃったよ


< ゆうべはおたのしみでしたね >





提督「……このコアントロー……なんか味薄くね? 」

高雄「……ベットサイドにお酒ですか……」

提督「ミネラルウォーターは冷蔵庫だし。取るのめんどくさい」

高雄「……舌が馬鹿になってるんじゃないですか?
私、下半身の一部が感覚薄いんですけど」

提督「そんなことねぇと思うんだけど……ん」

高雄「? ……あぁ、ん……ゅる…………ぅん…………ちゅ………………っはぁ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……どう? 」

高雄「……あなたは? 」

提督「高雄の味で一杯かな」

高雄「……私も」

提督「んー……ルームサービス今やってると思う? 」

高雄「やってるんじゃないですか? まさか頼むとか? 」

提督「なんかブランデー飲みたい」

高雄「……ちゃんと服着てくださいよ? せめてバスローブ。
私は寝ているので」

提督「……女の子だったら襲っちゃうかも」

高雄「…………起きてますから。飲んだら、また」

提督「……まぁ、冗談だけどな。……電話電話っと」


<名を呼んでも声は無く >





愛宕「よく考えたら仕事とはいえ二人きりでホテル泊なのね」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………ずるい」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………一人でするのも飽きちゃった……寝よ」


< 顔を顰め、客を見、嘆息を零して >





提督「…………あの子に明らかになにやってたか暴露てたな」

高雄「そりゃ一晩ヤってたんだから匂いがね……暴露るのは諦めましょう」

提督「うわぁ……これスタッフの間で噂になったりしてるのかな」

高雄「そうでもないでしょう。割とこういうく……カップル多そうですし」

提督「そうだといいが……英語のcoupleには組みも二人って意味もあったはずだぞ」

高雄「そんなの……察してください」

提督「俺馬鹿だしなぁ。……高雄が可愛いのはわかるけど」

高雄「当然。……お酒、注ぎますよ」

提督「あぁ、頼む」


< 卯月の朔日に >





提督「あぁ、そうだ」

高雄「? ……バランタインですか、これ」

提督「そうだよ。……俺高雄より愛宕の方が好きだから」

高雄「そうですか」

提督「そうだよ」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……何もないの? 」

高雄「何か、とは」

提督「愛宕可哀想、とか? 」

高雄「はっ…………上下が存在する、という部分が嘘なのでしょう? 」

提督「…………」

高雄「……それくらいわかります。せめて私が嫌いになった、くらい言えばいいのに」

提督「…………嘘でも……言えるわけないだろ」


< それでも一瞬は信じる >





雲龍「私……実は本当に好きなのは女の方なの。特に天城」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………姉様」

雲龍「うん? 」

天城「つまらない嘘をありがとうございます」

雲龍「どういたしまして」

天城「…………寝起きに珍しくしゃんとしてるから何かと思えば……まったく」


< まぁ、今はただの馬鹿騒ぎだけどね >





雲龍「あっ……もしかしてあの“ありがとう ”っていうのが天城の嘘だったのかしら」

明石「はい? 」

雲龍「いえ、なんでもない」

明石「はぁ。……今日嘘吐きました? 」

雲龍「ええ、さっき天城に」

明石「へぇ、反応はどうでした」

雲龍「……私の負けね」

明石「ま、負け? 四月一日って勝ち負け関係ありましたっけ? 」

愛宕「一応有力な仮説だと13歳の女の子と国王とそれへの抗議が起源らしいわよ」

明石「ロリコン? 」

愛宕「違うわよ。むしろ殺しちゃったんだけど」

明石「は、はぁ……エイプリルフールって怖い日だったんですね」


< 嘘はスパイスみたいなもの >





高雄「……ぁ…………ん……やり過ぎ」

提督「シャワー、浴びてこいよ」

高雄「もう少し…………顔、傾けて」

提督「ん……」

高雄「……ん…………はぁ……ふふ」

提督「……重いんだけど」

高雄「失礼な。女一人くらいは乗せられる胸板でしょうが」

提督「……手這わせながらダラダラキス続ける女は乗せられないかな」

高雄「ん…………あぁ、……シーツ……」

提督「シーツは気にするのかよ。……つまんでいい? 」

高雄「んぁ? ……だめでんんん〜〜……」

提督「……まだいけるな。丁度いいから一緒にシャワー浴びてくるか」

高雄「だめですっ……んぁ…………ッ! 」


< やる気 >





愛宕「じゃあ、お昼はいらないのね? 了解でーす。
待ってるわね? うん、とっても寂しかったから……うん、それじゃ」



ガチャ



愛宕「…………長かったぁ」

天城「ご帰還は」

愛宕「お昼過ぎだって。ヒトヨンマルマルくらいかな」

明石「いやー、でも割と大丈夫でしたね。
特に問題も発生しなかったし」

天城「そうですね。割と、ですけど」

明石「へ? 」





愛宕「私寂しくてやる気出てなかったもの。
これは早急なメンテが必要よ」

雲龍「…………そうね」


< 様々なものが染み込んだ >





高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………ちょっと」

提督「…………」

高雄「…………まずいですよね」

提督「…………別にまぁ……一応金置いてく? 」

高雄「どうでしょう……あーあ、なんでさっきは気付かなかったんだろう」

提督「……雰囲気かな。……このシーツはたぶんもう使えないよな」

高雄「下手するとマットレスも……スタッフ……は呼べないか」

提督「お前呼べるか? こんな理由で。
ヤり過ぎてベッドがヤバイのでどうすればいいか聞きたいです、とか」

高雄「さすがに遠慮したいです」

提督「…………帰るか。あとで連絡きたら大人しく金払おう」

高雄「……ですね」


< 嘘を真実にするためになにが必要か >





明石「うーん……さすがに暇なので工廠の稼動許可と資材の使用許可もらいますかね」

雲龍「そう……。でもなにするの? 優秀な艦載機をつくってくれるというの? 」

明石「何かしてくれるんで? 」

雲龍「……してほしい? 」

明石「是非」

雲龍「…………じゃあ、お願いね」

明石「任せてください。震電がクズ鉄に思えるようなものをつくってみせますよ」





雲龍「と、いうことがあったのだけどエイプリルフールよね? 」

天城「そうでしょう。いくらなんでも震電がクズ鉄に見えるってそれなんなんですか。
……本気だったらどうするんですか? 」

雲龍「……さすがに本気でお返ししてあげないと。
それくらい凄いことよね? 」

天城「……そうですね」


< 帰るまでが遠足、みたいな >





提督「よし、荷物大丈夫? 」

高雄「はい。問題ないかと」

提督「んー……じゃあ行くか」

高雄「……よかったですね、トランクにまだ空きがあって」

提督「そうだな」

高雄「まさかホテル泊して服が二揃い増えるとは思いませんでしたけど」

提督「しかもコンシェルジュ用のね」

高雄「……いつの間にもう一着」

提督「今度二人で着てね。
あっ、それで思いついたけど艶有りのベージュとか、
フリルあるやつも買ってマッサージ店員とかできるな」

高雄「頭大丈夫ですか? 」

提督「大丈夫じゃない。でも大丈夫なより楽しいからオールオッケー」

高雄「…………エレベータきましたよ」


< 彼ではないから >





高雄「ただいま帰還しました」

雲龍「おかえり」

明石「おかえりなさい」

天城「おかえりなさい。……私たちが言うのもなにか変かもしれないですけどね」

高雄「いえ、皆さんに言われたのに違和感なんてありませんでしたよ」

明石「まぁ、天城さん以外は横須賀からの縁ですしね。
天城さんも無事溶け込めたということで」

天城「……溶け込めた、というのが微妙に嬉しくないです」

雲龍「どうだった? なにか楽しいことあったり? 」

高雄「そう、ですね……手を掴まれたりしました」

雲龍「手? 」

高雄「手」

雲龍「…………いつもは無いの? 」

高雄「当然です。できればこれからも遠慮したいですね」

雲龍「ふーん……? 」


< 腕を回し、頭を擦り付け >





愛宕「おかえり」

提督「ん、ただいま」ギュッ

愛宕「ぁ……」

提督「寂しかった? 」

愛宕「……とっても」ギュッ

提督「ごめんな」

愛宕「んーん、私が決めたことだもの。
こうして帰ってきて抱き締めてくれたから許す」

提督「そっか」

愛宕「うん」

提督「…………」

愛宕「…………」ギュ-

提督「…………顔上げてくれ。キスできない」

愛宕「……待って、もう少し。…………もう少し、抱き締めさせて」


< どちらからともなく >





提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……ん」

愛宕「んー…………ん」





明石「うわぁ……あんな自然に」

雲龍「ああいうキスも……ふーん」

天城「……随分と幸せそうに」

高雄「…………」

雲龍「いいの? 行かなくても」

高雄「まぁ、二日も独占してしまいましたから。それに…………ふふ」

明石「あれ、あの二人行っちゃいましたけど」

天城「いつまでも玄関にいても仕方ないです。私たちも中に戻りましょう」

高雄「そうですね。あ、これ提督からのお土産です」

雲龍「…………チータラ? しかもなぜに箱一杯に」


< それだけ愛してるもらえるってことだもの >





愛宕「で? どれだけヤったの? ん? 」

提督「さっきまでの雰囲気どこいった」

愛宕「それはそれ、これはこれ」

提督「……言わなきゃだめか? 」

愛宕「言いたくないの? 」

提督「普通はそうだろ……たぶんベッドダメにしてきた」

愛宕「えっ」

提督「……うん」

愛宕「…………なに、それ」

提督「……面目ないです、はい」

愛宕「羨ましい」

提督「…………は? 」


< 軍人もね >





高雄「年度始め、四月一日の誕生石はパイライト。
石言葉は“ 友好関係 ”、“ 外交的 ”
、そして“ 剛腕 ”です」

愛宕「あぁ……やっぱり高雄のこれよねー。凄く久し振りな気がする」

高雄「二日だけですけどね」

明石「友好、外交、剛腕……政治家かなにかですかね」

天城「そういった方たちなら是非とも持っていてほしい資質ではありますね」

提督「まぁ、全部そこそこなのが幸せそうだけどな。俺みたいな」

雲龍「……あぁ、なんだか凄い納得」


< 絶対に嘘だとわかる嘘 >





提督「愛宕と高雄とは身体だけの関係です」

高雄「実は元男です」

愛宕「提督のセックスは凄い下手なの」

明石「科学も工作も嫌いです」

雲龍「提督には無理矢理……ええ、怖かった」

天城「お酒なんて所詮ただの液体だと思っています」





提督「……明石と天城はたぶん誰一人信じないな」

高雄「一説では嘘は正午までらしいですよ」

愛宕「ま、まぁ今のはアンケートみたいなものだし? 」


< そんなあなただから >





高雄「誕生花は桜。花言葉は“ 精神の美しさ ”、“ 神秘の心 ”、“ 高尚 ”、そして“ 純潔 ”ですね」

提督「……神秘的ってーとこの中だと雲龍だよな、みたいな話をした気がする」

雲龍「それ不思議ちゃんとかって話だったと思うけれど」

提督「そっか」

雲龍「ええ」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………コーヒー淹れてくる」

雲龍「そう……」

明石「……私たちは純潔守ってるんですが」

天城「失礼ですけど明石さんと同じ括りにされるのも……うーん」

明石「失礼な」

天城「どうせ高尚な工廠とか考えているんでしょう? 」

明石「真実ですし。あんなに素晴らしい場所滅多にありませんよ」

天城「あぁ、真顔で……だからこう思ってるんですけどね」


< ごーほう >





雲龍「提督の初めてっていつ? 」

提督「……それ知ってどうするの? 」

雲龍「私好きなもののことは全部知りたい女なの」

提督「……高二」

雲龍「へぇ……思ったより遅いのね」

提督「お前は俺をどう思っ……いや、言わなくていいぞ」

雲龍「ちいさい頃から天使の笑顔で年上の」

提督「だから言わなくていい」

雲龍「そう……」

提督「なんで不満そうなんだよ……あと年上じゃなくて年下だったし」

雲龍「ロリコン? 」

提督「……言わなきゃよかった」


< それってどんな? >





提督「でも……あー……ていうことはお前ら高校生だったことないんだな」

愛宕「そうね。生まれ出たときからこうだし」

提督「うーん……ちょっと可哀想かな」

高雄「なぜです。別に問題はなさそうですが」

提督「高校生っていったらさやっぱり甘酸っぱい恋愛とかじゃねーかなって」

愛宕「ふーん? 」

提督「好きな人の部活応援しに行ったり、
文化祭の準備一緒にやったり……高校生らしい恋愛できてないのかぁ」

高雄「あぁ、そういう……」

愛宕「問題ないでしょ。確かにちょーっと経験してみたいけど」

提督「けど? 」

愛宕「軍人じゃないとできない恋愛、してるでしょ? 」

提督「あぁ、確かにね」


< 声、押し殺せるかな >





提督「あれ……でも上官の部屋の隣で、とかはなかったよな」

高雄「当たり前でしょう……」

愛宕「まぁ、同輩のってのは普段からよね、ある意味」

提督「あー……なんで思いつかなかったんだろ」

愛宕「そういうとこ真面目なのか小心者なのか」

高雄「思いつかなくてよかったです」

提督「今度……横須賀なら…………でも……いやいや」

高雄「……冗談、よね? 」

愛宕「さぁ? 私は付き合うわよ? 」


< では逆になんと言われたのでしょうね >





提督「俺さ、加賀に面と向かって焼き鳥鉄面皮って言ったことある。
あと態度でかいくせに使えねーな。
使えるのは身体くらいじゃね? おっぱいでかいし、とも言った」

高雄「……なぜ無事なんです」

提督「ついでに、その辺の男引っ掛ければ?
そうすれば誰かの役に立つかもよ? とか」

愛宕「エイプリルフールのときじゃなくて? 」

高雄「あぁ、なるほど。……それでも言っていいことと悪いことが」

提督「や、普通の日に。つーかこの前だよ。あいつが横須賀戻る二日前」

愛宕「そうなの? 」

提督「おう。一度でいいから誰かに本気で罵って罵られたいって言われて」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「……私、次会ったら加賀さんの顔まともに見れないかも」

愛宕「私も。……でも自分が言われたらちょっと興奮」

高雄「しません」


< 嘘吐き >





愛宕「好きよ? 優しい嘘」

高雄「優しいというか私のことを考えてのものなら」

提督「そっか」

愛宕「提督は? 」

提督「嫌い。大体そういうとき女の子が傷付くパターンだし」

高雄「またそういう嘘を」

提督「嘘じゃない」

愛宕「そういう女の子の姿を見て一番傷付くのってあなたでしょ? 」

提督「そういう男に見られるのが嫌なの」

高雄「何を今更」

愛宕「見られる、というか事実よね」


< お詫びと訂正 >





提督「今日の誕生カクテルはカルーアコラーダ。
カクテルワードは“ 上品でエレガントな絶世の美女 ”だ」

高雄「ん? つまり? 」

提督「……昨日のは間違いでした。
正しくはカルーアベリー。カクテルワード“ 心身ともに情熱を向ける生命力の持ち主 ”でした、はい」

高雄「はぁ。あんだけカッコつけといて……」

提督「…………すみません」

高雄「……まぁ、もう一人いましたけどね。間違えた人」

提督「……ある意味で似てたな。女の趣味も同じだし」


< ヤマト >





提督「俺ヤマト好きなんだよね」

明石「大和さん? 」

提督「や、宇宙戦艦の方」

明石「あぁ、そっち。私も観ましたよ、2199」

提督「無印も観ろよ。……映画観たかった」

明石「DVDでなら」

提督「うーん……めんどくせぇ」

明石「好きなら観ましょうよ。お供しますよ」

提督「今度ね、今度。……はぁ、波動エンジン開発されねぇかなぁ」

明石「戦争一瞬で終わりそうですね」

提督「つくれないの? 」

明石「無理です。46だって割ときついんですから」

提督「そうか……サーシャが好き」

明石「森雪じゃなく? 」

提督「うん」

明石「……私は敵役の方が好きですね」

提督「いいよね。はぁ……俺寝るわ」

明石「はい、また明日」


< 終わり、あるいは夏への始まり >





提督「そっか……終わったか……」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………戦い切ったよ、うん」





高雄「どうしたんです」

愛宕「野球」

高雄「は? 」

愛宕「高校生の。まぁ、五分くらい経ったら戻るわよ。ハイライト観てから」

高雄「……なるほど」


< 処理くらいならやりますよ >





提督「うげぇ……気持ち悪い」

愛宕「あんなに食べるから」

提督「お前があれだけつくるからだろ……つまみで腹一杯とか……うえぇ」

愛宕「だって、二日ぶりだったから」

提督「うーん……戻しそう」

高雄「寝室ではやめてくださいね。寝られなくなります」

提督「あぁ、頑張る……エメトフィリアだったりしない? 」

高雄「エメト? 」

愛宕「嘔吐性愛」

高雄「……うわぁ…………やるなら私以外で」

愛宕「私も嫌」

提督「俺も嫌だよ」

高雄「……じゃあ、なぜ言い出したんです」

提督「や、求められたら頑張ろうかと」

高雄「……絶対に嫌ですからね」


< 感覚が鈍る >





提督「俺って飲みすぎると勃ちにくいんだよね」

愛宕「そう? 」

提督「おう、なんか快感もちょっと少ない気がする」

高雄「でも飲むんですね」

提督「生命の水だもん……それに適度な酒はムードつくれるし」

愛宕「まぁ、飲んでも飲まなくてもヤるものね」

提督「あ、でも今日はヤんないぜ? 眠いし疲れてるし」

愛宕「……お仕事の関係で行ったのに疲れてるの? 」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「……まぁ、いいわ。抱き締めて寝てくれれば許してあげる」

提督「……お安い御用で」


新年度になった途端寝落ちするとかいう……

ありがとうございました


石や花の記念日って誰が決めてるんでしょう
自分の参考にしてる資料では十三日はハルシャギクってやつでした


< 早朝テンション >





提督「起きなくてもいいのになぜか早起きしちゃうことあるよな」

高雄「そうですね」

提督「そのくせ睡眠欲は全然満たされてないとか……はぁ、眠い」

高雄「仕方ないです。コーヒーでも飲みますか? 」

提督「そこは“ 眠たくなること、してあげましょうか? ”くらい言えないの? 」

高雄「……理不尽な」


< 万年五月病とか >




提督「……はぁ、怠い」

愛宕「五月病? 」

提督「いや……違ぇよ。まだ四月になったばっかだし」

高雄「この時期は色々と立て込んだりもしますしね。
くだらない確認や承認書類が多いこと多いこと」

愛宕「五月病ってその忙しさから一時的に解放されちゃうからなるのよね」

高雄「つまりこの仕事の山を切り抜けたからこそ、ですね。
切り抜ければお休みがあると思って頑張ってください」

提督「へーい…………頑張ろ」


< 応援してください >





提督「あぁ、でもちょっときついなぁ、
高雄ちゃんが応援してくれれば頑張れそうなんだけどなぁ」チラッ

愛宕「私もだなぁ。高雄ちゃんの応援が欲しいなぁ」チラッ

高雄「…………無理のあるフリはやめていただきたいのですが」

提督「とりあえず……これ着て? 」スッ

高雄「はぁ……学ラン? 」

提督「俺の学生時代のだよ。背はあったからたぶん胸元もキツくないと思う」

高雄「……これを着れば頑張れるんですね? 」

提督「おう」

高雄「……はぁ、仕方ないですね。ちょっと待っててください」



ガチャ、バタン



愛宕「…………制帽はないの? 」

提督「残念ながら。……あぁ、サラシもねぇな……どうするんだろ」


< ジーンズもいいのですがね >





提督「…………」カリカリ

高雄「…………」カタカタ

愛宕「…………」カリカリ

提督「…………裸学ラン、そういうのもあるのか」

高雄「仕事」カタカタ

提督「でもさぁ……新境地開拓されちゃったんだよね」

高雄「……単に合わせやすいものがなかっただけです」

提督「ブラの上に学ランか……襟の辺り、セクシーだね」

高雄「胸元の開いた服など何度も見ているでしょう。
そもそもボタンで留めてて見えないじゃないですか」

提督「違う、違うんだよこれが。なんか醸し出されてんの」

高雄「……いいから手を動かしなさい」

提督「へーい」

愛宕「…………久しぶりにズボンの高雄見たわ」

高雄「そうね。……なんだか落ち着かないのは確か」

提督「へぇ」


< 違和感 >





明石「…………」

雲龍「どうしたの? 」

明石「……工廠の稼動許可申請出しに行ってきたんですよ」

雲龍「それで? 」

明石「許可はすぐ貰ったんですけど……学ランがいました」

雲龍「学ラン? 提督が? 」

明石「いえ、高雄さんが」

雲龍「……セーラーとかブレザーではなく? 」

天城「セーラーやブレザーなら不自然だと思われないあたりあの男の人徳なのですかね」

明石「それで三人大真面目に執務こなしてるんですよ?
しかもかなり早くて有能っぽそうで。
……シュールすぎて私全く違う世界に来たのかと思いましたもん」

雲龍「それは……あなたが正しいわ」

天城「そもそもあの男が正しいことなんてありました? 」


< あなたの為に着ているのですよ? >





提督「座ってる女の子を上から見下ろしたい」

愛宕「おっぱい? 」

提督「うん。座ってて裾がだぼっとしてるとことかもいい」

高雄「……立って書類仕事でもしたらどうです」

提督「や、お前学ランだし愛宕はいつものだから柔らかい服のあれがねぇもん」

高雄「はぁ」

愛宕「着替える? 」

高雄「私は嫌ですよ。そう何度も何度も着替えるの」

提督「買い物行ったら女の子なんて着せ替え人形じゃん」

高雄「それは……別です」

提督「そうか」

愛宕「脱がす専門の人はこれだから」

提督「おう。……それ前も言われた気がする」


< 今でも宝物です >





ガチャ、バタン





提督「…………」カリカリ

高雄「…………」カタカタ

提督「…………」ペラッ

高雄「……あの」

提督「ん? 」

高雄「あれ、どこに貼りました? 」

提督「あれ? 」

高雄「……プリクラ」

提督「あぁ……スマホの裏」

高雄「はぁ」

提督「だって愛宕たちには秘密なんだろ?
でもそこら辺に放置すんのも嫌だし……ときどきケース外して見れるから楽だぞ」

高雄「そうですけど……私はどこに貼れば」

提督「別に貼らなくてもいいんじゃないの?
宝物ボックスとかないの? 」

高雄「宝物? 」

提督「あれ? うーん……なんかさ気に入った石ころとか貝殻集めたりする箱」

高雄「ないです」

提督「じゃあいっそボールペンとか」

高雄「捨てちゃうじゃないですか……歪んじゃいそうですし」

提督「んー……まぁ、考えとくよ」

高雄「お願いします」


< 逆にどこまでできるのか >





明石「あっ、愛宕さん。ちょっといいですか? 」

愛宕「いいわよ。どしたの? 」

明石「三人で話してたんですよ。提督はどこまでなら許してくれるか」

天城「……主に姉様と明石さんが、ですよ」

愛宕「どこまで? ……どこまでだと思った? 」

明石「私の場合は工廠を爆破して基地が吹っ飛ぶのはさすがに、と」

雲龍「身体拘束して高雄とあなたよりも好きと言わせるまで犯す」

愛宕「あなたたちね…………雲龍はそれやったら殺すから。冗談じゃなく」

天城「……私は思いつきませんでした。
最初はコレクションのお酒を全て飲むとか言ってたんですけど。
段々二人が包容力とはなにか、とか言い始めたので」

明石「で、なんですか? 」

愛宕「包容力、ね。……わかんない」

雲龍「あの人思い出せばわかりそうだけど」

愛宕「そうね……それでも曖昧だけど……。
私の言葉に全部は従わないのに不満が残らないところがあの人の包容力かな」

明石「なるほど……わかりません」

天城「私も」

雲龍「…………」

愛宕「……もういい? じゃあ、私は資料室行かなきゃならないから」


< 染まりきらずに >





天城「思ったのですけれど」

雲龍「なに? 」

天城「姉様たちって横須賀では提督と一緒だったのですよね? 」

雲龍「ええ、そうよ」

天城「でも三月にここに派遣される前はこんな姉様じゃなかったと思うんです」

雲龍「こんな……? 」

天城「……それにあの人をあれだけ好いていたのですからなぜ今までそういった風、
というか性格ではなかったのかな、と」

明石「まぁ、つまり横須賀からの付き合いだったのに、
三月に来てから毒され始めたように見えるのはなぜか、ってことですよね? 」

天城「そうです。なぜ今更染まり始めたのかと」

雲龍「あぁ……なるほど」

天城「なぜなのですか? 」

雲龍「えっと……」

明石「なんででしょうね……うーん」

雲龍「……たぶんだけど」

天城「はい」

雲龍「私はあの人のこと好きだし艦娘なんて大なり小なり人間とはずれてるでしょう?
で、横須賀だと他の人間もそれなりにいるからそれがストッパーになってたのね」

天城「……ここにきて箍が外れてしまった、と」

雲龍「ええ」

天城「…………あの人と人が沢山いると真面目だったのでしょうか」




< 湧き上がるような>





明石「四月二日の誕生石はセミバロックパール。
石言葉は“ 積極的 ”、“ 不思議な力 ”、あと“ 人気の源泉 ”らしいです」

提督「へぇ。不思議な力とかまさにお前らだよな」

明石「いえ、艦娘は存在も力もれっきとした科学であって不思議ではないです」

提督「俺から見れば、だよ」

天城「私はあなたの方が不思議ですけれど」

提督「ん? 」

天城「なぜこんな男に……姉様も皆さんも、」

提督「ははは……積極的だからかな? 」

明石「性に? 」

提督「愛に、に決まってんだろ」

天城「……………………天城も」ボソッ


< 本人たちはそんな気ないですよ >





高雄「誕生花は四つ葉のクローバー。
花言葉は“ 私のもの ”ですね」ギュッ

提督「ん……」

高雄「クローバーは……ないですけど」

提督「うん。……俺にとっては高雄がクローバーみたいなものだし」

高雄「……そう、ですか」

提督「幸運も幸せも、高雄がそのものだからね……ん」

高雄「ん……幸せ」





雲龍「この茶番いつまで続くのかしら。
あと、ここは劇場かなにか? 」

愛宕「皆劇団員だから。私も」

明石「……劇団員なら他人の前で弄りあって舌入れてもいいんですかね」

天城「…………爛れてる。本当に…………はぁ」


< 意識しなくなったら治る >





提督「あ……しゃっくり、かも……っ」

高雄「驚かせればいいんでしたっけ? 」

提督「宣言されてから驚かされてもな……っ」

愛宕「じゃあ、水飲む? 」

提督「んー……酒しか手元にないな」

愛宕「じゃあ……こっち」

提督「ん? んむっ」

愛宕「ゅる……ぁ…………ちゅ……っはぁ」

提督「…………っ……治ってねぇぞ」

愛宕「おかしいわね……口蓋舐めるとって言わない? 」

提督「っ……自分で舐めればいいだろ。効かなかったっ、みたいだけど」

愛宕「そう……もう少し、試してみない? 」

高雄「私もいるんですけれど」

愛宕「高雄? 」

提督「っ………うーん……………高雄」

高雄「…………仕方ありませんね」


< 治った >





愛宕「信じられない……どうして治るの? 」

提督「それは……タイミングとしか」

愛宕「なんでよっ。私のときは治らなかったのに」

高雄「これが……」

提督「愛? 」

愛宕「むぅーっ……もう一回しゃっくり始めてよ」

提督「や、そんな無茶な」


< それくらいでは満足できません >





提督「今日のカクテルはカクテルウーロン。
カクテルワードは“ 知識を一つ一つ身に付ける頑張り屋さん ”だ」

愛宕「最後もう一回。私に向けて」

提督「ん? ……頑張り屋さんだね」

愛宕「ふふ」

高雄「……なにこの妹」

明石「でもときどきありません? 無性に褒めてほしいこと」

高雄「なくはないですけど」

提督「高雄」

高雄「はい? 」

提督「……頑張り屋さんだね。俺は、知ってるから」

高雄「……ありがとうございます」

明石「きゃわー。かっわいい」

愛宕「かっわいいっ」

高雄「…………」





雲龍「あれくらいで」

天城「負け惜しみですか、姉様 」

雲龍「私はもっとほしいってこと」


今年度は始まったばかりですしね
頑張ってほしいものです
……自分も寝落ちしないように頑張る

ありがとうございました


< 春の彩り >





提督「本日当基地では春ニットの着用が義務付けられます! 」





高雄「はぁ……陸軍側から誰も来ないといいですね」

愛宕「Vラインのゆるニットかぁ。何と組み合わせよっかな」

明石「このニットって全部提督が買ったんでしょうか」

雲龍「そうでしょ。私天城と明石のサイズ訊かれたもの」

天城「なるほど。なぜこうピッタリなのか不思議だったのですけれど。
寝ている間に襲われていたとかではないのですね」

明石「そんなサイズ測るだけで襲うって」

天城「当たり前でしょう? 寝ている間に身体を触られるなど」

雲龍「寝ていなければいいの? 」

天城「そうで、はないです」

明石「……何の間だったんですかねぇ」ニヤニヤ

天城「…………明石さん? 」


< それでも僕はやらないです >





愛宕「女の子に服を贈るのって」

提督「おう」

愛宕「その服を脱がせたいって意思表示らしいけど? 」

提督「えっ」

雲龍「そう……いいわよ」

提督「いや、あのね」

天城「脱がすために着せる……まぁ、この人らしいです」

提督「そんな目で見ないでくれるか」

明石「つまり上着だけ脱がして? ひえー」

提督「そんなわけないだろ。春ニット合わせたやつだったら大体は脱がさないと……」

高雄「脱がさないと? 」

提督「…………知らなかったんだって。別に下心とかはないから。
なんとなくやってみたかっただけだから」


< それを抱き締めて、俯き加減に >





天城「あの、提督」

提督「ん? あぁ、どうしても着たくなかったら捨ててもいいよ。
俺もあんまり配慮とかしてなかったし」

天城「そうではなくて……これ、ありがとうございます」

提督「んー、着てくれるの? 」

天城「はい。折角いただいたものですし」

提督「別に義務感とかで着なくても」

天城「……私が着たいのです。私に似合うものを考えてくださったのでしょう? 」

提督「まぁ……そうだね。うん、楽しみにしてるから」

天城「はい。……着替えてきますね」


< ストールもありますよ? >





高雄「……ニットワンピ、ですか」

愛宕「どうするの? 生とブーツ? 」

高雄「いえ……あまりブーツという気分ではないので」

愛宕「そう。私はー……普通にジーンズにしよ」





雲龍「黒のニットワンピ」

天城「黒のヒール」

明石「……黒のガーター」

愛宕「…………この子大丈夫なのかしら。
普段の言動思い出してほしいんだけど」

提督「……………………エロい」


< 全員お揃いじゃないとね >





愛宕「普段の自分を思い出してほしいくらいエロい姉は置いといて」

提督「……置いとくのか? 」

愛宕「……そもそも短めのニットワンピプレゼントにしたの提督よね? 」

提督「よし! 置いといて、なんだ? 」

愛宕「……提督は着ないの? ニット」

提督「えぇー、めんどい」

愛宕「あなたね……じゃあ私がコーデするから」

提督「俺新しいの買ってないぞ」

愛宕「大丈夫。見てなさいよ、私のセンスの高さを」

提督「うん、知ってるけどね……まぁ、頼むよ」


< なぜあった >





提督「高雄」

高雄「はい、なんですか? 」

提督「エロいな」

高雄「……そうですか? 」

提督「それで外歩かせたくないくらいにはな。
……はい、これ」

高雄「コンパクトミラー? 」

提督「プリクラ用の」

高雄「あっ」

提督「まぁ、別に高校生とかじゃねぇし貼らなくてもいいとは思うんだけどね。
これと同じデザインのやつを愛宕にも、ってことで」

高雄「考えましたね。これなら普段も使えます」

提督「うん。ただ、愛宕からは見えない角度で使えよ? 」

高雄「はい。……ありがとうございます」

提督「んーん、俺なんてスマホの裏だしな……大事に使ってやって」


< 見た目重視 >





提督「……ちょっと暑い」

愛宕「だって春物でいいのがなかったんだもの」

提督「いや、別に多少合わなくてもいいから季節に合ったやつにしてくれよ」

愛宕「えぇ……」

提督「なんで不満気なんだよ……着るの俺なんだぞ」

高雄「白シャツにグリーンのニットですか。似合ってはいますよ。
見ていて少し暑苦しいですけど」

提督「高雄は逆に涼しそうだけどな」

高雄「いえ……ニットのワンピースって結構暖かいんですよ」

愛宕「着てみる? 」

提督「着るかよ悍ましい。もうこれでいい。水でも飲んでなんとかする」


< 爽やか >





高雄「四月三日の誕生石はスリーカラーゴールド。
石言葉は“ 気持ちのよい性格 ”、“ 爽やか ”ですね」

提督「スリーカラー? 」

高雄「はい。元々ゴールドというのはワリガネを変えることで色を変えることができます」

天城「ワリガネ? 」

高雄「まぁ、触媒だとかのことですね。
ウイスキーとソーダの関係と言った方がわかりやすいですか」

提督「ハイボール、ね。ここだと凄まじくわかりやすい説明だよ」

高雄「で、色を変えてスリーカラーゴールドリングというものをつくることがあるんです。
一般的には忠誠のイエロー、友情のホワイト、そして愛のピンクだそうですが」

愛宕「その三つを合わせてできるのが、爽やか? 」

提督「まぁ、爽やかなんてのは接してる他人にとってわかりやすいってことだからな。
利用されやすいというかお人好しというか」

明石「つまり提督の逆の人ですね! 」

提督「あ? 爽やかだろ、俺は」

雲龍「……全然」

提督「うん? 」

雲龍「…………全然利用されてくれないじゃない」

提督「いや……例外もあるってことで」


< 『プライド』より >





提督「古き良き時代の女、ね」

天城「三歩下がって歩くとかでは? 」

提督「手、繋げねぇじゃん。却下」

高雄「色白で華奢で……つまり家の奥にいる奥ゆかしい女性? 」

提督「うーん……俺色白なのはもちろん好きだけど小麦肌とか好きだしデート行きたい。却下」

愛宕「太り過ぎず痩せ過ぎず健康的で自制心があるとか? 」

提督「守備範囲割と……うん。健康って普通じゃねぇかな。なんか違う気がする」

明石「あなたが帰宅したら三つ指正座とか」

提督「あー……若干そそるけど罪悪感あって嫌だな。風俗っぽいし」

雲龍「いつでもどこでもセックスさせてくれて一緒に楽しんでくれる? 」

提督「それはいいな。採用」

高雄「いやいやいや、それ絶対古き良きではないです」

愛宕「というか何サラッと言ってるの? 」

雲龍「別に……」

明石「…………まぁ、ここにいる人たちは皆いい女だと思いますけどね。
単に昔にも現代にも合ってないだけで」


< 飲めるとお持ち帰りが…… >





提督「今友達にLINEして訊いてみた」

高雄「はぁ」

提督「まず黒髪長髪」

愛宕「……金髪なんだけど。地毛なんだけど」

提督「次に和服や割烹着を着こなせる」

雲龍「……天城? 」

天城「は、はい? 」

提督「で、えー……純粋無垢でなんでも信じてくれる」

明石「科学の徒にとっては難しいかもしれません」

提督「あとは……大体さっき出たのと同じかな」

高雄「…………この中ではやはり天城さんでしょうか。
七割くらいは当てはまっているような」

提督「かもな。あと大酒飲みは嫌だってさ、個人的に」

天城「な、なぜですかっ。天城は旦那様が飲んでも飲まなくても付き合ってお側にいることがてきて、それでっ」

提督「うん、そうだね。……俺は酒飲める女の方が好きだぜ? 」


< 旦那様って響き、ナイスだね >





愛宕「やっぱり、あなた? それともさん付け? 」

高雄「その……名前にさん付けが」

雲龍「私もさん付け」

明石「あなたって言ってみたいです。普段はさん付けかもしれないですけど」

天城「……………………旦那様」

提督「それ他人に紹介するときはいいけどさ……まぁ、素晴らしいとは思うけど」


< 逆に >





愛宕「名前でしょ。呼び捨て」

高雄「名前ですね」

雲龍「名前ね」

明石「名前です」

天城「名前がいいです」

提督「ふーん……あだ名とか嫌なの? へぇ……」


< 俺とお前と >





提督「お前って言われるのはどうなの?
俺は普段から使っちゃってるけど」

愛宕「私は嫌じゃないわよ? 私たちしかいないんだし、
名実ともに所有物みたいなものだもの」

高雄「そもそも名前なんていうのは記号でしかありませんからね。
呼び方も究極的にはいらないかもしれません」

明石「自分と相手の二人しかいないならば、みたいな」

雲龍「私は……むしろ言ってほしいわね。
所有物にされるの、いいじゃない」

天城「この姉様と同じなのは複雑ですが……私もどちらかというと、はい」

提督「そっか。……まぁ、今更変えろって言われても難しいんだけどな」


< 黄水仙 >





高雄「誕生花の花言葉は……“ 騎士道精神 ”です」

提督「騎士道精神ねぇ……まぁ、持つこと自体は高潔でいいことだとは思う」

雲龍「現代の戦争にはかえって邪魔なものだけれど」

提督「だよな。この時代の軍人でそんなこと言うやつ俺は見たくない。
正々堂々ともちょっと違うし」

愛宕「でも……今でいえば紳士的って言葉に受け継がれている部分もあるんじゃないかしら」

明石「それなら提督も勝負できますね」

提督「そうだな。紳士的でありたいとは思ってるよ」


< あくまで冗談 >





提督「今日の誕生カクテルはカルーアコーラ。
カクテルワードは“ 母性本能豊かなロマンティスト ”」

愛宕「えーっと……教育ママ? 」

提督「なぜそうなる」

雲龍「そのまま女と母を同時に演じられるってことじゃないかしら」

高雄「なかなかに凄いことですよね、それって」

天城「女を辞めた、とは言われたくないものです。
母親になりきれないよりはいいのでしょうが」

提督「お前は最初から始めてもいなくね?
よかったな、辞めなくてもよくて」

明石「失礼な。工学系女子をこれ以上馬鹿にしないでください」


違う……寝落ちじゃないんだ……
違うんだ……

ありがとうございました


< 誰が為のエネルギーか >





高雄「四月四日の誕生石はグリーンクォーツ。
石言葉は“ 無邪気 ”、“ 実行力 ”、そして“ エネルギー ”ですね」

提督「クォーツ系だし……水晶か」

高雄「そうですね。大体丸く加工されて出回っているようです」

明石「水晶っていうと、占い師? 」

提督「無邪気とは程遠いな」

高雄「むしろ無邪気だからこそ占いに頼る人もいそうですが」

提督「そうかね。そんなとこ行くエネルギーあるならなんとか努力してみた方がいいと思うんだが」

明石「そりゃ提督は要らないでしょうよ。
運だけでは軍人にはなれませんし」

提督「あー……でも結構使ったことあるぜ? テレビの占いレベルだけど。
会話に使いやすいネタなんだよね」

高雄「……私聞いたことありませんけど? 」

提督「ん? だってそんな話無理矢理しなくても楽しいから。
高雄と喋ってるとね」


< 俺だけのビッチにしてやるよ >





高雄「次は誕生花ですが……四月四日は麦仙翁。
花言葉は“ 育ちのよさ ”」

提督「天城」

天城「はい? 」

提督「今からさ……俺の部屋、来ない? 」

天城「……誘っていただくのは嬉しいのですがお断りします。
もし時と場所を考えていただけるならばそのときは私も誠意を見せますが。
今のあなたにはそれが感じられませんので」

提督「愛宕」

愛宕「なぁに? 」

提督「今からさ……俺の部屋、来ない? 」

愛宕「いいわよぉ……ふふ」

提督「…………これが育ちのよさだ! 」

高雄「……ちょっと違うと思いますけど。まぁ、言いたいことはわかります」


< 演技から出た真 >





雲龍「で、そのまま連れ去られて行った、と」

高雄「まぁ……何日かヤってませんでしたし」

雲龍「提督が? 愛宕が? 」

高雄「愛宕が」

天城「姉様それを訊いてどうするのです……」

雲龍「意味はないわ。訊いてみただけ」

明石「あー……なんか雰囲気だけで性臭? みたいなのしてきましたよ、もう……」

高雄「しばらく食堂にでも避難しますか。
私も穏やかではいられませんし」

明石「ムラムラする? 」

高雄「…………嫉妬、という意味です」

雲龍「割と同じよね、それ」


< 蒼い人たち、青い顔 >





明石「てーとくー? お酒なくなりましたー」

提督「んぁ……? んー……これ飲んでよ。ロックでもいいだろ」

明石「もちろんですー」

提督「…………」

明石「てーとくー? 」

提督「あ、あぁ……滅茶眠い……」

明石「そりゃ夕食過ぎまで時化こんでればそうなるでしょう」

提督「んー……そうだな……今日の誕生カクテルはカルーアラテ。
カクテルワードは“ 青き清浄なる世界を望む平和主義者 ”だ。
…………なんだこれ」

明石「中二? 」

提督「ぽいよなぁ。やっぱ青って清浄なのか」

明石「蒼じゃないんですか? 」

提督「…………つーよく、そうつーよく、あのばっしょっへぇ♪ 」

明石「はっしりっだっそぉー♪ 」

提督「うん……………………Zzz」

明石「ふーん、アンタが私の提督? ……まぁ、悪くないかな」

提督「Zzz…………」

明石「残していこうか、私たちの足跡……! 」





天城「あれ……酷い光景ですね。一人は泥酔してもう一人なんて寝てますよ。
バーテンダー役なのに」

雲龍「明石あんまり強くないのに飲み過ぎだもの。仕方ないわ」


何日か忙しいのでこんなものかもしれません
秘書艦がいれば簡単に切り抜けられたのに

ありがとうございました


< 輝かないという輝き >





提督「わーお……」

愛宕「隠れたわねぇ」

高雄「輝かない、というのもなかなか」

提督「次は2018年の一月三十一日らしいしなぁ。
ちゃんと見れてよかったよ」

愛宕「そのときは……私たちはどうなってるかしら」

提督「さぁ? 少なくとも一緒にはいるだろ」

高雄「そうだと……いいですね」

提督「いいじゃねぇよ。そうあるために努力すんの」

愛宕「そう、ね。うん。私はこの人と一緒にいるためなら高雄でも容赦しないんだから」

高雄「それは……私もです」

提督「あぁ……月を見ながら、というか見えない月を見ながら、
自分の女侍らせるのは気持ちいいなぁ」

愛宕「…………まだ見てる? 」

提督「ん? いや、もう戻り始めたしな。部屋戻るか」

愛宕「ちょっと、シたいかも」

高雄「はぁ……月とベッド、ですか。狼ですね」

提督「狼は俺だろ。ほら……いくぞ二人とも」

愛宕「はーい。羊の底力、見せちゃうんだからっ」

高雄「やれやれ……結局いつものですか。……悪くないですが」


< ↑ >





明石「みたいなこと言ってるんですかねぇ」

雲龍「かもね。私たちも見に行く? 」

明石「や、馬に蹴られたくありませんし。
それに……この部屋からも普通に見えますから」

雲龍「そう……狼さんはいつになったら私を獲物として見てくれるのかしら」

明石「……獲物としては見てるんじゃないです?
単にほぼ毎日満腹なだけで」

雲龍「…………滾らせるにはやっぱり何か必要なのかしら」

明石「何かってなんですまったく……」

天城「はぁ……月蝕と飲むお酒も美味しい……」



「「それはいつもでしょ」」


< そしてエメラルドへ >





高雄「四月五日の誕生石はカラーレスサファイアですね」

提督「俺はルビーだった」

高雄「? ……石言葉は“ 努力 ”、“ 主役”、そして“ 敏感 ”」

明石「努力する主役とかどこぞの少年週刊誌みたいですね」

提督「いや、俺主人公は普通に努力するものだと思うぞ」

明石「そうですかねぇ」

愛宕「でもそういう主人公って大概は鈍感だと思うの」

提督「そうか? まぁ、最近はそうなのかなぁ」

高雄「何事にも例外はあるということで。
どんなものも型に嵌めるのはあまりいいことではありませんよ」


< 努力は隠さない主義 >





明石「というか提督って努力とかしたことあるんですか? 」

提督「あのさ……一応この国に数人しかいないレベルの地位に就いてるんだけど」

明石「女の人コマしてここまできたんじゃないんですかー? 」

提督「そんなんでなれるほどこの地位は軽くねぇよ。
つーか、華族様でもないのにこうなんだからむしろ努力は人一倍してるはずだよ」

高雄「こう見えて横須賀にいた頃から戦術や私たちの運用に関しては研究し続けていたんですよ? 」

明石「へぇ、凄いですね。見直しました」

愛宕「その割に戦術面では殻を破れなかったわよねぇ」

提督「お前らいるからいいんだよ。
俺は有能な怠け者を目指してんの」

天城「…………それは努力して目指すものなのでしょうか」


< 何が飽和しているのか >





高雄「誕生花はイチジク。花言葉は“ 多産 ”と“ 飽和”、ですね」

提督「…………」

愛宕「……何考えたか当ててあげましょうか? 」

提督「いや、いいよ。……つーかお前も連想したんだろ? 」

愛宕「そう、ね」

高雄「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「……あれだな。こう具体的というか連想しやすいと逆に会話が続かない」





明石「ここで誰一人として理解できていない人がいないという。
駆逐の子とか呼んできてくださいよ。ピュアな子を」

雲龍「浜風とか秋雲とか? 」

天城「なぜその二人なんでしょう……なんだか彼女たちだとダメな気がします」


< 取り繕わぬ者は >





提督「今日のカクテルはアプリコットカクテル。
カクテルワードは“ 優雅で無邪気な存在感を髣髴とさせる人 ”だ」

愛宕「優雅で無邪気、ね。両立させるの難しいわよそれ」

高雄「少し間違うと傲慢に見えてしまいますしね」

愛宕「そもそも優雅っていいのがねぇ。
無邪気はそこまで難しくないのだけど」

高雄「結局は天然で無意識にそれをできる方が素晴らしいのでしょうね」

提督「そりゃな。でも俺は必死に演じてる女の子も可愛いと思う」





明石「……三人とも演技してることは前提で話すんですね。……まぁ、いいですけど」


>>1は月蝕普通に見れました
厳しい地域もあったようですけど

ありがとうございました


< こんな日々 >





高雄「六日の誕生石はブルーダイアモンド。
石言葉は“ 働き者 ”、“ 活発 ”、そして“ 元気者 ”、です」

提督「ダイアね。確か四月の誕生石は普通のダイアだったよな」

高雄「そうですね」

愛宕「各誕生月の中で婚姻率が高い月から、
高価な石を当てはめていったって聞いたことあるわ。あれ正しいの? 」

提督「さぁ? まぁ、正しければ四月は結構いいんだな」

高雄「提督は四月でしたね」

提督「おう」

愛宕「もしかして二人分の指輪渡してるから提督で二人分換算になったり? 」

提督「や、それはねぇだろ」

明石「……以上、一部分だけ元気者で活発な方たちの日常でした」

提督「…………オチとかいらないんだけど」


< 永遠に永遠に >





高雄「誕生花はアネモネ。花言葉は“ 儚い希望 ”、“ 恋の苦しみ ”、“ 真実 ”です」

提督「ん? なんかアネモネって前に聞いたことある気がする」

愛宕「私も」

高雄「……言われてみれば。えーっと……これがメジャヴュ? 」

提督「あれ? デジャヴュじゃなくて? 」

愛宕「この話も前にした気がするわ」

提督「あれこれがメジャヴュ? デジャヴュ? 」

高雄「という話も前に……ーー」


< 重く長い嘆息とともに >





雲龍「儚い希望に恋の苦しみに真実、ね。……嫌な並び」

天城「姉様はそうでしょうね」

雲龍「あなたは、違うの? 」

天城「ないとは言えないでしょうけど……。
天城の場合はあの人との関わりもこちらの問題も姉様とは違うものですから」

雲龍「そう……」

天城「……あの人以外の人を見てみようという気はないのですか?
近くにいないということは一時的に忘れて」

雲龍「……そんなものが戯言に聞こえるくらいには好きなの。
もし、それを越えてくれる人がいればあるいは」

天城「…………そう、ですか」

雲龍「…………ええ」


< それさえも茶菓子か肴に >





提督「誕生カクテルはカルーアソーダ。
カクテルワードは“ 人脈作りを得意とする特技の持ち主 ”、だ」

愛宕「カルーア系多いわねぇ。好きだからいいけど」

提督「つまりコーヒー党の俺が正義ってわけだな」

高雄「苦手な人には辛いでしょうけどね」

明石「というか横須賀だと完全に少数派でしたよね。
紅茶派と緑茶派が入り乱れて、夏に麦茶派を兼ねる人がいたりもして」

提督「あ、俺も麦茶派だわ」

愛宕「しかも、紅茶派にもファーストフラッシュ原理主義者とか、
ミルク後入れ史上派とか面倒だったし」

雲龍「どうも飲み物の好みだけは合わない。
コーヒーが嫌いなのではなくて緑茶が、ね」

天城「いいじゃないですか。人の好みなんて」

提督「や、それを言っちゃあお終いだろ。
こういうのは話のネタとして鉄板なんだよ」


眠い……忙しい……

ありがとうございました


まぁ、いつからか常に眠いんですけどね……

ありがとうございます
どうも発音優先で書いてしまう癖があるっぽい


< 硬度 >





提督「おっぱいの柔らかさについてなんだけどさ」

明石「……それをこのメンツで私に言うんですね」

提督「まぁ、いいじゃん。……挟んでもらったときにさぁ……硬いとちょっと嫌」

明石「そうですか。…………挟めるかな」

提督「案外挟めるもんだよ。……でも上で腰振らせてるときに軟乳だとたまに見苦しくなるんだよなぁ」

明石「はぁ」

提督「やっぱさ。硬度変えられるおっぱいが最強だと思う」

明石「そんなの開発できませんよ? 」

提督「そうだね。硬度変えるなら巨乳化と貧乳化目指した方がいい」

明石「や、それはもっと無理ですよ……」


< 冗談 >





愛宕「おっぱいが急に縮ん」

提督「はぁ? ざっけんなおい。おい! 」

愛宕「だ、っていう冗談はどう? 」

提督「……ねーわぁ……。俺の楽しみ弄んで何が楽しいの? ねぇ」

愛宕「私を弄んでるのはあなたじゃない」

提督「つまんない冗談の次はつまんない洒落かよ」

高雄「……色々言いたいことはありますがとりあえずオカルト地味た冗談に本気で反応するのはどうなんでしょう」

提督「じゃああれか? 貧乳の高雄も新鮮でいいわぁ、とか言った方がよかったか? 」

愛宕「それはそれで面白そう」

提督「そうか? …………そうだな、うん」

愛宕「ね? 」

高雄「…………まぁ、たまになら……取り外し式じゃないので無理ですけど」


< 這いつくばって、手を伸ばして >





高雄「七日の誕生石はエッグパール。
石言葉は“ 行動力 ”、“ 冷静沈着 ”、そして“ リーダーシップ ”です」

天城「まさに指揮官に必要な資質ですね」

明石「ベッドだとありそうですね、あの人も」

雲龍「冷静……? 」

高雄「えーっと……まぁ、ないわけではないですよ?
作戦指揮で失態を犯したわけではありませんし」

天城「それはわかるのですけどあれを見ていると……」チラッ

高雄「…………擁護できませんね」チラッ

明石「悪いことではないけどちょっと小物っぽいですよねー」





提督「うっそだろ……あとちょっと届かねぇ」ゴソゴソ

愛宕「取れなくてもいいじゃない。ボールペンくらい棚の下にあっても問題ないのだし」

提督「そういう問題じゃ……うーん」


< 桜を散らした便箋に >





提督「大和、ね」

雲龍「呉に呼ばれてないの? 」

提督「あぁ」

雲龍「まぁ、横須賀でピンピンしてるものね……現代の憑坐は」

提督「どうせ左遷組のアホには来てほしくないとかだろうよ」

愛宕「でも大和さんの方は提督がきたら喜ぶと思うわよ? 」

提督「んー……でもなぁ。別に祝い事でないしなんか贈り物もしずらいんだよな」

高雄「では手紙でも送ってみては。
今回の件に関係なく」

提督「そうすっかな……便箋便箋っと」


< そう思われている >





高雄「今日の誕生花はクロッカス。
花言葉は“ 若返り ”」

提督「あぁ……こ」

高雄「やめてあげましょうよ。そのネタあんまり面白くありませんよ」

愛宕「そうねぇ、本人は特に気にしてなかったけど」

天城「周りが不愉快になる冗談はいただけません」

雲龍「元気……でしょうね」

明石「好きですよー。あの人の紅茶」

提督「あぁ、うん。気をつけるよ」

提督(この前咲いてるのを見たって言おうとしたんだけどな……クロッカス)


< まぁ、人による >





提督「誕生カクテルはシャンボールクランベリー。
カクテルワードは“ 相手に求め過ぎず信頼を勝ち取る達人 ”、だ」

明石「うーん、ベリーはあんまり得意じゃないかもです」

提督「飲みやすいんだけどな。……口直しは何がいい? 」

明石「カルヴァドス、お願いします」

提督「ん、わかった」

雲龍「あなたは相手に求め過ぎないってどう思うの? 」

提督「俺? ……まぁ、これを男女の話だとするならだけど」

雲龍「ええ。求めるのを抑えるのって難しいでしょう? 」

提督「そうかな。……自分が多くを求められてると思うこととそれに応えること。
で、そういう風にされてればいい女なら応えてくれるよ。で、求め過ぎにはならない」

雲龍「ふーん……勉強になったわ。ありがとう」

提督「どいたま。……ほいよ、リンゴ」

明石「ありがとうございまーす」

天城「あ、私もそれ飲みます」

提督「了解」

雲龍「…………お酒を求め過ぎるのはやめた方がいいわよ」

天城「いえ、まだまだ“ 過ぎ ”には遠いので」


ありがとうございました


< これも個性 >





高雄「八日の誕生石はパパラチアサファイア。
石言葉は“ 発想豊か ”、“ 好奇心 ”、そして“ 個性的 ”です」

提督「発想ねぇ……下らないことなら温泉並に湧き上がってくるんだが」

愛宕「提督って数打ちゃ当たる方式のタイプだものね。
ひたすら案を出してそれを全部並べて選択に時間かけるっていう」

提督「まぁ、それでなんとかなってきちゃったからな……。
たまにはすぱっと選択してみたいもんだ」

明石「好奇心とかどうなんです? 結構色んなこと知ってるじゃないですか」

提督「ちいさい頃から本は好きでさ。
ただ最近は世の中の流行から外れてる気がする」

明石「ははぁ……歳ですかね」

高雄「…………先日セーラーなんとかの成りきりブラセットというものを注文していたようですが」

提督「…………別に流行じゃないし、うん。
どっちかというと懐古だしね」

愛宕「ちなみに一番好きなのは? 」

提督「ジュピター」


< しじゅうはち >





提督「そういや四月八日なんだな…………四十八……」

明石「どうしました? 」

提督「いや……なんでもないよ」

明石「しじゅうはち? 年齢とかのこと? 」

提督「そういう数値じゃないよ」

明石「じゃあ……体重? 」

提督「俺がそんな軽さに見えるか?
仮に筋肉すっかすかでもタッパ見ればわかるだろ」

明石「じゃあ愛宕さんとかの」

提督「愛宕? そんなに軽くな……わかんねぇわ」

明石「はい? ……あぁ」

愛宕「うふふ……」ニコニコ

提督「…………昔な、四八(仮)っていうゲーム擬きがあったんだ」

明石「あぁ、それで。どんなゲームなんです? 」

提督「端的に言えば、すっかすかだな」

明石「つまり……軽い? 」

提督「そうだな。……お前も普通に軽いからさぁ……俺を襟で持ち上げようとすんなよ。
折角話変えようとしてるのに」


< 謙遜できるということ >





高雄「八日の誕生花はエニシダ。
花言葉は“ 清潔 ”、“ 謙遜 ”、“ 清楚 ”ですね」

提督「ここで皆さん、パパッと思いついたもので謙遜してみてください! 」

高雄「そんな無茶な……」

愛宕「あなたが褒めてくれたこの髪も最近痛んできてて……清潔にはしてるんだけど」

明石「科学の徒っていっても実際解明できないことがあり過ぎる無能ですみません」

雲龍「最近肩が特に凝るの。大き過ぎるのも良し悪しよ」

天城「和服の着付けをできるといっても興味があれば誰でもできますよね。
むしろ洋服の知識が少ない天城の方が……」

高雄「…………」

提督「高雄? 」

高雄「……えーっと……ショートが似合うっていうのはロングを試した姿を見たことがないからですよ? 」

提督「謙……遜……? ……まぁ、全員嫌味にしか聞こえなかったな」

愛宕「そりゃあそうでしょうよ。
謙遜は内容じゃなくて技術のことだもの。
上手さで卑屈と嫌味以外に聞こえさせる、ね」

高雄「そもそも謙遜する相手がいませんよ。
自慢する相手も少ないですし」


< リンゴのように火照った頬が >





提督「今日のカクテルはアップルロワイヤル。
カクテルワードは“ センスに溢れた内面美人 ”だ」

明石「ひえー、カルヴァドスじゃないですか! 」

提督「そうだな。スパークリングワインとのカクテルだ。
……カルヴァドスが好きなら割合変えてもいいぞ」

明石「そうですか。……ちなみに今のは? 」

提督「これは標準的に1:3にしてある」

明石「うーん……やっぱりこのままでいいです。
折角先人が考えてつくったものですし」

提督「そっか」

明石「はい」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……お前のそういうところ好きだぜ。
誰かのことを手放して想えるの」

明石「ははは……やめてくださいよ。
単に自分のお酒関係のセンスを信じてないだけです」

提督「それでも、だよ」


< 学生の正装ではあるけれど >





提督「でもさ」

明石「はい」

提督「こういう雰囲気になっても」

明石「はぁ」

提督「……俺がバーテンダー衣装なのはいいとして、
セーラーってなんだよ。普通酒飲むとこ入れる服装じゃないよ」

明石「や、それは仕方ないですよ。
一番慣れた普段着ですし」

提督「たまにはさぁ……なんかないの?
カジュアルなのでいいからパーティドレスとかさ」

明石「ないですね。そんなものを着る機会なんてないですし。
他の方もないでしょう? 」

愛宕「あるけど? 」

高雄「何着かは」

明石「……あぁ、お二人はそうでしたね。
でも雲龍さんと天城さんはないでしょう? 」

雲龍「そうね」

天城「天城もです」

明石「ほらぁ」

提督「でもこの二人は普段着も結構、さ。
やっぱ一人だけその服装は浮くぞ」

明石「どうしろって言うんですか。じゃあ提督が見繕ってくださいよもう」

提督「…………言ったな? 」

明石「はい? 」

提督「期待しとけよ。…………あぁ、天城勝手にラッパ飲みなんてするんじゃない。はしたないぞ」

天城「ここに慣れただけです」

提督「いやいやいや……さすがに俺もしねぇよ」

明石「え? ……え? はい? 」

愛宕「ふふ……よかったわね」

明石「は、はぁ……なにこの流れ」


嬉しいです
最近忙しくてポツポツしかないのが申し訳ない

ありがとうございました


< 見えてた >





高雄「九日の誕生石はセラサイト。
石言葉は“ 思いやり ”、“ 注意深い ”、そして“ 世話焼き ”、です」

明石「案外提督って世話焼きですよね」

提督「そうか? 」

明石「なにくれとなく喋りかけてきてくれたり。
そういうのってなかなかできることじゃないですよ」

提督「お前そりゃ……お前だからだよ」

愛宕「そうよねぇ、結局はどうでもいい人には手が回らないもの」

明石「でも提督はその辺の範囲が随分広いんじゃないです? 」

提督「うーん……? 」

愛宕「どうかしらね」

高雄「まぁ、思いやりという点では合格点でしょう。
身内がそう思えば世話焼きで正しいと思いますよ」

提督「そうかな」

明石「注意深さは足りないようですけどね」

提督「ん? 」

明石「……すみません。私も1と3でフルハウス狙いなんです……はい」

提督「えっ……嘘だろおい」


< ツキが回ってこない >





高雄「誕生花はパンジー。花言葉は“ 物思い ”。皆さん絵になりそうですよね」

提督「物思いに耽るって? くそっ、その手には乗らねぇ」

高雄「いや、別に手札とか見ませんよ。
そもそも提督のミスじゃないですか」

愛宕「でも私好きよ? 提督が読書したりしてる姿とか」

提督「黙って座ってるだけだけどな」

天城「ちなみにどういったものを? 」

提督「俺はミステリとか歴史ものかな。
この前は愛宕に司馬遼太郎貸したな」

雲龍「提督は兎も角愛宕に司馬遼太郎って似合わないこと甚だしいわね」

愛宕「自覚はしてるわよ。でも一応は歴史に関わる身だし? 」

提督「そうだな」

高雄「で、次の選択は終わりましたか? 次、提督ですよね」

提督「…………今から考える」


< UNO >





提督「つーかさ、おかしいと思うんだよね。
チャレンジとかどう考えてもローカルルールだろ……」

天城「お借りした説明書には書いてありましたよ」

提督「マジ? 」

高雄「それなら大富豪のときも麻雀のときもローカルルールはなしにしますか? 」

提督「あー、いや。それはねぇわ。つーかトリセツとか見たことねぇよ」

愛宕「はーい。コールされたので四枚引いてくださいねー」

提督「ぐぬぬ……」

雲龍「レッドの3」

明石「ふふふ……待っていたのですよ。ウノ、ウノストップ。あがりです」


< 限界を見つける、みたいな >





提督「今日のカクテルはシャンディーガフだ。
カクテルワードは“ 好きなことを熱心に頑張れるしっかり者 ”

雲龍「ビール苦手なんじゃなかった? 」

天城「天城はとりあえず飲んでみて決めたいので」

提督「一応ジンジャーエールの風味でビールの苦味とか抑えられるけどな」

天城「ですね。まだ割と飲める方です」

雲龍「じゃあ次はレッドバードで」

天城「? 姉様が言うならそれを」

提督「……了解。天城ってトマトいけたっけ? 」

天城「はい。特に苦手ではありませんよ」

提督「そうか」





明石「レッドバードって? 」

高雄「トマトジュースとビールのカクテルです。
それにウォッカを加えています」

愛宕「ウォッカがなければレッドアイっていって発泡酒でも売ってるわね」

明石「なるほど……ちょっと私は遠慮したい内容かも」


< それが名前の由来という説も >





天城「ウォッカが効いていて美味しかったです」

提督「それはよかった」

雲龍「……次はブルービアで」

提督「ん」

愛宕「そういえば毎月十日はレッドアイの日らしいわよ」

明石「なんですそれ」

愛宕「さぁ? とりあえず飲めばいいんじゃない? 」

提督「あれ……マラスキーノどこだっけ? 」

天城「マラスキーノ? 」

提督「ん、マラスキーノっていうさくらんぼのリキュールが入ってる。
あとはビールとブルーキュラソーだな。
……ちょっと倉庫言ってくるから何か飲んでていいよ」

明石「…………まぁ、ここの人たちは大体レッドアイですけどね」

高雄「それは……私たちも提督もそこまで赤くならない方ですし」


< ワクの枠が大きくなっていく >





雲龍「あなた相変わらず枠ね」

天城「そうでしょうか。……ビールにも慣れてきた気はしますけれど」

雲龍「そう……よかったわね」

天城「はい」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「……私、お手洗いに寄ってくから」

天城「天城はそのままお部屋に行ってますね」

雲龍「ええ、転んだりしないでね? 」

天城「まさか。まだまだ大丈夫です」

雲龍「そう……」

天城「では姉様」

雲龍「ええ、また後で」


< たこわさみたいな服色だし >





提督「ん……やっぱポン酒だな」

雲龍「……まだ飲んでたの? 」

提督「雲龍? ……あぁ、だってお前の妹が次々頼むからあんまり飲めねぇんだもん」

雲龍「ごめんなさいね。でも、あなたもそれに応えちゃうから」

提督「まぁな。……楽しんでくれるならいいんだよ。
俺だって好きでやってるし」

雲龍「そう……飲むのを抑える理由になってるならいいのかしらね」

提督「うん? 飲むなって? 」

雲龍「長生きしてほしいもの」

提督「そうか」

雲龍「ええ」

提督「…………じゃあ、なんかつまみつくってくれないか」

雲龍「今から? 」

提督「今から」

雲龍「……これから寝ようと思っていたのだけれど」

提督「美人が話し相手になってくれれば飲酒量も減る気がする」

雲龍「そう……」

提督「あぁ」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……ちょっと待ってて」

提督「ん」


< 息を吹き掛けにくい >





愛宕「んー……高雄ぉ」ギュッ

高雄「なんです」

愛宕「膝枕、して? 」

高雄「はぁ……どうぞ」

愛宕「やったっ」

高雄「……綿棒でいい? 」

愛宕「おっけー。終わったら高雄のもしてあげる」

高雄「それはどうも」

愛宕「うーん、これは柔らかい」ムニッ

高雄「ひゃっ……耳に突き刺さりますよ」

愛宕「そこは我慢して」

高雄「そんな無茶な」

愛宕「ふふ……………………確かに顔見えないわね」

高雄「それはまぁ……仕方ないじゃない」

愛宕「こんなおっぱいは……えいっ」ツン

高雄「ぁ……」

愛宕「感じた? 」

高雄「……いいえ」

愛宕「本当に? 」

高雄「断じて、はい。……本当に突き刺さりますよ、まったく」


< つくり過ぎた翌朝に >





提督「美味かったよ」

雲龍「そう……よかったわ」

提督「梅肉と和えるのもいいな。俺は普通につくるか柚子胡椒と和えるかがスタンダードだけど」

雲龍「柚子胡椒? 」

提督「あぁ、結構美味いもんだよ」

雲龍「へぇ……今度頼むわね」

提督「ん」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……お茶漬け食べたくなってきたわ」

提督「……たこわさと梅肉の茶漬けか。悪くないな」

雲龍「あとは大葉かなにかがあれば彩りもよくなるわね」

提督「あぁ」


< 今夜は一緒にいませんか? >





提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……先、行っててよ。俺はたこわさの皿洗ってくるから」

雲龍「先? 」

提督「ん、この鍵で空くから」スッ

雲龍「……………………あの部屋? 」

提督「あの部屋」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……着替えてきても? 」

提督「だめ。今のお前がいい」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……そう」

提督「うん」



< 今夜は一緒にいませんか? >





提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……先、行っててよ。俺はたこわさの皿洗ってくるから」

雲龍「先? 」

提督「ん、この鍵で空くから」スッ

雲龍「……………………あの部屋? 」

提督「あの部屋」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……着替えてきても? 」

提督「だめ。今のお前がいい」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……そう」

提督「うん」


>>1の周囲にも下戸の人とかいます
あれは本人も辛そうですね……
運転手にされたり

ありがとうございました


< 朝の日差しと共に >





雲龍「…………よかったの? 」

提督「……なにが? 」

雲龍「……私と寝て」

提督「嫌だった? 」

雲龍「……いいえ」

提督「ならいいじゃん」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……もう、無理だと思ってた」

提督「…………まぁね。俺が色々振り切ればいいだけだったからさ」

雲龍「…………」

提督「……さて、シャワー浴びるか。一緒に浴びる? 」


< 朝帰り、気付かれず >





天城「おはようございます、姉様」

雲龍「……おはよう」

天城「眠りが浅かったとか? 眠そうですけれど」

雲龍「浅かったというかなんというか……天城はちゃんと寝れた? 」

天城「はい。姉様が戻ってくる前に気付いたら意識がなくて」

雲龍「そう……朝食、行きましょうか」

天城「そうですね。今日はなんだと思いますか? 」

雲龍「たこわさ茶漬けとか」

天城「お茶漬け? どうしてですか? 」

雲龍「それはその……なんとなく? 」

天城「は、はぁ」


< 朝帰り、気付かれる >





愛宕「あっ、おかえりー」

高雄「おかえりなさい」

提督「……おう」

愛宕「朝食はさっきつくっておいたんだけど……なにあのたこわさ」

高雄「山と積まれたたこわさとか自分の目を疑いましたよ」

提督「いや、……つくりたくなっちゃったんだよ」

愛宕「まぁ、いいけど」

提督「うん…………なんつーか普通だな」

高雄「あぁ、もうなんというか慣れました。
そもそもよく考えてみれば自分がナンバーワンだということを認識できる機会ですしね」

愛宕「浮気と考えるということは自分が本命、みたいな? 」

提督「なんかそれ違わねぇかな。……俺が言う資格ないけど」


< どっちでしょうね >





高雄「というか」

提督「うん? 」

高雄「私や愛宕が一般的な人間の女性とは違うということ」

提督「あぁ」

高雄「そもそも環境からして普通ではないであろうということ」

提督「うん」

高雄「それを一番理解していなかったのが提督でしょう? 」

提督「まぁ……そうかな」

高雄「誰彼構わず襲い始めれば沈めてしまうかもしれませんが」

愛宕「これくらいなら構わないわよねー。
ときどきは二人で寝るのも楽しかったし」

高雄「……そうね」

提督「えっ、なんか楽しくなるようなことしてたの? 」

愛宕「ふふ……」

高雄「…………はぁ」

提督「んー……? どっちだ。嘘か本当か」


< 言い訳 >






愛宕「それよりも結局は雲龍だったのね」

提督「うん? 」

愛宕「ドレス贈るんでしょう? 明石でも呼ぶのかと思ったから高雄と一緒に退場したのに」

提督「や、なんというか……一度ヤった相手の方が呼びやすいというか」

高雄「まがうことなきクズの発言じゃないですか……」

提督「そうだな。……まぁ、いくら特殊な関係で特殊な仲でも初めては特別にしたいじゃん? 」

愛宕「うーん……まぁ、確かにそうかも」

高雄「でもそれだと別に雲龍さん誘わなくてもよかったんじゃあ……」

提督「そこは気分で」

高雄「うわぁ……」

愛宕「……ちょっと擁護できないかな、これは」

提督「……つーか、明石気付いたら自分から寝に行ってたぜ?
俺は思ったね。そのときがきたらずっと注意して飲ませないようにしないとって」


< レモン風味 >





提督「最近ラドラーが缶で売られ始めたじゃん」

高雄「そうですね」

提督「あれの感想をビスマルクあたりに訊いてみたい」

高雄「はぁ」

提督「俺もさ、あれの名前は知ってたんだよ。
ただドイツから輸入するのもね」

高雄「……缶の方はどうでした? 」

提督「んー……正直好みではなかったかな。
ただ、ビール苦手な人はいいんじゃない?
天城だってビアカクテルはいけてたし」

高雄「あの人は例外だと思いますけど……手紙でも書いてみては? 」

提督「めんどい。この前大和に書いたので体力とやる気使い果たしたし」

高雄「はぁ」

提督「はぁ……ビスマルクでもオイゲンでもいいからさぁ。
この際レーベとかでもいいや」

高雄「……異動か派遣は難しいですよね」

提督「そうなのよね……うーん」


< 正確にあなたのことを >





高雄「十日の誕生石はカラーレスジルコン。
石言葉は“ 正確な理解力 ”、“ 的確な行動 ”、そして“ キレ者 ”、ですね。
屈折率が高くダイヤの代用品にされることもあるとか」

愛宕「別名ホワイトジルコンとも言うらしいわね。
そっちだと石言葉は“ 全てを賭ける恋 ”」

提督「ふーん……全く別の意味なんだな」

高雄「全てを賭ける恋なんてものに理解力や的確というのは不粋でしかありませんしね」

提督「そうだな。……賭ける、ね」

愛宕「? 」

提督「いや、そんなことにならなくてよかったなって。
恋をするならその先も考えないと」

愛宕「いつになくまともね」

提督「普段からまともだぞ」

高雄「どの口が。……ただ、そういう人には全てを賭けてもいいと思えますよ」

提督「……ありがと」

高雄「そこはお互い様ですから。そうでしょう? 」

提督「…………あぁ」


< 待ち続けるよりはね >





提督「前に相談でさ」

明石「はい」

提督「好きな人がいて、その人と結ばれるためには積極的にいくべきか、
それともその人を待つべきかどっちがいいかな? って訊かれたんだよ」

明石「はぁ」

提督「で、俺は当然相手がきてくれるかわからないんだから積極的にって答えたわけだ」

明石「まぁ……無難じゃないですか? 」

提督「だよな。でもよく考えたら相手が積極的にこないってことはつまり関心がないという証明に……」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………この話の“ 相手 ”ってたぶん提督のことですよね」

提督「…………さぁ? どうだろうね」


< そうだ京都へ行こう >





高雄「今日の誕生花は九輪草ですね」

提督「九輪草? 」

高雄「はい。サクラソウ科の多年草で、
仏閣の屋根にある九輪に似ていることからこの名前が付いたそうです」

提督「九輪? 」

高雄「仏閣の屋根にある長い棒状の構造物のことです。
それぞれに意味があって上から七つ宝珠、竜車、水煙、宝輪ーー」

提督「待て待て待て……まるで意味がわからないんだが」

高雄「と、言われましても」

提督「いや、別にそこまで仏閣に詳しくないからさ。なぁ? 」

愛宕「その後は請花、伏鉢、露盤って続くのよね〜 」

提督「えっ」

明石「大丈夫ですって……私もまるで意味がわかりません」

提督「だよな? あぁ、でもお前ら京都がルーツだから……」

高雄「そういうわけでもありませんけど……ちなみに花言葉は“ 物覚えのよさ ”です。
これを機にしっかり覚えてくださいね」


< どちらにせよ美味しい >





提督「どうでもいいけど今日は駅弁の日らしいぞ」

明石「え……ドン引きです。まだ夕食前なのに」

提督「いや、そっちじゃねぇよ。駅で買える弁当の方」

明石「あぁ、そっち」

提督「あのさぁ、いくらなんでも俺そこまで絶倫じゃ」

雲龍「……よくそんなこと言えるわね」

提督「あ? 」

雲龍「……よっぽど溜まってたのか知らないけれどなかなかハードだったわよ」

明石「え……」

天城「姉様それで……眠いってそういう……」

愛宕「うふふ…………」

高雄「…………」

提督「……どうすんだよこの空気。明石、お前の所為だぞ」

明石「いや、明らかに提督の所為じゃないですか。
どう考えても私には責任ないですって」


< 個性が無いという個性も >





提督「今日のカクテルはシルバーストリーク。
カクテルワードは“ 人とは違う世界観を持った個性派 ”、だ」

高雄「まさに私たちでしょうかね」

愛宕「きっとカクテル考えてる人も、
人外の存在がうようよする世界になるとは思ってもみなかったわよねぇ」

明石「うようよ……うようよ……ふふっ」

提督「なーにツボってんだよ。……実際お前ら個性あり過ぎだしな」

高雄「まぁ、私なんかはまだ薄い方だと思いますけど」

愛宕「そう? おっぱい、ガーター、ミニ、スリットとかなかなか盛ってると思うけど。
普通にきつ目のクールとかも」

提督「そうだな。……まぁ、このメンツでは俺の次に薄いかもしれないけど」

天城「はい? 私がいつーー」

雲龍「……あなたは反論できないでしょう。
どれだけ飲めば気が済むのよ」

明石「うようよ……個性がうようよ……うようようようよ……ふふ」

提督「大丈夫か? お前酔うより酷い状態じゃねぇか」


明石さんは明石さんだから……
まぁ、そのうち……うん

ありがとうございました


このままいけばあると思われます
ただ一度にあまり進まないのでまだ大丈夫かなと思ったり


< しゃこしゃこ >





提督「あぁ……歯ブラシそろそろ変えないとなぁ」

高雄「そこの棚に新しいの入ってますよ」

提督「うん、それは知ってる」

高雄「はぁ」

提督「なんというか新しいのって硬いというかきついというかさ。
古いの使い続けるのもよくないんだろうけど」

高雄「それなら柔めの歯ブラシにしてみては? 」

提督「それは違う。俺は昔から硬めと決めている」

高雄「……そうですか」

提督「でもこの捨て時変え時にいっつも悩むんだよなぁ」

愛宕「私が磨いてあげましょうか? 」ヌッ

提督「うぉっ……いや、いいよ。つーか、お前が磨いてくれたとして根本的な問題は解決しねぇだろ」


< まぁ、できないとか言われても困る >





提督「潔癖性のやつがセックスはできるのが納得いかない」

高雄「はぁ」

提督「あの人たち鍋とか無理だし他人の握ったおにぎりもダメなんだぜ?
なんでそれで他人の粘膜は許せるんだよ」

愛宕「結局は理性を快楽が越えるかどうかじゃない? 」

提督「そうなんだろうけどさ。もっと皆自分の欲望に忠実になるべきだと思う」

高雄「単に提督より慎みや恥じらいを持っているだけでは」

提督「いやぁ……理不尽だわ。せめて高雄くらいのむっつりなら許せるんだが」

愛宕「ダブスタはどこの世界でも嫌われるものねぇ」

高雄「……意思の疎通を上手くできていない気がするのですが」


< らしい >





高雄「実は今まで私が言っていた誕生石は正確には誕生日石というらしいです」

提督「そうなの? 」

高雄「はい。誕生石は十二ヶ月の方の石で聖書を起源にする一応は由緒のあるものらしいのです。
誕生日石は三百六十六日分の石で1997年に『366日誕生石の本』という著作で日本の一女性が考案したものなんだとか」

提督「へぇ……まぁ、どうでもいいな」

愛宕「お喋りの肴にしてるだけだものねぇ〜 」

高雄「まぁ、そうですね」

提督「つーか、三百六十六ってよく考えたらやべぇな。
そのおばさんすげぇよ」

愛宕「確かに」


>>852くらいに >





提督「女の子に見下ろされたい」

高雄「はぁ。大丈夫ですか? 」

提督「うーん……どうだろう。怠すぎて溶けそう」

愛宕「この前は胸元見下ろしたいとか言ってたわよね」

提督「今は下乳を見上げたいんだよねぇ」

高雄「……膝枕でもしましょうか? 」

提督「ん、よろしく」

愛宕「いいの? 」

高雄「まぁ、執務も一段落しましたし。構いませんよ」


< 中身が無いという内容 >





天城「まったく……なぜあそこまで空疎な会話ができるのか」

雲龍「いいじゃない。会話に意味なんて考えてたらおもしろくないわよ」

天城「それはそうですが」

明石「徒花とでも思っていればいいんですよ。
見かけだけって意味ですけど見かけを楽しめるんだからそれで十分です」

雲龍「そうね。ええ……そう思う」

天城「……明石さんも中身がないことは否定しないんですね」

明石「否定できると思います? 」

天城「……いえ」

明石「ま、それがいいところでもありますからね。
気負わずに喋れることがどれだけ素晴らしい才能か」

天城「理解はしているのですが……」

雲龍「納得する必要なんてないわよ。
なぁなぁでいられるのがここの、というかあの人のいいところだもの」


< 規則的な不規則 >





高雄「十一日の誕生石はホワイトファントム。
石言葉は“ 規律 ”、“ 生真面目 ”、最後に“ 規則正しい生活 ”、です」

提督「はい、誕生花にいこうか」

高雄「いや、そんな流さなくても」

提督「……規律とか生真面目とか俺に合うか? 」

天城「それを自分で言ってしまうのですね……」

明石「ある意味で規則正しいんじゃないです?
規則的という意味では」

愛宕「毎晩飲んで食べて寝るだけだものね」

雲龍「……寝る、ね」

高雄「……私自身は生真面目を目指しているわけですが」

提督「ふーん……」

愛宕「へぇ……」

高雄「……自分で言っていて馬鹿らしくなってきました。
…………ただそれはあなたたちの所為ですからね?
そこのところはお忘れなきよう」


< きゃらくたーぼいす >





提督「CVといえば」

雲龍「空母? 」

天城「空母、ですよね? 」

提督「だろ? 」

明石「ですよね……」

雲龍「? 」

天城「なんなのでしょうか……」

提督「つーか、空母以外の解答って誰に求めればいいんだろうな」

明石「えーっと……たぶん夕張とかなら」


< 心くらい読んでほしい >





高雄「誕生花はマーガレット。花言葉は“ 秘めた愛 ”、“ 真実 ”、“ 誠実 ”、“ 恋占い ”です」

提督「俺誠実だぞ。一応反論前に言うけどこの基地での基準でな」

明石「でも特に秘めてませんよね、愛とかその辺」

愛宕「私なんてムンムンよぉ」

高雄「その形容はやめなさい」





天城「……それもしかして天城も入ってます? 」

明石「当たり前でしょう? 」

天城「…………」

雲龍「あなたもアピールすればいいのに」

天城「わ、私はっ……」

雲龍「ふふ……私は明石に言ったつもりだったのだけど? 」

天城「姉様ぁ…………」

明石「……私は待つのも好きですから」


< 見つけたことが幸運という葉っぱも >





提督「今日のカクテルはサザントニック。
カクテルワードは“ 欲しいものを見分けるお宝鑑定人 ”」

愛宕「お宝? 」

高雄「鑑定人? 」

提督「うん」

愛宕「……もうちょっとどうにかならなかったのかしら」

高雄「たとえば……求めるものを得ようとするコレクターとか」

提督「あんま変わらなくねぇかな、それ」

愛宕「じゃあシンプルにTreasure Appraiserとか? 」

提督「うーん……まぁ、直訳だしなぁ」

高雄「そもそも欲しいものって漠然としすぎですよね」

提督「まぁな。……とりあえず飲んでやってよ」

天城「…………カクテルそのものがお宝なのでは? 」

雲龍「それはあなただけ」


< 注いでください >





提督「天城」

天城「はい? 」

提督「お前って何が一番好きなの? 」

天城「そうですね……特に、と言われると難しいです」

提督「まぁ、なんでも飲むしな。……この前は獺祭やたら開けまくってたけど」

天城「……申し訳ありません」

提督「まぁ、構わないけど。飲まないなら集める意味ないし」

天城「はぁ」

提督「…………」

天城「…………」

提督「……日本酒、好きだろ? 」

天城「もちろんです」

提督「じゃあ、これ」

天城「磯自慢? 」

提督「うん、別に大した関係はないだろうけど」

天城「あぁ……天城山と焼津、ですか。確かに伊豆半島ではありませんね」

提督「一応県が同じってことで」

天城「ありがとうこざいます。でも、いいのでしょうか」

提督「いいのいいの。俺が天城と飲みたかっただけだから」

天城「…………」

提督「…………」

天城「…………」

提督「…………」

天城「…………お注ぎ、しましょう。旦那様」

提督「あぁ…………頼む」


< 未飲です >





愛宕「……と、いうことであの人は天城に付きっきりなわけ」

明石「どこが“ というわけ ”なのかはわかりませんが状況は理解しました」

雲龍「……で、私たちにはお酒置いて終わり、と」

高雄「でもこれ中々珍しいですよ。
年末しか販売されないくらいの」

明石「瑞祥黒松剣菱? 」

雲龍「ふーん……」

愛宕「ま、そういうこともあるわよ。
どうする? 妹さんの隣、空いてるわよ? 」

雲龍「……遠慮しとくわ」

愛宕「……そう」

雲龍「…………私があの人といるときに邪魔が入るのは嫌だもの」


< 月、見えませんね >





提督「…………」

天城「…………」

提督「…………」

天城「…………」

提督「…………やっぱり」

天城「…………? 」

提督「……天城と飲む酒は美味いよ。
もちろん皆で飲むのもいいけど」

天城「……過ぎたお言葉です」

提督「いやいや……酒だけに集中してても嫌がらない子って少ないからさ」

天城「それは私が酒好きなだけでは? 天城もお酒を味わいたいだけです」

提督「そうか? 俺が飲んだらすかさず注いでくれてるけど? 」

天城「それは…………偶然です」

提督「……そっか」

天城「はい」

提督「…………」

天城「…………」

提督「……注ぐよ」

天城「……いただきます」


< 日ノ本のをんな >





明石「漆塗りの屠蘇器があそこまで似合うって凄いですよね」

愛宕「そうねぇ……私だとどうしてもグラスになっちゃうし」

高雄「……和服でも試してみては?
以前着付けをしてみたときは愛宕も似合っていたと思うのだけど」

愛宕「うーん……まぁ、実際かなり似合うとは思うわよ?
でも天城ほど様になるかと言われると……自信ないかなぁ」

明石「あれって雰囲気ですよね。なんというか奥方っぽさというか」

雲龍「……私には出せない色気ね」

高雄「はぁ」

愛宕「大丈夫よ。あんなの普通出せないし。
あの子がおかしいんだから」

明石「…………理想の嫁、みたいな感じですね。一つの完成系というか」


< あなたを、くれるというのなら >





明石「でもあれですね。見方を変えればフジヤーマ、ゲイシャ、テンプーラ、みたいな」

雲龍「……一気に酷くなったわ」

明石「いやー……でもこの場合のゲイシャってかなり褒めてる部類だと思いますよ? 」

雲龍「そう? 」

明石「ええ。まぁ、花魁とか遊女って言うと別の感じですけど」

雲龍「…………」

明石「やっぱり武家の奥方ですね。私はそれが一番しっくりきます」

雲龍「私は? 」

明石「情婦」

雲龍「…………そうね。間違ってない」

明石「…………」

雲龍「…………」

明石「…………すみません」

雲龍「……いいのよ、今更そんなことでは傷付かないもの。
それに……私はそれで十分だから」


毎日熱燗用意してくれてる天城さんみたいな……うーん

ありがとうございました


< 育て、磨き、そして >





高雄「十二日の誕生石はピンクフローライト。
石言葉は“ きちんとした容姿 ”と“ 身嗜み ”です」

提督「明石、しっかりしろよ」

明石「わ、私ですか? 」

提督「本来きちんとした容姿と身嗜みは同じだけどな。
身嗜みに配慮していないときちんとした容姿は保たれないんだぞ」

明石「……いざとなれば復元能力と高速修復で」

提督「はっ……ふー、やれやれ」

高雄「……それ口で言うと滑稽ですよ」

提督「……普段から自分を磨き続けてないと“ いざ ”なんて時は永遠にこねぇからな」

明石「はぁ……ま、気をつけますよ」

提督「そうしろ」





愛宕「つまり……そういうことよね? 」

雲龍「光の君? 」

天城「そういう……まぁ、言ってること自体は悪いことではないですけれど」


< 部下だって尊敬対象だし…… >





高雄「今日の誕生花は露草。花言葉は“ 恋の心変わり ”、“ 豊潤 ”、“ 尊敬 ”です」

提督「豊潤な魅力溢れるとある女は尊敬する上官に優しくされ、
恋の心変わりというものを知ってしまったのでした」

高雄「うーん……無理矢理、40点」

愛宕「誰かが不幸になってそう、55点」

提督「割と厳しいな」

明石「……なんですこれ」

提督「ん? まぁ、なんだという程のものではないけど。
普通にお喋りの延長だよ」

雲龍「提督の上官ってもう数える程しかいないわよね」

天城「腐っても基地を任されていますからね」

提督「腐ってない」

愛宕「……今更心変わり、する? 」

高雄「さぁ? ……そんなことはないでしょうけど……。
そうなったら少し面白いとは思うわね」


< 確固とした幸福を >





提督「今日のカクテルはサザンジンジャー。
カクテルワードは“ 幸せな雰囲気をつくりだす神秘的な人 ”、だ」

高雄「昨日の……サザントニックでしたっけ?
あれと同じリキュール使ってますよね」

提督「おう。サザンカンフォートっていうアメリカのメジャーなやつだな。
今回はそれにジンジャーエール適量。俺はライム絞った方が好きだからそうしてる」

愛宕「幸せな雰囲気ねぇ。……別に神秘的でもないけど」

提督「神秘的であってほしいか? 」

愛宕「んー……今のままでいいかな。あやふやなものより確かな存在が欲しいから」

提督「左様で」

高雄「これ、ストレートでお願いします」

提督「ん、天城もいる? 」

天城「……なぜ天城に振るのですか」

提督「なぜって……なぁ? 」

雲龍「……そうね。ついでに私も」

天城「…………まぁ、いただきますけれど」


< そんな目で頼まれたら…… >





提督「この前おひたしつくったんだって? 」

明石「……それ誰に聞いたんです」

提督「雲龍」

明石「…………まったく。確かにつくりましたけどね」

提督「そうか」

明石「はい」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……ちょっとつまみが欲しいと思ってたんだよ」

明石「あっちにイカとかチャンジャありますけど」

提督「ほうれん草とかつお節でいいのがあるんだよね」

明石「…………」

提督「…………」

明石「……はぁ、文句は聞き入れませんよ」

提督「さんきゅー」


< 合う >





提督「なかなかいいじゃん」

明石「……どうせ高雄さんとかがつくった方が美味しいですよ」

提督「んー……俺以外が食べればそうかもね」

明石「…………否定はしないんですか」

提督「してほしい? 」

明石「……あなた以外の人になら」

提督「そうか」

明石「…………」

提督「…………」

提督「……自分でも食べてみろよ。日本酒と合うよ」

明石「……そう、ですね」

提督「注いでやる」

明石「…………ありがとう、ございます」


< あなたといるから弱くなる >





明石「……あなたと」

提督「ん? 」

明石「あなたとサシで飲むなんて珍しいことですよね」

提督「そうだな。……まぁ、話が聞こえないだけで見える範囲にあいつらいるけど」

明石「食堂に六人ですからね。これ電気代とか凄い無駄遣いです」

提督「仕方ないさ」

明石「…………あなたの思う私のいいところってどこですか? 」

提督「いいところ? 好きなところじゃなくて? 」

明石「…………」

提督「……そういうところだよ。
一歩後ろで、でもここにはいたくて、みたいな表情とか。
なんていうか……こいぬちっく? 」

明石「ふふ……なんですかそれ」

提督「守ってあげたくなる感じかな。
本来は俺より強いのにね」

明石「いえ……私、弱いですよ。弱く、なりました」

提督「そう? 」

明石「はい。…………とても、とても」

提督「……じゃあ、俺の出番もあるかな」

明石「きっと」

提督「……そうか」

明石「そのときは…………思い切り抱き締めてくださいね」

提督「もちろん」


明石さんは……まぁ、禿というには違うかもしれませんね
ハゲじゃなくてかむろのほうで

ありがとうございました


< 力を持つのだから >





高雄「四月十三日の誕生石はヴァイオレットパール。
石言葉は“ 正直者 ”と“ 良識ある行動 ”ですね」

天城「良識、ですか」

雲龍「軍人に良識を求めるって割と滑稽よね」

高雄「軍人であるからこそ良識が必要とされているのかもしれませんが」

愛宕「でも正直者の軍人っていうのも頼りないわよねぇ」

天城「……信頼できる部下か上官にくらいは正直であってほしいものなのですが」

提督「正直じゃない女の子を正直者にするのもいいもんだけどな」

明石「……軍内でいちいちそんなことしてたら大変なことになりますよ」


< また、いつか >





高雄「誕生花はハルシャギク。蛇目草といった方がわかりやすいでしょうか」

提督「いやー……どっちでもわかんねぇわ」

高雄「見頃は六月ですが覚えていれば見に行きましょう。
帰化植物ではありますが基地前の丘に野生化しているかもしれません」

提督「そうだな」

天城「そのときは是非天城も」

提督「ん? 当然だろ。むしろ来ないとかないよ」

高雄「ですね。……花言葉は“ 一目惚れ ”、“ 陽気 ”、そして“ 上機嫌 ”、です」


< 綺麗な人がいるな >





提督「今日のカクテルはサザンピーチ。
カクテルワードは“ 欲しいものに一目惚れする正直者 ”だ」

明石「欲望に? 」

提督「まぁ、そうだろ。欲しいってんだから」

愛宕「一目惚れって感じだった? 」

提督「お前に? 」

愛宕「高雄でもいいけど」

提督「んー……いや、違うな。最初見たときなんて思ったかなんて覚えてない」

愛宕「そうなの? 残念、と思ったけど私もそうね」

高雄「当時はまさかこんな関係になるとは考えてませんでしたからね」

提督「ま、結局欲しくなっちゃったんだけどね。
……記憶がもし消せるならまた恋してもいいかな」

愛宕「今は恋してないの? 」

高雄「私は毎日し直してますけど? 」

提督「そうか。……いや、でも新鮮さと長く一緒にいる安心感って違うだろ。どっちも好きだけど」

明石「……恋とその次の境界ってなんなんでしょうね」

雲龍「手元にいなくても安心できるかどうか? 」

天城「それは性格による気がしますけど。……間違ってはいないと思います」


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< 梅 >




提督「俺、梅酒だけはなぜか苦手なんだよね」

明石「と、いいつつ飲んでますけど」

提督「まぁ、少しくらいはね」

明石「私は好きなんですけど」

提督「果実系好きだもんなぁ。……でも梅干しは好きだし。そういうのないか? 」

明石「トマトは嫌いだけどケチャップは食べられる、みたいな? 」

提督「あぁ、それそれ。なんなんだろうな」

明石「さぁ? 結局は好みですし」

提督「そうなんだけどね。……愛宕ー、コアントローくれ」

愛宕「はーい。……梅酒のつまみが男梅って……なにそれ」


< 埋め >





雲龍「ヴェネツィアって地盤が落ち込み続けてるのよね」

天城「そう聞きました。ツバルとは逆ですがどちらにせよ水が迫ってきている、と」

雲龍「埋め立て、というか土を盛ったりはできないのかしら」

天城「どうでしょう? ただ、あのゴンドラや潮の満ち引きも観光資源なのでしょうし。
難しいのではないですか? 」

雲龍「そうなのかしら」

天城「……ですが姉様」

雲龍「なに? 」

天城「……なぜ、新婚旅行のツアーパンフを広げているのでしょう」

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