【艦これ】 愛宕「私と」 高雄「私と」 提督「俺」 (1000)


< しかいない >





提督「……いや、当然だろ……いくら大きくても普通浴槽は三人も入れば限界だよ」

愛宕「ふふ……たまにはいいじゃない」

高雄「たまに……? 」

提督「折角大浴場解放して掃除もしてるんだからさぁ……」

愛宕「こっちは楽しそうだけど? 」モゾモゾ

提督「っ……まぁ、そりゃ楽しくないわけじゃないし。ただ、ね」

高雄「あの……重くないですか? 」

提督「重い。二人分の背凭れやってんだから……でもこの背中の柔硬さ、いいな」

愛宕「私は後ろ硬くて前柔らかいなぁ。幸せぇ~ 」

高雄「……前にお湯しかないのですが」

提督「…………そろそろ上がらない? 逆上せる。酒入ってるし普通にヤバイ」


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今日はこれで終わり

ありがとうございました


< 誇りを持てる仕事だろうか >





高雄「十四日の誕生石はカラーレストパーズ。
石言葉は“ 仕事が趣味 ”、“ 安定的 ”、そして“ 努力 ”、ですね」

提督「俺が趣味にしちまうのは論外だな」

愛宕「そうねぇ。平和の守護だとすれば悪くわないかな」

提督「つーかさ、仕事が趣味って個人的にダメだと思う。
趣味が仕事になる方がなんぼかマシ」

高雄「その違いは」

提督「んー……上手く言えないけど。
好きなものをずっと続けたいって意志と、
ずっと続けたものが好きになってしまった、の差かな」

高雄「なるほど」

愛宕「その仕事と趣味にもよると思うけど。
……軍人っていつまで続けるつもりなの? 」

提督「さぁね。とりあえず誰かからいらないと言われるまでかな」


< リストラはないかな? >





提督「俺の仕事って安定的だろうか」

高雄「まぁ……よっぽどの失態を犯さなければ」

愛宕「小規模な役所で事務をする提督? ……似合わなすぎ」

提督「地方公務員か。……なんか女の子少なそう」

高雄「でも今の提督の地位よりも女性との出会いが多い職業なんて殆どありませんよ」

提督「だよねぇ。天職だよやっぱ」

天城「……軍は婚活の場ではありませんが」

雲龍「それ私たちが言ってもなんの説得力もないわね」

愛宕「そもそも婚活ってより遊びよねぇ〜 」

天城「…………」

明石「まぁ、人生楽しんだ者勝ちですから。
安定を求めるのもどこかへ突っ走ってみるのも悪くありませんよ、たぶん」


< お互いを縛るかそれとも >





高雄「誕生花は西洋昼顔ですね。花言葉は“ 失望 ”」

提督「ちょっと前に昼顔妻ってのをよく聞いたなぁ」

天城「……婚姻とは好きあった者同士だからこそ結ばれる契約なのですけれどね」

提督「そんなこといったら離婚なんて好きあってない二人の儀式だろ」

天城「…………」

雲龍「失望される方が悪いっていうのは理屈としては正しいわよ。
お互いに尊重する義務があるんだから」

愛宕「そうね。……そんな気持ちわからないけど」

高雄「失望される身にはなりたくありませんけど……大丈夫ですか? 」

提督「ねぇよ。それは俺の方だろ? 」






明石「…………お互いに危機感を持っていることが仲の秘訣、ですかね」


< 嬉々として利き酒を >





提督「今日のカクテルはウイスキークラッシュ。
カクテルワードは“ 融通が効くしっかり者 ”、だ」

雲龍「これいいわね」

提督「お前ハイボール好きだもんな。
ちなみにクラッシュした氷にウイスキーとソーダ。
俺は柑橘系好きだからレモン絞ってあるぞ」

愛宕「しっかりしてるぅ」

提督「ありがとう」

天城「これは……マッカラン? 」

提督「おう……ちなみに18年だ」

高雄「……この人なんでこんな簡単にわかるんでしょう。
確かこっちきてからウイスキーとかカクテル飲み始めたんですよね」

提督「……まぁ、センスというかなんというか。
好きこそ物の上手なれを地でいくというか」

天城「国産も海外産もいいですね」

雲龍「ええ、そうね。……提督? それでウーロンハイ」

提督「ん、了解」


< 読み >





愛宕「知ってる? お酒の味を判定するのって利き酒っていうのよ」

提督「マジ? 俺ずっとキキシュだと思ってた」

愛宕「キキザケなのよねぇ」

提督「いやー……また一つ賢くなった」

高雄「私もありますよ。そういうこと。
少し前まで逆引きをサカビキと読んでました」

提督「え、マジ? 」

愛宕「……お姉さんは? 」

提督「そらお前オネエサンだろ。そんなん間違えねぇよ」

高雄「…………まぁ、別に深い意味はないと思いますけど、少し引っかかりますね」


そろそろドレス届きますかね……

ありがとうございました


< 耐久勝負かなにかかな >





提督「……十五日の誕生石はパールだったな」

高雄「……そうですね」

愛宕「…………Zzz」

提督「……石言葉は“ 社交的 ”、“ 体力 ”、“ 元気 ”の三つだったな」

高雄「……そうですね」

愛宕「……ん…………Zzz」

提督「…………仕方ない。仕方ないんだよ」

高雄「……そうですか」

提督「……たとえ気付いたら早朝の朝食時だとしてもね。
男にはなぜか元気になってしまうことがあるんだよ」

高雄「……それにしても体力がありすぎると思うのですが」

愛宕「…………Zzz」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……背中、跡になってない? 」

高雄「なってますけど…………謝りませんよ」

愛宕「…………んふふ……Zzz」


< 掴み、捩り、引き裂いて >





提督「でもさ」

高雄「はぁ」

提督「ほぼ毎日一回ヤるのと週一くらいで爆発するのとどっちがいい? 」

高雄「それは……まぁ、毎日一回だと、その」

提督「満足できない? 」

高雄「…………」

提督「毎回だと俺もまともな執務できないし。
だからこれは仕方ない、うん」

愛宕「というか私が寝てもヤっててシーツ破いた人がなにか言う資格ないわよねぇ〜 」

高雄「」

提督「……お前いつの間に起きたんだよ」

愛宕「ちょっと寒いというかー……当然よね。何この穴」

提督「いや……まぁ……うん。飯つくろうぜ」

愛宕「そうね。にんにくと牡蠣なんてあったかしら〜 」

提督「せめて山芋とかにしとけよ。朝からそれだと女の子きついだろ」

高雄「…………こんなに力出してたんですね……もうこのシーツ使えない……」


< 彼も被害者 >





高雄「誕生花はオジギソウですよ」

提督「お辞儀をするのだ! 」

高雄「……は? 」

提督「……いや、俺が悪かったから可哀想なものを見る目をしないでください」

高雄「……花言葉は“ 敏感 ”、“ 繊細 ”、そして“ 感じやすい心 ”、です」

提督「今思えば繊細だったから歪んだのかな、トムくん」

高雄「トム……? 」

提督「俺は周りが優しくてよかったよ、うん」

高雄「…………」

提督「感謝してるよ? 高雄にもさ」

高雄「は、はぁ」


< 最近のトムたちは喋るらしい >





提督「誕生カクテルはトムアンドジェリー。
カクテルワードは“ 人脈を広げる生活を楽しみにする自由人 ”だ」

明石「仲良く喧嘩しな? 」

提督「言うと思った。……全く関係ないらしいぞ。
最初はコペンハーゲンって名付けようとしたんだが、
既にその名前のカクテルは存在してたとか」

愛宕「ホットのロングドリンクなのね。卵と砂糖? 」

提督「そうだな。ラムベースにブランデーとお湯なんだが……。
これ結構つくるのめんどいんだぞ」

明石「うーん……最近なぜか肌寒いのでちょっとほっこりしますね」

提督「本来はクリスマス専用のドリンクだったんだってさ。
今はいつでも飲まれてるらしいけど」

愛宕「だからホットなのかしらね。時期的に」

提督「かもな」


< 人それぞれ >





提督「このカクテルたまにナツメグ入れたりもするんだけどさぁ」

高雄「はぁ」

提督「かなり合わないと思う。単に配分が下手なのかもしれないけど」

高雄「私も愛宕もカレーには結構入れてますよ。
あとはハンバーグとかパスタとか」

提督「いや、それは香辛料としてじゃん?
折角ラムとブランデーの匂い付いてるのにカクテルにはいらないと思う」

高雄「はぁ」

提督「……入れてみる? 」

高雄「そうですね……おしえていただけるのなら試してみましょうか」

提督「まぁ、一掴みよりも少ないくらいなんだけどさーー」





提督「……やっぱ合わねぇわ。誰がつくっても変わらない」

高雄「ふむ……私は嫌いじゃありませんけど」


< 拘りが自らを縛る >





愛宕「クリスマスってキリスト教圏だと家族と過ごす日なのよね」

高雄「そうね」

愛宕「でもこの国だと一応恋人かパートナーといるのがスタンダードな考え方よね」

高雄「まぁ、概ねは」

愛宕「……私たちってどっちかしら。
家族? 恋人? それとも他のなにか?
私たちってどんな振る舞い方が相応なの? 」

高雄「……わからない? 」

愛宕「ええ、高雄は? 」

高雄「……家族ではなくまだ恋人、と」

愛宕「うん」

高雄「恋人ではなく既に家族、と」

愛宕「うん」

高雄「恋人であり家族でもある、を並行して使い分けるのよ」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……やるわね」

高雄「それほどでも」


< 愛というモノ >





雲龍「なら私たちは? 」

明石「……私も入るんですか」

雲龍「予約済みみたいなものでしょう? 」

明石「それもうちょっとマシな言い方にできませんか。
さすがに物扱いされて喜ぶのは雲龍さんだけですよ」

雲龍「……じゃあ、売約済みで」

明石「いやいやいや……ガチ物扱いじゃないですか」

雲龍「人身だって商品なのよ? 」

明石「少なくともここではそれ正しくありませんよ」

雲龍「そうね」

明石「はい」

雲龍「…………」

明石「…………」

雲龍「……何の話してたかしら」


< ジョウフカッコカリ >





明石「クリスマスになったとして提督にどんな立場に見られるか、じゃなかったでしたっけ? 」

雲龍「あぁ……」

明石「……普通に仲のいい友人とかじゃないですか。
さすがに特別な日なんですからあの二人押し退けられないでしょう」

雲龍「……やっぱり? 」

明石「はい」

雲龍「…………」

明石「…………」

雲龍「……イヴがそれだとしてクリスマス当日は空くかしら」

明石「空くってちょっと……座席じゃないんですから」

雲龍「あら……あの人が座席になってできるこ」

明石「いや、いいですから。別に聞きたくないですってば」


< 受身なのがいけない >





提督「お前花札とかできないの? 」

天城「できませんけれど」

提督「えぇ……こいこいとかも? 」

天城「はい。……なぜ落胆するのでしょうか」

提督「だってなんか余裕で雨四光未満はクズ役よぉ、とか言い放ちつつ酒飲んでそうだし」

天城「意味がわからない上に天城の評価がおかしいと思うのですが」

提督「そっかなぁ……うーん」

天城「訂正を要求します。あと、そこの猪口落ちそうです」

提督「……あぁ、これか。すまんな」

天城「…………」

提督「…………」

天城「……おしえていただければお相手しますよ」

提督「いや、今は訊いただけだからいいや」

天城「…………は? 」

提督「じゃ、俺酒持ってくるから」スタスタ

天城「……………………は? 」


< 興じる >





雲龍「で、なぜか私たちでやっていると」

明石「いやー、久々ですねー。大体はおいちょとか八八でしたけどなぜに六百間」

雲龍「普通に花合わせとかでいいじゃない……」

明石「でも気付いたらこれでしたね。
天城さんは知らなかったんだから私か雲龍さんがやり出したんでしょうけど」

天城「……ふふ」

雲龍「……あぁ、私かも。こっちならトランプでもやりやすいから」

明石「それ結構面倒ですよ」

雲龍「まぁ……この子楽しそうだしいいんじゃない? 」

明石「……そうですね」


< 月光は元々太陽光 >





雲龍「月、綺麗ね」

提督「あぁ」

雲龍「最近は雨続きだったし久し振りに綺麗な気がするわ」

提督「そうだな」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………でも私、あなたと会ってからずっと綺麗だと思うわ」

提督「……月が? 」

雲龍「…………ええ、月が」

提督「ふーん……」

雲龍「…………」

提督「……月もイメチェンとか心変わりしないのかな」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……今のところはしないと思うわ」

提督「……そうか」


< 一応は試してみる >





明石「あれ? 戻ってきたんですか? 」

雲龍「ええ、今日は一緒にいてほしくなさそうだったから」

明石「はぁ、そんなのわかるものなんですか」

雲龍「さぁ? わかった気になっているだけよ」

明石「…………」

雲龍「……まぁ、私としてはあの人のことをわかっているつもりだけど」

明石「そう、ですか」

雲龍「…………」

明石「…………」

雲龍「…………」

明石「……まだ、花札しますか? 」

雲龍「……遠慮しとく。そんな気分じゃないもの」


< なぜだか風が冷たい >





提督「…………あぁ……嫌な男」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………嫌な男らしく慰めてもらいに行きますか」


< 心を込めて、ね >





愛宕「ひっどい顔ねぇ……」

提督「だろうな」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「んー……どうしてほしい? 」

提督「……一緒に寝て寝る前にキスをしてほしいかな。
優しく包み込むように」

愛宕「随分と贅沢なことで」

提督「そう、だよな」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……しっかり歯を磨いてきてね? 」

提督「了解」


洗濯がしにくくて困る
あたごんのブラジャーとか足りなくなりそうだし

ありがとうございました

乙です


< 拘ることこそが芸術 >





高雄「十六日の誕生石はヒデナイト。
石言葉は“ 芸術性 ”、“ 拘り ”、そして“ 没頭 ”です」

提督「前にも言ったけど芸術的センス皆無なんだよなぁ。
誰か分けてくれよ」

天城「姉様は結構絵が御上手ですよ」

提督「え、マジ? 」

雲龍「……水彩画くらいしかできないわよ」

提督「いや、でもすっげーよ。できない人間からすればな」

雲龍「そう……天城も書ならかなりのものだと思うわ」

提督「へぇ……雲龍姉妹は芸術に特化してるのか……ふむ」

天城「はぁ。大したことは」

雲龍「褒められときなさいよ。損することなんてないのだし」

天城「そうですけれど……」

愛宕「私たちは……何かできたっけ? 」

高雄「さぁ? お料理の盛り付けが芸術といえば芸術になるような気も」

明石「芸術的と芸術は別物だと思いますけどねぇ」

提督「うーん……それの違いがわかる人が芸術家になれるのかもな」


< 無意識の >





愛宕「寝てるときって気付いたら抱き締めてることない? 」

高雄「まぁ、時々なら」

愛宕「あれ不思議よねぇ。意識なんてないのに脇の下にしっかり腕入れてたり」

高雄「高度な独り言みたいなものでしょう。
案外まともな動きをできるものだし」

愛宕「うーん……そこは愛とか言ってほしいわぁ」

高雄「……そうね」

明石「…………」





提督「寝てるときにベアハッグ擬きされかけたことあるわ」

明石「…………」

提督「しかもおっぱいで上半身と下半身に隙間できてダメージ上がってるというね」

明石「…………愛のベアハッグ、か」ボソッ

提督「うん? 」


< 舌先とかルージュとか >





高雄「今日の誕生花はグロリオーサ。
花言葉は“ 妖艶 ”と“ 嬌艶 ”」

提督「はーん……」

高雄「……なんですか」

提督「いや、妖艶とかまた直球だなーっと」

高雄「そうですね……そういえば妖艶の具体的な内容ってなんなんでしょうか」

明石「エロいとかじゃないんですか? 」

提督「まぁ、間違ってはいないだろうけどね……。
着衣でかつ性を感じないデザインでも本人が意識すれば妖艶だと思うよ」

明石「はぁ」

提督「うーん……愛宕」

愛宕「なぁに? 」

提督「なんとかしてくれ」

愛宕「そんな急には無理よぉ……そもそもいいの? まだお昼だけど」

提督「…………ダメかな? 」

高雄「ダメでしょう」

明石「ダメですね」

提督「そうか……うーん」

愛宕「…………ふふ」


< ここで劇団員 >





「今日はアイボリーのブラウスに黒のキャミを合わせてみたの」

「そうだな。見りゃわかるが」

アイボリーのブラウスはかなり薄めの素材が使われているようで、
ブラが透けないようにとキャミソールで隠しているようである。

結果、肩から先や胸元は殆ど透けていて逆に大胆さが演出されている。

自らの容姿とその効果を理解した上でのそれは彼女らしいコーディネイトであった。

「ねぇ……でもちょっと透けてないか不安なの……大丈夫? 」

もちろんそんなはずはない。

下着の色は分からないが黒のキャミソールはレースの少ないノーマルなタイプ。

背中から見ても紐の形すら浮き上がっているとは思えなかった。

「それにちょっと前屈みになったら……ね? 」

「…………」

彼女が座ったまま彼の手前にあるコーヒーカップに手を伸ばす。

その際胸元は腕に圧迫されて中央に寄る。

「…………まぁ……そうなるな」

「ふふ…………いつ襲われちゃうか心配になるわぁ」

「そんなんないから安心しろ」

「そうかしら? 」

「……たぶんきっとおそらく」





明石「いつになったら妖艶ってやつを見せてくれるんですかね」

愛宕「え? なに? 」

明石「……やっぱいいです」

雲龍「普通にいちゃついてるだけよね、これ」

提督「ははは……」


< 最後の一切れ >





提督「今日はバルークが世界で始めてCold Warって単語を使った日らしいぞ」

明石「ははぁ……」

提督「ってもなぁ……そのまんま冷戦ってのもセンスないと思うんだよ」

明石「そうですかね。分かりやすくていいと思いますけど」

提督「そうか? 俺はGalaxyを銀河って訳した人くらいのセンスが必要だと思うね」

明石「あー……確かにそれはセンスありますよね」

提督「うん」

明石「はい」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……譲れよ」

明石「嫌です」





愛宕「あの二人なにやってるのかしら……リンゴくらいまた剥いてあげるのに」


< 1/3の純情が空回る >





提督「壊れるほど愛しても、の“ 壊れる ”は相手か自分かというアンケートを匿名で取ってみた」



自分……4人
相手……1人



提督「……まぁ、物理的に壊してほしそうなやつはあいつだろうな」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「……いや、でも……どうだろう」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………誰なんだ? 相手を壊すほど愛したいとか思ってるのは」





明石「はぁ……梅毒ですかぁ……」

雲龍「私、これはこれで好きな展開だけど」

天城「賛否は分かれるでしょうけどね。
天城も嫌いではありませんよ」


< こみ上げたそれを >





提督「ふーん……これだと少しキツくない? 」スッ

天城「ひゃっ」

提督「可愛い声だな」

天城「…………」

提督「……どうした? 」

天城「……ここ大浴場の脱衣場なのですけれど」

提督「うん、知ってる」

天城「天城先程まで入浴していたのですけれど」

提督「上がる頃だと思ってさ。雲龍が戻ってきてたし」

天城「…………」

提督「何か問題でも? 」

天城「…………」

提督「…………? 」

天城「……いえ、もういいです。着替えは終わらせたあとですし」


< 流れを持っていかれた>





天城「あぁ、でもなんです? キツくないか、ですって? 」

提督「あぁ、このブラだとキツくない? 」

天城「は、はぁ」

提督「カップ下げて数字大きいのにすればよくないか?
大きく見せたいとかタイトなのが好きならこのままでもいいけど」

天城「そうなのですか? つい最近まではサラシだったので姉様に訊いて選んでいるのですが」

提督「雲龍のすすめかぁ……それから大きくなった感じとかある? 」

天城「いえ、たぶん殆ど変わっていませんね」

提督「なら変えた方がいいかもね。このままだと締め付けられて苦しくなったり、
夏になったらアンダーに汗疹できたりするかもしれない」

天城「はぁ」

提督「ま、詳しくは愛宕にでも訊いてよ。
俺がそこまで言うのもなんだし」

天城「わかりました」

提督「じゃ、俺は風呂入るから」

天城「…………」



ガラガラ……ピシャ



天城「…………」

天城(……よく考えてみればお風呂上がりに殆ど裸の殿方となぜあのような会話を……)

天城「…………」

天城(しかもやたら淡々としていてまともな返しをしてしまいましたし)


< 台無し >





提督「今日のカクテルはヴェールダンス。
カクテルワードは“ 真実を追求する努力家 ”、だな」

明石「真実? 探偵にでもなればいいんですかねぇ」

提督「さぁな。興信所とかって浮気調査とか素行調査が主な業務らしいけど」

明石「確かに地味ですけどそれはそれで誰かの真実でしょう? 」

提督「そうだな」

明石「まぁ、知りたくない真実かもしれませんけど」

提督「うーん……じゃあ反対に知りたい真実ってなんだ? 」

明石「なぜ私たちは存在しているのか、とか」

提督「…………どうした? 中二か? 」

明石「……いえ、割と普段から考えてるんですよ。ヒトにあらずそれ以外にあらず。
生物の階層分類から外れた存在である私たちの行く末を」

提督「へぇ」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………やっぱ中二じゃね? 」


あたごんならサラッとくれそう……くれないか

ありがとうございました


< 他人の瑕疵はよく見える >





高雄「十七日の誕生石はグリーンスピネル。
石言葉は“ 直感力 ”、“ おおらか ”、そして“ 才能 ”、です」

提督「雲龍さんと天城さんの姉妹はおおらかな人たちだと思っていた時期が私にもありました」

明石「ははは……間違ってはないですけどね」

愛宕「提督とお酒が絡まなければねー」

提督「まぁ、今の方が好きだけどさー。なんだかなー」





天城「不本意なのですが」

雲龍「むしろ誇らしいわよ。あの人にずっと同じ風に……つまらない女だと思われているよりは」

天城「…………この姉様と同じ括りであることが、なのですけれどね」


< 沈んでゆく、皆で >





提督「誕生花ー」

高雄「はいはい。……本日の誕生花は黄菖蒲。
花言葉は“ 幸せを掴む ”、“ 消息 "、“ 信じる者の幸福 ”」

雲龍「……幸せ=想い人。そしてそれを掴むことが幸福。どうしたって悲劇ね」

提督「ネガティヴだなおい」

雲龍「近くにいるのに掴ませてくれないのだもの」

提督「…………」

雲龍「いっそ遠くに行ってくれれば思いっきり追えるのに。
何もかも捨てて」

提督「……やめとけ。俺が遠くに行くってことは何もかも終わったってことだ。悪い方にな」

雲龍「…………」

高雄「……目の前でそういうことをしないでもらえるとありがたいのですが」

雲龍「どういうこと? 」

高雄「……それは」

愛宕「他人の男に色目使った挙句やんわり断られて雰囲気沈ませないでってことよぉ〜 」

雲龍「…………」





明石「えぇ……愛宕さんも喧嘩買い取って別の喧嘩を安売りするのやめましょうよぉ」

天城「……誰一人まともな人がいるようには思えませんね。天城も含めて」


< ベルベットのように柔らかく >





提督「今日のカクテルはベルベットハンマー。
カクテルワードは“ 好奇心旺盛で真っ直ぐな感性の持ち主 ”だ」

高雄「カルーア、ですか? 」

提督「天城は? 」

天城「……カルーアよりも気持ち香りと風味が安定していますね」

提督「さすが。今回のカクテルはティア・マリアっていうブルー・マウンテンベースのコーヒーリキュールを使ってるんだ。
ホワイトキュラソーと生クリームも同量いれてあるけど……まぁおまけだな」

愛宕「相変わらずコーヒーキチねぇ〜 」

提督「それは褒め言葉だ」

天城「……でもあまり飲んだ気がしませんね、これ」

提督「そりゃな……カクテルグラスは酒じゃなくて雰囲気で酔うものだ」

天城「雰囲気では酔えませんよ。……白霧島」

提督「はいよ。お前らは? 」

愛宕「このグラスで酔わせてくれるんじゃないの? 」

提督「…………今日はお休みだ。すまんな。その代わりグラス無しで酔わせてやるよ」ボソッ

愛宕「そ。期待、してるわね」


< なぜか変な場所にできる >





高雄「んっ……これは」

提督「ん? どうした」

高雄「口内炎できたかもしれません」

提督「そうか。……唾液間に合ってる? 」

高雄「間に合ってます」

提督「ふーん……」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……いや、本当に間に合ってますから。
そもそも他人の唾液で治るって俗説でしょう」

提督「……そうか、残念だ」


< 降るまで続ける雨乞のような >





愛宕「あっ、私も口内炎できちゃったかもぉ」

提督「ほんとかよ」

愛宕「ね、確かめてみて? 」

提督「…………」

愛宕「……ん」

提督「…………ん」

愛宕「ん……ゅる……ちゅ…………ん」

提督「……っはぁ…………どこにあるんだよ」

愛宕「それを探ってみてるんでしょ? 」

提督「…………そうだな」スッ

愛宕「んんー……」

提督「…………」サワサワ





高雄「いやいやいや……服の中に口内炎あるわけないでしょう。
何始めてるんですかまったく」


< 指を咥えて見ていたわけではないけれど >





提督「…………ん……っはぁ」

愛宕「ぁ…………」

提督「クク…………イイ顔してんなぁ」

愛宕「……もっと見てみたくない? 」

提督「もちろん」

高雄「…………」

愛宕「…………んふ」チラッ

提督「…………んー」チラッ

高雄「……続けていただいても構いませんが」

愛宕「そういうわけにも、ねぇ? 」

提督「そうだよな。……好きだよ、高雄」

高雄「ッ…………仕方ないですね」

愛宕「どっちが仕方ないのかしらねぇ〜 …………ふふ」


< シたいだけ >





雲龍「男と女が寝室にいます」

明石「はい」

雲龍「どちらもそれなりにいいオトナで魅力的です」

天城「はい」

雲龍「なぜ自分を抑えることができるのかしら」

明石「そりゃ毎日ヤってたら生活に支障が出るでしょう」

天城「そもそも毎日盛らないこともいいオトナの条件だと思いますけれど」

雲龍「む…………でもお互いがやる気出さなくても、
片方にしゃぶらせるとか」

明石「…………そうですね」

天城「…………この場合姉様は信用できないのでしたね」


< 祈りという逃避だからこその >





天城「女は最後の女になりたがり、男は最初の男になりたがる。
こういう言葉がありますね」

明石「男性も基本的には最後の男になりたいと思いますけどね」

天城「あの男は……どちらも楽しいとか言い出しそうですね」

明石「というか現在進行形でそうですからね。
高雄さんも愛宕さんもあの人が初めてで最後でしょ。あと、雲龍さんも」

天城「……クズになりきれないクズというかなんというか」

明石「人間としては踏み外してますけど性格は相当優しくて寛容ですもんね。
ステレオタイプなクズではないのでクズと言われにくいというか」

天城「…………そんな男に惹かれる女が悪いと思いますか? 」

明石「いえ……あの人が悪いんですよ。
私たちは人間ではないから大丈夫。そんな逃げを不自然に感じさせてくれない優しさが」

天城「……兵器か人間か。なぜどちらか一方ではなかったのでしょうね、天城たちは」

明石「…………」

天城「…………」

明石「……祈り、ですかね」

天城「…………」

明石「そこは誇りに思ってもいいと思いますよ。
人々の……私たちが守りたかった人たちの子孫がもう一度私たちに祈りを捧げたのだ、と。
ただの物言わぬ兵器でも、力を持たない愚物でもなく。
どちらの美徳も長所も兼ね備えた我々を欲してくれたのだ、と」

天城「…………」

明石「…………」

天城「…………」

明石「……まったく……ヒトの祈りの末路は不条理なものですがね」


< くすねてきたその煙 >





雲龍「…………」カチッ

雲龍「…………」シュボッ

雲龍「……ス-…………っごほっ……っはぁッ……」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「……苦いわ。…………なにもかも」


< 午前二時。お互いに持ち寄ったのは、 >





提督「……やめとけ」

雲龍「ッ…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………隣、いいか」

雲龍「……ええ」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……屋上寒いだろ。ベンチも冷たいし」

雲龍「……そんなもの気にならないわ」

提督「……そっか」

雲龍「……ええ」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……寒い、俺の手握れ」スッ

雲龍「…………」ギュッ

提督「…………」

雲龍「…………」ギュウッ

提督「……痛い」

雲龍「でしょうね、そうしているから」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………はぁ」


<さぁ、 綺麗な空を汚そう >





雲龍「……この煙、あまり美味しくないのね」

提督「そりゃな。紫煙って言うくらいだ。
明らかに身体にも悪い」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……戻りなさい。風邪引くわよ」

提督「あぁ、一本吸ったらな、返してくれ」

雲龍「…………どうぞ」

提督「ん……ふー……はぁ」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……俺さ。いいセックスした後にだけカッコつけの煙草喫むんだよ」

雲龍「ッ…………そう」

提督「うん」

雲龍「…………」

提督「…………ス-……はぁ……」

雲龍「…………」

提督「戻れば? 風邪引くぞ」

雲龍「…………私ももう一本」

提督「…………やめとけよ」

雲龍「煙草吸う女は嫌い? 」

提督「いや、別に気にしないが」

雲龍「ならいいわ。あなたと同じことをしたい気分なの」


< そんなことさえ幸せの >





雲龍「……あら」

提督「ん? 」

雲龍「……火が付かない」

提督「オイル変えたばっかなんだけどな。……顔近付けて」

雲龍「? 」

提督「……俺のやつの先に近付けて吸ってみ」

雲龍「…………ん、ス-……はぁ」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……美味しくない」

提督「そりゃね」

雲龍「…………」

提督「…………ふー……はぁ」

雲龍「…………」

提督「……そういえばシガーキスなんて初めてだな」

雲龍「……そう」


嵐なんて来る天気予報でしたかね……
まぁ、雷が苦手な高雄さんとかを見れたらそれでもいいか

ありがとうございました


< プリティ? >





高雄「十八日の誕生石はプリティーレッドゴールドです」

愛宕「あっ、そういえば今日はサテンのゴールドね」

提督「へぇ……」

高雄「……石言葉は“ 自信家 ”、“ 自信満々 ”、そして“ 素直 ”」

明石「サテンでさらに金ってなかなかどぎついですね……」

愛宕「似合うと思わない? 」

明石「まぁ……そうですね」

提督「ただのゴールド? 」

愛宕「んー……ブラックの縁取りがあったかな」

提督「……いいね」

愛宕「でしょ? 」

高雄「……………………まぁ、ナルキッソスも絶世の美少年でしたしね。ナルシスでも実があるならば」


< 手元に置きたいとかなんとか >





高雄(誕生花はレッドクローバー。……花言葉は“ 勤勉 ”)

提督「…………その資料取ってくれ。違うそっちにある敵空母打撃群の戦闘時の行動範囲推移のやつだ」

愛宕「はーい。どうぞー」スッ

提督「ありがとう」

愛宕「どういたしまして」

提督「…………」

愛宕「…………」ギュッ

提督「…………」ペラッ

愛宕「…………ふふ」

提督「…………」

愛宕「…………♪ 」

高雄(真面目に戦術研究をしているのはいいのですが……両側に侍らせた私たちはなんなのでしょうか)


<ベースのリキュールに驚愕した >





提督「今日のカクテルはソラーレ。カクテルワードは“ 独特な考えを持つユーモアな芸術家 ”、だ」

愛宕「ん…………あっま」

明石「うわぁ……なんか色んな絵の具混ぜたら黒っぽい茶色のようななにかができた、みたいな味しますよこれ」

雲龍「あくまで甘さが酷いというだけで絵の具そのものの味ではないけれどね」

提督「そんなわけあるか。一応何年か前に国内で賞取ったやつで……ん…………ほんまや」

高雄「新しいカクテルは続々と考案されていますけど……。
やはり基本のものは確立されてしまっているんでしょうね」

愛宕「だから冒険せざるをえない、と」

提督「いや、でもこれは……まぁ、人の好みなんだろうけどね」

天城「口直しを所望します」

提督「うーん……ベースのリキュールは普通の白桃にしたんだけどな。
それでもこれか…………剣菱でも開けよ」


< 素面じゃ言えないことも >





明石「ぬふー……いい膝枕ぁ」

天城「…………」

明石「天城さぁん、お嫁にきませんかぁ? 」

天城「……天城は男性を愛したいので」

明石「愛したいぃ? 愛されたいの間違いじゃないんですかぁ」

天城「……まぁ、それでも間違ってはいないです」

明石「というかぁ、男性とかまどろっこしいこと言わないで提督って言いなさいーい」

天城「……今はまだ、まだなのです。天城はそこまで割り切れてはいません」

明石「ひえー」

天城「…………」

明石「ひえー」

天城「…………」

明石「…………」

天城「……ところで」

明石「はい? 」

天城「いつまで酔った振りをしているのでしょうか? 」

明石「……暴露てました? 」

天城「最初から」

明石「ひえー…………酔ってはいますけどね。ちょっとお手洗いに」スクッ

天城「……足元に気を付けて」


< 昔こんなことがあった:怖いもの >





高雄「あなたの優しさ」

提督「……別に言われるほど優しくしてるつもりはねぇんだけど」

高雄「こんな身体があってヤってもいいなら貪って捨てるのも、
甚振って玩具にして売り払うのもありえるでしょう? 普通の男ならば」

提督「まぁ……そうかもな」

高雄「現に私は不愉快な視線を受けたことが何度もありますよ」

提督「……お前は男になんか恨みでもあんのかよ」

高雄「男、ではなくあなたに、が正しいかもしれません」

提督「…………」

高雄「……あなたは女に夢を見過ぎなのです」

提督「はっ……女は男に、男は女に夢を見せるのが仕事だぜ? 」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………見せて、いただけますか? 」

提督「……お安い御用で」


ありがとうございました


< 魚介スープが美味い >





愛宕「頭痛い……ごはんつくるのめんどくさい……」

提督「夜が楽しかったからといって朝を雑にすると次の夜が楽しくなくなるぞ」

高雄「まぁ、私もいますしね。雲龍さんと天城さんとついでに提督も」

提督「俺の扱いは兎も角名前すら出ない明石……」

高雄「朝からおひたしとお酒だけは嫌でしょう? 」

提督「……うん」

愛宕「んー……飲み過ぎたかなぁ。飲み過ぎた朝は辛いものだったかしら」

提督「そうだな。唐辛子スープでもつくってやるよ」

高雄「それなら私は主菜に専念しましょうか。
……少しくらいなら動ける? 」

愛宕「うん、大丈夫」


< 継続は力とかなんとか >





高雄「四月十九日の誕生石はヴァイオレットジルコン。
石言葉は“ 名人 ”、“ 愉快 ”、“ 上機嫌 ”、です」

提督「俺このメンツでもつまみつくるのだけは勝ってると思う」

愛宕「一日にしてならず、というか名人って呼ばれるには才能だけじゃダメなのよねぇ〜 」

提督「アテなんてない方がいい人もいるけどさ」チラッ

天城「……美味しくいただいておりますよ」

提督「酒の飲み方は雰囲気に細かく左右されるものだから。
色んな楽しみ方をしてほしいものだよ」

高雄「と、いいつつピスタチオばかりですね」

提督「や、なんか最近ハマっちゃって」


< 陽気、でいいだろうか >





高雄「誕生花はラクスパーですね。花言葉は“ 底抜けに陽気 ”」

提督「これは隼鷹」

雲龍「……あれは陽気というより面倒なだけ」

明石「ははは……お喋りしてても楽しいからまだいいんですけどね」

天城「…………明石さんは知らないでしょう。
皆さんがいなくなった後に最後まで飲んでいると毎回のように同じことを語る隼鷹さんを」

提督「あれはやべぇよな。俺は三、四回目以降それが嫌で遊べるもの持っていって近くにいるやつ巻き込むようにしてたし」

愛宕「あの人配慮はちゃんとできるのよね」

高雄「お酒も強いですしね。ただ、こっちが強いとわかると」

提督「迷惑かけてといいと思えるくらい仲良くなったと思われているのか……まぁ、嫌いじゃないけど」


< ちいさい頃は葱はいらないと思っていた >





提督「榛名と霧島が竣工した日らしいぞ」

高雄「あとは大島浩の誕生日とかですね。陸の方ですけど」

愛宕「ふーん……」

提督「まぁ……………………まぁ、榛名と霧島の竣工日なんだよ」

天城「それで榛名山に霧島の黒と白なんですね」

提督「一応な」

雲龍「……理由をつけてもつけなくても飲むことには変わりないのに」

提督「それは言わない約束だ。……あと今日は焼き鳥つくるぞー。
色々用意したからじゃんじゃん焼いてやる」

愛宕「私はハツー」

高雄「では手羽先を」

明石「なんこつで。……なぜ焼き鳥を焼くコンロや網が食堂に設置されているのかは訊いても……意味ないんでしょうね」


< なんとなくお洒落な言い方 >





提督「今日の誕生カクテルはウイスキーソーダ。
カクテルワードは“ バランスを取りまとめる立役者 ”、だな」

愛宕「つまりハイボールよね? 」

提督「まぁ、俺はそのつもりでつくったけど。
明確な違いもあるかもしれないぞ」

雲龍「美味しければいいのよ」

天城「まったくです」

提督「お前はハイボール好きだしな。……そのタンブラどうよ」

雲龍「いい感じ。ありがたく使わせてもらってる」

提督「それはよかった」

高雄「……もしやベースとなるウイスキーが厳格に決められているのでは? 」

提督「ん? あぁ、ウイスキーソーダか? どうだろうな。
ハイボールの語源は英国だって説があるから、
俺はハイボールが英国でウイスキーソーダが他国起源説を推したいが」

明石「たまたま別の場所で同じカクテルができた、と? 」

提督「うん。ハイボールはカクテルって感じじゃないけどな」

雲龍「おかわり、いただけるかしら」

提督「ん、了解」


< それはとても素晴らしいリスト >





提督「そういやお前らと飲みに外出たことないんだな」

愛宕「そうね」

高雄「私は先日の会食でバーには連れて行っていただきましたけど」

愛宕「えっ」

提督「そういうんじゃなくてさ。居酒屋っていうかチェーンの飲み屋みたいな。
あんまりお洒落じゃないとこ」

高雄「はぁ。でも自宅、というかここの方が快適でしょう? 」

提督「そうだけど。あの乱雑さは一度経験してみるべきだと思うんだよね。
…、個室のシャレオツ居酒屋はだめだぞ、なんか違う」

愛宕「まぁ、いいわ。……そういうところだと男の人は下心満載な感じよね〜 」

提督「満載だからな。……基地の隣に居酒屋とかできねぇかなぁ」

高雄「それはさすがに」

提督「うーん……」

愛宕「ま、いつか行きたい場所リストに入れておくから。
そのときには連れていってね? 」


まぁ、そのうち出てきますよ……そのうち

ありがとうございました


< 歪みを受け入れた人たち >





高雄「四月二十日の誕生石はジェイダイト。
別名は翡翠。こちらの方がわかりやすいでしょうか」

提督「まぁ、翡翠の方がわかりやすいだろうな」

高雄「ちなみに石言葉は“ 自信 ”、“ 頑固 ”、“ 執着心 ”、そして“ 美意識 ”」

明石「これはまた……業の深そうな」

提督「そうか? 執着も自信も大切だろ? 美意識だってな」

明石「そりゃないよりはいいでしょうけどね。
……それをバランスよく持ってる人なんて滅多にいないでしょう? 」

提督「いいんだよ。それの量が問題になるほど周囲に注目されるような人間自体少ないんだから」

愛宕「ちっぽけな人が多少歪んでいてもたかが知れてるのよねぇ〜 」

高雄「そもそも興味ないですし」


< 受け入れようとする人 >





天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「……彼から離れられると思う? 」

天城「……天城は…………天城はまだ、大丈夫」

雲龍「まだ、ね……そう」

天城「…………」

雲龍「……別に私がいるからといって受け入れなくてもいいのよ」

天城「……天城は姉様にそこまで依存しておりませんよ。
ただ単に……天城が兵士としてお役に立てているか、その一点が引っかかっているだけなのです」

雲龍「…………私には助けられないわね」

天城「はい。これは……これだけは天城が、もしかするとあの人と解決させねばならぬ問題なのです」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「……後悔は? 」

天城「そんなこと。……ここに根付き彼の人に身を任せるということは、
つまり後悔や懺悔を快楽として謳歌し、底なしの雲居へと堕落してゆくということではありませんか」

雲龍「…………意味の反転とあらゆるものの画一化、ね。全てが快楽に、日々の起居は享楽的に」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………」





明石(あの姉妹は何を垂れ流してるんですかね……まぁ、凄まじく似合ってますけど)


< 和やかですよ? >





高雄「誕生花は海棠。花言葉は“ 恋心 ”、“ 和やかな愛情 ”」

提督「和やかな愛情ですってよ、皆さん」

愛宕「……和やかでしょう? 」

高雄「この上なく」

雲龍「…………」

明石「……そこはせめて恋心に着目しましょうよ」

提督「あ? ここでそれを訊く意味があるとでも? 」

愛宕「ずぅーっとこの人に恋してるもの」

高雄「同じく」

雲龍「……そうね」

天城「…………」

明石「はぁ……確かに」

提督「だろ? 」

明石(まぁ、それなら愛情だって同じことですけどね…………私もですし)


< 世界五大ウイスキーの一つ >





提督「今日の誕生カクテルはウイスキーマック。
カクテルワードは“ 心身ともに健康なエネルギーに満ちた人 ”、だ」

明石「んん……ちょっと強い? 」

提督「スコッチをベースに半分の量のジンジャーワインだ。
まぁ、強いといえば強い」

明石「……本当に2:1になってます? 」

提督「…………雲龍はこれ好きそうだよな」

明石「あ、ちょっ」

雲龍「そうね。スコッチだと……より香りが濃いと思うわ。確かに好きよ」

提督「だろ? 」





愛宕「スコッチがスコッチである条件の一つはアルコールが40%以上であることなのよぉ」

高雄「なるほど。……これ3:1くらい? 」

愛宕「そうかも。ま、明石も弱くはないし大丈夫でしょ」


< 誰しも最初は >





明石「提督の初めてってどんな感じでした? 」

提督「初めてぇ? 」

明石「はい」

提督「……うーん」

明石「…………」

提督「……別に普通じゃねぇの。相手も初めてだったしな」

明石「はぁ」

提督「お互い初々しいというか……今なにやってんのかなぁ」

明石「へぇ……そこからなぜこんなのになってしまったのか」

提督「こんなの? 」

明石「絶倫優男風鬼畜種馬」

提督「……ひっでぇ」


< 厨房にてふと >





愛宕「自分から傅いていくのってどういう気持ち? 」

雲龍「落とそうとして逆に跪かせられるってどういう気持ち? 」

愛宕「…………」

雲龍「…………」

愛宕「…………」

雲龍「…………」

愛宕「…………」

雲龍「…………」

愛宕「……別に私はドMじゃないんだけど」

雲龍「私だっていつもいつも被虐の気分じゃないのだけれど」

愛宕「…………」

雲龍「…………」

愛宕「…………」

雲龍「…………」

愛宕「……さっさとつくっていきましょうか」

雲龍「……そうね。……そのゲソ取って」


< 腕を抱いて、寄り添って >





提督「うっわ、風強くね? 」

高雄「明日も降るそうですよ」

提督「マジかよ……まぁ、哨戒任務とかないしいいか」

高雄「……横須賀の方では皆さん不機嫌でしょうね」

提督「あぁ……まぁ、仕方ないさ」

高雄「そうですね」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……風の音、結構うるさいな」

高雄「……あなたの隣であれば、さほど」

提督「そうか」

高雄「はい」

提督「…………」

高雄「…………」


< 孤独を知り、あなたを知り、ぬくもりを >





提督「…………」

高雄「…………」



ガチャ、バタン



愛宕「んー……お風呂入ってきたわよぉ」

提督「ん」

高雄「これで全員揃いましたね」

愛宕「……もしかして邪魔だったりした? 」

提督「んー? 」

高雄「いいえ、あなたが邪魔になるなんてことは……まぁ、たまにありますけど」

愛宕「えぇ、ひっどーいっ」

提督「ははは……まぁ、俺だって一人になりたいことくらいあるさ」

愛宕「むぅー」

高雄「……さ、寝ましょうか。明日も早いですからね」


< 私たちの息遣いと共に >





愛宕「でも、この部屋ってかなり防音というか壁厚いわよね」

提督「一応は司令室だしな。敵の攻撃に曝されることを想定してるはずだ」

高雄「厚くてよかったです。下手すると廊下中に聞こえてますからね」

提督「あぁ……大概はお前だぞ」

高雄「あなたの所為なのですが」

愛宕「まぁまぁ。この雨の音がちいさく聞こえる感じ、悪くないわ」

提督「ん? …………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「……ね? 」

提督「あぁ」

高雄「そうね」

愛宕「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「……寝ましょうか」

高雄「ですね」

提督「おう、またあ……したではなくて朝に」



ありがとうございました

この人たちのいるところってどれくらいの大きさの建物なの


< 以外と……ないか >





高雄「四月二十一日の誕生石はアンダリューサイト。
石言葉は“ 思いやり ”、“ 感情豊か ”、そして“ のんびり屋 ”、ですね」

雲龍「感情豊か、ね」

天城「…………」

明石「まぁ、表情の豊かさとは別物ですしね。
雲龍さんも天城さんも当てはまると思いますよ」

雲龍「加賀さんも結構豊かになるわね、それだと」

提督「あいつは豊かどころの話じゃないぞ」

明石「はぁ」

提督「ポーカフェイスなやつって実は表情を意図的に隠してるだけだし。
とりあえず加賀はヤバイ」





愛宕「あぁ……でも加賀さんが大笑いとかしてたら怖いかも」

高雄「それは既に加賀さんではありませんね」


< 花の中の花 >





高雄「誕生花は牡丹。花言葉は“ 壮麗 ”、“ 恥じらい ”、そして“ 高貴 ”、ですね」

愛宕「座れば牡丹? 」

提督「富貴草とか百花王、花神に天香国色、深見草から廿日草と沢山の別名がある植物でもある」

天城「名取草なんて別名もありますね」

提督「昔だけど奈良の長谷寺に見に行ったことあるぞ。
花の御寺って言われるだけあってなかなかのものだった」

高雄「この国には他にも何箇所が名所がありますね」

提督「おう」

愛宕「あとは芍薬と百合でコンプリートね」

提督「全国の花を見るツアーとかいいかもなぁ」

高雄「楽しそうですけど……いつになるやら」

提督「そうだなぁ……ま、リアルでは揃いっぱなしだからな。気長に待つさ」

天城「あなたはまたそういう……」

提督「ん? 」

天城「いえ」


< 繊細な指遣い >





明石「提督ってやたら魚食べるの上手いですよね」

提督「そうか? まぁ、ちいさい頃から魚好きだったからかな」

明石「それ芸術的ってもんじゃないですよ」

提督「自分じゃわからないんだけど。……まぁ、汚く残ってるの見るとイライラするかもな」

明石「私のは? 」

提督「んー……60点くらいかな。ギリ合格ライン」

明石「なかなか厳しいんですね」

提督「そうかな」





愛宕「高雄が苦手なのってイメージに合わないかもしれないわね」

高雄「……一応上達はしたと思うのですが」


< 割と簡単につくれる >





提督「今日のカクテルはブランデーエッグノッグ。
カクテルワードは“ 利き手で物事を成し遂げる達人 ”、だってよ」

愛宕「エッグノッグの甘さ的にお菓子みたいなものなのでー」

高雄「エッグノッグを使ってパイとカップケーキをつくってみました」

雲龍「へぇ……やるじゃない」

天城「とっても美味しそうです」

愛宕「おつまみには少し重いけど……保存がきくから大丈夫よー」





明石「利き手で物事を成し遂げる? 」

提督「……なんだよ」

明石「利き手、物事、遂げる」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……俺、利き手じゃない方でやるけど」


< そーいう選挙 >





提督「総選挙ねぇ……」

高雄「なんかありましたっけ」

提督「んー……まぁ、あったんじゃないか」

高雄「はぁ」

提督「とりあえず俺は酒好きが強いってことがわかってよかったよ」

高雄「は、はぁ」

提督「酒が好きな美人は大体いい人」

高雄「だといいですね」

提督「ってもなぁ……うーん……あんま洒落とかは……」

明石「提督ー、熱燗どうですかー」

提督「風呂で飲みてぇな」

明石「はい? 」

提督「や、なんでもない。いただくよ」


< 手袋を分け合ったりして >





提督「もうさすがに冬物はいらないよな」

高雄「そうですね。さすがにもう大丈夫かと」

提督「うん。……このコートもなぁ。もう少しポケットが下側に着いてればいいんだが」

高雄「はぁ」

提督「腕を伸ばせないってのはなかなか面倒だし。
イヤホンしてると少し余ったりするんだよ」

高雄「でも……その長さだからいいこともありますよ」

提督「たとえば? 」

高雄「あなたのポケットの中で手を繋げます」

提督「はーん……」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……なら、いいのかね」

高雄「私にとっては」


< 惹かれるということ >





雲龍「どうして彼がよかったの? 」

愛宕「うーん……難しい話ね」

雲龍「難しいの? 」

愛宕「ええ。ルックスとか性格とか……そんなものは当然じゃない」

雲龍「そうね」

愛宕「…………」

雲龍「…………」

愛宕「…………」

雲龍「…………」

愛宕「……どうして彼がよかったの? 」

雲龍「……難しい話ね」

愛宕「難しいの? 」

雲龍「ええ」


< 襟ぐりに差し込んで >





提督「寒い方が好き」

高雄「確かに暑いと動きたくなくなりますからね」

提督「それもあるけど寒いときは女の子がアウターとかに気使ってるじゃん? 」

高雄「あぁ、そういう……」

提督「夏は夏で確かに露出高くて楽しいけどね」

高雄「……そうですか」

提督「それに……寒い方が外で手繋いだりし易いじゃん」

高雄「季節に関係なくくっついてると思いますが」

提督「そりゃね、でもさー……よりぬくもりを感じるというか」

高雄「はぁ」

提督「あと、あれがしにくい」

高雄「あれ? 」

提督「谷間暖房」

高雄「や、そんなことした覚え……………………愛宕? 」


< リスク有り >





明石「眼球舐めってどうなんです? 」

提督「は? 」

明石「眼球舐めですよ、眼球舐め。
高雄さんも愛宕さんも綺麗な瞳してますよねー」

提督「いやいやいや……したことねぇから。あいつらに関わらず人生で一度も」

明石「えぇ……」

提督「あのな。口内の細菌が眼球に触れて失明する可能性があるの。
失明しなくてもよくない病気になりやすいんだから」

明石「はぁ」

提督「そもそも俺なんて大したプレイの幅ないぜ?
精々が……精々…………どこが最終ラインなんだ? 」

明石「知りませんけど……なんで眼球舐めの危険性とか知ってるんです? 」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……瞳って綺麗だよな」

明石「そうですね」


>>95
これまったく考えてませんでしたね……
そもそもゲームしてるときでも建物全体は……うーん

ありがとうございました


< 明日へと進むために >





明石「今日はなんとロンドン海軍軍縮条約に各国が調印した日なんですよ! 」

提督「はーん……第四艦隊の皆さんには同情するよ」

愛宕「第四艦隊事件、かぁ」

高雄「その前には友鶴事件がありましたね。それが元で藤本大佐は……」

明石「軍縮は理想ですけどねぇ……資源の為に軍縮を認めた側面がありながら不備で問題を起こす、と。
それで人が死んで貴重な資源を無駄にしてちゃ世話ないです」

提督「ノーコメント」

天城「……鳳翔さんや龍驤さんもいたのですよね。第四艦隊事件」

雲龍「あくまで“ 鳳翔 ”と“ 龍驤 ”だけどね」

愛宕「妙高たちは元気にしているかしら」

提督「元気だろ。特に三女」

高雄「ははは……皆さんに手紙でも出しましょうかね」


< 今日が誕生日 >





明石「“ 我は死神なり、世界の破壊者となった ”」

提督「……『バガヴァット・ギータ』? 」

明石「そうだと思いますか? 」

提督「……元はそれだろ」

明石「そうですが」

提督「…………俺は確かにこの国の軍人だぜ?
でもさ、あんまりこういうデリケートな話はしたくない」

明石「……こういうことに目を向ける必要は」

提督「そのときがくればな。そんなときはこないでほしいが」

明石「…………」





雲龍「……オッペンハイマー、ね。桜花の発案者とどちらが罪深いかしら? 」

天城「それを決めるのは天城たちではありませんよ。
……誰にも決められません」


< あとはよい母も違うかな >





提督「もっとなんかねぇの? こういうつまんねぇ話じゃなくてさ」

高雄「それなら……今日はよい夫婦の日らしいですよ」

提督「十一月二十二日とかじゃなくて? 」

高雄「それはいい夫婦の日ですね」

提督「へぇ……」

愛宕「まぁ、良い夫婦よね? 」

提督「ん? あぁ、そうだな」

雲龍「…………良い恋人と良い夫婦は別だと思うけど」

愛宕「うん? 」

高雄「…………」

雲龍「…………」

提督「……まぁ、なんでもいいや。僕は執務を始めまーす」





明石「逃げましたね」

天城「まったく…………姉様はなにをしているのですか」


< 尊敬はされない >





高雄「四月二十二日の誕生石はレッドファントムクォーツ。
石言葉は“ 尊敬 ”と“ ナルシスト ”」

提督「ナルシストと正確な自己評価のできる有能の違いがわからない人間が多すぎる」

愛宕「いかにも自己愛の強い構ってちゃんみたいな言葉ね」

提督「……いや、でもさぁ」

雲龍「それとわかってする嫌味な謙遜よりはマシね」

天城「提督も自覚のない美人はいない、と仰っていましたね」

明石「まぁ、そもそも才能のある人は妬まれますからね。
ナルシーっていうのはその人たちにわかりやすい攻撃材料を与えるものでして」

高雄「どういう内容であれ無闇に自らを誇るのはやめた方がいいということです」

提督「……そうだな」

提督(こいつらが言っても……というかさらっと言えるあたり……まぁ、俺も同じか)


< 堕ちた先にはなにが >





高雄「今日の誕生花はムスカリ。花言葉は“ 寛大な愛 ”と“ 明るい未来 ”」

提督「明るい未来……明るい……うーん」

愛宕「……楽しいとか幸せっていうのと、明るいって違うものだったのね」

高雄「なんというか……そうですね」

提督「この堕ちていく感覚……慣れるとこうじゃないとダメになるんだけどな」

愛宕「もう抜け出せないわねぇ」

高雄「誰かが引っ張り上げてくれればあるいは」

提督「そうだなぁ……」

愛宕「私の場合一番引っ張ってくれそうな人と一緒に堕ちてるんだけど」

高雄「そうね」

提督「なんなら二人で押し上げてくれてもいいんだぜ? 」

愛宕「うーん……」

高雄「出て行くおつもりで? 」

提督「お前らは出てみたいと思わないの? 」

愛宕「出て行く気なんてできたことないわ」

高雄「大人しく一緒にいていただかなければ」

提督「ま、俺も出て行く気なんて無いんだけどな……言ってみただけだ」


< お湯でも可 >





提督「今日のカクテルはウイスキーフロート。カクテルワードは“ 生きていることに幸せを感じる純粋な人 ”、だ」

雲龍「へぇ……」

提督「これはまぁ……材料だけならただの水割りだな。
ただ、ミネラルウォーターを注いだ後にゆっくりマドラーを使って注いで二層にするわけだ。
一応これでストレート、ロック、水割り、水、の順番で飲める」

雲龍「今日のは? 」

提督「ピュアモルトのホワイト。琥珀の色が綺麗だと映えるだろ? 」

雲龍「ん……ピートの甘さが柔らかい」

提督「あぁ」





天城「…………ストレートと水割りでしか楽しめなかったのですが」

明石「天城さんのペースがおかしいんですよ……そりゃ一口が多ければねぇ……」


< 幸福のなんたるかを知り >





愛宕「生きていることに幸せを感じる純粋……なんだか不幸せな感じね」

高雄「さすがにそれは穿ち過ぎでは」

愛宕「そう? ……そうかも」

高雄「まぁ、確かにある程度の苦さを経験しなければ真に実感することはないと思うけれど」

愛宕「私たちなんて生まれ落ちてすぐだったわよ、それ」

高雄「…………硝煙の香りもオイルの苦さも弾薬の重さも。
そして肉の裂ける音も焼ける臭いも不愉快な波濤も。
陸では全て生の充足に回っていきますから」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……幸せ? 」

高雄「あなたと同じかしらね」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……私は幸せだと思う? 」

高雄「私を見れば……わかると思うわ」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………高雄と姉妹でよかった」

高雄「…………そうね」


< 4/23 >





愛宕「そういえば明日ね」

高雄「そうね。……そういえばって感じじゃないけど」

愛宕「ふふ……すっごく迷ってたものね〜 」

高雄「あなたも」

愛宕「……まぁね」

高雄「あなたはどうしたんです? 」

雲龍「私? まぁ、普通よ。今更サプライズとかもないし」

明石「……その割に先週くらいから天城さんと相談してましたけどね」

天城「明石さんはどうです。まさかオリジナルの艤装だったり」

明石「や、そんなのありえないです、はい」





提督「それを俺が微妙に聞こえる範囲で話すんだ」

愛宕「焦らされた方が気になるでしょ? 」

提督「そうか? この歳になって誕生日がどうとかないしなぁ」


< 純白、無垢、染め上げる >





提督「ウエディングドレスあるじゃん」

愛宕「あるわね」

提督「あれって本来ヴェールも含めて処女じゃなきゃ白いのは着れないらしいぞ」

高雄「……今更そんな話ですか」

提督「ウエディングドレスの話する間柄で処女とかありえないからさ。今更とか言われても」

愛宕「まぁねぇ……そもそも今時式を挙げる仲で処女とかいるのかしら」

提督「99%いないだろうな」

高雄「……そういえばヴェールは処女性と従順を表すと聞いたことが」

愛宕「従順、でもないわね」

提督「まったくだ」

高雄「従順な私をお望みで? 」

提督「いや? そんなつまんないのは遠慮したい、が」

高雄「が? 」

提督「ときどきベッドでは是非」

高雄「…………」

愛宕「純白のランジェリーで? 」

提督「いや、そこは別になんでも」


< たとえ数日でも姉 >





提督「ちなみに日本初のウエディングドレス着用結婚式は1873年らしい」

明石「ひえー、相当昔ですね、それ」

提督「なんてったってマザー……三笠の着工が1899年だからな。これは大変なことだ」

天城「その人たちの息子さんがいれば乗組員になっていてもおかしくないのですね」

提督「あぁ、そうだな」

明石「ついでに言うと高雄さんの着工が1927年ですから、
お孫さんがいればその人も乗組員になっていてもおかしくないですね」

高雄「……私ではなく高雄、ですが」

愛宕「まぁまぁ、お姉ちゃん? ……ふふ」

高雄「…………くっ」プルプル





提督「いや、愛宕も大して変わらないだろ」


< たとえばそんな私 >





雲龍「自分が人間だったら、そう思ったことはない? 」

天城「そう、ですね……それが本当に心の底からという意味であればありません。
益体もない妄想の類であれば何度かはありますけれど」

雲龍「そう……。その妄想の中であなたはどんなことをしていたの? 」

天城「本当に断片的でつまらないものですよ」

雲龍「いいの。天城がどういう子か知りたいから」

天城「ふふ……姉様って時々母親のような甘え方をしてきますね」

雲龍「…………」

天城「…………たとえば」

雲龍「ええ」

天城「天城は花屋の娘で……いつかそれを継ぎたいと思っているのです。
でも姉様はそんなことは止めて上京したい、と」

雲龍「…………」

天城「それから何年か経って気付けば姉様と二人親から譲られた花屋を営むんです。
ところがある日から眉目秀麗、礼儀正しい男性客が訪れ始めて」

雲龍「…………」

天城「姉様と同時にその人に惹かれ始めていって……。
時々自分の方が好かれているんだ、なんて喧嘩したり」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「……それで? 」

天城「それでお終いです。天城の夢にも夢想にも……終わりはありません」

雲龍「……そう」

天城「はい」


< 誰がための弱さか >





雲龍「あなた、結構ロマンティックというか……乙女らしいわね」

天城「そうでしょうか」

雲龍「ええ、私なら……きっとあなたは登場させないもの」

天城「…………ぇ」

雲龍「別にあなたを嫌っているだとかそういうことじゃないの。
ただ……きっとあなたを私の汚い世界に押し込めたくないから」

天城「……姉様が汚いなど」

雲龍「私は現状に満足しているつもり。
あなたがいて仲間がいて、そしてあの人がいて。
でも……やっぱりナンバーワンじゃないこともオンリーワンじゃないこともストレスではあるのよ」

天城「…………」

雲龍「高雄と愛宕は二人ともがナンバーワンだとおもってるなんて言っていたけれど……。
もし本とにそんなことができているならそれは精神の化物といっても過言ではない」

天城「……しかし、天城や姉様も含めて真なる意味では人間ではありません。
精神構造に幾らかの相異があってもおかしくは」

雲龍「もちろん私だって艦娘の専門家でも人間の専門家でもないわ。
だから本当のところはわからない。
もしかすると私という個体だけが例外で欠陥品なのかもしれない。でも」

天城「…………」

雲龍「でも、それでもっ……私は仮に天城と愛情を分け合うなんてできない。
きっと私はあなたかあの人を傷つけるわ」

天城「…………だから夢に登場しない、と? 」

雲龍「ええ、そう思ってる」

天城「…………姉様はお優しいのですね」

雲龍「……違う」

天城「姉様は……臆病なのですね」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………そう、ね。ええ、私は人一倍臆病で……弱い」


とても嬉しいことです、はい
続けて精進します

ありがとうございました


< 祝 >





高雄「四月二十三日は提督の誕生日です」

提督「知ってるが」

高雄「はい」

提督「……」

高雄「……」

提督「……俺はなんも言えねぇんだけど」

高雄「おめでとうございます? 」

提督「ありがとうございます? 」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……なにか違うわね」

提督「まぁ、ガキじゃないしな。いいんだよこれで。
……夜には祝ってくれるんだろ? なにもかもそのときに全部貰ってやるよ」


< 人気者 >





愛宕「お手紙その他が沢山きてるわよー」

提督「おう」

明石「この山のような紙の群れはなんなんです? 」

提督「うん? あぁ、俺宛のお祝いレターだよ。いやー、人気者は辛いね」

高雄「殆どが国内外の軍人か政治家ばかりですけどね。
あとは義理ではなく送ってきているのなら艦娘の方たちもいくらか」

明石「あー……そういえば去年なんかは見ましたね」

雲龍「あなたは出さなかったの? 」

明石「えっ」

雲龍「え……」

明石「で、でも天城さんは出していないでしょう? 」

天城「それは……天城は提督にお会いしたことがありせんでしたから」

高雄「ちゃんと全部返信するんですよ」

提督「うへぇ……上官だけじゃだめ? 」

高雄「だめ。……横須賀の皆さんも折角お祝いしてくれたんだから。
しっかり読んで返してあげてください」

提督「へーい。……とりあえず上官と帝都関連片すか」


< 蛇行するような人生も、また >





提督「気を取り直して」

高雄「今日の誕生石はデザートローズ。直訳ですが砂漠の薔薇の方がメジャーな呼び方かしら」

提督「どっちでも」

高雄「そうですか。……石言葉は“ 地道に生きる ”、“ まっすぐ ”、そして“ しっかり者 ”、です」

天城「…………はっ」

提督「おい、てめぇ笑ったな」

天城「いえ……あまりにも、その」

高雄「折角誕生日なのですからこれを機に地道に生きてみては? 」

提督「いやぁ……今でもこの上なく地道だと思うんだけどな」

愛宕「それはないわね」

明石「ないですね」

雲龍「ないわね」

提督「……ひっでぇ」


< それなりに大きくなる >





高雄「今日の誕生花はカンパニュラ、ですが」

提督「ん? 」

愛宕「ぱんぱかぱーんっ! 」



鉢植え「…………」



提督「おおうっ」

愛宕「実は三月から植えてたのよぉ〜 。
濃い紫の花がイカしてるでしょ? 」

提督「……あぁ、うん。つーかいつの間に」

高雄「私たちの部屋の窓辺に置いていたので暴露なかったのだと。
春のうちは水が少なくても成長しますから」

提督「そっか。……ありがとう」

愛宕「どういたしまして」

高雄「ちなみにカンパニュラの花言葉は“ 節操 ”ですよ」

提督「それは無理かな」

高雄「……即答ですか」


< これからの季節に >





天城「天城からはこれを」

提督「えーっと……着物? 」

天城「はい。着物だけでなく正装のための小物まで天城のおすすめです」

提督「ほえー……俺、自分で着れないぜ? 」

天城「もちろん天城がお教え致します。それにただ着る分にはそれらしく見えればいいのです」

提督「そ、じゃあ頼むな」

天城「はい。……暖かくなってきましたので今日は着流しを。
この場合は長着だけなのですがこれに羽織と袴を加えたものがーー」





明石「こうしてまた一人和服教徒が増えたのであった」

雲龍「いや、何言ってるの……それならあなた制服フェチになるわよ」

明石「あぁ……それは遠慮したいです」


< デザインをカスタムできる時代 >





雲龍「私からは私」

提督「あ? 」

雲龍「私をあげる」

提督「……ありがとう? 」

雲龍「どういたしまして」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……まぁ、もう貰ってると思うぜ? 」

雲龍「……そうね」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………これ」

提督「あぁ、腕時計? 」

雲龍「巻いてあげる」

提督「ん、頼む」


< 尽くす >





提督「へぇ……ちゃんと俺好みのデザインじゃん」

雲龍「当然」

提督「そうか」

雲龍「ええ」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……なんでお前こんなところにいるんだ? 勿体無さすぎるだろ」

雲龍「あなたがいるから」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……参るね、本当に」

雲龍「いいのよ…………私は、幸せだから」


< ハードルを上げるが如き >





明石「ささっ、そんな微妙な雰囲気は忘れて明石さんのプレゼントをどうぞ! 」

雲龍「微妙ってあなたね……」

明石「まぁまぁ。……皆さんセンスのよさげなものを用意しているようでしたので」

提督「でしたので? 」

明石「この不肖明石……考えに考え、熟考を重ねた末にっ」

提督「末に? 」

明石「なんと! 」

提督「なんと? 」

明石「自作のプレゼントを選択致しました! 」

提督「おおう! 」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………」

雲龍「……それでものは? 」

明石「……出すとなると滅茶苦茶恥ずかしいですね、これ」

提督「……お前が変にテンション上げるからだろ」


< 進歩、しましたか? >





明石「まぁ、気を取り直しまして……どうぞ」

提督「おう。……タンブラー? 」

明石「ただのタンブラーではありませんよ?
私が吟味に吟味を重ねた素材を使用してつくったタンブラー。……底を見てみてください」

提督「ん? ……はーん、なるほど」

明石「私の初の個人向け作品ですからね。
現在世界でただ一つの明石さんのサインが入ってます」

提督「ほう……で、内側と外側は」

明石「外側にはこの基地の丘をデザイン。内側の底には提督のイニシャルを飾り文字で刻印しています」

提督「……やるじゃん」

明石「値段的には大したことないですけどね。
少なくとも希少価値と……その、気持ちは入ってますよ」

提督「……あぁ、伝わったよ。ありがとう」

明石「……よかった」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………一緒に空けるか。ザ・ニッカの40年でも出して」

明石「はい! 」

天城「美味しいお酒と聞いて」

雲龍「ウイスキーと聞いて」





愛宕「この姉妹ヤバくないかしら。どこがどうではなく全体的に」

高雄「ははは……」


< 進歩、しましたか? >





明石「まぁ、気を取り直しまして……どうぞ」

提督「おう。……タンブラー? 」

明石「ただのタンブラーではありませんよ?
私が吟味に吟味を重ねた素材を使用してつくったタンブラー。……底を見てみてください」

提督「ん? ……はーん、なるほど」

明石「私の初の個人向け作品ですからね。
現在世界でただ一つの明石さんのサインが入ってます」

提督「ほう……で、内側と外側は」

明石「外側にはこの基地の丘をデザイン。内側の底には提督のイニシャルを飾り文字で刻印しています」

提督「……やるじゃん」

明石「値段的には大したことないですけどね。
少なくとも希少価値と……その、気持ちは入ってますよ」

提督「……あぁ、伝わったよ。ありがとう」

明石「……よかった」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………一緒に空けるか。ザ・ニッカの40年でも出して」

明石「はい! 」

天城「美味しいお酒と聞いて」

雲龍「ウイスキーと聞いて」





愛宕「この姉妹ヤバくないかしら。どこがどうではなく全体的に」

高雄「ははは……」


< あるいは女将スタイルでも >





天城「本日の誕生カクテルはイタリアンサーファー。
カクテルワードは“ 楽しく目新しさを追求する元気者 ”、ですよ」

明石「似合いますねぇ。本当にお酒と会う容姿で」

雲龍「……和服と同じデザインの戦闘衣ね。私の方が和服着てみる? 」

提督「…………なんか俺以外がこれやるの不思議な感覚だな」

天城「いつもは天城がいただいていますから。今日は任せてください」

提督「んー……じゃあとりあえずモヒート」

天城「承りました」

提督「ゆっくりでいいぞ」

天城「モヒートの材料は難しくありませんから。ゆっくりする方が難しいです」

提督「折角だから天城のバーテンダー姿見ておきたいし。なんとかゆっくりしてくれ」

天城「……どうしましょうか…………ふふ」


< 手の平で目隠しを >





愛宕「はい、ご到ちゃーく」

提督「ん……少し寒いな」

高雄「ふふ……なんだと思いますか? 」

提督「さてね。まさかカンパニュラが一面に咲き乱れているなんてことはないだろうが」

愛宕「それはそれで素敵かもしれないけど……今回はかっこいい系かなぁ」

提督「ふーん……? で、なんだよ。そろそろ目隠し外してくれないか」

愛宕「いいけど……驚かないでね? 」

提督「おう、腰抜かす準備はできだぞ」

高雄「いやいや……」

愛宕「それではー、今回の誕生日プレゼントはこちらでーす」

提督「んん……ん? ……は? 」

愛宕「ふふ」

高雄「どうです? 」

提督「……いや…………あぁ、そーいう……マジかよ」

愛宕「腰抜けてない? 」

提督「や、驚くと案外腰抜けないもんなんだな……うわぁお」

高雄「これがキーです」

愛宕「C6のZR1。エッジがあるタイプの車が好きなんでしょ? 」

提督「まぁな。…………や、すっげーな。誕生日に車貰うとかホストかなんかかよ」


< まだ家計は同じじゃない >





明石「いいなー、私もコルベット欲しいなー」

雲龍「あなたは弄れる玩具が欲しいだけじゃない」

明石「や、ちゃんと運転も好きですよ? ここに来るときに誰が運転してきたと思ってるんです」

天城「……でも凄いですね。確かに私たちの給金からすれば難しくはないですけれど」

雲龍「それだけあの人が欲しかったってことでしょ。
あの二人のためにツーシータ諦めてたんだから」

天城「心の中では悔やんでいた、と」

雲龍「ええ。……あれ乗せてくれるかしら」

天城「さぁ?……まぁ、お二人の後でしょうけれどね」


< 芯まで解して蕩かして >





提督「ふぅ……ちょっと飲み過ぎたかな」

愛宕「大丈夫? 」

提督「あぁ、風呂には入ったし。後は寝るだけだから」

愛宕「……? 」

高雄「……? 」

提督「ん? …………寝させてくれないのか」

愛宕「寝ててもいいわよ? 」

高雄「今日はあなたの日ですからね。愛宕と私になにもかも身を委ねるのもいいでしょう」

提督「ふーん……」

愛宕「どうするにしろ私は大して変わらないしね」

高雄「同じく」

提督「…………あと、一時間休ませろ。その間に水飲んでスッキリさせる」

愛宕「そ。……その一時間でスッキリしちゃわないでね? 」

提督「まさか」

高雄「どうだか。今日の私たちは一味違いますよ? 」

提督「そうかい。…………そっちこそ一時間の猶予を活かしきれよ? 」


< 出会い生まれ、別れ死ぬ >





「また一年、か」

「もう一年って感じだったけどね」

「最近はまた騒がしくなってきましたし」

「お前は三人だけの方がよかったか? 」

「どうでしょう……? ま、どちらにも良いことはありますね」

「そう、か」

「はい」

「…………」

「…………」

「…………」

「……生まれた日ってのは親に感謝する日だって言葉があるな」

「そうね」

「ただ俺は思うね。なぜ生まれたかを理解した日こそが真に生まれた日のことだって」

「……それはいつですか? 」

「さて……いつだったかな」

「私、毎日理解し直してるわよ。なぜただの兵器でもなく名も無き人間でもなく……この身体で生まれてきたのか」

「…………」

「…………」

「…………」





「生まれてきてくれてありがとう。……生きる意味、生まれた理由をおしえてくれて…………ありがとう」


二周年おめでとう
いつの間にかという感じですが

ありがとうございました



< 朝焼けは雨の >





提督「っふぅ………………」

雲龍「…………また吸ってる」

提督「ん? ……あぁ」

雲龍「美味しそうね」

提督「まぁな」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……愛することに酔ってちゃだめだぜ。愛そのものじゃなくて相手に向けろよ」

雲龍「……きついこと言うのね」

提督「愛されたいからな。陶酔の玩具にされちゃかなわない」

雲龍「…………クズが」

提督「知ってる」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………私が酔ってるのはあなた自身だから。もちろんあなたのこと考えてる自分も好きだけれど」


< 少しだけ離れたその隙間 >





高雄「日差しが……」

愛宕「ふぁ……ねっむぅー……」

高雄「……微睡みも悪くないけど? 」

愛宕「まぁ、幸せな時間なのは確かねぇ」

高雄「…………」

愛宕「……? 」

高雄「……窓から」

愛宕「え? ……あぁ、提督と雲龍」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「んん…………優越感と自己嫌悪が同時に」

愛宕「仕方ないでしょ。大人の女なら報われない愛だって楽しめないと、ね」


< 辛きもまた幸福の >





提督「……お前辛くねぇの? 」

雲龍「どうして? 」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……まぁ、いいけど」

雲龍「そう……」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……辛くなったら慰めて」

提督「……気が向けばな。それまでは自分でするか天城か明石か…………あいつらでもいいぞ」

雲龍「別にそういうことじゃないんだけど……ま、いいわ」


< 自信なし >





高雄「四月二十四日の誕生石はクンツァイト。
石言葉は“ 直観力 ”、“ 第六感 ”、そして“ 神経質 ”、ですね」

提督「ガキのときだけど暇すぎて一人で神経衰弱やっててノーミスクリアしたことあるぞ」

明石「はぁ……凄いですね」

提督「そもそも一発目からして3/51……1/17なわけだしな」

明石「ジョーカーは使わないんですか? 」

提督「だって面倒じゃん。一発目だってスートは各四枚だから計算しやすいけどジョーカーは二枚だし」

明石「はぁ、大して変わらないでしょうが」

提督「ノーミスだと……あぁん? 」

明石「…………3の13!/51!
乗です」

提督「つまり? 」

明石「自分でやってくださいよ……」

提督「お前の方が早い」

明石「……1/53496000000000000000000000000000」

提督「……は? 」

明石「だから、5恒河沙3極4載9正6澗分の1」

提督「…………」

明石「……そもそもですね、確率のような数字を表す場合わざわざ計算する意味がーーーー」





愛宕「ちょっと待って……もしかして提督ってその意味わからない数を引き当てたの? 」

高雄「……凄まじいですね」


< 探し物はなんでしょう? >





高雄「誕生花はゼラニウム。花言葉は“ 育ちのよさ ”、“ 真の友情 ”、“ 愛情 ”、最後に“ 安楽 ”、です」

提督「また色々詰め込んでんな」

愛宕「育ちのよさ溢れる可憐な少女は真の友情と愛情の狭間で揺れていた……しかし安楽を選び、彼女は」

提督「陳腐、50点」

高雄「同じく、40点」

愛宕「相変わらず無駄に厳しいわね」





明石「…………」ペラッ

天城「春桜亭円紫、ですか。……安楽椅子探偵ですね」

雲龍「……マープルしか知らないのだけれど」


< 申し訳ありません >





提督「今日のカクテルはイタリアンサーファー……としか調べられなかったんだが」

高雄「確かそれ昨日もでしたよね」

提督「おう。……誕生カクテルってあまりメジャーじゃねぇのな。
マティーニとかのワードはメジャーだけど」

愛宕「細かいのは後から366日分当てはめたんじゃない? 」

提督「なるほど。……まぁ、イタリアンサーファーでいいや。どうせ一杯だけであとは自由だし」

明石「……使っていただけてるんですね」

提督「ん? 当然だろ」

明石「そう、ですか」

提督「あぁ」

明石「……………………ふふ」


まだいけそうですかねー
あと、連投申し訳ありませんでした……

ありがとうございました


< 標準装備 >





提督「うーん……牡牛座は6位ね」

愛宕「私は双子座だから3位ー」

高雄「進水日方式なら私も牡牛座なのね」

提督「ラッキーアイテムが髪留めってなんだよ。俺も髪留め付ければいいってのか」

高雄「占いはやはり女性向けですから。そういうこともありますよ」

愛宕「付けてみる? 」

提督「いや、いい。ピン留めくらいならいいが」






明石「わたしは蟹座ですか……7位」

雲龍「ラッキーアイテムは……ドライバー? 髪留めより持ってる可能性低いじゃない」

明石「これが何の役に立つっていうんですかね」

天城「…………どこからそれ取り出したんです」


< かけない? >





高雄「今日のお昼は親子丼です」

愛宕「鳥と卵の方ね」

提督「まぁ、魚とか変則なのはなんとか親子丼って付くしな。
親子丼っていったらやっぱ鳥と卵だよ」

天城「めんつゆも馬鹿にできないですね……美味しそうです」

雲龍「美味しくなかったら売れてないわよ」

明石「姉妹でつくる親子丼……これが姉妹丼か」

提督「お前は何を言ってるんだ」

明石「や、別に」

提督「……そもそも親子丼より前にだな」

高雄「そこ。お食事時ですからね」

提督「へーい……七味取ってくれ雲龍」

雲龍「えっ」

提督「……え? 」


< 限界への挑戦とかなんとか >





高雄「四月二十五日の誕生石はグリーンガーネット。
石言葉は“ 子供心 ”、“ 無邪気 ”、“ 純粋 ”、そして“ 洗練 ”、ですね」

提督「子供心ぉ? なんだ、幼児退行でもすればいいのか」

愛宕「幼児プレイはちょっと……」

明石「ドン引きですね」

提督「いや、ちげーから。ボケたのは俺だけど変に被せなくていいって」

高雄「……純粋な人には聞かせられませんよ、これ」

提督「まぁ、純粋な変態だっている世の中だけどな」





雲龍「……さすがに……いえ、でも私が受けなら……」

天城「姉様……お願いですから思い留まってくださいね? お願いしましたよ……? 」


< 子は鎹 >





高雄「二十五日の誕生花は鬼芥子。花言葉は“ 繁栄 ”」

提督「繁栄させちゃダメな感じの名前だな」

高雄「確かに芥子の近縁種ですが……栽培が禁止されているのはハカマオニゲシという種ですね」

提督「へぇ……まぁ、誕生花とかに危なすぎるのは選ばれないのかな」

愛宕「繁栄ねぇ……私たちの妊娠能力って現実的にはどうなの? 」

明石「研究は続けられていますよ。
もし生殖によって艦娘が殖えるなら資源の節約になりますから」

愛宕「……そう」

明石「ただですね……最近は技術的な問題というより精神的なもの。
つまり私たち自身の意志や在り方が関連しているんじゃないかと、私は思ってます」

愛宕「ふーん……ただ欲しいと思うだけじゃダメなのね」

明石「……やはり、欲しいですか? 」

愛宕「そこまでは。……でもやっぱりいつかつくれるっていう安心感は欲しいかも」

明石「そうですか」

愛宕「ええ」

明石「…………探り当てて見せますよ。いつか、必ず」

愛宕「そう。期待、してるから」


< どこからが浮気か >





提督「俺実は離婚歴あって子供も一人いるんだよ」

愛宕「へぇ……」

明石「ちゃんと慰謝料と養育費は払ってるんですよね?」

高雄「まさか逃げたりはしていませんよね? 」

提督「……いや、冗談だから。しかも俺が有責なのは確定なんだ」

愛宕「だってあなたがいるのに有責になるようなことするとかありえないでしょう?
これだけ魅力的なんだから。あなたの浮気しかないじゃない」

提督「あぁ、そう……微妙に褒められてるようで違う気がする」

愛宕「ま、仮に最悪のパターンでも構わないけど。
私はそんなことさせないし、もしすれば……」

提督「すれば? 」

愛宕「ふふ……それはそうなったときのお楽しみね」

高雄「まぁ、浮気がどうのというよりは捨てる捨てないの話ですし」

雲龍「……………………なんとも言えないわ」


< リンゴ >





提督「今日のカクテルはアップルロワイヤルだ」

明石「よっしゃぁぁぁ……! カルヴァドスの時間だぁぁぁっ」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……お前はそれでいいのか。キャラとか」

明石「……ちょっと恥ずかしかったです」

提督「だろうね。……ま、明石が好きってことでわかってるだろうがカルヴァドスとスパークリングワインのカクテルだな」

愛宕「んー……美味しいけど」

提督「ん? 」

愛宕「前も誕生カクテルでなかったかしら、アップルロワイヤル」

提督「マジ? 」

愛宕「自信ないけど」

提督「えぇ……」

愛宕「美味しいから文句はないわよ? 」

明石「そうですよぉ、美味しければ無問題ですってば」

提督「うーん……でもなぁ……もしかしてあれか? 被ってる日もあるけどワードが違うとか? 」

愛宕「そうかも」

提督「だよな……カクテルワードは“ 自分らしさを表現できる優等生 ”、だ」


数字には強くないのに変な桁は覚えているという……

ありがとうございました


< こんな日もたまには >





高雄「四月二十六日の誕生石はシトリンファントム。
石言葉は“ のんびり ”と“ 長閑な日々 ”……なのですが」

提督「うーん……あったかい」

愛宕「ひなたぼっこ、いいわねぇ」

雲龍「…………Zzz」

天城「…………Zzz」

明石「…………Zzz」

高雄「なんと平和な」

提督「いいじゃん。敵が来ないのに気張ってても疲れるだけだ。
そのときまで英気を養うとか必要だろ」

愛宕「……ねむ」

提督「寝ろ寝ろ。どうせあと二、三時間で起こすからな。精々休んどけ」

愛宕「膝」

提督「ん」

高雄「…………読書でもしてますか」


< 安心して微睡みを >





高雄「誕生花は石楠花。花言葉は“ 威厳 ”、“ 荘厳 ”、そして“ 警戒心を持て ”」

提督「持てよ? 」

高雄「はぁ、何にですか? 」

提督「俺以外の男」

高雄「持ってはいますが」

提督「本当かよ」

高雄「……心配ならあなたが目を光らせていればいいのでは」

提督「それであのときのホテルか。……ふん」

高雄「私は楽しかったので」

提督「あっそ」

雲龍「…………Zzz」

天城「…………Zzz」

明石「…………Zzz」

愛宕「…………んふ……はぁ……Zzz」


< 世界最恐の……ネズミ >





提督「今日のカクテルはエル・プレジデンテ。カクテルワードは“ 新しいことに意欲を燃やすスペシャリスト ”、だ」

高雄「スペイン語? 」

提督「おう、大統領って意味だが……メキシコのホテルで考案されたオリジナルカクテルだな」

雲龍「定冠詞が付くなんて大層な名前」

明石「例のネズミみたいなものですか。The Mouseで通じますよね」

提督「あれはな……かなりレシピにばらつきがあるが一応俺はラムとドライ・ヴェルモットにホワイトキュラソーとシロップを使ってる」

愛宕「グレナデンじゃなくてシャンパンでもいいわね」

提督「ちょっとしか使わないしな」


< それでも高鳴るこの心 >





雲龍「優しい瞳を向けるのが私だけじゃなくても、むしろ私がイレギュラーでも……」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………天城? 」

天城「…………申し訳ありません」

雲龍「……何も言ってないのだけれど」

天城「天城は姉様の助けにはなれませんから」

雲龍「……そ。私もあなたの助けにはなれないけどね」


< 熱を持ち、絡め取り、溶け合って >






提督「…………ん……ぇろ」

愛宕「……ん……ぅゆ…………るぁ……ちゅ…………っふぁ」

提督「んー……」

愛宕「…………ぁ」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………甘いなぁ、柔らかい」

愛宕「んん……」

提督「舌っていいなぁ」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……それだけで終わる? 」

提督「まさか」


< 麗しき音色とともに >





高雄「…………」

明石「…………はい、どうぞ」

高雄「はぁ…………」

明石「…………」

高雄「…………なぜ、こんな時間にチェスを? 」

明石「早朝からやるわけにも」

高雄「…………」

明石「…………」

高雄「…………e5のナイトをc4へ」

明石「はぁん……なるほど」

高雄「…………」

明石「…………」

高雄「…………」

明石「…………ショパンの夜想曲はお好きで? 」

高雄「ラフマニノフの方が……ですがご自由に」


< こんな身体に誰がした >





天城「久方振りの一人酒ですか」

天城「…………」

天城「…………」

天城「…………」

天城「…………」

天城「悪くはないのですが」

天城「…………」

天城「…………」

天城「…………」

天城「…………」

天城「…………なにか物足りないですね」


日曜とか関係なく飲みましょう
月曜とか忘れるくらい

ありがとうございました

月曜とかこなくていいのにな…ほんとに


月曜休みだやったぜ
昼から自棄酒してて意味わかんないけどやったぜ


< ぷるぷるする >





提督「……地震か」

高雄「この国からも支援隊が派遣されるようですが」

提督「そうだろうな。……震源が海底だったらさ」

高雄「はい」

提督「深海のやつらもダメージ受けたりするんだろうか。
もしくは活動が活発化して浮上してくるとか」

高雄「どうでしょう。少なくともそういう情報は見たことありませんけど」

提督「もしかしてやつらが引き起こしてたりしてな」

高雄「それは……そうではないといいですね」





明石「揺れると……揺れます? 」

愛宕「まぁ、よっぽど強ければね」


< >





明石「提督ー、ゲームってやらないんですか? 」


月曜はこなくていいと言いましたが休みなら大丈夫
本当にきてほしくないけど今回は許す


26日は本当に申し訳ありませんでした
昼以降まともな記憶がないので、
もし他所様で迷惑を掛けていればお伝えください
謝罪に向かいます


< 鳥になれ >





明石「提督ー、ゲームってやらないんですか? 」

提督「んー? やりたい? 」

明石「あるなら」

提督「待ってろ。とりあえず箱はすぐ出せる」

明石「360とかじゃないんです? 」

提督「おう。ちなみに次に出しやすいのはキューブだ。
単に倉庫に入ってる順だけど」

明石「なるほど」

提督「どうする? お空舞っちゃう? 」

明石「こっちでは海上ですしね。やりましょう」





雲龍「……私が動かす機体の方が強い」

提督「当たり前だろ、何言ってんだ」


< それがらしさってやつ >





高雄「四月二十七日の誕生石はカーネリアン。石言葉は“ 活動的 ”、“ 表現者 ”、そして“ 自分らしさ ”、ですね」





提督「そういやお前工廠で何やってんの? 」

明石「特に新しいことは。どちらかといえば私は夕張と違って理論屋ですからね。
片っ端から試すというよりは理論を9割程度固めるのを優先するので」

提督「へぇ」

明石「まぁ、最近はそれ……指輪の改良研究が主ですね」

提督「そうか。これの改良ってーと燃費の向上とかか? 」

明石「基本はそれです。ただ私としてはやはり既存の装備の強化に加えて、
まったく新しい装備を艦娘に定着させたいと思ってます」

提督「ドリルとかか? 」

明石「ドリル……? 」

提督「え、違うのか? 」

明石「……当たり前じゃないですか」


< 鬼のいる間に >





高雄「今日の誕生花は翁草。花言葉は“ プラトニックラヴ ”」

提督「…………」

高雄「……セカンド・バージニティという考え方もあるようですが」

提督「……いや、別に……うーん」

愛宕「そもそもは婚姻前の純潔主義が元でしょ?
どうせ事実婚みたいなものなんだからどうでもいいわよ」

提督「特に気にしてるわけではないけどな。
それに精神的にも、うん。満足してるし」

高雄「それでは試してみますか? プラトニックな関係」

愛宕「一週間とか? 」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「…………おーい、雲りゅ…………いや、嘘だから。冗談だっつーの」





雲龍「冗談にしなくてもいいのよ? 」


< こんなにダメな私の元へ >





提督「今日のカクテルはココナッツムーン。カクテルワードは“ 独特な感性を持つ気まぐれな女神様 ”、だ」

愛宕「女神様シリーズね」

提督「女神がそんな溢れてるわけねぇけどな」

明石「ここは違うので? 」

提督「自分で言うのかよ……女神ってより天使だから。ちょっと違う」

明石「はぁ」

提督「降りてきてくれたわけだからな。
……テキーラをベースにアドヴォカートとココナッツリキュールだ」

愛宕「天使が降りてくる程の人物だって思ってる? 」

提督「あ? その人物が凄いやつかダメなやつかは決まってないからな。
ダメなやつを助けてくれる天使だっているさ」


改めて昨夜は不快な気分にさせてしまい申し訳ありませんでした
誤って済む問題ではありませんが、
よければこれからもお願いします

ありがとうございました


< 多様なラインナップ >





提督「今シーズンの花粉は終息したらしい」

高雄「なるほど。ここはお洗濯も大して問題ない程度の花粉でしたけどね」

提督「まぁ、スギもヒノキも近くにないしな」

愛宕「私たちも花粉症じゃないし」

提督「辛いらしいけどな。……そういやマスクとかしてるの見たことない」

高雄「する必要の無い物をしろと? 」

提督「いや、マスク女子って言葉をご存知ない? 」

愛宕「してもいいけど」

提督「おう」

愛宕「できれば素の私を見てほしいかなって」

提督「……そうか」





明石「あれって単に口元隠したい女の言いわ」

天城「やめましょうよ……本当に風邪の人とかもいるんですからね」

雲龍(内容自体を否定はしないのね)


< それは羞恥か、それとも >





提督「ほあー、こんなこともあったんだな」

高雄「何見て……カメラロール? 」

提督「うん、見る? 」

高雄「是非」

提督「あぁ、はいよ。……横須賀のときのだけな。
兵学校のときより前のはバックアップの方だから」

高雄「これは……何を? 」

提督「これは無謀にも筋力を同レベルにして柔道勝負を仕掛けてきた長門ちゃんを捻った記念だな」

高雄「ちゃんって……じゃあ、これは」

提督「これは飛鷹が珍しく酔い潰れて意識朦朧とした隼鷹を残しておきたいっていうから撮った」

高雄「……これ」

提督「あぁ、龍田にチェスで勝ったら撮らせてくれた」

高雄「……楽しそうですね」

提督「色んなやつと色んなことしたしなぁ」

高雄「ただ」

提督「ん? 」

高雄「……なぜ、やたらダブルピースばかりなんでしょう。
長門さんや龍田さんなんて相当引きつった笑い方してますし」

提督「お前そりゃ」

高雄「はい」

提督「楽しいからに決まってるだろ」

高雄「…………」


< 葛城 >





提督「あ、これ……」

愛宕「どうしたの? 」

提督「いや、なんか戦線の膠着状態を打破する為とかで帝都で色々やってたじゃん? 」

高雄「それがなにか? 」

提督「言ってもいいかなぁ……」

高雄「軍機ならば構いませんが」

提督「…………桜島での実験が成功したんだとさ」

愛宕「……つまり? 」

提督「……まだ確定じゃねぇしここに来る可能性なんて低いんだからな。
絶対に天城には言うなよ。あと、できれば雲龍にも。
配属が決まってから伝えてまずは手紙とかからだな……」





明石「おっ、天城さーん。さっき、桜島に行ってた夕張から手紙がきたんですけどー」

提督「ふざけんなよぉぉぉ! 」

明石「は、はい? 」

天城「……? 」


< Roma……ですと >





提督「わかったか? まだ言うなよ」

明石「はぁ、了解です」

高雄「ん? これ他にも書いてありますよ」

提督「あぁ、まだ読み終えてないから。なんだって? 」

高雄「えーっと、はい。我が国との同盟強化確認の為、友好の証として人員の行き来が決定した、と」

愛宕「確かあっちの海に沈んだパーツの復元と、意識のサルベージに協力してたはずよね」

提督「ほーん。で、誰くんの? 」

高雄「これは……RomaとあとはLittorio……かな」

提督「え、何、Roma? 」

高雄「はぁ、私の読みが間違っていなければ」

提督「あ、そう……あぁ……Romaか……なるほど」

愛宕「なんかあるの? 」

提督「いや? なんも。……さーってお仕事始めますか」


< レッテル >





提督「俺が思うにらしさってのはただの偏見なんだよ」

明石「はぁ」

提督「もしくは自分でらしさを求める人……アスリートとか芸術家だな。
あれも一種のナルシーか周囲の目を意識しての行動なわけだ」

明石「まぁ……理解はできます」

提督「だろ? 」

明石「…………」

提督「つまりだな。俺が執務中に三輪車って呟いたのは確かだが、
それは本当に子供の頃を思い出しただけで決して風俗の記憶じゃないんだよ」

明石「……私は構わないんですよ。でもですね。私以外が問題なわけでして」

愛宕「…………ふふ」

高雄「…………ギルティ」

提督「…………助けろ」

明石「嫌です。自分でなんとかしてくださいよ。……私だっていい気分じゃないですしね」


< 感受性と想像力、そして遊び心が生む >





高雄「四月二十八日の誕生石はキンバーライト。
石言葉は“ 遊び心 ”、“ 感受性 ”、そして“ 想像力 ”、ですね」

提督「想像力の一番ありそうなのは? 」

高雄「雲龍さん」

愛宕「もち、雲龍」

明石「提督、と言いたいところでしたけどね……雲龍さんで」

雲龍「…………あなたは? 」

天城「……申し訳ありません、姉様」

提督「ま、当然だよな。そもそも初めてであれだけーー」

高雄「あれだけ? 」

提督「……なんか失言しそうだからやめとく」

愛宕「えー、気になるー」

提督「いや、でもな……なぁ? 」

雲龍「……私もちょっと興味あるのだけど。あなたがあのとき何を思っていたのか」

提督「いや……いやいやいや」





明石「あれって雲龍さんかそれとも高雄さんたちかどっちが怒りそうなこと考えてたと思います? 」

天城「…………両方」

明石「……ですね」


< 磨き上げたその姿 >





高雄「今日の誕生花は紫蘭。花言葉は“ 美しい姿 ”」

愛宕「ふふ……私のこと? 」

高雄「……あのね」





明石「じゃじゃーん! 暇だったのでつくってみましたー」

提督「あー、テーブルベンチ? 」

明石「はい! 長めにつくったので片側十人は座れますよ」

提督「座れすぎだろ……つーか、どんだけ暇だったんだよ」

明石「まぁまぁ、暇で悪いことなんてありませんし。で、これどこに置いたらいいですか? 」

提督「んー……屋上かな。丘でもいいが……面倒だしな」

明石「了解です。じゃあ、パラソル持ってください。……っしょっと」

提督「おう。…………よく考えたらお前も俺より腕力あるんだよな……うん」


< か弱いアピールに使われる >





明石「シートを掛けて終わりっと」

提督「ご苦労ご苦労。……ん」スッ

明石「ひゃっ……あぁ、ジュースですか」

提督「昼間から酒ってのもな」

明石「それなりにしてるじゃないですか。……ありがとうございます」

提督「今日はまだ執務残してるし」

明石「ですか。…………ん……はぁ、無駄に美味しいですね」

提督「暑いしなぁ。大体冷たいものは美味く感じるだろうよ」

明石「はぁ」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……普通にプルタブ開けるんだな」

明石「? 当たり前でしょう? 」

提督「いや、まぁそうなんだけど……うん」


< たまに異様に硬いのがある >





愛宕「でも、ネイルを傷付けたくなかったら開けてもらうかも」ヌッ

提督「おおう……いきなり現れるなぁ」

明石「あぁ、プルタブ持ち上げてあげてる女がいたって話ですか? 」

提督「……こいついるからちょっと話にくい」

愛宕「構わないわよ? 」

明石「ていうか私ならいいんですか」

提督「ネガティヴなイメージで言ってるんじゃないからな?
……田舎から出てきた子だったかなぁ。
精一杯都会っぽくなろうとしてるっていうか」

明石「つまり勘違い女ですか」

愛宕「ギリギリ可愛い範囲かしら」

提督「辛辣だ」

愛宕「当然」

明石「昔の女の話ですもんねー」





高雄「……あんな話をぼんやりするなんて。暑すぎて脳溶けてるんでしょうか」

雲龍「昔の女の話なら気になるでしょ。ましてや完全に勝ってる自信があるんでしょうし」


< 女は誰しも >





提督「演技で涙を流せますか? というアンケートを匿名でしてみました」



Yes……5人
No……0人



提督「……まぁ、知ってた。あいつがこれにYesと答えたのは意外だったけど」

愛宕「あいつ? 」

高雄「…………」

雲龍「…………」

天城「…………」

明石「……誰のことでしょうね」


< 自由から自由になる為には >





提督「今日のカクテルはゴールデンアップル。
カクテルワードは“ いつも心の友を求める自由人 ”、だ」

愛宕「甘いわねぇ。お菓子みたい」

提督「ベースがリンゴジュースだからな。
それにオレンジリキュールとカルヴァドス。で、レモン絞って完成」

明石「アルコールは低そうですけど……これはこれで」

提督「これカルヴァドスだから多少マシなんだぞ。
本来はブラー・ポモー・ド・ノルマンディーっていうカルヴァドスを使ったリキュールを使うんだから」

天城「提督、次ストレートでカルヴァドスを」

提督「ん。……お前も相変わらず自由人だよな。酒に関しては」



< 受け入れるということは落下を止めるということ >





提督「今日のお酒は伊勢錦です」

天城「酒米が珍しいという」

提督「まぁ、普通に買える酒だけどな」

天城「はぁ…………天城、自分が堕ちていっている自覚があります」

提督「不都合でもあるのか? 」

天城「……割り切れるものではありませんよ。
兵士とはどの時代も完全に兵器と不可分とは言えませんから」

提督「そ……」

天城「…………」

提督「…………」

天城「……あなたは不思議な方です」

提督「うん? 」

天城「いつでも、寝ているときでさえ自責に苛まれているというのに……。
あなたといるときはそれがない」

提督「…………」

天城「堕ちているのに、心地よい。これが、幸せでしょうか。それとも愉悦……? 」

提督「…………」

天城「…………」

提督「……答え、やろうか? 俺なら天城の迷いを有耶無耶にできるよ」

天城「ふふ……魅力的なお話ですがお断りしておきます。正しい答えが欲しいので」

提督「ふーん……ま、構わないけど」


< 同居、するのだろうか >





愛宕「はーい、いかわさでーす」

明石「いかわさ? 」

高雄「ちょっと……辛くない? 」

愛宕「お酒と一緒に食べればいいのよ。……タコよりイカの方が安いし? 」

雲龍「妙にこすっからいことを。お金、普通にあるでしょう」

愛宕「本当はね。単に夕食の残りでイカがあっただけ」

雲龍「そう……。主婦能力って養っておいた方がいい? 」

愛宕「えっ、知らないけど」

雲龍「まぁ、あの人もそれなりにできるものね」

愛宕「そ、そうね? 」

雲龍「…………これだけメンツが揃っていれば一人くらい何もしなくてよさそうね」ボソッ


< シートを退かして >





提督「……っ…………ぁ」

愛宕「ぢゅ……っる…………ゅあ……んん」

提督「……愛宕…………ッ」

愛宕「んんん…………………ほうはっは? 」

提督「…………とりあえず口漱いでから喋れよ」

愛宕「ん……ん……どうだった? 」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……明石に暴露たらどうしよ」

愛宕「はねたりしてないし、大丈夫じゃない? 全部零さなかったわよ? 」

提督「おう。……そんな褒めて褒めてみたいな言い方すんじゃねぇよ」


< 拉致られた >






提督「つーかさぁ、おかしくない? 俺トイレ行こうと思っただけなんだけど」

愛宕「出したでしょ? 」

提督「…………」

愛宕「提督と一緒に月が見たかったのよぉ」

提督「……随分汚い月見だな」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……キス、しましょ? 」

提督「やだよ。口漱いでこい」

愛宕「そんなぁ、いつもならしてくれるのに」

提督「そりゃベッドの流れとは違いますからね。ほら……風邪ひくから中入るぞ。
キスだってなんだってしてやるから」


GWだからって全部休みじゃないんですけどね……葛城さんはなんとか
GW中は特に飲酒中、飲酒後には気をつけたいと思います

ありがとうございました


< 考えごと中によくある >





提督「あれ……カミソリどこだっけ。……高雄ー」

高雄「はい? 」

提督「ここに置いてあったカミソリ知らない?
ジェル無くなったから取ってきたら消えてるんだけど」

高雄「はぁ、愛宕? 」

愛宕「え、私? ずっと歯磨きしてたけど? 」

提督「あれ……出してなかったかな」

高雄「かもしれ……あの」

愛宕「? はーん……」

提督「ん? 」

高雄「……どうしてジェルが無くなったんだと思います? 」

提督「そりゃ、使ったからに決まって……使った? 」

高雄「はい」

愛宕「ちゃんと剃ってるじゃない。クズ籠にもほら……ふふ」

提督「……あー、もう。…………うわぁ……この歳で呆けてきたかな」


< 今日も平和>





雲龍「そういえば祝日ね」

天城「そう、ですね」

雲龍「ここにいると毎日が休日みたいなものだけど」

天城「一応演習訓練とかありますけれど……」

雲龍「本当に最低限よね」

天城「……はい」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「……よくこんな為体なのに自分の存在意義で悩めるわね」

天城「ッ…………あくまであの人に甘えるかどうかの悩みですので。
天城が完全に兵士であると、ヒトではなくともそれに近い、兵器ではありえないという」

雲龍「ふーん……」

天城「……なんです」

雲龍「別に」

天城「……そうですか」

雲龍「ええ」

天城「…………」


< あくまでこの空間での普通 >





高雄「四月二十九日の誕生石はライトニングクリスタル。
石言葉は“ 個性的 ”と“ 恵まれた才能と資質 ”、ですね」

提督「個性的にも限度が欲しいところだよな。才能はいくらあってもいいが」

愛宕「限度ねぇ。個性って結局は周りとの誤差の受け止め方だから……。
自分にはどうしようもないと思うけど」

提督「いや、でもさすがに指摘されたら直すだろ? 」

愛宕「そう? 」

高雄「……指摘されたことがありませんので」

愛宕「……確かに高雄は“ 提督の言う ”普通だものね」

提督「含み持たせた言い方するじゃん」

愛宕「だって私も高雄とあんまり変わらないと思わない? ね? 」

高雄「……なんとも」

提督「俺は昨日の夜にまた再認識したよ。お前は普通では絶対にありえないね」

高雄「昨日? 」

提督「あっ」

高雄「? 」

提督「…………」

愛宕「…………ふふ」

高雄「……まぁ、大体察しはつきますけど。
他に確か“ 独特のセンス ”、というのもありましたね」


< 一緒に厨房に立っているような >





雲龍「ねぇ」

提督「うん? 」

雲龍「懸賞で音声吹き込める時計が当たったことあるんだけどあれって楽しいの? 」

提督「時計ィ? 楽しいっていうか好きな子の声で起きたいとかじゃないのか? 」

雲龍「なるほどね。……欲しい? 」

提督「いやぁ……いいわ。あいつらと寝てるときに一緒にそれ聴くとかなんのいじめだよ」

雲龍「そう……」

提督「つーか、その時計あるの? なんか捨てたみたいなニュアンスに聞こえたんだけど」

雲龍「欲しいなら買おうかなって。前のはそのまま天城にあげたわ。
今でも時々見るわよ」

提督「へぇ、音声吹き込んだの? 」

雲龍「ええ」





「……時間、よ。天城。今度は満足できる出来かしら……? 」

天城「…………ふふ」

明石「……そのサイズで料理のタイマーって。
もっとちいさな物つくりましょうか? あ、これでいい? ……そう、ですか。ふーん」


< 博士くんとか眼鏡ちゃんとか >





高雄「二十九日の誕生花はカンガルーポー。花言葉は“ 可能性 ”、“ 不思議 ”、そして“ 驚き ”」

提督「カンガルー? 」

高雄「はい。見た目がカンガルーの脚に似ているとか。
正式にはアニゴザントスでこれはギリシア語で“ 開いた花 ”、という意味ですね」

提督「ふーん」

愛宕「カンガルーの脚って綺麗? カモシカみたいに」

提督「どうだろう? 覚えてる限り細くはあるけど筋肉質だったような」

高雄「そもそもカモシカのような脚といいますが、あれかなり太いですからね」

提督「へぇ! おっどろきー! 」

愛宕「わおっ。高雄すっごーいっ」

高雄「……ちょっと馬鹿にしてません? 」


< 必幸届け人 >





提督「今日のカクテルはトロピカルファジーネーブル。
カクテルワードは“ 人々に歓喜を届ける才能の持ち主 ”、だ」

明石「あなたですね」

提督「うん? 」

明石「もちろん変な意味ではなく。これは割と素直な評価ですよ」

提督「そう? ありがと」

明石「まぁ、負の面を見なければ、ですが」

提督「負の面ってなんだよ」

明石「諸刃の剣みたいな? あとは麻薬とか依存性のあるものですね。そういう感じ」

提督「えぇ……」

明石「ただそれだけ魅力的ってことなので誇っていいと思いますよ? 」

提督「……この流れで誇れると思うか? つーか、誇らせる気ないだろ」

明石「や、それくらいは面の皮厚くないです? 」

提督「いや……厚くないです。たぶん」


< 育てる気、ありますか? >





雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……なんだよ。俺は背凭れじゃないんだが」

雲龍「……もう少し」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………釣り揚げた魚に餌は与えない、みたいな? 」

提督「いやいやいや……そんなクズじゃねぇよ」

雲龍「そう……? 」

提督「…………たぶん」

雲龍「…………」

提督「…………」





愛宕「気付いたら陸にある筈の釣り針に食いついていた、みたいな感じよねぇ〜 」

高雄「……ノーコメント」


< できれば軽く楽しみたい >





雲龍「私とヤりたくないの? 」

提督「」

雲龍「自分で言えるくらいには自信があるのだけど……? 」

提督「……そういうのは思っててもさぁ」

雲龍「だって……言わないと伝わらないのかと思って」

提督「や、そこまで鈍感とかじゃないし。
……お前とヤりたくないとかじゃなくてさ」

雲龍「ええ」

提督「たとえばだけど高雄と寝るとするだろ? 」

雲龍「…………」

提督「その場合はスポーツ的な楽しみ方だったり、
ドロッドロに求めたり慰め合ったり、欲しくて欲しくてしたりとかあとはまぁ……。
攻撃性の捌け口にしたり色々なタイプがあるわけだ」

雲龍「……そう」

提督「だけど雲龍とはまだドロッドロというか求められてばっかり、
というかそういう関係でしかない気がする」

雲龍「私から奉仕しろってこと? 」

提督「いや……そういうんじゃなくて。
お前が奉仕するとしてそれもさ、
嫌な言い方だけど俺と繋がりたいからその手段としてやってるわけだろ?
なんつーか……重い。重過ぎる」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……と、まぁそういうわけだよ」

雲龍「…………そう」

提督「…………」

雲龍「……難しい話ね」

提督「……難しくしてるのはお前だけどな」


< エンドレスワルツ >





提督「…………っと」

雲龍「終わった? 」

提督「むしろお前の満足待ちだよ。俺は冷飲もうかなって」

雲龍「じゃあ、私も」

提督「……そ」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………ん」スッ

雲龍「……取ってもいいのかしら? 」

提督「差し伸べられた手くらい迷わず取れ。
それで裏切られたんなら自分の見る目のなさを呪え」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……これからいつもこんな迷い方するのかしら」

提督「さぁ? 俺はもう振り切ったし。今更逃げられても追いすがるぜ? 」

雲龍「そう…………今夜は……今夜も甘えさせて、もらおうかしらね」


< 幾度目の問いか >





「…………」

「…………」

「…………硬い手」

「んぁ? ……そりゃ男の手だしな」

「…………」

「…………」

「……どうしてこんなに硬いのに柔らかいのかしら」

「……お前時々意味がわからないこと言うよな」

「そう? 」

「おう」

「…………」

「…………」

「……暖かくて、優しくて、包み込んでくれて……柔らかいの」

「…………そ」

「…………」

「…………俺さ、お前のこと捨てたりしないぜ? 」

「…………」

「……いい加減縛るために自分の身体使って心磨り減らすのやめない?
それで縛られてるのお前自身だし」

「…………」

「…………」

「…………また、朝ね。私、寝るから」

「あ? おいっ」

「………………………」

「…………」

「……………………」

「…………また、な」

「…………ええ」


頑張れるといいんですけどね……
今日からGWの人が羨ましい

ありがとうございました


< 艦娘の皆さんもSFといえばSF >





提督「うん? 本を貸してくれ? 」

天城「はい。手慰みにでもと思いまして」

提督「まぁ、貸すのはいいんだけど……どういうの読みたい? 」

天城「提督のおすすめを、是非」

提督「俺のおすすめねぇ。ミステリとSFなら? 」

天城「ミステリは古典ならば読んだことがあるのでSFを」

提督「そうか。……じゃあこれ」スッ

天城「ディファレンス・エンジン? 」

提督「そ。SF読むならそれ最初に読みな。
それ読めたら他は大体読めるし、それ読めないならSFのSFたる楽しさがわからないのと同じだから」

天城「なるほど。……ありがとうございます」

提督「ん、仲間が増えるのは嬉しいよ。また借りにこい」


< 私はここにいます。……ここ? >





高雄「四月三十日の誕生石はシリマナイトキャッツアイ。別名はファイブロライトキャッツアイ」

提督「どっちにしろキャッツアイなのに変わりはないんだな。……続けて」

高雄「はい。石言葉は“ 気さくな人 ”、“ 話し好き ”、“ 八方美人 ”、最後に“ 愛情 ”、です」

提督「うわぁ……」

愛宕「ただのクズにしか聞こえないわねぇ〜 」

明石「……一見気さくで話好きな人物。
しかし実際はただの八方美人で自らを愛してるくれる人を求めているだけなのであった」

天城「それはさすがに恣意的すぎるのでは」

雲龍「自己承認欲求の塊みたいな」

高雄「少しだけ気持ちはわかりますけどね」

提督「あん? 」

高雄「……愛してくれる人がいないと今の私は自分を見失ってしまいますから。
承認欲求というよりは……ここにいてもいいという保証が欲しいのですけれど」

提督「そ……俺が保証になるのか? 」

高雄「この上なく。……私が前を向けるのはあなたが見ていてくれるという安心があるから」

提督「ふーん……ま、お前は八方美人とかじゃないし。ちょっと違うと思うけどな」


< メサジェ >





高雄「今日の誕生花は一八。花言葉は“ 知恵 ”、“ 付き合い上手 ”、そしてーー」



コンコンコン



提督「ん? ……どうぞ」



ガチャ



「久方振りね」

提督「ッ! 」

「……提督? 」

提督「…………うっそだろおい。何の用だよ」

「あなたに会いにきた、じゃだめかしら? 」

提督「…………」

「……高雄に愛宕、久方振りね」

高雄「……はい。お久し振りです」

愛宕「あらあら……これは何が始まるのかしらぁ〜 ? 」

提督「…………」

高雄(一八の最後の花言葉は“ 使者 ”。…………悪い報せではないとよいのですが)





加賀「あれから変わりない? 」

提督「……見た通りだ。…………聞いてないぞまったく」


< 三度目の正直@軍機 >





加賀「で、要件なのだけれど」

提督「軍機とか言うんじゃねぇの? 」

加賀「言わないわ。……明石だけ連れてきてちょうだい」

提督「あ? ……高雄」

高雄「了解しました」



ガチャ、バタン



提督「…………」

加賀「…………」

提督「……明石もグルなわけ? 」

加賀「その言い方は心外だけれど……その認識は正しいです」

提督「そうか。……俺は何をすればいいんだ」

加賀「明石が来てから説明します」

提督「……そ」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………ふふ、嫌そうな顔」

提督「そんなことねぇよ。ただちょっと急に会ったから用意と準備ができてなかっただけだ」

加賀「明石は用意と準備が必要な相手なの? 」

提督「はぁ……お前のことだよ馬鹿……バ加賀」

加賀「…………つまらないことを言わないで」


< 想像つかない >





ガチャ



明石「工作艦明石、参りました! 」

提督「おう」

加賀「久方振りね」

明石「おっ? お久しぶりですー。……なるほど」

提督「…………」

加賀「…………」

明石「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

明石「…………」

提督「…………いや、どっちでもいいから要件を言えよ。俺はなんもできねぇよ」

加賀「そうね。……明石? あれはちゃんと作動したのよね? 」

明石「ええ、ばっちりですとも」

提督「あれ……指輪か。これのことも知ってんのかよ」

加賀「最終的に指輪型を推した一人だもの」

提督「へっ? お前が? 」

加賀「ええ」

提督「…………似っ合わね」

加賀「失礼な」


< お魚咥えた〜 ♪ >





加賀「私が先月ここに流れ着いた理由は想像できるかしら」

提督「あー……想像するだけなら」

加賀「聞かせて」

提督「…………あれだろ。ここの南西にある要港部でなんかあったとか」

加賀「なにか、とは」

提督「知らないけど。……まぁ、あそこの少将は確か危ない思想の持ち主に見えたし。
それの内偵でもしてたんじゃないの」

加賀「なるほど」

明石「危ない思想、ね」

提督「言っておくけど俺の感想だからな。特に意味はない」

加賀「でも概略はそんなものね。……やるじゃない」

提督「お前のことだから作戦中に魚でも追って来たのかと思ったりしたけどな。
そのときは大きな作戦行動なかったはずだし」

明石「ふふっ」

加賀「…………そんなことしません」

提督「そうか? 」

加賀「しません」

明石「……魚を追う加賀さん…………ふふぅっ」

提督「…………お前はおまえでツボがよくわかんないな」


< 理由 >





加賀がこの基地を訪れたことに驚きが無いとは言えない。

しかし、実のところ予想をしていなかったわけでもない。

不自然に運び込まれた陸軍特務機関からの物資。

そして、それと並行して行われた監査の予定を、
お世辞にも仲がいいとは言えない海軍のこちら側に通達してきたこと。

そのすぐ後に不自然な現れ方をした加賀。

おかしな点は大きく分けて二つ。

こちら側に聞こえてきた震電のエンジン音が陸軍側に聞こえない筈がない。

おそらく事前にあちらのトップにはこちらにそれが来ることを知らせていたのだ。

緊急時の訓練かなにかだと説明して。

そして、もう一つ。

本来ならば意識を取り戻して連絡を終えたのならすぐさま横須賀に帰還すべきなのだ。

それが軍機と言い張り通信室に居座りながら数日間にも渡る滞在。

それはおそらくーー



「…………横須賀との通信なんて嘘だろ? 」

「……他に何をしていたと? 」

「…………」

「…………」

「…………盗聴」

「ーーーーッ……」

「…………俺たちが少将側についていないか探っていたんだろう?
考えてみればこれは推測だが……俺を無理矢理起こして朝食をつくらせている間に取り付けたな? 」

「…………」

「…………」

「…………あっ、それつくったのわた」

「お前はちょっと黙れ」

「……はい」


< 繋ぐ者 >





加賀「…………この基地もあちらの要港部も横須賀鎮守府の隷下機関です」

提督「あぁ」

加賀「故にこの度の__少将捕縛作戦の責任は横須賀にーー」

提督「いや、待てよ。俺は確かに危ない思想のおっさんだとは思ってたぜ?
だけどさぁ……その捕縛って要するに軍法会議いきだろ? 」

加賀「私にはなんとも」

提督「それに責任が横須賀の君に……親王殿下にあるとしても現場責任は俺にあるんだろ。
少将がなにやらかしてるのかおしえろ」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………おい、いくらなんでもなにも知らずに指揮を取れなんてーー」

加賀「……国家転覆」

提督「あ? 」

加賀「……陛下の退位と…………現在の帝国軍の再編よ」

提督「ーーーー…………」

加賀「……だからたとえ相手があなたでも慎重に慎重を重ねなければならなかったの」

提督「…………」

加賀「殿下と帝都、それから陸軍参謀本部の協議の結果。
全国とシーレーン防衛部隊の指揮官クラスに調査を行いました」

提督「……陸軍にもいるのか。…………ま、俺らとあっちが共同戦線張るくらいだし、な」

加賀「……私がここに来る前に物資が届いたのもそのお陰ね。
現在横須賀と陸軍を直接的に結んでいる人物は特務所属となったあきつ丸です」

提督「あいつが、か」

提督(だから俺に通達があったんだな。……礼を言わないと)


< こんなときは飲むに限る >





加賀「作戦目標は__少将の捕縛ないし殺害。
作戦責任者はあなた。補佐には横須賀鎮守府所属、この一航戦加賀が付きます」

明石「技術面とバックアップには私が」

提督「…………」

加賀「要港部にいる敵人員は水雷戦隊を構成する駆逐級艦娘12に軽巡が2。
それから防衛が主ではあるけれど軽空母が2」

提督「……続けて」

加賀「これらの人員は既に少将やその他の思想に染まっているものと考えられます。
故に他の整備人員を含め全員の捕縛ないし殺害も目標の一つです」

提督「…………」

加賀「決行日時は三日の早朝。現時点で沿岸、内陸ともに彼らの索敵範囲です。
故にこちらは空母雲龍、天城を伴い要港部に近付き次第作戦指揮官を中心に警戒を開始」

提督「……そこまで近付かせてくれるかね」

加賀「警戒はされるでしょうけれどそれは仕方ありません。
悠長に穴掘りをしている暇などないのだから」

提督「…………」

加賀「要港部に近付いた後は……あなたの腕の見せ所ね」

提督「…………そうか」

加賀「あぁ、それと……使える人員は雲龍姉妹に加えて高雄、愛宕両名。
それから横須賀、呉から合わせて50の艦娘。陸軍特務は別に動きます。
……詳しくはこの資料に」スッ

提督「…………過剰戦力」

加賀「それだけ失敗は許されないということです。
それに……この国であのようなことを考えることがどれだけ罪深いか、ということでもある」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………酒でも飲むか。やってらんねぇよ、マジで」


< まるでそれは子供のような >





ガチャ



提督「…………」

高雄「終わりましたか? 」

加賀「ええ」

愛宕「怖い顔しちゃってまぁ」

提督「…………そうか? 」

愛宕「とっても」

提督「ん…………あとで話がある」

愛宕「はーい」

高雄「よい時間ですしそろそろ作り始めますか。今日はーー」

加賀「肉じゃが」

高雄「…………」

愛宕「…………」

加賀「…………」

提督「……を所望しているとさ」


< 上に立つ人 >





提督「そういえば」

明石「はい? 」

提督「ここの守備はどうするんだ? 陸軍側に全部任せるのか? 」

明石「あぁ、それなら横須賀からのメンバーのうちで守備隊を構成するんですよ。
もちろん全員あちらに出撃させても構いませんけど」

提督「…………人任せかよ」

明石「はぁ」

提督「…………」

明石「……あなたが任せられる立場にいるんですよ。提督」

提督「そんなことはーー」

明石「本当にわかってますか? 」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………わかりたくないね」

明石「……高雄さんも愛宕さんも沢山の人が……それから私だっています。
信用できないかもしれないですけど」

提督「や、信用はしてるよ。……問題は俺のことを俺が信用できてないだけで、さ」


< つわもの >





提督「今日のカクテルはニューヨーク。カクテルワードは“ 誠実さと技量を兼ね備えたつわもの ”、だ」

加賀「ふむ……悪くない」

提督「……はえーな、おい」

加賀「知ってる? カクテルグラスの容量はおおよそ90mlしかないのよ」

提督「知ってる? そのうち大体60mlがカクテルなの。
で、それをゆっくり飲むのが一般的スタイルなんだけど」

加賀「ふっ……」

提督「いや、なぜそこでドヤ顔なんだよ」

加賀「バーテンダー、おすすめを。つまみ付きで」

提督「……はいよ。ちょっと待ってろ」

加賀「なるべく早くお願い」

提督「…………」

提督(なんでこいつ時々日本語が通じなくなるんだろう……)





雲龍「よかったわね、仲間ができて」

天城「……不本意です、姉様」


< その手、今は取れないです >





提督「ってことで三日の朝が決戦日です」

高雄「なるほど」

愛宕「久し振りの実戦ね」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「……高雄」スッ

高雄「嫌です」バッ

提督「ッ…………そうか」

高雄「……今のあなたには抱かれたくありませんね。
プライベートでの悩みならいくらでも聞きますし、私に逃げるのも許しましょう。
ただ……仕事から、責務から逃げて女に当たり散らすような人は嫌いです」

提督「…………」

愛宕「厳しい言い方ねぇ〜。……ま、私も同意見かな。
私たちは都合のいい人形じゃないのよ? 」

提督「…………そうか。悪かったな」

高雄「はい。……あなたの命令ならどんなことでも果たしてみせますよ」

愛宕「同じくー」

提督「……………………本当、佳い女だよな」

愛宕「あったりまえじゃない。あなたがイイ男だからよ」

提督「そうか。…………俺は寝るよ。明日は早く起きないと」

高雄「私たちも。……お助けしますからね」


帝国海軍などについてはまったくの素人です
なにか誤りなどありましたら指摘をお願い致します

ありがとうございました

大分前だがフロートはマドラーよりバースプーン使うのがメジャーじゃないか?
難易度的にもだが


>>249
調べてきました
>>1がなんとなく飲んでることが暴露てしまいましたね
ティー・スプーンの一種だと思ってぼんやりしていました
ありがとうございます


< ふとした機会に疑問を >





提督「五月に入ったわけだよ」

高雄「そうですね」

提督「ガキの頃は年がら年中五月病だったんだが……どうしたこんなことになったのか」

高雄「あなたが決めた道じゃないですか」

提督「や、そうなんだけどね。……海上戦力はどれだけ使える? 」

高雄「それはそっちのファイルですね」

提督「あぁ、これね」

高雄「…………」カタカタ

提督「…………む」

高雄「…………」カタカタ

提督「…………なんでこんなことしてるんだろう」

高雄「…………それはあなたが帝国海軍軍人で曲がりなりにも指揮権を有しているからですが」

提督「そうだけどそういうことじゃ……愛宕、コーヒーくれ」

愛宕「はーい」


< 清楚と清楚系と清純と清純派の違いみたいな >





加賀「あなたそんなキャラだったかしら」

雲龍「さぁ……」

加賀「上手く言えないけれどもう少し慎みというかそういうものを備えていたと思うのだけれど」

雲龍「あなたもそうじゃないんですか」

加賀「どういう意味かしら」

雲龍「…………横須賀にいた頃は清純ところか刃みたいな人だったのに」

加賀「……私が刃だとして柄を誰かに握ってもらわなければならないでしょう? 」

雲龍「…………」

加賀「…………」

雲龍「…………平行線ですね」

加賀「そうね」





明石「……別に加賀さんに清純とかいうイメージありませんけどね」

天城「まぁ……そもそも性的なことや性別に関することにあまり縁の無い人だと思っていましたから」

明石「昨日の飲みで一瞬にして崩れ去りましたもんね。
私は大体知ってましたけど」


< 布教、とは違うか >





愛宕「天城はこういうの着ないの? 」

天城「はぁ、元々和装が多かったのでなかなか。
洋装も横須賀で姉様の見様見真似で始めたものですし」

愛宕「そう? 例えばこういうボーダーワンピースにベルト合わせてみるとか」

天城「それは愛宕さんだから似合うんですよ」

愛宕「んー……天城だってスタイルいいんだし……夏に和服とか暑くないかしら」

天城「慣れれば然程」

愛宕「でも、でもよ? じゃあ、ベルトじゃなくてグレーのカーディガンをーー」





高雄「なんでしょうアレ。そんなに無理に着せなくても」

提督「まぁ、天城も楽しそうだし。……ブランドの回し者みたいだけどな」


< 任務について >





高雄「五月一日の誕生石はアマゾナイト。
石言葉は“ 経験者 ”、“ 勝負心 ”、そして“ ナイーヴ ”」

提督「前にここにいるやつは皆割と図太いみたいな話したよな」

愛宕「そうね」

提督「あれ間違いだったわ。少なくとも俺は貧弱だった。
全く明確なビジョンが思い浮かばない」

高雄「一応横須賀では大きな失敗もなく遂行していたでしよう。
少なくとも経験不足ということはありません」

提督「まぁ……うん」

愛宕「ときには勝負することも大切よ? 」

提督「勝負して玉砕したらどうすんだよ……」

高雄「……もし、ですが」

提督「うん」

高雄「あなたがこの世に耐え切れなくなれば……終わらせて差し上げます」

提督「…………」

高雄「ただそんなことは絶対にしたくないので気合を入れ直して。
いつまでも私の理想像を壊さないでください」

提督「…………それ、結構理不尽っていうかハードル高いよ」

高雄「男には理想を求める主義なので」

提督「はっ……今までのもの全てがかかってるわけか。
ま、やってやるよ。ようは相手のことを読み切ればいいわけだしな」


< それは蕩けるような低音 >





高雄「今日の誕生花はエーデルワイス。花言葉は“ 幸福の再来 ”」

加賀「最近あなたの元に再来したものといえば」

提督「……任務、かな。幸福ではないな」

加賀「…………ふぅん」ジ-

提督「…………」

加賀「…………」ジ-

提督「……なんだよ」

加賀「他になにかあるでしょう? 手元に戻ってきたなにかが」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「……おかえり。会いたかったよ」

加賀「! 」

提督「…………」

加賀「…………」カァァ…

提督「……………………はぁ」





高雄「…………以外と……まぁ、らしいといえばらしいですけど」


< 振り切れただろうか >





提督「鉄面皮無表情女の感情引き出すって楽しい」

加賀「……なぜそれを私に言うのかしら」

提督「付き合え。昼食までの今だけが休憩なんだ」

加賀「……高雄姉妹も雲龍姉妹も、明石も表情は豊かな方だと思うけれど」

提督「雲龍は割といつも眠たげな感じだろ。
……まぁ、豊かな子は普通に一緒にいると楽しいから」

加賀「…………」

提督「……俺お前のこと好きだぜ」

加賀「知ってるわ」

提督「…………そ」

加賀「……もちろん彼女たちに及ばないことも含めて」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………謝らないぞ」

加賀「…………ええ、あなたに惹かれた私が悪いだけだもの。
せめて私に好かれたことを誇りなさい」

提督「また大きく出たな……」

加賀「事実でしょう? 」

提督「そう、だな」


< 1号とか2号とかなんとか >





雲龍「…………まぁ、私が先だけど」

加賀「なんですって? 」

提督「おい、余計なこと言うな。つうかどこから湧いて出た」

雲龍「ここは食堂で私は昼食を運んできたのだけれど」

加賀「そんなことはどうでもいいの。……あなたが、なんですって? 」

雲龍「ふふ……」

提督「…………」

加賀「…………」

雲龍「…………次のお皿持ってくるわね」スタスタ

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………行きましょうか」スッ

提督「いや、いかねぇよ……俺が悪かったから。な? 勘弁してよもう……」


< 一航戦として、先輩として >





提督「今日のカクテルはシャンゼリゼ。カクテルワードは“ 心地良い雰囲気をつくり出す朗らかな人 ”、だ」

天城「加賀さん」スッ

加賀「あら、ありがとう」

天城「いえ」

加賀「…………」

天城「…………」

加賀「…………」

天城「…………」

加賀「…………」

天城「…………」

加賀「…………」

天城「…………」

加賀「……悩みなら聞くわよ」

天城「! …………いえ、加賀さんに言う程のことでは」

加賀「……そう」

提督(まぁ、凄いやつではあるよな、うん。
能力的にも人間関係に関するのとについても……ただ)

提督「……お前ら二人いると酒とつまみの補給が間に合わないんだけど」

加賀「……そう」

提督「そう……じゃねぇよ。涼しい顔してる場合じゃないんだけど」


< 勝手に殺さないでください >





愛宕「キスをしているには長すぎるけどなにかヤるには足りない時間って何してればいいのかしら」

高雄「……早めに寝るとかでいいと思うけど」

愛宕「折角二人っきりなのに? 」

高雄「じゃあ、抱き締めてもらいなさい。寝ながら」

愛宕「それはどうせするじゃない? 」

高雄「…………」

愛宕「キスには長く、愛するには足りない、かぁ」

高雄「…………もうずっとキスでもいいと思うの。
私は鼻頭こすり合わせてるだけでも満足だけど」

愛宕「ふーん……ま、それはそれでいいけれど」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………戻ってこないわね」

愛宕「お風呂あんまり長い方じゃないのに」

高雄「溺れてたりして」

愛宕「まさか……とも言い切れないくらい今日は頭使ってたわね。……見てくるわ」

高雄「そのまま始めないように。明日も早いんだから」

愛宕「始めるって何を? 」ニヤニヤ

高雄「……早く行きなさい。溺れ死んでも知りませんよ」


方針転換というよりは春イベみたいなものですけどね

ありがとうございました


< 起床、そしてふと >





加賀「……積極的というか間合いが今までとは違っていたわね」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「……でも雲龍が詰めた距離なのね」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………取り返す、必ず。私は一航戦加賀。たとえそれが醜いと言われる戦いであっても」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「……朝食ね」


< とんだ大家族 >





提督「子供欲しい? 」

愛宕「それなりには。可愛いと思わない? 」

提督「思うけど。……俺が父親としてまともだと思うか? 」

愛宕「逆に訊くけど私たちの子供がまともだと思うの? 悪い意味ではなく」

提督「…………」

愛宕「……そもそもそれを言うなら夫としても未知数でしょ? 厳密には」

提督「……そうだな」

高雄「私たちも妻や母親としては未知数ですし」

提督「つーか母親候補が一人じゃないっておかしいよな。他人事じゃないけど」


< 色とりどりに並んだ >





愛宕「今年の水着はビスチェタイプとか露出抑えめをトレンドにするみたい」

提督「あ、そう」

愛宕「どう思う? 」

提督「いいんじゃないの? 女の子が着たいので。
アンダーショーツとかはそそるっちゃそそるけど品が足りない気がするし」

愛宕「そ」

提督「ただハイウェストは……あれはねぇわ」

愛宕「あれまともにビーチで着てたら恥ずかしいと思うの。特にこう……なんというか」

提督「スタイルのよくない子? 」

愛宕「そう」

提督「ま、流行なんて業界が決めるもんだしな。仕方ないっちゃ仕方ない」

愛宕「んー……これは? 」

提督「ヒモにセンスなくないか? それならパレオ付いててサイド隠れてる方がいいと思う」

愛宕「うーん……」





明石「あれいいんです? 水着選びとか完全に巷のカップル化してますけど」

高雄「……まぁ、休憩中ですし」

提督「高雄ー、ちょっと」

高雄「あぁ、はいはい。今行きます」


< どこに触れられても >





高雄「五月二日の誕生石はヘリオドール。石言葉は“ 温和 ”、“ 共感 ”、“ 優しい ”、そして“ 感じやすい ”」

愛宕「そういえば雲龍はどこが一番感じやすいの? 」

提督「あのさぁ……」

雲龍「どこかしら……あまりまだ自分のこと考える余裕がないから」

提督「お前もまともに反応するな」

愛宕「そ。わかったらおしえてね? 代わりにこの人の弱いところおしえてあげる」

雲龍「妙に親切? ……っていうのかしらこれ」

愛宕「なんなら今ここで」

提督「やめろ。まだ朝食すぐだし明日のこと考えろよ」

愛宕「あん、仕方ないわね……高雄? 」

高雄「…………私もあなたも大事な任務があるのは同じなのよ? 」


< 伝えよう、この気持ち >





高雄「今日の誕生花はウエスト・アイリス。花言葉は“ 優雅な心 ”、“ 愛や恋のメッセージ ”」

提督「……ラブレターでも書こうかな」

明石「面と向かって言った方が早いのに」

提督「そういう問題じゃないんだよ。……なんなら体験させてやろうか? 」

明石「え……あの、それは」

愛宕「はいはーい。私も欲しいでーす」

雲龍「私も」

加賀「……期待、しているわね」

提督「いや、あのね……複数に同時に渡すっておかしくない? 」

高雄「なにを今更」

天城「……むしろ誠意が見えるような錯覚がありますね。向き合おうとしている分」

提督「…………」


< (重巡じゃない)最上をやれよ! >





明石「きっと明日は大河ドラマ観れませんね」

提督「えっ、お前観てたの? 」

明石「ずっと観てますよ。前のもその前のも」

提督「そうか。……お前すげぇな」

明石「本当ですよ。もっと褒めてくださいよ」

提督「……今、どんな感じ? 」

明石「松陰が刑死しましたね」

提督「へぇ……そろそろ龍馬が出てくんの? 」

明石「たぶん明日に」

提督「そ。……録画しとけばいいだろ」

明石「はい。……まぁ、この機会にやめたいんですけどね」


< 部隊を代表致しまして >





扶桑「横須賀より馳せ参じました。これより提督の指揮に従います」

提督「ん、ご苦労様。食事は用意してるからこの後は皆で食べよう。
その後は仮眠取るなりなんなりどうぞ」

扶桑「了解です」

提督「うん」

扶桑「…………」

提督「…………」

扶桑「…………」

提督「……久し振りだな、扶桑」

扶桑「はい。提督はお変わりなく? 」

提督「まぁな。……そういう話は食堂でしようか。楽しいことは任務が終わってからだけど」

扶桑「そう、ですね。私、お話したいことが沢山あります」

提督「そっか。楽しみにしとくよ」


< 藪からメデューサ >





愛宕「はーい。夕食はセルフ式でーす。最初は時計回りに進んでくださいねー」





山城「久しいですね」

提督「ん」

山城「相変わらずのようだけど。大丈夫なの? 」

提督「なにが? 」

山城「言わなくてもわかるでしょうヒトデナシ」

提督「それはお前らのことだろ? 」

山城「はっ……私たちと並ぶ程度には狂っていると言っているの」

提督「そ。割と褒め言葉に聞こえるが? 」

山城「…………」

提督「…………」

山城「……扶桑姉さまをを傷付けたら許さないから」

提督「心配すんな。扶桑とはそんな関係じゃない」

山城「…………明日の任務のことを言ったのだけど? そういうことを考えたのね? そうなのね? ねぇ? 」

提督「」


< 目を光らせよう。パスタも領土も >





霧島「加賀さん、ちょっと」

加賀「今、パスタを取りに行こうとしたところなのだけれど」

霧島「……すぐ終わりますから」

加賀「そう……早くしてね」

霧島「はい。……明日の作戦のことですが」

加賀「ええ」

霧島「イタリアから観戦武官が来ると。先日呉に到着したそうです」

加賀「なんのために? そもそも最初はダメ元で同盟諸国に援軍を要請したはずだけれど」

霧島「それが、ですね。不確定情報ですが……コルシカ島はわかりますね? 」

加賀「当然」

霧島「あそこは深海勢力の橋頭堡となって久しく地中海安定の障害となっています」

加賀「…………」

霧島「それをサルデーニャ側から取り返そう、というのが彼らの思惑のようで。
そのためにこちらで観戦するようですね」

加賀「コルシカの本来の持ち主たちには無断で? 」

霧島「おそらくは」

加賀「…………」

霧島「…………」

加賀「…………巻き込まれたくないものね」

霧島「ええ。LittorioとRomaが来るようですが……。
Littorioのサルベージに協力したのは間違いだったかもしれませんね」

加賀「…………」

霧島「…………」

加賀「…………パスタ、いい? 」

霧島「あっ、はい。どうぞ」


< 軍機@自分 >





提督「へぇ……なるほどね」

霧島「同盟国である以上は無碍にすることもできませんし……面倒な話です」

提督「っても機密とかは大して…………もしかして指輪のことか? 懸念材料」

霧島「はい。艦娘という規格外の存在をさらに高める技術。
だからこそ国内でも存在を知る人間は極少数なのです」

提督「……俺に会いに来るんだろうな」

霧島「確実に。まぁ、挨拶もしないという方が不自然ではありますが」

提督「…………」

愛宕「…………外したりはできないの? 」

明石「この任務は指輪の効力を実戦で試すという意味合いもありますから。
それに愛宕さんの配置上それはなくてはならないアイテムですよ」

提督「…………」

霧島「…………まぁ、大丈夫でしょう。
失敗できない任務とはいえ普段の海上任務程の不確定要素は想定されていませんし」

提督「…………まぁ、な」

霧島「指輪の存在を知っているのはここでは司令、高雄さんに愛宕さん。
それから雲龍姉妹、加賀さん、明石さん。そして私だけです。
それ以外の人にはできるだけ隠してくださいよ」

提督「仲間すら疑え、ね。……了解。気を付けとくよ」


< 髪色とかスタイルとか >





雲龍「十七駆はあなただけなの? 」

浜風「はい。他の皆は今頃太平洋です」

雲龍「そう。……大丈夫? 」

浜風「もちろん。どんな任務でもこなしてみせます」

雲龍「……期待、しているわ」

浜風「明日はよろしくお願いしますね」





時雨「…………」

扶桑「どうしたの? 」

時雨「……いや、あの二人だけど」

扶桑「雲龍と浜風? 」

時雨「姉妹に見えないこともないな、と」

扶桑「……そうね」


< 彼女たちは不満顔 >





提督「今日のカクテルはマリブパイナップルマティーニ、だが」

愛宕「今日はお酒無し、ね」

加賀「…………」

天城「…………」

提督「……どう転んでも短期決戦だ。
作戦が終われば好きに飲み食いするのも騒いでもいい」

加賀「…………」

天城「…………」

提督「どうせなら一日か二日間を開けて祝杯といこう。
多少の無茶なら聞くし、いい酒も用意してやる」

加賀「……確かに聞いたわよ」

天城「……楽しみにしていますね」

提督「あぁ、期待してるからな」

提督(カクテルワードは“ 楽しい会話で人を集める快活な元気者 ”だったんだが……つまんない話だな、これ)


ありがとうございました


< 報酬の前に成果を >





加賀「五月三日、今日の誕生石はグリーンジルコン。
石言葉は“ 太っ腹 ”、“ 広い心 ”、“ バランス感覚”、だそうよ」

提督「……やけに太っ腹を推すな」

加賀「褒美は弾んでくれるのでしょうね? 」

提督「…………」

高雄「…………」

加賀「……? 」

提督「……お前俺の補佐だぜ? そんな功績挙げられる配置じゃないぞ」

加賀「……そうだったわね」

提督「まぁ、観戦武官とやらも来るし。
あと、討ち漏らしを出さない為の最終ラインだからな。なくてはならない戦力ではあるぜ? 」

高雄「そうですとも。…………あぁそろそろ指定の配置に到着しそうですね」

提督「そうか。……ま、呉側からの合図までとりあえず待機だな」


< 索敵、索敵、また索敵 >





高雄「……呉側も所定の位置に」

提督「おう。……車両出せ」

高雄「了解。……霧島さん」



『了解』



提督「すぐに雲龍たちにも連絡。こっからはいかに要港部の建物からやつらを出させないかだ」

高雄「そうですね。……加賀さん? 」

加賀「問題ないわ。私たちの存在には気付かれていないはず。
ただし車両隊は監視されているようね。……艦偵と艦戦が多い」

提督「だろうね。……連絡は? 」

高雄「問題なし」

提督「そうか」

高雄(誕生花はアヤメ。花言葉の一つは“ よい知らせ ”。愛宕……期待してるわよ)


< 誰を、何を信じるのか >





提督「あれ、でもちょっと待てよ? なんでお前あんなに傷付いてたんだ? 」

加賀「…………」

提督「おい。おかしいだろ。お前の偵察が成功してここまで上手くいっているとしたらどうしてあんなことになっていた」

加賀「……今、集中しているの。後にしてもらえるかしら」

提督「ふざけんなよ。おい、おいっ」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「……おい、いい加減に」

加賀「……この要港部には私たちでも少将たち反逆者でもない勢力の間諜のいる可能性があります」

提督「……は? 」

加賀「ここでの偵察は確かに上手くいったはずよ。
そうでなくては今現在の状況はありえない」

提督「…………」

加賀「……私はここでの偵察中監査という名目で滞在していたの。
それが終わった後は海上からあなたたちのいる基地へ向かう予定でした」

提督「……その途上で? 」

加賀「ええ。深海棲艦に襲われました」

提督「…………」

加賀「そのため雲龍ら海上封鎖班以外の別働隊が横須賀からきているわ。
今頃は彼女たちの足元でしょうね」

提督「……潜水艦だけで大丈夫なのか? 」

加賀「さぁ? 」

提督「ッ……おい、それは雲龍たちをっ」

加賀「なんにせよ」

提督「……あ? 」

加賀「これ以上の戦力をこちらに回せば戦線を維持できない。
加えて多すぎる戦力は少将側に気付かれてしまう恐れがある。
横須賀や呉に彼らの仲間がいないとも限らないでしょう? 」

提督「……それでも、せめて俺に」

高雄「……提督、車両が入口に到着しました」

提督「…………後で話訊くからな」

加賀「ご自由に」


< 車列の真ん中で哀を呟く >





愛宕「今のところ問題はなさそうねぇー 」

浜風「そうですね」

愛宕「それにしても、うーん……浜風って車の免許持ってたの? 」

浜風「あー……持ってることにはなってると思いますけど」

愛宕「……なるほど」

浜風「で、でも大丈夫ですよ? 事故ったりしませんからね? 安心してください」

愛宕「それはいいけど。……どうして私と浜風の他がこの二人なの? 」

扶桑「…………」

山城「…………」

浜風「さ、さぁ……」

愛宕「突破に火力が必要といってもね。……もうちょっと明るい顔できないの? 」

山城「……もともとこの顔なのよ」

扶桑「許してね? これでも陸戦は初めてで緊張しているの」

愛宕「それでも、ねぇ? 」

浜風「ははは……」

山城「……ノーテンキビッチが」ボソッ

愛宕「……なにかしら。喧嘩売ってるの? 」

扶桑「あのね、いい加減二人ともやめて。あと少しで入口に到着します。
喧嘩をする気力はせめて敵にぶつけゃやっ」

山城「あぁっ、姉さま。大丈夫ですか? 」

愛宕「……車内で立ち上がろうとするって、ちょっと」

浜風(…………貧乏クジでしたね、この役回り。
終わったら提督に甘味でも奢ってもらわなきゃ)


< オリョールよりマシ……でち >





雲龍「……気付いた? 」

天城「……はい」

雲龍「私たちの保険だと思う? 」

天城「どうでしょうか。少なくとも敵ではないようですが」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「……そもそも海上に出てくると思う? 投降の可能性が少しあるかないか程度じゃない」

天城「……正直なところあまり考えられませんね」

雲龍「そもそも要港部よりも洋側の索敵を重視させられている時点でおかしいけれど」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「……天城たちは与えられた任務をこなすだけです」

雲龍「そうね」





時雨「……雨が、降りそうだ」

春雨「この状況では遠慮したいね」

時雨「あぁ、そうだね。……こちらに回されたのは運がなかったかな」


< シミュレートについて >





高雄「そもそもなぜあのようなことを考えたのでしょうね」

提督「あ? 」

高雄「戦闘行為による問題解決は勝敗が戦術や状況の不確定性要素を含むことで成り立っています。
予め結果がわかっていれば始めようとはしないものです」

提督「思想とか理想に狂ったやつらのことなんて知らねぇよ」

高雄「……そう、ですね」

提督「ただまぁ、仮に彼らに勝算があるとすればそれはなんだ? 」

高雄「……国内同時蜂起か、あるいは別勢力の介入、でしょうか」

提督「俺もそれくらいしか考えられない。
ただ、今回はまだ蜂起の段階には至ってない」

高雄「加賀さんがいましたものね」

提督「……まぁ、あれじゃねぇの。
わかっていてもやらねばならないことがある、みたいなやつ」

高雄「…………」

提督「俺だって好きな女の子に嫌われてても告白ぐらいしてみるし」

高雄「戦争は告白と違いますけどね。……ここの艦娘も同じ考えなのでしょうか」

提督「さぁな。……できれば少将殿には全部喋ってもらいたいものだが」


< 希望的観測の観測 >





作戦目標は至ってシンプルだった。

少将以下、要港部の人員を全て無力化してしまうこと。

その要求に対して立てることのできる作戦も実は然程複雑ではない

こちらは戦力で格段に上回っているのだ

取り囲んでしまえば多少の損害を受けても大きな被害は想定しにくい

ただしここで問題になるのが横須賀や加賀の不自然な動きである

加賀は頑なに洋上への空母待機を押し通した

その理由は先程判明した通りだが……



結局のところ

幾つか不自然な部分もあるが作戦はシンプルである

複数の車両を近隣基地の指揮官である俺が乗車しているように見せかけて要港部に進入させる

この時点ではまだ敵に敵意を悟られるわけにはいかない

この車両内には主に横須賀から派遣された戦艦クラスと愛宕

それに加えて護衛の駆逐クラスも乗車している

こちらで正面と戦闘を開始した時点で裏からは呉からの部隊が侵入を始める

それをさらに外側から最も練度と確実性のある加賀が監視し、
不測の事態にはこちらが指示を出し伝達の役割も彼女が持つ

この際要港部の入江側には雲龍らの空母部隊と護衛が赴く

何ということはない

ただの消化試合であろう

強いて言えばどちらも建物を大きく破壊できないために、
肉弾戦や建物の内側から外側に向けた砲撃しかしにくいことが懸念材料ではある

相手は航空戦力と対空防衛力の低さ故に建物の屋根を吹き飛ばすわけにはいかない

加えてここで建物が倒壊してしまえば逃げる場所なく蜂の巣である

こちら側も施設を大々的に更地にするわけにいかない事情があるのだが

それらとて交戦時間がやや長時間化する程度の問題であろう



「…………始まりました」

「ん、俺にも聞こえてくるよ。色々と、ね」


< 成功! ……あれ? >





愛宕『二階の制圧終わったわ』

提督「ん。……どれだけ倒した」

愛宕『詳しいことは……ただ見た感じ後は執務室付近だけね。
軽巡二人は見当たらないし、駆逐も何人かいないと思う』

提督「そうか。引き続き頼む」

愛宕『了解でーす』

高雄「気を引き締めなさい。まだ他にもいるのでしょう? 」

愛宕『大丈夫だってば。浜風もいるし。軽空母二人はもう艦載機飛ばせないしね』

提督「よし。……まぁ、でも結構かかったな。もう昼過ぎたぜ? 」

愛宕『バリケードが多いし戦艦クラスだと動きにくいのよね。
それにこちらに損害を出さないように配置したでしょう? 』

提督「そりゃな。曲がりなりにもこの国の剣なわけだし。仲間討ちでさらに減らすわけにもいかねぇよ」

愛宕『そ。……え? 少将たちがいない? どういうこと? 』

提督「…………は? 」


< いない >





提督「あ? おい、なんだ、なにがあった」

愛宕『えーっと……はい、代わって』

扶桑『扶桑です、提督』

提督「おう。で? 」

扶桑『執務室近辺のみを残して攻略したまではよかったのですが……』

提督「少将たちがいないって? 」

扶桑『はい。指揮を取っていた形跡らしきものもありません』

提督「…………」

扶桑『…………』

提督「…………まぁ、いい。本当にいないんだな? 」

扶桑『はい。それは確かに。呉側の……伊勢もおそらくここにはいない、と』

提督「あいつもかよ。……うん、じゃあ撤収しようか」

扶桑『……了解、致しました』

提督「あぁ、あと」

扶桑『なんでしょう? 』

提督「扶桑たちの所為じゃないぞ。
仮に戦闘中に逃げられていたとしてもそれは戦場全体を監視していた加賀の責にいてぇっ……」

加賀「…………見逃しはありえないわ」

提督「……まぁ、真面目なことを言うと責任はこの命令出した俺と……。
俺に出してる横須賀に帝都、あと陸軍の特務にある。
たぶんどっかで漏れてたんだろ。それしかない」

扶桑『……ありがとうございます』

提督「気にすんな。じゃ、後でな」


< 一方こちら >





時雨「結局雨は降らなかった、か」

春雨「その方がいいでしょ? 戦いやすい視界の方が。あと服も濡れないし」

時雨「そうだね」

雲龍「……帰るわよ。帰投命令が出た」

時雨「了解。……春雨、後ろに散ってる人たちに伝えに行こうか」

春雨「りょうかいです! 」





雲龍「…………やっぱりなにもこなかったわね。いつの間にか潜水艦の気配も消えてるし」

天城「……はい。まぁ、戦う必要がなかったのです。今はそれでいいではありませんか」

雲龍「……そうね」


< まろうど ふろむ ぱすたのくに >





「結局Bersaglioは……ターゲットは見つからなかったようですね」

提督「あん? 」

「お初に御目にかかりますね、提督さん?
イタリアが誇る高速戦艦Vittorio Veneto級二番艦のLittorioです」

提督「はぁん……君が、あの」

Littorio「ふふ、どの、でしょうね」

提督「…………」

Littorio「…………? 」

提督「……とりあえずようこそ。ただ生憎ここでは持て成すものもなくてね」

Littorio「それは仕方ないわ。あくまでここは戦場であなたも私も軍人だもの。ただ……」

提督「おう」

Littorio「この国の男性がどれだけ素晴らしい持て成しをできるのか知りたいですね。
……あなたでしょう? Romaが言っていた駐在武官は」

提督「…………」

高雄「え、Romaとお知り合いなんですか? 」

提督「……まぁ、ドイツでちょっとね。……あいつは何してんの? 」

Littorio「呉側の伊勢さんという方と一緒にこちらを見聞するようね。
だから私は横須賀側に行こうというわけ。同じ場所に二人もいらないでしょう? 」

提督「……そうか。……呉との間にいる霧島に伝えろ。あと一時間以内にはここから帰るぞ」

高雄「了解です」


< あちらの処理は伊勢さんに任せました☆ >





提督「今日のカクテルはミドリミモザ。
カクテルワードは“ 出来事の状況に応じて行動できる先駆者 ”、だ」

加賀「ふむ……飲みやすいわね」

天城「そうですね」

雲龍「……程々に」





扶桑「これは……」

山城「……やはりあの男はおかしい」

時雨「いいじゃないか。二十人以上もいるんだ。集まって騒ぐのも悪くない」

春雨「むむ……この春雨私のより美味しいです」

明石「あなたですか、噂のパスタ人は」

Littorio「……それやめてくれると嬉しいのだけど」





提督「あぁ……気張って疲れたよ。寝る。寝るったら寝る」

愛宕「色々褒めたりしてほしかったんだけどぉー」

提督「無理。死ぬ。帰投中Littorioと加賀がパスタについて議論してた所為で寝れなかったんだ。勘弁してくれ」

高雄「……あなたも疲れたでしょう? 明石さんが報告書は明日でいいと言っていたので寝ましょう」

愛宕「でも食堂はどうするの? 皆まだ食べたりしてるけど」

提督「さっき霧島に任せてきた。雲龍たちもいるしなんとかなるだろ」

高雄「…………明日の朝食材が残っているといいのですが」


登場させ過ぎると意味がわからなくなるんですよね……
それで加賀さんは消えてましたし

ありがとうございました

あと気になったのは60mlのショートカクテルは温くなる前に飲んで欲しいわけよ
目安は5~8分。賞味期限的な意味でね


< エスコートが不可欠の >





提督「ひっさびさに早寝だったなぁ……それまで働きっぱにしだったし」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

Littorio「Buongiorno……海を見るのは楽しい? 」

提督「ん? まぁ、好きだよ。……あと、おはよう」

Littorio「そう。昨日の夜は残念でした」

提督「うん? 」

Littorio「ホストがいない宴会だなんて興醒めもいいところよ」

提督「あぁ、そういう……悪いな、処理に時間取られてて」

Littorio「早々に床についたようですけど? 」

提督「……今日か明日には歓迎会兼祝勝会みたいなのすると思うよ」

Littorio「そ。今回の件でハードルが上がったことをお忘れなく」

提督「はいはい。……つーか俺なんていなくても変わらないと思うぞ。
昨日も飯は美味かっただろ? 合わかったのなら仕方ないが」

Littorio「……あなたが私と同じ立場でもそれは同じだと思うわ」

提督「うん? 」

Littorio「あなたが招かれた場所に親切な……それも見目麗しい女がいるのといないのとでは大違いでしょう? 」

提督「なるほど。それは違いない」


< ランニングマシンも凶器となる >





高雄「五月四日の誕生石はファントムピラミッド。
石言葉は“ 努力家 ”と“ 健康 ”」

提督「なぜ、それっ、を、今、言うんだ、よっ」

高雄「最近デスクワークばかりでトレーニングを怠っていたでしょう? 」

提督「知る、っか、よっ。それ、なら、努力、は、してた、だろう、がっ」

高雄「……口答え」ピッ

提督「おい、ふざけんな。これ、以上、スピード、あげんなよぉぉぉ」

高雄「…………太っても知りませんよ? 」

提督「…………仕方、ねぇな」





明石「なんです、あの愉快な遊び」

愛宕「遊びというか……まぁ、玩具になっているのは確かだけど」


< 百日なんて短過ぎて >





高雄「今日の誕生花は百日草。花言葉は“ お慕いしています ”と“ 幸福 ”ですね」

提督「あぁ、愛することを許してくれてありがとうみたいな? 」

愛宕「そんなもの自分で決めてるけど? 」

提督「その割に……いや、まぁ野暮な話だけど」

高雄「まぁ、拒否されても……ええ、変わりませんけど」

愛宕「そうなっても無理矢理虜にしちゃうんだから」

提督「はっ……俺がお前に負けるとでも? 」

愛宕「今なら二対一よ? 」

高雄「あ、私もなのね」

提督「ふん。…………勝負にならねぇよ。勝負をそもそもしないって意味でな」


< 反則技 >





愛宕「私、あなたのこと嫌い」

高雄「まぁ、同じく」

愛宕「というかもう姉妹であることからして、嫌」

高雄「それは私がいいたいわね」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「……無駄に大きいだけではなく身体を使って……まったく不愉快よ」

愛宕「高雄がそれ言うの? 」





提督「……コーヒーと茶菓子持ってきたけど……なにやってんだ」

愛宕「心にもないことを言って相手がどれだけ傷付くのか遊んでたの? 」

提督「遊び……? 」

高雄「ただ汚い言葉を使うのもなにか違いますし、なかなかダメージを与えられないものですね。
むしろそれを思ってないということなので」

提督「はーん……愛宕」

愛宕「なぁに? 」

提督「俺も一回だけ参加していい? 」

愛宕「いいわよ? 」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……俺、お前のこと大好きだよ、愛してる」

愛宕「」

高雄「うわぁ……これは」


< 嘘を吐くという嘘、みたいな >





提督「いや、冗談だから……マジで、な? 」

愛宕「…………」

提督「なぁ、マジでごめんって。ちょっと悪ノリしすぎたんだってば」

愛宕「…………」

提督「……本当だから。…………許してくれよ」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………ふふ」

提督「……うん? 」

愛宕「…………こんなに」

提督「なんだって? 」

愛宕「こんなに傷付けるのね」

提督「はぁ? 」

愛宕「……ちょっとショックというかびっくりしちゃった。
お遊びだってわかってたのに」

提督「…………」

愛宕「私も好きよ? 思わず傷付いちゃうくらいには」


< イチゴのショートでも最後に >





提督「今日のカクテルはカーディナル。
カクテルワードは“ 優雅でシンプルかつ個性的な人 ”、だ」

Littorio「今日もダメなの? 」

提督「あぁ、悪いな。今日の主役は皆なんだ。戦った皆のな」

Littorio「ふーん……Littorioも戦えばよかったのでしょうか? 」

提督「……そういうわけにもいかないだろうが。
ただ立食パーティではあるけど今日は俺もいるぞ」

Littorio「そ。でも今夜はあまりあなたには近寄らないわ」

提督「あん? 」

Littorio「Littorio、デザートは最後に残しておくタイプなの。できれば一口で、ね」

提督「……そうか」

Littorio「カクテルだけ、貰っておきますね」


< 鬼のいる間で >





提督「ご苦労様」

扶桑「提督……私の力、役に立ったでしょうか」

提督「それはもう」

扶桑「そうですか……よかった」

提督「相変わらず自信ないのな」

扶桑「私は良くも悪くも戦艦扶桑ですから」

提督「そうか。……ま、扶桑のそういうところ好きだよ」

扶桑「ふふ、私なんかにそんなことを囁いてもよろしいのですか? 」

提督「本当のことを言って怒られる筋合いはないさ、誰からも、ね」

扶桑「…………」

提督「…………」

扶桑「…………」

提督「…………」

扶桑「……なぜ、私は私なのでしょうね」

提督「さぁ……? それがよかったんだと思わなきゃ」


< 待たせてください >





扶桑「…………」

提督「…………」

扶桑「…………」

提督「…………」

扶桑「……私、ずるいんです」

提督「うん? 」

扶桑「数字だけ見ればそこまで劣る存在じゃないことはわかっているのです」

提督「あぁ」

扶桑「でも……怖いから。もし、また“ 扶桑 ”のようになってしまうことがあったら」

提督「…………」

扶桑「……だから全部抑えて、私には何かをする資格なんてないんだって。
そうやって逃げてるんです」

提督「…………」

扶桑「…………」

提督「…………」

扶桑「…………」

提督「…………カクテルでも持ってくるよ」

扶桑「はい。お待ちしております。……………………いつまでも」


< 姉と妹 >





山城「……満足ですか? 」

扶桑「……山城」

山城「…………」

扶桑「…………」

山城「……姉さま」

扶桑「また、来てくれるって仰ったのよ」

山城「…………」

扶桑「…………」

山城「…………」

扶桑「……ちいさな事に拘って縋り付くような女は醜いかしら? 」

山城「…………そうかもしれませんね」

扶桑「そう……」

山城「…………」

扶桑「…………」

山城「……姉さまはお美しいですよ。それだけは保証します」

扶桑「そう。…………もっと別の保証が欲しかったわ、なによりも」


< 少しでいいんだ、少しで >





時雨「提督」

提督「ん? あぁ、時雨か」

時雨「酷いじゃないか。僕のところには来てくれないのかい? 」

提督「や、そういうわけじゃねぇよ」

時雨「本当かい? 」

提督「……あぁ」

時雨「…………」

提督「…………」

時雨「……僕にもなにかおくれよ。それで許してあげる」

提督「……なんでもいいか? 」

時雨「美味しいのを頼むよ」

提督「そ」

時雨「…………」

提督「…………」

時雨「…………」

提督「…………」

時雨「……響を思い出す香りだね」

提督「あぁ、ウォッカと日本酒のカクテルだからな。……ちょっと辛めだぞ」

時雨「馬鹿にしないでもらえるかな。……ん…………うん、悪くない」

提督「…………悪いな。この後約束があるんだ」

時雨「うん。ここにあるものは飲んでもいいのかい? 」

提督「あぁ」

時雨「春雨たちにも飲ませてあげようかな。つくり方は覚えたし」

提督「…………じゃ」

時雨「…………」

提督「…………あぁ、そうだ」

時雨「どうしたの? 僕といてくれる気にでもなった? 」

提督「…………そのカクテルの名前だが」

時雨「うん」

提督「……露時雨、だ」

時雨「そうか。…………あぁ、ますます君と一緒にいたくなってしまうよ」

提督「…………そ」


< 一方あの人は >





霧島「あのですね……加賀さん? 」

加賀「なに? 」

霧島「まずいですよ。……ここ基地の倉庫ですよね? 」

加賀「そうね。それが? 」

霧島「怒られますよ? 勝手にお酒出してきたりして」

加賀「そうかしらね」

霧島「そうですって」

加賀「…………」

霧島「…………」

加賀「…………」

霧島「…………」

加賀「……獺祭があるわね」

霧島「ちょ、加賀さぁん……」


< その赤、綺麗だね >





提督「お待たせ」

扶桑「もう来ないのかと」

提督「そんなこと。少し、遅れただけだろう? 」

扶桑「それだけでも不安になってしまうものですよ、女というのは」

提督「扶桑だけかも」

扶桑「ふふ……そうかもしれません」

提督「うん……はい」

扶桑「……ありがとう」

提督「…………」

扶桑「…………ん」

提督「…………」

扶桑「…………」

提督「……どうかな」

扶桑「……あなたの味がします。もう酔ってしまいそう」

提督「うん? そんな弱くないだろ」

扶桑「…………あなたといるとお酒の味もわからなく」

提督「…………」

扶桑「…………」

提督「……ハイビスカスってカクテルなんだよ、それ」

扶桑「まぁ…………」

提督「な? “ 扶桑 ”でよかったこともあるだろ? 」

扶桑「…………そう、ですね、ええ。そうかもしれません」

提督「…………」

扶桑「…………」

提督「…………」

扶桑「…………ふふ」


< 嫉妬は愛の欠片 >





Littorio「どうしてあれが“ 理由 ”になるの? 」

高雄「盗み聞きとは趣味が悪い。山城さんでさえ離れているといいのに」

Littorio「聞こえてしまったのよ。偶然、ね」

高雄「……彼女の名前は扶桑」

Littorio「ええ」

高雄「ハイビスカスはこの国では扶桑花というのです」

Littorio「へぇ……」

高雄「……自信と卑屈。それを上手く使い分けられないのが彼女ですから」

Littorio「だから特別扱いしていると? 」

高雄「そういうわけではありませんが」

Littorio「理由なんてないんですよ? 男が女に優しくすることに。もちろん逆も」

高雄「そんなことは」

Littorio「知っている? どう考えてもまともな思考をできていないみたいだけど? 」

高雄「…………」

Littorio「ふふ……まだまだ、ね」

高雄「……酔っているだけです」

Littorio「そう? 」

高雄「…………」

Littorio「…………明日が楽しみね、はふ。……Vino、ワインをいただけますか? 」


< それはまず間違いなく、きっと >




ガチャ、バタン





愛宕「おかえりなさい? 」

提督「おう」

愛宕「今日は帰ってこないかと」

提督「そんなわけあるか」

愛宕「そう? 」

提督「つーか誰とだよ。まずありえないだろ」

愛宕「扶桑とか? 後半はべったりだったけど? 」

提督「……よく見てんな」

愛宕「ついつい目で追っちゃう相手がいるから」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……後悔しかしなさそうだったからな」

愛宕「どっちが? 」

提督「さぁ? ま、どっちもかもしれないし、俺の勘違いかもしれないけど」


当然飲んだことのないカクテルも出てきますしね……
一応調べてはいますが変なことがあれば指摘をお願いします
もちろん他の部分でも引き続き

ありがとうございました


< 当てろ! >





愛宕「今日はこどもの日ね」

提督「おう」

愛宕「だから、ね? 」ギュッ

提督「……色々突っ込みたいことはあるがこどもの日は子供をつくる日じゃねぇぞ」

愛宕「えー、そうなの? 」

提督「当たり前だろ、ばっかじゃねぇの」

愛宕「でもぉ、スクスク育ってほしいって日でしょ? 」

提督「こじ付けすぎだろ……ていうかさ」

愛宕「うん」

提督「そもそもほぼ毎日つくるようなことできるだろ。
わざわざ日を指定されるまでもなく」

愛宕「あー……確かに」

提督「できるようになったとしてその日にできそうで怖いよ、俺は」

愛宕「ふーん……」

提督「…………」

愛宕「一発必中ね☆ 」

提督「やめろ」


<優雅に優美に >





高雄「五月五日の誕生石はレッドコーラル。
石言葉は“ 希望 ”、“ 指導力 ”、そして“ 向上心 ”、です」

Littorio「へぇ……真紅の珊瑚なのね」

高雄「……一応血赤珊瑚とも言います」

Littorio「ふーん……美味しそう」

高雄「はぁ」

Littorio「食べてみたくならない? 滑らかで、肉の色をしてて。きっと濃い味ね」

高雄「私にはなんとも」

Littorio「そ。……あぁ、いい時間ね。Littorio、着替えてきます」

高雄「はぁ。着替えなんて持ってきてるんですか? 」

Littorio「いつどんなパーティに呼ばれるかわかりませんし。
……それにLittorioは女、ですから」

高雄「…………」

Littorio「それでは高雄。また後で、会いましょうね」


< 口の端が僅かに >





高雄「今日の誕生花は花菖蒲。花言葉は“ 勇気 ”と“ 嬉しい知らせ ”、ですね」

提督「嬉しい知らせねぇ……まぁ、悪い知らせがないだけいいのかもしれないが」

高雄「そうですよ。便りのないのは、とも言いますし」

提督「あぁ。……暫くはゆるゆるいきたいなぁ」

高雄「働いたの三日だけですよ。いくらなんでも軟弱すぎませんか」

提督「いいのいいの。慰めてくれるもんね」

高雄「はぁ」

提督「常に甘えてられるならそれに越したことはないよ。
軟弱は軟弱なりの生き方をしたい」

高雄「……そうですか」

提督「お前がいるからこんなこと言えるんだぜ? 」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……そう、ですか」


< クイーンズに捧ぐこの身 >





提督「今日のカクテルはヒーリングトニックだ。
カクテルワードは“ No.1を目指す誇り高き海賊女帝 ”」

愛宕「……女帝? 」

提督「女帝」

愛宕「なにそれ」

提督「なんだろう……こうボンデージとか着てそう」

愛宕「うーん……まぁ、間違ってはないかな」

提督「ボンデージってスタイルよくないとダメだよな。
あれを着て様になるなら女王様名乗っても許せる」

愛宕「そうね。おっぱい大きくないとダメ、足も長くないとダメ、ダメばっかり」

提督「……実はある」

愛宕「……へぇ」





高雄「いやいやいや……誇り高さとかどこいったのよ」

明石「No.1ではあるんじゃないです? 」

天城「……そういう問題じゃないと思いますけれど」


< 品定め、そして>





雲龍「どこか行くの? 」

提督「ん、あぁ……約束がね」

雲龍「そう……」

提督「あぁ」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………襟、直してあげる」

提督「ありがと」


< 顔を逸らして、顰めて、溜息を >





コンコンコン



Littorio「ん、どうぞ? 」



ガチャ



提督「御迎えに上がりましたよ、signorina? 」

Littorio「ご苦労さま、私のGentiluomo」

提督「私の? 」

Littorio「Littorioの。今夜一晩くらいは夢を見させてくれるのではなくて? 」

提督「…………」

Littorio「…………腕を」スッ

提督「…………仕方ないな」ギュッ

Littorio「ふふ……悪くないですね」ギュッ


< 結婚式場の未婚チームのような >





雲龍「…………」

加賀「…………」

扶桑「…………」





明石「なんです? あの妙に殺気の溢れてる席は」

天城「……Littorioさんが」

明石「はぁん……なるほど」

天城「……彼女の国では普通のことなのでしょうけれど」

明石「かっちり極めた提督カッコ良かったですもんねぇ。
ただしエスコートしてたのはぽっと出のイタリア女でしたけど」

天城「さすがというべきかなんというべきか……あの方もフォーマルとカジュアルの絶妙な間を」

明石「狙ってるんですかね、あれ」

天城「そんな顔してますね。…………はぁ」





雲龍「…………」

加賀「…………」

扶桑「…………」

山城「…………」

山城(…………不幸だわ)


< あぁ、どうしてあなたはロミオなの? >





浜風「提督……カッコいい」

時雨「そうだね」

浜風「……私も、駆逐でなければ」

時雨「彼はそういう差別をしない人だよ」

浜風「そうだけど、でも」

時雨「……仕方ないさ」

浜風「…………」

時雨「…………」

浜風「…………」

時雨「……彼が僕や浜風に真っ先に盛るような男ならそこまでの想いを持てたかな? 」

浜風「…………」

時雨「…………」

浜風「…………」

時雨「…………仕方ないさ。彼はそういう区別のできる、できてしまう男だからね」


< 燃えるのは心か、それとも >





愛宕「フォーマルドレスかぁ」

高雄「グレープカラーの五分袖。……私ならまぁ」

愛宕「そうね。私の髪色だと……明るい紫ならなんとかなるかな」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………気に入らないわね」

愛宕「人種……とは違う気もするけど差別? 」

高雄「……否定はできないかもしれません」

愛宕「……そ」

高雄「…………」

愛宕「…………きっとそれって劣等感からくる感情なのよ。
この国の人間らしくなってきたじゃない」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「……気に入らないわね。私も、あなたも、あの女も……あの人も」

愛宕「……そ」


< 誰が為の >





提督「どうぞ」スッ

Littorio「ありがとう。……嫌がらせ? 」

提督「はて……なにぶん島国の田舎者なのでね」

Littorio「へぇ……でもLittorioはトマトが好きなので許します」

提督「俺は嫌いだが」

Littorio「そう。……ブラッディ・メアリのカクテルワードをご存知? 」

提督「…………」

Littorio「……“ 私の心は燃えている ”、よ」グイッ

提督「……肩に手をかけるな。耳に息を吹きかけるな」

Littorio「ふふ……耳、弱いの? 」

提督「…………」

Littorio「…………ん、美味し」

提督「…………もう一つのカクテルワード知ってるか? 」

Littorio「んーん、おしえて? 」

提督「……“ 断固として勝つ ”、だよ。油断のならないsignorina」

Littorio「あらあら……なにか勝負、していたかしらね」


< Romaとはいったい…… >





Littorio「あなた、なにをそんなに警戒しているの? 」

提督「不自然に近付いてくる女に無警戒でいろと? 」

Littorio「気に入った男を手に入れたいと思うのは間違ったことかしら? 」

提督「はっ……どこを気に入ったのかな。
軍機を容易く引き出せる、与しやすい男とでも思ったか」

Littorio「酷いですね……単純に興味が湧いただけなのに」

提督「だってお前Romaの姉だろう? 」

Littorio「そうですけど」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「…………」

Littorio「…………? 」

提督「…………あっ、やっぱお前なにも考えてないかもな」

Littorio「えっ……」


< 細めた瞳、尖らせた唇、なぞる舌先 >





提督「まぁ、いいや。戯言は置いておいてだな」

Littorio「ええ」

提督「……なぜここにいる? そもそも何故来た? そのまま横須賀か帝都行けよ」

Littorio「だからあなたに興味が湧いたのです」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「……Littorioの意味は元々ラテン語のLictor。権力の象徴を意味するものだろ? 」

Littorio「いいえ、それは恣意的過ぎます。
公の権力や、結束が原義です。その発言と意志を容認することはできませんね。
Littorioは自分の名に誇りを持っていますから」

提督「あぁ、ごめんな。……どうしてもそっちの政府や軍部がちらつくってことだ」

Littorio「つまりLittorioがSpia……間諜の類いだと? 」

提督「当たり前だろ? 」

Littorio「…………」

提督「…………」

Littorio「…………指輪、とか? 」

提督「! 」

Littorio「…………Littorioをただの狗扱いしないでもらえますか? 」


< 手玉に >





提督「…………よく気付いたな」

Littorio「もちろん。後生大事に胸元を気にしていたもの」

提督「…………そうか。嬉しいやら悲しいやら」

Littorio「幸せ者よ、あなた」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「……でもどうして指輪が軍事的なものだと? ただの贈り物かもしれない」

Littorio「知ってたもの」

提督「……は? 」

Littorio「Littorioは元からあの指輪の効力を知っていました」

提督「…………いやいや……え? 」

Littorio「あまり言えることはないのですけれど。
そうね、細かいことを除いて大まかなものだけ説明すると……。
我がイタリア政府はその技術の一部譲渡を条件にRoma、Littorioの無期限派遣を決定するでしょう」

提督「…………」

Littorio「驚きました? でもなんの気兼ねなくLittorioを使ってもいいのですよ。
それが戦場であれ、寝室であれね」

提督「…………」

Littorio「…………ふふ」

提督「…………完全に茶番だな、おい」

Littorio「Littorioは楽しかったわ。高雄やあなたが腹の探り合いをしに来るの」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「…………お前佳い女だけどさ」

Littorio「ええ」

提督「…………嫌な女だな」

Littorio「ふふ…………心外です、提督? 」


< 一矢、報いましょうかね >





提督「で? この後どうすんの? もうなんか全部嫌になったんだけど」

Littorio「Littorioと遊んでみない? 」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「…………」

Littorio「…………怖気付いたのなら」

提督「愛宕ー、高雄ー、ちょっと来てくれ」

Littorio「うん? 」





愛宕「なぁに? 」

高雄「…………」

提督「トランプやるぞ、トランプ」

愛宕「えっ」

高雄「と、トランプ? 」

提督「おう。客人がどうやら遊びたいらしいからな」

Littorio「いや、あの、そういう意味じゃ」

提督「さて、まずは小手調べ。バカラでも始めますか」

愛宕「はぁん……」チラッ

高雄「……なるほど」チラッ

Littorio「むっ……そんな眼でLittorioを見たこと、後悔させて差し上げます」


ありがとうございました


< 婚姻届なんてただの紙ですから >





雲龍「重婚罪を犯すと二年以下の懲役が科されるんですって」

提督「お、おう……」

愛宕「何を今更って話よねぇ〜 」

雲龍「これは私のところで二年は再教育が必要だと思うの」

提督「いや、その場合教育されたがるのお前じゃねぇか」

雲龍「まぁ……そうかも」

高雄「そもそも重婚罪が保護する法益は一夫一婦制であってですね。
事実婚の重複はあくまで罪には問われないんですよ」

提督「へぇ……よく知ってるね」

高雄「調べましたので」

提督「うん? 」

高雄「……一応刑法にも則りたいじゃないですか。
禁止されていてもやめたかどうかは怪しいですけれど」

愛宕「まぁ、倫理なんてどこかに忘れてきてるしね」

雲龍「それは最初から持ってないだけでしょ」

提督「……お前が言うんじゃねぇよ。間違いではないけどさ」


< 気に入り >





高雄「五月六日の誕生石はアイドクレース。
石言葉は“ 純粋 ”、“ 清潔 ”、“ 素直 ”、そして“ 清らか ”、です」

Littorio「愉快な言葉ばかり並んでいますね」

高雄「そうですか? 私からすれば自分との乖離を自覚する言葉なのだけれど」

Littorio「それは高雄が純粋だからそう思えるってことですよ。
Littorioにはそんなことを思う清らかさは残っていませんから」

高雄「…………」

Littorio「ま、高雄が身体的な意味で清らかなのかどうかは……わからないけれど? 」

高雄「……あなたはどうなのです」

Littorio「さぁ? それを知ることができる人はここでは彼しかいません。
昨日はあなたたちに邪魔されてしまったけれど」

高雄「あれは提督から拒否したように見えましたが? 」

Littorio「きっと恥ずかしがり屋さんなのね、彼」

高雄「…………」

Littorio「…………」

高雄「……あなたと話していると疲れますよ、Littorio」

Littorio「そう? 私は楽しいです。高雄」


< 美しきを如何に知るか >





高雄「今日の誕生花は紫羅欄花。花言葉は“ 変わらぬ美 ”」

提督「今日も綺麗だね」

高雄「……ありがとう、ございます」

提督「まぁ、努力あってのことだからね。
むしろ感謝させてほしいよ。毎日目の保養になる」

高雄「それが目的ですから」

提督「そ」

高雄「はい」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……今日ってなんか予定あったっけ? 」

高雄「……いえ、急ぎの案件はありませんね」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………いい? 」

高雄「…………隣の部屋にLittorioが……いえ、もちろん構いませんよ」


< ヒトを越えたか、出来損ないか >





私は人外だ

膂力はヒトの限界を容易く凌駕し、身体の修復は瞬時に傷を失わせる

それでも、私はやはり人間をモデルにした存在なのだ

戦場に立つときにはもちろんそれは邪魔な雑念でしかない

世界は、砲弾は、敵は躊躇を見過ごしてはくれない



「……ぁ…………ゃぁ……っ……! 」



しかしそれも陸では、彼の元ではなんの意味も持たない

彼の前では私は一人の女

ヒトでもなく、人外のヒトデナシでもない

ただただ彼を貪り、その対価に自らを捧げる

そんな低俗で、はした無く、それでいて私の尊厳が最も輝くそれ



「…………__さん……あなたが、いて、よかっーー」

「……ん…………言葉なんて、いらないだろ? 」

「……………………はい」



語る言葉なんて、いらない

高め合う駆け引きも、蕩かせ合う愛撫だって本当は、いらない

すぐにでも距離を埋めたい、溶け合いたい、生命の水を享けたい



「……………………」

「……………………」



私がヒトでもヒトデナシでもなくなるそんな時間

それは何物にも変え難く、そして、得難い


< カラフルなそれを身に纏い >





Littorio「今日は立夏だそうです」

愛宕「そうなの? 」

Littorio「ええ。……立夏とはなんですか? 」

愛宕「あぁ、知らないのね。
……一応太陽の黄経が45度のときって決まってるんだけど……。
ま、暦でいう夏の始まりみたいなものね」

Littorio「なるほど」

愛宕「ええ。……夏なのねぇ」

Littorio「この国は暑い? 」

愛宕「そうね。あんまり快適とはいえない期間があるわ」

Littorio「服を脱いでも、ですか? 」

愛宕「脱ぐよりTシャツ一枚の方が涼しいのよ?
でも……水着デーは何度かあったわ」

Littorio「水着……Littorio持ってきていません」

愛宕「買いなさいよ。そのときまでいるかは知らないけど」

Littorio「んん……そうね。彼の好みおしえてくれる? 」

愛宕「どうしようかしら、ね」

Littorio「自分に自信がないのかしら? 」

愛宕「そんなわけ。……これは高雄は苦手でしょうね、あなた」

Littorio「……そ。で、おしえてくれないんですか? 」


< 絡む >





雲龍「人間っていうのは」

天城「はい」

雲龍「備え持った人間性を捧げて削りながら堕ちていくと思うのよね」

天城「はぁ」

雲龍「でも私たちって元々ヒトデナシでしょう?
堕ちていく自覚はあるけれど一体何を無くして、どこへ行こうというのかしら」

天城「…………」

雲龍「……それとも堕ちているのではなく元からこの程度の存在なのか」

天城「…………」

雲龍「……この身でありながらできることって結局はヒトと殆ど変わらないのに」

天城「…………」

雲龍「…………」

明石「あぁ! なにお昼終わったばかりなのにこんな空けてるんですか。
もしかして自棄酒かなんかですかぁ? 」

天城「…………余計なことを」

明石「はい? 」

雲龍「……明石ぃ……あの人の部屋に行ったらね、高雄の声がね、あのね」

明石「あー、はいはい……それで瞬間的に飲みまくってアルコール回ってる、と」

天城「…………折角相槌だけでなんとかしていたのに」


< 演者であり、楽器でもあり >





提督「今日のカクテルはパリジャン。
カクテルワードは“ 自分らしさを奏でる魅力的な人 ”、だ」

愛宕「久々に高雄を奏でた感想はどう? 」

高雄「…………」

提督「素晴らしかったがなにか? 」

愛宕「あ、あぁ、そう……」

高雄「…………」

提督「ていうかお前どこ行ってたわけ? なんか気付いたらいなかったし」

愛宕「普通にLittorioとお話してたけど? 」

提督「Littorioか……」

愛宕「結構楽しかったわよ。パスタのレシピおしえてもらったり」

提督「へぇ……」

愛宕「まぁ、それはいいのよ。……さっきから黙ってるけどどうしたの? 」

高雄「…………あぁ」

愛宕「? 」

高雄「……久々なので体力の配分を間違えました」

愛宕「あー……そういう」

高雄「…………眠い」


< せんすいくうぼ >





提督「明石は? なんか勢いでアップルカーつくっちゃったんだけど」

愛宕「霧島とテレビ」

提督「あん? あいつらの好みってそんな似通ってたか? 」

愛宕「伊400」

提督「あっ。あー……あれ、今やってるんだ」

愛宕「もう目がキラッキラだったわよ」

提督「へぇ……あいつも好きだね、ああいうの」

天城「と言ってもいつも録画したものを観てますよ、明石さん」

提督「そうなの? 」

天城「はい。梶浦? だか梶原? だか音楽がどうのと」

提督「あぁ……ああいうのも好きそうだわ、あいつ」

天城「はぁ」





明石「…………」

霧島「…………」

霧島(格納筒が出てきて騒いだと思ったら今度は黙ってる…………完全にただのガキですね)


< 私を啼かせること、できますか? >





提督(あれ? まてよ……Littorioが指輪のことを知っているのはいい。
でもイタリア政府は誰から、もしくはどこから知ったんだ?
この国の思惑でいいんだろうか)





提督「なぁ」

Littorio「なに? 」

提督「どうして指輪のことを知ってたんだ? 」

Littorio「さぁ? どうしてでしょう? 」

提督「Littorio……巫山戯てるわけじゃないんだ」

Littorio「それをおしえたとしてLittorioに対価はあるのかしら? 」

提督「…………」

Littorio「あぁ……でも、そうね。ベッドで訊いてくれれば答えるかも」

提督「はぁ」

Littorio「……嫌? 」

提督「……いや、まぁ嬉しくなくはないけどね。
何か聞き出す為に女と寝るのはなんか嫌だ」

Littorio「そ。……怖がりなのですね」

提督「はぁ……誠実と言ってもらいたいね」


< 湯けむり慕情 >





扶桑「そろそろ横須賀への帰還命令が出る頃かしら」

山城「そうでしょうね」

扶桑「ふぅ……いい休暇になったわ」

山城「ええ。……あの男と任務は余計でしたけど」

扶桑「……お風呂っていいわねぇ」

山城「ええ、姉さまの普段とは違う姿も見れたり」

扶桑「…………私、応えられないわよよ」

山城「はい。わかっていますよ」

扶桑「…………」

山城「…………」

扶桑「…………」

山城「…………」

扶桑「……山城、あなたに応えてあげられれば二人とも幸せだったのかもしれないわね」

山城「いえ……私は今でも十分幸せですよ、姉さま」

扶桑「そう……」

山城「はい」


< 匂いたつような >





提督「ん? こんな時間に風呂入ったのか? 」

扶桑「ええ。私も山城も長風呂なので自然と夕食の後になってしまうんです」

提督「そうか。……飲んでく? 」

扶桑「いただけるなら」

提督「待ってて。……酒盗は大丈夫? 」

扶桑「日本酒と合いますよね、酒盗」

提督「おう、じゃあここにいて」スタスタ

扶桑「はい」

扶桑「…………」

扶桑「…………」

扶桑「…………」

扶桑「…………」

時雨「扶桑? 」

扶桑「あら……どうしたの? 」

時雨「春雨たちとトランプでもしようかと思ってね。提督に借りにきたんだ」

扶桑「そう」

時雨「…………」

扶桑「…………」

時雨「……凄い女の顔をしていたよ、さっきまでね」

扶桑「」


気付いたら晴嵐のプロジェクトXみたいなことになってますね……

ありがとうございました


< 5/10 >





愛宕「そろそろ母の日ね」

提督「んー……うん」

愛宕「なにか贈るの? 」

提督「酒とマロングラッセ」

愛宕「また? 」

提督「それがいいって言うんだから仕方ない」

愛宕「お酒は提督のお母様だからいいとしてマロングラッセ? 」

提督「アルコール混ぜたマロングラッセがあるんだよ。
最近はずっとあれだな」

愛宕「ふーん……それもう一箱頼める? 」

提督「いいよ。まぁ、母さんのはもう頼んじゃってるから別にだけど」

愛宕「そう。……味覚がずれてないといいわねぇー」

提督「うん? ……まぁ、いい意味でも悪い意味でも俺の親だからな。大丈夫だろ」


< それは魅惑の赤い山 >





高雄「五月七日の誕生石はホワイトゴールド。
石言葉は“ 向上心 ”、“ 使命感 ”、そして“ 無邪気 ”、ですね」

提督「無邪気? 」

時雨「あぁ」

春雨「? 」

浜風「…………」

提督「いや、実際酒飲めるし俺より強いしね。
そもそもこの世に降り立った順番でいえば天城の方が歳下だったりするし? 」

高雄「……なんの言い訳ですか」

提督「いやぁ……ねぇ? 」

高雄「はぁ」

時雨「僕が成長した姿、見てみたいかい? 」

提督「あぁ、すげぇ見たい。……まぁ、その前に課題山積だけど」

時雨「とりあえずはこの赤い山かな」

提督「おう。好きなだけ食え」





春雨「美味しいね」

浜風「……そうね」

春雨「……でもこんなにいらないかも」

浜風「…………そうね」


< 甘い甘い甘い >





高雄「今日の誕生花はイチゴですね」

提督「へぇ……だからか。美味しいね」

明石「誕生花だからってこのイチゴの山……なんなんですかね」

提督「まぁ、いいだろ。美味いし」

明石「そうですね」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

高雄「…………花言葉は“ 先見 ”、“ 誘惑 ”、“ 甘い香り ”、そして“ 尊重と愛情 ”、です」

愛宕「黙々とイチゴの山と格闘する姿とかちょっと見れない光景よね」


< きょにゅうしこう >





Littorio「あなたって」

提督「おう」

Littorio「Maceo Philia……メイシオフィリアなの? 」

提督「め、めいし……なんだって? 」

Littorio「そうね……こ・れ・がちょっと病的に好きな人のことです」タプン

提督「あ、フィリアね……フィリア。……別におっぱいがないとダメってわけじゃないよ」

Littorio「そうなの? 」

提督「あぁ」

Littorio「……高雄、愛宕、雲龍、天城、それから明石。他にも……うーん」

提督「や、偶然だよ、うん」

Littorio「あぁ、あとLittorioも結構あると思いません? 」

提督「……まぁ、見た感じは」

Littorio「でしょ? 」タユン


< 愛欲の果てに >





扶桑「そもそもphiliaというのは古代ギリシアの四つの愛の一つなのだけれどね」

明石「はぁ」

扶桑「元々は自己投影や相手との関係性を広範に表す言葉だったのに」

明石「でもエメトフィリアやファルフォフィリアだって愛や嫌悪の関係の仕方だと思いますよ」

扶桑「そうね。……ただ一般的に忌避される言葉に見えるから」

明石「まぁ……そうでしょうかね」

扶桑「ここですらそうでしょう?
横須賀にいた頃から倫理的には外れていたけれど倒錯はしていなかったもの」

明石「あー……高雄さんと愛宕さんはそうでしょうね」

扶桑「……? 」

明石「…………」

扶桑「…………」

明石「……雲龍さんに訊いてみるといいですよ、はい」

扶桑「…………遠慮しておくわ」

明石「それが賢明かもしれませんね」

扶桑(……シンパシーを感じたなんて言えないものね、ええ)


< 真紅、分けていただけませんか? >





提督「ふぁぁぁ……おっぱいに溺れたいぃ……」

高雄「唐突に何を馬鹿な」

提督「こうね、突如として湧き上がる抑え難い欲望というかさ」

高雄「はぁ」

提督「あー……ふっかふかベッドが恋しいー……でも執務終わらないですぅー」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……唇も柔らかいよね」

高雄「…………はい」


< コントラクト >




扶桑「はい、終わり」

雲龍「…………」

天城「…………」

山城「では、そちらのグラスをイッキで」

雲龍「んんっ…………うぅん。頭ぐわんぐわんする」

天城「姉様大丈夫ですか? 」

雲龍「なんとか。……あなたたち運が低いって本当? 」

扶桑「本当よ。……ブリッジの運要素程度なら戦術で覆せるだけ」

山城「まぁ、大富豪やポーカーでも普通に勝てますよ。
単にここぞという場面でバーストしたりするだけで」

天城「それは致命的なんじゃ……」

雲龍「あぁぁぁ…………よし。次は勝つわ」

扶桑「まだやるの? 」

雲龍「勝ち逃げは許さない。次で身ぐるみ剥いでやるわ」

天城「そんなゲームじゃ……まぁ、美味しいお酒が飲めれば天城はいいです」


< ケダモノアワー >





高雄「ん……ぅ……やぁ……ゅる…………っはぁ……貪りすぎ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……ごめん」

高雄「……嫌ではないです」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……疑問なんですけど」

提督「うん」

高雄「雲龍さんだとかLittorioだとか……見目麗しい方に迫られてもよく我慢できてますね」

提督「えぇ……俺のことケダモノがなんかだと思ってない? 」

高雄「割と。というか雲龍さんには押し負けましたよね」

提督「……まぁ、辛いときはあるよ? 」

高雄「へぇ……」

提督「ただそれって周期的なものなんだよね。
今日は高雄をいじめたいとか明日は愛宕を乗せたいみたいな」

高雄「…………」

提督「それに自制すれば御褒美くれる人がいるし」

高雄「……そう、ですか」

提督「だって……そうでしょ? 」

高雄「……そう、ですね。はぁ」


< 乗らずとも >





提督「今日のカクテルはカンパリソーダ。
カクテルワードは“ 流行を読み取る感覚に長けた達人 ”、だ」

愛宕「流行ねぇ……流行」

提督「おう。流行だ」

愛宕「それって人間の世の流行よね。私たちもそれと同じでいいのかしら」

提督「なーに、無駄にネガってるんだよ。そんなんどうでもいいだろ」

愛宕「そう? 」

提督「あぁ」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……ていうか流行なんて追わなくても、な? 」

愛宕「そうね」


< 一万年と二千年前から♪ >





愛宕「愛してる」

提督「うん」

愛宕「愛してるの」

提督「うん。……でもお前生まれるどころか建造もされてないじゃん」

愛宕「愛してるんだから」

提督「いや、だからね」

愛宕「愛してるのよ? 」

提督「……そうだね、ありがとう」

愛宕「♪ 」


< 一億と二千年あとも♪ >





提督「愛してる」

愛宕「そ」

提督「あぁ」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……そんなになっても一緒にいられるといいなぁ」

提督「そうだね」

愛宕「でもさすがにお婆ちゃんかな、私も」

提督「俺も爺さんだよ、そのときは」

愛宕「そうね」

提督「あぁ」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……ねぇ」

提督「ん? 」

愛宕「好き」

提督「あぁ……知ってる」

愛宕「本当に? 」

提督「あぁ」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………大好き」

提督「あぁ……知ってる」


LittorioとかRomaとか葛城とかいないですねぇ
誰か書いてくれると嬉しいです、はい

ありがとうございました


< マニア >





高雄「五月八日の誕生石はエメラルドキャッツアイ。
石言葉は“ マニア ”、“ 変わり者 ”、そして“ 集中力 ”、ですね」

Littorio「マニア、とは? フィリアとは違うのですか? 」

高雄「えーっと……はい」チラッ

提督「あぁ? 」

Littorio「なんですか? 」

提督「あー……まぁ、たぶん性的な愛かそうでない愛かの差じゃねぇかな」

Littorio「でもLittorioこの国のインターネットで見ましたよ? 」

提督「あ? なにを」

Littorio「なんだか全体的にピンクな感じで、巨乳マニ」

提督「やめろ」

高雄「……まぁ、間違ってはないんじゃないですか? ね? 」

提督「…………」


< 腹の中を見せろ! >





高雄「今日の誕生花は睡蓮。
花言葉は“ 純潔 ”、“ 清浄 ”、“ 甘美 ”、“ 信仰 ”、そして“ 純粋な心 ”」

提督「また盛ってんな、おい」

愛宕「純潔? 」

提督「おう」

愛宕「清浄? 」

提督「おう」

愛宕「甘美、は……うん。間違ってないか」

提督「いや、他のも間違ってないからな? な? 」

高雄「……ノーコメント」

春雨「甘美と他の二つの差はなんですか? 」





時雨「……あれは純粋な心が所以だと思うかい? 」

浜風「さぁ……ある種信仰に値するのは確かね。黒くても白くても」


< この身体、捧げます >





提督「今日のカクテルはシンガポールスリング。
カクテルワードは“ 身を任せることができる者を求めるロマンティスト ”、だ」

愛宕「最近そんな人、増えてない? 」

提督「そうかな」

愛宕「だって、ねぇ? 」

提督「…………」

高雄「Littorioはどういう扱いなのか」

愛宕「あれって結局は振り回す私を許してってことでしょう? 私は同じだと思うわよ」

提督「…………」

高雄「そう……そうね」

愛宕「ま、ロマンティストかどうかはわからないけど、ね」


< 男の恥? >





加賀「据え膳食わぬは」

提督「いや、あのさ」

加賀「私、間違っているかしら? 」

提督「……男だって色々選びたいんだよ。
場所とか雰囲気とか相手とか」

加賀「私では不服? 」

提督「そうじゃねぇけど」

加賀「贅沢者」

提督「……否定はしない」

加賀「…………」

提督「……自分で口説いた女脱がす方が楽しいもん。
勝手に脱ぐ女はちょっと……」

加賀「……我儘すぎないかしら」

提督「あぁ。だから否定はしないよ。我儘も贅沢も」


< 信頼と、 >





提督「ていうかね。女心と秋の空って言葉あるじゃん。
女の子の移り気が許されて男の心持ちが責められるのはおかしいと思う」

加賀「あなたの心も秋の空程広いのなら許すわ」

提督「……そんなの」

加賀「無理だと思う? 」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「……嫌々な感じで抱かれて嬉しい? 」

加賀「あなたがそういうことしないって知ってるもの」

提督「…………」

加賀「……まぁ、嬉しいとは思うわ。一つ、進んだってことだから」

提督「……そう」

加賀「ええ」


< 幸運か、戦術か >





時雨「それ、チャレンジ」

浜風「……仕方ないわね」

春雨「時雨ちゃんチャレンジ当たるねぇ〜 」

時雨「偶然さ。そうしないと困る状況に追い込まれているということでもある」

浜風「……私だけ17枚もあるんだけど」

春雨「仕方ないよ。……ブルーの3を二枚」

時雨「じゃあ僕は3を四枚でウノ、ウノストップ、と」

浜風「…………」

春雨「…………」

時雨「…………」

浜風「……トランプにでも変えましょう」

春雨「……だね」

時雨「……うん? 」


なんか妙な時間ですが、はい

ありがとうございました


< 黒真珠の方が安い >





高雄「五月九日の誕生石はブラックパール。
石言葉は“ 信頼”、“ 公平な立場 ”、そして“ 客観的 ”、です」

提督「パイレーツな感じ? 」

高雄「それはブラックパール号」

提督「じゃあ、競走馬とか? 」

高雄「や、それ確かそのまんまの名前じゃないですか」

提督「んー、レミー・マルタン? 」

高雄「えーっとそれは……ブラックパール・ルイXIII? 」

提督「正解」

愛宕「なぁにそれ」

提督「たっかい酒。ルイはフランス国王のルイさんだな」

愛宕「へぇ……」

高雄「安くても七桁はいく高級コニャックですよ」

愛宕「ふーん……飲んだことは? 」

提督「ない。あるわけない」

愛宕「そ。覚えとくわね」

提督「ん」

高雄(高いものだと五百万はするのだけど……買えないこともないわね)


< 美しき形 >





高雄「今日の誕生花はクレマチス。
花言葉は“ 美しい ”、“ 高潔 ”、“ 心の美 ”」

提督「美しい……」

愛宕「そうね」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……早く拭いたら? それ」

提督「……そうだな」





高雄(綺麗に零れたコーヒーですね……まるでスカンディナヴィア半島みたいな形の)


< 今日というなんでもない特別 >





提督「今日のカクテルはスプモーニ。
カクテルワードは“ 自然とシンクロできる自由人 "、だ」

扶桑「甘い、ですね」

提督「おう。グレープフルーツジュース多めにしてあるからな」

扶桑「なるほど」

提督「炭酸が苦手ならトニックウォーター使わないようにするけど」

扶桑「いえ、大丈夫ですよ。それに……それはまた別のカクテルでしょう? 」

提督「うん。カンパリグレープフルーツだね」

扶桑「……折角今日という日を生きているのですから。一杯しっかり飲んであげないと」

提督「そうか。……俺も飲むかな」

扶桑「…………」

提督「…………」

扶桑「…………」

提督「…………」


< 一人で飲んだギムレット♪ >





明石「うーん……眠い」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………」

明石「……まだ寝たい気分じゃないんだけど、んん」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………飲んでもまったく眼、覚めない。はぁ……提督とお話でもしよっかな」


< 赤霧島と彼女 >





提督「赤い服とか着ないの? 」

霧島「……さすがに安直過ぎ」

提督「酔ってるからね」

霧島「はぁ。……持ってはいますよ。横須賀ですけど」

提督「俺見たことないんだけど」

霧島「あなたの前では着たことないですからね」

提督「そう」

霧島「はい」

提督「…………」

霧島「…………」

提督「…………」

霧島「…………」

提督「……ストレートでいい? 結構甘いけど」

霧島「いいですよ。お酒の甘さ好きですし」


< 終電、だね >





明石「目当てのオトコを見つけたらつまらないギャグを飛ばしていたのですが」

提督「あ? 」

明石「……大丈夫ですか? 変なこと言われてません? 」

霧島「大丈夫。この人まだそんなに酔ってませんし」

明石「はぁ。酔ったフリをして、ですか。たち悪いですねぇ」

霧島「ははは……」

提督「いや、何言ってんだよ。酔ってるのは酔ってるって、うん」

明石「そうやって部屋に連れ込んでいくんですね。
酔わせて、自分はイイカンジにほろ酔いで」

提督「…………」

明石「…………」

霧島「…………」

提督「…………」

明石「……いや、そこ否定してくれないと困るんですけど」

提督「えっ、あ、そうだな。うん」

霧島「…………」

明石「…………」

提督「……なんだよこいつら。なんで俺が責められてるんだよ」

霧島「…………仕方ないでしょう。自業自得」


確かに酔った勢いがないと飲めない頼めないものもありますね

ありがとうございました


< 我がことのように、そして手放しでの >





高雄「五月十日の誕生石はターコイズ。
石言葉は“ 前向き ”、“ 夢をみる ”、それから“ 創造性 ”」

提督「マーシャル諸島近海まで追撃した打撃群が無事帰還、と」

加賀「当然よ。赤城さんがいるもの」

提督「そうだな」

加賀「ええ。赤城さんにとっては当然のことなのですけれどね」

提督「おう」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「……お前本当に赤城のこと好きだな」

加賀「尊敬に値する僚友に好意を持つことがそんなにおかしいことかしら? 」

提督「いや…………まぁ、俺も好きだしな、うん。わかるよ」

加賀「ええ」


< そんなもの必要ない >





高雄「今日の誕生花は赤いカーネーション。母の日ですね」

提督「俺が贈ったのは酒とマロングラッセだけどな」

高雄「提督のお母様がお好きならいいでしょう。
なにも定型だけが贈り物ではありません」

提督「ま、そうかな」

高雄「……花言葉は“ 清らかな慕情 ”と“ 純粋な愛 ”です」

愛宕「お母さん好き? 」

提督「ん、好きだよ。変な意味じゃなくね」

高雄(いつになくまともな話)

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「…………まともな話をするとオチがねぇな」


< せめて髪色とかを >





提督「あとあれだな。今日は世界的に見ても色んなことがあった日だぞ。特にWW2関連で」

高雄「はぁ、例えば」

提督「黄作戦開始とかチャーチル首相就任とか」

愛宕「あっ、今日イエローよ? 」

提督「……何が? 」

愛宕「うふっ」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………確かめてくるか」

愛宕「そ」

高雄「いやいやいや……どうしてそうなるんです」


< トランプかな? >





明石「お願いしますよー」

提督「いや、卑怯じゃん、それ」

明石「でもこのままだと雲龍さん一人勝ちですよ? 天城さんは暫く戻ってこないし」

提督「いやでもねぇ……」

明石「手を組みましたよね? ね? それなのに積極的に協力はしないと? 」

提督「そりゃお前手を組むのと協力するのは別物だよ。
戦時中の第三帝国とこの国の関係ぐらい違う」

明石「そ、それでも技術供与くらいは」

提督「はぁ……仕方ねぇな」スッ

明石「あっ……なるほど」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」



ガチャ、バタン



雲龍「ごめんなさいね。席を外してしまって」

提督「別に」

明石「はい。しっかりお話できましたからね」

雲龍「? そう……」


< こう、伸びをしましてね? >





愛宕『んー……肩凝っちゃったわねぇー……』

提督『…………』

愛宕『うん? 』

提督『……いや、なんでもないが』

愛宕『……ふふ』



提督「こうやって男の視線をわかっててやって、なおかつイイ微笑み方するのが愛宕」



高雄『ん……ちょっと根を詰め過ぎたかしら……』

提督『…………』

高雄『…………』

提督『うん? 』

高雄『……あとでなら、いくらでもいいですから』



提督「こういう風にわからないけどすぐに気付いて誘ってくるのが高雄だな」

雲龍「へぇ……あなたがすることは最初から最後まで変わらないのに。不思議ね」

提督「そこはまぁ……男の子だから」


< 噛み締めるその味は >





提督「今日のカクテルはカシスグレフル・マティーニ。
カクテルワードは“ 新境地を切り拓く驚異的な開拓者 ”、だ」

明石「開拓? 切り拓く? 」

提督「うん? 」

明石「つまりヤリチ」

提督「おいっ、やめろふざけんな」

明石「は、はぁ」

時雨「…………」

春雨「…………」

浜風「…………」

提督「ほらぁ……なんか妙な雰囲気になったじゃん」

明石「……でも本当のことですよね? 」

提督「いや、俺相手は選んでるからな? 」

明石「本当ですかね……」





時雨「……僕たちからすると露骨に選ばれてる気はするね」

浜風「取捨選択の“ 捨 ”だけれど」

春雨「仕方ないよ。うん、仕方ない。私の所為じゃないんだから……」


< 霧島山からやってきた >





提督「今日は奄美黒糖焼酎の日らしいぞ」

霧島「はぁ」

提督「飲もうぜ」

霧島「まぁ、いいですよ」

提督「おう。……結構辛口だけど大丈夫? 」

霧島「大丈夫です」

提督「いやー、鹿児島っていいね。沢山酒とか美味しいものがあってさ」

霧島「どこの地域も大なり小なりあると思いますよ」

提督「そうか? 」

霧島「ええ」

提督「……よし。つまみはビターチョコと黒糖だ。親子飲みとかいうらしいな」

霧島「美味しそうですね。甘い香りと合わさって」

霧島(もしかしてこれ名前だけで呼ばれてるの……? まぁ、いいんだけど……なんだか複雑ですね)


< その間になにが >





加賀「なにやら甘い香り」ヌッ

提督「出たな。化け物」

加賀「グラスはあります」

提督「あ、そう……霧島、注いでやって」

霧島「はい……どうぞ」

加賀「ありがとう」

提督「…………」

霧島「…………」

加賀「…………」

提督「…………」

霧島「…………」

加賀「…………」

提督「……つまみ追加するわ」

霧島「それがよいかと」


< 確かめた >





提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……そういやイエローじゃなかった」

愛宕「だってお風呂入って着替えちゃったもの」

提督「あぁ、なるほど」

愛宕「うん」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……もう一回」

愛宕「ん……今日は早いわね」

提督「そ」


< つーとっぷ >





加賀「ん……? 提督がいませんね」

天城「……天城が来たときには既にいませんでしたけれど」

加賀「そう……霧島は? 」

天城「先程姉様と部屋に戻られました」

加賀「…………」

天城「…………」

加賀「……泥酔しているわけでもないのに気付くと面子が変わっていることってない? 」

天城「ありますね」

加賀「…………」

天城「…………」

加賀「…………」

天城「…………」

加賀「……あなた、まだ飲めるかしら? 」

天城「もちろんです。お注ぎ、しますね」


< 甲斐甲斐しく世話を焼く >





高雄「ん……c2のクイーンをg6へ」

扶桑「…………山城」

山城「はい、姉さま」スッ

扶桑「……ありがとう」

山城「いえ」

高雄「…………」

扶桑「…………」

高雄「…………」

扶桑「…………」

高雄「…………近くありません? 」

扶桑「そう? いつものことよ」

高雄「……そうですか」

扶桑「ええ」





山城「…………姉さま、頑張って」


< いつも一緒 >





扶桑「でも……あなたは彼のところにいなくていいの? 」

高雄「ええ、最近は私と愛宕のどちらか一人といるのが好きなようで」

扶桑「そう」

高雄「はい」

扶桑「…………」

高雄「…………」

扶桑「……寂しくならない? 」

高雄「正直に言えば」

扶桑「…………」

高雄「ただ別に拒まれているわけではないですしね。
品の無い話ですが次に抱かれたときの気分も変わります」

扶桑「……そうなの」

高雄「山城さんでも同じことは……ないでしょうね」

扶桑「ええ。……まぁ、いないと不安になるのも確かなのだけれど」


< どこがどう >





愛宕「んー……ヒリヒリする」

提督「……今、何時? 」

愛宕「えーっと……マルサンマルマル少し前」

提督「そうか。そりゃヒリヒリもするわ」

愛宕「そうねぇ……痛くない? 」

提督「痛い。腰抜けそう」

愛宕「ふふ……腎虚になりそうとか? 」

提督「勘弁してくれ」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………なっても謝らないぞーっ」グイッ

提督「ッ…………勘弁してくれよ。マジで、さっ」


< 執着の軌跡 >





扶桑「…………Zzz」

高雄「…………Zzz」

山城「…………姉さまも高雄もこんな時間まで盤面ばかり気にして」

扶桑「…………Zzz」

高雄「…………Zzz」

扶桑「……ん…………Zzz」

高雄「…………ぁ……Zzz」

山城「……まぁ、だからこそ私の好きな姉さまなのでしょうけどね」


< 反省……とかでもないか >





天城「あぁ……もう、起床の時間ですね」

加賀「そうね」

天城「黒糖焼酎、悪くなかったですね」

加賀「ええ」

天城「…………」

加賀「…………」

天城「…………」

加賀「……あなたと飲むのも悪くないわ」

天城「そう、ですか」

加賀「ええ」

天城「…………」

加賀「…………」

天城「……でも、なぜいつの間にかWW2のドキュメンタリーを観ているのでしょうか」

加賀「さぁ……どうしてかしらね」


< 新しい朝をともに >





提督「…………」

愛宕「…………Zzz」

提督「…………」

愛宕「……ぁ…………Zzz」

提督「…………」

愛宕「…………んん……Zzz」

提督「…………」

愛宕「…………Zzz」

提督「…………どうしてこんなに愛しいんだろうね? 」ナデナデ

愛宕「ふふ…………Zzz」


ありがとうございました


< 日の出に臨む >





時雨「やぁ、早いね提督」

提督「んー……まぁな…………っふー……」

時雨「…………」

提督「…………」

時雨「…………」

提督「…………」

時雨「……うん、悪くない匂いだ」

提督「そうか? ……酒はまだいいけどこいつはなぁ……」

時雨「僕には早い? 」

提督「いいや? 俺より身体強いんだしいいんじゃないの。
単に俺の偏見で不健全に見えるってだけ」

時雨「そう」

提督「あぁ…………スー……」

時雨「…………」

提督「…………」

時雨「…………眩しいね」

提督「あぁ……」

時雨「…………」

提督「…………眠い」

時雨「……そうだね」


< 彼女らしさとは一体 >





高雄「五月十一日の誕生石はレースアゲート。
石言葉は“ 向上心”、“ 行動力 ”、そして“ 好奇心 ”」

提督「好奇心といえば」

愛宕「うん」

提督「いつだったか加賀と赤城のどちらが大食いか検証しようとしたことがある」

高雄「はぁ。それで、どちらが? 」

提督「わからん」

高雄「はい? 」

提督「好きなだけ食えと言ったら何を血迷ったのか空母組全員呼びやがってな」

愛宕「はぁん」

提督「追い返すわけにもいかねぇから全員で食べてたら、
いつの間にか酒が入ってなにがなにやらわからなくなってたんだよ」

高雄「……まぁ、らしいといえは」

愛宕「らしいわねぇ」





加賀「おそらく勝者は赤城さんでした」

扶桑「そ、そう」

扶桑(この人の中では多く食べた方を“ 勝者 ”とみなしているのね。
……まぁ、本当にらしいといえばらしいような)


< あなたも周りからはそう見られてますよ >





高雄「今日の誕生花はリンゴ。花言葉は“ 選ばれた恋 ”と“ 誘惑 ”」

提督「この金髪誘惑ばっかしてきやがる」

愛宕「だってぇ、選ばれた恋ですものぉ」

提督「節度を守れ、節度を」

愛宕「そんなものいらないわよぉ。
男と女の間には布切れでも言葉でもなく愛だけがあればそれでいいの」

提督「いや、服装は時には君に代わって物を言うという言葉もあってだな。
伝え合うなにかもときには大事とかなんとか」

愛宕「あなたが考えるのはそそる服かどうかってことでしょ? 」

提督「ーーーー」

愛宕「……? 」

提督「……小首傾げてるんじゃねぇよ。絶句してんだよ」

愛宕「んふっ? 」

提督「可愛いなぁ、おい」

愛宕「あなたもカッコいいわぁ」

高雄(あぁ……時々なぜこの恋を選んだのかわからなくなりますよ、私は)


< 原初の男と >





高雄「やはりキリスト教の影響なのでしょうか」

Littorio「リンゴが、ですか? 」

高雄「ええ。リンゴと誘惑、とくればね。Littorioはそういうのは? 」

Littorio「ないですね。そもそもLittorioの存在そのものが主や御子の教義に反していますもの」

高雄「なるほど」

Littorio「ただ」

高雄「ただ? 」

Littorio「Adamo……初めの男がどんな男だったかは気になります。
Littorioの肋を捧げてもよい程の男なのかね」

高雄「……女が男の肋からつくられたのでは? 」

Littorio「聖書は男がつくったものよ? 女の功績や良さを削っているかもしれないわ」

高雄「…………」

Littorio「ま、原初の男は幼稚だったそうですし。
Littorioは現代の男の方が好きだと思うわけど」

高雄「……そう、ですか」


< 猫ちゃんを飼う >





提督「今日のカクテルはラズール・オレンジ。
カクテルワードは“ 人や動物の面倒をよくみる貴公子 ”、だ」

愛宕「動物飼ってたことある? 」

提督「ちいさい頃に猫をな。学生の頃は金魚がいたけどいなくなっちまった」

高雄「あぁ、ご友人に食べられたとかいう」

提督「そう、それ」

愛宕「猫かぁ。提督は猫派なの? 」

提督「んー……まぁ、強いていえばね。犬も同じくらい好きだよ」

愛宕「そう。……将来猫ちゃん飼うのもいいわねぇ」

提督「あぁ」

愛宕「まぁ、今のところは」

提督「うん」

愛宕「私が猫ちゃんだけどね☆ 」

提督「おい」

愛宕「あっ、それは猫を飼っても同じかぁ」

提督「…………」

高雄「いやいやいや……」


< いつまでも交わらぬ >





雲龍「貴公子、か」

天城「風采の優れた男、というのは認めましょう」

雲龍「ええ」

天城「ただし、上品な人物というものには当てはまらないと思います」

雲龍「そうかしら」

天城「はい」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「……如何な品のある人物でも性愛については限界があると思うけど? 」

天城「……いくらなんでも放埒過ぎると思います」

雲龍「そう……」

天城「はい」

雲龍「……でもね」

天城「…………」

雲龍「元からヒトたり得ない。彼らから見れば逸脱した存在の私たちは。
いえ、私たちから見て彼は特異点なのよ」

天城「…………」

雲龍「それを品やつまらない物差しではかるのはきっと意味のないことなの」

天城「…………それでも、それを認めては、天城は」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………嫌になるわね」

天城「…………そうですね」


< 暖かな氷は存在できるだろうか >





提督「っ……」

高雄「ふぁ…………ん……ゅる……っーー」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……口冷たい」

高雄「……二人で溶かそうとか言い出したから」

提督「まぁ、ね」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……まだある? 」

高雄「……さぁ? 確かめてみますか? 」

提督「ふっ、望むところだ、よ」

高雄「んぁ……ん」


< ふとしたときに調べたりなんかしたり >





愛宕「明日はお酒も食事も豪華よ? 」

雲龍「そうなの? 」

愛宕「ええ、高雄の進水……誕生日だから」

雲龍「あぁ……なにも用意してない」

愛宕「いいわよそんなの。気持ちだけでもくれるなら喜ぶわ」

雲龍「そう……」

愛宕「ま、私は当然として……あの人もなにか用意してるでしょうし」

雲龍「…………」

愛宕「羨ましい? 」

雲龍「……ええ」

愛宕「いつ? 」

雲龍「……九月二十五日」

愛宕「そう。……きっと知ってるわよ、あの人」

雲龍「…………そうだと、いいわね」


< 一方こんな人も >





加賀「いいことを聞きました」

山城「は、はぁ」

加賀「さすがに気分が高揚します」

山城「……? 」

加賀「明日は……明日は宴です」

山城「……それいつもでは」

加賀「違うわ。明日はきっと比べものにならないくらいの、ええ」

山城「……はぁ」

加賀「楽しみね」

山城「……そうですね」


< さぁ、準備の準備を始めなくては>





提督「そういえば明日だな」

高雄「……もう、今日ですよ」

提督「あっ……」

高雄「…………」

提督「……おめでとう? 」

高雄「ありがとう? 」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……今日は早く寝ないと。愛宕と約束があるんだ」

高雄「ふふ……適度に疲れましたしね」

提督「あぁ。……またあとで」

高雄「はい、また」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……鼓動が聞こえる」

高雄「……あなたのも」


ありがとうございました


< 健康美とかなんとか >





高雄「五月十二日の誕生石はカコクセナイト。
石言葉は“ 堅実 ”、“ 誠実 ”、“ 元気 ”、そして“ 優しい ”」

提督「そうか。……まさに高雄だな」

高雄「そうでしょうか? 」

提督「あぁ、堅実ってよりは抑えが利くって感じだけどな。
誠実も元気も優しさも、全部持ってる」

高雄「元気、でしょうか」

提督「おう。なにも外で飛び跳ねてるのだけが元気の基準じゃない」

高雄「はぁ」

提督「キビキビ動くところとか、面倒見のいいところとか。
そういうのも俺は元気だと思うから。だから俺にとってお前は元気なんだよ」

高雄「…………」

提督「ま、それはベッドだと文字通りの意味だけどな」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………いや、私はそれに対してなにも言えませんよ」


< まぁ、こういうことを言える仲だし >





扶桑「そういえばこの休暇……いえ、待機はいつまで続くのかしら」

山城「さぁ……いつまでも続くといいのですけれど」

提督「あぁ、たぶんそろそろ終わりだぞ」

山城「……チッ」

提督「…………俺、一応上官だぜ? 直属じゃないにしても」

山城「あら? 私としたことが、つい」

提督「つい、で上官に嫌悪感かよ」

扶桑「ごめんなさい。山城もそこまで……」

山城「……私はこの男の危険性を知っているだけですよ、姉さま」

扶桑「危険性、ね」

提督「…………」

山城「…………」

扶桑「…………申し訳ありません、提督。お叱りは如何ようにも」

提督「えっ……な、なにを考えたんだよ、おい」


< ニコニコニコニコ……表情はね >





提督「そういやさ」

高雄「はい」

提督「重巡高雄は1930年に進水だな」

高雄「ええ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……いや、まぁそれだけだ」

高雄「そうですか」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……いや、本当にそれだけだから」

高雄「そうですか……………………ふふ」


< そんな身体してるんだから、ね? >





高雄「今日の誕生花はアザレア。花言葉は“ 節度 ”」

提督「あぁ、これは……」

高雄「私らしーー」

愛宕「い、わけないわよねぇ〜 」

提督「だな」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……そ、相対的に見ればですね」

提督「ま、そうだな」

愛宕「でも……私に比べてって割とダメな指標よね」

高雄「…………」

提督「姉妹なんだし、諦めろ。な? 」

愛宕「その言い方はなんだか嫌」

高雄「私も嫌です」


< 理屈じゃない、という理屈で >





提督「今日のカクテルはラズール・グレープフルーツ。
カクテルワードは“ 自分の考えをまとめてから表現する冷静な人 ”、だ」

高雄「……ドレス、ありがとうございます」

提督「パートナーを着飾って楽しんでるだけだよ」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………綺麗だ」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………言葉が拙いのが悲しくなる」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……自分の考えなんて……まとめられないです」

提督「それでいい。理屈で相手を見極める時期は終わっただろ? 」


< 贈り物はなんだろうか>





提督「なんだと思う? 」

高雄「なんでしょう? 」

提督「なにかなー」

高雄「……自分、なんていうのはなしですよ? 」

提督「当然。もうずっと前から捧げてるからね」

高雄「! …………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……ま、改めて欲しいなら、あげようか? 」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……是非。私があなたのものだと感じられるくらいに」

提督「……ん」


< 耳元に光る >





提督「ん……まぁ、勿体ぶっても仕方ないな」

高雄「…………」

提督「……ん、どうぞ」

高雄「……ありがとう、ございます」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……似合い、ますか? 」

提督「当然。惚れ直しそうだ」

高雄「……嬉しいです」

提督「うん」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……これからも」

高雄「……はい」

提督「末長く、ってことで」

高雄「…………こちらこそ。いつまでも、お側に」


< その微笑みすら、彼の >





Littorio「似合っていますよ、高雄」

高雄「ありがとう、Littorio」

Littorio「ふふ……よかったわね、おめでとう」

高雄「ええ」

Littorio「誕生日そのものにではないわよ? あなたが幸せであることに対して」

高雄「……ええ」

Littorio「…………」

高雄「…………」

Littorio「…………」

高雄「…………」

Littorio「……お裾分け、してくれない? 」

高雄「…………」

Littorio「ハグ、させてほしいの。 Littorioのこちらでの初めての友人と」

高雄「ええ……私も確かに、そんな気分ですしね」

Littorio「ありがと」

高雄「いえ、あくまで気分です。
この私を……私をこんな気持ちにさせてくれた彼に感謝なさい? 」


< 誰の為の食事かを考えると >





雲龍「…………」

加賀「…………ふむ、悪くない」

雲龍「…………」

加賀「…………」モグモグ

雲龍「…………」

加賀「…………」モグモグ

雲龍「…………」

加賀「…………」モグモグ

雲龍「…………」

加賀「…………」モグモグ

雲龍「…………よく食事に集中できますね」

加賀「…………私、後ろ向きになにかを見るのは嫌なの」

雲龍「…………」

加賀「…………美味しいわよ」

雲龍「…………知ってる」


< ラジオもなく二人と雨音と、そして >





提督「っと……すまないな、着替えさせて」

高雄「いえ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………愛宕には悪いことしちゃったかもしれません」

提督「うん? 」

高雄「……私と愛宕、二人のプレゼントなのに」

提督「仕方ねぇよ。ツーシータだしな。なんなら愛宕と二人で乗るか? 」

高雄「免許、ないですよ? 」

提督「明石がなんとかなるくらいだしな……なんとかなる」

高雄「はぁ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……あなたの隣から見える景色が好きなので」

提督「ん」


< 職権 >





ガチャ、バタン



愛宕「今頃なにしてるのかなー」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「それにしてもタイミングよく皆いたわねー。
じゃないとなかなか指揮官が基地を離れるなんて……ん? 」ペラッ

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「へぇ……下書きかしら? ……………………ま、見なかった振りをするのも、妻のつとめってやつよね? 」





『ーー扶桑以下の人員にはある程度の疲労が見られ暫しの休息が必要である。
また、当基地で戦術レベルでの意見交換や演習の必要もーー



………

……………

ーーよって、彼女らの横須賀への帰還命令に猶予を具申ーー』


< 雲に隠れた空ではきっと逢引でも >





提督「雨、かぁ……」

高雄「台風ですもの。仕方のないことです」

提督「でもなぁ……高雄と一緒に空を見たかったんだよ」

高雄「こうして最初にお隣に乗せていただけました」

提督「ん……」

高雄「私は……あなたがどこかへ連れ出してくれるだけで、それで」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………ま、お前を月だとでも思おうか」

高雄「……それではあなたは太陽ですね、きっと」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………帰る? 」

高雄「帰りたいんですか? 」

提督「ん? ……んー…………どうしようかな」


< この溢れる愛を込めて >





感謝、しかないのだ

生まれてきてくれて

出会ってくれて

色々なことをおしえてくれて

話を聞いてくれて

一緒に笑ってくれて

悲しいときは一緒に泣いてくれて

辛いときは抱き寄せてくれて

他にも

他にもきっと沢山のことへ

言葉も想像も、なにもかも届かない程の感謝を

そしてこんなにも拙いはずの気持ちを昇華させて夢を見させてくれて

ありがとう

それしか、ないんだ

私に/俺に

あなたを/お前を

想わせてくれて

ありがとう

この気持ち、きっと溶け合っても伝わらないかもしれない

それでも

それでも思っていることは事実だから

だから、こんなに私を/俺を

優しいヒトにしてくれて

ありがとう

これからも、隣にいてほしい

私は/俺は…………最期のその日まで、必ずーー


ありがとうございました


< 前夜の名残を拭い去り >





提督「んー……なんでこんないい天気なのかね」

高雄「嵐の後は雲が吹き飛ばされるので、とかなんとか」

提督「そっか」

高雄「本当かどうかは知りませんけど」

提督「……まぁ、今日みたいにいい風吹いてること多いしな。悪くない」

高雄「カッコつけやすいから、ですか? 」

提督「お手軽にね」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………もうそろそろ着くけどさ」

高雄「はい」

提督「……ちゃんと処理できてる? 」

高雄「抜かりなく」


< 眠れない夜は過ぎ去って >





愛宕「おかえり」

提督「ん、ただいま」

高雄「朝食はまだ? 」

愛宕「今日サボっちゃった。今雲龍と天城につくってもらってる」

提督「んー……飯食ったらちょっと寝る」

愛宕「はいはい。そうだと思って着替え用意しといたから」

提督「さすが」

愛宕「私だって奥さんなのよ? 」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「……うん。そうだな」

愛宕「ええ」

高雄「さて……雲龍さんたちのお手伝いでもしてきますか。
昨日はなにもしませんでしたからね。奥さんとしてこれはよろしくない」


< 寝るだけでもいいから、一緒に >





提督「うーん……眠い」

愛宕「当然よねー」

提督「まぁ……うん。でもお前が言うのはなんか違うだろ」

愛宕「そう? 」

提督「あぁ」

愛宕「でもなにしてたかは、ね? 」

提督「はぁ……」

愛宕「まぁ、別にそれだからなにってわけじゃないけど。寝ないの? 」

提督「寝る」

愛宕「じゃあ、私も一緒に」モゾモゾ

提督「…………」

愛宕「……? 」

提督「……いや、そんなベッドで手招きされてもね」

愛宕「ウェルカーム、旦那様? 」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………まぁ、いいや。寝よ」モゾモゾ


< 企画したのは誰でしょうね >





高雄「五月十三日の誕生石はアイボリー。
石言葉は“ 企画力 ”、“ 妄想 ”、“ 直感 ”、そして“ 感受性 ”、です」

明石「なるほど……象牙」

高雄「はい」

明石「……嵐の中、車内に響くのは吐息だけ? 」

高雄「……あのね」

明石「ふっ、これが妄想と直感の到達点です」

高雄「それのどこにドヤ顔する理由があるんです」

明石「…………」

高雄「…………」

明石「…………」

高雄「…………」

明石「……でも当たってますよね? 」

高雄「さぁ……? 」


< 幸福は悩みを吹き飛ばす >





高雄「今日の誕生花は山査子。花言葉は“ 唯一の恋 ”、“ 希望 ”、そして“ 望み ”」

雲龍「私の唯一の恋は……はぁ」

高雄「それを私に言われても困ります」

雲龍「だってあなただからこそ言えるのによ? 」

高雄「愛宕だっているじゃない」

雲龍「彼女は……なんか違うの」

高雄「そんな理不尽な」

雲龍「恋こそ理不尽、よ」

高雄「……希望も望みもある程度は叶ったのでは? 」

雲龍「あなたはそれで満足できるの? 」

高雄「そうですね……今の私、つまりあの人に選ばれた私なら、できます。
それが彼の判断ならばね。ただ、選ばれなかったのならば満足はできないでしょうね」

雲龍「そう……つまり無理ってことじゃない」

高雄「ええ。彼が選んでくれたという事実がなければこの幸せの半分も実感できませんから」


< 差 >





時雨「改めておめでとう」

高雄「ありがとう。昨日も祝ってくれたのに」

時雨「昨日はあまり話せなかったからね」

浜風「提督に独占されていたでしょう? 」

高雄「まぁ、そうですね」

春雨「そのイヤリング、プレゼントですか? 」

高雄「そ、提督のね」

春雨「似合ってます……とても」

高雄「ありがとう」

春雨「私もいつかそういうのを付けてみたいです」

高雄「今からでもいいと思うわよ? ホールもいらないし」

春雨「でもどんなのがいいのか……」

高雄「一緒に選びましょうか? 私も詳しくはないけれど」

春雨「あ、本当ですか? お願いしますっ」





時雨「……あれが余裕のある笑みってやつなのかな」

浜風「なにと比較してよ? 」

時雨「……昨日の彼女を思い出してごらんよ。祝福と悔しさで押しつぶされそうだった」

浜風「…………あぁ、雲龍さん。確かにそれなら……今の高雄さんには余裕があるかもしれない」


< 今までよりもさらに甲斐甲斐しく >





扶桑「おかえりなさい」

高雄「ええ、どうも」

山城「香水、変えたんですね」

高雄「愛宕に貰ったの」

山城「あぁ、なるほど」

高雄「前に使っていたのも愛宕のおすすめだったのですけど、ね」

扶桑「姉妹仲、いいのね」

高雄「あの子がいい子だから」

扶桑「そう……羨ましいわ」

山城「えっ……」

扶桑「……? 」

高雄「…………」

山城「わ、私はいい子じゃ、じゃない……? そんな、そんなこと……」

扶桑「……別に意味はないわよ? 言葉の綾みたいなものだから」

山城「そんなぁ……姉さまぁ……」

扶桑「えーっと……どうしようかしら」

高雄「……こっちを見られてもなんとも。バッドトリップに効く薬なんて持ち合わせてませんよ」


< オリジナリティ >





提督「今日のカクテルはミドリマティーニ。
カクテルワードは“ 模倣を嫌いオリジナルの個性を発揮する人 ”、だ」

加賀「なるほど。……でも私らしさってなにかしら」

提督「そりゃお前……食い気だろ」

加賀「自覚はあるけれど」

提督「してなきゃヤバイぞ。あとは……まぁ、一航戦だな」

加賀「そうね」

提督「他にも弓とかサイドテールとか」

加賀「……ふむ」

提督「十分個性的だと思うぞ」

加賀「あなたの発言に体型に関することがないのは以外でした」

提督「……あのさ。常にエロいこと考えてるわけじゃねぇんだけど」

加賀「私、こう見えても……」

提督「いや、こう見えて、で既に割と十分だけどな。好みだよ」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………そう」

提督「勝ち誇んな。しかもわざわざ無表情に戻すな…………失言だった」


< それでも、それでも >





提督「よっ」

雲龍「……久しぶりね」

提督「いや、昨日も朝も会っただろ」

雲龍「そんな感じしないわ。あなたが遠くに行ったみたい」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………元からその距離なんだよ」

雲龍「ッ…………そう、ね」

提督「……辛いならさ」

雲龍「やめて」

提督「…………」

雲龍「この道を選んだのは私。それを他でもないあなたにだけは憐れまれたくないの」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……ハイボール」

提督「ん? 」

雲龍「持ってきて、お願い。ちょっと見せられない顔してるから」

提督「…………了解」


< 本当に、よかった >





霧島「あれ? 雲龍さんのところに行ったのでは」

提督「追い返されたよ」

霧島「はぁ」

提督「まぁ、すぐ戻るけど。……グラス取って」

霧島「あ、どうぞ」

提督「さんきゅ」

霧島「…………」

提督「…………」

霧島「…………」

提督「…………」

霧島「……あなたに恋をしなくてよかった」

提督「そ。俺もそう思う」

霧島「もちろん指揮官としては信頼に値しますけど……でも男としては」

提督「落第? 」

霧島「いえ、合格過ぎるというかなんというか」

提督「…………」

霧島「…………」

提督「…………」

霧島「…………ま、一周回って結局は落第ですけどね。
試験官のハートを落とすなんて卑怯過ぎます」

提督「試験官? 」

霧島「…………」

提督「…………そ、行ってくるわ」

霧島「いってらっしゃい……………………はぁ」


< 罪は自覚して初めて罰となる >





Littorio「彼も罪な男ですね」

高雄「そうね」

Littorio「でもあなたも同じ身なのよ? 」

高雄「それくらいならば甘んじて受け入れましょう」

Littorio「余裕ってやつ? 」

高雄「そうかもしれません」

Littorio「…………」

高雄「…………」

Littorio「あーあ……結局あんな幸せそうな顔しちゃうのね」

高雄「…………」

Littorio「……雲龍、だったかしら」

高雄「……ええ」

Littorio「幸せそうね」

高雄「そうね」

Littorio「辛そうね」

高雄「……そう、ね」

Littorio「…………」

高雄「…………」

Littorio「ふふ…………そこで罪悪感を覚えているようではまだまだですよ、高雄」


ありがとうございました


< ときにはのんびりと >





高雄「五月十四日の誕生石はブルーグリーンジルコンです」

提督「うん? ブルーなのかグリーンなのか……」

高雄「ブラウンのジルコンを熱処理すると光の加減でブルーにもグリーンにも見えるジルコンになるそうです」

提督「へぇ……」

高雄「石言葉は“ 開放的 ”、“ こだわり ”、“ 健康 ”、そして“ のんびり ”」

提督「うん」

高雄「はい」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……膝枕」

高雄「はぁ……どうぞ」


< 柔らかな膝に抱かれて >





高雄「今日の誕生花はアキレア。花言葉は“ 戦い ”ですね」

提督「へぇ……眠い」

高雄「横になっているからですよ」

提督「んー……うん」

高雄「まぁ、構いませんけどね。執務も粗方片付けましたし」

提督「…………ふとももに顔埋めていい? 」

高雄「ダメです」

提督「……どうしても? 」

高雄「ここではさすがに」

提督「…………寝るわ」

高雄「どうぞ……その前に本を取ってきます」

提督「うん、おっけー」


< そして客人が>





提督「…………Zzz」

高雄「…………」ペラッ

提督「…………Zzz」

高雄「…………」



コンコンコン、ガチャ



高雄「ん? 」

Littorio「あら……」

高雄「 あぁ……Littorio」

Littorio「……こんな寝顔なのですね」

高雄「はぁ」

提督「…………Zzz」

Littorio「愛宕が呼んでいたのだけれど……どうしますか? 」

高雄「行きますよ。熟睡中ですしね」

Littorio「そ、私が代わりに見ていても? 」

高雄「いいですよ。……では」

Littorio「ええ、厨房にいるって」

高雄「わかりました。……ありがとう」

Littorio「お構いなく」

提督「…………Zzz……んぁ」


< 吐息が聞こえるすぐそばで >





Littorio「…………」

提督「…………Zzz」

Littorio「…………」

提督「…………Zzz」

Littorio「…………」

提督「…………Zzz」

Littorio「…………」

提督「…………Zzz」

Littorio「…………悪くない。むしろ……そうね」

提督「…………Zzz」

Littorio「…………」

提督「…………Zzz」

Littorio「…………起きたときが楽しみ、ふふ」

提督「…………Zzz」


< 寝惚け眼に映るのは >





Littorio「…………」

提督「…………んぁ? 」

Littorio「あら、お目覚めかしら? 」

提督「…………ん…………高雄じゃねぇな」

Littorio「ええ、誰だかわかる? 」

提督「……Littorio」

Littorio「corretta……正解です」

提督「……んー……なんで? 」

Littorio「ふふ、どうしてかしらね」

提督「…………」

Littorio「……? 」

提督「……ふとももに顔埋めていい? 」

Littorio「ふふ……だーめ、です」


< 振り切れた心が欲しい >





提督「今日のカクテルはメロンボールだ。ちょっと卑猥だな」

加賀「大丈夫? 」

提督「……悪かった」

加賀「…………」

提督「……カクテルワードは“ 感情を包み隠した美貌の持ち主 ”、だ」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「……ねぇ」

提督「あん? 」

加賀「そのまま捨て置いてもいいから抱いてくれない? 」

提督「…………後悔するぞ」

加賀「それでもいいの。そういう気分だから」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「……俺がそういうことできないって知ってるよな」

加賀「ええ」

提督「…………ヤって逃げるって案外難しい」

加賀「そ。……もちろん逃がしはしないけれどね」


< 褒めてない >





加賀「これが……人肌が恋しいというものかしら」

提督「単に溜まってるだけじゃねぇの」

加賀「それでも悪くはないわね」

提督「……演習でも入れようか? 」

加賀「結構よ。この場に私が研鑽を詰める相手はいないもの。私にメリットが無い」

提督「…………」

加賀「もちろん、命令ならば従いますが」

提督「……同性とかダメなの? 」

加賀「赤城さんならばあるいは」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………お前めんどくせぇな」

加賀「それほどでも」


< We are H.sapiens >





提督「つーか……処女? 」

加賀「これまでに私の認める男がいたとでも? 」

提督「行きずり……はないか」

加賀「論外よ」

提督「……それなのに俺でいいのか」

加賀「自分よりも上と認めた相手にならなにもかも委ねるのも悪くないわ」

提督「…………はぁ」

加賀「私はヒトであり人にあらず。私の思考に人間のそれを当てはめるのはナンセンスよ」

提督「……そうか」

加賀「力こそ全て。私にとってはそれが至上の基準です」

提督「俺、お前らの誰より弱いぜ? 」

加賀「魅力も“ 力 ”、そうでしょう? 」

提督「…………」

加賀「結局は目に見える、確かな基準では測れない。
男と女というのは……思考する生き物とはそういったものではなくて? 」

提督「…………まぁ、そうだな」


ありがとうございました


< 煙草 >





霧島「へぇ……ソフトなんですね」

提督「ん? あぁ、こいつね」

霧島「吸わないんですか? 」

提督「うん、吸うときは決めてるから」

霧島「はぁ、どんなときに? 」

提督「いいセックスした後」

霧島「」

提督「やっぱソフトだと思うんだよねぇ……カッコつけで吸ってる身としては。こう、くしゃっとね。
ま、ボックスも嫌いではないけど」

霧島「……私、何度かあなたが吸ってるのこっちで見てるんですけど」

提督「あぁ、吸ったね」

霧島「…………」

提督「…………」

霧島「……知りたく、なかったです」

提督「悪いね。でも訊いてきたの霧島だぜ? 」


< あぁ、ミステリアスレディズ >





明石「私たちの分類、ですか? 」

提督「おう。お前らが開は……生み出されるまでは、
動物界からヒト属Homo-sapiensまでの種である俺たちは数万年孤独だったわけだが」

明石「開発で構いませんよ。そんなものは今更気になりません」

提督「……俺の我儘だ、許せ」

明石「はぁ。……より正確に言えばあなたたち……つまり“ 人間 ”とは、Eukaryota Animalia Vertebrata Mammalia Primates Catarrhini Hominidae Homo sapiens sapiens、であるわけですが」

提督「お、おう……まぁ、それで現在の学説では三万五千年程前にH.neanderthalensisやH.erectusが地上より消えて以来“ 一属一種の人類 ”になった」

明石「ネアンデルタール人のいなくなった後も東南アジアには一万五千年程前まで近種がいたという説もありますけどね」

提督「恐らく俺とお前は殆ど同じ生物であることは確かだ。
無脊椎動物ではないし哺乳類だろう? 」

明石「生殖についてや雌雄については謎が山積していますが」

提督「……お前たちとはH.sapiensまでは同じだろう? たぶん」

明石「わかりませんよ。Homoまで同じで種は別に定義されるかも。
まぁ、Subspecies……亜種まで同一なんてことはありえないでしょうが」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……つまり? 」

明石「今後の研究に乞うご期待、ですね。実のところ今の世界に私たちを深く研究する程の技術も余裕もないはずですよ」


< 面倒さもまたよし >





雲龍「よくあんな面倒な話題を明石に振れるわね」

愛宕「興味はあるんでしょ。本当に話を聞きたいなら明石以上の専門家なんていないし」

雲龍「そうだけど……まぁ、明石は楽しそうね」

愛宕「ええ」

雲龍「……話を聞いてもらって喜ぶなんて」

愛宕「ガキみたい? 」

雲龍「そうは言わないけれど」

愛宕「……女ってそんなものよ。相手をするのが面倒なの」

雲龍「…………」

愛宕「ま、男も別の意味で面倒だけど、ね」


< 優しく見守る >





高雄「五月十五日の誕生石はレッドジェダイト。
石言葉は“ 純粋 ”、“ 優しさ ”、そして“ 無邪気 ”」

天城「……あれ、なんの話してるんですか? 」



提督「いや、でもさ」

明石「あくまで私の推論だと言ったでしょう。
ただ、この推論には自信があるだけです」

提督「それだよ。お前がそんな自信持ってたら信じないわけにはいかないだろ。
その内容が気に入らなくても」

明石「! …………ーーーー」



高雄「なんというか……ヒトの行く末について、とか? 」

天城「はぁ」

高雄「決着着いたみたいですけどね。純粋な研究心が勝って、無邪気さが勝負に勝った感じですけど」


< 相対的ロリータ >





高雄「今日の誕生花はサンダーソニア。
花言葉は“ 意地っ張り ”、“ 共感 ”、“ 祈り ”、“ 愛嬌 ”」

愛宕「結局どうなったの? 」

明石「へ……? 」

愛宕「H.sapiensについて」

明石「あぁ、別になにも」

愛宕「えぇ……あんなに議論してたのに」

明石「することに意味があるといいますか……。
まぁ、私の推論が結論といえば結論ですけど」

愛宕「ふーん……? 」

明石「……一応、ですけど」

愛宕「ええ」

明石「私たちや人間の雌雄関係や種間の関連は置いておいてですね」

高雄「はい」

明石「……深海のそれは同じ技じゅ……現象から生まれた存在なのは確かです」

愛宕「…………」

明石「あちらが正統進化、あるいは発明の本筋なのでは、というのが私の推測なんです」

高雄「…………」

明石「彼女らには大きな力と知性があります」

愛宕「でも、そうでもないのもいない? 知性的に、うん」

明石「それは単なる幼体であるかもしくは別の種なのかもしれません。
そうすれば少なくとも筋は通るはずです」

愛宕「…………」

明石「たとえば我々がイ級と呼んでいる個体群はもしかすると私たちや深海側のネオテニーかもしれません」

高雄「…………」

愛宕「…………続けて」

明石「で、それなら私たちはなにものか。
それはずばり彼女ら……姫や鬼という呼ばれ方をしている個体の幼形進化、というのがこの推論の要旨なわけです」

高雄「幼形進化? 」

明石「はい」

愛宕「えーっと……」

明石「はい」

愛宕「私はあっちに比べてロリってこと? 」

明石「違います」


< 理想は高く、されど遠く >





明石「まぁ、幼形進化っていうのは簡単にいえば種の祖先の幼体に見られる特質が成体になっても見受けられる、ということです。
それで、その特質は往々にしてその種の繁栄に良い影響を齎すものとされます」

愛宕「なるほど」

明石「たとえば……ヒトに飼われるイヌは子供の頃の従順さを継続して維持しますよね。
それ故に人のイヌは古代から長くパートナーであり続けた。
ざっくりと言えばその理解で大丈夫です」

高雄「つまり……私たちの方は人間と共存するために幼形成体となるための進化をしたと? 」

明石「概すればそうです」

愛宕「あー……それはあんまり認めてくれないでしょうね」

明石「まぁ、大丈夫でしたけどね」

高雄「…………人に寄ったのが我々か、我々に人が寄らねばならないのか」

愛宕「…………」

明石「…………」

高雄「…………」

愛宕「……だからこそ」

明石「はい? 」

愛宕「だからこそ私たちには子供が必要なのよ。長く孤独だった人と新参者のヒトの共存の為に」

高雄「…………」

愛宕「…………」

明石「…………背負うものが大きいですねぇ……はは……」


< 湧く湧く >





提督「今日のカクテルはミドリオレンジ・マティーニ。
カクテルワードは“ 誰からも愛される微笑みの貴公子 ”、だ」

愛宕「微笑みの? 」

高雄「貴公子? 」

提督「おう。……なんかそんなドラマあったな」

愛宕「……へぇ」

高雄「なるほど」

提督「……まぁ、俺殆ど観てないから大したマネとかできないぞ」

愛宕「わくわく」

高雄「期待」

加賀「良き余興が見れると聞いて」

明石「面白いものが見れると聞いて」

山城「提督を笑いものにできると聞いて」

提督「あのね……つーか、山城は俺のこと笑いものにしたいのかよ、おい」


< ある眼鏡 >





提督「はぁ? 経験人数がわかる眼鏡? 」

明石「はい」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……見た感じ0か1しかいねぇんだけど」

明石「でしょうね」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……なぁ、これどうすればいいの? 」

明石「さぁ? 別にそのままでいいんじゃないですか」

提督「…………これレズプレイは入んないの? 」

明石「……見えるとおりです」

提督「ふーん……へぇ。面白いっちゃ面白いね。技術的にはよくわからないけど」


< 趣味が悪い >





雲龍「信じてた? 」

明石「ええ。騙したのは申し訳ないですけど私のこと信頼してくれてるみたいでちょっと嬉しかったです」

雲龍「あなたというよりあなたの技術でしょう」

明石「それこそが最高の褒め言葉ですから」

雲龍「ふーん……」

天城「あの……眼鏡が何か? 」

明石「あぁ、あれには顔認証システム搭載してるんですよ」

天城「はぁ」

明石「で、あの眼鏡で基地内の女性人を認識すると私が知る限りのとある数値が反映されるんです」

天城「? 」

明石「まぁ、暇つぶしの玩具ですよ。
バーコードリーダーに近いといえば近いかな」

天城「あ、ある数値とは? 」

明石「経験人数」

天城「は? 」

明石「セックスした相手の数ですね」

天城「」


< アソビ >





浜風「提督」

提督「ん? 」

浜風「遊びましょ? 」

提督「えっろ。……でも0なんだな」

浜風「はい? 」

提督「いや、なんでもないよ。なにすんの? 」

浜風「トランプでもUNOでも。あと明石さんに提督はゲームを持っていると聞きました」

提督「まぁ、それなりにね、……面子は? 」

浜風「時雨と春雨。近くに扶桑さんと山城さんもいました」

提督「んー……じゃあトランプかな。ブリッジでもやろう」

浜風「了解です」

提督「あいつら麻雀も花札もできなさそうだしな……俺、酒とつまみ持ってくるよ」

浜風「あ、私もお供します」

提督「おう」

浜風「…………」

提督「…………」

浜風「……その眼鏡なんなんですか? 」

提督「……オシャレ? 」

浜風「なぜ疑問形? ……ごちゃごちゃしてあんまり似合ってませんよ」

提督「そっか。……明石に返してくるよ」

浜風「それがよろしいかと」


< 姉さまの為ならば、私 >





時雨「僕のこと……もっと束縛してくれてもいいんだよ? 」

提督「いや……縛られない、お前が好きなんだ」

時雨「そう……でも、僕は愛されてるっていう証が欲しい」

提督「…………目、瞑ってくれないか」

時雨「……ん」

提督「…………」

時雨「…………」

提督「…………」

時雨「…………」

提督「……こんなんでいい? 」

時雨「あぁ……悪くないよ、ありがとう」

提督「滅茶恥ずかしいんだけどこれ」

時雨「普段は無意識にやってるくせに」

提督「……だって恋人相手だし? 」

時雨「なるほど、ね」





山城「……罰ゲーム、ね。馬鹿らしい」

扶桑「…………」

山城「……ね、姉さま? 」

扶桑「…………山城」

山城「はい? 」

扶桑「私たちも混ぜてもらいましょうか、ブリッジ」

山城「…………」

扶桑「……? 」

山城「…………はい」


ありがとうございました


< ひたひた、くっきり >





時雨「五月十六日の誕生石はモルダバイト。
石言葉は“ 真っ直ぐ ”、“ 着実 ”、“ 根気 ”、“ 注意力 ”、“ 冷静 ”、だって」

提督「…………」

時雨「…………」

提督「…………」

時雨「……大丈夫かい? 」

提督「……だいじょばない」

時雨「…………」

提督「…………」

時雨「……べったりだね」

提督「……あぁ。なぜもっと早く来てくれなかったんだよ」

時雨「随分と無茶なことを言う」





高雄「執務中にうとうとしていて気付いたらキーボードがコーヒー塗れ、と」

提督「……すみません」

高雄「別に替えはありますから構いませんよ」

提督「……あぁ」

高雄「……それにしても」

提督「…………」

高雄「キーボード型の模様が顔にあるって異様ですね」

提督「言うな、恥ずかしい。
……時雨の笑いを堪える顔に気付かなかったのは不覚だったよ……はぁ」


< わきわき >





高雄「今日の誕生花は芍薬。花言葉は“ はにかみ ”、“ 慎ましやか ”、そして“ 恥じらい ”、です」

愛宕「美人シリーズその2ね」

提督「前は牡丹だったか」

高雄「今回は芍薬ですから立ち姿のことですか」

提督「まぁ……いいよな? 」

愛宕「私に訊かれても」

提督「それもそうだが。……綺麗なのは確かだが立ち姿が綺麗ってのも難しい基準ではあるな」

高雄「着物が似合うすらっとした美人ということだったのでしょうか」

提督「でも着付けってのはそれを誰にでもってことだろうしな……うーん? 」

愛宕「そういうときは」

提督「うん」

愛宕「裸になればいいわね」

提督「確かに」

愛宕「シルエットの美しさって大事よねぇ〜 」

提督「まぁ、腹出てるのは嫌だしな……」

愛宕「そうだ、高雄? 」

高雄「はい? 」

愛宕「なってみない? 」

高雄「裸に? 」

愛宕「裸に」

高雄「……執務中ですが」

愛宕「そうね」

高雄「謹んでお断りします」

愛宕「そっか」

高雄「はい」

愛宕「じゃあ提督が裸に」

提督「なんでだよ……俺は美人ではねぇよ。それに恥ずかしい」

愛宕「ほらほらぁ……いつもは喜んで裸になるのにぃ」サワサワ

提督「やめろ」

高雄「…………その卑猥な手の動きよくできるわね」


< 真理の扉でも開けますか? >





提督「今日のカクテルはミドリミルク。
カクテルワードは“ 真理を追求する多才多芸な努力家 ”、だ」

明石「真理、かぁ」

提督「そういやお前はなんで科学、というか工学が好きなんだ?
別に前身に引っ張られるだけが理由じゃないんだろ? 」

明石「そうですねぇ……うーん」

提督「おう」

明石「……もちろん最初は知識も意志も“ ソレ ”に引っ張られたんでしょうけど……。
うん、やっぱり引っ張られているだけかもしれません」

提督「そうか」

明石「はい。なんというか提督もちいさい頃から続けていることとかありませんか?
それに近いような気がします」

提督「あぁ、習慣が浸透して気付いたら、みたいな? 」

明石「たぶん」

提督「ふーん……ま、楽しくやってるならいいか」

明石「ええ。いつかは私たちのこと、追求して真理ってやつがあるなら……見つけなければいけませんから」

提督「あぁ」

明石「応援くらいはしててくださいね? 」

提督「もちろん」

明石(愛宕さんたちと約束しましたもの……絶対に、絶対に見つけてみせますから)


< 一方的な >





提督「ヤるときにさ」

山城「ええ」

提督「服とかはちゃんと遠めに投げるか遠ざけておいた方がいかさいぞ」

山城「なぜです」

提督「そのまま疲れて寝たときに下敷きにすると痛かったりするからな。特にブラとか」

山城「そう」

提督「おう」

山城「…………」

提督「…………」

山城「……なぜそれを私に? 」

提督「扶桑とヤるときに必要かと思って」

山城「…………姉さまはノーマルなんですよ」

提督「でもお前レズか、最低でもバイだろ? 」

山城「」

提督「だからそこはお前がなんとかしろ」

山城「…………」

提督「…………」

山城「…………私、あなたがわからないです」


< 寝惚けて脱いだわけではない >





雲龍「寝るときってブラしてる? 」

愛宕「してるわよ? 」

雲龍「そう……きつくない? 」

愛宕「別に。慣れればそこまで」

雲龍「……そう」

愛宕「まぁ、着けて寝たのに着けてないこと沢山あるけど」

雲龍「…………」

愛宕「…………」

雲龍「…………そう」

愛宕「ええ」


< 思ったより甘いものとかが多くない >





提督「なんかつまみとかつくれないの? 」

Littorio「なんです突然」

提督「や、俺つまみつくるのは結構得意なんだけどさ、
イタリアンなやつもレパートリー増やそうかなって」

Littorio「なるほど……つくってみる? 」

提督「お、いい? 」

Littorio「いいですよ、お酒はなに……と思ったけれど赤も白もありましたね」

提督「おう。チナールとかグラッパもあるぞ」

Littorio「……えぇ」

提督「気にすんな。偶然あるだけだから」

Littorio「明らかに偶然では片付けられないような……ま、いいでしょう」

提督「あぁ」

Littorio「材料を見て決めます。厨房に行きましょ? 」スッ

提督「仕方ねぇな」ギュッ





天城「……厨房に行くのに腕を組む必要なんてないでしょう。
……まぁ、巫山戯てるだけなのは……ええ、わかっていますとも、まったく」


< 揚げるか、チーズか、生魚か、それから…… >





提督「あー……イカのフリットにフリッタータ? 」

Littorio「と、カルパッチョですね」

提督「うん、なにがいい? 」

Littorio「とりあえず白を」

提督「おう」

Littorio「……ありがとう」

提督「はいよ」

Littorio「…………」

提督「…………」

Littorio「……ん、おいし」

提督「おう。……思ったんだけどさ」

Littorio「ええ」

提督「……つまみって割と万国で似たようなものだよな」

Littorio「今更? 」

提督「…………」

Littorio「いいから食べてみなさい。そのうち違いがわかってくるんだから」

提督「うーん……まぁ、美味いしな……いっか、これはこれで」


< これがwin-winの関係ってやつなのね >





Littorio「フリッタータに似たものがこの国にはありますね」

提督「たまご焼きかな」

Littorio「そう。……Littorioはこちらで初めてたまご焼きを食べたときは驚いたものです」

提督「へぇ……どうしたんだ? 」

Littorio「チーズも無ければ中に野菜が一つも入っていないのだもの。
あちらでは普通はなにか入れるのなのよ」

提督「あぁ……でも悪くないだろ? 」

Littorio「そうね。最初は薄味に慣れなかったけど……今では悪くない」

提督「うん」

Littorio「…………」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「…………」

Littorio「……多いですね」

提督「あぁ、こういうときはーー」





加賀「美味しいわ」

Littorio「ありがと。なんだかあなたに言ってもらえると嬉しいです」

加賀「そう? 」

Littorio「ええ」


< イチャつくという動詞もあるが >





愛宕「提督さーん、イチャイチャしましょ? 」

提督「おう、いいぞ」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……イチャイチャ」

提督「イチャイチャ」

愛宕「イチャイチャ」

提督「イチャイチャ」

愛宕「イチャイチャ」

提督「…………」

愛宕「イチャイチャ」

提督「……あのさ」

愛宕「ん、なぁに?」

提督「顔見てイチャイチャって口で言うのはなんか違わないか? 」

愛宕「でも私楽しいわよ? 」

提督「あ、そう……」

愛宕「うん」

提督「……なら、いいか」

愛宕「…………ふふ、そうよ」


< 姉さま以外も見えてますってば >





山城「……あなた寂しくないの? 」

霧島「なぜです」

山城「姉妹と離れるのって嫌じゃないかしら」

霧島「あぁ、なるほど。……全く寂しくないとは言いませんけど……皆さんがいますから」

山城「そう……強いのね」

霧島「あなたの意志が弱すぎるのでは」

山城「それはあなたが姉さまの妹じゃないから言えるのよ」

霧島「はぁ」

扶桑「おまたせ。ごめんなさいね」

山城「とんでもない。ささ、汗を流してきましょう? 」

扶桑「ええ。……霧島とお風呂は初めてね」

霧島「そうですね。……あぁ、ちゃんと認識されてた」


< 手の平の熱が全身に巡るような >





提督「さて……世界の真理を追求しにいきますか」

愛宕「と、いいつつ手を取るのね」

提督「そういうのの真理はお嫌い? 」

愛宕「まさか」

提督「ま、多少嫌がる女の子をその気にさせるのも悪くないけど」

愛宕「悪い男」

提督「多少だよ、多少」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……このさ、手を引いて部屋に行くまでの時間っていいよな」

愛宕「そう、ね」


酔っているときに凝ったつまみをつくるのはやめましょう

ありがとうございました


< 慣れるということ >





浜風「提督、耳かきしましょう」

提督「うん? 」

浜風「耳かきです」

提督「いや、あー……うん? 」

浜風「私は耳かきをしなければならないのです」

提督「そうなの? 」

浜風「はい」

時雨「浜風の耳かきは上手いよ」

提督「おおう……どっから出てきた」

浜風「提督、お膝へどうぞ」ポンポン

提督「あー……うん、まぁいっか。お邪魔しまーす」

浜風「は、はいっ」

時雨「……僕はここでお茶でも飲んでるよ」

提督「おう」

浜風「では、浜風、出ます! 」

提督「頼む」

浜風「眠っちゃってもいいですよ? 」





時雨「あぁ、そうだ」

提督「なんだ? 」

時雨「やけにスムーズに動いてたね。膝枕慣れしているのがよくわかる」

提督「……そりゃな、まぁ」


< 正義と悪ではなく二つの正義、のような >





霧島「ではなにが不満なんです。扶桑さんだってあなたのこと信頼しているでしょう? 」

山城「ええ。愛情も感じはするわ」

霧島「なら」

山城「あの男には高雄と愛宕がいるわね」

霧島「? え、ええ。それがなにか」

山城「高雄にはあの男が。愛宕にはあの男がいるわ」

霧島「はい」

山城「それと同じで私には姉さまがいる」

霧島「はい」

山城「でも姉さまの中の私は私じゃないのよ」

霧島「はぁ」

山城「これは別に恋愛や性的な話というわけではないの。
それとは違うもっと厚くて越えられない違いなのよ」

霧島「……わかりません」

山城「それでいいの。それがまともってことなのだから」

霧島「あー……あなたは自分がまともではないと? 」

山城「まともに決まっているでしょう? なに? 喧嘩売ってるの? 」

霧島「」

山城「これだから高速戦艦っていうのは……」

霧島「……………………もうイヤ」


< 妖怪について >





明石「提督ってなんとなくですけど雪女とか好きそうですね」

提督「まぁ、嫌いではないけど。河童とかそういうのも好きだぞ」

明石「あとは清姫とかも」

提督「あぁ、道成寺。……僧侶がガチで逃亡するんだから不細工な気もするけどな」

明石「じゃあ飛縁魔とか」

提督「いや、そんなの知らねぇよ。どんなんだよ」

明石「サキュバスが一番近いですかね。この国なら玉藻御前に近いかも」

提督「あぁ……好きだわ」

明石「ですよね」





時雨「……いきなり始まった会話なのにこういう流れを不自然に思わないんだね」

提督「え? なんだって? 」

時雨「いや、なんでもないよ、うん。提督はそれでいいさ」


< お婆ちゃんになっても、きっと >





高雄「五月十七日の誕生石はパープルサファイア。
石言葉は“ 迫力 ”、“ 広い心 ”、“ 責任感 ”、“ 独立心 ”、そして“ 豪快 ”、ですね」

提督「これはさすがに盛り過ぎだろ」

高雄「私に言われましても」

提督「そうだけど」

愛宕「文字だけ見ると帝国軍人の鑑みたいなイメージよね」

提督「まぁ、男の理想に近いとは思う」

高雄「広い心と責任感は合格点ですね」

提督「ん? 俺が? 」

高雄「はい」

愛宕「豪快もまぁ……ベッドではね」

高雄「そちらも入れるなら是非とも責任感は欲しいところですが」

提督「いや、あるだろ。そもそもここまできてだな」

高雄「ここまできて? 」

提督「つーかお前らはどうなんだよ。俺はこの後歳取ってくだけだぞ」

愛宕「それは……あなたの努力次第じゃない? 」

高雄「ええ。老後は寂しく一人で、なんてことにならないように気を付けてくださいね」

提督「おう。…………何の話してたんだっけ? 」

愛宕「もしかして」

提督「おう」

愛宕「呆け? 」

提督「ちげぇよ。……………………たぶん」


< 我が >





高雄「今日の誕生花はカーネーション。花言葉は“ 拒絶 ”」

愛宕「映画や小説でいかにも出てきそうな感じねぇ〜 」

高雄「例えば? 」

愛宕「例えば……ちょっと」

提督「ん? あぁ」



愛宕「あなたが故郷の街を出て行くときに私にくれた花、今でも覚えてる」

提督「……そうか」

愛宕「紫のカーネーションなんて珍しいね、なんて言ってたっけ」

提督「あぁ、そうだった」

愛宕「今思えばあれは拒絶だった。あなたに私は不釣り合いだっていう」

提督「違う! ……お前に俺が不釣り合いだと、そうだと思い込んで俺は逃げたんだ」

愛宕「…………」

提督「ま、逃げたくらいだから俺が不釣り合いだっていうのは正しかっただろうけどな」

愛宕「……でも、私はあなたを諦めきれない」

提督「……今ならまだ戻れるぜ? 許嫁もいるんだろ? 」

愛宕「私は、私はあなたしかいらないから。あの人にはあなたと同じく、カーネーションを」

提督「それはまた……不吉な」

愛宕「どうして? 」

提督「お前はカーネーションを受けながらここまで追ってきた。
あいつもそうするかもしれない」

愛宕「ふふ……あの人にはそん勇気ないわよ。あの街の典型のような、ちいさくて、自分よりも地位が大切な……」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………おいで」





高雄「あれが我が劇団員です」

Littorio「へぇ……なかなかのものね」

高雄「難点はトリップしたまま帰ってこないところですが……まぁ、最近は慣れました」


< 必ずしもそうとは言えないが >





提督「今日のカクテルはミドリスプライス。
カクテルワードは“ 人の人気を集める清純派アイドル ”、だ」

雲龍「これはビッチ」

提督「まぁ……そういうこともあるかもな」

天城「一応清純って言ってますけれど」

雲龍「清純と清純派は別物なのよ」

天城「はぁ……那珂ちゃんは」

提督「あいつはただの馬鹿だな」

天城「酷い……」

提督「ある意味褒め言葉だぜ? 無駄に頭回るビッチが一番ダメだ」

天城「それでもですね……」





愛宕「清純派? 」

高雄「……なんです」

愛宕「んーん、高雄っぽいとか思ってないわよ? 」

高雄「……見た目ビッチよりはいいと思うのだけど」

愛宕「善いビッチと悪いビッチって知らない? 」

高雄「……まぁ、言いたいことはわかるけど……認めないわよ」


< おずおずとした姿も悪くないけれど >





提督「女の子からのキスっていいよなぁ」

雲龍「……私は男としか、というかあなたとしかしたことないんだけど」

提督「でもしたことはあるじゃん? 」

雲龍「…………」

提督「ベッドに押し倒されてさぁ、
身体の横から額に手を置かれた状態で吸い付かれるとかもうね」

雲龍「…………」

提督「もちろん自分からするのもいいけどね。
でもやっぱり俺は俺とキスしたいって意思表示されるの嬉しいなぁ」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………嫌々抱いてるわけじゃないんだからさ。
変に遠慮しないで自分からもしていいんだぜ? 」

雲龍「…………」

提督「あとしたいこととか積極的にな。……あまりにもアブノーマルなのは嫌だが」

雲龍「…………そう」


< 受けとしては >





雲龍「じゃあ訊くけれど」

提督「おう」

雲龍「セーラーとブレザーはどっちが好きなの? 」

提督「お、おう……? 」

雲龍「どっち? 」

提督「え……いや、えーと……なにこれ」

雲龍「着てみようかと思って」

提督「あぁ、なるほ……うーん? 」

雲龍「なに、ダメなの? 」

提督「いや、なんか予想と違うぶっ飛び方で……セーラーかな」

雲龍「へぇ……」

提督「まぁ、どっちも好き、っていうと危ないやつだけどな。
あのスカーフを引っ張れるのは素晴らしいと思うよ」

雲龍「手首縛ったりできそうだものね」

提督「そう…………いやいやいや」

雲龍「? 」

提督「お前やっぱ変だわ」

雲龍「そう……? 」


このスレッドでもお酒で失敗しましたしね……そういうことです

ありがとうございました


< 真剣とその対極 >





明石「大阪では」

提督「俺は何にも言わないぞ。絶対に」

明石「や、まだ何も言ってませんけど」

提督「今の時期で大阪って言ったらお前……俺はただの軍人なの」

明石「はぁ」

提督「そもそも大阪府民でもないしな。なんか言うのも違うだろ」

明石「まぁ、そうですね」

提督「というか俺の大阪はたこ焼きとおばちゃんなんだよ。他のことは知らん」

明石「……それはそれでどうなんです。本物の府民に怒られますよ」


< ヘタレとは呼ばないで >





高雄「五月十八日の誕生石はゴーシェナイト。
石言葉は“ 根気 ”、“ 真っ直ぐ ”、“ 我慢強い”、“ 堅実 ”、そして“ 落ち着き ”」

提督「軍人は堅実な生き方か、みたいな話をしたな」

高雄「そうですね」

提督「答え出たわ」

高雄「はぁ」

提督「俺にはきつい。誰かの正義を悪として切り捨てるのが辛過ぎる」

高雄「そうですか」

提督「そうですかってお前……なんかないの? 」

高雄「そう言われましても……辞めないんでしょう? 」

提督「そりゃな。一回やり始めたら責任は取らないと」

高雄「そんな考え方だから辛いんですよ」

提督「…………」

高雄「……まぁ、私はあなたがこの道を選んでくれたことに感謝していますよ。
それだけは覚えておいてください」

提督「おう。……俺も同じさ。お前らがいなかったらとっくに逃走してるよ、きっと」


< At one time or another





金剛『HEY、提督ぅー! 触ってもイイけどサー、時間と場所をわきまえなヨー! 』

提督『うん? ハグくらい英国じゃ普通じゃねぇの? 』

金剛『いや、まぁそうなんだけどサー……私はちょっとそういうのは』

提督『へぇ……英国かぶれの金剛ちゃんは初心、っと』

金剛『むむっ、言うに事欠いてかぶれとはなんデース。というか初心とはまったくなんですカー! 』

提督『だって、ねぇ? 』

金剛『ねぇ、じゃないデース! 』

提督『悪い悪い。ま、これからよろしくな、金剛ちゃん? 』

金剛『提督は仕方ない人ネー。……でもこちらこそヨロシクオネガイシマース!
提督にちゃんとレディーとして扱ってもらえるように頑張りマース』

提督『……それでいいのかお前は』





提督「懐かしいなぁ」

霧島「司令、お姉さまから通信が」

提督「あぁ……今度は本物か」

霧島「本物? 」

提督「いや、なんでもない」


< そんなあなただから >





提督「ん、変わりましたよっと」

金剛「あっ、提督ぅー! 」

提督「はいはい、私が提督です」

金剛「そんなのは当たり前ネ」

提督「いや、わからないぜ? もしかしたらだな」

金剛「そんなことはどうでもいいデース。
今提督だと思っているんだから提督に決まってマース」

提督「そんな横暴な……まぁ、俺だけど、何か用? 」

金剛「あぁ、そうだった……私が進水した日だなんてよく知ってましたネー? 」

提督「誕生日な。……まぁ、たまたまだよ」

金剛「それでも嬉しいデース。そろそろ新しい茶葉に挑戦しようと思っていたところだったネ」

提督「そ。よかったな」

金剛「でもちょっとだけ残念デース……」

提督「うん? 」

金剛「折角新しい茶葉貰ったのに……提督と一緒に飲みたかったナー」

提督「あぁ、そういう。……まぁ、そのうちな。とりあえず比叡あたりと飲んどけよ。
別にどっちも暫くはくたばらねぇだろ」

金剛「そうだけどサー……」

提督「ほら、お前なんてあれだろ? 」

金剛「What? 」

提督「今年で103歳だったろ? そこまで生きたらあと百年くらいは大丈夫じゃないか? 」

金剛「はぁ? それ、マジで言ってマスカー? ちょっと聞き捨てならなーー」

提督「ほい、後は任せた」スッ

霧島「いいんですか? 」

提督「だってなんか喚いてるだけだし」

霧島「や、それ司令の所為じゃ……まぁ、任されましょう」

提督「ん、よろしくね」

金剛『ヘーイ! ちょっと待つネー! 提督ぅー! 』


< 逃 >





霧島「お姉さま、霧島です」

金剛「ヘーイ! 提と……oh、逃げられたデース……」

霧島「まぁ……そうですね」

金剛「んー……もっとお礼言いたかったんだけどナー」

霧島「照れてるんですよ。お姉さまも感謝される側だと電話を切るタイミングわからないでしょう? 」

金剛「分かってるんだけどネー……はぁ、提督は変わらずデスカ? 」

霧島「変わらず? 」

金剛「ホラー、高雄と愛宕」

霧島「あー……あの、ですね」

金剛「ハイ」

霧島「……増えました」

金剛「Whats? 増えた? 増えたってどういうことネー? 」

霧島「えーっと……」

金剛「まさか愛人とかそういうーー」

霧島「あー……ちょっと忙しくなりそうなんで切りますね。私のプレゼントも今日中には届くはずですので。それでは」

金剛「ちょ、霧島までそんな見え透いた嘘を使」ガチャ

霧島「…………」

霧島「…………」

霧島「…………」

霧島「…………」

霧島「……あれ? なんで私が追求される男みたいな気持ちに? …………どう考えても全部あの人の所為じゃない、まったく」


< お遊びのつもりでした >





提督「愛宕スイッチ、『あ』」

愛宕「えっ、なになに」

提督「だから、愛宕スイッチ『あ』」

愛宕「え、えーっと……愛してる、と言う」

提督「もちろん俺も。……愛宕スイッチ『い』」

愛宕「んー、息を塞ぐ、んー」

提督「んぁ……」

愛宕「ゅる……ちゅ…………っはぁ」

提督「……愛宕スイッチ『う』」

愛宕「腕を組む」ギュッ

提督「ん、愛宕スイッチ『え』」

愛宕「笑窪をつくる」ニコッ

提督「可愛い。……愛宕スイッチ『お』」

愛宕「……ふふ」

提督「ん? 」

愛宕「お・し・た・お・す♪ 」ドサッ

提督「お、おい」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「じゃあ、今度は私が提督さんスイッチ押しちゃおっかなー」

提督「おう? ……おい、ズボンに手をかけるなそれ別のスイッチ押そうとしてるじゃねぇかおい、おい! 」


< それは負けフラグ >





高雄「今日の誕生花は苧環。花言葉は“ 勝利への誓い ”」

提督「かっ、勝ったぞ俺は」

愛宕「もうっ、逃げなくてもいいのに」

提督「そりゃお前まだ盛るような時間じゃ」

高雄「私は構いませんが」

愛宕「ほらー」

提督「俺が構うんだよ」

愛宕「ここで逃げたら夜が怖いんだぞー? 」

提督「知るか。そんときは返り討ちにしてやるよ」

愛宕「本当かしら? 」

高雄「さぁ……」

提督「…………腰抜かす位ヤってやるよ、覚えとけ」


< ロマンティックを二人で >





提督「今日のカクテルはミントフラッペ。
カクテルワードは“ 落ち着ける場所を探すロマンティスト ”、だ」

明石「そういえば」

提督「あぁ」

明石「私から言うと催促するようですけど……あの」

提督「ドレス? 」

明石「そうです。あれ、どうなってるんでしょう」

提督「手元にはあるぜ? 」

明石「あ、そうですか」

提督「まぁ、今から渡してもいいけどお前が嫌がるかなって」

明石「嫌がる? 」

提督「おう。まぁ、俺はお前にそれ着せて、はいお終い、とはしないからな」

明石「は、はぁ」

提督「昼前から愛宕あたりにメイクさせて夜に合わせて」

明石「…………」

提督「夜は一緒に酒飲んで二人になれるようにする」

明石「…………」

提督「それを沢山仲間がいるときにやってもお前大丈夫なわけ? 」

明石「……すみませんでした。あなたにお任せします、はい」

提督「ま、お前が恥ずかしがってるのを見てるのもそれはそれでいいが」

明石「やめてください、しんでしまいます」


べ、別に忘れていたわけではないんです、はい……そのうち

ありがとうございました


< 攻撃的な、愛 >





愛宕「ん…………いたっ……」

提督「…………Zzz」ギュッ

愛宕「なぁに? …………あぁ」

提督「…………Zzz」

愛宕「……ねぇ、ちょーっといいかしら? 」

提督「……んぁ…………Zzz」

愛宕「あのー……」

提督「…………Zzz」

愛宕「抱き締めてくれるのはとーっても嬉しいんですけどね? 」

提督「…………ん……Zzz」

愛宕「無精髭が痛いかなーって……ぁっ」

提督「ふぁ…………Zzz」

愛宕「もうっ…………」

提督「…………Zzz」

愛宕「…………」

提督「…………Zzz」

愛宕「…………なんとかして私が身体を反対にすればいいのか、うん。そうしましょう」

提督「んぁー……Zzz」ギュッ


< あぁ、彼女はカレー娘 >





提督「今日はカレーか」

愛宕「好きでしょ? 」

提督「おう。ちいさなときからずっとな。……いただきます」





鈴谷『お、寝てる寝てるー』

提督『んぁ? なんだ鈴谷か』

鈴谷『なんだとはなんだー。折角熱出したっていうからお見舞いしにきたのに』

提督『あぁ、そうか。さんきゅー』

鈴谷『そうそう。素直に感謝されといてよ。……はい、お土産』

提督『見舞いの品はお土産ではないが……フルーツか。普通だな』

鈴谷『普通ってなにさ。鈴谷のこも見くびりすぎじゃない? 』

提督『いや、てっきりハート型のカレー粉でも持ってくるかと』

鈴谷『なにそれ。マジありえないんですけどー! 』

提督『だよな。……さすがに。悪かっーー』

鈴谷『折角のカレーなのに熱で舌が馬鹿になってるときに食べるなんて勿体無いじゃん』

提督『…………うん? 』





提督「あいつ馬鹿だったな。たぶん今でもそうだが」

高雄「馬鹿? 」

提督「いや、なんでもない」


< 一度染み付いた癖というものは >





高雄「五月十九日の誕生石はラピスラズリ。
石言葉は“ 慈愛 ”、“ 優しさ ”、そして“ こだわり ”」

提督「あの曲結構カッコいいよな」

高雄「はい? 」

提督「いや、なんでもない」

高雄「はぁ」

提督「慈愛っていうとこれは……マザーだな」

高雄「だから三笠さんそれ嫌がりますよ」

提督「なんか癖でな。直そうとは思ってるんだけど」

高雄「優しい方ですから面と向かって怒ったりはしないでしょうけどね。なんとかしてくださいよ? 」

提督「ん、了解」


< 不和のリンゴでキャッチボールでも >





加賀「ねぇ」

提督「うん? 」

加賀「あなたの周りって少し異常なくらい女がいるわね」

提督「ま、まぁな……そういう所にいるし」

加賀「その中の長所のみを集めた女がいれば素晴らしいと思わない? 」

提督「長所? ……高雄のようにオンオフをつけられて、愛宕のように朗らかで、雲龍のように受け止めてくれて……みたいな? 」

加賀「ええ。その中で夜伽は誰がいいかしら」

提督「あぁ? そりゃもちろんーー」

加賀「もちろん? 」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………なんか言ったら急に不幸が訪れる気がする。やめとくよ」

加賀「そう。賢明ね」

提督「うん? 」





高雄「だから言ったでしょう。あれでも軍人なのですよ」

雲龍「……私たち一応気配消してるんだけれど」

愛宕「ふふ……きっと私ねぇ〜 」

高雄「…………」

雲龍「…………」


< 情報統制が故に >





提督「最近、艦娘火星人説とかいうのが発表されたらしいぞ」

明石「はぁ? 」

提督「まぁ、まともな情報流してないんだから仕方ないが。
ゴシップ誌がネタ埋めで載せるのもわからんでもない」

明石「いやぁ……それはそうなんですけど……」

提督「あぁ」

明石「馬鹿らしいですねぇ……」

提督「俺らからすればな」

明石「はぁ」

提督「……特殊な装備を身に付けたヒトガタが海上で派手に戦闘を繰り広げる。
何も知らなければ宇宙人だと思ってもなぁ」

明石「…………」

提督「…………」

明石「……どこかの星の学会で“ 青と緑の星では我々とは別の生物が生きている”、
なーんて発表して誰かが馬鹿にされていたりして」

提督「あるかもなぁ」


< 譲れないもの、あるいは戦争 >





愛宕「ときどき思うの」

提督「おう」

愛宕「もしあなたと血が繋がっていたらって」

提督「はーん……それで? 」

愛宕「それだけ。でもきっと普通の仲のいい姉弟でしょうね」

提督「あぁ、お前はお前だしな。いい兄妹になるだろうさ」

愛宕「……? 」

提督「……? 」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……なにか意見が合ってない気がする」

提督「……これ以上続けても拗れそうだな」


< 強さとはなにか >





時雨「…………」

春雨「どうしたの? 考え事? 」

時雨「ん? いやね、彼らを見ていると」

春雨「高雄さんたち? 」

時雨「あぁ。彼らの中で一番強いのは恐らく高雄さんだ。
愛宕さんにはまだ捨てきれない迷いがある」

春雨「そうなのかな」

時雨「だけどね。彼らが三人でいるときはきっと愛宕さんの立場が一番上なんだ」

春雨「うん、それでそれで? 」

時雨「けれど提督がどちらか一人といるときはきっと提督の方が上なんだ」

春雨「……うん」

時雨「別に何が凄いという話ではないけど……。
一体彼らの中で真に強いのは誰なんだろうね? 」


< 永遠の平行線 >





高雄「今日の誕生花はカリステモン。花言葉は“ 恋の火 ”」

提督「バチバチしちゃう? 」

高雄「それはもう」





愛宕「どう? 最近」

雲龍「……全部知っててそれ訊くなんていい度胸ね」

愛宕「でもあの人とベッドでどんな話してるか知らないわよ? 」

雲龍「…………」

愛宕「…………ふふ」

雲龍「……はぁ……本当に知らないわけ? 」

愛宕「あの人は他人の一番柔らかい心の奥を暴露するような人じゃないから」

雲龍「…………」

愛宕「…………」

雲龍「…………きっとあなたと変わらないわ」

愛宕「ふーん……」

雲龍「……表面上は、ね」

愛宕「そ。頑張って? 」

雲龍「……………………はぁ」


< パズル、疲れるからね >





山城「あら……姉さまが一人でパズルを」ジ-





扶桑「…………」

扶桑「…………」

扶桑「…………」

扶桑「…………」

扶桑「…………ふぅ」

扶桑「…………」

扶桑「…………」

扶桑「…………今まで積み上げて、積み上げて……その努力を一度に投げ捨てることができれば……」

扶桑「…………」

扶桑「…………」

扶桑「…………」

扶桑「…………」

扶桑「…………ふふ、出来もしないことを望んでしまうなんて。私も駄目ね」





山城「…………お飲物でも持ってきましょう。姉さまも頭を使って疲れたのでしょうし、ええ」


< 妹に向かってなんてことを >





Littorio「あなた明らかに受けでしょう? 」

高雄「……なんと答えればいいのか」

Littorio「まぁ、男女のことですからいつまでも同じとは言わないです。
でも、基本的にはあの人にベッタリでしょうね」

高雄「…………」

Littorio「どう? Littorioと一緒に逆転する方法でも練習してみませんか? 」

高雄「それは断固拒否します。絶対に」

Littorio「あら、残念……楽しそうなのに」

高雄「……正直に言えば今の私ならLittorio、あなた程度返り討ちですよ、きっと」

Littorio「へぇ……言いますね、高雄」





提督「受け、攻め……なるほど」

天城「どうかしましたか? 」

提督「いや……あまりの屈辱に涙を流して震えながら睨みつけてくる雲龍、
なんてのは見たことがなかったな、と」

天城「」


< 相対と絶対 >





提督「今日のカクテルはミドリショット。
カクテルワードは“ 一人を好まない情熱家 ”、だ」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「……と、言いつつ一人なんだよな。偶然皆席を立っただけだけど」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………独りを知るからこそ愛を識る、か。なかなかどうして」


< 弱さとはなにか >





愛宕「高雄の中で」

高雄「うん? 」

愛宕「高雄の中で私を殺したこと、きっとあるわよね」

高雄「それは……あなたと同じよ」

愛宕「……そう」

高雄「……ええ」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……あの人を殺したこともきっとあるわよね」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……雲龍や明石を殺したことってきっとないでしょう? 」

高雄「……そういえば」

愛宕「やっぱり」

高雄「それがなにか? 」

愛宕「……それが高雄の強さであり……一番の弱さなのね」

高雄「ッ…………どうかしらね」


< ともにあることそのものが >





ガチャ、バタン



高雄「…………Zzz」

愛宕「…………Zzz」

提督「あれ、もう寝ちゃったか」

高雄「…………Zzz」

愛宕「…………Zzz」

提督「…………」

高雄「…………Zzz」

愛宕「…………Zzz」

提督「…………幸せ、ね。まぁ、こいつらがいれば不幸せもそれはそれで」


ネオチコワイ

ありがとうございました


< 麦わら帽子で荷台に……どう? >





提督「お前らができそうにもないこと思いついた」

高雄「なんでしょう。割と興味が」

提督「自転車」

高雄「自転車? 」

提督「おう、乗ったことないだろ?
しかも車みたいに理屈だけじゃなくてバランス感覚とかも必要だし」

高雄「あー……確かにないですね」

提督「な? 」

高雄「はい」

提督「……まぁ、たぶん練習したらすぐに乗れるようになるだろうけど」

高雄「でしょうね」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……ママチャリに乗る加賀、か」

高雄「っふぁ…………変な笑い出たじゃないですか」





加賀「……ロードレーサーに乗る私もどうかと思うのだけれど」

明石「私に言われましても。……まぁ、どちらにせよ愉快な図でしょうけど」


< でも経験アリ >





雲龍「……自転車、か」

天城「? 」

雲龍「一輪車に興味があるわ」

天城「はぁ」

雲龍「さすがにここにはないかしら」

天城「姉様。いくら長がだらしなくてもここは歴とした軍施設なのですよ」

雲龍「そうよね。……買おうかしら」

天城「時間ならありそうですしね」





提督「一輪車、二輪車、三輪車……かどこまであるのか」

愛宕「あなたが言うとなんだか卑猥ね」

提督「えぇ……」

愛宕「二輪車なんておすすめですよ? お客さん」

提督「いやぁ……えぇ……」

愛宕「もうっ、えっちなんだからぁ」

提督「それはお前だろ……俺は普通に乗る方を想像したんだよ」

愛宕「乗る? 」

提督「…………」

愛宕「…………ふふ」

提督「…………脳内真っピンクかよ、おい」


< なんとなく括りが、ね >





浜風「あっ、提督」

提督「ん? なんだ、乳か……浜風」

浜風「ちちか……? 」

提督「…………」

浜風「…………」

提督「……お前本当に駆逐なの? 主におっぱいとか」

浜風「……そこで開き直るんですか? 」

提督「いやー……よく考えてみたらもう遅いかなって」

浜風「そうですけど……私だからよかったんですよ?
春雨や雪風にしてたら酷いことになってました」

提督「まぁ、お前だから言えたんだしな。
雪風なんか特に無いだろ? 」

浜風「…………」

提督「…………」

浜風「…………」

提督「…………」

浜風「…………それでも、選んではくれないのですね」

提督「そりゃな。下ネタとガチの行動は別物だ」


< もう一人はどんな娘だろうか >





高雄「五月二十日の誕生石はグリーンゴールド。
石言葉“ 真っ直ぐ ”、“ 手厚い ”、“ 落ち着いた ”、“ 慎み ”、そして“ 綿密 ”」

提督「雲龍姉妹は二人とも慎み深い落ち着いた女性だと思っていた時期が私にもありました」

天城「……もしかして天城もですか? 」

提督「お前は酒飲みのワク女だろうが」

天城「別にお酒に強くても慎みは保てますけれど」

提督「……まぁ、お前はまだいいからな。それも理解できる」

雲龍「…………」

提督「……お前は本当にどうしてこうなった」

雲龍「……テク? 」

雲龍「あ? 」

雲龍「あなたの手練手管が凄すぎて……すぐに濡れ」

提督「やめろ」

天城「…………」

雲龍「浅ましいくらい啼かされるのも悪くないわよ? 」

提督「……そんなの知らねぇよ」

天城「…………もう最近はどうでもよくなってきましたよ、天城は」


< 剣片喰とか >





高雄「今日の誕生花は片喰。“ 喜び ”と“ 輝く心 ”ですね」

愛宕「片喰といえばメジャーな家紋の一つよね」

高雄「そうね」

愛宕「あの人のお家ってそういうのあるのかしら」

高雄「どうでしょう。普通の家庭であって華族様ではないと言っていましたが」

愛宕「でもあるところにはあるのよね〜 」

高雄「ええ」

愛宕「……神前だと私たちも関わるのよね」

高雄「まぁ……そうね」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………よく考えたら別にあんまり関係ないわね」

高雄「そもそもきっとチャペルですよ。なんとなくだけれど」


< 最近は見ない >





提督「回転するベッド? 」

春雨「はい。あったら楽しいと思うんです」

提督「まぁ、明石あたりならつくってくれそうではあるが」

春雨「パジャマパーティとか夜更かしのときにあると便利じゃないかなーって」

提督「そうだな」

春雨「デザインもピンクで私とお揃いにしちゃったり」

提督「いいな。なんなら天蓋とかも付けたらどうだ? 」

春雨「さすがです! 司令官。それ、いいなぁ……」

提督「明石に言うだけ言ってみたらどうだ?
設置するなら時雨や浜風に了承を得ないといけないが」

春雨「はい! 行ってきますっ」

提督「おう」





明石「……提督」

提督「うん? 」

明石「ピンクのフリフリ付きで天蓋のある回転式ベッド? 」

提督「あ、あー……うん」

明石「どう考えても一昔前のラブホじゃあ……」

提督「…………春雨は知らなさそうだし。いいだろ」


< 期待が裏返されるそのときの >





提督「今日のカクテルはオンディーヌカクテル。
カクテルワードは “ 自分の理念を表現する演出家 ”、だ」

山城「プロパガンダ? 」

提督「お前はまたそういうさぁ」

山城「別に悪い意味ではありません。
そういう捉え方をされやすい言葉ですが」

提督「まぁ、そうだな」

山城「何事もレッテル、レッテル、レッテル。視点を変えればそれはまた別のものに」

提督「…………」

山城「本当、嫌になるわ。……あなたもそういうこと、ないの? 」

提督「……俺個人で言えば、だか。……期待するのは勝手でも勝手に落胆されるのは、な」

山城「そう、それよ。久し振りにあなたと意見が合ったわね」

提督「そうかい」


<一航戦の誇り、顕現 >





提督「トランプ? 」

加賀「雲龍姉妹と扶桑姉妹。それから霧島が参加するようです」

提督「なんだそのメンツ。殲滅戦かなんかかよ」

加賀「は? 」

提督「なんでもない。……酒とつまみでも持ってくよ。あと三十分くらいで行ける」

加賀「わかりました。手伝うわ」

提督「えっ」

加賀「? 」

提督「……お前って妖怪食っちゃ寝じゃねぇの? 手伝ってくれるの? 」

加賀「……怒っても、いいのかしら? 」





提督「すげー! なんか意味わかんないくらい美味いんですけど。
ちょ、ちょっと作り方おしえてくんない? 」

加賀「ふっ…………やりました」


< さぁ、チップは充分用意できたかな? >





雲龍「はっ……私に喧嘩を売ったのは間違いだったようね。フルハウス」

山城「くっ……」

天城「フォールドして正解でしたね」

扶桑「そうね」

山城「……ツーペア」

雲龍「そう……そうよね」

山城「つ、次こそ。ディーラー! 」

提督「へいよ」

霧島「……地味に私も負けたのですが」

加賀「ホールデムでフルハウスなんていうのは事故よ。気にしてはいけないわ」





Littorio「へぇ……面白そうじゃない」

高雄「あなたも参加しては? 」

Littorio「そうですね。……ええ、それも悪くない」

高雄「私は愛宕でも呼んできますか。……丁度十人なのね」


< 勝者総取り >





提督「うぇ……疲れたぁ……」

愛宕「お疲れ様」

高雄「なかなかにハードな戦いでした」

愛宕「Littorioが理不尽に強かったわねぇ〜 」

高雄「あれは悪魔かなにかですか、まったく」

提督「…………」

愛宕「……うん? 」

高雄「……どうしました? 」

提督「…………明日、というか今日の朝は美味い煙草が吸いたいなって」

愛宕「ふーん……? 」

高雄「……それは」

提督「さっき二輪車の話したなって」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

愛宕「…………高雄? 」

高雄「……仕方ありませんね。結局Littorioでも勝てなかった今日の勝者相手ですし」

愛宕「そ。……佳い夜を、お供させていただきます。お客様? 」

提督「ん。……風呂いこ、風呂」


ありがとうこざいました


< ゆびわものがたり >





高雄「五月二十一日の誕生石はツインパール。
石言葉は“ 真面目 ”、“ 思想家 ”、“ 感受性の鋭い ”、“ 一生懸命 ”、そして“ 努力家 ”」

提督「思想家ねぇ……少将殿もそんな感じだったなぁ」

愛宕「ふーん……ただのキレ者おじさんって感じに見えたけど」

提督「まぁ、見方は人それぞれだからな。やらかした後だからそれのバイアスもあるし」

愛宕「どうせなら愛の思想でも振りまけばよかったのに」

提督「それはそれで……そういやあの人妻子がいたはずだな」

愛宕「この指輪は? 」

提督「現在それは世界で八つしかない。
横須賀、呉、舞鶴、佐世保、それから四つの基地」

高雄「その一つを持ってると思うとなかなか凄いですね」

提督「まぁな。……ちなみに艦娘用は九つ」

愛宕「じゃあ、私たちがある意味一番凄い? 」

提督「そうかもな。しかも開発責任者の明石もいるという。
……このまま亡命したら国賓級だな」

高雄「……笑えないですよ」

愛宕「……そうね」

提督「する気もないが。……冷静に考えると明石は実際世界につけ狙われてもおかしくない立場なんだな」





明石「ふぇ? 」

提督「いや……今の内に握手でもしておこうかと」

明石「? ちょっとお話がよくわからないのですが」


< 花の咲くような >





明石「どこぞのファストフードでスマイル0円なるものが復活するらしいですよ」

提督「ふーん……そう」

明石「あれ、興味ない? 」

提督「まぁ、行かねぇしな。しかも普段から金にかえられない笑顔なんて簡単に見られるし」

明石「うわぁ……ここで惚気ですか……」

提督「あ? お前も入ってんだぞ」

明石「えっ……」

提督「…………」

明石「……あ、あの……ちょっと工廠へ」スタスタ

提督「おう」



ガチャ、バタン



提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………ふっ」



ガチャ、バタン



高雄「……あの、なぜ妙に気持ち悪い笑い方をしているのでしょう」

提督「」


< 悪影響 >





提督「あれ、マヨネーズ嫌い? 」

霧島「特には。サラダはドレッシング派なだけです」

提督「ふーん……まぁ、俺もドレッシングだけど」

霧島「でも、時々意味わからないくらいかけてますよね、マヨネーズ」

提督「あぁ、好きなんだよ」

霧島「あんな山盛りだとサラダいらないんじゃないかって思いますけど」

提督「本当にたまにだからな。許せ」

霧島「いや、許すも許さないもありませんけどね」

提督「俺、マヨラー予備軍なんだよなぁ……自制しないとヤバイんだよ」

霧島「まさか白飯にもかけたり? 」

提督「小学生のときにちょっとな」

霧島「えぇ……よくそれで今の体型維持してますね」

提督「自制はできる方だし」

山城「はっ……どの口が」

提督「…………食事に関してはってことだ」

霧島「山城さんも興味はあったんで……いえ、なんでもないです、はい。睨まないで、ね? 」





扶桑「あっ……ちょっと美味しいかも」

山城「姉さまぁぁぁ……! あの男の所為じゃないっ! もう嫌ぁぁぁぁぁ……」


< 続きまして“ 少々 ”について >





霧島「お料理のレシピでですね」

提督「おう」

霧島「こしょう“ 少々 ”とかあるじゃないですか」

提督「あるな」

霧島「お料理を始めたときはその“ 少々 ”が知りたいのにって思ってましたよ」

提督「なんかメシマズの典型みたいなこと言ってんな」

霧島「む、提督も私の料理食べたことあるでしょう? 」

提督「まぁな。普通のムニエルとか普通のスパゲティだった」

霧島「お料理を続ける前提じゃないとああいうのってわからないですよね」

提督「慣れていくものだしなぁ。お前の姉妹は皆、皆…………あぁ」

霧島「…………」

提督「……メシマズはよくない」

霧島「…………」

提督「…………」

霧島「……誰のことを思い浮かべました? 」

提督「そりゃ……お前の方が考えちゃダメだと思うけどな」


< 万物は流転するとかなんとか >





高雄「今日の誕生花は藤。花言葉は“ 決して離れない ”」

愛宕「私たちは死後どこへ逝くのかしらねぇ」

提督「そりゃ……あの世? 」

愛宕「でも天国だって地獄だって人間だけのものでしょう? 家畜や虫はまた別なのだし」

提督「お前らはそのどちらでもないけど。……でもどうなんだろうな」

高雄「無になるという選択肢はないと? 」

提督「ロマンがねぇもん」

愛宕「どうせなら夢をもって死にたいじゃない? 」

高雄「そうですが」

提督「……ま、俺は別にお前らと同じじゃなくてもいいさ」

愛宕「あ、そうなの」

提督「そのために今を生きてるんだからな。
望むのと現実は別にして考えないと」

高雄「確かに」

愛宕「ま、それもそうね。うーん……まずは人間らしく死ねる身体が必要、か」


< こんな私にも夢を >





提督「で、お前はどう思う? 」

明石「あの、私は宗教家じゃありませんよ」

提督「そうだが」

明石「…………個人的な考え、ですが」

提督「おう」

明石「私たちはあなたたちと同じ道へ行くと思いますよ」

提督「へぇ……以外だな」

明石「別にロマンティックな理由じゃありませんよ。
単に人間と艦娘の共通点を挙げていって同じ生き物として分類されるだろうな、と思うだけです」

提督「そうか」

明石「……でも、もし」

提督「うん」

明石「もし、死後というものがあって、ともに逝けるのならば」

提督「あぁ」

明石「私も一緒にいたいな、それぐらいは夢を持ちたいです」

提督「あぁ……そうだと、いいな」


< あなたの中二は良い中二 >





提督「俺は未だに中二病だぞ」

時雨「いや、それを僕に言うのはなにか含みでもあるのかな」

提督「さてな」

時雨「……でも提督の幼い頃、ちょっと興味があるよ」

提督「中二エピソードか? よしきた任せろ」

時雨「別に普通のエピソードで構わないけど」

提督「中二提督その一、愛猫の名前は騅」

時雨「スイ? 」

提督「おう。垓下の歌って知らないか? 」

時雨「あー、その騅なのかい? ふっ、それはまた……はは」

提督「あの頃はこの名前が最凶だと信じて疑わなかったものよ」

時雨「……まぁ、でもなかなか良い名前じゃないかな。
スイ、なんて響きのいい名前だ」

提督「時雨ならそう言ってくれると信じてたよ」

時雨「うん? 」





愛宕「私も可愛い名前だと思ったんだけどなぁ」

明石「そこで“ 響きのいい ”と“ 可愛い ”には天と地ほどの差があるんですよ、きっと」

愛宕「ふぅーん……? 」


< ちいさな幸せを積み重ね >





提督「そういやお前らの帰還が三日後の24日に決まったぞ」

扶桑「そう、ですか」

提督「よく休めたか? 」

扶桑「……はい。私には分不相応な程に、楽しかった」

提督「そ、よかったな」

扶桑「あなたがいたから」

提督「…………」

扶桑「…………」

提督「…………」

扶桑「…………」

提督「…………そんな目で、そんな言い方されたら揺れちゃうだろ」

扶桑「……ふふ、それが目的ですから」

提督「…………」

扶桑「……でも、これが限界なのですね」

提督「……まだ試せる時間は残ってるが」

扶桑「いえ、それはまたの機会の楽しみに」

提督「そうか」

扶桑「…………」

提督「……悪いな」

扶桑「……いえ」


< 柔らかく笑むそのわけは >





雲龍「♪ 」





明石「なんです、あの異様に機嫌よさそうな雲龍さん」

天城「今回正式に姉様と天城がこの基地所属となったので」

明石「あぁ、なるほど」

天城「天城としては戦わねばという気持ちもあるのですけれど」

明石「まぁ、前線も膠着してますしね。
シーレーン防衛は精神擦り減らしますし」

天城「先の少将が守っていた要港部が消滅したことで、
こちらの防衛力を増強する方向にシフトするのだとか」

明石「提督も昇進されたはずですよ。少将になるはずはずなので名実ともに提督ですね」

天城「へぇ……あの方もなかなか」

明石「……だからこんな無理を通せたんですよ」ボソッ

天城「はい? 」

明石「いえ、私もこちらに研究設備を移して本格的な研究を始めるので暫くは一緒ですね。
よろしくお願いします」

天城「はい。こちらこそ」


< そのうち姉妹(意味深)に >





提督「今日のカクテルはミドリスプモーニ。
カクテルワードは“ ゴールを導くまで求める情熱家 ”、だ」

加賀「ゴール」

雲龍「(意味深)」

提督「……俺、避妊はちゃんとしてたぞ」

加賀「過去形なのね」

雲龍「初めてであんなに……あぁ」

提督「……割と自制して痛くないように頑張ったつもりなんだけどなぁ? 」

加賀「頑張る」

雲龍「(意味深)」

提督「……あのな」

高雄「……この人たち無駄に仲いいですね」

天城「この場合不思議と疎外感を覚えるのが嬉しく感じますけれどね、天城は」


< この重みは誰が為か >





愛宕「昇進おめでとう? 」

提督「ん、責任が増えただけだけどな」

高雄「それでもそのおかげで雲龍さんたちや明石さんをこちらに引っ張ってこられたのでしょう? 」

提督「……まぁ、な」

高雄「今やこの国の最先端の一つを行く明石さんを引っ張ってきたのですから。
悪くない結果だったと思います」

提督「…………」

愛宕「でも、さすがに扶桑姉妹とかは厳しかったわね」

提督「そりゃな。……ま、そのうちアレがくるだろ」

高雄「アレ? 」

提督「少将と残党。そのときのこと考えて帝都にはある程度の要求を飲ませてやるさ」

高雄「上手くいくでしょうか」

提督「してやる、してみせるさ」

高雄「…………」

提督「…………」

愛宕「まぁ、とりあえずは喜びましょうか。折角昇進したのだし? 」

提督「…………そうだな」


< ラウリン酸というらしい >





愛宕「気を取り直して」

提督「あぁ」

愛宕「ココナッツオイルには」

提督「オイルには? 」

愛宕「母乳と同じ成分が含まれているんですって」

提督「は? 」

愛宕「紅茶や緑茶に入れても美味しいらしいわぁ〜 」

提督「……だからどうした」

愛宕「つまり逆に言えば私の母乳も紅茶や緑茶に入れたら美味しく」

提督「ならねぇだろ。つーか、お前まだ出ないだろうが」

愛宕「まだ? 」

提督「…………」

愛宕「……ふふ」

高雄「……簡単に揚げ足を取られて……馬鹿め……と言って差し上げますわ」


< 組み敷き、噛まれ、絡み合い >





提督「ん……」

高雄「ゅる…………ん……む…………ぁ……」

提督「はぁ…………キスしながら腰揺らす女になるなんて、まったく」

高雄「あっ、なたの所為でしょうがぁっ……」

提督「クク……実に俺好み」

高雄「ぁぁっ……んぅ…………いやぁ……」

提督「でも元からエロい身体してたしなぁ……素質かもね」

高雄「…………っ」

提督「いたっ……首筋って痛いんだぞ」

高雄「…………ゃく」

提督「うーん……? 」

高雄「…………はやく、お願い」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………しゃーねーな」

高雄「……ん…………あぁ」


< 裏ではこんな会話を >





Littorio「あなたはいかなくていいのですか? 」

愛宕「ん、どこに? 」

Littorio「彼と高雄のところに」

愛宕「あぁ。……今日は高雄の日なのよ」

Littorio「なるほど」

愛宕「ええ」

Littorio「…………」

愛宕「…………」

Littorio「……Littorioと」

愛宕「ヤってみる? 」

Littorio「あなたは拒まないのね」

愛宕「だって高雄とは違うもの。……あなたなんて私のテクで十分よ」

Littorio「へぇ……自信あるのね」

愛宕「もちろん」

Littorio「…………」

愛宕「…………」

Littorio「…………お風呂に、行ってきます」

愛宕「そ。ごゆっくり」


や、案外都会でもある……はず

ありがとうございました


< そんな優しさも、また >





高雄「五月二十二日の誕生石はデンドリティッククォーツ。
石言葉は“ 優しさ ”、“ 人を立てる ”、そして“ 率直 ”、だそうですよ」

提督「んー……」

高雄「ぁ……もう、朝、なのに」

提督「うん……あとどれくらい? 」

高雄「……あと三十分程は……ぅ……」

提督「そ」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……朝のあなたは、優しい」

提督「えぇー……普段も優しくしてるつもりなんだけど」

高雄「手つきと……目が違いますもの」

提督「うーん……? 」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………お前はいつも優しいな」

高雄「そうありたいと、っぁ……」


< そして今日も朝が >





天城「おはようございます」

愛宕「あら、おはよう」

天城「…………」

愛宕「…………」

天城「……いい匂いですね」

愛宕「そう、今日はフリッタータにしてみたの」

天城「フリッタータ? 」

愛宕「イタリアのたまご焼きみたいなものね。
Littorioにおしえてもらったの」

天城「なるほど。……天城もなにか」

愛宕「うーん、お味噌汁の味をみてくれるかしら」

天城「承りました」


< 何事もなきその空間を >





高雄「今日の誕生花はフクシア。花言葉は“ 信頼した愛 ”、“ 恋の予感 ”、“ センスの良さ ”、そして“ 交友 ”」

提督「フクシアってあれだよな。真っ赤で下にぶら下がる」

高雄「そうですね。三月から十月頃までが開花期なので今でも見られるかと」

提督「へぇ……」

高雄「はい」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……涼しい風だな」

高雄「そうですね」


< くねらす身体の熱きこと >





提督「なんか逆にゴムあったら新鮮で面白そうな気がしてきた」

高雄「……いきなりなんです」

提督「や、必要のないものをわざわざ使うのって人間らしくない? 」

高雄「……知りません」

提督「種の保存のための行動ができないってわかってるのにだぜ?
わざわざ薄い膜使ってまで貪る人間がこの世になんと多いことか」

高雄「…………」

提督「な、そう思わない? 」

高雄「……積極的に否定はしませんが」

提督「うん」

高雄「個人的には使わないでいただけると」

提督「ふーん……」

高雄「…………」

提督「……ま、冗談だよ」

高雄「…………そうですか」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………十分スキモノだよな」ボソッ

高雄「なにか? 」

提督「なんも」


< 女の敵のようで味方、のようで敵 >





提督「俺が軍人以外なら得意そうな職業を挙げよ」

高雄「なにを……柔道家とか」

提督「いいね。剣道もいけるぞ」

加賀「居酒屋のつまみ担当」

提督「ん? まぁ、そんなものがあればな」

天城「では、そのまま酒屋」

提督「そんなに知識豊富ってわけじゃないけどなぁ」

雲龍「女衒」

提督「は? 」

雲龍「だから女衒」

提督「…………」

高雄「あぁ……」

加賀「否定できないわね」

天城「…………」

雲龍「でしょう? 」

愛宕「でもそれだと私たち皆売られちゃうわよ? 」

提督「…………いや、否定しろよ、ねぇ、おかしくない? 」


< 忠犬らしさとかなんとか >





山城「ま、あの男には女衒程度がお似合いなのよ。
栄えある帝国軍人にしておくのは不愉快なくらい」

扶桑「でも優秀な方よ。だからこそ私たちの指揮権を与えられているのだし」

山城「そうですが」

扶桑「それに私、あの人は優しすぎて女衒なんてできないと思うわ」

山城「どうだか。顔がいいだけの男は得てしてそういうものですよ」

扶桑「ふーん……? 」

山城「姉さまも家畜に憐れは覚えないでしょう? 」

扶桑「……あの人をそういう風に見ているの? 山城」

山城「……ものの例えです、姉さま」




時雨「……へぇ、彼女も提督の顔のよさは否定しないのか、なるほど」

春雨「聞こえるように言うのやめようよ……睨んでるよ? 」

時雨「あぁ、たまたま聞こえてしまっただけさ。悪いね。僕も少しだけ機嫌が悪かったみたいだ」


< 何を私に望んでいるのですか? >





時雨「それでも他の男よりは提督の方がいいだろう? 」

山城「それは……」

時雨「彼なら大切にしてくれると思うよ、姉妹共々ね」

山城「…………」

時雨「彼はカッコいい。それを自覚しているし経験も豊富だろう」

山城「…………」

時雨「ま、僕がとやかく言うことじゃないのは分かってはいるんだ。
ただ彼のことをあまり悪く言わないでほしい」

山城「…………悪かったわね」





春雨「山城さんが司令官以外のカッコいい人を見つければいいのに」

扶桑「難しいこと言うわね」

春雨「でも」

扶桑「彼はどうやって付き合おうか考えられる人なのよ。
付き合った後になにをしたいかが先に立つような凡百とは違う」

春雨「はぁ」

扶桑「もちろん先のことを考えていないわけではないの。
ただ比重が違うのね。今のことを全力で考えてくれる」

春雨「……わかりません、私には」

扶桑「ふふ……それでいいの。相手がなにを考えているのか。
必要以上に探るようになってはダメよ? 」


< 手段を問わず >





雲龍「思うのだけれど」

天城「はい」

雲龍「あの人割と押しに弱いし許容値越えるまで飲ませまくったらお持ち帰りできないかしら」

天城「……姉様は潰れないのですか」

雲龍「いざとなったら消化酵素弄ってブーストすれば」

天城「…………まぁ、やってみてもいいんじゃないですか」

雲龍「ええ、アリかもしれないわ」

天城「ただ、ですね」

雲龍「? 」

天城「あの人が酔い潰れたら高雄さんか愛宕さんが付きっきりで介抱すると思います」

雲龍「あっ」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………これはもう全員酔わせるしか」

天城「…………そんな死屍累々の軍施設見たくありませんけれどね」


<この程度では既に >





提督「あー、これいいね」

愛宕「うん? 」

提督「もう映ってないけどユニフォームとかシャツとかをこう……ヘソ上くらいで緩く結んでるやつ」

愛宕「へぇ……あ、映った」

提督「これこれ。いやー……よくない? 」

愛宕「これ生地が痛むのよねぇ……やってみる? 」

提督「お前今ブラウスじゃねぇか……今度な」

愛宕「そ、覚えてたらね」

提督「俺は覚えてるぞ。絶対に」





高雄「…………なにかおかしいはずの会話なのですが……なんだかわかりません」

天城「高雄さん……毒されてますよ」


< 単純に褒められるのとはまた違う >





提督「今日のカクテルはオンディーヌ。
カクテルワードは“ 女性の優美さを象徴する人 ”、だ」

愛宕「水の精? 」

提督「だな」

雲龍「私たち? 」

明石「磯臭い水の精霊はちょっと……」

高雄「水の精は砲弾飛ばし合う殺し合いはしないと思いますが」

提督「まぁ、俺から見れば十分以上に精霊だけどな」

愛宕「…………」

雲龍「…………」

明石「…………」

高雄「…………」

提督「うん? 」





愛宕「……なんだかそれはそれで恥ずかしいわよね」

雲龍「俺の妖精ちゃん、みたいな? イタイわね」

明石「あの、塩辛い水の精霊……あの。ボケたんですけど……」

高雄「……純粋に嬉しく思ったりは……まぁ、気恥ずかしいのはわかりますけど」


< 貴女だからこそ似合うと >





提督「あ、おーい、山城ー」

山城「……なんですか騒々しい。私はこれから姉さまと眠るという大事な」

提督「いや、すぐ終わるから許してくれよ、な? 」

山城「……手短に」

提督「はいはい。……これ、よかったら使って」

山城「……かんざし? 」

提督「おう。なんか荷物整理してたら出てきたんだよね。
舞鶴の鎮守府行ったときにたまたま手作り体験会しててさ」

山城「……あなたの手作り、なのね」

提督「あぁ、嫌なら捨ててくれ。……じゃ、もういいぞ」

山城「…………」

提督「……どした? 」

山城「……なぜ、私なの? 高雄か愛宕か……せめて姉さまに」

提督「なんで? お前に一番似合うと思っただけだよ」

山城「…………そうですか。ありがとう、ございます」





ガチャ、バタン



山城「…………」

扶桑「あら……綺麗な花かんざしね。どうしたの? 」

山城「…………似合うと、思いますか? 」

扶桑「ええ、いつもの髪飾りとはまた違って……新鮮でとてもいいわよ? 」

山城「…………」

扶桑「……? 」

山城「……………………はぁ」


先程Littorioがタイトルのスレッドが建っていましたよ

ありがとうございました


< サドンデス、ボム兵、モンスターボール >





高雄「五月二十三日の誕生石はレインボーガーネット。
石言葉は“ 積極的 ”、“ 楽しい ”、“ 寛大 ”、そして“ 勇敢 ”」

提督「ふははは! ざまぁねぇなぁ」

明石「少しくらい容赦とか手加減とか」

提督「いやー、俺接待プレイとかできないし? 」

時雨「もうこれはアレだね。ルール絞って三人で最初に提督を落とそう」

明石「……ですね」

浜風「仕方ありませんね」

提督「はっ……その程度で勝てると思うなよ。なんなら俺のキャラを指定してくれてもいいぞ」

時雨「言ったね? 」

提督「おう」

明石「……今度こそ、勝つ」

浜風「あわよくば漁夫の利を」





時雨「」

明石「」

浜風「」

春雨「さすがです! 」

高雄「で、勝った、と」

提督「GCだからな。現行機は兎も角あれのプレイ時間から考えればまだまだ余裕よ」


< たとえあなたがどこにいようと >





高雄「今日の誕生花は水引。花言葉は“ どこまでも離れない ”」

愛宕「もう一緒にいて何年だったっけ? 」

高雄「さぁ……あなたとは生まれ落ちてすぐ一緒になった記憶が」

提督「まぁ、思ったよりは長くないな。毎日が濃過ぎて長く感じるけど」

愛宕「濃ゆい、ね」

提督「……おう」

高雄「まぁ、何度か遠出したり外洋に出たときには離れてますけどね」

愛宕「それでも心は共に、ってかんじ? 」

提督「そうだな。案外馬鹿にしたものでもなくそう思うよ」

高雄「……ときどき離れていると有り難みもわかりますしね」

提督「だな」

愛宕「でも逆にずっとべったりでも気まずくはないのよねぇ〜」

提督「当たり前だろ。現在進行形理想カップルなんだから」

高雄「また大きく……ま、同意はしておきましょうか」


< 貴公子でも姫様でも最後は同じ >





提督「今日のカクテルはモッキンバード。
カクテルワードは“ 時の流れを垣間見る流星の貴公子 ”、だ」

明石「また意味不明な」

提督「本当だよ。流れを垣間見てどうすんだよ。しかも自分も流れてくのかよ」

明石「なんというか行きずりみたいなお話ですねぇ」

提督「いや……まぁ、聞こえなくもないけどさ」

明石「シンデレラの王子様も割とそんな感じかもしれません」

提督「あれはむしろシンデレラがそうだろ。
ダンスパーティって言うけど休憩中とか別の部屋行ったりするだろうし」

雲龍「想像が下世話」

提督「仕方ねぇだろ。俺は童話みたいに清くねぇの」

明石「まったくです……というか雲龍さんがシンデレラでも同じことするでしょう? 」

雲龍「そうね」

提督「それに即答するのもどうなんだよ」


< 発端 >





加賀「提督の実はあまりお酒に強くないのでは疑惑」

提督「あ? 」

加賀「が、持ち上がっています」

提督「なんだそれ」

加賀「もっぱらの噂ですよ」

提督「いや、どこでだよそれ。初めて聞いたわ」

加賀「私の中でです」

提督「せっま。範囲せっま。……そりゃお前らよりは弱いぜ? なんたって人間だし」

加賀「しかし普段の態度からしていかにも自分は強いと豪語しているような」

天城「まぁ、それ言ったの加賀さんが初めてですけれど」

提督「へぇ……仕方ねぇな。高雄」

高雄「ここに」

提督「飲み比べをしたい方がいるようだ。今日の酒とつまみと……万が一の介抱頼める? 」

高雄「なんなりと」

提督「おう。……ってことだ」

加賀「これは……さすがに気分が高揚します」

天城「……沢山、飲めるのですね」





Littorio「ふーん……おもしろそうなことするのね」

高雄「あなたも参加しますか? Littorio」

Littorio「結構です。Littorioは男には溺れてもお酒には溺れない主義なので」

高雄「そうですか。……男? 」


< 飲め、騒げ、そして寝ろ >





提督「あー……バーテンダー役しなくていいと楽だなぁ」

加賀「まだまだ余裕なようね」

提督「そりゃな。別にハイペースって程でもないし」

天城「姉様、一緒に飲みましょう? 」

雲龍「……一応明日出発なのだけれど」

提督「いいだろ。任務とかじゃなくて横須賀から荷物持ってきたりするだけなんだし」

雲龍「……でも」

加賀「そういうときは……はい」スッ

雲龍「はい? 」

加賀「私の注いだ酒が飲めないの? 」

雲龍「…………」

加賀「こうやるのよ」

提督「……それ嫌がられるの自覚してする行動だったかな……高雄ー、つくね」

高雄「ただいま。…………どれだけのお酒と食料が消費されることやら」


< そこから少し離れて >





山城「あの男はまったく……自分で渡したものの確認にもこない、と」

時雨「ここ、いいかな」

山城「ぁ? ……お好きに」

時雨「そうさせてもらうよ」

山城「…………」

時雨「…………」

山城「…………」

時雨「…………そのかんざし、なかなか似合ってるじゃないか」

山城「……そ、どうも」

時雨「…………貰い物かい? 」

山城「…………そうね」

時雨「…………」

山城「…………」

時雨「……自棄酒、か」

山城「悪い? 」

時雨「いや……僕も今そうしたい気分になったからね、構わないさ。……熱燗はないの? 」

山城「貰ってきなさい……………………ちょっと待って、あなた好みがおかしいんじゃないの」


< こちらではワイワイと >





霧島「くっ……時雨がいなくなったというのに」

浜風「時雨がおかしいだけで私や春雨も弱くはないんですよ」

霧島「……そのようね」

扶桑「でもこんな双六……ボードゲームみたことないわ。なんなの? これ」

春雨「なんだか変なマスばっかりですもんね」

霧島「三マスか……次の番まで眼鏡を掛けていれば外す。なければその逆」

浜風「掛けてますね」

霧島「まぁ、別に外しても……掛けてみる? 」

浜風「どうも」

春雨「わぁ……二人とも新鮮だね。可愛いよ? 」

扶桑「私も掛ければ……いえ、意味のないことかしら。どうせあの人の感想は…………ふふふ」





愛宕「どうして一人だけ黒い瘴気放ってるのかしら」

明石「愛宕さーん、余市12年入りましたー」

愛宕「はーい。……ま、気にしない方がいいこともあるわよね」


< お風呂は生命を洗うというが >





Littorio「はふ……これ気に入りました」

提督「うん? 竹鶴の……ふぇ、25年かよ」

Littorio「目が高いでしょ? 」

提督「それ自分で言う言葉じゃないんだけど……まぁ、そうだな」

Littorio「ね、Littorioも明日からしばらくここを離れるでしょう? 」

提督「帝都と横須賀回るんだったな。……待て、まさか戻ってくんのか? 」

Littorio「ええ、そのつもりです」

提督「…………」

Littorio「? 」

提督「……まぁ、いいや。来年くらいまで戻ってこなくていいぞ」

Littorio「ふふ、どうかしらね」

加賀「提督、手が止まっています」

提督「あぁ、悪いな。……天城が死にかけてるぞ」

天城「ふぁ……? まだまだいけますから、ご心配なく」

提督「いや、酔ってないやつはスプーンくるくる回さねぇよ。ましてやお前が」

天城「もうっ、うるさいですね。飲めばいいんでしょう、飲めば」

提督「いや、逆に控えろと誰かこいつを止め…………雲龍のやつ逃げやがったな」





雲龍「ふぅ……相変わらずいいお湯ね。…………あなたたちがいなければ」

山城「なに? いたら悪いっていうの? これだからあの男に惚れてるやつは」

時雨「やめなよ。……まぁ、諦めて一緒に温まろうよ。山城も酔ったときだけだから、ね? 」


< それはお互への刃となり >





時雨「…………」ジ-

雲龍「……なにかしら」

山城「これでしょ」ムニッ

雲龍「ふぇっ……ちょっと、勝手に触らないで」

山城「なによ、あの男専用とでも言うつもり? 」

雲龍「そうよ、悪い? 」

山城「…………」

雲龍「…………」

山城「…………」

雲龍「…………」

山城「……卑しい雌豚が」

雲龍「はっ……望んだものを永遠に手に入れられない女の戯言ね」

時雨「二人とも酔い過ぎだよ…………それにしてもよく揺れるね、はぁ」


< そして >





提督「そもそもだな。俺が普段飲まねぇのはお前らがいるからセーブしてんだよ」

加賀「そのようね」

提督「ってもひたすら酒だけ同じペースで飲んでれば俺が先にぶっ倒れるけどな」

天城「姉様ー? 姉様どこですかー? 」

加賀「……こういうあなたが見たかったのだけれど」

提督「やめろ。俺のイメージが崩れるじゃねぇか」

加賀「イメージ? ふふ、崩れる程のイメージかしら」

提督「俺にとってはな。クズの自覚とはまた違うんだよ」

加賀「……そう」

提督「あぁ」

加賀「……興が削がれたわ」」

提督「……だろうね」

加賀「…………これの処理はお願いね」

提督「えぇ……嫌なんだけど。後輩だろ? 」

加賀「部下でしょう? 」

提督「……………はぁ、仕方ねぇな」


< ストレスでも溜まっていたのだろうか >





天城「提督ー……わかめ酒しましょー? 」

提督「おい、こいつ誰だ」

高雄「天城さん……だった誰かの成れの果てですかね」

天城「ねぇねぇ……こういうの好きでしょう? ね? 」

提督「脱ぐんじゃねぇよ、馬鹿。……おーいー……こいつどうにかしてくれよ」

高雄「いっそこのまま同衾されては? 」

提督「それで朝になって微妙な雰囲気になるの嫌だもん。
こいつが記憶残るタイプかどうかは知らないけど」

高雄「……右肩は持ちましょう」

提督「へいよ。あのー……とりあえず天城の部屋行かない? 」

天城「えー、姉様と一緒にですか? 提督も好きですねー」

提督「…………」

高雄「…………」

天城「…………ふふふ」

提督「……これ動画で残したいな。そのうち強請りの材料にできるだろ」

高雄「やめた方が……かなり面白い図なのは確かですけどね」

天城「ふふふー☆ 」


< そして暫定女王はというと >





加賀「ふっ……口程にもない」

愛宕「さすがに加賀さんが強すぎるだけだと思うんだけど……天城も相当だし」

加賀「そうね。……提督の限界を知るいい機会だと思ったのだけれど」

愛宕「天城ダウンでそんな雰囲気じゃなくなっちゃいましたしねー」

加賀「…………」

愛宕「…………」

加賀「…………」

愛宕「…………」

加賀「…………お冷、いただけるかしら」

愛宕「はーい」スタスタ

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………まだ飲めるわね」


< 宴が終わったその後に >





愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……見事な……惨状ね」

高雄「一体何本空けたのやら」

愛宕「お皿も物凄い数あるわね」

高雄「ええ」

愛宕「…………」

高雄「…………」





山城「まったく、だからあなたは」

雲龍「なによ、あなたこそ自分の望みも口に出せない癖に」

時雨「……いつまでやってるのさ。もう、とっくに酔いも覚めただろうに」

愛宕「……獲物がきたわね」

高雄「そうね。……そこのお三方、姉妹の代わりにお手伝いしていただけないかしら? 」

時雨「やれやれ……僕はまるっきりとばっちりじゃないか、もう」


まぁ、高雄姉妹とか雲龍姉妹もあんまり見かけませんけどね……うーん

ありがとうございました


< 出立のその朝に >





浜風「ふぁ……まだ、早朝か」

時雨「…………Zzz」

春雨「…………Zzz」

浜風「…………」

時雨「…………Zzz」

春雨「…………Zzz」

浜風「…………時雨によるとときどき早朝には提督が出没するらしい」

時雨「…………Zzz」

春雨「…………Zzz」

浜風「…………いなくても元々、行ってみても、いいかな」


< 女性の大胆さも悪くないけれどね >





浜風「本当にいた」

提督「ん? 浜風か、珍しいな」

浜風「おはようございます」

提督「あぁ、おはよう」

浜風「…………」

提督「…………」

浜風「……あの、なにを、してるんですか? 」

提督「え? 見たまんまだよ。海見てんの」

浜風「は、はぁ」

提督「…………」

浜風「…………」

提督「…………」

浜風「……あの、楽しいですか? 海」

提督「えっ、楽しくない? 」

浜風「…………」

提督「…………」

浜風「…………提督がいれば」

提督「…………」

浜風「…………」

提督「…………大胆な告白ってのは古今東西女の子の特権だぜ? 」

浜風「……ふふ、いきなりなんです? 」

提督「あれ、違った? 」

浜風「だって……私が何か言っても、困るでしょう? 」

提督「……かもね」

浜風「…………いいんです、私は、これで」

提督「……そっか」

浜風「…………はい」


< 皆で集まって >





提督「写真? 」

明石「はい、ここにいる人たちで撮ってみようかな、と」

提督「へぇ、いいんじゃないの?
デジカメくらいしかないけど」

明石「十分です」

提督「おう。……いや、うーん」

明石「どうかしましたか? 」

提督「なんていうか……お前変わったな」

明石「そうですか? 」

提督「俺から見れば」

明石「……そう、ですか」

提督「あぁ」

明石「…………」

提督「…………」

明石「……それは、提督にとっていいことですか? 」

提督「あぁ、悪くないね」

明石「…………そう、ですか。それならいいです」


< いつから自分は、こんな >





提督「あ、似合ってるぜ? 」

山城「……遅い」

提督「悪いな、ちょっと時間なくてさ」

山城「他の女侍らせていただけでしょう? 」

提督「ん? なに嫉妬? 」

山城「はっ……巫山戯たことを」

提督「…………」

山城「…………」

提督「……でもさ、渡したときに差してくれない山城もさ、ね? 」

山城「整っていない姿を見せろと? 」

提督「そういう意味じゃねぇけど」

山城「…………」

提督「…………」

山城「…………写真、そろそろみたいよ」

提督「そうか……いつもの髪飾りで写らなくてもいいのか? 」

山城「そっちの方がいいのかしら? 」

提督「いや……是非そのままで頼むよ」

山城「…………それなら最初から訊かないでよ、まったく」


< 次に会うときは、どんな >





提督「じゃ、よろしくな」

明石「はい、しっかり綺麗に仕上げてきますよー」

提督「まぁ、デジカメのデータを綺麗にもなにもないけどな」

明石「そこは気持ちのですね」

提督「そうかい。……お前だけ一日早く戻ってくるようにしたから」

明石「ぁ……」

提督「心しとけよ? 」

明石「…………はい」

提督「…………」

明石「…………」

愛宕「じゃあ、よろしくね? 三笠さんとか摩耶たちによろしくー」

明石「あっ……はい、了解です」

高雄「できれば私も横須賀へ行きたいのですが……」

提督「それはなかなか、な。……じゃ、また」

明石「はい。…………楽しみに、してますから」

提督「おう」


< 穏やか過ぎて悪いことはないが >





高雄「五月二十四日の誕生石はホワイトムーンストーン。
石言葉は“ 着実 ”、“ 穏やか ”、“ 慎み深い ”、“ 物知り ”、最後に“ 切れ者 ”、ですね」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「…………穏やか過ぎないか」

愛宕「……でも、つい最近までこれが普通だったじゃない」

高雄「……なんだか久し振りのような気がしますね。私たち三人だけというのも」

提督「あぁ」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

愛宕「…………お昼寝でも、しない? 」

高雄「……そうね」

提督「…………気を張らずに寝るのも久し振りだな」


< 緊張の糸が切れて >





提督「ふぁ……お日様の匂い? 」

愛宕「そうね」

提督「んー、愛宕の匂い? 」ギュッ

愛宕「んふっ、そうね」

提督「…………寝る」

愛宕「そうね」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………なんか、いざとなると寝付けないな」

愛宕「そうね。……私はそれでもいいけど」

提督「うーん……でも、こいつすげぇな」

愛宕「きっと疲れてたのよ、結構内気な方だし」

提督「そっか」

愛宕「ええ」

高雄「…………Zzz」


< 永久に永久に >





愛宕「今日の誕生花はヘリオトロープ。
花言葉は“ 献身的な愛 ”、“ 熱望 ”、“ 永久の愛 ”」

提督「ふーん……お前がってのは珍しい気もするな」

愛宕「だっていつもは高雄が先に始めちゃうし」

提督「そうだな」

愛宕「……永久の愛なんてないのよねぇ〜 」

提督「そうか? 」

愛宕「あるとすれば毎日更新される愛が結果的に続いてるだけよ」

提督「……なるほど」

愛宕「うん」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………ん」

愛宕「ん…………どうしたの? いきなり」

提督「突然キスしたくなることってない? 」

愛宕「んー……あるかも」

提督「そういうこと」

愛宕「そ」

提督「あぁ」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……ん、もう一回」

提督「ん」


< 相談はされやすい >





提督「今日のカクテルはサンジェルマン。
カクテルワードは“ 出来る限りの協力を惜しまない努力家 ”、だ」

愛宕「サンジェルマン伯爵? 」

提督「とはあんまり。普通に大元の地名からだな」

高雄「シャルトリューズ、ですか」

提督「あぁ、いい香りだろ? 」

高雄「はい、ちょっと強めのリキュールなんですよね」

提督「まぁね」

愛宕「……出来る限りの協力を惜しまない、か」

提督「ん? 」

愛宕「なんだか“ いい人 ”止まりしそうな感じね」

提督「……言ってやるなよ」


< 水入らず、のような >





提督「さて」

愛宕「うん」

提督「寝るか」

高雄「先程までお昼寝していたのですが」

提督「俺はあんまり寝られなかったんだよ」

愛宕「私もー」

高雄「…………」

提督「? 」

高雄「……変なことしてなかったのでしょうね」

提督「いや、さすがに……精々キス止まりだよ」

高雄「それも十分……まぁ、構いませんけれど」

愛宕「ふふ……お昼のだけじゃ全然足りないもの。
高雄も一緒に可愛がってもらいましょ?」

提督「おい、普通に寝たいんだけど」

愛宕「そう? なら、たっぷり可愛がってあげましょうか」

提督「あー……それすると明日腰がヤバいんだよなぁ」

愛宕「なら、ね? 」

高雄「…………」





高雄「……ふ、悪くない、悪くないです。
賑やかなのも悪くないけれど……やはり、私は、私たちはーー」

提督「高雄? 」

愛宕「どうしたの? 本当に寝ちゃう? 」

高雄「いえ……私も随分染まってしまったな、と。考え事みたいなものです」

提督「そう、か」

愛宕「ふふ……はーい、まずは……ーー」


カッコいいお酒、というと沢山ありますね
時と場合、シチュエーションで合うものが違うのでなんともいえませんが

ありがとうございました


< 生理現象です >





愛宕「おはよっ」

提督「んぁ……? ……寝る」

愛宕「おはよう? 」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……ね、朝よ? 」ユサユサ

提督「……夜だよ」

愛宕「なにガキみたいな……そう」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………? 」

愛宕「……はーい、朝から元気ですねー☆ 」

提督「! わっーた、わっーた。起きるからやめろ。
……あと、寝起きは仕方ないんだよ、おっきくなっちゃうの」


< 朝からなんて会話を >





提督「危なかった、危うく貞操を奪われるところだった」

愛宕「後ろに興味あるの? 」

提督「ねーよ。少なくとも自分のには」

愛宕「ふーん……? 」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………俺さ、雰囲気とか過程の楽しめない準備って苦手なんだよね」

愛宕「うん? 」

提督「……本気で後ろヤる為には面倒な手順が沢山あるんだぞ」

愛宕「や、そんな真面目に語られてもね、私もやーよ」

提督「あぁ……その方がいいね」


< 周囲を憚らない >





提督「あぁー……字が読めないー……」

愛宕「下から出し過ぎて脳まで溶けちゃったの? 」

提督「それガチ下ネタじゃん……」

高雄「そんな嫌そうな顔をするなら手を目を動かして」

提督「なんかさー、“ 私 ”って字がゲシュタルト崩壊してきた」

高雄「終わらせれば見なくてもすみますよ」

提督「うーん……」

愛宕「やっぱり下から」

提督「それならお前と高雄は空っぽになってるはずだろ」

愛宕「いやーん、ガチじゃなーいっ」

提督「お前な」

高雄「…………雲龍さんたちがいないとこれがあるのよね、はぁ」


< ゆらゆら揺れる、踊る >





高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「……なにやら落ち着くというか……なんというか」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………」

愛宕「……なに固まってるの? そろそろ鳴るわよ? タイマー」

高雄「ええ。…………海がこんなに狭くて私たちもこのように優雅だといいのですが」





提督「お、今日はカルボナーラか。いいね、パスタの中でも好きなやつだ」

高雄「どうぞ」

愛宕「召し上がれっ」


< 共有財産というか相互財産というか >





高雄「五月二十五日の誕生石はブルーアンバー。
石言葉は“ 根気 ”、“ 執念 ”、“ 欲求 ”、そして“ 粘り強さ ”」

提督「これはまた業の深いというか欲の塊というか」

愛宕「そうねぇ……どうしても欲しいものがあった場合はどうする? 」

提督「うん? まぁ、ものにもよるが……とりあえずは努力するな、手に入れるために」

愛宕「それでも難しかったら? 」

提督「んー……もうちょっと努力」

愛宕「それでも、本当に限界まで努力してもダメだったら? 」

提督「そのときはお前と高雄に頼るよ」

愛宕「そう。……そうしてね? 」

提督「あぁ」

高雄「……もし、私たちがその対象だったときはどうするんです」

提督「え、もう俺のものだろ? 」

高雄「…………そうですけど。そう臆面もなく言われるとなんだか」

提督「いやー……ねぇ? 」

愛宕「そうね、ふふ……でも私と高雄のものでもあるんだし、ね? 」

高雄「……………………そうね」


< くちゅん……これは嫌な噂でも >





高雄「今日の誕生花はヒソップ。花言葉は“ 綺麗好き ”」

提督「豚は綺麗好きらしい」

高雄「……それをここで言う意味がわからないのですが」

提督「意味なんてないよ、なんとなく思い出したから」

高雄「はぁ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………もしかして、そういうプレイをお望みとか」

提督「いや、どんなだよそれ」

愛宕「はーん……大層なこと言っといてこっちは下等な豚並だなぁ? あぁん? 」

提督「え、えぇ……」

愛宕「みたいな? 」

高雄「それは……私は遠慮しておきます」

提督「俺も嫌だよ」

愛宕「私もー……雲龍ならいけそうだと思わない? 」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「……どう? 」

提督「…………無性に謝りたくなってきたよ、雲龍に」

高雄「……同じく」


< 誰を想って、とかなんとか >





提督「パンチラノーブラキャミソール」

高雄「はぁ? なんですか、馬鹿なんですか」

提督「口が勝手に」

高雄「まったく救いようが……」

提督「馬鹿だぜ? お前の前では」

高雄「……程々にしてもらいたいものね」

提督「悪いな。男にはいきなり口をついて言葉が出てしまうことがあるんだ」

高雄「それはそれは。女でよかったです」

提督「女の子にだってときどき我慢していても声が出てしまうこと、あるだろ? 」

高雄「……それはあなたがいる、というかするからでしょう」

提督「えー、一人でしないの? 」

高雄「…………どちらにせよあなたがいなければ成立しませんので」



< まぁ、艦娘も年齢不詳だし >





提督「今日のカクテルはミドリパイナップル・マティーニ。
カクテルワードは“ メルヘンティックな世界に憧れる人 ”、だ」

高雄「……メルヘン? 」

愛宕「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「……ウサ……ウサ…………ミミミン……」

高雄「は? 」

愛宕「ウサギ? ぴょーん? 」

提督「ぴょーん、ってなんだよ。……メルヘンってなんだ? 」

高雄「原義としては童話や特に幻想的な小話を指すようですが」

提督「へぇ……メルヘン? 幻想的? 」

高雄「あの、なぜいちいち聞き返したり」

愛宕「ぴょーん……ぴょーん……あ」

提督「ん? 」

愛宕「卯月のうーちゃんのこと? 」

提督「違う」


< 最低な話 >





提督「Littorioって処女だと思う? 」

高雄「最低な質問ね」

提督「だって気になるじゃん。言い寄られる身としては」

高雄「……私にはわかりません」

提督「Littorioと仲良くなったように見えたけど」

高雄「仲がよくなったとして経験済みかどうかなんて話はしません」

提督「しないの? 男だったらするけどなぁ。酒なんて入ってたら特に」

高雄「そんな浮かれた大学生じゃないんですから。
……男子大学生というものを見たことはありませんが」

提督「うーん……」

高雄「まぁ、本人が勝手にわかるようにすると思いますよ。戻ってくるんでしょう? 」

提督「本人はそう言ってたね」


< イタリーの男は盛んだと聞くが >





高雄「しかし、言い寄られることと処女非処女は関係ないような」

提督「や、あいつ結構楽しい会話できるじゃん? 」

高雄「疲れはしますけどね」

提督「あれだけお互いに盛り上げて処女とか嫌だよ。めんどくせぇ」

高雄「……本当にクズですね」

提督「こと佳い女に限っては処女はマイナスなんだよ。美少女女子校生なら兎も角」

高雄「女子高生? 」

提督「いや、女子校生」

高雄「……? 」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「はーい、おつまみどうぞー」

提督「ん、さんきゅ」

高雄「……ありがとう」

愛宕「うんうん、美味しく味わっ……なにこの微妙な雰囲気」


< 輪をつくり、指を入れ >





愛宕「なるほど……なんなら私が破っとく? 」

提督「あのさぁ……その手の動きやめてくんない? 」

高雄「紙屑を破り捨てるんじゃないんだから」

愛宕「でもー……きっとそういう関係になるわよね? 」

提督「俺が耐え切るかもよ? 」

愛宕「ないわね」

高雄「ないですね」

提督「えぇ……信用ないのな」

愛宕「雲龍程度も躱せないようじゃ、ね」

高雄「同情を買う作戦に負けているようでは押してくる相手には無理ですね」

提督「そうかなぁ」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「…………なんか無理そうな気がしてきた」

愛宕「でも、ここで言っちゃダメでしょ」

提督「うん、悪かっ…………お前の所為じゃねぇかな」


< 価値とはなんだろうか >





愛宕「でも、処女の方がよくないかしら。
だってそれだけ身持ちが硬かったりしそうじゃない? 」

提督「そりゃ高校生だったりすればな。大学生でも……まぁ、場合によっては」

高雄「はぁ」

提督「なにもヤリマンビッチがいいんじゃないの。
いい恋をして相応に綺麗に大人になってる子が好きなの」

愛宕「ふーん……」

提督「……まぁ、お前らは最初に会ったとき高校生よりも生きてなかったから別だけど」

高雄「それに比べてあなたは……」

提督「いやー……でも今に到るわけだろ? 」

高雄「それは……大人の男に弄ばれたというかなんというか」

愛宕「鎮守府で初めてだったわよね。
さり気なくいつの間にか腰に手を回されてたの」

提督「……なんか分が悪い話」

高雄「当然ね」

提督「んー? 」

高雄「あなたの好みは別として女の価値はどれだけ愛するに値するか、ですからね。男もまた然り」

愛宕「人によって違うその価値基準で少数派側なんだから弱くて当然よねー」

高雄「そもそも処女が嫌だ、なんていうのはそれを経験したからこそ言える言葉ですから」

提督「…………まったくだよ。最高に正論だ」


ありがとうございました


< あくまで遊ぶ相手という意味では >





提督「…………ふぁぁぁ」

高雄「…………Zzz」

愛宕「…………Zzz」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「……よく考えるとマジになって処女論語るとか気持ち悪いことこの上ねぇな」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「……どうせ二回目以降は変わんねぇし」


< 低血圧は関係ないらしい >





提督「あぁぁぁ…………」

高雄「朝からローテンションですね」

提督「朝だからとも言えるが。……あー、自己嫌悪」

高雄「……やっぱり昨夜の? 」

提督「うん」

高雄「…………私も酔っていたかもしれませんね、あれは」

提督「落ち込む……よしよししてくれ」

高雄「それはそれで気持ち悪いような」

提督「ぐはぁっ」

高雄「そんなことを口で言ってるうちは元気な証ですね」

提督「うーん……」





愛宕「よしよし、お姉さんが構ってあげちゃうぞぉ」

提督「あ、やっぱいいです。なんか違うし」

愛宕「えぇ……」


< 三人でできる >





提督「ふむ……ほい」

愛宕「そこかぁ……うーん」

高雄「…………」

提督「なかなか楽しいなこれ」

愛宕「ルールも簡単だしね、えーい」

高雄「……そこは……まぁ、私には関係のない位置ですが、どうぞ」

提督「ふっ……愛宕くんよ、読みが足りんな」

愛宕「あっ……そういうこと。えーっと……」

高雄「…………どこから引っ張り出してきたんですこれ」

提督「最近酒と食料の貯蔵が追いつかないから一度の補給増やしたいんだよね。
だから物置になってた倉庫を空けようかと。それでゴソゴソしてたら出てきた」

高雄「なるほど。……明らかな軍用施設の私物化ですね」

提督「許してよ高雄ちゃーん」

高雄「ちゃん付けはやめてほしいのですが……」

愛宕「ここでいっか。どうぞー」

提督「ん。……ほい」

高雄「これで。……ダイヤモンドゲームなんて初めてやりましたけどなかなかどうして」


< あれ? どっちだったかな >





高雄「あれ……」

提督「ん? 」

高雄「かりゆしでしたっけ、かゆりしでしたっけ? それともかしゆり? 」

提督「あー……かりゆしじゃねぇの? 沖縄のやつだろ? 」

高雄「そうです。先程テレビで観たのですが思い出したらどちらかわからなくなって」

提督「そういうことあるよな。ゲシュタルト崩壊みたいなもんなんだろうか」

高雄「どうでしょぅ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……暑くなってきたしかりゆしもいいかもな」

高雄「そうですね」

提督「アロハみたいなもんだけど」

高雄「……まぁ、いいじゃないですか。ファッションなんてそんなものですよ」


< 別にわからないわけではない >





高雄「五月二十六日の誕生石はカッパー。
石言葉は“ 物知り ”、“ 思考 ”、そして“ 高い目標 ”」

愛宕「氷河の浸食作用でできる複雑な入江」

高雄「フィヨルド」

愛宕「ふむふむ……ヨコの26、フランスの世界遺産。
ローマの遺産の一つの水道橋」

高雄「ポン・デュ・ガール」

愛宕「三文字なんだけど」

高雄「ならガールでいいんじゃない? 」

愛宕「そっか。……タテの29、イスタンブールの前の前の名」

高雄「む……ビザンティウムかビュザンティオン」

愛宕「七文字だからビザンティウムね」



ガチャ、バタン



提督「楽しそうだなおい」

高雄「クロスワードというものは楽しいですね、気に入りました」

提督「へぇ、よかったな」

愛宕「……私は書いてるだけなんだけど」


< 白けた顔に冷ややかな瞳 >





提督「じゃあ、アイルランド島とブリテン島の間にある鉄ど」

愛宕「はいっ、マン島」

提督「、うやレースで有名な島は? ……正解」

愛宕「やった」

提督「次、ウーパールーパーという通称」

高雄「はい、メキシコサンショウウオ」

提督「、の動物は? ……正解」

高雄「はい」

提督「……最後まで言わせろ」

愛宕「でも高雄に答えられちゃうし」

高雄「同じく」

提督「…………」

愛宕「問題考える方の知識が足りてないんじゃない? 」

提督「あ? …………次、俺がこの世で最も大切な存在は? 」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「ふっ……勝ったぜ」

高雄「…………答えが一つではないものはフェアではないと思うのですが」

提督「いや? 一つだぜ? 」

愛宕「じゃあ……高雄? 」

提督「はっずれー」

高雄「ッ……それなら愛宕で」

愛宕「高雄……」

提督「残念、はっずれー」

高雄「……はぁ」

愛宕「…………」

提督「正解は“ 妻 ”でし……悪かったから、俺が悪かったからそんな顔しないでくれよ。心折れる」


< トルネイドぉ♪ >





高雄「今日の誕生花はイエローカーネーション。
花言葉は“ 熱愛 ”と“ 情熱 ”」

提督「YO! SAY 夏が胸を刺激するぅ」

高雄「は、はぁ」

提督「あれ、知らない? 」

愛宕「だって私も高雄も音楽に興味を持ったの最近だし」

提督「あー……」

高雄「そういえばカラオケは一体いつできるんです。それなりにストックだけは溜まりましたよ」

提督「許可は貰ったしなー……うん、そろそろ始めるかな」

愛宕「デュエットとかも、ね? 」

高雄「ええ、いいわよ」

提督「とりあえず俺は今のやつ入れるよ」

愛宕「宝物の恋はもうしてるけどね」

提督「知ってんじゃねぇか」

愛宕「私は知らないなんて一言も」


< 愛している今こそ変わることも、あるいは >





提督「今日のカクテルはミドリリッキー。
カクテルワードは“ 無邪気で優雅な若い感性を持つリーダー ”、だ」

高雄「ミドリ系統が続きますね」

提督「用意する方は楽で嬉しいよ」

愛宕「これなかなか綺麗な色してるわね」

提督「まぁ、レモン入れてミント乗っければ大概綺麗だし」

高雄「身も蓋もないことを。……かなり前に無邪気と優雅を両立させるのは難しい、なんて話をしたような」

愛宕「したわね。そのときは別にできなくてもいいってことになったかしら」

高雄「今の自分を気に入ってくれる人がいますからね」

愛宕「今更変えてギクシャクするのもねぇ」

高雄「ええ。バーテンダーさん、オレンジ・ブロッサムを。初めてですけど大丈夫ですか? 」

提督「はいよ。……なかなかいい趣味してるね」

愛宕「どうして? 」

高雄「禁酒法期に考案されたと言われてるのよ、このカクテル」

愛宕「へぇ……じゃあ、私もそれで」

提督「了解」


< 耳元で囁くように >





提督「当基地への投書」

高雄「そんなものありましたっけ」

提督「高雄ちゃんと結ばれたはずなのですが、
いつまで経っても愛宕ちゃんがお兄ちゃんと呼んでくれません。これはなぜなのでしょうか? 」

高雄「……それなら私の義弟でもあるわけですが」

提督「弟くんと呼んでくれてもいいぞ」

高雄「はぁ……」

提督「さぁ、さぁ」

高雄「まぁ、構いませんけどね。一ついいですか」

提督「おう」

高雄「私はここで弟くんと呼んでも構いません。
ただしその場合は一生“ あなた ”とは呼びませんので」

提督「…………」

高雄「それでもよければ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……今、“ あなた ”って呼んでくれてもいい? 」



< 寝酒 >





愛宕「はーい、お風呂あがったわよー」

提督「おう、相変わらず高雄とは別か」

愛宕「んーん、一緒だったわよ? 」

提督「珍しいな」

愛宕「洗いっこしてたら怒られちゃったけどねー」

提督「そりゃお前…。着替えてんの? 」

愛宕「たぶん」

提督「ならすぐだな。……今日のナイトキャップは何にしよっか」

愛宕「ブザムカレッサーとか。やわらかいのならなんでも」

提督「はいよ」


どうでしょうね……

ありがとうございました


< 横目で呆れたようなその目線 >





愛宕「優しくそっと」

提督「あぁ」ギュッ

愛宕「ぁ…………」ギュウ

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……はい、朝の補給終わり」

愛宕「あと、ちょっと」

提督「んー、ダメでーす」

愛宕「むーっ」

提督「あなたの後ろで高雄ちゃんが睨んでいるので」

愛宕「えーっ……そんなぁ」

高雄「…………睨んでなんかいません。単に早く朝食を始めたいだけ」


< 鈍感でも難聴でもないということは >





提督「小学校の二年生だか三年生のときの短冊にモテたいって書いたら担任に怒られた話したっけ? 」

高雄「聞いてませんね。……七夕? 」

提督「あぁ、俺の地元じゃあ八月七日だった」

愛宕「願い事叶ってるじゃない。いつからかは知らないけど」

高雄「でも初めて恋人ができたのって確か高校二年だったでしょう? 」

提督「そうだよ」

愛宕「あのね、それまでは付き合わなかっただけでモテることも可能でしょう? ましてやコレよ? 」

提督「コレってなぁ」

高雄「…………あぁ…………最低ですね」

愛宕「ね? 」

提督「いや、高雄の頭の中では俺どんな悪事働いてんだよ」


< 観衆がいるのといないのとでは >





提督「あっ」

愛宕「うん? 」

提督「明石に一日早くこっち来るように言ったんだよ」

愛宕「あぁ、ドレス」

提督「でも、こっち来てからすぐ着替えさせるのか? 慌ただしいのはちょっとなぁ」

愛宕「別に気にしないと思うけど」

提督「俺が気にすんだよ。つーか、俺の準備もあるし」

愛宕「そう」

提督「うん」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……連絡したら? 」

提督「いや、結局次の日に持ち越して雲龍と天城に見せびらかすのも面白い気がしてきた」

愛宕「あっくしゅみー」


< 艦隊の/自分だけの、 >





提督「アイドル増えるなぁ」

愛宕「今度は新潟なのね」

提督「みたいだね。酒美味いし好きだよ、新潟」

愛宕「たまにはそこから離れましょうよ」

高雄「アイドル、ですか」

提督「うん、オーディション受けてみる? 」

高雄「私はどこかの軽巡ではないので遠慮しておきます」

提督「そう」

愛宕「まぁ、軍属な上に歩く重要機密だもの。受けたくても無理ね」

提督「つーか、たぶんこういうグループだとお前らはとう立ち過ぎてると思う」

愛宕「んー……ダメ? 」

提督「俺はお前らの方が好き」

愛宕「そういうことじゃないんだけど……ま、ありがと」


< とらでぃしょなる >





高雄「五月二十七日の誕生石はクロムトルマリン。
石言葉は“ 保守的 ”、“ 没頭 ”、“ 我慢強い ”、そして“ 礼儀 ”」

提督「俺どっちかっていうと保守的なんだよね」

高雄「はぁ」

提督「ライスの上に被せて割り開くオムライスはなんか違うし」

高雄「……でも美味しいでしょう? ダメでした? 」

提督「もちろん美味い。ありがとう。……でもそういう問題じゃないんだよ」

高雄「はぁ」

提督「オムライスといったらあの美しいーー」





愛宕「それで延々と話してたのね」

高雄「わかるような気がしましたが結局わかりませんでした」

提督「いや……まぁ、強要はできないけどさ」


< 似合わぬ趣味 >





提督「今食べたい物。いなり寿司」

愛宕「鰹のたたき」

高雄「ジェノヴェーゼ」

提督「そうか」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「……いや、つくらねぇよ? 」

愛宕「えぇ……炙った鰹が食べたーい」

提督「まぁ、それくらいならできるけどさ。でもやらない」

高雄「……私は明日のお昼にでもつくります」

提督「はいよ。最初から俺に期待しない高雄が正しい」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「鰹……」ジ-

提督「…………仕方ねぇな」


< お昼過ぎの気合い溜め >





高雄「今日の誕生花はマトリカリア。花言葉は“ 鎮静 ”」

提督「暑さを鎮静化してくれ。まだ六月になってないはずだぞ」

高雄「先程アイスを食べたでしょう」

提督「手足がだるーい」

高雄「また我儘を」

提督「たーかーおー」

高雄「はぁ」

愛宕「私よりマシよ」

提督「うん? 」

愛宕「髪が長いと篭るのよね、背中もなんだかだるいし」

提督「なるほど……切るか? 」

愛宕「んー……切ってほしい? 」

提督「別に。ロングのお前好きだし。ま、短くてもいいとは思うが」

愛宕「そ、なら暫くはこのままね」

高雄「麦茶を持ってきました」

提督「さんきゅ。……さっさとお仕事片付けてお風呂でも入りますかーっと」


< ほころぶ口の端 >





提督「今日のカクテルはメロンチキータパンチ。
カクテルワードは“ 自分の考えを持ったストレートな正直者 ”、だ」

愛宕「鰹美味しい」

提督「そりゃよかったな。……カクテルはアレだから米でいい? 」

愛宕「おねがーい」

高雄「焼酎を片手に鰹をつまむ金髪ですか」

提督「でもお前はこれ普通な光景だろ? 」

高雄「そうですけど……でもやっぱり違和感は覚えますよ」

愛宕「黒染めでもする? 」

提督「やめろ。切ってもいいけど染めるのはダメだ」

愛宕「まぁ、冗談だけど」

提督「お前の髪でも染めた髪で高雄の黒髪に勝てるわけないだろ、やめとけ」

愛宕「そうね」

高雄「はぁ……………………明日は酢飯ですね」


< 痛い冷たい血の気が凍る >





愛宕「氷冷たーいっ」

提督「当たり前だろ」

愛宕「おふほわえー」

提督「やめろ馬鹿。冷たさには強くなふぃっ」

愛宕「ほーう? 」

提督「ばっっっかじゃねぇの。本当。熱にも冷気にも強くねぇの。
使えなくなったらどうすんだよ」

愛宕「気持ちよくない? 」

提督「よくない。せめて氷含んだ後にやってくれ」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………キスしよ? 」

提督「やだよ。この流れでするわけないだろ」


< 時は跳んで >





提督「愛は性欲じゃないんだよ。性欲は愛になるけど」

高雄「…………」

提督「愛ってのはもっと純粋でさ、愛欲とは違うんだ」

愛宕「これが賢者なのね」

提督「…………あぁ、満足。寝る」

高雄「好き勝手宣って落ちるなんて」

愛宕「いつものことでしょ。愛の化身兼愛欲の化身だし」

高雄「片方を持っていれば必然的にどちらも持っている、と」

愛宕「そんなものよ、男も女も」

提督「……聞こえてるんだけど」

高雄「でしょうね」

愛宕「ふぁ……私も寝る」

高雄「あと……どれくらい寝られるかしらね」

愛宕「嫌なこと言わないでよ」

提督「そのときは昼寝でもすればいいさ。きっといい天気だぞ」

高雄「…………またあとで」

提督「うん、またあとで」

愛宕「あとでね」


鰹は米にもビールにも合って素晴らしい

ありがとうございました

軍属は軍人じゃないぞー


>>669
そうだったんですね……勉強になります

ご指摘ありがとうこざいました
これからもなにかあればよろしくお願いします


< 細いとちょっとね >





愛宕「太くて硬くてたくましいわねっ」

提督「だろ? 結構自慢だし」

愛宕「ここまでなるのにどれほどのことが」

提督「まぁね。それなりに辛かった」

愛宕「でもそのおかげで私は大満足よぉ〜 」

提督「俺も嬉しいよ」





高雄「私もあなたの腕、好きです。抱き締められると安心できますしね」


< モッテモテ >





提督「あれ、蚊なんていたか? 」

愛宕「あら、赤くなってる」

提督「全然気配感じなかったけどなぁ」

愛宕「寝てるときかしら」

提督「だろうね。お前も高雄も大丈夫だったわけ? 」

愛宕「うん」

提督「俺よりお前らの方が……うーん」

愛宕「そういうこともあるでしょ」





愛宕「ねぇ、刺す蚊って皆雌の蚊なんですって」

提督「……わざわざ調べて俺に言うことかよ」


< 本当に味わいたいときは静かに >





提督「いなり寿司やっぱ美味い」

高雄「そうですか」

提督「濃過ぎず薄過ぎず最高だね」

高雄「ありがとうございます」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「…………幸せだ」


< 大口開けて手を叩いて >





提督「ジョークは笑うのが礼儀なわけだよ」

高雄「はぁ」

提督「一応海外経験もあるしそれはよくわかる」

高雄「はい」

提督「でもさ、あいつら割とつまんないことも無理して笑うんだぜ?
あれはなかなかかったるい」

高雄「だからこそ礼儀なのでしょう。関係を円滑に、という」

提督「なんだろうなぁ……しかもジョーク返しも上手くないといけないとかね。
元のジョークがつまらねぇんだから無理だろ」

高雄「……私はあなたがドイツで何をしていたのか気になり始めましたよ」

提督「一応駐在武官って言ったよね? 」

高雄「そうは聞こえないからですね……五月二十八日の誕生石はホワイトカルセドニー。
石言葉は“ 綿密 ”、“ 博学 ”、“ 礼儀 ”、そして“ 理知的 ”」


< 繋がり >





提督「雲龍たちは何してんのかなぁ」

愛宕「気になる? 」

提督「そりゃね」

愛宕「釣った魚にも餌は与える主義? 」

提督「釣った、なんてうえから目線じゃないよ。
……一応家族みたいなもんだろ、俺は一部のやつには並以上に繋がりみたいなの感じてるよ」

愛宕「そ、優しいのね」

提督「心が暖かいから」

愛宕「ふふ……そうね」

提督「あぁ」

愛宕「あっ」

提督「ん? 」

愛宕「そういえば雲龍と私も姉妹みたいなものなのよね〜 。心の繋がりとかじゃなく」

提督「」


< 横須賀にて >





雲龍「っしゅ」

金剛「oh……風邪デスカ? 」

雲龍「かしらね……あの人がいないとこんなとき温めてもらえない」

金剛「あの人、デスカー? 」

雲龍「ええ」

金剛「…………」

雲龍「…………」

金剛「…………」

雲龍「…………」

金剛「…………三人目はここだったネ」

雲龍「ふふ……」

金剛「……チョットお話をしなければならないようデスネー」

雲龍「先に謝っておくわ……ごめんなさい」





天城「…………姉様も大概面倒な性格になってきました……はぁ」

霧島「こちらは元からあんなですけどね」


< 一緒に観ることが主目的 >





高雄「ベイブレードって知ってます? 」

提督「な、なんだって? 」

高雄「だからベイブレード」

提督「あぁ、聞き間違いじゃないのか。……知ってるよ」

高雄「それの映画企画が持ち上がっているそうで」

提督「え……いや、トランスフォーマーとかあるしな、うーん……」

高雄「それは兎も角最近映画観てませんね」

提督「兎も角って……なんか観る? 」

高雄「はい、是非」

提督「んー、なにがいいかなー」

高雄「私はあなたとならなんでも」


< ねこちゃん >





愛宕「愛宕、抜猫しまーす♪ 」

提督「ん? ……その猫耳どこにあったんだよ」

愛宕「整理中の倉庫にあったにゃん? 」

提督「あ、そう。……俺そんなもん持ってたかな」

愛宕「にゃんにゃん」

提督「…………」

愛宕「……にゃーん? 」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……ねぇ、なんか反応してくれないと悲しいんだけど」

提督「……お前がやると不健全にしか見えなくて」

愛宕「そんな……そんにゃあ」

提督「なに、気に入ったの? それ」


< 歳を経ない身体 >





愛宕「何歳で結婚したい? 」

高雄「十代は無理でも二十代には」

愛宕「やっぱりそうよねー。私もそれ位かな」

高雄「まぁ、式を挙げるのと紙への記入以外は大体してるような気も」

愛宕「でもそれが大事なのよ」

高雄「扶養家族にも入ってませんしね」

愛宕「この場合共働き扱いなのかしら」

高雄「さぁ? 」





提督「……あいつらの言う十代と二十代ってちょっと特殊なんだけどな。
稼働年数というかなんというか」


< 暖かいからこそそう感じるのかもしれない >





高雄「今日の誕生花はペパーミント。花言葉は“ 心の暖かさ ”、ですね」

提督「俺暖かいぞ」

高雄「そうですね」

提督「うん」

高雄「…………」

提督「……否定したいの? 」

高雄「否定する材料がありませんので」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「ま、たとえ女誑しでだらしなくて酒飲みで総合してクズでも暖かいのは確かよね」

高雄「まったくです」

提督「…………あれ、俺褒められてるんだよな? 」


< 一人でも友達とでも恋人とでも >





提督「今日のカクテルはミドリカイピリーニャ。
カクテルワードは“ 最先端に立って娯楽を楽しむ情熱家 ”、だ」

愛宕「最先端の娯楽ってなにかしら」

提督「あー……宇宙旅行とかじゃねぇの」

高雄「なるほど確かに最先端ですね」

愛宕「でも娯楽ってもう少し手軽に続けられるものだと思うの」

提督「じゃあ、一人カラオケとか」

高雄「工事が始まりましたね。少しうるさいですけど」

提督「まぁ、無音ってのはさすがにな」

愛宕「単に一人で行ける人が増えただけだと思うんだけど」

提督「ってもそれが難しいらしいぞ。どんなメンツでもそれなりに楽しいんだけどな一人でも。相手を選べば、だけど」


< てーたらく >





提督「まぁ、大体の娯楽より女の子と遊んでる方が楽しいんだけどな」

高雄「結局そっちに
……」

提督「別にセックスだけの話じゃないぜ?
ただ喋ってるだけでもベッドに持ち込むまでの駆け引きも、さ」

愛宕「娯楽なら気持ちよくないとね」

高雄「うーん……なにかが引っかかる」

提督「でも高雄も好きだろ? 」

高雄「…………」

提督「な? 」

高雄「……言わせるおつもりで? 」

提督「言わせるのが楽しいの」

高雄「はぁ…………ん」

提督「ん……」

高雄「んぁ……ゅ…………っはぁ……今の為体を見ればわかるでしょう? 」


< 一人で見る月なんて忘れてしまったよ >





提督「ん…………」

高雄「…………Zzz」

愛宕「…………どうしたの? 」

提督「トイレ」

愛宕「そう」

高雄「…………Zzz」

提督「……月、綺麗だな」

愛宕「私と見てるから」

提督「クク……違いない」

高雄「…………Zzz」

提督「……満月になったら外で酒でも飲むか」

愛宕「楽しみにしてる。……寝るわ」

提督「起こして悪かったな。じゃ」

愛宕「ええ」

高雄「…………Zzz」


改めて内容のミスや誤字脱字などありましたら是非おしえてください

ありがとうございました

>>1でもないのに長文でごめん。でもちょっと気になったから許してほしい

別のスレのことだけどそこの>>1のレスの一つだけがここの>>1の酉と同じだったよ
最初のレスの化け方的にたぶん単純な配列のキーなんだと思う
たぶん書き方とか内容的にここの>>1じゃないと思うし、あっちも単純過ぎてミスったんじゃないかな
もし>>1のだったら申し訳ないけど予想通り違う人なら酉変えた方がいいと思うよ
似たようなの使ってる人がいるってことはいつか割られる危険性がある

長々とお節介かもしれないことごめんね


>>688
いえいえ、ありがとうございます
次のレスから変えたいと思います

でも、そんなことあるんですね……そちらの方も気をつけないと


< お疲れ様です >





提督「噴火ねぇ」

高雄「あちらでは軍も出動したそうですね」

提督「あぁ」

愛宕「もう桜島に夕張はいないんだったかしら」

提督「さぁな。明石も夕張も重要機密だし。よくはわからん」

高雄「今回の噴火や地震を深海側の攻撃と見る向きもあるとか」

提督「はっ……アホらし」

愛宕「まぁ……間抜けな推測ね」

高雄「……それでも一応ポーズとして調査はしないと」


< 誰のものか >





提督「スローセックス始めて気付いたら朝、っていう夏が恋しい」

高雄「……あれ辛いんですよ」

提督「イかされないようにするのが? 」

高雄「朝と執務が、です」

提督「ふーん……」

高雄「……なんです」

提督「いや……真夏のべったべたな高雄思い出してた」

高雄「…………」

提督「…………いやーん、はっしたなーいっ」

高雄「……潰しますよ? 」

愛宕「それはダメよぉっ」ヌッ

高雄「…………なぜあなたが」


< 含、自分 >





高雄「五月二十九日の誕生石はグリーングロシュラライトガーネット。
石言葉は“ 正義感 ”、“ ときめき ”、“ 立派 ”、そして“ 豪快 ”」

提督「立派……立派ね」

愛宕「やーん、立派なおっぱいだなんてぇ〜 」

提督「お前は何を言ってんだ」

愛宕「ときめいちゃうでしょ? 」

提督「品がないのはちょっと」

愛宕「それあなたが言うのはおかしいと思うの」

提督「は? 」

愛宕「んー? 」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………馬鹿ばっか」


< せるふぃっしゅな遺伝子 >





高雄「今日の誕生花は露草。花言葉は“ 堅実 ”、“ 幸福 ”、そして“ 約束 ”」

提督「俺幸福ってものを最近よく考えるよ」

愛宕「それって誰の幸福? 」

提督「色々。自分もお前も高雄も……他にもな」

愛宕「……そ」

高雄「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………あなたが自分の幸せを考えることのできる人でよかった」

提督「ん? 」

高雄「……他人のことしか考えない、ということは無意識にでも自らの中の他人だけが全てということ」

愛宕「自分があって初めて他人がいて、他人がいて自分がいて、どちらも矛盾しないのが“ 関係すること ”なんだけどね」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「……買い被りすぎだよ。俺ほど欲望に塗れて溺れたやつもいないさ」


< 欲まみれ >





愛宕「ま、そうよね」

提督「うん」

高雄「欲にまみれているというか欲そのものというか」

提督「それで成功してんだからいいんだよ」

愛宕「豆腐なメンタルでボロボロになるような職業なのに? 」

提督「か、金はあるし」

高雄「軍人が成功、というと違和感がありますね。
もちろん失敗ではないのですが」

提督「…………そのおかげでお前らと出会えたんだからな。それだけで釣りがくる」

愛宕「それ聞こえはいいけど結局は自分の性処」

提督「おーいー……なんでそこ素直に受け止めないの? 」

高雄「本人が全く同じだから」

提督「ふーん? 」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「……なるほどね。ま、俺と気が合うくらいだし」


< 私を鳴らして、あなたは奏者 >





提督「今日のカクテルはミドリスプライス。
カクテルワードは“ 自分をしっかりと表現できるパフォーマー ”、だ」

愛宕「パフォーマー? 」

提督「別に難しいことじゃないさ。
生きていれば皆パフォーマー。美人がモテるのはそういうことだ」

愛宕「はーん……? 」

提督「美しくあることはそれだけでつまらない演目に勝る」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……だからベッドでは女をかき鳴らすのね? 」

提督「いや……いや、否定はできないかな。楽しいのは確か」


< 見栄と衣装を着飾って >





愛宕「ぁ……ゃぁ……」

提督「っ…………紫の似合う女はエロいね」

愛宕「んふ……ありがと」

提督「嬉しいか? 」

愛宕「褒めてるんでしょ? 」

提督「ん、まぁ」

愛宕「自分の男に褒められて嬉しくない女なんていないわ」

提督「……そう、か」

愛宕「あら……。もし、そういう女に当たったのならそれは運がなかったのよ」

提督「…………」

愛宕「いゃ……生地が伸びちゃう」

提督「気にしない」

愛宕「もうっ……それはわたぁっ……! 」

提督「んー……綺麗な…………」

愛宕「…………? 」

提督「……ごめん、全部綺麗だった」


< 攻守入れ替わり立ち代わり、そして >





提督「…………Zzz」

愛宕「…………Zzz」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………こんなに散らかして……はぁ」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………なぜ執拗にいじめた挙句加害者二人が先に寝ているのでしょうね」


< 起きた >





提督「……風が気持ちいい時期だな」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「……綺麗な丸い黄金。ゆらゆら流れるそれも……ふー……」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………三分、経ったかな。やっぱ麺は硬めだろ」


< その後結局一袋 >





提督「うーん……おひたしと合わせるのやっぱいいね」

愛宕「…………なにやってるの」

提督「おう、おはよう」

愛宕「おはよう? ……ふっつーに深夜だと思うけど」

提督「まぁまぁ。美味いぞ」

愛宕「……でしょうね」

提督「うん」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………一口」

提督「はいよ」


< 何事かと思えば >





高雄「…………」

愛宕「ほらー……いい匂いでしょう? 」

提督「うん、さすがプレミアム。いいね、伊佐美」

高雄「…………」

愛宕「ほらぁ、高雄も食べよ? 」

提督「……お前らも飲まない? 」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

高雄「…………寝ます。片付けはしっかり頼みますよ」

愛宕「えぇ……」

提督「ま、それも仕方ないな」


一応変えてみたのですが今度は大丈夫でしょうか?
でも、確かに簡単なキーではありましたしね……アドバイスありがとうございました

ありがとうございました


< 俯き、手の平を膝に、甘えた声で >





愛宕「私たち」

提督「おう」

愛宕「……付き合ってるのかな」

提督「あ? まぁ、そういうことでいいんじゃねぇの」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……ときめかない? 」

提督「いや、まったく。それ関係が浅いときに使うやつだし」


< プレイはままごとの延長……ではないか >





高雄「五月三十日の誕生石はツァボライト。
石言葉は“ 魅力的 ”、“ 明るい ”、“ はきはき”、“ 上品 ”、そして“ 張り切る ”」

愛宕「違うでしょ、それだと明石らしさが出ないし」

提督「そう? んー、まぁ、明石が了承しないと結局はダメなんだが」

愛宕「それは大丈夫。私がなんとかするから」

提督「おう、頼む」

高雄「あの、そこまでしなくても大丈夫なような」

提督「さすがに明石に全部任せると勝手に卑下しだしたりするかもしれないからな。
そんなことさせたくないんだよ」

高雄「はぁ」

愛宕「いいじゃない。女の子着飾るのって楽しいし」

高雄「…………お人形遊びは少女の遊びなのですけどね、はぁ」


< まぁ、しない方がいいよね >





高雄「今日の誕生花はライラック・パープル。
花言葉は“ 愛の芽生え ”と“ 初恋 ”」

提督「まぁ、統一性はあるといえばあるな」

愛宕「初恋と愛の芽生えが同時の場合は全く同じ意味ね」

提督「や、でも姉妹愛とかが先だろ」

愛宕「んー……完成、というか摩耶たちの大切さを知ったのはあなたと会ってからよ? 認識した、というか」

提督「そっか」

高雄「ある意味で幸せなのかもしれませんね。
失恋を味わったことがないというのは」

提督「ある意味っていうかね……まぁ、失恋した女の子もそれはそれでいい大人になるけど」


< その恋はいずれ私を殺す >





雲龍「辛く、ないんですか? 」

加賀「別に。私、自分の幸せの為ならいくらでも自分を割り切って切り捨てるもの」

雲龍「……わかりません。私は私。どんな私も私で、切り捨てられるものじゃないから」

加賀「いいのじゃないかしら。あなたはそれで」

雲龍「…………」

加賀「こと彼のことについてはあなたの方がリードしているでしょう?
私程度に答えを求めるのはやめなさい」

雲龍「……でも」

加賀「一航戦として、仲間として語りたいことは山程あるわ。
でも……私は彼の、あの人のことを誰かと共有したいとか思っているわけじゃないの」

雲龍「…………」

加賀「それが妻であれ妾であれ遊びの相手であれ。
そのどの関係も誰に口を出されることじゃない。私と彼だけの関係なのよ」

雲龍「……そう、ですか。私は、やはりあなたには、勝てないかもしれない」

加賀「ふっ……私に勝とうなんて諦めなさい」

雲龍「…………」

加賀「……………………私にとってはあなたが羨ましいのだけれど、ね」


< 順番とか、あと身体的に……身長とかね >





加賀「そもそもあなた、馴れ合うのは嫌いなのではなくて? 」

雲龍「それは……自分が認めた相手以外とつまらない付き合いをすることのことです」

加賀「そう。私はあなたのお眼鏡に適ったのね」

雲龍「もちろん。私があなたに勝っていることなんて……」

加賀「…………」

雲龍「…………それなりにあるかも」

加賀「……そう」

雲龍「はい」

加賀「…………」

雲龍「…………」

加賀「……あなた私に喧嘩を売っているのね? そうでしょう」

雲龍「滅相もない」


< 何度も重ねたKissはガラスみたいに♪ >





雲龍「何度しても……結局手に入れたことにはならないのよ」

金剛「それは雲龍にしか言えないことネー……。私には言う資格も経験もないデース」

雲龍「まぁ、忠告みたいなものよ」

金剛「……ここで穿った考え方をするのがダメなんでしょうネ」

雲龍「いえ、私が悪いのよ、試すようなこと言って」

金剛「…………」

雲龍「…………」




霧島「……内容を知らなければとても魅力的な情景なのですが」

天城「理由も目的も知ってますものね……まぁ、姉様の美しさに変わりはないのですけれど」

加賀「赤城さん、それは私のです」

霧島「……こっちはこっちで場違いなくらいほんわかと」

天城「……天城はこちらの方が気楽です」


< なにもかもが、そしてなにもかもを >





明石「よし。機材の類別と移送準備は終了っと」

金剛「あんまり私物はないのネ」

明石「まぁ、あっちに持っていくものは殆ど機材ですし。
私物も大体は研究機材や資料なので」

金剛「いいナー。一緒に行きたいナー」

明石「……異動など上申してみては」

金剛「そんな一個人のことで誰かに迷惑を掛けるのは嫌デース。
ただでさえ全線でもシーレーンでもなく横須賀待機なんデスから」

明石「真面目ですねぇ……」

金剛「あの人が横須賀にいたときは幸せだったネー……」

明石「はぁ。……なんなら私や夕張のように別の技術を取得するとか実験兵装のテスターになるとか。
誰かの役に立つならいくらでもあるような」

金剛「Thank you、明石。でも私には戦うことしかできないから」

明石「…………」

金剛「…………」

明石「…………難儀な話ですね」

金剛「……Yes、それもこれもあの人の所為デース……」


< 収束 >





提督「今日のカクテルはチョコレートグラスホッパー。
カクテルワードは“ プラス思考で物事に臨む探求者 ”、だ」

愛宕「どれだけ探求すれば気が済むのかしらね」

提督「そりゃ……」

愛宕「それは? 」

提督「……自分が満足するまでだよ」

愛宕「それはそうだけど」

提督「なんならどれが満足のラインかでも探求してみる? 」

愛宕「つまらなさそうね」

提督「まったくだ」

愛宕「……探求しているときが一番楽しいものね」

提督「あぁ」





高雄「……で、即ベッド、と。いえ……まぁ、わかってましたけどね、探求とかなんとか」


なんとなく気になったので念頭に置いた楽曲リストを


前のスレ

>>32
HOT LIMIT
>>154
月のワルツ
>>251
3月9日
>>298
UTAGE
>>446
今夜月の見える丘に
>>447
ZERO
>>586
空と君のあいだに
>>749
イケナイ太陽
>>755
love me, I love you


このスレ

>>39
1/3の純情な感情
>>237
サザエさん
>>363,>>364
創聖のアクエリオン
>>382
A Perfect Sky
>>648
HOT LIMIT
>> 711
クラシック


ありがとうございました


< 胸元に、赤々と >





提督「普通ってつまんないよな」

高雄「ハメを外すのは偶にだからいいのですが」

提督「……男はね、皆変態なんだよ。エンターテイナーなんだよ」

高雄「全くもって面白くする必要のない場面では」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………別に大丈夫だろ。鬱血痕あっても」

高雄「……少し恥ずかしいのですが」

提督「どうせ俺か愛宕しか見ないだろ」

高雄「……私も見ますから。私が一番見るのですよ? 」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……悪いな、いや、本当に」


< 満足の上にも不満と欲はあるのだがね? >





雲龍「はぁ……待ち切れないわ」

天城「あと少しの辛抱ではありませんか。数日であちらへ行けるのです」

雲龍「……でも」

天城「…………待てば待つほど恋しくなる。
それがさらに募ればそれだけ再会したときが素晴らしいものになりますよ」

雲龍「はぁ……私、あまり我慢強くないの」

天城「……そうですか」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………これが依存症というものなのでしょうか」

雲龍「いえ、それならば耐性もつくはず。
いつまでたっても会っていればすぐに満足できるのよ? 」

金剛「全くその通りデース! 」ヌッ

天城「! ……………………大丈夫なのですかね。長女という人たちは……はぁ」


< いっそ奪えればどんなにか >





時雨「世の中には不倫というものがあるね」

雲龍「……そうね」

時雨「あぁ、別に責めているわけじゃない。
僕も含めてこの環境にいる者が普通じゃないのは理解しているさ」

雲龍「そう……」

時雨「あれの当事者たちは恋愛経験の少ない人たちがなるみたいだ。
恋人が多かった、少なかったに関わらずね」

雲龍「そうなの? 」

時雨「うん。つまり相手を理解しようとせずに、
表面だけ見ていたり少ない人間のことしか知らないと一気に盛り上がるわけさ」

雲龍「…………」

時雨「…………」

雲龍「…………やっぱり責めてないかしら」

時雨「いや? パートナーが幼馴染だとしても円満な人たちは沢山いるしね。別に含みなんてないさ」

雲龍「そう……信じるわよ」

時雨「頼むよ。……………………ただの僻みみたいなものだからね」ボソッ


< 愛宕型と言われることもあるしね >





高雄「むっ……」

提督「どうした? 」

高雄「いえ、なにか不名誉なことを言われたような」

提督「? おっぱいお化けとかか? 」

高雄「それは愛宕のことでしょう」

提督「いや、大きさとか殆ど変わらねぇと思うんだが」

高雄「使い方、いやこれはこれでおかしな表現ですがその辺りのことです」

提督「あぁ……でも、俺は好きだぜ? 」

高雄「そういうことを言いたいのではありません」


< 発端がなんであれ >





高雄「五月三十一日の誕生石はスモーキークォーツ。
石言葉は“ 働き者 ”、“ 創造的 ”、“ 清潔”、“ 勇気 ”、そして“ 強運 ”」

愛宕「清潔ってのは大事なことよね」

高雄「そうね」

提督「ここはいいよなぁ……最新設備だからやつらが出てくることがなくて」

高雄「やつら……ゴキブリですか」

提督「そ。地元だと出ないからさ。こっち来て驚愕したね。
そのおかげで綺麗好きにはなった気もするけど」

愛宕「その割に倉庫とか雑よね」

提督「部屋が綺麗ならいいんだよ。つーか、普通女の子には部屋しか見せないし」

愛宕「はーん……」

提督「…………」

高雄「……ゴキブリが出なくてもある程度綺麗にしていたでしょうね、この様子だと」


< いつか良さを試すときが >





提督「壁ドンってどんなときにすればいいんだろう」

高雄「あなたらしくもない」

提督「や、ああいうのガチでやったら脅してるみたいだろ。俺結構ガタイいいし」

高雄「しかしそういった強引さに惹かれるのが壁ドンの良さなのでは」

提督「そうだけど。……壁ドンが流行り出した頃にはもうお前らといたしな」

高雄「はぁ」

提督「つーか、壁ドン以前にあの状態になったら押し付けて色々するし。
なんで生殺しされなきゃなんねぇんだよ」

高雄「あー……雰囲気とか」

提督「雰囲気ぃ? 壁ドンできる相手だったら雰囲気なんて完璧に整ってるだろうよ」

愛宕「……ねぇ」

提督「ん? 」

愛宕「なにくだらないこと真面目に考えちゃってるの? 」

提督「」


< 真面目な話をするとこれだ >





提督「毎日が記念日」

高雄「それって結局は毎日が画一化されてるってことですよね。
毎日が楽しい、としてそれがつまり普通だということに」

提督「でも自分の過去と比べるからその楽しさがあるわけで。
毎日が楽しいってのも間違いじゃないだろ」

高雄「まぁ……そうですが」

愛宕「高雄だって毎日同じプレイばっかりだとか同じことしかベッドで言ってくれなかったら嫌でしょ? 」

高雄「……そうね。例えは気に入らないけれど」

愛宕「だからこそ、そこが私たちの私たちたる由縁なのよ」

提督「んー? 」

愛宕「僅かに伸びる髪、ケアで変わる肌の状態、気持ちの浮き沈み。
それを普段から認識すること、認識しやすい平坦な日々こそが全て私たちの毎日をつくっているの」

高雄「……変わらぬ毎日というのはそれを認識できる私たちの特権だ、と? 」

愛宕「そ、だって動物にとっては変わらぬ毎日なんてきっとないわよ。毎日が激動の連続」

提督「飼い慣らされた動物もいるけどな」

愛宕「それは人間も艦娘も同じよ。日々ってやつを放棄して他人に変化の認識を任せてるんだから」

提督「……そうか」

愛宕「ええ」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「……で、何が言いたいんだ? 」

愛宕「えっ……」

高雄「…………そもそも何の話をしていたのやら」


< さらに真面目に >





提督「今日はシドニー港攻撃が決行された日だぞ」

高雄「はぁ」

愛宕「特殊潜航艇、ね」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「…………一人で、誰にも顧みられずに死ぬのってどんな気分なんだろうな」

高雄「さぁ……私はそんなことにはならないと自負していますので」

愛宕「私、誰かの悲劇を背負う気はないの。
もちろん敬意を払うこととは別でね」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「……それを一番評価したのが敵側司令官ってのもな。やり切れねぇよ」


< なんにせよそちらへ持っていく >





高雄「今日の誕生花はブルームーン。
花言葉は“ 奇跡 ”、“ 新鮮 ”、“ 神の祝福 ”、そして“ チャーミング ”」

提督「はい、自分の最も魅力的だと思う部分」

愛宕「うん」

高雄「はい」

提督「えっ、なにこれ俺が言うの? 」

愛宕「そうでしょ」

高雄「自己評価が気になります」

提督「いや、でも無難だぜ? 身長に釣り合った筋肉とか」

愛宕「まぁ、顔とかよね、大体」

高雄「うなじがチャーミングというのもありますしね。よくわかりません」

提督「えてして無難になりがちだな」

愛宕「でもそうね。あと挙げるならオチ」

提督「や・め・ろ」


< どれもが素晴らしき扉 >





提督「ふぃー……本日の執務、終わり」

愛宕「お疲れ様」

提督「ん」

愛宕「何からにする? 高雄? 高雄? それとも、た・か・お? 」

提督「なんだそのテンション……一番目の高雄で」

愛宕「はーい。高雄と一緒に食べさせ合いっこでーす」

提督「そうか」

高雄「や、そうか、じゃないのですが。愛宕も勝手に決めないで」


< それではまるで >





山城「…………」

扶桑「あら……あの人たちと撮った写真ね」

山城「…………」

扶桑「私は写真立てに入れたのだけど……山城はどうするの? 」

山城「……それを迷っていて」

扶桑「写真立てがないとか? 」

山城「いえ、写真立てはあるのです。
そうではなくていかに見えない場所に置くか考えるとなかなか良い場所が」

扶桑「見えない? ……見たくないと? 」

山城「…………姉さま。私はあの男が嫌いです。今までも、これからも」

扶桑「…………」

山城「ただ誤解しないでいただきたいのですが憎んでいるわけでもありませんし、
悪人だと思っているわけでもありません」

扶桑「……そう、そうね。あなたが複雑な気持ちを抱いているのもわかってる」

山城「…………もちろん仲間と撮った写真は大切です。
だから決して無くしたり汚したりはしたくない。
でも、いつもあの男の顔がちらつくのは避けたい」

扶桑「…………」

山城「…………」

扶桑「…………枕の下とか? 」

山城「…………」

扶桑「…………」

山城「…………あの、姉さまって本当に私の悩み、わかってくれているのですよね? 」


< 店仕舞い >





提督「今日のカクテルは……カクテルもブルームーン。
カクテルワードは“ 台風の目になって主役を望むクリエイター ”、だ」

愛宕「主役と脚本どっちもやるのね」

提督「芝居かどうかはわからないだろ。それにイーストウッドとかいいじゃん」

高雄「そもそもクリエイターという言葉の意味を考えれば、
なにかを“ つくって ”いる人は皆クリエイターですし」

愛宕「でも演者をクリエイターって表現するのは違和感が」

提督「それはまぁ、確かにな」

愛宕「うん」

提督「……ピスタチオがなくなった」

高雄「取ってきましょうか? 」

提督「いや、もう今日はいいや。二人ともカクテルつくるならこれが最後な」


< 正しい見方など無い >





愛宕「今日はガロアっていう数学者が恋愛をめぐる決闘で敗死した日なんですって」

提督「あぁ? なんだよそれ」

愛宕「素敵じゃない? 愛に殉じるってやつ? 」

提督「でも…………負けたってことはさ」

愛宕「ええ」

提督「つまりそいつの愛は負けて勝者のモノになったんじゃ……」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………なんだか一気に冷めたわ」

提督「だろうね」


< 一日50時間くらい欲しい >





提督「明日から六月か」

愛宕「早いわねぇ〜 」

提督「あぁ、だな」

高雄「たまには節制でもしてみたらどうです」

提督「いやぁ……ねぇ? 」

愛宕「私も努力くらいはした方がいいと思うけど」

提督「お、お前もか」

愛宕「だって長く一緒にいたいじゃない? 」

高雄「まったくです」

提督「あー……うん、そういうことなら善処します」

高雄「その言い方は……」

愛宕「ま、私は変わらず求めるけど」

提督「それだと意味ねぇよ」

愛宕「今が寂しいのはもっと嫌だもの」


< なにかが目覚めないように >





提督「あぁ……風呂はいいなぁ……」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………入ったのは俺が最後か」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………いやいやいや、さすがにそこまでアブノーマルじゃねぇよ。
なんなら直に味わえるしな…………汗とかさ」


ありがとうございました


< とあるピロートーク >





提督「煙草がないならコトが終わった後は何をすればいいんだ」

高雄「……寝ましょうよ」

提督「終わった後というかその朝というかさ。
どうもカッコつけないと座りが悪い」

高雄「では吸ってくればいいのでは」

提督「やだよダルい」

高雄「ハッ…………」

提督「やめろよその目。こえーよ。……まぁ、普段は大体そのままシャワー浴びてコーヒーじゃん」

高雄「ですね」

提督「コーヒーもカッコつけ要素ではあるんだが……煙草にはなぁ」

高雄「そもそもカッコつける必要がですね。
…………十分にあなたはカッコいいですから」

提督「ありがと。……でもそうじゃなくてさ」

高雄「はぁ」

提督「いっつも吸ってたらヤバイから、
特別いいセックスの後だけにしてんだけどさ……学生の頃は何考えてたんだろうなぁ」


< 雰囲気を出す為とかかな >





愛宕「ね、これどう? 」

高雄「ワイヤーの形が気に入らないわね」

愛宕「そ。うーん……カラーは沢山あるんだけど」

高雄「デザインそのものは似たようなものばかりね」

愛宕「とりあえずはこのブランドは保留ね」

高雄「ええ、その方がいいわ」





提督「え、なに二人でエロ本見てん……海外の下着カタログって男も出るのかよ。意味わかんねぇ」


< 正義を測る物差しがあれば >





高雄「六月一日の誕生石はアレキサンドライトラインサファイア。
和名だと蒼玉ですね」

提督「実に中二ちっく」

高雄「石言葉は“ 正義感 ”、“ 美意識 ”、そして“ 思いやり ”」

提督「正義感ねぇ……それに思いやりはありますか? 」

高雄「あなた一応正義の代行者ですよ」

提督「いや、正直にいうとそこまでの正義感は持ち合わせてないし。
人の為ってのとかは二の次だもん」

高雄「はぁ」

提督「それに……お前は何の為に、誰の為に戦ってるんだ。それを正義の名の下に胸を張れるか? 」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……それが」

提督「ん? 」

高雄「それが、私の正義ですから」


< サン=カヤ、みたいなね >





提督「うん? 」

愛宕「だから、今まで付き合ってきた女の子の一番の共通点は? 」

提督「いや、必ずしも好みの子を好きになるわけじゃないだろ」

愛宕「それでも強いていえば」

提督「んー……公約数みたいな? 」

愛宕「それでもいいわ」

提督「……抱き締め甲斐のある子かな」

愛宕「へぇ……」

提督「単純に柔らかい、だけじゃなくて華奢で包み込めるのも含めてね」

高雄「なるほど」


< 待ち人来たる >





Littorio「Ciao. 調子はどう? 」

明石「あぁ、やっと来ましたか。普通ですよ、普通」

Littorio「もしかして待たせたかしら。先に行っていてもよかったのですよ? 」

明石「提督にはLittorioさんをしっかり連れてこいと言われてますので」

Littorio「ふふ……なんだかんだLittorioのことが気になっているのですね、彼も」

明石「気になっている理由は食い違ってそうですけどね。……私は先に出発しますので雲龍さんたちと来てください」

Littorio「そ、わかった。……TokyoもYokosukaもいいけれど……やはり彼のいるところが一番です」

明石「ま、同意せざるを得ませんね」


< 友とは >





明石「まぁ、提督の話は今はいいです。……何飲みます? 」

Littorio「いただけるのかしら? 」

明石「自販機のですけどね」

Littorio「いえ、それでもありがとう。Littorioはその紅茶で」

明石「午後ティーね。……礼には及びません」

Littorio「そう? 」

明石「この程度も許せない相手を友人だと、会話をする相手だとは思えませんから。当然のことです」

Littorio「そ」

明石「……はい、どうぞ」

Littorio「ありがと」

明石「…………」

Littorio「…………」

明石「…………」

Littorio「…………ただの理屈屋じゃないのね」

明石「なにか」

Littorio「いいえ、なんでも。美味しいわ、これ」

明石「そ、私も好きですよ、午後ティー」


< さすがに毎日三食ではない >





雲龍「…………」

鈴谷「ーーってことなんだよねー」

雲龍「……あなた今日もカレーなのね」

鈴谷「ん? そだよ。どうかした? 」

雲龍「いえ……好きなのはわかるの。それなら何日か我慢してから食べたらもっと美味しいんじゃないかなって」

鈴谷「あー……試したことはあるんだよね」

雲龍「そう……」

鈴谷「でも三日が限界でさ、これは食べたいときには食べた方がいいなーって」

雲龍「…………依存症じゃない」

鈴谷「でも普段空気を吸うのに意識したりはしないでしょう? 」

雲龍「空気を吸うのを楽しんだりはしないわ」

鈴谷「…………」

雲龍「…………」

鈴谷「……あ、呼吸よりカレーの方が大事だもん、当たり前だった」

雲龍「…………何言ってるのかしら」

天城「天城に振らないでください姉様」


< 優しさとは誰かの優しさを欲するからこその >





高雄「今日の誕生花は紫陽花。花言葉は“ 移り気 ”、“ 高慢 ”、“ 無情 ”、“ 辛抱強い愛 ”、そして“ 冷淡 ”」

提督「移り気なのか辛抱できるのか。
あと高慢で冷淡とかただのクズじゃねぇか」

高雄「案外女性はそうなんじゃないですか。男性から見れば」

提督「いや? 少なくともまともな女の子ならドライなことはあっても高慢とか冷淡とかはねぇよ」

高雄「そうでしょうか」

提督「そうだよ」

高雄「……それでは私が冷たいだけなのでしょうかね」

提督「うん? 」

高雄「もちろん繕い方は心得ています。でも、その言葉や行動にどれだけ思いやりがあるかどうかは」

提督「高雄は優しいよ。冷たいと思う高雄は温かい。
本当に高雄が冷たいとして、それはお前がそれ以上優しさを必要としていないだけだ」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………あなたは、優しい? 」

提督「お前には、な」


< 戦闘狂の癖になんという >





提督「はぁ……なーんかやる気出ない」

愛宕「と、言いつつ片付けなきゃいけないものは片付けたのね」

提督「終わらせたらやる気出るかと思って。出なかったけど」

愛宕「優秀ねぇ」

提督「ま、頑張ったっぽいし」

愛宕「ぽい? 」

提督「ぽい」

愛宕「ぽいかぁ」

提督「ぽいんだよねぇ」

高雄「…………それ馬鹿にしてません? 」


< つまり、反対というと >





提督「今日のカクテルはアレキサンダーズシスター。
カクテルワードは“ 気持ちを盛り上げる演奏家 ”、だ」

愛宕「ね、もし盛り上げるだけ盛り上げてからおあずけ食らったらどうする? 」

提督「あ? そりゃ……一人でシて酒飲んで寝る」

愛宕「どんなの内容で? 」

提督「…………言いたくない」

愛宕「私ならその人としたかったことでスるけど」

提督「お前も大概だな。……悲しくなるから反対のことでスるかもな」


< Prost! >





提督「んあー、オクトーバーフェスト開きたいよぉ」

高雄「まだ十月まで大分ありますよ」

提督「いいよそんなの。ビア飲んどきゃそれでいいんだ」

高雄「いやいや……」

提督「Bismarckあたりにディアンドル着せてー。おっぱーい」

愛宕「明らかにそれ目的じゃない」

提督「お前らのも用意するぞ? 」

高雄「しなくていいです」

提督「実は」

愛宕「もう? 」

提督「……ないんだけどさ」


< ストレート >





提督「つーか、男なんて一におっぱい二におっぱい。三四もおっぱい五もおっぱいだよ」

高雄「そんなこと言われたら殆どの男性が憤るでしょうね」

提督「そんなわけあるか。……いや、尻派とかそういうあれかな」

愛宕「どっちも好きでいいのに」

提督「いや、どちらが至高かを語るのは古代より引き継がれた難問でだな」

高雄「で、あなたは胸派なんですね」

提督「今の所はな」

高雄「はぁ」

提督「お前らがいておっぱい派にならないのもなかなか苦行だぞ」

愛宕「おしりもいいのよ? 」

提督「知ってるよ。身をもってね」


< その理由がなんであれ >





天城「そういえば加賀さんはどうするんですか? 」

加賀「どう、とは」

天城「元少将のいた要港部には伊勢さんたちが臨時で詰めているようですし。また前線へ? 」

加賀「いえ、私もあなたたちと同じよ」

天城「えっ、あの基地に、ですか? 」

加賀「ええ」

天城「…………」

加賀「あの作戦のとき、私だけ提督の指揮下に入っていなかったでしょう? 」

天城「そうなんですか? 」

加賀「そうよ。……今回も名目上は付近に潜伏していると思われる少将と残党の発見が任務」

天城「……名目」

加賀「実際は旧要港部の民間移譲手続きの進行と基地の増強が目的です」

天城「増強? 」

加賀「増強、というのがつまりそれ以降彼の指揮下に入る、ということの一部なのだけれど」

天城「はぁ」

加賀「あの要港部は老朽化していたことに加えて敵性因子に間取りが知られているわ。
そこであそこに置かれていた戦力に近いものを提督に指揮させる、
これが帝都と横須賀の君の考えなの」

天城「……なるほど」

加賀「私は旧要港部で伊勢に会ってくるけれど……。
あなたたちの数日後、そうね、愛宕の誕生日までには基地へ向かうわ」

天城「はぁ、今月中ということですか」

加賀「そういうこと」


< 見た目は綺麗 >





提督「かっら、かっら、ふぁふぇ」

高雄「何やって……その山と積まれた山葵はなんです」

提督「や、ぼうっほへぇへ」

高雄「……愛宕」

愛宕「喋りながら山葵擦ってたらこうなってたのよねぇ〜 。
私はお刺身とつま用意してたのだけど」

高雄「はぁ、でも無理矢理食べなくてもですね」

愛宕「辛口のビールで流せばなんとかなるとか言い始めてね」

高雄「悪酔いするわよ、それ。……大丈夫ですか? 」

提督「…………」

高雄「あの、顔青いですよ」

提督「……あのひゃ……あのさ」

高雄「はい」

提督「……マグロって辛いんだな」

高雄「そんなわけ」


< 無駄にはできない性分 >





提督「復活したぜ」

愛宕「氷ガリガリするとかガキじゃないんだから」

提督「まぁまぁ」

高雄「それにしても山ですね」

提督「何本擦ったか忘れちゃったよ」

愛宕「どうしようもないわね。捨てる? 」

提督「いや、なんかつくるよ。薄めのピザ生地あった? 」

高雄「ありますよ」

提督「じゃあそれで。ピーマンと梅はあったし……まぁ、あとはあるものでいっか」

高雄「もしかして今つくるんですか? 」

提督「だめ? 」

高雄「……生地に具材だけ載せておきましょう。
冷蔵庫に入れて明日焼けばいいですし」

提督「んー……口がわさピザ用なんだけど」

高雄「それならお一人でどうぞ」

提督「あぁ……春巻きの皮で小さいのつくろっと」


< 信じられない >





提督「舌を性感帯にしたカミサマってすげぇと思う」

高雄「嫌です」

提督「しかも自分の意志で動く」

高雄「嫌です」

提督「動く性感帯とかお互いに動かせば快感も飛躍的にだな」

高雄「い・や・で・す」

提督「……もう、舌に山葵ないってば。そんなに拒まれるとちょっと凹む」


まぁ、英語版だとサンとカヤを演じている人は別らしいですけどね

ありがとうございました


< 外患誘致 >





提督「はーん……京都の方でで何人か観念したらしいぞ」

愛宕「所謂“ 改革派 ”って人たち? 」

提督「おう。この調子で少将殿にも出てきていただきたいものだが」

愛宕「なにかアテでもあるのかしらねぇ〜 」

提督「さぁな。この国の中枢にシンパがいたのは確かだが……。
あるいは他国かはたまた深海側に仲間でもいるのか」

愛宕「その場合は仲間じゃなくて黒幕っていうのよ」

高雄「古今東西、内に他者を取り込んで理想が通った試しなんてありませんしね。何を考えているやら」

提督「まぁな。……さて、今日もお仕事お仕事ーっと」


< なぜ綺麗でなければならないのか >





高雄「六月二日の誕生石はグリーンファントムクォーツ。
石言葉は“ 表現力 ”、“ 美しさ ”、そして“ 乙女心 ”」

愛宕「乙女心って美しくはないわよね」

高雄「さぁ……? 」

愛宕「だってそうじゃない? 乙女心ってようは女の子らしさでしょ? 」

高雄「……それが醜いと? 」

愛宕「綺麗だと思う? 」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「……まぁ、美しくあるために必要な要素だとは思うけれど」

愛宕「うん」

高雄「綺麗では、ないわね。毒をもって毒を制すのような違うような」


< ある意味で男子の本懐 >





提督「一番嫌な死に方は餓死だと思うんだよね」

高雄「まぁ……納得です」

愛宕「じゃあ一番良い死に方は? 」

提督「良い死に方ってのも変な話だけど老衰死じゃないか?
それが家族に看取られるのであれ寝ている間にポックリであれ」

高雄「なるべく苦しみとは無縁でありたいものですしね」

愛宕「えっ、そうなの? 」

提督「ん? 」

愛宕「てっきり腹上死とか言うものかと」

提督「あのさ…………いや、でもそんなときまで現役でありたいとは思ったよ、うん」


< 執務室の真ん中で >





高雄「今日の誕生花はアリューム。花言葉は“ 柔軟性 ”」

提督「なぁ、俺の前屈力凄くない? 」

高雄「はぁ、腰痛めたりしないでくださいよ」

提督「余裕だって。……ほらほら、手首までぺったり」

高雄「凄いですね」

提督「心が篭ってねぇなぁ」

高雄「心込めて前屈褒めるってなんですかそれ」

愛宕「これは……脇腹狙えばいいの? 」

提督「やめろ。いやマジへぇっ」

愛宕「冗談冗談。……おっぱいあると前屈には限界があるのよねぇ」

高雄「なくてもしませんよ。こんな間抜けなこと」


< 膝枕er >





提督「あー……気持ちいい……」

愛宕「やん、息吹きかけないでよ」

提督「そんなつもりないんだけど……ふぁ、ふともも」

愛宕「子供ねぇ」

提督「んー……お姉ちゃん? 」

愛宕「…………」

提督「……どうした? 」

愛宕「……ドン引きしてるんだけど。無駄に高音だし」

提督「いやぁ……さすがにショタは無理か」

愛宕「身長も体格も顔立ちも性格もダメでしょ」

提督「まぁ、あんまり好きなジャンルでもないし。……さんきゅ、ちょっと休めたよ」

愛宕「はいはい。対価はあとでお願いね」


< 先輩……? 今日、いいですか? >





提督「そういえばさ」

高雄「はい」

提督「俺たちって職場恋愛かつ上司と部下って形になるのかな」

高雄「まぁ……そうなんじゃないですか」

愛宕「わお」

提督「だからどうだって話じゃないけどさ。そう考えると面白いなって」

愛宕「これであなたが既婚者だったりしたら面白いわね」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「…………いや、洒落になんないから。想像するのが怖過ぎる」


< 比較、できないからね >





提督「つーか、OLスタイルの時点で大概ノッちゃうから」

高雄「はぁ」

提督「あれで仕事するとかもうね。誰だよあのスタイル確立したの。感謝したいわ」

愛宕「でも一般企業で働いたことないでしょ」

提督「え、だってお前ら着てくれるじゃん」

高雄「いやいやいや……まぁ、着たことはありますけども。若干ノーマルではないような」

愛宕「いつだったかのホテルコンシェルジュなんかもっとニッチだったわよねぇ〜 」

提督「エロけりゃ正義なんだよ。内容自体はノーマルだし」

高雄「…………でも、私あなたしか知りませんよ」

提督「だ、大丈夫、大丈夫だから。さすがに人道から外れたことはしてない……はず」


< 甘いのはカクテルだけだろうか >





提督「今日のカクテルはベリーベリーミルク。
カクテルワードは“ リズミカルな生活を楽しむ吟遊詩人 ”、だ」

愛宕「ん、あまぁい」

提督「まぁな。ルジェ・クレーム・ド・カルテットっていうリキュールとミルクのカクテルなんだよ。
で、このリキュールフランス語で四つって意味なんだ」

高雄「四つの果実、ですね」

提督「そ、特にストロベリーの味かな。強いのは。色もパープルで綺麗だろ? 」

愛宕「そうねぇ……明石のドレスって何色だったかしら」

提督「秘密。明日の昼にこっち来るからな。明後日まで楽しみにしとけ」

愛宕「結局晒し者にするのね」

提督「人聞きの悪い。雲龍姉妹にはなんの問題もないだろ」

高雄「強いて挙げれば」

提督「ん? 」

高雄「嫉妬、ですかね」

提督「…………」

愛宕「ふふ……」

高雄「…………」

提督「…………なんとか、なるといいなぁ」


< ビターチョコすら甘くなるような >





愛宕「苦がそうな顔」

提督「……んー」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……あなたが好きだからなのよ」

提督「知って……るよ」

愛宕「そこで申し訳なさそうな顔するなんてねぇ……誰も得しない」

提督「…………あぁ」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………甘くなるようなこと、しましょっか」

提督「…………」

愛宕「ふふ……誘うのは上手いのに誘われるのは下手なんだから」


< ページを繰るその姿が美しい >





高雄「…………」パタン

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………もう、二人とも寝ましたね、きっと」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………人は単数では生きてゆけない。人は人となるために他者を受け入れる。
そしてそれを繋ぐのが、愛」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………知っているからこそ難しいのですけれど、ね」


資源物の回収はまだですかね……
いつも瓶が邪魔になる

ありがとうございました


< シーツを巻いて、引き摺って >





提督「…………」

愛宕「…………んん」

提督「…………」

愛宕「…………煙草、吸わないの? 」

提督「え? 」

愛宕「煙草」

提督「あぁ……そんな気分じゃない」

愛宕「そ」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………こういうときこそカッコつけるべきなんだろうけどさ」

愛宕「いいじゃない。女に慰めてもらうことがそんなに嫌? 」

提督「嫌じゃないさ。お前には感謝してる」

愛宕「それなら」

提督「こういうことに感謝する自分が嫌なんだよ。
モヤモヤをぶつける為にお前を抱きたいとは思わない」

愛宕「……そう」

提督「…………」

愛宕「…………私は構わないけど? 勝手に気持ちよくなってるから」

提督「そうか…………いや、俺の問題なんだよ、これは」


< 情けない顔を見られないように >





提督「……相手が誰であってもさ」

愛宕「ええ」

提督「性的に裏切って逃げるのが俺は嫌いだ」

愛宕「…………」

提督「もちろん昨日はお前のことしか頭になかったぜ?
ただそうしようとした理由がね」

愛宕「……いいじゃない。逃げ込む先が女の胸でも」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………嫌われたくない」

愛宕「……そんなことで嫌いになる程浅くないわよ」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………後ろから抱き締めていい? 」

愛宕「前からでも…………ええ、いいわよ」


< 弱さを包み込むこともまた >





高雄「大概あの人もメンタル弱いわね」

愛宕「そこもいいところじゃない」

高雄「…………」

愛宕「そんな渋い顔しないの」

高雄「…………」

愛宕「高雄も男への理想高いわねぇ」

高雄「……別に」

愛宕「そう? 」

高雄「…………あの人への理想が高いだけ。あの人の弱いところは見たくないもの」

愛宕「なるほどね」

高雄「…………」

愛宕「……そこが私たちの一番の違いなのかも」

高雄「…………ええ、私もそう思う」


< ! >





明石「工作艦、明石。参りました! 」

提督「ん、おかえり」

明石「! 」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……機材運び込まないの? 」

明石「あっ、はい! えーと、手前の物から順番に工廠に運び込むのですがーー」





愛宕「今のって意識してたと思う? 」

高雄「難しいところだけれど……たぶん無意識ね」

愛宕「そうよねぇ……あの明石の顔、信じられないくらい乙女してるわぁ」


< ? >





提督「ってもこんなにあって何に使うんだ? 」

明石「機材が、ですか? 」

提督「あぁ」

明石「別にいつどれ位使うかはわかりませんよ。
指輪関係以外の研究も続けますしね」

提督「へぇ」

明石「たとえば……生殖に関することだとか」

提督「なるほどね。なんかあったら言えよ? 」

明石「はい、そのときは。……まぁ、当分は数値の解析と理論立てくらいしかやることありませんけど」


< !! >





提督「ちなみに当基地での“ 明石の会 ”は明日の夜だ」

明石「えっ」

提督「ん? “ 明石s’ナイト ”の方がいい? 」

明石「いや、そこじゃなくて。あの、私から言うと図々しいかもしれないですけど」

提督「おう」

明石「明日だと雲龍姉妹とLittorioさん来ますよ? 」

提督「知ってる」

明石「…………」

提督「大人しくお人形でもやってろ」

明石「……だ、騙された」

提督「…………」

明石「…………はぅ」

提督「……ま、他人が気にならないくらい楽しませてやるよ」


< つまりこれが我儘ってやつ >





高雄「六月三日の誕生石はイエローゴールド。
石言葉は“ 純粋 ”、“ 豊かな心 ”、そして“ ロマンティック ”」

愛宕「ロマンティック、ね」

高雄「世の男性の中にはそれを理解できない方もいるようです」

愛宕「まぁ、冷静に考えればただの我儘だもの」

高雄「そうね」

愛宕「でもその我儘を何とかするのが男の甲斐性ってやつなんだし。
よっぽど理不尽じゃなければ、ねぇ? 」

提督「ねぇ? じゃねぇよ」

高雄「むしろ私は時々演出が過剰に思えますが」

提督「えっ」

高雄「普段がガキ過ぎるのでその……」

愛宕「いきなり大人の男になると戸惑う? 」

高雄「まぁ……そういうことです」

提督「…………普段と同じでいろってことかよ」

高雄「それは困ります」

愛宕「そんなの価値ないじゃない」

提督「えぇ……」


< 沁みるということは傷があるということ >





高雄「今日の誕生花は亜麻。花言葉は“ あなたの親切が身に沁みる ”、です」

提督「……身に沁みる親切とか時々逆に心折られそうになるよな」

高雄「それはさすがにメンタルの問題では」

提督「いや、でもさ……」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………私の妹はたかが親切で抱かせるほど安い女ではありませんよ」

提督「……知ってるよ。だから折れそうなんだ」


< 技術士官扱い >





提督「よく考えるとさ」

明石「はい」

提督「俺とお前の階級の開きって普通逆だよな」

明石「はぁ」

提督「腕に掛ける生命が桁違いだろ。
俺がいなくてもまぁなんとかなる。
でもお前がいなかったらこの国どうすりゃいいんだよ」

明石「それは……でも私はあなたにはなれませんよ」

提督「当たり前だ。俺もお前にはなれない」

明石「…………」

提督「…………」

明石「……あなたの腕には多くの生命が掛かってるんです」

提督「だからお前にはもっと」

明石「私にできるのは! 精々手先で誰かをフォローすることくらい、です。
指先がいくら優秀でもあなたのような腕や、それを動かす頭に指示されないと、なにも」

提督「…………」

明石「あなたのように背中でなにかを示せる人が、必要なんです。
私の評価はあなたのような人にしてもらえれば、そしてあなたが評価されれば」

提督「…………」

明石「…………少なくとも、私にはそれで、十分ですから」


< 卒業席次 >





提督「……兎も角一応俺も名実ともに“ 提督 ”ってやつになったわけだ」

明石「その歳で少将って昔から見れば異常ですよね」

提督「まぁな。でもハンモックナンバーから見れば妥当なんだぞ」

明石「確か提督の一つ下の人がトラックで活躍したんでしたね」

提督「俺が太平洋で作戦行動を成功させるのと同時期にな」

明石「ただその人の活躍の方が上だった、と」

提督「その所為で階級だけ上がって相変わらず横須賀で燻ってたからな。
今では出世コースからも外れたし」

明石「でも……要らないんでしょう? 」

提督「ここまでくればな。そもそも俺の同期は異常なんだよ。
どうして横須賀の若手で上から二人が同期だったのか」

明石「しかもトラックで活躍した方までいますしね」

提督「はぁ……」

明石「…………」

提督「…………一応俺も活躍したはずなんだけど」



< 役割的には班長くらいか >





明石「そもそもですね」

提督「あぁ」

明石「私を直接の部下として指揮できる時点で出世コースから外れたわけではないと思うんですよ」

提督「……確かに」

明石「そりゃ華々しくはないですけどね。
しかも正規空母二名、特殊な兵装を持つ重巡二名。
それから同盟国の客分戦艦。まだなにか必要ですか? 」

提督「いや……まぁ、十分だな、うん」

明石「でしょう? 」

提督「でも、一応艦娘一、二名のみを配下にした配属が基本だろ?
甲種卒業の有望株なら俺より指揮してる部下の多いやつもいるし」

明石「それは陸上戦闘の可能性があったり、
船舶からの指揮やサポートがあるからでしょう。外地、特にシーレーンの話です」

提督「……ふむ」

明石「…………」

提督「…………」

明石「……あぁ、そういえば」

提督「ん? 」

明石「提督の最初のパートナーって誰でした? 一応外地にも行ったんですよね」

提督「あぁ、駐在武官としてすぐ異動したけどな。……叢雲と漣」

明石「それはまた……」

提督「うん? 」

明石「…………濃いですね」


< こんなダメだし >





愛宕「作戦の立案は優秀なのよね」

高雄「仕切りもそれなり、ですか……それなり止りなのですが」

提督「…………」

愛宕「そもそもあなたの作戦って個人の能力を重視しなさ過ぎなのよ」

提督「……一応替えの利く役割分担が信条でね」

高雄「よく言えば堅実。ただし爆発的な効果は見込まれない、と。
戦いというのは自らの長所を生かしてこそ、だと思うのですが」

明石「まぁ、今は戦線が膠着してますし。わざわざ傷を開きに行くより無難に防衛に専念した方が」

提督「だ、だろ? 」

愛宕「でもそれでこっちに飛ばされたのよね」

提督「……そうだが」

愛宕「まぁ、横須賀は横須賀で危なそうなことしてるわよねぇ〜 」

高雄「横須賀の君は何を考えているやら。あまり無理をする人ではないのに」

提督「さぁ、な。…………お前らが他国の人間を殺すところを見なくてもいいならなんでもいいよ、俺は」


< 本当に思いつかない >





提督「今日のカクテルはアメリカンレモネード。
カクテルワードは“ 趣味に拘る心熱い芸術家 ”、だ」

明石「いやー、久々にカクテル飲む気がします」

提督「へぇ、あっちで飲まなかったの? 」

明石「大体ロック、ストレート、水割り、お湯割ですからね。よくてお茶割」

提督「はーん……まぁ、鳳翔あたりなら頼めばやってくれると思うけど」

明石「なんだか頼むのに気が引けて。それに隼鷹さんや千歳さんと飲むと、ね? 」

提督「飲ませてくるな。……空母で飲まないやついたっけ? 」


< 二層のグラス、心も二層 >





愛宕「面白い色してるわね」

提督「見た目はな」

愛宕「見た目、は? 」

提督「別に不味かったりはしないけどな。物足りなさはある」

愛宕「確かにアルコールは低いわね」

提督「赤ワインベース、とはいうが実際はレモンジュースベースの土台に赤ワイン被せてるだけで大した技量も必要としていない」

愛宕「ふーん」

提督「とりあえずこれできれば多少カッコよくは見える」

愛宕「なるほど。その為に? 」

提督「ないといえば嘘になるら、もちろん自分で楽しむ為ではあるけど」

愛宕「そ。……乾杯しましょ? 」

提督「んー、何に? 」

愛宕「明日の明石の笑顔の為に」

提督「そうか……普通のレモネードでも飲むかな」


< 高鳴る鼓動を抱き締めて >





明石「それでは私はこの辺で」

提督「ん、また明日な」

明石「はい」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……どうした」

明石「……カッコいいなって」

提督「うん? 」

明石「なんだか明日が永遠にこなくてもいいかもしれません」

提督「…………」

明石「こんなに素晴らしい希望を持って眠るなんてこと、滅多にありませんから」

提督「……そう、か」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………ありがとう」

提督「…………」

明石「今はそれだけ言わせてください。きっと明日の私は私であって私じゃないから」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………」

明石「……では、また明日」

提督「あぁ……佳い夢を」


ちなみに山口多聞中将の席次は40期の第二位

ありがとうございました

明石がいい子すぎて泣いた
?「ほいさっさーほいさっさー」
?「もぐりでしょ!」
いつ出てくるかねぇ(ニッコリ


< 寝付けないときに >





提督「三日は満月だったか」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………しっかり寝ないとならないんだが」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「……………………ナイトキャップくらいなら許されるよな」


< 大事なことがある日に多い >





明石「…………んー……」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………」

明石「……はっ、今、今何時なのっ」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………」

明石「……あれ、寝坊どころか普段より早い……でも寝直すと起きられないような……あぁ」


< あっぷるすめる >





提督「…………ふぅ」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「……我ながら上出来」

明石「……アップルパイ? 朝から厨房の匂い凄いですよ」

提督「ん? 早いな」

明石「なんだか目が冴えちゃって」

提督「そっか」

明石「…………」

提督「…………」

明石「……いい匂いです」

提督「……あぁ、楽しみにしとけよ」


< 到着 >





天城「これ、鳳翔さんからです」

愛宕「あら、なにかしら」

Littorio「んー……肩と腰が凝りました」

高雄「お疲れ様」

愛宕「白子? さすがのセンスねぇ〜 」

天城「いいおつまみになりそうですね」

雲龍「あの人と明石は? 」

高雄「提督は厨房。明石さんは……たぶん部屋に戻ったんじゃないかと」

雲龍「そう……ありがとう」


< たとえ自分を念頭に置いていなくとも >





雲龍「……荷物の搬入終わったわ」

提督「ん、お疲れ」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……何やってるの? 」

提督「あぁ、寝かせてたパイ焼いてんの」

雲龍「……そう」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……焼けたら食べる? 」

雲龍「……ええ、いただくわ」


< 必要は発明の >





高雄「六月四日の誕生石はオドントライト。
石言葉は“ 上品 ”、“ 努力 ”、“ 落ち着き ”、そして“ 多芸多才 ”」

明石「やっぱり提督おかしいですよ。あのガタイ、あの趣味でアップルパイの生地つくってましたからね」

高雄「お母様の影響らしいですよ」

明石「はえー……提督のお母様ってどんな人なんでしょうね。
お酒は好きなようですけどよくわかりません」

高雄「確かに」

明石「ですよねぇ」

高雄「会ったことのない私から言うのもなんですが、あえて言うならば」

明石「はい」

高雄「……あの人の、母親なのですよ」

明石「…………」

高雄「…………」

明石「……異常な説得力ですね」


< 思い出に色を着けるとするならば >





高雄「今日の誕生花は露草。花言葉は“ 気品 ”、“ 品格 ”、そして“ 思い出 ”」

明石「思い出……思い出ですか」

高雄「ええ」

明石「……あの人に最初にもらったもの覚えてます。なんだと思います? 」

高雄「さぁ……お酒とか? 」

明石「いえ……単車のエンジンでした」

高雄「はぁ? …………いや、確かにそれっぽいと言えばそうですが」

明石「私は嬉しかったですよ? 丁度研究が詰まってて気分転換したかったので」

高雄「はぁ」

明石「それに私のことよく見てるんだなって思いましたしね」

高雄「…………」

明石「…………」

高雄「……でも単車のエンジンなんてどこから持ってきたんでしょうね」

明石「さぁ……ちょっとした謎ですね」


< つまりそれが対価に値する程の >





提督「ドレスは明石に渡してあるから」

愛宕「そ、メイクを手伝えばいいの? 」

提督「頼む。あと全体的な着こなしをな」

愛宕「はーい」

提督「おう」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……貸し、一つね? 」

提督「そうだな。なんでも言え」

愛宕「なんでも? 」

提督「なんでも」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……わかった。考えとく」

提督「はいよ。じゃ、俺も着替えてくるから」


< ワインレッドに黒の飾りが >





明石「あ、あのっ」

愛宕「なぁに? 」

明石「ろ、露出が多過ぎるような気が」

愛宕「そうねぇ……ダメ? 」

明石「……正直、苦手というか。腕が出ているのは不安で」

愛宕「綺麗な腕じゃない。自信を持ちなさいよ」

明石「…………」

愛宕「……あの人が明石に似合うと思って選んだのよ? それをあなたが信じなくてどうするの」

明石「…………私は」

愛宕「…………」

明石「…………」

愛宕「……ま、私が言っても仕方ないか。
メイクは手伝うけど……その後しっかりあの人に沢山褒めてもらいなさい。自分を信じられるまで、ね」


< イブニングとカクテルの間くらいかな >





Littorio「これはLittorioも正装した方がいいのですか? 」

高雄「さぁ? 基本的には彼ら二人以外は自由だと思うわ」

Littorio「そうですか。……高雄は? 」

高雄「一応軽めのカクテルドレス、のような何かには着替えようかと」

Littorio「なるほど」

高雄「あの人が言うには明石さんに贈る物もイブニングドレス“ 擬き ”らしいので。
そんなにフォーマルなものでもないようですね」

Littorio「へぇ……Littorioも着替えてきましょうか」

高雄「ご自由に」


< そんなこと、させられません >





明石「…………」

提督「へぇ……俺、やるじゃん」

明石「…………」

提督「……俯くなよ。こっち向いて」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……そうだな……俺、似合ってる? 」

明石「……あなたは何着てもサマになるじゃないですか」

提督「ありがと。でもお前もだぜ? 」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………あなたの隣に、立っても? 」

提督「もちろん。むしろ俺から頼むよ。膝でもつこうか? 」


< Apparel makes the man. >





提督「リボンの色と合わせようかなって」

明石「……なるほど」

提督「あと、リンゴっぽい色だし」

明日「はぁ」

提督「…………自信を持てとは言わないけど……普段通りにはしようぜ」

明石「そんなの無理ですよ……馬子にもなんとかです」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………お前を馬子だとは思わないけどさ」

明石「…………」

提督「馬子が元々美しい、そういうこともあるんじゃないか」

明石「…………」

提督「……衣装が人を形作るのは当たり前だ。
でも衣装ってのは似合ってる人が着てこそ真価を発揮するんだぜ? 」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………はぁ、本当に……あなたは、あなたは、まったく」


< 夜はまだ始まったばかりだから >





明石「凄いですね」

提督「うん? 」

明石「あなたに口説かれるってことが、です」

提督「そ。……俺だっていつでもこうなわけじゃないさ」

明石「それはもちろんですけど」

提督「……でもお前がお前じゃなかったらここまではしないよ」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………開き直り、ましょうかね」

提督「あぁ、その方が嬉しいな」


< 勇気を出して、踏み出せば >





提督「今日のカクテルはシャンボールフィズ。
カクテルワードは“ 澄んだ湖や耕地に憧れる叙情家 ”、だ」

明石「あなたは」

提督「ん? 」

明石「この戦争が終わって……なにもかも終わったらどうするか、決めてますか? 」

提督「そうだな……今はなにも」

明石「田舎に引き篭もったり、とか? 」

提督「あぁ、それいいな。退役して酒造でも建てようか」

明石「それなら、ですね」

提督「あぁ」

明石「もしよければ単車などの専属整備士を雇う気はありませんか? 」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………そうだなぁ、それもいいが、どうせなら」

明石「……はい」

提督「……アップル・ブランデーの味見役、とかどうだ? 」

明石「! 」


< 白子の天婦羅 >





天城「あぁ……素晴らしいです」

愛宕「折角いただいたものだし。美味しく食べないとね」

雲龍「…………」

天城「はぁ、美味しいです」

愛宕「いいおつまみよね〜 。あ、おつゆとって」

雲龍「…………」

天城「どうぞ」

愛宕「ありがと。塩もいいけど私はつゆの方がいいかな」

天城「天城はお塩の方が」

雲龍「…………」

愛宕「へぇ。雲龍は? 」

雲龍「……え? 」

愛宕「白子の天婦羅に合うのは塩かつゆか、っていう話」

雲龍「え、えーっと……つゆかしらね」

愛宕「そ」

天城「お塩も合いますよ、姉様」

雲龍「え、ええ、そうね……そうね」

天城「? 姉様? 」

雲龍(……あの人の白子も食べたことになるのかしら、なんて考えてたとはさすがに言えないわね)


< 愛に至る病 >





Littorio「高雄」

高雄「なに? 」

Littorio「Littorioといて、退屈ではない? 」

高雄「どうして? 」

Littorio「どうして、と言われても。あまりあなたからは話しかけてこないから」

高雄「それは私の性格です。あなたといるのは心地良いですよ」

Littorio「……そう」

高雄「ええ」

Littorio「…………」

高雄「…………」

Littorio「…………」

高雄「……暫く二人で黙っているといい。沈黙に耐えられる関係かどうかわかるだろう」

Littorio「キェルケゴール? 」

高雄「ええ。……私、この言葉、好きなのよ」

Littorio「…………そう。……そうね、Littorioも好きになったかもしれない、ですね、たった今、ですが」


< 今夜はあなたに全てを捧げます >





提督「さて、いい時間だが」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……なにかリクエストは、あるか? 大概のものはあるぞ」

明石「…………」

提督「特にアップル関係はかなり揃えてるし」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………では」

提督「おう」

明石「……シェリー酒、いただけますか? 」

提督「…………意味、わかってんのかな。それとも飲みたいだけ? 」

明石「…………私があなたの前でこれを飲んでるの見たことあります? 」

提督「…………いいや」


< 今夜だけと言わず、 >





愛宕「わお。明石もだいたーん」

高雄「シェリー酒、ですか。なかなかどうして」

愛宕「明石も成長したわねぇ」

高雄「それが成長がどうかはわかりませんが……まぁ、変化はしているでしょうね」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……あ、出した。男が渡す意味、知ってる? 」

高雄「はぁ…………“ 今夜は離さない ”」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………残り者五人でなにかしましょうか」


< 初めて会ったとき、どんなこと考えていただろう >





提督「…………」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………先にシャワー浴びてこい、なんて実際に言うんですね」

提督「……お前が言わせたんだろう」

明石「……確かに」

提督「…………」

明石「……でも、どちらでもよかったんですよ」

提督「…………」

明石「あなたが私をどう思っているかなんてわかります。
過ごした時間は違っても、高雄さんたちと同じ時期に初めて会ったんですからね」

提督「……そうだな。確かに長い付き合いだ」

明石「たとえあなたが抱いてくれなくても。
私は……私はあなたに多くの物をいただいていますから」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……やめようか? 」

明石「いえ。……私も、時々は欲張ってもいいかなって。あなたの所為で思えましたから」

提督「…………所為、か。……ま、おかげ、にはならないだろうな」


< Se7enとか >





天城「…………」

Littorio「Littorioはこれの結末知ってますよ」

雲龍「それはいいけど言わないで」

愛宕「まぁ、それを言うなら私も高雄も観たことはあるわよ」

高雄「それでもいいものはいいです。映画であれ小説であれね」

天城「…………」

Littorio「いくらなんでもネタばらし、なんて悪趣味なことはしませんよ」

雲龍「そう……」

愛宕「……それはともかくとりあえずわかったことがあるわ」

高雄「ええ」

天城「…………! 」

愛宕「…………面白い映画を観せておけば天城のお酒は進まない」

高雄「妙なギャップがありますね……あぁ、もうそろそろ終わりますか」


< 今、万の想いを胸に >





提督「…………」

明石「…………」

提督「…………可愛いな、お前」

明石「……きっとそれ、一番思ってる人ですよ、この世で」

提督「はーん……? 」

明石「私は……あなたの次にそう思っています。いや、思えました」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………あなたが私の提督で……よかった」


< きっと、これは始まりの日だから >





提督「……月だな」

明石「月ですね」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……綺麗かな? 」

明石「きっと」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………明日からさ」

明石「はい」

提督「口調、変えてみないか」

明石「え? 」

提督「ちょっとずつでいいから……敬語減らそう」

明石「そんな急に……急じゃないかもしれないですけど」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………朝は明石が起こしてくれること期待してるよ。寝る」

明石「はぁ…………また、明日。……………………__さん」

提督「あぁ……それでいい、それがいいよ」


一応元帥、大将、中将、少将、(代将)の敬称である、という認識はしていました
もし違っていたり書き方が悪かったのなら申し訳ありません
なんとか脳内でお願いします

ありがとうございました


< 約束したからね >





提督「…………Zzz」

明石「…………」

提督「…………Zzz」

明石「…………」

提督「…………Zzz」

明石「…………逃げたい」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………わくわく」

明石「…………いや、起きてるならですね」

提督「…………」

明石「……無理に起こさせるって……ど、どうなのかなぁそれってばぁ! 」


< 月の魔法が解けて >





明石「……おはようございます」

提督「ん、おはよう」

明石「あぁ……冷静に考えたら私はなんてことを……ぅ」

提督「うん? 」

明石「なんで雲龍さんはまともな顔して生活してられるんでしょう」

提督「そりゃ……開き直りか、もしくは俺へのアプローチの差かな」

明石「はぁ……ですよねー」

提督「おう」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……俺なんてあれだぞ。同じ建物の中の女の子の部屋から朝帰りだからな。
お前の比じゃないヤバさだぞ」

明石「いやいやいや……そんな真顔で言える内容じゃないですよそれ」


< もう慣れた人たち >





提督「おはよう」

愛宕「おはよー」

高雄「おはようございます」

提督「なんかやることある? 」

愛宕「そうね、これから盛り付けるからレタスちぎって」

提督「ん」

高雄「どうでした? 」

提督「うん? ……可愛かったよ」

高雄「そうですか」

提督「あぁ」

愛宕「映像とかないの? 私もみたーい」

提督「んなもんねぇよ。ばっかじゃないの」


< そうでもない人とその他の人たち >





明石「…………」

天城「妙に会話がありませんね」

雲龍(明石も、か。……私から迫った方がいいのかしら)

Littorio「明石? 昨夜はどうでした? 」

明石「はぅ」

天城「Littorioさん……ちょっと直球過ぎませんかその訊き方」

雲龍(時にはストレートに……ふむ)

Littorio「この場合ネチネチと遠回しに訊くよりはいいと思うのですが」

明石「……ご自分で確かめられてはどうです、私から訊くよりいいかと」

Littorio「なるほど……道理ね」

天城「…………道理? 」

雲龍(よし、とりあえず夜ね、お酒をセーブしてタイミングをはかりましょう)


< あなたにとっての私 >





高雄「六月五日の誕生石はクリソベリルアレキサンドライト。
石言葉は“ 親切 ”、“ 優しい ”、そして“ 幸せを願う ”」

愛宕「将来は田舎で酒造だかワイナリーだかで隠居するんですって? 」

提督「いや、一つの可能性だよ。もしかするとドイツの山奥とか行くかもしれないし」

愛宕「ふーん……ま、なんにせよ楽しそうではあるかな」

提督「あくまで幸せを求めるわけだしな。無意味な移住とかではない」

高雄「……幸せを願う、か」

提督「ん? 」

高雄「いえ、その幸せとは一体誰にとっての幸せなのかな、と」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「……それは」

高雄「はい」

提督「……お前たちの幸せが俺の幸せだよ」


< 「姉様、最近とっても綺麗」 >





提督「お姉様! とかに憧れたりしないの? 」

高雄「はぁ、特には」

提督「なんていうかな、“ タイが曲がっていてよ、あなた ”とかやってみない? 」

高雄「あなたは私に何をさせたいんですか」

提督「いやぁ、愛宕も下二人もそういう呼び方してないしさぁ」

高雄「それでいいんですよ」

提督「えぇ……」





天城「どうしました? 姉様」

雲龍「いえ……私は近いのかも、と思ったり」

天城「? 」


< 敬愛は清らかな愛へと昇華し >





高雄「今日の誕生花はダリア。花言葉は“ 移り気 ”、“ 華麗 ”、“ 優雅 ”」

雲龍「昨日はあんまり言えなかったけれど……綺麗だったわよ」

明石「あ、ありがとうございます」

雲龍「ええ」

明石「…………」

雲龍「……? 」

明石「いえ、雲龍さんの気持ち、ちょっとわかりました」

雲龍「? 」

明石「あんなに幸せな気持ちになれるのなら……いつまでも溺れていたいも思うのも、仕方ないことかな、と」

雲龍「そう……」

明石「はい」

雲龍「…………」

明石「…………」

雲龍「……でも、あなたは私とは違うのね」

明石「はい。……それに優劣はつけられませんが、確かに」


< 何かを考えることもなく、一心に >





提督「今日のカクテルはブルーベリーロワイヤル。
カクテルワードは“ 一生懸命で使命感のある期待の星 ”、だ」

雲龍「一生懸命だった? 」

提督「あ? 」

雲龍「明石のこと」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……お前のとき思い出してみろよ」

雲龍「ふーん……なるほどね」


変な時間ですけど……
花金だからね、仕方ないね

ありがとうございました

元帥と将官らの敬称というより
その階級の人たちが海軍司令官に就役したときに提督って敬称を授かる
たぶん階級のことじゃないよって書いた彼は、単に少将に昇格したとしても全員が提督と呼ばれるわけではないよって言いたいんだろうと勝手に想像する


>>830
なるほど
一応調べてはいるのですが……難しい
ありがとうございます


< 朝餉の支度 >





愛宕「好きな人の為のお料理は美味しいとか、愛情は最高のスパイスって言うじゃない? 」

高雄「そうね。そう聞きます」

愛宕「じゃあ逆に殺したいほど憎悪している間に、
義務か仕事かで美味しいお料理をしなくちゃいけないときはどうなのかしら」

高雄「はぁ」

愛宕「全く同じ材料、同じ手順のそのお料理の味は」

高雄「さぁ……」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………鳳翔さんか間宮あたりに訊いてみたいわ」

高雄「……やめた方がいいと思うわ。たぶん」


< 一線を画する >





高雄「六月六日の誕生石はトルマリンレイテッドクォーツ。
石言葉は“ 優雅 ”、“ 上品 ”、“ 思いやり ”、そして“ しとやか ”」

提督「淑やか、といえば」

明石「鳳翔さん」

提督「あぁ」

愛宕「天城は? 」

提督「酒飲まなければな」

雲龍「神通、とか? 」

提督「お前さ、それコロンバンガラでも同じこと言えるの? 」

雲龍「あぁ……そうね」

高雄「…………なぜ、彼女だけ」


< 難問 >





Littorio「提督」

提督「ん? 」

Littorio「質問、いいですか? 」

提督「答えられる範囲ならな」

Littorio「はい、それでは……あなたにとってここでの生活は幸せなものですか? 」

提督「あぁ、幸せだ」

Littorio「あなたはどちらかといえばサド? マゾ? 」

提督「は? ……まぁ、サド気味なんじゃない。たぶん。知らないけど」

Littorio「では最後の質問」

提督「おう。変なのはやめろよな」

Littorio「あなたにとってここでの生活は王様ですか? 奴隷ですか? 」

提督「は? ……ふーん…………あぁ……」

Littorio「ふふふ…………」


< 絶句 >





愛宕「雲龍は奴隷になりたいの? 」

天城「」

雲龍「別に。……今でも十分だけれど」

愛宕「“ でも ”? 」

雲龍「……別に願望くらいいいじゃない。強要しているわけでもないし」

愛宕「そうねぇ……なんなら今度あなたを引っ張りこもうと思ったから」

雲龍「……私、あなたに触られるのはあまり嬉しくないのだけれど」

愛宕「そう? 高雄ですら堕ちたテクを舐めないでよね〜 」

雲龍「同じにしないで」

高雄「…………断っておきますがあくまであの人がいるときだけですよ」

天城「…………ちょっと目の前が暗くなりかけましたが……あぁ、夢ではないのですね……はぁ」


< 走り出したその先には >





雲龍「私、あなたの“ 好き ”は敬愛とか信頼の方向だと思っていたわ」

明石「や、間違いじゃないですけど」

雲龍「その割に簡単に」

明石「まぁ……ただ尊敬は簡単に色んなモノに変わるものなんですよ」

雲龍「そう……」

明石「それが最初は恋ではなくても、いつの間にか走り出している。
恋って、愛ってそういうものでしょう? 」





高雄「今日の誕生花は紫露草。花言葉は“ 恋ではないけれど好き ”」

提督「可愛らしいよな。俺は好きだぜ」


< D-Day >





提督「今日はあれだな、ノルマンディー上陸作戦」

愛宕「ふーん……それで? 」

提督「別に。ただいつだったかにあきつ丸と観たときは面白かったなぁ、と。プライベートライアン」

高雄「揚陸艦繋がりですか」

提督「うん。なんか色々言いたいこと抑えてる感じだった」

愛宕「プライベートライアンね……あんまり好きじゃないわ」

提督「愉快な話ではないしな。……俺は好きだけど」


< リコーダーとかしか >





提督「ついでに楽器の日らしい。……一番できる楽器」

高雄「ピアノ」

愛宕「ピアノ」

雲龍「箏」

天城「大正琴」

Littorio「ヴァイオリン」

明石「えーっと……カスタネットとか」





提督「うんうん。俺の仲間は明石だけだよ」

明石「……非常に複雑な気分ですね」


< 先へ進む為に >





提督「今日のカクテルはカンパリグレープフルーツ。
カクテルワードは“ 大胆で勇気あるチャレンジ力のある人 ”、だ」

愛宕「ね、シェリー酒の酒言葉なんてどこで知ったの? 」

明石「そっくりそのままお返ししたいところですが……偶然です」

愛宕「私は……どうしてかしら? 」

高雄「知らないわよ……」

愛宕「うーん……でもチャレンジって言っても失敗することなんて考えてなかったでしょ? 」

明石「考えてなかったというかなにも頭に残ってませんね。
自分が自分じゃないというか」

愛宕「そ、でもこれからは頑張ってね? 」

明石「…………なんと返せば」

高雄「返さなくてもいいです」





提督「……そういうこと俺の目の前で言うのやめてくれねぇかなぁ」


< 苦手なものは苦手 >





雲龍「今日は梅の日らしいわ」

天城「だから梅酒、と。しかも高雄さんが漬けたやつなんですか? 」

高雄「ええ、去年の今頃に。これは碧石ですね」

愛宕「梅の日であって梅酒の日ではないとおもうんだけどぉ」

高雄「と、言いつつ……構いませんけど」

提督「まぁ、お前も飲めよ。ほら」

高雄「あ、どうも」

提督「おう」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……飲まないんですね」

提督「だって好きじゃねぇんだもん」


< お風呂 >





提督「ふぅ……あったか」

高雄「暑くても入ると気持ちいいですよね」

提督「うん。汗はアレだし」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……あれ、首筋に虫刺されあるぞ、ここ」

高雄「あら、気付きませんでした」

提督「同じところってのも珍しいというかなんというか」

高雄「はぁ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄(……誰と同じところなのかしら。普通服を脱がないと見えない場所なのに)


< 撮ろうとする意志の源が >





明石「そういえば忘れてましたけど、これ」

提督「ん? あぁ、あのときの写真か」

明石「よく撮れてますよね。山城さんはよくわからない顔してますけど」

提督「ははは……そろそろアルバムでも買おうかなぁ」

明石「ないんですか? 」

提督「そんなに写真撮る方じゃないんだ」

明石「なるほど」

提督「……それに写真に残さなくても残るものはあるし、な? 」

明石「……なるほど」


ありがとうございました


< 飼う >





愛宕「私は好きよ? 」

高雄「嫌いではありませんが」

雲龍「……私にそれを訊くの? 」

愛宕「まぁ、逆の立場になってみると良さもわかるかもね〜 」

雲龍「どうかしらね」

高雄「……私はこのままで」





提督「なぁ、本当にペットの話だと思うか? 」

天城「さぁ……そうだと思う方が楽ですから。天城はそう思います」


< 蕩かして、あげるわね >





高雄「六月七日の誕生石はピンクパール。
石言葉は“ 冒険的 ”、“ 個性的 ”、そして“ ユニーク ”」

愛宕「冒険的」

高雄「ええ」

愛宕「……そろそろなにかスパイスが必要だと思うの」

高雄「はぁ……なにか不満でも? 」

愛宕「んーん、今でも十分」

高雄「……それでもなにかを? 」

愛宕「ええ、楽しみ方は多ければ多いほどいいじゃない」





雲龍「…………はっ」

天城「? 姉様? 」

雲龍「いえ……なにか寒気がして。風邪かしら」


< 仕方にゃくない >





提督「にゃーう」

高雄「随分と野太い鳴き声の猫ですこと」

提督「うなー、にゃおー」

高雄「…………」

提督「たかおー、だるーい」

高雄「…………」

提督「……にゃ」

高雄「……早く執務に戻らないと玉ねぎ生で食べさせますよ、駄猫ちゃん」

提督「にゃーう……仕方ねぇな」


< 何の為に戦うのか >





戦いは無益なものである。

そういった言葉が確かにこの世界には存在している。

それだけではない。幾多の戦争、殺戮、そしてさらなる犠牲をもたらすものは酷く嫌悪される。

敗者は救われず、傷を負い、憎悪を掻き立てられる。

勝者は救われず、傷を負い、憎悪を掻き立てられる。

両者に違いがあろうか。背負ったものに差はあるだろうか。



自分たちは殺戮の道具だ。

自らが拒否しようと、彼がそれを否定しようとそれは紛れもない事実である。

それに私はそれを進んで否定しようとは思わない。

それが私の存在意義ならば、それが私という在り方を規定する芯ならば。

そしてその私を認め、愛しんでくれる者がいるならば。

私はそこに価値を求め、戦うことに価値を見出そうとーー





明石「チェック」

雲龍「くっ……………………リザイン」


< 慕われる理由 >





高雄「今日の誕生花は朝霧草。“ 脚光 ”、“ 喝采 ”、そして“ 慕う心 ”」

提督「この書き方でいい? 」

高雄「ふむ…………悪くないのでは」

提督「そうか」

高雄「はい」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………仕事できる男が慕われる理由がよくわかるよ。異常にかったるい」

高雄「…………それでは好かれる男としてこの程度は軽くお願いしますね」

提督「…………好かれなくてもいい、とは言えねぇけどさ……はぁ」


< 本気で言っていたり >





天城「JK見学店……? 」

Littorio「なるほど……これがこの国の文化なのですね」

雲龍「間違いではないけど間違い。少なくとも万人に認められているわけでは……」

天城「これ一体どう楽しめばいいのでしょう」

Littorio「推測だけれど……普通はこれくらいの女性をじっと見つめるのは難しいのでは? 」

天城「はぁ、しかし利用者にも高校生の時代があったのですしその時に、
口は悪いのですが引っ掛ければよかったような」

Littorio「それを言われるとなんとも。しかしこの制服というものは……なるほど」

雲龍「…………全ての男があの人みたいな人間じゃないのよ」


< 啄ばむように >





提督「んー……疲れた」

愛宕「お疲れー」

提督「あぁ」

愛宕「うん」

提督「……元気出ない。ちょっと」

愛宕「うん? 」

提督「そのままちょっと上向いて、うん。……ん」

愛宕「ん……」

提督「…………」

愛宕「……元気になった? 」

提督「上々」


< ガムかな、飴かな >





愛宕「ごめん、足りないかも……ね」

提督「ん……」

愛宕「……っ……ぅ…………ゅる」

提督「……っはぁ」

愛宕「…………んふ」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………ミントか」

愛宕「好きでしょ? 」

提督「まぁ、な」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「んー……さて元気はとりあえず補給したし。高雄のご飯をいただきに参りますか」


< 正徳、なんて時代もありましたが >





提督「今日のカクテルはピンクレディ。
カクテルワードは“ 一を聞いて十を知る多才な理解者 ”、だ」

Littorio「あー……ショウトクさん? 」

提督「あ? ショウトクさん? 」

Littorio「昔の偉い人ですよね、この国の」

提督「えーっと……あぁ、聖徳太子か」

Littorio「そうです。その人です」

提督「別にそんな物分りよ過ぎる感じじゃ……まぁ、頭はよかっただろうけど」

Littorio「Littorio、この国のことをしっかり勉強しているのですよ」

提督「あ、そう……うん、今後に期待、かな」


< 他者と深く関わることが必要な感情 >





提督「久々に匿名でアンケートを取った。
お題は、本気で自己嫌悪をしたことがあるかどうか」



高雄「…………」

愛宕「……ふふ」

雲龍「まったく……」

天城「…………」

明石「……ははは」

Littorio「…………うふ」



Yes……5
No……1



提督「…………誰だよ。マジでわかんねぇんだけど」


< さらっと >





Littorio「あら……もう寝るの? 」

提督「ん? いや、これから着替え取ってきて風呂だ」

Littorio「それは大きい方で? 」

提督「おう」

Littorio「そう……待っててくださいね」

提督「おう。……おう? 」


< それはまるで白磁のような >





Littorio「ふふ……」

提督「…………」

Littorio「お風呂とはいいものです。身体を綺麗にする以上の意味があったなんて」

提督「そう……よかったな」

Littorio「ええ」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「……どっちが先に上がる? 」

Littorio「見たいか、見せたいか、ですね」

提督「…………」





明石「は、はい? なんですこの取り合わせ」

提督「あぁ……なんだろうね」

Littorio「ふふ……お背中お流ししましょうか? 」

明石「結構です。っていうか提督に見られてるぅ……はぅ」


< 瑣末なこと >





提督「お前さ」

Littorio「はい? 」

提督「別に他意はないけど……東洋人でもいいわけ? 」

Littorio「はぁ……あぁ、そういう」

提督「これでも前にドイツにいたんだぜ。そこでRomaに会ったわけだしな」

Littorio「……あなたはパートナーが人外の化け物でもいいのですか? 」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「……言いたいことはわかった」

Littorio「そう」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「…………綺麗なラインだった。上から下までね。先に上がるよ」

Littorio「Grazie.……いつかあなたの心も、見せてね」


< 本当に瑣末なこと >





Littorio「はふ……逆上せた、かしらね」

Littorio「…………」

Littorio「…………」

Littorio「…………」

Littorio「…………」

Littorio「……どこにいっても、LittorioをLittorioとして見てくれる方がどれほど少ないか」

Littorio「…………」

Littorio「…………」

Littorio「…………」

Littorio「…………」

Littorio「…………人種も、民族も、性別も……生物間の違いも、なくなってしまえばいいのに」


< 解き方? 頭は、目はなんの為にあるんだい? >





明石「あなたにとっての夢はなんですか? 」

提督「夢? 夢ねぇ……とりあえず楽しければいいや」

明石「はぁ」

提督「明石は? 」

明石「私は……沢山ありますよ。指輪の改良も、生殖に関する研究も、平和だって全部の夢の先です」

提督「そっか」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……夢なんてのは呪いと同じでさ。
叶えようと、解こうとしないといつまでも着いてくる。
しかも逃げるには叶えるしかないんだぜ」

明石「そんなこと」

提督「うん」

明石「私自身が誰より知ってますよ。私が今の私になる前から、ずっとね」

提督「…………そうか」

明石「…………はい」


ありがとうございました


< 夢は外界に影響されるとかなんとか >





提督「あのさ」

愛宕「うん」

提督「夢精しそうな瞬間に起きた気がする」

愛宕「そう。でもしなかったのね」

提督「危なかったね、あれは」

愛宕「ふーん」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……跨って腰揺らせながら起こすのやめない? 」

愛宕「嫌なの? 」

提督「そういう問題じゃねぇよばか」


< 夢を見るのは、怖いことだから >





天城「もし姉様と姉妹でなければ」

雲龍「えっ……」

天城「あっ、別に嫌だとかそういう意味ではなくてですね?
天城は姉様という方をどう思ったかな、と」

雲龍「……そう」

天城「姉様はそういったことは考えませんか?
今とは違った関係の天城、なんてことを」

雲龍「ないわね」

天城「即答、ですか」

雲龍「夢がないのよ、私。見れば見るほど堕ちてゆくから」

天城「……はぁ」

雲龍「……それに」

天城「はい」

雲龍「天城は天城だから。それ以外の天城は考えられないもの」

天城「! …………姉様」


< 敬して遠ざける、というか >





高雄「六月八日の誕生石はアクアマリンルチライト。
石言葉は“ 洗練 ”、“ モダン ”、そして“ 明るい ”」

Littorio「…………」

高雄「……どうかした? 」

Littorio「……いえ、新人類、なんてくだらない話をしてきた男がいたな、と」

高雄「……彼氏、とか? 」

Littorio「まさか。確かにLittorioへそういったアプローチをしてきた数少ない男ではあったけれど」

高雄「けれど? 」

Littorio「……LittorioはLittorioです。人間は自分が人間であると普段も自覚していると思いますか? 」

高雄「…………」

Littorio「Littorioは……別に崇めてほしいわけではないです。
それなら蔑まれて道具扱いされた方がマシ」

高雄「…………そうね。ええ、よくわかる。結局は自分とは違うと線を引かれることだものね」


< 愛らしくもないし優美でもないが >





高雄「今日の誕生花はジャスミン。
花言葉は“ 愛らしさ ”、“ 優美 ”、“ 清純 ”、“ 喜び ”、“ 素直 ”、そして“ 優雅 ”。……多いですね」

雲龍「なにやらどこかのカップ焼きそばが復活したらしいわね」

提督「嬉しい話だな。でも、お前情報古くない? 」

雲龍「そうなの? 」

提督「おう。……まぁ、食ったことなさそうだもんな。興味ないか」

雲龍「別になくてもいいと思うの」

提督「確かに。でもなぁ……地元に特徴的なのがあるとさぁ」

愛宕「スープつくれるからなんなのよ。私がつくったほうが美味しいのに」

提督「…………」





高雄「……色々と言いたい事を我慢している顔ですね」

明石「結構美味しいのに。夜中の研究中に重宝してました」


< テレビで時々 >





提督「あー、てことは我が故郷にある妙に好評なオレンジのコンビニも知らない? 」

雲龍「知らないわね」

天城「はぁ」

明石「名前くらいは」

Littorio「? 」

愛宕「……私は知ってるわよ? 」

高雄「入店はありませんけどね」

提督「そうだよな……コンビニ入ったことないんだから違いなんてどうでもいいよな……うん」


< 怒ったという事実は変わらないから >





提督「俺さ、母さんより高雄に怒られた回数の方が多い気がする」

高雄「さすがにそんなことは」

提督「幼児の頃は除いてね。俺が憶えてる限りはってこと」

高雄「はぁ」

提督「でもその度に許してくれたよな」

高雄「……あなたに怒った顔を見せ続けるわけにはいきません」

提督「そっか」

高雄「ただし」

提督「うん」

高雄「許すのは当然ですが……当然一つも忘れたことはありませんからね」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……肝に命じておきます」

高雄「はい」


< 日焼けとか、いいよね >





提督「今日のカクテルはストロベリーミルク。
カクテルワードは“ 気持ち良いことが大好きな健康的な人 ”、だ」

愛宕「気持ち良い? 」

雲龍「健康的? 」

提督「……お前ら頭大丈夫か? 」

愛宕「えー、だって、ねぇ? 」

雲龍「それ以外考えられないでしょ」

提督「あのさ……スポーツとかあるじゃん」

愛宕「えぇ……とってもいいこと、しま鮮花? 」

雲龍「はい、したいでーー」

提督「しません」


< 胸筋とか僧帽筋とか >






Littorio「なかなかに逞しい筋肉でした」

高雄「? ……あぁ、浴場でも入りましたか」

Littorio「ええ、触らせてもらえばよかったかも」

高雄「今でも割と簡単にさせてもらえると思いますけど」

Littorio「んー……楽しそうだけどやめておきます」

高雄「そう? 」

Littorio「時と場所を……最高のものにしたいですから」

高雄「……それを私に言うのね。別に今更な話だけれど」


< ふと、呟く >





提督「あれ、雨かよ」

天城「あら……そんなに強くなさそうですけれど」

提督「たぶんね。……雨は好きだなぁ。匂いが好き」

天城「わかります。土の匂いのような、なんだか、優しい匂いですよね」

提督「そうだな」

天城「はぁ……降ってますね」

提督「おう」

天城「…………」

提督「…………水に濡れたブラウス」

天城「…………は? 」


< そんな可愛くないことしません >





愛宕「日焼けねぇ……した方がいい? 」

提督「止めはしないよ」

愛宕「うーん……」

提督「まぁ……この青い血管が薄く浮くおっぱいが楽しめないのもなぁ」

愛宕「身体の半分だけ焼くとか」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……それ面白いけどやるなよ」

愛宕「当たり前じゃない」


< 一方通行でも恋は恋だがね >





愛宕「雲龍がもし普通の人間で」

雲龍「ええ」

愛宕「OLだったりモデルだったり……もしかしたら学生だったり」

雲龍「……」

愛宕「それでもあの人と出会って、恋をしたと思う? 」

雲龍「したいわ」

愛宕「そうよね、あなたはそう言うはず」

雲龍「もちろんしたいわ。でも……きっとできないでしょうね」

愛宕「どうして? 」

雲龍「私が一番最初に彼に出会える気がしないもの」

愛宕「あぁ……それは難しい話よね、確かに」

雲龍「…………」

愛宕「…………」

雲龍「…………恋、か。苦いわね」

愛宕「それが恋なのよ。愛に変わるときには特に苦く感じるものなの」


< 徹夜しても終わらないコース >





提督「…………」ペラッ

Littorio「あら、読書なんて珍しい」

提督「んー? ……まぁ、昔は結構好きだったんだよ。今でも好きだけど」

Littorio「へぇ、なに、読んでるんです? 」

提督「知らないと思うけど……白夜行って小説」

Littorio「白夜行? 」

提督「おう。貸してもいいけど、読むの辛いか? 」

Littorio「ゆっくりなら読めますけど」

提督「うーん……あぁ、初期のドラマ版あるけど、観る? 」

Littorio「そんなものが。観ます」

提督「ん、じゃあ談話室行くかーっと」


< まぁ、悪ではないし >





愛宕「ん……アイスは素晴らしわぁ」

雲龍「そう……つまみとしてはちょっと」

愛宕「こんなに美味しいのに」

雲龍「普通に甘いカクテルでいいじゃない」

愛宕「甘いものは正義なのよぉ。なんだってね」

雲龍「……はぁ」

Littorio「ふふ、それなら恋も正義になっちゃいますね」

雲龍「…………」

Littorio「? 」

愛宕「……絶妙なタイミングだったわねぇ」

Littorio「? ……あぁ、ワインを取りにきたのでした。それでは」


ありがとうございました


< もちろん抱いて送りましたとも >





提督「…………」

Littorio「…………Zzz」

提督「…………」

Littorio「…………Zzz」

提督「…………結局全部は観れなかったか」

Littorio「…………Zzz」

提督「…………」

Littorio「…………Zzz」

提督「…………」

Littorio「…………Zzz」

提督「……ま、そのうちまた、な。次回に持ち越しということで」


< Die sch・n Schere >





愛宕「すっごい隈ね」

提督「んー……コーヒーくれ。死ぬほど濃いやつ」

高雄「程々にしてくださいよ」

提督「亮司と雪穂がね」

高雄「はぁ」

愛宕「そのうちできるわよ、コーヒー」

提督「さんきゅ。……俺も切り絵始めてみようかなぁ」

高雄「確かBismarckさんにいただいたハサミがありましたね」

提督「うん、どこいったかなぁ。プレゼント失くすのは不味いんだが」


< 本当にどうでもいい >





提督「コーヒーうま」

愛宕「そうねぇ」

提督「……あっ、すげぇどうでもいいこと思いついた」

愛宕「きいてあげる」

提督「ドイツ語のSchereは女性名詞なんだよ。ハサミって意味な」

愛宕「うん」

提督「で、ナイフって意味のMesserは中性名詞なんだ」

愛宕「へぇ」

提督「中性なやつが二人集まればどちらかは女になるってことなのだよ愛宕くん」

愛宕「……男性は? ていうか中性なやつってなによ」

提督「あー……ほらMesserの同音異義語に計測者って意味がある。つまり」

愛宕「それを見ているしかできないヘタレチキン? 」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……何の話してんだろ」


< 時既に >





高雄「あら、あなたは然程隈にならないタイプなのね」

Littorio「いえ、修復速度を上げて回復しました」

高雄「は? 」

Littorio「だって、ね? あんな美しくない姿、誰にも見せられませんもの」

高雄「はぁ……無駄に力を使っているといざというときにですね」

Littorio「別に戦地でもないですしね? 」

高雄「そうですが。……あぁ」

Littorio「? 」

高雄「……あなたを部屋に運んだのが誰かは思い出した方がいいと思いますよ」

Littorio「? ……あぁ」

高雄「残念ですが」

Littorio「」


< 前向きと言えるだろうか >





高雄「六月九日の誕生石はバロックパール。
石言葉は“ 粘り強さ ”、“ 向上心 ”、そして“ 前向き ”」

提督「風邪引いた」

高雄「風邪? 」

提督「おう」

高雄「はぁ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……始末しないといけない執務だけ終わらせて休むわ」

高雄「はい、でも大丈夫ですか? 」

提督「たぶん。治んなくても高雄が看てくれるからいいし」

高雄「…………急ぎましょうか」

提督「あぁ」


< 内輪の話が楽しいのが悪い >





提督「思ったんだけどさ」

高雄「ええ」

提督「スープの付くカップ焼きそばとオレンジのコンビニっていう属性でね」

高雄「はい」

提督「俺の出身わかると思う? 」

高雄「はぁ……少なくとも地元民にはわかるのでは」

提督「だよなぁ。興味無い人とか行ったことない人は全くわからないよな」

高雄「おそらく」

提督「……じゃあ、ガッカリ観光名所のある場所なら? 」

高雄「それもいくつかあるかと」

提督「うーん……難しいね」

高雄「はぁ」





愛宕「普通に名前言えば通じるのに」

天城「なんなんでしょうね、あの拘り」


< 一つの優しさは万の想い出に >





高雄「今日の誕生花はスイートピー。花言葉は“ 永遠の喜び ”と“ 優しい想い出 ”」

提督「終わったきつい寝たいぐおー」

高雄「……寝室に行かなくても? 」

提督「だいじょぶ。高雄の体温で治す」

高雄「馬鹿なことを」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………暫くいい? 」

高雄「心ゆくまでどうぞ」


< そういえばこんな想い出 >





提督「よう、処女ビッチ」

鈴谷「はぁ? 何言ってんのこのアホ提督」

提督「反論できないと暴言ですかぁ? 」

鈴谷「ムカつく。つーか処女だって証拠はあるんですかぁ?
証拠もないのに鈴谷のこと決めつけないでくれますー? 」

提督「ふーん……どこの誰と? 」

鈴谷「…………」

提督「…………」

鈴谷「……鈴谷ビッチじゃないから」

提督「へぇ? 」

鈴谷「今日のショーツとかマジで清純派だもんね。水色とかマジでヤバくない? 清楚過ぎだし」

提督「……ヤバイのはお前の頭だぞ」

鈴谷「はぁ? ……はぁ? なにこれどうすんの……」

提督「知るか」


< まぁ、こんなことで怒る娘じゃないし >





提督「あぁ、頭痛い……しかも変なの思い出した」

高雄「変なの、ですか」

提督「鈴谷がな」

高雄「あぁ……」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……お前の反応も大概酷いな」

高雄「事実ですので」


< 見定めた相手を信じて >





愛宕「今日のカクテルはアトランティックコニャック。
カクテルワードは“ 手に入れたい物を見極める目利き ”、だそうよ」

Littorio「提督は? 」

愛宕「熱出してダウン。案外貧弱よね」

Littorio「それは……Littorioの所為、でしょうか」

愛宕「さぁ? そうとも言えるしそうじゃないとも言えるかしらね」

Littorio「はぁ」

愛宕「あなたがそう思うのはきっといいことよ。私もきっと自分ならそう思う。
でもあの人はそうは思わないはず」

Littorio「……なるほど」

愛宕「…………」

Littorio「…………」

愛宕「……はい、カクテルは自由にね。私は今日はもう来ないから」

Littorio「はい。それでは。よろしく、とお伝えください」


< 断末魔 >





提督「うぇ……北の民は風邪に強いとか言ったやつ出てこい」

高雄「何を言ってるんです。身体拭きますよ」

提督「んー、面倒」

高雄「早く治さないといけない身なんですから」

提督「えぇ……」

高雄「早く。悪化しますよ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……愛宕、腕を抑えなさい」

愛宕「はーい、早く終わりますからねぇ〜。ばんざーいっ」

提督「わかったわかった起きるからやめおい! お前明らかに楽しんでるだろニヤつくなやめろよぉ! 」


< 何を血迷ったのか >





明石「日本酒か? 芋か米か? それともワインかぁ? 」

天城「杏酒、ロックで」

明石「果実酒入りまーす! 」

雲龍「なぜそんなテンションなの、明石」

明石「ふぁ? 」

天城「先ほど焼酎をスポーツドリンクで割っていたような」

雲龍「なんてことを……」

明石「はぁい、杏酒のロックになりまぁす」

天城「どうも」

雲龍「やめなさい気持ち悪い。クネクネしないで」

明石「ん、んー? 」

雲龍「…………」

天城「……天城はお酒が出ればいいのですが。
バーテンダー役を放棄しないあたり泥酔ではないのか使命感なのか」

Littorio「…………こんな人だったでしょうか、明石という人」


< 迎え酒のような理不尽 >





提督「…………Zzz」

高雄「……やっと寝たわね」

愛宕「病人のときの方がうるさいのよねぇ」

高雄「しかもお酒まで飲んで」

愛宕「まぁ、百薬の長って言うし」

高雄「ウォッカを飲んでぶっ倒れるのをどう薬と解釈すれば」

愛宕「えーっとぉ……」

高雄「…………」

提督「…………Zzz」

愛宕「……寝ましょうか」

高雄「……そう、ね」


一応北の方を念頭に置いています、はい
やはり局所的なネタだったようですね……

ありがとうございました


< 静かな夜に、ふと >





提督「…………んぁ……? 今何、時……深夜だし」

高雄「…………Zzz」

愛宕「…………Zzz」

提督「……一緒に寝ちゃだめだろ。移るだろうがまったく」

高雄「…………Zzz」

愛宕「…………Zzz」

提督「…………俺には勿体無ぇよなぁ」

高雄「…………Zzz」

愛宕「…………Zzz」


< 水分は大事だからね >





Littorio「あら……眠れないの? 」

提督「ん? 水を飲みたくてな」

Littorio「そう、ですか」

提督「お前は? また隈できるぞ、こんな時間に起きてて」

Littorio「んー……特に意味はありません。強いて言えば……」

提督「おう」

Littorio「あなたに会いたいな、と」

提督「……へぇ」

Littorio「ふふ……本当に会えるなんて、ね」


< いっそ嫌いにさせてくれればいいのに >





Littorio「眠れないなら一緒に寝てあげましょうか? 」

提督「いや、遠慮しておくよ。移すと悪い」

Littorio「あの二人には遠慮しないのに? 」

提督「なんで知ってるんだよ」

Littorio「今、知りました」

提督「…………」

Littorio「……ふふ、意地悪、してみたかったんです」

提督「……まぁ、俺は軽い男だし言い訳できないクズだけど」

Littorio「ええ」

提督「譲れないモノ。特別なモノがあるんだよ」

Littorio「そう……ええ、そういうところが好きなのです」

提督「……そうかい」

Littorio「好きになるのは勝手ですもの、ね」


< いつも見ているから >





提督「…………」

高雄「…………Zzz」

愛宕「…………おかえり」

提督「あぁ、悪い。起こしたな」

愛宕「別に。私も早く寝たから眠気が、ね」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……Littorioにでも会った? 」

提督「……エスパーかよ」

愛宕「ふふ……あなた限定の、よ」

提督「…………」

愛宕「…………忠告だけど」

提督「あぁ」

愛宕「なにも言わない方がいいわよ。なにを言っても自己嫌悪するだけだから」

提督「…………寝直すよ。早く治さないと、な」

愛宕「そうね。それがいいわ」


< その感謝、受け取れません >





高雄「六月十日の誕生石はクォーツ。
石言葉は“ 思いやり ”と“ ロマンティスト ”」

提督「ありがとな」

高雄「いえ……当然のことです」

提督「そうか」

高雄「はい」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……ありがとな」

高雄「……いえ」


< 割と当然のこと >





愛宕「ね、私も一応いたんだけどぉ? 」

提督「だってお前嬉々として服脱がせようとしてきただけじゃん」

愛宕「汗吹いたり着替え手伝ったわよ、ね? 」

高雄「まぁ」

提督「どうせなら舌で舐めとれよ。汗とか」

愛宕「とか? 」

提督「とか」

愛宕「…………いや、ダメでしょそれ」

提督「なーんでそこで冷静になるかな」


< それなりに >





提督「映画の謳い文句に“ かつて映像化は不可能と言われた ”ってのあるじゃん」

高雄「はぁ」

提督「それ誰が言ったんだろうな。俺聞いたことねぇよ」

高雄「まぁ……映像関係者とかじゃないですか」

提督「でもそれならそういう人のインタビューとかあってもいいと思うんだよね」

高雄「うーん……」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……アバターって割と面白いよな」

高雄「そうですね」


< 罰ゲームとかないと張り合いがね >





高雄「今日の誕生花は杜若。花言葉は“ 気品 ”、“ 幸運 ”、“ 幸福 ”、そして“ 贈り物 ”」

提督「運ってなぁ、ざけんなよぉ……降りるわ」

雲龍「……私も」

天城「ふむ……勝負、致しましょう」

Littorio「そう……ストレート」

天城「なるほど……天城もストレートです」

Littorio「スートとナンバーだと……Littorioの負け、ですね」

天城「……今日はツイてますね」





愛宕「はーい、今日の茶請けはクレープでー……どうして上半身裸なの」

提督「…………元病人なんだけど」


< ひすとりあ >





明石「持統さんこんなに綺麗だったんですかねー」

提督「さぁな。でもロマンあるだろ」

明石「ですかねー」

提督「小説で挿絵ないときにさ」

明石「はぁ」

提督「大体想像するのってイケメンが美人だろ」

明石「あー……確かに」

提督「まぁ、当時皇族が髭生やしてたのかどうかはしらねぇけど」

明石「イケメン無罪ってやつですか」

提督「そうだな」


< 考えた人は凄いと思う >





提督「納豆食おうぜ平城京」

高雄「……なんと立派な、でしょう」

提督「いいゴム使おう保元で」

愛宕「そもそも使ってないわよねぇ〜 」

提督「イチゴパンツで太閤検地」

天城「1582年、ですか。……太閤も驚愕しますね」

提督「結構面白いのあるよな。……持ってる? 」

高雄「それはさすがに……」


< 希望を持つことが絶望の第一歩 >





提督「今日のカクテルはパッシモグレープフルーツ。
カクテルワードは“ 働くことが好きな活動家 ”、だ」

明石「あぁ、まったく嫌な人たちで」

提督「そういう話はここでは禁止な」

明石「はぁ」

提督「お前の立場だと活動家って名前の人たちにいい印象はないだろうけどさ」

明石「悪魔扱いですからね。悪魔が悪魔を生み出すとかなんとか」

提督「……俺は知ってるから。明石のこと」

明石「そういう問題じゃないんですよ」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………俺にはそれしか言えないから」

明石「…………それ以上を求めさせちゃうんですよ、欲望ってのは、あなたっていう人は」


まぁ、北海道とセイコーマートとやきそば弁当ですね

ありがとうございました


< その心意気に >





加賀「一航戦加賀、着任致しました」

提督「おう」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「……特に歓迎の意志もないのね」

提督「そりゃな。来るの知ってたし。割と最近まで一緒だったろ」

加賀「確かにそうね」

提督「……まぁ、お前がいるのは素直に嬉しいよ。歓迎する」

加賀「……礼は言わない。しかし、必ずやあなたの期待に応えてみせます」


< 前線に勝ることはなく >





提督「あー……で? 例の旧要港部はどうなったんだ? 民間に払い下げられるとか聞いたが」

加賀「そうね、今のところ地元の観光グループに決まる可能性が高いわ」

提督「へぇ……ま、立地も眺めもいいしな。軍施設だから設備もいいし耐震設備も最高水準」

加賀「ただし暫くは軍人が常駐するでしょうけど」

提督「それは疚しいことがない純粋な商売人にとってはむしろプラスだろ。
部屋を埋められる上にこの国最高の警備員なんだから」

加賀「…………ここだけの話だけれど」

提督「あぁ」

加賀「シーレーンを含めた全国の艦娘を任務扱いで“ 警備員 ”に充てるつもりらしいわ」

提督「はーん……実質の休暇か」

加賀「……私たちに回ってくるのは最後になりそうだけれど、ね」

提督「そりゃな……だって大した仕事してねぇし」


< こんな私、あなたの前でだけ >





高雄「六月十一日の誕生石はホワイトラブラドライト。
石言葉は“ 純潔 ”、“ 純粋 ”、そして“ 人気者 ”」

愛宕「純潔……人気者……ふーん」

提督「ふーん、じゃねぇよ」

愛宕「別に含みなんてないんだけどね」

提督「……まぁ、一途なのはいいと思うよ、うん」

愛宕「そう、宗旨替えかしら」

提督「いやぁ……女の評価で処女か非処女かを真面目に話すとか黒歴史もいいところだし」

愛宕「今更? 理解して話してたのかと」

提督「…………悪かったな。気持ち悪くて」

愛宕「別に。私はある意味でどちらにもあてはまるしね」


< 定めた貴女と永遠に >





高雄「今日の誕生花はアガパンサス。花言葉は“ 誠実な愛 ”」

提督「せ、せいじーつですぅよ? 」

高雄「……それはなんと反応するのが正解なんです」

提督「知らん」

高雄「はぁ……」

提督「……まぁ、一般的な誠実とは違うかもしれないけど一応ね」

高雄「……今更、ですよ」

提督「お前がここから逃げたいって本気で思うならどこまでも引っ張ってくぜ? 」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………それは誠実なのでしょうか」

提督「それが俺の誠実ってやつなんだよ」


< 逆の肩を濡らしたりね >





提督「女の子の下着と傘の柄はある程度リンクしているとかなんとか」

高雄「まぁ、好みが似ているとかそういうことなら理解はできますが」

愛宕「形とかタイプはないのかしら」

提督「どうだろう。でもエグいの好きな子は大体……うん」

高雄「……それって傘を差す状況で隣にいる人とは、もう」

提督「いや、ちゃんと俺が差してたよ? 」

高雄「はぁ……そういうことじゃないです」


< 期待とは違うけれど…… >





愛宕「それなら和傘はどうなのかしら」

提督「そんな人普通見ないけどな。……褌? 」

愛宕「はーん……なるほど」

提督「訊いた方が早いな。天城ー」

天城「…………確かに和傘は持っていますよ」

提督「へぇ」

天城「…………あなたの期待にはお応えできませんけれどね」

提督「へぇ」

天城「…………」

提督「…………」

天城「……だから無いですってば」


< 寿司が嫌いとか天婦羅が嫌いとか >





提督「ほーん……フッツーに勝ったな」

明石「でも格下なんですよね、相手」

提督「あぁ。勝てなかったらネットが荒れるくらいにはね」

明石「スポーツで、ですか……まぁ、つまんなくはないですけど」

提督「それだけ期待してるってことだよ」

明石「はぁ」

提督「お前はどう思う? この国のサッカーは」

Littorio「はぁ」

提督「? 」

Littorio「あの……イタリア人だからサッカーがどうとかはないですよ」

提督「うっそぉ」

Littorio「理不尽な」


< 己を知る、と言えば聞こえはいい >





提督「今日のカクテルはキールアンペリアル。
カクテルワードは“ 心身ともに磨かれた美的センスの持ち主 ”、だ」

加賀「私ね」

提督「お、おう……」

加賀「何か間違っていて? 」

提督「いや……なんつーか割とストレートだよなって」

加賀「あなたの前で取り繕うのは馬鹿馬鹿しいのだもの」

提督「え、えぇ……」

加賀「私を知る人に」

提督「……あぁ」

加賀「それ以上を知ってほしいと思うことは間違っているかしら」

提督「いや、間違ってないです、はい」





提督(でも直球で自慢するのがそれに繋がるか……? )


< ラズベリーのドロドロさとか、たまらないね >





雲龍「……ね」

提督「袖掴みってお前素晴ら……はぁん」

雲龍「…………」

提督「……お前もなんか飲まないか? 」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………いらない」

提督「そっか。……まぁ、待て。今キスの味をフルーティにしてんだよ」

雲龍「はぁ……はぁ? 」


< ケア >





愛宕「ね、やっぱり剃ってるの? 」

Littorio「はぁ……剃ってますよ」

愛宕「なるほどぉ……」

Littorio「あなたたちは違うのでしたか、そういえば」

愛宕「人によると思うけどね〜 。……私は整えて少しだけ残してるわ」

Littorio「そう。Littorio、あれ苦手です」

愛宕「確かに手元狂うの怖いわよね」

Littorio「あなたは? 慣れたりしたのですか? 」

愛宕「そうね、それもあるけど……ときどき剃られちゃうし。そういうの好きな人がいるから」

Littorio「あぁ……」

愛宕「……ええ」


< ふと、そんな気分に >





天城「加賀さん」

加賀「なにかしら」

天城「お付き合い、いただけますか」

加賀「構わないけれど……いつまで? 」

天城「さぁ……姉様はどうせ朝まで部屋を占領しているでしょうし」

加賀「彼がいない……そういうこと」

天城「……はい」

加賀「……なんなら明日まで私の部屋にでもくる? 」

天城「加賀さんがよければ」

加賀「……彼のことでも、一航戦としてでも。なんでも語ってあげるわ」


< もう加速は止まらない >





提督「髪下ろしたのも、いいな」

雲龍「そ、う」

提督「ん……」

雲龍「ぁ……ゅる…………ちゅ……ん」

提督「っはぁ…………大分余裕も出てきたじゃん? 」

雲龍「っきゅ、呼吸、で、きなくなる、じゃない……まだ、収まってあぁっ! 」

提督「余裕が出てきたってことはそれ以上ヤってもいい、ってことだからなぁ」

雲龍「そっ、んなわけ」

提督「……誘ってきたの、お前だからな。諦めろ」

雲龍「ぁ……んん……ーーーー……」


< 絶対に >





明石「で、残ったのは私と」

Littorio「Littorioだけ、ですね」

明石「…………」

Littorio「…………」

明石「……加賀さんと天城さんは徹夜飲みモード。
高雄さんたちは普通に自室、だと思いたい」

Littorio「なにかするのは高雄が許さないような」

明石「でしょうけど……愛宕さんですからね」

Littorio「……ふむ」

明石「…………」

Littorio「…………あ」

明石「ん、なんです」

Littorio「なんならLittorioとあちら側に行ってみな」

明石「嫌です」


ありがとうございました


< 口づけを >





雲龍「…………ん」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………一人、か」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「……私も煙草が吸いたいわ。それか……とびきり甘いーー」


< 口づけを >





雲龍「…………ん」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………一人、か」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「……私も煙草が吸いたいわ。それか……とびきり甘いーー」


< 目覚まし代りの日差しに臨み >





提督「フ-…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………眩しいなぁ日差し」

提督「…………、フ-……」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「……ねむねむ。結局何時間位寝てられたんだったか」


< 慣れたのはあっちかな >





愛宕「んー」

提督「あ? ん」

愛宕「ん……煙い」

提督「そりゃね」

愛宕「あぁぁぁ……コーヒー飲も」

提督「あ、俺も頼む」

愛宕「はいはい」

高雄「雲龍さん連れ込んだあとに吸ってるの初めてですよね」

提督「あー……そうかもね」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……慣れました? 」

提督「……まったく。カッコつけて誤魔化してるだけ」


< 保万礼でも吸っときゃいいのに >





提督「そういや外で陸軍の将校殿に会った」

愛宕「ふーん」

提督「なんか最近ここに居候してるとかなんとか意味不明なこと言ってたんだよね」

高雄「私たちに知らされていない作戦でもあるんでしょうか」

提督「さぁ。でさ、煙草交換したのよ」

高雄「はぁ」

提督「それがさ、ラーク」

愛宕「名前なら知ってるかな」

提督「のトロピカル・メンソでさ。久々に俺の表情筋が酷使されたね」

愛宕「と、トロピカル? 」

提督「うん。別に女煙草とか言うつもりはないけどさ……あれは無理だわ」

高雄「そういえば先日やたら細い煙草を吸う将校殿を見たような」

提督「たぶんそいつ。なーにが多様な煙草が楽しみだよ。カッコつける道具だっつーの」

愛宕「う、うん? 」

高雄「……そこだけ聞くと将校殿の方がまともなユーザーに思えますが」


< 煽る >





雲龍「ヤった後には煙草かキスを」

加賀「はっ……」

天城「……鼻で笑われてますよ、姉様」

雲龍「ふふ……加賀さんはまだそれを知らないから」

加賀「…………」

天城「はぁ」

雲龍「……相手を確かめるってこと、したくなるんですよ」

加賀「……そう」

天城「では煙草は」

雲龍「好きな人がしていることだから、かしら」

天城「……なるほど」


< 清らかの定義とは >





高雄「六月十二日の誕生石はマベパール。
石言葉は“ 清潔 ”、“ 純潔 ”、“ 清らか ”、そして“ ピュア ”」

愛宕「ここでの純潔割合も大概よね」

高雄「……それはどちらの意味かしら」

愛宕「もちろん多い、多過ぎる」

高雄「別に悪いことではないと思うけれど」

愛宕「まぁ、善悪じゃなくてね。あの人の性格と好かれ具合と皆の性格を考えると、ね」

高雄「一応自制してるらしいですけれど」

愛宕「自制ねぇ……単に面倒なだけじゃないの? 」

提督「……じゃないの? じゃねぇの。おかしいだろ」

愛宕「私はもうピュアじゃないのでー。おかしくて結構ですー」

高雄「…………」

提督「…………いや、私もでしょうか? みたいな顔されても、その……ねぇ? 」


< エロ……際どい >





提督「四姉妹で一番戦闘衣がまともなのがお前ってよく考えたらおかしいな」

愛宕「そう? 」

提督「そうじゃない? 」

高雄「……私がまともじゃないように聞こえるのですが」

愛宕「まぁ……摩耶も鳥海もファッションには無頓着な方だし。
高雄は周りから浮かなければ、ってくらいでしょう? 」

高雄「そう、ね。そう“ でした ”」

愛宕「その辺の意識の差だと思うのよねぇ〜 」

提督「そうか」

愛宕「うん」

高雄「…………」

提督「…………まぁ、お前も大概な衣装ってことには変わりないけどな」

愛宕「えぇ〜……好きじゃない? 」

提督「好きだけどな……俺が好きってことはつまりそういうことだろうが」


< 人外だからという言い訳 >





愛宕「つまりね、今更あの人がモラルだとか人の目を気にすることはないと思うの」

高雄「や、人の目ならある程度は気にすると思いますが」

天城「……モラルは最初から気にしない上に人の目もある程度だけなんですね」

愛宕「だってねぇ? 人外のヒトガタに欲情する時点でもうダメでしょ」

高雄「モラルというよりは本能的な嫌悪感や忌避感を感じないのでしょうかね」

天城「はぁ」





愛宕「で、そこまで振り切れていれば今後何人相手が増えようが大した違いはないと」

提督「いやいやいや……まず前提として人外だとか意識してないからね。特にベッドの上でなんて」

高雄「と、いうことは根本的にハーレムに溺れることを是認していることになりますが」

提督「」


< それはどちらの意味でだろう >





高雄「今日の誕生花は木犀草。花言葉は“ 見かけ以上の人 ”」

明石「見かけ以上って……でも見かけが最低なら大概は
“ 以上 ”になりません? 」

高雄「ある程度の見かけは前提ということでしょう」

明石「あぁ、なるほど」

高雄「ええ」

明石「…………」

高雄「…………」

明石「……あの人見かけもカッコいいとは思いますけど」

高雄「はい」

明石「見かけ以上、だと思います? 」

高雄「…………非常に難しい質問ですね」


< 食事時 >





加賀「…………」

提督「なんというか……」

加賀「…………」

提督「お前やっぱよく食べるな」

加賀「悪い? 」

提督「別に」

加賀「食材を無駄にせずに味わう、節度なく食べて太らない。十分でしょう」

提督「ん、まぁ……」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「……あぁ」

提督「ん? 」

加賀「満腹中枢と恋愛中枢はとても近いらしいわ」

提督「へぇ……」

加賀「…………なんならセクササイズが一番得なのかもしれないわね」

提督「得ってお前な」


< 整える理由 >





提督「……ふーっ」

加賀「なにを……爪切り? 」

提督「あぁ、ヤスリで整えてんの」

加賀「マメなのね」

提督「そうか? 加賀もやるだろ」

加賀「女だもの。美しくありたい、ね」

提督「含みがありそうな……男だって綺麗好きにこしたことはない」

加賀「……そう」

提督「それに女の子に触れる手だから」

加賀「はっ……触ってもいい女、程度の認識でしかないのでは? 」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………喧嘩なら買うし、機嫌が悪いなら話、聞くぞ」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「……………………なにか、甘いカクテルが飲みたいわ」


< パジャマパーティ >





Littorio「あぁ……なんだか嫌な予感がします」

明石「予感ー? 」

Littorio「女の勘、ですよ。これがなかなか馬鹿にならないものです」

明石「はぁ……」

Littorio「逃げましょう。明石の部屋でもLittorioの部屋でもいいけれど」

明石「私の部屋で」

Littorio「いいわ。では、着替えてから行くわね」

明石「おっけーです」

Littorio「はい」

明石「……………………え? 」


< カクテルグラスは優しく持とう >





提督「今日のカクテルはルジェカシスミルク。
カクテルワードは“ 人をうっとりさせる魅力に溢れる人 ”、だ。甘いカクテルだな」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………加賀は魅力的だよ」

加賀「知ってるわ。……全く説得力のない言葉だけれど」

提督「…………」

加賀「……私はおそらくずっとこのまま安穏としてはいられないでしょう」

提督「…………」

加賀「よすがが、拠り所が欲しいのよ。いつ、戦場で散っても後悔の無いように」

提督「……らしくない」

加賀「らしさ、ですって? 私には戦闘機械でいることが、独りで敵と交戦することだけが存在価値だと? 」

提督「…………」

加賀「……そんな、そんなこと…………私は人外であっても機械では、ないから」

提督「…………悪い、失言だった」


< 結局四人でパジャマトークを >





雲龍「……眠い」

天城「もう寝てもいい時間ですよ、姉様」

雲龍「ええ、でも寝たくても眠れないことってないかしら」

天城「時々夜中などには」

雲龍「どうも目は冴えているのよね」

天城「……寝不足の上に程よい運動ですものね」

雲龍「まぁ……そうね」

天城「…………天城も眠いです。加賀さんいつまでも寝ないんですもの」

雲龍「いくらあなたでもあの人のお酒の強さには勝てないでしょ」

天城「お話もしていたのですけれどね……」





Littorio「Littorioたちも二人だけでお話しましたよね」

明石「そうですけど……なーんか釈然としませんね」

Littorio「あら……つまらなかった? 」

明石「……そういう質問を投げてくるから苦手なんですよ」

Littorio「……ふふ」


< 酒と泪と男と女♪ >






提督「……女の子のそういう目とか顔に弱いんだよ」

加賀「いいじゃない」

提督「よくないよ……お互いに」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「……あなたに背負わせない、とは言えない」

提督「…………」

加賀「でも、もう抑えられないの。この前、ここに流れ着いたときに思ったわ。
誇りだけが取り柄の私なんて何の価値も無い。すぐに消し飛ぶ程度の存在なのだ、と」

提督「そんなことは……」

加賀「私の問題なのよ。……私の」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………結局、俺にも同じものを背負わせたいだけじゃないか」

加賀「ッ…………酷い、男ね」

提督「…………あぁ」


< 蒼い空へ吸い込まれるように堕ちてゆこう >





特別に設えられたバーカウンターの隣同士。

それでいて肩を寄せることもなくさりとて不自然な程間を空けているわけでもない。

それを表すにはおそらく、適度な関係。それが最も近い。

軽口を叩けて、話が合って、戦場においてはお互いをよく知る。

短くない付き合いで二人が形作ったモノはきっと得難いモノだ。

それを、それを彼女は壊したいと言った。

もっと別のモノが欲しいのだ、と。今のままでは満足できないのだ、と。

それに対して自分は何と言ったか。いつも強く在りたいと願いそう存ら続けた彼女に、自分は。



“ それはお前の甘えだ、俺に押し付けるんじゃない ”



本当に、本当にそう思っていたわけではないのだが。

なんにせよ、自分が彼女を酷く傷付けたことには変わらない。

絶句して、ゆっくりと目を瞑った彼女の目は光っていなかっただろうか。

そういえば自分の想いを零し始めてからの声音は震えていなかっただろうか。



「…………」

「…………」



なにか気を利かせたのか、こんなところには居たくないと逃げたのか。

それともただ単に偶然この場に誰もいないだけなのか。

元々少人数しか利用しないこの場所に今は二人だけ。

強きことに誇りを持つ弱き女と。

弱きことを隠そうとしない卑怯な男。



「…………顔、上げろよ」

「…………見せられないわ」

「構わない」

「……私が構うの」

「…………」

「…………」



顔を上げられない程に弱くなってしまったのか。いや、弱くしてしまったのは自分だったな。

そういう考え方が悪いとは思うのだが、直せれば苦労はしない。



「…………ッ」



普段は凛として大きく見える背中が、今夜は驚く程にちいさく見えた。


< 涙を拭うことをお許しいただけますか >





「……キス、できないだろ」



自分の言葉に彼女の肩が一瞬だけ震えて、そして反対にそれからは漏れていた嗚咽も止まった。

微動だにしない彼女と、自分。

今まで目を逸らしてきたのだから今だけは、この瞬間だけは彼女だけを見ていよう。



「…………目、瞑ってていいからさ」

「…………」



自分と堕ちてほしい。なんと魅惑的な誘いだろうか。

それに応えることが、そもそも彼女ほどの存在がそんなことを言ってきたのだから。

今夜こそ、それに応えよう。共に堕ちるのではなく。彼女の中へ堕ちてゆく。そう、思った。


< 実はこんな人たち >





愛宕「あいっかわらず女々しいわねぇ」

高雄「まぁ、仕方ないといえば仕方ないかと」

愛宕「でもあそこまで言われて、ねぇ? 」

高雄「一応私たちのことも考えているんですよ、きっと」

愛宕「そんなのもう遅いのに」

高雄「……そうね」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……加賀さんも馬鹿ねぇ」

高雄「それは自分にも……あぁ、そういうこと」

愛宕「もちろんそういう意味よ」

高雄「…………同意、せざるを得ませんね」


< どんな二人にも明日は訪れる >





「俺が悪い、とは認めないからな」

「それでいい……でも私もそれは同じ」

「あぁ」

「…………」

「…………」

「…………」

「……まぁ、ちょっと釈然としないこともあるから一つ、やり返しておこうか」

「ふふ……なにかしら」

「お前の涙、悪くない」

「ええ」

「ただし、女の武器の中で涙は二番目だ」

「…………」

「……朝になったら」

「……ええ」

「笑え。できるだけ多くな。それが俺へのお前の罰だ」

「……当然あなたはそれを助けて、私の笑顔を引き出してくれるのでしょうね」

「あぁ、それをお前への罰にしよう」

「…………」

「…………」

「…………朝が楽しみね」

「…………そうだな」


ありがとうございました


< 確保 >





提督「…………ん」

加賀「…………」

提督「……おい」

加賀「…………」

提督「…………加賀」

加賀「…………」

提督「…………朝だぞ、離せ」

加賀「…………」

提督「…………寝てるやつがそんな強い力出すかよ」

加賀「…………Zzz」

提督「……あ、あれ? なんか今明らかに力弱まっ……本当に寝てるし」


< 受け売りを確認する >





提督「まったく……なんてやつ」

加賀「……つれない男」

提督「朝はきついんだよ」

加賀「なによりもアフターが大事と聞いたのだけれど」

提督「起きて以降もきめ細かいアフターとか毎回やってたらこっちがストレスだっての」

加賀「そう」

提督「あぁ」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「……一本、いただけるかしら」

提督「なんでこんなの欲しいかね、ん」

加賀「ふふ……好きな相手の好きなものだから、だと思うわ」

提督「そ……口寄せて、うん、吸い込めよ」


< あなたと煌めく海に臨み >





加賀「は…………フ-……」

提督「案外大丈夫なんだな」

加賀「まぁ、初めてではありませんから」

提督「あ、そう……」

加賀「……高級軍人は何故か喫煙者が多い」

提督「あー……俺も成り立ては上官に付き合わされたりしたな」

加賀「…………フ-」

提督「…………フ-」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………気分が高揚してくるわ」

提督「そうか? まぁ、そうかもな」

加賀「……これを吸っているからではなく、ね」


< 先はまだ長いから >





提督「……はい、アフター終わり」

加賀「並んで身体を酷使しただけだけれど」

提督「でも、よかっただろ? 」

加賀「…………そう、ね」

提督「な」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「……これまでと変わらない接し方でいいんだな」

加賀「ええ、それ以外は私のプライドが許しません」

提督「随分と堕ちた誇りだな」

加賀「一度地に堕ちているのですから。今更な話よ」

提督「…………」

加賀「…………時々気まぐれか、耐えられなくなったとき、頼むわ」

提督「はいよ。……んー、今日もお仕事始めますか」


< 追い付きたくはない背中 >





加賀「あぁ、そうそう」

提督「ん? 」

加賀「一航戦加賀、少将閣下に実弾を使用した演習を提案します」

提督「あぁ? 随分と唐突な」

加賀「なにも今から始めようというわけではありません。今月中に、というのはどう? 」

提督「まぁ、いいんじゃないの。定式化された演習訓練しかしてないし。
近接戦闘は兎も角お前ら本来の戦闘なんて長い間してないしな」

加賀「チーム分けは公平にお願いね」

提督「そりゃ当然だが」

加賀「いいえ……私のいる方は、数的に不利でなくてはならない、ということよ」

提督「あ? 」

加賀「だって……そうでなくては相手が可哀想でしょう? 」

提督「ーーーー」

加賀「ふふ…………私も着替えてこないと。それでは」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………ま、らしくはなった、かな」


< コミュニケーションの一貫 >





明石「んー……皆さん朝ですよー……ねむ」

天城「……起きてます」

Littorio「起き、ました」

雲龍「…………Zzz」

明石「あとは雲龍さんだけですか……ふぁ」

天城「姉様の朝は相変わらずですか」

Littorio「こういうときに」

明石「はい」

Littorio「この国では額にCarne……肉、と書くのでしたか」

天城「違います」

Littorio「む……Romaが昔提督にされたと聞いたのですが」

明石「…………あの人は一体何なんですかね。一応駐在武官だったはずですが」

雲龍「…………Zzz」


< 強さと弱さが表裏となること >





提督「あぁ…………まーた、女の子弱くした気がする」

高雄「何もしなければそこで壊れてますけどね」

提督「…………」

愛宕「でも私と高雄は強くなってるし。
それに加賀さんも強くなってるでしょ。帰る場所ができた、ってことなんだから」

提督「……守るものとか拠り所なんてさ、意識しない方が安定するんだよ」

高雄「……それでも」

提督「いや、わかってるよ。別に嫌だとかじゃなくね……俺がそもそもいなければな、と」

愛宕「その場合はきっとゆくゆく赤城さんあたりに守ってもらってたでしょ」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「…………赤城の代わりになれたと考えるなら、悪くはないのかな」


< 疲れと執務と >





高雄「六月十三日の誕生石はウンバライト。
石言葉は“ 表現力 ”、“ 発想力 ”、そして“ ひらめき ”」

愛宕「あぁ、どうしてあなたはロミオなの」

提督「いや、俺ロミオじゃないですよ」

愛宕「ノリ悪いわねぇ」

提督「そういう気分じゃないんです」

高雄「そもそも表現力という単語からそういうことに結びつかせるあたり特殊な発想力ですからね」

提督「そ、普通の人は着いていけない」

愛宕「えぇ……劇団員がっかりー」


< 変わらないことが優しいとは限らない >





高雄「今日の誕生花は桔梗。花言葉は“ 優しい愛情 ”、“ 誠実 ”、“ 変わらぬ愛 ”、そして“ 従順 ”」

提督「優しい愛情って何ですかね……」

高雄「それはもちろん優しい愛情です」

提督「そりゃそうだけど……なんで艦娘ってこんな権利狭いんだ? 」

高雄「…………」

提督「もっと世界を見渡せればさぁ……俺よりまともなやついるのに」

高雄「……それはあなたの方がご存知でしょう」

提督「…………俺から見れば人間もお前らも大して変わらないんだけどなぁ」

高雄「……多くの人はそうは思えない、ということです。
そもそも好意や悪意に理由を求めることが無粋かと」

提督「まぁね。…………これ何言ってもクズなんだよな」

高雄「クズですからね」

提督「ははは……違いない」


< ふと我が家を見渡して >





提督「今日のカクテルはルジェブルーベリーミルク。
カクテルワードは“ 癒し系に心惹かれる穏和な人 ”、だ」

愛宕「癒し系? 」

提督「ここにはいねぇな」





高雄「……そこに指しますか」

Littorio「……ふふ」

雲龍「ちょっと……飲み過ぎ」

天城「いつもと変わりませんよ、姉様」

明石「はふ……眠い」

加賀「この酒盗……悪くない」





提督「まぁ、だからって何かあるわけじゃねぇけど」

愛宕「あなたも穏和って感じじゃないしね」


< 言われたら言い返す >





加賀「雲龍」

雲龍「はい? 」

加賀「煙草とキス、よくわかったわ。あのときはごめんなさいね」

雲龍「……は? 」

加賀「…………」

雲龍「…………あぁ」

加賀「……ふふ」

雲龍「…………はぁ」





天城「姉様の顔色の変化面白いですね」

明石「そんな他人事な……他人事ですけど」


ありがとうございました


< 一日の始まり >





提督「ふぁ……今日は微妙な天気だな。晴れるといいが」

高雄「だといいですね」

提督「あぁ。ま、天気に関わらずやることは変わらないんだけどな」

愛宕「そうかしら」

提督「ん? なんだ昼休憩で野球でもするか? 」

高雄「一チームすらつくれませんよ」

提督「じゃあ、テニス」

高雄「陸軍側のグラウンドから見えることを許容できるのなら」

提督「……今日はいいや。お前はなんかしたいことあるか? 」

愛宕「私? エッチしたい」

提督「ほぁ……いいけどそれいつでもできる気がするなぁ。天気関係ない」


< 格技はスポーツだろうか >





提督「つーか、スポーツなら柔道か剣道。せめて合気にしよう。俺が自信あるやつ」

高雄「や、現役軍人でそれに自信ないのもどうかと」

愛宕「寝技」

加賀「意味深」ヌッ

提督「いやいやいや……つーか、お前どこから湧いた」

加賀「寝技の講習があると聞いて」

提督「……ガチで柔道やりたいならおしえるが」

加賀「それは結構」

提督「そう……で、なにしにきた」

加賀「天城と雲龍が朝食を用意していることを伝えに」

提督「それ先に言えよ……なんだあの茶番は」


< 平和 >





明石「いやー……お昼をしっかり食べてこの天気だとお昼寝が気持ちよさそうですねぇ」

Littorio「いいのじゃないかしら。演習なども今日は、いえ今日もないのだし」

明石「私は研究も……まぁ、構わないでしょうけど」

Littorio「Littorioも日向ぼっこというものをしてみたいです」

明石「はぁ……」

高雄「確か倉庫にハンモックが幾つかありますよ」

明石「え? 本当ですか」

高雄「ええ、提督と愛宕が暇潰しにつくったものが」

明石「……ほんっとうに何やってるんですかね」

Littorio「いいじゃない。こうしてLittorioたちが使えるのだし」

高雄「そうですね。では倉庫に取りに行ってきますか」


< 暑さを凌ぐ:邪 >





提督「高雄は明石たちと昼寝だとさ」

愛宕「ふーん……いい天気だものね」

提督「あぁ」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……今年も暑くなってきたわねぇ」

提督「そうだな」

愛宕「…………」

提督「……さて」

愛宕「んー? 」

提督「もっと暑くなること、しない? 」

愛宕「お仕事は大丈夫なの? 」

提督「あぁ、陽が落ちる前にシャワー浴びて本気出せばな」

愛宕「そ」

提督「……カーテンに締め切った寝室か。ま、結構好きだよ、俺は」

愛宕「そうね。……んぁ」


< まるで妖精のような寝顔 >





Littorio「…………Zzz」

明石「ほんとすぐ寝入っちゃいましたね」

高雄「ええ、こちらにきて気を使うこともあったでしょうし」

明石「よく考えれば妹さんたちと合わせて全権与えられた大使みたいなものですしね」

高雄「私でも帝都へ行くのにはやや尻込みするというのに」

明石「舌足らずな感じだし……なおさら凄く感じますねぇ」

高雄「……ま、私たちにできることはこの国で彼女の帰る場所になることくらいですけれど」

明石「……それだけで、とても喜ぶと思いますよ、Littorioさん」

Littorio「…………Zzz」


< 暑さを凌ぐ:正 >





雲龍「はぁ……お風呂はいいわね」

天城「絶妙に不快感の残る暑さですものね。いっそ湯に浸かるのもこれはこれで」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「……四苦八苦を掛け算すると」

天城「はい」

雲龍「三十六+七十二。つまり苦労人程煩悩が多いのよ」

天城「……なぜ今それを言わなければならないのでしょう」

雲龍「さぁ……」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「……単に悩みや望みの数だけ苦労して実現しなければならないだけなのでは」

雲龍「そうかもしれないわね……はふ」


< 弓式発艦は一人だけ >





加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………ハッ」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………暑い」


< お日様の匂いを纏って >





高雄「六月十四日の誕生石はヴィリディン。
石言葉は“ 芸術愛好 ”、“ 家庭的 ”、そして“ 才能 ”」

明石「あぁ……いい日向ぼっこでしたねぇ」

Littorio「素晴らしい。またしたいですね」

高雄「このままなにもなければいつでもできるでしょう」

Littorio「屋上には明石作のテーブルなどもありますし。
色々と夢の広がる場所ですこと」

明石「そういえば提督と愛宕さんは? てっきり高雄さんが上に呼んでくるのかと」

高雄「あぁ……たぶん今頃隣の部屋です」

明石「ははぁ……執務とかは大丈夫なんですか? 」

高雄「どうせ自分たちでは止められないでしょうからあと少ししたら止めてきます。
そのあとシャワーでも浴びて慌てて処理するでしょう」

明石「……なるほど」

Littorio「つまり今は別のものを処理している、と」

高雄「……あまり上手くないわ。なにより品がない」

明石「……及第点は与えられませんねぇ」

Littorio「あらあら、それは厳しい」


< 変わり身に失敗 >





高雄「今日の誕生花はルリハコベ。花言葉は“ 恋の出会い ”、“ 変わり身 ”、そして“ 追想 ”」

提督「うへぇ……手伝ってくれ高雄」

高雄「私が裁決できるものは終わらせましたので」

提督「えぇ……」

愛宕「…………死ぬ」

高雄「自分の所為ということを肝に命じておいてくださいね」

提督「…………へい」

愛宕「…………あの頃に戻りたい」

高雄「はっ……これが終わったあとならいくらでも戻って結構よ」

愛宕「……怒ってる? 」

高雄「なぜ? 」

愛宕「呼ばなかっ……わかったわよ。真面目にやるわよ、はぁ」


< 執務も食事も済ませた後で >





提督「今日のカクテルはルジェストロベリーコラーダ。
カクテルワードは“ 若々しい気質の持ち主 ”、だ」

愛宕「目がぱちぱちするー……」

提督「仕方ない。でも割と早く終わらせたし、そうでもないだろ」

愛宕「なんというかギャップがね。盛り上がったところに頂点付近で冷や水みたいな」

提督「まぁ……うん」

愛宕「あぁぁぁぁぁ……イチゴがおいし」

提督「甘過ぎず、か」

愛宕「甘さが不足しがちだったもの」

提督「へぇ……」

愛宕「…………私のものだっていう証が欲しいじゃない? 」

提督「…………悪かったな」

愛宕「別に。クズに恋した間抜けの末路ってやつよ」

提督「容赦無いなぁ……正しいけど」


< 一方遠巻きに >





雲龍「どうも……分が悪いわね」

天城「そんなことはわかっていたはずでしょう。
高雄さんと愛宕さんに勝とうと思うならお二人を消すのが前提ですよ」

雲龍「それだと完全な勝ち逃げじゃない」

天城「そうですね」

雲龍「…………はぁ」

天城「…………」

加賀「それではダメなのかしら」

雲龍「……? 」

加賀「私は縋りたいときに勝手にあの人に縋ることにしたわ。
あの人は欲しいときに欲しいものをくれる人なのだし」

雲龍「……私、そこまでまだ強くなれないんですよ」

加賀「……そう、あなたには私が強く見えるのね」

雲龍「え? 」

加賀「なにも。……そのダイキリ、いただけるかしら」


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