女「エッチしてください」男「遠慮します」(37)

女「えっ……」

男「遠慮します」

女「流石に聞こえてましたよ」

男「知ってます」

女「なら何故言ったのですか?」

男「大事なことなので二回言いました」

女「まあまあ、遠慮なさらず」

男「では遠慮なく言いますが」

男「気持ち悪いです」

女「!?」

男「いきなりそんなことを言われても普通は戸惑うだけです」

女「しかしあなたは」

男「気持ち悪いです」

女「二回言わないでください」

男「遠慮します」

女「男性とは女性に性交を求められれば嬉しがると聞きましたが」

男「それは間違いです」

女「えっ」

男「好きでもない女性に言い寄られても気持ち悪いだけです」

女「男はケダモノ」

男「……」

女「女はみな男の奴隷」

男「ありえません」

女「女はみな男の肉便k」

男「言葉を慎んでください」

女「ともかく」

男「はい」

女「エッチしてくd」

男「嫌です」

女「私には魅力が足りませんか」

男「そうかもしれません」

女「そうなんですか?」

男「そうかもしれません」

女「そうですか」

男「はい」

女「酷いわ!私を否定するなんてサイテー!」

男「はい」

女「はい」

女「あなたはエッチしたくないんですか」

男「くどいですよ」

女「私、気になります」

男「あなたとは嫌です」

女「えっ」

男「先程も言いましたが」

女「私には魅力が」

男「はい」

女「はい」

女「仮に」

男「はい」

女「私が色仕掛けをしたとします」

男「させません」

女「興奮するのが男でしょう」

男「しません」

女「押し倒されても」

男「出来ません」

女「今のは聞き捨てなりません」
男「知りません」

女「では先っぽだけと言う事で妥協しましょう」

男「それのどこが妥協しているのですか」

女「先っぽだけでもダメと言うのですか」

男「はい」

女「はい」

女「・・・・・」

男「何をしているのですか」

女「見ての通り、洋服を脱ぎ始めています」

男「私の目の前で脱ぐのはやめてください」

女「なぜですか、巨乳ですよ」

男「気持ち悪いです」

女「Oh........」

女「流石に落ち込みます」

男「いいから服を着て下さい」

女「はい」

男「はい」

女「そろそろ時間なので、今日のところは帰宅しますね」

男「はい、さようなら」

女「また明日」

男「はい」

女「こんにちは」

男「こんにちは」

女「エッチしましょう」

男「それは出来ません」

女「それは残念です」

男「当たり前です」

女「体調はいかがですか」

男「あなたがエッチさえ求めてこなければ、良好でした」

女「それは良かったです」

男「あなたは馬鹿ですか、教育者の顔が見たいです」

女「私の先生はあなたです」

男「今は違います」

女「いえ、昔も今も、本当の先生はあなたしかいません」

男「過ぎた事です、忘れなさい」

女「嫌です」

男「あなたはいつでも私を困らせる」

女「それが私です」

男「そろそろ良い時間です、帰った方がいいのでは?」

女「そうですね、帰宅しましょう」

男「ではさようなら」

女「さようなら、また明日きます」

男「はい、また明日」

女「今日は少し寒いですね」

男「そのようですね」

女「色づいていた紅葉も、大方散ってしまいました」

男「少し寂しいものです」

女「寒くて寂しいので、人肌で温めて下さい」

男「そう来ましたか」

女「はい」

男「ホッカイロを差し上げます」

女「そう来ましたか」

男「はい」

女「紅葉と言うと、あれを思い出します」

男「あれとは」

女「昔絵本でありましたよね、葉っぱのフレディでしたっけ」

男「あぁ、懐かしいですね」

女「子供の頃を思い出します」

男「あなたは小さい頃から変わってましたよね」

女「そんな事はありません」

男「どうでしょうね」

女「少し違う話をしてもいいですか」

男「ダメです、紅葉の話をつづけましょう」

女「紅葉の話はもう飽きました」

男「どうせエッチの話をするのでしょう」

女「期待しているのですか」

男「何に期待すればいいのですか」

赤く染まっていたもみじ達も、力なく枯れ果て、突き刺さるように吹く風に飛ばされる。
その様子を横目に見ながら、私はもみじのように頬を染めた彼女と抱き合う。
結合の音はいやらしくも官能的に響き、私の脳をしびれさせる。

男「勝手にあなたの妄想を私のモノローグとして進めないで下さい」

女「期待していただけましたか」

男「全くもって」

女「でもこちらのほうは」

男「はて何のことでしょう」

女「完全に沈黙していますね」

男「何を期待していたのでしょう」

女「先生ったらエッチですね、良いでしょう言います」

男「おっしゃらなくて結構です」

女「はい」

男「はい」

女「もしかしてあなたはロリコンなのですか」

男「違いますが」

女「そうに違いありません」

男「断定されても困るのですが、なぜそう思うのです」

女「あなたは巨乳が好きではないのですよね」

男「別に嫌いとは言っていませんよ」

女「いいえ、気持ち悪いと言いました」

男「あれは、あなたの露出に対する感想です」

女「私への感想」

男「はい」

女「はい」

女「もしかして着エロ属性をお持ちなんですか」

男「なんですか着エロって」

女「着エロ(ちゃくエロ)は、着衣のあるエロチシズム、およびその造語。注1」
注1 Wikipediaより https://ja.wikipedia.org/wiki/着エロ

男「違いますね」

女「私が脱ぐのが嫌なのですよね」

男「そうですね、脱がないで下さい」

女「では着エロ属性じゃないですか」

男「いや、その理論はおかしいです」

女「もしかして、ゲイの方なのですか」

男「ゲイですか、いえ私はゲイの方ではありませんね」

女「女に興味が無いじゃないですか」

男「いえ、私は女性の方が好きですよ」

女「それだと、私とエッチしないのはおかしいですよね」

男「おかしくはないですね」

女「いえおかしいです」

男「おかしくありません」

女「先生は私を見ているようで、見ていませんよね」

男「いきなりどうしたのですか」

女「私も年度がかわればもう大学生です」

男「そういえばそうでしたね」

女「もう子供の頃の私ではないのですよ」

男「私の中では、あなたはいつまでも教え子です」

女「それはわかっています。あなたは私の先生です」

男「では・・・」

女「ですが、先生は男で私は女です」

男「そうですね」

女「先生は私から逃げていますよね」

男「私は逃げられませんよ」

女「物理的な事を言っているのではありません。精神的な事を言っているのです」

男「はい」

女「はい」

男「もし、あなたと私が愛し合ったとして・・・」

女「はい」

男「私が死んでしまったらどうなる」

女「・・・・」

男「あなたは悲しむのでしょう」

女「もう手遅れですよ」

男「それはどうい」

女「・・・・」

男「・・・・」

女「こういうことです」

男「まさかあなたに唇を奪われるとはね」

女「先生は死にません、信じています」

男「そんな勝手な」

女「愛する教え子を置いて、勝手に死なないで下さい」

男「そうですね」

女「手術の間、ずっと祈っていますから」

男「祈りと言うものは、儚いものです」

女「ですが、私は祈ります。あなたとエッチをしたいですから」

男「こんな低俗で、力強い祈りは初めて聞きました」

女「低俗ではありません」

男「ですが、ありがとうございます」

女「はい」

男「はい」

男「もしも手術が成功して私が戻って来れたら、またあの台詞を言って下さい」

女「絶対手術は成功しますので、先生は返す言葉を考えておいて下さいね」

男「遠慮します」

女「ここでその返しは度肝を抜かれました」

男「では、行って参りますね」

女「ええ、神のご加護にあらん事を」

私が8歳の時、初めてあなたと会いましたよね。
あの時のあなたはまだ学生服を着ていましたっけ。
母から家庭教師を雇ったと聞かされたときは、お姉さんを期待して胸を躍らせていましたのに、心底残念でした。
ただ、あなたの優しげで、しかし真剣な眼差しに、恋をしてしまうには時間は必要なかったようです。
あなたと過ごした時間は私の中で宝物になっているのです。
たとえあの時は、先生と教え子の関係だったとしても・・・・・


・・・・・・

・・・・

女「エッチしてください」

男「遠慮、はしませんからね、覚悟しておいてください」


以上、乗っ取りおじさんによる乗っ取りでした。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom