木場真奈美「林檎の唄」 (24)

・短いいちゃコメです。苦手な人はお気をつけて
・タイトルは東京事変も並木さんも無関係です


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―346プロアイドル寮―


ガチャ

真奈美「お邪魔するよ」

美優「真奈美さん、こんばんわ」ニコ

早苗「菜々ちゃんのー! ちょっといいトコみてみたいー!」パンパン

心「ぱーりらーぱりらーぱらりらー☆」パンパン

あい「やあ、真奈美さん。ご覧の通り、皆すっかり出来上がってしまっているよ……」フッ

真奈美「その表情を見る限り、今来たばかりかな」

あい「ええ、私が来た時からこんな状態でしたよ」

あい「どうぞ、志乃さんからいただいたワインです」

真奈美「ありがとう」コク

真奈美「ふう……美優さんはあいと一緒で平気そうだね。今来たばかりかな?」

美優「……ふぁい?」トローン

真奈美(目が半分閉じかけている……)


菜々「不肖最年少じゅうななさい・安部菜々! 行かせていただきまっす!」ヒック

早苗「おおー! いけぇー!」

真奈美「菜々……君はまだ未成年じゃ……」

菜々「はぁい~、ナナさんはじゅうななさいですよぉ~」ニヘラ

真奈美「未成年が飲酒をするのはどうかと思うぞ」

菜々「だいじょうぶれすよぉ、ウサミン星ではぁ、十二歳からお酒飲めるんです~」ヒクッ

真奈美「…………」

あい「酔っ払いに何を言っても無駄ですよ、真奈美さん」

真奈美「まあ、発泡酒程度では急性アルコール中毒もそれ程心配ではないか……」

菜々「秘技・ウサミンネバードリンクアーップ☆」ゴクゴクゴクゴク

心「いいぞぉー菜々ちゃーん!」パチパチ


真奈美「今日はこの五人だけなのか?」

早苗「うん、みんな忙しいからねぇ」ヒック

早苗「楓ちゃんが残念がってたよ」

心「346プロ定例の大人組寮飲み会も中々揃わないなぁ」ゴクゴク

菜々「あ、でも後でプロデューサーさんが来るって言ってましたよぉ」

真奈美「……そうか」

美優「……」コックリコックリ

心「あー、マナちゃん嬉しそうだね?」

真奈美「い、いや、そんな事は……」

早苗「ええのぉ若いモンは。付き合い始めて一年くらいだっけ?」

早苗「今が一番楽しいでしょ」

心「ねー、二人きりの時ってなんて呼んでるの?」

真奈美「え、ええ?」

菜々「だってプロデューサーさんは木場さん、って呼んでるし、真奈美さんもプロデューサー、って呼んでるじゃないですか」ゴク

早苗「確かにちょっと不自然ねぇ」

心「真奈美? マナちゃん?」

早苗「Pちゃんとか呼んでたりしてー」ケラケラ

真奈美「…………っ!」

真奈美「つ、つまみを作ってきます」ガタッ

心「あ、逃げた」

あい「お二人とも、やり過ぎです」

あい「真奈美さんはプライベートと仕事をきっちり分ける方ですから」コク


心「でもやっぱり羨ましー……」ベター

早苗「この中で唯一の彼氏持ちだもんねぇ」グビ

心「いいなー、はぁとも素敵な彼氏欲しいよう……」ガブガブ

あい「と言うか、心さんは酔うと常時そのテンションなんですね……」

美優「……すぅ……」スヤスヤ

菜々「あいさんはいい人いるんですか?」グイッ

あい「いや……私は恋愛関連の話は苦手でして」ゴク

あい「それに今はアイドルの仕事に集中したいと思っていますよ」

早苗「あいちゃんはキレイだからだいじょーぶらって」

心「あいちゃん、はぁとをお嫁さんにしてょ!」ガバー

あい「ちょ、ちょっと心さん!」グイグイ

心「はぁとって呼んで! むしろ呼べ!」ググググ

心「それか結婚しろよぉ!」ギュー

あい「くっ……なんて理不尽な二択……!」

菜々「いいなぁ、彼氏がいるって……ナナも同級生が次々に結婚してって――」ハッ

菜々「……ってお姉ちゃんが言ってました、キャハ☆」キラッ☆

早苗「果たして今この場この状況で隠す必要があるの……?」


心「あいちゃぁーん!」ギュー

あい「いい加減にして下さい」ビシ

心「あいたぁ!?」メコ☆

心「おとめの頭にチョップするなんてひどいよ!」

心「はぁとの身体はマシュマロで出来てるんだぞ!?」

あい「焼きマシュマロにして差し上げましょうか?」ズォォォォ

心「あ、あははー……目が怖いよあいちゃん……冗談、冗談」

美優「……くー……」ウトウト


早苗「っつーかなんでこんないい女をほっとくのよぉー!」ガー

早苗「世の中間違ってるらろぉ……」ヒック

あい「この現状を見て省みた方がいいと思いますが……」

早苗「もういい……誰でもいいから結婚してよー」ガブガブ

あい「誰でもいいって……」コク

早苗「あたしの事を大事にしてくれてちゃんと働く人なら……」

菜々「それくらいの人なら探せばいそうですけどねぇ」ゴクゴク

早苗「……あとイケメンで……」

心「あ、増えた」グビ

早苗「毎日一緒に飲んでくれて……」

菜々「また増えた……」

菜々「欲望は果てがないとは良くいいますよねぇ」

早苗「あたしのワガママ聞いてくれるなら……」

あい「……早苗さんと対等に渡り合える男性は中々いそうにないですね」


心「そんな早苗さんにしゅがーはぁとのオススメはこの子、美優ひゃんだよ!」ヒック

美優「ふえ……?」パチ

美優「あ、ご、ごめんなさい……なんですか?」ゴシゴシ

心「そのナイスバディと全身から溢れ出す母性に反し初々しい反応がメラキュートの祭壇☆」

菜々「更には清純派に見せかけてトラのきわどいセクシー衣装でファンを悩殺☆」ヒック

美優「あ、あれはプロデューサーさんが……!」///

早苗「ほほう……いい仕事してますなあ」サワサワ

美優「ひゃいっ!?」ビクッ

美優「お、お尻を触らないでください!」

早苗「買った! この山吹色のお菓子(柿の種)一袋でどうですかお代官様!」

心「片桐屋……お主も悪よのう」ニヤリ

早苗「いえいえ、はぁと様程では」ニャマリ

心「あっはっはっはっはっは!」

早苗「あははははははははは!」

菜々「きゃはははははははは!」

真奈美「あまりはしゃぎ過ぎて他のアイドルに迷惑をかけないでくださいよ」

あい「真奈美さん、お疲れ様です」

心「ピザ?」

真奈美「アンチョビピザです」コト

早苗「さあ美優ひゃん……脱いでおじさんに全てをさらけ出してごらん」ワキワキ

早苗「らーいじょーうぶ、痛いのは最初だけだから……!」

美優「や、やめてください……!」ジワ

早苗「あ、じ、冗談のつもりだったんだけど……そんな濡れた子犬みたいな表情されると本気にしちゃいそうだな……」

菜々「何してるんですか……」グビ

あい「真奈美さんは器用ですね」

真奈美「アンチョビを買ったはいいがなかなか使い途がなかったから助かるよ」

心「おいしいー☆」モグモグ


心「あ、そうだ。はぁといいもの持ってきたんだよ」ゴソゴソ

心「じゃんじゃかじゃーん☆」

菜々「お酒ですか?」

美優「リンゴの香りがしますね」スンスン

あい「カルヴァドスなのではないですか?」

心「これはねー、ちひろちゃんが作った媚薬ー☆」

菜々「媚薬!?」

真奈美「……そんな非現実的なものを人間が作れる訳ないでしょう」

早苗「……」

心「……」

菜々「……」

美優「……」

あい「……」

真奈美「……」

早苗「……ちひろちゃんが作った、って事実だけで完全に否定出来ないのが恐ろしいね」ゴクリ

心「まあ、飲んだ瞬間に目に見えて体力が回復するドリンクなんて普通に考えてあり得ないからねぇ」

菜々「っていうかスタドリってちひろさんの手作りだったんだ……」


早苗「さーて、誰が飲む?」ニヤ

美優「や、やっぱり飲むんですか……」

心「真奈ちゃん、これでプロデューサー誘惑したら?」

真奈美「馬鹿馬鹿しい……こんなものが効く訳がない」グイッ

菜々「ああっ!?」

美優「だ、大丈夫なんですか?」ドキドキ

真奈美「ふん……」ペロ

心「なんともない?」

心「身体が熱い……とか」

真奈美「ある訳がないでしょう」

真奈美「少々強いが、ただの美味い酒ですよ」

あい「やはり、眉唾物だったようですね」

真奈美「当たり前だ。そんな都合のいいものがあるか」フン

美優「確かに、そんなものがあったら一大事ですよ……」フゥ

心「なーんだ、つまんなーい」グデー

早苗「じゃあ可憐な乙女が集まってることだし、恋バナでもしよっかー!」

美優「またさっきの彼氏欲しい談義になりそうですからやめませんか……?」

早苗「うーん……じゃあ、プロデューサーの悪口大会」

真奈美「ふふ……それならいいでしょう」


早苗「P君はねー、ちょっと真面目すぎるよねぇ」ゴクゴク

心「確かに……ちょぉっと固いよねー」グイー

美優「少し前に流行った草食系男子というやつでしょうか」ゴク

菜々「真面目と言いますか、いい人と言いますか……」ヒック

あい「まぁ、何故芸能界にいるのか疑問に思うことはありますね」

早苗「真奈美ちゃんはその辺、P君と話したりしないの?」

真奈美「……彼は自分の目標を突き詰めようとしているだけですよ」

心「んふー、やっぱりP君とは一心同体?」ニヤ

真奈美「からかわないで下さい」ゴク

菜々「でも、プロデューサーさんカッコいいですよね!」

美優「そうですね、若いのに礼儀正しくて紳士ですし」

早苗「背も高いし真面目だし、真奈美ちゃんはいいなぁ」モグモグ

心「マナちゃんより年下だよね?」

あい「私と同い年ですよ」ゴクッ

真奈美「…………」

真奈美「すみませんが、私は先に休ませてもらうとします」コト

真奈美「私のことは気にせず、ごゆっくり」

バタン

早苗「……怒らせちゃったかな?」

あい「……」ゴク

あい「いえ、大丈夫でしょう」

美優「?」


P「お邪魔します」ガチャ

早苗「こらぁ、遅いぞPくぅん」ヒック

P「すみません、仕事が思いの外、長引いてしまって」

あい「Pくん、こちらはいいから真奈美さんを介抱してあげてくれ」

P「え?」

あい「ちょっと我々の悪ふざけが過ぎて飲ませすぎてしまい、酔わせてしまったようだからな」

P「そうですか、わかりました」

P「でも珍しいですね、あの強い木場さんが酔い潰れるだなんて」

あい「任せたよ」ポン

P「拝承しました」

ガチャバタン

あい「……さて、我々は帰りましょうか?」

心「そだね、これ以上は無粋だよねぇ」

早苗「あたしの部屋で飲み直す?」

心「さんせー!」

菜々「レッツゴーウサミン☆」ヒック

美優「…………」コックリコックリ

あい「行きますよ、美優さん」ユサユサ

美優「んぅ……?」タラー


ガチャ

P「失礼します、木場さん」コンコン

真奈美「…………」

P「……入りますよ」ガチャ

真奈美「……お前か」チラ

P「大丈夫ですか?」

真奈美「大事ない。少々飲み過ぎただけだ」プイ

P「……木場さんは嘘をつく時、目を逸らしますよね」

真奈美「…………」

P「無理しちゃダメですよ」ソッ

真奈美「触るな!」

P「……き、木場……さん?」ピタ

真奈美「あ……す、すまない」

真奈美「お前に触られるのが嫌な訳ではないんだ……ただ」

P「?」

真奈美「……触れられると、我慢出来る自信がない」カァァ

P「……何を飲んだんですか」

真奈美「……ちひろさんが作った媚薬だそうだ……」

P「び、媚薬……?」


真奈美「眉唾物と高を括っていたが……身体が、熱くて……」モゾ...

P「…………っ」ドキ

P「……真奈美さん」ス

真奈美「馬鹿、触るなと……!」

P「いいから、そのまま」スッ

真奈美「……っ!」ゾク

P「……辛かったですね。こんなに全身熱くして……心臓、すごい勢いで鳴ってますよ」ポンポン

P「でも、たまには甘えて下さい。頼りないかも知れませんが、僕は貴女の恋人ですから」

真奈美「……お前は卑怯だ」ギュ

真奈美「そんな……そんな事を言われると……お前に何もかもやりたくなってしまう」ビク

真奈美「お前の前では……誰にも見せたことのない私を――――見せてしまいたくなる」

P「……ありがとうございます。そう言っていただいて光栄です」

真奈美「……私は、恋愛下手だ」

真奈美「……こういう時でしか、薬のせいにでもしないと素直にはなれない」

真奈美「だから……今の内に言っておく」

真奈美「……お前の事が好きだ」ギュッ

真奈美「今の内にもっと伝えたいが……私ではこれ以上の言葉が見つからない」

P「……ありがとうございます」


P「真奈美さん」

真奈美「……なんだ」

P「……そろそろ限界です」

真奈美「え……?」

P「吐息も荒い艶っぽい真奈美さんに耳元でそんな事を言われて我慢出来るほど、僕は若くありません」

真奈美「ちょ……!」///

真奈美「な、や、やめろ! 明日は仕事なんだ、怒るぞ!」

P「……そんな顔をしても、怖くありませんよ」

真奈美「……ば、か……っ!」///

P「例のお酒のせいにしておいて下さい」

P「余裕のない真奈美さん……可愛いですよ」


―翌日―

真奈美「…………」

P「…………」

真奈美「……ものには、限度というものがある」

真奈美「お前も大人だ……わかるな?」

P「……はい」

真奈美「担当アイドルに対し、仕事に影響のないよう気遣いをするのもお前の仕事だ……わかるな?」

P「……返す言葉もありません」

P「でも……昨日の真奈美さん、可愛すぎて……」

真奈美「……っ!」カァァ

真奈美「この……っ!」グワッ

P「お、落ち着いてください木場さん!」

ちひろ「あらお二人とも、おはようございます」

真奈美「ちひろさん……」

ちひろ「うふ、相変わらず仲がいいですねぇ」

真奈美「貴女に言いたいことがある」

ちひろ「はい?」

P「木場さん……どうか穏便に」

真奈美「うるさい、黙ってろ」

P「はい」


―数日後―

P「お邪魔します」ガチャ

真奈美「お疲れ様、夕飯、食べて行くだろう?」

P「はい、お言葉に甘えて」

P「……ん?」

P「あそこの棚に並んでるのって、この間のお酒じゃ……」

P「……真奈美さん?」

真奈美「ただの酒だ。捨てる理由もないだろう」プイ

P「……飲みますか?」

真奈美「今日、泊まっていくなら……飲んでやってもいいぞ」



木場真奈美「林檎の唄」END


拙文失礼いたしました。

読んで下さった方、ありがとうごぜーました。

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