零「艦隊これくしょん……か」 (20)



艦これ×賭博覇王伝零のクロス

・駄文
・零が艦これというブラウザゲームで別の提督(プレイヤー)と何か賭博をするのではなく、零自体が艦これの世界観へ(要するに零が提督)
・末崎のおっさん、板倉、ジュンコはリクが多ければ
・ぶっちゃけ最初は零が艦これと言うゲームで何らかの賭博をすると言う構想で考えていたが、こっちの方が面白そうなので




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―標無き時代に、標を―








―深海より居でし、深海棲艦と称される人ならざる者達の手により、人類が制海権を奪われて幾数星―

―人類が深海棲艦に対抗する為に生み出したのは、在りし日の軍艦の魂を持つ「人ならざるもの」―

―『艦娘』と呼ばれし存在有り―

―その俊敏さ、敵の弾幕に掠りもさせず―

―その機動力、幾里もの距離を一夜にて渡り―

―その主砲、鋼の装甲すら打ち砕き―

―その雷撃、あまりの衝撃に海すら震える―





―某鎮守府、鎮守府正面艦娘専用演習海域―


時刻、1300


「ば、かな……!?」

慌てふためく、と言う事象を通り越して茫然自失、自我喪失と言った具合に絶句する中年の男が一人。
父はこの戦争が始まる前からの海上自衛隊所属者、曽々祖父は第二次世界大戦経験者にて生還者。まさにサラブレッド!生粋の軍人っ!!

楽な任務の筈だった。提督としての階級と威厳の座をかけての昇格演習。軽巡洋艦3隻以下駆逐艦3隻以上による水雷戦隊同士の昼戦、夜戦の直接激突
自分の階級は大佐。それも任期20年のベテラン!!そんな自分の演習相手として選ばれたのは―






「……」



一見何の変哲もなさそうな、この男っ!!
サングラスを掛けている為素顔は見えないが、恐らく20代前半のヒヨっ子。軍人としては愚か、一人前の男としても認められなさそうな若人っ!!
その上自分が勝てば条例通り少々に昇格させるが、この男が勝てば「この男を提督に付かせる」と言う……













……つまりこの男『まだ正式には提督ですらない』っ!!




ダメっ!!いくら深海棲艦との戦いで人手が不足しているとは言えこんなヒヨっ子を提督にしているようじゃダメっ!!貴重な資源を海の底に沈める様な物っ!!
その上大佐である自分の少々昇格試験演習の相手。理解不能。上の考えが全く持って理解不能っ!!
だから、今まで培ってきた知識と経験が、絶対の勝利を自分に約束してくれていた――――



――――筈だった。



「……俺の、俺達の勝ち、ですよね」


結果は自軍のD敗北―Cの戦術的敗北ですらないっ!!審判員四人全員納得の勝敗っ!!有無を言わさぬ完全な決着っ……!!


「な、ぜ……」

大破になり演習用の人工の海上から救助されてゆく艦娘を見送りながら、ボソリと呟く。
自分の艦隊で最強とも言える軽巡三隻と駆逐艦三隻、練度も装備も整っていた。今日の演習で勝つ為に様々な戦闘パターンと敵の編成による戦術の組み換えなどの練習を行って来た。
だが負けた「駆逐艦6隻」それもレア度が低い艦娘の水雷戦隊にっ……!!


「貴様……一体何者だ……っ!!」


















……話は、3週間前に遡る





















―某鎮守府、正面玄関口―


「申し訳ありませんっ……!!」


それこそ熱した鉄板の上でも土下座しそうな勢いで地面に額を擦りつける少女と

「……ふんっ!」


怒りを隠そうともせず、自分だけは一切の非を認めないぞと言わんばかりの態度を取る少女と


「あ、いやその……お互いにタイミングが悪かっただけだから……」

2人の少女に問答無用でボッコボコにされ、体中に青いアザを作ったこの青年



―それが



「あの、所であなたの名前は……」

「ああ、そうだった……ええっと










宇海零、鎮守府に仮着任した。これより艦隊の指揮を取る……形式上はこれで良いんだよな?」



―それが、賭博の覇王と伝えられし男の、もう1つの伝説の始まり―

超遅筆のウィークリー2回更新でよろしければどうぞ

(ぶっちゃけ名前ネタ的に誰かがやるだろうと思ってたら誰もやんなくて自分でやる事に……アカギやカイジの提督は見た事あるのに何故だ……)



???「か、勝った……」

演習終了の合図と同時に表示される審判員の判定を見て思わず呟く。
海上に立つ自分の足がガクガクと振動している事に果たして彼女は気づいているのか


???「……」

胸の鼓動が収まらない、どう表現したら良いか分からない感情で頭がポヤーッとしてしまう。
鼓動が少しずつ収まり始めると、次に顔がニヤけてくる。ふと自分の後ろを見ると、自分の姉妹達もほとんどが同じ様な顔をしていた。ポーカーフェイスで誤魔化そうとしているものもいるが、長女である自分には嬉しくて心躍っているのが手に取る様に分かる。

どうすれば良い、演習はまだ正式には終わっていない、最後には野球や蹴球と同じ様に相手の艦隊と共に整列し、お互いの健闘を讃えなければいけない。

何よりこれは相手の艦隊の司令官にとっては少将への昇級試験、自分達にとっては……
ここまで考えて、ふと馬鹿らしくなった
ああ、もう良い、小難しい事なんかどうでも良い。叫びたい、礼も儀も放り出して伝えたい、あの人に




「司令官、私、私達……















勝ちましたぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


貴方のおかげです―――







三週間前


鎮守府 提督室

零が鎮守府に仮着任してから半日……零の指令の元そこに集ったのは、数時間前に零をタコ殴りにしたとある艦娘を含め、資源調達の為の遠征や、練度上げの演習などに向かっていた為、その時鎮守府にいなかった者達……その一部。



零「それじゃあ改めて聞くけど、ここにいる皆が?」

???「はいっ、司令官のご要望通り、現状、この艦隊で『最高峰の練度を誇る駆逐艦』6名です」


零、自分の目の前に整列する6名の駆逐艦を見て唖然とする。
なぜなら……



???「まぁその6人中6人が私達なんですけどね!!」

???「たっく、なんで最初に私達だけ……顔合わせなんて他の子達も纏めてやれば良いでしょうが」

???「別に、この新しい司令は私達を招集した気は無いみたいだけどねぇ」

???「……むしろ、驚いてる様に、見える……」

???「なによ、なんか文句でもある訳?」



そう、零の召集令に応じて集った練度が最も高い駆逐艦6名、その6名全てが―――



朝潮「……では今一度、挨拶の意味も込めて号令と点呼を……朝潮型駆逐艦のネームシップ『朝潮』です。司令官、どうぞよろしくお願い致します!!」

大潮「朝潮型駆逐艦、2番艦の『大潮』です!撤収作戦ならお任せ下さい!」

満潮「ちっ……朝潮型駆逐艦3番艦『満潮』よ。あんた、なんでこの部隊に配属されてきたのよ……」

荒潮「あら、そう言えば自己紹介もまだでしたか……朝潮型駆逐艦、4番艦の『荒潮』よ」

霰「……朝潮型駆逐艦9番艦……『霰』です。んちゃ、とかは言いません……よろしく……」

霞「朝潮型駆逐艦10番艦『霞』よ」


量産型駆逐艦『朝潮』シリーズの艦娘達っ!!


足並み、姿勢、額に添える手の角度。まるで教科書に出てくるような完璧な海軍式敬礼をこなす朝潮
元気いっぱい、と言う表現がこれ以上無く似合う大潮
敵意、いや違う。不快感、とでも言うのだろうか、それを隠そうともしない満潮
ゆったりとした表情(ポーカーフェイス)を崩そうとしない荒潮
無表情、と言って良い程顔の筋肉を動かさない霰
満潮とはまた違う、敵意とも不快感とも似つかぬ不の表情で零を見定める様に睨みつけている霞。


朝潮型駆逐艦6名が、この艦隊における最高峰の駆逐艦……











零(……)

零、感じる。些細な違和感。



荒潮「よろしくね、満潮ちゃんが下着泥棒と間違えてボコボコにしちゃった新しい提督さん♪」

零、思わず吹き出す。と同時に晴れ上がった頬に走る鈍痛に顔を顰める。


満潮「あ、あれはそのっ!どう考えてもそうとしか受け取れない状況だったし…って言うかコイツ殴ったのは私だけじゃないっての!!」

霰「……正直、そう見えたとしても艦娘の2人が殴るって選択するのは、どうかと思う」

大潮「って言うか、私詳しい事情聞いてないんですけど一体何があったんですか?下着泥棒って司令の事です?」

満潮「以下略、以下略っ!!詳細は聞くなっ!!!」

霞「あんたねぇ……正直こっちとしてはどうでも良いけど着任早々、勘違いとは言え部下の艦娘に泥棒扱いされてんじゃないわよ、情けない」

零(……弁解、反論の為に口を開かせてさえくれればこんなにボコボコにされる前に誤解を説く事が出来たんだけどなぁ……)


強し、艦娘強し、子供にしか見えない駆逐艦でも大の大人を圧倒、口を開く隙も余地も与えない、圧倒的戦闘力っ!!
カットイン、夜戦連撃を思わせるcriticalhit!!
結果フルボッコ、圧倒的顔面大破ッ!!



朝潮「……完全にこちらの早とちりです。重ねて謝罪します、本当に申し訳ありません零司令官」

特に朝潮は深く負い目を感じているらしく規律の取れたピッチリとした姿勢で零へと頭を下げる……。下手すればもう一度土下座しかねない勢いで


零「……あ、あははっ」

この時、零。割と引き攣り顔。
彼のトラウマであり本業である命が掛かった『勝負』よりも焦りと不安を感じている事をはっきりと自覚する……。
いい年して女性とのトラブルにほとんど巻き込まれた事のない零にとってはある意味でどんな難問よりも難しい問なのかも分からなかった。


零「……」

朝潮「……」

……妙な空気、学校に赴任してきた新人教師とクラスの子供達の初対面の様な、何とも言い難い空気。好転しそうな気もするし泥沼になりそうな気もする……そんな感じ。
このままではいけない、流れを、変えるッ!零、ふうっ、と溜息を付き


霞「で、こんな解体寸前の鎮守府に何の用なのあんた」

紡ぎだそうとした言葉が、止まる。
彼女、霞の横槍、それで止まる。



満潮「ちょ、ちょっと霞っ……!」

大潮「しーっ!シーーーーーーっ!!こんな時くらい空気読んでくださいよ!!」

霞「はぁ?今更何取り繕うとしてんのよ、こいつも、まさか何も知らされずにこんな所に寄越された訳でもあるまいし」

霞、少々古ぼけた提督室をグルリと見渡す


霞「この鎮守府が他からなんて呼ばれてるか知ってる?」

朝潮「……」











霞「『寄せ集め鎮守府』……よ」








強いといえば強いし量産されていて手に入りやすい。が、他にもっと良い、戦闘、演習、遠征に向いている『上位互換』がいる……そう言った娘達はその鎮守府で同じ艦がいた場合、大抵みんな改修や解体の素体として使われる……


霞「でも改修しようにもほぼ全員が限界まで改修をおえていて、解体しようにも資材が事足りている……いくらその鎮守府に艦娘を置いておくだけの宿舎を立てる余裕が無いからって、その為に一人の艦を解体するのはどうかって声が数年前から上がって来た……そうして出来たのがこの鎮守付よ。深海棲艦に対抗出来るだけの戦力なんだから寄せ集めでも無いよりはマシだ、ってね……」

そうして結成されたのは烏合の衆、練度1で新人訓練もろくに行っていない『下位互換』扱いされる艦娘達が集う鎮守府。
戦果は見るまでもなく……0。精々はぐれ駆逐イ級や軽巡ロ級を撃退する程度。全鎮守府に発注される緊急任務の完全達成など一度たりともない。







まさに最下辺のダメ鎮守府……ッ!!




霞「よっぽどの下手をこいたか、それとも上の都合か……何にせよ付いてないわねあんた……噂じゃ、残り1ヶ月チョイでこの鎮守府は解体、私達も同じく解体されるか、無茶苦茶な特攻作戦を強いられるか……何れにせよ、この艦魂は……」


零、ここに来て違和感の正体をハッキリと確定させる。
……この娘達は、1人を除いて全員……


零「んー……あのさ」

朝潮「……せん」

大潮「……?」

朝潮「諦められません……っ!!」

朝潮、長女として『駆逐艦朝潮』の魂を継ぐ者として必死に言葉を絞り出す。



零「……あの」

朝潮「だって私は、この場所でみんなとまた会えたから!!」

満潮「……あんた」



魂が震える、みんなと離れたくないと



零「……な、なぁちょっt」

朝潮「何も成すことが出来ずにこのまま資材になるなんて私は……ッ!!」

霰「……」

荒潮「……朝潮ちゃん」

特攻作戦でも超長距離遠征任務でも演習の標的艦でもなんでも良い
自分はまだみんなと一緒に『艦娘』でありたい……ッ!



霞「……どうでも良いけどあんたらそろそろこのクズに反応くらい示したら?」

ハッ、と霞を除く5人、この時初めて提督が自分達に話しかけていた事を自覚する。


朝潮「も、申し訳ありません!大変なご無礼を……!!」

零「ああいや、良いんだ……」

零が少し物悲しげな表情を浮かべている様な気がするのは果たして気のせいか……


零「えっと……辛い事だけど、確かにその子……霞ちゃんの」

霞「霞で良いわ。軍の部下にちゃん付してんじゃないわよ」

零「……霞の言う通り、このままだとこの鎮守府は近い打ちに解体になるし君達も解体処分を免れないと思う……」

零、事実を躊躇無く艦娘に突きつける。


朝潮「……」

零「だからさ……どうせ解体されるなら……















くれないかなって、皆の事、俺に」


朝潮s「「「「「「……はぁ!?」」」」」」



なんだ?やはりこの男、ジャニーズ面のイケメンの癖して変態なのか?憲兵を呼ぶべきか……ざわ……ざわ……とし始める6人を差し置いて零、スッ、と立ち上がり


零「もし俺に付いて来てくれるなら、君達を生き返らせてあげる」

大潮「……い、生き返らせるって……」

零「ん、だってさ。俺の観察眼で申し訳ないんだけど、殆ど死んでるから……目と魂、その両方が死んでる。ダメっ、そんなんじゃダメっ……戦果なんて上げられる訳が無い」

荒潮「……」

零「さっき霞が解体処分になる~、って言ってたけどさ。それってつまりその方がまだ価値が有るって思われてるって事でしょ?この鎮守府も、君達も。なら俺が君達を生き返らせる。いくら寄せ集めったって普通に戦果がある艦娘や鎮守府を解体しようなんて事はしないでしょ」

そんな事は分かっている、戦果や実績がキチンとあるのならばよっぽどの事が無い限り解体などされはしない


霞「……で、どうするつもりなの?口だけなら何とでも言えるわよ」

零「ん~、まぁその辺の説明はおいおい……兎に角さ。この鎮守府は寄せ集めの底辺で、みんなは艦娘として生きる事をほぼ諦めてる半死人……だからこそ、出来る事がある。一度死んでいる事、それが










君達の、武器だ」


後に朝潮は語る。ある意味でこれが、司令官から受けた最初の座学だと。

ここまで書くのに一週間……ッ!圧倒的遅筆……ッ!!冬イベ……ッ!!冬イベに全力を費やし、>>1燃え尽きるっ………!!
だが完走、>>1、イベント初完走……ッ!!歓喜、圧倒的歓喜ッ!!司令部level的に甲に挑めず、難易度は乙乙丙丙丙、それも最終日前日クリアと言う有様ッ!!それでも、完走……ッ!!
入手ッ!!レア艦を次々ッ!!

・浜風・榛名・秋雲・天津風・熊野・阿賀野・U-511・伊8・瑞鳳・初風・天城・早霜・朝霜

大量……ッ!!レア艦、未実装艦大量……ッ!!時津風、明石、大江戸は取れなかったが余りにも十分……ッ!!お釣りが大量に来るッ!!

……香取?香取が、いない???


>>1圧倒的ミス……ッ!!寝ぼけて香取を夕立改二に食わせる……!!直後に>>1自分の失態に気づき顔を歪める……ロック機能の大切さと優先度を>>1このイベントで思い知るっ……!!


こんな感じで忙しかったので一週間置きになってしまいました……香取……すまん

>>1叢雲を入れ忘れるミスッ……なぜか今まで全然来なかったッ!!

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