【モバマス】CuPと雪乃のC4U (17)


モバマスの相原雪乃さんが好きなのでしたためました。

いちおう、【モバマス】ウチの事務所のC4U - SSまとめ速報
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2月14日、夜――――事務所談話スペース


つい1時間前までは賑わいを見せていた事務所。


今はすっかり静かになって、エアコンの音だけが響いている。


CuP「ふぅ~……。残った仕事もこれで終わり」


独り言が響く事務所には微かだが、たしかな薫りが漂っている。


紅茶の薫り。


雪乃「プロデューサーさん、お仕事が終わったのでしたら、一緒にお茶にいたしませんこと?」


CuP「あぁ、そうさせてもらおうかな」



2月14日――今日は相原雪乃の誕生日である。


1時間前の賑やかさは彼女の誕生日パーティのざわめきであった。


既に他のアイドル、スタッフは帰路に着いた。


“特別な日”という余韻がわずかに2人の胸に残るのみである。


CuP「ごめんな、雪乃。もう誰もいないのに、待っててくれて」


雪乃「ふふっ……。いいのです。私も一息ついていたところですから」


CuP「――疲れたかい?」


雪乃「そうですね……。私の誕生日をお祝いしていただけて、とっても楽しかったですし、嬉しかったですわ♪」


雪乃「ですが、あまり場の中心になるというのは慣れないので――少し疲れました」


そう語りながらも彼女は穏やかにほほ笑んだ。



雪乃「……では、お茶を入れましょうか。新しいものを」


CuP「疲れているなら、僕が入れようか」


雪乃「ふふ。お疲れなのはプロデューサーさんも一緒ですわ」


雪乃「それに、私が入れた方が美味しくいただけますわよ」


CuPは彼女の爽やかな笑顔に苦笑いで返す。そのまま、雪乃はお茶を淹れる。



雪乃「プロデューサーさん、お茶が入りました。チョコフレーバーですわ♪」


雪乃「さぁ、召し上がれ♪」


CuP「ありがとう。たしかに、チョコの香り――」


CuP「――バレンタインでもあるもんな、今日は。じゃあ、いただくよ」


雪乃「はい。では、私も。この良き日を祝して!」


CuP「ふっ。自分で言ってしまうんだな」


雪乃「あら。だって、目の前の誰かさんが面と向かって言ってくれないからですわ」


CuP「そうだね。じゃあ、あらためて」


CuP「――誕生日おめでとう、雪乃」


雪乃「うふふっ。ありがとうございます」


そのフレーバーティーを一口ふくむと、甘く切ない薫りが胸いっぱいに広がった。



雪乃「こんな日まで残業なんて、いったい何のお仕事だったんですか?」


CuP「うん? あぁ。雪乃の次の仕事をいろいろと考えていた」


CuP「今はバレンタインをテーマにしたLIVEロワイヤルをやっているけど、無理してないかい?」


雪乃「ええ。歌って踊るのはなかなか大変ですが、初めての経験ではないので」


雪乃「楽しくやらせていただいていますよ」


CuP「本格的に歌って踊ったのは、西部公演が初めてだったもんな」


雪乃「ええ。いきなりミュージカルのお仕事でしたから驚きました」


雪乃はフレーバーティーの水面に写る自分の姿をぼうっと見つめていた。


雪乃「懐かしいですわね。あの衣装、なかなか気に入っているんですよ」


雪乃「ですが、次にやるときはガンスリンガー役もやってみたいですわね。ふふっ」


CuP「なるほどね。覚えておく」



CuP「ミュージカルからLIVEロワイヤル――といった具合に、舞台向けのアイドルとしてプロデュースしているけど、雪乃はこれでいいかい?」


雪乃「プロデューサーさんが導いてくれるなら、大丈夫って信じております」


雪乃「ふふっ。ですけど、欲を言うなら、いろんな仕事をしてみたいですわ」


雪乃「クリスマスミサのイベントは毎年やらせていただいてますけど……」


雪乃「それ以外にもラジオとか雑誌のコラムとか――」


雪乃「そうだ、いろんなティーハウスでイベント……というのも面白いかもしれません♪」


CuP「ふむ……。どれも面白そうだね」


CuP「――こういうとき、意外と雪乃って押しが強いというか、積極的というか」


雪乃「ふふっ。やるときはやる、言うときは言う、それを意識していますわ」



CuP「よし。さっきの案は今後のプロデュースの参考にさせてもらうよ。いい仕事を贈れるといいんだが」


雪乃「そういえば、私、プロデューサーさんに贈っていないものがありましたわ」


CuP「奇遇だね。僕も雪乃に贈ってないものがある」


雪乃「はい。プロデューサーさん。私からのバレンタインチョコです」


雪乃「日頃の感謝を込めて手作りいたしましたわ」


CuP「手作り! それは嬉しいな。ありがとう」


雪乃「うふふっ♪ 『手作りは……またの機会に』してからだいぶ経ってしまいましたね」


CuP「そういえば、雪乃の手作りのお菓子をいただくのは初めてだね」


雪乃「何度か作ってはいるんですけど……プロデューサーさんにお渡しする機会がありませんでしたね」


少し申し訳なさそうな雪乃に対して、CuPは嬉しそうな笑顔で小箱を取り出した。


夜も更けた外の空気はたいそう冷たいらしく、澄んだ空気が向かいのビルの灯りをまばゆく運んでくる。



CuP「雪乃、これが僕からのプレゼントだよ」


雪乃「ありがとうございます♪ なんでしょう? 早速、開けても?」


CuP「もちろん」


雪乃は包装紙を丁寧に取り払い、中から上品で綺麗な缶を取り出す。


雪乃「わぁ♪ 紅茶、ですね」


CuP「僕はあんまり詳しくないんだけど、試飲して素直に美味しいって思ったものを選んだんだ」


CuP「無難すぎるかとも思ったけど、気に入ってくれたら嬉しい」


雪乃「奇をてらわない誠実さが素敵ですわ。私、プロデューサーさんのそんなところ、好きですよ」


CuP「ありがとう」


プロデューサーの顔がほころぶ。それを見て、雪乃の表情もますます明るくなる。



雪乃「せっかくですから、この紅茶、一緒に飲みませんか?」


CuP「いいのかい? 僕がいただいても」


雪乃「もちろんです。よかったら、私の作ったチョコも……ダメですかね?」


CuP「雪乃のチョコを独り占めできないのは寂しいな」


雪乃「――プロデューサーさんはずるいですわ」


雪乃は慌てて立ち上がり、新しく紅茶を入れる準備を始める。頬が熱かった。



雪乃「プロデューサーさん、淹れましたよ」


CuP「ありがとう」


CuP「こうして夜の事務所で2人で紅茶を飲んでいると思い出すなぁ……」


雪乃「?」


CuP「いつだったか……僕が仕事で酷い失敗をしたことがあっただろ」


雪乃「あぁ……」


CuP「あのときは自分の不甲斐なさを憎んだり、情けなさを呪ったりしたけど……」


雪乃「あのときのプロデューサーさん、ずいぶん落ち込んでらしたものね」


CuP「その時、今日みたいに夜のお茶会にこっそり招待してくれたよね」


雪乃「ええ。あの時は私も――ふふっ――ゆっくりお茶がしたかったんです」


CuP「――うん。何も訊かず、何も諭さず、いつもみたいに他愛のない話をゆっくりしてくれた……」



CuP「あの時間に本当に助けられたんだ」


雪乃「癒されましたか?」


CuP「癒されたよ」


雪乃「アイドル冥利につきますわ。ふふっ」


CuP「とても感謝してる。ありがとう。一緒に紅茶を飲んでくれて」


雪乃「――いつも」


CuP「?」


雪乃「いつもプロデューサーさんにやってもらっていることを、そのままお返ししただけですわ」


プロデューサーを見つめる雪乃の瞳は柔らかく、雪乃を見るプロデューサーは少し首を傾げている。


プロデューサーは、自分がどれだけ私の――私達、アイドルの支えになっているか。


ちょっと過小評価しているのではないかしら。


そんなことを思って、雪乃は、また笑った。



雪乃「プロデューサーさんからいただいた紅茶、とても美味しいです」


CuP「雪乃の作ったチョコも美味しいよ。疲れた身に沁みる」


雪乃「ふふっ、なんですか、その感想」



雪乃「…………はぁ」


雪乃「プロデューサーさん。胸の中が、ぽかぽかしています」


CuP「外はあんなに寒そうなのにな」


事務所の2階から見下ろす街路では仕事帰りのサラリーマンが身を震わせている。


見上げる空は澄み切った黒を背景にうっすら光る星のパノラマだ。


雪乃「プロデューサーさんと食べるチョコレートは他のどんなお店よりも美味しく感じます」


雪乃「……不思議……いえ、当然かもしれませんわね」


CuP「僕も同じことを思ってた」


CuP「雪乃と飲む紅茶は他のどんなお店よりも美味しく感じられるよ」



CuP「…………さて、そろそろ夜も遅い。帰り支度をしなくちゃな」


雪乃「……プロデューサーさん」


CuP「なんだい?」


雪乃「あと、1杯だけ、紅茶を淹れてもいいでしょうか」


雪乃「――この穏やかな時間を楽しみたいですから……少し遠回りの一杯を」


雪乃「私のわがまま……ですわ♪」


CuP「…………そうだな」


寒空に震える2月14日。


アッサムにセイロンをブレンドした薫りが事務所を包んでいる。


                            おわり


短いですが以上です。

お読みいただいた方、ありがとうございました。

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