マルコ「親愛なる君へ」(21)

唐突に、マルコとジャンの話を考えてみる
キャラ崩壊その他色々ありますがご容赦ください。昼休み牛歩更新です


ねぇジャン、もし……もしも、の話なんだけど

僕が死んでしまったら、君は泣いてくれるのかな

みんなは泣いてくれると思うんだけど。君は……どうなんだろう

ごめん、変なこと聞いてるよね。ただ、ふと思ったんだ

僕は君が死んだら、涙を流すのだろうか、ってね


突然君がいなくなったら。君が事故か何かに巻き込まれたり

または巨人に食べられたりして……

憲兵が巨人と戦うことなんてない? はは、そうだといいね

でももしもの話なんだ。もし君がいなくなったらって考えたんだけど

……涙は、出てこなかったんだ。


実家で飼ってる犬が死んだらって考えたら、涙が溢れてくるのに

君が死んだらって考えても、悲しいはずなのに出てこなかった

だからもしもの話だよ。怒らないで聞いてよ

ようは、君が死ぬなんてことに実感が湧かなかったんだ


当然? 俺は死に急ぎ野郎とは違う?

ははっ……ま、君は死ななさそうだよね。でも、もしも、なんだけど

僕が死んだら、君には泣いてほしくないんだ

だって、君が死んでも僕は泣かないだろうから


たとえ周りから酷い奴だなんて言われてもね

慣れてるだろ? 陰で言われることは

……うん、勝手なお願いだよね。でも君にしか頼めなさそうだから

だから……もし、僕が死んでもさ

君は、泣かないでほしいんだ


・・847年・・


「トロスト区出身! トーマス・ワグナーです!」

「声が小さい!」

マルコ(はぁ……噂には聞いてたけど、面倒だなぁ)

マルコ(でもここに来る前から練習してきたんだ。大丈夫、僕ならやれる)


キース「貴様は何者だ!?」

ジャン「トロスト区出身! ジャン・キルシュタインです!」

キース「何しにここに来た!?」

ジャン「……」

ジャン「憲兵団に入って、内地で暮らすためです」

マルコ(え……)

キース「そうか! 貴様は内地に行きたいのか?」

ジャン「はい!」


キース「ふん!」ゴッ

ジャン「いっっっつ!」

マルコ(え、えぇぇぇえええ!?)

キース「誰が座って良いと言った!? こんなところでへこたれる者が、憲兵団になどなれるものか!」


キース「貴様は何者だ!? 何しにここに来た」

マルコ「ウォール・ローゼ南区ジナエ町出身! マルコ・ボットです! 憲兵団に入り! 王にこの身を捧げるために来ました!」

キース「……そうか、それは結構なことだ。目指すといい。……だが」

キース「王はお前の体なんぞ欲しくない」

マルコ「」


…食堂。

エレン「……だから、見たことあるって」

「本当か!? どれくらい大きいんだ!?」

エレン「壁から首を出すぐらいだ」

「何!? 俺は壁を跨いだと聞いたぞ!」

「私も!」

「俺の村でもそう言ってた!」

エレン「いいや……そこまででかくはなかった」


「どんな顔だったの?」

エレン「皮膚がほとんどなくて、口がでかかったな」

「ウォール・マリアを破った『鎧の巨人』は!?」

エレン「そう呼ばれているけど、オレの目には普通の巨人に見えたな」

「じゃ、じゃあ……普通の巨人は!?」

エレン「……ウッ」


カラン


マルコ(ああ……だめだ、これ以上聞いちゃ)

マルコ「……みんな、もう質問はよそう。思い出したくないこともあるだろう」

コニー「す、すまん! 色々と思い出させちまって……!」

エレン「……違うぞ!」

マルコ「え?」

エレン「巨人なんてな、実際大したことねぇ。オレたちが立体機動装置を使いこなせるようになれば、あんなの敵じゃない!」


エレン「やっと兵士として訓練できるんだ! さっきは思わず感極まっただけだ」

マルコ「そ、そうか……」

マルコ(なんてことだ……巨人が、怖くないのか?)

エレン「オレは調査兵団に入って……この世から巨人を駆逐する! 奴らをぶっ殺して――」

ジャン「オイオイ正気か?」


ジャン「今お前、調査兵団に入るって言ったのか?」

マルコ(こいつは……僕の隣にいた。そうだ、僕と同じで憲兵団狙いの……)

マルコ(憲兵団狙いじゃない人は訓練兵なんかにならないだろうけど、って目の前にいるけどさ)

エレン「あぁそうだが。お前は確か……憲兵団に入って、楽したいんだっけ」

ジャン「オレは正直者なんでね。心底怯えながらも勇敢気取ってやがる奴よりよっぽどさわやかだと思うがな」

エレン「あ、それオレのことか」


マルコ「や、やめなよ」

ジャン「おいおい、オレは別に」


カンカンカン


ジャン「悪かったよ。あんたの考えを否定したいわけじゃないんだ。これで手打ちにしよう」

エレン「ああ、オレも悪かったよ」

パチン

※台詞は原作とアニメ両方から採用中


…翌日夜。

コニー「姿勢制御のコツだって? わりぃけど俺天才だから。感じろとしか言えん」

ジャン「オレは逆に教えて欲しいね。あんな無様な姿晒しておいて、正気を保っていられる秘訣とかをよ」

エレン「お前ら……人が頭下げて頼んでるのに」

コニー「でもさ、お前昨日……力のない者は去ればいいって言ってなかったっけ?」

エレン「くっ……」

コニー「違ったか。才能のない奴は去るしかない、だったっけ」

マルコ「まぁまぁ」

マルコ「コニーとジャンの他にも上手いって言われてたのは、あっちにいる2人だよ。確か名前は――」


最初に会った時の君の印象は、ほんと最悪だった

人前で堂々と『内地に行って楽したい』だとか言ったり

ちょっと姿勢制御がうまいからってエレンにあんな態度とったり

でも……本当は、ちょっと羨ましかったんだ

僕にも、巨人が怖くて内地を希望していた気持ちが、少なからずあったから

素直に言い放つ君が……少し羨ましくて、そして憎かった

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