新ジャンル「ちょっとでも高い所が好き」(154)

女「~♪」トコトコ

男「…」スタスタ

女「~♪っよ」ピョン

男「…」スタスタ

女「~♪」トコトコ

男「女さん」

女「ん~?」フラフラ

男「いつも言ってるけど、道路の縁石を歩くのは危ないよ?」

女「ふふん、君はわかってない、ねっ!」ピョン

女「このちょっとしたスリルが楽しいんじゃないか~」トッコトッコ

男「うーん、僕にはわからないね…」

女「男もいつかわかるときが来るよ、何ならご一緒にいかがかな?」フフン

男「はいはい、早く学校行くよ」スタスタ

女「あ、ま、待ってぇ!」ヨタヨタ

―学校・休み時間―
女「うー…」ギシギシ

男「…」ウツラウツラ

女「んー…」ギシギシ

男「…女さん、静かにしてよ」

女「だってぇ…」ギッシギッシ

男「まーたイスの上に乗ってる…」

女「学校は高い所に乗るとお行儀悪いって怒られちゃうんだもん…」

男「イスの上だって十分お行儀が悪いよ」

女「だから学校は面白みに欠ける!」ギシギシギシギシ

男「高い所以外興味ないの?」

女「私の中では高い所が優先されますのでっ」キリッ

男「…そ」

女「…」ギッシギッシ

男「うるさいよ」

女「むー…」

―体育―
男「なんで、高校、の、体育が、縄跳び、なんだ、よ!」ピシピシピシピシ

男「…ぐあぁ、10分間は、はぁ、はぁ、辛いから…」ゼーゼー

ダムダムダム
<ファイトー!><ガンバレー!>キャピキャピ

男「…女子はバスケかぁ」

<シュウトシュウトー!><ガンバレオンナー!>

男「あ」
ダムダムダムダム
<セェイ!>ガショーン!
<スゴイジャンプリョク!><ジョシデダンクシュート!?>

男「流石女さん、高い所ばかり登るからいい運動神経してるよ」

<アハハハハ!ココタカーイ!>プラーン
<オンナー、オリテコーイ>
<モウチョットダケ…>
<ダメー>

男「…少し周りに神経使って欲しいかな」

―昼休み―
男「あー、疲れた…お腹減った…」
女「男やーい」ガラガラ

男「はーい」
女「一緒に食べようぜ!」

男「うん」
女「オッケー、あー腹減ったった」ゴソゴソ

女「よいしょ」ノシッ
男「…机に座らないでイス使いなよ」

女「いいじゃんいいじゃん」
女「この高さはいいよー?視野が広がるからね」モグモグ

男「変わりないんじゃない?」モグモグ
女「何をおっしゃる!こうして高い目線から眺めて、狙いを定めて…こうっ!」シュバッ

男「あ、ちょ」
女「このように空襲をかけられるのだー!」モグモグ

男「なにそれ…」クスッ
女「う~ん男んちの卵焼き美味しいよね!もいっこちょうだい!」

男「…はい」
女「わ、やっさしー!ありがとう!」ハグハグ

男「…ふふっ」

―下校―
女「~♪」トコトコ

男「またやってる…、だから危ないってば」
女「大丈夫だってー、平気平気」
大型トラック<ブーン!

女「うわっ!?」ブワッ
男「…!」グイッ

女「んっ!」ギュ
女「…お、男」

男「…だから危ないんだよ」
女「う、うん、ごめん」

男「…そこを歩くなら気をつけてね」
女「うん、わかった…ありがとう」

女「あえ?止めないの?登っていいの?」
男「だって口で言ったって聞かないでしょ?」

女「…それは」シュン
男「でも、僕は女さんの事信用してるからね」

女「え?そ、そっか、…そうなの?」
男「うん」クスッ

女「そうなんだぁ…」
男「?」

女「よっと」トン

女「じゃあさ、これからはこうしようよ」ギュ
男「えっ」

女「こうして手を繋いどけば安心安全♪」トコトコ
男「え、あ…まぁ、確か安全かもだけど…」スタスタ

女「ほら、それになんだか楽しくなってこない?」ブンブン
男「……そ、そうだ、ね」

女「~♪」ニコニコ
男「…」//

こんな感じの、高い所が好きな女の子が見たいです!

―公園―
女「早く、早く作るんだ男氏!」男「何で、僕なのさ!それに、なんで、公園の、砂場!?なら、女さんも、手伝ってよ!」ザックザック

女「私は…男が作ったエベレストに登りたいのだよ!!」
男「意味が、わからない!」ザックザック

女「ほらほら、アレだよアレ…」
女「協同作業?」

男「それ、自己満足、だから!」ザックザック

~~~ザックザック…

男「…で、できた」ハァハァ…
女「おぉ…、実に見事な高度1メートル弱の砂山」

男「もう、登るの…?」ハァ…ハァ…
女「もちろん!いっくよぉ~」ググッ

女「とう!」ピョン
男「飛び乗った!?」

女「っと」ザシュ
女「おぉ~、滑り台やジャングルジムとはまた違った絶景かな…」

男「…ふぅ」

男「いかがですかぁ?」

女「うむ!余は満足じゃ!」

女「誉めてつかわ…うわっはぁ!?」ズルッ ザザザザー…

男「わー、地滑りがおきたぞー」
男「大丈夫?」

女「…いってー」ヒリヒリ

男「あぁあぁ、肘擦りむいちゃって…、水道で洗い行くよ」

女「…うん」ムクッ

女「…男」

男「なに?」

女「また作って♪」

男「やだ」

新ジャンルだから>>1じゃなくても書いていいんだよね

軽くネタ探してくる

女「ねえねえ、この紐ひっぱって」

男「えっ……これって……」

女「いいからいいから」

男「はいはい…」 ぐいっ

女「おおー! たかいたかい!」

男「おお……校旗といっしょにはためいとる……」

後輩「…………」カリカリ...

先輩「やあ後輩君」ヒョコッ

後輩「……先輩、いちいち机によじ登らないで下さい。邪魔です」

先輩「やれやれつれないな、これだから童貞坊やは」ヤレヤレ

後輩「あんたね……つか、何で毎回人の机の上に登ってくるんですか」

先輩「かわいい後輩にかまってほしいからに決まってるじゃないか。どうだい、いじらしいだろ?」フフン

後輩「面倒臭いと邪魔臭いの2つしかありません」

先輩「後はそうだねえ、このほんの少し高い位置から見る窓の外の景色というのがまた格別でね」

後輩「聞いちゃいねえ……後ろのロッカーにでも登ってて下さいよ」

先輩「危ないじゃないか」

後輩「机だって危ねえよ」

先輩「でもほら、こうやっても」グラッ

後輩「! ちょっ!」ガシッ

先輩「ほら、君が助けてくれるだろう?」クスッ

後輩「いやそもそも登らないで下さい」ハァ…

何か違う気がするがまあいいか
いいよな

先輩「少し登りたい気分だな。後輩君、肩車を」

後輩「しません」

先輩「…………」

後輩「…………」

先輩「肩ぐr「しません」

先輩「やれやれ、これだからもやしっ子は」

後輩「いえ。純粋に肩車をしたくないだけです」

先輩「ではおんぶならどうかな?」

後輩「…………しません」

先輩「少し考えたね」ニヤ

後輩「考えてません」

先輩「やれやれ、男の子はそんなに大きな胸が好きなのかい? ふふ、恥じることはない。思春期男児としては当然の反応だからね」

先輩「今なら上着を脱いで乗ってあげよう、だからさあ」

後輩「しません」

先輩「むう」

先輩「ロッカーの上は狭いな」

後輩「結局登るんすか」

先輩「ほらほら、天井に手が届くぞ」プルプル…

後輩「目一杯伸ばしてギリギリじゃないですか。っていうか危ないですよ」

先輩「僕は背が低いからね。後輩君なら余裕で届くんじゃないかな?」

後輩「そりゃあ届くでしょうけど」

先輩「というわけでカムヒア」ヘイ

後輩「登りませんって」

先輩「大丈夫だ。この学校のロッカーは木製壁付けの頑丈なやつだからね。もやしっ子一人乗せた所で壊れたりはしないとも」

後輩「いや登りませんって」

先輩「つれないなあ。ここからの景色を君と二人で見てみたいのに」

後輩「……そこホコリひどくありません?」

先輩「え? うわ、ほんとだ。手が粉っぽい」

後輩「あーあー……、制服まで真っ白じゃないですか」

先輩「ううむ、部室といえどもたまには掃除しなくてはダメだな」

先輩「学校の水道は上に登りたくなってしまうな」

後輩「同意を求められてもノーとしか言えません」

先輩「なあに心配ない。今なら誰も見ていない。だからさあ」

後輩「ノー」

先輩「じゃあ僕が登る」ヨッ

後輩「濡れますよ?」

先輩「濡れ透けがお好みかい?」

後輩「……ノー」

先輩「少し考えたね?」ニヤ

後輩「ノー」

先輩「おお、外を走る運動部の姿が見えるぞ」

後輩「先輩、流しの縁に立ちながら窓に張り付くのはどうかと思います」

先輩「いいじゃないか、たまには」

後輩「一昨日もやってたじゃないですか」

先輩「おお、よく覚えていたね。いい子いい子してあげよう」フラフラ

後輩「ああもう危ないですって」ガシッ

先輩「おっと。ふふ、いい子いい子♪」ナデナデ

後輩「どさくさで撫でないで下さい」

先輩「言いながらも決して逃げない後輩君が好きだよ」ナデナデ

後輩「離したら先輩落ちるじゃないですか」

先輩「もう落ちてるけどね」クスッ

後輩「うまいこと言ったつもりか」

先輩「後輩君、抱っこ」

後輩「ああもう」ギュウ

先輩「♪」

先輩「君は背が高いなあ」

後輩「先輩は小さいですよね」

先輩「背の順で常に一番前だからな」フフン

後輩「それは理由ではなく結果です」

先輩「君は時折細かい所に目がいくね。大きいのに」

後輩「先輩がざっくばらんに過ぎるんですよ。小さいのに」

先輩「背は関係あるのかい?」クスッ

後輩「先輩こそ」

先輩「ふふっ。血液型占い然り、こんなのはこじつけというものさ」

後輩「そうですね」

先輩「後輩君、おんぶしてくれたまえ」

後輩「なんでそうすぐ登りたがるんですか」

先輩「背が低いからね」

後輩「……ここは納得してもいい所ですか?」

先輩「君はどう思う?」クスッ

先輩「ああ、でも」

後輩「?」

先輩「僕がちょっとでも高い所が好きになったのはね」


先輩「君と同じ高さで世界を見てみたくなったからだよ」

女「ねぇ男~」
男「はい?」

女「猫、いるじゃん」
男「はい」

女「塀の上とか歩くじゃん」
男「まぁ、うん」

女「猫って高い所好きじゃん」
男「そうだね」

女「そこんとこ私と似てるよねっ?」
男「そう…かなぁ?」

女「まぁ、こうして塀の上から君を眺めている訳なのだがぁ」
男「…楽しいですか?」

女「楽しい!凄い楽しい!」キャッキャッ
男「…猫って言うより、猿だよね」

女「な、なんですとぉ!」ウッキー!
男「あはははっ」

男「今日は、あっついなぁ…」

女「あ、暑いね…」

女「みず、水分が欲しい…あと高い所…」

男「水分はわかるけど…、なんで高い所…」

女「私の本能!」クワッ!

男「はいはい…」

男「ん、あー、そっかー」ゴソゴソ

女「?」

男「はい、女さん」チャリチャリ

女「…お金?」

男「うん、女さんの望みを叶えてあげようかとね」

女「ん~、なんだ~?」

男「好きなの買っていいよ」
女「ホントかい?いいの?」

男「どうぞ」
女「わぁい!」チャリン

女「じゃあ~、この長いカルピスをば!」ゴトン
男「じゃあ僕は長いコーラを」ゴトン

女「はい、ありがとうといただきますのかんぱーい!」
男「どういたしまして」コン

ゴクゴクゴク…
女「っぷはぁ!飲んだぁ!生き返ったよぉ!」
男「そ、良かった」ゴクゴク

女「では、缶捨てて来るねっ」
男「あ、待って!」

女「ん?」
男「ここに置いて」コトン

女「うん」コトン
男「乗ってごらん?」

女「!」
女「ま、まさか、男…」

男「一石二鳥ってね」ニコッ
女「す、すごく…、嬉しいかも」///

女「よぉし!乗るぞぉ!」

男「気をつけてね」

女「よ、ほっ」グラグラ

男「おっと揺れるね、手を貸して」

女「あ…、うん」ギュ

男「眺めはいかがですか?」

女「いいよ。とっても…。でもなんかね」

男「うん」

女「道路の照り返しのせいかなぁ、顔が熱いや」

男「え、大丈夫?」

女「うん、大丈夫」

女「あのね…もう少し、こうして眺めてていい?」

男「いいよ」

女「…♪」///

男(耳まで真っ赤っか…、日焼けしたのかな?)

>>29
キュンキュンきた

男「…」
女「~♪」トッ トッ

男「女さーん!」

女「なんですかー!」ヨロッ
男「ガードレールは絶対危ないからー!」

女「元気があればガードレールだって乗れる!」
男「元気があっても普通乗らないよ…」

女「超!エキサイティング!」キャッキャッ
男「もう、転んだって知らないよ」

女「んー、落ちそうになったらぁ、よっ、受け止めてくれる?」

男「…」
女「むー…」

男「…落ちそうだったら、ね」
女「!」

女「その時はお願いしまっす♪」
男「まったくもう…」

女「あっ!」
男「?」

女「~」トトト
女「ほっ!」ピョン

男「あー」
女「私これ好きぃ♪」

男「公園の入り口とかにあるよね、そのコンクリート」
女「高さ、眺め、足裏の感触…、どれもレベルが高いぞよ!」
男「そうなんだ…」
女「いぇーす♪…ん?」

少年「お姉ちゃん何やってんの?」
少年2「や、やめとけよ!」

男「お?」
女「やぁやぁ少年達、ただ今お姉ちゃんはねぇ、ここに登ってこの公園を観望しているのだよっ!」

少年「かんぼう?面白いの?」
少年2「こんな変なヤツ構わない方がいいって…」

女「な、なんですとぉ!?」
男「…っ」プフッ

女「そこの少年!」
少年2「!…なんだよ」

女「こっちおいで」チョイチョイ
少年2「な、なんでだよ」

女「いいからっ、おいでっ」ニコッ
少年2「…」スゴスゴ

女「よいしょお!」グイッ!
少年2「うわ!ちょ!やめろ!」ギュ

女「見てごらん!」
少年2「なにをだ…よ」

少年2「…」
女「…どう?どう?」

少年2「…うん」
少年「なんなんだよー?」

少年2「なんでだろ、なんか楽しい…」
女「だっしょぉ?」ギュ

少年2「…うん」///
少年「おれも、おれものぼる!」女「よし来い少年!」ギュ
<ウオー!ナンカオモシレー!><キミタチハイイコダ!>
<センセイトヨバセテクダサイ!><センセイ…ヨカロウ!セイトタチヨ!>
<センセイ!><センセイ!>
男「…なんだこれ」


女「木登りー♪」

男「今どき木登りするやつっているんだな」

女「てっぺんまで行かなくても、いい風景が見れてお得だよー」

男「三階の窓から眺めた方が楽じゃね?」

女「分かってないなー、男くんは。“高い所”から見る景色がいいんだって」

男「どこが違うんだよ……。ところで、制服で木登りはよした方がいいぞ」

女「ん? なんで?」

男「俺もいい風景が見れて、お得になるから」

女「!!」



女「男くんのえっちーー! パンツ見るなーー!」ブチッ ポイポイ

男「葉っぱ引きちぎって、投げられても、まったく痛くないんだが」


女「♪~♪~」

女「ちょっとでも~~♪ 高い所~~♪」

女「あ、男くんだ! おはよー」



男「おはよ。ところで、なんでいつも校門の上から挨拶するんだ」

女「ちょっとでも高い所が好きだし、男くんを俯瞰できるから、一石二鳥!」

男「落ちたら危ないから、ほどほどにしとけよ」

女「男くんのつむじがよく見えるー♪」

男「なに? そこから、引きずり下ろされたいって? よーしちょっと待ってろ」

女「わわわ! 足引っ張らないで! 危なーい!!」


女「フェンスの上は、私のお気に入りの場所の一つ!」

男「へー」

女「金網だから登りやすいし、腰かけることもできるし♪」

男「そりゃ、よかったな」

女「男くんも、来なよー! 一緒に座ろー!」

男「やだよ、ズボンが汚れる」

女「なんでよ! いいから隣来て、とーなーりー!」バシバシ

男「やだって言ってるだろ。無理に自分の好きなもの押しつけんな。ったく」

女「…………シュン」

男(あ……、言い過ぎたか?)

女「……じゃあさ」

男「……?」



女「高い所じゃなくてもいいからさ、……男くんの隣に座っていい?」


男「よいしょ」ガシャ

女「……え」

男「よっこら……せ」ガシャガシャ

女「男くん?」

男「ほら、隣来たぞ」

女「え、でも、いいの?」

男「お前はここが好きなんだろ? だからここでいいよ」

女「だって、さっき」

男「隣に座るなんか、どこでも一緒だからな」

女「……えへへ、ありがと」

女「~♪」ギュ

男「…」スタスタ

女「今日も男のおかげで安定の渡り心地~♪」

男「それはようございました」

女「ふ~ん、ふふ~ん…あ」

男「ん?」

女「魔の長距離縁石剥奪ゾーン…」

男「5メートルくらいを長距離とは言わないと思うなぁ…」

女「…」ギュ

男「どうしたの?」

女「ん?あぁ、いや、あははは…」

男「ふむ?」

女「あのさ、男」
男「はい」

女「下に、ね」
男「下?」

女「下に、降りたく…ないなー?なんて…」エヘヘヘ
男「向こうに行きたくないの?」

女「行きたい、行きたいよ?けどなんとなくさ…」ギュ
男「…」

女「…」
男「…わかった」クルッ

女「あ…」
男「反対側までだからね」

女「~!ありがとうっ♪」ピョン!
男「ぐわっ!?飛び乗らないでよ!」ガクッ

女「めんごめんごー♪」

女「お墓って登りたくなるよね!」

男「すごく唐突過ぎて一瞬どう返したらいいか迷ったけど、それはおかしい」

女「とりあえずこの話を聞いておくれよ男氏」

男「…お話ください」

女「サンキュー♪」

女「えー、おほん、墓地ってお墓だらけじゃん?周りなんか見渡す限りお墓なんですよ。こう身長がリトルな方の私にすれば謎の威圧感すら感じる今日この頃。しかし、この威圧感から解放されるためにはお墓の高さを越えなきゃいけないと思うんだよ!墓地で一番高い所ってどこだと思う?それはお墓なんだよね!もう考えただけでうずうずしてくるよ♪最近のお墓は色んな形があるけど昔からあるあの形って、周りが階段みたいになってるじゃん?もう登ってくれ!って言ってるみたいなもんじゃん!?それにあのいかにも居心地の良さそうなフォルム、もう登しかないよね。あの形はもう誘ってるとしか思えない!きっといい眺めなんだろうなぁ。こうして話してるけど、すごく登りたくなっちゃった!ってなわけで私とお墓に登って墓地を上からぼちぼち眺めに行きませんか?ご静聴ありがとうございました」

男「…」

女「どうかな?」キラキラ

男「うん、気持ちはすごく伝わったよ。墓地なら一緒に行ってもいいよ」

女「やった…!」

男「でもお墓に登っちゃダメだからね、絶対」

女「…ぷぇ~、いけず~」

先輩「後輩君、後輩君」

後輩「何ですか先輩」

先輩「鉄棒の上に立ってみたいのだけれど、手伝ってはくれないかい?」

後輩「危ないですよ」

先輩「危ないかなぁ」

後輩「大体、そんなところに立ったらスカートの中が丸見えでしょう」

先輩「ふむ」

先輩「君はたくし上げの方がお好みかい?」チョイ

後輩「何故そうなる。はしたないからやめて下さい」

先輩「やめてほしければ僕を鉄棒の上に運びたまえ。さあ」チラッ チラッ

後輩「う……」

先輩「……後輩君はえっちだねぇ。そんなにたくし上げが好きかい?」クスッ

後輩「……ノーコメントで」プイッ

先輩「よっ、と」ヨジヨジ

後輩「って結局自力で登るんですか。ああほら落ちますよ危ない」

男「」スタスタ

チリンチリーン

男「?」

女「おーい!」

男「女さん…サドル高っ!」

女「ふぅふぅふぅ、この体が持ち上がってる感じがいいんだよ、これが♪」シャー クルクル

男「…」

女「全身で風を切るぜぇ~」シャー クルクル

男「…回ってないでさ、降りないの?」

女「…」クルクル

女「足が届かないから、足場がないと降りられないの♪」

男「ダメじゃん」

先輩「たまには堤防の上を歩いてみないか?」

後輩「いや勘弁して下さい」

先輩「いい眺めだぞ? 遮るもののない水平線といい、半分だけの町並みといい、他では見られない景色だ」

後輩「俺はそれより両側が落ちたら怪我しそうな高さだってのがもう落ち着きません」

先輩「相変わらずだねぇ。こんなに風が気持ちいいのに」

後輩「飛びますよ?」

先輩「おお、それもいいね。小型のグライダーでも開発してみようか」

後輩「冗談なんですが……つか降りてきて下さい」

先輩「君が来て。そして僕を捕まえておくれよ」

先輩「飛ばないように、落ちないように。君が僕を捕まえていておくれよ」

後輩「……先輩、そういうセリフ恥ずかしくないんですか?」

先輩「なんて言いながらちゃんと捕まえに来てくれる君が好きだよ」クスッ

後輩「さすがに立つのは怖いんで座るので勘弁して下さい」

先輩「いいよ。君がいるなら」

先輩「君と見る景色が、僕にとっての一番だからね」

何故か先輩と後輩がイチャイチャしてるだけになるわ……

いいよいいよ~
甘ったるいの大好きです


男「なに、読んでんの?」

女「求人誌だよー」

男「あー、もうすぐ夏休みだもんな」

女「うん、いい短期バイトないかなーって」

男「で、何系狙ってるんだ?」

女「ふふふ、決まってるでしょー……、プールの監視員!!」

男「……あー。あの高い椅子に座りたいのか……」

女「絶対絶景だよ! 超憧れ!」ワクワク


女「キャー!」ブォン

男「…………」キィコ

女「そーれ!」ブォン

男「…………」キィ…

女「楽しいー!」ブーン

男「お前ってブランコ乗ると、必ず限界まで漕ぐよな」キィコ

女「もっとー! 高くっ!」ブェン


女「……♪」ピコピコ

男「あ、テトリス」

女「うん。お姉ちゃんが、もういらないってくれたー」ピコピコ

男「……ん? なんで左側だけ高く積んでんの? 片寄ったら消しづらいじゃん」

女「え? だって消さないもん」

男「え?」

女「私の理想の高台作ってるんだー」ピコピコ

男「あー。だから左から右へ階段状に低く……って、そういうゲームじゃないだろ!」


女「電車にさー、荷物乗せる棚あるじゃん?」

男「あの金網みたいなやつか」

女「あれの上に寝そべられたら、きっと最高だよねー」

男「ああ、なるほど。高いからな」

女「でもって、棚のすぐ近くに、男くんに立ってもらってー……」

男「で?」

女「男くんの頭に顔をうずめて、髪の匂い嗅いでみたい!」

男「気色悪いし危ないから却下」

女「えー……」

先輩「鳥居は流石に登れないかな」

後輩「ばちが当たりますよ」

先輩「では御神木に」

後輩「ダメですってば」

先輩「やれやれ仕方ない、拝殿に上がるだけで我慢しよう」

後輩「ついでに何かお願いしていきます?」

先輩「後輩君の背が縮みますように、とか?」

後輩「おい」

先輩「冗談だよ」クスッ

後輩「先輩の背が伸びますようにお願いしましょうか?」

先輩「悩みどころではあるけど、それは遠慮しておこうかな」

先輩「だってそうなったら」

先輩「君に抱っこしてもらえないだろ?」

女「うお、うおお…」ヨロッヨロッ
男「お、女さん…?」

女「や、っほー、男氏ぃ…」カポッ カポッ
男「高くなったねぇ、身長」

女「言っとくけど、私自体はリトルだからね?」
男「言わずもがな」コクン

女「ふふん、スゴいでしょこれ!」
男「ずいぶん高い厚底ブーツだね…」

女「近所のお姉様が履いてらしたのをお借りしましたの♪」オホホホ
男「そうなんだ」

女「いやー、この高さは素晴らしいね!もう丸見えだね♪」
男「よかったね、てか丸見えって…」

女「でもねー」
男「ん?」

女「すっごい重いし、すっごい歩きにくいし、すっごい疲れるの!いい眺めなのに!」カッポカッポ
男「あー…仕方ないんじゃない?」
女「これがデメリットってやつですね!」キャッキャッ

男「…ぷっ」
女「笑われた!?」ヨタヨタ

女「笑われるのは心外だぞー!」ヨタヨタ
男「ぷはっ、ごめんね?楽しそうな女さんが、なんだか可愛くて」クスッ

女「えっ、か、かわわなの?私?」
男「かわわってなにさっ」アハハッ

女「っ!」///
女「君っ、これ以上バカにするのはよしなされ!」カッポカッポ

男「あ、暴れると危ないからね?」
女「暴れてないしっ、暴れない…あうっ!?」カッポカッポ …グネッ!

女「お!?わっち、あとわぁあ!!」グラ-!
男「!…ほらっ!」バッ

女「きゃふ!」ギュウ!
男「んっ!」ガシッ

女「び、びっくりぎょうてん…」
男「まったく…」

女「お、男さん、ご迷惑、おかけしてますです…」ギュ
男「もう、気をつけなよ?」

女「は、はいです」

女「…」チョコン
男「…」

女「…」モジモジ
男「女さん?」

女「えっ!?うん、なん?」//
男「お、降ろしていい?」プルプル

女「あ、ごめん!降りるね!」カポッ
女「いたいっ…」ズキッ

男「どうしたの!?」
女「あ、あはは、足首ぐねっちゃった」

男「もう、慣れないの履くからだよ…」
女「お恥ずかしい…」

男「…はぁ」
男「はい、まずは靴脱いで」

女「…うん」グイッ
男「靴は僕が持ってくから、乗って」クルッ

女「それは悪いよー」アハハ…
男「いいの、早く」

女「あ、あう、かたじけない…」

女「…」ノシッ
男「立つよ」

男「…よっと」スクッ
女「お、重くない?」ギュ

男「ん?リトルな女さんはとっても軽いよ、大丈夫」
女「そ、そうでありますか」///

男「それより靴の方が重いってどういうこと…」
女「あらま…」

男「…」スタスタ
女「…」

男「…」スタスタ
女「…」ギュッ

男「足首痛む?」
女「へ!?大丈夫!あはは、大丈夫!」ビクン

男「そっか、動かさないようにね。他に痛いところない?」
女「ない……あ」ズキッ

男「うん?」
女「痛いというか…む、胸あたりが、少々…」///

男「胸が痛いの!?」クルッ
女「にゃあ!だ、大丈夫!もう治ったから!こっち見ちゃだめ!」ツン

男「んむ…」ムニ
女「お、男氏の背中からの眺めはいいなぁ!気持ちいいなぁ!!ふふーん!ふふーん!」

男「そ、そう?」
女「うんうん!とっても…気持ち、いいよ…」ギュウ

男「…!」
男「は、早く帰って足首診てあげるっ」//ツカツカ

女「…」//

女「~♪」トコトコ ギュ
男「…」スタスタ

女「~…」トコトコ
男「…」スタスタ

女「ねぇ男ちゃん」
男「はい?」

女「男ちゃんは高い所って嫌いなの?」
男「なんで?」

女「や、あまり一緒に登ったりしないなーって」
男「ふむ…、僕も高い所は好きだよ」

女「あ、そうなんだ!」
女「でも、いつも降りてるよね?…私と一緒じゃ楽しくない?」

男「ん~?どうしてだい?」

男「楽しいよ?女さんが楽しいなら僕も楽しくなるもの」ニッ
女「あ、あぅ、そっ、そうなのかー」//トコトコ

男「それに僕は、女さんがいつでも安全に高い所に登れるように付いていたいだけ…で…で」/////
女「男くん?」

男「な、何言ってるんだろう僕はっ!急に恥ずかしくなってきた!」///
女「…」

男「…っ」///
女「…」ストッ

男「お、降りちゃうの?」
女「うん。今は、降りて隣を歩きたいなーって、ね」

男「そ、そうですか」
女「うん」ギュッ

男「…」//
女「~♪」

―学校・昼休み―
男「女さーん」
女「はいはいはーい!」

男「今日は屋上でご飯食べに行きま」
女「行かないよ?」

男「せんか…え?」
男「お、屋上…」

女「行かないよ??」
男「な、なんで?どうして?屋上は高いよ?」

女「…お、屋上じゃなくて外の方が高い所いっぱいあるよ?」
男「そうだけど…!」

男「…女さん」
女「っな、なんだろうか?」ダラダラ

男「屋上じゃ高すぎ…」
女「いっ!いーじゃん、いーじゃん!行ってやろうじゃん!!」

男「…くすっ」

女「ウヘヘーイ! チビどもそんなにカリカリしてると肩こるぜ!!」

一同(……アゼーン)

先生「お、女君! 今すぐ机から降りなさい!!!」

女「うーむ、私の机より教机の方が高い…か……」

先生「いいから早くおりな…」

ヒョイ

女の前a君「!?」

女「これは少し低い」

ヒョイ、ヒョイヒョイ……。

女「たどり着いたぜ教机~!!!!」

先生「~!!!」

先輩「脚立の天板には立ってはいけないということを知っているかい?」

後輩「はぁ、まあ」

先輩「罠だよね」

後輩「何の話ですか」

先輩「やってはいけないと言われたら、わかっていてもやりたくなるじゃないか」

後輩「危ないからやめて下さい」

先輩「案ずるなかれ、僕は軽いからきっと大丈夫だ」

後輩「登ってくし……一応抑えておこう」

先輩「おお、なんといい眺めだろう」

後輩「何か見えましたか?」

先輩「隣のアパートの二階の一室で性交渉に及ぶ若いカップルの姿が」

後輩「今すぐ降りろ」

先輩「冗談だよ」

後輩「せめて嘘か真かわかる冗談を言って下さい」

先輩「石塀の上を一本橋。猫の気分を味わえるね」フラフラ

後輩「落ちそうになったらこっちに倒れて下さいよ?」

先輩「なあに、これでも僕はこの道十年のベテランだよ」

先輩「でも飛び降りる時は抱きとめて貰えたら嬉しいな」

後輩「それでそのままおんぶか肩車、でしょう?」

先輩「ふふふ、その通り。おっと、柿の枝が」ヒョイ

後輩「そうやって手をつくとますます猫みたいですね」

先輩「可愛いだろ? でもこれには問題があってね」フラフラ

先輩「バランスをとりづらくて身動きできなくなるんだ」

後輩「」

先輩「後輩君、降ろして……」

後輩「アホですかあんた」

もっとやれ

―屋上―
男「ついたよ」ガチャ
女「…っ」

男「…女さん?」
女「あぁん!?別に怖くねぇし!?震えてないし、武者震いだし!」フルフル

男「何も言ってないから…」
女「…あ、うん、絶対いい眺めだよね!うん!絶対うん!」

男「じゃあ、フェンスの近くに行こうよ」
女「ま、まままま待った!ゆ、ゆっくり、ゆっくり行こう、ねっ?」

男「わかった」スタ、スタ
女「…」ギュ

男「…」スタ、スタ
女「…」ググッ

男「ん…、フェンスまで来たよ」
女「~!」ビクン

男「今日はいい天気だなぁ」
女「~…」チラッ

ヒュゥゥウウウウ…

女「…うわああああぁっ!!」
男「な、なんだぁ!?」

女「あああああぁ…」ペタン
男「だ、大丈夫、女さん!?」

女「お、男くん…」ジワッ
男「な、なんですか?」シャガミ

女「フェ、フェンスやだぁ…、屋上嫌いぃ…、戻るぅ~…」ギュッ
男「だ、だってこんなにいい景色なのに」

女「嫌ぁ…、た、高すぎるの…」ギュウウウ
男「え、えぇ…」

女「…階段、屋上までの階段なら平気だからぁ…、あっち戻ろう?」ウルウル
男「…っ」ドキッ

男「わ、わかりました、戻ろうね」
女「…うっぐ、ひぐっ」

男「ほ、ほら泣かないで!」ヨシヨシ
男(これは予想外だぁ…!)

―階段―
ガチャ…バタン
女「う、あうぅ…」フルフル
男「…」サスサス

女「…はぅ」
男「…」サスサス

女「…えと…あの…男くん」
男「ん、もう大丈夫?」

女「うん…平気」
女「…その…なんと言いますか…」
男「ん…」
女「えへへへ、恥ずかしい所見せちゃったなぁ…、ごめんね?」

男「そ、そんなことないよ!」
男「僕こそ、気づかないフリを、したみたいなもので…」

女「ううん、意地を張ったのが悪いの」
女「私ね、なんでかダメなんだー、高すぎる所」

男「そう、なんだ…」
女「おかしいよね?ある程度の高さならホント大好きなのにさ…、笑っちゃうよ」

男「…」
女「あはは、いつも男くんを振り回してるのに…男くんのお願い聞けないなんて。わがままだね。私。軽蔑しちゃった…よね?」

男「…」

男「軽蔑なんか、しない」
女「…」

男「僕は何となくで女さんに付いてる訳じゃないよ」
女「…私達、ずっと友達だもんね」

男「それもあるけど、それだけじゃない」
女「…?」

男「僕自身、……女さんに惹かれているんだよ?」
女「!?」

男「…高い所を探す横顔、見つけた時の輝く瞳、登った時の楽しそうな笑顔、友達になったあの日から僕は、女さんのたくさんの顔を見てきた」
男「だから僕は守りたいと思った。女さんが安心で安全に高い所に登れるように。」

女「男くん…」
男「ほら、僕はそこまで活発じゃないから、下から支えてあげる位しか出来ないけど」

男「女さんのためなら、全力で支えきれる自信はある!」
女「…」//

男「…っ!」///
男「もう!ぶっちゃけて言ってしまえば」

男「女さんが好きです」

女「…」
男「…」

女「えっ」
男「えっ!?」

女「こ、こんな私を?」
男「…そうです」

女「ほ、本当?」
男「です」

女「本気?」
男「です!」

女「本気と書いてマジ…」
男「大マジです!」ギュ

女「は、はひ!」
男「もう、怖い思いはさせませんから…」

女「…」
女「…あい」ギュウ

男「…返事として、受け取りますよ?」
女「…ううん、返事にしては全然足りないから」

男「…?」
女「ここ、座って?」

男「…」ストッ
女「よっしょ」ノシッ

男「ん」
女「今日からここは、私だけの特等席!」

女「で」クルッ

女「」チュッ
男「っ」

女「こ、これで男氏は、わわ、私の物でしゅからっ!」///
男「~!」////

男「あ、う…、お」パクパク
女「…」///

男「こ、これは、お釣りがでるくらいだね…」///
女「じゃ、じゃあさ、屋上にでよ?」

男「で、でも嫌いなんじゃ」
女「大丈夫!今や大大大ー好きな男氏にくるまってれば、もはや私は無敵!屋上の高さなど恐るるにたらずっ!」シャキッ

男「お、おふ…、よぉし!行こう、屋上に!」
女「よろしい、ならば昼食だ!」
ガチャ…バタン
―屋上―
女「ふふん!全然怖くないし♪」ギュ-
男「それは、良かった、です」///

女「男氏の膝の上からの景色はぁ、今まで見てきた景色の中でぇ、10…7……5…4…」
男「えー」

女「…もちろんno.1だよぅ♪」
男「そ、そうですか」///

女「えへへへ♪さぁ、まずはご飯にしようぜ!」
男「うん!」

「いただきます!!」

先輩「橋の上というのは不思議な場所だと思わないか」

先輩「そこまで地面と同じ高さで歩いてきたのに、突然空の上に投げ出されるだろう?」

後輩「……面白い解釈しますね」フム

先輩「登らずしてちょっと高い場所に行った気分が味わえる。なんと素晴らしいスポットだろう」

先輩「その上で欄干に立てば見える景色は段違いの美しさだよ。さあ後輩君、この感動を共有しよう」

後輩「危ないから降りて下さい」

先輩「つれないなあ」

 ビュオオォォォォ…

先輩「おわっ、と」フラフラ
後輩「ちょっ!」ガシッ

先輩「おお、危ない危ない……ありがとう後輩君」

後輩「心臓に悪いですって……」

先輩「ん、ごめんね」ギューッ

後輩「次落ちそうになったら家まで抱っこで行きますからね」

先輩「それはそれで悪くないな」

後輩「オイ」

女「中国雑技団ってあるじゃん?」
男「あの人間離れしたパフォーマンスの?」

女「いぇすいぇす!」
女「でさー」

男「う、うん…」
女「ちょっとやってみたい事があるのよねー」

男「できないよ?」
女「まだ、何も、言ってませんっ!」アウー!

男「…」
女「あの、ほら、肩の上に乗るやつやってみたいの。人間タワー!」

男「うーん、あれかぁ」
女「痛くないように乗るから!ね?おねがーい!」ナムナム

男「ふむ…」
女「…」ナム チラッ

男「ん、やってみますか」
女「!、わぁい♪」

男「ところで、どうやって登るの?」
女「文字通り、登ります」bグッ

男「僕を?」
女「君をっ!」

男「…な、なんか怖いけど、うん、やってみて」
女「よぉし!」ピョンピョン

女「男氏はしっかり立ってるだけでいいからね!」
男「う、うん」

女「行きますよ!」グッ
男「よし…!?そういえば女さんスカーt」

女「わっしょおい!」トトトッ バサ-ッ
男「」ムギュギュ

女「…よっ、ほっ!」トッ ヨロヨロ
女「……乗ったぁ!登頂!」

男(……見えたぁ!…短パン!)

女「すごいね!高い、高いよ男氏!」フミフミ
男「そ、そう、良かった」

女「わぁ…、お、男氏との共同作業ですな」///
男「うん」

女「…男氏?」
男「はい…?」

女「下に何か落ちてるの?」シャガミ
男「!」ムギュ グラッ

女「おとと!」ギュウ
男「うにゅむ!」

女「あはは!太ももサンドの男氏変な顔~♪」キャッキャッ
男「………」

女「あ、肩車とかも良さげー」ストン
男「………」
女「もぉ、なんか反応しようぜぇ?」ユサユサ

男「う、うん」
女「…」

女「ふふっ、男氏はかわわだね~♪」ナデナデ
男「…」///

先輩「おや、あそこの公衆電話がいつの間にやらいなくなっているね」

後輩「ああ……だいぶ前に撤去されたんですよ」

先輩「惜しいなぁ、公衆電話ボックスの屋根に登ってみたかったのに」

後輩「怒られますよ」

後輩「っていうかとっかかりもなしにどうやって登る気ですか」

先輩「後輩君に肩車してもらえば、いける!」グッ

後輩「やりませんって」

先輩「あ、同じ要領で電信柱も登れるな」

後輩「そんな「閃いた!」的な顔をされましても」

先輩「じー……」

後輩「やりませんよ……やりませんからね?」

先輩「後輩君、歩道橋だよ歩道橋」

後輩「歩道橋ですねぇ」

先輩「さあ行こうか」
後輩「お待ちなさい」

先輩「何故だい?」

後輩「帰り道と反対方向でしょうが」

先輩「ふっ、長い人生に寄り道は付き物さ」キリッ

後輩「いい顔で何言ってんの」

先輩「まあまあ、いいじゃないか。のんびり行こう」

後輩「……はぁ」

先輩「そういえば階段には現代妖怪が棲むというね」

後輩「『一段減らし』と『一段増やし』でしたっけ?」

先輩「確かそんなよ――おおっと!」ダンッ

後輩「減りましたか」

先輩「おのれ物の怪め」

書いてみたいけど結構シチュエーション難しいな……

姉「むぅ、これは困った」

姉「弟ー!」

弟「姉ちゃん呼んだ?」

姉「うむ。一番上の棚に手が届かないんだ。肩車してくれ」

弟「姉ちゃん専用の踏み台使えばいいじゃんか」

姉「使っても届かないんだっ!!」バンバンッ

弟「おぉう、なるほど……んじゃ、オレが取ろうか?」

姉「いや、目的の大きさの鍋があるかどうかも怪しいんだ」

弟「しょうがねーな、ほら」

姉「うむ……よっ、と」

弟「立つぞ、ちゃんと捕まってろよ」

姉「大丈夫だ、やってくれ」

弟「ほいっと」

姉「……おぉ」

弟「?」

弟「どうかしたか?」

姉「いや、見慣れた我が家もこんなに上から見ると、新鮮に見えるなぁ、と……」

弟「はぁ、そんなもんか?」

弟(まぁ確かに、姉ちゃんの身長からしたら、倍近く上に上がったようなもんだしなぁ)

姉「なんと言うか……壮観だな」

弟「え、そんなにも?」

姉「これは良いな! 弟、これからもたまには肩車してくれ!!」

弟「えー、やだよ」

弟(姉ちゃんをしょっちゅう肩車してるとか、恥ずかしいじゃねぇか……)

姉「……ダメ、か?」ウルウル

弟(え、涙声……?)

姉「……そ、そうか、変なお願いしてゴメンな、弟」グシュ

弟「あぁもう、分かった、分かったよ! たまにだけだからな!」

姉「ほほほほ本当か!? ウソとか言うなよ!?」

弟「言わねぇよ!」

弟「……で、何やってんの?」

姉「うん? いや弟に肩車して貰ってから、どうも高いところが気に入ってだな」

弟「だからって卓袱台の上に乗るなよ……」

姉「だって……」

弟「ん?」

姉「だって、肩車はたまにじゃないかっ!!」クワッ

弟「」

姉「それに、これくらいの方が弟の顔が近くに見えるしな」ボソッ

弟「……ん、なにか言った?」

姉「いや、なんでもない」

弟「うーん、そんなに肩車して欲しい?」

姉「……いや、それは、たまにで良いさ」

弟「そうか?」

姉「あまり慣れてしまうとありがたみが薄れるからな」

弟「なんだそりゃ」

弟「姉ちゃん入るy」ガチャ

姉「ん、どうした?」

弟「なんで机の上で正座してるんデスカ」

姉「いや、本を読もうと机に向かったのだけどな、目の前にもう一段高いところがあるなーと思ったら乗っかっていた」

弟(姉ちゃんがおかしくなった……)

弟「なにも正座しなくてもいいだろうに……」

姉「机の上で立ったまま本を読むというのも考えたのだが、さすがに危ないと思って座ったんだ」

姉「で、少しでも座った状態で高いところに居ようと思ったら、正座が一番適していることに気が付いた」

弟「あぁそう……降りる時、気を付けろよ?」

姉「うん? 良く解らんが、解かった」

30分後

姉「お、おぉぉぉぉぉ弟ー!」シビビビビビ

弟「言わんこっちゃねぇ……」ハァ

姉「お、弟、たすたすたた助けて」ウルウル

弟「はいはい」ガシッ

姉「そっとだぞ!? そーっと降ろせよ!?」

弟(落っことしてやろうか……)

弟「……床よりもベッドの方が良いか」ポイッ

姉「はにゃ!?」ボスッ

姉「ななななんてことするんだ! ひどいではないか!!」

弟「自分で蒔いた種だろーが」

弟「そもそも本読むのに高いところに上る必要性があったか?」

姉「うん? ……そう言われるとそうだな? はて?」

弟(ホントに壊れてんじゃねーかな、これ……)ポンポン

姉「あっ、こら、頭を叩くな!」

弟「あ、わるい、つい……」

姉「小さいからと、子ども扱いするな!」

弟「ごめんって、そんなつもりなかったし」

姉「まったく……」

弟「……で、姉ちゃん、いつまでベッドの上にいるんだ?」

姉「べ、別にいいだろう、高い場所に居たいんだ!」

弟「そんなとこで座ってるくらいなら、普通に立った方が……」

弟(ん、もしかして……?)ツン

姉「ひにゃ!?」シビビビビ

弟「……」ニヤリ

姉「」

弟「足のしびれは揉んだ方が早く回復するらしーぜ!」モミモミモミ

姉「やっ、やめっ!!! あああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」シビビビビビビビ

あかん、これじゃただのイチャコラだ

弟「うぅ、あちーなぁ。何でこんな日に庭の草むしりしてんだ、オレ」

姉「せいが出るなぁ、弟」

弟「姉ちゃんも手伝えよ……って、あれ? どこ?」

姉「上だ、上」フリフリ

弟「ちょっおまっ! そんなとこで何やってんだバカ姉!!」

姉「屋根の上で景色を眺めながら日向ぼっこしているのだ」

弟「アホか! こんな日にそんなとこに居たら干物になっちまうぞ!!」

姉「はは、そんな馬鹿な」フラフラ

弟「ふらついてんじゃねーか! 早く家ん中入れよ!」

姉「弟に心配されたのでは仕方ないな。よいしょ」

弟「あ、バカ、立ち上がるな!」

姉「おっとっとっと?」フラフラフラー

弟「おおぉぉぉ、落ち、落ち!?」アタフタ

姉「……っと、危ない危ない」

弟「落ちねーのかよ!! いやそれで良いんだけどさ!!」

先輩「いい風だねぇ」

後輩「排気臭いですよ」

先輩「そういうことは言いっこなしだ」

後輩「先輩的に、歩道橋も“ちょっと高い所”に入るんですか?」

先輩「視点が変わるという意味ではね。
 ただ、遮蔽物が多くて思うよりつまらないな」

後輩「まあ安全第一ですし」

先輩「というわけで肩車してくれたまえ」

後輩「何故そうなる」

後輩「隙あらば肩車狙ってきますね」

先輩「君の高さよりさらに上の視点というのが気になってね」

先輩「それに僕にも童心に還りたいという想いはあるのさ」

後輩「いっそランドセル背負ったらどうです?」

先輩「その時は後輩君を『おにいちゃん』と呼んであげよう」ニヤッ

後輩「ごめんなさいやめて下さい」

男「女さんってさ」
女「はい?」

男「木登りとかするの?」
女「え?しないよ?」

男「そっか、しないのk…ってあれ?しないのっ!?」
女「お、驚きすぎだよー」

男「だって高い所って言ったら木の上だと思うんだけど…」
女「ちっちっちっ、わかっちゃいないな男氏ー」プイプイ

女「確かに木の上は高いですよ。眺めだって抜群さぁ」
男「うん」

女「でも、昔からよく言うじゃないですか」チョイッチョイッ
男「?」ソソッ

女「…猿も木から落ちる、って」ヒソヒソ
男「まぁ、言うけどさ…。意味が多分違うからね?それと今のヒソヒソは何?」

女「やー、あのお猿さんが落ちちゃうんだもん!危ないよぉ。落ちるのは怖いからねー!」
女「…痛いから」ヒソヒソ

男「だからこのヒソヒソは何なの?」
女「ん?それはねー、お?何だあのもっこり!超乗ってみたいんだけど!」タタタタ

男「え、ちょ、女さーん?…元気だなぁ、もう…」

男「…おーい」ノソノソ
女「なんだよー、むしった草の山にシートかけたやつだったのかよー」ガッカリダヨ-

男「もぅ、いきなり走りださないでほしいよ」
女「ごめぇん!」

男「別に大丈夫だけどさぁ…」
女「な、なんだか落ち着かなくて、わ?何あの微妙な高さの切り株!そそるわー!」テテテ

男「うわ、あの切り株なんで地面から1.2メートル位の所で切ってあるんだろ…」
女「なんかすげー♪」キャッキャッ

男「木登りしないんじゃないのー?」
女「木の上だけど安全面に問題ないもーん!よっ!」ピョン

男「基準がわからないよ…」
女「微妙に高ーい!男氏もおいでーな!」

男「…はーい」

男「近くで見ると、ホント微妙だなぁ」
女「ほら、は・や・く!」ミギテ

男「一人で登れるよ」
女「つ、掴んでっ」

男「?うん、ありがとう」ギュ
女「おけー、ほいっ」グイッ

男「おぉ、わりと高いね」
女「うん」ギュ

男「よく見つけたね、こんなの」
女「ん」

男「…女さん?」
女「……!な、なんだい?」

男「どうしたの?疲れちゃった?」
女「別に?ぜーんぜん?疲れてなんか……!」

女「あ」
男「ん?」

女「な、なんだろー、きゅーにつかれてきたなー、おととー」フラッ
男「おっと」ガシッ

男「大丈夫?」
女「んん、だ、大丈夫だよぉ」

男「こんな所じゃ危ないね。降りようか」
女「ま、待ってぇ?」グイッ

男「?」
女「もう少しだけ、眺めるの」ギュウ

男「わ、わかった…」
女「…」

女「…ここ、周りが木で囲まれてるじゃん?」
男「うん、何故かここだけ間が離れてるけど」

女「ね」
女「…こうして立ってるとさ」

男「うん?」
女「なんか2人だけの自然のステージ、みたいじゃない?」ニコッ

男「っ!」
男「…お、女さん、意外とロマンチックなんだね」//

女「…い、意外とって、なんだよー」ヒソヒソ
男「またヒソヒソ?」

女「うー、ヒソヒソしたいんじゃなくて…」モジモジ
女「…こう?」

男「…?」
女「」チュ

男「!!」
女「ほ、ほっぺたもーらい!」

男「…」///
女「…」///

女「う、ぐぅ、あ、あれはなんだー!」ピョン タタタタ
男「な、あの!」

男「…まったく、あの子は」///

なんだろうねこのスレの異様な糖度

女「~♪」トッ トッ
男「…」スタスタ

女「あ、ねぇ男氏ぃ」
男「んん?」

女「…なんでもない♪」
男「はぁ…」

女「…」トッ トッ
男「…」スタスタ

女「す、少しは気にしろよぉ!なんだぁ君は!?」ギュイギュイ
男「え、えぇ…?」

女「聞くの、なんでか、ほら、へい!」カモーン
男「…」

男「どーしたんですか?」
女「知りたいっ?」

男「…教えてほしいな」
女「ならば教えてしんぜよー」

女「なんと!」
男「うん」

女「それは!」
男「おぉ?」

女「ちょっと呼んでみただけなのでしたー!ひーひひー♪」

男「…」スタスタ
女「…」トッ トッ

男「…ふぃっ!」グイッ
女「あわぁ!?だ、だっこ?」ギュ

男「…」ストン
女「…下ろされた?」

男「…」スタスタ
女「…」トコトコ

女「な、なんだったの?」ピョン
男「…」スタスタ

女「…」トッ トッ
男「…」クルッ グイッ

女「あう!?」ギュウ
男「…」ストン

女「む、む~…」トコトコ
男「…」スタスタ

女「なんだよぉ、何か喋りなよぉ」テテテ
男「…」

女「…お、怒っちゃった?」チラッ
男「怒ってないよ」

女「…」トコトコ
男「…」スタスタ

女「…」ピョン
男「…」グイッ

女「…」ブラーン
男「…」ストン

女「…」トコトコ
男「…」スタスタ

女「男くんご~め~ん~!無言で縁石から下ろさないで~!」クルッ
男「んー?」

女「ごめんなさい~!ホントに呼んでみたかったの~!いたずらじゃないの~!」エグエグ
男「…」

女「~っ!」ウルウル
男「…っぷはっ!あはははっ!」クスッ

女「えぅ…?」
男「あははははっ!知ってたぁ~。最初から知ってたぁ~♪」

女「な、う…もしや、ジョーク?」
男「そんなところかな?」

女「…っ」
男「驚いた?」

女「う、う~、う~!」ポコポコ
男「ごめんって」

女「お、驚いてないしぃ!」ペシペシ
男「あははっ、ホント女さんは、可愛いね」ナデナデ

女「ぬぁ!?なぁっ、にゅあ…ぅ…」
女「ま、参りました…」フニャ

男「ふふっ」スタスタ
女「…」///トコトコ

女「あ、男氏!ちょっとお願いしたいことがあるんだけどっ!」
男「なぁに?」

女「えーっとね、この階段をいったん降りてほしいの」
男「え、あぁ、うん、わかった」

女「おねがぁい♪」
男「…」スタスタ…
男「降りたよ」
女「さんきゅっ」

女「じゃあ、はじめまーす!一段目に足をかけてー」
男「こ、こう?」

女「」ドドドド…
男「…?」

女「その階段に足をかけるんじゃねぇ!俺が“上”でお前が“下”だ!」ビシィ!
男「!」

男「お前が“下”だ、女ッ!!」ビシィ!
女「!?」

男「」ダダダッ!
女「わぁ~!たんまたんまぁ!し、シルバー・チャリオッツぅ!」ギュッ

男「エピタフ!」デコピン
女「あうっ!」ペシ

男「ふふん、僕の勝ち」
女「ま、負けたぁ…」

女「それよか、なんで知ってるんだよぉ!」
男「女さんの事だもん。わからいでか」

女「な、なぅ」
女「でもさすが男っ!私のノリについてこれるなんて!そこにシビレる!アコガレるぅ!」キャッ♪

男「あ、それはわからないや」
女「ぷぇ~…」

姉「とぅっ」ピョンッ スタッ

弟「……」

姉「てぃっ」ピョンッ スタッ

弟「……あー、姉上や、なぜ庭石の上を飛び回ってるので?」

姉「うん? うちの庭石って等間隔に並んでるから、落ちないように飛び移るのが何か楽しくて」

弟「そういや子供の頃、そんなことやって遊んだ記憶があるなぁ」

姉「弟がやってたの見てても何が楽しいのか理解出来なかったが、やってみると理由なく楽しい物だな」

弟「今更かー」

弟(あれ、そう言えば1カ所、難所があったような……)

姉「そぃっ」ピョンッ ツルッドスッ

弟「ぁ……」

姉「」パクパク

弟「姉ちゃ~~~ん!?」

姉「み……み、ぞ、おちに、入った……」

弟「あぁそうだ、オレもこれやって、やらなくなったんだっけ……」トオイメ

先輩「この緑色のフェンスにさ」

後輩「ダメですよ」

先輩「まだ何も言ってないじゃないか」

後輩「登る気満々でしょう」

先輩「その通りだけどね」

後輩「上に立とうとしても、不安定すぎて危ないんですよ」

先輩「誰も立つとは言ってないけど」

後輩「…………」フイッ

先輩「なるほど、経験者は語るということかな」ニヤリ

女「こんちは、私だよっ」
男「…誰に言ってるの?」
女「前回、中国雑技団のマネで男氏に登らせてもらったじゃん?」
男「そんなこと…あったね」

女「あれねー、結構楽しかったからねー」
男「うん」
女「シリーズ化したいと思います!」
男「ごめんなさい」

女「なぁん!?」ニャアン!?
男「マジで勘弁してください…、マジで…」
女「いいじゃーん!あんなに嬉しそうにしてたじゃん!」
男「な、し、してないから!」///

女「おっとぉ?男氏、もしや恥ずかしいのかぁい?」ニヤニヤ
男「っ」
女「そうなのかぁい?」ニヤニヤ
男「…」クルッ スタスタ

女「ご~め~ん~!帰らないでぇ~!」ギュウ
男「…」チラッ
女「お願いします!男くんと一緒に何かしたいんですっ!もうバカにしないから、付き合ってあげてくださいっ!!」キュッ
男「…」

女「…っ…っ」クーン
男「…わかったよ」ハァ
女「わぁい♪」ケロッ
男「あ、何か損した気分」

男「で、今回は何がしたいの?」
女「あん、それはねぇ~」

女「フィギュアスケートのリフトってヤツをしてほしいのっ!」
男「あー、あの持ち上げるやつか」

女「憧れたんだよねぇ、アレ」
女「こう、す、好きな人に、持ち上げ…られたり、するとか…?」ゴニョゴニョ

男「な、何言っちゃってるのさ…それに選手の方は、別につき合ってたりしてないからね?」
女「~!?そうなのっっ!?」

男「まぁ、僕も見ててそう思えてくる時もあるけど」
女「そ、そうだったのかぁ…」ガクーン

男「あ、ほ、ほら!そんな関係じゃなくてもあんなに楽しそうにできるんだから、僕達ならもっと楽しくできるよっ」
女「男氏ぃ…」

男「ねっ」ニコッ
女「よし!では早く取りかかろうぞ!」イソイソ

男「な、立ち直り早っ…」ズルッ

男「で、僕はどうしたらいい?」
女「ん?私を持ち上げるだけだよ?」

男「あー」
女「はぁい」ニコッ

男「…ってそれだけ!?」
女「っ、う、うん。嫌?」ビクッ

男「うぅん、全然嫌じゃないよ?」
女「な、ぬぅ…お、男氏は驚くタイミングがたまにおかしいと思うんだよねっ!」

男「そう?」
女「そうっ!」プイッ

男「ごめんね」ヨシヨシ
女「…っ」クリクリ

女「い、今はなでなでじゃないの!持ち上げるのっ!」//
男「わ、わかった」パッ

女「はい、リフトアップ!カモーン!ベイベー!」ダイノジ
男「じゃ、いくよ」グッ

女「んっ!」ピンッ
男「そらっ!」グイッ

女「わおぉ!」フワッ
男「どんな、感じですかっ?」

女「うんっ!思ったより高いよこれぇ!すごーい♪」キャッキャッ
男「そう、ですかっ」ググッ

女「ねぇ、重くない?」
男「まだまだ大丈夫」

女「じゃあ1つ注文をば」
男「なに?」

女「ちょっと回ってみて?」
男「う、うん」クルッ

女「おぉ」
男「どぉ?」クルクル

女「あははっ!ホントにスケートのアレっぽい♪楽しいぃ~!」キャーキャー

男「そ、そうですかぁ」クルクル
女「~♪」

女「…す、少し、疲れてきた、かも…」ピクピク
男「うん…、いくらリトルな女さんでも、さすがにいつまでも持ち上げてはいられない、かな…」プルプル

女「ちょ、ちょっと下りま~す」スルスル
男「ん」
女「よっ」ギュッ
男「…っ」

男「え?降りないの?」
女「下りてきたよ?目の前までぇ」ニコッ
男「う、うん」ギュ
女「あぅ♪」ギュ-ッ

男「…これってさ」
女「うん?」

男「すごく、だっこ、だよね」
女「!」ピクッ

男「で、さっきのリフトもさ、ただの…」
女「違うっ、違うから!」

男「…たかいたかいとぐるぐる」
女「リフトなのっ!子供達がしてもらうアレとは違うのっ!べ、別にして欲しいとかそんなんじゃ!」

男「でもこうすると」ナデナデ
女「んぁ、お、男っ、ちょっとぉ~…ん…」ファーファー

男「なにさ、最初から素直に言えばいいのにー」ナデナデ
女「ち、違うんだもん……」//ギュウ

アイドル「マネージャーさんマネージャーさん」

マネージャー「はいはい」

アイドル「スタジオとかでさ」

マネ「うん」

アイドル「カメラマンが乗る、自由自在に動く台みたいな乗り物知ってる?」

マネ「あぁ、ありますね」

アイドル「アレに乗ってみたい」

マネ「うーん・・・、無理じゃないと思いますけど何でまた

」イドル「この前さ、私が転んで足くじいたことあったでしょ?」

マネ「えぇ、ありましたね」

イドル「私が動けないー、って言ってお姫様抱っこしたじゃん?」
[
マネ「あぁ、確かに。軽くて助かりましたよ」

アイドル「どういう意味よ。あのときのちょっとした高さにちょっと興奮したのよ」

アイドル「それからマネージャーが見てない所で椅子の上に立ったりとかしてたら」

マネ「うん」

アイドル「やっぱり興奮した」

マネ「えぇ・・・。それでアレに乗ってみたいと思ったわけですか」

アイドル「そうそう。てことでお願いね」

マネ「はぁ・・・。お嬢様の我儘は執事の役目、アイドルの我儘はマネージャーの役目ですから」

アイドル「手早くお願いね

」マネ「はいはい」タッタッタ

アイドル「ふふふ、今からわくわくが止まらないわ」

マネ「許可取ってきましたよ」タッタッタッ





俺にはここまでしか無理だった
後は頼んだ

女「…それがそのアイドルなのさぁ!」トコトコ
男「ふーん、ステージにいるにも関わらず、なお高い所に飛び乗っちゃうのか」スタスタ

女「まったくソンケーしちゃうよー!」フンス
男「女さんとは気が合いそうだね…」

女「ねーっ、…おや?」クワッ
男「うん?」

女「!ちょっと失礼!」トトト
男「あ、あぁ」

女「…ふむ」ジロジロ
男「なんだ?」スタスタ

女「ふむふむ」ゴンゴン
男「あー」

女「うむ!男!これっ!」パァ
男「うん」

女「ドラム缶だ!」
男「ドラム缶だ」

女「なぜこんな空き地に一本だけドラム缶なぞ…!」ワキワキ
男「んー、あ、あそこで工事してるみたいだよ」

女「そんなコトは関係ないのだよっ!」
男「え、えぇ…」

女「あぁ…高い所におわす神さま…この出会い感謝しますですぅ…」ナムナム
男「宗教混ざってるよそれ」

女「女!登りまぁす!」グイッ
男「あぁあぁ、危ないからドラム缶支えるよ」ガシッ

女「っしょあぁ!」ガゴン
女「ぬおー!空き地が超空き地だぁ!」キャッキャッ

男「はい?」
女「もうテンションうなぎ登りの鯉の滝登りですよ!」ピョン ゴゴン

男「き、今日はいつも以上について行けません…」アハハ…

女「今なら歌って踊れる!かも!」
男「気をつけてね…」

女「大丈夫でぇす!男氏がついてまぁす!」
男「はぁ、僕がしっかりしなきゃ…」ブツブツ

女「…ふんふんふふん♪」ゴンゴンゴンゴン
男(始めは軽快なステップと鼻歌前奏です)

女「~♪」ゴゴンゴゴンゴン
男(おっと、なかなかの歌唱力。ステップもリズミカルです。…ちょっと驚き)

女「~っ!♪」ッゴン ッゴン ッゴン ッゴン
男(サビ…ノってる女さん、輝いてるなぁ」ユサユサ

女「わお~!♪」ピョン ゴン!
男「…」

女「ふぅ、いい汗かいたぁ♪」
男「…」ポヤァ

女「?おとこー、男氏ー?」
男「…っは、ちょっとした爽快感と喪失感」

女「ちゃんと聞いてた?」
男「き、聞いてた聴いてた」

女「ひゃー!最高だっ!」
男「女さん、歌上手だね」

女「そうかなぁ~♪」ゴン
男「うん。ホントにアイドルみたいで、可愛かったよ」ニコッ

女「っ!」
女「はっ、ほぉん!か、かわいいなんて言われたって、嬉しいんだからねっ!」///モジモジ ザリザリ

男「あら、以前より耐性ついちゃったか。残念」
女「む、む~!なんで悔しそうなんだよぉ!」ゴン!

男「別に?恥ずかしがって真っ赤になっちゃう女さん、可愛いいから」
女「ふぅ、ふーん!ふーんっ!もう男くんに言われたって照れたりしにゃいからっ!」///

男(すでに真っ赤っかだけどね)クスクス

女「なんだかアンコールが聞こえてきたので、アンコールしまーす!」
男「どこからも聞こえないけどね」
女「いきまーす!」
女「~♪」ゴンゴン…

工事のおっちゃん「はっはっはっ!」
男「!?」

おっちゃん「お嬢ちゃん上手だねー。歌も踊りもかわいいよ!」
女「え?あ…えと」//
おっちゃん「どうだい、毎日ここでやってくれないか?」キリッ

女「な、なぅ、その」////
おっちゃん「…なーんてな!」ハッハッハッ

女「」ストン
女「お、おじゃましゃしゃしゃたっ!」ギュッ///////
男「おと!」グイッ
――――
男「…」スタスタ
女「…」トコトコ

男「…大丈夫?」
女「…」ピタッ

女「だ、だいじょばないぃ!」カァー//////
男「よしよし」ナデナデ

女「もうっ、もうっ!」フルフル
男(僕以外に褒められたのと羞恥心で、首まで真っ赤っかの女さん可愛いなぁ)

星 「満天」

女 「……」 ほー

男 「どした? 俺の面影でも浮かんでたか?」

女 「……星ってこんなに多かったっけ?」 

男 「この辺は空気がきれいだから」

女 「こんなたくさんあったらさー」 ぐいっ

男 「いたい」

女 「ほんの、もうちょっとで、取れそうな気がしてこない?」

男 「多すぎてなんか遠近がぼーっとしてはきてるけどな」

女 「今なら、ちょっと高いところの松ぼっくりぐらい……な気がする」 

男 「いくら何でもそこまでは降りてきてねーよ。せいぜいデパートの天井だよ」

女 「いいから肩車! 今ならいける! いけなくて元々!」 ぐいぐい

男 「どっちだよ」 

雲 「そよそよ」

女 「ちっ気付きやがった! 早くしゃがめー! 間に合わなくなっても知らんぞー!」

女 「奈良の大仏って二回ほど作り直してるよね?」

男 「うん」

女 「そのたびに技術は進歩してるよね?」

男 「最初のが超古代文明の失われた技術で作られてるんじゃなけりゃね」

女 「なんで二回の間に内部階段を作るって発想が出てこなかったの?」 だんっ

男 「登りたかったの?」

女 「いや待て……観光化が進んだ現代なら、次こそは階段をつけざるを得ないはず……」

男 「次って、もう焼いちゃだめだよ」

女 「松永弾正はいいのにッ!?」

男 「ホントはだめだよ」

女 「金閣寺はいいのにッ!?」

男 「金閣寺もだめだよ」

女「どうして!?どうしてダメなの!?」
男「危ないから許さないんだよ!どうしてわかってくれないんだ!」

女「あなたの分からず屋っ!私が高い所が好きなのを知ってて意地悪を言うのね!?」
男「俺がいつ意地悪を言ったと言うんだ!お前こそ何もわかってない!」

女「なによっ!あなたはいつもダメだダメだって!つまり私の生きがいを奪おうとしてるのね!」
男「僕は心配しているんだよ!他でもない、君だからっ!」

女「!…な、なによいきなり…」
男「高い所が女の生きがいなら、俺も、俺が手伝ってあげたいんだ」

女「…男さん」

男「…女は、少しでも高い所が好きなんだよな?」
女「そ、そうよ」

男「なら、俺が、女だけの高い所になる!」バサッ
女「男さん…!」ジュン

男「さぁ!おいで!」ギンギン
女「男さーん!」ズブッ!

ギシギシアンアン
女「高い、高いよっ、男さん!」ニュンニュン
男「まだまだぁ!」グングン

―そして男と女はトーテムポールになった―

女 「死ぬまでに一度でいいから三人肩車してみたい」 うろうろ

男 「でも一度やったら味を占めて、死ぬまでやり続けるんでしょう?」 こそこそ

女 「ばか! やる前から恐れててどうするの男の子が!」 うろうろ

友 「……なんで二人ともフォボスとダイモスみたいに人の周り回ってんの?」

女 「あははー。そんな逃げ腰じゃ、二人分の重みを支えられないよーう?」

友 「なんか知らんところで決定してるぅー!」

女 「たまにはそんな日もあるよ」

友 「待て。落ち着くんだ! 三人だと重みで潰れて変に融合する可能性がある!」

男 「なん……だと」

女 「融合って」

男 「興福寺の阿修羅像、なんか哀しげなお顔だと思ってたけど、やっぱりそんな過去が……」 ほろり

友 「おいおい。お前、知っててやろうとしたのかよー」 やれやれ

女 「え……ホントなの? ホントなのそれ!?」

女 「お。登り棒はっけーん!」 ひょい

男 「好きだねー高いとこ」

女 「人は、命ではなく、高みを目指す気概を失った時、死ぬんですよ」 ぺたぺた

男 「ほう」

女 「きみに見せてあげよう。生きるとはなにか、ということを!」 ずるずる

男 「いいこと言ったわりにぜんぜん登れてないね」

女 「……」 わしわし

男 「……」

女 「……イージーモードは? イージーモードの切り替えスイッチはどこッ!?」 くわっ

男 「登り棒にそんなものはないよ」

女 「マジでッ!?」

男 「人生にもないよ」

女 「……マージで?」

女「ねー男氏」
男「はい?」

女「大きな橋の下とかに、秘密のハシゴっぽいの、あるじゃんよ?」
男「ん…、あーはいはいあるある」

男「ここには入らないで下さいの看板と一緒に」
女「イェスイェス!」

女「…そう、あるんだよ」
男「…」

女「秘境がっ」キラキラ
男「そんな危ない所行かせないからね…」

女「行かないよ?」
男「おや、潔い」

女「…………1人じゃね」ニヤッ
男「!」

女「お前さんを道連れじゃー!」ギュー
男「そんな御無体な!」キリキリ

女 「右巻き、左巻き、左巻き、ゲーハ、左巻き、右巻き……」

男 「下行く人のつむじを高いとこからチェックするのはやめなさい」 ぺち

女 「せっかく高いところにいるのに、この位置エネルギーを無駄にしろと?」

男 「せっかく高いとこにいるんだから、下じゃなくもっと上を見なよー」 つー

女 「人のつむじをなぞるなッ!」 くわっ

女 「……この下は海……足を踏み外したら溺れる……」 ひょこひょこ

男 「堤防の上歩きながらなに言ってんのこの子」

女 「真実、いわゆるトゥルースです」 きりっ

男 「そんなふらふら歩いてて、海に落ちても知らないよ」

女 「だーじょーぶー! 母なる海がやさしく抱きとめてくれるからー!」 ゆらゆら

男 「溺れるって話はどこいったの」

女 「逆にこっちに落ちても、父なるきみがあたたかく受けとめてくれるさー! きっとー!」

男 「……ごめん」 すすす

女 「なぜ離れる」

男 「ホントごめん。実は俺、磯なる船虫だったんだ……」 すすすすす

女 「……」

男 「……」 すすすすすすす

女 「……やんぬるかな!」 ふらり

―公園―
女「遊具は良い…童心にかえる!」ギーコギーコ
男「女さんはまだまだ現役だもんね」キィ キィ

女「どういうことかなぁ、男くん!あ、ブランコは立ち乗りが基本でしょっ!」
男「僕は座って乗るのが好きなんだよなぁ」

女「ふっ、お子様よのう!」フハハ
男「はいはい」
―――
男「あ、シーソー。懐かしい」
女「わぁい!」ピョン

女「ふんぬ、ふんぬぃ!」ギッコンバッタン
男「え、えー…、ひとりで遊ぶの?」
女「えっ、ひとりで遊ばないの?」

男「…少なくともひとりじゃ遊ばないと思うなぁ」
―――
女「遊具ってさ、どうしてこう高めにつくってあるんだろう?ワクワクすっぞ!」
男「うーん、少し危ない感じが楽しいから…とか?」

女「なるほど!だからやめられないんだね!」
男「女さんはお子様じゃないんだからいーかげん卒業しようねー」ナデナデ

女 「公園から一つずつ遊具が消え始め、はや数百年……」

男 「月日のたつのは早いもんだね」

女 「だがこれだけは! これだけは死んでもわたさんぞぉー!」 だんだんだんだんだんっ

男 「いい年こいて好きだねえ、すべり台逆走」

女 「しかしいつ登ってもこの展望台は居心地に難ありだねー」

男 「そこは登って滑るための通過点aであって、目的地じゃないからね」

女 「黙れ小僧ッ!」

男 「はい」

女 「遊び方はッ! 大人じゃねえ! 子供が決めるんだッ!!」 だんっ

男 「子供が滑りたそうに見てるから、早く下りなよ」

女 「はい」

鳥 「……」 

女 「電線の上ってさー」 じー

男 「留まってみたいの?」

女 「あの高みならではのなにかがあるはずなんだよねー」

鳥 「……」 プリッ

女 「うわああああ位置エネルギーテロきたあああああああ!」 さささっ

男 「なるほど、これか!」

女 「……」

男 「……」

女 「……人間にはさ。人間さまにふさわしい高みってもんがあると思うのよー」 すたすた

男 「さよけ」 ひょこひょこ

鳥 「……」 ばささささっ

弟「座布団1枚くれ」

姉「嫌だと言っている! 渡しちゃったら1枚分低くなってしまうじゃないか!」

弟「そもそも何枚重ねてるんだ!」

姉「さー? 家中の座布団かき集めたからなっ」ドヤッ

弟「あぁもう、そんなに座布団重ねたいなら、落語家にでもなって笑点で大喜利でもやって来いよ」

姉「……それもいいなぁ」

弟「マジで出られると思ってんの?」

姉「まさか、本気にする訳無いでしょ……よっと」

弟「何してんの?」

姉「座布団1枚引っこ抜こうかと」

弟「バカ、乗ったままんなことしたら、危ないだろ!」

姉「えいっ」グラッ

弟「っ!!」ドサッ

弟「いってぇ……」

姉「ふむ……肉座布団も良いね」
弟「うるせぇ、降りろ」

男 「高さを極めて最終的にどうしたいの? 昇天?」

女 「殺さんといてー」

男 「じゃあ飛び降り?」

女 「なぜ執拗に死を迫る!? もっと楽しいことを考えなさい!」

男 「じゃあ極まったところで棒を逆さにするわー」

女 「わたしは天道虫か天道虫をいじめるのがきみにゃあ楽しいことなのか」

男 「でも逆さにされても諦めずにまた高みを目指すんでしょう?」

女 「ったりめーよそれが乙女の心意気よ」 フフン

男「…」スタスタ
女「や、山ぁ、長いからぁ…」ハァハァ

男「頑張って、最高の景色までもうちょっとだから」ギュッ
女「むっ、高み、待ってろ高みぃ…、高見沢ぁっ!」ハァハァ

―――
男「はーい、ついたよ」
女「ふぃ、ふぃ…、つ、ついたぁ?」ノシッ

男「うん、夕暮れに着けてよかった。丁度電気がつく頃だからね」
女「ほぁ…、すげー綺麗…」

男「たまたま見つけた丘なんだ。高い所好きな女さんには堪らないんじゃないかなと、ね」
女「お、男~」ウルッ

女「ぐしっ、ありがとう、これは最高の景色だよ!」
男「ん、よかった」ニッ

男「とりあえず、あそこのベンチに座ろうか?」
女「賛成、私もうヘトヘト…」ノタノタ

女「おいしょお!」ギシッ
男「…」ギッ

女「~♪」プラプラ
男(疲れてるにも関わらず、迷わずベンチの背もたれに座るあたり、ホンモノなんだねー)

女 「よいこらせっと」

男 「狛犬の台座に登っていいのは十歳までだよ」

女 「だってこのまま狛犬を高いとこで放置しとくと、勘違いした狛犬に人類がなめられるから……」

男 「最近じゃ狛犬も権勢症候群にかかるんだ」

女 「実際もう人類を威嚇してるじゃん!」 

獅子「阿」 ぐわっ

女 「こいつもつられて高いとこから人類を見下しはじめる前にー!」 ぺちん

狛犬「吽」 むすっ

男 「あんまし好き放題してると、さすがにそいつもそのうち吠えるよ」

女 「だからそうなる前にしつけなきゃ! 人類は上! 畜生は下!!」 ぺちんぺちん

狛犬「……」

女「ふんふんふーん♪ふんふんふーん♪」トコトコ
男「…」スタスタ

女「わたっしはーげんきぃ♪」
男「…」

女「のっぼるのーだいすきぃ♪」男「…」

女「どんど、ん…」ピタッ
男「…?」

男「ん、どうしたの?女さん」
女「…」

女「私って、今は元気いっぱいだよ?」
男「うん、元気に溢れてるよね」

女「…でもこんな私だって、ただの弱っこい人間なんだよね」
男「…!!」
男「女さん!?大丈夫?熱でもあるの!?」ピタッ

女「へ?熱なんかな…い………ぬぁ!?失敬なっ!私が頭良い話したらステータス異常なのかい!?」
男「ご、ごめんごめん、やっぱりいつもの女さんだったよ」ホッ

女「まったく!バカにしくさってからにっ!」ヘッドロック!
男「いててててて」

男「うぐっ、ど、どうして急にそんな話を?」ギリギリ
女「どうもこうもないよ?ただ、そう、思った、だけなんじゃ~!」キリキリキリ

男「う、うぅギブギブギブ…」ペンペン
女「ににににぃ…」キリキリ…

女「…」スルッ
男「おっと、…女さん?」

女「でもやっぱりさ、いつか事故なんか起こして、身体が自由に動かなくなっちゃったりしちゃうんじゃないかって、思うと」
女「…怖くなっちゃうんだ」

男「…」
女「かと言って大好きな高い所に登れなくなっちゃったら、私生きていられないかも…ね」

男「…」
女「…」

女「…なんちゃってね!」テヘッ
女「あぁあぁなに変な話してんだろ、やっぱり熱でもあるんかなぁ?」///パタパタ

男「…」

男「…そういう事か」
女「あ、あははは、マイナス思考なんて私らしくないよね」

男「…」
女「うぅ…」モジモジ

女「こ、こんなところに木箱が!」ピョン…ズルッ
男「あ、危ない!」

女「わ…」クラッ
―――
女(あれ?なんでゆっくりなの?)
女(バランスが、とれないや)

女(…体にも力が入んないし)
女(あぁ、さっきあんな話したから、かなぁ?)

女(う~ん、このまま転んだら痛いだろうなぁ)
女(景色が逆さまだもん。頭からいっちゃうね…)

女(…)
女(嫌だなぁ…)

女(まだ、やりたいことがいっぱいあるのに…高い所にだってまだ登りたいのにさ)
女(嫌だ、怖いよ…!)

女(なんで?怖い、すごく怖い!助けて…誰か、誰か!)
女(うあああああああぁっ!」

…トトトッ

男「おっと」サッ
女「」ポスッ

男「もう、いきなり飛び乗ったら危ないでしょ?…女さん?」
女「~~~~~っ!!」ブルブルブル

男「女さん?女さんっ!?」ユサユサ
女「ぅぅぅう…っ!」ビクッ

女「…あ、あれ?痛くない…。…浮いてる?」ギュッ
男「この状況だと僕が持ち抱えてる、かな?」ニコッ

女「…」
男「大丈夫?」

女「…うん、うんっ」ポロッ
男「え?」

女「うぅぅ男…男ぉ!」ギュウッ
男「…女さん」

女「もっ、うぐっ、だめがとっ、おもっ、っく、うあぁぁっ」
男「…よしよし、大丈夫。いつだって僕が傍にいるから、ね」

女「ぅっ…っ」グスッ
男「…」

女「…っ……はぁ」グイッ
男「落ち着いた?」

女「あ、ありがとっ、おちついた…っ」ヒック
男「ん」

女「…」
男「女さん」

女「…ご、ごめんなさい」シュン
男「あ、いや、責める訳じゃないよ?」

男「なんだか、凄く怖い思いしちゃったみたいだね」
女「…うぅ」

男「あんな事言った矢先だったしさ。びっくりしちゃったよ」
女「ごめんね…」ヒクッ

男「大丈夫だって」ナデナデ
男「ほら、僕には女さんを支える義務があるんだから」

男「実際一度でも転んだことあった?」
女「…な…い」コクン

男「でしょ?」
男「転びそうなら支えるし、転んでも落ちる前に受け止めてあげる。今までも、これからも」
女「…」

男「なんて」
男「我ながら恥ずかしい事言ったかな」
女「…」コテン
男「おと」

男「どうかした?寄っかかって」
女「うぅん」

女「こうしたくなっただけ」
男「そっか」ナデナデ

女「ん」ゴロゴロ
男「あ、仮にも」

女「?」
男「高い所に登れなくなっても、僕が君の足になってあげるから安心してね」

女「…うん、嬉しい」
男「よかった」

女「男」
男「?」

女「ふつつか者ですが、お願いします」ペコリ
男「承りました」ペコ

女「じゃあね、結婚式は…」
男「高い所であげようか」

女「わぁい♪」

女 「ぃよっと」 のしっ

男 「人の机の上に座っちゃだめだよ」

女 「高いところに座って脚をぷらぷらさせてるとー。なんだかしあわせな気持ちになれるのー」 ぷらぷら

男 「じゃあ俺はこの弁当箱をどこに置いて食べれば……」

女 「もうちょっと頭下げて」 とん

男 「いや。そっちの弁当箱置き場じゃなくて、こっちの話」

女 「あと、これ、もうちょっと置きやすく平らにならないかなー?」 ぺこんぺこん

男 「まことに遺憾ながら、幼い頃より四角い枠で覆っておかなかったもんで……」

女 「もー。次はちゃんと気をつけてよー」

女 「跳び箱って高ければ高いほどワクワクするじゃーん?」

男 「潜みたいの?」

女 「潜まないよ! 潜ませてなにさせたいの! きみも一緒なら考えるけど!!」

男 「たぶん、体育倉庫臭いと思う」

女 「おまえ一人で勝手に潜めェ!!」

男 「はい」

女 「高ーい跳び箱の上に座ってまわり見てると楽しいでしょ!」

男 「それは上手く跳べなかっただけじゃないかな」

女 「違う! 高い所は通過点にしちゃあいけない! 到達点であるべきなんだ!!」

男 「なるほど。つまり跳べないんだ」

女 「仏さまってずるいよねー」

男 「金ぴかだから?」

女 「蓮華の上とか象の上とか邪鬼の上とか、だいたい高いとこに座ってたり立ってたりするじゃーん」

男 「ものによっては心地悪いと思うよあれ」

女 「人はみなひとしく仏性を備えてるはずなのに、なんでわたしには台座がないの? きみのせいなの!?」

男 「心当たりはございません」

女 「それはいいから、ちょっとそこ、四つん這いになってみて!」

男 「……座るだけなら座布団じゃだめなの?」

女 「たわけェ! 座布団だと山田くんに持っていかれるだろうがァ!」 

男 「そこに気づくとは……やはり天才か」

畳 「でん」

先生「なんでおまえの机の下に畳が……一枚だけ……」

女 「畳一枚分とはいえ、この高さは全日本人あこがれの、あの高さでございますので」 オホホホホ

先生「……上様ごっこは学校じゃなく家でやれ」

女 「え? わたしが家から持ってきた畳ですよ!?」

男 「え? 俺が家から運ばされた畳ですよ!?」

先生「ああそう。力持ちだね……」

女 「パーソナルスペースに畳一枚ってのは、畳本来の使い方じゃないですか!」

先生「……寝殿造りごっこは学校じゃなく家でやれ」

女 「家じゃだめなの! 畳一枚分の絶対的な高さは、居並ぶ群臣を見下ろしてこそ!」

男 「こいつ一番後ろの席になってなんか変なスイッチ入っちゃったみたいでー」

先生「……おまえらもう早退していいから、とっとと畳持って帰れ」

渓流「さらさら」

女 「お。いい岩発見」 よじよじ

男 「煙でもないのによく登る子だね」

女 「きみの甲斐性を考えると、この辺が限度かなって」

男 「は?」

女 「ピラミッドは無理でも、石舞台古墳ぐらいならきみの未来の稼ぎでも作れそうじゃん?」

男 「また斬新なプロポーズですな」

女 「このくらいの大岩を十個ぐらい積んで、その上に葬って」 ごろん

男 「……上でいいの?」

風 「そよそよ」

女 「わりと気分爽快」 うぞうぞ

男 「骨壺に爽快もクソもないと思いますがね」

女 「ホントはピラミッドのてっぺんの石がわりに置いてほしかったのに、きみに甲斐性がないから……」 ぐすん

男 「稼ぎが悪い予定でまことに申し訳ない」 ぺこり

女 「突然だが」

男 「ん?」

女 「墓石に登ってみたい」 わくわく

男 「もし自分が墓石に登られたらどう思う?」

女 「死んだら嫌でも墓石の方が人間さまの上じゃねーか!」 くわっ

男 「あれって登ってたんだ」

女 「乗られっぱなしの人生でいいの!? それでもちんちんついてんのかきみは!」

男 「墓石に乗られた時はもう人生終わってるよさっき便所行った時点ではついてたよ」

女 「正論はいらん! いま我々に必要なのは登り放題の墓石だ!!」

男 「墓石の代わりに脚立でも立てとけばいいんじゃないですかね」

○ 「ちょこん」

女 「あ、またバレーボール引っかかってる」

男 「体育館の天井ってのはそういうもんだよ」

女 「……バレーボールが引っかかってていいんなr

男 「いくら高いとこが好きでも、人間は引っかかっちゃだめだよ」

女 「うっかり引っかけるか、うっかり引っかかるかの違いしかないじゃん!」 むふー

男 「引っかかった人間を落とそうとして人間を打ち上げたがる奴が出て危ないからだめだよ」

女 「……それもそっかあ」

男 「そこの窓廻りで我慢しとこかー」

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