黒咲隼「歓楽都市に行くぞ、ユート!」ユート「歓楽…?ああ、海上都市のことか」 (140)


注意事項

   このSSはカードゲームアニメ『遊戯王Ark-V』と18禁ゲーム『DRACU-RIOT!( ドラクリオット!)』のクロスオーバーものです
   
   キャラ崩壊が多々あります(特に黒咲さんがひどい)

   デュエルは滅多にしません



      それでも大丈夫、という方はよろしくお願いします

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1420639681



黒咲「そうだ。海上都市…通称歓楽都市」

黒咲「このハートランドに並ぶ近未来都市にして、この国唯一にして最初のカジノが存在する都市…」

黒咲「今回の長期休暇は、そこで過ごす」

ユート「そうか、土産には期待している」

黒咲「何を言っている。お前も一緒に行くんだぞ、ユート」

ユート「残念だが、今の俺にそんな金はない」

黒咲「ふっ…見ろ」ピラ

ユート「なんだこれは?」

黒咲「福引で当たった。歓楽都市のペアチケットだ」

黒咲「ホテルや交通費はこれでただ同然。遊ぶための金さえあれば問題ない」

黒咲「さあ!行くぞユート!」

ユート「ペアチケットなら、瑠璃とお前で枠が埋まるだろう。瑠璃が断って俺に回ってきたのか?」

黒咲「いや…今回の目的は瑠璃がいては達成しにくいからな」

ユート「目的?」

黒咲「ああ。歓楽都市といえば…ほら、アレだろう?」

ユート「アレ?ああ、アレか」


黒咲「こういうことに瑠璃を巻き込むわけにはいかないからな」

ユート「…なるほどな」

ユート(確かに、兄がカジノに行くのにいい顔はしないだろうな…)

黒咲「他に同行を求められる友人もお前以外にはいない…頼む、俺を一人でいかせないでくれ!」

ユート「はぁ…分かった。着いていこう」

ユート「ただし、やり過ぎないよう、お目付け役として、だ」

黒咲「ユート…!」

ユート「こんな下らないことで破産されたら、いくらなんでも瑠璃が不憫だしな」

数日後

ユート「で、無事海上都市にはついたわけだが…」

黒咲「流石に入島審査は厳しかったな」

ユート「ハートランドへの出入りもあんなものだっただろう」

黒咲「そうだったか?」

ユート「まぁ、今はそんなことはどうでもいい」

ユート「完全に迷ってしまった道をどう戻すか…それが一番の問題だ」

ユート「今やカジノがどっちの方向だったかさえ定かではない」

黒咲「カジノ…?ユート、そんなものに興味があったのか?」

ユート「ない。だが隼は行くんだろう?」

ユート「お目付け役で来たんだから、俺も同行する」


黒咲「何を言っているんだ、ユート?」

ユート「…?」

黒咲「俺はギャンブルに興味などない。もちろん、カジノなんて行くつもりも毛頭ない」

ユート「なら、何が目的だったんだ?」

ユート「瑠璃に隠すってことは、普通の観光が目的ってわけじゃないだろう?」

黒咲「ふん、そんなものは決まっている」

黒咲「風俗店で、脱 、童貞だ!!」

ボコッ

黒咲「なっ…!?」

ユート「全く、お前という奴は…」


黒咲「ぐっ…だがまだ甘い」

ユート「っ耐えた…だと!?」

ユート「く…耐えられてしまったからには仕方ない。話を聞こう」

黒咲「ふ…それでいい」

ユート「それで、目的が風俗店だというのは…」

黒咲「無論、本気だ」

黒咲「いつまでも童貞などというのは瑠璃の兄として恥ずべきことだ」

黒咲「胸を張って瑠璃の兄でいるためにも、この童貞、早く捨てなければと常々思っていた」

黒咲「そこにこのペアチケットだ。歓楽都市というからには、そっちの店もレベルが高いに違いない」


黒咲「話によると、行政の管理する政府公認の店まであるというしな」

ユート「隼…俺は素人童貞で胸を張る友なんて見たくない」

黒咲「何とでも言え、ユート」

黒咲「というか、お前は脱童貞しなくていいのか?」

ユート「金を払ってまで捨てようとは思わない」

ユート「それで、結局お前の目的は風俗店ということでいいんだな」

黒咲「ああ」

ユート「なら、ここからは別行動だ」

黒咲「な…待て!お目付け役はどうした!」

ユート「友の行為を見ていろと?」

ユート「俺は先にホテルに戻っておく。幸い、帰り道程度なら覚えているしな」

コツコツコツ



黒咲「く…仕方ない」

黒咲「おい、そこの!」

女の子「…私?」

黒咲「そうだ、少し聞きたいことがある」

女の子「ちょっと、それが人にものを頼む態度?」

黒咲「風俗店へは、ここからどう行けばいい?」

女の子「だからそれが…って、へ?風俗店!?」

黒咲「そうだ」


ユート「隼!天下の往来でなんてものを尋ねている!?」

ボコッ

黒咲「ぐっ…!?」

バタン

女の子「え、えっと…」

ユート「すまない、俺のツレだ」

ユート「こいつは俺が責任を持って連れ帰る。迷惑をかけた」


女の子「は、はぁ…それじゃ、さよなら、でいいのかしら?」

ズルズルズル

女の子「…なんなの、あの人たち」

女の子(にしても、なーんか見覚えある顔だったなぁ…)


ズルズルズルズル

黒咲「ぐ…ぅ…」

ユート「起きたか、隼」

黒咲「ゆ、ユート…?」

ユート「全く、あんなことを女性に聞くなんて、恥がないのか」

黒咲「仕方ないだろう…他に通行人なんて誰もいなかったんだから」

ユート「あんな裏路地なら当然だ」

ユート「もう少し人通りの多い場所で、それっぽい中年親父にでも聞いておくんだったな」

黒咲「……」


ユート「しかし、こんなところにいるということは彼女も道に迷っていたのか?」

黒咲「…だとしたら、こんなところに女性一人など、危険極まりないな」

ユート「…今からでも引き返して、もう少し明るいところに出るまでは同行すべきか」

黒咲「…そうだな。冷静に思い返してみれば、彼女には迷惑もかけたことだし」

ユート「最初から冷静でいてくれ…頼むから」

ガンッ

ユート「!?」

黒咲「今の音…さっきの方角からだな」


ガンッ

女の子「っ…なんなのよ!いきなり」

男「うるさい!いいからついて、来い」

ボコッ

女の子「ぐ…ぅ、あ…」

バタ

キキィ

男2「確保したか?」

男「ああ、この通りだ」

男2「よし、早く車に乗せろ」


男「了解っ…と」

ユート「おい、お前たち!」

男2「ヤバイ、見られたか!?」

男「顔は大丈夫だ。早く出せ!」

ブロロロロロ…

ユート「く…遅かったか」

隼「所謂、誘拐というやつか…追うぞ」

ユート「ああ!」

タタタタタ


タタタタタ

黒咲「大通りに出たか」

ユート「まさか、こんな近くに出口があったとは」

黒咲「好都合だな…おい、そこの」

モブ男「へ?俺」

黒咲「緊急事態だ。そのバイクを貸せ」

モブ男「は?何言って…」

ボコッ

モブ男「ぅげ…」バタン

黒咲「乗れ、ユート!」

ユート「あ、ああ…」


数十分後

キィ

ユート「…ここか」

黒咲「ああ。間違いない。泊めてある車のナンバープレートも一致している」

ユート「まずは様子見をしてから突入か」

黒咲「ああ、慎重に…慎重にいくぞ」

コツコツコツ

ユート(ん?足音?)

男3「おい」

ユート(しまった…見つかったか!?)

ユート「くっ…仕方ない」

ボコッ

男3「な…ぁ?」バタン


「おい、なんだ、今の音?」

「もしかして、さっきの奴ら…」

黒咲「やはり勘づかれたか…」

黒咲「突入するぞ、ユート!」

ユート「ああ!」

ダダダダ


女の子「な…アナタたち!?」

男「あ、こいつら、やっぱりさっきの…」

女「つけられてたのに気づかなかったの?全く…」

男2「な、なんにしても…見られたからには返すわけにはいかねぇ」

ユート「デュエルだ!」


女「はぁ?」

ユート「3対2でいい。俺達が勝ったら、彼女を解放してもらう!」

女「は…は」

女「はははははは!」

女「あんたら、外から来た人間だろ!」

ユート「…?」

女「悪いけど、外のルールなんて、この都市じゃ通用しないんだ」

女「外じゃ万能のデュエルも、この都市じゃただのカードゲーム。この都市で全てを決めるのはね」

女「正真正銘、本物の力だけ、なんだよ!」


ダッ…ボゴッ

女「……へ?」

黒咲「全てを決めるのは本物の力のみ」

黒咲「つまり、こういうことだろう?」

男2「あ…が」

黒咲「ふん、まだ意識があったか」バキン

男2「お、お…」ガクン

黒咲「さぁ…次は、お前たちだ!」

今日はここまでで

黒崎さんとそのファンの皆様、申し訳ありませんでしたm(_ _)m


男「嘘だろ…あんなあっさり」

男「い、いや、だったら人質を!」

女の子「人質を?」

男「は、は?なんで…どうして縄が!?」

ユート「隼に気をとられて俺のことを忘れていただろう?」

男「な…なっ」ゴキン

バタン

黒咲「これで人質もいない。残りは一人だけ」

黒咲「終わりだな」

女「く…くはははは」


ユート「何がおかしい?」

女「違う…違うよ」

女「私が言った本物の力ってのは、そういうものじゃないんだ」

黒咲「なに?」

女「見なよ…これが、本物の力ってやつさ!なぁ!」

「ギアアアアアアアアァアアアアアア!」

ユート「!?」

黒咲「モンスターの声…?近くでデュエルが!?」

「レディース アーンド ジェントルマーン!」


黒咲「っ!?」

ユート「なんだ、あいつ…?」

黒咲「ドラゴンに乗っている…?」

黒咲「あのドラゴン…まさかソリッドビジョンではなく、本物の…」

ユート「っ」ドクン

ユート(なんだ、この動悸…あのドラゴンか?いや…)

少年「ようこそ、黒い服のお二方!歓楽都市、アクアエデンへ。これよりはじまりますは吸血鬼による魅惑のナイトショー!」

少年「この私、榊遊矢の華麗な逮捕劇で、皆様の視線を釘付けにして差し上げましょう!」

女「そう、これこそが私が最後まで隠していた伏兵!」

女「正真正銘、本物の…って、逮捕劇?」


少年「お楽しみは、これからだ!!」

竜「ギアアアアアアアアァアアアアアア!」

ゴァァァァァアア

女「あ、あ……」

女「ああぁああああ!?」グシャ

少年「っと」トン

少年「なにやってるんだよ、一般人巻き込むなんて」

女の子「……そうね、ちょっと失敗したわ」

少年「はぁ…っと、大丈夫ですか?二人とも」


黒咲「おい、今のはなんだ?お前たちは一体…?」

少年「詳しくは話せないんですけど…囮捜査みたいなものだったんですよ」

女の子「その…本当にごめんなさい、巻き込んでしまって」

黒咲「そんな言葉で納得できると思っているのか!?さっきのドラゴンは…あれは明らかに」

「全くだ、そんなんじゃ納得できんよなぁ」コン

女の子「主任!?」

主任「だが、これで納得してもらうしかないんだよ。それがこの街のルールだ」

遊矢「主任、とりあえず無力化はしましたよ」

遊矢「ほとんどこの二人のお陰ですけど」


主任「ああ…すまなかったな、 こんなことなって」

主任「協力感謝する…それから、榊!」

遊矢「はい?」

主任「迂闊に能力を一般人にさらすな。お蔭で少々面倒なことなった」

遊矢「俺は作戦通りに…」

主任「襲撃しろ、とは言ったが能力を使えとは言ってない」

主任「あれだけ吸えば身体能力だけで充分制圧出来るだろうが」

主任「それと、あの派手な登場はなんだ?」

遊矢「え?ダメでした?」


遊矢「ニコラにも太鼓判押してもらった自信作だったんだけどなぁ」

主任「お前なぁ…」

黒咲「おい、さっさと俺たちに説明を…」

バタン

黒咲「…ん?」

女の子「ちょ…ちょっと貴方、大丈夫!?」

ユート「っ…ぁあ」ドクン…ドクン

黒咲「ユート!?ユート!!」

遊矢「へ?…おい、ちょっと!?」

ユート「あ…あぁああああああぁああぁあ!?」

黒咲「ユートォォオオオオ!?」




「ぅあ…ん?」

「ユート!起きたか、ユート!!」

ユート「…隼?ここは…?」

黒咲「病院だ。もう二日も寝込んでいたんだぞ」

ユート「二日も!?」ガバッ

黒咲「ああ。それから…」

女の子「待って」

ユート「…君もいたのか」


女の子「ええ…矢来美羽よ。よろしく」

ユート「ああ、よろしく」

美羽「それで、ここから先は専門家に聞いたほうがいいと思うの」

ユート「専門家に?」

美羽「ええ」カチッ

美羽『すみません、今目を覚ましましたから、先生を呼んでいただけます?』

カチッ

黒咲「…あの男か」

ユート「…?どうした、隼?」

黒咲「いや、なんでもない」

ガラッ


白衣の男「やぁ、無事目を覚ましたみたいだね」

白衣の男「僕は扇元樹。この島で医者をしているんだ。よろしく」

元樹「それで、まずは君の症状だけど…」

ユート「症状?」

元樹「単刀直入に言おう。君は吸血鬼になったんだ」

ユート「…は?」チラ

黒咲「…どうやら、本当のことらしい」

ユート「そうか…吸血鬼に」


元樹「…意外と簡単に納得するんだね」

元樹「君は吸血の現場も見ていないとのことだったから、理解してもらうのにちょっと手間がかかると思っていたんだけど」

ユート「隼は俺より余程疑り深いからな。そんな隼が信じるようなことなら、間違いはないだろう」

元樹「そうか…話がスムーズに進んで助かるよ」

ユート「それで、俺は一体どうして吸血鬼に?」

元樹「それは……」

美羽「…分からないの」


ユート「分からない?」

元樹「基本的に吸血鬼っていうのは先天的なものなんだけど、人間が吸血鬼になる方法もないこともないんだ」

元樹「ただ、その方法は吸血鬼の血液を数日に渡って飲み続けること…君の場合は、一滴も飲んでないんだよね」

ユート「ああ…そんなものを飲んだ覚えはない」

元樹「だよね…吸血鬼化も早い段階ならワクチンで抑えることも出来るはずなんだけど、君の場合はそれさえも受けつかなかった」

元樹「…全く、こうも例外が続くと、吸血鬼ウイルスへの認識自体が違っていたんじゃないかと疑ってしまうよ」

美羽「…?他にも例外が…?」


元樹「え?あ、そうか、君は知らないんだったね」

美羽「…?」

元樹「まぁ、何にしても…君はこれから、吸血鬼としての人生を歩むことになった」

元樹「僕の腕が未熟だったばかりに…申し訳ない」

ユート「いや…例外なら仕方ないだろう。どうしようもないことだ。少なくとも、俺は気にしていない」

元樹「…そう言ってくれると助かるよ」

元樹「それじゃ、ここからは吸血鬼になったことで変わったことについて話そうか」


元樹「まず、身体能力や五感だね。これは人間だった頃からは大分上がってるはずだよ」

元樹「それから…そうだね、吸血鬼といえば、君は何を思い付く?」

ユート「鏡に写らず、影がない。十字架やニンニク、流れる水が弱点で、心臓に杭を刺すと死ぬ…コウモリを従えていて、日光を浴びると灰になる。そして…人の血を吸って生きている」

元樹「ふむ…じゃあ、その辺りの説明からしようか」

元樹「その中で事実といえるものは…まず、流れる水。確かに海水はダメだね。でも、全ての水がダメってわけじゃない」

元樹「それから、心臓に杭を刺せば死ぬ。大抵の生物と同じようにね」

元樹「日光も、流石に灰になりはしないけど、苦手ではあるよ。あまり長時間日光を浴びるのはお勧めできないな」


元樹「あとは吸血。確かに吸血鬼にとっては必要なことだけど、理性で抑えることは出来るから、無差別にその辺の人を襲う必要はない」

元樹「吸血する量にしてもそこまで多くはないよ。少なくとも、相手を失血死させる、なんて心配はいらないんじゃないかな?」

ユート「なるほど…」

元樹「他のはほとんど出任せみたいなものだよ。あと、最後に一つ」

ユート「…?」

元樹「吸血鬼になった以上、君はもう、この島からでることは許されない」

ガン

元樹「っ!?」

黒咲「どういうことだ…俺は聞いていないぞ、そんなこと!」

元樹「……」


ユート「隼」

黒咲「ユートをこの島に閉じ込めてどうするつもりだ!?珍しいケースだからと、実験動物にでも」

ユート「隼!もういい!」

黒咲「ユート…」

ユート「俺のために怒ってくれるのは嬉しいが、このままでは話が進まない。それに、予想くらいは出来ていたことだ」

黒咲「…」

ユート「この街が海上につくられ、一本の橋を除けば侵入手段がないのは吸血鬼を閉じ込めるためなんだろう?」

ユート「吸血鬼は海水に弱いとの話だったしな」


元樹「理解が早くて助かるよ」

ユート「それに、吸血鬼になってしまった以上、普通の街での生活は難しいだろうしな」

黒咲「…瑠璃は多分、納得しないぞ。俺と同じように」

ユート「それは…そうかもしれないが」

ガラッ

黒咲「っ!?」

美羽「遊矢?」

ユート「遊矢…?ああ、あの時の…」

少年「目が覚めたって、本当…みたい、だな」


ユート「君も見舞いに来てくれていたのか…ありがとう」

遊矢「え?いや、その…」

遊矢「ごめんなさい!」ペコリ

ユート「どうしたんだ、いきなり?」

遊矢「多分…その、吸血鬼化の原因は俺だと思うから」

ユート「君が原因?…」

遊矢「あの時吸血鬼の力を使っていたのは俺だけ…だから、何かしらの原因があるとすればそれは俺のはずなんだ」

遊矢「俺自身も…その、ちょっとおかしな吸血鬼だし」

ユート「そういうことか…」


遊矢「本当にごめん、俺が調子に乗ってあんなことしなかったら…」

ユート「いい。俺は気にしてない」

黒咲「ユート…」

ユート「そもそも、本当に君が原因なのか定かではないし、仮に君が原因だったとしても故意にやったわけじゃないんだろ?事故だよ、事故」

遊矢「でも、もう故郷には帰れないんだぞ…家族とも友達とも、もう会えない」

ユート「確かに…少し寂しいが、今生の別れと言うわけではない。電話やメールもあるし…多分、この島まで会いに来てくれるやつだっている」


遊矢「…強いんだな。俺はとてもそんな風には…」

ユート「…ユートだ」

遊矢「え?」

ユート「俺の名前、ユートと呼んでくれ」

遊矢「ユート…?」

ユート「…あの時は暗くてよく見えなかったが、似ているんだな、君と俺の顔は」

遊矢「……」


ユート「遊矢。君はさっき、俺が友達と別れることになって寂しいだろう、と言った」

ユート「ならば、君がなってくれないか?俺の…この新天地での、最初の友に」

遊矢「ああ…ああ!」

遊矢「俺の名前は榊遊矢…よろしく!」

ユート「ああ、よろしく、遊矢」

美羽「……」


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元樹「それじゃ、僕はそろそろ戻るよ」

ユート「ああ、時間をとらせてすまない」

元樹「一応、もう外を出歩いて大丈夫だから。見たところ、身体に異常はないみたいだしね」

ユート「…分かった」

元樹「それじゃ、お大事に…それから、黒咲くん」

黒咲「なんだ?」

元樹「話があるんだ、付いてきてくれるかな?」

黒咲「……」

カツカツ…ガラッ


美羽「……」

遊矢「…うん」

遊矢「俺も、一旦戻るよ」

ユート「そうか…またな、遊矢」

遊矢「ああ。また」

ガラッ

美羽「……あの」

ユート「ん?」

美羽「少し、話があるの」

ユート「…話?」


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黒咲「それで、話とはなんだ?」

元樹「君の今後について」

黒咲「俺の今後?」

元樹「一応、吸血鬼のことを知った人物をそのままにしておくわけにもいかないからね」

元樹「本土に帰るなら、そのことに関する記憶を書き換えておく必要があるんだ」

黒咲「…つまり、俺からユートが吸血鬼となった、という記憶を奪うということか?」

元樹「そうなるね」


黒咲「ふざけているのか!」

ガン

元樹「……」

元樹「僕もね、君がそういうことを吹聴する性格だとは思ってないよ」

元樹「でも、吸血鬼の秘密は漏らすわけにはいかないんだ。それに、度々話に出ていた瑠璃って子には言わないわけにはいかないんだろう?」

黒咲「それは…そうだが…」

元樹「一応、僕のほうで誤魔化すことぐらいは出来るかもしれない。でも、やっぱりそれにもそれなりのリスクが伴う」


元樹「君の前にある選択肢は三つ」

元樹「一つは、吸血鬼のことに関する記憶を失って本土に戻ること」

元樹「一つは、吸血鬼の記憶を保ったままこの街で過ごすこと」

元樹「一つは、リスクを承知で、僕の手引きで吸血鬼の記憶を保ったまま本土に戻ること」

元樹「けれどこの方法は、最悪君だけでなく、君の故郷にも被害が及ぶこともあるかもしれない。君達が言っていた瑠璃って子にもね」

黒咲「……」

元樹「…時間はある。ゆっくり考えてくれたらいいよ」


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遊矢「大きく振れれば…大きく、戻る」

遊矢「怖がって縮こまっていたら、何もできない…」

遊矢「……俺は」

「ユーヤ?」

遊矢「っ!?」

「またやってるの?」

遊矢「エリナ…?何やってるんだ、こんな時間に」

エリナ「ん?ちょっと目が覚めちゃってね」


エリナ「そしたら、ユーヤが屋根の上にいたから声かけたの」

エリナ「ユーヤこそ、なんでこんな真っ昼間に?」

遊矢「俺は…ちょっと、考えごと」

エリナ「ふーん…でも、こんな時間にこんなとこいて、気分悪くならない?」

遊矢「いいんだ…多分、そのくらいが丁度いい」

エリナ「丁度いい、ねぇ…」

エリナ「ユーヤ、よくそのネックレス、振り子みたいにして目の前で揺らしてるよね?」


遊矢「こうすると、少し心が落ち着くんだ」

遊矢「それに…大事な声や、言葉を思い出す」

エリナ「でも…」

遊矢「ん?」

エリナ「……ううん、なんでもない」

遊矢「……?」

エリナ「…それで、何考えてたの?」

遊矢「俺も、そろそろ前を向かなきゃなって」


エリナ「前を?」

遊矢「俺はもうこの街の住人なんだし、いつまでも舞網のことを引きずってるわけにはいかないだろ」

エリナ「…ユーヤは、充分やってるよ」

エリナ「まだ吸血鬼になって1ヶ月足らずなのに、凄いと思う」

遊矢「……そう、かな?」

エリナ「信じられない?エリナの言うこと」

遊矢「そういうわけじゃないけど…」

エリナ「…そろそろ、部屋に戻るよ。眠気も戻ってきたし」


遊矢「あ、ああ」

エリナ「あんまり長い間そんなとこにいて、体調崩したりしないようにね」

遊矢「ああ、俺もすぐ戻るよ」

エリナ「そう…それじゃ、おやすみ」

遊矢「おやすみ、エリナ」

カツカツカツカツ

遊矢「…さて」

遊矢「美羽、上手くやってるかな?」

遊矢「大概素直じゃない性格してるからな…あいつ」

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美羽「その…ごめん、なさい」

ユート「三回目か…よく謝罪を聞く一日だな」

ユート「だが、気に病むことはない。君は俺を巻き込んだことを後悔しているんだろうが、勝手に首を突っ込んだのは俺達のほうだからな」

美羽「でも……」

ユート「何も死んだわけじゃない。四肢もちゃんと動くし、頭だって正常だ」

ユート「人間から吸血鬼になった、ただそれだけのこと。昼に活動しにくいのと、海に行けないことを除けばむしろ得をしている」


美羽「……もう、故郷にも戻れないのに?」

ユート「それに関しては、さっき遊矢にも言った」

美羽「それは…そうだけど」

ユート「…そうだな。多分、それだけ言っても君は納得しないだろう」

ユート「なら、こうしよう。君が責任を感じているなら、俺の頼みごとを一つ聞いてくれないか?」

美羽「貴方の…頼みごと?」

ユート「ああ。それで貸し借り0。イーブンだ」


美羽「……分かったわ」

美羽「…ありがとう、少し気分が楽になった」

ユート「そうか…なら良かった」

美羽「それで、頼みごとって?」

ユート「ああ、安心してくれ。そんなに難しいことじゃない」

ユート「ただ、今の時間はまずいか…そうだな」

ユート「今日の夜、ちょっとこの部屋に来てほしい」

今夜はここまで、おやすみなさい

あと、>>1に書き忘れたけど、ドラクリ側の設定がかなり遊戯王に侵食されています

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トントン

ユート「どうぞ」

ガチャ

美羽「っと、失礼します」

ユート「来てくれたか」

美羽「そ、それで?こんな時間に呼び出して、なんのつもり?」

ユート「こんな時間?吸血鬼にとっては普通だろう?」

美羽「でも、あなたは吸血鬼になりたてだし…人間の感覚でいえば、夜に異性を部屋に呼ぶっていうのは…」

美羽「つまり、その…」


ユート「いや待て!誤解だ!俺は君に島の案内を頼みたかっただけで…」

美羽「島の案内?」

ユート「これから俺が過ごすことになる場所なんだろう?」

美羽「あ、あー…ま、まぁ、分かっていたわよ。勿論」

美羽「あなたみたいな童貞に、そんな度胸あるわけないものね」

ユート「そんな顔を赤くして罵られても…というか、何故俺が童貞だと?」


美羽「最初に会ったとき、お友達が言ってたじゃない」

ユート「…聞こえていたのか」

美羽「ええ、ばっちり」

ユート「隼め…」

美羽「くふふ…それじゃ、早速出掛けましょうか」

ユート「…ああ、よろしく頼む」


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ユート「随分と賑やかだな…こんな時間なのに」

美羽「吸血鬼がやってるお店とか、そもそも吸血鬼だけを対象にしたお店もあるもの」

美羽「本当の意味で、眠らない街ってとこかしら?」

ユート「眠らない街、か…」

美羽「それで、これからどうする?とりあえず、必要なお店はもう回ったつもりだけど」

ユート「そうだな…なら、カードショップが何処にあるかは知らないか?」


美羽「あー…私はあんまりデュエルしないし、一応デッキはもってるけど、それも貰い物なのよ」

美羽「だから、カードショップの場所なんて分からないわ。遊矢なら知ってると思うけど」

ユート「そうか…なら、明日にでも案内してもらおう」

美羽「外の世界だと、やっぱりデュエルって重要なの?」

ユート「重要というか…まぁ、メジャーな娯楽って感じか」

ユート「ここじゃああんまり流行ってないのか?」


美羽「ええ、カードゲームとしてはあんまり流行ってないわ」

美羽「一応、カジノにもデュエルのコーナーはあるみたいだけど」

ユート「カジノにそんなコーナーが…?」

美羽「外から来たお客さんには好評みたい」

ユート「しかし…そんなに流行っていないというなら、遊矢は中々珍しい趣味の持ち主だったんだな」

美羽「…?なんで遊矢がデュエルするって知ってるの?」


ユート「あの事件で召喚していただろう?」

ユート「デュエルディスクを介していたし、間違いなくモンスターのはずだ」

美羽「ああ…なるほど、そこね」

ユート「…?何か間違っていたか?」

美羽「いえ、間違ってはいないわ。確かに遊矢もデュエリストよ」

美羽「今まで全然気にしたことなかったけど、確かに珍しい趣味かもね」


美羽「私はニコラって友達に誘われてデッキ貰ったんだけど、遊矢はニコラに会う前からデッキ持ってたし…」

美羽「でもまぁ、あの子は色々変わってるから。あんまり気にしたことはなかったわね」

ユート「変わっているのか?」

美羽「そうね。ちょっとだけ…あ、別に悪い意味で言ってるわけじゃ」

ユート「それは分かってる。少なくとも悪い奴には見えなかったしな」


美羽「それで、他にリクエストは?」

ユート「カードショップ以外で俺が聞きたいことは特にないな…今のところは」

美羽「んー…なら、ちょっと飲みにいかない?」

美羽「お気に入りの店が近くにあるのよ。きっと貴方も気に入ると思う」

ユート「飲みに?」


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ユート「アレキサンド…ここか?」

美羽「ええ」

カランコロン

「いらっしゃいませ。ようこそ、アレキサンドへ」

美羽「こんばんは、大房さん。席は空いてるかしら?」

大房「カウンター席ですか?」


美羽「いえ、今夜は連れがいるから、テーブル席をお願いできるかしら?出来れば、でいいんだけど」

大房「連れ…って、榊さん!?さっきまでいらしてましたよね?」

美羽「いえ、違うわ。そっくりではあるけど、別人」

大房「え?もしかして双子のお兄さんとか?」

ユート「いや、他人の空似だ。血縁関係はない」

大房「は、はぁ…では、テーブル席までご案内致します」

大房「こちらですよ」

スタスタスタ


ガタ

大房「では、ご注文が決まりましたら…」

美羽「あ、私はチャイナブルーで。この子も」

ユート「チャイナブルー…?」

大房「ライチリキュールとグレープフルーツジュースにトニックを適量、ブルーキュラソーで綺麗な青色に仕上げたカクテルですね」

ユート「カクテル…?ということは、アルコール飲料なのか?」

ユート「…感心しないな」

大房「え?あ、もしかして」


美羽「いえ、彼も吸血鬼よ。ただ、お酒を飲むのははじめてってだけ」

大房「ああ、なるほど、そういうことですか」

ユート「……?」

美羽「それじゃ、そういうことだからこの子にも同じものを」

大房「はい、チャイナブルーを二つ、ですね。畏まりました」

スタスタスタ

ユート「…おい、」

美羽「いいから、騙されたと思って飲んでみなさい」


コト

「お待たせしました」

美羽「ええ、ありがとう」

美羽「稲叢さん、今日シフトだったのね」

ユート「知り合いか?」

美羽「ええ…学院の後輩よ。稲叢莉音さん」

莉音「はじめまして、稲叢莉音です」

ユート「ああ、はじめまして」


莉音「大房さんに聞いてはいたんですけど、本当に榊さんとそっくりなんですね」

ユート「…?遊矢とも知り合いなのか、君は」

莉音「はい、クラスメートですよ」

ユート「…クラスメート?」

ユート「失礼だが、君は高校生…だよな?」

莉音「…?ええ、矢来さんと同じ学院に通わせてもらってます」

美羽「言ったでしょ?私の後輩って」


ユート「……そうか」

ユート(遊矢、年上だったんだな…てっきり同い年か年下かと)

莉音「それにしても…ふふ、矢来先輩」

美羽「なに?」

莉音「男の人とのデートなら、ちゃんと言ってて下さいよ。ちゃんとお祝いも用意したのに」

美羽「へ…?い、いや!」

美羽「違うわよ…ユートとはそんな関係じゃないわ」


莉音「そうなんですか?でも珍しいですよ、矢来さんが私たち意外のお友達連れてくるのって」

美羽「ま、まぁね。ちょっと色々あって」

美羽「そもそも、本当に彼氏なら知り合いが働いてる店になんて来るわけないでしょう?」

莉音「なら、彼氏を自慢しに来たんじゃないんですね…ちょっとがっかりです」

美羽「貴女ねぇ…私を彼氏を自信満々に友達に自慢するようなタイプだと思ってたの?」

莉音「え、えーっと…」

美羽「え?ちょっと待って!その反応ってことは本当に思ってたの!?」


莉音「か、彼氏さんも自慢したくなるのも分かる程にはカッコいいですし…ね?」

美羽「だ、だから彼氏じゃないって…」

美羽「ちょっと街の案内をしてたの。彼、ちょっと訳ありで最近こっちに来たばかりだから」

莉音「そうなんですか?」

美羽「そうなの…ね?」

ユート「ああ。彼女のお陰で新しい生活もなんとかなりそうだ」

莉音「ふふ、それは何よりです」


美羽「それじゃ、誤解も解けたところでいただきましょうか」

ユート「ん、ああ」

美羽「いただきます」

ゴクゴク

美羽「…ふぅ」

美羽「相変わらず美味しいわね」

莉音「ありがとうございます」


美羽「ほら、ユートも」

ユート「…いただきます」

ゴクゴクゴクゴク

ユート「っ…?」

ユート「なんだ、思ったより普通に飲めるな。アルコール度数は…」

美羽「度数はあんまり関係ないわよ。どんなに高いの飲んでも一緒だから」

ユート「…?」

美羽「吸血鬼はね、酔わないの」


ユート「酔わない?」

美羽「本当はスピリタスみたいなドギツイのだと分かりやすかったんだけど」

美羽「吸血鬼はアルコールに酔わないの。まるで水みたいに受け入れてしまう」

美羽「煙草とか麻薬といった嗜好品もダメ。全部無効」

美羽「今、この街の市長をしているのは吸血鬼なんだけど、この街を吸血鬼が牛耳っている限りは覚醒剤なんて滅多なことでもない限り流行らないでしょうね」

美羽「逆にそれが分かってるからこそ、この街を吸血鬼が支配できている、と言えるのかもしれないけれど」

ユート「確かに、歓楽都市として栄えているこの島で覚醒剤なんて流行ったら冗談じゃすまない事態になるな…」


ユート「…しかし」

美羽「…?」

ユート「アルコールで酔わないのなら、わざわざアルコール飲料を飲む必要があるのか?酔わないならジュースと変わらないだろう?」

莉音「っふふ」

ユート「…?」

莉音「榊さんも最初ここに来たとき同じこと言ってましたよ」

ユート「遊矢が?」

莉音「雰囲気なんかは全然違いますけど、でも、容姿以外にも似てるところは結構あるのかもしれませんね」


美羽「遊矢っていえば、大房さんが言ってたけど」

美羽「私達の少し前に来てたの?」

莉音「はい。ちょっと不機嫌そうだったから声はあまり掛けませんでしたけど」

美羽「不機嫌って…遊矢が?」

莉音「はい」

美羽「意外ね、あの子、イライラしてもあんまり周囲に気付かせないタイプだと思ってたのに」

莉音「あと、髪もいつもと違ってましたよ。色も髪型も昨日までとは全然」


美羽「全然違うって…どんな感じに?」

莉音「えっと…うーん…バナナ、みたいな?」

美羽「バナナ?」

莉音「そう、バナナですよ、バナナ!まさにバナナって感じでした!」

美羽「え?なに、その髪型…?バナナみたいな髪型って…ますます想像しにくく」

美羽「いや…何にしても、センスは最悪みたいね…帰ったらやめるよう言い聞かせないと」


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病院前

ユート「ありがとう。今日は色々助かった」

美羽「どういたしまして。私も楽しかったわよ」

美羽「そういえば、この街で生活をはじめるとして、身分とかはどうなるの?」

ユート「ああ、医者が学院に通わせると言っていたな」

ユート「君と同じクラスになるそうだ」

美羽「え?私と?」


美羽「貴方って同い年だったの?」

ユート「いや、君よりは年下だな」

ユート「ただ、いきなり吸血鬼の学校に放り込むんだから知り合いがいたほうがいいだろう、ということで年齢を誤魔化すことになった」

ユート「遊矢のクラスという案もなくはなかったらしいが、彼も彼で大変な時期だろうから、とのことだ」

美羽「遊矢が…ああ、確かに大変かもね、アレは」

美羽「それじゃあ、、休みがあければ私と貴方は同級生なのね」

ユート「そうなるな。改めて、よろしく頼む」

美羽「…そうね。よろしく、ユート」


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美羽「ただいまー」

エリナ「お帰り、ミュー」

遊矢「お帰り。どうだった、ユートは?」

美羽「大丈夫そうよ。順応力かなり高いみたい」

エリナ「ユート?」



遊矢「えっと…俺の新しい友達」

エリナ「ふーん…それで、ミューはその子とデートしてきたの?」

美羽「違う。私と彼はそういう関係じゃないから」

エリナ「またまたー、夜早くから出てこーんな時間まで遊んできて、何もなかった、なんてことはないでしょ」

エリナ「で、何処までいった?B?もしかしてCまでいっちゃった?」

美羽「はぁ…貴女ねぇ」

遊矢「B?C?」

遊矢「何言ってるんだ?」


美羽「平たく言えば…その、や、やっちゃったかどうかってことよ」

遊矢「…なんかよく分からないけど、美羽が顔赤くしてるってことは、そういうことだよな?」

美羽「ふん、これだけ言っても分からないなんて、相変わらず子供ねぇ」

エリナ「ちなみにエリナとユーヤはAまでしたよ」

美羽「…へ?」

エリナ「経験のないミューと比べて、子供なのはどっちかなあ?」

美羽「あ、あなた達…確かに仲良いとは思ってたけど、いつの間にそこまで…」

遊矢「そこまでって?」


美羽「な…い、言わせるつもり!?」

遊矢「…?」

美羽「だから!その…キス、したんでしょ?」

遊矢「……はぁあ!?」

遊矢「き、きき、キスなんて!してるわけないだろ!?」

エリナ「ひ、酷いよユーヤ…エリナのことは遊びだったのね…シクシク」

遊矢「ほ、ほら!このわざとらしい演技!これで冗談だって分かっただろ!?」

美羽「あーまぁうん、確かに冗談みたいね」


美羽「それより遊矢。貴方、髪型はいつも通りなのね」

美羽「自分でおかしいと気付いて戻したのね…偉いわよ」

遊矢「髪型?」

美羽「今日、アレキサンドに変な髪型で行ったんでしょ?」

美羽「ちゃんと稲叢さんから聞いてきたわよ」

エリナ「え?ユーヤは今日ずっとエリナと勉強してたよ」

美羽「勉強?」


エリナ「そうそう。手取り足取り、夜の勉強を教えてあげてたの」

美羽「ま、まあ、吸血鬼的には問題ないわね…うん」

美羽「でも、おかしいわよ、それ。稲叢さんだけじゃなくて大房さんも見てたんだから」

美羽「バナナみたいな髪型して、不機嫌そうなあなたを」

遊矢「はあ?バナナ?そんな髪型、するわけないだろ」

美羽「でも、それなら…」

美羽「二人が見たって言ってたのは、一体…?」

今夜はここまで。お休みなさい

来月にはBFRRがRRになってると思うと楽しみすぎる


美羽「ただいまー」

ガチャ

遊矢「っわあぁぁぁあああ!?」

美羽「へ?」

バコン

遊矢「ってて…」

美羽「った…」

莉音「だ、大丈夫ですか?」

美羽「え、ええ。大丈夫そう…って、ん?」

ユート「…お帰り」

美羽「ユート?どうしてユートがここに?」

遊矢「ああ、それは…」


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元樹「よし、OK、検査終了」

ユート「すまないな…どうだった?」

元樹「うん、大丈夫そうだね。吸血鬼としては正常みたいだ」

元樹「それじゃ、今度はこっちの部屋で…」

ユート「…待て、検査は終ったんじゃないのか?何をするんだ?」

元樹「何って、そりゃあ……」

元樹「ナニだよ」

ボゴッ

元樹「うっ…」バタリ

ユート「全く…懲りない男だ」




遊矢「それで先生殴り倒したのか…」

ユート「これで五回目だな…隼よりも頻度が高いぞ」

遊矢「まぁ、あの先生はなぁ…俺にも覚えがあるよ。流石に殴り倒しはしなかったけど」

遊矢「でも、その隼って人にはいままでと同じ加減でなぐったりしないように気を付けないとな」

遊矢「吸血鬼になって、身体能力あがってるんだから」

ユート「ああ、そういえばそうだったな」


ユート「しかし…いい加減俺も退院したいところだな…あの医者の魔の手から逃げ出すためにも」

遊矢「もう一週間近いよな?まだ退院ダメなのか?」

ユート「いや、体はもう問題ない。退院したいならいつでも大丈夫らしいんだが…」

ユート「ただ、ここを出ると住む所がな…」

遊矢「ああ、大変だよな、あれ。吸血鬼だと受け入れてくれないところとかあるし」

ユート「そんな所もあるのか…早い内から探しておくべきだったな」

遊矢「学校とか生活の準備は?」


ユート「大丈夫だ。学校でも困らないよう美羽に勉強を見てもらっている」

遊矢「美羽に…?ああ、確かに授業進度違うと困るもんな」

ユート「…そうだな」

遊矢「で、バイトは陰陽局、と」

ユート「そうなる」

ユート(特区管理事務局、通称陰陽局)

ユート(政府直轄でこの街の管理・監督を任されている組織で、警察と協力して、吸血鬼の犯罪を取り締まる等の活動を行っているらしい)

ユート(俺はその中でも、治安維持を担当する風規班に所属することとなった。美羽もそこでバイトをしているらしく、俺が吸血鬼となるきっかけとなったあの事件もその仕事の一環だったようだ)

ユート(しかし…バイトであんなことまでやらされていたんだな、美羽は)


遊矢「まぁ、ユートみたいな特殊な経歴だとどうしてもそこになっちゃうよな」

遊矢「でも、そうなると本当にあとは住む所だけか…」

遊矢「よし!」

ユート「ん?」

遊矢「こちらにいらっしゃるのは、本土から越してくることなった学生さん!」

ユート「?」

遊矢「しかし突然のことで準備すらままならない。当然、新しい住居も決まらない」

遊矢「そんな貴方にお薦めの物件が、こちらの学生寮!!」


遊矢「私をはじめとする、変人奇人の巣窟となっております」

遊矢「だからこそ!訳ありの方も大歓迎」

遊矢「もちろん、住民には見目麗しい淑女の方々も」

遊矢「いかがでしょうか、お客様!きっと後悔はさせませんよ!」

ユート「……ふ」

ユート「ふふ、いいな。面白い」

ユート「…よろしく頼む、遊矢」

遊矢「っ…ああ!」

遊矢「こちらこそ、よろしく、ユート」


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美羽「それでユートがいるわけね」

遊矢「ああ…もしかして、まずかった?」

美羽「そんなことはないと思うけど…遊矢の時も大丈夫だったんだし」

美羽「でも、ユート、荷物とかは?」

ユート「必要最低限は持ってきている。後のは明日以降送ってくることになってるな」

ユート「だが、驚いたな…まさか彼女も同じ学生寮で暮らしていたとは」

莉音「私も驚きました…いきなり遊矢さんに住民が増える、なんて言われて…」

莉音「前々から言ってくれたら歓迎会の準備くらいしたんですけど…」


ユート「すまない…どうしても早くあそこを出たくて」

美羽「気持ちは分からなくもないけど…」

ガチャ

エリナ「ただいまー」

遊矢「お帰り、エリナ」

ユート「はじめまして」

エリナ「ああ、うん。はじめまして」

エリナ「ユートって君のことだよね?聞いてた通り、ユーヤにそっくり」

ユート「ああ、俺自身でも驚くほど瓜二つだ」


遊矢「そうだ、学校に通いはじめたら定番の入れ替わりネタでも…」

美羽「やめて…本当に見分けつく気がしないから」

ユート「それで、君は…?」

エリナ「え?あ、そっか。自己紹介まだだったっけ」

エリナ「エリナ・オレゴヴナ・アヴェーンだよ。遊矢のクラスメート。よろしくね」

ユート「遊矢のクラスメート…ということは、俺の一つ下の学年か」

ユート「よろしく、エリナ・オレゴヴ…ん?」

エリナ「エリナでいいよ。覚えにくいでしょ?」


遊矢「俺なんて、今だにフルネーム言えないしなー」

エリナ「そ、それはそれでちょっとショックかも」

遊矢「え?あ、ごめん」

美羽「それで、三人で何してたの?」

エリナ「ああ、それは気になるな。三人でナニしてたのかな?」

遊矢「エリナはなんかニュアンス違うだろ」

ユート「三人というか、二人だな。デュエルをしていたんだ」

遊矢「そうそう…」

遊矢「ユート、強いんだな」

ユート「遊矢も…中々だったぞ」


美羽「あのねぇ、室内でデュエルなんて危ないと思わなかったの?」

遊矢「アクションデュエルじゃないんだから、別に大丈夫だろ?」

遊矢「モンスターも皆実体のないソリッドビジョンだし」

ユート「アクションデュエル…?」

美羽「実体がないのになんで吹っ飛ばされてたわけ?」

遊矢「エンタメデュエリストにとっては、リアクションってのは結構大事なんだよ」

美羽「へぇ…それで」

美羽「何か言うことは?」

遊矢「ご、ごめんなさい」

美羽「はい、よろしい」


エリナ「それにしても、ユートもデュエルするんだ…」

エリナ「エリナも含めるとデュエリスト4人かぁ…結構な所帯になってきたね」

ユート「4人…?」

美羽「ニコラよ、ニコラ。私にデッキくれたって前言ったでしょ?」

ユート「ニコラ…」

遊矢「あいつ、結構個性強いから、慣れるまで時間かかるかもな」

エリナ「ユーヤはあっさり馴染んでたけどね」

遊矢「エンタメのアドバイスとかたまにくれるし、気が合うんだよ…多分」

ガチャ

「ただいまー…あ、もう来てたんだね、新人君」


美羽「ふーん、こっちには事前に連絡いれてたんだ」

遊矢「一応、布良さんが寮長だしな」

ユート「寮長…?」

「うん、私が寮長だよ。よろしくね」

ユート「…なるほど、君がニコラという子か」

「へ?」

ユート「布良さんとも呼ばれていたな…ということは布良ニコラというのか…?」

「いや、いやいやいや、ちょっとストーップ」


ユート「ん?」

「え、なに?なんで私が…」

ユート「ニコラというのは個性的な子だと聞いていたからな…」

ユート「小学生で寮長…ここまで個性的な人物はそういない」

「ち、違うよ!私小学生じゃないから!」

ユート「え…?あぁ、そうか、すまない」

ユート「飛び級していたのか…失礼なことを言ってしまった」

「その発言が失礼だよ!」

「私は適正年齢で普通に高校生なんだから!」


ユート「なにを馬鹿な…」

遊矢「それでは!私がご紹介いたしましょう」

ユート「遊矢…?」

遊矢「彼女の名前は布良梓!我らが寮長にして、なんと吸血鬼ではなくただの人間!」

遊矢「見た目は子供でも、頭脳も年齢も高校生である彼女は、クラスメートとしてもバイトの先輩としても、貴方の頼もしい味方となってくれることでしょう!」

遊矢「…なんてね」

「うん、紹介ありがとう。でも、見た目は子供、っていうのは余計だったかな?」

遊矢「ぅ…それはまぁ、演出というか、過剰表現というか…」

梓「…まぁ、いいけど」

梓「それじゃ、改めて… 布良梓、ここの寮長を務めてさせてもらってるよ」

梓「よろしくね」

遅くなってすみません

まだ待っていてくれた人いるかな
本当にすみませんでした、これからもよろしくお願いします

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