隼人「あれから10年か...」【新ゲッターロボ】 (31)

【新ゲッターロボ ss】

"神"との戦いから10年。あれから、ただの一度も鬼は現れなかった。

俺は独自にゲッター線の研究を続け、弁慶は全国各地を廻り、ミチルはごく一般的な科学者として生活している。

だが、竜馬だけは、一度も戻ってくることはなかった。


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早乙女研究所跡

ヒュウウウ

隼人「......」

隼人(早乙女が開いた地獄の釜...あれからずっと開いたままだが...)

弁慶「...やっぱり、竜馬は帰ってこねえのか?」

隼人「さあな。そもそもあいつが何故一人であの巨大なゲッターロボに向かっていったのかもわからん」

弁慶「そうだよなぁ...俺たち、そんなに頼りなかったのかなぁ」

隼人「かもしれんな」

弁慶「やっぱりか...俺なんか、役に立ってねえって面と向かって言われたもんなぁ」ショボン

隼人「......」

隼人「なあ、弁慶よ。お前は、未来を視ることはできると思うか?」

弁慶「なんだよいきなり」

隼人「いいから答えな」

弁慶「そうだな...俺たちは過去にいったぐらいだし、見れるんじゃないか?」

隼人「ならば、その未来が最悪なものだったとしたら、お前はどうする」

弁慶「最悪な未来だって?なんだそりゃ」

隼人「あくまで可能性だ。...だが、もし視てしまったとしたら?」

弁慶「そりゃあ、そうならねえようにがんばるしかねえじゃねえか」

隼人「そうだろうな。その結論が竜馬のあの行動なら、そういうことなんだろう」

弁慶「わかんねえな...なんでそんなことを思ったんだ?」

隼人「炉心を変えたゲッターの試運転をした時のことを憶えているか?やつは、帰って来るなりゲッターから離れようとした」

弁慶「おう。それで、晴明のやつを倒したあと、ゲッターのことで俺たちがモメて...」

隼人「その話はおいておいてだ。あの時、ほんのわずかの間だが、竜馬とゲッターの反応がロストしただろう」

弁慶「......」

隼人「あの時のゲッターロボは、異常にゲッター線の力を引き出していた。理屈はわからんが、もし竜馬がそのゲッターの力で最悪の未来を視たとしたら...その未来では、俺やお前が死んでいる、もしくは敵で、あいつがその元凶だったとしたら...お前ならばどうする?」

弁慶「...なるべく、他の人は巻き込みたくないってことか」

弁慶「でもよ、どうしてそれが未来がどうとかって話に繋がるんだ?俺にはサッパリだ」

隼人「...あの"神"の奴らの言葉が気にかかってな」

弁慶「ゲッター線は全てを滅ぼすって話か?」

隼人「そうだ。奴らの言い分なら、『傀儡に魂を入れるな。我らはそれを許さない』...ってことだが、奴らの行動は矛盾している」

弁慶「どこがおかしいんだ?ゲッターが危険だから壊しにくるってのは、俺でもわかるが...」

隼人「ならば、なぜ奴らはゲッターロボの完成を待った?なぜ俺たち三人が揃い、晴明を倒す時までわざわざ待っていた?」

弁慶「...?」

隼人「早い話、危険だと知っているのなら、ゲッターロボが完成する前に早乙女を殺せば済むことだったんだ。ゲッター線を研究していたのは奴だけだったからな」

弁慶「おお、そういうことか!」

隼人「それをしなかったのは、現状ではゲッター線は自分達には無害だと判断していたんだろう。だが、未来を知ったことで、ゲッターは危険だと判断した」

隼人「おそらく、奴らは未来や過去に干渉することはできず、ゲッター線と対峙したこともない。おおかた、俺たちに敗れた後の晴明にでも聞かされたんだろうよ」

弁慶「......」

隼人「そうなると、やつらが晴明を好きにさせていたことも頷ける。神でさえできない、時間の超越をやつはたやすく出来るんだからな。あの全てを知っているかのような口ぶりは、奴らなりのプライドだろう」

隼人「だから俺は思ったのさ。神が恐れ、竜馬が反逆するもの。それはゲッターの作る『未来』だってな」

弁慶「...ンゴー」zzz

隼人「」イラッ

弁慶「おっかしいな...いつの間にか頭にコブができてるんだけどよ...隼人、なにか知らねえか?」

隼人「知らん!」

弁慶「なあ、早乙女博士がいなくなったら、本当にゲッター線は無害になるのか?」

隼人「さあな。ゲッターロボが使えなくなろうとも、別の形で干渉するかもしれんし、奴一人が死んだところでなにも変わらないのかもしれん」

弁慶「...?隼人、お前さっきと言ってることが噛み合ってなくねえか?」

隼人「あくまでも可能性だからな。挙げることは自由さ。いくら頭で考えたところで結果を見なければどうしようもない」

弁慶「それもそうか」

弁慶「さて、日も落ちてきたことだし...今日はもう帰ろうぜ。ここであんまり待ってても、竜馬に『俺が帰るのを信じられねえのか!』って怒られちまう」

隼人「悪いが、俺には帰る場所はないんでな。強いて言うならばここだ」

弁慶「おまっ、こんなところに家を建てたのかよ!?」

隼人「お前と同じく全国を廻ってみたが...鬼も早乙女研究所も消えたいま、ゲッター線に関われるのはここくらいだったからな」

弁慶「...なあ、隼人。なんでお前はそこまでゲッターに拘るんだ?やっぱり、まだテロリストへの未練があるのか?」

隼人「別に革命が好きなワケじゃない。あの時はただ退屈してたんだ」

弁慶「た、退屈?」

隼人「ああ。世の中ツマラネエことばかりだったからな。なにか一つデカイことをやってみたかっただけなのさ」

隼人「だが、ゲッターと出会ってからはわからねえことばかりだった。鬼とはなんなのか、なぜゲッターを狙うのか...」

隼人「鬼のことはともかく、ゲッター線についてはなにもわかっちゃいねえ。だから解き明かしたいのさ。ゲッター線がなにを目指しているのかをな」

弁慶「...俺が言うのもなんだけど、やっぱりお前って変わりもんだな」

隼人「そうかもな」ニヤリ

弁慶「しかし、一人で寂しくないか?」

隼人「一人の方が出来ることもあるのさ」

弁慶「息子の自家発電とかか?」

隼人「殺すぞ」

弁慶「じょ、冗談だって...隼人、時々様子を見に来るけどよ、考えすぎて身体壊すんじゃねえぞ」

隼人「フッ、そいつは余計なお世話さ」

弁慶「じゃあな」

隼人「ああ」

隼人「......」

隼人(10年...そうだ。こんなにも年月は経つというのに、俺は何も掴めちゃいない)

隼人(なぜゲッター線は竜馬を選んだのか、それでいて、なぜストッパーである俺たちを必要としたのか...)

隼人(こんなにも追い求めているというのに、お前は何も教えてくれないんだな)

隼人「...いいぜ、ゲッター線。そうでなくちゃ面白くねえ」

隼人「てめえに教える気がねえのなら、俺は徹底的に踏み込んでやる。お前の大好きな竜馬のようにな」

――――――――――――――――

数か月後

弁慶「あれから進展無しか」

隼人「まあな。そんな数ヶ月で知れるようなら、こんなにも俺は惹かれねえよ」

弁慶「そうかい。お前らしいな」

隼人「ふっ...それで、用件はなんだ?」

弁慶「いやあ、久しぶりに三人で集まりたくてよ。お前もどうかとおもってな」

隼人「なに?」

弁慶「そんな大げさなことじゃねえよ。ちょっとクリスマスパーティをだな」

隼人「クリスマスパーティ?」

――――――――――――――――――

弁慶の家

弁慶「それじゃあ、俺たちの再会を祝して」

ミチル「」スッ

隼人「」スッ

弁慶「メリークリスマス!」

カラァン

弁慶「いやあよかった。無事、こうして集まれてよ」

ミチル「神くんが一番意外だったわね。表舞台にはいつまでたっても出てこないんだから」

隼人「たまには気分転換の一つもするさ」

ミチル「武蔵坊くんも意外に器用なのね。一人でこんなに料理を作れるなんて」

弁慶「へっへへ。一人暮らしが長かったんでね、大抵の家事はできますぜ」

隼人「に、しても多すぎじゃないか?俺たちだけじゃ喰いきれんぞ」

弁慶「なに言ってるんだ。まだ竜馬が来てないじゃねえか」

隼人「なに!?」

隼人「竜馬...だと?」

ミチル「彼が戻ってきたの!?」

弁慶「まだだが、もうすぐ連れて来てくれると思いますよ」

隼人「連れてくる?」

弁慶「じゃーん、これなんだ!」

ミチル「靴下...中には手紙が入ってるわね」

隼人「弁慶、お前まさか...」

弁慶「おおよ。ちゃんとサンタさんにお願いしといたんだ。クリスマスの日に竜馬が戻ってくるようにってな」

ミチル「」ポカン

隼人「...弁慶よ。お前、正気か?」

弁慶「鬼や神がいるならサンタさんがいてもおかしくねえじゃねえか」

隼人「いや、まあそうかもしれんが...」

弁慶「もちろん、今までも頼んでたんだが...煙突が無いのにおととし気が付いてな。この日の為にわざわざレンガ造りの家に建て替えたんだ」

ミチル「...呆れた」

隼人「ま、言担ぎくらいは許してやれ」

弁慶「ふん、そう言っていられるのも今の内だ。みとれ、いまにサンタさんがそこの煙突から...」





ドサァ ボフン

「!?」


モクモク

ミチル「えっ...?」

弁慶「おお、この真赤な服はサンタさんだ!ほれ見ろ、俺の言った通りじゃねえか!」

隼人「そんなわけあるか。あれはどうみても返り血だ。ミチル、下がってろ」

ミチル「え、ええ...」

「......」

弁慶「サンタさん、俺の願い事を叶えにきてくれたんだな」

「」ダッ

ドンッ

弁慶「わぶっ!」

「」つパン アーン

「ガツガツガツ...」

弁慶「な、なんだ?」

「ゴクゴクゴク...プハァ!」

隼人「......」

「あぁ~、生き返った!これにおっちゃんのラーメンがあればいうことなしだったんだがな」

弁慶「!」

隼人「その声...」

「いやー、わりいな。ここ最近、飯を喰ってなかったからよ。この恩は必ず...」クルッ

弁慶「あ...あぁ...」

隼人「―――ッ」



弁慶隼人「竜馬ぁ!?」

竜馬「んあ?」

竜馬「なーんかどっかで見たツラだなぁ...」

弁慶「うおおお、竜馬ぁ!」ブワッ

竜馬「のわっ!?とびつくんじゃねえ!」バキィ

弁慶「げふっ!」

竜馬「この感じ...まさか、てめえ弁慶か!?するとそこの女はミチルで、目付きの悪いオッサンは...」

シャッ シュピッ

竜馬「!」

ガシッ

隼人「...どうやら、腕は鈍っちゃいねえようだな」

竜馬「へっ、お互い様だぜ隼人」

――――――――――――――――

竜馬「10年だと!?」

隼人「ああ」

竜馬「はー...道理でお前ら老けたわけだ」

ミチル「そういうあなたはなんで変わらないのよ」

竜馬「それがよ、あそこにいると時間もなんもわかんなくなっちまうんだよ。腹も減らねえし、小便もでねえしよ」

ミチル「その反動でお腹が異常に空き、食事の匂いにつられてここまできたと...」

隼人「ウラシマ効果とはまた違うようだな。だとすれば、これもゲッター線の為せる技か...?」

弁慶「まあまあ。せっかく竜馬が帰って来たんだ。改めてクリスマスパーティを楽しむとしようぜ」

竜馬「ワリィがそいつは無理だ」

弁慶「えっ?」


ピカァ



弁慶「ひええっ、か、カミナリィ!?」

隼人「バカな、さっきまであれだけ晴れていたはずだ!」

竜馬「きやがったな」

『進化に魅入られし者よ、逃がしはせんぞ...』

隼人「声が脳内に響いてくる...!?」

『貴様の存在が、宇宙の全ての希望を摘むこととなる』

竜馬「」ダッ

弁慶「おい、今でてくなよ、危ねえぞ!」

『貴様の存在は許せん!覚悟せい、ゲッター!』

ドア「」バァン

竜馬「うるっせえんだよ...」




サンタ『この儂...サンタが貴様を滅してくれる!』

竜馬「エラそうな屁理屈たれてんじゃねえ!俺のとこには一度も来なかったくせによぉ!』

弁慶「うおお!サンタさん、でっけえサンタさんだ!」

ミチル「嘘でしょ...空を覆い尽くすほどの大きさだなんて...」

隼人「...弁慶の言った通り、鬼や神がいるならサンタがいてもおかしくないか」

ミチル「納得しないでよ!」

竜馬「やい、サンタのジジイ!希望がどうとかは知らねえが、黙ってやられる俺じゃねえぞ!」

サンタ『ぬかせ!ここまでワシにふきとばされた未熟者が!希望の象徴の力...見せてくれる!』カッ




ド ワ ッ




弁慶「や、山が一瞬で消し飛んじまった!」

隼人「チィ...あの神のやつらと同格ってことか」

サンタ『同等だと?貴様らが葬った奴らは、我らの中でも小童に過ぎぬ。毎年、目を輝かせてワシのプレゼントを待っておったわ!」

ミチル(私の知ってるサンタと違う)

サンタ『往生せい!貴様には万に一つも勝ち目はないわ!』

竜馬「ふざけんじゃねえ!なにがサンタだ、ただゲッターにビビってるだけの臆病者だろうが!」

サンタ『ぬかせぬかせ。それが貴様の遺言となる』

竜馬「へっ。てめえらはいつもそうだ。ちょっとばかし好きにさせたらすぐにいい気になりやがる。俺にはまだ切り札があんだよ」

サンタ『ほぉう?』

竜馬「隼人、弁慶。ゲットマシンはまだ捨てちゃいねえだろうな」

隼人「!」

弁慶「竜馬...」

竜馬「なに呆けてやがる。これ以上あのジジイに好き勝手されちゃたまらねえだろ」

隼人「...そうだな。ちょうどいい具合にここまでの足として使ったジャガー号もベアー号も止めてある」

弁慶「おう!いくらサンタさんとはいえ、おいたがすぎるぜ!拳骨の一つも喰らわせてやらなきゃな」

ミチル「...呆れた。根本的に変わらないのね、あなたたちは」

竜馬「いくぜ、てめえら!」

隼人弁慶「「おう!」」

竜馬「いくぞ、合体だ!」

サンタ『こい、ゲッターロボ!!』




闇に深く蠢く 飢えた獣の叫び




竜馬「隼人、弁慶、忘れちゃいねえだろうな?」

弁慶「へっ、身体が憶えてるさ!チェンジ、ゲッター3!」

弁慶「うおおお、大雪山おろしいいいぃぃ!」

サンタ『ぬああああ!』

弁慶「ミサイルストォォム!」

サンタ『ぐああああっ...中々やりおる。だが、ここまでよ!』カッ

弁慶「オープンゲット!」

サンタ『チィ、躱されたか!』




邪悪な気配悟っても 奴は恐れず立ち向かう

避けられない 運命(さだめ)の渦の中



弁慶「隼人、お前はどうだ!?」

隼人「フッ、笑わせるな...」

ゲッター2「」ガシン



傷を負っても 探し続ける



サンタ『速い!このサンタの目をもってしてもおいつけぬとは!?』

隼人「忘れたくとも忘れるかよ!腹だぁ!」

サンタ『うぶっ!』

隼人「そのヒゲごと顔面を削り取ってやる。ドリルストォォム!」

サンタ『ぬおおお、舐めるなぁ!』

隼人「オープンゲット!」







誰がために 何をするのか



吼えろ 竜の戦士よ 生命の火を燃やし尽くせ!



隼人「現役がミスるんじゃねえぞ、竜馬!」

竜馬「へっ、誰に言ってやがる!チェェンジ、ゲッターワン!」

サンタ『ゲッタァァァロボォォォ!!』



急げ 猛き勇者よ 時の迷路を走り抜けろ



竜馬「いきなりでワリイが、無茶させてもらうぜ!」

隼人「ふっ、お前に加減を求めるのも無理な話だろう」

弁慶「へへっ、ゲッターチームの復活だ!」






Until the dying day!



竜馬「ゲッタアアァァビイイィィム!!」




ド ワ オ

これで終わりです。チェンゲの早乙女博士ってサンタさんにそっくりだよねという思いつきです。
読んでくれた方はありがとうございました

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