秋月「私は……ここがいいです」 (59)





……



提督「第二次渾作戦しゅーりょー! お疲れ!」

提督「各個人傷を癒して、次の作戦まで身体を休めて欲しい。以上」

神通「皆さん、お疲れ様でした」

時雨「うん、神通も旗艦お疲れ様」

五十鈴「んー! 早くお風呂に入りたいわ」ノビノビ

夕立「時雨、お風呂いきましょ!」グイグイ

時雨「ひっぱらないで、すぐにいくから」

雷「司令官もお疲れ様!」

電「お疲れ様なのです」

提督「はい、お疲れ」

秋月「あのう……」

雷「司令官、この子のこと頼むわね!」

電「お腹も空いたのでゆっくりお休みいただきます」ペコリ

提督「はいはい、わかったよ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1416931132


秋月「秋月型防空駆逐艦、一番艦、秋月」

秋月「ここに推参致しました。お任せください!」

提督「着任おめでとう。歓迎するよ」

秋月「はい!」

提督「さて。まずは鎮守府の案内からしないとだな」

提督「秋月は……そっか、まだ姉妹はいないんだな」

秋月「そうですね。妹たちもいずれ艦隊に加わるかと思います」

提督「そっか。じゃあ俺がここを案内するよ」

秋月「司令自らが?」

提督「悪いか?」

秋月「いえ……ですが、司令にそのようなことをお願いするのは、と」

提督「……そう?」

秋月「はい。司令はお寛ぎ下さい。この秋月、こちらに所属されている先輩方に案内をお願いしてみます」

提督「……うん、わかった」

秋月「お心遣い、感謝します」

秋月「それでは失礼しますね」ペコリ

提督「困ったことがあったら、ここに戻ってくること。いい?」

秋月「……? はい、わかりました」


カチャ……パタン


提督「……」




……


コンコン…



秋月「失礼します……」

提督「そろそろかなって思った」

秋月「え?」

提督「ここに戻ってくるの」カチャ

秋月「はあ……」

提督「とりあえず、紅茶でも淹れたんだけど……いる?」

秋月「紅茶……頂きます」コクリ

秋月「失礼ですが、先程のは……」

提督「まぁまぁ、座って寛いでよ。そんなに気を遣わなくて良いから」

秋月「はい……」スッ

提督「多分だけど、ここを案内してくれる子がいなかったのかなって」

秋月「……その通りでした」

提督「やっぱりそっか」


秋月「先程の方たちを追って、案内をお願いしたのですが、他の子を当たってと」

秋月「お一人で歩かれていた方も、用があるから他を当たってということで」

秋月「申し訳ありません……」

提督「秋月が謝ることはないよ。何も悪くない」

秋月「では一体……」

提督「皆が皆って訳じゃないんだけどね、結構気さくな子もいるんだけど」

提督「基本的には姉妹でつるんでるみたいなんだ、ここにいる子たちって」

提督「だから、まだ秋月には姉妹がいないから、こうなるかなって危惧したんだけど」

秋月「そうなの、ですか……」

提督「それどころか、姉妹以外に対する当たりがキツい子もいてね」

提督「秋月なら尚更かなって思ったんだ」

秋月「?」

提督「同じ駆逐艦なのに、アイツのほうが性能がいいからー、とか」

提督「駆逐艦の分際でー、とか」

提督「過去にそういった事例があってね。駆逐艦に限らずって話なんだけど」

提督「だいたい後から着任する子は、どこかしら優れたところがあるもんだから」

提督「嫉妬っていうのかね。他にも色々あるんだろうけど、それで居辛い環境が出来ちゃってるんだ」

提督「こうなるまで放って置いた俺の責任でもあるんだけどさ」


秋月(あ……おいしい)ズズズ

提督「誰かしら姉妹が既に配属されてたら、それを頼りにって感じでここに馴染んでいってるみたいなんだけど」

提督「そうもいかないからなぁ……」

秋月「紅茶……おいしいですね」コト…

提督「ん、気に入った?」

秋月「はい、とても!」

提督「……」

提督「秋月の部屋はもうあるんだけど、やっぱり一人じゃ寂しいか?」

秋月「……このまま一人ぼっちなのは寂しいかもしれないです」

秋月「この調子だと馴染めるきっかけを見つけるのが難しそうで……」

提督「……もし秋月がよければなんだけど、秘書艦やってみない?」

秋月「え……? 秘書艦って、あの」

提督「何も仕事手伝えとか言ったりしないよ。ただ、ここには用があって来る子も少なくはないし」

提督「新しい子だよって紹介したりすれば、少しずつでも馴染んでいけるかなって。ダメかな?」

秋月「よろしいのですか……?」

提督「うん。それに、飲食もここは自由だから、置いてあるものなら好きに食べてもいいよ」

提督「適当に買ってきた菓子類とか、珈琲紅茶あたりなら置いてあるから」

秋月「……どうしてそこまでされるのですか?」


提督「貴重な戦力だからかな」

提督「その優秀な戦力が、職場環境によるストレスだの不具合なんて理由で発揮できなかったら勿体ない」

秋月「優秀な戦力……」

提督「ここにいる子は各々が好き勝手やって、自分のコンディションを保ってるからさ。好き勝手は言い過ぎかな」

提督「どうか秋月には、この部屋で色んな子を見て、自分がどうしたいか考えて」

提督「自分なりの過ごし方を見つけてくれたらなって。期待してるからさ」

秋月「はい……頑張ります!」

提督「少なくとも、人を貶して自分の在り方を保つようにはならないで欲しいかな」

秋月「そんなの……あるのですか?」

提督「さぁ。さすがにそれは見た事ないけど、もしかしたら、ね」

提督「それじゃ、堅苦しい話も無しにして、ゆっくりしようか」

秋月「はい! この秋月、秘書として司令に尽くします!」

提督「元気だねぇ……」

方向性決まってませんがだらだら秋月と過ごしていきます。


提督「じゃあまずは大淀さんのところに行こうか」

提督「大淀さん、間宮さん、漣とは古くからの付き合いでね」

提督「この三人に挨拶しておけば、今後過ごしやすくなると思うんだ」

秋月「はい、よろしくお願いします」

提督「……ああは言ったけど、なんだかんだ皆うまくやってるから」

提督「大丈夫、きっと慣れるよ。秋月みたいに姉妹がまだいない子や、そもそも姉妹がいない子もいるし」

提督「別に姉妹以外にも仲良く接してる子も多いしね。ただ年頃だから、少し扱いづらいだけかな」

秋月「……司令にも粗相する人が?」

提督「もちろん。ここで男なんて俺一人だし、謂れのないことで言われることもあるけどね」

提督「身体張って戦う子たちには中々頭が上がらないんだ」ハハハ

秋月(ここのトップがそんなのでいいのかしら……)

提督「機嫌とか気分もあるからね。皆、根は悪い子じゃないさ」

提督「長話しが過ぎたね、ごめん。それじゃ行こう」




……



大淀「お疲れ様です」

提督「お疲れ様。第二次渾作戦終了の報告に。書類はまとめたら出すね」

大淀「了解です」

提督「それと、作戦終了で着任した秋月の紹介に」

秋月「秋月です。よろしくお願いします」ペコ

大淀「はい、こちらこそ」ニコ

大淀「……彼女は軽巡ですか?」

提督「いや、駆逐艦だよ。初の秋月型の子」

大淀「へぇ……随分と大人びた子ですね」

提督(大淀さんも他軽巡と比べたら大人びてるよな……)

秋月「あ、あの……」

大淀「ふふ、畏まらなくても大丈夫」

大淀「良かったですね、提督」

提督「心強い仲間がまた一人増えたからね」

大淀「このお仕事がなければ……私ももっとお役に立てるのですが」

提督「今でもだいぶ助かってるよ、これ以上負担は掛けられないしね」


大淀「私をまた秘書に戻されては如何ですか?」

大淀「またお一人でお仕事されているのでしょう?」

提督「大丈夫、秋月を秘書に頼んだからさ」

秋月「」ペコリ

大淀「そうですか……少し、妬けちゃいますね」

提督「秋月が慣れてきたら秘書を解任するから、そしたら考えようかな」

大淀「ぜひ考えておいてくださいね?」

提督「ん。それじゃ、次のところにいくから」

大淀「お疲れ様でした」

大淀「それと、秋月さん」

秋月「何でしょうか?」

大淀「この人、放っておくと寝ないで仕事してるからちゃんと寝かせてあげてね?」

提督「おいおい」

大淀「だってそうじゃないですか。布団で寝ないで机で寝るの、風邪引いちゃいますよ?」

提督「今は寝てるから大丈夫だよ」

大淀「本当ですか……?」

提督「心配してくれて有難うな」

大淀「もう……」

秋月(仲良いなぁ……)




……



秋月「仲が良いのですね」

提督「……彼女さ、最初は戦線に出ていたわけじゃなくて、任務管理をしている子だったんだ」

提督「行ったり来たりが面倒で、秘書に置いて仕事を協力して捌いてたんだけど」

提督「色々あってね」

秋月「?」

提督「大淀さんって艦隊とは別に、任務の管理……事務仕事で最初は配属されたんだ」

提督「当時はまだ大淀の艤装が建造できない頃でね。そのときにいざこざがあったんだ」

提督「それを言った子は軽はずみな発言だったんだろうけど、本人にはそれが突き刺さったみたいでさ」

提督「落ち着くまでに支えてあげたり、もちろん俺も仕事面で支えてもらったりしたから」

提督「仲が良いのかもね?」

秋月「なんだか憧れるような……いい信頼関係を結べたのですね」

秋月「……その、いざこざの件というのは、どうなったのでしょうか?」

秋月「もし今後そうなった場合の対処法として参考に……」

提督「それが、沈めたんだよ。言った子を」

秋月「え?」

提督「大淀さんが戦線に出れるようになって、すぐだったね」

秋月「」



──

───



天龍「おいおい、まだ気にしてるのかよ」

大淀「当然です」

天龍「ハァ……で、アンタはどうして欲しいんだ?」

大淀「私と勝負して下さい。自称世界水準を超えてる天龍さん……」

天龍「……オイオイ、笑わせんなよ。結果は見えてんじゃねーか」

大淀「そうですか? では私が勝ったら、謝罪の言葉を頂きますね」

天龍「アンタ、死ぬぜ?」

大淀「それは怖いですね」

天龍「なのにやるのか?」

大淀「ですので、応急修理要員を積みます。それでなら、問題はないでしょう?」

天龍「ハッ……別にいいけど、俺は積まねーからな」

大淀「なるほど……一スロット分が惜しいのですね」

天龍「……は?」

大淀「要するに、応急修理要員を積んだら私に勝てないのでしょう?」

天龍「……」

大淀「いいですよ、それでも。ただ、さすがに私としても仲間を殺したとあっては謹慎で済むかどうか……」

天龍「いいぜ、やってやるよ。ダメコンなんざいくらでも積んでやる」

天龍「俺が勝ったらその口、縫い合わしてやるよ。表出な」

大淀「あら怖い……♪」


───

──



提督「なんてことが」

秋月「一体なんでそんなことに……」

提督「天龍が『こんな戦えもしない奴より、世界水準軽く超えてる天龍様を秘書にしろよ』みたいなこと言ったのが始まりかな」

提督「俺としては戦う時間以外は自由に過ごしてもらいたかったから拒否したんだけど、そしたら俺も小馬鹿されてな」

提督「それが許せなかったって、後々大淀さんが教えてくれたよ」

秋月(意外と恐ろしい人だったのですね……)

提督「それから天龍も人が変わったみたいになってさ。結構俺様だったんだけど柔らかくなって」

提督「今じゃ本人も笑い話にしてるけどね」

秋月「良いこと、なのでしょうか……」

提督「根に持つよりはだいぶ良いと思うよ」

提督「それに、主に駆逐艦の面倒をよく見てくれるいい先輩になったよ」

秋月「私もお世話になるのでしょうか?」

提督「遠征の仕事を覚えてもらうときにあるかもね」

提督「それ考えたら皆だいぶ柔らかくなったよ、うん」

秋月「それでは、今は喧嘩が戦いにまで至るということはないのですね」

提督「うん? うん、まぁ……たまに?」

秋月(あるんだ……)

ここまで。
あんまり殺伐とはしないと思うの。




……



提督「明石さんいる?」

妖精A「いますよー」

妖精B「明石さーん」フヨフヨ

秋月(かわいい……)

提督「だいたい明石さんは工廠にいるんだよ。ね?」

明石「ね? じゃないです、ここが私の本来の居場所なんですから」ヒョコッ

提督「いやぁ、その節では本当にお世話になってるよ」

秋月「あ……明石さん?」

明石「はい、明石です」

秋月「初めまして、秋月です。秋月も明石さんにはお世話になりました」ペコリ

明石「そうなの? 残念だけど艦の記憶は曖昧で、誰を直したとか覚えてなくて……ごめんなさいね」

秋月「いえ、大丈夫です。今後は明石さんに修理して頂くのでしょうか?」

明石「艤装の修理は妖精さんがほとんどやってるから……艤装は少ししかいじれないの」

明石「代わりにマッサージとかして、身体を整えてあげることなら出来ますよ」

提督「疲れたりして調子が優れなかったら頼るといいよ。とてもうまいんだ、これが」

秋月「そうなのですか?」

提督「そりゃもう」

明石「提督もそろそろ修理したほうがいいんじゃないですか? 最後に来たの、いつでしたっけ」

提督「えーと……それはまた後日頼むな。今は秋月の案内が先だから」ソソクサ

明石「必ず来てくださいねー? 秋月ちゃんもよろしくねー!」

秋月「はーい!」





……


秋月「明石さんに会ったら、なんだか少しほっとしました」

提督「明石さんは皆に優しいからね。きっと良くしてくれるよ」

提督「整体の他にも、本営から売り出されてる道具も取り扱っててね」

秋月「色んなことが出来る方なのですね、驚きました」

提督「もちろん海にも出れるし、本当に何でも屋さんって感じ」

提督「次は漣のところに行くかなー」

秋月「さざなみ……」

提督「秋月はどれくらい、艦の記憶があるの?」

秋月「実は私もそんなになくて……明石さんに助けてもらったことと、沈む間際のことしか」

秋月「当時、強く鮮明に焼きついた情景を、ぼんやりと覚えているみたいな感じでしょうか」

秋月「確かに駆逐艦秋月の生まれ変わりである、なのに他人事のようというのでしょうか……」

提督「ごめん、困らせたね」

秋月「いえ、そんな」

提督「沈む云々は置いといて、明石さんに助けてもらったのを覚えてるっていうことは」

提督「恩を忘れない、律儀で優しい子なんだなって」

秋月「司令……」

提督「比べるわけじゃないけど、漣は結構クセのある、こう言ったら怒られそうだけど変わり者っぽい子だからね」

提督「会えばわかるよ。もうすぐ部屋に着くかな」

秋月(一体どんな方なのでしょう……)

ここまで。
ぼちぼち進めていけたら。





……



提督「漣いるかー」コンコン

<ドタドタドタ…

漣「ご主人様!? 何かご用ですか?」バァン

提督「おおう、今日も元気だね」

漣「はい……?」チラ

秋月「」ペコリ

漣「……また新入り?」

提督「うん。挨拶に」

漣「初めまして、綾波型駆逐艦の漣です。よろしくね?」

秋月「はい! こちら秋月型の防空駆逐艦、秋月です」

漣「へェ~……?」ジロジロ

秋月「……?」

漣「メシマズ」ボソッ

秋月「へ、えっ?」

提督「こらこら」


漣「はぁー……最近の子は可愛いからなんだかねー。あ、こう書いて漣と読みます」サッ

秋月(かっこいい漢字……)

提督「昔からいる子は可愛くないみたいな言い方やめような」

提督「それに漣だって十分可愛いじゃないか」

漣「……」キュン

漣「もう、そんなこと言って。ご主人様がそう言うなら? そうかもしれませんけど?」ソワソワ

秋月「司令のこと、ご主人様って……どんな関係なのでしょう?」

漣「え? 知りたい? この禁断の関係を!」ドヤッ

提督「なんもないだろ」ペシ

漣「あうぅ……」

漣「……ご主人様は、漣の一番大好きな人です」

漣「関係と言われたら、ただの上官と部下、ですかね」

提督「俺にとっては一番思い出のある、大事な子だけどね」

漣「ご主人様、漣のことは好きですか?」

提督「……それは」

漣「ううん、いいのです。困らせちゃいましたかね」

漣「今後とも、よろしくお願いしますね。秋月さん」

秋月「はい、お世話になります」





……



秋月(漣さん、司令のことが好きなのですね)

秋月(司令は複雑そうな顔をされていましたが……もう少し親密になれたら、聞いてみようかな)

提督「最後に間宮さんのところかな」

秋月「間宮っていうと、給糧艦の……?」

提督「そうだよ。間宮さんと少し前に配属された伊良湖さんだけは、嫌う人はいないかもね」

秋月「間宮さんの噂はここに来る前にいた学校でも、有名でした」

秋月「間宮さんの料理、一度は食べてみたいなぁ……」

提督「それじゃ、時間もちょうどいいし間宮さんのご飯にしようか」

秋月「え……!」

提督「間宮さんの話してたら、久しぶりに食べたくなっちゃった」

秋月「え、でも、間宮さんは疲労を癒す為にって……私なんかが、その」オロオロ

提督「慣れない環境で、無理矢理連れ回されてるんだ。自覚がなくても疲れは溜まってるよ」

秋月「いえ、そういった訳では」

提督「わかってる、心配しなくても大丈夫だよ。それともお腹空いてない?」

秋月「空いて、ます……」

提督「そっか。俺も腹ペコだから、寄って行こうか」

秋月「……はい!」キラキラ

ここまで。
秋月の可愛いss増えないかなー。





……



秋月「……」キラキラ

提督「間宮さんお久しぶりー」

間宮「あら、提督……!」

間宮「もう、来て下さるならもっと贅沢なものを用意しましたのに」

秋月(これより贅沢!? 一体どんな……!)ジュルリ

提督「やめてよ、王様じゃないんだからさ」

提督「今日のおすすめなんかあります?」

提督「あとこの子、新しく来た駆逐艦の秋月」

秋月「秋月です、お世話になります!」

間宮「よろしくね、秋月ちゃん?」

間宮「ええっと、今日はカレーの残りがあるくらいで、これから作るとなると結構お時間が……」

提督「じゃあ俺はカレーで。もったいないし、間宮さんのカレーもうまいし」

提督「秋月はどうする? 間宮さんに何か頼む?」

秋月「私もカレーがいいです!」

提督「そう? 頼めるかな?」

間宮「すぐにお持ちしますね。座って待ってて下さい」





……


秋月「おいひぃ……」トロン

提督「喜んでくれたみたいで何よりだ」


「提督が食堂に来てるなんて珍しい……」ヒソヒソ

「ちょっと、提督の隣に座ってるアレ、誰よ?」ヒソヒソ

「司令官の新しい秘書艦かもだって」ヒソヒソ

「本当なの? 誰かあそこ行って聞いてきなさいよ」ヒソヒソ


秋月「……?」モグモグ

提督「すまん、気にしないで欲しい」

秋月「……」キョロキョロ

提督「どうした?」

秋月「お昼時なのに、結構人が少ないのですね」

提督「最近は外で済ませたりする子もいるからね」

提督「間宮さんが少し悲しそうにしてたね。人が減ったって」

秋月(こんなにおいしいのに……)モグモグ


雲龍「隣。いいですか?」

提督「雲龍か。この子、秋月っていうんだ」

雲龍「うん、知ってるわ。大淀さんから聞いたもの」

雲龍「雲龍型航空母艦、雲龍よ。よろしくね?」

秋月「よろしくお願いします」ペコ

提督「雲龍は夏からうちにきたんだ。彼女もまだ姉妹がきてなくてね」

雲龍「秋月ちゃんも、まだいないのよね?」

秋月「そうですね、姉妹では私が最初です」

雲龍「そう……」

提督「……やっぱり、馴染めないか?」

雲龍「そうね……子供は比較的懐いてくれてるけれど」

雲龍「同じ空母や、戦艦の人とはうまくいかないところも多いわ」

提督「……そっか」

雲龍「別に、私からも仲良くする気はないわ」

提督「大丈夫なのか?」

雲龍「平気よ。僻みや妬み嫉みは心地良いもの」

提督「……普段どんなことがあったりするんだ?」


雲龍「私もここに来たとき、一人でした」

雲龍「提督と一緒に慣れるまで。今の秋月ちゃんみたいな生活を少し送って」

雲龍「それから沢山大事にしてもらったわ」

秋月「だ、大事……?」

雲龍「そう。優秀な艦載機を沢山頂いて、錬度も優先的に上げてもらったわ」

提督「それが裏目に出ちゃったか……」

雲龍「私はとても満足しているわ。ただ、それが気に入らない人も居たっていうだけ」

提督「具体的にどんなことを?」

雲龍「提督に体を売って、それで贔屓してもらっているんでしょう、とかね」

提督「はぁーー……ごめんな、雲龍。本当にすまない」

雲龍「提督も人気だもの。一人占めしてたらそうなるわ」

雲龍「それに、私も提督のことは気に入っています」

提督「……」

雲龍「もし本当にそうだったら、ってね。今でもたまに思うわ」

提督「……そっか」

雲龍「……あら、先輩方が顔真っ赤にして睨んでいるわ、怖い怖い」

雲龍「私はもう失礼しますね」スッ

雲龍「秋月ちゃん、頑張ってね?」

秋月「はい……」

秋月(私もそんな風に言われたりするのかな……)ゴチソウサマ

ここまで。
雲龍と秋月、似てるような気がする……ような?
他のssであまり見かけない子もどんどん出していけたら。





……



提督「一通りの案内は終わりかな。具体的なことはこれから知っていけたらと思う」

秋月「はい。ご案内有難うございました」

提督「秋月には今日から秘書を務めて貰うから頼むな」

提督「朝……そうだな、適当な時間でいいや。ここにこれる?」

秋月「適当、ですか?」

提督「基本的には自由だからね。出撃する子や非番の子、色んな生活スタイルの子がいるからね」

提督「秋月にはしばらく演習で経験を積んでから実践で錬度を上げていこうと思うから、適当でいいよ」

秋月「わかりました。それでは朝の六時にはこちらにいるようにします」

提督「その時間だとまだ俺寝てるかも」

秋月「そう……なのですか?」

提督「八時くらいでいいよ?」

秋月「はい……では、そうさせて頂きますね」

提督「それじゃ、今日はおしまいで。お疲れ様」

秋月「お疲れ様でした、司令」

秋月(この後どうしたらいいんだろう……?)


秋月「あの、司令。この後は……」

提督「……あぁ、そうだった。肝心なことを忘れてた」

提督「秋月の部屋に案内しないとだね」

秋月「私の部屋?」

提督「うん。駆逐艦の子だと、姉妹共用で使ってる部屋があってね」

提督「秋月だとまだ一人だから、誰か来るまで一人で過ごすことになっちゃうけど……」

秋月「一人ですか……」

提督「幽霊が怖いとか?」

秋月「え? ええっと……出るのですか?」

提督「ごめんごめん、冗談だよ」

秋月(冗談には聞こえなかった……)

提督「一人で不都合があるなら、言ってほしいってくらいかな」

提督「とりあえず案内するね」





……



提督「ここだよ」

秋月「結構広いのですね……」

提督「だんだん姉妹が増えて、狭くなってきたらもう少し広い部屋に変えるよ」

秋月「他の方はどういった過ごし方をされているのでしょうか?」

提督「置物とかテーブル、色々な物とか買ってきて好きに使ってるよ」

提督「部屋を壊したりとかしない限りは自由かな」

秋月「本当に自由なのですね……」

秋月「でも……なんだか、一人では寂しい広さですね」

提督「そう、だな……」

秋月「……雲龍さんが秘書だった頃は、どうされていたのですか?」

提督「ん? 雲龍は執務室で過ごしてたな」

秋月「それっていいのですか?」

提督「執務室に朝から夕方まで居て、その後もやることなくて俺の傍に居たいって言うから」

提督「好きに執務室を使ってもらってたな」

提督「あそこなら色んなものがもう置いてあるからね」

秋月(私もそうしようかな……大丈夫かな?)


提督「雲龍に限らず、当時一人だった子は執務室で生活してたね」

提督「島風っていう子がいるんだけど、その島風は同型艦がいない意味での、姉妹を持たない子でね」

提督「今じゃ駆逐艦の色んな子たちと溶け込んで暮らしてるよ」

提督「特に陽炎型の子たちと仲が良くてね、同じ部屋で過ごしてるよ。きっと秋月も仲良くなれるさ」

秋月(島風……ちゃん、かな? 少し会ってみたいかも……)

提督「島風も執務室だったなぁ、最初の頃は」

秋月「でも、提督の職場で自由にするのは失礼ではありませんか?」

提督「大丈夫だよ。そんなに畏まらなくても」

提督「秋月も執務室で寝泊りする?」

秋月(わからないことが多いうちはそうしようかな……司令も親切にしてくれるから……)

秋月「えっと……お願いできますか?」

提督「ん、わかった。ここはどうしようか?」

提督「姉妹の誰かが来るまでは、秋月の物置みたいな感じで大丈夫かな?」

秋月「はい、そうして貰えたら助かります!」

提督「よし、決まり。じゃあ執務室に戻ろうか。戻ったらお風呂に入っておいで?」

秋月「お風呂……」

提督「大丈夫、間違っても俺と一緒に入るとかないから」

秋月(場所によってはあるって、学校だと言ってたなぁ……よかった)


提督「艦娘専用の大入浴場があるから、そこかな」

提督「そこも部屋戻る途中で寄ろうか。そしたら一人でいけるからね」

秋月「わかりました。何から何まで、本当に有難うございます」

提督「いいっていいって。最初は覚えることが沢山あって大変だよな」

秋月「いち早く馴染めるように頑張りますね」

提督「多分今日の雲龍みたいに誰かが突っかかってくる、なんてこともあるかもしれないから」

提督「何かあったら相談してな? 駆逐の子はそういうのはないと信じたいけど……」

提督「……気にしても仕方ないか。きっと大丈夫、なんとかなるよ」

秋月(……なんだろう。司令の大丈夫は、本当に大丈夫な感じがする)

秋月(どこか安心する……不思議な気持ち)

提督「また長話になっちゃったね、ごめん」

秋月「あの、気にしていませんよ? 大丈夫、です!」クスクス

提督「……」

秋月「?」

提督「いや、初めて笑ってくれたなって」

秋月「あ……その……」

提督「……ほら、お風呂寄って部屋に行こう」

秋月「……はい」

ここまで。
冬イベントで姉妹艦がきたらいいなぁ。





……



秋月(司令に案内されて、お風呂に来たのはいいけど……)チャプ…


「生き返るぅ~……」

「どうしたらこんなでかくなるのよ」

「つっつかないでったらぁ!」

「見てみて、このお肌……」

「はいはいスベスベだねー司令官が見向きもしないくらいねー」

「今日もクソ提督って呼んじゃった……って、笑うな漣!」

「いつになったら普通に呼べるようになるのよ……ん?」


秋月(漣さんくらいしか知ってる子がいないし……妙に見られてるし……)ブクブク

漣「おーい、秋月ー!」バシャバシャ

秋月(助け舟が!)





……



漣「なるほどねー。確かに一人だとつらいかも」

曙「見ない子ね。名前は?」

秋月「秋月と言います。お世話になりますね」

潮「よろしくね?」

朧「駆逐艦だと増える勢いすごいから、皆気にしないかもねー。面倒臭いの?っていうか」

漣「最近はその勢いも落ち着いてきたけどね。陰険な話はないかも」

秋月(そうなんだ……良かった)

漣「そういう衝突はねー……」

朧「むしろ年甲斐もなくって感じだよね」

秋月「?」

深雪「なになに、面白そうな話してるじゃん」ザブザブ

望月「お、空母共の愚痴か?」スイー…

時雨「あ、この子……」ザブザブ

漣「いいところに。この子新入りの秋月だよ」


時雨「僕は時雨。今日はごめんね?」

秋月「いえ、大丈夫です!」

望月「なんかあった?」

時雨「ここの案内頼まれたんだけど、ボロボロだったからドック行きたくて断ったんだ」

望月「あー……そりゃそうするよ。んぁ、アタシは望月」

深雪「深雪だよ、よろしくな」

秋月「はい!」

漣「中破以上の子に話掛けないほうがいいかもね。ドック最優先するし、機嫌悪い子もたまにいるから」

望月「アタシなら多分、半ギレで返事するかも」

時雨「怒ってるっていうか、面倒なだけでしょ?」

望月「まぁねー。風呂入って寝たいし」

秋月(なんか、すごく自然な感じ……どこか楽しそうで)

秋月(早く馴染めたらいいなぁー……)

望月「で、なんだっけ?」

深雪「駆逐艦の間では姉妹がーとか気にすることはないよって」

潮「姉妹というより、艦種ごとの差が激しいと思います。付き合いも大体は艦種ごとで別れてますから」

時雨「空母コンビとかはまた別だけどね。そのうちすぐに慣れるさ」


曙「あと、俗に言う『提督ラブ勢』っていうのには気をつけたほうがいいかも」

秋月「提督らぶ勢……?」

漣「ご主人様のことが好きな艦娘のこと。割と少なくないのよね、これが」

朧「恋は盲目って言うのかな」

秋月「司令はそこまで慕われているのですか?」

望月「……ほら、アタシたちって少なからず無念を抱いて死んでったじゃん?」

望月「そんなのが今一度艦娘なんて形で生まれ変わってさ。深海棲艦なんて宿敵が存在する世界で」

時雨「そんな僕たちを、大事に育ててくれて、今度は活躍の場を与えてくれてって」

曙「提督ラブ勢からしたら、それで恋せずにいられるかってところなんじゃないかしら」

曙「とか、誰にも望まれなかったのに、そんな自分でも必要としてくれたりとか……ね」

漣「確かに錬度が高い子や、高くなるにつれて好きになってく子とかいるよねー。漣とか……」チラリ

曙「……こっち見んな」ブクブク…

望月「アタシ的には、身近にいる唯一の男だからってのがでかいと思うんだけどね」

時雨「そう、かな……秋月は、どう? 提督のこと」

秋月「司令は……とても親切で、お優しい人だと思います。一緒にいて妙な安心感がありますし……」

時雨「うん。僕もそう思う。やっぱり提督だからだよ、望月」

望月「アタシわかんなーい」

曙「話逸れちゃったけど、提督ラブ勢の前で提督を少しでも貶したり、悪く言うととんでもない目に遭うからね」

漣「それって経験談?」

曙「……知らない」プイ

秋月(きっとそうなんだろうなぁ……)

時雨「曙はもう大丈夫だよ、皆わかってるから」クスクス

ここまでー。
卵焼きみたいな蕩ける新ボイスが増えるといいなぁ、誰によらず。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom