勇者「年には勝てなかった……」魔王「いや、いい加減城にくんなや」 (24)

勇者「でもお前に嬲られる快感が忘れられない!」ハァハァ

魔王「ワシはお前の恐怖が拭えない」

勇者「後生だ! もう私は長くない! だから最後位気持ち良く――」

魔王「そう言って何回この城に来たと思っている!!」

勇者「別にお前に危害を加えている訳じゃないから良いじゃないか!」

魔王「精神的に負ってるんだよ!」

勇者「そんなの私だって負ってるよ!」

魔王「それこそ適当に自虐でもしてろや!」

勇者「[田島「チ○コ破裂するっ!」]で満足出来たら魔王に頼むかッ!!」

魔王(もうヤダ、このドM……)

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魔王「なら家臣にでも頼んでくれ」

勇者「奴らの攻撃じゃ勃たん」

魔王「なら人間の女性にでも何とかして貰え」

勇者「今更人間如きで満足するかよ!」ダン

魔王(なんでワシがキレられるん?)

勇者「もう70年以上の付き合いじゃないか」

魔王「お前が勝手にやってくるだけなんだが」

勇者「でも付き合ってくれるじゃん」ハッハッハ

魔王「お前が世界の裏側まで襲ってくるからだよッ!」

魔王「なんでワシしか来ることの出来ない異界にくるんだよ……」グスン

勇者「人の思いは不可能を可能にするんだよ」ドヤァ

魔王(人の性欲コワイ)

勇者「御託は良いからそろそろ初めてくれよ」

魔王「勘弁してくれ」

勇者「パンツ脱いでんだぞこっちは!!」

魔王「知るかそんなの! 何が悲しくてお前を甚振らないといけないんだ!」

勇者「魔族ってのは人の悲鳴を聞いてなんぼだろうが!」

魔王「喘ぎ声を聞いたって喜ばんわ!」

魔王「それにワシだってオスだ。どうせなら女の悲鳴が聞きたい」

勇者「いい加減にしないと死ぬまでお前の耳で喘ぐぞ!」

魔王(どんな脅しやねん)

勇者「それとお前以外の魔族を根絶やしにする」

魔王「いっそ殺してくれ」

勇者「そいつぁできねえな。私を満足させてくれるほど気持ち良くしてくれるのはお前だけなんだ」

魔王「お前の方が魔王だよ……」

勇者「いいだろ? それに私の寿命も近いんだし」

魔王「90以上生きている人間が何を言っている」

勇者「でもそろそろなのは確かさ」

魔王「今でも殴ってくれなんて言っている人間が?」

勇者「ふっ……自分の体は自分が一番分かってんのさ。私はそろそろ死ぬって」

魔王(だったらとっとと[ピーーー]や)

勇者「だから死ぬ前ぐらい気持ち良くなりたいんだよ」フッ

魔王(70年間毎日付き纏って来ただろうが!!)ギリ

勇者「だから、なあ? 頼むよ?」

魔王「はぁ……」

魔王(そして結局ワシは勇者がイクまで攻撃し続けた)

翌日

魔王「もう昼か……」

魔王(そろそろ奴が来るのか)ハァ

魔王「……………………?」

魔王「珍しいな、奴が時間通りに来ないなんて」

魔王「ハッ! まさか油断した隙を突いて!?」

魔王「な訳ないか、奴は殴ってほしくて来るんだから」

魔王「……それにしても来ないな」

魔王「まさか本当に死んだのか?」

魔王(その翌日も勇者は来なかった)

魔王(ワシが奴の死を知ったのはその7日後だ)

魔王(吉報だった筈の報告の時、ワシはなぜか心にぽっかりと穴が開いた感覚にとらわれた)

魔王(魔族にとっては短い70年ではあったが苦しめられたのは確かだったのに)

魔王(だというのに――何故か喜べない)

魔王(あの苦痛だった日々をワシは楽しんでいたとでも言うのか?)

魔王(だったら何で円形脱毛症が出来たり、何度も歯軋りで歯が欠けた?)

魔王(勇者が死んだことで魔族は嘗ての邪悪さを取り戻し、多くの人間どもの悲鳴も聞けるようになったのに……)

魔物A「魔王様! 今日も多くの人間どもを狩りました」

魔物B「いやぁ、奴らの命乞いと言ったら笑える笑える!」

魔王「そうか、ご苦労だったな……」

魔物A「どうしました魔王様、何処か調子でも悪いのですか?」

魔王「いや、なんでもない。下がれ」

魔物「「ハッ!」」

魔王「……ハァ」

魔王(魔族としての尊厳を取り戻したというのにどうしてこんなにも気分がすぐれないのだ)

魔王(まるでやる気が出ぬ)

魔王(やはりワシは勇者とのプレイを楽しんでいたというのか?)

魔王(だったら何故喜べない?)

魔王(今ではより取り見取りで楽しめると言うのに)

魔王「どうして心が晴れぬのだ!!」

魔王「何故……ワシはこんなにも退屈なのだ」

???「そいつは簡単さ」

魔王「なっ! 下がれと言ったはずだ!」

???「その命令を聞く筋合いはねえな」

魔王「城の者ではない……貴様、何者だ?」

???「俺かい? 俺は――」


「変態だ」

魔王「フッ、変態……か」

変態「どうした? 気でも狂ったかい」

魔王「それは此方の台詞だ。自己紹介で変態と名乗る者など頭が狂っている」

魔王「で、変態よ。貴様はワシが退屈な理由を解っているようだな」

変態「ああ、丸解りさ」

魔王「では何故ワシは退屈なのだ?」

変態「そいつを教えるのは俺に勝ってからだな」

魔王「ククッ! この魔王に勝てるとでも思っているのか?」

変態「あたぼうよ! その為にここに来たんだからなぁ」

魔王「良いだろう、ならば――掛かって来るがいい!」

シュー……

変態「へっ、流石は魔王といった所か」

魔王「くっ」ガク

変態「予想以上だったぜ」バタリ

魔王「貴様も中々の強さだった……」

魔王「だがその程度でこのワシがやられると思うたか」ニヤリ

変態「その様だな」

変態「でも自分の気持ちは解ったんじゃねえかい?」

魔王「ああ……」

魔王「ワシはただ強き者と戦っていたかったのだな」

変態「あーあ、畜生。負けちまった」グフッ

魔王「貴様も人間にしては中々だった。それは誇っていいと思うが」

変態「んだよ。自分に余裕が出来たら上から目線だな」

魔王「もとよりワシは人より上だ」

変態「へん! やっぱり言いつけ守らなきゃよかったぜ」

魔王「言いつけ?」

変態「じっちゃんから頼まれてたんだ。私が死んだら魔王と戦ってやってくれって」

魔王「それは……つまり、貴様は――」

変態「ああそうだよ。俺は勇者の孫さ」

>>12 修正


変態「あーあ、畜生。負けちまった」グフッ

魔王「貴様も人間にしては中々だった。それは誇っていいと思うが」

変態「んだよ。自分に余裕が出来たら上から目線だな」

魔王「もとよりワシは人より上だ」

変態「へん! やっぱり言いつけ守らなきゃよかったぜ」

魔王「言いつけ?」

変態「じっちゃんから頼まれてたんだ。私が死んだら代わりに魔王と戦ってやってくれって」

魔王「それは……つまり、貴様は――」

変態「ああそうだよ。俺は勇者の孫さ」

魔王「なぜあやつがワシと戦えなどと……」

変態「さあ? でもいつだかじっちゃんは言ってたぜ」

変態「初めて魔王と会った時、すんげーつまらなそうで何にも楽しい事なんかなさそうな顔してたって」

魔王「――――」

変態「まあそれが理由かどうかは知らねえけど」

変態「それにじっちゃんは実の娘である母ちゃんにも他の人にも嫌われてたからアンタくらいしか話せる相手がいなかったんじゃね?」

魔王「いや、それは奴が変態だったからなのでは?」

変態「どうかね。王様も他の奴らも人並外れた力を持ったじっちゃんが怖かったんじゃねえの?」

変態「勿論変態だったからってもあるだろうけど」

変態「だったら同じ変態である俺と会わせない理由がないしな」

魔王「奴は孤独だったのか……」

変態「かもな。多少自業自得ってものあるだろうけど」

魔王「ワシも孤独、だったのかもしれん」

変態「アンタは家臣やらがいるだろうに」

魔王「奴らは魔王だから付き従っているだけにすぎん」

魔王「真面な会話などただの一度も無かった」

魔王「そう言う意味では勇者とは下らない話をよくしたな……」

変態「ふーん、つまりじっちゃんとアンタは互いに唯一の友達だったわけか」

魔王「友達、か……あの関係が親友とは言い難いが」

魔王「まあ退屈はしなかったな」

変態「ま、安心しろよ。また退屈なんてさせねえからさ!」

魔王「貴様が相手をするというのか? 言っておくがその程度ではすぐ飽きてしまうぞ」

変態「俺はこれからも伸びる! ってじっちゃんが言ってたし」

変態「それに俺はじっちゃんみたいにさびしい人生を送るつもりはこれっぽっちもねえ!」

変態「アンタを倒して有名になった後、世界中の女どもを俺好みに開発するんだ!」グヘヘ

変態「勿論アンタの力も利用して王様なんぞに威張らせないぜ!」

魔王「腹黒い奴だ。だがその夢もワシを倒さなければ敵わんぞ?」

変態「へっ、今に見てな! 直ぐにアンタを追い越してやるぜ!」

変態「それとも今俺を始末するかい?」

魔王「やめておこう。ワシも折角の楽しみを今終わらせてしまうのは忍びない」

変態「ならマスかいて待ってな! 必ずアンタを従えてやるぜ」ダッ

魔王「言ってしまったか……」

魔王「退屈なんてさせない……か」フフッ

魔王「その言葉、忘れるなよ」

魔王(勇者よ。お前が残した玩具がどこまで楽しませてくれるのか、篤と見せて貰おう)

魔王(面白いものだ。先程まで灰色だった世界が今では輝いて見える)

魔王(これが勇者であるお前が残した最後の力と言う訳か……)

魔王(だがワシは魔王だ。この世界の輝きを再び絶望の色に染めるだろう)

魔王(だからこれはお前との勝負でもある)

魔王(今度こそはワシが勝つぞ?)


「解ったな? 我が友よ」

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