咲「え? 本戦はノーレートじゃないんですか!?」 (123)

久「ノーレートなのは地方予選までよ。今年からルールが変わったって言ったでしょ」

まこ「去年までは地味なノーレートの競技ルールじゃったんじゃがのう」

優希「咲ちゃん、もしかしてお金持ってこなかったのか?」

咲「うん……財布には1万円くらいしか……部長、大丈夫でしょうか?」

久「う~ん……まぁ、咲なら大丈夫だと思うわ。ちなみにレートは1000点1000円よ」

咲「そんな、全然大丈夫じゃないですよ!」

和「団体戦なので当然ウマやオカはありません。清算は個人でそれぞれの対局終了時に行います」

まこ「つまり、チームがトップで勝ち抜けても、個人としてはマイナスってこともあるわけじゃ」

久「わざわざ説明するまでもないと思うけど、例えば、個人収支で2万点のマイナスなら、自分の財布から2万円を支払うのよ。計算は簡単でしょ?」

咲「まぁ……確かに計算は簡単ですけど……」

優希「それにチップもあるじょ!」

和「1枚5千円で一発、門前赤、裏につきます。オールスターは5枚です」

久「この大会では筒子だけ赤が2枚入るけど、各色1枚ずつでオールスターは認められているわ」

まこ「役満は直撃10枚、ツモで5枚オールじゃ。それにトビ賞はチップ10枚じゃけぇ気をつけんさい」

京太郎「それってトバされた人が一人で払うんですよね? 団体戦なのになんか理不尽じゃないですか?」

久「細かいことは気にしちゃダメよ。それとチップは団体戦の勝敗には影響しないわよ。あくまで点棒の勝負だから。まぁそれでも、狙えるものは狙うけどね」

和「チップに関しては点棒の清算と違って、一局毎に直接5千円札のやりとりになりますから、すぐに出せるように用意しておいた方がいいです」

咲「手持ちがチップ2枚分しかないや……」

和「心配しなくても多めに持ってきましたから、万が一のときは立て替えますよ」

咲「うん、ありがとう和ちゃん」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1415408076

1回戦 第9試合 中堅戦


実況「トップは広島代表、鹿老渡高校――」


洋榎「嶺上――開花ならずや!」

いちご(「開花ならず」ゆーて聴牌なん?)


いちご(ちゃちゃのんの一手はこれ…!)

いちご「9」パシッ


洋榎「ロン」


洋榎「日頃からチャンタの安さには疑問を感じとったんやけど……今回ばかりはその安さに感謝せなあかんな」


いちご(まさか……!!)

いちご「清老頭!!」


洋榎「32000点と5万円や。思ったより痛いんちゃうか?」

いちご「そんなん考慮しとらんよ……」


実況「第9試合中堅戦終了――!!」

実況「姫松高校主将愛宕洋榎 役満直撃で逆転――!!」

姫松高校 控室


洋榎「……って、誰も迎えに来-へんのかい!」

絹恵「おかえり、おねーちゃん」

恭子「主将、お疲れ様です」

由子「チップと合わせて10万円近く稼ぐとかさすがなのよー」

漫「相手に同情しますわ」

洋榎「役満は偶然なんやけどな。終わったらみんなで焼肉でも行こうや。うちが払うたるわ」

由子「太っ腹なのよー」

チップ有りで打ったこと無いから、イマイチチップについて分かってないから楽しみ。

実況「決ィまったァァァッ!!」

実況「清澄高校中堅 竹井久! 連荘六本場でハネ直炸裂!」

実況「副将にまわすことなく1回戦突破だーッ!!」



清澄高校 控室


優希「部長、お疲れ様だじぇ!」

まこ「まさかホンマに狙いにいくとはのぅ」

久「だから言ったじゃない。和と咲には申し訳ないけどね」

和「いえ、気にしないでください」

咲「私はむしろ出番がなくて助かったかな……」

久「10万には届かなかったか~まずまずね」

まこ「わりゃなにをアホなこと言うとるんじゃ、こりゃ今日は焼肉にでも連れてってもらわんと気が済まんわ」

優希「そうだじょ! 部長だけ10万はずるいじぇ、咲ちゃんものどちゃんもそう言ってるじょ」

和「言ってません。というか優希。あなたも5万円以上浮いてるじゃないですか」

優希「その返しは期待してないじぇ」

久「わかったわかった、しょうがないわね。今日は私の奢りよ。美穂子達も誘ってみんなで行きましょう」

優希「さすが部長だじょ」

咲「なんか悪いですね……」

久「遠慮しなくていいわよ。予算は十分なんだから」

まこ「ほうじゃほうじゃ」


久(一人4000円くらいでみとけば十分よね。調子に乗って大食いしそうなのは優希ぐらいだし。東京のお店ってよく知らないけど叙々苑でいいかしら)

焼肉のお姫様か何か?

実況「インターハイ2日目――今日もまた12校が3校に絞られます!!」



阿知賀女子 控室


晴絵「出番だよ! 玄!」

穏乃「がんばってください!」

玄「おまかせあれ!!」



東1局 1本場

玄「ロンです! 16300とオールスターで2万5千円!」


控室


晴絵「よっしゃ、玄のやつ調子よさそうだな!」

穏乃「てゆうか、ひと和了で2万5千円とかすごくないですか……対局終了時にはラーメン何杯分になるんだろ……」

灼「素点の分もあるから4万1千円だけどね」

憧「まぁそんな調子で稼げるのは玄だけだけどね。相手に同情するわ」



東2局

玄「ツモ! 6000とオールスターで2万5千円オールです」


咏「パネェー! ひと和了で9万3千円とかバイオレンス感パネェー!」

>>13
咏「パネェー! ひと和了で9万3千円とかバイオレンス感パネェー!」

これは4ま

>>13
咏「パネェー! ひと和了で9万3千円とかバイオレンス感パネェー!」

これは4万3千円の間違いなのか俺がルールを知らないのか。

知らないだけだわ
オールスターは五枚オールだから75000になる

赤とオールスターって別じゃないのかしら

>>19
元の6000×3=18000円にオールスターで25000×3=75000円追加
>>1に書いてある

えり「先鋒戦、終了――!」

えり「トップは阿知賀女子! 松実玄は振込みながらも、それ以上に大きな手を和了して取り戻す展開で、素点収支は5万点を超える大活躍です」

咏「いや~素点収支とかもはやどうでもよくね? 30万円以上浮くとか宮永照でも無理なんじゃね? 知らんけど」



阿知賀 控室


玄「ただいま帰ったのです!」フンス

宥「玄ちゃんおかえり~」

穏乃「玄さん、30万円とか大活躍じゃないですか!」

玄「それほどでもないのです」

穏乃「うおー! 私も稼ぐぞー!」



憧「もしかしたらこうなるかもな、とは思ってたけどさ……」

灼「まさかこれほどとは……泣きながらチームメイトにお金借りてる人もいたよね」

晴絵「さすがに私の月給超えてくるとは思わなかった……でも玄が浮いたのは助かったよ」


晴絵(次の相手は千里山の園城寺、そして勝ち上がれば今度は宮永照だからね。可哀想だけど今の玄じゃ大量失点は避けられない)

>>21
>>23
ああそうか。
チップも全員から貰えるのか。
サンクス。

しかしこれ照死亡の未来しか見えないのだが。

えり「大将戦終了――!! 阿知賀女子学院 2回戦進出です――!!」


阿知賀 控室


穏乃(▲1万円)「う~ん……初戦突破なのになんだか喜べない……」

憧(+5千円)「いや、そこは喜びなさいよ」

灼(+2万円)「目的変わってるし」

宥(+3万円)「そうだよ。お金のことばかり考えるのはあったかくないよ」

玄(+30万円)「ですのだ」



晴絵(宥と灼はおおよそ実力通りの結果だね)

晴絵(穏乃は素点ではプラスだったのに、チップで削られてマイナス)

晴絵(憧も素点では3万点も浮いたのに、チップのせいで残ったのは5千円か。しょっぱいね。鳴き麻雀だとチップは出ていく一方だからなぁ。赤のチップが門前でしか認められてないことが明暗を分けたね)

晴絵(賢い憧ならそのあたりのことも気づいているんだろうけど、お金集めに走らず自分のスタイルを貫いてくれて安心したよ)

晴絵(目の前のお金に惑わされずチームの勝利を優先できるかどうか。一見不健全に感じる今年のルールだけど、実際にはチームとして最も重要なことが試されている)

晴絵「まぁなんにせよ一回戦突破おめでとう! せっかくだからこれでうまいもんでも食ってきな!」

憧「え、いいの?」

憧(1万円か。微妙な予算だな)

晴絵「遠慮すんなって!」

穏乃「ラーメン食べたい!」

憧「いや、せっかくだからもうちょっといいとこに行かない?」

憧(こういうのってお釣りは返す流れだし、どうせなら使いきらなきゃ損じゃん)

玄「焼肉なんてどうかな?」

憧「あ、いいね!」

宥「あったか~い」

穏乃「焼肉も食べたい!」

憧(でも焼肉だと確実に足が出る……)

灼「ハルちゃんは来ないの?」

晴絵「私は先約があるから。あんたたちだけで行っといで」

憧(まぁいいか。足りない分は玄が払うでしょ。流れ的に)

清澄高校 宿泊施設


優希「ただいま帰ったじぇ!」

美穂子「みなさんお疲れ様です。それと初戦突破おめでとうございます」

久「ありがとう。あら、美穂子ひとり?」

美穂子「はい。華菜たちは今久保コーチのところに」

まこ「すぐ戻ってくるんかのぅ?」

美穂子「いいえ、しばらくかかると思いますが、どうかしましたか?」

和「いえ、たいしたことじゃないのですが……初戦で浮いたお金で焼肉でも、ということになりまして、よろしければご一緒にと思ったのですが」

美穂子「え? そうなんですか? でも私まで

あれ? なんか途中で切れてる……
すいません後でPCから投稿し直すので>>43は忘れてください。

清澄高校 宿泊施設


優希「ただいま帰ったじぇ!」

美穂子「みなさんお疲れ様です。それと初戦突破おめでとうございます」

久「ありがとう。あら、美穂子ひとり?」

美穂子「はい。華菜たちは今久保コーチのところに」

まこ「すぐ戻ってくるんかのぅ?」

美穂子「いいえ、しばらくかかると思いますが、どうかしましたか?」

和「いえ、たいしたことじゃないのですが……初戦で浮いたお金で焼肉でも、ということになりまして、よろしければご一緒にと思ったのですが」

まこ「おらんのなら仕方ないのぉ」

優希「池田は運がなかったじぇ」

久「そうね。美穂子だけでも一緒に行きましょ」

美穂子「いいんですか? 私は部外者ですけど」

久「気にしなくていいのよ。どうせ泡銭なんだし」

美穂子「そうですか。それなら喜んでご一緒させて頂きます。でも、なんだか他の皆さんに悪いですね。ついさっきまで鶴賀と龍門渕のみなさんもいらしたんですが……」

久「え? ほんとに?」

美穂子「はい、部屋が手狭になっては悪いとのことでみなさんが戻られる前に帰られたのですが」

久(悪いけど予算的にその2校の参加は全然考えてなかったわ。泡銭とは言ったけど、全額使うつもりは更々ないしね)

美穂子「本当にタッチの差だったんですが……」

久(タッチの差でセーフだったわけね)

美穂子「あ、まだ近くにいらっしゃると思うので呼ぶことも……」

久「あーあーいいのよ、そんな大袈裟にしなくても。それは全国優勝の祝勝会にとっておきましょう」

優希「そうだじょ、わざわざ電話するほどのことでもないじょ」

まこ「ほいじゃ出かけるとするかの」


優希(さすがに10人も増えるのはごめんだじぇ)

まこ(わしらの浮きまで支払いに消えることになりかねんからのぉ)


京太郎「それじゃ7人ですね。店予約しときますんで」

久「頼んだわよ」

美穂子「えっと……彼は……?」

久「須賀君よ。男子部員が一人いるって言ったでよ?」

優希「お留守番させるか迷ったんだけどな」

まこ「さすがに酷いからのぅ。宿はともかく食事なら男子がおっても問題ないじゃろ」

京太郎「はじめまして福路さん。須賀京太郎です」

美穂子「あ……ふ、福路美穂子です。こちらこそよろしくお願いします」

久「あら? 緊張してるの?」

美穂子「す、すいません。同年代の男性とお話しするのは久しぶりだったので……」

優希「おい犬、おねーさんに変なことしたら即退場だからな」

京太郎「しねーよ、人をケダモノみたいに言うな。誤解を生むだろーが」

優希「とうちゃーく!」

和「ちょっと優希、あまりはしゃがないでください。恥ずかしいです」

まこ「ほうじゃ。ここは長野みたいな田舎とは違うんじゃけぇ、道であんまり騒ぐと恐い人に絡まれるけんの」

咲「え……それほんとですか……」

久「ほとんど冗談だから安心しなさい。でも私たちは全国に放送されている立場だから、盛り上がるのは個室に案内されてからにしましょうね」

まこ「私服に着替えてきて正解じゃったのぅ。これなら万が一の時は他人のふりできるわ」

優希「みんなひどいじょ」

美穂子「まぁまぁそのへんで」


洋榎「おっ、もしかして清澄か?」

久「あら、そちらは姫松のみなさんね。抽選会のときはどうも」

洋榎「おお、覚えとってくれたか。安心したで。声かけて忘れられとったらかっこつかんからな」

まこ「忘れるもなにも、強豪姫松のことはもともとマークしとるがの。むしろこっちが覚えられとったことが驚きじゃ」

恭子「いえいえそんなことないですよ。うちらも長野代表には注目させてもらってますんで。そちらは風越女子の福路さんですよね」

美穂子「あ、はい。よくご存知ですね」

恭子「当然ですよ。個人戦長野予選の1位ですからね」

美穂子「恐縮です」


美穂子(ええと……名前を尋ねるタイミングを逸してしまったわ……むこうがこっちを知っているのに名前を尋ねるのは失礼よね)

久(あら? 名乗らない流れなのかしら? えっと……この人はなんて名前だったかしら? むこうは当然のようにこっちを全員知ってるみたいだし、これは今更訊けないわ)

まこ(知っとるで。姫松の大将じゃろ)

恭子「えっと……そちらは……」

久「こっちは一年の男子部員、須賀君よ」

京太郎「どうも。須賀京太郎です」

恭子「こ、こちらこそ、末原恭子です」

洋榎「あ、愛宕ふぃろ榎です……」


洋榎(あかん、緊張して噛んでもうた!)

恭子(ちょっと主将、しっかりしてくださいよ、恥ずかしいやないですか!)

洋榎(しゃーないやろ、いきなりイケメンに話しかけられたら誰かてビビるわ)

久(あらあら。てっきり男女関係なくフランクに接するタイプだと思ってたけど、これは意外ね)

まこ(なんだかんだで京太郎はスペック高いからのぉ。身長も180超えとるし)


由子(出遅れたのよ~)

絹恵(お姉ちゃんのいらんボケのせいでタイミング逃したやん)

漫(勘弁してくださいよ主将……)


穏乃「和っ!?」

和「えっ、穏乃! 玄さん! えっと……憧?」

憧「なんで私だけ疑問形なのよ!」

和「あ、やっぱり憧でしたか」

玄「和ちゃん、久しぶり。それと初戦突破おめでとう」

和「ありがとうございます」

久「和、お友達?」

和「はい、奈良にいたときの。そういえば、穏乃達はどうして東京に? もしかして、わざわざ奈良から応援に来てくれたんですか?」

憧「あちゃー、やっぱりノーマークかぁ~」

玄「仕方ないよ。組み合わせでも逆側なわけだし」

和「え?」

恭子「横槍で申し訳ないですけど、奈良県代表の阿知賀女子のみなさんですよね。姫松の末原です。どうぞよろしく」

灼「ご丁寧にどうも。阿知賀女子部長の鷺森です」

和「えっ!? 奈良県代表!?」

穏乃「サプライズを狙ってたから、期待通りの反応には違いないんだけど」

憧「実際やられるとけっこう複雑ね」

玄「私たちも今日は初戦突破の祝勝会ですのだ!」

和「それはおめでとうございます」


和(後ろの二人とは初対面で間違いないです……よね?)

灼(なんか蚊帳の外っぽくて寂し……)

宥(原村さんからこの人とは知り合いだっけ? 初対面だっけ? どっちだっけみたいな視線をさっきから感じるよ。たぶん初対面だから頑張って思い出そうとしなくて大丈夫だよ。もしかしたらニアミスしてるかもだけど)

京太郎(これが可愛い子の友達は可愛いの法則か。阿知賀女子、見事に外れ無しだ!)


咲「京ちゃん」

京太郎「な、なんだよ咲……」

咲「別に」


洋榎(きょ、京ちゃんに、咲やて!?)

恭子(男女で名前呼びとか漫画の世界やろ、もしかして付き合うてんのか!?)


憧(ちょっと和、誰よあのイケメンは!)

和(男子部員の須賀君ですよ。イケメンかどうかは知りませんが)

玄(だ、男子部員……!?)

和(そんなに驚かなくても、うちは共学ですから、男子部員くらい普通にいますよ)


久(遊んでそうに見えてもやっぱり女子校なのね)

まこ(見た目は派手なのに意外だのぅ)

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