モバP「千秋をヤンデレにさせてみたい」 (249)

アイドルマスター シンデレラガールズのSSです。

モバP「飛鳥をヤンデレにさせてみたい」
モバP「飛鳥をヤンデレにさせてみたい」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1389443242/)

に刺激を受けました。
それを参考に 安価とコンマ判定でPと黒川千秋の心の触れ合いを目指す予定です。
システムは某冠フリーゲーム方式を採用。
安価時の連投は良識の範囲で控えて頂けると助かります。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1414810608



「こっちよ」

 貴方を呼ぶ声がする。

「そう、其処の貴方。こっちよ」

 振り向いた貴方を金の瞳が射抜く。
耳へかかる程度に伸ばされた黒髪は、緩やかに波打っている。

「そっちじゃないわ、こっちよ」

 背後から伸びた手が、貴方のネクタイを引く。
抵抗はせず背後へと向きなおる貴方は、やはり金の瞳に射抜かれた。

「……」

 貴方の傍へすり寄るのは呼吸を止めた少女である。

「……」

 貴方は喋らない。

 少女もしゃべらない。

 ほんの一瞬、だけど刹那と呼ぶには長すぎるほどの間だけ二人の時が止まる。

「あら、慣れていないのね。カワイイ」

 少女から視線をそらし、頭を振った貴方を少女は沈黙に耐えられなかったと判断したようだ。
ネクタイから手を離し少女は一歩貴方との距離を開けた。

「シンデレラプロダクションから貴方を迎えに来たの」

 視野が広がったおかげで、貴方は少女の全身を初めて確認できた。
襟を大きく開いた制服。その胸元よりも先に鎖骨の間に光るネックレスが目に留まる。

「ねえ貴方、御名前は?」

 髪をかき上げる右手首、ついで微かに覗いた耳元にもやはり銀の煌めきが添えられている。

「○○○○」

 貴方は自分がプロデューサーである事を忘れずに付け加えた。

「どうやら間違いない様ね。私は速水奏よ」

速水奏
http://i.imgur.com/vYHUomf.jpg

 ウインクを一つ残して、速水は歩み出した。
闊達さの表れか、経験の不足による礼を失した振る舞いか。
振り返る事も無く彼女は歩を進める。けっして急がずゆっくりと。

 追いかけようとした貴方は自分のネクタイがほどけていた事に気が付いた。
慌てて傍にあったショーウィンドーに自身を写し、ネクタイを結び直す。


P「最初に見たのは彼女の写し身か」

 そんな間抜けな感想を貴方は漏らした。


奏「そうなの、そんな理由でPさんはうちの事務所へ来たのね」

 道中貴方は積極的に彼女へ話しかけた。
速水と名乗る少女はどうやら銀のアクセサリーを好むらしい。
金の瞳と対と成る彼女なりの御洒落なのだろうか?

奏「視線、気づいてるんだから!」

 なぜか速水は嬉しそうだ。
お気に入りのおもちゃを褒められた子供の様な反応だ。

P「見られる事はアイドルの仕事では?」

奏「確かにそうね。でも私は慣れていないのよ、まだ衣装持ちだから」

P「僕は君を担当するのかな?」

奏「違うわよ。でもこれから何度も顔を合わせる事になるはずよ。
 Pさんが受け持つ予定の千秋さんは、私が専属だもの」

P「↓1」コンマ

――――

 まずはシステム解説用のコンマ安価です。
コンマ判定は最低00~99最大の範囲で行います。
基本は50に近い程可もなく不可も無く。
00に近い程マイナス判定。99に近い程プラス判定となります。


 今回はPの事務所に対する初期印象度判定です。
Pの印象度は嫌-10~10友の範囲で動きます。

印象度は嫌←→友/好感度(後述予定)は憎←→愛の二つの軸に別れます。
数値によっては「嫌いだが気になる」や、「友情と嫉妬の板ばさみ」などの状態になります。

コンマテーブルは以下

00~19 -2
20~44 -1
45~54 +-0 次回判定時数値変化増大
55~79 +1
80~99 +2


 事務所への印象は今後のイベント展開へ対するフレーバー要素ですのでお気軽にどうぞ。
ぞろ目を出した場合は特殊判定となりますが、細かい解説はその時に。

――――

コンマ57 良印象+1

P「随分と親切な事務所なんだね。
 プロデューサーだけでなく世話係までいるなんて」

 貴方はそんな感想を漏らした。

奏「そうね、確かに珍しいみたいよね。
 でも必要なものはもう全部そろっているの。
 後はPさん、その身一つで来てくれれば良いのよ」

P「今日は顔合わせだけだと聞いてきたから、そのつもりだよ」

奏「疲れていないかしら?
 私としては休んでもらいたいけれど、到着次第千秋さんに面通しをお願いしたいの」

奏「ほら、着いたわよ。
 ここがシンデレラプロダクション。Pさんの新しい職場よ」

 オフィス街の片隅には古ぼけたビルが鎮座している。
果たしてここで貴方はどの様な物語を紡ぐのだろうか。




奏「速水奏、戻りました」

(ねえ、あの人ってもしかして?)

(ふーん、ホントに来たんだ。追加のプロデューサー)

 事務所では幾人かの女性達が思いおもいにくつろいでいた。
入り口正面から確認可能なホワイトボードには、幾つもの予定が書きこまれている。
文字の黒と空欄の白、比率は7:3 随分と活気のある事務所の様子だ。

(聞こえちゃいますよ)

(幾ら私達に関係ないからって、そんな態度じゃつまんないよ)

(あの人どこから来たんだろ。うちでやっていけるのかな)

奏「気にしちゃ駄目よ、小鳥のさえずりと同じ。
 無邪気なうわさ話なんだから。貴方は社長に選ばれたのもっと堂々としていて」

 音も無く、速水はまた貴方の首元からネクタイをほどいてしまった。
手首で揺れる銀の輝きは首元へ留まることなく胸元へ。かと思えば肩へと伸び上着を脱がす。

奏『衣装部屋へ案内するわ。まずは身なりを整えないと』

 速水は耳元で囁き、直ぐに貴方の元を離れる。
背を向け歩を進める彼女は、やはり貴方へ振り向く事はなかった。


奏「裏方は裏方に徹しないと、ね」

 衣裳部屋に着いた貴方は、ネイビーのビジネススーツ・同色のネクタイを身に纏う様指示される。
どうやら黒のフォーマルスーツは先方の御気に召さないらしい。

「可哀想……流れるままに身を任せて……」

 カーテンの陰から誰かがこちらの様子を窺っている。
着替えを済ませた貴方は、人影の正体を確かめる事とした。

「もっと心を……自由に……。
 囚われて朽ち果てる……そんな音が……流れた」

 貴方がカーテンを引きあけると影は金色の草原へと隠れた。
人型を持つ髪の長さは速水と同程度。癖が強いのか外へと跳ねる金糸が貴方の目を引く。
天井から降りるLEDの光が自然光と思えるほどのまばゆい輝き。

 目を細め光源を探すと、人型の首元には金の首輪がはめられている。
眩しさに耐えきれず目をそらすと、袖口の緑が色調を和らげてくれる。

 貴方が瞬きをし今一度人型を見据えると、エメラルドの瞳が見つめ返した。
どことなく妖精を思わせる眼前の女性――彼女がアイドルの黒川千秋だろうか?

「踊るのには、まだ慣れていなくて……。梅木音葉です」

梅木音葉
http://i.imgur.com/vKfPIms.jpg

P「お会いできて光栄です」

音葉「もっと早く出会えていたら……。
 どうして……来てしまったの? 貴方は誰にとっても不幸をもたらす……」

 歓迎されていないのだろうか?
速水は背を向け貴方のフォーマルスーツへブラシをかけている。
対話の助けにはなりそうもない。

音葉「可哀想……本当に……。
 ようこそシンデレラプロダクションへ……Pさん。
 誰もが……貴方を歓迎しないでしょう……」

 貴方は梅木と初対面であり、嫉まれる理由はない筈だ。


音葉「私の手を、引いてもらえますか?
 二人目のプロデューサーさん、私だけは貴方を歓迎します」

 差し出された手を取り握手を交わす。
彼女は貴方に対し悪感情を持っていないようだ。

奏「気にしないで、と言っても無理よね。
 梅木さんは先代のプロデューサーと上手く行かなかったの。
 彼女に限らずうちは縁に恵まれない娘が多いのよ」


P「↓1」コンマ判定

――――

 Pの事務所に対する印象度判定です。 現在値+1

コンマテーブルは以下

00~19 -2
20~44 -1
45~54 +-0 次回判定時数値変化増大
55~79 +1
80~99 +2


 事務所への印象は今後のイベント展開へ対するフレーバー要素ですのでお気軽にどうぞ。
ぞろ目を出した場合は特殊判定となりますが、細かい解説はその時に。

――――

コンマ66 良印象+1

ぞろ目により特殊判定 反転システムが作動します

 反転とは?
人間の感情は基本積み重ねで動きますが、
かわいさ余って憎さ百倍・百年の恋も冷める等の言葉に示されるようにあるきっかけで急変する場合が存在します。

 反転が発生した場合、現在の数値はそのままに+-が入れ替わります。

事務所への印象 現在値+2 → -2へ変更されました

P「気にしますよ、中途採用なだけでも不安なのに。
 外様は唯でさえ肩身が狭いですからね」

 貴方はそんな感想を述べた。

奏「着替えが済んだならば、行きましょう。
 千秋さんは公正な人よ。良くも悪くもね」

音葉「千秋さんは清らかな水の宴……。
 貴方の呼吸を忘れずに……」

 黒川千秋 貴方が受け持つ予定のアイドルなのだが、事務所では一目置かれる存在のようだ。


奏「速水奏 プロデューサー候補Pをお連れしました」

 会議室の前、速水が背を伸ばし挨拶する。

「そう、二人目ね。いいわ入りなさい」

奏「それじゃ私はここまで。頑張ってね、話が終わればまた迎えに来るから」

 用が済んだはずだが、速水はその場へ留まっている。
貴方の入室を見届けるつもりの様だ。

P「それじゃ、また」

奏「ええ、また ね」


「良く来たわね。
 私がシンデレラプロダクション所属、シンデレラガール挑戦権保持者黒川千秋よ。
 貴方の到着を喜ばしく思うわ。社長の肝いりだそうね」

黒川千秋
http://i.imgur.com/EDUQjTX.jpg


 黒ではなく青を着せる。
眼前の存在は生まれながらにして、他者を従える威厳を備えているかのようだ。

 赤 圧倒的な赤。
袖を取り払い胸元から背中まで大きく開いたドレス。
その圧倒的肌色の露出にも拘らず、緋色の洪水が室内を支配していた。

千秋「貴方へは最大限の敬意を持って接するよう、通達をだしたわ。
 マネージャーとしての活動に不備はない筈よ」

 焔は立ち上がり、貴方へそう告げた。黒い蛇がうねる。
彼女が黒川の名に恥じぬ、長く美しい黒髪の持ち主であると貴方は気付く。

千秋「最初にはっきりと伝えておくわ。
 分をわきまえて、大人しく過ごしなさい。
 私の目が黒いうちは貴方がプロデューサーとして称えられる日は、決して訪れないのだから」

 可哀想 梅木の言葉とエメラルドの輝きが思い出される。
 
 貴方を焼き尽くさんとする黒真珠の輝きは、どこまでも澄み切っている。
清冽とはこの事か、彼女の言葉に嘘偽りは含まれていないだろう。


千秋「私はいずれシンデレラガールと成り、引退するわ。
 その時には再就職の伝手を用意してあげる。貴方の人生は安泰よ」

 矢継ぎ早に彼女は口にする。
命じる事に慣れ、他者の反論を想定せぬ傲慢な振る舞い。
シンデレラガールの冠を戴かずとも、彼女はすでに皇女と等しい身分なのだろう。

千秋「最後に尋ねておくけれど、貴方はプロデュースを行うつもりはあるの?」



P「↓3まで」コンマ中間判定

――――

貴方がプロデューサーを目指す意思があるかを決定する判定です。

ある
ない
分からない(判定保留、一定期間後再度判定機会あり)

上記の中から選んでください。無効安価は繰り下げで判定。

↓3までの安価のなかで 3つを比較し大きくも小さくも無い中間コンマの安価を採用します。

例 コンマ 13 80 64 の場合 64を採用


 一部エンディングの方向性を誘導するフレーバー安価です。
序盤は意味がありませんが展開によっては後半で意味が出てくるかもしれません。
あくまでもフレーバー要素ですのでお気軽にどうぞ。


――――

コンマ判定 17 05 52  17ある を採用


P「あります。その為に来たんですから」

 貴方は怯むことなく意思を示した。

千秋「本気なの? ならば今一度伝えましょう。
 貴方がプロデューサーとして称えられる日は、決して訪れないのだと。
 それでも諦めないならば、私を納得させてみなさい」

千秋「今後の事は奏が取り計らってくれるわ。下がりなさい」

 千秋との対面を済ませた貴方は、廊下に出て冷や汗をぬぐった。

音葉「獅子の咆哮、恐れるも、怯えるも貴方には似合わない。
 辛い道と成るでしょう……貴方の声が聴こえなかった。
 私にはそれが何よりも悲しい」

 千秋との対面で神経をすり減らした貴方を出迎えたのは梅木だった。
事務所の現状について尋ねると、口数少なく途切れとぎれではあるが確かな答えが返ってくる。
貴方にはかなりの裁量が与えられている。その気になれば明日からでもプロデュースを始められるだろう。

 状況確認を進めるなか、千秋へ名前を名乗っていない事を思い出す。
その上で彼女の衣装がレッドバラードである事を、貴方は後日に知った。



(来たよ、来たよ、二人目が来たよ)

(お茶出しはどうしよう。最初だし来客用かな、それとも余ってるそばつゆ?)

(また一人目みたいな事にならなければいいけれど)

 梅木に連れられ談話室とは名ばかりの事務所の一角で、貴方は自己紹介を終えた。
所属アイドル達の反応は様々である。互いにけん制しこちらへ踏み込む鋭い質問は来なかった。

音葉「Pさん、私たちの関係は……悪くないでしょう……?」

 そんな空気を察してか、梅木が先陣を切った。


P「梅木さんは別です。でも他の方は何なんですか。
 これ見よがしにわざと聞こえるよう噂話なんかして。
 文句があるならば僕へ直接言って貰いたいですね」

 ほぼ初対面なのだから梅木との間にわだかまりはない。
貴方は事務所への印象に従って言葉を述べた。

音葉「歌には無限の可能性がある……本気の音を聞かせて?
 同じアイドルの仕事でも……プロデューサーが違えばきっと違う。
 どんなに時間がかかっても、Pさんは私をプロデュースしてくれる……そうでしょう」

 梅木なりに貴方を事務所の一員として溶け込ませようとしているのだろう。
だが梅木が口を開くに従い、他のアイドル達のざわめきが音をひそめる。
この提案からは劇薬の香りが漂う。貴方は慎重に答えねばならない。


P「↓3まで」コンマ中間判定


――――

貴方が将来千秋の他にアイドルをプロデューサーする意思があるかを決定する判定です。

ある
ない
分からない(判定保留、一定期間後再度判定機会あり)

上記の中から選んでください。無効安価は繰り下げで判定。

↓3までの安価のなかで 3つを比較し大きくも小さくも無い中間コンマの安価を採用します。

例 コンマ 13 80 64 の場合 64を採用


 その他アイドルのPへの態度を誘導するフレーバー安価です。
今後の安価次第ですがイベント内容に反映されるかもしれません。
安価次第では反映されないかもしれません。

メインアイドルは黒川千秋ですのでその点をお忘れなく。

――――

安価締切 次回更新は11/4以降の予定です

――――
コンマ 74 22 50 50 分からないを採用(判定保留、一定期間後再度判定機会あり)


P「するだとかしないだとか、そういった事ではありません。
 プロデュースにはまず、互いの信頼関係が必要なんです」

 貴方は梅木の提案を慎重にはぐらかす事とした。

P「皆さんはまだ僕の事を良く知らないでしょう、僕を信頼できないのも当然です。
 だから僕が行うべき事はまず、日々の業務をこなし皆さんからの信頼を得る事だと思います。
 ですから皆さんも、まずは自分を信頼してくれるファンの為に活動をしてあげてください」

 とはいえ貴方は事務所への不信感がある為、最後に皮肉を込めた。
売れているアイドルならばともかく、鳴かず飛ばずのアイドル相手ならば一先ず釘を刺す事は出来ただろう。

 貴方の回答に黄色い悲鳴が上がる。
次いで乾いた炸裂音。

奏「はい、そこまでよ。
 何時までもサボってばかりでは、千秋さんに睨まれてしまうもの」

 速水が一拍手で注目を集め、解散を促す。
散り際に幾人かのアイドル達が貴方へ会釈した。
彼女達は貴方の回答に満足したのだろう。

奏「御免なさいね、出しゃばった真似をしてしまって」

 速水は真新しい社員証を差し出した。
写真を確認する―――写りは上々だ。
これにより貴方はシンデレラプロダクションの正式所属となった。

 貴方は新世界へと向けて船出したのである。


奏「幾つか大切な作業があるから、端末を立ち上げてちょうだい」

 速水に促され、貴方の席となった仕事机でPCを起動させる。

奏「立ち上がりが早くて便利よね。うちの社長こういった所では気前がいいの。
 大きなビルを建てるより、仕事の効率が目に見えて上がるってね」

 それも一理あるだろう。
だが立派な自社ビルは事務所の看板でもある。
大手を名乗れぬみすぼらしい看板では、飛び込み営業に成功の見込みはない。

 速水が貴方の背にもたれ掛り、肩ごしに手を伸ばしマウスを握る貴方の手へ重ねる。
不必要な密着だ。心臓の音が連なり、互いの区別がつかない。

奏『振り向かないで、このまま話を聞いて』

 貴方がたしなめる前に、速水がささやいた。

奏『受け入れられたと思っては駄目よ。貴方の立場は複雑なの』

 心音はさらに波打ち、タンゴを始める。

奏『千秋さんもそう、後がない背水の陣』

 緊張しているのは貴方か、それとも速水か。

奏『貴方を拒む者がいる、受け入れようとする者がいる、利用しようとする者がいる。
 仕方がないのよ、此処の子は皆シンデレラガールの宝冠に魅せられてしまったから』

 シンデレラガール
TOPアイドルへの登竜門であり、業界全体で推進するシンデレラプロジェクトの対象者への称号。
その座を得れば栄光の未来は確実なものと成る。

奏『千秋さんよりも這い上がろうとする者がいる、憧れる者がいる、引きずりおろそうとする者がいる。
 仕方がないのよ、此処の子は皆ステージの上でスポットライトに焼かれてしまった。
 一度味わえばそれがもう最後、誰であろうとファンの歓声を、会場の光を全て集めたあの熱を忘れられない』

 シンデレラガールへの挑戦権は各事務所に毎年1つだけ割り当てられる。
今年の挑戦権保持者が貴方の担当である事を思い出す。

P「君はどうなのかな?」

 同時に湧き上がる疑問。千秋は貴方を拒絶した。
だが速水は世話係として貴方につくしてくれている。

奏『私はただの衣装持ちだから。目と目を逢わせては駄目。
 憧れのステージに上がれるのは一組だけ』

 PCはログイン画面でIDとパスワードの入力を待っている。


奏『この先Pさんは様々な道を歩むと思うの。でもそれは全てささいな事。
 大切な事は一つだけ、これさえ忘れなければ貴方は何時だってやり直せる』

 マウスに重ねられた二人の手が汗ばむ。

奏『貴方の味方は、私だけなのよ。
 何があっても、ね』

 熱い吐息を耳元へ吹きかけ、速水は立ち去った。
幾度も名残惜しそうに振り返りながら。

 PCはログイン画面でIDとパスワードの入力を待っている。


P「↓1と↓2」コンマ

――――

 今回はPの千秋に対する初期印象度と初期好感度判定です。
Pの印象度は嫌-10~10友の範囲で動きます。
Pの好感度は憎-10~10愛の範囲で動きます。

好感度と印象度の違いは感情の方向によります。


印象度は嫌←→友/好感度は憎←→愛の二つの軸に別れます。
数値によっては「嫌いだが気になる」や、「友情と嫉妬の板ばさみ」などの状態になります。

コンマテーブルは以下

00~19 -2
20~44 -1
45~54 +-0 次回判定時数値変化増大
55~79 +1
80~99 +2

 ぞろ目を出した場合は特殊判定となり反転システムが作動します。
数値変動後+-の値が入れ替わります。


 千秋への印象度/好感度は今後のイベント展開を左右します。


例えば 自動車に轢かれそうになったアイドルを助ける との安価イベントが採用されたとします。
本家765で名高い覚醒イベントですね。

 Pの好感度が愛へ傾いていた場合
貴方は我が身の危険を顧みずアイドルを助けようとするでしょう。その成否は別として。

 Pの好感度が憎へ傾いていた場合
貴方はアイドルを助けに向かいますが、我が身の危険を恐れ途中で見殺しにしようとするかもしれません。

 どちらにせよアイドルは助かるかもしれませんし、助からないかもしれません。

 この様にイベント時の貴方の行動はある程度、イベント発生時のPの印象度/好感度に左右されます。

↓1が印象度判定
↓2が好感度判定

――――


コンマ 77 34

77 良印象 +1

P「可哀想に不器用な人なんだな。
 何かを切り捨てなければ、手に入らないものを目指しているんだろう」

ぞろ目により特殊判定 反転システムが作動します

P「だがそいつは子供の理屈だ。
 他人を切るってのはそれだけ多くの恨みを買う。
 身内に対してすらあんな態度じゃ、敵は多いだろう」

Pの千秋への印象度 現在地 友+1 → 嫌-1 へ変更されます。

34 悪感情 -1

P「社長の気前の良い理由が良く解った。あの娘はとんだじゃじゃ馬だよ。
 乗りこなす気にもなれないが、前金分だけはしっかりと働こう。
 幸い保険はかけてあるしな、あいつの専属を名乗らず助かった」







梅木「Pさんは……私達へのプロデュースに対して……明言を避けました。
  あの声は灰色……煙突から上る石炭の粉じん……。
  見えるのは微かな怒り……そこまでです。でも……何に対してかは」

 会議室で千秋は、姿見を相手に独りステップを繰り返している。

千秋「ハッ ハッ ハッ」

 お世辞にも上手と言えぬ足踏みは、フラメンコの練習だ。

千秋「オーレ!」

 踊り、反省し、また踊る。
自身の苦手分野に挑むその姿は様にならず滑稽であるも、床の水溜りは流した汗を物語る。

千秋「トレーナーさんから出された課題。この程度でつまづくわけにはいかないわ」

 千秋は独り踊り続ける。

千秋「ハッ ハッ ハッ」

 次の支持がなされぬ為、梅木はただ千秋のそばで控え続ける。

千秋「オーレ!」

 彼女の振る舞いは孤高か、それとも無様か 答えを決めるのは貴方である。

千秋「↓1と↓2」コンマ

――――

 今回は千秋のPに対する印象度と好感度変化判定です。
千秋の印象度は嫌-10~10友の範囲で動きます。
千秋の好感度は憎-10~10愛の範囲で動きます。

コンマテーブルは以下

00~19 -2
20~44 -1
45~54 +-0 次回判定時数値変化増大
55~79 +1
80~99 +2

 ぞろ目を出した場合は特殊判定となり反転システムが作動します。
数値変動後+-の値が入れ替わります。

 千秋の初期印象度/好感度はいずれも-1に設定してあります。
Pへの印象度/好感度は今後のイベント展開を左右します。

↓1が印象度判定
↓2が好感度判定

――――

――――
コンマ 92 87

92 最良印象 +2

千秋「ふんっ……当然の結果ね。
  あれだけ馬鹿にされてなお、へらへらしている様なおべっか使いなら願い下げよ。
  私が目指すのはトップだけ。甘い言葉とか、優しい空気だなんてケアは要らないもの」

 ダンスへ手ごたえを感じた千秋が、貴方を評する。
だがそれは梅木へ聞かせるものではなく、自身へ言い聞かせるものである。

87 最良感情 +2

千秋「目標は実力より高くなければ意味がないわ。これじゃ物足りない。
 貴方は私の前で宣言し、プロデューサーとしてのスタートラインに立つ事は出来た。
 後は行動で示して頂戴、貴方が見立てる私に見合った仕事を」

 千秋の言葉は途切れることなく、虚空へ放たれる。
とても先程までダンスに疲れ果て、息を切らしていた人間とは思えない。

千秋「そうね、喉を大事にしないと。
 ダンスで良いものが掴めかけたせいか、気分の高揚が抜けきらないのよ」

 梅木の差し出した白湯を飲み干し、千秋は朗らかに話を続ける。

梅木「貴女と一緒は……楽しい……。
  真っ白な静寂が……私の音を包み込む……。
  音の無い世界……覚えているでしょう」

千秋「なぜだか貴女と見た北海道の雪が懐かしいわ」

 梅木がタオルで千秋の汗を拭く。
千秋は目を細め満足げに息を吐いた。





 初期設定イベントの安価判定が終了しました 本イベントの最終結果は以下です。

P   印象 嫌-1 好感 憎-1  事務所印象 嫌-2
Pのプロデュース意思 千秋 あり 他アイドル 分からない


千秋  印象 友+1 好感 愛+1


Pと千秋の印象度差 2


 Pと千秋どちらかの互いへの印象度/好感度が-10or10になったらエンディング予定です。

 Pと千秋どちらかの好感度が5以上になった場合、告白イベントを一度だけ任意発生可能です。
イベント内容は発生時の両者の印象度/好感度によってある程度左右されます。

 告白イベントに失敗した場合、告白対象者の好感度範囲が憎-10~-5愛へ制限されます。
告白失敗後も物語は継続可能ですが、通常の手段では愛10へ到達できない事をご了承ください。

註 Pと千秋の印象度が10以上離れてしまった場合、強制BADエンディングへ突入します。
  好感度の場合はどれだけ離れていても、強制エンディングは発生しません。


続いて次回発生イベントの内容を安価で募集します。

「↓3まで」コンマ中間判定

――――

貴方が千秋のヤンデレ化を目指すイベント安価です。

自由回答


註 告白イベントは無効と成ります

無効安価は繰り下げで判定。

↓3までの安価のなかで 3つを比較し大きくも小さくも無い中間コンマの安価を採用します。

例 コンマ 13 80 64 の場合 64を採用

安価イベント内容次第では強制終了となる恐れもありますので、予めご了承ください。

――――



コンマ 89 95 30 89 会社の体すらなってないを採用


 貴方は先日事務所にて好ましからざる人物としての扱いを受けた。
とはいえ着任時の皮肉が効いたのか、現状は小康状態である。

P「こちら20部コピーお願いします」

 貴方の城となった仕事机での業務には問題が無い。
同じ裏方である事務員達は貴方に対し協力的である。
幾人かのアイドル達は、貴方と対話を試みようと空き時間には顔を出している。

「フヒ、やあP 奇遇だな」

 だが最も多く貴方に話しかけてくるのは、彼女であろう。
貴方の背後に存在する机の主、白い毛虫である。

「暇なのか……そうか私も……暇だぞ」

 貴方が1時間おきに取る5分の小休止。
その合間を見計らってそれは現れる。

 机の下に潜み、綿ぼこりと共に暮らす彼女はどこかで見覚えがある。
白く伸びた髪はぼさぼさで、床を這う彼女は常に綿ぼこりを身に纏っている。

 初見ではミノムシの妖怪かと思ったが、もそもそ動くさまを見て貴方は彼女を毛虫と判断した。

「うん、今日は、お話しよう。 フフフ……はっきり言えたぞ」

 これだけ奇妙な存在であれば、どこで見かけたのか覚えていても良い筈なのだが。
少なくとも歩くだけでTシャツからおがくずが舞い上がる妖怪を、貴方は彼女以外に知らない。

「なあ、この落ち葉を見てくれ。
 縦に走る葉脈がとても美しい」

 そして事務所へ対し良い感情を持たない貴方は、度重なる毛虫の襲来に生返事を繰り返す。

「赤いとこと、黄色いとこ、どれもみんな違う。
 同じものは……一つもない」

 貴方はお茶へと手を伸ばし、休憩を続ける。
温くなっているが、喉を湿らせるには十分だ。

「そうか……駄目か……。
 ならこの倒木を見てくれ。年輪のここだ、ここ」

 貴方の目に写るのは、ただの落ち葉が数枚と朽ち果てた倒木が一つである。

「年輪の間隔が……広くなっているだろう。
 この年は梅雨が短かったんだ……キノコにはジメジメが無いと辛いけど。
 この子は夏が長いから喜んだ、そしてどんどんおっきくなった」

 白い毛虫の話は、どうも要領を得ない。
気長に付き合えば意思の疎通は可能であろうが、5分の小休止ではそれもおぼつかない。

P「そろそろ仕事に戻っても良いかな」

「ごめん……なさい……私、空気とか読めなくて……」

 会話(毛虫が一方的に話していただけだが)をやんわりと拒絶した貴方は、
うーんと背伸びをし気分を切り替えた。

「Pは……仕事の話がしたかったんだな……気が付かなかった。
 やっぱり……Pは千秋さんのPだから……真面目だ。
 うん、仕事の話する、仕事」

 毛虫は素早く背後の机の下へ潜ると、1通の手紙を取り出した。

「誰に渡せばよいのか、分からなかった。
 P、千秋さんを助けてあげて」

 差し出された手紙に目を通す。
中身は誰に対してかも分からない罵詈雑言の嵐、そして末尾には事務所を爆破するとの警告。

 貴方は手早く業務マニュアルへ目を通す。
脅迫文の類は、その大小を問わず警察へ連絡・指示を仰ぐ事。

P「分かった」

 芸能事務所への妬みややっかみは日常茶飯事だ。
テンプレートに従い警察への報告を済ませた貴方は、毛虫へ向き直る。
次の疑問は、なぜ彼女が脅迫文を保有しているのかだ。

「事務所に来るファンレター……私が仕分けを手伝ってる」

 通常ファンからアイドルへの贈り物は、全てアシスタントが検閲を行っている。
脅迫に限らず、カミソリや爆弾、時には盗聴器入りのしろものもある為油断はできない。


「危なそうなのは……私が頼んで……目を通させて貰ってた。
 ステージではもっと汚い言葉も……使わなきゃいけない……勉強に……なるから……」

 汚い言葉を必要とするステージ……貴方には見当もつかない。

P「他に何かあれば出してくれると助かる」

 言葉の節に違和感を覚えた貴方は所属アイドル名簿を今一度流し見る。
派手な化粧が無い為分からなかったが、目の前の彼女はシンデレラプロダクションのれっきとしたアイドルである。

「これ……だけ、先週まではチーフに返してたけど……。
 今、皆すごく忙しくて……私の相手はしてくれない。
 アイドルにはこれ見せちゃ駄目って……チーフ言ってたし……トモダチにも相談出来ない」

 貴方はもう一度業務マニュアルを確認する。
仕分け作業は裏方のみが行い、アイドルは立ち入らせぬこと。

 丁度コピーを頼んだ事務員が戻って来た為、貴方はチーフアシスタントの所在を確認する。
チーフは先週から産休に入ったとの回答。代行は電話対応中だ。

 貴方はようやく現状を把握した。
シンデレラプロダクションは活気のある事務所だ。
ホワイトボードを見れば、来月の予定も週初めまではぎっしりと書き込まれている。

 単純に業務の拡大に対し、スタッフの拡充が追いついていないのだろう。
忙しい時には猫の手も借りたいと言うが、眼前の毛虫が見かねて手伝いを申し出誰かがそれを受け入れた。

 アイドルが万が一悪意ある贈り物で怪我をしてしまえば、労務局が来るだけでは済まないのだが……。
規則は定まっているが、現場での改悪により文言は死文化しているのだろう。

 チーフの不在で業務は滞り、睨みの利かなくなった事務所はタガが外れかかっている。
所属アイドルの大半は年若く、社会人経験も少ない。
鬼の居ぬ間の洗濯とばかりに、自由と無秩序を履き違えているのだろう。

 アイドル達の気ままな噂話を思い出す。
何の事はない、今の事務所は会社の体すらなってないのだ。

P「↓1」コンマ判定

――――

 Pの事務所に対する印象度判定です。 現在値 嫌-2

コンマテーブルは以下

00~19 -2
20~44 -1
45~54 +-0 次回判定時数値変化増大
55~79 +1
80~99 +2


 事務所への印象は今後のイベント展開へ対するフレーバー要素ですのでお気軽にどうぞ。
ぞろ目の場合は反転システムが作動します。

――――
コンマ50 特になし +-0 次回事務所印象判定時数値変化増大

P「これからもっと人を増やすよう上にかけ合ってみるよ。
 ええっと……星? 君はもう仕分けには手を出さないでくれないか。
 今までありがとう、良く話してくれたね」

 眼前の妖怪を絶叫系アイドル星輝子? と認識した貴方は、一先ず労をねぎらった。

星輝子
http://i.imgur.com/dG9HWi8.jpg

 事情を知ってしまった以上、このまま放置すれば何かあった場合貴方にも累が及ぶ。
貴方はそんな打算を抱きながら、人員増強の上申書を提出しようと心に決めた。
少なくとも社長は貴方をヘッドハントしてきた以上、人を増やす意欲と余裕は事務所にもあるはずだ。

輝子「そ……そんな……P、私はもう要らない子なのか?
 何か気に障る事を言ったなら……謝る……」

 しかし貴方の感謝に対し、星はショックを受け小刻みに震えている。

輝子「わ、私はもっと事務所の為に……働きたい……。
 そうすれば……きっと……千秋さんの役にも立てる……」

 雑用を千秋が星へ押し付けたのだろうか? 

P「君も千秋の世話係なのかい?」

輝子「違うよ……私はもうデビューしてるから……。
  小さなハコだけど、月に6本は公演も取ってこれる」

 ニッチジャンルはコアなファンも多い。
星は太い固定客を相手に手堅く芸能界を生き延びているようだ。

輝子「私の好きなものは……どこか……他の人とずれてる。
 他所の事務所では色々……言われた事もある。だけど千秋さんは私を色物だって馬鹿にしなかった。
 どんな分野でも極めるのは大変。本当に好きならば本気で続けなさいって励ましてくれた」


P「↓1と↓2」コンマ

――――

 今回はPの千秋に対する印象度と好感度変化判定です。

コンマテーブルは以下

00~19 -2
20~44 -1
45~54 +-0 次回判定時数値変化増大
55~79 +1
80~99 +2

 ぞろ目を出した場合は特殊判定となり反転システムが作動します。


 千秋への印象度/好感度は今後のイベント展開を左右します。

――――

コンマ 61 29

61 良印象 +1 現在値 嫌友+-0

P「千秋は本気でトップを目指しているからな。
 星の頑張りに気が付いたから、きっと同じものを目指す仲間だと思ったんじゃないのかな」

 貴方は千秋が公正だとの評を耳に挟んだことを思い出す。
初対面時は人当たりのきつさに面食らっていたが、千秋は貴方を特に嫌っている訳ではないのだろう。
相手が誰であろうと物怖じしない意思の強さは、オーディションでの支えとなる。

 貴方は千秋に対する色眼鏡を捨て、認識を少しだけ改める事とした。


輝子「なあ、P。Pもやっぱり他の人と同じなのか?
 さっきっからずっと、マニュアルばかり見てる」

輝子「このキノコを見てくれ、これで私の話は最後だ。
 これはぶつぶつがある、これは斑点がある、これはヒダヒダになってる。
 全部名前はキノコだ、でもみんな違うんだ。神様がそう決めたから」

輝子「私は……人と同じじゃない。だけど……頑張って生きてる。
 P、どうして皆と同じでなければいけないんだ?
 人は皆違うんだ、誰一人として同じ人はいない、なのにどうして同じにしようとするんだ」

29 悪感情 -1 現在値 憎-2

P「それがアイドルの仕事だからだよ。
 僕が千秋を他のアイドルと同じにするんじゃない。
 千秋が自分のファンを感化して、人々を皆同じにしてしまうんだ」

 アイドルは広告を通じて大衆を扇動する事も役割だ。
人々はアイドルに憧れ、同じものを食べ、同じ服を着て、同じ歌を歌い、同じ髪型を喜んで選択する。
一つのひな型から生まれた、金太郎飴。街に溢れるファンを歪め形作るのは千秋だ。

輝子「私も……そうなのか……。
  私の好きな音楽を……もっと色んな人に好きになって欲しくって。
  だからアイドル頑張ってる。P、答えてくれ。私、みんなへ同じになれって押し付けてたのか?」

 ふと貴方はこの世の人間全てが千秋と同じ顔をしている光景を思い浮かべた。
あまりのおぞましさに頭を振り、益の無い妄想を追い払う。

輝子「ごめんな……ごめんな……やっぱり私、空気とか読めなかった。
 Pは、今、書類を書かなきゃいけないんだよな。うん、さよなら」

 そう言い残し、星はのそのそと貴方の背後へ消えて行った。

P「さよなら、じゃない。またね、だよ。
 3時になったら僕はおやつ休憩を取るから、一緒にどうだい?」

 貴方は振り向き、星へ対し誘い水を向ける。

輝子「おお、いく、いくぞ、約束だ。
 ふふふ、約束したぞ。私はPと約束したぞ、トモダチは約束を守るぞ」

 その姿は見えないが、星は機嫌がよさそうだ。
貴方は事務所で不快な事も幾つかあるが、敵意のない相手を排斥する程いらだってはいない。
ここで星との友好を深めておいても、損はないだろう。

 少なくとも星は千秋に対して好意的だ。
千秋とジャンルがかけ離れている事もあり、バーターで仕事を回してもファンの奪い合いにはならない。
貴方が上手く取り持てば、事務所への貢献を高めるきっかけが掴めるだろう。

 それに何時の日か貴方が、千秋の元を離れる日が来るかもしれないのだから。
選択肢は常に多い方が安全である。

――――

(ねえ、ねえ、また人が増えるんだって)

(今度は誰 新人さん? 可愛い子かな)

(アイドルじゃなくて、アシスタントさんだって。それも二人も)

(ざんねーん。アタシもそろそろ、マネージャー付に昇格かと思ったのに)

(欲しいよねーマネージャー。地方回りだと道ぜんぜんわかんなくて大変だし)

(私の調査によれば、ずばり今回の件はPさんの仕業でしょう)

(なになに~ど~ゆ~こと~)

千秋「↓1と↓2」コンマ

――――

 今回は千秋のPに対する印象度と好感度変化判定です。
現在値 印象度 友+1
    好感度 愛+1

コンマテーブルは以下

00~19 -2
20~44 -1
45~54 +-0 次回判定時数値変化増大
55~79 +1
80~99 +2

 ぞろ目を出した場合は特殊判定となり反転システムが作動します。

 千秋のPへの印象度/好感度は今後のイベント展開を左右します。

↓1が印象度判定
↓2が好感度判定

――――

――――
コンマ 18 38

18 最悪印象 -2 現在値 嫌-1

千秋「そうなの、Pさんが。
  新しく人が増えれば彼も新入りではなくなるし、風除けが欲しいのね」

(ん~そうなのかな~)

(着任早々上申だよ。
 こんな風に動いたら目立つし、穏やかに過ごしたいって感じじゃ無くない)

(千秋のPは乱世を御望みか、ならば黒船来航には黒船で対抗。
 出でませいキャシー、Pの首級を上げるのじゃ~)

(てやんでい、こちらとてチャキチャキのアメリカン江戸っ子だーい)

(ニンニン、必要とあらばこちらの忍びにお任せを)

 残念ながら専属の世話係を抱える千秋には、事務所がマンパワー不足との認識がない様子だ。

38 悪感情 -1 現在値 憎愛+-0

千秋「私のプロデュースをしたければ力を示せと言ったのだけれど。
 仕事を取ってくるでもなく、私の実力を見定めるでもなく、最初の業績がこれなのね。
 形式上は私の専任の筈なのに、ないがしろにされた気分」

 今現在の事務所に必要なものは千秋の求める優秀な人材ではなく、単純な頭数なのだが……。

 女性達の賑やかな談笑はまだまだ続く。
貴方のまいた種が芽を出し、人々の目に留まるにはまだまだ時間がかかりそうだ。




 会社の体すらなってないイベントの安価判定が終了しました 本イベントの最終結果は以下です。

P   印象 嫌友+-0 好感 憎-2  事務所印象 嫌-2(次回判定時ボーナスあり)
Pのプロデュース意思 千秋 あり 他アイドル 分からない


千秋  印象 嫌-1 好感 憎愛+-0


Pと千秋の印象度差 1


 Pと千秋どちらかの互いへの印象度/好感度が-10or10になったらエンディング予定です。

註 Pと千秋の印象度が10以上離れてしまった場合、強制BADエンディングへ突入します。
  好感度の場合はどれだけ離れていても、強制エンディングは発生しません。


続いて次回発生イベントの内容を安価で募集します。

「↓3まで」コンマ中間判定

――――

貴方が千秋のヤンデレ化を目指すイベント安価です。

自由回答


註 告白イベントは無効と成ります

無効安価は繰り下げで判定。

↓3までの安価のなかで 3つを比較し大きくも小さくも無い中間コンマの安価を採用します。

例 コンマ 13 80 64 の場合 64を採用

安価イベント内容次第では強制終了となる恐れもありますので、予めご了承ください。

――――

――――


コンマ 29 94 61 61 嵐で事務所に二人きりを採用


P「後、会えていないのはADの○×さんだけか」

 千秋の歌番組収録に付き合いテレビ局へやって来た貴方は、挨拶回りへ精を出していた。

P「千秋は本番前に集中したいって楽屋へ籠っているし、
 こういった僅かな時間をどう使うかで人の性格が出るんだよな」

 売れない時代は千秋も挨拶回りで汗を流したのだろうか?
千秋との友好を深めていない貴方は、過去の姿を想像できない。

P「これだけ探していないとなると――○×さんマルボロ派だったっけ」

 喫煙者への逆風が吹くご時世である。
意中の人物は人気のない場所で隠れて煙草を味わっているだろう。
非常階段かあるいは屋上か、貴方は探索範囲を絞り込む。


(まったくもう、どんくさいわね)

(アンタを見てるとほんっとイライラするわ)

 非常口を開けると、風に乗って罵声が耳へと届く。

P「また○×さん、どやされてんのかな。どこも下っ端は大変だ」

(何か言ったらどうなのよ)

(すみません、すみません)

(ホントに悪いと思ってんの? だったらここから飛び降りてみなさいよ)

(そうよ、飛びなさいよ)

 不穏な気配が、貴方を包み込む。

P「幾らなんでも、悪意が強すぎる」

 流れ聞いただけでも、胸が苦しくなる程のしろものだ。
もしも貴方が精神的に追い詰められていた場合、この流れ弾は致命傷だ。
突発的な発作で自殺を選んでしまう可能性は十分にあった。


(それは、その、すみません。すみません)

(だから謝ればそれで済むと思ってんの?)

(態度が無理なら、もので示しなさいよ。 その鉢植えこっちによこしなさい)

 貴方は慎重に様子を窺う。
声は3人、何れも少女。方向は―――足元。

 少女達を仮にA・B・Cと呼称しよう。
AとBがCを糾弾する形となっている。

(この鉢植えは、楽屋にお届けするものなんです。
 貴女がたへはお渡しできません)

(花なんて楽屋に幾らでもあるでしょ。一つくらい無くなっても分からないわよ)

(アタシ達が友好の証に貰ってあげるって、親切で言ってんのよ。
 どうせアンタんとこの歌姫様は、歌にしか興味ないんだから)

 だがここで重要なのは彼女達が誰であるかではなく―――、

(お断りします。これは千秋さんの為のお花ですから)

 誰が彼女であるのか。

 少女Cの顔を貴方は上から確かめ、認識する。

(謝れと言われれば、謝りますから。
 ですがそれとこれとは、話が別です)

 強烈な悪意に怯みつつも、その胸にスズランの鉢植えを必死に抱きしめる少女C。
彼女はシンデレラプロダクション所属の見習いアイドル、白菊ほたるその人である。

白菊ほたる
http://i.imgur.com/yHFCTbT.jpg



 少女A・Bは白菊の発言に対し、明らかに苛立っている。
このまま放置すれば、不幸な過ちが起こるであろう事は想像に難くない。

P「さてどうやって助けるか」

 見ざる聞かざるでこの場を離れる事は人の道に反するし、貴方はその様な薄情な人間ではない。
ノータイムで貴方は白菊へ手を差し伸べようと決意した。

P「ハーックション! うわっ寒いなーここ。上着持ってくりゃ良かった」

 とはいえ事務所へ対しさほど快い感情を持たない貴方は、いざ実行の段階で消極的な解決策を行うにとどめた。
わざとらしい大声を出し、大人の存在を階下の少女達へ示したのである。

(ねえ、まずいよ)

 貴方の横やりに対し、Bは明らかに気勢をそがれている。

P「○×さーん、と違ったか。
 君達、○×さん見なかった? この辺で煙草吸ってるはずなんだけど」

(○×さんなら、F-5の廊下でさっきすれ違いましたよ)

 Aは口から出まかせで貴方を追い払おうと決めた様子だ。
白菊は貴方の出現にポカンと口を開けたまま佇んでいる。

P「そっかーありがとう。F-5だと電波塔の廊下だよね、探すとこ間違えちゃったな。
 君達カワイイしアイドルでしょ。ここは風が強いから中に入ろうよ。
 このまま留まって風邪でも引いたら大変だ、つまらない事で将来棒に振るのも嫌でしょ」

 白菊が声を出さずにいた事が幸いした。
貴方は善意の第三者を装い、Aに圧をかける。

P「それとも、こういった人気のない場所でお話って事は―――恋バナとか?
 羨ましいなー、オジサンの若い頃は君らみたいなカワイイアイドルいなかったからね。
 君らがあと十年早く生まれていてくれれば、お近づきになれると夢が見れたのに」

 貴方は階段を駆け下り、白菊をその背に隠す。
その間も視線はAから離さない。

(急いでますので、ほらっいこ)

 BがAを促し、非常階段を駆けおりる。ひとまず白菊への危機は去っただろう。

ほたる「○×さんは、ヌ-6の廊下にいたと思います……ありがとうございました」

P「↓1」コンマ判定

――――

 Pの事務所に対する印象度変化判定です。 現在値 嫌-2

コンマテーブルは以下 ボーナス発生中

00~19 -3
20~44 -2
45~54 +-0 次回判定時数値変化増大
55~79 +2
80~99 +3


 事務所への印象は今後のイベント展開へ対するフレーバー要素ですのでお気軽にどうぞ。
ぞろ目の場合は反転システムが作動します。

――――
コンマ 86 最良印象+3 現在値 友+1

P「良く頑張ったね白菊さん。
 このままここにいるのは良くないよ。楽屋へ戻ろう」

 白菊ほたるは心無い人々から疫病神の悪名で呼ばれている。
彼女の周りには不幸が取り巻いており、他者を破滅へ導くとまことしやかにささやかれる。

 だがそんな噂が何だというのだ。
貴方の眼前で悲しんでいるのは唯のか弱い少女だ。アイドルに悲しむ表情は似合わない。
貴方は何時の日か白菊の笑顔が見たいと思った。

「ん~だめだめ。Pちゃん人の気持ちをぜんっぜん解ってない。
 このまま帰っちゃったら、怖い思いだけが残って非常階段がトラウマになっちゃう。
 まずわねここでどうでもいい話を続けて、思い出を薄めるのがベター」

 突然の天の声。
階上からこちらへ下る足音がする。

P「御無沙汰してます、○×さん。
 人が悪いですよ黙って見てただなんて」

「煙草1本分、機会をうかがっていただけ。
 それにすぐ騎士様が来たんだから、問題ないでしょ」

 貴方の探し求めたADが姿を現す。
携帯用灰皿をしまいつつ、匂い消しのガムを器用に取り出して。

「お近づきの印にこれどーぞ」

 白菊は差し出されたガムを素直に受け取った。

「で話変わるけどさ、Pちゃんも奇特な人だよね。
 こんな下っ端AD相手に毎回律儀に顔出すんだもん。今日はどんなお話し?」

P「用事が無くとも、用を作るのが営業ですよ。
 それにきちんとディレクターには挨拶してますので、御心配なく」

 大抵のPは時間の都合もあり、顔を出すのはディレクター相手だけであろう。
てっとり早く仕事を得るには、アイドルを引き連れご機嫌伺いをするのが一番だ。
人間は見ず知らずの相手よりも、顔見知り相手の方が気分良く仕事ができる。

P「実は僕、転職したんですよ。それでドタバタしちゃって、しばらく局にも行けなくて。
 今はシンデレラプロダクションでお世話になってます。ほら御挨拶」

 貴方は白菊を促し、ADとの縁繋ぎを済ませた。
白菊が何時までもアイドル見習いではない様に、ADもいつまでも下っ端ではない。

 3年先か、5年先か、あるいは10年先か、ADのうち誰かは必ずディレクターと成るのだ。
貴方には将来誰が出世するのかは分からない。だからこうしてこまめな青田刈りを続けている。
この出会いが白菊にとって役立つのかさえも分からないが、彼女の為に何かがしたかった。


「そっか、Pちゃん良いとこで働けてんだね。前よりずっとにやけた顔してる」

 貴方の気持ちが表情へ滲み出てしまったのだろうか?
そんな大人たちのやり取りを、白菊は黙って見つめていた。

――――

 歌番組の収録を済ませた千秋は、事務所の会議室へと戻った。
千秋は普段会議室へ常駐しており、事実上この部屋は彼女の城となっている。
この様な特別扱いが許されるのも、彼女が事務所随一の稼ぎ頭であるからだ。

 そして本日の収録も非の打ちどころがなかった。彼女は常にプロである事を忘れない。

千秋「ほたる、今日は何があったの?」

 だがそんな険しさも、仕事が絡む間だけだ。
会議室へ来た彼女は、今や後輩を心配する一人の女性である。

ほたる「いいえ、とくには何も」

 白菊は千秋へ心配をかけまいと、とっさに否定した。

千秋「嫌な事があったのね。
 ほたるは悲しい時にうつむいて話すから、声が曇ってしまうの。直ぐにわかるわ」

 ささいな癖に気が付ける以上、千秋にとって白菊は何かと気にかかる存在なのだろう。

ほたる「実は暗い話で申し訳ないのですが――」

 隠し事は出来ぬと悟ったのか、白菊は千秋へ事情を説明した。

ほたる「怖かったんです、すごく怖かったんです。
 申し訳ないって気持ちが強くって、でも飛び降りるなんてとてもできなくて。
 ただ、頭を下げる事しか出来なくて」

 話の途中で感極まったのか、白菊は大粒の涙を流し両手で顔を覆ってしまった。
さめざめと泣く彼女からは、気分が落ち着くまでさらなる情報を引き出すのは困難だろう。

千秋「ほたる、手袋を外しなさい」

 だが千秋はそんな白菊へ対しても、躊躇なく命を下した。

ほたる「えっでもそれは」

千秋「二度は言わないわ。その手袋は汚れる事が嫌いだからではないでしょう。
 私は貴女が他人へ触れた時に、自分の不幸が移らぬ様手袋で守ろうとしている事を知っているの」

 千秋の言葉に迷いはない。
その威厳に押されてか、白菊はおずおずと手袋を外した。

ほたる「あの千秋さん、私の不幸……伝染してませんか?」

 露わになった白菊の両掌を、千秋は自分の胸元へ引き寄せる。

千秋「ほたる、貴女はいったい何を恐れているの?」

ほたる「私がいると……みんな不幸に……」

 白菊は自分の両手を引き戻そうとするが、千秋がそれを自分の胸元へ押さえつけ許さない。
子供の腕力で大人へ逆らえる筈も無く、白菊は抵抗を諦めた。

千秋「今事務所にいるのは私達二人だけなのよ。
 貴女がなぜここにいるのか、それを答えるまで帰らせないわ」

 千秋は一切の嘘偽りを許さぬ、閻魔のごとき意思で白菊を捕縛した。

ほたる「私はアイドルに憧れて……でも……。
 私の不幸のせいでどんどん事務所が潰れてしまっていて」

千秋「これは貴方の不幸ではないの。私にとっての試練。
 私はトップに立ちたいの。その道が平穏無事だなんて思った事は一度も無いわ。
 今までも困難と障害は幾度もあった。今回もそう、何時もと同じ。ただ私が乗り越えればそれで済むの」

 規則正しい心音は人の心を落ち着かせる。
それはもしかすると遠い昔、人が母の胸に抱かれ眠っていた時代の記憶が思い出されるせいかもしれない。

ほたる「私はみんなが幸せになってくれたら……それだけでいいんです……」

千秋「ほたる、私が尋ねているのよ。黒川の娘ではなくこの私が。
 私は今、ここにいるの。他の誰でもない自分自身の意思で、貴女の前に立っている」

ほたる「私は……私は……どうしてもトップアイドルになりたいんです……!
 どんなに不幸でも! ファンの人を幸せにしたいんです!」

 白菊はむき出しとなった自身の両掌から伝わる温かさを、確かに感じている。
千秋の持つ母性によって、白菊の涙は自然と止まっていた。

千秋「↓1と↓2」コンマ

――――

 今回は千秋のPに対する印象度と好感度変化判定です。
現在値 印象度 嫌-1
    好感度 憎愛+-0

コンマテーブルは以下

00~19 -2
20~44 -1
45~54 +-0 次回判定時数値変化増大
55~79 +1
80~99 +2

 ぞろ目を出した場合は特殊判定となり反転システムが作動します。

 千秋のPへの印象度/好感度は今後のイベント展開を左右します。

↓1が印象度判定
↓2が好感度判定

――――
コンマ 9 93

9 最悪印象-2 現在値 嫌-3

千秋「Pさんがほたるを助けたのよね、身分を明かさずに。
 姑息な真似だこと。こちらには恥じる事など無いのだから正面からねじ伏せるべきでしょう。
 追い払うだけでは駄目。ほたるを悲しませた、その報いを受けさせなきゃ」

 物事を白か黒かではっきりと色分けする千秋にとって、貴方の穏便な解決策は不適切だと判断される。
貴方の取った大人の対応は、千秋が嫌う煮え切らない灰色としてその目に映った。

ほたる「それでもPさんは、私を助けてくれました。助けてくれたんです。
 ADさんにも私の事を、事務所の秘蔵っ子だって紹介して下さって。
 あんなにも期待された事今までなくて、だけど嬉しさで上手く話せなくて」

93 最良感情 +2 現在値 愛+2

千秋「完璧な人間なんていないもの。Pさんを怒ってはいないから、安心なさい。
 Pさんは私の為に働いていて、さらにほたるを守ろうとし、役目を果たした。
 結果ではなく、彼の行動そのものが称賛に値するの」

ほたる「頑張ります。何が出来るか分かりませんが……とにかく私頑張りますから」

千秋「何が出来るかではなく、何を成すかよ。
 ファンを幸せにしたいのでしょう? もう迷う理由はないのだから。
 私も完璧を期す為に、私がなすべき事を成すの」

ほたる「その前向きなところ……見習います。
 千秋さんとお話出来て、私すこしだけ、不幸せじゃなくなったかもしれません」

 千秋の熱が伝染したのか、白菊は昨日よりも自分に自信が持てるようになった。

P「↓1と↓2」コンマ

――――

 今回はPの千秋に対する印象度と好感度変化判定です。
現在値 印象度 嫌友+-0
    好感度 憎-2

コンマテーブルは以下

00~19 -2
20~44 -1
45~54 +-0 次回判定時数値変化増大
55~79 +1
80~99 +2

 ぞろ目を出した場合は特殊判定となり反転システムが作動します。

 Pの千秋への印象度/好感度は今後のイベント展開を左右します。

↓1が印象度判定
↓2が好感度判定

――――
コンマ 23 15

23 悪印象-1 現在値 嫌-1

P「人を狭い部屋に閉じ込めて、突然決断を迫るって千秋は何やってんだよ。
 圧迫で正常な判断力を奪うだなんて、マルチ商法や闇金融の常套手段だろ」

 貴方は白菊を心配しメンタルケアを試みようと、雑務の合間に会議室を目指していた。
しかしいざ入室の段階で、ドアの隙間から漏れ聞こえる会話に戦慄する。

P「偉くなればその手の交渉術も身に付ける必要があるだろうけれど、
 よりによって子供相手にそんな薄汚い腹芸使うなよ」

 千秋の持つ才覚は、狙い通りに白菊を立ち直らせた。
だがそのある種洗脳じみた(少なくとも貴方はそう受け取った)手段は、急進的である。
貴方にはそれがどうしても受け入れられず、不快な印象を抱いた。

(頑張ります。何が出来るか分かりませんが……とにかく私頑張りますから)

P「違う、違うんだよ白菊さん。君は騙されている、そっちへ行っちゃいけないんだ。
 千秋のそばでトップアイドルを目指すのも一つの道だ。だけど千秋は決して立ち止まらない。
 もしも君が何かにつまづいたり、歩みが遅れたとしても、千秋は振り返ることなく先へ進むんだ」

15 最悪感情-2 現在値 憎-4

P「星さんは千秋を助けてくれと僕へ頼んだ。
 白菊さんは千秋と二人でトップアイドルを目指す道を選んだ。
 千秋のアイドルとしての器は確かに大きい」

 ファンだけではなく、同業者からも一目置かれ、信奉者さえ現れるアイドル。
貴方はこれほどの巨大な原石に出会った事はない。

 かつて抱いた妄想が現実へと侵食を始めた場面に立ち会い、貴方の心は揺れ動く。
会議室の扉を開けば、白菊が千秋と同じ目をしている事は間違いない。

P「千秋の重力は、ただ其処に居るだけで人を歪ませる。
 事務所での特別扱い、あれこそが癌だよ。
 千秋が新たに敵を作れば、それは事務所にも跳ね返ってくる」

 それは裏を返せば事務所の看板たる千秋が味方を増やすと、
事務所へ多大な利益をもたらす事をも意味するのだが―――貴方の曇った眼にはそれが写らない。





 もしも貴方がこの先千秋を他のアイドルと同じ様に扱うならば、星からの信頼を失うだろう。
貴方が貴方の信じる正義に従い、事務所の改革を目指すのであれば、千秋との対立を生み出すかもしれない。
もちろん無理に動かず、契約の満期終了を待って事務所を旅立っても良いだろう。

 千秋が今興味を抱くのはシンデレラガールの座であり、貴方の去就ではないのだから。



 とある日、とある事務所にて、とある二人の見習いアイドルが、その在籍記録を抹消された。
彼女達のアイドルを目指す夢は、潰えたのである。

 もっともこの出来事は神の目を持たぬ貴方にはあずかり知らぬ事ではあるのだが。
見えざる手によって、白菊はとある日確かに救われたのである。





 嵐で事務所に二人きりイベントの安価判定が終了しました 本イベントの最終結果は以下です。

P   印象 嫌-1 好感 憎-4  事務所印象 友+1
Pのプロデュース意思 千秋 あり 他アイドル 分からない


千秋  印象 嫌-3 好感 愛+2


Pと千秋の印象度差 2


 Pと千秋どちらかの互いへの印象度/好感度が-10or10になったらエンディング予定です。

註 Pと千秋の印象度が10以上離れてしまった場合、強制BADエンディングへ突入します。
  好感度の場合はどれだけ離れていても、強制エンディングは発生しません。

Pの好感度が憎-4 千秋の印象度が嫌-3へ到達しました。
次回のコンマ判定時から、感情の加速によって一部コンマテーブルが変化します。

感情の加速とは?
 あばたもえくぼ や やる事なす事気に食わない 等の言葉が示すように
人間の感情が高まるとその感情は一定の志向性を持つようになります。

 つまり感情が+方向にある程度傾けば、それ以降はさらに+へ動きやすく。
    感情が-方向にある程度傾けば、それ以降はさらに-へ動きやすくなります。



続いて次回発生イベントの内容を安価で募集します。

「↓3まで」コンマ中間判定

――――

貴方が千秋のヤンデレ化を目指すイベント安価です。

自由回答


註 告白イベントは無効と成ります

無効安価は繰り下げで判定。

↓3までの安価のなかで 3つを比較し大きくも小さくも無い中間コンマの安価を採用します。

例 コンマ 13 80 64 の場合 64を採用

安価イベント内容次第では強制終了となる恐れもありますので、予めご了承ください。

――――



コンマ 82 75 56 56 局の人間との打ち合わせを採用


千秋「お肉とお魚、Pさんはどちらが御好み?」

 事務所でのスケジュール確認の後、千秋は不意にこう問いかけた。
世間話の最中にどちらともなく零れ落ちたとりとめのない話題ではなく、
千秋の意思を伴う貴方への質問だ。

P「○○○○」

 貴方は自分の好みを千秋へ伝えた。
千秋の事を好ましく感じていない貴方だが、冷戦状態に至るほど両者の溝は深まっていない。

 同時にそれなりの期間二人で仕事をしてきたが、
貴方は自分達がこんなささいな話すら今までしてこなかったのだと思い知らされる。

千秋「ではその様に手配させるわね。Pさん、夕食を一緒にお願い」

 貴方が答える前に、千秋は奏へ指示を出した。
彼女の中では既にあなたの同伴は確定事項であり、断られるとは微塵も考えていないのだろう。

P「それは仕事の上でのお誘いでしょうか?」

 段取りの良い行動なはずだが、こんな小さな事であっても貴方は鼻についてしまう。

千秋「仕事の上でもあるし、私の個人的な誘いでもあるの」

 どうも歯切れの悪い言葉だ。千秋が言いよどむ状況は珍しい。

千秋「凸凹さんがね番組の改編期に合わせて、私の特集を一つ捻じ込めそうだって。
 その為の打ち合わせをしたいけど、食事をしながらゆっくり話そうとのお誘いが来たの」

 凸凹さんと言えば局の中堅処だ。
千秋の知名度を合わせて鑑みれば、得られる枠は20秒程か?

P「お昼の全国放送、魅力的なお話ですね」

千秋「この機会を逃すのは、あまりにも惜しいの。
 だけど私がどうするべきなのか決めかねてしまって」

 凸凹さんについての悪い噂は聞かないが、相手も男だ。
プロデューサーである貴方を通さず千秋へ直接働きかけた以上、なんらかの下心はあるだろう。

P「貴女はもう大人です。どうするべきかは解っているでしょう」

 千秋に対して良い感情を持たない貴方は反射的に彼女を突き離し、すぐに後悔した。
ここは芸能事務所であり、アイドルを守ろうとしないPに存在価値はない。

千秋「そう私は大人になってしまった。だから困っているの。
 食事の場となれば当然お酒が出てくるでしょう。
 だけどお酒は喉に悪いと聞くし、避けられるものならば避けたいのが本音で」

P「日本ではアルコールハラスメントの認知は低いですからね。
 たしかにそれは御困りでしょう。今日の終わりに対策を練る、了解しました」

 これ幸いと千秋の言葉を継いで、貴方は軌道修正を行った。

千秋「今までは未成年だからと言い訳が出来たけれど。
 詳しい話は夕食時で、レッスン後の迎えを御願いねPさん」

P「↓1」コンマ判定

――――

 Pの事務所に対する印象度変化判定です。 現在値 友+1

コンマテーブルは以下 

00~19 -2
20~44 -1
45~54 +-0 次回判定時数値変化増大
55~79 +1
80~99 +2


 事務所への印象は今後のイベント展開へ対するフレーバー要素ですのでお気軽にどうぞ。
ぞろ目の場合は反転システムが作動します。


――――
コンマ 87 最良印象+2 現在値 友+3

P「皆さーん、お聞きの通りー。僕、今夜、千秋さんと初めてのデートに行きますんでー。
 遅刻せずに済む様、御協力お願いしまーす」

(おー大きく出たなPちゃん。でもな魚心あれば水心って昔の人も言うてるやろ)

(大たーん。ねえ、どっちから誘ったの?)

(お二人が仲良しさんになってくれるのなら、私今日はもーうっと頑張っちゃいます)

 ことさらにおどけて、貴方は事務所の皆へ呼びかけた。
この事務所は横の繋がりがとても強い。
ここで貴方と千秋が円満であるとアピールしておけば、先程の失言を取り消せるだろう。

 疑いは芽を出す前に摘み取らねばならない。

千秋「もう、Pさんたら」

 すでに千秋は耳ざといアイドル達に囲まれ、もみくちゃとなっている。

 着任当初は彼女達の連帯感の強さに戸惑った貴方だが、別段彼女達は皆悪人といったわけではない。
この様に勢いよく懐へ飛びこめば、誰もがわだかまりを捨て貴方を受け止めてくれるのだ。
幾度か歯車の噛み合わない状況が続いたが、今の貴方は事務所の一員である事を喜ばしく感じている。

奏「お店の予約は済んだわ。次はPさんの番ね。
 身だしなみを整えないと、ね 来て」

 速水が影の様に滑り込み、貴方の腕を取る。
彼女の視線の先はまたもや衣裳部屋だ。
貴方は自分の意思でネイビーのネクタイを、外す事とした。

――――

 千秋との会食はとある高層ビルのレストラン。その個室にて始まろうとしている。

千秋「わざわざ、着替えてくれたのね。
 Pさんが黒を身に付けるだなんて、初めて見るから新鮮な気分」

P「ドレスコードが不安でしたので、準礼装にしました。
 ビジネススーツのままで、千秋さんに恥をかかせるわけにはいきませんから」

 今の貴方はブラックスーツに蝶ネクタイを身に付けている。
千秋との対面以降、貴方が意に副わぬ青の色彩を強いられていた事をそれとなく匂わせる。

 仕事の上での話だと断言しなかった、千秋へのささやかな意趣返しだ。
プライベートであればどの様な衣服を身に纏おうと、場違いでない限り貴方の自由なのだから。

千秋「ごめんなさい。
 Pさんがせっかくデートだと言ってくれたのに、こんな事になってしまって。
 もっとお互い話し合うべきだったけれど、悔やんでも仕方がないわね」

 頭を下げる千秋の衣装はイブニングドレスだ。
むき出しになった二の腕の艶めかしさと、首元のピンクオパール、腰のリボンが特徴的だ。

P「御似合いですよ、千秋さん。
 個室を選んでいただいたおかげで、僕のミスも帳消しになりました」

 その着こなしに不備はなく、千秋は実に美しい。
たとえマネキンへその衣服を着せたとしても、人の目を慰めるものとはならないだろう。
……惜しむべきは、そのイブニングドレスのベースが黒であった事である。

参考
http://i.imgur.com/pkKX5d2.jpg


千秋「ありがとう。同じ黒を選ぶだなんて、私達はどこか似た者同士なのかもしれないわね」

 そんな千秋の態度に然程感慨を持たない貴方は、愛想笑いの後片手を挙げ店員へ合図を送る。
予約済みコース料理の説明を受けた後、店員がミネラルウォーターを運んできた。
入店以来一度もメニューを受け取っておらず、貴方は今夜の支払いが不安となる。

P「相談の前に、まずは乾杯しましょうか。
 美味しい料理を口へ運べば、気分が晴れますから」

 口座残高を思い浮かべつつ、貴方は千秋を促した。
富裕層へは分類されぬ貴方だ、御代を気にせず手放しで食事を楽しむ度胸はない。

千秋「杯を交わす前にも、話す事は有るのよ」

 だが千秋は貴方の誘いに応じず、貴方が今まさに掴もうとしたコップの口を片手で塞いだ。

千秋「ねえ、Pさん。教えて欲しい事があるの。
 貴方は自分の目の前に居る人間が、自分へ敵意を持っている事を知りながらよ。
 それでもなお、貴方はそんな相手と気分良く杯を交わせるの?」

 千秋は何時もと変わらぬ黒い瞳で貴方を見つめている。
いや、もしかするとその瞳には何らかの感情が込められているのかもしれない。

 しかしながら、今まで千秋と深く関わり合う事を避けて来た貴方にはその心意を掴む事は出来ない。

千秋「シャルル・ド・青酸カリ ミレニアムのボトルを開けたカクテルよ」

 千秋は彼女のコップを貴方の元へと押し出し、片手で器用に白い粉を振り入れた。


 ただ一つ確かな事は、今夜の会食が貴方と千秋の双方にとって何らかの意味を持つであろう事だけだ。

P「↓1と↓2」コンマ

――――

 今回はPの千秋に対する印象度と好感度変化判定です。
現在値 印象度 嫌-1
    好感度 憎-4

コンマテーブルは以下 印象度用

00~19 -2
20~44 -1
45~54 +-0 次回判定時数値変化増大
55~79 +1
80~99 +2

好感度用 感情の加速によりテーブル変化

00~19 -3
20~44 -2
45~54 -1
55~79 +-0 次回判定時数値変化増大
80~99 +1


 ぞろ目を出した場合は特殊判定となり反転システムが作動します。

 Pの千秋への印象度/好感度は今後のイベント展開を左右します。

↓1が印象度判定
↓2が好感度判定

――――
コンマ 87 77

 貴方は躊躇せず千秋のコップ(正しくは脚付グラスだが)へ手を伸ばし、杯を乾かした。

P「食事を共にするのは、友好を深めたいとの意思の表れです。
 過去はどうあれ相手が歩み寄りの姿勢を見せたならば、僕はそれを受け入れます」

千秋「豪胆なのね。騙し討ちに遭うかもしれないのに」

P「とてもしょっぱかったです。教訓を頂きました。
 迷信じみていますが、これは銀杯なので大丈夫だと踏んだのですが」

 古来から銀食器は見た目の美しさに限らず、毒殺を防ぐとして重宝される。
銀は単体で不安定な物質であり、ある種の化学物質と反応しやすく直ぐに変色する事。
一度安定した銀は細菌の活動に不適切な環境となり、食中毒を予防する等の経験則が市場価値を高めるのだ。

 参考 クリスタルグラス銀メッキ加工
http://i.imgur.com/tJOeWAh.jpg


千秋「レナさんが教えてくれたわ。
  他人は信用しなければならない、でもカードはカットしなさいと。
  無策で挑まないPさんの大胆さと繊細さに、私も見習わないとね」

 そして千秋は貴方のグラスへ口を付けた。
実際には飲み口の部分が銀でなければ、防毒効果はないのだが……。
銀食器を相手に差し出す事は、【毒入りではないのでご安心ください】との意が含まれる。

 クリスタルグラスの銀柄を掴んだ貴方へ、千秋は返杯した。
意図が正しく伝わったと安堵したのだろうか。千秋はほぅと熱い吐息を漏らす。

千秋「辛いわね。食事の前の少量の塩は味覚を鋭敏にしてくれるけれど。
 片手では上手く入れられないみたい」

87 最良印象+2 現在値 友+1

 千秋は貴方のグラスを抑えた時点で、既に塩を投下していた。
その上で自分のグラスへ塩を投じたのだと貴方は判断する。

P「信じていましたよ、千秋さんは誇り高い方だと。
 僕だけに毒を飲ませる人間ではなくて、安心しました」

千秋「見解の相違ね。貴方はグラスの中身を確かめたわけではない。
 私はさっき塩を青酸カリだと偽ったばかりなのに、その言葉を信用するだなんて。
 嘘か真か確かめるには、一つの器を分け合うしかないの」

 貴方のグラスは貴方の手元へ戻された。
千秋が飲んだのは一口である為、器はまだ満たされている。

77 特になし +-0 現在値 憎-4 次回判定時数値変化増大

P「止めておきましょう。そこまで千秋さんを疑いたくはありません」

 三々九度の杯事に代表される様に、一つの器を分け合う事は人と人との結びつきを強くする。
これは日本人の持つ連帯意識が形となって表れたものだが、考えようによっては不衛生な行為でもある。

 子供じみた発想ではあるが、千秋との間接キスを望まない貴方はそっとグラスを脇に押しやった。


千秋「本当にそれで良いの? 今ならばこの唇が手に入るかもしれないのに」

P「奏みたいな口ぶりは止めてください。僕らはそんな艶のある関係ではないんですから」

 千秋の真意が貴方にはどうにも掴めない。軽口を返すのが精いっぱいだ。

千秋「きっぱりと断らず、あいまいな含みを持たせて誤魔化す。
 貴方の悪い癖よね。だけどそうやって何時までも誤魔化し続ける事は許さない」

 千秋が貴方の手を取り、両手で包み込む。

千秋「Pさん、貴方は私の姿が見える度。
 一度私をちらっと見た後、悟られぬ様視線をそらすわよね」

 千秋の両手は温かい。

千秋「Pさん、貴方は私が傍を通る度。
 必ずハッと息を飲むわよね」

 だがその温もりは危険である。
白菊は千秋と肌を重ねた事で、籠絡されたのだから。

千秋「Pさん、貴方は私が歌う度――」

 千秋の声が、貴方の耳から離れない。

ぞろ目により特殊判定 反転システムが作動します。
反転が発生した場合、現在の数値はそのままに+-が入れ替わります。


Pの千秋への好感度 現在値 憎-4 → 愛+4 へ変更されました。

P「僕は貴女を魅力的に感じています。
 自分が美しいと思えない存在を、他人へ積極的に売り込む事は出来ませんから」

 これ以上千秋に話をさせてはいけない。
貴方は靄のかかった頭を動かし、何とかして千秋への気持ちを言葉に表す。

 そして貴方はもはや自分が、千秋へと絡め取られてしまった事を自覚する。

千秋「↓1と↓2」コンマ

――――

 今回は千秋のPに対する印象度と好感度変化判定です。
現在値 印象度 嫌-3
    好感度 愛+2

コンマテーブルは以下 印象度用 感情の加速によりテーブル変化

00~19 -3
20~44 -2
45~54 -1
55~79 +-0 次回判定時数値変化増大
80~99 +1

好感度用 

00~19 -2
20~44 -1
45~54 +-0 次回判定時数値変化増大
55~79 +1
80~99 +2


 ぞろ目を出した場合は特殊判定となり反転システムが作動します。

 千秋のPへの印象度/好感度は今後のイベント展開を左右します。

↓1が印象度判定
↓2が好感度判定


――――
コンマ 71 66

千秋「私は貴方が成した事ではなく、成さなかった事が不満なの。
 何時まで私の舎人に甘んじるつもりなの! 貴方でなければ出来ない仕事をして頂戴。
 誰の何ではなく、貴方の名前を世に響かせて。私の隣へ立ちたいのであれば」

 千秋が貴方を叱責する。
このまま何もせず嵐が過ぎるのを待つだけでは、千秋は貴方を切り捨てるだろう。

P「お願いがあります。この封筒を処分して下さい。
 小さな事ですが、僕が千秋さんへ命を下す為の第一歩です。
 これは貴女でなければ、出来ない仕事ですから」

 貴方は千秋の手から逃れる為、自分の懐へ手を伸ばす。
自分でもどうするべきなのか、とっさの行動に心は定まっていないがそれを押し通す。

千秋「肌を出す衣装……誰の趣味かしら。
 これが貴方の出した答えなのね。私はまだ中継地点へすら達していないと」

 貴方が差し出した封筒の中身はステージ衣装の青写真である。
夜会へ出るのにふさわしく、千秋の上品さをより引き出す為の工夫が込められている。

P「僕は貴方を一目見て、その黒真珠の瞳に意識を引き込まれました。
 千秋さんを象徴する、貴女に相応しい宝石はピンクオパールではありません」

 貴方がこれまでに積み重ねた、プロデュース経験を賭けた発言だ。
退路はもはやない、貴方は初めて千秋と真剣に向き合った。

71 とくになし +-0 現在値 嫌-3 次回判定時数値変化増大

千秋「イメージカラーを変える。
 これまで私が歩み、さらに先へ進もうとした私の方法では到らないと」

 貴方が示した新たな衣装は青を基調としている。
レッドバラードが連想させる炎ではなく、泉の様に涼やかな青だ。

P「これからは僕が赤を身に付けます。
 シンデレラガールを目指す為に必要なものは、赤ではなく青です」

千秋「……」

P「……」

 二人の対峙に息苦しさを感じ、貴方は喉元へ手をやる。
奇しくもそれは赤い蝶ネクタイへと触れる結果と成り、千秋へ自身の立場を意識させた。

千秋「必要とあらばくちばしを付けても歌うつもりだったけれど……。
 プロデューサー貴方に従うわ。尽くすのは、新鮮な体験ね」

 少しだけ貴方には千秋の気持ちが見えた。
震える声を一拍子置いた呼吸で封じ込め、貴方をプロデューサーとして認めたのだ。

 自身の業績を否定され、不満を持つのは人として当然である。
千秋もその例に漏れず、貴方の方針を不満に思っただろう。

 それでもなお、千秋は貴方に従ったのだ。
幾度となく貴方を焚き付けたのも、自分独りの力では願いが叶わないと薄々感じていたからなのかもしれない。

参考 黒真珠の輝き
http://i.imgur.com/bvOoXzU.jpg


 これにより一先ず貴方がPをクビとなる事態は避けられた。
次に解決すべきは、当初の目的である局との打ち合わせについてだろう。


千秋「私からも今日という日を記念して、贈り物をさせて頂戴」

 しかし千秋はまだ、本題へ進む事を選択しない。

P「金の器。
 こんなものを食器に使うだなんて、自分がミダス王になった気分です」

 千秋の貴方への贈り物は金杯であった。
純金はとても柔らかく、食器としての用途には適さない。
だが金の輝きに人は魅せられ、贈答用あるいは儀礼用として現代でも金杯は特別な意味を持つ。


 ミダス王は強欲によって罰を受けた神話の持ち主だ。

 貴方は同じにしないでくれとの、星の懇願を思い出す。
もしも金銭的な栄誉のみを求め千秋のプロデュースを行えば、貴方の身には金の破滅が降りかかるだろう。

 貴方は自分が千秋を愛おしく思う気持ちに従い、彼女の為のプロデュースを行おうと心に決めた。

千秋「豊臣秀吉を見習っても、良いでしょうね。
 彼が黄金の茶室に拘ったのは、お茶の味が濁らないからとの説もあるもの」

 金は単体で非常に安定した物質であり、大抵の化学物質とは反応しない。
だからこそ食事の味を変えないとして、入歯に採用される。

千秋「茶道では一つの器を、主人と客が共に使う。
 そして金は銀と違い毒に反応しないから、毒入りかどうかは分からない。
 それでもプロデューサーは私が勧めた杯を、飲み乾してくれるの?」

 狭い茶室、主人と客のどちらかが器へ毒を投じれば共倒れは確実だ。
互いが信頼に値する人物であるのかどうか、千秋は確かめたいのだろう。

P「一つの器を、互いに分け合いましょう」

千秋「それは毒入りかもしれないのに」

P「一つの器を、互いに分け合いましょう」

千秋「それは甘露かもしれないから」

P「嘘か真か」

千秋「毒か、甘露か」

P「今はまだ」

P・千秋「「分からなくても」」

 貴方は未来を見据え千秋の信頼を得る為に、

 千秋は過去に囚われプロデューサーを信じる事が出来ない為に、

 二人は互いに毒を呷る決心をした。



千秋「私も、教訓を得たわ。お酒は一口で気分を高揚させるのね。
 成人の祝いに父から勧められた時は、こんな事はなかったのに」

66 良感情+1 現在値 愛+3

 千秋の頬に紅が差し、瞳が潤む。

 貴方は自分のグラスを手繰り寄せ、中身を確認する。
甘い香りと、舌に伝わる微かな酸味――果実酒。

 千秋がテーブルに突っ伏す。どうやら彼女は下戸体質の様子だ。
貴方は慌てて店員を呼び寄せた。

千秋「私が自分の意思でお酒を飲んだのは、これが初めてよ。
 私の初めての相手が……Pさんで良かった」

 千秋の昏倒により、会食は中断された。
そして互いに仕事へ追われ、何の対策も打てぬまま凸凹さんとの打ち合わせ日を迎える。




 時計の針をさらに進め、結論だけを述べよう。
打ち合わせは局内の社員食堂にてつつましく行われた。
千秋の心配したアルコールを伴うものではなかったのだ。

千秋「外部の人間を同伴すれば、接待扱いでお代が只となるんですって。
 外へ足を延ばす時間が惜しくて、週に10度はAランチを食べてるから美人を見ないと食が進まないとか」

 貴方はかつて局内で食べた、駅そばと大差ないぬるいかけそばを思い出す。
あれは早さ以外に褒め所のない味わいであった。
千秋の舌にはどう感じられたのだろうか? 貴方は何気なく感想を求める。


千秋「……雑な味よ……」

 苦虫を噛み潰したかの様な表情で、千秋はそう吐き捨てた。
どうやら貴方は虎の尾を踏んでしまったらしい。


ぞろ目により特殊判定 反転システムが作動します。

千秋のPへの好感度 現在値 愛+3 → 憎-3 へ変更されました。




 局の人間との打ち合わせイベントの安価判定が終了しました 本イベントの最終結果は以下です。

P   印象 友+1
   好感 愛+4 次回判定時数値変化増大
   事務所印象 友+3
Pのプロデュース意思 千秋 あり 他アイドル 分からない


千秋  印象 嫌-3 次回判定時数値変化増大
    好感 憎-3


Pと千秋の印象度差 4


 Pと千秋どちらかの互いへの印象度/好感度が-10or10になったらエンディング予定です。

註 Pと千秋の印象度が10以上離れてしまった場合、強制BADエンディングへ突入します。
  好感度の場合はどれだけ離れていても、強制エンディングは発生しません。

Pの好感度が愛+4 事務所印象が友+3 千秋の好感度が憎-3へ到達しました。
次回のコンマ判定時から、感情の加速によって一部コンマテーブルが変化します。



続いて次回発生イベントの内容を安価で募集します。

「↓3まで」コンマ中間判定

――――

貴方が千秋のヤンデレ化を目指すイベント安価です。

自由回答


註 告白イベントは無効と成ります

無効安価は繰り下げで判定。

↓3までの安価のなかで 3つを比較し大きくも小さくも無い中間コンマの安価を採用します。

例 コンマ 13 80 64 の場合 64を採用

安価イベント内容次第では強制終了となる恐れもありますので、予めご了承ください。



コンマ 69 73 60 69 お互いの趣味などを話すを採用


(Pさんがいるよ、Pさんがいるよ)

(でも千秋さんのプロデューサーだよ。気分悪くしちゃうかも)

(でも~アタシ達ぃ同じ事務所の仲間なわけだからぁ~。
 気にせず~お話だけでも~)

(どの道このままじゃ手詰まりだしね)

「「「せーの、Pさーん」」」

 何時もの事務所、何時もの光景。
ただ一つ違うのは、貴方がたまたま給湯室へと足を運んだ事である。
電気ポットに給水を済ませ、手持無沙汰となった貴方を呼ぶ声がした。

「いま~、お時間貰えます~?」

「アタシ達」

「実は」

「とーっても」

「「「困っちゃってまーす」」」

 女三人寄ればかしましい。言いえて妙とはこの事か。
女性は唯でさえ話好きではあるが、Cu・Co・Pa各属性を合わせたこの三人組は何時でも話をしているのだ。

 彼女達は10代後半から20代前半の学生・新成人を中心に人気を拡大中の事務所期待の新星だ。
貴方の事務所着任時はまだユニットを組んでおらず、各自が地方営業に精を出していたらしい。

P「僕でお力になれるのならば、喜んで」

 外回りの多い彼女達とはなかなか触れ合う機会はなかったが、話をするのも良いだろう。
事務所へ対し好意的な印象を持つ貴方は、気さくに言葉を返した。

「やっぱりね、こういうのは男の人の意見も大事だと思うんだ」

「美波ちゃんわね~、通信講座で一緒に万年筆習字を始めましょうって」

「十中八九これで決まりかな~ってとこなんだけど、美文字も武器になるしグッときちゃう?」

「でもね~もっとアゲアゲな何かが、Pさんなら~」

「イケイケなのお願いね。頼りにしちゃうから♪」

 彼女達の話は主語が無く、どうにも要領を得ない。
しかしながら頼りにされている以上、答えるのが男の役目だろう。

P「僕のお薦めはトンカツですね」

「「「え~~~」」」

「女子力が」

「とんかつー」

「しっとりとオトナ路線でぇ。アゲちゃうの~?」

 ひとまず貴方は盛大に話の腰を折る事にした。
彼女達の口から零れ落ちたキーワード、女子力。

P「子供と言うのはお母さんの作るトンカツが大好きです。そして男は皆でっかい子供なんです。
 だから男は自分の為にトンカツを作ってくれる女の子に、グッと来てしまうものなんです」

 もっともらしい言葉を適当に並べて、理論を組み立てる。
穴だらけだが、今必要なものは真面目な助言ではない。

 察するに、今後のアピールポイントをどう絞るかで悩んでいたのだろう。
悩んでばかりでは気分が滅入る為、彼女達の気分を晴らそうと貴方は考えた。

「あ~なんか分かるかも。
 お母ちゃん初めてお父ちゃんにあった時の言葉が、大丈夫? ごはんちゃんと食べてる? だったし」

「それすっごいオカンだよ。
 初対面でしょ、ママはねビンの蓋あけてくださいってこう自然にぃボディタッーチ」

「あ~ん可愛い。男の人を盛り立てるのってぇ、イイ女かもぉ~」

 元々話好きな彼女達だ。
新たな話題を投げ与えれば脱線に次ぐ脱線で、すぐに貴方は蚊帳の外となる。

P「↓1」コンマ判定

――――

 Pの事務所に対する印象度変化判定です。 現在値 友+3

コンマテーブルは以下 感情の加速によりテーブル変化

00~19 -1
20~44 +-0 次回判定時数値変化増大
45~54 +1
55~79 +2
80~99 +3


 事務所への印象は今後のイベント展開へ対するフレーバー要素ですのでお気軽にどうぞ。
ぞろ目の場合は反転システムが作動します。

――――
コンマ 85

P「お湯が沸きましたので、立ち話もなんですし談話室へ行きましょう。
 直近の活動記録を用意してもらえれば、僕も理解が速いのですが」

 急須を探しつつ、貴方は彼女達へ移動を促す。
滅多に給湯室へは来ない為、準備に手間取ってしまう。

「カフェ行こうよぉ、一緒に食べ歩きとかぁ?
 その方があたしたちっぽいよね♪ で、帰るまで、おしゃべりしよぉ」

「ハンカチ、ケータイ、サイフ……準備オッケーです!」

「今日はエスコートしてほしいなぁ。Pさん、あやかの手とかとってくれたらちょぉうれしぃかもぉ~」

 やはりこの事務所の横の繋がりは強い。
貴方は既に両腕をがっちり組まれ、移動を開始している。

「ずるーい、もう背中しか残ってないし」

「愛され体質のあやかの勝ちって事でぇ~」

「あ~ん、くやし~。でもぉ、次勝てればいいかなぁ~って!」

「コーヒーと紅茶どっちが好き? 決めてよぉ~」

85 最良印象+3 現在値 友+6

 両手に華を体現しつつ、貴方はせめて帽子だけは身に付けてくれと頼んだ。
この状況はどう足掻いても人目を引く。
出来の悪い変装で誤魔化せるはずもないが、それでも何とかせねばならないと思うのは職業病か。




「「「「せーの、ごちそうさまでした~」」」

 ひょんな事から行われた3:1のカフェデートだが、案の定真面目な話とはならなかった。
しかしながら彼女達のにこやかな笑顔と笑い声は最後まで途切れていない。
アイドルの気晴らしに付きあうのはPの務め。貴方は役割を果たしたのだ。

P「これ、どうしようかな」

 貴方の手元に残されたのは、経費で落ちない領収書とガールズパワーの活動記録である。
頼られた以上は何か役立つアドバイスをと思ったのだが、今の貴方の実力では厳しい結果となりそうだ。

参考 ガールズパワー
http://i.imgur.com/8qfAry6.jpg


P「女子力ねぇ。
 千秋さんの場合、売り文句に出来るとすればやっぱり長い黒髪かな」

 平凡な発想しか出来ない自分に腐りながらも、貴方は改めて記録へ目を通す。
ここで彼女達と触れ合ったのも何かの縁だろう。
千秋のプロデューサーであり続ける為に、貴方は女子力について学びレベルアップを図る事とした。


P「衛藤さん・月宮さん・岸部さん、彼女達もセルフプロデュースで這い上がったんだよな。
 80日前で、ようやくマネージャー付きへ昇格か。さぞ辛かったろうに」

 今まで目を背けてきたが、この事務所のアイドル達は明らかに中間層が不足している。
それは本人達の実力不足よりも、育成対象を絞らねば成らぬほどケアの不足しがちな事務所体制に問題があるのだろう。

P「↓3まで」コンマ中間判定

――――
Pの事務所印象が友+5を越えた為、特殊安価を行います。

貴方が将来千秋の他にアイドルをプロデューサーする意思があるかを決定する判定です。

ある
ない

上記の中から選んでください。無効安価は繰り下げで判定。前回と違い保留は出来ません。

↓3までの安価のなかで 3つを比較し大きくも小さくも無い中間コンマの安価を採用します。

例 コンマ 13 80 64 の場合 64を採用


 その他アイドルのPへの態度を誘導する安価です。
一部エンディングに対し影響を与える結果となりますので、慎重な選択をお願いします。

メインアイドルは黒川千秋ですのでその点をお忘れなく。

――――
コンマ 64 47 93 64 あるを選択

P「千秋さんのプロデュースに目途が付いたら、他の娘さんを受け持つ事も真剣に考えよう。
 千秋さんはシンデレラガールになって、引退すると公言しているしな。
 誰を受け持つ事になっても良いよう、しっかりと腕を磨いておかねば」

 貴方は事務所へと骨を埋め、将来他のアイドル達のプロデュースを手がける事を決意した。

 ボーナス発生 Pの千秋と事務所へ対する印象度が2底上げされます。
Pの印象度変化範囲が 嫌-8~友+10へ制限されました 通常の手段では嫌-10へ到達できません。

Pの千秋への印象度 友+3 事務所への印象度 友+8 へ変更されました。


 貴方が心を定め、これまで以上にP業へ励む一方。
貴方の選択は事務所に対し、影響を与える事へと繋がって行く。
カフェを出て事務所へと戻る貴方を、見つめる影が動き始めた。

奏「ごめんなさいね、Pさん。さすがにこれはレッドカードよ。
 事務所と目と鼻の先でこんな事をされてしまったら、幾ら私でもかばいきれないもの。
 他の娘相手ならば誤解を解く手伝いもしてあげる。だけど千秋さんの相手を望んだのは貴方よね」

参考 見つめる影
http://i.imgur.com/21JxdYT.png



千秋「↓1と↓2」コンマ

――――

 今回は千秋のPに対する印象度と好感度変化判定です。
現在値 印象度 嫌-3
    好感度 憎-3

コンマテーブルは以下 印象度用 感情の加速によりテーブル変化 数値変化増大

00~19 -4
20~44 -3
45~54 -2
55~79 +-0 次回判定時数値変化増大+2
80~99 +2

好感度用 感情の加速によりテーブル変化

00~19 -3
20~44 -2
45~54 -1
55~79 +-0 次回判定時数値変化増大
80~99 +1


 ぞろ目を出した場合は特殊判定となり反転システムが作動します。

 千秋のPへの印象度/好感度は今後のイベント展開を左右します。

↓1が印象度判定
↓2が好感度判定

――――
コンマ 78 46

P「あまりこういった事は言いたくありませんが……。
 幾らなんでも最近の千秋さんは酷すぎます」

千秋「仕事ならばきちんとこなしているでしょう。
 貴方の方針に従い、ファンもクライアントも反応は上々。
 私はそれで何も問題がないと判断しただけよ」

 千秋の返答はにべもしゃしゃりもない。
それでも貴方は千秋へと喰らい付く。

P「仕事の話は終わっていません。どうして僕を避けようとするんですか?
 今までの千秋さんだったら、良くも悪くも必ず僕へ対して正面から真直ぐぶつかって来てくれたはずです。
 あの日以来、僕への態度はよそよそしくなるばかり。千秋さんらしくありませんよ」


78 特になし +-0 現在値 嫌-3 次回判定時数値変化増大+2

千秋「らしくないですって? 
 そうよね貴方は私のプロデューサーなのだから、そんな言葉も平気で口に出来るのよね」

 千秋の言葉にはトゲがある。だが貴方はその真意に気が付けない。

P「イメージカラーの変更は、市場から現在好意的に受け止められています。
 ですが千秋さんが本心から望まないのだとすれば、また別なプロデュース案を考えますから。
 千秋さんの希望を出してください。二人でトップアイドルを目指す為にも」

千秋「今の私の望みは、今夜の演奏会で耳を洗う事よ。随分と汚れてしまったから。
 プロデューサーなのだから、当然私の趣味がクラシック鑑賞だと知っているでしょう」

 千秋は鞄を手に立ち上がる。話はもう終わりだと言わんばかりだ。


P「スケジュールの上では千秋さんの終業は18時です。
 後10分残っています。僕の話へ付き合う義務が貴女にはあります」

 貴方は千秋のプライドを刺激して、無理にでも引き留める事を選んだ。
千秋は真面目な人間であり、秩序を重んじる。
規則を持ち出せば必ず従うと、これまでの付き合いから貴方は千秋をそう理解している。

千秋「私の意見なんて必要ないもの。
 仕事の事は貴方が決めて頂戴。私はそれに従うだけ、それで十分なはずよ」

 つれない返事だが、千秋は動きを止めた。
しかし感情が高ぶっているのか、その背は小刻みに震えている。

P「僕らの間にそういった一方的な押し付けは必要ない筈です。
 今はこうであっても、春になれば雪は溶けるんです」

千秋「私を脅しているつもりなの」

 千秋が振り向き貴方を見据える。
真珠の輝きではなく、黒い鉄の塊と化した瞳で。

P「違いますよ。僕は物事の道理を説いているんです。
 春になれば雪は溶けます。千秋さんは賢い女性のはずだ。
 どうして分かっていただけないんですか」

千秋「ええ、そうでしょうとも。春になれば雪は溶けるの。
 春が来れば貴方の任期はお終い。それぐらい理解しているもの。
 私が望むと望まざるとに係わらず、貴方は私の専属をはずれる」

P「契約の話は社長に決定権があります。
 ですが今の僕は千秋さんの専属です。一体何が不満なんですか?」

P「僕が無能だからですか? 出会った当初はそうであったでしょう、否定はしません。
 ですが僕は千秋さんの隣に立ちたくて、貴方をシンデレラガールへ押し上げたくて、努力をしました。
 そして今、路線変更の成功でファンは増加しています。これは二人で成し遂げたものですよ」

 貴方は千秋を落ち着かせようと、両肩へ手を置く。

千秋「そうやって私を押さえつけて、貴方の出世の為の踏み台にする気でしょう!
 貴方は今確かに私を見つめている。だけど私がいない時はどうなの?
 貴方はいったい誰を見つめているの? 次は誰をプロデュースするつもりなの!」

 そんな貴方の両手を振り払い、千秋は喰って掛かる。

千秋「貴方が今は私を愛している、その事を否定は出来ないもの。
 それならば何時だって私の事を考えていて、24時間でも足りないの」

 その勢いもすぐに消え、千秋は貴方の首元へと縋りつく。

P「……」

 突如千秋に本心を言い当てられ、貴方は言葉を継げない。

千秋「偽物はもう嫌なの。そんな甘い気持ちで私を惑わせないで」

 貴方は千秋を両腕で抱きしめる。言葉が使えぬならば身体を使おう。
身体的接触で他者を落ち着かせる。千秋が白菊へと使った手法だ。

 貴方は千秋を愛し、その行動を記憶している。
どこか自分達は似た者同士だと千秋は言った。
だからこそ貴方が千秋と同等の行為を選択したのは、自然な事なのかもしれない。


47 悪感情-1 現在値 憎-4

千秋「触らないで!」

 だがそんな試みも千秋へと拒絶される。

千秋「そうやって都合が悪くなれば、すぐまた誤魔化そうとして。
 貴方もあの人と同じよ! 用が済めば私を捨てる心算なんでしょう!」

P「今、なんと?」

 一瞬の静寂。千秋は亡霊でも見たかの様な表情で、後ずさりする。

千秋「違うの……こんな事を言いたかったわけではないのよPさん。
 時間を頂戴、頭を冷やしてくるから。
 一晩経てばまた、何時もの私に戻るから……。お願いよ、信じて」

P「↓1と↓2」コンマ

――――

 今回はPの千秋に対する印象度と好感度変化判定です。
現在値 印象度 友+3 ボーナスにより底上げ
    好感度 愛+4

コンマテーブルは以下 印象度用 感情の加速によりテーブル変化

00~19 -1
20~44 +-0 次回判定時数値変化増大
45~54 +1
55~79 +2
80~99 +3

好感度用 感情の加速によりテーブル変化 数値変化増大

00~19 -2
20~44 +-0 次回判定時数値変化増大+2
45~54 +2
55~79 +3
80~99 +4


 ぞろ目を出した場合は特殊判定となり反転システムが作動します。

 Pの千秋への印象度/好感度は今後のイベント展開を左右します。

↓1が印象度判定
↓2が好感度判定

――――
コンマ 89 47

「お茶を入れたの。もう仕事も終わりだし良かったらどうかしら」

 そんな両者の緊張を、穏やかな声が静めた。
天の助けとばかりに、千秋は会議室を逃げ出す。
後に残されたのは空の湯呑が3つと2人の人間達。

「ごめんなさいね。貴方が私へ話しかけてくれるのを待つつもりだったけれど……。
 黙って見過ごす事は出来なかったの。迷惑じゃなかったかしら?」

「迷惑だなんてとんでもない。
 あのままじゃ勢いに任せて、僕も何を口走っていたのか分かりませんから。
 お久しぶりです、トウコさん。何時以来でしょうか?」

「7年と140日よ。ふふっ、ごめんなさい、年甲斐もなくはしゃいでしまって……」

「もう、そんなになるんですね」

「まだ、それだけよ。
 幻滅させたんじゃないかって、これでも緊張してるのよ?」

P「お綺麗ですよトウコさん。
 少年時代に僕が憧れたのと同じく、むしろそれ以上です。
 引退されてなおここまで咲き誇っておられるとは――名前が違うので確証が持てませんでした」

「昔は芸名を使っていたから……。今ではトウコを覚えている人もいなくなったもの。
 服部瞳子 私の本当の名前。Pさんに呼んで欲しい」

P「はい、瞳子さん」

 貴方達へ助け舟を出したのは、新人アイドルの服部瞳子であった。

服部瞳子
http://i.imgur.com/fWzGxwr.jpg

瞳子「Pさんは、ムスッとしていてどこか意地悪になったのね」

P「歳月が人を変えたんです。
 もう僕はアイドルに憧れていただけのファンは辞めました。
 芸能界の急流を漕ぎ進む、船頭になりましたから」

瞳子「だけどまだ流れをせき止める石じゃない。私の話に耳を傾けてくれている。
 Pさんが毎月の様に送ってくれたファンレター。いまでもそれが私の支えなの」


P「千秋さんを喜ばせたくて、必死で仕事に打ち込みました。
 かつて微力ながらも瞳子さんを支えられた様に。何かがしたくて。
 結果は出たんですよ、良い目が。だけど千秋さんは僕を認めてくれないんです」

瞳子「迷っているのね」

 瞳子はゆっくりと話す。

P「ほとほと困り果てています。
 認めてもらいたくて、力を示しました。だけど僕の真心が通じなくて」

瞳子「千秋さんを喜ばせたいのならば、まずは褒める事ね。
 綺麗だと。顔をあわせる度にそう言ってあげて」

P「千秋さんは美しい方です、本心からそう思っています」

瞳子「千秋さんを喜ばせたいのならば、股の間の突起を攻め立てる事ね。
 激しくは駄目、臆病な馬へ鞍を付ける様に優しくよ」

P「どうして貴女が千秋さんの性感帯を御存じなんですか!」

瞳子「彼女に限らず、女は皆そうなのよ」

P「ああ、そう、ですよね。それが自然な事ですからね。
 声を荒げてしまってすみません。
 まさかトウコさんの口から、こんな下世話な話が飛び出てくるとは思いもしなかったので」

瞳子「瞳子はもう、少女と呼べる歳ではないから。やっぱり幻滅させてしまった。
 だけど恥ずかしい思いをしただけの価値は有った。Pさんが驚いてくれたから。
 でもねPさん。千秋さんは今のPさんよりも、もっとショックを受けているはずよ」

 息を吐いた後、服部は湯呑へと手を伸ばし口元へ運ぶ。
当然中身は空であり、のどを潤す為ではない。
彼女なりの照れ隠しであり、心を鎮める為の時間稼ぎでもあり、儀式めいた動作でもある。

P「千秋さんが……僕が何をしたと?」

 二人の再会と過去の思い出を台無しにしかねない発言をしてまで、
服部は貴方の役に立とうとしている。
ここからは一言一句逃さず、彼女の話へ耳を傾けるべきだろう。

 事務所へ対し非常に好意的な感情を持つ貴方は、服部を信じる事とした。

瞳子「Pさんは北海道で冬を過ごした事は?」

P「ありません。僕の生まれは○○○○ですから」

 服部はゆっくりと話す。
出来の悪い生徒へ対し、教師が辛抱強く教えを授ける様に。

瞳子「アーニャちゃんがね、前にこんな事を言っていたの。
 雪が溶けても、冬になると、また雪が降ります。新しい夢も、また生まれるって。
 それで私は思ったの、この人達は私とは違うんだなって」

89 最良印象+3 現在値 友+6

P「僕が千秋さんを追いつめてしまったんですね。
 僕は二人の冷戦状態をなんとかしたくて、呼びかけていたんですが」

瞳子「それが千秋さんには、Pさんから別離を告げられたと聞こえてしまったの。
 雪はいつか溶けてしまう……夢も叶ったら、消えてしまうものだから」

 雪解けは関係の改善を象徴する一方で、別れの季節をも意味する。
北国の人間にとって、雪とは畏れ敬うべきものであり、拒むものではないのだ。
拒んだところでどうにもならない。雪は長きにわたり鎮座する。

 人はその雪を友とし、共に過ごす事でしか冬を乗り切れない。
良い悪いの話ではない。それが自然の摂理であり、そうせねば人は生きられない。
北海道出身者である千秋の、文化的背景へ思いを馳せられなかった貴方の落ち度であろう。

P「私を脅しているつもりなのと、あれは千秋さんの心が割れた悲鳴だった。
 それなのに僕は彼女の手を振り払ってしまった」

瞳子「Pさんは、千秋さんをどう思っているの?
 難しい質問では無い筈よ。貴方の気持ちを正直に答えて」


 貴方は自分自身へ問いかける。千秋をどう思うのか。

47 良感情+2 現在値 愛+6


P「僕は千秋さんを愛しています。嘘偽りなく」

瞳子「嬉しいわ。Pさんが私の気持ちへ答えてくれて」

 その気持ちがプロデューサーとしての物なのか、一人の男性としての物なのかはまだ判別できないが。
千秋へ感じる親しみと、彼女を求める情熱が混在している。
そんなあやふやではっきりとしない気持ちこそが、今の貴方の本心である。

瞳子「でもね千秋さんと会う時には、そんな風に無理やり色分けしては駄目なの。
 判断し、決断するのは何時だって千秋さんだから。
 貴方はどこまでもあいまいな灰色のままでいて。空にはね太陽と月がどちらも必要だから」

 我と我がぶつかり合えば、人間関係は上手く行かない。
誰かがどこかで譲らねばならないのだ。
そして貴方が主張し千秋が譲ろうとした結果、二人の関係は破綻寸前だ。

P「僕はネイビーのビジネススーツを着る事にします。
 もう一度最初からやり直したいんです」

 貴方は服部の助言を受け入れ、自分が月となる道を選んだ。

瞳子「Pさんは、心から気を許せる人ね。昔からずっと変わらない。
 千秋さんには休憩が必要。立ち止まって休むのも……Pさんとなら悪くないわね」

 貴方の決断に服部は満足した様子だ。
慈愛に満ちた目で、貴方を見つめている。


――――

 ここで少しだけ、時計の針を戻すとしよう。
関係の改善を求めているのは貴方だけではないのだから。

千秋「顔を洗ってどうにか気持ちは鎮めたけれど、ここのままじゃ駄目よね。
 やっぱりPさんには一言だけでも謝っておかないと」

 重い足取りで会議室へと戻るのは千秋だ。
貴方は千秋を追いかけなかった。
ならば貴方がまだ会議室へ留まっていると判断するのは、誤りではない。

 そしてその判断は正しく、貴方は会議室で服部と話を続けていた。

(愛しています。嘘偽りなく)

(嬉しいわ。Pさんが私の気持ちへ答えてくれて)



千秋「あ……あ……あ……」

 会議室の隙間から漏れ聞こえる、貴方の愛の囁き。

千秋「そうだわ……演奏会に行かないと……素敵な音楽が私を待っているから。
 どうして……こんなに……胸が苦しいの……心臓が破裂しそう。
 演奏会に行かないと……音楽は私を裏切らないから……」

 ふらふらとその場を立ち去る千秋の耳には、その後の会話は届かない。

 扉一枚隔てただけの距離、2メートル。
貴方と千秋、二人の溝はそれよりもはるかに深い。

――――

 翌朝、気まずい雰囲気のなか貴方と千秋は会議室にて顔をあわせた。

P「千秋さんは、お綺麗です」

千秋「止めて頂戴」

 一刀両断。貴方の言葉は千秋へ届かない。
だがこの程度で諦める訳にはいかない。
貴方には服部から授かった秘策があるのだから。

 大きく息を吸い、行動に移す。

P「千秋さんは犬派ですか? それとも猫派ですか?
 僕は○○○○が好きなんですけれど」

千秋「……」

 貴方の発言が余程想定外であったのか、
千秋は口をポカンとあけ、目をパチクリとさせている。

千秋「私は犬派ね。飼い主へ忠実だもの」

P「では昨夜の演奏会は楽しめましたか?
 恥ずかしながら、僕今までクラシックには興味が無くて」

千秋「良い演奏だったわ。同じ曲目でも演者が違えば、別な曲になるのよ。
 チャイコフスキーの交響曲第1番ト短調冬の日の幻想。
 ドヴォルザークの交響曲第9番ホ短調作品95新世界より、どちらも見事だったもの」

 興奮冷めやらぬといった具合に、千秋は早口で捲し立てる。
余程良い演奏だったのだろう。千秋の語る固有名詞は何一つ貴方には分からない。
しかし千秋が楽しそうに語る姿を見るだけで、貴方の心もはずんでくる。

千秋「っと、つい喋りすぎてしまったけれど。いったいどんな風の吹き回しなのかしら?
 Pさんがこんな意味のない事を、尋ねるだなんて」

P「意味なんてなくても良いんですよ。
 僕らの間に必要だったのは、後になって思い返せば――思い出す事も出来ないような時間。
 何でもなくて、どうでもいいような時間だと思うんです」

P「お互いの好きなものだとか、趣味とか、家族や故郷の話。
 仕事の話だけではなく、僕はそういった事についても話したいです」

千秋「……」

P「……」

 両者の間に、沈黙が下りる。それは長い時間。

千秋「そうね。私達今までは背筋、伸ばしすぎね。
 ねぇ、少しお話しましょうか?」

 だが決して不快ではない時間。

P「僕は、千秋さんと話がしたいです。
 何でもいいんです。千秋さんと話がしたいそれだけです」

千秋「まずは仕事の話をするのでは? まぁ……こういう空気も悪くはないけれど」

 二人の間に残された時間には限りがある。
その時間を精一杯千秋の為に役立てようと、貴方は望んでいるのだから。

 貴方が自分の意思で身に付けたネイビーのビジネススーツと同色のネクタイは、
奏の手によって何時でも皺ひとつなく、パリッと仕上げられていた。




 お互いの趣味などを話すイベントの安価判定が終了しました 本イベントの最終結果は以下です。

P   印象 友+6
   好感 愛+6 
   事務所印象 友+8
印象度変化範囲嫌-8~+10友 制限中

Pのプロデュース意思 千秋 あり 他アイドル あり


千秋  印象 嫌-3 次回判定時数値変化増大+2
    好感 憎-4


Pと千秋の印象度差 9


 Pと千秋どちらかの互いへの印象度/好感度が-10or10になったらエンディング予定です。

註 Pと千秋の印象度が10以上離れてしまった場合、強制BADエンディングへ突入します。
  好感度の場合はどれだけ離れていても、強制エンディングは発生しません。



続いて次回発生イベントの内容を安価で募集します。

「↓3まで」コンマ中間判定

――――

貴方が千秋のヤンデレ化を目指すイベント安価です。
Pの好感度が愛+5へ到達した為、告白イベントが解禁されます。


自由回答 または特別イベントから選択


特別イベント
・Pの告白

無効安価は繰り下げで判定。
特別イベントは一部エンディングへ対し、極めて大きな影響を与えます。
慎重な選択をお願いします。


↓3までの安価のなかで 3つを比較し大きくも小さくも無い中間コンマの安価を採用します。

例 コンマ 13 80 64 の場合 64を採用

安価イベント内容次第では強制終了となる恐れもありますので、予めご了承ください。

 告白イベントに失敗した場合、告白対象者の好感度範囲が憎-10~-5愛へ制限されます。
告白失敗後も物語は継続可能ですが、通常の手段では愛+10へ到達できない事をご了承ください。

――――
コンマ 21 64 92 64 ペアのぬいぐるみを採用

 人と人との縁は不思議なものである。
最初の出会いが衝撃的であろうと、何の感慨も抱かずとも。
その関係はいずれ人知の及ばぬ結末となる。

 一人の男が居る。
女達を友とし、愛し、彼女達を幸福へ導く事が天職であると自任している。

 一人の女が居る。
貴方を嫌い、憎み、それでもなお野心の為に離れられずにいる。

 そんな二人が出会えば関係がこじれ修復が不可能となる事もある。
だからこそ人が最後のよすがとすべきものが必要となる。

 古人曰く、困った時の神頼み。

P「神様仏様聖様。イエスにブッタにお地蔵さん。
 どうかお願いです、千秋さんともっと親密になりたいんです」

「もういいかげんにしてよ。
 あたしが先に見つけた開運スポットなのに、なんでアンタの方が拝む回数多いのよ」

 事務所の神棚へ頭をたれる貴方へ、背後から涼やかな声がかかる。

P「そうは言ってもな、もう他に手が思いつかないんだよ」

「それ程御利益欲しいんなら、滝にでも打たれて来れば?
 なんか風水的にも山ってのはパワーがあるらしいし」

P「それは先週やってみた。冬の滝は無理だ、依田と違って5秒ともたなかった。
 神様仏様聖様。イエスにブッタにお地蔵さん。
 どうかお願いです、千秋さんともっと親密になりたいんです」

「ないわー、あたしも人の事言えた義理じゃないけれど。
 今のアンタは本気でおかしいよ。なにしれっと聖ちゃんの写真を神棚に供えてんのよ」

P「聖は天使だろ。
 今日あの子のクリスマスキャロルを聞いて、すさんだ心が洗われた気がしたんだよ」

「違うから、聖ちゃんはいい子だけどただの人間。
 背中に生えてるのは羽じゃなくて、産毛。しっかりしなさい」

P「お前もこの写真を見ればわかるさ。
 なんかこう、スピリチュアルパワーって感じな? 良い事ありそうって気はしてこないか?」

望月聖
http://i.imgur.com/RYF3Njw.jpg

「むむむ、言われてみれば確かにそんな気も。あたしも拝んどこうかしら。
 こいつの悩みが解決できますよーに」

 そして貴方の隣で神棚へ手を合わせるのは、占い好きアイドルの藤居朋である。

藤居朋
http://i.imgur.com/YqxAXTP.jpg


 占いアイドルではなく、あくまでも占い好きアイドルである点がミソだ。
彼女には占い師特有の、いかがわしさ、おどろおどろしさが全くない……現時点では。

 無理にミステリアス路線で売り出すよりも、彼女自身の持ち味を生かす事が事務所の方針だ。
藤居は好奇心旺盛であり、人懐っこく、事務所のムードメーカーでもある。
誰とでも上手く付き合える為、他アイドルとの抱き合わせで売り出しを模索中、そしてその評判は上々。

 最近では年上系妹アイドルとして、
同じく方向模索中である妹系お姉ちゃんアイドル今井加奈との期間限定ユニットが活動中だ。

今井加奈
http://i.imgur.com/AokGZg3.jpg


P「それでどうなんだ藤居、最近は?」

朋「昨日も話し合ったばっかでしょ。
 どうしてそんな単身赴任から戻ったばかりの父親が、久々に会った娘へ語りかけそうな物言いなのよ」

P「もうアイドルとの距離感が掴めないんだよ。
 今日の千秋さんを見たか? 僕が部屋へ足を踏み入れたら、それだけでもう室温が1度は下がったんだぞ。
 絶対に下がった間違いない。そうだ今度雪女役の仕事でも取ってこようかな、女優路線もそろそろ考えて良い時期だし」

朋「重傷ね。いいわこっち来なさい。
 あたしの指先から溢れるフォーチュンパワーで、ハッピーチャンス捕まえるよ」



P「綿が……出てる、はみ出てるぞ」

朋「あたしに小道具係は無理みたい。あんたもだけど」

 藤居に連れられ談話室へと腰を下ろした貴方は、手芸セットを新たな友とし格闘中だ。

朋「幸運の青い鳥、公園にはいなかったから自作しようと思って」

P「神様、何とか乗り切るチカラを!」

朋「はいらない? これさえ出来れば、あたし達の開運は確実なのに~」

 その出来栄えは……贔屓目に見ればカワイイと言えるだろう。
少なくとも藤居の作品に限っては。貴方の作品は鳥の形状さえも保ってはいない。

参考 青い鳥のぬいぐるみ
http://i.imgur.com/sMs4zXE.jpg

朋「やったー出来たー。これで運気向上! 間違い無しよ!
 あんたのマスコットもなんとか形になって来たわね。
 どう? なんか今ちょっと幸せじゃない」

 藤居はキラキラとした目で貴方を覗き込む。
本当に子供の様だ、これで19歳とは思いにくい。

 事務所へ対し非常に好意的な感情を持つ貴方は、藤居の気配りへ素直に感謝した。

朋「よろしい。
 それじゃあんたが良い仕事取ってこれるように、これ、あげるわ。
 知ってる? 千秋さんもねこの手の小物結構好きなのよ」



P「↓1と↓2」コンマ

――――

 今回はPの千秋に対する印象度と好感度変化判定です。
現在値 印象度 友+6
    好感度 愛+6

コンマテーブルは以下 感情の加速によりテーブル変化 +6へ到達によりさらにテーブルが変化します

00~19 +-0 次回判定時数値変化増大
20~44 +1
45~54 +2
55~79 +3
80~99 +4

 ぞろ目を出した場合は特殊判定となり反転システムが作動します。

 Pの千秋への印象度/好感度は今後のイベント展開を左右します。

↓1が印象度判定
↓2が好感度判定

――――
コンマ 20 51

20 良印象+1 現在値 友+7

P「ぬいぐるみ、双葉さんが持ち歩いている兎とかかな?」

朋「それも巷じゃ結構流行ってるけど、うちじゃ違うかな。
 こないだ忍ちゃんがずんだ餅? みたいな、緑のお団子事務所へ連れてきたんだ。
 あたしはどうかな~って感じだったけど、何人かの子がびびびって来ちゃったみたい」

P「もしもそのぬいぐるみの仕事を請け負えたとしよう。
 千秋さんは機嫌を直してくれるかな?」

朋「そりゃ悪い気はしないでしょうね。
 千秋さんあのお団子つんつんしながら、楽しんでたし」

P「ありがとう、藤居は僕の青い鳥だよ。
 こんなにも幸せな気分になったのは、聖のクリスマスキャロル以来だ」

朋「つまり数時間ぶりって事ね。
 日に二度も良い事あったんだから、あんたの運勢はもうバッチリ上向いてるわね」


51 良感情+2 現在値 愛+8

P「それにしても千秋さんがぬいぐるみで遊んでいたのか。
 女の人は幾つになっても可愛い所が残っているんだな」

 千秋が微笑みながらぬいぐるみへと話しかける姿を想像する。
貴方へは決して見せぬ表情だが、千秋が幸せそうにしている状況を思いうかべるだけで胸が熱くなる。


【クリスマスキャロルが流れる頃には
 君と僕の答えもきっと出ているだろう
 クリスマスキャロルが流れる頃には
 誰を愛しているのか今は見えなくても

 この手を少し伸ばせば 届いていたのに
 1mm何か足りない 愛のすれ違い

 お互いをわかりすぎていて
 心がよそ見できないのさ

 クリスマスキャロルが聞こえる頃まで
 出逢う前に戻ってもっと自由でいよう
 クリスマスキャロルが聞こえる頃まで
 何が大切なのかひとり考えたい

 誰かがそばにいるのは 暖かいけれど
 背中を毛布代わりに 抱き合えないから

 近すぎて見えない支えは
 離れてみればわかるらしい】 引用 クリスマスキャロルの頃には 稲垣潤一





P「僕、やっぱり千秋さんが好きです」

朋「知ってるわよ……それくらい。
 あんたは何時だって切なそうな顔して、千秋さんを見てるんだから。
 そんなあんたの横顔を……あたしは何時だって見つめてきた」


 Pと千秋の印象度差が10以上へ到達しました。
現在値 P 友+7 千秋 嫌-3 強制BADエンディングへ突入します。


――――


P「それでは引き続き、配役の発表に入ります」

 社長の音頭に続いて、貴方がマイクを手にする。

P「今回の主役はフリルドスクエアの4名に、交代制で務めて頂きます」

(やったね穂乃香ちゃん)

(四等分大作戦、いっちゃうよ)

(こういうのもいいかな)

 歓声が上がる。

 シンデレラファンタジー~少女達の冒険譚~。
その企画発表の場の出来事だ。

P「主役を支える騎士役は、渋谷、島村両名に交代制で務めて頂きます」

(それにしても張り切ってるね。
 まぁ、気持ちは分らなくもないけどさ)

(うん! ファンタジーな舞台なんて、なかなかない経験だし……。
 それにみんなで出られるんだもん。プロデューサーさんには感謝しなくちゃね)

 事務所アイドルの顔見世を目的とした新人公演。
規模は小さいもののこれが初めてのキャリアとなる娘が大半の為、貴方の一言毎に場がざわめく。

P「続いては――」




 発表はつつがなく終わり、1人また1人とアイドルはこの場を立ち去って行く。
最後まで席を立たずにいたのは、貴方と千秋の2名だけだ。

千秋「私の名が呼ばれなかった。
 それなのになぜPさんは、私をこの席へ留め置いたの」

P「仕事をお願いしたかったからです。声のお仕事です」

 貴方は緑色のマスコットと、台本を千秋へ差し出す。

P「今回の敵役である、緑の大型怪獣ですがその声当てを千秋さんにお願いしたいんです。
 女優としてのキャリアも、千秋さんには積んでもらいたいので」

千秋「私が目指しているのは歌手よ。
 アイドル声優のお仕事ならば、安部さんが喜んで引き受けるはずよ」

P「安部さんにはもっと実入りの良い仕事を、回してくれと頼まれまして。
 アパートの契約更新が近いそうです。三月分は家賃の前払いが必要だとか。
 女子寮の空きがありませんし、こちらも配慮をしてあげたいんですよ」

千秋「私達がペアとなって、あのぬいぐるみを演じる事になると」

P「そんな日が来ない事を願うばかりですが。
 どうです、お引き受け願いませんか? 千秋さんの経験にもなりますから」

千秋「卑怯よ! そうやって頼み込めば私が断れない事を知っていながら」

 突如千秋は半狂乱となり、貴方へ台本を叩きつける。

千秋「嘘吐き、嘘吐き、嘘吐き」

 火が付いた子供の様に、千秋は泣き叫ぶ。

P「千秋さん、これは事務所の為でもあるんです。
 こんな端役じゃ不満を持つのも当然でしょうが、後輩へも道を譲ってあげてください」

千秋「私の為だと言いながら、二言目には事務所の為って。
 それが貴方の本心じゃない! 貴方は私の事だけを担当するつもりなんて何処にも無かった。
 私とあの子達を天秤にかけ、期を見て乗り換えるつもりだったんでしょう!」

P「待って下さい。僕は貴女だけを……」

千秋「そうよ、それも貴方の本心。
 だけどそれが明日も同じだとは限らない」

P「僕には貴女だけです。ずっと千秋さんだけです」

千秋「瞳子さんはどうなの? 私よりも前に活躍していたアイドル。
 ほたるはどうなの? 私の後に活躍するアイドル。
 朋はどうなの? 今貴方の隣で活躍を望むアイドル」

P「それは……でもっ」

千秋「御免なさい。責める心算じゃなかったの、ただ感情が抑えきれなくて。
 新しくより良いアイドルを育てて、事務所へ貢献する事はプロデューサーの務めだもの」

P「じゃあ、どうしてあの日僕の申し出を受け入れてくれたんですか?
 僕の事をずっと信じてなんていなかったくせに」

千秋「それでも、Pさんを信じていたかった。
 私の専属になるとはっきり口にしてくれたのは、貴方だけだったから」

P「なんでですか! 瞳子さんでも、藤居でもなく。
 僕が選んだのは貴女なんですよ」

千秋「もう、耐えられないの。
 Pさんは何時の日か私を捨てるから。
 Pさんにその気がなかったとしても、貴方はそうと気付かぬうちに私を捨てるの」

 千秋の声はどこまでも涼やかだ。

千秋「終わりにしましょう」

 この日彼女は天花を降らす、青女と化した。





 ペアのぬいぐるみイベントが終了しました 本イベントの最終結果は以下です。

P   印象 友+7
   好感 愛+8 
   事務所印象 友+8
印象度変化範囲嫌-8~+10友 制限中

Pのプロデュース意思 千秋 あり 他アイドル あり


千秋  印象 嫌-3 次回判定時数値変化増大+2
    好感 憎-4


Pと千秋の印象度差 10

 Pと千秋の印象度差が10以上となった為、物語はここで終了です。


 実験的な内容でしたが皆様の安価への御協力と、
最後まで御付き合い下さったことへ対して感謝いたします。



投下は以上です。
モバマスでの過去作は以下が存在します、興味を持っていただければ幸いです。

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岡崎泰葉「最近、私を抱く回数が減りましたね」

訂正
>>242 脱文

千秋「私達がペアとなって、あのぬいぐるみを演じる事になると」

P「そんな日が来ない事を願うばかりですが。
 どうです、お引き受け願いませんか? 千秋さんの経験にもなりますから」


千秋「声当てならば、私が中身として動き回る訳ではないのね」

P「サイズがサイズですので。成人男性でなければ、上手く演じられませんから。
 臨時でスーツアクターを雇いますが、都合がつかなければ練習中は僕が中へ入る事もあるでしょうね」

千秋「私達がペアとなって、あのぬいぐるみを演じる事になると」

P「そんな日が来ない事を願うばかりですが。
 どうです、お引き受け願いませんか? 千秋さんの経験にもなりますから」

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