響「嵐日」 (41)


響「台風だぞ……」

ハム蔵「ジュイ……」

響「すごい雨だな~」

いぬ美「わふ……」

響「この天気じゃいぬ美達の散歩には出られないな」

いぬ美「クゥ~ン」


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響「そんな声出さないでよ……。自分だって連れて行ってあげたいけど、いぬ美達を危ない目にあわせる訳にはいかないんだ」

いぬ美「わん!」

響「うん、分かってくれてありがとういぬ美!」

ピンポーン

響「ん? こんな日に誰だ? は~い」

すたすた

がちゃ

貴音「ごきげんよう、響」


響「た、貴音!? どうしたんだ、ずぶ濡れじゃないか!」

貴音「事務所に向かっていた所プロデューサーから連絡をいただき、今日は危ないから来なくていいと言われたのですが

   連絡を頂いた時点で、既に外を歩いていたので、プロデューサーに支持を仰いだ所、こちらが一番近いので

   避難をするようにと」

響「そ、そうだったのか……」

貴音「電話が終わってすぐに横殴りの雨に変わり、傘もまるで意味を為さず、このように濡れネズミと……くちっ」

響「そ、そうだ! そんなびしょ濡れで外に立ってたら風邪引いちゃうな! 上がって!」

貴音「申し訳ありません、響」


響「なんくるないさ~! それに、貴音だったらいつでも大歓迎だぞ!」

貴音「真、嬉しき言葉です」

響「そのままだとホントに風邪引いちゃうから、まずはお風呂場だな」

貴音「はい」

響「えっと、適当に着替え持って行くからシャワー浴びちゃって」

貴音「かしこまりました」

がちゃ、ぱたん


響「さーて、着替え出さなきゃ」

ごそごそ

響「……冷静に考えたら自分と貴音の身長差で入る服なんてあるわけないぞ……」

ハム蔵「ジュ?」

響「う~ん。と、とりあえずこのジャージでいいかな……?」

ハム蔵「ジュイジュジュイジュ?」


響「え? それよりも先にへび香を違う部屋にって? 確かにそうだ!」

どたどた

がちゃ

響「ごめんへび香! ちょっと暫くこの部屋にいてくれ!」

へび香「?」

響「貴音が来てるから、へび香と会わせる訳にはいかないんだ。あとでちゃんと出してあげるからな」

ばたん



響「ふぅ、これで貴音と会う心配は無いぞ」

ハム蔵「ジュ、ジュジュイ」

響「そうだ、貴音の服どうしよう……。と、とりあえず下着とジャージでいいかな?」

ハム蔵「ジュ」

響「よし、とりあえず脱衣所に置いておこう」

どたどた

がちゃ

貴音「きゃっ」

響「うわぁ!」


貴音「響でしたか……どうされました?」

響「あ、うん……えっと、着替えを持ってきたんだけど……」

貴音「まぁ、それはありがとうございます。ですが……」

響「ん?」

貴音「いえ、わたくしと響とでは大分身長差がありますゆえ、響の服がダメになってしまわぬか……」

響「ん~、今はあんまり使ってないジャージだからダメになってもまぁ、別に」

貴音「ですが……」

響「いいから! いつまでも裸でいたらほんとに風邪引いちゃうぞ!」

貴音「……では、ありがたく」


響「はい、脱いだ服はそこの乾燥機に入れといて。あとで乾かすから」

貴音「何から何まで、申し訳ありません」

響「いいって、自分と貴音の仲だろ?」

貴音「ふふっ、ありがとうございます」

響「じゃ、自分はリビングにいるから」

ぱたん

響「ビックリした……。まさか裸で立ってるなんて思わなかったぞ……」

ハム蔵「ジュ?」


響「服もそうだけど、下着ちゃんと入るかな……?」

がちゃ

貴音「お湯、頂きました」

響「貴音。服大丈夫そう? あと下着」

貴音「えぇ、少し丈が足りませんが、贅沢を言える立場ではありませんし、これで十分ですよ」

響「そっか、ごめんな貴音」

貴音「はて? どうして響が謝るのでしょうか?」


響「いや、自分の背が低いばっかりに…」

貴音「それは違いますよ、響。わたくしは響の背は今のままでいいと思っています」

響「ちっちゃいままでいいってこと?」

貴音「えぇ」

響「う~ん、自分としてはもっと。それこそ貴音やプロデューサーみたいに大きくなりたいんだけど……」

貴音「響が大きくなると」

ぎゅっ


響「うぇ!? た、貴音!?」

貴音「この丁度良い抱き心地が失われてしまうのは勿体無いのでそのままでいてください」

響「わわ、分かったから離してよ貴音ぇ~!」

貴音「ふふっ、名残惜しいですがそういたします」

響「ふぅ」

貴音「嫌でしたか……?」

響「べ、別にそういうんじゃないぞ……! ただいきなりだったからビックリしただけで……」

貴音「では、突然でなければ良いのですね?」


響「……へ?」

貴音「それでは響、抱きしめさせてください」

響「な……! ……だ、ダメだぞ!」

貴音「何故です! 突然ではダメだというから事前に申し上げたというのに……」

響「い、いや、何かその、恥ずかしいし……」

貴音「私は恥ずかしくなどありません!」

響「貴音はそうでも自分は恥ずかしいの!」

貴音「むぅ……いけずです……」


響「ほらほら、お茶いれてあげるから座ってて!」

貴音「……はい」

響「全くもぅ……!」

貴音「…」

響「えっと、お茶っ葉は…っと、あったあった」

貴音「…」

響「雪歩にもらったやつだからきっと美味しいはずだぞ~」

貴音「…」コソコソ


響「ふふんふんふふ~ん ふ~ふふ~ん♪」

ぎゅっ

響「うぎゃ!?」

貴音「ふふっ、やはり響は抱き心地がいいですね」

響「な、何するんだ貴音! 今火とか使ってるから危ないんだぞ!」

貴音「大丈夫です。私がこうして見てますから」

響「いやそうじゃなくて、これじゃお茶淹れられないんだけど……」

貴音「響はお茶と私とどちらが大切なんですか!」

響「えぇ!? いや、貴音は自分の大事な親友だけど、お茶と比べるのは……」

貴音「響……!」

ぎぬゅ~


響「うぎゃ~、く、苦しいぞ……」

貴音「失礼いたしました。あまりに響が愛らしかったもので、つい」

響「ついで苦しめられても困る」

ピ~~~~~~~~~~~!!!!

響「あ、お湯沸いた。お茶っ葉を急須に入れて、お湯を注いで……っと」

貴音「ふふっ、真良い香りです」

こぽぽぽぽ

響「よし、出来たぞ! 貴音、悪いけどそっちのテーブルまで運んでもらえる? 自分、乾燥機かけてきちゃうから」


貴音「かしこまりました」

響「じゃあよろしくね」

すたすた

がちゃ

響「うん、ちゃんと入れてくれてるな」

ぴっぴっ

ゴウンゴウン……

響「これでよしっと」

すたすた


響「貴音、おまたせ」

貴音「おや、早いですね」

響「乾燥機回すだけだからな」

貴音「ふむ、そうなのですか」

響「ところで貴音、その格好寒くない? おへそ出ちゃってるし袖も七分丈だし、ズボンだって脛が見えちゃってるし」

貴音「今は湯浴みの後なので寒さは感じませんが」

響「そっか、でも湯冷めとかしちゃうとやっぱり風邪引いちゃうからな。ハム蔵、エアコン入れてくれる?」

ハム蔵「ジュ!」

ぴょこぴょこ

ぴっ

ハム蔵「ジュイ!」


響「ありがと、ハム蔵」

貴音「…」

響「どうしたんだ貴音?」

貴音「いえ、いつも思うのですが。ハム蔵は真、頭の良いはむすたぁなのですね」

響「えへへ、自分の大事な家族だからな!」

ハム蔵「ジュイ!」

貴音「他のはむすたぁも、このように賢いのでしょうか?」

響「ん~、どうだろ? 自分はハム蔵としか暮らしてないから、よく分かんないぞ」

ハム蔵「ジュ?」


響「まぁとにかくハム蔵は自分の大切な家族で親友だぞ!」

貴音「ふふっ、仲睦まじく、少々妬けてしまいますね」

響「貴音だって大事な仲間で親友だからな!」

貴音「響……!」

響「へへっ」

貴音「ありがとうございm」

ぐ~、きゅるるる~

貴音「ぁぅ……///」


響「ぷっ……あははは!」

貴音「ひ、響! 失礼ですよ!」

響「あはは、ごめんごめん! はー、面白かった。お腹空いてるみたいだし、何か作ってくるよ」

貴音「むぅ……。よろしくお願いします」

響「うん、ちょっと待ってて」

すたすた





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



響「お待たせ貴音」

貴音「響」

ぐるるるる~きゅる~ぐ~

響「すごい音だな……」

貴音「台所から漂う香りで、より空腹感が……。新手の拷問なのかと思いました……」

響「拷問って……」

貴音「響……お願いです……もう、我慢できないのです……!」


響「あぁ、はいはい」

ことっことっ

響「めしあg」

貴音「頂きます!」

響「食い気味に入ったな~」

貴音「あむっ……はぐっ……まこひょ……んっく……美味ですね」

響「ははは、喜んでもらえて嬉しいぞ」

貴音「あぐっ……はむっ……んむっ……あの、響?」

響「ん?」


貴音「いえ、その、食べている所をそのように見られるのは……少々恥ずかしく……」

響「貴音はすごくいい食べっぷりだから見ていて気持ちいいんだ」

貴音「そ、そうなのですか……」

響「自分の事は気にしないで食べて食べて」

貴音「はい……」

響「へへっ」

貴音「うぅ……///」

響「どうしたんだ貴音? 何だか手が止まってきてるぞ?」

貴音「いえ……その……ご、ごちそうさまでした……!」


響「え!? も、もういいのか!?」

貴音「は、はい……もう十分です」

響「そっか、いっぱい食べると思って沢山作っちゃったぞ……」

貴音「申し訳ありません……」

響「まぁ、晩御飯にして自分が食べるから大丈夫だぞ!」

貴音「そうですか……」

響「自分も確認しなかったから気にしないでよ!」

貴音「はい……」


響「皆大丈夫かな~」

貴音「どうでしょう。ですが、わたくしのようにプロデューサーからの連絡が来ているはずです」

響「そういえば自分はもらってないな」

貴音「おや、そうなのですか?」

響「もしかして、自分だけ忘れられてるんじゃ……」

貴音「あのお方がそのような事をするとは……」

響「でも、実際来てないし」

貴音「もしかしたら、響が気づいていないだけの可能性もありえます。もう一度電話を確かめてみては?」


響「う~ん、そうしてみる」

ぱかっ

響「あれ?」

貴音「どうしました?」

響「電源が入ってない……」

貴音「はて?」

響「じゅ、充電器充電器~!」

どたばた

貴音「ふふっ」


ハム蔵「ジュ?」

貴音「響は表情がころころ変わるので、見ていて飽きませんね」

ハム蔵「ジュイ!」

貴音「おや、ハム蔵もですか」

ハム蔵「ジュジュイ!」

貴音「ふふふっ、言葉は分かりませんが、きっとそうなのでしょう」

響「あったあった。コンセントにつないでっと」

ぱかっ

響「ついたぞ」


ヴ~ヴ~

響「わっ。プロデューサーから電話だ」

ぴっ

P「響か!? 大丈夫か!?」

響「うぎゃ! い、いきなり大声出さないでよ!」

P「何べんかけてもお前だけ繋がらないから、本当に心配したんだぞ!」

響「う~、ごめん。携帯の電池切れてるのに気づかなくて……」

P「何だ、そうだったのか……」

響「大体、貴音を自分の家に寄越したんなら貴音に連絡したら良かったじゃないか」

P「あ……」


響「あ……。じゃないぞ!」

P「す、すまん……」

響「い、いや、自分も電池切れちゃってたし……その、心配かけちゃって、ごめん……」

P「いや、響が無事で安心したよ。貴音も無事なんだな?」

響「うん、びしょ濡れでウチに来たからビックリしたけど、ご飯も食べたし元気にしてるぞ」

P「そうか、今日は竜宮以外全員バラしになったからな。危ないから家からは極力出ないこと」

響「うん、分かった」

P「それじゃ、貴音にもよろしく伝えといてくれ」

響「は~い」

ぴっ


貴音「盛り上がっていましたね」

響「そうかな? プロデューサー、自分に何度か連絡くれてたみたいで

  でも電池が切れてたからそれに気づけなかったみたいだ」

貴音「ふふっ、やはり忘れられているわけではありませんでしたね」

響「わっ、ホントに履歴がプロデューサーだらけだ」

貴音「それだけ響の身を案じてくれていたのでしょう」

響「うん……」

貴音「それで、プロデューサーはなんと?」


響「あ、うん。竜宮以外は皆バラしだから家から出ないようにって」

貴音「そうですか。あずさも伊織も亜美も、そして律子嬢も大変ですね……」

響「うん、でも多分。プロデューサーは仕事してるんだろうな~」

貴音「頭が下がりますね」

響「そうだな……」

貴音「それに報いるためにも、わたくしたちももっと励まねばなりませんね」

響「そうだな!」


貴音「ですが今日は、せっかくなのでゆっくり休むといたしましょう」

響「うん」

貴音「しかし、全く弱くなる気配がありませんね」

響「まぁ台風だからな」

貴音「わたくしは、家に帰れるのでしょうか……」

響「夜になったら落ち着くと思うけど、いっそ今日は泊まっていけば?」


貴音「よろしいのですか?」

響「自分は大歓迎だぞ!」

貴音「それではよろしくお願いします」

響「まかせとけ!」

貴音「ふふっ、今夜はとても楽しい夜となりそうですね!」



おしまい

終わりです。

響誕生日おめでとう。

少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
それではお目汚し失礼しました。

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