劇場版・魔法少女まどか☆マギカW ~Endless Waltz~ (42)

アフター・コロニー195年。


連合に反目する一部のコロニー居住者は、5体のガンダムに少女たちを乗せて地球に送り込んだ。


作戦名:オペレーション・メテオ


錯綜する戦いの末、孤高の革命家「ワルプルギス・クシュリナーダ」は、時代の幕引きのために戦場で散る。


そして、地球圏統一国家が誕生した。


アフター・コロニー 196年。


現在、地球圏に戦闘兵器は存在しない。


だが人類が居る限り、戦いがなくなることはない・・・。



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廃棄予定の資源衛星内。

さやか「平和が続くなら、ガンダムは必要ない・・・か」

マミ「なんだか名残惜しいわね、美樹さん」

さやか「いや、もういいよ。早いとここの廃棄ブロックと一緒に、太陽へ飛ばしちゃおう」

マミ「ええ、そうね」

マミ「・・・・」カチッ

ゴオオオオオォォ・・・

マミ「さようなら・・・私のガンダム・タテロール・・・」

さやか「じゃあね、サヤサイズ。あたしの相棒」

さやか「・・・杏子は、やっぱり持ってこなかったね」

マミ「そうね。鹿目さんと暁美さんはすぐに送ってきたけれど」

さやか「みんな、どうしてるんだろうなぁ・・・」

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終戦1周年記念式典の会場。

和子「1年前はクリスマスを楽しむ余裕なんて人類には、特に独身者にはなかったのに」

和子「変われば変わるものね」

上条「そうですね」

大統領『・・・そして我々は、ついに平和をこの手にすることが出来ました!』

上条「大統領は分かっていませんね。平和は勝ち取ることより、維持することの方が難しいのに」

和子「あら、分かっているはずよ」

和子「そうでなければ、我々見滝原プリペンターに予算を割いてはくれないわ」

和子「民主的に選ばれたにしては、優秀な方ね」

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プリベンター宇宙巡洋艦。通信室。

中沢「いいのか上条。式典を途中で抜け出してきて」

上条『プリベンターは単なる火消だよ中沢。あの場には相応しくない』

上条『・・・それで?』

中沢「先日回収したネオチタニウムが13番目の星座の可能性は高いと思うね」

上条『新型のモビルスーツ・・・か』

中沢「今、あらゆる方面から出所を探っているところだ」

上条『・・・今回は、いままで以上に大掛かりな火事になりそうだ』

中沢「同感だね」

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LⅢ・X-18999コロニー。会議室。

官僚1「ご覧のように我がコロニーは、完成から7年しか経っておりません」

官僚1「不安定な経済が、人口増加を阻んでいるのが現状でして・・・」

官僚2「市民の多くは力強く導いてくれる指導者を望んでいるのです」

官僚2「キュートでかわいい、猫のような指導者」

官僚2「エイミー外務次官。ちょうど、あなたのような・・・」

エイミー「・・・・」カチャ ゴクゴク

エイミー「残念ですね。せっかく手に入れた、自由と・・・平和・・・なのに・・・・」

官僚たち「・・・・」ニヤニヤ

ガチャン!

親衛隊「・・・・」ダッダッダッ

官僚3「ようやく飲んだか。これだから猫舌は・・・」

官僚1「丁重にお連れしてくれたまえ」

親衛隊長「分かっております」

官僚1「これで、我々のカードは揃いましたな」

親衛隊長「そうです。無能力者を退席させ、あの方にご登場願うときです!」

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コロニー内部。司令官室のモニター前。

???「うふふふふ」

???「平和を願うのは勝手だけれど、問題はそこまで人類が成長しているかということさ」

???「やはり、私たちが教えてあげなければダメなのです。QB」

QB「その通りだね、なぎさ」

なぎさ「お父さんから預かったクリスマスプレゼントは、ちゃんと皆に届けなくちゃならないのです」

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政府内のデーターベース室。

まどか「・・・・」カタカタ ピッ

まどか「マリー・なぎさ・バートン、AC189年生まれ」カタカタ ピッ

まどか「2年後、母レイア・バートン死亡、父不明・・・」

さやか「世間はクリスマスだっていうのに、働き者だねぇ・・・まどか」

さやか「それにしても、ほむらに姪がいたとは驚きね」

まどか「記録上のことだよ、さやかちゃん」

まどか「私たちのしってるほむらちゃんは、ほむら・バートンじゃないんだよ」

さやか「おっと。そうだったね」

まどか「・・・・」スタッ スタスタ…

さやか「まどか、行くの?」

まどか「うん・・・エイミーが攫われちゃったみたいなの。助けに行かなくちゃ!」

さやか「あ~はいはい、ぞっこんってやつね」

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X-18999コロニー。秘密倉庫内の集会場。

QB『諸君、いよいよなぎさの為に立ち上がる時がきた』

QB『この1年の間、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍んだ諸君らに深く感謝を述べさせてもらうよ』

QB『・・・だけど、不穏分子は処分しておかないとね』

ほむら「・・・っ」

QB「ほむら・バートン。前に出てくれるかな?」つ『銃』チャキ…

ほむら「・・・くっ!!」タッタッタ

杏子「やめとけよ、ほむら」つ『槍』

ほむら「・・・杏子っ」

杏子「・・・・」

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X-18999コロニー。政府内の客室の1つ。

エイミー「・・・ここは?」

なぎさ「お目覚めになられましたですか?」

エイミー「・・・誰?」

なぎさ「・・・・」クルッ

エイミー「あなたも捕まったの?」

なぎさ「いいえなのです。私があなたを連れてきてと命令したのです」

エイミー「・・・何を言っているの?」

なぎさ「なぎさの名前はマリー・なぎさ・クシュリナーダ」

なぎさ「ワルプルギス・クシュリナーダの娘です」

エイミー「そ、そんな・・・」

なぎさ「嘘じゃないのです。DNA鑑定でも証明されているのです」

なぎさ「だから、なぎさはお父さんの意思を継ぐつもりなのです」

エイミー「誰があなたをそんな風に教育してのか知りませんが・・・」

エイミー「あなたは間違っていますっ!」

なぎさ「うるさいのです!」

なぎさ「なぎさは地球圏統一国家の正当な後継者なのです!失礼な発言は許さないのです!」

親衛隊「・・・・」ダッダッダッ

なぎさ「なんでもないのです!さがるのです!」

親衛隊長「はっ!」

なぎさ「・・・この部屋はモニターで監視されているのです」

なぎさ「なぎさは、あなたがかつてクイーン・エイミーだったことに敬意を表して接見を許しているのです」

なぎさ「今後は気を付けてほしいのです」

エイミー「なら、お聞き致します。わたくしをどうするおつもり?」

なぎさ「それは、いずれ分かるのです」

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地球の衛星軌道上。シャトル格納庫。

マミ『いったいどうする気なの、美樹さん』

さやか「まずはまどかと一緒にX-18999コロニーに行くことになってますよ」

さやか「ま、盛大なパーティーになるのは間違いと思うけどね」

マミ『でもガンダムがない。今の私たちにはガンダムがないのよ?』

さやか「まどかは関係ないよって言ってますよ」

マミ『で、でも・・・』

さやか「ふぅ・・・マミさん、そんな顔しないでくださいよぉ」

マミ『美樹さん。私、ガンダムを取りに行ってくるわ』

さやか「えぇ!?もう太陽に捨てちゃったんでしょ?」

マミ『今すぐにここを出発すれば間に合うはずよ』

マミ『連絡は定時メールでいいかしら?』

さやか「はぁ・・・了解っす。無理しないでくださいね」

マミ『ふふ。それはお互い様よ』

まどか「・・・ふぅ」カタカタ ピッ

さやか「まどか終わったの?」

まどか「うん。でも、方向制御はかなり難しいから・・・」

まどか「操縦は、さやかちゃんに任せてもいいかな?」

さやか「いいっていいって。さやかちゃんに任せなさーい」

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数時間後。X-18999コロニーへ向かうシャトルの中。

さやか「まどか。まどかったら。もう、こらー!起きろー!!」

まどか「う、うん・・・おはよう、さやかちゃん」

さやか「もう。例の御嬢さんが声明を発表するらしいよ」

モニター『ザッー---・・・』

なぎさ『・・・我々X-18999コロニーは地球圏統一国家に対し、独立を宣言すると共に宣戦布告するのです』

なぎさ『私は世界国家元首の正当なる後継者、マリー・なぎさ・クシュリナーダ。ワルプルギス・クシュリナーダの娘なのです』

なぎさ『私は父の遺志を継ぐのです。人類は戦ってこそ、意義のある存在なのです!』

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同時刻。プリベンター局長室。

大統領『これはどういうことなのだ!?何故こうなる前に対処出来なかったのだ!!』

和子「この件は、先日報告したはずです」

大統領『報告は聞いている!だが、こういう事態にならないために予算を割いているんだぞ!!』

和子「分かっております。我々も全力で阻止作戦を展開してますが、おそらく奴らは我々の組織が発足する以前から準備を・・・」

『ガチャ!ツーツー…』

和子「ふぅ・・・。いい訳ならいくらでも出来るけれど、私たちの力だけでこの暴走を食い止められるのかしら・・・」

ガチャ!

???「失礼しますわ。私にもコードネームを頂けたらと思いまして」

和子「あなたは・・・っ」

???「さしずめ火消の風、ウインドとでも名乗らさせて頂けたらと思いますわ」ニコッ

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数時間後。X-18999コロニーへ向かうシャトルの中。

さやか「もうすぐLⅢ空域に辿り着くけど、どうする気なの?まどか」

まどか「う~ん・・・向こうのモビルスーツを借りちゃってもいいけど・・・」

まどか「乗り移ってる最中に狙い撃ちされないかなぁ?」

さやか「そんじゃ、強行突破ってことだね」

さやか「もう少し頭を使ったらどうなのよ~」

まどか「人のこと言えないでしょ、さやかちゃんだって」

『前方のシャトル、回線を開け!ここは危険空域だぞ!』

さやか「お?この声は・・・」ピッ

さやか「おっす恭介!久しぶりだね」

上条『さやか!?鹿目さんも一緒か・・・』

さやか「どうやら派手なクリスマスパーティーが始まりそうだから、プレゼントを渡しに行こうかと思ってね!」

中沢『そんな、無理だよ!ガンダムがないのに対抗できるとは思えないぞ』

さやか「なんとかなるっしょ。・・・あのコロニーまで辿り着ければ、だけど」

上条『さやか、鹿目さん。もう一度、僕たちと手を組まないかい?』

さやか「まぁそうなった時に考えさせてもらうよ」ピッ

さやか「・・・追伸。ご馳走がなくなってても恨まないでね♪」

まどか「よかったの?さやかちゃん」

さやか「これでいいんだよ。さて、そんじゃあ行くとしましょうかね!(加速)」ゴォォォオオオ!!

MDトーラス『・・・ピピピッ』

ズドーン!スドーン!ガガガガガッ!

宇宙巡洋艦『・・・・』つ「ミサイルポッド」ポイポイポイッ

ドドドドドドドドドッ!!

シュウウゥゥ…ドカーン!

さやか「さすが恭介!ナイス援護だね!」

さやか「まどか、しっかり掴まってて!このまま突っ切るよ!!」

まどか「う、うん!!」

ゴゴゴゴゴゴゴ!!!

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X-18999コロニー。スペースポート。

宇宙用リーオー(さやか)「よくこんなにMSを残してたもんね!」ダダダダダッ!!

宇宙用リーオー(まどか)「やぁあああ!!」ザシュン…ドカーン!!

さやか「さすがに、これ以上の持久戦はキツイよ!」

まどか『うん。倒すだけ倒したら脱出しようよ』

まどか『あとは自分の判断で行動するの』

さやか「あいよ、了解っと」ブォオオオオ!!

MS用エレベータ『・・・』ゴォー…

さやか「新手か!新型のMS!?」

サーペント「・・・」ズダダダダダダダダダダッ!!!

さやか「くっ!こいつ、なかなかやるなぁ!」

さやか「・・・こいつは!こいつの戦い方はっ!!」

サーペント「・・・」ズダダダダダダダダダダッ!!!

さやか「間違いない!あんた、ほむらだなっ!!」

サーペント(ほむら)「・・・」ズダダダダダダダダダダッ!!!

さやか「このっ!!」ダダダッ!

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X-18999コロニー。スペースポートの別ルート。

まどか「えい!やぁ!!」ザシュザシュ…ドカーン!

まどか「はっ!?」

???『・・・』ガシャン ガシャン

アンコロン・ガンダム(杏子)「よう。あたしは、あんたと戦ってみたかった」

まどか「そんな・・・杏子ちゃん!」

杏子「はぁああ!」ブゥン!

まどか「きゃ!?な、何するの杏子ちゃん!こんなの絶対おかしいよ!!」ガキン!

杏子「なぁまどか。あんたらは、正しいのか?」

まどか「な、何?」

杏子「あんたらは正しいのかと聞いてるんだよっ!!」ブゥン!ガッ!

まどか「杏子ちゃん・・・今すぐ自爆スイッチを押して!」

杏子「やぁあああ!!」ブゥン!ブゥン!ブゥン!

まどか「・・・もう一度言うよ。自爆スイッチを押して!」ガキン!

杏子「ふんっ」

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さやか「ほむらっ!あんた、何で裏切ったのさ!?」

ほむら「人違いよ。私はほむらじゃないわ」ピピピッ

さやか「ロックオンされた!?ミサイルかよ!」

ほむら「・・・・」バシューン!

さやか「くっ!これで何もかもおしまいかよっ!!」

さやか「・・・?」

大穴『・・・』

…シーン…

さやか「ほむら・・・」

さやか「まったく、相変わらず素直じゃないなぁ!」

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先行部隊を追うプリベンター巡洋艦内。

中沢「大きく迂回しているけど、先行のトーラス部隊は中継ステーションに向かってる」

上条「最終目標は地球・・・という訳か」

中沢「だな。直に月基地からも巡洋艦が来るから多少の時間稼ぎは出来るだろうけど・・・」

上条「そうか・・・。なぁ中沢、さっきの戦いで新型のモビルスーツを見たかい?」

中沢「え?・・・そういえば、見てないな」

上条「しまった!ヤツらを甘く見ていたようだ!」カタカタ ピッ

中沢「サーモグラフィにコックピット付近の熱源がない?じゃああれはモビルドール!!」

上条「ああ。おそらく新型MSの本隊が別の場所で展開している!」

中沢「くそ!念の入った陽動だな」

上条「ともかくここから離脱するよ。中沢は地球の本部へ連絡を!」

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X-18999コロニー。スペースポートへ向かうヘリの中。

エイミー「地球圏を支配する・・・それでワルプルギスの、いえあなたのお父様の意思を継いだつもりですか?」

なぎさ「少し違うのです。なぎさは勝者になりたいのです」

エイミー「では戦うことの意味も、あなた自身で考えてみるべきではありませんか?」

なぎさ「エイミーさん。何度も言わせないで欲しいのです」

なぎさ「なぎさにに対して失礼な発言は許さないのです!」

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X-18999コロニー。コロニー政府屋上のヘリポート。

さやか「あ~間に合わなかったねぇ。行先はスペースポートかな」

まどか「脱出するつもりなんだよ。多分だけど・・・」

さやか「脱出?だったらなんで、このコロニーを制圧したってのさ?」

まどか「・・・・」

さやか「・・・まさか!?だってあの娘はワルプルギスの娘なんでしょ?」

まどか「うん。でも、私が気にしてるのは『QB』の方なの」

まどか「インキュベーター・バートンという名前は聞いたことがあるよ」

さやか「ヤツらは本気なの?本気でオペレーション・メテオを実行しようとしてるの!?」

まどか「うん・・・だから、私たちで止めなくちゃ!」

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廃棄資源衛星へ向かう惑星間宇宙船。

ラシード『マミ様、あと20秒でランデブー・ポイントに到達します』

ラシード『危険だと思ったら、すぐに戻ってきて下さいよ!』

マミ「ええ、分かってるわ」

マミ「・・・あれね」

ラシード『カウントダウン、開始します』

ラシード『5、4、3、2、1』

ラシード『ゼロ!!』

アンカー『・・・』バシューン!!

マミ「いくわ!」ギュイイィィィン

宇宙船『・・・』ガタガタッ

マミ「!?きゃあああ!!」

ラシード『マミ様ぁ!!』

マミ「だ、大丈夫よ・・・なんとか辿り着けたわ」

マグアナック『はぁ・・・』

マミ「それじゃあ、みんな元気でね」

マミ「金星の女神(ヴィーナス)によろしくっ!」

マミ「・・・やぁ、また会ったわね。私のガンダム・タテロール」

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地球の静止衛星軌道上にある資源衛星。

オペレーター「プリベンターの巡洋艦がコースを変更しました」

QB「気が付いたようだね。だけど、もう手遅れだ」

QB「彼らがここまで辿り着いた時には、すでに地球圏の支配者は変わっているよ」

QB「サーペント部隊、出撃」

オペレーター「了解。地球側ゲート、オープン」

オペレーター「っ!前方に未確認モビルスーツ!!」

QB「訳がわからないよ」

オペレーター「モビルスーツ、形式照合」

オペレーター「あ、あれは!『ワカメーギスⅢ』です!!」

QB「ワルプルギス?いや、志筑仁美だね」

オペレーター「ワカメーギス、こちらに突っ込んできます!!」

ワカメーギスⅢ(仁美)『・・・・』

仁美『どうやら私の読みが正しかったようですわね』

仁美『平和に馴染めない女も、少しは役に立つということですわ』

オペレーター「サーペントは大気圏突入用装備を着けているため、応戦できません!」

オペレーター「装備を外しますか?」

QB「いや、その必要はないよ」

仁美『こちらは、プリベンター・ウインドですわ』

QB「志筑仁美、あの戦争で生きていたとは驚きだね」

仁美『あら、死んでいましたのよ。でも、ワルプルギスの亡霊が彷徨っているんですもの』

仁美『おとなしく棺桶で眠っていられませんわ』

仁美『あなたのことはカーンズさんから聞いていましたの。大人しく降伏して武装を解除して下さるかしら?』

QB「はは。撃てるものなら、撃ってみるといいよ」

仁美『なんですって?』

QB「カーンズから聞かされてなかったのかい?オペレーション・メテオは、僕が発案したんだよ」

仁美『・・・X-18999コロニー・・・』

QB「その通りだよ。僕たちはいつでも、あのコロニーを地球に落とすことが出来るんだ」

仁美『あなたという人は・・・っ!!』

QB「さて、それじゃあ改めてサーペント部隊、出撃だよ」

オペレーター「しかし・・・」

QB「大丈夫。もう志筑仁美には僕たちを攻撃することは出来ないよ」

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X-18999コロニー。政府内の環境制御室。

ほむら(オペレーション・メテオ。かつてはガンダムの地球効果作戦がそう呼ばれていた)カタカタ

ほむら(しかし、本来は全く別の作戦だった)カタカタ

ほむら(コロニーの回転速度を加速させ、ラグランジュポイントでの均衡を破壊し、地球に落とす)カタカタ

ほむら(その後、混乱に陥った地球をガンダムで制圧するというものだった)カタカタ

ドカーン!!

ほむら「来たわね・・・」

さやか「ほむら!?あんた・・・」

ほむら「2人とも手伝ってちょうだい。システムが厳重にロックされていてコロニーの安定制御に時間がかかっている」

まどか「うん、任せてほむらちゃん!」

さやか「へいへい、やりますよーっと」

まどか「急がないと・・・ここにあるデータだと、本体の地球降下作戦が開始されてる時間だよ!」カタカタ

さやか「これ、最終ロックには解除するっていうコマンド事態が存在しないんだけど!」カタカタ

さやか「ああもう、回線をダイレクトに繋ぐしかないみたいだね」カタカタ

ほむら「ここには私の仕事仲間がいるわ」カタカタ

ほむら「悔しいけれど、ここまで来るのに時間が掛かりすぎてしまったようね」カタカタ

さやか「杏子はどうなの?あいつも阻止するのが目的で、なぎさの兵隊になったのかな?」カタカタ

まどか「杏子ちゃんはそんな回りくどいことはしないんじゃないかな?」カタカタ

ほむら「・・・よし、終わったわ」

上条『本当なのかい、さやか!』

中沢『オペレーション・メテオを阻止したのか?志筑さん!』

仁美『こちらウインド。資源衛星MO-3を破壊しますわっ!!』

ビュォォォオオオ…ドカーン!!

QB『遅かったようだね。また会おう』

仁美『・・・っ!』

ほむら「・・・間に合わなかったようね」

まどか「大丈夫だよ、ほむらちゃん。コロニーを守っただけでも十分だよ」

兵士『貴様たちは完全に包囲した!大人しく出てこい!!』

ほむら「どうやら終わりのようね」

さやか「いや、そうでもないよ。マミさんからメールが入ってきた」

マミ『こちら巴マミ。廃棄資源衛星を地球へ向けて発進させたわ』

マミ『あと24時間以内に地球の軌道へ帰還できるはずよ』

まどか「さやかちゃん、マミさんに『ゼロアルティメット』をHES-88の方角へ射出してと伝えてくれるかな」

さやか「え?なんでさ?」

まどか「ゼロアルティメットを宇宙で受け取るの。こちらから迎えに行った方が早いから」

ほむら「使えるシャトルが4番格納庫にある。まどか・・・気を付けて」

まどか「うん、ほむらちゃんもね!」

まどか「さやかちゃん、もうひとつお願いしてもいいかな?」

さやか「珍しいねぇ、頼みごとのオンパレードときたもんだ」

まどか「私を殴って」

さやか「は・・・はぁ!?」

まどか「早くして、さやかちゃん!」

さやか「訳わかんないけど、やるからには本気で行くよぉ!!」バシンッ!

ほむら「・・・ふんっ!!」ドスンッ!!

さやか「な・・・ほむら・・・」ガクッ

ほむら「あ、あら・・・思わず手が・・・」

まどか「ふふ、悪く思わないでね。1回は1回だから」

まどか「あとはお願いね、ほむらちゃん」

ほむら「え、ええ任せて」

ドカーン!!

兵士「手を挙げろっ!!」ダッダッダッ

ほむら「安心していいわ。もう片付けたから」

ほむら「暴走は阻止されてしまったけれど・・・」

まどか「・・・っ!!」タッタッタッ

兵士「な!?待て!!」タッタッタッ

ほむら「・・・・」

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アフター・コロニー196年。クリスマス。


マリー・なぎさ軍が地球圏統一国家大統領府を占拠した。


降り続く雪の中、たった1年間の平和は終わった。


そして、現状で唯一の対抗戦力であるプリベンターは、あまりにも微力であった。



まどか「さぁ、行くよ!私のウイングガンダム・ゼロアルティメット!!」

 
 

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地球圏統一国家大統領府。

エイミー「・・・まどか・・・」

ゴゴゴゴゴッ!

エイミー「っ!」

オペレーター「第一ゲート封鎖」

オペレーター「第二ゲート封鎖」

オペレーター「第三から第十六ゲートまで、全て封鎖」

オペレーター「ブリュッセル大統領府、封鎖完了!」

なぎさ「これで、なぎさの城は完璧になったのです」

なぎさ「・・・不思議に思わないですか?兵器のない平和な世界に、なぜこのようなシェルターが必要なのですかね?」

なぎさ「例えるなら歴史というものは終わらないワルツのようなものなのです」

なぎさ「戦争、平和、革命・・・この3拍子がいつまでも続くのです」

なぎさ「でも、なぎさの戴冠式と共に新しい時代の到来となるのですよ」

エイミー「・・・・」

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宇宙空間。地球の大気圏上。

杏子「・・・・」

杏子「・・・来たようだね」ピピピッ

まどか「・・・・」ビュォォォオオオ!!

杏子「まどか!あんたと地球に行かせる訳にはいかないよ!」ガシャン!!

まどか「これが、杏子ちゃんの言う正義なの!?」

杏子「あたしは犠牲の上に立つ平和という名の正義が、本当に正しいのか確かめたいだけさっ!!」

杏子「そのために、あたしは悪になるっ!!」

まどか「・・・っ!」

杏子「人類は何も変わらなかった!倒すべき敵を倒しても、地球は何も変わらなかったんだっ!!」

まどか「杏子ちゃんが戦えば戦う程、平和への犠牲が無駄になっていくんだよ!?」

まどか「もう、私たちの戦争は終わってるんだよっ!」

杏子「だから戦士は要らないって言うのか!?戦争のためだけに生きたあたしたちは切り捨てられるのか!?」

まどか「兵士は平和のために戦ってきたはずだよ!今ここにある世界を信じてよ!!」

杏子「あたしは兵器として扱われた人間たちの代弁者さ!」

杏子「あたしはまどかを含む兵士、全てのために戦っている!!」

まどか「杏子ちゃん・・・」

杏子「あたしとあんたはこうして戦っている。戦っている時こそ、充実しているんじゃないのか!」

まどか「・・・・」

杏子「あたしもあんたも同類さ!戦場でしか、自分の存在意義を見出すことが出来ないんだ!!」

杏子「あたしはエイミー・ピースクラフトを認めない」

まどか「だから杏子ちゃんはマリー・なぎさの独裁を許すって言うの?」

杏子「それが戦う者の魂の拠り所となるんだ!」

まどか「今はそれでよくても、暗く惨めな戦争の歴史が繰り返されるんだよ!?」

まどか「そうなれば・・・私たちのような兵士が必要になってくる・・・」

まどか「杏子ちゃん・・・教えて。私たちはあと何人殺せばいいの?」ブゥン…

杏子「っ!!」

まどか「ゼロアルティメットは私に何も言ってはくれないの・・・教えて、杏子ちゃん・・・」ザパーン!!

杏子「・・・また、繰り返されるというのか・・・」

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大統領府敷地内。

上条「志筑さん。ブリュッセル大統領府はシェルターシールドを敷いるから、中央突破は無理だよ!?」

仁美「無理は承知しておりますわ。けれど、これくらいのことをしないと誰も立ち上がろうとしないんですもの!」

上条「誰を、待っているんだい?」

仁美「平和を願う方々ですの!・・・上条くん、私に付き合う必要はないんですのよ?」

上条「いいや、志筑さん。前に約束したよね、君の傍から離れないって」

仁美「・・・そうでしたわね」

上条「さよならは言わないよ、志筑さん!」

仁美「ええ、当然ですわ!」

ザシュン!! ザシュン!!

仁美「っ!!」

ガンダムタテロール(マミ)『なんとか、間に合ったみたいね』

上条「巴さん・・・ですか!?」

マミ『お二人とも流石ね。これだけ戦って兵士を殺さないなんて・・・』ザシュン!ザシュン!

上条「こんな僕たちでも、見習ってくれるのならありがたいよ」

ガンダム・サヤサイズ(さやか)『地獄への道連れは、ここにある兵器と戦争だけってね!!』ブオォォン!!

ガンダム・ホムーアームズ(ほむら)『残り250機。1人50機の割り当てよ』ズドドドドドドッ!!

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繁華街。大型ビジョン前広場。

QB『新たな秩序に対して、無駄な抵抗をする愚かな者たちがいるよ』

QB『ここに流されるであろう多くの血は、どれほどの意味があるのか考えてみることだね』

子供「ねぇパパ。戦争はもうやらないんじゃないの?」

大統領「そうだよ」

子供「じゃあ、どうしてあの人たちは戦争をしているの?」

大統領「世間には、お前みたいな聞き分けの良い子ばかりがいる訳じゃないのさ」

大統領(だが民衆は聞き分けが良すぎる。マリー・なぎさに対して反抗する者が少なすぎるのではないのか?)

TV『皆さん、この映像を見て恐れてはなりません』

エイミー『平和は誰かから与えられるものではなく、自分自信の手で・・・』ザー…

ザワザワザワ…

???「いつまでお座りしているつもり?」

ドロシー「マリー・なぎさこそ、あなたたちの待っていた新しいご主人様よ。さっさと尻尾を振って迎えに行ったらどう?」

男「オレ達を犬呼ばわりするのか!?」

ドロシー「あら、言い間違えました。訂正しますわ」

ドロシー「あなたたちは主人に尻尾を振る犬ではなく、犬に振られる尻尾なのよ」

男「言わせておけば!これでもオレは1年前の戦争で5機のMSを落とした男だ!」

ドロシー「まぁ、どこにそんな男がいるというの?」

ドロシー「私の知っている男たちは墓の下か、あそこの戦場にしかいないわ!!」

民衆「・・・・」

青年「平和は誰かから与えられるものではない…か」

青年「我々は間違っていたのかもしれん」

老人「そうじゃな、ワシらは戦うべきだ。武器を持たずに、戦うべきだ!」

男「よし!オレは行くぞ、大統領府へ!エイミー様のところへ!!」

メガネ「今からか!?」

男「そうだ!」

メガネ「どうやって?」

男「何とかなる!」

老人「ワシも行こう。手遅れかもしれんが、何もせんよりはマシだ」

ドロシー「仕方ありませんわね。では、わたくしの車に皆さんも乗せて差し上げましょう」

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大統領府敷地内。

さやか「あぁ、もう何にも残ってないっての」

ほむら「こっちもとっくに弾切れよ」

さやか「自爆装置で半分くらいは片付くけど・・・どう?」

ほむら「あなたはどこまで愚かなの。自爆するなら誰も巻き込まないで」

ほむら「・・・死ぬのは、私たちだけで十分よ」

さやか「そ、そうだね・・・あたしって、ほんとバカ」

マミ「上空にMS反応!?」ピピピッ

仁美「あれは・・・ウイング・ゼロアルティメットですの!!」

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大統領府内。コンソール室。

オペレーター「上空に、もう1機ガンダムが現れました!!」

QB「?」

オペレーター「ガンダムのパイロットから通信です!」

エイミー「まどか!」

まどか『確認なんだけど・・・シェルターシールドを敷いているよね?』

QB「まどか・・・君は一体何を・・・っ」

まどか『シェルターは完璧なのかな?』

なぎさ「もちろんなのです!あなたたちの無力さを思い知るのがいいのです!!」

まどか『うん、わかったよ』

なぎさ「え??」

ズガーーーーン!!

QB「くっ!サーペントを集結させて、まどかを墜とすんだ!早く!!」

なぎさ「み、惨めな人なのです・・・こ、こんなことしたって無駄なのに・・・っ」

エイミー「怖いの?なぎさ」

なぎさ「っ・・・!!」

ズガーーーーン!!

オペレーター「シールド強度半減!!ゼロアルティメットの照準はコンマ2桁まで狂いがありません!」

オペレーター「もう一度同じ場所を攻撃されたら、このシェルターは崩壊します!」

QB「止めるんだまどか!ここにはエイミー・ピースクラフトもいるんだよ!?」

エイミー「まどか・・・」スッ

なぎさ「っ!?」

ズガーーーーン!!

和子「・・・・大丈夫だった?」ダッ

なぎさ「・・・あなたは・・・」

和子「たとえあなたが間違ってるとしても、ワルプルギス閣下のご息女を死なせる訳にはいかないから」

オペレーター「なっ!?Eポイント第4防衛ライン上にガンダムがもう1機!それに・・・」

民衆『俺達はお前たちには従わないぞ!もう戦争は御免だ!!』

民衆『俺たちの平和は、俺たちが守ってみせる!!』

杏子(戦いは兵士で決するものじゃない・・・これで私も戦いを捨てられるな・・・)

QB「何なんだい彼らは!訳が分からないよ!!」

和子「ワルプルギス閣下は負け続けながらも、戦う姿勢を止めない人々を愛してたの」

和子「人々の心を動かすのは、勝者ではないのだから」

QB「バカな・・・我々インキュベーターに敗北はない!!」

QB「さぁなぎさ!今こそ地球圏全ての頂点に立つときが来たよ!」

なぎさ「・・・わたしは、勝者・・・父の遺志は、私が継いだ・・・」

エイミー「・・・・」パシンッ

なぎさ「・・・エイミー、さん・・・」

エイミー「失礼。でも、もう目を覚ましなさいなぎさ」

エイミー「あなたは恐怖というものを知った。でも、だからこそ自分の過ちを認められるようになったはずです」

QB「そこまでだよエイミー。僕のなぎさにつまらないことを吹き込まないでくれるかな?」つ『銃』

エイミー「撃ちたいのでしたらどうぞご遠慮なく。覚悟は出来ています」

QB「じゃあ、最後に心理を教えてあげようかな。民衆は勝者に従うものなんだよ」バキュン!

なぎさ「っ!!」ドンッ

QB「なっ!?」

エイミー「なぎさ!」

QB「やれやれ。まぁ、なぎさの変わりはいくらでも作れるけどね」

QB「その小娘も僕が・・・」

オペレーター「っ!!」バキュン!

QB「がぁ!?」

オペレーター「ぎゃ、逆賊は処刑した・・・これで、ワルプルギス閣下への裏切りをお詫びしたい・・・」

なぎさ「エイミーさん・・・私、間違ってました・・・ごめんなさい」

まどか「今、私が楽にしてあげるよ」つ『銃』

エイミー「まどか!」

なぎさ「・・・ありがとう・・・」

まどか「・・・」カシャン…

まどか「私は、もう誰も殺さない・・・殺さなくて、済むんだね・・・」フラッ

エイミー「まどかっ!!」ガシッ

和子「まだ間に合うはずよ!すぐに医療室へ!」

オペレーター「はっ!!」タッタッタ

エイミー「終わったわね・・・やっと・・・」ナデナデ

---
--

翌年。火星に向かう探査船の中。

上条「いいのかい、志筑さん。テラ・フォーミングはまだ実行段階じゃないよ」

仁美「エイミーさんのすることですのよ。無茶に決まってますわ」

仁美「だからこそ、死んだはずの人間がやらなくては」

仁美「・・・上条くん、こんな私に・・・」

上条「2度も同じことを言わせないで欲しいな、志筑さん」

---
--


アフター・コロニー197年。


人々のもとに平和は戻った。


そして、その後の歴史の中でガンダムを含むモビルスーツという兵器は


二度と、姿を現すことはなかった・・・。


The End

 
 

終了です。
ありがとうございました。

下は>>1の前作です。
良かったら、読んでやって下さい。

QB「僕と契約して、モンスターハンターになってよ!」
QB「僕と契約して、モンスターハンターになってよ!」 - SSまとめ速報
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