偽街の子供達「ご主人様!」メガほむ「ご主人様!?」 (1000)


スレタイからして手遅れな気がしますけど、叛逆のネタバレ有りです。

映画見てない人への配慮なんて、あるわけないです。

基本、叛逆前の世界で進行します。そもそもの設定に致命的な矛盾が存在するけど、キニシナイ。

投下速度たぶん遅いだろうけど、遅くとも叛逆の円盤発売前までには完結させる。

今度こそクララドールズを活躍させるんだ……!



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1395067421



メガほむ(あ、ありのままいま起こったことを話すよ!)

メガほむ(退院して今日から一人暮らしをするマンションに入ったら、すでになんかたくさんの子供達がいて初対面なのに『ご主人様』って呼ばれた)

メガほむ(何を言ってるかわからないと思うけど、何が起こったかわたしにもわからない!)

メガほむ(なにこれ? 幻覚? 幻覚なの!?)

マヌケ「ご主人様?」

オクビョウ「どうしたの?」チョンチョン

メガほむ(裾を引っ張られてる……やっぱり幻覚じゃないのかなぁ)


メガほむ「あっと、その、あなたたち、誰なの……? おうち、間違えてないの、かな?」

レイケツ「ダレ?」

ネクラ「ダレっていわれても……」

ウソツキ「だれだろう?」

オクビョウ「色から生まれたけど」

イバリ「誰でもないよ」

ノロマ「おうちは?」

ガンコ「空にはなくて」

ナマケ「ここにあるね」

メガほむ「…………」

メガほむ(……意味がわからない!)


メガほむ(どうしよう……どうしよう……。なにを言ってるのこの子たち。わけがわからないよぅ……)

ヒガミ「ボーっとしてる」

ヤキモチ「カナメマドカがいないのにボーっとしてる?」

ノロマ「どうしたのかな」

ワガママ「ご主人様ー?」

メガほむ「え、えっと、あなたたち。その、ご主人様ってわたしのこと……?」オドオド

偽街の子供達「うん!」

メガほむ「あ、やっぱりそうなんだ……」

偽街の子供達「?」

メガほむ(わたし、なんでこんな小さい子たちからご主人様だなんて呼ばれてるの……?)


イバリ「どうしたんだろう?」

ヒガミ「変だね」

マヌケ「変かな」

ワガママ「変だよ!」

ワルクチ「いつも変だけど?」

ナマケ「今日はいつもより変」

メガほむ「その、あなたたちのご主人様ってどんな人なの?」

レイケツ「なに言ってるの?」

ヤキモチ「目の前にいるよ?」

メガほむ「そうじゃなくて、その……そう、見た目とか! どういう外見の人なの?」

ナマケ「見た目?」

オクビョウ「見た目……」



ヤキモチ「鏡もってくる?」

ナマケ「めんどくさいから口で言おうよ」

ガンコ「そうだね」

メガほむ「うん、わたしとしてもそっちのほうが助かるかなぁ……」

メガほむ(というか、鏡を持ってこられても困るよぅ)

イバリ「そっか」

ワガママ「ご主人様はね」

レイケツ「髪が黒くて」

ミエ「ストレートロングで」

ワルクチ「いつもクールぶってる」

ヒガミ「愛の人」

メガほむ(……愛?)



メガほむ「ええっと、眼鏡は? それと、黒髪ストレートって言ってたけど、こんな三つ編みとかは……」

イバリ「眼鏡?」

ウソツキ「かけてたような……」

ネクラ「三つ編みは?」

オクビョウ「していたような……」

ナマケ「でもいまはほどいてる」

ワガママ「眼鏡もかけてない!」

ノロマ「黒髪ストレートだよ」

ミエ「それでクールビューティーぶってる」

ガンコ「そんなご主人様」

メガほむ(……やっぱり、わたしじゃないよぅ)


メガほむ(うぅ。どうしよう。この子たち、帰る気配がまったくないよぅ)チラチラ

ミエ「なんか部屋、いろいろ変わってない?」

マヌケ「そう?」

ヒガミ「変わってるよ。ものがないもん」

ナマケ「どうでもいい」

ネクラ「どうでもいいかな?」

レイケツ「どうでもいいよ」

メガほむ(そしてこの、我が家にいるような遠慮のなさとくつろぎようはなんなんだろう。入居したてのわたしよりも、よっぽどなじんでる……)




~叛逆後世界~


デビほむ「……やっぱりいないわね」キョロキョロ

QB「どうしたんだい、ほむら」

デビほむ「あら、インキュベーター。あなた、私の使い魔たちを見なかったかしら?」

QB「見ていないよ。おかげで今日はとても平和だったからね」

デビほむ「そう……それは残念だわ」

QB「そうかい。それより、彼女たちがどうかしたのかい?」

デビほむ「夕ご飯の時間なのに帰ってこないのよ。どうしたのかしら」

QB「へえ。というか、彼女たちはご飯を食べるのかい?」

ほむら「ええ。だいたい夕食時には帰ってきてたのだけれども……どうしたのかしら? あなたの様子だと、インキュベーター狩りに熱中しているわけでもなさそうだし」

QB「さあね。僕にはわからないよ」







ワガママ「あ!」

メガほむ「ひゃっ。な、なに?」

ワガママ「ご飯!」

メガほむ「ご、ご飯?」

ミエ「うん。ご飯の時間」

メガほむ「ええっと、おなかがすいたの?」

ネクラ「おなかはすかないけど」

ワガママ「ご飯は食べたい!」

メガほむ「じゃあおうちに帰るとか……」

マヌケ「家?」

ヒガミ「ここだよね」

メガほむ「どういうことなの……」

レイケツ「いいからご飯」

ノロマ「はやくー、はやくー」

メガほむ「え、ええ、ええええっ?」

メガほむ(自分の分まで含めて十五人分。……ど、どうしよう!)


レイケツ「ごちそうさま」

メガほむ「ごちそうさま……」

メガほむ(お皿とかは、お弁当箱も使って頑張って回し回しで何とかなったけど、初日で買いだめた食材はすっからかん……。明日も買出しにいかなきゃ)

マヌケ「でもいつもと味が違ったような?」

オクビョウ「いつものご主人様ものとは違ったね」

ノロマ「なんでだろう」

メガほむ(そりゃ別人が作ったものだもん。ていうか、狭いよ。よく考えなくても、十五人も入れる部屋じゃないよね、ここ……)

ワガママ「味はまあまあだった」

ウソツキ「おいしかった」

ガンコ「おいしかった?」

ミエ「まあまあだったよ」

メガほむ(お料理にはダメ出しされちゃってる。……自信、あったんだけどなぁ)ショボーン



~叛逆後の世界~


デビほむ「ごちそうさま」

デビほむ「……」

デビほむ「……結局、戻ってこなかったわね。まあ、そのうちひょっこり戻ってくるとは思うのだけれども」

デビほむ(とはいえ、この目の前に並んだ、自分の分を抜いての十四人分の残飯。……どうしましょう、これ)

QB「やあ、ほむら。今日は一日自分の使い魔を探していたみたいだけれども、見つかったかい?」

デビほむ「いいえ」

QB「そっぱりそうかい。実は僕も気になって探してみたけれども、少なくともこの見滝原にはいないようだよ」

デビほむ「……あなたたちがそんな調べ物をしてくれるなんて意外ね」

QB「彼女たちの所在の有無は、僕たち固体数に大きくかかわることだからね」

デビほむ「そうだったわね。あなたたちは、そういうやつらよね」

デビほむ(でも、見滝原にあの子たちがいない……?)

QB「それで、どうするんだい、ほむら?」

デビほむ「そうね……とりあえず、インキュベーター」

QB「なんだい?」

デビほむ「あなた、これ食べる?」






メガほむ(さて、引っ越しの荷解きと部屋のセッティングは終わった。後は――)

イバリ「部屋にものがふえたね」

ミエ「うん」

ヤキモチ「でも、見たことないものばっかり」

メガほむ(――この子たちをどうにかするだけだ……)

ヒガミ「でも新鮮かも」

ネクラ「確かに」

ウソツキ「うんうん」

メガほむ(よくわからないうちにご飯まで振舞ったっちゃったけど、ちゃんと帰ってって言わないと。うん! 相手の目を見て、毅然とした態度で言えば大丈夫。年下相手だし……よし!)

メガほむ「あの、あなたたち!」キッ

ワルクチ「どなるな。やかましい」

レイケツ「うるさい。なにか用なの」

メガほむ「あ、あぅ……」シュン


今日はここまで。

ほむらにいろんなバリエーションがあるんだから、ほむクラにだっていろんなバリエーションがあると思うんだ。

きっと明日の深夜に続きを投下する。

よし。そろそろ続きを投下する。

しかし何で前のがバレてるし……。

過去作ってさらしたほうがいいのかな。

わからんから、今日投下中に過去作知りたいレスがあったらさらす。なかったらさらさない。


ナマケ「で、何なの?」

メガほむ「あー、えっと、そのぅ……」オドオド

ノロマ「はやくー」

メガほむ「わ、わたし寝るね? 退院したてだから、お薬飲んですぐ寝なきゃいけないんだ!」

ワガママ「そうなんだ」

ガンコ「なら寝なきゃね」

メガほむ「うん、そうだね……」

メガほむ(自分の気の弱さが恨めしいよぉ……)



メガほむ「それでなんだけど、あなたたちは―― 」

レイケツ「お休みなさい」

ネクラ「わたしたちも寝る?」

ワルクチ「寝なくていいでしょ」

ナマケ「わたしここで休んでる」

ヤキモチ「じゃあわたしも」

ヒガミ「ならわたしだって」

イバリ「今日はみんなでここにいよっか」

ガンコ「そうしよう」

メガほむ(当然のように泊まるつもりだ……)




~翌朝~


メガほむ「ふわぁあ。えっと、眼鏡眼鏡」

メガほむ(ううん。それにしても変な夢を見たなぁ。引っ越し初日に子供が居つくなんて、ありえないよね)

メガほむ(そう。昨日のあれは、きっと夢――)カチャリ

イバリ「おはよう」

ワガママ「おはよう!」

メガほむ「……おはよう」

メガほむ(――じゃないよねー、やっぱり)


イバリ「今日は何をしよっか」

ネクラ「インキュベーターを狩る?」

ワガママ「とりあえず遊ぼうよ!」

メガほむ(やっぱり部屋に子供たちが――あれ? でも人数がずいぶん減ってる気がする)

メガほむ「えっとぉ……」

ノロマ「うん?」

ガンコ「どうしたの」

メガほむ「その、昨日よりちょっと人数が減ってるなーって思って、うん。それだけ、何だけど……」

イバリ「うん」

ミエ「減ってるよ」

ワガママ「ちょうど半分減ってる!」

ヤキモチ「半分は学校に行ってるよ」


メガほむ「あ。そっか。そうだよね。学校かぁ。今日は平日だもんね」

ガンコ「そうだよ」

ノロマ「ご主人様は学校に行かなくていいの?」

メガほむ「わたしは、転校までにまだちょっと日があるから……」

イバリ「転校?」

メガほむ「うん。つい昨日までと入院してたから。……というか、あなたたちは学校に行かなくていいの? ほかの子たちは学校に行ってるんだよね?」

ネクラ「だって学校に行くのは交代だもん」

ヤキモチ「半分が学校に行って」

ワガママ「残りの半分は遊ぶ!」

メガほむ(小学校ってそんな制度だったっけ……)


ヤキモチ「ご主人様はどうするの?」

イバリ「学校に行かないんでしょう?」

ノロマ「ならどうする?」

ミエ「一緒に遊ぶ?」

メガほむ「ええっと……」

メガほむ(何をするのかわからないけど、とりあえず断ろ――)

ガンコ「一緒に遊ぼう」

ワガママ「一緒に遊ぼ!」

メガほむ「あぅ。わ、わかった……」

偽街の子供達「!?」


ネクラ「え」

イバリ「ご主人様が?」

ワガママ「遊んでくれるの?」

ガンコ「珍しい」

ヤキモチ「どうしたのかな」

ノロマ「どうしたんだろう?」

ミエ「どうかしたのかな」

メガほむ(お誘いを断りきれなかっただけなのに、この言われようはなんなんだろう。この子たちのご主人様って、いったい……)

イバリ「まあいっか」

ガンコ「うん」

ワガママ「遊ぼう!」

ヤキモチ「そうだね」

メガほむ「あ、ちょっと待って! 手、手をひっぱらないで……!」

今日はここまで。

明日の深夜も続きを投下できるといいなって。


約束の過去作

偽街の子供達「アイを探しに行こう」
偽街の子供達「アイを探しに行こう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1393773588/l50)

走れさやか
走れさやか - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1394852147/l50)



クララドールズSSもっと増えろ。


いまいちクララドールズの顔と名前が一致しない人へ

いまメガほむと一緒にいるクララドールズは、イバリ・ワガママ・ノロマ・ネクラ・ヤキモチ・ガンコ・ミエ

クララドールズ一覧





~叛逆後の世界~


デビほむ(あの子たち、いつもなら学校のほうにも来てるだんけど……)キョロキョロ

デビほむ「……やっぱりいないわね」

デビほむ(インキュベーターが見滝原にいないと断言していたから、期待はしてなかったけれども、今日はあの子たち帰ってくるかしら。夕ご飯、どうしましょう)ハア

さやか「ほむら。あんたどうしたのさ。ため息なんてしちゃってさ」

デビほむ「美樹さやか……。あなたには関係のないことよ」

さやか「そんなこと言われてもねぇ。普段は仲良くしようって言ったのはあんたでしょうが。あんまりケンカ腰でいると、まどかにまで嫌われちゃうぞー?」

デビほむ「…………」

さやか「それに落ち込んでる友達をほっとくのも気分良くないしさ。とりあえず話してみなさいな」

デビほむ「……わたしの使い魔が、昨日から帰ってこないのよ」

さやか「使い魔? っていうと、あの女の子の人形の? いつもどっかウロウロしてるじゃん」

デビほむ「気まぐれなのはいつものことだけど、それでも夕ご飯の時間には帰ってきていたのよ。それなのに、昨日からずっと戻ってこないの」

さやか「なんか放し飼いの猫みたいだね、あんたのとこの使い魔……」

デビほむ「そうね。普段はあまり気にしてなかったけど……今頃どうしているのかしら、あの子たち」







ガンコ「ご主人様をつれて川原にきたけど」

メガほむ「ぜえ、はあ……うぅ、ちょっと、とま、ってぇ」

ノロマ「歩くのおそいね」

イバリ「お前が言うな」

ヤキモチ「でも大丈夫?」

メガほむ「だいじょ、うぶじゃ、ないかも――あ」クラッ

ワガママ「え?」

ネクラ「あ」

ガンコ「……倒れた?」

ヤキモチ「倒れたね」


ガンコ「大丈夫?」

ワガママ「ご主人様、大丈夫?」

メガほむ「ごめんね。ちょっとした貧血だから、陰で休んでれば――」

ノロマ「えぇー」

ミエ「歩いただけで貧血?」

ネクラ「それ大丈夫なの?」

メガほむ「……うぅ」



~叛逆後の世界~


さやか「でも、ふーん。使い魔、使い魔かぁ」

デビほむ「どうしたの、美樹さやか」

さやか「あ、いや。そういえば、あたしの使い魔って見かけないけど、あの子たちもこっちに来てるのかなーって思ってさ」

デビほむ「さあ? 知らないわよ、そんなこと」

さやか「んな無責任な。あんたのせいで使い魔たちもこっちに来ちゃったんでしょうが」

デビほむ「うるさいわね……。わたしだって円環の理からこぼれた使い魔をいちいち把握してるわけじゃないし、あなたの使い魔は百江なぎさのと違って出歩くタイプでもないでしょう? 知るわけないじゃない」

さやか「あー、そっか。そうだよね。ちぇー。久しぶりにあの子たちの演奏を聴くのもいいかなって思ったんだけどなぁ」

デビほむ「…………ねえ、さやか」

さやか「うん? 何よ、ほむら」

デビほむ「あなたの使い魔なら、あそこにいるじゃない。演奏を聞かせてもらえば?」

さやか「おいちょっと待て。なんで恭介と仁美のほうを向いてるのよあんたは!」

デビほむ「あんまりケンカ腰にならないでちょうだい。そんな態度だと、まどかにまで嫌われるわよ?」フフッ







ヤキモチ「そろそろ大丈夫?」

メガほむ「うん。もう大丈夫だよ」

ワガママ「なら遊ぼ!」

メガほむ「そ、そうだね」

ネクラ「何する?」

ミエ「そこでボール拾った」

イバリ「これを投げよう」

メガほむ「キャッチボール? それぐらいなら、わたしも大丈夫かな」

ノロマ「それじゃあ」

ガンコ「えいっ」

メガほむ「え、ちょ」ゴツンッ


メガほむ「い、痛いっ……!」プルプル

ノロマ「あれ?」

ワガママ「どうしたのご主人様?」

メガほむ「どうしたもなにも……なんで? なんでいきなりボールぶつけたの? 投げつけられたら、痛いんだよ?」ウルウル

イバリ「え」

ミエ「いやだって」

メガほむ「だってじゃないの! 人にボールぶつけちゃダメ!」

ネクラ「……うん」

ノロマ「わかったー」

ヤキモチ「今度からトマトにしよう」

メガほむ「トマトもダメ!」


ネクラ「ダメだって」

ノロマ「ボールをぶつけるのはダメ?」

メガほむ「そうだよ。だから普通にキャッチボールを――」

ガンコ「じゃあボール投げはやめだね」

メガほむ「え。いや、普通に――」

ヤキモチ「ならなにする?」

メガほむ「だからふつ――」

イバリ「これでボールを打つ」シャキン

メガほむ「……うん。もうそれでいいや……」

今日はここまで。

また明日に続きを投下できれば、それはとっても嬉しいなって

続きの投下開始。

ピクシブで一目ぼれしたクララドールズ画像の転載許可もらったから、ちょいちょい画像URLを挟むよ。

このSSを見てくれてる人だけにでもクララドールズの顔と名前を一致させて欲しいだけなんだ。


メガほむ(でもあんな黒い棒、いつの間に……? ボールと一緒でそこら辺から拾ってきたのかな?)

ワガママ「じゃあ、わたしボール投げる」

ミエ「いいよ」

ノロマ「投げろー」

メガほむ「あ。そうだっ。変なところに飛んだら危ないから、打つ方向には気をつ――」

ワガママ「えいっ」

イバリ「ていっ」

カッキーン

メガほむ(遅かったかぁ……)


ガンコ「さすが」

ワガママ「打たれた……」

ネクラ「すごくとんだね」

メガほむ「うん、そうだね……川原から、飛び出ちゃったね」

ノロマ「そうだね」

イバリ「ホームラン!」

メガほむ「……ボール、拾ってこよっか」

ヤキモチ「うん」

ミエ「そうだね」


ワガママ「ボール」

ミエ「ボール?」

メガほむ「ボール、どこまで飛んで行っちゃったのかなぁ」

ガンコ「さあ?」

ヤキモチ「こっちだとは思うけど」

イバリ「どこまでとんだかな」ワクワク

メガほむ「お願いだからちょっとは反省して……」

・イバリちゃん画像
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4942085.jpg_gRHiL6ut9rcHYgI2Ggw5/www.dotup.org4942085.jpg


ミエ「あ」

メガほむ「うん? ボール、見つかっ――」

ネクラ「猫だ」

メガほむ「そうだね……かわいい猫だね……。でも今はボールを……」

ノロマ「あの猫とびだしそう」

メガほむ「あっ。もう、ダメだよ、黒猫ちゃん。いまは車が通ってるんだから、危ないよ」ヒョイ

黒猫「にゃー」

ブロロロオ――


ネクラ「車だ」

イバリ「通りすぎたよ」

ノロマ「けっこう速度でてた」

メガほむ「ほら。あのまま飛び出たらひかれてたよ?」

黒猫「にゃ」ペロ

メガほむ「きゃっ。……ふふっ、あなた人懐っこいのね。かわいい」ナデナデ

偽街の子供達「……」

ヤキモチ「……そんな猫よりボール」

・ヤキモチちゃん画像
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4942066.jpg_pDnl2XhxCTKo9y1h05An/www.dotup.org4942066.jpg



メガほむ「あ、うん、そうだね。……えっと、もう車は来てないかな。はい。もう飛び出そうとしたりしちゃダメだよ?」

黒猫「にゃー」

メガほむ「ふふっ。ばいばい」

ガンコ「はやくボールを探そう」

ノロマ「はやくー」

メガほむ「うんっ。でも、ホントどこに行っちゃったかなぁ」

ネクラ「さあ――あ」

メガほむ「どうしたの? 今度は犬でも見つけた?」

ミエ「いや」

ヤキモチ「あれって……」

???「い、痛いよぉ……!」プルプル

メガほむ「……あ゛」


メガほむ(涙目でうずくまって頭を抑えてるわたしと同い年ぐらいの女の子が。その足元にあるあれって、うん。間違いないよね)

ガンコ「あれは……。まずいよ」

ネクラ「うん。まずいね」

メガほむ「うん。飛ばしたボールのせいだね……」

イバリ「え?」

ヤキモチ「そっち?」

メガほむ「そっちもなにも……ああ、もうっ。とにかく謝らないと!」

ノロマ「あれれ?」

ワガママ「すごく怒られると思ったのにね」ヒソヒソ

ミエ「ボールのほうを気にするなんてどうしたんだろう」ヒソヒソ

・耳打ちコンビのミエ&ワガママ画像
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4942044.jpg_3QrVbEvu83S9DtRBWI9u/www.dotup.org4942044.jpg

今日はここまで。

えらくかわいい擬人化ドールズを描いているのはpixivの千石ぱぷか様だよ。

この人にコンタクト取るためだけに昨日ピクシブにユーザー登録して、この人の絵をあげるためだけに今日うpろだの使い方覚えたよ。

まだちょくちょく画像URL貼り付けるつもりだけど、ここにあげた以外にもたくさん素敵な絵があるから、興味があったらのぞいてみるべきだと思います。いやほんとに。

明日の深夜もきっと続きを投下する。



???「痛い……。ていうか、なんでいきなりボールが……?」ウルウル

メガほむ「あ、あの、すいませんっ」

???「でもさやかちゃんなら避けてたのかなぁ。うぅ、わたしって本当にどんくさい――へ?」

メガほむ「ぁえっと、ご、ごめんなさいっ。そのボール、この子たちが打ち上げちゃったやつで……その、本当にすいません!」

???「へ? あ。そ、そうなんだ。それで……」

メガほむ「はい、そうなんです。この子たちも悪気があったわけじゃないんですけど……」

ワガママ「うん」

ミエ「わざとではないよ」

メガほむ「ほら。あなたたちも謝らないとだめだよ」

ネクラ「わかった」

イバリ「ごめんね」

ヤキモチ「いたかった?」

???「ううん、大丈夫だよ」ウェヒヒ



ノロマ「そっかー」

ミエ「それはよかった」

メガほむ「あの、本当に大丈夫でしたか? なにかお詫びとか……」

???「い、いいよぉ。よけれなかったわたしもどんくさいかったんだし」

メガほむ「そ、そんなことありません! わたしだっていきなりボールが飛んできたら絶対よけられないですし……!」

???「それじゃ、お互いさまってことでどうかな?」

メガほむ「そんなっ。こっちが一方的に悪いのに、そんなの――」

???「いいのいいの。気にしないで?」

イバリ「わかった」

ネクラ「あんまりキニシナイでおく」

メガほむ「あ、ちょ、あなたたち――」

???「ウェヒヒ。うん。それじゃあね。君たちもバイバイ」

ワガママ「ばいばい!」

ノロマ「じゃーねー」



メガほむ「あっ。あぁ、行っちゃった……」

ワガママ「行っちゃった」

ヤキモチ「行っちゃったね」

イバリ「それでいいよ」

ミエ「まだ会えるしね」

メガほむ「また会える、のかな?」

メガほむ(……でもあの子の着てた制服、転校する学校のだ。転校して会えたりしたら、素敵だなぁ)

ネクラ「大丈夫だよ」

ノロマ「まだ、会えるから」

メガほむ「えへへ、そうかな。また、会えたらいいな」


メガほむ「でも、優しい人で良かったぁ」

ネクラ「そうだね」

ノロマ「やさしくて」

ガンコ「やさしすぎる人だね」

メガほむ「うん? ええっと、どういうこと……?」

ヤキモチ「……ううん」

ミエ「ご主人様がいいならいいよ」

メガほむ「えっと、なにが?」

イバリ「何でもないよ」

メガほむ「そ、そう?」

メガほむ(ちょっとずつ慣れてきたけど、この子たちのこういうところは、まだよくわからないなぁ……)


ヤキモチ「それじゃあ」

ワガママ「とりあえず遊ぼう!」

メガほむ「うん。でも今度は変なところに飛ばしちゃダメだよ?」

イバリ「えー」

メガほむ「えー、じゃないの!」

ガンコ「うーん」

ネクラ「なら、わかった」

メガほむ「ならっ、て……まあ、いいや。それじゃ、行こっか」

ノロマ「あ、ちょっと待ってー。はしらないでー」

・ノロマちゃん画像
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4942051.jpg_J3iCP0MxOHcDFyJ92rmD/www.dotup.org4942051.jpg


イバリ「ただいま」

ノロマー「ただいまー」

ガンコ「今日は遊んだね」

ミエ「楽しかった」

オクビョウ「あ」

ナマケ「帰ってき」

ヒガミ「ご主人様と一緒だ」

マヌケ「おかえり」

メガほむ「……た、ただいま」

メガほむ(うん、やっぱり今日いなかった子たちもそろってるよね……)

レイケツ「おかえりなさい」



イバリ「それじゃあ」

ナマケ「お腹はすかないけど」

ガンコ「やっぱりご飯」

メガほむ「ふふふ。大丈夫だよ。今日はちゃんと準備してあるからね!」

メガほむ(大丈夫。このくらいの要求は予測の範囲内。食材はちゃんと買いこんである! 今度こそはこの子たちに文句を言わせないからね!)

オクビョウ「そうなの?」

ワガママ「それじゃ、デザートも!」

ノロマ「よろしくー」

メガほむ「!?」




~叛逆後の世界~

デビほむ「……ごちそうさま」

デビほむ「やっぱり、今日も戻ってこないわね。本当に、どこに行ってしまったのかしら……」

QB「やっぱりと予測していながら、君はどうして彼女たちの分の夕ご飯を作ったんだい?」

デビほむ「もし帰ってきたときにご飯がなかったら困るでしょう?」

QB「保険ということかい? けれどもそれにしたって、十四人分余計に作るのは手間じゃないのかい?」

デビほむ「……ふん。あなたにわかることじゃないわ、インキュベーター」

QB「そうかい。それで、これは食べていいのかい? そのためにわざわざ僕を呼んだんだろう?」

デビほむ「いいわよ。……今日は帰ってこないだろうし、仕方がないわ」

QB「なら、ありがたくいただくよ」ガツガツ

デビほむ「……ふんっ」

QB「なんだい。今日はデザートもあるのかい? ずいぶん豪勢だね」キュップイ

デビほむ「…………うるさいわね。あなたに用意したものではないわ。黙って食べてなさい」





まだほむらが転校してないってどういうことだおいと自分の進行速度の遅さに愕然としながらも、今日はおしまい。

明日は運が良ければ日中にも更新する。



~数日後~

メガほむ(リボンの位置も大丈夫。スカートもめくれあがったりはしてない。うん!)

メガほむ「よし。制服はこれで変じゃないよね」

ワルクチ「いつも通りだよ」

メガほむ「うん。制服着るの今日が初めてなんだけどね……」

メガほむ(今日から学校、かぁ)ドキドキ

メガほむ「じゃあ、わたしは学校に行ってくるけど――」

レイケツ「いってらっしゃい」

メガほむ「うん。……お留守番、よろしくね?」

ナマケ「まかせて」

メガほむ(ふふふふ。ここ数日で、もう留守番を任せられるほど完璧に居ついちゃってるよ……。ダメだよわたし。冷静になっちゃダメだ……!)


メガほむ「それじゃあ、行ってきます」

ウソツキ「いってらっしゃい」

パタン

偽街の子供達「……」

ヒガミ「今日はなにしよっか」

マヌケ「最近はご主人様が遊んでくれてたしね」

レイケツ「久しぶりにインキュベーターでも狩る?」

オクビョウ「そうしよっか」

ナマケ「わたしお留守番してる」

ウソツキ「そういえばご主人様にそういわれたような……」

ワルクチ「ひとり残ってればいいよ」

マヌケ「そうだね」

レイケツ「よろしく」

ナマケ「じゃーね」

・ナマケちゃん画像
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4942046.jpg_TsHA7gq08qmGvlQMptSY/www.dotup.org4942046.jpg



~叛逆後の世界~

デビほむ「……」ボー

デビほむ(あの後数日たったけれども、まだあの子たちは帰ってこない……。もしどこかで事故にあってたりしたら……いや、さすがにそれはないわよね。いやでも――)


さやか「大丈夫か、あいつ……」

杏子「なぁ、さやか」

さやか「うん? どうしたの、杏子」

杏子「ほむらのやつ、様子が変じゃねーか?」

さやか「ああ……。まあ何? あれよ。飼ってるペットが脱走しちゃったから心配でそわそわしちゃってる飼い主みたいなもんよ」

杏子「はあ? 何だ、そのたとえ。てかあいつ、動物とか飼ってったっけ」

さやか「飼ってるというか居ついてたというか……まあ、何にしてもそんな心配する状態じゃないよ」

杏子「ふーん。ペットが脱走、ねぇ……」


デビほむ(いっそのことチラシでも貼って目撃情報を……あ、だめね。あの子たち、普段は普通の人間には見えないようにしてるし。でもそれじゃあ――)ボー







~学校初日~


和子先生「女子の皆さんはくれぐれも! 半熟じゃないと食べられないとか抜かす男とは交際しないように! そして男子の皆さんは絶対に、卵の焼き加減ケチをつけるような大人にはならないこと!」

メガほむ「……」ドキドキ

和子先生「――はい。あとそれから。今日は皆さんに転校生を紹介します」

さやか(そっちが後回しかよ……!?)

メガほむ(よ、よし!)テクテク

さやか「わあ、眼鏡でおさげっ娘。真面目そー」

まどか「……あれ?」

まどか(あの子、どこかで見たことあるような……あっ! 川原で会った子かなっ)



和子先生「はーい。それじゃあ自己紹介いってみよー」

メガほむ「あ、あの――」

メガほむ(あ。思ったより緊張しない。……ここ数日ずっとあの子たちに囲まれてたおかげかな?)

メガほむ「えっと、暁美ほむらです。よろしぶぅううう!」

さやか(よろしぶぅううう!?)

まどか(よろしぶぅううう!?)

メガほむ「ご、ごほっほっがほ!」

メガほむ(窓の外に! 窓の外にあの子たちが! 何やってるのあの子たち!?)

和子先生「……あー。えっと、暁美さんは心臓の病気でずっと入院していたの。久しぶりの学校だからいろいろ戸惑うことも多いでしょう。みんな、助けてあげてね」

パチパチパチパチ

いったんおしまい。

また深夜に続きを投下できるはず。


モブA「暁美さんって前はどこの学校だったの?」

モブB「前は部活とか入ってた? 運動系? 文化系?」

モブC「すっごい長い髪だよね~。毎朝編むの、大変じゃない?」


メガほむ「あの、えっと……」

メガほむ(ど、どうしよう。せっかく話しかけてきてくれてるのに、窓の外にいるあの子たちが気になって会話に集中できない……!)

メガほむ(木の上に腰かけるとか、本当に何をやってるんだろうあの子たちっ。すぐさま問い詰めたい。何か、何かここを抜け出せる口実が欲しい!)

まどか「暁美さん」

メガほむ「ふぇっ?」

メガほむ(増えた!? あれ、でもこの人、どこかで――)

まどか「保健室、行かなきゃいけないんでしょ? 場所わかる?」

メガほむ「え? いいえ……」

メガほむ(……あ。この人、川原で会った優しい人だ)

まどか「じゃあ案内するよ。わたし保健委員なんだ。――みんな、ごめんね。暁美さんって休み時間には保健室でお薬飲まないといけないの」

モブA「あ、そうだったの? ごめんね、引きとめちゃって」

モブB「暁美さん、また後でね」

メガほむ「い、いえ。こちらこそよろしく……」


まどか「ごめんね。みんな悪気はないと思うんだけど……転校生なんて珍しいから、はしゃいじゃって」

メガほむ「いえ、その……ありがとうございます」

メガほむ(……憶えてて、くれてるかな。き、聞いてみようかなっ。あ、でも憶えてるのわたしだけだったら、ちょっと自意識過剰っぽいよね……)

まどか「そんなに緊張しないでよ。クラスメイトなんだからさ。それに……同い年だったんだね」

メガほむ「……ぁ」

メガほむ(憶えてて、くれたんだ!)

まどか「わたし、鹿目まどか。まどかって呼んで?」

メガほむ「あ、その、わたしは暁美ほむらです!」

まどか「えへへ、知ってる。教室で聞いたもん」

メガほむ「あ……。ですよね。あの、前会った時は本当にごめんなさい。こっちが悪いのに、ちゃんと謝れなくて……」

まどか「いいよぉ。こんな素敵な偶然が作れたんだから、あの時のボールに感謝だよね」ウェヒヒ

メガほむ「そ、そんな」

メガほむ(本当に、優ししい人なんだなぁ)


まどか「ねえ、ほむらちゃんって呼んでいいかな?」

メガほむ「ぁ、その、わたし、あんまり名前で呼ばれたことってなくて……その、すごく変な名前だし」

メガほむ(あの子たちは『ご主人様』って呼ぶし……)

まどか「えぇ。そんなことないよ。なんかさ、燃え上れーって感じでカッコいいと思うなぁ」

メガほむ「名前負け、してます」

まどか「そんなのもったいないよ。せっかく素敵な名前なんだから、ほむらちゃんもカッコ良くなっちゃえばいいんだよ」ウィヒヒ

メガほむ(……カッコ良く、かぁ)


まどか「まあ偉そうに言っちゃったけど、わたしは特に得意な科目とか自慢できるようなこともないんだけどね」

メガほむ「そ、そんなこと! 鹿目さん、すごく優しくて……いまもこんな親切にしてもらってますし!」

まどか「そ、そうかな? ほむらちゃんは何か得意なことってある?」

メガほむ「ええっと……料理、とか?」

まどか「ほむらちゃん、料理できるのっ? すごい!」

メガほむ「え。あ、そのぅ……一通りできるぐらいですけど」モジモジ

まどか「一通りできる何てすごいよぉ」

メガほむ「え、えへへ」

まどか「わたしもいまパパ――お、お父さんに料理ならってるところなんだけど、全然で」

メガほむ「お父さんに……?」

まどか「うん! うちってま……お母さんが働いてて、お父さんが主夫をしてるの。お父さんのクリームシチューがとってもおいしいから習い始めてるんだけど、これが難しくって。一人じゃまだまだ作れないや」

メガほむ「クリームシチュー………」

メガほむ(夕ご飯にいいかも。子供も好きな料理だし、大人数向きだし。ふふっ。やっとあの子たちに文句を言わせないメニューができるかも!)

まどか「ほむらちゃん?」

メガほむ「あ、いえ。今晩の献立に、クリームシチューもいいなって」

まどか「ほむらちゃんがおうちのごはん作るの? すごいなぁ」

メガほむ「そ、そんな……。鹿目さんなら、そのくらいすぐできるようになりますよ」

今日はここまで。


まどかがハシャイジャッテるのは、この場面が10話とかMemories of you準拠だからだよ。

そこから未契約まどかとメガほむ会話まで引き下げられれば良かったけど、無理だった。

つまるところ>>1の未熟によるキャラ調整の失敗ということだよ!


明日も日中に続きを投下できるかもしれない。

偶然の再会(?)にちょっとテンションが爆発気味ってことにしとけばいいんじゃない? >>105,108



まどか「あ。保健室についちゃったね。ここだよ」

メガほむ「あ、はい……」

まどか「後はひとりで大丈夫? 戻るときに道がわかんなさそうだったら、ちょっと待ってよっか」

メガほむ「いえ、大丈夫です。案内、ありがとうございました」

まどか「えへへ。保健委員のお仕事だもん。気にしないで?」

メガほむ「は、はい」

まどか「それじゃ、また後でいっぱいおしゃべりしようねっ」ウェヒヒ

メガほむ「……はい!」



~保健室~

メガほむ「ふう。鹿目さん、優しい人だったなぁ。友達に、なれるかな」

メガほむ(もうお薬は飲んだけど……教室に戻る前にアレを確認しておかなきゃ)

メガほむ(いまは先生もいなくて、保健室に一人きりだし。たぶん、このカーテンを開ければ――)

偽街の子供達「?」

メガほむ「やっぱりいた……」



イバリ「どうしたの、ご主人様?」

ヒガミ「今日はさぼり?」

ヤキモチ「保健室でさぼり?」

ワガママ「さぼりなら一緒にあそぼ!」

メガほむ「さぼりじゃありません。休み時間にはお薬飲まなきゃいけないの」

ネクラ「お薬?」

ミエ「へぇー」

ノロマ「そうなんだ」

ワガママ「じゃあ遊べないんだ……」


メガほむ「そうなんだけど……なんでここにいるの? お留守番頼んだ子たちはともかく、あなたたちは学校に行ってたはずじゃないの?」

ノロマ「え?」

ネクラ「なに言ってるの?」

メガほむ「へ? なにって……」

ガンコ「だって、学校に来てる」

イバリ「前にもいったけど」

ヤキモチ「半分が学校に行って」

ワガママ「残りの半分は遊ぶ!」

ヒガミ「だから学校に来てる」

メガほむ(……はっ! もしかして、学校って小学校じゃなくてここのこと!?)


メガほむ「で、でも、あんな危ないとこに座ってたりしたらダメじゃない。それに、誰かに見つかったら大騒ぎになるよ?」

ミエ「大丈夫だよ」

ネクラ「あのくらいなら落ちても平気だし」

ワガママ「普通の人には見えないし!」

メガほむ「……見えない、の?」

ノロマ「うん」

メガほむ「そう、なんだ……」

メガほむ(うすうす感づいてたけど、この子たち、やっぱり人間じゃないんだよね。普通の人に見えないってことは、妖精さんみたいな存在なのかな……?)

メガほむ「……じゃあ、そもそもなんで中学校に来てるの?」

イバリ「カナメマドカの監視だよ」

メガほむ「……え?」


ネクラ「ご主人様がいったんだよ」

ヤキモチ「カナメマドカを監視しろって」

ヒガミ「過保護」

イバリ「でもいまのカナメマドカは変かも」

ワガママ「変というか、ふつう?」

ノロマ「うん。ふつうの因果」

メガほむ「ぇ、え? カナメマドカって、鹿目さんのこと、だよね? 

ミエ「それはもちろ――!」

偽街の子供達「!」

ガララ

メガほむ「ふぇ!?」ビクッ

メガほむ(保健室のドアが開いた!? 誰かき――って、あれ!? あの子たちが消えた!?)

マミ「……」


とりあえずここまで。

まどっちのハシャイジャッテるに関しては素敵な偶然の再会にテンションが上がっちゃってるということで。

>>112には感謝!


また深夜に続きを投下する。


マミ(……逃がしたわね。たぶん、使い魔の反応だったと思うんだけど、学校に入り込まれるなんて迂闊だわ。……でも、そっちを追うよりこの子の様子を見るのが先決ね)

メガほむ(じょ、上級生の人かな? すごく大人っぽい人……)

マミ「あなた、保健室にいるみたいだけど、気分でも悪いのかしら」ニコッ

メガほむ「ひゃい。い、いいえっ。その、お薬を飲まなきゃいけないだけですっ」

マミ「あら、そうなの」ジイー

マミ(うん。魔女の口づけを受けてる様子もない。意識もはっきりしてるみたいだし、大丈夫よね)

メガほむ「ええっと、なんでしょうか……?」

マミ「ううん。何でもないわ。……もし突然ネガティブになっても、それは一時的なものだから気を強く持ってね。けっして惑わされたりしちゃダメよ?」

メガほむ「え。あ。は、はい」

マミ「うん。それじゃあね」

メガほむ「はい。それでは……」

メガほむ(……あの人、なにしに保健室に来たんだろう?)


ワガママ「あぶなかった」

ネクラ「あぶなかったね」

ミエ「見つからなくてよかった」

ノロマ「トモエマミから逃げれて良かった」

イバリ「でも、トモエマミに見つかったらまずかったの?」

ヤキモチ「さあ?」

ヒガミ「でも、こわかったよ」

ネクラ「うん。あのトモエマミはこわかった」


ノロマ「見つかったら、攻撃されてた?」

ワガママ「そうかも」

ヤキモチ「攻撃されたら、にげれた?」

ミエ「どうだろう?」

ネクラ「相手がトモエマミだからね」

イバリ「今日はちゃんと隠れよっか」

ノロマ「そうだね」

ネクラ「そうしよう」

ワガママ「ご主人様とも話せないけど」

ヒガミ「しかたないね」

ヤキモチ「今日は隠れよう」

イバリ「そうしよう」




~叛逆後の世界~


杏子「なあ、ほむら」

デビほむ「杏子? なにか用かしら」

杏子「今日の放課後、あたしと一緒に風見野まで出かけねえか?」

デビほむ「……わたしと? いったい何をしに行くの?」

杏子「あっちのあたしの行きつけのラーメン屋があるんだ。食いに行かねーか?」

デビほむ「それなら美樹さやかとでもいっしょに行けばいいじゃない」

杏子「んー、さやかとはいつでも行けるしな。なんつーかさ、ほむら。なにがあったかは知らないけどさ、ちょっと遠出するのもいい気分転換になるんじゃねーの?」

デビほむ「……」

デビほむ(あの子たち、今日も帰ってこないだろうし外食もいいかしら。いい加減インキュベーターにくれてやるもの嫌になってきたし……それに違う町に行ってみれば、あの子たちが見つかるかもしれないわね)

デビほむ「いいわ、行きましょう。ただ……おごらないわよ?」

杏子「はあ? 誘っといておごってくれなんていわねーよ」





今日はここまで。

明日の深夜は続きを投下できるかな?


~数学の授業中~


メガほむ(人間じゃない、かぁ。あの子たちに聞いたらどういう存在なのか、答えてくれるかな? ……ううん。なんかよくわからない返事でよくわかんなくなる未来が想像できる)

数学教師「この問題は誰に解いてもらおうかな」

メガほむ(それに鹿目さんを監視してるって、どういうことなんだろう。ご主人様がって言ってたけど、わたし、そんなこと言ってないし……っていうことは、例のクールぶってる人が鹿目さんを? でもなんで? ……うぅ、ああ、もうっ。いくら考えたってわからないよ。そんなの、そんなの――!)

数学教師「……じゃあ、暁美さん」

メガほむ「そんなのよくわからないです!」

数学教師「お、おお。そうか……」

メガほむ「へ?」

メガほむ(あ。し、しまった! 反射的に考え事が言葉に出ちゃった……!)

メガほむ「あ、いえ、えっとその……」

数学教師「あー、君は休学していたんだっけな。友達からノートを借りておくように」

メガほむ「は、はい。すいません……」


キーンコーンカーンコーン


メガほむ「はぁ……」

まどか「ほむらちゃん。元気出して。数学がわからないのは、ほむらちゃんだけじゃないから」

メガほむ「え?」

まどか「わたし、毎日学校に来てるし授業もちゃんと受けてるけど、それでもやっぱり数学は苦手なの」

メガほむ「そうなんですか?」

まどか「だから平気だよっ」ウェヒヒ

さやか「こーらまどかぁー? そんなフォローのしかたないでしょう。暁美さん戸惑ってるじゃない」

まどか「うぁ、えっと……ダメ?」

メガほむ「い、いいえ。その鹿目さんの気持ちは、とっても嬉しかったですっ」

さやか「そう? いやー、でも数学の時のあの潔さ、あたしは嫌いじゃないよ! 数学の先生の面食らった顔見たぁ? いやいや、そんな顔されてもあんな問題とけるわけないっての」

メガほむ「え? いえ、その……」

まどか「さやかちゃん。そんなフォローのしかたはないよ……」


さやか「ありゃ、ダメかな? んじゃ、本命の数学のノート!」

メガほむ「あ……。ありがとう、ございます。これ、とてもわかりやすくまとめてありますね」

さやか「へへ、でしょでしょ」

まどか「ほむらちゃん、よかったねっ」

メガほむ「うんっ」

さやか「へへーん」

メガほむ「美樹さんの字って、とてもきれいで上品な感じがしますね」

さやか「うん。だってそれ、あたしのノートじゃないもん」

ほむら「え?」


まどか「あぁ! これ、仁美ちゃんのノートじゃない。……貸してくれたの?」

さやか「え? 頼めば、快く貸してくれると思うよ?」

まどか「勝手に借りたの? い、いいのかな?」

さやか「でも、困ったクラスメイトを助けるのは学級委員の務めでしょう? ノート一冊で二人が助かるんだから、仁美だって怒らないわよ」

まどか「……ふたり?」

さやか「あたしもぉ。いやー、最近の数学、ぜんっぜんわかんないんだよねぇ」

まどか「もぉー。さやかちゃんたら調子いいんだから」

さやか「そういうまどかは見なくていいの? 後悔するぞぉ?」

仁美「さやかさん?」

さやか「うぇ!? ひ、仁美!?」

仁美「わざわざノートなんて持ち出さずとも、言ってくだされば教えて差し上げますのに」

さやか「だ、だよねぇ。あはは……」

仁美「今度勉強会をしましょうか。……もちろん、暁美さんも一緒に」

メガほむ「よ、よろしくお願いします」

まどか「あっ。それならわたしも、お願い!」

仁美「ええ、もちろん」


~体育の授業~


イーチニサーンシー ゴーロクシチハチ

ピピー

体育教師「準備体操はそこまで。今日は走り高跳びです。正面飛びに背面とび、はさみ飛びにベリーロール。いろいろと試して飛んでみてねー」

クラス一同「はーい」



メガほむ「はあ、ふう……」

まどか「ほむらちゃん、大丈夫? ちょっと疲れちゃってるみたいだけど……」

メガほむ「う、うん。これくらいならまだ大丈夫だよ」

まどか「そう? ずっと入院してたんだし、あんまり無理はしないでね?」

メガほむ「うん。自分の限界はちゃんとわかってるから、大丈夫」

まどか「そっか。ならよかった」ウィヒヒ

メガほむ(あの子たちの遊びに付き合ってたおかげかな。動きまわるのには、大分なれちゃった。……そうじゃなかったら、準備運動だけで倒れてたかも)


さかや「美樹さやか、いっきまーす!」

タタタタッ

さやか「スーパージャンプだぁ――痛ったぁ!」ドサッ

アハハ ナニヤッテンノモー マジメニヤレー

さやか「にゃははっ、さやかちゃんの次の大記録に期待してくれー!」



メガほむ「……美樹さん、すごいですね」

まどか「あはは、そうだね。あそこまで堂々と失敗できるっていうのも、さやかちゃんのすごいところだよね」

メガほむ「ほんとうに。うらやましいです」

まどか「ほむらちゃんなら大丈夫だよぉ。ほら、数学の時の『よくわかりません!』って」ウェヒヒ

メガほむ「あ、あれはっ、その、違うんです」

まどか「そうなの?」

メガほむ「はい……。ちょっと考え事をしていたせいで、つい」



まどか「そっかぁ。でも……うぅ。そろそろわたしの番だ。ちゃんと跳べるかなぁ」

メガほむ「か、鹿目さんなら大丈夫ですっ。それに、鹿目さんの次のわたしが大失敗しますから、ちょっとやそっとの失敗なんて、目立ちません!」

まどか「……それ、わたしが失敗することが前提だよね?」

メガほむ「あ」

まどか「ウェヒヒ、冗談だよ。ありがとう。どうせなら、一緒に大失敗しちゃおっか?」

メガほむ「は、はい!」

まどか「えへへ。……そんなこと言ってるのに裏切っちゃったらごめんね。――よしっ」

メガほむ「へ? か、鹿目さん!?」

まどか「鹿目まどか、いっきまーす!」

タタタタッ ビュンッ

メガほむ(わぁ。きれいな背面跳び……)

まどか「ほむらちゃーん! わたしうまく跳べたよー! だからほむらちゃんもガンバッテ!」

メガほむ「うぅ……。あ、暁美ほむら、いきます!」

今日はここまで。

授業中はクララドールズ成分が足りない……。


明日は夜に続きを投下できる。




~叛逆後の世界~


ブロロロオ――


杏子「……」

デビほむ「……」

杏子「次の停留所から風見野だよ」

デビほむ「ええ。……この三叉路を左に曲がったら、風見野に入るんだったわよね」

杏子「ああ、そうだよ」カチ

ピンポーン

アナウンス『次は風見野一丁目。市立風見野小学校はこちらからお越しください。――次、止まります』







~ショッピングモールのファーストフード店~


さやか「いやー。でも暁美さん、走高跳びのときはすごかったよねぇ。こう、眼鏡がポーンとバーを飛び超えてさ。真面目なお下げっ娘と見せかけたドジっ娘とは……くうぅ~っ、萌えかっ? そこが萌えなのかぁっ!?」

メガほむ「うぅ……」

まどか「さやかちゃん。あんまりほむらちゃんをイジメちゃだめだよっ」

さやか「お、おおう、すまん。そんなつもりじゃなかったんだけど……暁美さんもごめんね? もしかして気ぃ悪くしちゃった?」

メガほむ「へ? い、いえ、大丈夫です」

まどか「ほんと? さやかちゃん、ちょっと調子がいいところあるから、嫌だったら嫌だって言わないとだめだよ?」

さやか「今日のまどかはなかなかグイグイきますなぁ……」

メガほむ「あ、あの、美樹さん。本当に大丈夫ですから……。鹿目さんも、ありがとう」

まどか「いいよぉ、ほむらちゃん。さやかちゃんって、思い込みですぐケンカをはじめちゃったりするから、何かあったらすぐわたしに相談してね」ウィヒヒ

さやか「ねえ仁美。さっきからまどかがひどいんだけど、あたし、今日なんかやっちゃった……?」

仁美「さあ? しいて言えば、私のノートを勝手に持ち出したぐらいのことしかしてませんわね」

さやか「……すいませんでした!」


仁美「でもお二人は、さっそく仲良くなっていらっしゃいますわね。まどかさん、暁美さんとは本当に今日が初対面なんですか?」

まどか「へへっ。実は違うんだよねー。ね、ほむらちゃん」

メガほむ「はいっ」

さやか「へー。ということは、まどかは暁美さんとどっかで会ってたんだ」

まどか「うんっ。ちょっと前にね」

メガほむ「はい。転校する少し前に、偶然」

まどか「ねぇー」

仁美「ふふっ、なるほど。その素敵な偶然のおかげで、お二人は親密なんですね」

さやか「ふーん。保健室に案内した時とか、何となくまどかにしちゃあやたら積極的だなぁとは思ってたけど、そっかぁ。偶然の再会で、テンション上がっちゃってたんだ。舞い上がっちゃってますなー、まどか」

まどか「えへへ。まあね」

さやか「そっかぁ。それなら決まりだわ! あんたら前世から因果の糸でつながれた運命の相手なんだぁ!」

メガほむ「そ、そんな。鹿目さんと、その、う、運命の相手だなんて……」

さやか「まどかめぇ。あたしの嫁になるっていう話はどうなったんだぁ!? あの朝の約束を忘れたとは言わせんぞぉ!」

メガほむ「!?」

まどか「もぉー、さやかちゃんたら何いってるの」


仁美「あら、もうこんな時間ですの? ごめんなさい。お先に失礼しますわ」

メガほむ「何か用事があるんですか?」

仁美「はい。ちょっとおけいこ事がありますの」

まどか「仁美ちゃん、お嬢様だから。今日はピアノ? それとも日本舞踊?」

仁美「お茶のお稽古ですの。来年は受験もありますのに、いつまで続けさせられるのか……」

さやか「うはぁ……小市民に生まれて良かったわぁ」

まどか「わたしたちも行こっか」

さやか「まどか。帰りにCD屋に寄ってもいい?」

まどか「いいよ。また上条君の?」

メガほむ(上条君……?)

さやか「へへ。まあね」

まどか「そっか。ほむらちゃんはどうする?」

メガほむ「あっ、と、わたしはちょっと買いたいものもあるので……」

さやか「そうなの? そっちのほう先に寄って行こうか?」

メガほむ「い、いえ。そのまま夕ご飯の買出しをしなきゃいけないですし……できれば、ひとりで選びたいものなので」

まどか「そっかぁ。ほむらちゃん、おうちのご飯作ってるんだっけ。邪魔しちゃ悪いよね」

さやか「えぇっ、まじで? すごいなぁ、暁美さん」

メガほむ「そ、そんな。大したことじゃ――」

仁美「いいえ。おうちの手伝いをちゃんとされてるなんて、ほんとうに偉いですわ」

まどか「えへへ。やっぱりほむらちゃん、すごいんだよ」ウェヒヒ

メガほむ「あ、あうぅ」

まどか「それじゃあ、ほむらちゃん。またね」

メガほむ「はい。また、明日」

さやか「ばいばーい」

仁美「それでは失礼しますわ」







QB「きゅ――」グチャ

レイケツ「また一匹」

オクビョウ「もう何匹つぶしたっけ」

マヌケ「知らない」

ガンコ「とにかくたくさん」

ウソツキ「百一匹」

ワルクチ「うるさい」

QB「……」ヒョコ

オクビョウ「いくらでも湧いてるね」

ガンコ「まだまだ、たくさん殺そう」

マヌケ「そうだね」

QB「……」タタタタッ

レイケツ「逃がさない」

ワルクチ「当然」

偽街の子供達「逃がさない」タタタタッ







~ショッピングモール内の雑貨屋~


店員「ありがとうございましたー」

メガほむ「……ふう。よさそうなものがあってよかった。次はシチューの材料を買わなくちゃ」

メガほむ(あの子たちの分のお皿、買っちゃった。いつまでもお弁当箱を使ったり、お皿を回して食べるのもかわいそうだもんね)

メガほむ「ふふっ。あの子たち、喜んでくれるかな」

メガほむ(でも、さすがに十四人分のお皿は重いかも。これにシチューの材料も加わるとなると……うぅ)

QB『助けて……』

メガほむ「……え?」


メガほむ(いま、頭の中に声が……)

QB『助けて……誰か……』

メガほむ「ッ!」

メガほむ(やっぱり、聞き間違いじゃない)

メガほむ「……誰? 誰なの?」

メガほむ(たぶん、こっちのほう、かな?)テクテク

メガほむ「……どこにいるの? あなた、誰なの?」

QB『誰か……僕をたすけ――』

マヌケ「あれ、ご主人様?」

オクビョウ「ご主人様だ」

ウソツキ「偶然だね」

ガンコ「どうしたの?」

ワルクチ「ひとりごとは変だ」

メガほむ「あなたたちだったの!?」


メガほむ「え? え? あなたたち、何やってるの? 学校に来てない子にはお留守番頼んでたはずだけど……」

ガンコ「ひとり家に残ってる」

ワルクチ「だから残りで遊んでる」

マヌケ「インキュベーター狩りで遊んでる」

メガほむ「へー。できればその、インキュベーターっていうのが何なのかから教えてくれたら嬉しいなぁ……」

マヌケ「インキュベータはインキュベータ」

ガンコ「あれ? というか、インキュベーターは?」

オクビョウ「追っかけてたはずだよね」

ウソツキ「にがした?」

ワルクチ「おい。先頭だれだ」

メガほむ「あ、うん。教えてくれないんだよね。なんとなくわかってたからいいよ……」


メガほむ(うーん。お留守番を頼んでも外で遊びまわっちゃうかぁ。……迷ったりしないのかな。いや、でもいつも夕ご飯の時には全員そろってたし、平気かな?)

ガンコ「わたしは先頭じゃない」

マヌケ「わたし前についていっただけだよ?」

オクビョウ「じゃあ、お前の前は?」

マヌケ「ええっと、確か」

ウソツキ「わたしだよ」

メガほむ(楽しそうにしてるし、家に押し込めるのもかわいそうだよね。……あれ? でも学校に来てた子が七人で、お留守番の子が一人。そうすると、もう一人足りないような……)

ガンコ「お前か……」

ワルクチ「誰こいつに先頭を走らせたのは……」

ウソツキ「え? わたし先頭じゃないよ?」

マヌケ「え?」

オクビョウ「ウソじゃない?」

ウソツキ「ウソじゃないよ。ホントだよ」

ワルクチ「ということは」

ガンコ「もしかして」

メガほむ「?」







まどか「……あなた、なの?」

QB「……助け、て……」

まどか「あ、ひどい怪我……!」

コツコツ

まどか(え? 足音――ッ!?)

レイケツ「……カナメマドカ?」

・レイケツちゃん画像
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4955138.jpg_6BbPo5NwbuVqWyu5u2g2/www.dotup.org4955138.jpg


あえて言おう。

レイケツちゃんかわいい。

今日はここまで。

また明日も夜に続きを投下できる。


まどか「あなた、誰……? どうしてわたしの名前、知ってるの?」

QB「……」

レイケツ「……カナメマドカ。そいつから離れて」チャキ

まどか「ひっ。だ、ダメだよっ。ひどいことしないで……!」ギュッ

レイケツ「……そう」

まどか「ぁ」

プシュウウウウウ

レイケツ「!」

さやか「まどか、こっち!」

まどか「さやかちゃん!?」タタタタッ


レイケツ「ミキサヤカ……。――ッ!」

Anthony:Das sind mir unbekannte Biume.
      (見たことのない花だ)
Anthony:Ja, sie sind mir aush unbekannt.
      (見たことのない花だね)

レイケツ「結界? 迷惑」チャキ

Anthony:Schneiden wir sie ab?
     (チョン切ってしまおうか)
Anthony:Ja, schneiden wir sie ab.
     (チョン切ってしまおうね)

レイケツ「……しかも、うるさい」ヒュン


さやか「なんなのあの子ッ? 喪服で通り魔とか、ちょっとシャレが効きすぎてない!?」

まどか「わたしに言われても、わかんないよ!」

さやか「そりゃそうだ! つーかまどか、それなにッ? ヌイグルミ……じゃないよね。生きてるの!?」

まどか「わかんない。わかんないけど……この子を助けなきゃ!」

Anthony:Die Rosen schenken wir unserer Konigin.
      (バラは僕らの女王様へ)

さやか「あ、あれ!? 非常口は……どこよ、ここ!?」

まどか「変だよ、ここ……どんどん道が変わってく!」

さやか「ああもうっ、どーなんってんのさ!」

Anthony:Und die schlechten Blumen steigen auf die Guuiiotine.
      (悪いお花はギロチン送り)

まどか「ひぃっ。やだ……何か、いる?」

Anthony:Ja, schneide sie ab!
     (ヤア! チョンと切れ!)

さやか「じょ、冗談だよね。あたし、悪い夢でも見てるんだよね? ね、まどかぁッ」

Anthony:Ja, schneide sie heraus!
     (ヤア! 切り落とせ!)

パァアアアアア!

マミ「――危なかったわね。でももう大丈夫よ」


さやか「あ、あれ……?」

まどか「これは――」

マミ「キュゥべえを助けてくれたのね。ありがとう。この子はわたしの大切な友達なの」ニコッ

まどか「は、はい。わたし、呼ばれたんです。頭の中に、直接この子の声が」

マミ「ふうん、なるほどね。――その制服、あなたたちも見滝原の生徒みたいね。二年生?」

まどか「はいっ」

さやか「えっと、あなたは――」

マミ「そうそう、自己紹介しないとね。でもその前に――ちょっと一仕事、片づけちゃっていいかしら」ヘンシン








メガほむ「ね、ねえ。はぐれた子と合流するって言ってたけど、本当にこっちであってるの?」ビクビク

マヌケ「あってるよ」

ガンコ「間違いなくあってる」

オクビョウ「なんで?」

メガほむ「だって、ここ、何か変というか……。道がおかしいし、看板の文字も、何だかよくわからないし……」

ガンコ「看板?」

ウソツキ「あれかな?」

ワルクチ「O Gott, es gibt Schadlinge!」(大変! くだらない虫がついてしまった)

メガほむ「へ?」

ガンコ「Haben Sie schon Wasser rerossen?」(もうお水はあげましたか?)

オクビョウ「Die ersten Knospen sollen gepfluckt sein.」(はじめての蕾は摘み取りましょう)

マヌケ「Die Rosen sollen vorsihtig behandelt sein.」(薔薇は丁寧に扱うこと)

メガほむ「え? え?」


メガほむ「な、なに!? いきなり何を唱え始めて……ひっ。いまよくわからない影がっ」

ガンコ「看板を読んだだけ」

ウソツキ「それにあそこらへんのは何もしてこないよ」

メガほむ「ほ、ほんと?」

マヌケ「看板はホントだけど」

オクビョウ「あそこらへんのはなんとも……」

メガほむ「そこは嘘でもホントって言って!?」

ワルクチ「ご主人様うるさい」

ガンコ「きりきり歩こう」

メガほむ「……うぅ。ねえ、ほんとうにこっちなの? それは嘘じゃないの?」

マヌケ「それは嘘じゃないよ」

ワルクチ「こいつじゃあるまいし」

ウソツキ「わあ。とばっちり」

?E??????????
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あれ? 何でバグったの? URLのほうは無事みたいだけど……。
とりあえずも一回。

・ウソツキ&ワルクチ画像
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マミ「ふう。だいたいこんなものかしら」

まどか「す、すごい……」

さやか「も、元の光景に戻った……?」

マミ「さて、大体は片付いたんだけど――」チャキ

レイケツ「……」

マミ「まだ、一匹残っていたのね。魔女が逃げたっていうのに使い魔が残っているだなんて珍しいわ」

レイケツ「……トモエ、マミ」ギラリ



~叛逆後の世界~


杏子「どうだ、ほむら。うめーか?」ズルズル

デビほむ「ええ、文句なしにおいしいわ。あなたが勧めるだけはあるわね」ズルズル

杏子「そーだろ? ほむらは話せばわかるやつだって思ってたぜ」ズルズル

デビほむ「ええ。わたしもあなたのことは信用しているもの。このラーメン、おかわりを頼みたいくらいだわ」ズルズル

杏子「ははんっ、そういう時は替え玉をするんだよ」ズルズル

デビほむ「替え玉……ですって?」ズルズル

杏子「ああ。こうやって百円玉を出して――おっちゃん! 替え玉くれ!」

店主「はいよ! 替え玉一丁!」

店員「替え玉一丁入りましたぁ!」

デビほむ「なるほど。そうやって麺のお代りをするのね。――すいませーん、わたしにも替え玉を一つ!」

店主「はいよぉ!」







スーパーレイケツちゃんタイムはこれでおしまい。ひいきなんてないよ。クララドールズのみんなを愛してるよ。レイケツちゃんかわいいよ。


しかし12話までやろうかどうしようか。
書き始めの時は学校入学してちょっとでおしまいにするつもりだったから、円盤までに完結するって書いてたけど、うーん。
最初から即興だから、どう頑張ってもこれ以上速度は上がんないだろうし。

ほむクラの幅広げだけじゃ飽き足らず、マミクラの地平線を切り開こうと欲をかいたのがなぁ。

正直3話終了あたりでそこそこ綺麗に終わらせる手もあるから、悩み中。
次の『偽街の子供達「ご主人様!」リボほむ「……ご主人様?」』というネタも思い浮かんではいるし、エイプリルフールネタも書きたいし。
……しかしリボほむのは自分の二番煎じみたいでちょっと嫌なんだよなぁ。

まあ、とにかく好きに書く。

今後の展開に割と真剣に悩んでるので、無駄に長かったりした独り言終了。



とりあえず、明日も夜に続きを投下する。


メガほむ「ねえ、まだ? まだつかないの?」

ウソツキ「まだまだだよ」

マヌケ「もうそろそろだよ」

メガほむ「どっちなのぉ……」

ガンコ「もうちょっとだよ」

ワルクチ「というか、いい加減にしろ」

メガほむ「う、だ、だって……」

――わた――用があ――は、あな――ゃな――

――あら。言葉――す使い――んて珍し――

メガほむ(……? 反響してわかりづらいけど、話し声がする。曲がり角の先で誰か話してるのかな?)

オクビョウ「お」

ガンコ「いたいた」

マヌケ「ついたついた」

メガほむ「え? ホント? やっと……って、えぇ!?」

レイケツ「……やっと来た」

マミ「!」


レイケツ「どこ行ってたの」

オクビョウ「ごめんね」

ワルクチ「だいたいこいつのせい」

ウソツキ「そんなことないよ」

マヌケ「でもご主人様つれてきたよ」

ガンコ「うん。つれてきたよ」

レイケツ「いや、だからなに?」

マミ(しまった、増援ッ。接近に気が付かなかったなんて、迂闊だわ……!)

まどか「え、え?」

さやか「増えた!? ……って、あれ?」

マミ(くっ。わたし一人になら何とかなるけど、この子たちをかばいながらだと……しかも向こうにもう一人、捕まってる子がいるわ……!)

メガほむ(コスプレしておもちゃの鉄砲を持ってるあの人、何者だろう……? 変わった人だなー)


まどか「ほ、ほむらちゃん!?」

さやか「暁美さん! なんでここに!?」

メガほむ「あれ? 鹿目さんと美樹さんまで……あ! そういえばそこの人、もしかして保健室で会った先輩ですか? もしかして鹿目さんたちの知り合いとか?」

まどか「へ? ううん。初対面だよ」

さやか「ちょっ、あんたたち! これ、そんなほのぼのした会話してる状況じゃ――」

マミ「あなた、すぐに逃げて! 無理なら、絶対その場から動かないで!」

メガほむ「へ?」

マミ(状況が把握できてないのね。もどかしいけど、仕方ないわ。まずこっちの二人は結界で守って――)

パアアア

まどか「わぁ、きれい……」

さやか「すごい。リボンのドーム……?」

マミ(あとはあっちね)チャキ

ウソツキ「む」

ガンコ「やるの?」

ワルクチ「ドリルめ」

メガほむ「え? ど、どうしたんですか? そんなおもちゃ、こっちに向けて……あ! も、もしかして、そっちの子が何かして怒らせちゃいましたか? す、すいませんでしたっ。それなら謝りますから――」

マミ(……何を言ってるのかしら? 混乱してる……?)


マミ「これはおもちゃじゃないわ。でも、あなたには絶対に当てないから安心して?」ニコリ

メガほむ「……え?」

オクビョウ「ほんとにやるの? トモエマミだよ?」

マヌケ「なんとかなるよ」

レイケツ「やろうか」

マミ(あとは絶対にあっち子には当てないように、慎重に戦う……大丈夫。できるわ。一般人を守りながら戦うのは、慣れてるもの。よしっ)

メガほむ「や、やめてくださいっ!」

マミ「え?」

偽街の子供達「!」


マミ「ちょ、あなた射線にでちゃ危な――」

メガほむ「そ、そんなの振り回してるあなたのほうがよっぽど危ないです!」

マミ「!?」

メガほむ(保健室で会った時にはすごく大人っぽい人だと思ったのに、コスプレで通り魔なんてっ。そんな危ない人だなんて思わなかった!)

オクビョウ「ご主人様?」

マヌケ「なにしてるの?」

ワルクチ「わりと邪魔なんだけど」

メガほむ「だ、大丈夫だよ。あの変な人からは、わわわ、わたしが守るからっ」

ウソツキ「ん?」

ガンコ「え?」

レイケツ「は?」

まどか(うーん。さっき助けてもらったし、カッコいい人だと思うんだけど……)

さやか(どっちの事情もよくわからないし、変って言われると否定できないかも……)

マミ「へ、変な人……」ショボーン


マミ(どうして? 魔女の口づけを受けてる気配もないのに使い魔をかばうなんて……ていうか、ご主人様? まさかあの子が魔女なの? でもそんな気配はないというか、どう見ても人間よね、あの子)

マミ「ねえ、あなた――」

メガほむ「い、いまなら何も見なかったことにしますので、どど、どっか行ってください! じゃないと、ええっと……警察! 警察を呼びますよ!?」

マミ「えぇ!?」

ワルクチ「……なにこれ」

レイケツ「さあ?」

オクビョウ「どうしよっか」

マヌケ「観戦?」

ガンコ「観覧?」

ウソツキ「がんばれご主人様ー」

メガほむ「うぅ……!」キッ

メガほむ(怖いけど、怖いけど毅然とした態度で相手をにらみつけて、おびえた態度は見せないっ。この子たちのためにも、絶対ひいちゃだめだ……!)

マミ「うぅ」タジタジ

マミ(にらまれてるわ……。気弱そうなのにすごく必死に。でも使い魔を放っておくわけにもいかないし――ど、どうすればいいのかしら、この状況!?)

まどか「あ、あのぅー」

マミほむ「何(ですか)!?」

さやか「あー、いや、何だ。横から失礼しちゃうんだけど」

まどか「ここは一回落ち着いてから話し合えないかなーって、そう思うんですけど、どうかなって」

今日はここまで。

マミさん大好きだよ。まどほむクララの次に好きだよ。つまり十八番目だよ。


今週中に三話当たりまで書き切るから、先のことはまたそれから考える。

明日も夜に続きを投下する。



 ~叛逆後の世界~


杏子「ふぅー、食った食ったぁ。満腹だ」

デビほむ「ええ、そうね。けれども替え玉がまさか二回以上できるだなんて……なかなか侮れないシステムだわ、ラーメン屋って」

杏子「はっ。あんたがラーメン屋のシステムを語るなんてお笑いだよ、ほむら。替え玉なんてまだまだ序の口だぜ?」

デビほむ「なん、ですって……!」

杏子「替え玉のほかにも、味濃いめ、アツモリ、スープ割り……まだまだあるんだ。ラーメンについて語りたいなら、また食いにこよーぜ」

デビほむ「そうね。機会があれば、また来る必要がありそうね」

杏子「ははっ。……それで、あたしはもう見滝原に帰るけど、ほむらはどうすんだ?」

デビほむ「わたしは……少し、あたりをふらついて行くわ」

杏子「……ふーん」

デビほむ「なに?」

杏子「いいや。なんつーのかな。うまいもん食って腹いっぱいになれば、たいていの悩み事なんてどうでもよくなるもんだけどさ。そうじゃない悩み事もあるよなって、それだけだよ」

デビほむ「……腹がいっぱい云々は、あなただけじゃないの?」

杏子「うっせー。……ま、何にしても少しは気晴らしには待ったみたいでよかったさ。なに探してるかは知んないけど、あんまり思いつめんなよ」

デビほむ「……ええ。気をつかわせたわね」

杏子「なに言ってんだ。あたしがうまいもん食いたかっただけさ。んじゃな、また明日」

デビほむ「さようなら。……また、明日」






 ~マミホーム~


マミ「わたしの名前は巴マミ。見滝原中学の三年生で、キュゥべえと契約した魔法少女よ」

QB「僕の名前はキュゥべえ。マミのような素質のある女の子と契約を取り交わして、魔法少女を生み出すのが僕の役目だよ」

まどか「わたしは鹿目まどかって言います。今日は助けてもらった上にお招きいただいちゃって、ありがとうございます」

さやか「あたしは美樹さやかです。いやー、素敵な部屋ですね!」

メガほむ「わ、わたしは暁美ほむ――あわわっ、あなたたちダメだよ! 人様のおうちなんだから勝手にうろついちゃ……ああもうっ。まだケーキに手をつけるのもダメ!」

マヌケ「えー」

ガンコ「でもミキサヤカはもう食べてるよ」

メガほむ「え?」

さやか「んーっ。このケーキめちゃうまっすよ、マミさん!」

ウソツキ「ほら」

ワルクチ「もう食べてる」

メガほむ「美樹さん!?」

レイケツ「じゃあ、いただきます」

オクビョウ「ケーキ♪」

まどか(ほむらちゃん、お母さんみたいだなぁ。……あれ? ほむらちゃんはケーキ食べないのかな。おいしいのに)

マミ(収拾つくのかしら、この状況……)

QB「そろそろ説明を始めてもいいかい?」



マミ「――というのが、魔女と魔法少女についてなの。だから結構危ないところだったのよ。あれに飲み込まれた人間は、普通は生きて帰れないから」

メガほむ(わたし、そんな怖い空間に引っ張りこまれてたんだ……。いや、無事だったしいいんだけど)ジトー

マヌケ「?」

ガンコ「何、こっち見て」

メガほむ「……なんでもないよ」プイッ

オクビョウ「なんだろう?」

レイケツ「かまわなくていいよ」

メガほむ「……」ムッ

まどか「あ、えっと、その。ま、マミさんはそんな怖いものと戦ってるんですかっ?」

マミ「そ、そうね。命がけよ。だからあなたたちも慎重に選んだほうがいいわ」

さやか「命がけ戦いの代わりに何でも願い事を一つだけ、かぁ。ううん。悩むなぁ」

マミ「わたし達のほうの説明はそんなところよ。――それで、わたしからもあなたに聞きたいことがあるの」

メガほむ「……」ムスー

ウソツキ「ご主人様」

ワルクチ「さっきからなんなの?」

メガほむ「だからなんでもな――あ。わ、わたしですか?」

QB「そうだね、暁美ほむら。いまの君は僕から見ても興味深い。その使い魔は、どうして君と一緒にいるんだい?」


メガほむ「え? どうしてって言われても……というか、使い魔って……?」

さやか「キュゥべえ。その使い魔っていうのはなんなの? 魔女とは違うの?」

マミ「あら、ごめんなさい。言ってなかったかしら。使い魔っていうのは魔女から分裂した存在のことなの。今日あなたたちを襲ったのも使い魔なのよ?」

まどか「そ、そうなんですか。でも、あれとこの子たちが、一緒……?」

マミ「ええ。使い魔も魔女によって姿形がまったく違うの。放っておくと分裂元の魔女になるから放っておいたら危ないんだけど……」

さやか「へぇー……こいつらが?」

オクビョウ「ケーキ」パクパク

レイケツ「おいしい」パクパク

ガンコ「さすが」パクパク

マヌケ「さすがトモエマミ」パクパク

ウソツキ「おかわり!」

ワルクチ「そんなものはない」パクパク

メガほむ「……もう。しょうがないなぁ。わたしの分食べる?」

ウソツキ「たべる!」

メガほむ「はい、どうぞ」

まどか(あ。ほむらちゃん、ケーキ食べてないと思ったら、あの子たちにあげるためだったんだ。……わたしのもあげよっかなぁ。半分くらいしか残ってないけど、喜んでくれるかな?)

マミ「…………」


マミ「……こほん。暁美さん。もう一度聞くけれども、あなたはどうして使い魔と一緒にいるの? ご主人様って、どういうこと?」

QB「人間と使い魔が一緒にいるだなんてこと、そうそうないはずなんだけど……」

メガほむ「そ、それは、わたしもよくわからないというか、成り行きというか……」

さやか「成り行きってどんな? 暁美さんはその子たちとどこで会ったの?」

メガほむ「えっと、わたし退院してから一人暮らしを始めてて……その引っ越し初日に、なぜかうちにいました……」

さやか「はぁ!? なにそれ。あやしさ大爆発じゃん。暁美さん、よくそいつら追い出さなかったね」

メガほむ「そ、それはそうなんですけど、なんかもう我が物顔で居座ってたので」

まどか「でも、それじゃあ、この子たち一緒に暮らしてる? 七人暮らし?」

メガほむ「いえ、この倍ちょっといます」

さやか「ってことは十人以上!?」

まどか(……あ。そういえば川原で会った子たち、ここにいる子たちとはほとんど別人みたいだけど、そっちの子たちも使い魔なのかな?)

マミ「十人以上の使い魔と共存? そんなことが……」

メガほむ「は、はい。人数が多くて大変ですけど、何とか暮らしていけてます」


マミ「で、でも、あなたとその子たちが一緒に暮らしてるからって、危険性がないって証明されるわけじゃないのよ? この子がキュゥべえを襲っていたのは確かな事実だもの」

メガほむ「え? キュゥべえを、襲った……?」

レイケツ「そうだね」

ワルクチ「それが?」

マミ「……一方的に襲っておいて、『それが』ってことはないでしょう」

ウソツキ「そう?」

マヌケ「そういうものでしょ?」

ガンコ「そういうものだよ」

オクビョウ「インキュベーターって、そういうもの」

マミ「え、いや、そういうものって……」

さやか(意味が分からないけど押しがつよいなぁ、こいつら……)


まどか「ええっと……とりあえず、インキュベーターってなに?」

ガンコ「こいつ」

マヌケ「これがインキュベーター」

メガほむ「へ? この白い子は、キュゥべえって名前じゃ……?」

QB「国や地方によって僕の呼称も変わってくるからね。時代によってキューブと呼ばれていたこともあったし、インキュベーターというのも確かに僕の名前だよ」

マミ「あら、そうだったの?」

QB「そうだよ、マミ。とはいえ、いったいどこでその名前を知ったんだい?」

ワルクチ「どうでもいいだろ」

ウソツキ「そこで黒猫に聞いた」

QB「わけがわからないよ……」

メガほむ(インキュベーター狩りってそういうこと……。じゃあ、この子たちがキュゥべえを襲ってたのは、間違いないんだ)


QB「使い魔は必ずしも人間を傷つけることを目的として動いているわけではないけれども、君たちの役割は僕を追いかけることにあるのかい?」

レイケツ「そんなわけない」

ガンコ「衛兵じゃあるまいし」

オクビョウ「騎兵でもあるまいし」

ワルクチ「インキュベーター狩りは、ただの暇つぶし」

マミ「……」イラッ

まどか(あぁ、マミさんの顔が険しく……)

さやか(暇つぶしで友達攻撃されれば怒るよね、そりゃ)

メガほむ(うぅ。どうしよう。これ、全部こっちに非があるみたい……)

QB「やれやれ。暇つぶしで追い回されるのは、無駄以外の何物でもないんだけどなぁ」

メガほむ「あ、あのっ。わたしもこの子たちをずっと見ておけるわけではないんですけど……で、でも、それでもちゃんと言い聞かせますのでっ、今回は見逃してもらえませんかっ?」

マミ「……」


マミ(……言い聞かせる、か。それができるなら、確かにこの子たちと戦う必要はないわよね。目的がわからないのが不気味だけど、むやみに人を傷つけるわけじゃないみたいだし、そこはキュゥべえも認めてる。それに――)

メガほむ「う、だ、ダメですか……?」

マミ(――ここまで引き下がられちゃうと、無下にはできないわよね。仕方ない、か)ハア

マミ「そうね。わかったわ」

QB「おや。見逃すのかい、マミ?」

マミ「いいのよ、キュゥべえ。あなたのことはわたしがこれからしっかり守ればいいんだし……むしろキュゥべえはいいの? あなた、理不尽な理由で襲われたのよ?」

QB「僕は別にかまわないよ」

メガほむ「じゃ、じゃあ!」

マミ「ええ、そうね。……でもね、暁美さん。その子たちには絶対に人を襲わないように、よぉく言い聞かせておいてね」ニコリ

メガほむ「はいっ、もちろんです!」

さやか「おおっ」

まどか「良かったね、ほむらちゃん!」

メガほむ「うんっ!」


 ~ほむホーム~


レイケツ「ただいま」

オクビョウ「ただいまー」

メガほむ「ただいま。みんなそろってるね」

イバリ「おかえり」

ナマケ「留守番してたよー」

ワルクチ「サボってただけじゃないの?」

ノロマ「おかえりー」

ウソツキ「ケーキ食べてきたよ」

ヤキモチ「え、なにそれ」

ヒガミ「ずるい……」

ワガママ「わたしも食べたい!」

メガほむ「あはは……。ケーキは無理だけど、夕ご飯のクリームシチュー作るから待ってて。……それと、はい」

ミエ「なにこれ」

ネクラ「お皿?」

メガほむ「うん。人数分あるから、それを配って待ってて。……割らないようにね?」

マヌケ「大丈夫だよ」

レイケツ「それじゃ、待ってる」

メガほむ「うん。それと、今日は食事の後に大切なお話があるからね?」

ミエ「大切な?」

ヒガミ「話?」

ワガママ「なんだろう」

ワルクチ「インキュベーターのことでしょ」

オクビョウ「そっか」

ガンコ「なるほど」

メガほむ(キュゥべえのことは後でしっかり注意するとして……よーしっ。今日こそお料理には文句を言わせないんだから!)



 ~叛逆後の世界~


デビほむ「ただいま」

デビほむ「…………」

デビほむ「……そうね。誰もいなかったわね」

デビほむ(結局、風見野にもあの子たちの気配はなかった……)

デビほむ「……」

デビほむ(無事、よね?)





今日はここまで。

しかしまだ本編二話が終わってないとは……。


また明日の夜に続きを投下できる。


~通学路~


まどか「おっはよー」

メガほむ「お待たせしました」

仁美「おはようございます。お二人は先に合流されていたんですの?」

メガほむ「い、いえ」

まどか「来る途中にそこで会ったんだっ」

仁美「そうなんですか。ふふ。昨日ですでにとても親密だったので、お二人だけで先に待ち合わせていたのかと思いましたわ」

メガほむ「そ、そんな」

まどか「もう、仁美ちゃんったら。さやかちゃんもおはよう!」ウィヒヒ

さやか「あー。二人ともおはよ、う……ぇあ?」

仁美「さやかさん?」

さやか「……あ、いや、仁美。何でもない。てか仁美には……いや、やっぱり何でもないんだけど……暁美さん暁美さん」チョイチョイ

メガほむ「ですよね……」テクテク

まどか「あはは……。さやかちゃん。気持ちはわかるよ」

仁美「?」

さやか「あたしの見間違いじゃなきゃ、なんかいるんだけど。暁美さんの背後に、七人ぐらい……!」ヒソヒソ

メガほむ「はい。います。見間違いじゃないです」ヒソヒソ

偽街の子供達「?」


レイケツ「ミキサヤカ?」

ネクラ「なに?」

さやか「何って……いや。あんたらには聞くまい。聞いてもたぶん無駄だし。で、どういうことなの、暁美さん」ヒソヒソ

メガほむ「なんというかその……実は、前から学校に忍び込んでいたみたいなので、どうせなら一緒にこようかなって思って。ちゃんと見ておくっていう巴さんとの約束もありますし」ヒソヒソ

さやか「仁美に見えてないのは?」ヒソヒソ

メガほむ「この子たち、普通の人には見えないみたいで……」ヒソヒソ

さやか「あ、そこら辺はキュゥべえと一緒なんだ」ヒソヒソ

ウソツキ「え」

ミエ「インキュベーターと一緒?」

ノロマ「あれと……」

ワルクチ「最悪……」


仁美「お二人とも、さっきからどうされたんですか? 内緒話にしても、少し長いような……はっ」

ほむら「えっ? いや、これはっ、その……」

仁美「まさかお二人とも、たった一日でわたくしたちにも聞かせされない事柄を話すような間柄に? そこまで急接近されるなんて、いったい何がありましたの!?」

さやか「いや、人に話せないっていえばそうなんだけど、そりゃねえわ、さすがに」

まどか「そ、そうだよ仁美ちゃんっ。なな、なに言ってるの? そんなわけないでしょ!? 」

仁美「でもいけませんわ、お二方。女同士で……それは、禁断の愛の形ですのよ~!」タタタタッ

ほむら「あ、いやだから――って、行っちゃった。……志筑さんって、ああいう人だったんですか?」

まどか「ううん。普段はもっとおしとやかなお嬢様って感じなんだけど・……今日の仁美ちゃん、なんだかさやかちゃんみたいだったよ」

さやか「どーゆー意味だよ、それは!?」


~屋上~


さやか「ねえ、まどか。暁美さん。願い事、決まった?」

まどか「ううん。ほむらちゃんは?」

メガほむ「わたしも、特にこれといって思いつかないです」

さやか「そっかぁ。あたしも全然。なんだかなー。いくらでも思いつくもんだと思ったし、実際やりたいことも欲しいものもたくさんあるんだけどさ。命がけってとこでそうまでするもんじゃねーよなって引っかかっちゃうんだよね」

まどか「うん」

メガほむ「そうですね。わたしの場合、引っ越したばかりでこの町にもまだ慣れてませんし、あの子たちの世話もしなきゃですし……それに加えて魔法少女をやる時間があるかっていえば、それはどうだろうとも思うんです」

まどか「そっか。ほむらちゃんは大変だもんね。……そういえばあの子たちは?」

メガほむ「あそこの木の上です……」

まどか「わあ。なにやってるんだろう?」

メガほむ「さあ……そればっかりは、わたしにもよくわからないです」

さやか「あいつらほんとよく分かんないなぁ。まあ、あいつらに関しては考えるだけ無駄がするんだよね……勘だけどさ」


さやか「暁美さん……あ、ほむらって呼んでいいかな? いい加減他人行儀だしさ」

メガほむ「え? あ、は、はい」

さやか「うん。ほむらはやっぱり、マミさんに誘われた魔法少女体験ツアーには参加しないの?」

メガほむ「はい。……家のことをやらないといけませんし、わたし、勉強も遅れてるので……」

さやか「そっか。ほむらは一人暮らしの上にあんなの十人以上も抱えてちゃ、そりゃ他人に構ってる余裕なんてないのは分かるよ」

メガほむ「あ、その、すいません……」

さやか「いや、悪い意味で行ったわけじゃないよ? まーきっと、そういう面も含めてさ、あたしたちが幸せバカなんだろうなってことを言いたいの」

まどか「幸せ、バカ?」

さやか「そう。だってさ、別に珍しくなんてないはずだよ。命と引き換えにしてまでかなえたい望みってさ。そういうものを抱えてる人は、世の中にいっぱいいるんじゃないかな」

まどか「……」

メガほむ「……」

さやか「だからさ、それが見つからないあたしたちって、その程度の不幸しか知らないってことじゃん。大変なことがあるいっても、自分の力で乗り切れる程度の困難しかないって、そういうことじゃん」

メガほむ「……美樹さん」

さやか「なんで、あたしたちなのかな。だって不公平だと思わない? こういうチャンス、本当に欲しいと思っている人は他にいるはずなのにね」

まどか「さやかちゃん……それってもしかして――」


キーンコーンカーンコーン


メガほむ「あ、予鈴のチャイム……」

さやか「……おおっとぉ。ちょっと話に熱中しすぎちゃったみたいだね。まどか、ほむら。教室に戻ろっか!」

メガほむ「は、はい」

まどか「……」


 ~叛逆後の世界~


デビほむ(あの子たちがこんなにも戻ってこなかったことはないわ。そろそろ本格的に探さないと、手遅れになるかもしれない。でも、いったいどうすれば……)

デビほむ「……はあ」

マミ「……はあ」

デビ「ん?」

マミ「あら」

デビほむ(……巴マミ? すぐ近くで食事をしてたのね。……気が付かなかったわ)

マミ「……暁美さんも屋上で昼食?」

デビほむ「……ええ」

マミ「そう……。でもどうしたの、暗い顔でお昼を食べて? 目の下なんて、隈がひどいわよ」フフッ

デビほむ「大したことじゃないわ。それに暗い顔はお互いさまよ。……何かあったの?」

マミ「あら。そんなにわかりやすく顔に出てた?」

デビほむ「ええ。顔に油性ペンで『悩み中です』って書いてあったわ」

マミ「ふふっ、そう。……実はなぎさちゃんと少し、ね」

デビほむ「……そう」

マミ「なぎさちゃんが最近なんだか落ち込んでるみたいだったから、その原因を探ろうとしたんだけど、少し詮索しすぎちゃったみたいなの。それで怒らせちゃって……」

デビほむ「なかなか難しいものよ、そういうのって。特に子供相手にはそう。難しい年ごろだもの。あなたに非があるわけではないわ」

マミ「そういうものかしら……」

デビほむ「そういうものなのよ、子供を相手にするっていうのは」

マミ「……うんっ。わかったわ。ありがとう、暁美さん。だいぶ気が晴れたわ!」ニコッ

デビほむ「それならよかったわ」ニコリ





 ~ショッピングモールのファーストフード店~


マミ「そっか。暁美さんは参加しないのね?」

さやか「はい」

まどか「ほむらちゃん、最近まで入院していたみたいだし、生活で忙しいみたいで」

マミ「そうね。無理に誘うものでもないし、仕方ないわ。さて、それじゃあ気を取り直して。魔法少女体験コース第一弾、張り切っていってみましょうか! 準備はいい?」

さやか「もちろんです!」

まどか「は、はい。わたしも大丈夫ですっ」

まどか(……ほむらちゃん、今頃なにしてるかな?)


 ~ほむホーム~


レイケツ「ただいま」

ミエ「ただいまー!」

ナマケ「おかえり」

メガほむ「ただいまー……って、あれ? 今日はあなた一人?」

ナマケ「そうだよ」

メガほむ「そっか。あなた、いつもちゃんとお留守番してくれるね」

ヤキモチ「……というかさ」

ネクラ「お前さ」

ワルクチ「サボってるだけじゃないよな」

ナマケ「……」

ウソツキ「うたがうのはよくないよ!」

メガほむ「うーん。ほかの子たちはまだ遊びまわってるのかな。お夕飯にはきちんと戻ってくるかな……」

ナマケ「ううん」

メガほむ「えっ、戻ってこないの!?」

ナマケ「違う。遊んでるわけじゃない」

メガほむ「へ? ああ! いまいない子たたちは遊びまわってるわけじゃないってこと? でも、じゃあ何を――」

ネクラ「あ、そっか」

ノロマ「今日は、あれか」

ミエ「そういえば、そうだっけ」

メガほむ「……アレ?」

ヤキモチ「うん」

レイケツ「葬列」

ナマケ「その盛り上げ」

メガほむ「……え?」

メガほむ(そう、れつ……?)





マミ「こうやって魔力の痕跡をたどっていくの。魔女探しは基本足頼みよ」

まどか「……い、意外と地味なんですね」

さやか「だねー。マミさん。魔女のいる場所、せめてめぼしぐらいはつけられないの?」

マミ「そうね。事故の多い大きな道路とか歓楽街は優先的にチェックしないとね。あとは自殺に向いた人気のない場所とか……それから、病院に取りつかれたら最悪よ。ただでさえ弱ってる人から生気をすって、目も当てられないことになるもの」

さやか「それだけわかってたら、結構限られてくる気もするけど……」

マミ「魔女もじっとしてるわけじゃなくて、何度も移動するから……あら。かなり強い魔力の波動だわ。近いかも」

まどか「えっ。ほ、ほんとうですかっ?」

さやか「おおっ。いよいよかぁ!?」

マミ「ええ。たぶん、この通りを抜けた先の建物に間違いないけれども――」

マミ(あら? でも、この反応……)

まどか「こ、このすぐ先に……」

さやか「こ、怖くなんかないっての! よしっ」タタタタッ

まどか「あ、さやかちゃん!?」

マミ「あ、美樹さんっ。勝手に離れられると――」

さやか「悪者の巣はここかぁ!」

偽街の子供達「?」


イバリ「ミキサヤカ?」

マヌケ「トモエマミ?」

オクビョウ「カナメマドカまで」

ガンコ「なに?」

マミ(やっぱり。……昨日とは違う子も多いけど、魔力のパターンが同質だから同じ魔女から分裂した使い魔に間違いないわね)

さやか「なんだ。マミさんのソウルジェムに反応した魔力って、あんたらのかぁ」

ヒガミ「魔力?」

オクビョウ「わたしたちの?」

マミ(でも、さっき拾った魔力はこの子たちにしてはパターンが少し変だった気もするんだけど……)

さやか「そうだよ。こっちは魔女探しをしてたの。まったくまぎらわしいなぁ。ビビらせんなっての」

まどか「あ。さやかちゃん、やっぱり怖かったんだ」ウェヒヒ

さやか「ばッ。そ、そんなことないっての!」

マミ(……おかしいわ。やっぱりこの子たちとは明らかに異質な魔力が混ざってる!)


さやか「それであんたらは何しにここに来てるわけ? 子供が遊びに来る場所じゃないでしょ、こんなとこ」

まどか「そうだよ。あんまり変なところにいると、ほむらちゃんが心配するよ?」

ワガママ「そんなこと言っても」

ヒガミ「ここにこないと盛り上げられない」

マミ「……盛り上げるって、何をかしら?」

ガンコ「葬列」

マヌケ「葬列」

ワガママ「あれの!」

オクビョウ「葬列」

まどか「あれって、屋上……? あっ!」

さやか「ッ。マミさん、あれって!」

OL「……」フラリ

マミ「!」ヘンシン


まどか「そ、その人は」

マミ「大丈夫、気を失ってるだけよ。――それよりも」キッ

マヌケ「なんだ」

ヒガミ「助けられちゃった」

オクビョウ「葬列は中止?」

ガンコ「残念」

まどか「ざ、残念って、そんな……」

さやか「あんたたちっ。自分たちが何を言ってるのかわかってるの!? マミさんが来てなかったら、その人死んでたんだよ!?」

イバリ「そうだね」

ワガママ「それが?」

さやか「なっ――」

マミ「美樹さん。ストップ」


さやか「ちょ、マミさん、なんで!」

マミ「いいの。使い魔ってそういうものだってわかっていながら、安易に見逃したわたしも悪かったわ」

まどか「ま、マミさん。もしかしてその子たちと戦うつもりじゃ……」

マミ「暁美さんとの約束もあるし、ここにはこの子たちより優先する敵もいるみたいだから、できれば戦いたくはないけれども……ねえ、あなたたち。この人の首筋に魔女の口付けがされていたけれども、あなたたちの仕業?」

イバリ「違うよ」

ヒガミ「葬列は見るもの」

ガンコ「葬列を開くのは、ご主人様」

マミ「でしょうね。魔力のパターンがまったく違ったもの。……念のため聞くけど、あなたたちの『ご主人様』の仕業でもないわよね」

さやか「!」

まどか「マミさんっ」

マミ「ごめんなさいね。それでも、聞かなきゃいけないの。……それで、どうなのかしら?」

マヌケ「うん」

オクビョウ「違うね」

ワガママ「ご主人様はデキソコナイ」

イバリ「他人の葬列は、開けない」

ガンコ「だからわざわざ来てるの」


まどか「……」ホッ

さやか「……」

マミ「そう。少しだけ安心できたわ。……あなたたちは何故だか葬列という言葉にこだわってるみたいだし、さっきの人の自殺を止めるつもりはなかったわよね?」

ヒガミ「うん」

ガンコ「止めたら葬列にならない」

さやか「お前ら――」

マミ「美樹さん、落ち着いて。この子たちがOLの人に危害を加えたわけじゃないのは確かなの。

さやか「それは、そうなのかもしれませんけど……でも……!」

マミ「いまは、それでいいの。それで聞きたいんだけど――もし暁美さんの葬列が開かれそうだったら、あなたたちはどうするの?」

イバリ「なにそれ」

オクビョウ「葬列でしょ」

ヒガミ「しかも」

マヌケ「ご主人様の」

ガンコ「それなら」

ワガママ「やることはひとつ!」

マミ「……」

さやか「……」

まどか「……」


偽街の子供達「「「盛り上げる」」」



まどか「っ」

さやか「……へぇ」

マミ「……暁美さんとは、また話し合う必要があるみたいだわ」

オクビョウ「そうなの?」

マヌケ「なにを話すの?」

さやか「……お前たちのことだよ」

イバリ「ふーん」

ワガママ「そうなんだ」

まどか「ぁ……」

マミ「とりあえず、この子たちは置いていきましょう。すぐ人に危害を加えるってわけでもないのは確かみたいだかし、OLの人を操っていた魔女を逃がすわけにもいかないわ」

まどか「は、はいっ」

さやか「……わかった。確かにそっちのほうが優先だよね」

ガンコ「結界に入るの?」

ヒガミ「いってらっしゃい」

マミ「……」

さやか「……」

まどか「……」



 ~叛逆後の世界~


デビほむ(うーん。あの子たちを見つけ出せる手段がないわけでもないのだけれど……なんというか、わたしのプライドが許さないわ、その方法は。いやでも……)

なぎさ「…………」キーコ キーコ

デビほむ「……あら」

デビほむ(あそこでブランコをこいでるのは、百江なぎさ? ……そういえば、巴さんと喧嘩していたのよね)

デビほむ「百江なぎさよね」

なぎさ「……? お姉さん、誰ですか?」

デビほむ「巴さんの知り合いよ」

なぎさ「ぁ。マミの……」

デビほむ「そうよ。……あなた、こんなところで何をしてるの?」

なぎさ「実は……友達を待ってるのです」

デビほむ「友達? こんなところで? もう小学校も終わって、帰宅の途中でしょう?」

なぎさ「はい。そうなのですけど、この公園でよく会ってた友達がいたのです」

デビほむ「そうなの。違う小学校の友達なのかしら?」

なぎさ「はい。なのに、その友達と最近は会えないのです。考えてみれば、あの子たちのおうちも連絡先も知りません。……このまま、お別れなのかもしれないのです」


デビほむ(……そっか。あの子たちには、百江なぎさの監視も頼んでいたわね。ええ、まあ一緒に遊んでたっていうのは聞かなかったことにしましょう)

なぎさ「もうあの子たちに会えないかもしれないって、そんなことを考えていた時に、マミにそのことを聞かれて……それで、なんだか自分でもよくわからないくらい腹が立って、それでマミにあたり散らしてしまいました……」ジワッ

デビほむ「……」

なぎさ「最低なのです。もう、マミにもここで会ってた友達にも、あわせる顔がな――」

デビほむ「大丈夫よ」

なぎさ「――え?」

デビほむ「大丈夫よ。巴さんならそんなことくらい優しく許してくれるだろうし……その子たちも、きっとそんなにいい子でもないから、ちょっと悪い子が相手でも何にも気にしないわ」

なぎさ「そう、でしょうか」

デビほむ「ええ。だからあなたは巴さんと仲直りをしてきなさい。……その友達も、そのうちひょっこり戻ってくるわよ」

なぎさ「そう、ですねっ。うん! お姉さんの言う通りなのです! わかりましたっ。なぎさはすぐにマミに謝ってくるのです!」

デビほむ「ええ。それがいいわ」

なぎさ「はいっ。ありがとうございました、お姉さん。それじゃあ!」

デビほむ「ええ、頑張ってきなさい」


 ~ほむホーム~

デビほむ(……そうね。わたしのプライドだなんて、そんなくだらないことにこだわっている場合じゃなかったわね)

デビほむ「インキュベーター」

QB「なんだい、ほむら」ヒョコ

デビほむ「あなた、世界中のあちこちに個体がいるのよね」

QB「まあ、否定するほど間違った認識ではないね」

デビほむ「そう。……あなたに頼み事をするのは心底しゃくなのだけれども、しかたないわ。見滝原だけではなくて、日本全域であの子たちを探しなさい」

QB「……やれやれ。わかったよ。だだし、多少の時間はもらうよ?」

デビほむ「いいわ。それで、どのくらいかかるの?」

QB「ひと月は待たせないさ」

デビほむ「わかったわ」ファサ




今日はここまで。

割と気合いれて投下したのに、二話がまだ終わってないなんて、そんなの絶対おかしいよ! おかしいよ……


このSSのさやかちゃんたらほんとマトモなことしか言わないきれいなさやかちゃん。

そしてクララドールズはかわいいだけじゃなくて不気味かわいいのも魅力。


また明日も夜に続きを投下する。


マミ「ティロ・フィナーレ」

Gertrud:Aaaaaaaaaaa…….

さやか「か、勝ったの?」

まどか「すごい……!」

マミ「そうね、もう大丈夫よ。……それで、これがグリーフシード」ヒョイ

まどか「真っ黒い、宝石……?」

マミ「宝石のように見えるけれども、これは魔女の卵よ。運が良ければ魔女が時々持ち歩いているの」

さやか「げっ、あれの卵っ?」

QB「大丈夫だよ。この状態なら安全だよ。むしろ役に立つ貴重なものだ」

マミ「見て。わたしのグリーフシード、昨日よりちょっと色が濁ってるでしょう。でも、グリーフシードを使えば――」シュウウ

まどか「わぁ。きれいになった」

マミ「ね? これで消耗したわたしの魔力も元通り。前に話した魔女退治の報酬っていうのが、これ。――それで、あなたたちはいつまでそこにいるのかしら?」

偽街の子供達「……」


まどか「あ。あの子たち……」

さやか「まだいたのか、あいつら」ジトッ

マミ「それで、どうするの? わたしたちは、いますぐあなたたちをどうこうしようという気はないわよ? それとも……そっちはそうじゃないっていいのかしら」

まどか「ま、マミさん。そんな風に言わなくっても……」

さやか「いいや。マミさんの言う通りだよ。あんたら、ここに残って何してたのさ。葬列ってやつは中止になったんでしょう?」

偽街の子供達「……」

マミ「そうね。事情次第では、こちらも黙って見ているわけには――」

偽街の子供達「かぁいそうに」

マミ「――ぇ?」


まどか「か、かわいそう……?」

さやか「はぁ? あんたたち、いきなり何を――」

イバリ「あぁ」

オクビョウ「かぁいそうに」

マヌケ「かぁいそうにねぇ」

ワガママ「かぁいそうなちょうちょだよ」

マミ「だ、だから、あなたたち。さっきから、いったい何を……?」

マヌケ「不信」

ガンコ「人間不信」

ヒガミ「バラ以外は信用しない」

オクビョウ「だから自分のバラ園にこもった」

イバリ「ただそれだけだったのに」

まどか(あ。これって、もしかしてあの魔女のこと……?)


イバリ「そんな自分のバラ園で」

ガンコ「きれいにお髭を整えていたのに」

ヒガミ「きれいなバラを育てていたのに」

マヌケ「たったそれしか残ってないのに」

オクビョウ「あぁ」

ワガママ「かぁいそうに」

ヒガミ「かぁいそうに」

さやか(……なに、これ。こいつらの言葉もしぐさも、これっぽっちも心に響かない。むしろ、ただただ、キモチ悪くて不気味でしかない……!)

イバリ「シクシク」

マヌケ「シクシク」

オクビョウ「シクシク」

偽街の子供達「シクシクシクシク」


さやか「あんたら、やっぱり人間とは違うんだね」

まどか「さ、さやかちゃん……」

さやか「だってそうでしょう、まどか。あんた、さっきの見て何とも思わなかったの?」

まどか「ぅ。それは……」

マミ「……鹿目さん、美樹さん、帰りましょう。話し合いは、暁美さんもいないと意味がないわ」

イバリ「そう?」

マヌケ「じゃあ、おしまい?」

オクビョウ「葬列は、おしまい?」

ガンコ「おしまい」

まどか(さっきまで泣いてる時は、うつむいて顔を手で覆ってたけど……)

さやか(こいつら、やっぱり泣きまねか)

マミ「ええ。もうおしまいにしないとね」

さやか「ほむらにもちゃんと言っておくよ。……あの子の目を覚まさせてやんないと」

ワガママ「?」

ヒガミ「なんのこと?」

さやか「ふんっ。あんたらにはわかんないことだよ。――マミさん。ほむらには明日、マミさんの家に来るよう伝えときます」

マミ「そう。お願いね。できるだけ早いうちのほうがいいものね」

まどか「……」


ヒガミ「行っちゃった」

ワガママ「行っちゃったね」

マヌケ「ま、いっか」

イバリ「おしまいなら、帰ろう」

オクビョウ「そうだね」

ガンコ「ご飯の時間」

ワガママ「ご飯!」

ヒガミ「帰ろう」

マヌケ「うん」

オクビョウ「ご主人様のところに」

ガンコ「帰ろう」


~ほむホーム~


ネクラ「それで」

ミエ「ご飯は」

ノロマ「まだー?」

メガほむ「まだだよ。外に行った子が帰ってくるまで待つの。みんな揃ってからのほうがいいでしょ?」

レイケツ「いや別に」

ウソツキ「先に食べよう」

メガほむ「だーめ」

ヤキモチ「えー」

ミエ「あいつら――あ」

イバリ「ただいまー」

ワガママ「ご飯!」

ナマケ「帰ってきたね」

ワルクチ「遅い」

メガほむ「ふふっ、おかえり。それじゃあ、ご飯にしよっか」

ワガママ「ご飯!」


レイケツ「いただきます」

ワガママ「いただきます!」

メガほむ「いただきます。……それで、今日は帰りが遅かったけど、外で何をしてたの?」

イバリ「葬列」

ガンコ「葬列」

マヌケ「葬列」

メガほむ「あー、うん。それは残ってた子に聞いてたから知ってる。だから、できれば何のお葬式だか教えてくれたら嬉しいなって、そう思うんだけど……」

ヒガミ「なんの?」

ガンコ「なんのって言われたら」

オクビョウ「ちょうちょだね」

ワガママ「ちょうちょの葬列!」

メガほむ「……ちょうちょ?」


メガほむ「ちょうちょって、あの、ひらひらーって飛んでる蝶々?」

イバリ「ひらひらというか」

ワガママ「どろどろというか」

ガンコ「とにかくちょうちょ」

オクビョウ「バラが好きだったちょうちょ」

マヌケ「かぁいそうなちょうちょ」

ヒガミ「その葬列」

メガほむ「ふーん、そっか。ちょうちょの葬列かぁ」

メガほむ(なーんだ。葬列って聞いてちょっと不安になってたけど、蝶々のお葬式なんだ。ふふっ。よくわからないところも多い子たちだけど、やっぱり子供らしくってかわいらしいところもあるんだ)

ネクラ「どうしたの、ご主人様?」

ワルクチ「なに笑ってるの」

メガほむ「ううん、何でもないよ」

ノロマ「ふーん」

レイケツ「変なの」

ナマケ「いつも変だけど」

ヤキモチ「いまもやっぱり変なの」

メガほむ「こーら。そういうこと言わないの」ニコニコ

今日はここまで。

今週中に三話当たりまで書くって宣言した。
その結果、今週末のいま二話が終わった。
つまり三話目の頭に突入した。

オーケー。何の問題もない。だって誰も三話の最後まで書くなんて言ってないもん。


明日は深夜に続きを投下……できればいいな。


~夜の公園~


マミ「ティロ・フィナーレ!」

Ulla:Uuuuuuuuuuu……

まどか「やった!」

さやか「おおっ。やっぱマミさんってカッコいいね~」

マミ「もう。見せものじゃないのよ。危ないことしてるって意識が忘れないでおいて欲しいわ」

さやか「いえーす」

まどか「あはは、さやかちゃんたら……。でも、グリーフシードを落とさなかったね」

QB「今のは魔女から分裂した使い魔でしかないからね。グリーフシードは持ってないよ」

まどか「あ……使い魔、だったんだ」

さやか「……あいつらと一緒か」

マミ「……」

まどか「ほむらちゃん、大丈夫かな」

さやか「ふんっ。知ったこっちゃないよっ――とは言えないよね、やっぱり。くっそう、あの分からず屋めぇ」

マミ「仕方ないわ。何が悪いってわけじゃなくても、言葉が通じない時ってあるものだから。――さ、行きましょう」


~回想・マミホーム~


マミ「はい、どうぞ暁美さん。新しく封を切ったエキセアなんだけど、お口に合うかしら?」

メガほむ「はい。とってもおいしいです」

マミ「良かったわ」ニコ

さやか「ほー。これそんなおいしいの? どれどれ――って、マミさんこれすっぱい! すっぱいよ!?」

まどか「さ、さやかちゃん、落ち着いて? たぶんこれ、もともとそういう味だと思うよ」

さやか「そ、そっか。ああ、うん、そうだよね。……けどほむら。これおいしいか?」

メガほむ「え? その、はい。体にじんわり染みわたっていく感じがして、けっこう好きな味です」

さやか「へー、ほー、ふーん。……え。マジで?」

マミ「ふふっ。美樹さんには、まだちょっと早い味だったかしら?」

さやか「えっ? いや、そんなことないっすよ! ほれこの通り!」ゴクゴク

まどか「さやかちゃん……」

メガほむ「美樹さん……。その、個人の好みもあると思うので無理に――」

さやか「っぷはーっ。マミさん、おかわり!」

マミ「わかったわ。美樹さんには、ちゃんと飲みやすいお茶をいれてくるから待ってて。確か、一回分ぐらい残ってたカモミールティーがあったはずですか」

さやか「……えー。何でしょうかね。いまのあたしに何か言いたいことはあるかなぁ、ほむら」

メガほむ「その、なんていうか……ごめんなさい!」

さやか「うん。謝らないで……むしろみじめになっちゃう」シクシク

まどか「あはは……。あ、マミさんっ。わたしもそっちのお茶でいいですか?」

マミ「ええ、もちろんよ」

今日はここまで。

うん、書けない日ってあるよね。疲れてるとか、飲み会明けとか、別のSS書いてるとか。


明日は果たして続きを投下できるのか……?

さて、そろそろ続きを書き始めようと思うんだけど……どうしよう。

このSSと関係ない話で読んでくれてる方にはすっごい申し訳ないんだけど。
SS初心者でこういうのに初めて遭遇して、まあ知識としては反応しないのがいいと知りつつも、どうしても言いたいことが一つ。


眺めてるとなんか楽しくなってきた。


ほんとにどうしよう。なんか元気出てきた。ありがとう。

今日は投下を頑張れる気がする。


マミ「はい、どうぞ美樹さん。カモミールティーよ。飲みやすいブレンドにしてあるから、遠慮なくぐいっといっちゃってね」クスクス

さやか「ありがとうございます、マミさん。このお茶おいしいですね……ええ、お子ちゃまな味覚なあたしにもわかる素敵なお茶ですとも!」

まどか「ほむらちゃん、あんまり気にしなくていいからね?」

メガほむ「あはは……。それで、今日はお話があるって聞いたんですけど……?」

さやか「……」

まどか「……」

マミ「そうね。あの使い魔の子達のことで、ちょっとね」


メガほむ「あ、そうなんですか。あの子達の……。いったいどうしたんですか?」

さやか「どうかしたっていうかさ――」

マミ「美樹さん。わたしのほうから話させて? ……お願い」

さやか「……はい。でも、遠回しの言い方で無理だったら、わたしにも言わせてください」

マミ「……わかったわ」

メガほむ「……?」

まどか「……」

マミ「話の腰を折っちゃってごめんなさい、暁美さん。それで話なんだけれども……あの子たちと、距離を置いてみる気はない?」

メガほむ「はい?」キョトン


メガほむ「あ、そうなんですか。あの子達の……。いったいどうしたんですか?」

さやか「どうかしたっていうかさ――」

マミ「美樹さん。わたしのほうから話させて? ……お願い」

さやか「……はい。でも、遠回しの言い方で無理だったら、わたしにも言わせてください」

マミ「……わかったわ」

メガほむ「……?」

まどか「……」

マミ「話の腰を折っちゃってごめんなさい、暁美さん。距離を置いてみる気はない?」

メガほむ「ない


メガほむ「ええっと、距離を置くってどういう……というか、そもそも何でですか?」

マミ「ほら、なんていうのかしらね。わたしも一人暮らしをしてるじゃない? だから、やっぱり生活の大変さは分かるのよ。一人で生活を回していくのって、本当に大変よね。でも、それをこなしてる暁美さんは、すごいと思うわ」

メガほむ「い、いえ。わたしなんてまだ退院してちょっとだけで……。もう何年も一人暮らしをしている巴さんのほうが、ずっとすごいです」

マミ「ふふっ、ありがとう。……でもね、やっぱり一人で生活していくっていうのは時間を削っていくことなの。暁美さんみたいに自分以外の子の世話をしながらだと、特にね」

メガほむ「それは……そうかもしれませんけど」

マミ「特に暁美さんは退院したてだから無理がきく身体じゃないだろうし……あんまりこういうことを言いたくはないんだけど、暁美さん。ちょっと、勉強のほうも遅れちゃってるんでしょう?」

メガほむ「う……。そう、ですけど、なんで巴さんがそれを――」

まどか「……ごめんね、ほむらちゃん」

さやか「あたしたちのほうから話しちゃったんだ。勝手に話したことについては、ごめん。謝るよ」

マミ「暁美さんも二人を責めないで? わたしが聞き出したんだし、それに全然気にすることではないと思うの。仕方のないことだし、これからいくらだって取り戻せるわ。言ってくれれば、わたしだって協力できるしね。何せ、これでもあなたたちの一つ上だから」

メガほむ「あ、ありがとうございます」

マミ「どういたしまして。……でもね、やっぱりそれをするのには、時間がいると思うのよ」


メガほむ「……時間、ですか?」

マミ「そうよ。わたしも魔法少女の活動しながら学校へ行ってるから、大変さは身に染みてわかってる。勉強をするのもそう。生活を回すのもそう。せっかく退院できた体を無理させないことも大切だわ」

メガほむ「そ、そんなの、どうにでもなりますっ。わたし、勉強なら頑張りますし、あの子たちの世話だったら別に無理なことありませんっ」

マミ「そう。でもね、暁美さん。鹿目さんや美樹さんと遊ぶのにだって時間がいるわ」

メガほむ「……ぁ」

マミ「わたしはね、魔法少女になったものとして、この町を守らなくちゃいけなかった。魔女から街のみんなを守るために頑張って頑張って、それで、魔法少女になってから以前の友達とは、だいぶ距離が離れちゃった。当然よね。魔法少女の活動を優先させて、友達との付き合いが悪くなっちゃったもの。それでもそれを後悔したことなんて……ないわ」

さやか「……」

まどか「マミさん……」

マミ「でもね暁美さん。あなたには普通の女の子としての幸せな生活があるのよ。素敵な学校生活。友達との楽しい放課後。それを犠牲にしてまであの子たちの世話をするの? それっておかしなことじゃない?」

メガほむ「おかしな、ことなんかじゃ……」

マミ「本当にそうかしら。そもそも、使い魔と一緒に住んでことが変なことだしね」

メガほむ「……変、って」カチン


メガほむ「それは、変なのかもしれませんけど、だからって関係のない巴さんに言われることじゃないと思いますっ」

マミ「関係ないってことはないわ。わたしは魔法少女だもの。その経験からいわせてもらえば、使い魔と一緒に住んでいるという今のあなたの状況はあまり良いものだと思えないわ」

メガほむ「……魔法少女だから何なんですか? 魔法少女ってだけでなんでもわかるっていうんですか? あの子たちのこと何にも知らないくせに、一方的に離れたほうがいいだなんて、なんでそんなこといえるんですか……!」

マミ「それは……」

まどか「ほ、ほむらちゃん、落ち着いてっ。マミさんだってなにも悪気があって言ってるわけじゃないんだよ? だから、ね?」

メガほむ「鹿目さん……」

さやか「そうだよ、ほむら。マミさんはあんたのことを思って言ってるんだよ?」

メガほむ「……わたしの、ため? 」


メガほむ「わたしのためって何なんですか? あの子たちから離れろって、そんなこと言われて何がわたしのためなんですか?」

まどか「ほむらちゃん……」

マミ(しまったわね。思った以上にあの使い魔たちに対して愛着心が湧いてしまってるのね……。これは、逆効果だったかも)

メガほむ「……さっきから、いったい何なんですか。なんだか遠まわしで、ぼやかした言い回しで何かごまかそうとしてませんか? 言いたいことがあるなら、はっきり言ってください」

さやか「わかった。あたしだってこんな風にごまかすのは嫌いだからね。もうはっきり言うよ、ほむら。あんた、あいつらを追い出しなよ」

メガほむ「……それが今日、本当に言いたかったことなんですね。でも、なんでそんな話になったんですか? この間は条件付きだけれども一緒にいていいって、巴さんが許してくれたんじゃないですか」

マミ「そうね。そうだったんだけど、状況が変わったの。……いいえ。あの使い魔の子達対する認識が変わったって言い方のほうがいいかしら」

さやか「そうだよ。ほむら。あたしたちは昨日あいつらに会って、見ちゃったんだ」

メガほむ「何をですか?」

さやか「あいつらが、OLの人の自殺を眺めてるところだよ」

メガほむ「!」

今日はここまで。

また明日も続きを投下する。

そろそろ続きを投下します。

読んでる方にはご迷惑だと思うけど、自分のスレに湧いてる変な子を見ているとやっぱり面白い。ううむ。我ながら不思議。

駄文がエサらしいので毎日欠かさずエサやりをしよう思います。


さやか「マミさんがその人を助けてくれたからよかったけど、そうじゃなかったらOLの人は死んでた。あいつらは、それを眺めるつもりだったんだ」

メガほむ「い、言いがかりですよっ。そんなことわからないじゃないですかっ。もしかしたら助けるつもりだったのかもしれませんしっ」

マミ「それはないわね。わたしたちがそれを聞いたら、あの子たちははっきり違うって答えたもの。『止めたら葬列が中止になる。盛り上げられない』ってね」

まどか「ほんとのこと、だよ」

メガほむ「……っ。でも、そんなの、あの子たちが何をしたってわけでもないじゃないですか! わたしだって、自殺をしようとしてる人がいたならどうしたらいいかわからなくなるだろうし、きっとどうにもできませんよっ。見ていたからいけないなんて……それは、そうなのかもしれませんけど……。でも……」

マミ「そうね。OLの人だって、魔女に操られて自殺をしそうになっていたのだから、その面ではあの使い魔の子達に非はないわ」

メガほむ「じゃあ――」

マミ「でも、あの子たちが人の死を見送って、ましてや人の死を盛り上げようなんて発言をしたのは事実よ。使い魔ってそういうものだってことから目をそらすのはよくないわ。……それにね、暁美さん」

メガほむ「……まだ、あるんですか?」

マミ「ええ。一番大事なことよ」

さやか「ほむら。その時にマミさんがあいつらに聞いたんだよ。ほむらが死にそうになったらどうする、ってさ。あいつら、なんて答えたと思う?」

メガほむ「……それ、は」

さやか「盛り上げるって、口をそろえて言い切ったんだよ」

メガほむ「…………」


さやか「しかもさ、マミさんが魔女を退治した後、あいつらはその魔女の葬列のままごとみたいなことを始めたんだ」

メガほむ「……葬列の、ままごとですか?」

まどか「うん。マミさんが戦った魔女っていうのが、どろどろしてるさなぎの中身に蝶々の羽をつけたみたいな怪物だったんだけど、それをかわいそうな蝶々だっていって」

メガほむ「そう、ですか……。それで、蝶々のお葬式って……」

さやか「ほむら。あいつらは不気味だよ。人間じゃないんだ」

マミ「そうね。やっぱり暁美さんは、あの子たちとは距離をとったほうがいいわ。使い魔だって結界を張れるのだから、必ずしも暁美さんのおうちにいる必要もないでしょうし。わたしだって人に危害を加えない使い魔を退治しようなんてことしないわ」

まどか「ほむらちゃん。その、どうかな? マミさんの提案なら、別に離れて暮らしても、もう会えなくなるってわけでもないと思うの」

マミ(……もし魔女になって呪いを生み始めたら、さすがに黙って見てるわけにはいかないでしょうけど、ね)

メガほむ「……やっぱり、嫌です」


さやか「ほむら、あんた――」

メガほむ「あの子たちが人間じゃないっていうのは確かにその通りです。行動が不気味だって言われれば、そうなのかもしれません。でも逆に、人間じゃないならわたしたちとは違う価値観なのも当然じゃないんですか?」

マミ「それは、そういってしまえばそうなのかもしれないけれども……」

メガほむ「だいたい、魔女が退治された後のお葬式だって、あの子達なりに真剣にやってたのかもしれないじゃないですか。わたしたちからしたら、その魔女っていうのは怪物でしかないのかもしれないですけど、あの子たちにとっては、死んじゃったら悲しいものなのかもしれないじゃないですかっ」

さやか「はっ。あれが真剣にだって? あいつらが悲しんでたって? それはないよ。ほむらはアレを見てないからそんなことが言えるんだ」

メガほむ「それは美樹さんが勝手に思ってるだけなんじゃないんですか? ……思い込みが激しくって他人をすぐケンカしちゃうって、鹿目さんが言ってた通りだと思います」

さやか「……なんだとぉ?」

まどか「ほ、ほむらちゃん!? わたし、何もそんな風に言ったわけじゃないよ!」

メガほむ「……ごめんなさい、美樹さん。言いすぎました」

さやか「……別に、気にしてないよ」


マミ「でも、暁美さん。あなたはやっぱり、あの子たちと離れるつもりはないのね?」

メガほむ「……はい。ありません」

さやか「……」

マミ「そっか。……でも、わたしが最初に言った問題はどうするの? あなたのこれからが心配だっていうのも、わたしたちの本心なの」

メガほむ「それなら、解決する方法があるってさっき思い出しました。……キュゥべえ」

QB「なんだい?」

メガほむ「キュゥべえ。あなたと契約すれば、どんな願いもかなえられるんだよね?」

QB「ああ、もちろんさ、暁美ほむら」

メガほむ「そっか。やっぱり、そうなんだよね」

マミ「ッ。暁美さん。あなた、まさか――!」

QB「けれども、君はその祈りのために魂を懸けられるかい? 戦いの定めを受け入れてまでかなえたい望みがあるというのなら――僕が力になってあげられるよ」

メガほむ「うん。あの子達のためなら、いいよ。わたし、魔法少女になる」

まどか「ほむらちゃん!?」

さやか「ほむら!? あんたなに考えてるの!?」」

QB「そうかい。なら、教えてごらん。君はどんな祈りでソウルジェムを輝かせるんだい?」

メガほむ「わたしは――」

今日はここまで。

BD特典のクララドールズ部分には大満足。大満足なんだけど、ノロマちゃんが無口っ娘らしいと知って少なからずびっくりした。……これからはあんまりしゃべらせないようにしよう。
他は帽子をとったワガママちゃんと、予想以上にミニスカートだったナマケちゃんが何だか新鮮。レイケツちゃんは不機嫌かわいい。


明日もまた続きを投下する。


メガほむ「わたしは、時間が欲しい。入院していた今までを取り戻せるような時間が、友達とも一緒にいられる時間が、何よりもっとあの子たちと過ごせるような時間が――」

マミ「やめて!」

メガほむ「!?」ビクッ

まどか「ま、マミさん?」

QB「マミ? どうして止めるんだい?」

マミ「ダメよっ。魔法少女がどんなものかもしれないうちにQBと契約したら、あなたは絶対に後悔する。あなたには、まだ選択する余地があるの。だから、お願いだから冷静になって……!」

さやか「マミさん……」

メガほむ「……」

QB「それで、君はどうするんだい、暁美ほむら」

メガほむ「……すいません、巴さん。もう帰ります。ちょっと、頭も冷やしておきたいので」

QB「そうかい。残念だけど、君がそういうなら仕方ないね」

マミ「そうね。これ以上は、お互いに余計なトラブルを生むだけになりかねないものね。今日はお開きにしましょう」

メガほむ「はい。わかりました。……それじゃあ、お先に失礼します」

さやか「…………」

まどか「あ、ほむらちゃん……」

メガほむ「ごめんなさい、鹿目さん。――巴さん。今日はお招きいただいてありがとうございました。お茶、おいしかったです」

マミ「……そうね。今度、また落ち着いて話をしましょう」






~夜の公園~


さやか「うー。いま思い出してもあの時のことはちょっと腹が立つけど……しっかしそれ以上に、ほむらがあそこまで思いつめちゃうとはなぁ。まさかあいつらのために一回きりの願い事を使おうとするだなんて思わなかったよ」

マミ「そうね。でも、暁美さんの気持ちを考えずにこっちの意見を押し付けようとしたわたしたちも悪いと思うのよ。結果的に、あの時に暁美さんを追い詰めちゃったのは、わたしたちだわ」

まどか「そうですよね。……ほむらちゃん、あんなにあの子たちのこと大事に思ってたんだ」

さやか「でもさ、あいつらはほむらのことどうでもいいと思ってるんだよ? それを知らないでいるっていうのは……やっぱり、ほむらがかわいそうだよ」

マミ「そうね。どうにかしてそれを伝えられればいいんだけど……」

まどか「……」

さやか「あの葬列のままごとを目の前でやられればほむらの目も覚めるとは思うんだけど、難しいよね。……でもさ、ほむらとの会話で思ったんだけど、願い事って他人のためのものでもいいんだね」

まどか「それって……上条君のこと?」

さやか「なっ……! ほ、ほむらとの会話で思ったっていったじゃんか!」


QB「べつに契約者自身が願いごとの対象になる必然性はないね。前例もないわけじゃないし」

マミ「……でも、あまり関心できた話じゃないわ」

まどか「あ……。やっぱり、そうなんですか?」

マミ「ええ。暁美さんの時にも言ったけれども、選択の余地がある子にはちゃんと考えて欲しいの。……自分の願い事に、後悔なんてしてほしくないから」

さやか「願い事をかなえて後悔って、どういうことですか?」

マミ「そうね……。たとえば、他の人の願いを叶えるのなら、なおのこと自分の望みをはっきりさせておかないと」

まどか「自分の、望み?」

マミ「そう。暁美さんが途中まで口走っていた願い事は、何だかんだで自分の望みも叶えるものだったみたいだけど――美樹さん。あなたは、その人に夢を叶えて欲しいの? それともその人の夢を叶えた恩人になりたいの?」

さやか「……」

まどか「――マミさん」

マミ「同じようでも全然違うことよ、これ」

さやか「……その言い方は、ちょっとひどいと思う」

マミ「ごめんね。でも今のうちに言っておかないと。そこをはき違えたまま先に進んだら、あなら、きっとあの時の暁美さんが契約した場合以上に後悔するから」

さやか「……そうだね。あたしの考えが甘かった。ごめん」

マミ「やっぱり、難しい事柄よね。焦って決めるわけじゃないわ。暁美さんにも、そう伝えておいてくれるかしら。……わたしのほうから伝えると、角が立つかもしれないから」

まどか「はい。わたしからほむらちゃんに伝えておきます」

QB「さっきからの会話を来ていると君たちの感情は複雑だね。僕にはとても理解できないよ」

マミ「あら。キュゥべえもまだまだね」クスクス

まどか「あはは……」


~叛逆後の世界~


デビほむ「らんらんららら、らんらんららら~♪」

デビほむ(さて、あの子たちが見つかったわけじゃないけど、時間の問題だと思うとすっきりするわね。久しぶりにすがすがしい気分だわ)

マミ「~♪」

デビほむ(あれは巴さん……。鼻歌なんて歌っちゃって、見るからに期限がよさそうね。まあ、なにがあったかはだいたいわかるけど)

マミ「~♪~♪」

デビほむ「ご機嫌そうね、巴さん」

マミ「暁美さん! ええ、実はなぎさちゃんと仲直りをしたのよ!」ニコニコ

デビほむ「そう。それはよかったわね」

マミ「ええ。それで今日、なぎさちゃんと一緒にチーズケーキを作るの! ふふふっ」

デビほむ(本当わかりやすいわね、この人は)

マミ「でも暁美さんもなんだかすっきりした顔をしてるわよ? いいことがあったのかしら」

デビほむ「……え、えぇ」

デビほむ(そんなにわかりやすかったかしら、わたし……?)

デビほむ「実はこの間から抱えていた問題のめどがつきそうなのよ。それでね」ファサ

マミ「ふふっ。よかったわね」ニコニコ

デビほむ「ええ。よかったわ」フフッ






~翌日・放課後~


メガほむ「す、すいません。補習が終わるまで待ってもらっちゃって」

まどか「いいよ。気にしないで、ほむらちゃん」

さやか「そーだよ。遅れた勉強を取り戻すために、自分からちょっと課題出してもらうようにしたんでしょ? 自分から勉強しよう何て、偉すぎてほむらがまぶしい! 名前通りに燃えあがる太陽か!? 直視できないぜ!」

まどか「あはは……」

メガほむ「さ、さやかさん」

さやか「あははっ。ほむら、まだ夕ご飯の準備までには余裕があるっしょ?」

メガほむ「あ、はい。まだ大丈夫です」

まどか「良かった。なら、帰りにちょっと寄り道して行こう?」

さやか「うんうん。昨日ちょっとぎくしゃくしちゃったしさ。その空気を、遊びでぱーっと散らしちゃおうぜ!」

メガほむ「あ……。は、はい! お願いします!」

まどか「うん。こっちこそお願い」

さやか「どんと任せろ! ……で、その道すがらでちょっと寄りたいところがあるんだけど、いいかな?」

メガほむ「……?」


~病院~


さやか「さあ、着いたぞ! とりあえずはここからだ!」

メガほむ「え? ここって、病院ですよね。さやかさん、何か病気しているようには見えないですけど……」

さやか「おう! あたしはいつだって健康優良児だぞ!」

まどか「さやかちゃんの幼馴染が入院してるんだ。上条君っていう、わたしたちと同じクラスの男の子なんだけど」

メガほむ「あ! もしかして、あのいつも空いてる席の人ですか?」

さやか「そうそう!」

メガほむ「へぇー。そうなんですね」

まどか「さやかちゃん、よく来てるんだよねー。いつもは放課後すぐだから、もうちょっと早い時間なんだけど」

さやか「お、幼馴染だから! それだけだよ!」

メガほむ「……? そうなんですか。仲が良いんですね」

まどか「ほむらちゃん……そういうことだけじゃないんだよ……」

メガほむ「え、え?」

さやか「そういうことだけだよ! ……じゃあ、あたしは恭介のお見舞い行くから、まどかとほむらはここで待ってて!」

まどか「はーい。さやかちゃん、ガンバッテ!」ウェヒヒ

さやか「まぁーどぉーかぁー?」

メガほむ「?」


メガほむ「あ、行っちゃった。……結局、どういうことだったんですか?」

まどか「ふふっ。何でもないよ。……それよりここでただ待ってるのもヒマだし、ちょっとあたりをぶらぶらしよっか」

メガほむ「そうですね」







さやか(この間買ったレアもののCD、恭介喜んでくれるかな。……ってあれ? いま恭介の病室から出てきたのって、恭介のお父さんと主治医の人?)

上条父「……おや? さやかちゃんかい。恭介に会いに来てくれたんだね」

さやか「あー、はい。恭介のお見舞いに来たんですけど……もしかして、タイミングが悪かったりしちゃいましたか、あたし?」

上条父「そうだね。実はさっきまで大切な話をしていて、いまは少し……いや、むしろ、会ってあげてくれないかな。恭介もわたしたちより、よく会いに来てくれるさやかちゃんの言葉のほうが、届くだろうしね」

さやか「……?」

上条父「情けない話だけど、わたしたちでは力不足だったからね……。どうか、恭介を励ましてほしい」

さやか「は、はい、わかりました……?」

上条父「よろしく頼むよ、さやかちゃん」


~病院・駐輪場~


まどか「うーん、駐輪場まで来たけど、特に面白そうなものはないね」

メガほむ「はい。病院ってそういうものですし……って、あれ?」

まどか「ほむらちゃん、どうした――あ」

ノロマ「……」

マヌケ「あれ?」

ガンコ「ご主人様」

ヒガミ「それと、カナメマドカ」

まどか「う、うん。今日はいっぱいいるね……。いつもの倍くらい?」オドオド

メガほむ「どうしたの、あなたたち。こんなところに全員――は、いないみたいだけど。あの子がお留守番してくれてるのかな」

ネクラ「お留守番というか」

ヤキモチ「あれは」

ワルクチ「サボりというか」

ミエ「今日は大切な葬列なのに」

レイケツ「次はひっぱり出す」

まどか(そ、葬列って、もしかして……)ゾクリ

メガほむ「ふふっ、そっか。……それで、大切な葬列ってなんのこと?」

オクビョウ「あれ」

ウソツキ「そろそろ始まる、あれ」

メガほむ「ええっと……何あれ?」

まどか「え? あ、あれって……!」

まどか「グリーフシード!? 嘘、なんでこんな所に……」

メガほむ「ええっと、ぐりーふしーど……?」

ワガママ「うん!」

イバリ「あれが卵」

ガンコ「魔女の卵」

メガほむ「へえー。これが、魔女っていうのの卵なの? ちっちゃいんだね」

ミエ「うん」

マヌケ「もうそろそろ孵るよ」

ヤキモチ「魔女が孵る」

まどか「そ、それじゃあ、またあの迷路みたいのができちゃうの。こんなところで……た、大変! 早くマミさんを呼ばないと! ……って、ああっ。マミさんの番号、聞いてないよ……!」

メガほむ「あの迷路、やっぱり危ないものなんですか?」

まどか「そうだよ!」

ネクラ「そうかな」

ウソツキ「そうでもないよ」

まどか「……っ」

メガほむ「ええっと、これが放っておけないものだっていうなら、とりあえずわたしがここで見張ってます。鹿目さんは巴さんを呼んできてください」

まどか「そんなっ。もしあの迷路が出来上がっちゃったら、ほむらちゃん、出てこれないかもしれないんだよ!?」

メガほむ「大丈夫です。前にあの迷路みたいなのに引っ張り込まれた時も、なんだかんだでこの子たちと一緒にいれば平気でしたから」

レイケツ「なに?」

オクビョウ「ご主人様も一緒に待つの?」

メガほむ「うん、そうだよ。いいよね?」

ノロマ「……」

ワルクチ「別に」

ヒガミ「いいよ」

メガほむ「ふふ、ありがとう。それじゃあ、鹿目さん」

まどか「……あたし、すぐマミさんを連れてくるから!」タタタタッ


ネクラ「カナメマドカは行っちゃった」

ウソツキ「主賓を呼びに、行っちゃった」

メガほむ(……主賓? 何のことだろう?)

メガほむ「ね、あなたたち。主賓って何のこと?」

ワルクチ「ドリル」

マヌケ「チーズ?」

ワガママ「ケーキ!」

メガほむ「うん。もういいよ。わたしの質問に答えてくれないのにはなれちゃったから、もういいよーだ……」

オクビョウ「ところで」

イバリ「待つのはいいけど」

ネクラ「曲がった迷路は」

ミエ「もうできた」

メガほむ「え……わ!」







恭介「動かないんだ……もう、痛みさえ感じない……こんな手なんて……」

さやか「大丈夫だよ。きっと何とかなるよ。諦めなければ、きっといつか――」

恭介「諦めろって言われたのさ」

さやか「っ」

恭介「もう演奏は諦めろってさ。いまさっき、先生直々に言われたよ。今の医学じゃ無理だって」

さやか「……」

恭介「僕の手は、もう二度と動かない。奇跡か、魔法限り、治らない……」

さやか「……あるよ」

恭介「…………?」

さやか「奇跡も、魔法も、あるんだよ」



QB「…………」


今日はここまで。

また明日の夜に続きを投下する。


~結界内部~


Pyotr「……」ピョコピョコ

Pyotr「……」テクテク

メガほむ「……うぅ。やっぱり、変なところ」ビクビク

ヤキモチ「ご主人様?」

オクビョウ「怖いの?」

メガほむ「そりゃまあ……。で、でも、あなたたちが一緒だから、平気かな?」

レイケツ「ふーん」

ウソツキ「そっか」

イバリ「じゃ、奥に行こっか」

メガほむ「え!? お、奥に行くの!?」

ガンコ「そうだよ」

ネクラ「葬列は最前線で」

ガンコ「一番前で盛り上げる!」

メガほむ「うぅ。相変わらずなんのことだかよくわからないけど、とりあえずわかった……」

ノロマ「……」


~病院の駐輪場~


まどか「はあ……はあ……」

マミ「ここね。まだ、魔女は孵化してないみたい」

まどか「間に合ってよかった……」

マミ「まったく、暁美さんは無茶しすぎよ。無事に合流できたら、お説教ね」

まどか「あはは……。ほむらちゃん、無事、ですよね?」

マミ「当然よ。魔女の卵を刺激するのはまずいから、なるべく静かに行きましょう。使い魔の子達の魔力をたどっていけば、暁美さんとも合流できるはずよ」

まどか「は、はい!」

まどか(そういえば、さやかちゃんは……ううん。いまはほむらちゃんのことを考えてないと!)


~病院屋上~


さやか「本当に、どんな願いでも叶うんだね」

QB「大丈夫。君の祈りは間違いなく遂げられる。じゃあ、いいんだね」

さやか「うん。やって」

QB「わかったよ、さやか」

さやか「……ッ!」パアアア

QB「さあ、受け取るといい。それが君の運命だ」

さやか「……これが、あたしのソウルジェム」

QB「そうだよ。――おや。近くで魔女の孵化が始まったようだね」

さやか「え!? こんな場所で……キュゥべえ! 案内して」

QB「行くのかい? どうやらマミも結界の中に入ったようだから、魔法少女になりたての君が行かなくてもいいと思うんだけど――」

さやか「当たり前でしょう。放っておけるわけ、ないじゃんか!」


~結界最深部~

マミ「お待たせ!」

メガほむ「あ、鹿目さんと巴さん!」

まどか「ほむらちゃん! よかった。間に合ったぁ」

レイケツ「来たね」

ヒガミ「主賓が来たよ」

ワガママ「時間ぴったり!」

マミ(……この子達、今日はずいぶん数が多いのね。魔女もそうだけど、一応この子たちにも注意しておかないと)

まどか「じ、時間ぴったりって……」

ミエ「ほら」

ヤキモチ「たったいま」

オクビョウ「魔女が孵った」

Charlotte「……」


メガほむ「あれが、魔女……?」

マミ「せっかくのところ悪いけど……一気に決めさせてもらうわよ!」ドンドンドン

メガほむ「わ、すごいっ」

まどか「やったぁ!」

ノロマ「……」

マミ「ふふっ」

Charlotte「……」

マミ「ティロ・フィナーレ!」

バアン シュルル

Charlotte「……」ニュルン

マミ「――え?」

Charlotte「……」アーン


マミ(あ――口?――避れな――使い魔の子達に注意を向けすぎて――死――!)

Charlotte「!」

ザアン ズシン

マミ「きゃっ」

Charlotte「! ! !」プンスカ

マミ「あ、あなたは……」

マヌケ「あれ?」

イバリ「そっか」

ヤキモチ「こういうことも、あったね」

メガほむ「……み、美樹さん?」

まどか「さやかちゃん!」

さやか「間一髪だったね、マミさん!」


マミ「美樹さん、その恰好……あなた、もしかして――」

QB「君の予想通りだよ、マミ」

さやか「うん。ついさっき、キュゥべえと契約したんだ」

ワルクチ「ふーん」

ウソツキ「よかったね」

さやか「……何だよ。あんたたちにとやかく言われるようなことじゃ――」

まどか「さやかちゃん!」

メガほむ「美樹さんっ、危ない!」

さやか「へ?」

マミ「っ」

Charlotte「――」アーン

さやか「うわっ」

マミ「レガーレ・ヴァスタアリア!」シュルル

Charlotte「!」

マミ「美樹さん! 今度こそ魔女を捕まえたわっ。いまのうちに!」

さやか「よっしゃ! さすがマミさん!」

Charlotte「 ! !」ジタバタ

さやか「これで、とどめだぁ!」ザシュン

Charlotte「! ………….」シュウウ


メガほむ「あ。元の光景に……」

まどか「お、終わったのかな……?」

マミ「ええ。……みっともないところを見せちゃったわね。ごめんなさい」

さやか「いや、そんなことないですって! あたしなんて、助けに来たのに助けられちゃいましたし」アハハ

マミ「いいえ。今回は本当に助かったわ。……相談もなしに魔法少女になっちゃった個については、ちょっとお小言を言いたいけれどもね」

さやか「あはは、すいません。それよりもさ。――ほむら。たぶん、始まるよ」

メガほむ「え? 始まるって何が――」

偽街の子供達「かぁいそうに」

メガほむ「――え?」


ヒガミ「あぁ」

ヤキモチ「かぁいそうに」

オクビョウ「かぁいそうにねぇ」

ワガママ「かぁいそうな赤ん坊」

まどか「……」

マミ「……」

メガほむ「あ、あなたたち、何を――」

さやか「ほむら。ちゃんと見ときなよ。これが前に言った、葬式のままごとだよ」

メガほむ「!」


レイケツ「執着」

マヌケ「執着の夢」

ミエ「とてもおいしいチーズケーキ」

ガンコ「たったひとつのチーズケーキ」

ノロマ「ただそれが欲しかっただけなのに」

まどか(……やっぱりこれ、魔女の話なんだよね)

ワルクチ「そうしてナギサをやめて」

ウソツキ「けれどもベベにもなれず」

ネクラ「やっぱりチーズは食べられない」

マミ(なぎさ? ベベ? なんのことかしら……?)

QB「……君たちは、いったい――」

ヤキモチ「あぁ」

オクビョウ「かぁいそうに」

イバリ「かぁいそうに」

ヒガミ「シクシク」

ワガママ「シクシク」

偽街の子供達「シクシクシクシク」

さやか(やっぱりこいつら、気味が悪い。……ほむらは、ちゃんと見てるかな)チラッ

メガほむ「……」


さやか「ほむら、わかったでしょ。これがこいつらの正体なんだ」

メガほむ「…………」

レイケツ「シクシク」

ウソツキ「シクシク」

まどか「ほむらちゃん……?」

メガほむ「……ね、あなたたち。あの魔女が死んじゃって、悲しいの?」

さやか「はぁ!? ほむら、あんたこれ見ても、まだそんなこと言ってるの!? これが本気で悲しんでやってるように見えるわけ!?」

メガほむ「それは……確かに、わたしたちの目から見たらちょっとヘンかもしれませんけどっ。でも、たぶん、この子たちはこの子たちなりに悲しんでるんですっ!」

さやか「ほむら、あんたはどこまで……!」

マミ「暁美さん……」

ミエ「シクシク」

ワガママ「シクシク」

メガほむ「悲しかったら泣いてもいいだよ。でもね、十分に泣いたら、顔を上げて?」

ガンコ「シクシク」

ヤキモチ「シクシク」

マミ(あら。暁美さんの言葉に合わせて、使い魔の子達が顔を上げ――うっ)

まどか「ひっ」

さやか「こいつら……!」

メガほむ「……ぁ」

ネクラ「シクシク」ニタニタ

ワルクチ「シクシク」ニタニタ

偽街の子供達「シクシクシクシク」ニタニタニタニタ

・クララドールズ画像
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4976253.jpg






~河川敷の高架橋下~

まどか「……」

マミ「……」

さやか「……」

まどか「……ほむらちゃん、大丈夫かな。かなりショックを受けてたみたいだけど…」

さやか「……うん。正直あれは予想以上だったわ。あいつら、気味が悪いとかいうのを通り越してるよ。ほむら、平気かな……。さすがに目は覚めたと思うんだけど、あいつらのことかなりかわいがってみたいだしさ」

マミ「それっばかりは本人の問題ね。……でも、信じましょう」

まどか「はい……」

さやか「そうですよね。……ま、ここで話しててもしゃーないしね。もう帰ろ!」

マミ「あら。美樹さんは今から特訓よ?」

さやか「……え? 特訓?」

マミ「ええ。美樹さんも魔法少女になってしまったんだもの。魔法の練習をしておいて損はないわ。ここの河川敷、めったに人が来ないから魔法の練習にはもってこいなの」

さやか「え、いやでも、こんなすぐやんなくてもいいじゃないんですかね、うん!」

マミ「だーめ。宿題とかと一緒で、そういって延ばし延ばしにするのはよくないわ」

さやか「うっ」

まどか「……マミさんって、実はけっこうスパルタだったりします?」

マミ「ふふっ、どうかしら? ……それじゃあ美樹さん。今日中に、基本的なことは一通り教えるわね。自分の魔法の特性や、得意不得意の把握。それと美樹さんの場合は武器が剣だから、体の動かし方も軽くレクチャーしないとね」

さやか「うぇええ!? そんなに!? も、もう日が暮れちゃいそうな時間ですよ!?」

マミ「大丈夫よ。短い時間でみっきり仕込んであげるから!」

さやか「うおう。藪蛇だった……!」

まどか「あはは……」


~ほむホーム~


メガほむ「…………」

ワガママ「ご飯!」

イバリ「いただきます」

ナマケ「いただきまーず」

ワルクチ「おいサボり魔」

ミエ「次は来てね」

ナマケ「……めんどり面倒」

レイケツ「次はつれてく」

ガンコ「ぜったいにね」

メガほむ「……ねえ」

ノロマ「?」


ヒガミ「うん?」

ネクラ「何?」

メガほむ「あなたたちのご主人様って、わたしのことなんだよね」

ヤキモチ「うん」

ワルクチ「何をいまさら」

メガほむ「……あなたたち、学校に来るのは鹿目さんを見張るためだって言ったよね。『ご主人様』に言われてって」

ミエ「うん」

イバリ「そうだよ?」

メガほむ「…………わたし、そんなこと言ってないよ」

マヌケ「?」

オクビョウ「そうなの?」

ガンコ「でも、ご主人様が言った」

メガほむ「………………ねえ」

ナマケ「なに」

レイケツ「さっきから、なに」

メガホム「……………………あなたたちのご主人様って、どんな人?」


ヤキモチ「鏡もってくる?」

ナマケ「面倒だから口で言おうよ」

ガンコ「そうだね」

メガほむ「うん。わたしとしてもそっちのほうが助かる、かな……」

イバリ「そっか」

ワガママ「ご主人様はね」

レイケツ「髪が黒くて」

ミエ「ストレートロングで」

ワルクチ「いつもクールぶってる」

ヒガミ「愛の人」

メガほむ「…………」


メガほむ「……眼鏡は? それと、黒髪ストレートって言ってたけど、こんな三つ編みとかは?」

イバリ「眼鏡?」

ウソツキ「かけてたような……」

ネクラ「三つ編みは?」

オクビョウ「していたような……」

ナマケ「でもいまはほどいてる」

ワガママ「眼鏡もかけてない!」

ヤキモチ「黒髪ストレートだよ」

ミエ「それでクールビューティーぶってる」

ガンコ「そんなご主人様」

メガほむ「…………それ、ね」ジワ

ノロマ「?」

メガほむ「それは、ね……ひっく、わたしじゃ、ぇっく……わたしじゃ、ないんだよ……?」

偽街の子供達「?」


メガほむ「わかんない……わたし、あなたたちのことが……わからないよぅ……!」

ノロマ「……?」

ガンコ「泣いてる?」

ネクラ「泣いてる」

ガンコ「葬列でもないのに?」

マヌケ「なんで?」

レイケツ「さあ」

ミエ「どうしたの?」

オクビョウ「どうしたの、ご主人様?」

メガほむ「ぅ、うぅ、っく……ひぇっく……うぅぅ……ぇぁぅぅうう……!」ボロボロ

~郊外・送電塔~


QB「まさか、君が来るとはね……」

杏子「変な使い魔が見滝原をうろついてるっていうからさぁ、わざわざ様子見に出向いてやったのに……何なのさ。ちょっと話が違うんじゃない?」

QB「さやかのことかい? 彼女は今日契約したばかりの新人だよ。マミは彼女を鍛えて、パートナーにするつもりのようだよ。……そういえばさやかは、君と同じで他人のために願いを叶えた魔法少女だね」

杏子「……何ソレ。ちょぉムカつく」

QB「うん? どうして怒っているんだい?」

杏子「……はんっ。よく考えてみりゃ、こんな絶好の縄張りをルーキーの練習場にされちまうっていうのもシャクだからだよ」

QB「そうかい。なら、どうするつもりだい、杏子」

杏子「変な使い魔とやらはとりあえず後回しだね。とりあえず、ちょっくら挨拶してやんないとね。あの新人とやらと――マミにもな」

今日はここまで。

というわけで、TDSルートに入りました。
クララドールズはいつも笑顔の良い子たちです。

てか、河川敷とほむホーム、場面逆にしといたほうが良かったな……。



メガホムは誤字です。名前の変化の演出はもっと後で使うつもりだったのに……こんなミスをorz

トリップについては、いつも日をまたぐのに合わせて投下してるからいいかなぁと。もし以降で日が空くようなことがあったら、トリップつけるようにします。



明日も夜に続きを投下する。


~通学路~


メガほむ「…………」トボトボ

まどか「ほむらちゃん!」

メガほむ「あ……。鹿目さん、おはようございます……」

さやか「ほむら。おっはよ!」

仁美「おはようございます、暁美さん」

メガほむ「美樹さんと志筑さんも……おはようございます。でも、なんでここに……」

さやか「いや。なんでも何も、ここ待ち合わせ場所でしょ」

メガほむ「そういえば……」

仁美「どうしまたしか、暁美さん。なんだかお疲れのご様子ですけれども」

メガほむ「あはは……なんでも、ないです」

まどか「ほむらちゃん……」

さやか「……」

仁美「そうですの? けれども一人暮らしをされているのでしたら、いろいろ大変ですよね」

メガほむ「……そう、ですね。そんな感じです」

さやか「あー……でもさ、そういう意味じゃ仁美も偉いよなぁ。いまでも習い事、いくつも続けてるんでしょ? あたしなんて昨日の課題すら忘れかけたってのにさ」

まどか「さやかちゃん……」

仁美「あぁ、そのことなんですけど……わたくし、少しお稽古を減らそうと思いますの」

まどか「え? お稽古事やめるの、仁美ちゃん?」

仁美「ええ。全部というわけではありませんけど、受験勉強のために時間を割きたいんですの」

メガほむ「受験、ですか。……もう遠い話ではないんですよね」

まどか「来年だもんね。仁美ちゃんだって受験勉強とお稽古事の両立は難しいよね」

仁美「ええ、そうですわね。……大事なことをいくつも同時にこなすのは、きっと無理ですから」

メガほむ「……いくつも、ですか?」

仁美「ふふっ。なんでもありませんわ。……さやかさん」

さやか「うん? どしたの」

仁美「実は、二人きりで話したいことがありますの。お時間、いただけませんか?」

さやか「……? いいけど、今日の放課後はちょっと先約あるから、明日でもいい?」

仁美「はい。かまいませんわ」


~昼休み・屋上~


まどか「……」

さやか「……」

メガほむ「……」

まどか「……あっと、ほむらちゃん。あ、あの子達、今日も来てるのかなっ?」

メガほむ「……はい。あそこの木の上に座ってます」

さやか「……」

まどか「ほ、ほんとだ。なにしてるんだろうねっ」

メガほむ「…………わたしには、よくわかりません」

まどか「ぁ。そ、そっか……」

メガほむ「はい……」

さやか「……それでさ、ほむら」

メガほむ「……はい」

さやか「目は覚めた?」


まどか「さやかちゃんっ」

さやか「……」

メガほむ「……わたし、どうすればいいんでしょうか」

さやか「どうすれば、っていうのは?」

メガほむ「あの子たちがおかしいっていうのは、わかっいるんです。不気味だって、思っちゃってるんです。怖いんです。いままで通りお話しできる自信もないんです。……それでも、何にもできないわたしをちょっと変えてくれたのは、あの子達なんです」

さやか「ていうと、どういうこと?」

メガほむ「あの子たちがいなかったら、わたし、きっと今よりもっとダメな子のままでした。人に迷惑かけて、恥ばっかりかいて、そんな学校生活を送っていたんだと思います。……きっと鹿目さんや美樹さんともこんな仲良くなれてなかったって、そう思うんです」

まどか「ほむらちゃん……」

さやか「いいよ。続けて」

メガほむ「あの子たちと距離をとったほうがいいっていうのはわかっているんです。きっと美樹さんや巴さんの言っていることが正しくて、昨日までのわたしが間違ってるんだって。でも、やっぱり、それは嫌なんです……」

まどか「……」

さやか「……」

メガほむ「……ごめんなさい。わけわかんないですよね……気持ち悪いですよね……まだ出会って一か月もしない、よくわからない子たちにこんな感情移入しちゃって……。だけど、わたしは……わたしにとってのあの子たちは……」

まどか「ほむらちゃん……」

さやか「……そっか」

今日はここまで。

明日もまた続きを投下する。


さやか「そうだよね。あんたにとっては、QBと契約してまで守りたかったやつらだもんね。そりゃ、割り切れっていうのが無理な話だよ」

メガほむ「……ごめん、なさい」

さやか「だからいいって。……他人のために願い事をかなえるって、その気持ちを否定するつもりなんてないよ。だからさ、それはそれでいいと思うんだよ。……まあ、その相手があいつらっていうのは、正直シャクだけどさ」

まどか「そう、だよね。ほむらちゃん、あの子たちのこと、すっごく大切にしてたもんね。その気持ちをウソにしちゃうのは、やっぱりよくないよ」

メガほむ「美樹さん……鹿目さん……」

キーンコーンカーンコーン

さやか「おっ。昼休みは終了だね。戻ろっか」

まどか「うん。ほむらちゃんも、行こ」

メガほむ「……はいっ、わかりました!」

さやか「午後の授業が終わればあたしたちは自由だー! って、まーあたしは、この後の授業よりも厳しいマミさんの特訓が放課後に待ってるんだけどね」

まどか「あはは……。さやかちゃん、ガンバッテ」

さやか「くうーっ。まどかめぇ。アンタだって魔法少女になったら、あの厳しい訓練が待ってるんだぞ!?」

まどか「……わたし、魔法少女になるのやめようかなぁ」

さやか「なぬぅ!?」

メガほむ「ふふふっ」






~放課後・裏路地~


さやか「うぁー。つーかーれーたー! もー。マミさん、厳しすぎっしょ!」

まどか「あはは。……思った以上にスパルタだったね、マミさん」

さやか「ほんっとに! 今日はほむらの補習が終わる時間に間に合えば合流しようと思ったけど、もう日が暮れかかっちゃってるし……。この時間だと、ほむらもとっくに帰っちゃってるよね」

まどか「うん。たぶんね」

さやか「だよねー。あー、これじゃ、魔女と戦う前に疲労で死んじゃうんじゃ……って、あれ?」

まどか「さやかちゃん、どうしたの?」

さやか「ソウルジェムが反応してる。この反応は……使い魔かな? こっちに来る」

まどか「ぁ。それって、もしかして……」

さやか「いや。あいつらじゃないと思うよ。魔力のパターンが全然別物だもん」

まどか「そういうのってわかるの?」

さやか「うん、マミさんに教わったばっかだしね。うっし、やってやろうか!」

まどか「さやかちゃん……一人で、平気なの?」

さやか「へーきへーき。マミさんだってそうしてるんだから、弟子としてはそのくらいね。……来たよ!」

Anja:Buuuuuuuuunn!


Anja:Buuuuuuunn! Buuuuuunn!

さやか(あの使い魔が追っかけてるボール、元は人間だ……!)

まどか「に、逃げちゃう……」

さやか「任せて!」ヘンシン

ビュンビュン――キィン!

まどか「えっ!?」

さやか「なっ……!」

杏子「はぁん。やっぱりかよ」モグモグ

さやか「あんた、魔法少女? なんで邪魔を――」

Anja:Buuuuuun! Buuuuuuuuuuun!

まどか「あっ、逃げちゃう!」

さやか「このっ。待――うわっ!」

杏子「だぁからさ、四、五人ばかり食って魔女に成長するまで待てっての。そうすりゃグリーフシードもはらむんだからさ。アンタ、たまご産む前のニワトリ絞めてどうすんのさ」

まどか「そ、そんな……」


さやか「……あんた、何なのよ。魔女に襲われている人を見殺しにしようっていうの!?」

杏子「弱い人間を魔女が食う。その魔女をあたしたちが食う。これが当たり前のルールでしょ? そういう強さの順番なんだからさ」

さやか「あんたは……」

杏子「キュゥべえのやつから聞いてたけどさ。あんた、バカみたいに他人なんかのためにあいつと契約したんだろ?」

さやか「……だったらなんだっていうのよ」

杏子「あんたの願いは誰のためにもならねーよ。叶えたってろくな結果になりゃしない。そんなくっだらねぇ願い事をしちまったんならさ、これからはつり銭を取り戻すような生き方を――」

さやか「だまれぇっ!」

ガキインッ!

杏子「――何? いきなり先輩に向かって切りかかってくるとかさぁ、行儀が悪いにもほどがあるんじゃない?」

さやか「……っ。まどか! マミさんを呼んできて!」

まどか「で、でも――」

さやか「いいから!」

まどか「わ、わかった!」タタタタッ

杏子「……へぇ。あんた、あたしにケンカ売っといて、助けが来るまで自分が無事ですむと思ってんの?」

さやか「はんっ、負けるもんかっ。アンタみたいなやつ、マミさんさえ来れば……!」

杏子「……うぜー。ちょーうぜえ!」ブンッ





メガほむ「……はぁ。補習の課題、やっと終わった」

メガほむ(思ったより、時間かかっちゃったな。もう日が暮れそう……。今日は美樹さんと鹿目さん、巴さんと訓練があるっていうから先に帰っちゃってるんだよね……)

メガほむ「……わたしも、帰らなきゃ」

メガほむ(家に帰って、ご飯の用意をしないと……でも、あの子達が……ううん。あの子たちは、いつもと変わらない。きっと髪のはねた子が『ご飯!』ってねだってきて――だけど……)

メガほむ「……どうしよう。家、帰りたくないな……」

H.N.Elly『――ふぅん、帰りたくないんだ』

メガほむ「……うん。帰りたくないの」

H.N.Elly『――なら、素敵なところに案内してあげる』

メガほむ「素敵、なところ……?」フラッ

H.N.Elly『――そうよ。嫌なものは全部ハコに閉じ込めて、素晴らしい世界へ旅に出よう』

メガほむ「素晴らしい、世界……旅……」フラフラ

今日はここまで。

流れはTDSなのに、時系列が本編になってる……。

ていうか、これ書いててTDSの時系列に疑問を覚えた。あれってどうなってるんだろう……。



まあいいや。明日も続きを投下する。


TDSのまとめどうもです。
矢印を全部一日経過とすると、こんな感じかな。


本編:一日目・マミる―――→二日目・さやか契約、エリー撃破→三日目・杏子襲撃――――――→四日目・杏ほむ同盟→五日目・杏「こいつ死んでるじゃねーか」→
TDS:一日目・シャル撃破→二日目・杏子襲撃―――――――→三日目・扉の魔女(仮称)撃破→四日目・仁美告白―→五日目・エリー撃破――――――――――→

本編:六日目・杏子過去話――→七日目・恭介退院、仁美告白、エルザ撃破、まどさやケンカ→八日目・ほむら説得失敗、ホスト事件、杏子「さやかぁあああああ!」
TDS:六日目・姉妹の魔女撃破→七日目・マミさやコンビ解消――――――――――――――→八日目・まどか上条にばらす・さやか失踪・エルザ撃破・さやか魔女化+3巻全部


やっぱりエリーちゃんの撃破時期がかなりずれてるんだ……。これに気が付かないで、二日目に杏子襲撃とエリーちゃんイベントいれちゃったや。まあ、それはそれでいい感じの流れになりそうだからいいんだけど……。

もしかしたらTDSルート、シャルの日にち自体が前倒しになったのかと思ったけど、さやかの魔女化にずれがないのを見る限りそうでもなさそうだし。

あれか。TDSだと工場長の倒産が三日伸びてたのか。


ということで、続きの投下を開始します。

~マミ夢~


――杏子「……魔法少女?」マミ「間に合ってよかったわ。大丈夫?」――





――マミ「佐倉さんはどうしてこの町に?」杏子「自分の縄張りから出るのは行儀が悪いと思ったんだけどさ……どうしてもさっきの魔女に落とし前をつけときたくてさ」――





――杏子「あたしをマミさんの弟子にしてくれないかな?」マミ「……弟子っていうのとは少し違うかもしれないけど――ずっと前から、わたしも魔法少女の友達がいてくれたらなって、実は思ってたの」――





――マミ「今日の戦いぶり、とっても頼もしかったわよ」杏子「そっか……! うん! あたしのほうこそ、これからもよろしくお願いします! マミ先輩!」――





――杏子「みんなの幸せを守る。それがあたしの願いなんだ」マミ「そう……。あなたなら、大丈夫よね」――





――マミ「ワルプルギスって……あの?」杏子「そう。あたしたちだったらそんな大物の魔女だろうと目じゃないって、世界だって救えるんじゃないかって、そう思えるんだよね」――





――杏子「……結局みんなが嫌な思いをするなら、あたしは最初から人助けをするべきじゃなかったのかな」マミ「……それは、誰かのこと?」――





――マミ「佐倉さん、今日も来てくれなかったな……。大丈夫よね。佐倉さんは、他の子とは違ったもの」テレビ「昨夜未明、風見野市の民家で火災が発生しました。焼け落ちた民家から見つかった遺体は、佐倉――」――





――杏子「全部、あたしのせいなんだ。あたしの願いが……みんなを死なせちゃったんだ……!」マミ「……っ」――





マミ「わたしからこんな提案するのはお節介にしかならないのかもしれないけど、あなたさえよければ事が落ち着くまでわたしの家にいても……」杏子「……ううん。遠慮するよ」





――マミ「佐倉さん、何を言ってるの……?」杏子「もう二度と誰かの幸せのためだとか、他人の命を救うためだとか、そんな理由で魔法は使わない。この力は、自分のためだけのものにするんだ」――





――杏子「あたしは風見野に戻る。これからはあたしのやり方で戦うよ。今まで世話になったね」

――マミ「佐倉さん。あなたはわたしにとって、初めて志を共にできた魔法少女だった。他の魔法少女とは違うって信じていた。本当にそれでいいの? ……あなたは孤独に耐えられるの?」

――杏子「……――」

――マミ「…………だめだなぁ。どうしていつも、こうなっちゃうのかな」


――マミ「また、ひとりぼっちにもどっちゃった……」――


――ん! ……みさん! マミさん!』

マミ「……!」ハッ

まどか『マミさん! マミさん!?』

マミ(昔の夢を見るなんて……美樹さんの訓練をしてた影響かしら? ……とりあえず、テレパシーに応答しないと)

マミ『鹿目さん? ごめんなさい、気が付かなくて。どうしたの?』

まどか『えっと、大変なんです! さやかちゃんが!』


ガッ キィイイン!

さやか「……」

杏子「……ふーん」

さやか「…………っと、りゃあ!」ブンッ

杏子「はんっ。ルーキーにしちゃ結構やるじゃん。あんた自慢の先輩のご指導とやらのおかげかい?」ヒュン

さやか「ふん。マミさんはあんたみたいなやつとは違うのよ。自分の損得勘定ばっかりで、他人の命なんてどうなろうと構いもしないあんたみたいな魔法少女に……あたしたちが負けるわけにはいかないんだぁ!」ダッ

杏子「……わかんねーやつだな」ヒュッ

さやか「ぁ」ジャリン

さやか(槍が分かれて、鎖が体に……!)

杏子「他人のために戦っても、一文の得にもなりゃしねーってのに」ブンッ

さやか「がはっ!」バシンッ

さやか(壁に叩きつけられて……息が……だめっ、立たないと……!)

杏子「そいつに気が付かねーバカだってんなら、直接体に叩き込んでやるしか――」

コツン

杏子「――!」

マミ「お久しぶりね」

さやか「あ」

まどか「間に合った……!」

マミ「その子は大切なわたしの後輩なの。妙なことを吹き込むのやめてもらえないかしら」チャキ

杏子「……」

マミ「佐倉さん。他人の縄張りに踏み入るなんて、行儀がなっていないんじゃなくて?」

杏子「……なぁんだ。てっきりくたばってたもんだと思ってたよ――マミ『先輩』?」

マミ「……」

まどか(……『先輩』?)

マミ「……それで、どうするのかしら?」

杏子「ま、片方が手負いっつっても二対一じゃ分が悪いな。今日は降りさせてもらうよ」

マミ「そう。賢明ね」

さやか「あんた……逃げるの……!」

杏子「……ふんっ」ヒュン

まどか「あ……追い払えた、のかな?」

マミ「そうね……。でも、どうしてあの子がこの町に……」

QB「何にせよ、彼女が何かをたくらんでるのは確かだ。くれぐれも気を付けて」


~街のはずれ~

メガほむ「……」フラフラ

H.N.Elly『――ほら、ごらん。旅の仲間が増えてきたよ』

メガほむ「……?」フラフラ

仁美「あらぁ、暁美さん」フラフラ

メガほむ「あれぇ、志筑さん?」フラフラ

仁美「暁美さんも、一緒に旅に出ますの?」フラフラ

メガほむ「はい。ここよりも、ずっと良い場所に行くんです」フラフラ

仁美「ああ、それはよいですわ。素晴らしいことですわ。それなら暁美さんも、ぜひご一緒に!」フラフラ

メガほむ「はい! 一緒に、素晴らしい世界に!」フラフラ

H.N.Elly『――そうだよ。だって本当のわたしはどこへだって行ける。……子供の頃みたいに』


~ほむホーム~


ノロマ「……」

ナマケ「……ご主人様は?」

マヌケ「さあ?」

オクビョウ「遅いね」

ワガママ「ご飯……」

ネクラ「今日はないのかな」

イバリ「ないんじゃない?」

ガンコ「それより、そろそろだよ」

ヤキモチ「そろそろ、葬列の時間」

マヌケ「今日は、たくさんの葬列」

ワルクチ「そうだね」

ミエ「行こっか」

ナマケ「いってら――」

レイケツ「お前は来るんだよ」

ナマケ「えー」

ヒガミ「いってらっしゃい」

ヤキモチ「いってきます」

恥ずかしいミスをした……。

今日はここまで。

明日もたぶん続きを投下します。

~マミホーム~

さやか「いやぁ! やっぱりマミさんのおうちのケーキはめちゃうまですね!」

マミ「ふふ、ありがとう。それより美樹さん。怪我のほうは本当に大丈夫なの?」

まどか「そうだよ、さやかちゃん。あんまり無理をしちゃダメだよ?」

さやか「ああ、へーきへーき。マミさんは知ってるだろうけど、あたし、回復力は人一倍らしくてさ。もう全快ですわ!」

マミ「そう。よかったわ」

さやか「へへっ。……にしても、何だったんだよ、あの杏子ってやつは! 会うなりいきなりわけのわからない絡みかたしてきてさぁっ。気にくわないったらないよ!」

まどか「さやかちゃん……」

マミ「……」

さやか「しかもあいつ、使い魔を放っておくだけじゃなくて、わたしの祈りまでくだらないってバカにしたんだ。……あたしのことを何にも知らないやつに知ったような口きかれて許せるわけないじゃん!」

マミ「…………」

さやか「……っと、ごめん。もうやめよう。マミさんのおいしいケーキの前でする話じゃないもんね」

マミ「……ふふ。そうね。暗い話はまた今度にしましょう」

さやか「さぁて。絶品シフォンケーキをいただいちゃうよー!」

まどか「……そうだ、さやかちゃん」

さやか「んー?」

まどか「明日提出の課題、終わったの?」

さやか「!?」


さやか「そんなのあったっけ……やば……」

マミ「魔法少女としての使命は大切だけど、学業をおろそかにしてはダメよ?」

まどか「そーだよ、さやかちゃん」

さやか「い、いや……日々の過酷な戦いの合間に課題なんてやってる暇ないっすよ! そーいうマミさんだって正義の味方と学業の両立できてるんですか!?」

マミ「心配には及ばないわ?」

さやか「くっ……隙がなさすぎるぜマミ先輩!」

まどか「さすがマミさん」ウェヒヒ

マミ「そうだわ。美樹さんにはこれまで実践重視で訓練してきたけど、そろそろ知識としての魔法も身に着けてもらわないとね」

さやか「はい!?」

マミ「覚えることは意外とあるのよ。たとえばより効率的な魔女探索方法から素質に見合った基礎魔法の応用術――」

さやか「え? え?」

マミ「わたしが書き溜めた研究ノートがあるから参考なるはずよ」ダンッ

さやか「ひぃっ」ビクッ

マミ「美樹さんには早く一人前になってもらわないとね」

さやか(何この分厚いノート……マミさんぱないよ……。てか、これを全部……?)

まどか(これは……技名ノートかな? ロッソ・ファンタズマ。佐倉さん用……佐倉? って、確か、あの人の名前も……)

さやか「ま、魔女の探索とかはマミさんについて行くから大丈夫じゃない? ね?」

マミ「ダメよ?」

さやか「い、いまはほら! 学業のほうを優先にですね!」

マミ「あら。それなら明日にでも、勉強会でも開きましょうか。暁美さんも一緒にね」

さやか「はっ。そうだ! テストの時はマミさんがテレパシーで――」

マミ「お断りよ」

まどか(…………もしかして、あの佐倉さんって人とマミさん、知り合いなのかな……?)


~街のはずれ~


杏子「……」モグモグ

杏子(見滝原にいる使い魔が放置されてるっていうから、マミのやつ、やり方を変えたかと思ったのにさ)

杏子「見当違いかよ、くそっ」

杏子(どうしてマミが使い魔を放っておいてるかは後回しだ。いまはあのさやかとかいうやつ……――!)

杏子「……魔女の反応かよ」

杏子(近いな。この方向なら、マミと鉢合わせになることもねーだろ)

杏子「はっ。ちょうどいい憂さ晴らしになりそうだな」ヒュン


~町工場~


レイケツ「ついた」

ナマケ「間に合ったの?」

ミエ「間に合ったよ。ほら」

工場長「そうだよ……おれぁダメだなんだ。こんな小さな工場ひとつ、満足に切り盛りできなかった……」ブツブツ

モブ男「……」フラフラ

モブ女「……」フラフラ

工場長「今みたいな時代にさぁ、俺の居場所なんて、あるわけねえんだよなぁ……」

ヤキモチ「そろそろかな」

ワルクチ「そろそろだね」

ナマケ「はやく終わらないかな……」

レイケツ「今から始まるの」

ミエ「人もいっぱい集まってるし」

モブ老「……」フラフラ

モブ子「……」フラフラ

仁美「……」フラフラ

ワルクチ「うん、葬列の主賓が、いっぱい――ぁ」

ミエ「どうし――ぁ」

ナマケ「ぁー……あ?」

ヤキモチ「……あれって」

レイケツ「……」

メガほむ「……」フラフラ


レイケツ「……ご主人様?」

ワルクチ「ご主人様だね」

ナマケ「今日はご主人様の葬列だったっけ?」

ヤキモチ「違ったはずだけど……」

ワルクチ「でもいるよ?」

ナマケ「いるね」

ミエ「このまま盛り上げる?」

レイケツ「……そうだね」

ヤキモチ「ご主人様の葬列は」

ワルクチ「衛兵が並んで、騎兵が跳ねる」

ナマケ「そうして首をはねられるデキソコナイ様」

ミエ「それを、盛大に盛り上げよう」

レイケツ「そうだね」

ナマケ「なら、さっさと終わりにしよう」

今日はここまで。

明日もまた続きを投下する。






杏子「到着っと」スタッ

杏子(さて、魔女はどこかな……って、ずいぶん人が倒れてんな。ここの魔女が集めたのか? ご苦労なこった)

仁美「……」

メガほむ「……」

杏子(この洗剤……こいつら、魔女に操られて集団自殺をしようとしてたのか。で、中心にいるのやつらは――家族っぽいな)

工場長「……」

杏子「……はん。よりによってこんなんに居合わせるとはな。ま、いいさ。あたしは魔女をやっちまうだけだ」

杏子(結界の入り口は……あっちの小部屋か。胸糞悪くなるもん見せやがって。ぎったぎたに――ん?)

シュウウ

杏子(魔女の結界が消えた! マミのわけねえし、あの新人でもねえだろ。もしかして新手の魔法少女か? ……ちっ、出てくるな)チャキ

レイケツ「……」

ナマケ「……」

ヤキモチ「……」

ミエ「……」

ワルクチ「……」

H.N.Elly(Kirsten)『……』ザザ゙ッ、ガガガッ、ピピ……ズルリ


ワルクチ「Fort」

ナマケ「Da」

ミエ「Fort」

ヤキモチ「Da」

レイケツ「Fort Da」

Kirsten『……』シュウウ

杏子「……は?」

杏子(串刺しにされてた魔女は、ここのやつらを集めてた元凶か……? いま消えたけど――いや、そんなことより、あいつらはなんだ? この魔力、どう考えても使い魔だぞ。それがなんで魔女を?)

ミエ「終わったね」

レイケツ「無駄手間だった」

ナマケ「なんでこんなことしたんだか」

ワルクチ「いま消えたあれのせいだよ」

ヤキモチ「いま消えたあれのせいだね」

杏子(……そうか。こいつらが噂の使い魔か。使い魔が魔女を狩るなんて、確かに変だな。けど――)


ワルクチ「どこにも行けないひきこもり」

ヤキモチ「閉じこもって閉じ込めて」

ナマケ「見透かしたつもりが見透かされて」

ミエ「ただそれしかできないひきこもり」

ナマケ「そのお遊戯も、もうおしまい」

ヤキモチ「じゃ、ご主人様起こそう」

レイケツ「そうだね」

ワルクチ「もう帰ろ」

杏子「……おい、お前ら」

偽街の子供達「?」


ヤキモチ「サクラキョウコ?」

レイケツ「なんでここに?」

杏子「!」

杏子(こいつら、なんであたしの名前を……)

ナマケ「ま、いっか」

ミエ「それで?」

ワルクチ「なにか用?」

杏子「……お前ら、そのグリーフシードはいらねーのかよ」

ナマケ「この卵?」

ワルクチ「いらないよ、こんなの」

ミエ「割れたら見に行くけど?」

ヤキモチ「その前にインキュベーターのエサになるだろうし」

レイケツ「やっぱりいらない」

杏子「ふうん? なら、あたしが拾っていっても文句はないよな」

ナマケ「どうぞ」

ヤキモチ「それよりご主人様を起こそう」

ワルクチ「そうだね」

杏子(ご主人様? ……ふん。あの眼鏡がキュゥべえの言ってたイレギュラーってやつか)

ミエ「おーい」

レイケツ「起きろ」

メガほむ「……ぅうん」


メガほむ「あれ……あなたたち……? なんで……? え……わたし、何をして……というか、ここは……?」

レイケツ「帰ろう」

ナマケ「はやくー」

ミエ「はやく帰ろう」

メガほむ「え……? でもわたし、どこかに……ぁ。あの声って、もしかして魔女の――」ゾクリ

ヤキモチ「いいから」

ワルクチ「帰るぞ」

ミエ「そうだよ」

レイケツ「わたしたちの家に」

ナマケ「帰ろ」


メガほむ「帰るって……でも……」

杏子「おい。そこのあんた」

メガほむ「ひゃい!?」

メガほむ(な、なに、この怖そうな人!? あ、でもこのコスプレみたいな恰好って、もしかして……)

杏子(なんだこいつ。すっげー弱そう。なんでこんなやつに使い魔が従ってんだ?)

メガほむ「えっと、その恰好は魔法少女……? もしかして、あなたが助けてくれたんですか?」

杏子「はぁ? なんであたしがそんなことしなきゃなんねーんだよ。……あんたを助けたのは、そいつらだよ」

メガほむ「え? そ、そんなわけないです……。だって、この子たちはわたしのことなんて……」

杏子「あぁん? うっせーな。あんたの事情なんて知らねーよ。あたしが来た時にはもう魔女はそいつらに倒されてた。それであんたらが倒れてた。それだけさ。あたしとしちゃグリーフシードが手に入ったからいいけどな」

メガほむ「そ、そうですか……。あの、あなたは、この子たちと戦ったりは……?」

杏子「べっつにー。襲われれば別だけど、あたしはマミとは違って使い魔狩りなんていないしさ。……そんなことより、そろそろ周りのやつらも目を覚ますぞ」

メガほむ「え、周り……?」

工場長「ぅう……」

仁美「……ぁぅ」

メガほむ「あ、志筑さん……!」

杏子「なんだ、そいつ友達か? しばらくしたらケーサツも来るだろうからほっとけよ。アンタは面倒事に巻き込まれる前に帰りな」

メガほむ「あ……帰、る……」

杏子「あん? なんだよ。帰れない事情があるっつーわけでもないだろ?」

メガほむ「そう、ですね……」

レイケツ「そうだよ」

ナマケ「もう帰ろうよ」

メガほむ「……そうだね。でも、帰る前に一個だけ聞かせて?」

偽街の子供達「?」

ヤキモチ「なに?」

ミエ「どうしたの?」

メガほむ「うん。それで、聞きたいことなんだけどね。……なんで、わたしを助けてくれたの?」

杏子「……なに言ってんだ、あんた?」

メガほむ「あはは……そうですよね。初対面の人にはわけわかんないですよね。でも、聞きたいんです。ね、教えて? ……お願いだから」

ナマケ「お願い?」

ワルクチ「……お願い?」

レイケツ「お願い、ね」

レイケツ「……そうだね」

ヤキモチ「ご主人様の葬列は」

ワルクチ「衛兵が並んで、騎兵が跳ねる」

ナマケ「そうして首をはねられるデキソコナイ様」

ミエ「それを、盛大に盛り上げよう」

レイケツ「だからさ……」

杏子「……」

メガほむ「……うん。だから?」

偽街の子供達「だから、さっきのは、違うの」

メガほむ「……違うの?」

ミエ「うん!」

ワルクチ「ご主人様の葬列はさ」

ナマケ「ご主人様がやるの」

ヤキモチ「ほかの誰でもなく」

レイケツ「ご主人様自身が」

杏子「……」

レイケツ「わたしたちは、それを盛り上げる」

ナマケ「だから、今日のは違う」

ヤキモチ「ほかの誰かじゃない」

ミエ「ご主人様自身が罰を望んで」

ワルクチ「ご主人様自身が罪を下す」

偽街の子供達「そういう葬列を、わたしたちは盛り上げる」

ワルクチ「ほかは全部、練習」

ヤキモチ「というか、お遊戯?」

ミエ「本番前の、お遊戯かな?」

ナマケ「だから別に参加しなくても……」

レイケツ「よくない」

メガほむ「……わかった。うん。わかったよ。そっか。うん」

レイケツ「……?」

ワルクチ「何がわかったの?」

メガほむ「ふふっ。いいの。もう帰ろう?」

ミエ「うん」

ヤキモチ「帰ろう」

ナマケ「やっと帰れる……」

メガほむ「うん!」

・クララドールズ画像
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4986575.jpg

かーわーいーいー。


もうどの子がどこ子だかわかるはず。

この絵を見せたいがために、四話部分書いたといっても過言じゃないです。

今日はここまで。

明日も続きを投下します。¥

そろそろ続きを投下する。

ドールズの元ネタのひとつだろう聖女クララって、TVの守護聖人でもあるからエリーちゃんと相性いいかも、なんかのネタにできるかもと思ったけど、エリーちゃんはパソコンでした。残念。


~ほむホーム~


レイケツ「ただいま」

ヤキモチ「ただいまー」

メガほむ「ただいま」

ネクラ「おかえりー……って」

マヌケ「あれ?」

ヒガミ「ご主人様?」

ナマケ「そこで会ったから」

ワルクチ「つれてきた」

ウソツキ「へー」

オクビョウ「遅かったね」

メガほむ「うん。ごめんね?」

ノロマ「……」

イバリ「……別にいいよ」

ミエ「うん。いいよ」

ガンコ「そんなことより」

ワガママ「ご飯!」

メガほむ「……うん! いまから作るから、ちょっと待っててね?」ニコリ

偽街の子供達「はーい!」

~ホテルの一室~


杏子「……」モグモグ

QB「やあ、杏子」ヒョコ

杏子「……どっから入ってきたんだ、てめぇ」

QB「いちおう僕はどこにも入り込めるようになっているからね。それよりどうだったんだい?」

杏子「あぁ? 何がだよ。マミのやつなら昔どーりだったけど、そんなんお前のほうがよく知ってんだろ」

QB「マミのことでもなければ、さやかのことでもないよ。あの使い魔とその主人に会ったんだろう?」

杏子「……ちっ。何でいまさっきのことを知ってんだかねぇ」

QB「あのイレギュラー達は君の目から見てどうだった?」

杏子「……あれがイレギュラーだって? はんっ。笑わせんな」

QB「どういうことだい?」

杏子「わっかんねぇかな。あんなん、ちょっと見ればわかるもんだと思うけどね。……ま、わかんえーなら教えてやるよ」

QB「……」

杏子「あれは、ただの使い魔とただの一般人だよ。それ以上でもそれ以下でもなく、な」

QB「…………」


~翌朝・通学路~


仁美「ふわぁ……ああ、はしたない。ごめんあそばせ」

さやか「どうしたのよ仁美?」

まどか「仁美ちゃんがあくびだ何て珍しいよね。寝不足?」

仁美「ええ。昨夜は病院やら警察やらで夜遅くまで……」

メガほむ「……」

まどか「け、警察って、なにがあったの?」

仁美「なんだか私、夢遊病っていうのか……それも同じような症状の人が大勢いて。気が付いたらみんな同じ場所で倒れていたんですの」

メガほむ「……そこにいたみなさんは、無事だったんですか?」

仁美「ええ、まあ。お医者様は集団幻覚だとかなんとか……。今日も放課後に精密検査に行かなくてはなりませんの。ああ、面倒くさいわ……」

まどか「それならいっそ、学校休んじゃえばよかったのに」

仁美「ダメですわ。それではまるで本当の病気みたいで、ますます家のものを心配させてしまいますわ」

さやか「さっすが優等生。偉いわー……って、そういえば仁美。なんか二人で話したいことがあったって言ってたけどそれはどうするの?」

仁美「ええっと、それもよろしければ明日に――」

メガほむ『……鹿目さん、美樹さん』

まどか『どうしたの、ほむらちゃん? わざわざテレパシーで』

さやか『そーだぞ。いま仁美としゃべりながらだから、テレパシーをしてるとちょっと頭がこんがるだけど』

メガほむ『その、実は昨日の夜なんですけど――』




~結界内部~

マミ「それじゃあ一気に攻めるわよ。ティロ・リチェルカーレ!」

Michaela:Wuuuuuuuu……

まどか「やった!」

マミ「これで使い魔は片づけたわ! 美樹さん、今よ!」

さやか「わかりました! ――てやぁあああああ!」ザシュン

Izabela:Waaaaaaaaa……

さやか「えへへっ、やったよ、まどか! マミさん!」


~夜の住宅街~


マミ「美樹さんもかなり戦いに慣れてきたわね。どんどん頼もしくなっていくわ!」

さやか「へへっ、そっかな。いやー、さすがさやかちゃん! ってやつですね! もっと褒めてくれてもいいですよっ」

まどか「あははっ。もう、さやかちゃんたら」

マミ「ふふふ」

さやか「あー! ふたりともなんで笑うのさ! 今日の魔女退治でだって、あたしの必殺攻撃があの門みたいな魔女を――って、そういえば、今日はあいつら来なかったね」

まどか「……うん、そうだね。あの子達、来なかったよね」

マミ「そうね。話に聞いただけだけど、あの子たちが暁美さん助けてくれたのよね?」

さやか「らしいんですよねー。仁美も一緒にいたらしいし、もしあいつらが助けてくれなかったらって思うとゾッとするけど……たっく、ほんとに何なんだろう、あいつら。素直に感謝はできないんだよね」

まどか「……本当に、悪い子達なのかな?」

マミ「それがわからないから困ってるのよね。……鹿目さん、美樹さん。止まって」

まどか「え? ……ぁ」

さやか「お前は……!」

マミ「今晩は、佐倉さん」

杏子「……」

マミ「魔女ならわたしたちが倒したわ。この辺りに魔女の気配はもうないはずよ」

杏子「……そうみてーだな」

さやか「ふん。あんたの分のグリーフシードなんかないわよ?」

まどか「……」オドオド

杏子「……マミ。あんた、まだ正義のヒーロー気取りを続けてんだろ?」

さやか「……っ」ムッ

マミ「……何が言いたいのかしら?」

杏子「べっつにー。ただ、使い魔に友達助けられちゃうような正義のヒーローなんてお笑いだなって思っただけさ」

さやか「……!」

マミ「暁美さんのこと? どうしてあなたが知ってるのかしら」

杏子「偶然居合わせただけだよ。ま、正義の味方ごっこがいつまで続くのか、高見の見物も悪かねーよな」

クルッ スタスタ

まどか「行っちゃった……」

さやか「なんなのよ、あいつ」

マミ「……さ。とりあえず帰りましょう」


~ほむホーム~

ノロマ「……」ジイー

メガほむ「え、えっと、何?」

ガンコ「何って?」

マヌケ「何が?」

メガほむ「へ? 何がって言われるとあれなんだけど……」

レイケツ「ふーん」

ワガママ「じゃあいいじゃん」

メガほむ「そ、そうなんだけど……」

メガほむ(な、なんでだろう……。今日は、なんかこの子たちの見張られてる気がする。なぜだか学校にも全員で来てたし、家にいる時だってご飯を食べ終わったらいつもなら好き勝手してるのに、今も最低一人は絶対隣にいるし……どうしたんだろう?)


メガほむ「えーっと、今日はどこにもいかないの? 巴さんたちは魔女退治に言ってるらしいけど、葬列っていうのはないの?」

オクビョウ「たぶんあるけど……」

ワルクチ「今日はいいや」

メガほむ「え? いいの?」

ウソツキ「うん」

マヌケ「今日というか」

ワガママ「しばらくはいいや」

ナマケ「ご主人様にどっかに行かれても面倒」

ミエ「特に今日のはね」

ヤキモチ「あの芸術家はね」

ガンコ「あの虚栄の門はね」

イバリ「前科があるし」

メガほむ(前科……?」

メガほむ「前科って、昨夜のこと? そりゃ、あの時は魔女に操られちゃったけど、何も連日続けてそんなことにはならないと思うんだけど」

ヤキモチ「昨夜もそうだし」

ヒガミ「もっと前にもあったこと」

ネクラ「だから、しばらくいいや」

オクビョウ「そろそろ、噂に聞いたお祭りもやってくるし」

レイケツ「本番に近い練習も近づいてるし」

ミエ「他は盛り上げなくても別にいいよ」

メガほむ「うん……やっぱりなに言ってるのか全然分かんないや……。いや、別にいいんだよ? それでもいいって納得ずくだから……」

ワルクチ「そっか」

イバリ「ならいいね」

メガほむ「うん、そうだね……。よしっ。それなら今日はどうするの?」

マヌケ「さあ?」

ウソツキ「寝る?」

ナマケ「休む」

ワガママ「泣く練習?」

メガほむ「うん、ほんとどうしよっか……。ちょっとくじけそうな気分だよぉ」

レイケツ「ふーん」

マヌケ「がんばれー」

今日はここまで。

誤爆ってよくあるよね。1もこないだしたばっかりだよ……。


明日もたぶん続きを投下する。

TDS2巻 後半
QB「手練の魔法少女多すぎwwww探索能力ないさやかじゃ稼げないwwさやかの魔女化はお前ら3人のせいwwやww」

TDS3巻 後半
QB「前の発言訂正するわwwwwお前ら出来る限り魔女狩り避けてたし直接的な原因お前らじゃないわwwwwさやかの自業自得wwww」






~翌朝・通学路~


メガほむ「鹿目さん、美樹さん、志筑さん。おはようございます」

まどか「おはよっ、ほむらちゃん!」

仁美「おはようございます、暁美さん」

さやか「おお! おはようっ、ほむら」

メガほむ「ふふっ。やっぱり毎朝、一番元気がいいのは美樹さんですね」

さやか「うん? そりゃそうだよ。あたしはいまいろいろと絶好調だからね! さーて、今日も張り切って――」

中沢「お、上条じゃん。もう怪我はいいのかよ」

上条「ああ。家にこもってたんじゃ、リハビリにならないからね」

さやか「――!」

まどか「あ。あれは……」

メガほむ「……?」

仁美「あら。上条君、退院なさったんですね」

さやか「……うん。そうみたいだね」

まどか「さやかちゃんも行ってきなよ。まだ声をかけてないんでしょう?」

さやか「あー……あたしは、いいや。別に声をかけるくらいいつでもできるしね!」

まどか「そう?」

メガほむ(あ。上条君って、確か事故で入院してたっていう美樹さんの幼馴染の……)

仁美「……さやかさん」

さやか「ん? どしたの仁美」

仁美「前から言っていた二人で話したかったお話、今日の放課後でよろしいでしょうか?」

さやか「いいよ? 昨日からそういう予定だったし」

仁美「はい。……よろしく、お願いしますわ」


~昼休み・屋上~


さやか「ていうわけで、すいません、マミさん。今日の魔女探し、ちょっと遅れると思うんですけどいいですか?」

マミ「ええ、もちろんよ。でも、そのあとの勉強会は、きっちり受けてもらいますからね?」

さやか「ですよねー。お手柔らかにお願いします。……いや、マジで」

まどか「あははっ。でも仁美ちゃんの話って何だろうね」

メガほむ「そうですね。まだ会ったばかりのわたしはともかく、鹿目さんまで席をはずして欲しいって言うのは、ちょっと気になりますよね」

さやか「そうなんだよなぁ。何の話だかいまいち見当もつかないんだよねー」

マミ「そうねぇ。あまり人に聞かれたくない話っていえば……やっぱり恋のお話とかかしら」

メガほむ「でも、それだと鹿目さんを外す理由がわからないですけど」

マミ「うーん。それもそうね」

さやか「いや待つんだ、ほむら、マミさん。恋の話ときて、まどかじゃなくてあたしオンリーにということは、まさか……! 仁美のやつ、あたしのことを!?」

まどか「それはさすがにないよ、さやかちゃん……」

メガほむ「ありませんね」

マミ「わたしもないと思うわ」

さやか「いや、そんな真面目に答えないでよ……」

さやか「ま、そんな冗談はともかくとして、ほむらはこの間に比べてだいぶ元気になったよね」

メガほむ「そう、ですか?」

マミ「そうね。何か吹っ切れるようなことでもあったのかしら?」

まどか「えっと、たぶん、あの子達に関してだよね? ……大丈夫なの?」

メガほむ「大丈夫かといえば、そうですね。なんて言えばいいんでしょうか。うーん……美樹さんが魔法少女になったのって、今日登校してきた人のためなんですよね」

さやか「へ? いえ、うん。まあ、そうだよ」

メガほむ「その願い事を叶えたのって、どうしてですか? その人に感謝されたかったからとかですか?」

さやか「……前にも聞いた気がするなぁ、その質問」

マミ「……」

さやか「そうだね。あたしは別にあいつに感謝されたかったわけじゃないよ。それだけは確かだ」

メガほむ「なら、きっとそれと同じです。わたしも、あの子たちに見返りを求めるのはやめようって決めたんです」

まどか「同じって、どういうこと?」

メガほむ「わたしがあの子達を大切に思ってるから、わたしがあの子達といたいと思ってるから、あの子達といるんです。あの子達はあの子達なんだって、そう思うんです」

マミ「そう……。ふふっ、立派な心掛けね」

メガほむ「り、立派だなんてそんな……。自分勝手なだけですよ」

さやか「おおう? なんだぁ。それは暗にあたしのことを自分勝手だって言ってるのかぁ?」

メガほむ「い、いえっ。決してそんなわけでは……!」

まどか「だからほむらちゃん。さやかちゃんの言うことあんまり真に受けちゃダメだよ? おむらちゃんはちゃんと立派だから!」

メガほむ「え、えへへ……。そ、そうでしょうか」

まどか「そうだよ!」

さやか「マミさん……最近、なぜかまどかがひどいんです……」

マミ「ふふっ」

~放課後・ファーストフード店~


さやか「……それで、話って何?」

仁美「恋の、相談ですわ」

さやか「え……」

仁美「私、前からさやかさんやまどかさんに秘密にしてきたことがあるんですの」

さやか「へ? うん……」

仁美「ずっと前から……私、上条恭介君のことをお慕いしてましたの」

さやか「!」

仁美「……」

さやか「あ、ハハ……そ、そうなんだ。まさか仁美がねぇ。な、なーんだ。恭介のやつも隅に置けないなぁ!」

仁美「さやかさんは、上条君とは幼馴染でしたわね」

さやか「んん? まあ、その、腐れ縁というかなんというか……」

仁美「本当に、それだけ?」

さやか「……」

仁美「私、決めたんですの。もう自分に嘘つかないって。あなたはどうですか、さやかさん? あなたは、あなた自身の本当の気持ちと向き合えますか?」

さやか「な、なんの話をしてるのさ……」

仁美「あなたは私の大切な友達ですわ。……だから抜け駆けも、横取りするようなこともしたくないんですの」

さやか「ぁ……」

仁美「上条君のことを見つめていた時間は、私よりさやかさんのほうが上ですわ。だからあなたには私の先を越す権利ががあるべきです」

さやか「ひと、み……」

仁美「私、明日の放課後に上条君に告白します。丸一日だけお待ちしますわ。その間に、さやかさんは後悔なさらないように決めてください。上条君に気持ちを伝えるべきかどうか」

さやか「……」






~夜・住宅街~


マミ「ティロ・フィナーレ!」

Roberta:Uaaaaaaaaaa……

まどか「わあ! すごい!」

マミ「ふふっ、ありがとう。……さて。結界も消えたみたいだし、終わったわね。今日は遅いし、もう帰りましょうか」

まどか「はいっ。……今日もあの子達、来てませんね。ほむらちゃんが元気になってたのと、何か関係があるんでしょうか?」

マミ「ううん、何もわからないから、ここであれこれ言うのはただの推測になっちゃうわね。明日、暁美さんに聞いてみましょう」

まどか「そうですね。それと、結局さやかちゃんも来なかったですね。どうしたんだろう……」

マミ「そうね……。きっとお友達とのお話が長引いちゃったのよ。仕方ないわ」

まどか「そう、ですよね。でも――」

杏子「なぁんだ。美樹さやかはいねぇのか」

マミ「!」

まどか「!」

今日はここまで。

また明日続きを投下する。


まどか「あなたは……」

杏子「どうしたんだよ、マミ。もしかして、お早くも見限られちまったのかい?」

マミ「……まあ、ご挨拶ね佐倉さん。おあいにくだけど、美樹さんはわたしを裏切るような子じゃないわ。――あなたと違ってね」

杏子「……っ」

まどか(……やっぱり、知り合いなのかな)

マミ「それにしてもその態度……。本当に変わってしまったのね。あなたの噂はかねがね伝え聞いてるわよ? あまりよくない噂ばかりね」

杏子「ふーん。だったら何? 追っ払おうってわけ?」

マミ「争いはしないわ。この子を巻き込みたくないし」

まどか「ぇ、っと……」

杏子「……ふんっ。そいつを巻き込みたくないねぇ。だったらこんな場所に一般人連れ出してるのはなんでさ。魔女退治はハイキングじゃねーんだぞ?」

マミ「この子は魔法少女の素質があるの。だからわたしたちのことを実際の目で確かめてもらっている最中よ。無関係じゃないわ」

まどか「……」

マミ「契約の利点やリスクを何も知らないで魔法少女になるよりもずっといい方法でしょう?」

杏子「……本気でそう思ってんのかよ」

マミ「?」

杏子「そこのあんたもさぁ。美樹さやかみたいにくだらねー願いで魔法少女になろうってんならあたしの標的にするからな?」

まどか「……そんな風に言わないでほしいです」

杏子「……あぁん?」

まどか「わ、わたしはあなたのことを何も知らないから……どうしてさやかちゃんにひどいことをいうのかわからないけど、これだけは言えます」

マミ「……」

まどか「さやかちゃんの願いは絶対にくだらなくなんかありません!」

杏子「……ふん。知らねえからそんなことが言えるんだ」

まどか「そんなこと――」

杏子「いまのあんたは隣の先輩に振り回されてるだけさ。巴マミは戦力を手に入れたいってだけで、契約した後のそいつがどうなろうと構いやしないって思ってんだから」

マミ「……? 何をいってるの……? 根も葉もないでたらめはやめて」

杏子「……」

マミ「佐倉さん。あなたがこの街に居座るのは勝手だけど、これ以上わたしの後輩をそそのかすようなまねは許さないから。……行きましょう、鹿目さん」

まどか「は、はい……」

スタスタ

杏子「……ちっ」

杏子(あんなこと続けたって、失くしたもんが戻るわけでもねぇだろうが……!)


まどか「マミさんは……さっきの子とは知り合いなんですか?」

マミ「前にちょっと、ね。鹿目さんたちが気にすることじゃないわ」

まどか「そう、ですか……」

マミ「それよりも、さっきみたいに誰かに何を言われても魔法少女になるかどうか、どんな願いを叶えるのかは自分の意思で決めなさい。いいわね?」

まどか「……はい」

マミ「うん。わかってるならいいわ」

まどか「最初はわたし……誰かの役に立ちたいって気持ちだけで魔法少女になりたいと思ってたんですけど、ほむらちゃんが契約しそうになった時とさやかちゃんが契約して魔法少女になった時、それだけじゃダメだって思ったんです」

マミ「……」

まどか「ほむらちゃんが叶えたかった祈りとさやかちゃんがかなえた願いの重さに気づいて、かなえる願いも大事なんだって思ったんです。漠然とした理由じゃなくて確かな願いを見つけられたらって……そう思うんです」

マミ「……うん。わたしもそうしたほうがいいと思う」

まどか「マミさんたちには迷惑かけちゃいますけど……」

マミ「ううん、迷惑なんかじゃないわ」

まどか「……」

マミ「一緒にいてくれるだけで心強いんだから」






~さやルーム~


さやか「……もしもし、恭介?」

恭介『さやか? こんな時間にどうしたんだい?』

さやか「今日はその……時間ある? 会って話がしたいことがあるんだけど」

恭介『ん……明日じゃダメかな。外せない用事があってさ』

さやか「今日じゃないと、ダメなんだ。……だ、だから、いま聞いて。あたし――」

――仁美『ええ、そうですわね。……大事なことをいくつも同時にこなすのは、きっと無理ですから』――

さやか「あた、し……」

さやか(今ここであたしの気持ちを伝えたとして、もしも恭介と……付き合うことになったとしたら、あたし――魔法少女、どうするつもりなの?)

――マミ『魔法少女になってから以前の友達とは、だいぶ距離が離れちゃった。当然よね。魔法少女の活動を優先させて、友達との付き合いが悪くなっちゃったもの』――

さやか(あたしが頑張らなくてもマミさんが街を守ってくれるから大丈夫? そんなの、自分の損得しか考えてないあいつらと同じだ。許されるわけないじゃない)

――メガほむ『なら、きっとそれと同じです。わたしも、あの子たちに見返りを求めるのはやめようって決めたんです』――

さやか(そうだよ。あたしは見返りなんて求めてない。マミさんみたいな、この街のみんなを守る魔法少女になったんだ)

恭介『……どうしたの、さやか?』

さやか「……ううん、いいや」

さやか(いいんだよ、これで)

さやか「受験までにバイオリンの腕戻さないとっていってたもんね。練習頑張ってね」

さやか(そうだよ。あたしは魔法少女だもん)

恭介『うん。ありがとう』

さやか「おう! じゃね!」

プツ プープー

さやか「……そうだよ。これでいいんだよ。魔女を倒してみんなを救うのが使命なんだ。それ以外のことに割く時間なんてないんだ」

さやか(……だけど)

――まどか『……本当に、悪い子達なのかな』――

さやか(あいつらがいなければ、仁美は――)

さやか「……ぇ」ハッ

さやか(あたし、いま、なに考えた? もしあいつらがいなければだなんて……あたしは……!)

さやか「……ぅ、う、ぅううううっ、うううううう!」



~ほむホーム~


ノロマ「……!」

ガンコ「……」

ヤキモチ「……」

ワガママ「……」

レイケツ「…………」

偽街の子供達「………………」

メガほむ「……? どうしたの、いきなり黙り込んで。さっきまでうるさいくらいだったのに」

ヒガミ「……別に」

ウソツキ「なんでもないよ」

マヌケ「それより、どうしよっか」

オクビョウ「うーん」

ワルクチ「どうでもいい気もするけど」

ネクラ「準備しないとね」

ミエ「そうだね」

ナマケ「明日からでいいよ」

イバリ「そうだね」


メガほむ「えーっと、答えはなんとなくわかってるんだけど……何のこと?」

ヤキモチ「葬列」

ワガママ「葬列!」

レイケツ「葬列の、準備」

メガほむ「え? あ、うん。そうなんだ」

メガほむ(あれ? 今回は意外にちゃんと答えてくれたけど……)

メガほむ「葬列……っていうのは何回かやってたみたいだけど、準備するのは初めてだね」

ノロマ「……」

イバリ「そうだね」

ガンコ「今回はね」

ネクラ「本番に近いからね」

ミエ「ここで準備しないと、できないからね」

メガほむ「へー。そうなんだ?」

マヌケ「そうなの」

ナマケ「面倒だけど」

ヒガミ「今回は、ちゃんとしないと」

ワルクチ「あれはどうでもいいけど」

ウソツキ「しかたないね」

オクビョウ「うん」

メガほむ「ふーん?」

偽街の子供達「…………」

今日はここまで。

レスついでに教えて欲しいくれたらものすごく嬉しいんですけど、みなさんドールズの中でどの子が一番好きですか?
ROMで読んでくださっている人も、教えてくれたら助かるなって思います。


それでは明日も続きを投下する。

やっぱりレイケツちゃんが一番人気なのかな。次点で、ノロマちゃんとナマケちゃんか。
参考になりました。

ということで、続きを投下します。







~翌朝・通学路~


メガほむ「おはようございます、鹿目さん、美樹さん」

まどか「おはよ、ほむらちゃん」

さやか「おう。おはよう、ほむら」

仁美「あら、今日は私が最後ですのね。おはようございます」

まどか「おはよう、仁美ちゃん」

メガほむ「おはようございます」

仁美「……おはようございます、さやかさん」

さやか「あ……。おは、よう。おはよう、仁美」

メガほむ「……?」

メガほむ(美樹さん、どうしたんだろう……。元気、ないな)

まどか「さやかちゃん?」

仁美「……」

さやか「……」

さやか『……まどか。昨日はごめん。一緒に魔女退治に行けなくてさ』

まどか『ううん。さやかちゃんこそ、何かあったの?』

さやか『……いや』

仁美「……暁美さんは、昨日、何をされていたんですの?」

メガほむ「えっと、わたしは――」

さやか『なんでもないよ。それより、今日はマミさんとも合流できるから』

まどか『そう? ならよかった』







~放課後・結界内部~


Mathieu:…….

さやか「……」ヒュ

マミ「……」バアン

Mathieu:……!

まどか「……」ハラハラ

マミ(……使い魔の数が減らないわ。大本を叩かなくちゃダメね。この結界、足場が悪いしあまり長引かせるのも鹿目さんに悪いわね)

Patricia「…………」

マミ「美樹さん。使い魔より魔女のほうを集中して狙いましょう。相手の動きを止めるから、美樹さんは使い魔を」

さやか「……うん」ザシュン

Mathieu:……!

まどか「……さやかちゃん?」

マミ「レガーレ・ヴァスタアリア!」ギュルル

Patricia「……」

マミ「よし。見かけ倒しのとろい子ね」チャキ

さやか「……」

マミ「ティロ――」

Patricia「……」グイッ

マミ「きゃ!?」

マミ(足場の糸を引っ張って……!? しまったっ)

マミ「鹿目さん!」シュルル

まどか「わわわっ」

マミ(ふぅ、よかった。鹿目さんのほうはこれでいいわね。後は)

マミ「気を付けて、美樹さん! この魔女、足場を動かして――」

さやか「……」

マミ「……美樹さん?」

まどか「さやかちゃん!?」

さやか「……ぇ?」

Mathieu:…….

マミ「――!」ブシュン

まどか「……ぁ」

さやか「マミ……さん?」


Mathieu:…….

マミ「……がはっ」

さやか(……ぁ。あたしを、かばって……!)

まどか「マミさん!」

マミ「……く、ぅ……!」ボオン!

Mathieu:……!

まどか「……っ。マミさん! しっかりしてください、マミさんっ! マミさん……!」

さやか「っ」

Mathieu:…….

Mathieu:…….

Patricia「…………」

まどか「ぁ……」

さやか(守らなくちゃ……)

QB「さやかっ。君ひとりじゃ無理だ! まどかの力を借りるんだ!」

さやか(あたしが……)

QB「まどかっ。早く僕と契約を!」

さやか(二人とも――!)

Mathieu:……!

Mathieu:……!

杏子「ぼさっとしてんじゃねえぞ、ボンクラ!」

さやか「……!?」


さやか「な、何なのよあんた! いきなり割り込んできて勝手なこと――」

杏子「いいからてめぇの仲間を助けろ! 死なせたいのかよ!?」

さやか「だから、なんであんたが……」

杏子「ごちゃごちゃうっせぇ! 時間稼いでやるからとっととしな! くだらない願いだろうが手に入れた魔法はあんたのもんだ。使いどころを見誤るんじゃねえぞ!」

さやか「……!」

さやか(そうだ……)チャキ

まどか「……さやかちゃん?」

さやか(あたしの回復力は、人一倍なんだ……!)パアアア

杏子「……ふんっ」


マミ(……ぁ)

まどか「……っ」

マミ(鹿目さん……?)

さやか「……!」

マミ(美樹さん……)

杏子「はぁああああ!」ギュン

Patricia「…………!」シュウウ

マミ(……佐倉、さん)

杏子「ふん」

さやか「ぁ……」

まどか「風景が戻った……。よかった、マミさん……」

杏子「……おい」グイッ

さやか「!?」

杏子「あんた、手加減したろ。てめえらの命がかかってんだ! 魔法少女なめてんじゃねぇぞ!」

さやか「……!」

杏子「コンビで戦うっての一人で戦うのとはわけが違うんだ。片方がヘマやらかしたらほかのやつの命だってあぶねーんだ! 自分だけですむ問題じゃねーんだぞ!?」

さやか「そんなこと……」

まどか「……」

さやか「あんたに言われなくても、そんなこと、あたしだってわかってるわよ!」

杏子「……」ドンッ

さやか「あっ」

スタスタ

マミ「ぅ」

まどか「あ……」

さやか「マミさん!」

マミ「……ありがとう、美樹さん。足をひっぱちゃってごめんね?」

さやか「……っ。マミさんごめん。あたしのせいで――」







ノロマ「……」ジイー

マヌケ「まだ?」

イバリ「まだだね」

ネクラ「もうちょっと」

オクビョウ「明日はどうする?」

ヒガミ「もうちょっと近づこうか」

ワルクチ「青魚に?」

ウソツキ「そうだよ」

ミエ「仕方ないね」

ヤキモチ「そっちのほうがいいもんね」

ナマケ「それじゃあそれで」

ガンコ「そうしよう」

ワガママ「うん」

レイケツ「そうだね」

イバリ「それじゃ、帰ろっか」

ヒガミ「うん」

ヤキモチ「そうしよう」


~ほむホーム~


レイケツ「ただいま」

マヌケ「かえったよ」

メガほむ「おかえり。今日は全員でお出かけだったけど、どうだったの? 準備って大変なの?」

イバリ「やっと」

オクビョウ「帰れたね」

メガほむ「うん、無視はやめようね。よくわからなくてもいいから何か答えようね」

ノロマ「……」

ネクラ「……大変というか」

ワルクチ「青魚というか」

ナマケ「とりあえず面倒」

メガほむ「へー?」

メガほむ(青魚……?)

ウソツキ「しかたないね」

ヒガミ「卵を作らないといけないからね」

ミエ「しかたないね」

メガほむ「よくわかんないけど……とりあえず、ご飯の用意はできてるよ?」

ワガママ「ご飯!」

ヤキモチ「食べる」

ガンコ「いただきます」





とりあえずここまで。

また夜にも続きを投下する。

ナマケちゃんは背が高くて金髪で、頭に小さな帽子を乗せてる、クララドールズで一番セクシーな子だよ。
印象的なシーンは、ダンレボの変な踊り三人組とほむら魔女化前にナイトメアを抱えて遊んでいたところかな? ナイトメアで遊んでいるナマケちゃんはとても愛らしいです。

ノロマちゃんはQB追っかけるシーンでゆっくり落ちていくところも地味に好きです。

ワガママちゃんの小ささは、たぶんノロマちゃんには負けてるのかな? BDのブックレットで帽子をとってたけど、それでもたぶんノロマちゃんのほうが小さかった気がする。

というわけで、続きを投下します。






~翌日・教室~

メガほむ「……」

まどか「……」

メガほむ「……今日、待ち合わせ場所に、さやかさん来ませんでしたね」

まどか「……うん」

メガほむ「……あ、っと、その、志筑さんもですねっ」

まどか「……うん。仁美ちゃんは、来ないって連絡もらってたけど、さやかちゃんは……」

メガほむ「……ぅ。そ、そうでしたね……」

まどか「……」

メガほむ(ど、どうしたんだろう。昨日の魔女退治で、何かあったのかな? で、でも聞いていいことなのかな……? うぅ。鹿目さんが暗いのって珍しいから、会話が……。どうしよう……)

ガララ

まどか「ぁ」

さやか「……」


さやか「……おはよう、まどか、ほむら」

メガほむ「あ、おはようございます」

まどか「おはよう、さやかちゃん。今朝は――」

さやか『ほむら。言いそびれてたけど、この間は仁美を助けてくれてありがとう』

メガほむ『へ? いや、その、わたしは何もしてないですし……むしろ、志筑さんと一緒にって助けられた側で……』

さやか『うん。それでもあんたに言うのが一番だと思ったから』

メガほむ『そ、そうですか。ええっと、ありがとうございます……?』

まどか『あっと……さやか、ちゃん?』

さやか『まどか。魔女退治なんだけど、昨日のこともあるから今日は休みだって』

まどか『……あ、うん。そう、なんだ』

メガほむ(やっぱり昨日、何かあったのかな……?)

さやか「それだけ。んじゃ、もうHR始まるから席に戻――!」

仁美「それで、上条さん。今日の放課後なんですけど……」

上条「うん。わかったよ、志筑さん」

メガほむ「あれ? 志筑さん、上条君と登校してきたんですね」

さやか「……」

まどか「さやかちゃん……」

メガほむ「……?」

和子先生「はーい、みなさーん。それではHRを始めますよ。席に座ってください」






~放課後・時計台下~


マミ「……」

コツコツ ピタ

マミ「……ここで会うのも久しぶりね」

杏子「……」

マミ「隣、いいかしら」

杏子「……何だよ。グリーフシードなら使っちまったよ?」

マミ「あなたの手柄でしょう。返せなんて言わないわ」

杏子「……ふん」

マミ「……お昼、食べちゃった? クッキー焼いてきたんだけど?」

杏子「……」


杏子「……」サクサク

マミ「佐倉さん。どうしてこの街に戻ってきたの」

杏子「……」モグモグ

マミ「縄張りを奪いに来たの? 本当にそれだけ?」

杏子「……」ムシャムシャ

マミ「……ちょっと気になるんだけど、あなたちゃんとした食事とってるの? まさか毎日お菓子とファーストフードで済ませてるんじゃないでしょうね?」

杏子「なっ……!」

マミ「ほら、図星ね。年頃の女の子がそれでいいと思ってるの? バランスの取れた食事をとらないと」

杏子「か、関係ないじゃんか!」

マミ「……あら。その調子だと、食生活だけじゃなじゃなくて――」

杏子「いいだろ! ほっとけよ!」

マミ「……ふふっ」

杏子「……はあ」ガシガシ

マミ「それより、昨日はありがとう。助けてくれて」

杏子「あんたを助けたのは美樹さやかだろ。あたしじゃないよ」

マミ「……佐倉さん。単刀直入に言うわよ。もう一度、一緒に戦うつもり、ないの?」

杏子「!」

マミ「やっぱりわたしには、あなたが悪いようには見えないの」

杏子「……あたし、は……」

マミ「強くなったわよね、佐倉さん。久々に会って、ずいぶんと見違えたわ」

杏子「な、なんだよ、いきなり……」

マミ「一緒にいた時とは戦いのスタイルが全然違っていたもの。――まるで、失くした能力を補っているみたいだった」

杏子「……っ」

マミ「あなたがこの街から出て行った理由……ご家族以外にもあるんでしょう? わたしに隠していること」

杏子「……そいつが本題か?」

マミ「むやみな詮索はやめておくつもりだったけど、どうしてもあなたの言動が引っかかっていたから……」

杏子「……」

マミ「いまさら言っても仕方のないことだけど、どうしてわたしに相談してくれなかったの? もしもあなたが足手まといは嫌だって思っていたのなら――」

杏子「……言ったらどうにかなったのかよ?」


杏子「じゃあ何? 相談したら一緒に使い魔狩りをやめてくれたわけ? 違うだろ?」

マミ「……っ。でも、わたしは――」

杏子「はっ。そうだろうさ。あんたは魔法もろくに使えねぇ足手まといに向って、嫌な顔ひとつせずグリーフシードを分け与えてやるんだろう?
 あたしはあんたのそういうところがムカつくんだよ!」

マミ「……佐倉さ――」

杏子「別に魔法がどうだっていうのは関係ねーよ。お互いウマが合わねぇで片付いた話だってのに、過ぎたこと蒸し返してさ。……あんたは本当にいらねーお節介が好きだよな」

マミ「っ」

杏子「ものはついでだ。あたしも言いたかったこと言わせてもらうけどさ。昨日の戦いは何さ。アンタと美樹さやか。傍から見たら最悪のコンビだったよ?」

マミ「……」

杏子「昨日のことだって、グリーフシードを授業料としていただく代わりにあのヒヨッコに手本を見せてやっただけだっての。勝手におめでたい勘違いしてくれちゃってさ」

マミ「やっぱりあなた……」

杏子「――なんであんな奴、契約させたんだよ」

マミ「……ぁ」

杏子「あいつの願い、知ってたんだろ。他人のために祈ったあたしがどうなったか知ってるくせに、よく白々しくコンビなんて組めるよな」

マミ「それ、は……」

杏子「……あたしの時みたいに裏切られちまえばいいのさ」

マミ「美樹さんはそんな子じゃないわ!」

杏子「はっ。どうだかね。あいつ早くもやばそうじゃん?」

マミ「本気でそう思ってるの? あの子のことを悪く言うなら、許さない……!」

杏子「許さないならどうするんだい? やろうってんなら構えなよ」

マミ「……いえ、もうやめましょう。考えの及ばなかったわたしが悪かったわ」

杏子「……ぁ」

マミ「時間を取らせてしまってごめんなさいね。あなたには元の縄張りがあるでしょう? ……なるべく早くこの街から出て行って」

スタスタ

杏子「……くそっ」


――杏子回想――


杏子「それじゃあおかげで魔女も倒せたし、あたしは……」

マミ「待って。あなたも魔力を消費したでしょう? ソウルジェムの濁りを浄化しておかないと」

杏子「え? でもそれは、今日のあたしが貰う資格……」

マミ「二人で倒した成果よ」





マミ「佐倉さん。あなたが魔法少女になった願いって……」

杏子「……うん。裕福になりたいとか祈ったわけじゃないんだ。ただ『父さんの話をみんなが聞いてくれますように』ってさ」

マミ「そう。あなたはお父様のために……」

杏子「うん。誰一人、父さんの話を理解するどころか耳を傾けさえしなかったのがずっと悔しくて、あたしは耐えられなかったんだ。……他人の願いを叶えるのって、そんなおかしい事かな?」

マミ「……ううん」





杏子「聞いて、父さん。
   今日もね、あたしは魔女を倒したよ。自殺しそうになってた人を一人救ったんだ。
   父さんがなくしたかった世の中の不幸や悲しみの芽を、あたし達魔法少女は着実に摘んでるんだ。
   これってさ、悪いことじゃないよね」

佐倉父「お前は最初から、私の話など聞く耳も持たれなくて当然の、誰の救いににもならないただの世迷い言だと――そう思って悪魔と契約したのだろう?」

杏子「父さ……違……」






QB「杏子。魔女退治に行かないのかい? 君はしばらくソウルジェムを浄化していないはずだ。そのままだと、戦えなくなるよ?」

杏子「……こんな力もういらない。家族みんなをめちゃくちゃにしただけで、本当に大事だったものを何一つ守れない力なんて、何の役に立ちやしない」

QB「……」

杏子「キュゥべえ。あたしが魔女を狩るのをやめたら、あたしもみんなと一緒に死ねる?」

QB「それは……」

杏子「はっ。……冗談に、決まってんじゃん」





杏子「いっちょあがり!」

QB「お見事だね、杏子」

杏子「当然だろ。あたしが魔女ごときに遅れをとるもんか」

QB「君が能力にハンデを負った時は、正直そう長くないと思ったんだけどね」

杏子「ふんっ。なめるんじゃないっての。あの頃のあたしとは違うんだ」

杏子(そうさ、あの頃のあたし、とは――。……どうしてるかな、マミのやつ)

QB「そうだ、杏子。以前君が通っていた見滝原にね、つい先日から奇妙な使い魔がうろついてるんだ」


――――――――――回想終了


杏子「くそっ……いらぬお節介だったのはあたしのほうだ……」

杏子(裏切られていいなんてほんとに思ってるわけないし、あたしの時とは違うことだってわかってるんだ。あたしは、ただ――ん?)

メガほむ「すいません、補修終わるまで待ってもらっちゃって……」

まどか「ううん。今日は魔女退治もないし、気にしないで?」ウェヒヒ

メガほむ「ふふっ。ありがとうございます。それで、さやかさんは――って、あの人は……」

まどか「さやかちゃんは一人でもパトロールに……うん? どうしたの、ほむらちゃ――ぁ」

杏子「……あん?」

今日はここまで。

また明日に続きを投下する。

出番が不遇なヒガミちゃんは、出番の多い子をひがんでるのがかわいいところだから……!(震え声)

というわけで、続きを投下します。


メガほむ(あの人、確かあの時に向上にいた魔法少女の人じゃ……)

杏子(こいつら……片方はあの使い魔と一緒にいたやつで、もう片方はマミと一緒にいたやつか)

まどか「あの、佐倉さん……だよね?」

杏子「……」

メガほむ(佐倉さんっていうんだ。鹿目さんと知り合いなのかな? そっか。魔法少女ならおかしくないか)

まどか「自己紹介まだだったよね。わたし鹿目まどかって言います。えっと、昨日はありがとう。わたしたちを助けてくれて」

メガほむ「あ。わ、わたしは暁美ほむらです。わたしの時もありがとうございます。いろいろ気にかけてもらって」

杏子「……」

まどか「あれ? ほむらちゃんも佐倉さんに助けてもらったの?」

メガほむ「え。はい。あの子たちが助けてくれた時、一緒に――」

杏子「別にあんたらを助けたわけじゃねーから礼なんていいよ。あたしは魔女を狩りに行っただけだ」

まどか「え? でも佐倉さんだって……」

杏子「……だからいいっての」

まどか「あ、うん……」

メガほむ「……」


杏子「……」

メガほむ「……」

まどか「……」

メガほむ(うぅ。な、なんか気まずい雰囲気に……)

まどか(さっそく気まずくなっちゃったなぁ。どうしよう。わたしから話しかけたのに……。ほむらちゃんにも悪い事しちゃったかも……)

杏子「……」
まどか「あ、えっと……」

杏子「あんた、まどかつったっけ? 前から気になっていたんだけど、ハナっから魔法少女になる気なんてないんだろ? なんであいつらについて回ってんの?」

メガほむ「え?」

まどか「……なんで、わかったの?」

杏子「なんとなくだよ」

メガほむ「えっと……鹿目さんは、魔法少女にはなりたくないんですか?」

まどか「……なんていうのかな。ちょっと関係のない話も混ざるんだけど――わたしね、さやかちゃんとは小学校の時からの友達で、いつもさやかちゃんの後ろにくっついてたの」

杏子「ふーん。それで?」

まどか「うん。それで、ちょっとしたことがあるたびにさやかちゃんに守ってもらったりして、わたしにとって身近な憧れで、カッコいい存在だったんだ」

メガほむ「そうなんですね。わたしはまだ会ったばかりですけど、美樹さん、すごいですもんね」

まどか「そうだよね。さやかちゃんって、正義感が強くて行動力があって、誰かのためでもすぐ動けて……それとは反対に、周りに迷惑かけてばっかりな自分がずっと好きになれないでいて。得意なものは何もなかったけど、ただ漠然と誰かの役に立ちたいって、ずっと思ってたの。――そんな時に出会ったのが、ほむらちゃんとマミさんだったんだ」

メガほむ「へ? 巴さんはともかく……わたしもですか?」

杏子「……」

まどか「うん。マミさんと会った時には魔法少女の存在を知って、驚いたし嬉しかった。わたしも魔法少女になれれば誰かのために役に立てるんだって、マミさんやさやかちゃんみたいになれるんじゃないかって、そう思ったの」

杏子「……そんな簡単なことじゃねーだろ」

まどか「あはは……うん。その通りだと思う。実際わたしより先に魔法少女になったのはさやかちゃんで、もともと頼もしかったさやかちゃんがマミさんと組んでますます頼もしくなって、わたしも魔法少女になりたいって、言い出せなくなっちゃった。いまさら二人の間に入っても、わたしが足を引っ張っちゃうだけなんじゃないかなって」

メガほむ「鹿目さん……そんなことは――」

まどか「それにね、ほむらちゃんも見ていて思ったことがあるの」

メガほむ「え?」

まどか「魔法少女の素質があるのに、それでも願い事に頼らないであの子たちと一緒にいようっていう姿勢を見てて、それもとってもカッコいいなって。魔法少女にならなくたって誰かの役に立つことはできるんだって、それはそれでとっても素敵なことなんだって、それに気が付いたんだ」

メガほむ「へ? その、わたしなんて、美樹さんや巴さんに比べれば、そんな……」

杏子「……」モグモグ

まどか「ううん。ほむらちゃんはとってもカッコいいよ? わたしって、ほんとに周りに気が付かせてもらってばかりだなぁ。……あ。佐倉さん、ごめんね。ほとんど話したこともないのにこんな話をしちゃって」

杏子「……杏子でいいよ。ほら」ヒョイ

まどか「え? これって……」

メガほむ(……ロッキー?)

杏子「食うかい?」


杏子「あたしとマミが昔馴染みだっていうのは聞いたのか?」

まどか「うん。マミさんから、少しだけ」

メガほむ「えっと、わたしは全然……」

杏子「そっか。ならはじめっから話すけど、あたしはマミの弟子だったのさ。強くて頼りになるあいつを尊敬してて、自分もああなりたいって憧れていた」

まどか「そうだったんだ……」

杏子「だけど訳あってあいつとはいられなくなっちまった。その後は代わりの相棒が見つかればいいって思ってたはずなのに、いざ再会してみたらあいつのやり方に納得できなくなってて……さっきも心にもない余計な口出しばっかりして怒らせちまった」

メガほむ(……今日の朝から鹿目さんたちの様子がおかしかったのは、そのせいなのかな?)

杏子「真面目に説得すればよかったんだろうけど、こっちから一方的にケンカ別れした手前、今更態度改めてあいつらになめられるのもシャクだなって思ってさ」

まどか「……」

杏子「けどそんな調子でうまいこと行くわけがねえっていうか、自分にイラつくっていうか……」

まどか「……わたし、実は杏子ちゃんってホントに意地悪な子だって思ってた」

杏子「……うっせー」

まどか「ふふっ。でも、全然そんなことなかったんだね」ニコ

メガほむ「あははっ」

杏子「笑うなよ……。こっちはこっちでな――」

まどか「うん。杏子ちゃんもふたりのことで悩んでたんだよね。なんだか安心しちゃった。ごめんね。いいことじゃないのに」

杏子「……いいよ。気にしてないからさ。それより今日会ったことは内緒にしとけよ。厄介事は勘弁だからな」

メガほむ「はい。わかりました」

まどか「うん。わたしも今の話は内緒にしておきたいし……そうだっ。それなら、わたし達は秘密のお友達だね!」

杏子「はぁ!?」

メガほむ「秘密の、っていうと?」

まどか「杏子ちゃんとマミさんたちが素直になれるまで、秘密の友達。ねっ?」

メガほむ「ふふっ。いいですね、それ」

まどか「だよねっ! 杏子ちゃんも頑張ろうね?」

杏子「お、おう……?」


~ほむホーム~


メガほむ「ただいまーって……やっぱりあの子達、出かけてるよね」

メガほむ(葬列の準備って言ってたけど、あの子達何をやってるんだろう?)

メガほむ「うーん、あの子たちのことについては考えてもだいたい無駄だし……とりあえず、お夕飯の準備はしておこう」

メガほむ(……この部屋、広いな)

メガほむ「そのうちすぐに狭くなっちゃうんだけどね。うん。他のこと、考えよう……」

メガほむ(……鹿目さんたち、今日は魔女退治はしないっていってたよね。美樹さんは一人でパトロールに行ってるらしいけど……巴さんと鹿目さん、何をしてるのかな?)




~まどルーム~


マミ『そう。美樹さんが……』

まどか「あ、あの、私が電話で相談したってことは内緒で……」

マミ『ええ。それは構わないわ』

まどか「……あの魔女と戦ってた時も、さやかちゃん、上条君のことで悩んでたはずなんです。あれからさやかちゃん、、自分のせいでマミさんをひどい目に合わせちゃったって、すごく落ち込んでてて……」

マミ『……』

まどか「だからさやかちゃんのこと、嫌いにならないでほしいんです。これからも一緒に戦って欲しいんです」

マミ『うん、大丈夫。美樹さんはこれからもわたしが守るから、心配しないで。……二度と、繰り返したりはしないもの』

まどか「……え?」

マミ『ううん。何でもないわ。それじゃあまた明日ね、鹿目さん』

まどか「あ――」

プツ ツーツー

まどか(電話、切れちゃった……。最後のって、杏子ちゃんのことだよね)

まどか「やっぱりマミさんと杏子ちゃん、ちゃんと話し合えばまた仲良くできるよね……。杏子ちゃんが素直に打ち明けてくれれば、きっとさやかちゃんとも友達になれるはずだよ、うんっ」







~夜・住宅街~

杏子「……」モグモグ

杏子(秘密の友達ねぇ。あいつもなんだかんだ変なやつだったな。それとも、あれが普通なのかね――っと。いたな。なんかぞろぞろ引き連れてやがるが……)

さやか「……」トボトボ

レイケツ「……」テクテク

ミエ「……」テクテク

ノロマ「……」ノタノタ

杏子「おい」

さやか「!」

オクビョウ「あれ?」

マヌケ「サクラキョウコ?」

ヒガミ「どうしたの?」

杏子「お前らに用はねーよ。さっさとほむらのところ帰れ」

イバリ「そろそろ帰るよ?」

ワガママ「ご飯の時間だし」

ガンコ「まだかえれないし」

ネクラ「もうそろそろなのにね」

杏子「……なに言ってんのかね。あんたもなんでこいつら引き連れて歩いてんだよ」

さやか「なんか知らないけどついてくんのよ。追い払おうとしても――」

ウソツキ「こっちだって別に」

ワルクチ「お前なんて」

ナマケ「どうでもいいよ」

さやか「――こんなんだしさ。……それで、何か用?」

杏子「別に大したことじゃねーけどさ……あんた、マミとコンビなんてやめときな。どう転んだって、あいつのようにはなれねーんだからさ」

さやか「……」

杏子「今のあんたはマミのお荷物だ。正義の味方ごっこなんかやめて、もっと利口なやり方に変えなよ」

さやか「……そうだね。あたしはマミさんみたいな正義の味方じゃない。どう比べたって全然違うもん……」

杏子「なんだ? 今日はやけに物わかりがいいじゃ――」

さやか「あんたのこと、マミさんから聞いたわ。一番弟子だったんでしょ」

杏子(……あの野郎)

さやか「魔法少女としての実力だったら、足手まといなあたしよりあんたのほうがマミさんとつりあってるんでしょうね」

杏子「はあ?」

さやか「あんたは利益のためなら街の人を見捨てるやつだし、そういう戦い方や考え方を認めるつもりはないけど……今のあたしにはそれを非難する資格なんてないんだ」

クルッ スタスタ

杏子「……? なんだ、あいつは……」

ノロマ「……」

ミエ「行っちゃった」

ヤキモチ「追いかける?」

ナマケ「もう帰ろうよ……」

マヌケ「そうだね」

レイケツ「今日はかえれそうもないし」

ガンコ「もう帰ろう」

杏子「……お前らはお前らでわけわかんねーよな。ほむらのやつも苦労してそうだな……」

今日はここまで。

また明日続きを投下する。






~翌日・屋上~


マミ「どうしたの、美樹さん。わざわざ屋上で、二人きりで話したいだなんて」

さやか「うん……。この前はごめん。あたしが気を緩めていたせいで、マミさんを――」

マミ「もうっ。気にしないでいいって言ったじゃない。だって、みんな無事ですんだんだもの」

さやか「……ううん。やっぱりけじめはつけておきたくて」

マミ「けじめ?」

さやか「うん。マミさん。あたしたち、コンビを組むのやめよう?」

マミ「…………どうして?」

さやか「……」

マミ「この前のことが原因だっていうなら――」

さやか「それもあるけど、そうじゃないんだ」

マミ「……?」

さやか「前にさ、ほむらんとこの使い魔たちが、あたしとまどかの友達の仁美って子を助けてくれたんだよ」

マミ「え、ええ……。それは知ってるけど……?」

さやか「あたしね。……あの子が助けられなければいいのにって――そう思っちゃったんだ」

さやか「あたしが契約した理由になった幼馴染、いるでしょ? その友達がそいつに告白するって聞いたときに、あたし思っちゃったんだ。『あの使い魔たちがいなければよかったのにって』……ね? 最低、だよね」

マミ「それは……美樹さんが悪いわけじゃないでしょう? だって、人なら誰だって恨みや妬みを持ってしまうものだのも。それでいちいち自分を責めていちゃ――」

さやか「そうだよね。あたしって、ほんとに気分屋で調子のいい奴だよね。口先では正義ぶってるのに、いつも誰かに頼りっぱなしで肝心な時に役に立たなくて、自分で言ったことさえ、ろくに守れやしてない。そんなんだからマミさんをひどい目にあわせちゃったんだ」

マミ「……美樹さん。わたしは仲間を頼るのが悪いことだとは思わないわ。わたしだって何どもあなたに掬われたんだもの。あんたがいてくれたから、わたしも今ここにいるのよ?」

さやか「……マミさんは優しいよね」

マミ「え?」

さやか「どうしてあたしを責めたりしないの? 元をたどればマミさんの忠告を押し切って契約したからこんなことになっちゃったのにさ……」

マミ「そんなこと――」

さやか「ほら。いまもそう。いつもあたしをフォローしてくれるのは嬉しいけど、そういうのが時々ちょっとつらいっていうか……」

――杏子「あんたは魔法もろくに使えねぇ足手まといに向って、嫌な顔ひとつせずグリーフシードを分け与えてやるんだろう? あたしはあんたのそういうところがムカつくんだよ!」――

マミ「――っ」

さやか「ごめん。コンビを組むのやめたい理由はそれなんだ。……これ以上優しくされても、あたしには返すものがないから」

マミ「……」

これどっかでみたな
1の過去作?


さやか「それに元々あたしはさ、マミさんと組む資格なんてなかったんだよ。どんな事情があったとしても魔女の手からみんなを守らなくちゃいけない魔法少女なのに、そんな当たり前の覚悟すらなかったんだって、今回のことで思い知らされた」

マミ「……ぁ」

さやか「マミさんだって、そんな覚悟もない子とは組めないもんね?」

マミ「……わ、わたしは――」

さやか「それでも。他人を見捨てたこんなあたしでもいっしょに組めるっていうなら――あたし、マミさんのこと幻滅するかも」

マミ「!」

さやか「まどかにも言っておくよ……。いまのあたしじゃ誰も守れる自信ないし」

マミ「ぁ」

さやか「あの子のことよろしくね」タタタッ

マミ「…………」

さやか(ごめんね……マミさん……)

>>836

TDS

ここら辺、ほぼなぞってるだけだから。






~夜・住宅街~


杏子「……」モグモグ

杏子(マミのやつはまどかと一緒にいるけど……ちっ。さやかのやつは一人で魔女探しをしてやがるな)

杏子「……ほら見ろ。無理じゃんか」

ノロマ「?」

ヒガミ「どうしたの?」

ヤキモチ「何が?」

ガンコ「何が無理なの?」

杏子「!?」

杏子「……お前らかよ。別になんでもねーよ。ただの独り言だ」

マヌケ「そうなの?」

ワガママ「それにしては」

レイケツ「不機嫌そう」

杏子「何がいいたいんだよ」

ナマケ「別に?」

イバリ「ただね」

ネクラ「もしかして、さみしいの?」

オクビョウ「ひとりぼっちは」

ガンコ「さみしいの?」

杏子「はぁ?」

ワルクチ「なら一緒にいればいいのに」

ウソツキ「だよね」

杏子「別に組みたいなんて言ってねぇんだけど……」

ミエ「ふーん?」

杏子「お前らと会話するとなんかすっげー疲れるわ。もう帰れ」

ヤキモチ「帰るよ?」

ワガママ「うん。もう帰る」

ガンコ「ちなみにかえるのは?」

レイケツ「明日かな」

杏子「はいはい。もう好きにしろよめんどくせー。あたしは魔女狩りに行ってくるよ」

ヒガミ「行ってらっしゃい」


杏子(……たっく。あいつらもほんと何なんだか。ま、ほむらに任せときゃいいだろ。あたしは魔女を――って……)

まどか「杏子ちゃーん!」

杏子「……まどかか。マミのやつはどうしたんだ?」

まどか「えっと、今日の魔女退治はおしまいだって」


杏子「ふうん?」

杏子(さっきまで魔女探しをしてた割に、ずいぶん早く切り上げたな。……さやかと別々で行動してたし、本格的になんかあったかね、これは)

まどか「それで、マミさんとは別れて帰ってる途中に杏子ちゃんを見かけて声をかけたの」

杏子「そっか……」

まどか「うん。よかったらちょっとそこで話していかない?」




杏子「あははっ。あいつバカだな、ほんと!」

まどか「えへへ。さやかちゃんはそうやってみんなを笑わせてくれるけど、人一倍ほかの人のことを気にかけてくれてるんだよ」

杏子「へー。まあちょっと意外だな」

まどか「そう? でも杏子ちゃんが話してくれたマミさんも、ちょっと印象が違うっていうか……」

杏子「あいつが調子に乗ってる時は大抵ツメが甘いんだ。本人は気づいてねーだろうあたりが、特にな」

まどか「あははっ。うん。わたしマミさんと、もっともっと仲良くなれそうな気がするよ」

杏子「そっか。わたしもあんたと話せてよかったよ。さやかのこと、けっこう誤解してた部分もあったと思う」

まどか「わかってくれたならよかったぁ。……それに、杏子ちゃんがマミさんをすっごく大切に思ってるんだってことも、わかったよ?」

杏子「……」

まどか「ねえ。杏子ちゃんもマミさんと一緒に――」

杏子「あいつとはつるまないよ」

まどか「え……」

杏子「誰かのために命を懸けるなんてごめんだね。正義の味方だとかみんなの幸せを守るとかそういうもんに命を懸けていいのはね、本当に限られた相応しいやつだけだ」

まどか「……相応しい、人?」

杏子「ああ。あたしはそうじゃなかった。いろんな魔法少女を見てきたけど、マミ以外にふさわしいって思えるやつはいなかった。本音を言えばさやかにだってマミと同じことをしてほしくないんだ」

まどか「……」

杏子「やることがすんだらあたしは風見野に帰るさ。あたしみたいな忘れたい過去にいつまでも目の前をうろつかれちゃ、マミにとっても迷惑だろうしさ」

まどか「マミさんはそんなこと……」

杏子「いいんだよ、それで」

まどか「……っ。杏子ちゃんはそれでいいの? ちゃんとわかるよ? ホントは仲直りして一緒に戦いたいんでしょう? 一度はケンカになっちゃったかもしれないけど、ちゃんと話せばマミさんだってわかってくれ――」

杏子「あんたはもう首を突っ込まないほうがいい。……マミとさやかのことは心配すんな。あいつらにもしものことがあったら、あたしがなんとかする。もう帰んなよ。家族を心配させるもんじゃないよ?」

まどか「杏子、ちゃん……」

杏子「あんたが持ってる当たり前の幸せってやつをないがしろにしちゃいけないよ」






~ほむホーム~

レイケツ「いただきます」

ワガママ「ご飯!」

マヌケ「たべるー」

メガほむ「ふふっ。いただきます」

ノロマ「……」パクパク

ミエ「おいしい」パクパク

ワルクチ「おいしくなった」パクパク

ガンコ「前とは違うけど」パクパク

イバリ「これはこれで」パクパク

メガほむ「そう? 前のって言うのはよくわからないけど……おいしいならよかった」ニコニコ

オクビョウ「ご主人様?」

ヒガミ「嬉しそう」

ミエ「どうしたの?」

メガほむ「うん、嬉しいよ? あなたたちにおいしいって言ってもらえたもん」ニコリ

ナマケ「ふーん」

ワルクチ「それが嬉しいの?」

メガほむ「それが嬉しいの」

メガほむ(いままでよくわからなかったけど『幸せ』ってこういうことなのかな)

ヤキモチ「そっか」

ワガママ「なら食べよう」

ヒガミ「うん」

ネクラ「そうだね」

ウソツキ「明日のために」

レイケツ「いただきます」

今日はここまで。

TDSはまどマギコミック随一の傑作なので読みましょう。1は叛逆見てから初めて読んだけど、それまで読んでなかったことを激しく後悔した。いやだって、本編コミックがあんまりいい印象じゃなかったんだよ……。


明日もまた続きを投下する。





~翌日・屋上~


まどか「さやかちゃん。マミさんと仲直りしよう?」

さやか「…………」

メガほむ「えっと……美樹さん、巴さんと喧嘩してるんですか?」

さやか「……ううん。ケンカしてるわけじゃないよ」

まどか「そんなわけないよ。さやかちゃん、日に日につらそうになっていくの、すごくわかるよ。見てるわたしもつらいもん。このままじゃ、絶対に良くないよ……」

メガほむ「詳しくは知らないですけど……。美樹さん。親しい相手と溝があるのは、やっぱりつらいですよ。わたしも、あの子たちのことで悩んでいた時は、やっぱりつらかったですし」

さやか「……あたしがいたって、マミさんの足引っ張るだけだもん」

メガほむ「そんな……」

まどか「だったらわたしだけでもさやかちゃんの傍に――」

さやか「それもダメ。まどかだってわかってるでしょ。……あたしは大事な友達を見捨てるようなやつなの」

まどか「……」

メガほむ「……? それって、どういう――」

さやか「――!」

まどか「さやかちゃん? ……ぁ」

メガほむ「あれ? あの人は……」

上条「……」

さやか「ど、どうしたの? なにか……用なの?」

上条「うん。渡したいものがあってさ」

まどか「……」

上条「遅くなって悪いんだけど、さやかには入院中にいろいろお世話になったからさ。ちゃんとお礼をしておかなきゃって思ってたんだ。だからこれ、よかったらって」

さやか「ぁ……」

メガほむ(きれいにラッピングされた箱……? プレゼントかな?)

さやか「そ、そんなのいいのにさー。なんだか気を使わせちゃったみたいだねー、あはは!」

まどか「……っ」

さやか「お礼なんていいって! 別にあたし……感謝されたくてお見舞いに行ってたわけじゃ、ないし。それに、今のあたしには受け取る資格が……」

メガほむ「美樹さん……」

上条「……?」

さやか「ほら、恭介はさ。こんなとこで時間潰してないで仁美のところに行きなよ。いまやクラス中の噂だぞー。仁美と恭介、付き合ってるんじゃないかーって――」

まどか「さやかちゃん、ごめんね」

さやか「?」

メガほむ「鹿目さん?」

まどか「上条くん。聞いて欲しいことがあるの」

上条「鹿目さん……?」

まどか「あなたの腕がもとに戻った時、どうして急に治ったのか不思議に思わなかった?」

メガほむ「鹿目さん!?」

さやか「まどか、あんた何を……!」

上条「……」

まどか「あのね、上条くんの腕を治したの――」

さやか「まどかぁ!」

まどか「――さやかちゃんなんだよ」


上条「腕、って……さやか?」

さやか「……っ」

まどか「こんなこといきなり信じてなんて言われても、すぐには理解できないかもしれないけど、その奇跡を目の当たりにした上条くんならわかってくれると思うの。さやかちゃんが上条くんのために命を懸けて起こした奇跡のこと」

メガほむ「鹿目さん……それは、言ったら……」

まどか「わかってるの。こんな形で解決するのは、さやかちゃんだって望まないことだっていうのは。だけど、これ以上傷つくさやかちゃんを見たくなくて……」

さやか「なんで言っちゃうの……。ダメだよ。だってあたしは、仁美にひどい事を――」

まどか「ほんとうにごめんね。さやかちゃん」

さやか「……まどか」

上条「……さやか。詳しく聞かせてくれるかい?」

さやか「……」

メガほむ「……」

まどか「……」

さやか「……わかった。あたしが隠してきたこと、全部話すよ。その代わり、一日だけ時間をちょうだい。気持ちの整理をしたいんだ。きっとあたしの嫌なところも知るだろうからさ」

上条「……わかったよ。それじゃあ、僕は先に教室に戻ってるから」

さやか「うん」

まどか「……」

さやか「……今日はあたし、早退するよ。ほむら。先生に言っておいてくれる?」

メガほむ「はい……いい、ですけど。美樹さん、大丈夫ですか?」

さやか「ははっ。平気平気。しっかしこんなところでヒーローの正体がばれちゃうとはねー。びっくりさせるなぁ、まどかは」

まどか「うん……ごめんね」

さやか「……ううん。あたしのためにありがとね、まどか」

メガほむ「美樹、さん……」

さやか「それじゃ、二人とも。……また明日ね」

今日はここまで。

また明日に続きを投下する。







マヌケ「あれ?」

ヒガミ「ミキサヤカが」

オクビョウ「学校から出るね」

ミエ「サボりかな?」

イバリ「サボりだね」

ヤキモチ「追いかけよっか」

ワガママ「追いかけようよ」

ガンコ「もうそろそろだしね」

レイケツ「傍にいれば、もうそろそろかえるから」

ナマケ「そうだね」

ノロマ「……」

QB「やあ」ヒョコ

偽街の子供達「!」


マヌケ「インキュベーター?」

ワルクチ「何か用?」

QB「そうだね。今日は君たちの様子を見に来たんだ」

ガンコ「わたしたちの?」

ネクラ「カナメマドカじゃなくて?」

ヤキモチ「ミキサヤカでもなくて?」

ワガママ「トモエマミでもなくて?」

ヒガミ「ご主人様でもなくて?」

イバリ「わたしたちを?」

QB「そうだよ。君たちの行動は興味深いからね。特に今日、君たちがやろうとしていることは、ぜひとも見届けたいんだ」

ナマケ「あっそ」

ウソツキ「好きにすればいいよ」

オクビョウ「そっちのほうが、本番っぽいしね」

QB「そうかい? なら、今日は君たちについて行かせてもらうよ」

ノロマ「……」

ミエ「行こっか」

ネクラ「そうだね」

レイケツ「葬列を開きに」

偽街の子供達「行こうか」


~裏路地~

さやか「うぁあああああ!」

Bartels:Baaaaaaaaaaaa……

シュウウウ

さやか(……いまのやつ、グリーフシードは落とさなかったな)

さやか「使い魔、か。……それで、あんたらはいつまでわたしの傍にいるわけ?」

マヌケ「いつまでって……」

ウソツキ「いつまでも?」

ワルクチ「アホか」

ナマケ「それはない」

ワガママ「それはないね」

レイケツ「もうちょっとでかえる」

イバリ「なら、もうちょっとだけだね」

さやか「ははっ。そっか。そうだよね。もうちょっとで帰る、か。そうだよね。……あんたらには、ほむらがいるもんね」

ノロマ「?」

ヤキモチ「ご主人様が?」

ヒガミ「どうしたの?」

さやか「ううん。何でもない。……あんたらも満足したら帰りなよ。あたしはもうちょっとパトロールを――!」

杏子「……」

ごめん順番間違えた。

いったん上の無視して。







~放課後~

プー プー プー タダイマオカケニナッタバンゴウハ――

まどか「…………ダメだ。やっぱり電話、通じない。さやかちゃん……」

メガほむ「あれ? 鹿目さん。どうしたんですか?」

まどか「あ……ほむらちゃん。補習は?」

メガほむ「もう終わりました。昨日でやっと授業に追いついたので、今日はほとんどやることがなかったんです。これで明日から補習はなしですよ!」

まどか「そうなんだ。よかったね、ほむらちゃん」

メガほむ「はい! ……それで、美樹さんがどうかしたんですか?」

まどか「それが、やっぱり屋上での時のことが気になってさやかちゃんに電話してみたんだけど、通じないの」

メガほむ「あぁ……。確かに、ショックを受けていたみたいでしたし……」

まどか「うん。さやかちゃん、ありがとうだなんて言ってたけど、やっぱりわたし心配で、様子がおかしい気がして……」

メガほむ「……」

まどか「わたし、余計なこと言っちゃのかな……それで、さやかちゃん……」

メガほむ「探しましょう」

まどか「え?」

メガほむ「美樹さんのこと、探しましょう。大丈夫です。鹿目さんは悪い事なんてしてません。あの時に鹿目さんが言ったことは正しくて、でもきっと、ちょっとだけかみ合わなかっただけなんです」

まどか「ほむらちゃん……」

メガほむ「だから、美樹さんを探しましょう。わたしも一緒に探しますし、巴さんにも協力してもらって。それで、巴さんのおうちにお邪魔させてもらって、もう一度みんなでお茶会をしましょうよ!」

まどか「……うんっ。そうだよね。えへへっ。ほむらちゃん、ありがとう!」ニコリ

メガほむ「ううん。お礼を言われるようなことじゃないです」ニコリ




~裏路地~

さやか「うぁあああああ!」

Bartels:Baaaaaaaaaaaa……

シュウウウ

さやか(……いまのやつ、グリーフシードは落とさなかったな)

さやか「使い魔、か。……それで、あんたらはいつまでわたしの傍にいるわけ?」

マヌケ「いつまでって……」

ウソツキ「いつまでも?」

ワルクチ「アホか」

ナマケ「それはない」

ワガママ「それはないね」

レイケツ「もうちょっとでかえる」

イバリ「なら、もうちょっとだけだね」

さやか「ははっ。そっか。そうだよね。もうちょっとで帰る、か。そうだよね。……あんたらには、ほむらがいるもんね」

ノロマ「?」

ヤキモチ「ご主人様が?」

ヒガミ「どうしたの?」

さやか「ううん。何でもない。……あんたらも満足したら帰りなよ。あたしはもうちょっとパトロールを――!」

杏子「……」


イバリ「サクラキョウコ」

オクビョウ「サクラキョウコだ」

さやか「あんた……何よ、何か用なの?」

杏子「いい加減にしろよ……」

さやか「……は?」

杏子「いい加減にしろッつってんだよ! 使い魔を倒したって意味がないんだよ! 本気で魔女を狙いに行けって言ってんだ!」

さやか「……」

ノロマ「……」

レイケツ「……」

杏子「あんた、今は誰とも組んでないんだろ? マミのやつに合わせる必要なんかないだろ? 戦えなくなっちまうぞ!?」

さやか「どうしてあたし何かに構うのさ。あんたは他人にグリーフシードを取られるのが嫌なんでしょ? だったら一人で魔女を独占すればいいじゃない」

杏子「……っ。だから――!」

さやか「そうしてくれればあたしは使い魔狩りに専念できるし、結果的に街だって守れるんだからお互いの利害一致でしょ」

ガンコ「……」

ネクラ「……」

杏子「――ちっ。とにかく今あんたがやってることは間違ってる。あたしも同じ間違いをしてたからわかるんだよ」

さやか「……同じって何よ。他人の犠牲で利益を得ることを正当化するようなあんたと一緒にしないで。それともなに? あんたも自分の間違いで大切な人を犠牲にしたバカだとでも言いたいわけ?」

杏子「そうだよ」

さやか「!」

マヌケ「……」

ワルクチ「……」

杏子「……」

さやか「……そう」

さやか「自己嫌悪とかなかったの。こんな自分、死んじゃえばいいって思ったりしなかったの?」

杏子「しなかったよ」

ウソツキ「……」

ノロマ「……」

さやか「へぇ。あんたって、やっぱりそういうやつなんだ」

ヤキモチ「……」

ヒガミ「……」

さやか「けど、あたしはその逆よ」

杏子「……ッ。はっ。他人に奇跡を捧げた挙句、てめぇの命まで暮れてやるのかよ。くっだらねぇ人生だな」

イバリ「……」

レイケツ「……」

さやか「……そうかもね。あたしだってくだらない理由なのは分かってる。知られたくない人に魔法少女だってことがバレて、逃げてきたの。おかしたミスを暴かれるのが怖かったから」

オクビョウ「……」

ミエ「……」

さやか「あたしの最低なところまで知られちゃったらみんなに合わせる顔なんてない。だからいっそ悪いことは全部ひた隠しにして、魔女に食われて消えちゃうほうがましだって思ったの」

ガンコ「……」

ワガママ「……」

さやか「そうすれば誰にも嫌われずに済むし、あたしのためにみんな悲しんでくれるんじゃないかって……」

杏子「……」

さやか「……あんた今、あたしのこと卑怯者だと思ったでしょう」

杏子「……いいや。たぶん、同じことを考えると思う」ヒョイ

さやか「……?」

さやか(お菓子のロッキー……?)

杏子「ちょっと昔話をしようか。――食うかい?」

杏子「――そんなわけでさ、あたしの祈りが家族を壊しちまったんだ」

さやか「……」

杏子「他人の都合を知りもせず、勝手な願い事をしたせいで、結局誰もが不幸になった。そのとき心に誓ったんだよ。もう二度と、誰かのために魔法を使ったりしない。この力は、すべて自分のために使い切るってな。そうしてマミとも決別した」

さやか「そっか……」

杏子「奇跡ってのはタダじゃないんだ。希望を祈れば、それだけの絶望がまき散らされる。そうやって差引をゼロにして世の中のバランスは成り立ってるんだよ」

さやか「……なんで、そんな話をあたしに?」

杏子「これ以上、後悔するような生き方を続けるべきじゃない。あんたはもう、対価としては高すぎるもんを支払っちまってるんだ。だからさ、これからはつり銭を取り戻すことを考えなよ」

さやか「あんたみたいに?」

杏子「そうさ。あんたと組んでたマミだってな、ああいう生き方が好きだからやってるだけなのさ。あいつは正義のために戦うことそのものを生きがいにしてる。だから多少の無茶なり融通なり効かせられるんだ」

さやか「……うん」

杏子「だけど、あたしたちはそうじゃない」

さやか「……」

杏子「ようはあいつが特別ってだけの話なんだ。絵に描いたヒーローみたいになれなかったからって自暴自棄になるのはよしなよ」

さやか「……あんたもなれなかったからマミさんから離れたの?」

杏子「そうさ。だからあんたも――」

さやか「あんたのこと色々と誤解してた。そのことはごめん、謝るよ」

杏子「そっか。ならさ――」

さやか「でもね。あんたみたいに割り切れるほど器用じゃないんだ。あたしはマミさんみたいな正義の味方にはなれなかったけど、それでも利益のために他人を犠牲にするような身勝手な魔法少女にだけはなりたくないから」

杏子「ばっ……こんのバカ野郎! あんた何もわかっちゃいねえのか!?」

さやか「あんたの忠告通り魔女は探しに行くよ。それなら文句ないでしょ」

杏子「……っ」

さやか「つまんない愚痴に付き合わせて悪かったね。それじゃあ」スタスタ

レイケツ「……」テクテク

マヌケ「……」テクテク

ノロマ「……」ノタノタ

偽街の子供達「…………」テクテクテクテク

杏子(…………くそったれ。行っちまった。ほむらんとこの使い魔を引き連れて――ぁ)

杏子「……遅いんだよ、バカ」

マミ「……」


杏子「あんたが面倒をほったらかしてるだからさ、大事な後輩とやらをそそのかしちまったじゃないか」

マミ「佐倉さん……」

杏子「あいつなら魔女を探しに行ったよ。さっさと追いかけなよ。じゃないと、昔のあたしより弱っちそうな後輩が、魔女のエサになっちまうかもしれない。……どうするんだい?」

マミ「……」タタタッ

杏子「……」

杏子(そうだよな。同じことを繰り返したくないって思ってるのは、あんただって同じはずだよな。あんたなりの考えがあるんだろう、マミ?)

杏子「……あんたならきっとうまくやるさ」

杏子(なぁ、マミ。さやかには、あたしみたいになってほしくないんだろう……?)

杏子「散々邪魔して悪かったね、先輩。……まだ、間に合うはずさ」

今日はここまで。

くっそう。投下の順番間違えても、いままで何とかごまかしてたのに……

今日でさかなちゃ、間違えた、さやかちゃんの運命が決まる。

それじゃ、続きを投下する。


~結界内部~


Elsa Maria「……」

Sebasthian’s「――」ザアアアア

さやか「……」ザシュン

ヒガミ「……」

オクビョウ「……」

Sebasthian’s「――」ズザアアアア

さやか「……ッ」

Elsa Maria「……」

Sebasthian’s「――」ガブッ

さやか「!」ブシュゥ

ノロマ「……」

ワガママ「……」

Sebasthian’s「――」グイッ

Elsa Maria「……」パキキキイッ

ウソツキ「……」

ネクラ「……」

さやか「…………」

Sebasthian’s「――」ザアアアア!

Elsa Maria「……」ゴオオオ!

さやか「………………」

パアン!

Sebasthian’s「――!」

Elsa Maria「……!」

さやか「!」

偽街の子供達「…………」

マミ「……間一髪だったわね、美樹さん」


ノロマ「……」

さやか「ま、マミさん……どうして……」

マミ「後はわたしに任せて。もう魔力も底をついてるはずよ。……彼に本当のことを伝えるんでしょう?」

さやか「……!」

Elsa Maria「……」

Sebasthian’s「――」ザアアアア

マミ「一緒に帰りましょう、みんなところに」タッ

さやか「……嫌だよ」

ガンコ「……」

マミ「……」パアンッ

Sebasthian’s「――!」

さやか「帰りたくない。悪者になんかなりたくないんだ。あたしが最低な人間だってこと、大切な人に知られたく、ない」

オクビョウ「……」

マミ「……」バンッ バンッ

Sebasthian’s「――! ――!」

さやか「だからって自分に都合のいい部分しか伝えないようなずるい自分にもなりたくなくて……それでもどっちか選ばなきゃいけないなら、いっそあたし、逃げちゃおうかって」

ネクラ「……」

マミ「……言いたくないのなら、黙ってればいいじゃない」

さやか「……ぇ?」


マミ「自分の都合のいいことだけしか伝えないずるい子になったっていいじゃない」ドンッ ドンッ

Sebasthian’s「――! ――!」

マミ「だって、わたしだって、ずっとそうしてきたんだから」

ワガママ「……」

さやか「マミさん……?」

マミ「美樹さんはわたしのことをどう思ってるの? もしも正義のために戦う真面目な先輩だって思ってるなら……それはわたしがだましてたの」

ウソツキ「……」

マミ「本当のわたしはね、正義の味方でいたかったわけじゃない。誰かと一緒にいたかっただけなの」ドオオオオン!

Sebasthian’s「――! ……」シュウウウ

Elsa Maria「……」パキキキキキ

マミ「本当のわたしはただの寂しがり屋なのに、ずっと嫌われるのが怖くて、あなたたちの前では先輩ぶって、いつもみんなにいい顔してた」

ミエ「……」

Elsa Maria「……」ゴオオオオオオ

マミ「でもね、そんな嘘はもうやめる」シュルル

さやか「……」

マミ「お願い、美樹さん。あなたのためでも他の誰かのためでもなく、わたしのために一緒にいて」バアアアアアンッ!

Elsa Maria「……!!」

マミ「あなたが自分を許すつもりがないのなら、わたしだって正義の味方なんてやめてやる」

Elsa Maria「…………」シュウウウ

マミ「だからお願い。……わたしの前からいなくならないで」

さやか「……ダメだよ」


さやか「どうしてそんなことを言うのさ。そんなマミさん、あたしの憧れのマミさんじゃないよ」

ワルクチ「……」

さやか「あたしは正義の味方のマミさんが好きなんだ。だからこそマミさんの足手まといは絶対に嫌だった。なのに、そんなこと言われちゃったらさ……」

ナマケ「……」

さやか「……いいの?」

マミ「……」

さやか「あたしは悪い子だよ? それでもマミさんはいいっていうの?」

マミ「当たり前じゃない」

マミ(そっか……。これで、良かったんだ)ジワ

さやか「はは……。参ったな。ここは厳しく言い返さないといけないところなのに」

マミ(意固地になって強がる必要なんてなかったんだ)ポロポロ

さやか「嬉しいんだ。こんなあたしを必要としてくれて」

マミ「……これからのことはみんなでお茶をしながら考えればいいのよ」ゴシゴシ

マミ(美樹さんは、こんなわたしでも受け入れてくれるんだ)

マミ「さあ、帰りましょう。鹿目さんとほむらさんがあなたのことを必死に探してたわ。合流して、みんなでケーキを食べましょう? 今日のケーキは自信作なんだからね!」ニコリ

さやか「……ありがとう、マミさん」ニコリ

マミ「ふふっ。その前に、今の魔女が落としたグリーフシードを使いましょう? 美樹さん最近無理ばっかりしてたから、かなりソウルジェムが濁ってるはずよ」

マミ(この子達となら、ずっと一緒に――)

さやか「ううん。それはいいよ、マミさん」

マミ「――え?」

偽街の子供達「…………」

さやか「だって、あたしのソウルジェムは――」






~裏路地~


杏子「――ぇ?」


杏子(今のって……)

杏子「…………」キィンキィン

杏子(ソウルジェムが反応してる。けど、この魔力と発生源の方向は、どう考えても――っ!)

まどか「――さやかちゃん、見つからないね。おうちにも帰ってなかったみたいだし、やっぱりわたしが余計なことをいっちゃったから……」

メガほむ「だ、大丈夫です! きっと巴さんが見つけてくれてますよっ」

まどか「そうかな。そうだといいんだけど……あ! 杏子ちゃん!」

メガほむ「あ、佐倉さん。こんにちは」

杏子「お前ら……」

まどか「杏子ちゃんっ。いきなりなんだけど、さやかちゃん見なかった!?」

杏子「さや、か……の、居場所か?」

メガほむ「はい。今日のお昼にちょっとしたことがあって……それで、心配で探してるんですけど……」

杏子「っ」

杏子(よりによってこのタイミングで、こいつらと会っちまうとは……! 振り切るか? いや、それじゃ何の解決にも……)

メガほむ「……?」

まどか「どうしたの、杏子ちゃん? もしかして、さやかちゃんに何か――」

杏子「……ああっ、クソ! わかったよ! さやかのとこまで案内してやる! ただし、もしかしたら危ねー場所かもしれないから、あたしから離れんじゃねぇぞ!」

まどか「……うんっ。わかったよ!」

メガほむ「はい。わたしもわかりました」

杏子「…………まだ確認したわけじゃねーから今は何も言えないけどな。覚悟だけはしとけよ、まどか。それと……ほむら。わかったな!」

まどか「へ? ぇっと、うん……?」

メガほむ「……は、はい、わかりました」






~結界内部~


マミ「その前に、今の魔女が落としたグリーフシードを使いましょう? 美樹さん最近無理ばっかりしてたから、かなりソウルジェムが濁ってるはずよ」

さやか「ううん。それはいいよ、マミさん」

マミ「――え?」

偽街の子供達「…………」

さやか「だってあたしのソウルジェムは――そんなに濁ってないもん!」

マミ「……え?」


マミ「そんな……あれだけ無茶をしてたのに、ソウルジェムに穢れがたまっていないわけが――」

さやか「いや、ほんとだって。ほら」

マミ「……本当だわ。あんまり濁ってないわね」

さやか「うん。我ながら不思議なんだけど、ここ最近、めっきり濁らなくなったんだよね。なんでだろう?」

マミ「……えっと、わたしにも、ちょっとわからないわね」

さやか「ええ! マミさんにもわかんないの!?」

マミ「え、ええ……」

マミ(どういうこと? ソウルジェムが濁らなくなるなんて、そんなことが……)

さやか「なんなんだろう、この不思議現象……。そりゃ、都合がいいっつたらその通りなんだけど……」

QB「不思議そうだね、マミ、さやか」

マミ「あら、キュゥべえ」

さやか「キュゥべえ。いたんだ」

QB「もちろん。最初からいたよ。それより二人とも。さやかのソウルジェムがどうして濁っていないか、その答えを知りたいかい?」

マミ「ええ。ソウルジェムが濁らなくなる何て、わたしも経験したことがないもの。キュゥべえには理由がわかるの?」

QB「うん。おそらくは、彼女たちのおかげだろうね」

マミ「彼女たちって……」

さやか「え? もしかして……あいつらのこと?」

偽街の子供達「…………」


QB「そうだよ、さやか。君は彼女たちに救われたんだ」

さやか「はぁ? 何いってんのキュゥべえ。確かに最近はそいつらが付きまとってたけど……だからって、何をしてくれたってわけじゃないよ?」

レイケツ「……」

QB「そうだね。彼女たちは何も君のために行動してたわけじゃないんだろう。でも、彼女たちは使い魔だ。使い魔の役割はそれぞれ異なるけど、穢れや呪いを集める習性は概ね変わらない。それじゃ彼女たちもなんだろう」

イバリ「……」

マミ「あっ。それじゃ、もしかして……!」

QB「そうだよ、マミ。おそらく彼女たちは、さやかの近くにいることで、そこから生み出された呪いや穢れを吸い取っていたんだろうね」

ヒガミ「……」

さやか「ま、マジか……! じゃあ、こいつらがいなきゃ、今頃あたしのソウルジェムは――」

QB「そうだね。濁りきってしまっていただろう」

ヤキモチ「……」

マミ「き、危機一髪ね……」

さやか「そ、そうだね……。てか考えてみればあたし、ソウルジェムが濁りきるとどうなるかって知らないけど……とりあえず、あんたらありがとうね!」

ネクラ「……別にいいよ」

ワルクチ「お前のためじゃないし」

さやか「あはははっ、そうだろうさそうだろうね! ……ほんとかわいくないな、あんたら」


マミ「美樹さん。結果的にこの子たちに助けてもらったんだから、そんな言い方ダメよ?」

さやか「いや、でもマミさん。こいつら、なんでほむらがあんなに入れ込んでるのかわからないレベルでかわいくな――」

ワガママ「それよりもさ」

ガンコ「うん、それよりもね」

ウソツキ「むしろこっちが言うことだよ」

ヤキモチ「そうだね」

ヒガミ「こっちが言わないとね」

さやか「――ん?」

マミ「どうしたのかしら? なにか言いたいことがあるの?」

イバリ「うん」

ネクラ「一応ね」

さやか「そう? 助けてもらったんだし、あたしにできるお願い事だったら聞いてあげるけど?」

オクビョウ「ううん」

ミエ「そうじゃないよ」

QB「…………」

レイケツ「ミキサヤカ」

ナマケ「ありがとう」

マヌケ「ありがとう」

偽街の子供達「ありがとう」


さやか「は? なんであたしがお礼を言われて――ッ!」

マミ「そうよね。どうしたの、あなたた――ッ!」

QB「……」

Lotte「……」ザッ

イバリ「ありがとう」

ネクラ「ありがとう」

ウソツキ「たくさんの穢れを」

ワガママ「ありがとう」

Lotte「……」ザッ ザッ

ワルクチ「ありがとう」

ノロマ「ありがとう」

ヤキモチ「たくさんの呪いを」

ナマケ「ありがとう」

Lotte「……」ザッ ザッ ザッ

さやか(この衛兵みたいなの、使い魔……? でも、どこから……!)

マミ(結界が形成されてるっ。でも、発生源は……!?)

QB「…………」

ミエ「ミキサヤカ」

オクビョウ「ありがとう」

Lotte「……」ザッ ザッ ザッ ピタリ

マヌケ「あなたの生んだ穢れのおかげで」

ヒガミ「あなたの生んだ呪いのおかげで」

ガンコ「やっと一人の葬列が、始められる」

Lotte「……」スタッ スタッ スタッ スタッ

マミ「一人の……」

さやか「……葬列?」

QB「ふうん。やっぱり、そういうことかい。それが、君たちの役割なんだね」

レイケツ「ええ、だから、ほら、ありがとう、ミキサヤカ」

マミ(羽根つき帽子をかぶった子が、なにかを差し出して――あれはッ!)

さやか(へ? あいつが持ってるあれって……え? 何で? あいつ、使い魔なのに、どうして、だって、あれ、あのグリーフシード、もう、真っ、黒――)

レイケツ「これでわたしが、やっと孵れるワ」ニコリ



       パリン


イバリ:Wo ist eine lange Nadel?  
    (長い針は何処?)

ネクラ:Wo ist eine kurze Nadel?
    (短い針は何処?)

ウソツキ:Auf Widersehen des noch sind da.
    (見つかるまではさよならね)

ワガママ:Na, Schwester, genau geschlossen.
    (まぁ、姉妹も、もうおしまいね)

ワルクチ:geschlossen gerade heute sich.
    (まさに今日終わってしまったの)

ワルクチ:Noi! zu erste Nahe ist zwar,
    (Noi! 初めは確かに近くにあるのに)

ノロマ:Noi! nie sieht zweitens statt eine Ferne.
    (Noi! そのすぐ後には遠くて見えない)

ヤキモチ:Noi! Noi! fahre!
    (Noi! Noi! 行きなさい!)

ナマケ:Nein! Noi! Noi! springe!
    (Noi! Noi! 急ぐのよ!)

ミエ:nicht voraus mal entsprechen!
    (初めから期待なんてしていなかったけど!)

オクビョウ:Noi! Noi! fahre!
    (Noi! Noi! 行きなさい!)

マヌケ:Nein! Noi! Noi! springe!
    (Noi! Noi! 急ぐのよ!)

ヒガミ:Noi! Noi! fahre!
    (Noi! Noi! 行きなさい!)

ガンコ:Nein! Noi! Noi! springe!
    (Noi! Noi! 急ぐのよ!)

Clara Dolls:nah.....
       (嗚呼……)

此岸の魔女「……」

Lotte「……」スクッ スクッ

Lotte「……」スクッ スクッ

イバリ「ああ、よかった」

ネクラ「うん、よかった」

ワルクチ「デキソコナわなくて、よかった」

ヤキモチ「見て、あの立派な勇姿」

ヒガミ「あれが種を砕いたクルミ割り人形」

ナマケ「ただただ自己完結で」

ウソツキ「他に価値などありはしない」

ガンコ「最後に己の処刑を望むけれど」

ノロマ「その葬列は、終わりはしない」

Lotte「……」ザッ ザッ

Lotte「……」ザッ ザッ

此岸の魔女「…………」ズルズル

ワガママ「さあ、始めよう」

オクビョウ「うん、始めよう」

ワルクチ「本番に近い、永遠の葬列を」

ミエ「始めよう」

Lotte「……」ザッ ザッ

Lotte「……」ザッ ザッ

此岸の魔女「…………」ズルズル

ワガママ「シクシク」

ノロマ「シクシク」

偽街の子供達「シクシクシクシク」

さやか「うそ……こんなことって……」

マミ「そんな、どうして……」

QB「どうしたんだい、二人とも?」

マミ「キュゥべえ……」

さやか「どうしたって、あんた……」

QB「マミ、さやか。どうしてそんな予想外の事実に直面したかのような表情をしているんだい? 意外な展開ではないよ。予兆はずいぶん前からあったはずだ」

さやか「そんな……」

マミ「じゃあやっぱり、あの子たちが、魔女に……」

カツン

さやか「!」

マミ「!」

杏子「……ちっ」

まどか「さやかちゃん、マミさん、キュゥべえ……。あそこにいるのって……」

QB「やあ。きっと来ると思ってたよ。杏子、まどか。それに……暁美ほむら」

メガほむ「…………」


さやか「まどかに、杏子……それに、ほむら……」

マミ「あなたたち、どうしてここに……」

まどか「わ、わたしたち、さやかちゃんのことが心配で、それでここまで杏子ちゃんに案内してもらって……」

杏子(……くそっ。やっぱりあいつらが魔女になってやがったか。ほむらは、連れてこなかったほうが良かったか……?)

メガほむ「そ、そんなことより、いまの、どういうことですか……? あの子たちが……え? どういう、ことですか?」

さやか「ッ」

マミ「……っ。それ、は」

QB「言葉の通りだよ、暁美ほむら。ほら、あの魔女をご覧。あれが彼女たちの末路さ」

まどか「そんな……! そんなの絶対おかしいよ!」

メガほむ「……キュゥべえ? 鹿目、さん? 何を言って……ぇ? かのじょ、たち? 末路……?」

杏子「……ッ」

QB「簡単なことだよ、ほむら。彼女たちは、さやかが生んだ呪いを吸い取って、とうとう一人が魔女に成長した。一人の魔法少女のソウルジェムが濁りきるほどの穢れを受け止めたんだ。当然だよね」

メガほむ「え? とうぜ、ん? ま、じょ……?」

QB「……? どうしたんだい? 使い魔が成長すれば魔女になるというのは、君だってマミから聞いていただろう?」

マミ「キュゥべえ……」

メガほむ「せいちょ、う……まじょ、に、せいちょう…………え?」

QB「そうだよ。彼女たちは使い魔だ。遅かれ早かれ、残りも全員魔女に成長するだろう」


Lotte「……」ザッ ザッ

Lotte「……」ザッ ザッ

此岸の魔女「…………」ズルズル

ヤキモチ「シクシク」

ヒガミ「シクシク」

偽街の子供達「シクシクシクシク」

メガほむ「まじょ……あれが、魔女……?」

ワルクチ「シクシク」

ウソツキ「シクシク」

偽街の子供達「シクシクシクシク」

メガほむ(……あ。あそこで泣いてる子達……ひとり、足りない……)

メガほむ「……え。じゃあ、あれが……あれが、あの子なのッ……?」

QB「そうだよ、ほむら。それがどうしたんだい?」

メガほむ「あれが、あの子……他の子たちも、みんなも、みん、な、そんな、そんなぁ、そん、なぁぁあ」

さやか「ほむらッ!?」

まどか「ほむらちゃん!? しっかりして、ほむらちゃん!」

メガほむ「ぁ、ぁぁ、ぁぁぁあぁ」

QB「……やれやれ。使い魔が魔女になる。そんな当然な結末を受け入れられないなんて……」

メガほむ「ぁぁあ、うぁ、ぅぁあああああああああああああ!」

QB「……わけがわからないよ」


今日はここまで。

お前らの期待通り、見事ドールズがさやかちゃんの魔女化を防いでくれました(棒

レイケツちゃん……一番人気だったばっかりに。大穴アイちゃんが一番人気だったらさかなちゃんことオクタヴィアの出番もあったけど、仕方ないよね。今日ほどお前らのレスが楽しかった日はないです。ありがとう。

あからさまな伏線の数々に対して、安定のさやかちゃんへのお前らの信頼が上回ってくれた。うすうす察しつつも黙ってくれていた人がいたら、ありがとう。


ちなみに途中で入ったドイツ語部分は、叛逆でほむら激切れ直前に使い魔たちが歌ってた曲『Noi!』です。歌詞と訳はタングステン@狼喰鉱石さまのをお借りしました。歌詞を拝借する許可はとってあります。


修正歌詞もあるんですけど、最初の訳のほうが話にあってたからこっちを使いました。
もしそれを確認したい場合は出典元へどうぞ。

タングステンさんも聞き取りと翻訳には不安があるそうなので、決して正しいものではない可能性があります。タングステンさんは随時修正を求めているので、ドイツ語できる人はぜひ。
『Noi!』の歌詞の完全版は叛逆PNを待ちましょう。


土日は出かけるから投下しない。月曜の夜にまた続きを投下する。

おかしくはないけど、逆に
「ドールズだけくるみ割りの魔女の手下と書かれていないから、此岸の魔女の手下か、ほむらそのものなんじゃ」
ってレスも結構あるんだぜ

人魚の魔女も周回によって絶望の形状が違うのか同じ人魚の魔女でも使い魔と装備が違うんだし、
此岸の魔女は此岸の魔女、くるみ割りの魔女はくるみ割りの魔女であって、此岸の魔女の不完全体だからくるみ割りというわけではない(絶望の内容が違う上此岸とくるみ割りでは同じ元でも魔法少女の能力も違う)
クララドールズを生み出したのはあくまで「くるみ割りの魔女」のホムリリィだから孵化して魔女になるなら通常くるみ割りと考えるべきであり、
>>938に書いてあることは「拡大解釈・妄想」の域を出ない物

「それをネタにしてSSなどを作る」事には使えるかもしれないが、「くるみ割り化で書かれたSSにツッコミを入れるために持ち出す」のはただのド阿呆のすること

自分の考えには断言調で、相手の考えには妄想だって感じで投下する荒らしがいる訳で
よく読めば分かるけど二重の意味でブーメランになってるだろ、要はツッコミ待ちって事

>>945
「使い魔は生み出した魔女と同じ形態に進化する」と言うのは断言されてること
「願いや能力によって同じ人間が魔法少女化→魔女化した場合に違う魔女になる」のは作中まどかの魔女化で表現されてること(巨大宇宙魔女とクリームヒルトは違う性質の魔女)
「同じ魔女ですら多少の差分があったりする」のは人魚の魔女で表現されてること

それをすり合わせりゃ「くるみ割りはくるみ割り」になるのは当たり前の話
「書かれてないし言われてないことを勝手に言い出す」真似してるのは>>938だけ

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