【咲安価】京太郎奇怪綺譚:拾漆巻目【都市伝説】 (1000)

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     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄〉 ./ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ }   ./  ̄ ̄ ̄
                        / ./.              ヽノ
                          ̄

・咲-saki-の安価スレです
・原作とは違う性格付け・設定付けをされたキャラが登場する可能性があります
・現実に実在する人物、団体とは一切関係がありません。ここ重要
・色んな意味で広い目で見てください
・何かおかしい事があればそれはフリーメイソンってやつの仕業なんだ


前スレ
【咲安価】京太郎奇怪綺譚:拾陸巻目【都市伝説】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366901430/)

有志の人の凄いWIKI
http://www55.atwiki.jp/kikaikitan/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1369307670


このスレのシステムの参考となった、ふぁてエクストラとかを買ってみたけどなかなか面白いな

こんばんワーゲン

賽はー地ー上ー高く投げられーたー
レイヴが読みたくなってきた今日この頃。ワンピースのパクリとは何だったのか

帰ったら適度に埋めていきます


>>12
謎のステマ効果!
キャス狐可愛いですよねキャス狐


※ちょいネタバレ注意

http://livedoor.blogimg.jp/inoken_the_world/imgs/8/b/8b1dbb04.jpg
http://livedoor.blogimg.jp/inoken_the_world/imgs/2/8/2855523a.jpg
http://s-up.info/view/201201/090870.jpg
http://i.imgur.com/ZltRB8T.jpg
http://i.imgur.com/VdRDWmy.jpg

だから君達出しにくいんだよ! 本編で!
可愛いけど! 可愛いけど!

新道寺回は名回だった
今日は最速阿知賀の最終回

煌が奈良県出身になっとる

方言のハードル高すぎィ!

3巻目楽しみだ

レイヴはジークハルトがよかったね

前スレ>>1000はご自由に。叶うかどうかは運次第

埋めネタは切りのいい所まで続きこっちでやります

穏乃「ふぅ……走った走った」

穏乃「シャワー浴びてこよーっと」

京太郎「あ、おーい穏乃ー」

穏乃「あれ? 京太郎じゃん。どうしたの?」

京太郎「人探しというか……あ、そうだ。お前ほどの適役は居なかったな」

穏乃「?」

京太郎「ちょっと失礼」

穏乃「!?」



京太郎「(ふむふむ、ちょいと汗臭い。でも男と違って不快な感じはしないな)」

穏乃「!? ちょ、ちょっと待って! 嗅がないで嗅がないで! せめてシャワー浴びてから!」

京太郎「(ちっこいなぁ。身長小学生並みなのにこれで女子高生だってんだから恐れ入る)」

穏乃「ストップストップストーップ!」

京太郎「(何気に華奢じゃなくてしっかり足とかにも筋肉が付いてる。足回りは俺以上だしな)」

穏乃「わひっ!? ど、どこ触ってんのぉ!?」

京太郎「(髪長いし手入れとか気にもしてなさそうなのに、真っ直ぐで芯の通った髪)」

穏乃「(なんか変な気分になってきた)」

京太郎「(そう言えば小学生の時に一回こういうシチュエーションがあったような)」

京太郎「(……なんかその時に比べると、ほんのちょっと変わってる気がする)」

穏乃「あかんあかん、これはなんかあかんですよ」

京太郎「(こいつもやっぱり、『女の子』として成長してんだなぁ)」

京太郎「サンキュー。参考になった」

穏乃「あばば……へ?」

京太郎「んじゃな、また後で」

穏乃「え? え? ……え?」





穏乃「……頭こんがらがってきた。憧に相談しよう」

 



【結論:育ってたような育ってなかったような】



 

一「ボクが私服のセンスが無いとかいう風潮」

一「制服着てると文句言われないから、着こなしが問題じゃないんだろうけどねー」

一「一体、何が問題なんだろうか」

京太郎「強いて挙げるなら、全部でしょうか」

一「うん? あ、奇遇だね。それとも何か用?」

一「ってか、全部って何さ」

京太郎「全部が悪いというべきか、全裸が悪いというべきか……」

一「?」

京太郎「ええい、面倒くさい! 失礼します!」

一「!?」



京太郎「(年上だけど俺より身長は小さいんだよなー、抱きしめやすい)」

一「な、なななななななななな」

京太郎「(髪留めと纏められた髪から女の子っぽいにおいがする。衣と同じ香りだから、同じシャンプーって事か?)」

一「お、落ち着こう。まず落ち着こう。落ち着いてボクから離れよう」

京太郎「(おもちは完全に無し。そこは悲惨だがスレンダーな美人になる予感)」

京太郎「(龍門渕にはそういう人多いな)」

一「いやいやいやいやいやいやまずはボクが落ち着くべきかな! うんそうだ!」

一「素数を数えて2、4、6、8、10、12、14……」

一「違う違う偶数じゃんこれ!!」

京太郎「(なんかキレーな肌してるなー。男じゃこうはならない)」

京太郎「(こういう触った感じを『すべすべ』とか言うんだろうか)」

一「や、やだ、どこ触って……せ、せめて夜に!」

一「(何これ!? ボクなんか色々と覚悟した方がいいの!?)」

京太郎「(この人が顔真っ赤にしてるの初めて見た気がする。ポーカーフェイスはどうしたんですか)」

京太郎「(普段からあんま動揺とかしない人だからなー)」

一「(これもしかして乙女的にピンチかつチャンスなの!? ピンチはチャンスとか言う格言ってそういう意味!?)」

京太郎「ありがとうございます。参考になりました」

一「ふぁっ!? ……って、ん?」

京太郎「じゃ、また後で」

一「え、ちょっと待って……もう、なんなのさ」

一「……」

一「……ああ、成程。だいたい読めた」





一「うわ、自分の思考が恥ずかしいぃぃぃぃ……」

 



【結論:年上の照れた表情は可愛さの王道な気がする】



 

姫子「ふふふふふん、ふふふふふん」

京太郎「(あ、姫子さん発見)」

姫子「ふふふふふん、ふーん」

京太郎「(よし、早速声かけて……)」



———その時、京太郎に電流走る———!!



京太郎「……」

京太郎「(なんでだろうか)」

姫子「ふーふーふーふふーんふふふふふんふんふーん」

京太郎「(今あの人に話しかけて、抱きついたとしよう)」

京太郎「(でもなんかその結果、洒落にならない流れが来そうな気が……)」

姫子「ふふふーふふーふーふーふふふふふーん」

京太郎「(具体的には何か色々と終わってしまう気が)」

京太郎「(俺の人生にとっての墓場へと続く道に踏み込んでしまいそうな気がする)」

京太郎「(ずっとずっと夜は墓場で運動会! やかましいわ! な人生になりそうな)」

京太郎「(人生の墓場、夜は墓場で運動会……)」

京太郎「……」

京太郎「そっとしておこう」




姫子「……なん、物陰からこっち見とるだけで話しかけて来なかったんやろ」

姫子「……も、もしや、昨日読んだ恋愛漫画の主人公みたいな思考で!?」

姫子「きゃ、きゃー! 落ち着こ私! あん人に限ってそれはなか! 妄想は自由やけど!」

 



【結論:なんかヤバイ予感がして無理だった】



 

キンクリ、あるいは夢オチ

あとの16人はどこかで暇つぶしか埋めネタとなるか、あるいは皆さんの想像の中に存在する泡沫となりました

基本脳内で保管して下さい。あ、宥姉は正面から抱き締めたよ!

京ちゃんは結局今回本命のおもち勢まで行けなかったね、残念

これにて埋めネタ閉幕。以上!


>>15
非常にベネでした、阿知賀最終回
まさか竜華の最高状態の説明をアニメでやるとは思いませんでしたよ

>>16
誤植だそうでーす

>>17
ですよね!
>>18
ですよね!
>>19
ですよね!


主人公は心の小宇宙だけを抱きしめてないと死ぬ(確信)

すこやん抱きしめてなんか両親に勘違いされたり独り身が勝手にダメージ受けたりするんすかねぇ?
方言といえば我々のところは「はよしねま」「えらい」が勘違いされる

ザンギエフ京太郎?

そういえば京太郎はすこやんの両親とどれぐらいの頻度で会ってるんだろうか

抱きしめたら一番エロいのは多分アコチャー

仲間キャラは京太郎が押したらコロッといきそうだな

照「……」チラッチラッ

ちくせうちくせう
夜投下スタイルなんですから呼び出しは昼の間にしてくださいよォー
夜間は休日の方が忙しいとかいう都市伝説

すみません、明日投下となります


警察官とは、日々我々の想像を超えた存在と戦い続ける戦士である!
http://i.imgur.com/OtUdWM3.jpg
http://i.imgur.com/PUuqYNx.jpg
戦士である!


>>48
はよ島根?(幻聴)

>>49
女性が待ちガイルですね、分かります

>>50
忙しくない時期なら顔見せも兼ねて週一〜月一くらいですね。大体寮暮らしの学生程度でしょうか

>>51
エロさはともかく多分一番可愛い反応が返ってきそうですよね!

>>52
ほ、本編中にそうそう恋愛には発展しないから・・・

>>55
その内美味しい所あげますから座ってて下さい



http://shindanmaker.com/203063

京太郎に彼女ができた。
年齢「17歳」
身長「148cm」
バスト「Eカップ」
性格・趣味「母性溢れる」
容姿など「セクシー」
おめでとう!お幸せに!



・・・なん・・・だと・・・!?

ニットおっぱいはブーストがかかるとはいえ、
これが詰めてますねぇ、照さん

そういや白糸台淡以外影うっすいな〜

照のおもちはこんなにあったりしないんだ!

ここの>>1の照に対する愛情は歪んでいるからな

>>64
照はこんなにおもちをお持ちでないよ!

照はあんだけカロリー取ってんのに
胸にも脂肪にもならずにどこに消えてるんだろうか

バトライドウォーはバグあるし気を付けてな

デビサバ2のアニメは何故あんな感じになっているのか

いろいろ忙しいけどボクは元気です

少しづつでも進めていきます。今夜22:00スタート

磯部磯兵衛物語は面白いけれどもジャンプで連載できる気がしないのです


>>70 >>74 >>79 >>85
イジメハヤメヨウ

>>72
前作的にあんまり出番を増やさせるのも何かなー、って思いまして
設定としてのスタート地点からしてそこまで優遇してないんです。>>1の愛ブーストで空気とまでは行ってませんけど

>>76
ノーウェイ

>>91
ほほう、調べてみます

>>92
おっぱいかホモの二択だからでしょうね!



最近友人がメーカー系にハマってるらしく時々URL送ってくるわけなんですよ

http://irotsuku.com/a/p4ax8_nm/r/%E9%A0%88%E8%B3%80%E4%BA%AC%E5%A4%AA%E9%83%8E

\すげえ/

投下に参加する時は、部屋を明るくしてディスプレイからできるだけ離れて参加して下さい




                                          . -─ .
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    │|          .││            /\  _ -‐::::/  .|:::::::: ::::::::::::::::::::::::.. ::ヘ:::::ヽ  /ノ
    │| 奇怪綺譚     ..││           /   `´ レ::::ン  ノ::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::.` \::::ヽ
    │|          .││          ハ     /:/   /:::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::i::.  丶::丶
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    │ 二二二二二二二二二|       ./ /入    �i. ノ::::',:::::::::::::::::::::::::::ハ:::::::. ヽ:::::::i:..\  ''::、
          ||            / / / ヽ     /:::::::/ヘ::::::::::::::ハ::::::. ヽ::::::: \::::::::: .、  ゞ

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投下はっじめーるよー

さぁ、来いィ!ここがお前の死に場所だァ!

むかーしむかし。

それほど昔でもないが、片方が完全に忘れてしまっているくらいには最近ではない話。

大人は忘れて、子供が覚えていたという話。

言った方にとってはどうでもよくても、言われた方は感銘を受けていたという話。

この街に限らず、この世界のどんな場所でも起こりうるような、そんなありふれた光景の一つ。




「大人ってのはさ、真っ直ぐなだけでも正直なだけでもダメなんだ」

「ましてや何かを無条件に信じて……それで手に入る物と失われる物を天秤にかけるようになったら、それでおしまいってこった」

「その瞬間、そいつの中の『子供』って奴は、おしまいなんだよ」


大人が子供に言い聞かせるように、ベンチに二人並んで座ったまま話している。

それは背伸びをしがちな息子をあやす、父親のようにも見えた。


「めんどくっさいな。大人ってやつは」

「おやっさんは面倒臭くならないのか?」


まだ『子供』な少年に、苦笑しながら大人な彼は言葉を選ぶ。

大人になって、子供の頃と比べれば面倒な責任は増えただろう。

子供の方が気楽で、楽しい事ばかりを味わっていたような気もする。

その頃に比べれば、確かに今の自分は途方も無い苦労を背負っているのだろう。

それでも。



「面倒臭くても、投げ出そうとは思わないな」



子供の頃が楽だった、と思う者が居たとしても。
子供の頃が楽しかった、と思う者が居たとしても。
子供の頃は良かったな、と思う者が居たとしても。

『何もかもを捨て去って子供の頃に戻りたい』と思う大人は、そうそう居ないのではないかと、大人な彼は思う。


自分とてその一人だ。

愛する妻が居て、可愛い娘が居て、頼れる友人が居て。
優秀な同僚が居て、寛容な上司が居て、手のかからない後輩も居る。

そして、今も隣に『こんな』少年が居る。

……苦労に見合った幸せや繋がり、宝物は得られたんじゃないかと。


大人な彼は、そう思う。

「良いんだよ、お前はまだ無邪気に誰かを信じていても。それは人の権利なんだ」

「その結果ちょっとばかり痛い目を見ても……まあそれも青春だ。そっから学べ」

「取り返しの付かない事になりそうになったらそん時は俺も一肌脱いでやるよ。それが俺の仕事だ」



「権利? 人の権利なら、俺だけじゃなくておやっさんも持ってるんじゃないのか?」

「なんで、俺だけなのさ」



「それはまあ……仕方ないんだよ」

「覚えとけ。言葉を信じるのは人の権利で、疑うのは大人の役目なんだ」

「大人になると自己責任で両方やらなくちゃならんのが、何とも面倒くさいんだがな」



「……また、『大人』かよ」

「んじゃ、義務は何だ?」

「権利ってのは義務とセットじゃないとおかしいだろ? 役目と義務はなんか違くうような、そんな気がする」



「義務、か……そうだな。強いて言うなら」

「聞く事だ」



「……聞く?」



「人に義務があるとすれば、それは誰かの言葉をちゃんと聞く事だと思う」

「人として人の輪の中で生きるのであれば、他人の言葉に耳を傾け続けなければならない」

「その言葉に賛成するにしろ、否定するにしろ……な」



「簡単そうで、難しい事言ってるぞ。おやっさん」



「そりゃそうだ。理想論であって、俺が実践で来てるかって言うと怪しいもんだしな」

「それが赤の他人であっても、有象無象であっても、憎い仇であっても」

「その人と向き合って、その目を見て、その言葉に耳を傾けなきゃならないって事なんだからよ」



「……でも、なんか良いな。それ」



「そうか?」



「耳を塞がず、無視もせず、聞かずに否定することもなく」

「ちゃんと真摯な言葉を受け止めてくれる、真っ直ぐに向き合ってくれる」

「そういう生き方をしてる人って、なんとなくだけどさ」




「沢山の人に望まれてる『隣人』の理想像じゃねーかなー……って、そう思ったんだ」

そんな二人が、今対峙する。


姉帯を突破できれば、少年少女はあと数人でこの包囲を突破出来る所まで進む。

すなわち京太郎サイドの勝利が決まる。


京太郎を止めれば、それは進み続ける少年の後方で隙を伺う少女達の戦意喪失に繋がる。

戦力の殆どをすり潰された現状では厳しいが、それでも無力化するだけならそう難しい事でもない。

互いに『殺さないように』という前提で戦うのなら、訓練を受けている警察官に一日の長があるからだ。

すなわち警察サイドの勝利がほぼ決まる。


部活動の大会に例えるのなら、決勝戦に近い。

ここが分け目であり、互いに意地でも負けたくない場面なのである。



京太郎「……親ってのは、子供の絶対的な味方だと思ってた」

京太郎「アンタも、そうだと思ってた。最後の最後には親らしく在れる人だって」

京太郎「違ったのかよ、なあっ!!」



少年が、駆け出す。

いつも憧れていた大人の背中、その中でも視線に親しみを込めて見つめていたその男へと。

男に戦闘力は無い。それは知っている。
だからこそ少年は手加減し、怪我をさせない程度に無力化するつもりであった。

全ては自分の後方で不安そうに瞳を揺らしているであろう、大きな身体と小さな度胸を持つ友人のために。

本音で語らせるための布石、その程度にしか考えていなかった。



しかし。



姉帯「……そう、だな」

姉帯「そう在れれば、良かったんだけどな」


おもむろに姉帯が指をすっ、と縦に振るうと同時。


京太郎「へぶっ!?」



京太郎は、姉帯に近づく前に顔面地面と直撃コースでずっこけた。

京太郎「あ、ぐっ……な、なんだ……!?」

姉帯「どんだけ長い付き合いだと思ってんだ。誰がお前の動きの基礎を誰が教えたと思ってんだ」

京太郎「っ」

姉帯「お前の事は……まあそこそこ分かってるし、今までお前が頑張ってきた積み重ねも知ってる」

姉帯「(……せいぜい見守るだけしか、出来なかったからな)」

京太郎「……まさか」

姉帯「それに加えて、先ほどの連戦もきっちり見定めさせてもらった」



京太郎は咄嗟に後ろに跳躍。
数m距離を取り、仕切り直しで様子を見ようとする。

しかし無慈悲にすっ、と横に振るわれる姉帯の指。


そして、まるでビニールがカッターで切り裂かれるかのように世界に『切れ目』が入る。


世界の切れ目、その裂かれた部分に後方に跳躍していた京太郎は踵を引っ掛けてしまう。

そして当然、ずっこける。

今度は全力の跳躍の勢いと体重を乗せた破壊力を、地面と後頭部の激突という衝撃に変換して。



京太郎「あっだだだっだだっだだだだだっ!!」

姉帯「完全に……ってわけでもない。誰でもってわけでもない。いつでもってのも無理だろう。だが」



しかし、彼がよく知る少年の動きに限定するのであれば。
しかし、京太郎が疲弊していて動きが鈍い今であれば。
しかし、京太郎が戦闘スタイルを読まれにくくする格納を使用できないのであれば。



姉帯「今この瞬間に限定すれば……お前の動きを読んで、俺の能力が活用できる」

姉帯「今この瞬間に限定すれば、俺はお前を倒せるかもしれねぇぞ」



そう宣言すると同時に、少年の頭上の空間に『穴』が空き。

そこからサッカーボール大のコンクリートの破片が、隕石の如く風を切って射出された。

『時空のおっさん』は、時間・空間・世界線を司る都市伝説である。


「やっている事のとんでもなさ」では群を抜いて凄まじいが、能力の用途が余りに限られているが故に使いづらいという欠点も持つ。

例えるのならマテリアル・パズル・ゴッドマシン。
あるいはボヘミアン・ラプソディ、またはスキルハンターと言った所だろうか。


彼は特務警察課で唯一都市伝説を保有している警察官ではあるが……その戦闘力は、実質皆無と言って良い。



しかし、彼にはまだ「空間操作」の能力が残っている。

彼が穴を空けたり切り裂いた空間はある程度の硬度を保ち、相手の動きが読める前提であれば高い応用力を発揮する事が可能である。

例えば突っ込んでくる相手には空間の裂け目を顔面の前に『置いて』ぶつけるという選択肢が生まれる。

足元に穴を開ければずっこけるし、両足を穴に捉えればどんなに速くとも脱出するのに数秒はかかるだろう。

そして極めつけは、彼の奥の手とも言える唯一無二の『攻撃手段』。



空間に穴を空け、それを縦に二つ並べ互いに接続する。

『穴』同士を接続し制御する事は難しい為にあまり大きな穴は作れないが、この場合はバスケットボールサイズであれば十分だ。

そこで下に位置する穴に、ある程度『重みのある物』を放り込む。

下の穴に放り込まれた物体は上の穴から下の穴へと落下し、再度上の穴から下の穴へと落下する。

その過程で物体は重力にそって加速を続け、いつしか極めて高い威力を持つ運動体として成立する。



その状態で、下の穴を『別の穴』と接続すればどうなるのだろうか?

ゴッドマシン…
マテパ続きまだかな

京太郎「……う、へぇ……」

姉帯「今のお前なら、これで気絶してくれると思ったんだがな」

京太郎「(そんな奥の手があるとか、聞いてねぇぞ!?)」

京太郎「やっべぇな」



結論:転がるようにかわした彼が居た場所、そこにあった道路のコンクリートが砕け散るほどの威力が発生する。


ちなみにストックは11発分、そう多くはない。
戦闘中のリロードは不可能と言って良い以上、無駄撃ちは出来ないようだ。


年度末の大騒動で発生した大量の瓦礫を掃除機代わりに亜空間にストックさせられた彼からすれば、この発想と瓦礫の有効活用方を得られた切欠に対しては複雑な心境なのだろうが。




姉帯「行くぞ」




指が振るわれる。

空間の裂け目、世界の穴、突然の妨害線。

ほぼ完璧に動きを読まれた上での行動制限は、少年が攻撃をかわす未来をことごとく塗り潰していく。

時に転び、時にぶつかり、時に足を取られ。


そこに先程の、岩石砲弾とも例えるべき攻撃が飛んでくる。


厄介なのは、攻撃の起点となる『穴』が発生直前まで見えない事である。

攻撃の軌道がまるで見えず、穴が見えたと同時に砲弾が飛んでくる。

これでは回避のしようがない。

それに加えて、ほぼ至近距離で炸裂するために重力を鑑みて放つ必要がない。

すなわち、上下左右の縛りなく放たれるのだ。
これがまた攻撃の先読みを難しくしている。

回避困難な岩石の砲撃、これが彼の秘めていた奥の手の一つ。



後頭部10cmの位置から放たれる銃撃を完璧にかわせる人間が居るだろうか?

この攻撃は、つまりそういう性質を持っているのである。

ここに怜が居れば勝てただろう。

未来を見れば、それこそこんな攻撃目を瞑っていても回避できる。


ここに穏乃が居れば勝てただろう。

彼女が与えるフットワークなら、それこそ目にも留まらぬ速さ故に先読みなんて心配もない。


ここに一が居れば勝てただろう。

この程度の威力なら、彼女の装甲の前には無力である。


ここに姫子が居れば勝てただろう。

彼女の能力による空間単位の視点と鎖があれば、鼻歌交じりに処理できるレベルだ。



けれど、今ここには居ない。

それが少年の現実だ。



京太郎「(……参ったな)」



自分のような誰かさんの過去を見たせいで、臆病風に吹かれた少年の行動の結果。

仲間の手を取らなかった道の先にあった、無力の痛感という結末。

皮肉にも、仲間と離れる選択肢を選んだ果てにあったこの苦境、自分一人で戦う事を決めたがゆえの苦戦が。



京太郎「(あいつの力を借りればとか、あの人の力ならとか。そんな事ばっか考えてる)」

京太郎「(自覚してた以上に……こんなにも俺は、あの人達を頼ってたのか)」

京太郎「(こんなにも、俺は)」



少年に、大切なものの価値を再認識させていた。



京太郎「(隣にいて欲しいって……そう思ってたのか)」

彼はストックを消費し、少年は体力を消耗する。

そんな綱渡りのような攻防の中でも、彼らは言葉を交わし合う。

そこに一切の虚飾は無い、本音の言葉だ。



京太郎「結局、アンタがそっちを選んだ理由が聞けてねぇぞおやっさんっ!!」



蒼光が無数の針に纏わり付き、針が立体の箱のように組み立てられる。

構造自在変幻自在の防御装備、浅葱の光や鰐の装甲を上に展開する事で完成する新たなる盾である。

それが少年のがら空きだったみぞおちを守護し、岩石の流星を叩き落とす。



姉帯「……俺はな、警察官だ! 法に則って、そこに私情は挟んで来なかった!」



そして振るわれる姉帯の両手。

精密な能力制御のイメージをもたらすために考案したというその動作は、この空間を制圧していく。

まるでまっさらなノートにペンで落書きをしていくように、自由に動ける空間が狭められていく。


脱出可能なルートは一つ。
明らかに誘われている。
しかし、そこを進む以外に選択肢は存在しない。


迷わず、少年はその虎穴に飛び込んだ。


その覚悟に応えるように、姉帯も言葉を続ける。


……ただ、京太郎にの耳には、その言葉は少年に対する呼応だけではなく。

同じくこの言葉を聞いているであろう彼の娘に対する言い訳と、釈明と、懺悔であるようにも聞こえた。



姉帯「どんな時にも、どんな奴にも、贔屓なく区別なく差別なくやって来た!」

姉帯「それは俺達警察官の誇りであって、絶対に破っちゃいけないルールなんだよ!」

姉帯「……たとえ身内であっても、娘であっても! いや、身内だからこそ……」

姉帯「そこで『贔屓』したら、『区別』したら、『差別』したら」

姉帯「……何が正しいのか、何が間違ってるのか……皆、その指標を見失っちまうだろ……!?」

姉帯「加害者の家族の『あの子は無実なんです』って訴えを切り捨ててきた」

姉帯「被害者遺族の『あいつが殺したんだ』って訴えを切り捨ててきた」

姉帯「法の名の下に、俺はあんまりにも多くの『私情』を切り捨ててきた」

姉帯「……涙ながらの訴えを、見ないふりをして……」

姉帯「『法律を守ってやっているんだからこれは正しい事なんだ』と言い聞かせて」

姉帯「涙ながらの訴えを切り捨てて、『仕方ないんだ』と思いながらやってきたんだ」

姉帯「そんな俺が、俺達が。法を順守して歯を食いしばって情を切り捨ててきた俺達が」

姉帯「今更どの面下げて、『私情』で法を曲げられるってんだ……?」

姉帯「そんな事してよ、俺はあの泣いていた人達に顔向け出来るのか?」

姉帯「……無理だ。俺には、無理だった。出来やしなかった」

姉帯「お前みたいに自由に、自分を縛る枷も過去もなければ、俺は……いや、なんでもない。忘れろ」

姉帯「父親としては、最低だよな」

姉帯「俺は法や、正しさや、家族でもない他人に申し訳ないって気持ちだけで」




姉帯「子の絶対的な味方であるっていう、親の責務を投げ捨てたんだ」




京太郎「……ああ、本当にな」

京太郎「警察官としては本当に理想的だと思う。大人としても尊敬できる点がある」

京太郎「だけど、だけどさ」



京太郎「親になった事もない俺が言うのも筋違いかもしれないけど」

京太郎「どこまで行っても子供の視点でしか無い俺の感覚でしか無いけど」

京太郎「……おやっさん、アンタ子供から見た親としては最低だぜ」



姉帯「自覚してるさ」

姉帯「それでも、歯を食いしばってこの道を進むと決めたんだ」

姉帯「今更、そんな……」



京太郎「ああ、そっちだけじゃねえよ」

姉帯「……何?」

京太郎「俺が最低だって言ったのは、アンタが『アレ』を忘れてるって確信が出来たからだ」

姉帯「……なんだ、それは?」

空間が裂かれ作られた道の途中、そこで少年が足を止める。

少年の発言がハッタリではないと確信した姉帯も、攻撃の手を止める。

そして、口火が切られた。



京太郎「さて、今は何月だっけ?」

姉帯「? いきなり何を……」

京太郎「いいから答えてくれよ。そして出来れば俺が答えを言う前に気付いてくれ」

姉帯「……一月。今は一月半ばだな」

京太郎「そうだな。黒(あいつ)が去っていったのが元旦だったんだし」

姉帯「それがどうした、何の関係が……」



京太郎「……おやっさんがさ、色々と不器用なのは知ってる。長い付き合いだし」

京太郎「娘に気遣いとか難しいだろうし、年頃の娘との距離感が分からんって俺に相談してきた時は内心呆れたもんだよ」

京太郎「家庭がなんだかんだうまく行ってたのは、あの寛容で優しい奥さんと娘さんだからってのもわかってる」

京太郎「でもよ、でもよ……流石に、『それ』はねーよ!」

京太郎「俺達が焦ってた理由も、短期決戦でどうにかしようとしてた本当の理由も分かってないんじゃねーか!」

京太郎「それは流石に父親として残念過ぎるだろ!」

京太郎「『ここで失われかねないもの』の重みが分かってないんなら、法と情を天秤にかけた意義がまるで無くなってんじゃねーか!!」



姉帯「待て、お前、一体何を……」



京太郎「一月! 今一月半ば!」

京太郎「そりゃアレの事忘れてりゃ時間かけて無実を証明しようって選択肢が出るかもしれないけどよ!」




京太郎「豊音さん達は三日後にセンター試験があんだよッ!!」




姉帯「……あ」

勾留中に容疑者に受験させられるだろうか?

無理である。

警察に捕まっている、あるいは追われている状態で受験は可能か?

無理である。

三日以内に警察はこの事件の真犯人を捕まえられるか?

無理である。



最初から言われていた事だ。

『時間をかければ』警察にも真犯人を捕える事は出来る。

しかし、時間をかける事は出来なかったのだ。


京太郎と豊音の友人達からすれば、この事件には絶望的なタイムリミットが存在したのである。

三日以内に真犯人の発見・捕縛・無実の証明をこなさなけれならない事を考えれば、ありえないほどに時間が足りていない。

マスカレイドが仕込んだ地味な嫌がらせである。
本人からすれば本気で嫌がらせ以上の意味は無いというのだから鬱陶しい。


この場に来ていた警察官の内何人かは気付いていたかもしれないが、彼らにとってこの情報は全くもって意味が無い。

意味があるのはただ一人。

この情報が、『娘の未来』という新たなファクターが大きく天秤を揺らしかねないのはただ一人。



京太郎「センター試験……豊音さんの、将来がかかってるのは分かるだろ?」

京太郎「その上で、もう一度聞きたい」

京太郎「貴方の天秤は、『娘の未来』って重りが新しく乗っても、揺らがないのか否か」



姉帯「それ、は……」



重りが軽ければ、天秤は揺らがない。決意は揺らがない。

彼の意志は微動だにしないだろう。

ならば、彼は自身の内心に問うてみればいい。

『娘の未来』は、自分にとって軽いのかどうか、という事を。



姉帯「(……軽い……軽いなんて、そんなわけがないだろう……!!)」



無論、口が裂けても軽いなんて言えるわけがないのだが。

センター試験受けられなかったよー→浪人だよー→塞たちだけ先に大学生になっちゃったよー→ぼっちだよー

こう言うことか……

京太郎「あの日、さ。衣の時にさ」

京太郎「おやっさんが言ってたセリフ、ちょっと心に響いてたんだ」

京太郎「アレってさ、本心じゃないその場限りの嘘だったのか?」



———大人と子供の差は、歩んできた道のりの差だ

———だから、懸命に走る子供は……いつか、大人に追いつく日が来る

———大人は、その日を楽しみに待っている

———自分が進むのを諦めた道を、ただただ全力で走っていく子供の背中を見送る日を

———ただ、楽しみに待っている



京太郎「俺や衣にだけじゃなくて、豊音さんにも向けていた台詞みたいに感じたからさ」

京太郎「あれはおやっさんの個人としてでもなくて、警察官としてでもなくて」

京太郎「父親としての言葉だって、そう思ってたんだけど」



———例え自分が死んでしまったとしても、子が生きてくれるのなら、それだけで嬉しいもんだ

———悪餓鬼だったり、生意気だったり、反抗期だったとしてもな

———元気に生きてくれているのなら、それだけで嬉しいもんだ




姉帯「……嘘なんかじゃ、無い」

京太郎「……そか」



互いに立ち止まっていながらも、裂けた空間が二人を隔てる。

しかし裂けた空間の向こう側からも伝わってきそうなほどに、姉帯は苦悩している。

覚悟は決めたはずだった。

冷たく、固く、冷えた鋼鉄のように揺らがぬ意志を持っていたはずだった。


それが『娘の未来』という概念一つで、今にも崩れそうなほどに揺らいでしまっている。


それも当然だ。

だって、彼はどこまで行っても『父親』なのだから。



京太郎「俺さ、子供ってのは親に祝福されて生まれてくるもんだって聞いてたからさ」

京太郎「生まれて来た子を祝福しない奴は、その時点で親じゃないんだって教わったからさ」

京太郎「貴方は豊音さんが生まれた時に祝福してたんだって、豊音さんは生まれた時に貴方に祝福されてたんだって」

京太郎「そう、思ってたんだけど」


姉帯「……そう、だな。その通りだ」

姉帯「……あー、あの時からずっと、俺は娘大好きだったんだなぁ……」



京太郎「(……羨ましいな)」

「おとーさんっ!!」



どこか険の取れたような苦笑を浮かべる父親に向かって、一縷の嫌悪も無く喜び一杯に大声を上げる娘の構図。

娘は目尻一杯に涙を浮かべて、父親は頭をガッシガッシと掻いて。

それでも二人の目線は、合わなかった。



姉帯「……ったく、アイツは本当に俺の娘なんだかなぁ」

京太郎「所々で頑固な所とか、そっくりだっての」

姉帯「やかましい。……ありがとよ、親子揃って迷惑かけた」

京太郎「俺は互いのすれ違いを正しただけだって。すれ違わなければ良い親子なんだから、娘は大事にしろよ」

姉帯「……そうだな。ダメな父親だってのは分かってるが、それでも父親らしく頑張ってみるか」

姉帯「何もしないよりか、よっぽどマシだしな」



娘の未来一つで踏み切れた。
ちゃんと最後の最後で娘を優先できた。
大切なものの優先順位を、間違えなかった。

理想の父親とまでは言わずとも、父親のように慕い続けることは出来そうだな、と。

情けない所もカッコいい所もある目の前の人を見つめて。

そう、少年は思った。



姉帯「お陰で、大切な事も思い出せた」

京太郎「大切な事?」

姉帯「『おまわりさんのおとーさんかっこいい!』って豊音に言われて、それで頑張って仕事してたんだわ俺」

姉帯「市民とか御大層な理由じゃなくてよ、最初は嫁と娘が笑ってられる場所を守りたかったんだ」

姉帯「大切な初心を、思い出した」

京太郎「……そっか」

姉帯「だからな、娘を傷物にしたらぶっ殺すぞ」

京太郎「は?」

姉帯「俺も一緒に飛ぶほどのパワーは残ってない……そっちで任せられそうなのは、お前だけなんだよ」

京太郎「そっち? ちょっと待った、意味が分か……」

姉帯「ボッシュートだ。頑張れよ」



右手を一振り。裂けていた空間が元に戻る。
左手を一振り。京太郎と豊音達の足元に穴が開く。

結果、落下する。



京太郎「う、うおぉおおおおおっ!?」

豊音「な、なになになにぃっ!!」

塞「ちょ、私達スカート……」

シロ「……うわぁー……」

エイスリン「!?!?!?!?!?!」

胡桃「にゃああああああっ!!」

ここではないどこか、離れた場所へと落下してく。

つまり、それは。



姉帯「……はぁ。頑張って逃げろよ」

藤田「姉帯」

姉帯「署長、後で辞表出します」

藤田「っ、お前は……」

姉帯「あはは、流石にこれは言い訳効かないでしょ」



この作戦は、多くの警察官の協力の下行われた作戦だ。

多くの者が死力を尽くし、死んでこそいないものの散っていった。

姉帯とてそれは分かっている。

今の行為が……少年少女達を逃がす行為が、どれだけ間違っていた事か。

警察官が法を破るというあまりにも重い罪。

仲間達の努力を、仲間達に信頼されていながらその信頼を彼が裏切り全てを無に帰したという事実。

この場の誰よりも、彼が深刻に受け止めていた。



姉帯「警察官失格。俺は『天秤にかけて』、その上で娘を取った」

姉帯「警官、向いてなかったんですかね」

藤田「……そんな事、私が知るか」



痛々しい苦笑を浮かべる彼から目を離すように、懐から取り出したラッキーストライクに火を点ける。

感情が溢れ出そうな時に、彼女が無意識にやる動作だ。



藤田「もう須賀に叩きのめされた奴の何人かは起き始めている。その内全員目覚めるだろうし、何なら聞いてみたらどうだ?」

姉帯「? 何を?」

藤田「娘が容疑者だと知って、苦悩してるお前を心配していた」

藤田「それでも意志を固めていたお前を見て、覚悟を決めていた」

藤田「警察官としてはともかく、個人としてはあのガキどもに味方したそうにしていた」

藤田「お前のさっきのやり取りを見て笑ってる、嬉しそうにしてる」

藤田「そんなお前の、同僚達にだよ。警官失格かどうか、聞いてこい」

藤田「辞表届けは来週受け取ってやる」

マスカレイド「……は?」

マスカレイド「いやいやいや、待って下さい」

マスカレイド「それはない。それはマズい」

マスカレイド「これは予想外、なんて範疇には収まらないでしょう!?」





マスカレイド「なんでわざわざ、そこに———!?」

何が起きてるか知らんけどマスカレざまあああああああああああ

京太郎「よっと」

豊音「あわわっ」

塞「ふにっ!?」

シロ「ほいっ、と」

エイスリン「ヘムッ!?」

胡桃「ほげっ!」


着地成功三名、尻餅二名、顔面着地一名。

若干女の子としてあげてはならない声が聞こえた気がするが、気にしてはならない。



京太郎「ここは……公園?」



特務刑事課を中心に構成していたとはいえ、警察官を急激に大人数一箇所に集中するのには無理がある。

ましてやマスカレイドの通報からの緊急包囲網だ。
必然的に、警官が見回り出来ない絶対的な警備の空白が生まれる。

京太郎達が飛ばされたのは、そんな場所だった。


とは言っても、本来デメリットはないはずだったのだ。

離れているので包囲を抜けた所で容易には辿りつけず、その空白地点の情報は一切少年少女側には漏れていない。

それに加え包囲を突破された時点で空白を埋めればいいだけの話なので、レアケースを除けば弱点には成り得ない。

そのレアケースが今まさに起こっているわけなのだが、これを予想しろという方が無理である。



京太郎「ちょっと、休憩しますか。流石にこれ以上は俺が持たない」



連戦に次ぐ連戦。
戦闘による無視できないダメージ。
ヒーローシフト中は回復スピードも人並み外れてはいるが、それでも10分は動けないだろう。

当然の休憩、当然の提案であった。



豊音「あ、うん。そう、だね……」

京太郎「……? あの、どうかしましたか?」

豊音「……え? なんで?」

京太郎「だって、豊音さん」




京太郎「泣いてるじゃないですか」

豊音「え?え? あれ、なんでだろ」

豊音「安心したからかな、あれ?」

豊音「あれ、止まんない……」


止めどなく流れる透明な雫。

須賀京太郎は涙が嫌いである。
それを拭うため、止めるために戦うのが彼の流儀といってもいい。

だが、何故かこの涙は……途方もなく美しいものであるように感じられて、彼の口からは言葉が出なかった。

その一瞬、彼は彼女に確かに魅せられていた。



シロ「……嬉しかったんじゃ、ないの」

豊音「……え?」

塞「嬉しかったんでしょ。ま、終始目を合わせないのはどうかと思ったけどね」

胡桃「良かったじゃん、お父さん悪い人じゃなくて」

豊音「……あ……」

エイスリン「オトーサン、ヤッパリトヨネノコトスキダッタネ」

豊音「あ、あ……!」

京太郎「不器用でしたけど、ちゃんと愛してくれてましたね。そうでしょ?」



友達は、家族の次に……時には家族よりも親しい理解者である。

本人が分かっていなくても、周りの人間からすれば一目瞭然なこともある。

それが『友達』であり、『友情』というものだ。



小瀬川白望は、臼沢塞は、エイスリン・ウィッシュアートは、鹿倉胡桃は。

須賀京太郎は。


姉帯豊音の、友達である。

豊音「良かった……私、私、不安で……!」

豊音「おとーさん、もしかしたらって、思ってて……!」

豊音「おとーさん、私の事嫌いじゃなかったんだ……!」

京太郎「———っ」



薄々、感づいてはいた。

豊音が抱く不安、受験ではなく豊音が本当に抱え込んでいた恐怖。


彼女が恐れていたことは、『大好きな父親に嫌われているのではないか』という一点、それだけだったのだ。

無論父親サイドに一言聞けば、大声で否定してくれた事だろう。

けれどこの事件の間、父親が娘と視線すら合わせなかった事が不安に拍車をかけた。

親の心子知らずとは言うが、親が子の心を知っているかというと疑問が残る。そんなすれ違い。


それが自分自身よりも家族を大事にし、愛していた彼女の心を不安定にさせていた理由。


親の愛は、親が思うほどに子供には伝わっていないものである。



豊音「ずっと、ずっと、あの村の時から迷惑ばっかかけてきて」

豊音「おとーさん、もしかしたら私の事呆れてるんじゃないかって」

豊音「好かれてないのかもしれないって、嫌われてるのかもしれないって」

豊音「ずっと、ずっと……!」



膝をついて嗚咽とともに涙を流す少女。

そんな少女をあやすように、少年は少女の頭を抱えるように抱きしめる。

ゆっくりと髪を撫でて、自分の体温が相手に伝わるように。

人の心を落ち着けるための一番の特効薬は、他人の暖かさだ。

それを少年は、よく知っている。



京太郎「よしよし……んなわけ、ないでしょうに」

京太郎「ちゃんと、あの人も言ってたじゃないですか」

京太郎「貴方は祝福されて生まれてきて、今もなお愛されている」

京太郎「不安がる必要なんて、無かったんですよ」

豊音「……」

豊音「……うん」

豊音「……うん……!」

京太郎「……よしよし、ほら、嬉しい時は泣かないで下さいな」

豊音「うん!」

涙の跡か、紅潮した顔か。

どこか常より赤みの増えた笑顔で、時折鼻を啜りながら友人達と笑いあう少女。

そこにそれだけの話題が秘められていたのか、皆自分の『親』の話題で盛り上がっている。

……だから。



だからその雑談に、京太郎は混ざれない。



京太郎「……ふぅ、一段落だな。今夜中に全部終わればいいと思ってたけど、流石に欲張り過ぎか」

「せやなー、優秀な相棒がおらへんからなー」

京太郎「……」

京太郎「かもな。どうにも調子が出ない気がする」

「せやろ? ま、片手片足で本調子が出る奴がおったらそらそれで怖いんやないかな」

京太郎「姫子さんか?」

「やー、便利やなあの力。流石原典がストーカー系なだけあるわ」

京太郎「まあ、どっかでお前が来るかもとは思ってたし、そろそろかとも思ってた」

京太郎「逆の立場なら、俺もそうしただろうし」

「逆の立場なんてあらへんよ。人間、立場をそっくりそのまま交換なんて出来やしないんやで?」

「人が誰かの代わりになれへんように、な」

京太郎「そうだな……お前の代わりなんて、世界中捜したって居なそうだ」


京太郎「だろ? 怜」



怜「ナンバーワンかつオンリーワンの相棒参上! ようやっと追いついたわぁ」



役者は出揃い。

この長い物語の一幕も、終幕へと向かう。

本日の投下終了。お疲れ様でしたー

ようやっと終わりがすぐそこまで来てくれました。マスカレさんの驚愕は次回にて


豊音過去編、マスカレ登場、警察回、姉帯父回、短じかめの士栗ちゃん回に黒太郎回、一人で戦えるようになったからこその仲間の大切さの再認識・・・振り返ると詰め込みすぎですなコレ

残り話数が少なめなのがネックでしたかねぇ

思春期って学生が親に色々思ってる時期ですが、同時に親が子に色々思ってる時期でもあるってカウンセラーの友人が言ってました


レス返しなどは明日。おそらく日曜投下で完結でしょうな! フラグじゃないよ


では、おやすみなさいませー

「いよいよ明日がセンター試験本番ですよ!」のコピペ思い出した


これマジ?
http://i.imgur.com/IGigL6O.jpg

>>118
ここの針はハリコノトラだろうけどこんな使い方なのか
てっきり針治療的なあれで経絡秘孔みたいなものを突いて体を硬化させるものかと

公園でビビるって事はマスカレイド本体は段ボールハウス!!…惨めだなぁ…
警察に冤罪拘留で受けれなかった試験って再試験認められないの?電車止まっても受けれるのに

こんばんワラワラ。実はアメリカにワラワラという街が存在することを知っている人間は少ない

はたらく魔王さま随分と前に一巻だけ買って二巻以降買ってなかったんですよねー
クレスティア・ベル氏へのお布施代わりに買うべきか否か

明日投下しますー



>>103
ブロリー乙

>>114
肉体的に成長したアクア×ミカゼ展開が来るってわたししんじてる

>>128
です

>>139-143
この一体感

>>153
!? ど、どういうことなの・・・?

>>155
ハリコノトラは鉄筋コンクリートにおける針金みたいなものですねー
芯を使う事で、ありとあらゆる敵・攻撃・状況に合わせた防御形態を形成可能です
元ネタは最近人気が無い「針飲みマジック」ってやつです

>>162
再試験→試験に問題が有り再度試験を行うこと。センター側の責任
追試験→どうしようもない事情があり試験を受けられなかった者のための試験。受ける側の責任

追試験は申請が通らなければ受けられず、しかも難易度が大幅に上がった上に一週間後に追試験という鬼畜仕様です
しかも例えば「車で行こうとしたら渋滞に巻き込まれた」程度だと「車で行こうとした貴方が悪い。自己責任」と却下されるレベルで厳しい審査になっております

医師の診断書と精神病などの条件が重なれば自己責任でもなんとかなる場合はあるそうですが・・・難しいでしょうね

先程>>1のキーボードがコーヒーまみれになった理由


                   ♪デデンデーンデーンデ

                   デデンデーンデーンデ♪

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                   デデンデーンデーンデ♪

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       (__ノ |        { >  >       <  < }        | !、__)
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           }        ゞ√           √゙ィ        {
           |    ゞ    ヽ             ,r'    ゙ィ    |
           |    / ヽ   ヽ           ,r'   ,r' ゙i    |
            .|   |   ヽ   |          /   r'    |   ,
           ノ   |     |   |         |   |     |   (,
            (   |     |  `t       t`  |     |   )
              ̄ ̄       ̄ ̄          ̄ ̄       ̄ ̄

                      / ̄ ̄\      ____
                     / .─  ─ \   /      \      ハートキャッチ〜♪
                   .| ( ●)(● ) | / ─    ─ \
                   .|  (__人__)   /   (●)  (●)  \
          (( (ヽ三/)    |   `⌒ ´   |      (__人__)     |(ヽ三/) ))
             (((i )    .|           |\     `⌒´    / ( i)))
              /  |/ `ヽ   _ ,, ー ''⌒ヽ   ー‐  ー´\ |  {
             /   |        (              }.   ´  }
             (_  _ト      }   ー ト           }___ ノ
                ̄  }      }  〈/         ノ

                   乂     ヽ、_ )))        ノ
                     /\   (        / \
                   /       /           \
                   {    / \/     / \    }
                   ヽ   |   /    ,, ''     |   /
                    ヽ  |  /   /      |   /
                   ノ   |  〈   ゝ       |   `t
                    ̄ ̄     ̄ ̄         ̄ ̄




        .../ ̄ ̄\ . .(こ ゙i     チャンス♪  / こ). ____

     .  / .─  ─ \⊃ |     チャンス♪  | ⊂/      \
       .| ( ●)(● ) |.|  ゙i             /  | ´ ─    ─ \
       . |  (__人__)  │|   ゙i            /   | (●)  (●)  \
        |   `⌒ ´   | |   ii           ii   |   (__人__)     |
        .|           | .|   ii|          |ii   |   `⌒´    /
       ..ヽ       / .(⌒゙i |          | /⌒)\  ー‐   /
       /         ≧ ゙ィ           ゞ ≦         \
      /  ィ        |   ゙i         /   |        ィ  \
     <  < }        | !、__)        (__ノ |        { >  >
     \  'ー,        )                (        ,ー'  /
       √゙ィ        {                }        ゞ√

        ,r'    ゙ィ    |                |    ゞ    ヽ
       ,r'   ,r' ゙i    |                 |    / ヽ   ヽ
      /   r'    |   ,                 .|   |   ヽ   |
      |   |     |   (,                 ノ   |     |   |
     t`  |     |   )                (   |     |  `t

       ̄ ̄       ̄ ̄                   ̄ ̄       ̄ ̄







                     / ̄ ̄\     ____
                   / .─  ─ \  ./     \       ハートキャッチ〜♪
                   .| ( ●)(● ) |/ ─    ─ \
                   .|  (__人__)  │  (●)  (●)  \
          (( (ヽ三/)    |   `⌒ ´   |     (__人__)     |(ヽ三/) ))
             (((i )    .|           |     `⌒´    / ( i)))
              /  |/ `ヽ   _   /.⌒'' ,,  ー‐  ー´\ |  {
             /   |               ̄ )    }.   ´  }
             (_  _ト         ィー>  /      }___ ノ
                ̄  }         ゝ /  /    ノ
                   乂        ((( _ノ    ノ
                   /\        ) / \

                  /           ヽ     \
                 {    / \     ヽ\    }

                 ヽ   |     '' ,,    ヽ|   /
                  ヽ  |      \   ヽ|   /
                  ノ   |       ノ   〉|   `t
                   ̄ ̄         ̄ ̄   ̄ ̄

           / ̄ ̄\   / ̄ ̄\....(こ ゙i . ̄ ̄\
          / .─  ─  / .─  ─ \⊂ |   .─ \
   シュバッ  | ( ●)(●).| ( ●)(● ) ||  ゙i.●)(● ) |

         .|  (__人__) .|  (__人__)   |.|  ゙i__人__)  │
(( (ヽ三/)    |   `⌒ ´  .|   `⌒ ´   |.|   ii ⌒ ´   |  (ヽ三/) ))  ダンス♪
   ..(((i )    .|        |           | |   ii|    .|   .( i)))      ダンス♪
    /  |/ `ヽ   _   ..ヽ   _   /.(⌒゙i | _   /..´\ |  {
   ../   |            ./         ≧ ゙ィ      .}.   ´  }
   (_  _ト       /  ィ        |   ゙i       }___ ノ
     .. ̄  }  三三 <  < }        | !、__)三三 .ノ

         乂     .\  'ー,        )         ノ     シュバッ
          /\ ( (  √゙ィ       {    ./ \
        /          ,r'    ゙ィ    |  ) )    .\
        {    / \,r'   ,r' ゙、    | ./ \    }
        ヽ   |   ...|   ,r'   |   |.      .|   /
         ヽ  |   ...|   |    .|   (,     |   /
        ノ   |    t`  |   .|   )     ..|   `t
         ̄ ̄       ̄ ̄      ̄ ̄        ̄ ̄__   ハートキャッチ〜♪
           /      \...| ⊂/      \/      \
   シュバッ   / ─    ─  /  | ´ ─    ─ \ ─   .─ \
        /   (●)  (●)/   | (●)  (●)   ●)  (●)  \
(( (ヽ三/) |      (__人__) ii   |   (__人__)     |._人__)     |(ヽ三/) ))
   ..(((i ) \     `⌒´  .|ii   |   `⌒´    /.`⌒´    / ( i)))
    /  |/ `ー   ー‐  | /⌒)\  ー‐   / ..ー‐  ー´\ |  {
   ../   |             .ゞ ≦         \       .}.   ´  }
   (_  _ト         /   |        ィ  \     .}___ ノ
     .. ̄  }   三三.(__ノ |        { >  >三三 .ノ

         乂        (((.(        ,ー'  /  ...ノ     シュバッ
           /\          }        ゞ√ .../ \
         /              |    ゞ    ヽ       .\
         {    / \     |    / ヽ   ヽ .\    }
         ヽ   |     '' ,,   ..|   |   ヽ   | ...|   /
          ヽ  |      \  ノ   |     |   | . |   /
         ノ   |       ノ.(   |     |  `t . |   `t
          ̄ ̄         ̄ . ̄ ̄       ̄ ̄  . ̄ ̄


                               ♪ハートキャッチッ

                   ____                          / ̄ ̄\
                 /      \         ∩_ .              / .─  ─ \       .∩_ n m
                / ─    ─ \       ( _⌒二⊃         | ( ●)(● ) |      ( _⌒二⊃
              /   (●)  (●)  \    / /             |  (__人__)  │    / /
              |      (__人__)     |  / /              .|   `⌒ ´   |    / /
              \     `⌒´    ,/ / / 〃              |           |  / / 〃
         シュッ    /     ー‐  〃⌒\     〃 バッ    シュッ    / .ヽ   _   / . ⌒\     〃 バッ
            ,— 、,—、      ,,_   \             ,— 、,—、      ,,_   \
           ( (⌒⌒)   三 ,— 、,—、     )           ( (⌒⌒)   三 ,— 、,—、     )
           /,,、\//三    (⌒⌒)  ̄ /            /,,、\//三    (⌒⌒)  ̄ /
          ヽ、__/     ' ̄  ̄\\//(              ヽ、__/     ' ̄  ̄\\//(
               ゞ           ゝ                  ゞ           ゝ
                \          )                  \          )

                  l    Y´     /                    l    Y´     /
                  ヽ,   (     ,/                     ヽ,   (     ,/
                   ヾ  |   |                        ヾ  |   |
                    ≒;|   |                         ≒;|   |
                    (.("_`゙_)                         (.("_`゙_)


                         ____            / ̄ ̄\  
                       /      \   プッリキュ./       \
                      /        \        |         .|
                    /            \      |         .|
                    |                |      .|         |
                    \           ,/       |           |
                    /        ''⌒ \     /        ''⌒ \

                    /         ヽ    }    /         ヽ    }
                    |           ヽ、_ノ   _ |           ヽ、_ノ   _
                    ヽ           )   ___,,..)ヽ           )   ___,,..) `)
                    ノ          〈     --‐'ノ          〈     --‐''´
                    {           ヽ   くるぅ{           ヽ   くるぅり
                    ヽ    \     ヽ      ヽ    \     ヽ
                     ヽ      \     }       ヽ      \     }
                      |    | /   /         |    | /   /
                      |   / .|   /          |   / .|   /
                      |   \ゝ  \          |   \ゝ  \
                       ̄ ̄ ̄    ̄           ̄ ̄ ̄    ̄



                         ミヽ                      i川
        ミyI           川i    .'ミヽ-=.,          /'´  ̄ ヽ _,} .{
        ス f             {j .ノ     ~´>、`>-.、..     l     .l ~'彳ハ
.           | .!.     / ̄ヽ   }.ハ          `>.、_`>- =、_ヽ   ノ. _,ノ .}
         l, ヽ、    |   .|  」 l                 >-<,   ̄`>-="  ,/
.           `'>.、二"'''"⌒'.7-='",. イ                    マ      "';:::シ      アッー♪
.               `ヽ, ,.   .,γ                   }       、ノ
                j''.  :.  {                      ,'       .ソ
                ヘ   :.  i                       {      ,/
                   j,  :.  ヽ、                  j .     ヽ,
                 _」    ,  ハ                  l    ::... ..:: "ニヽ
            ,.<  .:.:.:::::j:.::.:..ヘ                    ..l      ,    .,ノ'',
               ム .:.:._.::.:.ィ'""ヽ,:.:.ヽ,               マ,      i:.:.:.:..,イ:.::j
               ヽ, ~ヽ      ヽ,."ヽ,            ,イ   .:.:._ノ'ー彳!:.:.:i
                 >、 \_     ヽ,. ハ            ./  .:.:.::/     マ:.:l
                 "''、,. )      .ヽ, ヽ,__       / .:.:.:.:∠        }:,:{
                      } ,イ       >、,ン        7 .:.:::7"        },...>、
                "´                 '':、 ⌒`>、        ⌒"´
                                    > 、_ ヽ、,__

                                          ヽ,,.  シ
                                         マ .{
                                               マミ}
                                          {シ

疲れてるとなんでも笑えて困るんですよォー!

http://www.youtube.com/watch?v=iDiLspKwCoM

>>174
イッチー貴様、やる夫板を見ているな!!wwww

こんばんワンダフルディズニーじゃなくてファンダフルディズニーとかややこしいってレベルじゃない

『東京』ディズニーランド以上の詐欺ってそうそうないと思うんですよ自分


本日22:00からスタート。オーラスかな?


>>180
ぎっくぅ



あなたの事が好きな人チェッカー
http://irotsuku.com/a/lbmtrsn-/r/%E9%A0%88%E8%B3%80%E3%80%80%E4%BA%AC%E5%A4%AA%E9%83%8E

心の支え脳内メーカー
http://irotsuku.com/a/1pqj-pv4/r/%E9%A0%88%E8%B3%80%E3%80%80%E4%BA%AC%E5%A4%AA%E9%83%8E


なるほどなるほどなるほどー

前スレの探索の時に部室で受験云々って話で三年生が出てこなかったのってセンター試験の伏線だったのか
もしかして十七話では三年生全員センターの勉強で出て来ない設定だったとか?

たまにすれ違う人ったら通学電車でいつも見かけるあの子とかだろ
そして隣の席の女との仲介で付き合い出すけどその女も実は京太郎が好きでフラフラしてたら刺されたり首切られたりな展開に

>>186
そこに気づくとは・・・やはり天才・・・

>>187
きょ、京太郎は自転車通学だから・・・




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投下はっじめーるよー

「正直言うとさ、少し怖かったのかもしれない」

「分かってたつもりだったけど……想像と実際目にするのじゃ、全然違ってたから」

「なんつーか、昔火傷した事を突然思い出してふとなんでもないヤカンに手を伸ばすのを躊躇っちまうみたいな」

「気にしてないようで、何も変わってないようで……実はそんな事なかった自分、みたいなよ」



この公園にも、当然人が座るためのベンチが存在する。

街頭に照らされたベンチはそれでも真夜中という時間帯の性質上薄暗く、公園の端ですらも目を凝らさなければ見えにくい。

それでも目の前の人間の表情を確認するには十分なほどで、そんな場所に二人は並んで座っていた。

その視線は互いに向けられているわけでもなく、少し離れた場所でじゃれあう五人に向けられている。



「頼りにしてたもの、よっかかってたものが崩れ去るかもしれないっていう実感がさ」

「なんとなく、怖かったというか……今なら『アイツ』が一人で頑張ろうとした理由、誰かを頼ろうとしなかった理由」

「俺を嫌いだった理由が、ちょっとだけ理解できる気がする」



ぽつりぽつりと吐き出される言葉が、闇に溶けていく。

少年がこういった弱音を吐き出すのは、なんだかんだで珍しい。

……何人かを除けば、と枕詞が付くが。 勿論、彼女はその何人かの一人というか筆頭である。

人は基本、同情か肯定が目的でなければ弱音を吐きたがらない。



「誰かに頼るのが怖いってのと、なんも知らずに頼ってる俺が無責任に見えたんだろうな」

「頼って、よっかかって、その結末が『アレ』だったから」




それは自身の弱点を晒す行為であり、よっぽどの信頼が無ければ成し得ない行為だからである。

そういう弱音を受け止めるのは、友人の責務なのか女の甲斐性なのか……それは当人達にしか分からないだろう。


けれどこういった弱音をまっすぐに受け止められるからこそ、彼ら彼女らは友人を続けていられると言っても過言ではない。



「……頼るのは、間違った事やと思うん?」

「いや、思わない。そこはアイツと俺で結論が分かれる」


『アイツ』。

彼と彼、似ているようで似ていない他人。

もしある世界でかつて起きた悲劇がこの世界で起きたとしても、少年は『彼』にはならない。

それだけは事実で、それだけが彼の救いへ至る答えへのただ一つの道筋だった。

しかしそれが、少年の心を微動だにさせなかったと言えば嘘になる。



「俺は一人で何かを成し遂げられると思わないし、それはこれまでもこれからもそうだと思う」

「今日、どんだけ皆に頼ってたか……どんだけ皆が頼りになるかも再確認したし」

「『ひとりよりみんながいい』って言ったのは誰だったかな。ま、そんな感じだ」

「そか。……ほな、何悩んどるん?」



二人は共に、『須賀京太郎』なのだから。



「悩んでるわけでも、迷ってるわけでもないんだけどさ……ただ、割り切れてねえんだ」

「今までのやり方で、完全に迷いなく全力で打ち込める気がしない。どこかで手控えちまうかもしれない」

「穏乃みたいにどっちかでキッチリスパっと割り切るのも、憧みたいに理屈で自分を納得させるのも」

「俺にはちょっとハードルが高いというか……基本的に何も変わってなくても、なんか土壇場でビビっちまう気がする」

「……ふーん。そか」



皆を守ろうとして、結果皆を死なせるかもしれないというリアルな実感。

それが喉に刺さった小骨の様に、歯の間に挟まった異物のように。

仄かな違和感としてのみ存在し、要所要所で少年を惑わせる。

大きく彼を変えたわけでもなく、かといって無視出来るレベルでもなく。

0か100で割り切れる性格でもなく、理屈だけで納得できるわけでもない性格に災いする、そんなトゲのような何か。

平時では影響がなかったとしても、ギリギリの場所で勝敗を分けるには十分な要因というのがまた厄介だ。

……けれども。

それが言い訳にならない『失言』というのも、確かにあって。




「死ぬ覚悟はあっても、死なせる覚悟はそれとはまた別物……なんだよな」




何かが切れる音がして。

音だけでそうと分かるほどに、鈍く痛そうな音が響く。

須賀京太郎は、園城寺怜の全力の頭突きを脳天に食らったのであった。

悩みがあるとかそういうのではなく、二人揃って頭を抱える。



「あ、だだっだだだ……!」

「こっちもえろう痛いわ、ボケ……!」



二人のうめき声が重なり、何とも言えないハーモニーを奏でる。

やられた方も痛そうだが、やった方も涙目だ。 基本的な身体の頑丈さの違いである。

互いに痛い。 ……そう、互いに痛いのだ。

今この二人は、互いに『同じ痛みを分かち合っている』。



「分かるか? 分かる? うちもアンタも痛いんや。これがウチらの関係やねん」

「痛いのも苦しいのも半分こ! 同じだけ痛くて、同じだけ危なくて、同じだけ背負うんや」

「これまでもそうやってきたし、これからもそう。そう思っとるのはきっとウチだけやない」

「『分かち合って』『支えあって』『補いあう』から仲間なんやろ。これまで、他でもないアンタがずっとそう言ってきたはずや」



少女が襟首を掴み、少年の顔を上げさせる。

いつの間にか立ち上がっていた少女と、座ったままの少年。

20cm近い身長差があるはずの二人が珍しく、少年が少女の顔を見上げる形となっている。

その光景は二人の強い絆と、今どちらがどちらを間違った道から正そうとしているのかが一目で伺える。



「頼って、頼られて、背中合わせに体重預け合うのが『信頼』とちゃうんか?」

「もしかしたら無くなってしまうかもしれないから体重預けられない、なんてどこが頼ってんねん!」

「守る守る今までさんざん言っといて危険冒してまで守られるのは嫌? 死なせるのは嫌?」


「アホか! そんなんウチらかて嫌に決まっとるやろ!」

「死なせる覚悟とか、ウチらも持ってへんわ!!」



二人は唯一無二の『相棒』だ。

隣に居るからこそ、並んで歩いているからこそ、相手が間違った道に進もうとしていれば真っ先に気付く。

そして、正すのだ。



「守って守られてありがと言うて、それだけでええんや! 黙って守られとき!」


「嫌や言うても、ウチは聞かん!」



これは、彼女だけの特権であり、役目であり。

園城寺怜の決めた、己に定めた『生き方』でもある。



だから彼女は、ガラでもない大声で、彼に叱咤の声を叩きつけるのだ。

相棒っていうとタイムリーな
1はこれを狙って時間を合わせたのか?

ガラにもない大声、それも続け様に出した事で彼女の息は切れ切れになっている。

頬は上気し、肩は上下し、声は少しだけかすれ始めている。

元病弱少女、現自称病弱少女には重労働に等しい事だったのかもしれない。


それでも、彼女の視線は真っ直ぐに京太郎の瞳を捉えていて。

その視線は逃避も妥協も孤独も許さず、視線の先の瞳を貫いて。


彼の眼の奥の輝きに、『何か』を継ぎ足した。



「……そう、かもな……」

「うぬぼれやっちゅうねん。ワンサイドで守るとか、そんなに偉くも強くも無いやろ。ウチらは」

「だな。全くだ」



少年が人の想いの光を束ねて用いる、蒼の対抗神話。

それが『命を削り何かを成す』という方向性を得たのは、偶然ではない。

少女が未来を視通す事を可能とする、件の都市伝説。

それが『誰かの悲惨な未来を変える』という方向性を得たのは、偶然ではない。




だからこそ二人は、互いに最高の相棒足りえるのである。




「見えるか、アレ。どんな偶然なんだろうな……これは」

「『予知』してたからここに来た、言うたら信じる?」

「そんなに便利に使える『余地』無いだろ、お前の能力」

「てへぺろー」



そんな二人だからこそ、手繰り寄せられる未来、変えられる未来がある。

どこかの照とは大違いだな

ヒロイン力はおっぱい?(難聴)

ここで、これまで一切の描写が為されなかった『真犯人』について記述しよう。



描写がないのは仕方がない。

ほとんど目撃されず、正体もほとんど分からず、非常に希薄な存在。

ある意味でそれは、この『真犯人』の特性でもあるからだ。



真犯人はマスカレイドの躰一つと引き換えに架空の殺人事件を捏造し、この街に潜んでいる。

都市伝説の特性上昼間は発見できないが、夜になれば人海戦術でいずれ発見されてしまうであろう存在だ。

だがすぐに見つかるものでもなく、この真犯人が見つかるまでの時間が長ければ長いほどにマスカレイドの企みは成就する。


数日見つからなければ彼女の未来を奪え、二週間弱見つからなければ『本庁からの引渡し要請』というチェックメイトまで持っていける。


そういう作戦だ。

その為にマスカレイドが真犯人に言い聞かせていた指令は一つ。

『警察の警備の隙をかいくぐって逃げろ』のみ。 その真犯人に高い知性が無かっから複雑な指示は不可能……という事情もあるのだが。



その真犯人と、ある理由から似た気配を持つ『八尺様』の逃亡。
増える警察の巡回人数、隙間がどんどん埋められていく警備。
知性に比例して我慢という概念が薄い真犯人は痺れを切らし……そして、気付いてしまった。


そして、食いついてしまった。

まるで頭の足りない魚が釣り餌に食いついてしまうように、それは致命的なミス。

ナイトメア・マスカレイドですら予想できず、カバーする事も出来なかった偶然の賜物。



豊音の五人の友人が全力で彼女を助けようとしなければ。
京太郎が豊音を信じ、彼女の無実を証明しようとしなければ。
警察の人間が少年少女の意思を組み、その上で全力で迎え撃ち保護しようとするやり方を選ばなければ。
一人の父親が、最後の最後で娘を選ばなければ。
彼を支える友人達が、今ここで彼に決着を付けさせる力を届けなければ。



絶対に辿りつけなかった、そんな未来。



真犯人が見つけたのは、『何故か』出来ていた警察の警備の絶対的空白。

そこに真犯人は飛び込んだ。

姉帯刑事が目をつけたのは、包囲のために作られた警察の警備の絶対的空白。

そこに少年少女を放り込んだ。



つまり、そういう事である。

豊音「あ、あれ……?」

京太郎「成程……これは、そういう事か」

怜「見かけだけ? っちゅうより、『認識』いじっとんのかな。これは」



この場に揃った七人の前に現れた人影。

服装も違う気がする。顔も違う気がする。何より雰囲気が違う気がする。

けど、気がするだけで『どこが違うのか』明確に指摘できない、そんな違和感。



シロ「……ああ、そうやってうちのトヨネに迷惑かけたの」

塞「こっそり入れ替わってたら、私達でも見分けんのに数秒かかるかもね……」




そこには、二人目の『姉帯豊音』が居た。




『姉帯豊音』だ。今現れた存在は、間違いなく姉帯豊音という存在である。

しかし豊音は紛れもなくそこにいて、並べて見比べれば新たに現れた方が偽物と一目で分かる。

何故か、分かる。 分かるのは怜を除いた六人のみだが、彼女が理解しているのは話の流れ故である。



エイスリン「パチモノ! パチモノ!」

胡桃「日本製品と韓国製品を並べて見比べたような感覚……! とにかくそんな感じ!」



本人達にもなぜ本物偽物の区別が付くのかも分からないが、とにかく分かるのだ。

と、言うよりむしろ逆。

『理由もなく根拠もなくこの存在が姉帯豊音だと思えてしまう』という違和感が、本物と偽物の違いを知らしめているのだ。

確信があるがゆえに確信が揺らぐ、そんな状況。

豊音との長い付き合いのあるものだけが、それに気付けていた。




京太郎「情報は足りないが……ま、しゃーない。一回交錯すれば化けの皮が剥がれそうだ」

怜「それに関しては無能で大変申し訳無い」

京太郎「いや、『リーチ』まで言ってただけで随分助かってるさ……行こうぜ」



五人と『偽物』の間に立ち塞がるように、並び立つ二人。

少年の右手、少女の左手が目配せ一つなく繋がれる。

嵐の様に巻き上げられる山吹色の光が、二人を包み———




———光が晴れると、そこには常の二人で一人の守護者が存在した。

【須賀京太郎】

HP:460

ATK:35
DEF:35

・保有技能

『比翼の鳥』
人一人にして人に非ず。翼片翼にて翼に非ず。
人物を指定し、己の中に格納する能力。
格納した人物に応じた能力と補正を得る。

『????』
????

〈装備〉
E:『真・ルーベライズ』
効果:死亡・ゲームオーバーを無効にし、所有者をHP1で復活させる。

E:『腕輪:Next』【防具】
ATK補正+15
DEF補正+15

・『真・オモイヤリ』【聖遺物】
ATK補正+30
DEF補正+30
ヒーローシフト中、行動判定で勝利する事で何かしらの「奇跡」を行使する。

・『シュクジュ』【盾】
ATK補正+5
DEF補正+20

・『カタキウチ 』【遠隔武装】
ATK補正+25

・『フクツ』【靴】
自身の判定値を+5する。

・『ハリコノトラ』【針】
自身のATKを0に減少させ、その減少させた分の数値をDEFに加える。

・『ヒトノワ』【遠隔武装】
効果発動宣言ターン、自身のHPを1まで減少させ減少させた分の数値をATKに加える。

〈アイテム〉
・秘薬『烈火の姫君』
効果:HPを150回復

・投網『スパイディ』
効果:使用した次のターン、相手の出す手が分かる

【園城寺怜】

ATK補正+30
DEF補正+30

・保有技能

『未来余地』Ver.2
少し先の未来、時々遠い未来を認識する能力。
どんな未来でも、変えられる。
自身の判定値に+10する。
判定コンマで相手を上回った次のターン、相手の選ぶ選択肢を知る事が出来る。
奇襲・罠・不意打ちに類するものを無効化する。

『D&T』
「未来余地」の派生技巧。
命を削り、未来を識るくだんの本懐。
能力の使用を宣言する事で、それぞれの効果が適用される。
ダブル:MAXHPの1/4を消費して発動。戦闘終了・フォームシフト実行まで、自身の判定値を+10する。
トリプル:MAXHPの1/2を消費して発動。戦闘中、相手の選択した行動が常に表示される。

・適正武器
全て



【高鴨穏乃】

HP補正+200
ATK補正+10
DEF補正+10

・保有技能

『B2A(いともたやすく走り去るえげつないババア)』Spec.2<<高速機動>>
凡百の存在には至れない高速の世界。
何よりも速く、誰よりも疾く。
自身の判定値に+10する。
<<高速機動>>に属する技能を持たない者との戦闘時、自身の判定値に+10する。

『不倒不屈』Spec.2
決して諦めない姿勢が奇跡を起こす、彼女の精神性。
HPが0になった時、HP1で耐える事が出来る。
一戦闘につき二回まで。

・適性武器
【長物】【靴】

【国広一】

ATK補正+40
DEF補正+80

・保有技能

『メスメリック・マジシャン』Act.2
魔法も科学も技術も奇術も奇跡も、全て突き詰めれば同一の物となる。
技術の先の笑顔の魔法。奇術の先に紡ぐ魔法。
戦闘ダメージ以外で自身のステータスが変化した時、それを任意で無効化できる。
50以下のダメージを無効化する。
1000以上のダメージを無効化する。
ダメージ計算時、自身のDEFを二倍にする。


・適正武器
【盾】【針】


【鶴田姫子】

ATK補正+60

・保有技能
『発砲美人』Type.2<<遠隔攻撃>>
矢射(やさ)す優しさ、撃つ美しさ。
千発千中、一撃確殺。的確的射的中の業。
自身の判定値を+5する。
<<遠隔攻撃>>を持たない敵の判定値を-15する。
自身の判定値がゾロ目であった場合、自身の攻撃サイドを確定させる。

『リザベーション・バースト』
「発砲美人」の派生技能。
仲間の意思を継ぐ力。先行ダメージの余剰エネルギーを鎖状の拘束具として具現させ、炸裂させる。
能力発動ターン、攻撃サイド確定時のダメージにその戦闘中に与えた全てのダメージを加算する。
一戦闘一回のみ。


・適性武器
【遠隔武装】

【ネクサスシフト最終ステータス】

【須賀京太郎/Nexus】

HP:1030

ATK:264
DEF:244


・保有技能

『比翼の鳥』
人一人にして人に非ず。翼片翼にて翼に非ず。
人物を指定し、己の中に格納する能力。
格納した人物に応じた能力と補正を得る。

『????』
????

『未来余地』Ver.2
少し先の未来、時々遠い未来を認識する能力。
どんな未来でも、変えられる。
自身の判定値に+10する。
判定コンマで相手を上回った次のターン、相手の選ぶ選択肢を知る事が出来る。
奇襲・罠・不意打ちに類するものを無効化する。

『ダブル&トリプル』
「未来余地」の派生技巧。
命を削り、未来を識るくだんの本懐。
能力の使用を宣言する事で、それぞれの効果が適用される。
ダブル:MAXHPの1/4を消費して発動。戦闘終了・フォームシフト実行まで、自身の判定値を+10する。
トリプル:MAXHPの1/2を消費して発動。戦闘中、相手の選択した行動が常に表示される。

『B2A(いともたやすく走り去るえげつないババア)』Spec.2<<高速機動>>
凡百の存在には至れない高速の世界。
何よりも速く、誰よりも疾く。
自身の判定値に+10する。
<<高速機動>>に属する技能を持たない者との戦闘時、自身の判定値に+10する。

『不倒不屈』Spec.2
決して諦めない姿勢が奇跡を起こす、彼女の精神性。
HPが0になった時、HP1で耐える事が出来る。
一戦闘につき二回まで。

『メスメリック・マジシャン』Act.2
魔法も科学も技術も奇術も奇跡も、全て突き詰めれば同一の物となる。
技術の先の笑顔の魔法。奇術の先に紡ぐ魔法。
戦闘ダメージ以外で自身のステータスが変化した時、それを任意で無効化できる。
50以下のダメージを無効化する。
1000以上のダメージを無効化する。
ダメージ計算時、自身のDEFを二倍にする。

『発砲美人』Type.2<<遠隔攻撃>>
矢射(やさ)す優しさ、撃つ美しさ。
千発千中、一撃確殺。的確的射的中の業。
自身の判定値を+5する。
<<遠隔攻撃>>を持たない敵の判定値を-15する。
自身の判定値がゾロ目であった場合、自身の攻撃サイドを確定させる。

『リザベーション・バースト』
「発砲美人」の派生技能。
仲間の意思を継ぐ力。先行ダメージの余剰エネルギーを鎖状の拘束具として具現させ、炸裂させる。
能力発動ターン、攻撃サイド確定時のダメージにその戦闘中に与えた全てのダメージを加算する。
一戦闘一回のみ。


〈装備〉
E:『真・ルーベライズ』
効果:死亡・ゲームオーバーを無効にし、所有者をHP1で復活させる。

E:『腕輪:Next』【防具】
ATK補正+15
DEF補正+15

【八尺様?】


HP:240

ATK:100
DEF:100


・保有技能
『???』
???

『???』
???

ちょいと電話かかってきたので休憩と作戦タイム兼ねて中断。再開は00:00ですー

では、再開



独りじゃない/相棒、友人、家族、大人

http://www.youtube.com/watch?v=g4XeYh2gBP8

今回の話は確かに「独りじゃない」って話だった

一瞬の間。


そこに無言で、『偽物の豊音』が『本物の豊音』に飛びかかる。

豊音のそばの四人は反応できなかったが、そうは問屋が卸さない。

何より、両者の間に立つこの街を護る者達が許さない。



割って入った京太郎達が箒を振るい、その奇襲の一撃を叩き落とす。



京太郎「つれねえな……俺達を無視すんなよ。寂しいだろ?」

怜『娘さんが欲しけりゃ父親に話し通すもんやで。ま、父親やないんやけどな』



いつもの軽口。いつもの彼ら。いつもの二人だ。

心の余裕が選択肢を増やし、新たな未来への道筋を作り出す。

向けられた箒は偽物の動きを牽制し、その未来を狭めていく。



京太郎「今夜の話は、『あの親子』が主役なんだよ」

怜『ウチらもアンタも、単なる添え物。引き立て役や』

京太郎「だから、でしゃばんな」



『「ひっこんでろ、脇役」』



その言葉を皮切りに、二つの影が激突した。




京太郎の行動を選択して下さい
・攻撃、必殺、防御
・装備変更
・アイテム使用
・フォームシフト
・ネクサスシフト
>>232


八尺様?判定
>>234


防御
ハリコノトラ

一 ハリコノトラ 防御

【#防御偽物】


防御VS防御


1+8=9

4+3+20=27


八尺様?の攻撃サイド確定!


150×2-350+(27-9)=-34ダメージ!


ノーダメージ!


戦闘により二つあった情報ピースが擬似的に完成。補正は発生しませんがステータスが判明します

いや、負けないだけでも十分

怜『交っ代、ほな任せた!』

一『はいはい、っと』

京太郎「針の形状制御の後、お願いします!」

一『まーったく、結局園城寺さんしか言いたい事言えなかったじゃん』

京太郎「後でたっぷりと聞きますので、その、今はご勘弁を……」

一『言質は取ったよ!』



フォームシフト。 防御、守りに特化した彼女へと。

家族を守る、友を守る、居場所を守る……彼女の堅牢な『守る意思』を反映したこの力は、とても強力だ。

京太郎が複数の花弁のような形状に構成した針を面で繋ぐように、一が花弁の盾を構成する。

空中に構成される立体的に飛行する盾、その数八。

それらが重力から切り離されたように自由自在に動き回り、偽物の爪によるラッシュを捌ききる。

武器の表面にも白い装甲を展開出来る彼女の新特性、それを活かそうという発想から生まれた兵装。

武器にほとんど質量がないため、この武器に攻撃力はない。

しかし。



京太郎「形状、槍。射出!」

一『隙ありっ』



武器の形状に形成し射出する事で、牽制は可能。
一方的に攻撃をされているよりも牽制を混ぜた方が、守りは格段に楽になるものだ。

しかしその牽制は、偽物の眉間に命中し動きを止める。


京太郎「? ……なんだ……?」


それどころか、動きが止まるだけに留まらずその姿が揺らいでいく。

被っていた『ガワ』が剥がれ、地の部分が露出していく。

揺らぐ擬態の表皮の下から現れたのは、赤づくめの奇妙な女。

抉れた眼球、傷だらけの肌、空気を伝って這い上がって来るような嫌悪感が凄まじい。



その気配は、まさしく害を成す悪夢としての都市伝説そのもの。

姉帯豊音とは似ても似つかない、そんな化生であった。



京太郎「……やっぱりか」

京太郎「怜がアタリを付けてたのは、大当たりで的中してたみたいですよ」

一『あの子も凄いね。真似だけでほぼ正解なんてさ』

京太郎「全くもって。……さて、正体はバレたがお前はどうする?」

京太郎「ま、何て答えようが逃がす気はないけどな」




京太郎「なぁ、『アクロバティックサラサラ』」

悪皿さんだったー!?

やばいのはわかってるがその名前はやっぱりふざけてるようにしか見えんなww

【アクロバティックサラサラ】


八尺様と呼ばれる都市伝説、または高女と呼ばれる妖怪の派生都市伝説……であると思われる存在。

その目撃情報も東北のみであり、『八尺様』と特に深い縁を持つ。

愛称は「悪皿」。 悪の名を冠する都市伝説である。



塀を越える高い身長、全身赤い服、抉れて失われた眼。
サラサラとしている長く綺麗な黒髪、深く被った帽子。
そして左腕に刻み込まれた無数の切り傷といった外見的特徴を持つ。


その逸話は少ないが、数ある都市伝説の中でも神出鬼没。

加えて目撃者のバイクの後ろにこっそりと乗って事故を誘発したりと、捉え所のない幽鬼を思わせる都市伝説。

不気味さと危うさを感じさせる長身の美女、というカテゴリーでは新参に位置する怪異。



特筆すべきは、この怪異の存在が知名度を上げ始めた時に

「八尺様じゃねーか」

とほとんどの人が口を揃えて言及した事だろう。


背の高さなどの特徴、舞台となる地方など最初に書かれたいくつかの情報が八尺様そっくりだった事。
当時八尺様が余りに有名であった事。
目撃者が奇妙な事故で入院し情報が出きっていなかった事等が要因と思われる。


この存在が八尺様と同一の存在か別個の存在かという事は諸説あり、八尺様の存在無しには語れない都市伝説である。

派生型都市伝説の中でも派生元と同一視される都市伝説は非常に珍しく、知名度と両立しているのはこの都市伝説のみと言ってもいいだろう。




要するに、この都市伝説は『八尺様と間違えられる都市伝説』という特性と能力を持っているという事である。



黒の八尺様との違いを主張するかのような、グロテスクな赤の都市伝説。

【アクロバティックサラサラ】


HP:240

ATK:100
DEF:50


・保有技能
『悪の沙羅』
悪の名を冠する都市伝説。
何かの代わりとしてしか扱われず、何かの代わりとなる力しか持たない憎悪。
その悪意は、ただ一人へと向かって行く。
自身の判定値を+20する。
ダメージ計算時、自身のDEFの数値分ATKを上昇させる事が出来る。


『対抗神話耐性』
何者かによって付加されている、この都市伝説のものではない特性。
後付けの悪夢。希望の天敵の産物。塗りたくられ重ねられた穢れ。
【対抗神話】属性を持つ者に倒された時、HPを全回復し復活する。

あ、対抗神話耐性の部分に『一回だけ』の文書くの忘れてました。てへぺろ

ようするに一回限定のリレイズです

良かった良かった

ってか確か対抗神話耐性ってどっかで黒太郎さんが研究してたような・・・うろ覚えだけど

ネクサスシフト→トリプル発動→リザベーションで確定ニターンで勝てると思うよ

返答は、赤に染まった一撃だった。



「——————————ッ!」



人間としてのガワを捨てた影響か、その声は言語の体を成していない。

先程までは『喋らなかった』ようだが、今は『喋れない』様子だ。

眼球が抉れて存在しないにも関わらず、その視界は京太郎達を捉えて逃さない。



京太郎「形状、ポール」

一『攻撃力高そうだよ、キッチリ見切ってね』

京太郎「それも厄介ですけど……見る限り、こいつ攻めを好まないタイプっぽいですよ」

一『千日手注意、かな』



先程までの爪による月から打って変わって、今度は血に染まった腕を叩きつけるようにぶつけてくる一撃。

点の攻撃から線の攻撃へ、堅牢な防御を崩すための威力を生み出そうとした一撃。

それらを円運動に添って繰り出す事で、隙の少ない連撃を成す。



京太郎「それは、浅知恵だろ」



しかし、届かない。

棒(ポール)がいくつも組み合わさり、腕の軌道を遮り、攻撃を防いでいく。

まるでジャングルジムをバットで叩こうとするようなものだ。

線の攻撃は、ことごとく完璧に防がれる。

京太郎と一が敵をじっくり観察・分析出来るだけの余裕が、そこにはあった。



血にまみれた腕を振るわれているというのに、彼の衣服には血の一滴も付いていない。

矛が振るわれているというのに、盾は汚れすらしない。

そんな矛盾が、彼と彼女の圧倒的な防御力……『守るための力』の大きさを、如実に示していた。




京太郎の行動を選択して下さい
・攻撃、必殺、防御
・装備変更
・アイテム使用
・フォームシフト
・ネクサスシフト
>>259


八尺様?判定
>>261

必殺
ネクサス
トリプル

>>258

>>258

【#防御悪皿】


ネクサスシフト発動!
トリプル発動!

アクロバティックサラサラの行動パターンは

防御→防御→攻撃→防御→防御→必殺→以下ループ

となっております。防御編重タイプです



必殺VS防御


3+5+35+6=49

4+3+20-15=12


京太郎:ネクサスの攻撃サイド確定!


264×2-50+(49-12)=509ダメージ!


悪皿残りHP:0

『対抗神話耐性』発動!


京太郎ネクサス解除後残りHP:460
悪皿能力発動後HP:240

次で姫ちゃん防御リザべでおk?
紙装甲でも耐えられるし

ただしヒトノワ使うなよ!絶対だぞ!

距離が、近かったからか。

絆が、深まったからか。

それとも別の何かが要因か。



その絆の顕現は……常の物とは、圧倒的なまでに違っていた。



装着される赤い靴、纏われる蒼とは違う青のオーラ。
戦場を包む、自己強化と他者弱体化を兼ねた不可視の重圧。
山吹色の輝きを纏った、スペックを底上げされている人形の戦士達。
人形の群れを突破してきた赤い化物を出迎えた、飛ぶ斬撃の群れ。


そして、止めとなった漆黒を思わせる一撃。

何の因果か、何の偶然か、何の奇跡か。


二人分の絆(ネクサス)だからか。


この一瞬に限って、彼が扱えた力の大きさは過去最高と断言できるほどのものだった。



京太郎「よっしゃ、これで終わ———」



これで終わり……だったら、良かったのだが。

そうは行かない。この夜の戦いは前哨戦だ。

この物語の四つ目の区切りとなる戦いの、始まりの嚆矢である。



京太郎「——————!?」



倒されたはずの悪皿が、再生していく。それも回復とか治療とかそういう類の光景ではない。

まるでビデオの逆再生のように、トドメの一撃から数えて『傷を追った順に無かった事になっていく』。

京太郎が、『寺生まれのTさん』が為した事そのものを否定するかのような、不気味な光景。


誰かの努力の跡、誰かの立ち向かった過去、誰かの懸命な戦いの結果を否定しなかった事にする……そんな、光景だった。



そして、倒れたはずの悪皿が完全に復活する。


悪夢のような光景を肯定するかのように、その悪夢は再び彼らに襲いかかった。




京太郎の行動を選択して下さい
・攻撃、必殺、防御
・装備変更
・アイテム使用
・フォームシフト
>>273


八尺様?判定
>>275

姫子 カタキウチ 防御 リザべ

>>272

ネクサス解除後の隙、京太郎の動揺。

それらは飛びかかった悪皿の爪が京太郎の鍛えられていながらも人体急所として柔らかな喉笛を裂くには十分な時間。

それを救ったのは———



『———!』

京太郎「———ッ!!」



脳内に響いた声と、それに反応し咄嗟に取った彼の行動だった。

後ろに跳躍しつつフォームシフト、同時に武器の換装。
一秒とかからず戦闘態勢を整え、仕留められる側から仕留める側へ。

そして後方へ京太郎が跳躍したために攻撃を空振り、突っ込んだ悪皿を包む鎖の渦。

それはまるで、蟻地獄に頭から突っ込んだ羽虫のようにも見えた。


逃げなければ終わる。そんな生物的直感が悪皿の脳裏に発生するが、もう後の祭りである。

停止し脱出しようとする悪皿の眉間に、突き刺さる銀の流星。

巻き付く無数の鎖。



京太郎「貴女は、フィニッシュの時本当に頼りになりますね」

姫子『フィニッシュやなくとも、頼りになるったい』



そして、この戦いの締めに相応しい派手なフィニッシュブロー。



『「リザベーション・バーストッ!!」』



その爆音が、この事件の終わりを告げる鐘の音となった。




【攻撃】



防御VS攻撃


8+4+5+6=23

9+6+20-15=20


京太郎with姫子の攻撃サイド確定!


135×2-50+(23-20)=223ダメージ!

リザベーション・バースト!

509ダメージ!


悪皿残りHP:0


悪の先駆けに勝利! 豊音の無実の証明が可能となりました!

よしよし

しかし対抗神話耐性ってこれから出てくる奴全部持ってんだろうな・・・

京太郎「んで、加減したリザべで死なない程度に弱らせた真犯人を警察に連れてって一件落着。ってのが昨日の顛末」

憧「へー」

豊音「手加……減……?」

憧「えっ」

京太郎「えっ」

豊音「えっ」



日は昇り、後日談というやつである。

真犯人の特性、裏で動いてた存在、ここまで状況証拠が残されていると無視できない豊音のアリバイ。

それらの要素他なんやかんやが備わり、姉帯豊音の無実は無事証明された。

これはそれから数日後、センター試験やら面倒な手続きやらを終えた後の話である。



何故京太郎と憧ほどの仲でありながら、事件の説明までに数日もかかったのか?

答えは明白。彼の性格故にである。



高校三年生にこのタイミングで事情聴取とかさせたくない。
警察の人達は方に則っただけで別に何か悪い事をしたわけじゃない。
勝手な事してすみませんでした。主導してあの人達をそそのかしたのは自分です。

等など、黙ってりゃいいのに余分な事まで背負いこもうとしたせいである。

強いて言うなら自業自得。


もっとも警察サイドの人達センター終了後の『彼女達』も同じ事をしていたようなので、似た者同士といった所なのだろうか。



その甲斐あって完璧とは言わずとも、万全の状態で彼女らは受験に望めたようである。



憧「なーるほどね。アンタらしいと呆れるべきか、馬鹿な事してんじゃないと怒るべきか……」

京太郎「その辺の判断はお前に任せるよ。きっと、一番考えてるお前がその辺は一番頼りになるし、間違えない」

憧「……ふーん。あっそ」



憧「じゃ、私帰るから。気を付けて帰りなさいよー」

京太郎「おう」

豊音「またねー」

トキ「悪皿ちゃん、生きてるかなぁ?」>こ、これぐらいの手加減ですか?(震え

>>285
アカン(震え声)

京太郎「さて、俺これからお仕事ですけど豊音さんどうします?」

豊音「どうしよっかなー……あ、お仕事って何するの?」

京太郎「……あー、いや、なんというか、そのですね」

豊音「?」

京太郎「『そろそろ一週間』って事で、辞表出そうとしてる人の説得というか、何と言いますか」

豊音「……あー」

京太郎「署長さんの依頼というか。内容自体は望む所なんですけど、あの人豊音さんと似て結構頑固ですし」

豊音「私この件の原因だから、あんまりおとーさんに強く出れないんだよね……ごめんね。力になれなくて」

京太郎「いえいえ。これはあの人の心の問題ですし、そう簡単にどうにかなるとは思ってませんよ」



警察の上層部の一部。

フリーメイソンの権力の末端である彼らは、事件後にこの事件を有耶無耶にしようと画策した。

無論それを明るみにしようとした者も何人か居たが、そうはしなかった。


警察の極秘訓練、緊急事態時の擬似厳戒体制のための訓練の一環……という形で、全てをなかった事にする折衝案を出されたからである。



少年達の公務執行妨害や、姉帯刑事の失態、豊音の容疑者認定から始まった彼女の経歴や風聞に傷が付きそうな要素。

それらを無かった事にする工作を手伝ってやる代わりに、自分達のきな臭い部分を今回は見逃せと、そう言っているのである。



見守ってきた子供達の未来、親として動いた同僚への共感、悪を許すべきではないという正義感。



大人として、正義として、警察官達はそれらを天秤にかけ———歯を食いしばって、それを受け入れた。

無論、姉帯刑事がそれを知る由もなく。

署長は「ま、上等な終わりだろ」とほどほどに妥協し。

警察官達も「いつか必ず」と正義感を新たにしつつ、皆が笑って終われる結末を喜んでいた。



その途方も無い悪意を根絶するためには、まだ少年は成長しきっていない。

全ての結末に良き終わりを付加するのであれば、まだ完成するためには足りない物が多すぎるこの少年が、完成する必要がある。

いつか来るかもしれない『そんな日』は、近いようで遠い。



豊音「ね、ね、京太郎くん」

京太郎「はい?」

豊音「ありがとねっ!」



少なくとも、今年頃の少女に抱きしめられているこの少年からは。

身長差で顔におもちが当たってる嬉し恥ずかしやっべーとか思ってるこの少年からは。

何はともあれこの人が笑ってくれて良かった、と満足しているこの少年からは。

到底想像もつかない、そんな未来の話である。



豊音「あの村の時も、私が捕まってた時も、おまわりさんに囲まれた時も」

豊音「おとーさんへの不安が、がんじがらめに私を縛っていた時も」

豊音「いっつもいっつも、私が『もうどこにも逃げられない』って諦めかけた時」

豊音「私がもうダメかも、って不安になっちゃった時」

豊音「貴方はいつだって、私をそんな嫌な場所から連れ出してくれたから」

豊音「私を囲んで動けなくしちゃう『何か』をいつだって壊してくれる、そんな素敵な貴方にお礼が言いたかったんだ。ずっと」



結界を壊して、八尺様は外に出る。

村で出会った男の子を追って。

それが、八尺様という都市伝説が語る物語だ。




豊音「だから———ありがとうっ!」




須賀京太郎という少年に姉帯豊音という少女の印象を聞けば、一言で済まされるだろう。



俺の知る限りでは、この世で一番笑顔が素敵な人、だと—————




十七話・完

【次回予告】



「私メリーさん。今貴方の後ろにいるの」



「二月は冬期演劇があるんだよなー」

「三年生への応援も兼ねて、一年生二年生は何かしら演劇やらないといけないんだよねえ」

「ちょっと楽しみだけどさ」

「右に同じく」



「あ、バレンタインとかすっかり忘れてたわ……」

「相棒、誰かに殴られても知らんで」



「んじゃ、うちのクラスはロミオとジュリエットで決定か」

「いえーい!」

「いいねー!」

「それじゃあまずロミオとジュリエットの配役決めだけど……」

「ロミオは決定としてジュリエットどうするよ?」

「園城寺か高鴨か新子でいいだろ」

「だよな」

「おいちょっと待て。ロミオもちゃんと……」

「うるせぇ黙ってろ須賀」

「あれ? 俺10秒前まで司会進行してたのに黙ってろって言われてる!?」



「私が『憧れ』とか、ホントに……洒落になってないっての」



「お前は、俺の……何なんだろうな。分かんねえや」



「もし、もしもの話。切り立った崖があるとするわよね?」

「そこに私と怜がぶら下がってる。アンタは一人しか助けられない」

「アンタは、どっちを選ぶ? どっちに手を伸ばす?」

「憧、お前何を……」

「答えてよ、京太郎」



十八話前編:Romeo and Juliet/ロミオとジュリエット

本日の投下は終了。お疲れ様でしたー

色々事情は重なってたとはいえ、まさか一話一ヶ月とかハハッ

次回は最初の支援絵を支援してくれた人への感謝と記念を兼ねたアコチャー回。実際有能だけど探索だとあんまり選ばれない子

彼女はある意味理知的な視点で最も長く主人公を見つめてきたポジションでもあります



今回の話は当初「マスカレイドという群体と警察という群体と京太郎パーティーという群体の対比」程度の骨子しか無かったんですよね、実は

肉付けにも限界はあるんやで・・・という教訓

二月で一番美味しいイベントである京ちゃん誕生日はキンクリ。美味しすぎて今やると尺が長すぎる・・・!
やるとしたら埋めかリクか全部終わってからの後日談となるでしょう。たぶん



では今夜はこれにて。お付き合い頂き、誠に感謝が絶えません

レス返しなどは明日。明日は月曜日。おやすみなさいませー

おつ

よっしゃあこちゃー回やんけ!

「私メリーさん今タバコ屋の角にいるの」
京太郎(穏乃装備)「ふん、どんな能力でも関係ないね。ぶっちぎればいいんだからよ!!」
的なランチェイスはありますか?つうかメリーさんって全力で逃げまくったらどうなるのかね?今ワイルドスピード見てたから思ったけど

こんばんワディラムとか一度行ってみたい


あ、ちょいと昨日投下しつつWIKI確認してた時に気付いたのですが、亜熱帯さんの保有都市伝説は『八尺様』です。念の為
彼女を単体で格納すると多めのステータスブースト・能力によるダメージ効果が無効になる感じです

村では山姫と間違われ、今回悪皿に模倣された・・・って感じですね。一貫して自責のない勘違いで割りを食う薄幸の美少女さん

ごちゃっとしてて勘違いさせてしまっていた方には大変申し訳無いです



>>204
いやまったく。言われて気付いた次第

>>206
おう表出ろよ

>>210
ま、まかさそんな・・・

>>242
でっすよねー

>>307
次回をお楽しみに。最初に選んだ仲間の相性次第ではルーベライズしょっぱなから切るかもしれませんよ

しかし姫子さんは純情なのにストーカー属性が定着しちゃってどうしてこうなった



要るか要らないか分からない、わかりづらい元ネタ解説コーナー

今回は『悪の沙羅』について

沙羅とは仏教三大聖樹の一つ。釈迦が入滅した時に彼の周りに在った木です
元々沙羅の木としか呼ばれていなかった木でしたが、釈迦の入滅の際四対八本の沙羅の木がそれぞれ片方が枯れ、もう片方は急生長をしたのだとか
その時の対になっていた逸話から、「沙羅双樹」と呼ばれるようになったそうです

沙羅双樹の花の色ー、ってアレですよアレ

それぞれの木は栄枯盛衰を表しながらも、善悪などの二極論の象徴であるとの解釈もあるのだとか

沙羅の木が釈迦と共に枯れたその瞬間からこの世はゆったりと悪に染まっていき、やがて救いも正しさもない末法という終末の世界へと至る運命にあるらしいです

だから、悪の先駆け。悪の沙羅ですよーというネタ

一節にはそんな終わった世界にこそ救い主が現れるんだという考え方もあるそうですが、さてどうなるんでしょうかね



ちなみに最近はそうでもないですけど、一昔前は日本で沙羅双樹というと夏椿の事を指したそうです

何故かというと、それはまずとあるお坊さんが「日本にも沙羅双樹はあるはずだ! 根拠はないけど!」と思い立った所から始まります
彼は日本全国を当てもなく歩き巡り、根拠のない自信と理解に苦しむ確信を元に沙羅双樹を日本で探し続けたそうです
そしてその果てに見つけた木を沙羅双樹だと確信し、沙羅双樹と名付けその名を日本で広めたのだとか


でも全然似てません。彼は頭だけでなく眼も腐っていたようです


ま、要するに。日本における沙羅の樹は「他の木と間違えられた木」だということですね

なので悪の沙羅。悪皿の能力ってわけです


以上、わかりづらい元ネタの解説でしたー

>>321 表出てやるから照出せよ

>>322
ご、五章には絶対に出るから・・・

沙羅双樹?フタコイか!

おおう、勘違いしてた
修正しときます

>しかし姫子さんは純情なのにストーカー属性が定着しちゃってどうしてこうなった

大体グレートストーカー姫子の辺りからじゃないかな(ニッコリ

>>325
アニメも良かったと思うんですよ!
原作とアニメ比べたり、シスプリと比べたりするのが悪いんや!

>>327
おつですー

>>328
ハッ




【閑話その9・インマイドリーム、赤い薔薇の花】



 

キーの高さにビビるよな

【夢の中の世界】





京太郎「……なんでやねん」

黒「しゃーねーだろ。まだ勝手が分からない内に無茶したからそうそう表に出られねえんだよ俺」

京太郎「ああ、そういやそうか」



無限に広がる『無色』の世界。

白で塗りたくられているわけでもなく、黒に染まっているわけでもなく。

前者でないことから光が満ちているというわけでもなく、闇を湛えているというわけでもなさそうだ。

全てが消え去った虚無の世界……と言うより、始めから何も無かった空隙の世界といった印象を受ける。



京太郎「……」



前の忠告など、聞きたい事はたくさんある。

けれども一度「聞かない」と約束した以上、聞く事は出来ない。

ならば少年に出来る唯一つの事は、この心中の不安を信頼という箒で掃いて除くだけだ。



黒「……ま、俺も用があってここに呼んだんだよ」



そんな少年を見つめる彼の視線は、どこか小憎たらしくも手のかかる弟を見つめる、兄のそれに似ていた。

黒「お前、弱いよな」

京太郎「藪から棒になんだ! 自覚はしてるけど!」

黒「待て待て。最後まで聞けっての」



おう喧嘩売ってんのか買うぞ、とばかりに食って掛かる少年。

いくら眼前の彼が残りカスの残留思念に過ぎないと言えど、言われてイラっとする事もあるのだ。

ましてやそれが図星で、少年の長年の悩みのタネの一つであるのなら尚更である。

『自分が言われて嫌な事は人に言ってはいけません』

この言葉がこれ以上に皮肉を成している状況は、そうそうないだろう。



黒「ここはお前の中の一部容量を拝借して確保してる俺のスペース……お前の一部だ」

黒「数分うとうとしてただけなのに、夢の中では何時間も過ごしてたような感覚に覚えはないか?」

黒「ぼーっとしてるとあっという間に時間が過ぎるのに、全力で集中する戦闘がやけに長く感じる時がないか?」

黒「現実の時間の流れと精神の中の時間の流れは速さが違う。気の持ち様次第で、いくらでも……な」

黒「つまり夢の中でなら、無限とまでは言わずともかなり時間効率のいい修練が可能ってわけだ」

京太郎「……? つまり、どういう事だ?」



かつて『ボールが止まって見える』と豪語した伝説の野球選手然り。

精神の在り方は時間を流れそのものではなく、認識という土俵の上で伸び縮みさせる。

例えば「集中力」等は、要するにそんな時間を操作する才覚の一つなのである。

回りくどい言い回しをしているが、彼が言いたい事は要するに。




黒「俺がお前を鍛えてやるって言ってんだよ、言わせんな恥ずかしい」

京太郎「マジで!?」

特訓そして育まれる愛情……

「夢だから筋力は伸びないが、まあそれは現実の身体がほぼ完成してきてる様だしあんま高い効果も望めないしな」

「だから俺が提案するプランは三つ」



「プランA。基礎から戦闘技術を精錬しなおしてステータスの底上げ」

「今までお前が教わった技術や身につけた技を、バラバラのそれから一つの体系・流派としてまとめ直す」

「俺が二年だかかけてやってた地道な作業だな」

「短期で効果が出るから、さっさと効果が反映されるぞ」



「プランB。TTTのバリエーション追加」

「俺が使えた全バリエーション、そして新たにお前自身が考案する新バリエーション」

「この中から使えそうなのを取捨選択して習得し、お前が持つ圧倒的なアドバンテージであるその力を伸ばす」

「原典の寺生まれがやってたような破一発で都市伝説消滅、みたいなのが最終目標だな」

「最終的な結果は読みづらいが、何種類か覚えられるのは確かだろう」



「プランC。必殺技の習得」

「そんな目で見るな。俺も近接戦闘で決め手になる何かが欲しかったんだよ」

「格納状態でも俺一人の状態でも使える、かつある程度の格上との戦いや劣勢なら一発でひっくり返せるようなのをさ」

「考案に半年、試行錯誤に半年、習得に一年かかったけどな……まあ完成形もあるし、お前ならそこそこ早く終わるだろうとは思う」

「これを習得する気なら他の事はやれん。これ一本に絞って集中する」




「(俺の読みだと最終決戦は次の四月から五月くらい……だと、予想するが……流石に預言者でもねえしな俺)」


「さて、どうする?どれか一つ選べ」

超必殺「まさか俺が復活だと!?」

【夢の中の特訓】


三つの特訓コースから一つ選んで特訓が可能です。

特訓は何も起こらなければ最終回まで続き、途中でコースを変える事はできません。

特訓効果が反映されるのは毎話終了時。今回から十七話終了扱いで反映されます。


・プランA
短期反映プラン。ステータスに反映

・プランB
中期反映プラン。ヒーローシフトに反映

・プランC
長期反映プラン。戦闘時行動選択肢に反映



ここから一つ、選択する形となります。

【コース選択】


>>348

c

京太郎「んじゃ、Cで」

黒「迷いが無いな」

京太郎「お前と同じだよ。俺も『そういうの』が嫌いじゃないってこった」

黒「……くくくっ、そうか」



黒「ところで、お前は碁を打つか?」

京太郎「碁? いや、ルールを知ってる程度だけど」

黒「……そうか。なら、まず一つだけ囲碁の面白いもんを見せてやるよ」


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%81%E3%83%A7%E3%82%A6


黒「これが『四丁』って奴だ。シチョウを知らずに碁を打つな、って格言があるくらい当たり前の基本なんだとよ」

京太郎「……いや、突然碁の説明とかされても、その、なんだ。困る」

黒「シチョウに終わりをもたらす方法は二つある」

京太郎「?」



黒「決して諦めない事。そして、進む先に自分の石……意志持つ仲間が存在することだ」


黒「絶体絶命のピンチ、逃げ惑う羽目になったとしても」

黒「進む先に居る仲間と合流すれば、命を繋げられる」


黒「仕留める為の『後一歩』が届かなかったとしても」

黒「進む先に居る仲間と合流すれば、勝利を掴める」

黒「諦めなければ、いつかその果てにある勝利に辿り着ける」



黒「このシチョウの解釈を聞いた時、俺はこれが心底気に入ってさ。しばらくは囲碁の本とか読みふけってたくらいに」

黒「だからこれにあやかって、この技に名前を付けた」

黒「俺はこの技を使って、多くの死地を乗り越えてきた。死地を乗り越えた経験で、この技を完成させた」

黒「死を超える技」



黒「俺はこの技を、『死超』と呼んでいる」

閑話終了。男は永遠に厨二。無論彼も治りきっていませんのだ

でも多少厨二な方が精神的に強いパワーを発揮できる気がします

……死蝶でも良かったかもしれない

技のお披露目はそこそこ先になると思いますよー

乙ー
死散剣?(難目)

おつ
超必殺技さんが報われるな・・・

乙です

超必殺さん大活躍くるで!

最近ヒカルの碁を読み返した俺にはタイムリーな技だ

よかった、超必殺は嘘じゃなかったんだ

死蝶だとしたら
「パピ!ヨン!」デュワッ
でセクシャルバイオレットなパンイチスタイルになった可能性もあるのか

邪王とかネーミングはちょっとって感じだけど死超とか捻った感じの名前はそうでもない、むしろかっこよさげな不思議

厨二センスって磨けるもんなんだろうか

パピヨンと聞いて咲×武装錬金を思い付いたけど5秒で挫折した
照「ハラワタをぶち撒けろ!」

アコチャ回が楽しみで夜も寝られない日々

追いついたぁ(^。^)

こんばんわたしまーつわ(次の咲単行本を)いつまでもまーつーわ

ちょいと前に大御所が再開をずんどこずんどこ始めたおかげで後十年は戦えます
しかし田中芳樹氏はもう往年のクオリティで作品書けないんじゃないかなぁ・・・とも思います

明日は戻ってこれなそうなので、次回は明後日投下予定です



>>330
男は歌えないですよねあれ

>>336
申し訳ないですがホモォはNG

>>339 >>359 >>361 >>364
すまなかったのじゃ・・・

>>358
豆知識・pixiv最古のサモンナイトイラストはアティ先生のちょいエロ絵

>>363
ヒカルが幼馴染にシチョウを教えているシーンは何故か思い出に残ってます

>>365
もっこりしかねない黒タイツは社会的にニアデスハピネスです

>>366
それは京太郎ことダークフレイムマスターに対する邪王真眼も巻き込んだ挑発と受け取った!

>>371
なんでそこで諦めるんだそこで!
麻雀牌を核鉄扱いとか、裏ドラダマテン強化効果と手牌と山がある程度見えるようになるヴィクター化とか色々あるじゃないですか!
タコスにキラーレイビーズを持たせるとか、咲におもち限定発動のバブルケイジを持たせるとかetc

>>373
?「夢は夜に見ろ」

>>375
ウェルカム! ですよー



http://irotsuku.com/a/cvpclyuy/r/%E9%A0%88%E8%B3%80%E3%80%80%E4%BA%AC%E5%A4%AA%E9%83%8E/%E5%9C%92%E5%9F%8E%E5%AF%BA%E3%80%80%E6%80%9C

http://irotsuku.com/a/cvpclyuy/r/%E9%A0%88%E8%B3%80+%E4%BA%AC%E5%A4%AA%E9%83%8E/%E5%9C%92%E5%9F%8E%E5%AF%BA+%E6%80%9C

http://irotsuku.com/a/cvpclyuy/r/%E4%BA%AC%E5%A4%AA%E9%83%8E/%E6%80%9C


どう小細工しても最高のパートナー

いや兵部だと思ったのは立ち位置はともかく本人十分強いのに目の前で死んだ仲間の能力使えるとこ

京太郎「寺生まれの効果発動!お前の効果を無効化して○○でダイレクトアタックだ」
???「カウンター罠発動!無効化する効果が発動した時その効果を無効化して相手ライフに800ポイントのダメージを与える!」とか?
ZEXALが無効化祭なのは主人公が毎回2回まで戦闘無効化できるうえNo以外で戦闘破壊できないなんてクソめんどくさいのを毎回出すせい

女部屋でまくら投げって男友達いないのか

そういえば今週のウィザードは黒さんの銃弾キャッチを思い出したな

こんばんワシリーサ。やべー禁書最新刊まだ買ってないやべー

あ、姫神さんが好きです(迫真)
眼球椎茸さんはレールガンコミックスでしか読んでないので未だにキャラが掴めないです

本日の要らない豆知識パート1。明治時代の女学生の一般的な一人称は『僕』
いい時代があったんですね・・・


本日22:00よりスタートですー


>>400
高校生男子の夜のロマンといえば好きな子発表会でしょう!

>>402
バハムートさんマジチート



本日の要らない豆知識パート2。『慶応義塾大学には処女膜研究会なるものが存在する』

あいつら未来に生きてんな・・・

好きな子(女とは言っていない)

今年僕が受験に受かるかは、このスレにかかっている。
スピンスピン

そういや咲のボクっ娘って一意外いたっけ?

>>404
あのさぁ・・・

>>408
555-4560-0721

>>409
記憶にございません


S.I.C. より仮面ライダーオーズ・タジャドルコンボ最終回仕様、ロストブレイズver大好評発売中!

みんな買おう(ステマ)




投下はっじめーるよー

「人は誰でも、その人の人生の主役だって言葉があるでしょ?」

「私、あれっていい言葉だと思うんだ。掛け値無しに」



ふと、夢を見た。

生徒会でとあるイベントに関する打ち合わせをしていたからか、中学の時の思い出だったように思える。

……そういえば、アイツは中学の時には既に髪が長かったような気がする。

小学校の時には短髪のチビっ子で、身長も穏乃より小さかったというのに。

思えば色んな意味で、著しく子供から大人へと変わっていった女の子。

俺が年齢一桁の頃からの付き合いのある中では、多分一番成長したのはアイツなんじゃないかとも思う。



「けど、それに甘えて適当に演じてるようじゃ、大根役者もいいところよ」



……子供の頃からずっと、厳しい奴だって点は変わらないけど。

俺と穏乃の怒られた回数を合わせれば、数を数えるだけで頭がパンクしてしまうかもとさえ思える。

その厳しさは優しさと思い遣りの裏返し、それと本人の責任感故にだから仕方がない。

他人を思って、嫌われるかもしれない事も傷つけるかもしれない事も承知で叱る。

誰にでもしているわけではないけれど……それが出来る彼女はとても素敵だと、いつだか思ったような気がする。



「見る者を感動させる名演。思わず応援したくなるような在り様。手に汗握る迫力」

「そういう物が無いと、どこまで行っても私達の人生はC級通り越してD級映画だもの」

「嫌でしょ? そんなの」



……あ、ようやく思い出した。

この思い出は、いつだか彼女に奢らせられた日の出来事。

二人で見に行った映画の帰りに寄った喫茶店で、話題がやけに盛り上がった時の話だ。

「懸命に、丁寧に、自分が決めた役割を責任持って演じきる」

「『全ての人が主人公なのだ』ってのは、そういう事だと思うわ」



父親だとか、母親だとか、子だとか、家族だとか。
会社員だとか、自営業だとか、政治家だとか、学生だとか。
女の子だとか、男だとか、大人だとか、友人だとか。

彼女が言っている役割/責任とは、そういう事だと思う。

理性的で責任感があって、それでいて人情家でお人好しな彼女らしい。

だから彼女は人付き合いが上手いのだろうし、人に頼られるのだ。



「全ての脇役を引き立てる主役。主役を引き立てる全ての脇役」

「それでこそ、『私達の人生』っていう舞台は光り耀く」

「喝采される、褒め称えられる、そんな人生。言うのは簡単でもやるのは難しいんだろうけどね」



俺が話して、憧が返して、それに俺が返して。
時々話を聞きながら飲み物のストローに口をつける。

そんな時間がだらだらと流れていく空間が、とても心地良かったのを覚えている。



「ま、アンタは共演者に困る事はないんだろうけど」

「共演者として、私の評価はどんな感じなのかしら。聞かせて貰いたいなーなんて」



小悪魔のような……ニヤリと効果音が聞こえるような笑みを浮かべる、そんな目の前の優秀な共演者。


そんな彼女の笑顔が、とても頼もしく見えた事を覚えている。

「……ま、一つだけ気を付けないといけないんだけどね」

「アンタ結構、調子に乗りやすいというか時々うっかりやらかす事があるから」



帰り道にそう言われた時、何かしら言い返した気もする。

言い返した内容までは覚えていないが。



「私の人生の主人公は私だけ。アンタの人生の主人公はアンタだけ」

「分かってるとは思うけど、それを特別な事だと思っちゃダメよ」



風に揺られ歩行で揺られ、少し先を歩く彼女の髪が左右に揺れる。

よく手入れをされている彼女の亜麻色の長い髪は、同性間でも綺麗だと羨まれるそうだ。

彼女の表情は、そんなはためく髪もあって後ろからではどうにも伺う事ができない。

声色からしか、彼女の感情が伺えない。 そんな帰り道だった。



「主演が自分だけ目立とうとしてる演劇ほど、つまらなくて価値の無い物は無いもの」

「どんな演劇だって、一人で華やかせる事は出来ないんだから」

「自分の演劇、自分の人生、自分という物語の価値」

「それを自分で貶めるなんて……そんな、情けない事はないでしょ?」



そうだ、そんな彼女だから。

そんな彼女の中にある、俺の中にはないものに。



「だから、いつだってしゃんとしてなさい」

「なんかあったら、いつだって後ろに居る私が叱ってあげるから」

「アンタが情けない自分にならないように。口にすると恥ずかしいけどさ、その……」

「私は、アンタの———」




俺は、『憧れた』んだった。

夜の街。

夕暮れ時も過ぎ、逢魔が時も去り、夜の帳(とばり)が降りた頃。

商店街からの通り道、街灯のみが道先を照らす人気のない帰り道。

そんな街路を、歩き進む二人の少女が居た。



マホ「なんだか、正直イマイチだったね。あのカレー屋さん」

士栗「良くて50点だよ50点。マホちゃんのカレーの方が美味しいって」

マホ「これがホントの辛口コメント?」

士栗「だれうまー」



最近、一つ屋根の下で暮らし始めた友人二人である。

本日は夕御飯に外食をセレクトし、新たに立ったと噂のカレー屋さんに突撃した模様だ。

……結果は、お察しではあるが。



士栗「行った事無いけど、海の家のカレーとかこんな感じなのかな?」

マホ「あ、ううん。海の家のは値段が高くて安っぽい味ってだけで味自体は無難というか……」

士栗「あー! 海行ってみたい! 私冬生まれでまだ一年も経ってないし!」

マホ「あと半年は待とうよ! 気が逸り過ぎだよ!」

士栗「水着とか着た事ないんだよね、私。ちょっと楽しみだなー」

マホ「……」

士栗「その時は一緒に行こ……って、自分の胸をペタペタ触ってどしたのマホちゃん」

マホ「……」

士栗「今度はこっちの胸見て、ホントにどうしたの?」

マホ「……分かんないなら、良いよ。まだ成長期だもん、希望は残ってる」

マホ「あ、この公園……」

士栗「あの時覗いてた事件はここで決着付いてたね」



先日の事件、強いて名付けるのなら八尺様事件とでも名付けようか。

あの時事件を俯瞰するように見張っていたのは、マスカレイドだけではなかったのだ。

並みの都市伝説とは足元にも及ばない程の感の良さを持つ「口裂け女」が、あの夜の異変に気づかなかった道理はない。

彼女は軒下を貸してくれている友人にありのままを話し、どう動くかを話し合い。

妥協案かつ折衝案として、二人で遠巻きに事件の顛末を見張る事にしたのである。

双眼鏡片手に、誰にも見つからないように。

いざとなれば助けに行こうか、と考えていたのは二人共同じであったのだが。



士栗「いやはや、何度ヒヤヒヤした事か。相変わらずおにーさんは綱渡りな毎日送ってるねぇ」

マホ「でも先輩、カッコ良かったよね!」

士栗「……あー、うん。そだね」



青山士栗は、夢乃マホが須賀京太郎を語る時のこのキラキラとした眼が苦手である。

理解から最も遠いこの憧れという感情が苦手だからだろうか?

同性の親友が自分以上に異性に熱意を持つこの現状が妬ましいからだろうか?

否、どちらでもない。

経験のない彼女からすれば分からないのは当然だが、この感情は実にありふれた「人間らしい」ものだ。



士栗「(なーんか……はっずかしいんだよねー)」



自分の父や兄が友人に手放しで褒められた時に感じる、何とも言えない気恥ずかしさ。

そんな子供らしいような、今の彼女に相応しいとも言える感情である。

マホ「ああ、双眼鏡で遠くから見てなきゃ写メとか取ってたのにぃ……」

士栗「マホちゃんはホントにおにーさん好きだねっ、ラヴって奴?」

マホ「ら、ラヴ!? そういうのじゃないから! 憧れというか、尊敬というか……」

士栗「あれ? そうなの? 昼間に『ひるどら』って奴見て勉強したんだけどな」

マホ「(……流石実質ニート……)」

士栗「そういえば途中で男の人と女の人が裸になってたけどあれなn」

マホ「今度から昼間は私がゲーム貸してあげるからそれやってようね、士栗ちゃん」

士栗「ホント!? やー、持つべきものは友達だねー」



本気でアカン気配を感じたマホの感覚は正しい。

その後の対応も極めて最善手に近い。

ここで放置しておくのは簡単だが、友達に対してそういう無責任は彼女の良心が咎めたのである。


マホの家は隠れ場所を探し求めていた士栗にとって安全地帯ではあるが、ここで止めなければ彼女の完全痴態が晒されてしまう!


そんな彼女の直感が、士栗の未来を守ったのであった。



士栗「明日もいい日になりそうだねー」

マホ「あと、さ」

士栗「?」

マホ「私、士栗ちゃんの事だって好きだよ? だって友達だもん」

士栗「—————ッ」

士栗「くーっ! 私もマホちゃんの事大好きだよー! 今好感度ランキング一位二位三位争ってるよー!」

マホ「わわっ、抱きつかないでよ!?」



二人は、奇妙な出会いでこそあったものの、今ではかけがえの無い親友だ。

二人だけでも十分だが……二人のニュアンスや会話から伝わるように、この人間関係は『あと一人』を足して完成する人間関係である。

それでも、二人は親友だ。



……が。



マホ「……あれ? こんな時間に、携帯にメールじゃなくて電話?」

士栗「知ってる人?」

マホ「ううん、知らない番号」



そんな二人の友情の時間を、空気を読まず邪魔する者も居る。

どーせマスカレさん

『私メリーさん。今駅前にいるの』



マホ「……え?」



夢乃マホは、基本的に普通の女の子だ。
普通に友達がいて、普通に運動が苦手で、普通におしゃれが好きで、普通に噂話も聞く。

ごく普通の、可愛らしい女の子である。

だからこそ彼女はその『余りにも有名なフレーズ』を知っていたし、だからこそ一瞬硬直してしまった。


その一瞬の硬直の内に、電話は相手から切られてしまったのだが。



マホ「……あれ? もしもーし? もしもーし?」

士栗「どしたの?」

マホ「イタズラ電話……だと、良いんだけど」

士栗「? ……? ……うーん……?」



『何か』嫌な予感を感じ始めたのか、歩きつつも周囲への警戒を深める士栗。

そして、十数秒後に再び鳴り響くマホの携帯電話。



マホ「……」



固唾を飲む音が、マホの喉から聞こえる。

彼女の指の動きはぎこちなく、緊張で今にも指が震えそうになっている。

こめかみに冷や汗が流れ、表情はどこか固い。

それでも逃げる事なく——少女は、かかって来た電話に出た。




『私メリーさん。今カレー屋さんの前に居るの』

そして、一方的に切られる。

先程と寸分違わぬ繰り返し。

それがイタズラ電話という淡い希望は、夢乃マホの本能が鳴らす警鐘が何より強く否定している。



マホ「……士栗ちゃん」

士栗「大丈夫。私を誰だと思ってるの?」

マホ「……うん、分かった。信じる」

士栗「オッケー、任せといて」



……肌寒い。

気温が下がっているわけではない。体温が下がっているわけでもない。

ただ、生物の本能に染みこむような恐怖が、マホの肌を通して流れ込んでいるだけだ。

気丈なもの、戦い慣れているもの、都市伝説に慣れているものならものともしない程度の悪寒。

しかしそれはどこまでも一般人なマホにとっては、膝を折りかねない恐怖の実感となって襲いかかってくる。

それでも彼女が強く自分を保っていられるのは、芯のある彼女の強い心故だろうか。



そこに再三、かかってくる電話。

駅と先程訪れたカレー屋の位置から計算すれば、ここで必ず『来る』だろう。

それはマホとて分かっていて、だからこそ士栗に託したのだ。 自分の、命を。

無論、不安がないわけではない。『この都市伝説』に対する恐怖もある。

……だが、その上で。



信じるに値する、ただひたすらに純粋な『強さ』が青山士栗にはある。

その強さは信頼する先輩の戦いの過程で、命を預けるに値するほどマホの信頼を勝ち取っていた。



マホ「……出るよ」

士栗「うん、いつでもどーぞ」



電話を持って、受話器を模したマークを押して、耳に当てて。



『私メリーさん。今貴方の後ろにいるの』
「私メリーさん。今貴方の後ろにいるの」



肉声と電話越しの声が重なった、それとほぼ同時に。

マホの背後の空間が、物理的に『弾けた』。

電話に出たと同時に伏せようと思っていたマホが、一歩遅れるほどの反応速度。
何が何だか分からないままに、マホは足手まといにならないように一歩遅れてその場に伏せる。


電話に出たタイミングと背後の空間が弾けた……いや、マホの背後に現れた『何か』を士栗が迎撃したタイミングの差。

その間、コンマ一秒にも見たない刹那。

それに反応し攻撃した士栗も、それを迎撃した何かも、共に途方も無いほどの人外だ。


マホに出来る事はただ、士栗の足を引っ張らないようにじっとしている事のみ。

何も出来ないことは分かってはいるが、それでもせめて戦いは見届けようと彼女は顔を上げ……



そして、拍子抜けした。



マホ「……あれ?」

士栗「あちゃー、逃げられちゃった」

マホ「ええええええええええええ!?」



そこには、既に襲撃者の姿はなかったのである。



マホ「え、な、なんで!?」

士栗「深追いするのも怖かったしねー……それに、今回の私がやるべき事はマホちゃんを守る事だったし」



襲撃者が一瞬で消え去るほどの能力を持っていたのも驚愕だが、マホの驚愕した点はそこではなかった。

青山士栗が、敵に逃げられた……という点だ。

夢乃マホの脳中で、頼れるかの先輩と目の前の親友はツートップで強さの頂点に立っている。

そんな彼女が「深追いはしない」という前提であったとはいえ、友人を狙った危険な敵を逃した。

無敵の口裂け女を出し抜くほどの敵。それが何よりも彼女の心を揺らしたのである。



マホ「……強かった?」

士栗「けっこう。おにーさんみたいに、弱体化狙ってこられてたら危なかったかもね」

マホ「!」



その予測でしかなかった驚愕は、士栗の補足で確信に至る。



士栗「あれ、けっこう知名度補正強そうだよ。おにーさんもちょっと危ないかも」

マホ「嘘っ!?」

士栗「だからそれとなく私の存在は誤魔化す感じで、伝えておいてくれないかな」

士栗「おにーさんへの伝言」



バツの悪そうな顔で、彼女は告げる。




士栗「『アレ』に、『予知』も『鎧』も『銃』も通用するとは思わない方が良いよって」

走りながら電話をする  すなわち、ハイウェイ☆スターとの戦いか!
本体は病院だな、間違いない!!

怜「『準備期間さえあれば今のうちに作れんケーキはあらへん!』って竜華が言っとったからな、ウチは言うてやったんや」

京太郎「嫌な予感しかしねえ」

穏乃「嫌な予感しかしない」

怜「『なら好景気作ってくれへん?』ってな」

「「思った以上に無茶振りしてた!!」」

怜「ま、それを契機に竜華は自分の発言に気を使うようになったんやけどな」

京太郎「コイツ綺麗にオチつけやがった」

穏乃「創作と断じれないのがまた……」



二月上旬も終わり、二月半ばへとカレンダーの日付が変わる頃。

彼ら彼女らは、相も変わらず青春を謳歌していた。

推薦やらAOやらで既に進学が決まっている数人を除き、三年生はこれでもかと忙しい時期だ。

けれど当然一年生はそうでもなく、三年生の勉学を邪魔しないように心がけている程度である。

が。



怜「三年生と違ってウチらは暇……っちゅうわけでもないやけどな」

京太郎「二月は冬期演劇があるんだよなー」

穏乃「三年生への応援も兼ねて、一年生二年生は何かしら演劇やらないといけないんだよねえ」

京太郎「ちょっと楽しみだけどさ」

穏乃「右に同じく」

怜「こういう時のテンションシンクロはビビるなぁ、お二人さん」



そうそう学生が暇な時期というのもないものだ。

当然のように、この二月にも学生達の青春を彩るイベントが存在する。

この学校……というより、この時期には東西南北中央で日付をずらしつつ、五校合同で行われるとあるイベントが存在する。


それが通称『冬期演劇』。
○○祭りという正式な呼称も存在するが、学生達はもっぱらこの愛称で呼び親しんでいる。


三年生は参加しない、一・二年生による演劇。

受験に挑む三年生への激励であり、後輩から先輩へ送る応援のエールだ。

五校それぞれで行われるこのイベントは、この街における名物と伝統の一つと言ってもいい。



毎年拙いながらも工夫を凝らす一年生と、ある程度経験を積んだ二年生の演劇の両方が見ものである。

入学から半年以上経ち絆を深めたクラスによる演劇は、演劇のみではあるが文化祭を上回るクオリティであると毎年評判である。



街の外から毎年見物に来る人も少なくなく、この日は三年生も羽を休められる日だと心待ちにする者も居る。

当然、受験勉強を優先して欠席するものも居るが……五校合わせても毎年一人か二人しか居ないらしい。

この町の住人は、どこか他の街の人間より心に余裕がある……とは、外来の偉い人が残した言葉である。



そんな演劇が二月半ばに存在し、各クラスに分かれて戦争に近い様相を露わに競い合う。

特に景品があるわけでもないが、燃えているに学年合計24クラスの中央高校学生達。

勝者の栄光に向かって積み上げた日々は……あと少しで、本番という段階まで辿り着いていた。




京太郎「未だに納得行かないんだよな、特に配役」

怜「なんや、相方不満なん?」

京太郎「いや、そっちじゃなくてさ」

穏乃「憧に言いつけるよ? 多少脚色して」

京太郎「やめろ!」

怜「ま、うちは一応突然倒れないとも断言できひんし」

穏乃「『高鴨にお姫様は無理だろ』ってひどくない!?」

京太郎「推薦枠から消去法でジュリエット選んだのは別にいいけどさ……」




京太郎「なんで俺が、ロミオ役なんだよ」

そんなに不服なら、俺が代わりに……

二月に入る前、演劇の準備や練習が始まる前日の事。

放課後に1-Bの生徒は一人残らずクラスに集合し、教壇に立つ少年の姿を見つめていた。

そして教壇に立つ少年が、よく通る声で語りかける。

演劇のタイトルは決まった。次に決めるのは配役だ……と。

つまり、ここで語られているのは。



京太郎「んじゃ、うちのクラスはロミオとジュリエットで決定か」



演劇の骨組みとなる部分、それを決定する話しあいである。


「いえーい!」

「いいねー!」


男子の数人、女子の数人からノリのいい声が上がる。
教壇に立つ少年は学級委員長ではないのだが……押し上げられるように任せられ、後は流されるままである。

そこでやる責任を感じてしまうあたり、少年はクラスの皆によく理解されているようだ。

それの良し悪しは別として。



京太郎「それじゃあまずロミオとジュリエットの配役決めだけど……」


無論、司会進行・意見を纏めて形にするのは教壇に立つ彼だ。

……もっとも。



「ロミオは決定としてジュリエットどうするよ?」

「園城寺か高鴨か新子でいいだろ」

「だよな」

京太郎「おいちょっと待て。ロミオもちゃんと……」

「うるせぇ黙ってろ須賀」

京太郎「あれ? 俺10秒前まで司会進行してたのに黙ってろって言われてる!?」



少年と彼の周囲に常に居る三人を除いたとしても、このクラスはわりかし問題児が揃っているという前提がなければ……の話である。

流される。

流される。

流される。


京太郎「(俺の意見が通ってない……!)」


教壇に立たせたのはこれが狙いか、と一筋縄ではいかないクラスメイト達に戦慄する少年。

おそらくは事前に打ち合わせ、教壇というある意味独立した場所に追い込む事で少年を愉快な場所に追い込もうとしているのだ。

ましてや、まとめ役や司会進行は自分の意見を出しにくい立ち位置である。

そしてクラスメイト達は間違いなく、害意は無いけど面白そうだからやっている。 愉悦衆だ。

この数ヶ月の付き合いでなんとなく彼らの性格を把握していた京太郎は、抗いつつも半ば諦めるようにロミオロードを進んでいった。

ある意味過去最高に手強いぞこいつら……と、少年は久方ぶりの敗北の味を噛み締めていた。



最終的に、
ロミオ:須賀京太郎
というキャストで決定。

そして、小一時間の男の考えるお姫様論と女の考えるシンデレラストーリーの協議の結果———



京太郎「……よろしく」

憧「なんで嫌そうな顔してんのよ」

京太郎「俺は監督か脚本やりたかったってのが半分」

憧「もう半分は?」

京太郎「絶対、見に来てた奴らにからかわれる……!!」

憧「……あー、なるほどね」



ジュリエットは、新子憧に決定。

他校生徒や義姉、警察の皆様や商店の人、その他もろもろの知り合い集団。

主役の彼を見に来た大勢の前で、からかわれるネタを披露する運命が彼に決定づけられた瞬間である。




なおこの後に脚本に付いた男子がストーリーにキスシーンを面白半分で追加した時に一悶着あったのは、また別の話。

よし、エンディングが見えた
なんやかんやあったけど二人は幸せなキッスをして終了
なお、ロミジュリのためどっちも死ぬ模様

京太郎「あー、マジで主役か……」

憧「大丈夫よ、アンタは今頃演劇の主役やった所で何一つ問題ないくらい恥の多い人生を送ってるわ」

京太郎「嘘だろあこえもん!」

憧「本当だよのび太郎君」



放課後、クラスで最低限の打ち合わせをしてから少し後。

彼と彼女は肩を並べて、職員室へと向かっていた。

演劇の内容と脇を除いた主演のキャストリストを申請するためである。

用紙に概要を書き込み、後は担任である赤土先生の捺印があれば完成。

生徒会に提出し、それで申請完了である。



京太郎「ま、それでも誰かが主役の話を支える方が俺の性には合ってんだよなぁ」



これは本人の偽らざる認識だ。

彼は自分の仕事を、かつて大切に想っていた少女から受け取った責務を。

誰かが主役の物語を滞り無く進めるための戦い……であると思っている。

詰まる所、主役なんてガラじゃねーなというのが彼の主観である。



それは、彼の偽らざる本心であったはずなのだが。

彼女も、その込められた本心を理解していたはずなのだが。



憧「……ねえ」



埃粒のような微小の不安。彼女の心に降って湧いたように現れた動揺。

それが、常の彼女からは決して出てこない発言を引き出した。



憧「私じゃ、嫌だった」

京太郎「は?」

憧「怜さんの方が良かった?」

京太郎「おいちょっと待て、お前何を……」

最近シャナ読んでるせいで京太郎が悠二とかぶる…
つまり京太郎がラスボスに!

何言ってんだろ、私。

色々と曖昧に誤魔化してきた、そのはずだったのに。

自分の気持ちとか他人の気持ちとか、そういうの全部ひっくるめてはっきりさせないようにしてたのに。



憧「気楽に答えなって、人生の岐路じゃあるまいし」

京太郎「つってもな……多分どっちが良いとかは無いぞ。どっちも良いってのが本音だ」

憧「ふーん……? じゃあさ」



その問いはしちゃダメ。

答えは分かりきってる。

答えを出せないなら、コイツは変わらない。子供の頃から私の知ってるアイツのまま。
答えを出したなら、コイツは変わってる。私の知らぬ間に、どうしようもないくらいに。

問いたくない。確かめたくない。


……なのに、口が動いて、止まらない。



憧「もし、もしもの話。切り立った崖があるとするわよね?」

憧「そこに私と怜がぶら下がってる。アンタは一人しか助けられない」

憧「アンタは、どっちを選ぶ? どっちに手を伸ばす?」



選べるわけがない、と答えるのが昔のアイツ。

選べるわけがない、と答えを出せないという答えを選んだのなら何一つ変わらない毎日を進んでいける。

……こんな問いをしておきながら、なんだけど。

私は、変わらぬ毎日を。コイツが答えない事を望んでいる。



京太郎「憧、お前何を……」



だけどもし、答えたのなら。

私達は今まで通りじゃいられない。

どんな形であれ、私達の関係は変わっていく。

それを予感はしていても、まだコイツは気付いてない。

全てに気付くのは、変わった後なんだろうって……そう、思う。



憧「答えてよ、京太郎」



そうして、たっぷり数分考えた後。

夕暮れ時、橙色に染まる教室の一室で。

アイツは口を開いて、私の眼をしっかりと見て———




その問いに、『答えて』しまった。

だから何もかもが変わって行く——それが、これから変わって行く日々の、始まりの嚆矢。

本日の投下終了。皆さん、お付き合い頂き感謝です

前編終了じゃないよ! 前編の前編終了だよ!
前にどっかで言いましたが、憧ちゃんは幼馴染を取られるんじゃないかと怜さんを嫌っていた時期があったわけで
極論を言うと憧→バトルホッパー、怜→ロードセクター。 照? 信彦じゃないかな



京太郎くんはウンウン唸って悩んでウ○コ味のカレーとカレー味のウ○コのどちらを食うかという二択に等しい選択をしました



レス返し等は明日。次話は早くても月曜日ですかね・・・

では、これにて。お疲れ様でしたー

おやすみなさいませー

乙ー
あれっ、そうなると嫁が憧で愛人が怜ってことびなるんじゃ…

これ例えを見る限り究極の選択ってやつっぽいね

「性格の良いブスと性格の悪い美人、付き合うならどちらか」とか「動物の居ない動物園と檻の無い動物園、行くならどちらか」とかそういうの

アコちゃんから感じるキタエリヒロイン臭

てるてるにぶっかける?(難聴)

タジャドルさんは買わざるを得ないクオリティ

こんばんワッシャー。最近ヒトノワが事実上チャクラムじゃなくてワッシャーじゃないかと思う日々

武器をどこにしまっているのかなどの疑問は十九話でやっちゃいますよ。そんなに引っ張る設定でもないんですけど


>>423-425
この信頼っぷり

>>434
新しいパンツをはいたばかりの正月元旦の朝のように爽やかな気分になれるのかどうかはこのお話の結末次第?

>>438-441
このドリフ。なんでや!

>>449
ファッ!?

>>453
炎髪灼眼キャラが居ない・・・

>>458
あ、あくまで例えですし・・・

>>471
ですね。「一生眠ったままの人生と一生眠れない人生のどちらがいいか」みたいなもんです

>>477
どういう意味ですかねぇ・・・?

>>482
難聴にも限度がある!



ちなみに京太郎はちゃんと『どちらか片方を選び』ました。今回の事件はここがスタートラインです



通報しました

http://news.dengeki.com/elem/000/000/646/646656/

このスレの小学生組が「MORE」「DEBAN」と書かれたボードを持っている姿が見えます・・・!

ヤンキー(金)
ヤンキー(茶)
リーマン

これって答えは沈黙ですよね?

                  .  - ‐─━…|
             . : : : : : : : : : : : : : : : :|     わ   全
           /:: . : : : : : : : : : : : : : : |     た   て
            /:/: : : : : : : : : : : : : . : : :l     し   は
           /.:/ : : : : :i: : : : : : : : : : : : : }     の
        /.:/ . : : : : .:i : : : : :i: : 、: : : :ノへ、          /
         / ,′. : : : : : .:i : : : : :i: :i: '.: : :!::i:l\\         /
      /: .′. : i: : :i..::i : : : : :i:斗rヤ笊仄 ハ i>‐----<: ゚.

.     /: : ! . : : : i: : :i 人:. : : .:i::::.\l:斗-=ミ、}i|: : : :ハ: : : : : : ゚.

     /: : : i:. : : : :i: : ;ャ≦ \::八:人〃斧笊ハ 刈ハ: : : l- 、: : : :|
.    /: : : : i:. : : : :iX:八_ \ \:.\ 、 マ)  .::i }} }:.:.i.:!h ハ: :. : |
   厶 -‐ i:.: : : :∧ .〃斧�  \   、_.:ノ   八ノリ.ソ }: :!: :l
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\: :∧{ マ  .:i               / }ノ.ノ : |∨
      た .力  ヽ: ヘ 弋.:ノ   ,           r<: : :ハ|
      め  を    �゚:.                     /.:.:∧.:{ j
      の  取    Vi:!:.        ,   ¨フ       V.:( )ノ
     |  り     W八      ー      /  ∨}
     | 戻    L__ ` ..           /     〉- 、
     | す     √      ¨¨  ¬ ´     /_三二ニ=‐-
      道       ;            __ハ    /. : : : : : : : : : : :
     具       /          ノ.:r'ヘ /: : : : : : : : :斗ャ≦
     だ     /         /: / / : : : : : : 。≦ニ〃/

          /        /: : :/ /: : : : : : /三=‐ {{/

ビーストも金色なんですがそれは大丈夫なんですかね・・・

まあキングとエンペラーも被ってるって感じ薄いし平気かね

アコチャーが大好きなのでワクワクが止まらない


http://i.imgur.com/vTmkwZE.jpg
某efOPパロ

     _人人人人人人人人人人人人人人人_
     >   こんばんわりとどうでもいい    <
      ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄

               ヘ(^o^)ヘ 
                  |∧   
                 /



今夜21:30から再スタート。簡単なロミジュリの解説も加えつつ投下します

シェイクスピア曰く、『弱きもの、汝の名は女なり』
このフレーズだけだとなんとなく差別のように聞こえますが、女性は弱いものなのだから弱さを理由に女性を責めるべきではない……といった意味合いが強いようです
ギィ・クリストフ・レッシュさん、呼んでますよー



あ、それと仕様の一部変更と詳細の煮詰めと>>1のミスの修正報告です
・一、二年の合計クラス数は24じゃなくて36でした。どこで計算をミスったのか
・ネクサス一日延長の場合、その日は戦闘開始毎にHP全回復効果とします。HP回復効果で一日延長の方が損ということにならないように
・ネクサス時と非ネクサス時のスキル使用回数を非共有にします。穏乃の復活効果、姫子のリザべも残り回数を共有しません
よろしくお願いしますー



>>514
あれは「正答に至る思考材料が存在しない」という前提なので
沈黙は返答にならず、沈黙への返答にビンタが飛んでくるのでは

>>517
咲さんが京太郎のエナジー(意味深)を吸って復活・・・

>>521
ビーストは青配色多いし大丈夫じゃないですかね、たぶん

>>523
おおおおおおお!
あのOPパロMADは自分もよく見てますよー
支援ありがとうございます! 支援を貰った時のこの満腹感ときたらもう




ああ、なんだか昔カメラで似たようなことをしていたような思い出が・・・

エリクサーは最後まで使われない
この意味が分かるな

>>530
後4〜5回は使う機会あるんじゃないでしょうか



               . : : ´ ̄ ̄`
             / : : : : : : : : : : : \
               ,: : : : : : : : : : : : : : : : : ゚。
           /: : : : |: : : |: : :.|: : : : : : :<^ヽ

             |: |::i:トA: : ∧⌒ト : iミ: : |: ト、 :|
.              八|:从笊 : | ィ筏�|:「 Y.:|: | |:|
             // :l ∧ ヒト :| ヒソ  |:|ノ|: |八 :|:|
         //  | |八/// u.jノ∨:.レ‐::.、\
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アコチャーエロい!

投下はっじめーるよー

彼が『選び』、それから少し後。



京太郎「こんちわーっす。衣居るかー?」

衣「ここに居るぞ!」

京太郎「どこの馬岱だお前は」



この学校の一角、この校舎において最も多くの情報が蓄積されている場所。

すなわち図書室。

幼い容姿と年上という要素、そしてにじみ出る知性と未成熟な精神のミスマッチ。
そんなこんなで所属するクラスのマスコットかつ、この本の森の主という肩書きを持つ少女。

風に溶けてしまいそうな金の髪をかきあげている彼女は、皆さんご存知天江衣その人だ。



京太郎「今暇か?」

衣「そうだな、今は先日キョータローから借りたジョジョの登場人物の事を考えていた」

京太郎「ジョジョ?」

衣「ディオ・ブランドーの人生は1/4ほど海底に沈んでいただけだと思うと、その寂しさに共感して胸が張り裂けそうになったぞ……」

京太郎「そんな読み方してる奴世界広しといえどお前くらいだろうな……」

衣「十年以上父親の元で酷い暮らし、そして十年もまっとうな暮らしが出来ないまま吸血鬼化→倒されて海底に」

衣「そしてようやく戻ってこれたと思ったら、すぐさま消滅だ。衣は胸が痛い……」

京太郎「やめろよ! ただでさえ七部で純粋な悪役じゃなかったから俺まで胸に来るだろ!?」

衣「因果応報といえばそれまでだけど、衣は皆の厚意で因果応報の報いを受けていない身だ。だから、こう……」

京太郎「それ以上いけない」



地味にラスボス気質同士共感でもしたのだろうか、と無体に考えつつ。

言葉を選びつつ言葉を絶やさぬように、少年はちょい落ち込み気味の少女へと語りかけるのだった。


完全に無駄な時間と労力を費やしているとか言ってはいけない。

青春は時間の無駄遣いがデフォルトなのだ。

衣「『ロミオとジュリエット』?」

京太郎「ま、そういう事だ。一冊くらいは置いてあるだろ?」



談笑に浸る事少し。なーでーるーなーと衣が振りほどいて、ようやく本題に入る二人。

京太郎がここに来たのは、当然先刻決まった演劇のためである。

せめてあらすじだけでも……と、予習をしに来たという事だ。



衣「『今暇?』はでぇとのお誘いだと智紀が言っていたが、何か間違いがあったのか?」

京太郎「あの人のなのはイノセントアカウント懲罰代わりに消した方がいいんじゃないかな……」



ここはこの高校の資料を一転に集約しているデータベース、中央高校図書室だ。

設置されているパソコンも組み合わせれば、ここに篭っているだけで大学の卒論でも容易に完成するとさえ言われている……そんな凄まじい居場所なのだ。


当然、京太郎もここに無い筈がない、位の思考でここまで来たのであるが——



衣「無いぞ」

京太郎「は?」

衣「無い」

京太郎「……冗談キツイぜジョニー」

衣「冗談ではない。演劇でシェイクスピアを選択するクラスが多かった上に、ロミジュリの単独本は先刻持っていかれた」

衣「確か……キョータローのクラスの有象無象の一人だったな。そも参加クラス36という時点で想定して然るべきだろう」

京太郎「嘘だといってくれよバーニィ」

衣「衣はうさぎっぽいとよく言われるがバニーではないぞ」

職員室に申請に行った時間、憧との会話タイム。

その不可避かつ僅かな時間が命運を分けていた。タッチの差で悪の脚本担当の手で京太郎の希望は摘み取られてしまったのである。

脚本の暴威に対向する知恵を付けるという彼の作戦は最初の一歩で早くも瓦解していたようだ。


時は金なりというが、彼はせめて終業の鐘が鳴る前に行動しなければならなかったらしい。

後の祭りだが、それでも僅かながらの抵抗を少年は試みる。



京太郎「……何とかならないか?」

衣「んー」



彼に頼りにされている実感が、彼女に何とも言えない心地良さを与えている。

引っ張るつもりはないのに、焦らしてしまうのは彼女にも確かに存在する乙女心故だろうか。

なので少しだけ、本当に少しだけ……得意げな笑みを浮かべて、彼女は代替案を提示する。



衣「ふふふ……衣には代案があると、そう思うんだな?」

京太郎「衣ならあるんじゃないかって、期待はしてる」

衣「そーかーそーかーえへへ」



頼られるのも頼る事が出来るのも、彼女にとっては嬉しい事だ。

なにしろ、彼女は人一倍……そういう類の『嬉しさ』に慣れていなかったから。

彼女の同い年の家族たちがここに居れば、その微笑ましさに笑顔を浮かべていただろう。



衣「うん、代案ならある」

京太郎「して、その代案とは?」

衣「衣は、先日『それ』を読んだばかりだ。一言一句そのままでも、概要を掻い摘んで語る事もできる」

京太郎「……おお」




衣「朗読会と行こう。ほら、いつまでも立ってないでここの椅子に座るんだっ」

椅子の上に京太郎が座り、その膝の上に衣が座る姿勢。

何もおかしくはない。

何もおかしくはない姿勢から、衣は頭の中の本を読むようにその物語を詠み上げる。



「ロミオとジュリエットという物語は、こんな口上から始まる」

「From forth the fatal loins of these two foes. A pair of star-crossed lovers take their life」

「Whose misadventur'd piteous overthrows. Doth with their death bury their parents' strife.」

「『宿敵両家の胎内より、星の巡り悪しき一組の恋人、世に生を受く』」

「『彼らの逆運は憐れにも破れ果て、死をもって親のいさかいを葬る』……訳は、こんな所だろうか」



「……最初に、二人は死ぬんだって明言されてるのか?」



「ああ。だからこの物語は、最初からどうしようもなく悲劇(バッドエンド)だと運命づけられている」

「衣はこーゆーの、あんまり好きじゃないけれど」



その地方は二つの大きな貴族の家が争っていた。

両家は憎しみ合い、嫌い合い、殺し合っていないことが不自然だといわれるほどであったという。

それは磁石の両極所の話ではなく、互いが歩み寄るという発想の欠片すら存在しないほどであった。


その両家の片方にはたった一人の嫡子が居た。名はロミオ。
そしてもう片方にもたった一人の令嬢が居た。名はジュリエット。


物語が動き出し、二人が出会うのはとあるパーティでの事。


ロミオは片思いの相手、ジュリエットではない別の相手に会いに行くために。

ジュリエットは父と母がちょうどいい結婚相手を見繕ったら、その相手に嫁ぐために。


二人は互いの顔も知らぬまま、その運命の日を迎える。




「ロミオってジュリエット以外に好きな奴が居たのか」

「気が多い……と一言で断じる事は出来ない。ロミオは自分に誠実だけど、それだけなのが欠点なのだと衣は思う」

「それで、どうなったんだ?」

「せかすな、そーろーは嫌われると純が言ってたぞ」

「(透華さん家族の舵取りはしっかりして下さい衣がスレますよ)」

「ところで、ソーローって何だ?」



憎い敵同士の両家、当然パーティに参加できる由もない。

よって仮面を付け、ロミオは宿敵のホームでもあるそのパーティに参加し、そこで美しい少女を見付け——

ジュリエットは、ただ無為に過ぎて行く時間を退屈と感じながら、ふと顔を上げると——




———二人同時に、恋に落ちた。




「……おお、なんつーベタな」

「ベタじゃない。『ベタになった』んだ。多くの人がこれを模倣し、『王道』にしたという事だ。キョータロー」

「王道の始点ってことか」



二人はそこでいくばくかの交流を持ったものの、すぐにロミオの正体はバレてしまう。

あわや命を取られんとしたロミオであったが、華やかなパーティでの流血を嫌ったジュリエットの父によって制止。

ロミオは去り、二人は離れ離れとなった。

そしてジュリエットの乳母を通して二人は互いの素性を知り、驚きながらも絆を深めていくのであった。



「ほほう」

「この二人は凄いぞ。一目惚れして名前を聞く前に……き、キスしたりしてるくらいだからな!」

「一目惚れすげえ」

「真の伴侶は一目で分かるものだと聞くが、はて……衣の場合はどうなのだろうか……?」

ロミオはパーティから去った……かに、見えた。

ジュリエットの事を忘れられなかったロミオは、命知らずにも庭園の一角に息を潜めて隠れていたのである。



「割とおバカだこの人」

「そう言ってやるなキョータロー」



そして庭園に潜む彼の眼に写ったのは、バルコニーから身を乗り出し熱い愛の言葉を自分に向けるジュリエットの姿。

自分が目の前に居ないのにも関わらず自分への愛を語るジュリエットに、ロミオは真実の愛の存在を確信した。

たまらず飛び出し、負けじと愛の言葉を返すロミオ。

バルコニーの上の少女と、庭園から見上げる少年。

二人はそこで、互いの愛を確かめ合ったのだった。



「O Romeo, Romeo! wherefore art thou Romeo?」

「『おお、ロミオ、ロミオ、どうしてあなたはロミオなの?』」

「あ、この場面なら俺も見た事がある。この台詞も有名だし」

「ロミオとジュリエットで一番人気のある場面でもある。衣も好きだぞ」

「なんか俺と衣が最初にあった時みたいだな。つかそのまんまだ」

「おおキョータロー。どうしてお前はキョータローなのか」

「知らんがな」

「……そこは乗ってくれないと、寂しい」




そして二人は次の日。つまり出会った翌日の朝、教会で二人と神父だけの結婚式を挙げる。




「展開はええええええええええええ!!」

「うん、まあ、一目惚れならそのくらい普通……なのかな?」

「これが一流の恋愛力ってやつか……凄まじいな」

式を終え、幸せの絶頂にあったロミオ。

しかし……続かないからこそ、絶頂なのだ。

帰り道の途中、ロミオは両家のどちらにも属さないたった一人の親友と、ジュリエットの従兄弟が喧嘩腰になっているのを発見する。


従兄弟は先のパーティの時にロミオを見付け切り捨てようとした激情家であり、その時からロミオを付け狙っていたのだ。

そして親友を餌にしておびき寄せたのだと、そこから口々に罵りロミオを挑発する。

しかしロミオは、その挑発には乗らなかった。


彼は元々品行方正で誠実な人間であり、ジュリエットの事もあって和解を求めようとしたのである。


そんな彼を従兄弟は臆病者と口々に侮辱し、それにロミオの友人として激昂した親友が抜刀。

この時代において、名誉の侮辱は時に命を奪う罪よりも重く扱われる。

ロミオの親友である彼は、友の誇りと名誉のために剣を抜いた。

貴族は誇りを糧に生きていて、それよりも愛を優先しようとするロミオがむしろ異端だったのだ。



「現代人の感覚だとちょいと共感はしかねるな」

「古典とはそーゆーものだ。続けるぞ」



従兄弟と親友は剣を抜き、対峙する。

それを止めようとしたロミオは勇敢にも、無謀にも、果敢にも、愚かにも、二人の間に飛び込んでしまう。

親友は刃を止めた。従兄弟は刃を止めなかった。そして、悲劇は起きる。


従兄弟の刃はロミオの腕を貫き、その切っ先は真っ直ぐに、残酷に、親友の胸へと突き刺さったのだ。


呆然。唖然。信じられないという顔と、歓喜と達成感に満ちた顔が並んでいる。


友人のために奮い立ち、友人に裏切られ、友人のせいで死んだその親友は呻くように怨嗟の声を吐き出す。



何故止めた
そのせいで私は殺された
お前達、お前達の誇る二つの家、共に——くたばって、しまえ



そして、息を引き取った。




「……親友を、死なせたのか」

「ああ。だが、悲劇の引き金はこの後だ」

胸が張り裂けんばかりの親友の死の悲しみ、そこに至るまでの押し潰されそうな自罰的な自責の念。

そして、嘲笑う眼前の憎い敵。


気付けばロミオは親友の剣を手に取り、その刃先を仇の胸に向け、そして———



「愛より、復讐か」

「悩んで決めた訳じゃなく、衝動的なものだと衣は思う。だが、ロミオは選んだ」

「選んだ?」



「選んだんだ。大切な物の中から」

「ジュリエットと結ばれた。宿命と愛。そこで愛を選んだ」

「親友の味方をしなかった。愛と友情。そこで愛を選んだ」

「親友の敵を討った。愛と復讐。そこで復讐を選んだ」

「ロミオとジュリエットは、宿命と選択の物語でもある」

「大切な、価値の比べようもない物の中から……選ばなければならない時が人生に一度は必ずあると、父君が昔言っていた」



そして、ロミオは街から追放される。

愛する人を、その街に残したまま。



「大切なのは、その選択を選んだのが自分自身である事を忘れぬ事」

「その選択の果てにある結末を受け入れる事だと……そう、父君は衣に教えてくれた」



「選択の、結末……」

ロミオが起こした事件を知り、彼が街を追放されたことを知り、ジュリエットは悲嘆に暮れる。

更に追い打ちを掛けるように、彼女にとっての不幸は終わらない。

両親が悲しむ彼女を見て、今更彼女の結婚相手を連れてきたのである。

当然、激しく拒むジュリエット。わけも言わず拒絶する彼女に激怒する両親。

両親はこの縁談を受けなければ勘当する、とまで脅しつけ娘を叱りつけた。

けれども彼女は、事件の話を聞いた今に至っても……ロミオの事を、信じていたのである。



「一途だなぁ」

「キョータローは、一途な娘の方が好きか?」

「そんな人に好かれたら、男冥利に尽きるとは思ってるよ」



神父と乳母の助力も有り、揺らいでいた二人の心は愛という柱を以て持ち直す。

二人はロミオが街を離れる日の前の夜、共に初夜を過ごし——



「……」

「(初夜のくだりでちょっと口ごもる衣は可愛いなぁ)」



愛を確かめ合った二人。

しかし、時は待たない。不幸は足を止めずに押し寄せる。

幸せの内に居たジュリエットに告げられたのは、三日後に行われるという自身の結婚式の報であった。



「めんどくせぇ親だな」

「せめて娘の事を思っての強行だったと衣は信じたい。事実そうなのだろう」

ジュリエットは、無理に結婚させられるくらいなら死を選ぶ覚悟だという。

そんな彼女に何か方法はないかと問われた神父は、一つの危険な賭けを提示する。


42時間の間仮死状態になる薬を飲み、自分を死んだと思わせて霊廟へと埋葬させるのだ。

この時代、この地方であれば当然埋葬方法は火葬ではなく土葬。

42時間後に霊廟に迎えに来たロミオとこっそり街を脱出すれば、ほとぼりが覚めるまで二人で逃げ切ることも十分可能だ。

両家の諍いに頭を悩ます領主へ仲裁を願い出れば、この街に帰ってくることも可能かもしれない。


しかし、何もかもが都合よくとはいえない。

まだ14になったばかりのジュリエットにとって、新鮮な従兄弟の死体を含む死体の安置された霊廟。
むせかえるような死臭のするそんな場所に、一人でずっと居なければならない恐怖。


そして何より、当時の拙い医療技術による薬は死の危険性もあったという問題点。


死の恐怖と向かい合い、愛を支えにして乗り越え、その少女は宿命をここで断ち切らんと———その薬を、飲んだ。



「勇気あるな、箱庭育ちで14歳のお嬢さんが……」

「愛は偉大、の一言でいいと思うぞ」

「かもな」



嘆き悲しむ彼女の家族と、彼女の知人達。
葬儀は滞り無く行われ、彼女の遺体は傷一つない状態で霊廟へと埋葬される運びとなった。

ここまでは計画通り。

ここまでは計画通りだったのだ。

後は神父が使いを出してロミオに計画を伝え、ロミオが彼女を連れて遠くへ逃げるだけ。

それで二人は結ばれ、幸せな未来が来るはずだったのだ。




神父が送った使いが、疫病の疑いで足止めを喰らいロミオの元へ辿りつけていないという事実が存在しなければ。




「……ヤバくね?」

「続けるぞ」

ロミオの元に、神父の使いとは違う者の知らせが届く。

すなわち、ジュリエットが自害した……何の飾り気も裏も感じさせない、そんな無機質な一報を。

ロミオは、絶望した。



ロミオの視点からでは、無理矢理押し付けられた結婚に彼女が反抗し自害したようにしか見えない。

そしてその自害は、明らかに自身への愛を貫くためである。

彼女は最後の最後まで自分を愛し、それを死をもってして示してくれたのだ。

……そんな風に、彼には見えた。見えてしまっていた。



それは嬉しさよりも胸を刺す痛みが勝ってしまっていて、この時点で彼の前にあるのは一つの選択肢のみ。

彼は自身への愛を貫き死を選んだ彼女の意志、彼女のそばに居たいという願い、彼女の居ない世界という絶望。

それら全てを抱え、選択し、歩き出した。

右手に剣、左手に毒薬、胸中に死する覚悟を潜ませて。



「……ああ、だから悲劇なのか」

「この物語に、誰も彼もを救える都合のいいヒーローは居ない」



目指すはジュリエットの眠る霊廟。

立ち塞がる罪のない者まで斬り伏せて、ロミオは愛する伴侶の元へ向かう。

そしてジュリエットの死体を一目見て、その変わらぬ美しさに心残りも消え失せて……



毒を飲み、彼女のそばに寄り添うように倒れ伏した。

ロミオが死に、ほどなくして動くもののなくなった霊廟へと近づく人影があった。

神父である。この街でただ一人、最後までロミオとジュリエットの味方で居続けた者である。

嫌な予感に駆られた彼が辿り着いた時、すでにそこは……手遅れだった。


立ち尽くす神父。そして、悲劇は連鎖する。


『42時間が経った』。立ち尽くす神父、愛するロミオの死体。

幸せな結末を信じて目覚めた彼女が見たのは、そんな光景だった。


ジュリエットは、14という歳の割に聡い少女だ。

絶望と悲哀、同情に満ちた神父の視線。
後悔の欠片も無さそうに安らかに眠るロミオ。

二人の姿から、全ての真実を彼女は知った。



そして、嘆き、悲しみ———絶望した。



彼女は神父の説得も聞かず、かつて宣言した通りに。
ロミオと結ばれる事が叶わぬならそうすると、かつて宣言した通りに。



その手にある短剣を、深く深く……己の胸に、突き刺した。



そして、寄り添うように永遠の眠りにつく二人。

もうこの二人を引き裂けるものはない。

死は二人を分かつ事なく、永遠に切れぬ繋がりをもたらした。



それからいくつかの騒動が有り、全ての真相を知る神父が全てを語り。

両家だけでなく、この街に住まう全ての住民が彼と彼女を引き裂いた悲劇に涙を流し。

その悲しみと愛は、長い間憎みあっていた両家の前に、和解の道を指し示すこととなった。




「これで……終わりだな。細かい部分はけっこう省いた」

「いや、十分だ。ありがとな、衣」

衣「ロミオもジュリエットも、大切な何かの中から一つを選んで生きていた」

衣「この結末は、きっとどこかで選択を間違えたからだと衣は思う」

衣「大切何かの中から一つの物を選ぶのは、難しいことなんだ」

京太郎「……まったくだな」



両脇に手を入れて、衣を膝の上から下ろす。

衣は元いた椅子へ、京太郎は近くにあった壁に背中を預けて寄っかかる。

ロミオとジュリエットの物語、その朗読会はここに終着した。



衣「シェイクスピア曰く」

京太郎「?」

衣「『終わり良ければ全て良し』の一幕」

衣「『天の力でなくてはと思うことを、人がやってのけることもある。運命が司る空の下にはずいぶん自由な余地があるはずだ』」

京太郎「……未来には、変える予知があるもんな」

衣「シェイクスピアには色々ある。思う所はあるだろうが、これで嫌いにならないで欲しい」

京太郎「そんな顔してたか?」

衣「胸糞悪そうな顔をしてた」

京太郎「……悪いな。せっかく話してもらったのにさ」

衣「大丈夫だ。きっとこのシェイクスピアの一言で、キョータローはシェイクスピアが少しだけ好きになる」

京太郎「?」

衣「シェイクスピア曰く、『マクベス』の一幕」


衣「『どんなに長い夜も、必ず明ける』」


京太郎「……おお、なんか良いな。気に入った」

衣「ふっふっふ」

京太郎「まったく。大した司書だな、衣は」

京太郎「今日は助かった、今度メシかなんか奢るな」

衣「ううん、いい演劇見せてもらうってことでチャラだから」

京太郎「……やっぱ、見に来んの?」

衣「勿論。時間の都合が付けば、だけど」

京太郎「笑うなよ! 絶対笑うなよ!」

衣「人を笑わせて笑顔にできるって、誰にでも出来る事じゃない素晴らしい事だと衣は思う!」

京太郎「そういうのは笑顔って言わねえんだよぉぉぉぉぉぉッ!!」



嘲笑は笑顔じゃねえ! という大声の主張。

ロミオとジュリエット、その基本となる話を聞き終え話し終えた二人。

後は帰るだけだ。
衣は一とハギヨシの車で、京太郎は怜と自転車二人乗りで。

しかしながら、まだ帰る時間には幾ばくかある。

怜は竜華とセーラの下に、一は部の書類と部費を整理していてまだ帰るタイミングにはなっていないのだ。

ならば当然、この二人は時間潰し……雑談に興じる事となる。



衣「そういえば、ジュリエット役は誰なんだ?」

京太郎「新子憧ってやつだよ。顔自体は何度か合わせてただろ?」

衣「ああ、あの聡い童子の」



ふ、と言った風体で顎に手をかけて思考している様子の衣。

それはやる人がやればサマになっていたかもしれないが、彼女がしても可愛らしく微笑ましいだけである。


京太郎「……?」


思わず頭を撫でそうになる右手を押さえ、憧の事を思い出しているであろう衣の姿に、京太郎はほんの僅かな疑問を持った。

京太郎「どうした? なんか珍しいな、衣が付き合いのないやつに興味持つなんて」

京太郎「それに、憧ってお前が興味をもつタイプじゃなくね?」

衣「……んー、なんとなく気になった」

京太郎「……『お前ら』の勘はちょっと怖いんだからやめてくれよ」



衣の家族というわけでもなく。
本人に特別な才があるというわけでもなく。
人間を辞めているような、爆発的な何かがあるわけでもなく。

ただ、なんとなく彼女が気になるのだと——衣は言う。


魔物の勘、人の領域から一歩踏み出した彼女達の勘は非常に鋭い。

それが分かっている京太郎は、だからこそ無視できない。



衣「良ければ、聞かせてくれないだろうか。『新子憧』という人物のあらましを」

京太郎「……分かった。つっても、俺と穏乃の両方に聞いた方が良いとは思うけどな」



無視できない上に、勘でしか無いから問いただすことも出来ない。

必然彼に残された道は、自分に出来る何かを成すだけだ。

例えばここで、新子憧について語るとか。



衣「キョータローから見て、どんな子だ?」

京太郎「どんな、って言われてもな……一言で言うなら、誰よりも『頼りになる』ヤツですよ」

衣「……ん? 衣の記憶が確かなら、かの物は何も特異な力持たないはずだが」

衣「それならかの園城寺か、大星を挙げるべきではないか? 強さは、分かりやすい指標じゃないのか」

京太郎「……うーん……別に、強さは関係ないんだよ」


京太郎「憧と俺に、そういうのは関係ないんだ」


京太郎「俺達は対等だから。それだけが、俺がアイツを頼りにしてる理由なんだよ」

京太郎「アイツは、新子憧は『秀才』だ」



京太郎が同年代で優れた頭脳を持つ者を二人挙げるとすれば、それは原村和と新子憧の二人以外ありえない。

入学当時から学年五位以内をずっとキープしている二人は、周囲と比べても隔絶した頭の回転の速さを持つ。

ならば二人は似た者同士なのか?

否。絶対に否である。

少なくとも須賀京太郎なら、そう確信を持って答える。



京太郎「原村和は、『天才』だ」



天才と秀才。

例えば原村和が小学生の時。
掛け算を習いたての頃だったとしよう。

19×19という、小学生に計算力を付けさせるためだけの大きな数字の計算。

それを非効率的だと判断した彼女は、手持ちの掛け算という知識を応用し——


(20-1)(20-1)という計算式を、無意識に組み立てる。

組み立てられる。組み立てられてしまう。
誰にも教わらず、手持ちの知識の組み立て方を変えるだけで更に高度な知へとたどり着いてしまうのである。

これが天才。凡才では絶対に辿りつけない地平に立つ異端の頭脳。


その思考の組立プロセスは常人には到底理解出来ない、そんなはるか高みに存在する突然変異の知性。

だからこそ彼女は、唯一無二の天才なのだ。



対して新子憧は、予習復習を欠かさない。それだけ。

その日に学んだ事を忘れず、次の日に学ぶ事をあらかじめ予習する。

その繰り返し。天性の物など何一つなく、日々の積み重ねで頭脳の優秀さを保ってきたタイプだ。

一を知って全を知る天才には届かなくとも、一を知り百を知る彼女は十分に群を抜いて優秀なのである。



京太郎が彼女を「幼少期から成長した人物」の一人に上げるのも納得だ。

彼女は毎日平凡な事を続けるという非凡な努力を続け、その結果として天才と並び称されているのだ。

その彼女の頑張る姿を、彼はずっと見守ってきた。

誰が褒めなくても、彼は褒めた。

彼が褒めれば、穏乃も褒めた。

だから彼女は、頑張った。



新子憧は特別ではない。けれど、特別な原村和と並び称される。

それは彼女の中にある……いつだってそばに居てくれた二人に、格好悪い所を見せたくないという意地が頑張らせた過去があるからだ。

だから彼女は、秀才である。

京太郎「アイツは頑張って、そうやってバカの反対側の位置に立ったわけだけど」

京太郎「……隣の芝生は、青く見えんのかね」

京太郎「時々、何もかも投げ出してバカみたいな生き方をしたいみたいな事言ってるんだよな」

京太郎「憧にはそういうの無理だろうと思うし、本人も自覚してんだろうけどさ」



新子憧曰く。
穏乃と京太郎は、バカコンビという意味で同類だ。

何も考えずに行動に移す穏乃と、考えた上で本当に考えたのかと問いたくなる選択肢を選ぶ京太郎。

二人の行動は、傍目に見えれば何も考えていない愚か者の行動だ。

だが、その結末が毎度いい方向へ向かって行くからこそ……憧は、その生き方を無視できない。

バカ二人の脇の甘い部分に自分が知恵を貸せば、もっと良い方向へと向かう事が分かっているのだから尚更である。



須賀京太郎曰く。

穏乃と憧が居れば、自分が居なくてもデカい事を成し遂げられるだけの可能性が生まれてくる。

穏乃の良さと憧の良さはそういうものなのだと、彼は語る。



何も考えず、何も面倒な事を考えず、何も計算せずともいい方向へ向かう。

人を疑わず、人を信じ、腹の探り合いなんてしないでひたすら好きになるだけの、そんな人間関係を構築する。

彼女はそんな、『バカ』に憧れる。


それと同じくらい穏乃も京太郎も、頭が良く要領の良い、頼りになる彼女に憧れているというのに。


互いに無いものを持ち、補い合い、時に羨み時に憧れ時に支えあう関係。

三人はずっとそうやってきた。子供の頃から、何年も、何年も。



真っ直ぐでひたむきな穏乃が京太郎の手を引いて、その少し後ろを周りの見える憧が付いて行く。

京太郎からすれば、いつだって後ろにいてくれた頼りになる親友。

自分が道を間違えれば憧が指摘してくれる。



そんな彼女は、間違いなく京太郎にとって『特別な人』の一人に違いない。

京太郎から見た穏乃と憧の関係は、『親友』だ。

互いに理解し、互いに違う部分があり、時にぶつかり時に助け合い壁を乗り越えていく。

友としての究極系の一つだと、彼は思う。



憧から見た京太郎と穏乃の関係は、『バカ』である。本人達は否定するだろうが。

根本的に、この二人は歩いて行く方向が一緒なのだ。だから気が合う。思考が似る。

考え無しの行動でも本質的に間違えないこの二人が、本当に羨ましいと彼女は思う。



ならば、穏乃から見た京太郎と憧の関係は?



答えは、『対等』である。

この二人は、何があろうと対等だ。



京太郎には戦う力がある。
憧にはない。

憧には優秀な頭脳がある。
京太郎にはない。

京太郎には他人を感情で納得させる力がある。
憧にはない。

憧には他人を理屈で納得させられる力がある。
京太郎にはない。



二人は互いに無いものが有り、互いにあるものがある。

けれど、どんな事があっても互いを見下したりはしない。

いつだって相手を認めているし、いつだって相手を信じ頼っている。



京太郎がたとえ全能の力を持ったとしても、憧だけは対等の存在と考えるだろう。

憧がたとえ全知の力を持ったとしても、京太郎だけは対等の存在と考えるだろう。


それはライバルのようで、親友のようで、恋人のようで、理解者のようで。

蔑ろにする事もなく、敬う事もなく、見下す事も見上げる事もなく。

だから、頼りになる。



新子憧が一番頼りにするのは須賀京太郎で、須賀京太郎が一番頼りにするのは新子憧だ。

頼るという行為は、自身の体重をかけること。

ならば頼り頼られる関係性で最も優れた関係性は、『対等』以外にありえない。



互いに背中を預けて体重をかけあった時、微動だにしないのは、完全に対等な相手でしかありえないのだから。

衣「成程」

衣「異能の力も持たず、際立った才もなく、特別な技巧も持たず」

衣「それでもなお、かの娘がキョータローの強い信頼を注がれている事にようやく合点がいった」

京太郎「些細な事だ。そんな事」

京太郎「何が出来る出来ないじゃなくて……頼りになるんだよ、憧は」

京太郎「相談すると、それだけで何とかなりそうな気がしてくるくらいに」



弱い人間に頼りすぎると潰してしまう事を彼は知っている。

強い人間は自分に気を使って体重をかけず、無理してしまう事を彼は知っている。

新子憧は、そんな彼の対等な位置にずっと立ってきた。

その感謝は言葉では語り尽くせない。けれど互いに伝わっている、そんな関係性。

京太郎・穏乃・憧が等間隔の三角友人関係を維持してきた、その最後の要因である。



衣「しかし、それは関係の話だろう?」

京太郎「は?」

衣「対等というのは、どんな分類で対等なんだ?」

衣「親友か、幼馴染か、仲間か、恋人か、ライバルか」

衣「他にも諸々。して、キョータロー。衣の最初の問いは『キョータローから見て、どんな子だ?』だったはずだ」

衣「もう一度繰り返そう。新子憧とは、キョータローから見て、どんな子だ?」

京太郎「……」



少しだけ、京太郎の思考が逡巡する。

考えたこともなかった。距離が近すぎたからか、そういう分類すら必要ないほどの理解が互いにあった故か。

対等であっても、その関係性が分類されていなかった事に今更ながら気付く。

相棒と断じれる人がいる。親友と断じれる人がいる。家族と断じれる人がいる。

しかし、新子憧はどうだろうか?

そう考えると、答えが出ない。

思考がまとまる前に、ならば憧にとっての自分は? などという無体な思考が出てきてしまうという始末。



京太郎「……憧、か」



分かった事は一つだけ。

須賀京太郎は、今この瞬間、天江衣のその問いに答えることが出来ない。

そんな情けない、一つの結論のみだった。




京太郎「お前は、俺の……何なんだろうな。分かんねえや」

ちょっと執筆ペースダウンと時間が厳しくなって来ましたのでここまで。ロミジュリのせいで前編終わらんかったあわわ

お疲れ様でしたー。あんまり探索の時にあこちゃん選んでなかったので、ちょいと面倒くさい関係に

ロミジュリは本番の劇も基本こんな流れになるそうです



レス返し等は明日。憧回なのにまだ穏乃がでないってどういうことやねん

深夜まで引っ張ってすみません。おやすみなさいませー

????「拙者の直接攻撃が炸裂するわけですな!ニサシ殿には負けませんぞ!」

六武衆…
仮面ライダーがソリティアで戦うのか

モンケッソクカゲキカゲムシャシエンシハンキザンキザンエクスカリバーマガタマケイコクセンコクセット

ペルソナ5は出るんだろうか

ところで作戦会議で私にいい考えがあると言ってその案を取り入れた結果大体の確率で失敗するのもある意味都市伝説に入りますか

そろそろ和風のライダーがいいと思ってた俺には朗報だわ

ウィザードもスタイリッシュで好きだし映画も楽しみだけど

こんばん若葉マーク付けている車より付けていない車のほうが運転危なっかしいのを時々見かけます

携帯見ながら自転車運転は危なっかしいよ学生達

今夜も21:30からスタートですよー



>>624
帰ってくだされヤリザ殿

>>625
スペードテェーンジャッククィーンキングエースロイヤルストレートフラァーッシュ
とかいうソリティア

>>627
やめて!
ツァン・ディレちゃんでもなければ許されざるよ

>>628
4がバカ売れでしたからねぇ

>>630
事実は都市伝説じゃないから・・・(震え声)
それに爆発する司令官以外のキャラのいい考えがある→フェードアウト→作戦実行は成功フラグな気も

>>634
将軍「だな」



http://www.nintendo.co.jp/wiiu/software/monolithsoft.html

http://www.youtube.com/watch?v=e5m4iqcl-xw

これは期待してもいいんですよね!?

自分過去作探られないよう新しい場所で書き始める度に文体のクセいじってるんですよ
なんだか最近スマブラ開始時にいじってた文体が元に戻りつつあるという危惧
これは結構アカン予感


あらっしのーなっかっでかがやくーそのーゆーめーをーあきらめないっでー
きずついったあなたのせなーかのてんしのーはねーそーっとだいてー
だいてあげーたーいー




                     ---------ミ
                 . : ´: : : : : : : : : : : : : `ヽ、
                   /: : : : : : : : : : : : : : : \ : : : \
             / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \: : : :\

                /: : :/: : : : :.:| : : : : : :|: : : : : : : : :ヽ : : 〈_トミ
            /: : : i : : : : : :|: : : : : : |ヽ: :|: : |、: l: ∨: /:|ヽ、`ヽ
           _.′: : :l: : : |: : ∧: : : :.:.|||',__|_|: i|: :|/: ′:'.\: \
          / i: : : : :l: : :_レ┼‐、: : : :ТТ「:i|l: l|: :|: : /: |: :i  ヽ : ヽ
.          / /^|: : :| : l/: |\|  \: :| |/x|/=ミl|: :|/: : |: :|  ‘, : :‘,
         / /  |: i: | :!\lx==ミ   \|  ノ::::ハ 》: :レヘ: :.:|: :|   i: : : :',
.       /:.,′ |八:l\ト、《 ノ::::ハ       乂_ン |:.:|  }:.:.l : |   |: : : : ',
       /: :′   |: | : : ∧  乂_ン  ,   ::::::::::: |:.:l /.: :| : |   |: : : : :i
.      /: :    |:|: : 人 ′::::::::::           |:.:|ィ: : :.:| :|   |: : : : :|
      ′: |     l: :|: : : : ゙ト',               /|: ′ : : l: : |   |: : : : :|
     i: : : |     |: :| : : : : |个 .     (_ )   /:.:|/: : __: :|: : |    |: : : : :|
     |: : : |     / 八: : : :!l : :>-      イ : : : :|:/_ヽ_l    |: : : : :|
     l: : :|  /: : : : >、 : \ : : : : /|   ̄   ト、.: : :|{:::{ r‐く_/>┐|: : : : :|
     |: : : l   /: : : : / ヽ: : : :マニ‐/ \     l ∧___l乂>-、  ̄⊂V: : : : /
     |: : :! /: : : : /   ∧ : : ヽ, |   .>┐ /へ 寸: :`:Tヽ\    ヽ: :.:/
     |: : : :∨: : : : :|   /∧:.: :∧|_/ i ∨ // >',: : : :| `ト \____ノ: /
     |i\: : \: : : :|   \ ∧: : :∧ ゝ—-ミ∨/ ̄ ̄|: : :! 「{   「、/
     |   \_ノ/|   \∧: : :!:i |  —‐()、—  八: :|ノ./\__,レ|
      /: : : : : /: : |       ∧ : i | |   / || \ / ∨|  / / / 〈
.     /: : : : : /: : : l       / |: : / ーく__.八__「    ∨      }
    /: : : : : /: : : :!    | ノ/      ∨      ′    ∧

    .′: : :/|: : : : :‘      |            ‘,         i     / : ′
.   i: : : :/  |: : : : : ハ     人         Θ}        八   /: : : :i
.   |: : :/  八 : : : 〈        ヽ        /       /    ,イ: : : : :|



投下はっじめーるよー

よし来た

なんだっけこの歌詞、思い出せない

 


・現代語

【憧(あこが)れる】

意味:理想とするものに強く惹かれる、〜に気を揉む



・古語

【憧(あくが)れる】

意味:在るべき場所を離れて彷徨う、何かに心を奪われうわの空になる
   恋に思い焦がれる、誰かと心が離れて疎遠になる


【憧(あくが)らす】

意味:落ち着きを無くす、居場所を探し求める


 

なんか微妙に歌詞違う気がするが

高鴨穏乃は落ち着かない気分であった。

彼女には難しいことは分からぬ。彼女はちょっとおバカである。

しかし長年付き合ってきた友人達の様子には、人一倍敏感であった。



穏乃「(……なんかあったんだろうなー。こんなに長引くのは珍しいけど)」



少し前から、京太郎と憧の距離感がおかしい。

そう、穏乃の視点から見える。

英語の時間にオールマイティの日本語訳を「全部私のお茶!」と叫ぶような彼女ではあるが、それは頭の回転が遅いというわけではない。

『考える事は頭の良い奴に任せたほうが効率がいい』と腹を括っているが故である。


それを可能とする勇気はまさに勇者と評しても遜色ないものではあるが……ここは、一旦置いておく。



重要なのは、彼女は人と人の間、それも親しい者の間に流れる空気の変化を見逃すほど無能ではないということ。

そして問題なのは、気心知れた彼女の二人の親友。

その二人が……なんとなくだが、互いに距離を測りかねている気がしたからだ。



穏乃「(……んー? 京太郎が距離に戸惑ってる? 違うかな)」

穏乃「(憧が距離取ってる? で、京太郎が距離を詰めかねてる? 京太郎がなんかやらかしたかなこれー)」

穏乃「(割といつもの事なんだけど、最後はもう何年も前だから結構久しぶり? だから長引いてるのかな?)」

無論、赤の他人に発覚するほど大きな変化ではない。

むしろ一度周囲の人間に聞いてみれば、「いつも通り仲のいい二人だ」と断言されるだろう。

理性的に会話を処理できる憧と、彼女に話を合わせられる京太郎ではそういった問題は表面化しにくい。

よってこの事実には、京太郎の相棒たる園城寺怜すら気付いていない。



穏乃「(私、どうしよっかな? いつもならほっとくのが一番だけど)」



けれど、高鴨穏乃の視点からならば。一目瞭然と言っていいほどに、二人の仲はギクシャクしている。

たいていどちらかに問題があって、けれど片方だけに責任があるわけでもなくて、結局程々に冷めた所で仲直り。

何年も、何回も繰り返してきたやり取りだ。

高鴨穏乃からすれば、これもよく見慣れた光景の一つでしか無い。



穏乃「(……んー)」



懸念があるとすれば、それがわりかし長続きしていることだろうか。

京太郎の感情論によく流される憧ではあるが、理詰めの話し合いで京太郎が憧に勝った事は一度もない。

それはずっと二人を見てきた誰よりも確かな証人として、高鴨穏乃が天地に誓って証明できる。

なので常に冷静に、理を持って話し合おうとする限り、憧が誤魔化せば和解の機会は消え去ってしまうのだ。

ましてや二人はかつての子供の頃の二人ではない。

感情的な話の割合は減り、理詰めの話の割合が増えてきている近年では憧の論破率は上昇傾向という事実。

ここ数年、二人が大きな喧嘩をしていないというのもその証拠の一つである。



穏乃「(あー、でも)」



なので、どうしたものかと思考する。

思考すること数秒。

高鴨穏乃は、当然のようにその思考を放棄した。



穏乃「やっぱ私は、考えるより先に突撃だよね!」



思考の意味も意義もなく、彼女にとって余分なものはバッサリと切り捨てて。

風の子の面目躍如とでも言うかのように、穏乃は一人佇む憧の下へと突っ込んでいった。

穏乃「ってーわけでなんかあったんでしょ?」

憧「相変わらずアンタは踏み込みに躊躇いがないわね……」



フミコミザンのようなナギッのような、例えに何かを挙げるのも面倒なほどに彼女の踏み込みには躊躇いがない。

躊躇も恐れもないそれはまさしく考えなしではあるが、直球勝負の言動は慣れているはずの憧ですら多少ぐらつくほどである。

常にこれでは無遠慮とみなされ嫌われる原因となってもおかしくはないが、不思議とそういう話は耳に入らない。

彼女自身の無邪気な性情がその原因であるのかもしれないが、確かめるすべはないだろう。



憧「秋田神拳、岩手聖拳、山形皇拳、宮城琉拳」

穏乃「北東の県!」

憧「ノリは正常ね。頭打ったとかじゃない、と」

穏乃「あれ? 乗っておいてなんだけどなに今の確認」



その思い切りの良さに、優秀な知慧が備わっていれば……あるいはここで、憧の本音を残らず引き出せたかもしれない。



憧「……ま、そういうわけで。なんでもないのよ」

穏乃「……そーなの?」

憧「そーなの」



が、しかし。

真っ向から舌戦を繰り広げたとしても、穏乃が京太郎以上に善戦できる道理はない。

よって案の定、丸め込まれてしまったのであった。



憧「ま、こっちはこっちで何とかするから大丈夫よ。心配しないで」

穏乃「……分かった、憧がそう言うなら」




憧「んでさ、話は変わるんだけど」

穏乃「?」

憧「前にした話だけど、もう一回聞こうと思って」



一瞬の間。息を吸う音。逸れた視線。

なんとなく、穏乃は憧が緊張しているようなそうでないような……そんな風に、見えた。




憧「穏乃はさ、怜をどう思う?」

穏乃「怜? なんでまた……うーん……?」



しばらく前まで、よく穏乃は三人でつるむ事が多かった。

穏乃、憧、京太郎の三人である。

小学校でも中学校でも、三人の通う学校やクラスが違っても、それは変わらない。


しかし今、よくつるむ組み合わせは『四人』である。

穏乃、憧、京太郎、そして高校進学と共に知り合った『園城寺怜』を加えた四人。

最後に入ってきた怜が浮くかもしれないと思いきや、彼女は一週間も立たずにこの三人の中に混じっていた。

まるで最初からそこに居たかのように、まるで数年越しの友人のように。



穏乃「前に聞かれた時は……えっと、私はどう話したらいいか分かんないって言ったんだっけ?」

憧「そうね、それで間違いないわ」

穏乃「正直ダブってる先輩とよくもまああんなに気楽に話せるもんだと思ったよ、当時の京太郎には」



留年した先輩、と聞いて少し身構えていた穏乃は素直に敬意を口にする。

よっぽどバカか、よっぽどの不良か、よっぽどの問題児か。

その三択しか留年した人種には居ないと、そんな偏見があったのは否定しない。

そんな彼女が怜と偏見を乗り越えて仲良くなれたのは、ひとえに京太郎の存在があったからだろう。



穏乃「なんかすっごく仲良さそうに話しててさー、私達の知らない奴と」

穏乃「それが少しだけ悔しかったような、妬けたような……そんな第一印象だったかな」

憧「何言ってんの、アンタ私より仲良くなるの早かったじゃない」

穏乃「あはは、『怜さん』とか呼んでたのも今は昔だねー」

穏乃「私達に出来ないような相談とか出来る相手が出来て、京太郎も助かったんじゃない?」

憧「……そう、ね」



穏乃は無邪気だ。憧は内心の読めない表情、そして髪をかきあげる仕草。

……? なんだろうか、と。穏乃はそこに疑問を覚えた。

なんとなく、なんとなくだが……憧がそれを、喜んでいないように見えたからだ。



憧「……しずはなんか、悔しくない?」



もっともその思考は、続く憧の言葉に断ち切られてしまったのだが。


穏乃「? なんで?」



憧「……。今更だけどさ、付き合い長い私達より怜の方を優先したりするアイツを見るとさ、何か色々思う所があるのよ」

憧「距離で言えば、今はアイツに怜が一番近いじゃない?」

憧「アイツがあんなに心の距離詰めてるの、照さんが居なくなって以来だったから」



ぽつりぽつり、という表現が合う話し方。

京太郎には話せない。けれど穏乃だからこそ話せる事もある。

逆もまた然り……だが、遠慮なく弱さを見せられるほどの同性の親友は、新子憧には高鴨穏乃しか存在しない。



憧「なんだか、積み重ねてきた私達の時間の価値とかが貶められてるみたいでさ」

憧「私達より頼りになるやつを見つけたから私達はもういいのかとか、私達はそんなに頼りないか……とかさ」

憧「いつも近くに居たアイツが、急にどっか遠くに行ってしまうみたいな気がして」



椅子ではなく机に座り足を振り子のように揺らす穏乃と違い、憧の様子は対照的だ。

束ねられた教室のカーテンをぎゅっ、と抱きしめるようにその表情を隠している。

いつも気丈な彼女にしては珍しい、滅多に見せない彼女の『弱さ』。

頼りなさげな弱々しいその姿は、彼女が『彼』に特に見せたくないと思っているものだ。

憧「そんな事、あるわけ無いって分かってるんだけどね……『理屈』では」

憧「こういう時、本当にアンタ達が羨ま……」

憧「……」

憧「……ゴメン、忘れて。今のナシ。無かった事にして」

穏乃「どっからどこまで?」

憧「私が弱音を吐き始めたとこから」

穏乃「おっけー」



いつもの事、いつもの事だ。

打開案を聞きに来る穏乃や京太郎とは違い、憧の『相談』は自分の中で問題を整理するためのもの。

誰かに向かって言葉にすることで、自分の中でいったん結論を出す。

それを手助けするために、ただ聞き手に徹しようとするだけの憧への友情くらい、当然穏乃は抱いている。

穏乃が言葉を紡ぐ役目を果たすのは、憧がいくらか冷静さを取り戻した後だった。



穏乃「ま、私達は『園城寺怜』にはなれないし、逆もそうなんだからさ」

穏乃「私は怜より早く走れるし、格ゲーも基本私の方が強い!」

穏乃「いいんじゃない? 『そんな感じ』でさ」


憧「……あー、もう。アンタ達二人は、ホントにもう」

憧「特になんか考えてるわけじゃないのに、本質に刺さる言葉を吐くんだから、もう」

憧「私の方が、バカみたいじゃない!」


穏乃「私よりバカって憧はもーダメダメだねー」

憧「うっさい!」



何もなければ、いつもの光景。

京太郎と憧が穏乃の助力で仲直り、それで今まで通りの日々が戻ってくるはずだ。

これで明日から、なんでもない日常が戻ってくるはずだ。

そんな風に思う事は間違っていない。

間違ってはいない。



……何も、なければ。

原作で晩成に行った友人って出たっけ?

もしも穏乃が、突然半年以上前の話題をなぜ今更突然憧が蒸し返してきたか、そこに違和感を持てていれば。

もしも穏乃が、憧より先に京太郎に話を聞いていれば。

もしも穏乃が、憧が見せた過剰な弱さを数年のブランクがあったとはいえ奇妙に感じていたら。

もしも穏乃が、所々憧に感じていた違和感とその直感に身を委ねられるほどに子供であったら。



穏乃「じゃさ、これから買い物手伝ってよ」

憧「良いけど何買うの? 今から遠出は嫌よ」

穏乃「憧はもう準備してるんだろうけどさー! 私まだ湯煎の準備もできてないんだよっ!」

憧「……あー、成程。ってもう数日もないじゃない! まさか忘れてたの!?」

穏乃「てへっ」



もしも穏乃が、ここで『何か』を変えていたら。



憧「(……そう)」

憧「(バカだったのは、私)」

憧「(あんな問いを京太郎に突き付けた、私の方がバカだった)」

憧「(……『憧れ』、か)」



この後に続く悪夢の物語の物語の結末は、また違ったものになっていたかもしれない。



憧「(相棒と対等って、似てるから。だから穏乃と私が感じてた気持ちは、違う)」

憧「(晒されてる自分の居場所の危機感が、決定的に)」

憧「(……本人の性格で受け止め方が違うってのが、一番大きいんだろうけどね)」



窓の外、この街に夜はまだ降りてきてない。



憧「(聞くべきじゃなかった)」



されどその心には、確かに悪夢が巣食っている。



憧「(ああ、なんで、こんなにも、私———)」

京太郎「あ、バレンタインとかすっかり忘れてたわ……」

怜「相棒、誰かに殴られても知らんで」



京太郎は憧と話し、衣と別れた後、怜を自転車の荷台に乗せて走りだした。

その途中でコンビニによって欲しい、と怜に頼まれ少し回り道。

特になにか買いたいものがあったわけではないが、怜が買い物をする際のカゴを自然と受け持つ。

そのラインナップのチョコ、チョコ、チョコ、チョコの山。

ここまでくれば猿でも気付く、というわけだ。



怜「相棒にも作ったるチョコの材料なんやから、しっかり持ち」

京太郎「バレンタインのチョコ送る相手にチョコ持たせるとか、何か違う気がする!」



二月半ば。

演劇が終われば女子の女子による女子のための男子が期待するイベント、『バレンタインデー』だ。

浮かれた男子と夢見る乙女が、たった一日の間途方もなくバカになってしまう聖人の祭日である。

チョコレート会社の陰謀とか言ってはいけない。

そういうロマンのない発想は都市伝説にはNGである。



京太郎「こんなにあげる相手がいるのか? 男に?」

怜「女の子はこういう日にチョコ交換したりするんや。覚えとき」

京太郎「へー……そういや、去年そんな光景見た気がするな」

怜「ほな明日、また会おう、マヌケ面ぁ」

京太郎「ポルナレフポジのコメディリリーフはさすがに嫌だぞオイ。ポルポル嫌いじゃないが」



そんな怜を自宅まで送り届け、彼は再び自転車にまたがる。

自転車のヘッドが向かうのは彼の自宅の方向ではなく、むしろ逆方向。

既に日は沈み始め、都市伝説の時間は始まろうとしていた。



京太郎「(……ターゲットは分かりきっている)」

京太郎「(後は俺がどこまでやれるか、だ)」



当然夜の街を彼が駆けるのであれば、その理由は都市伝説に他ならない。

この依頼は夢乃マホ……彼の知人である後輩からの依頼である。

どうにも詳細をぼかした話が気になったが、嘘にも見えなかったので承諾。

彼女が『その都市伝説』に会った場所へと、自転車で急行している最中というわけだ。



京太郎「あの子なんか俺に隠してるよな……まあ、今はいいか」

京太郎「到着したら携帯用意して、いつでも腕輪から格納できるように四人に呼びかけて」

京太郎「……ギャンブルだよなぁ」

京太郎「あの都市伝説が電話かける対象って、完全にランダムだし囮になんのかコレ……?」



囮作戦が有効だからそうしたわけではない。

囮作戦しかないから、そうするしかなかったのだ。

かの都市伝説を釣る方法などない以上、現状リスクを背負って運に身を任せる以外の方法はない。

京太郎「……」

京太郎「……ふぅ」



マホがその都市伝説に遭遇したという道を歩きながら、思考に耽る。

警戒心はそのまま、油断は微塵もない。

二つの事柄と思考に裂かれた脳内の片方は、先日の出来事を思い出させる。



———答えてよ



京太郎「憧……」

京太郎「お前、本当は何が聞きたかったんだ……?」

京太郎「それとも、あれが本当に聞きたかった事なのか……?」

京太郎「……」

京太郎「悩んで、どうにかなるもんでもないか」



気を引き締め、思考の全てを警戒に。

さて全力で囮になりつつ、ここに現れた時の痕跡を……と、彼が身構えた瞬間。



京太郎の携帯電話が、鳴った。



京太郎「——————」

京太郎「ノリ良いな、お前」

京太郎「もし『お前』が人間だったら、俺の好きなタイプかもしれない」



そう一言つぶやいて、文字化けしている表示番号のそばのボタンを押し。


その電話に、出た。

【須賀京太郎】

HP:540

ATK:35
DEF:35

・保有技能

『比翼の鳥』
人一人にして人に非ず。翼片翼にて翼に非ず。
人物を指定し、己の中に格納する能力。
格納した人物に応じた能力と補正を得る。

『TTT(光)』
The Templehero T。
寺生まれのTさん。この世のありとあらゆる理不尽の天敵。
絶望を絶つ者。どこかの誰かの希望の具現。
心を照らし、絆を紡ぎ、希望を繋ぐ者。
ヒーローシフト中、MAXHPを100減少させる事で以下の能力を使用可能。
・戦闘中、指定した技能を【封印】する。
・都市伝説による効果を指定。指定した効果を無効化する。
・自分のMAXHPの数値分、指定した人物のHPを回復する。

〈装備〉
E:『真・ルーベライズ』
効果:死亡・ゲームオーバーを無効にし、所有者をHP1で復活させる。

E:『腕輪:Next』【防具】
ATK補正+15
DEF補正+15

・『真・オモイヤリ』【聖遺物】
ATK補正+30
DEF補正+30
ヒーローシフト中、行動判定で勝利する事で何かしらの「奇跡」を行使する。
・『シュクジュ』【盾】
ATK補正+5
DEF補正+20
・『カタキウチ 』【遠隔武装】
ATK補正+25
・『フクツ』【靴】
自身の判定値を+5する。
・『ハリコノトラ』【針】
自身のATKを0に減少させ、その減少させた分の数値をDEFに加える。
・『ヒトノワ』【遠隔武装】
効果発動宣言ターン、自身のHPを1まで減少させ減少させた分の数値をATKに加える。

〈アイテム〉
・秘薬『烈火の姫君』
効果:HPを150回復
・投網『スパイディ』
効果:使用した次のターン、相手の出す手が分かる

【フォームシフト対象者】


【園城寺怜】

ATK補正+30
DEF補正+30

・保有技能

『未来余地』Ver.2
少し先の未来、時々遠い未来を認識する能力。
どんな未来でも、変えられる。
自身の判定値に+10する。
判定コンマで相手を上回った次のターン、相手の選ぶ選択肢を知る事が出来る。
奇襲・罠・不意打ちに類するものを無効化する。

『D&T』
「未来余地」の派生技巧。
命を削り、未来を識るくだんの本懐。
能力の使用を宣言する事で、それぞれの効果が適用される。
ダブル:MAXHPの1/4を消費して発動。戦闘終了・フォームシフト実行まで、自身の判定値を+10する。
トリプル:MAXHPの1/2を消費して発動。戦闘中、相手の選択した行動が常に表示される。

・適正武器
全て



【高鴨穏乃】

HP補正+200
ATK補正+10
DEF補正+10

・保有技能

『B2A(いともたやすく走り去るえげつないババア)』Spec.2<<高速機動>>
凡百の存在には至れない高速の世界。
何よりも速く、誰よりも疾く。
自身の判定値に+10する。
<<高速機動>>に属する技能を持たない者との戦闘時、自身の判定値に+10する。

『不倒不屈』Spec.2
決して諦めない姿勢が奇跡を起こす、彼女の精神性。
HPが0になった時、HP1で耐える事が出来る。
一戦闘につき二回まで。

・適性武器
【長物】【靴】

【国広一】

ATK補正+40
DEF補正+80

・保有技能

『メスメリック・マジシャン』Act.2
魔法も科学も技術も奇術も奇跡も、全て突き詰めれば同一の物となる。
技術の先の笑顔の魔法。奇術の先に紡ぐ魔法。
戦闘ダメージ以外で自身のステータスが変化した時、それを任意で無効化できる。
50以下のダメージを無効化する。
1000以上のダメージを無効化する。
ダメージ計算時、自身のDEFを二倍にする。


・適正武器
【盾】【針】


【鶴田姫子】

ATK補正+60

・保有技能
『発砲美人』Type.2<<遠隔攻撃>>
矢射(やさ)す優しさ、撃つ美しさ。
千発千中、一撃確殺。的確的射的中の業。
自身の判定値を+5する。
<<遠隔攻撃>>を持たない敵の判定値を-15する。
自身の判定値がゾロ目であった場合、自身の攻撃サイドを確定させる。

『リザベーション・バースト』
「発砲美人」の派生技能。
仲間の意思を継ぐ力。先行ダメージの余剰エネルギーを鎖状の拘束具として具現させ、炸裂させる。
能力発動ターン、攻撃サイド確定時のダメージにその戦闘中に与えた全てのダメージを加算する。
一戦闘一回のみ。


・適性武器
【遠隔武装】

【最終ステータス】

【須賀京太郎/Nexus】

HP:1110

ATK:264
DEF:244


・保有技能

『比翼の鳥』
人一人にして人に非ず。翼片翼にて翼に非ず。
人物を指定し、己の中に格納する能力。
格納した人物に応じた能力と補正を得る。

『????』
????

『未来余地』Ver.2
少し先の未来、時々遠い未来を認識する能力。
どんな未来でも、変えられる。
自身の判定値に+10する。
判定コンマで相手を上回った次のターン、相手の選ぶ選択肢を知る事が出来る。
奇襲・罠・不意打ちに類するものを無効化する。

『ダブル&トリプル』
「未来余地」の派生技巧。
命を削り、未来を識るくだんの本懐。
能力の使用を宣言する事で、それぞれの効果が適用される。
ダブル:MAXHPの1/4を消費して発動。戦闘終了・フォームシフト実行まで、自身の判定値を+10する。
トリプル:MAXHPの1/2を消費して発動。戦闘中、相手の選択した行動が常に表示される。

『B2A(いともたやすく走り去るえげつないババア)』Spec.2<<高速機動>>
凡百の存在には至れない高速の世界。
何よりも速く、誰よりも疾く。
自身の判定値に+10する。
<<高速機動>>に属する技能を持たない者との戦闘時、自身の判定値に+10する。

『不倒不屈』Spec.2
決して諦めない姿勢が奇跡を起こす、彼女の精神性。
HPが0になった時、HP1で耐える事が出来る。
一戦闘につき二回まで。

『メスメリック・マジシャン』Act.2
魔法も科学も技術も奇術も奇跡も、全て突き詰めれば同一の物となる。
技術の先の笑顔の魔法。奇術の先に紡ぐ魔法。
戦闘ダメージ以外で自身のステータスが変化した時、それを任意で無効化できる。
50以下のダメージを無効化する。
1000以上のダメージを無効化する。
ダメージ計算時、自身のDEFを二倍にする。

『発砲美人』Type.2<<遠隔攻撃>>
矢射(やさ)す優しさ、撃つ美しさ。
千発千中、一撃確殺。的確的射的中の業。
自身の判定値を+5する。
<<遠隔攻撃>>を持たない敵の判定値を-15する。
自身の判定値がゾロ目であった場合、自身の攻撃サイドを確定させる。

『リザベーション・バースト』
「発砲美人」の派生技能。
仲間の意思を継ぐ力。先行ダメージの余剰エネルギーを鎖状の拘束具として具現させ、炸裂させる。
能力発動ターン、攻撃サイド確定時のダメージにその戦闘中に与えた全てのダメージを加算する。
一戦闘一回のみ。


<装備>
E:『真・ルーベライズ』
効果:死亡・ゲームオーバーを無効にし、所有者をHP1で復活させる。

E:『腕輪:Next』【防具】
ATK補正+15 DEF補正+15

〈アイテム〉
・秘薬『烈火の姫君』
効果:HPを150回復

投網『スパイディ』
効果:使用した次のターン、相手の出す手が分かる

【情報ピース『夢乃マホの話』が発動】

【ステータスが一部開示します】

【???】

HP:250

ATK:333
DEF:0


・保有技能

『悪鴉』<<高速機動>>
????

『対抗神話耐性』
何者かによって付加されている、この都市伝説のものではない特性。
後付けの悪夢。希望の天敵の産物。塗りたくられ重ねられた穢れ。
【対抗神話】属性を持つ者に倒された時、一度のみHPを全回復し復活する。

一旦中断します。再開は00:00


【フォームシフト指定】


【対象者】


【園城寺怜】【高鴨穏乃】【国広一】【鶴田姫子】【ヒーローシフト】


【戦闘開始時、格納する人物・展開するシフトを選択して下さい】



>>680

シズ

では再開

>>688
正直、トリプルとかが効かない可能性もあるぞ

>>691
そんなん言い出したら何もできなくね
って思ったけど士栗ちゃんが予知は効かないとか言ってたんだっけ……どうすっか

油断はなかった。

電話を耳に当てる直前に穏乃を格納。

バランスの良い穏乃なら、どんな状況にも対応できる。

そう思って格納し、電話を取った。



最初は遠く、徐々に近づいてくるものだと思っていた。

何度も電話をかける特性から、すぐに決戦にはならないと。

そう思っていた。その隙を突かれた。



『私メリーさん。今貴方の後ろにいるの』



完全に頭脳で上を行かれた上で、



京太郎「ガッ———!?」

穏乃『京太郎!?』



意識を刈り取りかねない、その一撃が彼のうなじに叩きこまれた。



【奇襲:ATK×2-DEF=606ダメージ!】

残りHP:134



京太郎「っ、どっから!?」

穏乃『ゴメン、さっきの一瞬後ろに居たのは分かってるけど見失った!』



まるで電波というカタチで世界に広がる、電子の網に溶け込んだように。

背後に忍び寄る、その都市伝説。


開幕から、彼らは不利な戦いを余儀なくされていた。




京太郎の行動を選択して下さい
・攻撃、必殺、防御
・装備変更
・アイテム使用
・フォームシフト
・ネクサスシフト
>>695


???判定
>>697

やべ怜正解だったか

シズ フクツ 防御

【#攻撃メリーさん】


防御VS攻撃


6+7+10+5+6=34

4+7+20=31


京太郎&穏乃の攻撃サイド確定!

『悪鴉』、発動!

攻撃サイド反転、???の攻撃サイド確定!


333×2-60=606ダメージ!


『不倒不屈』発動!

京太郎&穏乃残りHP:1


『不倒不屈』残り回数一回

『悪鴉』残り回数二回

攻撃サイド反転技か?
あと二回残ってんのかめんどくせー!

あ、計算間違ってました


333×2+123-60=729ダメージ!


でした。修正お願いします

これ戦闘終了条件がダメージを与えるとかだったらやばいな
最低あと二回は攻撃耐えないといけないのに行動パターンがわからん

読み切れない。

確かに『自分の背後』に居るのは分かる。

気配も時折感じる。


しかし、その上で———眼で、追い切れない。


残像の影を掴むのがせいぜいで、到底追いつける気がしない。


それほどまでに、その少女は圧倒的に疾かった。

捉えたと思っても、その攻撃はあざ笑うかのように霞となって避けられる。



京太郎「短時間連続瞬間移動の能力、かと思ってたが……」

穏乃『違うの?』

京太郎「これは違う。瞬間移動なら、移動速度にムラがありすぎだ」



走って走って走り続け、背後の空間・少年の絶対的死角を絶えず動かし、そこに回りこまれないようにする。

しかし、それにも限界はある。

ガツン、と方向転換のため減速した京太郎の脳天に刺さるかかと落とし。

渾身の一撃。

だが、耐える。



京太郎「いっつぅっ! クソッ、めんどくせぇ!!」

穏乃『やけになんな! しぶとく粘れ!』

京太郎「言われなくったって!」



その能力の正体を見極めなければ、しのぐ事も勝つ事も出来ない。



京太郎「(見極めてやる)」



あと大きいのを何発も貰う覚悟を決め、少年は視線を走らせた。




京太郎の行動を選択して下さい
・攻撃、必殺、防御
・装備変更
・アイテム使用
・フォームシフト
・ネクサスシフト
>>715


???判定
>>717

ネクサス 攻撃

ネクサス 攻撃

はー

あ、トリプル入れた方が良かったか

【#マリー攻撃】


攻撃VS攻撃

ネクサスシフト発動!
HP全回復!


4+9+35=48

9+7+20=36


京太郎ネクサスの攻撃サイド確定!

『悪鴉』、発動!

攻撃サイド反転、???の攻撃サイド確定!


333×2+540-244=962ダメージ!


『不倒不屈』発動!

ネクサス解除!

京太郎&穏乃残りHP:740


『不倒不屈』残り回数一回

『悪鴉』残り回数一回

これこっちの攻撃翌力吸収して跳ね返してるっぽいね

京太郎「ネク———サスッ!!」


四人同時格納。

四人同時のスキル発動が、一人一人では導き出せなかったであろう答えへと歩みを進めていく。

鎖が広範囲に展開され、視覚が広がり、それぞれの短時間未来を同時に俯瞰し。

高速で移動しつつ、たまにある奇襲を装甲で弾き、観測する余裕を確保する。

五人の総力が、そこに込められていた。



姫子『あ、さっきそこにおったんに!』

怜『きっつ! どこにおんねん、いったい』

一『一撃、一撃が、重い……!!』

穏乃『京太郎、制限時間!』

京太郎「分かってる。もう種は割れた」



背後からの一撃を、ぎりぎり跳躍してかわす。

対応できるかどうかは別として、能力の正体は割れた。



京太郎「俺の背後から離脱するか、俺の背後に回りこむか」

京太郎「このどちらかでしか発動できない、『移動時間短縮能力』」

京太郎「……鎖の広範囲展開とアスファルトの上の砂が無ければ気づけなかったな」

京太郎「とんでもねえ……お前、移動自体はただ走って移動しただけで」



京太郎「自分に流れる『時間を圧縮』して、結果的に瞬間移動してたのか」



結論としてその答えは正しいのか、間違っているのか。

返答は、相も変わらず姿すら見えない敵からの……背後からの、必殺の一撃だった。




京太郎の行動を選択して下さい
・攻撃、必殺、防御
・装備変更
・アイテム使用
・フォームシフト
・ネクサスシフト
>>731


???判定
>>733

シズ フクツ 防御

攻撃

なに、相手はタイムアルター・スクウェアアクセルでも使ってるの?

瞬間移動ならまだいい。

移動前と移動後の視界の差を利用して、奇襲する手はいくらでもあった。

高速移動ならまだいい。

移動中の周囲認識、相手のスピードを利用したカウンターなどいくらでも思いついた。

だが。

だが、『時間圧縮』までは想定していない。

対策も、対応策も練ってはいない。


そも時間の流れが違うのならこちらの小細工は全てお見通しであり、奇襲も奇策も尽く潰されてしまうことは確定だろう。



京太郎「……」



しかし、勝機がないわけではない。

能力は極めて強力だが、完全に勝機を潰されるほどに絶望的な差でもない。

そして何より、殺す気で放たれた攻撃がない。

戦い慣れしていないのか、それとも———



京太郎「(とにかく、あと一手)」

京太郎「(あと一手、何かがあれば……)」



勝機を見出だせるのに、と思考しようとしたその瞬間。

背筋を泡立たせていた、今さっきまで襲いかかってきていた都市伝説の気配が消え去った。



京太郎「……は?」

穏乃『……あれ?』

京太郎「逃げた?」

穏乃『……まっさかー』

京太郎「……どちらにしろ、近くにはいなそうだな」

京太郎「チャンスだ。このまま走って家まで逃げるぞ」

穏乃『言われなくても、すたこらさっさだよー』

【#必殺メー】


攻撃VS必殺

8+2+10+5+6=31

2+7+20=29


京太郎&の攻撃サイド確定!

『悪鴉』、発動!

攻撃サイド反転、???の攻撃サイド確定!


333×2+122-60=728ダメージ!


京太郎&穏乃残りHP:12


『不倒不屈』使用不能

『悪鴉』使用不能



【『悪鴉』の使用回数を使い切らせたので隠し条件達成。戦闘終了します】

あっぶねー
行動読んだ人ナイス

・現代語

【憧(あこが)れる】

意味:理想とするものに強く惹かれる、〜に気を揉む



・古語

【憧(あくが)れる】

意味:在るべき場所を離れて彷徨う、何かに心を奪われうわの空になる
   恋に思い焦がれる、心が離れて疎遠になる


【憧(あくが)らす】

意味:落ち着きを無くす、居場所を探し求める

>憧(あくが)らす >悪鴉

……おい

 コーヒーにミルクを垂らして、それがコーヒーでなくなる量とはどのくらいだろうか。

少女が、部屋で苦悶している。

 楽しそうに、窓の外から眺める仮面を被ったヒトガタが居る。



「あっ、ぐ、あ……んっ、はぁぁぁっ」



 ミルク入りのコーヒーが、コーヒー入のミルクとなってしまうのに必要な量とはどれほどか。

少女は何も知らない。何も覚えていない。 彼女は自分が何をしているのかもしれない。 ただ、意味の分からない苦痛があるだけだ。

 マスカレイドと呼ばれるそれは、有用なデータの収集に喜びを示している。



「あ、あ、あ、はぁぅ、くっ、んっ、ああああああ」



 その量は、コーヒーの質による。コーヒーがミルクに負けた時、初めて分かるだろう。

ただ少女は……自分の誰よりも大切な人に与えられようとした死を、無意識の内に内側から止めようとしただけだ。

 人間にも付加可能。その代わり人格の都市伝説への影響と本人の苦痛が見受けられる……と、仮面はメモをとる。



「ぐっ……情、けない」

「私が『憧れ』とか、ホントに……洒落になってないっての」

「それに振り回された、罰か何かかかしら……? ……ぎ、ぃっ……!」



始まりは発現した都市伝説か?
彼女に『何か』をしたであろうマスカレイドか?
それらの要因で、少し精神が不安定になった事か?

否。

それらは原因であって、始まりではない。


始まりは間違いなく、歯車が狂ったのは間違いなく、あの問いへの答えを聞いた時。





憧「なんで、聞いたんだか。分かってたのに、さ……『そうなる』って」

憧「分かってた、はずだったのに」

【データ開示:手加減のない敵性都市伝説のステータスが判明しました】


【新子憧/メリーさんの電話】


HP:250

ATK:333
DEF:0


・保有技能

『悪鴉』<<高速機動>>
心はガラスのように脆いから、それを割らずに開かせて欲しい。
憧(あくが)らす心は少女性、乙女の心。この世で最も脆く鋭く恐ろしき刃。
少女が襲う、少女が襲われる、結末の無いその物語。
自身の判定値を+20する。
敵の攻撃サイドが確定した場合、以下の能力が発動。
・敵攻撃サイドを無効、自身の攻撃サイドに変更する。
・そのターン自分が受けるはずだったダメージをそのターン与えるダメージに加算する。
・その際のダメージ計算は敵DEF数値を0と扱う。
一戦闘三回制限。


『対抗神話耐性』
何者かによって付加されている、この都市伝説のものではない特性。
後付けの悪夢。希望の天敵の産物。塗りたくられ重ねられた穢れ。
【対抗神話】属性を持つ者に倒された時、一度のみHPを全回復し復活する。

 



———答えてよ、京太郎


———……そんな場面で、手を伸ばす相手を選べってんなら、俺は……



 

 



———怜の方に、手を伸ばすと思う



 

高速機動持ち特有の『高速機動を持たない敵の判定値を〜』っていう能力はないのか

END.
十八話前編:Romeo and Juliet/ロミオとジュリエット

START.
十八話後編:Reach for Tomorrow/明日に届け

本日の投下はこれにて終了。みなさんお疲れ様でしたー

あとはロミオとジュリエットが一つの決着を付けるのみ。マスカレさんはデータが取れたんで帰りました



以下読み飛ばし推奨

メリーさんの能力は時間の伸び縮みです。スタプラザワールドみたいな寿命デメリットはありません

自分の時間を縮めて瞬間移動、あるいはあらかじめ自分の時間を引き伸ばしておいて瞬間移動のストックに出来ます

タイプで言えばアクセルフォームよりクロックアップよりですかね。時間をゴムに例えて想像すると分かりやすいかもしれません

理論上時間を引き伸ばす瞬間移動中に無限に等しい攻撃を放てますが、相手の背後を取った瞬間に能力が解除されるのが弱点

最短距離で背後を取る縛りがある以上、背後を取りつつの攻撃が不可能になるからです。障害物排除はその限りではありませんが

移動中の障害物(敵)の排除に何時間もかけて攻撃できるのが売りなので、タイマンだと大幅に持ち味を生かせない……という要らない設定

果てしなく要らない使われない設定ですのでお気になさらず



では今夜はこれにて。お付き合い頂き感謝です

いい夢見ろよーと言いつつおやすみなさいませー

乙ー

>>739で使用不能になってるけど不屈発動してないから1回残ってるはずじゃ
ネクサス時は別カウントのはずだし

つまり周りの時を限りなく0にするギアスジ・アイスに対抗するため自らのスピードを極限まであげるザ・スピードが必要な訳か
よし、京太郎をムキムキマッチョなゼロにしてなんとかしてもらおう

乙ー

てかネクサス時の仕様変更って明らかにこれ用の調節……

FE烈火のニニアン思い出してしまった。
アコチャー死なないよな?

あ、そういえば>>1に質問
ネクサス時と通常時で回数制限共有しなくなったけど、ネクサス時にリザベ使った後に通常時にもう一度リザベ使用したら一回目のリザベ分のダメージって加算するよね?

>>665にて京太郎が「もし『お前』が人間だったら、俺の好きなタイプかもしれない」って言ってるけどメリーさん=憧なわけだからつまり………

烈火プレイした後に封印のエクストラでヘクトル仲間にしたら余りの弱さに泣いたなぁ

二次元三次元全ての存在の中で憧ちゃんのことが一番好きです

でもそんな彼女が不憫な状態はとてもゾクゾクします

http://up.null-x.me/poverty/img/poverty70664.gif
http://up.null-x.me/poverty/img/poverty70665.jpg

>>787
ななななんじゃこりゃあ!!?
たまげたなぁ・・・
なんつぅ支援を描いてくれたんやあんさんは・・・!
ありがとうございます! というかまさかgifでもらえるとかそんなの想定しとらんよ・・・

支援絵パワーで活力が増し、執筆速度とクオリティが増すとかいう都市伝説があると今考えました。事実にしましょう



>>643
「嵐の中で輝いて」ですね

>>647
ぎゃー恥ずかしい

>>657
たぶん出してませんねー、設定はあるのですがどうにも

>>767
・・・てへぺろ

>>769
申し訳ないがナイトメアを素手で殴り飛ばす人間はNG

>>770
HAHAHA。というかぶっちゃけ回数の非共有は書き損ねてただけでデフォルト技能だったんですよ
実質仕様追加は一日ネクサスのアレですね

>>771
勝ち続けて正解出し続けて死なせないようにすればいいと思います!

>>772
しますね。もしもこれを京太郎抜きの新道寺メンバーで例えるのなら、すばら美子羊の三人との絆(ネクサス)が姫子と哩の絆(リザベーション)をブーストする・・・みたいな形になると思います

>>778
HAHAHA

>>785
やめてさしあげろ



http://www.youtube.com/watch?v=OJsDgJ3yFYI

最近はこの曲を聞きつつ書いてることが多いなーと気付きました

ラストエンゲージはガチ
っていうか平成ライダー二期の曲全般のこのスレへのフィット率がガチ
とりあえずマスカレイドぶっ[ピーーー]時の処刑用BGMはラストエンゲージだと(俺の中で)決まってる

ところで、悪鴉のDEFを0にして計算する能力ってメスメリックマジシャンで無効化できる?

ウィザードではハリケーンドラゴンデビュー戦でjust the biginingに惚れた
あとはフォーゼのENDLESS PRAYとかShooting starは乱戦時のBGMに合うと思う(小並)

このスレの支援絵わりと憧が多いよね、メインではないのに

>>811
すこやん「若さが…若さが眩しくて弟に近づけない!」
なんかこんなん想像してもた、姉さん最近空気ですね

>>771
勝ち続けて正解出し続けて死なせないようにすればいいと思います!
憧ちゃんの精子は俺たちの選択とコンマにかかっている!
コンマはまかせろ!(バリバリー

残り八話だけどあとやるって言ってやってない話って何があったっけ

過去編、照編、謎の女編、マスカレ撃滅編、マホあぐりちゃん編、京太郎の両親編くらいか?やりそうなの

マスカレが長い長すぎると思ったけどリアルタイムじゃなくてお話的にはそんな時間経ってねーんかな

五人目の仲間加入編、第二次都市伝説侵攻編、バキトーナメント編……とか?

照のエア味噌汁に京太郎がしょっぱいつってエアちゃぶ台返しで終わるよ

録画確認→今日も疲れましたぜふー→ゴルフ

表 に 出 ろ

どうもこんばんわ、色々と興奮冷めやらぬ>>1です

明日後編投下開始しますよー



>>806
できません。「DEFを0にする」ではなく「計算時にDEFを0として扱う」ですので

>>808
Shooting starってなんで本編であんなに流れなかったんですかね

>>809
>>1の目を持ってしても最初は想定すらしていなかったですよ

>>812
じ、次回はお義姉さんが活躍する話だし・・・

>>814
誤字は許されんやろなぁ(棚上げ)

>>821
もうそろそろ終盤ですからねー

>>822
黒さん決着=元旦、マスカレと京太郎の顔合わせ=一月半ば、今回の話=一月終盤〜二月中旬

>>823
その中に当たりがありますね

>>825
申し訳ないがバキ親子はNG



マジェプリの公式で「タマキはケイと違って胸の大きいキャラなので」とか言われちゃう女の子かわいそう

しかしそれを凌駕する魔界のおっさんとゼクレアトル終了のお知らせ。最近忙しくて見れていなかったためにダメージが減っていなければ即死だった

http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1306/04/news094.html

そんな自分を差し置いてあそこの人気投票は平常運転。なんてこったい

>>823のうちどれか当たりなのか
よし、俺はバキトーナメント編に100ペリカ賭けるわ

最後はエア味噌汁なんだろ

エアヒロインがエア味噌汁する出番を貰えるんだろうか

Q:【新子憧/メリーさんの電話】で【大星淡/ホシガミ】(弱体化一段階目)と戦闘したとき『星を継ぐ者』で+1000され敵の攻撃サイドが確定したので
『悪鴉』が発動し勝利できますか?
Q:【新子憧/メリーさんの電話】で【くねくね】と戦闘し【くねくね】の攻撃サイドが確定した場合どうなりますか?

こんばんWORKING!!の高津カリノ先生のサーヴァントサービスがアニメ化します(ステマ)

ルーシーの薄い本がすごく増えそうな予感

今晩は用事がありますので22:30スタートです


>>827-829
えっ

>>830 >>834-838
えっ

>>841
A.勝利出来ます。しかし平時の淡なら「なんか嫌な予感がする」程度の勘で序盤ブースト抑え目にするかと思われますよ
A.くねくねが反撃食らって沈みます

ま、その組み合わせで戦闘することは多分無いでしょうけどねー

スマブラ新作買ったらこの子を真っ先に使いたい



   r、
   {:::ヽ                      , ..-‐━‐- 、
   \::\                /:::/ヾ/ヾノ_ヾ\
     >:::\             /:γr‐、  / {:::ヽ ',、
    /:/\:\           {:/ { {::::ノ ハ   `¨´ :} )
  /:/   \:\          r-'、    -‐ ´    :}′
 <:/         \:>         \_',          /
                       \      / _____
    _                    ≧=--‐:⊂ニLLL}ヽ
    |::::|   ___                //_.ハ: : : : : :/\/ /
 ┌.┘:::)/:=ミ:ヽ      _rrrrュニニ{: /: 7/: : : : : :{\(__ノ

   ̄7:::::/   |::|      {:{ ̄}:}   フ: :// : : : : : :{
   /:::;::|    .|::|       `|:|´  ./>`:_:_:_:_:_:_:_:}
.  </|::|    ‘;:゙、_ノ!      .|:| _<i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:{
     L:!     `¨´       |:|´  \:i:i:i:/�:i:i:i:i:i:i}
                   |:|',___{´ ヾ′ �:i:i:i:i:i}
                   |:| 〉::::}        `T⌒ }
               { ̄\と三三)         ヾ-┤
              ∨///////          }::::!
   ._________,_________   ∨/////          /:::::‘,
ノヽi:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ヽ...,,;;∨//           {:::::::::ノ
::''´^゙"゚^゙"゚^゙"゚^゙"゚^゙"゚´⌒ ^゙"゚^゙"´           ̄


    | : : : : : :|:|     /                  \ー ─‐ ─│  |
    厂 ̄`ヽ|:|   /           /           丶 ─ ─│  |
    〈     .ノ:| > ─'厂)    . : / ,            : . ー ─│  |
    厂 ̄`> ´. :/⌒7´l   : : / /   . : ,   . :,'  : .  :. :. ─│  |
    /. : :/ .: ://  ./ :l\ : : :′/_  : : /  : :/  : :.l l: :..ー│  |
    ,′ :'  : :/|    .;'  l\ 丶;  :. `ヽイ  : :/   : : ;l │ : ', │  |
   ,': .:/   : :/: | ′.;   :|: : .\l  ;,. ∠ ノ\ノ    : :/ l │ :; :l│  |
  ,' : ;'   : :/│|/  :l  : :| ⌒ヽl  l厂 厂`ヽ   . :ノ厂| .;  ;lノ│  |             ___
  .;  :  : :; : :l/  : |   : :|    | :l  〈:.じノ     ,.==、lノ ノ─┘  |:            」|冖|_|_
  ′ ;  : :l: :/   : :|   : :ト、  │.:l , ,`¨´    イJリイ 「人      :|:.          |└┘「l
  : │  : :|:/   : : ;|   : :l: :>イ .:l          ー''∠ ノ八 ':,   . : :|: :         |__|」
  : │  : :|′ .: : :八   : ∨ー┤.:l    __   ′/コ /厶 l :. . : : : :|:: : : . .  ______
  ::. │  : :l  : : :/ノ∧  :. ∨/l .:l\   ‘ ′ , イココ// ノ l l: : :( > '⌒ヽ<)(_/二二二二イ/
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憧ちゃんに抱いていた>>1の携帯電話というイメージが彼女をここまで連れてきたのです

投下はっじめーるよー

対等であるという事は、互いに何も考えず頼り合い体重を掛け合えるということである。

頼り過ぎて潰してしまう心配も、頼りにしな過ぎて意味がなくなってしまう心配もない。

互いにかける体重の重さが、完全に均等である理想の関係を示す。



対等であるという事は、目線が等しい事を意味する。

尊敬でもなく、侮蔑でもなく。上を見上げるでもなく、下を見下ろすでもなく。

他の誰と比べても付き合っていて疲れない、そんな関係を示す。



対等であるという事は、指標である。

人間関係における対等とは指向性であり、「〜よりも〜の方が対等に近い」という表現をもって示される。

友人、仲間、家族、恋人といった固有の関係性をもって表現されないためである。

よって『対等』のみで表現される関係性の相手は非常に稀有であり、人生において得難い相手だと言える。



対等とは、相手の事を許す事が出来る関係である。

上から見下ろして与えられる許しは、どこか無関心と侮蔑に近い印象を相手に与えてしまう。

下から見上げられ献上される許しは、どこか市民が王を許すような滑稽さを内包してしまう。

友人、仲間、家族、恋人。対等に近い立場の人物から許されるという事は、人の心を軽くする。



それは被害者が加害者を許す事とはまったく違う。

人が罪人に与える贖罪としての、罪を消し去る許しではない。


罪や重荷を背負うものへと、「もう背負わなくていい」と救いを与えるための許しだ。

人が大切な人に与える救いとしての、心を軽くする許し。



対等であるという事は、互いに許し、許される関係であるとも言える。

だから、一緒に居られるのだと———この街で、誰かが呟いた。

「この神社って、何を祀ってるんだっけ?」



……ふと、夢を見た。

痛みからの気絶か、疲労からの就寝か。

どちらかは分からない。ただ私の意識が、現実ではない何処かにあるという事だけは分かる。

苦痛に塗れた始まりだったはずなのに……その夢は、どこか心地よく思えた。



「前にしっかり教えたじゃない。もう忘れたの?」

「もしかしたら聞いてなかったかもしれん」

「……さいてー」

「わりーわりー」



目に映る互いの姿は、中学生の頃の姿。

新子神社の屋根の上で並んで座って、夕日を見ながら語らっていた時の思い出。

まだアイツの背も今ほど伸びていなくて、背もちょっとだけアイツが高いくらいで。

凛々しさも足りなくて、いつも悩んでいて、何より心も力もずっとずっと弱かった頃。

それでも……ただ、私としずとアイツが居れば、それだけで毎日は楽しいはずだと確信できていた、そんな過ぎ去りし日々の残影。



「『金剛蔵王権現』よ。今度はちゃんと覚えておきなさい」

「へー、いかつい名前だな」

「いかつくない名前の神様仏様が居るもんですか」

「祈ったら力とかくれんのかね? 漫画みたいに、阿弥陀の数だけ強くなれるよー的な」

「アンタその内アスファルトに血の花を咲かせそうね、天罰食らって」

「大丈夫? 最近、なんか疲れてるっぽいけど」

「……ああ。一応大丈夫だ」



頼って欲しいという打算で言ったのか。
純粋に心配だっていう気遣いから出た言葉なのか。

……自分でも、分からなかった。

こういう所で自分の本心を疑ってしまうのが、自分の言葉を信じられないのが大人になるって事なんだろうか。

……なんか、嫌だな、それは。

そんな風に思っていた。けれどその考えはこっそりと、胸の奥に仕舞いこんだ。



「照さんが居なくなったからって、アンタがその代わりをやらないといけないなんて義務は無いでしょうに」

「良いんだよ、好きでやってんだから」

「……まったく」



この頃は、本当に……無茶無謀の極みだったと思う。

照さんが居なくなってからの一時期のアイツは、見ている私達の方がハラハラするような事を平気でやっていた。

「一人じゃ何も出来ない」とはアイツの弁だが、「一人じゃさっさと死んでしまう」が真実だと私は知っている。

しばらくして多少まともにはなったのだけれど、それは私の……私達の、貢献じゃない。

代わりに隣に立ってくれる人ができた。

それだけの話。

……それが、私じゃなかっただけの、話。



「色んな物、ポロポロ落としてるんじゃないの?」

「は? 何言ってんだお前」

「無茶はしない事。実力以上の事には挑まない事。必要でもないのに背負わない事。健夜さんに色々言われてた事、守れてる?」

「……」

「ま、アンタには今更だけどさ。あんた時々うっかりやらかす事があるから」

「これから先前のめりになってる内に、大切な物を取り落とさないって断言できる?」

「……すまん、できねぇや」

「ほらみなさい」



大切な物を取りこぼしていく内に、何もかもを無くしてしまったら。

その果てに、目の前に居るコイツは『何か』になってしまうんじゃないかと……そう、心配になったから。

だから口うるさく思われるとしても、ちゃんと言っておかないといけないと思っていた。



「ねえ、アンタさ」



嘘だ。

それは半分嘘。

残り半分は、利己的な私の気持ちと打算も少し混じってる。

そんな私が、純粋に心配だけ出来ない私が、嫌になる。



「前に向かって脇目も振らず一直線に走り続けたら、色んな物を落としても気付かないわよ?」

「しかも、落としても落とした時に気付けないから拾いにも戻れない」

「もうちょっといいかげんに、肩の力抜いて生きても良いと思うんだけど」



本当は、少しだけ怖かったんだ。

もし、もしも……アイツが落としてしまった大切な物に、私達が含まれてしまったら。

その事に、アイツが気付きもしてくれなかったら。

気付いたとしても、アイツがその時痛みと喪失感に、耐えられるのかどうか分からなかったから。

私は……その時、笑顔で居られるか分からなかったから。



ただ、置いて行かれるのが怖くて。落としても気付かれないような、必要のない物だと告げられるかもしれないのが恐くて。

もし、ここでアイツが変わってくれるのなら……そんな淡い期待を込めて、言葉を選んだ。

けど、その時の問いは聞くべきじゃなかった。本当は分かっていたなら、尚更。

今の私と同じように。




「俺は良いんだよ、それで」




分かってた、はずだったのに。

これある意味黒ルート指してるじゃん
黒のこと知ったから、余計に憧に影響でてんのか?

「俺は良いんだ。その分、前を走ってた人たちが落としたもの」

「その人達が気付かず落として、諦めてしまった大切な物」

「全部拾って、全部集めて、いつか前を走ってる人たちに追いついて」

「その手に、ちゃんと手渡せるんだからさ」

「だから悪い事ばっかりでもねーんじゃないかと、そう思う」



私の言葉で、コイツは変わらない。

コイツが自覚してるかしてないかは別として、『隣に立てない』私は……コイツを、変えられない。

誤った道を指摘できても、それだけだ。

コイツに大きな影響を与えられるのは、こいつ自身が選んだ『相棒』だけ。

演劇で例えるのなら、私にはそういう「役割」が与えられていない。


それだけの、話。


……それだけの、こと。



「……そっか」



でも、それならそれでいい。

今更だもの。私は、そんな事分かってた上でこの場所に立つ事を選んだんだから。

私は……私だけの人生の、私だけの舞台で、私だけの役割を、ちゃんと演じ切らないと。

そうじゃないと、私は胸を張って『新子憧』を名乗れない。


だけど。



「ねね、じゃあさ」

「うん? どうした?」




隣に並び立てなくても、手を引きながら前を行く事が出来なくても、せめて———

幼馴染は噛ませポジだから……(震え声)

「なら私が、アンタの後ろに居てあげる」



アレは約束だったんだろうか。

それとも……誓いだったんだろうか。



「アンタが落としたものを全部拾って、ちゃんと渡して、アンタが何も無くさないように一緒に居る」



そう、あの日から。

ずっと、私とアイツは対等だ。



「アンタが誰も居ないのか? って不安になったら『今貴方の後ろにいる』っていつでも答えてあげる」



隣に並び立つ相棒としてではなく、目の前に立ち塞がる好敵手としてでもなく。

前を進む者、後ろから見守る者。

そんな形で、成り立つ対等。



「一人ぼっちにも、寂しい気持ちにもさせないっての」



一人ぼっちが嫌いな、寂しがり屋のアイツに私がしてやれること。



「でも、それだと私が落としたものは誰も拾ってくれなそうだからね。だから、その代わりに」



思ってたより寂しがり屋だった私が、選んだ居場所。



「私が、これから先落としていくかもしれないものよりも———」



ここが、私とアイツの『絆の原風景』。



「———ずっとずっと素敵なものを、私にたっくさん頂戴。約束よ?」



……今日この日まで、アイツは律儀にその約束を守っている。

対等であるという事は、互いに何も考えず頼り合い体重を掛け合えるということである。

頼り過ぎて潰してしまう心配も、頼りにしな過ぎて意味がなくなってしまう心配もない。

互いにかける体重の重さが、完全に均等である理想の関係を示す。



対等であるという事は、目線が等しい事を意味する。

尊敬でもなく、侮蔑でもなく。上を見上げるでもなく、下を見下ろすでもなく。

他の誰と比べても付き合っていて疲れない、そんな関係を示す。



対等であるという事は、指標である。

人間関係における対等とは指向性であり、「〜よりも〜の方が対等に近い」という表現を以て示される。

友人、仲間、家族、恋人といった固有の関係性をもって表現されないが故である。

よって『対等』のみで表現される関係性の相手は非常に稀有であり、人生において得難い相手だと言える。



対等とは、相手の事を許す事が出来る関係である。

上から見下ろして与えられる許しは、どこか無関心と侮蔑に近い印象を相手に与えてしまう。

下から見上げられ献上される許しは、どこか市民が王を許すような滑稽さを内包してしまう。

友人、仲間、家族、恋人。対等に近い立場の人物から許されるという事は、人の心を軽くする。



それは被害者が加害者を許す事とはまったく違う。

人が罪人に与える贖罪としての、罪を消し去る許しではない。


罪や重荷を背負うものへと、「もう背負わなくていい」と救いを与えるための許しだ。

人が大切な人に与える救いとしての、心を軽くする許し。



対等であるという事は、互いに許し、許される関係であるとも言える。

だから、一緒に居られるのだと———この街で、誰かが呟いた。





とある世界、とある大事件、とある少年が『大切な物を全て落としてしまったあの日』。

多くの者達から死の間際に背負った少年と、意図せず背負わせてしまった者達。

背負わせた事、託した事自体が間違っていないのだとしても、その果てには望まぬ結末があった。


そんな中、何も背負わせなかった少女が居た。

何も背負わせず、彼に取り落とされても儚く笑顔を浮かべ、その惨劇の果てに少年がどうなるかを理解して。

少年をただ一人、『許した』少女が居た。


そんな、終わってしまった世界の話。

【メリーさんの電話】



ある夜、少女は一人で留守番をしていた。

両親は居ない。すぐには帰って来ない。夜の闇の中、電灯に照らされた部屋の中で少女は佇んでいる。
そこに少女の携帯電話に、一本の電話がかかってくる。

両親か両親の知り合いならば、自宅の据え置き電話にかけてくるはずだ。
なら、自分の友人だろうか……そう思った彼女は、見知らぬ番号の電話に出る。


「私、メリーさん。今、ゴミ捨て場にいるの」


健康的なその柔肌の色が一瞬で真っ青に染まるような、そんなおぞましい声。
気味悪がった少女は、一瞬で電話を耳から離し通話を切る。

これで一安心、と一息ついたその瞬間。
またしても、携帯電話が鳴り響く。


「私、メリーさん。今、郵便局の近くにいるの」


出ない、という選択肢はない。
何故かその電話を取ってしまう。取らなければ大変なことになる……そんな直感が、少女にはあった。
電話がかかり、切られる度、声の主は少女の家に近づいてくる。

……そして、ついに。


「私、メリーさん。今、あなたの家の前にいるの」


そんな宣告。
少女は覚悟を決めて玄関のドアを開けるが、そこには誰もいない。

「誰かのいたずら?」


そう思い安心した、その安堵の息の刹那。。



「私メリーさん。今貴方の後ろにいるの」



その後、少女がどうなったかを知る者は居ない。



少女の声をした怪異による、電話の都市伝説。

その正体、特性、由来、発祥、そして物語の結末。

全てが謎に包まれた、正体不明の都市伝説。

「電話を媒体とする」「最短距離を転移ではなく移動してくる」「そして、背後を取る」
という特性などが挙げられるが、本質とは言いがたい。

背後という人間が絶対に埋められない死角を取れるという事は、その一瞬対象の生殺与奪を握るという事でもある。



ちなみに、『メリー』『カラス』とはそれぞれ麻薬の隠語。

人を酔わせる最たる麻薬は人間関係……とは言うが、さてさて果たして。



貴方の後ろに居る、都市伝説。

そんな夢を見た彼女——新子憧がクラスで談笑する姿を横目で見つつ、思考に耽る少年が居た。

彼女の夢の中、並んで夕日を眺めていた少年——須賀京太郎その人である。

彼の思考を占める心配事は二つ。

新子憧との微妙な距離感と、そして昨夜の都市伝説について。



京太郎「(……あの都市伝説は、十中八九メリーさんだ)」

京太郎「(カモフラージュの可能性もあるけど、それは使ってた能力と合わせて考えれば可能性は少ない)」

京太郎「(加えて行動の不規則な動きから、発現型の可能性が高い)」

京太郎「……さーて、どうしたもんか」



ここは一旦、憧の事は置いておく事にしたようだ。

彼の予測が正しければ、この二つの事案は同時に処理するよりも順番に処理した方が良い。

友人を後回しにするのは彼らしくもないが、そこにはちゃんと意味がある。



京太郎「都市伝説の正体は判明してるから良しとして」

京太郎「必要な情報は『誰が』と『どうやって倒すか』かな」

京太郎「……霞を掴むような話なのに、霞の形が見えかけてるってのも妙な話だ」



この件の原因となっている人物を特定するのではなく。

疑っている人物がいて、『その人物』が犯人ではない証拠を見つけたい……なんて、思っている。

そんな自分に、少年は苦笑する。



京太郎「明日が冬期演劇だし、人の居る場所は読み切れそうだな」

京太郎「さて、行ってくるか!」

【移動可能先】


・一年A組

人物:原村和(メイン)、宮永咲etc…

オカルトとは関係のない知識面からのアプローチ。


・一年B組

人物:新子憧(メイン)、高鴨穏乃、園城寺怜etc…

街に流れる噂の情報。


・生徒会室

人物:花田煌、二条泉、船久保浩子、原村和etc…

有用な情報、あるいはヒントの提示。


・園芸部温室

人物:松実宥(メイン)etc…

学外における情報、ほぼ確実にイベントが発生するヒント。
また、サポートアイテムの入手が可能。


・天文学部

人物:大星淡etc…

夜間の街の情報。都市伝説に関する有用なヒント。


・家庭科室

人物:清水谷竜華(メイン)etc…

人脈からくる広範囲の情報。ヒントの提示。時々ステータスアップ


・図書室

人物:天江衣、宮永咲etc…

都市伝説の種類に関して確定で一つ情報ピースを入手可能。


・事務所支部部室

人物:今まで登場した人物全て(メイン)、今まで登場した事の無い人物

全ての人物が居る可能性有り。何でも起きる可能性有り。何でも手に入る可能性有り。

【調査目的:メリーさんの隠し事】

【情報ピース『夢乃マホの話』を保有】

【情報ピースを二つ集めて下さい】

【移動先指定可能回数:残り三回】



京太郎「どこに行くべきか」



移動先を指定して下さい


>>905

園芸部

【園芸部温室】



宥「きゅっ、きゅっと」

京太郎「何やってんですか宥さん」

宥「あ、京太郎くん、勉強の息抜きに、咲ちゃんのお手伝いを申し出てたの」

京太郎「咲の? 小物のニンジンの模型に……手書きで『スーパー』の文字?」

宥「人参(にんじん)って人参(じんさん)とも読めるでしょ?」

京太郎「まあ、綴り的にはそうですね……ん?」

宥「劇のオチでスーパー菜野人参(さいやじんすりー)ってやるんだって」

京太郎「くだらねぇ!」

宥「メリーさん?」

京太郎「宥さんなら受けに回っても有利取れそうですけどね」

宥「私、あんまり攻めるタイプじゃないから……」

京太郎「色々受け身ですよねー」

宥「……うん、色々受け身」



京太郎「対策とか相手の正体とか、もう本当に見当がつかなくて」

宥「本当に?」

京太郎「いや、ここで嘘ついてどうす」

宥「本当に?」

京太郎「……」

宥「私はずっと、貴方達三人が遊んでるのをすっと遠くから見てきた」

宥「玄ちゃん達がそこに混じっても、私は混ざれなかった」

宥「ずっと」

宥「……ずっと、羨ましいって、思ってた」

京太郎「宥さん……」

宥「もう一度聞くよ。そんな私の眼を見て、はっきりと答えて」



宥「『本当に』?」



京太郎「……宥さん、俺は……まだ、なんつーか、あの」

宥「……ま、そうだよね」

京太郎「はい?」

宥「そんな簡単な問題じゃないもんね、分かってるよ」

京太郎「宥、さん?」

宥「私はここで後押しするだけ。その一歩は、君が君の意志で踏み出さないと」

宥「貴方達の教室、貴方達の思い出のある場所……そんな場所に行ってみると良いと、私は思うな」

京太郎「宥さん」



京太郎「———行ってきます!!」



宥「行ってらっしゃい」




【ヒント:思い出の場所を入手しました】

【調査目的:メリーさんの隠し事】

【情報ピースを二つ集めて下さい】

【移動先指定可能回数:残り二回】



京太郎「どこに行くべきか」



移動先を指定して下さい


>>933

1B

【1-B組】



京太郎「……穏乃?」

穏乃「あ、待ってたよ。どっか行ってたの?」

京太郎「まあ、ちょっとな」



京太郎「……」

穏乃「……」



京太郎「……お前もか」

穏乃「京太郎もでしょ?」

京太郎「ああ。話さなくても伝わってるってのは楽でいいな」

穏乃「どーかん」



京太郎「俺は……じゃないな。俺達は、良い友人を持ったと思う」

穏乃「うん。何度生まれ変わったとしても、たぶんそうそう手に入らないと思う」



穏乃「同じ事考えてたから、私達は二人共ここに来た」

京太郎「アイツも同じ事考えるだろう、そう思ったから俺達はここで相手を待とうとしてた」




「「な、親友?」」

穏乃「じゃじゃじゃじゃーん。憧の席のカバンの中においてあった携帯電話」

京太郎「お前だから大激怒で住むだろうけど、それ以外の奴なら静かに無言で絶交だろうな……」

穏乃「いいじゃん携帯ぐらいー」

京太郎「それは見られても平気な奴だから言える台詞なんだよ!」

穏乃「ほほう、京太郎の携帯には見られて恥ずかしいものがあると……?」

京太郎「さて、時間ないしさっさと調べるぞ。外側だけで十分なはずだ」

穏乃「ちぇっ」




京太郎「……」

穏乃「……」

京太郎「フレームに、鎖が擦れたような跡。あったな」

穏乃「憧はこの前携帯買い換えたばっかだよ。物を大事にする憧が、うっかり携帯に傷を付けるなんて考えられない」

京太郎「例えば、夜に鎖を使う奴と戦ってうっかりかすったとかか?」

穏乃「……」


京太郎「……分かってたもんな。最初に戦った時、なんとなく」

穏乃「声だって、かすれてたけど聞いてたんだ。ただ……信じたくなかった、だけで」


京太郎「姿も見えなかったしな」

穏乃「うん」


京太郎「お前はどうする?」

穏乃「その質問、意味あんの?」


京太郎「……そうだったな。行くか、二人で」

穏乃「おうともよ!」


京太郎「俺達三人の誰かが、どっか間違った道に進みそうになってたら」

穏乃「ぶん殴ってでも、目を覚まさせる!」


京太郎「ずっと、そうやってきた」

穏乃「いっつもいっつも助けられてばっかなんだから、今度は私達の番!」




「「待ってろよ、憧ーーーーーーー!!」」




【情報ピース『新子憧の携帯電話』を入手しました】

【高鴨穏乃の特殊条件を満たしました】

【調査目的:メリーさんの隠し事】

【情報ピースを一つ集めて下さい】

【移動先指定可能回数:残り一回】



京太郎「どこに行くべきか」



移動先を指定して下さい


>>953


次スレ立てて来ます

事務所支部部室

次スレ

【咲安価】京太郎奇怪綺譚:拾捌巻目【都市伝説】
【咲安価】京太郎奇怪綺譚:拾捌巻目【都市伝説】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1371484460/)

続きは向こうでやります。ここの残りはご自由に

凄いどうでもいい事だけど、権現なら仏教だし神社ではなく寺なのでは?

>>864
いえ、この回想の時期では黒太郎は存在が発覚してませんので
ただ「もしこうなったら」「コイツはこうなってしまうだろう」って読みきれるくらいには、憧ちゃんに理解と知慧が備わっていたといった感じです

>>870
咲「・・・」


>>957

日本ではその辺り凄まじく曖昧です。神仏習合、神仏分離、廃仏毀釈と何度かの変遷を辿った事が要因でしょうが

まず、蔵王権現を祀る『神社』はあります。蔵王山神社や御嶽神社や蔵王権現神社は特に有名かと

明治の神仏分離でいくつかの神社が祭神を変えるまでは多くの神社で祀られていたそうです

何故? と言われれば発祥が原因かと思われます。元々仏教に存在しなかった創作の権現ですからねー

今でも祭神自体は蔵王権現でなくとも、祭神の像容が蔵王権現まんまだったり蔵王権現と同一視される神を祀りつつ蔵王権現の存在を概要で語る神社は多いようです

外国では法律上の問題でリボルケインをぶっさせなくなったので苦肉の策を取った、みたいな苦労と似た感じかと

憧ちゃんは身も蓋もない感じでそう言ったのかと。原作の新子神社のモデルの吉水神社の祭神は後醍醐天皇ですし

仏教自体日本の神を「日本の神全部菩薩扱いでいいじゃん」みたいなスタンスでやってた時期もあるのでその辺けっこういいかげんだったんじゃないかと思います

ただ神仏分離や廃仏毀釈でかなり存在を薄められたあたり、時代が近代に進めば進むほどヒーローの需要は下がっていくものなのかと寂しく思うばかりです



ちなみに、この作品内ではりつべ市を関東・穏乃が通っていた山の地を吉野と定義しているわけですが・・・

蔵王山神社は吉野、蔵王権現神社は東京に存在します

そして両方共、祭神から蔵王権現と『建速須佐男命』を同一視しているようです。スサノオですね

須賀とスサノオ。まあつまり、調べれば簡単に出てくるようなことではあるんですが、そういうことなんです

こっちの新子神社も表向きはスサノオ辺りを祀ってるのかもしれませんね



確かにどうでもいいことではあるんですが! 要らない設定!

憧(一歩ひいた所から支えてあげる)
黒(俺のようになるな)
仮面(次は何すれば嫌がるかなぁ)
京太郎は色んなやつに見守られてるのね

 


【これから先のお話でメインだったり活躍するであろうキャラの一部。ネタバレにはならない範囲】

【AAはそれっぽいのだけなので後は勇気で補え】



 


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  ,-マ ,廴__ \                        γ==‐
  入. \ーュ、 ̄`ヽ                  ム - : : `
  { \_ く.| ̄`  V                    ´: : : : : : : ` 、: \
.  `寸‐二八    ト、            /: : : :/: : : : : : : : : \: \
    \   ヽ   // 勹ュ          ′ : : /: : : : /: : : :,ィ: : : ヽ: :\
     ヽ__   // /./二\         /|: :\/:/: : :/ : : : / ハ: : : : :ヘ: : :` ー-_- __
       `寸ニ/ノ /二二ハ.     |λ:!: ,l:/: :\|: i: ;.イ / | : : : : : ヾー- 、: : : ` 、-- _‐-、
        守三ヲ二二二入      lハ:|:ハト、i: |_|ヽ: | |/ ||: :|:ト、:\  ` 、: : : ヽ  `ヾ、
         マ二二二二二ニヽュ_  V´.|:l ,ィ示心ト、ハ| -┼|: :|:| |トヽー-- \: : : \   `
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.              `寸二二二二ヽニマ.迅ヘハ ""    .辷ツ/|_j厶レ'二≧、ヾ     ヽ: : : ハ
                   ` 二二二二{ニ.ハ、ヾ、| Y`ー、_ '  ∧:|二/ムァ‐ 、二ヽ\、    }: : : |
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                   |二二二二二ニ||二二./
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                   λ二二二二ニ ||ニニ./
                  ハ.}二二二二ニ/'二 /\
                  二二二二二./'二 /ト、ニヽ
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                    |二二二二二.ハヤ二二二ノタ
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                     |二 |.|二二二二ニ}} /./ '
                八二l」二二二二_ム' /   ト、

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     `¨て」                           l   ,                         | |.    |’    ‘,
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                   i    |/-ミ/ ./     /i /  .|
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                 |从::::{ ヒソ    ヒソ 厶イ:::|
                  八::::}∧ '''  '  '''' _'ノ::::八
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                       `Y^介ト - 个ミ=<
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               / {ノ   / /    ノ'     }  ∧
                  〈__/   /  /            ∨_rv'__
               〈人_{   /  /           |—┴'´人
              / 从  /\/            从    ∧
.            _/   \{  { _, 、__       /   ——、∧
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      /_ 斗'"0o———=ニ ̄ ̄ ̄ 。        o  0   o。  。.∧
     八{ /  。  <> <>   o    〈〉 <>   <>       <> o ゚ /ノノ
.      \{ ()   o <> <>    <>   ()<> <>   <>    o_。oくくし'´
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                         /                    マ三三三三三三ニ=-
                  /     /           \     ∨ /⌒> 三三三ニ=-
                         ,′          ヽ           \三三三ニ=-
                   /     _/ │  ∧          .     | ニ二  -=ニ\三三三ニ=-
.                /    / /│ '|  |\  :.       :. i   |\        ̄`丶三三三
           __/      / /  │/│  |   :. |\       :.   |             \三三
         _/´/ /    /| \| | |  |  |│ ::.     |   八   ー—‐=ニマ三\  マ三
       厂| |∨//    人 レl   | ト-|  |  |│ ::.     │ \ \       `マ三)  }三
__,,...  -┤│レ/゙∨   /\l |_|斤テ外八 ^ト--|/--│              ー=ニ二 `マ  /_三
       ││|{ {.  /  ∧ンリ 乂ツ   \|斗テ外、.|       卜、        丶、______ く_三三
       | ∨\八  {  /  Y::/::/  ,    乂)ツ 》│    | /\       \≫==≪\ マニ三
__,,,... -‐ヘ_ \,,>\∨廴_,人          ::/::/ / リ│  │  >ー──=ミ〃    `ヽ∨ニ三
          ̄    \__,))       ヽ      ∠/_7  イ /⌒)丿    \_ノ{ -‐〜‐- }ノ三三
                      ≧=‐   -=≦ / ∧|/ / ,.二二二二∨|\___/| ̄ -=

                                 / /  厂∨ / -——=マ 〉|      |
                               ((⌒´     ∨ 〈       ∨/l.     │
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                         マ二ニニニ|
                       マ二二二|

                           マニニニ|
                         マ二二|
                   ,へ        ヤ二ニ|
               <二二\      l、ニニ!
               <二二ニ, -‐ニ`ヽ   .ト、ニ./
          <二二二ニ/ー<ニニ\. __|二/__
      <二二ニ>‐… '      >、ニヽ|./   `
   <二>  ¨          /   >ニヒ二ミ、    ヽ
/> ¨                   /   /´ /     ヽ  、  :.
                    / /  ./ .| |   |   |  ヽ ::.     ト、
                    /  /   .l. |ハ .|  λ|/|、|  | ::.     .八 ヽ
.                /    ||  .l‐ト 、ト、 /j斗也、j     :::.     ヽ \
            / /   ヽ!、l、 ヤ作芯 ソ 代_リ'| |   ::::.       マ \
、 _      ____   /  /   ヾ ヽミゞ-'     '''' | |  ::::.       ヤ  ヽ
_ ̄ ̄ ̄ ̄____/  /    /  ハ`''' 、`_-ァ _イ!. ′   :::.      マ   ,
   ̄ ̄ ̄   /  . イ   / ./   ′ ` ァ‐r-  ´/ / ム、 _   ::::、     ヽ
.        イ 才´      / / γ⌒フ´`ヽ、><´,.-/ ./::/  ヽヽ   ヽ      j\. Y
 ̄ ̄ ̄__ /       厶'  / /  {::::::::::ヽYY::/ /::::〉    Y     \.    |  ヽ |
 ̄ ̄     / ー‐=ニ ̄   / 厶  .r':::::::___ノレ’  ./-、{⌒   、!  \   \.  |   マ
.        /    /  /   /.ノ___≦ヲ//  /‐ァベ__ヽ   〉   \   \.l.   ハ
      /   /  イ   ,イ,ベ:ー=ニ二´,イ /  //へ`ぅ/込_{       \   |    ',
.     /  /  ´/___∠/;イ入:::ヾ:/「`/ /  ./「 ‐くーァ`ヽ}/  \    \ !.    ト、
——‐- 、 ´ ィ千—ァ‐チi´ | Уx'_ィ、/ /  /::|ー┴¨´ ./ー'     \      l     | \
.       \  | /   j / `i   _/ /  lミx!、    / |, イ ̄|   \   .l     |   ヽ
      \   \ |. ′  .//   `丁千|.∧   ト、:! ` ー '_ノ    .|    \ ノ     |\   ,
____\.   `| ト、__ ′      ノ {. !′、  |/〉 ̄ ̄入彡  _/    /     /   \
   l  | 「¨l\  ヾ   `ー-ュ—‐ムイ .|!  ヽ ヾ  /   >、_}_  _rイ       /    ヽ |
   l  |.八. !  \ `  γ´      マ% ヽ   寸==-  x夕’    `ヽ、      /、.      ヤ
.  八 l  ヽト、   |\__>- _.  マ%     |::〉  x夕       ノ‐- 、_ イ   ヽ     |
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. . ..乂:ト、|   `    ´ ̄   }..》.. . . .V    /'′        }   o o   (
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.         i !l: :ト、:/ ,rf'斧 ‘,: :i: : ::l: : : : |i: : : . :.八
          !| i: :iハ ヽ   Vリ  !: !: : ::|: : : : !|: : : . : . :\
           ! i: :.! Vハ.  ´  ,!: !: : ::i : : : 从: : : . : . : ._`ニ== == 、
         __人_!:::∧く   / ! ! : : ;': : :.〃: :ヽ.: : : . : . ` ミヽ     )
.       / \  V | i i\` ー';' : :/ : : /: : : : : : : : : . : . : . \' 、
      / 丶 \ Vl l i __>'": :/: : :./i: : : : : : : : : : : : : ヽ: : :} }
    /≧=x \ \= i,/(_i, ィ≦7 : : ; ' ノハ: : : : : : : : : : : : } ヽノ ノ
  /三≧=- ≧ ニ ,': : /Vl/ /: :/イく)ぅ\__ _: : : ト、 i

  〉三三二ニ==‐-i{: : :! / / イ_): ̄\::. .(_乂_)|`ヽi )
   >‐——‐-=ニ二>'つ/i 〃乂_)::. .: .:(_\:. .: .::..i
 ∠)::. . :: j):. :. ..:.\/ ,fクぅ//::::;' .:: .. :: . . :..∧:.. . .:|
 !ヽ: .. . :: .. :: : :.:. ..\ /ソ' /: :%  _,..:: .. ::. :..(_ハ. .::::!__
. ‘,o)::.. :() . : . (⌒).::....\{イ! ..:x8''" .: く)ノ):. . .:. }.::::i|//∧

  |ソ)::. .::. .:.(⌒○⌒) :. : Y%"゚ .. . .: .(フ〈):. . :%:::::::i| }//!
  !:: . .:ノ). :...(__乂__)::... .:.|ミメ⌒Y⌒):. . . .::... ./::::::::/_,///i
  i .._::::::::::::::::::::::::::::....  . : {\ >Oく:. ...::. . .:::_r‐<|////,'
.  V 〉:::::::::::::::::::::::::::::::....  .:: . ヽ人_)::.. :. .::::}/ !//// //
.  !_)::.: . :   .(V) . ::::::&:.. (ハ::.. . .:: .::::::|//!/// //!
   !: ..:.. .. . .: く)O(フ. :::::::..\::.. . ..: .:.. ..<)(>}ニコ!/////|
   | :. . .::...: (人):. .::人 ::: .ヾrt?.. : <)(> .`i/ | /////!
   l く)ノ)::.. . :. :..::. . . ⌒::. .:. .:Y⌒ :.. .:. .:. .///!/////」
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                   /.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :vママママママム
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                  /: :/ : : //: : : :/: : : :ト、 : : 丶: :付寸ママママママム
              /: :/.: : :///| : : |: : : : |: :丶 : :ハ: :寸マママママメメ、
              |: :l : : _jレ代ト、: :ト、: : :.ト、 ,ハ: :ト、i: : 寸ママママママ
              |: :| : : |    ハ|∧  l ` 'l: :l: :l: : : 寸マママママ
             人∧,ハl         \l   l: :i: :| i : : :.寸ママママ
                l : : 刈,r==く      ,zx、ノノイ / : ::/`マママ
                | : : : :| l/l/  ,     ⌒ヽ.   レ⌒Y
                | : : : :|   ┌ —┐  l/l/l ノんノ
                | : : ,仆、   マ. 丿     rく__/|
                l : : !i ト、「>rf^h_, ィ ノ|人|: :/
               /イ: :|寸〈V j i  |   i匕>、 レ′
               人| ,rく〉V l i  | ̄>′  \`
                    〉 i_〉⊥i, hく      ∧
                  ∧/ ,r一'   |rヘ、   /ヽ',
                  / r| 〈 / ̄ヽ  >く   l∧
                   / 〈 \レ': : : :/ `ヽノj_, /  !
                    /  | `ー\::/      ̄`ヽ ト一
                  V     ∧        `|
                 V     / \         |
                〉ー<     \    , イ
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                ____   ___
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          l | {   |斤苧i从  :|,斤苧ミ l   | |\  )ノ
           八{ 八  八 ヒ)ソ  \:{_ ヒ_)ソ^》  | | |  \
           \ i\从|\    ,   、、、、/  /}ノ |   }
              /   人 u    _     フィ^   l|   ノ
               /   / /个ト ../)´ '/)、.. イ  | |   ,
           /   / / //⌒// ///-- .  | |   ′
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            __..--ェェェュ、__

           /イz´彡=-——≧yー--...__
        ,,=ア´//7  zケ =- `¨ ヾ ̄ ̄ ̄`ヾ´ ̄ ≧ュ、_
       ム7 イj!/ rア  ,イ三三三ニヽ Y a ヾ =ミ  ヾ< ̄ ̄` 、
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      _j  ヾ、Vl| ム  ゝ' n (}    マニ7、 n r,  ̄ヾニ、_,,z=ュム
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   j__ ミ{」rア ガ _Z]|   rォ ,,zガ三三ニヽ}ニ jィ      イニ {ヌ   r、  ヾ.
   { `Y Yj    nイ! {'   ノ三三三三三ハミヽ rァ  }ソ リニニ__ >≦ミ)
   マ≧}-タハ__T_」z≠j ィ三三三三三三人三三三三='rュy‐v-r-<三三/

    ミ三}hガ三 ア ̄~ゾ{/7≧ノタア ̄ミー三三 了/' yートソイ⌒Yォ^=ト-、三/
    マ ハjFミソ ゙ r, ォソ {タイゾ¨ァアTミ三三 j{.レ ,ィァ'´ ̄ >彡''jハlゝイ{´
    r'彡-、>{t、 _ゾ´ / r彡リハ j{ ハr=、ヾ三ニ zイアミ、r{しイ7/7TJリ ニミx,
    {´ヾュ/_r Yゾ ィ, / _イマヾ{ ( ノj=ム}`l! V三ニ{リ V7_〉彡ァ7/{ハ/ ニ≧ミヽ.

     マア {タ_ノj ´/ /ァニ_シ'ィz イ{  `! |! Y三ニムヾ≧=イj//7{ハ} ヾ、v `ヽ
    、. }ニレ / ,,イァゾ彡ニ{ lトヘ!|、「 |! |!、ヽ三≧= >=ュ__三彡'j ト.\、、 `ヽ..
___イゾ彡マ /7  イア jk‐'⌒ミヾ{ iハ リヽ.| ト.ミ、`ヽ三三三三三三三三、 ミヽ.\   \_______
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    三ム_/{__イハ、_彡≧三三三三三三| |!  ヾ}  \三三三三三三三 \≧ュ。ヽ\  丶三三三
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    (三三三;:;:;:;:;:;:;:|      .|;:;:;:;:;:;:|;::|_|ヽ_/ヽ/|〉、;:;:;:;:.\\三三ミx、 `>'´;:;:;:;:;:;:;:;:;:,xx
    `ー—-´フ;:;:;:;:/     ./彡;:;:;:;:;|;:;:|._ヽ   / /.|;:;:\;:;:;:;:.\\三三ミミx.|__/ ̄/
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_x'彡彡彡ニ:ヽ;:;:;:|ミ三三三三三三三/;:;:|::.~ ̄`ヽ    |ヽ;:;:;:;:;:.| ̄`ヽ、;:;:ヽミ三三三ミ;:;:;:;:;: ̄

三 彡'´,xzx、 `ヽミ三≫/三三/////;:;:;:.|;:;:``ヽ、 \ ../ `、;:;:;:;:|ーx、 `ヽ、;:ヽミ三;:;:;:;:\`ー—
彡 /三三三三三三三三彡'´//./;:;:;:/;:;:;:;:;:;:;:;:.| ̄     ヽー-x、`x、 `ヽ;:;:ヽ`ヽ;:;:;:;:;:\

  /三三彡'´   フ≡彡//////;:;:/;:;:;:;:;:;:;://ヽ     /`ヽ ノー—、_|;:;:;:;:|-|、;:;:;:;:;:;:`'´;
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以上。このスレの残りは適当に埋めてくだされ

>>1000が叶うかどうかはたまたま目に入った一見のラーメン屋さんが美味いかどうかくらいの確率

>>1000なら黒太郎異世界編

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