ぼっちライダーディケイド (297)

俺ガイルの主人公比企谷八幡が仮面ライダーディケイドとなり、他の世界と融合してしまった様々なライダー
世界を旅して行く話です。(例 ドキドキプリキュア×仮面ライダーブレイド ソードアートオンライン×仮面ライダークウガなど)
以前のスレが落ちてしまったので、また最初から始めます!
少しでもいいのでコメントをいただけると嬉しいです!







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由比ケ浜「ねぇねぇゆきのん、この書類こんな感じでいいかなぁ?」
雪ノ下「由比ケ浜さん……やはりあなたには会計の仕事は向いていないわ。この一枚だけで訂正すべき箇所が五つもある……」
由比ケ浜「う、ううう~、ごめんねゆきのん……」
雪ノ下「で、でも頑張ってくれたことは嬉しいわ。ありがとう」
由比ケ浜「ゆきの~ん!」
雪ノ下が由比ケ浜に抱きつく。
この生徒会室ではよくみられる光景だ。
雪ノ下「じゃぁ比企谷君、この修正をお願い」
そしてその仕事は僕がやることになるんですよね、わかります。
由比ケ浜「よろしくね、ヒッキー!」
まぁ、生徒会長と副会長に言われては庶務の俺には拒否権は無い。
由比ケ浜「この調子なら、次の行事も上手く行きそうだね!」
比企谷「お前はほとんど役にたってねぇけどな……」
由比ケ浜「う……」
雪ノ下「まぁ、由比ケ浜さんは他の所で頑張ってもらっているわ」
雪ノ下……お前由比ケ浜に対して甘すぎるだろ……。
俺がため息をつくと、ドアがノックされた。
雪ノ下「はい」
緩んだ表情を引き締めて雪ノ下が応答する。
映司「やぁ、今日も頑張ってくれてるね。ありがとう」
そう言ってはいってきたのは生徒会担当教諭の火野映司先生だ。
雪ノ下「いえ、仕事ですから」
映司「比企谷君達の代になってから随分スムーズに進行するようになったし、内容も凝ってるし、本当に感謝だよ」
雪ノ下「それは先生も同じでしょう」
火野先生が生徒会担当になったのは今年からだが、影で随分頑張ってくれている。
だから、例年より少ない三人という生徒会役員でやっていけているのだ。
由比ケ浜「先生、またどこか遊びに行こうよ!」
映司「そうだね、次の行事が終わったら行こうか」
雪ノ下「楽しみです」
比企谷「ああ、そうだな」
その時、大地が大きく揺れた。
比企谷「うぉ!なんだ、地震か!?」
雪ノ下「大きいわね……」
俺達が安全を確保しようと動き出したその時、
「ギィヤァァァァッッッ!」
耳をつんざくような叫び声が響いた。
少なくとも普通に生活していて出るような声ではない。
いや、これは、とても人の物とは思えない。
映司「そんな……この世界でも崩壊が始まったのか……?」
火野先生がそう呟き、窓から身を乗り出した。
比企谷「あ、危ないですよ!」
映司「あぁ……やっぱり……終わって無かったのか」
俺達も先生に続いて外を眺める。そして、驚愕する。
怪物、としか言いようのない生物たちが空に地上にとあふれかえっていたのだ。
由比ケ浜「な、何あれ……」
雪ノ下「私達は、夢でも見ているの……?」
映司「……君達は、少しの間ここで待っててくれ」
由比ケ浜「ど、どこに行くの!?」
映司「この状況を何とかできる物を、取ってくる。できれば、もう二度と使いたくなかったんだけどね……」
そう言うと、火野先生は勢いよく駆けだした。
由比ケ浜「な、なんなんだろう……」
雪ノ下「とにかく私たちは、ここで待ってましょう」

そして約二分後。

勢い良くドアが開けられる。

映司「はぁ、はぁ……」

先生の手には、一つのベルトと二つのカードデッキが握られている。

デッキには、龍と蝙蝠のエンブレムがあしらわれている。

映司「君達をまた戦わせることになって、本当に申し訳ない……」

比企谷「先生……?」

映司「三人とも、これを」

言うと先生は、俺にベルトを、雪ノ下に蝙蝠の、由比ケ浜に龍のカードデッキを手渡した。

ベルトに触れた、その瞬間

比企谷「っっっっーーーーーーーー!!!?」

俺の頭の中を、電流が駆け巡る。

比企谷「あ、ああ、ああ……」


陽乃「私は、仮面ライダーオーディン」

三浦「近くにいた、お前が悪い」

材木座「がぁぁぁぁあああっっ!」

戸塚「う、うわぁぁぁぁっっ!」

由比ケ浜「あたしの占いが、やっと、外れる……」

比企谷「お前はなるべく、生きろ……」

それは、記憶。

忘れていたことが不思議な、鮮烈すぎる戦いの記憶。


比企谷「そうだ、俺達は、戦っていた……ライダーバトルを……」

雪ノ下「どうして、忘れていたのかしら……」

由比ケ浜「う?なんであたしのデッキはヒッキーのなの?」

映司「説明は後でする、とりあえず、今はこのモンスター達を何とかしないと」

比企谷「先生、俺のこのベルトはどうやって?」

映司「ベルトの中心にカードを入れるんだ……ディケイドの力は、全てを超越する」

比企谷「まぁ、やってみるか。多分そう簡単には、やられない」

雪ノ下「というか私たちは、ミラーワールドでしか戦えないのでは……?」

映司「それは大丈夫、もうどこでも戦えるはずだよ」

雪ノ下「そうですか……わかりました。変身!」

由比ケ浜「えへへ……ヒッキーのを使うなんて、なんか照れるな……変身!」

そう叫ぶと、雪ノ下は漆黒の剣士仮面ライダーナイトに、由比ケ浜は赤い剣士、龍騎へと

変身した。

俺は数枚の中から、一枚のカードを選ぶ。

―DECADE―

比企谷「変身!」

「Kamen Ride Decade!」

ベルトからその音声が鳴ると、俺の体にバーコードのようなものがはまっていく。

ピンクと黒のボディーに緑の目。

それが俺の変身した新たなライダー、仮面ライダーディケイドだ。

映司「ごめん、また戦わせることになっちゃって」

雪ノ下「気にしないでください、私達は大丈夫です」

由比ケ浜「そうそう、ちゃちゃっとあんなの倒しちゃうよ!」

映司「ごめん、ここは任せた!俺もやるべきことをやったら、すぐに行くから!」

比企谷「っし、行くか」



雪ノ下「ミラーワールドのモンスターとは、少し違う感じね……」

比企谷「アンデッドにワームにドーパント……なんでもありだな」

由比ケ浜「ヒッキー、知ってるの?」

比企谷「なんとなく、わかる。このベルトのせいか……?」

雪ノ下「なにはともあれ、私達がするべきことは一つよ」

由比ケ浜「そうだね!よし、頑張ろう!」

「「Swword Vent」」

「Attack Ride Srash!」

三人それぞれに剣を手にする。

比企谷「お前ら、なるべくならサバイブは使うなよ」

サバイブ、それは使用者の生命エネルギーと引き換えに莫大な力を与える諸刃の剣である。

雪ノ下「その心配は無いわ」

比企谷「え?」

由比ケ浜「なんかよくわかんないけど、サバイブのカードは無くなってるよ?」

「シャァァァッッ!」

会話をしている俺達にモンスターが襲いかかってくる。

比企谷「とにかく、やるかっ!」


剣でモンスターをさばく。

だが、いかんせん数が多すぎる。

比企谷「ちっ……」

「Attack Ride Blast!」

銃を乱射し、敵を一旦遠ざける。

しかしそれは時間稼ぎにしかならない。

雪ノ下「耳をふさいで!」

「Nasty Vent」

雪ノ下がそのカードをスキャンした瞬間、彼女の契約モンスター「ダークウイング」が現

れ、不快なことこの上ない超音波を発する。

比企谷「久しぶりに聞いたなこれ……」

そういえば、このディケイドにはやたら多くのカードが入ってたな。

比企谷「色々試してみるか」

「Kamen Ride 鎧武!」

カードをスキャンすると、俺の姿はどこかオレンジを連想させる姿へと変わった。

「Attack Ride 鎧武! 大橙丸! 無双セイバー!」

二本の剣で敵に切りかかる。すごい威力だ。

「Attack Ride 鎧武! 大橙一刀!」

俺を中心として、円状に斬撃を放つ。

その攻撃に触れたもの全てが爆発する。

巨大な力に驚く俺の背後から何者かが攻撃を仕掛けた。

幸いダメージはさほど大きい物では無かったので急いで振り返るも、すぐ近くにそのよう

な影はない。

と、次は正面から攻撃を受けた。

しかし、全くその姿が見えない。
透明になっているのか、あるいは……

「Kamen Ride Brade!」

次に俺は、鋼鉄の剣士へと姿を変える。

「Attack Ride Brade! タイム!」

ブレイドが使うカードの一つ。スペードの10、タイム・スカラベ。

その効果は、自分以外の時間の流れを減速させること。

しかしその中で、俺と同じ速さで動く物たちがいた。

ワーム、カブトの世界の、高速で動くことができるモンスター達だ。

「Final Attack Ride ブ・ブ・ブ ブレイド!Ritning So

nic!」

キック、サンダー、マッハからなる、電撃を宿した超高速キック。

それを受けたモンスターは、跡形もなく消滅した。

「「Final Vent」」

雪ノ下と由比ケ浜も必殺のカードで敵を蹴散らす。

しかし、モンスター達は次から次へと湧いてくる。

雪ノ下「こんな数……キリがない!」

俺達が体力的にも精神的にも参ってきたその時、空から炎が降ってきて俺達の周りのモン

スターを焼き払った。

地上に降りてきたのは、タカ、クジャク、コンドルの鳥獣系モンスターの力を使って変身

した火野先生、仮面ライダーオーズだ。

映司「大丈夫!?」

比企谷「ええ、なんとか」

映司「今、この世界は消滅しかかっている」

雪ノ下「消滅……?」

映司「前に言ったよね、俺は別の世界から来たライダーだって。この世界には、ここ以外

に14のライダーの世界がある」

雪ノ下「パラレルワールド、のようなものですか?」

映司「うん。そしてその世界が融合しかかっている。そんなことになれば、全ての世界は

消滅してしまう」

比企谷「こんなふうに、ですか……」

高層ビルなどはモンスターによって崩壊し、まさにこの世の終わりといった感じだ。

映司「うん、これよりもっと、ひどいけどね……」

由比ケ浜「そんな……」

映司「でも、全ての世界を救う方法もある」

雪ノ下「方法、というのは?」

映司「比企谷君、いや、ディケイド。君が世界を旅し、ゆがみを正すんだ」

比企谷「え……?」

映司「それぞれのライダーの世界では、滅びの前兆が起き始めている。それを君が、君達

が解決する。全ての世界でゆがみを正すことができれば、世界の崩壊を止めることができ

る」

由比ケ浜「でも、どうしてあたし達が……」

映司「それはわからない。でも、君達が体験したライダーバトルに関係あるってことは確

かだと思う。俺が変われればいいんだけど……」

雪ノ下「行きましょう、比企谷君。どの道このままでは、私たちも、みんな終わりよ」

比企谷「ああ、そうだな。……先生、俺達が何とかして見せます」

と、言った瞬間。

俺が所持していたカードから灰のようなものが放出される。

そして、ほとんどがモノクロの状態になってしまった。

比企谷「なんだ……?」

映司「その状態になってしまったカードは、使うことができない」

比企谷「え?」

映司「各ライダーの力を使うには、そのライダーと絆を結ぶ必要がある。だから、今の比

企谷君には、自分と、由比ケ浜さんが変身する龍騎、雪ノ下さんが変身するナイトの力し

か使うことができなくなったんだ」

比企谷「なるほど……所で先生、旅するって言っても、どうやって?」

映司「そこにある建物、それが鍵だ」

そう言って先生が指差した建物は、『光写真館』。

雪ノ下「写真館……?」

由比ケ浜「こんな所にあったっけ……」

映司「そこから、いろんな世界に行くことができる。……もう時間がない、さぁ、行って」

由比ケ浜「先生は?どうするの?」

映司「俺は、こいつらを食い止める」

由比ケ浜「そ、そんなの無茶だよ!」

映司「それでも俺に出来るのはこれくらいだからね。それに、君達が世界を変えてくれれ

ばこっちの世界でも影響が出る。……頼んだよ」

雪ノ下「御武運を」

俺達は頭を下げ、謎の写真館へと入った。

俺達が入るのを待ち構えていたかのように、部屋の絵が突如切り替わる。

たくさんのトランプのカードが散らばり、そこに鉄のライダー達と少女達が立っている絵

だ。

比企谷「ブレイドの世界、か……」



ブレイド編
<世界説明!>
作品の都合上、原作とは設定が異なりますのであしからず。
地球とは別の世界、トランプ王国に突然謎の勢力ジコチューが襲来し、王国の侵略を開始した。
一人残ったプリキュア、キュアソード(=剣崎真琴)も王女アンジェと供に必死に戦うが、あえなくトランプ王国は滅亡してしまう。
一方地球では、大貝第一中学校生徒会長相田マナが、キャラビーズという謎の宝石を譲り受ける。
その後マナは、王国陥落寸前に地球に送られた妖精三兄弟(シャルル、ラケル、ランス)に出会い、更にキュアソードにも出会う。
これまた地球に来たジコチューとの戦いに苦戦するキュアソードを助けるため、マナはキュアハートへと変身する。
その後、彼女の親友の二人、菱川六花と四葉ありすもそれぞれキュアダイヤモンド、キュアロゼッタとなって四人は協力してジコチューと戦う。
そんなある日、彼女たちの前にジコチュー達の王『キングジコチュー』の娘であるレジーナが現れる。
マナとレジーナは友情を結ぶが、レジーナはキングジコチューにより悪の心を植え付けられてしまう。
強力な力を得て敵に回ったレジーナ達に苦戦する四人を救ったのは新たなプリキュア、キュアエース。
彼女の正体は、小学四年生の少女、円あぐりだった。
戦いが進むにつれ、レジーナ、あぐり、アイちゃん(あぐりのパートナー妖精)はそれぞれ、王女アンジェの悪の心、正義の心、そして転生体であることが判明。
更には、キングジコチューがトランプ国王であったことも発覚。
五人は力を合わせ、キングジコチューと国王を分離、さらにはレジーナの改心も果たす。
しかし戦いは終わりでは無かった。
キングジコチューの上位存在、始まりののジコチュー、プロトジコチューがいたのだ。
圧倒的な敵との戦闘中に、ついにマナは最強フォーム、キュアハート・パルテノンモードへと覚醒を果たす。
しかし、その強大すぎる力は彼女に思いがけない変化をもたらしていた……

登場人物
相田マナ/キュアハート/仮面ライダーカリス
大貝第一中学校の生徒会長を務める、成績優秀かつ運動神経抜群の少女。
しかし、最も特筆すべきはその驚異的な行動力だろう。
本来ならば他の委員などに任せるべき仕事などもほとんどを自らの手で行う。
恐るべきは、それでもあまり問題が生じないほどの才能の持っているということか。
嘘が苦手な性質で、プリキュアになった時も早々に六花に看破された。
地球の人間でありながらプリキュアの力、さらにはそれをはるかに上回るパルテノンモードの力を使ったことで、最凶のアンデッドジョーカーとなってしまった。

比企谷「ん……」
一瞬のめまいの後、再び瞼を開けると、俺はなぜかスーツに身をくるんでいた。
由比ケ浜「うう……って、ええっ!?ヒッキー何その格好!」
比企谷「スーツだと!?俺は働かないぞ!絶対に働かないからな!世界を救うにしてもそこだけは譲れない!」

雪ノ下「はぁ、全く相変わらずね……」

比企谷「つーかこれマジでどうなってんだよ……」

雪ノ下「服の中をいろいろ見てみたら?何かわかるかもしれないわよ?」

比企谷「ん……そうだな」

すると、胸ポケットから見覚えのない財布が出てきた。

中を見るとそこには、

比企谷「きょ、教員免許だと……?」

間違いない、俺の名前と写真の下に中学校教師であることを示す免許があった。

無論、俺に覚えはない。

雪ノ下「比企谷君が人に教えられることなど何一つないと思うのだけれど」

比企谷「ばっかお前、あれだよ、めちゃくちゃあるよ。例えばだな……」

由比ケ浜「ああ!わかった!反面教師って奴だね!」

こんの野郎……。

雪ノ下「そうね、由比ケ浜さんの言う通りね」

比企谷「はぁ……つまりこれが俺のこの世界でやるべきことに関係あるってことか?」

雪ノ下「そう考えるのが妥当でしょうね」

由比ケ浜「他に何かないの?」

財布の中には他にも、一枚のメモがあった。

『赴任先 大貝第一中学校』

比企谷「大貝第一中学校……これって!」

雪ノ下「知っているの?」

由比ケ浜「聞いたこと無いね」

比企谷「いや……大貝第一中学校っていったら、マナちゃん達が通ってる中学じゃないか」

由比ケ浜「マナちゃん……?」

比企谷「マナ、相田マナ。……ハートのスートを司るプリキュア、キュアハートだ」

雪ノ下「プリキュア……?キュアハート?」

比企谷「火野先生は、ライダーの世界が他の世界とつながってしまったと言っていた、も

しそれが本当だとすれば……この世界は、仮面ライダーブレイドの世界は、ドキドキプリ

キュアの世界とつながっていることになる」

由比ケ浜「どっちも聞いたこと無い……それもそのベルトの効果なの?」

比企谷「いや、ベルトで知ったのはブレイドのことだけだ」

雪ノ下「ではその、プリキュア、というのは……?」

比企谷「ばっかお前、プリキュアを見てない男子高校生なんているわけないだろうが」

由比ケ浜「ええー……?」

雪ノ下「まぁ……いいわ。とにかく、それが比企谷君のすべきことだというのなら、まず

はその中学校に行ってみるべきではないかしら?」

比企谷「よし行こう、今行こう」

由比ケ浜「ヒッキーがいつになく積極的だ!?」

比企谷「マイスイートハート、マナたんに会えるのなら労働さえも苦ではない!」

由比ケ浜「うう……なんか複雑だなぁ」

雪ノ下「由比ケ浜さん、私達はどうしましょうか?」

由比ケ浜「う?ヒッキーについていったらいいんじゃない?」

雪ノ下「でも、私達が中学校に行くというのも変な話でしょう?」

由比ケ浜「確かに……」

と、その時。

雪ノ下と由比ケ浜の体をコミカルな爆発が襲った。

次の瞬間、二人の服が総武高の物ではない別の制服になっていた。

というかこれは……

比企谷「お前ら、それ、大貝中の制服だぞ」

雪ノ下「私達は、生徒として転入しろ、ということ?」

由比ケ浜「えへへ、中学生かぁ……懐かしいなぁ」

雪ノ下「比企谷君が教師で私が生徒というのは非常に不本意なのだけれど……」

比企谷「ま、それは人徳って奴だな」

雪ノ下「は?」

比企谷「ごめんなさいなんでもありません」

由比ケ浜「二人とも、早く行こうよ!」

雪ノ下「そうは言っても、道がわからないわね……」

比企谷「しばらくこの街にいなきゃいけないかもしれないんだし、いろいろ回ってみようぜ」

雪ノ下「それもそうね、わかったわ。では、行きましょうか」

写真館の外は、やはりというかなんというか元の世界とは一変していた。

雪ノ下「この世界でなすべきこと、ね……」

由比ケ浜「でも、なんだかワクワクするよね!」

比企谷「どこまで能天気なんだお前は……」

あんなことがあったってのに、よくそんなことが思えるものだ。

あるいはそれが、彼女の強さなのかもしれないが。

由比ケ浜「あたし、そこらへんの人に道聞いてくる!」

おおう、俺にはできないことをあっさりやり遂げる。

そこにしびれる憧れるぅ!

雪ノ下「彼女のああいうところ、すごいと思うわ」

比企谷「まぁ、俺達がコミュ障ってだけなんだろうが……」

雪ノ下「あなたと一緒にされるととても不愉快なのだけれど……」

比企谷「いや、お前……五十歩百歩だろ」

雪ノ下「五十と百の間にはかなりの差があると思うのだけど」

そんなことを今俺に言われても……。

由比ケ浜「聞いてきたよー!あっちだって!」


比企谷「ここが大貝第一中学校か」

雪ノ下「至って普通の中学校といった感じね」

由比ケ浜「楽しみだね!」

どこに行けばいいか見当もつかないので、とりあえず職員室に向かうことにした。

比企谷「失礼します」

男「あ、あなたが新任の比企谷先生ですか?」

比企谷「はい、よろしくお願いします」

男「えっと、横にいるのは、転入生の雪ノ下と由比ケ浜でいいか?」

雪ノ下「はい、よろしくおねがいします」

由比ケ浜「お願いします」

男「私は城戸といいます、比企谷先生にはうちのクラスの副担任を務めてもらいます。転

入生の二人も、俺のクラスだ。よろしくな」

比企谷、雪ノ下、由比ケ浜「おねがいします」

城戸「じゃぁ、三人は明日から学校に来る、ということで」

比企谷「わかりました、失礼します」

雪ノ下、由比ケ浜「失礼します」




雪ノ下「この世界で私達がすべきこと……ここがライダーの世界だというのなら、そのラ

イダーと協力する、もしくは戦う、ということになるのかしら」

由比ケ浜「もうライダー同士で戦いたくないなぁ……」

比企谷「プリキュアと戦うとか絶対いやだな……」

プリキュアンの俺としてはそんなことを認めるわけにはいかない。

と、俺達が通りを歩いていたその時。

「「うわぁぁあぁっっ!」

前方から、人が雪崩を打って走ってきた。

比企谷「なんだ……?」

男「あ、アンデッドが出た!早くライダーに来てもらわないと!」

*アンデッド……ブレイドの世界のモンスター。自らの種を繁栄させる為、バトルファイ

トという戦いを行っている。ライダー達は、倒したアンデッドをカードに封印し、その力

を使って戦う。

雪ノ下「行きましょう!」

由比ケ浜「わかった!」

比企谷、由比ケ浜、雪ノ下「変身!」

「Kamen Ride Decade!」

暴れていたのは、ラクダを人型にしたようなモンスターだった。

比企谷「ハートスートのカテゴリー9……キャメルアンデッドか」

ディケイドのベルトのおかげで、敵の基本的な情報が脳裏に浮かぶ。

雪ノ下「随分便利ね、そのベルト」

比企谷「ああ、といっても名前くらいしかわからんが」

雪ノ下「行くわよ!」

「Swword Vent」

由比ケ浜「よーし、あたしも!」

「Strike Vent」

由比ケ浜が炎を放ち、ひるんだすきに雪ノ下が斬りかかる。

比企谷「雪ノ下、ちょっと離れろ!」

「Attack Ride Blast!」

敵が反撃に出る前に銃で牽制する。

「グォォォ!」

敵はずいぶん弱ったようだ。まぁ、三対一では無理もない。

比企谷「とどめだ!」

「Final Attack Ride! De De De Decade!」

高く跳び上がり、敵につながった幾枚ものカードを突き抜け、とどめの一撃を放つ。

爆発が起こり、アンデッドがいた場所には一枚のカードが残った。

比企谷「なるほど……俺達でもアンデッドを倒すと封印できるわけか」

雪ノ下「リカバー、キャメル……アドベントカードのようなものかしら」

比企谷「ああ、これを使ってこの世界のライダーは闘うらしい」

由比ケ浜「わぁ……なんかかっこいいな。これもらってもいいのかな?」

ありす「それは困りますわ、そのカードはハートのライダーカリス、マナちゃんの物です

から」

振り向くとそこには、四人の少女達が立っていた。

六花「私達のほかにも、ライダーが……?」

剣崎「敵……?」

マナ「こんにちは!わたし、大貝第一中学生徒会長、相田マナです!」

六花「ちょっとマナ!その人たちは敵かもしれないのよ!」

シャルル「マナはもっと気をつけるべきシャル!」

ダビィ「その通りだビィ!」

ランス「マナはのんき者ランスぅ~」

ラケル「ランスに言われたくないと思うケル……」

*相田マナ……大貝第一中学校の生徒会長。キュアハート、仮面ライダーカリスに変身す

る。

菱川六花……マナの親友。成績は学年トップ。生徒会では書記としてマナを支える。

キュアダイヤモンド、仮面ライダーギャレンに変身する。

四葉ありす……マナと六花の幼馴染で、大企業「四葉財閥」の社長令嬢。

キュアロゼッタ、仮面ライダーレンゲルに変身する。

剣崎真琴……トランプ王国という異世界からやってきたトップアイドル。キュアソード、

仮面ライダーブレイドに変身する。

シャルル、ラケル、ランス、ダビィ……それぞれマナ、六花、アリス、剣崎のパートナー

妖精。彼女達がライダーに変身する際には、カテゴリーエース(変身能力)のカードとな

る。

比企谷「ああ、マナちゃ……相田さんの言う通りだ。俺達は敵じゃない」

ありす「では、あなた方は一体……」

雪ノ下「私は雪ノ下雪乃、仮面ライダーナイトよ」

由比ケ浜「あたしは由比ケ浜結衣。仮面ライダー龍騎です」

比企谷「俺は比企谷八幡、仮面ライダー、ディケイドだ」

俺がそう言った瞬間、彼女たちの表情、特に剣崎真琴の表情が変わった。

剣崎「あなたが……ディケイド!行くわよ!ダビィ!」

その言葉と同時に、ダビィと呼ばれた紫色の妖精が一枚のカードとなった。

そして彼女はそれをベルトに入れる。

剣崎「変身!」

「Turn Up!」

剣崎「よくもトランプ王国をっ!」

「Srash」

突如彼女は変身し、俺にきりかかってきた。

比企谷「な、なんなんだ!」

剣崎「ディケイド!あなたのせいで、私の国は……どれだけの人が苦しんだと思っている

の!」

比企谷「な、なんのことだ!」

剣崎「何を今更……世界の破壊者ディケイド!トランプ王国にジコチュー達を差し向けた

のはあなたでしょう!」

比企谷「俺はそんなこと知らない!」

「Attack Ride Srash!」

やむを得ず剣を出し、ブレイドの攻撃を止める。

剣崎「ふざけないで!」

「Kick Thunder Mahha…… Rightning Sonic」

比企谷「くそ……聞く耳なしかよ、一旦無力化する!」

「Kamen Ride Night!」

*本来ディケイドは各主役ライダーにしか変身できませんが、一部例外を設けます。

「Attack Ride Night! Nasty Vent」

「キィィィィィッ!」

異次元から現れたダークウイングが超音波を出す。

剣崎「うううううっ!」

それをうけ、空中にいたブレイドが体勢を崩し、落下する。

「Attack Ride Night! Trick Vent」

八人に分身し、ブレイドを取り囲んで剣を突き付ける。

比企谷「とりあえず、話を聞いてくれないか?」

雪ノ下「比企谷君、まずはその剣を下ろしなさい。そんな態度では話し合いなど無理でし

ょう。まぁ、最初に仕掛けてきたのはこの子だけど」

見ると、剣崎を助ける為か、マナ達も変身していた。

⇒⇒⇒13
すみません、彼らがこうなった経緯は、前作の「仮面ライダーぼっち」を読んでいただくとわかります。

伝えるべきことを書き忘れてしまい申し訳ありません。

比企谷「とにかく俺達の話を聞いてほしい。剣崎さんが言うようなことには、一切心当た

りがない」

信頼してもらう為、俺は変身を解く。その様子を見た雪ノ下と由比ヶ浜もそれに続く。

雪ノ下「彼の行っていることは本当よ。まぁ、その目を見てしまえば説得力など皆無だと

は思うけれど」

比企谷「おい、目は関係ないだろ目は」

六花「死んだ魚のような眼ね」

比企谷「そんなに賢そうか?DHA豊富そうだな」

このやりとり、なんか懐かしいな。

剣崎「本当に、トランプ王国とジコチューのことには関与していないの?」

比企谷「ああ、この目が嘘を言っているように見えるか?」

由比ヶ浜「だからそんな目を見せても……」

比企谷「いい加減俺の両親に謝れよ……」

由比ヶ浜「りょ、両親って……何言ってるのヒッキー!」

比企谷「何言ってるのはこっちのセリフだっつーの……」

マナ「まぁまぁまこぴー、とにかく話を聞いてみようよ!」

ありす「そうですね、もうレジーナさんや、トランプ国王さんとも和解しているのですか

ら、そうしてもいいと思いますわ」

剣崎「みんながそう言うなら……あなた達の話を聞かせてくれる?」

剣崎がそう言うと、四人は変身を解除した。

比企谷「さっきも言ったが、俺は仮面ライダーディケイド。比企谷八幡だ。実は、俺がデ

ィケイドになったのはまさに今日でな、正直俺にもよく状況がわかっていない」

六花「じゃぁ、他の二人……雪ノ下さんと由比ヶ浜さんは?」

雪ノ下「そのあたりは少々複雑なのだけれど……私達はこの世界の人間ではないの」

マナ「ええっ!?う、宇宙人!?」

雪ノ下「いえ、別の世界……平行世界とでもいえばいいのかしら……」

ありす「にわかには信じられないことですが……トランプ王国と似たようなものでしょう

か……」

ランス「ランスは宇宙人じゃないランス~。ありすひどいでランス~」

ありす「ごめんなさいランスちゃん、そんなつもりではありませんでしたが」

比企谷「まぁ、大体そんなもんだと思ってもらえればいい。俺達にもあってるかどうか断

言できないしな」

由比ヶ浜「ヒッキー、へーこ―世界って何?」

雪ノ下「由比ヶ浜さん、少しの間黙っていて」

由比ヶ浜「うう……」

比企谷「ともかくその俺達の世界では、ライダーバトルという、仮面ライダーによる、バ

トルロワイヤルが行われていた。俺達三人はその参加者だったんだ」

剣崎「ライダー同士で、戦う……」

比企谷「そしてその戦いは、最後に生き残ったライダー仮面ライダーナイト、つまりこの

雪ノ下雪乃の、ライダーバトルをなかったことにするという願いにより終結した」

雪ノ下「そしてどうしたことか、私達はその記憶を今日まで忘れていたの」

六花「じゃぁなんで今日突然……?」

由比ヶ浜「あたし達の世界に、すっごい多くのモンスターが現れたの。そして全部めちゃ

くちゃにされて……」

比企谷「そんな中俺達は、三つの変身アイテムを渡された。由比ヶ浜と雪ノ下には龍騎と

ナイトになる為のカードデッキが、俺には、ディケイドになる為のディケイドライバーが」

雪ノ下「そして私達にベルトを渡した人、仮面ライダーオーズ、火野映司先生はこう言っ

たわ。ディケイドは14のライダーの世界を旅して、歪みを正さなければならないと。そ

うしなければ、私達の世界だけでなく、あなた達の世界、いいえ、全ての世界が滅びる、

と」

剣崎「突拍子もない話だけどでも……話の筋は通っているし、私たちからすれば、否定も

できないわね」

六花「まぁ、現にこの世界も滅ぼされかかっていたし」

比企谷「それだ、俺からも少し聞きたいことがある」

ありす「なんですか?」

比企谷「この世界は、プリキュアがジコチューの侵攻を食い止め、キングジコチュー、レジーナとも和解し、その危機を救われた、ここまではあってるよな?」

マナ「うん!いやー、レジーナとも仲直りできて本当に良かったよ~」

六花「何でそのことを、別の世界から来たあなたが知っているの?」

比企谷「俺達の世界で、お前らのことを知らない奴はいない。まぁ、伝説のような物とし

て伝えられてるんだ。世界の危機を救い続ける、十年の少女の伝説として」

雪ノ下「知っているのはあなただけでしょう……」

比企谷「で、だ。一体いつ、ライダーの力を手に入れた?」

剣崎「この世界が平和になってしばらくしてから、突然、見たこともない化け物が現れた

の」

マナ「その化け物、アンデッドには、プリキュアの力が全く通じなかった。攻撃しても倒

せないし、浄化技も効かない」

剣崎「アンデッドは、プロトジコチューが産まれるよりも前、人間と種の繁栄をかけて戦

った恐るべき怪物よ。彼らは自らの種の為に戦っているから、そもそも悪意という物がな

い。だからプリキュアの力は一切通じない。そこで当時の人間が作り出したのがこのライ

ダーシステムよ」

由比ヶ浜「ライダーシステム……」

剣崎「このライダーシステムは、アンデッドの力を使って変身する物で、その適正度、融

合係数が高い者でないと使えなかった。そしてそれを使って世界を救ったのが、私の先祖、

剣崎一真よ」

六花「そして、どういうわけか、封印したはずのアンデッドが再び現れたから、私達はそ

のライダーシステムを使って戦っている、というわけ」

ありす「頑張りの甲斐もあって、残りは三体のアンデッドだけ、いえ、今日比企谷さん達

が倒したので、あと二体だけです。その二体を封印してしまえば、戦いも終わります」

比企谷「つまり、アンデッドを全て封印する手助けをするのが、この世界で俺達がやるべ

きこと、というわけか」

雪ノ下「おそらく、そういうことでしょうね」

剣崎「あなた達のこと、疑ってごめんなさい、これからよろしくね」

マナ「友達が増えて、胸のキュンキュン、止まらないよ!」

???「随分調子がいいな、人間ども」

俺達は後方から声をかけられる。

剣崎「……あなたはもしかして、アンデッド?」

???「ああ、そうだ。随分種の数も減って、そろそろ出てきてやってもいいと思ってな

……ハァッ!」

二十代くらいの青年がそう言うと、その体がアンデッドのものとなる。

六花「私のカテゴリーエースに似ている、つまり……」

マナ「ダイヤのカテゴリーキング、ギラファアンデッドだね」

ありす「カテゴリーキングは、そのスートの中でも最も強力なアンデッド、油断はできま

せん」

剣崎「ここは私達だけで行くわ、あなた達は見てて」

マナ「行くよ!シャルル!」

シャルル「シャールルー!」

六花「ラケル、私達のカテゴリーキングを手に入れるわよ!」

ラケル「おうともさ!ヨーチェケラケ!」

ありす「ランスちゃん、行きましょう」

ランス「ラーンス~」

剣崎「ダビィ!変身よ!」

ダビィ「ダビデダビデダビィ!」

「「「Turn Up!」」」

「Open Up」

マナ「目覚める本能の力、キュアカリス!」

六花「灼熱の銃士、キュアギャレン!」

ありす「凍てつく氷は力の証、キュアレンゲル!」

剣崎「運命さえも切り開く、キュアブレイド!」

「「「「響け、愛の鼓動!ドキドキプリキュア!」」」」

カリス「愛を無くした悲しいギラファノコギリクワガタさん、このキュアカリスが、あな

たのドキドキ、取り戻してみせる!」

ギラファ「次の世界を手に入れるのは、俺達の種族だ!」

ギラファは両手に持った二本の大剣で襲いかかる。

「Fire Ballet」

ギャレンが距離をとって炎の銃撃を撃ちこむ。

ギラファ「そんな攻撃、俺のバリアの前には無力だ!」

そう言うと同時、アンデッドの周りを赤い障壁が覆う。

レンゲル「これならっ……」

「Rush Blizard Poison……Blizard Gail」

氷と毒の力をまとい、杖を持ったレンゲルが空中から襲いかかる。

ギラファ「お前達の力など効かぬと言ったはずだぞ!」

ギラファは左手の剣を銃に持ち替え、レンゲルを迎撃する。

レンゲル「きゃぁあぁっ!」

カリス「レンゲル!こうなったら……」

「Evolution」

カリスがそのカードを使うと、彼女の体が赤く染まる。

カリス「これが、ワイルドカリス……行くよ!」

右手に持った弓状の武器でギラファと斬り合う。

「Bind」

弓から蔦が伸び、ギラファの体を拘束する。

それをそのまま自分の方に引きつける。

「Chop」

強烈な一撃がアンデッドの腹部にヒットする。

ギラファ「カテゴリーキングのカードを使ってもこの程度か?甘いぞ!」

カリスの体が宙を舞う。

剣崎「今はまだキングのカードは……だから、これでっ!」

「Absorb Queen Fusion Jack」

剣崎「絶対に、この世界を、人の世界を守ってみせる!」

「Thunder Srash……Ritning Srash」

ギラファ「俺もお前達もただただ己の種族の繁栄を望む物、そのくせ貴様らだけ正義の味

方づらをされると虫唾が走るわ!」

ジャックの力で舞い上がったブレイドに向けて大剣を投げつけるギラファ。

その攻撃はブレイドの腹部に直撃し、変身が解除される。

ギャレン「このアンデッド……今までのカテゴリーキングより格段に強い!」

ギラファ「ウゥゥゥゥ・・・・・・オオオオオオオオオッッ!」

ギラファが咆哮すると、エネルギー波が射出され、残った三人に直撃した。

それを受け、アリスとマナの変身が解除された。

高い攻撃翌力とバリア、これはかなりの難敵だ。

ギラファ「貴様も倒してやる、俺と同じ、ダイヤスートのライダーよ」

マナ「り、六花っ!」

ギャレンは膝をついてなかなか立ち上がれず、とても勝負になりそうにない。

そんな相手を見て笑みを浮かべたギラファは、大仰に剣を振り上げる。

ギャレン「……この距離ならバリアは張れないわね!」

そう言って突然立ち上がり、ギラファの腹部めがけて銃を連射する。

ギラファ「ぐぉぉぉぉっ!」

ギャレン「とどめよ!カテゴリーキング!」

「Drop Fire Jemini……Burning Debide」

ギャレンが高く跳び上がり、空中で二体に分身し、同時にキックを浴びせる。

ギラファは受けたダメージが大きかったためか、バリアを張れないでいる。

ギャレン「やぁぁぁぁっっ!」

ギラファ「うぉっ、あぁぁぁぁっっっっ!!」

ギャレン「さよなら、カテゴリーキング」

封印のカードが体に触れると、アンデッドの姿が消えた。

すみません、29はこちらに変更します。 申し訳ありません。

剣崎「今はまだキングのカードは……だから、これでっ!」

「Absorb Queen Fusion Jack」

剣崎「絶対に、この世界を、人の世界を守ってみせる!」

「Thunder Srash……Ritning Srash」

ギラファ「俺もお前達もただただ己の種族の繁栄を望む物、そのくせ貴様らだけ正義の味

方づらをされると虫唾が走るわ!」

ジャックの力で舞い上がったブレイドに向けて大剣を投げつけるギラファ。

その攻撃はブレイドの腹部に直撃し、変身が解除される。

ギャレン「このアンデッド……今までのカテゴリーキングより格段に強い!」

ギラファ「ウゥゥゥゥ・・・・・・オオオオオオオオオッッ!」

ギラファが咆哮すると、エネルギー波が射出され、残った三人に直撃した。

それを受け、ありすの変身が解除された。

高い攻撃翌力とバリア、これはかなりの難敵だ。

ギラファ「貴様も倒してやる、俺と同じ、ダイヤスートのライダーよ」

マナ「り、六花っ!」

ギャレンは膝をついてなかなか立ち上がれず、とても勝負になりそうにない。

そんな相手を見て笑みを浮かべたギラファは、大仰に剣を振り上げる。

ギャレン「……この距離ならバリアは張れないわね!」

そう言って突然立ち上がり、ギラファの腹部めがけて銃を連射する。

ギラファ「ぐぉぉぉぉっ!」

ギャレン「とどめよ!カテゴリーキング!」

「Drop Fire Jemini……Burning Debide」

ギャレンが高く跳び上がり、空中で二体に分身し、同時にキックを浴びせる。

ギラファは受けたダメージが大きかったためか、バリアを張れないでいる。

ギャレン「やぁぁぁぁっっ!」

ギラファ「うぉっ、あぁぁぁぁっっっっ!!」

ギャレン「さよなら、カテゴリーキング」

封印のカードが体に触れると、アンデッドの姿が消えた。

ありす「やりましたわ!」

四人は駆けよって抱きしめあう。

「Spirit」

マナと六花も変身を解除する。

雪ノ下「……奇妙だわ」

由比ヶ浜「どったの?ゆきのん」

雪ノ下「相田マナさん、彼女だけ、変身を解除する時にもカードを使った。それも、ベル

トに直接スキャンしていた」

比企谷「別にそんぐらい気にするようなことじゃないだろ」

雪ノ下「気にする、ことよ。彼女達は、封印したアンデッドの力を使って戦う。戦いを観

察させてもらったけど、その通りだったわ。剣崎さんのカードは、サンダーが鹿、マッハ

がジャガー、六花さんのは、ジェミニがシマウマ、ファイアが蛍……といった具合にね」

比企谷「お前そんなとこまで見てたのかよ、すげぇな……」

雪ノ下「そしてマナさんが使ったスピリットのカード……それには、Human……と書

かれていたわ」

比企谷「っっっ!!!!?」

由比ヶ浜「ん……?それっておかしいの?」

雪ノ下「由比ヶ浜さん……つまり、人間のアンデッド、ヒューマンアンデッドが存在して

いて、彼女はそれを封印したということになるのよ。自分と同じ、人間の祖たる存在を」

比企谷「まぁ、人間のアンデッドがいるって言っても、おかしくはないよな」

雪ノ下「問題はそこじゃないの。彼女、相田さんが、人間の力を使ったのはなぜ?自分と

同じ種のカードなど、使う必要はないわ。しかも、戦闘の後で、ね……」

そこから導かれた一つの推測に、俺は言葉を失った。

比企谷「つまりそれは……マナが、人間ではない、と。お前はそう考えているのか?」

由比ヶ浜「え、ええええええっっっ!?」

雪ノ下「そういう可能性もある、ということね。先程のアンデッドも、人間に擬態してい

たし」

比企谷「そんな……でも、確認する必要は、あるだろうな」

由比ヶ浜「そんなこと聞くのはちょっと……」

雪ノ下「とても言いづらいことだけど、しないわけにはいかないわ。それによって、私達

のしなくてはいけないことも変わるかもしれない」

真剣な表情で話していた俺達のことを少しいぶかしんでいる様子で、四人が近づいてきた。

ありす「おまたせしました」

雪ノ下「一つ、聞いてもいいかしら」

剣崎「なに?」

雪ノ下「仮面ライダーカリス、相田マナさんのことなのだけれど」

そのまま確心に入ろうとする雪ノ下を手でとどめる。

比企谷「率直に聞く、……お前は、人間なのか?」

六花「な、なにいってるの!」

マナ「良いんだよ、六花。ありがとね」

六花「で、でも、マナ……」

マナ「私なら、大丈夫だから」

雪ノ下「では、やはり……」

マナ「うん……ハァッ!」

マナがそう叫ぶと、彼女の体から黒の瘴気がほとばしる。

そして彼女の姿は、先程の可愛らしい少女からは想像もできない、緑と黒の、おぞましい

モンスターに変わっていた。

マナ「あたしは、……大貝第一中学生徒会長で、みんなを守るプリキュアで、そして……

最凶のアンデッド、ジョーカー……」

比企谷「ジョー、カ―……」

マナ達は、それぞれトランプのスートのカードを使っていた。アンデッドもそれに対応し

ているとすれば、マナは、その中でもイレギュラーな存在ということになる。

雪ノ下「……最凶というのは、どういう意味なのかしら」

マナ「アンデッドは、自分の種族の繁栄の為に戦う。でもあたしは、どの種族の祖先でも

ない」

由比ヶ浜「マナちゃんは、人間じゃない、っていうこと?」

六花「違う!マナは人間よ!みんなを守るために……ほんとに、どうしようもない幸せの

王子なんだから……」

由比ヶ浜「ご、ごめん……」

雪ノ下「幸せの王子というのは、自分の体中の宝石を人々に配ったという、あの話のこと

かしら」

幸せの王子は世界的にも有名な童話だ。美しい宝石で造られた王子様の銅像は、貧しい街

の人々を救う為、ツバメに体中の宝石を配って回り、最後には鉛の心臓しか残らなかった

という、少し悲しい話だ。

ありす「ええ、そうですわ。マナちゃんは、プロトジコチューとの戦いの際、プリキュア

パルテノンモードとなったのです。その力で見事世界を救うことができましたが、その力

はあまりに強大すぎたのです……そしてマナちゃんは、ジョーカーになってしまった……」

剣崎「言い伝えによれば、ジョーカーがバトルファイトに勝ち残った場合、全ての種が滅

んでしまうと言われているの。だけど、そんなことはさせない。マナをバトルファイトに

勝ち残らせた上で、その後に起きることから、世界も守ってみせる」

比企谷「じゃあ、俺達がすべきことは……その、世界の崩壊を阻止する、ということなの

か?」

雪ノ下「どうでしょうね、ただ単に、バトルファイトを終わらせるだけ、という可能性も

あるけど……今考えても、仕方ないことだと思うわ」

由比ヶ浜「あたしたちも協力するよ!マナちゃんを、みんなで守ろう!」

比企谷「ま、そういうことだな」

雪ノ下「微力ながら、お手伝いさせてもらうわ」

マナ「みんな……ありがとう!胸がキュンキュンするよ!」

プリキュアの世界にバッドエンドは似合わない、俺には似合わないかもしれないが、最高

のハッピーエンドを目指してやろうではないか。

雪ノ下「明日から中学生、ね……やはり何度考えても複雑な心境だわ」

就寝直前になって、雪ノ下がそんなことを言い出した。

ちなみに今日の夕飯は由比ヶ浜が強引に作って、まぁ予想通り不味かった為、全員若干テ

ンションが低い。

比企谷「つーか俺なんか教師だぞ?さっぱりだっつーの」

由比ヶ浜「ふぁぁ……まぁまぁ、もう寝ようよ―」

比企谷「相変わらずマイペースな奴だな……」

雪ノ下「まぁ、気にしても仕方ないというのは確かね。おやすみなさい」

比企谷「ああ、おやすみ」

雪ノ下「ちょっとまちなさい」

比企谷「ん?」

雪ノ下「ん、じゃないわ。何を平然と同じ部屋で寝ようとしているの?」

比企谷「いや、布団この部屋にしかないし……」

雪ノ下「だからといって、男女が同衾するのはよくないことだわ」

比企谷「いや、同じ部屋で寝るだけなら同衾じゃねーだろ」

雪ノ下「カメラがある部屋にソファがあったから、それじゃ、お休みなさい」

かくして俺は、記念すべき労働一日目を、身体の節々を痛めた状態で迎えることとなった。

城戸「こちらが、今日からこのクラスの副担任となる比企谷八幡先生だ」

比企谷「よろしくおねがいします、精一杯頑張ります」

信じがたいことに今俺は教壇に立ち、生徒たちに自己紹介をしている。

その中に雪ノ下や由比ヶ浜がいるというのはなかなかにシュールな光景だ。

ちなみにありすを除くマナ、六花、剣崎の姿もある。

マナ「えええええええっ!?比企谷君って、先生だったの!!?」

城戸「ん?相田は知り合いだったのか?でも先生に向かって君はないだろう君は」

マナ「あ、ごめんなさい。いやー、でもびっくりだね」

剣崎「ほんと、驚いたわ」

六花「ディケイド……立場も世界に合わせて変わるのね……」

城戸「じゃぁ僕はこれから出張なんで、今日一日お願いしますね、先生」

比企谷「え?」

城戸先生はそう言い残し、さっさと教室を出て行ってしまった。

……せめて前もって言って欲しかった……。

しかもこの中学校、どういうわけか、小学校よろしく、体育と芸術科目を除く全ての教科を担任が教えるという謎の教育方針を取っているのだ。

比企谷「じゃぁ、授業を始めます、一時間目は……うわ、数学かよ……」

総武高校で常に数学最下位を取る俺は、中学時代からこの教科が苦手で、受験でも数学は

赤点を取ってしまい、他の教科でフォローしたものだ。

そんな俺に、中学二年の内容を教えることなど到底出来はしない。

比企谷「あー……今日の授業は、みんなに九九を覚えてもらう」

クラス中からどよめきの声が起こる。

男「先生、何ふざけてんだよ~」

比企谷「いや、冗談じゃない。といっても、覚えてもらうのは、9×9までではなく、9

9×99までだ。これはインドの小学生が暗記している内容だ。そして二年後の君達の高

校受験は、スピードが命になる。その時、計算の手間を省けるというのはとても強い武器

になる。だから、この時間はそれを覚えてもらう」

よし、結構うまくごまかせたぞ!

雪ノ下「この男、自分が数学ができないからといって……」

由比ヶ浜「しかもそれっぽい理由でごまかしてるし……」

六花「先生の言っていることは正しいと思いますが、学習カリキュラムの方は大丈夫なん

ですか?」

比企谷「ん……大丈夫だ、これを覚えることで今後の授業のペースも早めることができる

しな」

マナ「先生すごい!」

剣崎「ねぇマナ……くくって何?」

まこぴー……いい加減こっちの世界に慣れようぜ?な?

マナ「ええっ!?まこぴー九九知らないの?」

六花「今までどうやってテストを切り抜けてきたのよ……あ……そっか、まこぴーの数学

の点数は赤……」

剣崎「六花!それ以上はっ」

ダビィ「真琴は算数もまだよくわかってないビィ。今は引き算を頑張ってるんダビィ」

ラケル「僕は九九はもうできるケル!」

シャルル「シャルルは分数の計算ができるシャル!」

剣崎「シャルル達に負けてるなんて……」

と、そんなこんなで俺の授業は何とか進んでいった。



比企谷「つーわけでだ、人という字は支え合ってるとかいう意味はなく、ただの象形文字

だから……」

道徳の授業を進めている時、

シャルル「闇の鼓動を感じるシャル!」

マナ「先生!わたし達ちょっと行ってきます!」

マナ達が駆けだした。

比企谷「っ……ここからは自習だ、少し用ができた」

雪ノ下、由比ヶ浜と供に俺もマナ達の後を追う。

雪ノ下「最後のアンデッドね……」

学校を出て走っていると、ピンクの車が俺達の横についた。

ありす「お乗りください!」

生で見るとすごい車だな……。

俺達三人も乗っていいものか一瞬戸惑ったが、雪ノ下は何のためらいもなく乗り込んだ。

雪ノ下「何をしているの?今はくだらないことを気にしている場合ではないでしょう?」

セバスチャン「ささ、早くお乗りになってください」

ありすに使えるセバスチャンもそう言ったので、後部座席に乗り込む。

ありす「とばしてください、スピードは気にしなくていいです」

セバスチャン「かしこまりました」

セバスチャンがそう言うと、ファンファンファン、と、パトカー特有のサイレンが鳴り始

めた。

……これはだめだろ……。

他の車があけた道を、悪びれもせずに颯爽と通り過ぎていく。

セバスチャン「お気になさらず。ジコチュー、アンデッドと戦う際には使用を許可されて

いるのです」

ああ、そう言えばこの世界ではプリキュアの正体が知られてるもんな。

セバスチャン「少々揺れますので、何かにつかまっていてください」

そう言うと同時、車の速度が一気に上がる。

メーターを覗くと、200近くになっていた。

すごいな、四葉財閥。

セバスチャン「アンデッドサーチャーの反応からすると、後一分ほどで到着します」

剣崎「都市部で暴れているのね……犠牲者が出ていないといいけど」

六花「これがいよいよ、最後の戦いになるのね……」

マナ「がんばろうね、みんな!」

ありす「私たちなら、きっと出来ますわ」

由比ヶ浜「よーーし、頑張るぞー!」

おい……空気読めよ、今まで頑張ってきた四人が決意を新たにする場面だろ?


よそ者の俺達は黙っているべきだと思うのだが……。

マナ「頼りにしてるね!」

どうやらそういうことはあまり気にしないようだった。

セバスチャン「到着します、ご用意を」

ありす「クラブのカテゴリーキング、タランチュラアンデッド……」

タランチュラ「グガァァァッッ!」

紫色の毒々しいそのアンデッドは、体中から毒針を放出し、人々を襲っていた。

マナ「みんな、行くよ!」

マナ、六花、ありす、剣崎「「「「変身!」」」」

シャルル「頑張るシャル!」

ラケル「絶対に勝つケル!」

ランス「ら~んす~」

ダビィ「これで終わりダビィ!」

「「Turn Up!」」

「Open Up!」

「Change」

カリス(マナ)「目覚める本能の力、キュアカリス!」

ギャレン(六花)「灼熱の銃士、キュアギャレン!」

レンゲル(ありす)「凍てつく氷は力の証、キュアレンゲル!」

ブレイド(剣崎)「運命さえも切り開く、キュアブレイド!」

「「「「響け、愛の鼓動!ドキドキプリキュア!」」」」

レンゲル「愛を無くしたかなしいタランチュラさん、あなたも私と、愛をはぐくんでくだ

さいな?」

八幡、雪ノ下、由比ヶ浜「「「変身!」」」

「Kamen Ride Decade!」

龍騎「ドラゴンハートは未来の印、キュア龍騎!」

ディケイド「時の使者、キュアディケイド!」

龍騎、ディケイド「「二人はプリキュア!」」

ディケイド「闇の力の僕達よ、」

龍騎「とっととおうちに帰りなさい!」

……決まった。

ナイト「何しているの?」

龍騎「えへへ、いいでしょ?マナちゃん達がやってるの見てかっこよかったからさ、

ヒッキーとやってみたんだ―。ゆきのんも今度一緒にやろうよ―」

ナイト「絶対に嫌よ」

ディケイド「広がる夜の闇、キュアナイト、とかはどうだ?」

雪ノ下「黙りなさいこの変態」

ひどい言われようだ……。

タランチュラ「七人とは、随分大勢で来たものだ……。これではどちらが正義かわからん

な。無論私も、悪事を働いているというつもりもないがね。それに、君達の仲間が増えた

ことは、風が教えてくれたしな」

剣崎「風……?」

タランチュラ「ああ、風は全てを知っている」

そう言うと、タランチュラはアンデッドの姿から人間の姿になった。

六花「何のつもり……?」

タランチュラ「いや、少し話でもしたいと思ってね。……最初私は、人類と争うつもりは

なかったんだ。言い訳がましく聞こえるかもしれないがね……。事実、そのラウズアブゾ

ーバーを開発するのにもずいぶん協力したものだ」

剣崎「なんですって!?」

タランチュラ「かつてバトルファイトが行われていた時にライダーシステムを作った男、

烏丸とは友人でね。私は嶋と名乗り、彼と親交を深めた。そして最後には、私が封印され

てでも、人間を勝ち残らせようと思ったものだ」

マナ「じゃぁ、今はなんで……?」

嶋(タランチュラ)「なぜ、だと……?君達は今の人の世を見て、よくそんなことが言える

な。不幸が常に蔓延し、多くの人々が一部の強者にいいように蹂躙され、そしてそのこと

にすらも気づかず、偽りの自由を、平和を享受している……こんな有様を、彼が望んだは

ずはない。だから私は、変わり果てた人間を滅ぼすのだ」

マナ「ちっがーーーーーーーうっ!」

マナが突然大声を上げた。

マナ「違うよ、そんなの全然キュンキュンしないよ!」

嶋「キュンキュン……?」

マナ「確かに、世界には嫌なことや悲しいことがいっぱいある!でもそれでもみんな、少

しでも良くしようと思って、毎日頑張ってるんだから!あなたのやってることは、自分の

意見を人に押し付けるジコチューだよ!人には悪いところがいっぱいある、でもそれ以上

にいいところも、いっぱいいーっぱいあるんだから!人には、無限の可能性があるんだよ!」

嶋「そうか……ならばその可能性とやらを、示してみろ!」

再び彼はアンデッドの姿になる。

剣崎「いくわよ!」

「Absorb Queen Evolution King」

マナ「うん!」

「Evolution」

六花「カテゴリーキング……面白いわ!」

「Absorb Queen Fusion Jack」

ありす「あなたも力を貸してくださいな」

「Remote」

ありすがそのカードをスキャンすると、一匹のアンデッドが現れ、敵に向かっていく。

龍騎「お願い!ドラグレッダー!」

「Advent」

ナイト「行きなさい!」

「Advent」

比企谷「っしゃ!」

「Attack Ride Blast!」

さまざまな攻撃がタランチュラを襲う。

タランチュラ「そう簡単にやられては、あいつに顔向けできんのでな!」

タランチュラはその攻撃を巧みにかいくぐり、反撃する。

無数の毒針が俺達を襲う。

ありす「強いですわ……」

剣崎「うおおおおぉっ!」

「Spade 2,3,4,5,6……Straight Flush」

剣崎が大剣から光の衝撃波を繰り出す。

タランチュラ「そんな物が効くかぁ!」

緑の衝撃波を発射し、その攻撃を打ち消す。

やっぱり強いな、カテゴリーキングとやらは……。

「Final Attack Ride Decade!」

高く跳び上がり、敵に向かって重なった数枚のカードを通過しながらキックを放つ。

タランチュラ「どんな攻撃だろうと、当たらなければどうということはない!」

タランチュラは見事にそれを交す。

マナ「みんな、カードをブレイドに!」

ありす「わかりましたわ!」

六花、ありす、マナ「私達の力をキュアブレイドに!」

ブレイド「みんな、ありがとう!」

「Spade10、Daiya10、Club10、Heart10……Four Card!」

ブレイドの放った斬撃がタランチュラの腹部に命中する。

タランチュラ「グ、グアァァァッ!」

マナ「とどめだよ!」

「Wild」

六花「はぁっ!」

「Bullet,Fire,Rapid……Burning Shot」

ありす「決めますわ!」

「Rush Blizzard Poison……Blizzard Benom」

剣崎「終わらせる、全てをっ!」

「Spade10,Jack,Queen,King,Ace……Loyal Stra

ight Flash」

雪ノ下「一気に行くわ!」

「Final Vent」

比企谷「ちょっとくすぐったいぞ」

由比ヶ浜「ちょっ、何してるのヒッキ」

「Final Form Ride Ryu Ryu Ryu 龍騎!」

俺が背中に触れると、由比ヶ浜の姿が巨大な龍、ドラグレッダ-へと変わる。

「Final Attack Ride……Ryu Ryu Ryu 龍騎!」

由比ヶ浜「ガァァァッッ!(なんでぇぇ!!?)」

6人の攻撃が一声に直撃し、巨大な爆発が起こる。

攻撃を受けたタランチュラの姿を見ると、ぐったりと倒れ込んでいる。

これで死なないというのだから驚きだ、まぁ、だからこそ封印のカードが必要なんだろう

が。

ありす「たとえそれがどんな内容であれ……わたしたち人類のことを真剣に考えてくださ

ったこと、心より感謝します。……安らかにお眠りください」

そう言って、封印のカードを静かに彼の上に置いた。

ゆっくりとタランチュラの姿が消えていく。

剣崎「終わった、のね……」

六花「長かったわね……感慨深いわ」

マナ「やったぁぁっ!胸のキュンキュン、止まらないよぉ!」

由比ヶ浜「いえぇぇぇいっ!」

互いの健闘をたたえ合う彼女達の枠の祖と、俺と雪ノ下はその様子を見つめていた。

雪ノ下「でも……どうなるのかしら。マナさん、ジョーカーが勝ち残ったということにな

るのよね、これは」

比企谷「ああ……全種族の滅亡、具体的にどういうことなのか、見当もつかん」

マナ「おおーい!比企谷く、先生も雪ノ下さんも、こっちに来てよー!」

そう言ってマナが俺達のもとに駆け寄ってくる。

そして、俺達の手を取ったその時だ。

「シャァァッ!」

マナの足もとから、数体のモンスター(アンデッドだろうか)現れた。

比企谷「なっっ!?」

そのモンスターは黒と緑の不気味な姿で、ジョーカーとなったマナの姿を連想させた。

数は6体。

マナ「な、なんなのこれ!?」

剣崎「そんな、アンデッドは全て封印したんじゃ!?」

「「「シャァァッ!!」」」

そのモンスター達の攻撃を、俺と雪ノ下は何とか回避する。

攻撃を繰り出して俺達を遠ざけた後、そのモンスターはマナの方に向き直った。

六花「やめなさい!マナに何する気!」

しかし六花の心配とは裏腹に、モンスター達がマナに危害を加えることはなかった。


それどころか、マナに向かって跪いたのだ。

ありす「もしかしてこれが……ジョーカーが勝ち残った時に起きる滅亡?このモンスター

達が、世界を滅ぼす?」

と、次の瞬間。

またしてもマナの足もとから、モンスターが湧出した。

今度は、8体。

マナ「え?」

モンスター達は同じようにマナに跪き、そして彼女のもとを離れ、俺達に襲いかかってき

た。少し離れている由比ヶ浜達の方にも同様に。

マナ「や、やめてっ!」

しかしそんなマナの言葉は届かない。

俺達は再び変身してモンスター達と戦う。

幸い、戦闘力の方は対して高くなかった。

むしろ、相当低い。

雪ノ下「ねぇ比企谷君……このモンスター達から、何か連想しない?」

比企谷「ああ、俺も同じことを考えていたところだ」

あなたと同じ考えなんて怖気が走るのだけれど、なんてことをいつもの彼女なら言うのだ

ろうが、流石に今はそんな場面ではない。

たしかに、俺達はこれに似た状況を体験している。

俺達のもと居た世界で、ライダーバトルの終盤、無数のモンスターがあふれ、現実世界へ

侵攻を開始したのだ。

個々の力は弱かったが、その数に俺達は大いに苦しめられたものだ。

困惑する俺達のもとに、セバスチャンが駆けよってきた。

セバスチャン「皆さま、これをご覧ください」

セバスチャンが小型の携帯端末でニュースを映す。

『現在、全国で信じられない出来事が起きています。無数の怪物が現れ、人々を襲ってい

ます。なお、同様の現象はアメリカ、ロシアなど、全世界で起きており、あっ、あぁあぁ

ぁっっ!』

カメラが最後に移したのは、テレビ局内に入ってきたモンスターにキャスターが襲われる

シーンだった。

由比ヶ浜「これって……」

六花「あ、ありす!」

ありす「な、なんですか、六花ちゃん」

六花「リモート、ありすのリモートのカードで、何かアンデッドを解放すれば、一体のア

ンデッドが残ることにならないから、この現象は止まるはずよ。そう、マナのヒューマン

アンデッドを解放すれば……」

ありす「……無理ですわ」

剣崎「え?」

ありす「最後に勝ち残ったのがマナちゃんだと確定した今、もはやリモートのカードは効

果を発揮しません」

考えてみれば当然だ、そのような制限がなければ何度でもバトルファイトをやり直せるこ

とになる。

六花「そんな……」

マナ「どうしよう……あたしの、せいで……」

六花「何言ってるのよマナ!マナのせいなわけないでしょ!」

マナ「ねぇ六花、あたし、どうしたらいいのかな。あたしがいたら、みんなが……」

マナが膝を落とす。

そんな彼女をあざ笑うように、再びモンスターが湧出する。

その数、12。

マナ「う、うわぁぁぁぁぁっっっ!」

マナがその姿を変える。

しかしそれはカードを使った変身ではなく、ジョーカーへの変化だった。

マナ「うわぁあっっ!」

自分のもとへ近づいてくるモンスター達を一網打尽にする。

その一撃で、半数の六体が消滅した。

思わぬ攻撃を受けたモンスター達はマナを敵とみなし、戦闘態勢に移る。

マナ「あああああぁぁっっ!」

その戦う姿は、本能のままに敵を蹂躙するもので、まさに……ジョーカーと呼ぶにふさわ

しかった。

そしてマナがモンスター達を殲滅した直後、再び先程を上回る数のモンスターが現れた。

マナ「ああぁぁぁぁっっっ!」

そのモンスター達も、マナの手にかかって次々と消されていく。

ようやく、モンスターの湧出が収まった。

だがこの瞬間も、世界ではこのモンスター達が増え続けている。

そして、俺達の様に戦う術を持たない人々は、ただただ、蹂躙される……。

マナ「ねぇ、六花……もう、だめだよ。倒しても倒してもきりがない。あたし達がどんな

に頑張っても、この広い世界を、守ることはできない」

彼女らしからぬ言葉を、ジョーカーのままの姿でマナは紡いでいく。

六花「そんな!マナは今までどんなピンチも乗り越えてきたじゃない!だから今度だっ

て!」

マナ「違う、違うんだよ、六花……」

六花「な、何が違うのよ!」

マナ「今までのピンチは、原因を作った人が他にいた。グーラ達や、キングジコチュー、

プロトジコチューにアンデッド……でも、これは、あたしが原因なの。だから、どうしよ

うもないよ。あたしが原因で、でも、あたしの意思とは関係なく起こってしまう……

ねぇ、六花」

ジョーカーから元の姿に戻り、マナは六花を強く抱きしめる。

そしてそのまま、自分の唇を六花のそれに重ねた。

六花「!!?」

マナ「初めて会ったときから、大好きだったよ。だから六花、あなたの手で、あたしを終

わらせて?世界を、あたしを、救って?」

マナはそう言い、再びジョーカーの姿へと変わる。

ありす「マナちゃん……」

剣崎「マナ……」

六花「……けないでよ」

マナ「え?」

六花「ふざけないでよ、マナ!幸せの王子にもほどがあるわ!自分を犠牲に、世界を救っ

てですって?それを、好きだって伝えたわたしに言うの!?あなたのことを、ずっと好き

だった、わたしに言うの!?」

マナ「六花も、あたしのことを……それだけで、十分すぎるほど幸せだよ」

六花「諦めないで!勝手に一人で決めないでよ!ねぇマナ、幸せの王子が最後、どうなる

かは知ってる?」

マナ「うん……鉛の心臓だけ残して、死んじゃうんだよね」

六花「そうよ、その通りよ。でもね、一人で死ぬんじゃないわ。それまでずっとそばにい

たツバメと唇を合わせて、二人で幸せに死んで行くのよ。言ったでしょ!?わたしはあな

たのツバメになるって!だから!絶対にあなたを死なせない!世界を敵に回しても、最後

まであなたを守ってみせる!」

マナ「六花……」

六花「わかった!?わかったら返事!」

マナ「うん……ありがとう、六花」

六花「もう、無茶しすぎよ……」

そう言って二人は、もう一度強く抱きしめあった。

マナ「ありすもまこぴーもごめんね、なんだか、先走っちゃって」

ありす「ふふ、そんなこと慣れっこですわ」

剣崎「マナのことを心配したのは六花だけじゃないんだからね!」

マナ「うん、ごめんなさい」

批判でもなんでもいいので、ぜひ感想をください!待ってます!

→→→48
ありがとうございます!モチベーション上がります!どうぞこれからもお付き合いください。

ありす「セバスチャン、四葉グループはアンデッド達にどう対応していますか?」

セバスチャン「軍事班が自衛隊とともに殲滅作戦を行っていますが、効果は上がっており

ません。現在は、住民の皆様の避難を最優先にしております。世界支部でも同様です。し

かし、このままではジリ貧です」

ありす「とにかく今は手分けして、アンデッド達を倒しましょう」

剣崎「そうね」

……その作戦は、十中八九うまくいかない。無限に、世界中に湧きだす敵を殲滅などでき

るはずがない。

倫理的にできるかどうかは別として、マナを、ジョーカーを倒す以外に方法はないのだ。

六花「行くわよ、マナ」

マナ「うん、わかった!」

六花に手を握られたマナはとても幸せそうだった。

一体誰が、この少女を倒せるというのだ。

雪ノ下「私達も、行きましょう」

由比ヶ浜「うん、ドラグレッダー達を使えば、一片に倒せるかも」

雪ノ下「それでも問題の解決にはならない、けど」

比企谷「……少なくとも、一時の解消にはなるんじゃないか」

それ以上語るべきではない、と雪ノ下に目くばせする。

由比ヶ浜「じゃぁ、いこう!」

「「「変身!」」」

「Kamen Ride Decade!」

「「「「変身!」」」」

「「Turn Up!」」

「Open Up!」

「Change」

セバスチャン「私も、お嬢様達と共に闘います。以前開発した物を改良した、この人工コ

ミューンⅡで!……プリキュア、ラブリンク! ハァアァァッ! キュアッ!セバスチャ

ンっ!」

セバスチャンがまばゆい光に包まれ、バットマンのような格好になった。

……え?これプリキュアにカウントするの?

セバスチャン「では、参りましょう」

なんか仕切ってるし……。

まぁ、いいか。

こうして俺達八人は、それぞれ敵のもとへと向かった。

俺が向かった先は、大貝第一中学校付近だ。

生徒達は、体育館に避難しているようで、その周りをアンデッド(名称は先程ダークロー

チと名付けた)が囲み、今にも中に入りそうだった。

比企谷「これはうかうかしてられないな」

「Attack Ride Ilusion」

比企谷「モンスターども!かかってこい!」

敵の注意をこちらに向ける。

増えた体で、敵を一網打尽にする。

「シャァァァっ!」

休む間もなく、新たに湧出したダークローチが後方から襲いかかる。

比企谷「力を借りるぞ、雪ノ下、由比ヶ浜!」

「Kamen Ride Night!」

「Attack Ride Nasty Vent」

超音波攻撃で敵をひるませる。

「Kamen Ride Ryuki!」

「Attack Ride Strike Vent」

動きが鈍った敵を焼き打ちにする。

とりあえずこのあたりの敵は倒したが、またすぐに現れるだろうし、他の場所では惨劇が

繰り広げられているはずだ。

―Prrrrrr―

変身を解き、場所を移そうとしたその時、俺のスマホに着信が入った。

比企谷「はい」

剣崎「もしもし……剣崎、真琴よ」

比企谷「どうした?」

剣崎「…………マナを……ジョーカーを、倒す。力を、貸して」

比企谷「……正気か?」

剣崎「冗談で、こんなこと、言わないわ。……これは、マナに言われたの」

――――――――――
ダビィ「真琴、マナから着信ダビィ!」

剣崎「マナから……?はい、もしもし」

マナ「あ、まこぴー。こんなこと、頼むのは、本当に申し訳ないんだけど……」

剣崎「マナらしくないわ、何でも言って。わたし達、友達でしょ?」

マナ「……私を、封印してほしいの」

剣崎「なっ……!?さっき、そんなことしないって……」

マナ「そうだけど、さ。でもこのままじゃ、世界は滅ぼされちゃう。まこぴーもありすも

あぐりちゃんも六花も……みんな、死んじゃうよ」

剣崎「それは、そうだけど……」

マナ「自分で[ピーーー]たら、誰にも迷惑かけなくていいんだけどさ、あたし、アンデッドだか

ら……誰かに封印してもらわないと……」

剣崎「……」

マナ「三人とも大切な親友だから、本当にこんなことしたくないけど、さ……まこぴーだ

けは、故郷を滅ぼされる悲しみを、知ってるでしょ……?」

剣崎「……」

マナ「ごめん、こんなこと言って。だから、まこぴーなら、みんなの為に、封印してくれ

るんじゃないかって」

剣崎「そんな……私が、マナを……」

マナ「もう何人も、人が死んでる。……殺された。それと、段々ジョーカーとしての自分

を、抑えきれなくなってるんだ。なんでだかわからないけど、戦いたくて戦いたくて、仕

方ない……」

剣崎「マナ……」

マナ「せめて、人として終わりたい」

剣崎「でも、今だってこうして話せてるし……人の心を持ち続けることは……」

マナ「無理だよ!」

剣崎「ど、どうして」

マナ「さっきね、お母さん達は大丈夫かなと思って、こっそり家を見に行ったの。荷物を

まとめて、出発するところだった。あたし、そんなお母さん達を見て、倒したいと、思っ

たんだよ……?」

涙ながらにマナは言った。

剣崎「……わかったわ。今から、行く。このことは六花たちには……」

マナ「言わないで、お願い。それから、あった時には、あたしのことは、相田マナ、キュ

アハート、じゃなくて、ジョーカーとして接してくれないかな。そっちの方が、気が楽だ

から……」

剣崎「……マナ。あなたに会えて、一緒に居られて、本当に良かった。ありがとう、さよ

なら」

剣崎「だから、マナと私が戦ってる間、近くのダークローチを倒してほしいの。マナの近

くには、特に多く出ると思うから。……せめて、一対一で戦いたい。マナは、わたしにで

きた、初めての親友だから」

そう言われては、聞くしかない。

比企谷「……わかった」



三十分後、俺はこの街で最も高い建物、四葉タワーの屋上、その隅にいた。

少し離れた場所に、マナと剣崎がいるはずだ。

比企谷「ここは、わき役に徹するしかないよな……」

これから始まる戦いには、どう転んでも、残酷な結末が待っている。

それはどこまでも悲劇的で、それでいて喜劇的でさえあった。

比企谷「……変身」

「Kamen Ride Decade」

ここにきて、俺とダークローチとの無益な戦いを語る必要はないだろう。

黒子はさっさと舞台から降りるべきだ。

私の前には、一人の少女が立っている。

相田マナ、プリキュアとしてともに戦い、ライダーとして人々を救い、皆に幸せを配り過

ぎてジョーカーとなってしまった、私の一番の親友。

これから私は、そんな彼女を封印する。

……この世から、追放する。

ならばせめて、その最後の在り方は、彼女の望むままに……。

マナ「……懐かしいね」

剣崎「ええ。この場所から、あなたとわたしは始まったのかもしれない」

マナ「だから、ここで終わるんだ」

剣崎「アンデッドは全て封印した!あとはあなたよ!ジョーカー!」

「Turn Up」

マナ「あたしとあなたは、戦うことでしかわかりあえない!」

「Change」

その言葉を言うのは、どれほどつらいことだろう。

剣崎「はぁぁぁっっ!」

マナ「やぁぁぁっ!」

剣と弓が、激しく激突する。

私の蹴りが、マナの腹部に直撃する。

ひるむことなく、マナはわたしの顔に拳を叩きこむ。

剣崎「やっ!たぁっ!」

マナ「せいっ!」

わたしとマナの足が撃突し、火花を上げる。

いつだったか、レジーナ達がまだ敵だった頃、こうしてマナと戦いごっこをしていたこと

を思い出す。

その様子を六花とありすが笑ってみてて、ジョナサンはニヒルな笑みを浮かべていたっけ。

もう戻れない楽しかったあのころを思い出し、涙が溢れ出る。

仮面のおかげでそれがマナに伝わらないことを、心から感謝する。

マナ「もっと、いくよ!」

「Evorution」

キングのカードで、マナの姿がワイルドカリスへと変化する。

「Absorb Queen Fusion Jack」

私もフュージョンイーグルとアブゾーブカプリコーン、融合のカードと仲介のカードを使

い、ジャックフォームになる。

「Thunder Srash……Ritning Srash」

高く飛翔し、急降下の勢いと供にきりかかる。

「Wild」

対してマナは、ハートスートすべての力を集合させたカードを使い、高威力の衝撃波を放

った。

剣崎「あああああぁっ!」

攻撃が届く直前のところで、衝撃波に吹き飛ばされる。

マナ「……終わらせよう、まこぴー……ううん、ブレイド」

剣崎「そうね……ジョーカー」

マナ「ウウワァァァアッァアッッッ!」

咆哮を上げ、マナはジョーカーの姿となった。

「Absorb Queen Evorution King」

そしてわたしも、最強形態、キングフォームとなる。

これはスペードスートのアンデッド全13体と融合する、自らをアンデッドへと近づけか

ねない諸刃の剣だ。

だがだからこそ、最後の戦いにはふさわしい。

マナ「アアアァアァァッッッ!」

マナは再び咆哮し、自らが持っていた13枚のハートスートのカードを宙に投げた。

その中には当然、人の姿になる為に必要な「Human Spirit」、ヒューマンアン

デッドのカードもある。

それはつまり、自分は人として生きるつもりはないという意思表示だ。

マナ「グルアァッッ!」

その叫び声は、獣そのものだった。

鋭く尖ったかぎ爪を振り下ろしてくる。

ジョーカーは特殊な武器こそ持たないが、キングフォームを凌駕する戦闘力を持っている。

いや、その体全てが武器なのだ。

その攻撃を、金色の剣、キングラウザーで受け止める。

「Spade 2 3 4 5 6 Strate Flash!」

5枚のカードを使った強力な一撃を、マナは両腕を使って耐えてみせた。

そのまま高く跳躍し、威力を増したキックがわたしの肩に直撃する。

その瞬間硬質化のカード、スペードの7『メタル・トリロバイト』を使ったが、それも意味

を持たないほどの威力だった。

剣崎「くっ……」

比企谷「大丈夫か!」

その時、ダークローチと相手をしていたディケイドがこちらに近づいてきた。

剣崎「手を出さないで!」

そう言うとディケイドは足を止め、戦闘に戻って行った。

マナ「大丈夫?助けてもらわないと負けちゃうよ?」

剣崎「こんな時まで心配してくれるの?ほんと、六花じゃないけど、幸せの王子にもほど

があるわ!」

剣でマナの胸を切りつける。

マナ「うっ……」

体勢を立て直し、マナは続ける。

マナ「だって仕方ないでしょ!困ってる人がいたら、助けたいよ!」

剣崎「無理しすぎなのよ!」

マナ「あたしは、あたしにできるだけの無理をしてるだけ!」

剣崎「その結果が、これでしょ!あなた一人が、苦しんでるじゃない!」

マナ「それでみんなが幸せになれるならいいよ!幸せの王子は、鉛の心臓だけになっちゃ

ったけど、それでも、満足してたはずだよ!」

……。

剣崎「なら、残された人たちはどうなるの!王子がいなくなったことにも気付かない、救

われた人たちは、一体どうすればいいのよ!」

「Spade 10 Jack Queen King Ace……Royal Str

ate Flash!」

マナ「やぁぁぁあああぁぁっ!」

互いの全力が、ぶつかり合う。

大きな爆発が起きる。

そして……

マナ「ああ、よかった……」

マナがその場に、ドサリと倒れ込んだ。

剣崎「マナ……あなた最後、わざと手を抜いたわね?」

マナ「気づいてたんだ……」

剣崎「……わざと負けて、わたしに封印されるつもりだったのね」

マナ「他に方法がある?まこぴーはああ言ってくれたけどさ、あたしの体は、もうあたし

の意志ではどうにもならない。戦うほどにあたしは、獣に近づいて、戦うことしか考えら

れなくなる。

そんなあたしを倒せるのは……あなただけだよ、まこぴー」

そう言うとマナは、満足そうに眼を閉じた。

剣崎「せめて私は、一生忘れないわ。この街に、誰よりも優しい、幸せの王子がいたこと

を……」

マナ「……ありがとう」

私は黙って、最後の封印のカードを静かにマナの上に置いた。

少しずつ、マナの体が消えていく。

剣崎「……さようなら」

マナを封印したカードがわたしの手に戻ってくる。

『Joker』

剣崎「……これで、終わったのね……うっ……」

こぼれおちる涙を必死でこらえる。

一番つらかったのはマナだ。なのに私が涙するわけにはいかない。

その思いとは裏腹に、体から力が抜けていき、わたしは膝を地につけた。

俺を取り囲んでいたダークローチが突然姿を消した。

……終わったのか。

見れば、剣崎がうずくまっていた。

涙をこらえているようだ。

こういう時、何と言えばいいのか。

いや、きっとかける言葉なんてあるはずもないが。

と、彼女の傍に光が集まって行くのが見えた。

比企谷「……ん?」

そしてそれは徐々に大きくなり、

剣崎「!!?これは、ワイルドカリス……マナ?」

現れたのは、かつてマナが変身していた、仮面ライダーカリスの強化フォーム、ワイルド

カリスだ。

???「人間などと一緒にするな。長い間ジョーカーに使役されていた俺達だが、その存

在が消えたことで、集合体としてこうして封印を解くことができたのだ。言うならば、カ

テゴリーハートといったところか?」

そう言うとカテゴリーハートは両手を大きく振り、衝撃波で剣崎を吹き飛ばした。

剣崎「うっ……」

壁にぶつかったからよかったものの、下手すれば高所からの落下で死んでいたかもしれな

い。

俺は急いで剣崎のもとに駆け寄る。

比企谷「どうやらこれが本当のラストバトルみたいだな。こいつには、俺が手出ししても

いいんだろ?」

剣崎「助かるわ……。マナが救った世界を、これ以上誰にも傷つけさせない!変身!」

「Turn Up」

カテゴリーハート「なんだ、お前はっ!」

比企谷「通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ!」

剣崎がブレイドに変身すると同時、俺が持っていたカードの何枚かが発光しだした。

比企谷「これは……」

それは、仮面ライダーブレイドに関するカードだった。

一度は灰色になったそれらが、再び鮮やかな輝きを取り戻した。

絆が成立した、ということか。

剣崎「ディケイド、これを」

剣崎が、スペードとハートのエース、そしてジョーカーのカードを差し出す。

比企谷「ちょっとくすぐったいぞ?」

『Final Form Ride Bu Bu Bu Brade!』

俺が背中に手を当てると、剣崎の体が巨大な剣へと変化した。

彼女の使う「ブレイラウザー」の様なそれは、さながら「ブレイドブレード」とでも言う

べきか。

カテゴリーハート「何をごちゃごちゃと……」

そしてさらに、クラブとダイヤのエースを取り出す。

事態を解決するのに必要だといって、六花とありすから借りてきたものだ。

剣崎とマナの戦いに万が一にも介入させないための方便だったのだが、あながち嘘にもな

らなかった。

比企谷「使わせてもらう、お前達の、希望の力を!」

「Spade Ace Club Ace Daiya Ace Heart Ace Joker……Five Cards!」

剣に黄金の光が集まって行く。

比企谷「ウェーーーーーイッッッ!」

若者達が使うおちゃらけに使うのとは違う、気合を入れる意味でその言葉を叫ぶ。

あまりに巨大なエネルギー波が、アンデッドを塵一つ残さず消滅させた。

剣状だった剣崎の体が元に戻る。

剣崎「ありがとう、これで、この世界も、平和に……ううっ」

感極まって、剣崎が嗚咽を漏らす。

大切な親友がいなくなったのだ、その心情はこんな俺でも察することができる。

比企谷「……これから、どうするんだ?」

剣崎「……歌い続けるわ。人々を笑顔にできる歌を。マナにも、届くように」

そう言うと剣崎は俺が渡したジョーカーのカードを胸の前で強く握った。

比企谷「そうか……きっと届くさ」



由比ヶ浜「お~~~い!ヒッキー!」

振り返ると、雪ノ下と由比ヶ浜が駆け足でやって来るところだった。

雪ノ下「この世界でやるべきことは、終わったようね」

比企谷「それじゃ、これでさよならだ。次に会うことがあったら、その時は、お前の歌を

聞かせてくれ」

そう言うと同時、俺達三人の体を不思議な光が包む。

比企谷「そうだ、記念に一枚」

写真館から持ってきたカメラで剣崎を撮る。

そこには、決意を秘めた、一枚のカードを握る少女と、その後ろで優しく笑う赤神の少女

が映っていた。

次こそはハッピーエンドをつかむと誓い、俺達は新たな世界へ旅立った。

この次は、仮面ライダー鎧武の世界となります。

鎧武の次の世界で希望がありましたら、コメントお願いします!
(龍騎、ドライブは除く)

~仮面ライダー鎧武の世界(×フレッシュ!プリキュア)
比企谷「ん……」

光に包まれた俺達は再び写真館の中にいた。

雪ノ下「世界を移動するときは毎回ここからスタートなのね……」

由比ヶ浜「あっ!見てみて、絵が変わってるよ!」

由比ヶ浜の言う通り、額縁の絵がブレイドの世界の物から変わっていた。

フルーツがあふれる中で少女達がダンスをしている奇妙な絵だ。

比企谷「フルーツってことは……ここは鎧武の世界、踊ってるのは……なるほど、大体わ

かった」

由比ヶ浜「ヒッキー何一人でぼそぼそ言ってるの?キモいよ」

比企谷「……つまりここは、仮面ライダー鎧武と、フレッシュプリキュアが融合した世界

ってことだ。二連続でプリキュアとは運がいい。生でせつラブが見れるというわけか」

雪ノ下「この世界でわたし達がすべきことは……」

雪ノ下が言うと同時、俺達の服装が変わった。

俺が黄色、雪ノ下が青、由比ヶ浜がピンクのジャージ姿だ。

由比ヶ浜「だ、ダサい……」

雪ノ下「この格好ですることって一体……」

比企谷「……ダンスだ」

雪ノ下「え?」

比企谷「この衣装は、この世界のプリキュ、いや、ライダーがダンスをする際に使う衣装

だ。はぁ、まぁ仕方ないな……『You Make Me Happy!』と『Happ

y Together!』、どっちがいい?」

ったく、まさかプリキュアのダンスを踊ることになるとはな……。

つーか俺ブッキーポジションかよ……。あざといことした方がいいのか?

由比ヶ浜「なんでそんなにノリノリだし……」

雪ノ下「踊るなら……『Just Live More』でしょうね」

比企谷「ま、まぁ待て、さっきの二つの曲が不服なら、がんばらんすでも……」

雪ノ下「Just Live More 一択よ」

なぜそんなピンポイントで押してくるんだ……。

比企谷「はぁ、まぁそれでもいいけどよ……」

「イーーンベーーースッ!」

その時、外から不気味な叫び声が聞こえた。

由比ヶ浜「いこう!」

俺達がそこに行くと、不気味な怪物と黒い衣装を着た少女が立っていた。

???「スイッチ、オーバー!……我が名はイース!ラビリンス総統、メビウス様が僕!

……変身!」

―メロン!―
『メロンアームズ!天下、御免!』

イース(仮面ライダー斬月)「さぁ、早く来いプリキュア!今日こそ倒してみせる!」

比企谷「せっちゃん……まだイース状態か」

俺が変身しようとすると、そこに三人の少女が現れた。

???「待ちなさい!ラビリンス!あなた達の好きにはさせない!」

???「ら、ラブちゃん、美希ちゃん、まってよ~」

???「ブッキー、ほら、急いで!」

「「「チェィンジ!プリキュア!ビートアーップ!」」」

―ピーチ!―
―ブドウ!―
―パイン!―

『ピーチアームズ!幸せ in your hand!』
『ブドウアームズ!龍・砲!ハッハッハッ!』
『パインアームズ!粉砕、デストロイ!』

イース「プリキュア……今日こそ倒すっ!」

イースはそう言うと、三人のもとに向かっていく。

三人の中心に入り込み、円状に剣を振るう。

イース「無双円斬!」

その攻撃に三人は思い切り吹き飛ばされる。

美希(仮面ライダー龍玄)「響け!希望のリズム、キュアスティック、ブドウ龍砲!」

ブドウをモチーフにした銃で、遠距離から射撃を行う。

イース「あまい!」

『メロンディフェンダー!』

イースは左手にメロンの盾、メロンディフェンダーを装着し、その攻撃を防ぐ。

龍玄「かかったわね!ブドウ龍砲はおとりよ!」

祈里(仮面ライダーバロン~パインアームズ~)「癒せ!祈りのハーモニー!キュアスティ

ック、パインアイアン!」

いかにも威力の鷹そうな武器を、バロンが上方からイースに振り下ろす。

だがその一撃さえも、メロンディフェンダーは耐えてみせた。

ラブ(仮面ライダー鎧武~ピーチアームズ~)「届け!愛のメロディ!キュアスティック!ピーチアロー!」

だ、誰か見てませんか……?

鎧武が弓を引き絞ると、エネルギーの塊となった矢が勢いよく射出される。

斬月「くっ!」

斬月の強固な縦には触れず、攻撃が胸に直撃する。

斬月「クッ……援護しろ!インベス!」

パンダの姿を模した怪物が斬月の前に立ちふさがる。

バロン「わたしに任せてっ!」

―カモンッ!-

―バナナスパーキング!―

パインの持つ鉄球の鎖の部分がインベスにからみつく。

バロン「やぁっ!」

そのまま祈里はジャンプし、急降下キックを放つ。

インベス「ルゥッ!」

動きを封じ込められたインベスは、抵抗できず攻撃を喰らう。

龍玄「とどめよっ!」

何とか攻撃に耐えてみせたインベスに対し、龍玄がブドウ龍砲による連射でとどめをさす。

斬月「ちっ!おのれプリキュア……」

鎧武「もうやめて、イース!なんでこんなことするのっ!」

斬月「うるさい!お前達さえいなければっ!」

―メロンオーレッ!-

右手に無双セイバー、左にメロンディフェンダーを持ち、必殺技の構えをとる。

鎧武「負けるわけにはいかないのっ!」

ラブもピーチアローを持つ手に力を込め直す。

斬月「愚か者がっ!」

斬月は先程とは違い、巨大な楯を突きだして円状に回った。

剣で攻撃をされると思っていたラブは、反撃のタイミングを誤り、体勢を崩す。

そしてそのまま剣で切りつけられる。

鎧武「うぅっ!」

しかし彼女もさるものだった。

やられて吹き飛ばされながらも矢を放ち、斬月にもダメージを与えることに成功する。

鎧武「龍玄!バロン!」

龍玄「おっけー!」

バロン「まかせて!」

―ピーチスパーキング!―
―ブドウスパーキング!―
―パインスパーキング!―

三人は同時に跳び上がり、キックを放つ。

三人「「「プリキュア、トリプルキーック!」」」

斬月「ぐぉぁぁっ!」

流石に三人の攻撃には耐えられなかったのか、斬月は地を転がり、イースの姿に戻る。

斬月「覚えていろ……」

彼女はそう言い残し、瞬間移動でその場を後にした。

それを見て、三人も変身を解いた。

ラブ「イース……なんだかかわいそうだったな……」

美希「ラブ……あの子は敵なの、わかってる?」

祈里「でも、本当に強いよね……わたしたちと同じようにロックシードを使って変身して

るのに、三人がかりでやっと互角って感じね」

ラブ「イースにも、幸せゲットしてほしいな」

美希「ラブ……」

美希が深くため息をつく。


由比ヶ浜「こんにちは!あなた達がこの世界の仮面ライダーだね!」

うお……いきなりいったな、あいつ。

いつの間にか彼女は三人の方にいた。

仕方なく俺と雪ノ下も続く。

美希「私達をライダーだって知ってる……もしかしてラビリンス?」

由比ヶ浜「あたし達もライダーだよ!あたしが龍騎で、こっちのかわいい方がナイト、で、

目が腐ってるのがディケイドよ!

あ、このアホ……。

ラブ「ディケイド!?あなたが!!?」

―ピーチ!―

美希「いきなり黒幕のお出ましとはね……完璧、なのかしら?」

―ブドウ!―

祈里「でも倒せるって、わたし信じてる」

―パイン!―

比企谷「だからやめろって……」

―ピーチアームズ!幸せ in your hand!―
―ブドウアームズ!龍・砲!ハッ・ハッ・ハッ!―
―パインアームズ!粉砕・デストロイ!―

雪ノ下「まぁ、実力を見せてもらうのも悪くないんじゃないかしら。話をするのは無力化

してからでも遅くないわ」

なんでそんな好戦的なんだよ……。

雪ノ下「変身!」

由比ヶ浜「よーーし、変身!」

もしかして、これがこれからはデフォになるの……?

比企谷「変身……」

―Kamen Ride Decade!―

まぁ、ブレイドのカードを試すのも悪くはないか。

ディケイド「じゃぁ、いくか……」

「Attack Ride Blast!」

俺は鎧武に向けて銃攻撃を放つ。

鎧武「ピーチアロー!」

エネルギー同士がぶつかり合う。

龍玄「あなたの相手は私よ!」

ナイト「後悔させてあげるわ!」

龍玄「ブドウ龍砲!」

「Trick Vent」

ナイト「全部に当てられるかしら?」

バロン「パインアイアン!」

龍騎「いくよ!」

「Strike Vent」


鎧武に攻撃を放つが、あいての方が威力が高いようで、ぶつかると相手の攻撃としてこ

ちらに向かってきてしまう。

ディケイド「まこぴー!力を借りるぞ!」

「Kamen Ride Blade!」

「Attack Ride Metal!」

スペードの7、メタル・トリロバイト。三葉虫の力を宿したカードで、地震の体を鋼鉄化

させることができる。

その力で、鎧武の攻撃を全て受けきる。

鎧武「なっ!!」

ディケイド「次はこっちの番だ!」

「Attack Ride Mahha!」

スペード9、マッハジャガー。言うまでもなく、超高速で動くことを可能にするカード。

ディケイド「くらえっ!」

相手の攻撃をかいくぐり、敵の懐に潜り込む。

「Attack Ride Beat!」

カードによって強化された拳で、勢いよくパンチを叩きこむ。

鎧武「ならこれでっ!」

―イチゴ!―

―イチゴアームズ!―しゅしゅっと、スカッシュ!―

ディケイド「なっ……」

他のロックシードも持ってたのかよ、ていうかそれだともうキュアピーチじゃない……。

鎧武(イチゴアームズ)「イチゴクナイ!」

両手に持ったクナイで切りかかってくる。

さっきより動きが早い!

「Attack Ride Illusion!」

それに対応するため、三人に分身するが、すぐに分身体を消されてしまう。

鎧武「いくよっ!」

―イチゴスカッシュ!―

ディケイド「Final Attack Ride Bu Bu Bu Blade!

―Ritning Sonic!―」

二つの攻撃が思い切りぶつかる。

俺達はどちらも、変身解除されてしまった。

⇒⇒⇒65
ありがとうございます!
一人でも読んでいただけていると思うとがんばれます!
もしよかったらこれからもコメントくださいね!

⇒⇒71
丁寧なコメントありがとうございます!
不定期にはなりますが、必ず完結させます!

⇒⇒72
そうですね、八幡と雪乃、結衣の間に確かな絆ができています。
この物語の前の「仮面ライダーぼっち」を読んでいただけると、わかっていただけると思います。
もし時間があったら、ぜひ読んでみてください!
リンク張れなくてすみません……。





両隣を見ると、雪ノ下達もどうやら引き分けたようだった。

ラブ「つ、強い……」

美希「完璧、じゃない……」

祈里「うぅ……」

雪ノ下「私達の話を、聞いてくれない?」

――――――――――――――――

ラブ「う、うーん……と、つまり……?」

美希「この人達は、自分はディケイドとその仲間だけど、世界を破壊するなんてつもりは

全くないってことよ」

ラブ「じゃぁ、仲間ってこと?」

美希「……本当のことを言ってるなら、だけどね」

比企谷「まぁ、現段階で信じてもらうのは厳しいよな」

由比ヶ浜「ご、ごめん……あたしが余計なこと言っちゃったから」

雪ノ下「あまり気にすることはないわ、隠し通そうとしても隠しきれるものではないし」

比企谷「まぁ、こっちの行動で信じてもらうしかないな」

祈里「でも、悪い人じゃなさそう」

美希「まぁ、やろうと思えば、斬月と戦闘を終えたわたし達を不意打ちすることもできた

んだし、信用してもいいんじゃない?」

ラブ「それじゃぁ、みんなで幸せゲットだね!」

比企谷「そう言ってもらえると助かる。俺は比企谷八幡、仮面ライダーディケイドだ。さっきも言ったが、世界を破壊だの何だのというのはさっぱり身に覚えがないし、考えてもいない」

雪ノ下「私は、雪ノ下雪乃。仮面ライダーナイトよ」

由比ヶ浜「あたしは、由比ヶ浜結衣。仮面ライダー、龍騎」

ラブ「私は桃園ラブ。仮面ライダー鎧武だよ!よろしく!」

美希「蒼乃美希。仮面ライダー龍玄よ。わたし、完璧!」

祈里「山吹祈里です。仮面ライダーバロンに変身します。仲良くなれるって、わたし信じてる」

ラブ「そういえば比企谷君達も、わたし達と似たような服着てるね」

比企谷「ま、まぁな」

祈里「ダンスやってるんですか?」

雪ノ下「ええ、一応ね」

待って、俺完全に初心者なんだけど?

美希「じゃぁ、今度のダンスコンテストにも出るの?」

雪ノ下「ええ、『Just Live More』を踊るわ」

こいつ、勝手に決めやがった。

美希「それじゃ、ライバルってことね。わたし達はチーム『クローバー』。お互いにいいダ

ンスをしましょう」

祈里「それじゃ、わたし達はレッスンがあるからこれで」

由比ヶ浜「またねー!」



由比ヶ浜「ねぇゆきのん、あたしダンスしたこと無いよ?」

比企谷「てゆーか器具とかどうすんの?」

雪ノ下「写真館に一式出てたと思うわ。ああ言ってしまった以上、やるしかないわね」

比企谷「勝手に決めやがって……」

由比ヶ浜「まぁまぁ、面白そうじゃん!」

雪ノ下「それじゃ比企谷君、機材取って来てくれる?」

え……。

比企谷「……わーったよ、待ってろ……変身」

「Kamen Ride Decade!」

雪ノ下「あなたまさか……」

比企谷「ま、そういうことだ」

「Attack Ride Mahha!」

カードの力を使い、一分もかからずに機材を運ぶ。

由比ヶ浜「こういうことに使っていいのかな……」

比企谷「まぁ、そんなに長くは留まらないだろ」

雪ノ下「それじゃ、振り付けを教えるわ。実はもう考えてあるの」

ノリノリですね……。

『……Got it move……wwoww!

Don‘t say no Just Live More 

Don‘t say no Just Live More

サバイバル You got to move

現代はさながら戦国

誰が勝ちぬける?

鍵は開けられてしまった

(Don‘t say no Just Live More)

どこにある?

どう使う?

禁断の果実

今という風は何を伝える為お前のもとに吹く?……』

比企谷「案外踊れるもんだな」

由比ヶ浜「あたし達才能あるかもっ!」

雪ノ下「当然、優勝を狙うわよ」

由比ヶ浜「おーっ!」

比企谷「ま、目標は高く、って奴か」


雪ノ下「そうよ、三位程度で甘んじていてはいけないわ」

比企谷「そいつは悪かったな……」

俺がそう言うと、雪ノ下はふふんと笑った。

この野郎……。



―――――ラビリンスにて――――――――――

サウラー「また負けたのかい、イース?」

イース「っ、サウラー……。不幸のゲージはきちんとためたわ」

ウェスター「プリキュアに負けておいてよくもまあそんなことが言えるな」

イース「それはあなた達に言われたくないわ」

ウェスター「クッ……」

サウラー「そもそも僕は頭脳派だからね。メビウス様にいただいたロックシードを僕達の

能力強化に活用できるよう戦極ドライバーを開発したのは僕だということを忘れないでく

れ」

イース「悪かったわね……」

???「イースよ」

その声を聞いた途端、ラビリンスの幹部である三人が一声に跪く。

「「「メビウス様!」」」

声の主は彼女達が使えるラビリンスの総統、メビウスだった。

メビウス「お前に渡したい物がある、わたしのもとに来い」

イース「はっ!」


メビウス「イースよ、お前にこれを与える」

禿頭の老人が彼女に、ライダーに変身する為のロックシードを渡す。

イース「ロックシード……Yomi?」

通常のロックシードにはL・Sの後に数字が書いてあるのだが、そのロックシードには変

わりにYomiと書かれていた。

メビウス「これは……最凶のロックシード、ヨモツヘグリロックシードだ」

イース「ヨモツヘグリ……」

メビウス「……いや、やはりやめておこう」

イース「な、なぜですかっ!」

メビウス「それはきわめて強力だが、使用者を大いに傷つける。私は君に傷ついてほしく

はない」

イース「い、いえっ!メビウス様の為なら、この命おしくはありませんっ!」

メビウス「……そうか?くれぐれも無理はするなよ」

イース「はっ!」

イースが頭を下げると、メビウスは笑みを浮かべた。


ミユキ「うん、みんないい調子ね!」

ラブ「ありがとうございます!」

ラブ達は目前に迫ったダンスの大会に向け、プロのダンサーミユキからレッスンを受けていた。

ミユキ「これなら本当に優勝できるかもね」

美希「ありがとうございます!」

ミユキ「もちろん、あなた達だからってひいきはしないからね」

祈里「もちろんです!」

ミユキ「よし、じゃぁ今日のレッスンはこれまで!明日はいよいよ本番!しっかり寝てね!」

「「「ありがとうございました!」」」

レッスンを終え、ラブ達は帰り仕度を始める。

???「こんにちは、ラブ。頑張ってるわね」

ラブ「せつなっ!」

*せつな……イースの変身前の、人間界に潜り込む為の姿。
正体を偽り、ラブと友人になっている。

美希「こんにちは、せつな」

祈里「こんにちは」

せつな「明日はダンスコンクールの本番よね。応援してるわ」

ラブ「ありがとう!せつなが応援してくれたら百人力だよぉ!」

美希「……ん?」

美希(刹那のポケットから見えてるのって、ロックシード?なんで刹那が……?
   でも、ダンスをしてる人たちは普通に持ってるし、不思議なことじゃないかしら)

ラブ「どうしたの?美希たん」

美希「ううん、なんでもないわ」

美希(何でもない、よね)

ラブ「せつなにも会えたし、ちょっとだけ遊びに行かない?」

美希「私は今日はいいわ。ラブもはしゃぎすぎて明日のダンスに影響がないようにね」

美希(なんだかあの子は、好きになれない……)

祈里「私も、病院のお手伝いしなきゃ。ごめんね」

ラブ「わかった!また明日!じゃぁせつな、いこっか!」

せつな「ええ、楽しみだわ」

せつな(隙を見て、なんとかこいつのベルトかロックシードを……)

由比ヶ浜「ん?あれって、ラブちゃんじゃない?おーい、ラブちゃーん!」

ラブ「おーーい!」

あれは……せつな。今のせつなは、ラビリンス。

ロックシードを使ってたし、ラブのロックシードとかも奪えるんじゃないのか……?

本来の世界では、悪の心を持った彼女は、プリキュアの道具『リンクルン』に触れること

はできなかった。だが、プリキュア同様ロックシードで変身するなら、ラブのロックシー

ドにも触れられると考えるのが妥当だ。

比企谷「合流しよう」

雪ノ下「珍しいわね、あなたからそんな」

比企谷「ラブと一緒にいる奴、あれはイース、斬月だ」

雪ノ下「……なら、この場で倒せば」

比企谷「だめだ、あいつを俺達が倒しちゃいけない。それをやっちまうと、将来この世界

は終わる」

雪ノ下「……あなたが言うなら、そう言うことなのでしょうね。プリキュアやらにだけは詳しいようだから」

比企谷「後半は余計だっつーの……。あいつがラブの持ち物とらないように注意しとい

てくれ」

由比ヶ浜「任せといてよ!」

……不安だ……。

ラブ「みんな何してたの?」

由比ヶ浜「この街を見てたんだよ!よかったら一緒に回らない?」

ラブ「おっけー!いいよね、せつな?」

せつな「え、ええ」

せつな(厄介な……)

雪ノ下「……変なことは考えない方がいいと思うわ」

雪ノ下が小声で刹那に呟く。

せつな「っ、お前……」

ラブ「どうしたの、せつな?」

せつな「な、なんでもないわ」

それから俺達はラブに町を色々と案内してもらった。

せつなのもくろみも破たんしたようで、とりあえずは一安心といったところだ。

ラブ「じゃぁ、まったねー!みんな!」

由比ヶ浜「今日はありがとねー!」

せつな「……まぁいい、わたしにはこれがある。実力で倒してみせる……」

雪ノ下「明日ね、ダンスコンクール」

比企谷「練習期間一日とか無理ゲーすぎんだろ」

由比ヶ浜「がんばろうね!」

比企谷「ま、せっかくだからな。無事にいくといいんだが……」

雪ノ下「どういうことかしら?」

比企谷「……プリキュアの世界では、このコンクールの日、イースが襲撃して、中止にな

るんだ。この世界でどうかは分からんけどな」

雪ノ下「警戒しておいた方がいいわね」

由比ヶ浜「そうだね、よし、とにかく今日は寝よう!」

比企谷「おう、おやすみ」

雪ノ下「比企谷君?」

比企谷「……はいはい」

俺は今日もまた、ソファで寝る羽目になってしまった。





「はい、ダンスの受付ですね。チーム名はなんでしょうか?」

比企谷「あっ……」

由比ヶ浜「考えてなかったね……」

雪ノ下「ユグドラシル、というのはどうかしら」

比企谷「ん、いいんじゃねぇか?」

由比ヶ浜「それにしよう!」

雪ノ下「ユグドラシルで、お願いします」



ラブ「おーーい!」

受付を済ませると、後ろから特徴的な声で呼ばれた。

雪ノ下「お互い頑張りましょうね」

由比ヶ浜「負けないよ!」

美希「残念だけど、優勝は無理よ。わたし達の『クローバー』は、完璧だから」

祈里「いいダンスをしましょう」

ラブ「ユグドラシルのダンス、楽しみにしてるよ!」



「それでは次は、チームユグドラシルの『Just Live More』です!」

「~~~~~♪♪~~~~~~~~~~~
今という風は、何を伝える為お前のもとに吹く?

強く強くBlowwin Up!

明日が夢がまだ見えなくても

そこ限界?精一杯、生きていると言えるなら

うつむくなよ、顔を上げろ どこまででも曲げることなく

信じた道を行け

Don‘t say no!

花道フィロソフィー、勝たなきゃすぐに崖っぷち

戦いはNever End

最後の一人になるまで

見ぬふりか?もぎ取るか?禁断の果実!

今という空は何を見せる為に真っ赤に燃えている?

熱く熱くBurning Sun!

~~~~~~~~♪~~~~~~」

俺達の曲が終盤に差し掛かった時、それは起こった。

「ナキサケ~べ!」

怪物が咆哮を上げて、会場の壁を壊して入ってきたのだ。

「キャァァーッ!」

一瞬で会場がパニックに染まる。

「ナッキサケ~ベ!」

その怪物の前に、ラブ達三人が立ちふさがる。

比企谷「俺達は観客を避難させるぞ。人前じゃあいつらは変身しにくい」

雪ノ下「了解」

由比ヶ浜「わかった!」

比企谷「みなさん、こっちです!」

こうして目標がしっかり決まっていると、ぼっちの俺でも役割を果たすことができる。

ラブ「よし、今のうちに」

「「「変身!」」」

―ピーチアームズ!幸せ in your hand―
―ブドウアームズ!龍・砲 ハッ・ハッ・ハッ!―
―パインアームズ!粉砕、デストロイ!―

ラブ「ダンスコンクールを滅茶苦茶にして……絶対に許さない!」

イース「今日こそ終わらせる、プリキュア!……変身」

―ヨモツヘグリ!―

―ヨモツヘグリアームズ……冥・界 黄泉・黄泉・黄泉……―

斬月・黄泉「メビウス様から頂いたこの力があればっ!」

→→→81
物語の進行の為、設定を変えないといけなくなったのはわたしの力不足ですね……
すみません(;一_一)
八幡達の良さが少しでも出せるよう頑張りますので、見守ってくれると嬉しいです!
ここまで読んでいただいてありがとうございました!

→→→82
>まちがいなく適当な設定ではないと思うよ
そう言ってもらえると嬉しいです(*^。^*)
ただ、一生懸命考えても、83の方がおっしゃるようにどうしてもおかしいところは出てしまうと思うので、気になったところはどんどん教えてください!
応援お願いします!

→→→83
>・龍騎ライダーがミラーワールド以外で変身可能
すいません、これをそのまま適用すると私の力ではどうしても話が成り立たないので……

>・デメリットのあるサバイブ
龍騎本編では、サバイブ使用後に血が出たり、ナイトが龍騎に使わないよう言ったりしているので、デメリットはあると思います。
ただ、オーバーに描写してしまったかもしれません。
今一度見直します。

>・サブライダーや鎧武へのカメンライド
雪ノ下をナイトにするにあたって、龍騎(由比ヶ浜)にだけ変身できて雪ノ下になれないのはちょっとなぁ……と思ったので変更しました。
なるべく他のサブライダーには変身させないつもりです。
鎧武などへのカメンライドは、旅する世界を増やす為です。
劇場版では、鎧武の世界に行ってもダブル以降のカードは使っていなかったので矛盾してしまうのですが、この物語においては、鎧武たちの力は使えないというのはおかしいと思ったので変更させていただきました。

>あと単純な英単語のスペルミス(mach,knightなど)多いよね
私の浅学非才のせいです。申し訳ありません。
お恥ずかしい限りです。スピードを重視して書く傾向があるもので……。
……言い訳ですね、すみません。
気をつけます!

→→→84
丁寧なコメントどうもありがとうございます!(前にもこんなコメントしましたね……ボキャブラリー少ないなぁ……)
応援ありがとうございます!
不定期更新になるとは思いますが、必ず完結させますので、これからもよろしくお願いします!


皆さん、本当にコメントありがとうございました!
批判も応援も、本当に嬉しいです!(一番つらいのは誰も反応してくれないことですから)
これからも、少しでもいいのでコメントを残してくれると支えになります!

龍玄「なんて禍々しい姿なの……」

美希の言う通り、今の斬月からは、周囲のもの全てを圧倒する狂気のオーラが湧きでてい

た。

斬月・黄泉「すごい……流石はメビウス様の……うっ!」

斬月・黄泉(なんだこれは……体が、むしばまれていく!?)

斬月・黄泉「使用者を傷つけるとは、こういうことか……」

鎧武(ラブ)「せつな、なんだか苦しそう……」

龍玄(美希)「なに言ってるの!来るわよ!」

斬月・黄泉「はぁっっ!」

龍玄「あれって、ブドウ龍砲!?」

斬月が使った銃は確かに、龍玄の使うブドウ龍砲に酷似している。

どこまでも邪悪な色に染まっている点以外では。

龍玄「同じ武器ならっ!」

斬月の銃撃に対し、龍玄が対抗する。

しかし、

龍玄「うぅっ!」

龍玄の攻撃は打ち消され、敵の攻撃はそのまま向かってくる。

バロン(祈里)「こんなに威力の差が……」

ナキサケーベインベス「ナッキサケーベッ!」

後方にいたインベスも追い打ちをかけてくる。

比企谷「インベスは俺達に任せろ!」

雪ノ下・由比ヶ浜「「変身!」」

比企谷「変身!」

―Kamen Ride Decade!―

インベス「イーーンベスッ!」

インベスの巨大な両腕が振り下ろされる。

「Attack Ride Srash!」

由比ヶ浜「あたしも!」

「Swword Vent」

俺と由比ヶ浜で受け止める。

比企谷「ぐぅぅっ!」

なんて重みのある攻撃だ。

この間インベスとラブ達が戦うのは見たが、これほどの強さでは無かったはずだ。

あの妙なロックシードは、呼びだすインベスも著しく強化するようだ。

雪ノ下「後ろはもらったわっ!」

「Swword Vent」

俺達が攻撃を引きつけたすきに後方に回り込んだ雪ノ下がインベスの背に斬撃を浴びせる。

しかし、あまり効いている様子はない。

インベス「ベスッ!」

向きを変えて横薙ぎに払われた巨大な腕に雪ノ下が吹き飛ばされる。

鎧武「うっ!」

その攻撃は、斬月と戦闘中のラブにも及んだようだ。

比企谷「由比ヶ浜!雪ノ下!インベスを鎧武たちから引き離すぞ!」

由比ヶ浜「わかった!」

「「Advent」」

「グァァァァアッッッ!」

「キィィィィッッッ!」

異空間から現れたドラグレッダーとダークウイングがインベスを引きつける。

これで、ラブ達はインベスを気にせず戦える。



斬月・黄泉「弱い!弱いぞプリキュア!」

龍玄「なんなのよあいつ……離れたら銃で撃ってきて、近づいたら丸型の剣で迎撃される

し(キウイ撃翌輪)、こっちの攻撃はおっきい楯で防がれるし……」

鎧武「あきらめちゃだめだよ!」

龍玄「わかってるわよ!」

バロン「でも、隙がない……」

斬月・黄泉「やれる!やれるぞっ!」

そう言うとイースは両手で巨大な鎌を握った。

その姿はまるで、死神のようだ。

斬月・黄泉「消えろぉぉっ!」

鎧武「きゃぁぁぁっっ!」

龍玄「ラブッ! このっ!」

斬月・黄泉「あまい!」

ブドウ龍砲を連射する美希だったが、軽く攻撃をかわされ、逆に頭部に蹴りを入れられる。

バロン「美希ちゃんっ! やぁぁっ!」

祈里はパインアイアンを振り回すが、かする気配すらない。

パインアイアンは、威力は絶大だがその重さゆえ、どうしても動きが鈍くなりがちだ。

斬月・黄泉「動きが丸わかりだっ!」

その胸部を鎌がえぐる。

バロン「あぁぁっ!」



ディケイド「こいつ、強いな……」

ナイト「動きを止めるわ!」

「Nasty Vent」

インベス「ベスッ……」

由比ヶ浜「いっけぇぇぇっ!」

「Strike Vent」

炎がインベスを包む。

ディケイド「ドラグレッダーも呼べ!」

龍騎「さっき呼んだばっかりだからまだ無理!」

そうだった……なら!

ディケイド「由比ヶ浜!ちょっとくすぐったいぞ!」

龍騎「ま、またあれ!?」

由比ヶ浜には申し訳ないが、問答無用でその背中に触れる。

「Final Form Ride Ryu Ryu Ryuki!」

ドラグレッダー(由比ヶ浜)「ガアァァァッッッ!(もうやだ~~~)」

そういいながらも、由比ヶ浜はしっかりと自分の役目を果たす。

インベス「インッ……ベスッ!」

ナイト「インベスが弱っている……今よ!」

ディケイド「よし!一気に決めるぞ!」

「Final Vent」

「Final Attack Ride Ryu Ryu Ryu Ryuki!」

ナイト「飛翔斬っ!」

ディケイド「ドラゴンライダーキックッ!」

ドラグレッダー「ガァァッッ!(うおりゃーっ!)」

二人(正確には三人)の攻撃が同時に炸裂し、インベスを辛くも撃破することができた。

インベス「べえぇぇす……」

斬月・黄泉「これで、終わりだぁぁぁっっ!」

イースがとどめの一撃を繰り出そうとしたその瞬間、

斬月・黄泉「うぅっ!」

その場に倒れ込んだ。

龍玄「ラブ!今よ!」

鎧武「やぁぁぁーっ!ピーチアローッ!」

ラブが放った起死回生の一撃は、イースの腹部に突き刺さった。

斬月・黄泉「ぐ、ぐぅっ……」

―ロック・オフ―

斬月・黄泉の変身がとかれ、イースの姿に戻る。

鎧武「イース……もうこんなこと……」

イース「うるさい!」

鎧武「私はイースにも、幸せゲットしてほしいの!」

ラブが一歩、せつなに近づく。

イース「黙れ、黙れ黙れぇっ!スイッチ、オーバーっ!」

イースがそう叫ぶと、彼女の姿は、ラブのよく知る少女、東せつなのものに変わった。

ラブ「せ、せつな……?」

せつな「私は必ず、お前を倒すっ!」

せつなは身に着けていた四つ葉のクローバーのペンダントをはずして地面に投げつけ、思

い切り踏みつけた。

バリィン!という音を立て、ペンダントが粉々に砕け散る。


ラブ「これ、せつなにあげる!」

ラブは、苦労してゲームで取ったとったペンダントをせつなに差し出した。

せつな「どうして?これはラブの大切な物なんじゃないの?」

ラブ「うーん……私はこれがどんなものなのか見たかっただけだから。それにね、なんだ

かせつなに持ってて欲しいんだ」

せつな「そ、そうなの?」

ラブ「うん!わたしとせつなの、友情のあかしだよ!」

せつな「友情の、証……」

ラブ「うん!わたし達、いつまでも友達だよ!」


ラブ「ペ、ペンダントがっ……!」

せつな「プリキュア、次に会った時こそ必ず、お前達をこの世から消すっ!」

満身創痍になって、せつなはその場を去っていった。

美希「ラブ……」

祈里「ラブちゃん……」

ラブ「そんな……せつなが、イース……?」

ああ、こんなのは、見ていられない。

事前に知っていたとはいえ、あまりに痛ましすぎる。

比企谷「……行くぞ」

雪ノ下「……いいの?」

比企谷「ここは、重要な分岐点だ。俺達が関わっていいことじゃない」

由比ヶ浜「そういうものなのかな……」

比企谷「ああ、俺達にできるのは信じることと、少しだけ力を貸すことぐらいだ」

雪ノ下「そう、ね……」

後ろ髪をひかれる思いをしながら、俺達はその場を去った。



―ピーンポーン―
ラブの家のベルを鳴らす。

あゆみ(ラブの母親)「はーい」

美希「こんにちは」

祈里「こ、こんにちは」

美希「ラブいますか?」

あゆみ「ラブ?あの子は今部屋で寝込んでるわ。珍しいわ、こんなの何年ぶりかしら」

美希「ちょっと失礼します」

わたしはあゆみさんの横を通り抜けて、ラブの家に上がる。

祈里「ご、ごめんなさい」

あゆみ「ど、どうしたの?」



『コンコン』

ラブの部屋のドアをノックするが、返事はない。

タルト「おお、ベリーはんにパインはん!」

シフォン「きゅあ~」

*タルト……ラブ達をプリキュアにした妖精。何故か関西弁で話す。

*シフォン……不思議な力を持つ妖精。まだ赤ちゃんで、自由に話すことができない。

祈里「どうしたの、こんな所で?」

普段ならラブの部屋にいる二人(?)だが、何故かドアの外で立っている。

タルト「ええとこ来てくれたで~。なんやピーチはん、一人になりたいとかいうて、わい

らを入れてくれへんのや」

美希「はぁ……ラブ、入るわよ?」

祈里「み、みきちゃん」

タルト「うわっ、強引やな~」

シフォン「きゅあ~」

美希「ラブ、せつながラビリンスだったっていうことは、ラビリンスはあの占い館に居る

はず」

*ラブとせつなは、森の中の占い館で初めて出会う。その際、せつなはラブに幸せが訪れ

る(プリキュアになる)と予言していた。

美希「だから、行くわよ。これ以上、みんなを不幸な目に会わせない為にも」

ラブ「……」

美希「ラブ、起きて。……起きなさい!」

ラブ「はぅ……うっ……」

布団から顔を出したその目には、涙が浮かんでいた。

美希「せつなが敵だってわかって、ショックだったのはわかるけど、わたし達はプリキュ

アなの。しっかりしてよ!」

しかしラブは、何も答えない。

美希「ラブ……ねぇ聞いて。あの子はイースだったの。

 せつななんて子は、もともといなかったのよ!」

祈里「美希ちゃん!」

ラブ「なに言ってるの美希たん……。なんで、そんなこと……。せつながいなかったなん

て……」

ラブの脳裏に、せつなと過ごしたたくさんの楽しい思い出が浮かぶ。

ラブ「なんで……なんでそんなひどいこと言うのっ!」

美希「ごめん、ラブ……。でも、そうでも言わないとラブは……」

だんだんと、自分の言葉がしりすぼみになって行くのがわかる。

美希「だから私は、心を鬼にして……」

ラブ「もういいっ!」

そう言って、ラブは勢いよく部屋を飛び出していった。

タルト「おお、ベリーはんにパインはん!」

シフォン「きゅあ~」

*タルト……ラブ達をプリキュアにした妖精。何故か関西弁で話す。

*シフォン……不思議な力を持つ妖精。まだ赤ちゃんで、自由に話すことができない。

祈里「どうしたの、こんな所で?」

普段ならラブの部屋にいる二人(?)だが、何故かドアの外で立っている。

タルト「ええとこ来てくれたで~。なんやピーチはん、一人になりたいとかいうて、わい

らを入れてくれへんのや」

美希「はぁ……ラブ、入るわよ?」

祈里「み、みきちゃん」

タルト「うわっ、強引やな~」

シフォン「きゅあ~」

美希「ラブ、せつながラビリンスだったっていうことは、ラビリンスはあの占い館に居る

はず」

*ラブとせつなは、森の中の占い館で初めて出会う。その際、せつなはラブに幸せが訪れ

る(プリキュアになる)と予言していた。

美希「だから、行くわよ。これ以上、みんなを不幸な目に会わせない為にも」

ラブ「……」

美希「ラブ、起きて。……起きなさい!」

ラブ「はぅ……うっ……」

布団から顔を出したその目には、涙が浮かんでいた。

美希「せつなが敵だってわかって、ショックだったのはわかるけど、わたし達はプリキュ

アなの。しっかりしてよ!」

しかしラブは、何も答えない。

美希「ラブ……ねぇ聞いて。あの子はイースだったの。

 せつななんて子は、もともといなかったのよ!」

祈里「美希ちゃん!」

ラブ「なに言ってるの美希たん……。なんで、そんなこと……。せつながいなかったなん

て……」

ラブの脳裏に、せつなと過ごしたたくさんの楽しい思い出が浮かぶ。

ラブ「なんで……なんでそんなひどいこと言うのっ!」

美希「ごめん、ラブ……。でも、そうでも言わないとラブは……」

だんだんと、自分の言葉がしりすぼみになって行くのがわかる。

美希「だから私は、心を鬼にして……」

ラブ「もういいっ!」

そう言って、ラブは勢いよく部屋を飛び出していった。

祈里「ら、ラブちゃん!」

美希「ラブ!」



あゆみ「ちょ、ちょっとラブ!?」

いきなり降りて来たと思ったら玄関から飛び出していった娘にあゆみは当惑する。

あゆみ「どうしたのかしら……急に飛び出して」

その後を追うように、美希と祈里も勢いよく階段を下りてきた。

あゆみ「あら、もう帰るの?美希ちゃん」

失礼だと考えることもせず、美希はあゆみの横を駆け抜けてゆく。

祈里「お、おじゃましました! 待って美希ちゃん!」

あゆみ「……?」



祈里「ラブちゃん、どこ行ったんだろう……」

美希「手分けして探しましょう」

祈里「うん!」

タルト「了解や!」

シフォン「きゅあ~!」




~ラビリンス~
クライン「メビウス様、ヨモツヘグリの力を使ったにもかかわらず、イースは任務に失敗

しました」

クライン……白髪の老人。メビウスの側近。

メビウス「後のことはわかっているな?」

クライン「はい、早速イースの管理データを変更します」

ラビリンスは管理国家。全ての国民のデータがメビウスたちによって管理・制御されてい

る。



ラブ『ねぇ、せつな!』

ラブ『せ~つなっ!』

鎧武『イース!もうこんなことはやめようよ一緒に、幸せゲットしよう?』

イース「……ちっ!」

ラブとの思い出が頭の中によみがえり、イースの感情がかき乱される。

イース「お前に何がわかる……」

イース(バカの一つ覚えのように、口を開けば幸せ幸せと……)

その時、イースのいた部屋に光が満ち、一枚の書状が現れた。

イース「これは……」

イース(クラインからの手紙?)

無論、イーストクラインは私的に手紙をやりとりするような仲ではない。

イース(任務の命令だろうか……)

手に取ったその書状の内容を見て、彼女は言葉を失った。



ラブは、一人商店街を歩いていた。

ラブ「せつな……」

せつなとの間には、たくさんの楽しい思い出がある。

ラブ(あのペンダントを渡した時も、嬉しそうにしてたのにな……)

そして、イースとの戦いのことも同時に思い出される。

イースはいつも、憎しみを隠そうともせずに戦っていた。仮面の上からでも、ありありと

わかってしまうほどに。

最後に頭に浮かぶのは、せつなが友情のあかしのペンダントを壊したあの光景。

ラブ「私は、一体どうしたら……」

ラブ「私にできることって……」

???「よっ!お譲ちゃん、ドーナツ食べてく?」

ラブ「かおるちゃん……」

*かおるちゃん……ラブ達がよく行くドーナツ屋の店長。移動販売をしている。中年のお

じさん。サングラスをかけている。

あまり気が進まなかったが、特に自分にできることも思いつかず、ラブはながされるまま

に席に着く。

かおる「どう?その新作のドーナツ」

ラブ「え?」

かおる「メロン味、作ってみたんだけど」

ラブ「メロン……」

『メロンアームズ!天・下・御・免!』

メロン、それはいつもせつなが使っていたロックシードだ。

ラブ「……行かなきゃ」

かおる「え?」

ラブ「ありがと、かおるちゃん!」

そしてラブはまた、勢いよく駆けだした。

だがそれは先程までとは違う、決意に満ちた力強い表情だった。

かおる「青春、だねぇ」

イース「お前に何がわかる……」

イース(バカの一つ覚えのように、口を開けば幸せ幸せと……)

その時、イースのいた部屋に光が満ち、一枚の書状が現れた。

イース「これは……」

イース(クラインからの手紙?)

無論、イーストクラインは私的に手紙をやりとりするような仲ではない。

イース(任務の命令だろうか……)

手に取ったその書状の内容を見て、彼女は言葉を失った。



ラブは、一人商店街を歩いていた。

ラブ「せつな……」

せつなとの間には、たくさんの楽しい思い出がある。

ラブ(あのペンダントを渡した時も、嬉しそうにしてたのにな……)

そして、イースとの戦いのことも同時に思い出される。

イースはいつも、憎しみを隠そうともせずに戦っていた。仮面の上からでも、ありありと

わかってしまうほどに。

最後に頭に浮かぶのは、せつなが友情のあかしのペンダントを壊したあの光景。

ラブ「私は、一体どうしたら……」

ラブ「私にできることって……」

???「よっ!お譲ちゃん、ドーナツ食べてく?」

ラブ「かおるちゃん……」

*かおるちゃん……ラブ達がよく行くドーナツ屋の店長。移動販売をしている。中年のお

じさん。サングラスをかけている。

あまり気が進まなかったが、特に自分にできることも思いつかず、ラブはながされるまま

に席に着く。

かおる「どう?その新作のドーナツ」

ラブ「え?」

かおる「メロン味、作ってみたんだけど」

ラブ「メロン……」

『メロンアームズ!天・下・御・免!』

メロン、それはいつもせつなが使っていたロックシードだ。

ラブ「……行かなきゃ」

かおる「え?」

ラブ「ありがと、かおるちゃん!」

そしてラブはまた、勢いよく駆けだした。

だがそれは先程までとは違う、決意に満ちた力強い表情だった。

かおる「青春、だねぇ」

ラブ(そうだよ、わたしにできることはただ一つ)

ラブ「友達がしてる悪いことを、やめさせる!」

ラブ「絶対に、やめさせなくっちゃ!」

ラブ(そしてもう一度、せつなと笑いあいたい!)

ラブ「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」

森を駆け抜け、初めてせつなと出会った占い館へ向かう。

美希『だからわたしは心を鬼にして』

ラブ(さっきは怒鳴ったりしてごめん、美希たん)

ラブ「私も、心を鬼にするよ!」



森の中、少し開けた場所に彼女はいた。

せつな「……」

ラブ「せつな……」

せつな「お前を探しに行くところだった。わざわざ来てくれるとは、手間が省けた」

ラブ「気が合うね、わたしもせつなに会いに行こうとしてたとこだよ」

せつな「今日こそ、お前と決着をつける」

ラブ「うん、そうだね。こんなこと、もうやめにしよう」

ラブ「……ううん、必ずやめさせてみせる!」

せつな「スイッチ、オーバー!」

せつなが、イースの姿となる。

ラブ「チェインジ、プリキュア、ビートアーップ!」

そう叫び、ラブはピーチロックシードをつかむ。

その瞬間、手に取ったロックシードが激しく発光した。

ラブ「な、なに?」

光が収まると、ピーチロックシードは周りの部分が水色になり、先程までとは、若干色合

いが変わっていた。

『E,L,S,03』

ラブ「なんだかよくわからないけど、私のやることは変わらない!」

―ピーチエナジー!―

その音が鳴ると同時、ラブが身に着けていた戦極ドライバーに、新たにロックシードをセ

ットする場所が現れた。

頭でなく、直感的に理解する。

ラブ「変身!」

もともとあった部分に、以前から持っていたオレンジロックシードを。

新たにできた部分に、新しいピーチエナジーロックシードを。

―オレンジアームズ!花道・オンステージ!―

―ミックス!ジンバー・ピーチ!―

イース「変身!」

―ヨモツヘグリ!―

―ヨモツヘグリアームズ……冥・界 黄泉 黄泉 黄泉……―

斬月・黄泉「お前が友達だと思っていたせつなは、このわたし。お前の変身アイテムを奪

う為に近づいたんだ」

斬月・黄泉「そうとも知らずに気を許すとはな」

鎧武(ジンバーピーチ)「今でも友達だと思ってるよ」

斬月・黄泉「なに?」

鎧武「その友達を、ラビリンスから抜けさせるために来たの」

鎧武「私の、全てを賭けて!」

斬月・黄泉「お前のそういうところが、頭に来るんだよ!」

鎧武「たぁぁっ!」

―ソニックアロー!―

斬月・黄泉「ふんっ!」

強化されたラブのソニックアローを、イースは円型の剣、キウイ撃翌輪で迎え撃つ。

「「はあああぁぁぁっっ!!」」



美希「いた!?」

祈里「どこにも……」

八幡「おい!お前達!」

祈里「比企谷さん?」

八幡「ラブを探しているんだろ?あいつは占い館に居る!」

俺からそう聞くと同時、美希と祈里は方向を変えて走り出した。

雪ノ下「本当にあっているの?」

八幡「大丈夫だ」

由比ヶ浜「あたし達も行こう!」

八幡「ああ!」



ラビリンスの幹部、ウェスターとサウラーは、画面の中で走る美希達を見ていた。

この森の中は、全て彼らの監視下にある。

サウラー「そう言えば、聞いたかい?イースのところに、クラインからの手紙が来たそう

だよ」

ウェスター「クラインから……それで、イースはどこに?」

サウラー「見てなかったのかい……?
やり残したことを終わらせに行くって、鎧武のところに行ったよ」

ウェスター「なるほどな」

サウラー「あいつらは、僕達が止めるとしようか」

ウェスター「ああ!俺も久しぶりに戦いたい」

斬月・黄泉「お前が友達だと思っていたせつなは、このわたし。お前の変身アイテムを奪

う為に近づいたんだ」

斬月・黄泉「そうとも知らずに気を許すとはな」

鎧武(ジンバーピーチ)「今でも友達だと思ってるよ」

斬月・黄泉「なに?」

鎧武「その友達を、ラビリンスから抜けさせるために来たの」

鎧武「私の、全てを賭けて!」

斬月・黄泉「お前のそういうところが、頭に来るんだよ!」

鎧武「たぁぁっ!」

―ソニックアロー!―

斬月・黄泉「ふんっ!」

強化されたラブのソニックアローを、イースは円型の剣、キウイ撃翌輪で迎え撃つ。

「「はあああぁぁぁっっ!!」」



美希「いた!?」

祈里「どこにも……」

八幡「おい!お前達!」

祈里「比企谷さん?」

八幡「ラブを探しているんだろ?あいつは占い館に居る!」

俺からそう聞くと同時、美希と祈里は方向を変えて走り出した。

雪ノ下「本当にあっているの?」

八幡「大丈夫だ」

由比ヶ浜「あたし達も行こう!」

八幡「ああ!」



ラビリンスの幹部、ウェスターとサウラーは、画面の中で走る美希達を見ていた。

この森の中は、全て彼らの監視下にある。

サウラー「そう言えば、聞いたかい?イースのところに、クラインからの手紙が来たそう

だよ」

ウェスター「クラインから……それで、イースはどこに?」

サウラー「見てなかったのかい……?
やり残したことを終わらせに行くって、鎧武のところに行ったよ」

ウェスター「なるほどな」

サウラー「あいつらは、僕達が止めるとしようか」

ウェスター「ああ!俺も久しぶりに戦いたい」

美希「……え?行き止まり?」

タルト「道、間違えたんとちゃいまっか?」

祈里「ううん、確かにこのあたりに、占い館があったはずだけど」

美希「おかしいわね、道は間違えてないはずなのに……」

ウェスター「お前達の相手は、俺達だ!」

祈里「ウェスター!」

美希「サウラー!」

サウラー「最期くらい、イースに花を持たせてあげようか」

美希「最期?」

サウラー「いや、なんでもない。行くぞ、ウェスター」

ウェスター「ああ!」

美希「もう!あんた達の相手してる暇なんかないのに……急いで終わらせるわよ、ぶっき

ー!」

祈里「うん!」

美希・祈里「チェインジ!プリキュア!ビートアーップ!」

―ブドウアームズ!龍・砲!ハッ!ハッ!ハッ!―
―パインアームズ!粉砕!デストロイ!―

ウェスター・サウラー「「変身!」」

―レモン!―
―チェリー!―

―レモンアームズ!不意打ち! in the shadoww!―
―チェリーアームズ!Mr.はつたいけ~ん!―

シグルド(ウェスター)「……毎度思うが、この音声は何とかならないのか?」

デューク(サウラ―)「すまない、君の顔を見ているとそれしか思いつかなくて」

*仮面ライダーシグルド(チェリーアームズ)……アームズウェポン、チェリーボンバー。

サクランボをモチーフにした爆弾。

仮面ライダーデューク(レモンアームズ)……アームズウェポン、レモンキャノン。

レモンの果汁をモチーフにしたキャノン砲。

龍玄(美希)「やぁぁっっ!」

デューク「こっちの銃持ちは僕が相手をする!」

シグルド「わかった!」

鎧武「せつなぁぁぁっっ!」

斬月・黄泉「たぁぁぁっっっ!」

強化された力をもってしても、ヨモツヘグリの力には今一歩及ばない。

だが、ラブは決して諦めようとはしない。

―ジンバーピーチスカッシュ!―

―ヨモツヘグリスカッシュ!―

互いの蹴り攻撃が激突する。

ラブのソニックアローがイースの胸部をかすめたかと思うと、次の瞬間にはイースの鎌が

ラブの腕を痛めつける。

斬月・黄泉「だぁぁっ!」

その拳がラブの腹部を思い切り殴りつける。

しかしラブの闘志は全く衰えない。

鎧武「たぁっ!」

そしてそのまま、自分の頭をイースの頭に全力でぶつける。

斬月・黄泉「ぐはっ!」

イースは一瞬ひるんだが、この攻撃にはラブも相当のダメージを負ったはずだ。

「「だぁぁっぁあああっっ!」」



龍玄「さっさと、どきなさい!」

サウラー「消えるのは君達の方だっ!」

銃攻撃とキャノンがぶつかり合い、どちらも消滅する。

バロン「私達は、ラブちゃんの所に行かなきゃいけないのっ!」

シグルド「イースの邪魔はさせんっ!」

ウェスターの放つ爆弾を、祈里はパインアイアンで撃ち返す。

シグルド「うおおおおぉおぉぉっ!」

バロン「たぁっ!」

全力でぶつかりあい、決着はなかなかつきそうにない。

―ドゴォン!―

爆撃が俺の目に入った。

比企谷「あっちだ!」

雪ノ下「いそぎましょう!」

俺達が戦闘地域につくと、そこで戦っていたのは美希達だった。

由比ヶ浜「美希ちゃん!祈里ちゃん!ここはあたし達に任せて!」

シグルド「っ、新手か!」

美希「助かるわ!」

祈里「ありがとう!」

シグルド「待て、お前ら!」

八幡「あいつらを止めるぞ!」

「「「変身!」」」

「Kamen Ride Decade!」

デューク「消えろっ!」

由比ヶ浜「させないっ!」

「Advent」

森の奥に進もうとする美希達に攻撃するサウラーを、ドラグレッダーが止める。

デューク「なんだこいつは……」

―レモンスカッシュ!―

由比ヶ浜「やぁっ!」

「Swword Vent」

シグルド「ええい、鬱陶しい奴らだ!」

「Attack Ride Blast!」

爆弾を、こちらに到達する前に全て撃ち落とす。

雪ノ下「行くわよ!」

「Advent」

雪ノ下はダークウイングに掴まると、ウェスターの真上に上昇した。

「Swword Vent」

そしてそのまま、槍をウェスターに振り下ろす。

シグルド「ぐぉっ!」

重力を味方につけた攻撃は、ウェスターに大ダメージを与えた。

追い打ちに、ダークウイング体当たりをかます。

シグルド「くそっ!」

デューク「ウェスター!あれを使え!」

シグルド「おう!」

サウラーの指示を受けるとウェスターは、「S」と書かれたロックシードを空中に放り投げ

る。 

すると、三体のスイカを模した巨大な機械が出現した。

デューク「プロトタイプで無人機とはいえ……スイカロックシードの力は使えるはずだ!」

三体の戦闘機はそれぞれ、マシンガンを放ってきたり巨大な刀で襲いかかったりしてくる。

雪ノ下「なかなか強い……」

デューク「こっちも忘れないでほしいね!」

隙を見せた雪ノ下にサウラーのキャノン攻撃が撃ち込まれる。

「Guard Vent」

雪ノ下「くっ!」

とっさに防御技を発動させた雪ノ下だが、完全にはダメージを殺し切れていない。



龍玄(美希)「ラブ!」

一方、美希と祈里は八幡達の協力のおかげで、ラブのもとにたどり着いていた。

バロン(祈里)「私達も戦う!」

鎧武(ラブ)「やめて!」

イースに攻撃を仕掛けようとする二人を、ラブが止める。

鎧武「二人は手を出さないで!」

龍玄「ラブ……」

ラブが叫ぶのとほぼ同時、激しい雨が降り始めた。

二人の熾烈な戦いを、空が悲しむかのように。

―ヨモツヘグリオーレ!―

―ジンバーピーチオーレ!―

全力を乗せた拳がぶつかる。

その衝撃で、二人の間に再び距離ができる。

斬月・黄泉「こんなはずじゃなかった……」

斬月・黄泉「こんなはずじゃ、なかった!」


イース「ッッ……」

『国民番号、ES4039781 イース様
 あなたの寿命は今日限りです、お疲れ様でした』

鎧武「はっぁぁあああっっ!」

斬月・黄泉「やぁぁぁっっっ!」

何度も何度も、全力の攻撃がぶつかり合う。

なのに両者とも一切疲れを見せず、むしろ激突の度に威力は増している。

斬月・黄泉「たぁぁっ!だっ!やっ!」

鎧武「はっ!ふっ!どりゃぁぁっっ!」

タルト「ピーチはん……」

バロン「ラブちゃん……泣いてる……」

タルト「ピーチはん、イースを倒そうとして戦ってるんやおまへんな」
バロン「その逆だと思う……せつなさんを、取り戻す為に戦ってるのよ」

斬月・黄泉「……ラブ!お前と一緒にいると、わたしの中の何かがおかしくなっていく!」

斬月・黄泉「お前と居ると、わたしが私でなくなっていく!」

鎧武「せつなっ!」

斬月・黄泉「初めて会ったあの日、でたらめな占いを真に受けて喜び、その後も、些細な

ことで幸せになったとはしゃぎ、罠にかけようとしても微塵も疑おうとせず、いつもいつ

も、バカみたいに笑っている、お前が……」

鎧武「はぁぁぁっ!」

斬月・黄泉「だぁぁぁっっ!」


斬月・黄泉「羨ましいと、思ったんだぁっ!」

―ロック・オフ―
―ロック・オフ―

この戦いで最大の激突が起き、二人は吹き飛ばされ、そのまま変身が解除される。

鎧武「はっぁぁあああっっ!」

斬月・黄泉「やぁぁぁっっっ!」

何度も何度も、全力の攻撃がぶつかり合う。

なのに両者とも一切疲れを見せず、むしろ激突の度に威力は増している。

斬月・黄泉「たぁぁっ!だっ!やっ!」

鎧武「はっ!ふっ!どりゃぁぁっっ!」

タルト「ピーチはん……」

バロン「ラブちゃん……泣いてる……」

タルト「ピーチはん、イースを倒そうとして戦ってるんやおまへんな」
バロン「その逆だと思う……せつなさんを、取り戻す為に戦ってるのよ」

斬月・黄泉「……ラブ!お前と一緒にいると、わたしの中の何かがおかしくなっていく!」

斬月・黄泉「お前と居ると、わたしが私でなくなっていく!」

鎧武「せつなっ!」

斬月・黄泉「初めて会ったあの日、でたらめな占いを真に受けて喜び、その後も、些細な

ことで幸せになったとはしゃぎ、罠にかけようとしても微塵も疑おうとせず、いつもいつ

も、バカみたいに笑っている、お前が……」

鎧武「はぁぁぁっ!」

斬月・黄泉「だぁぁぁっっ!」


斬月・黄泉「羨ましいと、思ったんだぁっ!」

―ロック・オフ―
―ロック・オフ―

この戦いで最大の激突が起き、二人は吹き飛ばされ、そのまま変身が解除される。

タルト「ピーチはぁぁん!」

イース「はぁ……はぁ……はぁ……羨ましいと、思ったんだ」

ラブ「良かった……やっぱり、イースじゃなくて、せつなだったんだね」

イース「へんね……あれだけ戦ったのに、心がすがすがしいわ」

美希「それはね、ラブの心が伝わったからよ」

変身を解除した美希がせつなに言う。

祈里「ラブちゃんは、せつなさんをラビリンスから抜けさせるために戦ってたの」

ラブ「私もなんだか、すっきりしたよ」

イース「心……あ、あれは」

イースは、咲いていた四つ葉のクローバーを手に取る。

イース「幸せの、もと……」

ラブ「幸せを呼ぶ、四つ葉のクローバーは、心から幸せを求めてる人にしか見つけられな

いんだよ」

イース「心から、幸せを……」

ラブ「今からでも、やり直せるよ。だって今、せつなは幸せを見つけることが出来たんだ

から」

イース「私が、幸せを……」



クライン「時間です」

ラビリンスでクラインがそう言うと同時、

イース「うっ……」

そう言って、イースはその場に倒れた。

ラブ「せつな、どうしたの?」

美希「なに?」

祈里「せつなさん?」

タルト「どうしたんや、急に?」

サウラー「無駄だよ」

そこに、八幡達と一旦休戦したサウラー達がやってきて言った。

ウェスター「我らラビリンスに生きる者の寿命は、生まれた時から管理されている」

ラブ「寿命が管理されてる……?なに、それ。わたし、そんなの知らないっ!

起きてよせつな、せつなぁぁっっ!」

シフォン「プリィィィィィッ!」

そう言うと、シフォンの中から一つのロックシードが出てきて、イースのもとに向かって

いく。

ラブ「せつなっ!?」

クライン「時間です」

ラビリンスでクラインがそう言うと同時、

イース「うっ……」

そう言って、イースはその場に倒れた。

ラブ「せつな、どうしたの?」

美希「なに?」

祈里「せつなさん?」

タルト「どうしたんや、急に?」

サウラー「無駄だよ」

そこに、八幡達と一旦休戦したサウラー達がやってきて言った。

ウェスター「我らラビリンスに生きる者の寿命は、生まれた時から管理されている」

ラブ「寿命が管理されてる……?なに、それ。わたし、そんなの知らないっ!

起きてよせつな、せつなぁぁっっ!」

シフォン「プリィィィィィッ!」

そう言うと、シフォンの中から一つのロックシードが出てきて、イースのもとに向かって

いく。

ラブ「せつなっ!?」


???「やっと会えたか」

せつな「あなたは誰……?」

???「私は呉島貴虎。……いや、メロンの妖精、メロロンだ……くっ、どうして私がこ

んなことを……」

せつな「メロロン?」

メロロン(?)「ああ、プリキュアの妖精だ。お前は、四人目のプリキュアに選ばれた」

せつな「私が、プリキュア……」

メロロン「さぁ行け、お前には為すべきことがあるはずだ」

―メロンエナジー!―

イースの戦極ドライバーが、赤いベルトに変わった。

『ゲネシスドライバー』

―ソーダー!―

―メロンエナジーアームズ!♪♪♪―

斬月・真(せつな)「斬月、真。それが私の名前よ」

ウェスター「イースが……」

サウラー「プリキュアに!!?」

ウェスター「い、いや、これは何かの間違いだ。ラビリンス本国に戻るぞ!イース!」

触れようとするウェスターの腕を、せつなははじく。

ウェスター「なっ!!?」

斬月・真「私はもう、イースじゃない。ラビリンスには、戻らない!」

ラブ「そうだよ、せつなはもうプリキュアなんだから、わたし達の仲間だよっ!」

ラブに続いて、美希と祈里もせつなを庇うように前に出る。

メビウス「なんだ!なにがどうなっている!?」

クライン「そんな!!イースは確かに寿命を終えたはず……こんなのは、データにない

っ!!」

サウラー「こうなった以上、イースは敵だ!殲滅するぞ!ウェスター!」

ウェスター「だ、だが……」

サウラー「何を戸惑っている!」

ウェスター「だ、だが、多勢に無勢ではないか?」

サウラー「手はある」

そう言うとサウラーは、いつの間にか拾っていた、せつなが落としたヨモツヘグリロック

シードを手に取った。

ウェスター「おい!それは危険だ!使うな!」

サウラー「心配無用……このロックシードには、こんな使い方もあるっ!」

サウラーがロックシードを放ると、ヨモツヘグリロックシードが巨大化しながら、ひとり

でに人形になっていった。

―ヨモツヘグリアームズ!冥・界 黄泉・黄泉・黄泉……―

斬月・黄泉「……」

ラブ「そ、そんなっ!ロックシードが、ライダーに!?」

サウラー「一回限りの技だがね……これだけじゃないっ!」

サウラーがそう言うと、斬月・黄泉から黒い気体が湧きだし、

ナキサケーベインベス「ナッキサケーベッ!」

八幡「っ、インベスまで……」

サウラー「これで戦局はわからなくなったね」

斬月・黄泉「我が名はイース……ラビリンス総統、メビウス様が僕……」

美希「これって……」

祈里「プリキュアになる前の、せつなさん?」

プリキュアとなったせつなが、斬月・黄泉の前に出る。

斬月・真「イース……斬月・黄泉……あなたは、あなたは私の影よ」

斬月・黄泉「私がお前の影なら、私はお前を倒すことでしか本物に慣れないっ!」

斬月・真「そうね、イース……だから、お前はここで終わる」

斬月「「はぁぁああっっっ!!」」

二人の斬月が激しくぶつかり合う。

ラブ「ウェスター、サウラー!」

美希「あんた達は、わたし達が相手するわ!」

祈里「絶対、負けないっ!」

八幡「俺達は、インベス退治と行くか」

雪ノ下「これで終わらせる」

由比ヶ浜「よぉぉしっ!」

「「「「「「「「変身!!!」」」」」」」

斬月・真「お前を倒さないとわたしは、次のわたしに進めないっ!」

斬月・黄泉「散々人を傷つけてきたお前が、プリキュアを名乗るなど笑わせるっ!」

斬月・真「っ……それでもっ!罪は消えなくてもっ!もうわたしは、これ以上間違えたく

ないっ!」

斬月・黄泉「戯言をっ!」

デューク(サウラ―)「君達はただ、僕の実験のモルモットでいればいいんだっ!」

龍玄(美希)「ふざっけんじゃ、ないわよっ!」

―ブドウオーレ!―

シグルド(ウェスター)「お前達がイースをたぶらかしたせいでっ!」

鎧武(ラブ)「友達が悪いことしてたらやめさせるのは当たり前でしょっ!」

シグルド「お前達のいい人ごっこに、俺達を巻き込むなぁっ!」

バロン(祈里)「先に攻め込んできたのはあなたたちでしょっ!」

―パインスパーキング!―

ディケイド(八幡)「お前の相手は飽きたぞ、インベスっ!」

ナイト(雪ノ下)「はぁぁっ!」

龍騎(由比ヶ浜)「ぅおりゃーっ!」

斬月・黄泉「ぐぅぅっ!」

シグルド「ぐぉぁっっ!」

デューク「これは、まずいな……」

インベス「ベぇぇぇすぅ……」

デューク「ウェスター!撤退だ!」

ウェスター「了解だ!」


その言葉通り、二人の姿が消える。

斬月・黄泉「ふざ……けるな、ふざけるな、ふざけるなぁっ!」

インベス「イーーーンベーースッ!」

二人(?)が咆哮し、何と次の瞬間、その体が一つになった。

ヨモツヘグリインベス「お前達を、一人残らず消してやるっ!」

ディケイド「さぁ、これが正真正銘のクライマックスだ」

鎧武「決めよう!」

ラブがそう言った途端、俺の持つカードの一部に光が戻る。

鎧武のカードだ。


ディケイド「ちょっとくすぐったいぞ」

「Final Form Ride Ga Ga Ga Gaim!」

鎧武「わっ、わぁぁっ!」

俺が触れると、鎧武の体がオレンジのような、球状になった。

斬月・真「決着をつける……わたしの運命にっ!」

ディケイド「斬月……っし、いくぞ!」

「Final Attack Ride Ga Ga Ga Gaim!」

ディケイド「鎧武フルーツボンバーっ!」

斬月・真「ソニックボレー!」

―メロンエナジー!―

球状の鎧武と、斬月・真の放ったエネルギーの矢が一体となり、インベスに向かっていく。

インベス「ば、ばかなぁぁっっ!!」

巨大な爆発を起こし、跡形もなくインベスは消滅した。

ラブ「せつなぁぁっ!」

ラブがせつなに抱きつこうとすると、せつなはその手を払った。

せつな「私は、あなた達の仲間にはなれない」

ラブ「え?」

せつな「あなた達と一緒に居るには、わたしはこの手を穢し過ぎた……」

そう言い残し、せつなは足早に去っていく。

と、俺達の体が消えかかる。

由比ヶ浜「え、ええぇっ!?あたし達の役目、これで終わり!?」

比企谷「残りはあいつら自身が何とかするさ」

この後の物語は知っている。

比企谷「あいつらにはたくさんの困難が降りかかり……そしてそのたびに、力を合わせて

乗り越えていくのさ」

雪ノ下「……写真、撮らなくていいの?」

比企谷「ああ、そうだったな。……今度会うときは、お前たち全員の笑顔が見てみたい」

そう呟いて撮った写真には、自分の影を見つめながら前に進もうとする美しい少女と、そ

の周りで笑っている三人の少女が映っている。

彼女達の見つめる先には、美しい虹がかかっていた。

これで、いったん鎧武編は終了です。

次の世界はおそらく、電王(×デートアライブ)かカブト(×アクセルワールド)あたりになると思います。

今回から電王編に入りますが、原作を一度読んだだけですので、キャラ崩壊が起きる可能性があります。
おかしいな、と思った所は教えていただけると助かります。

仮面ライダー電王の世界(×デート・ア・ライブ)

謎の生命体、イマジンがこの世界に現れていくばくかの時が過ぎた。

イマジンは、人間と契約を交わすと、その人物が強く覚えている時間へと飛び、破壊の限

りをつくした。過去で破壊された物は、現在でも無くなってしまう。

イマジンの戦闘力は高く、人類に反撃のチャンスはなかった。

唯一の救いは、しばらくすればイマジンは臨界というこの世界とは別の世界に消えること。

人類は、いつ訪れるかわからないイマジンの脅威にさらされながら生活することを余儀な

くされた。

そんな折、精霊と呼ばれる存在が現れる。

彼ら(彼女ら)は、イマジンと同等の力を持ち、人型であり、イマジンに比べると、対話

の余地があった。

そして、一部の精霊達と友好を深めた青年五河士道は、精霊達の力を借り、仮面ライダー

電王として、イマジンとの戦いに身を投じることとなった……。

???「お父さん、お母さんっ!」

蹂躙される町の中、少女は家から逃げ出そうとする両親を見つけて安どの声を漏らした。

少女の家や街は、無茶苦茶に破壊されたが、それでも家族が生きていてくれれば何とかな

る。

そう思い、少女は胸をなでおろす。

「折紙っ!」

両親が少女を見つけて、嬉しそうな声を上げる。

が、次の瞬間。

どこかから飛んで来た銃攻撃が少女の家の屋根を直撃した。

そしてそのまま、屋根が落下してきて、彼女の両親を押しつぶした。

「っっっ……」

たたみかけるように、攻撃が襲いかかり、両親が下に居る屋根を爆破した。

後には、先程まで少女の両親であったろうものの、かけらだけが残った。

「あああああぁぁぁっっっっっ!!!!」

その時、背後でした足音に少女は振り返る。

全身赤と黒で、仮面をつけたそいつは、銃らしきものを持っていた。

「……イマジンっ……!」

「絶対に、許さない。お前、だけはっ!」

幼き少女は、その胸に復讐を誓った。

比企谷「これは……」

鎧武の世界から変わった、一人の美少年の周りに美少女達が楽しそうに笑っている絵を見

て俺は呟いた。

比企谷「デートアライブの世界か……」

由比ヶ浜「で、デートっ!?ちょ、ヒッキー何言ってんの!」

比企谷「つーことは、ライダーが精霊達を倒すってことか……?」

由比ヶ浜「無視しないでよっ!」

雪ノ下「精霊?それは、アンデッドやインベスのようなものととらえていいのかしら」

比企谷「いや……精霊は一概には悪と言えないっていうか……」

由比ヶ浜「うわーん!ゆきのんまでひどいよ~!」

比企谷「っ!!」

頭に強い電流のようなものが流れ、意識を失う。

雪ノ下「比企谷君?」

比企谷(?)「きゃぁぁっ!なんて可愛いんですのっ!」

そう言うと八幡は、思い切り雪ノ下に抱きついた。

由比ヶ浜「えっ、えぇぇぇっ!!?ひ、ヒッキー!なにしてるの!?」

雪ノ下「……」

由比ヶ浜「ゆ、ゆきのんが言葉を失ってるっ!」

比企谷「きゃぁぁっ!こっちの方も可愛いですわっ!わぁっ!おっぱい大きい!」

そう言うと今度は由比ヶ浜に抱きつき、さらにはその胸に触った。

由比ヶ浜「なっ、なななっ、なにやってるのっ!」

雪ノ下「比企谷君……私に抱きつくだけではなく由比ヶ浜さんにまで……しかも胸を揉む

とは、いい度胸してるわね」

雪ノ下から、ありありと怒りのオーラが湧きあがる。

比企谷「っっ! そんなことより私はお腹がすいたぞ!ハムというのを食べたい!カツサ

ンドでもいいぞ!」

由比ヶ浜「女の子の体を触ってそんなことって、ヒッキーそれ本気で言ってる?」

比企谷「っ! 警戒。なにやら殺気を感じます」

雪ノ下「へぇ、よくわかっているじゃない……なら、これからどうなるかも理解している

わね?」

比企谷「っ!こら、あんた達!勝手に人の体使っちゃだめでしょ!」

比企谷「でも、こんなに可愛い女の子が二人……我慢できませんわぁ」

比企谷「とにかくわたしはお腹がすいたぞっ!」

比企谷「反省、少しやり過ぎたかも知れません」

比企谷「でもさ、士道以外の体に入れるなんて滅多にないし」

比企谷「七罪!あんたさっきは出てこなかったでしょ!」

由比ヶ浜「ヒッキーが、壊れた……」

雪ノ下「完全に情緒不安定ね……」

比企谷「お前らっ!いい加減にしろっ!」

比企谷「はぁっ、はぁっ……」

雪ノ下「比企谷君?」

比企谷「どんな原理かはわからんが、俺の体が乗っ取られたみたいだ」

比企谷「乗っ取られたとは失礼ですわ、少し拝借しただけです。だーりん以外の男性の体

で我慢しているのだから、感謝してほしいくらいです」

比企谷「だから俺から出て行けって言ってんだろっ!」

比企谷「説明。この現象についてお伝えした方がいいと思いますが」

比企谷「え?」

比企谷「だから~、この体使って、あんたら三人に説明してやろうって言ってんの」

雪ノ下「……とりあえず、聞かせてもらおうかしら」

比企谷「確認。その前に質問しますが、あなた方はディケイドと愉快な仲間達ということ

でよろしいですか?」

雪ノ下「とても馬鹿にされている気がするのだけれど……まぁいいわ」

由比ヶ浜「あっ!だからって襲いかかってきたりしないでね!あたし達別に何もしてない

から!」

比企谷「それはこいつの体に入った時になんとなくわかったわ」

比企谷「それじゃ、説明するぞ~」

比企谷「なぁ、その前に何か食べちゃだめか?」

比企谷「リュウタロス、少し黙っててくれる?」

比企谷「その代わりこれが終わったら何か食べるからな!」

→→→117
そうですね……雪ノ下や由比ヶ浜が空気化していると私も感じていましたし、もう一度考え直してみます。
ただ、プリキュアの件は、完全にわたしの趣味で申し訳ないのですが、もう少し登場すると思います。
貴重なご意見ありがとうございました!

しばらく更新できずすみません。
デートアライブに関する話があまり思いつかなくて……。
電王の世界はわりとサクッと終わらせる予定です。

比企谷「この世界には、イマジンという怪物がいるの。そのイマジンは、人間と契約して、

過去に跳ぶ。そしてその過去の世界で暴れまわる。過去で壊れた物は、現在でも壊れ、過

去で死んだ人は、現在でもいなくなる。これは確証がないことだけど、おそらくイマジン

達の目的は歴史の改編ではないかと、わたし達は睨んでいる」

雪ノ下「それで、あなた達は……?」

比企谷「返答。私達は、精霊。イマジンと同程度の能力を持った人間だと考えてくれれば

結構です」
雪ノ下「そう……それで、さっきからコロコロと口調が変わるのはなんでなの?」

比企谷「それは私達が……複数の精霊がこの人一人に代わって、主導権を交代しながら話

しているからよ」

比企谷「わたしは夜十神十香、シドーにはリュウタロスともよばれているぞ!」

琴里「私は五河琴里。……モモタロスとも呼ばれているわ」

七罪「七罪、ウラタロスとかいうふざけた名前をつけられた……」

美九「本当にお二方ともお美しいですわぁ……あ、わたくしは十六夜美九ですわ。それよ

りこの後私と……」

夕弦「阻止。それ以上は言わせません。ちなみに、彼女の字(あざな)はジークです。そ

して私は、八舞夕弦、キンタロスという非常に納得のいかない名をつけられました。ぷん

すか」

比企谷「……っ!はぁ……やっと戻れた……」

由比ヶ浜「あ、ヒッキーが元に戻った!」

雪ノ下「その、精霊さん達は比企谷君の中に入らないと話せないの?」

十香「そんなことはないぞ!」

そんな声が後方からしたと思うと、5人の少女がすぐ後ろにいた。

由比ヶ浜「わぁ、すごく美人……」

七罪「うぅ……絶対私以外は、って思われてる……」

美九「そんなことはありませんわ、七罪さんはとーっても可愛いですわ」

琴里「まぁそんなことはどうでもいいとして……でもわたし達、この体でいるとちょっと

不自然なのよね」

雪ノ下「……なるほどね」

雪ノ下が彼女たちの足元を見て言う。

由比ヶ浜「ゆ、ゆきのん!そんなこと言ったら失礼だよ!」

比企谷「いや、雪ノ下が言いたいのはそう言うことじゃねぇだろ」

雪ノ下「足元から、白い砂が絶えず流れおちているわね」

夕弦「首肯。なので皆から怪しまれてしまうのです」

十香「シドーの傍にいたらそんなこともないんだけどな―」

比企谷「で、そのお前達が俺達に何の用だ?」

琴里「最近、なんだかよくわかんないけど時の運行が乱れててね。ディケイドが来たって

わかったから、そのことやこの世界についていろいろ伝えておこうと思って。悪そうな奴

だったら倒すつもりだったけど、そうでもないみたいだしね」

夕弦「懐疑。しかし彼の目はまるで死んだ魚のように濁りきっています」

雪ノ下、由比ヶ浜「くっ……」

雪ノ下と由比ヶ浜が声を合わせて笑う。

雪ノ下「やはりどんな世界にいってもあなたの目は腐っているのね……諸行無常の世界で

変わらないでいるなんて、素晴らしいわ。比企谷君」

比企谷「だからそのちょっといい笑顔で貶すのやめてくれる?傷ついちゃうだろうが」

???「すみませーん」

と、写真館に一人の男が入ってきた。

十香「おお!シドー!」

→→→127
このSSがラブコメっぽくなったのは私の責任だ。
だがわたしは謝らない!

すみません、ラノベやアニメの世界を回るという設定上、これからもそういう展開は出てくると思います。
ご意見、ありがとうございます!
そしてなにより、ここまで読んでくれてありがとうございました!

士道「十香達、こんなとこにいたのか……この人達は?」

七罪「噂のディケイドだってさ」

士道「なっ、ディケイド!?」

琴里「警戒する必要はないわ。彼らにこちらと対立する意思はない」

士道「そ、そうなのか……?」

雪ノ下「どこの世界に行っても、ディケイドが敵視されているのは変わらないようね」

由比ヶ浜「もう!これもヒッキーのせいだからね!」

ええ……俺ベルト渡されただけなんだけど?

比企谷「まぁ、俺達にはこの世界でやるべきことがあるはずなんだ。よろしくな」

士道「あ、ああ。よろしく。俺は五河士道、仮面ライダー電王だ」

比企谷「仮面ライダーディケイド、比企谷八幡だ」

雪ノ下「名を名乗る前にライダーとして名のるようになるなんて……何とも皮肉なものね。

私は雪ノ下雪乃、仮面ライダーナイトよ」

由比ヶ浜「あたしは由比ヶ浜結衣、仮面ライダー龍騎だよ!よろしく!」

五河「全員ライダーだったのか……てっきり俺と折紙の奴くらいだと思ってたんだが……」

雪ノ下「折紙?それは、人の名前ということでいいのかしら?」

五河「ああ、ちょっと変わった名前だけどな。折紙は、仮面ライダーゼロノスに変身して、

俺達と同じように今人達と戦ってる」

その時、三度俺達をコミカルな爆発が襲った。

夕弦「驚愕、ディケイド達の姿が変わりました」

比企谷「ああ、どうやら俺達がこの世界ですべきことに合わせて、服装が変わるようでな。

って、この服装は五河と同じ……っつーことは」

雪ノ下「五河君達の学校に行かなければならない、ということね」

由比ヶ浜「よかったー、ブレイドの世界の時みたいに中学生じゃなくて」

琴里「……あんた達もずいぶん苦労してきたみたいね」

比企谷「まぁ、それなりにはな」

美九「転校生、という扱いになるのでしょうか?」

雪ノ下「以前と同じなら、そうなると思うわ」

五河「なら、今日のうちに挨拶に行っといた方がいいよな。案内しようか?」

比企谷「ああ、よろしく頼む」

由比ヶ浜「ありがとう!」

五河「ここが都立来禅高校。俺達の学校だ」

比企谷「じゃぁ、俺達は職員室に行ってくる。ここまでありがとな」

五河「せっかくだから職員室まで案内するよ」

十香「なぁシドー、私はもうお腹がペコペコだぞ!」

七罪「ここに来る途中にいっぱいおかしかってもらってたのに、まだ食べるのか……」

由比ヶ浜「あんなに食べて太らないなんてうらやましいなぁ」

十香「ん?結衣はお腹いっぱい食べてないのか?それはもったいないぞ!ご飯はな、みん

なで食べるととっても美味しいんだぞ!」

……ぼっち飯も、上手いよ?


比企谷「失礼します」

???「あ、明日から来るっていう転校生ですね。この時期に、しかも三人まとめて珍し

いこともあるんですねー

あ、わたしはあなた達の担任になる岡峰珠恵です。よろしくお願いしますね」

俺達三人はそろって頭を下げる。

雪ノ下「ということは、わたし達三人は同じクラスということですね?」

珠恵「はい、そうです。教科書などはまだ届いていないので、近くの人のを見せてもらっ

てくださいね」

えぇ……ぼっちの俺にはハードル高すぎるんだけど?

忘れ物したって気づいたら人に見せてもらうのが嫌でその時間保健室で過ごすくらいだか

らな……。

ていうか、自分が忘れたくせに俺の教科書見るの嫌がる女子は何なの?

あほなの?こっちだって嫌なんだけど?

雪ノ下「わかりました、それでは明日からよろしくお願いします」

由比ヶ浜「失礼しました―」

学校を出ると、校門の前で五河達が待っていた。

比企谷「どうしたんだ?」

え?まさか俺達のこと待っててくれたの?やめろよ、友達かと思っちゃっただろうが。

琴里「この近くで、イマジンのにおいがする」

由比ヶ浜「イマジンの匂い……?」

十香「琴里は今人のにおいを感じ取れるんだ。犬みたいだな!」

琴里「犬って言うな!」

五河「この近くに、イマジンか、イマジンと契約した人間がいる」

比企谷「ひっかかってたんだが、契約ってなんだ?モンス……イマジンと契約して、その

力で戦ったりするのか?」

五河「イマジンたちの力で戦う……?」

比企谷「あ、いや、違うなら気にしないでくれ。俺達が見てきた中にはそんな世界もあっ

たからな」

五河「ああ、そうなのか。いや、この世界では、人間がイマジンに望みを言って、願いを

かなえてもらった後に、その代償として、その人が最も印象に残っているかこの時間に行

く。そしてそこで暴れまわる」

雪ノ下「願いを、叶える……それはなんだか私達がいた、いえ、ここでは龍騎の世界とい

った方がいいのかしら……?あそこと似ているわね」

琴里「といっても、ろくな叶え方じゃないわ」

十六夜「本当にとんでもないんですわ。お金を欲しいと願った人には、その人の部屋にあ

ふれるほどのお金をもってきて、その部屋に閉じ込めて、お金を使わせないまま無理矢理

過去に跳んだり」

七罪「悪い酒癖を治したいと願った人の望みをかなえるため、その人の酒癖を知っている

人をみんな殺して、それで契約成立と言ったりね……」

由比ヶ浜「そんな……」

比企谷「滅茶苦茶強引だな……」

十香「イマジンと契約しても、絶対にその人にいいことなんか起きないんだ!でもご飯一

杯ほしいな……」

五河「十香……飯ならまたいっぱい作ってやるから」

十香「ありがとうだ、シドー!なら今日の夜ごはんはラーメンがいいぞ!」

五河「はいはい、わかったわかった」

琴里「ちょっと士道!昨日も中華だったじゃない!」

夕弦「拒否、私は今晩は和食がいいです」

七罪「和食なら……海鮮丼がいいな」

美九「私はダーリンが作るなら何でもいいですわ。そしてデザートにはダーリン自身を…

…」

十香「デザート……?デザートなら、プリンがいいぞ!」

琴里「プリン……いいわね」

比企谷「何このハーレム状態……ラノベの主人公って、傍から見たらこんな不愉快なもの

だったの?」

雪ノ下「どうしてかは分からないのだけれど、あなたが言うなという気がするわ」

えぇ……俺ほどのぼっちスペシャリストはいないと思うんだけど?

琴里「あ、イマジンのにおい消えたわ」

七罪「なにやってんだよ~」

五河「しまった……余計な話をしすぎたな……」

比企谷「じゃぁ今日はこれで解散、ってことでいいか?」

五河「じゃぁまた明日からよろしく!」

由比ヶ浜「ばいば~い!」

珠恵「と、いうわけで今日からこのクラスに編入する比企谷君、由比ヶ浜さん、雪ノ下さ

んです」

俺達が紹介を受けると、教室中が騒がしくなる。

かわいいだの、きれいだの、目が腐ってるだの……。

ちょっと、天丼ネタにしてもいい加減しつこいよ?

珠恵「じゃぁ、ちょうどあいてる席が三つあったので、三人の席はそこになりますね」

なんで?なんで一つのクラスに三つも空き机があるの?

珠恵「それぞれ同性同士の方がやりやすいでしょうから、比企谷君は真ん中の、五河君の

隣に座ってください」

比企谷「わかりました」


五河「よろしくな、ディケ……ここでは比企谷って呼んだ方がいいか」

比企谷「ああ、そうしてくれ。電王だのディケイドだの呼びあってたら完全に頭おかしい

奴らだからな」

そんなので喜ぶのは材木座くらいだろう。

???「士道、知り合い?」

俺達に声をかけてきたのは、五河の前に座っていた、白髪の少女だ。

五河「ああ、ちょっとな」

???「私は、鳶一折紙。……転校生、次の席替えでは、士道の横は譲らない」

比企谷「お、おう……」

しかし、折紙も仮面ライダーということだから、このクラスには5人ものライダーがいる

ことになる。

このクラスは大体30人くらいだから……そう思うとすごいな。

鳶一「ところで転校生、さっき電王とか言ってたけど、あなたは何者なの?」

転校生って……一応さっき自己紹介したんだが……。

いや、良いんですけどね、別に。

比企谷「今、教室でするような話じゃないだろ」

鳶一「確かに……驚愕のあまりらしくないことをしてしまった。後で話を聞かせてほしい」

うん、驚いてても一番に気になるのは五河の隣の席のことなんですね。

ちょっと妬けちゃうだろうが。

昼休み、俺と折紙、五河は人目のない屋上に来ていた。

ちなみに由比ヶ浜と雪ノ下はクラスメイト達に取り囲まれていて、とても連れて行けそう

ではなかった。

ところで俺のもとにはこいつら以外来なかったんだけどどういうことなの?

ていうかこいつらライダー関係者だしな……。

折紙「先程は時と場を考えず失礼した。こちらの事情もある程度知っているようだから、

私も何も隠さない。そちらもそのようにしてくれると嬉しい」

比企谷「ああ、俺達は、この世界のライダー達と対立する気は全くない。というか、こう

いういい方は好きじゃないんだが、俺達はこの世界を救いに来たんだ。いや、ここだけじ

ゃない、15の世界を」

折紙「言っていることが理解できない、詳しく説明してほしい」

比企谷「まず、俺は仮面ライダーディケイドだ。どういうわけか知らないが、ディケイド

はあらゆる世界で敵視されている。俺がこのベルトを手に入れたのは少し前だから、以前

の所有者が何かしたのかもしれないが、少なくとも俺は何も知らない」

折紙「ディケイド……名前くらいは聞いたことがある」

五河「ああ、でもどうしてか……どうやって知ったかわからない」

比企谷「信じてもらえるかは分からないが、俺は、この世界とは別の世界から来た」

折紙「別の、世界?」

比企谷「ああ、精霊もイマジンもいない世界だ。それだけじゃない、他にもいくつも世界

はあるんだ。不死の生物がいる世界や、果物の力を使うライダーがいる世界とかな……」

五河「果物の力って……どうやって戦うんだよ……」

比企谷「オレンジの刀、バナナの槍、ブドウの銃、メロンの盾とか、まぁ色々ある」

五河「すごい世界もあるもんだな……」

比企谷「俺達からすれば、そのイマジンってのが過去に跳ぶってのが信じられない話では

あるんだがな」

折紙「ところで、世界を救う、というのは?」

比企谷「これは俺もまた聞き……と言っても、情報源は信頼できる人なんだが、この宇

宙には、15のライダーの世界があるらしい。そしてその世界が、一つになろうとしてい

る」

五河「世界が……一つに?」

折紙「そうなると……どうなるの?」

比企谷「世界が一つになるにあたり、それぞれの世界にいる人たちが死ぬかもしれない。

現に、俺達……ライダーの世界として言うなら龍騎の世界では、ある日突然大量のモンス

ター達が現れた。まさに、地獄絵図と言った感じだ」

五河「そんな……」

比企谷「そこで俺が渡されたのが、ディケイドライバーだ。俺がそれぞれのライダー達の

世界をめぐり、そこで問題を解決することで、状況が好転する、らしい。

いや、確証はないんだが、それ以外に、方法はないらしい」

折紙「なるほど……正直、信じがたい話だけど……転校生がそんな嘘をつくメリットがあ

るとも思えない」

五河「折紙……いい加減、転校生って呼び方はやめようぜ」

折紙「ごめん士道、士道の名前以外はすぐに忘れてしまう……」

五河「嘘だよな!?十香達のことは覚えてるじゃないか!」

折紙「十香?そんなデカ乳の名前は知らない」

五河「ばっちり覚えてるじゃないか!ていうかお前、そんなこと言う奴だったっけ?」

折紙「これもディケイドがこの世界に来たせい……」

比企谷「言いがかりにしてもひどすぎるだろ」

折紙「失礼、今のは冗談。ならあなたは……イマジン退治に協力してくれるということ?」

比企谷「ああ、そうなるな。あまり長くはいられないと思うが」

五河「そうなのか?なんだか寂しいな」

比企谷「まぁ、あんまりだらだらやってる余裕はないしな。この旅にタイムリミットがあ

るかどうかは知らないが、あったとしても、それがいつまでなのかもわからない。正直言

ってめちゃくちゃだ」

折紙「とにかく、私達の目的は同じ。よろしく、ディケイド」

その時、折紙の足もとに砂が湧きあがり、一人の男(?)が現れた。

???「折紙をよろしく!」

比企谷「ば、化け物……?」

???「失礼な、俺は化け物じゃない!」

折紙「デネブ……また勝手に……」

デネブ「俺はデネブ!折紙と契約している精霊だ!」

こんな精霊居たっけ……?いや、少なくとも俺の知る『デート・ア・ライブ』の世界には

いなかったはずだ。

デネブ「比企谷と言ったな。これ、デネブキャンディーです。どうか折紙と仲良くしてや

ってくれ」

比企谷「あ、ああ。よろしく」

デネブ「あと、最初に言っておく!俺はお[ピザ]じゃない!」

比企谷「え?」

デネブ「モモタロス達は俺のことをいつもお[ピザ]お[ピザ]と言うからな……まったく……」

ああ、デネブだからお[ピザ]……ねーよ。

五河「デネブは、折紙と一緒に戦う精霊だ」

人の良さそうな奴だな……思いっきり顔は人じゃないし、変な黒ずきんかぶってるけど…

…。

折紙「デネブ、勝手に出てこないでほしいといつも言ってる」

デネブ「でも折紙は愛想が悪いんだからちゃんと挨拶しておかないと……」

折紙「そうだとしても、それはデネブがすることじゃないでしょ」

デネブ「そんな……」

折紙「いいから、戻ってて」

デネブ「わかったよ……でも折紙、五河に渡した飲み物に媚薬を入れるのはよくないと思

うんだ」

五河「なっ!これそんなのは入ってたのか!飲まなくてよかった……」

そう言って五河は、手に持っていたペットボトルを見つめる。

折紙「余計なことを……デネブ!早く戻って!」

デネブ「ご、ごめんな……あ、ディケイド、くれぐれも折紙のこと、よろしくお願いしま

す」

その時、五河の携帯が鳴った。

五河「はいもしもし。あっ、小鳥?ああ、ああ、ああ。わかった、すぐ行く!」

折紙「どうしたの?イマジン?」

五河「ああ!学校近くの公園で三体暴れてるらしい!」

それを聞くと折紙は駆けだした。

俺と五河もそれに続く。

「ハッハッハッハッハッ!」

「ギャハハーッ!」

「最高だぜー!」

公園では、三体のモグラ型イマジンが暴れまわっていた。


折紙「違う……こいつらじゃない……」

比企谷「どうした?」

折紙「いや、なんでもない。戦おう」

五河「あいつらまだか……仕方ない……」

「「「変身!」」」

「Kamen Ride Decade!」

「Altair Form」

電王(士道)「はぁ……この姿で戦うのは……」

ゼロノス(折紙)「士道は下がっててもいい。こいつらは私が片付ける」

電王「そういうわけにもいかないだろ。うおおっ!」

ディケイド(比企谷)「ちょうど一体ずつ、ちょうどいい!」

ゼロノス「イマジンは……生かしておかないっ!」

イマジン「はははっ!」

俺のもとに一匹のイマジンが立ちふさがる。

こいつが俺の相手か……。

比企谷「鎧武の力、使ってみるか」

「Kamen Ride Gaim!花道、オンステージ!」

両手に太橙丸と無双セイバーを持つ。

比企谷「たぁっ!」

その攻撃をイマジンは鋭い爪で受け止める。

だが……。

比企谷「無双セイバーには、こういう使い方もある!」

俺がそのトリガーを引くと、無双セイバーから銃弾が発射される。

イマジン「な、なにぃ!?」

驚くイマジンに、追撃の銃撃を喰らわせる。

イマジン「ぐぉっ!」

ディケイド「はぁぁっ!……あれ、もう弾切れか?」

五発しか打てないのか……。微妙だな……。

イマジン「今度はこっちの番だ!」

こちらの弾がもう無いことを把握したイマジンが、勢い良く迫ってくる。

ディケイド「接近戦ならこれだ!」

「Form Ride Gaim! Pain Arms! 粉砕・デストロイ!」

右手に持つ巨大な武器パインアイアンでイマジンを殴りつける。

とっさに爪でガードしたが、今度の攻撃は受けきれなかったようだ。

ディケイド「まだまだ行くぞ!」

「Form Ride Gaim! Ichigo Arms!シュシュッと、スカッシ

ュ!」

姿が変わったと同時に発生したイチゴロックシードを無双セイバーにセットする。

「Lock On!」

「一、十、百……イチゴチャージ!」

俺が無双セイバーを振るうと、無数のエネルギー攻撃がイマジンに襲いかかる。

イマジン「ガァァァーーーッッ!」

断末魔を上げ、イマジンは爆発した。

ふと、横を見ると、折紙はいまだイマジンと激戦を繰り広げていた。

そして五河は……

電王「ぐぁっ!いたっ!ちょ、ちょっとたんま!がぁぁっ!」

ボロっカスにやられていた。

電王……弱っ!

十香「おおーい!シドー!大丈夫かー?」

電王「お、十香!来てくれたか!」

十香「もちろんだ!今変わってやるぞ!」

電王「すまん、たすかる!」

言うと五河は、ベルトの紫色のボタンを押した。

すると同時に十香の姿が消え、電王が紫色の新たな姿になった。

電王(ガンフォーム)「よくもシドーを……お前倒すけどいいよな?」

イマジン「はぁ?お前みたいな雑魚に」

電王「答えは聞いてないっ!」

言い終わらないうちに、電王は銃攻撃をイマジンに発した。

イマジン「ぐぉっ!」

電王「でぃっ!たぁっ!」

俺が無双セイバーで放った銃弾とは異なり、弾切れなどないようだ。

電王「これで終わりだっ!」

イマジン「ま、待て!」

『Full Charge』

電王「お前の答えは、聞いてないといったっ!」

巨大なエネルギー弾がイマジンを飲み込んだ。

イマジン「うぉぁぁぁぁーーっ!」

ゼロノス「ちゃんと倒した……流石士道」

電王「倒したのはわたしだぞっ!」

ゼロノス「士道の体で倒したんだから、士道の手柄。当然」

電王「そういうことにしておいてやる。わたしは心が広いからなっ!」

ゼロノス「……っ<`ヘ´>」

仮面の上からでも表情がわかったけどどういうことなの?

ゼロノス「早く士道の体から出て。あなたが士道の中に居るなんて気持ちが悪すぎる」

電王「<(`^´)>なんだと……ふん!言われなくても出ていく!」

さっきから仮面の下で表情のやりとりするのやめてくれない?

士道「ふぅ……助かった、ありがとな。十香」

十香「どういたしまして、だ。シドー!私はそんな星座女よりも役に立つからなっ!」

星座女……ああ、アルタイルだからか……。

折紙「リュウタロスとか言う名前に言われたくない」

十香「むっ!これはシドーがつけてくれた名前だ!それが気に入らないならシドーが気に

入らないってことだからな!」

折紙「心配しなくても、わたしと士道の子供の名前は二人できちんと考えるから大丈夫」

士道「誰もそんな心配はしてないからな!?」

おおっと……俺の存在は完璧に無視されてるの?ステルスヒッキーさすがすぎだろ。

そろそろ軍事利用も視野に入れていいレベル。

十香「シドー!早く帰ってご飯にしよう!わたしはもうお腹ぺこぺこだ!」

折紙「士道、わたしも一緒に食べたい。家に行ってもいい?」

士道「ああ、もちろん」

十香「なに!?そいつも来るのか!?ふん、お前の食べるご飯なんかないぞ!」

折紙「私はあなたのような大食漢じゃないから大丈夫」

十香「たいしょくかん?なんだそれは。体育館と図書館が混じってるぞ!」

士道「十香、大食漢っていうのは一杯ご飯を食べる人のことだ」

十香「ふぅん、そうなのか。ならまぁ間違っていないな」

折紙「じゃぁ士道、行こう」

デネブ「折紙!昨日買った睡眠薬をご飯に入れたりしたらだめだからな!」

折紙「このお[ピザ]……」

士道「おい折紙!お前そんなことしようとしてたのか!」

折紙「さぁ……?何の事だかわからない」

よし、ここは黙って退散するとしよう。

この後俺の存在を思い出されて『あ……一緒に来る?』とか言われても悲しいだけだから

な。
徐々にフェードアウト徐々にフェードアウト……からのジョジョ立ち!は、もちろんしな

い。

五河「あ、比企谷!一緒に夕食どうだ?」

比企谷「いやー、俺はあれだから」

こう言っとけば大体オッケーだ。

相手も、言っといた方がいいかな、という社交辞令だろうし。

十香「何か用事でもあるのか?シドーの料理はおいしいぞ!」

折紙「士道と二人きりじゃないなら何人来ても同じ。由比ヶ浜と雪ノ下も呼んで、三人で

来ればいい」

比企谷「あ、ああ。わかった」

かくして俺達は五河家で食卓を囲むこととなった。

五河「今日は大勢になるから鍋にしたぞー」

十香「鍋……シドー!おじやはするのか?」

五河「おう、十香は好きだもんな」

夕弦「呆然。鍋を食べる前からおじやの話とは……食欲の塊ですね……」

雪ノ下「私達、来てもよかったのかしら……」

雪ノ下が俺の耳元でささやく。

由比ヶ浜「いいんだよ!こういうのはみんなでやった方が楽しいんだから!」

琴里「鍋なら……これを入れないとね」

五河「あっ琴里!やめろ!」

五河の制止も間に合わず、琴里は取り出した十数本のチュッパチャッパスを鍋に投入した。

七罪「おい!闇鍋じゃないんだぞ!」

琴里「はぁ?鍋なんだから飴ぐらい入れるでしょ」

『だから』の使い方間違えてませんか?

何とも言えない空気が広がる。

モツに……飴って……。

ちょっとしたうんこよりまずいだろ、これ。

五河「出汁のかえ、ないぞ」

十香「ん?食べればいいじゃないか!鍋もあめもおいしいから、二つ合わせたらもっ

とおいしいぞ!」

何そのカレーをラーメンにかけちゃいそうな理論……。

美九「十香さん、食べ物には相性という物が……」

十香「うん!おいしいぞ!」

七罪「大食漢の上に、悪食だったのか……」

五河「ま、まぁもしかしてということもあるからな」

そう言って五河は、恐る恐るあめを口に含む。

折紙「士道、不味かったら私に口移しするといい」

美九「まぁ!そんな抜け駆けはさせませんわ!」

士道「……ん?意外と美味いぞ」

士道がそう言うと、それに折紙が続く。

折紙「……おいしい。プリンにしょうゆをかけたらウニになるような……」

プリンに醤油をかけても、ただの醤油の味が混ざったプリンだからね?

しかし、いつまでも黙ってはいられないので、みな怯えながらも、鍋の出汁がしみこんだ

あめを食べる。

比企谷「まぁ……不味くはないが……」

不味くはないが、かといって決してうまいわけでもない。評価に困る味だ。

雪ノ下「まあ、由比ヶ浜さんの料理に比べれば……」

比企谷「ああ、そう思えばいくらでも食えるな」

由比ヶ浜「どういう意味だっ!」

なんだかんだと盛り上がりながら、俺達は夕食を終えた。

由比ヶ浜「おじゃましましたー」

俺達は一礼して、五河家を後にした。

「お前の望みを言え、どんな望みもかなえてやろう。

お前が払う代償はたったひとつ……」

???「はわわっ!おっ、おおっ!おばけっ!」

「……騒ぐな。俺はお化けではない。早く望みを言え。どんな望もかなえてやる」

???「ええー……本当ですかぁ?じゃぁ、若くてカッコイイ子と結婚したいです!

三十路を目前に控えて両親がうるさくて……」

「お前の望みは聞いた。待っていろ、すぐに叶える」

五河「よぉ、おはよう比企谷」

翌日登校してきた俺に五河が声をかける。

ちなみに、妙な噂を立てられるのを嫌って、あえて雪ノ下達とは登校時間をずらしている。

比企谷「おう」

五河「今日タマちゃん休みだってさ」

比企谷「タマちゃん……漫画の話か?」

五河「ああそっか、昨日来たばっかだもんな。タマちゃんってのはこのクラスの珠恵先生

のことだよ」

比企谷「ああ、あの人か」

そして、俺達には特になにが起こるでもなく、最後の授業が終わった。

折紙「士道、ちょっと見てほしい物がある。比企谷も」

五河「ん?どうした?」

折紙「このニュースを見てほしい」

そう言って折紙はスマホを差し出してきた。

折紙「今日になって急に、若い男性のみを狙った拉致事件が立て続けに起きている。怪物

のようなものが現れたという目撃者もいる」

比企谷「……イマジンか」

折紙「契約者探しに協力してほしい」

比企谷「契約を成立させる前に止められれば、過去には飛ばれないんだよな」

折紙「そう。それに、契約前ならイマジンの力も弱い」

五河「つっても契約者探しはなかなか難しいからな……イマジン探しながら、砂が落ちて

る人を探すって感じになるか」

折紙「それがいいと思う」

比企谷「よし、わかった。由比ヶ浜と雪ノ下にも頼んでみる」

折紙「助かる」

五河「じゃぁ行こう!」

かくして俺達はイマジン探しに乗り出した。

しかし……捜索か……どうしてもそのような作業は人に聞いた方が効率がいい。

が、ぼっちの俺にはそれは難しい。

相模の時は、あいつの性格と目的、バックヤードがある程度分かっていたからできたもの

の……。

空を飛ぶようなイマジンなら、目につきやすいだろうが……。

一時間ほど奔走するが、イマジンの姿は見当たらない。

毎日の自転車通学とライダーバトルでいくらか体力がついたとはいえ、さすがに疲れてく

る。

と、その時。

???「ふん……お前は条件に合っていそうだな。目が濁りきっているが……まぁ許容範

囲か」

そいつは、突如現れた。

全身の色は赤く、獅子の様なたてがみがある。

間違いない、イマジンだ。

比企谷「ついには化け物にまで腐ってると言われるとはな……」

レオイマジン「俺の姿を見て驚かないとは……おどろいたな。貴様、何者だ?」

比企谷「……」

おっと、久しぶりか?このセリフ。

比企谷「通りすがりの仮面ライダーだ!覚えておけ!」

「Kamen Ride Decade!」

イマジン「電王やゼロノス以外にライダーがいたとは……まぁいい!契約の為、無力化す

る!」

契約?俺を連れていくことが契約?

しかし俺はこの世界に来たばかり。なぜ俺を……?

「Attack Ride Blast!」

いくつもの銃弾を、イマジンは俊敏な身のこなしで見事にかわす。

比企谷「なに!?」

イマジン「甘いっ!」

近づいてきたイマジンが、その爪で俺の胸をえぐる。

比企谷「速い……」

イマジン「このスピードについて来れるか?」

ディケイド「ああ……一瞬だけだがな!」

「Attack Ride Mahha!」

ブレイドの力を使い、高速移動からのパンチを叩きこむ。

イマジン「ぐぉっ!」

ディケイド「次はこいつだ」

「Attack Ride Advent」

「Attack Ride Strike Vent」

立て続けに二枚のカードを使い、炎で攻撃する。

イマジン「ちぃっ……」

しかし、致命的なダメージは与えられていないようだ。

比企谷「だったらこれをくらえ!」

「Final Attack Ride De De De Decade!」

俺が必殺の一撃を撃とうとしたその時、イマジンが急接近し、ジャンプする直前に強烈な

パンチをくらう。

俺は思い切り宙を舞い、背中から勢いよく落下する。

ディケイド「んのやろぉ……」

俺が立ち上がると、そこにはすでにイマジンの姿はなかった。

俺は、イマジンを見つけ、逃亡された旨を皆に伝える。

こんな時グループ通話機能はとても便利だ。

比企谷「ああ、ああ、そういうことだ。ライオンっぽくて、赤いイマジンだっだ」

折紙「!!!!!?赤いイマジン!!?」

比企谷「ん?あ、ああ」

突如折紙が声を荒げた。

折紙「……あいつかもしれない……」

最期にぼそりと呟いて、折紙は一人電話を切った。




イマジン「思わぬ戦闘になったな……」

契約を果たす為若い男を連れ去ろうとしたレオイマジンは呟いた。

彼の契約者は岡峰珠恵。

イマジンにとっては知るはずもないことだが、士道達のクラスの担任の教師だ。

契約内容は、彼女と結婚するにふさわしい男性を連れて来ること。

三十路を目前に控える独身女性の悩みなど彼にわかるはずもない。

いや、彼にとっては人の望みなどどれも等しく無価値ではあるのだが。

と、彼は新たなターゲットを見つけた。

人間達が言うイケメン、というレベルには十分達しているように思われた。

イマジン「ククク、次はお前をさらうことにしよう」

士道「イマジンっ!」

士道は身構える。

と、イマジンは彼の腰にベルトを見つけた。

イマジン「またライダーか……俺もなかなか運がないな」

士道「これが比企谷が言ってたやつか……って、俺が勝てるわけないだろ……」

イマジン「なにをごちゃごちゃ言っている!」

士道「うぉぉっ!変身!」

イマジン「電王か……しかし、随分貧相だな!」

イマジンの拳を受け止めきれず、士道は吹き飛ばされる。

イマジン「……?お前、本当に電王か?弱すぎる……」

電王「くそっ!俺だってわかってるんだよ!」

士道は拳を繰り出すが、それはいかにも戦闘慣れしていない物のそれだった。

イマジンはかわす必要も認めず、その拳に蹴りをかぶせる。

その威力は比べ物にならない。

電王「いって!いった!っくそ……」

イマジン「もう終わらせる!」

イマジンはとどめに、士道の腹に蹴りを喰らわせる。

士道「うっぐ、うぅ……」

あっという間に、士道の変身が解除される。

イマジン「さて……これでいいか」

イマジンは士道を抱え、契約者のもとに急いだ。

イマジン「お前の望みどおり、若い男を連れてきたぞ」

???「ちょ、ちょっと待ってください!わたしがお願いしたのは……」

士道「って、せ、先生!?」

士道は驚愕した。

イマジンの契約者らしき人物は、彼の担任、珠恵だったからだ。

イマジン「いい加減にしろ、これで何人目だ……これで、契約成立だっ!」

イマジンが叫ぶと、珠恵の体が二つに割れた。

そしてそこに、イマジンは飛びこむ。

士道「くそっ!契約成立かっ!」

士道は珠恵の頭に、一枚のカードをかざす。

すると、そのカードにはレオイマジンと、日付が浮かび上がった。

士道「これは……五年前か……早くみんなに伝えないと」




五河の連絡を受け、俺達は彼のもとに集まった。

最後に来たのは折紙だ。

折紙「士道!そのカードを見せて!」

士道「あ、ああ」

折紙は半ば奪い取るように、そのカードを手に取る。

折紙「この日付……それに、赤いイマジン……とうとう、見つけた!」

そう叫ぶと折紙は、彼女専用の時をかける列車『ゼロライナー』を呼んだ。

折紙「仇を……討つっ!」

そう言い残して折紙は、一人列車に乗り込んだ。

デネブ「あっ、ま、待って折紙っ!」

士道「どうしたんだ……折紙の奴」

琴里「とにかく、私達も行くわよ!」

士道「ああ!比企谷たちも乗ってくれ!」

士道が言うと、先程と同じように、何もなかった空間から列車がやってきた。

士道「これが、時をかける列車、デンライナーだ。これで俺達は過去に向かう。比企谷た

ちもこれに乗ってくれ」

由比ヶ浜「電車で過去に……」

雪ノ下「信じがたいわね……」

比企谷「ここが、五年前……」

今までいたのと同じ町だが、よく見るとところどころ違いが見て取れる。

士道「あっ、折紙!お~~い!」

いつもなら士道の声にはすぐに反応する折紙だが、なぜだか今回は何の反応も示さない。

まるで俺が他のクラスメイトにされているような……。

折紙「お父さん、お母さん……やっと……」

俺達が走る折紙の後を追いかけていると、折紙が急にその足をとめた。

前方には、赤い姿のイマジンが立っている。

その近くには倒壊している建物がいくつもある。

間違いなく、あいつの仕業だ。

折紙「赤い、イマジン……お前がぁっ!」

「Zero Form」

すると折紙は、前に変身したのとは違う、真っ赤な姿へと変身した。

士道「折紙、あんな姿に……」

琴里「見たこと無いフォームね……」

ゼロノス「はぁあああっっっ!」

折紙は、両手で持ったライフルを乱射する。

攻撃は広範囲に広がり、逃げ場がない。

イマジン「ぐぉぉっ!」

ゼロノス「たぁぁぁっっっ!」

次に折紙が放ったのは、巨大でいかにも威力のありそうな一撃だ。

ゼロノス「たぁっ!はぁっ!ぜぁぁっ!」

その攻撃を的確に、相手が動くであろう地点を予測して打ちこむ。

比企谷「圧倒的だ……」

雪ノ下「私達の出る幕なんて、なさそうね……」

イマジン「くそっ!いったんここは……ぐふっ!」

ゼロノス「逃がすかっ!」

逃亡を図ろうとしたイマジンに再び砲撃を食らわし、さらに接近して拳を撃ちこむ。

士道「なんて闘志だ……」

鬼気迫るその姿は、味方であるはずの俺達まで戦慄させる。

雪ノ下「そう言えば、仇、とか言っていたわね」

比企谷「あのイマジンは……あいつの大切な人を傷つけた、か、殺したって、ことか……」

そうだとすれば、あの折紙の態度もうなずける。

ゼロノス「消っ、えっ、ろぉぉっ!」

折紙は再び乱射モードでイマジンをくぎ付けにし、とどめに超威力の一撃を放った。

イマジン「グッ、ガァッ、ガァァァアアアアッッ!」

イマジンは、跡形もなく消え去った。

折紙の攻撃はすさまじく、周囲の建物がほとんど倒壊していた。

広範囲の銃撃のせいだ。

これでは、何のためにイマジンを止めるのか分からない。





ゼロノス「はぁっ、はァッ、……やった、ついに、やった!」

お父さんとお母さんを殺した、憎き赤いイマジンの仇を取った。

と、そんな折紙の前に、一人の少女が立っていた。

白い美しい髪を持った小学生高学年くらいの少女は、憎しみをその両目にたぎらせて、折

紙を睨んでいる。

少女「……イマジンっ……!」

少女「絶対に、許さない。お前、だけはっ!」

あれは……わた、し?

でも、わたしはイマジンなんかじゃない……。

イマジンを倒す、仮面ライダー……。

折紙は、自分の姿を見つめた。

腕、足、ボディ。

ところどころに菌が入っているが、そのほとんどは、深紅。

そして、右手に持っているのは、巨大なライフル。

ゼロノス「そん、な……これって、これって……」

この姿は、わたしの両親を殺したイマジンの姿。

仮面ライダーと今人など、予備知識がない者が見たら、区別などつかないだろう。

ゼロノス「わた、しが、お父さん……を……お母さん、を……」

その時、折紙の意識は無くなった。

ゼロノス「うわぁぁぁぁぁああああああっっっっ!!!!!」

士道「どうした!?折紙っ!」

折紙の叫び声を聞いた士道が彼女のもとに駆け付ける。

ゼロノス「ああああああああっっっ!!!」

「Nega Gao G Zero    End Form」

折紙が携帯電話のようなものを取り出したかと思うと、闇色の姿に変わった。

比企谷「これ……そうとうやばいな」

雪ノ下「とにかく、変身しましょう!このままじゃ危険だわ!」

「「「「変身!」」」」

「Kamen Ride Decade」

「Swword Form」

電王「これが……正真正銘のクライマックスの様ね」

と、ゼロノスの体から、何かが出てきた。

デネブ「みんな!折紙を助けてくれ!」

電王「デネブ!無事だったのね…… 助けるって言っても、どうすれば……」

デネブ「今、折紙は邪悪な意思に乗っ取られている。今の折紙を倒せば、元に戻るはずだ!

だから、折紙を倒してくれ!」

ディケイド「なるほど、大体わかった」

龍騎「いくよっ!」

「Swword Vent」

ナイト「みんな、耳をふさいでっ!」

「Nasty Vent」

由比ヶ浜が走りだし、それを援護する形で雪ノ下が超音波攻撃を放つ。

普通なら、超音波で姿勢を崩した敵に、由比ヶ浜の攻撃が直撃するはずだ。

が、しかし。

ゼロノス(エンドフォーム)「あああぁぁっ!!!!」

しかし、折紙には一切聞いた様子がなく、楽々と由比ヶ浜の攻撃を受け止める。

そしてもう片方の手で、由比ヶ浜の腹部に拳を叩きこむ。

龍騎「うっ……」

ナイト「たぁぁっ!」

「Swword Vent」

ディケイド「援護する!」

「Attack Ride Blast」

雪ノ下が敵にたどり着く前に、ゼロノスへ銃撃を撃ちこむ。

ゼロノスは華麗な身のこなしで俺の攻撃をかわし、持っていた剣をライフルモードに変形

させ、雪ノ下へ撃つ。

ナイト「くっ!」

電王「わたしを、わすれてるんじゃないっ!?」

電王が空中から斬りかかる。

意表をついたはずのその攻撃に対し、ゼロノスは剣を再びソードモードへと切り替え、空

中に向けて大きくふるった。

衝撃波が発生し、電王に直撃する。


電王(七罪)「次は私がっ!」

「Lod Form」

先程までとは逆に、体の色が赤から青に変わる。

電王(ロッド)「私につられてみる?」

そう言うとさお嬢の武器をゼロノスに投げつける。

ゼロノスはそれを両腕を交差させて受ける。

すると青色の、フィールドのような物が広がる。

電王「たぁっ!」

それをめがけて、電王は飛び上がり、急降下キックを繰り出す。

ゼロノス「だぁぁっ!」

だがその攻撃も正面から受け返す。

ディケイド「くっ!いったん離れろっ!」

「Form Ride Gaim! イチゴアームズ!シュシュッと、スカッシュ!」

そのままイチゴロックシードを、無双セイバーにセットする。

「Lock On! 壱・十・百……イチゴチャージ!」

無数のエネルギー弾がゼロノスを襲う。

デネブ「俺も援護する!」

デネブも、両指からビームを発射する。

ゼロノス「だぁっ!」

ゼロノスは、背中に装備していたライフルを素早く持ち、ビーム上の巨大な一撃を放つ。

これにより、ゼロノスに当たるはずだった攻撃が全て消滅する。

それだけではない、俺達の攻撃を打ち破ったそれが、迫ってくる。

俺とデネブはとっさに退避する。

龍騎「今のうちにっ!」

「Strike Vent」

ビームが向かっているのとは別の方向から由比ヶ浜が炎攻撃を浴びせる。

ゼロノス「っっっ!」

電王(夕弦)「交替。次は夕弦が行きます」

「Ax Form」

すると電王が今度は、黄色の姿へと変わる。

手には大きな斧を持っている。

電王「宣告。私の強さにあなたは泣きます。涙はこれでふいておいてください」

そう言うと、真っ白なちり紙のような物を撒き散らした。

電王「攻撃。……ダイナミックチョップ!」

電王は大きく跳び上がり、重力を利用して斧を振り下ろす。

超威力の一撃だ。

ゼロノス「……」

ゼロノスは黙ってライフルを空中に向けて構え、そのまま乱射する。

電王「ぅっ!」

そのまま飛び上がり、剣で切りかかる。

ナイト「ダークウイング!」

「Advent」

すんでのところでそれを、雪ノ下のダークウイングが止める。

電王「謝罪。申し訳ありません……ピンチです」

電王(十香)「よーーし!わたしの出番だな!折紙のバカをぎゃふんと言わせてやるぞっ!」

「Gun Form」

電王「お前倒してもいいよな?答えは聞いてないっ!」

先程も見た、紫の姿に変わり、右手に銃を持つ。

十香は巨大なエネルギー弾を撃ち込む。

ゼロノスはそれに対し、より大きな銃撃で応戦する。

相手の攻撃を飲み込み、さらに威力を増したその攻撃が十香を襲う。

電王「うっ、ううっ……お昼に、カツサンドさえ食べていればこんなことには……」

これ……、相当やばいな。

「Form Ride Gaim! ミックス!ジンバー・ピーチ!」

ソニックアローを連射し、ゼロノスの注意をこちらに引きつける。

ディケイド「まだまだ行くぞっ!ゼロノス!」

右手にソニックアロー、左手に無双セイバーを持つ。

そして、ゼロノスに走って接近する。

ディケイド「うぉぉぉっ!」

トリガーを引いて無双セイバーをガンモードにする。

そしてそのまま、5発のエネルギー弾を撃ち込む。

弾切れになった無双セイバーをソードモードに戻すと同時、ソニックアローを引き、エネ

ルギーの矢を発射する。

それは見事ゼロノスの胸部に命中する。

ここからがこの技の真骨頂だ!

無双セイバーとソニックアローを同時に振り下ろす。

その斬撃が見事ゼロノスに命中する。

二つの武器で射撃と斬撃をスピーディーにスイッチする。

これが俺の、ひそかに温めておいた必殺技、

ディケイド「無双ソニック乱舞!」

最後にもう一度振り下ろし、振り返る。

俺が少し腰を下げると、後方で爆発が起きた。

それほどに高威力の技なのだ。

と、勝利を確信した俺は次の瞬間、

ディケイド「がっ!」

その背を思い切り切りつけられた。

吹き飛ばされながら後ろを見ると、そこには全くダメージを感じさせないゼロノスが立っ

ていた。

電王(美九)「全く、あれだけかっこつけておいて情けない……私が行きますわ」

「Wing Form」

電王「降臨……満を持して」

無数の羽が宙に舞う。

真っ白なその姿は、どこか神々しさすら感じさせる。

ディケイド「ん?」

しかし、他のフォームとは違い、武器は持っていないようだ。

電王「はぁっ!」

電王が腕を振るうと、新たに羽が舞い上がり、ゼロノスに向かっていく。

そしてゼロノスに触れた途端、その一つ一つが爆発する。

なるほど……これなら武器はいらないな。

羽は次から次に向かっていき、絶えず爆発が起きている。

電王「フフフ、楽勝ですわっ!」

と、勝利を確信した電王のもとに。

爆発によって生じた煙幕から剣がつきだされ、その腕をかすめる。

電王「なっっ!」

ゼロノスの攻撃は留まることを知らず、電王の体を痛めつける。

ナイト「くっ!やらせないわっ!」

由比ヶ浜「やぁぁっ!」

援護すべく雪ノ下と由比ヶ浜が向かうが、距離が離れており、その間にも電王はダメージ

を受け続ける。

俺は銃攻撃を使えるが、あんなに接近していては間違いなく電王にあたってしまう。

ゼロノス「仇……私が、仇……ううううううっっ!」

電王(士道)「がぁぁぁっっっ!」

最初の弱々しい姿に戻った士道が宙を舞う。

電王「くそっ……プラットフォームに……」

ゼロノス「私が、仇……全てが、仇……?全て、壊すっ!ああああああああっっっ!」

ゼロノスは叫び、狙いも付けずに無茶苦茶に銃を乱射する。

次々と建物が倒壊していく。

電王「やめろ折紙ぃっ!絶望に、呑み込まれるなぁっ!」

まるで折紙に対抗するかのように、士道が叫んだ。

電王「どんなに苦しくても、必ず希望はあるっ!いや、俺がお前の最後の希望になってや

る!だからもう、絶望なんてするなぁっ!」

一瞬だが、折紙の攻撃が止まった。

そして俺の白黒だったカードに、鮮やかな色が描かれていく。

ディケイド「よし……ちょっとくすぐったいぞ?」

電王(士道)「え?」

「Final Form Ride De De De 電王!」

俺が電王の背中に触れると、その体が何と、五つに分かれた。

「Swword Form」

「Lod Form」

「Ax Form」

「Gun Form」

「Wing Form」

「私達の、クライマックスよ!」

「私達につられてみる?」

「注告。夕弦達の強さは、泣けますよ?」

「今度こそ倒すけどいいよな?答えは聞いてないっ!」

「再臨。満を持して」
ディケイド「これで、終わりだっ!」

「Final Attack Ride De De De 電王!」

雪ノ下「私達も行きましょう」

由比ヶ浜「うんっ!」

「「Final Vent」」

八人が全く同じタイミングで飛び上がり、それぞれキックのポーズをとる。

「「「「「「「「ハァァァアーーーーーッッッ!!!!!!!」」」」」」」

その攻撃を、ゼロノスは両手で受け止めようとする。

しかし、それは一秒ともたなかった。

思い切り吹き飛ばされたゼロノスは、この戦いで最大の爆発を放った。

士道「折紙っ!」

士道が駆けよりその体をゆすると、

折紙「……士道……」

士道「折紙っ!よかった……」

折紙「ねぇ士道……私は、お父さんとお母さんを、殺してしまった……」

士道「ああ……」

折紙「私は、生きていていいの……?」

士道「当たり前だっ!不安になったらいつでも俺に頼れ!絶対に、お前の希望になってみ

せるから!」

折紙「……ありがとう」

そう言うと折紙は、ゆっくりと目を閉じた。

士道「折紙っ!?おい、しっかりしろ!」

琴里「しっかりしろはあんたよ、士道。大丈夫、ただ眠っただけ」

士道「そっか……よかった……」




比企谷「何とかなったようだな」

雪ノ下「ええ、そうね」

由比ヶ浜「うんうん、よかったよかった!」

と、俺達の体が足元から薄くなり始める。

十香「し、シドー。あ、足が消えかかっている!比企谷たちは幽霊だったのか!?」

士道「……そうか、もう行くのか」

比企谷「ああ、また新たな世界に行かなければいかないらしい。全く、休まる暇がない」

士道「ありがとう、比企谷たちが来てくれなかったら、きっと折紙のことも止められなか

った」

デネブ「本当にありがとう!これ、お礼の飴だ!」

由比ヶ浜「わ、おいしそう!ありがと!」

士道「……世界を、頼む」

比企谷「まさかそんなセリフを言われる日が来るとはな」

雪ノ下「あなたには荷が重すぎるわね」

比企谷「全くだ……ま、やれるだけやってみる。お前がこの世界を守ることが、無駄にな

らないようにな」

雪ノ下「……何をかっこつけてるの?」

由比ヶ浜「ヒッキーまじきもい!」

比企谷「うるせぇ、たまにはそんなこと言いたい日もあんだよ」

と、胸の部分まで薄くなってきた。

比企谷「っと、いよいよか。じゃあな、また、いつか」

士道「ああ!またな!」

最後に写真を撮ると、そこには一人の青年と、その周りに立つ5人の少女が笑っている姿、

が映った。

電王の世界を去り、再び俺達は光写真館の中に戻っていた。

すると、電王の世界の掛け軸が、新たな絵柄に変わった。

比企谷「な、なんだこの絵……」

それは、チンチン丸出しの幼稚園児が、ロケットにまたがっているという、なんともシュ

ールな絵だった。




由比ヶ浜「え、ええぇぇっ!?な、なんでこの子、まるだしなのっ!?しかもロケットっ

て、意味わかんないっ!」

雪ノ下「この年くらいなら、公然わいせつ罪になることもないでしょうけど……」

由比ヶ浜「ゆきのん!冷静に分析してる場合じゃないよぉ!」

というわけで、次はフォーぜの世界(×いぬまるだしっ!)となります。

その次に言ってほしい世界のリクエストなどあればお聞かせください!(ドライブは除く)

比企谷「なるほど……ここは、いぬまるだしっ!と仮面ライダーフォーぜが融合した世界

のようだな」

由比ヶ浜「いぬまるだし?」

比企谷「あそこ丸出しの幼稚園児が主人公のギャグ漫画だ」

雪ノ下「……端的に聞くけれど、それは面白いの?」

比企谷「ああ、かなりな」

由比ヶ浜「ほんとに?」

比企谷「だから言ったじゃないですか~! どんでんどんでんっ!」

由比ヶ浜「ひ、ヒッキー……」

雪ノ下「またイマジンに憑依されたの?」

比企谷「いや、これはいぬまるだしに出てくる南田まさおっていう芸人のギャグだ」

由比ヶ浜「ヒッキーってそういうことやるキャラだっけ?」

比企谷「いや、せっかくこの世界に来たからやっとこうと思ってな」

雪ノ下「とても不快なのだけれど」

不快とまで言うか……。

と、再び俺達を奇妙な爆発が襲った。

雪ノ下「これは……」

由比ヶ浜「幼稚園の先生の服だ!やった!あたし子供大好き!」

雪ノ下「子供が好きだからといって教師が務まるというわけではないわ」

由比ヶ浜「うっ、ゆきのん辛辣!」

比企谷「由比ヶ浜が……」

雪ノ下「そんな難しい言葉を使うなんて……」

由比ヶ浜「二人ともっ!バカにしすぎだからぁっ!」

比企谷「つまり俺達は……またたび幼稚園に行けばいいのか」

由比ヶ浜「またたび?」

比企谷「そのまるだしの子……いぬまるがいる幼稚園だ」

由比ヶ浜「その子って……いつも丸出しなの?」

比企谷「ああ。パンツを履くくらいなら痛車に轢かれる方がましなんだと」

雪ノ下「痛車?」

比企谷「車体にアニメの絵なんかをでかでかと書いた車のことだ」

由比ヶ浜「それは……相当だね」

雪ノ下「何としてもわたしが矯正して見せるわ」

由比ヶ浜「ゆ、ゆきのんが不敵な笑みを浮かべているっ!」

比企谷「あー、雪ノ下、一応言っとくが、園児相手に無理やり何かさせることがないよう

にな」

雪ノ下「そのくらいわかっているわ。あなたこそ園児に変なことをしないようにね、ロリ

ヶ谷君」

比企谷「お前は俺をなんだと思っているんだ……」




雪ノ下「ここがまたたび幼稚園ね」

???「ふぅ~、ふっふぅ~!」

???「待て~いぬまるー!」

由比ヶ浜「あ、あの子がいぬまる君だね」

雪ノ下「本当に丸出しなのね」

いぬまる「クソスベリ豚野郎の愛称で親しまれているふとしくん、ここまでおいで~!」

ふとし「そのあだ名は絶対に親しまれてないだろ……ぐぉっ!誰だここに落とし穴掘った

奴!」

*いぬまる……チンチン丸出しの幼稚園児。謎の人脈を持っている。仮面ライダーフォーぜに変身する。

ふとし……いぬまるの友達。本名はたかしだが、なぜかふとしと呼ばれている。(太っているからという説が最も有力)。よくいぬまるの掘った落とし穴に落ちる。

いぬまる「ふぅわっ!ふうわっ!」

???「こらー!いぬまる君!ふとしくん!もう遊びの時間は終わったのよ!教室に入り

なさい」

いぬまる「あっ、たまこせんせー!」

たまこ……本名山田たまこ。いぬまるたちのクラスの担任。ゲームが好きで、男の影が一切見えない。貧乳。休日に園児につきあうほど暇。

たまこ「もう、遊んでばっかりじゃダメよ」

いぬまる「そ、そんなのゆとり教育じゃないっい!」

たまこ「な、なんという社会への甘え!」

いぬまる「ねーたまこせんせー、今日ゴッド水谷会長が釈放されるから早く帰って会いに

行ってもいい?」

*ゴッド水谷……『平和すぎる世界を目指す会』の会長。ネズミ溝をやっていて捕まった、変な宗教団体の会長。

たまこ「ダメ!ていうかもう釈放かよ!早すぎるだろ!」

いぬまる「ん~とねー、仮釈放で、その間にネズミ溝でお金をためるんだってー」

たまこ「全然反省してねぇじゃねーか!」

雪ノ下「なんだかすごい幼稚園ね」

由比ヶ浜「あ、すみませーん」

由比ヶ浜がたまこ先生に話しかける。

たまこ「はい……あっ、もしかして今日から実習に入る人達ですか?」

由比ヶ浜「はい!おねがいします!」

いぬまる「たまこ先生より若いのに胸が大きいですなぁ」

たまこ「こら!いぬまるくん!」

いぬまる「せっかく来たんだから何か食べて言ってね!ちっちゃいバナナくらいしかない

けど」

そう言っていぬまるは、股を開いた。

そして再び立ち上がる。

いぬまる「って、誰がちっちゃいバナナだー!  どっ!」

たまこ「どっ、じゃない。誰も笑ってないでしょ」

いぬまる「あっ、あっちの人はたまこ先生と同じで貧乳だよ!よかったね、たまこせんせ

ー!」

そう言われて雪ノ下のこめかみがピクリと動いた。

雪ノ下「いぬまる君……こんな物には何の意味もないのよ。それどころか、運動する時な

どは邪魔になるだけよ。それを皆が価値ある物のように言うからこのような間違った……」

比企谷「おい雪ノ下、子供のいったことにそんなムキになるな」

雪ノ下「別にムキになんてなっていないわ」

ふとし「あの……そろそろ落とし穴から出してくれない?」

たまこ「あっ、ごめんねふとしくん」

ふとし「うん……あと俺の名前たかしだから」

いぬまる「人の名前を間違えるとはなっておりませんなぁ!」

ふとし「いや、最初にふとしって呼んだのお前なんだけど」

たまこ「と、とにかく!園長先生のところに案内しますね!」

園長「はぁ~……往年の宮沢理恵のように激やせしたいわ~」

*園長……またたび幼稚園の園長。メタボの独身。イケメンが大好き。メガネ。

たまこ「寝ころんでポテチ食べながら何言ってるんですか……実習生の子たち連れてきま

したよ」

園長「はっ!」

そう言われて園長は即座に姿勢を正す。

たまこ「もう遅いと思いますけど……」

園長「今のはちょっと休憩してただけよ」

由比ヶ浜「あ、あはは」

園長「私はこの幼稚園の園長よ。よろしくね」

そう言えば園長って名字ないもんな……なに?じつは天皇家なの?

由比ヶ浜「由比ヶ浜結衣です。よろしくお願いします!」

雪ノ下「雪ノ下雪乃です。いぬまる君に、パンツをはかせてみせます!よろしくおねがい

します」

園長「そ、それは無理だと思うけど……」

雪ノ下「ですがこのまま成長しては、犯罪になってしまいます」

園長「そ、それはそうだけどね」

比企谷「比企谷八幡です。よろしくお願いします」



と、俺達が色々と説明を受けていると、

???「せんせー大変!運動場に忍者の格好した変なのが出たー!」

たまこ「あっ、つばめちゃん!どうしたの?」

*ツバメちゃん……いぬまる君と同じクラスの女の子。マセている。

つばめ「だから言ったじゃないですか~!忍者っぽいのが出たって言ったじゃないですか

~!」

園長「大変!誰も怪我してない!?」

つばめ「今はマスター・ザ・エロスがぼこぼこにされてる」

*マスター・ザ・エロス……またたび幼稚園ができる前活躍していた覆面レスラー。

下品な技ばかりを使うので、人気は全くなかった。その正体は、またたび幼稚園の理事長。

園長「ああ、ならいいか」

たまこ「いや、よくないでしょ!」

園長「うるさいわね……中華『幸楽』の開店時間過ぎてるわよ?」

たまこ「角野卓造じゃねーよ!」

由比ヶ浜「怪物が出ても、全然あわてていない」

雪ノ下「すごいわね……」

いぬまる「ふうわっ!ふうわっ!」

由比ヶ浜「あっ、いぬまる君!どこ行くの!?」

いぬまる「運動場!ー」

由比ヶ浜「あ、危ないよ!」

いぬまる「だいじょうぶだよー」

比企谷「俺達も行こう!」

雪ノ下「ええ!」

ツバメちゃんが言った通り、二十体ほどの忍者のような者たちが、覆面をかぶったパンツ

一丁の男をいたぶっていた。

マスターザエロス「ぐぉぉっ!」

いぬまる「お~~い、ふとしく~ん!」

いぬまるは運動場から、教室の中に避難していたふとしの名を呼ぶ。

ふとし「もぉ~……なんで変身する時いっつも俺が行かなきゃいけないんだよ~」

文句を言われながらもふとしくんはいぬまるのもとに向かってくる。

すると、

ふとし「ぐぉっ!」

再びふとしは、落とし穴に落ちた。

ふとし「もぉ~!誰だよこんな時にまで。うわっ!いぬのうんこはいってる!」

いぬまる「それは犬のうんこじゃなくて僕のうんこさ!」

ふとし「え~?なんでお前のうんこが入ってんだよ~」

いぬまる「そんな小さいことはどうだっていいのさ!」

ふとし「ええ~……?」

なにやってんだ……。

と、いぬまるはどこからかベルトを取り出して自ら装着した。

……パンツも履いてないし、どこにも隠せるような場所なかったと思うんだが……。

いぬまるは、ベルトについている4つのボタンを一つずつ押していく。

「3,2,1」

いぬまる「変身!」

ふとし「織田祐二がまたたび幼稚園にぃ~……」

フォーぜ(いぬまる)「キタ~~~~!!!!!」

→→→167
久々にコミックス読み返してたら懐かしくなってしまい、勢いで書いてしまいました。

この世界は楽しい感じにしようと思います!

エロス「ぐああぁぁあっっ!」

フォーゼ「え、エロスのパンツが脱がされてしまうっ!」

「Rocket On」

いぬまるがベルトのボタンを押すと、右手にオレンジ色のロケットが出現する。

フォーゼ「やぁあっっ! どごーん!」

たまこ「いぬまる君っ!自分で効果音言わないっ!」

フォーゼ「ふぅぅ~~っ!」

ふざけた態度とは裏腹に、その攻撃は強烈だ。

ロケットの推進力を得た突撃。

敵がまとめて蹴散らされる。

エロス「ぐあぁぁぁあっっ!」

と、その際攻撃がエロスにもあたっていたが……。

フォーゼ「ふぅぅ~っ!」

「Majik Hand On」

左手に巨大なおもちゃのような手が現れる。

そしてその手が勢いよく投げ、忍者の様な敵をつかむ。

ふとし「すごいぜ、いぬまるのやつ、ちぎっては投げちぎっては投げ」

たまこ「いや、ちぎってはないでしょ」

つばめ「いぬまる君!フォームチェンジよ!」

フォーゼ「うんーーっ!」

「Electrnic    Eleki On」

いぬまるがそのスイッチをベルトにはめると、体の色が白から黄色に変った。

フォーゼ「ふわわっ!」

その際電撃が周囲に流れ、いぬまるが驚きの声を上げる。

たまこ「いぬまる君!キュアピースのものまねはやめて!」

フォーゼ「ピカピカピカリん、ジャン・ケン・ぽん!」

そう言っていぬまるは拳を掲げた。

たまこ「だから言ったじゃないですかぁ~!キュアピースのまねはやめてっていったじゃ

ないですかぁ~!」

ふとし「どんでんどんでんっ!」

ふざけながらもいぬまるは、電気の力を宿した棒で次々に敵を倒していく。

比企谷「すげぇな……」

雪ノ下「なのに、全く緊張感がないわね……」

由比ヶ浜「こんな戦い方もあるんだね……」

フォーゼ「次はこれだよ!」

「Fire   Fire On」

先程と同じように、体の色が変わる。今度は赤色だ。

園長「いぬまるく~ん、頼まれた物持ってきたわよ!」

そう言って園長は、お笑い番組で使うような、持ち運び可能な浴槽を持ってきた。

中には水が入っている。

フォーゼ「ふぅ~!」

いぬまるはその水に向けて、火炎放射を放つ。

いぬまるがそれを止めると、水は完全にお湯に変わり、煙がもくもくと出ていた。

そしてその浴槽の上に、ふとしがしゃがんでいる。もう少しで熱湯につかりそうだ。

ふとし「いいか?押すなよ?絶対に押すなよ?自分のタイミングで行くからな?」

なんかこの光景見たことある……。

ツバメ「早く行けよ」

と、いつの間にか後ろに回り込んでいたツバメに太は背中を押され、思い切り熱湯につ

かる。

ふとし「あっち!あっちっ!あっちっ!おい!押すなって行っただろ!」

ふとし(でもやけどはしないレベルに抑えてある……地味だ)

ふとし「クッそ~!今日の野球拳で負けなければこんなことには……」

たまこ「野球拳て!せめて普通の野球にしろよ!」

たまこ「ていうかやけどしたらどうするの!ふとしくんも罰ゲームなんてやらなきゃいい

でしょ!」

ふとし「そいつは違うぜたまこ先生、敗者が罰ゲームを受け入れるからこそゲームは盛り

上がるんだ。それから逃げてたらプレイしたみんなに申し訳がたたねぇ……あっ、鼻にお

湯はいった、あっちっ!」

たまこ「かっこいいこと言ってる途中でめっちゃかっこ悪いこと起きた―!」

フォーゼ「ふふふ、僕のテクはどうでしたかな?ちょうど良かったでしょう?」

たまこ「変なニュアンスで言うな」

会話しつつ、いぬまるは火炎放射を敵に放つ。

フォーゼ「まだまだ行くよ!抜いて、挿す!」

「N Magnet S Magnet On」

ベルトの中央に、NとSと書かれた二つのスイッチを差し込む。

フォーゼ「抜いて、挿す!まるで夜の営みのように!」

たまこ「いぬまる君!そう言うこと言わないの!」

フォーゼ「どっ!」

たまこ「だから誰も笑ってないでしょ!」

いぬまる「ふぅ~、手厳しいですなぁ。……ライダー超電磁ボンバーッ!」

巨大なエネルギー弾をいぬまるが放ち、ついに敵は全滅した。



いぬまる「ふぅ~!やっとチンチンがスースーする~!」

たまこ「変身はパンツ履く感覚かよ!」

いぬまる「ヒーローも楽じゃありませんなあ」

比企谷「……幼稚園児とは思えない戦闘センスだな」

ふざけまくっていたにもかかわらず、いぬまるはこの戦闘中一切攻撃を受けていない。

フォームチェンジのタイミングも完璧と言っていいだろう。

たまこ「お疲れ様、いぬまる君」

いぬまる「ご褒美はシューアイスでいいよ!」

たまこ「ちゃっかりしてるんだか欲がないんだか」

いぬまる「みんな―!今日のおやつはシューアイスだって!」

ふとし「いえ~~い!」

つばめ「やるじゃないいぬまる君!」

たまこ「って、全員分かよ!じゃぁ、今から買ってくるからね」

???「その必要はないぞ!」

いぬまる「残念なお兄ちゃん!」

虎太郎「ふふっ、今日はお土産にシューアイスを買って来たぞ!」

虎太郎……たまこの兄。社長の娘とのお見合いを失敗し、失業する。働いていた頃から、社会人とは思えないほどゲームのプレイ時間が長い。ダメ人間。

たまこ「ていうかなんで幼稚園に来るの?」

いぬまる「お兄ちゃん、仕事は?」

問われた虎太郎は満面の笑みを浮かべた。

たまこ「なにその笑顔!早く就活しろよ!」

虎太郎「まぁまぁ、そんなことより今日はすごい物を持って来たんだ」

と、虎太郎はポケットから怪しげな赤いスイッチを取り出した。

虎太郎「見てろよ?」

たまこ「ちょっ、それゾディアーツスイッチ!」

たまこの制止も聞かず、虎太郎はスイッチを押してしまった。

すると虎太郎は、蟹のような化け物に姿を変えた。

虎太郎「どう?どう?すごくね?俺すごくね?」

たまこ「ぐあああっ!はさみをこっちに向けないで!」

虎太郎「ああ、ごめんごめん」

虎太郎はもう一度スイッチを押し、元の姿に戻った。

虎太郎「なぁ、これを使ってショーに出たり、超人としてテレビに出たら楽にお金稼げ

るんじゃね?」

たまこ「屑や、ほんまもんの屑やでぇ」

いぬまる「でもねー、それは使いすぎるとねー」

虎太郎「え?」

『ラストワン』

不気味な音声が、その場に響いた。

たまこ「ら、ラストワンってことは……」

いぬまる「豪華賞品がもらえる!!?」

たまこ「誰も一番くじの話はしてないっ!って、そうじゃなくて……」

いぬまる「うんーっ!倒さないと元に戻らないよー!」

たまこ「まぁいいか、就職活動せずにぶらぶらしてたのも悪いし」

虎太郎(キャンサーゾディアーツ)「ええー……それとこれとは関係ないよー」

たまこ「そんなこと言っても仕方ないでしょ。おとなしくいぬまる君に倒されて」

虎太郎「はぁ……わかったよ、なるべく優しくしてくれよ、まるだし君」


いぬまる「時には優しく時には激しく、そう、まるで夜の営みのように!?」

たまこ「そのネタしつけ―っ!」

虎太郎「ったく、パンツ一丁のおっさんからもらったものなんて使うべきじゃなかったな

……って、あれっ!?体が勝手にっ!」

虎太郎は両腕のハサミをいぬまるに向けて振り下ろした。

いぬまる「ぐあああっ!いたいいたいいたいっ!」

……そのはさみが見事いぬまるのちんちんを直撃した。

たまこ「お兄ちゃん!なにやってるの!」

虎太郎「わかんねーよ!なんか体が言うこと聞かない!」

ツバメ「そうか!たまこ先生のお兄ちゃんは意志が弱すぎて、ゾディアーツスイッチに主

導権を奪われているのよ!」

ふとし「な、なんだってー!?」

由比ヶ浜「ひどい言われようだね……」

たまこ「ごめんいぬまる君、こうなった以上、早く倒しちゃって!」

いぬまる「ぐあああっ!チンチンが痛いっ!まさかこの丸出しスタイルがあだになるとは

っ!現実の厳しさを甘く見てたーっ!」

たまこ「そのスタイルがあだ意外になることは無いと思うけど……って、どうしよう!い

ぬまる君が戦えないんじゃ!」

???「その心配はないっ!」

と、他の幼稚園の服を着た眼鏡をかけた少年が走ってきた。

……チンチン丸出しで。

ツバメ「ま、まさむねくんっ!」

*マサムネ……エリート幼稚園「こぎつね幼稚園」に通う年長さん。
とても頭がいいが物事の考え方が極端で、いぬまるに出会ってからはしばしばパンツを履かないようになった。

ふとし「まさか、仮面ライダーメテオに変身するマサムネが来るとはっ!」

園長「ふとしくん、説明気味の説明ありがとう」

ふとし「いや、俺たかし……」

虎太郎「すまん、少年!」

と、先程と同じように、マサムネのちんちんを虎太郎のはさみが襲った。

マサムネ「ぐあああああっ!いたいいたいっ!お前の運命は俺がっ……・いたいいたいっ!」

何か決め台詞を言おうとして失敗したようだ。

雪ノ下「まったく……いくわよ!」

比企谷「ああ!」

由比ヶ浜「うんっ!」

たまこ「ひ、比企谷先生達っ!あぶないですよっ!」

比企谷「いや……大丈夫です」

虎太郎「な、何ぃっ!?チンチン丸出しじゃないだとっ!?お前は一体、誰なんだぁっ!」

……いや、それが普通だよね?

比企谷「通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ!」

「「「変身!」」」

「Kamen Ride Decade!」

ディケイド「たまこ先生、これ、思いっきりやっちゃっていいんですか?」

たまこ「ひ、比企谷先生たちもライダーだったんですか! あ、その兄は思いっきりやっ

ちゃってください」

虎太郎「ちょっ、たまこ!?」

雪ノ下「まぁ、問題ないでしょう。その怪物の姿になる時、虎太郎さんの体じたいはその

場に倒れていたし」

言われてみてみると、確かに地面に虎太郎の体が転がっていた。

つーかなんで気付かなかったんだ……。

由比ヶ浜「うわわっ!ていうかあれ避難させた方がいいんじゃない?」

虎太郎「ちょっ!たまこ!何とかして!どっかやっといて!」

たまこ「え……?大丈夫じゃない?」

虎太郎「いやいやいや!絶対危ないだろ!」

たまこ「ならちゃっちゃと倒されればいいじゃん」

虎太郎「いや、だから体が勝手に動くんだって!」

ディケイド「結局、倒すしかないってことですね……失礼します!」

「Attack Ride Srash」

ナイト「はあああぁっ!」

「Swword Vent」

俺と雪ノ下が同時にきりかかる。

それを虎太郎(キャンサーゾディアーツ)が両腕のハサミで受け止める。

龍騎「Strike Vent」

少し距離をとって、由比ヶ浜が火炎放射攻撃を放つ。

炎が到達する直前、俺と雪ノ下は同時に飛び退く。

摂氏千度を超えるであろう炎がキャンサーを飲み込む。

キャンサー「ぐあああああっ!熱い熱い熱い!……あれ?熱くない」

ツバメ「……なんか、たまこ先生のお兄ちゃん、無駄に強くない?」

たまこ「何でこんな時だけ……」

ディケイド「電王の力、試してみるか!」

「Kamen Ride Deno!」

ディケイド「いくぞ!」

「Attack Ride Ore Sanjo!」

ディケイド「俺、参上!」

由比ヶ浜「だ、だからなに?」

ん?どうなってんだ?

「Attack Ride Bokuni Turaretemiru?」

ディケイド「千の言葉に万の嘘。それでも良ければ……僕につられてみる?」

青色のロッドフォームに変わると同時、俺はそんな薄ら寒いセリフを発していた。

ナイト「比企谷君……大丈夫?」

ディケイド「か、勝手に言葉が出るんだよ!」

キャンサー「そう、まさにそれなんだよ!俺が感じてたのは!」

いや、変なところで共感されても困るけど……。

ディケイド「たぁっ!」

俺は竿状になったデンガッシャ―(電王の武器)を投げつける。

竿は敵に当たり、青色のフィールドが発生する。

キャンサー「話している途中に攻撃するとはっ!」

と言いつつも、キャンサーはとっさに防御態勢を取っていた。

が、この攻撃は敵に防御させてこそ。ここからが本領発揮と言ったところだ。

俺は飛び上がり、フィールドができた場所へ急降下キックを放つ。

キャンサー「ぐぉぉっ!」

「「Advent」」

相手が一瞬のすきを見せたその時を見逃さず、二人は契約モンスターを呼び出す。

ナイト「ダークウイング!」

龍騎「ドラグレッダー!」

けたたましい咆哮を上げて、二体のモンスターがキャンサーに襲いかかる。

その一撃(二撃)を受け、キャンサーは地を転がる。

キャンサー「うううっ!いっ、痛いっ……」

たまこ「大の大人がないとるでぇ……」

いぬまる「やっぱりお兄ちゃんは残念だね!」

たまこ「いぬまる君、ちんちん治ったなら変身して比企谷先生達を手伝ったら?」

いぬまる「うんーーーーっ!」

「3,2,1」

いぬまる「変身!」

フォーゼ「爪弾くは宇宙の調べ!キュアフォーゼ!」

たまこ「堂々と嘘言わないの!」

フォーゼ「ふぅぅ~~っ!」

「Rocket On」

右手にロケットを装備したフォーゼが突進する。

キャンサー「ぐあああっ!ちょ、ちょっとタンマ!」

フォーゼ「タンマも魔法も、無いんだよ」

そのままいぬまるはジャブを連続ではなつ。

キャンサー「ぐはっ!地味に痛い……まるだし君、やるならひと思いに頼むぜ」

フォーゼ「でいっ!たぁっ!」

続いていぬまるは、ろーキックを放つ。

ふとし「……地味だ」

ディケイド「そろそろ決めるか」

「Attack Ride Kotaeha Kiitenai!」

ディケイド「お前倒すけどいいよね?答えは聞いてない!」

「Strike Vent」

「Fire    Fire On」

俺の巨大なエネルギー弾、由比ヶ浜といぬまるの火炎放射、雪ノ下の投げた剣が一斉にキ

ャンサーに向かっていく。

キャンサー「ぐぁあああああああああっっっ!」

絶叫を上げて、キャンサーゾディアーツは消滅した。

虎太郎「ふぅー、一時はどうなることかと思ったぜ」

それと同時、虎太郎が元の姿でムクリと起き上った。

たまこ「本当、しっかりしてよね」

園長「ていうかなんで幼稚園に居るの?平日の昼間から」

虎太郎「……」

園長「顔せつねーーーーっっ!」

虎太郎「いや、今日は働かないで生きていく方法を思い付いたからたまこに話しに来たん

だよ」

雪ノ下「働きたくないって……まるで比企谷君ね」

由比ヶ浜「あはは!たしかに!」

え?俺って傍から見たらあんなふうに見えるの?

虎太郎「働くのって極論、お金稼ぐ為じゃん?」

たまこ「……うん、まぁ」

虎太郎「で、なんでお金がいるかっていうと、食べ物を買う為じゃん?」

園長「まぁ、そうね」

虎太郎「だから、食べ物さえ確保できれば働かなくていいよな?」

たまこ「家とかの問題はあるけど、まぁそうね」

虎太郎「で、海にはおいしいものがいっぱいある!」

虎太郎「だから、長く息を止められるようになれば、海の幸がいっぱい取れて、働かなく

ていいんだよ!」

たまこ「そこがわからん!」

虎太郎「つーわけでたまこ、お前ん家で息を止める練習させてくれ!」

たまこ「色々と見通しが甘いっていうかそもそも問題外っていうか……息止められるよう

になるまではご飯とか家はどうするの?」

虎太郎「……」

たまこ「顔せつねーーーっ!」

雪ノ下「少しくらい練習したところで、息はそんなに長く続きません。というかそもそも、

海で魚などを生活できるほどにとろうとするのなら、漁協にはいったりいろいろと面倒事

がありますが」

虎太郎「……」

雪ノ下「せつない、顔ね……」

虎太郎「は―――っ、何とか楽して暮らせる方法は無いかな―……」

由比ヶ浜「ヒッキーそのものだ……」

比企谷「俺は専業主夫志望だっつーの」

???「いや、働くのも楽しいですよ。男はやっぱり働かないと!」

人畜無害そうな顔をした男性が話しかけてきた。

たまこ「あの……一般の方が入られると困るんですけど」

園長「ちょっとたまこ先生、この人うちの先生よ!あの……えーっと……男の先生!」

いなご「いなごです……いい加減覚えてくださいよ」

いなご先生……年長さんのクラスの担任の男の先生。とても優しいがすさまじく運が悪く、

なかなか名前を覚えてもらえないぞ!

虎太郎「え?働くのが楽しいってなんですか?新しいジョークっすか?」

……不覚にも共感してしまった……。

いなご「子供たちの笑顔を見ると、きつくてもやってて良かったって思いますよ」

いぬまる「クラスの子たちにはいまだに名前を覚えてもらってないけどね!」

いなご「……」

園長「顔せつねーーーーっ!」

虎太郎「でもなー……俺が頑張っても見られるのは社長の笑顔だけだしなー」

*以前虎太郎が勤めていた会社では、社長と虎太郎の中は最悪だった。(ろくな仕事もせず

に給料取って行くから当然だ)虎太郎は社長の娘とのお見合いの場で、脱糞し、会社を首

になった。

比企谷「まぁ、専業主夫でもまともに家事をこなせば、家族は助かるしな」

虎太郎「わかってるね!」

この人に褒められても全く嬉しくねぇ……。

たまこ「ほらお兄ちゃん、早く帰って!職探しに行け!」

そう言うとたまこは虎太郎に求人情報誌を渡した。

虎太郎「お前これ……正社員急募のところに付箋張ってんじゃん」

……いい兄妹じゃないか。

たまこ「おにいちゃんがちゃんと就職しないと、お父さんたちも心配するしね」

虎太郎「お前……ガチで探さなきゃいけなくなるからやめろよ……」

ツバメ「屑や、ほんまもんの屑やでぇ……」

たまこ先生は黙って虎太郎のすねを蹴り、幼稚園から追い出した。

虎太郎「ちょっ、こういうときってもっとコミカルにやるもんじゃないの?いたいいたい!ガチでいたいっ!」

由比ヶ浜「ヒッキー……あんなふうになっちゃだめだよ」

比企谷「……おう」

たまこ「それじゃあ由比ヶ浜先生は年少組、雪ノ下先生は年長組、比企谷先生はわたしと

一緒にいぬまる君達のクラスを担当してもらいます」

比企谷「よろしくお願いします」

いぬまる「ふぅぅ~っ!一緒に遊ぼうよ!」

雪ノ下「いぬまる君、その前に、パンツをはきなさい」

いぬまる「ぼくがパンツを履かないのはディケイドのせいなんだ~!おのれディケイド!」

比企谷「すごいとばっちりだな」

たまこ「ていうかいぬまる君、生まれてこのかたパンツははいたこと無いって言ってたじ

ゃない」

ツバメ「いぬまるくん!渡る世間は鬼ばかりごっこしよ!」

いぬまる「そんなこと言ったって、しょうがないじゃないかぁ~」

……えなりかずき?

雪ノ下「幼稚園児がする遊びでは無いと思うのだけど……」

いぬまる「じゃあ、AV女優とタマコ先生の写真を合成させて遊ぼうよ!」

たまこ「やめろぉぉぉっ!」

たまこ「……はあ、ほら、教室行くよ」

比企谷「じゃ、お前らもしっかりな」

由比ヶ浜「うん!ヒッキーもね!」

雪ノ下「言われるまでもないわ」

たまこ「はい、じゃあこの時間はダンスね」

いぬまる「今日の担当はぼくだよ!」

たまこ「じゃあ、いぬまる君と先生のピアノに合わせて踊ってね~」

「♪1,2,3,4,5!

Go!Go!

手のひら太陽向けて~」

いぬまるが丸出しのお尻を振る。

『フリフリ体ゆすれば~

光のシャワーを浴びて~

今日も一日ピカピカ~

All Right!

はじめの一歩が、あればこそのハイタッチで、希望のリレーには力宿る。

Good グー!グー!』

いぬまる「グーググーグーグーググーググー!コォーっ!」

なぜエドはるみ?

ふとし「うわっ!いぬまるのお尻くせぇ!」

いぬまる「最後のひと拭き節約術をしてたからかも!」

たまこ「なんとなく名前でわかるけど……それなに?」

『解説しよう!最後のひと拭き節約術とは?

うんこの後、お尻を拭く際、最後のひと拭きはうんこがついていないかの確認を目的とし

ておこなわれる。このひと拭きをしないことによって、資源を大切にしようとすることを、

最後のひと拭き節約術という!』

たまこ「それってもし失敗したら……」

ツバメ「ぐあああああっ!くさい!」

たまこ「窓、窓開けて!」

比企谷「いぬまる君、節約は、もっと別のことから始めよう、な?」

ふとし「そういえば、さっきトイレにうんこがあったけど、あれもお前か?」

いぬまる「だってトイレットペーパー以外流すなって書いてたから」

たまこ「逆にどうやってトイレットペーパーだけ流すんだよ!」

たまこ「はぁ……それじゃあ、ダンスの続きするよー」

比企谷「ていうか、なんで今頃あの曲なんですか?5年以上前の」

ツバメ「逆になんで比企谷先生はプリキュアの曲を初めて聞いて完璧に踊れるの?」

ふとし「まさかその年でプリキュア見てるんじゃ……」

比企谷「……」

ふとし「顔せつねーーーーっ!」

比企谷「別に俺がプリキュア見たっていいだろ。大きなお友達がたくさん商品を買うこと

で、見えないところで番組を支えているんだ」

ツバメ「大きなお友達って……」

ふとし「大友っていうんだろ?」

いぬまる「あの大物ミュージシャン!?」

たまこ「それは大友康平だろ」

ツバメ「そういえばたまこ先生もだよね。いい年してゲームばっかしてるし」

ふとし「いつ動物の森やっても、たまこ先生の村大体あいてるからな……」

たまこ「みんなが夜遅くにゲームやってないかチェックしてるの!」

ふとし「絶対嘘だ……」



たまこ「……はい、それじゃ次は鬼ごっこするよー」

ツバメ「無理矢理話題をそらしおったでぇ」

たまこ「じゃあ、わたしと比企谷先生が鬼で、増え鬼ね」

比企谷「1分したら追いかけるからな」

ふとし「にげろ~~!」

比企谷「どんくらいの力でやればいいんですか?」

たまこ「まあ、そこそこで。10分続くくらいですかね」


たまこ「いくよーーっ!」

俺達に捕まった園児も鬼となり、どんどん鬼が増えていく。



ふとし「よし!あとはいぬまるだけだ!」

ツバメ「いくよ!いぬまるくん!」

皆がいぬまるのもとに殺到する。

いぬまる「ううっ、こうなったら……変身!」

何といぬまるは、鬼ごっこ中にフォーゼに変身して見せた。

「Rocket On」

そしてそのまま、ロケットの力で宙に浮かぶ。

フォーゼ「ふぅぅ~っ!」

これでは捕まえようがない。

たまこ「いぬまる君!そんなのイカサマよ!」

フォーゼ「いかさまってのは、ばれたら負けっていう立派な戦法さっ!」

たまこ「いや、すでにばれてるんだけど……比企谷先生、いぬまる君倒しちゃってくださ

い」

ディケイド「え?」

たまこ「あ、もちろん本気でじゃなくて。ベルトをとっちゃうレベルで」

比企谷「……わかりました」

まあ、あれは流石にひどいな。

比企谷「変身!」

「Kamen Ride Decade」

ディケイド「行くぞ、いぬまる君!」

フォーゼ「ふぅぅーっ!ライダーおにごっこだーっ!」

『Kamen Ride Ryuki!』

「Attack Ride Strike Vent」

空中に向けて炎を放つ。

フォーゼ「ふぅ~っ!」

ロケットを器用に使い、見事にそれをかわす。

「Attack Ride Advent」

ドラグレッダーが現れ、先程より巨大な火炎を浴びせる。

それは見事にフォーゼに当たった。

……が。

「Fire Fire On」

フォーゼ「ふぅぅ~っ!」

いぬまるはファイア捨ていつとなり、炎攻撃を無効化した。

が、ロケットを失い、勢いよく落下する。

そこそこの高さから落ちたにもかかわらず、全く痛がる様子がない。

ふざけてばかりだが、園児でこの戦闘能力って……すごいな。

「Kamen Ride Brade!」

「Attack Ride Mahha!」

高速で移動し、フォーゼの腹部にパンチを繰り出す。

フォーゼ「ぐあああっ!」

いぬまるは吹き飛びながらも、火炎放射器をこちらに向け、勢いよく火を放った。

ディケイド「やるじゃないか……」

「Kamen Ride Gaim! 花道、オンステージ!」

オレンジをモチーフにした大橙丸と無双セイバーを持ち、斬りかかる。

「Electronic Ereki On」

フォームチェンジと同時、地面を伝って電撃が流れ、俺の動きが一瞬止まる。

フォーゼ「たぁっ!」

ひるんだ俺に、電気を帯びた斬撃をいぬまるが浴びせる。

「Form Ride Gaim! ミックス!ジンバーレモン!」

「Final Attack Ride Ga Ga Ga Gaim!」

ディケイド「無双ソニック乱舞っ!」

無双セイバーとソニックアローを用いた、俺の考えた必殺技。

最初の銃撃で相手の態勢を崩し、そして斬りまくるっ!

フォーゼ「ぐああああああっ!」

そして、いぬまるの変身が解除された。

外れたフォーゼドライバーを拾い上げる。

そして、立ち上がったいぬまるに渡す。

比企谷「ライダーの力でふざけちゃだめだぞ?」

いぬまる「うんーっ!ごめんなさい!」

ツバメ「もう、いぬまる君!ダメじゃん!」

ふとし「ったく、もうやめろよな」

いぬまる「うんっ!……って、あれ?誰でしたかな?」

ふとし「ふとしだよ!いや、正確にはたかしだけど」

ツバメ「あれ?でもなんかわたし、ふとしくんのこと思い出せない……」

たまこ「どうなってるの?ふとしくんに関する思い出が……」

いぬまる「クソスベリ豚野郎のふとしくんのことが全く思い出せないっ!」

ふとし「その変なあだ名は覚えてるじゃねぇか!って、マジでみんなどうしたんだよ!」

なんだ?なにが起きている?

いぬまる「あ、あれ?えっと……誰だっけ?」

今度はいぬまるが、すずめちゃんを指して言う。

ツバメ「ちょっと、いぬまる君!?」

たまこ「なんで!!?ツバメちゃんのことも……みんなのことも!!なにも思い出せな

い!」

一瞬にして運動場がパニックに飲み込まれる。

みんなの、お互いに関する記憶が消えている?

と、由比ヶ浜と雪ノ下が走ってやってきた。

比企谷「由比ヶ浜!雪ノ下!」

由比ヶ浜「みんなの、みんなの記憶がおかしいの!」

雪ノ下「記憶が、消えているわ……」

比企谷「こんなこと普通じゃありえない……犯人は……」

いなご「僕ですよ」

比企谷「……?誰だっけ?」

小声で二人に尋ねる。

由比ヶ浜「ヒッキー、失礼だよ!あの人は……あれ?」

雪ノ下「私達も記憶操作がされているのかしら……」

いなご「僕の記憶は操作してませんよ!いなごです!さっき自己紹介したばっかりじゃな

いですか!」


由比ヶ浜「ああ、そういえば!」

雪ノ下「どうしてこんなことするの?」

いなご「さっきのが理由ですよ」

比企谷「どういう意味だ?」

いなご「誰も僕のことを覚えてくれない。だから、人に忘れられることの辛さをみんなに

味あわせたんです!

みんながその痛みをわかれば、人のことを忘れる人なんていなくなるっ!」

「Last One」

いなご先生の体は倒れ、カメレオン型のモンスターが現れる。

いなご(カメレオンゾディアーツ)「しばらく、おとなしくしててもらいますよ!」

比企谷「いくぞ!」

「「「変身!」」」

「Kamen Ride Decade!」

いなご「きてくれっ!」

いなご先生が叫ぶと、先程も現れた忍者のような者たちが何十という単位で現れた。

「Form Ride Gaim!イチゴアームズ!シュシュッと、スカッシュ!」

「Lock On」

無双セイバーにイチゴロックシードをセットする。

「壱、十、百……イチゴチャージ!」

無数のエネルギー弾で忍者たちを攻撃する。

爆発を上げ、何体かの忍者が消えた。

「「Swword Vent」」

ナイト「由比ヶ浜さん!わたし達はゾディアーツの方を!」

龍騎「わかった!」

二人は剣を掲げていなご先生へ斬りかかる。

そこに忍者たちが立ちふさがる。

ディケイド「道は俺が拓く!」

「Form Ride Gaim!スイカアームズ!大玉、ビッグバン!」

「鎧モード!」

俺の体をすっぽり覆う、スイカ型の巨大アーマーに乗り込む。

なんか……ガンダムみたいだな。

龍騎「で、でかいっ!」

ディケイド「たぁぁあっ!」

巨大な、まるでスイカバーの様な剣で敵をなぎ払う。

ふざけた見た目だが、その大きさに比例して、威力は絶大だ。

龍騎、ナイト「「だあああっっ!!!」」

龍騎「って、あれ?」

忍者たちの相手をする合間に、由比ヶ浜たちの方を見ると、二人は立ち尽くしていた。

ディケイド「なにしてるんだ!」

ナイト「ゾディアーツがいないわ!」

と、雪ノ下がいった直後、彼女が前のめりに倒れた。

龍騎「ゆきのん!」

ナイト「うしろに何かいるっ!」

敵の姿はカメレオンの様だった……つまり。

ディケイド「気をつけろ!相手はカメレオンのゾディアーツ!自由に姿を消せる!」

龍騎「そんなっ……うわっ!」

そう言っている間に、由比ヶ浜も攻撃を受ける。

俺も先程から、忍者たちの攻撃を受け続けている。

巨大な分、敵の攻撃も当たりやすくなるのは必然だ。

二人も、見えない敵に翻弄されて一方的にダメージを負っている。

このままじゃ……。


不可視の攻撃を再び受け、二人が地に倒れる。

ふとし「ちくしょーーっ!やい!ゾディアーツ!その姿を見せてやれ!」

後方で、一人の園児が叫んだ。 ふとしだ。

いなご「いいよ。可愛い園児の頼みだ。それに、いつでもまた姿は消せるからね」

由比ヶ浜達からいくらか離れた場所で、ゾディアーツはその姿を見せた。

ふとし「うおおおーーっ!」

なんと生身で、ふとしがゾディアーツに向かっていく。

いなご「ふっ……いいだろう、その思い、受け止めるっ!この子には手を出すなっ!」

いなご先生が忍者たちにそう指示を出す。

最低限、園児たちには手を出すつもりはないようだ。

ふとし「くらえーーーっ!」

ぎりぎりまで接近したところでふとしはポケットから何かを取り出し、いなご先生に投げ

つけた。

いなご「ぐあああっ!……ん?なんだこれ」

ふとし「それは……それはなぁ……」

いなご「な、なんか臭い……」


ふとし「それはっ、いぬまるのうんこだっ!」

いぬまる「えっ!?」

俺達の後方で、地面に手をついて落ち込んでいたいぬまるの肩が震える。

ふとし「俺のっ、俺の大事な友達の、魂がこもった、うんこだっ!」

いなご「うわっ!きたねっ!」

魂がこもったうんこって何だよ……。

ふとし「いぬまるーーっ!俺はお前のこと覚えてるぞ!でも、なんか今にも忘れちまいそ

うなんだ!そんなの嫌だ!だから、あんな奴ぶっ倒してくれよ!」

いぬまる「ふとしくん……うん―――っ!あんな奴、僕が倒してみせるよ!」

「3,2,1」

いぬまる「変身!」

ふとし「織田祐二がまたたび幼稚園にぃぃぃ?」

フォーゼ「キタァァァァァアアアアアアアアーーーーーーーッッッ!」

いなご「きったねっ、きったねっ!……まぁいいか、また姿を消せば……」

ナイト「しまったっ!」

いなご「これで、僕の姿は見えないっ!」

龍騎「空中に、何か浮いてる……?」

ディケイド「あれは……いぬまる君のうんこだ」

フォーゼ「ありがとう、ふとしくん!ふとしくんのおかげで、ちゃんと戦えるよ!」

ふとし「おう!あと俺の名前たかしだけどな!」

「Rocket On」

いぬまるの得意技が炸裂する。

いなご「うぐぅぅぅっっ!」

いなご先生は倒れ、なかなか起き上らない。

ディケイド「特殊能力さえなければ……めちゃくちゃ弱いんじゃないか?」

ナイト「よくも好き放題やってくれたわね」

龍騎「仕返しだーっ!」

二人の剣がいなご先生を襲う。

それを止めようとした忍者たちも、壁としての役割すら果たせずバタバタと倒れていく。

そしてついに、全ての忍者が消えた。

ディケイド「終わりにするか」

フォーゼ「うんーっ!」

いぬまるがそういうと、俺のカードの数枚に光が宿った。

ディケイド「フォーゼのカード……いくぞ!」

「Final Form Ride Fo Fo Fo Fourze!」

フォーゼ「おおっ!」

フォーゼが、巨大なオレンジ色のロケットに変わった。

「Final Attack Ride Fo Fo Fo Fourze!」

俺が上に乗ると、ロケットが勢いよく敵に向かっていく。

由比ヶ浜「あたしたちも!」

「「Final Vent」」

そしてその攻撃が、同時に炸裂する。

いなご「ぐああああああっっっ!」

いなご先生のもとの体の意思が戻り、スイッチは破壊された。

元に戻ったみんなが、いなご先生のもとに詰め寄って行く。

いなご「す、すいません……」

園児「もう!なに言ってるの!いなご先生のこと、忘れるわけないでしょ!」

いなご先生のクラスの園児がそう言った。

名前を、呼んだ。

いなご「名前、覚えててくれたのか……?」

ツバメ「当たり前でしょ!毎日会ったり、遊んだりしてるんだから」

園長「芸人で言うおいしいいじりみたいなものよ」

ふとし「園長先生は絶対忘れてただろ……」

いなご「うううっ!みんな、ごめんなーっ!」

たまこ「一件落着、ね」

いぬまる「しかしまた、第二第三のいなご先生が現れるであろう……」

たまこ「不吉なこと言わないでよ!」

と、俺達の体が消え始めた。

比企谷「もう時間か……じゃあな、いぬまる君」

雪ノ下「結局パンツをはかせることはできなかったわね……」

たまこ「それは私が責任を持って何とかします!」

いぬまる「僕にパンツをはかせることができたとしても、第二第三のフルチンが現れるで

あろう……」

たまこ「そんなもん現れてたまるか!」

由比ヶ浜「あはは。でもいぬまる君、中学に入るまでにはパンツ履かないとダメだよ。捕

まっちゃうからね……それじゃあ、あたし達はこれで」

比企谷「失礼します」

いぬまる「また遊ぼうね~!」

消える間際、いつものように写真を撮った。

チンコ型のロケットが発射されるのをみんなで笑って見ているという、なんとも言えない

シュールな絵だった……。

そして、写真館に、フォーゼの世界の絵の代わりに現れたのは、気の抜けた顔をしたちょ

んまげ頭の男がだるそうに歩いている絵だった。

ちなみに俺達の服装は、俺が侍風、雪ノ下達は町娘風になっている。

が、髪形は変わっていないので、なんとも不格好というかなんというか。

比企谷「これは……磯部磯兵衛の世界か……」

由比ヶ浜「いそべえ?」

比企谷「武士になる為の学校に通う無気力な青年の日常を描くギャグ漫画だ」

雪ノ下「フォーゼの世界でも聞いたけれど……おもしろいの?それ」

比企谷「結構人気はあるぞ。浮世絵っぽいイラストも印象的だな」

雪ノ下「もともとわかっていたつもりは毛頭ないけれど……あなたの趣味、最近ますます

わからないわ」

比企谷「本当に面白いんだよ、よかったら貸そうか?」

雪ノ下「機会があればね」

絶対読む気ないなこいつ……まあいいけど。

由比ヶ浜「とりあえず、外に出てみようよ」


由比ヶ浜「わぁ……すごい」

その町並みは、俺達が住んでいた町とはかけ離れていた。

それも当然だ。この街は、江戸時代のそれなのだから。

雪ノ下「まさかこの目で過去の世界を見るとはね……一応、タイムスリップということに

なるのかしら?」

比企谷「パラレルワールドに行ってるようなもんだからな。タイムスリップみたいなもん

なのかもしれん」

由比ヶ浜「二人ともっ!そう言う難しい話はなしっ!歩いてみようよ!」

雪ノ下「由比ヶ浜さん……あなたはもうすこし緊張感という物を……」

由比ヶ浜「あっ!お団子屋さんだって!時代劇とかに絶対出てくるよね!食べようよ!」

比企谷「ったく……まあ、いいか。俺も戦って腹減ったし」

雪ノ下「そうね、何をすべきかまだ分からないし、焦っても仕方ないわね」

由比ヶ浜「やった!じゃあ、決まりっ!」



磯兵衛「娘さん、いつものを頼むでそうろう」

磯部磯兵衛……武士を目指す青年。何事に対してもやる気がない。

努力すれば何とかなると思っており(その努力をしないが)、見通しが極めて甘い。

性欲が強く、春画(江戸時代のエロ本)が大好き。特に、葛飾北斎が書いた春画がお気に

入り。

団子屋の娘に惚れており、ほぼ毎日通っている。

伝説の剣豪宮本武蔵の霊に取り付かれたことにより、仮面ライダーアギトへの変身能力を

得た。

磯兵衛(刀をおいて、武士アピールも毎日してるし、そろそろ告白しよっかなー。

でもまだ早い気がするっていうかそうろうっていうか……)

中嶋「磯兵衛、刀を机に置いてなにしてるの?」

マニュアリスト中島(中嶋襄)……磯兵衛の友人。いつも本を読んでいる。

磯兵衛と長くいたからか、彼の適当な態度にもあまり腹を立てることは無く冷静に対応し

ている。

戦闘に関する本も読んでいるが、完全に知識だけで実力は伴わない。

仮面ライダーG3-Xに変身する。

磯兵衛「え?いや別に、意味は無いけど。なんで?」

中嶋「いや、団子屋来た時いつもわざわざ机に置いてるからさ」

磯兵衛「そう?」

中嶋「ふうん……まあいいけど……あっ!」

磯兵衛「どうしたでそうろう、そんな変な声出して」

中嶋「磯兵衛、あっち、入り口の方見てよ。すっごい美人」


由比ヶ浜「わーっ!なんか和風って感じだね!」

雪ノ下「この時代は鎖国していたから当然ね」

由比ヶ浜「あたし、抹茶パフェがいい!」

比企谷「パフェなんてあるわけないだろ……」

由比ヶ浜「えー?じゃあ抹茶アイス!」

雪ノ下「由比ヶ浜さん……」

由比ヶ浜「う?」

雪ノ下「この時代にある物を、もう少しよく考えて。団子屋というのだから、多分それに

類似したものしかないと思うわ」

磯兵衛「……美人でそうろう、しかも二人!」

中嶋「でも、変わった髪型だね」

磯兵衛「そんなの気にならないでそうろう!」

中嶋「磯兵衛、食い気味だね」

磯兵衛「い、いや……うん、まああんだけ綺麗だと仕方ないでそうろう。娘さんでも足元

にも及ばないでそうろう」

中嶋「……なんか、一緒に男いるけど……」

磯兵衛「ぶっ殺したいでそうろう」

中嶋「同感だなぁ」



由比ヶ浜「すいません、メニューもらっていいですか?」

娘さん「め、メニュー……ですか?」

*娘さん……団子屋の娘さん。磯兵衛に惚れられている。

雪ノ下「お品がき、いただけますか?」

娘さん「はい、ただいま」

比企谷「由比ヶ浜、この世界ではほとんどのカタカナ語は通じないぞ」

由比ヶ浜「うう……」



娘さん「こちら、お品がきになります」

比企谷「じゃあ、茶団子を一つ」

雪ノ下「私も同じ物を」

由比ヶ浜「あたしは、みたらし団子!」

娘さん「かしこまりました」


由比ヶ浜「楽しみだなぁ、昔のお菓子なんて」

雪ノ下「そうね、考えてみれば、この上なく貴重な経験ね」

娘さん「おまたせしました」

団子が運ばれてきて、今まさに俺達が食べ始めようとしたその時。


「「「うわああああああっっっ!」」」

外から、悲鳴が聞こえた。

???「ア、アンノウンだっ!」

店内がざわめき立つ。


中嶋「磯兵衛!行こう!」

磯兵衛「え?拙者今団子食べてるからもうちょっと待って」

中嶋「アンノウンが出たんだよ!僕達が行かないとダメでしょ!」

磯兵衛「ぶっちゃけだるいでそうろう……」

中嶋「このクズ……」

宮本武蔵(速く行かんか!)

*宮本武蔵……伝説の剣豪。磯兵衛にとり付き、アギトの力を与えた。

誰にも見えないが、物体干渉能力を持つ。

磯兵衛「あ、あれ?体が勝手に……」

中嶋「なんだかんだ言っていつも行くんじゃないか」

磯兵衛「いや、これは……拙者武士ですからそうろう!」

磯兵衛(どうせ行くならそういうことにしとくでそうろう!)


由比ヶ浜「ヒッキー!ゆきのん!」

比企谷「仕方ない、行くか」

雪ノ下「急ぎましょう」

「うわあー!助けてくれ!」

磯兵衛「あれ、いつも威張り腐ってる剣術道場の師範代でござる。プっ、情けなっ!」

中嶋「磯兵衛、そんなこと言うもんじゃないよ……くっ」

磯兵衛「中嶋も笑ってるでそうろう。じゃ、いくでそうろう!変身!」

磯兵衛がそう叫ぶと、彼の体が光、金色の戦士となった。

特徴的なのは、頭部にある角だ。

磯兵衛「仮面ライダーアギト、参上っ!」

アギト「ははっ!違う違う!拙者武士!歌舞伎俳優じゃないでそうろう!」

近くにいた町民たちに、聞かれてもいないのに磯兵衛はいった。

中嶋「誰も言ってないと思うよ……変身!」

しかし、先程の磯兵衛とは異なり、中嶋の体に変化はない。

かわりに手にしていた袋から仮面やらなんやらを取り出す。

アギト「中嶋……遅いでそうろう。プっ!早漏なのに遅いって!」

中嶋「早漏じゃないよ!」

アギト「はっ!童貞に早漏もないでそうろう……すまぬ、中嶋」

中嶋「磯兵衛だって童貞だろ!」

男「なあ、あんたら、早くあの化け物倒してくれよ」

そう言って町民の一人が、鷹のような姿をした怪人を指した。

アギト「はぁ……今やろうと思ってたけど、人に言われるとやる気なくなるでそうろう」

G3-X(中嶋)「最初からやる気なんて無かったじゃないか」

アギト「あ、着替えおわった?」

G3-X「待たせてごめんね」


比企谷「あれが、この世界のライダーか……」

雪ノ下「……なぜ英語などはいってきていないはずなのに、アンノウンという呼称が使わ

れているのかしら」

比企谷「……そういうのは、気にしたら負けだ」

由比ヶ浜「あたし知ってる!和洋折衷華っていうんだよね!」

比企谷「何で中華が混じっちゃったんだよ……」

雪ノ下「とりあえずここは、傍観ということでいいんかしら」

比企谷「ま、それが妥当だろうな。ピンチになったら助けに行くぐらいでいいだろ」

由比ヶ浜「あの青のライダー、自分で着替えてたね……」

比企谷「そういうライダーもいるんだろ……結構大変だよな」

雪ノ下「もう一人のライダーがいなかったらその間にやられていたと思うのだけれど」


アギト「でやあああっっ!」

磯兵衛が、初心者丸感出しのパンチを放つ。

鷹のアンノウンは、巨大な翼でその拳をはじく。

G3-X「やあああっっ!」

中嶋が、マシンガンを後方から乱射する。

アギト「痛いっ!痛いっ!あ、当たってるでそうろう!」

G3-X「ご、ごめん!」

アンノウン「弱い……お前、本当にアギトか?」

アンノウンが宙に浮かび、かかと落としを繰り出す。

アギト「ぐはぁっ!」

宮本武蔵(なにやっとるんじゃ磯兵衛!)

誰の目にも見えてはいないが、武蔵がアギトにくっつくと、アギトの姿が変わった。

金の体に、赤と青が混じっている。

アギト「力が湧いてくる……仮面ライダーアギトっ!トリニティフォーム!」

G3-X「トリニティってどういう意味?」

アギト「わかんないでそうろう!」

宮本武蔵(はよせんか!)

磯兵衛の手がベルト付近に運ばれると、ベルトの中心部から二本の、赤と青の槍が出現す

る。

アギト「なんかいける気がするでそうろう!」
アンノウン「ふん……どんな姿になろうが無駄だと教えてやるっ!」

アギト「水無月富士参りっ!」

磯兵衛が勢いよく敵に向かっていく。

と、その時。

磯兵衛「……あっ!」

なんとその両腕から、槍が落ちたのだ。

雪ノ下「……え?」

由比ヶ浜「敵、なにをしたの!?全然見えなかった!」

比企谷「……違う、何もしてない」

由比ヶ浜「どーゆーこと?」


アギト「がああああっっ!」

自らの落とした日本の槍を敵に拾われ、それで胸を突かれる。

比企谷「あいつは……自分で槍を落としたんだ。作戦とかじゃなくて、多分、ただのうっ

かりミス……」

それにしても、戦い中に獲物を落とすということなどあるのだろうか。

……そうとう弱いんだな、やっぱり。

比企谷「このままだとまずいな……変身!」

「Kamen Ride Decade!」

アンノウン「貴様も、消えろっ!」

G3-X「うわああああっっっ!」

アギト「……中嶋、後は任せたでそうろう」

G3-X「磯兵衛!?なに逃げようとしてるの!?」

アギト「ぶっちゃけ勝てないでそうろう」

G3-X「磯兵衛が逃げたらもっと勝ち目なくなるでしょ!?」


ディケイド「一気に決めるぞ!」

「Final Attack Ride De De De Decade!」

敵の注意の外から、必殺のカードを使う。

俺が飛び上がった瞬間、敵と俺を結ぶように幾枚ものカード状の紋章が現れる。

その時点になって、敵はこちらに気づいたようだ。

アンノウン「な、何者だお前はっ!」

今まさに自分に向かってこようとする奴にも誰何するのか……。

それをする前に、回避行動をとるなりすればいいと思うのだが。

まぁ、変に逃げようとして無防備な状態で攻撃を喰らうというのが一番まずいか。

そういうものかと納得し、質問されたら答えるのが礼儀(今から倒そうとする敵のもそれ

を適用すべきかは微妙なところであるが)と思い、すっかりいいなれたいつものセリフを

俺は口にした。

ディケイド「通りすがりの仮面ライダーだ!覚えておけっ!」

言い終えると同時、俺のキックが敵に炸裂した。

アンノウン「ぐああああああっっっ!」

そしてアンノウンは、爆発して消滅する。

アギト「ディケイドって……あいつが拙者達の世界をおかしくした……」

G3-X「でも、僕たちのこと助けてくれたよ。悪い人じゃないんじゃない?」

アギト「まっ、その通りでそうろう」

G3-X「すいません、ありがとうございました」

比企谷「ん……どういたしまして」

変身を解き、俺が二人にいうと、

アギト「こいつ、さっきのいけすかない奴でそうろう!」

G3-X「あの美女二人を侍らせていた……」

アギト「やっぱりディケイドは倒さねばならないでそうろう!」

G3-X「同感だなぁ」

そういうと、磯兵衛はいつの間にか拾っていた槍を持って俺に襲いかかってきた。

比企谷「なっ……またこうなるのか……変身っ!」

「Kamen Ride Decade!」

ディケイド「この時代のお前達は知らないだろう、科学の力を見せてやる!」

「Kamen Ride Fourze!」

ディケイド「宇宙来、……たと言っておいてやるか」

「Attack Ride Rocket On」

右手にオレンジ色のロケットを出現させ、莫大な推進力を得、磯兵衛に突進する。

相手の槍と、こちらのロケットがぶつかる。

鍔迫り合いになる前に、こちらの勢いに、相手の体が吹き飛ぶ。

アギト「うおおおおっ!?」

G3-X「相手は、磯兵衛だけじゃないよっ!」

言うと、中嶋がマシンガンを連射する。

ディケイド「ちっ!」

「Form Ride Fourze! Magnet!」

『N Magnet S Magnet On!』

ディケイド「ライダー超電磁ボンバー!」

巨大なエネルギー弾を放つ。

すると、その射線上にあったすべてのマシンガン攻撃はエネルギー弾に飲み込まれた。

G3-X「しまったっ……うわぁあっ!」

ディケイド「聞け!俺はお前達の敵じゃない!」

アギト「うるさいでござる!お前は拙者の……いや、全ての男の敵でござる!」

何のことだ……?

それとも、俺達がこの世界に来たことで男女に関する異変が起きたのだろうか。

もしそうだとしても、俺にもどうしようもないんだが……。

アギト「絶対に、負けないでござるっ!」

磯兵衛が叫ぶと、彼の体は真っ赤な、筋骨隆々な姿へと変わった。

アギト(バーニングフォーム)「はああああああああっ!」

宮本武蔵(こいつ、しょーもない理由で覚醒しおった……)

G3-X「その通りだね、磯兵衛。僕たちは、絶対こいつを倒さなきゃいけない……

中嶋襄として、戦います!」

中嶋も、先程とは比べ物にならない闘志を持って立ち上がった。

手にはマシンガンの代わりにブレードを持っている。

ディケイド「聞く耳持たずか……一時無力化する!」

マグネットステイツの強みである遠距離攻撃で相手方を牽制しようとするが、磯兵衛たち

の動きまでなぜか洗練された物になっており、なかなか当たらない。

というか、攻撃に当たるのもいとわないといった感じだ。

アギト「バーニング、ライダーパンチ!」

磯兵衛渾身のパンチが、俺の胸部に直撃する。

ディケイド「ぐううぅぅっ!」

G3-X「だああああああっ!」

大きく体勢を崩した俺に、中嶋が大きくジャンプし、剣を振り下ろす。

それもまた、防御しようがなく、俺は地を転がる。

雪ノ下「比企谷君!」

由比ヶ浜「ヒッキー!」

そこに、雪ノ下達が駆け付ける。

俺を庇うように二人の前に立つと、磯兵衛達を睨みつける。

雪ノ下「これ以上はやらせない」

由比ヶ浜「少しはこっちの話も効いてよね!」

「「変身!」」

ナイト「まだやるというのなら」

龍騎「あたし達が相手になるよ!」

アギト「あの子たちもライダーだったでそうろう……」

G3-X「ここで戦うことになったら印象最悪だよ」

中嶋の言葉にうなずくと磯兵衛は変身を解除する。

中嶋もいそいそとG3-Xの装着スーツを脱ぎ出す。

磯兵衛「いや、拙者戦いたくなったっていったんだけど、中嶋がディケイドは倒さなきゃ

いけないっていうから……あ、拙者は磯部磯兵衛でそうろう!」

中嶋「磯兵衛!?」

磯兵衛「ほら、中嶋、二人に謝らないと」

……攻撃されたのは俺なんだけどな。

いや、まぁ、対立関係が解消されたならいいけどさ。

次の世界に関するアンケートをとります。
皆さんの希望をお聞かせください。
1、ファイズの世界(×Yes!プリキュア5Go!Go!)

2、キバの世界(×物語シリーズ)

3、Wの世界(×ふたりはプリキュアSprash Star)

*コラボ世界は、変更になる可能性があります。

磯兵衛「拙者、磯部磯兵衛という者でそうろう。アギトに変身して、いつもみんなを守っ

てるでそうろう。いやはや恐縮!」

うわ、ドヤ顔うぜぇ……。

中嶋「中嶋襄です。G3-Xに変身して戦ってます」

磯兵衛「プっ……変身って……あんなのただのコスプレでそうろう」

中嶋「こ、コスプレじゃないよ!ただ変身に時間がかかるだけさ」

雪ノ下「というかこの時代に、コスプレという言葉があるのね」

比企谷「……そこらへんはあいまいなんじゃねぇの」

由比ヶ浜「しばらくはあたし達も一緒にアンノウンと戦うね!よろしく!」

磯兵衛「よ、よろしくお願いするでそうろう」

中嶋「お、お願いします!」

この世界についていくらかの質問をして、俺達は磯兵衛達と別れた。

終始俺に対してだけ態度が悪いのは何なんだよ……。

露骨すぎるだろ。

その夜……。

家臣「い、家康さま!大変です!」

家康「なに?こんな夜中に起こすって……しょうもないことだったらお前、処すよ?」

家臣「城、この江戸城に、何者かが攻撃を行っております!お逃げください!」

慶喜「新しい時代の風が吹く……」

吉宗「暴れたい」

*この世界では、徳川15将軍が兄弟で、江戸の町を治めている。

「潮干狩りしたい」

「犬飼おう、犬!」

家康「もう、みんな一回静かにして。……で、その敵ってどんぐらい?」

家臣「そ、それが一人なのですが……」

家康「一人って!!一人に敵に破られるような訓練してるならお前、処すよ?ほんとに」

家臣「その敵というのが、異形の姿で、壁やらなにやらも壊すのです!我々では対処でき

ません!」

家臣2「報告!報告!例の敵、いきなり引き上げました!もう安全です!」

家康「じゃあもう寝る」

家臣「しかし殿!ほうっておいてはまたいつ現れるかわかりません。早急に犯人を探した

ほうがよろしいかと」

家康「じゃあそうして」

―翌日―
役人「異形の姿をした物を探しておる。心当たりはないか?」

武士校の生徒「……磯兵衛と中嶋じゃない?」

生徒2「完全にあいつらだな」

役人「どういうことだ?」

生徒「なんか、変身、とか言ったら変な姿に変わるんですよ」

役人(そいつらだな)

―磯兵衛の家―

磯兵衛「はぁ~、日曜日は最高でそうろう」

中嶋「磯兵衛……友達が遊びに来てるんだからだらだらするのやめてよ」

磯兵衛「日曜日に何かするなんてアホでそうろう」

中嶋「誘ったの磯兵衛の方じゃないか……」



役人「おい!磯部磯兵衛の家というのはここか!」

母「なによアンタ。磯兵衛になにか用?」

*母……磯兵衛の母。磯兵衛にとてつもない期待を寄せ、また信頼している。

その戦闘力は計り知れない。

役人「うるさい!黙って磯兵衛を出せ!」

役人が刀を抜く。

母「磯兵衛に何かしようってんなら、ただじゃおかないわ!」

母は素手で役人の刀をつかむと、そのまま力任せに折ってしまった。

役人「お、俺の給料一年分の刀が……」

母「さっさと帰りなさい」


磯兵衛「母上、騒がしいでそうろう……そちらは?」

母「なんか磯兵衛を出せっていうから帰そうとしていたところよ」

役人「お、おまえは本当に異形の姿に変身するのか?」

母「なに訳の分かんないこと言ってんのよ。さっさと帰れ」

磯兵衛(拙者が変身することを知っている……そして、役人……これは!ついに拙者に恩

賞をくれるでそうろう!)

磯兵衛「母上!そんな乱暴に扱っちゃだめでそうろう!今すぐいくでそうろう!」

母「あら磯兵衛、知り合いだったの?」

磯兵衛「そ、そうでそうろう。だからちょっと行ってくるでそうろう」

役人「じゃ、じゃあいっしょに来てもらうぞ」

中嶋「磯兵衛?どうしたの?」

母「あらメガ……来てたの?」

中嶋「磯兵衛のお母さん……今僕のこと眼鏡って言おうとしてましたよね」

磯兵衛「そんなことは無いでそうろう、メガネ」

中嶋「磯兵衛が間違えるのはおかしいだろ!」

磯兵衛「まあそう怒るなでそうろう。実はいい知らせがあるでそうろう」

中嶋「え?」

磯兵衛「拙者達がアンノウンを倒してるのを知って、幕府が恩賞をくれるらしいでそうろ

う!」

中嶋「やった!じゃあ僕も行くよ!」

役人「あ……君もなの?」














~江戸城~
家康「お前達か?変な姿になるというのは」

磯兵衛「いやはや恐縮!」

中嶋「お礼なんていいですよ」

家康「お礼?お前ら、処すよ?」

中嶋「え?」

家康「お前達だろ?昨日ウチぶっ壊したの」

磯兵衛「なに言ってるでそうろう?」

家康「昨日、うちの壁やらなんやらを変な姿の奴が壊していったんだよ!犯人お前らだろ!」

磯兵衛「なっ、誤解でそうろう!」

家康「こいつらブタ箱にぶちこめ!」

由比ヶ浜「ふ、二人とも!これ見て!」

江戸の町を歩いていると、由比ヶ浜が驚愕の声を上げた。

雪ノ下「磯部磯兵衛、中嶋襄、江戸城破壊の罪で逮捕……」

比企谷「どういうことだ?」

俺達が事態の認識に戸惑っていると、

男「あ、アンノウンだ!」

女「だ、誰か助けて!」

比企谷「あいつらがいない以上、俺達がやるしかない!行くぞ!」

「「「変身!」」」

『Kamen Ride Decade!』

人々を襲っていたのは、三体のアンノウンだった。

ディケイド「鷹、虎、バッタ型のアンノウンか……」

なんか火野先生を連想させるな……。

ナイト「私が虎をやるわ!」

龍騎「じゃあ私は、バッタを!」

俺の相手は鷹か……なら!

ディケイド「変身!」

『Kamen Ride Fourze!』

タカアンノウン「これでも喰らえっ!」

鷹が高く跳び上がり(洒落ではない)数多の羽を飛ばしてきた。

タカ「フハハハッ!貴様では空は飛べまい!」

ディケイド「何のための変身だと思ってんだよ!」

『Attack Ride Fourze! Rocket On!』

急上昇するのを受け、俺の体に巨大なGがじかかる。

苦しみに耐えながら、敵に突撃する。

タカ「ぐぅ……ロケットが、飛ぶなぁっ!」

滅茶苦茶なことをいいながら、足を振り下ろす。

ロケットを再び起動させ、その攻撃をかわす。

そしてそのまま敵の上に回り、ロケットで敵の頭を殴りつける。

タカ「がああああぁぁぁあっっ!」

敵は完全に体勢を崩し、落下する。

ディケイド「このまま決めるっ!」

空中で、フォーゼの姿から元のディケイドの姿に戻る。

『Final Attack Ride De De De Decade!』

無防備な相手に、必殺の一撃を繰り出す。

タカアンノウンは、断末魔を上げることもなく爆発した。


由比ヶ浜と雪ノ下の様子をうかがうと、どちらもファイナルベントを発動させたところだ

った。

比企谷「ふぅ……随分楽に倒せるようになってきたな」

もと居た世界の物も合わせると、相当の戦闘経験をこなしてきた。

戦いがある生活が普通になってしまうのも考えものだが、戦闘中に動揺したりすることが

少なくなったのはいいことだろう。

雪ノ下「そうね。ただ、由比ヶ浜さんの戦い方は見ていて不安になることが結構あるわ」

由比ヶ浜「ええ!?そうかなぁ」

雪ノ下「あまり無茶しないでね」

由比ヶ浜「うん!ゆきのんありがとう!」

また百合百合しやがってこいつらは……。


役人「化け物だ!あそこにいるのが化け物だ!」

役人2「つかまえろーっ!」

と、戦闘を終えた俺達のもとに十数人もの武士たちが押し寄せた。

比企谷「なに言ってんだ?アンノウンならもう俺達がたおしたぞ?」

そんな俺の言葉も効かず、武士たちは俺達の前に立つ。

そしてそのまま、俺達を拘束した。

比企谷「なにするんだっ!」

役人「黙れ!狼藉者め!」

役人「家康様のもとに連行する!」

そして……。

磯兵衛「また会ったでそうろう!」

雪ノ下「こんな所では会いたくなかったわ……」

俺達は連行され、そのまま問答無用にブタ箱にぶちこまれてしまった。

由比ヶ浜「うう……あたし、前科者になっちゃうの?」

比企谷「由比ヶ浜がそんな難しい言葉を知ってるなんて感動だな……」

由比ヶ浜「ちょっとヒッキー!バカにしすぎだからぁ!」

雪ノ下「私達の世界ではないし、将来このせいで何か不具合が起きることは無いでしょう。

まぁ、甚だ不本意ではあるけれど」

中嶋「うーん……変身して、無理矢理出る?」

雪ノ下「……それは最終手段でしょうね」

一応候補には入れるんですね……。

比企谷「……相手が拷問とか強硬手段に出るまでは、仕方ないがおとなしくしとくか」

雪ノ下「まぁ……賢明でしょうね」

磯兵衛「トランプでもするでそうろう!」

中嶋「何で持ち歩いてるの?」

磯兵衛「そんなことはどうでもいいでそうろう!」

由比ヶ浜「あたし、大富豪がいい!」

こいつら……。

雪ノ下「比企谷君はずっと大貧民でしょうね」

雪ノ下さんも乗り気なのん?

比企谷「いいだろう、お前を大貧民にしてやる」


由比ヶ浜「やったー!8ながし!」

雪ノ下「え?そんなルールあったかしら」

比企谷「あぁ……ローカルルールが結構あるからな……」

磯兵衛「8流しは拙者達も使ってるでそうろう」

比企谷「じゃあ、これが終わったらルールを再確認するか」

磯兵衛「いやー、楽しかったでそうろう」

雪ノ下「ここからではよくわからないけれど、そろそろ夜でしょうね」

由比ヶ浜「お、お風呂は!?」

比企谷「いや……普通に入れないだろ。ここに入れられた時点でわかってなかったのか?」

由比ヶ浜「い、いやだよ!いやだよ!」

比企谷「んなこと言ってもなぁ……」

磯兵衛「……悪くないでそうろう」

中嶋「磯兵衛……」

女子二人が磯兵衛に嫌悪のまなざしを向ける。

磯兵衛「そ、そういう意味じゃないでそうろう!風呂などはいらなくても気にしないとい

う意味でそうろう!拙者、武士ですから!」

そうろうそうろううるせぇな……。

と、俺達が緊張感のない時間を過ごしていると、

ドガァン!と、とても大きな、何かが壊れるような音が響いた。

武士「か、怪物だ!またあのへんな奴が出たぞ!」

役人「将軍様達をお守りしろ!」


雪ノ下「怪物……また、と言っていたわね。つまり、そのせいでわたし達がこんな目に合

っている、ということね」

怖っ!!流石は雪の女王。

雪ノ下「比企谷君……何か?」

比企谷「その超怖い笑顔やめてくれる?戦意なくすわ」

雪ノ下「心配しなくてもいいわ。その怪物とやらは、わたしが倒すから……覚悟しなさい」

由比ヶ浜「お風呂入れないなんて気持ち悪すぎ!絶対許さないんだから!」

磯兵衛「悪は許さないでそうろう!」

磯兵衛(ここで活躍してポイントを上げるでそうろう!)

中嶋「早めに倒しちゃわないとね」

中嶋(磯兵衛はまた変なこと考えてるんだろうなぁ……)

武士「また現れやがったな!お前は一体何なんだ!この化け物!」

???「俺は、仮面ライダーギルス。そして、江戸でも指折りの武士……志村大八だ!」

*志村大八……江戸でも指折りの武士。

ただ、自分で指折りとか言ってしまうところが残念。

下級武士のゴロツキ達をまとめている。

磯兵衛に敗北して以来(正確には磯兵衛は何もしていないのだが)、彼をライバル視し、殺

害しようとするが、そのたびに失敗している。

武士「志村、大八?」

大八「ああ。俺が暴れ、磯兵衛を捕えさせ、弱ったところを倒すってわけだ」

武士「そ、そんなことの為に城を……」

大八「うるさい、さあ、牢はどこだ」

雪ノ下「それを知る必要はないわ」

大八(うお……俺好みの女)

磯兵衛「またあいつでそうろう……」

中嶋「磯兵衛、何かしたの?」

磯兵衛「してないでそうろう」

磯兵衛「そもそも名前も知らないでそうろう」

大八「テメェ、なめたまねをっ!」

大八が叫ぶと、彼の体が獣のような、黄緑色の姿になる。

ギルス「俺は、仮面ライダー、ギルスっ!」

由比ヶ浜「ギルス……」

ギルス「磯兵衛、今日こそお前をぶっ潰すっ!」

磯兵衛「こっちには5人もいるから余裕でそうろう」

あ、普通に五人がかりで行く感じなのね。

ギルス「他の奴らに邪魔はさせないっ! ウウオオオオオオオッッッ!!」

ギルスが咆哮すると、4体のアンノウンが現れた。

そしてアンノウン達は、一体ずつ、俺達の前に立ちふさがる。

中嶋「じゃあ磯兵衛、君は一人であいつを相手してね」

磯兵衛「え?」

「「「「変身!」」」」

磯兵衛「……変身」

俺の相手は、龍の姿をモチーフにしたアンノウンだ。

ドラゴンアンノウン「グルォォッ!」

ディケイド「龍相手なら、この姿だっ!」

『Kamen Ride Ryuki!』

ディケイド「戦わなければ、生き残れないっ!」

『Attack Ride Ryuki Swword Vent』

俺の剣を、腕の厚い鱗で受け止める。

ディケイド「マジか……硬すぎだろ」

ディケイド「なら、熱はどうだ?レアでもミディアムでも、好きな焼き加減にしてやるぞ!」

『Attack Ride Ryuki Strike Vent』


ディケイド「くらえっっ!」

炎が到達する前に、龍はその口から業火を吐き出した。

その攻撃は俺の攻撃より勢いがあり、炎が俺の手前まで迫った。

タイミングを見計らって横に跳ぶ。

ディケイド「あっちっ!」

ディケイド「だったらこれでっ!」

『Attack Ride Ryuki Advent』

ドラゴンの姿がモチーフになっているとは言っても、そのサイズは俺達とさして変わらな

い。

そこに巨大なドラグレッダーが突撃すれば、確実にダメージを与えられるはずだ。

ドラグレッダー「ガァァァアアアアッッ!」

上空に現れたドラグレッダーが、頭から敵に突っ込んでいく。

ドラゴンアンノウン「ぐぅぅっ!」

突進を受けて、アンノウンは勢いよく吹き飛んだ。

が、それも大して気にしていないかのように、再び立ち上がり咆哮を上げた。

そしてまた先程の炎を俺に向けて吐き出した。

今度はよけられず、一瞬炎の中で立ち尽くしてしまう。

炎に強い龍騎であっても無視できない威力だ。

『Kamen Ride Fourze』

炎の中でカードを使うことに、燃えるのではないかという不安はあったが、どうやらその

心配はなかったようだ。

『Form Ride Fourze Fire On』

炎を司るファイヤスイッチ。

その力で敵の炎をすべて吸収する。

そして凝縮した炎を、そのまま敵に向けて放射する。

ドラゴン「がぁぁぁあああっ!」

厚い鱗も、この攻撃はたまらないらしい。

ディケイド「いっきにいくぞ!」

『Kamen Ride Brade』

『Final Attack Ride Bu Bu Bu Brade!』

ディケイド「ライトニング、ソニックッ!」

雷の力を宿した高速キックを、ダメージから回復していない敵の胸部に叩きこむ。

断末魔を上げ、ドラゴンアンノウンは消滅した。

由比ヶ浜と雪ノ下は善戦していて、もうすぐ決着をつけられそうだが、中嶋はカメ型のアンノウンに苦戦しているようだ。

ディケイド「サポートする!」

G3-X「あ、ありがとう!」

ディケイド「敵の特徴は?」

G3-X「とにかく硬い!なかなか攻撃が通らない!」

俺のタイプと似てるな。大八が磯兵衛との戦いに邪魔させないため、防御力の高いアンノ

ウンを用いたのだろう。

まあ、どうやってアンノウンを従えたかは知らないが。

『Form Ride Deno Ax Form』

ディケイド「俺の強さに、お前が泣いた」

ディケイド「俺が前に出るから、銃攻撃で援護してくれ」

G3-X「わかった!」

敏捷性には欠けるものの、威力の高いアックスフォームで攻め立てる。

勢いよく振り下ろした斧が、敵の肩に当たる。

痛みに耐えられなかったのか、敵はその場にうずくまる。

好機と見た俺は、斧をカメの頭に向けて振り下ろす。

勝利を確信した俺の手に、鈍い衝撃が走った。


何とカメは、その甲羅の中に頭を隠してしまったのだ。

そしてそのまま、甲羅で高速スピンを開始する。

足をとられ、転倒してしまう。

G3-X「ディケイド!」

俺を助けようと中嶋が駆けよってくれるが、カメの回転攻撃を受けて吹き飛ばされてしま

う。

よ、弱い……。

ディケイド「うろちょろと……面倒くさい」

『Form Ride Deno Wing Form』

ディケイド「降臨、満を持してっ!」

無数の羽と、ブーメランモードに変形したデンガッシャ―を投げる。

広範囲の攻撃のため、高速で動くカメにも、幾度となく攻撃が着弾する。

そしてついに、甲羅の中から頭を出した。

G3-X「やああっ!」

それを見逃さず、武器をブレードに持ち替えた中嶋がカメの頭部を斬り飛ばす。

中枢神経に重大な損傷を受けたカメは動かなくなり、それから少しして爆散した。

G3-X「磯兵衛、大丈夫かな」

ディケイド「大丈夫じゃないだろうから、助けに行くんだろ」

G3-X「ははっ、そうだね」



アギト「な、なんでそうろう!なぜ拙者を目の敵にするでそうろう!」

ギルス「それがわからないのが許せないんだよっ!」

アギト「り、理不尽でそうろう!」

ギルス「黙れっ!」

大八が叫ぶと、その体から数本の触手が伸び、磯兵衛の体を捕えた。

アギト「拙者を倒して、どうするでそうろう!」

ギルス「どうする、か。そうだな、ライダーに変身するお前を倒し、この国を俺が支配す

る。人の未来は、俺の手中にある!」

アギト「ふざけるなでそうろう……拙者は、好きに気ままに生きていきたいでそうろう!

だから、そんなことはさせぬ!人の運命がお前の手の中にあるというのなら、拙者が奪い

返すでそうろうっ!」

磯兵衛が決意を込めてそう叫ぶと、彼の姿が再び光に包まれ、赤と白の姿へと変わった。

アギト「拙者は戦うでござる、人間のために、拙者のために、アギトのためにっ!」

宮本武蔵(アギトってお前しかおらんではないか!)

ディケイド「そうだな、それじゃあ、未来をとり返すとするか」

アギト「なっ!!聞いてたのかでそうろう」

ディケイド「気にするな、どうせすぐに消えるからな」

アギト(こいつ何言ってるか分からないけどめっちゃ恥ずかしいでそうろう……)

ディケイド「ちょっとくすぐったいぞ?」

アギト「え?」

慣れた手つきで、磯兵衛の背中に触れる。

すると彼の姿が、空中に浮かぶ大きな乗り物に変わる。

磯兵衛(え?な、なんでそうろう!?)

そしてその上に飛び乗ると、磯兵衛の体がギルスへと向かっていく。

ディケイド「このまま突っ込む!」

磯兵衛(なっ!!ちょ、ちょっと待つでそうろう!)

ギルス「グルァァァアアアアアッッッ!」

ギルスが咆哮し、その触手が磯兵衛を拘束する。

磯兵衛(す、進めないでそうろう!)

ディケイド「くっ!」

龍騎「あたしに任せて!」

『Final Vent』

龍騎「うおりゃあああぁぁぁっっ!」

由比ヶ浜の必殺技、ドラゴンライダーキックがギルスの触手を突き破り、磯兵衛の身が自

由になる。

磯兵衛(い、いけるでそうろう!)

ディケイド「たぁぁああああああっっっ!」

ギルス「ち、ちくしょぉぉぉぉぉぉっっっ!」

俺達の突進を受けたギルスは勢いよく吹き飛び、城の壁に衝突する。

よほどダメージが大きかったのか、元の大八の姿に戻った。

大八「俺の……負けだ」

磯兵衛「気を失っているでそうろう」

中嶋「あれ……?大八から、力を感じないよ?」

雪ノ下「どういうこと?」

中嶋「僕たちはお互いに、アンノウンやライダーの力を感じることができるんだ。

でも、今の大八からは何も感じない」

比企谷「つまり、こいつはもう力を失ったってことか?」

磯兵衛「そういうことでそうろう!」

由比ヶ浜「なら、これで一安心だね!」

磯兵衛「助かったでそうろう!お二人のおかげでそうろう!」

比企谷「ナチュラルに俺を省くな」

磯兵衛「バレたか!」

いや、バレたか!じゃねぇよ。

雪ノ下「私達のこの世界ですべきことは、終わったようね」

比企谷「ん、みたいだな」

俺達の体が、いつものように消え始める。

磯兵衛「ど、どういうことでそうろう!?」

由比ヶ浜「あたし達は、いろんな世界を旅してるんだ。また、次の世界に行かなきゃいけ

ないみたい」

磯兵衛「そんな……拙者!二人にいいたいことがあるでそうろう!」

由比ヶ浜「なに?」

磯兵衛「す、好きでそうろう!」

比企谷(二人に同時に告白するの……?)

雪ノ下、由比ヶ浜「「ごめんなさい」」

磯兵衛「お茶が!」

中嶋「濁したな……」

磯兵衛「お茶だけにね!」

去り際に写真を撮ると、気の抜けた表情の武士が部屋で春画を読んでいる姿が映った。

……これは、ひどいな。

次の世界はもう少しマシであることを祈り、次の世界へと飛び立った。

一票ずつ入りましたが、先に投票していただいたファイズの世界で行こうと思います。

ファイズの世界(×Yes!プリキュア5!Go!Go!)

いつものように俺達は再び写真館の中に戻っていた。

服装は、由比ヶ浜と雪ノ下が紫色の学生服、俺は全身黄緑色の、用務員のような服装にな

っていた。

由比ヶ浜「ヒッキー……なんかおじさん臭い」

比企谷「んなこと言っても仕方ないだろ」

雪ノ下「私達は、制服ね。紫色の制服というのは、見たこと無いけれど」

比企谷「それは……サンクルミエール学園の制服だな」

雪ノ下「……何の世界なの?」

比企谷「イエスプリキュアファイブの世界だな」

由比ヶ浜「なんか、プリキュアの世界多くない?」

比企谷「だからそんなこと俺に言っても仕方ないだろ」

由比ヶ浜「なんでヒッキーは制服じゃないの?」

比企谷「サンクルミエール学園は女子高だからな」

雪ノ下「とりあえず、外に出てみましょうか」

と、俺達が写真館を出ようとした時、俺の携帯電話が鳴った。

比企谷「知らない番号だな……はい、もしもし」

???「ちょっと、どうなってるわけぇ?今日から入る新人さんでしょ?初日から遅刻っ

てありえないよ!」

比企谷「え?あの?どちらさまでしょうか」

ブンビー「ええ!?なに言ってるの!比企谷八幡君でしょ!君が今日からバイトする会社

の社長、ブンビーだよ!」

*ブンビー……プリキュアに敵対する組織の幹部。蜂の怪人。

幾度となくプリキュアと戦う中で自分のあり方に疑問を覚え、プリキュアと和解した。

更生後は、ブンビーカンパニーという小さな会社を立ち上げた。

ブンビー「もう!どうしたんだよ!今どこに居るの?」

比企谷「す、すいません。光写真館です」

ブンビー「光写真館?すぐ近くじゃないか」

比企谷「え?」

ブンビー「うちのブンビーカンパニーは、そのすぐ横!大きいビルがあるでしょ!そこの

屋上だよ!」

言われて、写真館の外に出る。

そのすぐ横に、巨大なビルが建っていた。

比企谷「ここか……」

ブンビー「わかった?」

比企谷「はい、すぐ行きます」

ブンビー「もう、しっかりしてね」

雪ノ下「事情は大体わかったわ」

由比ヶ浜「あたしたちもいくよ!」

バイト先に知り合いを連れていくっていうのはいいのか……?

疑問に思ったが、このバイト先で、俺達がすべきことに関することが起きる可能性が極め

て高いことを考えると、そうしたほうがいいだろう。

比企谷「じゃあ、遅れてるみたいだから急いでいくか」



俺達が指示通りビルの屋上に行くと、そこには不自然な事務所があった。

雪ノ下「よく考えると……考えなくても、ビルの屋上に事務所があるって、おかしいわね」

由比ヶ浜「とりあえず、はいってみようよ!」

比企谷「失礼します」

扉を開けて入ると、すぐ近くに黄色の髪の中年男性が立っていた。

ブンビーさんだ。

ブンビー「もう、遅れるなら遅れるって連絡してよ。最低限のマナーだよ」

比企谷「すみません」

正直俺には知りようがなかったことだが、相手にとってはそんなこと関係ない。

ブンビー「ところで、そこの二人は誰?」

由比ヶ浜「あ、こんにちは。由比ヶ浜結衣です」

雪ノ下「雪ノ下雪乃です。よろしくおねがいします」

ブンビー「ああこりゃご丁寧にどうも。で、どのような用件ですか?」

雪ノ下「比企谷君の、付き添い、です」

ブンビー「付き添い……?仕事に?」

ブンビーが怪訝そうな顔をする。

当然の反応だろう。というか、俺だったらクビにするレベルだと思うが。

雪ノ下「私たちにも、お手伝いさせていただけませんか?お金は結構ですので」

ブンビー「そう言ってくれるのはありがたいけど……うちの仕事内容はわかる?」

由比ヶ浜「う……」

ブンビー「すごく大切な仕事で、おおっぴろにするべき仕事でもないからね。

誰にでも話せるというわけでもない」

そう言ってブンビーさんは、二人を遠ざけ、俺にだけ聞こえるように言った。

ブンビー「うちはね、ベルトを作ってるんだよ」

比企谷「ベルト?」

ライダーの世界を旅していて、ベルト。

これは……。

ブンビー「そう。信じられないかもしれないが、この世界には、オルフェノクという怪物

がいる。そしてそれと戦うプリキュア、いや、今は仮面ライダーか……。

つまりそういう存在がいるんだが、うちでは彼女達が戦うのに必要な変身ベルトを作って

いるんだよ」

比企谷「……」

ブンビーさん、この世界ではプリキュア達とそこまで協力しているのか。

ブンビー「やっぱり、いきなりこんなこと言われてもわからないよね」

比企谷「いえ、大丈夫です。それと、そういうことならやっぱり、彼女たちに協力しても

らった方がいいと思います」

ブンビー「え?」

比企谷「由比ヶ浜、雪ノ下。ちょっといいか?」

由比ヶ浜「どったの?」

比企谷「変身しよう」

雪ノ下「え?」

比企谷「まぁ、事情は後で話す」

由比ヶ浜「わかった」

「「「変身!」」」

そして俺達は同時に、仮面ライダーへと変身した。

ブンビー「これは……ライダー?でも、こんなもの私達は作ってない……」

ディケイド「俺達も、ライダーです。ただ、この世界のライダーではありませんが」

ブンビー「え?」

俺達は、これまでの旅のいきさつなどをざっくりと説明した。

ブンビー「なるほど……そんなこともあるもんなんだねぇ」

雪ノ下「と、いうわけなんです。私たちにも協力させていただけませんか?」

ブンビー「そういうことなら、こちらからお願いしたいくらいだ。よろしくね」

???「ブンビー、なにをそんなに長く話しているんだ?」

奥の方から、がっしりとした体格の男がやってきた。

ブンビー「ああ、スコルプさん。とても興味深いことがあってですね」

*スコルプ……プリキュアの敵対組織『エターナル』に所属していた、サソリ型の怪人。

ブンビーと親しくなってすぐに、プリキュアの仲間(一員)であるミルキーローズに消滅

された。

スコルプ「興味深いこと?」

ブンビー「実はですね……」


スコルプ「別世界のライダー……しかし、変身したというのなら、信じるほかないか」

ブンビー「彼らが協力してくれれば、オルフェノクとの戦いもぐっと優位に立てますよ」

スコルプ「……そうだな」

ブンビー「あっ……ごめんなさい、そんなつもりは無かったんですけど」

スコルプ「気にするな、多くのオルフェノクが悪事を働いていることは事実だ」

雪ノ下「どういう……ことですか?」

比企谷「おい、雪ノ下」

雪ノ下は、聞きずらいこともどんどん聞いていく。

すごいとは思うが……。

雪ノ下「失礼しました」

彼女も、自身の言動が踏み込み過ぎたことだと悟ったのだろう。

スコルプ「いや、かまわん。これから共に働くというのに、隠し事をするのもな」

ブンビー「スコルプさん……」

スコルプ「まぁ、さっきのやりとりで察してはいると思うが、俺はオルフェノクだ」

なんと言っていいのか分からない俺達を気にする様子もなく、彼は続ける。

スコルプ「俺はかつてプリキュア達と敵対していてな。その戦闘のさなか、命を落とした

んだ」

由比ヶ浜「じゃあ今は……幽霊みたいな存在ってことですか?」

雪ノ下「由比ヶ浜さん……」

今度は雪ノ下が由比ヶ浜をいさめる。

スコルプ「いや、気にするな。質問の答えだが、当たらずとも遠からずというところだな。

オルフェノクというのは、一度死んだ者が、ごく稀にオルフェノクとして復活することに

よって生まれるんだ」

雪ノ下「なるほど……」

スコルプ「そして、かつて俺とブンビーが所属していて、プリキュアとの戦いでなくなっ

たはずのエターナルが、その構成員の多くがオルフェノクとしてよみがえったことで復

活し、たびたびこの世界を襲撃している」

由比ヶ浜「あの……なんで二人は、プリキュアに協力してるんですか?敵だったのに」

ブンビー「私は……プリキュアと戦ってるうちに、自分のやってることが正しいのかなっ

て思っちゃってね。

いや、正しくないことはわかってたんだけど、このままでいいのかなって、あの子たちを

見て思ってね」

スコルプ「わたしとブンビーは、仲が良くてな。最初は、自分を消したプリキュア達のこ

とが憎かったが、こいつの話を聞いてるうちに、今まで自分が愚かだったと思い知らされ

てな。それからはプリキュア達とも和解したよ。……ミルキーローズともな」

自分を殺した相手と和解する。そんなことを成し遂げてみせた目の前の彼を、俺は心から

尊敬できると思った。

雪ノ下「お話、聞かせていただいてありがとうございました」

俺達はそろって頭を下げる。

スコルプ「礼を言われるようなことじゃない。まぁ、ベルトの強化を手伝ってくれればい

いさ」

比企谷「俺達にできることなら何でもやりますよ」

ブンビー「じゃあ、ちょっとデータをとりたいから、変身してもらってもいいかい?」

由比ヶ浜「あの……なんで二人は、プリキュアに協力してるんですか?敵だったのに」

ブンビー「私は……プリキュアと戦ってるうちに、自分のやってることが正しいのかなっ

て思っちゃってね。

いや、正しくないことはわかってたんだけど、このままでいいのかなって、あの子たちを

見て思ってね」

スコルプ「わたしとブンビーは、仲が良くてな。最初は、自分を消したプリキュア達のこ

とが憎かったが、こいつの話を聞いてるうちに、今まで自分が愚かだったと思い知らされ

てな。それからはプリキュア達とも和解したよ。……ミルキーローズともな」

自分を殺した相手と和解する。そんなことを成し遂げてみせた目の前の彼を、俺は心から

尊敬できると思った。

雪ノ下「お話、聞かせていただいてありがとうございました」

俺達はそろって頭を下げる。

スコルプ「礼を言われるようなことじゃない。まぁ、ベルトの強化を手伝ってくれればい

いさ」

比企谷「俺達にできることなら何でもやりますよ」

ブンビー「じゃあ、ちょっとデータをとりたいから、変身してもらってもいいかい?」


比企谷「三人まとめてですか?」

ブンビー「いや、うちにはそんなにたくさん器具は無いからね。まずは……比企谷君から

お願いしてもいいかな」

比企谷「わかりました……変身!」

『Kamen Ride Decade!』

スコルプ「すごいエネルギーだな……」

ブンビー「ファイズのエネルギーと同じくらいか……別の姿になってもらってもいい?」

『Kamen Ride Brade!』

言われたとおり、俺はブレイドの姿になる。

『Kamen Ride Gaim!花道オンステージ!』

『Kamen Ride Deno! Swword Form』

続けて、様々なライダーに変身する。

スコルプ「すごいものだな、これは……」

ブンビー「特に、別の姿に変わる時に著しいエネルギーが出るようですね」

その後、雪ノ下達も同じように変身し、データをとってもらった。

ブンビー「実戦データもとれればいいんだけど……まあそれは無理ですかね」

スコルプ「できんこともないぞ。我々があのベルトを使えば……」

ブンビー「ええ!?いやですよスコルプさん。あれはまだクロックアップシステムもでき

てないじゃないですか。まともに戦えませんって」

スコルプ「まあ、それもそうだな」

ブンビー「最近やっとライダーフォームに慣れるようになったばかりなんですから」

スコルプ「あれの開発に、このデータが使えればいいがな」

ブンビー「まあ当面は、プリキュア達のベルトの強化をやることになるでしょうけどね」

ブンビー「あ、三人ともありがとね。とりあえず今日はこんなものでいいよ。これから解

析を」

???「ブンビーさん、こんにちは!」

その時、ドアが急に開き、元気のいい少女の声が聞こえてきた。

ブンビー「おお、のぞみちゃん」

*夢原のぞみ……元気いっぱいで好奇心旺盛なサンクルミエール学園の中学二年生。

普段はドジだが、戦闘時には頼もしい存在になる。

キュアドリームに変身し、悪の組織を退けた。

オルフェノクが世界に現れてからは、ファイズギアを使って仮面ライダーファイズとなっ

た。

自分の夢を探している。

???「こらのぞみ!急にはいらないの!」

のぞみ「だってぇ……りんちゃぁん」

りん「はぁ……ったく」

夏木りん……のぞみの幼馴染。自由奔放なのぞみに振り回される苦労人。

スポーツ万能で様々な運動部の助っ人として呼ばれていたが、フットサル部に落ち着く。

キュアルージュとして望たちとともに戦った。

うらら「のぞみさーん!まってくださいよー!」

のぞみ「うららー!早くおいでよー!」こまちさんもかれんさんもこっちこっちー!」

*春日野うらら……女優を目指す中学一年生。

その目的に向けてひたすら打ち込んできたからか当初はりんに友人の少なさを指摘される

ほどだったが、(りん『口を開けばのぞみのぞみって、あんた他に友達いないの?』と、な

かなかひどいことを言われていた)プリキュアとして戦ううちに多くの仲間ができた。

*秋元こまち……読書好きで、小説家を目指す中学三年生。

おっとりしていて、マイペース。

精霊であるナッツに恋心を抱いている。

*水無月かれん……生徒会長でお嬢様な中学三年生。

責任感が強く(自分がプリキュアにならなければならないという義務感で変身しようとし

*水無月かれん……生徒会長でお嬢様な中学三年生。

責任感が強く(自分がプリキュアにならなければならないという義務感で変身しようとし

たため、一度はプリキュアへの変身に失敗した)、それゆえに悩むこともあったが、

のぞみたちと共に闘う中で、一人で抱え込むようなことは少なくなった。

こまち「まあ、のぞみさんったら」

かれん「しょうがないわね、のぞみは」

りん「しょうがないじゃないですよ、こんなんじゃ将来困りますって」

かれん「でも、それがのぞみのいいところでもあるわ。人の心を開いてくれる」

くるみ「かれんは甘いわ!こういうことはしっかり言わないと!」

*美々野くるみ……『ミルク』という妖精が青いバラの力を得て人間となった姿。

戦闘時には『ミルキーローズ』へと変身し、プリキュア達と共に闘う。

エターナル内で窮地に陥ったスコルプが決死の思いでプリキュアと戦っていたところを襲

撃し、彼を消滅させた。

気が強く、のぞみとはたびたび喧嘩する。

ブンビー「のぞみちゃん、今日はどうしたんだい?」

りん「結構激しく戦ったから、ベルトの調整をお願いしたいんです」

ブンビー「はいはい、了解」

のぞみ「ありがとう、ブンビーさん!」

雪ノ下「彼女達が、この世界の仮面ライダーですか?」

スコルプ「ああ。仮面ライダーファイズ達だ」

うらら「そちらの人たちは誰ですか?」

うららが俺達を見てスコルプに尋ねる。

スコルプ「ああ、彼らは仮面ライダーディケイド達だ」

比企谷「ちょっ……」

しまった。俺が行く先々の世界で敵視されていることはまだ話してないんだった……。

くるみ「ディケイドですって!?」

由比ヶ浜「ああ、いつものパターンになっちゃった……」

ブンビー「あ、ちょっと君たち、彼らは悪い人じゃ……」

りん「あんたたちのせいでこの世界にオルフェノクが現れるようになったんでしょ!

ゆるさないわ!」

のぞみ「みんな、行くよ!」

りん、うらら、こまち、かれん「「「「Yes!」」」」

「「「「「プリキュア、メタモルフォーゼ!」」」」」

彼女たちは一様に携帯電話を取り出して叫んだ。

ファイズ(のぞみ)「大いなる、虚無の力、キュアファイズ!」

サイガ(りん)「情熱の、蒼い炎、キュアサイガ!」

ライオトルーパー(うらら)「はじけるレモンの香り、キュアデルタ!」

カイザ(こまち)「安らぎの、漆黒の大地、キュアカイザ!」

デルタ(かれん)「湧き出る知性の泉、キュアライオトルーパー!」

「「「「「希望の力と未来の光!華麗に羽ばたく五つの心、Yes!プリキュア5!」

くるみ「スカイローズ、トランスレイトッ!」

ローズオルフェノク(くるみ)「蒼いバラは秘密の印、ローズオルフェノク!」

雪ノ下「戦闘データをとるいい機会だと思いませんか?」

雪ノ下は不敵な笑みをブンビーに向けた。

ブンビー「君たち……すごいこと考えるね」

……それはこいつだけです。

……それはこいつだけです。

比企谷「しょうがない……やるか」

由比ヶ浜「でも、3対6って勝ち目薄くない?」

雪ノ下「それくらいの方が面白いわ」

由比ヶ浜「ゆきのん……」

比企谷「お前は好戦的すぎるぞ……」

雪ノ下「ただのデータをとる為の実験よ」

「「「変身!」」」

ディケイド「じゃ、いくか」

『Attack Ride Blast!』

銃弾を撒き散らし、相手を牽制する。

『Strike Vent』

龍騎「やあああっっ!」

それに合わせて、由比ヶ浜も炎攻撃を浴びせる。

ナイト「たぁっ!」

「Swword Vent」

剣を手にした雪ノ下が単身相手に突っ込んでいく。

援護するしかないか。

ファイズ「やぁぁっ!」

雪ノ下の剣をのぞみが受け止める。

ライオトルーパー「うらら!銃持ちの二人を抑えるわよ!」

デルタ「わかりました!」

かれんとうららがこちらに向けて銃攻撃を放ってくる。

その退避のため、雪ノ下への援護が一時中断される。

雪ノ下への接近が可能となった小町が剣を振りおろす。

サイガ「上ががら空きよ!」

背中に装備したブースターで宙に浮いたりんが、上から銃撃を放ってくる。

ローズオルフェノク「あんたたち、下の下ねっ!」

追い打ちをかけるように(というか実際そうだが)クルミがバラの花弁のようなものを飛

ばしてくる。

うわ、これめっちゃ痛い。

サイガ「多勢に無勢ね、諦めなっ!」

ディケイド「勝った気になるのはまだ早いぜ、りんちゃんさんっ!」

『Attack Ride Illusion』

『『Trick Vent』』

俺達は同時に分身のカードを使う。

ナイト「これでこちらが多勢かしら?」

今度はこちらが数を頼みに攻撃を仕掛ける。

ドリーム「うっ……ココっ!」

のぞみが変身に使った携帯電話を操作すると、2mほどの大きなロボットがこちらに跳ん

で来て、ガトリングを連射して攻撃してきた。

*ココ……のぞみたちにプリキュアになるよう頼んだ妖精。

人間態はかなりのイケメンで、のぞみに好意を持たれている。

のぞみがファイズになった際、なぜかオートバジン(ファイズのサポートロボ)への変身

能力を得た。

オートバジン「のぞみぃ!大丈夫かココ!?」

分身体をいくつか消したココが俺に体当たりをかましてきた。

くそ、妖精のくせに力強ぇ。

サイドバッシャー(ナッツ)「こまち、大丈夫かナツ!?」

そこにさらに、ココよりも大きなロボットが現れ、ミサイルやバルカンを撃ってきた。

*ナッツ……ココの親友。

人間態では冷静で辛口。

書物を好み、それが理由でこまちと親しくなった。

ココ同様、カイザをサポートするサイドバッシャーへの変身能力を得た。

なんか、マグナギガに似てるな。

あいつはこんなに動かないが。

ジェットスライガー(シロップ)「うらら!しっかりするロプ!」

*シロップ……妖精。当初はココやナッツに不信感を持っていたが、共にプリキュアと過

ごす中で彼らを信用するようになった。

うららとは接する機会が多く、親密な関係になった。

デルタをサポートするジェットスライガーへの変身能力を得た。

デルタ「シロップ!ありがとう!」

ディケイド「いよいよ増えてきたな……」

龍騎「ヒッキー!弱音吐かないの!」

『『Advent』』

由比ヶ浜と雪ノ下が、それぞれ契約モンスターを呼び出す。

ドラグレッダーが炎を吐いて回る。

ダークウイングは超音波を発しながら襲いかかり、相手を撹乱している。

ディケイド「このままたたみかけるっ!」

『Kamen Ride Brade!』

『Attack Ride Time』

時の流れを低下させ、その隙に攻撃を叩きこむ。

ファイズ「そこまでだよっ!」

ディケイド「なっ!?」

この空間で自分以外動けることに驚愕した俺は、後方からの攻撃に対処できなかった。

ファイズ(アクセルフォーム)「早く動けるのは、あなただけじゃないんだよっ!」

のぞみが高く跳び上がると、赤いらせん状のものが俺の周囲にいくつも現れる。

そしてそれが、俺に密着する。

まずいっ……!

ファイズ「夢見る乙女の底力、受けてみなさいっ!アクセルクリムゾンスマァッシュ!」

ディケイド「くらうかっ!」

『Final Attack Ride Bu Bu Bu Blade!Ritnin

g Sonic!』

何とか必殺技を発動させ、のぞみの攻撃に対処する。

だが、相手は上空からの攻撃で威力は上がっており、こちらはなんとか苦し紛れに出した

攻撃。

勝負になるはずもなく、俺は勢いよく吹き飛ばされた。

『Reformation』

それと同時、俺とのぞみのどちらも加速状態が終了する。

ディケイド「くっ……やるな」

『Kamen Ride Agito!』

つい少し前に手に入れたばかりのアギトの力を発動させる。

両手に槍を構える。

ディケイド「相手の中心にもぐりこみ、背中合わせで近接戦闘に持ち込むぞ」

雪ノ下「了解」

由比ヶ浜「わかった!」

サイガ「突っ込んできた、いい度胸じゃないっ!」

上空にいたサイガが急下降し、剣を振り下ろす。

それを俺が何とかいなし、相手の中心部に入り込むことに成功した。

よし、これで遠距離からやられることは無くなる。

ここまで接近すれば、味方に当たる可能性がかなり出てくるからな。

ディケイド「決着をつけるぞ!」

『Final Attack Ride De De De Decade!』

『『Final Vent』』

『『『『『Exceed Charge』』

ローズオルフェノク「いくわよぉぉっ!」

6人と3人、の全力を乗せたキックが激突する。

ディケイド「うおおおおぉぉぉっっ!」

ファイズ「たああああぁぁぁっ!」

どちらも押しも押されもせず、その場に留まり続ける。

だが、相手の人数はこちらの倍。

このままいけば押し負けてしまう。

ナイト「ぐッッ……」

龍騎「ううっ」

『『Henshin』』

『『Cast Off』』

『Change Wasp』

『Change Scorpion』

と、横から銃撃を受け、俺達は全員その場に倒れた。

ザビー(ブンビー)「ちょっと、戦闘データはもう十分とれましたよ。のぞみちゃん達も話

し聞いてよ」

サソード(スコルプ)「全くだ。止めなかったらどうなっていたことか」

ディケイド「すみません。思った以上に数が多かったので途中から本気になってしまって」

ライオトルーパー「どういうつもりですか?ディケイドは、この世界の破壊者です」

比企谷「一旦、話を聞いてくれないか?」

俺は警戒を解くため、変身を解いてそう言った。

ファイズ「うん!わかった!じゃあお茶にするぞー、けって~い!」

サイガ「のぞみ、あんたねぇ……」

デルタ「いいじゃないですかりんさん、この人達も変身を解いてるんですし」

カイザ「そうね、うららさんたちの言うことも一理あるわ」

ライオトルーパー「こまちまで……まあ、話を聞くのはマイナスにはならないわね」

ブンビー「この人達のことは私が保証するよ」

こまち「そういえばさっきブンビーさん達が使ってたベルト。完成したんですね」

スコルプ「いや、まだまだだ。クロックアップシステムも使えないしな。目指す物のプロ

トタイプにもならん」

ブンビー「並みのオルフェノクとなら問題なく戦えるけど……君たちのベルトよりかなり

性能は劣るね」

のぞみ「早く完成するといいね!」

りん「あんたはまたそんなこと簡単に言って……」

うらら「難しく考えるよりいいじゃないですか」

りん「そりゃそうかもしれないけどね」

ブンビー「そうそう、のぞみちゃんみたいに応援してくれるとこっちもやる気出るからね」

かれん「……それより、あなた達の話を聞かせてくれないかしら。ディケイド」

~~~~~~

くるみ「ふうん……」

ココ「でも、パルミエ王国の伝説の書には、ディケイドは世界を滅ぼす最悪の存在だと書

いてたココ!」

ナッツ「そうナツ!ディケイドは信用できないナツ!」

シロップ「フローラも、ディケイドには気をつけろと言ってたロプ!」

ミルク「あやしいミル!」

この淫獣どもが……。

雪ノ下「事情を話した後もここまで敵視されるのは初めてね」

かれん「考えられるのは……ディケイドのベルトはもともと破壊を司るベルトだったけど、

その意思のない比企谷さんが引き継いだ、という線じゃないの?」

こまち「そうね、もしわたし達を倒したいのなら、一人のところに奇襲をかけた方が確実

だろうし。ブンビーさん達に正体を明かす必要もないわ」

りん「奇襲って……こまちさん、怖いこと言うのやめてくださいよ」

こまち「あ、ごめんなさいね。そんなつもりは無かったんだけど」

のぞみ「この人達、悪い人じゃないよ!」

りん「のぞみ……あんたなんでそんなことわかんのよ」

のぞみ「なんとなく!」

ミルク「なんとなくって、のぞみは本当にばかミル!」

のぞみ「ば、バカとはなによぅ!」

ミルク「本当のことを言っただけミル」

のぞみ「馬鹿って言った方がバカなんだからね!」

ミルク「馬鹿って言われたほうがバカに決まってるミル!のぞみはそんなこともわからな

いミル?」

のぞみ「うう~、ココー!」

ココ「二人とも、喧嘩はやめるココ」

ブンビー「みなさーん、お茶が入りましたよ~」

そこに、人数分の飲み物を持ってブンビーが戻ってきた。

のぞみ「やったー!」

雪ノ下「私達も、いただいていいんですか?」

ブンビー「もちろん!」

うらら「一緒にいただきましょう」

最初のうちはぎくしゃくしていたものの、ともにお菓子やらなんやらとつまむと、少しず

つうちとけてきた。

ノミュニケーションというのも、案外バカにできないものらしい。

こまち「じゃあ、とっても大変だったのね」

雪ノ下「ええ。こうしている間にも私たちの世界がどうなっているかと思うと、正直ゾッ

としないわ」

かれん「あなた達の話からすると、わたし達の世界にも危機が迫っているということなの

よね」

由比ヶ浜「う?そ、そう、だよね?」

雪ノ下「由比ヶ浜さん、質問に質問で答えるのはよくないわ」

比企谷「あー……そいつには質問しないでくれ。多分、まともな答えが返ってこない」

由比ヶ浜「なっ、どういう意味だっ!」

雪ノ下「さっきの質問だけれど、その通りよ。ここだけじゃなくて、全ての世界が危機に

ひんしている」

かれん「オルフェノクの王の復活が、この世界では危機に当たるのかしら・・…」

のぞみ「結衣ちゃん、このチョコおいしいよ!」

由比ヶ浜「あっ!ほんとだ!」

うらら「結衣さん!こっちのセレブ堂のシュークリームもおいしいですよ!」

ココ「あ、そのシュークリームはココのだココ!」

シロップ「のぞみ!そのホットケーキ食べるなロプ!」

りん「あんたたち、静かにしなさーい!」

のぞみ「うわー、ごめんなさーい」

かれん「……ごめんなさいね、大事な話をしようとしている時に」

比企谷「いや……うちのも一人バカ騒ぎに加わってるからな……」

雪ノ下「さっき言っていた、この世界での聞きに思い当ることというのは?」

ミルク「それはミルクが説明するミル!」

ミルクがかれんの膝の上にちょこんと座ってそう言った。

ミルク「オルフェノクは、とてつもない力を持つ代わりに、その寿命はとても短いミル。

だから、その力の強大さの割に被害はそんなに出てないんだミル」

ミルク「そして、オルフェノクの王は……その手で触れたオルフェノクの寿命を無限にす

ることができるらしいんだミル」

雪ノ下「らしい、ということは、まだ現れていないということね」

かれん「そう。だから今オルフェノク達は躍起になってその王を探している。

王の宿主が誰かもわかっていないからね」

比企谷「なるほど……大体わかった。俺達がこの世界ですべきことは」

雪ノ下「オルフェノクの王を倒すこと、ね」

比企谷「となると、お前らのオルフェノク退治に協力するのが、手っ取り早そうだな」

かれん「そうしてくれるとわたし達も助かるわ」

のぞみ「ココー、この飴上げる!」

ココ「ありがとココ!」

うらら「そ、それはまさか……」

ココ「ま、不味いココー!これ、なんだココ!」

のぞみ「納豆餃子飴だよ!」

由比ヶ浜「あ、わたしそれ知ってる」

ココ「こんなの、まずいに決まってるココ!」

のぞみ「あはは、ごめんねー」

りん「もう、あんたたちはそんなことばっかやって」

のぞみ「りんちゃんも食べる?」

りん「食べるわけないでしょ!」


のぞみ「じゃあブンビーさん、わたし達そろそろ帰るね!」

比企谷「俺達も、失礼します」

ブンビー「あ、ちょっと待って。君たちにこれ上げるよ」

うらら「プリンセスランド?」

俺達が渡されたのは、テーマパークの入場券だった。

由比ヶ浜「わぁ、すっごく面白そう!プリンセスランド、プリンセスだって!楽しみだね

ゆきのん!」

雪ノ下「え、ええ、そうね」

雪ノ下が押されている……なんで女子ってこういう言葉好きなの?

材木座の厨二病みたいなもんか。ならわかる。

いや、やっぱりわからん。

ブンビー「せっかくだから、親交を深める意味でも、一緒に行ってみたらどうだい?」

のぞみ「ブンビーさん達は来ないの?」

スコルプ「俺達が行ってもな……」

ブンビー「なんだか浮きそうだしねぇ」

確かに、家族ずれでもない中年男性がこんな所にいたら目立つだろう。

ブンビー「まあ、君たちが楽しんできてくれたらそれでいいよ。ライダーとしての戦いも

疲れるだろうから、たまにはリフレッシュしないとね」

それを言うなら、そのメンテナンスや開発に追われている彼らも同じだと思うが。

その優しさに甘えて、俺は気づかないふりをして礼を言った。

*のぞみたちは鏡の国にまだ行ったことがないという設定で物語を進めていきます。

ここからは、『映画 Yes!プリキュア5 鏡の国のミラクル大冒険!』を見てからお読みになっていただくと、より楽しめると思います。

ブンビーカンパニーを後にしようとしたその時。

扉が開き、屋上に誰かが入ってきた。

その男は、黒いハットをかぶり、黒のスーツに赤い蝶ネクタイをつけた、マジシャンのよ

うな男だった。

比企谷「あれは……ギリンマ!」

ギリンマ。本来の世界では、ブンビーの部下として、序盤にプリキュアと戦っていたはず

だ。

のぞみ「エターナル!」

ギリンマ「お前達のベルト。今日こそもらいうける!」

ギリンマ「うおおおおおーーっ!」

ギリンマが咆哮すると、カマキリ型の怪人になった。

のぞみ「みんな、いくよ!」

「「「「Yes!」」」」

「「「「「プリキュア、メタモルフォーゼ!」」」」」

「「「「Complete」」」」

「スカイローズ、トランスレイトッ!」

「「「変身!」」」

『Kamen Ride Decade!』

ギリンマ「なっ……増えている!?九人だと……」

ディケイド「運が悪かったな、ギリンマくん」

ギリンマ「お前に君付けで呼ばれる覚えは無いっ!」

逆上したギリンマが俺に両手の鎌で切りかかってくる。

『Form Ride Gaim!パインアームズ!粉砕、デストロイ!』

強力な威力と強度を持つパインアイアンを敵の鎌にぶつける。

ギリンマ「ぐッ……」

ディケイド「アニメで見ていた頃いつも思っていたが……ドリームにも負けたのに、何の

考えも無しに5人相手に挑んでいったのは無謀だったんじゃないのか?」

ギリンマ「なにわけのわかんないことをっ!」

『Swword Vent』

ナイト「やぁっ!」

ギリンマ「ぐぅっ!」

ディケイド「負けるのは別にいい。でも、負けから何も学ばない奴は、一生勝てないっ!」

『Final Attack Ride De De De Decade!』

相手にいくばくかの同情をおぼえながら、俺は必殺の一撃を撃ちこむ。

ギリンマ「ぐ、ぐああぁぁっっ!」

ギリンマの体が蒼い炎に包まれ、真っ白な灰となって消えていく。

比企谷「これが、オルフェノクの最期か……」

少しせつない気持ちになって俺はすぐ近くのかえるべき場所へと戻った。


由比ヶ浜「いやー、明日はプリンセスランド!楽しみだね!」

比企谷「お前それもう何回目だよ……」

写真館に帰ってから由比ヶ浜はずっとこんな感じだ。

最初のうちはまだよかったが、いい加減耳にたこができそうだ。

ちなみに、由比ヶ浜にやたらと甘い雪ノ下でさえも無視を決め込んでいる。

由比ヶ浜「だってヒッキー!プリンセスだよプリンセス!」

比企谷「わかったから、それももう十分聞いたから」

由比ヶ浜「え~?絶対わかってないよ」

比企谷「そんなにプリンセスが好きならGo!プリンセスプリキュアでも見とけよ」

由比ヶ浜「ちょっと後半なに言ってるか分かんない」

比企谷「何でなに言ってるか分かんないんだよ」

雪ノ下「はぁ……由比ヶ浜さん、そんなに明日が楽しみなら今日は早く寝なさい」

由比ヶ浜「うん!じゃあゆきのんも一緒に寝ようよ!」

雪ノ下「はぁ……わかったわ、わかったからそんなにひっつかないでくれるかしら」

由比ヶ浜「でもゆきのんってなんか王女様っぽいよね!」

いや、どっちかっつーと王女様の方だろ。

雪ノ下「比企谷君、何か言ったかしら」

比企谷「言ってますん」

雪ノ下「どっちなのよ……まぁ、そんなことはどうでもいいけれど」

比企谷「なぁ雪ノ下、そろそろ俺ソファで寝るのきついんだけど」

雪ノ下「だからなんだというのかしら、変態ヶ谷くん」

比企谷「布団で寝たいというのが変態だというのならお前の頭はどうかしてるぞ」

雪ノ下「なら自分で布団でも何でも買えばいいじゃない」

比企谷「金がない。買ってくれ」

雪ノ下「……施しは受けないのではなかったのかしら?」

比企谷「無論、もとの世界に戻ったら返す。だが、こうも戦い続きでまともに休養できな

いのはきつい」

雪ノ下「……トイチでいいわ」

比企谷「ナチュラルに法外な利子を請求するな」

雪ノ下「冗談よ。余計なことには使ったら……わかっているわね?」

そう言って雪ノ下はカードを俺に差し出してきた。

比企谷「じゃあ、密林で買うことにするわ。今晩までは我慢だな」

由比ヶ浜「ヒッキー、ジャングルに布団は無いよ?」

比企谷「密林ってのはアマゾンのことだ」

こんなくだらない話をしていると、いつの間にか夜も深くなっていった。

~某所にて~

謎の女「ククク、プリキュアを消し、この世界はオルフェノクが支配する。

クリスタルよ、わたしに力を貸せ!」

不気味な格好をした女が叫ぶと、彼女の後方に合った巨大な、ピンク、オレンジ、イエロ

ー、グリーン、ブルーのクリスタルからそれぞれ一人ずつ人間が現れた。

謎の女「キュアドリーム、ファイズの影たる、ダークドリームよ。明日、プリキュア達が

この鏡の国、ミラーワールドを訪れる。お前は奴らの動向を探れ」

ダークドリーム「わかりました、シャドウ様」

シャドウ「奴らを消せれば、近づくはずだ。我らがオルフェノクの王の復活に……」

のぞみ「わぁ~!すごーい!今日は楽しむぞ~!けって~い!」

プリンセスランドにつき、テンションマックスになったのぞみがそう宣言した。

うらら「のぞみさん!あそこにポップコーンがありますよ!」

のぞみ「あっ!食べる食べる!」

由比ヶ浜「あ、あたしも食べる!」

比企谷「色気より食い気、だな……」

雪ノ下「まぁ、いいんじゃないかしら。たまには」

かれん「のぞみ、あまり食べすぎると太るわよ?」

のぞみ「うっっ……」

うらら「かれんさん、それは言わない約束ですよ~」

比企谷「雪ノ下、あっちに限定パンさんグッズがあるみたいだぞ」

雪ノ下「そんなものに全く興味は無いし、なぜあなたがそんな報告をするかわからないの

だけれど」

そういいながらも雪ノ下はきょろきょろと周りをみる。

その仕草がおかしくて、思わず笑ってしまった。

雪ノ下「……比企谷君?見当たらないようだけど。……どこかしら」

比企谷「興味ないなら別にいいだろ」

雪ノ下「比企谷君?」

比企谷「ああ、さっきのはな、嘘だ」

雪ノ下が俺の脚を黙って踏もうとしてきたので、俺は直前で後ろに跳び、それをかわす。

雪ノ下「比企谷君、こういうときは黙ってやられておきなさい」

雪ノ下がライダーバトル以外で直接的な暴力に訴えてくるのは極めて珍しい。

そんなに好きなのかよ、パンさん。

比企谷「だから、お前がパンダさんに興味ないんだったらお前には何の損もないじゃねぇ

か」

雪ノ下「パンさんよ。それに、損得どうこうじゃなく、人に嘘をつくというのは」

比企谷「そう怒るなって。お詫びにこれやるから」

そう言って俺は、パンさんの小さなストラップを雪ノ下に渡した。

雪ノ下「これは……?」

比企谷「もう少しで誕生日だろ、お前。だからその、なに?プレゼントって奴だ」

雪ノ下「そう言うことなら当日にわたずべきだと思うのだけれど……」

そう小さい声で呟いた後、彼女は少しだけ笑みを浮かべて、再び口を開いた。

雪ノ下「……ありがとう」

比企谷「おう」

その笑顔が見れたなら、対価としては十分すぎる。

それにまぁ……やるだろ、こういうことも。

友達、ならな。

夏「もういいか?そろそろ行くぞ」

こまち「な、ナッツさん。二人にしておいた方が……」

比企谷「いや、すまん。そういうのじゃないから大丈夫だ」

そして俺達は、少し先でむしゃむしゃとお菓子を食べている由比ヶ浜達に合流した。

その後、女子がプリンセスの衣装を着て、王子の服を着た男がそれを追いかけるというイ

ベントに参加した(なぜか俺だけはガチで逃げられた。ちなみにそこでは夏木りんが

持ち前の運動能力の高さを発揮し、全ての男から逃げきっていた)。

そして、俺達は今、鏡の大迷宮というアトラクションに挑戦しようとしている。

……なんかカービィのゲームみたいな名前だな。

これは、全ての通路に鏡が貼ってある迷路を突破するという単純なものだ。

のぞみ「よ~~し!競争するぞ~!けってーい!」

そう言ってのぞみは一人で先に入って行ってしまった。

くるみ「あっ!のぞみ!ずるいわよ!」
うらら「そうですよ~!待ってくださ~い!」

りん「こら!走らないの!迷惑になるでしょ!」

由比ヶ浜「ヒッキーもゆきのんも早く行こうよ!」

由比ヶ浜にせかされて、俺達も後に続く。

雪ノ下「周囲は全て鏡……これはまるで」

比企谷「おいおい、それはさっきも聞いたぞ」

茶化してみるが、やはり思い出さずにはいられない。

龍騎として命がけで戦っていた日々のことを。

今だってその延長上のことではあるのだが、世界を救うという目的があり、ライダー同士

で争う必然性がないというのは精神的にいくらかましだ。

龍騎の世界では、ただただそれぞれのエゴをぶつけ合って殺し合うというあまりにも救い

のない戦いだったからな……。

由比ヶ浜「うわ~!すごいよ!あたし達がいっぱいだ~!」

……小学生かお前は。

のぞみ「この鏡、顔が縦長になるよ!」

うらら「うわ!すごいですね!」

夏「こっちは横長になるのか……ん?どうした、こまち」

鏡の前で自分の姿を見ていた夏の腕をこまちが引く。

こまち「横長のナッツさんは……見たくないの」

夏「?」

のぞみ「あっ!ゴールが見えたよ!」

そう言ってのぞみが再び駆けだす。

それにりんたちの五人が続く。

由比ヶ浜にけしかけられた俺達も少し遅れてそれを追う。

小々田「はは、のぞみたちは元気がいいなぁ」

夏「ああ、そうだな」

小々田「ところで夏はこまちのこと……」

夏「なんだ?」

小々田「いや……なんでもない」

夏「そうか……うっ!」

そんな二人の背後の鏡から、謎の黒い腕が絡みついた。

小々田「なっ……!?」

???「……声、姿……全部、覚えた」

???「ああ、覚えた」

夏、小々田「「うわぁあぁぁあああっっ!」」

そして二人は、誰に気づかれることもなく、鏡の中へと吸い込まれていった。

後には、彼らと全く同じ姿形をした二人が残った。

夏(?)「倒しに行くか、プリキュア……仮面ライダーを」

小々田(?)「ああ、俺達の国のために」

鏡の大迷宮をクリアする頃には、すっかり夕方になっていた。

プリンセスランド内のきれいな川の前で、俺達はしばし休息をとっていた。

小々田(?)「……のぞみ、ファイズギアを見せてくれないか?」

のぞみ「どうしたの、ココ。急に」

小々田「いや、ちょっと見てみたくなってね。僕たちの世界を救ってくれている、ブンビ

ーさん達が作ったベルトをさ」

のぞみ「はい!」

のぞみはベルトを手に持ち、小々田に渡そうとする。

比企谷「わたすな!」

俺は叫び、走って小々田に飛び蹴りを喰らわせる。

小々田「ぐぅっ!」

りん「な、なにすんのよっ!」

比企谷「そいつは、ココじゃない」

うらら「え?」

比企谷「目を見てみろ。こいつは、いや、そっちに立ってる夏も、本物じゃない。どうい

う理屈かは知らんが……こいつらは、俺のように腐った目はしてなかったはずだ」

夏「な、なにを言っている。言いがかりだ」

小々田「の、のぞみ。助けてくれ。こいつら、おかしいんだ」

のぞみ(こいつら……?ココは、そんな言葉使わない)

比企谷「なら、言ってみろ、夏。お前が初めて読んだ小町の小説のタイトルは?」

夏「……」

比企谷「答えられないのか?」

夏(くそ……大雑把なことしか、記憶の確認はできていない……)

かれん「本当に、偽物みたいね。ナッツはそんないい加減な気持ちでこまちの作品は読ん

でいない」

小々田「ちっ……仕方ない!」

小々田、夏「変身!」

二人はそう叫ぶと、カードデッキを前につきだした。

由比ヶ浜「あれって……」

雪ノ下「私達の世界のベルト」

インペラー(夏)「さぁ、いくぞ」

ベルデ(小々田)「鏡の国の力を、見せてやる」

比企谷「少し前の俺たちじゃないが……この戦力差相手でまともに勝負になると思ってる

のか?」

由比ヶ浜「多勢に大勢って奴だよ!」

雪ノ下「それだとどっちも多いことになるのだけど……」

ベルデ「無勢は……そっちの方だ!」

ココが変身したベルデがそう言うと、近くの鏡から大量のミラーモンスター達が現れた。

その大半は、以前見たことがあるものだ。

こまち「すごい数ね……」

かれん「気を引き締めていくわよ」

りん「はぁ……やるっきゃないか!」

のぞみ「みんな、行くよ!」

「「「「Yes!」」」」

『『『『『変身!!!』』』』』


くるみ「一気に蹴りをつけるわよ!」

比企谷「よし……俺達もいくか」

『『『変身!』』』

「Kamen Ride Decade!」

こちらは9人(バトルマシンになれるシロップを含めると10人)、対して敵の数は約三倍。

ディケイド「円陣を組んで応戦するんだ!」

ファイズ(のぞみ)「エンジンってなに?」

デルタ(うらら)「わかりません!」

龍騎「あたしも!」

カイザ(こまち)「わっかの形になるのよ!」

一悶着あったものの、無事円陣を組み、戦闘態勢に入った。

ディケイド「一気に行くか……ファイズ!」

ファイズ「わかった!」

「Kamen Ride Brade!」

「Attack Ride Time」

「Start Up!」

加速した俺と望が、限られた時間の中でできる限り多くのモンスターに攻撃を加える。

ファイズ「アクセル、クリムゾンスマッシュ!」

いくつもの赤い円錐状のエネルギーが敵を貫く。

「Kick Thunder Mahha Ritning Sonic」

競おうとしたわけではないが、俺も時間ぎりぎりに、必殺のキックで三体のモンスターを

ほふることに成功した。

俺とのぞみ二人で、敵の数を10体ほど減らすことに成功した。

ライオトルーパー「相変わらずすごいわね、アクセルフォームの力は」

デルタ「私も負けてられません!シロップ!」

シロップ「ロプ!」

うららの声に応じて、シロップがバトルモードへと変形する。

その背にうららが飛び乗り、モンスターに大量のミサイルを撃ち込む。

龍騎「よーっし!あたしも!」

「Advent」

ミサイルの爆発にドラグレッダーの吐いた炎が合わさり、更に激しい爆発が次々と起こる。

その攻撃を耐えたモンスターに、空中からサイガ(りん)が容赦のない追撃を加える。

完全に防御に回ったモンスター達に、他の面々もそれぞれの必殺技を繰り出す。

ついに、ココとナッツ以外のモンスターが全て消滅した。

ベルデ(ココ)「な、なんだと……」

インペラー「そんな……」

ディケイド「さあ、次はお前たちの番だ!」

「Final Attack Ride De De De Decade!」

ココ「ちょ、ちょっとまって!」

ココがそう叫ぶと、二人の変身が解け、妖精の姿になった。

ただし、ココとナッツの姿ではない。

一方は、金の髪に、眼鏡をかけたなんとも人相の悪い妖精。

もう一方は、黒い、変な髪形の妖精。

全然可愛くねぇ……。

???「俺達は、鏡の国の妖精なんだ!」

???「ちょっとなに言ってるか分かんない」

???「何でなに言ってるか分かんないんだよ。今俺達について説明するところだろ?」

ゴホン、と咳払いをして、金髪の妖精は続ける。

???「俺の名前は、ダテミキオ。ダテってよんでくれ」

それに続けて、黒髪の妖精も自己紹介をした。

???「僕は、トミザワタケシ。トミーって呼んでください」

ナイト「なに?勝てないから降伏するという解釈でいいのかしら?」

ダテ「俺達も、好き好んでこんなことやってるんじゃねぇンだ」

かれん「それでも、ココとナッツをさらって、わたし達に攻撃を仕掛けてきたという事実

は変わらないわ」

トミー「後半なに言ってるか分かんない」

ダテ「ちょっとお前黙ってろ。……それに関しては、本当に申し訳ない。俺達の国が、シ

ャドウという魔女に乗っ取られて、言うことを聞かないと、国の宝のクリスタルが壊され

てしまうんだ……」

トミー「都合がいいことを言ってるのはわかってるんですが、あなた達の強さを見込んで

お願いします。どうか、僕たちの国を救っていただけませんか?」

雪ノ下「確かに都合のよすぎる話ね……だけど、これがきっと、わたし達がこの世界です

べきことだわ」

変身を解いた雪ノ下がそう言った。

確かに、十中八九そうだろう。

のぞみ「わかった!あなた達の国、助けるぞ~!けって~い!」

りん「ちょ、のぞみ!?」

こまち「でも、のぞみさんの言うとおりするしかないと思うわ。そうしないと、ナッツさん達も助けられないし……」

くるみ「そうよ!何としてもお二人をお助けしないと!」

うらら「決まり、ですね」

トミー「ありがとう!」

ダテ「では、出発!」

ダテが叫ぶと近くの鏡が激しく光り、俺達は鏡の中に吸い込まれた。

それと同時、俺の体は奇妙な浮翌遊感に見舞われた。

四次元のようにどこまでも広がる鏡の中で、俺達は散り散りになって飛んでいく。

比企谷「くっっっ」

とっさに手を伸ばし、雪ノ下と由比ヶ浜の腕をつかむ。

その雪ノ下は、近くにいたくるみの手をつかんだ。

くるみ「み、みんなっ!」

そして、のぞみたちはそれぞれ一人ずつ別々の方向に流れていく。

数十秒ほど鏡の中を流されて、俺達は突如三次元の世界へと戻った。

しかしそこは、暗雲たちこめるどこまでも不気味な場所だった。

???「やはりきたか、プリキュア……じゃない?」

気味の悪い魔女のような女が言った。

トミー「こいつが、僕たちの世界を滅茶苦茶にしたシャドウだ!」

くるみ「あんたが、ココ様達を!」

シャドウ「あんた……ふうん、なるほどね」

くるみ「なんだってのよ!」

シャドウ「そうあわてるもんじゃないわ、これでも一緒に見ようじゃない」

シャドウがそう言うと、近くにあった鏡から5つの映像が映し出された。

比企谷「これは……」

由比ヶ浜「のぞみちゃん達だ!」

鏡の中から出たのぞみは、自分そっくりのピンク色の髪をした少女に出会った。

ダークドリーム「……どうして?」

のぞみ「え?」

ダークドリーム「仲間と居る時、あなたはいつも笑っていた。……どうしてなの?」

のぞみ「どうしてって……あなた、そんなこともわからないの?」

ダークドリーム「キュアドリーム……いや、仮面ライダーファイズ、あなたって目ざわり

だわ!」

もう一人の自分に出会ったのは、のぞみだけでは無かった。


ダークルージュ「うっとうしいよねぇ、仲間とか友達とかって」

りん「はぁ?わたしはそうは思わないけど」

ダークルージュ「一人なら自由だよ?なにも我慢しなくていいんだよ?」

りん「別に、我慢なんてしてな」

ダークルージュ「してるでしょ!」

突如変わったダークルージュの態度に、りんは思わずひるむ。

ダークレモネード「春日野うらら、夢は女優になってみんなを喜ばせること……

アッハハッ!バカみたい、人を喜ばせて何になるっていうの?」

うらら「そんなことありません!みんなが喜んでくれたら、わたしもうれしいんです!」

ダークレモネード「人のことより、まず自分のこと心配した方がいいわよ?」


ダークアクア「あなたはとても優秀よ、水無月かれん。あんな無能な子たちなんか、一緒

に居ても足手まといになるだけでしょ?」

かれん「足手まといなんかじゃないわ!みんな大切な仲間よ!」

ダークアクア「せっかく忠告してあげたのに、弱い者ほど群れるものね」


ダークミント「他人を守る力なんて全然役に立たないわよね、あなたも思ってるでしょ?

損だって。自分だけを守る力なら、とっても使えるのにね」

こまち「損だなんて、おもってないわ!みんなを助けてこれたこの力を、わたしは誇りに

思ってる!」

ダークミント「嘘ばっかり、本当のこと言いなさいよ。仲間なんてどうでもいいって」


雪ノ下「これは……」

比企谷「まるで、ドッペルゲンガーだな……」

シャドウ「よく知ってるわね。じゃあこんな話も知ってるわよね?ドッペルゲンガーに会

ったものは……死ぬ」

ダテ「俺達のクリスタルを……」


ダークドリーム「始めるわよ……変身!」

彼女が変身しようとした瞬間、俺は自分の目を疑った。

紫色のカードデッキ。

比企谷「あれは……」

雪ノ下「王蛇の変身アイテム……」

比企谷「なんで……ここは、ファイズの世界だろ?」

シャドウ「鏡の世界では、それにふさわしいライダーってものがいるのよ。あなたたちな

ら、よく分かってるでしょ?」

比企谷「っ……」

と、次の瞬間。

俺と雪ノ下、由比ヶ浜の三人の体が巨大なクリスタルに閉じ込められた。

比企谷「なっ……」

シャドウ「油断したわね。そのクリスタルに閉じ込められている限り、あなた達は手出し

できない。まぁ、こちらからの攻撃も通らないけれど……しばらくおとなしくしていても

らうわ」

由比ヶ浜「うぅ……」

シャドウ「そして、あなた達……」

シャドウは妖精三人の方に向き直る。

そして、エネルギーの消費を気にしてか、妖精に戻っていたミルクに向けて手を伸ばす。

トミー「み、ミルクさんに近づくなっ!」

シャドウ「フフ……いいわよ、近づかないから」

シャドウの手の前に小さな魔法陣が現れ、何とそこからミルクが現れた。

ミルク「ミ、ミルッ!?」

シャドウ「ふぅん……やっぱり、オルフェノクね」

ミルク「ミル……」

シャドウ「しかも、ただのオルフェノクじゃない……これは……」

ダテ「ミルクを返せっ!」

シャドウ「フン……」

シャドウは乱暴にミルクを放る。

シャドウ「しばらく、あちらの見物でもしましょうか……あなた達も、そのクリスタルの

中からよ~く見えるでしょ?」


のぞみ「プリキュア、メタモルフォーゼ!」

『Standing by……Complete』

ファイズ「大いなる、虚無の力、キュアファイズっ!」

クリスタルから5つの場面を見ると、ダークルージュはライアに、ダークレモネードはシ

ザースに、ダークミントはゾルダに、ダークアクアはアビスへとそれぞれ変身した。

いずれも、俺達龍騎の世界のライダーだ。

王蛇「はぁぁっ!」

「Swword Vent」

ファイズが使う剣『ファイズエッジ』は、ココが変身するオートバジンのハンドル部分に

当たる。

その為、ココがいない状況では、のぞみは相手の剣を手で受け止めねばならない。

当然のぞみは受け止めるより回避しようとするのだが、相手の猛攻撃がそれを許さない。

その攻撃に生まれるわずかな隙を逃さず反撃するが、全て軽くいなされる。

ファイズ「やぁぁっ!」

そして、何度目かの反撃。

のぞみは思い切り右足を上にあげ、キック攻撃を放つ。

これは、剣で受け止めたとしても相手の方が押されるほど勢いをつけた攻撃だ。

おそらく相手は回避する、そう思ってのぞみは次の攻撃まで考えていた。

が、

「Strike Vent」

ダークドリームはそれを、巨大なサイの角のような武器で迎え撃った。

鈍い痛みがのぞみの全身をめぐる。

ファイズ「うわぁぁっ!」

王蛇「甘いわね。そんなんじゃ、わたしには勝てない」


「Swwing Vent」

空中を移動しながら攻撃するりんを、ダークルージュの操る鞭は執拗に追ってきた。

サイガ(りん)「ああ、もう!うっとうしい!」

それでも、こちらは空中、相手は地上で戦っている。

押しているというわけでもないが、決して押されているというわけでもなかった。

「Advent」

ダークルージュが契約モンスター『エビルダイバー』を呼び出し、その背に飛び乗る。

ダークルージュを乗せたエビルダイバーは、そのままりんの方へ向かってくる。

サイガ「なっ……エイが飛ぶんじゃないわよ!」

ビーム攻撃で撃退を試みるも、エイのモンスターは華麗にそれをかわしてみせる。

そのまま、りんに突進攻撃が直撃する。

サイガ「きゃぁぁあっ!」


「Strike Vent」

ダークレモネードは、鋭利なハサミ状の武器でうららに攻勢をかけていた。

デルタ(うらら)「ここはいったん下がって……」

後方にジャンプしながら、銃攻撃で牽制する。

「Guard Vent」

その攻撃は、硬い、カニの甲羅上の盾で防がれる。

一度は離した距離も、すぐに詰められてしまった。

「Advent」

うららの背後に、蟹のモンスター『ボルキャンサー』が現れ、二対一の構図となる。

なんとかよけ続けているものの、体力の消耗が激しい。

このままではジリ貧になることは明白であった。


「Clear Vent」

突如、こまちの視界からダークミントの姿が消える。

カイザ(こまち)「え?」

ベルデ(ダークミント)「私はここよ?」

背後からの声に振り向くと同時、こまちは腹部へ蹴り攻撃をくらった。

一瞬ダークミントの姿が現れたが、また透明に戻ってしまう。

カイザ「攻撃する時だけ、元に戻るのね……」

ベルデ「それがわかっても、どうすることもできないわ!」

「Hold Vent」

ダークミントがヨーヨー型の武器を手にする。

それを確認した直後、またしても彼女の姿は見えなくなる。

カイザ(ヨーヨー……あれじゃぁ、どこから攻撃したか分からない)


剣や銃なら、ダメージを負った部分から、相手の位置に推測をつけることができる。

が、ヨーヨーのように変則的な動きをする武器では、殆ど検討をつけることもできない。

四方八方からの攻撃に、こまちはただ耐えることしかできなかった。


「Strike Vent」

サメの頭を模した武器から大量の水が噴き出し、かれんの態勢を崩す。

「Swword Vent」

生まれた隙を見逃さず、ダークアクアはかれんにきりかかる。

かれんもとっさに剣を取り出し対抗するが、勢いをつけて攻撃に入った相手と不安定な体

制でとっさに防御に回った自分では、そもそも勝負にならなかった。

ダークアクアの放った斬激がかれんの胸を切り裂く。

ライオトルーパー(かれん)「うっ!」

アビス(ダークアクア)「同じ人物をもとにして、ほぼ同性能のベルトで戦えば、互角にな

ると思った?」


ベルデ(ダークミント)「でも、正確にいえば少し違う」

カイザ(こまち)「……」

シザース(ダークレモネード)「シャドウ様に作られた私たちには、疲れるってことがない

の」

ライア(ダークルージュ)「友情なんていう、弱い心もない」


王蛇(ダークドリーム)「たぁっ!」

ファイズ(のぞみ)「きゃぁぁっ!」

メタルホーンによる一撃を受けたのぞみが、勢いよく吹き飛ばされ、壁に激突する。

王蛇「フフ……わかったかしら?あなたが勝つことは無いのよ、絶対に」


シャドウ「勝負はついたようね」

シャドウは自分の頭上に魔法陣を発生させ、俺達がいる空間のさらに奥へと消えていった。

ココ「くぅっ……ドリームぅっ!」

ナッツ「何とかしてここを出るナツ!」

シャドウ「無駄よ、勝負はもう、ついたから」

シャドウ「そして、プリキュアが無力化された今、ここから世界を支配する!」

ココ「そんなこと、できないココ!」

シャドウ「そうかしら?」

シャドウ「どうしてわたしが鏡の世界に来たかわかる?」

ナッツ「……ナツ?」

シャドウ「それはね……ここの鏡を使って、全世界の鏡に絶望の波動を送るためよ!」

ココ「や、やめるココ!」

シャドウ「フフ……そうね。どうせなら、プリキュアを確実に倒したところを見せて、お

前達を徹底的に絶望させてから始めるとしようか」

ナッツ「ナツ……」

ココ「このままじゃ、のぞみ達の世界が支配されてしまうココ……そしたら、もうのぞみ

たちに会えなくなるココ……」


王蛇「ほらっ!たぁっ、はぁっ、やぁっ!」

ベノサーベル、メタルホーン、そしてキックを交えたダークドリームの攻撃は苛烈を極め

た。

「Advent」

王蛇「いけっ!」

ダークドリームの命令に従って現れたコブラ型モンスターベノスネークの攻撃を受けて、

のぞみは先程よりも激しく吹き飛ばされた。

ファイズ「きゃぁぁぁっ!」

ファイズ「はぁ……はぁ……はぁ……」

何とか立ち上がろうとするも失敗し、ひざをついてしまう。

ファイズ「みん……な……」

のぞみ以外の4人も、皆一様に圧倒され、重いダメージを負っていた。

ファイズ「みんなのところに、行かなくちゃ……」

王蛇「行けないよ?私を倒さないとね」

ファイズ「うぅっ……はぁっ……はぁっ……はぁっ……」

肩で息をしながら、気力だけでのぞみは立ち上がる。

ファイズ「それじゃぁ……それじゃあ、頑張って、自分を乗り越えなくちゃね!」

王蛇「なにそれ。それ、どういうこと?」

ファイズ「あなたを倒して、ここから脱出するってことよ!」

王蛇「どうあがいても無駄よ。私はあなたのコピー。あなたと同じ力を持ってるんだから」

ファイズ「それは違うっ!」

先程までの疲れ切った様子からは信じられない勢いで、のぞみはダークドリームに向かっ

ていく。

二人の拳がぶつかり合う。

ファイズ「わたしは、ずっと同じわたしじゃないのっ!」


王蛇「たぁっ!」

ダークドリームの蹴りを、両手を交差させて受け止める。

ファイズ「昨日のわたしよりっ!」

のぞみの拳がダークドリームをとらえる。

ファイズ「一日前、一時間前、一分前っ、一秒前っ!」

ファイズ「そんな自分より、もっと良い自分になりたいっ!」

王蛇「うるさぁぁいっ!」

激昂したダークドリームの拳をのぞみは押し返す。

ファイズ「わたし達の進化は光より早い!誰にも追い付くことなんか、できないんだから

っ!」

ファイズ「私には夢は無い。でもね、守りたい願いはあるの。だから、大切な人達の夢を

守れるようにっ!」

のぞみのキックがダークドリームを吹き飛ばす。

ファイズ「成長して、古い自分を、越えて行くんだよ!」

ライア(ダークルージュ)「たあぁっ!」

何度もくらった、エイとともに繰り出す突進攻撃。

ライア「自分を越える?そんなこと、できるはずないっ!」

ライア「ばかばかしいっ!」

攻撃が当たる直前、フライングユニットの動きを調整し、エイの上に乗り、ダークルージ

ュと対峙する。

サイガ(りん)「ほんっと……また無茶なこと言ってさ」

サイガ「でも、あたしも同感だわっ!」

ダークルージュの腕をつかみ、エイの上から投げ落とす。

サイガ「親友が頑張ってるのに、あたしが頑張らないわけには、いかないでしょっ!」



うららのうった銃攻撃を、ボルキャンサーを楯にしてダークレモネードは防ぐ。

相手の攻撃は自分には通用しない、何度目かの確信を得て、ダークレモネードはほほ笑ん

だ。

シザース(ダークレモネード)「ふふっ、無駄なのにさ」

デルタ(うらら)「わたし、そろそろ行きますね」

いつの間にか自分の背後に立っていたうららの声に驚愕し、思わず後ずさる。

デルタ「ドリームが呼んでいるので」


ベルデ(ダークミント)「いい加減に倒れたらどうなのっ!」

カイザ(こまち)「わたしは、みんなの想いを、大切な気持ちを守りたいのっ!」

自分を襲ったヨーヨーをつかんで、こまちは言った。

ベルデ「なっ!!!?」

カイザ「あなたに守りたいものはあるの?」

ベルデ「なにバカなことっ!」

武器を奪われたと同時、クリアーベントの効果が消え、元の姿に戻ったダークミントがこ

まちに跳びかかる。

アビス(ダークアクア)「自分を超える……口だけなら、どんなことでもいえるわっ!」

風よりも勢いよく襲いかかる水が、再びかれんを吹き飛ばす。

アビス「早く諦めたらいいのに」

ライオトルーパー(かれん)「諦めるなんてできないわっ!」

アビス「な……」

ライオトルーパー「あなた、友達はいる?」

アビス「そんな群れあって互いをダメにするようなもの、いらないわ。あなたを倒すのに

は、わたし一人で十分よ!」

ライオトルーパー「わたしにはいるわ……一緒に笑ったり、泣いたり、喜んだり悲しんだり、共に強くなれる大切な友達が」

かれん「一人で十分?そんなんじゃ、成長できないわ!」



ミルク「ミ……ミル……」

ダテ、トミー「「大丈夫?」」

ミルク「ココ様とナッツ様をお助けするミル。二人も手伝うミル!」

トミー「無理だよ、プリキュアだってあいつにはかなわないのに」

ダテ「諦めた方がいい……」

ミルク「ふざけるなミル!」

兎のように長い耳で、ミルクは二人をぶった。

ミルク「ミルクの国は、前に、ナイトメアって連中に滅ぼされてしまったミル」

ダテ「え?」

ミルク「悔しかったミル……二人も、自分の国が好きミル?」

ミルク「だったら、ちゃんと考えるミル!」

トミー「あ……」


ファイズ「たぁっ!」

王蛇「やぁっ!」

のぞみたちは、激しい攻防を繰り広げていた。

アビス(ダークアクア)「自分を超える……口だけなら、どんなことでもいえるわっ!」

風よりも勢いよく襲いかかる水が、再びかれんを吹き飛ばす。

アビス「早く諦めたらいいのに」

ライオトルーパー(かれん)「諦めるなんてできないわっ!」

アビス「な……」

ライオトルーパー「あなた、友達はいる?」

アビス「そんな群れあって互いをダメにするようなもの、いらないわ。あなたを倒すのに

は、わたし一人で十分よ!」

ライオトルーパー「わたしにはいるわ……一緒に笑ったり、泣いたり、喜んだり悲しんだり、共に強くなれる大切な友達が」

かれん「一人で十分?そんなんじゃ、成長できないわ!」



ミルク「ミ……ミル……」

ダテ、トミー「「大丈夫?」」

ミルク「ココ様とナッツ様をお助けするミル。二人も手伝うミル!」

トミー「無理だよ、プリキュアだってあいつにはかなわないのに」

ダテ「諦めた方がいい……」

ミルク「ふざけるなミル!」

兎のように長い耳で、ミルクは二人をぶった。

ミルク「ミルクの国は、前に、ナイトメアって連中に滅ぼされてしまったミル」

ダテ「え?」

ミルク「悔しかったミル……二人も、自分の国が好きミル?」

ミルク「だったら、ちゃんと考えるミル!」

トミー「あ……」


ファイズ「たぁっ!」

王蛇「やぁっ!」

のぞみたちは、激しい攻防を繰り広げていた。

しかし、先程までとは違い、確実にのぞみが押している。

王蛇「どうして……」

王蛇「どこから、そんな力が……」

ファイズ「大好きだから。りんちゃん、うらら、こまちさん、かれんさん、それに、ナッ

ツとミルクとシロップと……ココ」

ファイズ「大好きなみんなのためならわたし、頑張れるから」

王蛇「くだらない……」

ファイズ「大好きなみんなのためならわたし、負けないんだからっ!」

王蛇「私には、大好きな人なんかいないっっっっっ!!!!!!」

『『『『『Final Vent』』』』』

『『『『『Exceed Charge』』』』』

それは無論、示し合わせてのことではない。

ありえない可能性だが、それぞれの必殺技が全く同じ瞬間にぶつかりあった。


カイザ(こまち)「みんな、大丈夫?」

デルタ(うらら)「はい!」

のぞみをのぞく四人は同じ場所にワープしてきた。

と、そこに。

「「「「え!!?」」」」

ファイズ「おまたせ!」

サイガ(りん)「ドリーム……その子は?」

ファイズ「わたしの友達だよ!」

なんとのぞみは、ダークドリームとともにやってきた。

ファイズ「説明は後!今は少しでも早く、シャドウのところに行かないと」

走り出す5人の姿を後ろから見つめ、ゆっくりとダークドリームも走り出した。


シャドウの体から、闇の瘴気がほとばしる。

そこに、

ミルク「ココ様!ナッツ様!」

ココ「ミルク!」

ミルク「ココ様とナッツ様を返せミル!」

シャドウ「あらあら、勇ましいこと」

シャドウが手から、エネルギー波を放つ。

ミルク「ミル……スカイローズ、トランスレイトッ!」

ミルクからくるみの姿へと変わり、そのままローズオルフェノクへと変身する。

ファイズ「そこまでだよ!」

ココ「ドリーム!」

ファイズ「ココ!ナッツ!今助けるからね!」

比企谷「……俺達はこのまま、出番なしか?」

由比ヶ浜「うーん……」

???「ロプゥ!」

と、近くにあった鏡から、巨大な怪鳥(?)現れ、俺達を捕えていたクリスタルに突進し

て砕いた。

???「うららたちを助けてほしいロプ」

由比ヶ浜「シロップ……」

雪ノ下「任せておいて。行くわよ、二人とも」

比企谷「ああ、ここからは俺達のステージだ」

「「「変身!」」」

『Kamen Ride Decade!』


ファイズ「シャドウ!あなたの野望もここまでよ!」

ローズオルフェノク(くるみ)「覚悟しなさい!」

ディケイド「閉じ込めてくれた礼はさせてもらうぞ」

龍騎「許さないんだから!」

シャドウ「覚悟するのはどっちかしらね」

シャドウ「世界を、絶望に染める力をこの手にっ!」

もともと暗かった空が、さらに不吉な色に染まる。

ファイズ「な、なに!?」

ココ「なんか出たココ!」

暗雲の中から、黒龍が姿を現す。

ナイト「あ、あれは……」

ディケイド「ドラグブラッカー……」

かつて俺が龍騎だった時、俺の闇の感情から現れた戦士、仮面ライダーリュウガ。

そのリュウガの契約モンスターが、ドラグブラッカーだったのだ。

そして、シャドウの右手の中に一枚のカードが現れる。

書かれている文字は、

ライオトルーパー(かれん)「Contract……契約?」

ディケイド「やめろぉぉぉぉっっっ!」

「Attack Ride Blast」

シャドウの手からカードを離させようと、銃攻撃を闇雲に撃つ。

シャドウ「むだむだむだぁ!」

シャドウの持つカードの中に、ドラグブラッカーが吸い込まれていく。

そしてそれは、黒龍のエンブレムが描かれたカードデッキへと変わった。

シャドウ「変身!」

シャドウが叫び、その姿がリュウガのものへと変わる。

さらに追い打ちをかけるようにその姿は、

龍騎(由比ヶ浜)「そんな……」

ナイト(雪ノ下)「サバイブ態……」

サバイブ態と通常の強さは、比べ物にならないほどの開きがある。

通常の姿であれば、この人数でかかれば倒せると思ったが、サバイブ態となるとそう簡単

にはいかない。

リュウガ(シャドウ)「素晴らしい、素晴らしい!この力!」

ディケイド「気を抜いたら……負ける」

それは言うまでもなく、この場にいる全員が感じていることだった。

ファイズ「みんな、行くよ!」

「「「「Yes!」」」

プリキュア5の五人が一斉に跳びかかる。

「Swword Vent」

リュウガの召喚機であるダークバイザーツヴァイをブレードモードへと変形させて、シャ

ドウはそれを向かいうつ。

ディケイド「俺達も行くぞ!」

龍騎「うん!」

「Attack Ride Blast!」

「Strike Vent」

俺と由比ヶ浜が遠距離攻撃を仕掛ける。

リュウガ「ふんっ!」

シャドウは撃退したかれんとうららを楯にしてそれを防いだ。

ナイト「なっっ!」

ローズ「かれん!」

デルタ(うらら)、ライオトルーパー(かれん)「きゃぁぁっ!」

シロップ「うららになにするロプ!」

戦闘モードとなったシロップが、ミサイルを撃ちながら向かっていく。

サバイブ態と通常の強さは、比べ物にならないほどの開きがある。

通常の姿であれば、この人数でかかれば倒せると思ったが、サバイブ態となるとそう簡単

にはいかない。

リュウガ(シャドウ)「素晴らしい、素晴らしい!この力!」

ディケイド「気を抜いたら……負ける」

それは言うまでもなく、この場にいる全員が感じていることだった。

ファイズ「みんな、行くよ!」

「「「「Yes!」」」

プリキュア5の五人が一斉に跳びかかる。

「Swword Vent」

リュウガの召喚機であるダークバイザーツヴァイをブレードモードへと変形させて、シャ

ドウはそれを向かいうつ。

ディケイド「俺達も行くぞ!」

龍騎「うん!」

「Attack Ride Blast!」

「Strike Vent」

俺と由比ヶ浜が遠距離攻撃を仕掛ける。

リュウガ「ふんっ!」

シャドウは撃退したかれんとうららを楯にしてそれを防いだ。

ナイト「なっっ!」

ローズ「かれん!」

デルタ(うらら)、ライオトルーパー(かれん)「きゃぁぁっ!」

シロップ「うららになにするロプ!」

戦闘モードとなったシロップが、ミサイルを撃ちながら向かっていく。

「Shoot Vent」

しかしそれもむなしく、闇のレーザー攻撃を受けてあっという間に通常の姿に戻ってしま

う。

ファイズ「ココ!剣を!」

バトルモードとなったココから剣を受け取り、のぞみは再び向かっていく。

ココ「のぞみ一人には行かせないココ!」

のぞみの後ろから、ガトリング砲を撃ちながらココが向かっていく。

が、シロップの時と同様レーザーを受けて妖精の姿に戻り、のぞみの剣も蹴り飛ばされる。

王蛇「のぞみ……わたしは……」

なんて強さだ……龍騎の世界で戦ったリュウガよりも、格段に強い。

「Final Attack Ride Bu Bu Bu Brade!」

ソニックのカードを使うため、攻撃準備から発動までほとんどタイムラグがないブレイド

の必殺技を放つ。

「Advent」

再び現れたドラグブラッカ―(今はサバイブのカードを使った為ダークランザ―だが)に

阻まれ、逆に俺が吹き飛ばされる。

体勢を崩した俺に、レーザー攻撃を追撃が襲いかかる。

「Guard Vent」

その攻撃を、ガードベントでマントをはおった雪ノ下が防いでくれた。

ディケイド「すまん」

ナイト「お礼も謝罪もあれを倒してからよ」

ディケイド「わかってる」

「Nasty Vent」

雪ノ下得意の攻撃が発動する。

異空間から現れたダークウイングが超音波を放とうとしたその時、

リュウガ「はぁぁっ!」

ダークウイングの翼をリュウガの放ったレーザーが貫いた。

技は不発に終わり、ダークウイングは消えていく。

ナイト「なんて反応速度……」

ディケイド「なら、手数でっ!」

「Form Ride Gaim! イチゴアームズ!シュシュッと、スカッシュ!」

「Lock On 壱、十、百、千……イチゴチャージ!」

イチゴの種子を模した無数の弾丸がシャドウを襲う。

シャドウ「無駄よ」

「Guard Vent」

ファイズ「ココ!剣を!」

バトルモードとなったココから剣を受け取り、のぞみは再び向かっていく。

ココ「のぞみ一人には行かせないココ!」

のぞみの後ろから、ガトリング砲を撃ちながらココが向かっていく。

が、シロップの時と同様レーザーを受けて妖精の姿に戻り、のぞみの剣も蹴り飛ばされる。

王蛇「のぞみ……わたしは……」

なんて強さだ……龍騎の世界で戦ったリュウガよりも、格段に強い。

「Final Attack Ride Bu Bu Bu Brade!」

ソニックのカードを使うため、攻撃準備から発動までほとんどタイムラグがないブレイド

の必殺技を放つ。

「Advent」

再び現れたドラグブラッカ―(今はサバイブのカードを使った為ダークランザ―だが)に

阻まれ、逆に俺が吹き飛ばされる。

体勢を崩した俺に、レーザー攻撃を追撃が襲いかかる。

「Guard Vent」

その攻撃を、ガードベントでマントをはおった雪ノ下が防いでくれた。

ディケイド「すまん」

ナイト「お礼も謝罪もあれを倒してからよ」

ディケイド「わかってる」

「Nasty Vent」

雪ノ下得意の攻撃が発動する。

異空間から現れたダークウイングが超音波を放とうとしたその時、

リュウガ「はぁぁっ!」

ダークウイングの翼をリュウガの放ったレーザーが貫いた。

技は不発に終わり、ダークウイングは消えていく。

ナイト「なんて反応速度……」

ディケイド「なら、手数でっ!」

「Form Ride Gaim! イチゴアームズ!シュシュッと、スカッシュ!」

「Lock On 壱、十、百、千……イチゴチャージ!」

イチゴの種子を模した無数の弾丸がシャドウを襲う。

シャドウ「無駄よ」

「Guard Vent」

黒い炎がシャドウの周りに立ちのぼり、またしても俺達の攻撃は通らない。

「Final Vent」

龍騎「たぁぁぁああああっっ!」

炎が消えると同時、由比ヶ浜がドラゴンライダーキックを放つ。

リュウガ「あたるものか!」

高く跳び上がり、たやすくその攻撃も回避する。

デルタ「強すぎます……」

こちらは9人に対し、相手はたったの1人。(ココ達も含めれば11だ)

なのに、一撃もシャドウにダメージを負わせることができない。

カイザ「どうすれば……」

リュウガ「どうすることも、できないわよっ!」

リュウガの超威力のキックがくるみを襲う。

くるみ「きゃぁぁぁあああああっっ!」

くるみの変身が解け、ミルクに戻る。

トミー「ミ、ミルクさん!」

ダテ「大丈夫か!?」

無論大丈夫なはずはないが、それを責めることはできないだろう。

トミー「どうして、どうして僕たちの鏡の国の力で、こんなひどいことをするんだーっ!」

ダテ「いい加減にしろーっ!」

トミーとダテは、決してかなうはずもない相手に向かっていく。

「Final Vent」

龍騎「たぁぁぁああああっっ!」

炎が消えると同時、由比ヶ浜がドラゴンライダーキックを放つ。

リュウガ「あたるものか!」

高く跳び上がり、たやすくその攻撃も回避する。

デルタ「強すぎます……」

こちらは9人に対し、相手はたったの1人。(ココ達も含めれば11だ)

なのに、一撃もシャドウにダメージを負わせることができない。

カイザ「どうすれば……」

リュウガ「どうすることも、できないわよっ!」

リュウガの超威力のキックがくるみを襲う。

くるみ「きゃぁぁぁあああああっっ!」

くるみの変身が解け、ミルクに戻る。

トミー「ミ、ミルクさん!」

ダテ「大丈夫か!?」

無論大丈夫なはずはないが、それを責めることはできないだろう。

トミー「どうして、どうして僕たちの鏡の国の力で、こんなひどいことをするんだーっ!」

ダテ「いい加減にしろーっ!」

トミーとダテは、決してかなうはずもない相手に向かっていく。

シャドウが床を思い切り踏みつけると床の一部が砕け、破片が二人に向かっていく。

ただそれだけで、小さい二人は吹き飛ばされてしまう。

トミー「負けるもんかぁぁっ!」

ダテ「ここは、俺達の国だ!鏡の国は、俺達が守る!」

二人の渾身の叫びと同時、俺のもとに一枚のカードが現れる。

しかしそれは、ファイズと関係のあるようには見えない。

だが、この状況で現れたということは、決して無意味なカードではないはずだ。

ディケイド「くらえ!シャドウ!」

『Final Pretty Ride Miracle Light!』

ナイト「ミラクル……」

龍騎「ライト?」

ココ、ナッツ、ミルク、シロップ、ダテ、トミーの六人の手に小さなライトが現れる。

シロップ「こ、これはなんだロプ?」

ダテ「まさか……」

トミー「これは、鏡の国の伝説のアイテム、ミラクルライトです!」

ナッツ「どんなものナツ?早くしないとこまち達が……」

トミー「これは、伝説の戦士を応援するための道具です!心から応援すれば、すごい奇跡

を起こせるんです!」

ミルク「じゃあ、早速始めるミル!」

シャドウ「なにをバカな……奇跡など、起きるわけないっ!」

「「「「プリキュアーっ!がんばれーっ!」」」」

ライトが激しく発光しはじめる。

龍騎「プリキュアーっ!がんばれーっ!」

ディケイド「え?俺達もやるの?」

ナイト「……今は、これに賭けるしかないでしょう」

ディケイド「……まじか」

ナイト「いくわよ」

ディケイド、ナイト(比企谷、雪ノ下)「「プリキュアーっ!がんばれーっ!!!!」」

王蛇(ダークドリーム)「プリキュアーっ!がんばれーっ!」

ファイズ「力が、あふれてくる……」

サイガ(りん)「まだ、いけるっ!」

デルタ(うらら)「絶対に負けませんっ!」

カイザ(こまち)「これ以上はやらせないわ!」

ライオトルーパー(かれん)「反撃開始よ!」

「「「「「「「「「「プリキュアーっ!がんばれーっ!」」」」」」」」」」

奇跡は、それだけでは終わらなかった。

シャドウ「ぐッ!ぐああああぁぁっ!」

なんと、シャドウがサバイブ態から通常のリュウガの姿へと退化したのだ。

ファイズ「みんな!いくよっ!」

「「「「Yes!」」」」

『『『『『Exceed Charge!』』』』』

「「「「「プリキュア!ファイブエクスプロージョンっ!」」」」」

『Final Vent』

シャドウと5人の必殺技がぶつかり合う。

そして、

リュウガ「ぐああああああぁぁぁっっっ!」

のぞみ達に押し切られ、シャドウの変身は解け、地を転がる。

シャドウ「が……ああ……」

その体からは、灰がこぼれおちている。

サイガ「あんたも、オルフェノク……」

ライオトルーパー「じゃあ、復活しつつあったオルフェノクの王というのは……」

カイザ「つまり、これで全て解決ね」

シャドウ「私がオルフェノクの王……?」

デルタ「しらばっくれても無駄ですよ!」

シャドウ「馬鹿なことを……王は、お前たちのすぐそばにいるぞ」

ファイズ「え?」

シャドウ「わたしはここまでだが……最後の力で、王を覚醒させるっ!」

シャドウが突如、叫び声を上げる。

それはまるで、死を目前にした獣の咆哮のようだった。

シャドウ「ウオオオォォオオオオオオっっっ!」

ミルク「ミ、ミルっ!!?」

ミルクの体が、彼女の意思とは無関係にオルフェノクの姿に変わる。

バラを象徴するオルフェノクとなった後も、その変化は止まらない。

ミルク「ミルゥゥゥゥゥッ!」

かれん「み、ミルクっ!」

シャドウ「フフ……使徒覚醒で王を目覚めさせることになるとはな……ハハハ!これでこ

の世界は終わりだっ!」

そう言い残し、シャドウの姿は蒼の炎に燃え、灰となって消えていった。

敵は倒したはずだった。

しかし、

アークオルフェノク(ミルク)「グオォォォォォォォッッッ!」

さっきまで戦っていたリュウガがちっぽけに思えるほどのプレッシャーを放つ存在が、そ

こにいた。

ココ「ミ、ミルク……」

ディケイド「これは……ほんとに、まずいな……」

ナイト「でも、やるしかないわ」

ライオトルーパー「ちょ、ちょっと待って!ミルクと戦えというの!?」

龍騎「そ、それは……」

ファイズ「そ、そんなのダメだよっ!」

ディケイド「……ミルクの安否ということなら、問題は無い」

倒せるかどうかが絶望的だけどな、と、俺は心の中で呟く。

ナッツ「ど、どういうことナツ?」

ナイト「オルフェノクというのは、新たに命を与えられた存在よね?」

カイザ「単純に言えば、そうね……」

ディケイド「ミルクは、ローズオルフェノクの状態で一つ命を持っていた」

ナイト「そしてシャドウにより、無理矢理今の、別のオルフェノクに変えられた」

ディケイド「オルフェノクになる際に命を与えられるとすれば、今のミルクは、ローズオ

ルフェノクとしての命と今の姿としての命、二つ命を持っていることになる」

ナイト「そして今の彼女を倒せば、もとの状態に戻るわ」

雪ノ下はあえて最後の言葉を断定で終わらせた。

この考えが必ずしも正しくないということを、いや、色々ある可能性の中では一番確率が

高いが、決して50%にも満たないことを俺達自身がよくわかっているからだ。

それでも、たとえ残酷な結末になるとしても、俺達はミルクを倒さなければならない。

そしてそれには、全員の協力が不可欠だ。

このあやふやな考えを伝えるのに雪ノ下も巻き込んでしまったことは申し訳ないと思うが、

事前に伝えていないのに話を合わせてきたということは、あいつも思いついていて、

それがベストだと判断したということなのだろう。

それでもやはり複雑な心境だが、今から始まる戦いは、迷いを抱えたままできるようなものではない。

アークオルフェノク「グォォォォォッッ!」

ミルクの方向とともに、すさまじい衝撃波が俺達を襲う。

ファイズ「行くよミルク!すぐ戻してあげるからね!」

『Start Up!』

のぞみがアクセルフォームへとなり、一気に攻勢をかけようとする。

が、

ファイズ「うわぁぁあああっっ!」

『Reformation』

一秒もしないうちに、のぞみのアクセルフォームが解除される。

ライオトルーパー「アクセルフォームのスピードについてくるなんて……」

ナイト「全員で一斉に行きましょう!」

デルタ「わかりました!」

「「「「「「「「「はあああああっっっ!!!!」」」」」」」」」

地上から、空中から、遠距離攻撃、斬撃。

とても一度では対処しきれないほどの攻撃がミルクに襲いかかる。

アークオルフェノク「はぁあぁっっっ!」

彼女の体を台風の目とするように、風が吹き荒れる。

ライオトルーパー「ミルク!目を覚まして!」

『Exceed Charge』

想いをこめたかれんの斬撃を、ミルクは素手で受け止めてみせた。

カイザ「ナッツさん!」

ナッツ「わかったナツ! ミルク、目を覚ますナツ!」

こまちがナッツの上に乗り、ミサイル攻撃を放つ。

ミルクは再び突風を起こし、俺達の方にミサイルが落ちてくる。

デルタ「きゃぁぁっ!」

シロップ「うららーっ!」

シロップ「ミルクーっ!いい加減にしろっ!」

サイガ(りん)「これで、頭冷やしなさい!」

二人がビーム攻撃を同時に放つ。

これなら風に阻まれることもないだろう。

しかし、

あらゆる攻撃の中でも最速の部類に入るビーム攻撃をミルクは華麗にかわしていく。

その次の瞬間にはりんに肉薄し、胸部にパンチを食らわせていた。

「Error」

りんの変身が解除されてしまったことからも、それがどれほどの威力を持つかわかるとい

うものだ。

ライオトルーパー「りん!」

りん「かれんさん!」

後ろ、と言い終わる前に背中にキックを受けたかれんの変身も解除される。

カイザ「……うららさん」

デルタ「わかってます」

『『Exceed Charge』』

倒れた仲間に追撃させないためか、二人が必殺技のモーションに入った。

ミルクも高く跳び上がり、急降下キックで対抗する。

あまりの威力に爆発が起き、変身を解かれた二人が倒れ込む。

ナイト「一瞬で四人が戦闘不能に……」

龍騎「これが、オルフェノクの王様の力……」

ナイト「由比ヶ浜さん、わたし達も行くわよ」

龍騎「うん!でも……」

ナイト「ええ、普通にやったら押し返されるでしょう……だから、一点だけを狙って攻撃

するの。少し傷がある、右肩に攻撃ポイントを合わせて」

龍騎「わかった!」

ナイト「比企谷君は、ファイズのもとに行って。あなたと彼女が解決のカギになるはずよ」

ディケイド「ああ、こっちはまかせろ」

龍騎「頼んだよ!ヒッキー!」

『『Final Vent』』

ミルクは衝撃波を放つが、二人分の力を一点に集中した攻撃はさすがに止められなかった

ようで、ついに二人の攻撃がアークオルフェノクに炸裂する。

アーク「ガァァアアアアアアッッッ!」

ミルクが苦悶の声をあげる。

アーク「うるあぁぁぁっっっ!」

そして、肩にかけていたマントを放り捨てる。

先程以上に強力なプレッシャーがあふれだす。

アーク「ルァッ!」

そして右手からエネルギー弾をいくつも放つ。

龍騎「うわぁあぁぁああっ!」

ナイト「くっっ!」

その攻撃を受け、二人ももとの姿に戻ってしまう。

ついに、変身しているのは俺とのぞみ、ダークドリームの三人だけになった。

昆虫のような大きな目が俺の姿を捕えた。

次は俺か……。

「Final Attack Ride De De De Decade!」

相手が攻撃モーションに入る前に、先程雪ノ下達がダメージを与えた場所に向けてキック

を放つ。

ディケイド「くらえっ!ディメンションキックっ!」

俺の距離が3m以内に入っても、ミルクは動くそぶりを見せない。

彼女の戦闘パターンから、上にジャンプしてよけられるのではないかと考え、少し体勢を

変える。

今まさに攻撃が当たるというその時、俺が予想していたよりも遥かにはやい反応速度で、

ミルクはその場にかがんだ。

俺のキックはむなしく彼女の上を通り過ぎる。

そして彼女のすぐ上には、無防備な俺の背中が。

ッッ、まずい!

アーク「ゥアッッッ!」

アッパー攻撃を食らわされ、俺の体はギャグ漫画のように宙に飛んでいく。

何とか空中で体勢を立て直し落下のダメージを少しでも減らそうとしたが、脳が揺らされ

たためか上手く体が動かせない。

おのれの体を硬化しようとして何とか取り出したブレイドのカード『Metal』を落と

してしまう。

そうこうしているうちに、みるみる地面が近づいてきている。

まともに受け身をとることもできず背中に再び衝撃を受ける。

ディケイド「がぁぁあああああっっ!」

変身が解けなかったのは、奇跡以外の何物でもない。

アーク「ルゥゥ……最後は、お前だ」

ファイズ「ミルク……いくよっ!ダークドリームはここで休んでて、傷、痛むでしょ?」

王蛇「でも、のぞみの方が……」

ファイズ「私なら大丈夫っ!言ったでしょ?大好きな人のためなら頑張れるって。ダーク

ドリームはもう、私の大好きな人なんだからっ!」

王蛇「のぞみ……」

ファイズ「はっ!やっ!はぁっ!」

ファイズエッジで、のぞみはなんとかミルクの攻撃にくらいついている。

だが、押されていることは明白だ。

ミルクの拳が鳩尾に入り、のぞみの体が壁に激突する。

『Error』

無情な電子音が鳴り響き、彼女の変身も解除されてしまう。

しかし、

のぞみ「変身!」

とても立ち上がれるような状況ではないはずなのに、彼女はまた立ち上がり、変身して果

敢に向かっていく。

なんて強さだ……。

のぞみの体に蹴りが入れられ、再び吹き飛ばされる。

のぞみ「う……うう……」

またも変身が解除されたのぞみは、それでも必死に立ち上がろうとする。

が、よろめき、何度も体勢を崩す。

彼女の戦闘力よりも、その心の強さに脅威を覚えたのだろうか。

ミルクはのぞみのもとまで歩いて来て、変身前の彼女にとどめを刺そうとする。

アーク「ルアアアアアアァァァァッッッ!」

生身でこれを受けて、無事なはずがない。

いや、無事とかそんなレベルでは無く、間違いなく即死だ。

王蛇(ダークドリーム)「のぞみぃぃいいいいいいっっ!」

その攻撃にダークドリームが割り込み、彼女の胸をミルクの腕が貫いた。

のぞみ「ダ、ダークドリームゥゥゥゥッッッ!!!!!」

自分がダメージを負った時以上に悲痛な叫び声がこだまする。

ダークドリームの体が、徐々に青い粒子に代わっていく。

消えていくダークドリームが、ゆっくりとのぞみの手をつかむ。

のぞみ「どうして……どうしてわたしを助けたの!!?」

ダークドリーム「……大好き、だからかな……」

のぞみ「え?」

ダークドリーム「わたし達、違う形で出会ってたらよかったのに……」

のぞみの目に涙が浮かぶ。

ダークドリーム「ダメかな……わたし、偽物だし」

のぞみ「本物とか偽物とか、関係ない!あなたはあなたで……」

のぞみ「わたしの友達だもん!」

ダークドリームの体が薄くなっていく。

ダークドリーム「わたし、どうしたら笑えるかわからなかったけど……」

最後ににっこりとほほ笑んで、彼女は消えていった。

それは紛れもなく、彼女だけの、最高の笑顔だった。

のぞみの手には、ダークドリームが胸にしていた美しいクリスタルが残っていた。

アーク「ルゥゥ……」

のぞみ「なんで……あの子は私の、大切な友達だったのに!」

のぞみ「夢見る乙女の底力、受けてみなさい!」

そのクリスタルが、白いブラスターに変わっていく。

のぞみはためらった様子もなく、そこに『555』のコードを撃ちこむ。

『Awwakening』

すると彼女は、先程までとは違う姿に変身した。

ナッツ「あ、あれは……」

ココ「ブラスターフォームだココ……」

『Braker Mode』

バックパック部からジェットを噴射し、宙に浮いて威力を高めて斬りかかる。

ファイズ(ブラスター)「やぁぁああああっっ!」

その攻撃をミルクは腕を交差させて防御する。

しかし、その威力を殺しきれず、勢いよく吹き飛ばされる。

ミルク「ルゥゥゥゥ……オオオオォォォォォォォッッッ!」

聞くだけで変身を解除されそうになるほどの咆哮をミルクが挙げた。

そのせいで一瞬気づくのが遅れてしまったが、俺の手元に数枚のカードが現れていた。

ディケイド「ついに決着だな……いくぞ!ファイズ!」

ファイズ「うん!任せてディケイド!」

『Final Attack Form Decade Fa Fa Fa Faiz!』

ファイズの体が巨大なブラスターに変わる。

『Final Attack Ride Fa Fa Fa Faiz!』

ブラスターをミルクに向けて構え、円錐状の赤いエネルギー砲を発射する。

ミルクは白いエネルギー弾を放ち、それを受け止める。

ディケイド「でいやぁぁあああああっっ!」

放ったエネルギー錐に重ねるように飛び上がり、必殺のキックを繰り出す。

ミルク「ルゥォオオオオオオオオオオオオオッッッ!」

ディケイド「はぁああああああああっ!」

ファイズ「やあああああぁぁーーーっっっ!」

衝突点を中心として衝撃波が生じる。

吹き飛ばされそうになる体に対し、気合で姿勢を維持する。

ミルク「う……るぅ……」

ディケイド、ファイズ「はあああああっっっ!」

そしてついに、俺達の攻撃が敵の胸部を貫いた。

ミルク「ガアァアァァァアアアアッッ!」

彼女の体が爆発をあげる。

バッタを模したアークオルフェノクの姿がバラをモチーフとしたローズオルフェノクへと

変わる。

そしてそのままぐったりと倒れ、妖精態のミルクに戻った。

彼女たちに嘘をつく結果にならなかったことに胸をなでおろす。

ミルク「……ミル?あれ?どうなってるミル?」

かれん「……シャドウと戦ってる途中で、ミルクは気を失ってしまったのよ。でももう大

丈夫、のぞみとディケイドが倒してくれたわ」

そう言ってかれんがこちらを振り向いて、軽く頭を下げた。

どうやらミルクには、残酷な真実を伝えないことにしたようだ。

それを欺瞞だということは簡単だろうが、真実を知っても、誰にも得は無い。

まして、自ら本当のことを語るなどするはずがない。

のぞみ「ダークドリームが守ってくれたこの命で……わたしは、夢を守ってみせるよ」

そう誓った彼女の顔つきは、どこまでもりりしかった。

俺がその表情を見て思わず笑みを浮かべたその時、俺の体が消えかかり始めた。

雪ノ下「そろそろ、お別れの様ね」

かれん「また新たな世界に行くの?」

雪ノ下「ええ。まだわたし達にはいかなければいけない場所がたくさんあるから」

こまち「気をつけてくださいね」

結衣「ありがとう!それじゃあねっ!」

うらら「結衣さーん、今度また一緒におかし食べましょうねー!」

のぞみ「約束だよー!」

りん「あんたたちもっと別なこと言えないの?」

ミルク「のぞみは本当にバカミル!」

のぞみ「あ~、またバカって言った!」

去り際に撮った写真には、お菓子を食べながら楽しそうに談笑する6人の少女の姿が映っ

た。

これにてファイズ編は終了です!

次は○○の世界を描いてほしい!などの希望も随時お待ちしております!

もちろん、感想も……
ほんの一言でもいいので、ぜひお願いします!

気づくと俺達は、再び写真館の中にいた。

額縁の絵は、黒服の青年と白い服を着た少女が背中合わせに剣を持って立ち、異形の怪物

に対峙しているというものだった。

ちなみにその怪物というのは、いかにもゲームに出てきそうな姿のものばかりだ。

雪ノ下「……ここは?」

比企谷「ソードアートオンラインの世界だな……。どのライダー世界と融合しているのか

は現段階では分からんが……」

由比ヶ浜「ソードアートオンライン……?なんか厨二が好きそうな名前だね」

身も蓋もないことを言うな……。

まあ、否定はしないが。

比企谷「そうだな……ソードアートオンラインというのはつまり、ゲームの中の世界だ」

雪ノ下「……?今までの世界も、本来私たちの世界では架空のものだったでしょう?

なにが違うの?」

比企谷「えっとだな……つまり、この世界に居る奴らは、ここがゲームの中だとわかっ

ているんだ」

由比ヶ浜「ぅぅん……なら、この世界では人は死んでも問題ないってこと?なんだかそれ

って……」

比企谷「いや、それは違う。ソードアートオンライン、通称SAOは、近未来型のゲーム

だ。そしてその最大にして最悪の特徴は、自らの意思でログアウト、つまり抜け出せない

こと。

そして、ここで死んだら現実世界で頭に装着しているゲーム機から高圧の電圧が流れ、脳

を焼き切るということだ。

つまり、モンスターやらなんやらが出ることを除けば、ここは現実世界となんら変わりな

い。

そして俺達が受けたダメージも、当然現実のものになるだろうな」

雪ノ下「……そして、わたし達の目標になりそうなことに心当たりはある?」

比企谷「このゲームからの脱出。つまり、ラスボスに勝つことだろうな」

由比ヶ浜「そのボスは、どこにいるの?」

比企谷「第百層だ」

雪ノ下「つまり、ここは階層構造ということね」

比企谷「ああ、最初は第一層からスタートし、各層にいるフロアボスを倒すことで上の階

に上がることができる。これの繰り返しだ」

由比ヶ浜「ひゃ、百……?」

由比ヶ浜が遠い目をする。

比企谷「いや……たぶん一層からということは無いと思うが……」

言って俺は、なにもない空間で右手をスライドさせる。

すると、電子のウィンドウが現れた。

比企谷「……なるほどな、ここは第73層か」

雪ノ下「つまり……あと27回ボスを、いえ、このフロアもだから、28回倒さなければ

ならないということね……」

流石の雪ノ下も憂鬱そうな顔をする。

由比ヶ浜「に、にじゅうはち……」

比企谷「……三だ」

由比ヶ浜「え?」

比企谷「SAOの原作通りいけば、倒すフロアボスの数は3。その後ラスボスとの対戦に

なる」

雪ノ下「どういうこと?」

比企谷「えっとだな……いや、今はやめておこう。

まだ憶測の域を出ないし、わかったからといってどうなるわけでもないからな」

雪ノ下「そう……なら今はそういうことにしておきましょう」

由比ヶ浜「じゃあ、とりあえず外に出てみよう!」

写真館の外は、いかにもゲームに出てきそうな普通の町だった。

こういうときは……。

比企谷「掲示板をさがそう」

由比ヶ浜「掲示板?」

比企谷「ゲームの世界では、掲示板や酒場で情報集めってのがセオリーだ」

MMORPG(多数のプレイヤーが同じ世界でプレイするゲーム)でも、ある程度はこの

常識が通用するはずだ。

そして、今は太陽が真上にある昼間。

おそらく酒場にはあまり人がいないだろう。

雪ノ下「掲示板……あったわ、あそこよ」

雪ノ下が見つけた掲示板には、何枚かの紙が貼ってあった。

無論、はがしたりできない電子的なものだ。

そしてその中に、まさに俺が探していた情報があった。

比企谷「フロアボス攻略体の募集要項。これだな」

雪ノ下「なるほど、大勢でチームを組んで戦おうというわけね」

比企谷「そうだ。こういう大人数型のゲームのボスは、たいてい一人では倒せないように

なっている」

由比ヶ浜「ええっと、集合は噴水広場に一時半……ちょうど一時間後だね」

雪ノ下「少し早いけど行きましょう、道に迷うと困ってしまうし」

……そうだな。お前方向音痴だもんな。

雪ノ下「……なにか?」

比企谷「いいや、なんでも」

雪ノ下「そういうことにしておきましょうか」

比企谷「ああ、お互いのためにな」

由比ヶ浜「もう!二人とも喧嘩しない!」

別に喧嘩しているつもりはないんだが……。

雪ノ下「とにかく、行きましょうか」

言って雪ノ下が先頭に立って歩き出す。

数歩歩くと、彼女はその歩みをとめた。

比企谷「ん?どうした?」

雪ノ下「……比企谷君、あなたが先に行きなさい」

……やっぱり方向音痴なんですね。

俺達がついたのは三十分前だったが、すでに相当数のプレイヤーが集っていた。

俺達三人に奇異の目が向けられる。

それもうなずけることではある。

72層攻略という後半に初めて現れたプレイヤー。

しかも、装備は普段着ときている。

冷やかしに来たと思われても仕方ないかもしれない。

???「……あなた達、失礼だけど、フロアボス討伐に参加するの?」

白い服を着てレイピアを装備した美しい美少女。

雪ノ下「そのつもりよ。ところで、あなたは?」

???「ごめんなさい、最近では聞かれることもなかったから……

私はアスナ、血盟騎士団副団長のアスナよ」

由比ヶ浜「けつめー?ケツメイシ?」

なんだその歌うまそうなギルドは……。

比企谷「ゲームクリアを目指す攻略組のひとつだ」

アスナ「……あまりこういうことは言いたくないけれど、ボス攻略は、遊びじゃないのよ?

普段のダンジョン以上に、死ぬリスクが高いの。

生半可な気持ちでやろうとしているのなら、やめた方がいいわ。」

雪ノ下「……あなたを知らないということが、中途半端だということになるの?

随分な自信ね」

雪ノ下が敵意を隠しもせず言う。

その発言を受けて、アスナも顔をしかめる。

二人の間に緊迫した空気が流れる。

まさに、一触即発。

美少女二人がにらみ合っているその様子は、その場にいる全員の注目を集めていた。

……雪ノ下さんはもう少しまるくならないんですかね。

アスナ「……別に自慢するつもりじゃないけど、私達のギルドはこれまでのボス攻略のほ

とんどにかかわってきたわ。ボスと戦おうとするなら、今までのボス戦について知ること

も必要だと思うわ。そしてあなたがきちんと調べていれば必然、私達のことも知るはず。

つまりあなたは、ボス戦についてろくに知らないでここにいるということじゃないの?」

雪ノ下「そのボス戦について情報を交換し合い、対策を立てるのがこの集りの目的だった

と思うのだけれど……違うのかしら?」

雪ノ下の言ったことは完全に正論だ。

まあそれが、人と付き合う上での最適の言葉だとは到底思えないが。

雪ノ下「それに」

雪ノ下は続ける。

雪ノ下「私は多分、あなたより強いわ」

その瞬間、空気が凍りついた。

アスナ「……ふうん」

アスナが腰につけていたレイピアを抜く。

アスナ「そこまで言うってことは、覚悟はできているのよね?」

雪ノ下「ええ、もちろん」

アスナ「デュエル、受けてもらうわよ?」

雪ノ下「デュエル?」

比企谷「遊戯王のことだ」

由比ヶ浜「え?デュエルマスターズじゃないの?」

比企谷「デュエルマスターズはデュエマだろ?」

由比ヶ浜「ややこしいね」

アスナ「……違うわよ!デュエルっていうのは、両者の合意のもとに戦うことよ!」

いや、もちろん冗談ですよ。

雪ノ下「もう、はじめていいのかしら?」

アスナ「ちょっと待って、今申請するから。いきなり戦いだしたらプレイヤーキラーにな

るわ」

そう言ってアスナは素早く電子画面を操作する。

するとすぐに、雪ノ下の目の前にも電子画面が表示された。

そこに浮かんだのは、三つの選択肢。

一つ目、一撃決着モード。(どちらかに一度でも攻撃が入った時点で決着)

二つ目、ハーフライフ決着モード。(どちらかの体力が半分になった時点で決着)

三つ目、ライフ全損決着モード。(どちらかの体力がゼロになった時点で決着)

雪ノ下は何の迷いもなく三つ目を選択した。

その瞬間、周囲の温度がさらに下がった。

「お、おい!なに考えてるんだ!」

黒色の肌の、スキンヘッドの男が傍観をやめ、こちらに駆け寄ってきた。

「そ、そうだ!エギルの言う通りだ!お前ら何やってんだよ!」

続いて、赤い服を着た男も詰め寄ってくる。

「なあ、姉ちゃんよお。閃光のアスナ相手にそんな無茶、やめろって!

意地の張り合いに命かけんじゃねえよ」

人のよさそうな顔に困惑の表情を浮かべながら彼はつづけた。

雪ノ下「私のことならご心配なく」

アスナ「……いいわ、はじめましょう」

彼女たちの頭上に60という文字が浮かんだ。

「あ、ああ、はじめちまった」

「……アスナ……」

「全損決着のデュエル、こんなん見るの初めてや!」

周囲がざわめき立つ。

残りのカウントが三十を切ったあたりから、二人の傍から皆離れ、一様に沈黙した。

それに倣い、俺も雪ノ下の傍を離れる。

比企谷「ま、大丈夫だとは思うが頑張れ」

由比ヶ浜「応援してるからね!」

雪ノ下「ええ、任せて」

そして、残りカウントが10を切った時、雪ノ下がカードデッキをとりだした。

雪ノ下「変身!」

「「「「!!!!!!???」」」」

静寂が破られ、皆が驚きの声を上げた。

アスナ「……ユニーク、スキル……」

残りカウント、3。

アスナ「あなたは、何者?」

ナイト「仮面ライダー、ナイト!」

カウントがゼロになると同時、雪ノ下はそう答えを返し、アスナに向けてかけ出した。

アスナ(姿を変えるユニークスキルなんて初めて見る……でも、一つだけ確かなことは……

このひと、とんでもなく強い!)

アスナはレイピアで突き技を目にもとまらぬ速さで打ち込む。

彼女の異名『閃光』

それは彼女の技の早さに起因する。

しかし雪ノ下は一切戸惑った様子を見せない。

『Swword Vent』

大上段からナイトは槍を振り下ろす。

アスナの持つレイピアと雪ノ下の持つウイングランサーが激突する。

激突した瞬間、パワーで負けていることを知り、アスナは後ろに大きく跳んだ。

アスナ(画面を操作していた様子もなかったのに……あの武器はどこから出したの?)

そんなアスナの疑問に答えようとしたわけではもちろんないだろうが、雪ノ下はつづけて

カードを読みこませた。

『Nasty Vent』

雪ノ下がカードをスキャンすると同時、空から巨大な蝙蝠が他のモンスターがこちらに向

かって飛んできた。

アスナ(モンスター!!?ここは圏内……つまり、あのモンスターはあの人と契約してい

る!?)

彼女の思考はそこで中断した。

蝙蝠『ダークウイング』の放った超音波によりバランス感覚を崩し、その場に膝をついて

しまったからだ。

「閃光のアスナと単独でやり合う戦闘力に加えて、モンスターをテイム!?

しかもあんなでかくて強いモンスターを……」

「あんなんチートや!あいつはチーターや!」

「いや、キバオウさんよ。あいつの強さは……チートなんて言葉で表せるもんじゃねぇだ

ろ」

「……ビーター、いいな、それ」

「あの黒服は一人でブツブツなに言うとるんや」

「あいつはそういう奴だ」


体勢を崩したアスナを雪ノ下は容赦なく斬りつける。

アスナ「うぅっ!」

とっさに自分のHPを確認したアスナは驚愕した。

今の一撃で二割もの体力を失ったのだ。

「あ、あのスピードであんなに威力あんのかよ!強すぎんだろ!」

アスナ(あれに対抗するには……パターン化されていたとしても、スキルを使うしかない。

それに、なぜかわからないけれど、あの人はこの世界のシステムをよく理解できていない

みたい。

上手く行けば、やれるはず!)

アスナ「はぁぁっ!電光石火っ!」

先程以上の速さで踏み込み、雪ノ下の胸に一突きを浴びせる。

ナイト「くっ!」

手ごたえを感じたアスナは相手の体力ゲージを確認した。

が、

アスナ(体力ゲージが、ない!!?)

本来あるはずの体力ゲージが、相手からは確認できなかったのだ。

アスナ(相手に体力を確認させないアイテムでも使っているの?それとも……)

『Advent』

場にそぐわない甲高い電子音に、アスナの思考が中断される。

この音声が鳴ると何かが起こるということは学習済みだ。

と、先程超音波を発した蝙蝠が再びやってきた。

急いでアスナは耳をふさぐ。

が、これによってアスナは回避行動がとれなくなった。

巨大蝙蝠からの突進攻撃を避けられなかったのだ。

アスナ(物理、攻撃……)

蝙蝠の羽に打ち付けられ、アスナは後方に吹き飛ばされる。

アスナ(もう、半分も残ってない……)

すぐそばに死の足音を感じた。

アスナ(……まだよ!)

アスナ「つじ斬りっ!」

近づいてきたナイトの腹部を横にきりつける。

『Trick Vent』

確かにきったはずの敵の体が、ゆらりと消えた。

アスナ「がぁっ!」

アスナは自分の胸を槍が貫いているのを見た。

後ろから突きだされた槍を抜くため、全力で前に跳ぶ。

振り向くと、三体に増えたナイトが槍をこちらに向けていた。

アスナの体力は残り二割。

対して相手には、決定打となる一撃は与えられていない。
『Final Vent』

その音が響くと同時、ナイトの二つの体が消え、かわりに三度(みたび)蝙蝠のモンスタ

ーが現れた。

モンスターのもとへ、ナイトが高くジャンプする。

ちなみにアスナは、これほど高く跳躍できるプレイヤーを見たことがない。

ナイトの体をモンスターが包む。

それが激しく回転する様は、まるで巨大なドリルだ。

そのドリルが、勢いよく自分めがけて急降下してくる。

ナイト「飛翔斬っ!」

その攻撃が、アスナの真横で炸裂した。

本来破壊されないはずの市街地フィールドがまるで隕石でも落ちたかのように大きくへこ

んでいた。

必殺技を終えたナイトが、アスナの喉元に槍をつきつける。

ナイト「……降参、してくれないかしら」

相手の強さを認め、アスナは黙って両手を上げた。

ナイト「……あの、どうすればいいのかしら?」

アスナ「あ、ああ。こっちで操作するわ」

アスナがデュエルをドローにする旨の申請を雪ノ下に送る。

アスナ「参ったわ……本当に、強いのね」

雪ノ下「わかってもらえればいいわ。ボス殲滅戦に、私達も加えてもらっていいわよね?」

アスナ「ええ、ぜひとも」

アスナと雪ノ下が固く握手をかざす。

「おいおい、すげぇな!姿の変わるスキルなんて初めてだぜ!」

赤い服を着た男が雪ノ下に話しかける。

熱く語る男に軽く引いたのか、雪ノ下が少し後ずさる。

クライン「ああ、いきなりすまねぇ。俺はクライン。ギルド風林火山の頭はってるもんだ」

???「そ、そのスキルはなんなんや!あんなん……チートやないか!」

関西弁の、ツンツン頭の男が詰問するように問う。

雪ノ下「チート……?いわれのないことだし、私達が特殊な力を持っていたとしても、あ

なたには何の不都合もないと思うのだけれど」

雪ノ下が言っていることはまごうこと無き正論だ。

だがまぁ、ゲームで見たことのないスキルを使っている物がいればその入手方法を知りた

いと思う心境も理解できないではないが。

雪ノ下「それに、とても人に物を聞くような態度ではないと思うわ」

アスナ「私が言えることではないと思うけど……キバオウさん、あなたの態度はかなり失

礼だと思うわ」

キバオウ「んなっ……このスキルの入手方法がわかったら、戦力は圧倒的に強化されるし、

死亡率も減るやろ!教えるのが、筋ってもんやないか!」

比企谷「残念だが、これは正確にはスキルじゃない。俺達にも獲得方法はわからない」

俺の発言に、キバオウが黙り込む。

真偽はともかくとして、俺達が入手法を伝える気がないことを理解したのだろう。

そしておそらく、その力と対立することの危険性も。

アスナ「……では、攻略会議を始めます。エギルさん、ボスについての情報を」

声をかけられたスキンヘッドの男が口を開く。

エギル「この73層のボスの名前は、『蒼狼の始祖アマテラス』。多数の呪文を唱えたり、

様々な武器を使用するらしい」

ん?この世界のボスには全て、『the』を冠詞に持っていたはずだが……。

エギル「それから、これは確定情報ではないが、HPが一定以下になると、姿を変えるら

しい」

???「あ、ちょっといいか?」

エギル「キリト?」

全身黒で統一した服を着た、キリトと呼ばれた男が発言を求める。

キリト「アマテラスが姿を変えるっていうのは、ほとんど確定だ。そして、変化先の名前

は、『エンペラーキリコ』だ」

エンペラーキリコ……何とも威圧感のある名前だ。

キリト「それと、強力な仲間を複数呼ぶらしい」

キバオウ「相変わらずすごい情報収集力やな、ビーター上がり」

アスナ「……キバオウさん、和を乱すような発言は控えてください」

キバオウ「ふん!」

最初こそ微妙な雰囲気だったが、それ以降はすんなりと会議が終わった。

アスナ「各自、情報交換は終わりましたね。それではこれより、ボス討伐に向かいます」

由比ヶ浜「え?会議が終わったその日に行くの?」

由比ヶ浜が小声で俺に尋ねる。

比企谷「このゲームにとらわれてる奴らは、現実世界では、医療の力で生きながらえてい

る状態だ。クリアが長引けば長引くほど、健康状態は悪くなる。

だからまあ、強行軍が普通になるんだろうな」

この世界の初期は安全マージンをしっかりとろうという風潮だった気がするが……。

死んだら終わりという状況で、少し急ぎ過ぎているようにも感じたが、俺達が訪れた世界

でも、皆、命をかけて戦っていた。

それと似たようなものだろうか。

俺達はボス戦において、前衛を担当することになった。

最も危険なポジションだが、俺達の全体の中での戦闘力を考えれば妥当なものだろう。

アスナ「それでは、行きます。みなさん、準備はいいですか?」

皆に呼び掛けたアスナが、ゆっくりと扉を開く。

そこは、縦にも横にもとても長く、高さも10mはある。

床や壁の色は、神秘的な水色で統一されている。

俺達がその部屋(?)を、15メートルほど進むと、突如それは現れた。

全身水色で、白い絹のようなものをまとった、二メートルほどの、人型のモンスター。

そいつの頭上に文字が浮かび上がる。

『蒼狼の始祖アマテラス』

アマテラス「敵を確認、排除行動に入る」

その声を聞き、皆身構える。

比企谷、雪ノ下、由比ヶ浜「「「変身!!!」」」

『Kamen Ride Decade!』

アマテラス「フェアリーライフ!」

―アマテラスが、フェアリーライフを発動!敵の呪文詠唱速度が短くなった!―

敵の放った呪文と、それに伴う効果が視界の端に動かした画面に浮かび上がる。

敵の放った呪文と、それに伴う効果が視界の端に動かした画面に浮かび上がる。

「Strike Vent」

由比ヶ浜が炎攻撃を放つ。

アマテラス「魂と記憶の盾(エターナル・ガード!)」

―アマテラスが魂と記憶の盾を発動!敵の防御力が一時的に上昇!―

ゆらゆらと揺らめく幻影の盾がアマテラスの前に現れ、その攻撃は防がれる。

クライン「これでもくらいやがれっ!」

クラインが、ギルドメンバーとともに四方向から斬りかかる。

アマテラス「ノーブル・エンフォーサー!」

―アマテラスがノーブルエンフォーサーを発動(ジェネレート)!一定以下の威力の攻撃

はダメージが0となる!―

アマテラスが、右手に杖のような武器を構える。

直後、クライン達の攻撃が命中したが、アマテラスの体力に変化はない。

どうやら彼らの通常攻撃は、一定威力以下と認識されたらしい。

クライン「畜生……いったんひくぞ!」

「「「おう!」」」

アスナ「はあぁぁっっっ!」

クライン達と入れ替わるように前線に躍り出たアスナが強烈な突き攻撃を繰り出す。

アマテラス「ぐぅっ!」

「Swword Vent」

それに続いて、雪ノ下もウイングランサーでアマテラスの右腕を切りつける。

アマテラス「クリムゾンチャージャー!」

―アマテラスがクリムゾンチャージャーを発動!追加効果で、アマテラスの移動速度が上

昇!―

アマテラスが叫ぶと同時、灼熱の炎が二人に襲いかかる。

二人は回避に成功するが、後方に控えていたほかの面々に炎が勢いよく襲いかかる。

キバオウ「あっ、あちっ!」

彼らが後ろにいたのには理由がある。

敵が巨大なら、全員で一気に戦うことができるのだが、アマテラスの大きさではそれがで

きない。

その為、入れ替わりで戦っているのだ。

思った以上に敵の使う技が多い……かなり厄介な相手だ。

ディケイド「新しい力、試させてもらう!」

「Kamen Ride Faiz」

「Attack Ride Faiz! Sparcle Cut!」

右手に赤く発光する剣を握り、アマテラスに向かっていく。

斬りつける寸前、アマテラスの体が、赤い円柱状のエネルギーに包まれる。

ディケイド「でやっ!」

アマテラスの腹部に攻撃が炸裂する。

アマテラス「ぐぅぅっっ!」

攻撃を受け、アマテラスが勢いよく吹き飛ばされる。

アマテラス「やってくれる……」

そういえばこいつ、言葉を話せるのか。

今までのは呪文詠唱ばかりだったから深く考えなかったが。

アマテラス「サイバーブレイン!」

アマテラスのもとに青白い光が集まっていく。

そして、左手に銃を構え、三つのエネルギー弾を打ち出した。

ディケイド「くっ!」

「Form Ride Faiz! Auto Vajin」

どこからともなく、自律戦闘マシン(?)オートバジンが現れ、ガトリング掃射で敵の攻

撃を無力化する。

「Form Ride Faiz! Accel」

ディケイド「一気に決めてやる!」

超加速フォームとなった俺は、これでもかと攻撃を撃ちこんでいく。

「Final Attack Ride Fa Fa Fa Faiz!」

高く飛び上がり、必殺技の態勢に入る。

ディケイド「これで、終わりだぁぁっ!」

アマテラス「シールドトリガー、発動!DNAスパーク!」

―アマテラスがDNAスパークを発動!全員一時行動不能!更に、アマテラスの体力が回

復!―

「Reformation」

時間の経過により、アクセルフォームが解除する。

ディケイド「ぐぅっ」

ナイト「か、身体が……」

アスナ「これは、スタン状態……?」

アマテラス「やはり、スパーク呪文は便利だな」

クライン「なんなんだ、こんなの、反則だろ……」

アマテラス「心配するな、なにもこの状態のお前達を倒すつもりはない。

そんなつまらんことはしない」

龍騎「な、ならなんで……」

アマテラス「少しだけおとなしくしてもらわないと困るからな……

呪文、母なる紋章、発動っ!」

アマテラスを激しい光が包む。

光をまとったアマテラスの姿が急激に変わり、巨大化していく。

約三十秒ほど続いたその現象が終わった時、アマテラスは全長5メートルを超える巨大な

モンスターに変わっていた。

アマテラス(?)「……我が名は、エンペラーキリコッ!」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年10月14日 (火) 02:53:38   ID: WB8j03OG

面白いです!

2 :  SS好きの774さん   2014年11月02日 (日) 00:14:47   ID: Qx9JcwEz

めっちゃ面白い!

3 :  SS好きの774さん   2014年11月04日 (火) 17:02:21   ID: Q50eZnCO

作者さんのメンタルの強さに感動しました!

4 :  SS好きの774さん   2014年11月07日 (金) 01:17:44   ID: wPYuY8Hf

頑張ってください!

5 :  SS好きの774さん   2014年12月07日 (日) 16:36:50   ID: 5cU_vGo4

頑張れ!!

6 :  SS好きの774さん   2014年12月11日 (木) 21:45:56   ID: ihy7Rm8d

面白いです。続き待ってます‼

7 :  SS好きの774さん   2014年12月20日 (土) 07:31:32   ID: nLGg997d

追いついた!面白いよ!

8 :  SS好きの774さん   2015年01月18日 (日) 17:01:09   ID: jqpDArQr

おーおー、更新されてる!

9 :  SS好きの774さん   2015年03月25日 (水) 03:26:44   ID: kJtZ5kp8

プwwwリwwwキュwwwアwww
気持ち悪い百合成分まで入っているなんて

10 :  SS好きの774さん   2015年04月13日 (月) 00:52:11   ID: 25zlVWY-

つまらない

11 :  SS好きの774さん   2015年05月14日 (木) 15:40:52   ID: GLctKQ2c

気持ち悪い…これがゴミクズと有名な俺ガイル信者か

12 :  作者   2015年08月13日 (木) 23:58:54   ID: VE2T6O_e

この物語の完結編を、『仮面ライダーぼっち&ぼっちライダーディケイド』という名前で掲載しています。
どうぞご覧ください。
スレをおとしてしまい申し訳ありませんでした。

13 :  SS好きの774さん   2016年04月18日 (月) 19:15:57   ID: F11kVb-x

作者が馬鹿だからこんなもの晒したんだろうけど各方面に喧嘩売ってる糞ゴミssだよね。
八幡信者の気持ち悪さがまじでにじみ出てる。

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