【咲 -saki-】清澄高校七不思議 (108)


・ホラー系のssを書こうと思い、書いてみました。

・とあるゲームを元に書いたので、分かる人がいると思います。がネタバレはやめてください。

・しかし、文章だけなので怖くなるか分かりません(おもに>>1の未熟さにより)そこは、ご了承ください。

・少しでも怖くするため、地の文を入れています。

少しでも付き合ってくれたら幸いです

では、始めたいと思います。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1408634728


京太郎「七不思議……ですか?」

まこ「ああ、最近その手の話がクラスの中で多くてのぉ」

京太郎「へぇ~、流行っているんですかね」

咲「き、京ちゃん。な、七不思議ってまさかこの学校の?」

京太郎「え、ああ、そうだけど……」

咲「う、うちの学校にもあるの?う、ううぅ……」

和「さ、咲さん大丈夫です。そんなオカルトあり得ません」

優希「そうだじぇ。そんなのがあってものどちゃんのおっぱいがあれば大丈夫だじぇ」

和「……何を言ってるんですか、優希」

京太郎(確かに……)


すみません 設定的に久が卒業した後、夏に久が遊びにきたということでお願いします。ムロマホコンビは休みでお願いします

久「七不思議ねぇ……」

京太郎「あれ、元部長も知ってるんですか?」

久「まぁ、学生議会長をやってたし、それなりには。須賀君はどの話を知っているのかしら」

京太郎「え? えっと……」

咲「ちょ、や、やめてよ~」

とナミダメになって咲が抗議する

和「そ、そうですよ須賀君 咲さんが怯えているじゃないですか」

と若干震え声で和も抗議する

優希「ふ、二人の言う通りだじぇ」

と怯えながら優希も抗議する

京太郎「いや、話せっていったの元部長だし……」

と京太郎は困った顔になる

久「三人とも大丈夫よ この学校の七不思議は特殊だから」

咲「特殊……ですか?」

和「何が特殊なんですか?」

まこ「まぁ、聞けばわかる」


京太郎「えっと……話していいですか」

久「大丈夫よ ね、みんな」

と久は声をかける

三人はコクリとうなずいた

京太郎「じゃあ、話します」

そして、京太郎は話を始めた


京太郎「えっと、友達から聞いた話なんですが……」

京太郎「清澄高校のある階段は、12段あるんだが……」

京太郎「夜、その階段を上ってみると……」

咲 和 優希(ゴクリ)

































京太郎「12段のはずが130段になっているらしい」

お休みもなにもマホは咲たちの2つ下だが


咲「……え?」

和「130段って普通気がつきません?」

優希「そうだじぇ」

京太郎「俺もそう思ったんだけどよ ツッコまずに聞いてたら『130段上ったら何があるか分からないが、とりあえず足が疲れることは請け合いだな』って言ってたぜ」

咲「その状況下で足の疲れを心配するの!?」

和「その人の精神のほうが恐ろしいですね」

優希「だな」

>>6 ごめんなさい間違えてました

京太郎「あともう1つ知ってるけど」

優希「まだあるのか」

京太郎「ああ、音楽室で……」

咲「う、うん」

京太郎「夜中に音楽室で鳴り響く……」

咲 和 優希(ゴクリ)

































京太郎「ギロ!!」


咲「……ギロって?」

優希「なんだじぇ?」

和「楽器がマイナーですね」

京太郎「友人曰く『ギロやばい』らしい」

咲「……ねぇ、ギロって単位なの?」

優希「ますます分からないじぇ」

京太郎「っとまあ、俺が聞いた話はこれだけです」


久「須賀君はこれだけ?」

京太郎「はい」

久「んじゃ、まこは?」

まこ「ん、わしか?そうじゃな、他にも……」

まこ「トイレに現れる女の子の幽霊 その名も……」

まこ「トイレの茶愛羅(ティアラ)ちゃんとか」

咲(……なぜにキラキラなの?)

和(花子さんの時代は終わったのでしょうか?)

優希(かわいい名前だじぇ)

まこ「あと、理科室にいるお腹が痛くて座り込んどる人体模型とか、そんな感じじゃの」

咲「……なんか七不思議っぽくないですね」アハハ

和「むしろ、こんなうわさが流れていることが不思議です」

優希「全然怖くないじぇ」


久「……そう」

と言って久は暗い顔になる

咲「?どうしたんですか」

久「いや、思い出したくないものを思い出したっていうか……」

京太郎「何をですか?」

久「えっと……ってこれ、話していいのかしら?」

久は少し困った顔になる

咲「だ、大丈夫ですよ」

和「平気です」

優希「すごく気になるじぇ」

あまり怖くない七不思議を聞いたからなのか三人とも乗り気だった

まこ「確かに気になるのぉ」

京太郎「少し興味がありますね」

と耐性のある二人も乗ってきた

久「……ふぅ、分かったわ」

と言って、久は覚悟をきめた顔になった

久「あれは、去年の10月のことだったわ……」


久「私が推薦の勉強をしていたのは知ってたよね」

和「ええ」

久「で、美穂子…風越のキャプテンも一緒の大学の推薦だったから一緒に勉強してた……っていうのも知ってるよね」

まこ「まぁ、有名だったからの」

久「ま、確認のために一応、その日は推薦入試の前日で雨が降ってたの……」 


~~~~~~~~~~~~~~~~~~

久「いってきまーす」

その日の朝、私は家を早く出た すると……

久「……え?」

ドアを開けると、黒髪の女の子が倒れていた

久「……!?」

久(あ……まさか、ひき逃げ!?)

私の家の前の道路はほとんど近所の人しか通らないような細い道だけど……

一応、車も通ることが出来るから事故が起きてもおかしくはない

私は慌てて女の子にかけよった

久「……え!?」

私はまた驚いてしまった

なぜなら、倒れていたのは……

千里山の園城寺怜だったからだ


久(な……なんでこんなところに……)

今日は平日 しかも朝 この子は大阪にいるべきなのである

久「お、園城寺さん、しっかりして!」

私は園城寺さんの体を揺さぶる 長時間雨に当たっていたのだろうか、彼女の体は冷たかった

久「園城寺さん、しっかりして! 園城寺さん!!」

すると、彼女は顔をあげた

怜「……あ、あんた……きよすみの……」

久「よ、よかった……今、急いで救急車を呼ぶから」

私はケータイをだして119番を押そうとする

すると彼女は、私のボタンを押す手をつかみ、とんでもないことを言った

怜「……あんた……今日、学校に……行っちゃ、いかんで……」


久「え……」

頭の中が真っ白になる

学校に行くな? なんでそんなことを言うのか? 学校に行ったら何かあるのか? 意味が分からなかった

久「意味が分からないけど、とにかく救急車を……」

怜「行っちゃ、いかんで!!」

久「……!?」

冗談を言っている顔ではなかった

園城寺さんが私を見つめるその双方に、なにか必死なものが見え隠れしているような気がした

久「……な、なんでよ」

怜「……くわしくは……ッ!!」

怜「ゲホッゲホッ!?」

園城寺さんは急に咳き込むと顔を沈めてしまった

久「園城寺さん!? きゅ、救急車を……」

私は急いで119番を押し、救急車を呼んだ


救急車が来る間、彼女は再び顔をあげた

怜「……はぁ、はぁ……ど、どうしても、行くんか?」

久「園城寺さんダメよ! 無理しちゃ!!」

怜「……どうしても、学校に、行くんか……?」

言っても言うことを聞かなそうだった

久「あ、あたりまえよ これでも元学生議会長だし」

怜「……そっか……」

園城寺さんは悲しそうな顔をした そして、こう言った

怜「……じゃあ、膝枕、してくれへんか……」

久「……はぁ!?」

意味が分からない けれど、病人の頼みを無下にできる訳がなかった

久「わ、分かったわ……」

私はスカートが濡れることもかまわず、道路で正座をし、園城寺さんの頭をのせた

久「……これでいいかしら?」

私が問いかけると彼女は

怜「……ん」

と言っただけだった


私が膝枕をしてしばらくすると救急車がきた

初め、私たちを見た時に驚いた顔をしていたが、私が事情を説明すると今度は微妙な顔になった

救急隊員が出してきた担架に、園城寺さんが乗せられる

救急隊員「付き添いで乗車しますか?」

久「……あ……」

一応、知り合いではあるから乗るべきなのであろう

しかし、そうすると学校に遅れてしまう

久「……はぁ」

ため息をつき、学校に連絡をしようとした時、

久母「どうしたの?」

久「え……お母さん?」

救急車が近くに止まったためだろう 母は様子を見に来たようだ

久「えっと……実は……」

と母に事情を説明した すると、

久母「久、あんたは学校に行っておいで」

久「え……でも」

久母「この子には私がついていくから あんた、明日入試なんでしょ」

久「……うん、そうだね」

久「それじゃ、お母さん、園城寺さんをお願いします」

久母「ええ」


理由は分からないけど、自分のためにここまで来てくれた園城寺さんには悪いと思ったが学校に行くことにした

私は、母にその場を任せ、登校するべく担架の横を通り抜けようと……

久「っ!?」

突然担架でぐったりとしていた園城寺さんの手が私のスカートをつかんだ

怜「……こ……れを……」

と私に紙のようなものを渡すと、彼女は意識を失った

久「お……園城寺さん!?」

救急隊員「じゃあもう行きますので、お母さん乗ってください」

久母「久、早く学校に行きなさい」

そう言って救急車は行ってしまった

久「……なん、だったのかしら……」


朝の騒動で遅刻ギリギリになってしまった

私は着替えて自分の席に座ると、貰った紙を広げた

すると紙にはこう書かれていた

『つばさ小、ユキコさんを知っている人に話を……』

久「……?」

……つばさ小ってどこ? ユキコさんって誰?

しかし、それよりも……

久「……これをどうしろと」

文脈上、話を聞け、っというのは分かる

しかし、話を聞いてどうするのかが分からない

久「……」

私は少し考え、そして結論を下した

久「ま、とりあえず情報を集めてみる、かな……」


情報はすぐ見つかった

A「つばさ小? ユキコさん? ああ、それうちの七不思議だよ」

隣の子に聞いてみるとそんな答えが返ってきた

久「七不思議って、あの」

A「そっ、あの七不思議の1つ」

うちの学校の七不思議は怖がらせる目的より、笑わせるのが目的の特殊なやつである

久「ふーん、で、それってどんな感じなの?」

A「これがさ、他のやつと違って普通に怖いやつなんだよ」

久「……へぇ」

話を聞いたところ、こういうことらしい

昔、清澄高校が建つ前にあったのがつばさ小で、ある時の放課後に校舎の見回りをしていた女の先生が誤って階段から落ちてしまったらしい

その先生の名前がユキコさんという人、ということだった


久「珍しいわね、普通に怖い話なんて……」

A「確かにねぇ」

久「で、肝心の出現条件は?」

何気なく聞いてみた すると……

A「えっと……確か10月の……丁度今日みたいに雨が降る放課後で……時刻は……そう、夜の7時を過ぎたあたり……」

久「……え!?」

私は背筋が凍った

園城寺さんが学校に行くなといったこと…… 園城寺さんのメモ…… ユキコさんの出現条件……いくらなんでも出来過ぎていた

A「どうしたの?顔色悪いけど……」

久「え?あ、うん なんでもないわ……」

私はお礼を告げて席に座る

これは単なる偶然? それとも作為?

……とても偶然とは思えなかった

私自身オカルトを信じる信じないでいえば信じる方だった

久(……なんか嫌な予感がする……)

そんな気がした

そのせいなのか、今日の授業は全く身に入らなかった


昼休みになるとまこが私のもとに訪ねてきた

まこ「いよいよ明日じゃの」

久「そ、そうね」

私は心の動揺を悟られないように、いつも接するような態度を精一杯とる

まこ「で、渡したいものがあるんじゃが……」

と言ってまこはスカートのポケットから何かをとりだした

久「これは……お守り?」

それは、よく神社に売ってそうな、赤い布のお守りだった

まこ「あんたのために、みんなで買いに行ったんじゃ」

久「へぇ~、みんなで……」

私のためにみんなが選んでくれたと思うと、少しうれしかった


まこ「あと、これなんじゃが……」

と言って茶色い封筒をだした

久「これは……?」

まこ「みんなの応援メッセージじゃの そうじゃな……今日の夜か明日の朝によんでほしいの」

久「……いや、それ普通、試験前に読んでくれとかじゃないの?」

まこ「もし、あんたが試験前にこれ読んで感動して力が発揮できんかった、なんて言われたら洒落にならんからの」

と言って、いたずらっぽい目を向けてくる

久「そんなことあるわけないじゃない」

まこ「『そんなオカルトありえません』って言いたんじゃろ」

急に和のマネをしてきたので少し笑ってしまう

久「なんで急に和のマネを……」

すると……

まこ「いや……なんかあんた、今日少し様子がおかしい気がするからの」

久「……!?」

……見抜かれていた

動揺した私が何か言おうとした時

まこ「ま、あんまり緊張せんで、いつも通りにやってきんさい」

と言って去っていってしまった

久「……」

私は、まこが行った方をチャイムが鳴るまでずっと見ていた


A「……ひさ、久!」

久「……ふぇ!?」

私は急に呼ばれて驚いてしまった

A「HR終わったけど、帰らないの?」

久「え……」

私は時計を見た

時刻は3時20分ごろを指していた

久「まっず……」

私は慌てて荷造りをする

A「……本当に大丈夫?」

と心配して聞いてくる

久「大丈夫よ、ありがとね」

と言って私は帰ろうとする

A「あ……久、明日頑張ってね」

久「ええ」

そう言って私は急いで学校を出た


なぜ、こんなに急いでいるかというのには理由がある

清澄から10分の喫茶店に行くと『彼女』は待っていた

久「ごめん、美穂子、待った?」

美穂子「いえ、さっき来たばっかりで……」

そこにいたのは風越の福路美穂子だった

彼女も推薦で同じ大学を目指しているということなので、こうやって一緒に勉強をしている

久「……ってかここに来るの早くない?」

美穂子「き……気のせいですよ……」

と美穂子はそっぽを向く

美穂子と勉強の約束をよくするのだが、私が先に来たことが一度もなかった

なので一回くらいは……と思い、少し意地悪してみたのだが……どうやら無駄だったらしい

美穂子「た……たまたま歩いていたら龍門淵の方々とお会いして……」

久「あー、なるほど」

きっと、《美穂子(どうしよう、上埜さんに早く会いたいから学校を休んだなんて言えない)》龍門淵のハギヨシさんが送ったんだろと思うと納得がいった

美穂子「そ、そんなことより早く勉強しましょう」

久「ええ」

私たちは教材を出して勉強を始めた


勉強してしばらくするとケータイが鳴った

どうやらメールが来たらしい

久「失礼するわね」

そう言って私はケータイを操作する

……どうやら母かららしい

文面はこう書いてあった

久母『園城寺さんは大阪の病院に搬送されました
   幸い、命に別状はないそうです
   なので安心してください
   P.S 今日は早めに帰って来ること』

私は園城寺さんが無事なことにほっとした

そして、私は母に『分かった』とメールを返した


美穂子「誰からきたんですか?」

と美穂子が聞いてきた

久「え、ああ、お母さんから」

と私は返事をする

美穂子「どんな内容だったんですか?」

久「えっと、今日は早く帰ってこいって」

私はあえて園城寺さんのことを言わなかった

理由は二つあり、一つは美穂子に心配をかけたくなかったこと

もう一つは、美穂子は他の女の子の話をすると不機嫌になることである

以前、女の子の話題をだした時に、ジト目で見られたことがあった

また、美穂子は他の女の子とのメールもアウトなのである

前に女の子とメールをしていたらジッっと私のことを見てきたので 「どうしたの?」と私が聞くと、「別に何でもないです」と言ってほおを膨らませて、ぷいっとそっぽを向いたことがある

これはまだましな方だが、これが男子だともっとひどい

この前、副会長から引き継ぎの件でメールが来た時、美穂子は

美穂子「つ、つ、付き合っているんですか?」

と涙目になって聞いてきたのである

私は、別にそんな間柄じゃない、と言うと安心した様子だったが……

ともかく、美穂子の前でメールをするのは細心の注意が必要なのである

美穂子「そうですか……」

と言って引き下がる

久「ほらほら、勉強しましょ」

そう言って私たちは勉強を再開した


久「ふぅ、今日はこのくらいかしら」

時計を確認すると夕方の6時45分だった

美穂子「……そうですね 今日はこれくらいにしておきましょう」

「明日もあるしね」

外は真っ暗で雨脚がまた少し強まったようにみえる

久「明日、晴れるといいわね」

美穂子「そうですね」

と言いながら教材を片付けていった

久「……あれ?」

久「嘘!お守りと封筒がない……!」

美穂子「?どうしたんですか」

久「今日、後輩からもらったお守りと封筒を忘れてきちゃったみたい」

帰るときに急いで荷造りをしていたため、机の中にお守りと封筒を忘れてきてしまったらしい

久「ちょっと学校に取りにいくから美穂子は先に帰ってて」

美穂子「え、学校に戻るんですか……だったら私も行きます」

久「え、いやいや、いいわよ別に」

美穂子「いいえ、私も行きます」

こういう時の美穂子は融通が利かない

しばらくして私は観念してうなずいた

久「……分かったわ 一緒に行きましょう」

こうして、私と美穂子は学校に行くことになった


今日はここまでにします。

やっと序盤が終わりましたので、明日が本番です

コメント等ありましたらお書きください

ネタバレ注意…ネタバレは注意…


コメントありがとうございます

……中には何人か察している人がいるようですが……

原作と流れは一緒ですが過程が結構違うので原作を知っている人も知らない人も楽しめるようにしています

なので>>36さんのようにネタバレは厳禁です

ちなみにこれはちゃんと怖い話ですよ 釣りではないです

では、続きをお楽しみください


学校に着いた時、時間を確認すると6時55分だった

校門をくぐろうとした時、美穂子は言った

美穂子「じゃあ、ここで待ってます」

久「え? 何を言ってるの? ここだと濡れちゃうじゃない!」

大雨が降っている中、校門に女の子を待たせたくなかった

美穂子「いいえ、大丈夫です」

久「いや、でも……」

美穂子「あんまり、他校の生徒が学校に入るなんてよくない事ですから」

変なところで律儀だった

久「じ、じゃあ、すぐ戻って来るから」

美穂子「はい、あ、カバン持ってます」

と、美穂子は手を差し出す

久「え、あ、ありがとう」

私はカバンを美穂子に預け、学校に入った


校舎に入る間に、私は『放課後のユキコさん』の怪談話が頭をよぎる

10月 雨が降る放課後 夜の7時……

久(……園城寺さん、もしかしてこうなるのが分かって……)

久「はぁ、疲れているのかな、私」

帰ったら今日は早めに寝よう そう思いながら私は校舎に入った


濡れた傘をたたみ、傘置きに立てかけた私は昇降口で上履きに履き替えた

校舎には人影がなかった こんな時間なら、生徒はもう帰宅しているだろうし、先生も少ししかいないだろう

しかし、廊下の電気はまだすべて点いていた

久(よし、いこう)

そして、まだ、明かりの点いている廊下を出て改めて周りを見渡す

久「ふう、やっぱ、誰も残っていない、か……」

シンと静まりかえった廊下に私の深いため息が響く

いつもは喧噪でかき消されるそれも、今ばかりは大きく聞こえる

久「急がなくちゃ」

私は自分のクラスに向かって足早に歩きだした


怜「……あんた……今日、学校に……行っちゃ、いかんで……」

A「えっと……確か10月の……丁度今日みたいに雨が降る放課後で……時刻は……そう、夜の7時を過ぎたあたり……」

久「……っ……」

久(も、もう、何考えてるのよ、私…… 和が聞いたら『そんなオカルトありえません』って言われるわよ)

ドシャーン

久「うわっ……!!」

タイミングよく落ちた雷の音に私は思わず立ち止まってしまう

久「っ……と、とにかく……パッと教室に行ってお守りと封筒を取ってこなくっちゃ!」

こんなに明るいんだから霊なんか出てくるはずがない

そう思いながら、私は再び自分の教室を目指して早足で行く


久(それにしても、今日はいつもよりこの廊下が長い気がする……ただでさえ、この廊下で遅刻しそうになるくらいなのに……)

遠くに聞こえる雷の音に時折ビクッとなりながら、私は教室を目指して歩き続けた

久(いつもはにぎやかな場所がこんなにも静まり返っていると、余計に物寂しいわね……)

久(雨の音が……やけに大きく聞こえるわ……)

私は廊下を歩きながらそんなことを考えていた

すると━

久「っ……」

どこからかピアノの音のようなものが聞こえた気がした

久「今の……ピアノ……かしら」

誰かが音楽室にいるのだろうか

しかし━

久(音楽室は電気なんて点いてなかったわよ)

うちの学校は音楽室は外から見えるのだが……

部屋の電気が点いている様子はなかった

久(空耳……かしら)

そう思いながら再び歩き出す


すると━

♪♪♪♪♪♪

再びピアノの音が今度ははっきりと聞こえてきた

久「っ……!! う、ウソでしょ!」

心臓がギュッと鷲掴みにされたかのように、バクバクと脈打つ

久(き、きっと私が学校に入った後に先生が入ったんだわ……)

おそらく、授業のために練習をしているのだろう

久「はぁ……何でもかんでも怖い話に直結させちゃいけないわね……」

私はもう一度、深呼吸をして暴れる心臓をなだめる

久(怖いと思ったら何でも怖く思える……だったっけ?)

どっかの心理学の本にそんなようなことが書いてあった気がする

きっと、これもそういうものであろう

久(あとちょっとで教室だから、走っていこう)

私はダッシュで廊下を駆け抜けることにした


ようやく教室に辿り着いた私は、ドアを開き、電気を点けた

久「ふぅ……やっと辿り着いた……っと後は、お守りと封筒を忘れないようにっと」

一々ビクビクしていたせいで、結構時間がかかってしまった

時刻はとっくに7時を回っている

久(7時……ねぇ)

そう、『清澄高校七不思議』のユキコさんの霊が出る、という時刻だった

久「……何にもないじゃない」

私は、フゥっとため息をつき、肩の力を抜いた

教室にも廊下にも明かりが点いている

確かに、シンと静まり返ってはいるが、怖さは全くない

久(やっぱり、うちの七不思議なんてデタラメね)

私は、お守りと封筒を取ると、ポケットの中に押し込む

久「よし、これで任務完了ね」

そう言いながらぐるりと教室内を見まわし、フゥともう一度ため息をついた

久(……気がつくと、なんか懐かしいわね)

気がつくと、私は部室に一人きりだった頃と、今を重ね合わせ、物思いにふけていた


久(そういえばあの時、一人でいろんなことをしてたっけ)

久(もう3年たったんだな~って思うわね)

久(……なんか婆臭いかしら)

そして私は教壇に行った

久(2年の頃、私は学生議会長になった)

久(生徒総会のときに、こんな机で演説してたわね)

何もかもが懐かしい思い出になっていたんだな~としみじみ思っていた

久(そして、3年になってインターハイに出て、優勝して……)

久(あの時はうれしくて、泣いちゃったわね)

久(……っといけない 美穂子が待ってるんだった 早く行かないと……)

━そう思ったその時


ブツン

久「えっ……!?」

久「っ……!? て、停電?」

突然、あたりが闇に包まれた

私はギクリと身をこわばらせ、一歩後ろに下がる

久(いきなり何!?)

私は黒板消しを乗せる溝を思わずガッと掴んだ

指先にチョークの粉が触れる感触がした

再び急激に高鳴りしだした心臓のせいで息をするのがつらい

落雷の影響だろうか? にしても、停電なんてあまりにもタイミングが良すぎる

久(っ……しかもピアノの音、まだ響いてる……嘘、なんで? 停電になっているなら気づいて止めるはずなのに……)


怜「行っちゃ、いかんで!!」

園城寺さんが行くなって言ってたのはこのことだったの……?

……でも、あの子の未来予知は麻雀でも、1~3順が限界なはずだし……

そんな事、実際ある訳がない 私はぶんぶんと頭を振る

久(お、落ち着くのよ私……! 音楽室のほうは、まだ停電になっていないとか……きっとそんな理由よ)

私はおそらくチョークまみれになったはずの指でグッと拳を作り、再びそう思いなおした

久「ともかく、早く校舎を出よう……!」

物思いにふけるんじゃなかった さっさと帰ってればよかったと、少し後悔しながら、私は暗闇に包まれた教室を手探りで歩く


久「あっ!!」ドン

使い慣れた教室だから勝手は分かるはず

そう簡単に思っていた私が甘かったみたいだ

派手にぶつかって、私は周囲の机を巻き込みながら倒れこんでしまった

久「いったぁ……」

久(っと……いけない……机の中身、まき散らしちゃったわね……)

久「元に戻さないと……」

私は手探りで散乱したノートや教科書、そして文房具類をかき集める

久(でも、暗くて何が何だか……もう……何やってるのよ、急いでるのに……)

知らずにため息が漏れる


久「っと……これは、教科書っと……ノートでしょ……」

暗闇の中を手探りで確かめながら、私は倒れた机を起こし、それらを積み重ねていく

久(明日、ここの席の子に謝らなくちゃ……って明日試験じゃない!)

とますます焦りだす

久「っと……これで、最後、かな?」

私は床に手をついてあたりをさらい、もう他に落ちている物がないか確かめる

━その時……

ベチャ

久「……え? やだ……何これ……何だかヌルヌルして……え!?」

指先に、明らかに異質なモノの感触がした

久(机の中から……なんでブニュブニュしたものが……?)

いや、もしかすると最初から床に落ちていたのかもしれない

久「何かしら……これ……」

ベトベトになってしまった指先を床にこすりつけ、私は自分の指先をじっと凝視する

……私は、いったい何に触れてしまったのだろうか?


ドーン

久「!?」

雷が鳴り響く

と同時に真っ暗闇の教室が一瞬だけ明るくなる

そこで、私が見たものは……

































どす黒い色になっていた赤い赤い血だった


久「血!? 嘘!?」

私はギョッとしてその場から立ち上がる

一瞬だけ見えた自分の指が血まみれだった気がしたのだ

それどころではなく、教室が真っ赤に染まっているように見えた

久(そういえば……なんとなく、生臭い気がする……)

私は思わず、その場から後ずさる

教室に、どうして血まみれの何かが落ちているのだろうか

久「ありえない……そんな……何よ、これ……!?」

私は麻雀ですら経験したことがない恐怖に襲われ、同時に教室を飛び出した

いや、正確には飛び出そうとした


ガチャ ガチャガチャ ガチャ

久「え!? あ、開かない……!? やだっ!やだやだ!!」ガチャガチャ

久(鍵なんて掛ってなかったのに……ううん、今だって鍵は掛ってないよ……!! それなのに、どうして!?)

ガチャ

私は何度もドアを開けようと懸命にドアの取っ手を引く

ガチャ

が、ドアはびくともしない

久「っ……なんで!? なんでよ……!! なんでよっ!!」

私はパニック状態になった

まるで、悪い夢でも見ているかのようだった

久「やだ……もう……何これ……」

真っ暗闇に静寂が満ちる


私はバクバクと騒がしい心臓をおさえながら、深呼吸を何度も繰り返す

久(と、とにかく、一度落ち着かないと……そもそもドアが開かないのだって私がこんなパニックになっているせいかもしれないし……)

久(さっきの変な塊だって、きっと何かの勘違いよ だってありえないじゃない 教室に……あんな訳のわからないものが落ちてるなんて……)

きっと明日の朝に見てみたら、体操服が落ちてただけとかそういうオチが待ってるに決まっている

久(きっとそうよ…… 指についたものだって美術に使う絵具かもしれないじゃない……)

暗闇のなかでパニックになっているから、得体のしれないもののように思えるだけだ

久(もしかしたら、ドアに何かが挟まって開かないだけかもしれないし……)

私はドアの隙間に、余計なものが挟まってないかどうか見ることにした

久「だめだ……真っ暗で何にも見えないわ……」

手探りでドアの溝を確かめるけど、それだけでは分からない


久「他の出口は……」

とはいえ、ここは校舎の3階だ

外に出るにはどうしても廊下に出なくてはならない

久(……今すぐに出たいのに……)

途方に暮れていると、ドアの窓に一瞬だけ光が入るのが見えた

でも、ドアの窓は曇りガラスになっているため、はっきりとそれが何なのかは分からない

久「誰か……歩いてくる?」

と同時に、タッ、タッ、タッ、タッ と足音がする

久「ああ……! そうか……用務員さんね」

いつも校内の巡回をしてくれる用務員さんの存在を私は思い出した

突然の停電に、おそらく見回りをしてくれているに違いない

久「助かった!」

私はへなへなに砕けている腰に力を入れ、立ち上がった

ドンドン

久「すみません」

窓越しに用務員さんに向かって目一杯、叫ぶ

ドン

久「すみません! 閉じ込められているんです!」

私は念のためにもう一度、叫んだ

すると廊下の向こうからその光が徐々に近づいてくるのが見えた

でも……


久(なんか……この光おかしい)

私は眉をひそめ、一歩ドアから遠のいた

久(懐中電灯だったらもっと明るいわよね……この光、なんだか……)

なんだか、その光は人魂のようにぼんやりとしているのだ

しかも、ゆらゆらとうごめいているようにも見える

久(それに、この足音……)

タッ、タッ、タッ、タッ、という足音は、4回続いて、そして、3秒ほどあけ、再び4回響く

それを規則正しく繰り返しているのだ

久(用務員さんじゃない……明らかに変な歩き方……)

久「っ……」

私はなんだか無性に怖くなり、その場から2、3歩下がり、尻餅をつく

久(……何、何なの……?)

……やがて、その光は私の教室の前で止まった


トントン

久「……!?」

突然、ノックをされた

……曇りガラスのせいで、ノックをしている人の顔はよく見えない

トントン

また、ノックをされた しかし、返事をしないでいると……

トントン

トントン

トントン

トントン

段々とノックの音が大きくなっていく

トントン

ドンドン

ドンドン

バンバン

バンバン

バンバン

久「や、やだ……」

私は悲鳴をあげないようにするのが精一杯だった

そして━


バンバン バンバン

曇りガラスを叩き始めた

久「!?」

曇りガラスを叩く手は血まみれのようで、叩くたびに赤い手形がつく そして、どんどんと曇りガラスは赤く染まっていく

そしてついに……

バリン

曇りガラスが割れてしまった

するとそこには━



































背の高く、真っ黒で首の折れたようなシルエットの若い女の人がいた


?『まダ残ってルの……?』

久「いや……」

?『早ク、帰りなさい……?』

ドアの窓のあった所から覗き込むようにじっと私を見て、私に向かって鳥のホネみたいな指を突き出してくる

久「いいいいいいやあぁあああああああああああああああ」

私は無我夢中でドアから離れる

何、何なのあれは? 私をどうするつもりなの?

私は机をなぎ倒しながら、窓のほうに行く

久「はぁ、はぁ……はぁ、はぁ……はぁ、はぁ……」

私はドアの方を確認する

……幸い、開けてくる様子はない

私は上がりっぱなしの息を整えながら、あたりをきょろきょろと見回した

一刻も早く逃げたい、ここから離れたい

久(前のドアから出られないとなると……外に出るには、後ろのドアから出るしか……!)

久(で、でもそうすると、廊下は前のドアにいるあの幽霊の後ろを通らないと出口には着かない……)

久(そんなの無理……でも……)

グッと唇をかみしめ、私はもう一度、教室中をぐるりと見回す

久(何か……あれに対抗できるものがあれば……)

そして見つけたのは━


久(あれ、これって化学の実験の時に使った塩の残り……?)

塩は清めの役割を持っている

久(よし、これを持っていこう……!)

私は右手に塩を出し、強く握った

久(怖いけど……行しかない!)

見るとドアの向こうの女の人の幽霊は、割れた窓から教室に侵入しようとしていた

私を捕まえる気らしかった

たぶん、この人が『放課後のユキコさん』らしい

久(捕まる、ものか……!)

私は意を決して、教室の後ろ側のドアを開けた

……一気に行こう

そう、私は決意した


ドアから飛び出ると同時に、私は、幽霊の後ろを走り抜けようとした

幽霊は私の姿を見るなり、すごい勢いで走ってきた

ユキコ『待ちナさい!』

久「っ……こ、来ないでっ!!!」

私は右手に握りしめていた塩を幽霊にむかって投げつけた

ユキコ『ギャ――――――――ッ!!!!』

久(ひ、ひるんだ)

久「この隙に!」

私はもがき、のたうち回る幽霊を尻目に、その場を駆け抜けた


久「はぁ……はぁ! はぁはぁ!」

真っ暗闇の廊下をただひたすら駆け続ける

階段を駆け下り、そして、ひたすら下へ逃げる

ユキコ『待ちナサ――――――イ……』

そして、そのまま私は昇降口のところまでやってきた

久(もうすぐ! もうすぐ……出口だ!)

幸い、あの化け物はまだ、私に追いついていない

今なら、なんとか学校を出られそうだ


久「はぁ、はぁ……やっと、ここまで……!」

私はぼんやりと光る昇降口の扉に手を掛けた

久「え?」

ガチャ

久「や、やだっ!やだ……開かない!!」

久「なんで? どうして…… ここまで来て……!」

ガチャ

久「どうして! 開いてよ!! あいてよおぉおおおおおお!!!!」

私は今にも泣きそうだった

ガチャ

久(どうしよう このままじゃ、またあの化け物に…… なんとか、なんとかしなくちゃ、なんとか…… なんとか……!!)


久「……そ、そうだ……!」

私はわなわなと震えながらも、必死に自分を奮い立たせ、扉に背中を預けながら傘置きの傍に寄った

そこには、私の傘が置いてあった

久「こ、これで……」

私は手探りでそれを取り上げる

そして、扉のガラスに狙いを定め、傘の柄の部分を力いっぱいに打ち下ろした

ガツ

久「うぐ……!」

強化ガラスになっているらしく、傘の柄の打ちつけた位ではヒビしか入らない

久「はぁ、はぁ……っ!! 割れろ!割れろ!!」

ガツ ガツ ガツ

私は何度も何度も、傘の柄をガラスに振り下ろす

気ばかり焦る 他にもっと効率のいい方法があるに違いないけど……

今はそれを探している暇はない

ユキコ『待ちナサ――――――い』

久「……! またこっちに来る」

ガチャ ガチャ ガチャ

久「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ!」

それでも、傘を振り下ろし続けていると……


ガチャン

久「や、やった……!!」

ドアのガラスはガシャガシャと音を立てながら飛び散った

開いた穴から、生温かい空気が流れ込んでくる

雨はまだ、しとしとと降り続いていた

久「はぁ……はぁ……、っと……」

私はガラスの破片で怪我をするのも構わずに、身をかがめ、ドアの下部分にできたその穴をくぐり抜ける

久(やった!もうすぐ外だ……!出られる……助かった!)


無我夢中で私は外に這い出た

久「え?」

その時、私の腕に何かが絡みつくような違和感を覚えた

ハッとして振り返る

するとそこには━




































ユキコ『外はいけませんよ』

真っ黒いシルエットの、ユキコさんが私の腕を掴んでいた


久「ひっ!?」

私は悲鳴を上げる

……後ろにいる気配が微塵も感じられなかった

ユキコさんは、私の左腕をごつごつした木の根っこのような指でぎりぎりと締め上げる

ぎゅ~

久「いやあぁぁぁ! な……何なのよ? 私が何をしたっていうのよ!?」

ユキコ『どこに行くの?もう少しだから待ってて?』

久「痛い!……痛い痛い!」

恐怖のあまりに、ガクガクと震える 目からは涙がでてきた

久「は、離して!!」

ユキコ『私ノかわイイ生徒サん』

ぎゅ~

だめだ、このままじゃ……

私は身をよじる

久「や、め……てっ……いたい……いたい……!!」

このままじゃ、腕が……腕が、折れる……!!

ユキコ『ず―――っと一緒にいましょうネ』

ぎゅ~

恐ろしい力で捻りあげられて、腕の筋肉がゴリゴリと潰される

今までに経験したことないような痛みが、私の思考を完全に奪い去ろうとしていた

久「あぐぁ……あッ!」


ここで奇跡が起きる

なんと、ユキコさんの手から私の腕から離れたのである

離れた瞬間、私は無我夢中で校門へ走り出した

とにかく、この人から離れたかった

時々、振り返るがユキコさんは追ってこなかった

それでも走り続けた

私は校門に着く

久「美穂子!早くここを……」

と叫ぼうとした しかし、それは出来なかった

なぜなら━

……そこに、美穂子の姿はなかったからだ


今日はここまでにします。

中盤の前半が終わったところですね

さて、ここからどうなるのでしょうか

コメント等あったらお書きください

P.S 怖くなっているかどうかが心配です

乙です
あぁ~ ホラーもの好きだからスッゴイ元ネタ調べたいけど、面白いんでネタバレ見ないようにするのがツラい…笑

引き続き更新楽しみにしてます!


帰れと言ったり外出るなと言ったりさすがユキコさん


コメントありがとうございます

>>70さんみたいな読者がいてくれてありがたいです 引き続き、頑張ります

……>>71さんのコメントで結構焦りました(汗) なぜこうなったのかは最後に話します

では、続きをお楽しみください


私は美穂子を探した

久「みほこぉおおおお、どこなのよぉおおおおおおおお!!!」

私の叫び声はもう、悲鳴に近かった

……美穂子が姿を消した 悪戯でどこかに隠れる、なんていうことをする子ではない

私は少し冷静になるために、校門を右手で思いっきり殴る

ガンッ

久「っ……!!」

右手が痛いが気にしない

私は少し落ち着きを取り戻し、考える

久「……美穂子が消えるパターンは2パターン」

久「1つは、私の帰りが遅いので学校に入ったパターン」

これが最も有力なパターン ただ忘れ物を取りに行くのに時間がかかりすぎている 心配になって校舎に入った、というもの

久「……もう1つは……」

これは、一番考えたくないパターン 美穂子があの化け物に連れ去られた、というもの

しかし、これはあり得ないと考えていいだろう

さっきの化け物は外にに出る様子がなかった 外にはいけない理由があるのだろうか? 何にせよ、外には出れないと考えていいだろう

また、この場所が荒れている様子もないことからも裏付けられる

しかし、どちらにせよ、美穂子はあの場所にいる、という事実は変わりがなさそうである


久「う……」

私はユキコさんに捻りあげられた左腕をかばう

……痛みが段々と戻ってきている

久「……また、あの場所に戻るの?」

正直に言うなら戻りたくない あんなに怖く、痛い思いをしているのに戻るなんてごめんである

私の勘も、こう、告げている ”逃げろ”と

でも、

ガッ

私の友人があの場所にいる

ザッ

生きて戻ってくる保証なんてない

でも、でも……

ダッ

私は走り出す

美穂子を、私の友人を、助けるために……


私は昇降口に着くと、周りを見わたした

久(……ユキコさんは、いない……みたいね)

私はできる限り慎重に、かつ素早く行動をする

1階……いない

2階……いない

3階に行き、廊下を歩く

久「美穂子……」

私は美穂子が襲われていないかだけが心配だった

久(美穂子はきっと大丈夫……きっと……)

そう思いながら教室を一つずつ調べていく

渡り廊下を歩いていると前から足音が聞こえてきた

コツ コツ コツ コツ

久「……!!」

私は身構える

……来るのは天使(美穂子)か、それとも悪魔(ユキコ)か……


美穂子「上埜さん!!」

……美穂子だった 運はこちらの味方らしい

美穂子「上埜さん、どこにいたんですか? 探したんですよ!」

久「美穂子……」

美穂子が生きている そのことが確認できたからなのか、私の目から涙が出てきた

美穂子「……上埜さん? どうかしたんですか?」

久「ん……なんでも……ない」グスン

涙がどんどん溢れてくる

その時だった

ユキコ『ヴウウウウウゥゥゥゥゥ……』

後ろから唸り声が聞こえてきた

久・美穂子「……!!」

私はハッとする

美穂子「い、いまの……」

久「美穂子、走るわよ!」

私は美穂子の腕を掴み、走り出す

美穂子「ふぇ、あっ……」

そして、私たちは近くの教室に逃げ込んだ


美穂子「はぁ、はぁ……あれは……なんなんですか……」

久「はぁ、はぁ……分からない……わ」

手を放すと、私はそのままその場に崩れ落ちた

美穂子「上埜さん!?……そうしたんですか!?」

久「……いや、ちょっと、ね」

誤魔化したつもりだったが、美穂子は、

美穂子「……」ボロボロ

大粒の涙を流していた

久「みほ……あっ……」

美穂子「……」

美穂子は何も言わず、私のことを抱きしめた

久「っ……!!」

美穂子「え……あ、ご、ごめんなさい……! も、もしかして、腕、ケガしてるんですか?」

久「……ええ、左腕をちょっと、ね」

私はズキズキと疼く左腕をそっと手で庇う

美穂子「ちょっと見せてください」

そういって美穂子は私の袖を丁寧に捲り上げる

美穂子「……!!」

美穂子は絶句していた


>>77訂正

× 美穂子「上埜さん!?……そうしたんですか!?」

○ 美穂子「上埜さん!?……どうしたんですか!?」

申し訳ないです


美穂子「これ……どう、したんですか?……」

美穂子はそう、聞いてきた

私は美穂子に今までのことを簡単に話した 外に出たことはあえて口に出さなかった 言うと『私のせいでまたこんなところに……』と言って責任を感じてしまうと思ったからである

久「……というわけよ」

美穂子「そう、だったんですか……」

美穂子は暗い顔をする

そして、

美穂子「……あまり、無理、しないでください……」

と今度は左腕に触れないように私の体を抱きしめた

久「……うん」

私は、そう返事をするしかなかった


久「……そろそろ行きましょう」

美穂子「……そうですね」

美穂子はハグをやめて、立ち上がる

続けて私も立ち上ろうとすると、

美穂子「上埜さん」スッ

と言って手を差し伸べてくれた

久「ありがとう」

そう言って、私は差し伸べられた手を掴んで立ち上がる

私はスカートについたホコリをはらう

久「……」

美穂子「……」

場に緊張と静寂が満ちる

久「……き、きっとすぐに出られるわよ」

美穂子「……そ、そうですよね」

私たちはわざと明るい声を出す

……私たちは薄々気がついていた

こんなことをしていないと、正気を保てないということを……


久「あ……美穂子」

美穂子「はい?」

久「……カバン、ありがとう」

と言って、自分のカバンを取る

美穂子「え……あ、はい……どう、いたしまして……」

と美穂子は返事をした 若干照れているのは気のせいなのか……

私たちは、廊下を確認して教室を出る そして近くの階段に向かう

すると━

ユキコ『待っテイマしたよ』

久・美穂子「……!!」

久「美穂子!!」

私はケガをしている左腕を、無理矢理動かして美穂子の腕を掴み、来た道と逆方向にある階段を目指す

美穂子「上埜さん!!」

久「いいから!!」

たぶん、美穂子は私の腕を気にしているんだろうが、今はどうでもよかった

ユキコ『待ちナサーイ』

……後ろからユキコさんが迫る


しかし、二人で走っているせいか、私たちとユキコさんとの差はみるみる縮まっていった

久「……! これじゃあ」

私は、後ろを振り返りつつ走る

……これでは、捕まるのも時間の問題だ

私は頭をフル回転させる ユキコから逃げる方法を……

……そして辿り着く、1つの方法

それは━

久「美穂子、先に逃げて!!」

……自分が足止めをして美穂子を先に逃がし、自分はユキコの隙をつくり、逃げるというものである

正直、これしか思いつかない!

私は足を止めた すると美穂子も足を止めた

美穂子「え……」

久「いいから!!」

私は美穂子には悪いと思いつつ、背中を押す

すると、美穂子は走り出した

美穂子が走るのを見て振り返ると、もう近くにユキコさんがいた

久「くっ……」

恐怖で押しつぶされそうになるのを必死で堪える

久(逃げちゃダメ、ここで足止めをする!!)

私は決意を固めた


久「ユキコ先生!!」

そう叫ぶと、ユキコさんは止まった

ユキコ『お前は、私を知っているのか……?』

久「知ってるわよ! あなたは昔、つばさ小で見回りの途中、事故で死んだこともね!!」

ユキコ『……』

ユキコさんは黙った

久(よし、この隙に……)

ユキコ『そのコトヲ……』

久「え……」

ユキコ『そのコトヲ、思いダサセるな―――――――!!!!』

ドンッと私は床にたたきつけられた

久「くう……」

美穂子「上埜さぁぁぁぁん!!」

近くにいたのか、かけ戻ってくる彼女の声が響く

久(……美穂子!!!!!!)

私は心の中で何度も叫んだ

久(……戻って、きちゃ、ダメ……)

私はもうダメかもしれない でも、美穂子が無事なら……

目の前にユキコさんが迫る 殺される……!

そう思った

その時……


?「……そこまでやで、ユキコ先生!!」

不意に柔らかな光が降り注ぐ

ユキコ『……っ、ヴヴヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……』

久「……この声、園城寺さん?」

怜「せやで ……それよりも、早く出てこれへんでごめんな ……ここからはウチがなんとかするわ」

小さい園城寺さんはそう言うと、桃をとりだした

怜「覚悟してな、ユキコ先生」

そう言うと、桃から白い光があふれだす

ユキコ『オオォォォォオオオォォォォオオ――――――――!!』

黒い影が突進し、激しい音とともに、白い光と黒い影ははじけ飛んだ


黒い影が消えると、小さい園城寺さんは消えてしまった

久「う……けほ、けほ……」

ユキコさんの霊はいつの間にか消えてしまい、

消えていた明かりが点き、あたりは雨の音だけが鳴り響いていた

……まさか園城寺さん

このために膝枕しろって言ったの……?

そんな事を考えていると視界が明暗する

首を絞められたせいで、意識が朦朧としているようだ

美穂子「う、上埜さん!上埜さん!?」

久「っ……み、ほこ?」

美穂子「……なんで、あんな無茶を……」

美穂子は大粒の涙をこぼす

久「ご、めん、でも……」

でも、それでも、美穂子を守りたかった

私はすべてを言い終えることもなく、そのままふいっと意識を失った


━ひどく長い夢を見ていた気がする━

「……のさん」

「……えのさん」

美穂子「上埜さん!」

久「……ん?」

美穂子「!!……上埜さん……よかった……」

と言って美穂子は泣き始める

久「……こ、こは?」

保健室の先生「保健室よ」

久「ほ……けん、しつ?」

白いベット、白いカーテン…… 確かに保健室のようである

久「……あれ? なんで、保健室に……?」

と言って思い出す

そういえば、ユキコさんが消えた後、気を失って……


美穂子「もう、心配したんですよ いつまでも来ないので、仕方がなく校舎に入ったら昇降口で倒れていて……」

久「……昇降口!?」

私が気を失ったのは3階の廊下である 決して昇降口ではない

保健室の先生「それで、この子が保健室まで来て、知らせてくれたのよ よかったわね、私、もうすぐ帰るところだったのよ」

久「え……え!?」

頭の中が混乱する

久「え……じ、じゃあ、ユキコさんは?」

美穂子「ユキコさん?……誰ですか、それ?」

一瞬、美穂子の目が鋭くなった気がした

久「そうよ、あと、左腕……」

私はケガをした左腕を触る

しかし━

久「……痛く、ない!?」

美穂子「……? 左腕が、どうかしたんですか?」

久「え、い、いや、別に……」

美穂子「……?そうですか……」

美穂子に心配された

久「……じゃあ、お守りと封筒は……」

そう言って私はスカートのポケットを探る

久「……!!ある!」

お守りはあった しかし、封筒がなかった

美穂子「封筒ならここです」

と言う美穂子の手には封筒が握られていた

久「……てことは……」

教室には行ったことになる

……私の頭はさらに混乱してしまった


美穂子「……もしかして、夢と混同しているんじゃ……」

久「え!?」

あんなに怖い目にあったのに、夢落ちでした、なんていくらなんでもひどすぎる

美穂子「寝ている間、結構うなされていましたし……」

久「……」

……私が見ていたのは夢だったのか? いや、そんな訳がない あの時、五感はすべて機能していたし……

じゃあ、美穂子と先生が口裏を合わせているのか……? でも、口裏を合わせる意味が分からない……

美穂子「……あのー、上埜さん?」

久「……ふぇ、な、なに?」

美穂子「えっと……寝ている間、寝汗をたくさんかいていたので、これを……」

と言って美穂子は水筒を取り出し、私に差し出した

久「え……あ、ありがとう」

正直、喉が渇いていたので助かった

久「……!?これって……」

美穂子「はい、リンゴ酢です」

前に美穂子にこれを薦めたところ、結構気に入ってくれたのか、作り方まで聞いてきたことがあった 結構前に教えたのだが、今でも作っているみたいだ

久「……はぁ」

リンゴ酢を飲んだら少し気分が落ち着いた もう、なんだか色々とどうでもよくなった


美穂子「……えっと、上埜さん」

久「ん?」

美穂子が何か言いづらそうな顔をしていた

美穂子「……今日、大丈夫ですか?」

久「え、何が……」

美穂子「……入試です」

久「……あ」

そういえば今日は入試だった 私は慌てて時計を見る

……午前5時を指していた

久「……」ハァ

私はため息をついた

……今日の入試、どうしようか

正直、こんな状態で入試なんて無理 あんな目にあったのに普通にできるほうがおかしい

しかし、それを言ったところで美穂子は私を引き留めるだろう

……私は答えあぐねていた

どうしたらいいのだろうか……


すると

美穂子「上埜さん、これを……」

と、美穂子は私に封筒を差し出した

美穂子「えっと……ごめんなさい これ、誰のか分からなくて中を見てしまったんです……」

と申し訳なさそうにしていた

私はそれを受け取った

……そういえば、まこは昨日の夜か今日の朝に読めって言ってたっけ?

そんな事を思いながら、私は封筒の中から手紙を取り出して読む

すると━


咲『部長、頑張ってきてください 部長なら大丈夫ですよ』

和『部長、私たちは部室から応援してますから、今までの努力を信じて頑張ってください 部長なら大丈夫ですよ』

優希『部長なら、余裕で合格するじぇ』

京太郎『部長、試験頑張ってください』

まこ『部長、あんたなら平気じゃろ しっかりやってきんさい』

こう、書かれていた

久「……っ……」

涙が出てきた

私を応援してくれる仲間がいる……

私の合格を信じてやまない仲間がいる……

私なら大丈夫だろうと思ってくれる人がいる……

こんな、私に……

それなのに、それらを自分のエゴで裏切っていいのだろうか

久「……」

手に力が入り、手紙にしわが寄る

美穂子「……」

美穂子は心配そうに私のことを見ている

……私の中で結論が出た

私は涙を拭き、こう言った

久「……受ける」


美穂子「大丈夫ですか?」

と心配そうに聞いてきた

久「……うん、ありがとう」

私はお礼を言う

……美穂子がいなかったら、私は絶対に試験を受けに行っていなかっただろう

久「じゃあ、家に帰って……」

美穂子「ああ、その点は大丈夫です」

久「ふぇ?」

私は素っ頓狂な声をあげる

美穂子「えっと、実は、全部用意したんです 私が上埜さんの家に寄って、上野さんのお義母さんに事情を話したんです で、荷物なんかは全部私が持ってきました」

と言った

久「え……あ、ありがとう……」

私はお礼を言う

……さっきの会話で『お母さん』の部分が若干強調されたような気がしたが、気にしないでおくことにした

久「あ、でも、シャワーあびたいし……」

保健室の先生「それなら、私が許可するからシャワー室を使いなさい」

と、私にシャワー室のカギを渡してた

久「え、いいんですか? ありがとうございます」

と私は先生にお礼を言いつつ、鍵を受け取る

……みんなに迷惑をかけたな、と思いつつ、私たちは保健室を後にした

~~~~~~~~~~~~~~~~~~


>>92訂正

× 美穂子「えっと、実は、全部用意したんです 私が上埜さんの家に寄って、上野さんのお義母さんに事情を話したんです で、荷物なんかは全部私が持ってきました」

○ 美穂子「えっと、実は、全部用意したんです 私が上埜さんの家に寄って、上埜さんのお義母さんに事情を話したんです で、荷物なんかは全部私が持ってきました」

上野さん違いです ごめんなさい


久「……と私の話は終わりよ」

と久が話を終える

咲・和「う、ううう……」

二人で抱き合って震えている咲と和

優希「……」

顔を京太郎の背中に埋めている優希と、困惑した顔の京太郎

まこ「ふーん」

感心したようなまこ

久「……ってあれ?みんな大丈夫?」

久がそう聞くと

京太郎「大丈夫じゃないですよ!」

と京太郎の抗議

京太郎「元部長の話し方が平坦すぎて怖すぎですよ しかも、咲や和が『やめてください!!』って言ってもやめないし……」

と京太郎が言うと、咲と和はうなずく

久「え、あ、ごめんなさいね……」

と申し訳なさそうな顔をする


和「は、話をまとめると……」

と若干震え気味の和が言う

和「結局、元部長が倒れて、悪夢を見て、その日がたまたま雨の日の10月で、七不思議と被っただけじゃないですか オカルトなんてないんですよ……」

久「……確かにそうかもねぇ」

和「じゃあ……」

久「でもね……」

と久は和の言葉を遮る

久「あれ、実は本当のことだったんじゃないかって思うのよ」

和「ど、どうしてそう言えるんですか」

和は久に食いつく


久「理由は3つ 1つ目は……」

久「園城寺さん本人」

久「私が園城寺さんのお見舞いに行ったとき、何故、長野まで来て私に学校に行くなって言ったのか聞いてみたの」

久「すると、こう、返ってきた」

怜『うちはある夢をみたんや それは、清澄の部長、つまり、あんたが黒いシルエットの女の人殺される夢をな』

怜『それがあまりにもリアルやったんよ ウチが麻雀で1順先を見るように、あんたが殺される未来を見たと思ったからや』

久「これが1つ目」

久「2つ目」

久「2つ目は、園城寺さんが病院を抜け出した時にあるメモを残していった 『桃を買ってきてほしい』と」

久「それを、清水谷さんが見つけて桃を4つ、買ったそうよ」

久「でも、園城寺さんが起きて桃を食べさせようとした時、4つだった桃が2つに減っていた」

久「これが2つ目」

久「そして3つ目」

そう言うと久は左の袖をまくる

久以外「……!!!!」

そこには、青い青いあざがくっきりと残っていた

久「これが3つ目よ」


久「ま、これだけで本当かどうか分からないけど……」

と久はまとめる

久「10月の雨が降っている日の放課後、7時に学校にいちゃ、ダメよ」

そう言うと、久はみんなをまとめる

久「ほらほら、休憩は終わりよ さっさと練習しなさい!」


それから2か月後

咲「もうすっかり10月だね」

和「そうですね」

今は放課後 二人は家路をとぼとぼ歩いていた

咲「10月っていうと晴れのイメージが強いんだけどなぁ」

和「確かにそうですね」

咲「今日は雨だし……あぁ、太陽が恋しいよぉ」

和「……とか言って、晴れたら晴れたで『雨が恋しい』とか言うんじゃないですか……」

咲「あ……バレた?」アハハ

和「もう……」

二人は会話をしながら歩く

すると……

咲「……あ」

突然、咲の歩みが止まる

和「どうしたんですか?」

咲「……本、教室に忘れてきちゃった」

和「忘れ物ですか?」

咲「うん、だから先に帰ってていいよ」

和「いいえ、私もついていきます」

こうちて二人は学校に戻ることになる


咲「うわぁー暗いね」

和「もうすぐ7時ですから」

と言いながら二人は校舎に入る

咲「和ちゃんがついてきてくれてよかったよ 一人じゃ入れなかったよ」

和「え、別に、そんな……」

と顔を赤らめる和

そして二人は教室に向かう


二人は教室に入り、電気を点ける

咲は自分の机まで行き、引き出しを漁る

咲「あったー」

と咲は本を出す

和「よかったですね」

咲「うん」

そう言って咲は本を自分のカバンに入れる

二人が返ろうとしたその時━

ドシャーン

雷が近くに落ちる

咲・和「きゃあ!」

二人は悲鳴をあげる


ブツン

教室と廊下の電気がすべて消える

咲「て、停電!?」

あたりは真っ暗になる

和「う、ううう……」

和はそこにうずくまる

咲「の、和ちゃん、大丈夫だよ すぐ直るから」

和「……はい……」

咲「……!!」

咲の頭の中にある言葉がよみがえる

《久「ま、これだけで本当かどうか分からないけど……」》

《久「10月の雨が降っている日の放課後、7時に学校にいちゃ、ダメよ」》

咲(ま、まさか……)

トントン

咲・和「ひゃっ!?」

咲と和は扉のほうを見る

そこにはぼんやりとした光があった

ギギギッ

ドアが少しずつ開いていく

咲・和「……!?」

咲と和は呼吸を忘れたかのように扉を凝視する

そこには━

?『まダ残ってルの……?』

?『早ク、帰りなさい……?』

咲・和「いいぃぃいいいいいいいいやぁぁああああああああああああああああ!!!」

この後、二人はユキコさんから逃げることになるが……

それはまた別のお話

【カン】


お疲れ様でした

さて、このssいかがだったでしょうか

面白かった 怖かったと思っていただければ幸いです

さて、ネタバレですが……

元の作品は、『コープスパーティ Book of shadow』のchapter3 邂逅 から引っ張ってきました

この作品は、結構面白いので、是非、遊んで見てください

……コメントに帰れといったり……とありましたが、原作では帰れと言ってるのは園城寺さんポジションの人です 外に出るなはユキコさんポジションの人です 

そこの部分を混ぜてしまったのが原因です

まあ、詳しくは、本編をやってみてください

そして、どこを改変したなんかを見て楽しんでいただけたりするとうれしいです

……実は、最初のネタ七不思議もあるマンガから引っ張ってきています

こちらは、『高橋さんが聞いている』というマンガです

内容は……まあ、読めばわかります ギャグ一辺倒のマンガです

以上でこのssは終わりにします

付き合っていただき、ありがとうございました また、どこかであいましょう

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