アキ「8月16日」(18)

ネオ童実野シティ・夕方……

アキ「今日は本当にびっくりしたわ」

遊星「そんなにか?」

アキ「それはそうよ。いきなりガレージに集合って言われたから行って見たら中は真っ暗なんですもの」

アキ「そしたら急に四方からクラッカーでしょ? 心臓が止まるかと思ったわよ」

遊星「サプライズが目的だったからな。アキには悪いが驚いてくれたのならこちらとしては嬉しい」

遊星「何せ今日はアキの誕生日だからな」

アキ「だけど皆、良く私の誕生日知っていたわね。話した事あったかしら?」

遊星「アキが学校に復学した時、一度だけ生徒手帳を見せて貰った事があっただろう? そこに書かれていた誕生日を俺が覚えていたんだ」

アキ「たったそれだけで?」

遊星「ああ、何せ仲間の誕生日だからな。それに誕生日は大切な日だ」

遊星「その日があったからアキはこの世界に生まれて来られた。その日があったから俺はアキと会えた」

遊星「そしてその日があったから今俺はこうやってアキと並んで歩けている……だから俺はお前の誕生日にとても感謝しているよ」

アキ「…………」

遊星「どうした、アキ? 急に俯いて……それに顔が少し赤い様だが?」

アキ「……気にしないで。ただの夕日の反射だから」

アキ「それにしても今日は本当に楽しかったわ。私、こんなに楽しい誕生日は初めてかもしれないわ」

遊星「喜んで貰えたなら良かったよ」

アキ「みんなの一発芸も面白かったわ。ブルーノの皿回しとかクロウのゾラのモノマネとか」

遊星「ゾラには少し悪い気もしたがな」

アキ「まあ遊星の空中座禅だけはかなり衝撃的だったけど」

遊星「……すまない。一発芸の話は急だったからあんな事しか出来なかったんだ」

アキ「ふふっ、気にしないで。あれはあれで遊星の意外な一面が見られて面白かったから」

アキ「プレゼントもたくさん貰っちゃったわね」

遊星「それだけみんなアキの事を想っているという事だ」

アキ「まさかジャックから花束を貰えるとは思わなかったわ。ジャックの事だから自伝のDVD辺りでもくれるとばかり……」

遊星「それはさすがに偏見過ぎると思うぞ」

アキ「逆に貴方はとても貴方らしかったわね。手作りのデュエル・ディスクだなんて」

遊星「誰かにプレゼントを渡す機会はあまり無いから大分悩んだんだが……もしかして気に入らなかったか?」

アキ「まさか。ありがとう、遊星。私このデュエル・ディスク、一生大切にするわね」

遊星「一生は難しいかもしれないぞ。デュエル・ディスクにも寿命はあるからな」

アキ「そういう意味じゃ……じゃあ良いわよ。これは使わずにずっと部屋に飾ってるから」

アキ「でもこんなに盛大に祝って貰えたのなら、遊星の誕生日の時にはしっかりとお返しをしてあげないといけないわね」

遊星「そんなに気を遣わなくても良いぞ?」

アキ「駄目よ、誕生日は特別な日なんだから……ところで遊星の誕生日って何時? 私まだ聞いた事無いんだけど?」

遊星「俺の誕生日か? 7月7日だ」

アキ「へえ、七夕の日が誕生日なんてロマンチック……って7月って先月じゃない!?」

遊星「そうだな」

アキ「そうだなじゃないでしょ! 何で言わないのよ! というかもしかしてクロウやジャックも忘れていた訳、貴方の誕生日を!?」

遊星「その日は俺もクロウも仕事で忙しかったからな。ジャックも用事があったみたいだし……」

アキ「飽きれた。さっき自分で誕生日は大切な日だなんて言っておきながら自分の誕生日を忘れてたなんて」

遊星「どうも俺は昔から自分の事になると無頓着な部分があるみたいだ」

アキ「まあ遊星らしいと言えばらしいけど……いいわ。今度の休みに遊星の誕生日会をしましょう。連絡は私からしておくから」

遊星「別にもう誕生日は過ぎているんだから無理にしなくて……」

アキ「過ぎていてもやらないと駄目よ。それと来年は絶対に当日にやるから。遊星も忘れないでよ? いいわね?」

遊星「何だか今日のアキは強引だな」

アキ「この辺りで良いわよ」

遊星「荷物重いだろう? せめて家の前まで送るよ」

アキ「大丈夫よ。送ってくれてありがとう、遊星。今日は本当に楽しかったわ」

遊星「そうか。なら最後に何かして欲しい事はあるか?」

アキ「え?」

遊星「せっかくのアキの誕生日なんだ。最後にもう1つくらい何かしてあげたいと思う」

遊星「俺に出来る事なら何でもするよ。遠慮せずに言ってくれ」

アキ「遊星にして欲しい事?」

遊星「ああ」

アキ「遊星に出来る事なら何でも?」

遊星「そうだ」

アキ「…………」

遊星「…………」

アキ「…………」

遊星「……アキ、また顔が赤くなっているみたいだが大丈夫か? もしかして体調が悪いのか?」

アキ「……何でもないから。遊星の気のせいだから。それと変な事なんて何も考えてないから」

アキ「だけどその……急に何でもしてくれると言われても……」

遊星「ああ、確かに急過ぎたかもしれないな。まあ今すぐに言わなくてもいい」

遊星「何か思いついたら何時でも言ってくれ」

アキ「そ、そう」

遊星「じゃあ俺はここで。またな、アキ」

アキ「あ、ちょ……ま、待って、遊星!!」

遊星「アキ?」←袖を掴まれた

アキ「その……本当に何でも言って良いの?」

遊星「ああ」

アキ「じゃあ……1つだけお願いがあるんだけど」

遊星「何だ?」

アキ「えっと、この近くに夕焼けの綺麗な高台があるの。学校でも色々話題になってて……」

アキ「それで、その、今からその高台まで付き合ってくれると嬉しいんだけど……」

遊星「それは構わないが大丈夫なのか? 家で家族ともお祝いをするんだろ? あんまり遅くなるのは……」

アキ「家にはちゃんと連絡するし、そんなに長い間居なくてもいいの。ただ……」

遊星「ただ?」

アキ「今日みたいな特別な日に……特別な日だからこそ、遊星と一緒にその景色を見たいの」

遊星「…………」

アキ「駄目、かしら?」

遊星「……駄目じゃないさ」

アキ「遊星……」

遊星「なら早く行こう。あまり遅いと日が沈んでしまう」

アキ「そうね。時間も無いしすぐ行きましょう」

遊星「噂の景色がどんなものか楽しみだな……アキ」

アキ「何、遊星?」

遊星「改めて誕生日おめでとう」

アキ「貴方も1ヵ月遅れだけど……誕生日おめでとう、遊星」

<HAPPY BIRTHDAY>

読んでくれた人、ありがとうございました。

誕生日はあくまで漫画版の設定でありアニメも同じなのかは分かりませんが、細かい部分は気にしないで頂けると幸いです。

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