アルミン「告白は明日」(68)



#1 アルミンの回想

カリカリカリ

アルミン「……明日か」

・・・

アルミン(後、2週間か……)カリカリ

ミカサ「アルミン、おはよう」

アルミン「! あ、ああ。ミカサ、おはよう」パタン

ミカサ「ごめんなさい、驚かせてしまった? ……なにか書いていたの?」

アルミン「う、ううん、別に……!」

ミカサ「……? ……アルミンはいつも早起きね。今日は休日なのに」

アルミン「ああ、うん。僕はこうしてる方が調子がいいんだ」

ガチャ

ゾロゾロ……

アルミン「あ。みんな、おはよう」

ミカサ「おはよう」

オハヨー オハヨウ オウ

エレン「アルミン、ミカサ、おはよう」

ミカサ「おはようエレン」

エレン「二人でなにしてたんだ?」

アルミン「ううん別に。僕らも今起きてきたところ」ササ

ミカサ「ええ。ごはんも今から」

エレン「そっか。じゃ、俺パンとってくるよ。座っとけよ」

アルミン「いいのかい? ありがとう」

エレン「ああ。アルミン、なんか勉強してたんだろ?」

アルミン「え。ああ、こ、このノートは大したことは書いてないから……」

エレン「そう言われるとなんか気になるな……」

ジャン「よう。アルミンのノートが大したことないか。じゃあコニーのノートは落書き帳ってことになっちまうな……な、コニー」

コニー「な、なんで俺がハゲの偉人にカツラ落書きしたの知ってんだ!?」ギク

アルミン「ジャン、コニー……おはよう」

ジャン「ああ」

コニー「おはよう……なあジャン、そのことは黙っててくれ。前に同じことしたのキース教官に見つかってなぜかいつもの倍走らされたんだよ!」

サシャ「コニー……なんてことでしょう、聞いてしまいました」

コニー「!? サシャ……」

サシャ「黙ってて欲しかったらスープを一口……」

ライナー「サシャ、コニーは昨日夕飯抜かれてるんだ。どうしても欲しければ俺かベルトルトのにしろ。
     俺たちは多少筋肉が減っても問題ないからな」

ベルトルト「……!?」

サシャ・コニー「ら、ライナー……!」

ライナー「ただし俺たちの筋肉が減ったら、もう腕にぶらさがって回転するヤツも肩車もできないぜ……」

サシャ「くっ、それは……! ……仕方ない、それは我慢します。スープをください」

コニー「そっちかよ!」

エレン「ミカサ、アルミン。はい、パン」

ミカサ「ありがとう」

アルミン「う、うん。ありがとう」

エレン「それで、ノートにはなに書いてたんだよ、アルミン」

アルミン「……実は教官名簿のキース教官に髭を生やしていたんだ」ペラ

コニー「なっ なんで 髭なんだよ!!」

ジャン「ばっかおまえ、それ、……余計に目立ってんじゃねーか……!!」

サシャ「うっふふふふ……! あ、く、クリスタユミルアニ、見てくださいコレ、落書き……!」

クリスタ「ちょ、ちょっと……ダメだよ落書きなんっふふふふうッ」

エレン「うーん……アルミン、ちょっと足りないんじゃないか? 俺の父さんはこれくらい生えてたぜ」カキカキ

ジャン「おまえっそれじゃ鼻毛じゃねえーか!!」

コニー「もうなんなんだよコイツ!!」

アニ「貴様は何者だ」

クリスタ「んふふうッ」

サシャ「うっふふふふッ」

ライナー「……オーイ、教官が来ても知らんぞ」

ベルトルト「……」

マルコ(僕もアルミンの見て笑ったから何も言えない……)

ユミル(子供っておもしれえなあ……)


#2 乗馬

ジャン「おまえら、今日はなんか予定あんの?」

コニー「俺は見晴らしいい山のほうで身体動かそうかなあ」

エレン「天気いいもんな。俺もそうするかな……」

ライナー「俺は今日は筋トレしたら勉強だな」

ベルトルト「僕も……」

アルミン「僕も部屋で勉強するよ」

マルコ「僕も。資料を借りてきたから」

ジャン「ふーん。勉強組のが多いのか、俺もそうするかな。10月の考査も割と近いし」

コニー「え、まだ先だろ?」

ジャン「先月のおまえのモノマネしてやるよ……『もっと早くやっとけばよかった』!」

コニー「そ、そんなこと……! ……言ったな……」


サシャ「クリスタ、今日の午前中は乗馬の自主練習をするんですよね? わたしもいいですか?」

クリスタ「もちろん! いっしょにやろう」

サシャ「はい! 馬を繋ぐロープを借りときますね。それで……ちょっと、クリスタにお手本見せて欲しいんですけど。
    わたし、騎乗中のバランスが悪いみたいで」

クリスタ「わたしでよければ。サシャのもよく見てあげるわ、騎乗中はしっかり腰を使うことが大事なの」

サシャ「お願いします! クリスタは乗馬がすごく上手ですもんね」

ライナー「俺も見晴らしいのいい山へ行くことにした」

ベルトルト「……僕も」

ジャン「奇遇だな。俺もだ」

マルコ「恥を知れよ……」

アルミン「?」


コニー「……でさあ、山の上にいい感じの木があるんだよ!」ワイワイ

エレン「へえー! そこでそのブランコって道具が作れる訳か!」ワイワイ

クリスタ「じゃあ早速行こう、サシャ」

サシャ「はい!」

ユミル「……クリスタ、サシャ。残念だがおまえたちの馬はアルパカになった」ガシ

クリスタ「ならないよ!?」

サシャ「??」

#3 読書

アルミン「マルコ、僕も資料を借りてくる。アレがないと困るよね?」

マルコ「こマルコまる……。うん、わかった。先に戻ってるよ」

ガラ

アルミン(……あ、先に使ってる人がいる。Aか)

モブA「!」ビク

アルミン「あ。脅かしてごめんねA」

モブA「アルミンか……なんだ……」ホッ

アルミン(Aって、気弱だし、立体機動装置が苦手だからか、よくからかわれてるんだよな。
     今日も一人になりたくて資料室にいるのかも……。……)

アルミン「……ねえA、なにを読んでるんだい?」


モブA「……アルミンも、興味あるだろ?」

アルミン「なに? ……?」

『極悪 大量殺人鬼の恐怖』

モブA「フィクションだけどさ、おもしろいよ」

アルミン「……なかなかエキセントリックなんだね、君」

モブA「自分がこれにでてくる大量殺人鬼だと思うと、ゾクゾクするんだ。
    12歳の子供もでてくる。ちょうど自分たちと同い年なんだぜ」

アルミン「自分が殺人鬼って……」

モブA「僕をいじめるヤツらをこんなふうに……なんてね。君も僕と成績同じくらいだし、ちょっとわからない?」

アルミン「……」


モブA「……アルミン?」

アルミン「え? あ、イヤ。……悪いけど、僕は自分が大量殺人するなんて、考えたこともないよ。……それが絶対悪とは思わないけど」


#4 ブランコ

ジャン「はー、走った。そろそろ休憩しようぜ」

ライナー「そうだな」

エレン「やっぱ高いとこだとちょっと息があがるな」

ベルトルト「勾配もキツイしね……」

コニー「じゃああの木のとこまで行こうぜ」

タタタ……

ジャン「あー走った! もう無理だ」ドサ

エレン「いきなり止まるなよジャン、身体に悪いぜ。……俺も寝っころがりたいけど……」ゼエゼエ

コニー「俺はまだイケる」

ライナー「まあ俺も……」

ベルトルト「僕も……」

ジャン「くそ。一般人と、野生児とトップ3をいっしょにしてくれるなよ」

ライナー「トップ3か……そういえば、ミカサと走ったことがあるが、あいつは高地でも全くペースが変わらないんだ。
     どうしてかと聞いたら、空気の循環量もコントロールするんだと言っていた」

コニー「ふわー、すげえな、人じゃないみたいだ」

エレン「あいつ、なんでもかんでもコントロールするからな。腕の不思議な刺青で巨人もコントロールできる気がするとか言ってた」

ベルトルト「なんて?」

ジャン「ミカサ……そうだよミカサ。女子だよ。
    なんでクリスタとサシャの姿が見えないんだよ!? 女子の秘密の騎乗はどうしたんだよ……!
    これじゃなんのために見晴らしのいいところに来たかわかんねーよ!」

ベルトルト「まってなんて?」

コニー「あー、そういやユミルが二人に今日は裏で練習したほうがいいとか言ってたな」

ライナー「コニー……どうしてそういう最重要事項を言い忘れるんだ。おまえの悪い癖だぞ」

コニー「う……、そういや前にも教官がそんなこと言ってたな……。でも今日の最重要事項はそんなんじゃないだろ?」

ライナー「? クリスタの騎乗位が最重要事項だろ」

コニー「違うだろ。ブランコが最重要事項だぜ!」

エレン「おお! 待ってたぜコニー!」

ベルトルト「……ブランコって?」

コニー「アレ、ベルトルトたちも知らないのか」

ジャン「俺は知ってる。……はあ、おまえが運んでたロープと木の板ってそのためか」

コニー「ああ。馬に使うロープだ。頑丈だぜ。これをこの木に結ぶんだ」ヨジヨジ ギュ

ジャン「それで、この木の板の穴に通す訳か」

コニー「そうそう。で、こうやって……その木の上に立つ! そしてこぐ!」

ギシ、ギシ……

コニー「ははははは!」ビュンビュン

エレン「おお……なるほど! そうして力をかけると、前後に揺れる訳か。おもしろいな!」

ライナー「なるほど……器用なもんだな、コニー」

ジャン「あんまりやると壊れるぞ。コニー」

コニー「はははははは、気持ちいいな! 大丈夫だよ、ジャンもやるか?」

ジャン「……。まあ、ちょっとやってみるか」

エレン「な、なあ、俺も乗りたい」

ジャン「残念だったな。俺が先だ」

コニー「じゃあ、エレンは座れよ。二人でもできるんだぜ」

エレン「座る? こうか」

ジャン「えー……まあいいか」

ギシ、ギシ……

エレン・ジャン「はははははは!」ビュンビュン

ライナー「すごいな。あんなに早く扱げるのか」

ベルトルト「……」

エレン「はははは、はは……。くそ、楽しすぎてジャンと笑い合っちゃったじゃねーか」サッ

ジャン「ははは……。チッ、こっちだってうっかりしてたんだよ」サッ

コニー「な、おもしろいだろ!? ライナーたちも乗る?」


ライナー「いいのか? じゃあ乗ってみるよ」

ベルトルト「う、うん」

ギシ、ギシ…… 

ライナー・ベルトルト「はははははは! ……あーーーー!!」ビュンビュン ボキッ!!! ……ヒュウウ

3人「あーーーー!!!」

コニー「……枝が折れて飛んでっちまった」

バキボキ ドサッ

ライナー「いったたた……ん?」

パカパカ

クリスタ「ど、どうしたの? 大丈夫!?」

ライナー「ああ、まったく平気だ」(結婚しよ)

サシャ「ユミルー! たいへんです! 空から男の子が降ってきました!」

ユミル「なんで山から落下して元気なんだろうなあ……」

#5 相談

マルコ「ふう……」

アルミン「マルコ、終わった?」

マルコ「ひと段落かな。アルミンは?」

アルミン「僕も、ざっと……。読み返してるところだったんだけど、少し休憩しようか」

マルコ「そうだね。……。あのさ、嫌だったら答えなくていいんだけれど」

アルミン「うん?」

マルコ「朝、ミカサたちからノートを隠してた理由って……、落書きしてたからってだけなのかい?」

アルミン「……」

マルコ「イヤ、アルミンがなんで親しいミカサとエレンに落書きを隠そうとするのか、ちょっと疑問でさ。
    ……実は、朝食当番だったから、朝ミカサと話してるのもちょっと聞いちゃって」

アルミン「そっか。……うーん、マルコは観察力があるよね。さすがだよ」

マルコ「なにかあったの?」

アルミン「大したことじゃないんだ。……僕、好きな人に告白すべきか迷っていてね」

マルコ「……じゃあ、ノートに書いてたのはラブレターとか?」

アルミン「というか……その悩みを書き連ねてたっていうか……あれは日記みたいなものなんだ」

マルコ「そうだったんだ……」



アルミン「これは自分自身で決めることだから、誰にも言ってなかったんだけど。
     
     そういう訳だから、大したことがあるんじゃないよ」

マルコ「わかった……、話してくれてありがとう。ごめんね僕の好奇心なんかのために。
    勿論誰にも言わないから」

アルミン「あ、ううん。僕もちょっと話したかったんだ。後2週間で告白するかどうかを
     決めたいから……。そのことばかり考えてしまっていて」

マルコ「アルミン……考えすぎてはいけないよ。尋ねといてなんだけれど、もしも話したいことがあったら、
    いつでも話を聞くからね」ギュッ

アルミン「……ありがとう、マルコ」

アルミン(……マルコはとても信頼できる人だ。だけど、マルコという、かつては
     伊系という人種に多いとされている名前を持つ彼は、割とスキンシップ多可で
     ちょっと恥ずかしいこともさらっと言ってしまう……と最近わかった)

マルコ「僕は君を良い友達だと思っているから」ギュ

アルミン「う、うん……僕もマルコのことが好きだよ」

ガチャ

コニー「ただいま~」

ライナー「ただいま……ほう」

ベルトルト「……」

エレン「よう。なんだよアルミン、俺もマルコのことは好きだぜ!」

アルミン「……う、うん」

アルミン(でもマルコが暴走すると突っ込み人口が急に減ってこういう感じに……、あれ?)

アルミン「ジャンは?」

エレン「あれ? 先に来てたと思ったけど」

マルコ「え……。……! 僕、ちょっと行ってくる」

アルミン「? うん……」

タタ……


ジャン「……」

マルコ「ジャン」

ジャン「! あ、ああ。なんだよマルコ」

マルコ「もしかして、おまえ、さっきなにか……」

ジャン「い、イヤ、別に……。……」

マルコ「……立ち聞きはよくないぞ……」

ジャン「う……聞こえちまったんだよ。……なあ、」

マルコ「……」

ジャン「……アルミンってミカサが好きなのかな?」


マルコ「……」

ジャン「おまえにアッサリ話して、ミカサに必死で隠すってことはつまり……」

マルコ「……さあ。でもそれはおまえに関係ないぞ」

ジャン「あ、ああ。そりゃあ……そうだよな……。わかってるって。ちょっと驚いただけだ、もどるよ」

……タタタ

ユミル「ようサシャ。あ? ……マルコとジャンが思いつめた顔して二人で好きとかどうとか言ってた?
    そりゃあホモだよ。若いうちには多いんだ。ほかの子にも聞いてみな」

クリスタ「ユミル。ユミル!」

#6 予定

1週間後

アルミン「ふわあ……おはよう、みんな」

エレン「よう。先に食べちゃってたぜ」

ミカサ「休日でもあなたが寝坊なんて珍しい……大丈夫?」

アルミン「うん、ちょっと考え事してただけ……」

エレン「おまえ最近寝不足みたいだしな。ほどほどにしとけよ?」

アルミン「ああ、大丈夫」カタン

コニー「後1週間か……なんにすっかなー」

アルミン「? なにが後1週間なんだい?」

コニー「え。あ、いや。別に……」

ジャン「コイツの特別課題の提出期限だよ」

コニー「そ、そう! そうなんだよアルミン」

アルミン「ああ……そういえばそう言っていたっけ。進みが悪いのかい?」

コニー「え? ……本当にあったっけ?」

アルミン「え?」

ジャン「ああ……、アルミン、気にするな。コイツまだ寝てんだ」バシッ

エレン「アルミン! 今日は俺と勉強しようぜ」

アルミン「うん、いいけれど。なにか勉強したいところがあるのかい?」

エレン「考査の準備でちょっとさ」

ミカサ「二人が勉強するなら、わたしもしたい」

エレン「ああ、やろう! いいよなアルミン」

アルミン「うん。もちろんだよ!」

ライナー「さて、そろそろ行くか」ガタ

ベルトルト「うん」ガタ

アルミン「みんなは今日はなにするんだい?」

ライナー「ちょっと街に出てくる。すぐ戻るけどな」

ベルトルト「うん」

アルミン「そう……もうすぐ考査が近いのに、出かけるってなんだか珍しいね」

ライナー「アルミン、青春っていうのは一瞬だぜ。勉強だけじゃだめだ。やりたいことやっとかねえと。な?」ガシ

ベルトルト「うん。……うん?」

ジャン「俺たちもいこうぜ」

マルコ「うん」

コニー「サシャー。行こうぜ」

サシャ「はーい」

アルミン「あれ……今日はみんなお出かけか。なにかあるの?」

ユミル「だから、深い理由なんてないって。人生は一度だって言ってるだろ。ヤりたい子とヤったもん勝ちだぜ」

クリスタ「ユミル」グイ

アルミン「……人生は一度……やったもん勝ち……」

ミカサ「アルミン?」

アルミン「あ、イヤ。み、ミカサはいいの? 出かけなくて」

ミカサ「? わたしはアルミンとエレンと勉強がしたいと、さっき言ったでしょう」

エレン「どうかしたのか? なんか最近変だぜアルミン」

アルミン「そ、そんなことないって」パクパク

ミーナ「や。ミカサは今日どうする?」

ミカサ「ミーナ。エレンとアルミンと勉強する」

ミーナ「そっか。3人って、いつも仲良しでいいよね」

ミカサ「そ、そう?」テレ

エレン「なんだよ仲良しって。なんか子供みたいだな」ハハ

アルミン「……。そうだね」

#7 買い物

カランカラン

ライナー「よう、待たせたな」

ベルトルト「ううん。決まったのか?」

ライナー「まあ、こういうのは直感だろ」

ベルトルト「そういえば……君、子供の頃、僕に色々くれたけど……」

ライナー「おう」

ベルトルト「セミの抜け殻100個とか」

ライナー「ああ、あのときは集めるのにはまっていてな。暇さえあれば探していた。
     どこかで、たくさん集めると幸運になれるって聞いてな。
     で、集めすぎていよいよ置き場所がどうしようもなくなって、アニにそこまであると
     さすがに気持ち悪いと言われたからおまえに半分あげたんだ」

ベルトルト「ビン入りの固まった牛乳」

ライナー「ああ……遠征するとき好きな牛乳持って行ったらいつの間にかチーズみたいになっていてな。
     おまえが冷たい牛乳飲むとお腹壊すから飲めないって悩んでたの思い出して、
     こうなったらイケるだろうと思ってあげたんだったな。
     いっしょに食べて二人で寝込んだんだ。ものすごく怒られたな。

     反省してちゃんと安全なチーズを作れるように寝る間を惜しんで研究して
     牛乳からちゃんとしたチーズを作れるようになったけど、
     すぐにおまえがお腹丈夫になったから全く役立たないスキルだったな」

ベルトルト「手染めのハンカチ」

ライナー「ああ。アニが青いハンカチ欲しがってるからあげたいっておまえが相談してきたんだよな。
     そういうのは高いからな。自分で染めたんだ。試作品をあげたよな。
     そしたらなぜか拭いた俺とおまえの掌が青くなって、アニが仕方ないから拭いてくれたんだ」

ベルトルト「いろいろくれたよね……大きな魚の骨、虫が入ってたどんぐり、ポケットに入れてたら急に孵化した虫の卵……」

ライナー「他にもあるだろ……なんでそういう情けないエピソードばっかもってくるんだおまえは」

ベルトルト「なんか突っ込みたくなって印象に残ってるんだよ」

ライナー「いらねーよってか」

ベルトルト「今も全部持ってるに決まってるじゃないか……」

ライナー「……おまえのそういうちょっと気持ち悪いところ俺は好きだぜ」

ベルトルト「ありがとう」

・・

本屋

マルコ「なんにしようか?」

ジャン「おまえのが詳しいだろ……お、見ろよ」

マルコ「え? ……!」

”カンノウコーナー”

マルコ「あのな……あれは僕たちの年じゃ見てはいけないもので」

ジャン「ほら、これとかお前の好きな女の子に似てるだろ?」

マルコ「や、やめろって……、だいたい、好きな女の子なんていないって!」

ジャン「チッ……。「似てない!」とか言わないかカマかけたのに」ペラペラ

マルコ「おまえな……っておい、めくっちゃだめだって!」

ジャン「しー! 大丈夫だよここ死角だし」

マルコ「そういう問題じゃない!」バッ

ジャン「おっと、渡さないぜ」サッ

マルコ「ぼ、僕が欲しいんじゃない! 読むのをやめろって言ってるんだ!」グイ

ジャン「よっと、聞こえないなあ。……うぐっ」

マルコ「よ、よし。捕まえたぞジャン……、!」

ジャン「見ろよマルコ、巨乳」チラッ

マルコ「そんなもの見ちゃだめだって言ってるだろー!」カオカクス

ジャン「なんだよ! 見たいくせに! 素直になれよー!」ガバ

マルコ「やめろ! 見せようとするなー! わっ」

ジャン「捕まえたぜ! 観念しろ! ははははは! ……」

店主「……」

マルコ「……」

ジャン「……」タナニモドス

マルコ「恥を知れよ……」

店主「売ってもいいよ」フッ

ジャン・マルコ「!」

#8 相談2

アルミン「マルコ、今いいかい?」

マルコ「うん? いいよ、なにかな」

アルミン「……好きな人のことなんだけど」

マルコ「そうか、先週、あと2週間で告白するか決めるって言ってたよね。
    あと1週間か」

アルミン「うん。僕の正直な気持ちとしては言いたいんだけど。
     はあ……僕は卑怯なんだ。そもそも、後1週間で告白するか決めるっていう理由も……」

マルコ「理由も?」

アルミン「12歳のうちなら、まだ子供の頃のこととして、後から笑い話にできると思うからなんだ」

マルコ「……」

アルミン「つまり……僕はその人との関係を切る勇気はないくせして、もしも両思いだったらって、
     ほぼありえないのに、期待して。卑怯だし、馬鹿なんだよ」

マルコ「アルミンがその人を愛していることは悪いことじゃないよ。むしろ素晴らしいことだ。
    悩むだろうけど、自分を卑下しないでね」

アルミン「うん。はは、情けないよね」

マルコ「情けなくないさ。思いやりに溢れたアルミンは、人間味があって、とても素敵だよ」

アルミン「人間味っていうか……みっともないじゃないか」

マルコ「みっともなくもない。……こう言っていると、ひたすらアルミンを肯定して、
    下手くそな励ましをしているようだけど。僕は嘘はついていないからね。
    
    今のアルミンを見てもらえば、相手の気持ちが変わることもあるかもしれないとすら思うよ」


アルミン「そうかな」

マルコ「そうだよ。でも、もちろん、告白をしないことも選択だと思う。それなら、アルミンはとても友達思いだ。
    それで苦しい思いをしないかは……、はは、勝手だけど、心配ではあるんだけど」

アルミン「はは、本当にありがとう、マルコ。元気がでたよ。
     自分であと6日、告白するかしないか考えてみる。どちらにしても、悪くないと思えてきたしね」

マルコ「ああ、それがいいよ」

アルミン(マルコの恥ずかしいことを平気でいう気質が、今日ばかりはありがたいや)

#9 アルミンの回想2

6日後

アルミン「後1日……」

アルミン「どうしよう。僕は告白すべきか、しないべきか」

安価
>>40アルミンは告白するか

しようず

ID変わったけど>>1です

アルミン「告白しよう」
*
アルミン「みんな言ってたけど、一度きりの人生だ……、訓練が始まって半年、これからもっと忙しくなったら、
     ますます恋愛どころじゃないだろうし……」
*
アルミン「当たって砕けろだ。やってやる!」
*
タタタ
*
アルミン「ああ……ちょうど一人だね。あのさ。言いたいことがあるんだ。
*
     エレン」

エレン「ああ。どうしたんだよ」
*
アルミン「エレン、僕は君が好きだ。愛している。結婚したいんだ。
     ……返事をくれ」
*
>>42エレンははいというかいいえというか

はい

エレン「……はい」
*
アルミン「……本当に? 意味、わかってるの?」
*
エレン「ああ……。おまえと外の世界を見に行こうって決めて、俺の世界は開けたんだ。
    そんなおまえに感謝してるし、今でも、おまえといっしょに外の世界へ行くことが目的なのは変わってない。
    今は、巨人を駆逐して……っていうのがあるんだけどな。最終目的は同じだ。
だから、一生おまえといたいと思ってる。
*
それに……俺のこと、一番わかってくれるのって、お前だと思うんだ」

アルミン「ミカサは?」
*
エレン「ミカサのことも大事だよ。でもミカサは家族だからな……姉妹みたいな感じなんだ。
    
    おまえへの気持ちと、ミカサへの気持ちは全く違う」
*
アルミン「じゃあ、ハグしてくれるか?」
*
エレン「……」ギュ
*
アルミン「……」ギュ
*
エレン「うれしいぜ、アルミン」ギュ
*
アルミン「僕も。このこと、ミカサ以外には秘密にしようね」

エレン「そうだな。それがいいと思うよ」
*
・・

翌日
*
エレン「アルミン、おはよう!」

アルミン「おはよう……エレン」

エレン「あのさ、ちょっと空き教室に来てくれないか?」

アルミン「えっ?」ドキ

アルミン(ど……どうしたんだろう、エレン……)ドキドキ

エレン「さ、入れよ」ガラ

アルミン「う、うん」
*
パンッパンッ パンッ

「「誕生日おめでとう、アルミン!!」」

アルミン「……!」

ミカサ「アルミン。……おめでとう」ニコ

アルミン「ミカサ……!」

マルコ「アルミン。みんな、プレゼントを用意しているんだ」

サシャ「ご馳走もありますよ……、はやく、はやく食べましょう!」
*
コニー「さ、サシャは俺が抑えるから……早くでかいやつをとるんだ、アルミン!」

*

ライナー「おまえの一年が幸せなものになるように祈ってるぜ、アルミン」

ベルトルト「プレゼントだよ」

ミーナ「アルミンー! 誕生日おめでとう! 幸せな一年を! ほら、アニも」

アニ「……どうぞ。おめでとうアルミン」

ジャン「アルミン、……おいおい、13歳にもなって泣くなよ……」

アルミン「……僕、最高に幸せだよ。みんなありがとう!」

・・・

ガチャ

ジャン「アルミン」

アルミン「ジャン……」

ジャン「眠れたか。告白の時間だ」

アルミン「ああ」

・・

アルミン「……こちらからは以上だ、エレン」

エレン「……おまえと久しぶりにあえて、まずする話がそれっていうのはさみしいな」

アルミン「エレン……」

エレン「……。おまえがそう選択したなら、俺はそれを信じる」

アルミン「……!」

エレン「おまえの選択は、いつだって正しかった。きっとそれは、この先も同じだ」

アルミン「なら、エレンも我が団の作戦に協力してくれるんだね……!」

エレン「ああ。ウォールシーナの住民を皆殺しにすれば、俺達は勝利できるんだよな」

アルミン「そうだよ。まずはなにより王政府を倒すんだ。そのためには市民の犠牲は致し方ない。そうだろう」

エレン「……正直、それは納得できないが、それは俺がまだお前のようになれてないからなんだろうな。

    俺はお前を信じる。俺の巨人で、市民を殺すよ」

数日後、ウォールシーナは壊滅。僕らは王政府に勝利し、新しい政府を置いた。

エレンは市民を殺すことは望んでなかった。それは化物のすることだと信じていたはずだ。
自分が巨人だからこそ、人間性を重んじるエレンは納得するはずない。
だから、僕はエレンの僕への想いを利用した。
恋人のためならば、エレンは自分をとても人間らしいと思い、市民を殺すことへの抵抗が小さくなるだろうと踏んだんだ。
*
結果、成功し、僕らは勝利した。
だが恋人を道具として利用した僕はもう人間じゃなく、化物同然だ。
もうエレンが恋した人はいない。

終わり

エレンがいいえと言ったら

エレン「……いいえ」

アルミン「……。そうか。そうだよね」

エレン「アルミン……おまえさ、疲れてんだよ。そんな急に……どうしたんだ? 冗談か?」

アルミン「…!……は、はは。そうだよ、冗談さ!」

エレン「……な、なんだ、冗談かよ。おどかすなよな、もう!」

アルミン「訓練半年目で、中だるみしてないかと思って、びっくりさせてやろうとしたんだ!
     まあ、心配無用だったとは思うけどね! はははは!」

エレン「……」

アルミン「はは……」

エレン「アルミン……」

アルミン「……」

エレン「ごめん……」

・・・

ガチャ

ジャン「アルミン」

アルミン「ジャン……」

ジャン「眠れたか。告白の時間だ」

アルミン「ああ」

・・

アルミン「……こちらからは以上だ、エレン」

エレン「……久しぶりに対話の機会ができたと思ったら、なんだそれ。……冗談か? アルミン」

アルミン「冗談じゃない……もうこれしかないんだ」

エレン「自分の正義のために、罪のない内地の市民を殺せっていうのかよ。そんなことできるか!
    それじゃあもう、母さん殺した化物と同じじゃんか!!」

アルミン「彼らの命を切り捨てることが、王政府の打倒につながる。
僕らが新しい政府を置けば……こちらの勝利だ。ここで選択しなきゃ、すべてが無駄になる。
     ここまで何人の命を犠牲にしてきたと思うんだ、エレン。今更だ」

エレン「おまえ、……本当に化物になっちまったのか……。自分で手を下すのと、
    犠牲になるのは、全然違うよ!」

アルミン「エレン。……返事をくれ」
*
エレン「……無理だ。いくらおまえの提案でも、それだけは……」
*
アルミン「そうか。交渉決裂だ」スッ
*
エレン「アルミン? ……!!?」ブスッ
*
アルミン「心配しないで。睡眠薬だ。ただし強力な……。巨人になにが効くか実験例がなかったから、
     数日は昏倒しているだろうけど、死にはしないよ」
*
エレン「アルミ……、馬鹿……野郎……」ガクッ
*
アルミン「……。エレンの巨人は得られなかった。だがもう時間はない。
僕たちだけでやろう」

ジャン「…ああ」

エレンの戦力を欠いた僕らは、戦力的に拮抗していた。
僕も前線で戦い、結果、僕は名も知らぬ憲兵に背中から撃たれた。
目を覚ましたエレンに、勝利はきっと渡せないだろう。僕は無駄死にだ。選択を誤った僕は、それまでの人間だったということだ。
ふと思い出したけど、自室の机の日記帳を処分していなかった。
この間、思い出していた訓練兵の日々も……エレンへの想いも、そのまま眠っている。
エレンに見られたり、するだろうか。恥ずかしいな。
でもエレンに人間の僕を覚えててもらえるなら、それはうれしい。

終わり

アルミンが告白しなかったら

アルミン「……告白しないでおこう」

アルミン「僕は二人とも好きだ。そして、エレンを介したこの3人の関係も。
     ずっと3人いっしょ……これが、正しい形なんだ」

アルミン「今のこれも、きっと熱病みたいなものだし。僕の中にしまっておこう」

・・

翌日
*
エレン「アルミン、おはよう」

アルミン「おはよう、エレン」

エレン「あのさ、ちょっと空き教室に来てくれないか?」

アルミン「え? うん」

スタスタ

エレン「さ、入れよ」ガラ

アルミン「ああ…」

パンッパンッ パンッ

「「誕生日おめでとう、アルミン!!」」
*
アルミン「……!」
*
ミカサ「アルミン、誕生日おめでとう。今年も3人で迎えられてうれしい」

マルコ「アルミン。みんな、プレゼントを用意しているんだ」

サシャ「ご馳走もありますよ……、はやく、はやく食べましょう!」

コニー「さ、サシャは俺が抑えるから……早くでかいやつをとるんだ、アルミン!」

ライナー「おまえの一年が幸せなものになるように祈ってるぜ、アルミン」

ベルトルト「プレゼントだよ」

ミーナ「アルミンー! 誕生日おめでとう! 幸せな一年を! ほら、アニも」

アニ「……どうぞ。おめでとうアルミン」

ジャン「アルミン、このプレゼントはマルコと苦労して手に入れたんだ。大事に読めよ」

アルミン「……僕、うれしいよ。みんなありがとう!」
*
・・

ガチャ

ジャン「アルミン」

アルミン「ジャン……」

ジャン「眠れたか。告白の時間だ」

アルミン「ああ」

・・

・・

アルミン「……こちらからは以上だ、エレン」

エレン「……久しぶりに対話の機会ができたと思ったら、なんだそれ。……冗談か? アルミン」

アルミン「冗談じゃない……もうこれしかないんだ」

エレン「自分の正義のために、罪のない市民を殺せっていうのかよ。そんなことできるか!
    それじゃあもう、母さん殺した化物と同じじゃんか!!」

アルミン「彼らの命を切り捨てることが、王政府の打倒につながる。
     僕らが新しい政府を置けば……こちらの勝利だ。ここで選択しなきゃ、すべてが無駄になる。
     ここまで何人の命を犠牲にしてきたと思うんだ、エレン。今更だ」

エレン「おまえ、……本当に化物になっちまったのか……。自分で手を下すのと、
    犠牲になるのは、全然違うよ!」

アルミン「エレン。……返事をくれ」

エレン「……無理だ。いくらおまえの提案でも、それだけは……」

アルミン「そうか。……交渉決裂だ」ガタ

エレン「! アルミン、待てよ!」

アルミン「彼はもうお帰りだよ」スッ

エレン「! 離せ……、アルミン、アルミン!」



エレンの巨人という戦力を欠いた僕らは、敵と戦力的に拮抗していた。
僕も前線へ出ざるを得なくなる。

アルミン(クソ……、もう少し、もう少しで……)タタタタ ハアハア

パンッ

アルミン「あ」ガクッ

アルミン(脚を……撃たれ……)ドサ

「終わりだ」チャキ

アルミン「……!」

ズシン
*
ズシンズシンズシンズシン
*
「……な、なんだこの音は !!」ズシン グチャッ

アルミン「……」

エレン巨人「……オオオ……」

アルミン「エレン」

ヒョイ

エレン巨人「ツカアレ」

アルミン「……、」

大量出血から僕の意識は途絶えた。
エレンに掴まれなかったけど、エレンは僕を連れて帰ったようだ。

選択の間違えた僕は、あそこで死ぬはずだったのに。決別したはずのエレンに命を助けられた。
ただ、僕が早くに使い物にならなくなったせいで、早々に撤退し、犠牲は最小限で済んだ。
脚をやられた僕は、もう前線にでれない。
そして指揮を誤った以上、この団の長である資格も失った。

エレン「……今も昔もおまえは親友だ。俺たちは3人でいると、一番強くなれる。いっしょに戦おう」

ミカサ「……アルミン。いっしょにいこう」テヲサシダス

アルミン「……うん」ガシ


終わり



書いたのはこれで全部です

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