サトシ(79)「ポケモンマスターじゃと?」 (38)

サトシ「おおい!お茶持ってこい!」

マサラタウンのある一軒家。サトシは縁側に面した和室で
くつろいでいた。

サトシ「こらあ!!はよう持ってこんかあ!!お茶!!」
サトシはどなった。

「はいはーい、今持って行くわー」
娘(53)が小走りで入ってきた。

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サトシ「遅い!!何度言わせるんだ!!」

娘「聞こえなかったのよ」
娘は不満顔だ。

サトシ「だあ!!ワシに口答えするな!!バカが!!」

娘「はあ」

娘が逃げるように和室を出て行き、代わりにひ孫が入ってきた。
なんと、サトシには5才になるひ孫がいるのだ!

ひ孫「じいちゃん遊んでー」

サトシ「おーよちよち、かわいいのお」
こんなサトシでもひ孫には弱い。

サトシ「何にして遊ぶのかな?」

ひ孫「ぽけもんとれーなーごっこ!」

サトシ「ポケモントレーナーごっこかあ!ポケモンは好きかあ?」

ひ孫「うん!ぽけもんますたーになるんだ!!」

サトシ「ポケモンマスターじゃと?」
笑顔が消えた。

ひ孫「うん!なりたいの!」

サトシの額に血管が浮いた。

サトシ「この…大馬鹿物めがああああああああ!!」
地響きが起こった。

ひ孫「」ビクッ

サトシ「ポケモンマスターだとおおおお!?くだらん!!
貴様はそんなくだらん夢を持っていたのかあああああ!!」

サトシはひ孫の頬を思いっきり平手打ちした。

ひ孫「いたああいいいいいいいいい!!うわあああああ!!」

サトシ「うるさああい!!泣くな馬鹿が!!!!!!」

叫び声を聞きつけ、サトシの孫娘(28)が駆けつけた。

孫娘「ちょ、ちょっとおじいちゃん!何やってるの!!」

サトシ「黙れ!!お前の育て方が悪いから、コイツが変な夢を
持つんじゃ!!」

孫娘「まだ5才じゃないの!!それに泣かせることないでしょ!」

サトシは壷を蹴飛ばした。

サトシ「うるさああい!!このろくでなしどもめ!!もう知らん!
わしは知らんぞおおおおおお!!」

サトシは奇声をあげて和室を飛び出した。
そして玄関に向かった。

サトシ(おぶ!…こ、腰が……)

サトシはゆっくりサンダルを履き、杖を取り出した。

娘「おとーさん!どこ行くのよ?」

サトシ「わしは気に食わん!!散歩に行く!!」

娘「もう歳なんだから…。興奮しすぎよ。」

サトシ「うるさい!!わしは散歩に行くんじゃ!!」

娘「遠くには行かないでよ。野生のポケモンも…」

サトシ「ええええええい!!うるさあああい!!
少しは黙れんのか!!!アホが!!!」

娘は黙った。

サトシはわめき散らしながら外に出る。

サトシ(むご…!思った以上に腰が…!)

サトシはのろのろとマサラを歩いた。

サトシ(ポケモンマスターか…)

彼も若い頃はポケモンマスターを目指した。
色々な地方を飛び回り、仲間を増やし…。

だが道半ばで挫折したのだ。

彼にとって、それは青春時代の苦い思い出である。

サトシ(まったく、馬鹿じゃった。若すぎた。)

気がつくと、彼はマサラの北端に来ていた。
目の前には草むらが広がっている。

サトシ(ちょっと…やってみるかの)

草むらに入り、先へ進む。

やせいのコラッタがあらわれた!

サトシ「ぬ!コラッタか!」

コラッタのたいあたり!
コラッタがサトシに飛びかかる!

サトシはコラッタをたたきおとした!

サトシ「この馬鹿野郎がああああ!!おらあああ!!」

サトシはコラッタをふみつけた!

コラッタはもがいている!

サトシ「わしが老人だからと油断したなあああああ!!!
なんだそのクソたいあたりはああああああ!!」

サトシはぐりぐりふみつけた!

コラッタはくるしんでいる!

サトシ「しかも不意打ちするとはなんと卑怯な!!!!
下劣極まりない!!死にさらせええええ!!」

サトシはふみつけていたあしをふりあげ

ちからのかぎりふりおろした!

きゅうしょにあたった!

コラッタはしんだ!

サトシはせんとうにしょうりした!

サトシ「へはははははははははは!!これがわしの力!!
誰もわしをとめられぬ!!へはははははははははは!!」

サトシは仁王立ちで雄叫びをあげた。

サトシはトキワシティに到着した。

サトシ(なんじゃ…ずいぶん寂しくなったじゃないか)

トキワでは10年程前に建設ラッシュが起こった。
ジョウト地方でカントーブームが起こり、多くの人が
訪れるからである。

しかしブームはすぐに過ぎ去り、トキワのショッピングタウン
では閑古鳥が鳴いている。

住民は高齢化し、無人化した家屋があちこちに残されている。

サトシは足早にトキワを抜けた。
2番道路に入る。

ポッポがあらわれた!

サトシはみがまえた!

サトシ「わしからいくぞおおおおお!!」

サトシはいしをなげた!

こうげきははずれた!

ポッポのたいあたり!

サトシはつえでこうげきをふせいだ!

サトシ「だああああ!!」

サトシはそのままポッポをつかんだ!

サトシ「この馬鹿者がああああああ!!!」

サトシはずじょうでポッポをふりまわした!

サトシ「肉は不味い!!羽毛は硬い!!」

ポッポはめをまわしている!

サトシ「飼うにはでかい!!そして臭い!!」

サトシ「何たる役立たず!!何たる害鳥!!
死にさらせええええええええ!!」

サトシはいかりにまかせてポッポをなげとばした!

ポッポはいわにぶつかった!

ポッポはしんだ!

サトシはせんとうにしょうりした!

サトシ「おははははははははは!!これがわしの力!!
わしにかかればいかなるポケモンもひとひねり!!
わしは最強じゃ!おはははははははは!!」

サトシは仁王立ちで高笑いした。

もう止まらない。サトシはトキワの森に突撃した。

サトシ「でええええええええええええ!!!」

サトシは虫取り少年を蹴散らし、ずんずんと奥へ入って行く。

サトシ「げははははははははは!!やっと分かった!!!
やはり、わしにはこれが向いておる!!!!!!!!!!」

サトシは杖を投げ捨て、スキップを始めた。

サトシ「わしは狩るぞ!!ポケモンを狩るぞおおおお!!
ポケモンマスターになるのだあああああああ!!!!!!
げははははははははははは!!!」

その時であった

ビードルがあらわれた!

ビードルのどくばり!

サトシはたおれた!

サトシ「ごぶっ」

全身に鋭い痛みがはしり、サトシは仰向けに倒れた。

サトシ「ぐぬ…なんの…こんなもの…」

毒針を抜こうとしたが、手に力が入らない。

すると痛みが去り、全身が熱を帯びてきた。

視界がぼやけていく。葉の間から差し込む光が、
どんどんと広がっていくようだ。

しかしサトシは見た。セキエイ高原を。
チャンピオンロードを。四天王を。
彼はチャンピオンになるのだ。チャンピオンに。

目はほとんど見えなくなった。
サトシは薄れゆく意識のなか、最後の力で叫んだ。
その声は森中に響き渡った。

サトシ「やはりそうだ!!!!わしだ!!わしこそがチャンピオン!!
長年の時を経て!!!わしは王座に帰ってきた!!!ぬはは!!!!!
ピカチュウよ!!!!!リザードンよ!!!!待たせたな!!!!!!
わしは帰ったぞ!!!!!もう誰も止められぬ!!!ぬはは!!!!!
わしが最強のトレーナー!!!!わしはサトシ!!!!そうだ!!!!
わしは!!!!ポケモンマスターなのだああああああああ!!!!!!
ぬは!!!ぬははは!!!ぬははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははははは」


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