勇者「へーここが魔王城でござるかぁ」 (32)

スタッフ「はい、本番入りまーす。3、2、1...」

テーッテテレッテー ツッタンタンタタッタン

リポーター「こんばんわ。番組をご覧のみなさま。今日まで続けてきた勇者密着24時もついに最終回を迎えることになりそうです。なんと、かの勇者が魔王城の正門まで到達したのです!はるばる始まりの街リングストンから取材を続けてきましたが...みてください、この魔王城から放たれる禍々しいオーラ!激闘必死!このあといったいどうなってしまうのでちゅ...」

スタッフ「...」

カントク「...」

スタッフ「...えーと」

勇者「......」

勇者「でちゅ」

スタッフ「ブフゥッ!!!」


カントク「はい、カットォ!」


リポーター「またかんじゃった!」

勇者「勘弁してくださいよもうここだけでテイク30オーバーじゃないですか。」

リポーター「ひぃぃん、ごめんなさあああい」

スタッフ「どうしますカントク。」

カントク「うむむ...さすがにこれ以上ここで時間を割くわけにはなぁ...。」

スタッフ「とりあえず一回休憩とりましょうか。」

カントク「頼むわ。」

スタッフ「はーい、じゃあ一回休憩とりまーす。」



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リポーター「.........。」

勇者「...コーヒーとゲータレードどっちが好きですか?」

リポーター「...グスッ、ゲータレード。」

勇者「じゃあ僕コーヒーで。となり座ってもいいですか?」

リポーター「...」コクコク

勇者「ふぅ...」

勇者・リポーター「...。」

勇者「や、まぁしょうがないですよ。あんな長いセリフ噛まずに言えっていうほうが難しいですよ。うん。僕はあんなことできないなぁ。すごいことですよ。」

リポーター「でも....それがぁ....私の仕事だからぁ..」

勇者「...そ、そうですね。なんか知ったような口聞いてすいません。」

リポーター「いえ...ミスしているのは私なので...」

勇者「...」

リポーター「あの...」

勇者「はい?」

リポーター「もしかして慰めてくれるために...?」

勇者「いえ、そんなかっこいいことはできませんよ。ただ...」

リポーター「ただ...?」

勇者「その...さっきリポーターさんを責めるようなことを言ってしまって...謝りたくて。」

リポーター「...勇者さん...」







スタッフ「マジっすか?」

カントク「...」

カントク「マジっす」

スタッフ「え、ヤバくないですか?」

カントク「...」

カントク「ヤバいっす。」
スタッフ「なんでいちいち溜めるんすか。」



スタッフ「って、ふざけてる場合じゃないっすよカントク」

カントク「そうだな、つい楽しくなってしまってな。」

スタッフ「はぁ...ちょっと一回状況を整理しましょう」

カントク「そうね。」

スタッフ「まず、リポーターがカミッカミでまったく番組の展開が進展せず滞っている。」

カントク「まぁそれは、リポーターちゃんかわいいから許す」

スタッフ「そっすか。」

カントク「あ、え、ちょっt

スタッフ「そしてその部分をクリアしても...」

カントク「とれてないんだなぁ...アポイントメント。」

スタッフ「なんで勇者密着24時って銘打ってて最終回が魔王討伐まで決まってるのに魔王城にアポとってないんすか!?」

カントク「いやぁ、とろうとろうとは思ってたんだけど、私も疲れててなぁ。徒労(とろう)で。」

スタッフ「[ピーーー]」

カントク「ちょっと君言い過ぎじゃないかね。」


スタッフ「今からでもなんとかとれないんですか?」

カントク「私に対する君のスタンスはどうやら固まったようだね。」


スタッフ「電話番号は..?」

カントク「君は魔王城に電話線が通ってると思ってるのか。」


スタッフ「じゃあ、目と鼻の先なんすから、直接交渉で..」

カントク「一周グルーっと回ったが誰もいないぞ。」


スタッフ「うおおおおおどうすればいいんだああああ!」

始まりの街 リングストン

の中にあるヲタクの家。


ヲタク「今日パーカー買ったの。」

リア充「...へー」

ヲタク「最近、グラデーション流行ってんじゃん。」

リア充「お前んなかの最近は3年前なのなー」

ヲタク「あ、そうなの...てか、流行ってるよきっと。原宿辺りで再燃だよ。」

リア充「ハラジュクって?」

ヲタク「あぁそっか。なんにもない。」

リア充「で、なんの話だっけ。」

ヲタク「俺がグラデーションのパーカー買った話。」

リア充「あぁそうだった。今着てるそれ?」

ヲタク「違う。これは6年前に買ったやつ。」

リア充「それもグラデーションじゃん。」

ヲタク「これは昔はやったやつだから今年買ったの。」

リア充「そこのハンガーにかけてあるグラデーションのポロシャツ3年前に買った?」

ヲタク「なんでわかったの?」

リア充「おま、もしかして3年ごとに服買ってんの?」

ヲタク「そうだけど。」


リア充「あ...だからか。お前グラデーションばっかきてんなーって思ってたんだよ。」

ヲタク「なんだよ全然話がよめねぇよ。」

リア充「いや、よめろよ。お前の法則でいったら3年ごとに流行りの周期がやってくるんだろ?」

ヲタク「そうだな。」

リア充「で、流行りに追いつこうと思って3年ごとに服買ってたらグラデーションばっかなるわそりゃ。」


ヲタク「はっはぁんなるほど。」

リア充「極度のグラデーション好きだとばっかり思ってたわ。」

ヲタク「流行りの犠牲になったのだ。犠牲の犠牲にな...」


リア充「なんだそりゃ...」

リア充「お前ん家のパソコン、テレビも見れんだなー。」

ヲタク「まぁ家族の体裁的にも、リビングでくつろげる身分じゃないからな」

リア充「ふーん、そっk...すげー録画も見れんのかよー。」

ヲタク「好きなの見てていいよ。」

リア充「うぃーっす...お、お前も見てんだ勇者密着24時。」

ヲタク「最初は期待して見てたけど今は惰性かなー。」

リア充「へー...俺先週分見てないから見るわ。」

ヲタク「んー。」

リア充「...」

ヲタク「...」

リア充「リポーターかわいいよな。」

ヲタク「肝心のリポートは噛み噛みだけどな。舌ボロボロなんじゃねーか。」

リア充「でも可愛いから許す。」

ヲタク「いや仕事はちゃんとしないと。」

リア充「可愛いから噛んでも許されるのか...噛むから可愛いくて許されるのか...」

ヲタク「どっちもだな。可愛いは正義だろ。」

リア充「そうだな。可愛いイズジャスティスだな。」

ヲタク(...すげー間違ってそうであってる。)

リア充「あ、そうだ。女に連絡しないと。」

ヲタク「女?あぁ、あの子か。あのすごいセクシーな体つきの。」

リア充「そう、あのすげーいい体した女と俺は今度海にいくんです。」

ヲタク「そっか、最近免許とったもんなーお前。」

リア充「ポインポインを横目に海でぇぇす。」

ヲタク「ふーん...いつ?」

リア充「2週間後」

ヲタク「あ、そこコミケ入ってんぞ」

リア充「...あー、コミケあんだったなー。今年も暑いんだろうなー。」

ヲタク「毎年俺たちのブースが盛り上がるのはお前のおかげだよ。かっけぇしな。」

リア充「うーん...今年はなんのコスプレさせられんの俺。」

ヲタク「今流行ってるし、勇者一行セットでいいしょ。」

リア充「安直だな。」







魔王城正門前 テレビクルーキャンプ場

勇者「...マジですか?」

カントク「...」

カントク「マジっす」

勇者「え、ヤバくないっすか?」


カントク「...」

カントク「ヤバいっsスタッフ「勇者さんこの流れ一回やってます。」

カントク「ちょ君...!!」

スタッフ「というわけでですね、ドキュメント史上初の失態を犯したカントクが悪びれてないんですよねぇ...」

リポーター「どどどどうするんええすかぁ!?」

スタッフ「リポーターちゃん落ち着いて。」

リポーター「だってぇ....グスッ」

スタッフ「大丈夫、リポーターちゃんの愉快なミスのおかげでクルー全員の意識がそっちにいっている。くそっ、クルーの混乱はこちらとしても避けたいところ...なんとかならないか...」


勇者「直接交渉は?」

スタッフ「人っ子一人外をぶらついてないもんだからどう接触を取ればいいかわからないんですよ。」


勇者「弓矢ぐらいだったらありますけど。」

カントク「なるほど、矢文ということか。さすがは勇者だ。趣がわかってる。」

スタッフ「いまから取材しようって場所に矢文ブチ込むんですか!?」

カントク「うーむ...」


勇者「....」

リポーター「...」

スタッフ「...」


カントク「勇者くん、GOだ。」

勇者「了解。」

キリキリキリ.....パシュン!


勇者「城の中に命中しましたよ。」

カントク「おーさすが勇者だ。」

リポーター「え、待って...勇者さんの矢に手紙括り付けてませんよ...ね...?」


カントク・勇者「.....あ。」


スタッフ「なにっしてんだよおおおお!!!」

スタッフ「矢文でギリギリかもしれないのになんでただの矢をあんな景気良く打ち込んだんですかああああ!!」

勇者「え、だって...」

スタッフ「だってじゃなああい!」





スタッフ「どうするんですか...!!?これが宣戦布告だと思われて魔族と人間の全面戦争にでもなったら...!!」

スタッフ「カントク!どうすればいいですかあ!」







カントク「あ、えーと、シーフードピザとー香味海鮮とー...あと海の幸たっぷりシーザーサラダで。」




スタッフ「カントクウウウウウウ!!!」


スタッフ「なんで全部海鮮で統一したんだああああ!!!」


リポーター「そっち...?」

勇者「...」



プルルルル


スタッフ「うわあああああ!!!」


カントク「ちょ、そんな絞め技やめて...出る出るなんか出る...!!」


リポーター「エビ苦手なんですよねぇ...」


プルルルル


勇者「....あ、俺か。」


着信 まーちゃん


勇者「お、まーちゃんじゃん。」


ピッ


勇者「私だ。」

まーちゃん『いや誰だよwwww久しぶりぃ』

勇者「おー、どったの」

まーちゃん『いやー、ちょっとびっくりすることがあってさ。ちょっと面白いからお前にも聞かせてやろうと思って』

勇者「へー、わざわざ電話して来るくらいだから面白いんだろうな。」

まーちゃん『実はさ、ウチ最近家買ったんだよね。一括で。』

勇者「マジ?すげぇじゃん」

まーちゃん『ヤバめだしょ?...んでさぁ、こう、愛着わくからさー、インテリアとか凝っちゃうじゃん?」

勇者「まーなー。自分で買ったんだったら尚更だよなー。」

まーちゃん『で、結構シックな感じで揃えたわけよ。女子女子してるより、大人な女性って感じ?』

勇者「ほぅ」

まーちゃん『してから、ゆっくり暮らしてわけなんだけど...聞いて驚くなよ?』

勇者「お...おぉなんだよ。」

まーちゃん『さっき矢がウチの眼前を通り過ぎたの!』

勇者「....」



まーちゃん『...あれ、電波悪いのこれ?全然驚いた声が聞こえないよ??』

勇者「え、あのさ」

まーちゃん『ん?』




勇者「まーちゃんもしかして城買った?」










リングストン ヲタクの家

リア充「先週分見終わったし行くか。」

ヲタク「え、どこ行くの。」

リア充「いや、コミケに向けて衣装作るんだろお前。『着るのはお前作るのは俺』って最初にいってたじゃん。」

ヲタク「え、でも海の件いいのかよ。」

リア充「それなんだけどさ、女をコミケに誘ってみようかとおもってんだ。」

ヲタク「マジかよ...大丈夫なのそれ。」


リア充「俺のネゴシエーションっぷりをなめるなよ。」

ヲタク「人が多いに越したことはないけどさ。」

リア充「女が出れば知名度も上がるってもんだろ!」

ヲタク「でもさ、俺が誘ってなんだけど、お前こういうの苦手な感じするんだけど。」

リア充「見た目で決めつけんなよ。いいか。リア充はなんでも楽しめてこそのリア充ってもんだ!」


ヲタク「そ、そうか。」

リア充「あとはあれだ。お前のグラデーションの呪縛を解く。」

ヲタク「マジかよ...」

リングストン 繁華街


リア充「そういやこの前、リングストンは大陸でも有数の大都市だって雑誌に書いてた。」

ヲタク「知ってるよそれくらい。少年部の子供でもわかるよ。」

リア充「俺は最近知ったぜ。」

ヲタク「大都市ったって、知れてるよ。そんな広くもない。」

リア充「少年部だったら今頃、あの壁の向こう側にはなにがあるんだろう!って思ってんだろうな。」

ヲタク「そうかもなー。」


リア充「お、あんなところにナウでヤングでトレンディな店が!」

ヲタク「....うわ、あそこの店の店員前髪長くないか。」

リア充「ほんとだ。前髪床つきそうじゃん。」

ヲタク「やめとこうぜ、俺はダル着が好きなんだよ。」

リア充「やかましい、グラデーション将軍...うわ、グラデーション将軍って言いずらっ!」


ヲタク「なんだそれ...」






リングストン 繁華街 洋服屋『エッヂソール』

店員「っしゃーせー。どんな男もハンサムにきめるよ。」

ヲタク「前髪...」

リア充「よーし、ヲタク。ここは一つ俺に任せてもらおう。」

ヲタク「そうするよ。お前ファッションセンスよさそうだし。」

リア充「おっけぇ!じゃあそこの前髪の長い店員に俺のコーデを審査してもらおう!」



お着替え中




リア充「どうよ!」

ヲタク「ピッチピチじゃね?」

店員「チッ」

ヲタク「舌打ちされちゃったよ。」

リア充「うーむ、次ぃ!」


お着替え中



リア充「にゃにゃん!」

ヲタク「白くね?てか暑っ。」

店員「馬鹿が....!!!」


ヲタク「マジか」


リア充「じゃあこれでどうだあああああ!」


お着替え中



リア充「うぉっほほう!!」

ヲタク「グラデーション卒業したら今度はストライプかよ。」

店員「うぉっほほう!ブラッヴォー!!!」


ヲタク「この店どうした。」



チャリーン


ヲタク「これで2600ゴールドか...」

リア充「まぁまぁ。コミケの費用は俺ももつからよ。おしゃれになったしいい気分で続きいってみよー!!」

ヲタク(今度はストライプばっかりになりそうだ俺の部屋)

リングストン 繁華街 露店



じーっ

ヲタク「あ、『遊び人ミリア』のフィギュアだ。」

リア充「なにそれ。」

ヲタク「知らねーの?アニメ化もされてる今一番熱いキャラだぜ?」

リア充「へー。お前の部屋にも結構フィギュア置いてあるけどなにが違うんだよ。」

ヲタク「リア充にはわかんねーよ。」


リア充「....」

リア充(このフィギュア、おっぱいでけぇな)


ヲタク「すいませーん、これください。」

露店のおじさん「あいよ。300ゴールドね。」


ヲタク「いい買い物をした。」

リア充「ま、まぁ嬉しそうなら何よりだ。」

じぃーっ

ヲタク「なんだ、さっきから視線を感じる。」

リア充「ん?そうか?」

ヲタク「あぁ俺にはわかる。この突き刺さるような視線を出せるのは雌だけだ。」

リア充「雌て...あ、携帯なってんな。」


ピリリリリ


リア充「私だ....はっはっは!なんだよ突っ込めよ!....うん....うん。あ、そう。すぐ着く?....あぁおっけ。...いや違うって露店の前だよ。....うん、あ、見えた?わかったー。はーい。」

ピッ

リア充「女がすぐそばまで来てるって。」

ヲタク「え、女さんくるの?」

リア充「どうせなら買い物から手伝ってもらったほうがいいかなーなんてな。」

ヲタク「別にいいけど喋らないよ?」

リア充「なんで。」

ヲタク「女の子苦手だからに決まってるでしょうが。」

リア充「えーこれを機に直せばいいじゃーん。」

ヲタク「いいの。ってか、暑いなこのシャツ!」

リア充「リバーシブルにしたら半袖になるんだって。」

ヲタク「あー...もしかして魔術的な?」

リア充「そう。魔術的な。」

ヲタク「ちょっと着替えてくる。」

リア充「じゃあ女と噴水前で待ってるわ。」



ヲタク「うん。」


魔王城正門 テレビクルーキャンプ場

スタッフ「要するにですね....その...勇者さんの友人であるまーちゃんという女性が魔王だと....?」

勇者「あくまで僕自身の推理ですからなんとも言えないんですけど...」

スタッフ「まぁでも、一般女性宅に矢がタイムリーに飛び込んでくるなんて思わないですし...。というかまず一般女性は家に矢が打ち込まれたら半笑いで電話してきませんよね。」

勇者「悪い子ではなかったですし、どっちかっていうとみんなに気を配れていい子ですよ?」


スタッフ「....踏み込んだ質問をしますが、あなたと...その、まーちゃんという人はいつからお知り合いに?」

勇者「2年前にリングストン領主主催の親睦会がありまして。」


スタッフ「親睦会...?」


勇者「えぇ、コンセプトは...『みんな遊び人になろう』...です。」


スタッフ「あっ..」

勇者「いや、僕はやらしいことなんて一つもしてませんよ!?勇者ですもん!」

スタッフ「いえ、別になにもそこまで思ってはいませんが...」

勇者「なにせ聖なる勇者の一族と誇り高き魔物の王一族の親睦会でしたから...」

カントク「なにぃ!?そんな親睦会が行われていたのか!大スクープだ!そして私も混ざりたくさんの骨が折れるからやめてください。」


スタッフ「まったく...。」

勇者「どうしたらいいですかね。」

スタッフ「勇者さんからアポとってもらえませんか..?」

勇者「それはきついですねぇ。実際もう矢は中に突き刺さっちゃってますからまーちゃんに僕からアポとるなんて、僕が一回まーちゃんを殺そうとして失敗したと思われかねないですよ。」


スタッフ「うーむ、籠城してる相手が城下で起きてる事態を知らず、というか籠城してる自覚さえない...なんだこれは!」


勇者「こんなことしてる間にも収録の時間どんどんなくなりますよ...?僕はどちらでも構わないんですけど....」


スタッフ(...ダメだ...。勇者密着24時は局始まって以来の看板番組...。最終回まで常に高視聴率をキープしてきたんだ...ここで中止にはできない...)

スタッフ(どうする....俺!?)

魔王城正門 テレビクルーキャンプ場

スタッフ「要するにですね....その...勇者さんの友人であるまーちゃんという女性が魔王だと....?」

勇者「あくまで僕自身の推理ですからなんとも言えないんですけど...」

スタッフ「まぁでも、一般女性宅に矢がタイムリーに飛び込んでくるなんて思わないですし...。というかまず一般女性は家に矢が打ち込まれたら半笑いで電話してきませんよね。」

勇者「悪い子ではなかったですし、どっちかっていうとみんなに気を配れていい子ですよ?」


スタッフ「....踏み込んだ質問をしますが、あなたと...その、まーちゃんという人はいつからお知り合いに?」

勇者「2年前にリングストン領主主催の親睦会がありまして。」


スタッフ「親睦会...?」


勇者「えぇ、コンセプトは...『みんな遊び人になろう』...です。」


スタッフ「あっ..」

勇者「いや、僕はやらしいことなんて一つもしてませんよ!?勇者ですもん!」

スタッフ「いえ、別になにもそこまで思ってはいませんが...」

勇者「なにせ聖なる勇者の一族と誇り高き魔物の王一族の親睦会でしたから...」

カントク「なにぃ!?そんな親睦会が行われていたのか!大スクープだ!そして私も混ざりたくさんの骨が折れるからやめてください。」


スタッフ「まったく...。」

勇者「どうしたらいいですかね。」

スタッフ「勇者さんからアポとってもらえませんか..?」

勇者「それはきついですねぇ。実際もう矢は中に突き刺さっちゃってますからまーちゃんに僕からアポとるなんて、僕が一回まーちゃんを殺そうとして失敗したと思われかねないですよ。」


スタッフ「うーむ、籠城してる相手が城下で起きてる事態を知らず、というか籠城してる自覚さえない...なんだこれは!」


勇者「こんなことしてる間にも収録の時間どんどんなくなりますよ...?僕はどちらでも構わないんですけど....」


スタッフ(...ダメだ...。勇者密着24時は局始まって以来の看板番組...。最終回まで常に高視聴率をキープしてきたんだ...ここで中止にはできない...)

スタッフ(どうする....俺!?)

魔王城正門 テレビクルーキャンプ場

スタッフ「要するにですね....その...勇者さんの友人であるまーちゃんという女性が魔王だと....?」

勇者「あくまで僕自身の推理ですからなんとも言えないんですけど...」

スタッフ「まぁでも、一般女性宅に矢がタイムリーに飛び込んでくるなんて思わないですし...。というかまず一般女性は家に矢が打ち込まれたら半笑いで電話してきませんよね。」

勇者「悪い子ではなかったですし、どっちかっていうとみんなに気を配れていい子ですよ?」


スタッフ「....踏み込んだ質問をしますが、あなたと...その、まーちゃんという人はいつからお知り合いに?」

勇者「2年前にリングストン領主主催の親睦会がありまして。」


スタッフ「親睦会...?」


勇者「えぇ、コンセプトは...『みんな遊び人になろう』...です。」


スタッフ「あっ..」

勇者「いや、僕はやらしいことなんて一つもしてませんよ!?勇者ですもん!」

スタッフ「いえ、別になにもそこまで思ってはいませんが...」

勇者「なにせ聖なる勇者の一族と誇り高き魔物の王一族の親睦会でしたから...」

カントク「なにぃ!?そんな親睦会が行われていたのか!大スクープだ!そして私も混ざりたくさんの骨が折れるからやめてください。」


スタッフ「まったく...。」

勇者「どうしたらいいですかね。」

スタッフ「勇者さんからアポとってもらえませんか..?」

勇者「それはきついですねぇ。実際もう矢は中に突き刺さっちゃってますからまーちゃんに僕からアポとるなんて、僕が一回まーちゃんを殺そうとして失敗したと思われかねないですよ。」


スタッフ「うーむ、籠城してる相手が城下で起きてる事態を知らず、というか籠城してる自覚さえない...なんだこれは!」


勇者「こんなことしてる間にも収録の時間どんどんなくなりますよ...?僕はどちらでも構わないんですけど....」


スタッフ(...ダメだ...。勇者密着24時は局始まって以来の看板番組...。最終回まで常に高視聴率をキープしてきたんだ...ここで中止にはできない...)

スタッフ(どうする....俺!?)

はっ、なぜか3回も同じものを...

失礼しました。

リングストン 噴水前

リア充「それって法律に引っかからないのかよ。」

ヲタク「知らないよ君のコーディネートだろこれ。」

リア充「いやでもさすがにリバーシブルで勇者の家紋入ったシャツに変わるとは思わんだろ。」


ヲタク「前面にはデカデカと勇者の家紋...裏にはYUSHAってかいてあるよ...。」

リア充「コンセプトはわからないけど、デザインはあの前髪野郎だなってことだけははっきりわかる。」


ヲタク「あともう一個いいかな。」


リア充「なんだ。」

ヲタク「僕は女さんの存在は知ってるけど顔はよくみたことないからわからなかった。だが、君の後ろに隠れているスタイルのいい子が女さんっていうことは何と無く状況で察した。」


リア充「!?...お、おう。」

ヲタク「しかしここで疑問だこの僕が買ったフィギュアとなぜ女さんはこれほどまでに酷似しているんだ!」

リア充「し、しらねぇよ!でも、女はモデルの仕事とかやってるし...なんかそういうとこから似てるってなったんじゃねーの!?」


ヲタク「え、女さんモデルやってんの?」


リア充「みたことないかよこの面」

女「お...おぅふ...」


ヲタク「...???」

リア充「お前もしかしてファッション雑誌とか手にとったことないパターン?」


ヲタク「無論だ。」

リア充「そりゃそうだわ。悪かった。」


女「あ...あの。」

きゅっ

ヲタク「は.....はぃ....??」

女「わ...たし、女で...すぅ。」

ヲタク「え...えぇ...えと...僕...ヲタクっていいます....!!趣味は...ゲームしたり漫画読んだり...あと..えと、勇者とか魔王とか、その一団のフィギュアを集めることです!」


リア充「なんだこいつら」


女「...」


ヲタク(可愛いなおい.....!!こんな可愛い子初めて見た...!!)

ヲタク(あれ...でもなんか女さんに既視感を覚えるのはなんでだろう。)


リングストン コスプレショップ『ヘルドリー』


女「海もいいけど....こういうのもいいかも....」

リア充「お前こんな際どいの着んの?」

女「....だめかな?」


キラキラ


リア充「...」

リア充「試着室へGo。」


ヲタク、コスプレ物色中

ヲタク(うーん、どっかで女さんの顔見たことあるんだよなー。さっきのフィギュア...だけじゃない...?)

リア充「おい。」

ヲタク「うぉ...!びっくりした!」


リア充「ん、あぁわるい。それにしてもあれだな。」


ヲタク「なに?」


リア充「俺たちだけでしか来たことなかったが、女が着れそうなやつって結構際どいの売ってんのな!」


ヲタク「そうねー。僕はインスピレーションわかせるためにしかこの店こないけど、女物はわかんないなーよく考えて見たら。」

リア充「インスピレーションねぇ...お前の格好も十分勇者のコスプレっぽいぜ?」

ヲタク「これは成り行きだし、僕は着る専じゃないから!」

リア充「うんうん、そうだったな。」


シャッ


女「ねぇ」


ヲタク・リア充「うぉ...!びっくりした!」

女「どうかな....このコスプレ。」

キラッキラぁ~


ヲタク・リア充「グッジョブだ!!」


女「...」

女「えへへ...」


ヲタク「...!!」


リア充「....」


魔王城裏門

スタッフ「なるほど...全体的にこうなってるんだな...」

リポーター「あのースタッフさん?」

スタッフ「はい、なんでしょう」

リポーター「なんで私は測量の手伝いをしているんでしょう?」


スタッフ「疑問に思うのも無理はありません。がしかし、これも番組のためです。」


リポーター「測量したら中に入れてもらえるんですか?」

スタッフ「いえ...そういうわけではないんだけど...」


リポーター「...??」

カントク(さっきのリポータ~ちゃんの一言エロかったなー)

勇者「スタッフさーん。こっちの固定終わりましたよ。」

スタッフ「よし...じゃあこっちで測量始めまーす。」


ぴぽっぴぽっぴぽっぴぽっ...


スタッフ「はーい、オッケーです。」

カントク「スタッフくん今なにをしているのかカントクさっぱりわからないよ」

スタッフ「カントク...今の状況はこうです。撮影の進展なし、魔王は城に籠城(?)、そして圧倒的な時間のなさ。このままでは最終回を放送することができません。ですから、撮影を続行させるための最終プランを考えました。」

カントク「最終プラン?」



スタッフ「最終回を....偽造(つく)るんですよ。」

リングストン コスプレショップ『ヘルドリー』

ヲタク「っていうわけで女さんの衣装の参考にするためにこいつを買おうと思います。」


リア充「うむ、いいんじゃないか。」

ヲタク「よーし、買ったらさっさと家帰って作りはじめよ....ん?」

リア充「ん、どった?」

ヲタク「いや、レジに人がいない...。」

リア充「あれ、ほんとだ。なんでだろ。すいませーん!」



シーン.....



ヲタク「出かけてんのかなー。」

リア充「さーなー。」

女「ねぇ...ねぇ。」


リア充「ん?」

女「外...いっぱい男の人...。」

リア充「え!?」



『ヘルドリー』店外

男1「すげー...あれ女ちゃんだよな...!!」

男2「そうだよな...うわーめっちゃ可愛いいい!」

男3「握手できねーかなー!」

男4「みんなでいってみようぜ!」


『ヘルドリー』店内


リア充「なるほど...女を発見して群がって来た野次馬か...」

ヲタク「うぉぉ...すげー男の数!」

リア充「今から一斉に店内に流れ込んでくるはずだ...!!女を守るぞ...!」

ヲタク「え、でも僕喧嘩とかはちょっと...!!」

リア充「んなこと言ってる場合でもねぇだろ!」

リア充「大体店員どこだああああああ!!」


ヲタク「ヤバイって!店のドアぶっ壊れそうだよ!」


バキッバキバキッ


ヲタク「言ったそばから壊れた!ご都合だ!」


男達「「「「サインとか握手とかその他もろもろやって女ちゃーん!」」」」


リア充「なんだその大雑把な要求はああああ!!!」




リングストン コスプレショップ『ヘルドリー』


リア充「うおおおおやべぇぞ!野郎の大群が....!!」


男達「「「「触らせろー」」」」

リア充「ざけんなボケ!!」

ヲタク「おいおいおいどうするんだよ!」

リア充「俺に言われても...!!」


女「...落ち着いて。」

リア充「おぉ、この状況を打開できるいいアイデアがあんのか!?」


女「....」

女(パニックになるよりは落ち着いた方がいいって思っただけ.... なんだけど..なんか期待されてる気が...する)

女「えっと...」

女「...」





女「汝 左手に氷を持て 我 右手に宿命を宿す 穿て 『ヒョウルド・レジストラ』」





リア充・ヲタク「....」



リア充・ヲタク「なにそれええええ!」


リングストン 噴水前


ヘルドリー店主「あー、布とか買い込んでたらこんな時間だよ...まったくバイト急に休みとりやがって....。なんだよ『家が大変なので休みます』って...。家大変なんだったらなおさらバイトこいよ...ん?」


男達「「「「サインとか握手とかその他もろもろやって女ちゃーん!」」」」


バキバキッ!!

ヘルドリー店主「うわあああああ俺の店が...てめぇらなにしてくれとんじゃボケぇ!!!」


ダダダダダッシュ


男達「「「「女ちゃーん!」」」」

ヘルドリー店主「くそっ通せ!ウチはライブ会場じゃねぇぞ!!!」



「ヒョウルド・レジストラ」


ヘルドリー店主「え?なんか店の中から聞こえtピキーーーーーーン



コォオオオオオオオオオ



リングストン コスプレショップ『ヘルドリー』店内


リア充「うおおおおおおどうすんだこれえええ!!」

ヲタク「わかんないよ!僕に聞かれたって!!」


男達「「「「女ちゃーん!触らせろー」」」」


リア充「ざけんなボケ!!」

女「落ち着いて....」

リア充「なんかこの状況を打開できるいいアイデアが思いついたのか!?」


女(パニックになるよりは落ち着いてたほうがいいって...思っただけなんだけど...なんか...期待されてる...?)


女「えと...えと...」

女「...」

女「汝 左手に氷を持て 我 右手に宿命を宿す 穿て 『ヒョウルド・レジストラ』」


リア充・ヲタク「....」


リア充・ヲタク「なにそれええええええ!」



リングストン 噴水前

ヘルドリー店主「ふぅ、布とか買い込んでたらこんな時間だよ...。まったくあのバイト急に休みやがって...。なんだよ『家が大変だから休みます』って。家大変なんだったらなおさらこいよ...。ん?」


男達「「「「サインとか握手とかその他もろもろやって女ちゃーん!」」」」


ヘルドリー店主「あいつら俺の店の前でなにやって...」


バキバキッ!


ヘルドリー店主「うおおおおおおおてめぇらなにしてんだあああ!!」


ダダダダダッシュ

男達「「「「女ちゃーん!」」」」


ヘルドリー店主「クッソお前ら邪魔だ!俺を店の中に入れろ...!!!」

ヘルドリー店主「ここはライブ会場じゃねぇぞボケェ!!!」


「ヒョウルド・レジストラ」


ヘルドリー店主「なんか今店の中から女の声gピキーーーーーーン


コォオオオオオオオオオ

リングストン コスプレショップ『ヘルドリー』

リア充「....!!!!」


ヲタク「.....」



コオオオオオオオオ



リア充「寒っ!」

ヲタク「うぇっくし!」


女「ぶしっ」

リア充「いやお前も寒いのかよ」

女「なんか出た」

リア充「いやいやいや、なんか出たじゃないよなにこれ。追っかけ達凍ってますけど。」

ヲタク「普通に考えて...いや普通に考えなくても魔術だよねこれ...」

リア充「お前そんな感じだったっけ?」

女「アイデンティティを...見失いつつ...であります」


バタッ


ヲタク「お...女さんが倒れた!え、もしかして死んじゃったの!?」

リア充「バッカお前気絶してるだけだって。」

ヲタク「そ....そっか...。」



ガラッガラガラッ


リア充・ヲタク「!?」





スタッフ「すいませーん店の前ぶっ壊れて...寒っ!!」


魔王城正門 テレビクルーキャンプ場

カントク「最終回を...偽造(つく)る?」

スタッフ「そうです。この状況を打開するにはこれしかありません。非常用プランです。」

カントク「具体的にはなにをするつもりなんだ?」

スタッフ「今、魔王城の大まかな寸法を測りました。この寸法を基に魔王城を建設します。」


カントク「おいおい、そんなことできる予算がないことぐらい君もわかってるだろ。」


スタッフ「といっても、ハリボテでいいんです。精巧なハリボテを作ってまず冒頭のシーンを撮ってしまいましょう。魔王城正門にて禍々しいオーラをもろともせず、立ち向かう勇者のシーンです。そして、魔王城の中は放送に適さない部分が多々あったということでカットしましょう。勇者さんが魔王と相対する最終局面まで一気にいきます。」


カントク「といっても魔王城の中で戦うのだろう?当然魔王の部屋もあるはずだ。」

スタッフ「そのシーンに関してなんですが...今局と連絡をとりまして、移動型のスタジオを借りました。あと15分程度で着くと思います。」

カントク「局にこの事を伝えたのか?!」

スタッフ「まさか。キャンプ場の設備だけでは間に合わないから簡易でいいので設備とその他もろもろ貸し出して欲しいと無理いっただけです。」

カントク「局の反応は?」


スタッフ「それがあまり怪しがってないんですよ。なにせ看板番組ですから。」


リポーター「あの...ちょっと質問いいですか?」


スタッフ「なんですか」


リポーター「魔王城はいいとしても、人材はどうするんですか?これドキュメントですから、魔王役の衣装とか、そもそも魔王役がいないんじゃ...」

カントク「だが、スタッフくんは局に連絡して移動スタジオごと借りたんだろう?」


スタッフ「流石に、衣装や役者まで借り出したら怪しまれるのでそれはいいませんでした。」



リポーター「じ、じゃあどうするんですかぁ!?」

スタッフ「...衣装を作る人間、美術スタッフが何人かいるのでなんとか...ただ魔王の服などのデザイン協力が必要です。リングストンの中にある...そうですね。コスプレショップかどこかのデザイナーを借りて来ます。あと役者も何人か。」


勇者「....」


カントク「脚本は私が用意しよう。」


スタッフ「....そうですか。」

カントク「露骨に不服そうな顔をしたね君。見逃さなかったよ私。」


勇者「...」

スタッフ「急ごしらえですが、以上が非常用プランです!早急に始めたいと思います!みんなで頑張りましょう!」


ぶろろろろ....


ピザ屋「ちゃーす。ピザお届けに上がりましたー。」


一同「....」


スタッフ「なんでこのタイミングなんだ!」


カントク「わー、ピザだ。」

ピザ屋「3400ゴールドになりやす」


カントク「うす。」


チャリンチャリン


ピザ屋「まいどー。」



ぶろろろろ....。






リングストン コスプレショップ『ヘルドリー』

スタッフ「へっくち!」


リア充(誰だこの人...はっ、もしかしてここの店員か!)


リア充「あのー....これ俺たちのせいじゃないんですよ?」

スタッフ「え?なにがですか...ってうわ!人が凍ってる!」


リア充「いやぁなんか久しぶりに店に来てみたらすでにこの有様で....ははは。」


スタッフ(なんだこのわけのわからない状況....。しかし彼は誰だろう。久しぶりにこの店にやって来た...。は!もしかしてこの店の専属デザイナーか!久しぶりに視察しに来たらこの有様だったと...。だがモデルもやってそうなくらいかっこいいな。役者もできそうだ...)

スタッフ「あのー...すいません。つかぬ事をお伺いいたしますが、(ファッション)雑誌であなたを見かけたことがある気がするんですけど気のせいですかね?」

リア充(うわ...やっぱりここの店員か...。(コスプレ)雑誌に一回のったことあんのばれてる...!!)

リア充「いやー、気のせいですよ!俺そんなとこのったことないですしははは!」

スタッフ(よし...どこにも顔を出していないんだったら彼を使うことができる!よし....ツイてるぞ...!)

スタッフ「あ、そうだったんですかー。なら、ちょっと不躾なことを言うんですけど仕事しませんか?」

リア充「なに...!!仕事...??」

リア充(なんてこった...この店は裏ルートでやばい仕事でも扱ってんのか!...店の営業妨害をしたと思われる俺たちをこき使って女はクスリ漬けにして風俗...うおおおおお!!マズい...マズイぞこれは!)

リア充「いいいいいや、結構です!俺そういうの向いてないんで...!!」


スタッフ「そうか?君ならきっと...」


スタッフ「い い 仕 事 し て く れ そ う だ け ど ね」





リア充「いやああああああ!!」




ヲタク「うるさいよリア充。てかさっきから誰と喋ってるの。女さん目さましたよ。」

女「...寝ててごめん」


リア充「うわああああヲタク!女!出て来ちゃだめだあああ!!」


ヲタク「え、なんだよ大っきい声だして。てかそこの人だr...」


リア充「逃げろ!!あいつに捕まったらこき使われて死ぬぞ!」

ヲタク「なにその展開!?」

女「びっくらだぁ...」


スタッフ(おお!すごく美人がいるじゃないか!そこのイケメン君と知り合いらしいな。彼女も役者として使えそうだ。そしてその隣の...なんだあの青年は...変なTシャツだな...ん?あの模様どっかで...??)


スタッフ「....」


スタッフ「あ.....あああああ!!!!」


リア充・ヲタク「!?」

スタッフ(ま...まさか...この店にデザイナーも役者もいる上に...まさか...)


スタッフ「勇者...!?」


ヲタク「はぁ??」


ピピッピッ

スタッフ「もしもし。あぁ...見つけた。連行するぞ。...うん、時間ないからぱぱっと連れて行こう。」


リア充「うわああああ!やっぱりやべえやつだあああ!!」



ゾロゾロ


屈強なテレビクルー達「うす。」

スタッフ「あの3人車乗せちゃって。」

屈強なテレビクルー達「あいさー」



ゾロゾロ


リア充「うわああどこに連れていくんだああああ!」

ヲタク「ちょ、くすぐったいwww脇腹はwww脇腹はやめてwww」

女「...」

車の中

リア充「....」

ヲタク「....」

女「....」

ヲタク「リア充」


リア充「ん?」


ヲタク「なんで僕たち黒塗りのワゴン車に乗せられたの?」

リア充「さぁ。でも一つわかるのは...バイバイ...俺の内蔵...」

ヲタク「え、そういう展開なの?」

女「...」

リア充「おい...女もなんか言えよ」

女「すぴーすぴー」

ヲタク「寝てる。」

リア充「もうだめだ...」

リア充「俺たちは捕まってやばい仕事させられて...短い一生を地名もわからないような場所で終えるんだぁ....」

ヲタク「なんでそんな展開になった。」


リア充「俺たちが店を壊した...っていう体にされたからな....」

ヲタク「うーん、そんな悪そうな人には見えなかったけどなぁ」


リア充「マジで悪いやつほど悪そうに見えないんだろーがよー」


スタッフ「....」←運転中

スタッフ(もしかしてなんか彼らは勘違いをしているのだろうか)

スタッフ(...いや、でもそっちの方が都合がいいのか...終わってから適当に言いくるめれば番組に傷もつかない。)

スタッフ「...君たち」

リア充「は...はい!」

スタッフ「君たちにはリングストン郊外のある城で仕事をしてもらう。」

ヲタク「仕事...!?」

スタッフ「仕事というのはすでに死んでしまった人間の代わりをすることだ。」


リア充「そういう奴か....!!!!」

スタッフ「代わりに戦ってもらう。」

ヲタク「!!!!?」

ヲタク「たたた戦う!?」


スタッフ「そう...命を賭してな....」


リア充「う....うぉぉ....そういうの生き残れないタイプなんだって俺...!!」

スタッフ(これだけいっておけば必死でやるだろ。)

スタッフ(...もうどうにでもなれ...)



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