僧侶「ボクも世界を救いたいです」 (46)

面接官「で、魔王討伐隊に参加志望と…使える魔法は?」

僧侶「ありません」

面接官「は?」

僧侶「魔法は一切使えませんが、槍は扱えます!」

面接官「……」

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面接官「あのねぇ…この討伐隊のレベル分かってます?」

面接官「神殿で職を変え、回復呪文、補助呪文を一通り得てから、自分の戦闘スタイルに合った職になるのは当たり前」

面接官「魔王討伐隊ですよ?マ!オ!ウ!」

僧侶「はい!ボクも連れていって欲しいんです!」

面接官「あ~……もう……」

面接官「常識的に考えてもらえますか?呪文の使えない僧侶って何の役に立つんです?」

僧侶「食事の準備やテントを立てる事が出来ます」

面接官「僧侶じゃなくてもできますよねぇ!!」

面接官「はぁぁ…貴方の為を思って言ってるんです。道中で高確率で死ぬ上に、万が一億が一魔王と対峙したとなれば即死ですそ!く!し!」

僧侶「大丈夫です!しぶとさが取り柄ですので!」

面接官「ああああああああああ!!」

僧侶「どうかお願いします。食事係でもなんでもやりますので」

面接官「この、気狂めぇ…!…いいでしょう!貴方を食事係として採用しましょう」

僧侶「本当ですか!ありがとうございます!」

面接官「報酬ゼロ!死亡時の保証ナシ!魔王討伐の宴の参加権ナシ!以下諸々ナシ!それでもよければ書類にサインを~…」

僧侶「わーい!」

カキカキ…

面接官「……城内の広間にてお待ちください」

僧侶「ありがとうございましたー!」

────広間

僧侶「うわー…凄そうな人ばっかりですね。しかし、ボクもこの槍で頑張りますよ!」

戦士「んん…?随分と簡素な装備だな、槍一本か?衣服にも加護が宿っている様子はないが…」

僧侶「あ、初めまして!ボクは僧侶、呪文は使えないけど頑張ります!」

戦士「……は?」

魔法使い「ぷっ…!あはは!ちょっと、冗談としては最高に面白いけど、本気で言ってるなら滑稽にも程があるわよ?呪文の使えない僧侶って何?」

僧侶「本気ですとも!神殿でも司祭様が神に祈りを捧げる人間ならば、それは僧侶と認めてくださいましたので!」

魔法使い「あのハゲ司祭、適当な説教吐くからこんな馬鹿が生まれちゃうのよね~…祈りを捧げる?なら~…あ~!神様、私達を応援してくださ~い!ふふ、これで私も僧侶…」

僧侶「おめでとうございます!貴女も僧侶になれましたね!」

魔法使い「……ねぇ、本気なの?冗談じゃなくて?」

僧侶「…?」

魔法使い「…………」

戦士「この広間に通されてるんだ、城の人間は採用したんだろう」

魔法使い「真面目に魔王討伐する気あるの、これ…肉盾にもなりやしない…」

僧侶「槍捌きには自信がありますので!」

魔法使い「槍捌き、ねぇ…アンタ、ここに集まってるのがどういう奴らか分かってるの?」

僧侶「ぱっと見凄そうだなって思いました!」

魔法使い「はぁ…まずは戦士、万の大群に怖気付く事なく突貫して勝利するような戦闘力を持ちながら、自己強化の呪文を完璧にモノにしているの。先の大戦でも一人で戦局を変えた化け物よ」

魔法使い「そして、私!魔術の祖を先祖にし大賢者の孫!その大賢者をも軽く超越する魔翌力の質、量!この城の魔法使いが束になって放ったメラゾーマでも、私一人のメラでかき消すなんて余裕なんだから!」

僧侶「わぁ、戦士さんに比べて少しインパクト不足!」

魔法使い「そして!まだ来てないけど、リーダーの勇……インパクト不足、ですって?」

数分後

僧侶「ケホッ…凄い、魔法ですね!」プスプス…

魔法使い「ふん…メラ一発で戦闘不能、本当に肉壁にもなりゃしないわ」

戦士「今回限りにしてくれ…治療は?」

僧侶「薬草と包帯で大丈夫ですので!」ヌリヌリグルグル

魔法使い「本当に呪文使えないのね…ん、来たみたいよ私達のリーダー」

勇者「みんなお待たせ!これから辛い旅が…なんでマミーが城内に!?」

僧侶「この度、魔王討伐隊に参加させてもらった僧侶です!よろしくお願いします!!」

勇者「……何故、包帯を?」

僧侶「魔法使いさんのインパクトを味合わせて頂きましたので!」

勇者「ま、まぁ…いいか。僧侶、回復呪文でその傷を…」

僧侶「ボク、呪文は一切使えません!包帯と薬草で間に合っているのでこの傷はお気になさらず!」

勇者「えっ」

戦士「勇者…この下りはついさっきやったんだ。早く出発しよう」

魔法使い「何なら3人で事足りるでしょうけど…採用した城の面子も考えないとね」

勇者「よ、よく分からないけど…まぁ、大丈夫かな!出発だ!」

僧侶「おー!!」


▼ゆうしゃの たびが はじまった

『司祭様、司祭様!』

『何じゃ…こんな夜更けに』

『それが…神殿の前に子供が…』

『……子供?この魔物が蔓延る土地にか?』

『はじめまして!!』

~旅立ちから、数週間後。深夜の森にて~



勇者「っぅ……」

戦士「どうした、勇者。頭痛か?」

魔法使い「ちょっと、大丈夫なの…?」

勇者「大丈夫…だと思う。ここ最近あるんだ…僕ではない、誰かの記憶みたいのが突然流れ込んできて…」

僧侶「皆さん!お食事の用意が出来ました!」

魔法使い「はぁ…まぁいいわ、その頭痛は次の街で治療するとして、今はご飯よ」

勇者「うん…ゴメンね。予定ならもう街に着いてる頃なんだけど…結局、野宿になっちゃった」

戦士「野宿程度なんともない。食事係もいるからな」

僧侶「はい!お腹を満たしてくださいね!」

僧侶(皆さんは凄いです。旅に出てまだ数週間なのに、立ち寄った街や村の問題を次々に解決していきます)

僧侶(そしてそして、勇者さんはなんと女神様と自由にお話ができるのです!)

僧侶(女神様の加護も沢山受けて、きっと世界を救うのでしょう)


魔法使い「私達は寝るから、見張りは頼んだわよ?」

僧侶「はーい!おやすみなさい!」

戦士「声がでかいな…」






僧侶(そろそろ3人とも寝入った頃でしょうか…)

僧侶「……」

僧侶「…焚き火にもう少し薪を…」


ガサッ


僧侶「ッ────!」

ガキィン!!

死神貴族「ほう、よくぞ受け止めた」

僧侶「っ…く…敵です!」


魔法使い「もう起きてるっての…!」

戦士「アイツは…この地域にいるような魔物じゃないな」

勇者「直接僕達を狙いに来たってことかな…!」

死神貴族「そういう事だ。魔王様の命令により貴様らの命を貰う」

骸骨剣士A「ケケ…」

骸骨剣士B「カコメ、カコメ…」



戦士「死神貴族が骸骨どもを従えてるって訳か…ザッと数えて骸骨は15体程度」チャキ

勇者「その程度なら、いけるさ…!」ダッ!

勇者「バイキルト…!はぁっ!」ザンッ!

骸骨剣士「ギャッ…!」

勇者「ふーっ……一気に潰すぞ!」

死神貴族「単騎で掛かるな、囲め」

骸骨達「「オオオオっ!!」」

魔法使い「全く…!気味が悪いっての、メラミ!」

戦士「森は燃やすんじゃないぞ、魔法使い……!バイキルト!」


死神貴族「話には聞いていたが、人間の中でも選りすぐり……」

僧侶「シィィィィ!!」

キンッッ!!

死神貴族「くく…包帯に巻かれ、怪我人かと思えば中々。随分と動くものだ」

死神貴族「だが、弱い。軟弱な人間の身体で、何の強化もせぬ─────」

僧侶「ハァッ!!」

キンッッ!!!

死神貴族「…よかろう、早々に死にたいようだ。フンッ!」

僧侶「ぐっ、く…ッアァ!!」

死神貴族「甘いわァ!!」

ズバッ!

僧侶「がぁ…!ぅ、う……!」

死神貴族「その軟弱な身体と、己の慢心を呪って…[ピーーー]ッ!」

僧侶「ぁ…ッ!!!」

ガッ!!

死神貴族(腕を犠牲に…!何とも醜く足掻く人間だ…)

戦士「ぜぇい!!」

勇者「後ろがガラ空きッ…!」

死神貴族「ッ!?何…!」

ズバッ!!ザンッッ!!!



(禁止用語に引っかかってしまった…)

saga入れ忘れてた

死神貴族「くっ…お前達!何を…っ!?」

骸骨達「「」」

死神貴族「…あの短時間で全て処理したというのか…」

戦士「俺たちを倒したいのなら、10倍は必要だな」

魔法使い「えぇ、物足りないわ」

死神貴族「クク…慢心していたのはこちらか」



ザシュッ!…ボト…バキィ!



勇者「ふぅ……首を落として潰せば動かない筈。僧侶、大丈夫?」

僧侶「っ…は、い……大丈夫です」

魔法使い「強がるんじゃないわよ、血塗れじゃないの」

僧侶「とっておきの薬草がありますので…包帯もそろそろ変えるつもりでしたし…」

戦士「…ならいい。見張りは俺が引き継ぐから早く休め」

僧侶「ご、ごめんなさい…薬草を使えば明日の朝には動ける程度に回復すると思います…」ヌリヌリグルグル

魔法使い「はぁ…全く嫌になるわ、早く寝ましょう」

勇者「そうだね……敵が来ないとも限らないし、頼んだよ」

戦士「あぁ、おやすみ」

パチパチ……


戦士「焚き火にもう少し薪を……ん?」

勇者「……」スタスタ

戦士「……」

勇者「……」ストン

戦士「……眠れないのか?」

勇者「戦いの後だからね…魔法使いと図太さが少し羨ましい」

戦士「そうか…今回の襲撃からして、魔王達は俺たちを大なり小なり脅威とは見なしているらしい」

勇者「望むところさ、負ける気は毛頭無いからね」

勇者「…でさ」

戦士「ん?」

勇者「僧侶の事なんだけど」

新職:図太さ

>>22
何故、『と』と『の』を間違えたのか
自分でも分からない…


戦士「あぁ…僧侶の事か」

戦士(やはり気になるか…槍を扱えるという発言は嘘ではなかった。それ以上に、平常時からは想像も出来ない荒々しいあの殺気…)

勇者「僧侶ってさ、男なのかな?それとも女の子?」

戦士「……あぁ、そっちか」

勇者「僕さ、初対面の時から包帯でグルグル巻きになってる僧侶しか見た事ないからさ…戦士は見たんでしょ?僧侶の素顔」

戦士「見た事には見たが…すまん、分からん。詳しく確認する前に魔法使いに焼かれていた」

勇者「そっかぁ……声でも分からないし一人称もボクだし…」

勇者「うーん、分からない…分からないけれど……」

勇者「こう、毎日僧侶のご飯食べて、愛想良くされてると……」

戦士「……なんだ、惚れたか?」

勇者「それはー……もっと分からない。性別も分からないし」

戦士「このご時世、性別なんて些細な問題だろう。想像して考えるといい、僧侶とそういう仲になった想像」

勇者「え、えぇ……想像って」




僧侶『おかえりなさい、勇者さん!今日のご飯は勇者さんの大好物にしたんです!えへへ…早く食べましょ?』




勇者「……へへへ」

戦士(そりゃあ、16歳だもんな……凄まじく気持ち悪い笑顔だ)

勇者「へへ…はっ。わ、悪くないね…」

戦士「そ、そうか…良かったじゃないか。料理は美味いからな」

勇者「いやー…でも、そういう風な関係にはきっとならないよ。魔王討伐の旅だし」

戦士「それも関係ない、旅の道中で何をしようがお前の自由だ。強制される事なんて一つもない」

勇者「おー……男らしい」

戦士「だが、世界を救う勇者が失恋というのもきまりが悪い、そこは頑張ってくれ」

勇者「いやまだ惚れたとか確定ではなくて…」

戦士「ふふ……まぁ、いい。今日のところは寝て、明日から考えていけ」

勇者「わ、分かった…いやホント、確定ではないからね?」

戦士「はいはい、おやすみ」

現状でもクソ遅い更新だけど、明日からもっと遅くなりまーす…

お久しぶりです、覚えてる人いるかな…

翌朝


勇者「ん……んー……」

魔法使い「あ、起きた?よく眠れたみたいね、グッスリだったわ」

勇者「うん……眠れ過ぎて夢まで見た…」

魔法使い「夢?ふーん……あぁ、もう朝ご飯出来てるから早く来なさい。それを言いに来たんだったわ」

勇者「ん……分かった、すぐに行く…魔法使いは先に言ってて?」

魔法使い「はいはい、冷める前に早く来なさいよ?」スタスタ 



勇者「……」

勇者「僕は……誰の夢を見てるんだろう…僕ではない誰か…」

勇者「……まぁ、いいか。僕も朝ご飯食べよ」


勇者「みんな、おはよう」

僧侶「あ!おはようございます勇者さん!」

戦士「あぁ、おはよう。ほれ、焼けたぞ」スッ

勇者「パンにチーズ…成る程、いい匂いがすると思った。ありがとう、いただくね?」

僧侶「はい!皆さんも食べてくださいね!」

戦士「今日は山を越えるからな、しっかりと食え」

魔法使い「うえー…憂鬱だわ、どうして迂回しないの?」

戦士「時間が掛かり過ぎる。なぁに、山を越えればすぐに街だ」

魔法使い「はぁ……じゃあ、荷を減らす為にいっぱい食べなきゃ」モグモグ

勇者「はは……山は魔物も手強いから警戒していこう」モグモグ

僧侶「…………」モグモグモグモグモグモグ

勇者「んー良い食べっぷり」

戦士「栄養を摂れば、傷の治りも早くなる。回復魔法も戦闘中には便利なんだが……いかんせん、身体に負担が大きい。寿命の前借りだからな」

勇者「そうだね、いっぱい食べてね僧侶」

僧侶「んくっ……はい!お言葉に甘えまして!」

魔法使い「とりあえずゆっくり食べなさいよ……」

山 道中

魔法使い「険しいー!もうヘトヘトよー!」

戦士「はいはい踏ん張れ魔法使い。こんな場所では休憩も出来んからな、一気に行くぞ」

魔法使い「はぁ……しんどい……」

僧侶「魔法使いさん!これどうぞ!」スッ 

魔法使い「ん……何よ、この棒」

僧侶「槍の穂先を取った物です!杖になるかと!」

魔法使い「あぁ……使うわ、ありがとう。というか、どうしてピンピンしてるの?勇者も疲れて無言になってるのに」

僧侶「ボクは身体が軽いので!」

魔法使い「な、成る程ね……」


勇者「…………」

戦士「勇者、話す余裕も無さそうだな」

勇者「え?あー……少し辛い」

戦士「すぐに慣れる、勇者が魔王ではなく山に敗北など笑い物だぞ?」

勇者「わ、分かってるって……」



一時間後、


魔法使い「ぜぇ……ぜぇ……街はまだなの……」

戦士「もうすぐだ。というか、そんなに辛いのなら補助魔法でも使ったらどうだ?ピオリムなら全員の速度を上げられるだろう」

魔法使い「ピオリムはー…ちょっと訳が違うのよ。無闇矢鱈に使うものではないの」

僧侶「…………」

戦士「へぇ、興味深いな。詳しく聞かせてくれ」

魔法使い「んー……補助の魔法は幾つかあるわ。バイキルトにルカニ、ボミオスとかとか」

魔法使い「バイキルトは筋力を底上げするもの。筋力が上がるだけで、筋肉の持久力は変わらない」

魔法使い「ルカニは相手の肉体や装備を一時的に脆くするわ、元々脆い相手には効果は薄いけど」

魔法使い「大抵の補助魔法は、直接的に肉体に影響を及ぼす物よ」

魔法使い「でも……ピオリムは少し違うの」



魔法使い「どう説明したらいいか……ピオリムは、概念的なものなのよ」

勇者「概念?それって一体どういう……」

魔法使い「『早さ』『速さ』『疾さ』『敏さ』……術者によっては、理論上どの『はやさ』にも使用できるの」

戦士「へぇ、それは便利だ。しかし、便利なだけではないんだろう?」

魔法使い「その通り、ピオリムは不可視な部分が多過ぎる。効果を抑えて『素早さ』のみを上げるだけに限定したピオリムですら、重ねて唱えるにもせいぜい、3~4回。それ以上はどうなるか分かったものじゃないわ」

勇者「少し難しいな……じゃあ、本来のピオリムを何度も唱えた場合は?」

魔法使い「あー……あくまで、私の憶測だけれど……世界から認識されなくなるんじゃないかしら。概念に閉じ込められて、見えなくなってしまう……」

戦士「まぁ、つまり……他とは異質な魔法だという事だな。ほれ、街が見えた」

魔法使い「え!?あぁ……!やっと着いたのね!」

戦士「はっはっは、話に夢中で疲れを意識しなくて済んだろう?得意分野の話は誰だって楽しいからな」

魔法使い「くっ……何だか悔しいわ……」

勇者「無事に着けてよかったよ、ホント。ね、僧侶……」

僧侶「…………」

勇者「僧侶……?」

僧侶「っ、……!はい!皆さん無事で何よりです!」

魔法使い「とりあえず宿を目指すわよ!!」

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