P「美希に愛してるって言ってみる」 (44)

P「言ってみる」

伊織「……はあ?」

P「言ってみたいんだ」

伊織「そんなの勝手に言えばいいじゃない、アホらしいわね」

P「そんな冷たいこと言わないで、ちょっと聞いてくれよ」

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伊織「何よ」

P「俺さ、よく考えたら」

P「今まで美希に愛してるって言ったことないかもしれない」

伊織「ふーん?意外ね」

P「好きだよとは言ったことあると思うんだけど……」

伊織「でも、美希はアンタに言うでしょ?」

P「うん、結構な頻度で」

伊織「それじゃ、あんたそれに『好きだよ』って返してる訳?」

P「ううん、『俺もだよ』って」

伊織「ああ……なるほどね」

P「そう、だからさ、もしかして俺自分から愛してるなんて言ったことないかもしれないんだ」

伊織「まあ、ありうる話ね」

P「だから、ちょっと言ってみようと思うんだけど……」

伊織「言えばいいじゃないの」

P「それでさ、ちょっと伊織に聞きたいんだけど」

伊織「何を?」

P「愛してるって言われて、どうよ?」

伊織「……は?」

P「どうよ?」

伊織「いや、なにが『どうよ?』なワケ?」

P「そりゃ、いろいろだよ」

P「言われて嬉しいのかとか、逆に不安にさせるんじゃないかとか……」

P「それにさ、いつ言えばいいかとかもあるじゃん?」

伊織「……いや、アンタね」

伊織「そんなのいつでもいいじゃないの」

伊織「面と向かって、スパッと言えばいいのよ」

P「そう簡単に言うなよな!」

伊織「はあ?何が難しいってのよ」

伊織「呆れた……アンタってそんな情けない男だったのね」

P「な……!」

伊織「だってそうじゃない、自分の好きな女に愛してるも言えないだなんて」

P「そ、そんなこと言って、伊織は出来るのかよ!」

伊織「そんなもん、トーゼンじゃない」

伊織「そんなこと、出来て当たり前よ」

伊織「って言うか、アンタよくそれで上手くいってるわね」

P「うぐぐ……」

伊織「……あのね、考えてもみなさいよ」

伊織「アンタ、逆に今まで美希に愛してるって言われて嫌だったことある?」

P「あるわけないだろ」

伊織「不安になったことは?」

P「……無いよ」

伊織「それじゃ、美希だって同じのはずでしょ?」

P「で、でもさ……」

伊織「むしろ、そんな簡単な言葉を言ってくれない方がよっぽど不安になるわよ」

P「う……」

伊織「はい、分かったわね?」

伊織「そう言う事だから、今日帰ったら必ず言いなさい」

P「……」

伊織「分かった?」

P「あ、ああ……」

P「そ、そうだよな、もともと俺が言い出したんだもんな」

伊織「そうよ」

P「分かった、ありがとな、伊織」

伊織「……ま、頑張んなさい」

P「おう!」

P「それじゃ、俺もう帰るな」

伊織「あ、ちょっと」

P「ん、何だ?」

伊織「美希に、もうちょっとマメに連絡よこしなさいって言っておいて」

P「分かった、伝えとくよ」

P「じゃあな」

伊織「はいはい、そんじゃね」

バタン

伊織「全く……」

伊織「……」

ガチャ

伊織P「どうもー」

伊織「!」

伊織P「いたいた、伊織」

伊織「……う、うん」

伊織P「迎えに来たぞ」

伊織「……ありがと」

伊織P「さ、帰ろうか」

伊織「ちょ、ちょっと!」

伊織P「ん、どうした?」

伊織「あ、あの……」

伊織P「?」

伊織「あ、あ……」

伊織P「?」

伊織「あ、愛、愛し……」

伊織P「あいし?」

伊織「っ、やっぱりなんでもない!」

伊織P「……な、何?」

伊織「何でもないって言ってるでしょ!?バカぁ!」

伊織「ほら、もう!迎えに来たんでしょ?帰るわよ!」グイッ

伊織P「お、おう……」

伊織「……バカッ」

P「……よし」

ガチャ

P「た、ただいまー」

P「……」

パタパタパタ

美希「ハニー!お帰りなさい!」

P「う、うん、ただいま」

美希「今日もお疲れさま、鞄と上着ちょうだい?」

P「あ、ありがとう……」

美希「もうご飯出来てるから、座ってまっててね」

P「あ、み、美希!」

美希「なあに?」

P「あ、あのさ……」

美希「?」

P「あーっと……」

P「きょ、今日のごはん何かな?」

美希「もー、ハニーったら食いしんばさんなの」クスッ

美希「今日はハニーの大好きなから揚げだよ」

P「そ、そうか!嬉しいなー」

美希「それじゃ、待っててね」タタッ

P「いただきます」

美希「はい、召し上がれー」

P「……」モグモグ

美希「美味しい?」

P「うん、おしいよ」

美希「よかったの」

P「……うん、ホントに美味い、最高だよ」

美希「?変なハニー」

美希「……でね?今日春香から電話が来てー」

P「はは、楽しそうにやってるな」

美希「うん!」

P「美希は引退して事務所辞めちゃったからな、連絡も少なくなるんじゃないかと心配してたけど」

美希「そんなことないよ、みんなミキの大事な仲間だもん」

P「でも、伊織は寂しがってたぞ」

美希「そうなの?」

P「うん、最近連絡無いって」

美希「あはっ、じゃあ後でメールしとくね」

P「ごちそうさま、美味しかったよ」

美希「おそまつさまなの」

美希「ミキは食器洗うけど……ハニーはお風呂入っちゃう?」

P「ああ、そうする……」

P「……やっぱり、俺も洗い物手伝うよ」

美希「……え?いいよー別に」

P「い、いや、手伝うって」

美希「そ、そう?それじゃあ一緒に洗おう?」

カポーン

P「……ダメだ、なかなか言い出せない」

P「結局食器洗ってる時も、無言だったし……」

P「ヤバいな、もたもたしてると今日が終わっちゃう」

P「よ、よし、大丈夫、大丈夫だ」

P「絶対言うぞ……」

美希「ふー良いお湯だったの」

P(美希も上がって来たか……)

美希「牛乳牛乳っと……」

P「よ、よし……」

P「あ、あのさ、美希」

美希「なあに?」グビグビ

P「……ちょっと話があるんだけど」

美希「……へ?」

P「……」

美希「……」

P「……」

美希「……は、話ってなあに?」

P「う、うん」

P「あー……っと、その……」

P「み、美希はさ、頑張ってるよな」

美希「……」

P「毎日早起きして朝ご飯作ってさ」

P「掃除して、洗濯して……」

P「……最近じゃ、料理もすごく上手くなったし」

美希「……」

P「今2人が上手くいってるのって、ホントに美希のおかげだと思ってる」

P「ホントに感謝してるんだよ」

美希「……うん」

P「そ、それでさ……」

P「……あ、愛してる」

美希「……」

P「きゅ、急にこんなこと言って驚いてるかもしれないけどさ」

P「自分の中では、ずっと言おうと思ってたんだよ」

美希「……」

P「それで、その……愛してる、から……」

P「まあ、これからもよろしく、って」

P「そう言う事なんだけど……」

美希「……」

P「……美希?」

美希「」ポロッ

P「え?」

美希「」ポロポロ

P「み、美希?」

美希「……う」

P「あ、あの、その」

美希「はにぃぃ……」グスッ

P「な、泣かないで、泣かないで美希」

美希「うっ、うぅ……」

P「ほ、ほら、ティッシュティッシュ……」

美希「み、ミキ、そんなこと言ってもらったの初めてなの……」

P「う、うん」

美希「でも、ハニー恥ずかしがり屋さんだから、それでもいいって思ってて……」グスッ

P「ほ、本当はずっと言いたかったんだけど……」

美希「で、でも、ホントはやっぱり言って欲しいなって思ってて……」

P「う、うん、ゴメンな」

美希「ハニー……」

美希「はにぃぃぃぃぃぃい!!」ギュー

P「おわっ!」

美希「ハニー!ハニー!はにぃぃぃぃい!!」

P「よ、よしよし」

美希「嬉しいの!ずっと聞きたかったの!」

P「……ゴメンな」

P「これからは、ちゃんと言うからな」

美希「うん!うん!」

美希「……ハニー!ミキも愛してるよ!」

伊織「……」

伊織P「あー、明日卵買ってこなきゃ……」

伊織「……」

伊織P「あと柔軟剤も無かったけ……」

伊織「……」

伊織P「あ!そう言えばカーペットの下しばらく掃除してないかも」

伊織「……」

伊織P「明日は忙しいなぁ……」

~♪

伊織(メール、美希から……)

伊織P「忘れないようにメモしとこ……」

伊織「……」

伊織「……アイツ、上手くやったみたいね」

伊織P「……ついでに窓の掃除もするか」カリカリ

伊織「ね、ねえちょっと」

伊織P「ん?何?」

伊織「あ、あの、その……」

伊織「……あ、愛してる」

伊織P「え?」

伊織「……だ、だから、その」

伊織「……愛してるわ」

伊織P「」

伊織「……な、なんか言いなさいよ!」

伊織P「い、いおりいいいいいいいいい!!」ガバッ

伊織「きゃあああああ!!」

伊織「ちょ、放しなさい……放せ!」

伊織P「い、伊織!いや、いおりん!!」

伊織P「俺も愛してるよおおおお!!」

伊織「もう、やめなさい……!やめなさいってば!」

伊織「ば、ばかあああああ!!」

                  完

おわりおわり

あーしにて

美希「美味しい?」

P「うん、おしいよ」

Pェ…

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