【まどマギ】ほむら「お邪魔するわ」さやか「帰れ」【叛逆後】 (58)

ほむら「冷たいのね」

さやか「あんた、一体どんだけうち来てんのよ」

ほむら「どんだけって、週に七日程度よ」

さやか「あんたは知らないかもしれないけど、一週間は七日しかないんだよ」

ほむら「それくらい知ってるわ」

さやか「何か最近、顔を見ない日がないんだけど。観察日記つけれるくらい欠かさずあんたを見てるんだけど」

ほむら「だって毎日来てるもの。そんなにいやかしら?」

さやか「悪魔の観察日記つけるくらいなら、アサガオの方が百倍マシだわ」

ほむら「そう、アサガオの百分の一なら、そんなに嫌でもないのね。むしろテンションちょい上げくらいかしら」

さやか「あんたはアサガオの観察でどんだけテンションが上げられるのよ」

ほむら「小学二年生の夏休みは、毎朝超ハイテンションだったわ」

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さやか「いや、あんたが何に対して興奮するとか、そういう趣味嗜好はどうでもいいんだけどさ」

ほむら「どうでもいいなんて、寂しいわ」

さやか「あんたが寂しいかどうかも、どうでもいいんだけどさ」

ほむら「どうでもいいだなんて、悲しいわ」

さやか「いやだから……あのさ、もう何なの? 暇なの? 悪魔ってそんなに暇なの?」

ほむら「私だって、本当はこんなとこ来たくないわ」

さやか「じゃあ、来るな」

ほむら「でも仕方ないじゃない。私がまどかの近くに行くと、何かの拍子にあの子の力が目覚めてしまうかもしれないもの」

さやか「それにしたって、他のやつのところ行けばいいじゃない。なんで毎日毎日うちなのよ」

ほむら「まぁそうなんだけど、それなりに理由もあるのよ」

さやか「理由?」

ほむら「色々あるけれど、主なものは三つね」

ほむら「唯一記憶を留めているというのが一つ」

ほむら「この世界でもまどかと親しくしてて、話すだけであの子の情報が入ってきそうというのが一つ」

さやか「なるほど。で、あと一つは?」

ほむら「他の人たちと比べて、比較的どうでもいいということかしら」

さやか「……どうでもいいだなんて、むかつくわ」

ほむら「まぁ、最後の一つは冗談にしても。色々と面倒なのよ、悪魔と言うのは」

さやか「じゃあ、止めればいいじゃん」

ほむら「それはできないわ」

さやか「なんでよ」

ほむら「これは私が望んだことだからよ」

さやか「寂しい思いをすることが?」

ほむら「まどかが普通に暮らすことよ」

さやか「その結果、まどかと話せなすことすらできなくなったわけですが」

ほむら「何かを叶えるためには何かを諦めなきゃいけないのよ。そうやって天秤の釣り合いを取るの」

さやか「まどかと一緒じゃん。誰かのために自分を犠牲にして、そのくせ他の人のことなんて考えてないし」

ほむら「……そうかもね」

さやか「でも、まどかは神様になって、あんたは悪魔になったんだね」

ほむら「結局、その二つの間にそんなに違いはないってことなんじゃない?」

さやか「違うわよ。あんたとまどかは、違う」

ほむら「そう? ……そうかもね。その通りだわ」

ほむら「まぁその話は置いといて。私は喉が渇いたわ」

さやか「水ならあるわよ」

ほむら「いえ、なんだか炭酸が飲みたい気分ね」

さやか「……買って来いと?」

ほむら「ああ、飲みたい! 北海道限定のガラナが飲みたい!」

さやか「買って来いと!?」

ほむら「もしくは、沖縄限定ちゅらうみしおソーダでも可」

さやか「どっちもそんなに変わんないわよ」

ほむら「まずいわ。喉が渇きすぎて、このままでは悪魔的な八つ当たりしちゃうわ」

ほむら「具体的には、夜寝ているとき上条君の両腕を美樹さやかの指紋がついたハンマーで叩き折って」

ほむら「その場に美樹さやかの髪の毛を数本落としたうえ、美樹さやかの字体を真似て」

ほむら「『私がやりました。すみません by志筑仁美(わかめ)』と書いた紙を置いてきてしまいそう」

さやか「いや、もうなんか色々と……鬼か!」

ほむら「悪魔よ」

ほむら「まぁ冗談だから。そうね、一緒に飲み物とお菓子でも買いに行きましょう」

さやか「いや行くなら一人で行ってきなさいよ。私は別にいらないし」

ほむら「そんなこと言われると、寂しいわ」

さやか「うるさいなぁ。寂しい寂しいって、あんたはウサギか」

ほむら「だから、私は悪魔よ」

さやか「悪魔って、こんなに面倒くさい性格なの?」

ほむら「そうみたいね」

さやか「そうみたいね、って……」

ほむら「まずいわ。このままではあまりの寂しさに上条君の腕を美樹さんの指紋付ハンマーで叩き折ってしまいそう」

さやか「ああ! もう分かったわよ。行くから、ちょっと待って」

――外

さやか「それで、どこまで買いに行くの?」

ほむら「そうね。ガラナは北海道なら自動販売機で売ってるけれど、ちゅらうみしおソーダってどうかしら?」

ほむら「私はちゅらうみ水族館でしか見たことがないわ」

さやか「だから、それは冗談でしょ」

ほむら「まぁ、いざとなれば悪魔パワーで自力で生み出せるけど」

さやか「じゃあ、なんで買い物に出かけてんの!?」

ほむら「私だって、自分はまだ人間だって思い込みたいときはあるわ」

さやか「その気持ちは、まぁ私には分かるけど」

ほむら「まぁ今は別に思い込みたいときじゃないけどね」

さやか「……あんたは何ていうか。ほんとに人の気持ちをもてあそぶのが上手いよね」

ほむら「今は、ただ単にあなたと出かけたい気分だっただけよ」

さやか「あぁそうですか。特に理由はないってこと」

ほむら「これは本当よ。私、魔法少女になる前はほとんど病院暮らしだったから」

ほむら「同年代の子と一緒に遊びに出かけるって経験が少ないのよ」

ほむら「だから、あなたといる時間は、正直私にとってとても面白いのよ」

さやか「ほむら……」

ほむら「同年代のバカな女の子をからかうという、大変楽しい時間だわ」

さやか「うん、まぁオチはあるだろうなと覚悟してたから、そこまで怒りは湧かないわ」

ほむら「そう……残念」

さやか「残念がるな」

――コンビニ

店員「しゃっしゃっせー」

さやか「結局コンビニか」

ほむら「お菓子とジュース買うためにわざわざ町まで出る必要はないでしょう」

さやか「そりゃそうだけど。で、何買うの?」

ほむら「そうね……美樹さんの奢りだというからには、高い物を買わないとね」

さやか「奢るなんて一言も言ってないし、例え奢るにしても遠慮くらいしなさいよ」

ほむら「美樹さんは、きのことたけのこどっち派?」

さやか「人の話を……まぁ私は特に拘ってるわけじゃないけど、どちらかと言えばたけのこかな」

ほむら「そう、残念だわ」

さやか「あんたはきのこ派なの?」

ほむら「いいえ、たけのこ派よ」

さやか「じゃあ、残念がるな」

ほむら「ちなみに、まどかはきのこ派らしいわよ」

さやか「あっそ」

ほむら「それじゃ、折角好みがあったことだし、ポッキー買いましょうか」

さやか「いや、全然関係ないし」

ほむら「好みがあった記念にポッキーゲームするのよ」

さやか「そんな記念はいらないし、ポッキーゲームはしない」

ほむら「思ったんだけど、ポッキーゲームって不公平だと思わない?」

さやか「は? 何が?」

ほむら「だってポッキーって最初からチョコを纏っている側と、纏っていない側があるじゃない」

ほむら「つまりチョコを纏っている側から始めた方がチョコを多く食べられるってことでしょう」

さやか「まぁそうだろうけど、ゲームの趣旨的にチョコのあるなしは関係ないから」

ほむら「そこで! 私はポッキーゲーム用の平等ポッキーを思いついたわ」

さやか「……」

ほむら「チョコをすべて取り除いて、あの棒の自体に味をつければいいの。これでどちらから食べても平等」

さやか「それはもうプリッツだよ」

さやか「どうでもいいけど、早く物選んじゃってよ」

ほむら「分かったわ。えっと、これとこれと……まぁ、これだけあれば十分かしら」

さやか「じゃあ、ちゃっちゃと会計して帰ろう」

ほむら「え?」

さやか「ん?」

ほむら「お金払うの?」

さやか「当たり前でしょ、何言ってんの」

ほむら「……美樹さやか。私は悪魔よ。私の力を使えば気付かれずに物を盗むくらい造作も」

さやか「私が払うから、その買い物籠をこっちに渡しなさい」

ほむら「優しいのね。奢ってくれるの? 素直に甘えておくわ。ありがとう」

さやか「……ありがとう、ってこんなに腹の立つ言葉だっけ」

ほむら「はい、それじゃお願いね」

さやか「はいはい、って結構多いな」

ほむら「金額なんて見てなかったから」

さやか「……ちょっとくらい戻してもいいのよ」

ほむら「そう? じゃあお言葉に甘えてハーゲンダッツを戻しておくわ」

さやか「って言いつつ追加してるじゃん!」

ほむら「いや、迷ってたのよね。さすがに食べ過ぎで太っちゃうかなって、一回棚に返したんだけど」

さやか「私が行ったのはそういう意味じゃ……いや、いいわ。なんか墓穴掘りそうな気がするし」

ほむら「そう。それじゃ会計しましょうか」

さやか「……はいはい」

杏子「いらっしゃいませー」

さやか「これ、お願いします」

杏子「はい……ってさやかじゃん」

さやか「ん? あれ、杏子?」

杏子「なんで、こんなとこいんの?」

さやか「そりゃうちの近くだし。あんたこそなんでこんなところに」

杏子「私? 私はまぁ、金ないし。働くしかないからな」

さやか「へぇ、真面目にやってるんだ。感心感心、っていうか普通に尊敬するわ」

杏子「そ、そうか?」

さやか「あれ? でもコンビニのバイトって普通高校生からだよね? あんた中学せ……むぐっ!?」

杏子「……それ以上言ったら容赦しない」

同棲してるのに知らんのか

杏子「仕方ないだろ、新聞配達だけじゃやってけないんだよ」

さやか「いや、それにしたって何かしらの制度とかあるでしょ」

杏子「あたし制度とかよく分かんないし。調べようにもパソコンすらないし」

さやか「……それはまぁ、分かるけど」

杏子「いいじゃんか。万引き暮らしよりはよっぽど健全だろ? これくらい見過ごせよ」

さやか「……まぁ私だって、わざわざバラすつもりはないけど」

杏子「じゃあ、いいな。今度からここにきて私と話すときは、私を高校生として扱えよ」

杏子「ここにいるときのお前にとって、私は頭がよくて頼りになって尊敬してて世界一大好きなお姉ちゃんだからな」

さやか「いや、前半の大部分いらないような……」

杏子「な!」

>>25
叛逆の改変後の世界で同棲してる描写あったっけ?

ない

>>28
そっか。
いや確か中学在学してる描写はあったと思ったから迷ったんだけど……
まぁいいや、じゃあちょっと無理やり方向転換して同棲設定にします
なんかそっちの方が自然な解釈っぽいし

やっぱ無理やった……
パソコンなしって言ったのが辛かった
同棲設定なしで行きます。すんまそん

ほむら「美樹さやか、話し込んでいるようだけど、何をしているの?」

さやか「あ、ごめん。待たせてる?」

ほむら「いえ、そこまででもないけれど」

杏子「あれ? 暁美ほむらじゃん。なんであんたがここに?」

ほむら「あら、佐倉さん。奇遇ね。バイト中?」

杏子「そっ」

さやか「あのさ、杏子が中学生って事はないしょに」

ほむら「分かってるわ。まぁ、事情はひとそれぞれあるものね」

杏子「いやぁ、助かるわ」

杏子「それで、あんたらは二人で何してんの?」

さやか「何って、見れば分かるでしょ。ただお菓子を買いに……」

ほむら「デートよ」

杏子「で、でーと?」

さやか「ちょ、あんた何言ってんのよ」

ほむら「そう。デート。D、A、T、E。デートよ」

杏子「D、A、T、E……デート……」

さやか「いや、違うから。変な冗談言うな」

ほむら「あら、そうじゃないの?」

さやか「違う」

杏子「なぁ、さやか……デートって……」

さやか「だからね、それは言葉の綾で」

杏子「デートの綴りって、D、E、ー(伸ばし棒)、T、O、じゃないのかよ!?」

さやか「……は?」

杏子「D、A、T、Eだったら、ダテじゃないのか?」

さやか「……あんたはもう少し英語の勉強しなさい」

すんまそん。ちょっと忙しくて今日はもう書けそうにないっす
続きはまた明日で

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