冬馬「魔法《ドッキリ》をかけて!」 P「いっぱいいっぱい」 (66)

このスレは以下のスレから内容を引き継いでいます。
冬馬「ドッキリしようぜドッキリ」 P「ふむ」
冬馬「今日これから始まる私のドッキリ」 P「またかよ!」


コンセプトは輝きの向こう側へ飛んでった冬馬。
+黒井社長とおまけのプロデューサー。

※格好良い冬馬や黒井社長はいません。

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【765プロ・事務所】

春香「おはようございまーす!」ガチャッ

P「おー、おはよう春香ー」カタカタ

春香「あ、プロデューサーさん!」

春香「……」キョロキョロ

春香(誰もいない! よしっ! 今日こそちょっとだけでも二人きり!)グッ

春香「~~♪」

P「ご機嫌だな」カタカタ

春香「えへへ……今日は朝からちょっと良いことがありましたからね~」

P「ふーん? そうか……」カタカタ

春香「プロデューサーさん、こんな朝からお仕事ですか?」

P「ああ……昨日遊びすぎただろ? だからちょっと事務仕事が溜まっちゃって」

春香「あ、昨日のドッキリ。でも、冬馬くんのドッキリって昼前には終わりましたよね?」

P「いや、あの後、美希と響とやよいにもドッキリしかけて帰ったよ。17時くらいかな」

春香「えっ」

P「今日も絶対来るからな。仕事、早めに片付けてやんないと」

春香「もう冬馬くんが来るのは確定なんですね」

P「……ああ、必ず来る」

春香「信頼してるんですね。……ちょっと妬けちゃうなあ」

P「……どこにヤキモチ焼く要素があるんだ……」

春香「乙女心は複雑なんですよぉ!」

P「そ、そうか……」

春香「あ、そういえばプロデューサーさん、私、お菓子作ってきたんです」

春香「朝からお仕事、お疲れ様です!」

P「おお、ありがとな、春香」

春香「えへへ、どういたしましてっ!」

春香「……」

P「……」カタカタカタカタ

春香「……」

P「……」カタカタカタカタ

春香「……」

P「……っと、電話しなくちゃな」

P「……あ、もしもし。私765プロの――」

春香(お仕事してるプロデューサーさんも、格好いいなあ……)

◆ ◆ ◆


「……ふぅ。この衣装は……うーん、こう、か?」


二人っきり、プロデューサーさんが独り言を漏らす以外は静かな事務所……。

楽しくおしゃべりするのはもちろん大好きだけど……。

こうして、仕事に打ち込む彼を見るのも、好きだ。

この時間が、ずっと続いて欲しいと思ってしまうのは……ぜいたくかな?


コツコツコツコツ


扉の外から、事務所への階段を登ってくる足音が響く。

……二人っきりの時間も、もうおしまい。

残念だけど、仕方ないよね。

若干軋んだ音を立て、事務所の扉が開く。

そして、飛び込んでくる聞き覚えのない声。


「今日もよろしくお願いしまーす、プロデューサー!」


若干ハスキーがかった元気な声だ。事務所にやってきたのは、

ここではまだ、一度も見かけたことのない女の子だった。


「おう」


プロデューサーさんは、女の子には一瞥もくれない。ただ短い言葉を返すだけ。

けれどその声音には、長年の付き合いがあるかのような気安さが見え隠れしていて……。


「……、っ」


私はちくりと胸の奥に小さな痛みを感じてしまった。

「つれないなぁ」


言いながら、見知らぬ女の子はつかつかこちらへ歩み寄る。

だけどその瞳に映るのは、プロデューサーさんただ一人。

彼の隣に座る私には気付いていない……否、まるで気付いていないようなフリをしているんだ。


「もっと元気に挨拶してくれてもいいじゃない?」

「これで十分だろ」


いや、違う。違う……。

この子は私を見ていない。私など路傍の石に過ぎないかのように……。

私など、所詮は眼中にないと……。彼女の態度が、雄弁に物語っていた。

「クール気取ってる男ってカッコ悪いよ?」

「……お前が言うか?」


この子は一体誰。

この子は一体何。

この子とプロデューサーさんには一体、どんな。

――聞きたい。でも聞きたくない。


私が逡巡するうちに、いつの間にか女の子はプロデューサーさんの真後ろに立っていた。


「……何する気だ?」

「ふふ……こうする気」

「――!」


思わず、息を呑んだ。

女の子はあろう事か私の目の前でプロデューサーさんにしな垂れかかり、

彼の首元にその白く長い腕をするりと絡めたのだ。


よほど気心の知れた相手でなければ、許されないような行為を……、

彼女はいとも簡単に、やってのけた。


「おい、やめろっての……」


振りほどこうとするプロデューサーさんの姿が視界に映る。

けれど嫌がる素振りには、真剣さが、なくて。

彼女の行為を、嫌々ながらも、受け容れてる、ようで。



まるで、彼が毒蜘蛛の白い糸に絡め捕られていくようだ――。

……ようやく、我に返る。

そうだ。


「あなた、事務所で何を――」


――イヤだ。

それではまるで、事務所以外でならこの行為を認めているようじゃないか。

「場所」をだしにしなければ声を荒げられさえしないのか、私は。

素直に、言わなくちゃ。

プロデューサーさんに、何をしているの――。


再び口を開こうとした、刹那。


二人を見据える私の姿が、少女の瞳の中に映った……。

瞳の奥に吸い込まれるようだ。

声が出ない。体が動かない。

これじゃまるで、蛇に睨まれたカエルのようだ。



そして彼女は、私の口惜しさを知ってか知らずか、


「――――私の勝ちね」


嗤ってみせた。


頭が真っ白になった。



視界が揺れる。鈍器で頭を思い切り殴られたような感覚。



……もう迷わない。もう迷えない。


答えは出ている。



ああ、そうだ、この子は……この子は、私の……て、き――!

「……はい」

プロデューサーさんが何かを押した。


♪ ♪ ♪


聞こえてくるのは、耳慣れたメロディライン。


千早ちゃんの後ろで何度も踊ったこの曲……。


歌といえばアイドル。アイドルと言えば歌。


語るなら――歌しかない!



……気付けば、私の体は動いていた――!

「目が逢う瞬間」
「歌:天海春香/謎の少女」


「――目と目が逢う瞬間」

「――好きだと気づいた」


完璧なタイミングで、歌詞を紡ぐ。

隣を見やれば、ついさっきまでプロデューサーさんに腕を絡めていたはずの彼女がいた。


まさか、この子もノってくるなんて……。

驚くと同時に、その力強い声と、見事なダンスに目を惹かれる自分を否めなかった。

――ダメだ。それではダメだ、天海春香。

目を惹かれてはならない。目を惹かなければならない。

アイドルは、かくあるべし――!

だけど負けない。もちろん、負けたくない。

芽生えた敵愾心は、自分を高める原動力へ――!

♪ ♪ ♪

「――愛し合い」

「交わした口づけが消えてく」

「最後だけ少しでも」

「見つめたい」

息を合わせてなどいない……否、あんなことがあった以上、合わせたいとは思えない……はずだった。

隣で踊る娘は、そんな相手だというのに……彼女が隣にいるが故なのか……。

私は今までにないほど、この歌に没頭していた……!

歌う度。

踊る度。

表現力が。

込める想いが。

また一段と昂ぶっていくのを感じる――!

「去ってゆく愛しい後ろ姿に」

「もう二度と会わないと」

この娘は……いったい――、


否、今は……もはやそんな瑣末なことは……。



「「さよならする」」



最後は声を、心を、重ねて……!

「……、っ、はぁ!」

私を包むのは……心地よい疲労感。

先ほどまで、隣の彼女へ抱いていたはずの敵愾心は霧散して……、

気付けば私は、右手を伸ばしていた。


「……あなた、すごく良い歌だったよ」

「ええ、そちらこそ」

「……ライバルって、いうのかな」

「そうですね……絶対に負けたくない、そんな相手です。あなたは」


互いの健闘を称えるかのように握手を交わす。

手と手が繋がり、私は笑みを零している自分に気付く。

それは目の前の彼女も同じみたいで。


目が逢う瞬間、私は――、




「ドッキリ大成功」




「へぁ!?」

◆ ◆ ◆

春香「ど……えっ、二回目……えっ」

冬馬「……よー天海。気付かなかったか? 俺だよ俺」ヒラヒラ

春香「……冬馬くん? と、冬馬くん!?」

春香「な、なんで女の子に……えっ冬馬くんなの? ええっ、嘘でしょー!?」

冬馬「嘘じゃねぇよ。天ヶ瀬冬子と呼んでくれ」

春香「ちょ、ちょっとプロデューサーさんこれどういうことなんですかぁ!?」

P「……冬馬はもう遠いところへ行ってしまったんだよ」

P「輝きの向こう側に行って帰って来れなくなった」

春香「え、えー……」

冬馬「ま、なんつーか、な。昨日のドッキリで女装してよ!」

春香「か、体張ってるね……」

冬馬「お前には見せておこうと思って、修羅場のリベンジも兼ねてやってみたぜ!」

冬馬「感想はどうだ!?」

春香「う、うん……凄く似合ってる……。……怖いくらいに」

P「春香、最初こいつが冬馬って気付いてなかったろ」

春香「最後までですね……。普通、わかりませんよ。それに、プロデューサーさんにあんな、抱きついて……」

冬馬「やっぱり演技は気持ち込めなきゃな!」

春香「気持ち!? ま、まさか……」

冬馬「ん?」

冬馬「…………」

冬馬「いやいやいやいや、勘違いするなよ! あ、あくまでドッキリのためだからな!」アセアセ

P「ドッキリのためだけに女装する冬馬はすごく輝いてると思うよ、うん」

冬馬「……へっ、まぁな!」

春香「ほ、褒めてないんじゃないかなあ……そもそもメイクとかどうしたの……?」

冬馬「星井に教わったぜ! 流石は765プロのビジュアル番長だ」

春香「……あ、うん、なるほどー」

P「深く考えない方が良いぞ」

響「あ、冬馬。ドッキリ終わった?」バタバタ

千早「見事だったわ……目が逢う瞬間……」

やよい「冬馬さ……冬子さんすごいですー! うっうー!」

春香「えっ、えっ! みんな! なんで!?」

美希「んーとね、社長室に隠れてたの!」

黒井「ウィ。どうしても冬馬が貴様にドッキリを仕掛けたいというのでな」

春香「く、黒井社長まで!? なんで!?」 

P「なんでだろうね……」

冬馬「おっさんもドッキリしたいんだよな!」ズイッ

黒井「な、何を馬鹿なことを……あ、あとあまり近づくな……」

冬馬「んだよ照れんなって」

黒井「照れてなどおらん!」

春香(まあ照れてはないよね)

響(照れてはないぞ)

美希(照れてはないと思うな)

P「それじゃ、今日もドッキリ行きますか」

千早「乗り気なんですね……」

P「もうこうなったら楽しまなきゃな!」

やよい「今日もこのくじでドッキリですー!」

冬馬「っしゃぁ! 引くぜぇ!」

P「おう引けほれ引け」

冬馬「ドッキリなーんだ!」

バッ

響「おっ……」

美希「『引き抜き』だって!」

春香「引き抜きかぁ……」

千早「やはりドッキリを仕掛けるのは冬馬になるんですか?」

P「まあ、冬馬かあるいは……」


黒井「ウィ。引き抜きと来れば961プロのトップたる私が仕掛ける方がより信憑性が高いであろう」ワクワク


P「見るからに期待してるからね……」

やよい「黒井社長もノリノリですー」

冬馬「それじゃ今回はおっさんに任せるとするぜ!」

黒井「フン、この黒井崇男が真のドッキリとは何たるかを教えてやろう」

P「おお、言いますね」

黒井「当然だ。セレブのドッキリを見せてやろう」ピッ

黒井「……私だ。すぐにジュピターの衣装と簡易脱衣所を一着用意しろ。場所は765プロだ」

黒井「何故765プロにいるか、だと? 敵情視察だ。何故衣装がいるか?」

黒井「ええい、いいから黙って命令をこなせばいいのだ! 5分で持ってこい!」

黒井「まったく……」ピッ


響「案の定765プロにいることツッコまれてたね」

美希「フツーに考えて黒井社長がここにいるのおかしいもん」

P「まあ、そう言ってやるなよ……」



春香「それで、衣装と脱衣所が765プロにやってきたわけですけど……」

黒井「ウィ。次に来る輩にはここで着替えてもらい、引き抜きをかけるという段取りだ」

黒井「言葉だけでは足りん。ドッキリとは真に迫ってこそよりエンターテイメント性を増す」

春香「そ、そうなんですか……」

黒井「そうだ! その点天海春香、貴様が水瀬伊織に仕掛けたドッキリは悪くなかったではないか」

春香「って、あれ見たんですか!? わ、忘れて下さい! あれはダメですよ!」

黒井「ウィ、あれも一つの売り出し方ではあろう」



千早「早くも打ち解けてるわね、社長と春香」

冬馬「ああ。誰とでも分け隔てなく接することが出来るのが天海の長所だな!」

千早「あら……ふふ、よく見ているのね」

冬馬「ん? おう、765プロのライブはしっかり見てるぜ!」

千早「そ、そう……ありがとう」

黒井「それと……冬馬……いや、天ヶ瀬冬子。貴様も少し力を貸せ」

冬馬「ああ、いいぜおっさん。任せな」

黒井「私のドッキリに少し合せるだけで良いがな」

P「いつになく粛々と、着々と準備が進んでるな」

響「黒井社長、すごくイキイキしてない?」

美希「みんなと遊びたかったのかなぁ?」

黒井「そんなわけなかろう! 三竜事務所の三流アイドルは発想が貧困で困る!」

千早「こういうのを説得力がない、というのよ、高槻さん」

高槻「勉強になりますっ、黒井社長!」

黒井「ええい……っ!」

コツコツコツ

黒井「き、来たか!」ソワソワ

響「ぷふっ……」

春香「わ、笑っちゃダメだよ響ちゃん……!」

P「二人とも聞こえてると思うぞ……」

冬馬「おっさん……俺は見届けるぜ!」

美希「冬馬も仕掛け人側でしょ?」

やよい「誰が来るんでしょー?」

黒井「ウィ……」

ガチャッ

真「今日もよろしくおねがいしまーす!」

美希「真クンなの!」

春香「おはよう、真」

真「あれ、結構早く来たつもりだったんだけどみんな揃ってるんだね」

黒井「ウィ。おはようございますだなァ、765プロの菊地真ォ!」

真「うぇっ!? な、なんで黒井社長が……!」

真「ま、まさか直接妨害に……っ!?」バッ

黒井「ノンノン……今日はそんな野暮用でこんなボロ事務所を訪れたのではないのだよ」


千早「……野暮用ですよね」ボソッ

P「まあ、野暮用だな」ボソッ

黒井「とりあえずそこの脱衣所に入り、準備してある衣装に着替えるのだ」

真「え?」

黒井「とびっきりのフリフリ衣装が入っている」

真「わかりました!」バッ

春香「動き早っ!」

やよい「見えなかったですーっ!」

冬馬「……でもよぉ、中にあんのってジュピターの衣装だよな?」

黒井「ウィ。だが菊地真はやや直情径行のきらいがある。ああいえば着て出てくるまで気付かんだろう」


千早「冬馬と言い黒井社長と言い、よく見ているわね……」

響「961プロって全体的に765プロのファンなのかな?」

P「いや、そんなことは……ない……と思うけど」


真「着終わりましたよ!」バッ

やよい「あっ!」

P「おお……冬馬の衣装じゃないかアレ……」

春香「で、ですね……」

冬馬「……流石は菊地だな……」


美希「す、すっごく似合ってるの! 真クンすごく格好いい!」

響「うんうん! ほんとにジュピターのセンターにいてもおかしくないよ!」

真「あ、あはは……。ってこれ全然フリフリじゃないじゃないですか!」

黒井「ウィ、嘘だからな」

真「なんで嘘なんか……」

黒井「まぁ待つのだ菊地真……いや、真ちゃん」

真「へっ!?」


冬馬「あれは……!」

春香「知ってるの、冬馬くん!」

冬馬「ああ……おっさんは自分が見初めたアイドルは「ちゃん」付けで呼ぶんだ」

春香「じゃあ、真は……!」

冬馬「間違いない、選ばれたんだ……おっさんに!」


千早「仲良いわよね、二人」

美希「息ピッタリなの」

黒井「実は我が961プロは君のようなアイドルを欲しているのだよ」

黒井「誰よりもダンスのキレが良く、誰よりも格好良く、誰よりも王者に相応しい……」

黒井「そんなアイドルを!」

真「そ、それが、ボクだって言うんですか?」

黒井「そうだ。見たまえ、鏡に映る自分の姿を!」

黒井「そして想像しろ……ジュピターのセンターで踊る自分自身を!」

真「いや、そんな、だってジュピターのセンターは冬馬が……」

黒井「冬馬? ウィ、君を欲しているのは、その冬馬が消えたからなのだよ」

真「え? それって……」

黒井「見ろ。アレが今の冬馬だ!」バッ


冬馬「きゃっぴぴぴぴーん☆ とっことっこりーん!」

冬馬「みんなのアイドル、天ヶ瀬冬子ちゃんナリよ~☆」

冬馬「とっことっこりーん☆」キャルーン


真「 」


美希「うわキツ、なの」

P「……本当に冬馬が遠いところへ行ってしまった……」

響「戻ってこれるかな……」

黒井「というわけで……961プロに来てくれるかな?」

黒井「答えは聞いていないが――」

真「冬馬、お前何してるんだよ!」

冬馬「なにって……みんなのアイドル天ヶ瀬冬子、だぜ!」

真「くっ……そんな、女の子チックな衣装……」

真「ボクも、ボクも……着たいよ!」

冬馬「……フッ、だったら、遠慮せずに着ようぜ。遠慮せずに、輝こうぜ!」

冬馬「だって俺達は……アイドルだろ!」

真「冬馬……!」


冬馬・真「!」ピシガシグッグ


千早「ダメな二人が手を結んでしまいましたね」

春香「冷静に解説してる場合じゃないと思うよ」

P「ドッキリだドッキリ、これドッキリだから!」

黒井「ぐ、グ……この私を無視するとはァ……!」

やよい「お疲れ様でした、黒井社長ー!」

響「あー、やよいはいい子だなあ」


真「えっ、ドッキリだったんですか!?」

P「ああ、そうだよ」

真「じゃあ冬馬の女装も?」

美希「うーんと、これは、新しい世界を……開いちゃったのかなあ……?」

響「ま、まあ、深くは気にしないでさ!」

冬馬「流石に俺にもプライドがあるからそろそろ止めとくぜ。脱いでくる」

千早「しかし、今をときめくジュピターのセンターが女装……というのは……」

春香「インパクトあるよね」


黒井「……」ズーン

やよい「社長、落ち込まないで下さい! 次がありますよっ! うっうー!」

一時休止

冬馬「うーい、戻ったぜ」

春香「あ、元に戻ってる」

千早「……完璧な女装だったという他はないわね……」

響「こと性別を偽ることに関しては完璧の称号明け渡しても良いかもだぞ……」

冬馬「いや、いらねえよ」

P「よし、冬馬が戻ったことだし次のドッキリ内容を引くか」

真「あ、ドッキリの内容くじ引きなんですね」

冬馬「おう。任せな」

バッ

やよい「んーと……これ、なんて書いてあるんですか? 難しくてよくわかんないです……」

響「じゃあ完璧な自分が読み上げるぞ。えっとね」

響「……『性癖の暴露』、だってさ!」

春香「性癖の……」

千早「暴露……」

P「だとさ、冬馬」

冬馬「なんだよ、また俺が仕掛けるのか?」

美希「一番楽だと思うの。だって冬馬はロ」

響「それ以上いけないってば!」

やよい「ロ?」

冬馬「さぁな。あんま気にするなよ、高槻」

やよい「あ……」

冬馬「ん、どうした?」

やよい「昨日は名前だったけど、今日はまた苗字に戻っちゃうんですね。残念ですー……」

冬馬「っ、す、すまねぇ。呼び慣れてなくてな……、や、やよい……」

やよい「はいっ、冬馬さん!」

冬馬「ったく、こっぱずかしいぜ」

やよい「えへへ、仲良くなれた感じがして嬉しいですーっ!」

冬馬「お、おう……」

千早「……」

美希「千早さん、ちょっと目が怖いの」

P「まあ、あれを見せられると……」

春香「美希の言うことも無理ないかなって思えてきちゃいますね」

響「う~……やよいが取られたぁ……」

P「いや、取られてないから」

春香「でも伊織が見たらすぐに突っかかりそう……」

黒井「冬馬が生き生きとしている……。高槻やよいには何かがあるのか……」

P「そりゃーウチの自慢のアイドルですもの!」

冬馬「……性癖か……うーん……」

P「難しいところだな。適当にでっち上げるのも手だ」

真「実はプロデューサーが好き、とかで良いんじゃない?」ケラケラ

春香「真、ダメ」

千早「それはいけないわ」

美希「洒落になってないの」

響「詳しくはこの録画を見るんだ」

真「み、みんな何をそんなに真剣に……」


冬馬「よし、決まったぜ! やよい、ちょっと力を貸してくれ!」

やよい「はいっ!」

うーい再び一時休止
もとい寝ます 

冬馬「よっし、準備は完璧、だぜ!」

P「二人でなにしてたんだ?」

千早「いかがわしいことはしていないわよね」

冬馬「す、するわけねぇだろ!」

やよい「冬馬さんは仕込み、って言ってました!」

春香「仕込み……?」

黒井「フン……冬馬にも何かしら考えがあるのだろう」

P「じゃ、ターゲットが来るまでのんびりしとくか……」

響「あ、それじゃあもう一回961プロverのやよいを見よっと!」

黒井「ウィ。この売り出し方は貴様の発案にしては悪くないと思うぞ。二流プロデュサーに格上げてやっても良い」

P「黒井社長まで乗り気なのがビックリなんですけど……」

春香「961プロverのやよいってなに?」

美希「黒井社長に仕掛けたドッキリなの」

千早「素敵だったわ……」

やよい「そ、そんなに褒められると照れちゃいますよぉ」

響「照れるやよいも可愛いなぁ……!」

コツコツコツ

春香「あっ」

千早「来たようね」

P「今回のターゲットは誰かなーっと」

冬馬「誰が来ても、全力で騙しに行くぜ!」

響「……でも騙すって言うよりはただ絶句させることの方が多いだけのような気も」

美希「響、それは禁句だと思うな」

響「そ、そっか、ごめん」

冬馬「ドッキリさせてるんだ、何も問題ねぇ!」

ガチャッ

亜美「はろはろーん、亜美のトージョーだよ→!」

春香「亜美だ。おはよー」

亜美「おやおやはるるん、今日もリボンが元気だねー」

響「リボンが元気ってどういう事だ……?」

P「わからんでもない」

春香「え……わかるんですか?」

亜美「およー、結構人来てるんだね。朝早いのに熱心だねぇ君たち! ウォッホン、感心感心」

冬馬「何キャラだよ……」

亜美「おやおや? いつもより事務所が黒っぽいと思ったらあまとうじゃーん!」

冬馬「よう、亜美」

亜美「どったのー? 事務所になんか用? あっ、もしかして……」

亜美「兄ちゃんに愛のコ・ク・ハ・ク!? 

亜美「亜美たちから兄ちゃんを奪い取るつもりだったりー!? でも、そうはさせないよ→!」

冬馬「ちっ、ちげぇよ! 何言ってんだお前はっ!」

亜美「あまとうさぁん、焦ったりすると余計に妖しいですぜぇ、んっふっふ→」


千早「……嘘から出た真という言葉もあるわよね」

美希「……冬馬にハニーは渡さないの」

春香「うん……わ、わたしも」

真「ヒドい信頼感だ……」

亜美「……ってか、黒井のおっちゃんもいるじゃん! ここ961プロじゃないよ?」

黒井「ウィ、そんなことは百も承知だ。今朝もちんちくりんだな双海妹」

亜美「ちんちくりんとはシツレイな! 亜美は超セクチーなプリチーガールだYO!」

黒井「寝言は寝て言うから寝言なのだ。大体、その言い回しが既にちんちくりんではないか」

亜美「あのさぁ……おっちゃん、ケッコー大人げないって言われない?」

黒井「ぐゥッ……!」

冬馬「ははは、こいつにかかりゃおっさんも形無しだな」

亜美「言い合いで亜美に勝とうなんざ二日早いのだー!」

黒井「では三日後は私の勝ちではないか。参ったか双海妹ォ!」

亜美「くぅ、なんという強敵……! これはあまとうが死んで亜美が怒りのボルテージマックスしかないよ!」

冬馬「なんで俺が死ななきゃなんねーんだ!」


P「黒井社長……」

千早「……完全にペースに乗せられていますね」

真「まぁ、楽しそうだから良いんじゃない……?」

亜美「それよりさぁ、あまとうがいるんならちょうどいいや、スマブラやろーよスマブラ!」

冬馬「おっ、この前の楽屋でのリベンジか?」

P「そんなんやってたのかお前たち」

亜美「そだよー。共演した時に、あまとうと、ほくほくと、いおりんとでやったんだけど」

冬馬「あれはかなり盛り上がったな」

亜美「うん、いおりんとほくほくの手に汗握る4位決定戦……! 涙なしでは語れないよね!」

冬馬「そう、そしてその熾烈な戦いの裏側で俺と亜美の頂上決戦が熱く繰り広げられてた、ってわけだ!」

亜美「今日こそあの時のせ、セツジョク? を果たす時だよ! というわけで兄ちゃんも参加ね」

冬馬「おっさんも参加だ! いいよな!」

黒井「ウィ。黒井崇男が総てに秀でるスーパーセレブであることを知らしめてやろう」

P「じゃあ、俺も……黒井社長とゲーム出来る機会なんてなさそうだし」



春香「黒井社長のノリの良さってどこから来てるの?」

美希「昨日もあんなカンジだったよ?」

やよい「みんな楽しいのが一番ですーっ!」

響「やよいは良いこと言うなぁ!」

亜美「んっふっふー、亜美はソニックだよー!」

冬馬「俺は当然アイク、だぜ!」

P「じゃあ、ゼロスーツサムスで……」

亜美「兄ちゃん、エロエロですな~」

P「い、いいだろ動き早いんだし」

黒井「……このコントローラーとやらはどう持つのが正しいのだ?」

やよい「こうですよー」

黒井「ウィ。やるではないか高槻やよい」

やよい「うっうー!」


響「なぁ、なんか黒井社長とやよいも仲良くなってない?」

千早「……」

美希「千早さん、目が濁ってるの……」

黒井「ウィ、私はこのガノンドロフとやらで行こうではないか」

冬馬「あぁ……」

亜美「あー……」

P「ああ……」

黒井「なんだ貴様ら。何か言いたいことがあるのかね?」

亜美「いや、黒井のおっちゃんらしいチョイスだなって」

冬馬「似合ってるぜ、おっさん」

P「ピッタリですよ、イメージに」

黒井「馬鹿にされている気がしてならんぞ……」

亜美「そんなことないって! そんじゃステージは当然終点だよねー!」

冬馬「遠慮なく行くぜ」

P「程ほどに頼むよ」

冬馬「きゃっぴぴぴぴーん☆ とっことっこりーん!」

冬馬「みんなのアイドル、天ヶ瀬冬子ちゃんナリよ~☆」

冬馬「とっことっこりーん☆」キャルーン
このあまとうに思いっきり吹いて笑い死にしかけた…

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年04月11日 (土) 18:48:57   ID: XV8K1_lC

落ちてたどころか2か月ぐらい保守以外なかったな…残念楽しみにしてたのに

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