アキ「遊星居る?」 クロウ「居ねーよ」(20)

ポッポタイム・ガレージにて……

アキ「あら、クロウだけなの?」←学校帰り

クロウ「ああ、俺だけだよ。でもだからってそんな露骨に残念そうな顔しなくても良いじゃねえか」

アキ「別にそんな顔してないでしょ?」

クロウ「してるよ。まあ愛しの遊星が居なくて寂しくなる気持ちは分かるけどよぉ」

アキ「い、愛しのって!? ちょっとやめてよ、そういうの! 私は別に遊星の事なんて……///」アタフタキオン

クロウ「毎度毎度分かりやすい上に予想通りの反応してくれるよな、お前って」

アキ「コホン、それで遊星は今何処なのよ?」

クロウ「仕事だよ。ブルーノと一緒に近くの会社までパソコンの修理に出掛けてんだ」

アキ「ふぅん、ブルーノと一緒ねぇ……」

クロウ「一応言っとくけどブルーノは遊星の手伝いに付いて行っただけだからな。男相手に嫉妬すんなよ」

アキ「してないわよ! もう、なんで今日はそういう変な突っ掛り方ばかりしてくる訳?」プンスカブックス

クロウ「別に故意でやってる訳じゃねえんだけどな~」

アキ「で、遊星は何時頃戻って来るの?」

クロウ「はっきりとは言えないが修理が順調ならそんなに遅くはならないんじゃねえか? まああの2人が手間取る事はまず無いとは思うけど」

アキ「そう。なら遊星が帰って来るまで待たせて貰っても良い?」

クロウ「良いけど俺も後1時間くらいしたら仕事に出るぜ?」

アキ「なら貴方が居る間だけ待たせて貰うわ。その間に遊星が帰ってくれば言い訳だし」

クロウ「そうか、じゃあ好きにしろよ」


…………

クロウ「ほら、コーヒーだ」コト

アキ「あら、わざわざ淹れてくれなくても良かったのに」

クロウ「自分のを入れたついでだから気にすんな。それにインスタントだから大した手間も掛かってねえし」カキカキ

アキ「でもありがとう。ところでクロウはさっきから何してるの?」

クロウ「ん、家計簿つけてんだよ」デンタクパチパチ

アキ「わりとマメなのね。心なしか板についてる気がするわ」

クロウ「結構カツカツで生活してるからな、俺ら。おまけに1人散財ばっかりする奴もいるからこういうのはしっかりしとかねえと……くそ、こりゃ今月も赤字だな」ウンザリチュア

アキ「大変ねぇ……それでその散財をしている元キングさんはどうしたの? もしかして彼も遊星と一緒なの?」

クロウ「あいつが付いて行っても邪魔になるだけだろうが。ジャックなら今朝早くから職安に行ってるよ。あいつも多少は我が家の経済危機が分かっているらしい」

アキ「ちゃんと見つけられるかしら?」

クロウ「正直期待はしてない。まあ俺としては何か動いてくれるだけでも少しは安心できるんだけどさ」

アキ「まるで成人したのに働かない子供を持った親の心境みたいね」

クロウ「得てして妙過ぎるな、それ」タメイキング

アキ「さて、私も待っているだけなのも何だし宿題でもやろうかしら」ガサゴソ

クロウ「ん、それって学校の教科書か?」

アキ「ええ、そうだけど?」

クロウ「いや、俺ってちゃんと学校行った事ないからこういうのあんまり見た事なくてさ……ちょっと貸して貰って良いか?」

アキ「構わないわよ、はい」

クロウ「サンキュー。どれどれ」ペラッ

クロウ「…………」

クロウ「…………」パタン

アキ「1ページ見ただけで無言で閉じないでよ」

クロウ「いや、だってなんか見ているだけで頭が痛くなるというかなんというか……え、マジでこんなん使って勉強してんの?」ビックリボー

アキ「そうだけど?」

クロウ「すげえな、俺にはさっぱりピーマンだわ。デュエルモンスターズも文字の読み書きは教えてくれてもここまで複雑な事は教えてくれなかったし」

アキ「でもクロウと一緒の生活をしていた遊星はこういうもちゃんと分かるわよね。というか私よりずっと頭良いし」

クロウ「あいつと一緒にすんな。あいつは特別なんだよ、異常なんだよ。きっと頭の中には特別な蟹味噌もとい脳みそが詰まっているに違いない」

アキ「蟹味噌もといって何よ……」

クロウ「とにかく俺にはその教科書に書いてある事はまったく理解出来ないからな。宿題で分からない事があっても俺に聞くんじゃねえぞ、良いな?」

アキ「最初からそんなつもりは無いわよ」ヤレヤレクス


…………

アキ「…………」カキカキ

クロウ「…………」パチパチ

アキ「…………」カキカキ

クロウ「…………」パチパチ

……ぐぅ~~~

アキ「……私じゃないわよ?」

クロウ「なら必然的に俺だな……そういえば昼間は色々と忙しくて飯食って無かったわ」

アキ「これから仕事なんでしょ? ちゃんと食べといた方が良いわよ?」

クロウ「そうだな、時間的には中途半端だけど……軽く済ませとくか」ガサゴソ

アキ「食パン? トーストでも焼くの?」

クロウ「そんな手間掛けねえよ。食パンにスライスチーズ乗せてマヨネーズで円を描いて二つ折りにするとな、なんかこうサンドイッチみたいになるんだよ」

アキ「雑な上に無駄にカロリー高そうね」

クロウ「貧乏人の食事なんてこんなもんだよ。つーか今日はマヨネーズ使える分リッチだし」

アキ「貴方も遊星も毎日こんなのばかり食べているの?」

クロウ「大抵はな。たまに作るけどやっぱり面倒だし、最近は色々と忙しいし……」

アキ「仕方ないわね。ちょっと待ってなさい、もう少しマシなの作ってあげるから」

クロウ「へ? いや、でも……」

アキ「ああ、材料なら大丈夫よ。今日学校で調理実習があってその時のあまりがあるから……ただ卵と調味料だけは貰うわね」

クロウ「いや、そういう訳じゃなくて……作ってくれるのか? アキが? 俺の食事を?」

アキ「何よ、不安? 大丈夫よ、味はそれなりに保障してあげるから」

クロウ「別にそんな不安は無いけど……良いのか、本当に?」

アキ「WRGPも近いんだし体調管理はキチンとしなきゃ駄目でしょ? じゃあ2階のキッチン借りるわね」トコトコ


…………

アキ「はい、召し上がれ」←学生服の上にエプロン付けてる

クロウ「…………」

アキ「な、何よ、その反応? もしかして見た目が悪かったかしら? 自分的には上手く出来たと思うんだけど……」

クロウ「いや、違うんだ。ちょっと感動しちまって……俺って女の子から手料理作って貰うなんて事は今まで一度も無かったからさ」ジーン

アキ「ああ……」

クロウ「その『納得だわ』みたいな顔は止めてくれ……しかしマジで美味そうだ、お前って料理得意だったんだな」

アキ「ま、まあね。遊星ほどじゃないけど……」テレッ

クロウ「そういやあいつ料理も得意だったな。本当に完璧超人過ぎる……って、アキってあいつの料理食べた事あんのか? 滅多にやらないはずだけど?」

アキ「えっと、少し前にちょっとね……思い出すのは少し恥ずかしいけど///」

クロウ「恥ずかしい?」

アキ「な、何でもないわよ。それより食べるなら早く食べなさいよ、冷めるわよ?」アセアセイクリッド

クロウ「おお、そうだな。じゃあいただきます!」

アキ「……どうかしら?」

クロウ「もぐもぐ……うん、美味い! それ以外の感想が出ないくらい普通に美味い!!」オーマイコンブ

アキ「そう、なら良かったわ」←実は内心ホッとしてる

クロウ「いや、こんな美味い料理作れるならアキは良い嫁さんになるぜ。毎日こんな料理が食べられる未来の旦那が羨ましいぜ」ガツガツ

アキ「もう、それは言い過ぎよ」クスッ

クロウ「……ところで俺ってアキの手料理食べるのってこれが初めてだよな?」

アキ「そのはずだけど?」

クロウ「何かこの味付けは何処かで食べた気が……いや、多分気のせいだな、うん」ガツガツ


…………

クロウ「今遊星からメールが来た。何かパソコン修理したお礼に食事に誘われて、今日は遅くなるみたいだ。こりゃあお前も今日は帰った方が良さそうだな」

アキ「そうなの……」ションボリチュア

クロウ「悪いな、待たせるだけ待たせたのにこんな事になっちまって」

アキ「良いわ。別に急ぎの用って訳じゃないし、また明日来るから」

クロウ「そうか。じゃあ俺も宅配の仕事行って来るわ」

アキ「ええ、いってらっしゃい。仕事頑張ってね」

クロウ「……しかしあれだな」

アキ「?」

クロウ「食事作って貰って、こうやって玄関で見送って貰って」

クロウ「何か今の俺ら……どっかの新婚さんみたいだな、アハハハ♪」

アキ「クロウ……」











アキ「それはないわ」キッパリ

クロウ「ですよねー」

<おわり>


読んでくれた人、ありがとうございました。

今回の話は以前自分が書いた『アキ「遊星ってちゃんとご飯食べてるのかしら?」』や『クロウ「今日は楽しいクリスマス」』を読んでから読むと、また違った感じになるかもしれませんしならないかもしれません。

おやビックリボーの人こっちではお久
たまにはデュエルssでも書かないの?

>>17
デュエルは以前書いた時は結構楽しかったのでそのうちまた書きたいと思います。

>>18
期待してるよー、乙

やはり貴方か

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