某所 某日 某時刻
??「…ここでおしまいだな」
ブルーノ「…く。な、なぜこんなことを…。ゆ、許さないぞ…」
??「そうだ。ブルーノ。…君には一つ、約束してもらわないといけないことがあるんだった」
ブルーノ「??」
??「…エターナルサイレンス。…永遠の静け」
ブルーノ「!?ま、まさか!?」
??「さようなら…ブルーノ。いや、アンチノミー」
ガッ!
===================
ユーセイ「やれやれだ。…ブルーノのやつ、俺のDホイールの整備まだかかっているのか?」
ユーセイ「そんなにマズイ状況だったのだろうか。…それにしても遅い」
イザヨイ「…だ、誰か!?誰かぁ!?」
ユーセイ「この声は…あ、アキ!?…どうしたんだ!?」
ガチャッ!
ユーセイ「!?…こ、これは」
イザヨイ「どうして……どうして……みんな大好き、ブルーノちゃんが…っ!」
ユーセイ「…ブルーノが…死んでる!?」
ガチャッ!
牛尾「そこまでだ!大人しくしろ!!」
ユーセイ「牛尾!…なぜここに!?」
ウシオ「今さっき向かいのホテルから連絡があってな…モンスターが人間を殺しているところをみた…とな」
ユーセイ「何っ!?…それって」
捜査官「牛尾刑事!…こんなものが」
ブルーノのダイングメッセージを法廷記録にファイリングした
ウシオ「…『アキ』と書いてあるな。…よし、そこの女を連行しろ!」
十六夜「え!?そ、そんな…わ、私じゃない!?た、助けて!?」
ユーセイ「アキ!…アキ!アキィィィィ!!!」
ウシオ「十六夜 アキ。ブルーノの殺害容疑で逮捕する!」
==================================
某日 某時刻 ネオドミノシティ決闘裁判所控室
クロウ「…今日が、裁判だな」
ユーセイ「ああ」
クロウ「…しかし、なんでブルーノはアキの名前を書いたんだ…?いや、それ以前にどうしてアキは…」
ユーセイ「クロウ!」
クロウ「え?…ああ、すまなかった」
ユーセイ「…アキは、アキは……ブルーノを殺してなんかいない」
クロウ「え!?」
ユーセイ「裁判が始まるこの数日間。俺は必死に証拠品をあつめ、人の証言を聞いて回った。…それを今日、ここでぶつける」
クロウ「ぶつけるって…。お前、弁護なんかできんのかよ!?」
ユーセイ「ちょっと前にな。…それに今日は決闘者裁判だ。弁護士の資格がなくても、俺なら出れる」
クロウ「…それって、確か」
十六夜「決闘が複雑に絡んだ時のみに適応される裁判。審議の時間は短くて、とても速い」
クロウ「…アキ」
十六夜「普通の弁護士だと決闘に頭が回らないわ。だからこそ、決闘者が必要になるのよ」
ユーセイ「アキ……俺は必ず、お前を救う!」
十六夜「ユーセイ。…頼むから、イザヨイちゃんって呼んで」
クロウ「なんでだよ!?」
ユーセイ「なんでも~ヨイちゃんと呼ばれたいらしい」
クロウ「んだよそれ!…あーもう、聞く耳もたねー。ってか、そんなノロケ聞こえねー」
ユーセイ「嘘をつけ、人間には聞こえる音がヘルツでしっかりと決められているんだ…ペラペラペラ」
十六夜「とにかく…頼んだわ、ユーセイ。…私は、ブルーノを殺していないのよ」
ユーセイ「そもそも、ヘルツというのはだな…ペラペラペラ」
十六夜「きっと…私の事を殺人犯に仕立て上げようとした人が…真犯人のはずよ」
ユーセイ「ケータイでも300から3400ヘルツとだな…ペラペラ」
クロウ「その願いはこいつのうんちくを止めてからにしてくれ!」
十六夜「可哀想にユーセイ。…キンチョ―してるのね」
クロウ「んな呑気なこと言ってんじゃねー!」
===============================
某日 某時刻 ネオドミノシティ決闘裁判所
カンッ!
ガクエンチョー「それでは、ブルーノ殺害事件について、審議したいと思いますが…おや?」
クロウ「…GXの学園長じゃねーか」
ユーセイ「色々と似てるだろ。ハゲ部分とか」
クロウ「だからって過去の人が…!まあいい。…あれ?向こう側のやつ、まだきてねーぞ?」
ユーセイ「どうしたんだろうか?…まさか、放棄したのか?」
ガクエンチョー「カカリイン!どういう…ふむ?…ふむふむ。…ふむ!」
クロウ「…は!どうせ相手がユーセイだとビビッて、逃げ出してるんだろ!」
ガクエンチョー「どうやら検察側は交通の便に異常がでてしまったため…遅れるようです」
クロウ「んだよ、それ」
ユーセイ「仕方ない。…そうだ、検察が到着する前に、こっちの証拠品をチェックしておこう」
クロウ「お、さすがだな!…で、どんだけあるんだよ?」
ユーセイ「一応…だな」
ブルーノのダイングメッセージ
アキの決闘盤
ブルーノの決闘盤
ブルーノの司法解剖結果
クロウ「…少なくね?」
ユーセイ「わがまま言うな。決闘盤情報を聞き出すには、かなり苦労したんだ」
クロウ「ふーん。…メッセージはともかく、他の三つを詳しく見ておくか」
・アキの決闘盤 ライフ3600
フィールド上
モンスター
TG ハイパーライブラリアン
魔法&罠
薔薇の刻印 レベル・クライム(伏せ)
墓地
手札断殺 スポーア ボルヘジ 奈落の落とし穴 サンダーブレイク 幻影コオロギ
ブラックローズウィッチ ナイトローズナイト ブラックローズドラゴン
手札
なし
・ブルーノ決闘盤 ライフ1600
フィールド
なし
魔法&罠
なし
墓地
TGラッシュライノ TGワーウルフ 強欲で謙虚な壺 貪欲な壺
手札
死者蘇生 TGサイバーマジシャン
・司法解剖結果
体に鋭利な刃物で一刺し。それが致命傷となり、大量出血死
クロウ「大体こんな感じか…」
ユーセイ「お互いにデッキの総数は40。エクストラデッキは残り14枚だったようだ」
キリュー「…ほお、そいつを今更見てるのか」
クロウ「お前…鬼柳!?…どうして!?」
キリュー「はっ!…呑み込みが悪い。俺は検察側に立ってるんだぜ、クロウ」
ユーセイ「まさか…検察ってのは」
カンッ!
ガクエンチョー「それでは検察側もきたようなので…。裁判を始めます!」
ユーセイ「鬼柳…。お前」
キリュー「さあユーセイ。…俺を満足されてくれよぉ!」
ガクエンチョー「それでは検察側、冒頭弁論を」
キリュー「ああ?なんで俺がそんなこと…ホントはあんたがやりたいことじゃないのか?」
ユーセイ「異議あり!…それは検察側がすることだ!…ってか、そのキャラは本家の5とかぶってるぞ!」
キリュー「まあ、それに似てるからここにいるわけなんだが…」
クロウ「んだとぉ!?」
キリュー「まあいい。…特別にしてやる。…被害者はブルーノ。チーム5D'sの一員だ」
ガクエンチョー「ほー。…そして、被告が」
キリュー「こちらもチーム5D'sの一員、十六夜 アキ…だ。仲間割れとはひどいぜ…」
ガクエンチョー「チームの仲間…ですか。複雑な事情があるのかもしれませんね」
キリュー「ああ。…噂では、とある男を巡って少し口論になることもあったようだ」
ユーセイ「!?…そ、そうだったのか…クロウ!い、一体誰を!?」
クロウ「さ、さあな…(お前だよ、色男!アニメでもアキが嫉妬してただろうが!)」
キリュー「そういう不満もあって…今回の決闘だ。おそらく、かっとなって、彼女の力でやっちまったんだろうよ」
ガクエンチョー「ち…力…と言いますと?」
キリュー「サイコさ」
ガクエンチョー「さ…さいこ…?……さいころのことですかな?」
ユーセイ「違う!(ニュースとかこの人は見ないのか…?)」
キリュー「サイコ決闘者…っていうらしいな。超能力を使い、相手を傷つける」
ガクエンチョー「な、なんと!?」
ガヤガヤガヤガヤガヤ
ユーセイ(ま、まずい…。今ので一気に全員騒ぎ出した…)
キリュー「そこで…決闘にも負けそうにはなるわ。男を独り占めされるわで…カッとなったってわけだ」
ガクエンチョー「ふむぅ。…そして、被害者はダイングメッセージを残した…と。しかしそれだけでは」
キリュー「分かってるさ。…今から、決定的瞬間を見た目撃者を召喚するぜ。…来な!」
ユーセイ(…証人……そして、証言。…これから始まるぞ、俺の仕事が!)
シェリー「……はぁい。やってきましたよぉ」
クロウ「異議あり!!!」
ガクエンチョー「…………………………ど、どうしました」
クロウ「どうしましたじゃねぇよ!なんだよシェリー!その喋り方は!」
シェリー「どうかしたんですかぁ?」
クロウ「…なんだ…何だって言うんだ!うおおおおおおお」
ユーセイ「お、落ち着け!クロウ!…お前がどうしたんだ!」
クロウ「いや、だからよぉ!!」
カンッ!
ガクエンチョー「それでは…改めまして。証人、名前と職業を」
シェリー「私はぁ…シェリー ルブランです!一応、復讐が職業ですー」
ガクエンチョー「ほっほ!復習ですか!私も学生の時はよくしたものです!」
ユーセイ(学園長…凄い勘違いをしているようだ。…だが、話を進める上では都合がよさそうだな)
キリュー「んじゃあよぉ!…証人。さっそくだが証言してくれ。…この事件についてだ」
クロウ「あんにゃろう…。調子にのりやがって」
ユーセイ「きっと…どこかに矛盾があるはずだ。そこを突く!」
シェリー「それじゃあ、いきますよー」
ガクエンチョー「ほほ、可愛らしいですな」
証言開始==========
シェリー「私、あの事務所のちょうど真向いのコナミホテルに泊まってたんですけど」
シェリー「外の風あびたいなぁ。と思って、窓を開けてみたんです」
シェリー「そしたら、そこの被告席の女が血相を変えて、被害者と決闘してたんです」
シェリー「モンスターをシンクロ召喚したら、すぐにズドーン!って攻撃してました」
シェリー「なんか普通の決闘と違うな…とすぐに思ったので、警察に連絡したんですぅ!」
クロウ「なんなんだ…なぜか、この証言…無性にムシャクシャしてくるぜ」
ユーセイ「ああ…見え見えの嘘…つきやがって」
クロウ「ああ!…え?う、嘘…?まじかよ!そんなの見つけたのかよ!?」
ユーセイ「ああ。…今の証言には、決定的な矛盾がある」
クロウ「すげーな遊星!」
ユーセイ「…ところで、お前は何にムシャクシャしていたんだ?」
クロウ「んなことはどうでもいい!さっさとその嘘暴いて、鬼柳とあの馬鹿女をボコボコにしてやろうぜ!」
ユーセイ「分かってる(…だがなんだ、あの鬼柳の余裕の笑みは)」
ガクエンチョー「それでは弁護人、尋問をお願いします」
尋問開始=============
ユーセイ「…一応聞いておくが、証人が言っていることは全て事実か?」
シェリー「ひ、ひどいぃ…。私が言っていることが嘘だって言うんですかぁ?」
ユーセイ「…答えは聞くまでもないようだな」
シェリー「そうですよ!これに嘘なんてないですよ!」
ユーセイ「…じゃあ、本当にアキがシンクロ召喚している場面を見たんだな?」
シェリー「当然です!」
ユーセイ「異議あり!…それは、明らかに矛盾している!」
ガクエンチョー「ゆ、ユーセイ君!それはどういうことですか!?」
ユーセイ「これは…決闘において基本的なことですよ、学園長」
ユーセイ「証人。エクストラデッキの枚数制限、知ってるか?」
シェリー「15枚でしょ。馬鹿にしないでよ」
ユーセイ「その通りだ。…今、手元にある資料を見ると…被告人がしようしていたエクストラデッキの枚数は14枚」
ガクエンチョー「ふむぅ。…シンクロ召喚を一度行っているので、問題はないのでは?」
ユーセイ「それはどうかな。…墓地を見てみろ!」
ガクエンチョー「……!こ、これは…ブラックローズドラゴン!?」
シェリー「え?」
ユーセイ「そう…これでは、被告人のエクストラデッキの枚数制限が超えている。…つまり、これでは決闘できていない!」
シェリー「!!!……う、嘘…」
ガクエンチョー「確かに!!…これでは、ルール違反ですぞ!」
シェリー「そ、それはその……」
キリュー「異議あり!」
ユーセイ「……鬼柳」
キリュー「……がっかりだ。がっかりだぜ…遊星。…そんなんじゃ、満足できねぇぜ」
ユーセイ「な、何!?」
キリュー「お前さんこそよく見てみな…。この決闘盤の魔法&罠を…」
クロウ「?……これは…黒薔薇の刻印!?」
キリュー「そうさ!…つまり、このTGハイパー・ライブラリアンは被害者のもの」
ガクエンチョー「薔薇の刻印で、被害者のカードを洗脳した。…ということですかな」
キリュー「ああ。つまり…何の問題もねぇぜ」
ユーセイ「し、しかし!今、証人ははっきりと『シンクロ召喚したと!』」
シェリー「ああ!それですかぁ?…間違えちゃいました。ごめんなさい」
クロウ「…あの女…マジむかつくぜぇ…!」
ユーセイ(…これぐらいか。今つっこめることは)
キリュー「まだ、まだ何かあるかな?」
クロウ「あ!…そうだ、ブルーノの墓地!お、おい遊星!これこれ!」
キリュー「クロウ…その悪あがきはよせ。…どうせレベル5になるようなチューナーとモンスターがいないと言うんだろう」
クロウ「!?…な、なぜ…」
キリュー「答えは簡単さ…。墓地には、貪欲な壺がある。…意味、分かるな?」
ユーセイ「貪欲な壺で…モンスターを回収してデッキに戻した…というわけか」
クロウ「そ、そんなぁ…」
ユーセイ「…だが、読めていた」
クロウ「な、何ぃ!?」
ユーセイ(これぐらいの軽いミスは…おそらく簡単に修正できる。…だが、違う方向から攻めたらどうだ?)
ユーセイ「証人!…シンクロ召喚などで証言に矛盾が生じました。よって、新たな証言を要求します」
キリュー「…まだ満足してねぇのか、ユーセイ」
ユーセイ「当然だ!…まだ、議論していない事があるんだからな!」
キリュー「ほぅ。…いいだろう」
ユーセイ「証人!…その時に起きたことを、しっかりと鮮明に言ってください!」
サイバンチョー「それでは…お願いします!」
証言開始============
シェリー「また証言?めんどくさいなぁ……」
シェリー「その時、被告人が被害者のカードを薔薇の刻印で奪った。…それは間違いないわ」
シェリー「そして、そのまま被告が被害者になんか叫んでたわ」
シェリー「多分、日ごろの怨みとかじゃない?そこでついかっとなって…殺しちゃったんだと思う」
シェリー「私見てたもん。無残にも…モンスターが相手にとどめをさす瞬間を!」
クロウ「…ようやく、慣れてきたかな」
ユーセイ「法廷の空気にか?」
クロウ「…………そういうことにしておいてくれ。ユーセイ、しかしこれは俺でも分かったぜ」
ユーセイ「嘘が…か?」
クロウ「ああ。…刻印の薔薇の効果でカードを除外したら、除外ゾーンにカードが送られるよな?だが、除外ゾーンには何もない…だろ?」
ユーセイ「除外ゾーンはポケットだから、決闘盤にはそんなもんなくて当然だぞ」
クロウ「あ。……だったらカードはどこに…」
ユーセイ「それは証明できない。…そんなものはないからな」
クロウ「…なら枚数制限とか!さっきみたいに!デッキは…40枚あったんだろ?それっておかしくないか?一枚ポッケにつっこんでるんだろ?」
ユーセイ「…元々41枚のデッキなら不自然はないし、ルール違反していないだろ」
クロウ「………すいません、分かりません……」
ユーセイ「とりあえず、見てろって…」
ガクエンチョー「それでは、尋問をお願いします」
尋問開始======================
ユーセイ「…証人、本当にあのモンスターが被害者にとどめをさしたんだな?」
シェリー「はい!…可哀想に、きっとダメージに耐えきれなかったんでしょうね…」
ユーセイ「本当に、あのモンスターか?」
シェリー「そうですよ!」
ユーセイ「あの、TGハイパー・ライブラリアンが、相手を一刺しにしたんだな」
シェリー「しつこいなぁ!そうだって……あ」
キリュー「TGハイパー・ライブラリアンが……一刺しに…だとぉ?」
ユーセイ「ああ、司法解剖の結果通り…TGハイパー・ライブラリアンが…一刺しにした…ということだな!?」
キリュー「ま、まさか!」
ガクエンチョー「い、一体どういうことですか!?」
ユーセイ(説明必要か……)
シェリー「そ、それは……」
ユーセイ「TGハイパー・ライブラリアンの絵を見れば分かる。…彼が持っているのは、本一冊のみだ」
ガクエンチョー「本一冊…?ああ!こ、これだけでは、相手を一刺しなどできないではないですか!」
ユーセイ「そう。…TGハイパー・ライブラリアンの攻撃は刃物ではなく、魔法的な物。…司法解剖に書いてあるような結果が、起こるはずがない!」
キリュー「ぐあああああ!」
シェリー「きゃああああああああああ。…く、ハァ……ハァ……」
ユーセイ「一体どういうことだ?証人!」
キリュー「異議あり!…と、とどめは被告人がさしただけで…。他の傷をカードがつけたのであれば…」
ユーセイ「異議あり!…それはあり得ない。なぜなら傷は、ここ一つだけなのだから!」
キリュー「ぐああああああ!……ぐ、ゆ、ユーセイィィィ!」
途中からシェリーがキュリーになってる。ごめんなさい…誰だこれorz
シェリー「ぐ……ぐ……」
ユーセイ「証人!お前は、あり得ない光景を見たと言っている。そして、それはモンスターがこのカードである以上…あり得ない」
シェリー「う………そ………それは………」
ユーセイ「さあ、どう説明する、証人!!」
シェリー「う…ああああああああああああ!!!!」
ユーセイ「うおっ!」
クロウ「うわ!」
ドーンッ!
シェリー「うるさい!不動 遊星!私は、私は見たのだ!」
クロウ「あ、いつものシェリーだ」
あ、間違ってなかった。ごめんなさい。
シェリー「大体、被害者が被告人の名前を死ぬ間際に書いている!それで十分だろう!」
ユーセイ「…そうはいかない。…これで証人が嘘をついたことにより、証人がおかれた状況が怪しいものになった…」
シェリー「私を…疑うというのか!?…ふふ。それは不可能だ、不動 遊星」
ユーセイ「何!?」
シェリー「私はあの時…ボーイに用事を頼んでいた。…だからしっかりとアリバイがあるのだ!」
ユーセイ「何だと!?」
クロウ「ど、どうせまた嘘に…」
キリュー「いいや。本当だ…セキュリティが先にしっかりと調べておいたからな」
ユーセイ「…じゃあ、犯人は一体…」
シェリー「ふふ!それは被告だと何度も言っているだろう!」
ユーセイ「…おかしい。どうやって……いや、待てよ」
クロウ「どうした?ユーセイ」
ユーセイ「ボーイに用事を頼んでおいた…というのは本当だな?」
シェリー「…愚問ね。さっき、検事が答えたでしょ、そこのアリバイは崩れないと」
ユーセイ「…それは、直接頼んでいたのか?それと、電話で?」
シェリー「……で、でん」
キリュー「……異議あり!…証人の部屋からコールは一度もないと記録がある。…すなわち、直接に決まっているだろう」
シェリー「そ、そうよ!」
ユーセイ(…鬼柳が異議を申し立ててまでも邪魔してきた…。おそらく、そこが突破口か!)
ユーセイ「ならおかしい。…窓で事件を目撃しながらボーイと直接話す…これはちょっと不可能じゃないか?」
シェリー「そ…それは……」
キリュー「…本件とは、関係ないことだ」
ユーセイ「異議あり!…これは目撃している時に起きた重大な矛盾だ!関係ないことはないだろう!」
ガクエンチョー「異議を認めます。…証人、どうなのですか?」
シェリー「そ、それは…そ、そのぉ……」
キリュー「……ふ、ここまでか」
ユーセイ「?」
??「それは…私が話そう」
クロウ「誰だ!?」
??「それは…彼女が私と一緒にいたからだよ、不動 遊星」
ユーセイ「お前は……!」
ガクエンチョー「ち、ちょっと!なにもなしに勝手に証言するのは……」
ホセ「名はホセ。…一応、修正屋のようなことをしている」
ガクエンチョー「いや、だからですね!聞いてますか!?」
キリュー「彼は……私の証人だ」
ガクエンチョー「な、なんですと?」
ホセ「聞いただろう。私は証人で召喚されたのだ…。何も問題あるまい」
シェリー「……ホセ」
ユーセイ「一緒にいた…とは、どういうことだ!」
ホセ「その言葉の通りだ。私達は仕事をするためにコナミホテルに泊まった。…それだけのことだ」
クロウ「…いやいや、怪しすぎだっつーの」
ホセ「そこで私が見たことを…彼女が証言してくれたのだ」
ユーセイ「つまり…本当に事件を見たのは…お前…だと」
ホセ「そういうことだ。…あいにく、私はこの通り老いぼれでね。緊急の時以外は証言しないと検察側と約束したのだ」
キリュー「年寄りは大切にしろ…。そう習わなかったか?遊星」
ユーセイ(……こいつ、何を隠している?)
クロウ「…やばいぜ、遊星。ホセって言ったら…。あのニューワールドの連中の一人だ」
ユーセイ「ニューワールド?」
クロウ「ああ…。多くの権力と力を持って、やばい仕事をいくつもしてきたって噂の連中だ…」
ユーセイ「だから…鬼柳も従ってた…ってわけか、あの無理な要求を」
クロウ「かもな。…とにかく、今は親玉が出てきたんだ」
ユーセイ「ああ、ここは一気に叩く!…証人、では詳しいことを証人が証言してください!」
キリュー「ほぉ…。聞いても同じだぜ」
ユーセイ「そうはいかない。…本当に事件を見ていたものならば、新たな情報もあるかもしれないからな!」
シェリー「不動 遊星!…貴様」
ホセ「待て。…いいだろう。…こうなったら、やむをえまい」
ユーセイ「よし…これでいけるか…?」
ガクエンチョー「それでは、証言をお願いします」
証言開始=============
ホセ「私は全て見ていたんだ。…決闘を最初からね」
ホセ「最初は被告が押していたかと思うと…被害者が逆転と…中々見ものだった」
ホセ「スポーアやボルヘジをフィールドに並べるまではよかったんだが、」
ホセ「被害者がTGを使い、ワーウルフやサイバー・マジシャンなどのコンボは素晴らしかった」
ホセ「その時、加害者がまるで鬼のような形相になってね。いきなり…奇妙な力を使いだした」
ホセ「そして、TGハイパー・ライブラリアンを奪い取り…その後、ライブラリアンの影からこっそりと被害者を刺し殺すところまでもな」
ホセ「まったく、酷いものだたよ」
ガクエンチョー「ふむぅ。…聞いている限りでは矛盾はないですな」
ホセ「凶器はカードを具現化させたものだろう。…だから見つからないのだ」
クロウ「適当な事をてめ…!」
ユーセイ「待て!…暴力では何も解決できない。…それより、矛盾を見つけるのが先決だ」
クロウ「矛盾?…そんなの、どこにあんだよ」
ユーセイ「あるさ。…たった一つだけ、どうしても納得できない矛盾がな」
キリュー「苦し紛れのハッタリなら…満足できねぇぜ?」
ユーセイ「安心しろ!…満足させてやる!」
ガクエンチョー「それでは、尋問をお願いします」
尋問開始============
ユーセイ「証人、全て見ていたといったな」
ホセ「…そうだが」
ユーセイ「そのわりには…ちょっと矛盾があるように思える」
ホセ「…何?」
ユーセイ「スポーアとボルヘジ…?これらをフィールドに並べるのは、少し無理に思える」
キリュー「異議あり!…何を言っているんだ遊星。…被告の決闘盤を見てみろ。…ほら、手札断殺を使っているじゃないか」
ユーセイ「確かに。…手札断殺を使い、スポーアなどを墓地に、そしてボルヘジを何らかの方法で墓地に送ることができる…だが」
ガクエンチョー「まだ…納得できませんか?」
ユーセイ「そうだ。…スポーアはチューナー。…モンスターを除外しているにしろ、展開するならシンクロ召喚かエクシーズ召喚の材料にするはずだ」
ガクエンチョー「でしょうな」
ユーセイ「じゃあ…一体、何をシンクロ召喚したんだろうな」
キリュー「言うまでもねぇ。…唯一使ってるブラックローズドラゴンだろ」
ユーセイ「そう、その時シンクロ素材にされたボルヘジは除外される」
ホセ「それで、墓地のボルヘジがおかしいというのかね?…あれは二枚目のボルヘジだ。だから別に不自然な点は…」
ユーセイ「そこじゃなくて…そうなるのであれば、ブラックローズドラゴンは、一体なぜ墓地へ送られたのか」
ガクエンチョー「ふむぅ。被害者の墓地には除去カードはない…。先頭破壊ですかな?」
キリュー「高攻撃力モンスターなら…墓地にいったときに貪欲な壺で回収したんだろう」
ホセ「そうだ。そういうことだから問題は……」
ユーセイ「それはどうかな。…その高攻撃力モンスターはなぜ、倒されたのか。そして…ブラックローズは…なぜ、その時に守られなかったのか」
キリュー「それは…このサンダーブレイクを使って破壊を……あ、アレ?」
ガクエンチョー「それだと…攻撃される前にサンダーブレイクで守ればよい。…あ、奈落の落とし穴…は元よりですな」
キリュー「……倒せない。…倒したとしても、フィールドに残っているはずだ」
クロウ「フィールドに残っているのならば、なぜ、決闘盤のフィールドにいないのか…」
キリュー「ぐ…ま……ま……まさか……」
ホセ「矛盾が生まれる…だとぉっ!」
ユーセイ「そうだ!…変なプレイングミスをしない限り、ブラックローズドラゴンは墓地に送られない!」
キリュー「いや、スポーアでのシンクロは他のモンスターの可能性が…」
ユーセイ「墓地にはシンクロカードはブラックローズドラゴンだけだ!その可能性は墓地を見る限りない!」
ホセ「ぐううう………く……だが……私は……絶対に……絶対にこの事件には自信があるのだああ!!」
ユーセイ「なぜだ!なぜそんなことが言える!?」
ホセ「ぐう…………そ、それは………!」
キリュー「……証人、ここは素直に罪を認めたらどうだ?」
クロウ「…!ど、どういうことだ!?」
キリュー「……証人は、実は……ブルーノ決闘事務所を……盗聴していたのだ!!!!」
ホセ「…そ、そうだ!だからこそ…この事件は……その」
キリュー「盗聴していて…それを聞いていたのだ。…だから、少々の誤差があった…ようだ」
ユーセイ「……なん、だと」
クロウ「そんなのありかよ!」
ホセ「すまないな。…私もいろいろと権力を行使してやっていることがあるのだ。…因みに盗聴器は、これだ」
ガクエンチョー「これは…?」
キリュー「少し古いタイプだ。…ほぼ携帯と同じスペックだな」
ホセ「すまない。…少しそれで私が混乱してしまったようだ…。今までの証言はあやふやなものでな…」
クロウ「ふざけんなよ…なんだよ、それ!」
ホセ「なので、正確には見ていたのではなく…聞いていたのだよ」
ガクエンチョー「ふむぅ。…理由は罪深きことですが、一応筋は通っているようですなぁ」
ユーセイ「…そんな、馬鹿な。…そんな…」
クロウ「まて遊星!まだだ!まだ証言を聞き出せばどうにかなる!」
ユーセイ「だが、盗聴の証言…どうすれば」
クロウ「諦めるな!…希望がある限り…俺達は仲間を信じるんだ!」
ガクエンチョー「それでは、弁護側の意見もありますので、証言をお願いします」
証言開始====================
ホセ「私は全てのモンスターの鳴き声などを覚えている…よって、盗聴で決闘を聞き出すことなど可能だ」
ホセ「モンスターの説明がなくとも、スポーア、ボルヘジはもちろん…マイナーなモンスターでもあった幻影コオロギも鳴き声で分かった」
ホセ「よって、私は全てが分かっていた…気がしていたんだが、どうも違ったようだ」
ホセ「ブラックローズドラゴンや、TGなど…ちょっと困るな」
ホセ「お互いにモンスターの説明していなかった…まあ、チームの一員なら当然かもな」
ガクエンチョー「ふむぅ…鳴き声…ですか」
キリュー「KCは鳴き声もこだわっていてな。なるべくモチーフにしたモンスターの鳴き声を使っているんだ。だから独特と言えば独特だ」
ユーセイ「………カードの矛盾……く」
クロウ「…あ、あきらめるな!遊星!…お前の手に、アキが……アキの運命がかかってるんだぞ!」
ユーセイ「……だが、今の俺に……カードの矛盾なんて……」
クロウ「何言ってんだよ!お前の切り札はカードの矛盾を暴くだけじゃないだろ!その博学知識だって…」
ガクエンチョー「どうやら…ユーセイ君もここまでのようですね」
キリュー「ふぅ。…そろそろ、満足できそうだぜ。じゃあな、遊星」
ガクエンチョー「それでは…そろそろ」
ユーセイ「俺の……カードの矛盾……知識?………あ、そ、そうか!」
ガクエンチョー「それでは」
ユーセイ「異議あり!!!」
キリュー「おいおい…俺達の満足はこれから…ってか?」
ホセ「もう話うことは…ないはずだ」
ユーセイ「違う…まだだ。まだ尋問が残っている!」
ガクエンチョー「ですが…ユーセイ君にはもう…」
ユーセイ「違う!…確かに、カード自身の矛盾は見つけられなかった。…だが、違うところにならあった!」
キリュー「……何?一体どういうことだ?」
尋問開始=================
ホセ「一体何をいまさら…」
ユーセイ「…もう一度だけ聞く、モンスターの鳴き声をすべて聞いた…。そうだな」
ホセ「そうだ。私は全て聞いたのだ…」
ユーセイ「それはありえない!……なぜなら、幻影コオロギの鳴き声は…聞くことができないからだ」
ホセ「だから言っているだろう。幻影コオロギもすべて分かったと…」
ユーセイ「それはあり得ない。…その盗聴器、スペックは昔の携帯電話と同じ…なんだったな」
ホセ「そのはずだ」
ユーセイ「…ならば、コオロギの鳴き声は聞こえない。…なぜなら、携帯電話のヘルツ」
キリュー「…!……ま、まさか……」
クロウ「ヘルツ……さっき言ってたやつ!」
ユーセイ「携帯電話が伝えることが可能なヘルツは400~3400ヘルツ。だが、コオロギの鳴き声は…それ以上」
ユーセイ「つまり、盗聴器越しからでは聞くことはできない。…できるのは、現場にいて、デッキをいじっているとき…その時でしか不可能だ!」
ホセ「………………あ…う……うあああああああああああああああああ」
クロウ「やったぜ!さすがにこれ以上は言い訳できまい!」
ホセ「うあああああああああああああああ」
ユーセイ「さあ次は何だ?見ていない?聞いてもいない?…なのになぜ嘘をつく!それはお前が…犯人だからだろ!」
ホセ「うああああああああああああああああ」
バタンッ!
キリュー「あ」
ガクエンチョー「か、カカリイン!証人を!至急証人を医務室まで!」
クロウ「……終わった……な」
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ユーセイ「…これで、ようやく…おわった……」
ガクエンチョー「…それで、証人は?」
キリュー「素直に自白してるぜ。…どうやら、最初から殺すつもりで盗聴をしていたらしい」
ガクエンチョー「ふむ。怖い話ですな」
キリュー「前々から被告人に罪をなすりつけるために動いていたらしい。…決闘盤は、彼女が事務所においているところを狙ったようだ」
ガクエンチョー「それで全ての工作を行い、サイコ決闘者のせいにしたと…」
キリュー「決して許さることじゃねぇ。シェリーって女も、ホセもしっかりと牢獄で満足してもらうぜ」
ガクエンチョー「それで、動機は…?」
キリュー「未来の修正だとか意味わかんねー事言ってる。…まあ、それは後々報告させてもらう」
ガクエンチョー「分かりました。…とにかく、それでは被告人に判決を言い渡します」
無 罪
ガクエンチョー「本日はこれにて閉廷!」
某日 某時 ネオドミノシティ決闘裁判所控室
十六夜「ありがとう…ありがとう遊星!私…アナタのおかげで!」
ユーセイ「イザヨイちゃん!…よかったな!これで俺達も元通りだ!」
十六夜「そうね、これからも…ずっと…」
ユーセイ「ああ…!」
クロウ「……ゴッホン!」
十六夜「キャ!…あら、いたのクロウ」
クロウ「いたのじゃねーよ!ああ、そうですよ。どうせ俺は何もしてもせんよー。…勝手にノロケてろ!」
ユーセイ「すまない。悪かった。…本当に」
クロウ「いや、そこまで謝らなくても…。でも、とにかくおめでとうアキ……あ、イザヨイちゃん」
十六夜「でも…。ブルーノが……」
ユーセイ「……そうだな。…だが、俺達はブルーノから大事な事を教えてもらった」
クロウ「そう……だな」
ユーセイ「だから…俺達は、後ろを振り返っちゃいけない。…希望を掴むんだ」
十六夜「ユーセイ……」
ユーセイ「俺…もうちょっと…決闘裁判…頑張ってみるよ…」
十六夜「…うん!じゃあ…これから、ブルーノ決闘事務所じゃなくて、ユーセイ決闘事務所ね!」
ユーセイ「…え?……そうか…俺が……よし、やるぞ!」
終
続かないと思われる
こんな長いss見てくれてありがとうございました。
今度こそ…これで最後だと思います。なんか、やっぱり最後はgdgdだし
とにかくありがとうございました!
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