クロウ「おっぱい揉みたい」(29)

遊星「…………」カタカタ

クロウ「この手でおっぱいを揉み揉みしたい」

遊星「…………」カタカタ

クロウ「揉みしだきたい」

遊星「……もしかして俺に話し掛けているのか?」

クロウ「当たり前だろ。この部屋には俺とお前の二人しか居ないんだから」

遊星「しかし俺は男だから掴める様な胸なんてないぞ」

クロウ「馬鹿、何が悲しくてお前の胸を揉みたいなんて言うんだよ。俺が揉みたいのは女の子のおっぱいだ。ガールのバストだよ」

遊星「そうか、安心した。しかし急に何でそんな話を?」

クロウ「別に急なんかじゃねえよ。俺みたいな健全な男はな、常におっぱいの事を考えてるもんなんだ。あの魅惑の柔らかな二つのマシュマロンに興味ビンビングなのさ」

遊星「そうなのか」

クロウ「なあ、遊星。俺らってこの町を守る為に必死に戦って来たよな」

遊星「ああ、この町の今の平和は俺達の誇りだ」

クロウ「この町を守る……それは別に誰かに頼まれた訳でも無く、自分の意思で決めた事だ。それでもやっぱ少しくらいは誰かからの見返りがあっても良いと思うんだよ、俺は」

遊星「その見返りに胸が揉みたいと?」

クロウ「感謝の言葉は確かに貰ったぜ。その中には可愛い女の子も居た。だけど悲しいかな、その中の誰一人としておっぱいを揉ませてくれる奴は居なかった」

クロウ「結果、俺達が毎日掴んでいるのはおっぱいでは無くデッキから引かれるドローカードばかりだ。それはもしかしたらデュエリストとして正しい姿かもしれない」

クロウ「だけどさ、デュエリストだってたまにはドローカードじゃなくておっぱいが掴みてえんだよ。固い紙の感触より柔らかいおっぱいの感触を味わいたいんだよ」

遊星「そうか。あ、この前鬼柳が持って来たカステラがあるんだが食べるか?」

クロウ「おう、頂くぜ」

クロウ「畜生、ほんとマジで揉めないかな~。風俗いけば揉めるだろうがそれだと金が掛かるし、なんか負けた気もするしな~」モグモグ

遊星「切実だな」モキュモキュ

クロウ「切実にもなるぜ。お前やジャックと違って俺はこの先の人生、おっぱいを揉めるチャンスが来るかどうかも分からないんだからな」

遊星「ジャックはともかく俺だって分からないぞ?」

クロウ「いや、お前は絶対に揉めるだろ。アキに頼んだらすぐにでも揉ませて貰えるはずだ」

遊星「そんな事を頼んだらアキに殴られる……」

クロウ「いや、絶対にいけるから。試しに今後アキに会った時、『おい、おっぱい揉ませろよ』って言ってみろよ。きっとアキの奴は喜んでお前の前に生おっぱいをさらけ出すぜ」

遊星「アキはそんな痴女じゃない」

クロウ「でも何時もあんな胸元が見える服着てるし多少は露出癖はあると思うんだよな……ああ、くそ、あのデカパイ思い出したらますます揉みたくなってきた」ウズウズ

遊星「それ以上マーカーの数が増える様な真似だけはするなよ」

クロウ「なあ、遊星。お前って天才だろ? 何か考えてくれよ、楽に女の子のおっぱいを揉める方法をさ」

遊星「急にそんか事を聞かれても困る」

クロウ「仕方ねえじゃん。デュエルモンスターズは文字の読み書きは教えてくれたけど、おっぱいの揉み方までは教えてくれなかったんだ。ならもう遊星に頼むしかねえんだよ」

遊星「理屈は分からないがとりあえずネットで調べてみよう」カタカタ

クロウ「頼むぜ、遊星。お前が最後の希望だ」

遊星「ふむ……クロウ、二の腕の感触はその女性の胸の感触に良く似ているらしいぞ」カタカタ

クロウ「ああ、たまに聞くな。だけど俺みたいな男には女の二の腕を揉む事すらも難しいぜ」

遊星「それもそうだな」カタカタ

クロウ「…………」

遊星「じゃあこれはどうだ? 強烈な突風は女の子の胸の感触に似ているらしいぞ」カタカタ

クロウ「それも良く聞く話だな。だがそれも駄目だぜ、遊星」

遊星「なぜだ?」

クロウ「所詮は風だからな。確かに感触はあるがそれにはおっぱいが持つ『温かみ』というのがない。あるのはただ冷たいまがい物だけだ」

遊星「その口ぶりだと、すでに試したのか」

クロウ「ああ。つーか本物のおっぱいなんか触った事ないから、これがおっぱいの感触と言われてもイマイチピンと来ないんだよ」

30分後……

遊星「どれも似たり寄ったりだな。グーグル先生の力を持ってしてもこれ以上新たな情報は得られそうもない」

クロウ「掲示板にスレ建てても『糞スレ乙』とか『俺が知りたい』とかで終わっちまったしな……くそっ、結局おっぱいを揉める情報は皆無って事か」

クロウ「俺はこの先一生、おっぱいを揉める事なく死んでいくのか……畜生」ガックリチュア

遊星「クロウ……」

不動遊星は誰よりも仲間を大切にする男である。

故に理由が何であれ、目の前で激しく落ち込むクロウを見過ごす事は出来なかった。

モテないクロウを救いたい。心ゆくまでおっぱいを揉ませてやりたい。

友を救いたいというその想いが、遊星を動かした。

ネオ童実野シティ研究施設にて……

研究員A「不動博士、プロジェクトチームを再び集めて何をするですか?」

研究員B「すでに『モーメント』に代わる新たな永久機関『フォーチュン』は完成していますが……?」

遊星「みんなに集まって貰ったのは他でもない。もう一度みんなの力を俺に貸して欲しいんだ」

遊星「俺は友を救いたい。友の夢を叶えてやりたい。その為に……」





遊星「質量を持つ立体幻像(ソリッド・ビジョン)を開発したいんだ」

モテないクロウは一生女の子のおっぱいを揉む事は出来ない。それは残酷ながら変えようの無い現実である。

だがもし立体幻像が質量を持っていれば? 人間と変わらない温かみを持っていれば?

幸いデュエルモンスターズにはブラマジガールを始め、可愛い女の子のカードがたくさんある。これが成功すれば非モテ人間のクロウでも気軽に召喚したモンスターを使い、そのおっぱいを揉み揉みする事が出来るのだ。

デュエルモンスターズは何時も人々に希望を与えた。遊星は今回もクロウを救う為、デュエルモンスターズの可能性に賭けたのである。

だが質量を持つ立体幻像の開発は予想以上に困難であった。

正直な話、『今までも普通に質量があるみたいにモンスターの攻撃で吹き飛んでたし簡単だろう』と思っていたがそんな事はなかった。

それでも遊星は諦めなかった。全ては友の夢の為に……遊星は必死に動いた。

そんな遊星の努力によって研究は少しずつだが進んでいった。しかし、





遊星「クロウ……」

時の流れとは残酷である。すでに開発を開始してから七十年の月日が流れていたのだ。

クロウ・ホーガン……質量を持つ立体幻像の完成を迎える前に、その手におっぱいを掴む前に、彼はこの世を去った。

クロウ「おっぱいを 揉みたいな おっぱいを」

これがクロウが最後に残した言葉である。葬式でこの話を聞いた遊星は色んな意味で泣いた。

遊星はクロウにおっぱいを揉ませる事は出来なかった。それでも遊星は質量を持つ立体幻像の開発を止めなかった。

例え友が死んでも、その夢だけは終わらしてはいけない。クロウ亡き後、遊星は今まで以上に開発の為の研究に没頭した。

しかし英雄にして最強のデュエリストである遊星も年齢には勝てなかった。クロウが亡くなってからさらに五年後、遊星もまたこの世を去った。

その後、質量を持つ立体幻像の開発は後任の研究員達に託された。

あの不動遊星が自らの人生を賭けて生み出そうとした物、それをここで終わらす訳にはいかない……研究員達はクロウの夢を、そして今や遊星にとっても夢となったそれを引き継いだのである。





そしてさらに、数十年の時が流れた。

…………

遊矢「いくぜ、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンを召喚!」

オッP「ギャース」

遊矢「モンスターに乗ってフィールドを華麗に舞う……アクションデュエル、最高だ!」

ここ舞網市では完成した質量を持つ立体幻像を使用したアクションデュエルが普及していた。

エンターテイメント要素を多く取り入れた新たなデュエルは、多くのデュエリスト達の心を掴んだ。

だがその裏に、熱き男の友情がある事を知る者は居ない。

遊矢「さあ、お楽しみはこれからだ!」

おわり

読んでくれた人、ありがとうございました。実際にファイブディーズとアークファイブに繋がりがあるかは分かりません。

後サイコデュエリストの力を使えば触れる立体幻像なんて簡単に作れそうだなと書いた後に思いました。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年06月11日 (木) 20:00:37   ID: IoeHIaFM

いい話で終わった上に投稿日ェ……

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