【ミリマス】「横山奈緒と徳川まつり」【ジョジョ】 (1000)


これはアイドルマスターミリオンライブとジョジョの奇妙な冒険の二次創作です。

アイドルたちがスタンドでなんやかんやします

キャラ崩壊や設定の一部改変がありますので、苦手な方はブラウザバックを推奨します。

音無さんがは俺の嫁ぇぇぇぇぇ!やモブキャラの登場がムリな方もブラウザバック推奨です。


では投下します

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1402190884

765シアター



奈緒「あーやっと着いたわ」テクテク

奈緒(学校とか住む場所とかで、一ヶ月位東京に来るの遅れてもうたわ)

奈緒(一ヶ月って言うのは他の女の子と比べてって話やけど)

奈緒(こうして東京でアイドルデビューかぁ……)

奈緒「よっしゃ!気合い入れるで!」グッ


???「君は……」


奈緒「あぁっ!今の見てました?すみません忘れて……」


P「元気があっていいじゃないか……俺はこの765プロのプロデューサー、横山奈緒さんだろう?」


奈緒「はい!」


P「ようこそ765プロへ。これから此処が君とアイドル達の家になるのだから遠慮は要らない」スッ


奈緒「おじゃまします」


奈緒(765プロって結構有名やからめちゃめちゃでかいんかとおもっとったけど、意外と小さいな)


P「……意外とボロっちいと思ったんじゃあないか?」

奈緒「まあ、ちょっと小さいとは思いました」

P「近々、隣に新しく『劇場』を建てる予定だからな、我慢して欲しい」

奈緒(やっぱりマニーはあるんやなぁ)





P「座って待っててくれ」スタスタ

奈緒「はーい」ストン

奈緒(それにしても)

奈緒(この事務所、なーんか静かやなぁ)シィーン

奈緒「…………」ダラーン

奈緒「他に誰かおらんの?」キョロキョロ

事務員「…………」カタカタカタカタ

奈緒(おったおった、ってめっちゃ綺麗やんあの人!)

事務員「…………」チラッ

奈緒「!こ、こんにちは!」

事務員「…………」フッ

事務員「…………」カタカタカタカタ

奈緒(スルーされた!?)ガーン

P「待たせたな」

奈緒「あっはいはい」


P「同じ書類やなんかは親御さんに配送済みだ、説明するから分からないところは質問してくれ」ドッサリ


奈緒「はーい」


P「まずこの事務所だが、屋上に……」






P「直接プロデュースを……」

奈緒「はいはい」コクコク






P「給料はギャラの7割を……」

奈緒「結構貰えるんですね」コクコク






P「売り出す方針としては……」

奈緒(眠っ!)コクコク






P「衣装はこのカタログから好きに……おーい」

奈緒「はっ!すみません」



・・・・・・・・・・・・・・



奈緒「あーしんどかった!」グテーン


奈緒「あんなに長いとは思わんかったわ……」


奈緒「そういえば他のアイドルの娘全然見掛けへんな」


奈緒「みんな『Vi』『Da』『Vo』の三つの会社から仕事受けてるって言うし忙しいんかな?」


奈緒「せっかく来たんやから一人くらい会っときたいなぁ」


奈緒「この事務所で行く場所いうたら、レッスン場か……屋上やな」


奈緒「レッスン場は遠いから、屋上行って誰もおらんかったら今日は帰ろ。プロデューサーさんも仕事無いって言うてたし」


奈緒「どうせおらんと思うけどな」

奈緒「屋上なんて高校じゃ行かれへんから、貴重な体験や」カンカンカン

奈緒「ほいっと」ガチャ



・・・・・屋上


奈緒「誰かおるか……おった」

そこには真っ黒な男と巻いてある髪が特徴の女性がいた


??「!?」

???「おおっと、これは俺にもツキがまわってきたなァ!」

奈緒「は?」

??「今すぐそこから逃げるのです!」

巻き髪の女性が駆けつけようとするも

???「そうはいかねえよォォォ!」ドォォーン

奈緒(???から『もう一人』現れた!?)



???「オラァ!」グイ

奈緒「痛い!」

???のスタンドが奈緒を強引に引き寄せ、ついでにドアを閉める


??「ッ!」


???「これは人質だ……動けば普通の死に方よりも『えげつねェ?』ことしてやるよ!」


奈緒「な、なんやこの状況はッ!?」


奈緒(全然着いていかれへん……まぁたぶん『人質』なんやろうな……私は)

??「…………その子は関係ないのです」

???「まッッッたく関係ねえけどよぉ」


???「何も知らない女の子を見殺しにする訳にはいかねぇだろォォォ?」


???「だから!『アレ』を!渡しやがれっつっテンだろォ!!あぁ!?」


??「まつりは……」


巻き髪の女性は「まつり」と自分に呼び掛け、目を見開く


まつり「まつりはそこの人を巻き込んだのは偶然とはいえ申し訳ない、と思っているのです」


まつり「でも『それ』と『これ』とは全く別なのです。『情報』は秘匿されてこそ価値があるのです……ね?」ゴゴゴゴ


奈緒(よくわからんけど、私を見殺しにするっちゅうことか!)ドドドド


奈緒(よくみたらこの???は『奇妙な二人組』なだけで何にも凶器を持ってへんな)


まつり「まつりに人質は無駄です」ザッザッザッ


???「な、なんて神経してやがる……人質を取ったら普通は動かねぇもんだろ!」


奈緒(動揺して目を離した……今や!)ダッ


???「なぁんてなぁぁぁ!」


奈緒が一歩足を踏み出すとジュワァァァと靴が焼ける音がする


奈緒「あっつ!あっつ!!」

まつり「……!」

???「コンクリートを『熱した』!そろそろお前の方にも熱が伝わって来る頃だァン!!」バン!

???「たどり着く頃には誰かさんが『御好み焼き』になってるぜ、ケケケケケケケ」


???「テメェは盾にでも使ってやるよ!」


???はスタンドの腕をゆっくりと伸ばす


???「こっちへ……」


それは精神的な余裕、つまり油断に他ならなかった!


奈緒(『もう一人』の手がゆっくりとこっちに……)


???「来いッ!」


奈緒(遅い!避けられる!)サッ


???「何ィ!?」


まつり(スタンドを避けた!?もしかしてスタンド使いかもしれないのです……)


まつり「……そしてチャンスは今なのです」


まつり「『フェスタ・イルミネーション』」


まつり「『コンクリート』から『人間』を離す!……のです」ドォォーン!!



フワッ!


奈緒「浮かんだ!?」


???「いや……『飛ばされた』!このビルから放り出されるッ!」


まつり「まつりの手を!」ドッ


まつりが飛び上がり、奈緒に手を差し出す……が


奈緒「『さっき』……見殺しにするつもりやったやろ?」


ドドドドドド


まつり「あのままなら、死ぬのは時間の問題なのでした」ドドドドドド



奈緒「………………」ドドドドドド


奈緒「あとでなんか奢りや」パシッ


まつり「なんでもいいのですよ」ガシッ


???「テメェェェェラァァァ!よくもやりやがったな!」


転落防止用の柵がブチブチブチィ!と外れる

奈緒「柵がロープみたいになっとる!?」


まつり「伝って来るのです!あなたの『スタンド』を出すのです!まつりにできるのは「あなた」を庇うことだけ!」


奈緒「スタンド……ってなんや!」


まつり「『もう一人の自分』、『己の精神エネルギー』、『側立つもの』!」


まつり「スタンドが見えるなら使えるはずです!早く!まつりのスタンドは「触れなければ離せない」のです!」



奈緒「ワケわからんわ!そんなもん『出されへん!』アイドル候補生やったんやぞ!」


???「追い付いた!相談は……終わりだァァァー!ケラケラケラケラァ!!」ドコドコドコ


まつり「む、ナノナノナノナノォ!!」パシパシパシ


???「空中で人間を庇いながらいつまで戦えるかなァー?」


まつり「…………」ブシュゥゥ


奈緒「ち、血が」


まつり「うろたえないで!落下しきる前にスタンドを出すのです!」


まつり「大切なのは『認識』と『意識』」ゴゴゴゴ


まつり「スタンドの存在を認めて、側に立つエネルギーをイメージするのです!そのイメージを、手や足を動かすのと同じようにッ!当たり前に動かすのです!!!」


ドォォォォーン


???「落下で距離が離れた……が『ロープ』になる柵はまだまだあるぞ!」


ブチブチブチィ!


奈緒「当たり前に……動かす……」ドドドドドド


まつり「そうなのです」


奈緒「イメージ、自分、もう一人……」


まつり「エネルギーを!行使するのです!」




奈緒「これが私の……『スタンド』!」


バァ―――z_____ン!!!



・・・・・・・・・



P『さて、他のアイドルも君も。この765プロに来るには時間がかかった……』

P『時は金なり、無駄には出来ないからな』

P『奈緒には既に「持ち歌」がある。作ったのだ』

P『曲名は……』




奈緒「『H・L・ジェットマシーン!!』」


現れたスタンド。

そのフォルムはまるで、カエルとオタマジャクシを混ぜたのっぺりとした形。

短い四肢に長い尾ひれ、最も特徴的なのはコブのような頭と巨大な口である。



???「何ィィィィ!?『スタンド』が突然発現するなど有り得ん!」

まつり「なるべくしてなった……何もおかしくはないのです」



奈緒「……今理解したで『スタンド』!漠然と、曖昧に!そして具体的にや!」


???「だが所詮は『素人』!生まれつきの俺とは年季が違うわッ!!」


奈緒「さっきはやってくれたな!こてんぱんにしたるわ!」


まつり「気を付けるのです!弱くてもスタンド使いなのです」


???「俺のスタンドは『状態を変えずに物体を熱する』事ができる。


生き物には出来ねーからよォ、地面を『ホットプレート』にしといてやるよ!」


奈緒「ええこと聞いたなぁ」





ガ    オ    ン    !












その巨大な口が






奈緒「『空間を削る』……あんたが落ちる前に『再起不能』させる!」


???「このタボがァー!テメェは俺の射程距離内だッ!ケラケラケ……ハッ!」


まつり「射程距離に入った……つまりまつりもいるのですよ?」







まつり「ね?」




???「も、もしかしてェ――

奈緒「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!」
まつり「ナノナノナノナノナノナノナノナノナノナノォ!」



???「グビッ!ぐぼぁぁぁぁぁ!!」


ダァァァァン!!


???「へけ……へけ…… 」ピクピク


奈緒「うわぁ……思いっきり叩きつけられたで……」


まつり「随分とあっけなかったのです」

まつり「ところで……」


奈緒「?」


まつり「……」


ドドドドドドドド


まつり「着地しないとわんだほー、なことになるのです……ね?」


奈緒「…………」


奈緒「やり方教えて!早く!」


まつり「スタンドで地面を蹴るのです、反動で体はとまるのですよー!」トン


奈緒「うぅぅぅぅぅ……ハッ!」


スターン


奈緒「はぁぁぁぁぁぁ…………つかれた」グッタリ


まつり「あの……巻き込んでしまって本当に申し訳ないのです」ペコリ


奈緒「! いやいや!そんな謝らんでええよ!悪そうなのは向こうやし!な?」


まつり「……そういえば、765プロに何か用事があったのですか?」


奈緒「へ?あぁうん、あったで」


まつり「もしかして『同じアイドル』ですか?」


奈緒「! そうやで!横山奈緒です、よろしくな」


まつり「徳川まつりなのです、よろしくなのです、ね?」


奈緒「なぁなぁ、気になったことがあるんやけど」


まつり「ほ?どうしたのです?」


奈緒「『これ』どうすんの?」


???「へけ……へけ……」ブシャァァァァ


まつり「…………」





このあと転落事故として処理された





To be continued……

今日はここまでです

稚拙なものでしたが読んでくれてありがとうございます



続きはまた今度投下します


では

人間・横山奈緒
スタンド・『H・L・ジェットマシーン』

近距離パワー型・亜人間型

破壊力C  スピードB  射程距離C(5m)

持続力B  精密動作性A  成長性C


能力『空間を削る』

能力射程 不定

カエルとオタマジャクシの中間のようなスタンド。特徴的な口は人と同じように働き、空間をあらゆる方法で削る
(例、口で「噛んだ」箇所は削れる)






人間・徳川まつり
スタンド・『フェスタ・イルミネーション』

近距離パワー型・人間型

破壊力 B  スピードB  射程距離D

持続力A  精密動作性A  成長性E

能力『触れた物体から別の物体を離す』

能力射程 A(100m)


ぱわほーなスタンド


アイドルのスタンドってこんなかんじ?
http://i.imgur.com/wOsjLi3.jpg



>>20 特には決めておりませんので、ご想像にお任せしまーす


(o・∇・o)

持ち歌が日本語だとスタンドとしては微妙になりそう

支援です

横山奈緒(17) Da
http://i.imgur.com/vAkxAxm.jpg
http://i.imgur.com/kAnlFRW.jpg

徳川まつり(19) Vi
http://i.imgur.com/wOsjLi3.jpg
http://i.imgur.com/pBgWbBE.jpg



同じくジョジョ×アイマススレ書いてるので、増えてくれて非常に嬉しい

個人的には

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

とか

┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙

とか入れるとジョジョっぽくなると聞かれてもいないのにアドバイス



ライブは忙しくて行けなかった……

>>24ミリマスのカードのスキル名とかも使いますね、誤解を与えてしまいすみませんでした


>>25画像あざーっす!

>>27わたしもなんかドが違うと思ってました、あと雰囲気が足りない


投下します


どっかの甘味処




奈緒「昨日はさんざんやったわ」


奈緒「スタンドに目覚めるわ警察につれてかれるわ」


まつり「甘いものでも食べてさっぱり忘れるのです、ね?」


店員「ご注文はうさぎですかァー?」


まつり「まつりはこの『ふわふわマシュマロのフルーツパフェ』」


奈緒「じゃあ私は……『チョコレートXの野望』でお願いします」


店員「かしこまりましたァ、しょしょお待ち下さい」


まつり「『チョコレートXの野望』ってなんです?」


奈緒「でっっかいパフェやで、25?くらいあんねん」


まつり(桁が1つ違うのです……7800円、35?)パラパラ


イラッシャイマセー!ニメイサマデスネ


プロデューサーサン!!ココッテ,


キョダイデザートデユウメイナトコロデスヨネ!


イッテクレレバコンドツクリマスヨ!


シマッタ


美奈子「あっ!まつりちゃん。それに……誰ですか?」


P「美奈子、新しく入った横山奈緒だ」


美奈子「よろしくね、奈緒ちゃん!」


奈緒「よろしくお願いします、えーと」


美奈子「佐竹美奈子です!これからよろしくね」ストン


P「まつりはここによく来るのか?」ストン


まつり「ここはとってもふわふわわんだほーなスイーツが沢山あるのです。毎食ここなのです……ね?」


奈緒「毎食食べとったら太るやろ」


まつり「姫は甘いものしか食べないのです……ね、ね?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


奈緒(このキャラはまだ慣れへんわ)ヤレヤレ

25センチと35センチです





美奈子「まつりちゃん、ちゃんとご飯も食べないとダメだよ。そうだ!お昼位は作って……」


まつり「……! い、いいのですよ!まつりは少食なのでこの『ふわふわマシュマロのフルーツパフェ』より多いものは食べられないのです」ドドドド


店員「おまたっせしゃしたー」ドンッ!


パフェ「」ドォォォォォォォン!!


まつり「」


美奈子「意外とおっきいね、このマシュマロパフェ」


P(御愁傷様)


店員「あ、Xの野望は?」


奈緒「はいはい、私です」


奈緒(なーんかみんな、美奈子の料理を避けてるような……よくあるメシマズなんかな?)


美奈子「わぁ!奈緒ちゃんそれ一人で食べるの?」


P「……奈緒、明日には仕事があるから程々にしておけよ……」


まつり(たくましく生きるのです)


奈緒「いやー、関西でもこの手のスイーツ番組はやんねんけど、なんでか関東の店ばっかやねん」


奈緒「東京来たら絶対食べたいと思っててん!特にこの『ボリューム』!」


美奈子「『ボリューム』……」


オイシイノデス

ヨカッタナ


奈緒「やっぱりな、美味しそうなもんは『いっぱい』食べてみたいもんやと思うねん」


奈緒「『ちょっと』やなくて『いっぱい』な」


美奈子「奈緒ちゃんって……食べるのが好きなの?」

ワラビモチヲヒトツ


奈緒「うーん……私な、食べ歩きとかよくすんねん、せやからたぶん胃袋が膨らんでんねん」


美奈子「じゃあ明日、私がお昼ご飯作ってあげるよ!」


┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″


まつり「!」
P「!?」


奈緒「また唐突な……あとそんなん悪いで」


美奈子「大丈夫、食材は765プロにはたっくさん『置いてある』し」


まつり(元凶はプロデューサーさんなのです?)


P(悪かったと思ってる)


奈緒「それじゃあお言葉に甘えて」


美奈子「中華料理屋の名に恥じない味をご馳走してあげるね!」


奈緒「おおっ!そうやったんか!」


まつり(まつりにはなんにも責任はないのです)パクパク


P(奈緒は午後から仕事……)パクパク





翌日

奈緒「おはようございます!」バターン


貴音「」モグモグ


美奈子「……貴音ちゃん、そろそろ時間だよ」


バァァァァァァン!


奈緒「」


貴音「ゴックン、そのようですね……あぁ!申し遅れました、わたくし四条貴音と申します。以後お見知りおきを……」


奈緒「あぁ、はい、横山奈緒です。よろしくお願いします」


P「貴音、行こうか」


貴音「申し訳ありません、わたくしはこれかららじおの収録故……また今度ゆっくり話し合いましょう」バタン


奈緒「…………」


美奈子「おはよう!奈緒ちゃん」


奈緒「おはよう、美奈子…………」


奈緒「……………………」


奈緒(な……)


┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″


奈緒(なんつー量や!!)


まつり「こんにちはなので…………」バタン


美奈子「まつりちゃんいらっしゃい!まつりちゃんの分もちゃーんとあるからね♪」ガチャ


まつり「ほ?」




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


奈緒(例えるならフルコース十人前やな)


まつり(サービスで当店の料理が全部出るのですね?)


美奈子「さぁ!召し上がれ!」バァァァァァン



奈緒(でも……量に怖じ気づいて食べないとかは、失礼やし勿体無いし。食べたら美味しすぎで全部食べてまうとかあるで、うん)


美奈子「はい、奈緒ちゃんあーん」アーン


奈緒「なっ!?」


美奈子「?」


奈緒(『あーん』!?こんなん都市伝説やとおもっとったわ)


美奈子「どうしたの?」


奈緒「な、なんでもないで……あ、あーん」パクッ


まつり(『あーん』?美奈子さんはこのようなことをする人でしたか?)


奈緒「お…………美味しい!めっちゃ美味しいやん!」パクパク


美奈子「はい、まつりちゃんも『あーん』……ね?」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


まつり(いつもの「人に食べさせたがる癖」だと思ってましたが……)


┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″



美奈子「どうしたの?食べないの……こんなに美味しいのに?」



奈緒「ほふひゃへ」モグモグ(そうやで)


まつり(こんなに強引ではないはずです……)


美奈子「………………………」


まつり(スタンド攻撃? いえ、一昨日の出来事のせいで過敏になってるだけなのです)


まつり(ただそこに『保証』はないのです。一瞬の油断が命取り)


まつり(念のためスタンドを出して確かめるのです)スッ


奈緒「!」

奈緒(スタンドなんか出して何するつもりや……)


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


美奈子「…………」


まつりのスタンドは指を美奈子の目の前に出し、ゆっくりと顔の前を通過させる







……怪しい素振りは見せない


美奈子「……まつりちゃん?お腹痛いの?」


まつり「違うのですよ……気になったことが、あったのです!」


ブン!


『フェスタ・イルミネーション』が美奈子に殴りかかる!


美奈子「ッ!」バッ


咄嗟に飛び退く美奈子、拳は美奈子の目の前を空振る


まつり「やっぱり『黒』なのです」


奈緒「ふぁ!ほふひふほほふぁ!」ゴックン


奈緒「美奈子!」


奈緒も『H・L・ジェットマシーン』を出して戦闘準備を整える


美奈子「ごめんね奈緒ちゃん……ごめんねまつりちゃん……」











美奈子「もう『攻撃』は始まってるの」


奈緒「なっ!?」
まつり「ほ!?」


美奈子「『スマイルファースト』」



短いですが今日はここまでです


たぶん皆さんが考えてるジョジョっぽい知略策略は期待しないで下さい

基本的にごり押しです

終わりだよー

(o・∇・o)

乙です

佐竹美奈子(18) Da
http://i.imgur.com/Qf8B4LF.jpg
http://i.imgur.com/0D8gJrD.jpg

四条貴音(18) Vo
http://i.imgur.com/HT9zG6B.jpg
http://i.imgur.com/TPYz6tg.jpg



おはようございます

>>47 別スレを書いてる人じゃないんで出しませんし出てきません

AS組は能力とかが違っても個人的には後ろめたいんでちょっと

なので出てくるスタンド持ちはシアター組だけです

そこら辺すみませんでした


投下します



設定は4月頃でオナシャス


・・・・・・・・・・・・




昨日



PRRRRRRRR

ピッ

美奈子「はい、もしもし?」



??「私だ」

美奈子「ッ!」ビクッ


??「佐竹美奈子君……君に仕事だ」


美奈子「えっ……?」


??「無償で仕事を提供する『対価』を払うときが来たようだ……」


美奈子「もしかして……」


??「君の事務所に『横山奈緒』が来たはずだ。彼女は邪魔になるであろう存在……」


??「飛び回るハエを殺さぬ者はおるまい」


美奈子「…………」


??「『横山奈緒』を『再起不能』にするのだ。出来なければ仕事は『無くなる』いいな」ガチャ


ツーツー


美奈子「…………」


美奈子「そんな……そんなのひどいよ……」


美奈子「どうしたらいいの……?」


美奈子「誰か……助けてよ……」





・・・・・・・・・・・・・




まつり「『攻撃』はもう……」


奈緒「始まってるやって?……ほんなら」


美奈子「…………」


奈緒「やられる前にやる!」ゴォォ


まつり「ダメなのです!相手の能力を……!」


まつりの視界の先、テーブルに並べられたすべての『料理』が飛来する!


美奈子「『スマイルファースト』の能力は」



美奈子「私の料理の匂いを嗅いだ時点で発動しているの、『匂い』を嗅いだ人に『料理』が飛んでいく……」


奈緒「なっ!料理がじゃまむぐむぐむぐ」モグモグ


まつりにも熱い炒飯が飛んでくる


まつり「! ナノナノナノォ!」


ドシャドシャドシャァ!

炒飯を払い除けるも


美奈子「食べ物は粗末にしちゃダメだよ!ちゃぁぁんと食べないとね!!」


まつり「消えた!?」


料理は全て床に落ちきる前に消えた……そして!


まつり『あ……熱い! 炒飯が口のなかに! しかも……』


美奈子「『吐き出せない』……だから『落ち着いて』、『椅子に座って』、『ゆっくり食べてね』」


奈緒「ゴックン な、なんやてェェェェ!?」


フワリ、フワリと料理が美奈子を取り囲む


美奈子「戦うか、食べるか……」




┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″


奈緒(どうする?)

まつり(まずは『様子見』です、勝利する道をさがすのです)



まつり「……」スチャ
奈緒「……」スチャ


「「いただきます」」


まつり(時間を掛けてゆっくり考えて……ハムッ)


奈緒(覚悟を決めるで……ハムッ)



まつり(!! この小籠包は、あつあつじゅーしーなのです!)モグモグ


奈緒(くーっ!このプリプリの海老と絶妙な辛さがたまらんでッ!)モグモグ


まつり(こんなにぱりぱりもっちりな餃子は知らなかったのです)モグモグ


奈緒(なんやこのラーメン!?麺とスープが離れない!醤油ベースのシンプルな味やけど、麺の中に隠された『何か』が『食欲を支配する!』)



まつり(これは……)
奈緒(この料理は……)


(いくらでも行けるのですッ!)
(いくらでも入るッ!)





90分後


まつり(もう無理なのです……)


奈緒(アカン……底が見えへん……)


美奈子「お味はどうですか?」


奈緒「うまいねんけど……」


まつり「胃袋には限界があるのです……」


美奈子「忘れたの?これは『戦い』……」


美奈子「まだ26キロ『用意してある』から」



┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″


美奈子「沢山食べてね♪」


グワァァァァァァン


食欲の失せた二人へ


皿に彩られた数々の料理が飛来する!


奈緒「ヤバイッ!逃げるで、まつり!」


まつり「…………」ドドドドドドド


まつり「ここは『あえて』逃げないのです」


奈緒「なっ!?アホ!どないすんねん!」


まつり「時間は腐るほどあったのです!思考を止めなければ活路は見いだされるはずなのです!」


美奈子「もう遅いッ!『お代わり』はあっても『終わり』は無いよ!」


ギュルルルルン!!


奈緒「アカン!避けェェェ!」


パリィィィィィン!!


『フェスタ・イルミネーション』が料理の『お皿』を砕いた!


まつり「料理を払い除けてはいけないのですが、あくまで『お皿』。このスタンドは『お皿』が本体の役目を果たしてるのです」


奈緒「ほんまや!料理が『鍋』に戻っていくッ!」


美奈子「よく見抜いたね……『お皿』から落ちた料理は『作った鍋』に戻っていく……『お皿』の役割はあくまでも『運搬』」


まつり(『お皿』からスタンドエネルギーを感じたので……『まさか当たる』なんて)ドックンドックン



美奈子「それなら、『卵かけ蟹雑炊』はいかが?」


総重量3000グラム!!!


美奈子「『鍋で作る料理』を落とす事は『食事』の拒否!『テレポート』してでも食べられに行くよ!」バババッ


まつり「逃げるのです!」ダッ


奈緒「はや!?」ダッ


ドアを開け、外へ飛び出すまつり、それに続いて奈緒も走り出す


奈緒「策は無いんかいな!」ダムッ


まつり「一時的に撃退出来れば本体を叩けると思ったのですが……」ダムッ



奈緒「追ってくるで!『いっぱい』や!」ストン


まつり「これは勘なのですが『勝利』するには『完食』するか『完食』するための『協力者』を探すしかないのですッ!」ストン


奈緒「『完食』は置いといて『協力者』? 居るわけ無いやろ!食べきれるかッ!?」


美奈子「外に逃げても無駄だよ……『料理』は食べられたがっているッ!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


まつり「『細かいの』に構っている暇はありません!『仕事場』に向かうのです!」




奈緒「『協力者』って誰や!? 焼きそばみたいな『小さいの』こそ食べな囲まれるで!」


まつり「『四条貴音』の元へ行くのです!」


奈緒「なるほど、でもラジオ収録中に入る気かいな!?それこそ『詰み』や!」


まつり「……ッッ!まつり達では『料理を一瞬で消し飛ばす』事は出来ないのですッ! だから貴音さんにッ!」


まつり(あの量を完食できるのは四条貴音『ただ一人』なのです!)


奈緒(今の……何か、見落としてる気がするわ……)


捕まれば即死は免れない、体の過半数を超える食材が迫っているのだ!


お互いを見失わぬよう、街の中を駆け抜ける!



奈緒「! よく見てみ……まつり」


まつり「ほ?」



┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″



奈緒「料理が『減速』してるで」


まつり「一体何が……?」


奈緒「チャンスか?」


まつり「まるで食べられるのを『待っている』みたいなのです……」


奈緒「まさか……!さっきや、さっきの会話や!」


まつり「……! なるほど、さっきの会話なのですね」


奈緒「貴音の所いってき……『小さいの』は足止めしとくで」


まつり「任せるのです……奈緒さん!」ダッ!



止まった奈緒と走り出すまつり


まつりの後を「重量系」の料理が、


そして奈緒の前には「杏仁豆腐」や「ゴマ団子」といった軽めの料理が並ぶ


奈緒「なんでずっと追ってくるんかなーって思っとったけど」


奈緒「この料理には『意識』がある!」


奈緒「だからこそ優先的に『食べたいもの』が追ってくるッ!」


奈緒「公園で落ち着いて食べようか……な!」ダッ!



奈緒(まつり……信じてるで)




公園



奈緒「ほないただきまーす」ヒョイパク


公園に着くなり、料理に囲まれた奈緒は


早速豚まんを手に取り食べる


奈緒「んー!この豚まんようできとるわぁ、ふわりとした生地に熱々の肉、噛む度に口の中に広がるジューシーな香りと肉の旨さ。ガムよりも長く噛んでられるわ!でももっとすごいのが飲み込んだ後……口の中が物足りない!」パクパク


奈緒「………………こんなことしてる場合ちゃうな」パクパク




奈緒「それにしても……美奈子はなんでこんなことするんかいな? 昨日会った感じでは、いい子やったのに……」
パクパク


奈緒「うーん…………分からん」



奈緒「」モグモグモグモグモグモグモグモグ



奈緒「もうそろそろで無くなる……って大半がまつりの所いったんかい!」パクパク


奈緒「走って小腹が空いたのはいいんやけど……」


卵かけ蟹雑炊「」フヨフヨ


奈緒「なんでこっち来てんねん!」


奈緒「確かに蟹は好きやけど、ほんまにヤバイで……」



奈緒「なんとかせなな」





・・・・・・・・・・・



まつり「ハァ……ハァ……」タッタッタッ


まつり「『お皿』を壊せるだけ壊したのですが……」


まつり「やっぱり難敵は『鍋』なのです」


まつり「『協力者』、つまり一緒に食べる人がいる『かもしれない』から襲ってこないのです」


フヨフヨと浮遊し、出前を待つ料理のようにも見える


まつり「『一人』より『二人』、多くの人に食べてもらうのを優先しているのです!」


まつり「『ラジオ局』までは14キロ離れているのです……時間が掛かれば最終的には……」ゴクッ


まつり「カロリー消費も兼ねて走る方がいいのです……本当は馬がいいのです」



タッタッタッタッタッタッ






車の中・・・・・・・・・・


貴音「おや?あれは……まつり姫ではありませんか、一体走ってどこへいくのでしょうか?」


貴音「それに空を飛ぶ数多の鍋……面妖な」ジュルリ





・・・・・・・・・・・・・・




まつり「……?」ピタ


料理「」


ゴゴコゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


まつり「迫っている……?確かに「四条貴音」の元へ向かっている筈なのです……」


まつり「しびれを切らしたとでも言うのですかッ!? まずいのです……何とかして『間』を持たせなくてはッ!」


まつり「恐らく『テレポート』は『明確な拒否』に対する『最終手段』」


まつり「今使われてない事を考えるとそうなるのです」


まつり「……一か八か、『フェスタ・イルミネーション』」ドォン!!


まつり「『空気』から『まつり』を離すのですッ!」


直後!まつりの体が宙に浮く!




まつり「『すぴぃーでぃー』な姫には追い付けないのです……ね!」


ビュゴォォォォォォオン!!


鍋料理「!」サァァァ


徳川まつり、最高時速300キロ!

その秘密は彼女の能力にあった!

『そこにある空気』は『まつり』と距離をとるため、瞬間的に『まつり』を移動させる!

しかし、『別の空気』もまた『まつり』を移動させるため、まつりは驚異的なスピードを手に入れる事ができる!

しかしッ!


料理「」ビュン


まつり「まつりを見失わない速さ……」


まつり「間違いなく『料理』は『飢えている』!」


まつり「貴音ちゃんを見つけなくては……!」






『ラジオ局』



まつり「貴音ちゃんは『帰った』のです!?」


AD「はい、帰りましたよ?どうしたんですか?忘れ物ですか?」


まつり「……はい、そうなのです。届けに来たのですが、次にいく場所を知っていますか?」


AD「え?事務所に戻るって言ってたよ」


まつり「わかったのです、ありがとうございました」


AD「いや、いいよ……あれ、なんだかいい匂いが」


まつり(もうここまで!?)

まつり「では失礼します」バタン




タッタッタッタッタッタッ


まつり「恐らく『入れ違い』ですが!」


行く手を阻む鍋


料理「」グツグツ


┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″


まつり「一筋縄ではいかないのです……」


料理「」グツグツ


吹き出す蒸気は『怒り』!


もはや待ってもらえる時間は皆無!


そのすべてがまつりに襲いかかる!


まつり(脱出は不可能……ですがッ!)


まつり(少しずつ食べるのです、『時間』を少しでも稼ぐのです)


シャキーン!と箸を取り出す


まつり「我慢が必要なのです」




まつり「貴音ちゃんがいない今、頼れるのは自分と奈緒さんだけなのです」



そして近くのベンチへと移動し、箸で食べる


食べる料理は『ワンタン』


皮に包まれた肉を取り、その口に運ぶ


舌が感じる薄い塩の味


加えて、挽き肉から出る肉汁がまつりの口内を刺激し、


食欲を掻き立てる。


だがあくまで時間稼ぎ、ゆっくりと食べるが


グツグツグツグツ


とまつりを急かす。



まつり(『怒って』いるのです)


まつり(これ以上の移動は危険……ここは『宥める』!)


まつり「ま、まつりはそんなに『熱い』料理は食べられないのです。アイスクリームが冷たい様に『アツアツ』が一番とは限らないのです」


まつり「自分に合った温度とペースが大切なのです……ね、ね?」

ワンタンは何とかその『怒り』を抑える


まつり(ふぅ……助かったのです。でも油断は駄目なのです)


まつり(奈緒さん……今はあなただけが頼りなのです)








一方




奈緒「見つけたでッ……『必勝法』」



バァ――――――z_______ ン



サァァァァァ、と蟹雑炊の『入っていた』鍋が消える


奈緒「なんで今まで気づかんかったんやッ!」


奈緒「だいぶ時間がかかってもうた……早くまつりの所にいかな!『ラジオ局』にッ!」


やる気十分な彼女に影が二つ迫る


?「おーい!待って!!」


???「バウッ!」カバッ


奈緒「え?うわぁ!?」ドサ


???「ハッハッハッハッ」フリフリ


?「もう!イヌ美、人に飛びかかっちゃダメだぞ」


イヌ美「バウッ」

場面転換激しいんで、酔いやすい人注意




奈緒「ひ、響ちゃんや……初めて見た……」


響「怪我はない、大丈夫か?……あれ?どっかで見たような」


??「響、そちらは『横山奈緒』ですよ。わたくしが先ほどお会いした」


奈緒「先ほどお会いした……?」


┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″


響「『貴音』!」


奈緒「なんで、なんでおるんやァーー!!」


貴音「何故、と申されても……」


響「仕事があるってプロデューサーが言うから呼びに来たんだぞ」


ゴゴコゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


奈緒(貴音さんが『ラジオ局』に居ない……仕事が終わったんや!このままじゃまつりがッ!)


奈緒「わ、分かりました!急いで」クルッ


響「ちょっと!」


奈緒「…………はい?」


響「事務所の場所、逆だぞ」


奈緒「…………」



響「もう、おっちょこちょいだなー奈緒は」


貴音「なんと!響、アレを!『焼きそば』が空を駆けています!」


響「え?またそんなこと言って……」クルッ


奈緒(今や!)ダッ


響「と、飛んでる」


貴音「えびちりや北京だっくも飛んでおります!」


響「ああ……えーとカメラカメラ」ゴソゴソ


奈緒(事務所にも急いで戻らなアカンのか……)



奈緒「それならッ!」


街を『飛ぶ』奈緒


その速さ時速40キロ


空間を『削りながら』移動し、一度地面から離れれば『飛行』が可能である事に気付いたのだ



奈緒「最短ルートは!」




『765プロ』に突入する




奈緒「おりゃああぁぁぁぁ!」


バリーン



美奈子「……!」


事務員「……」カタカタカタカタカタカタカタカタ


奈緒「美奈子!今すぐ止めてもらうで!」



美奈子「もう止められないよ…………まつりさんを囮にして来たんだ」


奈緒「囮ィ!? ちゃう!『こっち』のほうが早いからや」


美奈子「引き付けて、もう片方が倒す」


美奈子「凄くいい作戦だと思うよ。でも……」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


『焼そば!』『カツ丼!』『レバニラ!』


美奈子「作る時間は沢山あった!」



┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″


新たに出現する料理!山の如し!


しかし!


奈緒「あっそ」


美奈子(!? 歯牙にもかけてない……ハッタリ?でも一応『振り切ってる』)


美奈子「自信満々だね……勝てる見込みはあるの?」


奈緒「勝つもなにも美奈子の負け確や、あきらめ」


美奈子「そんなはずない!『食べきれない』量を出した!ネックの『貴音ちゃん』は居ない!」



美奈子「奈緒ちゃんは『匂い』を嗅いだ、既に『マーキング』済み!」


美奈子「もうどうなっても知らない!奈緒ちゃんの馬鹿!」


奈緒を取り囲む料理


だが


ガ     オ     ン




奈緒「言ったやろ……『食べた』って」


┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″


美奈子「そ……そんな!」


美奈子「あの量を一瞬で……」


料理が無くては使えないスタンドの『欠点』


『必殺』を潰された美奈子に残されたのは『敗北』


対抗手段を無くした美奈子はガックリと膝をつく


美奈子「そんな、そんな……完璧だったはず……負けるわけが」

奈緒「『負け』や」


奈緒「美奈子の負け」



美奈子「……………………………へへ」


美奈子「えへ……えへへへへ」


奈緒「ッ! なんで笑ってんねん!」

美奈子「負けないよ? まだまつりちゃんが残ってるもん、えへへへへへ」


奈緒「………………」


奈緒「……ちょっと倒れとき」


ドゴォ!


美奈子「こんなの……こんな……の」


美奈子「ゆ…………よ……」ガク


目の虚ろな美奈子は、ぶっ飛び気絶する




奈緒「後味悪いで……『友達』やのに……」





・・・・・・・・・・・・・・・


まつり「奈緒さん!」


事務所の扉から勢いよく入ってくるまつり


奈緒「あぁ……まつりか……」


まつり「? 元気が無いように見えるのです」


奈緒「そりゃなぁ……」


膝の上に乗せた美奈子の頭を撫でながら言う


奈緒「昨日まで仲良く話しとったのに、こんなことになるなんて……」


まつり「それはまつりも思ったのです。料理が好きな美奈子さんが『攻撃に』つかうなんて思えないのです」


奈緒「なんでやろなぁ…………」






美奈子「ぅ……うぅ……」



奈緒「気がついたみたいや」


美奈子「なお……ちゃん」


ゆっくりと上体を起こす美奈子


体を起こすなり、涙を流して謝り始める


美奈子「ごめんね……こんなことになっちゃって……」


まつり「まつりが欲しいのは謝罪ではありません」


美奈子「あはは……そうだよね……」


奈緒「まつり!」キッ!

まつり「『理由』です」


美奈子「…………?」


奈緒「ッ!…………」









まつり「何が『原因』なのですか?」








まつり「美奈子さんをそこまで『追い詰めた』のはなんなのですか?」









奈緒「確かにそうやな……聞いとかなあかんな」




美奈子「……………………」




美奈子「私、人の笑顔が好きなの」




美奈子「スッゴク素敵だって思うし、笑ってると辛いことも忘れちゃうからね……」




美奈子「だからご飯を食べて、美味しいって言われるとすっごくうれしい……」




美奈子「『アイドル』もそうだった……歌って踊れば、みんな笑ってくれると思ったの」






美奈子「それでね、765プロに来て」




美奈子「私逹が『Daテレビ局』の『ある人』に呼ばれた時」




まつり(『ある人』……?)




美奈子「『その人』は私達を『消耗品』として見てた……ッ!」




美奈子「そんなこと『許せなかった』!」




美奈子「だから……」




ゴゴコゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ




美奈子「スタンド使い『11人』で挑んだ、その人もスタンド使いだったから……」




奈緒「なんやて……」
まつり「まだスタンド使いが……」







美奈子「でも……ッ!」




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ




美奈子「でも勝てなかったの!……だから、『従う』しかないって……ヒグッ……の……」ポロポロ




美奈子「くやしいよぉ……エグッ、ヒック……」ポロポロ




美奈子「もうお仕事も貰えない……『アイドル』続けられないよぉ……」ポロポロ




奈緒「美奈子……脅されてたんか」






美奈子「ごめんね、奈緒ちゃん……こんなことになって…………」ポロポロ



奈緒「なーんや、美奈子は何も悪くないんや」



美奈子「えっ?」ホロホロ


奈緒「それならええねん、しゃーない」


美奈子「私……あんなこと……っ!」


奈緒「気にせんでええって」


奈緒「それにな、気休めって思うけどな」


奈緒「私が『なんとかする』」


美奈子「無理だよ!勝てない!」




美奈子「触れることも出来なかった!そんな相手に」

奈緒「『勝てるわけがない?』」



奈緒「舐めんなッ!」



美奈子「!」


奈緒「どこのどいつがそんなこと言ったんや!」

美奈子「だって!」



奈緒「だってちゃう!『思い込んでる』だけやろ!」



奈緒「なんでそんな……」



奈緒「何でそんなことで……『アイドル』やめたり、離れ離れにならなあかんの……?」ポロポロ



美奈子「奈緒ちゃん……」ポロポロ



奈緒「笑顔が好きなら笑ってや……」ポロポロ



奈緒「私の為にっ……笑ってッ……」ポロポロ



美奈子「……」ポロポロ



美奈子「……」ゴシゴシ



奈緒「ヒック……え″ぐっ……」ポロポロ



美奈子「奈緒ちゃん!」ギュ











美奈子「ありがとう」












トントントン


ガチャ


P「なんだ、そんなとこに居たのか」






P「………………おい、涙と鼻水でぐしゃぐしゃじゃぁないか。顔を拭け、ほらティッシュ」






P「美奈子、くっついてるところ悪いが奈緒を連れてくぞ」






P「まつり、ソファーはティッシュじゃない、離れなさい」





移動中・・・・・・・・・



P「えらく上機嫌じゃないか。まったく反省が見られんぞ、ハハハハハハ!」


奈緒「いろいろあったんです」


P「大遅刻だ、謝罪文を考えておくんだな」


奈緒(なんとかなって良かった……でも)


奈緒(厨二病ってわけちゃうけど、『黒幕』がおる)


奈緒(そいつを何とかせんとアカンな)




To be conti……




事務所


夕方



人のいない事務所



美奈子が忘れたスマホ、そこから着信音が鳴る



P「美奈子!……は帰ったな」


携帯『非通知』


P(非通知か……ん?留守電が『入る!』)


『……ザザッ……』


P(イタ電の類いか?)


『佐竹美奈子……ザザッ…………「失敗」したな』


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


P「!」



『貴様は「不良品」』



┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″



『ザザッ…………邪魔さえしないのなら』


『好きにすれば』


ピッ


P『……どこのどいつだ』


『765のプロデューサーか……ザザッ……』


『お前「ら」は…………いずれ破滅する…………』


P『…………』

P『事情はしらんが、美奈子をバカにしたな……』


P『さっきの発言から考えて「Daテレビ局」の人間か』


『フフフ……ザザッ……流石敏腕プロデューサー、見事な洞察力だ』



P『探しだして「スクラップ」にしてやる、覚えておけ』


ガチャン!

『相手』が電話を切った


P「やはり……ッ! 『妨害』されていた」


P「『一ヶ月』で名前が知られない原因は『妨害』かッ!」


P「前々から怪しいと思っていた『Vi』『Da』『Vo』の三社……これで確信した……」


事務員「……………………」カタカタカタカタカタカタカタ


P「…………」


P「『小鳥』……待っててくれ、時間が掛かる」


??「…………」



??「……………………」



志保(見ましたよ……プロデューサー)


ドォ―――――――z_______ン



To be continued…



お待ちかねスタンドステータス

人間・佐竹美奈子
スタンド・『スマイルファースト』

遠隔自動操縦型・一体化型

破壊力―  スピードA  射程距離∞

持続力∞  精密動作性―  成長性―

能力『料理の匂いを嗅いだ者に美味しい料理をご馳走する』

能力射程∞


『お皿』の形をしたスタンド

料理を払い除けたりすればテレポートしてくる
が、皿を壊すことはまったく問題がない

壊された皿に乗っていた料理は作られたフライパンや鍋に帰るが、

鍋料理などの料理は皿を壊された時点でテレポートする

テレポートした料理は口、食道、胃、などの順にテレポートする

料理は奈緒が全て美味しくいただきました



これで投下は終了です

色々と荒い部分がありますのでそこはご容赦を


次回から志保がヒロインです

乙です

>>72 我那覇響(16) Da
http://i.imgur.com/jqbZTfj.jpg
http://i.imgur.com/smRo09e.jpg

>>91 北沢志保(14) Vi
http://i.imgur.com/wnGJqrK.jpg
http://i.imgur.com/nYHhZfG.jpg


こんばんは

前回のあらすじ


美奈子「私、奈緒ちゃんのこと」


美奈子「好き」


禁断の愛に


奈緒「そんな……あかんで……」


障害が立ち塞がる



志保「見ましたよ……」


美奈子「!?」


志保「ばらされたくないなら、言うことを聞いてください」



二人はこの危機を乗り越えられるのか……




嘘です


投下します


















『ライアールージュ』


一週間後


17:28



レッスン場



志保(今日は演技とダンスのレッスン)


志保(ランダムに選ばれたメンバーと一緒にレッスンするという『行事』の日)


志保(今回のは特に力が入っていました。それもそのはず)


志保(ドラマ『アイドル学園』を撮影することが決まったからです)


志保(レッスンを担当するのは『例の事務員さん』なのですが……)






杏奈「」チーン


奈緒「死んどる……」



恵美「あはは……あれだけやったからね……」


可奈「疲労?二浪?もうだめだ?……」


P「死屍累々だな」


事務員「……」スタスタ


事務員「……」スチャ


カタカタカタカタカタカタカタ


奈緒「あの人のレッスン、一言も喋らんのにメチャメチャキツイんやで!?」


P「当然だ、キツくなくちゃ『レッスン』にならん」


翼「プロデューサーさん、頑張ったから何か甘いものでも……」


莉緒「……ハァハァ、魔法の飲み物を頂戴……」


恵美「それって、お酒じゃん……」


P「ならファミレスでも」

恵美「やったー!ファミレスだー!」


奈緒「復活はや……」


杏奈「杏奈……もう、ちょっと……休みたい……」



志保「……」フゥフゥハァハァ


P「志保、大丈夫か?」


志保「えっ……?大丈夫ですよ」


P「そうか、一言も話さないから心配したぞ」


志保「それなら事務員さんの心配をしたほうがいいですよ」


P「………………それもそうか」


恵美「ねぇ?志保、『アイドル学園』の女王様ってどんな感じ?」


志保「そうですね……少し楽しいです」


奈緒「志保にはそういう役似合いそうやな」


志保「なんですかそれ」


P「この辺りにファミレスは……」ポチポチ


志保「…………」





志保(……プロデューサー)


志保(年齢不明、『13人』を8ヵ月でAランクまで持ち上げた敏腕プロデューサー)



志保(『ウジテレビ倒壊事件』のあと『37人』新しくアイドルを雇う……)


志保(ここまでは普通の『人間』、ここからが問題)


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


志保(私の『予想』が当たってるなら、『37人』のほとんどがスタンド使い)


志保(もちろん『偶然』じゃなくて『必然』)


志保(プロデューサーさんは何かしらの『意図』を持って『集めた』)


志保(でも、私は事務所に来てからスタンド使いになった……)


志保(となると、『プロデューサーが何か企んでいる』としか思えないわ)


志保(この事務所には『信用』出来る人が『少ない』……)


┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″


志保(『先輩』も『プロデューサー』も『敵』かもしれない……)


志保(『見極め』がいる……ッ!)





翼「志保ちゃん」


志保「何? 翼」


翼「今からファミレス行くって!プロデューサーさんの奢り!」


志保「そう……私、今日は用事があるから。お先に失礼します」ガチャ


翼「えっ?ファミレス行かないの?」


志保「私にもいろいろあるの」バタン


翼「そっかぁ……残念」


恵美「あれ?志保はどうしたの」


翼「用事があるって……」


莉緒「あら残念」



ブーブー


P(ん?『志保からのメール』だ)




  明日、大事な話があります

  昼頃に屋上で待ってます             
                』




奈緒「誰からです?」


P「デートのお誘いだ」


奈緒「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」


莉緒「ちょ、ちょっと!恋人いたの!?」


恵美「にゃはは!プロデューサーって案外モテるんだ」


P「そんなことは置いといて、車を出すから待っててくれ」


翼「あー!逃げた!」


杏奈「……車の中で……ハメられる……よ」


奈緒「パターン入ったってやつやな」


P「……」バタン


外に出ると、夕日が顔を照らし、影が遠くまで伸びる。



P「いい夕日だ」





翌日


書類の整理と処理、仕事場とレッスン場への送り迎えに、電話対応。


一段落着いたのは、午後一時頃だった。




P「『昼頃』……屋上か」


トントントンと階段を上がり、屋上へのドアを開ける


P「」ガチャ


P「…………」


P「誰もいない」キョロキョロ





P「いや、あれはなんだ?」


柵の向こうに何かが落ちているのを見つける


P「くまのぬいぐるみ?……いや、猫か」


P「誰か居たのか」








プロデューサーは気づかない、『アイドル』が迫っていることに







P「……ひもが千切れている。無理やり引き千切られたのか」




P「見覚えがあるが……志保のだな」







プロデューサーは見ていない、『アイドル』がスタンドを使う瞬間を








P「一体誰が……」










   ゴールドフリルウェーブ
?「 『G・F・W』」






直後!プロデューサーの真後ろから『黄金の波』が迫る!



?「………………サヨウナラ、プロデューサーさん」









それは遡ること10分前




屋上


誰もいなくなる屋上には志保が一人、プロデューサーを待っていた



志保「…………」


志保「流石に来てないか……」


時計を確認して少しボーッとするも


志保「待っているのも暇だし」


志保「少し頭の中を整理しましょう」


志保「………………」



志保「………………」



志保(まず765プロに入る。
   スタンド能力に目覚める。
   アイドル達が、ViDaVoのそれ
   ぞれから仕事の大半を受ける)



志保(滑り出しは順調だったわ……765プロのネームバリューが効いたのね)



志保(そして一ヶ月……『横山奈緒』が来た)



志保(奈緒さんはプロデューサーさんが直接仕事をとってくるから何処にも『属して』無いわ)



志保(そしてすぐに『佐竹美奈子』と戦った……)





志保(そう、私はずっと見ていた……)



┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″



志保(『プロデューサーさん』は影から全て見てたッ!!)



志保(その後に美奈子さんの携帯に出て、電話していたのも聞いた!)



志保(だから『味方』が必要だと分かった!)



志保(765プロには『敵』がいるッ!内側からじわじわと蝕んでいく『寄生虫』がッ!)



志保(765プロの『脳』であるプロデューサーさんは『安全』でなくちゃあいけない……)



志保「私は『トップアイドル』になるのよッ……こんなところで止まってなんていられないッ!」





「そうだね」




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


翼「志保ちゃん」


考えることに没頭していた志保は翼の接近に気づけなかった!



志保「翼……どうしてここにいるの」


志保(別に屋上に来るのは珍しい事ではないけど……)


翼「うーん、何でって言われてもなぁ……」


志保(プロデューサーに呼ばれた……?プロデューサーが『敵』なら有り得なくはない)


志保(ただ、それだと翼も『敵』になるハズ)




翼「『プロデューサーに呼ばれた』からだけど」




志保「!?」


志保(なんてこと……でも、それをわざわざ『敵』が言うかしら?)


志保(いいえ、プロデューサーが『敵』で、『同士討ち』させようとしているのかもしれない)


志保(ただ私が『敵』なら無難な答え、もしくは相手が思ってもいないような答え方をする……そうやって相手の思考を誤誘導させるッ!)


志保「ねぇ……一つ、聞きたいことがあるのだけど」


翼「珍しいね、でも私は志保ちゃんのことも?っと知りたいなぁ」


志保「…………へぇ」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


翼「例えば……」


志保「…………」


┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″


翼「事務所にいる『敵』のこととかかなぁ」


志保「!!」




翼「『敵』なの?『味方』なの?どーーっち?」


甘えるような声で話し掛けてくる翼


志保の目の前まで来ると、覗き込むように目を見つめる


志保「そうね……翼の期待している答えだと思うわ」



志保(翼は『味方』?断定するにはまだ早い……まだ質問しなくちゃいけない……)






志保「翼……私がプロデューサーを呼んだの、『大事な話がある』って言って」


翼「え?もしかして告白?」


志保「なんでそうなるのよ!『敵』かどうか判断しようと思ったのよ!」


翼「わわっ……ごめんね、冗談で言ったんだけど、そんなに嫌がるとは思わなかった……」


志保「別にいいけど、話続けるわよ」


志保「『プロデューサー』が『味方』なら翼を呼ぶなんて事をするとは思ってない。でも『敵』なら別よ」



翼「『敵』なら私達を襲う……とか?」


志保「襲うなら既に襲われてる筈よ、スケジュールはプロデューサーが管理してるんだから」


翼「そっかぁ……」




志保「ねぇ翼、あなたはどうして『敵』か『味方』かを聞いてきたの?」




志保「その考えに至れるのは現状で『五人』だけ」




志保(『プロデューサーさん』の電話か『奈緒さんたち』の話を聞いた人間だけ……)




翼「…………」


志保「ねえ、どうして?」



┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″



翼「………………」


翼「『美奈子さん』から話を聞いたんだよ?」


志保「ッ!?」




志保(まさかの『ド直球』!そんな馬鹿な話が……)


翼「今、「そんな馬鹿な話あるわけがない」って思ったんじゃない?」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


志保「…………」


翼「疑いたくなるのはわかるけど……」


翼「志保ちゃんって私と全然話さないよね?」


志保(しまった……)ガックシ


翼「そこは信用してもらうしかないんだけど……」


志保(これ以上疑っても意味は無い……かも)






翼「私も思ったんだけど……」




翼「志保ちゃん『も』どうして知ってるの?」



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ




志保「…………」


翼「…………」


志保「…………………そうね」


志保「理由は私の『スタンド能力』に関係してる、ただそれを話す代わりにあなたの能力を教えて……」


翼「いいよ」


意外にも即答!


志保「!」


翼「私の能力は『波を出す』能力、波打つ波紋と一緒」


翼「どう?信用してもらえるかな?」


志保(スタンド能力を教える……これは信用するしかない……わね)




志保「………………グレートよ」


翼「やったぁ!」


志保「私の能力は『存在感を消す』能力、ゆっくりとしか動いてはいけないのだけどね」


翼「これで私達『仲間』だね!」


志保(翼ったらまるで子供ね)


志保「そうね、お互いに協力しあいま……?」






トントントン






翼「…………静かに、誰か来るよ」





ミュインミュインミュインミュイン



翼の指先から黄金の光が漏れ、反芻し、エネルギーが集まる


志保(……すごい、なんてパワーなの……)


トントントン


志保「階段を上がってる……もしかして」


志保「待って、プロデュ」
翼「バイバイ」


志保「なっ!?」


対象は志保

指先から『黄金の衝撃波』が繰り出される!



ドォォオォォォォォォン!!


ブゥン!


志保「……ッ!」


まともに攻撃を受け、そのままビルから弾き出される


志保「裏切ったわね!」


翼「なァーに言ってるの?元々敵だよ」


ビュゴォォォオ


志保(勢いが止まらない!建物を『経由』しなくちゃ駄目ね)


志保「『ライアールージュ!』」


志保は勢いよく向かいのビルに突っ込む!


志保「まず、窓を吹っ飛ばす!無駄無駄ァ!」


バリィィィィン!


ズガン!


「ヒィィ!窓から女の子がァ!?」




志保(駄目ね、勢いを殺しきれない。もう一個!)


ブォォォォ!


ドガン!


ブシャァァ


志保「痛ッ!」


ビルを抜けた後、志保の背中から血が出る


志保(ダメージをあまり減らせないわね……)


ブゥゥゥン


すぐに二個目に突っ込む


志保「無駄無駄ァ!」ドゴドゴ


バリィィィィン!


ドサッ!


志保「うぐっ…」


ズサササササササササ


ピト



志保「…………ハァハァ、やっと止まった」


志保「コンクリートって意外と頑丈なのね……」


志保「早く……早くプロデューサーを助けないと!」


志保(プロデューサーが『敵』なら悠長に話をさせておく訳がない!翼が『敵』!纏めて始末するつもりよ!)


ズキンズキン


志保「っ!血が出てる……」


志保(身体中が痛い……明日は踊れないわね)


志保(誰も来ない……暗いし、ここは『倉庫』ね)


ゴソゴソ


志保(悪いけど包帯を貰いましょう)


志保(追撃も来ないみたいだし)







・・・・・・・・・・・・・






ドガァァァァァァァン!



翼「これでひと!?」


ズキン


翼「いたたたた、頭が……」



翼「最近多いなぁ……」


トントントン


翼「ま、ビルに掴まってよっと」


サッ


ガチャ


P「…………」


P「…………い」


翼「まったく気づいてないね、可哀想に」




P「……………」キョロキョロ


翼「今のうちに」


ミュインミュインミュインミュインミュインミュインミュインミュイン


P「」スタスタ


プロデューサーはビルの端、志保が吹っ飛んでいった方向に歩く


翼「……『不幸な転落死』が起きても恨まないでね」


P「これは…………」


ズキン


翼「……ッ!頭が……」


翼「また……ッ!」


思わず頭を抑え、耐える


翼「今はこっち……集中しないと」


そして人差し指を向け


翼「サヨウナラ、プロデューサーさん」


翼「『G・F・W』!」


特大の衝撃波を放つ!


ドガァァァァァァァン!






……


…………


………………


翼「跡形もなく吹っ飛んだ……」


先ほどの場所には誰もいない


翼「今思ったけど、この後誰がプロデュースするのかな?」


その問いに答える者は


「俺だ」


死んだはずの男だった


翼「なっ!?」





P「過去現在未来、この765プロに!」


P「プロデューサーはただ一人ッ!!」


┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″


翼「ウソ……でしょ?」


翼「『ありえない!』即死級のヤツを撃ったのに!?」


ザリ…


思わず後ずさる翼


P「『即死級』か……殺す気があると……」





翼「次は外さない!もう一発!」


ミュインミュインミュインミュイン


翼「くら――


P「遅いな」トン


ヒュッ


ドガァァァァァァァン!


翼「ウソ……ウソッ!」


P「本当だ」ガシ


Pは翼の真横に立ち、手首を掴む


翼「早すぎる……ッ!」




P「そういえばなぁ……」


P「お前らが765に入るときに面接をした。覚えているか?『死体を作る』アイドルはいないと思っていたが」


P「原因は『洗脳』、次点で『脅迫』だと思っているが……どうだ?」


翼「私は『自分の意思』でやってる!『洗脳』とか『脅迫』とかなんてされてない!」


P「それは洗脳されている奴のセリフだ」


P「『洗脳』に有効な治療法がある……映画とかじゃ定番だ」


┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″


翼「………………」


スタンドでは勝ちの目が全く無いことに、翼は今更ながら気付いた


翼「………………」


翼「プロデューサーさん♪そういう話はステーキでも食べながらにしない?ね?」


P「そうだなぁ……」


P「食事前の運動をしてからにしよう」


翼「え?」





翼(もしかして助かった?)


ガシ


プロデューサーが翼の肩を掴む


翼「あはは……そんなわけないよね」


P「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」


グワングワングワングワン


翼「うわぁあああああああああ!」


<ニギャァァァォァァ


ポロッ


P「出てきたな……本体ッ!」


翼「め、目が回るぅ?」


出てきたのは小さな粒、翼に取り憑いていたスタンド


何かを言う暇もなく潰される


ブチャァ



P「ゴミには足の裏がお似合いだ」










765プロ近く・・・・・・・・・・




志保「プロデューサー……無事かしら?」


志保が屋上へ目をやる


P『…………………』


翼『…………………』


P『…………………』


┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″┣″


志保「あれはプロデューサーと翼……」


志保「どうして『普通に』話しているの……?」


P『………………』


志保「あれはッ!『私の』……」


志保の目についたのは、プロデューサーが手に持つぬいぐるみ。


プッツン


堪忍袋の尾が切れた


志保「ハァー……ハァー……」


肩が震え、怒りで息が乱れる


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


志保「許さないッ!」ダッ


堪らず志保は屋上へ駆け出す。


それが誤解とも知らずに……







ちょっと少ないけど、これで今日の分は終わりです


次はまた来週


おわりだよー

(o・∇・o)




>>95 画像ありがとうございます




翼「おえぇ……」フラフラ


P「大丈夫か?」


翼「はい、気持ち悪いのは……大体収まりました『けど』」


P「けど?」


ドドドド


翼「どうして屋上にいるんですか?」


ドドドドドド


P「………………もう一度言ってくれ」


翼「えーっと、どうして、屋上に、いるんですか?」


P「…………」





P「かくかくしかじか」






翼「わ、わたしそんなことしちゃったんですか!?」


P「そうだ。ついでに言うと、向こうのビルの壁は志保をぶっ飛ばした時に出来たものだ。ぬいぐるみが落ちていた」


翼「そんな……プロデューサーさんも志保ちゃんも攻撃してたなんて……」


P「洗脳されていたときの事だ仕方がない」


ガチャリ


キイィ…



志保「プロデューサー……翼ッ!」



P「…………志保」


翼「ッ!……志保ちゃん!あのね話が」


志保「いいのよ、分かってる」


ドドドド


志保「『敵』はそもそもあなた達なのね」




翼「ちがうの!誤解なの!わたしの話を」


志保「話を聞いたら攻撃するの?あなたは」


翼「え?…そ、それがそもそもの間違いでね」


志保「言い訳はいいわ」


P「志保、翼の話を聞いてやってくれないか」


志保「そうですね、じゃあまずは『拘束』させてもらいます」


P「何を言って……」


ビタン!!


グググ


翼「うぐっ……」


P「ぬ……」


突然、床で大の字になる二人




志保「既に『ライアールージュ』は発動してます」


ドドドド


志保「『床』の存在感を消した……脳ミソが『落下状態』だと認識してる」


P「なんだと……ッ!」


翼「お願い……志保ちゃん!話を聞いて!」


志保「話せばいいじゃない、聞かないけど」


P「志保!誤解をしているッ!」


志保「プロデューサー……見損ないましたよ、二人で仕組んでたんですね」

         リタイア
志保「あなたから『再起不能』させます」


ドドドド


翼「動かないで!動いたら『撃つ!』」


ミュインミュイン


志保「撃てば」


翼「そんなっ……!」


ドドドドドド


志保「『ライアールージュ』に死角はない……」



スゥゥ…


P「…………………………」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ


翼「…………………………」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ


「「消えたッ!」」


翼「プロデューサーさん!そこから離れて!」


P「移動が出来ない!『落下中』だッ!」


P「床のある場所を蹴っても『蹴れない』」


P「翼こそ『飛べ』!」


翼「出来ないよ!置いていけない!」


P「なりふりかまっていられるかァー!」




スゥゥ…


翼「プロデューサー!横!」


P「なにッ!?」


志保「無駄ァ!」


ブンッ!


ガシィ!


P「なかなかのスタンド能力…」


スゥゥ…


P「だが『パワー』と『スピード』が劣る……なにィ!?」


ドドドドドド


P「いないだとッ!? 確かにこの手で掴んだ!」


翼「プロデューサーさんのスタンドで何とか出来ないの!?」


P「無理だ! この体勢ではそもそも発動出来ない類いの能力だ!」


翼「そんな……」


P「やむを得ん!撃て!」


翼「攻撃しないことが志保ちゃんに対する『証明』…攻撃は出来ない!」


P「志保は話を聞かない!無理矢理……グゲッ……」




P「カヒー……コヒュー……」


翼「?……何て言ってるの?」


ゴゴゴゴ


P「ゲヒッ……」


ダラー


翼「……プロデューサーさん、ヨダレ垂れてるよ?」


P「グゲーグブ…………」


ベロン


ゴゴゴゴゴゴゴ


翼「プロデューサーさん!返事をして!」


P『その様子だと伝わってないみたいだな』


プロデューサーはスタンドでの会話を試みる


翼『ヤバイよ、そこから離れて!』




P『何が起きているのか分からない…だが聞け』


翼『話をしてる場合じゃないよ!急いで何処かに逃げないと!』


P『いかん、眠いぞ…………翼、飛べ…』


翼『飛ぶ?見捨てろってこと?』


P『飛ぶんだ…逃げる訳じゃない、体勢を整えて反撃しろ…』


翼『それじゃあ何も変わらないよ!志保ちゃんは見えないままだし、プロデューサーは動けない!』


P『もうダメだ…飛べッ、飛ぶんだ…それが言えること…………』


ガク…


翼「プロデューサーさん!しっかり、目を開けて!」


スゥゥ…


志保「気絶しただけ……でも腕を折ったわ」


翼「いつの間に…腕が折れてる…」


ザリ…



志保「後は翼だけ」


ゴゴゴゴ


翼「……話をさせて」


志保「無駄無駄、もう信用出来ない。あなたは既に私を騙してる」


志保「『狼少年』の村人じゃないの…何度も騙されないわ」


翼「わたしは『洗脳』するスタンドに取り憑かれてたの……だから仕方ないって言うつもりは無いけど、ごめんね」


志保「そう、でも関係ないわ」


志保「今最高にプッツンときてるの。『洗脳』だろうが関係ない」


志保「『ライアールージュ』」


スゥゥ…


翼「………………」


翼「でもね、やられるわけにはいかないから……」


ミュインミュイン


翼「『逃走』だけはするよッ!『G・F・W!』」




翼(プロデューサーの言う通り…どうにかして体勢を立て直す!)


ドォォォォン


ボロボロボロ


スゥゥ…


翼「空中へ……ハッ!」


今度は床と志保が『出現』する


志保「そんな!床が『壊れ』ているッ!?」


翼「よくわかんないけっ……ど!」


ドン!


『G・F・W』で『落下している』志保の元へいく


志保「!?」


ギュ


ドン!


翼「ずっとこうしてるよ……『空中』なら能力が使えないんでしょ?」


翼は滞空するが、志保もそのまま抱きつかれている訳ではない


志保「このッ……放しなさい!無駄ァ!」


ドゴォ!!




翼「痛ッ! でも離さないよ!」


ドドドド


翼「動けなくなるからね」


志保「大人しく……グッ」


ビィィィン


ギシギシ


志保「翼…『攻撃』したわね…」


ドドドドドド


翼「これは攻撃じゃなくて…って言っても通じないよね」


志保「『また』騙したわねぇぇェ!」


翼「『さっき騙した』のは『私』でも『わたし』じゃないよ!」


ミュルゥゥン


ビリイィィン


志保「あがっ…痛い…身体が動かせない…」


翼「体から微弱な『波』が伝わってる…志保ちゃんの動きに合わせて『増幅』する…」


ドドドドドド


翼「『拘束』させてもらったよ」




スゥゥ…


パッ


ガッ


志保「私相手に拘束?無駄無駄!」



志保「滞空したのが間違いだったわね、『一瞬』あれば『移動中』でも『存在感』を消せる」


志保「これはお返しよ!落ちなさい!」


ドン!


グシャァ


ヒュルルルル


翼「ヤバイ…落下する!」


ドオン…


ドサ


志保「フン、下に『衝撃波』を出して勢いを殺したのね…スタンド自体の『パワー』は無いみたい」




ヒュルルルル


スタ


翼「…………」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ


志保「……『ライアールージュ』『存在感を消す能力』『早く動けないこと』が弱点」


ドドドド


翼「なに…?なにを言ってるの?」


志保「私のスタンド能力を忘れてる…だから教えた」


ドドドド


志保「これで正々堂々やりあえる」


翼「ッ……!」


翼(志保ちゃん…マジに殺りにきてるよ…)


志保「あなたは気付けない…自分に何が起こっているのかさえ」


スゥゥ…


翼「………………………………」


翼「また消えた…でも!」


ミュゥゥゥゥゥゥゥン


翼「微弱な波を飛ばした…さしずめ『ソナー』!」



翼「等間隔に『16』方向、隙間があればそこに志保ちゃんはいる!」


ミュゥゥゥゥゥゥゥン


翼「帰ってきた…嘘でしょ!?」


ゴゴゴゴ


翼「『15』…波が『15』しかない…」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ


ミュイン…ミュイン…


翼「ハッ! まだ発射されてないのが一つ…」


翼「そもそも『攻撃の対象』から外れているっていうことなの!?」


ズゥゥゥン


翼(あ……れ……?なんだか眠く…)


――『いかん、眠いぞ…』ガク


翼(違う…志保ちゃんだ…もう攻撃されてる…)


ドドドドドド


翼(上だ…上に飛ぶ!こういう時は逃げる!)



ミュインミュインミュインミュイン


ドォォォォン


パッ


スバズゥ


志保「キャ!」


翼「姿を現したね!」


翼(うぅ…首が痛い)


翼(首を絞めるなら圧力をかけるだけでいいもんね)


志保「空に逃げるか!」


翼「逃げる?逃げないよ…これは全力の前準備」


ドドドド


翼「志保ちゃんのスタンドは『空中』じゃ丸見え、パワーはわたしの方が『遥かに』上なんだよ?」


ドドドドドド


翼「大人しく話を聞いてもらうよ!」


志保「そういうのをね『大言壮語』って言うのよ、出来もしないことをペラペラとしゃべるんじゃァ無いわよ!」



ドガァ


スゥゥ…


志保「今この手に瓦礫を掴んだ…分かる?」


翼「みえる必要はないよ…『震動』させれば塵になる…」


ブゥゥゥゥゥン


志保「『震動』し続けているのね…」


スゥゥ…


翼「…………………………」


翼(また消えた…この『震動結界』は集中しないといけないから、せいぜい1メートルしか範囲が無いけど『強力』、動くことは許されないよ)


ドヒュウ


志保「はァァ!」


翼「わざわざ跳んでくるなんて!『飛んで火に入る夏の虫』!」


ビュ


バラパラ…


志保「やっぱり『コンクリート片』じゃ当たらないわね」


翼「言ったはずだよ!『G・F……目が!」


志保「塵になっても勢いは消せない…この勢いのまま跳んでまた『落と』してあげる」




翼「『震動結界』の中で身動きはとれないよ!」


志保(飛び込む直前…『存在感』を消して『能力対象外』になる…)


ビュゴォォン


翼「覚悟してね!」


ミュヴヴヴヴヴ


志保(今よ!)


スゥゥ…


翼「……………………」

翼「消えた!でも…」


パッ


翼「今!ぶっ飛ば……」


志保「今、『勝った』と思った?」


スルー


翼「…『震動』が無い!志保ちゃんの周りだけポックリと抜けている!」


志保「また落ちなさい!無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」ドガァ



翼「ぐぶっ…」




ガシィ!


志保「くっ…」


翼「掴んだよ…その腕…」


志保「また『震動』させる気?芸がないわ。それに、二度目は無い!無駄ァ!」


ドゴドゴドゴォ!


ドヒュゥウウ


翼「うわぁぁぁぁあああ!」


志保「悪いわね、翼」


ミュインミュインミュインミュインミュインミュイン


翼「……わたしの勝ちだよ」


志保「なっ…いつの間に!」


翼「さっきのは『溜め』る為の時間稼ぎだよ、痛かったけどね」


志保(大丈夫よ…またタイミングを合わせて『能力対象外』にする)


翼「『G・F・W』!当たって!」


ドッバァァァン


志保(今よ!)


スゥゥ…


パッ


志保(よし…避けられた……!?)


ミュインミュインミュインミュイン



志保「二発目!?」


翼「誰も溜めてるのは一発なんて言ってないよ!」


ゴォォォォォ


翼「後で話を聞いてもらうからね」


ドッバァァァァァァァン


翼「終わった…勝ったんだ」


翼(また志保ちゃんを吹っ飛ばしたことになっちゃうのかぁ…)


翼「あれ?志保ちゃんは何処…?」


パッ


志保「いつ、誰が『やられた』なんて言ったの……」


志保「『ライアールージュ』が連続で出来ないと思った?」


翼「ははは…」


翼(ダメ…もう体力残ってないよ…)


ヒユルルルルル


ドサ


スタ


志保「はぁ…はぁ…」



志保「そのまま落ちたと思ったら勢いを殺してたのね…抜け目無いわね」


ズキズキビッキィィン


志保「痛いッ!?あががが……全身『筋肉痛』みたいな痛みが…翼の『震動』が時間差で来たのねッ!」


ビクンビクン


志保(はぁ…しばらくは動けそうにないわね)


ザッザッザッ


志保「!」


P「二人とも無事か?」


志保「プロデューサー…私をぶっ飛ばしに来たんですか?」


P「そんなことはしない」


ガシ


志保「へ?」


P「二人とも連れて帰るだけだ」


志保「ちょっと、担がないでください!自分で」


P「歩けないだろ?それにおかしいとは思わないのか?」



志保「…何がですか」


P「誰もこっちを『見ない』」


志保「はっ?」


ガヤガヤ

ビィーン

ママー


P「これだけ大通りでドンパチやってたら、誰だって野次馬に来る」


志保「何が起きてるんですか…」


P「わからない……志保の言う『敵』のスタンド能力かもしれん」


P「そういえば、誤解は解けたか?」


志保「はい…途中から何となく」


P「…………なんで戦ったんだ」


志保「ムシャクシャしてやりました、反省してます」


P「………………」





P「とにかく、腰を落ち着けて話し合う。事務所に戻るぞ」


コツコツコツ


志保「あの…」


P「なんだ」


志保「プロデューサー…『腕』はどうして治ってるんですか……」


ゴゴゴゴ


P「……どうしてだと思う?」


ゴゴゴゴ


志保「『治す』能力とか…」


P「…………」


ドドドド


P「外れだ」


志保「……プロデューサーの能力って一体なんですか?」


P「………………」




P「………………」


コツコツコツ


P「何故事務員が話さないと思う?」


志保「は?」


志保(…何? 質問の意味が分からない…)


P「何故スタンド使いが集まってると思う?」


P「何故アイドルを大量に雇ったと思う?」


P「何故敵対し合うと思う?」


ゴゴゴゴゴゴ


志保「はッ……」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ


P「何故志保に話してると思う?」


志保「…………」ゴクリ



志保「分かりません…」


P「…………」


志保「何が言いたいんですか…?」


ゴゴゴゴ


P「志保は今、何を求めている…」


志保「…………真実」


志保「全部私の知らないことばかり、私が知りたがっていることばかり」


志保「プロデューサーさんは『知って』るんですね?」


P「…………」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ


P「正解だ」


志保「!」




P「これから『協力』してもらう…その能力を生かしてもらう…」


志保「その代わりにってことですか」


P「そうだ」


志保「…分かりました」


志保「…………」


P「物足りないッて顔をしているなァ…このいやしんぼめ」


P「そうだ…………何か欲しいものはあるか? トップアイドルの座か、それとも」


ドドドドドドド


P「『過去』の自分にあって、『今』の自分に無いもの…」


志保「なにを…………言って……」


P「志保…俺はあるスタンドを探している…」


ドドドドドドドド


P「『過去をやり直す』スタンド」


志保「!」


P「話をしようか、今後のことについてな…」


志保「…………はい」


To be continued…



終わりだよー

話を強引に進めてる感じがすごいですね

違和感を覚える部分がありましたら言ってくださいね

次は日曜日

(o・∇・o)


人間・北沢志保
スタンド『ライアールージュ』


近距離パワー型・人間型

破壊力B スピードC 射程距離E(2メートル)

精密動作性A  持続性B  成長性D



能力『存在感を消す』


能力射程・自分、または触れているもの


無意識に潜み、存在感を消す。

『消えた』と気づくのにはラグがある為しばらく茫然とする。

そして、自動的に攻撃を『外される』

消えている間は何をしても気付かない

強力な能力だが『素早く』動いてはいけない。

そして『狙った』攻撃でない場合、当たる事がある



人間・伊吹翼
スタンド『ゴールドフリルウェーブ』

近距離パワー型・人間型

破壊力D  スピードC  射程距離C

精密動作性B  持続性D  成長性B



能力『波を出す』


波紋の様な波を撃つ。

波は体内でのみ作られ、その際に黄金の光が発せられる。

また、発生した波は体内で増幅させることが可能であり、増幅すればするほど波の破壊力やスピード、射程距離が伸びる


パワフルな能力のため、スタンドの性能は低め

飽きっぽい性格のため長時間の戦闘には不向き

しかし、波をいくつも同時に溜められるバランス感覚を持つ






※元ネタ『スターライトステージ伊吹翼』のスキル名


おはようございます

アニメの三話的な説明回です

投下します



vs志保の前日


事務所・朝




奈緒(みんなとはだいぶ仲良くなれたわ)


奈緒(事務所の雰囲気にも慣れて)


奈緒(それに美奈子も……)



TV「

貴音『わたくしのらぁめんが!』


美奈子『レッド○ルー、翼を授ける』」



奈緒(前より売れるようになった)


奈緒(『空飛ぶ料理』のスタンドの『お皿』は普通の人にも見えて、その『お皿』の底に『佐竹飯店』って書いてあったせいで、テレビと取材が来てこっちまで大変やったわ)


奈緒(プロデューサーさんは『アイドル学園』の仕事をとってきて、私達のアイドル活動もようやく軌道に乗った感じやな)




奈緒「うーん…」


まつり「どうしたのです?そんなに唸って」


奈緒「これから先どうしたらええんやろうなって思って」


まつり「とりあえず、まつり達は『黒幕』が誰なのかを調べなくてはいけないのです」


奈緒「それは美奈子が話してくれるんを待つしかないやろ」


まつり「『怯え』て話してくれないのです、きっと待つだけ無駄だと思うのですよ」


奈緒「ほなどうするん?」


まつり「まつりはまだ何とも言えないのですが、『Daテレビ』からの刺客を全員倒せば…」


奈緒「ちょい待ち、刺客ってなに?」


まつり「美奈子さんは『11人』のスタンド使いで『黒幕』に挑んだと言っていたのです。みんな『脅され』ているとしたら、のこりの『10人』がまつりたちをリタイアさせに来るはずです」


奈緒「『10人』のスタンド使いが襲ってくるんか…」





まつり「『脅され』ているアイドルを全員倒すということは『力』を示すということなのです」


まつり「まつり達の『力』を示して一人一人説得すれば、心強い『味方』になってくれるはずなのです」


奈緒「うーん…そんなことせんでも、戦わずに説得すればええやん」


まつり「確かに、話が通じればいい手段なのです」


奈緒「そうやろそうやろ」ドヤァ


まつり「しかし、美奈子さんがどれほど黒幕を恐れていたのか分かっているのですか?感情を押し殺して挑んで来るほどなのです。説得はほぼ不可能です」


奈緒「むー…結局は戦うんか」


まつり(奈緒さんは意外と好戦的じゃないのですね)


まつり「みんな『脅し』が怖いのです。黒幕がまつり達を狙ってるなら、まつり達は勝ち続けなければなりません」


まつり「現に美奈子さんは『解放』されたのです」


奈緒「そうやなぁ……割りきるしかないんか……」




ガチャ


莉緒「おーい、奈緒ちゃーん」
恵美「奈緒ー」


奈緒「はいはいはい、どないしたの?」


莉緒「うーんとね、何か忘れてるんじゃないカナーって」


奈緒「何かって、なんかあったっけ…?」


恵美「アタシ達今日レッスンだよ」


奈緒「え………………あ、あああああああ!忘れてた!今日は早く来たのにぃ!」


まつり「まつり、今日はなんにもないのです」


奈緒「知らんわ!」


莉緒「まあまあ、落ち着いて」


ドタバタドタバタ


まつり「今日はここにいるのですよ…たぶん」


奈緒「わかった、なんかあったらそっち行くわ」


恵美「それじゃあ留守番よろしくね、まつり」


莉緒「行ってきまーす」


まつり「いってらっしゃいなのです」フリフリ




バタン


まつり(今日はなんにもお仕事が無いのです。まだまだ新人なのですからもっと頑張らないと…)


まつり「まつりの明日の仕事は春香さんと美希さんとのラジオなのですね」


まつり(一人でも多くのファンをまつりの虜にするのです。そのためにポーズの練習でも…)


ガチャ


まつり「あっ、プロデューサーさん。おはようなのです」


P「おはよう!まつり、小鳥さん」


まつり「ほ?」


まつり(いつもと口調が180°違うのです…?なんだか普通の好青年な感じに…)


P「ホワイトボードなんか見てどうしたんだ?」


まつり「えっと…明日のお仕事を確認してたのですよ」


P「明日はラジオだったな。落ち着いてやれば全然問題ないぞ」


まつり「は、はいなのです…」


P「トークは美希も春香も慣れているし、上手くフォローしてくれるはずだから、失敗を恐れずにガンガンいってくれ」


まつり(流石に怪しすぎるのですよ…スタンド攻撃かもしれないのです)



まつり(事務所から退避しましょう。こっそりと様子を伺います)


まつり「ま、まつりはちょっと出ていくのですよー、では」


P「えっ」


バタン


P「どうしたんだ?急いでいたみたいだが……」


P「それより、今日は『アイドル学園』の『次の次』のイベントの企画書を作らないとな。その後は打ち合わせがあるし、忙しくなりそうだ」


P「はやくみんなを『トップアイドル』にしてやらないとな」


ガチャ


真「おはようございまーす!」


雪歩「おはようございますぅ」




P「おっ、おはよう二人とも」


真「ええっ!?」


雪歩「ひっ…」ビクッ


P「……?」


真「も、もしかしてプロデューサーさん、『治った』んですか!?」


P「『治った』? なんのことだかさっぱり分からないんだが…」


真「だってプロデューサー「真ちゃん!」


雪歩「真ちゃん違うよ…これは『症状』だよ」ヒソヒソ


真「でも普通に話して…いや、そうだったね。久々で忘れてたよ」ヒソヒソ


P「? なんでもないならいいんだが…」


P「あっ、小鳥さんそこの書類とってもらえますか?」


シィーン


事務員「…………」スッ


スタスタ

パシィ


P「どうもありがとうございます」


真「…………」
雪歩「…………」



P「やっと50人揃っての大きなイベントですね…」


シィーン…


P「そうですね、気合いを入れましょう!」


真「あのー…」


P「どうしたんだ?」


真「『机の上』を見てもらってもいいですか?」


P「机の上…?」


『朝と晩、毎日飲むこと』


P「これはメモと錠剤?」


雪歩「…………」


P「錠剤にメモ、薬…………」


ゴゴゴゴ


P「幻覚、幻聴へ…」


真「…………」


P「俺は病気…? いや、何か引っ掛かるぞ」


P「音無小鳥…」


ゴゴゴゴゴゴゴ


P「…………」


キィ


ゆきまこ「!!」


まつり「…………」

面白い

支援!



まつり「おはようなのです」


真「おはよう…………まつり(見られた!?)」


雪歩「…………おはようございます、まつりさん」


P「…………」


まつり「一体、どういうことなのですか…?説明して欲しいのです」


真「いや、あの、これは(どうしよう…言い逃れできる気がしないや)」


雪歩「えーっと、えーっと(言っちゃいけないんだったよね)」


まつり「『何か』知ってますよね?…ね?」


ゴゴゴ


真「うっ…」


まつり「…………」


ゴゴゴゴ







P「言う必要は無いッ…」








雪歩「ぷ、プロデューサー…」


P「まつりが『仮面』を被っている様に、俺も『仮面』を被っているだけだ」


P「気に病む必要は無い…」


ゴゴゴゴ


まつり「…………」


まつり「これはまつりの『素』なのですよ」


ゴゴゴゴゴゴ


P「…そうか」


真(まつりって凄いな…全然怖がってない。それどころか二人ともすごい『迫力』だ)


雪歩(まつりちゃんもプロデューサーさんも怖いよぅ…)


まつり「プロデューサーさん」


P「なんだ」


まつり「病気ですか?」


P「『絶対に』、『誰にも』言わないのなら話そう」


ドドドド


P「『約束』出来るか?」



まつり「…………」


ドドドドドド


P「…………」


まつり「…………」


真「あ、あのーボクたちそろそろ行ってきますね」ソソクサ


P「ああ、朝っぱらから済まない」


雪歩「い、いえ!はやく病気、治るといいですね」ソソクサ


まつり「いってらっしゃいなのです」フリフリ


バタン


P「…………」


まつり「…………」




P「…まつり、『不穏』な発言は控えてもらいたい。皆が怖がる」


まつり「まさか、『不穏』なのはご自分の病気だけだと思ってるのですか?」


P「…一体どういう事だ?」


まつり(美奈子さんの様に『脅され』ている娘を見て、物騒な気配を察知したり出来ないみたいなのですね…)


まつり(まぁ、もしもそんなに超人ならもう『解決』してると思うのですが)


まつり「自分で考えるのです。それで、『病気』については教えてもらえないのです?」


P「…………」



P「この話題はよそう。そういえば『Viテレビ』から仕事がきてるが…どうする?」


まつり(あからさまに話題を剃らされたのです…少し不安だったので聞いてみたのですが、入り込み過ぎたみたいなのです)


まつり(それと、黒幕は『Daテレビ』なのでこの仕事は)


まつり「大丈夫なのですよ」


P「そうか、『Viテレビ』に連絡を入れよう」ポパピプペ


P(今の『シアター組』はこの『三社』からの仕事が一番大きな割合を占める)モシモシ


P(まつりにも『Viテレビ』からの仕事をまわしているが、奈緒は俺がプロデュースしている)イエ


P(あまりにも売れない事を気にしてたら『当たり』だったな。『敵』は『横山奈緒』を狙っている)ハイ


P(俺がプロデュースしたとたんに攻撃した…つまり違いは『ソコ』にある)ソウデスネ


P(『敵』は他のアイドルを『Daテレビ』のように『支配』しているはずだ)ナラ


P(『シアター組』はほぼ全員をスタンド使いに『した』が、ほぼ全員『敵』の手中に落ちていると考えていいだろう)デハ


P(時間をかけて全員をプロデュースしようとしたのが間違いだったな、一人一人俺が面倒を見るべきだった)ピッ


訂正前

P(『シアター組』はほぼ全員をスタンド使いに『した』が、ほぼ全員『敵』の手中に落ちていると考えていいだろう)デハ




訂正後


P(『シアター組』をほぼ全員をスタンド使いに『した』が、ほぼ全員『敵』の手中に落ちていると考えていいだろう)デハ



まつり「まつりは今日、ここに居ても大丈夫ですか?」


P「いや、今から『Viテレビ』に行ってもらうぞ」


まつり「ほ?」


P「風邪で休んだ娘がいるらしい、今すぐ代理の娘がいると言っていた」


まつり「時間は大丈夫ですが、まつりだから選んだ訳ではないのですね…」


P「代理と言えば悪い印象はあるかもしれない。しかし、周りの人に自分をアピールするチャンスが増えたと考えるんだ」


まつり「そうですね、皆が姫のことを知らないならメロメロにすればいいだけなのです!」


P「というわけだ、頼んだぞ」


まつり「はいなのです!」


まつり「あっ、準備する時間はありますか?」


P「大丈夫だ、余裕がある」


ゴソゴソ



P(まつりも『堕ちて』いるか?いや、それなら美奈子を撃退した理由が分からない。二人で奈緒を攻撃すればいい話だ)


P(まつりは『白』で見よう、行動を見れば明らかだ)


まつり「それではいってくるのです」


P「ああ、頑張れ」


バタン


P「念のため、今日は奈緒の近くに行って仕事をするか」


ガヤガヤ


P「ん?」


マツリチャンオハヨウ!オハヨウナノデス


P「この声は…」


ガチャ


未来「おはようございます!プロデューサーさん!」


静香「おはようございます、プロデューサー」


星梨花「えへへ、おはようございます!」


ジュニオール「ワン!」


P「…おはよう、今日はオフだがどうしたんだ?」


未来「いえ、暇だったんでつい来ちゃいました!」


星梨花「そしたらソコで未来さんと静香さんと会ったんです」


静香「今日はここにいても大丈夫ですよね?」


P「…………ああ、留守番を頼みたい」


星梨花「留守番…」


静香「今日も事務員の人がいないんですか?」



P「あっ、小鳥さんそこの書類とってもらえますか?」


シィーン


スタスタ

パシィ



事務員さんは居ません



P「彼女はいま『レッスン』中だ」


静香(事務員なのにレッスンの指導をするってだいぶおかしいわよね)


未来「れ、レッスン…あのすっっっっごくキツいレッスンをまたやるんですか!?」


P「そうだ、『アイドル学園』が近いからな、今奈緒たちがレッスン場にいる」


静香「はぁ…確かに力は付くけど、二回も三回もとなると辛いわね」


P「そのうち慣れる」


P「そろそろ行ってくる、今度アイスを奢ってやろう」


静香「行ってらっしゃい、プロデューサー」



バタン







『Viテレビ』



まつり(今回は深夜のトーク番組の収録なのです。ラジオ収録も視野に入れて、目立っておくのです)




司会「今日のゲストはアイドル見習いの娘…でしたが!」


司会「風邪のため別の人です、765プロの徳川まつりだーッ!どうぞ」


まつり「どうもなのです」


パチパチパチ


……


…………


………………


???「フーン、まさかアタシの『スタンド』で『洗脳』できていない娘がいるなんてぇ」


???「ほら、行きなさい『マスターピース』」


タタタタタタ


???「『種』から『成体』になるには一ヶ月位必要だけど、その分強力よぉ」


???「ま、アタシを見つける事なんて不可能よ」


???「Vi会社専属の『メイクさん』がスタンド使いなんて思わないわよねぇ」


メイク「『Da』の『代表取締役』はともかく、アタシは絶対にばれない。影から支配してるのがアタシなんて絶対に思わないわぁ」


メイク「今日はいい日ねぇ、久し振りに二丁目にでも行こうかしら」


メイク「うほーっほっほっほっほっほっ!」


スタッフ(うわ…キモすぎ)








……


…………


………………


次の日







ラジオ局――地下駐車場



美希「うーん…今日はなかなか濃かったの」


春香「あはは、先輩だから「頑張ろう」って思ったのに、逆に振り回されちゃった」


まつり「このまま、まつり旋風を起こすのですよー!」


まつり(まつりのラジオ収録は終わったのです。一緒に出ていた春香さんと美希さんは、既に呼んであるタクシーで次の現場に向かうそうなのです)





春香「そういえば、なんだかお腹すいてきちゃった」


美希「そうなの!」ゴソゴソ


まつり「何かあるのですか?」


春香「そういえば朝、美奈子ちゃんがおにぎ「おにぎりなの!」被ってるよ美希!」


美希「『たくさん』あるから一つ分けてあげるの」


まつり「ありがとーなのです」


春香「バックのなかが磯くさい!」


美希「ひどいの!」




ドォーーーーン




まつり「? 今何か起こったような…」



春香「…………ごめんごめん。ほら、早く行こ」


美希「そうなの」


まつり「ならまつりはここまでなのです。さようならなのです」フリフリ


春香「ところで美希、次の仕事なんだっけ?」プイ


美希「夏のファッション雑誌の撮影なの」プイ


スタスタ


まつり「あっ…」


まつり(無視された…?)


まつり「ま、待ってください!」


春香「…………」スタスタ


まつり「まつりは今何かしてしまったのですか?」


美希「…………」ガチャ


バタン


ブロロー


まつり「…行ってしまったのです」



まつり「『経験』から言って、こういうおかしな事は大体スタンド攻撃なのです。まずは障害物の無いところへ…」


グイグイグイ


まつり「バッグが引っ張られているッ!?」


まつり(まさか『中身』を狙って?)


バッ


ゴソゴソ


まつり「…………スマートフォンが引っ張られてるのですね」


ポイッ


ズササササ


まつり(『バック』だけは死守しないと…)








まつり(『スタンド菌』だけは絶対に渡さないッ!)






終わりだよー(o・∇・o)


ここに来てオリジナル要素です

二次創作なので許してください


それと今日は誤字が目立ちますね、あと間違いを一つ

>>2で765シアターって書いてますけど、正しくは765プロです

まだ建設途中です(設定上)

>>173ありがとうございます。励みになります

では






>>193画像兄貴お疲れさまです。ありがとうございます

夏休み入ったんで、これから量が少なくなります

すみません


投下します



まつり「…………」


……


…………


ゴ…


ゴゴ


まつり「!」クルッ


ゴゴゴ…


まつり「車から音が聞こえるのです」



ブルンッ!!


まつり「!」クルッ


バイク「」ブルルルルルルルル


まつり「誰も乗ってない…独りでに動き出したのです?」


バン


まつり(まつりのスマホが『バイク』にくっついているのです…『磁石』に近い能力?)


まつり(スタンド像が見えないのですが、『バイク』がスタンドの可能性もあります。それとも取り憑くタイプでしょうか?)キョロキョロ


まつり(本体は少なくともこの駐車場にはいないのですね、『遠距離』か『自動操縦』ですね…)


まつり(ともかく、地下駐車場でスタンド攻撃を受けるのは不味いのです!一刻も早く離れないと――)


ゴゴ       
               ゴゴゴ

      ゴゴ

         ゴゴ

   ゴゴゴ


まつり「…………聞こえる、何処からでもどの車からも聞こえるッ!」


まつり「さっきの一台だけじゃありません。この『地下駐車場』の車全部がスタンド能力の影響下にあるッ!」


グググググ


まつり「ゆっくり動いているのです、早めに外へ…」




ググッ


ブワァァン


まつり「!」


ゴォォオン


まつり「車が『飛ん』でくる!」


サッ


トガシャアアアアン


まつり「またバイクに……」


ドン

ドン

ドンドン


ドンドンドンドンドンドンドンドンドン


ドン


バイクに引き寄せられた車は団子状に固まる


まつり「…今のうちに外へ!」


まつり(やけに呆気ない攻撃だったのです、とりあえず本体を探しましょう)


ダダダダ



――外



ガヤガヤ
フォーン
スペパププ


まつり「奈緒さんに連絡を…ハッ!スマホは捨ててしまってたのです…なんて馬鹿なことを!」


ドガシャァァァアアアアアアン


まつり「ほ?」


団子「」ギギギギ


まつり「さっきのお団子が飛び出て来た…?」


ガシャンゴシェン


ガシャゴションガシャン


まつり「あ…ああ!?」


ロボット「」バーン


まつり「ロボットになった…のです」


まつり(なんて大きさ…!三階建ての建物位はあるのです…)


ロボット「」ギギギ


ロボット「『私の』『名前は』」ザザッ


ロボット「『マイペース』『枚』『ウェーイ』『です』」ザザッ


まつり(…………ラジオやテレビの音声を拾っているのですね)


MMW「『祭りと』『なお』『お』」


MMW「『リタイア』『させます』」


まつり(まつりはともかく、奈緒さんも…………これは『アイドル』のスタンドで間違いないのです)



まつり「ちょっと待ってください!『話』をしましょう!」


まつり(奈緒さんにはほぼ不可能だと言いましたが、出来ないとは言ってないのです)


まつり(ここは大通り、一般人を巻き込むわけには…?)



女子高生A「マジでヤバかったんだってェ」

女子高生B「山なんか行くからァ」



まつり(誰も…………)



幼児「ママー!アイス食べたい!食べたァィィィい!」

ママ「晩御飯が食べれなくなるでショー!」



まつり(誰も気付いてない…?)



ドドドド



MMW「『どれだけ』『アバ』『れても』『大丈夫』」


サァー


まつり「人も車もまつり達を避けている…?」


ゾロゾロゾロ


まつり「今度はビルから人が出てるのです!?」


MMW「『鮭』『テル』『という』『寄り』『関わらないように』『してる』」ザザッ


MMW「『あと』『二分』『モス』『レバー』『人は』『いなくなる』『です』」ザザッ


まつり「まつりを戦いやすくしてくれるのですね」


ドドドド


MMW「『それは』『どちらも』『同じです』」


シィーン


MMW「『覚悟』『はいい』『カ』」


まつり「話をする気にはならないのですか?」


MMW「『話す』『意味はない』」


MMW「『それに』『それは』『アタシの』『…………』」ザザッ


まつり「…………?」



トゥルルルルル


ピッ


MMW『えーい、まどろっこしい!携帯で話した方がずっと楽じゃん!』


まつり「その声は…………のり子さん!」


のり子『まつりと話をしても何も変わらない…まつりと奈緒が仲間になったって勝てるわけがない』


ドドドド


のり子『それが結論』


まつり「結論?まるで真剣に話し合ったような結果であるかのように言うのですね」


のり子『そうだよ、みんなで話した』


ドドドドドド


のり子『でもね、「恐怖」が頭から離れない…! アイツが近くにいるだけで吐き気がする。アイツの声を聞いたら体が震えてくる』


のり子『本能が、スタンドが恐れているッ!』ブルッ



まつり「だから従う?それはおかしな話なのです、美奈子さんはその恐怖に堪えて「仲間」になってくれたのですよ」


のり子『美奈子はいいよねェ…「チャンス」が偶然飛び込んできて』


のり子『あの時にプロデューサーがここぞとばかりに売り込んでなかったら、仕事なんて舞い込んで来ないだろうけどね』


のり子『それに自営業。家族が仕事を無くすようなことは無いんだよ…』


まつり「言いたいことはそれだけですか?」


ゴゴゴゴ


のり子『「それだけ」…?今「それだけ」って言ったよねェ…………?』ピクピク


ゴゴゴゴゴゴ


まつり「はい、ほんの些細なことです。相手に権力が有ろうとも、スタンドが強かろうとも」


まつり「傀儡のように生きるなら、死んでいるも同然!死ぬことに比べたら些細なことなのです!」


ブチィ!


のり子『はぁ!? 自己満でペチャクチャ好き勝手言ってんじゃねーよッ!アタシはッ…』


まつり「次ののり子さんのセリフは『アタシのやりたいようにやっている』なのです」


のり子『アタシのやりたいようにやっているッ!』


のり子『はっ!』


まつり「もうまつりは帰るのです」クルッ


のり子『え?』



まつり「説得しても『精神』が死んでるスタンド使いなんて『お荷物』なのです」


まつり「『闘争心』にも欠けます。アイドルをやっても『無意味』になりますよ、と忠告してあげるのです」スタスタ


ゴゴゴゴゴゴ


のり子『精神が死んでる?お荷物?アイドルをやっても無意味?』


まつり「ついでにもうひとつ、今ののり子さんのスタンドなんて『貧弱極まりない』のです」


のり子『弱い…?アタシが…』


まつり(これだけ言えば『アタシの強さを見せてあげる』となって、仲間になってくれるのです)


のり子『アタシの強さを』


ドドドド


のり子『思い知らせてやるッ!』


バァーン


まつり(…………ほ?)



のり子『まずは一撃!』


ブゥゥゥゥゥゥン


ドン!


まつり「勢いと重さで物凄い『パワー』なのです!」


のり子『ぶっ潰れろォ!』グォォ


まつり「ですが」


グイーン


のり子『視界が高く…?いや、アタシが跳んでいる!?』


まつり「『コンクリート』から『鉄』を離すのです」



のり子『空に吹っ飛ばしても、着地した瞬間にタックルをお見舞い…』


ドン!!


グォォォォーン


のり子『どういうこと!?また飛ばされた!』


まつり「当たり前なのです、まつりの能力で『触れられない』のですから」


まつり(厳密に言えば触れているのですが)


まつり「人型で重量もある以上、接地する時間が無いならろくに操作も出来ないのです…ね?」


のり子『くっそぉぉぉぉお!』


まつり「このまま射程距離外へと吹っ飛ばすのです!まつりの能力は『長い』のですよ!」


フッ…


ニュルン


グッシャァァァアアア


のり子『あ…………』



まつり「うーん…大体80から90メートル位なのですね。のり子さんのいる位置を考慮したら100メートルはあるかもしれません」


まつり(パワーのわりに『長い』のですね…)


MMW『…………』アセアセ


まつり「出てきたのですね、またロボットに戻ろうとしているみたいですが…」


ビュゴン!


MMW『!?』


まつり「回り込んだのですよ、『まつり』から『空気』を離しました…そして」


グォォォォーン


まつり「『コンクリート』から『鉄』を離す、お得意のロボットとは離ればなれです」


シュシュシュッ


まつり「まさか」


ビュゴン


MMW『!!』


まつり「逃げるつもりですか?」



ドドドドドドドド


まつり「スタンドパワーは『精神力』に深く関わってるのです」


まつり「『逃走』や『油断』をしているようでは、まつりは倒せないのですよ…そして」


MMW『?』


まつり「遠距離型は近距離型に弱い!まつりのラッシュを叩き込むのですッ!ナノォ――!」


まつり「ナノナノナノナノナノナノナノナノナノナノナノォ!」


<ぎゃぁああああああ!


ドッシャァァァアアア


まつり「そっちにいるのですね」コツコツコツ


まつり(声のする方にはビル、クレープ屋、道路、車、そして…)


まつり「少し血が滲んでいますね…この『着ぐるみ』の中にのり子さんがいるはず」スッ


ピク


まつり(これは…)


まつり「意識があるなら右手を上げて下さい、無いのなら…」


ブッブー!


まつり「…!」クルッ


のり子「こっちこっち、まつり…中々の戦いぶりだったね」ダラダラ


まつり「まつりの圧倒的優勢ですよ…(車の中…)」


のり子「確かに、さっきはプッツンしてて回りが見えてなかった」


ドドドドド


のり子「だから、私の能力をちょっとだけ教えてあげる、これからは油断しない…」


まつり「…………」


のり子「アタシの能力は『機械を操る能力』、もっと凄い力を見せてあげる…」


ゴゴゴゴ


まつり「…………また玩具を作るのですか?」


のり子「NoNoNo!こういうのをね…」


ガショーンガシャン


ババババ


バァーン


のり子「パワードスーツって言うんだよ!どう?カッコいいでしょ」

?カッコいいでしょ」


まつり「『それだけ』ですか?」


ゴゴゴゴゴゴ


のり子「まだ何か……?」ゴクリ


まつり「まつりは今『それだけ』かと聞いてるのです、まだ何か隠してるような…ね?」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ


のり子「…………もう一人」


まつり「ほ?よく聞こえないのです」


のり子「スタンド使いはもう一人いるッ!」


『背番号1!ノックだ!』


まつり「なんですって!?」


のり子「最初からこっちは『二人がかり』!勝ちの目は無いよッ!」


まつり「卑怯な!」


グォォォォーン


まつり「『アレ』が戻って来る!?潰れたらひとたまりもありません…『まつり』から『空気』を!」


ビユッ


ドッシャァァァアアア


まつり「ほっ…危なかったのです…」


のり子「形勢逆転…そして」


ガシャンガシャンゴシェン


のり子「さらにこの中に入る…さっきのは只の自己紹介」


ドドドド


まつり「…………」


のり子『射程距離外に行くことはないよ…何回でも挑める』


まつり(あんなのは『中身』をシェイクすればいちころなのです。従って――)


まつり「『コンクリート』から『鉄』!」


グォォォォーン


のり子『また打ち上げられた!?』


まつり「真っ正面から二人を相手する必要は無いのです」


ドドドド


まつり「そのまま『高速移動』で…」


のり子『アタシに挑むつもり?…っていない!』


のり子『まさか!「昴」の方に!』












ビュゥゥウン


昴「うわっ!」


まつり「路地裏に居て隠れたつもりなのですか?昴ちゃん」


ゴゴゴゴ


昴「のり子があんなに高く…」


まつり「どうやらまつりとの相性は最悪みたいなのです」


昴「でも…オレはそうでもないかもよ」


ゴゴゴゴ


昴「『ビキナーズストライク』」


スゥ


まつり(バットのスタンド…道具型ですね)


昴「うおぉぉぉぉぉ!」


まつり(来るッ…)



昴「背番号2!3!『ノック』!」


ジャラジャラ


まつり(あれはネジ?)


昴「行くぜ!」ヒュ


カキイィィィイン


ドウドウ


まつり「僅かですがスタンドパワーを感じます…」


ドコドコォ


まつり「が!パワーが低いのです!」


ピシビシッ!


昴「弾かれた…早く…のり子…ッ!」


まつり(道具型の弱点はそのヴィジョンの性能が本体依存であることなのです)


まつり(先程の能力の性質をみるに、「打つ」ことが必要…つまりバットの主導権を握れば昴ちゃんは無力化出来るのです)


まつり(能力が不明なのは致命傷に繋がりかねないのですが、逆に言えば何かされる前に封じればいい!)


まつり「『高速移動』!」


ビュン!


昴「くそ!目で追えない!」



ガシィ


昴「くっ…」


まつり「これ以上打たせません、バットを掴んだのですよ…からの!」


まつり「はいほー!」ゲシィ!


ガン!


昴「ぐはぁ!」ドサァ


まつり(人を蹴るのはあんまり気分が良くないのです)


昴「うぅ…痛ててて、たんこぶができたらどうすんだよ…あ、血も出てる」ダラダラ


まつり「観念して下さい、勝負は火を見るより明らかです(二人とも諦めが悪いのです)」




昴「ところがどっこい」


ドドドドド


昴「今、まつりが不利になった」


まつり「ほ?頭を強く打ったようなのですね」


ドドドドドド


昴「さっきまでは互角どころか負け濃厚だったんだぜ…でもな、直接『触れた』んだ」


まつり「ほ!?」


昴「オレを直接蹴ろうなんて、どうして思ったのか分からない。でも結果的に触れた!」


ドドドドドドドド


昴「まつりは!オレに!触れたァァ!」


まつり「何を…何をするつもりですかァ――!」


昴「背番号は4…」



<ばっちこーい!


まつり「背中から声が!」


昴「『ネジノック』だ!」


ジャラジャラ


昴「ちゃんと取れよォ…トリャァ!」


カキイィィィイン


ドウドウドウゥ!


まつり「その攻撃は見切ったのです!ナノナノォ!」


ピシピシピシィ!


まつり「このまま気絶させます!既に射程距離内ッ!」


昴「だめだめ、後ろを見てみな!」


まつり「…………!」チラ


ドドウドウ!!


まつり「追尾するのですか…ならまた叩き落とす!ナノナノォ!」クルッ


ピシピシピシィ!


昴「『ノック』は何処までも追跡する!」


グイィィィィーン


グシャァ


まつり「あぐっ…左腕に、ネジが!」


昴「言っただろ…『形勢逆転』だ!このまま畳み掛ける!『ノック』『ノック』『ノォク』!」



ドウドウドウゥ!


まつり(不味いッ!ネジに囲まれた!)


まつり「打ち落としながら逃げるのです!ここは狭すぎます!ナノナノォ!」ドゴォ!


ピシピシ!


ドスグシャァ


まつり「あうっ!か、数が多い!」


昴「『ノック』『ノック』『ノック』『ノック』『ノック』『ノック』『ノォ――ック』!手数が違うんだよ!」


ピシピシ


ドスドスッ


ブシャブシャァァァアアア


まつり「うぐっ…」


ドスドスドスドスドスドスドスンッ!!


まつり(なぜか左腕だけですが…)


まつり「とても…とても捌ききれない!!」



ドスドスドスドスドスドスドスドスドスゥン!


ブシュゥゥゥウウ


まつり「うぐぅぅぅぅぅぅ!」


昴「これが『ビギナーズストライク!』地獄の『ノック』は終わらないぜ!」




乙です

福田のり子(18) Da
http://i.imgur.com/1yDbD9i.jpg
http://i.imgur.com/DL074c4.jpg

永吉昴(15) Da
http://i.imgur.com/tc6FN0f.jpg
http://i.imgur.com/cg1pNdK.jpg





昴「マジで腕が『ぐちゃぐちゃ』になっちゃう前に敗けを認めた方がいいぜ」


まつり「はぁ…ぜぇ…コォォ」コォォ


昴「ほら、呼吸も変になってるしのり子もいる。降伏してくれよ…?」


まつり「まつりは簡単には諦めません、降伏なんて論外なのです」コォォ


まつり(呼吸が乱れて来てるのです…落ち着いて…)コォォ


まつり「それにどうやら『左腕』にしか当てられないみたいなのです」


ドドドド


昴「それがわかったってどうしようもないぜ…オレのスタンドはいつまでも追跡する!どんどん『ボール』が増えれば体にだって当たる!いくら離しても意味がねーんだよ!」


まつり(よくもまあしゃべるのです)


ガシャンガシャン


のり子『昴!無事…みたいだね』


まつり(来た…脚部は複数の素材になってますね、むむむ)


昴「オレは大丈夫!『2対1』で『背番号』もあるし、いけるぜ」


ドドドド


まつり「『2対1』でもなんでも、まつりは勝たなくてはならないのです!それが唯一の『方法』だから!」


ドドドドドド


のり子『まだ言ってるの?『方法』なんて無い、「勝ち目の無い」スタンドに勝てる訳がない!今だってそう!』


まつり「まつりのすーぱーわんだほーな戦いを見せてあげるのです!」ドン



のり子『ドラララララァ――







とは言わないよ…』


スッ


昴「予定通りに、だな」ザリザリザリ


まつり(のり子さんは大通りに、昴ちゃんは路地のさらに奥へ…ですか。まつりを挟んで何やらするつもりですね)





昴「マジで腕が『ぐちゃぐちゃ』になっちゃう前に敗けを認めた方がいいぜ」


まつり「はぁ…ぜぇ…コォォ」コォォ


昴「ほら、呼吸も変になってるしのり子もいる。降伏してくれよ…?」


まつり「まつりは簡単には諦めません、降伏なんて論外なのです」コォォ


まつり(呼吸が乱れて来てるのです…落ち着いて…)コォォ


まつり「それにどうやら『左腕』にしか当てられないみたいなのです」


ドドドド


昴「それがわかったってどうしようもないぜ…オレのスタンドはいつまでも追跡する!どんどん『ボール』が増えれば体にだって当たる!いくら離しても意味がねーんだよ!」


まつり(よくもまあしゃべるのです)


ガシャンガシャン


のり子『昴!無事…みたいだね』


まつり(来た…脚部は複数の素材になってますね、むむむ)


昴「オレは大丈夫!『2対1』で『背番号』もあるし、いけるぜ」


ドドドド


まつり「『2対1』でもなんでも、まつりは勝たなくてはならないのです!それが唯一の『方法』だから!」


ドドドドドド


のり子『まだ言ってるの?『方法』なんて無い、「勝ち目の無い」スタンドに勝てる訳がない!今だってそう!』


まつり「まつりのすーぱーわんだほーな戦いを見せてあげるのです!」ドン



のり子『ドラララララァ――







とは言わないよ…』


スッ


昴「予定通りに、だな」ザリザリザリ


まつり(のり子さんは大通りに、昴ちゃんは路地のさらに奥へ…ですか。まつりを挟んで何やらするつもりですね)



まつり「まつりを誘っているのですね。いいですよ、のってあげるのです。もう『逃げも隠れもしません』」


ドドドド


まつり「真っ向勝負で打ち勝ちます!『フェスタ・イルミネーション』!まつりに力を貸してください!」


まつり(相手の心を折るなら、真正面から叩き潰すのが一番なのです)


まつり(まずは昴ちゃんから、追尾されながら戦うのは不味いのです)


昴「『背番号』は『2と3』、『ネジノック』だ!のり子!」


のり子『オッケー!』ドガン


ドゥドウドドウン


昴「まつりは今、『進路上』にいるッ!ネジの通り道よォ!」


まつり(『2と3』はまつりではなく、のり子さんの『背番号』、ならば)


クルリン


ピシパシィ!


まつり「受け流せるッ!」


スゥゥゥゥゥゥ


まつり「『高速移動』!」



昴「『ネジノック』だ!のり子、『材料』を!」


ドシュドシュゥ


まつり「痛い…でも止まらない!」ブシャァ


ダッ


のり子『『材料』は既に調達済み!この『巨大』コンクリートを』


まつり「捕らえた!ナノォ!」ドゴォ!


昴「うッ!」ドガ


のり子『投げ――』


ビュゥン


まつり「…ッ!」


ズン


のり子『――ない』


まつり「び、ビルに挟まった…?」


のり子『「挟んだ」だよ、そのまま蹴る!コンクリの『散弾銃』!』


ドンドドドドン


まつり「『周囲の空気』から『コンクリート』を『離す』!コンクリートがまつりの周囲を避けて通ります!」



スカッスカ


スク


カキンカキンカキィィィン


まつり「ほっ!?」


昴「油断したな!」


昴「『背番号』なら別!打ち返す!『コンクリノック』と『ネジノック』を同時に!」ジャラジャラ


ドドゥドゥン


まつり「!? まだ立ち上がれるのですか!」


昴「後ろに気を取られたのが原因!浅く入ったね!」


ドシャァメキメキグシャァ!!


まつり「うぐッ…食い込んだネジをさらに押し込まれる!」


バスゥバスバスゥ


のり子『一気に畳み掛けるよッ!ビルの壁ごとアタシがぶっ飛ばす!ドラララララララァ――!』


ドガンドガガガァ


ビュンビュビュゥン



まつり「『空気』から『コンクリ』を離す!」


スカッ


昴「それなら『ネジノック』だ!今度こそ終わる!」


ガガガガガガン


昴「さらに通過してきたコンクリを『コンクリノック』!二段構えの時間差攻撃!」


カキカキカキカキィィィイン


まつり「まず『ネジ』は…」


グッ!


グサッグサブシュゥ


まつり「左腕で受けます!」


昴「なっ…なんだって!?当たってもいいのかよ!?」


まつり「重要なのは前進!コンクリートに直撃するくらいなら、ネジが刺さる方がましなのです!」


スッスゥゥ


昴「ヤバイ…!こっちは飛んでくるコンクリを返すので精一杯…ストップ!ストップのり子!」バキバキバババ


ドシュゥドシュ


まつり(コンクリート片でまつりの周囲が覆われているのですね…恐るべき自動追尾。『離して』なければ圧死してたのです)


まつり「ですが!この狭い道で迷うことはありません!」




のり子(路地にこの巨体では入れない…! 昴、いま別の『材料』を、『ネジ』と『コンクリート』以外のやつを…)


のり子『昴!もう少し持ちこたえて!』


昴(…即席の『ボール』はないし、オレのスタンドはそもそも殴りあえるようなものじゃない…………接近されたら)


まつり「もう遅い、今度こそ…!」ダッ


昴「うわぁぁぁぁああああ!く、来るなぁ――!」


まつり「ナノナノナノナノナノナノナノナノナノナノナノナノナノナノナノナノナノナノナノナノナノナノナノデスゥ――!」


昴「うげげぇぇぇえええ!」


メタァァァアアア!!


ドサァ…


まつり「ぜぇ…はぁ…」


ガラゴロン


まつり「『ノック』は効力を失う…」ハァァ


ボトボドゴロゴロ


ブシャ


まつり「あぅ…」


のり子『昴…』


まつり「のり子さん、一人に…なりましたよ…………ね?」ゼェェ


のり子『……ねぇ、諦めな?まだ戦う気!?』


まつり(のり子さんはまだスタンドパワーが有り余っているはずなのです…それに対してまつりはもうぼろぼろ、出血でふらふらなのです)ゼェェ



のり子『なんでそこまでするの? お願いだから「参った」って言ってよ!「降参」って言えば終わるんだよ!?』


まつり(止血する暇はないのです…一気に終わらせないと『二人』が救えない…ッ!)ハァァ


のり子『まつり!』


まつり「…………のり子さん」


ドドドド


まつり「『終わり』だと思った瞬間が『終わり』です、『希望』を諦めた時が『絶望』です」


ドドドド


まつり「前に進む意思を無くしてはいけないのです!」


のり子『回り道をしてるだけ!アタシは止まってなんかいない、『自分の道』を歩いてるッ!』


まつり「その道は『自分の道』ではありません!邪悪な者に利用されるだけの『破滅の道』!まつりがのり子さんを連れ戻します!」


のり子『やってみな!まつりのスタンドが勝てるならね!「マイペースマイウェイ!」』ガシャン


まつり「今助けるのです…『フェスタ・イルミネーション!』」


ゴゴゴゴ



のり子『この「デカブツ」は破棄する、まつりの動きに対応できるコンパクトなパワードスーツを…』


ガシャン


バラバラドシャンガギィン


まつり(崩れた…)


のり子『再構成』


ガシベキンガタガタ


バーン


のり子『やっぱりビル並みの大きさよりも人並みの方が操りやすいね』


ドドドド


のり子『さ、始めよ』



ゴゴゴゴゴゴゴ


まつり「…………」


まつり(さっきよりも『身軽』、ですが材質は鉄がほとんど。あれだけの質量を操れるスタンドならパワーも劣るとはいえ相当なはず…)


まつり(当たってはいけないのです、今のまつりには命取り。ですが絶対に見せたくない『奥の手』、スタンド使いに対しての『奇襲』となる『技術』を使えば…)


ドドドド


まつり(『波紋』を使えばッ!)


のり子『行くよッ!』


ドン!


のり子『ドラァ!』


ブン


まつり「『高速移動』!」ビュン


スカッ


のり子『やっぱり速いね、でもさぁ…』


ドドドド


のり子『「まつり」から「空気」を離してるなら「呼吸」出来ないんじゃない?そんなに何回もやると体力持たないよ?』


まつり「…そうですね」


ビュン


まつり「ナノナノ!」


のり子『後ろ!?』


ドコドガ


ガギィン


のり子『…………』


ドドドド


まつり「な…なんという『防御力』なのです!?」




のり子『ふーん…………』


ドドドドドド


のり子『やっぱりその程度じゃこの「装甲」を破れはしない、機械自体に込められてるスタンドパワーが攻撃を阻むね』


まつり(『高速移動』なら捉えられることはありませんが、『高速移動』を止めた瞬間にのり子さんの攻撃が当たる…)


まつり「それなら、関節部分はどうですかッ!ナノォ!」ブン!


グニィ…


まつり「これは…ゴム!タイヤのゴムで覆われている!?」


のり子『ほらほら隙だらけェ!』


ブン!


ビュ


まつり「危なかったのです」ハァハァ


まつり(スピードもパワーも『フェスタ・イルミネーション』を大きく上回っているッ!)


のり子『距離を取って安心してるけど、避けてばっかじゃ勝てないよ…ね?』


まつり(今のこの状況で『高速移動』と『波紋法』は相性が最悪なのです。ただでさえ波紋が弱まっているのに、呼吸が出来ないとなるとのり子さんの動きを満足に止められません。なんとかしないと…)


まつり「…………」スッ


まつり「打ち合えば必ずまつりが負ける…そう思っているのではないのですか?」


のり子『…………へぇ』


ドドドドドド


まつり「そこに勝機はあるのです」


のり子『はっはァァーん、アタシを動揺させようとしてるね?』




まつり「!」


のり子『アタシがこの「パワードスーツ」を身に纏っても、体は「いつも通り」動くんだよ。パワーとスピードは段違いだけどね』


まつり「のんのん、まつりが言いたいのはそんなに視野の狭いことではないのですよ」


のり子『視野の狭いこと? 視野が狭い? このスタンドの持ち主たるアタシの視野が狭いだってェェ?』


ドドドド


まつり「そうなのです」


のり子『言ってくれるねェ…』


まつり「水や空気はそのスタンドを透過しているのです、それらに細工をすればいいのですよ」


のり子『…まさかそれを狙ってる?』


まつり「はいなのです」


ドドドド


のり子『まつり…アンタッ!』


まつり「のり子さんの次のセリフはこうです」


まつり「『アタシを馬鹿にしてるでしょ』」


のり子『アタシを馬鹿にしてるでしょ!』


のり子『はっ!』


まつり「まつりの能力は『物質』から『別の物質』を離す!当然、その『能力射程』は長い!」




まつり「コンクリートから…」


ダッ


のり子『ダメダメ!この「足の裏」は鉄だけで出来ているわけじゃな――』


まつり「ステンレスを離すのです!」


のり子『――は?』


まつり「そう、ステンレスです!」ドヤァ


のり子『す、ステンレス!?一体何をするつもり?』


キョロキョロ


のり子『な、何もない?』


…ルルルル


まつり「隙あり!『高速移動!』」ビュン


のり子『後ろォ!ドラァ!』


まつり「ッ…!」カスッ


ブシュッ


のり子『単純単純、正面は駄目だもんね!ドラララァ!』


ブン!ブン!


スッ


まつり「ナノォ!」ドゴォ


ビュン


のり子『またまたさっきのヒットアンドアウェイ?戦術が何一つ…』


ヒュルルルルルル


まつり「貯水タンクなのですッ!」


のり子『上か!ドラララァ!』




ズゴン!!バゴン!!


メキメキグシャァァァ


のり子『まさかこれで…!?』


ブッシャァァァァァァアアアアア


のり子『冷たッ!何!?水ぅ?』


まつり「今です!」ダッ


のり子(水はアタシを伝って地面に、地面の水は広がってまつりの所へ…まさか内側からこのスタンドの装甲を!?)


のり子『狙い通りにはいかないよ!内側の材質をバラバラにする!』ゴウンゴウン


のり子『同時に二つ離すことは出来ない!装甲が壊れない限り勝ち目は無いよ!』


ゴォォォ!!


まつり「フッフッフッ…」ニィ


ピタッ


のり子『何…?あまりにもショックで気が可笑しくなったの?』


まつり「これは余裕の笑みという奴なのです、フッフッフッ」


のり子『…これ以上手は打たせない!』


まつり「のり子さんのつぎのセリフは『何かする前にラッシュを叩き込む』です」


のり子『何かする前にラッシュを叩き込むッ!はっ!』


まつり「手は既に打ってありますッ!コォォォォ」バチ


のり子『!? まつりが光ってる…?何をするつもり!?』


まつり「まつりの『奥の手』!水を伝わる波紋!」バチバチバチィ

   ターコイズブルーオーバードライブ
まつり「青緑波紋疾走ーッ!」


バチイィィィィィィ!


のり子『きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!』



まつり(まさかこんなに早く『波紋』を使うことになるとは…)


のり子『あっ……しび……しびれるぅ……』フラッ


まつり「ちょーっと気を失うだけなのです」


のり子『あぅ…』


スゥ


ガラガラガラ


バタ


まつり「はぁ…はぁ…」


まつり「奈緒さんに連絡しましょう、携帯は…のり子さんのを借りましょう」


スタスタ


まつり「瓦礫を退かしてあげるのです」


ポイポイ


まつり「二人とも『なりふり構わず』というわけではありませんが、『容赦なく』攻撃してきました…」


まつり「『黒幕』は一体、まつりと奈緒さんをどうしようというのですか…?」


まつり「もう左腕は使えません…それにあと『8人』のスタンド使いが襲って来ます、まつりは『立ち向かえ』るのでしょうか…?」


まつり「…………」


まつり「取り敢えず連絡を」


??「ねぇ、まつりちゃん」




コツコツ


まつり「その声は莉緒さん…!」


莉緒「やっほー、まつりちゃん」


ドドドドドドドド


まつり「三人目ですか…」スゥ


莉緒「三人目?何のこと?」


ドドドドドドドドド


まつり「とぼけても無駄です、この静けさの原因のスタンド使いなのはわかっているのです」


莉緒「ああ、それね。それは別のスタンド使い…らしいわよ」


まつり「『らしい』?」


莉緒「そう。でもね、そんなことより」


ゴゴゴゴ


莉緒「腕、『治し』てあげようか?」


まつり「…………ほ?」




莉緒「聞こえなかった?『左腕』を治してあげるって言ったの」


ゴゴゴゴゴゴゴ


まつり「そうではなくてですね。まず『刺客』ではないのですか…?」


莉緒「『刺客』よ」


まつり「なら何故なのです?」


莉緒「『刺客』になるのは言われた時だけ、それ以外は同じ事務所の仲間よ」


まつり「信じられません」


莉緒「まぁ普通はそうよねぇ…」


???「莉緒ちゃん、まつりちゃんは怖いのよ…」


まつり(四人目ッ!)キッ!


莉緒「あっ、このみ姉さん」


ゴゴゴゴゴゴ


このみ「ごめんなさい、まつりちゃん」


まつり(今、正に四面楚歌ッ!最悪を考えて動くのです…波紋の呼吸とスタンドの準備を!)


スッ


コォォ


このみ「ちょっ、ちょっと待って!莉緒ちゃんはただ『治療』しようって言ってるだけなのよ!」


莉緒「このみ姉さん…さっき『怖がって』るって自分で言ってたじゃない…」


このみ「…そうだったわね」


まつり「…………」



まつり「…………」


ゴゴゴゴ


このみ「なら治療してから話しましょう」パチン


莉緒「悪く思わないでね…早く治さないと血がドンドン出ていっちゃう」ジリジリ


まつり(一歩一歩、ゆっくりとこっちへ来てるのです。『水溜まり』まで誘導したら波紋を流すのです)


まつり「あんまり近寄らない方がいいのですよ…」


このみ「『これ以上』どうやって近づくの?」


まつり「ほ?」


まつり(『これ以上』?まるで目の前にでもいるような言い方…二人とも五メートルは離れてますが、ヴィジョンの『射程距離』が長いということなのです?)


莉緒「『ビーマイボーイ』は『直接』手で触れて効果がでるスタンド」


ドドドド


莉緒「既に触ってるッ!」


まつり「はっ!」


まつり「か、体が…体が熱い!」シュゥゥゥ


莉緒「大丈夫、すぐに『治る』わ」


まつり(波紋の呼吸も『止まって』いるのです!これは『血』が…?)



まつり「まさか!」



まつり「止ま――」


バタッ





莉緒「…………」


ドドドド


このみ「…………」


ドドドドドド


莉緒「いつになったら、『終わる』のかしら」


このみ「…………もう少し」


莉緒「…………それって、何年先の話?」


このみ「…………」


このみ「とりあえず、人目の付かないレッスン場にでも行きましょ」


莉緒「そうね」




To be continued…


展開がはやいな…そしてわずか12レスで倒されるすばるん




本体・人間・福田のり子
スタンド『マイペースマイウェイ』

遠距離型・人型

破壊力無し(憑依したときのみA)

スピードC(A)  射程距離A(110メートル)

精密動作性(CまたはD)  持続性B

成長性D

能力射程E(機械のみ)

能力『機械を操る能力』

スタンドを機械に憑依させることで、機械を自由に操る事が出来る。

憑依すると絶大な威力を誇り、遠距離からでも近距離型と殴り合えるが、憑依出来なければ荷物持ちにもならない

憑依出来る大きさは自由であり、機械の重さでもバランスを崩したりしないが、あまり大きくするとスタンドパワーが薄れ、防御性能が落ちる。

機械で自身を覆えば防御と攻撃をほぼノーリスクで行えるが、液体や気体での攻撃には対処出来ない

A:超スゴイ B:スゴイ C:人間並 D:ニガテ E:超ニガテ


こんくらいの展開の早さでいいですかね?



本体・人間・永吉昴
スタンド『ビギナーズストライク』

道具型

破壊力C  スピードC  射程距離E(自身)

精密動作性A  持続性A  成長性B

能力射程A

能力『背番号へ打ったものを当てる能力』


背番号とは昴が直接触れることで『魂』に振られた番号。どこまで行ってもこの番号は消えない。

打たれた物は、背番号が書かれた人間の利き手の逆へ『当たるまで』飛ぶ。

追尾性能は凄まじく、『どう頑張っても侵入出来ない壁』で遮るか、飛んできたものを丸々消滅させるしか防ぐ方法は無い。

が、他人と物体を接触させれば追尾は解除される。(『背番号』が消えるわけではない)

また、飛んできた物体が邪魔で、別の物体が当たらない場合、当たるまで中身を圧縮する


物体にも番号は振れるが、当たる場所はテキトウ。



A:超スゴイ B:スゴイ C:人間並 D:ニガテ E:超ニガテ

(o・∇・o)

乙です

馬場このみ(24) Da
http://i.imgur.com/z0JgeeX.jpg
http://i.imgur.com/nZl40nJ.jpg

>>240いつもありがとうございます



事務所


翼「うーん…」


志保「つまり」


P「知らず知らずの内にスタンドを『仕込まれて』いたわけだ」


志保「でも私にはありませんよ?」


P「それは志保のスタンド能力が、他のスタンド能力の影響をシャットアウトするようなものだからではないか?」


翼「うーん…なんだか複雑」


P「『敵』はほぼ全員だと思っていいだろう」


志保「奈緒さんとまつりさんと美奈子さんはどうですか?」


P「『敵』ではないだろう」


翼「! それなら早速話をして…」


P「駄目だ」


事務所


翼「うーん…」


志保「つまり」


P「知らず知らずの内にスタンドを『仕込まれて』いたわけだ」


志保「でも私にはありませんよ?」


P「それは志保のスタンド能力が、他のスタンド能力の影響をシャットアウトするようなものだからではないか?」


翼「うーん…なんだか複雑」


P「『敵』はほぼ全員だと思っていいだろう」


志保「奈緒さんとまつりさんと美奈子さんはどうですか?」


P「『敵』ではないだろう」


翼「! それなら早速話をして…」


P「駄目だ」


翼「!?」



志保「どうしてですか…?味方は多い方がいいと思いますけど?」


P「さっき、『仕込んである』GPSの位置座標を見たが…」


志保(なんでそんなものを…)


翼(突っ込んだら負けだよ)


P「まつりが戦ってる、しかも『四人』だ」


翼「よ、四人!?」


志保「はっ…じ、冗談はやめて下さい」


P「冗談じゃない、まだ『俺達』は『無視』されている。その証拠に…」


翼「電話? でもまだ鳴ってますよ?」


P「ああ、テレビ販売をしている会社に掛けている。こういう所は直ぐに出るが…」


志保「電話に出ない、無視されているということですね」


P「いや、さっき掛けた所では、出たと思ったら切られた」


志保「……?無視されてるわけじゃないということですか?」


翼「どっちかって言うと『関わらない』ようにしてる?」


P「そうだ。話を本題に戻すが、まつりを襲っているのは、このみさんと莉緒とのり子と昴の四人」


翼「このみさんも…?」


P「ああ、『敵』の影響力は絶大だ。このみさんをも狂わせる」



志保「ならなおさら助けに行った方がいいんじゃ…」


P「駄目だ」


翼「そんな! 早くしないとまつりちゃんが危ないよ!」


P「まつりはもう駄目だ、四人と戦って勝てるわけがない…………俺は別だが」


志保「『味方』がこれ以上減るのは避けた方がいいと思います」


P「よく考えてみるんだ、まつり一人に『四人』は異常だ。『敵』は用心深い、そして恐ろしく狡猾、確実に『勝てる』手を打ってくる」


ゴゴゴゴゴ


P「『味方』が増えればなんとしてもそれを減らしに来る。残りの31人の中では『スタンド能力』が強力な者もいるだろう、『一人』になればたちまちに襲い掛かってくる…」


翼「でもでも、それなら『一人』にならなければいいんじゃ…」


P「この事務所で『安全』なスタンド使いはもはや『四人』、翼と志保と奈緒と俺だ。四六時中付き添う訳にはいかない、仕事だってある、必ず一緒には出来ない」


志保「…………」ゴクッ


ゴゴゴゴゴ


P「気を付けろ…いつ襲い掛かってくるか分からんぞ…」


ゴゴゴゴゴ


翼「…………」


P「翼…?」


ドドドド



志保「まさかスタンド攻撃じゃ…」
翼「あつーい!」


翼「なんだか、真面目な話してたら暑くなっちゃった」


P「…………」


志保「…………なんですか?その目は」


P「いや、用心深いのは悪いことじゃあない。翼、冷蔵庫に冷たい麦茶があるぞ」


翼「ホントに!?麦茶麦茶!」スタスタ


志保「そういえばプロデューサーさんのスタンドはどんな『能力』なんですか?さっきは自信満々に『四人』いても勝てるなんて言ってましたが」


P「俺のスタンド能力…?それは」


キィ…


杏奈「…………こんにちは」


志保「ッ!」


P「杏奈、今日はどうした?」


杏奈「……今日は宿題……やらないと…………駄目」


P「そうか、頑張れ」


杏奈「…………無慈悲」


志保(プロデューサーさん、杏奈は…)


P(『スタンド使い』だ。能力は不明、敵意の有無も判断が付かない)


志保(あぁ…杏奈は『Voテレビ』からの仕事が多いからですか)



翼「ぷはー、生き返った!あ、やっほー杏奈」


杏奈「翼……は、頼りにならない……かも?」


翼「? 何の話?」


P「宿題があるから手伝ってもらおうという魂胆だ」


志保「真面目に授業を受けてれば、こんなことにはならないのに…」


杏奈「…………それは苦行」


翼「へ、へぇー、頑張ってね」


P「…………バレバレだ翼、宿題があるんだろう」


志保「翼も杏奈もだらしないわね」


P「勉強道具はどうした?」


杏奈「あ…………忘れた……」


P「…………」
翼「…………」
志保「…………」


杏奈「でも……ゲームなら、あるよ」


翼「それって意味無いじゃん…」


杏奈「今日は百合子と…………ゲームするから、四台あるよ?」



P「ゲームを封印した方がいいんじゃないか?」


杏奈「封印……って?」


P「没収すること」


杏奈「やだ」


志保「私、そろそろ帰ります」


翼「待った!」


志保「なに?」


翼「四台あるんでしょ?ならみんなでゲームやろうよ、ね?プロデューサーさん」ダキ


P「抱き付いたって駄目だ、仕事がある」


杏奈「…………名案だね」ニヤリ


志保「はぁ…悪いけどそんな時間は」


――翼『志保ちゃんって私と全然話さないよね?』


志保「…………」


翼「ねぇー志保ー、遊ぼうよー」


杏奈「ダークサイドに…………来いよ」


P「志保が遊ぶわけ」
志保「やるわよ、やってやろうじゃない」


P「…………」


翼「やってやろうって…」



杏奈「はい……どうぞ…………プロデューサーさんも」


P「仕方ない…」スッ


志保「何のゲーム……杏奈」スッ


杏奈「?」


志保「指の皮、めくれてるわよ」


杏奈「えっ……ホントだ、でも……痛く…………ないよ」


翼「えっ、大丈夫?」


P「怪我か!今消毒液と絆創膏を持ってこよう」


杏奈「待って……」グイ


P「どうした」


杏奈「ちょっと……みみ…………かしてください」


P「」スッ


杏奈「『ビビットイマジネーション』」ボソッ


ペラ…


ギャン


ギュルギュルギュル


P「おっ、モゴモゴモゴモゴ」


翼「えっ?ちょ!」


志保「スタンド攻撃!」


杏奈「おーっと、ここで杏奈がログイン!ビビッと片付けるよ!」



ビシィ!


翼「杏奈が『巻き付い』た!?」


志保「あ、杏奈が二人いる…一人は『巻き付いて』、もう一人は『普通』よ」


ゴゴゴゴゴ


杏奈「このまま『ペーパー杏奈』を巻き付けておけば、プロデューサーは窒息死間違いなし!」


P「モゴ、モゴンゴモ、モゴンゴ」
(しほ、スタンドを、だすんだ)


翼「あ、あまりにも突然過ぎて反応が出来なかった…」


志保「気を付けなさい…杏奈のスタンドは得体が知れないわ」


杏奈「ごっめーん!不意打ちしたから、流石に能力を教えちゃうね」


ドドドド


P「モゴ、モゴンゴゴ、モゴゴモゴンゴ」
(しほ、スタンドで、ゆかをけすんだ)


志保「杏奈の能力…」ゴクッ


P「モゴゴモゴゴゴゴ、モゴゴゴゴゴモゴゴンゴーゴゴ」


杏奈「杏奈の能力はね…」


P「モゴゴモゴゴゴゴゴ…」



杏奈「うるさい!えいっ!『ビビットイマジネーション』」


ペラ…


翼「! 杏奈が『千切れ』た!?」


志保「いえ、付箋みたいにペラペラと剥がれてるッ!『別れた』と言った方が正しいわ」


ドドドド


杏奈「この『ペーパー杏奈』を、さらにプロデューサーに巻き付けちゃいます!」

ギャルギャル


杏奈2「杏奈は『付箋』みたいに何枚にもなってるよ」


杏奈3「一枚一枚の『杏奈』は弱いけど、その分沢山の『杏奈』がいるよ!」


杏奈「これが杏奈の能力、『付箋』にする能力!」


翼「わたしの『G・F・W』で吹き飛ばす?」ボソッ


志保「やめた方がいいと思うわ、事務所ごと吹っ飛ばしてもいいのなら大丈夫だと思うけど」


ドゥッ!


P「…………」


ドドドドドドドド


杏奈「あれれ?スタンドなんか出して、プロデューサーさんもしかして『ペーパー杏奈』を千切ろうとして…………」



ドドドドドドドドドド


P「…………」


ゴゴゴゴゴ


杏奈「んー…もしも剥がすなら、『 ペーパー杏奈』がギューってくっつて、皮膚も一緒に取れちゃうよ?それでもいいならどうぞ」


P「…………」グッ


杏奈「でもまさか担当アイドルを傷つけるわけないよねェ――!」


P「! …………」スゥ


志保「翼、私は消えてるわ」スゥ…


翼「……………………」


杏奈「ホラホラホラ、早くしないと窒息しちゃうよ!ビビビビッ!」


ドスッ


P「ゴッ!」


杏奈「担当アイドルに手をあげるわけにはいかないもんね!」


ドスッ


P「……ッ!」


翼「杏奈!」


杏奈「なに?邪魔するの…?」クルッ


ゴゴゴゴゴ



翼「プロデューサーに手を出さないで、相手はわたし!」


杏奈「ふーん…翼は弱そうだからなぁ…あんましビビッとこないや」


P「モゴゴ!モンゴゴ、モゴゴゴゴモゴゴンモ」
(つばさ!あんなの、のうりょくはきけんだ)


翼「プロデューサーは黙ってて!杏奈はわたしが『正気』に戻す!」


ミュインミュイン


杏奈「打ってみなよ!『G・F・W』を!」


翼「いっくよー!」


ドォォォォン!


ペラ…


パラパラパラパラパラパラパラ


杏奈「『レギオン杏奈』」


翼「杏奈が1、2……10人!数を増やしても…!?」


ベラベラベラァ


杏奈「『付箋』を小分けにすると薄くなるよねぇ…」


ドォォンドォォン


翼「波に『乗った』!? 鯉のぼりみたいに波打って、衝撃を逃がしてるの!?」


杏奈「水もない『波』で『紙』をどうにかできると思ってるの?さぁ『杏奈たち!』」


バババッ




翼(どうしよう…『衝撃波』が通じないなら、スタンドで…?ダメダメ、わたしのスタンドはパワーが低い…)


杏奈「ビビッと来ない?」


杏奈4「ほらほら、囲まれてるよォー?」

杏奈7「触ったら直ぐに体に巻き付いてあげる!」

杏奈8「杏奈のスタンドに勝とうなんて百年早いよ!」

杏奈11「みんな、一斉に行くよ!」


ドドドド


翼(やばい…わたしのスタンドじゃあまともに殴りあえないし、そもそも『波』が効かない…)


ペリペリ…


翼(…? プロデューサーさんの拘束が外れて…………志保ちゃんだ!今の志保ちゃんは『スタンド能力』の影響を受けない!)


杏奈5「ちょっと!拘束が外れてるよ!」


杏奈2「そんなはず無いよ!杏奈くっついてるもん!」


P(志保か、全くとんでもない能力だな)



杏奈9「とにかくくっつけるよ!」


翼「!」


翼(これ以上拘束が強まったら、いくら志保ちゃんでも剥がせない…わたしが防がないと!)


ゴゴゴゴゴ


翼「プロデューサーさんには近寄らせない!『G・F・W』床をぶっ壊して!」


ミュィィィィィィィィン


杏奈6「取り押さえて!『ペーパー杏奈』は早く動けない!」


杏奈10「えいっ!」ガシッ


翼「放して!オラァ!」


ドガ


杏奈10「うわっ!」


翼「あれ?あっさり」


ペタペタペタ


ギャルギャルギャル


杏奈10「その代わりに今くっつけたッ!」


杏奈14「やっほー」
杏奈15「捕まえたよ!」
杏奈16「右腕とったどー!」


翼「遅いよ、『チャージ』は完了したッ!プロデューサーさん後ろに下がって!」


P「モゴ!」


ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ


ビキッ…



杏奈9「床が崩れるよ!はやく!」
杏奈8「間に合わないッ!」
杏奈「一旦下に落とされるよ!」


翼「志保ちゃん、後は頼んだよ!」


P「モゴゴー!」


ビシビシッ


ボゴォッ


バラバラゴララァ



翼「げほっげほっ…うー、埃っぽい」


翼(ここまでは順調、あとは二人が来るまで時間を稼ぐ!)


杏奈「まずは翼から『処理』するよ、いいね?」


杏奈’s「「「「「「りょうかーい!」」」」」」


ドドドド


翼(ぱっと見、『杏奈』の数がいつの間にか増えてるような…)ミュインミュイン


杏奈「うーん、ちょっと暗いね」
杏奈120「こっちの方が有利だよ」
杏奈42「翼は気付いてる?」


翼「どうやって勝とうかな?」












杏奈「勝つ?」
杏奈6「勝つだって」
杏奈18「あっははははははははは!おかしいよ!杏奈達に『勝つ』だって!」
杏奈27「あははははははははは!」
杏奈100「みんなー!あの惨めな翼をいまからボコボコにするんだから、笑っちゃ駄目だよー!」



ゴゴゴゴゴ


翼(い…………)


ゴゴゴゴゴゴゴ


杏奈35「あっははは!あっははははっは!」


翼(異常だッ!今改めて思ったけど、ブッ飛んでる!)


ドドドド


杏奈「あはぁぁぁぁぁぁあ?なんか『変な夢を見てるって顔』してるねぇ…」


翼「っ!」

杏奈107「なんだかまだ『現実』が見えてないね」
杏奈132「夢じゃない、夢じゃないよ…真の杏奈から出た『本性』だよぉ…」
杏奈89「今楽にしてあげるねぇ…」


プスゥ


翼「い″っ!?」


ゴゴゴゴゴ


杏奈261「やったー!」
杏奈262「刺さった刺さった!」
杏奈263「こっちみてるこっちみてる!」


翼「小さい杏奈…………針がチクッとしただけかぁ」



杏奈14「ねぇ、くっついてる杏奈を忘れてない?」


ドドドド


翼「……は?」


杏奈263「『スタンド』は一人一つって言うけど…」
杏奈15「『一精神』に一つだよね?」
杏奈「つまりさぁ!」


ドドドドドドド


翼「う、うそッ!?」


杏奈16「全員『スタンド』があるんだよォ!ビビビビ!」ゴスッ


翼「っ!離して!『G・F・W』!」


ドガガガガ


杏奈20「余所見しすぎだよ!はい、くっついた!からのー!」
杏奈59「ビビビビ!」ボゴォ!


翼「いったぁ…」


杏奈72「後ろ!ビビビビ!」


ギャルギャル


ドガァ


翼「……ッ!」ガッ


ドドドド


翼「こっ…こいつら!」


杏奈「HEY!HEY!HEY!」ドス


翼「パワーは大したこと無いのに」ブン


杏奈300「ビビビビビビビビィ!」ブン!


翼「数が多すぎるゥ――!」


ドガァ!



翼「うぐっ…」


ドサ


杏奈156「ホラホラホラァ!」ダッ


翼「っ…『G・F・W』!」ミュォォオン


ドォォォォン!


杏奈156「うぐっ!」


ビリッ


ビリビリビリビリィ!


杏奈156「……い…………たい…………」


翼「え?」


翼(普通に効いてる…?)


杏奈「あっ……」


杏奈「ああああああああああああああ!!」
杏奈5「杏奈が!杏奈が死んじゃったァァァァァァァァァ!」
杏奈42「杏奈を殺したなァァァァァァ!」
杏奈9「ひどい!ひどォいよォォォォォォォ!」


杏奈’s「「「「「「「「「絶対ぶっ殺す!」」」」」」」」」


翼(…なんかコントみたい)


杏奈20「許さないっ!一方的な暴力を教えてあげるよ!」ドゥ
杏奈16「ビビビビ!」


翼「いたい!」
翼(くっついてる『面』からスタンドで攻撃されてる!?)


翼「『G・F・W』、体表面に波を流す!痛みがある『鋭い波!』」


杏奈15「いたたたたた!」ドガ
杏奈14「杏奈が死んでも代わりはいるもの!」ボゴオ
杏奈96「ほらほら余所見しないで!」ダッ


翼「これ以上くる杏奈はぶっ飛ばすよ!『G・F・W!』」


ドォォォォン!


杏奈96「ああああ…………」ガク



杏奈「所詮は『1杏奈』、いくらでもいるよ!」


杏奈211「捕まえた」ギャルギャル


翼「オラァ!」ドガ


杏奈211「ごぶっ!」


翼(『杏奈』を殴っても飛ばしてもキリがない!)


杏奈211「何ボーッとしてるの!死ぬまで離さないよ!」


ビシィ


翼「うぐっ…」


翼(パワーは大したことないけど、くっついた部分からちまちまとやられていったらジリ貧だね。何とかして『ペーパー杏奈』を…)


ブスゥ


翼「いたっ!」


杏奈261「また刺さった!」
杏奈262「刺さった刺さった!」
杏奈263「次はこの包丁!」


翼「よくもやったね!」ブン


杏奈262「うぎゃー!」


ギャルギャルギャルギャル


杏奈483「ほらほらどんどん巻き付くよォー!」
杏奈503「麻酔玉持ってない?」


翼「あ、足が!」


ギャンギャルギャルギャル


翼「どんどん巻き付いてくるッ! も、もう身動きがとれない…」


杏奈263「ほらこの包丁でェ…」
杏奈261「目玉から料理してあげるよ!」


翼「はっ!」


ゴゴゴゴゴ



翼(ま、マジで『殺し』に来てる……杏奈の目がこ、怖い……)


杏奈261「近づけてェ!」バッ


翼「ひっ!」ビク


杏奈263「離すゥー」スス


翼「はぁ…はぁ…」


翼(だ、だめ…『包丁』が怖い…一気に『現実』に引き戻されたッ。漫画みたいに非現実的な『スタンド』じゃわからなかった、刺されれば死ぬっていう『冷たい事実』…)


杏奈263「ほらまた近づけてぇ!」バッ


翼「や、やめて!杏奈ちゃん!」


翼(こわい!『スタンド』みたいな漠然とした死じゃない、日常的にある『死』がこわい!)


翼(お願い!スタンドを…スタンドを出して『伊吹翼』!)


杏奈261「ちょっと顔切る?」
杏奈263「名案だね」


翼「『ご、ゴールド…フリル…」


杏奈263「『スタンド』が出せて無いよ!」スパァ


翼「あ…ああ…」タラ…


翼(も、もう駄目だ…体が怖くて動かない…)


ドドドドド




杏奈「もう、ちゃっちゃと殺しちゃって!」
杏奈263「えぇー!」
杏奈261「もう、仕方ないなー」ギラン


翼「やだぁ…」


杏奈261「やめないよ!へっへっへっ」


翼「やだやだやだやだやだ!誰か…だれか助けてぇ!」


杏奈261「助けなんて来ないよォ――!」


ビュッ


翼「やだぁ――!」


バッ


杏奈263「あ、『杏奈!』」


ゴゴゴゴゴ


杏奈「なっ!どうして間に合うの!?」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ


杏奈261「上の階に居たはずでしょ!?」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


翼「ぷ、プロデューサー……さん……」


P「殺しは駄目だ」


ポイッ


杏奈263「ぎゃーっ!」
杏奈261「ひー!」



杏奈「翼なんてもう戦えないよ!プロデューサーに『巻き付い』て!」


杏奈483「へへ、捕獲せいこ……あれ?」


ドグシャァ


P「無駄無駄」


杏奈211「い――


ドグシャァ


P「無駄無駄無駄無駄」


杏奈「もういっぺんに襲い掛かれッ!『ペーパー杏――


P「無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」


ベリビリッ


グシャグジャァ!


杏奈「早い!物量じゃあ押せないラッシュ力!」


P「アイドルが間違った道を行くのなら、命を掛けて正すのがプロデューサー…」


ドドドドド


P「これ以上はこの『ファースト・ステップ・ガチャ』がさせない」


今日はこれでおわり

未来はちゃんととれました

次は二週間くらい後の日曜日


(o・∇・o)





杏奈「なんだか金ピカなスタンド、ご利益がありそうだね!触ってもいい?」


P「好きにすればいい」


ドドドドド


杏奈「次巻き付いた時、プロデューサーさんは再起不能確実だよ」


ペリペリ…


P「ほー」


スゥ


志保「翼、今から『剥がす』わよ」


翼「あ、ありがとう…」


P「待て、その必要はない」


ドゥッ!


P『無駄無駄無駄無駄無駄!』


グシャグジャグジャァァァ!


杏奈16「ぎゃぁぁぁぁぁあ!」



志保「はぁ!?」


杏奈「表面に張り付いてる『杏奈』だけをぶち抜いた……?」


志保「『杏奈』だけを削るように殴った…ってそうじゃなくて!」


志保「私の苦労はなんだったんですかッ!?」


P「悪いな、スタンド使いとはいえアイドル。手をあげるわけにはいかないと思っていたが、一線を越えてしまったからな」


翼「ふぁ…」ヘナヘナ


杏奈「また『杏奈』を攻撃したね!プロデューサーがアイドルに手を上げるなんてサイテーだよ!」


志保「あなたは人のこと言えないでしょ!」


P「いや、一理ある」


杏奈「なら大人しく…!」


ブン


ガシィ


P「それとこれとは話が別だ」


ペラ


志保「巻き付きが来ますよ!」


ギャルギャル


ガシィ!!


杏奈「捕った!」


P「無難に腕を抑えるか」


志保「なっ!? どうして避けないんですか!」


杏奈「ほらほら!避けなくちゃどんどん来るよォ!」



杏奈765「どりゃー!」


志保「無駄ァ!」


杏奈765「うぎゃ!」


ペタ


ギャルギャル


志保「ッ!」


杏奈823「ラッシュさえされなければ、こっちのものだよ!」


杏奈956「『甘さ』が出たね!」


P「『甘さ』?」


杏奈「今時、『戦えない!』なんて言うのは流行らないよ!一斉に抑え込む!」


杏奈’s「「「「「「「おー!」」」」」」」


志保「ぷ、プロデューサー!」


ギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャル


志保(なにも出来ない…触れれば組み付かれ、抑え込まれてジエンド。プロデューサーのようにぶち抜けるパワーとスピードは私には無い…)


杏奈「『三本の矢』じゃない、『三百の杏奈!』そこで志保がやられるのを、大人しくみてるといいよ!」


ビシィ!


P「…………」


志保「…ッ!」キッ


ドドドドド



杏奈「ところで『付箋』ってさ、切って使うことって無い?ただのメモ帳みたいに!」


バババババ


ガシィ!!


志保「なっ!『手』!」


杏奈「最初から『手』だけを付箋にすれば、自由に使えるんだよ!『ペーパー杏奈!』巻き付けぇ!」


ドドドドドドドドドドド


杏奈’s「「「「「「乗り込めー!」」」」」」


志保「『ライアールージュ』、これ以上私には気づけない」


スゥゥ…


志保(一先ずは安心ね、『杏奈』は無意識に私を避け…)


スッ…


ビタァ!


志保(…は?くっついた…)


ゴゴゴゴゴ


志保(こ、この突撃は私を狙ってないッ!)


ビタビタビタァ!


志保(私の後ろッ!)


翼「わわっ…こ、こしが抜けて…」アタフタ


ドドドドド



ドドドドド


杏奈「弱ってる方から狙う!数を減らすのは戦いの鉄則!」


翼「た、助けてぇ…」


志保「翼!」バッ


杏奈535「掛かったね!阿呆が!」


ギャルギャルギャルギャル


志保「しまっ…!」


ギャルギャルギャルギャル


志保「ぐっ…」ギチギチ


翼「し…志保ちゃん!」


ギャルギャルギャルギャルギャルギャル


翼「きゃっ!」


杏奈「油断大敵!」


ギャルギャルギャルギャル


翼「うぅ…」


ビシィ!


ゴゴゴゴゴ


杏奈「三人とも、顔だけは隠してないよ。お互いの死ぬ様を見せるからね!」


志保「悪趣味ね」


杏奈「負け惜しみ乙だよ!」


杏奈403「わーい」ブンブン


志保(ライアールージュを発動させない為に『髪の毛』を振り回してる…)



翼「あ、杏奈ちゃん!本当にわたしたちを…」


杏奈「何度も言わせないでッ!ブッ殺すよ!」


ドドドドド


杏奈「まずはつば――


P「杏奈、これで一対一だな」


ドドドドド


杏奈「え?」


P「『縛り』には充分。『試練』とは程遠いがな」グッ


グググ…


翼「嘘…動いてる…」
志保「な…」


ゴゴゴゴゴ


P「なぁ杏奈、『命を掛ける』と言った者の中に『本当に』命を掛けている者をみたことはあるか?」


P「俺はプロデュースに『命を掛けている』。アイドルの為なら、寝る暇も食う暇も惜しまずに働く『覚悟』をしているッ」


ドドドドド

P「暗闇の荒野を拓き、松明を掲げ、『輝き』へと導くッ!『道』となり『踏み台』となり死ぬ『覚悟』があるッ!」


ドドドドドドドド


P「その道と比べたのならば、この程度は容易い事よ」


杏奈「ッ!」




杏奈215「こっちの優勢だよ!三百の杏奈か巻き付いてる!」
杏奈197「戦いになってないんだよ!これは一方的な『リンチ!』」


杏奈「そ、そうだよ!出来もしない事をやろうとしてるけど、杏奈の方が優勢だよ!」


P「ほほう」


志保「この『数』をなんとかしないと無理です!さっきは少し動いてましたが、スタンドが『抑え』られてる!」


杏奈「そうだよ!」


翼「ううん…やっぱり勝てるかもしれない」


杏奈「そうだよ!…………え?」


P「その心から折ろう」トン        


スッ…


杏奈「い、いつの間に後ろに…」


翼「プロデューサーは『杏奈ごと』動いてるッ!」


P「安心しろ、『無傷』で倒す」


杏奈「…………ビビビィ!」


ブン


ドガ!!


杏奈「何が『無傷』なの!くらってるじゃん!」


P「ああ、杏奈をこれ以上傷つけないで倒す。と言ったんだ」


ドドドドド


P「ちなみに、その手に感触はあるか?」


杏奈「はっ…無いッ、確かに殴ったのに、この手に感触は無いッ!」


志保「やっぱり速い…、『超スピード』で動くスタンドだったのね」




杏奈「いくら早く動けても、いつまで持つかな!」


ブン


スッ


P「戦いとは、殴り合うこともそうだが」


杏奈「ビビビビビビビビビビビビビィィィ――ッ!」


スッ


P「戦わない戦いもある」


杏奈「当たれぇぇぇぇぇ!」


ブン


ドガァ!


翼「まともに入った!」


杏奈「はぁぁぁぁ…はぁぁぁぁ…」


ドドドドドドドドドド


P「パワーは低いな、びくともせんぞ」


杏奈「そ、そんな…」


杏奈315「諦めないで!『拘束』から直接攻撃出来るよ!」
杏奈876「首から下を『袋叩き』にするよっ!」
杏奈961「三百の杏奈が一斉に殴ればいける!」


杏奈「そ、そうだ!杏奈にはまだ勝ちの目がある!」


杏奈’s「「「「「「「『ビビットイマジネーション!』」」」」」」」


志保「不味いッ!パワーは低くてもあの量で殴られれば、その限りではないッ!」


杏奈「いっけぇぇぇぇぇぇ!」


杏奈’s「「「「「「「ビビビビビビビビビビビビビィィィィィィィィィ!!」」」」」」」


翼「プロデューサァァァァ!」





ドガドガドガドガドガドガドガドガ



ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ



ババババババババババババババババババババ


ドッガァァァァァァア!!


杏奈「くぅ疲!これにて終了です!」


「横山奈緒と徳川まつり」







ドドドドド


P「それは違うな」


杏奈「なっ!」


P「主人公の奈緒がまだスタンドを二回しか使ってねーぜ…」


志保「プロデューサー!」


ドドドドド


P「少しスタンドを分散させ過ぎたな、パワーが低すぎる」


杏奈「うぐぐ…」


ダッ


杏奈「動くなッ!この包丁で志保の喉を…」


バァ――ン


P「ほう、俺は志保だったのか」


杏奈「はっ…」


ドドドドドドドド


翼「速い…速すぎるッ!目にも止まらぬとか、そんな程度じゃない…気付いたらそこにいるッ!」


P「別に時間を止めてるワケじゃあ無い」


杏奈「じゃ、じゃあ……なんで…………?」


ドドドドド


P「俺のスタンド能力はッ!」


P「『一秒』を『一日』にするッ!86400分の1秒の世界を『支配』するッ!」


杏奈「い、一日……」


ドドドドドドドド


P「まだ挑むか?」


杏奈「ふわぁ……」


ビリビリ


翼「あっ、剥がれてる!」


ゾロゾロ


志保「『杏奈』が『本体の杏奈』に帰っていくのね…」


バァ――ン


杏奈「もう……無理…………」


杏奈「杏奈『は』戦えない…………」


P「大丈夫か?」スタスタ


P「目立った外傷は無いな、本体が分散していたからか…」


翼「はー…良かったぁ、杏奈ちゃんが無事元に戻ってくれて」


P「脈を測る、腕を出してくれ…………問題はないな」


志保「問題は無い…?」


ゴゴゴゴゴ


杏奈「そう……杏奈『は』」


志保「プロデューサー!まだ『何か』がッ!」


?「ホモォォォォォォォォォォオ!」バッ


P「何奴ッ!? 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」


ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ


P「無駄ァ――!」


ドガァ!


P「今のはなんなんだ…はっ!」


翼「プロデューサーさん…う、腕に!」


?「ベロベロベロォォォォバァァァカ!」


P「こいつは…………翼に憑いてた奴と同じ姿ッ!」



?「ゴ名答、オレサマハ『マスターピース!』精神二取リ憑ケルスタンド!」


MP「サッキハ『末ッ子』ガ 世話二ナッタナァ…」


志保「プロデューサーのスタンドと同化してる…」


P「…………」


MP「コレカラ、テメーノ精神ニ入リ込ミ『スタンド』ヲ乗ットルゼ!」


翼「プロデューサー!早くその『マスターピース』を倒さないと!」


P「取り憑く相手が悪かったな」


ズッ


MP「オイオイオイオイ、ヨーク考エテミルンダナ。攻撃ハ効イテ無イ」


ドドドドド


MP「オマエハ腕ニ付イタ俺ヲ振ッテイタダケナンダヨォ!」


志保「なんですって!」


P「そうか」


MP「アァ!?」


ドドドドドドドド


MP「テメー、余裕ブッテ格好ツケテンジャネーゾ!」


P「余裕ぶってるワケじゃない、力の差が余裕を生んでいるだけだ」


ゴゴゴゴゴ


MP「テメー、俺ガ弱イッテ言ッテンカ!取リ憑カレテル癖ニィ?」


MP「身ノ程ヲワキマエロォ――!限界ダッ!『乗ッ取ル!』」


ズブズブズブ



P「なるほど、こうやって乗っ取るのか」


翼「あぁ!『マスターピース』の体が沈んでくッ!」


志保「近付いたら私たちが乗っ取られるかもしれない!それ以上近寄っては駄目よ!」


ズブズブズブブ


志保「『マスターピース』が完全に沈んだ…一応スタンドを出しなさい…」


翼「うん…」


P「…………」


ゴゴゴゴゴ


P「………………」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


志保「」ゴクリ


バッ!!


志保「なっ!?」
翼「えっ!」









MP「グォォォォォォオオオ!」


志保「出てきたわッ!『マスターピース!』」


P「結論から言おう、『勝ち』だ」


MP「比ベル事ガ愚カダッタカ!ココハ逃ゲルッ!」ダッ


翼「あぁ!逃げちゃうよ!」


MP「ハッハァ!引キ際ヲワキマエテンダヨォ―ッ!」


MP(アイツノ精神ハ、当ニ化物!将ヲ射ント欲ホッスレバ先ズ馬ヲ射ヨ、アイドルカラ倒スベキダッタカ!)


MP「ソレニ『スタンド』ッテノハナ、物体ヲ通過出来ルンダゼ!」


ヌッ


MP「俺ハアクマデ『取リ憑ケル』スタンド!人カラ人ヘト移ッテイクダケデイイ!ソレダケデ生キ残レル!」


ドドドドドドドド


MP「『不安ノ種』ヲ撒キ散ラシテ――


P「おい」


MP「――ハ?」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


志保「今…何がッ!?」


翼「逃げたと思ったら、逃げてなかった…?」



MP「ナ…何ガ起コッタ…」


P「所詮は井の中の蛙。掌で踊っているだけ」


MP「カマワンッ!逃走ヲ続ケル!」


ダッ


MP「階下ヘト逃ゲタゾ!このまま距離を離して…」ジタバタ


MP「…ン?体ガ前ニ進マンゾ」


P「掌で踊っている、と言ったばかりだが」


MP「ナッ、ナニィィィィィィィイイ!?」


P「今から貴様に、この世で最も痛みの無い殺し方をしてやろう」


MP「テメー!ユ


P『1st stepガチャ』


トン


ドォ――――――――――――――――ン




















P『「右足」を一歩踏むと発動する。「左足」を地面に付けると解除されるが、逆に言えば、「右足」でならいくらでも歩いていいということ』


P『実質の射程距離はそこらのスタンドとは比べ物にならん』


MP『rrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr』


P『もちろん「1st stepガチャ」のパワーなら、大体のスタンドはものの数秒で死ぬだろう』


MP『rrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr』


P『そういえば、お前ような分裂するタイプのスタンドはフィードバックが少ないそうだな』


MP『rrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr』


P『俺のスタンド能力はそもそも「自分以外」の動きを停滞させる。衝撃やエネルギーも例外ではない』


P『死ぬ「瞬間」まで死に続けてもらう』


MP『rrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr』


P『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!!!』


P『まだ『死ぬまで』に時間があるな』


MP『rrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr』


P『決して容赦せん!』


P『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!!!』


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P『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄』



P『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァァァ!!!』



ブ…


M P『r……………………………………』







ドォ――――――――――――――ン



ベチャベチャビチャブチャァァ!!


サァァ…


P「『宣戦布告』しかと受け取った」














スタスタスタ


翼「あっ、プロデューサーさん!」



志保「あのスタンドはどうなったんですか?」


P「もちろん倒した、心配は無用だ」


翼「良かったぁ…」


杏奈「……あれ、なんで……?」ムク


志保「杏奈!」


杏奈「…………三行で説明して、ほしい」


P「事務所のみんなおかしい
 さてはスタンドの仕業
 みんな洗脳されてるから注意」


杏奈「……わかった、かも」


翼「えぇ!?」




―――――――――――――――――――





Viメイク「ぎゃぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


メリメリゴリッ!


ブシッャァァァァァァァァァン


ボゴボゴボゴボゴボゴ


ピシュゥゥゥゥゥウウウウ!


Vi「あ、アタシの美しい顔が!シルクのような肌が!? 血も流れてこんなにィィィィィ!?」


Vi「いたいいたいいたいぃぃぃぃぃ!!」


ドゴドゴドゴトゴドゴ


ブシッャァァァァァァアアアア


バギバキバキ


Vi「ヒッ、ヒィィィィ…フィードバックは微々たるもののはずよぉ…」


Vi「『あの抜け目の無いプロデューサーに手を出してはいけない…』『大物司会者はあの残忍なプロデューサーが干した』」


Vi「そんな夢みたいな『伝説』通り…マジで危険よ…」


ドドドドドドドドドドドドドドド


Vi「でも逆に!俺の怒りに火を衝けたッ!この屈辱のツケをッ!テメーのアイドル『同士』で支払ってもらうぜぇぇ…」


Vi「あらやだ、『俺』だなんて。まるで男が使う言葉、ウフフ」


ビリィ


Vi「ぎゃぁぁぁぁああああああ!傷がぁ!119119…」





To be continued…

おわりだよー(o・∇・o)


お待たせしてすみません

徹夜で人狼は楽しいね

プロデューサー無双はこれっきりだよ

無双がいつまでも続くわけないっしょ→


ギリギリセーフ?

杏奈ちゃんのスタンドだよー(o・∇・o)

あっさりやられたけど、そこそこ鬼畜

本体・人間・望月杏奈
スタンド『ビビットイマジネーション』

近距離パワー型

破壊力B~E  スピードB~E  射程距離E~A

精密動作性C~E  持続性D  成長性D

能力射程:一つの対象のみ


能力『付箋にする能力』



文字通り付箋にするスタンド。


『付箋』にされたものは紙のような薄さ、そしてほぼ同一の性質を持ち、張り付く事が出来る。

スタンド使いを『付箋』にすると、パワーは落ちるがスタンドも『増える』

この能力は複数には使用出来ないが、杏奈が増えることで複数にも作用する





A:超スゴイ B:スゴイ C:人間並 D:ニガテ E:超ニガテ



夕刻


レッスン場



まつり「うぅ……ん……」


昴「そろそろ起きるんじゃないか?」


のり子「みたいだね」


まつり(……………………)


まつり(のり子ちゃんと昴ちゃんの声がするのです…)


昴「脇腹をくすぐってみるか?」


まつり「おきてるのですよー」バッ


のり子「うわっ!起きてるなら起きてるって言ってよ、もー」


昴「言ってたけど…」


まつり「ここはどこなのです?」


のり子「いつも使ってるレッスン場、誰かに運ばれたみたい」


昴「なんでか怪我も治ってるし、とりあえずは安心だな」


まつり「…………」


まつり(腕が元通りになっているのです。バッグも漁られた形跡はありません)ゴソゴソ



のり子「あっ、携帯渡すの忘れてたよ。はい」


まつり「これはまつりの…」


のり子「壊れてたから、直しといたよ」


昴「壊したのはのり子だけどな」


のり子「そういうのは無しで!」ビシ


昴「ま、まぁオレも人のことは言えないけど」


まつり「莉緒さんです」


昴「?」
のり子「何が?」


まつり「まつり達を治したのは莉緒さんなのです」


のり子「あー…言ってたね…」


まつり「知ってるのですか?」


昴「美奈子から聞いてると思うけど、『黒幕』に挑んだのは知ってるな? その時にお互いの能力を教えあったんだ」


まつり(莉緒さん…やはり『Daテレビ』からの仕事が多い人で固められてますね)


のり子「よくもまぁ、まつりちゃんに触れたね」


まつり「いえ、莉緒さんだけではなくこのみさんもいました」



のり子「あぁ…」


昴「このみさん強いからな…」


ゴゴゴ


まつり「まつりはこれから、このみさんとも戦うでしょう…」


まつり「まつりにこのみさんの能力を、教えてください」


昴「マジか…」


ゴゴゴゴゴ


のり子「まつりちゃんなら勝てるかもしれない、このみさんを助けてあげられるかもしれない」


のり子「でもこのみさんのスタンドには勝てない、特に近距離パワー型のまつりちゃんにはね」


昴「近接戦闘でならどのスタンドよりも強いと思うぜ」


まつり「…………遠距離から攻撃すればいいのでは?」


のり子「それもそうだけど…」


昴「微妙だな…」


まつり「一体どんな能力なのです?」


すばのり「「…………」」


まつり「…………」ゴクリ




すばのり「「『距離感覚』を狂わせる能力」」




まつり「…ほ?」




昴「伸びきったと思った腕は動いてなかった」


のり子「歩いていると思ったら、そもそも足が動いてなかった」


のり子「景色は歪むのに決して動いてはいない」


昴「そもそも行動が出来なくなる」


まつり「そんなスタンドが…」


のり子「いい? まつりちゃん」


ゴゴゴゴゴ


まつり「…………」


のり子「『黒幕』はこのみさんを倒したの、真っ正面から打ち勝っていたの。『黒幕』に挑むなら、このみさんを倒せないと話にならないよ」


のり子「『覚悟』はある?」


まつり「『覚悟』はもう既にしていますッ!」


昴「まつり…!」


まつり「『黒幕』に挑む勇気を見せるのです!まつりが二人に勇気を与えますッ!」


まつり「アイドルのように『夢』を見せますッ!皆で仲良く過ごせる日を、まつりが叶えますッ!」


まつり「だから待っていて下さい、まつりは皆を救います」


のり子「任せることになっちゃうけど、頼んだよ」








ブルブル


昴「お、オレの携帯だ」


ピッ


昴「…………」カパ


昴「あ……あぁ……」


のり子「どうしたの?」


昴「い、今親からメールが来たんだ…」


のり子「? それがどうかしたの?」


昴「仕事…………クビになったって」


まつのり「「…………」」


まつのり「「えっ?」」


昴「オレ、アイドル続けられるかな…?」


のり子「ねぇ…もしかしたら」


ブーブー


のり子「ッ!」ビクッ



まつり「まさか…いえ、そんなこと…!」


昴「…どうなんだ、のり子?」


のり子「ウソに決まってる…!そんなことがッ!」


パッ


のり子「ッ!」バッ


まつり「……ッ!」ゴクリ
昴「…………」グッ


ドドドド


のり子「…………」


ドドドドドドドド


のり子「…………あ」


ドドドドドドドドドドドド


まつり「どうなのですかッ!」


のり子「ま……」


昴「ま…?」








のり子「まさか、本当に、クビになったなんて」









まつり「ほ…………」


昴「…………」


のり子「えー…………」


昴「…………やっぱり」


まつり「?」


のり子「『やっぱり』?」


昴「逆らったら駄目なんだ…周りが不幸になる。オレ達のせいだ…」


まつり「昴ちゃん!そんなことはッ…!」


昴「実際そうじゃないか!まつりに勝っていればこうはならなかった!」


まつり「ッ!」


昴「『黒幕』が悪いだとか、そういうのは分かってる!でも!そうじゃないんだ!!」


のり子「…………」


昴「オレ達がやったんだ!紛れもない、オレ達がッ!」


まつり「う……」


のり子「…………」



昴「…………ゴメン、今日はもうかえるよ」


スタスタ


のり子「待って」


昴「…………」ピタ


のり子「責任感じてる?」


昴「…………」


のり子「親の職業が無くなったとか、周りに迷惑かけちゃったとか」


昴「…………うん」


のり子「そっか」


まつり「…………」


のり子「でもね、そんなの今更なんだよ」


のり子「私達は『黒幕』に立ち向かった、それで負けた」


のり子「私達は『黒幕』に『飲まれた』の。心を支配されたの」


のり子「それはもうどうしようもない事実。後悔しても変えられない事実ッ!」


のり子「でも今は違うッ!」


昴「何が違うんだよッ!!」グッ


のり子「!!」


まつり「ら、乱暴は…」


昴「まつりは黙って!」


まつり「……ッ!」



昴「何が違うんだよッ!今と!昔と!」


昴「何も出来ないじゃん!何も変わらないじゃんか!」


昴「結局は『黒幕』の掌の上さ!ほら、名前も言えない!怖いから!何もできないッ!」


のり子「……」


昴「何が違うんだよ!言ってみろよッ!」


昴「のり子!」


のり子「…………」


のり子「たった二人で『全員』に挑もうとする『仲間』がいるんだよ」


のり子「言いたいのはそれだけ?『恐怖』に打ち勝とうと思わないの?」


昴「……なんだよそれッ!」カッ!



パシン!



のり子「痛っ…」


昴「!」


昴「ごめ――



パシン!!



のり子「バカ昴!」


昴「なっ…!」カァァ!



パシン!!!


昴「バカのり子!」


のり子「やったね…!」カッ!


パシン!!!!


パシン!!!!!


パシン!!!!!!


まつり「あ、あの…」


パシン!!!!!!!

パシン!!!!!!!!

パシン!!!!!!!!!


まつり「そろそろ…」


パシン!!!!!!!!!!
パシン!!!!!!!!!!!
パシン!!!!!!!!!!!!


まつり「やめるのですッ!『フェスタ・イルミネーション!』」


ゴウッ!


のり子「ちょっ…」
昴「うわっ…」


まつり「や!め!る!の!で!す!」


すばのり「「…………」」



昴「もう…………っ、……オレっ……かえる…………!」


のり子「逃げるの?」


まつり「のり子ちゃん!」


昴「…………」スタスタ


のり子「アンタは野球の試合すっぽかすような臆病者かって…ッ!」ダッ


まつり「と…とまっ…」


のり子「聞いてんのッ!」


ガッ!!


グッ!!


昴「ッ!?」


のり子「打たれたら打ち返す!それが野球でしょ!」


のり子「昔はそもそも試合なんて出来ないの!挑むことも出来ないのッ!一人ぼっちなの!」


のり子「今、目の前にいるのは誰なのっ!みんな『黒幕』に立ち向かおうとしてる!奈緒だって、美奈子だって!」


昴「野球と現実は違う!大体、五人で何が出来るんだよ!」


のり子「何もやろうとしない奴が!出来る出来ないをほざくなッ!」


昴「じゃあ解決しろよ!出来るんだろ?やってみろよ!」


のり子「そんなこと言ってないじゃん!やる前に諦めんなって言ってんの!」


昴「やる前に『不可能』だって分かってるだろ!」


のり子「不可能なんて…そんなのわかんないでしょ!」


昴「ほら!どもった!スタンド攻撃がそもそも効かない相手なんて無理に決まってるだろ!どうしろって言うんだよ!」


のり子「…………っ!」




昴「…………なぁ、無駄に希望を持つのはやめようぜ。オレもう疲れたよ…」


のり子「…………」グッ


まつり「のり子ちゃん…昴ちゃん…」


のり子「そんなの…」


のり子「そんな……っ、わたしがっ、いち……ん、ききたいよっ……」ポロポロ


昴「……なんで、泣くんだよ……っ!」


のり子「くやしい、じゃん……まつりっ、は、一人で……ひっく、ぼろぼろになって……っく、たたかってん……じゃん」


昴「………………」プルプル


のり子「あきらめ、ない……じゃん、ひっ……うぅ……えぐっ…………」ボロボロ


まつり「あ…………」


まつり(まつりには…まつりには何も出来ない?)


昴「………………っ」ゴシゴシ


まつり(只の一個人に、仕事をどうのこうのする権力とか財力はありません…)


まつり(でも…ッ!何か…何か…!)
























――『スタンド菌』があるじゃあないか







まつり「…………あ」


まつり(…………)


まつり(だめです…ッ!確かに、『SPW財団』に『製法』か『スタンド菌』を渡せば、なんとかなるかもしれません)


まつり(でも駄目! どんな場所にも『性悪』な者はいるのです、見てきたから分かるのです…絶対にいつかは悪用されます!)


まつり(ばらまかれたら終わりですッ!『世界』と『二人』を天秤にはかけられないッ!)


のり子「なんでっ、なんでぇ……こんなの……ひっうぅ……」ボロボロ


昴「………………」ゴシゴシゴシ


まつり(あぁ……二人の『希望』が、『夢』が……壊れていく……!)


まつり「だれか…だれかいないのですか…」


まつり(だれか助けてあげてください…まつりの代わりに、二人を…) ガク


まつり「誰か、誰かなんとかしてよ……!」ダン!


まつり(…………悔しくて、床を叩くことしか出来ないなんて、都合のいい救世主を待つしかないなんて……惨めすぎるッ!)


まつり「もうだめなの?見てるしか出来ないの?」


まつり「近づく度に、遠ざかっていくの…?」









「諦めるには早すぎる」











まつり「え……?」




P「こんなに遅くまで、三人で残ってたのか」


昴「ぷ、プロデューサー…?」フルフル


P「足でも、挫いたか?」


のり子「…っく、なんでもない、何でもないよ…」ゴシゴシ


P「そうか」


P「そう言うなら、そうなんだろうな、きっと」


昴「もう、かえるよ…」


P「送っていこう」


昴「いい…」


P「よくない、今にも死にそうだ」


昴「いいよ…」スタスタ


P「待て」ガシ


昴「離せよ!」グッ


P「…………」グッ


昴「離せよぉ…もう優しくしないでくれよ…会えなくなるのが、辛くなるだろ…」


P「アイドルを、やめるつもりか?」


昴「もう続けられないから、分かってるから…」


P「何を馬鹿な事を、才能を捨てるんじゃあない」


昴「才能があれば、どうにかなるのかよ…」


P「…?」


昴「どうにかしてくれよ!助けてくれよ!大人だろ!プロデューサーだろっ…!」ガシッ!



P「何かされたのか」


昴「言えないよ…」ブンブン


P「俺は昴の味方だぞ」


昴「違う…違うんだよ…」ブンブン


P「昴」ジッ


P「……何があっても昴を信じる、どんな出鱈目だろうと信じる。だが気付いてやることは出来ない」


昴「…………」ダンマリ


P「そのかわり、話してくれるのなら何だってしよう、全身全霊を果たそう。俺には迷惑掛けたっていいんだ」


昴「………………」


昴「………………がと」ボソ


P「のり子」ジッ


のり子「えっ…」


P「いつでも、何でも頼っていいんだ」


のり子「…………」


P「何かに迷ったら、自分のやりたいことをやれ。迷いが無くなるまで見守ってやる、後ろは見なくていい」


のり子「………………うん」



P「まつり」ジッ


まつり「…………」


P「正しい選択は頭には浮かばない、だからすべてを手にいれるんだ」


まつり「…欲張りさんなのですね」


P「何かを捨てる位なら、欲張りがちょうどいい」


まつり「…………」


P「全員よく聞け」


P「思い詰めた時は寝ろ、明日には解決してやる。スケールのでかいことは無理だ、だが大抵の事はやる」


すばのり「「…………」」


まつり「…………」



P「寝て起きて、事務所に来て、覚悟を決めて『一歩』だ」



P「最初の『一歩』は一番怖い、だからこそ偉大だ」



P「……下に車を停めてある、心の整理がついたら来い」


スタスタ


バタン



まつり「…………」
のり子「…………」
昴「…………」


のり子「ねぇ昴、まつり」


のり子「何もかもお見通しって感じだったね」


まつり「そうなのですね」


昴「うん…」


のり子「アタシ、まだまだやりたいことあるからさ」


のり子「下行ってくる」


タタタ


昴「……なんか、最後には助けてくれそうな気がするんだ。どんなに酷くっても、支えてくれそうな気がするんだ」


まつり「…………」


昴「それと、迷惑かけてゴメン。……のり子にも謝らないと」


タタタ


まつり「…………」





まつり「…………」




私の頭ではこんな説得が関の山です

許してください(´・ω・`)


とりあえずPだしときゃあいいだろって発想


次辺りは奈緒ちんでてくるかも

次もまた日曜



(o・∇・o)


プロデューサーのスタンドだよー(o・∇・o)

本体・人間・プロデューサー
スタンド『ステップ・アップ・ガチャ――1st step ガチャ』

近距離パワー型・人型

破壊力A  スピードA  射程距離E

精密動作性A  持続性A  成長性A


能力射程A(全世界)


能力『一秒を一日にする能力』


自分を「切り詰める」ことや「縛る」事で大きく成長するスタンド。

自分以外の時間を減速させる事で超スピードを手に入れる能力を持つ。

落下する物は止まり、仮に乗っかったとしてもそのスピードが加速することはない。

アイドルや音無小鳥に対する執着心は異常に強く、危害を加えようとする者に一切の容赦はしない。



                    百合子「



『雷鳴』




雷、とは、一般人的な捉え方をすると、雨の日に発生する自然現象、や空気中の塵や誇りの衝突によって発生した静電気が蓄積されたもの、という認識だと言えよう。


現代の我々からすれば、雷を怖がる人はそう多くは無いはずだ。科学の進歩にしたがって


しかし、かつての人々は干ばつを恐れ、病に苦しみ、大雨に嘆き、神鳴りを危機とした。


人知を越えた現象は、妖怪の仕業や神の御業だとされ、村や里に災いをもたらさぬように生け贄を捧げる地域もあったそうだ。


馬鹿げた話だと思うかもしれない、有り得ざる狂気を垣間見る者も居るだろう。いずれにせよ関係の無い話だと思うだろう。


だが残念なことに、この現代においてその悪しき風習が蘇ってしまったのだ。



鋭い眼光を放ち、怒髪天を指す雷神――リツコが、この765プロに君臨したからである。


そこで我々は古から伝わる儀式、『黒き男の舞い』を敢行することとなり、雷神が君臨せし時に空いた大穴へと男を送った。


男は最初、物怖じもせずに雷神をなだめていたが、溢れる威光とそびえ立つ怒気に参ったのか


懐から黒光りする札を出しかざす。面妖な気を放つ札に、雷神はの心は鎮められたかと思いきや



『こら!百合子!』」


ドンガラピッシャァーン!!!!


律子「茶々を入れない!」




百合子「ひぃ!ご、ごめんなさーい…」ショボン
                    







律子「そんなことよりも、何をやったらこんな大穴が空くんですか!」


P「いや…ころんで『そんなわけあるかー!春香じゃあるまいし』」


奈緒「ええ突っ込みや」b


環「うーん…これじゃあ今日のおやつは無しかなぁ?」


律子「大体ですね、こんなに大きな穴を空けておいて、誰かが落っこちたらどうするつもりだったんですか!」


P「……………………………………ハイ」


海美「ありゃりゃ…」


P「いや、律子よ。今日はついに『765劇場』が出来上がる日だ、なんの心配も無い」


律子「無いわけあるかー!」


ドォォォン!!


百合子「火に油を注ぎましたね」


環「みんな早く来ないかなぁ、たまきつまんないぞ…」


律子「ちゃんと説明するまで帰しませんからね!」


海美「うーん…することもないし、『765劇場』でも冒険しよっか?」


奈緒「おっ、ええアイデアやんそれ」


環「くふふ、お昼までにお宝を見つけるぞ!」




P(…………刺客は『二人』か)


律子「ちょっと、プロデューサー?」


P「四人とも、『シアター』をうろつくなら、あまりはしゃぎ過ぎないようにしろ」


律子「聞いてるんですか!?プロデューサー殿!」


奈緒「わ、わかったけど…」


百合子「お達者で…」


律子「大体、修理するのに…ガミガミガミ」









――隣、カラフルネオンボックス




環「うわぁ…!すっごくおっきいぞ!」


海美「事務所を二、三個並べておんなじくらいかな?」


奈緒「いやー、端から端まで結構あるで」


百合子「どうしてこんなに大きい建物を建てているのに、誰も気付かなかったんでしょうか…?」


環「くふふ、たまきが一番乗りー!」ダッ!


海美「あっ!私もー!」ダッ!


奈緒「元気やなー」テクテク




百合子「もしや、事務所に大きな穴が空いたのと何か関連があるのかも…。超科学を持った謎の集団が私たちの事務所を乗っ取ろうとしてるのかもしれません!知らず知らずの内に建てられた建物から私達のことを狙っているに違いありません!奈緒さん!」テクテク


奈緒「えー、そんなん…」テクテク


奈緒(いや、でもなぁ…スタンド使いなんちゅーものがある時点で、あながち間違ってもないと言うかなんちゅーかなぁ…)


奈緒「あるかもしれへんな」テクテク


百合子「ええっ!?そこは否定されると思ってました…」ウィーン


百合子「あっ、涼しい…」


奈緒「おっ、ほんまや」


奈緒「でも否定は出来へんやん。そういう超常現象とかUMAとか」


奈緒(スタンドとか…な)


百合子「あっ!最近、こんな噂が流れてるんですよ!」


奈緒「何々? どんな噂なん?こっちの噂なんて全く聞いたこと無いからなぁ」


百合子「なんでも…」


百合子「『スタンド使い』」


奈緒「えっ…」


ドドドドドドドド



百合子「って呼ばれる人たちがいるみたいで、その人たちは…どうかしたんですか?」


奈緒「あ…………」


百合子「奈緒さん?」


ゴゴゴゴ


奈緒(まさか…まさかとは思うけど…)


百合子「…………」


ゴゴゴゴゴゴ


奈緒(百合子は『スタンド使い』!? でも、そんな! 美奈子達だけやと思ってたけど…)


百合子「あっ、その顔は信じてませんね!結構有名な話ですよ!」


奈緒「…………うーん」


百合子「…本当にどうしたんですか?そんなに見つめて」


奈緒「やっぱり勘違いやな」


百合子「ええっ!ひどいっ!」


奈緒「ちょっ! 今のは言葉の綾っちゅうか、考え事しててん!な!」


百合子「うぅ…こんな扱いが最近増えたような…」


奈緒「…まぁ、その、今度おいしいたこ焼き屋奢ったるわ」


百合子「ありがとうございます…」


百合子「コホン、話を元に戻すとですね『おーい!奈緒ー!』やっぱり!」


奈緒「海美?なんかあったんかー?」



海美「一番上の階、ステージになってたよ!」


百合子「ええっ!こんなところにステージですか!?」


奈緒「なんでもあるなぁ…」


海美「ゆりゆりも一緒に見に行こうよ!」


百合子「もしかしてもしかしたら図書館があるかも!こうしてはいられません!私は未知の領域へと旅に出掛けます!では!」


ピュー!


奈緒「意識がトリップしとるやん!」


海美「そういえば環は何処に行ったんだろう…?」


奈緒「環のことやから、どっかで遊んでんのやろ」


海美「これだけ広いと走りたくなるもんね!」


奈緒「えっ」


海美「よし、上の階まで競争だよ!よーい…」


奈緒「ちょっ、ちょいま『ドン!』」


海美「一着はもらったよー!」ダッ!


奈緒「速っ!?」ダッ!


奈緒「でもやるからには負けへんで!階段で巻き返すッ!」


海美「追い付けるか…なっ!」


ピョーン


海美「9段飛ばし!」


奈緒「いやいやいや!おかしいやろ!」


ピョーン


奈緒(5段…9段も普通跳ばれへんやろ!自分の背よりも高いで!)


海美「フンフーン♪」ピョーン



奈緒(助走も無しでも跳んでるし…ここの事務所スポーツ選手育成所にした方がええんちゃう?)


ビョォォン


海美「やぁ!」


ピョーン


奈緒「ああ!見えなくなった…」ダダダ


海美「それっ!」


ビョーン


海美「ていっ!とうちゃーく!」


奈緒「は…速い…」ダダダ


海美「へへへ、私の勝ちー!」


奈緒「よう跳んだなぁ」


海美「多分体が柔らかいからだよ!そらっ!」


ウミミーン


奈緒「うわっ、見てられへん…折れる折れる」


海美「そういえば!こっちから入ると客席の方だから、向こうの扉から入るんだよ」


奈緒「こっから入られへんの?」


海美「私は大丈夫だけど、多分上がれないと思うよ?」


奈緒「そんなら向こうから行こか」テクテク


海美「うん。それにしても、もっと体動かしたいなー」テクテク



奈緒「どんなんしたいん?」テクテク


海美「あっ、ここ何の部屋かまだわかんないとこ」ガチャ


奈緒「なんやそれ…………何にも無いなぁ」


海美「テニスとか…サッカー?」テクテク


奈緒「サッカー?経験者なん?」テクテク


海美「違うけど、なんかパッと頭に浮かんだから」テクテク


奈緒「この扉か。私のアニキがプロのサッカーやねん」ガチャ


海美「へぇー!サッカー選手なんだ!サッカー上手いの?」


奈緒「全然全然、私あんまし上手くないで。ここが舞台袖かぁ、暗いな」テクテク


海美「多分ね」テクテク


奈緒「ん?」テクテク


海美「私は奈緒ちゃんのお兄さんよりも上手いよ」ピト


奈緒「??? 何が?」



海美「サッカー」


奈緒「んなアホな、経験者なん?」


海美「違うよ」


奈緒「あっ、ゲームか! 海美がゲームするなんて意外やな」


海美「違うよ」


奈緒「…?じゃあなんなん?ほんまにサッカー?それになんか急に元気がなくなった感じがするけど、なんかあったん?」


海美「…………」


海美「ねぇ、なんとなーく察してると思うんだけど…」


奈緒「…………やっぱり『スタンド使い』なん?」


海美「うん」


奈緒「戦わなあかん?」


海美「…うん、ごめんね」



奈緒(急にくるなぁ…)


奈緒「しゃーないで、そっちにもそっちの事情があるんやから」


ドワッ


奈緒「『H・L・ジェットマシーン』」


海美「…………『ココロ・エクササイズ』」


ゴゴゴゴ


奈緒「ヴィジョンを出さんでええの?」


海美「私の『スタンド像』、それはこの身体そのもの!」


ウミミィィン


海美「いくよ――」


ダムッ!


奈緒「は」


海美「フン!」


ゲシィィオ!


メリメリィ!


奈緒「かッ…!」


ドガァァン!


ドサァァ


奈緒「げほっ…ごほっごほっ…………」


海美「ハァ……ハァ……ハァ……ッ!」



奈緒(い、今何が起こったんや…? 海美がぶれた瞬間、脇腹が…)


奈緒「…ぅ…ぐ」モゾ


奈緒(アカン…お腹痛くて立たれへん…。呼吸も少し苦しい…)


海美「ハァ……ハァ……、ねぇ、奈緒。降参してよ…私二回も蹴りたくないよぅ…」


奈緒「そ…そん…する、わけ痛っ…ない」


奈緒(ヤバイヤバイヤバイで! スタンドで殴るのとは違う!『直に』くるッ!)


海美「お願い…!二回目は死んじゃうよ!」


奈緒「ここでっ、負けたらな…誰が海美助けんねん…」グッ!


奈緒(無理矢理でも立つんや! まだ負けてへん!)


ドワッ!


海美「やめた方がいいよ…絶対!」


奈緒「掛かってきいや、海美…」



奈緒(死ぬほど痛いわ…生きてるけど。まずは距離をとった方がええな、動きを少しでも見切らんとアカン)スッ


海美「なんで…!」


奈緒「海美をとりあえず倒す、口で言ってアカンなら、手を出すしかないってのはもう学んだ!」ザッザッ


奈緒(三回目やけどな!)


海美「止められないよ…!」


海美「もう誰にも止められないよッ!『ダッシュ』!」


ダン!


奈緒(やっば!距離とって無かったら反応出来へんかった、でも今は!)


奈緒「オラオラオラァ!」


ブンブンズン!!






「捉えたァ!」


奈緒は自分のスタンドが精密な動作をすることを知っていたので、「動きについていけるならなんとかなる」と、思っていた。


「甘いよ、速さだけじゃない」


確かに拳を打ち込んだ、しかし海美はそれを寸でのところで避け、受け流して頭突きを繰り出す。


「あ″だッ! スタンドに触れるんかッ!?」


思わず仰け反った奈緒を逃がしはしない。不安定になった足を払い、落下の勢いを押す事で加速させる。


「かっ…!」


床に叩きつけられた奈緒は頭をちゃっかりガードしつつスタンドの蹴りを放つが、海美にとっては些細な事。


「ごめんね、少し痛いよ」


多少無茶苦茶な姿勢でも攻撃が出来るスタンド『だからこそ』仇となった!


海美は放たれた蹴りを受け止め、足を掴み振り回し、ハンマー投げの要領で投げ飛ばす。


「のわっ!」


奈緒は客席へと放り投げられたものの『H・L・ジェットマシーン』が空間を削り、擬似的に地面へと瞬間移動する。


「なんちゅー能力や…予想もつかへん」


(一応逃げ続ければ、携帯でまつりを呼べるけどなぁ)


などと案じている暇はない、海美の姿はもうステージからは消えている。


「? 何処行った…?」


見失った時点でもう終わりである。


既に海美の蹴りは背後から迫っているのだから。






To be continued…






※急な地の文注意

台本形式だと微妙だったんでああなりました、許してね。今後もあるかも



終わりだよー

(o・∇・o)


ウミミーン

(o・∇・o)
















海美は隙だらけの奈緒の背中に蹴りを放つ。


しかし、蹴りが命中する直前、『H・L・ジェットマシーン』が僅かに動いた。


「…っ!」


瞬間、奈緒の全身が黒に染まる。だがその黒は『黒色』ではない、光を全く感じさせない『暗黒』なのだ。


海美は危険を察知して足を引くが、靴紐が僅かに『暗黒』に触れる。『暗黒』と重なった所は消えて無くなっていた。


「奈緒は全身を削っているの…? でもそれだと奈緒は消えちゃうから…………?」


海美は徐々に引き寄せられる身体を後ろへ下げつつ考えるも、奈緒がどのようにして攻撃を防御しているのかは分からなかった。









ギャルオン


奈緒「念のため防御しといて正解やったわ」


海美「…!」


海美(携帯持ってるね…まつりんを呼ばれちゃったかぁ…、こうなったら早く終わらせるよ!)


奈緒(空間を削るんやったら『電波』も削れるわ! まつりに連絡出来てへん…)


ダン!


海美「そ…れ?」


海美「消えた…?」


ガオン!


奈緒「残念でした、私は上!」


ガオンガオンガオン!!


奈緒(このまま屋上に逃げるで、しばらく時間を稼がなアカン)


海美「あー…」


海美(飛んでる…)


奈緒「流石にここまでは来られへんやろ」


海美「うーん、確かにそこまではジャンプ出来ないなー」


バキッ




奈緒「…ん? バキッ?」


海美「ふん!やー!」


バキベキドキ


奈緒「なっ…座席を引きちぎっとる!?」


海美「うりゃァァァー!」ブン!


ギャルギャル


奈緒「オラオラァ!」


ゲシドグシャア!!


奈緒(あんなもんに構ってられへん、さっさと上に行かな!)


ガオンガオンガオン


奈緒「一番上に着いたでッ!」ペタ


海美(撃ち落とすより、屋上に行った方が早いかな?)


ダッ!


奈緒(海美は先回りしたんか…早いとこ削って連絡を……ん?)


…ォォォォォォ


奈緒(何かイヤーな音がするで)


…ォォォォォォォォォ


奈緒(しかも強くなってるわ。今思ったけど、ステージに使う防音の部屋やのに音が聞こえるってことは…)


…ォォォォォォォォォォォオ!!


奈緒(『何か』が屋上で待ち構えてる…?)


ゴゴゴゴゴ


奈緒「『屋上』に行くのは中止や! このステージで連絡を取るッ!」


奈緒「安全策を…ッ!」パカッ


ドドドドドド


奈緒「圏外ッ!?連絡とられへんやん! 時間をロスしてもうた!」




ォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオ!!!!!


奈緒「あわわわわ、今度は音が普通に聞こえてきた!?…………今なら入り口から出ても」


バン!


海美「入り口から? 屋上は『凄い』風だったし、奈緒がいないと思ったら…逃げる為のブラフだったんだ」


奈緒「ま…マジ?」パクパク


海美「それにまつりんに連絡とれてなかったんだ…へぇ…」


ドドドドド


海美「…………」ウミミィィ――ン


奈緒「…………っ!」タラー


奈緒(多分、海美は私よりも速いし、『身体能力』が滅茶苦茶やから、まともに戦っても勝たれへん)


奈緒(私の能力は『強力』。威力なら誰にも負けへん自信があるけど、そのぶん応用出来へん…)


奈緒(一体どないせいっちゅうねん!)


海美「ねぇーまだー?私首上げるの疲れちゃったよー」ウミミーン


奈緒(私も、いつまでも張り付いてられへんな…よしっ!)


ゴゴゴゴゴ


奈緒「敢えて『屋上』に行く、何かがあっても削ったらええねん!」


海美「!? 『屋上』は絶対駄目ッ! 吹き飛ばされて死んじゃうよぅ!」


奈緒「知るかぁぁぁああああ!! 風でもなんでも掛かって来ぃや!」


ガオン!


海美「駄目ぇぇぇえ!!」


バッ!!


奈緒「出たっ…」


ゴァォォォォォォォォォオオオオオオオオオ!!!!


ドゥドゥドゥドゥドゥ


ギュォォォォォォン!!


奈緒「はっ!? はんひゅうはへは!?(なんちゅう風や!?)」




奈緒(目が開けられへん…!)


ゴォォォォォォォォォオオオオオ!!


ブッファォォォォォォォォン!!


奈緒(吹っ飛ばされるッ!?)


ブン!


ガッシィィィィン!!


奈緒「かはっ…!」


奈緒(転落防止の柵…? これもいつまで持つか…)ギシィ


ピトォオ…


ピィヤルルルル


奈緒「風が…止んだ?」パチ


ヒューゥルルル


奈緒「い、今のは…ビル風? んなわけあるかいな、明らかにスタンド攻撃やったで…」


ゴゴゴゴゴ


奈緒「誰もおらへん…? でもあの『風』は超強力、まつり曰くなら、近くに誰かおるはずや…」


ゴゴゴゴゴゴゴ


奈緒「絶対に居る、二人目がッ!」


シィィィィィィン


奈緒「はぁ…はぁ…、ど、どこや…絶対に居る…『空気』が重苦しいッ!」


ムオォン


奈緒「!」


奈緒「な…何か見えた…? でも何もおらへん…、緊張しすぎて錯覚でも見たんか…?」




バタン!


奈緒「ッ!?……扉?海美が閉め忘れたんか?」


――海美「吹き飛ばされて死んじゃうよぅ!」


奈緒「いや…海美じゃあないで、海美は私が居ない事と『異常な風』を感じてたんや!扉を開けっ放しにするわけがない!」


奈緒「となると…」


ゴゴゴゴゴゴゴ


奈緒「この場に居るのは環…環やッ!『Daテレビ』からオファーを受けているのは環しかおらん!」


シュゴーオォ


奈緒「!」


バッ!


奈緒「…いまちらっと何かが…」


ギィ…


奈緒「今度はなんや!」バッ!





美奈子「な、奈緒ちゃん!」






奈緒「美奈子!? なんでここにッ!?」




美奈子「プロデューサーさんが『奈緒はあそこに行ったぞ』って言ってたから」


奈緒「な…なんで来たんや!そこは危ないッ!はよ離れェ!」


美奈子「? 奈緒ちゃんの近くに『穴』が空いてるけど…そっちの方が…」


シュワワォーッ


奈緒「離れろッ!スタンド使いやッ!」


美奈子「えっ!?」


ゴァァァァァァ!


ガシィッ!










海美「みなこん…」


美奈子「海美ちゃん!」


海美「危ないから後ろに下がってて…」


奈緒「海美…!」


奈緒(ヤバイ…連絡してへん…)


美奈子「ふ、二人とも止めようよ!戦う意味なんてないよ!私分かったんだよ、皆で立ち向かえるって!」




ドドドドドドドドドド


海美「ねぇ…ここに居ない『スタンド使い』は『環』だけなんだよ…」


美奈子「え…? 環ちゃんが?」


海美「環はここに居るッ!でも環は『黒幕』と戦うときに『言った』よね…」



ドドドドド



奈緒「なんや…全然話が掴まれへん…」



美奈子「たしか…『たまきはすたんどが使えないけど、みえるぞ』って」


海美「さっきここでスタンドを使っていたのは誰? ここに居る『スタンド使い』は環以外に誰がいるのッ!」


美奈子「…………環ちゃんがここに?」


奈緒「二人とも一体何を言っとるんや!」


奈緒(今のうちにまつりにメールしとこ…)


海美「私、もう何を信じたら良いのかわかんないよ…環は何も『教えて』くれなかったし…」


シュワワォーッ


ドン


美奈子「きゃっ!?」ドサ


奈緒「美奈子!?」


海美「えっ、何…?」


――『横山奈緒は敵…』


海美「う、そ…この声…」


ゴアォォォォォォオオオオオ!


奈緒「風…!?」


美奈子「わっ!」ギュッ




ゴアォォォォォォオオオオオ!


海美「…………、…………………」


奈緒「なんや…なんか喋っとる…」


海美「…………!」


ゴガァオォォォォォォ!!


奈緒「風が強くて…何を話してるのか分からへん!」


美奈子「奈緒ちゃん!ここは引いた方がいいよ!吹き飛ばされちゃう!」


海美「……!………………!」


――『横山奈緒を倒すのですッ!』


ピィトォォ…


美奈子「……?あれ?」


奈緒「また、急に止んだ…」


海美「…………」


海美「美奈子、もう…」














海美「もう私達詰んでるよ」














美奈子「海美、ちゃん?」



奈緒「次から次に…どういうこっちゃ!」


海美「『敵』は『黒幕』だけじゃない…!ただそれだけッ!」


奈緒「はぁ!?」


海美は大きく一歩を踏み出し、肉薄する。


スゥサァー


グウーゥ!


海美「はぁぁ…!」


奈緒「!?」


構えられた必殺の蹴り。


完全に間合いの外にいると思っていた奈緒は回避が間に合わなかったが


美奈子「危ない!」


奈緒を美奈子が押し、代わりに美奈子がその蹴りをくらう。


ゴグシィ


美奈子「あ″っ」


奈緒「え…………」


ドグシャア!!


ドスン


美奈子「ぅ……あぁ……ぃ……」ビクンビクン


奈緒「はっ…、な、な、な…身代わりに…そんな…」


海美「手加減はもうしない…、もっと『ひどく』なる前に、私が白黒着ける…」




ドドドドド


奈緒「『ひどく』なるってなんや…何をこれ以上すんねん…ッ!」


ドドドドドドドド


海美「『これ以上』はみんな不幸になるし、みんなもっと傷つく! だったら『このまま』でいた方がずっと楽だよ…!」


美奈子「ぅく……ち、ちが……」プルプル


奈緒「美奈子、休んどき」


美奈子「…………っは!…………」バタリ


ゴゴゴゴゴ


奈緒「今のままで良いわけ無いやろが! 何か不幸になるや! 何も見えてへんやん!」


海美「当事者でも無いのに何が分かるの!? 何が見えるの!? ねぇ一体奈緒は何を分かってるの!!」


再び間合いを詰め、蹴りを放つ海美。


スゥサァー


ブゥゥゥン!!


奈緒はこれを『瞬間移動』で体ごと回避する


ガオン


スカァー


奈緒「外からならよう見えるで!」


ガオンガオン


奈緒「オラァ!」ブゥン


海美「!」サッ



海美「ふん!」


ブァオォン!!


奈緒「ッ!(かすった!)」チスッ


奈緒「『お人形さん』で満足してるんやったらやってたらええねん!」


海美「」プッツン


海美「私だって好きでやってるんじゃ無いんだよ!」


奈緒「せやから止めるんや!」


ドン!


奈緒「速っ…!」


ブオォン!!


ガオン


奈緒「避け…!?」


海美「……!」ギリギリ


奈緒(フェイント!?)


海美「ハァァ――――――ッ!」


ドゲェ!!


ビキビキビリィ!!


奈緒「がっ……は……っ!」


二度目の蹴り、正真正銘の本気を受けてまともに立つことは出来ない。




だがしかし、海美の精神にも限界が近づいていた。


彼女の精神は、女の子を思いっきり蹴っても大丈夫な訳ではない。(普通の人間だってそうだが)


傷口を抉るような罪悪感に苛まれ、心を傷付けた。


そして、奈緒と美奈子を蹴った足は痛み、肉を潰すような生々しい感触が残っていた。


海美「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」


奈緒「……あ、……ぃ……や、ぁ……」ビキィーン


奈緒(やばい…意識がぶっ飛びそうや)クワンクワン


奈緒(早く立ち上がって、海美を、助けたらな…)


奈緒(私がやらな、みんな…みんな…!)


ググッ


海美「まだ立とうとする…?」ヒュー


奈緒「…………っは……」バタ


海美「……………………」


海美「………………どうして来たの」



ドドドドドドド



まつり「…………海美ちゃん」



終わりだよー

ついでに


本体・人間・横山奈緒
スタンド・『H・L・ジェットマシーン』

近距離パワー型・亜人間型

破壊力C  スピードB  射程距離C(5m)

持続力B  精密動作性A  成長性C


能力『空間を削る』

能力射程 不定

カエルとオタマジャクシの中間のような灰色のスタンド。パックリと開いた口は人と同じように働き、空間をあらゆる方法で削る
(例、口で「噛んだ」箇所は削れる
   水のように空間を「飲む」                        )


地の文と台本形式のややカオス注意

投下します

(o・∇・o)



まつり「…………」


スタスタ


ピトォ


美奈子「うぅ!」ビクッ


まつり「ひどい打撲…!」


バチッ


まつりは『波紋』で美奈子の打撲を治療する。


海美(…今、何か光った)


まつり「しばらくは安静にしてて下さい」


美奈子「……………うん」


バチバチッ!


まつり「奈緒さんも…聞こえてませんね」


ゴゴゴゴゴ


まつり(海美ちゃんの能力…一体どんなものなのですか…?)スクッ


海美「なにそれ? 今、何かやってたよね?」


まつり「秘密なのです。能力を教えてくれたら、教えてあげてもいいのですよ?」


海美「それじゃあ私も秘密」


ヒュゥーウルルゥ


海美「…さっき、ずっと『見て』たでしょ」


まつり「それは…」


ゴゴゴ


海美「奈緒が負けて、慌てて来たみたいだけど…どうして来なかったの?」


ゴゴゴゴゴ


まつり「姫にも、色々あるのです」


海美「そっかぁ…………」




まつり(海美ちゃんを跳ばしてもいいのですが、能力が分からない以上、そのまま落下死する可能性があるのでやりたくないのです)


海美「それじゃあ、行くよ!」ウミミーン


ドン!


海美「そ…っれぇ!」


まつり「『高速移動』」


『フェスタ・イルミネーション』の能力の応用、自分から『空気』を離して回避する。


ヒュッ


ブゥァオン!


まつり(…凄く鋭い蹴りなのです。まるで達人か何かなのです。どうやら身体能力が著しく強化されているようです)


海美「まだまだぁ!」


スカッスカッ


まつり「さっきから、蹴りしかしてないのですよ!」


海美「…………」


ブン!


スカァ-


『高速移動』で海美の蹴りの尽くをかわすも、埒が明かないことを察し、動く。


まつり(体力切れは狙えそうに無いのです)


まつり「『フェスタ・イルミネーション』」


ドゥッ!


接近を拒む為、『フェスタ・イルミネーション』を出して離れる。




海美「!」


ブン!


ガシィッ


海美(右足を掴まれたッ!)ジタバタ


まつり「パワーは同等かそれ以下なのですね」


海美「関係ないよ!」


グッ!


掴まれた事は逆に好機、足を曲げ、『フェスタ・イルミネーション』に接近して胸に左拳を叩き込む!


まつり『…はっ…!』


海美(スタンドと人間は『感触』が違う、『スタンド』なら腕も使える!)


まつりは海美を掴んでいた手を放し、スタンドを引く為に寄せるも、海美はそれを許さない。


宙に浮いた右足で大きく一歩を踏み、左足を素早く前に出す。


まつり(! 少し侮っていたのですッ!)


放たれる拳を数発受け流すもダメージは大きい、まつりからも接近して『フェスタ・イルミネーション』を自らの近くに寄せる。


海美(一体何がしたいの…? 距離を放したと思ったら、今度は近づいた…)


脳裏に浮かぶ一抹の疑問、既に体は動いていた。


ピタァ


まつり「波紋!」


ビリィィ!!


海美が攻撃を止めたのとまつりが全身に波紋を流したのはほぼ同時、海美はまつりの罠を回避したのだ。




海美「……やっぱり、何か企んでたね」


ドドドドド


まつり(そんな…失敗した…!)


まつり(真正面から殴りあっても勝ちが確実でないのは明白! 波紋が一番の有効策だったのですが…)


まつり(かといって能力も使えません。この屋上での能力の使用は『限られ』てくるのです、海美ちゃんの命に関わる事は余りしたくないのです)


まつりの失敗は一つではない、それは海美のスタンド能力に大きく関連していた!


海美「これは…?」コォォォォオ


まつり「!? どうしてなのです!」


海美「凄い! 力が溢れてくる…!」コォォォ


まつり「波紋の呼吸…! 何故海美ちゃんが!?」


海美「『波紋』って言うんだ…」


まつり(海美ちゃんの能力…まさか!)


ドドドドドドドド


まつり(まさかッ! 姫の予想が正しいのならッ!)


海美「……気付いちゃった? そう、私の能力は!」





海美「『人間の能力を見てコピーする能力』だよ。まさかまつりんがこんな『能力』を持ってるなんて思わなかったよ」




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


海美「この波紋って凄いね、なんでもできるよ!」コォォォォ


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


まつり「…………ッ!」




ドドドド


まつり(もう一度『覚悟』を決めます。もうまつりにしか倒せません、まつりが倒さなければならないのです!)


ドドドドドドドド


まつり「海美ちゃん、まつりは海美ちゃんを侮っていたのです。ごめんなさい」


海美「…………!」


まつり「『覚悟』を決めて下さい、まつりは『全力』でいきます!」


海美(『流れ』が換わった…、流れがまつりちゃんに来てる)


海美(頭でなく、肌で分かるよまつりん)


ドドドドド


海美(新しく習得した『波紋』、遠慮なく使わせてもらうよっ!)


ゴゴゴゴゴゴゴゴ


まつり(集中するのです、もう『高速移動』は使えません。全神経をスタンドとまつりに…)


シィィィーン


まつり「…………」
海美「…………」


スッ


海美「はぁ!」


まず『流れ』を作ったのは海美、鋭い蹴りでまつりの首を狙う。


まつり「一点集中の波紋!」ビシィ!


それを波紋で防御、さらには『フェスタ・イルミネーション』に波紋を流せる範囲で攻勢に出させる。


まつり『ナノナノナノォ!』




海美「…ッ!」パシパシパシ


片足立ちという不安定な体勢にも関わらず、波紋を使いつつ受け流す。


微妙な体勢を嫌った海美は後退、まつりはそれを許し、仕切り直す。


まつりが攻勢に出れば有利かもしれない、だがあくまでも可能性の話だ。


まつり(一気に勝負を着けるより、持久戦に持ち込んだ方がいいのです)コォォォ


もう周りは見えていない。


お互いの一挙一動を観察し、隙を見て攻撃する為の準備をする。


海美が技術に優れているのなら、まつりは手数に優れていた。


まつり「…!」
海美「…っ!」


そして二度目の激突。


目立った行動は無く、一息。


決して深追いはしない、お互いが超近距離で殴りあっても勝敗が読めない為だ。


まつりは体力も精神力も現状の海美より勝っているため攻勢に、海美は『待つ』事で相手の総崩れまで、小規模な攻防を繰り返す。


海美が『待つ』理由、それはたとえ海美が一気に攻めたとしても、まつりを倒すのは至難の技。操る体が倍なら注意力も倍、ミスが多くなるのは必然。


ならばミスで出来た『穴』を突くのが一番であり、持久戦に持ち込むのは自然の理だろう。











三度目の激突。


今度も『待つ』のが優等生の答え。互いにハイリスクハイリターンの戦術をとるのがベターな選択である。


だがしかし、まつりが仕掛ける。


海美「!?」コォォ


まつり(長い戦いになるのです、しかし仕掛けられるのは今ッ!)コォォ


『フェスタ・イルミネーション』を背後に。長所である手数を犠牲にして不意打ちを狙うが、それは同時に『手前の』防御が薄れたということでもある。



海美「…………!」コォォ


しかし海美も『思惑』通りには動かない、まつりの調子を崩すために地面すれすれまで屈んで足払いを。


それを跳躍してかわしたまつりはそのまま、海美の真上を跳ぶ。


まつり「はッ!」コォォ


覆い被さるように跳んだまつりは『フェスタ・イルミネーション』を出して真上から、そして着地地点からの時間差攻撃を仕掛けるが、


海美は一点集中のくっつく波紋を爪先に、足を曲げてスライド移動して回避する。


海美「ふッ!」


そのまま地面を逆の足で打ち、『フェスタ・イルミネーション』の背中を蹴る。


まつり「……ッ!」


しかし体勢が悪かった。ダメージも流れた波紋も少々、決定打には至らない。


互いに距離を取り、三度目の攻防は終わった。




そのまま四度目、五度目と衝突は続き、七度目にはまつりがリボンを使った攻撃に出るも、有効打は与えられなかった。


その後も激突を繰り返すが硬直状態は続く、精神を無理矢理持たせている海美の『待ち』はまつりの想像以上に脅威だったのだ。


だが


海美(…まつりんの集中力切れは、狙えそうに…ッ!?)コォ…


まつり「!?」コォォ


海美の呼吸が僅かに乱れ、精神の疲労がついに表れた。


ただそれだけで状況は激変する。


離れていた二人は一気に距離を詰め、多少の『穴』はあれど互いに打ち合う。


防御は最小限に、打ち、蹴り、打ち、打ち、掴み、打ち、蹴り、躱し、打ち、猛攻を仕掛ける。


海美(もう後がないッ! 『待つ』ことは『波』に飲まれるのと同じッ!)


まつり(『激流』を征した方が勝ちますッ!)



そしてさらなる策を――まつりが仕掛ける!


まつり「『フェスタ・イルミネーション』」


まつり「『酸素』から『窒素』を離すのです」


海美「ッ!?」


命に関わる能力、海美の吸った空気は窒素が殆ど含まれておらず『波紋の呼吸』はおろか、生命活動も脅かしかねないものだった。


空気の異常を感じ取った海美は最後の反撃に出る。


海美「ッたぁ!!」ブン!


まつり「ッ!?」


ノーガードで放たれた右ストレート、まつりは左腕を犠牲にして防御、代わりに鳩尾へと右拳を叩き込む!


海美「がはっ…!」




酸素を吐きだすも、既に関係はない。


海美は短距離走選手のような無酸素運動状態に入る!


残り僅かな『波紋』を防御に使って『全てを賭けた一撃』に出る!


勢いよく三歩分後退。


そしてまた、一歩を踏み出す。


まつり(あれはタックルの構え!)


姿勢は低く、全身をバネに二歩目!


この時既にトップスピード、人類で観測され得る最高時速44キロメートル!!


海美「はぁぁぁぁぁあああ!」


さらに一歩分、体を『伸ば』してまつりを捉える!


まつり(回避が…っ、間に合わない!)


まつりは防御を放棄、激しいラッシュを打ち、自分が叩き付けられるまでの間に全てを賭ける!


まつり『「ナノナノナノナノナノナノォォォオオ!!」』



海美「とりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!」



ドン!



海美が全てのエネルギーをまつりにぶつけると二人の体が一瞬浮いた。



海美「『ココロ・エクササイズ』!!」
まつり「『フェスタ・イルミネーション』!!」



海美「とりゃぁぁぁ――!」
まつり「ナノォォォ――!」








ドグシャァ!!



・・・


・・・・・・



シィィーン






「はぁ…はぁ…はぁ…」


「はぁ………はぁ…………」フラフラ


「……………………………」ペタン


「どうして……」










海美「どうして勝たなかったの!!」


海美「なんで!」


海美「まつりん!」


海美「私を倒してよ…!私を『納得』させてよ!」






徳川まつり――気絶





海美「訳もわからないで『黒幕』に負けたのに!」


海美「『納得』する『負け』なら、受け入れられるのに!」


海美「どうして、どうしてッ…!」


海美「……………………」


海美「…………むなしい」


海美「…………………………」


スンスン


グワシィ!!


ホカホカ


海美「……熱々の中華まん」パク


海美「『スマイルファースト』…美奈子の能力」モクモク


バァ――――――z______ン!!


美奈子「う、海美ちゃん! 私は、私だって戦える! 一人でだって戦う!」


海美「…………」


ドドドドド


海美(なんか、すごく頭がボーッとする……)


海美「『覚悟』してきたんだね、うん。今立ってるのは『覚悟』を決めた人間だけ…」


美奈子(駄目…!足が震えてる…怖いよ…!)


美奈子(だけど奈緒ちゃんもまつりちゃんも戦ったんだ! 私を、救うために!)



美奈子「だから、私が、私がやらなくちゃ!」






海美「…………」チラ


海美(台車がある……わざわざ料理を運んだんだ)


美奈子「『スマイルファースト』!! お願いッ!」


ドゥドウッ!


海美「…………」ブブン


パリィーン


美奈子「あ…!」


ドドドドド


海美「駄目だよ…こんなんじゃ…駄目…」ジリジリ


美奈子「……あぁ……そんな!」


ドドドドドドドド


海美「やっぱり、そうだよね…」





海美「『覚悟を決めた人間が立つ!』」





奈緒「私に合わせ!『H・L・ジェットマシーン』!!」




美奈子「奈緒ちゃん!」


海美「波紋の治療を受けて、立たない訳がないッ! 正真正銘の最後ッ!」


美奈子「もう一回、『スマイルファースト』! 届いて!」


ドゥッドウッ!


海美「『料理』の方が近い!皿→奈緒→美奈子の順に倒す!それだけッ!」


海美「この皿を砕いて私の勝ちッ!」


奈緒「させるかぁぁぁああ!」


ガオン!!


海美「えっ?」


海美(どういうこと…?腕の先にあった『皿』が目の前にある。奈緒は後ろ、『空間』が削れるわけがない…!)


海美「兎に角っ、無理矢理掴む!『波紋』で奈緒を倒す!それで――」


美奈子「えいっ!」


ドン!


海美「えっ」


海美(美奈子が、私に…? 駄目、姿勢が!『呼吸』がっ!)


奈緒「海美ぃぃぃぃぃいい!」


海美「っ!」


奈緒「オラオラオラッ!」ドガァ


奈緒「オラァ――!」


ドギャァオォォーン


海美「ぐえっ!」


ゴロゴロゴロ


海美「がふっ!」


海美(これが納得のいく『負け』、全部を出し切った『負け』。これでいいの…これで納得できる)


美奈子「勝った…勝ったよ!奈緒ちゃん!」


奈緒「……やったで美奈子!これで海美も仲間や!」



海美(…………やっぱりちょっと悔しいね)



ドォ――――――z______ン



高坂海美――敗北!


佐竹美奈子――料理を振る舞う


横山奈緒――穴を開けた言い訳を考える


徳川まつり――気付いたら勝っていた


To be continued…


終わりだよー(o・∇・o)

稚拙な文に付き合っていただきありがとうございます。

書いてる時は長く思うけど、実際は十数レス。

色々ときついので地の文は当分こりごりです。



(o・∇・o)


本体・人間・高坂海美
スタンド・『ココロ・エクササイズ』


一体化型


破壊力B  スピードB  射程距離E~A

精密動作性B  持続性B  成長性A



能力『人間の能力を見てコピーする能力』



有り余った体力とスタンドパワーを内包する海美は、人間として最高のスペックを発揮できるようになる。

百メートル世界一の速さをフルマラソンで維持し続ける、といったような『組み合わせ』でもいける能力。

ただし、動きをコピーするには目で見る必要があり、 コピー出来るのは人間に出来る事である。

が、実践出来るのは人間以上の事であるため、人間の範囲で人間以上の事ができる。






ドドドドド


Da『使えん…全くもって使えない』


Da『誰一人として倒せぬとはな』


Da『やはり「支え」を壊す必要がある』


ドドドドドドド


Da『精神的な崩壊はそのままスタンドのパワーに関わるッ!』


Da『『虎の子』…いや、『龍』を出す!』


Da『奴は絶対に持っている…強さ故に隠し続けるスタンド!その能力!』


Da『大神環よ、プロデューサーを殺すのだ!』









――――『悪意の視線』





―――――――――――――――――――――

事務所

二日後









P「…………………………」カタカタカチベラベラ


事務員「…………………………」カタカタカタカタカタカタカタ


杏奈「すぅ…………むにゃ…………」


志保「……………………」ペラ


志保「『この勝負、退屈しのぎにはちょうどいいよ』…………」ペラ


P「…………退屈しのぎと言っているが、女王は平和な学園に退屈していた。少し熱をいれてもいいかもしれん」カタカタ


志保「…はい、やってみます。…『この勝負、退屈しのぎにはちょうどいいよ!』……どうですか?」


P「………………志保、スタンドで俺を後ろから殴ってみろ」カタカタ


志保「…は?」




P「スタンドの稽古をつけてやろう、来い」カタカタ


志保「…今『どうですか?』って感想を聞いたんですが」


P「休憩だ。体を動かせば少しは女王の気持ちがわかるかもしれん」カタカタ


志保「…………行きます!」


P「駄目だ」カタカタ


パシィ!


クルリン


ボサァ!


志保「え…?」


志保(気付いたらソファの上で横になっていた…! 一瞬腕が見えたけど、投げられたのかしら?)


P「人を殴るときに『行きます』なんて言う奴がいるか」カタカタ


志保「…………殴れって言ったのはアナタじゃないですか」


P「そうだ、俺は『殴れ』と言った。なら一発でも当ててみろ」カタカタ


志保「」カッチィーン


志保『無駄ァ!』


パシィ!


P「俺に当てたら『何でも』してやろう」カタカタ


志保「今、何でもって言いましたよね!後悔しても知りませんよ!」




志保『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァ!』


パシパシィ!


P「グッド!『当てる意思』を強く持つ。「レッスンの初級編」だ」カタカタ


ゾワァ!


志保「ッ!」


志保(後ろも見ないでいなされるなんて…!)


志保「……能力を使っても?」


P「手加減は無用」カタカタ


志保「『ライアールージュ』」


スゥゥ…


P「…………」カタカタ


ゴゴゴゴゴ


志保(真後ろから殴ってもかわされそうね…真横からいきましょう)スッ


P「…………」カタカタ


志保「……」


志保『無駄ァ!』パッ


P「ふん」カタカタ


ピシッ


志保「なっ!?」


P「スタンド使い同士の戦いでは頭を使え、見え見えの攻撃では勝てなくなるぞ」カタカタ


P「『相手の一歩先を読む』まだまだ「初級編」だ」カタカタ


志保「ッ!」


スッ


P「珈琲飲むか?」


スタスタ


志保(……私はまだこの人の足元にも及ばない…)




志保『無駄ァ!』


ブン


サッ


P「これは「上級編」だが…『気配を殺せ』だ」カチャ


志保(気配を殺せ? 接近しても気付かれるのに…)


志保「…………」


P「…………」コポポ


P「コーヒーに角砂糖と牛乳は入れるか?」コポポ


志保「…………」


P「どちらも入れるぞ。砂糖は少なめに6つだ」ボトボト


志保「…砂糖6つは多いですよ」


P「そうか?」ボトボト


志保「…一体、何がしたいんですか? こんなことに意味があるとは思えません」


P「…………聞きたいか?」


志保「は?」


ゴゴゴゴ


P「何故演技の練習を中断してまでこんなことをするのか、をだ」


志保「…何か、問題があるんですか?」




ゴゴゴゴゴゴ


P「なら、一言で言おう」


P「志保は『弱い』、あらゆる意味でな」


志保「えっ…」


P「気配を完全に殺せる能力は強力、触れている物なら消せるという利点もある」


P「しかし無意識の攻撃に弱い、想定外を想定した行動がとれていない。その脆弱性は自分の思っている以上だろう」



志保「…………」


P「『敵』は全てを乗り越えるぞ、思いもしない手段で追い詰めてくるぞ」


志保「…ッ!」


P「戦いは激しくなるだろう。だがそれを乗り越えるのは俺じゃあ無い、志保だ」


志保「………………」


P「悪いな、こんな話をして」


志保「…いえ、ありがとうございます」


志保「この賭け、退屈しのぎにはなりました」




スゥゥ…


P「…………………………」


ガチッ


志保『無駄ァ!』


P「…!」


ドグシャア


P「…不意打ちか、見事だ」


志保「『何でも』、叶えてもらいますよ」


P「ああ、いいだろう」


志保「…その前に、演技の練習、付き合ってください」


P「分かった。…コーヒーでもどうだ」


志保「その甘すぎるのをですか…」





・・・・・・


・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・


――昼



志保「…今の台詞で最後です」


P「…有意義な時間になったか?」カタカタ


志保「はい、プロデューサーのお陰です」


事務員「…………………………」カタカタカタカタカタカタカタ


杏奈「…………、…………」ムニャ


P「…ほら、起きなさい」


杏奈「ぅん……?…………おはよう……ございます」


志保「…………」




P「昼御飯を食べようか、出前でもとるか?」


志保「いえ、私はいいです」


杏奈「出前……とるの?」


P「ああ、何でもいいぞ」


事務員「」スッ


P「カツ丼か…」


杏奈「じゃあ……お寿司、がいい……」


P「志保はいいのか」


志保「はい、自分で作ってきましたから…」


P「そうか…」


トントントン


杏奈「誰か…来たみたい」


ガチャ


環「…………おやぶん」




志保「環、おはよう」


環「うん…おはよう…」


杏奈「……どうしたの?」


P「元気が無いみたいだな」


事務員「…………………………」カタカタカタカタカタカタカタ


環「あ、あのね…おやぶん!」


P「どうしたんだ」


環「た、たまきね、みんなが怖がってる人からね、い、言われたんだぞ…」


P「……『みんなが怖がってる人』か」


志保「『黒幕』のことですね」


環「たまきにね、おやぶんをやっつけなさい、って」


杏奈「……え?」


志保「…スタンド使い?」


環「でもね、たまきはおやぶんのことがすきだから、嫌だって言ったんだぞ」


P「…………偉いぞ、環」


環「そしたら、怖い人が『育とか桃子ちゃんが怖い目にあうぞ』って…」


志保「環…」




環「みんな喧嘩ばっかりするし、ばあちゃんがスタンドを使っちゃいけないって言ってるし、たまき、どうしたらいいのか分かんないぞ…」


環「でもね、でもね、たまきは育も桃子もおやぶんもみんなも大好きだから、スタンドなんて使いたく無いんだぞ…」


P「…環?」


環「たまき、みんなと喧嘩なんてしたくないよ…!」


志保「…プロデューサー!なんとか出来ませんか?」


P「すまん、正体が分からない以上どうしようもない」


環「たまき、戦いたくないよ…誰とも喧嘩なんてしたくない!」


杏奈「……環ちゃん、落ち着いて……」


???「でも戦わないなら、みんなが喧嘩しちゃいますよ?」


ゴゴゴゴゴゴ


志保「誰ッ!?」


???「見えませんか? 目の前にいるじゃあないですか」


P「よく目を凝らせッ!いるぞ、環の後ろだッ!」






ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



???「流石、私のプロデューサーさんです」


杏奈「この声……lily_knight!」オーン


志保「百合子が…!?」


百合子「そう、私は『風』のスタンド『クリアプロローグ』の使い手!」


バァーン


志保「そんなことより環をどうにかしないと!」


百合子「ひどい!…と言ってももう遅いんですよ!」


百合子「環ちゃん、あなたが戦わないと二人が酷い目にあっちゃいますよ?」


環「いやだ!たまきは絶対に…絶対に!」


P「…! 環を取り押さえる!」


百合子「させません!」


ブワッ


パスパスゥ!


ブシャァア


P「風の刃か……っ!」


環「たまきは絶対に戦わない!」




シィーン



P「糞!」


百合子「ふふふ、やっと言ってくれました」


ドドドドド


志保「何か起きてるの…?」




杏奈「とにかく、このままじゃ不味いって事だよね?」


ウジュルゥ


環「え…、な、なにこれ!? た、たまきのからだが…」


百合子「これで環ちゃんの抑圧されたスタンドが――」





ドワゥッ!






百合子「ひっ!」


杏奈「え…」


志保「ッ!」


P「………………」タラ…


ドドドドドドドドドド




百合子inMP(ヤベーゼ…コイツハ、トットト逃ゲル二限ルナ)


ピョン


百合子「あ…」フラ…


P「『1st stepガチャ!』」トン


ドォ――――――――ン


P『か、体が少し麻痺してる…ヤバイ奴が来そうだ…』


ドッ!


スタ!


P『まずは百合子を保護する、『マスターピース』はその次だ』



ドォ――――――――――ン


杏奈「なにこれ…なにこれ!?」


志保「はぁー…はぁー…………」


ウジュルウジュル…


P「なっ…!」





???『**#*@@¥*″((%♀◎●○★』





凡そ人類には発音できない、聞くに耐えない不快な音が『環』から発せられる。


いや、既に環は環では無くなっている。


悪臭を放つ青黒い脳漿で覆われた表皮、狼を連想される巨躯は志保と杏奈、Pと百合子を隔てていた。


輪廓は空間を蝕み、蝕まれ、膨張と収縮を繰り返し、デッサンの狂った様相を呈していた。


そして鞭の様に垂れ下がった巨大な注射器に似た舌は、絶えず虚空を探り、獲物を探しているかのように彷徨う。




不意に、舌がその動きを止めたと思うと、勢いよく伸びてPの後ろ――『マスターピース』へと突き刺さる。


「グエッ!」


情けない蛙のような呻き声を挙げ、『マスターピース』はジタバタと抵抗するが、『化物』から意地汚く咀嚼する音が聞こえると


「ヒィ!ヤメロ!吸ワナイデクレ!アアアアァァァ…………」


MPの全身が枯れ枝のように細くなり、ふやけた老人よりも皺が多くなる。やがて体は『舌』に吸い込まれ、MPはこの世から姿を消した。


「◇¥>ゞ|‐>℃∋∪ゝ§/∞%▽♪‰Å↑」


『化物』は歓喜にうち震えた声を上げるが、まだ足りないと言わんばかりに舌を蠢かせる。


目覚めたのは最も恐ろしいもの――








ドドドドドドドドドド


P「……ッ!」


ギロリ


「◎○○¥♀◇@§◆◇&##≧¥<)#%」


ジュルリ


ドシュッ!


P「『ステップアップガチャ!』受け止めろ!」


ガシィ!


「〆々〆〆∞∞¥♂**@〒◎●◆〒」


P「その『舌』、引きちぎってくれる!」


ブチィ!


「≠≠≠≠≠≠>≦≧″#°°″℃#℃″″′′′!???。」


P「…予想外という顔だな…」


ドシュン!


P「…消えた?」


志保「! プロデューサー!」


杏奈「…………平気、だった?」


P「ああ、百合子が元に戻った。二人も大丈夫か?」


杏奈「うん、ちょっと吃驚したけど、大丈夫だよ!」




志保「なんというか…環があんな姿になって…」


P「…………、『化物』は環の意識とは無関係に動いていたはずだ。推測に過ぎないが、抑えられていた『スタンド自体』の反抗…、『スタンド』が意思を持って戦っているのではないかと思っている」


杏奈「『スタンド』が?」


P「環のスタンドにしては『悪意』が酷すぎる、スタンドが自律して動いているはずだ」


志保「『自立型』ってことですか…」


P「ああ、一応撃退は出来たが…」


百合子「…………うーん………………」


志保「起きてください、百合子さん」ユサユサ


百合子「…………? ふぁ……あ…………ッ!?」


杏奈「百合子…」


百合子「えっ!?ここは何処ですか!」


P「事務所だ、説明するとだな…」



ゾワァッ!!



百合子「ッ!?」


P「…来るか!」


志保「見られてる…そこらじゅうから『視線』を感じる!」




杏奈「説明してる暇はないよ!『流れ』を理解して!」


ドドドドドドドドドド


P「スタンドを出せ…背中を合わせるんだ」


杏奈「う、うん…」


志保「いえ、私に掴まってください。『ライアールージュ』で存在感を消します」


ギュッ


志保「やります」


スゥゥ…





志保(どうやら、うまく隠れられたみた――)




ドワゥッ!




志保「え?」ゾゾォ!





スゥゥ


P「隠れ、られないみたいだ」




百合子「…………みなさん、戦いましょう!」


杏奈「百合子?」


百合子「何となく察しました。私たちしかこの場にはいません、『スタンド』を持つのは私達だけなんです!」


P「確かに、そうだ」


志保「そうね、でも」


ドワゥッ!


百合子「…ッ!」


杏奈「確実に、強くなってる…」


P「見られているだけで気が狂いそうになる…猛烈な『悪意』と『飢え』と『渇き』の視線だ」


ドドドドドドドドドドドドドドド


百合子「ッ…!こんな…こんなのを相手に…!」


ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!


P「来るぞ…」


ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!


杏奈「何処から…何処からなの!?」


ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ


志保「来る――ッ!」


ドワゥッ!


「●●*◎*♂@≦∞∞℃*◆≠〆(≧―…!」




P「志保!危ないッ!」


ダッ


志保「『ライアールージュ』!」


ドゴドゴォ!


メリィ


「〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆」


バッ!


志保「効かない…!」


P「させんッ!」


ヌッ


「◎●●●●●●●●●●*℃……¥¥&¥¥」


ガブゥゥ!


P「っ!」


志保「プロデューサー!?」


ガブチブチブチ


プシャァァ


百合子「は、離して下さいッ!」


百合子『それっ!』


ドツ


グニィ


「〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆」ギロリ


百合子「ひっ!」


P「三人とも下がれッ!」




P『無駄無駄無駄無駄ァ!』


ドガドカドガドガン!


「∞℃∞∞∞∞∞∞∞℃≠>@>≦」


ドバッ!


P「やっと離れたか…」


杏奈「『ビビットイマジネーション』!」


ギャルギャル


杏奈「ソファを付箋にしたよ、これを包帯代わりにして!」


P「助かる」ギュッ


志保「また、消えましたね」


百合子「あの『狼』の能力は空間転移でしょうか…?」


杏奈「それなら、体の中から出てくればいいだけだよ、lily_knight」


百合子「そうね、vivid_rabbit。なにか手がかりがあれば…」


P「そんなものが………………ッ!?」


P(今、一瞬、『見覚えがある』と思ったのか…?)


P(…こんな強烈な化物を忘れる筈がないし、俺が忘れるはずもない…)


志保「相手がテレポートしてくるなら、見晴らしのいい場所に行くべきよ」


杏奈「いいね!隣のシアターなら広いよ!」


百合子「うーん…他のアイドルの皆が来るかもしれませんよ?」


P「……一刻も早く出るべきだ。留守は事務員の人に任せて外へいくぞ」


百合子「えっ? 事務員さんいたんですか?」


事務員「…………………………」カタカタカタカタカタカタカタ


杏奈「…凄い」




P「行くぞ!悠長に階段を降りる暇はない、窓ガラスをぶち割る!」


百合子「また律子さんに怒られますよ…?」


P「構うものか。…スタンドで外側から割れば道路には落ちない、覚えておくといい」


パリーン


志保「何処へ行くつもりなんですか?」


P「まずは移動だ、車で話す」


ガシッ


百合子「きゃっ」
杏奈「えっ」
志保「ぶ、プロデューサー!」


P「掴まれッ!」


バッ!


スタ


P「近くのパーキングに車を停めてある」スタスタ


百合子「ま、待ってください!」


杏奈「気配が消えた…? 今の内だね!」


志保「…………」








ドン


P「シートベルトはしたか?」


ブロロロロロ


P「出発だ!」


ブロロロロロ


志保「さっきも言いましたが、何処へ行くんですか?」


百合子「確かに、どこか当てがあるんですか?」


P「環は『ばあちゃんに言われた』からスタンドを使いたくない、という理由を挙げた」


P「つまり環の祖母が、環のスタンドについて知っていると考えていいだろう」


百合子「流石です! やはり影で大きな組織を動かしている凄腕の名探偵…いえ、もっと」


志保「百合子さん」ピシ


百合子「いたっ」


杏奈「とにかく、お婆ちゃんの家に行って弱点を聞けば万事解決って事だね!」


P「ああ、一筋縄じゃあいかないみたいだがな。外を見てみろ」


志保「! 道路を走ってる!?」


「≠≠♂≧≧°… @@ ――#/℃∞≧<)●」


P「狼というより『猟犬』だな」




杏奈「まだ遠いよ!このまま振りきって!」


百合子「駄目です!赤信号!」


P「掴まれ、飛ぶぞ!」


P『無駄ァ!』


ドァォォォン


杏奈「車が飛んでるよ!」


百合子「な、なんで喜んでるのー!」


ドガン!


志保「きゃっ」


P「奴との距離は!?」


杏奈「あれ…?いないよ?」


志保「もしかして、この車に…!」


ザザザザザ


百合子「あれ…カーナビの画面が!?」


P「故障か…?」


志保「画面の半分が綺麗に真っ黒になってます」


P(…いい加減、奴のテレポートの規則性を見抜かなくてはな)




P「とりあえず、今から言う住所を入力してほしいが…大丈夫か?」


志保「はい、やってみます」


ピッ


志保「あっ、画面が元に戻りました。 多分大丈夫だと思います」


ピッピピ


P「そうか、なら言うぞ」


ピピピピ


百合子「うわぁ…結構山奥ですね」


杏奈「そうだね、長野県の諏訪ってところ――」


ゾワァッ!!


杏奈「…………ッ!」ゾクゾクゥ


ドドドドドドドドドド


志保「来る…!」


P「なんだとッ!」


百合子「何処から…何処から来るの…?」


ドドドドドドドドドドドドドドド


志保「!? カーナビの角から…!」


モワァッ!


P「この悪臭!間違いない!」


ドワゥッ!


「##°@―*∞∞)(##∞∞¥≠≠*;≧°*」


P「押し返すッ!この車から離脱しろ!」


P『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!』


ガガガガガガガガ!


ググググ


「◎◎≦―**(℃℃℃℃℃℃℃℃…¥…≧@!」




杏奈「スイッチオーン!急いで出るよ!」


グッ


百合子「トランクから出ましょう!『クリアプロローグ』の風の加護があれば飛べます!」


志保「でもプロデューサーがッ…!」


P『無駄無駄無駄無駄無駄無駄!』


「∞℃>♂¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨℃℃℃℃℃℃∵∵」


グギギギギギ


P「押し返すか!? この『1st step ガチャ』のパワーをもってしても抑え込められぬかッ!」


志保「…………ッ!」


百合子「早く!急がないと!」


志保「わかった…!」


ガパァ


百合子「さん…に…いちッ!」


ピョン


カゴァォォォォオオオオ!


百合子「『クリアプロローグ』!風よ!」


フワッ








P「逃げたか…」


ドドドドドドドドドド


「≦≦≦≧≧≧―*℃)●●●  )(@≧」


P「奴のおそろしいパワー!能力!」


P「倒すには『1st step ガチャ』の更なる境地…『2nd step ガチャ』へ至るしかない!」


「####¥∵)(≦∞∞∞%<∞&――*」


ドワゥッ!


P「『ステップアップガチャ』は窮地に進化するッ!」


P『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!』


ガガガガガ!!


ググッ!


「°°°°°°°∵●(∞∞∞∞∞∞∞∞∞」


ドギャアォォォォォォオオオン!














スタッ


フワァァァァァ


百合子「はぁっ……はぁっ……」


杏奈「ありがとう……百合子さん……」


志保「っ……ありがとう、助かったわ…」


百合子「はぁーっ……はぁーっ……」


杏奈「…………?大丈夫…?」


百合子「ち……はぁっ……ちがう……!」


志保「何が違うんですか?」


百合子「気配は『いくつも』あった! まだ何か『来る』!プロデューサーさんが危ないッ!」


杏奈「何匹も……?急いで、加勢しないと…………!」


志保「待って下さい…プロデューサーが私達を逃がしたのは、足手まといだからじゃないんですか…?」


百合子「う…私のスタンドはパワーもないし、『猟犬』に襲われたら何もできない…」


杏奈「でも……心配だよ」



「「「………………」」」


百合子「や、やっぱり…」


ズギャァアァァァァァアン!!


志保「!」




P「避けろォ!」


杏奈「『ビビットイマジネーション!』」on


ガシッ


P「っ!…助かった」


志保「何が起きてるんですか!?」


P「車を事務所の方に『投げ』た、『猟犬』が『仲間』を呼んだからな」


杏奈「!?」


百合子「最悪ですね…」


P「俺の手には負えん…頼む…力を貸してくれ!」


志保「! 構いませんよ」


杏奈「うん、いいよ!プロデューサーの力になっちゃう!」


百合子「お役にたてるなら!」


P「助かる…」


ドシュッン!


猟犬◎「§§§¥≦ ≦≦∞>」
猟犬ゞ「●&??≦″′°∞」
猟犬※「◎◎○★°÷※◆∩∪」


「##≧≧∞∞*°°∵¥∞∞∞∞∞∞∞∞」


百合子「小さいのが三匹と大きいのが一匹!」


P「『1st step ガチャ!』」


ズオッ…


志保「来ますッ!」




◎「′′″″÷◎℃≧」


P『無駄ァ!』


百合子「二人とも、タイミングを合わせて!」


ゞ「○○>″#)÷(」


百合子『オラオララァ!』
杏奈『ビビビィ!』
志保『無駄ァ!』


ドガン!


ゞ「∩∩∞…′′∞∞」


ベシャァ!


ズオッ…


杏奈「やった!」


ドワゥッ!


「(∪∪◆◆◆¥¥′″∞∞°&∞∞∞∞∞」


※「¥¥*◇&#℃℃″″」


P(まずいッ!三人に攻撃が当たるッ!)


P「『1st step ガチャ!』」


P「時間は減速するッ!」






ドォ―――――――――z__________


P『…ッ!?』


「…………#◇◇? °∩¥¥##!」


※「∞∞@@℃′′!」


P『この減速空間内でも動けるというのか…ッ!』




ドワゥッ!


◎「◆@@◇…◎?」
ゞ「§§′<∴!∞§&#」


P『こいつらは一体なんなのだ…!』


ドォバッ!


あんしほゆり「「「…………………………」」」


P『! 危ないッ!』


バッ!


P『無駄無駄無駄ァ!』


ドギャァオン


「(℃#(<!」


P『…こいつらから守る方法が見当たらないッ…』


ドシュッン


◎「∩∩∩<″◎※℃ゞ §<)」


P『「無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」』


ガガガガガ!!


バビュァン!


ゞ「≦≦′≦&″((≧≦※″&)」


P『「無駄無駄無駄ッ!」』


ドワゥッ!


℃「>>― ―◎#∴」


P『新手か! 無駄ァ!』


ドガァ!!


P(まずい…かばいきれん…ッ! 『1st step ガチャ』を解除するしかない!)




ドワゥッ!


「<<∞&≧◎≦≦&′″″″―&≧≧∞∞&」


ドシュッン!


P『『注射針』…! 再生するのかっ!』


∴「※※※∴∴※∴§<※∴″(§」
仝「◎≧◎>ゞ≧ゞ≧<>><<」
<「))仝∩∴)∩¥」
*「◎◎※>§…∩℃― ∞ ◎…′」
%「>∴>′′℃ゞ仝(≦ 」
●「))≧¥―)℃」
※「))ゞ…ゞ ゞ  」


P『まだ来る…! 止められん…限界だ…!』


「§§§§◎∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞」ニィ


P『うおおおぉぉぉぉぉぉぉ!』


ド―――――――――z________ン




志保「何!? 何が起きてるの!?」


百合子「『猟犬』が5…10!」


杏奈「プロデューサーさん!」


P「伏せろッ!」


ガッ!





百合子「きゃっ!」


ザクザクザク


ドシュドシュドシュ


P「…………!」


ドバァァァ


ジュゥウルルルルルゥゥ!!


百合子「プロデューサーさん!」


P「うぬ…お…………」


杏奈「そんな…そんな!」


P「引き寄せたぞ…」ボソ


志保「…え?」


P「引きちぎれい!『1st step ガチャ』」


ブチブタブチィ!


「¥<※ゞ℃℃℃ §∴」
「′′∩_∴))\ §」
「≧≧≦(<(¥§∴∴」
「>>__∴∴∴∴∴∴」


P「弱小の個体は引っ込め!無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」


ドバァァーン


百合子「やった!」


杏奈「まだだよ!」




杏奈「まだだよ!」


ドワゥッ!


「―(¥¥§§/℃◎」
「―仝仝 ≧≧>℃」
「&&#¥≧><∞∴*」


P『無駄無駄無駄ァ!』


ドガガガガッ!!


「<∴∞∞∞∞∞´ゝ≦≧><><<″″℃%#」


ドワゥッ!


志保「危ないッ!」


P「!」


ガチィン


P『う…ぐ…おお…………ッ!』


ギリギリギリ


杏奈「プロデューサーさん!」


P「ポケットにスマホが入っている…日本全国のあらゆるルートが乗っている…個人用の…ッ!」


「§§*</∴<<∞∞∞)(∴℃´―%℃<<」


ゴウワシッ!!


P「取れ…!説明…出来ん!」


スッ


志保「確かに、受けとりましたよ」


百合子「プロデューサーさん?一体…」




ドワゥドワゥドワゥッ!


百合子「! まさか…『倒せ』ない!?」


P「行け…環の祖母の…場所は…」


「´∴´#%%%%%」


ザシュゥッ!


P「…………ッ、…………!」


杏奈「プロデューサーさん!」


P「行けぇ!援護するッ!」


志保「っ…! 行くわよッ!」


ダッ


百合子「絶対…戻ってきます!」


ダッ


杏奈「『アイドル学園』の次……期待して待ってるからね!」


ダッ




ドドドドドドドドドド


P「…行ったか」




「&**§§§§§§§∴/´/∞***∴<∴」


ザシュッ!


ザシュッ!


ザシュゥッ!


P(腕、足、急所を外して切り裂く…)


P(何を考えてるのか分からんが、『舐めて』いるな…)


ドドドドドドドドドドドドド


「≦≦…%%%%>」


P「無駄」


ドガン!!


「″″″″∴%ゝゝ」


サァァ


P「小さい個体は一撃か…だが」


ドワゥッ!


P「再生する」


P「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」


ドガドガドガシュゥッ!


ドワゥッ!


「>¥¥℃########∴##″∴″″″」


P「でかい個体は強力、再生能力も高く平均的なステータスも高い」


P「庇いながらは多少『無理』があったが…」


P「『2nd step ガチャ』を目指し、アイドルの『成長』を目的とする『二つを』同時に行う…。縛り、過程、道のり。厳しければ厳しいほど良い」


P「自分を追い詰めれば追い詰める程に『ステップアップガチャ』は強くなる…!」


P「対抗策が見つかるまで。彼女達が『諏訪』にたどり着くまで、戦い続けようじゃあないか」


「%%§§※§※§§§§§§§§§§∴>…※……∞」














ドワゥドワゥドワゥドワゥドワゥドワゥドワゥドワゥドワゥッ!










To be continued…

終わりだよー(o・∇・o)

最近の悩みはスタンドっぽさが無いこと

でも書いててたのしいんよ






始めるよ

(o・∇・o)









志保「ここまで…はぁ…来れば…はぁはぁ…」


走り続けた志保達は、人気の少ない住宅街の一角で立ち止まる。


百合子「はぁー…もう追って来ないね」


杏奈「でも……プロデューサーさん……来ないよ……」


沈黙。


お互いに掛け合うような言葉はなかった、慰めは無かった。それは皆が『同罪』であったからだ。


百合子「…それは、置いときましょう…」


杏奈「うん……地図を見て、『諏訪』まで行かないと……」


志保「これね」


志保はプロデューサーから、別れる直前に受け取ったスマートフォンを取り出す。


ロックは掛かっておらず、画面を見れば『それらしい』アプリが入っているのが分かった。


志保「あったわ」


百合子「どんなアプリなの?」


杏奈「すっごく……気になる」



日本全国のあらゆるルートが乗っているとPが自称していたアプリ。それは彼女達の想像以上に『素晴らしい』ものであった。


杏奈「現在地……出たよ?」


志保「目的地を入力すればいいのね…………出来たわ」


目的地を入力すると、『ルートの条件』と書かれた自由に入力出来る項目が出る。


志保「これは……?」


百合子「何でもいいから、打ってみようよ」


杏奈「じゃあ……最短ルート、検索しよ?」


志保が『最短ルート』と文字を入力すると、


志保「ヘリコプターのチャーター? 一応連絡先とか、そこまでの道も出ました」


杏奈「それは……いらない……でも確かに、空の方が早い……」


百合子「それなら『陸路の』を付けましょう!」


陸路の最短ルート、と入力すると、現在地から駅までの最短の地図と乗り換えの案内、無駄なものだけを省いた、理想的な経路が順番に示される。


百合子「…凄い!」


杏奈「杏奈も……欲しい」




志保「ちょっと待って下さい」


志保が喜ぶ二人に水を指す。


志保「ここ、見てください」


百合子「…何かあるの?」


表示された駅までの地図、その地図上に赤いマークが表示されている。


杏奈「これ……? 福田のり子……って、出てる」


志保「それと、お金持ってますか?」


百合子「…そういえば、持ってなかったような…」


志保「私もありません。ここはのり子さんに頼りませんか?」


杏奈「でも……長野まで……」


志保「のり子さんもスタンド使い……」


志保(そういえば、のり子さん達はまつりさんを『倒し』た…でもまつりさんはその後、海美さんと戦ってる…って言ってたわ。一体…)


百合子「のり子さんもスタンド使いなんですか!?」


杏奈「もしかして……味方?」


志保「…多分」








福田のり子はアイドルを辞める事を連絡し、バイクで765プロへ向かっていた。


のり子(プロデューサーは『なんとかする』って言ってくれたけど、実際、どうにかなる話じゃ無いんだよね…)


赤信号で止まる。何も無い未来に期待することを止めた彼女は、景色に関心を持つ事もなくただボーッと待っていたが、


百合子「おーい!のり子さーん!」


のり子(…百合子?)


呼び掛けてくる百合子の声に気付き、視線を向けたのり子は気付く。


のり子(はあ? なんでスタンドを百合子が…)


百合子「こっちですよー!」


のり子(…罠? いやいや、今更何で襲うのさ)


結構迷ったのり子だが、青信号になった直後に百合子の方へ走り出す。


ブロロロロ


のり子(ま、もう失うものは無いしね)












百合子「のり子さん!」


のり子「ふぅ…」


バイクを百合子の近く、小道に止めたのり子はヘルメットを脇に抱え、百合子を見つめる。


志保「…わざわざすみません」スッ


杏奈「…………」スッ


突然現れた志保と杏奈を見て、


のり子「…戦うの?」


杏奈「そ、そうじゃなくて……」


志保「説明すると長くなるんですが…」


のり子(なーんか訳ありっぽいし、付き合ってあげよっか)


のり子「スタンドに関係あるの?」


百合子「はい! 訳あって、スタンドを倒すために長野まで行かないといけないんです!」


のり子「…とりあえず、バイクはあと一人しか乗れないよ」


杏奈「……誰が乗るの?」


志保「車って運転出来ますか…?」


のり子「多分…免許持ってないし、バイクと勝手が違うから…」







四人が話し合う中


ゾゾゾゾォッ!


その感覚は唐突に訪れた。


全員の背筋が凍る。息が一瞬止まり身動きが取れなくなる。感じるのだ、見つめてくる『悪意』を。


のり子「…これと、戦う…?」


『悪意の視線』をのり子も感じ、姿を見る前から戦慄している。


百合子「来ますよ…」


杏奈「……また……」


自然と四人は背中を合わせる


志保「…………ッ!」タラ


のり子「…………!」ゴクッ


緊張の糸が徐々に張り詰められ、限界まで達した瞬間!


ドワゥッ!


「ゝゝ∞ ※(%」


志保「来たッ!」


意味不明理解不能発音不可の呪詛を囁き、歩道の段差から『猟犬』は出現する。


のり子「なに…こ、これ…」




百合子「倒す方法を探すんです!」


志保「今は撃退しか出来ません!」


杏奈「息を合わせてッ!みんな!」


現れた『猟犬』に百合子と杏奈と志保はスタンドで同時攻撃を仕掛けるが、かわされる。


それもそのはず、単純な知能も身体(?)能力も高い『猟犬』に向かって単調な攻撃を当てようとしたところで当たるはずがない。


それどころか反撃の機会すら与えている。


「>> ∞∞∞∞∞!」バッ


百合子「ッ!?」


『飢え』と『渇き』に満ちた『猟犬』はまず百合子に襲い掛かるが


のり子「ッ!えいっ!」ブン


のり子が手に持っていたヘルメットを振りかぶる。頭にヒットはするがダメージは全く無い。


しかし、猟犬の動きが止まる。


志保「!! のり子さん! ヘルメットを『猟犬』の頭に被せて下さい!」


のり子「え、うん」カポ


百合子「志保ちゃん!?」


スタンドによる攻撃しか効かないはずの『猟犬』はどうかしたのか、宙をフラフラと彷徨う。


そして、まるで匂いを嗅ぐかのように『鼻のように見える部位』をひくつかせる。


百合子「物理攻撃が効く…?」




ゴゴゴゴ


杏奈「それに『匂い』で追ってるの? でも目の前に百合子が…」


志保「『猟犬』が出現した場所を見てください」


のり子「歩道…の段差?」


志保「青黒い物がついてます、あれは『猟犬』の一部分で、『猟犬』があの段差から出現した証拠です」


百合子「そ、それはいいけど、何か分かったの?」


志保「『猟犬』の弱点です」


百合子「えっ!?」


杏奈「もう…?」




志保「『猟犬』は『角』から現れます。カーナビの角、段差の角から現れたのを見ました。それにヘルメットの『カーブ』の先を認識出来なかった」



志保「これが弱点です!」


渾身のどや顔


杏奈「気付かなかった……流石」off


百合子「見事な洞察力と判断力、765プロ探偵助手2号の名はあなたにふさわしいわ…!」


のり子「よく分かんないけど、弱点分かって良かったじゃん」




志保「いえ、のり子さんがヘルメットで殴っていなかったら、今頃百合子は死んでいました。本当にありがとうございます」


百合子「そ、そういえば命の危機だった…。ありがとうございます、のり子さん!」


のり子「…うーん…素直に喜べない…」


杏奈「肝心の、倒す方法……は?」


志保「…………」


のり子「『猟犬』はあのヘルメット持ってどっかいっちゃったし」


志保「丸を認識できない…角から来る…………」


百合子「あの…角の無いもので囲めばいいんじゃないんですか?」


のり子「角の無いもの…タイヤとか?」


志保「それじゃあ小さすぎます、もっと別の…」


杏奈「『それ』が、諏訪に……あるんじゃ?」


百合子「なるほど」


のり子「結局行くことになるんだ…」


弱点が分かり、喜ぶのも束の間。


結局は諏訪に行くことになり落胆する。




のり子「まぁまぁ、落ち込まないでよ。そうだ、いらない車とか機械ない?」


志保「いらない車なんて、あるわけ…」


その時、スマホが鳴る


『自家用車または廃棄された車の場所を表示します』


杏奈「……!?」


百合子「ハイテク…本当に何かの組織の…」ブツブツ


志保「…………」


のり子「とりあえず、一番近いところで…」


という、のり子の呟きも認識したようで


『このまま約320メートル直進した駐車場に自家用車があります』


のり子「だってさ。…どうしたの?」


志保「いえ、色々…分からないことが…」


杏奈「なんだか……もう、ね……」


百合子「ご都合主義過ぎます! こんなの打ち切り間違いなしですよ!」


のり子「…………」


のり子「行こっか」







――――駐車場


志保「有料のパーキングみたいだけれど…どれですか?」


空きの無い駐車場、少なくとも20台はあるであろう車を見て、志保がスマホに尋ねる。


『全部です』


志保「…………」


杏奈「驚いたら……負け」


百合子「それなら、なるべく角の無いものにしましょう。そうしましょう」


のり子「その必要はないよ」


杏奈「えっ……?」


のり子「『マイペースマイウェイ』」


のり子が『マイペースマイウェイ』を出し、一台に取り憑かせると車から銅線が飛び出す


プスプスプス


百合子「これは……銅線?」


のり子「『マイペースマイウェイ』は一台にしか取り憑けない。それなら『繋げ』ればいいってワケ」


銅線で『一つ』になった車がくっつき、塊となる。


そして、機械を滅茶苦茶に打ちのめすような音が聞こえたと思うと、いらないパーツを吐き出し、丸みを帯びた車が出現する。


のり子「はい、改造完了っと」




百合子「凄い! 中に角は…?」


のり子「無いよ!」


杏奈「これで……安全に、行けるね」


志保「そうだと、いいですけど」





―――――――――――――――――





P「『猟犬』か。我ながら嫌な名前をつけたものだ」


『猟犬』を足止めするなどほぼ無理な事であったが、『猟犬』がまずPを殺さなければ他の『餌』にありつけない事に気付く。


環が変化した『大型猟犬』も呼び出された『猟犬』も、この事実にひどく腹を立てる。


「】】≧>″ゝ#℃℃ゝ」


P(…………奴ら、何を『吸う』のかと思えば俺の『精神力』を吸っていたか…)


P(ますます厄介だ)


志保たちと別れた後、Pは新たに召喚された『猟犬』を尽く霧散させるが、『大型猟犬』に注射器のような舌で『精神』を吸われたのだ。


そして今に至る。



「●●%%∞∞>≧>∞>″″″″″―】―>∞」


『大型猟犬』は雄叫びを上げ、『飢え』を満たす感覚に悦び、牙と爪を以て襲い掛かる!


P「…二度目はないッ!」


対するPも『ステップアップガチャ』で応戦する。


差し出された爪を腕ごと吹き飛ばし、噛みついて来る『大型猟犬』の頭を蹴り飛ばして胴体と離す。


P『無駄無駄無駄無駄無駄無駄!』


それでもなお向かってくる体に隈無くラッシュを叩き込み、『大型猟犬』はバラバラになったかと思うと別の『角』から出現する。


ドワゥッ!


「§∴∴∴…ゝ≧≧∞∞∞∞●*<*≧%≧≧」


P「後ろかッ!」


登場を察知し、拳を打って距離を放すが、そことはまた別の角度から再び現れた『大型猟犬』に脚の肉を少し引き裂かれる。


ザクゥッ!


プシャ


「∞●(<●∞∞≧§§§§∞∞∞∞∞∞%%%」


抵抗する『餌』に苛立ちを隠せないが、Pも似たような苛立ちを感じていた。


P「……そのテレポートはどうにかならんものか」


このP、未だに法則に気付かない。いや、気付けない。




それもそのはず、Pの下の地面に敷き詰められているのは『タイル』であり無数の『角』である。


この場では『大型猟犬』が自由に『角』を通る限り、『大型猟犬』が『角』を通るという事実は明らかにはならないだろう。


「※※> ℃§§≧% ※※※※∴∴∴∴∴…………」


ヌウッ


突如、『大型猟犬』は『角』を通り200メートルほど離れた『角』に出現する。


P「何…? 逃げたか?」


戸惑うPを他所にさらに別の『角』へと転移する。


P「一体…いや、まさか!」


ドドドドド


P「志保達の所へ行くつもりかッ!」


ダムッ!


『大型猟犬』の目的に気付いたPは『一歩』を踏む。


しかし、これは『1st step ガチャ』の能力ではなく、純粋なスタンドによる移動。『1st step ガチャ』の莫大なスタンドパワーによる『一歩』は三秒と掛からずに『大型猟犬』に追い付く。


ドワゥッ!


P「遅いッ!その程度で俺から逃げ延びようとでも言うのか!」




「>>>>>ゝ###<℃*_??????」


人間らしからぬ移動をする人間に追い付かれた『大型猟犬』は苛立ちと驚きの声を上げ(たように聞こえ)、再び『タイル』へと吸い込まるようにして消えようとすると


P「そこか、無駄ァ!」


Pが神速の拳を『タイル』に叩き込み、行く手を阻もうとするが、粉砕された『タイル』にもまた『角』はある。『大型猟犬』はその『角』から移動した。


P「……くそ!」


「】】%…………………℃℃**<<#%∴§§」


嘲り、見下し、Pを餌として見つめるその視線。『大型猟犬』の、いや、環に反逆する『スタンド』の傲慢はPの琴線に触れた。

        スタンド
P「見下すか…『大型猟犬』の分際でッ!」


P「貴様は『下』!おれが『上』だ――ッ!」


ダムッ!


P「無駄ァ――!」


Pは再度、『大型猟犬』に飛びかかり拳を叩き込む。


「∞∞∞″∞((%§§§】℃∞∞*>ゝ∞#∞#」


今までと同じく、拳を喰らった『大型猟犬』は『角』から『角』へと跳躍しようとするも『出来ない』。




「__●%?】))】】″】】″″】″】″″?」


P「よぉぉぉおく見てみるとな、空中から現れては無いのが分かった。何かしらの物体からのみの出現、それが分かったのならやることは一つ!」


『大型猟犬』は先程の攻撃で『打ち上げ』られていた。


P「空中で打ちのめす!徹底的に!」


「∴∴∴∴∴∴∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞」

                  スタンド
『強さ』に胡座をかいて座っていた『大型猟犬』は怒り狂い、咆哮を上げ、注射器のように太い舌で襲う。


P「だから、どうしたのかッ!」


ブスゥッ!


Pは『舌』を避けようともせずに肩で受け止めながら、『大型猟犬』にラッシュをぶちかます。


P『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄駄ァ!』


予想外の行動に面食らい、そしてラッシュをまともに浴びた『大型猟犬』は頭を、脚を、胴体を、舌を周囲に撒き散らしながら、Pの精神を貪り食う。


ジュルジュラルゥ!!


P「吸え吸え吸えェェッ! 好きなだけ吸うといい!」


「>>≧%%≧%_″*】##※∞℃】…*【#●」


『大型猟犬』はPを切り裂こうとするが、腕を吹き飛ばされる。


P『無駄無駄! 『そいつ』は俺ではない!精神をいくら吸いとったところで無駄よ!今こそ『身体』を支配する時ッ!』




P『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!!』


P『無駄ァ――――――ッ!』


ドギャァーン!!


『大型猟犬』は吹き飛び、すぐさま再生してしまうが、Pは上機嫌そうに笑う。


P「ンッンー、やはり自分よりも強い相手にラッシュを叩き込むのはスッキリする」


『大型猟犬』は吹っ飛んだ際に『角』から逃走する。



P「『支配者』を気取る下衆のスタンドを殺すよりいい」



Pは『大型猟犬』を見失うことなく追うが、攻撃はしない。



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



P「我慢だ…そのうち『全て』が手に入る…全てが順調にいっている…」



P「そして『支配者』はおれとなる…」







―――――――――――――――――――






車を手に入れた一行は、高速道路で諏訪を目指すことにした。




百合子「のり子さんって、車も運転出来たんですね!」



のり子「え? 出来ないよ?」



志保「……? あの…もう一度言ってもらえますか?」


のり子「いやー、運転してるのは私じゃなくて『マイペースマイウェイ』だから問題ないよ」


百合子「じゃあどうやって高速道路に…」


のり子「プロデューサーのETCがあったから…ね」


杏奈「……今は……仕方ない、と思うよ?」


百合子「それもそうですね!勇者は民家に堂々と入ってお宝を盗んでいきますもんね!」


志保「…それは盗みをしていいことにはならないわ。今回は特殊ですが」


のり子「ま、そーゆーこと。長野までしばらくあるから、ゆっくりするといいよ」


ブォウゥゥゥゥゥン




志保「あの、のり子さん」


のり子「ん? 何? お腹すいた?」


杏奈「そういえば……お寿司、食べてない……」


志保「いえ。のり子さんはまつりさんを倒したんですか?」


のり子「それかぁ…」


ゴゴゴゴ


のり子「アタシは負けたよ、昴もね」


百合子「昴もスタンド使い…!」


志保「それなら、このみさんと莉緒さんはどうなったんですか」


のり子「え? あの二人はただ見てただけなんじゃない?」


のり子「…って、なんで知ってるの?」


志保「プロデューサーが言ってました」


のり子「ええッ!?」


志保「……?」


のり子「プロデューサーもスタンド使いなの?」


志保「はい、そうですが…」


のり子「いやー全然知らなかったよ。それで、能力は?」


志保「『一秒を一日にする能力』です」


杏奈「正直……チート……だと思う」


百合子「凄い能力…でも、それでも勝てない相手なんですね『猟犬』は」


のり子「…………」



百合子「? どうかしましたか?」


のり子「後ろ」


杏奈「あ……『猟犬』がたくさん」


杏奈が後方を確認すると、数頭の『猟犬』が迫ってきているのが分かる。


志保「いつの間に…」


のり子「本気だすから、どこかに掴まってて」


百合子「え?」


のり子「『マイペースマイウェイッ!』 プロデューサーばっかりにいい格好させてらんないよ!」


のり子が『マイペースマイウェイ』を発動した直後、車体が揺らぎ、鉄の軋む音と共に車が変体する。


百合子「こ、これは!」


杏奈「翼!」


車は形を変え、羽の付いた車となる。


志保「す、すごい…」


のり子「まだまだ! 加速するよ!」


のり子「『マイペースマイウェイ!』全速前進!」


その言葉と共に速度メーターがぐんぐんと上昇していく。


杏奈「100……110……120……どんどん伸びるよっ!」




百合子「150……180……200……! だめ、測りきれないわ!」


百合子のスイッチが入り、メーターが限界まで振り切れると


百合子「のり子さん! 窓開けても大丈夫ですか?」


のり子「大丈夫だけど、何するの?」


ガコー


百合子「助けになればと思って」


百合子が窓を開け、『クリアプロローグ』が腕を出すと、腕に付いている小さな風車のようなものが回転し始め、暴風が噴出する。


ゴァォォォォォォォオオオオオオオオオ!!!!


のり子「…乗ってるよ!」


メリメリメリ


車の『両翼』から巨大なエンジンのようなものが生えてくる。


のり子「ジェットエンジン準備完了!飛ぶよ!」


ブァォォォォォォオオオオオオオ!!!!


時速200キロを超えた車は、上昇気流と共に飛び上がる。


志保「! 飛んだ!」


のり子「!」グッ




杏奈「高速道路が、滑走路に……!」


百合子「車が殆ど無くてよかったぁ…」


『猟犬』の姿は速度が上がっていくと共に小さくなる。


志保「『猟犬』はもう見えませんね、安心して…」


そう言ってのり子を見ると


のり子「……はぁー……はぁー……」


志保「! 大丈夫ですか!?」


のり子「はは、はぁー……大丈夫、大丈夫」


のり子の顔は少し青ざめ、貧血のように見えた。


百合子「全然大丈夫じゃありません! レッスンが終わった後の私よりひどいです!」


百合子は窓を閉めながら主張する。


杏奈「その例えはよくわからないけど、とにかく緊急事態?」オーン


志保「スタンドパワーを使い過ぎたのよ! 今すぐ降りましょう、そうすれば多少は…」


のり子「駄目!それだけは絶対に嫌!」


志保「何を言ってるんですか! あなたがいないと諏訪まで無事に行けないんですよ!?」


百合子「そうです! 移動なら私が協力します!」


のり子「そういう事をいってるんじゃあ無いよ…! 諏訪までは無事に行く、そんなの当たり前…」




杏奈「そのためには休まないと!」


のり子「そうじゃあない! これはアタシとの勝負ッ!」


のり子「意識はある、まだやれる! 簡単に『諦め』ていいはずがないッ!」


志保「……ッ!」


百合子「…墜落したら、私に任せてください」


のり子「そう簡単に落ちないよ」


杏奈「何分かかるの?」


のり子「あと…10分位で着くよ」


百合子(飛行機は大体時速800キロから1000キロ…。そんなに速度を出して、なんでまだ意識が…)


志保「今は…2分位経ったわね。車で走っていた分を合わせれば後7分か8分…」


杏奈「杏奈にはこれしか言えないけど…のり子さん頑張って…!」



のり子(いける…ッ!大丈夫! 皆がついてる! それだけでこんなに…こんなに頼もしい!)






のり子「まかせ…てッ!?」



ゾゾゾゾゾゾォ!!



一瞬だけ走る悪寒。それは紛れもなく『猟犬』が出現する予兆。


車を飛行機に組み換えてまで振り切ろうとした相手の出現する機会が一瞬でもあったのだ、既に『視線』は無くなっているが、雷に打たれたようなショックが一同に走る。



のり子「な…なんで…どうしてッ…」


百合子「『角』は無いはず…『角』以外の移動方法があるの…?」


志保「いえ、何か…何か『角』があるはず!『角』を探すのよ!」



獲物を狙ったら二度と諦めることはない、それが『猟犬』。


杏奈「この車じゃ無いよ! 皆の持ち物!何か角が…!」


百合子「えっ…」


志保「百合子さん…?あなたが…」


百合子「私…なんで『栞』なんて…」


杏奈「早く捨てて!『猟犬』が『角』からやってくるッ!」




百合子がポケットから取り出した『栞』からの『視線』は無くなっている。


つまり『猟犬』の出現は考えられないが、『猟犬』に対する恐怖が志保と杏奈を殺気立てている。


百合子「違うの…いつの間にか…」


志保「早く捨ててッ――!『ライアールージュ!』」


ポイッ


『ライアールージュ』が百合子の持つ栞を窓から放り投げると、車内から外へ風が吹く。


志保は急いで窓を閉めて一息ついたが


志保「はぁー…ひとまずこれで…」


杏奈「なんでッ!?どうしてそれが…!」


突然、杏奈が後部座席で悲痛な声をあげる。


志保「?」


志保は確かに『一枚の栞』を捨てた、だが『山のように積まれた』別の栞が後部座席にはあった。


ドドドドドドドド


志保「何枚あるのッ!」


志保の叫びに百合子が答える。


百合子「違う!『猟犬』が仕込んでいたの!私たちの逃げ場が無い場所で出現するために!」


ドドドドドドドド


のり子「『猟犬』はいつでもどこでも出現出来るように準備してた…?」


志保「それなら今のうちです!早くその『栞』を捨てないと!」




杏奈「そうだよ!『猟犬』が来ない内に『角』があるものを捨てるよ!」


百合子「待って…何か…何かがおかしい…」


のり子「…まだ何かあるの…?」


志保「一体『何』があるんですか!自殺するつもり!?」


百合子「のり子さん、今の高度って分かりますか?」


杏奈「高度が何なの!? 杏奈はこんなに『恐ろしい』栞が『山のよう』に積まれてるなんて耐えられないッ!」


のり子「500メートル…ってところかな…。 志保も杏奈も、百合子の考えを…きいてあげようよ…!」


迫り来る恐怖によるパニックは『スタンド使い』を惑わし、心を掻き乱されるような筆舌し難い不安感を与える。


志保「のり子さんまで邪魔するんですか…」


のり子「なんでッ…そうなるの…!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ


杏奈「『角』の無い場所に来たのに、『角』があったら本末転倒だよ!」




百合子「二人とも落ち着いて!」


杏奈「落ち着いてられないよ! 『猟犬』が一匹ならまだ撃退できるよ、でも何匹もいるの!プロデューサーが居ないのに何匹も来られたら一貫の終わりなんだよ!?」


百合子「その勝てない相手をどうにかするために諏訪に向かってるんでしょ…! 『猟犬』を此処に呼ぶかもしれない可能性を考えて!」


志保「その『可能性』が此処にあるのよ!邪魔をするなら無理矢理にでも…!」


志保は『ライアールージュ』、杏奈は『ビビットイマジネーション』をだして百合子を脅すと


百合子「もういいです!」


のり子「えっ…?」


百合子「そんなに『猟犬』を呼びたかったら呼べばいいじゃない!」


意見の食い違いが対立を呼び、危機が危機を呼ぶ緊迫した状況に耐えきれなくなったのか、普段は温厚な百合子も雰囲気に『飲まれ』た。


志保「やっと分かったのね」


のり子「待って、それは駄目…冷静な判断を失っちゃいけない…!自棄にならないでッ!」


百合子「『呼べれば』ね。『クリアプロローグッ!』」


ドッ!


杏奈「えっ?」


志保「何を…」


カラカラ、と『クリアプロローグ』の腕の風車が回り、車のなかに『風』が吹く。




志保「一体何をしてるの! 止めなさいッ!」


百合子「この狭い車内、止めたければ力ずくで掛かってくればいいと思いますよ?」


ドドドドド


杏奈「仲間割れしてる場合じゃあ無いよ! 一刻も早く『栞』を捨てないといけないの!」


のり子「ちょっと…やめなよ!」


のり子が制止の声を上げるも言い合いは止まらない。


百合子「近距離パワータイプなら、私を止めるのは容易いことですよね?」


志保「…仕方ないわ」


杏奈「『猟犬』を入れない為だよ…」


脅しは脅しではなくなる、武力をもってして意見を押し通す戦いが始まろうとしていた。





志保「『ライアールー…ッ!?」


杏奈「い……くる……し……!」


バタ


百合子「私の能力は『風』、ちょっと応用すれば意識を奪うのくらい簡単」


酸素の供給を断たれ、空気とは大きく異なる大気を吸い込んだ二人の意識は徐々に薄れていき、抵抗する暇もなく倒れた。




のり子「え…? 何をしたの…?」


百合子「だ、大丈夫です。少し眠ってるだけですから」


のり子「だったらいいけど…。百合子はなんで『栞』を捨てるのを反対したの?」


肝心の話題をのり子が切り出す。


百合子「そもそも『猟犬』はスタンドの一部なんです(予測ですが)。つまり『角』を利用した移動には『射程距離』があります」


のり子「ふむふむ」


百合子「『猟犬』は何らかの方法で私達が車に乗ることを予測したはずです。なので私たちに『角』を仕込み、多少離れていても追い付けるようにしました」


のり子「なるほどねぇ…でもそれなら、『山のような栞』は何なの?」


百合子「それは…車に仕込んでいたと思うんですが…」


のり子「…確かに、あり得るね。アタシは『機械』を操る、機械の『角』は取り除けても他の物は出来ない…」


百合子「助手席に本とかって置いてありますか?」


百合子の言葉を受け、のり子が調べてみると普通の四角い日本地図があった。


のり子「あったよ」


百合子「地図にも『角』がありますね…」


のり子「それで、『角』を捨てることの何が問題なの?」




百合子「…たとえば、ここから栞を撒くと、速く落下する物と遅く落下する物があるはずです」


百合子「その二つの物の『差』は広がります。広がって、広がって。『猟犬』は『角』を伝ってこの地図から出現します。それで私たちは終わり…と成るはずでした!」


のり子「見事に看破した…ってワケだね、それじゃ、一辺に捨てれば…」


百合子「問題なし!」


のり子「勝利!」


のりゆり「「やった!!」」


ガッツポーズをする二人。


勝利を味わうのも束の間、百合子は志保と杏奈が『角』を持っていないか調べたあと、窓から『栞と地図』を捨てる。


百合子「はぁー…これでひとまず安心ですね」


のり子「あと3分位だよ…それまでゆっくりしてて」


百合子「はい、そうさせてもらいます」


百合子「あっ、でも一つ気掛かりなことが…」


のり子「…ん、どしたの?」


百合子「二人を無理矢理気絶させて…」




百合子「そう言って頂けるとありがたいで――



ゾゾワゾワワッ!



百合子「――ひっ!」


のり子「待って…確かに『角』は捨てたはず!」


再び走る悪寒、『悪意の視線』は容赦なく彼女らを射抜く。


ドドドドド


のり子「なんで…あと少しなのに…ッ!」


『視線』は消えない。それどころか強くなっていき、『悪意』を肌で感じられる距離まで迫る。


つまり、『猟犬』がどこかに出現したということ。


百合子「間違ってた…? 私のせいで…私が…私が…ああ…」


ドドドドドドドド


「<<>∞【℃【∞∞※※*℃℃℃℃℃℃℃℃」


その声は『外』から聞こえた。凄まじく風が吹き荒んでおり、まともに音も捉えられないような環境であるにもかかわらず。


のり子「この車から振り飛ばすッ! 掴まって!」


のり子はそう言うと、車、もとい飛行機を一回転させたり、急降下急上昇を繰り返して飛行機の外に張り付いているはずの『猟犬』を振りほどこうとするも


のり子「…こいつは『大型猟犬』! 生半可なパワーじゃ振りほどけないよ!!」


のり子の悲痛な叫びに百合子はハッとなり動く、と言っても志保と杏奈を起こすだけだが。


百合子「起きて!志保杏奈!私のパワーだけじゃ足りない…!二人のパワーが必要なの…!」




ミシミシミシ


突如、飛行機の天井が軋み、『大型猟犬』が侵入しているのがのり子には分かった。『マイペースマイウェイ』で装甲の一部を廻すも無駄、順調に侵入する。


のり子「嘘…この飛行機の装甲を破るの!? 『カーブ』は認識出来ないはずじゃあ…!」


ミシミシミシ


百合子「お願い起きて!志保!杏奈!」


のり子「…飛び降りる準備してね」


ミシミシミシミシミシミシ


軋む音は大きくなり、天井から『大型猟犬』が降ってくるのも時間の問題だろう。


百合子「…ああ…もうおしまい…? 七尾百合子の人生は終わり…?」


のり子「諦めないで! 希望は見いだすもの、自らの手で切り開くもの! まずは生き残るよ!」


二人のスタンドでは勝てないのは明白、ましてこの状況で逃げ切るなど愚の骨頂、到底不可能なことである。


容赦の無い理不尽が心を苛み、百合子は平静を保てなくなるが、のり子は違った。


理不尽に立ち向かうと決めた心は固く、あらゆる『困難』を乗り越えるパワーを、精神力を備えていたッ!




のり子「『大型猟犬』が来たら、飛行機の床を開くよ。着地は百合子がして、いい?」


百合子「は、はいっ…!」


冷静になったのり子に影響されたのか、会話が成立する。


返事の声は裏返り、緊張で心臓が破裂しそうになっているものの、頼れる最後の人間の指示に大人しく従う百合子。


のり子は精神を集中させ、『大型猟犬』の出現を辛抱強く待つ。



ドッドッドッドッ



のり子(心臓の音が聞こえる…これが生きてるってことかぁ…)



ドッドッドッドッドッドッドッドッ



のり子(この危機を乗り越えられたら、なんでも出来そうな気がする。何も怖くなくなるはず…! 立ち向かう、『勇気』で満ち溢れるはずッ!)



ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ



のり子(百合子も志保も杏奈も守れるのはアタシだけ、集中して…集中!)



ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ




――――――――――――――ドッ



もう一度、鼓動の音が聞こえた瞬間。


ゾワッ!


のり子(来るッ!)


ドワウッ!


車内に侵入した『大型猟犬』




ブチャァッ!





のり子「えっ」





何かを潰すような音と共に、のり子の決意は一瞬にして砕かれた…


To be continued…








(o・∇・o)

終わりだよー

遅れてすみません。


これからの更新は2、3週間に一回となります。

人生の分岐点なので許してください。

3月の中旬辺りから週一更新に戻ると思います。

このようなスレを見てくださる奇妙な諸兄諸姉の皆様に感謝の言葉を述べさせて頂きます。



ちょっと主人公補正強すぎたかな?







遅くなりました


投下するよー(o・∇・o)


テステス~~~~







ドワウッ!


のり子「えっ」


『大型猟犬』は『角』から現れたのではない、その巨躯をもって天井をぶち破り、輪郭の揺れ動く『爪』でのり子の頭部を削ろうとする。


メギョォ


のり子「あ…」


瞬間、押し潰された頭部から体液が窓にベットリと飛び散り、死体安置所のような臭いがたちこめる。


『大型猟犬』はそれでも止まらず、全身を車内に入れる。


勿論、抉られたのは頭部だけではない、胴体、腕、腰、脚、頭の先から脚の先に至るまで蹂躙される。


百合子「え…なんで…ああ…」


百合子は一瞬の出来事に戸惑い、放心するが、べちゃりという体液の飛び散る音が百合子を現実へと引き戻した。


百合子「いや――












百合子「――った!」


ドガァッ!


「_∞∞∞∴∴∴∴※※※**≧…§……」


『大型猟犬』のやられる姿を見て歓喜の声を上げる百合子。


のり子「え? なんで?」


突如、窓の外からとんできた拳が『大型猟犬』を殴り飛ばしたのだ。


ドギャッ!


「″″″>!  ≧≧ ∴%?%¥℃ ●#>!!」


『拳』は『大型猟犬』を扉ごと外へ叩き出す。


ドッガァォォォォオオオ!


「<<§§…………§§§§§§§§℃§§」


『大型猟犬』は激昂の雄叫びと共に遥か後方へと去っていった。


百合子「プロデューサーさん!」


飛行機にベッタリと張り付いている男に呼び掛ける百合子と呆然とするのり子、二人とも生きることの喜びを再確認し、その眼に涙を浮かべる。





のり子「えっちょっまっ…扉がなかったら!」


内側と外側の気圧差により、中の空気ごと全員の身体が引っ張り出される…はずだった。


百合子「『クリアプロローグ』…気圧の調整はちゃんとやってましたよ」


P「いい判断だ」


のり子「…ま、中に入ってよ」




Pが飛行機の中に入った後、『マイペースマイウェイ』で穴を埋め、一つだけ円形の穴を開ける。


のり子「はい、オッケー…」


百合子(やっぱり疲れてる…でもあと少しだから、申し訳ないけど頑張ってもらわないと…)


P「のり子、お疲れ様」


のり子「…プロデューサーがスタンド使いだなんてっ、全く思わなかったよ」


P「隠していたからな。百合子、二人を起こしてやれ」


百合子「は、はい」


ペチペチ





百合子「起きてー志保ー杏奈ー」


ペチペチ


のり子「百合子が眠らせたんだよ」


P「打撲などではないのか、よかった」


のり子「ねぇ、プロデューサー」


P「なんだ」


のり子「本当に、なんでも頼っていいの?」


P「あれか。当たり前だ」


のり子「それなら…」


フラッ


ポス


のり子「ごめん…やっぱ…限界…」


P「ゆっくり休んでくれ」




百合子「え? のり子さん? これって…」


ガクン


P「墜ちたな」


ハヒュゥゥゥゥゥウウウ


百合子「そんなぁぁぁぁあああああ!」


エンジンの稼働が止まった飛行機は滑空する鉄屑へと早変わりする。時速900キロで飛ぶ飛行機から脱出しなければ、即死以外の道はないだろう。


唯一の幸運は『猟犬』に食い殺されるよりはましという事だけだ。


百合子「おきて!志保!杏奈!」


志保「…?」ムクリ


杏奈「あれ……?杏奈……たしか……」ムクリ


百合子「墜落するよ!!」


志保「は?……プロデューサー!?どうしてここに!」


P「しっかり掴まってろ。俺は外に出て準備をしておく」


杏奈「準備……?……『猟犬』は?」


百合子「撃退はしたけど、のり子さんが…」


志保「まさか…!」


ぐったりと横たわるのり子を見て志保は「死んだのでは?」と思う。


百合子「気絶してる」


志保「……」ムギュ


百合子「ひはひ!ほっへはふへははひへ!」


P「こんな状況でアホなことをやってるんじゃあない!」




ガコー


P「窓は閉めておいてくれ」


杏奈「……え?」


バッ


開けた窓からプロデューサーは外に飛び出し、飛行機の真下に移動する。


志保「のり子さんが気絶した…それなら墜落するわね」


百合子「さっきから言ってるんだけどなぁ…」


杏奈「まずは……どこに墜ちるか、見ないと……」


志保「少なくとも高速道路ではないわね」


いつの間にか飛行機は山の上を滑空しており、地上は見渡す限り森、申し訳程度に小さな道が一本通っているが着陸は難しいだろう。


杏奈「不時着したら……きっと『破片』から『猟犬』が出てくる……」


百合子「なんとか飛行しないとだめだね…」


志保「『杏奈』をグライダーみたいには出来ないの?」


杏奈「!」


杏奈「出来るよ……!」


百合子「それなら、それでいきましょう!」


ガコー


窓を開けて百合子が話し掛ける


百合子『プロデューサーさん!』


P『なんだ!』


百合子『杏奈ちゃんと一緒にパラグライダーを作ります!こっちに来てください!』


P『移動か? 心配ない』




P『1st step ガチャ!!』


ドォ――――――――z___________


百合子が何かを言いかけたが、時間の流れは86400分の1へと減速する。物体は固定され、空気は淀み、正常に動けるのはPだけになる。


Pはちぎった紙切れを足場にして飛行機を『押す』。一ミリたりとも動きはしないが、エネルギーは伝わり、能力を解除した瞬間に飛行機は勢いよく飛ぶだろう。


P『これでいい、環の祖母の家に行くには充分だ』


Pが飛行機に掴まって能力を解除しようとした瞬間


P『ッ!?』ゾクゥ!


見つめてくる視線。だが『猟犬』や『大型猟犬』とは別の種類、別格の『悪意』。


P『…『悪意』が強い、それも『猟犬程度』では比べ物にならない…』


『猟犬』の悪意も、スタンドも持たない様な一般人からしてみれば十分、恐怖して失禁してしまう程度にはおぞましい。


P『『猟犬』は『大型猟犬』が作り出したものだと思っていたが…この気配は『大型猟犬』を上回っている…ッ!』


ゴゴゴゴゴゴゴゴ


P『急いで逃げなくては…!』


P『『1st step ガチャ』を解除す――』


ドワウッ!


P『こいつはッ!』


ゲシィッ


現れた二メートル超えの物体。攻撃されるよりも先に、鋭角だけで構成された邪悪の塊を蹴飛ばす。


P『何よりもまず解除ッ!』


ドォ――――――z__________ン


P『逃げるぞッ!』


百合子「ありま…え?」


運動エネルギーが伝わった飛行機は飛ぶ。


訂正>>470
>>471の間にこれを




P『俺が運ぶ』


百合子『え…?』


P『『1st step ガチャ』ならば紙切れ一つで擬似的な飛行が可能だ』


スッ


百合子『メモ帳…!?』


ビリッ


P『こいつで…』


百合子『ダメです!それには『角』が――




P『中に入れ!来るぞ!』


百合子「な、何が起こって…!」


志保「ッ!なんです…!?」


杏奈「吃驚し……!」


三人の視線はPの手元のメモ帳へ集まる。


P「どうした」


志保「『ライアールージュ!』」


バシィ!


ヒュゥゥゥ…


P「……? 代わりはあるが、物は大切にしなければ…」


百合子「『猟犬』は『角』から来るんです!」


志保「やってくれたわね!」


P「……すまない」


杏奈「じゃあ後ろから来て……」クル


振り返った先の景色には『猟犬』達が蠢き、空を埋め尽くしていた。


その中でも一際目立つのはとある『猟犬』、いや『猟犬の王』。



姿は似ているが、邪悪な気配、空気を震わせるパワー、凍てつく視線、家よりも大きな体、ありとあらゆる要素で『猟犬』を凌駕し、圧倒的な存在感をもって君臨していた。



杏奈「あ……え……?」


百合子「杏奈ちゃんどうか…し…」クル


志保「え………………」クル


振り返った彼女達は知った。




飛行機は飛び続けるがいつかは墜落する、その前には脱出しなければならないのだ。


つまり、目的地に着いた時、一匹でも手の余る怪物が大量に襲いかかってくるという事実を、今この場で知ってしまったのだ。


頭に血が上り、的確な状況認識が出来無い戦闘中はなく、ある程度冷静な判断が出来るこの場で知ってしまったのだ。


何よりも強い恐怖が、本能に刻まれた感情が、自らの命を脅かす悪意が、立ち向かう意思を脅かし、今置かれている自分達の状況を明確に正確に容赦なく脳に刻み込む!



行くも戻るも地獄だというのに、どうして正気を保っていられるだろうか。



杏奈「やだ……降りないと……死にたくないよ……!」ジタバタ



杏奈はこの場所から逃げ出そうとする。



P「やめろ…!外に出ても落下死するぞ!」



百合子(きっと、これは夢よ…頼りになるカッコイイ騎士様が来てくれるはず。そうでないと死んじゃうもの。白銀の馬に乗って颯爽と現れて、剣で『猟犬』を切り裂いて、私を救ってくれ…)



百合子「剣には…剣には『角』がッ!来ないで!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああ!!」



夢に逃げた百合子はありもしない『角』に怯える。



志保「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」ポカーン



志保は考えることをやめた。






P「手の付けようが無い!やってしまった、彼女達の心に傷を…クソッ!」


嘆いても何も変わりはしない、絶望が迫っているのだ。


P「しかし」


ドドドドドドドド


P「目的地は『目の前』ッ! 『猟犬』との距離は十分離れている!」


ヒュゥルルルルル


P「急いで環を元に戻す! それが王道よッ!」


ゴゴゴゴ


P「だが、まだだ!」


杏奈「ひぐっ……ひっく……」


百合子「ブツブツブツブツブツ…………………………………………………………………………」


志保「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」


P「心の底からの『安心』が足りていない、絶対的な『信頼』、『安らぎ』、母に抱かれるような『暖かさ』が」


落下を始めた飛行機からは森の中にある家が見える。


P「まだ力不足だ…俺にはまだ、力が足りない」


ドガッシャン!!


ついに落下する。


飛行機はバラバラに弾けとび、中の人間も肉袋になるのが当たり前だが、何一つとして形を変えたものはなかった。


P「永遠のような安らぎを得る力がッ!」


ドワドワドワドワウッ!


飛行機が着地した瞬間、そこらじゅうの角から『猟犬』が飛び出す。




Pはその腕に四人を抱え、飛行機から脱出。『猟犬』を殴り飛ばしながら『目と鼻の先』にある環の祖母の家を目指す。


P『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!』


『猟犬』も『大型猟犬』も、群がるだけならばただの的にしか成り得ない。


P『無駄ァ――!』


メギョォ


「)(∞∞∴ボ…」


スゥゥ…


拳が直撃すれば、たとえ再生出来るとしても再び追いかけてくる事は無い。しかし再起不能な傷を負うまでは嬉々として追い詰めてくるのだ。


そして『猟犬』は学ぶ。


「##_―っ§(」
「_―ォ―*℃℃∴」
「ゝ §§§§§℃」


P「なんだ…?」


スワッ


「>))∞∞∞」


ゴゴゴゴ


うっすらと、『猟犬』の周りに青い膜の様なものが現れる。


P「見たことの無い…別種の能力、テレポートとは違う能力を持つのか…?」


『大型猟犬』も青い膜に包まれていた。




P「いや、そもそもスタンドだという保証もない」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ


P「いずれにせよ、警戒すべきものだ」


「*ヶ##*……」


一匹の『猟犬』が這い寄ると、他の『猟犬』もそれに続き、徐々にその包囲網を狭めていた。


P「…玄関まであと5メートル。一気に走れば一秒と掛からんが、まともに『猟犬』を相手にしていたら体が持たない。しかし、目的地は既に目の前」


P「無理を押し通すッ!」


駆け出すと同時に飛んできた『猟犬』、前方にいる『猟犬』だけにラッシュを浴びせる。


ヌゥ


パリン


青い膜に拳がめり込み、そのまま『猟犬』にも当たる。その瞬間、膜が音を立てて砕ける。


P「何の…!?」


拳を食らった『猟犬』は何故か平然としており、その内の一匹がPを切り裂こうと爪を振るう。


P「くっ…!」サッ


辛うじて直撃は避けたが頬を掠め、爪に付着した青黒い脳漿のようなものが頬と反応し、皮膚を溶かして火傷を負わせる。


P『無駄ァ!』


「※℃●>…∴」


ドゴォ


すぐさま攻撃してきた『猟犬』を叩き落とし、別の『猟犬』には謎の膜に対応した攻撃で撃退する。


さらに、後ろにいる『猟犬』をいままで全く無視(アイドルに攻撃を当てられない程度に)していたため、背中から十を越す『猟犬』の集団に注射器のような舌で突き刺され、精神力を吸い上げられる。


ジュルゥゥゥゥ!!


「)ゝ ∞…※*″<」
「((%(―∞サ<<」


『猟犬』は極上の精神に悦びの鳴き声を上げ、貪る。




P「精神は持つッ、あと二歩だ!」


ダムッ


一歩。昔ながらの玄関に近づき、『猟犬』を蹴散らしながらスタンドで扉をこじ開ける。


P「乗り込めェ――ッ!」


二歩。先に四人のアイドルを玄関に放り込み、Pも体を滑り込ませるが、全身が中に入る前に『猟犬』が両足首を捉え、骨ごと噛み千切る。


ブチブチィッ


メギッゴギョォ


P「ぬッ!」


バッ


ピシャ


思わず顔をしかめるが、勢いを止めずに飛び込み、扉を閉めて家をよく観察する。


P「この家…『角』が無い」


その証拠に、『角』からの絡み付くようなネットリとする視線は無く、家の所々が石膏で塗り固められていた。


ドサァ


百合子「きゃっ!」
杏奈「痛い!」
志保「っ!」
のり子「zzz…」


放り投げられ、百合子と杏奈と志保は正気を取り戻す。


百合子「ああ…私、取り乱して…それから…」


P「着いたぞ、環の祖母の家だ」


杏奈「!! その怪我……!」


志保「……ッ! 重傷じゃないですか!」


Pヘッドには焼け爛れた跡、両足首から下の欠損、背中にいくつもある丸い穴、誰がどう見ようと軽い怪我ではない。


P「いや、気にしなくていい。三人はこの家にあるはずの『対抗策』を探してくれ」スクッ


Pは断面の痛みも気にせず立つ。


杏奈「あ……立ち上がっちゃ……ダメ」




百合子「そんな傷で何をするつもりなんですか!」


P「……………………」


ドドドド


P「よく、耳を澄ましてみなさい」


志保「えっ?」


…………ンガンガン


外から響く、何かを叩くような音。


……ガンガンガン……


杏奈「もしかして……!」


耳を澄ませば澄ますほど、鮮明に聞こえてくる。上から下から右から左から前から後ろから、ありとあらゆる場所で音は響いていた。


ガンガンガン    ガンガン   



     ガンガンガンガン          ガンガン  ガンガンガン      



                                                                   ガンガンガン                            ガンガン                        ガンガンガンガン                                                                       ガンガンガン


ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン





それは紛れもなく、『猟犬』が外から叩く音。


昔ながらの田舎の家で、一体どれ程立て籠ることが出来るだろうか?


外は『猟犬』が蠢く世界、一つでも角があれば命はない。そして待ち続けることも延命措置でしかない。


つまり誰かが『猟犬』の侵入を妨害、阻止しなければならなかった。


P「時間は俺が作る。ゆっくり、落ち着いて、『対抗策』を探してくれ」


志保「何を…!」


百合子「待ってください、今外に出たら死んじゃいますよ!?」


P「ここで待っていればいずれは死ぬ。それなら一人が外に出た方がいい」


杏奈「……………………プロデューサーさん」


P「大丈夫だ、なるようになる」






四人を玄関に置き、扉を閉めて『猟犬』どもを迎え撃つ。





尋常ならざる狩人は彼の両足首を、Pヘッドの一部を、その青黒い脳漿のもつ強酸で溶かして抉った。


耐え難いような苦痛を与えられ、断面で立つPは顔色一つ変えずに前を見据えていた。




P「…………ふん」


このような傷を負うということは、いかにスタンドが強かろうとも『猟犬』の足元にも及ばなかった、と言うとそれは間違いだ。


『猟犬』や『大型猟犬』は問題ではない、状況が彼を追い込んでいただけだ。



しかし、危惧すべきものはある。



『新たに』現れた個体、『1st step ガチャ』を解除する際に左足で踏んだもの。



その姿は山のようであり、醜悪な気配と宇宙のありとあらゆる邪悪を詰め込んだような鋭角で構成された『角の時間』から現れた不死身の狩人。



論理ではなく、理性でもなく、直感でPは理解してしまった。



それらがスタンドでないことを、



人間では理解することも許されない概念からの侵略者が、吹けば飛ぶような塵芥にも満たない人間を喰らい尽くそうとしていることを、



理解してしまった。



P「環のスタンドはッ…『これ』を呼び寄せていた。そうとしか考えられない…だから使ってはいけないと言われていた…」


頭のなかで切り替える、まず倒すべきは『コイツ』だと。


「グァォォォォォォ…」


先ほど現れた、家よりも大きい『王』が目の前に歩いてくる。


P「『対抗策』は無いッ…。初期の段階で抑えなくてはならなかった…」


「……………………………」


ゴゴ…


ゴゴゴゴゴ…


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


他を凌駕する圧倒的な存在とパワーがぶつかり、空気が震え、大地が揺れる。


P「なかなかに、強そうだ」




「………………」


ドドドドドドドド


P「『2nd step ガチャ』まではあと少し…、成れたのならば、勝てる」


「にょぁなぇ」


笑う『王』、目の前の存在は勝ちを確信していた。


バッ


「がぎゃぬまばさっぁやのわなふは」


グニャァ


意味不明の言葉を呟いた瞬間、空間が捻れる。


右の景色は上に、上の景色は下に、前の景色は奥へ、後ろの景色は左右にそれぞれ捻れ、幾何学的な法則を無視した、それでいて狂気的な美しさを秘めたものへと変貌する。


P「子供騙しで侮ったな!」ドン


飛び上がり『王』の顔面へラッシュを叩き込む。


P『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!』


ガガガガガ!!


「!」


思わぬ攻撃を受けた『王』は怯んだように見えた。


P「大したことは無い! 肉体の防御力は同じ、このまま押しきるッ!」


P『無駄ァ――――ッ!』


ドガン!


大きく振りかぶった一撃は顎を突き上げ、『王』の巨体を打ち上げた。


バグゥッ!!


しかし、『顎の下』から鋭利な牙を備えた『顎』が現れてPを噛み殺さんとする。


P「ふんッ!」


グググ


Pは『口にあたる器官』の中でつっかえ棒の様に噛みつきを防ぐ。


P「コイツ、上下に口があるのか!」




人間としての固定観念では計り知れない形態に一瞬戸惑い、形勢不利と見て口からの脱出を試みようとした瞬間。


ドワウッ!


「【§*≧≧【℃℃℃……【∞※※※※※∴≧」


ガブゥ!!


『大型猟犬』が現れ、Pの左足の膝下に食らい付く。


P「なにッ!?」


歯が食い込み、強酸が足を溶かしながら自由を奪っていく。


もちろん、本体の傷はスタンドにも反映される。


ガクン


P「くっ…」


「そぬっふょにい!」


Pがバランスを崩したその刹那、『王』の歯は徐々に距離を縮め、圧倒的なパワーをもってPを擂り潰そうとする。


グググ


ブチュッブシュュュュウ!!


P「まずい…このままでは潰される!」


焦るPは手始めに足を千切らせ、半分になった足で『大型猟犬』を蹴り飛ばした後に、『王』の口から脱出する。


そして第二の優先事項、家の周りに群がる『猟犬』を蹴散らそうとして気付く。


P「ここはッ、まだ口の中だッ!」


いつの間にか空間を犯す『王』の体。膨張し、破裂し、また膨らむ『角の体』は連なる山脈の様に険しく巨大。


『家』ごと丸呑みにするには充分過ぎる位の大きさだった。


P「させん!」


P『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄』


そこで怯んではプロデューサーの名折れ、口の中でさえ果敢に立ち向かい、歯を避けてラッシュをぶちかます。




P『無駄無駄無駄無駄無駄無駄!』


ドガドガドガガンッ!


ジュウワァァァ…


しかし体格の差と再生能力が『王』の体を潰す速度よりも上回っており、いくら攻めようとも気休めにしかならなかった。


そして『王』に気をとられている間にも、『猟犬』は家を破壊し続ける。

















――――――――――家の中



百合子「あのー! 誰かいませんかー!」



シィーン



杏奈「いくら読んでも返事がないね」on




志保「今は緊急時よ、上がりましょう」


スッ


杏奈「仕方ないね」


のり子「……zzz」


百合子「ところで、一体何を探すの?」


志保「…………」
杏奈「…………」


百合子「えっ…」


志保「見当が全くつかない…」


杏奈「うーん…それっぽい道具があればいいんだけどなー」


百合子「それっぽい…そうだ!」ピコーン


百合子「本棚を探しましょう! 何か日記的なものに書いてあるかも知れない!」


杏奈「! かゆうまみたいな事が書いてあるかもね!」


志保「かゆうま…? とにかく、手分けして探しましょう」


二つに別れた廊下、その配置された部屋をしらみ潰しに調べる。


タタタタタタタ


……


…………


約二分後。祖母の部屋にて



百合子「見つけたよ!」


テレテテー




ドタドタ


杏奈「本当!?」


百合子「うん、お婆さんの部屋に『環のスタンド』っていう本があったわ」


志保「早く中を見ましょう」


百合子「うん」


百合子は手に持った本をめくる。


百合子「ふむふむ………………」ペラペラ


杏奈「どう? どう?」


百合子「えーっと…………………………」ペラペラ


志保「……」ドキドキ


百合子「言うよ…」


ゴゴ


杏奈「うん」ドキドキ


二人の視線が百合子に集まる。


ゴゴゴゴ


百合子「材料が分からない…」


志保「……?」
杏奈「んん…?」


百合子「ええと、つまり、『対抗策』はあるにはあるけど、材料の書いてある場所が分からないってこと」


杏奈「待って、そもそも、材料って何?」


百合子「何かの液体みたい、『万能溶解液・改の製法を記した』って書いてある」


志保「万能、溶解液…」


杏奈「他の『対抗策』は無いの?」


百合子「待って…今はサッと見ただけだから、もっとじっくり読まないと…」




杏奈「『ビビットイマジネーション!』百合子を増やすよッ!」


ペラ…


百合子「!」


ペラペラッ


百合子が付箋になり分裂する、そして分裂した百合子達は本を一頁ごとに分解して解読し始める。


百合子「これならすぐに…」


志保「あの…」


百合子「?」


志保「さっき、台所を見たんですが…」


百合子「何を?」


志保「変なものを見つけました」


杏奈「?? 持ってきてもらってもいい?」






志保「これです」


志保が持ってきたもの、それは瓶の中に入った液体。


百合子「それ、何?」


志保「分かりません」




百合子8「あっ!」


突然、百合子の内の一人が声を上げる。


杏奈「どうかしたの?」


百合子8「私の読んだページに書いてありました!」


百合子8「改良する前の『万能溶解液』!」


百合子「本当!?」


百合子8「うん!『醤油の瓶には万能溶解液を入れておこう。『猟犬』を退治するには有用だ』って書いてある!」


百合子9「待って!万能溶解液は猟犬を撃退するだけ、『改』を使わないと環ちゃんは戻せない!」


杏奈「じゃあ『万能溶解液・改』は何処にあるの?」


志保「台所にはもう何も無いわよ」


百合子9「『万能溶解液・改』は作るんです」


百合子「材料が書いてあったのね!」


杏奈「早くしないと『猟犬』が来ちゃうよ」


百合子9「言うよ…」


志保「……」

      スタンド
百合子9「『大型猟犬』の青黒い膿、血、万能溶解液。それらを混ぜ合わせたものをかける」


杏奈「手に入るの?」


百合子「人手は多い方がいいね、のり子さん…起こす?」




杏奈「うん、起こそう!」


スタンドパワーを殆ど使いきったとはいえ、遠慮して野垂れ死ぬ位なら叩き起こした方がいいと判断する。


百合子が元に戻り、三人はのり子を起こしに行く。


百合子「のり子さん…のり子さん…」ユサユサ


杏奈「へんじがない、ただのしかばねのようだ」


志保「バカなこと言わないで」


のり子「んぅ…」


百合子「起きて下さい!!」


のり子「ギャッ!!」キィーン


杏奈「ミミガー…」


百合子が大声を出すと、のり子が飛び起きる。


のり子「ふー…よく寝た」


スッキリ


志保「のり子さん、今対抗策を見つけました」


のり子「ホント!?」

          スタンド
志保「はい、今から『大型猟犬』の膿を手に入れます」


のり子「マジ…?」




杏奈「プロデューサーさんを呼ばないと」


百合子「ねぇ…今ってこんなに暗かったっけ?」


杏奈「…?」


玄関扉を見た百合子は、ガラス越しに外が暗くなっている事を察する。


のり子「今何時?」


志保「まだ三時にもなってません」


杏奈「え…」


スッ


突如としてガラスに人影が浮かぶ。


ガラララ


P「逃げるぞ」


ドドドド


志保「…はぁ?」


百合子「一体何が…」


P「時間はない、走れッ!」ダッ


杏奈「待って!」ダッ


杏奈が続くと、他の三人も走り出す。


そこで四人は何故急いでいたのかを知る、


百合子「な…何ですか!?」


ドドドド


志保「これは…この物質は!」


家の周辺を見覚えのある青黒い物質が覆い尽くそうとしていた。




P「急げッ!呑み込まれるぞ!」


ここは『王』の口の中、僅かに見える光を目指して走る。


のり子「呑み込まれるって…まさか!?」


百合子「あっ!閉じますよ!」


スッ


P「こじ開けるッ!」


P『無駄無駄無駄無駄!』


ドビシャッ


P「今だッ!」


バッ


ゴロゴロゴロ


百合子「はぁ…はぁ…危機一髪…」


杏奈「危なかった…」


五人が脱出した直後に隙間は無くなり、膨張した『王』の唇は段々と小さくなる。


フシュゥルルルルゥ


ズモォ


「ガゥオォォォォォ…」


家と『猟犬』を呑み込んだが、人間を呑み込めなかった『王』は不満げに声を漏らす。


P「それ見たことか!」


志保「プロデューサー、早速ですが『大型猟犬』の膿を…!?」


のり子「その足どうしたの!?」


足首の無い右足と膝から下の無い左足を見て、皆動揺する。


P「今は問題じゃあないッ! 死ぬか生きるかの瀬戸際、それよりもまず話すことがあるだろうッ!」


Pは一喝して、動揺を無理矢理丸め込む。


百合子「は、はい…」




志保「…………『対抗策』には『万能溶解液・改』が必要です。それを作るには血と『大型猟犬』の膿が必要です」


血と聞くなりPは傷口をほじくり、溢れ出た血を手に溜める。その生々しい光景に杏奈は軽めの貧血を起こす。


杏奈「杏奈はちょっとダメ…」


のり子「うわぁ…」


P「どのくらい必要なんだ」


百合子「200ミリリットル、です……うえっぷ」


志保「……これに入れて下さい」スッ


差し出された『万能溶解液』の瓶に血を注ぐ。


ビチャビチャビチャ


グチュ


P「こんなものか」

           スタンド
百合子「はい、あとは『大型猟犬』の…」


志保「それは大事に持ってて。プロデューサー、『猟犬』が来ますよ!」


『猟犬』どもは血をいれている間に臨戦態勢を整えたようだ。


自分の優位を信じて疑わず、目の前の餌に意気揚々としている。


「″§∞∞∞グ∞∞」
「#∴)……℃<<>」


志保「きりがありませんね」




P「状況は思っているより深刻だ」


P「逃げられるなら、今のうちに逃げてくれ。守り通す自信がない」


百合子「…………っ」


杏奈「で、でも…」


百合子「…逃げるよ」


のり子「それが、良さそうだね」


志保「……」


ドドドド


「●≧●※※●ァァ●」


餓えた『猟犬』が一匹、一匹と近寄る。


「%**【∴【【メ∴・∞ <<_¥%」


「ゲャァオォォォォウ」


P「準備は、出来たか?」


杏奈「『ビビットイマジネーション!』」

百合子「『クリアプロローグ!』」


ペラァ…


ギャルギャルギャル


付箋になり、体に巻き付いた百合子達が一斉に風を操る。


ブァォウゥゥゥゥゥゥゥ


のり子「体が…」




ドシュウッ!!


「グァ*…ァ<<!」
「ガャァア!!」


P『無駄無駄無駄!!』


ゴシャァァ


ガッギィイイイイイイイ!


P「生きて会おう」


志保「プロデューサー!?」


ブワッ!


風に運ばれた四人の姿はたちまち見えなくなる。


P「…後は駆逐するのみ!」


「ギィャォウ!」


上下左右、ありとあらゆる方向からの攻撃を目にも留まらぬ速さでいなし、反撃の拳で撃退する。


P『無駄ァ!』


ドギャア


「グュォン!」


ドバッ!!


P(『王』の動向を注意深く観察しながら、『猟犬』を確実に潰す単純な作業だ。彼女達の安全は保障された)


「ジャォ∴ウ!」
「ジヅァッォ!」


P「雑魚が」




P『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!』


ドガドガドガドガドガドガドガドガドガ


襲い掛かる『猟犬』の勢いよりもラッシュの方が速い。猛毒の物質が弾け飛び、付着しようとも拳は止まる事を知らない。


P『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!』


ガリガリガリガリガリガリガリガリガリ


百合子達を襲いに行こうとする『猟犬』はいなかった。守護者を倒せば目星をつけた餌にありつけるからだ。


P『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!』


P『無駄ァ――ッ!!』


ドッガ!


「イォォォウッ!」


シュオゥゥ…


P「大分数が減ったな」


山の上は『王』が呑み込んだせいで荒れ地となっていた。見通しの良くなったそこは不浄の液体が散らばっていたが、逆に言えば『猟犬』が数を減らした証拠でもあった。


「グルル%ォルル…」


地獄の底にいる亡者のような呻き声を上げて『猟犬』はPに激昂する。


P「ん?餌にありつけなくて悔しいかぁ~?悔しいだろうなぁ~」


余裕の出てきたPは言葉が通じるはずもない相手を嘲笑う。




その直後、『王』が口を開く。


「ワッ、オドドゲ」


ゴゴゴゴ


P「コイツ…話せるのか?」


「ザザヤッロェ」


意味不明、赤ん坊すら話さないような出鱈目な言葉の羅列を話す。


P「思ったより知能は低そうだな」


ドッ!


「ギャォウ【ッ!」


P「雑魚は引っ込めッ!」


その罵倒に応じるかのように一匹の『猟犬』が飛び出す。その個体はPの射程距離内に入った瞬間に消し飛ぶだろう。


しかし、射程距離に入る前に消える。


P「後ろか」


Pは動じもせずに対処するが、事の重大さを分かっていない。


一匹だった筈の『猟犬』は二匹に増えていた。


「℃ゲマィナ!」
「ゝ∞)ィア?」


P「増えても同じよッ!無駄ァ!」


メギャア


「ザザヤッロェ」


『猟犬』が霧散すると、『王』が再び同じ言葉を囁く。


すると再び『猟犬』が現れる。


ゴゴゴゴ


P「呪文…? まさか、ファンタジーやメルヘンじゃああるまい…」




「ザザヤッロェ」


増える。


ゾクウッ


P「背筋が凍った…なんだ、この、プレッシャーは!?」


ドドドドドド


「ザザヤッロェ」


増える。


「ザザヤッロェザザヤッロェ」


増える、増える。


「ザザヤッロェザザヤッロェザザヤッロェザザヤッロェザザヤッロェザザ∞ヤッロェザザヤッロェザザヤッロェ¥ザザヤッロェザザヤッロェザザヤッロェザザヤッロェザザヤッロェザザヤッロェザザヤッロェザ#ザヤッロェザザヤッロェザザヤッロェザザヤッロェザザヤッ%ロェ」


増える増える増える増える増える増える増える増える増える増える増える増える増える増える増える増える増える増える増える増える。


P「奴は何をしているッ…『猟犬』を呼んでいるのか…。いや、もっと恐ろしいはずだ…もっと恐ろしいことをしているはずだ…」


『猟犬』達は止めどなく溢れ、増殖し、付与された。



ドドドドドド



P「こ、これは…」



「ザザヤッロェネッャゴカハサワンカッルタダッッダダネヨムァ≧クセツァャリォォスビリラリラッヨヨンンョグヌゥイサナャダアッレレュガッィィオサナダムメメョワゴケォオ!」



ドドドドドドドド



P「この、おれがッ! 恐怖してるッ!」



「ガガガギタナヅハサラヅツナカハタッツマガァァアヤッネロバダザジセィヨワナタマネッォオオァリナィ」


ドドドドドドドドドドドド



P「止めなければッ、止めなければァァァァア!」



「シベ」



P「ッ!?」ゾゾゾ



ヒュッ


「ギィャァァア!」


『角』の無い虚空から『猟犬』が現れる。


ブッシィャア!


防御も反応も出来ないほど体が硬直し、棒立ちになったPの脇腹を容赦なく噛み千切る。


P「なっ…」


ブチブチブチ


ピシャァァァァァァア!


P「クソッタレ!」


P『無駄ッ!』


ドブッ!


脇腹の肉を3分の1程持っていかれたが、対処は冷静。確実に屠る。


ヒュッヒュッヒュッ


「ガァァァイッ!」


P「またかッ!」


新たに3体、射程距離『内』に現れる。


P『無駄無駄無駄!』


ゴガジャア!!


霧散、問題なく処理する。


しかしその数が5体、10体、20体と増えていくうちに余裕は無くなる。


P「はぁ…はぁ…」


「シカガガ!」「ネィャッバ!」「ククァッゲ!」「ゾォィユン」「カビルビィ?」「ズィァァァア!」


P『無駄無駄無駄ッ、無駄無駄無駄無駄!』


ドガドガドガドガドガドカドガドガ


息が切れぎれになりながらも、『猟犬』に拳を見舞う。




ブッ


もっとも、その精度は落ちている。


P(小指が食われたか)


「ギャァァァァ!」


P『無…駄ッ!』


ドシュウ


P(終わりがない…何体いる…)


ヒュッヒュッヒュッヒュッヒュッヒュッヒュッ


「ゴォォォッア!」


P「この『射程距離内』に何体いるのか――ッ!」


ドワウッ!


P『無駄無駄無駄無…』


フラッ


P「!?」


Pの体が揺らぐ。


『王』は笑った。


「バォォォォッォオ!」


ガブゥゥゥッウ!


P「っ…!」


大量出血と酸素供給量低下による大きな隙、『猟犬』はたまらず飛び付いた。


バクッ


バグバグッ!


ブチッ


ブシャァァァァァァァアアア!!


残っている腹の肉、付け根を残して腕と足、噴水の様に血を撒き散らしながら、Pは地面に叩き付けられた。


四肢をもがれ、不格好なダンベルの様に食い荒らされた彼に成す術はない。



自らの愚かさ、目の前の敵の強大さ、Pはすべてを認めなければならなかった。



ニュッ


のり子「え…ここは…?」


志保「あ…え、プろ、プロデュ…さ…」


ここは膨らむ絶望の中心、生命の途絶える場所、狂気渦巻く混沌の最中。


杏奈「なんで?町に出て角の無い、なんで……なんで…」


「グォォォォォォォォォォォォォォォン!」


「ウォオァォォォォヌ!」
「¥#∞∞#######」
「ツフサャャャヤアガ!」
「イァァァアッッッッム!」
「ゝユカビゥゥフ∞ンン%」


『大型猟犬』の声に釣られて、『猟犬』達は騒ぎ出す。


料理で例えるなら味付けの段階。


悲しみに満ち溢れ、希望を僅かに抱き、救いを求める恐怖こそ最高のスパイス、彼等の求める精神の味!


退廃的な合唱は大きくなり、山を越え、雲を抜け、宇宙の彼方まで響く。


百合子「いやっ…いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぉぁぁ!!」


泣き叫ぶ四人の足元で惨めに、浅はかに、芋虫の様に蠢いてでも助けになろうとするPは何よりも無様だった。


P「    、   。こ  …」


P(声が、出ない。今すぐ駆け寄って励まして、やらなければ…)


「ヒオッ!」


ズイッ


杏奈「ひっ!」


『猟犬』どもは近寄っては離れ、切り裂く振りをしては離れ、恐怖を煽っていた。




P(それいじょう、近寄ってみろ)


P「  す」


声は掠れて出なかった。いくら『猟犬』を睨んだところで何かが変わるわけではない。


百合子「…あ、ああ…もう…」


もう何も届かない、深淵の底に光は射し込まない。


のり子「…神様…誰か…」


『猟犬』は爪を大きく引いて…。


P(殺す!ぶっ殺す!)


志保「助けて…プロデューサー…」


P「触れるんじゃあねェ――――!」 


降り下ろした。








『second…』






トン






――――小鳥「どうしてですか…?」







トン







――――P「消えて無くなれ」








P『2nd step ガチャ!』


ピカァァア!


杏奈「え…?」


「    」


ブチャア!




ドドドド


百合子「プ…プロデューサー!!」


百合子は歓喜の声を上げる。


最強のスタンド使いが立ち上がった。


ドドドドドドドド


P『2nd step ガチャ…』


P「これが能力の片鱗…、傷も全て治っている…」


志保「…プロ、デューサー…」


ドドドドドドドドドド


百合子「生きてる…私…生きてるッ!」


のり子「ありがとう…ありがとうっ…」


P「覚悟しろ」


「ギィ」


「℃℃」


ドチャア!


P「おお…!」


P「パワーも、スピードも、射程距離すらもッ!」


ドッ!


P「乗り越えたぞォォォ!」


半径五メートル、全ての『猟犬』が一斉に潰れる。


『王』の呼ぶ速度より、『猟犬』がテレポートされるより早く、『猟犬』を駆逐し、蹂躙する。




「グガァァァァァァァァァァァァアアア!」


とうとう『王』はその巨体を動かし、命を刈り取ろうとする。


P『無駄だ』


ガギィン!


P『力の差は覆った』


ドギャァァァァアアン!


「グオォォォッ!」


『王』はもう泣き叫ぶ赤子も同然、傲慢を砕き、敗北を叩き込まれる!


P『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッッ!』


ドガガガガガガガガガガ


志保「行けぇぇぇぇぇぇ!」


P『無駄ァ――――――ッ!』


ドジャァァァァアアア!


ブワァォォォォォォォオオオオッ!




P『怪我は…無いか?』



ジャォォォォォォオン!!



百合子「は…はい…」


杏奈「もう……来ない?」


P「いや」


「グゥルルラル」


P「『大型猟犬』と『猟犬』が一匹ずつ」


のり子「なら、材料を回収して…」


ドジャア!


ドロリッチ


P「これで」


のり子「おっ……けー……」


杏奈「じゃあ……入れるよ?」


コボボボ


志保「…………」
百合子「…………」
のり子「…………」
杏奈「…………」


P「変化が無いな」


志保「……取り敢えずかけましょうか」


「グオォォォバババババアッ!」


そこで『大型猟犬』が都合よく突っ込んでくる。


P「ふん!」


ベシチャァ!!




Pが出来上がった『万能溶解液・改』をぶっかけると、『大型猟犬』の体表の色が赤へ黄色へ目まぐるしく変貌し、膨らみ萎み破裂し渦を巻き、地面にべチャリと落下する。


そして体に纏った物は風化し、体を吹き飛ばしても姿すら確認できなかった環がついに出てくる。


環「ん……」


百合子「大丈夫?環ちゃん」


環「たまきは…なんでここにいるの?」


P「スタンドに呑まれたからだ」


環「た、たまき、また…また『スタンド』で…呼んだ…」


志保「環!」


ギュッ


志保「大丈夫…もう、大丈夫だから…」


環「しほ…」


P「環、君は向き合わなければならない」


環「え…?」


ドドドド


P「『スタンド』と、自分の心と」


環「た、たまきはスタンドを使わないよ…!」


「グ%ゥィルルル」


のり子「あっ…そういえば…」


「ブォアァァァァ!」


バッ


ガシッ


P「『呼んだ』のなら、自分で落とし前をつけるんだ。環のスタンドなら出来るはずだ」




志保「何を言っているんですか!こんなに『スタンド』を嫌がっているのに…」


P「嫌がっていたら何だ、いずれは向き合わなければならない」


P「包丁や鈍器は人に向ければ危険だが、使い方次第で二転三転する。スタンドだってそうだろう」


環「た、たまきは…たまきは…」


志保「無理は…しなくていいのよ」


ドドドド


杏奈「環ちゃん……」


のり子「環ッ!」


ドドドドドド


環「たまきは変わるよっ!おやぶん!」



「ジャォォ≧オォォウンッ!」



環「『ホップ・ステップ・レインボウ!』」



ボゴ…


ボゴボゴボゴボゴ


環の体から球体が湧き出る。


大きさは拳ほどの物から、頭よりも大きなものまで様々であり、黒いダイヤの様に美しい光沢を放つ。


キュポン


そして湧き出た球体の一つが『猟犬』を『吸い込む』。


環「バイバイ」


別れの言葉と共に球体は小さくなり、段々と、塵よりも、原子よりも小さくなって消えた。






P「これで、いい」


志保「環…」


環「しほ!たまき、もうスタンドなんてへっちゃらだぞ!」


のり子「これで、終わりだね」


百合子「はい!私達の冒険はまだまだ始まったばかりです!」


杏奈「先生の次回作にご期待下さい……」


のり子「いやいや、まだ『黒幕』を倒してないよ!」


環「そういえば、ここどこ…?」


志保「環のお祖母さんの…あっ!」


P(家が無くなった理由を、どう話せばいいのか…)










To be continued…


終わりだよー(o・∇・o)


元ネタはティンダロスの猟犬というバケモノです。

知ってる人には違和感あって、知らない人には異物感があったと思いますが、そこは許してください。

投稿する前から書きたかったんです。


ユリユリのスタンドデータ



本体・人間・七尾百合子
スタンド『クリアプロローグ』

近距離型

破壊力C  スピードC  射程距離D

精密動作性B  持続性C  成長性D

能力射程B


能力『風を操る能力』


たった一つの冴えたやり方、それは自身が風の戦士になることだった!

腕についた風車が特徴の緑色のスタンド。

水蒸気を纏って姿を消すなんて柱の男じみたこともできちゃう。







次の投稿は三週間後となります。


今回も見ていただきありがとうございます。



志保に人でなしと言われただけで生きていける



(o・∇・o)





~~~~前回の二日前




完成した直後、天井の破損により立入禁止となった劇場。


誰もいない場所とは悪巧みをしやすい場所であり、スタンド使いならばなおさらだった。


ゴゴゴゴ


???「ここは『要塞』になります…その名も『アイドルキャッスル』…」


???「…………」


???「ななななんと!アイドルちゃんを侍らせているだけで勝てちゃいます!」


??「は、侍らせる…?」


??「そんなに上手くいくなんて思わないけど」


???「ビッグなゲストを招待して、倒しちゃいますよ!」


??「わ、私に、出来るかな…」


???「むふふふふふ…………」


???「………………」


ゴゴゴゴ


(今回の相手は…)


このみ(一筋縄じゃいかないわよ、奈緒ちゃんまつりちゃん…)


ゴゴゴゴゴゴゴ


このみ(私達の知らなかったスタンド使いの魔の手も延びてるわ)


このみ(気を付けるのよ…)




~~~~三日後・おやつ時





奈緒「なんやこれ?」


まつり「立入禁止が解禁されたのです?」


765プロの隣、正式名称がカラフルネオンボックスという長い名前の建物――通称『シアター』――に『アイドルキャッスル』と書かれた巨大な広告が吊り下げられていた。


奈緒「知らん」


まつり「なのです」


スタスタ


勿論、立入禁止と言われている以上、入らずに事務所の方へ行く。


奈緒「ドアの前なんか変な匂いせぇへん?」クンクン


まつり「そうですか?」


ガチャ


奈緒「こんにちはー!」


まつり「こんにちはなのです」


星梨花「あっ、奈緒さんまつりさんこんにちは!」


ジュニオール「わん!わんわんわん!」




奈緒「今日は二人だけ?」


響「いや、未来もいるぞ」


まつり「よしよしよし」


ジュニオール「わんわんわん!」プイ


響「あっ、聞いてよ!ジュニオールったらひどいんだぞ!」


ジュニオール「わんわん!わうぅ!」


まつり「ほ?ジュニオールちゃんがどうかしたのです?」


星梨花「うーん、私はジュニオールの言ってる事が分からないので…」


<熱いっ


星梨花「!」


奈緒「この声は未来か」


響「未来ー、どうしたんだー?」


ジャー


<お湯が~


星梨花「未来さんがお茶を入れるって言ってくれたんです!」


まつり「どうやら、やけどしたみたいなのですね」


<あついよ~


ジャー


奈緒「大丈夫そうやな」




ピンポンパンポーン


奈緒「ん?アナウンス?」


ジュニオール「! わうっ!わううっ!」


タタタ


星梨花「あっ、ジュニオール!」


ガチャ


響「どこに行くんだ!? 外は危ないし…星梨花、一緒に追うぞ!」


星梨花「は、はい! 待って、ジュニオール!」


響「おーい!ジュニオールー!」


タタタ


まつり「この音に興奮したみたいなのです」


奈緒「ジュニオールはわんぱくやからなぁ」


???『テステス』


何処からかマイクで話すような声がする。


まつり「亜利沙ちゃんの声なのです」


亜利沙『えー、事務所にいるアイドル諸君に注ぐ。主に二人ですが』


亜利沙『どうして入ってくれないんですか!ひどいです!』


奈緒「…なんやって?」


まつり「…さぁ?」


亜利沙『隣の劇場ですよ!げ・き・じょ・う!』


亜利沙『せっかくおもてなしの準備をしてたのに…およよ…』


まつり「それはわんだほー、なのです?」


未来「どうしたの?」




奈緒「なんや亜利沙が企んでるみたいやで」


未来「わぁー!面白そう!」


すると未来は窓に駆け寄ってベッタリと張り付く。


未来「にゃにをやふんでふか?」


奈緒「知らんけど、そんなに張り付かんでええやろ」


亜利沙『というわけで、隣の劇場に来てください!難攻不落のアイドルキャッスルをご覧にいれますよ!』


未来「あっ…そういうことかぁ…」


奈緒「なんや未来、知っとったんか」


未来「え?い、いやいや、知らないよ?こんなこと」


まつり「バレバレなのです。兎に角いってみるのです!」





~~~~~~



奈緒「なんにも変わり無さそうやけど」


シアターにはおかしな広告があること以外に、変わった点は見られなかった。




未来「まぁまぁ、入って入って!」グイグイ


奈緒「ちょ、そんなに押さんでも…」


ウィーン


自動ドアを抜けて中に入る3人。


まつり「何も変わってないのです」


一階のエントランスホールには、これといった装飾はなされていないようだ。


奈緒「そんなら、二階の私ら用の部屋の何処かちゃう?」


グニィ


奈緒「ん?グニィ?」


まつり「ほ?」


奈緒「なんやこの白いの?」




二人の目線が足元に向けられた瞬間。


ギラッ


まつり「危ない!」


ドンッ!


スパッ


未来「あれ?」


奈緒「…っ、ありがとうまつり」


間一髪、未来のスタンドによる奇襲を防ぐ。


まつり(危なかったのです。一瞬遅ければ真っ二つだったのです)


ドドドド


未来「おかしいなぁ…いけると思ったんだけど…」


まつり「『敵』のスタンド使いなのですかっ!?」


奈緒「待ち!『敵』は『Da』にいるアイドルだけや、未来は『Vo』やで!?」


ドドドドドド


未来「知らなかったんだ、へぇ~。私は『敵』だよ」


奈緒(目が笑ってへん…)


未来「そしてこれが私のスタンド」


スッ


未来の出したスタンドは、木を連想させる長めの西洋剣と盾を持ち、ビキニのようなアーマーを着ていた。




未来「『ワンダフルミラクル』には何の能力も無いけど、その代わりに有り余るパワーがある…」


まつり「戦うしかないみたいなのです」


奈緒(なんやろう…なんか、変な感じや。『未来』を感じへん…)


ドドドド


未来「白黒着けたいけど、そうもいかないかな」


奈緒「なんやて!」


ドドドドド


未来「下を見てみなよ」


まつり「こ、これは!」


奈緒とまつりの足には白く小さな粒がびっしりと付着している。


米粒の様に小さなそれは本当に僅だが、二人の足を『刺して』いた。


チク


奈緒「なんやこれはッ…!痛みは殆ど無いけど、嫌な予感がするで!」


まつり「…伺うより先に払いますッ!ナノォ!」


グシャッ


パッパッパッ!!


白い粒は簡単に足から離れ、床に散らばる。




未来「私も見るのは初めてだな~」


奈緒「何を呑気な…!」


まつり(まずは未来ちゃんを外に引きずり出します)ヒソヒソ


奈緒(…せやな。ここには敵スタンドが潜んでるし、いや~なパワーが伝わってくるで)ヒソヒソ


未来「私を倒す相談? どんな作戦なの?」


奈緒「…はぁ、教えられるかいな!」


まつり「まずは未来ちゃんを引きずり出します」


奈緒「ええっ!?」


未来(コントみたい)


未来「それはいいけどさぁ~」


ドドドドド


未来「本当に出来るの?」


まつり「ほ?」


ヴゥゥゥゥゥゥ!!


ヴゥゥゥゥゥゥ!!


けたたましい警報の音が鳴り響く。


奈緒「うるさっ…!」キーン




 エーアールアイエスエー!   エーアールアイエスエー!
『A・R・I・S・A! A・R・I・S・A!』


『侵入者ですっ!侵入者ですっ!』


まつり「な、何ですかこれは…!」


ガララララララ


ガッシャァーン!!


入口、窓、ガラスの壁。外部と視覚的、又は聴覚的に関わりのある場所は全てシャッターで閉鎖される。


まつり(不味いのですッ…完全に後手に回ってしまいました…!)


 エーアールアイエスエー!   エーアールアイエスエー!
『A・R・I・S・A! A・R・I・S・A!』


『鎮圧部隊を派遣します!鎮圧部隊を派遣します!』


奈緒「まつり…何だか不味いことになってきたで!いつの間にか未来もおらんし…」


ドドドドド


まつり「シャッターをぶっ壊しますッ! 状況の打開に受け身は有り得ないのです!」


まつり『ナノナノナノナノォ!』


ガンガンガンガン


まつり『び、びくともしないのです…恐るべきスタンドパワー…』




奈緒「まつり、まさか忘れてるわけちゃうな?」


奈緒「『H・L・ジェットマシーン』」


ガオン!


見事、穴が開く。


奈緒「よっしゃ!どんなもん…や?」


しかし、『ソレ』は待ち構えていた。


ゴゴゴゴ


???「デマシュカ?」


奈緒「なっ…」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ


???「ソトニ、デマシュカ?」


まつり「亜利沙…ちゃん?」


削った『壁の断面』からは『何人もの亜利沙』が『顔だけ』をこちらに見せて言う。


ゴゴゴゴ


アリサ『ありさ、ハ、ホンタイ』


アリサ『アリサ、コロスカ』


アリサ『ナオマツリ、コロスカ』


ドドドドド


まつり「このスタンドはッ、この『シアター』全体を覆っていますッ…今のを見て確信しました…」


奈緒「ど、どうする…?軍隊型か自動操縦やと思うから、削ってもええと思うけど…」


アリサ『アリサ、アリサ』




奈緒「亜利沙は友達やけど…これはキモいな…」


ナオ『なお、イタ』


まつり「奈緒さん? 一体何を言っ…!?」クルッ


ドドドドドドドド


まつり「な、な、な…何ィ――――――ッ!…なのです」


後ろを振り返ったまつりの視界には、奈緒の顔を粘土細工のスライムに乗っけたような物が3体。


奈緒「私の声……! って気持ち悪ッ!」


ジリジリ


ナオ『ニガサナイ』


奈緒「な…なんで私が…」


まつり「一刻も早く倒すのです! 後続が来ては困ります!」


まつり『ナノナノナノナノナノナノォ!』


ドガドガドガ


ドバァッー!!


ナオ『オ…オオ…』


サァ…


一体のナオは白い粉となって消える。


奈緒「なんか複雑やなぁ…」


まつり「パワーもスピードも全くありません。分かりやすく言えば雑魚なのです」


奈緒「ほんなら後のヤツラも…」


奈緒「ぶっ削るッ!」


ガオ…


ガキィ!


奈緒「はが!?」


『H・L・ジェットマシーン』はナオを削れ
ず、そのまま歯だけを突き立てる。


ナオ『ツカマエタ』



奈緒「ッ!?」バッ


ガシイッ!


白い粘土のようなナオの体が、奈緒の片腕を掴んで取り込む。


ナオは非常にゆっくりとした動きだったが、能力が全く効かなかった事に戸惑っていた奈緒は少し身を引くことで精一杯だった。


奈緒「…!」


まつり「奈緒さん!?」


ドドドドド


奈緒「こ、攻撃が全く効かへんなんて…!」


ナオ『ボォーットシテ、ドナイスンネン』


ナオ『セヤナ』


ドドドドド


まつり「何かを仕掛けてくるのですッ! 急いで離れてくださいッ!」


グイッ


奈緒「ち、違う! 離れられへんねん、まるでコンクリートで固めてるみたいや!」


ナオ『ホナ』


ジュワァァァァァァァァァ!!


奈緒「え?」


まつり「ほ?」







スッ



奈緒「あ、抜けた抜けた。ほら」



まつり「!?」



ドドドド



奈緒「あれ? 私の腕…無い」



まつり「は…?」タラ



ナオ『アレ?』


ドドドドドドド


ナオ『ゼンシン、ノマナ、アカンッテ』


ナオ『ワスレテタワ』


奈緒「あぁぁぁ…あぁぁぁぁぁぁぁ…」


ドドドドドドドドドド



まつり「な…お、ちゃ」



奈緒「痛い痛いいたいいたいぃぃぃぃぃ!!」



ブシャァァァァァァ




奈緒は二の腕から血を吹き出し、痛みの余り床に倒れてのけぞる。


奈緒「いィっ、うっ、うぅぅぅぅ…」ダラダラ


まつり(ま、まつりの不用意な発言が、こんなことに…)


奈緒「ひっ…ぇあ………」


まつり(しかし、今は責任を考えてはいけません。早急に奈緒さんを治療をしなければならないのですっ!)


まつり『ナノナノォ!』


ドガドカンッ!


サァァ…


まつり「邪魔物は倒したのです。はやく治療を…!」コォォ




バッ!




未来「『ワンダフルミ――


まつり「邪魔です。『フェスタ・イルミネーション』」


まつり「窒素から未来さんを離します」


未来「うぇ!?」


ドギャァァーーン!!


不意打ちを狙った未来だが、空中で吹っ飛ばされ、ホールの端から端まで飛んでいく。


まつり「波紋ッ!」


ビリビリビリ


奈緒「うぅ…はぁ…はぁ…まつり…」


まつり「痛みを抑えてます。止血しないと…!」


奈緒「うし、うし…ろ…」


まつり「!?」バッ


マツリ『ナノデス、ナノデス』


ゴゴゴゴ


まつり「今度はまつりの『コネコネ』なのですね」



まつり「『フェスタ…」ズッ


奈緒「待ち…!」


スク


まつり「…余り動いてはいけないのです、安静にしないと」


奈緒「…『ここ』の何処が、安静に出来るような場所やねん」


まつり「ほッ…!」


マツリ『ナノデス』
ナオ『オッタデ』
マツリ『ハイジョ、スルノデス』


ゾロゾロゾロ


まつり「まだこんなに…ッ!」


奈緒「それとな、『自分』を攻撃したらあかん。自分に勝つように作られた『自分』や、さっき攻撃されて、なんなくやけど…そう思ってん」


まつり「なるほど…」


奈緒「つまり、他人が殴れば…」


マツリ『トラエマス』


奈緒「オラァ!」


ボゴ


マツリ『ニ゛ャノ!?』


サァァ…


奈緒「ただの雑魚や」


まつり「…………」


まつり(『ニ゛ャノ!?』はないのですよ、マツリ)


奈緒「…あとは持ちこたえて、本体…たぶん亜利沙を倒せば終わりや!」


ボトボト


まつり「…………」


まつり「出血がひどいのです、痛いですが我慢してください」




ビリッ


まつりは自分の服をスタンドで千切る。


奈緒「…ありがとな」


ギュッ


奈緒「いつつ…」


まつり「さぁ、行くのですよ」


ゾロゾロゾロ


奈緒「行くってどこに?」


まつり「まずは二階に行きましょう」


バッ


ナオ『ウボァー!』


まつり「ナノォ!」


ボゴォ


ゾロゾロゾロ


奈緒「この中を行くつもりなんか?」


出口は得体の知れないアリサが、そして奥からは蟻のように湧くナオとマツリ。


まつり「はい、なのです」


奈緒「無理矢理行くにしても危険すぎるやろ。そんなら天井削った方がええやん」


まつり「アリサちゃんは『壁の中』を移動してます。言いたいことが分かりますか?」


奈緒「十分。で、策は?」


まつり「あまり晒したくはなかったのですが」


ゴゴゴゴ


まつり「床から、『スタンド』を離します」


奈緒「…なんでもアリっちゅうわけやな」


ドンッ!


ピカピカに磨かれたタイルからナオ達『だけ』が宙に舞う。




ナオ『ウ、トバサレル』


ナオ『アカン、アカン、アカ――


グシャッ


サァァ…


壁や床に叩きつけられ、粉となって消えるナオ達。


残ったのはマツリ達だけ。


まつり「この『コネコネ』は『本人』のスタンド能力も無効するのですか…」


奈緒「相手するスタンド使いの数、なんかメッチャ多そうやと思わへん? 能力持ちすぎやろ!」


まつり「まつりもそう思うのです。少なくとも4~5人はこの『コネコネ』に関わっているはすです」


奈緒「ま、ただ考えててもしゃーない。行くで」


まつり「ぱわほー、に行きますよ!」


ガオンガオンガオンガオン


ガオン!!!


奈緒が進路上に立つマツリを削り、まつりが出てきたナオをぶっ飛ばし、大した労力を割かずに階段へ。


そしてそのまま二階へと上がる。




もはや『コネコネ』(命名:徳川まつり)は敵ではなくなった。パワーはほぼゼロ、ナメクジの様に這いずり回るためスピードも凄まじく遅い。


『本人』であればその危険度は計り知れず、初見で死ななかったのはまさに幸運。『コネコネ』はこの時点では攻略されたも同然だった。


奈緒「それにしても、私がドジでよかったわ」


まつり「ほ?そんなにドジでしたか?」


奈緒「いやな、踊ってるときにマイクがポーンって飛ぶこととかあんねん。なんちゅーか、二つの事にあんまし集中できへんねん」


まつり「でもそのお陰で助かったのです」


奈緒「それは、それでええねんけどな…」


ザッ


ドドドドド


まつり「今度は顔がありませんね」


コネコネ「オオ、イタゾ」


奈緒「の、のっぺらぼうやね…」


カチカチ…


まつり「奈緒さん?」


カチカチカチカチカチ


まつり「奈緒さん!」


ビクッ


奈緒「な、なに…?」




まつり「…大丈夫なのですか?」


奈緒「…………」


奈緒(怖い…さっきは奮い立ってたけど、今は心の中で、『コネコネ』を恐れてる…)


カチカチ


奈緒(体の震えが止まらん…なんかチカチカするし、まつりが居っても『安心』できへん…)


唐突に腕を千切られた奈緒。彼女は今までのお遊戯の様に生ぬるい戦いに慣れてしまっていた。


そのため、迫り来る異形からの『殺意』に若い思春期の心は『恐怖』を抱かずにはいられなかった。


そして前触れもなく、奈緒の視界がグニャリと歪み、廊下という空間が果てしなく広がり始める。


奈緒「!?」


まつり「奈緒さん…大丈夫な……すか?」


奈緒「まつり…?」


まつり「………り……く……い」


隣から呼び掛けてくれていたまつりの声すらも聞こえなくなった。


気が付くと奈緒は広大な空間になった廊下に『一人』でいた。






奈緒「まつり…何処や…私は…?」


まつり「奈緒さん!? しっかりしてください!」


実際に広くなった訳ではない、二人とも普通の廊下にいるが、奈緒が『距離感』を失っているのだ。


奈緒「まつり…どこ? 一人にせんといてぇ…」


まつり「…ほ?」


ドドドドド


まつり「まつりは此処にいます…よ?」


奈緒「…………」


まつり「奈緒さん!」


異常に気付くも、奈緒に声は届かない。


キョロキョロ


まつり「とにかく」


まつり(今は目の前の敵に対処しなくては…)


コネコネ『イブツハ、ハイジョ』


ドドドドド


まつり(さて、どうやって倒しましょうか…。先程、マツリに能力は効きませんでしたが…)


まつり「『フェスタ・イルミネーション』」


ドンッ!


グシャッ


コネコネ『ゲェ』


まつり「一応効くようなのです」




奈緒「いつ、襲われるか分からん…」


まつり「…………」


まつり(奈緒さんは何故、まつりの声が聴こえないのですか…?)


まつり(やはり、スタンド攻撃なのでしょうか?)


奈緒「なんでこんなに『広い』んや…」


ドドドドド


まつり「スタンド攻撃で間違い無いのです」


まつり「本体が必ず何処かに…」


周囲を注意深く観察するも、それらしい物は無い。


ドンッ!


真上からの物音、奈緒は気づかない。


奈緒「…………人の気配がせぇへんなぁ」




まつり(上…?)


ズシャ


次の瞬間、まつりの『右足の裏』から太ももを茶色の剣が貫いていた。


まつり(し、下から…!)


ズッ


プシャァァァァァ


剣が引き抜かれ、血が吹き出ると共に、まつりの体は傾く。


まつり「ッ!」


まつり(このまま倒れたら、もう一度刺されるはず…何とかして体勢を…)


ドガァ!


まつりの思考は天井と共に吹っ飛んだ。


ドドドドド


このみ「まつりちゃん!」


まつり「なっ…!」


上下からの奇襲、まつりは動揺を隠しきれない。


このみ「あなたの声は本当に届いてるの?」


まつり「…ほ?」


このみ「奈緒ちゃんとの『距離感』を見誤ったわね」


このみ『ほらッ!』


ドンッ!


まつり「うぐッ!」




まつりは倒れる前に吹っ飛ばされ、奈緒とぶつかる。


ズシャァオオ


ゴン


奈緒「痛ッ!…ってまつり!?」


ドシャァ


二人はそのまま縺れながら倒れる。


このみ「…………射程距離外ね」


ストッ


ズン


このみが着地した直後、真横から剣が飛び出る。


まつり(あ、あのまま倒れていたら…頭を…)


奈緒「まつり!一体何がどうなって…」


このみ「奈緒ちゃん、今のは私が……!?」


このみ(腕が無い…それにまつりちゃんもひどい怪我よ…)


奈緒「今の…? あれ幻覚やったんか!」


まつり「どうやら、手強い相手が増えたようなのです」


スタスタスタ


未来「このみさーん、一人は殺れましたか?」


ゴゴゴゴ


このみ「…未来ちゃん」




未来「あれ?一人も死んでないじゃないですか~」


このみ「何をいってるの…!」


ゴゴゴゴゴゴ


このみ「あなたは何をしたのッ!」


未来「あれ?このみさんって味方ですよね?」


ドドドドド


奈緒「な、なんやこれ…仲間割れか?」


未来「『立場』を分かって下さいよ~」


このみ「…………ッ!」ギリ


未来「ね?」


そこで、すかさずまつりが話に割り込む。


まつり「ほ? このみさん、あなたは『脅されて』いるはずなのです。何故未来ちゃんと意見の相違が起こるのですか?」


未来「ん? やだなーまつりさんには、全然関係ないじゃないですかァ~」


まつり「関係がないなら襲ったりはしない筈です。今なら『間に合い』ますよ、このみさん」


このみ「えっ…」


未来「いやいや、だから、裏切らないように『脅して』るんですよ? 引き込もうって言うなら無駄無駄」


まつり「未来ちゃんの意思こそ関係ないのです。これはこのみさんの選択であってあなたが決めるべきことではありません」


このみ「私は…」




未来「裏切るつもりですか?『黒幕』から『家族』がどうなってもいいのか聞かれてるんですよね?」


このみ「私は、未来ちゃんを…」


まつり「このみさん」


未来「わかってますよね?」


ゴゴゴゴ


このみ「未来ちゃんを裏切らないわ」


未来「ほら」


まつり「…………それは」


このみ「未来ちゃんの味方。だから」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ


このみ「未来ちゃんを正気に戻すッ! 大人として、今更だけどやらなくちゃあならないわッ!」


まつり「Good!」


未来「じゃあ死んじゃえ」


スパッ


このみ「なっ…!」


未来「あれ?」


奈緒「『H・L・ジェットマシーン』」


奈緒「三人とも私を無視して話すなんてひどいわ~」


未来「剣が…剣が削れたッ!?」


ガオン!


このみ「ありがとう…」




奈緒「これからは仲間ってことでよろしく♪」


未来「私とは十分に距離があった…奈緒さんのスタンドで私のスタンドは削れない距離のはずッ! 一体何を…」


まつり「このみさんが距離感を操った…」


奈緒「ちゃうで」


まつり「!?」


未来「…『H・L・ジェットマシーン』にはまだ何かが…ある」


奈緒「簡単な話や。コップに入った水をストローで吸えます。でも流石に氷はストローじゃあ吸われへんな」


奈緒「そんなら、ストローの大きさを変えたらええねん。タピオカ用のとか広いやん」


奈緒「な、簡単やろ?」


未来「…………」


ドドドドド


未来「いいよ…掛かってきなよ…全員纏めて返り討ちにするから…」







未来「この場でぶっ殺すッ!」






To be continued…

終わりだよー(o・∇・o)


未来ちゃん本当はいいこなんです




本体・人間・馬場このみ
スタンド『ディアー』

近距離パワー型・人型

破壊力A  スピードE  射程距離E

精密動作性B  持続性C  成長性無し

能力射程D(3メートル)


能力『距離感を狂わせる能力』



赤いランドセルを背負ってそうな子供、っぽい赤いスタンド

色々な意味で破壊力は抜ギュんだが、動きは遅い。



前回のあらすじ


未来「かかったね!」


奈緒「汚いな流石未来汚い」


亜利沙「そんなことよりお祭りでしゅ!」


奈緒「持っていかれたぁぁぁぁあ!」


まつり「持っていかれたのですぅぅぅうう!」


このみ「グラットンすごいですね^^」


未来「それほどでもない」



おわり(o・∇・o)

投下します



未来「この場でぶっ殺すッ!」






奈緒「なんやて!」


このみ「そう…」


このみ「少し痛いけど我慢して…」


スタスタ


まつり「迂闊に近寄っては行けませんッ! 窮地にこそスタンドは力を発揮します!」


このみ「『ディアー』」


このみ「能力射程は三メートル。未来ちゃんの『距離感』はもう崩れ去ったわ。まともに動くことは出来ない」


未来「」ピトォ


奈緒「! 未来が全然動いてへん、呼吸と瞬きくらいしかもうしてへん…」


まつり「…心配は無用だったようなのですね」


このみ「一体どうやったら『治る』のかしら?」


まつり「漫画では大抵、殴って解決するのが多いのです」


奈緒「気絶するくらい?」




このみ「それじゃあ、いくわよ?」


このみ『ほらァ!』


ブン




未来「ところがどっこい」





奈緒「何ッ!?」


未来「どんな能力にも『対処法』はあるんだなぁ~これが」


ガキィィィン


このみ「まずいッ!」


『ワンダフルミラクル』は『ディアー』のパンチを盾で受け止めると、そのまま盾で殴り返す。


未来『ほら!』


『ディアー』の動きはとても遅く、このみは防御が不十分のまま飛ばされた。


ガッ


その小さな体はあっけなく宙を舞い、このみの能力射程から未来はいなくなる。


このみ「くっ…未来ちゃんのパワーは強力よ!」


未来(このみさんの射程距離からはなんとか逃れられたけど、これは長続きしない『対処法』)


未来(じり貧になる前に逃げて、適当に遊撃した方がいいかな?)


未来「残念だけど、私…そろそろ帰りますね」


まつり「させません!」
奈緒「させるか!」


まつりは壁を伝い、奈緒はまつりの逆サイドを走り、未来を挟撃する。




未来「遅い遅い!体のバランスが取れてないんじゃあないの!」


まつりと奈緒はそれぞれ、片足と片腕が使用不可な状態であるため上手く未来を追えない。


奈緒「遅くてもな…引き寄せるッ!」


ガオン!


未来「ッ!」


奈緒「オラァ!」


走っている体勢のまま引き寄せられた未来の背中にパンチをお見舞いする。


ブン


ガッ


未来「ふふふ…」クル


ゴゴゴゴ


未来「パワーが足りないよ…?」


奈緒「!?」


奈緒の一撃が盾によって防がれただけでは終わらない。


未来「まずはひとぉぉぉり…」


剣は半分ほどになったが殺傷能力は十分に機能している。未来はそれを躊躇なく降り下ろす。


ブン


まつり「離れてくださいッ!」


ドンッ!


まつりは壁を押し、未来の元へ飛び込んで刃を手に挟む。


未来「真剣白羽取り…実際に出来るんだ!」


奈緒「ま、まつり!」


まつり「二酸化炭素から未来ちゃんを離しますッ!」


ゴッ


未来「!」


未来の体を天井へと打ち上げ、スタンドの射程距離から無理矢理離れる。




未来「がふっ…」


天井でバウンドした未来はそのまま地面に強く打ち付けられる。


まつり「少し離れましょう…」


奈緒「うん…肩貸すで」


このみ「二人とも大丈夫!?」


奈緒「なんとか…」


未来「ふ、二人ともよくも…!」


ゴゴゴゴ


このみ「奈緒ちゃんまつりちゃん」


奈緒「?」
まつり「?」


このみ「ここは私が決着を着けるわ。責任の一端は私にあるから…」


奈緒「でもこのみさん一人で…」


スッ


まつり「行くのです。ここで立ち往生しても『コネコネ』に囲まれる危険があります」


奈緒「!」


このみ「たぶんそういうことよ。亜利沙ちゃんたちは放送室…奥まで進んで右に曲がった所にある部屋にいるわ」


未来(暴露されちゃったか…剣の再生には時間が掛かりそうだし…三人はキツいなぁ)


このみ「みんなを正気に戻してあげて…頼んだわよ…」


奈緒「…任せて!」


まつり「心配無用なのです」


二人はそれだけを言うと奥へと走っていった。


このみ「さて」


ゴゴゴゴ


このみ「けりをつけましょう」


未来「あんまり嘗めない方がいいですよ」




スパッ


未来「『切り取って』るんですから」


このみと未来のいる範囲は丸々切り取られており、未来が足踏みをすると一階へ落下する。


ドォォォォン!!


このみ「なっ…!」


グラッ


未来(揺らいだッ!)


未来「隙あり♪」


落下直後に体勢が崩れるのを見越していた未来の行動は迅速、このみにタックルを噛ます。


このみ「『ディアー』」


キィィィィィン


このみ「実はまだ落下中なのよ」


足が少し浮いており、まともに力を入れて歩くことは出来ない。


未来「!」


ドンッ!


衝撃が下から上へ突き上げ、未来の体を揺さぶる。


未来(まずい…ッ!)


このみ「今のは『落下距離』を短く感じさせたわ」


このみ『ほらァ!』


ブン!!


ドガァ!


未来「ぶふっ!」


ドサッ


未来(や、やっぱりパワーが強い…。なんとか対抗できる位だけど、『距離感操作』を動作の合間に挟まれると辛いなぁ…)




未来「なかなかやるね!」


このみ「まだ戻ってないのね」


未来「それよりも、『周り』が見えていますか?」


このみ「えっ…!」


一階。


奈緒とまつりはここで『コネコネ』に遭遇した。


要はナオとマツリがまだいたのだ。


ナオ「ケンカ?」


マツリ「フワフワー」


このみ「…………それで?」


このみ「その二つじゃあ私には攻撃できないわよ?」


未来「はい、そうですね。でも…」


未来「『コネコネ』を作らせる…というか、このみさんを『敵』として認識させることは出来ますよぉ…」


未来「『自己』に攻撃する『自己』は要らないんですよ?」


このみ「!」


モゾモゾ


アリサ『ダメデシュ』


アリサ『ダメデシュネ』


未来が切り取った部分の断面からアリサが顔を覗かせる。


このみ「なっ…」


このみ(まずいわッ…援護されたら勝てない…未来ちゃんが…)


未来「何をボーッとしてるんですかッ!」


このみが上を見上げた隙に後ろへ移動した未来だったが、『距離感操作』で動きを止められてしまう。


未来「」ピトォ




このみ「後ろ!」


ブン


拳が当たるまでの間、未来の思考は加速していた。


未来(…これは『動かしたい距離』と『実際に動いている距離』を誤認させられているね…体が全く動いてない)


未来(『対処法』は片目を瞑ること。このみさんの能力は両目に作用するから、脳に伝わる情報を減らせば少しはましになる…)


未来(ただ、これは本当に一時しのぎ。なんとか攻撃する策を考えないと…)



パチ



未来「遅いですよ」


ガシィッ


このみ「!」


『ワンダフルミラクル』で『ディアー』の片腕を拘束する。


ギギギギギギ


このみ(やっぱり動く…!)


このみ「なるほど、『対処法』ね…」


ドドドドド


未来「!」


このみ「見破ったわよ」


未来(離れないと!)


バッ


このみ(よくわからないけど…)


このみ「上書きするッ!」


キィィィィィン


未来(しまった…『片目』で十分な量の『情報』を送り込まれた…。『実際に動いている距離』が違う…)


ピタ


このみ「ん?」




このみがジッと未来を見つめる。


ゴゴゴゴ


未来(まずい…このままだとタコ殴りだよ…)


このみ「ああ! 目を瞑ってたのね!」


未来(さっきのはブラフ…ッ!)


このみ「未来ちゃん、次起きたときはちゃんともとに戻ってね」


未来「………………」キッ


その時、このみの後ろから何か『白い小さな粒』が迫る。


この一階にはナオとマツリが残っているが、今度やって来たのは奈緒とまつりの足にくっついた物と同じもの。


「」ススススス


ゴゴゴゴゴゴゴゴ


未来(来たッ…『触角状細胞』!『馬場このみ』の情報を『ヘルパーデータベース』に渡す仲介役ッ!)


未来(『スーパーナチュラルアクティブショウアイドルちゃん』が味方で良かった…)


このみ「元に戻って…!」


このみ『ほらほらほらッ!』


ドガドガァ!


未来「ぐふっ!」


ドバァァァァ!


このみ『セクシーダイナマイッ!』


ドサッ


未来「う…う…」ピクピク


このみ「はぁ…疲れたわ…」




未来「」ガク


このみ「未来ちゃんは…気絶したかしら?」


様子を見に行こうとした時。


チク


このみ「!?」


バッ


「」チウチウ


このみ「なっ…なによこれはッ!」


このみ『ほらァ!』


スタンドで足に付いた白い粒を払う。


バッ


このみ「白い…お米? いえ、それよりも未来ちゃん…」


ピト


このみ「ちゃんと生きているみた――


 エーアールアイエスエー!   エーアールアイエスエー!
『A・R・I・S・A! A・R・I・S・A!』


警報が鳴り響く。奈緒達と同じだ。


『侵入者ですっ!侵入者ですっ!』


このみ「なるほど…そういうことね…」


ドドドドド


このみ「この白い粒が侵入者を認識するのね」


ブチッ


アリサ『シンニュウシャサンデシュ』


アリサ『アリサコロシ、イナーイ』


このみ「そういえば、亜利沙ちゃんに顔だけそっくりのがいたわね…」




――――亜利沙『亜利沙のスタンドは、亜利沙の意思と関係なく侵入者を退治しちゃいます!』


このみ「自立型……これを倒しても意味は無さそうね」


うねうねとどこかへ向かうナオとマツリを見ながら言う。


未来「ぅ……んう……」


このみ「! 未来ちゃん!大丈夫!?」


未来「あ…れ? このみさん? 私…どうしてここに…?」


このみ「あぁ…良かった…無事で良かった…」


未来「???」


胸を撫で下ろすこのみだが、未来は辺りを見回して不安げにしている。


このみ「どこも痛まない? あっ、今何が起きているのか説明しないと…」


このみに聞かれ、体が痛いことに気づいたようだ。


未来「えーっと……全身痛いです」ズキズキ


このみ「ごめんなさいね…それも含めて説明を…」


未来「! 後ろに!」


このみ「!」サッ


コノミ『ウフフ、ウフフ』


このみ「わ、私の顔!?」


ドドドドド


未来「わっ!このみさんだ!」


このみ「近寄っちゃダメよ、私の後ろにいて!」


ドドドドドドドド


このみ(一体、どんなスタンドなのかは私も知らない。だから、慎重に探りを入れないと…)


このみ「あまり近づかずに判別した方がいいわね…何かあったら対処できないわ」


コノミ『イタ、イタ』


ジリジリ

このみ(動きはとてもゆっくり。アリサちゃんみたいに数も…)

このみの考えとは裏腹に、後から続々と出てくる『コネコネ』。



ゾロゾロゾロ


未来「ひえっ、いいいいっぱい来た!」


このみ「あれはスタンドよ。でも今のうちは守ってあげるから」


このみ(かなり多いわ、10…15…むむむ)


このみ「未来ちゃん。まだ『偽物』が出てきてない右側の階段から二階に――


グサ


このみ「……え?」


未来「守ってもらう必要はありませんよ?」


後ろを向けたこのみは完全に油断していた。


『気絶すれば治る』なんて言うのは真っ赤な嘘…とまでは言わないが、未来が気絶したとは誰もいっていないし、その方法で元に戻る保証はなかった。


未来「このみさんが『次起きたとき』なーんて言ってたんで、気絶して何も知らないフリをしてました」


このみ「あっ…あっ…」


グググ


未来は短くなった剣を背中に突き立て、傷口をグリグリと抉りながら引き抜く。


ブシュッ


ブシュッ


このみ「そ、んっ…みらいちゃ…」


未来を助け、ほんの僅かでも自分の『罪』を清算しようとしたこのみだが、結果は無駄に終わった。


あとに残ったのは致命傷と、何も出来なかったという無念と後悔。




立ち向かう心は音を立てて崩れ始め、楽しかったアイドルの日々が、今までの人生が頭に流れる。


特に親しい間柄にあった莉緒。


毎日おおはしゃぎして、とても楽しい時を過ごした仲間たち。


無愛想だが仕事はできる事務員とプロデューサー。


今まで健やかに育て上げてくれた両親、共に成長した妹。


別れの言葉すら言えずに会えなくなると考えると、えもいわれぬ寂寥感を覚え、大粒の涙が流れ出る。


このみ「どう…し、て…ど…して…」


このみでは『救え』なかったのだ、だから未来が牙を剥いた。


このみはそんな未来を『かわいそうだ』と思う。


未来「大人ぶってますけど、スタンドならまだまだ、まだまだまだ、まだまだまだまだまだまだまァーーーだ子供ですよッ!」


ズッ


ドガッ!


未来は再びこのみに躊躇なく剣を突き立て、盾で思いっきり殴り飛ばす。


ぶっ飛ばされたこのみは、コノミの上ではなく、マツリの上に着地。幸いにも呑まれることはなかった。


このみ「……ッ!?」


未来「あれ? 手元が『狂う』なんて…ああ、景色が歪んで…」


このみ「…………!」


小さい小さい水の一滴をこのみは見逃さなかった。


視界は薄暗く、涙でぐちゃぐちゃだというのに、決して見逃さなかった。




未来「涙…? なんで…」


ズキッ


未来「ッ! 痛い…痛いよ…どうして…頭が…胸がいたい…」


このみ(ないてる…かわい、そう…)


――『私、トップアイドルになって、みーんなを笑顔にしちゃいます!』


このみ(そういう…娘だった…ね…)


――『歌もダンスも、頑張っちゃいますよ!』


このみ(あんなに…いっしょう、けんめいで…)


未来「うううぅぅぅ…」


このみ「あんなにッ…あんなにッ…!」


このみのその小さな体からは大量に血が流れ、脊髄の一部分は切り裂かれまともに動けない。


このみ「あんなに苦しんでいる娘がいるのにッ…」


手も足も正常に動かすことは叶わない、それでもこのみは立ち上がろうとする。


このみ「黙って見てられるかッ!!」


壊れかけた心に火が灯り、『何か』への激しい怒りと、命を賭けた闘志が燃え盛る!


このみ「私のスタンドッ、『ディアー!』」


未来「はぁ…はぁ…、まだ…来るかッ!」


このみ「最後よ…力を貸してッ!」


このみは全身を無理矢理駆動させ、体を飛び上がらせて跳ぶ!


未来「はぁ…はぁ…、ここで…たお…す!」


まっすぐに向かってくるこのみに、未来は背を向けずに立ち向かう。


未来「ワンダフル…『ワンダフルミラクルッ!』」


未来「ここで終わりだよッ!」


このみ「私がやらずに、誰がやるのッ!」


盾を構える未来のスタンド、このみのスタンドは真正面から拳をぶつける。




未来「無駄なんですよ! 無駄無駄!」


このみ「っしゃおらぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」


ドン!


ビキビキ…


未来「砕ける…盾が…!」


このみ「このまま…」ギリ


ピシッ


このみ「殴り抜くッ!」


ドガァ!


未来「うわぁぁぁぁぁぁぁあああああ!」


このみ『ほらほらほらほらッ!』


ドゴドゴドコ


このみ「未来ちゃん…さようなら…」


ドバァ――!


未来「ぐぶっ!」


ドサ


再びぶっ飛ばされる。


このみ「」フッ


ドスン


このみ(未来ちゃんは…これで…本当に…)プルプル


未来「ぁ…」












未来「危なかった…!」


このみ「……そ……んな」



未来「盾で、衝撃を和らげてなかったら…」


MP『アブネートコロダッタゼ』


未来の頭の上にスタンド『マスターピース』が現れる。


ゴゴゴゴ


このみ「ゆる…さない…!」ギリ


『Da』のアイドル達を『操って』いたのとは別のスタンド。元々、ただならぬ気配を感じ取っていたこのみは『全く別』のスタンド使いがいると予想していた。


それはよくも悪くも当たっており、目の前に現れたスタンドは、他人に取り憑いて操るような極悪非道のスタンドで、今未来に取り憑いていたとこのみは確信した。


しかしこのみに立ち上がる力は無い。先程全てを出しきったのだ。


MP『ザマァ、ネーナ』


このみ「…………わたしがっ、しんでも!



このみ「あなたはッ! ぜったいに、やるさない!」


MP『ヘッ! 死人ガ生者ヲ恨メルカヨ!』


未来「あ、あれ…いたい…体が……」


MP『チッ、「支配」ガ緩ンダカ』


このみ「みらい…ちゃん…」


未来「このみさん? なんで…え? 私が…?」


MP『パンパカパーン! 大・正・解!』


このみ「未来ちゃん! 上の…スタンドをッ!」


未来は全てを察した。


未来「いやだ…いやだよ!」


意に反して未来の体は動く、『ワンダフルミラクル』は剣を取る。





精神の呪縛が緩んで意識が解放されても、未来を操る『支配の根』は途切れていないのだ。


MP『テメエハ! テメエノ手デ! 仲間ヲ殺スンダヨ!』


このみ「私の、夢を…あなたが…」


『ワンダフルミラクル』が手に握られた剣を構える。


未来「このみさん、逃げて!」


未来の願いは決して叶わない。このみはもう動ける体ではないのだ。


このみ「ごめんね…ごめんね…」


悲哀に満ちた声は虚しく響く。


MP『オシャベリハ、終ワリダ!』


未来「いやぁぁぁぁぁああああああ!!」


MP『死ネェェェェェェェ!』












馬場このみ――死亡




――事務所

ガタッ


P「はっ!?」


勢いよく椅子から立ち上がるプロデューサー。


P「…『ステップアップガチャ』第二の能力は『未来予知』…」


P「今見たものは…『未来』だ。起こる可能性のもっとも高い『未来』を見た…」


冷や汗をべっちょりとかくプロデューサー。


時計は午前四時を指し示していた。


P「今ならば間に合う…ッ! 対策を取る…!」


P「うまくいけば彼女達の大きな成長となるが、選択を誤ってはいけない…」


P「全てが通じているのだからな」





午前6時


志保の家にて




志保「zzz…zzz…」


プルルルルルル


志保「…ぅん?」


寝起きに携帯が鳴り、少し苛立つ。


ピッ


志保「はい…もしもし?」


P『私だ』


志保「どうしたんですか…こんな朝早くに…」




P『今日、学校は無いな?』


志保「は? ありませんけど…」


P『頼みたいことがある』


志保「…………」


P『『過去に戻る』スタンドの件だ』


志保「…何をやればいいんですか」


P『今から静岡に行ってもらう。新幹線に乗ってくれ、チケットはポストにはいっている』


志保「突然ですね…。わかりました」


P『頼むぞ。……それと』


志保「?」


P『立ち塞がるものは如何なる手段を使ってでも排除しろ』


志保「…………」


志保「朝から物騒ですね」


P『今日そういう日だ』


ツーツーツー


志保「はぁ…弟の朝ごはんを作って、支度して…急がないといけないわね」


時計『朝です!朝です!6時です!』


志保「うるさ…」


ポチ


スタンドで目覚ましのボタンを押す。


志保「すっかり慣れたものね」




それから志保は着替えを済ませ、弟を起こして朝ごはんを作る。



志保「お姉ちゃん今日はお仕事があるから、知らない人が来ても開けないでね。 お母さんは疲れてるから起こさないであげて」


弟「はーい」


志保「それじゃあ、行ってきます」


志保は財布と携帯、小さなポーチのみを持って家を出る。


志保「たしかポストに…」


カポ


志保「あった」


カサ…


志保「? チケットと…メモね」


茶色い封筒に入っていたのは上野駅発の新幹線のチケットと一枚のメモ帳。


『タクシーに乗って移動せよ』


志保「経費で落ちるかな…」


キキッ


そこに一台のタクシーが止まり、運転手が話しかけてくる。


運転手「あんたが…」


ゴゴゴゴ


運転手「あんたが『北沢志保』か?」


志保「ッ!」


志保(な、なに…コイツ…。急に現れた…まるで突然、虚空からパッと…)


ゴゴゴゴゴゴ


運転手「あんたが、『北沢志保』か?」




志保「そうよ…。 で、何?」


運転手「『プロデューサー』に雇われた『ただの』運転手だ…」


運転手「目的地までの『安全』を保証しよう」


志保「…………」


志保(これは…『罠』?)


その時、再び携帯が鳴る。


運転手「出な」


志保「…………」ピッ


P『私だ』


志保「タクシーに、乗るんですか」


P『他のスタンド使いに見られたくない。『可能性』を少しでも減らす』


志保「…支払いは?」


P『こちらでやっておく。手さえ出さなければなにもされん。そこは信用していい、彼もプロだ』


プッ


志保「切れた…」


運転手「それで、何だって?」


ゴゴゴゴ


志保「乗ります」


志保がタクシーに乗り込むと、車が沈み始める。


志保「!?」




即座にスタンド使いだと理解する。


志保「『ライアー…」


運転手「待ちな。自己紹介がまだだったな。『死体の隠蔽から麻薬の運搬』言われればなんでも運ぶ『運び屋のサトウ』」


志保「…………」


よくよく言われてみればこの男の顔は見えない。マスクで顔を覆っている。


運転手「あんたの『プロデューサー』からの報復が怖ェ~しよォ、3億も貰えるんだぜ。やましいことはしねぇよ」


志保「…………」


運転手「おっと、座布団を渡しておくぜぇ」


志保「別に、いりません」


運転手「へっ、あんたそんな血だらけの場所が好きなのか」


志保「は?」


志保が座席を見てみると、赤黒い跡が幾つも付いていた。


志保「!?」バッ


運転手「ひゃははははは! テメーおもしれーな!」


志保「…………」イラッ


それからは何事もなく、上野駅に到着する。


運転手「ついたぜ」


志保「…………」


志保は地面に穿たれた扉から出る。


運転手「じゃあな」


バタン


扉がしまると車は影も形も無くなり、形の崩れた床も元通りになっていた。


志保「スタンドでなら、どんな悪事でも出来る…」


志保「…いえ、気にしないことにしましょう…」


そのまま志保は地面に新幹線に乗り込み、上野を発つ。




――――――――――――――――――――

運転手「仕事は終わった、約束の金は公園のベンチにでも置いてくれ」


ピッ


運転手「ケッ、たった十数キロで3億だぁ~!? 笑わせるくらい簡単なお仕事だなぁ」


運転手「前金の1億は受け取ってるし、逃げるに限るぜ。いくらなんでも怪しすぎる」


運転手「このまま成田で…」


「まもなく、目的地に着きます」


運転手「どっかに高跳びよォ~」


運転手「うへへへへ、はへへへへ」


ガチャ


運転手「新しい人生の…」


P「何処へ行く」


バタン


ドドドドドド


運転手「ま、まずい…殺される…先回りされて…」


P「何を慌てている」


運転手「ひっ、ひぇええええええ!?」


運転手「な、なんでもします! 口でも喉でも潰すから命だけは!命だけはァ~」


ドン


P「約束の金を、持ってきた」


運転手「へ…? あ、いえいえ、な、成田土産のまんじゅうをちょいと…買おうと思いまして…へへ…」


P「仕事は終わりだ」


運転手「あはははははははは! お、お疲れ様です!」




ガチャ


P「また頼む」


バタン


運転手「はぁ…はぁ…冗談じゃねえ…死ぬかと…」


P「仕事は、終わりだ」


運転手「へ?」


P「私用だ」


運転手「ど、どのような…」


P「貴様のような下衆を生かす訳が無い」


運転手「はひ?」


グチャ


P「金は返してもらう。彼女たちが稼いだものだからな」


――運び屋のサトウ:死亡

―――――――――――――――――――――







――静岡  午前10時


志保「たかが移動でお金を使いすぎです」


P『すまない』


志保「次は何をすればいいんですか?」


P『迎えが来る。まずは仕事をして、終わり次第連絡をくれ』


プッ


ツーツーツー


志保「……はぁ」


志保「用事ってただの仕事…」


??「やっほー!志保ちゃーん!」


志保「この声は…」


麗花「おはよう♪」


志保「れ、麗花さん!?」


?「おーい!まってくれよー!」


麗花「昴ちゃん、志保ちゃんはっけーん♪」


昴「勝手に走ったら駄目だって言われただろ~」


カメラマン「」タッタッタッ
AD「」タッタッタッ
スタッフ「」タッタッタッ


麗花「ほらほら頑張って~。イチ、ニ♪ イチ、ニ♪」


志保「あの…これは?」


昴「いや…ロケしてたらな、プロデューサーからのメールで『志保が来る』って来て」


昴「駅の近くにいたから、麗花さんが探しに出てさー」


志保「もういいです…なんだか頭が痛くなってきた」


スタッフ「『街をぶらぶらするだけだから適当に!』」トントン


志保「はい、わかりました」


志保(随分と自由ね…)


スタッフ(俺たちの台本は時代に追い付いていなかった…)



麗花「走ったらお腹すいちゃった、ご飯食べない?」


昴「え? まだ十時だけど…えーと…ここら辺のうまいもんは…」


ペラペラ


志保「それ、台本ですか?」


昴「そうそう、あってないようなモンだけどな。あ、マイク」


志保「ありがとうございます」


麗花「…でも、まだお昼時じゃないよね…」


昴「そうそう!だから、この『何もできない公園』に行ってみようぜ!」ペラペラ


麗花「えー…なんだかつまらなさそう…私はあそこの猫カフェに行きたいな。全然癒されなさそうで、面白そう♪」


昴「ええ!? 猫カフェって…廃墟の間違いじゃないか…?」ペラペラ


麗花「志保ちゃんは何処に行きたいの?」


志保「えっと…」


志保(カメラがまわってるし、何かウケる様なことを言うべきかしら?)


志保「それなら…」


麗花「じゃあ、台本にあるぬいぐるみ屋さんに行きましょ♪」


志保「ちょっ…勝手に決めないでください!」


昴(!)


昴「あ! 志保って、いっつも熊のぬいぐるみつけてるよな?」


志保「熊じゃなくてネコです! あ…」


昴「」ニヤニヤ


麗花「ほらほら、恥ずかしがらずに♪ ふふふ♪」


グイグイ


志保「押さないでっ…もう…!」




・・・・・・・・・・


・・・・・・・・


・・・・・・


12時――仕事終了


志保「お疲れ様です」


スタッフ(お疲れ様です)


麗花「うーん、今日も楽しかった♪」


昴「新幹線まで時間あるし、適当に打ち上げしようぜ」


仕事が終わると、志保は素早くメールを確認する。


志保(メールが来てるわね)


志保(…………)


『「徳川まつり」に気を付けろ』


志保(……一体どういうことかしら?)


昴「志保? どうかしたのか?」


志保「な、なんでも…!」


まつり「」スタスタ


ドドドド


志保(ま、まつりさんッ…二人とも気付いてないけど、間違いないわ…)




麗花「それじゃあさっそく…」


志保「私は用事があるので、お先に失礼します」


昴「えぇ~」


志保は昴が不満げな声をあげるも無視、そのまま急いでまつりの跡を追う。


志保(『気を付けろ』ね…つまり、襲われるか強いか、ということで間違いないわ)


志保(問題は何処で、誰が襲われるのか)


志保(昴さんと麗花さんかもしれない。ただ、待ち構えていていい相手でもなさそう。だから…)


志保(だからこっちから仕掛ける! 勝負を一瞬で決めるわ)


『まつり』は何処か目的地があるわけでもなく、ただ彷徨う。


同じ場所を二回通ったり、人通りの多い場所を歩いたり、意味もなくUターンしたりと支離滅裂な行動を取る。


志保(動きが読めない…それに、尾行に感づかれているかもしれないわ)


志保(待ち伏せての攻撃がしづらい以上、地面の存在感を消して不意を打つしかないわ)


志保(まつりさんの能力は『離す』能力、離すものは空気しか無いけど、地面を消したら迅速に、確実に仕留める)


まつり「…………」スッ


志保「………………」


スゥ


道を歩くまつりが曲がり角を曲がったのを確認し、『ライアールージュ』を出す。


そして志保は静かに走り出す。




志保(まずは地面、それから攻撃!)


しかし、曲がり角を曲がろうとした瞬間。


P「志保」


何の脈絡もなく、唐突に現れたプロデューサーは背後から志保を呼び止める。


志保「え…」


ドドドド


思わず志保は振り返り、頭の中で考えていた事が吹っ飛ぶ。


『1st step ガチャ』の能力ならば、東京―静岡間など一秒も掛からずに行き来できるだろうが、タイミングが悪すぎた。


集中の切れた志保は不機嫌な声色で尋ねる。


志保「何の用ですか」


P「そう、怒るな。重要な事だ」


志保「はぁ」



さて、曲がり角を挟んでいる志保と『まつり』。


志保が不意打ちを仕掛けることが出来るのならば、


『まつり』もまた同じことが出来る筈だ。


見えない領域の出来事を把握出来るのならば。


P「いいか、大事な事だ。心して聞け」


ドドドドド


P「『まつり』はな…」


志保「…………」




P「『まつり』は…」


ドドドドドドドド


まつり?「『敵』よ」


志保「!」


いつのまにか、志保の背後に回り込んだまつりは容赦の無い蹴りを叩き込む。


志保「そんなことだろうと思いました。『ライアールージュ!』」


しかし、志保の能力によって志保の存在を認識できなくなったまつり?の蹴りは空振り、近くのコンクリート製の壁にひびをいれる。


志保(なんてスピードと『硬さ』…!)


P?「見失った…みたいだね」


まつり?「そうね、恵美」


恵美「琴葉、近くにいるかもよ」


琴葉「大丈夫、ちゃんと分かってるから」


ドドドドド


志保(なるほど、プロデューサーが恵美さんで、まつりさんが琴葉さんですか)


プロデューサーの声で恵美の言葉遣い。


志保(気持ち悪い…)


琴葉「手当たり次第に蹴ってれば当たるかも…」


恵美「え? それじゃああたし、先に麗花さんのとこ行ってくるね。巻き込まれるのいやだし」


志保「!!」




志保(麗花さんが味方かどうかは分からない、でも、昴さんだけは『まだ』味方よ)


志保(先に恵美さんを叩く、琴葉さんは後回しでも大丈夫)


スッ


志保は自分の間近に居た恵美が歩き出す前に、琴葉を蹴ってから恵美に向かって拳を振りかぶる。


ドン


琴葉「ッ! 現れたッ!」


恵美「えっちょっ」


志保「先ずは一人ッ!」


志保『無駄無駄ァ!』


ガギィン…


志保「なっ…!」


弾かれる拳。ラッシュは恵美に命中せず、間に入った『琴葉の』腕によって阻まれた。


琴葉「志保ちゃんの能力って、出現から攻撃までの間がほとんど無いけど…」


ドドドドド


志保「早い…スタンドすら出してないのにッ!」


琴葉「現れる場所が分かっていれば、速さがあれば、絶対に負けない」


バッ


志保は距離を取る。何か策がパッと思い付いた訳ではないが、不利にはならないと読んでの判断。


琴葉「ふふっ♪ それじゃあ恵美、先に行って『予定通り』頼むわね」


恵美「いや~さっすが琴葉。委員長の頼みなら何なりと~」


琴葉「もうっ!」


志保(この二人の役割…恵美さんが『擬態』させて、琴葉さんが『襲う』。恵美さんの能力は
『化かす』能力ね)


ドドドドド


志保(でも、それだけじゃあ意味がない。琴葉さんが今最大の壁)




志保(『生身』でスタンドを受け止めるなんて、海美さん位よ)


琴葉「さて、志保ちゃん」


恵美が去ると、琴葉は志保に向き直る。


琴葉「覚悟はいい?」


志保「『マスターピースッ!』やれるものならやってみなさい!」


琴葉「ふふふふふ」


琴葉「『イーストレッドクレッシェンド』」


琴葉「あなたじゃあ絶対に勝てない、その貧弱なスタンドではッ!」


志保「ゴタゴタとご託を並べるなら…」


スゥ


ガクッ


琴葉「!?」


志保「とっとと降参でもしておけば良かったんですよ」


地面の『存在感』が消え失せ、『落下状態』へと陥る琴葉。志保は半ば勝利を確信していた。


志保(急いで離れて、昴さんと合流しましょう。まずは琴葉さんを振り切って――)


ヒュッ


ガッ


志保「ッ!」




地面に横たわる琴葉の『腕から』アンカーが射出され、志保の真横を通過して後ろのビルに刺さる。


琴葉「私がここに来たのは、『対策』がちゃんとあるから。ね?」


ドドドドド


志保「まさか装着型…でもまつりさんの姿をしている。つまり、恵美さんの『擬態』の効果をスタンドの上から適用させているのね」


琴葉「恵美のスタンド能力も分かったの…そう。これ結構時間掛かったのよ?」


ギャルギャルギャル


琴葉「でもわかったところで何の意味もない、もう『擬態』は必要ないのだから」


アンカーに取り付けられたワイヤーが腕の中へと巻き込まれ、琴葉を連れてビルへと飛び出す。


バッ


琴葉「志保ちゃんも来るのよ」


志保「無駄ッ!」


ドゴドコッ!


ガギィンガギィ


琴葉「ふふっ、可愛い♪」


ガッ


志保「かはッ…!」


『ライアールージュ』のラッシュをものともせず、ラリアットの要領で志保の腹を抱えて飛び立つ。


そして勢いが付いたところで志保を投げ飛ばす。


志保(ま…ずい!空中じゃあまともに能力も使えない…琴葉さんを覆う装甲をぶち抜けないのにッ…)


ビル壁に張り付いた琴葉は反対の手からもアンカーを射出、アンカーはまたしても志保の横を通って別のビルに刺さる。


琴葉「地面に立てると思わないで」


バビュ


志保(来るッ…ワイヤーを伝って!)


ドドドドドド



ギャルギャルギャル


琴葉「遅いわ」


ガッ


志保「ッ…!」


ギャルギャルギャル


琴葉「今度はビルに叩きつける。言い残すことは?」


琴葉は志保を抱えながら空中を駆けるが、やられっぱなしではない。


志保「どうやら…パワーは低かったみたいですね」


琴葉「何…?」


ググググッ


琴葉「!」


志保は自分を掴む腕を強引に引き離し、そのまま琴葉の背中に回り込む。


志保「最初の一撃、パワーが無ければ出来ないと思ってましたが、これだけのスピードと質量、硬さがあれば可能です」


琴葉「そう…後ろを取って勝った気なの?」


志保「もちろん、ありったけのラッシュをぶちかまさせてもらいますよッ!」


『ライアールージュ』は足を琴葉に絡ませ、姿勢を維持したままラッシュを頭に喰らわす。


志保『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッッ!』


ドガドガドガドガドガドガッ!!


志保『無駄ッ!』


ドガン!


志保(いくら防御性能に優れているといっても、これだけ頭に衝撃が伝われば軽い脳震盪くらいは…)


琴葉「ふふふ」




ギャルギャルギャル


琴葉「遅いわ」


ガッ


志保「ッ…!」


ギャルギャルギャル


琴葉「今度はビルに叩きつける。言い残すことは?」


琴葉は志保を抱えながら空中を駆けるが、やられっぱなしではない。


志保「どうやら…パワーは低かったみたいですね」


琴葉「何…?」


ググググッ


琴葉「!」


志保は自分を掴む腕を強引に引き離し、そのまま琴葉の背中に回り込む。


志保「最初の一撃、パワーが無ければ出来ないと思ってましたが、これだけのスピードと質量、硬さがあれば可能です」


琴葉「そう…後ろを取って勝った気なの?」


志保「もちろん、ありったけのラッシュをぶちかまさせてもらいますよッ!」


『ライアールージュ』は足を琴葉に絡ませ、姿勢を維持したままラッシュを頭に喰らわす。


志保『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッッ!』


ドガドガドガドガドガドガッ!!


志保『無駄ッ!』


ドガン!


志保(いくら防御性能に優れているといっても、これだけ頭に衝撃が伝われば軽い脳震盪くらいは…)


琴葉「ふふふ」


志保「!?」


ドドドドド


琴葉「ふふふ、ふふふふふふ」


琴葉「安っぽい魂胆が見え見えよ。脳震盪でも起こればいいとでも思っていたんでしょう?」


琴葉「そんな貧弱なパワーで、ダメージを与えられる訳無いでしょ? 何のための装着型なの」



クルッ


琴葉は精一杯の抵抗を嘲笑うと、ビル壁に刺さったアンカーを回収し、その矛先を志保に向ける。


琴葉「刺さりたくなかったら離れなさい」


志保「ッ!」


志保は絡み付けた足を即座にほどき、琴葉を踏み台にして跳ぶ。


それに続いて琴葉はアンカーを打ち出すが、志保の真後ろで×の字を描いてしまい当たることは無かった。


志保(なんとか窮地は乗りきったみたいね)ホッ


志保が安心するのも束の間、伸び続けるアンカーはピタリと止まる。


琴葉「詰めが甘いッ! あなたは今『輪』の中に居るッ!」


動きを止めたアンカーには勢いだけが残り、志保を中心に回転、ワイヤー部分が巻き付く。


ギチッ


志保「なっ!?」


それから琴葉は前に向き直り、ワイヤーを少し回収する。


アンカーは腕から出るため、琴葉が志保を抱き上げるような格好になる。


ギャルギャル


琴葉「捕まえた…志保ちゃん」


志保「離し…なさいッ!」


志保『無駄無駄無駄!』


ドガドガドガ


琴葉「無駄無駄無駄、この『鎧』は攻撃を遮断する。弱点は無いッ!」


ギィィィィィイン


志保「!」




志保の腹部にびっしりと巻き付けられたワイヤー。その延長線上には拳があり、今拳と腹部の距離は離れていた。


琴葉「何をするか分かる?」


志保(ほ、本当にヤバイ…存在感を消しても脱出は出来ないし、受け止めようにも私のパワーじゃああの衝撃を抑えられない…)


切羽詰まる志保が何を思おうと現状の打開は不可能。


ワイヤーと繋がれた拳は勢いよく紐を吸い込んで志保の腹にささる。


琴葉「こうやって…」


ズドン!!


志保「ぃがッ!?」


琴葉「ワイヤーを出して、戻して」


ズドン!!


志保(やば…息が…)


琴葉「ピストンの、ように!」


ズドン!!


志保「……ぐッ!」


琴葉「ぶち込むッ!」


ズドン!!!!


グッ


志保「あ……あ………」


志保(…………? …………)


志保の頭の中は痛みのあまりまっさらになり、体もぐったりとし始める。




琴葉「志保ちゃぁあん…ビルに向かって突っ込んでる事を忘れないでね」


志保「う…」


ダメージを与えることはおろか、抜け出すことも出来なかった志保は琴葉と共にビルに突っ込んでしまう。



ヒュウルルゥゥゥゥウウ


ズドァォォォォンン!!


パラ…


志保の意識は衝撃によって強制的に戻され、琴葉はアンカーを巻き付けたまま志保の上に馬乗りになっていた。


志保(…………何か……手段は……)


琴葉「決して手は抜かない、息の根が止まるまで殴り続ける」


ワイヤーを飲み込む機械音は一瞬で迫り、肉を打つ音と共に帰還する。


ズドン!!


志保「………………!」


志保の肺から吐き出された空気は乾いた音を立て、地面に横たわる体は大きく跳ね、口の端からは血が零れる。


琴葉「志保ちゃぁぁぁあん、血が出てるわよ?」




琴葉「それにぐったりしてる…体温も下がってるんじゃあない?」


志保「ヒュー…コヒュー…」


志保の目から闘志は消えていなかった、あるかもしれない『過去に戻る』スタンドを求める心は簡単には折れない。


ゴゴゴゴ


琴葉「…………生意気な目。この状況をどうにか出来ると思っているの?」


志保「…やらなきゃ…やられ、る……どうにか、するのよッ」


琴葉「ふざけた精神論で勝てると思わないで!」


志保「私は、やるのよッ!『ライアールージュ!』」


最期の力を振り絞り、志保は琴葉に殴りかかる。


琴葉「効かないって何度いったら…っ!」


ここで気付く、『鎧』は琴葉を覆ってはいなかった。


琴葉「鎧が…無いッ! 『擬態』も…まさかスタンドの存在感をッ!」


志保「うおぉぉぉぉぉぉぉおお!!」


志保『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!』


ドゴドゴドゴドゴドゴドゴッ


ドバァ――ッ!


琴葉「くはっ…!」


ガクッ


琴葉はラッシュをまともに受け、壁にぶつかってぐったりとする。


志保「やったわ…」




辛勝の代償は大きかったが、志保は迅速に次の行動へ移ろうとする。


志保「急いで昴さんに連絡を…ゴホッゴフッ!」


ベチャア


志保「血が…内臓を、痛めたわね…」


ドサァ


志保「あ、足も震えてる…今はまともに歩けなさそうね…」


壁にもたれ掛かって座り込む志保はスマホを取り出して昴に連絡をとる。


数回のコール音の後、昴が電話に出る。


志保「……もしもし」


昴『もしもーし、どうしたんだよ?急に連絡なんかして』


志保「私はスタンド使い、です」


昴『は?』


志保「恵美さん…というより、劇場の誰かの姿をした人には気を付けて下さい」




昴『ちょ、ちょっと待てよ! いきなり言われても分かんないよ!』


志保「時間が、ありません…理解してください…」


昴『わ、分かった…で、何か用なのか?』


電話越しでさえ伝わる程の迫力に押され、昴は思わず返事をしてしまう。


志保「スタンド使いに、襲われていないのなら、助けに来てほしいです」


昴『……スタンド使いかぁ』


志保「……都合がいいことは分かっています」


昴『え? いや、志保がなんか…えーと…道に迷って…』


志保「…?」


昴『あっ、ちょっと麗花さ』


麗花『迎えにいくから、志保ちゃんの『小学生メイド』が見てみたいな♪』


志保「遊びじゃ無いんですよ…まったく…」


志保(麗花さんは色々と不確定な要素が多すぎる…でも、逆に言えば味方に引き込むのも簡単かもしれない…)


志保「…分かりました。なるべく急いで欲しいです、場所は――」


ガチャ…


志保「ッ!?」





誰もいないビルの中、金属が僅かに震える音が響く。それは聞き覚えのある『鎧』を動かす音。


志保「そ、そんな…」


麗花『志保ちゃん…? どうしたの?』


ガチャリ、と思わずスマホを手から落として麗花から心配されるが、他人の心配に付き合う心の余裕は無いし、もう気遣いの言葉は耳に入っていない。


出来たばかりの打撲痕が酷く疼く、心臓が高鳴る度に呼吸は荒く、頭の中では警報が鳴り響いていた。


志保「あれを…どうやって倒すのよ…」


咄嗟に思い付いた苦肉の策で何とか『田中琴葉』は倒した。


しかし、自分に問い掛けて、自分で気付く。


志保「『マスターピース』を、倒さないと駄目なの…? 引きずり出す方法も分からないのに…」


琴葉「志保ちゃぁぁぁああん」


嬉しそうに志保の事を呼ぶ『鎧』をまとった女、田中琴葉が立ち上がる。


炎を連想させる紅蓮の西洋甲冑は琴葉の全身を覆い、わざとらしく、追い立てるように、威圧するように音を立てて迫る。


麗花『志保ちゃん! 返事をして!』


昴『おい志保! 何か――』


琴葉「少し黙っててもらえる?」


バシュッと打ち出されたアンカーが志保のスマホを砕く。


志保「あ…」


自らの場所を伝える唯一の連絡手段、最悪の逆境に示された光明が消える。


琴葉「二人きりで楽しみましょ?」


その無機的な声は暖かみのある『琴葉』の声とは違う、剣のように研ぎ澄まされた眼光は志保をその場に縫い付ける。




志保(くっ…まずはどうやってダメージを…『マスターピース』にダメージを与えられるのかを考えて…)


ガチン、と背後の壁にアンカーが突き立てられる音が鳴る。


琴葉「このままミンチにするわね」


志保「ッ!」


志保が僅かに反応した直後、爆発的な加速と共に鋼鉄の鎧が壁をぶち抜き廊下へ飛び出る。


ドァォォォォォン!!


琴葉「…消えたわ」


スピードと質量を兼ね備えた鎧が産み出す破壊力は莫大であり、『ライアールージュ』で存在感を消すのが遅れていたのならば、砕かれた壁と同様にバラバラになっていたはずだ。


志保(危なかったッ…でも今ので確信した)


志保(『イーストレッドクレッシェンド』には『ライアールージュ』で無ければ勝てないわ。むしろ昴さんが来る前に倒さないとッ…!)


琴葉「厄介ね…」


志保(私に『攻め』は通用しない、このままゆっくりと地上に…)


痛む足を押さえながら体を引きずり、ゆっくりとその場を離れる志保。


琴葉「消えた志保ちゃんに対する反撃は必ず無意識的でないと当たらない、少しでも意識すれば『偶然に』避けられてしまう」


ぶつぶつと不穏な内容を話す琴葉に、志保は嫌な予感がしてたまらなかった。




琴葉「つまり、私の意思で行っても、私の意思ではどうしようもない攻撃を…そうよ…そうすればいいのよ…」


ドドドドド


志保(まさか…まさかッ…!)


琴葉「ビルの支柱をぶっ壊す。下敷きにならない方がおかしいわ」


志保(早く階段で…)


琴葉「行動は迅速に、逃走の暇を与えてはいけないわ」


そう言うなり琴葉は壁を砕いて破片を撒き散らし、志保が通るであろう道を塞ぐ。


志保(ッ!)


琴葉「芋虫みたいに這い回ることしか出来ない…障害物は重要ね。そう思うでしょ、志保ちゃん?」


ゴゴゴゴゴゴ


志保(ぬ、抜け目がない…早く、ゆっくりと行かないと…)


再びガチリと音がすると、琴葉は狭い廊下を、部屋を、壁をぶち壊しながら飛び回る。


ドンッ! ドンッ! ドンッ! ドンッ! ドンッ! ドンッ!


志保「なんで…早すぎる…ッ!」


志保のいるフロア――四階――は見晴らしのよい瓦礫の山へと早変わりし、壁に空いた無数の穴からの景色を遮る様なものは殆ど無かった。


所要時間約三分、志保から階段まで残り十五メートル、進んだ距離五メートル。




志保(急がないと…急がないとッ!) 


すると、外から壁を吹っ飛ばして琴葉が飛び込んでくる。琴葉は地面に爪を突き立ててブレーキをかけ、辺りを見渡す。


琴葉「うん、これで大体終わったかな。後は…」


志保「!」


琴葉の視線の先には一際太い柱が何本か残っていた。


琴葉「三、四本折ればいいかな?」


ガチリ


ドンッ!


パラパラ…


琴葉「うーん…あと三回はやらないと折れそうにないわね」


ドンッ! ドンッ! ドンッ!


志保(足が痛いとかなりふり構ってられないッ…出来るだけ…はやく…!)


志保「ゴホッゴホッ…ペッ」


べチャリと血を吐く、内部へのダメージは深く響いていた。


志保「あと…もう少しよッ、もう少しで…着くから…!」


ドンッッ!


琴葉「ふぅ…これで大丈夫ね」


志保「え…?」


ドドドドド


琴葉「この一本で終わり。さようなら志保ちゃん」





志保「あと…一歩ッ!」


ガシッ


ゴゴゴゴゴゴゴゴ


ズゾゾゾゾゾゾ


志保が階段を降りることはなかった。支柱を砕かれたビルの上層階は傾き、崩れ去る。


周囲に散らばった大小様々な破片は衝撃の激しさを物語り、たとえ外に脱出しようとも階段に辿り着こうとも、命は助かり得ないだろう。


琴葉は崩落の直前に別のビルへと飛び移っていた。いくら頑丈な鎧と言えどもビルの崩落を支える事は厳しいらしい。


琴葉「やったわね」


ポッキリと半分に折れたビルを見てほくそ笑み、飛び立つ。





しかし、このような危機的、絶望的状況において志保は生きていた。


『ライアールージュ』の能力ではない。そして断言しよう、『ライアールージュ』の能力では生存は不可能だった。


志保は『入ってきた穴』から飛び下り、スタンドで衝撃を和らげながら着地、すぐさま『裏口』から一階へと侵入したのだ。


志保「はぁ…はぁ…」


階段に行くよりも外に出た方が早い。至極当然だ。


それに建物へ飛び込む前、志保は既に『裏口』を見つけていたのだ。


志保「死ぬよりましね…ぺっ」


口内の血を吐いて休む。


『今は』どう足掻こうとも琴葉には勝てない。


少なくとも昴と合流する必要がある。


志保「あれは…台車ね」


志保は立ち向かう事を止めない。










To be continued…

終わりだよー(o・∇・o)


ミキミキお誕生日おめでとう!

ミキミキコンチカスマリアってありましたよね

麗花さんがスタンドを使います

アイドルからは死者はでません

マスターピースってえげつないスタンド、書いてて泣けてくる

あんぱんって育に似てません?

(o・∇・o)




乙でした

>>576
北上麗花(20) Da
http://i.imgur.com/NeSvBVx.jpg
http://i.imgur.com/YSpgK9j.jpg

>>581
田中琴葉(18) Vo
http://i.imgur.com/UmjMphP.jpg
http://i.imgur.com/B8gYsfU.jpg

>>581
所恵美(16) Vi
http://i.imgur.com/PWjZ3VJ.jpg
http://i.imgur.com/wLxeXat.jpg



>>599
定期的に食べたくなるという意味では似てるかな(ボソッ

世の中には二種類の人間がいるッ!

前からやるのが好きな人と、後ろからやるのが好きな人。

オレは断然後ろだぜ――ッ!!



前回のあらすじ


琴葉「黄金で出来た鉄の塊が皮装備のジョブに遅れをとるはずがにぃ」


志保「勝ったとおもうなよ~!」



投下(o・∇・o)








――ファミレス



昴「ふぃほほふへはひょはっはほひ」


麗花「?」


昴「」ゴックン


昴「志保も来ればよかったのに」


麗花「急いでたみたいだし、財布でも落としたのかな?」モグモグ


昴「それ警察行けよ…ん?」


プルルルルル


ピッ


志保『……もしもし』


昴「もしもーし、どうしたんだよ?急に連絡なんかして」


麗花「?」モグモグ


志保『私はスタンド使い、です』


昴「は?」


昴(スタンド使い…?なんでそんなことをわざわざ…)




志保『恵美さん…というより、劇場の誰かの姿をした人には気を付けて下さい』


昴「ちょ、ちょっと待てよ! いきなり言われても分かんないよ!」


志保「時間が、ありません…理解してください…」


昴(凄く『本気』だ…なんだか声も途切れ途切れだし、嫌な予感がする…)


昴「わ、分かった…で、何か用なのか?』」


志保『スタンド使いに、襲われていないのなら、助けに来てほしいです』


昴「……スタンド使いかぁ」


昴(スタンド使いに襲われる? なんでオレがスタンド使いなのを知ってるんだ? なんだかアヤシイぜ)


志保『……都合がいいことは分かっています』


麗花「昴ちゃんは誰と話してるの? 彼女?」


昴「え? いや、志保がなんか…えーと…」


昴(麗花さんは…多分『部外者』だから…)


昴「道に迷って…」


志保『…?』


麗花「それならいい交番教えてあげる、ちょっと貸してね」


昴「あっ、ちょっと麗花さん…」




麗花「迎えにいくから、志保ちゃんの『小学生メイド』が見てみたいな♪」


昴「何てもの要求してんだよ…」


昴(あれ? 志保は助けを求めていたハズ…)


麗花「志保ちゃん…? どうしたの?」


先程とはうって変わって低いトーンになる麗花。


昴「…そりゃそんなこと言われたら怒るぜ」


麗花「違うの…なんだかガチャって音がして…ぶつぶつ聞こえる…まだ…聞こえ…」


「…………………………」


麗花「志保ちゃん! 返事して!」


昴「麗花…?」


ドドドド


昴(麗花の様子がおかしい…こんなに取り乱してるのは見たことない…まさか!)


昴「代わって! おい志保! 何かあったの…か…」


昴が何かが砕ける音を聞いた直後、通信は途絶えた。


麗花「昴ちゃん…」


昴「携帯がなんか、壊れた…のかな」


昴(どうなってんだどうなってんだどうなってんだどうなってんだチクショウ!)


昴(どうにかして何処かにいってどうにかして志保を助けてどうにかしてスタンド使いを倒してどうにかして…どうにかして…)


ドドドドドドドド


昴「どうすればっ…どうすればいい…オレはっ…」


麗花「落ち着いて、昴ちゃん」




昴「ごめん…でも、なんだか…頭がこんがらがって…」


麗花「まずはもちつきましょ? ね?」


昴「うん…」


麗花「ジュースいれてくるから、待ってて」


昴「うん」


昴(意外と…常識人なんだな…)


ふと、昴が外に目をやると志保が歩いているのが見えた。


昴(あれは…志保?)


志保は真っ直ぐこちらにやって来る。


昴は窓際の四人席に座っていた、もしも奥の方に座っていたのなら、『志保』は気付かなかっただろう。


昴(さっきまで助けを求めていた志保が? じゃああの電話は? まさかッ!)


昴「麗花さんッ!スタンド使いだッ!!」


ジュースをもってきた麗花は訳がわからない、突然叫んだ昴が変なことを口走っているのだから。


麗花「すたんどつかい…?」




昴「とにかくッ! あの『志保』は『志保』であって志保じゃあない!オレの後ろに隠れて!」


麗花「昴ちゃん…もしかしてこれドッキリ? あっ、ドッキリでドッキリって言ったら駄目だよね! うん!」


昴「いいから、早く!」


麗花「はーい♪」


それから昴はありったけのナイフとフォークとコップ、打てるようなものはなんでもかき集め、窓から遠いテーブルに陣取って並べた。


麗花(いまから何が始まるのかな~?わくわく)


昴「よし…準備出来た…オッケー…あとは…」


ゴゴゴゴ


志保?『…………』


偽志保は昴達が居た席の窓の向こうに居た。


昴(偽志保が入ってきたら総攻撃だ)


『ビギナーズストライク』を出して『志保』を待つと


麗花「わっ! すごーい!『私と同じ』手品!」


昴「へ…? 今…私と同じって…」


麗花「私も『羽根』をだせるの。でも何処かに飛んでいっちゃうから…」


昴「まさか麗花さんもスタンド使い!?」


昴(まさか! 『黒幕との戦い』の時に居なかったからてっきり普通の人かと思ってたけど…)


麗花「?」




昴(仲間なら二人になる。敵なら…いや、麗花さんに限ってそれはないな)


昴「いいか? この手品はスタンドって言って、一人一つだ。でもこのスタンドで悪さをする奴等がいる。あの志保は志保の皮を纏った偽物だ」


麗花「つまり?」


昴「765プロがヤバイ。オレらでなんとか…なんとかするんだ、絶対!」


志保『…………』


コンコン


昴「なんだ?…なんで窓をノックしてるんだ…」


志保『…………』


コンコン


昴「何か…来るッ! 構えて!」


麗花「昴ちゃん、きっといい役者になれると思うな♪」


麗花(街にも人がいないし、店員さんもいないし、凄く大掛かりなのね♪)


コンコン




志保『ぁ……』


昴「来いよ…来るなら来い…早く…」


ゴゴゴゴゴ


志保『昴さん』コンコン


昴「名前…?」ピク


ドスッ


志保『来ちゃいました♪』


昴「え…? うそ…だろ?」


窓の外にいた偽志保が昴の目の前に現れ、ナイフを取って心臓を一突き。


そして窓の外には可奈がいた。


可奈『てきしゅー♪きしゅー♪大成功♪ご褒美はー甘いープチシュー♪』


麗花「昴ちゃん!?」


麗花が叫ぶと偽志保は可奈の真横に現れ、支えを失った昴は座席に倒れ込む。


麗花「昴ちゃん! しっかり!」


昴「た、た……」


ドドドドドドドド


麗花「温かい…血が…なんで…これってドッキリじゃ…」




昴「戦って…」


麗花「!?」


昴「スタンドで…たた、かって…コボッ」


麗花「スタンド…」


昴はある種のショックを受けたが、意識を保っていた。生の猶予は体内の酸素を使い切り、脳が死ぬまでの間。


可奈『感動の死に別れ。でもそんな時間はあげませんよ!』


再び偽志保――可奈のスタンド――が現れて麗花の背中にナイフを突き立てる。





そこで麗花はスタンドに目覚めた。


ナイフを受け止め、可奈の攻撃を防ぐ。






そんなわけはない。


しっかりとナイフは麗花の背中に刺さる。


麗花「うっ…うううう!…い、痛い…!」




可奈『ふん!』


一回、二回、三回。


何回もその凶刃を振り上げては下ろし、麗花を滅多刺しにする。


麗花「痛い…やめて…可奈ちゃん…」


うめき声を上げても襲い来る痛みに耐え、昴を庇うように立つ。


昴「……だめだ…………にげて……」


可奈『ほらッ!ほらッ! なんとか言ったらどうですか!ほらッ!』


麗花「駄目…駄目…」


可奈『ほらァァァア!』


麗花「!」


今度は背中ではなく足にナイフを刺す。


支える力を失った麗花は昴の上に落ちる。


麗花「ごめんね…何も…出来ない…」


昴「………………」


麗花「…痛い?」


昴「……ちょっと」


可奈『それじゃあ後は勝手に野垂れ死んでください。さよ~なら~♪』


可奈は陽気に帰っていくと、それを可奈のスタンドがとぼとぼと追いかけていく。


二人に残された猶予は無かった。











可奈「終わりました!恵美さーん!」


モフ


可奈「おっぱい…」


恵美「どうしたの…?」


路地裏で可奈は待ってくれていた恵美に抱きつく。


可奈「つかれたよ~」


恵美「あー、はいはいお疲れ様」


昴「やっぱり!協力者だよ!」


麗花「可奈ちゃん!悪い子はプロデューサーさんに叱ってもらうからね!」


恵美「はぁ!?」


可奈「え?」クル


突然現れた二人をまじまじと見つめ、状況を把握した可奈は絶叫する。


可奈「どうしてぇぇぇぇぇえええええ!!?なんで二人がここにいるのぉぉぉぉぉ!!?」


恵美「ちょっと可奈!? 取り敢えず…武器は?」


可奈「昴さんに刺して…そのままどっかに…」


訂正、昴さんに刺した×
   麗花さんに刺した○



昴「麗花さん、覚悟してくださいよ」


麗花「大丈夫。メリハリはしっかりしてる方だから♪」


昴(不安だ…)


ゴゴゴゴゴ


恵美(まずいね…ハッキリ言って戦力外な私と、どこで大ポカやらかすのか分からない可奈。私が可奈に刃物を持っていけば何とかなるけど…)チラ


可奈「ど、どどどどうしましょう!?」


恵美(戦えないよねェ~)


昴「行くよ、麗花さん」


麗花「はい!先輩!」


恵美(仕掛けてくるッ!)


ドドドド


麗花「『ファインド・ユアウィング』」


昴「おっとと…慣れないなぁ…」


昴と麗花の足に、小さな白い羽が一対生える。


恵美(『慣れない』、それに姿勢を崩した。大方『飛ぶ能力』ってカンジ?)




可奈「め、恵美さん!わたし何をしたら…?」


恵美「しっ!静かに」


恵美が可奈の耳に口を寄せる。


恵美「こっちが仕掛けてこないのが分かってるのか、分かってないのか分からないけど」


恵美「逃げるよ、『刃物』を取らなきゃ話にならない」


恵美「でも、逆に『刃物』さえあれば『いつでも』倒せる。分かった?」


可奈「は、はいぃ…」


昴「逃げる算段は終わったか? 何でこんなことしてるのかわかんねーけど、取り敢えずボコボコにする。こっちは死にかけたんだ」


麗花「悪い心もどっかに飛ばないかな?」


恵美(ヤバそう…なんか『もうお前らは詰みの前』だって顔してる)


ドドドド


昴「麗花の能力、かなり強いぜ」


そう言って昴はポケットからコップを取り出す。ファミレスから拝借したプラスチック製のものだ。


昴「『仕込み』はもう終わった!『ビギナーズストライク』!」


ブン!


カキン!


恵美(『背番号』を着けないでのバッティング? いや、多分どこか『アタシの後ろ』にある)


コップが恵美に向かって飛来する。





可奈「わあっ!」バッ


恵美(ちょっと目を凝らせば躱せる速度。ヒモか何か付けて…無いね)


ヒョイ


恵美は軽々とコップを避ける。


それもそのはず、恵美は昴のスタンド能力を知っていた。


昴が打ったものは必ず最短距離を飛ぶ、つまり『直線的』な動きのみをするのだ。


そんなことは昴だって知っている。


昴「甘いぜ」ニヤ


ググィィィーン


恵美「曲がったッ!」


そのままコップは恵美の腹にぶつかる。


恵美「うぐっ」


恵美(よし、ダメージは大したことない…)


恵美に衝突した後、コップはコロリと地面に転がる。




昴「やっぱり大したことないな…」


麗花「じゃあ昴ちゃん、私に『背番号』付けて?」


恵美(麗花さんが突っ込んでくるのかな…? いや、取り敢えず状況を…)


チラ


布「」パタパタ


恵美が振り替えると羽根の生えた布の切れ端がパタパタと飛び回っていた。


恵美(…『背番号』を付けた物が移動するんだ)


可奈「め、恵美さん…大丈夫ですか?」


恵美「大丈夫。それより、先に『刃物』を手に入れて。足止めは…」


昴「おいおい、逃がすと思ってんのか」


麗花「はい、ぽわぁ~」


麗花が両手を前に出すと、麗花の体から『番号の書かれたワッペン』が大量に飛び立つ。


恵美「まさかッ!」


昴「『背番号』そのものを飛ばす。な?強いだろ?」




恵美「可奈!走るよ!」


可奈「う、うん!」


恵美の言葉で二人は脱兎のごとく駆け出す。


恵美「まともに相手をしてたら勝てないよ! いい?これから2手に別れるッ!」


可奈「ええっ!?だ、駄目だよ!」


恵美「…琴葉も『刃物』もないのにまともに戦えると思わないで」


恵美「私が逃げて、引き付けるから。その隙に…ね?」


可奈「うん…」


恵美「次、角を曲がったらいきなよ」


可奈「…絶対、戻ってくるからね」


昴「待てー!」


恵美「早っ…いくよ!」


二人は同時に角を曲がり、昴の目を一時的に誤魔化す。そして可奈は少し行ったところの路地に入る。




恵美「さ、アタシも頑張ろうか」


恵美「『アフタースクールパーリータイム』」


2手に別れた後、恵美のスタンドが現れて『可奈』に変化する。


ゴゴゴゴゴ


ASPT『…………』


ニャルルン


可奈『…………』


可奈『恵美さん!早く逃げましょう!』


恵美「うん、バッチシ♪」


昴「見つけた!」


恵美「ほら、行くよ『可――」


可奈「うわぁぁぁぁぁあああ!」


恵美「え?」


可奈「恵美さぁぁぁぁん!麗花さんに…あれ?」


昴「あ、こんなところにも…」


路地から出てきた可奈は昴の目の前に飛び出す。その可奈の後ろには麗花が佇んでいた。




可奈「あ、あ…」


昴「そっちが本物か! 逃がさないで!」


麗花「通さないよ~ブローック!」


そのまま昴と麗花は距離を詰める。


可奈「むむむ…わっ!」


可奈が叫んだ直後、昴の前に可奈のスタンドが現れる。


可奈のスタンドは等身大のマイクを二本背中に装備し、リボンを付けたオレンジ色をしていた。


可奈「『オリジナルヴォイス』! それっ!」


昴「くそッ!」


昴の目の前に現れるのは一瞬だったが、攻撃そのものは遅い。未知からの不意打ちと既知からの攻撃ではその脅威に差がある。


『オリジナルヴォイス』のパンチは軽々と『ビギナーズストライク!』で受け流される。


昴「悪いけどなァ…オレ、メチャクチャ怒ってんだ」


可奈「あちゃ~……」


ドドドドドド


昴「手加減はしねーぜ」




昴「オラァ!」


『ビギナーズストライク』をフルスイングし、眼前の『オリジナルヴォイス』に振るう。


『オリジナルヴォイス』は腕を差し出してガードするが、叩きつけられた『ビギナーズストライク』は易々と腕を砕く。


『オリジナルヴォイス』のパワーは『ビギナーズストライク』を振るう昴よりも低い。


可奈「い゛ッ!?」


ブシャア!


麗花「昴ちゃん!」


昴「…………やり過ぎたよ、ごめん」


麗花が叱咤すると昴は謝罪した。


恵美から言わせてみれば殺しにかかっている相手に謝るなど言語道断、しかし、それだけ戦力差があるということでもある。


恵美(可奈が…アタシ、やられるのを黙って…)


その時だった。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


昴「!?」


恵美「何の音!?」


麗花「キャッ!」


可奈「…?」


琴葉が壊したビルが音を立てて崩れているのだが、この四人はその事を知らない。




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


ゴゴゴゴゴ…


そして直ぐに地響きは収まる。


昴「な、何なんだ…」


麗花「地震…じゃなさそう?」


恵美「動かないで!」


ドドドド


昴「!」


可奈「あっ…!」


恵美は『アフタースクールパーリータイム』の首を折るような素振りを見せる。


恵美「動いたら、ポキン、だよ」


麗花「志保ちゃん!?」


昴「志保! 何でここに!?」


恵美の腕の中には傷だらけの『志保』が居た。


志保『だ、ダメです…私の事は気にせず…』


恵美「話さないで、折るよ」


志保『…………』




志保は恵美のスタンドが『擬態』したものであり、恵美の自作自演であるが、心理的な効果は抜群だ。


昴「志保を放せ!」


恵美「それなら可奈を、こっちに」


昴「っ!」


麗花「…………恵美ちゃん、それってスタンドじゃないの?」


恵美「ッ!」


恵美(ばれた…? いや、でもここで押し通さないと!)


ゴゴゴゴ


恵美「へぇ…言うね…別にさ、志保をこの場で殺ってもいいんだよ?」


麗花「…………」


昴「…さっき可奈は二人居た。その志保は偽物だろ!」


恵美「…分からないの? 志保がニセモノか、本物か何て事は分からない。知ってるのはアタシだけ」


昴「この…ッ!」


麗花「…昴ちゃん、可奈ちゃんを向こうにやりましょう」


昴「!? 何で!」


恵美「いやいや、いい判断だよ」


恵美(ほっ…)




可奈「うう…ごめんなさい…」


志保『…………』


可奈が涙ぐみながら恵美の方へ歩き、志保は何も言わずに昴たちの方へ向かう。


恵美(あとは『志保』で昴を攻撃する、それから怯んだ隙に逃げて、琴葉を呼んで勝ち…)


可奈「せっかく志保ちゃんを捕まえたのに…」


恵美「いいのいいの、気にしない」



昴「志保、無事だったか…?」


志保『ええ、お陰さまで』


恵美(油断したねッ!)


志保『にゃはははッ!』


ブン!


昴「なっ…ぼふぁあ!?」


無警戒に近寄ってきた昴に不意打ちの拳を振るうと昴は仰け反る。


恵美「可奈!逃げ――」


昴「分かってるよ…志保が偽者な事くらいな!」


仰け反った、それは攻撃を喰らったからではなく『避ける』動作をしたからだ。


恵美「はっ…?」




昴「そして『触れた』ぜ」


ピト


恵美「あ…ああ…!」


恵美の背中に『背番号』が浮かび上がる。


次に待つのは決して相手を逃さない地獄の千本ノック。


麗花「うんうん、可奈ちゃん『も』やったことは償わないと…ね♪」


ペタ


可奈「え?」


ドドドド


可奈「ああああ! 私の背中にもあるぅぅぅぅうう!」


麗花の動かす『背番号』が可奈の背中にも貼り付けられる。


昴「ほら、志保…いや、恵美のスタンドも何処へでもやってもいいぜ」


恵美(な…なんでバレたの…ううん、それよりも早く対策を…)


恵美はあまりのショックに体が動かなくなっていたが、頭はフル回転していた。


導き出した答えは一つ。




恵美(…………)


恵美「可奈」


可奈「……?」キョトン


恵美「優先するのは『勝利』、どんなに惨めでも勝つことだよ」


昴「何をゴチャゴチャと――『ノック』!」


昴が「思いっきり」『ビギナーズストライク』を振るうと、コップはバラバラになりながら飛んで行く。


恵美「恥も外聞もなくね――琴葉ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」


可奈「! 琴葉さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああん!!」


たった一つのシンプルな解決法、それは叫ぶことだった。


昴「無駄だぜ!『ノック』は『他人』に中断されなきゃ止まらないッ!」


プラスチックの刃は一つ残らず恵美と可奈の左腕に吸い込まれていく。


ビュゴォォォ!


昴「洗いざらい吐いてもらうぜ」




恵美「ッ!」ギュッ




















――――ドン!!




















「恵美」


琴葉「遅くなったわね」


恵美「こ、琴葉ぁ…」


可奈「琴葉さん!!」




昴「っ…!」


麗花「わぁ…カッコいい♪」


昴の『ノック』を遮るように上から現れたのは紅蓮の鎧、如何なる攻撃をも通さない金剛のスタンド!


琴葉「志保ちゃんはちゃんと始末したわよ」


恵美「さっすが委員長!」


可奈「うぅ~よかったよ~」


昴「麗花さん、琴葉に付けられる?」


麗花「うーん…琴葉ちゃんがじっとしててくれればいけるかな?」


クルッ


琴葉「麗花さん、恵美たちがお世話になりました」ペコ


麗花「? そんなに大したことはしてないから、そんなに頭を下げなくてもいいよ?」


昴「違う違う、皮肉を言ってるんだよ」


琴葉「だから…」


ドドドドドドドド


琴葉「容赦しません」




昴「ッ!?」ゾゾゾゾ


麗花「『ファインドユアウィング!』」


麗花と昴に付いている小さな羽が羽ばたき、風船のように上へ上へと舞い上がる。


昴「おわぁ!?」


琴葉「遅いッ!」


ガシッ


麗花「残念♪」


琴葉は飛び立つ二人の片足を掴んで、地面に
叩き付けるように降り下ろすが、幽霊のように地面を通り抜けてしまう。


琴葉「!?」


恵美「透過したッ!」


吃驚して手を離した琴葉の真下から二人は飛び立ち、そのまま空へと飛んでいく。


昴「じゃあなっ!」


麗花「…………」


ゴゴゴゴ


可奈「逃げちゃいましたね…」




琴葉「ううん、丁度いいから、むしろ助かっちゃった」


恵美「あ、もしかして『無くなった』?」


琴葉「そ、そうだけど…」モジモジ


可奈「?」


恵美「にゃはははは! こ、琴葉がヘンタイになっちゃった! にゃはははははは!」


琴葉「もう! 笑わないでっ!」


可奈「あの~、何が無くなったんですか?」


恵美「それはね…むふふ」


琴葉「あ!言っちゃダ――」


恵美「服が無くなったんだよ」


可奈「ええっ!? 服が!?」


琴葉「…一応…ね、話しておくけど」


琴葉「私の能力は『服を鎧にする能力』なの」


琴葉「でも服そのものが強くなる訳じゃなくて…」


恵美「服が鎧に変わっちゃうんだよね~」


可奈「じゃ、じゃあ! 私の服を!」バッ


琴葉「大丈夫よ、恵美がちゃんと持ってきててくれたから」


恵美「それはそうだけど、いきなり脱ごうとするのはダメだよ?」


可奈「はい、やっと役に立てると思ったのにな~…」


恵美「大丈夫大丈夫、アタシに任せなさいって」











恵美「カッコいい能力だけど全裸だからね~」


琴葉「!!!」





―――――――――――――――――――――



昴「はぁ…琴葉は追っかけて来ないみたいだな」フワフワ


麗花「早く志保ちゃんを探しましょう」フワフワ


麗花と昴が手を繋ぎながら飛ぶ。


行き先はたまたま目に入ったビル、そこは志保が先程戦っていた場所だ。


昴「おーい!志保ー!」


麗花「『いない』なら『いない』って言ってー!」



そうして何回も呼び掛けるが、志保の返事はない。


昴「怪我してるかもしれないし、降りようぜ」


麗花「それもそっか…」


昴「いると良いけどな」


麗花「でもあんなビル、どうやって折ったんだろう?巨大化かな~?」


昴「おいおい、不安になってきちゃうじゃん! まだ奥の手があるとか勘弁してくれよ」





二人はまずビルに降り立った後、上層からしらみ潰しに調べる。上層からと言っても所詮は四階程度、直ぐに終わる。


そして一階まで降りた時の事だった。


麗花「見て!昴ちゃん!」


昴「? どうしたんだよ、そんなに慌てて」


麗花「ここ、血があるわ。きっと重傷なのよ」


昴「…本当だ。結構な量だし、早く『治療』してやらないとな」


麗花「でも、どこに向かったんだろう?」


昴(志保は電話をしてオレに助けを求めた。でも何かがあってビルが崩れている)


昴(安心していいのは、志保はまだ生きてるってことか…)


昴「ま、そんなに遠くにはいけないはずだよ」


麗花「それなら…え~い!」


麗花がまたしても『羽根』だけを飛ばす。


昴「何するんだ?」


麗花「志保ちゃんを飛ばせば、きっと早く見つかるはずよ♪」


昴「おいおい、重傷者(推定)だぞ?」


麗花「それなら、怪我を『飛ばし』てから来てもらいましょうか」


飛び立った『羽根』はフラフラと宛もなく旅立った。




昴「んじゃ、オレ達はオレ達で探そうぜ」


麗花「あれ?」ピト


昴「ん?」


麗花「『羽根』が無くなった…? こっち!」ダッ


昴「お、おい!」


昴の制止の声を無視して外に飛び出した麗花。


麗花「ここらへんかな?」


昴「…志保がいるのか?」


麗花「うーん…ちょっと分かんないかも…」


昴「…琴葉と恵美、可奈は絶対に麗花さんの『羽根』には触らない。『背番号』がついてるかもしれないのにわざわざ触る訳ないぜ」


麗花「それもそうかも。じゃあ、志保ちゃーん!出てきてー!」


スゥゥ


志保「私はここにいますよ」


昴「わっ!?」


志保は二人の足元に居り、台車に乗っていた。




麗花「志保ちゃん!無事…じゃないみたい」


志保「ゲホッゴホッ…まともに歩けないんです。申し訳無いですが、戦力にはなりそうにありません」


昴「なーんだ、その程度か」


志保「…?」


麗花「まかせて♪」


志保「傷を治すスタンドですか」


麗花「いたいの、いたいの、『飛んで』行け~♪」


志保の体、主に傷のある箇所から白い粉が溢れ、空中で一つの形を作り上げる。


志保「これは…『羽根』?」


麗花「バイバイ」


麗花が手を振ると一対の『羽根』ら何処かへと飛び立つ。


昴「…なぁ、『アレ』はどこに行くんだ?」


麗花「さぁ?」


志保「なんていい加減な…」


昴「体はどうだ、完治してるだろ?」


グッグッ


志保「はい、問題ありません」


昴「なら良かった」




麗花「ところで志保ちゃん、どんな『スタンド』が使えるの?」


志保「簡単に言えば、完全なステルスです。速く動いてはいけないという制約付きですが」


昴「オレのも説明しとこうか?」


志保「知ってるので大丈夫です。それより麗花さんのを教えてください」


麗花「私のはね、なんでもかんでも飛ばしたり、浮かしたりする能力かな♪」


志保(概念系の能力…しかも応用も効く強力なものね。ただ、それを使う人間が麗花さん…)


昴「…てか、何で志保はオレの能力を知ってるんだよ!」


志保「ああ、そんなことですか」


志保「プロデューサーが教えてくれました」


昴「なーんだプロデューサーか、はははははは!」


昴「ってなるか! なんでプロデューサーが知ってるんだよ!」




昴の中に『不安の種』が埋められる。




麗花「プロデューサーさんもスタンド使いなんだ…」


志保「それについては後ででもいいですか? 今は現状の確認と、これからの行動の方針について話し合いましょう」


麗花「あ、志保ちゃんお昼まだだったでしょ? お腹がすいてたら力は出ないよ♪」


志保「…お昼を食べている場合じゃありません、一刻も早くあの恐るべき『イーストレッドクレッシェンド』の攻略法を探るべきです」


昴「そんなこと言ってもよ…あ、メールだ」ブブブブ


パカ


麗花「あ、プロデューサーさんから」


志保「貸してください!」


パシ


昴「お、おい!」


志保「…………」


麗花「何が書いてあるの?」


志保「読みますね…

  『東京へ直ぐに戻り、シアターへと帰還せ   よ。琴葉達は無視してもよい』だそうです」


昴「シアターに…?」


麗花「新幹線ね♪それなら駅弁があるから…」




志保(………………)


ドドドド


志保(プロデューサーは私達の同行を知ってる…こっちに来ないのには訳がありそうね)


志保(しかも行き先が『シアター』…)


昴「おいおい…『信用』出来るかよ、こんなの」


ゴゴゴゴ


志保「…どうしてですか?」


昴「…まずさ、この状況を知ってるのがおかしいだろ」


昴が暗に示すのは『疑い』、それも志保への。




『不安の種』に『疑い』の水を蒔いて『疑心』が芽を出す。




昴「行き先も指定されてるし、プロデューサーが何かを企んでるとしか思えない」


志保「プロデューサーさんは信用に足る人です」


昴「証拠はあるのか?」


志保「ありません」




昴「…………志保がこっちに来たのもプロデューサーの差し金だよな」


志保「…………だったら何か、問題でも?」


志保は良くも、悪くも、プロデューサーを『盲信』していた。


スタンドパワー、精神力、頭脳、知性、厳格な雰囲気、道を歩く人間などゴミクズも同然、そのくらい抜きん出ていた。


そして彼は道を照らす『太陽』のような存在であり、アイドルに注がれる溢れんばかりの愛情は志保の中の『家族』、それも今だ見ぬ『父親』を感じさせていた。


昴の感じた志保への『疑心』はプロデューサーへの侮辱、昴がそうとは思ってなくとも、志保はそう感じていた。


『盲信』は人を狂わせ、その判断を誤らせる。


『疑心』は人を惑わせ、その不信を暴かせる。


二つの矛が今、顔を会わせた。


昴「…念のため、『背番号』を付けとけば良かったぜ」スッ


志保「口でわからないグズは、直接分からせた方が良いみたいですね」スッ




ゴゴゴゴゴゴゴゴ


昴「『ビギナーズ――
志保「『ライアー――


麗花「ストーーーーーップ!!!」ビリビリ


昴「!」キーン
志保「ッ!」キーン


麗花「喧嘩は駄目よ?」


しほすば「「…………」」


熱は冷めても、その疑いは晴れない。


昴(…『何か』が志保にはあるはず、可奈や恵美に起きた変化が)


志保(この協力すべき状況、不和を煽るのはおかしい…まさか『マスターピース』が…?)


ドドドド


麗花「二人とも握手握手!」


昴「悪かった」スッ


志保「私もすみませんでした」スッ




ギュゥゥゥゥゥゥゥウウウウウ


しほすば「「………………」」


麗花「はい、仲直り♪」


昴(コイツ…)


志保(やっぱり…)


((隙を見てブッ飛ばすッ!!))



疑心暗鬼の霧が765プロに忍び寄る。













To be continued…

ハイドン


本体・人間・田中琴葉
スタンド『イーストレッドクレッシェンド』

装着型

破壊力C  スピードA  射程距離E

精密動作性C  持続性A  成長性D

能力射程E


『服を鎧にする能力』


紅蓮の西洋甲冑。

手の甲には『アンカー』が付いており、射出することで壁に張り付いたり、物に巻き付けたりすることが出来る。

防御性能は凄まじく、並のパワーではその装甲を変形させることはおろか、内部に衝撃を伝えることも叶わない。

全体的な身体能力は上昇し、脚部には高速移動を可能にするピストンが付く。

ただし、鎧は着ている服の大部分を使うためかなりの厚着をしないと連続した使用が出来ない。

一般人にも見えるので警察に逮捕される心配は無用だが、防御を上回る攻撃で鎧は無くなる。

そして素材が布であるため火に滅法弱い。


ハイダゴン


本体・人間・所恵美
スタンド『アフタースクールパーリータイム』

遠距離型・人型

破壊力D  スピードC  射程距離A

精密動作性B  持続性A  成長性E

能力射程A



能力『擬態する能力』


スタンドであろうと人であろうと、その姿を変える事が出来る。

声も擬態する人間と同じになり、滅多なことがない限り見破ることは出来ないだろう。

しかし水に濡れると擬態の効果が薄れ、『歪んで』しまうため別人だとばれる。



本体・人間・矢吹可奈
スタンド『オリジナルヴォイス』

遠距離型・人型

破壊力D  スピードD  射程距離A

精密動作性C  持続性C  成長性B

能力射程A


能力『音に乗って移動する能力』


あらゆる音に乗って移動する事が出来る。

ただし、声の大きさがある程度無くてはいけない。

音に乗るとき、物を運ぶことが出来るが、持てないものは持ち運べない。


終わりだよ(o・∇・o)


次は大晦日の時かな?

受験だってのに何やってんだ

ぷっぷかPの方がいらっしゃいましたら口調や呼称等をご教授くださいまし。




(o・∇・o)

半分くらいしか出来てないけど投下だよ~


幕間的な





――――事務所




事務員「…………」カタカタカタカタ


P「志保」


志保「はい、なんですか?」


夕方五時。


三人しかいない事務所で、Pは志保に話し掛ける。


P「『頼み』がある」


志保「また……ですか」


P「犯罪の片棒を担がせているようで悪いな」


志保「いえ、『分かって』ますから」


P「そうか…」


チラ


『……であるからして、我が党は…………』


志保「…………今度はあの人ですか」


P「そうだ」


志保「また、盗聴器を?」


P「この袋に入ってる」


ドサ…




志保「…………本当に、これが『正しい』んですか?」


P「……………………」


P「志保、世の中には『理不尽』が満ちている」


P「父親がいなくなったのも…『理不尽』だとは思わないか?」


志保「……」コクン


P「この世から『理不尽』を無くす…一つ残らず、徹底的に、完全に!」


P「ならば『理不尽』を行使者を!

『搾取』する『支配者』を!

『邪悪』の根源を!

『道理』の無い暴力を!」


P「この世から『排除』するのは『正しい』はずだ」


Pの目が、志保を覗き込む。


P「そう、だろ?」


ドドドド


志保「そう、です…」


P「そう…『正しい』んだ、これが絶対的な『正義』」


ドドドドドドドド


P「そして『ステップアップガチャ』ならば、その終着点ならば『正しさ』は『現実』になる」


Pは志保の頭に手を置き、撫でた。


志保は目を瞑って、その温もりを享受する。




P「志保」


志保「…はい」


P「やってくれるな」


志保「分かり、ました…」


Pは優しく志保を抱き締める。


志保は黙って、その温もりを享受する。


P「愛してる、我が子のように」


志保「…はい」


志保はPから離れると、盗聴器の入った袋を持った。


P「いってらっしゃい」


志保「いってきます」



















↓ちょっとえぐいかも
――――――――――――――――





















『穴』があった


深く、暗く、人の訪れない谷底に


『穴』は出来た






















女の子「オーディション、また…ダメだった」


男「そうか…」


人気の無い路地に面した事務所、そこには一人の『アイドル』と『プロデューサー』がいた。


男「……俺ももっと頑張って仕事を取ってくるからさ、一緒に頑張ろう!」


女の子「また、ダメだったんだ」


男「……二ヶ月経っても売れないのは俺のせいだ…だから…」


女の子「…………」


男「確実に仕事を取れる方法、やろうか」


女の子「え…?」


ガチャ


ゾロゾロゾロ


「今回はコイツっすかぁ?」
「うひょー!『味見』はありなんですよね?」
「へっへっへ、上玉だなぁ…」


女の子「だ、誰…?」


柄の悪そうな男が数人、狭い事務所に入ってくる。


ガシッ


女の子「!?」


男「枕営業…って知ってるか」


女の子「な、なんでッ!」


ガシッ


「へっへっへ、動くなよぉ…」


女の子「いやッ!放してよ!」




「叫んでも誰も来ねぇよ!」


男「まずは俺から『味見』させてもらうぜ~」ニヤ


「売れるための練習だよ、練習」


女の子「やめてッ!」


ジタバタ


「活きがいいぜ…へっへっへ」


男「おら!」


ビリビリ


女の子「あんたら、ただじゃ済まないよ!」


「気付いたときには遅いんだよ!」


「ヤク漬けになっちまってな、へっへっへ」


P「楽しそうじゃないか」


「あたりま…誰だ!」


女の子「え…?」


ドドドドド


P「邪魔だ」


ドン


「ぐぴっ!?」


P「まだ、何もされてないか」


男「こ、コイツ765プロの…!」


「な、765プロ!?」


P「目を閉じて、耳を塞ぎなさい」


女の子「は、はい…」


ギュッ


「て、テメェ無視してんじゃねえ!」


P「こっちへ」


女の子「…………」



男「お、おい!どうせ一人だ!取り押さえろ!」


「三人に勝てるわけ無いだろ!」


「おら、大人しくしろおら!」


バギッ!


「うお…あ、脚が…ああああああ!」


「痛いぃぃぃぃぃぃいい!」


男「う、うわぁぁぁぁぁああ!」


P「…………」グイ


女の子「…………」スタスタ



バタン




P「目を開けなさい」


パチ


女の子「え…あ、あの、ありがとう…」


P「…服が破れているな、これを着なさい」バサッ


女の子「え…?」


P「それから、これは私の書いた『紹介状』だ。自分の入りたいプロダクションに持っていきなさい


女の子「???」


P「CGプロや876なんかは優良だな、とにかく、アイドルをつづけたいのなら持っていきなさい」


女の子「は、はい…?」


P「『正しさ』を求める限り、味方でいよう」


女の子「…………?」



この女の子には、何がなんだか分からなかった。


しかし、間違いなく、この行為は『正しい』ものだった。



























『穴』があった


鳴き声と、呻き声と、蛆の音と、


嘆きと、餓えと、乾きと、


皮と、血と、肉と、骨と、


希望と、狂気と、絶望と、虚無が、


人知れず、そこにはあった。


『正しさ』は最も『邪悪』であった。











あらすじ


志保、麗花、昴は崩壊したビル前で合流するも、思わぬ疑いを掛け合い疑心暗鬼に陥ってしまう。



そんな中、麗花が東京へ行く手段として新幹線を上げた。




――――静岡駅




昴「人一人居やしないぜ」


シィーン…


麗花「でも、街の方には人が『来た』わよ?」


志保(『いつものスタンド』ね。回りに迷惑を掛けないようにしてるのか、してないのか分からないけど)


のり子やPが仄めかす正体の掴めないスタンドの事だ。


志保「『このスタンド能力』は放っておきましょう。危害を加えられたことはありません」


昴「…オレ達は待ち伏せされてたようなもんだぜ、その発言はおかしいんじゃあないのか」


志保「…いつまでも、そうやって居もしない敵と戦ってなさい」


昴「目の前の奴はカウントしてないのか?」


ゴゴゴゴゴ


志保「…………」


昴「…………」


志保は昴をぶっ飛ばしたいとは思ったが、別に『敵』だと思っている訳ではない。


ただ『盲信』しているプロデューサーを馬鹿にされたのが許せないだけだ。




麗花「ただいま♪ はいっ、これ」


昴「…弁当?」


昴は何処かへ行っていた麗花から美味しそうな蒲焼き弁当を受けとりながら考えていた。


昴(志保は『ボロ』を出さない…志保の能力なら気付かれない内にオレを倒せるからすぐに『ボロ』を出すと思ってたけど…)


昴(琴葉に来られたらもう終わりだ、志保が『敵』なら詰みだ。何とかして味方だっていう証明をしないと!)


昴は歩み寄る方法を考えていた。


ただ、殴られたら殴り返すマシーンに殴りかかって距離を縮めようとしているだけだ。


距離が縮まるわけがない。


麗花「はい、志保ちゃんにはひつまぶしね」


志保「お湯が必要な物じゃないんですか…?」


そんなギスギスした時間を過ごしていた時だった。


??「失礼しますッ!!」


突然の大声、三人は驚いて振り向く。


志保「誰!」
昴「誰だ!」


??「はッ!私、『朋花様』より命を頂きやって参りました子豚に御座いますッ!」


麗花「うわぁ…スッゴク濃い!」


子豚「皆様を東京へとお連れしろとの事でありますッ! さささ、此方へ!!」


志保「惑わされたらダメよ、こいつはスタンド使い! 今この場に居るということはそういうことよ!」


ドドドドド


子豚「はッ! 私は『時間を計る』しか能の無い者にてありますッ!! 如何様に疑われようと、無力な子豚に御座いますッ!」


昴「信用…出来るか?」


子豚「はッ! 朋花様のご意向に逆らうような行為は『魂』にかけて致しませんッ!」




子豚「それでもと仰るのなら、私は新幹線を動かすために先頭車両へと向かいます。その背中を攻撃なさって下さいッ!」


言うだけ言って子豚は去って行った。


志保「何なんですか…?」


昴「どうする?」


麗花「うーん…」


志保「…敵は私たちの動きを追っている筈です。罠にしろ、交通手段が無い今、行くしかないでしょう」


昴「待ち伏せでもしてるのか?」


志保「は? そんなに嫌なら来なければ良いんじゃないんですか」


スタスタ


麗花「あっ、私も行く!」


昴「…………」


昴「仕方ねえ…」


スタスタ


スタスタ


志保「結局来るんですか」


昴「うるせえ! 麗花が心配だから着いてきたんだよ!」


麗花「ふ、二人とも!」アタワタ


志保「あっちが突っ掛かってきただけです」


昴「ふん、まだ信用できないだけだよ」


麗花「困ったなぁ…」




トラブルの絶えない一行に、先頭の客席から顔を出した子豚が呼び掛ける。


子豚「皆様、お揃いでありますか!!」


志保「はい、すぐにお願いします」


子豚「かしこまりッ!!」


志保「念のため、一番前に行きましょう」


昴「…………」









―――――――――――――――――――


――――駅構内


恵美「いやー、街に人が出てきたときは吃驚したけど」


可奈「何とか間に合いましたね!」


琴葉「服もちゃんとあるし、準備万端ね」


可奈「今度はちゃんと活躍しますよ!」


琴葉「ふふ、期待してるわね」


会話をしながら、志保たちが乗り込んだあとの新幹線に乗り込む。


大きめの荷物を持ち、さながら旅行帰りの女学生のようだ。


そして新幹線が駅を出発するまで待つ。




プシュー


可奈「あ、そろそろですね」


琴葉「それじゃあ…」


琴葉「『イーストレッドクレッシェンド』!」


バンッ!


琴葉の服の一部が弾け飛び、紅蓮の鎧へと変貌する。


可奈「うわ~…凄いなぁ…」


恵美「ちょっとえっちいよねー」


琴葉『き、気にしてるんだから言わないでっ!』


恵美「にゃはははは!ごめんごめん」


琴葉『もうっ!』


恵美「んじゃ、いってらっしゃい」


琴葉『うん、何かあったら任せたわよ』


ダンッ!


全身を強固なスタンドで覆われた琴葉は、脚部のピストンで地面を強く押しながら走り出す。


ダムダムダムッ!!


新幹線内の通路を駆け抜けるが、連絡口の扉が邪魔をする。


琴葉『邪魔よ!』


ドグジャァ!


鉄の壁すら紙のように突き破り、破竹の勢いで先頭車両へと進撃する。




そんな迫り来る強敵に真っ先に気付いたのは志保だった。


志保「! 二人とも奥へッ!」


琴葉(気づかれたかッ!)


麗花「え?」


待ちに待っていた弁当を置いて、志保は無理矢理二人を操縦席と客席の間の通路に押し込める。


麗花「あ、琴葉ちゃんね!」


昴「な、何すんだよ!」


志保「いいから黙って入って!」


琴葉『無駄無駄無駄!策を労しても受け止められないわよッ!』


その時速、約60キロメートル。


ちょっとした交通事故程の衝撃を受け止めるには『ライアールージュ』はパワー不足、『ビギナーズストライク』は論外、『ファインドユアウィンド』は不明というラインナップ。


不確定な要素に賭けるのは余りにもリスキーで、避けるには遅すぎて狭すぎた。


昴(志保の罠か!)


昴「どけッ! やっぱり…」グイ


志保「自爆する奴が何処にいるのッ!」


琴葉『ブッ潰れろッッ!!!』


志保「閉まれッ!」ピシャリ




ドンッ!


一際大きな踏み込み、琴葉は志保が閉めた扉に向かって砲弾のように突っ込む。


バギィ!


琴葉『ふん、頭に蛆でも沸いたのかしら』


志保「それは私の台詞です」


琴葉『なッ!』


志保「あなたの居場所は『外』です」


志保「『存在しない』壁に突っ込めるわけないでしょう?」


琴葉『だ、騙したわねぇぇぇぇぇぇぇえ!』


新幹線の壁を突き破り、琴葉の体は宙を舞って後方へと飛んでいく。


バッ!


琴葉『はぁぁぁぁぁああ!』


バシュン!


しかし、新幹線から飛び出たにも関わらず、空中で姿勢を立て直しながらアンカーを射出、見事に車両にへばりつく。


琴葉『…危なかったわ』


麗花「!」




昴「うっ、まだ健在か…」


志保「厄介ですね」


麗花「それなら私が行ってくるわ!」


志保「?」


麗花「二人は恵美ちゃんと可奈ちゃんをお願いね!」


昴「れ、麗花さん!?」


バッ


麗花は羽根を自身に生やすと、新幹線の外へと行ってしまった。


昴「あー…」


志保「…………」


志保「仕方ありませんね、さっさと終わらせましょう」


先に、この新幹線の何処かに居る筈の二人を探しにいこうとする志保。


昴「…待てよ、その必要はないぜ」


ドドドドド


志保「どういうことですか?」


昴「あいつらには『背番号』が付いてる、すぐに終わるぜ」


志保「どうだか」


昴「なんだと!」


ドドドドド


志保「その『穴だらけ』のスタンド、もう見破られてるんじゃないんですか?」


昴「ッ!?」




志保「その様子じゃ図星ですね。なら私が行ってきます」


スタスタ


昴「関係ないね、オレがやる!」


スタスタ


志保「付いてこないで下さい」


昴「志保が勝手に先回りしてるんだろ」


二人は走り出す。


志保「昴さんは引っ込んでてください!」


昴「いーや! まだ信用した訳じゃない、任せられるか!」


タッタッタッ


志保「バット一本で何をするんですか!」


昴「うるせえ! バット馬鹿にすんなよ!」


ダッダッダッ


志保「私が倒します!」
昴「オレが倒す!」


可奈「ひゃっ!?」


恵美「ちょ、ちょっと!」


しほすば「「居た!」」


志保と昴はそのまま恵美と可奈の居る場所に着いていた。


ピト


可奈「よーし、ここは早速わたしの…」




恵美「待って」


可奈「はい?」キョトン


恵美「もう少し様子見しよう」


恵美(すごーく嫌な雰囲気が伝わってくるよ…もしかしたら仲間割れくらい…)


昴「志保より先に仕留めるッ!『ノック!』」


ガギン!


ドウッ!


昴が『ビギナーズストライク』を『思い切り』振ると、コップは粉々になって飛んでいく。


恵美(ダメみたいだね)


可奈「き、来ましたよ!」


恵美「慌てないの、よーく見ると…」


ドウドウッ!


恵美「可奈!」


可奈「はい!」


可奈が恵美の前に飛び出し、コップの破片を体で受け止める。


バッ


ポトポトッ…


昴「ッ!」


可奈に当たったコップの破片は、一つ残らず地面に落ちる。


恵美(…バットで殴られさえしなければ、恐るるに足らない)




恵美(そして志保は…)


志保「駄目みたいですね、私がやります」


昴「そんな…」


昴はガックリと膝をついた。


ドドドドド


志保「さぁ、覚悟はいいですか?」


恵美(完封できる)


可奈「どうしましょう…?」


恵美「ま、任せなって」


志保「恵美さんからですか」


恵美「たかくくってると、痛い目に会うよ」


志保「へぇ…」


バッ


志保『無駄ッ!』


ブゥン!


恵美「そうそう…それでいいの…」


恵美「『アフタースクールパーリータイム』」


ピト


志保の拳が恵美の眼前で止まる。


志保「な、な…んで…」


母親『志保!?』


弟『お姉ちゃん止めて!』


志保「う…あ…ああ…!」


母親(恵美)『どう?』


恵美は志保の母親に、『アフタースクールパーリータイム』は弟に『擬態』した。





昴「…………志保?」


てっきり、志保が既に終わらせていると思っていた昴は顔を上げて驚く。


昴「一体どうしたんだよ!?」


志保「な、殴れるわけ無いじゃない…! 中身は違っても、『家族』なのよ…!」


母親『引っ込んでろスカタン!』


ゲシッ!


恵美の前蹴りが志保の腹に刺さる。


志保「うぐっ…!」


昴「な、何やってんだ! 反撃しろ!」


流石の昴も、『志保の陰謀』説は頭から吹っ飛んでいたようだ。


志保「こ、この!」バッ


弟『うわぁぁぁぁあん!いたいよぉぉお!』


志保「ッ!?」


志保が拳を上げると、弟に化けた『アフタースクールパーリータイム』が悲痛な叫び声をあげる。


志保「だ、だいじょ――」


弟『ふん!』


バン!


志保「ぶふッ!」


思わず駆け寄った志保の顔にパンチを入れ、思わず倒れた所へ、恵美自身とスタンドとが殴ったり蹴ったりとやりたい放題やってしまう。


昴「な、にやってんだ…あんな自信満々でいたくせに…」


昴は呆然とそれを見続ける。


『志保ならば』と思うところがあるのだろう。


志保「ううっ…うううぅぅぅぅぅぅ……」


しかし、当の本人は耳を塞いで幼子のように踞ってしまった。


昴「志保…嘘だろ…」




可奈「あのー…そろそろ昴さんも…」


恵美「あ、そうだったそうだった」


志保の母親の姿をした恵美は、志保を足蹴にして通路の真ん中へとやると、可奈を自分の前に移動させた。


恵美「頼んだよ」


可奈「はーい」


昴「な、何だ…?」


昴はこんなことをしている場合じゃない、と立ち上がって可奈達に対峙する。


可奈「よい…しょっと!」


グイ


昴「…拡声器?」


気づけば、恵美はドアを閉めて一両後方の車両に居た。


可奈「えー…これを…」


昴「ッ!」


昴「させるか!」


昴は可奈に駆け寄りながら『ビギナーズストライク』を構えて殴ろうとする。


可奈「出来た――――あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


ギィィィィン!!


昴「ッ!?」


拡声器を持った可奈が大声で叫ぶと、その音の大きさに昴は思わず耳を塞ぐ。


昴(う、うるさ――)


ドンッ!


昴「――がはッ!?」


可奈『やった!』


昴の腹部に強烈な衝撃が走る。


昴「な、なんで…だ…」




可奈『オリジナルヴォイスの能力は、『音に乗る』んです!』


可奈『ナイフが無くっても戦えるんですよ!』


恵美(いやー、なんであの時に思い付かなかったのかねー…流石琴葉!)


昴「そう、かい…自慢のスタンドは…後ろに行っちまった、みたいだな!」


バッ


昴「『ビギナーズ――


可奈『そのための『拡声器』ですッ!』


ドンッ!


昴「ぐはッ!」


昴が飛びかかろうとしたところ、後ろから叩き付けられて地面に伏せてしまう。


可奈『音は、響くんですよ!』


昴(ま、まずいぜ…『ビギナーズストライク』じゃあまともにやりあえない…!)


ドドドドド


可奈『さて、あと何回で終わるでしょーか?』


昴「今すぐ終わらせろッ!」


バッ


可奈『往生際が悪いですよッ!』


可奈「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


ドンッ!


ドカッ!


昴「ぶほッ…がはッ…!」




可奈『これが音速の攻撃ですッ!』


ドンッ!


昴「ごはッ!」


可奈『うりゃりゃりゃりゃ!』


ドンドンドンドンドンッ!


可奈『うりゃぁぁぁぁぁぁあ!』


ドガッ!


昴「――――ッ!」


ドスン


ピクピク…


昴「ぁぐッ……はぁ…ふぅ…」


昴は吹っ飛ばされ、待たしても地に伏す。


可奈「一人じゃ何にも出来ないスタンドなんてゴミゴミゴミゴミゴミッ!」


可奈「糞以下の役にもたたねーんだよッ!」


昴「………………」


昴(思えば…そうだったな…)


昴(のり子がいなきゃ、戦いにならなかったし、立ち直れなかった)


昴(麗花さんがいなかったら今ごろ死んでた…)


昴(……志保がいなきゃ、琴葉に気付かずに轢かれてた)


ドドドドド


昴「なんにも…出来ない…」


可奈「そうですッ! だから私でも引導を渡せるッ!」


昴「ははは…」




可奈「トドメですッ!」


可奈「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


可奈がとどめの一撃を、大声を出して繰り出す。


音速で迫る可奈のスタンドが、昴の顔面目掛けて拳を振るう。


昴「ちっくしょぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


昴は己の弱さを恨み、悲しみのままに叫んだ。


すると『オリジナルヴォイス』は止まった。


可奈「あああああぁぁぁ、あ?…あれ?」


『叫んだ』。


昴「と、止まっ…た?」


可奈「まずっ…!」


昴「そうか…!『音に乗る』事は出来ても『速すぎて』操作できないのかッ!」


可奈「ば、バレた~!!」


昴「だから『刺す』とか、すれ違い様に『殴る』事しか出来ない。加えて大声を出されると『止まる』ッ!」


可奈「こ、こうなったら!」


可奈「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


昴「うるせぇぇぇぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」


ドンッ!


バギッ!


中途半端に、可奈と昴の間でうろちょろする『オリジナルヴォイス』を無視して、昴は『ビギナーズストライク』で拡声器を叩き壊す。


可奈「こ、壊れ…た…」




昴「ゲームセットだ」


バッ


恵美「そうはいかないよ!」


昴「何ッ!?」


恵美「『アフタースクールパーリータイム』」


ドォォォォ――――ン!!


昴の母親(可奈)『はぁ…助かった…』


昴「か、かあさん!」


恵美「親を、バットで殴れる?」


昴「く、クソ!卑怯だぞ!」


志保「ええ、全くです」


恵美「にゃははははは! 完全しょう…ん?」


昴「お、お前ッ!」


志保「『存在』の分からないスタンドを、いくら自分のものとはいえ操れますか?」


恵美の姿は『恵美』に戻っていた。


恵美「ははは…マジ?」


志保『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!』


ドガドガバギドゴォ!


恵美「グブォ!?」ピクピク


可奈「そろ~り…」


昴「逃がすか!」


可奈「やっぱり!」


昴「オラオラオラオラオラオラオラオラッ!」


ガンドガゴバギッ!


可奈「ぼへぇぇ――!」ピクピク




昴「はぁ…」


志保「…………」


昴「助かったよ」


志保「いえ、たまたまです」


昴「その…オレ、言いたいことが…」


志保「私もです」


昴「そ、そうか? 先に言うぞ?」


昴「すぅー…はぁー…」


昴「う、疑って、ごめん…」


志保「…………」


昴「そ、それだけだ!うん…」


志保「大丈夫です。その代わり…」


昴「その代わり…?」


志保「プロデューサーにも謝ってください。メールでも良いです」


昴「はぁ!?」


志保「謝ってください」


昴「…………」


昴「…志保、プロデューサーに『その気』があんのか?」


志保「! そんなわけないでしょ!」


昴「ッ!?」


昴(な、なんだ…目がヤバイ…完全に『イッちまってる』…)


昴「わ、分かったから怒るなって…」





志保「…………」


昴「はいはい、ご…め…ん…な…さ…い…っと」


ピロリン


昴「これでいいだろ」


志保「…まぁ、良しとします」


昴「まあ、それはそれで…恵美たちは…」


志保「…来るわよ」


昴「え?」


すると、恵美と可奈のスタンドが現れ、その頭部から『マスターピース』が体の半身を出す。


ニュルン


昴「なッ、なんだコイツはッ!」


ドドドドド


志保「『マスターピース』…コイツが原因よ」


MP『……ヘッヘッヘ、今マデ数体ノオレタチガ、世話ニ…』


志保『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!』


ドガドカドガンッ!


MP『ブボォ――――ッ!』


『アフタースクールパーリータイム』の頭から出ていた『マスターピース』は即座にぶっ飛ばされ、粉となって消えた。


MP(in可奈)『ナ、ナニィ――――ッ!?』


昴「だ、大丈夫なのか?」


志保「聞くことは無いし、隙を与えるだけ無駄よ」


MP『ナンテ滅茶苦茶ナ奴ダッ!』


昴「オラァ!」


ブン!


ゴシャァ!


MP『』ピクピク

志保の言葉を聞いた昴は、振り返り様に『オリジナルヴォイス』の頭の『マスターピース』の頭を吹っ飛ばす。



サァァ…


志保「昴も相当…」


昴「言うな!たまたまだって!」


志保「それにしても、麗花さんは…」



























――――――――――――――――――――





麗花「それなら私が行ってくるわ!」


志保「?」


麗花「二人は恵美ちゃんと可奈ちゃんをお願いね!」


昴「れ、麗花さん!?」


バッ


麗花は羽根を自身に生やすと、新幹線の外に飛び出した。


ゴォォォォォォ


ストッ


麗花「おっとっと…」


琴葉『なるほど、麗花さんが相手ですか』


琴葉(麗花さんのスタンドのパワーやスピードは不明…)


琴葉(恵美曰く、『飛ばす』能力…手強そうね)


ゴゴゴゴゴ


琴葉『ですが』


バシュン


琴葉『この身体を、打ち砕けますか?』


麗花「!」


麗花の足元にアンカーが射出され、リールが高速回転しながらワイヤーを巻き込む。


そして打ち込まれたアンカーに吸い込まれるようにして、琴葉の体は前へと進む…はずだった。


カチン


琴葉『スピードは相当…』




打ち込んだ瞬間に、アンカーは取り外されていたようだ。


ドドドドド


麗花「琴葉ちゃん、少し頭を冷やした方がいいんじゃないのかしら」


琴葉『なら、掛かって来た方が身のためですよ』


麗花「あんまり乱暴はしたくないんだけどなぁ…………あっ!」


琴葉(……何か思い付いた?)


ドドドドド


琴葉(一先ず距離を…)


琴葉の上に、影が落ちる。


琴葉『上かッ……!?』


麗花「ロードローラーよ♪」


琴葉『なんッ!?』


ドグォォォン!


バッ


琴葉『ッて滅茶苦茶な!』


琴葉は自分の真上に落下したロードローラーを後ろに宙返りすることでかわし、空中で別の車両にアンカーを射出して移動する。


ロードローラーは新幹線にぶつかると、一両分の壁と天井を丸々吹き飛ばした。


麗花「あっ、使ったら返さないとね」


フヨフヨフヨ


琴葉『はぁ…志保ちゃん達の事は考えなかったんですか…』


麗花「忘れてた…でもきっと大丈夫よ!」


琴葉『はぁ…全く…』


琴葉『アンカーがダメなら突撃しか無いわね』


琴葉はバックステップで助走距離を確保し、麗花目掛けて突撃する。


琴葉『はぁぁぁぁぁあああ!』


麗花「うーん…ちょっと我慢してね」




ガシッ


自分の元へ突っ込んでくる琴葉を、麗花は難なく受け止めた。


ググググ


琴葉『な、何てパワーなのッ!?』


身体を抱え込むようにして飛び込んだ琴葉の肩を抑え、逆に押し返す。


麗花「嫌々やってる…の?」


琴葉『放しなさいッ!』


麗花の問い掛けを無視し、自由な腕を動かしてアンカーの矛先を麗花に向ける。


麗花「!」


琴葉『突き刺されッ!』


パシバシッ!


射出されたアンカーを、寸での所で受け止める。


麗花「あぶないあぶない」


琴葉『両腕を使いましたね』ニヤリ


麗花「!」


ドンッ!


ガゴン!


『イーストレッドクレッシェンド』の脚部のピストンが地面を押し、凄まじい速さの蹴りを麗花の顎に叩き込む。


麗花「痛い~!」


琴葉『は…』


琴葉(全く効いてない!?…衝撃を『飛ば』したのね…)


麗花「もうっ…仕方ないわね…」


ブン!


ガゴォォォン!!


琴葉『ッ!?』


琴葉の真横に道路標識が勢いよくぶつかる。




琴葉『押し…出されるッ!』


バッ!!


バシュン!


琴葉は再び新幹線から飛ばされ、またしてもアンカーで復帰する。


琴葉(まだ『防御可能』よ…質量と硬度が足りない…)


しかし、襲い来る標識は一本ではない、二本三本と琴葉の元へ降り注ぐ。


ガンッ!


ドンッ!


ゴォン!


琴葉『来ると分かったなら、避けるのは容易いッ!』


ババッ


麗花「どうやって…無理矢理は嫌だし…うーん…」


琴葉『オラァァァァァア!』


肉薄する琴葉、脅威的な衝撃を麗花は片手間で受け止めた。


琴葉『ぐっ…』


ググググ…


麗花「そうだ♪」




ドンッ!


バンッ!


琴葉『ッ!』


琴葉は麗花によって地面に押し倒される。


麗花「とりあえず、劇場までこうすればいいわね♪」


琴葉『は、放してッ!』


ググググ


麗花「そう言われると、逆に放したくなくなっちゃうな~」


琴葉『…『上』と『後ろ』に気を付けないといけませんよ』


麗花「うーん…流石にそれには騙されないわよ?」


琴葉『失策ね』


――――ドンッ!


突然、麗花は新幹線に置いていかれた。


琴葉『だから言ったのに』


琴葉『トンネルには気を付けないと…っていう趣旨の事を』





とりあえずここまで

半分くらいかな(o・∇・o)


もうすぐ新年ですしおすし、ラストにはほとんど関係しないと思うので『この子とこの子戦わないの?』っていうのあったら多分書きます


センターおわったらね

琴葉『本当に、運が良かったわね…』


新幹線の真上、琴葉は仰向けのまま慎重に穴の空いた車両へと向かう。体を引きずり、やっと中に入ったと思うとすぐに後部車両を確認する。


スタッ


琴葉『恵美…!』


志保「!?」


そして数両後ろの志保と目が合う。


琴葉『……四人、ね』


琴葉は鎧を纏ったまま志保達の方へ歩き出す。


琴葉(…………『四人』?)


ピタ


琴葉(志保ちゃんに昴ちゃん、可奈ちゃんに……恵美?)


琴葉(どうして『恵美』が…)


ズキンッ!


琴葉『痛ッ…何…? 頭痛…でも…ッ!?』


『訳』を考えた途端、激しい痛みが頭の中で響く。


ズキズキンッ!


琴葉『いたい…頭が…イ、たいッ!』


琴葉には分かった。頭痛が酷くなればなる程、自分の中の『何か』が失われている事に。


『忘れろ』と言わんばかりの苦痛が頭を締め付け、徐々に徐々に、琴葉の『何か』を奪っていく。


琴葉『ッ…! やッ…やめ…て…!』


心の深くまで、『支配』は及ぶ。


水を求める植物のように、ゆっくりとゆっくりと入り込んできた『根』が、精神から抵抗力を奪い尽くそうとする。


琴葉『とらないでッ!! 私の…私の大事なッ!』

マスターピース
『支配者』は区別なく奪い去る。


琴葉『私のッ…大事な…だいじ、な…』


操り人形に心は要らない。


琴葉『…なにを…持っていくノ?』



―――――――――――――――――――



志保「麗花さんは…!?」


昴「おい、何を…って嘘だろ…」


琴葉『………………』


紅く煌めく鎧が二人の目に入る。


スタスタ


志保「向かってくるわよ…」


ドドドドド


昴「どうすんだよ…! 止める手段はあるか!?」


志保「いえ、それよりも先に恵美さんと可奈を端に寄せましょう」ガシッ


恵美「」
可奈「」


ポイッ


昴「何か…琴葉と同じくらい『硬い』ものは…」


志保「ある訳無いでしょ…それこそスタンドで産み出すしかないわ」


昴「なら避け続けて、スタミナ切れを待つしか…」


琴葉『――――でッ!――――――――ッ!』


志保「……?」


昴「今の…聞こえたか?」


志保「いえ…」




昴「錯乱してる…のか?」


志保「まさか! 自分を見失わせる様なスタンドよ」


志保「それに今の状況…最悪、琴葉さんを倒すのは諦めないと駄目そうね」


昴「それって、飛び降りる、って事か?」


志保「最悪よ、負けるつもりは無いわ」


志保「それに…」チラ


昴「考えてる暇は無いみたいだな」


志保「来るッ!」


琴葉『はぁぁぁぁあああああ!』


ダッ


ドンドンドンッ!


脚部のピストンを稼働させ、眼前の障害物を薙ぎ倒しながら琴葉が迫る。


琴葉『――潰れろ』


昴「ちょっ、はや――」


志保「避けなさいッ!」ドンッ


予想以上のスピード。


避けるタイミングを逃した昴を志保が突き飛ばし、志保自身も大きく飛んで避ける。


琴葉「運がいいわね」


通路のど真ん中を飛んでいった琴葉は、空中で体を反転させ、火花を散らしながら両手足の爪を立てて着地する。


昴「は、速い…一瞬でも気を抜けば死ぬぞ…!」




志保(…私が喰らったのは、まだましな方だったのね…)


琴葉『次は外さないわ』


ドドドドド


志保「どちらかを狙ってくるわよ…!」


昴「どっちかって…どっちだ!?」


二人は通路に戻り、再び避ける為の準備をする。


琴葉『はァッ!』


ドンドンドンッ!


志保(来た…!)


昴(良く見る暇は無いッ…直感で回避しないと…駄目だ!)


昴(直感で…外れたら…? 駄目だ!集中しないと…)


志保「昴!?何やってるの!?」


昴「え…」


琴葉『そこよッ!』


志保「無駄ッ!」


ドン!


昴「!?」


琴葉が昴に衝突する寸前、志保はスタンドで昴を殴り飛ばす。


しかし、志保の右腕は昴と引き換えに琴葉と衝突する。


琴葉『』ニヤリ


ボギ


ゴギボギ


志保「ッ!!」


衝突の直後、右腕の骨は呆気なく折れて肉がグジュリと潰れる。


それだけに留まらず、全身を強く引っ張る力を感じると同時に肩が外れ、志保の体が浮いた。


志保「う…!」タラ


昴「志保!」



グルン!


ビターン!


琴葉『チッ…体勢が悪いわね…』


バッ


ギギギギギギギ…


志保は体ごと引きずられそうになったが、腕だけが当たったことが幸いし、地面に打ち付けられる程度で済んだ。


そしてその琴葉は、空中での衝突など意に介さない様子で火花を散らして着地する。


志保「はぁー…はぁー…」


昴「大丈夫か!?」


仰向けに倒れる志保に、昴が駆け寄る。


志保「え、ええ…なんとか…」ハァー


志保(く、比べ物にならない…私が街で喰らったものの威力を二倍しても足りないわ…)ハァハァ


志保は動かなくなってしまった右腕を見る。


志保(血が大分出てるわね…)ハァハァ


昴「お、オレのせいで…オレがボーッとしてたせいだ…」


志保「過ぎたことよ…今はどうやって凌ぐかだけを考えなさい!」


志保(まともにやり合おうだなんて、考えるんじゃないわ…麗花さんの復帰を待つか、東京に到着するまで待つか…二つに一つね)


ドドド


琴葉『…………』


ドドドド


志保「動かないで、壁際に寄って」


志保は昴に触れながら、痛みをこらえて移動する。


昴「何を…」


志保「『ライアールージュ』で存在感を消すわ、『何があっても』動かないで」


ドォーン


・・・・・・・・


昴「ッ!」



昴(志保が消えた…オレの姿も『消えて』る…はずだよな?)


『ライアールージュ』は発動し、志保と昴の存在感を消す。乃ち、二人を見失う事になるが、琴葉は踏み出した。


姿は見えずとも、手当たり次第に攻撃するつもりだ。


琴葉『はぁ…どこに消えたのかしら…』


ドンッ!!


溜め息をつきながら駆け出し、志保逹とは反対の座席にダイブしてシートを薙ぎ倒す。


昴(…本当に、見えないし気づかないみたいだな…)


ドドド


琴葉『いないわね…』


シートに埋もれた琴葉は立ち上がり、昴たちが居た場所の近くに来る。


昴「ッ…」ゴク


ドドドド


琴葉『…………『ライアールージュ』の弱点その1』


志保「!」


昴(……?)


ドドドドド


琴葉『無意識下の攻撃は当たる』


そう言って琴葉は近くのシートを蹴飛ばした。


ガン


ボン


飛んでいったシートは音を立てて外れ、壁にぶつかって転がる。


志保(ま、まずいわ…昴に揺さぶりを掛けてる…不安を煽って、誘き出すつもりよ!)




琴葉『『ライアールージュ』の弱点、その2』


昴(……惑わされるな、志保を信じるんだ)ハァー


琴葉『自然の攻撃は避けられない。つまり、落石とかには当たるのよ?』


ギギギギギギギ


ポト


グワングワン…


琴葉は爪で天井に円を描く。


すると、鉄板の一部が落下して昴の足元に転がる。


昴「…………」


昴(大丈夫だ…ハッタリだ…信じないと…)


ドドドド


琴葉『例えば…』


志保(耳を貸したらダメよ…!)


琴葉『私がこの車両を、縦横無尽に飛び回ったとしたら?』


昴(…………)


ドドドドド


琴葉『いきたい方向に行く。攻撃でなく、自由に…ね』


志保「……!」タラー


昴「はぁー…はぁーっ…」


琴葉『行くわよ』


ドンッ!!


琴葉が車内で助走をとり、勢いよく天井を壊して飛び出したかと思うと、今度はアンカーを利用して車内へ。






そして蛙のように壁を蹴って飛び回り、座席も床も何もかも、爪痕を残しながら跳ね回る。


ズガァ


ギギギ


ガゴン!


昴「はぁー…はぁー…!」


昴(耐えろ、耐えるんだ…!攻撃は当たらない…)


志保(…………当たらないわ…攻撃の意図を持って飛び回るなら、『ライアールージュ』には当たらない。無意識で避けるわ)


ガン!!


ドゴン!


志保(問題は…当たるかもしれないという恐怖に打ち勝たなければならない…他人のスタンドを信頼しなくちゃあならないってことよ)


志保「はぁ……はぁ……」


ドドド


昴「はぁーっ…はぁはぁーっ…」タラ


昴(動いたら終わりだぞ…!言い聞かせろ!)


琴葉の動きは止まることなく、穴を空け音を立て、視覚と聴覚に『イーストレッドクレッシェンド』のパワーを知らしめる。


度重なる金属音と破壊音は、被害が無くとも恐怖を煽ってくる。


そして突然、琴葉の姿と音が消えた。


昴「…………?」


昴(攻撃が…止んだ?)ハァハァ


志保「はぁ…はぁ…」


志保(…いい加減、東京に着かないかしら…こっちの精神が持つかどうか…)ハァ




――1分経過


昴(呼吸は大分落ち着いた…本当に、見失った…のか?)


志保「はぁ…はぁ…」


ドドドド


昴(出てこない…別の車両に行ったのか?)


昴(オレ逹が逃げたと思ってるのか…? もしかして…『チャンス』なんじゃ…)


そう思った瞬間。


ドゴン!


昴「ッ!?」


真横の壁が吹っ飛ばされ、紅蓮の鎧が姿を見せる。


二人の心臓が一際大きく跳ね、緊張を高める。


琴葉『すばるちゃぁ~ん…何処かしらぁ…』


昴(く…そ…怖い…)


昴「はぁはぁーっ…はぁはぁーっ…」


さらに意思とは関係なく呼吸が乱れ、思わず逃げ出してしまいたい衝動に駆られる。


昴(本当に、隠れられてるのか!? 実はバレてたりしないか…志保に聞きたい!でも…耐えないともっとヤバイ…!)


ドドドドド


琴葉『此処ね、此処に居るわ』


ピキーン


昴(な…当てた…オレ逹の居場所を…)


志保「…ッ!」ギリ


ドドドドド


志保(…手当たり次第に壁をぶち破って、『此処に居る』と言って出てこさせる…)


志保(『ライアールージュ』の持ち主だから分かる。これはハッタリよ!)




昴「はぁはぁ、はぁはぁ、はぁはぁ…」


ギギギ


琴葉は更に穴を拡げて侵入する。


そして左右をキョロキョロと見回す。


琴葉『間違いないわ、ここだけ妙に破壊の痕が少ない』


志保「!!!」


ドドドドド


志保「くっ…くそ…!」タラー


志保(動揺してる!間違いない!)


志保(『ライアールージュ』の持ち主たる私が!不安になってる!)


昴(い、何時まで耐えるんだッ!もうこれ以上は限界だッ!)


ドドドドド


琴葉『………………』


志保「はぁ…はぁっ…はぁーっ…」


昴「はっ、はぁーっ…はぁっ…」


ドドドドドドド


琴葉『いないみたいね』スッ


志保「はぁ…はぁっ…」


昴「ふぅ…はぁ…」




昴(乗りきった…か?)


ズガン!


昴「ヒッ!」
志保「ッ!」


ググググ


今度は二人の間に穴が開き、鎧の腕が顔を見せる。


琴葉『分かってるのよ…此処にいることは』


昴(み、見つかってる!?)


グギギギ


壁の穴が徐々に徐々に拡げられ、琴葉がゆっくりと顔を出す。


線路を走る新幹線の轟音が耳に障るが、琴葉の声はよく聞こえた。


琴葉『さっき跳ね回ったでしょう?』


志保「はぁー…はぁーっ…」


琴葉『『意図的に』攻撃しなかった所が三ヶ所。でも何故だか四ヶ所あったのよ、傷の少なかったところが』


ドドド


昴「……ッ!」


琴葉は二人の間より少し上に空けた穴から、上体だけを中に出す。


志保(バレてるわ…此処にいるってことが)


志保(そして今、非常にまずいってことが!)


琴葉『『ライアールージュ』の弱点、その3』


昴「あ…ああ…!」


ドドドド


琴葉『次の攻撃は、避けられない…♪』





To be continued…

中途半端だけどここまで

(o・∇・o)

抜けてましたね
前回は『イーストレッドクレッシェンド』その2だと思います
投稿量に差がありますが、1、2週間に1度の更新を復活します(予定)
(o・∇・o)
投下






琴葉『次の攻撃は、避けられない…♪』


度重なる心理的脅迫、『ライアールージュ』を信用できなくなった訳ではないが、一発食らえば即終了の環境では心がもたない。


低くドスの効いた声で言われては尚更、とうとう昴は耐えきれなくなった。


昴「うわぁぁぁぁぁあああああ!!」バッ


志保(昴ッ!?)


琴葉『怖じ気付いて逃げ出したわね、敗因はソレよ』


バシュウッ


ドスッ!


昴「うっ!」


ドサ


たまらず逃げ出した昴の左足首を、アンカーで確実に射抜く。




志保「無駄ァ!」


ブン!


琴葉『つられて出たわねッ!このド阿呆がッ!』


ガシィッ


志保「ッ!」


昴に注意が向いた一瞬を突き、左拳を叩き込もうとするが不発。


逆に手首を掴まれてしまった。


琴葉『フフフフフ……今、どういう気分かしら?』


グギギギ


志保「ッ…!」


琴葉『手首を折るほどのパワーは無いわ、でも…』


ブシャアッ


志保「うっ…うあっ!?」


琴葉『こんなことが出来るのよ』


鎧の爪で志保の手首を貫き、輪を作るようにして固定する。


志保のスタンドのパワーならば簡単に抜け出すことが出来たはずだが、右腕は使用不可能な上に、左手首の筋肉は切断されてしまい、脱出は事実上出来なくなってしまった。


琴葉『フフフフフ、これが将棋やチェスで言う所の『詰み』よ』


昴「く、クソォ!」




志保「いいえ、『詰んだ』のはあなたよ!」


志保「『ライアールージュ』!」


ドォーン


ス!


琴葉『!』


昴「よ、鎧が…消えた!?」


ドドド


志保「これで、自慢の鎧は無くなったわね」


琴葉『…………』


昴「刺さってたアンカーも消えてる…凄いぜ!志保!」


ゴゴゴゴ


志保「…………」


昴「志保…?」


志保「『ライアールージュ』は触れてないと効力が無いわ、『背番号』でもなんでも、早く付けなさい」


志保は手首に空いた穴を気にしながら、腕で軽く琴葉の体に触れる。


昴「わ、分かった…」


ソロー


昴は琴葉に警戒心を抱いてるのか、ゆっくりと近づく。


琴葉『…………』


昴「……ゴクッ」


昴が琴葉に触れようとした瞬間。


琴葉『『イーストレッドクレッシェンド』、腕部限定』


昴「何ッ!?」




志保「避けなさいッ!!」


バッ


昴「うぐおっ…!?」


琴葉『私のスタンドは『鎧』、使い捨ての『鎧』よ。フィードバックはあっても砕けはしない』


ドシュウ!!


昴「いてぇぇぇぇええ!」


腕部だけに『イーストレッドクレッシェンド』を出現させ、アンカーを射出。


飛び出したアンカーは僅かに身を躱した昴の左肩に突き刺さる。


志保「くっ…この!」


琴葉『残念』


バッ


琴葉は上半身を外に引っこ抜き、新幹線の外に出る。


志保「昴! 急いで離れるわよ!」


昴「だ、駄目だ…左足が動かない…」


志保「!」




昴「志保も右腕がダメになってる…オレはいいから、先に…」


志保「あなたの右腕は無事でしょう、それに私の左肩がまだ機能してるわ。掴まりなさい」


昴「…………悪いな」


フラ


志保「はやく、『この場所』から離れないと…」


昴「何でだ…よ?」


志保「上を見なさい。気付かなかったけど、少し『切れ込み』が…」


琴葉『もう遅いッ!脱出不可能よ!』


志保「ッ!?」


ガチン


ドンッ!!


アンカーが突き刺さる音がすると、天井の『半分』が志保逹の真上から迫ってくる。


昴「飛び込めぇぇぇぇええ!!」


バッ


ドァォォォン!!


琴葉は車両の外へ逃げることを考慮し、二人の居場所から扉まで切れ込みを入れていたが、偶々それに気が付いた二人は車両の『奥』へ逃げる。


琴葉『目敏いわね、でもあなたたちは『通路』に誘い込まれたッ!』


昴「マジかよ!?」




降ってきた天井と共に鎧を纏った琴葉か現れ、ピストンの力だけで二人に突っ込む。


ドンッ!!


琴葉『チェックメイトよ!』


志保「『ライアールージュ』!!」


ガン!!


志保は唯一残された足で琴葉を蹴り飛ばし、軌道を少し変える。


琴葉『無駄なあがきよ!』


バシバシュッ


昴「乗りきるぞッ、この『一瞬』!」


ガチン!!


琴葉『弾いた!?』


空中で発射されたアンカーを『ビギナーズストライク』で防ぐと、琴葉はこれ以上の攻めをせずに二人の前を飛んでいく。


志保「ナイスよ!」


昴「もう『付いた』! シートをぶつけるぞ!」


琴葉『何ッ!?』


琴葉のアンカーには昴の『背番号』がしっかりと貼られていた。




志保「やりなさい、決着よ!」


ポイ


志保が壊れて地面に転がっているシートを、スタンドの足を器用に使って昴に投げる。


昴「いくぜ!『ノォォォォォック!!』」


ボン!


琴葉『!』


ドウッ


ドン!


ユラ


約15キロのシートをぶつけられ、さらに腕先に固定された琴葉はついに揺らぐ。


琴葉『ま、まだよ…まだ動け――』


昴「『ノック!』『ノック!』『ノック!』『ノック!』『ノォォ――ック!』」


ガギンガギン


ドウドウッ!!


琴葉『なッ…』


ドンドンッ!


琴葉『ぐ…おぉ…!』


ドンドンドンッ!


琴葉『お……う……』


重量に押され、琴葉は身動きが取れなくなる。


昴「へっ、『逆転コールド』だぜ…」


琴葉『う…………ご……』




志保「パワーが無いなら、重りをつければ動けなくなる…簡単なようで難しいわね」


昴「も、もう動けねぇ…」


ヘナヘナ


昴「あとは任せたぜ…」


志保「はぁ…少し休んでも、いいかしら…ね」


二人とも満身創痍、対して琴葉は無傷である。


だがしかし、これは勝利である。


行動の封じられた琴葉に成す術は無い。


琴葉『…………』


その時、車内アナウンスが鳴る。


子豚『まもなくッ、上野ッ!!上野ッ!!』


キィィィーン


志保「うるさっ…」


昴「んじゃ、ちゃっちゃと琴葉をさっきみたいに元に…」


琴葉『それで』


志保「!?」




ドドド


琴葉『私はまだ…』


シートの山が『揺らぐ』。


『ビギナーズストライク』の能力で固定されたはずのシートがゴロリと一つ、転がり落ちた。


志保「や…ヤバイ…」


ドドドド


琴葉『降参なんて、言ってないわよ?』


昴「せ、『背番号』は付けたはずだ…」


この『イーストレッドクレッシェンド』を攻略するのに一体どれ程の対価を支払っただろうか。


依然、無傷のまま立ち上がる。


琴葉『『鎧』は使い捨て、服が有る限りね』


ドドドド


琴葉『さぁ、覚悟は――』


志保「掴まりなさいッ!!」
昴「掴まらせてくれッ!!」


琴葉『なっ!』


考えの一致した二人は、琴葉がさんざん暴れまわって空けた穴から飛び降りた。


琴葉『む、無茶苦茶よ!』


志保(あなたがソレを言いますか…)




実際、新幹線から飛び降りることは無謀でもなんでもなかった。


到着駅が近いため速度は半分以下になっており、着地も志保がいるため無事に降りられるのだ。


スタッ


志保「さぁ、どうしましょうか…」


昴「あー…あれって…」


バッ


琴葉『逃がさないわよ!』


麗花「あぶなぁぁぁぁぁぁあああい!」


琴葉『え?』


フッ


ドガン!!


ドン!!


二人を追ってきた琴葉は、同じく新幹線を追ってきた麗花とぶつかる。


ただ一つ違うのは速さであり、摩擦や空気抵抗を全く無視した超スピードで麗花は飛んできた。


その破壊力は並大抵のものではなく、琴葉をいとも簡単に弾き飛ばす。


琴葉「ぐぼぉッ!」


ブシュゥゥウ


『イーストレッドクレッシェンド』の至るところにヒビが入り、『鎧』が飛び散って消えて琴葉の体に血が滲む。




落下する間に琴葉は再び『イーストレッドクレッシェンド』を纏うが、地面に叩き付けられるとごく小さなクレーターを作り、鎧は弾けて琴葉の体からは血が吹き出した。


琴葉『ぐっ…がはぁ!』


ブシャァァア!


琴葉『お、終わら…な…い…』ガク


琴葉はピクピクと体を動かすと気絶した。


麗花「あー!琴葉ちゃん大丈夫!?」


琴葉「………………」


志保「」
昴「」


絶句する二人を他所に、気絶した琴葉の頭から『マスターピース』が現れる。


ニュルン


MP『満ヲ持シテ…現レタゼ』





ガシ


MP『ヒョ?』


麗花「…………」


麗花は無言で『マスターピース』を掴むと、羽根を付けて何処かへ投げ飛ばす。


ブン!


MP『オゴォォォォオオ!バカナァァァァアア!』


麗花「琴葉ちゃん大丈夫!?」


そして何事も無かったかのように琴葉の心配をし始める。


志保「なんと言うか…これは…」


昴「呆気ないな…」


麗花「琴葉ちゃぁぁぁん!」











To be continued…

終わりだよー(o・∇・o)


麗花さんのは張ってなかったよね

本体・人間・北上麗花
スタンド『ファインドユアウィンド 』
ふわふわ、ふー



近距離型・人型

破壊力A  スピードA  射程距離D

精密動作性C  持続性D  成長性E

能力射程:不明


能力『自由にする能力』


人の手に当たる部分に翼の生えた、『ハーピー』のような白いスタンド。

自身の『羽根』を飛ばすことで、『羽根』が付着した物を自由自在に『飛ばす』ことができる。

と言っても、拒否する者に強制することは出来ないが、無理矢理やろうと思えば出来る。

戦闘や回復、日常生活においても便利であるが、問題は本人がどのような気分であり、どのようなことをしたいかに左右される。

ようやく琴葉編は終わりですねー(o・∇・o)

次はなおちんの番です

基本鬼強なんで、五体満足じゃ終わらない場合があるよ、麗花さんが治すけどねー

ばいびー

最近vol値が溜まってきました

投下






無事に琴葉を正気に戻した三人は、恵美と可奈と琴葉を合わせた六人で『シアター』へ向かうことになった。


――駅前




子豚「御車を用意しましたッ!」


志保「ありがとうございます」


子豚「では、私はこれでッ!!」


昴「……ん?」


恵美「これ誰が運転すんの?」


可奈「あっ!琴葉さんって…」


琴葉「ごめんね、まだ高校生だから…」


志保「他に大人は…………」


麗花「ほらほら、みんな乗って乗って♪劇場までドライブを楽しもっ♪」


ゴゴゴ


可奈「…………」


ゴゴゴゴ


昴「…………」


ゴゴゴゴ


恵美「や、やっぱり琴葉が…」


琴葉「む、無免許だけどそっちの方が…」


志保「何を言ってるんですか、早く行きましょう」




麗花「大丈夫、ジェットコースターみたいで楽しいわよ」


ゴゴゴゴ


可奈「え、えっと…可奈は~♪車に~♪酔いやすい~♪だから…だから~」


麗花「はい、『正露○』」


昴「それは酔い止めじゃないッ!」


志保「何を渋ってるのよ」


グイッ


可奈「あうっ…」


志保「ほら、昴も」


昴「お、オレは」


グイッ


ズリズリ


昴「うわぁぁぁぁああ!」


恵美「覚悟…決めようか」


<ヤダヨーオロシテー
<タスケテクレェェ!
<ゴールドメンキョダカラ!!


琴葉「あ、ほら、私は…スタンドで…定員オーバー…だし…」


恵美「何言ってんの、乗るよ」


ズリズリ


琴葉「うううぅ…」






























ギュゥゥウウン!


昴「と、止まってくれェェぇぇぇぇええ!」


志保「ぶっ、ぶつかりますよッ!!!」


麗花「大丈夫大丈夫」


琴葉「制限速度…車道無視…すり抜け…」


恵美「おろしてぇぇぇええ!」


可奈「おかぁぁぁさぁぁぁぁん!」



―――――――――――――――――――――







MP『テメエハ! テメエノ手デ! 仲間ヲ殺スンダヨ!』


このみ「私の、夢を…あなたが…」


『ワンダフルミラクル』が手に握られた剣を構える。


未来「このみさん、逃げて!」


未来の願いは決して叶わない。このみはもう動ける体ではないのだ。


このみ「ごめんね…ごめんね…」


悲哀に満ちた声は虚しく響く。


MP『オシャベリハ、終ワリダ!』


未来「いやぁぁぁぁぁああああああ!!」


MP『死ネェェェェェェェ!』





剣が降り下ろされる直前、建物全体を揺らすような轟音が鳴り響く。


ドァォォオオン!


MP『!』


未来「と、止まった…?」


このみ「…!」


目の前の大きなシャッターがぶち壊れ、紅い物体が勢いよく中に侵入してくる。


MP『チッ、逃ゲルカ』


バッ


MP(コノ傷ジャアモウ長クネェ、テキトーニ放置シテ遊撃スルゼ。ドウセ入ッテクルヨウナ奴ハ敵ダカラナ)


未来「こっ、このみさん!」


このみ「…………」


MP『ケーッ!口ヲ動カスンジャアネエ!』


未来「ムグムグ…」




MP(イヤ、コノママ上ノ階ニ行ッテ、亜利沙ノ手助ケヲ…)


ザンッ


琴葉『一体、何処に行くつもり?』


未来「ん゛ー!」


MP(ン?ナンダ、『田中琴葉』か…)


MP『ナニィ!?『田中琴葉』ダトッ!?』


志保「あなた達の企みもそろそろ終わりよ」


MP『バ、馬鹿ナ…屈指ノ防御ガ破レルトハ…』


麗花「痛いの痛いの飛んでけー!」


このみ「あら…?体が軽く…ついに天国に…」


麗花「治りましたよ?」


MP『ナ、ナニィ――――――――ッ!?』


恵美「観念しなよ!」


可奈「私達の勝利です!」


MP『ク、クソッタレェ――――――!!』


未来「む゛ぐぐー!」


MP『嘗メルナヨ! 『ワンダフルミラクル』ナラ『イーストレッドクレッシェンド』の装甲位斬レルワ!』


ドドド


琴葉『…試してみる?』


志保「不用意に近づかないで下さいよ…」


MP『粉微塵ニシテクレルッ!!』


ズッ


『ワンダフルミラクル』が姿を見せ、『ライアールージュ』と琴葉と対峙する。




志保「『ライアールージュ』…」


スッ…


MP『端カラ狙イハ『田中琴葉』ヨッ!先ズハ戦意ヲ削グッ!』


琴葉『ふふっ…掛かったわね』


琴葉「狙いは…」


MP『!?』


『ワンダフルミラクル』の真後ろから『もう一人』の琴葉が現れる。


MP『シマッタ! 『前』ハ『別の人間』!』


クルッ


琴葉「後ろッ!」


ドシュ――――ウッ!


ドン!


MP『グオッ…!』


『後ろの琴葉』は『音速』で『ワンダフルミラクル』の頭部、『マスターピース』を殴りとばす。


琴葉『最初から、私は私よ!』


ガシィ!


ブチャァ!


MP『ゲピッ!』


目を離し、怯んだ隙に『前の琴葉』が『マスターピース』を握りつぶす。


琴葉『みんなを操って、脅すなんて絶対に許さないわ』


恵美「おお~ッ」パチパチパチ


スッ


志保「やりましたね」




琴葉「うん!」


恵美「そんじゃ、戻すよ」


グニャァ~


『後ろの琴葉』は可奈になった。


可奈「わっ、元に戻った!」


琴葉『お疲れ様、未来ちゃんは…』


未来「むぐぐー!…ってあれ? 頭のがいなくなってる…」


このみ「未来ちゃん!」


タタッ


ギュウゥ~


未来「わわっ! このみさん?」


このみ「よかったッ…無事でよかった…!」


可奈「うううっ、よく分からないけどよかったよ~!」グス


志保「なんであなたが泣いてるの?」


未来「うう…このみさん、死んじゃうかと思ったけど、助かってよかった~!」


恵美「あ、アタシまで貰い泣きしそうだよ…」


琴葉『恵美? 泣くのは全部終わってからよ』


恵美「う゛ん!」


志保「ところで、麗花さんは…」


麗花「見てみて~、これスッゴクおもしろい!」


マツリ「フワフワ~」


コノミ「ミニ!ミニ!」


このみ「誰がミニサイズよ!」


恵美「……もしかして、これってスタンド…?」




琴葉『それなら、同じ顔の人が触るとダメそうな気が…』


可奈「え?何でですか?」


琴葉『わざわざこんな『要塞』を作ったのに、中に入られたら『終わり』な筈は無いでしょう?』


琴葉『防衛手段が無いとおかしいもの』


麗花「一杯来てるわよ?」


未来「えっ!?」


コノミ「ミニ!ミニ~!」
ナオ「デンガナ、マンガナー」
マツリ「ウミウシッ」


ゾロゾロ


このみ「あら、まだ私と奈緒ちゃんとまつりちゃんのしかないみたいね」


志保「まだ?」


このみ「白い粒みたいなのにチクッとされると駄目よ、自分と同じ顔の奴が出てきちゃうから」


琴葉『……それって、『免疫』みたいですね』


このみ「え? そうそう、メンエキメンエキ」


恵美「いや、知らない顔でしょ」


麗花「…ん? ねぇ、昴ちゃんは?」


志保「後から来ますよ、昴が琴葉さんを『打った』んですから」


ギシギシ…


可奈「あれ?シャッターが…」


ガッシャァァァン!!


未来「うわっ! 閉まった!」


ゴゴゴ


琴葉『閉じ込められたみたいね』


このみ「昴ちゃんと分断された、とも言えるわね」


志保「されたならされたで仕方ないですね、早く上に行きましょう」



恵美「えー、何だかうようよしてて気持ち悪い…」


マツリ「ナノッ!」
ナオ「パクリチャウノ?」


未来「ふん!」


ズバッ


コノミ「ミ、ミニ…」


サラサラサラ


このみ「消えた…わね」


このみ(わざわざ私のを斬るなんて…)


未来「こんにゃくを斬る感じがする!」


琴葉『こんにゃくって…斬れる?』


志保「まぁ、多少は」


麗花「じゃあ志保ちゃん達が道を作って、私たちはその後ろを歩くわね!」


志保「何言ってるんですか、少なくとも麗花さんはこっちですよ」


麗花「そう?」


可奈「あの~」


志保「なに?」


可奈「階段が『枝分かれ』してるんだけど…」


志保「は?」


このみ「え?」


クルッ


このみ「あー…」


蠢く『コネコネ』の先、階段の途中に壁がそびえ立ち、領域を二つに仕切る。


恵美「何であんなとこに壁があるんだろうね?」


志保「普通に考えればスタンド能力ですが…」


このみ「目的の場所までに迷いそうよね」


琴葉『目的の場所?』


このみ「放送室よ」



可奈「何で放送室なんですか?」


このみ「亜利沙ちゃん達がいて、奈緒ちゃんとまつりちゃんが戦ってるわ」


未来「奈緒ちゃんとまつり姫もいるの?」


このみ「あら? あなたが戦ってたのよ?」


未来「ええーっ!?」


志保「取り憑かれている時の記憶は無くなるんですよ」


恵美「よく知ってんね」


志保「何回か襲われましたから」


可奈「大丈夫なの?」


志保「ええ、大丈夫よ」


麗花「ねぇみんな、羽根をつけて飛び回るっていうのはどう?」


志保「それで車が壊れたんですよ? この建物自体が『スタンド』、あるいはスタンド能力の影響を受けてると考えたほうが良さげです」


このみ「車が壊れた?」


可奈「えーっと、ここまで車で来たんです。 すり抜けながら」


未来「すり抜けながら…?」


恵美「んじゃあ、このままの勢いで劇場にゴー!…って思ってたらね、思いっきりぶつかってさ」


琴葉『咄嗟に麗花さんが逃がしてくれたからよかったものの…もう懲り懲りです』


麗花「ごめんね、琴葉ちゃん…」シュン


琴葉『い、いえ! むしろ麗花さんが早く行こうとしてくれたのは分かってますし、誰もスタンドだなんて分からなかったんですから…』アセアセ


麗花「本当に許してくれるの?」


琴葉『許すもなにも、麗花さんのお陰で此処まで来れたんですから!』




可奈(あっ)
恵美(これは…)
未来(この流れは…)
志保(ご愁傷さまです)


麗花「じゃあ、今度の休みに、お詫びのドライブに行きましょう!」


琴葉『はい! ……………………え?』


このみ「…………早く行きましょうか」


志保「そうですね、階段が二つに分かれても困りますし」


恵美「これって、迷路のスタンドとかかなぁ…?」


可奈「え~、紙の迷路なら大丈夫ですけど、立体の迷路はちょっと駄目かな…」


未来「私が道を斬り開きますよ!」スパパ


琴葉『あ、あれ?あの、れ、麗花さん!?』


麗花「そうだ!沢山お弁当作って…美也ちゃんも誘いましょうか? そしたら…どこかの山にでも…」


パァァァア!


琴葉『う、すごい笑顔…』


麗花「あ、もしもし美也ちゃん? 今大丈夫? うん、あのね…」


志保「琴葉さん、案外楽しいかもしれませんよ?」


琴葉『うう…』


未来「えっと…二階に行くんだったよね?」


可奈「うん、放送室だよ」


恵美「さっさと行こっか」


志保「ほら、行きますよ」


ドカドカ


マツリ「ノー!」
ナオ「ギャー」
コノミ「エー!」


恵美「……びっくりするくらい弱いね」


可奈「これなら、亜利沙ちゃんの洗脳?も簡単に解決できちゃうね!」


志保「……うまくいくと良いけど」





――――――――――――――――――――


――――シアター二階


このみ『亜利沙ちゃん逹は放送室…奥まで進んで右に曲がった所にある部屋にいるわ』


奈緒「って言うてたけど…」


まつり「…『どの』放送室でしょうか…」


ズラァ


廊下に並んだ『放送室』と書いてある板と扉。


ドドド


奈緒「『放送室』が増えてる…?」


まつり「部屋を増やす…ですか?」


まつりは半信半疑といった様子で、一番近くの扉(もちろん『放送室』)を開ける。


ガチャ


まつり「…………」


奈緒「おる?」


部屋の中は『いかにも』な放送室。


しかし人影は無い。


まつり「誰もいないのです」


バタン


奈緒「ふーん…」


ガチャ


奈緒「おらへん」


バタン




まつり「一つ一つ見ていっては時間が掛かりずぎるのです」


奈緒「そんなら、私の出番やろ」


奈緒「『H・L・ジェットマシーン』!」


ガチン!


大きく口を空けた奈緒のスタンドが扉に噛み付くと、扉は綺麗さっぱり消えてなくなる。


奈緒「これ、普通に壊してもええんちゃう?」


まつり「なのです」


合意して、扉に殴りかかる。


まつり『ナノォ!』


ガゴン!


まつり「ッ…固いのです!」


奈緒「そういえば、さっきもおんなじことしてたなぁ」


やれやれ、といった感じで奈緒は『H・L・ジェットマシーン』で扉を消す。


ガオン!


奈緒「だーれもおらへん」


奈緒「あと幾つある?いちにーさん…」


まつり「8,5部屋なのです」


奈緒「はいはい、8,5部屋…ん?」




ゴゴゴ


奈緒「あのなぁ、8部屋とか9部屋なら分かるけど、8,5部屋ってなんやねん」


まつり「『あの部屋』を見てください」


奈緒「んー……なんやあれ!?」


奈緒が素っ頓狂な声を上げる。


まつりが指差した部屋は、まるで細胞のように分かれていた。


ズモ…


ズモモォ


奈緒「ほ、『放送室』が分かれてる…まるで『分裂』してるみたいや!」


まつり「らりほー!なのです」


ゴゴ


ゴゴゴゴ


ブチィ


奈緒「わ、分かれた…」


まつり「! 奈緒さんこっちですッ!」


グイ


奈緒「ッ!」


まつり「廊下が…廊下までも『分裂』しているのですッ!」




二人の立つ廊下が横に伸びていることを察したまつりは奈緒を引き寄せる。


そして、二倍ほどになった廊下の天井と床から壁が生え、空間を二分する。


奈緒「んな、アホな…」


まつり「まるで『生き物』…外敵を追い払い、体を増やす…」


モクモク…


奈緒「!」


奈緒「まつりッ! 気を付け!」


奈緒「『霧』が出てきたで!」


モワァ…


まつり「『霧』…?」


奈緒「多分スタンド攻撃や!本体は近くにいるッ!」


キィ…


??「あ、あのぉ…」


一番奥の『放送室』から声が聞こえた。


奈緒「!」


まつり「この声は…可憐ちゃんなのです!」


可憐「す、すみません…地味な『スタンド』で…」




放送室からひょこっと顔を出し、可憐は謝罪する。


奈緒「問答無用ッ! 『H・L・ジェット…」


可憐「ひっ、ひぃぃぃい!」


可憐は迫ってきた奈緒に驚くと、頭を抱えてうずくまる。


奈緒「へ?」
まつり「ほ?」


可憐「や、やっぱり…私のス、スタンドなんかじゃ…駄目です…勝て、ません…」


???「何を言ってるんですか!可憐ちゃんのスタンドは『誰よりも強い』はずなんでしゅ!自信を持ってください!」


可憐「て、敵の前で言われてもぉ~…」


奈緒「この声…亜利沙!」


姿は見えないものの、声は可憐の半身が入っている放送室から聞こえる。


亜利沙「むふふ、そんなに情熱的に名前を呼ばれると照れちゃいます」


ゴゴゴ


まつり「…亜利沙ちゃんの能力は…『恒常性』を操る、もしくはそれに準ずる能力…」


奈緒「こ、『恒常性』?」


まつり「ヒトや鳥さんが体温を保ったり、風邪を引かないようにするわんだほー!な仕組みなのです」


亜利沙「へぇー…おしいですね」


まつり「む」




亜利沙「ま、もう亜利沙逹の勝ちなんですケド」


まつり「ほ…?」


可憐「あっ…奈緒さんには…『出てきた』みたいですね…」


奈緒「えっ…?」


ドドドド


奈緒「い、言われてみれば…目がチカチカして…薄暗く…」


まつり「ッ!早く可憐ちゃんを!」


可憐「ひっ…ひぃぃぃい!」


まつりが可憐に向かって拳を振り上げながら突撃すると、可憐は悲鳴を上げて放送室に入ってしまう。


まつり「逃がさないのですッ!『高速移動』!」


可憐「こ、来ないでぇぇえ!」


バタン


ガギン!


まつり「ほっ…逃げられたのです」




まつり「奈緒さん!今すぐこの壁を…!」


奈緒「み、見えな…い…暑いし…だるい…」


まつり「ほ…?」


奈緒「な、なにかの『症状』が出てる…『霧』を吸ったら…アカン」


チカチカ


まつり「!」


まつりの視界が点滅する。


まつり「な、何ですか…この『霧』は…!」


ドドドド


可憐『あ、あのぉ~…』


スタンドで可憐が話し掛けてくる。


まつり(…何処かに『スタンド』がいる…『遠距離型』なのは間違いない筈なのです…)


可憐「す、少しでも…正々堂々と…しようって思ったので、言いますけど…最初は『匂いや味を与える』ものだったんです…」




可憐「でも、亜利沙ちゃんが…その…アドバイスをくれて…と、取り敢えず! 何ですけど…」


可憐「『サリン』をさ、再現してみましたぁ…」




説明しよう。


サリンとは、かつてのナチスドイツが作り出した神経ガスの一種である!


毒性が余りにも強すぎるため、実質、化学兵器にしか用いられない程の危険物質!


神経に作用することで障害をもたらすが、サリンの侵入経路は呼吸器官のみならず皮膚からも侵入する!


症状は多岐にわたり、わずかな量で人を死に至らしめる!


(Wikiより一部抜粋)



まつり「奈緒さんこっちですッ!!」


正体を聞いた直後、まつりは奈緒を掴んで『高速移動』で離脱しようとする。


可憐「も、もうちょっと効果を強めようかな…?」


まつり「ッ!」




まつりの周りに『霧』が集まると、まつりの体に異常が直ぐ様起こった。


『高速移動』でまっすぐ移動して離脱する筈が、何故か真横に反れて壁にぶつかる。


まつり「ぐふっ…!」


ドン!


ドサ


可憐『ひうっ! び、吃驚しました…成功…したんですね…』


まつり「な、何故ですか…まつりは確かに『真横に』…いえ、『真っ直ぐ』行く筈でした…」


奈緒「うっ…くっはぁ……まつ…り…先に…」


まつり「行けません! それは奈緒さんが一番分かっている筈ですッ!」


ドドドド


可憐『も、もうちょっとだけ…もうちょっと、だけ…』


まつりが奈緒を引っ張れどもその方向はバラバラ、歩みは遅々として進まなかった。


そして『霧』が更に濃くなり、二人の体に及ぼす作用がより一層強くなる。


まつり「はっ…はぁーっ…汗が…早く…『射程距離』から…」


奈緒「う…も…だめ…………」ダラダラ


まつり「…奈緒さん…しっかり、して…下さい…」




ドドドドド


可憐『あ、亜利沙ちゃんから伝言です…「逃げられると、思わないで…」だそうです…わ、私がそう、お、思っている訳じゃありませんよ! 私の『スモールラブステップ』なんて、早く振り切ってもらっても、全然…全然、大丈夫ですから…』


まつり「ぐ、ぐぬぬ…」


ドドド


まつり(症状が悪化する前に、なんとか離れなければ…能力で…)


可憐『そ、それに…『なんとなーく』、『こんな感じかなぁ?』と思ってやってるだけなので…完全に、再現できてる訳じゃないんです…す、すみません私の『スモールラブステップ』じゃ役者不足ですよね…?』


まつり(…………能力で……とば……ない……と……)


ドドドド


奈緒「…………」


可憐『うぅ…あと数秒たったら、二人が私を、た、倒しに来るんですよね…』


まつり「…………」


ドドドドドド


可憐『こ、怖いなぁ…』


まつり「…………」


奈緒「…………」




ドンッ


ゴロゴロ…


奈緒「………………ぁ…」


まつり「…………ん……」


まつりの能力がギリギリで発動し、二人は射程外へ出る。


奈緒「っ……はぁぁーっ…」


まつり「はぁ…はぁー…っ…」


奈緒「危ない、ところ、やったな」ハァハァ


まつり「はい、何とか、助かりました」ハァハァ


奈緒「はぁーっ…………」


まつり「ふぅ……」


…………ン


まつり「…今、何か聞こえましたか?」


奈緒「え? 何にも聞こえてへんで」


キョロキョロ


まつり「あっ」


奈緒「?」


まつり「まつり達が来た廊下が無くなってるのです」




奈緒「どういうことなん?」


クルッ


奈緒「あー…壁になっとる」


廊下を進めば可憐の『スモールラブステップ』が、後退すれば壁が立ちふさがる。


奈緒「ま、可憐と亜利沙をとっちめん事には話が進まんし、どっかに行かれても困るから前に行くしかないやろ」


まつり「それは姫が言おうとしたことなのです」


奈緒「はいはい」


奈緒「んで」


奈緒「あの『霧』を越えて行かないけないんやけど…」チラ


モクモク


まつり「…………」


ゴゴゴ


まつり「…『霧状』のスタンドというものは存在するのです。もちろん、スタンドが出した『霧』というのもあるはずなのです」


まつり「でも、まつり達は可憐ちゃんのスタンドを見ていない…つまりスタンドが出した『霧』で間違いないのです」


奈緒「臆病やからなぁ…見せたくないんかな?」


まつり「何とかして本体を叩くか、『霧』を払うしか勝つ方法はありません」




奈緒「そんなら私にまかせーや」ドン


まつり「出来るのですか…?」


奈緒「大丈夫やろ」


奈緒は『H・L・ジェットマシーン』を『霧』に近付け、勢いよく吸い込んだ。


奈緒「それッ!」


スウゥッ!!


ガオォ――ン!


まつり「『霧』を吸い込んだ!」


可憐『キャアァ――――――!』


奈緒「!」


まつり「ダメージがあるのです…?」


奈緒「そうか…分かったで!このスタンドの正体が!」


まつり「ほ?」


奈緒「まとまった一つの『霧』ちゃう、『粒』の塊や!」


まつり「まさか『群体型』ッ!」


奈緒「そう! 小さくて数が多いからたまたま『霧』に見えただけ!」


奈緒「『霧』が私らの体に直接なんかやったんや!」


まつり「ふむむ…」




可憐『や、やっぱりぃ…』


ズズズ…


まつり「『霧』が引いていくのです…」


奈緒「逃げる気や! 追うで!」






To be continued…


おわりだよー(o・∇・o)


次は22くらいだとおもふ


結構書いてきましたが、新幹線とかシアターの内部構造は全く考えてませんでしたね

ま、いいや(o・∇・o)

投下





扉の隙間から亜利沙と可憐のいる放送室へと逃げる『スモールラブステップ』、その動作は遅く、追い付くのは容易であった。


奈緒「削れッ!」


ガオン ガオン


可憐『ひっ、ひぃぃぃぃいいい!!』


『スモールラブステップ』の霧は容易く引き裂かれ、奈緒達が通る道を作る。


まつり「やり過ぎは駄目なのですよ!」


奈緒「分かってる!」


霧の『隙間』を駆け抜け、奈緒はついに扉を削る。


奈緒「その顔見せ―――――――ッ!」


ガオン


バッ


可憐「えっ!? そそそ、そんなぁ!」




亜利沙「可憐ちゃん!こっちです!」グイー


奈緒とまつりが突入すると、亜利沙は可憐を引っ張りながら『放送室』から別の部屋へと移動をしようとしていた。


奈緒「逃がさへんで!」


亜利沙「来てくださいッ!」


ナオ「アカンデー」ドン
マツリ「ナノッ!」ドン


奈緒「!」


亜利沙の呼び声に応じてナオとマツリがワラワラと顔を見せる。


亜利沙「時間を稼ぐので、早く『スモールラブステップ』を引っ込めて下さい!」


可憐「わ、私なんかがいても…足手まといにしか…」


まつり「奈緒さん、『コネコネ』を急いで倒すのですよ!」


奈緒「わ、分かってる…」


ナオ「ワー!」


まつり「ナノッ!」


ボコン!


まつりがナオを倒していくが、奈緒はマツリを倒すのを躊躇う。




まつり「何をやっているのですッ!」


奈緒「ち、違う…手も、足も震えて…」


まつり「!」


まつり(まさか…腕を消し飛ばされたことがトラウマに…?)


奈緒が躊躇う間にも時間は過ぎる。


亜利沙「早く来て下さい!」


可憐「あ、足手まとい、だから…」


亜利沙「亜利沙は可憐ちゃんを『選んだ』んです! 私を信じて!」


可憐「わ、私を…!?」


亜利沙「亜利沙の為に! 今ここにいる可憐ちゃんに戦って欲しいんです!」


可憐「亜利沙ちゃんの…ために…」


ドドド


可憐「……ごめんね、あ、亜利沙ちゃんの事、考えてなかった…」


まつり「奈緒さん!」


奈緒「っ……」


可憐「わ、私、戦う…戦うよ!」


ドドドドド


亜利沙「そうこなくっちゃ」




まつり「!」


まつり(空気が変わった…! 力強いパワーを『スモールラブステップ』から感じるのです)


まつり(急いで倒したいのですが…接近するには奈緒さんの協力が必要不可欠、腕を削られたというトラウマを跳ね返す精神がないと…)


まつり「いいのです、まつりがやります」


奈緒「…………?」


ドドドドド


まつり(前五メートルに可憐ちゃんと亜利沙ちゃん)


まつり(その真後ろには開いている扉、『高速移動』なら十分なのですッ!)


まつり「スタンドは精神の力ッ! 逆境やトラウマを跳ね返す精神がないなら、『黒幕』に立ち向かおうだなんて思わないで下さい」


奈緒「!!」


まつり「ここはまつりがやるのです」


亜利沙「お話は終わりですか。まぁ、亜利沙達は逃げさせてもらいますけど」


可憐「ええっ!?」


まつり「…『高速移動』」




フッ


亜利沙「はっ、はやいッ!?」


まつり「まずは可憐ちゃんッ!」


可憐「ッ!」


ブン!


可憐「『スモールラブステップ』!!」


グイ―ッ


ギュッ


まつり「!?」


まつり(筋肉が勝手に収縮を!?)


高速で接近したまつりは五メートルの間にいた『スモールラブステップ』の影響をほぼ受けずに可憐の目の前まで行くが、腕をスイングしている途中で腕が勝手に曲がり、拳は宙を切る。




可憐「あ、亜利沙ちゃんを…守れるのは私…私だけ…!」


ドドドドドド


可憐「スタンドの、き、筋肉を収縮させました…やろうと思えば、出来ることも、少しあるんですね…」


まつり「なっ…!」


奈緒(まずい…まつりがやられる!)


奈緒(でも動かへん…まるで体が石にでもなったように…私はあの『コネコネ』に恐怖してるッ!)


ゴゴゴゴ


可憐「だから…やられて、くださいっ…!」


可憐「『スモールラブステップ』!!」


先程よりも速く『霧』がまつりの周りに集まる。


まつり「うっ…まさ…か…」


ドドドドドド


まつり(さっきよりも『症状』の出が早い…スタンドが…精神が成長してるッ!)


可憐「呼吸と…考えと…色々を、と、止めました…」


可憐「ま、まつりさんでも…流石に、立てないはずです…」



ドドドド


まつり「さ、最後に一発…」


可憐「駄目ですっ…亜利沙ちゃんは、わ、私がッ!」


ブワッ!


まつり「あぅ…」フラッ


奈緒「……まつり?」


ドサ


奈緒「ま、まつりィィィ――――――ッ!!」


ドドドドドド


可憐「わ、私でも倒せた…まつりちゃんを…ふふっ…」


亜利沙「」チラ


奈緒「あ…ああっ…!」


亜利沙「後は離れながら戦いましょう、そうしましょう!」


可憐「は、はい…!」


奈緒「ああああああああ!!」




亜利沙「任せましたよ」


ナオ「ホナ」


マツリ「ナノデス」


バタン


可憐と亜利沙は扉をくぐって何処かに行ってしまう。


ゴゴゴゴゴ


奈緒「…まつりが、まつりが!」


奈緒(死んでまう…! 私のせいで!)


奈緒(『コネコネ』よりも何よりも、『それ』が一番恐ろしい…! あんな『些細な』事で悩むなんて!)




ドドドドド


奈緒「……『H・L・ジェットマシーン』ッ!」


ナオ「アー…」
ナオ「ニゲルナー」


ガオン


奈緒は空中を削り、天井近くを飛びながらまつりを救い上げようとする。


マツリ「ハヤク、ハヤク」
マツリ「イタダクノデ…」


奈緒「邪魔や!」


ガオン


まつりの周りに群がるマツリを削り、まつりに手を伸ばす。


しかしそこは危険地帯、『スモールラブステップ』の密集地に飛び込むのは『自殺行為』である。


奈緒「自殺行為なんかやない…削れッ!」


ガォォ―ン!


だが奈緒は『スモールラブステップ』を吸い込んで消し飛ばす。




可憐『あれ…なんでダメージが!?』


奈緒「まつり!大丈夫かまつり!?」スタ


まつり「………………」


奈緒「まつり…?」


奈緒はまつりの胸に耳をあて、その鼓動を聞く。


シィィ――ン


奈緒「う、動いてない…そんなん嘘や…」


奈緒「頼む…生き返って!」


ドクン!


奈緒はまつりの心臓をスタンドの左腕で強く握りしめ、血液を全身に巡らせるために何度も何度もそれを繰り返す。


奈緒「頼むっ、お願い、まつり!」


ドクン ドクン ドクン!




可憐『…え? もしかして…奈緒さんが、立ち直った…?』


奈緒「ふぅー!ふぅー!」


奈緒はまつりの口に自身の口を当てて息を吹き込む。


肺に供給された酸素は、肺動脈から流れてきた赤血球のヘモグロビンと結合し、肺から心臓に流れた血液は奈緒の心臓マッサージによって全身へと駆け巡る。


ヘモグロビンと結合して酸素ヘモグロビンとなった酸素は、血液と共に脳を含む全ての組織に運搬され、エネルギーを生産するために利用される。


奈緒「まつり、まつり!」


ドクン ドクン!


まつり「…………」ピク


奈緒「動いた…! いけるッ!まつりは助かるッ!」


可憐『…な、何をしてるのかと思ったら、心臓マッサージ…だったんですね』


奈緒「へ…?」


ピクピク


まつりは徐々に息を吹き返す。


だが時間を使えば使うほど『コネコネ』は迫っていた。


ナオ「サセヘンデ~」
ナオ「アメチャン…」


奈緒「!」




奈緒(近い…!あと一メートルで呑まれるッ!)


ゴゴゴ


奈緒(まつりか、逃走か…二つに一つ…)


奈緒(せや! また飛べば…)


ヌルニュル


ナオ「アトチョイ…」


奈緒「て、天井からも!?」


周りを奈緒の『コネコネ』に囲まれ、天井からも数体がうねうねと出てこようとするため、その『間』を通ろうとすれば動きの緩慢な『コネコネ』と言えども、部屋を出るまでには触肢で道を塞ぎきるだろう。


奈緒「し、四面楚歌…前にも後ろにも行かれへん…」


可憐『つ、ついに私達の、勝ち…なんですね…!』


ドドドドド


奈緒「そ、そんな…アホな…」


まつり「」ピクピクッ


奈緒「いや…ま、まつりは助かる…ここで蘇生をすれば…!」


ゴゴゴゴゴ


奈緒「わ、私は…多分死ぬ…十中八九死ぬ、でもまつりは…!」


ピクッ



可憐『お、お仕舞いですゥゥゥ――――!』


ナオ「イタダキマース!」
ナオ「アム…ン?」




ガオン


ナオ「イナイ…?」


ドドドド


可憐『か、勝ちましたー!ついに、ついに勝った、んですよね…?』


奈緒「はははは…盲点やったわ…」


奈緒は床を削って下の階へと逃れ、天井に張り付きながらまつりの心臓マッサージを続ける。


そして相変わらず階下では『コネコネ』がビッシリと蠢いていた。


奈緒「真下…床を削れば良かったんや…」


奈緒(それに可憐はスタンドと視覚を共有してへんみたいや、しばらくは『スモールラブステップ』から身を隠して…)


可憐『あ、あれ…やっぱり『二つ』ある…』


奈緒「…?」


モクモク


可憐『まだ生きてる…それもこの階じゃない…?』


奈緒(気付かれた!? まつりはまだ息を吹き返してへ…………ん?)


まつり「」ピク


奈緒(……違う、まつりは息を吹き返してる訳ちゃう…)




奈緒(体の中にいる少量の『スモールラブステップ』が邪魔をしてるんや、私のマッサージはただの『現状維持』)


ゴゴゴ


奈緒(射程距離から逃れんことにはまつりは生き返らないッ!)


可憐『下の、階…床を…削ったのかな?』


奈緒(今すぐ逃れる!)


奈緒「『H・L・ジェットマシーン』!」


奈緒は天井から離れると、空間を削りながら急いで距離をとる。


ガォォーン


奈緒「へへーん、十メートルなんてちょちょいのちょいや!」


可憐『あ、そこに…』


ピン!


奈緒が『スモールラブステップ』の射程十メートルから逃れると、奈緒の足が突然、『ビクン』と跳ねる。


奈緒「え…?」




『ビクン』と跳ねた足の行き先、そこにはナオが大きく体を伸ばして待ち構えていた。


ナオ「アムッ」


ドプッ


奈緒「あ…ああッ!」


奈緒(つ、捕まった…足が『勝手に動いた』せいで捕まった…)


可憐(な、奈緒ちゃんの体に…残ってた『スモールラブステップ』で足を刺激しましたが…上手くいった…みたいなのかな?)


可憐『ふふ、ふ…け、計画…通り…』


空中でナオに捕まった奈緒の右足首は完全に呑まれており、このまま空中で静止したのならば、そう遅くない内に膝も太股も何もかも呑まれて消えるだろう。


奈緒(可憐の『射程距離』からは逃げたはずやッ! まつりは今にでも目を…)


まつり「」ピクピクッ


まつり「」ピク


ドドド


奈緒(う、動かへん…蘇生は出来た筈や…心臓も、酸素も、全部大丈夫なはずや…『スモールラブステップ』の『射程距離』からは離れたはず…!!)


ドドドド


奈緒(…いや、ちょいまち…まさか…)




奈緒(まさか…『射程距離』が伸びた! まつりが言ってた「スタンドのパワーは精神のパワー」ちゅうのはこういうことか!)


ナオ「ウマ~」ニュルニュル


奈緒(このままやと共倒れ…なら!)


ゴゴゴゴ


奈緒「覚悟を…」


奈緒「本当の覚悟を…決める」


奈緒「『やる』なら『やる』っちゅう覚悟を!」


ガオン


ナオ「…ン?」


ブシャァア


奈緒「う…ぐっ…足を削った…」


奈緒「これなら…『射程距離からは』逃れられるッ!」


可憐『逃がすと、思ったんですか…?』


奈緒「!!」


グニャア


奈緒「視界が…回るッ! 何十回も回った後に止まったみたいや!」




可憐『耳の…平衡感覚を感じる場所を、刺激しました…』


可憐『私でも、あ、亜利沙ちゃんの為なら…頑張れる、から…』


可憐『…やられてください』


グィィーン


奈緒「うおッ!?」


奈緒は真っ直ぐ逃げるはずだったが、突如真下へと方向転換してしまう。


歪む視界、真下は『コネコネ』の海、呑まれれば即死亡である。


ナオ「アームー…」


奈緒「スタンドの…私の感覚を信じろッ!」


ガォォーン!!


可憐『だ、騙されない…!?』




グォオ


奈緒「逃げ…切った!」


ガオン!!


フッ


奈緒「おっ…!」


ドシャア


奈緒「うぐ…なんとか…外に出れた…」


ガバッ


奈緒「そうや!まつり、まつりは!」


まつり「」ピク


まつり「」ピクピクッ


奈緒「じ、人工呼吸や!心臓マッサージも!」


奈緒は急いでまつりの心臓を握る。


ドクン ドクン ドクン!!


奈緒「っ…ふぅー…すぅー…ふぅー…」




奈緒「っ…ふぅー…すぅー…ふぅー…」


ドクン ドクン ドクン!!


まつり「っ………………」


奈緒「ま、まつり!」


パチ


まつり「んっ…」


奈緒「生き返った…?」


ドドド


まつり「こ、ここは…」


奈緒「生き返った――――ッ!!」


ガバッ


まつり「な、奈緒…?」


ギュウウウウ


まつり「つ、つよ…!」


奈緒「ううっ……よかった…まつりが…まつ、りが…」ポロポロ


まつり「…!」




奈緒「わたしのせいでっ…し、死ぬんちゃうかって…おもって…うううっ…!」ポロポロ


まつり「…………」


奈緒「だからっ…だか、ら…ひっく…っく…」ポロポロ


まつり「ありがとう…」


奈緒「うえぇぇぇぇえええん!」ポロポロ


まつり「ほら、泣かないで…ね?」


奈緒「う゛ん! でぼまづりが!」


まつり「ハンカチなのです…涙を拭いて…」


奈緒「うん…………ヂーン!」


ベチャア


まつり「…………」


奈緒「ありがとう…」スッ


まつり「い、いえいえ…」


まつり(ハンカチから鼻水を離すのです)ピューン


奈緒が出した透明な鼻水は、まつりのハンカチから勢いよく飛び出して地面にベチャリと張り付く。




まつり「そ、それよりも、奈緒ちゃんの足の治療を!」


奈緒「え…?」


ダラダラダラ


奈緒「わ、忘れてた…今になって痛みが…!」


まつり「波紋ッ!」


ビリビリィ


奈緒「お、おおっ…」


まつり「とりあえず、止血はしたのです」


奈緒「ありがとな」



奈緒「……それにしてもな、またあの『アイドルキャッスル』に挑まなあかんのか…」


ドドド


まつり「なのです。ですが、奈緒ちゃんのスタンドは『軍隊型』や『遠隔自動操縦型』には滅法強いタイプの『近距離型』」


まつり「相性もみらくる・わんだほー!なのですが…」


奈緒「…?」


まつり「精神的にも、成長したんだね」


奈緒「……そらそうや、まつりが死んで何かせずにはいられへん」


奈緒「自分で言うのもあれやけど、結果オーライ?ってやつやな」




まつり「死んだ…?まつりが?」


奈緒「えっ、死んでたんやで?」


まつり「蘇生…したのですか?」


奈緒「うん」


まつり「心臓マッサージを?」


奈緒「片腕しかないから大変やったで」


まつり「まさか人工呼吸も…!」


奈緒「当たり前やん! 何を気にして…はッ!」


まつり「…………ぽっ」カァッ


奈緒「な、何の音や…あと顔を赤くすな!」


まつり「いつの間にかまつりの王子様になっていたのですね…」


奈緒「ち、ちがああああ! 恥ずかしくなってきたァァァ―――――ッ!」


まつり「後で責任はとってもらうのです…」


奈緒「ああああぁぁぁぁ…」


まつり「まぁ、それはおいておくのです」




ドドド


まつり「今こそ決戦の時ッ! 相手のふぃーるどごと『H・L・ジェットマシーン』で…」


昴「おーい!」


まつり「ほ?」


タタタタ


奈緒「あれ…昴や!」


まつり「こんなところに…」


タタッ


昴「奈緒!まつり!」


まつり「昴ちゃん!」


「「丁度よかった!」」


「「……え?」」


奈緒「ど、どういうこっちゃ…」


ゴゴゴ




昴「いや、オレ達はあの劇場に行かなきゃいけないんだけど…」


まつり「オレ達? つまり複数人ここにいるのですね?」


昴「おう、オレと麗花と志保琴葉恵美可奈…六人いたんだ」


奈緒「…今は一人やん」


昴「そうなんだよ! 劇場の壁がめちゃくちゃかてーからさ、オレが琴葉を飛ばして穴を開けたら…オレが入る前にしまっちゃってさ」


奈緒「色々突っ込みたい事はあるけど…」


まつり「なんとなーく、事情はわかったのです」


昴「ならよかった。んで、二人とも何でここに?」


奈緒「あのな、それがまた大変でな」


奈緒「亜利沙に誘われて劇場入ったら、一緒に来た未来にズバーッてやられて、腕も変な『コネコネ』にパクッてされて、何とか上に行ったら行ったで未来と闘ってこのみさん仲間にして、可憐のモワーッとしたスタンドでグルグルーってなって、そしたらまつりが死んだからガオンってここまで戻って来てん」


昴「んん…?」


まつり「ほ? もっと詳しく説明した方が…」


昴「分かったぜ!」


まつり「………………」




昴「つまり亜利沙と可憐が中にいて、ボコボコにされたから出てきたんだな」


奈緒「う、うぐっ」


まつり「弁解のしようが無いのです」


昴「んで、未来とこのみさんが今中にいる。このみさんは仲間」


まつり「大体あってるのです」


まつり(建物ごと『H・L・ジェットマシーン』で壊すか、『フェスタ・イルミネーション』で土台ごと吹っ飛ばそうと思ったのですが…)


昴「よし! オレを中に連れてってくれよ!」


奈緒「最初からそのつもりやで」


まつり「………………」


奈緒「まつり?」


まつり「いえ…なんでもないのです」


昴「んじゃあ、何処から入る?」


奈緒「一階に可憐達はおらんと思うねん、せやから三階か二階に…」


昴「ん?四階はどうなんだ?」


奈緒「よ、四階? 劇場は『三階建て』やで…ってなんやあれ!?」






まつり「ほ…?」


昴「おいおい…まさか生えてきたって言うつもりか…?」


見た目には変化はない、だが高さに変化がある。


先程よりも大きくなり、『アイドルキャッスル』と書かれた広告と比べても大きい。


奈緒「生えてきたって…生えてきたって!」


ドドド


まつり「一体なんなのなのですか…?」


昴「おい!何か横から生えてきたぞ!」


ドドドド


奈緒「な、なんや…幻覚何かやない…それは分かってる…」


まつり「だからこそ、異常さがわかるのです…!」


劇場の横の壁に四角い膨らみが見えたと思うと、それが段々と出っ張ってくると、一分も経たない内に直方体が出来る。


昴「ありゃ…部屋か? 一体どんなスタンドだっつーの…」




ドドドド


まつり「…さっき、五人居たと言いましたね…」


昴「おう、志保達とここに来たんだ」


まつり「亜利沙ちゃんのスタンドは一人では絶対に勝てません。さらに(部屋を区切って)分断する能力もあります…」


奈緒「それは…まずいな!」


昴「そ、そんなにか…?」


奈緒「可憐の能力の凶悪さもあってますますや」


昴「おい…それ…志保達がヤバイって事じゃ…」


まつり「今すぐに行くのです!」


奈緒「絶対に勝つで!」






昴「いや、その足でどうすんだよ…」


奈緒「そうやった…」


まつり「肩を貸してください…ね?」


To be continued…


終わりだよー(o・∇・o)


次は29日


おしり

ほい

本体・人間・篠宮可憐
スタンド『スモールラブステップ』

群体型

破壊力E  スピードD  射程距離C(20メートル

精密動作性C  持続性D  成長性A


能力射程20メートル


能力『神経に刺激を与えたり、刺激の伝達を阻害する能力』



霧状のスタンド、その正体は無数に浮かんだ『粒』が集まって見えたものであるが、視覚の共有は出来ない。

余りにも小さすぎるために可憐も上手く操作が出来ないが、効果と汎用性は広く大きく、発想次第では大きく化ける。

その反面パワーは低く、缶を拾ったり扉を軽く押すので精一杯。

そして、可憐の精神に『特に』大きく左右されるスタンド。






昴「よいしょっ…と」


昴は右肩を奈緒に、左肩をまつりに貸した状態で立ち上がる。


まつり「大丈夫なのです?」


昴「大丈夫大丈夫、慣れたから」


奈緒「どんな戦い方しとったんや…」


まつりは右足、奈緒は右足首と右腕が使えなくなり、『スーパーナチュラルアクティブショウアイドルちゃん(SNASA)』の攻略はさらに難しくなった。


まつり「…劇場に入る前に、ちょっといいのですか?」


奈緒「なんや?」


まつり「『フェスタ・イルミネーション』」




フワッ


昴「うおっ!?」


奈緒「と、飛んどる!」


三人は肩を組み合ったまま浮かび上がる。


まつり「まつりの能力を使ったまま、劇場に入りたいのです。『コネコネ』の撃退に時間を割きたくないのです」


まつり(まつりの考えが正しければ…)


ゴゴゴゴ


奈緒「ええんちゃう?」


昴「いいと思うぜ」


まつり「分かったのです」


まつりは頷くと、奈緒が開けた穴に近づく。




奈緒「……こっからは直ぐに可憐の射程距離内って事を忘れんときや、私を警戒して流石に引っ込めてるけどな」


まつり「なのです」


ドドドド


まつり「行くのですよ」


昴「おう」


壁に開いた穴をくぐって中に侵入する。


ヌッ


アリサ『…………』


昴「!!」


その際、壁から顔を出したアリサが居るのを見て、昴は悲鳴をあげそうになる。


アリサが無害であることを知っている二人は、そのまま放って置いたが。


アリサ『……シンニュウシャ?』


アリサ『ソウナノデシュ』




まつり(……話し合っている? こちらに攻撃はしてきませんが…)


奈緒(無視して先に進まな)


まつり(そうなのですね)


そして三人が壁を抜けて中に入った瞬間。


 エーアールアイエスエー!   エーアールアイエスエー!
『A・R・I・S・A! A・R・I・S・A!』


『再侵入者ですっ!再侵入者ですっ!』


まつり「なっ!?」


奈緒「また来るんかいな…」


昴「お、おい…二人ともどうしたんだよ…」


ドドドド


まつり「コネコネが来るのですよ!」


奈緒「昴も『白い粒』には気を付けや!」


昴「『白い粒』…? さっきのあれか?」


奈緒「!?」


まつり「も、もう触ったのですか!?」




昴「え? 駄目だった? くっついてたからそのまま捨てちゃったけど…」


奈緒「こ、このアホ!」


昴「はあ!?何でだよ!」


ドドドドド


まつり(ま、まずいのです…ただでさえこっちは消耗しているというのに…)


まつり「と、兎に角! 自分と同じ顔のコネコネを攻撃はしてはいけないのですよ!」


奈緒「ああ…説明しとくんやった!」


昴「わ、わかったぜ」


ムニュ


奈緒「出てきたで!」


天井、廊下の奥、地面、『ありとあらゆる』場所から『一斉に』コネコネが顔を出した。


昴「お、おい!足の踏み場も無いじゃないか!?」




奈緒「な、なんやこの『数』はッ!私らの時とは全然ちゃうで!?」


ドドドドド


まつり「やっぱり…」


まつり(生体内に侵入した異物は、二度目の侵入を強く拒まれる…)


染み出したコネコネは天井からも降ってくる。


身動きの取れない昴の代わりに、二人は『二人分』のコネコネを一々見分けてから攻撃しなければならない。


ちょっとした油断が命取りである。


奈緒「…やっぱりって…分かってたんなら言ってや!」


まつり「悪いと思ってはいるのです、ただ…」


昴「ただ?」


ゴゴゴゴ


まつり「覚悟してください…」


まつり「疾風怒濤の嵐が来るのです!」









・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・




志保たち『七人』は階段の踊り場で相談していた。


琴葉『この広い劇場…しかも変化する劇場で敵本体を叩くのだけど…』


恵美「うん、構造が全く違うからね…踊り場が四ツ又なんて初耳だよ…」


麗花「格好いいと思うけどなぁ」


踊り場から上方向に伸びたスロープのような道が二つ、そして普通の階段があり、行き先は三方向に限定される。


そして今、スタンドパワーを消耗しているので分散して敵本体を叩かなければならない状況にある。


このみ「やっぱり、三グループに分かれた方がいいわね」


志保「戦力の分散は危険だと思いますが…」


琴葉『仕方ないわ…不意打ちでの全滅と、消耗戦は避けないと』


可奈「で、でも…」チラ


未来「はぁ…」


恵美「…うん、その気持ちは分かるよ」




志保「あの奇妙な物体、いえ、スタンドに剣を持っていかれた…」


麗花「白い粒々は危険って事ね!」フンス


このみ「もうみんな刺されたけれど…」


未来「あーあ、結構気に入ってたんだけどなぁ…あの剣」


可奈「そっち!?」


琴葉『こ、コホン…兎に角、同じ顔の……『コネコネ』には攻撃しないようにしましょう』


恵美「まぁ、そのためにペア作ろうってなってるんだけどね」


志保「あの『コネコネ』自体は可奈でも倒せますしね」


つまり、敵本体を早く倒さなければならないが、うっかりみんな白い粒に刺されたため、自身のコネコネが出現。


スタンドパワーの消耗も相まって短期決戦を仕掛けなければならなくなったため、多少のリスクを冒してでも分散しよう、という話である!




琴葉『それで、ペアの話なんだけど…』


このみ「何かいい案があるの?」


琴葉『はい、まずは私と麗花さん』


麗花「琴葉ちゃんといけばいいのね?」


琴葉『次に、志保ちゃんと可奈ちゃん』


可奈「志保ちゃんよろしくね!」


志保「……そうね、気を付けましょう」


琴葉『次に…』


このみ「私と未来ちゃん?」


琴葉『はい』


このみ「……なんとなーく分かったわよ」


恵美「あっ…」




未来「……?どういうこと?」


志保「未来は気にしなくていいわ」


志保(天然ボケを分散したわね…)


琴葉『戦力的に考えると、志保ちゃんはいざという時は…隠れられるよね?』


志保「大丈夫です」


このみ「私と未来ちゃんはいいとして、恵美ちゃんは?」


琴葉『それは…』


恵美「いや、琴葉が心配だし、琴葉と一緒にいるよ」


このみ「じゃあ決まりね」


麗花「誰を探せばいいんだっけ?」


可奈「亜利沙ちゃんと…」


未来「他にいるんですか?」




このみ「ええ、可憐ちゃんと…静香ちゃんがいるわ」


未来「ええっ!静香ちゃん!?」


志保「静香も…」


琴葉『見つけ次第撃破、ということで』


恵美「んじゃ、行こっか」


相談が終わり、琴葉と恵美と麗花は踊り場の分かれ道の右を、未来とこのみは踊り場の分かれ道の左を、志保と可奈は階段を昇って行った。



可奈「志保ちゃん♪志保ちゃん♪」


志保「何よ」


可奈「ううん、折角一緒になったんだし、もっと仲良くなりたいなーって」


志保「今は真剣にやらないといけない時よ、邪魔しないで」


可奈「ご、ごめんね…」シュン




コツコツ


志保「…………」


可奈「…………」


二人は無言のまま階段を昇る。


しかし、その気まずい空気に耐えられなくなった可奈が、また志保に話し掛ける。


可奈「あのねっ、志保ちゃん!」


志保「…黙ってって、さっき言わなかった?」


可奈「あうぅ…」


コツコツ


志保(…長いわね、こんなに長いものかしら…)


可奈「…………」


ゴゴゴゴ


志保(沈黙が気まずい訳じゃない、既に敵スタンドの術中…ということね)




黙々と、不自然に『延び続ける』階段を昇る志保。


既に目的のフロアは見えているが、いつまで経っても目的地に着かないのだ。


志保(敵の目的は何? 私達をこの場に留める意味は?)


志保(次の階に可憐さんや静香がいるの?)


ゴゴゴゴ


志保(…いえ、ただ単に分断したいだけ?)


志保(…未来が遭遇した『未来のコネコネ』は未来を飲み込もうとした、そして未来の攻撃は効かなかった。つまり…)


志保「可奈!」


クルッ


シィィ――――ン


志保「ま、まずい…『コネコネ』は一人では対処できない!」




ドドドド


志保「今のこの状況、一人に分断するつもりよッ!!」


志保「何処にいるの!? 可奈!」


志保の呼び掛けには誰も返事を返さない。


志保「上か、下か…どちらかに可奈は…」


志保は一瞬だけ悩み、上階へと視線を向ける。


シホ「…………」


志保「!!」


そこには志保の『コネコネ』がいた。


志保「…一体だけよ、『ライアールージュ』で気付かれないように横を…」


スッ


ガクン!


志保「なっ!?」


志保が一段上に上った瞬間、下りエスカレーターのように階段が『下りた』。




志保「この…意地でも上にいかせないつもりね!」


ダッ


ドドドン


志保が躍起になって階段を駆け上がると、その分だけ階段が下がる。


シホ「…………」ススス


志保「くっ…着々と近付いてきてるわね…」


志保「なら下よ!」


バッ


シホ「…………」


志保「うっ、下にも…」


階下の踊り場にも志保のコネコネは居た、上下での挟み撃ちである。




ドドドド


志保「上か下か、急がないと可奈が…!」


ニュ


志保「後ろから…? 一体…」


背後の物音に振り返る。


クルッ


シホ「イタワ」


志保「!!」


志保のいる段の真横の壁から、志保のコネコネが現れる。


志保「こいつら、壁を通ってくるッ!!」


シホ「ムダァァア!」


スロー


志保「お、遅い…」


ヒョイ


志保が後ろに下がると簡単に距離が離れる。




志保「でも、いつまでもこうやってるわけにはいかないわ…いずれ距離を詰められる…」


ドドドド


志保「上か…」


シホ「…………」


志保「下か!」


どちらにもコネコネは集まっている、完全に道を塞がれる前に移動しなければならない。


志保「…………」


ドドドド


志保「決めたわ、上よ」


ドンッ!


志保は跳躍し、階段を飛び越えてコネコネも飛び越える。


スト


志保「最初から、飛んでればよかったわ」


シホ「キタワヨー」


シホ「イタワ」


志保「…やれやれ、気の抜けるやつらね」









・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・


可憐「ふふっ…三本の道のうち、私が…そう、私が倒す…ふふふ…」


亜利沙(いや~可憐ちゃんもすっかり『自信』がついたみたいですね~)


亜利沙(ビクビクオドオドしている可憐ちゃんもいいですケド、勇気を出している?可憐ちゃんもいいですね!)パシャパシャ


亜利沙は珍しく自信満々な可憐の姿を次々と写真に納めていく。


静香「…………」


ゴゴゴゴ


静香「亜利沙さん、私は…」


亜利沙「静香ちゃんには、亜利沙達の場所を特定したアイドルちゃんを倒してもらいたかったんですが…」


静香「この調子じゃ、要らなさそうね」


亜利沙「そんなことないのでしゅ! 是非亜利沙の『最上静香ファイルその2』の一部に…」パシャ


静香「何勝手に取ってるんですか!あともうそんなに撮ったの!?」


亜利沙「むふふ、亜利沙のアイドルちゃんへの探求は終わらないのですよ!」


静香「…コホン、それは後で話すとして…」




ゴゴゴゴ


静香「やっぱり、『プレシャス・グレイン』と『SNASA』は相性が悪いみたいです」


亜利沙「やっぱりそうでしたか、致死コンボが出来ると思ったのですが…」


静香「そうね、『スタンドは』私の能力の適応外…未来みたいに襲うことは出来ないし、帰らせてもらうわ」


亜利沙「そうですね、そっちの方がいいでしょう」


静香「それじゃあ」


亜利沙「さようなら~」


ギチギチ…


静香が壁に向かって歩くと、壁に穴が開いて避難用の滑り台がしたに向かって投下される。


静香はそのまま滑り台に乗って外に出る。


ゴゴゴゴ


可憐「ふふふ…来た、みたいです…」


亜利沙「おっと、ナイスタイミングですね」


可憐「相手は…」


ゴゴゴゴゴゴ


可憐「このみさんと、未来ちゃん…」


亜利沙「ありゃりゃ、近距離タイプのお二人ですか」


可憐「裏切り者には死を…ふふふ…」


可憐「まつりさんも…奈緒ちゃんも、倒せたんだから…きっと、絶対、誰にも負けない…」


亜利沙「…………」


亜利沙(これはこれで、まずいですね…)


可憐「ふふふ…」




To be continued…



今回は可憐ちゃんの精神状態がヤバイ&亜利沙のスタンドの本領発揮というお話


グリPには長いこと苦しめられましたね…問題文読み飛ばしたり

十中八九なんとかなりますよ(o・∇・o)

おつー
静香の能力が楽しみ

>>807静香ちゃんの能力は二つ考えてたんですが、この時点で決まりましたね~(o・∇・o)

クッソ適当やったんで訂正


本体・人間・七尾百合子
スタンド『クリアプロローグ』
ほらほら



近距離型 ・人型

破壊力C  スピードC  射程距離D

精密動作性B  持続性C  成長性D

能力射程B


能力『風を操る能力』




腕についた風車が特徴の緑色のスタンド、腕の風車を回転させてスタンドの風を巻き起こす。

巻き起こせる風は風速50mとかなり強力ではあるが、百合子は集中しなければならないため身動きがとれなくなる。

集中力が高い(一部の方面で)ので、集中すれば水を水蒸気にして体に纏わせ、光の屈折率を変えて姿を消すことも出来る。



本体・人間・馬場このみ
スタンド『ディアー』
ほらほら



近距離パワー型・人型

破壊力A  スピードE  射程距離E

精密動作性B  持続性C  成長性―

能力射程D(3メートル)


能力『距離感を狂わせる能力』



赤いランドセルを背負ってそうな子供、っぽい赤いスタンド 。身長はこのみとほぼ一緒。

身長の代わりに成熟した精神を手に入れたこのみのスタンドはパワーが高い反面、スピードは遅い。

距離感を狂わせるということは、対象者の感じる距離を実際の距離とは違うものにすることと、実際に動いている距離と対象者が動かしていると思っている距離を違うものにすることである。

『目』をトリガーにしているのはあくまで『視覚』の距離感を操っているからである。


例えば『接触』をトリガーにした後に殴るとすると、殴られた者は遥か後方などの『自分』ではない部分で痛みを感じたりする。


このみPや風の戦士さんには深く謝罪させて頂きます

(o・∇・o)


最初の方でコネコネを『顔を粘土細工のスライムに乗っけたような物』と描写しましたが、余りにも気持ち悪いイメージしか出てこないので

   /⌒\
  (o・∇・o)
 ∠~~~~~ゝ

こんな感じの可愛らしい感じでお願いします。

可愛くない? 心の眼でみるんじゃよ


投下








このみ「ふっ!」


ドゴ


ミライ「ウワァァア…」サァァ


未来「……大分片付きましたねー」キョロキョロ


このみ「そうね」


ドドド


このみ(分かれ道を歩いてたらすぐに『コネコネ』が出てきたわ…何処にでも現れるのね)


未来「このみさん、一本道…ですよね?」


このみ「そうね、一本道よ」


ドドドド


未来「行き止まりって、劇場にありませんよね!?」


このみ「その通りよ!未来ちゃん!」


二人は行き止まりで立ち止まっていた。


未来「…………」


このみ「…………はぁ」




このみ「…部屋もあるみたいだし、そこを探しましょう」


劇場に出来た一本道、その行き止まりにたどり着いた二人はドアを手当たり次第に開けて探索しようとする。


未来「…あれ? 『霧』かな…?」


このみ「『霧』…?」


モクモクモク


このみ「一体どこから…!!」


ドドドド


このみ「未来ちゃん!この『霧』はスタンド攻撃の一部よ!」


未来「今、出所を…………あそこです!」ビシ


『スモールラブステップ』が充満しようとする中で、未来はドアと床の隙間から一際濃い『霧』が出ているのを見抜く。


このみ「目がいいのね!」


未来「ありがとうございますッ! 乗り込みますよ!」




ダッ


二人は『霧』の中に突っ込み、ドアの奥にいるはずのスタンド使いに攻撃を仕掛けるつもりであった。


未来「ドアを叩き斬るッ!『ワンダフルミラクル』!」


このみ「未来ちゃん!?」


未来は突然、扉に向かって降り下ろす筈の剣をこのみに向ける。


バッ


ゴロゴロ


このみ「一体どうしたの!?」


未来「ち、違うんです!ビクッて勝手に動くんです!」


このみ「何ですって!?」


未来「て、敵スタンドの攻撃だッ!」


このみ「…この『霧』はスタンドの『霧』よッ! スタンドで口と鼻を押さえて!」


未来「両手が塞がってるのでお願いしまーす!」


このみは自分の口と鼻をふさぎ、折れた剣と盾を持つ未来の分も塞ぐ。




このみ『活動限界があるわ!扉を切って!』


未来『任せてください!』


スパッ


ズパパパ


『ワンダフルミラクル』は琴葉のような『激突』では壊せない壁を『斬撃』で切り刻む。


ガードレールは乗用車の衝突ではひしゃげるだけだが、ウォーターカッターのような物でなら切断出来るのと同じである。


ドンッ!


未来『……開きました、よっ!』


このみ『っ…突撃よ!』


バッ


このみ『さぁ、可憐ちゃんかしら? 静香ちゃんかしら?観念しなさ…!!』


未来『誰も…いない?』


ドドドド


このみ『はぁ…はぁ…一体、どういう…』


未来『はぁ…はぁ…このみさん…何だか…』


このみ『息、 苦しいわね…はぁ…はぁ…』




ドドドドド


可憐『ふふふ…』


このみ『!!』


可憐『口を、塞いでるみたいですが…』


ゴゴゴ


未来『遠距離型…!?』


可憐『この『霧』…『スモールラブステップ』はス、スタンドですよぉ…』


このみ『ま、まさか皮膚からも…』


未来『このみさん! 敵の位置を!』


未来は手当たり次第に壁を切り裂いて、可憐の居場所を探る。


スパパパ


ズズズ…


可憐『揺れが…そうですかぁ…察しが、いいですねぇ…』


可憐『もっとも、気付いたところで…無意味…なんですけど…えへへ』


未来「ぐっ…かっ…」


このま『未来ちゃ…っは…!』




ゴゴゴゴ


可憐『そろそろ、呼吸が苦しく……なってますか?』


未来『ほ、本体…は…』


このみ『近い、はずよ…この能力は…強く作用してる…』


未来『だ、駄目だ…くるし…』


バタ


このみ『ッ!!』


可憐『…まずは…一人、ですね…』


ドドドドド


このみ(遠距離型の一方的な攻撃…早くしないと未来ちゃんが…!)


可憐『うふふふ…ふふっ…』


このみ(よし…試しに…!)


このみ「吸い込みなさいッ!『ディアー』!」


ゴォォオ!


このみ「うっ…おっ…く、るし…」


可憐『…一気に、流れ込んだ? まさか…吸い込んだ…んですね』


可憐『も、もしかして『遠距離型』だと…思ってませんか? 実は…『群体型』なんですよ…ふふふ…』


このみ『なっ!』


このみ(自分から正体をバラした…油断してるわね、可憐ちゃんッ!)


ドドドド


可憐『……こんなことをしたのは、このみさんには…もう余力が無いのを、し、知っているからなんですよ…』




このみ「うっ……カヒュ…ヒュー…」


このみ(こ、呼吸がうまく出来ない!)


可憐『み、未来ちゃんも…このみさんも…ここで『再起不能』…永遠に…』


ドドドド


このみ「あうっ…くっ……」


未来「………………」


このみ(ま、まだよ…まだチャンスは…考えるのよ! スタンド戦は『相性』よ、そこに『絶対』は…存在しないッ!)


このみ(『心』の持ちようよ…それを二人が教えてくれたのよッ!)


このみ「『ディアー』!!」


ドドドド


可憐『ふふふ…無駄な、抵抗ですよぉ…』


未来「うっ…」ピク


可憐『…ふふっ』


ドドドドド


可憐『『下に』逃げるなんて…』




このみ「…………ふぅ」


このみ「うまく騙せたみたいね」


このみ「『距離感操作』…視覚も聴覚も認識していないみたいね、『感触』を下にやったわ」


未来「こ、このみさん!」


このみ「無事?未来ちゃん」


未来「この『霧』…あの穴から流れ出てきてますッ!」


ビシ


未来は天井に目立たないように開けられた、拳程の穴を見つける。


このみ「あの『穴』…? この霧は『スタンド』よ…物質を透過して…………ハッ!!」


未来「そうです!この『壁』もスタンド、物質と融合してますけど…『スモールラブステップ』は通過できない!」


このみ「…もしかして、『群体型』だけど目の届かないような場所での、物質をすり抜ける抜けないの調整はアバウトにしか出来ない?」


未来「…つまり、物質を通過できないようにしないと『私達に触れない』のかな…?」


このみ「それよ! いいかしら未来ちゃん、いまから『スモールラブステップ』の出所を探るわよ!」




未来「まずは上に!」


未来が折れた剣を天井に向けた時。


ニュル…


ミライ「ンンー…?」


コノミ「イルワネ」


未来「なんっ!?」


このみ「『コネコネ』!? この最悪のタイミングで!?」


可憐『ふふふ…おかしいと、思いました…』


このみ「気付かれた!? いえ、完璧に騙せたはずよ!」


未来「このみさん!『コネコネ』が来ますよ!」


スパッ


未来が叫びながら、降ってきたこのみのコネコネを斬る。


このみ「わかって…るっ!」


このみ『ほらぁ!』


ドゴ


ミライ「ウギャアー…」


このみ「どうする!? 切り裂くタイミング次第ではコネコネに飲まれるわよ!」


未来「そこは、タイミングで!」


ドドドドド


可憐『心臓が、止まらないから…亜利沙ちゃんに頼んでよ、良かったぁ…』


コノミ「ムキー!」


未来「邪魔!」ズパ


このみ「くっ…キリがないわよ!」ドゴ


倒しても倒しても現れるコネコネの『物量』にやや圧され始める。




可憐『…普通に、飲み込む事も出来ますけど…『圧殺』するつもりで、送り込んでるみたいですから…』


未来「ッ!」


このま「大丈夫よ!『距離感操作』で可憐ちゃんは私たちの居場所を把握出来てはいないわ! 今がチャンスなのよ!」


ゴゴゴゴ


このみ(くっ…可憐ちゃんのミステリアスな雰囲気と抑揚の効いたしゃべり方を聞いてると、実は全てが向こうの思惑通りのように思えてしまうわ…)


未来「このみさん!今…今道を拓きます!」


可憐『逃げても、無駄ですよぉ…『スモールラブステップ』で『同じこと』をすればいい…』


スパッ


ピョン


このみ「開いた…!」


未来はコネコネの隙を付いて天井に大きな穴を開けて、三階に飛び移る。


未来「このみさん!三階に飛び移っ――」


可憐『圧倒的な、『物量』の波で…押し流すッ!』


可憐『…『二階』の霧に伝令ッ!『スモールラブステップ』に神経伝達の妨害をッ!』


未来「こ、このみさぁぁぁぁぁぁあん!!」


このみ「…心配、しないで」ピッ


可憐『『スモールラブステップ』ッ!!』


ドォ――――――――ン!





このみ「…………『ディアー』」




未来「あ、あえ…?」


このみ「可憐ちゃんがどんなスタンド能力を持つかは知らない…でも、スタンドが私の射程距離内にあるなら…」


このみ「私には決して触れられない、それが『ディアー』」


ドドド


未来「え、えーっと、取りあえず無事なんですね?」


このみ「そうよ、早く行きましょうか」


未来「はーい、掴まってください」


このみは未来から差し出された手を握って三階へと上がる。


三階の部屋にはいくらか『コネコネ』が居たが、このみと未来はすぐに掃討する。


このみ「…三階はちょっとしたステージだって聞いてたけれど…」


未来「むしろ、二階と同じ感じですよねー」


未来「楽屋って感じでも無さそうですし」


本来、三階はステージと控え室があるのだが、未来とこのみのいる部屋はとても控え室とは似つかない。


このみ「未来ちゃん、『スモールラブステップ』の出所をまた教えてくれるかしら?」


未来「はい! ちょっと待っててくださいね」


未来は目を凝らして部屋を見渡し始める。


未来「うー…」




このみ(最初は『接触している物体との距離感』を操って、私達があたかも下に移動したように見せかけた…)


このみ(でもそのタネはバレた、だから今度は『その場を限りなく遠くした』…つまりスタンドをいじっても『動かしているつもりが全く動かしてない状態』になる…)


このみ(…結果的には、可憐ちゃんの能力の作用は私達には干渉できない)


このみ「触れていると言うことは、触れていないと言うことよ…うふふ…」


未来「…このみさん?」


このみ「へ? ああ、ええ、コホン、どうしたのかしら?」


未来「『スモールラブステップ』の出所を探ったんですけど…」


このみ「ですけど?」


未来「ありませんでした。ついでに、剣を天井に刺したら無くなっちゃいました…でへへ」


このみ「えーと、つまり盾だけ?」


未来「そうです」


このみ「上には上がれない…と」


未来「私の予想だと、たぶん天井全部が…」


「天井全部が私のコネコネで覆われていると思います」と、未来が言いかけた時にはカマキリの孵化の様に未来のコネコネが天井から染み出てくる。


ミライ「ウ~ン~」


このみ「うげッ! 上!?」


未来「お、お願いしまーす!!」ピト


未来がこのみにくっつき、このみは上から降ってくる未来のコネコネを片っ端から殴り飛ばす。




このみ『ほらぁ!』ドコ


ミライ「ウギャー!」サァァ


未来「あ、今度は横!」


このみ「ッ!」ブン


ミライ「アアアア…」サァァ


このみ「このっ…埒が明かないわよ!」


未来「あっ! に、二階から『スモールラブステップ』が来た…しかも穴が塞がってるッ!」


このみ「なんっ…ですって!」ドゴ


ミライ「フイィィ…」サァァ


ドドド


可憐『…騙されましたよぉ……『ディアー』に『近接遠距離戦闘』は無意味…』


このみ『『近接遠距離戦闘』なんて言葉無いわよっ!』


未来(国語の先生じゃあないんですから…いやいや、むしろ生徒の方…)


このみ『誰が小学生よッ!!』


未来「いや、言ってませんよ?」


ドドドド


可憐『ずっと能力を…使いっぱなしにするのは、辛いんじゃあ…ないですか?』


このみ「…………」


未来(そ、そうだ…いくらこのみさんでも、ずっと能力を使っていたら…!)


未来「こ、このみさん!」


このみ「ふふふ…」


未来「…?」


未来(わ、笑ってる…可憐と負けず劣らず不気味…)


このみ「未来ちゃん、上をぶち抜くわよ」




未来「え? でも剣がない…!」


このみ「琴葉ちゃんもぶち抜いてきたのよ? 一人ならともかく、今は二人…出来ない道理は無いわ!」


可憐『…ふふふ…図星で言葉も出ないんですかぁ…?』


未来「…勘違いしてる今がチャンスですね」


ゴゴゴゴ


このみ「やるわよ、厄介な可憐ちゃんは早目に倒しておきたいわ」


未来「はい!」


バッ


二人は飛び上がり、天井に向けて拳を突きつける。


だが、都合の悪いタイミングでこのみのコネコネが現れる。


コノミ「ダメヨ」


このみ「ッ!」


未来『ほらぁぁぁぁああああ!』ブン


コノミ「グフッ!」


未来が盾でこのみのコネコネを殴り飛ばし、そのままの勢いで天井に強烈な打撃を食らわせる。


ドン!


このみ「助かったわ!」


未来「今です!」


このみ『ほらほらほらッ!』


ドン ドガ ドン!


ピシピシ…


可憐『あえ? な、何を…何をして、いるんですか…?』


このみ『今に分かるわよ』




ひびの入った天井にだめ押しの一撃を食らわせると、亜利沙の『SNASA』で強化されたコンクリートがぶち抜かれる。


ドン!


ボゴン!


このみ「こういうこと」スタ


未来「こういうことです!」スタ


可憐「ひっ…ひぃぃぃぃいいいい!!」


亜利沙「可憐ちゃんこっちです!」グイ


亜利沙は可憐を引っ張って出口である扉へと駆け出し、可憐は可憐でスタンドを素早く引っ込める。


未来「そうは…」


このみ「未来ちゃん何を!?」


未来「いきませんよッ!」ブン


未来はスタンドの持つ盾を勢いよく投擲し、二人の進路に突き立てる。


ガッ


亜利沙「ッ!」


可憐「あ、ああ…」ガク


未来「今ですッ!」


このみ「観念しなさい!」


このみと未来は止まってしまった二人に駆け寄る。




亜利沙「…ッ!…『スーパー…」


このみ「ほらァ!」ブン


ドゴォ


亜利沙「ぶほっ!」


コネコネを呼び出そうとした亜利沙はこのみに殴り飛ばされ、地面を転がって気絶する。


ズドン!!


亜利沙「ブクブク…」


可憐「あわわわ…」


未来「逃がさないよ!」


腰を抜かし、這ってでも逃げようとする可憐の背中に盾を叩き付ける。


ドガッ


可憐「ごふっ!」


ドサッ…


このみ「…えげつないわね」


未来「でへへ…人を気絶させるなんて初めてですから」


このみ「…まあ、それもそうね」




MP(in可憐)『ケケケ…』


このみ「出たわねッ!」


未来「『マスターピース』ッ…よくもさっきは!」


可憐MP『ヘッ…マダ理解シテネーヨウダナ』


このみ「…何をよ」


ドドドド


可憐MP『『松田亜利沙』ハ気絶シタ、ソノママ倒シテイレバ楽ニナッタノダガナ』


未来「はっ…?」


このみ「一体…どういう事…」


MP(in亜利沙)『コウ言ウコトダゼ!』


吹っ飛んだ亜利沙の体からMPが飛び出すと、そのまま建物の中に溶けるようにして埋まっていく。


ズブズブ


このみ「なっ!?」


可憐MP『スタンドト、本体ガ分カレルタイプ…弱点ヲ突カレナイ限リ無敵ヨ!』


このみ「なんですって!?」


可憐MP『ハーッハッハ! テメーラジャア、『SNASA』ニハ勝テネ――』


未来「……」


スパッ


可憐MP『――エ』


サァァ…


可憐の頭に生えるMPの頭を、未来は盾で薙ぎ払い切断する。


未来「…………」




ドドドド


このみ「み、未来ちゃん…?」ゾク


未来「…このみさん」


このみ「な、何かしら?」


未来「…みんなをこんな風にするなんて、わたし…わたし許せません!」


ドドドド


このみ「…………それは私も同じ気持ちよ、でも冷静さを失わないで…逆上すれば大局を見失うわ。今は連絡して合流をしましょう」


未来「…はい」


このみ(大丈夫かしら…自分も友達も操られて、随分怒ってるみたい…珍しいわ)


未来は可憐を、このみは亜利沙を担いで電話を掛ける。


トゥルルルルル


ガチャ


このみ「もしも――」


恵美『待って!用件を聞く余裕が無い!コネコネが沢山出てる!じゃあ!』


ガチャン


このみ「……駄目ね」


未来「じゃあ志保と可奈に掛けましょう」


トゥルルルルル


ガチャ


未来「もしもーし?」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






志保「…やれやれ、気の抜けるやつらね」


目の前に立ちふさがった数体のコネコネ、これもまた志保は飛び越えて接触を避ける。


シホ「マチナサイ!」


シホ「モウジカンガナインデス!」


志保「妙にむかつくわね」イラッ


無駄に遅いコネコネをスルーし、三階の探索を始める志保。


L字になっている通路の角に階段があるため、志保は前に進むか右に進むか、選択を迫られる。




志保「…コネコネは数を増やすわ、探索している間に私が飛び越えられなくなるかもしれない…」


志保「二つに一つ、ねぇ…」


志保「そもそも、可奈は何処に…?」


トゥルルルルル


志保「!」


突如、着信音の鳴るスマホ。


志保が連絡してきた人物を確認すると、その人は可奈であった。


ピッ


志保「……もしもし」


可奈『し、志保ちゃ~ん…』


志保「今、何処で何をしているの!?」


可奈『それがね、『ちっちゃな亜利沙ちゃん』を見付けたから、ついつい追っちゃって…』


志保「…このスタンド、幻覚も…」


可奈『ち、違うよ! 本物だし、何故か『コネコネ』を食べるの!』


志保「は?」


可奈『だ、だから『コネコネ』を食べるの!』


志保「自滅するスタンドが何処にいるのよ」


可奈『ほ、本当だってばぁ~!』




可奈『志保ちゃんからの~♪信用が~♪地の底…♪』


志保「…どうでもいいから合流するわよ、何階にいるの?」


可奈『に、二階~』


志保「…分かったわ、今行くから待ってなさい」


可奈『部屋は…分かんない』


志保「廊下で待ってなさい」


ガチャ


志保「…二分の一をはずしたわね」


志保「面倒臭いけど戻りましょ、う…か…」


シホ「マッテクダサイ」


シホ「ドコニイクノヨ」


ドドドド


志保「…………」


志保「電話している間に、飛び越えられない群れが出来てるわね…」


志保が振り返ると、先程居た場所は全て埋まってしまっていた。


ジリ…


志保「可奈には悪いけど…ここは進路を変えるしかないわね」


志保「階段はたしかこっちよ」


ダッ




シホ「マチナサイー」


志保は右に向かって駆け出して降りる為の階段探すが、待ち受けるものは全く別のものであった。


志保は急に視界に入った白いモヤに気付く。


志保「……『霧』?」


ドドド


志保「急に出てくるなんて…まさか!」


可憐『スタンド攻撃…ですよぉ…』


ドドドド


志保「ッ…」


可憐『…このみさんみたいにぃ…小細工で、逃れないで下さいね…』


このみと未来はこの時、下の階へと『触覚』を送ったのがバレて焦っているが、そんなことを志保が知る余地もない。


志保「うっ…く、るし…い…」


志保(息が…それに吐き気も、目眩もするッ!)


可憐『ふふふ…これは…志保ちゃん?』




志保「『ライアールージュ』!」


スッ…


志保「はぁ…ふぅ…」


ドドドド


志保「はぁ…はぁ…、成功よ…『能力適応外』になったわ」


志保は『ライアールージュ』で自分の存在感を消し、意図的な能力の適応と攻撃を遮断する。


志保「全く…とんでもないスタンドね」


志保はそのままゆっくりと階段の方へと移動する。


志保「この『霧』…静香か可憐さんの能力ということね」


???「でしゅ!」


志保「…………なんの声かしら」クル


志保の振り向いた先には亜利沙を小さくしたような生物がいた。


一言で表すなら『ぷち亜利沙』だろう。




ありさ「むふー、むふー!」


『ぷち亜利沙』は部屋から飛び出すと、志保のコネコネに気づいたのか、その上に乗ってビシッと指?を前方に向ける。


ドドドド


志保「何よあれ…奇妙な、亜利沙さんに似た…………!」


志保「可奈の言っていた『小さい亜利沙さん』ね! あの子がいれば私のコネコネを倒すことが出来るわ!」


志保(可奈の言うことを信じれば…だけど)


ありさ「!?」


しかし、『ぷち亜利沙』突然飛び上がって志保の方へ駆け出す。


すると今度は、亜利沙のコネコネが地面から出て来て『ぷち亜利沙』を追いかけ始めるが、どちらも驚くべき遅さでノロノロと動く。


志保「…助けた方がいいわね」


幸運なことに『ぷち亜利沙』もコネコネも志保の方へと向かっており、志保はそれを迎える形となる。


ありさ「やぁーん!」


志保「ほら、もう大丈夫よ」


志保が『ぷち亜利沙』を抱きかかえ、亜利沙のコネコネを蹴飛ばす。


アリサ「キャー」


ありさ「??」


しかし、当の本人は何が起きているのかよく分かっていない。


志保「…『ライアールージュ』を解除したいけれど、『霧』のスタンドがまだ出てるわ…もうちょっと我慢してね」


ありさ「むふぅー…?」




志保の声も姿も認識出来ないが、『ぷち亜利沙』は取り合えず身を委ねる。


志保「はぁ…どのみちコミュニケーションがとれないなら意味無いじゃない…」


ありさ「~♪」


志保「……ま、取り合えず『霧』を抜けて可奈と合流しましょう」



To be continued…


おわりだよー(o・∇・o)


昨日2回も予告したのはね、1回目が出来てないと思ったからもう一回やったんだよ


国立は駄目でしたどうもお疲れさまです


(o・∇・o)

そのうち、そのうちって今さ!

後期に自爆特攻とかエレナイベ爆死してたら遅くなりまちた

ゆるして下さい、なんでも島原

投下(o・∇・o)






志保「さて、いい拾い物もしたし…」


ありさ「??」


志保「階段を降りましょう」


ゴゴゴゴ


志保はぷち亜利沙を抱えたまま階段を探す。


後ろのコネコネは放っておいても追い付く事は無いため放置しているが、進路上のコネコネは避けて通らなければならない。


注意深く前方を観察していると、『霧』が薄くなっている事が分かった。


志保「…『霧』が引いていく? 何が…」


『霧』の行く先は半開きになった扉の奥、一つの部屋の中であった。


志保「ここに本体が…?」


可憐は四階、志保の居る一つ上の階にいるが、それを知らない志保は警戒しながら中の様子を伺う。


志保「…!」


志保「階段…ね、部屋の中に何てもの作ってるのよ」


部屋の中には上下階に移動できる階段があった。


その上の階に向かって『霧』は続いていた。




志保「…本体を攻撃したいけれど、今は可奈と合流した方がいいわ」


志保「コネコネにやられては本末転倒よ」


志保は可奈を探すため、階段を下った。


コネコネは相変わらず着いてきていたが、階段が邪魔をするようなことは無かったため、不自然なほどスムーズに二階に着く。


志保「『霧』も無くなったし…」スッ


ありさ「!?」ビクッ


志保が能力を解除すると、ぷち亜利沙は驚いて飛び上がる。


ありさ「や、やぁ~ん!」


志保「大丈夫よ、なにもしないわ」


志保が座り込んで視線を合わせようとすると、ぷち亜利沙は飛び退いて警戒する。


ありさ「むふぅ…」


怯えた表情で志保を見ていたぷち亜利沙だったが、志保の顔をまじまじと見つめると飛び上がって叫び声をあげる。


ありさ「むふぅぅ!!むふ!むふふ!」


パシャパシャと、何処かから取り出したカメラを持って写真を撮り始める。


志保「興奮…してるのね?」


ありさ「でしゅ!」


志保「仕方ないわね…」


ヒョイと志保がぷち亜利沙を持ち上げると、ぷち亜利沙は寂しそうな声でなく。


ありさ「やぁーん…」


志保「写真なら後で撮らせてあげるから、ちょっと付き合ってもらうわよ」


ありさ「でしゅ!」


志保「…大丈夫かしら?」




若干の不安を抱きながらも、志保は可奈を探すため二階を歩き回る。


志保「可奈ー!どこなの!」


ありさ「むふ?」


志保「ああ、今は可奈を探しているのよ」


ありさ「でしゅ!」


志保の言葉に反応したのか、ぷち亜利沙の触角(ツインテール)がピコーン!と立つと、志保の腕から脱出して走り出す。


…志保の歩みよりも、遅い速度で。


志保「気持ちは嬉しいけど…」


ありさ「むふぅー!」


ヒョイ


志保「指を指すだけでいいわよ?」


ありさ「でしゅ」


ぷち亜利沙の示す方向へ行くと、可奈がぷち亜利沙を抱えて体育座りをしていた。


ありさ2「むふぅ!」


可奈「え?志保ちゃんがいる?」


志保「可奈」


可奈「し、志保ちゃん!」


ありさ「やぁ~ん」


ありさ2「やぁ~ん」


志保(挨拶…?)


可奈「あ、あのね…」


志保「勝手に歩き回らないで、余計な時間は無いのよ」


可奈「ごめん、なさい…」シュン




志保「今から四階に行くわよ、着いて来て」


可奈「ま、待ってー!」


スタスタと歩いて行ってしまう志保の背中を可奈は追いかける。


ぷち亜利沙は二人の頭に乗っかっていた。


志保「今度ははぐれないで、何かあったら言いなさい」


可奈「じゃ、じゃあ!」


可奈は志保の手を取る。


志保「!!」


可奈「手、繋ご?」


志保「…………」


志保「し、仕方ないわね…四階で本体を見つけるまでよ!」


可奈「やった!」


ありさ「「むふふふふふ」」















このみ「消えた…わね」


未来「何処に行っちゃったのかなー?」


亜利沙から飛び出た『マスターピース』は、溶けるように『SNASA』の中へ入っていった。


無事に可憐に取り憑いた『マスターピース』は倒せたものの、途方もない巨大なスタンドを前にして『かくれんぼ』などと言ってられるほど余裕はないのだ。


このみ「取り合えずみんなにこの事を伝えないと、私たちは四階で…他のみんなは…」


未来「わたし可奈に電話しますね」


このみ「…じゃあ、恵美ちゃんにまた電話して…」


ドンッ!


このみらい「「!?」」


突如、真上から響いた轟音に二人は目を剥く。


このみ「な、なに…これは…」


ドンッ! ドンッ!


未来「何かが…来る?」


ドンドンドン


ドドドドドド


激しくなる音に合わせるように天井はひび割れ、パラリパラリと欠片が落ちてくる。


未来「と、とりあえず…」ジリジリ


このみ「逃げるわよ!」バッ


ドドァォ――――ン!


二人がその場を飛び退くと、真っ赤な鎧と二人の人間が落ちてきた。


このみ「こ、これは…」




琴葉『下の階はオッケー!』


恵美「じきに来るよッ!備えて!」


麗花「扉は~…………あ、こんにちわ」ペコリ


未来「え…っと、こんにちわ」ペコリ


このみ「ええ~っと、琴葉ちゃん?」


琴葉『あれ?このみさん…』


恵美「話してる暇は無いよ!走って!」


その場で駆け足をする恵美はとても焦っており、琴葉も麗花もしきりに上を気にする。


このみ「ねぇ、なにか居るの?」


麗花「えっと、私たちはずぅぅぅぅぅぅぅうっとコネコネに襲われてたの」


恵美「数がどうしようもないから逃げ回ってたの」


未来「じゃあ上には沢山の…」


琴葉『コネコネが…って、もう来たみたいね』


ニュル…


ニュルニュルニュルニュル…


レイカ「ワハー」


メグミ「ドリンクーバッ」


夥しい数のコネコネが天井を埋め尽くし、五人の存在を丸のみにしようと迫る。


恵美「行くよッ! 走って!」


恵美が活を入れると、元々亜利沙が使おうとしていた扉に向かって全力疾走する。


このみ「全く…落ち着く暇も無いのね」


そう、亜利沙を担いで走るこのみはぼやく。


琴葉『亜利沙と可憐さんはもう倒したんですか?』




このみ「いいえ、亜利沙ちゃんの『SNASA』はまだ発動したままよ」


未来「でも、可憐はちゃんと元に戻しましたよ」


ポンポンと可憐の尻を叩きながら未来は偉そうにする。


琴葉『亜利沙の『マスターピース』は倒せなかったんですね』


このみ「…そうなの、ごめんなさい」


恵美「いや、このみさんが謝ることじゃないっしょ」


麗花「そうそう、早く劇場を元に戻さないと美也ちゃんが来ちゃうから」


琴葉『えっ!?』


麗花「あれ、行ってなかったっけ?」


恵美「はいはい、遊ぶ約束は後でにしてね」


タタタタ


可憐「んっ……んぅ……?」


未来「あ、起きた!」


可憐「はれ…あの、何がどうなって…」


麗花「操られて、無理矢理戦わされてたのよ?」


可憐「ひっ…なん、なんでそそ、そんな恐ろしい事を…」


このみ「目的は知らないわ、でも、今は亜利砂ちゃんを止めないと!」


可憐「は、はいぃぃ…」


このみ(『マスターピース』に取り憑かれてた時の記憶とかは無いのね…)


恵美「亜利沙は目を覚まさない…ってカンジだね」


琴葉『…………』


麗花「…? どうしたの?」


琴葉『いえ、なんでもありません』




このみ「ねえ可憐ちゃん、『スモールラブステップ』で索敵出来ない?」


可憐「ええっ!? わ、私のスタンド、なんかよりも…さ、探して回った方が…」


未来「そうかな? 射程距離が広いのは可憐のスタンド位だよ?」


可憐「で、でも…」


麗花「「でも」も「だって」もポーイして、やってみよう! ね!」


このみ「そうよ、実際可憐ちゃんのスタンドは手強かったんだから」


可憐「……わ、分かりました…一応、やってみます…」


可憐は『スモールラブステップ』を放つと、触覚を頼りに周囲を探索する。


恵美「これで『マスターピース』を探すって訳だね」


琴葉『…………そもそも』


ドドドド


琴葉『…何を以て『勝ち』なのかしら』


恵美「ことは…?」


このみ「…どういうこと?」


琴葉『スタンドがダメージを受けると、本体にフィードバックがありますよね?』


未来「そうだったの?」


麗花「そうなの?」


恵美「…………二人とも知らなかったの?」


このみ「つ、続けて」




琴葉『はい。フィードバックがある、つまり、この建物がダメージを受ければ…』


このみ「…ようやく分かってきたわ。亜利沙ちゃんに『ダメージが無い』って事ね」


恵美「嘘ッ!?」バッ


恵美はこのみの背中で眠る亜利沙をペタペタと触る。


恵美「な、無い…ケガが、一つも…!」


未来「よ、よく分からない…!」


麗花「……じゃあ、スタンドの元気の源が、何処かにあるのね!」


琴葉『……なるほど、特殊なスタンド…』


このみ「何かが建物のエネルギー源…って事ね」


ドドドド


恵美「でも、そんなもの何処にあんのさ?」


琴葉『それなのよね…』


このみ「うー…」


可憐「あ、あの…」


未来「?」


このみ「何か見つかったの?」


可憐「人が…二人ほど、来てます…」


琴葉『何処から?』


可憐「え、えっと…横の部屋の、中から…」


恵美「まさかッ新手!?」


バン!


このみ「先手必勝!『ディ――」


志保「何やってるんですか?」


可奈「あ、みんな!」


このみ「…あ、あれ?」




恵美「外から敵なんて、簡単には入ってこれないって」


志保「って、可憐さん!?」


可憐「あ、どうも…」


志保「倒したんですか?」


琴葉『そうよ、でも、亜利沙はまだ…『マスターピース』に逃げられたみたい…』


未来「あっ、可愛いー♪」


可奈「だよね!」


ありさ「でしゅ!」ビシ


そして全員の注意は、二人の頭の上の『ぷち亜利沙』に向く。


ありさ2「むふふふふ!!」


麗花「アハッ、もちもちしてるー!」


麗花の腕に抱かれたありさ2は、その豊満なバストに顔を埋めて喜ぶ。


恵美「その、可愛いのは何?」


琴葉『も、もふもふしたい…』


恵美「えっ」
志保「えっ」


琴葉『何でも、ない!』


恵美「にゃはは! 琴葉の超カワイイ一面がまた…」


可奈「名前はありしゃで、特技は人探し!」


未来「人探し?」


志保「それで、ここまで来たのよ」


ありしゃ「むふー!むふー!」パシャパシャ


このみ「……なんだか、亜利沙ちゃんに似てるわね」ソーッ


このみが触ろうとすると、ありしゃはこのみに飛び移り、このみの身体をよじ登って『亜利沙』に近づく。


このみ「キャッ、もう、仕方ないわね…溢れ出るアダルティにつられたのね…」


恵美「あはは、かわいー!」


琴葉『これも何かの能力…?』



志保「こら、このみさんは亜利沙さんを担いでるのよ」


ありしゃ「むむ~…」


ヒョイと志保につまみ上げられた『ありしゃ』は不満げな声を漏らす。


ありしゃ「でしゅ!」


ピト


恵美「ひゃん!」


ボヨン


ありしゃ「むふふぅ~」


琴葉『む、胸に飛び込んだ…』スラ


このみ「…変ね、負けた気がする…」ミニッ


志保「こんなことしてる場合じゃありませんよ!」


未来「そうだった! はやく『マスターピース』を探さないと!」


可奈「おー!」


可憐「お、おー…?」


その時、天井のスピーカーから放送が流れる。


『テメーラ、抵抗ハ無駄ダゼ』


琴葉『この声!』


未来「マスターピースッ!!」


MP『イロイロ、弱点ヲ探ッテルラシイガ…無駄無駄無駄無駄! コノ中ニ弱点ハ無イ!』


このみ「この…ッ!」


MP『フハハハハハハ!』




麗花「…それって、弱点があるってこと?」


MP『ナ、ナニ!』


麗花「隠すなんて、フェアじゃないよ?」


MP『グヌヌ…知ルモノカ! 勝テバイイノダ!』


麗花「よーし!じゃあ、頑張って弱点を探そう!」


可奈「志保ちゃん!頑張ろうね!」


志保「そうね、こんなスタンドすぐに蹴散らしましょう」


未来「絶対に負けないからね!」


このみ「覚えてなさい!」


MP(…馬鹿ナ奴ラダ、弱点ハ『建物内』ニハ無イゼ…)


琴葉『といっても、何処を探したら…』


恵美「それなんだよね…」


ゴゴゴゴ…


可奈「あれ、何の音だろう…?」


麗花「お腹の音?」


ゴゴゴゴゴゴ…


恵美「ねぇ、揺れてない?」


鳴り響く地響きのような音、志保はそれを何度か聞いた事があった。


志保「まさかッ!」


MP『ナ…ナニィィィイイイイイイ!!』


志保「崩壊しますよッ!」



――――――――――――――――――――




一階



マツリ「デスー」


マツリ「ウミウシー」


奈緒『オラァ!』


奈緒は上から降ってきたコネコネを殴り飛ばす。


まつり「はぁー…はぁー…」


奈緒「き、キリがない…!」


一階のエントランスで、宙を飛びながら戦う三人。


まつりの能力を使いやすくするためにくっついた三人は、昴を中心に空に浮かぶ。


まつりと奈緒が戦闘を行い、昴がその補佐をする形だ。


昴「だ、大丈夫かよ!?」


スバル「ロコー」


ナオ「デヤー!」


まつり「…ッ!」


まつり『ナノッ!』


奈緒「はぁーっ…あかん…ぜぇー…もたへん…」


まつり「はぁ…はぁ…ぜぇ…はぁ…」


昴「脱出しよう!このままだと何も出来ないッ!」


奈緒「さ、賛成や…スタンドパワーも…尽きてきた」


まつり「…ぜはーっ…そう、なのですね…」


まつり「壁に穴を、お願いするの…です」


奈緒「まかせとき…」


ガオン


まつりが壁に近寄ると、奈緒が壁に穴を空ける。




壁の穴から外に脱出すると、三人は地面の上に大の字になって寝転ぶ。


奈緒「あぁ~…」


昴「すっげぇ心臓に悪かった…」


まつり「何も出来なかったのです…」


ゴゴゴゴ


まつり「志保ちゃん達やこのみさんは大丈夫なのです?」


昴「ん?ああ、このみさんと未来はともかく、志保達は戦闘力があるから大丈夫だと思うぜ」


奈緒「そんならエエんやけどな~」


「おや~?」


三人の頭の上から、ふわふわとした声が聞こえる。


まつり「美也ちゃん…なのです?」


美也「みなさん揃って、お昼寝ですか~?」


奈緒「いや、お昼寝っていうか、疲れたから寝転がってんねん」


昴「美也はどうしてここにいるんだ?」


美也「はい~、麗花さんと琴葉さんと一緒に、ドライブの計画を立てるんですよ~♪」


昴「ど、ドライブ…? 琴葉もとうとう気が狂ったか…」


奈緒「いやな、いま劇場がヤバイことなってんねん」


まつり「入らない方がいいのですよ?」


美也「そうでしょうか~?アスレチックみたいで、面白そうです~」


美也は奇妙に膨れ、上方向や周囲に出っ張りを幾つも持つ劇場の玄関に近付く。


奈緒「美也!危ないで!」


美也「あ、なんだか『上がって』ますね~」


美也を引き戻そうと近寄ると、地面が隆起し始めて奈緒はバランスを崩す。




奈緒「!?」グラッ


まつり「下ッ!」


昴「こっちに来い!」


奈緒「し、しゃーない…」


奈緒は一旦、美也を諦めてまつり達の元へ戻る。


その間にも美也はグングンと、玄関手前の地面の下から出てきた『部屋』に乗っかって上昇する。


美也「おお~、ちょっと開放的ですね~」


奈緒「…もう、あんましスタンドパワーが残っとらへん…今から行くのは…」


まつり「まつりも、正直限界なのです」


昴「まぁ、受け止める位は…出来るよな?」


奈緒「多分な…」


『人ノ心配ヲ、シテイル場合デスカ~?』


後ろから、美也のしゃべり方に似た声が聞こえる。


まつり「ッ!」


昴「誰だ!」


球『視界ノ上ニイル人間ノ、すたんど『ハッピ~エフェクト!』デスヨ~』


球は芋虫の様にまるまるとした形をしており、黄色い体表と茶色い尾部を持っていた。




ドドドド


HF『ミナサン、『幸セ』デスカ?』


奈緒「『幸せ』やってぇ~?」


昴「『マスターピース』ッ! お前らがぶち壊してるんだよ!」


まつり「……『マスターピース』?」


昴「オレ達を操る『もう一人』の黒幕だよ」


奈緒「まだそんなんがおったんか…」


ドドドド


HF『…デハ、質問ヲ変エマショウ~』


HF『アナタタチノ『幸せ』トハ何デショウ?』


奈緒「…付き合ってる暇は無いで。美也は離れてるから遠距離型のスタンドやろ、時間を稼ごうったってそうはいかんで」


HF『イエイエ、私ハ『自律型』ノすたんど…『マスターピース』には取り憑かれてマスガ』


HF『時間ヲ稼イデ私ニイイコトハアリマセン~』


ドドドド


HF『サテ、デハ、私ノ質問ニモ答エテ下サイ~』


まつり「今のは質問ではなく、疑問なのです。勝手に答えて、勝手に言えとは、何事なのです?」


HF『イエ~、答エテ頂カナクテモ…』


ブォォォォォオオオオオオ




まつり「ほ?」


昴「な…トラックが突っ込んでくるぞ!!」


奈緒「だ、誰も乗ってへんで!?」


HF『全テハ偶然、『たまたま』無人ノトラックが『たまたま』動キ出シテ『たまたま』ミナサンノ方ニ走ッテキタ…』


無人のトラックが三人に突っ込んでくるが、『H・L・ジェットマシーン』がトラックを一部削って衝突を回避する。


奈緒「あぶなっ!」


昴「助かったぜ!」


トラックはそのまま三人の後ろの劇場に衝突し、『たまたま』爆発を起こす。


奈緒「熱っ!」


昴「うおっ!」


まつり「ごふっ!」


HF『フフフ…』


奈緒「まつり!?」


まつり「ぐっ…『包丁』が、いまの爆発で…刺さって…」


昴「なっ!?」


まつりの腹に、『たまたま』トラックに積んであった包丁が『たまたま』爆発で飛び出し、『たまたま』まつりの腹に刺さった。


奈緒「何が起こってんねん!?」


まつり「血を…流しすぎなのです…暫くは、動けません…」




ゴゴゴゴ


HF『『たまたま』不幸ナ事故ガ起キテシマイマシタネ~』


昴「な、何をしたんだ!」


HF『フフフ…まつりさんハ、『質問』ニ答エナカッタダケデスヨ~』


奈緒「なっ…」


HF『サテ…質問ノ『答エ』ヲ~』


昴「…いいぜ、答えてやるよ…自分の正しさを貫けるなら、オレは『幸せ』だぜ」


HF『ンンッ~、イイ話デスネ~』


昴「…………ほら、奈緒もなんか言えよ」


奈緒「そんなん、ウマイもん食べてアイドル出来れば十分や」


HF『ソウデスカ~、ナラ…』


ヒュウルルルゥゥウ


奈緒「ん?上から…」


昴「ゲッ!鳥の糞!」


HF『奈緒サン、口ヲ閉ジナケレバ、入ッテシマイマスヨ~』


奈緒「こんなもん弾いて…」


奈緒はその時、普段なら思いもしないような事を『たまたま』思った。


スタンドであろうと、落ちてきた鳥の糞なんかには触りたくないと。


そして避ける余裕は十分あると言うことに気付いた。


奈緒「なんや、避けたらええやん」




ヒョイ


昴「おい、足元ッ!」


奈緒「へ?」


ガスッ


奈緒「うおっ、つまずいて…!!」


奈緒は足元の石材に躓いて体勢を崩すと、穴の空いたマンホールへと飛び込もうとしてしまう。


HF『不運デスネ~。『たまたま』ツマズイテ、『たまたま』穴ノ空イテイタまんほーるニ、『たまたま』飛ビコンデシマウナンテ』


奈緒「落ちる…か!」


ガシ


辛うじて穴の縁を掴んだが、またもや奈緒の真上から『鳥の糞』が落ちてきた。


昴「上だぁぁあああ! 鳥の糞が落ちてくるぞ!」


奈緒「何ィィイイイ!?」


『鳥の糞』は計算されたかのように、奈緒の後頭部に向かって放たれる。


当たるわけにはいかない。


自分達は『アイドル』なのだから。


ドドドド


HF『『たまたま』ナノデスヨ~。全テハ偶然、『鳥の糞』モ偶然ナノデス~』


奈緒「うおおおおおおおお!」


奈緒は縁から手を話すと、爪先だけで縁にぶら下がる。


穴の中の壁に顔を向けた奈緒の後ろを、『鳥の糞』が通過していく。




昴「一体どんなスタンドだ!? 鳥を操る? 違う! さっきのトラックに説明がつかない!」


昴(あいつの…能力は何だ!?)


HF『フフフ…ドウシタンデスカ~? 今、掛カッテキタラ良カッタノデハ~?』


昴「ぐ…」


昴(オレがもしも『ハッピ~エフェクト』に殴りかかったら、まつりに何か起こる…奈緒がいないと駄目だ! 守りながらは戦えない!)


奈緒「よっと」


奈緒がマンホールから身体を出すと、二人はまつりを背にして『ハッピ~エフェクト!』に向き直る。


奈緒「よくもやってくれたなァァ~!」


HF『何ヲ…『たまたま』起コッタダケデスヨ~?』


奈緒「あんたが起こしたんやろ!」


昴「早めにケリを付けないとヤバイぜ!! 何をしてくるか分からない!」


ドドドド


HF『ウフフフ…勝負デスネ~受ケテ立チマスヨ~』


奈緒(私が『削って』距離を縮める、そこを叩き)


昴(分かったぜ、タイミングは任せる)


HF『ウフフフフ~相談デスカ~?』




奈緒「油断してると…」


奈緒が『H・L・ジェットマシーン』を出し、空間を素早く『吸って』削る。


ガオン


HF『!! ヤハリ、ソウキマシタカ…』


奈緒はHFの手前に『瞬間移動』して現れると、パンチを見舞う。


奈緒『オラァ!』


HF『グハァ!』


『ハッピ~エフェクト!』にパンチが直撃するが、ダメージは『たまたま』少なかった。


HF『大シタコトハ…』


奈緒「知らへんのかァ~? 私の能力は…」


昴「『削る』ってな!」


HF『!!』


昴「オラァ!」


昴がバット型のスタンド、『ビギナーズストライク』を『ハッピ~エフェクト!』の真横に叩き付けようとする。


HF『仕方ナイ、デスネ』


ドドドド


奈緒(アイツ、何かする気や!)


昴「かっ飛ばしてやる!」


HF『ザンネン…』


ズルッ


スカッ


昴は『ハッピ~エフェクト!』にバットを振っるたが、その攻撃は上方向に逸れてしまう


昴「うおっ!?」


奈緒「!?」


昴に問題は無い、問題は昴の『足元』だ。




HF『アノとらっくハ、何ノとらっくダッタノデショウカ~? 『たまたま』包丁ヲ踏ンダミタイデスネ~』


包丁で足を滑らせた昴はそのまま転倒し、地面に腹部を強打してしまう。


昴「がっ…!」


HF『昴ハ『たまたま』転倒シタ…ソシテ『たまたま』隙ガ出来タッ!』


奈緒「不味いッ!」


HF『バァァァアアア!』


『ハッピ~エフェクト!』が昴に触れようとしたが、奈緒が『H・L・ジェットマシーン』で『ハッピ~エフェクト!』を引き寄せる。


ガオン


奈緒「うおおおおおおおお!」


ボゴォ


HF『ブッ!』


ドバァァア!!


残り少ないスタンドエネルギーを振り絞り、『ハッピ~エフェクト!』を殴り飛ばすが奈緒は膝をつく。


奈緒「はぁ…はぁ…はぁーっ…アカン、もう全然動かれへん…」


昴「わ、悪い…助かったぜ!」


奈緒が力を振り絞って放った攻撃が『ハッピ~エフェクト』に当たったが、まだピンピンしており、ダメージは殆ど無いように見えた。


奈緒「ぜぇ…ダメージ、無いやん…はぁ…」


昴「なんて耐久力してんだよ…!」


HF『ウフフフフ~♪』


ドドドド


昴(こんな奴にオレは勝てるのか!? 決定力が無い『ビギナーズストライク』じゃ…)


HF『ソロソロ教エテアゲマショウ~』


HF『私ノ能力ハ…『幸・不幸のバランスを変える』能力…』


昴「!!」


奈緒「なん…やて…」




HF『私ニ『触レタ』奈緒ハ、今トテモ『不幸』二ナッテマス~』


HF『ソシテ、美也ハ幸運ニモ、戦闘ニハ気付カズ、悲シイ思イヲシナクテ済ム』


奈緒「あんたの…行動原理は『それ』か…!」


昴「そうか…最初のあれで『幸運にも』オレ達に気付かれずに触る事が出来た! そして『たまたま』の連続でオレ達に攻撃していたッ!」


HF『今頃気付イテモ、遅イデスヨ~!』


ブチリと何かが千切れる音と、ヒュンヒュンと空を切る音が上から聞こえる。


HF『『不幸』デスネ~』


昴「上かッ!」


二人は上を見上げる。


奈緒「うッ! 丁度『何か』が太陽を背にしているッ!」


昴「眩しくて見えないぞ――ッ! どこから来るんだ!?」


ドドドド


HF『コレデ終ワ…』


昴「――甘いぜ『ビギナーズストライク』」


奈緒と昴の身体が、『瞬間移動する前』の場所に引き寄せられる。


昴「ヤバイ相手だ、避ける策はさっき用意しておいたぜ」


奈緒「ナイス、プレーや…」


HF『理解シテマセンネ~』


昴「なんだと!」


HF『『不幸』トイウ事ハ…』


ビリビリという音が二人の耳に入り、二人は理解する。


――――これはヤバイ音だ!


HF『全テガ『上手くいかない』事ッ!』


昴「電線からの高圧電流だぁぁあああ!」


奈緒「なんやてぇぇぇえええええ!」




電流を流しながら二人にぶつかろうとする電線に対し、昴は奈緒を抱えてその場を飛び退こうとするが、奈緒の身体はなかなか動かない。


昴「なんっ、で! こんなに重いんだよ!」


奈緒「アホ! 女の子に言う台詞かいな!」


HF『クラッテクタバレ『不幸ノ味』!』


バァァァァアアアアア


昴「か、かわせねぇ…かといって防御も難しい! どうすれば…」


昴「どうすりゃいいってんだチクショォォォ――――ッ!」


HF『バァァァアアア!』


ガオン


スカッ


昴「お、オレの頭上を通過した…?」


奈緒「さ、最後や…もう、サポートはできへん…」


昴「奈緒! そんな…奈緒!」


奈緒「たの…む、で…………」


ガクリと首を落とし、奈緒は気絶した。


HF『コレデ二人…』


ドドドドド


昴(どうする…!? まつりも奈緒も動けない! オレ一人でどうやって…)


昴(……いや、弱気になったら駄目だ! 必ず隙がある筈…考えろ…)


昴「…………」


HF『負ケヲ早ク認メタ方ガ…』


クルッ


ダッ


HF『!!』


昴は『ハッピ~エフェクト!』に背を向け、劇場に向かって走り出した。




HF『ナルホド~、劇場ハすたんどデスカラ、『背番号』ヲ着ケテ私ヲ叩キ付ケル…』


HF『作戦トシテハ上出来。私ハアマリすぴーどガ無イシ、一回ノ接触ナラ、吸イトレル『運』モ少ナイ…』


昴「…………」


昴は一抹の望みを掛けて走る!


HF(…『不幸』ヲ元二戻ス方法ハ一つ、『不幸』ヲ経験スルコト…)


HF(『永吉昴』ハ気付イテ無イ、『最初の接触』デ一番不幸二成ッタノハ『永吉昴』…)


HF(包丁二足ヲ取ラレル程度ノ『不幸』デハ『釣り合わない』。トラックノ衝突ヨリモ危険ナ『不幸』ガ…)


その時、大きな地響きが鳴り響く。


HF『ソウソウ、コンナ…!!』


HF『ドウイウ事…? 地震ガ起コル程ノ不幸ナンテ、無理矢理起コセナイ…!』


ドドドド


昴「…『賭け』はオレの勝ちだな」


HF『ナ、ナニィィイイイ! 『不幸』ナ昴ガ『賭け』ダト!』


地響きの正体、それは『劇場』の崩壊ッ!


昴「…『賭け』に勝った、その代償にオレは…………死ぬ」


HF『ア、アリエナイ…『不幸』ヲ利用シテ『SNASA』ヲ破ルナド…』


昴「『不幸』だけじゃねえ、『幸運』も、だ」


HF『ナ、何…?』


昴「美也を幸運にしたんだろ? なら、美也が『たまたま』このスタンドの弱点を突いたんじゃないか?…美也の幸せは『みんなの幸せ』だからな」


HF『ア、アリエ…ナイ…』


昴「あり得るぜ、不幸と幸運の落差、簡単に言えば自滅したんだよ」


昴「自分の能力でな」


HF『バカナァァァ――――――――!!』


昴「おいおい、美也の『フリ』を忘れちまったのか? お前を直接倒しては無いけど、オレの『勝ち』だ」


バァ――――z____ン!!


HF『グ…ググ…覚エテロ…』


『ハッピ~エフェクト!』はその姿を消した。恐らく美也の元に帰ったのだろう。



昴「何言ってんだ、オレの勝ち逃げだよ」


昴(…劇場の崩壊に巻き込まれて死ぬからな)


美也が何かしたのだろう、歪な建物が崩れ始め、巨大なコンクリートの塊が落下する。


落下したコンクリートの衝撃でまつりと奈緒だけが吹っ飛び、建物から遠く離れた場所に転がる。


もちろん昴も飛ばされ、まだ無事な劇場の壁にぶつかる。


昴「ごふっ……もう、走れねぇな…」


昴の周囲は電流を放つ電線や燃え盛るトラック、巨大なコンクリートで囲まれ、ほぼ生身の昴が通れる様な道は無かった。


昴(…オレ一人でも、勝てた…のか? オレは誰かの役に立てたのか?)


昴(のり子の時も、志保の時も、誰かに頼ってた…でも…最期は、オレ、一人で…)


昴「一人で…一人、で…」


昴の目からはひとりでに涙がこぼれ落ちる。


昴「ちくしょぉぉぉおおおおお! まだ死にたくねぇよぉぉぉぉおおおおお!!」


十五歳の心に死の現実は冷たかった。


だが、冷たい事実よりも燃え盛る炎が勝った。


昴「……でも…何も出来ない何てのは、もっと嫌だ…! 死ぬほど嫌だ!」


昴「元に戻せよ! 765プロを!!」


昴「頼んだからな! 奈緒!」


昴が思いを叫ぶと、巨岩がその場に叩き付けられる。


そこに『永吉昴』は立って居なかった。












ドドドドド


P「『セカンドステップガチャ』」


昴「…え?」


昴はプロデューサーに抱きかかえられていた。


そして降ってきた岩は砕かれていた。


P「予知済みだ」


昴「ちょ、一体…」


P「脱出するぞ、掴まれ」


昴「うおっ――」


プロデューサーが大きく飛び上がり、昴を抱えたまままつりと奈緒の場所に着地する。


まつり「……ほ?」


奈緒「…………」


P「行くぞ」


プロデューサーは二人も掴み、抱えてその場から離れた、安全な場所に飛ぶ。


昴「な…何してたんだよ!」


P「証拠隠滅と賠償だ。新幹線がいくらすると思ってる」


昴「あ、ああ…なるほど?」


安全な場所から、劇場が崩壊するのを見守る。


そして、いつの間にか美也が隣に居た。


昴「み、美也!?」


美也「あ~…崩れてしまってますね~…残念です…」シュン


昴(『ハッピ~エフェクト!』は襲ってこないみたいだな…美也の目の前で戦う気は無いらしい…)




P「じきに志保達も来る」


まつり「ほっ…」


昴「そ、そうか…」


昴は助かったが、その心は底無し沼に沈んでいた。


昴の不幸は死ぬことではない、プロデューサーに『助けられる事』だ。


死ぬほどの不幸よりも優先した、自分の『一人で誰かの役に立つ』という思いが叶わない事だ。


たとえ生きていたとしても、昴は心にモヤを抱える。


それが『不幸』なのだ。


P(……昴、いつか、乗り越えられる日が来る…それまでの辛抱だ…)




To be continued…

終わりー(o・∇・o)

良い意味で期待を裏切れたらいいと思います

伏線は不十分だったかなと思いますが、既に亜利沙のスタンドの弱点は出てます

予想してみてはいかがですかね~


ちなみに、私の力量不足で伝えられなかったのですが、ありしゃは『松田亜利沙絶対殺すマン』です

簡単に言えばですが。つまり、ぷち亜利沙を飼うと、漏れ無く飼い主は食い殺されるという訳です

ただし亜利沙の捕食<<<<<<<<アイドル



終わり(o・∇・o)

短いですが投下

説明回(o・∇・o)






劇場の崩壊から辛くも逃げ出した九人は、昴達と同じ場所に合流していた。





亜利沙「本っ当に!申し訳ないですッ!!」


琴葉『い、いいのよ…謝らなくたって』


未来「そうそう、私だって攻撃してたんだから」


可奈「…あれ、琴葉さんはスタンドを解かないの?」


琴葉『え? ええと…その、服がもう無いから…』


亜利沙「興味があります!」キラーン


恵美「こらこら」


奈緒「おっしゃ!完全復活ッ!」


まつり「手も足も元通りなのです」


麗花「三本目とかいるかな? 背中に付けてババーッと…」


奈緒「いらんいらん! 恐ろしいわ!」


麗花「仏像みたいでカッコいいのに…」


まつり「ほ…?」




志保「亜利沙さん、『マスターピース』はもう倒されたんですか?」


亜利沙「え? ええと、亜利沙のスタンドは特殊で、亜利沙や『亜利沙の物』を守るんです!」


志保「亜利沙さんの…物?」


亜利沙「はい!具体的に言うと、亜利沙の名前が書いてあります」


恵美「何ソレ…」


亜利沙「この能力があれば、律子さんに亜利沙の机の引き出しを見られても! 『SNASA』はちゃーんと中身を守ってくれるんです!」


可憐「な、中身…?」


亜利沙「秘蔵のお宝写…おっとっと、これは秘密でした」


志保「話題がずれてますよ」


亜利沙「そうでしたそうでした。つまり、亜利沙のスタンドは分散して拠点を守る…と言ったカンジです!」


亜利沙「劇場を守ったのはスタンドの一部なので、それが崩れたら劇場のスタンドは消滅します。だから亜利沙はもう取り憑かれてはいません」


可憐「……?」


恵美「分かりにくい…」


このみ「えっと…まず、
スタンドは本体とは分離してる。
劇場のは分離したものの一つ

『マスターピース』は亜利沙ちゃんの精神、つまり『SNASA』を統合する精神から『SNASA』の一部分へと移った

『マスターピース』は亜利沙ちゃんの精神を全部操れなくなったけど、劇場にある『SNASA』は操れた

でも劇場の『SNASA』は消滅したから『マスターピース』からは解放された…」


亜利沙「そうです!流石最年長!」


このみ「ふふん、やっと私がオトナであることを…やっと?」




恵美「なるほどね。でも、『マスターピース』は倒せてないってことじゃん」


亜利沙「いえ、それはないと思いますよ?」


可憐「え、な、何でですか…?」


亜利沙「スタンドの建物に潰されたら、ひとたまりもありませんって」


志保「…『MP』はスタンドに潜む事が出来るわ。強靭な精神力で攻撃するか、『MP』を弱気にさせるしか攻撃出来ない筈よ」


志保「奴はまだ生きているわ!」


このみ「というより、増殖したのはスタンドだったのね」


琴葉『それって大問題じゃない!』


可憐「ま、また…誰かが、操られる…?」


P「話は聞かせてもらった」パッ


可憐「ヒィィ!」


P「おれが『マスターピース』を追う、全員、今日は帰りなさい」










昴「なぁ美也」


美也「はい、なんでしょうか~?」


昴「劇場の上で何かやったか?」


美也「ヒモがあったので、手繰り寄せてみると広告がありました~」


昴「ん…? いや、アレか!」


美也「『亜利沙のアイドルキャッスル』って、一体何なのでしょうか~? 謎は深まるばかりですね~」


昴「弱点って…まじかよ…」


亜利沙「サイズの関係で、小さく『亜利沙』と書いてあると思います」


まつり「普通は読めないのです」


奈緒「丸出しやったんやな…」


―――――――――――――――――――






ドドドド


P「…始末はした。本体は特定出来ないが…」


P「『こっち』は特定したぞ」


プロデューサーの現在地。


『Da』テレビ局、本社。


『代表取締役室』前。


太陽は沈みかけ、明るい星は見え始めていた。


今日は『巨星』の墜ちる日。


多くの人間が待ち望んだ日。


・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・


白いスーツを身に纏う男。


男の目は赤く、肌は白い。


所謂アルビノ、普通短命であるはずの個体は既に60を超す齢であった。


Da「…………」


ドドドド


高級感溢れる室内で、異物のように似つかわしくない姿の『Da』はただただ、椅子に座っていた。


そして室内の『もう一匹』は、扉越しに伝わる気配に気づいていた。


犬「グル、グルルル…」


Da「……ブラックファルシオン三世、下がっていろ」


三世「クゥーン…」


真っ黒な犬はDaに命令されると、窓を開けて『飛び降りて』いく。


三世がいなくなると、入り口の扉が僅かに開いた。


Da「ようこそ」


ドォ――――――――z________ン


P「…………」


扉が開いた瞬間、プロデューサーが『Da』の目の前に現れる。




ドドドド


P「死なない…か」


人の認識出来ないスピードで動いていたプロデューサーは、既に攻撃を済ませていた。


しかし、無傷。


Daはまるで『白』の住人であるかのように、何も知らないボケ老人のように座っていた。


Da「バレた…と言うことは、内通者がでたか」


P「飼い犬に手を噛まれたとはな」


Da「……フフフフ」


P「何を笑っている」


Da「…私はね、大体の犬は好きだが、白鳥は大嫌いだ…命令を理解できない、実行しないからな」


Da「大好きな雛鳥を守りに来たのか? 勝てない相手を敵にしてまでとは、なんとも深い愛情よ」


穏やかな口調で話しかける老人は、鬼気迫るプロデューサーに対して全く怯んでいなかった。


P「…見た目は白、中身は真っ黒」


P「『入れ換え』れば少しはまともになるか」


Da「…………薄汚れた、下品な色をしたプロデューサーめ。貴様には脳味噌が足りていないらしいな」


P「おれが鳥なら貴様はカマキリだ、わざわざ殺しに来てる事を感謝しろ」


Da「……さては、自分を強いと思っているな?」


P「支配者気取りのゴミが、蟷螂の斧という言葉をしらないのか」


ドドドドド


Da「…分からないか」


P「虫の言葉はよく知らん」


Da「…………下等な奴め、分からせてやろうッ!」


P「分からせてみろ、虫けらが」


Da「『フェイト・オブ・ザ・ワールド』!!」


P「『ステップアップガチャ』!!」



――――――――――――――――――――






同日、夕方


レッスン場



大きな鏡のある部屋に翼、百合子、海美、朋花、そしてトレーナーの5人がいた。



翼「う~ん…っ…はぁ…」


海美「いや~今日もよくレッスンしたね」


トレーナー「よくストレッチをして下さいね」


朋花「はい~」


百合子「も、もう無理…立てない…」


海美「ほらほら、ちゃんとストレッチしないと!」


海美が百合子の背後に回り込み、背中をゆっくりと押していく。


百合子「うっ……ぐ、ぐえっ……む……無理……」


海美「いーちにーいさーん…」


朋花「翼ちゃん、私の背中を押してもらえますか~?」


翼「はーい」


翼は朋花の背後に素早く回り込み、背中を押した。


朋花「力を入れすぎて、背骨を折らないで下さいね~」


翼「?」


海美(…笑えないよ、朋花様ただでさえアヤシイのに…)


翼「まさか~、背骨を折るなんて無理だって~」


翼(何もしなければだけどね~)




徐々に力を込める翼。


朋花「あっ…そろそろ…」


翼「いーちにーいさーん…」


翼(…朋花ちゃんって、本当に敵なのかな? カッコいいし、モテそうだし、操られたりなんてしなさそうだけどな~)


トレーナー「それじゃあ、あと二十分程で施錠するので、それまでに準備よろしくお願いします」


海美「はーい」


百合子「わかりました。…いきますよ!えい!」


グニャ


百合子「ひっ!」


海美「ゆりりん?」


翼(それに、三対一だよ?流石に勝てるわけ無いんじゃないかな?)


朋花「翼ちゃん」


翼(トレーナーさんも近くにいるし、『安心出来るよう、味方を多くしてレッスンする』だなんて、プロデューサーさんは心配しすぎだな~)


朋花「翼ちゃん!」


翼「ふぇ?」


朋花「交代しましょう」


翼「ん、そうだね」


翼(び、びっくりしたぁ…)ドキドキ


翼は足を伸ばし、朋花に背中を押してもらう。


百合子「あ、ドリンク切れてる…水飲みに行ってきますね」




海美「余ってるけどいる?」


百合子「いいんですか?」


海美「気にしないでいいよ~」


百合子「ありがとうございます」


翼「…………」ホッ


朋花「いち、に、さん…」


ゴゴゴゴゴ


朋花「……安心しましたね」ボソ


朋花が耳元で囁く。


翼「ッ!?」


朋花「人が減らなくて安心した…『二対一』にならなくて安心した…」


翼「う――」


朋花「話せば」


翼「…………」


朋花「首が飛びますよ?」


ドドドド


翼(や、やられた…朋花ちゃんは襲えなかったんじゃあない、襲わなかったんだ!)


翼(油断させてた? 違う…気を抜いたつもりはなかった…!)


朋花「ふふっ…二人とも気付いていないみたいですね…」


海美「あーあ、早くシャワー浴びたいな~」


百合子「シャワー室なら劇場にありますよ」


翼「…………」




朋花「『後ろ』、気になるんじゃあありませんか~?」


ゴゴゴゴ


翼(気になる…ッ! どんなスタンドなのか、どんな能力なのか、場合によったら全滅もありえる…!)


翼は朋花に見えない様に、スタンドの指先を床の中に入れる。


翼(ここは『波』を海美さんに…)


朋花「『波』はダメですよ~♪」


翼「ッ!?」


翼(ウソ…バレた!? 心を読んだの…?)


翼(心を読む能力? でも、それだけなら攻撃を一発食らっても、『波』で衝撃を消せるし…)


朋花「……攻撃を喰らっても平気? 心を読んだ?」


朋花「的外れです」


翼「ッ!」


ドドドド


朋花「翼さん? 人の行動なんてものは、簡単にぃ…」


朋花「分かってしまうんですよォォォ~?」


翼(まずい助けを!)


翼は勢いよく立ち上がり、叫び声を上げようとした。


翼「――――――――!」パクパク


翼(こ、声が出ないッ!)




ドドドド


朋花「翼さん」ガシッ


朋花が翼の肩を掴む。


翼(や、やられるッ!)


朋花「急に立ち上がると…」


翼「!!」


朋花は何もしなかったが、翼は背中を地面に叩きつけるようにして倒れた。


海美「バサバサ!?」


百合子「翼!」


倒れた音を聞いて二人が視線を向ける。


翼(き、気付いて!)


朋花「貧血でしょうか~?」


百合子「うっ…顔が真っ青だよ!」


海美「た、大変だ!」


翼(な、何を言ってるの…? 顔が真っ青? そんな筈無いよ! 私は――――)


朋花「トレーナーさんを呼びに行きますね~」


海美「頼んだよ!」


バタンと扉が閉まり、朋花は部屋から居なくなった。


海美「もー…心配させないでよ」


百合子「朋花さんが怪しいんだから、びっくりさせないで下さい」


翼(――――怖い)


翼(違うよ…これは貧血じゃない…恐怖!そのもの)


翼(『後ろ』に誰かがいるんじゃあないか?『後ろ』にわたしの命を脅かす何かがいるんじゃあないか? 居ないと分かっても、そう思っちゃう!)


翼(逆らえない!抵抗できない!『後ろ』があるという恐怖に!)


翼(背中を地面に付けても、安心出来ないッ!)




ドドドド


海美「大丈夫?」


百合子「あ、スタンドで風を送りますね。えい!」ソヨソヨ


翼「ぁ…ぇ……だ……」


海美「無理しちゃダメだって」


百合子「トレーナーさんが来るまで、今は寝てないと」


翼(気付いて…朋花ちゃんのスタンド攻撃だよッ!)


ガチャ


トレーナー「翼さん!」


朋花「もう大丈夫ですよ」


翼「!!」


トレーナー「顔が真っ青ね…」


海美「ちゃんと鉄分とらないと」


百合子「美奈子さんにレバニラでも頼みますか?」


翼(呑気な相談してる場合じゃないよ~!)


ドドドド


トレーナー「呼吸に問題は無いわね、急に立ち上がったりしてない?」


朋花「立ち上がってましたね」


トレーナー「なら立ち眩みね、しばらく安静にしていればいいと思うわ」


翼(え…なんで…これはスタンド攻撃で間違いないのに!)


翼「ぅ…こぇ…ぁ…」


翼(声が出ない!体も動かない!どうして!?)




海美「ほーら、無理しない無理しない」


朋花「横になればすぐに楽になりますよ~」


ドドドド


朋花「すぐに…ね」


目を細めて翼をみる朋花、その表情には余裕が浮かんでいた。


翼(うっ…)


百合子「立ち眩みって怖いですね…」


朋花「そうですね~急に立ち上がったりしないようにすれば、問題はありませんが」


トレーナー(…おかしいわね、立ち眩みって『長時間座る』と起こるものだと思っていたけれど…私の認識不足ね)


翼を囲む四人。


その内の二人はスタンド使いで、翼の味方だが、何一つ気付いていない。


しかし、朋花のスタンドは既に『追い詰めて』いた。


朋花(まずは一人、動けなくしました…)


朋花(次は海美さんですね、二人が行動不能になると気付かれます。先に厄介な方を…)


ゴゴゴゴ


朋花(仕留めるッ!)




To be continued…

待ってる人がいるかもしれないスタンドステータス

こんなややこしいのはもう勘弁



本体・人間・松田亜利沙
スタンド『スーパーナチュラルアクティブショウアイドルちゃん』

遠隔自動操縦型

破壊力――  スピード――  射程距離――

精密動作性A  持続性A  成長性B

能力射程『自分』


能力『生体防御の能力』


自分、または自分の物品や領域を守る能力。

内部の保護や、侵入者の排除のみを行うため、能動的な攻撃を仕掛けることは出来ない。

防御方法は免疫システムと似通っており、侵入者に対しては圧倒的に有利な攻撃を仕掛けることが出来るが、亜利沙本人の胸腺が攻撃されると止まってしまう。

亜利沙に関してだけ言えば、傷の修復や病気の治療が可能である。

守るものに名前を書けば能力を発動出来るが、名前を消されたり、名前を書いた部分が離れたりすると解除される。


A:超スゴイ B:スゴイ C:人間並 D:ニガテ E:超ニガテ

(o・∇・o)






ゴゴゴゴゴ


翼(…助けを求めないと、完全に声が出ない訳じゃない!)


翼「ぅ…み……」


朋花「!」


海美「え?今呼んだの?」


翼(来た!)


翼「ぅ……」


朋花「どうしたんですか~?」


翼「!?」


朋花が翼の口元に耳を寄せる。


翼(違う!呼んだのはうみみ!朋花ちゃんじゃないよ!)


朋花にとってそんなことはどうでもいい、肝心なのは『何を』言っていたかだ。


朋花「え? 髪が…?」


百合子「ぷぷっ…倒れてるのに、髪なんて気にしてどうするの」


海美「翼はオシャレさんだからね」


翼(百合子ちゃぁぁぁぁああああん!)




朋花「ではタオルを敷きましょう~頭を少しあげますよ~」


海美「使ってないタオルあるよ」


朋花「どうも~」


朋花が翼の頭を持ち上げ、タオルを敷こうとする。


翼(頭を上げた……つまり、『後ろ』に隙間が?)


翼(あれ、何考えてるんだろう…『後ろ』なんて今…………『後ろ』?)


翼(『後ろ』…隙間…『後ろ』…わたしの…『後ろ』!!)


朋花「では、下ろし…」


翼「う、うわぁぁぁぁぁああああああああ!!」


トレーナー「!?」


海美「バサバサ!」


朋花「ど、どうしたんですか?」


翼「触るなぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああ!!」


百合子「翼!?」


翼は『G・F・W』を出し、立ち上がって朋花を思いっきり殴り飛ばす。


ボゴッ


朋花「ぐふっ!」


翼「うわぁぁぁ――――――ッ!!」


翼に殴り飛ばされた朋花は、海美にぶつかる。


海美「よっと」ガシ


トレーナー「翼さん! 一体…」


翼「近寄るなぁぁぁあああああ!!」




ダッ


翼はスタンドを出し、ピッタリと背中を
鏡の壁にくっつける。


翼「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」


百合子「翼! 何やってるの!」


翼「!!」


翼(い、今…わたし…攻撃した? なんでだろう…『後ろ』が怖いと思ったら、急に…)


朋花「きっと…何か虫でもいたんですよ…」タラ


海美「あ、鼻血でてるよ!」


朋花「では、ティッシュを…」


海美「大丈夫、私に任せて」


海美(波紋で治療出来るよね?)


海美が波紋の呼吸をし、止血しようと手を鼻に当てた瞬間。


ブシャァァァアアア


海美「えっ!?」


百合子「キャッ…凄い血…」


朋花「うっ…」クラッ


海美「だ、大丈夫!? ごめんね…わたし…」


朋花「大丈夫です…ティッシュを…」


海美「う、うん…」


トレーナー「あ、あなたたち…とりあえず、氷とってくるわね」


トレーナーは走ってレッスン部屋を出ていく。




ドドドドド


翼(お、おかしい…何かがおかしい…! 本当にスタンド攻撃なのかな…本当は全員敵だったり…)


百合子「ねぇ…海美!翼!」


朋花「!」


海美「!」


翼「!」


百合子「これって…スタンド攻撃だよ!」


海美「ッ…朋花様!」


海美はティッシュを探すのを止め、距離をとりながら百合子の側による。


ドドドドド


朋花「ふふっ…やっと気づいたようですね」


百合子「…翼の様子がおかしいし、正体の知らないスタンド使いは一人だけ!」


二人は朋花と翼の間に、立ち塞がる様にしてたつ。


朋花「流石です~♪でも、少し遅かったようですね~」


海美「なにー!」


朋花「翼ちゃ~ん♪『私達』は敵ですよ~」


翼「え…?」


百合子「何をばかな事を…!」


翼(敵…? 私の状態にも気付かなかった…あれだけアピールしても気付かなかった?)


翼(違う…三人とも敵だったんだ…わたしを油断させてたんだ!)




海美「ハッタリは効かないよ!」


朋花「さぁ、どうでしょう~? 判断するのは翼ちゃんですから…」


翼「やっぱり!!わたしを騙してたんだね!!」


百合子「は…?」


海美「何を…言ってるの!」


朋花「ふふっ…どうやら『疑い深く』なったみたいですね~」


翼「『G・F・W』!!」


翼のスタンドが光を纏うと、光は『波』となって三人に襲い掛かる。


翼「ぶっとべぇぇぇぇえええええ!」


百合子「『クリアプロローグ』!」


ゴッ


百合子が強力な風を海美と自身に当て、飛ぶことで『波』を回避する。


朋花は回避しなかったが、『波』が当たることはなかった。


朋花「チャージが足りて無かったみたいですね~」


翼「射程が足りないッ!」


海美「ッ…何やってんの!バサバサ!」


百合子「説得は無理です! 多分朋花さんのスタンド能力です!」


海美「直接戦うタイプじゃないって事? なら!」ダッ


百合子「駄目です! 近寄るのも危険ですよ!」


海美は百合子の制止も聞かず、朋花に駆け寄もって攻撃しようとする。




海美「うりゃぁぁぁああああ!」


朋花「ふふふ…」


波紋を纏い、無防備な朋花に肉薄した海美は、ノックアウトを狙って頭に蹴りを放つ。


朋花「そういえば、この『鼻血』は…」


海美「!」ピク


朋花「『あなたのせい』でしたよね?」


海美「え、あ…ああ…!」


海美はピタリと攻撃を止め、全身を脱力させて下を向く。


朋花「お返し、してもいいですよね?」


海美「ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…だから、同じ分だけ…許して…」


百合子「何やってるんですか!?」


朋花「良い返事です~♪ 」


ついに、朋花のスタンドが姿を現す。


十字架を背負い、右半身が修道服、左半身が真っ赤なドレスを着こんだスタンド。


朋花「『マリア』…」


『マリア』はそのまま、無防備な海美の身体にラッシュを叩き込む。


朋花『あらあらあらあら~!』


ボゴボゴドゴ


海美「ぐぶっ、おふっ…ぐぇぇ――――ッ!」


ドバァ――!!


百合子「海美さん!」


翼「ゆりゆりィ!」


百合子「ハッ!」


翼は壁にピッタリと背中を付けたまま、『波』をチャージして百合子を捕捉する。




翼「吹き飛べ!『G・F・W』!」


百合子「風よ!」


ドゴァォォォオオオ


床板をベリベリと剥がしながら襲い来る『波』を、先程と同じように風で回避する。


百合子「くっ…翼まで襲いかかってくるなんて!」


朋花「もしかして、忘れていませんか~?」


百合子「!?」


百合子が風に飛ばされた先には朋花が立っていた。


百合子「あ、あ…」


朋花「既に、私に『恐怖』してますね?」


百合子「う、そだ…そんな筈ない!『クリア…」


朋花「『マリア』!」


ドゴォ!!


百合子「きゃぁぁああああ!」


『クリアプロローグ』よりも早く、『マリア
は相手を殴り飛ばす。


そして、百合子が飛ばされた先には…


翼「ッ覚悟!」


百合子「なんで…なんで攻撃するの!」


翼「それは、三人が敵だから!」


百合子「違うよ! さっきまでの事を思い出して!」


翼の思考の矛盾を、百合子は自覚せずに突く。


二人が翼の様子に気付かない、だから三人とも敵であるという飛躍。


翼はそれを『自覚』した。


翼「え? あ、れ…?」


朋花「…………抜けましたか、運のいい…」




翼「う、え、あ…………」


百合子「大丈夫!?」


翼「そ、そんな…こんなことして、ごめん!」


百合子「いいよ!それよりも朋花さんを!」


朋花「ふふふ…よく『マリア』の呪縛から抜け出しましたね…」


朋花「タネが割れれば簡単ですが…解決できないものもありますし、この程度ならまだ許容範囲…」


翼「も、もう『マリア』は解除したよ!」


百合子「さあ、二対一ですよ!」


朋花「ふふふ…」


ドドドド


百合子「…………っ」ゴク


朋花「二対一…ですか、ふふふ…おかしいですね~♪」


翼「負けないよ、もう二人は敵じゃないって、分かってるからね」


朋花「どうやら、根本的な事には気づいてないみたいですね~」


百合子「根本的な事?」


朋花「はい、そうです」


朋花「それは、二人が私に『恐怖』を抱いていると言うことですよ~」


翼「…どういう事?」


朋花「そのままですよ。私の声を聞き、姿を見、存在を感じ、私が敵対しているという事実に、二人は『恐怖』しているんですよ~♪」


百合子「そんな、有り得ない!」


朋花「……レッスンの間ずっと此方を警戒するのは、私を『恐れている』から…ですね?」


翼「!!」


百合子「そ、それは…」


朋花「『認め』ましたね? 今、心のなかで少しでも『認め』ましたね?」




朋花「さぁ、あなた達のスタンドパワーはどんどん衰えて行きますよ~♪ そして、私にひざまずいて下さい~」


翼「スタンドは精神の力!」


百合子「決め付けで衰えたりは…」


朋花「ふふふ…これだけ言っても『まだ』分からないようですね~。物分かりが悪すぎるのも良くありませんよ?」


翼「ッ!」


ドドドド


朋花「『マリア』の能力は、不安や恐れ、罪悪の気持ちを増幅させ、強迫観念を植え付ける…」


朋花「『恐怖』を知ったあなた達は私に負ける…そして新たな『恐怖』を抱き、負け、『恐怖』を植え付けられ続ける」


朋花「それが『マリア』。既に『恐怖』のループに突き落とされているのですよ~♪」


ドドドド


翼「それでも…勝たないといけない!」


朋花「その割には、『後ろ』が気になってしょうがないようですね~うふふ~♪」


翼「うっ…」


翼は未だに、鏡張りの壁にピッタリと背中をくっつけていた。


百合子「なんて能力なの…!」


朋花「うふふっ」


朋花かジリジリと距離を縮めると、百合子は翼の真横へと下がっていく。


朋花「既に抵抗する様な力はありませんよ~私が直々に手を下してあげましょう~♪」


翼「どうするのッ! チャージには時間が掛かりすぎるよ!」


百合子「チャージしてて! 手段を放棄したら駄目ッ!」


朋花「さぁ、私に身を委ねて下さい」


バッ


百合子「うわぁぁぁああああ!」


朋花「『マリア』!」




朋花『あらあらあ…』


百合子「……」ニヤリ


朋花「!」グラッ


百合子は為す術を無くしたかのように思えたが、朋花の身体は揺らぎ、地面に倒れた。


朋花「な、にを…」


百合子「調子に乗って近寄り過ぎましたね」


翼「…今の時間でチャージは終わったよ」


朋花「ぐッ…身体に…力が…」


百合子「『低酸素状態』を作り上げました…スタンドパワーが衰えても、近距離なら別です」


翼「覚悟して、とびきりのをブッ込むよ!」


ドドドド


朋花「…………ふふっ…」


百合子「…?」ピク


翼「惑わされないで」


朋花「ふふふ…ふふっ…ふふふふアハハハハハハハハハ、アッハハハハ!」


百合子「気を付けて、何かしてくる!」


翼「違う!また新しい不安を押し付けようとしてる!」


朋花「使いたくはありませんでしたが…仕方ありませんね~」




百合子「『低酸素状態』で話してるッ!?」


翼「もう駄目だッ!『G・F・W』!!」


朋花「無駄ですよ~♪」


放たれた衝撃の『波』を、スタンドで本体ごと移動して回避する。


翼「躱したッ!?」


朋花「覚えていませんか~? 『恐怖』のループに突き落とされていると!」


翼「耳をかしちゃダメ!ゆりゆり!」


百合子「あっ…ああ…ああああああああ!!」


朋花「『後ろ』に『居ます』よ?」


百合子「『クリアプロローグ』ッ!!」


百合子は振り返り、鏡の壁に拳を叩き込んで後ろに飛ぶ。


翼「何を…!!」


朋花「うふふふっ♪」


朋花は百合子を『待ち構えて』いた。


翼「後ろォォォォ――――――ッ!!」


朋花「これが本当の力…『マリア・トラップ』!」




百合子「!?」バッ


朋花『あらあらあらあらあらあらあら!!』


百合子「ガッ…ごぶっ…ぐぎゃッ!」


翼「うおおおおおおお!!」


翼は自身の『後ろ』への恐怖を振り払い、百合子を助けるためにチャージしながら朋花に突っ込む。


翼(ヤバイよ!本当に!死んじゃう!)


そう、翼が思ったのは、『朋花のパワーが上がっている』だけではない。


百合子は体の『前と後』から殴られており、『見えない何か』が百合子を攻撃しているのが分かったからだ。


朋花『あらあらあらあら!』


翼「放してぇぇぇぇええええ!」


ダッ


朋花「邪魔をしないで下さい」


百合子「う…ぶぐっ…ご…」


翼がラッシュをかましても、朋花は片手でそれをあしらいながら百合子にラッシュを叩き込む。


翼『オラオラオラオラオラッ!!』


朋花「そんな貧弱なパワーでどうにかなると…あら?」スッ




朋花「身体が…思うように…」


翼「オラァァ!」


ブン


ドゴッ


朋花「…………やりましたね」ギロ


翼は朋花の横っ面に拳を当てた。


しかし、パワーの低さがここで仇となり、朋花にはダメージをたいして与えられなかった。


朋花「その貧弱なスタンドで…!!」


翼「動けないでしょ? 筋肉の疲労だよ。度重なる振動が疲労を与えた」


朋花「ぐっ…立てないッ…!」


朋花は膝をつき、百合子への攻撃を中断した。


ドバ――!!


ガシャァッン


百合子は攻撃の余波で吹っ飛び、鏡の壁に叩き付けられて倒れる。


百合子「…………」


翼「気絶してるね」


朋花「ぐっ…ぐ、ぐ…」


朋花は体をモゾモゾと這わせ、何とか動こうと足掻くが、攻撃することはおろか、移動もままならない。




翼「今から『G・F・W』の『波』をぶち込むよ」ミュイン


朋花「このっ…翼さんごときに…!」


ドドドド


翼「…ゆっくりチャージしても、大丈夫そうだね」


朋花【はい、アウトです~♪】


ドォォ――――――ン!!


翼「朋花ちゃんから、『もう一人』の朋花ちゃんが出てきた!?」


朋花「うまくいったみたいですね」


翼「なっ、にが…」


朋花「弱さを見せれば、『実はまだ余力があるのでは?』と思ったりしてしまうものです」


朋花「『ゆっくりチャージしても大丈夫そう』? それは私に『不安を抱いている』と宣言しているようなものですよ~♪」


朋花【残念でしたね~あと少しでしたのに】


翼「『ゴールド…」


朋花【射程距離内…近寄り過ぎましたね♪】


朋花【あらあらあらあらあらあらあらあらッ!】


ドガドゴドゴドガァッ!


翼「ぐっ…ごがッ!」


翼(百合子ちゃんはこれに!!)


ドゴォォ――――ン!!


翼は壁を突き抜け、ビルの外へと叩き出される。




翼(ま、ずい…体が思うように…)


朋花【まさか、終わりだとは思っていませんよね?】


ドドドド


翼「!!」


空中に投げ出された翼に、朋花の追い討ちが突き刺さる。


朋花【あらァ!!】


ドガ


翼「うわぁぁぁぁああああ!」


バガン!!


空中から地面に叩き付けられ、翼は完全に動けなくなる。


ボグォオ!


翼「右足の骨が逝ってる…痛みも分からない位痛い…のかな?」


翼「脇腹も、何だか熱い…右手も思うように…ゲホッ、ゴホッ」


ビチャァ


翼「血が…これってそうとうヤバイんじゃ…」


ドドドド


翼「はぁ…もう一人の朋花ちゃんは追ってこないけど、はぁ…戦えそうに、はぁ…はぁ…」


翼(このままだと、確実に…みんな死んじゃう…)


翼(そんなのヤダよ…怖いよ…)


翼「誰か、いないの…?」


翼「誰か!お願い!わたしの声を聞いて!」


誰もいない路地の方に飛ばされた為か、他人の声は聞こえてこなかった。


一人を除いて。


朋花「ふふっ…呼ばれて飛び出て、ジャーン♪」


翼「ッ!」


裏口の扉を開けて、朋花が出てくる。




翼「…動けるようになったみたいだね」


朋花「はい、翼さんのお陰ですよ~♪」


朋花【私は動けますからね~】


朋花は『もう一人の朋花』に連れられて出てきた。


朋花「あなたの精神が作り出した『天空橋朋花』が、私の体を支えてくれていますよ~」


翼「作り…出した?」


朋花「ふふっ、そうですよ」


朋花「他でもない、翼さんの『恐怖』が作り出した『精神』。他人の『精神』に出来る『スタンド』」


朋花「『恐怖』から逃げ出したいと思えば思うほど、『恐怖』は翼さんの『精神』に更なる『恐怖』を与える…」


朋花「それが『マリア・トラップ』」


ドドドド


朋花「あなたは何も出来ずに死ぬのですよ~♪」


朋花【うふふ♪】


翼「…あはは」


朋花【では、トドメを…】


翼「あははははははは!同じだ!同じだよ!」


朋花「…………様子が…ハッタリでしょうか…」


朋花【…翼さんは既に『勝てない』と思っている。つまり、私は何をされても負けないッ!】


朋花を支えていた『もう一人の朋花』が、翼に向かって駆け出す。




翼「同じなんだ…杏奈ちゃんと戦った時、思わず逃げ出したくなったよ…」


翼「ただただ怖かった…必死に助けを呼んで、志保とかプロデューサーさんが来てくれた…」


翼「でもね、全然分かってなかった」


翼「必ず誰かが助けてくれる訳じゃあない」


朋花【懺悔は病院のベッドで聞かせて下さいッ!】


翼「今思ったの。わたしは逃げてばっかりだから…だから!」ミュインミュイン


翼のスタンドの左腕が輝きを放つ。


朋花【うっ、いつの間にチャージを!】


翼「わたしは立ち向かうッ!」


ドドドァォォン!!


朋花【ぐっ…!】


『G・F・W』の衝撃波を真正面で受け止めた【朋花】は体をボロボロにするが、即座に再生して復活した。


ドドドド


朋花【…さぁ、いつまで持つでしょうかね~?】


朋花「…押され始めたようですね」


翼(朋花ちゃんは、【朋花】ちゃんの様子が分からないのかな…?)


翼「どっちにしても、わたしは負けないよ!」


朋花【虚勢を張るのは止めませんか? 見ていて痛々しいですよ】


朋花【負けない、と自己暗示を掛けているつもりでしょう…しかし、横たわっているあなたの身体は何よりも敗北を形にしているのですよ?】




ドドドド


翼「虚勢…? 違うよ、そうじゃない」


翼「これは『覚悟』、わたしの『本気』」


翼「『本気』じゃないと、みんなに顔向け出来ないから…!」


朋花【…では、見せてもらいましょうか~。あなたの『程度』を!】


朋花が素早く翼に肉薄する。


翼「『ゴールド・フリル…!?」


翼が構えた左腕は輝いていた。


しかし、輝きは左腕だけではなく、スタンド全身を覆っていた。


朋花【これは…『G・F・W』の光ではない!?】


翼「な、何かが…何かが『変化』してる!」


【朋花】は立ち止まり、事の様子を見守った。


朋花「何が…起きてるのですかッ!」


朋花は動揺するが、まだ身体は思うように動かないため、その場で翼を見ることしか出来ない。


翼「スタンドが…わたしのスタンドが…」


朋花「…【天空橋朋花】ッ! 早く翼さんを倒しなさいッ!」


朋花【…無粋な『私』ですね、今は『私』ではありませんが…】


朋花【見せて貰えますか? あなたの『本気』の精神を…そして、それを打ち破られる『本気』の顔を!】


光輝く翼のスタンドは、姿こそ同じだが、確実に変わっていた。


翼「新しい…スタンド、これがわたしの『本気』!」


朋花【輝かしいスタンド…名前をつけてあげましょう。『ビリーブ・マイチェンジ』なんてどうでしょうか?】


翼「『ビリーブ・マイチェンジ』…うん、いいね!」


翼のスタンド、『ビリーブ・マイチェンジ』は常に輝いていた。


しかし、右腕と右足の輝きは、他のそれと比べると暗かった。




翼「行くよ…【朋花】ちゃん!」


朋花【『マリア・トラップ』!】


『マリア・トラップ』が殴り掛かる。


翼「あれ…でも『ビリーブ・マイチェンジ』は何が出来るんだろう?」


翼「……ま、いっか…………放て!」


翼は左腕を【朋花】の『マリア・トラップ』に向ける。


ドッ…


一つの光のリングが左腕から放たれ、拡がりながら【朋花】に向かう。


左腕の『輝き』を代償にして。


翼「出た…でも、腕が動かない!」


朋花【避けるのは…容易い】


スッ


リングの拡大は翼には制御できず、そのまま朋花を無視して拡がる。


翼「何で!? 戻ってきて!」


朋花【所詮、この程度だったんですね】


翼「!」


朋花【あらあらッ!】


ドゴッ!


翼「ぐえっ!」


寝転がったままの翼は殴り飛ばされ、自ら出した光のリングに触れる。


ピッ


キュゥウウ!


翼「リングが!」


朋花【小さくなっている!】


拡がっていたリングは、翼の元へ戻るため、急速に小さくなる。




勿論、【朋花】はリングの中におり、『光のリング』は収縮する過程で【朋花】を通過した。


ドッゴォォォン!


朋花【ぐはっ…!】


翼「爆発…した?」


【朋花】を通過したリングは小さく衝撃波を撒き散らし、【朋花】を吹き飛ばす。


翼「い、いけるかも…朋花ちゃんに勝てるかも!」


ドドドド


朋花「どうやら…幻影の私は、使い物に為らないようですね」


翼「!!」


筋肉の疲労が回復した朋花が立ち上がる。


朋花【心外ですが、これからは手加減しませんよ~?】


朋花「覚悟してくださいね~?」


ゴゴゴゴ


翼(十メートル位前にいる朋花ちゃんと、八メートル位右前にいる【朋花】ちゃん…多分、二人とも射程距離外だね)


【朋花】は翼の精神にのみ存在すると言う性質上、ほぼ不死身であり、遠慮無しに突っ込んでくる。


朋花【行きますよ!】


朋花(おそらく、【私】は突っ込むでしょう…揺さぶるのが私の役割ですね)


翼「くっ…」


翼(せめて、足さえうごけ…ば?)


ドドドド


翼(わたしのスタンドは右手足だけ『輝き』が薄れてる…? まさか!)




朋花【あらあらあらあら!】


翼「ていっ!」


朋花が繰り出した拳を、翼は動かないはずの足を使って避けた。


朋花【!】


朋花「!」


翼「やっぱり…『輝き』は体内なら動かせるんだ!」


朋花「なるほど…両腕を犠牲に、胴体と足の調子を戻した…」


『ビリーブ・マイチェンジ』の腕の『輝き』は消えかかっているが、足の『輝き』は先程よりも増していた。


そして、翼の右足の怪我は消えていないが、出血や痣はなくなっていた。


朋花【だからどうしたと言うのですか~?】ダッ


翼「ん~…そっか!」


再び距離を縮める【朋花】に向かって、翼は右手の指から『光のリング』を打ち出す。


その数は五個。


翼「威力は変わらないみたい」


朋花【!】


【朋花】がリングを注意深く観察しながらゆっくりと後退すると、リングは翼から五メートル離れたところで急速に収縮し、翼の元へと帰っていく。


朋花「射程は五メートル…成る程」


朋花「たったその程度ですか」


翼「ッ!」


ドドドド


朋花【揺らぎましたね? 自分のスタンドを探る内に、翼さんは弱点をさらけ出した】


朋花「翼さんの射程距離五メートルから離れた場所からの攻撃…」


翼(惑わされちゃダメ! 考えれば考えるほど、わたしは窮地に追いやられる!)




翼「ッ…なら、こっちから近寄って…!」ダッ


朋花「『思考を放棄しよう』とは、考えている事と同義ですよ?」


朋花【『マリア』は『マリア・トラップ』のほんの一部…翼さんは僅かな疑念を抱くだけで…】


翼が朋花に駆け寄ろうとした直後、翼は『不可視の攻撃』によってぶっ飛ばされる。


翼「ぐえっ!」


朋花【なるほど、不可視の遠距離攻撃ですか…ふふっ…】


朋花「『可能性』は絶望を与えます~♪ 人間に勝ち目はありませんよ?」


ドドドド


翼「ち、違う…朋花ちゃんに勝つには、『恐怖』に打ち勝つ心がいるのッ…」


翼「負けたくないっていう心だけがッ、唯一の攻略法!」


翼「『ビリーブ・マイチェンジ』!」


翼はリングを小指から真後ろに打ち出した。


もっとも、リングは円形であるが…。


朋花【…後ろには何もありませんよ?】


翼「違うよ、後ろに『生み出し』た!」


リングは『地面』と接触し、小規模の衝撃波を撒き散らす。


翼はそれを推進力として、一気に朋花に近寄る!


翼(うっ…やっぱり痛い!)


朋花【させるとでもッ!】


翼「!」


朋花【あらァ!】


翼『オラァ!』


ガーン!!


『マリア・トラップ』と『ビリーブ・マイチェンジ』の拳がぶつかり、翼の動きは空中で停止する。


朋花【パワーが互角…!?】




翼「覚悟は上回った!」


翼は既にリングを放ち、至近距離での自爆特攻を仕掛ける。


朋花【ッ!】


【朋花】はその不死身じみた身体ではあるが、翼の精神に存在する紛れもない『天空橋朋花』自身なのだ。


いくら無敵の肉体を持とうと、咄嗟に防御や回避をしてしまうのは当然である。


【朋花】が攻撃を後退して避けると、翼の後ろでまた爆発が起こる。


翼「越えたッ!」


朋花【ッ!】


朋花「ふふ…やりますね」


ダメージを覚悟しての突貫。


【朋花】はその一点の違いで翼を通してしまう。


【朋花】を飛び越えた翼は、朋花に向かって突っ込む。


翼「おらぁぁぁぁああああ!」


朋花「…私が『言え』ば、あなたは攻撃を外します」


翼「関係ないッ! 今この瞬間の『本気』を!朋花ちゃんに叩き込むッ!!」


朋花「では、翼さんの攻撃は外れてしまいますね」


無防備な朋花の真横に、翼の拳は届いた。


朋花はその隙を逃す程愚かではなかった。


朋花「外れ♪」


翼「いいや、当たり!」


朋花「ッ!」


朋花と翼の間を、既に無数のリングが進んでいた。


翼「『ビリーブ・マイチェンジ』!」


朋花「…今は、負けを認めましょう」




ドドドドン!!


小規模であるが、高い威力を誇る衝撃波は、朋花と翼の全身を駆け巡った。


二人の身体はボロ雑巾のようになりながら宙を舞い、瓦礫にまみれた地面の上に叩き付けられた。


翼「ぐッ…えぐっ…」


朋花「うっ…ふ…はっ…」


ゴゴゴゴ


翼「やっ、た…かな?」


朋花「『マ、リ…ッはぁ…はぁ…」


翼「あの、朋花ちゃんが…あの朋花ちゃんが!」


朋花「はぁーっ…うっ…はぁ…」


翼「満身創痍のわたしに…負けた!」


翼「はぁ…はぁ…勝った! 思いもしなかった…あの、あの朋花ちゃんに勝てるなんて!」


うつ伏せに倒れる翼の目には、満身創痍の朋花が目に入った。


翼は自分の勝利を信じて疑わなかった。




「うふふ♪」


翼「!?」


その声は紛れもなく朋花の声だが、翼の真正面にいる朋花の声ではない。


翼の爪先のあたりから聞こえる声だ。


朋花「『マリア・トラップ』を相手にして、よく戦いましたね~」


翼「あ…ま、まさか…」


朋花「そうですよ~♪ 今戦っていた『天空橋朋花』は」


朋花「『あなたの精神』にしか存在していないのですよ~」


翼「じゃ、じゃあ…わたしは!」


朋花「無駄な事をしていただけなんですよ♪」


翼「う、うわぁぁぁぁああああ」


翼は怖れ、慄いた。


何が本物なのか、自分の『本気』はどこまで通用するのか、ひょっとすると、全ては朋花の作り出した幻覚なのではないか…。


朋花「では、とどめは…」


ドドドド


朋花「プロデューサーにお願いしましょう♪」


翼「え」


P【…………】


意表を突かれた翼の眼には、紛れもない、プロデューサーが写っていた。




ドドドドド


翼はもう腑抜けていた。


翼の『覚悟』が偽物であった訳ではない、『恐怖』がそれを悠々と上回ったのだ。


翼「勝てないッ…勝てるわけがないぃ…」


朋花「覚えている筈です、記憶の中に眠る『ステップアップガチャ』をッ!」


翼「ああああああああ!!」


朋花「『恐怖』を呼び起こせッ!」


ドッ


プロデューサーがぶれた瞬間、翼の腹部に拳がめり込む。


翼「いぎぃっ!? あ゛ッ、ぐえっ…!」


P【…………】


ドドドドド


捻るようにして腹部にめり込んだ拳は、容赦なく内臓を破壊し、痛みをもって翼を無力化した。


呻き声をあげた翼の意識は、たった一発の攻撃で刈り取られた。


朋花「…即死しない? よっぽど運が…いえ、お腹に『輝き』を集めましたね…なるほど…」


翼「…………」


朋花「…では、トドメを」


朋花がゆらりと近寄ると、真上でガラスが砕ける音がする。




パリン


朋花「!」


海美「バサバサから離れろッ!『波紋カッター・スポドリ』!」


パパウパウ


百合子を担いぎながら飛び降りた海美は、波紋カッターで朋花を牽制する。


朋花「チッ!」


飛び退いた朋花の代わりに、海美が翼に寄り添う。


海美「バサバサ、だいじょう…ぶじゃない! 早く病院に…!!」


朋花「行かせるとでも、思っているのですか~?」


海美「逃げるだけな――」


朋花「手負いの人間を二人抱えて、果たして逃げおおせる事が出来るんですか~?」


海美「うっ…」


ドドドドド


朋花「思いましたね?『逃げられない』とちょっとでも思いましたね?」


海美「まずいッ!」


海美は翼を抱えて逃げ出そうとする。


朋花「無駄ですよ~♪」


朋花は翼が砕いて出来たコンクリートの礫を、海美の足に投げつける。




ガスッ


海美「いたっ!」


海美は体勢を崩すが、こけることはなかった。


朋花「素晴らしい平衡感覚ですね~」


海美「誉められても、嬉しく――――ッ!!」


ゴゴゴゴ


朋花「回り込みましたよ~♪」


海美「ウソ…速い…」


朋花「もう逃げられないと思っている、だから足が思うように進まない…たとえ、スタンド能力であったとしても…」


海美「!!」


朋花「海美さんはまだ知りませんが、私の真のスタンド能力で始末して差し上げましょう~」


海美(逃げられない…もう『ココロエクササイズ』じゃあ、打つ手が…無い)


ゴゴゴゴゴゴ


朋花「さぁ…」


海美(…一人も助けられない…私も、終わりかぁ)


朋花「『マリア・トラッ――――あ゛あ゛ッ!?」


海美「!?」


朋花「あ、頭がぁ…頭が割れるッ! うっ…おぇぇえ…」


突然、朋花は頭を抱えながら嘔吐する。




海美「な、何が起こってるのッ!?」


朋花「い、たい…ガッ…う、ああああ!」


海美「よくわからないけど…攻撃の」


朋花「逃げて下さい!」


海美「…え?」


朋花が叫んだのは苦痛の叫びではない、凛々しく張りのある『正常な』声。


朋花「早くっ…屈辱ですが、このスタンドに抵抗出来るのは僅かな時間だけ…」


海美「なら早く倒さないと!」


朋花「『マリア・トラップ』はもう、使わないでしょう…が、『恐怖』を覚えた海美さんでは…今は勝てません!」


朋花「それに、はやく…翼さんを病院に!」


海美「う、うん…絶対、絶対絶対ぜーったい!助けるからね!」


朋花「た、のみ…ますよ…!」


ダッ


海美は二人を担いだまま、車と同じくらいのスピードで去っていった。


朋花(スタンドは精神の力…『マリア・トラップ』は普通の人なら大きく精神を磨耗するスタンドです…)


朋花(『マリア・トラップ』を多用すれば精神に隙が出来、取り憑いているスタンド(『マスターピース』)は叩き出されそうになる…)


朋花(その隙を突きましたが、もう…それは出来なくなりそうですね…)


朋花「…………逃げられましたね」


朋花(『マリア・トラップ』に勝つには、あらゆる恐怖を克服しなければなりません…)


朋花(私を倒せるのはまつりさん…あなただけです…)












――――――――――――――――――――


莉緒「茜ちゃん!もっと車飛ばして!」


茜「分かってるよ!でも無免許だから!」


町の中を猛スピードで駆け抜ける車が一台あった。


莉緒「早く!早くしないと死んじゃうわ!」


茜「だったら治療してて!」


莉緒「それをするためにアクセル踏んでるんでしょ!」


エレナ「二人とも!ケンカしてる場合じゃないヨ!」


語気を荒げる二人を、エレナは何とかして宥めようとする。


茜「見えた!お肉屋さん!」


しかし、茜の一言で険悪なムードは吹き飛んだ。


莉緒「エレナちゃん! これで買えるだけの生肉でも何でもいいから骨付きの奴を買ってきて!」


エレナ「ウン!」


急停車した車から、莉緒の財布を握りしめたエレナが飛び出し、目の前の肉屋に駆け込む。


莉緒「しっかり…しっかりして!」


茜「やばっ…パトカーに見つかった!」


莉緒「スタンド能力で誤魔化して!」


茜「もうやったよ!」


ガラッ


エレナ「持ってきたヨ!」


茜「車だすよ!掴まって!」


エレナは袋も持たず、解体される前の冷凍豚を一匹抱えて車に飛び込む。


莉緒「上出来よ!そこそこの応急処置は出来るわ!」


莉緒の横、後部座席の部分には下半身と右腕を失ったプロデューサーが横たわっていた。


それはプロデューサーの敗北を物語っていた。


それは『黒幕』の勝利を物語っていた。


今日は『巨星』の墜ちた日。


多くの『邪悪』な者が待ち望んだ日。




To be continued…

おわりー(o・∇・o)


つけ忘れたけど、>>925は『マリア・トラップ』/終わり だよ


プロちゃんVS『Da』は書かないよ

頭の中にはあるけど、書きたくないからね



本体・人間・天空橋朋花
スタンド『マリア』

近距離パワー型・人型

破壊力B  スピードC  射程距離D

精密動作性C  持続性A  成長性?

能力射程A


能力『不安や恐れ、罪悪の気持ちを増幅させ、強迫観念を植え付ける』


朋花の抑圧されたスタンド。

その力の本領の一部の能力であり、他人の精神を利用するため能力の射程は長い。


スタンド『マリア・トラップ』

近距離パワー型・人型

破壊力A  スピードC  射程距離E

精密動作性A  持続性A  成長性E

能力射程C


能力『不安や恐怖など、ちょっとした負の感情を精神に現す』

朋花の射程内に入った者は、あらゆる負の感情を自分の精神に作り上げてしまう。

作り上げられた精神は、その『思考過程』と同調し、能力や変化を伴って現れる。

朋花が二人いると思えば精神にはもう一人の朋花が現れ、朋花が別の能力を持っていると思えば別の能力を持った朋花が現れる。

他人の精神を利用してはいるが、『精神』を作るのにスタンドパワーを用いるため、能力射程は『マリア』よりも短い。



本体・人間・伊吹翼
スタンド『ビリーブ・マイチェンジ』

近距離パワー型・人型

破壊力A  スピードC  射程距離D (5m)

精密動作性B  持続性D  成長性E

能力射程D(5m)


能力『全力を出す能力』


『ビリーブ・マイチェンジ』は常に輝いており、この輝きは翼の身体の状態を表す。『輝き』を移動させて、本来なら動かせないような部分を動かすことが出来る。

『輝き』は身体の外にリングを作り出す事で放つ事が出来るが、『輝き』を失った部位は動かすことが出来なくなる。

『光のリング』はパワーの塊であり、障害物の在る無しに関わらず、翼から『五メートル』離れた場所まで拡がる。

『五メートル』地点にまで拡がった『光のリング』は、翼を中心にして素早く収縮し、翼に触れた『光のリング』は『輝き』を失った部位に戻る。

『光のリング』はパワーの塊、つまり、触れれば強烈な衝撃波を撒き散らす。

しかし、衝撃波は半径50cmの範囲にしか届かない。

また、力の解放に関しては遠隔操作が可能で、『光のリング』が消える代わりに、『リング』の好きな場所に衝撃波を発生させることが出来る。

おつ
朋花は自分の土俵にもってこれれば最強レベルかもね
相手が鋼メンタルや格上だと厳しい可能性も

>>929朋花様の強いところは常に自分の土俵である、と言う事ですね

ちょっとでも不安や疑念を抱かせれば、あとは増幅して、さらに別の不安を抱かせて…とすればいいので、ぶっちゃけDIO位強くて慢心してないとキツいです

正面から戦うならね

だいぶ期間があいたので報告を

戦いが終わったあとの日常パート的な奴を書こうと思ったら、全然思い浮かばなくて書けませんでした

戦いの方が書きやすくて…

やっぱり、アイドルへの理解が足りてないみたいなので、もうしばらく掛かると思います

申し訳無いです









奈緒「帰れって言われてもなぁ」


まつり「お休みなのです」


志保(今日は無駄に疲れたわ…)


恵美「なーんか、打ち上げっていう雰囲気でも無いしなー」


琴葉『帰って宿題でもやったら?』


恵美「……琴葉は鎧を脱ぎなよ」


琴葉『服がないの!』


「……い…………」


可奈「ん…あれは…?」


「……おー……おーい!」


可奈「海美さん? 海美さんだ!」


海美「おーい!みんなー!」タッタッタ


昴「海美? なんで海美がこんなところに…」


奈緒「一応、ここ劇場やで?」


海美「みんな!大変だー!」


未来「あ、誰か担いでる!」


美也「…?」ニコニコ


麗花「――でね、それから自然公園に行って、湖の夕焼けを見てから――」ピクッ


海美「大変なの!」


奈緒「なんや! 何がや!」


海美「二人が…!」


奈緒「なんやこれ! なんなん?」


海美「朋花様に襲われたの!」


奈緒「なんやて!」


海美「治療するために、莉緒ねぇを探してるんだけど…」


奈緒「なんや…おーい、麗花ー!」


麗花「……なんや?」


奈緒「なんやそれ」


麗花「なんや、なんか用か?」


奈緒「なんやねん急に…」


麗花「なんやってなんや、なんや大変やと思って来たんや」


奈緒「なんやねんそのエセ関西弁は!棒読みやないか!」


未来「……?」


可奈「と、取りあえず麗花さんが治療すれば…!」


海美「え? あ、うん…麗花が治療出来るの?」


麗花「キャッ! 痛そう…」


奈緒「はよ治したって」


麗花「もう終わってるよ?」


奈緒「はやっ!」


ワーギャー


恵美「ねぇ、どうする…?」


琴葉『落ち着いて話したいけど…』


まつり「まつりに良いアイデアがあるのです!」


めぐこと「「?」」


まつり「みんな帰りましょう」


恵美「……だね」


琴葉『今度、集まりましょ』


――――――――――――――――――



奈緒の家



奈緒「そんなこんなで帰ってきたけどな」


まつり「はい」


奈緒「なんでおんねん」


まつり「姫の家は遠いのです」


奈緒「…………ま、ええけどな」


まつり「かなり良いマンションなのです!」


劇場まで歩いて10分。4LDKのオートロック付き、風呂トイレエアコン完備、日当たり良好の五階建てのマンションの最上階。


アル〇〇クとセコ〇にも守られた、当に至れり尽くせりの家だ。


奈緒「それはそうと、手ー洗ってきー」


まつり「ほ? まつりも作るのですか?」


奈緒「当たり前や!『たこ焼パーティー』でなんで一人だけ焼かなあかんねん!」


まつり「それもそうなのですね」







ジュー


奈緒「はい、棒」


まつり「こ、これでひっくり返すのですね…」


まつりが半面だけが焼かれたたこ焼の端に竹串を突っ込み、ひっくり返そうとすると、たこ焼はひっくり返らずに中身だけが『グシュリ』となる。


奈緒「ちゃうちゃう、こーな、端の方にクッと入れて、シュッとして回せば…ほら」


奈緒が回したたこ焼は見事にひっくり返った。


奈緒「な、簡単やろ?」


まつり「むむむ…」




奈緒「はっはっは!まつりにも出来へん事が…」


まつり「『フェスタ・イルミネーション』!」


まつりが『鉄板』から『たこ焼』を離すと、たこ焼は宙に浮かんで『ひっくり返った』。


奈緒「な…まつり!?」


まつり「まつりに出来ないことは…無いのです」


更に『たこ焼』は勢いよく鉄板の穴に落下した。


まつり「竹串が無くても…………」


奈緒「…………」


ゴゴゴゴ


まつり「怒って…ます?」


奈緒「そらそうやろ」


奈緒「ひっくり返されへんかったら、この先生きていかれへんで!」


まつり「…はい?」


奈緒「特訓じゃぁぁぁぁああああ!」


まつり(余計な意地を張らなければよかったのです…ほほほのほ…)




・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・


・・・・・・


・・・







病院






ロコ「え?プロデューサーは居ない?」




受付の人「はい、そのような人は来ておりません」


ロコ(わざわざチェイスしたのに…)


静香「…………」


ロコ「そんな…」


受付の人「…何か、あったのですか?」


ドドド


ロコ「え、えーっと…ロコ達は…」


静香「…プロデューサーが階段から落ちたんです、病院に行くと言っていたので、心配で訪ねました」


ロコ「そ、そうです! ロコ達はプロデューサーがホスピタルにゴーイングすると聞いたんです!」


受付の人「はぁ…」


静香「…ハズレね、行きましょ」


ロコ「で、では、ロコ達はこれで…」


受付の人「………………」


スタスタ…


受付の人「………………」


ドドドド


受付の人「行ったわよ、莉緒」


莉緒「フゥー…ありがとね、匿ってくれて」


茜「ありがとうございます」ペコリ


受付の人「…莉緒、何やってんのか知らないけどさぁ…私が友人でよかったね」


莉緒「助かっちゃった、今度何か奢るわよ」


エレナ「リオの友達が居て、助かったネ」


受付の人(…手の込んだドッキリね、種明かしが楽しみ~!)


茜(残念ッ…これはドッキリじゃありません! 現実…圧倒的現実ッ!)








病院の外






ロコ「シズカ…クルーがもうナッシングですよ…今日はもうカムバックしましょう」


静香「そうね、別に焦らなくても…」


ターノーシーイーヲ♪


ロコ「あ、ロコの携帯です」


ピッ


ロコ「もしもし?」


千鶴『私ですわ、コロちゃん』


ロコ「ロコはロコです!」


千鶴『あらそう、今から大事なことを言いたいのだけれど』


ロコ「…次はロコ怒りますよ」


千鶴『はいはいコロちゃんコロコロ』


ロコ「ですから!」


千鶴『今、風花と一緒にエレナの家にいますの』




ロコ「…?」


千鶴『待ち伏せですわ』


ロコ「ああ! アンダスタンドしました!それで、ロコに何をリクエストするんですか?」


千鶴『茜と莉緒はプロデューサーの見張りをしてると思いますわ、しかも誰にも言わずに』


ロコ「えっ、どうしてですか?」


千鶴『大方、士気を下げないためでしょう…しかし!』


千鶴『『志保』は別ですわ。プロデューサーがやられたと聞いたら手段を選ばず、私たちを奇襲するでしょう』


ロコ「ええっ!?」


千鶴『そこで、逆に志保を『再起不能』させてくださいな』


ロコ「ロコアローンではなんとも…」


静香「私がいるでしょう?」


ロコ「そうでした!」


千鶴『大丈夫ですの?』


ロコ「ノープログラムです!シズカに任せます!」


千鶴『…一人で戦わない方がいいですわよ?』




静香「代わって」


ロコ「はい」スッ


静香「大丈夫ですよ、千鶴さん」


静香「『プレシャス・グレイン』なら、志保くらい一捻りしてやりますよ」


千鶴『…慢心してはいけませんわ、仮にも何人ものスタンド使いを倒してきた猛者、くれぐれも慎重に…』


静香「……うるさい」ボソ


千鶴『…え?』


静香「いえ、何でもないです」


千鶴『…兎に角、意図したスタンド攻撃は効きませんわ、注意しなさい』


静香「はい、では…また」


ツーツーッー


ロコ(どうにもトラブルのスメルが…)


静香「今から志保の所に行ってくるから…ロコさん」


ロコ「はい?」


静香「ちょっと頼んでもいいですか?」


ロコ「ああ、じゃあロコもフォローしますよ」








千鶴「う、うるさいって言われましたわ…」ガーン


風花「ま、まあまあ…年頃だから…」


風花「それより、ほら、今から来るエレナちゃんを…」


千鶴「…確実に、倒しましょうか」


風花「『危険』は取り除かないといけませんからね」







To be continued…

日常なんて無かったんや

終わりー(o・∇・o)

日常じゃないから、次は1or2週間後

おつ
ついに静香が動くか

Da組は全員味方って認識でOKなんでしたっけ?

>>942 味方になるきっかけが無いだけで、今のところは敵です

心のなかでは、奈緒達の味方をしたいけど、恐怖が邪魔をして…って感じですね

直接戦うのは無理でも、逃がすくらいの反抗は出来る…って感じですね


お待たせ(o・∇・o)

投下するよ








病院



プロデューサーが運び込まれた病院の上層階、その個室に莉緒と茜とプロデューサーがいた。


エレナは既に病院を後にしてしまった為、二人でプロデューサーの『護衛』をしている。


本来ならば『護衛』なんてプロデューサーには必要ない、しかし、プロデューサーは怪我が治っても意識を取り戻さなかった。


医者曰く『脳の働きは正常、しばらくすれば目が覚める、多分』と。


だが、ベットの側の椅子に座る茜はそうは思わなかった。


茜「プロちゃんは…」


莉緒「?」


茜「…プロちゃんが目を覚まさないのは、『負けた』から…?」


莉緒「…………」


茜「『絶対の自信』が崩れ去ったから…目を覚まそうと思わない…」


(o・∇・o) マッテタヨー



三人の息づかいしか聞こえなかった病室に、茜の声が響く。


そしてそれから無言の時間が数分続くと、莉緒が重い口を開いた。


莉緒「プロデューサー君は、目を覚ますわ…多分…」


茜「…………」


莉緒「根拠は無いけど、今にも飛び起きるんじゃないかって…思っちゃうわね…」


茜「茜ちゃんも、そう思うよ」


P「…………」


ドドド


茜「プロちゃんはきっと目を覚ます、だから、茜ちゃん達が…ここを死守しなきゃならない」


莉緒「…そうよ、プロデューサー君は傷ひとつ付かなかった『黒幕』に傷を付けたのよ…ただの掠り傷だけど、それは『希望』よ」


茜「『黒幕』の能力の秘密を…『無敵』の種を、明かさなきゃならない…!」




ドドドド


莉緒「気付いている筈よ! プロデューサー君は倒される直前に『何か』をしていた!」


茜「その『何か』に気づかないと、本当に765プロが危ない!」


P「…………」


莉緒「お願いよ…目を覚まして…」


茜「…茜ちゃん達の『希望』はプロちゃんだけなんだから…」


二人はそのまま顔を伏せ、何も言わずにジッとしていた。


襲撃に備えて常に気を配り続けようと、精神的な負担から吐きそうになろうと、眠気が限界に達しようと、二人はプロデューサーの側で起き続ける。


茜「プロちゃん…」


莉緒「お願い…」


P「…………」


しかし、眠気が限界を越えると二人はうつらうつらとし始め、朝日が登る前に二人は眠ってしまっていた。


茜「zzz…zzz…」


莉緒「んんっ…んっ…」


P「…………」



ドドドド


P「…………」







ドォ――――z____ン!!








茜「ハッ!茜ちゃんとしたことが眠ってしまっていた!」キョロキョロ


時計は4:00を示していた。


P「…………」


莉緒「zzz…zzz…」


茜「はぁ…まだ目を覚まさない…」


茜(莉緒さん起こしてジュース買いに行こっかな~…)チラ


莉緒「むむぅん…」


P「…………」


茜「ん?」


P「…………」


ドドドド


茜「んんん~?」


茜「もしかして……………………いやいや、そんなわけ無いよねー!」


茜「有り得ないって!」





志保の家




志保「…………」


志保「おかしいわ…プロデューサーに連絡がつかない…」


ドドド


志保「送ったメールも、電話も帰ってこない…」


志保「…………まぁ、そんな日もあるわよね」


志保「あっ、お風呂沸かさないと…」


・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・




志保「お風呂沸いたから、入っちゃいなさい」


「はーい」


トトト


志保「…………」


志保「ふぅ…やっと一段落着いたわ…」


弟の世話を終えた志保は、自分の部屋に戻った。


扉を開けて中にはいると、カーテンがバサバサと揺れ、風が吹き込んでいた。


チラリと見えたカーテンの奥には、閉まっているはずの窓は無かった。


ドドド


志保「窓が…開いてる!?」


志保は慌てて部屋を見回し、目立った異常が無いことを確認すると、慎重に窓に近付いて行った。


志保「窓は割れてない…? 破片もない…それどころか、『窓枠』自体が存在しないッ!」


ドドドド


志保「スタンド攻撃ッ! 音もなくやって来たわね!」




志保「『ライアールージュ』!」


スッ…


志保の存在は完全に隠匿される。


志保「敵スタンドは既にこの部屋にいる…? いえ、狙いが分からない…一体…」


ササ


志保「!」バッ


何かの音に振り返った志保は、机の上にメモを見つける。


志保「紙…さっきまでは無かった…何故突然…」スッ


ドドドド


志保「…『戦いましょう』ですって?」


志保は机の上に現れた紙を手に取る。


志保「『ライアールージュ』を相手に、随分余裕ね」クシャ


志保は紙を握り潰し、ゴミ箱に投げ入れようとした。


志保「…『ゴミ箱』が無い?」




ゴゴゴ


志保「よく見れば部屋が寂しいわ…『何か』が消えてる? まるで『ライアールージュ』のように…何処かへ…」


志保の部屋のいくつかの物は、いつの間にか消えていた。


ゴゴゴゴ


志保「思ったより不味い相手ね…『存在しない私』を相手に立ち回っている…」


その時、一際強い風が部屋の中に吹く。


志保「あぐッ! 何かが目にッ…!」


目を擦り、異物を取り除いた指には小さなつぶが付いていた。


志保「これは…『砂』よッ! 敵は砂のスタンド使いッ!」


静香「馬鹿ね、気を取られるなんて」


志保「!!」


窓のあった場所の向こう側、小さなベランダに静香は居た。


静香「風が吹いて『ライアールージュ』は既に『解除』されている…そして、志保の部屋は『砂漠』になっているのよッ!」


志保が目に入った『砂』を全て取り除くと、何もない、『砂』が地面に敷き詰められた部屋が視界に入る。


志保「し、しまった!『ライアー…」


静香「遅いッ! 既に私の術中よ!」


ブシャァァアアア!


志保「うっ…あ、足が! 足の裏が!」




静香「今、『砂』の一部を『カーペット』に変えたのよ。あなたの部屋にあった『カーペット』にね…フフフ…」


地面の『砂』の一部が、元々そこにあった志保の足の裏を『押し退け』てカーペットになった。


志保「ッ…射程距離外へ…!」クルッ


静香「忘れたのかしら、弟がそこの扉の向こうにいるのよ?」


志保「ッ!!」


静香「機動力を削いだわ…ジワジワと嬲り殺してやるッ!」


志保「『ライアールージュ』!」


スッ


志保は自分の存在を消す。


静香「馬鹿ね! この部屋には『風』が吹いているのよ、あなたの弱点は速く動けない事ッ!隠れられても一瞬だけ!」


志保「一瞬あれば十分よッ!」


ほんの一瞬だけ姿を消した志保は、無理矢理静香の方に前進しながら『何か』を投げる。


静香「ッ!」


咄嗟にガードした静香のスタンドの腕に当たった物体は丸められた紙屑、そして志保は静香の注意が逸れた一瞬に姿を消した。


静香「…………消えた、こんな紙切れ一枚にやられるなんて…」


志保「経験の差よ…………この声も聞こえないのだろうけど」




『砂』だけになった部屋に隠れる場所はない、しかし、風を凌ぐだけならば問題はない。


風の出入口の真横に居ればいいのだ。


志保「問題はここからよ。接近して殴るの事は出来る、でもここから飛び出して殴りかかるにはリスクがあるわ」


ゴゴゴ


志保「得体の知れない『砂』の能力…恐らく『窓』も『砂』に変えられているわ」


志保「中から外に行くには『窓』を経由しなくちゃあならない、きっと『窓』は『カーペット』の様に私を切断するに違いないわ…」


志保「静香は中に入ってくるほど馬鹿じゃあ無いはずよ、様子を見ない事には私は動けない…」


静香(…風を防いだ、つまり…)


静香「『そこ』にいるのね」


志保「!!」


志保(気付いてる…静香の能力は分からないけど『仕掛けて』くるッ!)


静香「気付いてるでしょうね、でももう遅いわ! 攻撃は完了しているッ!」


志保(何ですって!?)


志保が髪の毛を抑えながら外を伺うと、静香がベランダから飛び降りていた。


志保「飛び降りた…何故? 攻撃のチャンスをみすみす逃すなんて…!!」バッ


サァァ…


部屋の奥の『砂』が消え去る代わりに、壁にあったポスターや机が出現し、志保の部屋は元々の姿に変化していく。


その『変化』は部屋の奥から窓側へと迫り、志保の近くにも変化の兆候が現れ始めていた。


志保「机が、本が、ベットが、出現する!」


志保「脱出しなくてはッ!」




志保が地面を蹴って部屋の外に逃げ出そうとする時には、窓はあるべき場所にあった。


志保「あ…」


つまり、この部屋は既に静香の『射程距離外』であり、志保への攻撃は既に完了していた。


ブシュ


グジャァア!


志保の全身を何かが押し退ける。


ベットの脚は志保の背中をギリギリで削り、ベットから溢れ出ている綿は足と腕の肉を少し抉った。


志保「や、ヤバかったわ…ハァハァ…逃げるのが遅れてたら体が弾け飛んでいたわ…」


志保の居た『風を避けられる場所』には本来無い筈のベットが出現し、反対側には志保の絵本が積み上げられていた。


『砂』の無くなった部屋を、元に戻った自分の部屋を見て志保は青筋を立てる。


志保「よくも滅茶苦茶してくれたわね…!」


志保は窓を開けてベランダから外の様子を伺う。




静香「あら、生きてたのね」


志保「静香ッ!!」


歩道から見上げる静香を思いっきり睨む志保。


怒りは既に頂点に達していた。


しかし、すぐに飛び掛かるような事はなく、冷静に様子を伺っていた。


静香「付いて来なさいよ、バラバラに引き裂いてやるわ」


ゴゴゴ


志保「…………」


志保はその場を動かない。


静香「…ふぅん…来たくないのね」


志保「…………」


静香「怪我してまともに戦えないのね、可哀想に」


ドドドド


志保「…試してみる?」


静香「…いいわ、一度あなたをこの手でぶちのめしてみたかったの」


ドドドドド


志保「ふっ!」ドシュ


静香「はっ!」バッ


二人は地を蹴って飛び上がり、空中で拳を交わす。




志保『無駄ァ!』


静香『オラァ!』


ガシィィン!


付き合わせた拳は二人のど真ん中から動かず、腕を痺れさせただけであった。


静香「パワーは互角…なら!」ビリビリ

   ラッシュ
志保「突きの速さ比べか!」ビリビリ


二人は着地した後、飛び上がって再びスタンドを交える。


志保『無駄無駄無駄無駄!』


静香『オラオラオラオラ!』


ドゴドゴドゴドゴ!!


速さも互角、しかし、軍配は静香の方に上がった。


ブシュッ


志保「あぐっ…」


志保の腕から血が吹き出す。その血は先程の怪我が広がって出てきたものだ。


静香「さっきの傷口が開いたわねぇ~…?」


志保「…ッ!」


静香「それなら断然私の方が有利! スピードも同じならば!」


ドシュツ!


静香はスタンドを構え、志保にラッシュを叩き込む!


静香『オラオラオラオラ!』


ガンガンガンガン!


志保「ぐえっ…ッがァ!」




静香「所詮、この程度ね」


志保「ッ!」


静香『オラァ!』


志保『無駄ァ!』


ゲシィ!


静香の放った拳を蹴りで薙ぐ。


静香「チッ…頭を使ったわね…」


志保「あなたは自分が『この程度』だと思う相手に苦戦してるのよ!」


静香「なッ!?」


ドッ!


静香は近くの建物に掴まり、そのまま何処かへと跳んでいく。


志保「待ちなさい!」


志保が後を追うと、静香は小さな公園の中央に居た。


志保は公園には入らず、スタンドで近くの電柱に掴まる。




静香「…………侮っていたのは確かよ、正直、スタンドの性能も勝っていると思っていたわ」


志保「…………それで?」


ゴゴゴゴ


静香「慎重に戦えと、千鶴さんに言われたわ…志保の事を猛者とも言っていたわね」


静香「もう油断も慢心もしないわ、持てる力を全て出し切る…志保、あなたの言葉が私に気付かせた」


静香「知らず知らずの内に、あなたは自分を追い詰めて――――ッ!?」ガクッ


静香は突如として地面にベッタリと体を付ける。


静香「『落ちて』いる…地面の上で『落ちて』いる!?」


志保「…『ライアールージュ』…あなたが本気になるのなら、私も容赦しないわ」


志保「不意打ちだろうが何だろうが、お互い様よ」


志保「…麗花さんが治してくれるから、骨の五・六本は覚悟しなさい」


静香「まずい…まずい!すぐ側に志保はいるッ!」


志保「風はない…今が絶好のチャンス!」


静香「防御しないと――――」


志保『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!』


志保が能力を解除すると共に殴りかかると、静香は目を大きく開いて驚く。


静香「!」


志保「あなたはここで終わりよ!」


静香「策に嵌まったのはそっちよ!」


ゴシュッ!




志保「がッ…!」


志保は手を止め、喉を抑えようとする。


静香「運がいいわね、頸動脈まであと数ミリってとこかしら?」


ドドドド


志保の喉にはボールペンが突き刺さっていた。


延髄を傷つけることは無かったが、無視できるような傷ではない。


志保「ぐっ…がッ…!」


静香「追い詰めたつもりが、逆に追い詰められていたのよ!」


静香は立ち上がり、喉を抑えて背中を丸める志保を見下ろす。


ドドドド


静香「既に『罠』は設置してあったの。たとえ能力を解除されようとも、不意打ちを受けようと、貴方を貫く『罠』を…」


志保「ま…ずい…呼吸が…上手く出来ないッ!」


静香「さぁ、チェックメイトよ!『プレシャス・グレイン』!」


ドォ――――――z______ン!!











To be continued…

>>946(o・∇・o)マタセタネー

短いけど終わり

そろそろ2スレ目かな?

乙です(o・∇・o)

乙です(o・∇・o)


本体・人間・最上静香
スタンド『プレシャスグレイン』

近距離型・人型

破壊力B  スピードC  射程距離D(5m)

精密動作性A  持続性B  成長性E

能力射程D(5m)


能力???



本体・人間・北沢志保
スタンド『ライアールージュ』
無駄無駄


近距離パワー型・人間型

破壊力B スピードC 射程距離E(2メートル)

精密動作性A  持続性B  成長性D

能力射程E(タッチ・自己)


能力『存在感を消す能力』



一人で我が道を行こうとする志保の精神、本心を隠して、悟られないようにするある種の覚悟が具現化したスタンド。

志保は能力発動中に素早く動くと、能力が解除されてしまう。

無意識に潜み、存在感を消す。

『消えた』と気づくのにはラグがある為しばらく茫然とする。

志保に攻撃する場合、無意識的に志保への攻撃は中断され、全く別の方向へと攻撃してしまう。

しかし、意図しない攻撃や遠隔自動操縦型スタンドの攻撃、避けようがない範囲攻撃などは当たってしまう。

ただし、遠隔自動操縦型スタンドの攻撃は、能力を発動する瞬間に志保が能力を使っていれば成立しない。

存在しない者に何をされようと気付くことは出来ない。

疑問に思うことは、何故志保のスタンドがこんなにも精密動作性高いのか、何やってんだおらぁ…
(o・∇・o)






静香「『プレシャス・グレイン』!」


静香の出したスタンドは志保の背中を叩き折ろうと、手を伸ばす。


志保「危機は…」


静香「オラァァァア!」


志保「最大のチャンスッ!」ギン


志保は最後の力を振り絞って『プレシャス・グレイン』の腕を『ライアールージュ』で掴む。


ガシ


静香「ッ…離しなさい!」


静香は『ライアールージュ』を振り払おうとするが、抵抗することはおろかスタンドを動かすことさえ出来なかった。


静香「…え?」


ドドドド


志保「『プレシャス・グレイン』の存在感を消したわ…たったの一瞬だけれどね」




静香は抵抗する術を、対抗する術を完全に失った。


静香「やめっ」


志保『無駄ァ!』


ドゴォ!


静香「がふっ…!」


殴られて、地面に叩き付けられた静香のマウントポジションを志保がとる。


静香の手足を抑えて、身動きを取れないようにする。


志保「私の、勝ちよ!」


静香「あ、ああ…!」


スタンドはスタンドでしか倒せない。


静香はもう為す術もなく、一方的にやられるのだ。


ドドドド


静香「や…」


志保『無駄ッ!』


ブン!


静香「ぶげぇ!」


志保「無…」


静香「ま、まって頂戴…私の負けよ、負けを認めるから!」


静香(冗談じゃない! このままなぶり殺しにされてたまるもんですか!)


静香「だから…!!」


志保「それで?」


志保は拳を握る。




静香「待って…待って! タンマよ!」


志保「あなたの都合なんて知るもんですか」


??「シホ、今はタイムの時間です」


カチャ


志保の頭に銃口が突きつけられる。


志保「…!」


ロコ「アシストしますよ、シズカ!」


静香「…悔しいけど、助かったわ」


志保が反撃のために振り返ろうとすると、ロコは銃口をグイグイ押し付ける。


ロコ「動くとヘッドショットがエクスプロージョンしますよ」


志保「…………」


静香「退きなさい!」


ドゴッ


志保「うッ!」


志保は静香に押し飛ばされ、砂の上をゴロゴロと転がる。


静香「はぁ~…まったく、プロデューサー達は逃すし、ピンチにはなるし、今日は厄日ね」


ロコ「ノープロブレムです!残りのスタンド使いがプロデューサーを必ずマーダーするでしょう!」


志保「…プロデューサーを倒そうとしてるの?」


志保の言い方は、『私は神だ!』と主張するアホを馬鹿にするような言い方だった。




静香「教えてあげるけど…プロデューサーはやられたのよ?」


志保「馬鹿を言わないで」


ロコ「ロコが動きを止めて、静香がカットしました」


静香「そう言うこと」


ドドド


志保「…あなた達の貧弱なスタンドで、プロデューサーが倒せる訳無いでしょう?」


静香「そうね、『私達の』スタンドならね」


志保「まさか!」


ロコ「そうです!シホ達の言う『マスターマインド』がプロデューサーをビートしたんです!」


志保「『黒幕』が出てくるなんて…でも、プロデューサーが負けるはず無いわッ!」


静香「私達の話聞いてた? 私がプロデューサーの体と腕をぶった切ったのよ!」


志保「有り得ないッ!!」


静香「有り得るッ!!」


志保「ッ…」


静香「それからエレナさん達に連れられて、無様に逃げおおせたのよ!」


志保「…………」


ロコ「し、シズカ…その辺にしといた方が…」


静香「所詮はその程度なのよ! あなたもプロデューサーも!」


志保「静香ッ!」




志保は飛び上がって、二人に肉薄する。


静香「上等ッ!」


ロコ「…シズカ、アシストします!」


静香はスタンドを出して志保の前に飛び出し、ロコは拳銃を構えて距離をとる。


志保「邪魔よッ!」


静香「ロコから倒す気ね、そうはいかないッ!」


全く同じタイプのスタンドがぶつかりあったのなら、結果はただ一つ!


精神の強い方が勝つ!


静香『オラオラ!』


志保『無駄ァ!』


ガスッ


静香が志保の拳に一瞬打ち勝ち、腕に小さくヒビを入れる。


志保「ッ…!」


静香「ほらほらッ! 動きが遅いわよ!」


志保『無駄!』


静香『オラ!』


グイーン


今度はお互いに右拳をボディに突きだし、出された手を左手で受け止める。


しかし、志保は攻撃を受け止められる前に拳を少し開いた。


パッ


サァァ…


静香「あ゙あ゙ッ…目が!」


志保「砂の目潰しよッ!」




静香が目の痛みに気を取られている間に、志保はここぞとばかりにラッシュをぶちこむ。


志保『無駄無駄無駄…』


ロコ「させませんッ!」


志保がきっちり三発ぶち込んだ所で、ロコが援護射撃を行う。


ドンドンドンッ


志保「スタンドにそんなものは効かないわよッ!」


ロコ「イグザクトリーですね、これがもし…『ユージャルな拳銃』だったのなら」


志保「!!」


志保『無駄無駄!』


ロコ「急にガードしてもユーズレスですよ!」


志保が弾丸を防御すると、弾から眩い光が放たれて目に強い刺激を与える。


志保「ぐあっ…!」


志保(ブラフ! あれはただの拳銃!)


静香「さっきはやってくれたわねぇぇえええ! きっちり三発返してやるわ!」


志保「防げ!『ライアールージュ』!」


ドンドンドン!!


志保「くっ…」


ゴロゴロ


ある程度視力の回復した静香と、今まさに目を潰されたばかりの志保とでは雲泥の差があった。


静香はガードの隙間を攻撃し、志保は再び地面に転がる。




静香「あなたには地面がお似合いよ!」


志保「お陰で足元を救いやすくなったわッ!」


志保「『ライアールージュ』!!」


ドォォォ――――――――ン!!


静香「…姿を眩ましたわね」


ドドド


志保(…………相手は二人、こっちは一人…しかも怪我をしてるし、出血も馬鹿に出来ない…)


志保(ここは大人しく引きましょう…視力の完全な回復を待ってから…)


ブォッ


公園内に風が吹き、砂を巻き上げて髪の毛を揺らす。


志保「!」パッ


静香「出たわね」ニィ


ロコ「今日は風がよくブロウイングしますからね」


志保「まずい!」


静香「お返しよッ!」


ガッ


志保「!?」


静香は砂を蹴りあげて志保の顔に浴びせかけ、思わずのけ反った志保にロコが弾丸を放つ。


ロコ「そのビューティフルな顔をバーストしてやります!」


ドンドン!


志保「ッ!」


ロコの放った弾丸は志保の頬と右肩をかする。


静香「もっとよく狙いなさいよ!」


ロコ「え、えっと…ロコのスタンドはバトル向きじゃないんです! 頑張って下さい!」ピュー


ロコは拳銃をしまって、二人から離れた所に座り込む。


静香「まったく…」


志保(サポート系のスタンド…?『銃』がスタンドでは無いって事…?)


志保(何にせよ、注意していないと…)



志保は転がりながら静香と距離をとり、立ち上がる。


中々攻勢に出れない志保にとっては、静香の仕掛けていたであろう罠が全て解除された今が絶好のチャンス。


不安要素のロコも物理的に離れていき、この瞬間が正に攻め時、勝利を掴むまたとない機会なのだ。


ドドドド


静香「…………」


志保「…………」


静香「…もしかして、一対一なら勝てると思ってる?」


志保「もうあなたの攻撃は見切ったわ」


静香「ロコのスタンド能力は見破れてないのね」


志保「自分の心配をした方がいいわよ」


静香「…お喋りで時間を稼いで、視力を回復しようとしてるわね?」スッ


志保「…………」


黙る志保の前で、静香は右手を上げる。


静香「目を開けているけど、見えていないのね? 私の挙動を見ようともしない…もちろん、完全な回復を待つわけないでしょうッ!」


ダッ


静香は志保の右側から回り込む様にして接近する。


志保「来なさいッ!」


志保(静香の来る方向が…分からないッ!)


志保『無駄無駄無駄無駄!!』


ブンブン


静香「…………」


志保(風が止まない…これじゃあ能力を発動できないッ)




志保「ど、どうしたのよ…早く掛かって来なさいよ…」


静香『…人間の腕は真後ろを攻撃できない…』


志保(スタンドで話し掛けて来てる…これじゃあ方向が分からない…静香の場所を特定しないと袋叩きにあうわ)


ドドドド


静香『なら、攻撃は真後ろから?』


ジャリ


志保(今、後ろから砂を踏む音が聞こえた…なら静香は後ろに? いえ、そんなに単純に仕掛けては…)


静香「後ろッ!」ブン


志保「!!」


ドゴォ!


志保「がはっ!」


ドサァァ


志保は後ろから静香に殴られ、砂の上を転がる。


志保「はぁ…はぁ…」


志保(次をくらえば…意識はぶっ飛ぶかもしれない…今が正念場ね)


ゴゴゴ


志保「はぁ…………」


静香「…………」


ジャリ…


志保(今度は真横から!? 一体…どうしろって…!!)


志保(…今の音は少し『遠かった』気がするわ…静香のスタンドの『射程外』から聞こえた)


志保(静香だって歩くときの音くらいは気付いてるはず…それを逆手にとるか、そのまま来るか…)


ゴゴゴ




静香『ほーぅら志保、早く目を開けないと大変なことになるわよ?』


志保「ッ」


志保は地面の砂や土を掴んで回りに向かって投げ、砂埃を作る。


静香(考えたわね。今は夜で視界も悪い、隠れるには最適な状況を作り出した…でも)

         アンド
静香『アホアホアホ&アホォ~! 今は風が吹いてるのよ? 目隠しにも時間稼ぎにもならないッての!』


志保「ッ!」


静香(それに、志保は目隠しなんかで誤魔化せるような所に私が居ると思ってるみたいね)


静香(何をしても志保の『再起不能』は確定! 私は既に志保の『真上』にいるッ!)


静香『オラァァァァァ!』


志保「…………」ブン


ピシピシッ


殴りかかろうとする静香に小さな土の塊が当たる。


静香(フン、鬱陶しい小細工ね。こんなものでまだ…!?)


静香「ま、まさか!」


志保「今頃気付いたの? これは目隠しなんかじゃあないわ、『音』であなたを探り当てたの」


志保「土がぶつかる僅かな『音』で」


静香「それが今さら分かったところでッ…」


志保「…『2メートル』は私の射程距離よ」


静香も、静香の『プレシャス・グレイン』も『ライアールージュ』の射程距離に入っていた。


志保「方向は…『真上』!」


静香『ッオラ…』


志保『無駄無駄無駄無駄!!』


ドクボゴォ


静香「ぐげぇーッ!」


再び飛び上がった静香は鮮やかな放物線を描いて落下、見事に気絶した。


静香「う、うそ…ヨ…」ガク




志保「…さて、最後はあなた一人ですよ…ロコさん」


ドドド


ロコ「えー、間に合いませんでしたか…」


ロコは志保に背を向けたまま座り込んで、熱心に『何か』をしていた。


志保(静香の中身の『マスターピース』を早くぶっとばしたいのだけれど、それより早くロコさんのスタンド能力をある程度見極めておかないと…)


ロコ「ちょっと、待ってて、くださいね…」


ドドドド


志保「…こっちを向いたらどうですか?」


志保(何をしてくるか分からない…距離を取って不意打ちを避けましょう)


ロコ「はーい、はい…すぐに向きますよ…」


志保「このまま後ろからドカンとやっても、いいんですよ?」


ロコ「んー…はい、そうですね」


志保の問い掛けを受け流して軽い返事で済ますロコ。


志保「こっちを向けって、言って――」


ロコ「出来ました!」


志保「ッ!」ビク


ドドドド


ロコ「これが…」


志保「……ッ!」ゴク


ロコ「ロコの『アート』です」




志保「それは…『穴』?」


ロコがその場を立つと、足元にぽっかりと『穴』が空いていた。


志保「何も見えない…一体何処まで…」


ロコ「どのくらいのデプスかは知りません、が」


ロコ「人一人は…」


ゴゴゴゴ


志保「…………っ」タラ


ロコ「入れます!」


バッ!


ロコが『穴』に手を突っ込んで、『取り出し』た。


志保「!!」


ロコ「ふっふっふ」ニヤリ


志保「あ、あなたは…お前はッ!! 何て事をッ!」


ロコは『志保の弟』を『取り出し』た。


ロコ「ノイズキャンセルの為に、目隠しと猿轡をしてますけど…ね?」


「…………」


弟に抵抗する素振りは見えず、意識を失っている事が分かる。




志保「このおおおおおおおお!!」


ロコ「ウィークなビッグシスターを持つと、苦労しますねェ~」


志保「何をするつもりッ!?」


ロコ「ワッツ?って、人質ですよ? ほら」


ロコはポケットから銃を取り出して弟の頭に突き付ける。


しかし、ただの銃ではない。


引き金は一つだが銃口が『二つ』、志保とその弟に向いている。


ロコ「動けばボス、オアワンです」


志保「う、あ…」


ロコ「手を頭の後ろでホールドさせて、膝をついて下さい!」


志保は従うしかなかった。


志保(距離は…『不意打ちを回避できる』程度に、体力は僅か…)


志保「なに、が…何が、条件なの…?」


ロコ「じょうけ…えーと、コンディションはナッシングです」


ロコ「あえて言うなら、死んでください」


志保「…………」


ドドドド


志保(もし…もしも私が死んだあと、弟が生きてる保証はない…むしろ殺される方の確率が高い)


志保(かといって、飛び出せば弟は…………)


志保「はぁ…はぁ…っ…」


ロコ「万全を期しましょう」


ロコ「シホ、ロコの作った『穴』に入ってください」


ロコが『穴』の近くから退き、志保に促す。




志保「はぁーっ…はぁー…」


ロコ「聞いてるんですかッ! さっさと『穴』に入ってて下さい!」


志保「わ、分かった! 分かったから…弟は!」


ドドドド


ロコ「ハリーアップ! ロコのムードが変わらないうちに…」


志保「はっ…入るわ…ほら、今から足を…」


ロコ「ハリィィィアァァァッッッップ!」


ドンドンドン!


様子を見るように、ゆっくりと『穴』に入る志保に向かって、ロコは発砲する。


志保には掠りもしなかったが、弟は別だ。


志保に向かって撃つと言うことは、弟にも…


志保「そ、そんなッ」


ロコ「当たったのはアーム! 早く『穴』に入らないと…」


志保「はっ…はっ…はっ…」


次は無い、と言わんばかりに、ロコは弟の頭に銃口を押し付ける。


志保(も、もうこれまで…弟は、弟も私も…助からない…)


志保が、『穴』に入る。


ロコは志保が『穴』に入ったのを確認して、近寄る。

志保からロコまで、僅か『三メートル』。


ロコ「後ろを向いてください」


志保は後ろを向く。


志保「弟が、助かる手段は…」


ロコ「デッドエンドです、シホ」


志保「いやよッ…家族をもう、失いたくない…!」


ロコ「万策尽きたッ! ベストショットを撃つ!」


志保「絶対に!」


ピタリと、風が止む。




ロコ「!」


志保「『ライアールージュ』ッ!」


ドォォォォ――――――――z________ン!!


志保(消えるのは一瞬、でも、ロコさんの『腕前』ならかなり接近しないと撃てない!)


志保「一瞬あれば!」


ドドド


志保「『三メートル』は近いッ!」


ロコ「風がロスト…なら」


志保「――え?」


ロコ「『ガス弾』は外れない」


ロコはガスマスクを、弾丸は毒ガスを備えていた。


たとえ『ライアールージュ』の能力であろうと、『ガス』を避けることは出来ない。


銃口は二人を完全に捉えていた。


志保「そんな…嘘よォォォォオオオオ!」


ロコ「ショット!」


ドンドンドン!!


ロコ「あ…」


志保「!?」


ドドドドド


ロコ「『穴』にいたのは…………ロコだったァ――――」


志保「何が…何が起きたのッ!?」


ロコは『穴』に顔だけを出して埋まり、志保は弟の真横に居た。




ロコ「ろ、ロコのアビリティーでも、シホのアビリティーでも無い筈ッ…」


ドドド


志保「一体、何が…誰がッ!」


ロコ「あ、有り得ない…こんな、一瞬の内に…」


ドドドド


志保「はっ…そんなことよりも…ッ!!」


志保は辺りを見て、弟を見つける。


『バラバラ』の弟を。


志保「そ、そんな…嘘よ…」


志保「あは、あはは…」


ゴゴゴ


ロコ「…………」


志保「…『紙』の、人形…だったのね…」


地面に横たわる『バラバラ』の弟、それは空気の抜けた風船のように、ペシャンコになって切り裂かれていた。


志保「偽物…なら、本物は…本物の弟はッ!」


ロコと静香をおいて、志保は大きく跳躍した。


志保「お願いッ…無事でいて!」




志保(『穴』から出てきたのは偽物だった…もしかしたら、家に居るはずの弟は…弟は!)


志保は全身の痛みをグッとこらえ、自室のベランダに着地する。


窓の鍵をスタンドで開け、弟の名前を叫びながら、荒れた自分の部屋に入る。


志保「大丈夫!? お願い、返事をしてッ!」


「どうしたのー?」


志保の心配とは裏腹な、呑気な弟の返事が、部屋の向こうから聞こえてくる。


志保が、声のした部屋に突入すると、弟は無事に、そこに居た。

志保「あ、ああ…!」


「?」


志保「無事だった…のね…」


「なんで?」


志保は涙をこぼして、弟を抱き締めた。


志保「私がっ…お姉ちゃんが守るからね、絶対に守るからッ…!」


「く、苦しいよ…お姉ちゃん…」


志保「絶対に…絶対に!」










静香「ちょっと、どうして引きずるのよ!」ズルズル


ロコ「シズカがヘビーなんです!」


静香「車とか作りなさいよ!」


ロコ「自分で歩いてください!」


静香「こっちは怪我人よ!」


ロコ「シズカがロストしなければ、ロコ達はウィナーなんです!」


静香「そっちこそ!」


ロコ「やるきですか~!」


静香「ゴミ製造機!」


ロコ「蕎麦の方がおいしい!」


静香「な、な、な…なんですってェ~!!」





最上静香――再起可能

判田路子――再起可能





To be continued…?

エレナ家


エレナ「パパン、ママン、ただいまー!」


エレナが家に飛び込んで帰宅の宣言をすると、何時ものように両親の愛のこもった返事が返ってくる…はずだった。


シィ――――ン


エレナ「アレ? もう寝ちゃったのカナ?」


その時、壁越しにベットのスプリングが軋む音が聞こえてくる。


ギシ…ギシ…


エレナ「寝る部屋で音が聞こえる…? 聞こえないノー?」


エレナは廊下の電気を付け、いつもより音の無い廊下を歩いて、寝室へ向かう。


エレナ「ママーン、帰ったヨー!」


エレナが寝室の扉を開けると、中は真っ黒で、様子を窺い知る事は出来ない。


エレナ「電気電気…」


エレナが電気のスイッチをオンにすると、LEDの光が部屋を明るくする。


エレナ「パパン!ママン!」


寝室のベッドの上には、縛られて目隠しをされたエレナの両親が横たわっていた。


エレナ「…チヅル、フウカ、これはどういう…?」


両親の横には、二階堂千鶴と豊川風花がいた。


千鶴「あら、居場所の分かる裏切り者を、捕まえに来ただけですわ」


風花「エレナちゃん達に色々されると、私達も危ないのよ、ね?」


ゴゴゴゴ


エレナ「二人とも、操られてる…んだったネ?」


千鶴「手加減をすれば、死にますわよ?」


エレナ「ワタシの事分からないノ…?」


風花「島原エレナちゃん、でしょ? サンバが好きで、とっても明るい女の子」


千鶴「積もる話は『後で』にしませんこと?」


エレナ「…ッ」ゴク


風花「そうですね、『後で』なら、分かってもらえる…」


エレナ「戦うしか無いんだネ…仕方ないヨ…」



To be continued…

終わりー(o・∇・o)


次スレは出来次第誘導するよ

ほい

【ミリマス×ジョジョ】横山奈緒と徳川まつり【2スレ目】
【ミリマス×ジョジョ】横山奈緒と徳川まつり【2スレ目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1431526929/)

後は適当に埋めてくだちい

追いついた
乙です

>>735
篠宮可憐(16) Vi
http://i.imgur.com/aQyqhhU.jpg
http://i.imgur.com/0OZCUzn.jpg

>>862
宮尾美也(17) Vi
http://i.imgur.com/W0rkt0X.jpg
http://i.imgur.com/muziPph.jpg

>>886
天空橋朋花(15) Vo
http://i.imgur.com/uRYGUYA.jpg
http://i.imgur.com/AmTIbKa.jpg

>>926
野々原茜(16) Da
http://i.imgur.com/yyse7am.jpg
http://i.imgur.com/wEzBB9t.jpg

>>926
島原エレナ(17) Da
http://i.imgur.com/lCvrIs8.jpg
http://i.imgur.com/oCcJLtv.jpg

>>936
ロコ(15) Vi
http://i.imgur.com/jha9ZhV.jpg
http://i.imgur.com/V95Xo0G.jpg

>>938
二階堂千鶴(21) Vi
http://i.imgur.com/kUpuSH7.jpg
http://i.imgur.com/RlqOu7V.jpg

>>986
豊川風花(22) Vi
http://i.imgur.com/YdeDuP2.jpg
http://i.imgur.com/fYxmh7x.jpg

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