佐藤「ネバーエンディングラブライブ」 (410)

○プロローグ○


前回までのラブライブ!

大学受験に失敗して引き篭もりになった僕

だけど、ラブライブに出会ってどっぷり嵌り、聖地巡礼の為に外に出るようになった!

ある日、神田明神でお祈りしていると

『ここでお百度達成出来たら私に逢えるわよ』

女神エリーチカの声に従いお百度にチャレンジした……

二度ほど職質され、体力的に何度か死にそうになりながらもお百度を達成!

見事ラブライブの世界に来て、スクールアイドルショップでバイトを始めた

思ってたより太っていた自分を自覚した僕はエリーチカとの恋愛を諦めて、μ'sをラブライブ出場させる為に影から応援することにしようと決意する


季節は春 物語を始めるべく一人の少女が店を訪れた

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──裏主人公・にこ登場!


にこ「はい、これ」

佐藤(μ'sのメンバーの前に出る時は痩せてからと思ってたのに……。おまけに心の準備も出来てないのに空気読まずににこにーが来ちゃったよ)

にこ「何よ?」

佐藤(小さくて、コートの中が音乃木坂の制服で、似合わないグラサン、そして何とも言えない特徴的な声! レジに出されたのは部室に飾ってあったA-RISEのタペストリー。ここで買ったのか)

にこ「早くしてくんない?」ギロッ

佐藤(ぼっち戦士最強の座を揺ぎ無いものにしていた頃のにこにーだ。散々酷い扱いを受け続けながらも、12話と13話で恐ろしい速度で名誉挽回する音乃木坂アイドル研究部部長。どうすべきだ?)

佐藤(今のにこにーはダメにこにーだ。スクールアイドルを立ち上げ、そのまま誰も残らなかった。そのショックなのか知らないが穂乃果ちゃんに手を差し伸べられるまで何もしていなかった。そう、体力作りすらにこにーはしてなかったのだ)

佐藤(その証拠ににこ襲来でアッという間に体力が尽きて凛ちゃんに捕まった。ここで意識改革させないとダメだ。ここからどんだけ鍛えようと、どうせ凛ちゃんから逃げ切れる訳がない。ならば体力作りをさせなければならない。ただ、一つだけ懸念事項がある)

佐藤(意識革命させる為にここで僕がにこにーに発破を掛けて嫌われるとしよう。ワンダーゾーンでのミナリンスキーとの遭遇はこの店で行われた。にこにーが嫌ってここを早く通過させたら遭遇フラグをへし折ってしまうことになる。そうなったら大問題だ!)

佐藤(あの歌詞を自分で書き、センターで歌ったことは絶対にことりちゃんの自信に繋がった筈だ。日本に残ってと言われて残ることを決意出来たのもこの自信あってこそだと思う。何も取り柄がないと思ってる状況だったら、穂乃果ちゃんに言われても海外に行ってしまったと思うんだ)

佐藤(この選択はラブライブの根源に関わるくらいに重要だ。こんな大きな賭けをしなくても、にこにーは穂乃果ちゃんに出会って救われる。でも、救えるのなら先に救いたい。現実の結果に裏切られて殻に閉じこもる辛さを俺は痛いくらい知っている。救えるのなら救いたい)

佐藤「失礼しました。こちら一点ですね。失礼ついでにもう一つ……。もしかしてお客様はスクールアイドルですか?」

にこ「うっさいわね。早く会計しなさいよ」

佐藤「これは失礼しました。スクールアイドルな訳がないですよね。体力作りをしてないスクールアイドルなんて居るわけがないですし、居たとしたら其れはスクールアイドルを冒涜しているとしか思えない存在ですよね」ニコリ

にこ「あんた! いい加減にしなさいよねぇ!」ムカッ

佐藤「失言でした。そんな風に顔を隠しているものですからもしかして有名なスクールアイドルだったりするんじゃないかと邪推してしまいました。有名でしたらサインをしてもらって、店内に飾ろうと思っていたのですよ。ただのファンの一人だったんですね。合計5250円です」

にこ「あんたなんかにスクールアイドルがどんなに大変か分からないからなんとでも言えるのよ」

佐藤「そうですね。ただ、お客様が僕と同じファンでしかないのは十分理解しましたよ? 5250円です」

にこ「ぐぬぬぬ! にこだってね、仲間さえギブアップしてなければ今頃はA-RISEと双璧を並べるくらいに有名になっていたわよ。それに、にこはこれからアイドルになってファンのみんなを笑顔にするんだから」

佐藤「それはもはや夢を通り越して妄想の域に達してる言葉ですね。今この時に輝いていない貴女が未来で輝いてファンを笑顔に……? ぷっ、話にならないお笑い種ですね。5250円です」

にこ「うるさい! うるさい! うるさいっ!! 私はアイドルになるのよ。その為には何だってする! 何だって出来る! アイドルになりたいという気持ちなら誰にも負けない!」

佐藤「はっ! ちゃんちゃらおかしいですね。この四月からでもいいですが、貴女がずっと無駄にしてきた時間もアイドル・スクールアイドルの皆さんは必死になって練習し、輝いているんですよ? 貴女みたいに未来を言い訳にして今を大切に出来ないような人間がアイドルを語るなんてアイドルへの冒涜です!」

にこ「──」

佐藤「貴女は何もせずにアイドルを語るだけの人間と、少しでもこの先に希望があると信じて走りだしている人間。どちらを応援したいと思いますか? どちらが輝いていると思いますか? 仮に前者だと言うとして、そんな人間に果たして笑顔を浮かべてくれるファンが出来ると思うんですか?」

にこ「た……たかが、スクールアイドルショップの店員如きが!」ギリリッ

佐藤「少なくともA-RISEはそんな店員如きすらファンにしてしまってますよ。貴女とA-RISEの差は少なくとも目に見える形でこうして広がっているんです」

にこ「くっ!」

佐藤「お客様はせめて部活には入っているんですか?」

にこ「アイドル研究部の部長よ!」

佐藤「なるほど。部室はあるんですよね?」

にこ「あるわ。当然でしょ(部員はいないけど)」

佐藤「では一つ僕と賭けをしませんか?」

にこ「賭け?」

佐藤「ええ。僕は貴女がスクールアイドルとして有名になれるなんて微塵も思ってません。が、アイドルになりたいという気持ちは誰にも負けないと言った貴女の気迫に免じて賭けを成立させたいと思います。こちらの色紙にサインをしてください。それでこのタペストリーの代金の5250円はタダにします」

にこ「にこのサイン一つで? それが何の賭けになってるのよ」

佐藤「将来このサインが大量量産されているA-RISEのタペストリー一つよりも価値が出るのか否かですね。勿論、価値が出ても売ったりはしませんが」

にこ「面白そうじゃない」

佐藤「ただ……大変失礼ですがお客様は賢そうには見えない。僕との賭けを三歩歩いただけで忘れられても困るので、思い出せるように部室に飾っておいてください」

にこ「にこは鶏かぁ!? 元々部室に飾るつもりだったからその賭け乗るわ。このサインには価値が生まれるわよ。このにこ様の記念すべき初めてのサインなんだから。将来的には一億以上の価値が付くわね」

佐藤「その頭の悪そうな台詞に後悔しかありません。どうぞ、サインペンです。この色紙にお願いします」

にこ「言ってればいいわ。にこは輝かしいスクールアイドル時代を経て、悠々とアイドル界に舞い降りるんだから」

佐藤「期待するには体力作りですね。ダンスの練習も当然ですし、メンタルの方も鍛えないとお話になりません。ただ悪戯に身体を鍛えてもいけません。自分の身体に合った練習メニューをきちんとこなせなければ意味がありませんし。腹筋が割れてるアイドルなんて見たくないですしね」

にこ「当然よ!」

佐藤「だからと言って拡大解釈して鍛えないなんていうのは甘えというよりアイドル舐めてます。人より小柄というのは体力的に不利です。が、逆に可愛らしさがアドバンテージになる。この辺は本人の方が理解してますね」

にこ「サイン出来たわ」

佐藤「では、こちらが商品となります。そう言えばお客様の学校名とお名前を聞き忘れてましたね」

にこ「音ノ木坂学院アイドル研究部部長の矢澤にこよ」

佐藤「おやおや。統廃合で潰れると噂の学校でしたか。これは賭けを誤りましたね。そんな学校でスクールアイドルを始めようとする奇特な生徒はいないでしょう。今日の分はタダ働きということになりそうですね」フゥ・・・

にこ「居るわ」

佐藤「おや、何がですか?」

にこ「統廃合で消えようとしている学院にもスクールアイドルになろうとする子達がよ」

佐藤「部員なんですか?」

にこ「ぐっ……。違うけどっ」

佐藤「ああ、つまり矢澤さんはぼっちなんですね。ずっと自分のことしか言わないのでおかしいと思ってたんです。部長なのは一人しかいないから。アイドル目指してるのに一人ぼっち」

にこ「うるさいわね」

佐藤「僕には矢澤さんの気持ちが理解出来ない。何故スクールアイドルになろうとしてる子達が居るのに手を差し出さないのか。矢澤さんはスクールアイドルへの知識は豊富そうだ。スクールアイドルを目指すという意味で方向性も同じ。何故です?」

にこ「誰にもにこの気持ちなんて理解出来ないわ」

佐藤「理解? ええ、今手を差し出すべき子達に出さないのに理解を必要とするのでしたらスクールアイドル以前に人間として終わってます」

にこ「」タッタッ

佐藤「アイドルになりたいなら素直になれよ、矢澤にこ!!」

佐藤(言い過ぎた言い過ぎた言い過ぎた。頭を抱えたくなるが今は忘れる前に5250円を自分の財布からレジに入れておく。人にばかり言ってないで僕も走りこむ量を増やそう。後、小型の高性能カメラとPC買わないと。にこにーが秋には今日の事を忘れてる前提で準備だけしておこう)

佐藤(ことりちゃんが働いているメイド喫茶はベルベーラ秋葉原の一階だっけ? 名前は忘れたけど、表通りで僕コンの対面に近い目立つ所にあったから直ぐ分かるだろう。一枚ミナリンスキーの生写真を撮っておかないとな)

佐藤「……はぁ」

佐藤(にこにー落ち込んで逆走しないといいけど。覚醒後のにこにーなら言われなくても手を差し伸べるんだけど。根っこの部分はお姉ちゃんしてるから大丈夫だと思うんだ。料理だってすっごい上手だし。それは関係ないな)

──裏・ファーストライブ


穂乃果「」

シーン……

ことり「穂乃果ちゃん」

海未「穂乃果」

穂乃果「っ、くすっ。そりゃそうだ。人生そんなに甘くない!」ウルウル

ことり「あれ? ちょっと見て。あそこに誰か居るよ!」

海未「本当ですね。顔しか出してないですがお客さんです」

穂乃果「──あ」

にこ(み、見つかった!? くっ、もう隠れてる意味ないわね。普通に座ってみましょう)

穂乃果「ことりちゃん、海未ちゃん! 全力で歌おう。その為に頑張ってきたんだから」パァァ

ことり「うん!」

海未「ええ!」

ことほのうみ「アイセー!」

にこ(……意外。曲の出来が凄い。A-RISEとだって勝負出来る曲だわ。ただ、歌詞が少し恥ずかしいけど、様は合うかどうかだものね)

花陽「はぁっはぁっ……は、始まっちゃってた」

にこ(ふぅん。にこ以外に見に来る酔狂な子もいたのね。一年生が全員部活入るとしても三十人しかいないってのに)

凛「かよちん探したにゃー。かよちん? んぅ?」

にこ(また一人。……にことは逆じゃない。ライブに辿り着く所かメンバーが減って直ぐに一人になって。あんな風に息の合うメンバーとライブをしたかったのに……。でも、まだまだまだまだまだ甘々よ。アイドルのなんたるかも分かってない。それなのに輝いてる)

真姫(一年生が三人も……。あ、違う。あの子小さいけどリボンの色が三年生ね。どうりでクラスで見覚えない訳だわ。他の二年生二人は三人の先輩の友達かしら)

にこ「…………スタートか」

にこ(今手を差し出すべき子達に出さないのに理解を必要とするのでしたらスクールアイドル以前に人間として終わってる……。あのデブ店員めっ。生意気言いまくって。今でもムカつくわ。ふんっ!)

絵里「どうするつもり?」

穂乃果「いつか私達必ずここを満員にしてみせます!」

にこ「目標が小さいわ!」

穂乃果「はい?」キョトン

にこ「やるんだったらもっと大きなステージでここより大勢のファンを感動させるって言いなさいよね」

絵里「……矢澤さん。関係のない人は黙ってて」

にこ「関係なくないわ。この子達は音ノ木坂アイドル研究部に入部させる。このにこがアイドルの事を教え込んで骨の髄まで染み込ませてやるんだから!」

海未「音ノ木坂アイドル研究部? そんなものが存在してたんですか。二人は知ってましたか?」ボソボソ

ことり「ううん。ことりは知らないよ。穂乃果ちゃんは?」ピヨピヨ

穂乃果「ほのかも初耳だよ」ボソボソ

にこ「最高のスクールアイドルになってやるわ」

絵里「ふふふ。矢澤さん……貴女忘れたの? 確か一年生の時にスクールアイドルを結成してたわよね。名前は忘れたけど」

にこ(アイドルになりたいなら素直になれか。なってやろうじゃない。アイドルの恥は掻き捨てだわ!)

にこ「失敗を知ってる人間がいることで守ってあげられる。知識があるから導いあげられる。志が高いこの三人となら今度こそ絶対に失敗しないわ!」キッパリ

ことほのうみ「…………」

絵里「──」キッ!

にこ「──」ジロッ!

絵里「そう。なら別にいいわ。どうせ素人の貴女が指導したところで素人から抜け出せる訳もないもの。ただ、学校の評判を落とすようなことをしたらその時は直ぐに解散させますから」スタスタスタ

希(カードの導きが未来を変えた? スピリチュアルやね、にこっち)

にこ「ふんっ。嫌味なやつね」

海未「あの、それで貴女は?」

にこ「にこはアイドル研究部の部長。矢澤にこよ。あんた達を一人前のスクールアイドルにしてやるわ」

穂乃果「え?」

ことり「ちゅん」

海未「はぁ?」

にこ「それから、そこの一年達! 興味あるならスクールアイドルにならない?」

真姫「……私は帰るわ」スタスタ

花陽「わ、私は……その」ボソボソ

凛「かよちん?」

花陽「い、いや。私も帰ります。行こう凛ちゃん」スタタッ

凛「うん、一緒に帰ろう♪」タッタッ

にこ「ふんっ。まぁいいわ」

海未「穂乃果、ことり。何だか凄い面倒な人みたいですよ?」ボソボソ

穂乃果「でもμ'sのメンバーに入ってくれるみたいだよ」ボソボソ

ことり「部にも入れるなら一石二鳥なのかな?」ピヨピヨ

海未「しかし、穂乃果より面倒そうですよ?」ボソボソ

穂乃果「海未ちゃん酷いよぅ」ガーン

ことり「海未ちゃんの愛情表現だよ☆」ピヨピヨ

にこ「そこっ! ひそひそと喋ってないで部室に行くわよ。今後の話をしたいし。ほら、行くわよ!!」

──同日 犯人は現場に舞い戻る


佐藤「いらっしゃ──」

にこ「来てやったわ」

佐藤(何故にこにーが? こないだ言い過ぎたから怒ってる筈だぞ。某所のラブライブSSの一部みたいに殺戮マシーンになるような展開はないよね?)

佐藤「いらっしゃいませ」

にこ「可能性を感じたから……手を伸ばしたわ」

佐藤「それってあの──言っていた子達にですか」

佐藤(危うくμ'sとか口に出してしまうところだった)

にこ「μ's。それが私達のスクールアイドルのチーム名。ここにも直ぐにグッズが溢れることになるわ」フフーン

佐藤(思わずぼっち救済したくてあんな風に誘導しちゃったけど、エリーチカと違ってにこにーが早くμ's入りした所で何が変わるかっていうと、にこにー以外は特に変わらないんだよね。やる気スイッチは入ってくれたみたいだけど)

にこ「といっても、まだまだまだまだまだアイドルのアの字も理解してない感じだけどね。そこはにこのアイドルグッズを使って勉強させるわ」

佐藤「楽しみにしてますよ」

にこ「……でも、それ以外のこととなるとにこもまだ人を教育するというには不足なのよね」

佐藤「最初は体力トレーニング。ボイストレーニングを重点にした方がいいんじゃないですか? 基礎が疎かだとムラが出ますしね。ダンスをより上手くするには柔軟をしっかりしてないとダメですね。あとバランス感覚を鍛えないとこけたりし易いですからね」

にこ「成る程ね。にこあんまり体柔らかくないのよね」

佐藤「熱いお風呂に浸かった後の筋肉が柔らかくなってる時に丹念にストレッチしていけば柔らかくなりますよ。要は痛くても辛くても毎日積み重ねることが出来るかどうかです」

にこ「そうね。アイドルを目指すなら日々精進よね」

佐藤「言うくらいですからあれからきちんと練習はしてたんですか?」

にこ「当然でしょう?」

佐藤(作戦とか考えておけば良かった。ぼっちの習性で嫌ってる相手でも話し相手がいるのなら行ってしまうという事を学んだよ。家が近いのもあるのだろう。しかし、関係ないがにこにーの声は生で聞いてると余計に毒だ。アニメで最初は変な声だと思ってたのに、何時の間にか中毒になっていた。あの歌声も勿論ありだ!)

佐藤(正史を弄り過ぎるのも問題だが、マッキーには少しでも長くにこにーと一緒に居る時間を上げたい。強そうに見えてμ'sの中で一番脆いからなぁ。仕方ない、ここは心を鬼にしてにこにーには汚れ役に徹して貰おう。これもきっとにこにーの運命なんだ)

佐藤「一つ聞きたいことがあるんだけど」

にこ「にこのプロフィールは内緒よ」

佐藤(残念ながら簡単なプロフィールなら全部頭に入っている)

佐藤「そんなことじゃなくて、あの曲を作った人はメンバーに居るの?」ア、ヤベ・・

にこ「あの恥ずかしい歌詞を書いたのは居るんだけど、作曲した方は見には来てたわね。といっても其れを知らずに誘って振られたけどね」

佐藤(これは海未ちゃんや他の三年生だったら間違いなく今さっきの失言に追及されていた。まだエリーチカは編集すらしてないだろうし、UPするのは数日後になるだろう。それをなんで知ってるかの様に話してるんだってね)

にこ「どうにかして仲間に引き入れるつもりよ」

佐藤「その子はどういう感じの性格なのかとか訊いてきた?」

にこ「一人を好む性格で、将来は西木野病院の院長の後を継ぐ為に医者になるらしいわ」

佐藤「……他のメンバーの為に泥を被る覚悟があるなら手がないこともないよ。ただ、成功するかは厳しいかもしれない。泥船に乗りながら、信じれば向こう岸まで渡れると妄言を平気で吐けるくらいのメンタルの強さが必要だ」

にこ「にこに何をさせようってのよ?」ジロリ

佐藤「時に簡単で単純なことが何より難しいと感じることがある。今回の作戦はまさにそんな感じさ。やるかい?」ニヤリ

にこ「当然よ!」キリッ!

──裏・にこ襲来


にこ「あなたが西木野真姫ね。初めまして、μ's唯一の三年生矢澤にこよ。にっこにっこにー♪」

真姫「……何よその気持ち悪いやつ。それに初めましても何も、昨日声を掛けてきたじゃない」

にこ「あれは本心からの返答ではなかったじゃない? だから会ってないも同じ。それに、あの曲に秘められた真姫ちゃんのSOSをにこはしっかりと感じたわ!」

真姫「ハァ? 頭おかしいんじゃないの」

にこ(本当にそうよ。これじゃあにこが頭の痛い超プリティガールにしか思われないじゃない。あのデブに言う通りにするなんて言うんじゃなかったわ。それにほとんど初対面の相手を名前でちゃん付けとか恥ずかしさで死ねそうよ)

にこ「そんなこと言わないで欲しいにこ☆」

真姫「……早く帰ってもらえる?」

にこ「何か困ったことがあれば何でも言っていいのよ。にこは三年生、真姫ちゃんは一年生なんだから」

真姫「どうでもいいけど、授業始まるわよ」

にこ「また来るにこ」

──同日・昼休み ベストカップル


真姫「あなたねぇ~」

にこ「にっこにっこにー♪」

真姫「いい加減にしてよ。休み時間毎にきたと思ったら昼休みまで来るなんて」

にこ「自慢じゃないけどにこは友達がいないのよ。つまりは、二年後の真姫ちゃんが今のにこってことね。ううん、にこより酷くなるけど」

真姫「……何が言いたいのよ?」

にこ「友達もいない、後輩もいない。クラスメイトは少ない。でも一人ぼっち」

真姫「私は一人がいいのよ」

にこ「仲良しグループが完全に固定され、ただただ一人ぼっちで過ごす日々。始まったばかりの今ならそんな風に軽く『一人がいい』だなんて言えるわ。だけど、いつまでそんな強気が続くのかしら。にこの体験談では秋になった頃にそんな強気が言えなくなるわ。冬休み明けが妙に切なく感じるようになるの」

真姫「あ、あなた……。自分で言ってて寂しくないの?」

にこ(あのデブ許さない。これじゃあまるでにこがぼっちみたいじゃない。二年の時に十七回も隣のクラスだった希と話したことがあるし、クラスメイトとだって3回程個人的な挨拶をしたことあったわよ)

にこ「にこは自分がアイドルになるという夢があった。誰に強制されるでもない自分の意思でなりたいもの。誰に拒まれても、誰に否定されてもいい。にこはアイドルになる」

真姫「そんなこと私には関係ないわ」

にこ「真姫ちゃんは自分の意思でお医者さんになりたいの? そうじゃないのだとしたら……きっとこの先重くなる。その思いに応えたい気持ちが自分を押し潰そうとする。孤独の中でそんな思いに耐えられる?」

真姫「勝手な妄想を押し付けないでよ。不快だわ」ムスッ

にこ「確かに妄想かもしれない。でもね、そう間違ってない未来が訪れると思う。正直に言うと、私は一人ぼっちは嫌。友達が欲しいわ」

真姫「はぁ?」

にこ(なんでこんなことを初対面に近い下級生の子に言わなきゃいけないのよ。しかも、昨日ライブを観に来てた他の二人も含めた他の子もこっちをチラチラ見てる。完全に聞き耳立ててる。あのデブはにこに何か恨みでもあんの?)

にこ「にこは友達が欲しいの! 正直寂しくて寂しくてしょうがないもの。だから、学年を気にしない友達になれる簡単な方法があるわ。μ'sに入って欲しいの。私達と一緒にスクールアイドルの頂点を目指しましょう!」

真姫「嫌よ。それにメンバーが友達っていうのなら他の三人が友達ってことでしょ? だったらもういいじゃない」

にこ「違うの! にこは真姫ちゃんと友達になりたいの!」カァァァァ!

にこ(あのデブが絶対ににこは真姫ちゃんと仲良くなれるとか言うから恥ずかしさ我慢してこう言ってるけど、今更になって騙されたんだと気付いたわよ。だけどもう後戻りできない!)

真姫「私は色々と忙しいのよ」

にこ「だ、だったらこのにこ特製厚焼き玉子をあげるにこっ♪」

真姫「いらないわよ」

にこ「友達っていうのはこういうのからするものなのよ。貰うだけが嫌ならおかず交換よ。この白飯をあげるわ」

真姫「おかず交換でご飯を渡すとかありえないでしょ」

にこ「真姫ちゃんはこういうの経験あるの?」

真姫「な……なくても分かるわよ」プイッ

にこ(にこもご飯はないと分かるけど、真面目な話をしてない時は変な行動を取ってインパクトを残せって言われてるし。既に恐ろしいくらい恥を掻いてるのだから失うものはないわ)

真姫「それに友達じゃないって言ってるでしょ」

にこ「だったら友達になる証として好きなのを交換してあげる」

真姫「……友達じゃないって、はぁ~、もういいわ。仕方ないから今回だけ特別に交換してあげる。私はそのトマトでいいから」

にこ「じゃあ、はいっトマト☆ このミニハンバーグもトマトソースでじっくり煮込んだからとっても美味しいにこっ♪」

にこ(とにかくトマトって言うのは正解ね。ただ、やたら語尾ににこを付けるのって自分でもウザイわ)

真姫「」

にこ「」

真姫「しょ、しょうがないわね。じゃあそのハンバーグも貰ってあげるわ」///

にこ「その前にトマトの分の交換にこ」

真姫「じゃあ、このご飯をあげるわ」

にこ「っ!?」ズキューン

にこ(自分で言ったけど本当に差し出されると困るわね。デブは白いご飯でも滅茶苦茶喜ぶ人間も中にはいるんだって言ってたけど、あれは流石に嘘よね。そんな人間がいたらにこが拍手してあげるわ)

花陽「くしゅん!」

凛「かよちん風邪かな?」

花陽「ううん。誰かに噂でもされたのかも」

凛「噂されるなんて、さっすが凛のかよちん! 大人気だね♪」

花陽「ちっ、違うよぉ。きっとお母さんだよ」

真姫「くすっ。冗談よ。何が欲しいの?」

にこ(あ、笑った。一年生なのに大人びてるって思ったけど、笑うと年相応で可愛い顔するじゃない)

にこ「そうね、それじゃあ──」

にこ(は? な、なにこれ。今まで話に夢中で真姫ちゃんのお弁当の中身を見てなかったけど、何が何か分からないわよ。普通じゃ絶対にない料理が詰められてるのは分かるけど、料理名が分からない。……これがお嬢様ってやつなのね)

にこ「にこはーその……えっと、あれよ。ソレが欲しいわ」

花陽「くしゅん!」

凛「かよちん本当に大丈夫?」

花陽「きっと噂だよ、噂。お母さん以外でも噂する人がいたのかも」

──同日・昼休み 二年生組はいつでも仲良し☆


海未「昨日は本当に色々ありましたね」

穂乃果「生徒会長が出てきたって思ったら突然現れたにこ先輩」

ことり「どうしてことり達の見方をしてくれたんだろうね?」

穂乃果「それは口でなんだかんだ言っても、ほのか達のライブに感激してだよ」

海未「私には本気でまだまだ甘いって言ってるようにしか見えませんでしたが……。ただ、生徒会長と違って私達の味方であることは間違いないですね。小さいとはいえ拠点である部室が出来たのは素直に嬉しいです」

ことり「それにアイドルの知識はすごそうだもんね」

穂乃果「部室にいっぱいあったもんね」

海未「振り付けを矢澤先輩が引き受けてくれれば、ことりは衣装作りに専念出来ますので助かりますね」

穂乃果「曲の方はにこ先輩が真姫ちゃんにアタックするってことだし。もしも真姫ちゃんまでμ'sに入ってくれれば完璧なんじゃないかな?」

ことり「完璧かどうかは分からないけど、それぞれの役割分担が出来るようになるよね」

海未「それでしたら引き続き穂乃果に勧誘をお願いしましょう」

穂乃果「うん! 任せてよ。きっとμ'sになくてはならない存在を連れてくるよ」ニッコリ

ことり「穂乃果ちゃんが見つけてきてくれた子なら安心だね」

海未「ですが、無理に誘ったりはダメですよ? あくまで相手がスクールアイドルをやりたいって思う方だけです」

穂乃果「いくらほのかだって無理やりにはさそ──」

海未「──さそなんですか? まさか私のことを無理やり誘っておきながら忘れてるのではないでしょうね?」ニコリ

穂乃果「う、海未ちゃんはほのかにとって特別だからだよ。他の子を無理やりなんてしないもん」

海未「そうですか///」

ことり「海未ちゃん顔が真っ赤~」

海未「う、うるさいですよ、ことり」

穂乃果「スクールアイドルに興味があって可愛い子。花陽ちゃんに声を掛けてみようかなー」クシュン!

ことり「昨日観に来てくれた子だよね?」

穂乃果「うん。スクールアイドルに興味がなければ来てくれなかったと思うんだ。だってほのか達μ'sはまだ立ち上げたばかりだからね」

海未「昨日の経験で一つ成長しましたね」

海未(本来の私なら観客0の可能性だって真っ先に思いついた筈です。言い聞かせていれば穂乃果が泣きそうになるくらいのショックを受けることはなかった。スクールアイドルの熱に冷静さを失ってました。これからはμ'sのブレーンとなるべく常に冷静さを失わないようにしましょう)

ことり「にこ先輩の誘いは断ってたよね?」

穂乃果「そこは毎日誘いに行って勧誘すればいいんだよ」

海未「おやめなさい。相手の迷惑を考えない行動は駄目です」

穂乃果「じゃあ……どうしよう」

ことり「一年生は一クラスしかないんだし、真姫ちゃんがμ'sに入ってくれれば真姫ちゃん経由で入ってくれるかもしれないよ?」

穂乃果「おぉ! さっすがことりちゃん! あれ? でもそうなると穂乃果の仕事がなくなるんじゃないかな」

海未「することなくなったとしても、穂乃果はそこに居てくれるだけで心の支えになりますから大丈夫ですよ。私達を応援してくれるだけで十分です」

ことり「そうだね。穂乃果ちゃんが居ると居ないのとでは全然違ってくるもん。正にリーダーって感じだよね」

海未「そうですね。リーダーは穂乃果以外考えられません」

──同日 女神は裏で苦労してました


希「えりち、今日は随分と眠そうやね」

絵里「ちょっと慣れない事を勉強してたら遅くなっちゃってね」

希「慣れない事? そんな仕事あったっけ?」

絵里「別に生徒会が関係してることじゃないわ」

希「じゃあ、何に関係してることなん?」

絵里「希には関係ないことよ。現実を知らない人間に非常な現実を見せるだけだから」

希「ふぅん。よく分からんけど、ウチの力が必要なら貸すで」

絵里「希はPCに詳しくないでしょう?」

希「そうや。自分用のPCなんて持ってへんしね」

絵里「だったら今回は知恵を借りることも出来ないわ」

希「そっか……。あのな、えりち」

絵里「何?」

希「多分なんやけど、近々ウチ等は大きな見えない運命の渦に巻き込まれる可能性がある」

絵里「見えない運命の渦?」

希「今まではカードが示してくれてたんやけど、一人が運命を変える動きを見せた。その所為で見えていた物が見えなくなったんよ」

絵里「話がよく見えてこないのだけど」

希「言葉を変えて簡単に言うと……ウチ等二人はいつの間にか大きな檻の中に閉じ込められてるのかもしれん」

絵里「誰の手によって?」

希「それが分からん。定められた運命を打破し、新しい道を作る者」

絵里「それってつまり神様ってこと?」

希「どうやろ? 姿が見えない、存在が分からない。でも、故に面白い」ニヤリ

絵里「良く分からないんだけど、希が生き生きしてるのだけは伝わってくるわ」

希「こんなこと初めてや。ウチは今、スピリチュアルの深遠を覗き込もうとしてるのかもしれん。えりちも心の準備をしておくことやね」

絵里「私はその前に現実が優先よ」

希「えりちはブレないね」フフフ

──数日後 μ'sの動画がUPされました


にこ「見た!? 見たわよね。あれがにこのメンバーよ!」

佐藤「いらっしゃいませ」

にこ「見たかどうかを訊いてるのよ!」

佐藤「見ました。それよりもマッ──作曲少女は篭絡出来たんですか?」

にこ「ガードが固いけど、時々隙をみせるわね。あの様子だとそろそろにこの魅力に負けてμ's入りするわ」フフーン

佐藤「激しく不安にしかならないコメントですね。貴女が作曲少女をμ'sに入れれば、一年生の他の生徒もμ's入りさせることが出来る筈です」

にこ「そう簡単にいくとは思えないんだけど」

佐藤「簡単じゃないからこそ、根回しが必要になるんです。取り敢えず今は作曲少女。そして、見に来ていた二人の一年生。取り敢えず7人になったら僕がビデオカメラを貸すので、それで新しい曲で新しいPVを今回のようにUPしてください」

にこ「今回の映像はにこがやった訳じゃないんだけど」

佐藤「知ってます。でも、編集くらい矢澤さんなら簡単でしょ?」

にこ「当然よ! 今のアイドルは何でも出来ないとダメだもの。編集の一つや二つ出来るわ」

佐藤「では、少なくとも来週中には作曲少女を引きこんでください。そうしたら、他の一年生の勧誘は他の人に任せて、矢澤さんには理事長にある交渉をしてもらいます」

にこ「ある交渉?」

佐藤「ええ、内容を今教えると矢澤さんのテンションがおかしくなるのでヤメておきます。メンバーを集めたら後のご褒美として教えますよ。あ、そうそう。μ'sのリーダーの……」

にこ「穂乃果?」

佐藤「そうそう。その穂乃果さんと矢澤さんにも言えることなんですが、家では勉強もしっかりとしてください。今ならまだ新学年が始まってそう時間が経ってないので遅れも少ない筈です」

にこ「べ、勉強」

佐藤「嫌そうな顔をしないでください。勉強出来ないアイドルなんて終わってるって言われますよ」

にこ「別に苦手だなんて言ってないでしょ!」

佐藤「とにかく頑張ってください。最悪の場合は僕が教えますので分からないことがあれば訊きにきてくれて構いませんよ。店が忙しい時は流石に相手出来ませんが」

にこ「あんたがこのにこのお近づきになりたいから勉強とか言い出したんじゃないの?」

佐藤「法的に問題なくてもロリータには興味ないので」キッパリ

にこ「誰が合法ロリよ!」

佐藤「冗談言える余裕があるなら早く帰って勉強してください」

にこ「分かんないところあったらメールするからメアドとついでにケーバン教えなさいよ」

佐藤「…………えぇー」

にこ「本気で嫌そうな声出すんじゃないわよ!」

佐藤「すいません、お約束かと思って。じゃあ、こっちが携帯番号で、こっちがメールアドレスです。きちんと勉強してくださいね」

にこ「分かってるわよ。にこが勉強しないとマズイんでしょ?」

佐藤「ええ、大いなる喜びを慟哭の絶望に変えるくらいにマズイです」

にこ「分かったわ。穂乃果にも……いや、その友達の方に穂乃果の勉強を見るように言っておくわ」

佐藤「作曲少女はデレてれば矢澤さんがプチトマト咥えて口移しで食べさせればμ's入りは確実ですよ。あははっ」

にこ「にこがそんな恥ずかしいことする訳ないでしょ」///

佐藤「冗談ですよ」

にこ「そんな恥ずかしいこと///」

──月曜日 友達を持たぬぼっちにこだからこそ、孤高の姫のハートを打つ!


真姫「今週も懲りずに来たのね」

にこ「そう嬉しそうな顔するんじゃないわよ。にこ照れちゃう♪」

真姫「はぁ? だ、誰がそんな顔してるのよ」プイッ

にこ「ニッコニッコニー」ギクシャク

真姫「お弁当食べにきたんでしょ。さっさと食べてさっさと帰りなさいよ」

にこ「……お、お弁当。そう、そうだったわね///」

真姫「どうしたのよ? いつもにも増して変よ」

にこ「にこはいつもアイドルよ」

真姫(何か企んでるのかしら? あの二年の三人組みも押し寄せてくるとか……。それは勘弁ね。ただでさえ最近はこの先輩の所為で注目浴びて、何かと話掛けられたりするのに。別に悪い訳じゃないけど……)

にこ(落ち着きなさい。アイドルとは常に自分以外のことに気を配ることが出来るからアイドルなのよ。緊張でとちったり、相手に心配を掛けたりなんてしないわ。にこならやれる! やれるったらやれる! やれるのよー!)

にこ「さあ、いつもの通りおかず交換しましょう」

真姫「あなたが勝手にしてくるだけでしょ」

にこ「そ、そうね」

真姫「本当にどうしたのよ。調子が悪いのなら保健室くらいまで運ぶわよ。こう見てもきちんと鍛えてるんだから」

にこ「大丈夫にこ。心配してくれてありがとう」

真姫「別に心配なんてしてないわよ。ただ、医者の娘だし?」

にこ(やれない。できない。やっぱりムリ! 真姫ちゃんに口移しなんて恥ずかしくて恥ずかしくて堪らないわ。でも、アイドルならこういうことも仕事ですることになるかもだし。そう思えばこれは予行練習みたいなものよね)

にこ「……今日はね、美味しそうなミニトマトを買ってきたのよ」

にこ(買ったのは佐藤だけどね。世の中には値の張るトマトもあるのね、驚いたわ)

真姫「へぇ。じゃあ、私はこれを交換してあげる」

にこ「ありがとうにこ」

真姫「だから早くその美味しいミニトマトを寄越しなさいよ」

にこ「う、うん」

にこ(行くしかないわ。真姫ちゃんは年上にも見えるくらいの容姿してるけど年下。そう、年の近い妹と思い込めば楽勝よ。手の震えよ止まりなさい。やるの、やれるの、やりきるの!)

にこ「じゃあ、食べさせてあげるから」パク

真姫「ヴェェェェ!? な、何で口に咥えて顔を近づけてくるのっ!?」カァァァ

にこ「んー!」ググッ

真姫「ちょっ、やめてっ、い、いやぁぁぁ!」////

にこ「んっ!」ピトッ

真姫「あ、んっ……モグモグ……ちゅぅ」///

にこ「っ!?」カァァァァ!

真姫「い、今までで一番美味しかったかもしれないわね////」

にこ「そっれは良かったわね///」

にこ(にこのファーストキスが女の子になっちゃた///)

真姫(美味しくて全部食べたら触れちゃっただけよ。それに相手は女の子なんだしノーカンよ///)

凛「今あの二人キスしてたにゃー」

花陽「だっ、ダメだよ。そういうのは見てみぬふりしないと」アセアセ

モブ子「すっごい。あれってどういう意味なのかな?」

モブ美「確かあの小さい先輩ってスクールアイドルだって話だから、その勧誘? それとも実は西木野さんもスクールアイドルに入ってて、次のPVが今のなのかも!!」キャー

モブ子「それすごいかも! 前回のは三人だけだったし、今度は五人の曲ってことだね。それにしても今のをもう一度見れるってPVが楽しみだね!」キャー

モブ江「待ってください。PVじゃないとしたら……本物ってことですのよ? 囃し立てない方がいいですわ。お嬢様系の女子校と違うんですからデリケートに扱わないといけません」

にこまき「////」

にこ(サトウブタ~!! どうするのよこれ! 言った通りにしたら次回PVが口移しとかありえないわよ! どちらかと言うとそういうのは本物のアイドルの仕事よ!)

真姫(これって私がμ'sに入って次のPVでもう一度矢澤先輩とキスしないと妖しい関係って思われるじゃないの~! これが作戦……ではなさそうね。私以上に動揺してるっていうか、泣きそうなくらい瞳に涙が潤んでて可愛いっていうか。何を言ってるのよ私は~!! もう自棄よ!)

真姫「そ、そうよ。クラスメートの皆には一応報告しておかないとね。私はスクールアイドルμ'sの一員になったの。曲だって私が作ってるし。分かった人も居るみたいだけど、今のは次のPVでやる練習だったのよ」カァァァ

にこ(えぇっ!? それってもう一度真姫ちゃんとキスすることが確定じゃない。どうすれば……。あの男に連絡よ! というか、一発本気で蹴るわ)

花陽「西木野さんがスクールアイドルに……」ポツリ

凛「かよちんも入れて欲しいって言えばいいのに」

花陽「わ、私は……そんな。スクールアイドルになんて、なれっこないし」

凛「でも、やりたいんだよね?」

花陽「」

モブ子「モブ美の言う通りだったね!」

モブ美「あたしって生まれる世界が違ったら名探偵JKだったし」

モブ江「百合だった方がインパクトがあったのですけど……。少しだけ残念ですわね」

モブ子「モブ江ってそんな趣味が!?」

にこまき「…………」

モブ江「PVの練習だとしてもプロでないからこそ逆にお互い好意を持ってなければ出来ないことですのよ。私は二人のスクールアイドルライフを応援致しますわ」パチパチ

モブ子「そうだね。私も応援する!」パチパチ

モブ美「あたしもあたしも! UTXに行った友達にもお勧めしてみる!」パチパチ

にこまき(大変なことになったわ)

──同日 もしもし、私にこちゃん。今貴方のハートの中に居るニコッ♪


佐藤「知らない番号から電話ってことは、にこにーからか。あの声を電話越しで聞くとなるとちょっとヤバイかもしれない。トリップしないようにエリーチカの声を何度もリフレインしよう。……もしもし」ドキドキ

にこ『あんた! 何で今日バイトに来てないのよ!』

佐藤「さすがに毎日シフト入ってないですから。今日は休みですよ」

にこ『あんたが言った通りの行動したら確かに真姫ちゃんはμ's入りしたけど……だけど、お陰で大変なことになっちゃったわよ! 他のメンバーにも真っ先に言わなきゃいけないけど、あんたに文句言いたくてこうして授業終わったら即秋葉に来たのにあんたいないし!!』

佐藤「取り敢えず落ち着きましょう。言った通りにって何をしたんですか?」

にこ『何をって……あんたがプチトマトを口移しで食べさせろって言うからしたんでしょうが!!』

佐藤「え? あれは冗談だってきちんと言いましたよね?」

にこ『──は? 冗談って、言ってた?』

佐藤「絶対に言いましたよ」

にこ『あ、あー……ちょっと話したいことがあるんだけど、出てこれない?』

佐藤「いいですよ。電話より直接の方が脳への刺激が少ないんで」

にこ『はぁ?』

佐藤「何でもないです。ドーナツ屋にでも入ってて下さい。注文したものは仕方ないので今回は奢りとでいいですから。今から十分で行くんで」

にこ『早くしなさいよ』

──戦場はドーナツ屋


佐藤「お待たせ。レシート頂戴」

にこ「待ったわ。はい、これ」

佐藤「不機嫌そうだね。その割りに頼んだのはドーナツひとつと飲み物だけか。はい、これお金」

にこ「いくらムカつく相手でもお金が関わることで無駄遣いなんてしないわ」

佐藤「意外と冷静ですね。それで何があったんですか。あの感じだと本当に口移しで食べさせたってことですか?」

にこ「そうよ。にこのファーストキスが女の子の上に、後輩達に見られながらだったし。その代わり真姫ちゃんがμ'sに入ってくれたけど、次のPVで同じことする流れになったわよ」

佐藤「うわぁ……」

佐藤(ダメな方に転ぶのはもはや運命的というくらいな人生だな。だけど、これで一つクリアーだ。一年組は今週中に突破出来るだろう。問題はPVにスクールアイドル同士でキスを入れてもいいのかどうかだな)

にこ「なんとかしなさいよ。半分はあんたの責任でしょ」

佐藤「作詞担当と衣装担当の名前は何でしたっけ?」

にこ「作詞が園田海未で衣装が南ことり」

佐藤「園田さんに次の曲を白雪姫もしくは眠り姫のような歌詞を作るように言って下さい。勿論衣装もそれに合わせて。これなら最後に王子様の矢澤さんが真姫さんにキスしてもおかしくないでしょう?」

にこ「……確かに、そうだけど」

佐藤「絶対に生徒会が文句をつけてくるでしょう。理事長に事情を説明して許可を得て下さい。多分大丈夫だと思いますが、生徒会からの苦情が直接くるか理事長へ行くのか分かりませんからね」

にこ「なるほどね。確かにあの女ならイチャモンつけてくるわね」

佐藤(僕のエリーチカを悪性女みたいに言うな!)

にこ「何か言った?」

佐藤「いや、何でもない。作詞も衣装も見に来ていた一年生二人をスカウトして成功することを前提にしておいた方がいい。真姫さんが入って一年生にパイプが出来た。これを利用しない手はない」

にこ「真姫ちゃんを利用するなんて言い方しないで!」ジロリ

佐藤「それはごめん。話に聞いた感じだと年上から言われると引っ込んじゃう気がするんだよね。その点真姫さんなら同じ一年生ならプッシュし易いと思うし」

にこ「そうね。それはにこも同意権。でも一人のアイドル好きとして何か同じ匂いを感じるのよね」

佐藤「アイドル好きでなかったら同じ学校とはいえ、立ち上げたばかりのスクールアイドルのライブを見に行ったりしないだろうからね。早い方がいいけど決意するのにも時間を掛けないと逆効果になりかねない」

にこ「本気の決意っていうのは急かしちゃダメってことね」

佐藤「今日は取り敢えず学校に戻ってμ'sの他のメンバーに話を通してください。あと、この先何があるか分からないので真姫さん含むメンバー全員と連絡先を交換しておいてください」

にこ「分かったわ」

佐藤「理事長には明日にでも話を通しておいてください。絶対に忘れないでくださいね」

にこ「にこが忘れるわけないでしょ」

佐藤「本気で心配なので明日メール入れておきます」

にこ「どんだけ信用ないのよ!?」クワッ

佐藤「冗談と言ってる人間の発言を聞かずに実行に移す人間を信用しろと?」

にこ「にこは学校に戻るわ。ご馳走様」

佐藤「がんばって」

スレタイが佐村河内に見えた

──翌日・昼休み


モブ子「四時間目の授業五分も延長したのに小さい先輩来てないね?」

モブ美「今日は来ないのかな?」

モブ江「きっと昨日の今日ですから三年生の教室で食べるんですわ」

真姫(……どうしてそうなるのよ。大体毎日来てたのにメンバーになった途端こないとか、一人ぼっちだったとか全部嘘だったわけ? 文句言いに行くわ! 別に他意なんかないわよ!)

モブ江「ほら見てください。西木野さんがお弁当を持って教室を出て行きますわ。私の予想通りみたいですわね」

>>39 タイトルは洋画の【ネバーエンディング・ストーリー】から。ラブライブSS業界は低迷してないので心配なしです。


──ぼっちの居る教室


にこ(あの先生、六分も延長してるんじゃないわよ。今から行っても真姫ちゃんもう食べ始めてるだろうし、昨日のこともあるから今日は一人で食べましょう)

にこ「…………モグモグ」

真姫「何で一人で食べてるのよ?」

にこ「っ! ま、真姫ちゃん。どうしてここに?」

真姫「あなたが来ないからでしょ!」

にこ「ご、ごめん。授業終わるの遅くなったからもう食べ始めてるだろうなって思って」

真姫「そういうの確認するの必要だから教えて///」

にこ「え?」

真姫「携帯の番号とメールアドレスよ」カァァァ

にこ「あ、うん。昨日部室に来てなかったから真姫ちゃんとは交換出来てなかったものね」

真姫「そもそも私はμ'sの部室がどこにあるのかも知らないんだけど?」

にこ「ごめんね。今日は放課後ににこが迎えに行くわ。昨日はちょっと色々あって授業が終わって直ぐに一度出てたから」

真姫「そうなの。私も昨日は病院に顔を出す用事があったからいいんだけど」

にこ「よかった。でも、本当にごめんね」

真姫(実際は一時間教室で待ってたんだけど。友達いないって言葉が嘘じゃなかったみただし、秘密にしておいてあげるわよ)

♪孤独の切なさ~

にこ「あ、メール」

佐藤『今日の放課後に例のシーンを入れたPVの許可を忘れずに理事長に取ってください』

にこ(思いっきり忘れてたわ。でも癪だから言われなくても分かってるって返信しておきましょう)

にこ「放課後にちょっとだけ用事があるから待っててもらえる?」

真姫「用事?」

にこ「部長としてしなきゃいけない用事があるのよ。にこはアイドル研究部の部長にこっ♪ 終わったら連絡するから先にメアドとケーバン交換しましょう」

真姫「ええ、そうね」

──悪魔の契約はサイン済み


にこ「ってことで花陽の決意は固まりそうにないわ」

佐藤「そっか。意外と簡単に決まると思ったのは間違いだったか」

にこ「凛って子も花陽の背中押すの手伝ってるみたいなんだけどね」

佐藤(先に真姫を引き入れた所為で花陽のフラグが立ち難くなったのか。既にスクールアイドルを始めた真姫とそうでない真姫とでは花陽にとって別人なのだろう。考えが甘かったな。ちなみに口調はいつまでも敬語は気持ち悪いと言われたので崩した)

にこ「穂乃果達には今週中に後二人メンバーに引きこむって宣言してるし、衣装も歌詞も七人用で進行してるし……。明日一日でなんとか出来る方法を考えなさいよ」

佐藤「僕も考えるけど、矢澤さんもきちんと考えてね。馬鹿な考え休みに似たりって諺があるけど、考えない馬鹿の方がもっと馬鹿だから」

にこ「馬鹿馬鹿言ってるんじゃないわよ! にこはそういうの考えるのが不向きなだけ。実践向けなのよ。正に魔性のアイドルなの!」

佐藤「魔性という言葉の意味を知ってから発言し直してね。しかし、どうしたものかなぁ」

にこ「相変わらずムカつくやつね」

佐藤「……物事の切っ掛けってけっこう単純でいい加減でもいいよな。問題なのはその気持ちが本物かどうかだし」

にこ「何か思いついた?」

佐藤「褒められた作戦ではないけど、まずは餌で釣る。その後はにこのアイドルへの愛情次第かな」

にこ「どういうこと?」

佐藤「君は持っている。伝伝伝を。あれは生きる伝説のアイテム。スクールアイドルファンならば誰しもが一度は鑑賞したい幻の作品。ソレを観て興奮状態に陥った後に矢澤さんがアイドルへの知識、情熱をぶつけ合えば陥落出来る」

にこ「ちょっと待ってよ! どうしてにこが伝伝伝持ってること知ってるのよ」

佐藤「持ってない筈がないと思ってね。実際に持ってるみたいだし」

にこ「二つ持ってて一つは部室にあるけど、あれを人に見せるつもりはないわ」

佐藤「矢澤にこ。以前アイドルはファンの皆を笑顔に出来る仕事って言ってたよな。仲間に対して自分の大切なモノを見せられないようじゃ小さい。もし、真姫さんに対して自分がぼっちの先輩だって暴露してなかったら、矢澤さんじゃ絶対に仲間に引き入れることは出来なかったと思う。今の矢澤さんには大切な物が見えていない」

にこ「……」ムッ

佐藤「多分リーダーシップのある人間ってそういうのが無意識に分かってて、自分の大切なものを共有するってことに抵抗がないんだと思う。僕もどちらかと言わなくても矢澤さんのタイプだから偉そうに言ってるけど気持ちは分かるよ」

にこ「……」

佐藤「でも、アイドルの一番星を目指すならそんな考え捨てちゃおう。それにね、僕は分からないけど……。大切なモノを一緒に語り合える、共感し合える人がいるっていうのはとっても幸せだと思うんだ。もし、今回の伝伝伝を共有してみて不快にしか思わないのなら僕はもう何も言わない」

にこ「……」

佐藤「それはにこにーの性格なんだって受け入れてこれからの方向性を考える。でも、もし今までと違った世界が見えたのなら、共感する世界が見えたのなら変わっていこう。この世界は孤独に慣れるなんて勿体無いことをしなくていいって僕は思う」

にこ「だ、誰がにこにーよ。あんたみたいなデブが愛称で呼ぶんじゃないわ」

佐藤「あ、ごめんごめん」

にこ「……孤独に慣れるなんて勿体無い、か。言うのは簡単だけど、自分の大切なモノを見せるのって嫌だし、怖いわよ」

佐藤「そうだよね。でも、アイドルってライブの時は特に顕著になるけど、その場に一緒にいることで一番楽しい時間をファンと共有するんじゃないかな? それってさ、自分の大切なものを見せるよりももっと恥ずかしいくて難しくて、ちょっとだけ怖い事なんじゃないかな?」

にこ「そうかしら? そうだとしたらあんな楽しそうに笑顔を浮かべられるとは思わないけど」

佐藤「恥ずかしくても笑っていられるからアイドルなんだよ。矢澤さんは──」

にこ「──にこにーで良いわよ」フンッ

佐藤「ありがとう。にこにーはそういう世界で一番の笑顔を浮かべられるようになるんだ。その為の第一歩だと思おう。アイドルなんて不規則で休日なんていつあるかも分からない。そんな中でふと、振り向くことがあった時、スクールアイドルμ'sで経験したことが今の自分を支えているんだって思い出して元気になれる。その笑顔が多くのファンの笑顔を生み出す。そんな幸せの種を今蒔こう」

にこ「未来の自分の為に今恥を掻けって?」

佐藤「ひいてはファンの為にもなるさ。形は違うけど聞くは一時の恥、聞かぬは末代までの恥に似てるね。恥も掻きたくないけど、最高の自分になりたい。なんて夢物語が通用しないくらいには世界も優しくはないよ」

にこ「はっ! そんな甘っちょろいことこのにこが言う筈ないでしょ。いいわよ、真姫ちゃんのことで恥は掻いたんだもの。怖くても一歩踏み出してやるわ。でも、あの時を思い出すと身体が震えちゃうわね」ガクガク

佐藤「あの時?」

にこ「言ったでしょ? にこは元々一年生の時に自分でスクールアイドルを始めたって。にこの想いは誰にも共感されなかった。にこと皆はアイドルに対する考えが全く別の方向を向いてたの。だから一人取り残されて、身動きが出来なくなった」

佐藤「あははっ。そんなことで怖がる必要はないよ。そんなことより一つお願いがあるんだけど」

にこ「反応かるっ! しかもこのタイミングでお願いとか言い出すわけぇ!?」

佐藤「だって僕けっこうにこにーの事を裏から支えてるし、一つくらいお願い聞いてもらってもおかしくないでしょ」

にこ「もしかしてにこの──」

佐藤「──だから合法でもペドは無理」キッパリ

にこ「最後まで言わせなさいよ! しかも、ロリからペドにグレードダウンしてるじゃない!!」

佐藤「僕にとってにこにーはロリでもペドでも変わらないってことさ。で、お願いなんだけど……敵である生徒会長の生写真が欲しいんだ」

にこ「絢瀬の生写真~? そんなもんがどうして必要なのよ」ケッ

佐藤「捗るからさ!」キリッ

にこ「はかどる?」キョトン

佐藤「ああ、作戦を考える時に敵の顔を知ってるか知らないかで全てが変わると言ってもいい。大事なことなんだ。出来れば複数枚。笑顔とかあれば尚良し!!」キラキラ

にこ「え、笑顔って……敵同士なんだからありえるわけないでしょ」

佐藤「そこは一つ考えがある。にこにーが撮ると拒まれるに決まっている。だから他の人に協力を仰ぐ。生徒会長と仲が良い生徒に頼めばいいんだ。例の不思議ちゃんに頼もう」キラキラ

にこ「希に? 真姫ちゃんや穂乃果の話を聞く限りでは敵というよりは見方よりみたいだけど、こんなことに協力してもらえるとは思えないわよ」

佐藤「そんなことは知らん! にこにーは僕のお願いを聞くしかないんだ。もうこれは悪魔の契約だ。これを遂行しないとにこにーの未来は暗く閉ざされる。既にサイン済みだ覚悟しろ」ジロッ

にこ「何一人で興奮してんのよ! それより花陽の引きこみ作戦をきちんと教えてよ」

佐藤「写真を持ってくるまで次の作戦はないと思え!」キリッ!

にこ「なっ!?」

佐藤「花陽ちゃんはさっき言ったのが全てだよ。伝伝伝と情熱だけだ。それ以外寧ろ不要。てことで、一日も早い任務達成を祈る。その時にビデオカメラも貸すから、それで次のPVを撮りな。あ、後生徒会長を撮るカメラも必要か。よし、これから買いに行こう。今すぐ行こう」ガシッ

にこ「ちょっ、何す──にこ~~~~!」ズルズル

──翌日 一年生コンプリート


花陽「感動しましたぁ~。音ノ木坂にこんなにアイドルに詳しい先輩がいたなんて~。それに伝伝伝を拝める日がくるなんてっ」ハァーン♪

にこ「にこも驚いたわ。まさかあんな深い部分まで知っているなんてね」フッ

海未「私にはあの二人が何を話しているのか分からないのですが」

穂乃果「私も全然分からないけど、楽しそうなのは伝わってくるよ」

真姫「……確かに楽しそうね」ムスー

凛「あんなに楽しそうなかよちんはとってもレアだよ」

ことり「にこ先輩って意外と言ったら失礼だけど、頼もしいよね」

海未「そうですね。見た目に反して着実に成果を上げています」

穂乃果「子どもみたいなんだけどねー」

にこ「にこと一緒にアイドルを目指しましょう。花陽、あんたなら絶対に輝けるわ」

花陽「ふわぁぁぁあ~っ♪ 花陽頑張ります! どうか私をスクールアイドルに入れてください!!」ペコリ

にこ「大歓迎よ。それから凛。あなたも一緒にやりましょう」

凛「り、凛も?」

にこ「あんたも可愛いんだし、運動神経よさそうだし。スクールアイドルになるべきよ」

凛「でも凛は……」

にこ「悩むくらいなら行動してみなさい。許可降りなさそうなことでも、いざ話してみたらすんなりと通るってこともあるんだし」

真姫「あれって完全に理事長のことじゃない」カァァ

ことり「そうだね。にこ先輩と真姫ちゃんのキスの許可だよね♪」

穂乃果「ぬふふふふ~♪」ニヤニヤ

にこ「やってみてやっぱり自分には似合わないって思ったらヤメても構わない。でも絶対に後悔はさせない。これから先大人になって、ふと過去を振り返る時がくると思う。その時に今日の事を思い出して、やるって決断したことでμ'sの楽しい思い出が出来たんだって誇らせてあげる。未来のあんたに笑顔を上げる。その幸せな種を今蒔きましょうよ。にこ達と一緒にスクールアイドルをやりましょう?」ニッコリ

穂乃果(大人みたいでカッコいい~♪)

海未(あんな恥ずかしい台詞を言えるなんて……にこ先輩凄いです)

ことり(ちゅーんときた! にこ先輩の王子様衣装の明確なヴィジョンが浮かんだよ☆)

真姫(相変わらずぶっちゃける人ね///)

花陽(はぁ~♪ まるでアイドルみたい。素敵です!)

凛「凛はかよちんと違ってアイドルについても知らないし、女の子っぽくないかもしれないけど……でも、一緒にスクールアイドルをやらせてください!」ペコッ

にこ「こちらこそよろしくね。練習は正直辛いと思うけど皆で乗り切っていきましょう。新しいPVの仕上げを目標に頑張っていくわよ。にっこにっこにー♪」

──にこにークエスト~依頼を承諾させよ~


にこ「希。ちょっと話があるのよ」

希「にこっち。最近調子良さそうやね」

にこ「ええ、お陰さまでね。真姫ちゃんが最初の曲を渡せたのは希のお陰だって聞いてるわ。ありがとう」

希「……びっくり。にこっち随分と変わった気がする」

にこ「まぁね。にこは毎日アイドルになるべく進化してるのよ。にっこにっこにー♪」

希「それを見ると普段の子どもにこっちだって安心するわ」

にこ「誰が子どもよ!?」クワッ

希「それでウチに何か用事かいな?」

にこ「そう。すっごい重要な用事があるの。しかも、希にしか頼めないのよ」

希「ウチにしか頼めない?」キョトン

にこ「ええ。絢瀬の写真を撮って欲しいのよ。え、笑顔の写真とか、何かポーズを決めてる写真とか」

希「にこっち! 浮気はダメやで!」

にこ「違うわよ! ていうか、なんでしかも浮気になるのよ!」

希「え、だって真姫ちゃんと付き合ってるんやろ?」

にこ「」

希「それなのにえりちの写真が欲しいだなんて」

にこ「い、いや……。付き合ってないわよ。女の子同士なんだから。そもそも真姫ちゃんとこれは別件よ。絢瀬のことなんてにこはなんとも思ってないわ」

希「ツンデレ?」

にこ「違うわよ! 悪魔の契約なのよ。取り敢えずにこの明るい未来の為に協力してよ」

希「うーん……そうやなぁ。生徒会の仕事を少し手伝ってくれるならええよ。ウチがえりちを丸め込んで写真取ったげる」

にこ「OK手伝うわ。カメラとフィルムはこっちで用意してあるから」

希「フィルムって、デジカメやないの?」

にこ「デジカメなんかじゃ写す物のなんたらかんたららしいわ」

希「よく分からんけど、了解や。ウチに任せとき~」

にこ「ありがとう。正直助かったわ」ニコッ

希「あ、そうそう一つだけ質問してもいい?」

にこ「何よ?」

希「最近変わった出会いでもあった?」

にこ「あったと言えばあったわね。にこの人生の中でダントツのムカつく出会いが」

希(その相手が新しい道を作る者とみて間違いないか。にこっちは良い方向に向かってる。ただ、このまま良い未来になるかどうか見えない以上不安や。機会があれば直接話をしたい)

にこ「真姫ちゃんに今日は練習遅れるって連絡したから生徒会の仕事とやらをさっさと終わらせましょう」

希「そうやね」

──にこにークエストⅡ~魔性の生徒会長と似非関西弁の巫女~


絵里「どうして部外者の貴女が生徒会室にいるのかしら?」

にこ「あんたに会いに来た訳ではないのは確かよ」フンッ

絵里「じゃあ何をしに来たのよ。用がないのなら帰って」

にこ「私は希に言われて手伝いに来ただけよ」

希「そうそう。ウチが頼んだんや」

絵里「希が? よりによってどうして矢澤さんを?」

希「ギブ&テイクっていうところやね」

にこ「早く練習に行きたいし。さっさとやることを教えてくれない?」

希「そうやね。こっちのアンケートの結果をまとめて貰える? 一つ一つは多くないんやけど、種類が多いから困ってたんよ」

にこ「それが終わればいいのね? にこにとっては楽勝だわ」

──1時間後


にこ(単純な作業ってどうも眠くなるのよね……。他の事を考えましょう。あの時は流されてて分からなかったけど、佐藤があんな強引に頼む事が無駄なわけないのよね。今までが今までだし)

にこ(そなると希をμ'sに引き入れるつもり? いや、まさかだけど……希だけでなく、絢瀬も? 佐藤はμ'sを盛り上げたいの? それとも壊したいの?)

にこ(まだ決まった訳じゃないけど、絢瀬への拘り具合を考えると引き入れを考えてるという方が自然よね)

絵里「矢澤さん、手が止まってるわ。そんな簡単なことも満足に出来ないの?」

にこ「くっ……」

希「焦らんでもゆっくりでええからね」

にこ「そんなことより、廃校の件は決定なの?」

希「まだ本決まりってことじゃなさそうだけど、行動を起こさない限りは……ね」

にこ「つまりμ'sが注目されれば廃校を回避できるって穂乃果の言葉もない訳じゃないってことね」

絵里「ありえないわ。あんな素人同然の動きで注目を集めるだなんて」

にこ「玄人気取りの生徒会長さん。次のPVを見て同じことが言えるかしらね」

絵里「ええ、言えるわ。当然でしょ? 矢澤さんが入ったくらいで何が変われるっていうの?」

希「まぁまぁ。二人共熱くならない」

にこ「……ふんっ。絢瀬になんと言われても、この学院を救うのは生徒会じゃなくて、あんたが素人同然って言ってたμ'sになるの。ざまぁみろだわ!」

絵里「まずは夢と現実の区別を付けなさい。一度失敗して尚夢を見て、貴女は恥ずかしくないの?」

にこ「一度の失敗で諦めるなんてありえない。何度だって失敗しても、必ず最後に夢を叶えて笑ってみせるわ」

絵里「その一度の失敗の後何も行動を起こしてなかった人間の言う台詞ではないわね。そもそもみゅーず? だって、二年の高坂さんが立ち上げたものじゃない。貴女は何をしてたのかしら?」

にこ「そうね、あんたの言う通り。でも、気付けた。本当の夢に向かう勇気を与えてもらった。だから、もう怖くない」

絵里「それって結局は自分の力ではないってことでしょ? 一人になった時に発揮出来ない力なんて意味がないわ」

にこ「そんなことない。生徒会長という皆の力を纏める立場でありながらそんなことも分からないの?」

絵里「──」

にこ「──」

希(二人を引き合わせたのは失敗やったかな)

絵里「もういいわ。貴女の残りは私がやっておくから、早くこの部屋から出て行って」

にこ「嫌よ。にこは希に頼みごとをした。これはその分与えられた仕事だもの。絢瀬には関係ない領分よ」

絵里「」

希(さっき感じた以上ににこっちが成長してる。逆にえりちがにこっちの何かに反発してる。スクールアイドルという部分以上に何かあるみたいやね)

──同日・夜


佐藤(バイトが終わり、シャワーを浴びてから一息吐いていたら思い出した。にこにーにご褒美としてラブライブ開催のこと伝えるの忘れていたことに)

プルルルルル

にこ『何よ。写真の催促?』

佐藤「いや、前に言ってたご褒美を先に与えておこうと思ってね」

にこ『ご褒美? そんなのあったっけ?」

佐藤「うん、あったよ。ここだけの秘密の話だから誰にも言っちゃダメだよ。μ'sのメンバーにも」

にこ『何もったいぶってるのよ。どうして大したことないんでしょ』

佐藤「この夏にラブライブの開催が決定した」

にこ『なっ!? そう、そういうことね』

佐藤「何が?」

にこ『悔しいけど絢瀬が入れば間違いなく女性人気が増える。希は間違いなく男性ファンが増えるわね。あんたが写真の依頼をしたのって希と絢瀬との繋がりを作る為のものだったんでしょ?』

佐藤(そんなつもりなんて当然なく、ただエリーチカの写真が欲しかっただけだなんて言えないな)

佐藤「──な、なるほど。僕の考えを読みきったか」

にこ『あんだけ強引に話を進めれば誰だって気付くわよ。にこをバカにしてるの?』

佐藤「だが、写真は必要だ。絶対に忘れんな。絶対だぞ? 振りじゃねぇからな」

にこ『希の写真も必要なんじゃないの?』

佐藤「そっちは大丈夫だ。それからフィルムが余ってたからとか言ってにこにーの写真だらけとかも要らないから」

にこ『なっ! 誰がそんな子どもみたいなことすんのよ!』

佐藤「あ、でもμ'sのメンバーの写真は欲しいかも。あ、それから新しく入った子の凛ちゃんだっけ? あの子にも勉強、特に英語を重点的に勉強しておくように言っておいてね」

にこ『伝えておくわ。結局にこにーの写真が欲しいんじゃない。回りくどいやつねー』

佐藤「いや、にこにーの単独写真はいいや。真姫さんと並んでるショットでよろしく。あ、真姫さんのはきちんと単独の写真も頂戴ね」

にこ『本当に素直じゃないわねー』

佐藤「…………えっと、そんなに撮りたかったらにこにーの単独写真も撮っていいよ?」

にこ『同情風に言うんじゃないわよ!!』クワッ

佐藤「でね、冗談はともかく。次のPVなんだけどちょっと案を考えたから明日他のメンバーに話しておいてくれないかな。電話終わったらメール入れておくから」

にこ『分かったわ。といっても、今回はまだ悩んでるみたいで歌詞が全然出来てないみたいだけど』

佐藤「その方が助かる。今回のPVで一気に50位以内を目指す。ラブライブ開催が発表される前に出来るだけ上位に食い込んでおきたい」

にこ『……1位のA-RISEは当然出場は確実ね』

佐藤「うん。上手くいけばA-RISEと争うんだ」

にこ『スクールアイドルの歴史の中で一番人気があると言われているA-RISEとにこ達μ'sが……』

佐藤「まずは20位以内をキープして予選を通らないと話にならないよ。予選が終わるまでは気を抜けない。少しでも気を抜けば足元をすくわれるだろう。だが、気負いすぎると逆に失敗の元になる。大きなイベントやライブの前に体調管理をきちんと出来てこそのアイドル。そういうのを目を光らせる必要がある」

にこ『ええ、そうね。特にうちのリーダーは猪突猛進だから心配だわ』

佐藤「ま、今はまだ発表までもう少しだけ時間がある。その前にPVを完成させておかないと。バランス感覚の練習や柔軟もきちんとするようにね。それから、にこにーもきちんと勉強忘れないように!」

にこ『分かってるわよ!』

佐藤「それじゃあ、電話切るよ。おやすみ」

にこ『おやすみ。いい夢みなさいよね』

佐藤「……これで後は海未ちゃんの作詞が上手く出来るかどうか、マッキーの曲が完成するかだな。こればかりは信じるしかない。っと、忘れる前にメールしておこう」

──部室 裏・先輩禁止


海未「もう一度お願いします」

にこ「だから、次のPVは物語的なものにするから歌詞もそれを意識して作って。少し長めの方がいいわね」

海未「……頭が痛くなってきました」

にこ「真姫ちゃんも大変だと思うけど、そういう系の曲になるから」

真姫「簡単に言うわね」

にこ「仕方ないでしょ。そもそも王子様とお姫様が出てくるんだからそうなってもおかしくないって思ってたでしょ?」

海未「それとこれとは別物です!」

ことり「穂乃果ちゃんみたいなこと言い出したね」

穂乃果「えぇっ!? ほのかってあんな感じに見えるの」

ことり「うん! スクールアイドルを始めるって言い出した時だって唐突にそれが正しいことなんだって言うように言い出したでしょ?」

穂乃果「むむむっ……。確かに!」

海未「こんな難しい歌詞思いつける自信がないのですが」

真姫「私はなんとかなるけど」

穂乃果「海未ちゃん! ふぁいとだよ!」ニッコリ

海未「穂乃果……。そうですね、とにかく考えてみます」ニコリ

にこ「勿論、力になれることがあれば雑用でも何でもするから」

真姫「本当に? だったら後で肩でも揉んでもらおうかしら?」フフフ

にこ「真姫ちゃんの肩ならいいけど」///

穂乃果「海未ちゃんの肩は私が揉んであげるねー♪」

にこ「あ、そうだ。穂乃果、あんたきちんと勉強はしてる?」

穂乃果「にこちゃんの所為で海未ちゃんが勉強しろーって煩く言ってくるからしてるよー」

海未「まさか数学があんなに壊滅的だとは思いませんでした」

ことり「穂乃果ちゃんは算数の頃から苦手だったもんね」

花陽「すいません! 掃除当番で遅れました」

凛「ました!」

にこ「花陽。今日から凛の勉強見てあげて。特に英語を重点的に」

凛「ど、どうして突然勉強の話をするのぉ?」ビクビク

にこ「私達はアイドルの前にスクールが付くんだから当然でしょう」

花陽「凛ちゃんはやれば出来る子だから、そんなに嫌がらなくても平気だよ」

凛「うぅ~勉強嫌だよー」

穂乃果「なんていうか、にこちゃんってリーダーって感じだよね」

海未「無理難題も言いますが、確かにそういうイメージが付いてきましたね」

ことり「私は穂乃果ちゃんの方がリーダーって感じするけど」

凛「勉強しろっていうリーダーなんて要らないにゃー」

花陽「最上級生だし、頼りになるし、にこ先輩がリーダーっていうのは納得です」

にこ「そんな話はともかく。一年生も三人になったことだし、言いたいことがあるのよ。上級生だからって遠慮されると緊張してやれることもやれなくなると思うの。だから先輩とかやめましょう」

ことほのうみまきりんぱな「え?」

にこ「敬語はなしで、呼び捨てにするなりちゃん付けにするなりは個人の自由」

真姫「そうね。私はありだと思うわ。……にこちゃん////」

にこ「うん、真姫ちゃん」ニコッ♪

海未「なるほど。にこ、其れはいい考えですね」

穂乃果「といっても、海未ちゃんは素が敬語だから敬語のままだけどね、にこちゃん」

にこ「ま、そこは海未の個性だからね」

凛「なんだかドキドキするにゃー。……ことりちゃん?」ドキドキ

ことり「はいっ♪」

花陽「……う、海未ちゃん///」

海未「はい、花陽」

にこ「さあ、いい感じになってきた所で今日の練習を始めるわよ!」

μ's「おー♪」

これから物語は『真姫デレ』『青春臭さ』『にこ超人化』『原作変動』『にこまきイチャイチャ』が無謀にも加速していく!

ワルチカ「佐藤君が主人公でまともな話っていうのがそもそも無謀なのよ。需要なんて皆無だわ」

穂乃果「確かに需要なんてないかもしれない、誰も読んでくれないかもしれない。でも私は信じたい。南條さんのファンならきっと佐藤君が好きなんだって! だって私は佐藤君好きだから!」キリッ

ワルチカ「貴女の好きは偽善だわ。それは佐藤君じゃなくてナンジョルノが好きなだけじゃない」

穂乃果「そうなのかも。でも、佐藤君で可能性感じたんだ」

ワルチカ「中ボスであるこのKKEすら攻略出来そうにないのに? そんなんじゃラスボスのA-RISEを倒すなんて夢のまた夢だわ。味噌汁で顔を洗って出直してきなさい」

穂乃果「かなりキてる絵里ちゃんの言う通りかもしれない。でも、夢見ていたいもん。穂乃果はまだまだ沢山夢みていたいもん! だったら夢のまた夢でも何もないよりずっと幸せだよ!!」

ワルチカ「かしこいかわいいエリーチカよ! それから、風の妖精が飛んできそうな臭い台詞はもううんざりなのよ!」ギップリャ!

穂乃果「過去の結果なしエリーチカ? 確かにA-RISEすら素人扱いしておきながら自分は結果残せずに逃げ出してきた負け犬だよね」

ワルチカ「どうやら遊んで欲しいみたいね。手加減なんてしないわ。(コインを上に弾く)これが私の全力よーーーー!」レールガン

穂乃果「それ絵里ちゃん関係ないとは言い切れないけど、登場人物なら水泳部の人だし反則だよね! えぇい! こうなったら電撃なんて穂乃果の圧倒的腕相撲力で地面に叩きつけちゃうよ!」オワラナイアルティメットバトル

穂乃果を使わずに絵里を攻略させる難易度はラスボスより強い中ボスレベル。 また次回!

初めて見たけど面白いな
続きも待ってる

普通に面白い
好感もてるわー佐藤くん

面白いと思うが佐藤って誰なの?

佐藤くんは平行世界の俺たち自身だと思ってるよ

話の展開速度がほどよい

>>64 ああ、確かにそういえば彼も佐藤君でしたね。何もかもが懐かしい

>>66 佐藤君はニコ生で「先生になったら」みたいなお題でエリーチカの中の人である南條さんが即興で作った遅刻してきた男子生徒です。だから本物は高校生男子かな?

>>64 >>65 ありがとー! 面白いの一言で佐藤君も報われます

>>67 フーハッハッハッハッハッ! ラブライブの世界に組織が送り込んだ皆の分身(エージェント)だ!(嘘)

>>68 中ダレ防止でちょっとだけ飛びますがご容赦ください!

ワルチカ「前回までのラブライブよ」ニヤリ


にこにぼっちであることを告白され、嫌でも意識してしまうようになった孤高の真姫。

ひょんなことからクラスメートの見てる前でキスをしてしまう。

それから更に意識してしまう自分に葛藤する真姫。

そんなある日、男と一緒に居るにこを見てしまい、自分の中にある気持ちが恋なんだと自覚する。

そして、男とは何でもない事を知り、緩んだ心が外に漏れてしまう。

真姫「私はにこちゃんが好き。世界中の誰にも渡したくない」

にこ「にこぉ////」

かくして二人は恋人同士になった。

真姫「にこちゃん……ん、ちゅっ、んんっ」ギュー

にこ「まひぃふぁ、んくっ、んぅ……ちゅっ」ギュッ

真姫「ジュルルッ、ンップ、チュー……にこちゃんの、舌おいしい。んん、くちゅ」

にこ「んふぁっ、そんな吸っちゃ、んんーっ! だめぇ、ぢゅぷ///」

真姫「にこちゃんが可愛いのが悪いのよ。だから罰として私の唾液をたっぷり飲んで」カァァ

にこ「真姫ちゃんの唾液……ンッンッ……ゴクゴクッ。おいしいかどうかは分からないけど、にこすごく幸せ。おかわりちょうだい? ンッグンック、ジュルルル」////

真姫「こ、今度はにこちゃんが私に飲ませてよ」

にこ「で、でも……。にこの唾液なんて汚いわよ」ボソボソ

真姫「にこちゃんの唾液は私にとって知恵の実なの。その味を二度と味わえなくなるくらいならμ'sという楽園を追放されても構わない。それくらいの価値があるものなのよ」

にこ「──」カァァァァ

真姫「だから……ね? たっくさん飲ませて。私のここがにこちゃんの唾液でいっぱいになっちゃうくらい」オナカナデナデ

にこ「う、ん……。真姫ちゃん…………あいし、てるわ。ちゅっ……んぶっ、ジュブ、チュチュッ」

真姫「私も愛してる、ちゅーっ。ンン、ンッフ……ゴクゴクゴクッ……んふふ、チュルルル!」

にこ「にこの唾液、真姫ちゃんが飲んでる。にこの唾液でうがいしてから飲んで」

真姫「ヴェェェェ!! ……で、でもにこちゃんがそう望むなら。……ンッン……ゴロゴロ……ゴロッ……ゴクンゴクッ、ンンッ……ぷはぁ。私、にこちゃんの唾液でうがいしちゃった。あ、もっと? うん、私の口の中、歯や歯茎までにこちゃんの味に塗り替えて///」ウットリ

にこ「んふ♪ 真姫ちゃんってばえっちね。いいわ、真姫ちゃんを外からも内からも全部にこの物にしてあげる。さ、お代わりをあげるわ。……んぅ、ちゅぅ~……んっ、んん」トロー

真姫「はぁん、んふぅ、……ゴロロッ、ゴロゴロ、ごっくん。ンン、にこちゃんの唾液おいしい。もっと頂戴。にこちゃん……大好き///」ポー

穂乃果「こ、こんなの全然! 前回のラブライブじゃないよ!!」///

ワルチカ「ちっ」

穂乃果「これ以上だとアダルトな表現だと判断されちゃう!」

ワルチカ「ヒロインなのに出番が全然ない作品なんて滅んだ方がいいのよ」

穂乃果「だってしょうがないよ。絵里ちゃんは最初ヒールなんだから」

ワルチカ「意外と抜けてるヒールなんてどこの層狙いよ」

穂乃果「敵だと強かったのに、仲間になると弱くなるのが好きな層には人気出そうだよ」

ワルチカ「そうね。少なくとも需要があるのなら、私は元のかしこいかわいいエリーチカに戻るわ……」パタリ

穂乃果「本編開始だよっ」

──お昼 姫のデレる教室


にこ「どうかしたの? 心なしいつもより顔が熱ってるみたいだけど。少しでも体調が悪かったら保健室行った方がいいわよ。にこも付き合うから」

真姫「別に熱とかないから安心して。夢見が少し悪かった所為ね。あんなうがいなんてありえない!」カァァァ

にこ「うがい?」

真姫「何でもないわよ!」

にこ「そ、そう。もしかして曲作りが詰まってるとか?」

真姫「そうよ、曲は昨夜完成して気持ちよく眠りについたのに……。にこちゃんの所為よ! 謝って!」

にこ「え、ご、ごめん」ペコッ

真姫「まったく」ツンツン

にこ(海未もそうだったけど、やっぱり今回の曲は相当に難易度高かったみたいね。佐藤が言い出したこととはいえ、それを通したのはにこだし、謝るのは当然ね)

真姫「明日はまたアレ作ってきてよ」

にこ「何?」

真姫「トマトソースでじっくり煮込んだハンバーグ。取り敢えずそれで手を打ってあげるわ」

にこ「だったら明日は真姫ちゃんの分のお弁当もにこが作ってくるわ。ハンバーグはこの間のより美味しく仕上げてくるわね」ニコッ

真姫「……///」

真姫(にこちゃんの笑顔を見ると夢が鮮明に蘇るじゃない。胸の鼓動が早くなって息苦しい。これじゃあまるで病気よ。にこ病だわ。にこちゃんとのお昼を控えるべきと思いながら既に明日の約束を終えているし。モォォォォ! ドウスレバイイノヨ!)

にこ「無理させちゃってごめんね。お詫びに放課後にこがこれでもかってくらい肩揉みしてあげるから」

真姫「!?」

真姫(揉む! 今にこちゃん揉むって言った? 部室でって……皆の前で!?)

真姫「にこちゃんってば何を考えてるのよ!」カァァァァ

にこ「──へ?」

真姫「変なこと言ってる暇があるなら早く食べるわよ!」////

にこ「う、うん」

にこ(足元がふわふわしている感じね。曲が完成して浮き足立ってるのかしら? 今日は真姫ちゃんの機嫌を取っておいた方がいいわね。クールに見えてもまだ一年生だし)

にこ「完成したの曲は真姫ちゃん的にはどうかしら? にこの案の所為で歌詞が長くなっちゃったし、台詞も入ったし。こういうの初めてでしょ?」

真姫「初めてだけど完璧だったわ。こ、この姫ちゃんが作ったんだから当然でしょ///」

にこ(真姫ちゃんじゃなくて姫ちゃん!? これは相当だわ。今日は責任を持って家まで送らなきゃ)

真姫「時間的には9分強になったからライブだとけっこう踊るのがキツイかもしれない。でもPVとしては完璧だと思うわ。μ'sだからこそ出来た曲ね」

にこ「つまり七人になったからこそ生まれた曲ってことね。あ、それ美味しそう」

真姫「これが欲しいの? しょうがないわねー。ほら、口を開けなさいよ」

にこ「──え? あーん////」

真姫「あーん。……どう、美味しい? にこちゃんの口の中を私の色で染め上げてあげる」フフフ

にこ「モグモグ……色?」

真姫「って、何言ってるのよ! 今の現象は全部にこちゃんの所為よ。謝罪を!」

にこ「ご、ごめん」ペコー

真姫「どうしてにこちゃんが謝るのよ。別ににこちゃん自身は悪い事してないいじゃない。ほら、これも上げるから口開けなさいよ!///」

にこ「う、うん?」アーン

にこ(情緒不安定ってレベルじゃないわ。放課後も同じテンションかもしれないから、後で穂乃果とことりにそれとなくフォローしてくれるように連絡入れておきましょ。でも、真姫ちゃんのおかずは相変わらずおいしいわね)

真姫「次はにこちゃんの番よ。その厚焼き玉子を頂戴」ツンッ

にこ「厚焼き玉子はにこの食べかけしかないけど」

真姫「しょうがないから食べかけでいいわよ。早くしなさい」アーン

にこ「じゃあ……。にこの特製厚焼き玉子召し上がれっ♪」ヒョイ

真姫「モグ……モグモグ。んっ、にこちゃんなら素敵な行かず後家になれるわ」フフ

にこ「ホント? ありがとー♪ モグモグ(でも、行かず後家って何かしら?)」

真姫「次はそのウィンナーを頂戴。半分で十分だから、その食べかけで我慢しいてあげる///」

にこ「うん? さっきのと違ってちょっと歯形がついちゃってるけど、はいあ~ん♪」

真姫「あ~ん。モグモグモグ……とっても美味しいわ」ウットリ

にこ(タコの部分はにこが食べちゃってたから市販のウィンナーを炒めただけの物なのに。真姫ちゃんの反応を考えると、明日のお弁当はウィンナーを多めに入れてあげた方が喜ぶわね。タコやカニだけじゃなくて他の形も色々と作りましょう☆)


モブ江「今日は特に真姫さんの押しが強いですわね」

モブ子「そうだね。西木野さんがいつものクールとは思えない」

モブ美「でも、矢澤先輩の前だとクール部分は少なかったよね」

モブ江「学校が違えばスールになっていたわね、絶対に。色はきっと白ですわ」ニコリ

モブ美「スール? 白?」

モブ子「突っ込むだけ無駄よ。ネタがスールだけにスルーしましょう」ドヤァ

モブ美「」

花陽「真姫ちゃんとにこちゃんは毎日一緒に食べて仲いいよね」

凛「それは凛とかよちんも同じだけどね」ニコッ

花陽「うん。でも私達は幼馴染だから分かるけど、あの二人はつい最近知り合ったばかりなのに素敵だなぁって」キラキラ

凛「性格は正反対なのに不思議とお似合いなんだよね」

花陽「うん。まるで物語の中の主人公とヒロインみたい」ハァーン♪

凛「凛は勉強しろーって耳に痛いくらい言う主人公はごめんだよぉ」クスン

花陽「くすっ。でもきちんと英語も分かってきてるよ。やっぱり勉強は日々の積み重ねが大事なんだよ。これなら実力テストも期末テストも期待出来るね」

凛「成績良かったら美味しいラーメン食べに連れてってもらえるかな~?」

花陽「じゃあ、私からおばさんに凛ちゃんが成績上がってたらご褒美に美味しいラーメン屋さんに連れてってくれるようにお願いするね」

凛「もし叶ったら教えてくれたかよちんも一緒だよっ♪」

花陽「あはっ、楽しみだね」

凛「うん! これなら今よりももっと勉強頑張れそうだにゃー!」キラキラ

──同時刻 清楚のことり・爛漫の穂乃果・淫乱の海未(特に意味なし)


海未「なんですかそれは! 失礼ですよ!!」カァァァ

ことり「え、なにが?」キョトン

穂乃果「ほむぅ? どうかしたの、海未ちゃん」

海未「あ、いえ……なんでもないんです。特に意味もなく二年生組で私だけ失礼なことを言われた気がしたので。それより穂乃果、その鳴き声は別の人が使ってるからダメだと別の世界線でも言われたでしょう。流行らせようとしてるんですか?」

穂乃果「別の世界線??」

ことり「…………海未ちゃん。今回の作詞相当お疲れだったんだねぇ」

海未「ことり! その労わりを通り越して痛い子を優しく見守る大人の目は止めてください。私、傷つきます」

穂乃果「よく分からないけど、ふぁいとだよ!」ニッコリ

海未「ありがとう、穂乃果。元気出ました。そう言えばことり、衣装の方はどうですか?」

ことり「うん、こっちはバッチリだよ。細かいところはお店を利用したけどね」

穂乃果「さっすがことりちゃん仕事が早い!」

海未「お金はきちんと部費から落として下さいね」

ことり「細かい部分はお店でっていうのはにこちゃんの提案で、最初から部費を持っていったから。大よその見積もりも先に訊いててくれたし、どう仕立てたいかも話を通しててくれたから、早く仕上げてもらえて最高の出来栄えだったよ」

海未「ことりにも当然ですがにこにも頭が下がります」

穂乃果「一歳しか変わらないのににこちゃんって凄いよねー。見た目は雪穂より幼いのに」

ことり「本当にそうだよね。リーダーの穂乃果ちゃんも部長に負けないようにしないとねぇ」ニッコニコ

海未「そうですね。今回のセンターはにこと真姫ですし。リーダーとして頑張って次はセンターになれるように頑張りましょう」

穂乃果「うん! ほのか頑張るよ!」

ことり「ことりも穂乃果ちゃんと一緒にがんばるっ♪」

海未「では二人に負けないように私も頑張ります」

穂乃果「まずは今回のPVだね。曲が完成次第直ぐに取り掛かろう」

海未「……しかし、今更ですが。完成したPVはUPする訳ですよね?」

ことり「当然だよぉ」

海未「歌詞だけでなくあの台詞までが多くの人に聴かれる思うと……。恥ずかしくて顔から火が出る思いです。最大級に恥ずかしい出来栄えですし、書き直した方がいい気がしてきました!」カァァァ

穂乃果「ダメだよ海未ちゃん。これからも色々な曲を作ってはUPしていくんだから。それに、今回が一番恥ずかしいなら次からはもう大丈夫ってことでしょ?」

ことり「そうだよ。それに、一番恥ずかしいのは王子様とお姫様になるんだよ?」

海未「確かに。あの二人は最後に……キスがありますからね」

穂乃果「んふふ~♪ 楽しみだなー♪」

ことり「ことりも楽しみ。胸がドキドキしちゃう」

海未「最後は目覚めるよりも姫が王子の背中に両手を回して、自分の意思でもキスをしているというのを観てる人に伝える形にしたいのですが、どう思いますか?」

ことり「ふわぁぁぁぁ~♪ それ最高だよっ海未ちゃん♪」プワプワ

穂乃果「可愛い! さすが海未ちゃん。ラブアローシュート並みに効いたよ!」ニコニコ

海未「っ! ラブアローシュートは忘れてください!!////」

穂乃果「何れμ'sの七人はセブンスターとかラッキーセブンとか大仏セブンとか言われるようになるんだよ!」

海未「大仏って……μ'sは元々九人の歌の女神ですよ?」

ことり「セブンスターって確かタバコじゃなかったかな? 一般の人が聞いたら石鹸でタバコって意味が分からなくなっちゃうよ」

穂乃果「……九人? あと二人足りないね。三人足りなかったら当てがあったのに」

海未「あの三人がいないと、ライブの時に手伝ってくれる人がいなくなってしまいますよ」

穂乃果「それもそっか。でも、μ'sって誰がつけてくれたのかな? ファーストライブのPVもそうだけど」

海未「PVの方ですが、PCにも詳しいのでにこなのかもって思ったのですが否定されました。本当に誰なんでしょうか?」

ことり「その内判明してお礼を言えるといいねっ♪」

穂乃果「そうだね! あなたのお陰でほのか達のμ'sは多くの人に見てもらえましたって」

海未「まだそんなに多くの人に見られているとは言えません。これからが勝負ですよ。やるからには頂を目指しましょう」

ことり「にこちゃんが大好きなA-RISEの場所だねっ」

穂乃果「A-RISEといえば、ほのかがスクールアイドルを始めた切っ掛けだよ。あの人達と同じステージで歌えたら……。きっと、きっと穂乃果は……」

海未「どうかしましたか?」

ことり「穂乃果ちゃん?」

穂乃果「ううん! なんでもないよ、なんでも。………………」

──マジでキスするちょっと待っててぇぇぇぇ!


海未「後は最後のシーンを撮るだけですね」

花陽「はいっ! 花陽、興奮してきましたぁー♪」ドキドキ

凛「凛も楽しみだよー♪」ワクワク

海未「これで姫の準備は完了ですね」

真姫「ヴェェェェェ!! 待って、待ちなさいよ。まだよ、まだ全然準備できてないわ!」

海未「そんなに照れても今日中に撮る以外選択肢はないんですから。諦めてください」

凛「そうだよ。にこちゃんが交渉して、今日一日の体育館の使用許可をもぎとったんだから。その努力を無駄にしたら可哀想だよ」

花陽(と言っても、一部噂でキスシーンのことが流れてるから、すごい何かを期待してる顔で全部活の部長が快くOKしてくれたみたいだけど)

真姫「そうは言っても撮るのはやっぱり反則よ! だってネットに上げるのよ? 私、まだキス二回目なのに!」

海未「初めてではないのですか? となると、中学生の時に経験が?」

真姫「…………。そ、そうよ!」プイッ

凛「真姫ちゃん進んでるー♪」

花陽(凛ちゃん忘れてるのぉ!? 私達の目の前でにこちゃんにキスしてたよね? それとも女の子同士はカウントしないと思ってるのかな? でも、絶対にあれをカウントしてるよ。だって応えるのにすっごい間があったもん)

海未「あ、でも私も中学時代にキスしたことありました。まぁ、相手は穂乃果でしたが」

花陽「どんなシチュエーションだったんですか!?」

凛「もしかして二人は付き合ってたの?」

海未「付き合うって女の子同士ですよ? ただ、穂乃果がクラスメートに借りた漫画で女の子同士で恋したりキスしたりするって内容で、穂乃果がやたらとキスに興味出しまして。飛び掛ってきて、じゃれてる内に奪われただけです」

真姫(こ、これが普通の女の子同士でキスした時の反応。やっぱり私変よ。にこ病に掛かってるんだわ。どうすれば直るのかしら。内容が内容だけにお父さんにもお母さんにも相談出来ない! 末期まで進んだら戻れなくなりそう!)

花陽(意外。海未ちゃんって実は穂乃果ちゃんに対して恋心を抱いてるんだと思ってたのに。無意識でも意識してたらこんな風に何事もなく語れないよね。ことりちゃんだけなんだ)

凛「これだったら海未ちゃんがお姫様で穂乃果ちゃんが王子様の方がスムーズに撮れてたね」

海未「……え? わ、私がお姫様で、穂乃果が王子様? そして、最後のキスシーンでキスされながら穂乃果の背中に私が手を添えて……っ!」////

花陽(あれ? 一気に海未ちゃんの顔が真っ赤になったぁっ!?)

海未「そっ、そんなこと出来るわけないじゃないですか! そもそもキスはそんな安易にしてはダメな訳。いいえ、穂乃果が嫌だなんてことは絶対にないのですが! でも、中学といってもあれは中学に上がって直ぐのことで小学生とも言えるようなもので。今の成長した穂乃果ときっきききキスだなんて////」

まきりんぱな「」

海未「それはもう結婚を前提にお付き合いという工程を飛ばして結婚するしかないわけで。そうなると私が主婦ですか? 毎日穂乃果の為にお味噌汁を作る訳ですから。ああっ、それはいいです。実にいいです! 穂乃果には婿入りとして私の家で一緒に暮らしましょう///」ウットリ

真姫(これが末期!? これは穂乃果病ね。でも、にこ病と末期の症状は一緒な気がする。キス一つでこんなにトリップしちゃうだなんて。恐ろしいわ。早くどうにかしてにこ病から回復しなくちゃ)

花陽(はぁぁぁ~ん♪ やっぱり海未ちゃんは穂乃果ちゃんに恋心抱いてる! ことり先輩との三角関係!? い、いやでも真ん中に立ってるのが穂乃果ちゃんだからそのまま仲良くで深い関係になれそうかも。今度μ'sの同窓会とか毎年やろうねって提案しよっと♪)

凛(なんだか知らないけどかよちんがとっても幸せそう。新米の出来立てを食べてる時みたいだにゃー。何かあったのかなぁ?)

──王子様レベルにこっ♪


穂乃果「恥ずかしがり屋の真姫ちゃんが決意するにはまだ掛かるのかな?」

ことり「焦っちゃダメだよ、穂乃果ちゃん。女の子には心の準備が必要なんだから」

にこ「待たされてるにこも女の子なんだけど!」

穂乃果「にこちゃんはアイドルだもん。役の中なら誰とでもキス出来るでしょ?」

にこ「そんな訳ないじゃない! アイドルは役者じゃないのよ。どこの馬鹿監督がアイドルにキスシーン演じさせるのよ! にこは好きでもない相手とキスなんてできないわよ!!」

穂乃果「おぉー♪ すっごい。ことりちゃんの作戦通り」

ことり「でしょ? にこちゃんの性格を逆手に取るのは楽勝だよぉ☆」

にこ「何の話よ?」

ことり「んふふ♪ こ~れ☆」

ピッ!

『にこは好きでもない相手とキスなんてできないわよ!!』

ことり「いつも頑張ってる部長にサプライズしようと思って。穂乃果ちゃんに誘導してもらったの」

にこ「なっ、な……にこーーーー!?////」

穂乃果「いやぁ~前々から怪しいと思ってたんだよね。花陽ちゃんの話だと毎日お昼は一緒に食べてるっていうし」

ことり「そうそう。にこちゃんみたいに人望が厚そうな人が、わざわざ一年生の教室まで足を運ぶなんて真姫ちゃんを好きな以外ないもの」

にこ(恥ずかしすぎる罠に掛けられた上に、人望が厚そうとか嫌味まで言われたわ。にこはことりの逆鱗にでも触れてたの? 全く身に覚えがないわよ)

穂乃果「だよねー♪ クラスの友達の誘いを断ってまでなんて普通出来ないよね!」

にこ(穂乃果まで? いや、穂乃果はそういう事を出来る子じゃないわよね。ということは、もしかしてことりも本気で言ってるの? 一人ぼっちのにこが人望が厚いと。友達もいると……あれ? 余計に胸が痛むわ)ズキズキ

にこ「そうね、友達の中では一番真姫ちゃんが好きよ。キスだって嫌だなんて思えないくらい。でもそれを恋みたいに邪推するのはダメよ。ことりだって穂乃果とキス出来るくらいに好きでしょ? 穂乃果もことりにキス出来るくらい好きでしょ?」

穂乃果「うん! 皆仲良しだー!」バンザーイ

ことり「μ's内を女の子同士の恋愛が当たり前の空気にして穂乃果ちゃんと結ばれる計画だったのに」ポツリ

にこ「え──」

ことり「ナンデモナイノヨ!」アセアセ

にこ(気の所為かしら? 今、何かとてもインモラルな発言がことりの口から吐き出された気がするんだけど。天然系清楚なことりに限ってそんなことはないわよね)

穂乃果「今回のPVはすごいから今よりもっと順位が上がるよね!」

にこ「目標は50位以内よ」

ことり「ぴぃっ!? 50位って、にこちゃん。今の順位は794位だよ?」

穂乃果「50位ってことは……一気に744位も上がらないとダメなんだよ?」

ことり(あっ♪ 暗算出来てちょっと得意気の穂乃果ちゃん可愛い♪ 海未ちゃんと一緒に勉強見始めた頃は簡単な暗算すら怪しかったけど)

にこ「そんな弱気でどうするのよ。μ'sはこれから駆け上がるの! 今回のPVは言わば奇襲ってやつよ」

ことほの「奇襲?」キョトン

にこ「スクールアイドル史上未だ今回のように劇仕立てにした曲はないの。何事においても初めてというのは注目を浴びる。批判されるか称賛されるかは別としてね」

ことり「だから今回はこういう曲にしたんだぁ」

穂乃果「初めてか~。注目されて一気に駆け上がれたら海未ちゃん恥ずかしさで泣いちゃうかも」ニマニマ

にこ「泣かせてあげる程μ'sは暇じゃないわ。注目された後、次に必要なのは普通の歌がどうなのかってことなのよ。注目を浴びてるのに間を空けてしまったらせっかく上がった順位が下がる必要が出てくる」

穂乃果「おぉ~♪ にこちゃん本当に凄いっ!」キラキラ

ことり「にこちゃん輝いてるよぉ」

にこ「はいはい、ありがとう。真姫ちゃんと海未には特に負担になるから色んな意味で労ってあげてね」

ことり「真姫ちゃんはにこちゃんが労うから私と穂乃果ちゃんは海未ちゃんだね」

穂乃果「うん!」

にこ「ど、どうしてにこが真姫ちゃん限定みたいになってるのよ///」

ことり「だって王子様はお姫様限定だもの」

穂乃果「キス出来る仲だもんね♪」

『にこは好きでもない相手とキスなんてできないわよ!!』

にこ「忘れてた! ことりっ! その録音したの消しなさいよ!」

ことり「ダメだよ~。これは今日の打ち上げの時にお姫様に聞かせてあげないとだもん」

にこ「何考えてるのよ! 真姫ちゃんに聞かせるとかありえないわよ!」

ことり「打ち上げにはサプライズが必要なんだよ♪」

穂乃果「にこちゃん顔が真っ赤~♪」

にこ「あんた達! これからPVの最後を撮るっていうのに、そんなにこを虐めて楽しいの!?」クワッ

ことり「虐めてないよぉ。でもね、普通の劇の王子様なら照れは必要ないけど、私達はスクールアイドルだから。王子様が照れてる方が絶対に人気が出るよ♪」

にこ「」

──夫婦はどこかしら似る


海未「ん? 穂乃果、にこはどうかしたのですか? 真姫と違ってそんなに緊張はしてなかった筈ですが。……今はガチガチです」

穂乃果「色々あったんだよ。ね、ことりちゃん♪」

ことり「ねー♪」

海未「緊張を解すのが我々の仕事でしょうに。逆に緊張させてどうするのですか」

ことり「海未ちゃん。あのね、世の中は真っ直ぐだけじゃダメなんだよ」

穂乃果「そうなんだよ、海未ちゃん♪」

海未「なんですか……二人してその意味深な」

凛「なんだかよく分からないけど、そろそろ始めようよっ!」

花陽「そうだね。撮影終わった後、にこちゃんから話があるみたいだし。にこちゃんはその後今回のPVの編集で明日にはUP出来るようにするって張り切ってるし」

にこ「そうE。早くやって早ク終わらセましょう。時間は有限ナノよ」カチコチ

真姫(何よそれ! まるで私とのキスをさっさとして終わらせたいみたいじゃない!)

海未「それもそうですね。それから、そうよって言った時のよですが声がひっくり反ってましたよ。深呼吸してリラックスしてください」

にこ「すーはー……すーはー……ふぅ~」

花陽「真姫ちゃん緊張で汗掻いてる。今拭くからね」フキフキ

真姫「わ、悪いわね」

花陽「ううん。これくらいしかしてあげられなくてごめんね」

真姫「その気持ちだけで十分よ。……二度目二度目二度目二度目」

海未「それでは後一分したら開始しましょう。にこがまず足早に真姫に近づき、頭の後ろに左手を回して真姫の顔を持ち上げて……してください///」

凛「勿論するのはキスだよ!」

海未「そして、その十秒後にゆっくりとした動作で両手を上げてにこの背中に手を回してください。ここでの注意は唇を離さないことと、背中に回す手は力を入れないでってことです」

真姫「分かってるわ」

にこ「大丈夫よ」

海未「緊張は余り抜けてないようですが、失敗したらもう一度撮り直せばいいですからね」

にこまき「撮り直し!?」

海未「何を驚いているんですか。最後を飾る最高のシーンなんですから、最高でない限り何度でだって撮り直しますよ」

ことり「海未ちゃんのスイッチが入っちゃってるね」

穂乃果「こうなったら海未ちゃんは妥協を許さないから、二人共ふぁいとだよ!」ニコッ

花陽「最高のPVになる為にはここが重要ですから! 王子様がお姫様をキスで目覚めさせるこのシーン……はぁ~~~んっ♪ μ'sに入ってよかったぁ」キラキラ

凛「かよちんのアイドル好きスイッチも入ってるにゃー♪」

海未「とにかく一度失敗してしまえば今ほど緊張しなくなるでしょうし、失敗を前提で一回目やりましょうか」

にこ(簡単に言ってる! にこのセカンドキスがすっごい軽く扱われてる)

真姫(簡単に言うわね。私のセカンドキスが凄い軽く扱われてるじゃない)

海未「では穂乃果撮影の方お願いします」

穂乃果「うん、任せて!」

海未「ではにこまきお願いしますね」

真姫「にこちゃんと完全にセット扱いの呼び方しないで!」カァァァ

ことり「ダメだよ。お姫様は眠ってないと。ほら、髪も衣装も乱れちゃうでしょ」

にこ(くっ! この二年生組って似てないようで根っこの部分は繋がってるわね。ならば動揺したり、緊張すれば喜ばすだけだわ。平常心よ。アイドルの頂点ともなるとファンの一人一人の動きすら鮮明に見えると言うわ。興奮しながらも冷静になれてこそアイドルよね)

にこ「真姫ちゃん、落ち着いて。にこがリードするから、真姫ちゃんはただ眠っていればいいのよ」ニコリ

真姫「に、にこちゃん///」

にこ「さぁ、最後の撮影を始めましょう」

ことり「ちゅん」ピッ!

『にこは好きでもない相手とキスなんてできないわよ!!』

にこ「なぁぁぁっ!?////」カァァ

真姫「ヴェェェェ!?////」カァァァ!

凛「おぉ~♪」

花陽「はぁぁぁ~ん♪」キラキラ☆

海未「なるほど。にこまきはそういう仲だったのですね。苦労した甲斐があったというものです」フフッ

にこ「ことりそのデータさっさと消しなさいよ!」///

ことり「真姫ちゃんが欲しがるかなって思って」チュンチュン

真姫「欲しくなんてないわよ!」

ことり「じゃあ消しちゃおっと♪」

真姫「だめぇぇぇ!」

ことり「うっそ♪」

にこ「真姫……ちゃん?」

真姫「~~~っ!」////

──貴女のキスを数えましょう……。二回目ね(人前では///)


穂乃果「おかえり。念の為さっきの真姫ちゃんが飛び出て行って、にこちゃんが後を追うシーンまで録画しておいたよ」

にこ「消しなさいよ!!」

海未「まぁまぁ。先ほどのやりとりで時間を無駄に使ってしまいましたし、まずはきちんと完成させることを優先してください」

真姫「……///」

花陽「真姫ちゃんどうしたのかな? 戻ってきてからずっと無言だけど」

凛「顔は真っ赤だよ~」

ことり「にこちゃんが追いかけて行った後に何があったんだろうね?」

真姫(自分からしちゃった自分からしちゃった自分からしちゃった……。こないだ出会ったばかりなのに。そもそも女の子なのに///)

にこ「何モなかったわE」

海未「また声がひっくり返ってます。部長なんですからしっかりしてください」

にこ「……そ、そうね」

ことり「それじゃあ撮影開始しよう。テイク1!」

にこ(口移しの原因はにこだけど、口を付けてきたのは真姫ちゃんから。さっきのキスも真姫ちゃんから……。三度目だけど、自分からするという意味ではファーストキス)

ことり「あくしょん!」

にこ(よし、やるわ。まずは顔をゆっくり近づけて)ズイッ

にこ(あ、目を瞑ってると眉毛が綺麗に整えられてのが見栄えるわね。改めて年上か同い年に見えるくらい綺麗。うっすらとしたピンク色の唇が緊張で微かに震えてる)

にこ(って、それど頃じゃないわ。今はその唇ににこの唇を重ねるのよ。自分から……いくわ!)チュッ

にこ(唇が触れてる距離だと目の前に真姫ちゃんの顔があって恥ずかしい。キスの時に目を瞑るのはこういう理由からなのね)

にこ(で、でも目を瞑ったら瞑ったで今度は真姫ちゃんの鼻息がくすぐったいし、触れてる唇の柔らかさがさっきよりリアルに感じられて困るわ)

にこ(目を閉じてるのに意識すればするほど真姫ちゃんの目を閉じた顔が浮かび上がって。十秒だもの。恥ずかしいと思ってる間に終わるわ!)

にこ(……って、流石に長すぎない? ううん、あの真姫ちゃんが手を回してないんだからまだ経ってないってことよね。恥ずかしい時間って長く感じるもの)

真姫(にこちゃんにこちゃんにこちゃんにこちゃんにこちゃん)

海未「野暮な事は言いたくないのですが、いつまでただキスしてるつもりですか?」

穂乃果「あ~っ! 海未ちゃん空気読まなきゃダメだよ」

ことり「こういうところが海未ちゃんらしいけどね」

凛「一分以上キスしてたねっ」

花陽「すっ、すごかったです!」

にこ「んっ!」バッ!

真姫「あぁっ」

にこ「ど、どういうこと? 一分以上って……」

穂乃果「正確には80秒だったよ」

にこ「真姫ちゃん?」

真姫「緊張して手を回すのを忘れてただけよ。別に他意はないわ!」////

ことり「熱々だったね♪」

凛「映画見てるみたいだったよー」

海未「最初に言った通り十秒経ったら真姫がにこの背中に両手をゆっくりと回してくださいね」

真姫「次は大丈夫よ。この私に二度の失敗はないわ!」

にこ「もう一度……にこぉ///」

穂乃果「にこちゃん赤くなって可愛いね」ヒソヒソ

ことり「そうだねぇ。でも、穂乃果ちゃんの方が可愛いよ♪」ピヨピヨ

海未「では気を取り直してテイク2いきましょう」

にこ「う、うん。二度目で決めるわ」

にこ(直後の二度目となれば全然余裕だわ。……にこ~。人間の感情はそんな簡単じゃないわね)

海未「ではアクション!」

にこ(でもアイドルは人間の前にアイドルなのよ。こういう羞恥の時にも心は氷のようにクールでないとダメよ)

にこ(真姫ちゃんの唇はさっきと違って震えてはないわね。にこもしっかりしないと……)チュッ

にこ(でも目を瞑ると恥ずかしさが全身を駆け巡るわ。でも、後は真姫ちゃんが手を回すのを待つだけよ)

にこ(待つだけなのに胸のドキドキが止まらない。ヤバイわ……。目を開けたら意味も分からずに泣き出しちゃいそうだわ)

にこ(唇から真姫ちゃんの温もりが全部伝わってくるような錯覚がするのよね。その所為で意味も分からない感情が溢れ出てくるにこ~)

海未「……あの、真姫?」

凛「海未ちゃんまた空気読まないねー」

花陽「しょ、しょうがないよ……。そこが海未ちゃんなんだって幼馴染の二人が言うくらいだもん」

穂乃果「海未ちゃんだもんねー」

ことり「変わらない良さってあるよねぇ」

海未「な、なんですか? また私がおかしいのですか?」

にこ「っ! またなの!? 真姫ちゃん?」

真姫「ちっ、違うわよ。わざとなんかじゃないわ!」///

穂乃果「私はテイク8にほむまん賭けるよ」ヒソヒソ

ことり「じゃあ私はテイク12にことりのおやつを賭けちゃう」ピヨピヨ

凛「凛は大きくテイク15を選択するにゃー。かよちんは?」ヒソヒソ

花陽「え、そんな……賭け事なんて。で、でも……20回で」ポソポソ

──過ぎ去りしは遠くの思い出となりけり


にこ「…………」

海未「見事ににこが燃え尽きてますね」

穂乃果「まさか花陽ちゃんが勝つとは思わなかったよ」

ことり「愛は偉大だねっ」

凛「真姫ちゃんの志望と同じだね」

花陽「そ、それはちょっと面白くないかも……」

真姫「……んふっ」

海未「にことは逆になんだか真姫は満足そうですね」

穂乃果「撮る前はにこちゃんが今日中に編集するって言ってたけど、大丈夫かな?」

ことり「少し揺すってみるね」ユサユサ

にこ「…………にこ~」

凛「魂抜けてるみたい!」

海未「にこ、しっかりしてください。廃校を阻止する為に私達は頑張らないといけないんですよ!」

にこ「……ちょっと、電話してくる」

スタスタッ

にこ「もしもし、佐藤?」

佐藤『ああ、PVの撮影は終わった?』

にこ「……ええ、終わったわ」

佐藤『編集は今日中に出来そう? 本当は僕が編集とか出来れば代わるんだけど、生憎そういうのは勉強してなくて』

にこ「それは別にいいわ。で、話があるんでしょ?」

佐藤『うん。秋葉で伝説と語り継がれ始めたメイドを知ってる?』

にこ「知ってるわ。ミナリンスキーさんでしょ? それが何か関係あるの?」

佐藤『うん、次のセンターはミナリンスキーにしてもらう』

にこ「は? もしかしてミナリンスキーさんって絢瀬なの?」

佐藤『いや違うよ。ホームズのように変装して現場に潜入して隠し撮りしてきた』

にこ「ホームズは盗撮しないでしょ。盗撮は犯罪よ?」

佐藤『今回は訳ありでね。それに僕自身は他の人に接客されたし。で、その招待が衣装担当の南さん』

にこ「ことりが?」

佐藤『新曲は秋葉で路上ライブするから。秋葉に似合う歌詞をセンターになる南さんに作ってもらう事にする。正し、期間は一週間』

にこ「あんた、作詞舐めてるんじゃないの?」

佐藤『ただ悩んでも書けないことは分かってるからね』

にこ「は?」

佐藤『いや、こっちのこと。とある作戦があるんだ。次の土曜日に練習休みにしておいて。日曜日でもよかったんだけど、僕が休みなのが土曜日だから』

にこ「あんたの休みなんてどうでもいいんだけど、何させるつもりよ?」

佐藤『それは追々教えていくよ』

にこ「でも、ことりに作詞させたら衣装はどうするのよ?」

佐藤『ああ、そっか……。衣装はこっちで準備するから平気』

にこ「あんたに3サイズ教えろってこと?」

佐藤『そういうのは教えなくてもいいから。衣装はとにかく人数分用意するから大丈夫。こっちの世界に来た時に部屋に百万円が置いてあったから』

にこ「なんだって?」

佐藤『なんでもない。それから明日も違う話があるから。授業終わったら連絡して。あと、PV上げることによって生徒会長が乗り込んでくるかもって話忘れてないよね?』

にこ「それは覚えてるわ。そうそう、絢瀬で思い出したけど写真の方受け取ったから今度渡すわ」

佐藤『仕事上がったら取りに行く。絶対に取りに……いや、待て。フィルムを写真屋に出しておいてくれ! 出来れば取ってきておいて! お金は払うし、お礼に何か買ってくから!』

にこ「うぅん、でも今日はPVの編集があるから早く──」

佐藤『──PVより写真だ! 頼むから、マジでお願いだから!』

にこ「わ、分かったわよ。あんたのお陰で変な気分が吹き飛んだからそのお礼として、帰りに現像頼んで後で受け取っておくわよ。上がりは何時なの?」

佐藤『明日発売のA-RISEの商品が届いたから少し遅くなる。二十二時半前後かな?』

にこ「ならお礼はそのA-RISEの新商品で手を打つわ!」

佐藤『分かった。店長に五体倒置してでも売ってもらう。PVが上がるの楽しみにしてるよ』

にこ「上げられるのはあんたに写真渡した後になるのは確実だけどね。それじゃあ、ことりには言っておくから」

佐藤『あっ! 絶対にミナリンスキーだってことは言っちゃ駄目だから!』

にこ「分かったわ。でも、秋葉ってA-RISEのお膝元よ? そこで路上ライブなんて正気なの?」

佐藤『今は正気じゃないように聞こえても、今回のPVで一気に順位を上げて注目を浴びれば普通のことだよ。MCでA-RISEは憧れであり、私たちのライバルとか言えるレベルになってるさ』

にこ「……そうありたいものね。乙女の唇の対価にしては、それくらいじゃないと割りに合わないわ」

佐藤『仲良きことは美しき哉。その西木野さんなんだけど、これからPVラッシュになるから作曲の方が大変になるだろうから、部長であるにこにーがしっかりと心のケアをしてあげてね』

にこ「そうね、部長だものね。他に他意はないわ////」

──同日・部室にて


にこ「皆ご苦労だったわね。今回のPVはこれでクランクアップよ」

穂乃果「楽しかったし、またやりたいね☆」

ことり「そうだね。劇仕立てのままだったら、今度は穂乃果ちゃんが王子様でことりがお姫様が良いなぁ」

海未「穂乃果は王子様というよりお姫様って感じがします」

真姫「駄目よ。これは私がお姫様、にこちゃんが王子様ということを前提に作った曲だもの。キャスト変えはなしよ」

凛「真姫ちゃん可愛いー♪」

花陽「くすくすっ。みんな仲良しだね」

ことり「あ、そうだ。言い忘れたんだけど、にこちゃん。今度の土曜日なんだけどお休みしても平気かなぁ? 用事が入っちゃって」

にこ「今度の土曜日? ええ、丁度いいわ。土曜日は休みにしましょう」

ことり「ありがとう」ニッコリ

穂乃果「お休みだー♪ μ's始めてから初めてかも」

海未「そう言われるとそうですね」

凛「かよちん! ラーメン屋に行こうよ」

花陽「うん、いいよ。ラーメンはお昼にして、朝はご飯が美味しい定食屋さんに行こうか」

真姫「にこちゃんは土曜日に何か予定あるの? 別にどうでもいいんだけど、訊いてあげるわ」

にこ「そうね、用事はあるわ」

にこ(と言っても何をすることになるのか分からないけど)

真姫「」

にこ「今日のPVの編集もしてないけど、今日中にUPしてみせるわ。それで、次の曲なんだけどことりがセンターに決定したわ」

ことり「こ、ことりがセンター?」

穂乃果「おぉ! ことりちゃんがセンターなんだ。ぷわぷわした曲が似合いそうだよね!」

海未「空を飛ぶような歌詞がいいでしょうか?」

にこ「あ、今回の作詞は海未じゃなくてことり自身に書いてもらうから。その曲は秋葉で路上ライブする時に歌うから」

ことり「ぴいっ!? ことりが作詞もなの?」ピィィィ

にこ「作詞の期間は一週間よ。意義は認めないわ」キリッ!

ことり「そんなの無理だよぉ」

海未「作詞したことないことりに一週間しか与えないなんていくらなんでも無謀です!」

凛「いくら部長でもこれは勝手過ぎると思うなー」

花陽「そんなに焦らなくても、いいと思うけど」

真姫「私は作曲するの好きだしいいけどね」

にこ「ことりなら絶対に大丈夫だと思ったからにこは指名したの。無理だと思ったら最初から言わないわ」

海未「……確かに、なんだかんだにこの言うことは今まで正しいですが。今回は流石に」

ことり「絶対にムリだよぉ~」ウルウル

凛「衣装はどうするの?」

花陽「もしかして花陽達が作るのぉ!?」

にこ「今回の衣装は別ルートから用意されるから安心して。だから他のこと考えずにことりは作詞だけ考えて」

ことり「ピィィィッ!」

にこ「真姫ちゃんは代わってあげられないけど、その分にこが出来ることは手を貸すから何でも言ってね」

真姫「……べ、別ににこちゃんの手なんて借りることはないと思うけどね////」

──翌日 理事長室


絵里「あれは風紀の乱れを呼びます!」

理事長「そうかしら?」

絵里「そうです。あれが個人での撮影とかならまだいいですけど、あの子達はスクールアイドル。この学院の名前を使ってるんです!」

理事長「制服を着たままなら確かに問題だけど、衣装を着てるし劇のようなものじゃない?」

絵里「劇であっても多感な年頃の少女同士がキスするなんて問題です!」

理事長「私も朝に動画と寄せられたコメントを見させてもらったけど……。そういう部分を指摘してる声はなかったみたいだけど?」

絵里「言われなければ許しても構わないというのはおかしいです。それともあちらには理事長の娘さんがいるから──」

希「──えりち。言い過ぎや」

絵里「っ! 申し訳ありません」

理事長「別にいいわ。ただね、これが学院に秘密で作っていたのなら其れを理由にして何か言うことがあったかもしれないけど、部長の矢澤さんが自ら私に許可を得に来ていたから問題はないわ」

絵里「どうしてですか! 生徒会が活動するのはいけなくて、どうしてあちらはこんな理不尽なことでも許可が出るんですか!!」

理事長「分からない?」

絵里「分かるわけないじゃないですか!」

希「えりち、熱くなり過ぎや。落ち着いた方がいいよ」

絵里「希、だけど」

希「何をそんなに焦ってるん?」

絵里「私は焦ってなんか……いないわ」

……コンコン

理事長「どうぞ」

にこ「失礼します。……希、と絢瀬」

絵里「何の用かしら?」

にこ「あんたに用はないわよ。にこは理事長に話があんのよ」

理事長「何かあったの?」

にこ「はい。今度秋葉で路上ライブをしようと思うので、念の為に学院の許可を得ておこうと思いまして」

絵里「路上ライブ? あんな素人の動きで?」

にこ「あんたバカ? 路上なんだから歌がメインに決まってるでしょ」

理事長「二人共喧嘩しないで仲良くしてね。路上ライブねぇ……。どこでするのかとかの案は出ているの?」

にこ「はい。今とある店の前でライブをしていいかの許可を交渉中です」

にこ(とはいえ、ことりがバイトしてるっていうメイド喫茶の店長に佐藤が交渉するんだけど)

理事長「きちんと許可が出たのなら私は拒む権利はないわ。好きにしなさい」

にこ「ありがとうございます!」ペコリ

絵里「どうして許可を出すんですか! 恥の上塗りです!」

にこ「どういう意味よ?」

絵里「そのままの意味よ。あんなことしないと注目も浴びられない素人が路上で歌うなんて音ノ木坂学院を辱める行為よ!」

にこ「そう思いたいなら思ってればいいじゃない。それじゃあ、失礼します。あ、希。あの事ありがとうね。大変助かったわ」

希「いいんよ。ウチも楽しかったしね」

絵里「」

──同日・放課後


にこ「もしもし、佐藤? 授業は終わったわよ?」

佐藤『これから先は新曲作りにPVも絡むし、テストだってある。路上ライブの回数も増やしていくし大変になる』

にこ「ラブライブが開催されるとなると当然よね」

佐藤『うん。にこにーはそっちがメインだからいいんだけど、穂乃果ちゃん達は廃校撤回を目標としてるんでしょ?』

にこ「穂乃果ちゃんって……佐藤が言うとちょっと気持ち悪いわね」

佐藤『気持ち悪い言うな。で、目標を変化させる必要があるんだ』

にこ「どういうこと?」

佐藤『女子高生にとって廃校問題は重荷になるだけだ。始まりは確かに其れで良かっただろうけど、自分たちの評価次第では撤回出来るというのが目で見えるようになると負担がより大きくなる』

にこ「そんなもの?」

佐藤『ああ。不安や焦りが大きくなって、冷静になれなくて失敗することもありうる。だからこそ、ここで目標を変える必要がある!』

にこ「それでどんな目標にするつもり? やっぱりラブライブで優勝?」

佐藤『まだラブライブ開催のことは内緒だって。それにラブライブ優勝もまた同じ結末を生むよ。ここは単純な目標でいいんだよ。今この瞬間を心の底から楽しむってね』

にこ「今この瞬間を心の底から楽しむ? 子どもみたいじゃない」

佐藤『子どもっぽくていいじゃないか。だってさ、この瞬間を楽しむ以上に大切なことなんてないでしょ?』

にこ「……廃校問題がなかったら穂乃果が言いそうな台詞だわ」

佐藤『その穂乃果ちゃんだよ。猪突猛進タイプっぽいからさ、廃校撤回を目標にしてると絶対どこかで無理して失敗する。絶対にね!』

にこ「あんた妙に自信持ってるわね。でも、その通りだと思うわ。だけど、穂乃果含む二年生組は廃校のことを特に強く考えてるから、そんなに簡単に考え変わるかしら?」

佐藤『だからこそ早めに目標変更させていこう。口酸っぱくして今この瞬間を楽しめって言ってね。意識して今を楽しめるようになれば、大きな舞台を前にしてもそんなに緊張しなくて済むと思う』

にこ「つまりはμ'sがラブライブで結果を出すのにも必要な要素ってことね」

佐藤『それに一番の問題がね、μ's=廃校撤回だとね、もしそれを達成した時に意味をなくしてしまうとも言えるんだ。解散するつもりならそれでもいいけど』

にこ「確かにそうね。今の考えだと逆に廃校を撤回出来なかったらアイドルを嫌いになっちゃう子が出ることになりそうね。そんなのにこが許さない」

佐藤『それから昨日言い忘れたけど、ことりちゃんが休みで練習を休みにしたんだよね』

にこ「元々休むようにするつもりだったけど、ラッキーだったわ」

佐藤『ことりちゃんには内緒で残りの全員を秋葉に集合させて。午後一からでいいから』

にこ「そこで何かするってことね」

佐藤『ミナリンスキーであることを全員にバラさないとね。仲間意識強くなるし、作詞問題にも繋がるから。結果的に翌日の日曜日も休みになるけど』

にこ「二日も連続で休みにするの!?」

佐藤『今そのことでも交渉してるから。穂乃果ちゃんが動かないようならにこにーに提案してもらうことにする』

にこ「佐藤、あんたって謎が多いわよね。有能ではあるんだけど」

佐藤『女神の導きってやつさ』

にこ「ふぅん。どんな顔してる女神なんだか──あ、真姫ちゃん」

真姫「にこちゃん。電話中?」

にこ「うん、ちょっと待ってて。佐藤、他に何かある?」

佐藤『後は大丈夫かな。目標については今日からよろしくね』

にこ「分かったわ。それじゃあ、お疲れ」

真姫「にこちゃん、佐藤って誰?」

にこ「知り合いよ」

真姫「ふぅん」

にこ「わざわざ向かいに来てくれてありがとうね。部室に行きましょう」

真姫「そうね」

──今の順位は何位かな?


花陽「大変だよ! μ'sの順位がなんと、さっ、さっ、さ!」

凛「かよちん落ち着いて!」

海未「ゆっゆゆゆゆ、夢なんじゃないですか!?」

穂乃果「おおおおおっちついて! 夢じゃないよ!」

ことり「すごいよ、二人共っ。なんとμ'sの順位が38位なの!」

凛「急上昇のスクールアイドルにもピックアップされたよ!」

真姫「38位!? 昨日PVが上げられる前は794位だったわよ?」

にこ「凄まじく上がったわね。50位に届けばと思ってたけど、予想以上だわ。50位からは固定ファンが多くなるから壁が厚い筈なんだけど」

花陽「どうしてにこちゃんはそんなに冷静ナノォォォ!?」

にこ「今回のは話題になって当然だもの。問題は次の曲とPVの仕上がり次第よ。μ'sの真価が問われるのはことりの頑張りに掛かってるわ」

ことり「ぴぃっ!」ビクビクッ

穂乃果「ことりちゃん、ふぁいとだよ!」

海未「作詞のことで困ったら力になりますから」

にこ「その前に38位を記念して……みんな立ちなさい!」

ことほのうみまきりんぱな「?」スタッ

にこ「にっこにっこにー♪ さぁ、みんなもやりなさい!」

真姫「まっきまっきまー!」

海未「正直これがなければにこは完璧だと思うのですが……」

穂乃果「あははっ。ほのかは好きだけどね」

ことり「嬉しい気持ちは伝わってくるけど、ちょっと恥ずかしいなぁ」

凛「これはないにゃー」

花陽「でもアイドルっぽい動きだよ!」

真姫「って、どうして誰もしてないのよ!」カァァァ

にこ「真姫ちゃん最高ね! 他の人はどうしてやらないのよ!」

真姫「最高///」

にこ「まぁいいわ。皆に言いたいことがあるのよ。穂乃果、μ'sの目標を言いなさい!」

穂乃果「勿論この音ノ木坂を廃校にしない事だよっ!」

にこ「ええ、そうね。でも、その目標は今日でおしまいよ」

穂乃果「ど、どういうこと? もしかして廃校が決定!?」

海未「そんなっ!」

ことり「お母さんから何も聞いてないよぉ!」

凛「そんなー!」

花陽「もう後輩が出来ないのぉ?」

真姫「にこちゃんの顔からして悪い知らせって訳じゃないみたいよ」

にこ「真姫ちゃん正解。今日から廃校問題は忘れるのよ。にこ達は今この瞬間を楽しむことに精一杯になるの。廃校撤回なんてにこ達が今を楽しめば後から付いて来るわ」ニッコリ

海未「言い切りましたね」

凛「すごい自信」

真姫「でも、にこちゃんの言ってる事は間違ってないんじゃない?」

花陽「た、確かにそうかも。だって、今現在が38位だし、これからも順位が上がるのなら順当に入学希望者が増えると思うし」

ことり「入学希望者がずっと増えれば廃校は当然なくなるよねっ」

穂乃果「……今を楽しんで、それでもし駄目になったらどうするの? 私達が頑張らないと音ノ木坂がなくなっちゃうんだよ?」

にこ「逆に言うけど、穂乃果はもし廃校になったらこのμ'sを立ち上げた意味は全くなかったと言うの?」

穂乃果「──え?」

にこ「その逆も言えるわ。もし廃校が撤回されたらμ'sは意味をなくして解散するつもりなの?」

穂乃果「そんなつもりは……」

にこ「にこにとっては同じようなものよ。だからこそ目標を変える。意識を変えるの。今この瞬間を楽しむ。簡単に見えて難しいわ。でも、出来るようになれば武器になる」

穂乃果「にこちゃん。本当に結果として廃校撤回が付いてくる?」

にこ「ええ、この私が保障するわ。それともにこは信用出来ない?」ニコッ

穂乃果「ううん。にこちゃんはファーストライブを見に来てくれて、それからずっと力になってくれてる。一番信用出来る先輩だもん。信じるよ」ニッコリ

にこ「そういうことだから。今この瞬間を全力で楽しむのがこれからのμ'sの目標よ。だからことり、作詞も頭悩ませ過ぎないで楽しみなさい」

ことり「それとこれとは別問題だよぉ」

穂乃果「ことりちゃんなら出来るよ☆」

海未「注目を浴びてる今、ことりの可愛さがあれば更に波に乗れますよ」

凛「真姫ちゃんとにこちゃんに対してのコメントが凄いんだよー」

花陽「王子様がミスキャストだと思ってたけど、最後まで見るとナイスキャストでした、だって」

凛「お姫様の最後のキスの後のゆっくりと王子の背中に回すところが素敵でした。同じような意見が沢山だよ!」

にこまき「////」

──土曜日 ハンバーガーショップにて


にこ「みんな休日に悪いわね」

海未「いえ、それは構わないんですけど。何故ことりに内緒だったんでしょうか?」

凛「ラーメンは夕ご飯にするからいいよー」

穂乃果「パンもいいけどバンズもいいよね~。ハンバーガー美味しい……モグモグ」

真姫「それで、今日は何をする為に呼んだのよ?」

花陽「秋葉ですからやっぱりショッピングが目的ですか?」

にこ「ちょっと色々あるのよ。今は何も考えずに食事を楽しみましょう。この瞬間を楽しむのがμ'sよ!」

凛「それ聞き飽きたにゃー」

穂乃果「モグモグ……ポテトも美味しい~♪」

海未「ほら、穂乃果。口周りが汚れていますよ」フキフキ

穂乃果「んー。海未ちゃんありがとう☆」

花陽「凛ちゃんも口にケチャップが付いてるよ」フキフキ

凛「かよちんありがとう!」

真姫「……にこちゃんも口が汚れてるわよ。しょうがないから拭いてあげる」フキフキ

にこ「真姫ちゃん? にこまだ何も食べてないんだけど」

真姫「よ、汚れてたのよっ!」カァァ

にこ「そ、そう? 歯磨き粉でもついてたのかしら。アイドルだから身だしなみには十分気をつけてるんだけど」

真姫「そうよ。歯磨き粉だったわ」

♪愛してるばんざーい

にこ「あ、ちょっと電話だからごめんね」

スタスタッ

にこ「もしもし? 秋葉のハンバーガー屋に居るわ」

佐藤『丁度僕も今その近くに居るから店の前に直ぐ出てきてもらえる。少しだけ時間貰うけど、十五分か二十分くらいで済むから』

にこ「分かった。丁度食べてるところだから、それくらいなら平気よ」

佐藤『それじゃ、よろしく』

スタスタッ

にこ「みんな、ちょっと二十分前後席を外すけど戻ってくるから。それまでみんなで待っててもらえる?」

真姫「何処かに行くなら私も一緒に行ってあげるわ」

にこ「えっと、ごめんね。にこ一人じゃないと駄目なのよ」

真姫「ふぅん」ムスッ

穂乃果「ナゲットも美味しい♪」モグモグ

海未「こちらは気にせずに行ってきてください」

凛「秋葉の名物についてかよちんに聞いておけばアッと言うまだよ」

花陽「最近といえば伝説ってレベルのメイドさんのミナリンスキーさんっていう人がいるんだよ」

にこ「それじゃあ、真姫ちゃん。少しだけ言ってくるわね」

真姫「行ってくればいいでしょ」プイッ

にこ「じゃあ、ごめんね」スタスタ

凛「にこちゃん何か怪しかったよね?」

真姫「そうね、何かおかしかったわ」

海未「……そうでしょうか?」

花陽「あっ、お店の外でにこちゃんが男の人と会ってる」

穂乃果「モグモグ本当だ!」

真姫「──にこちゃっ!」スタッ

花陽「殺人は犯罪だよぉ!」ガシッ

凛「そ、そうだよ真姫ちゃん。思い直して!」ガシッ

真姫「どうして二人していきなり殺すなんて思ってるのよ! 頭の中を捌くだけよ! それより離して、にこちゃんが行っちゃう!」ググッ

穂乃果「というか、もう行っちゃったねぇ」

真姫「……にこちゃん」ガクリ

海未「自分の意思で行ったのですから変なことにはならいでしょう」

──ミナリンスキー捕獲計画


佐藤「で、二時からことりちゃんが休憩になるんだ」

にこ「じゃあ、その頃にあんたの働いてる店に行けば良いわけね」

佐藤「そう。先に常連さんや店長に協力を得てる。僕の働いてる店にミナリンスキーの生写真が飾ってあるってね」

佐藤(本来なら撮影禁止だったと言ってる割に、写真にはサインが付いてるんだけどね)

にこ「盗撮写真だけどね」

佐藤「しょうがないだろ? これもことりちゃんの為だよ」

にこ「普通だったら怪しすぎて警察に通報するけどね」

佐藤「それは勘弁」

にこ「で、にこをどこに連れていこうっての?」

佐藤「ミナリンスキーの逃亡ルート。正確にはそのルートだと捕まえられないから、この道を行くと近道になるんだ」

にこ「逃亡ルート?」

佐藤「ま、ミナリンスキーに出会ったら行き着く場所だよ。ことりちゃんが逃げたらそこに先回りすれば捕まえられるから」

にこ「あんたの存在って知れば知るほどミステリーよね。実はにこ以外には見えてなくて死んでるとかいうオチがあるんじゃない?」

佐藤「そうだったらバイトなんて出来ないよ」

にこ「で、見つけた後どうするのよ?」

佐藤「そこはリーダーである穂乃果ちゃん次第なんだけど、もしとある提案しなければにこにーが提案してくれる?」

にこ「とある提案?」

佐藤「明日、穂乃果ちゃんと海未ちゃんがことりちゃんと一緒にバイトするって提案」

にこ「何よ。その前触れも何もない超展開。どう提案すればいいのよ」

佐藤「わざと短い期間を決めたから穂乃果ちゃんが自ら提案してくれる筈だから心配ないと思う。店長さんには話し通してあるから、決まったら話してみて」

にこ「あんたは千里眼の能力でも持ってるわけ?」

佐藤「それは遠くを見通す力だよ」

──ワンダーゾーンに続く道


にこ「チェックメイトよ、ミナリンスキーさん」

ことり「ぴぃっ!」ビクッ

にこ(と、ことりを捕まえてみんなでメイド喫茶まで来たのはいいけど、真姫ちゃんの機嫌が戻ってからずっと悪いのが気になるわね)

にこ(海未が言うには佐藤と一緒に居たのを見られてからずっとらしいけど。どうしてこんなに機嫌悪くなるのかしら?)

ことり「ことりには何もないから」

穂乃果「そんなことないよ!」

海未「そうです。ことりに何もないというなら私達にも何もないことになってしまいます!」

ことり「実際にことりは海未ちゃんみたいに作詞頑張ってるけど、全然出来ないし」シュン

海未「ただ私は中学の時にぽ、ポエムを書いていたからです」カァァァ

ことり「ううん、そんなことない。ことりが何もない証拠だよ」

穂乃果「ことりちゃん! だったら作詞を一緒に考えようよ。とびっきりの方法で!!」ニッコリ

──その後、解散


にこ「真姫ちゃん?」

真姫「なによ?」

にこ「どうしてそんなに機嫌悪いの?」

真姫「別に機嫌悪くなんてないわよ。これが私の普通よ」ツンツン

にこ「いつもは何だかんだで笑顔をくれるじゃない」

真姫「そんなことないわ!」

にこ(なんだか妹達との約束を破っちゃった時の反応に似てるのよね。真姫ちゃんの魅力は見た目と違ってこういう可愛いギャップよね)

にこ「デートしましょうか? 今日はお母さんが居るから遅くなっても平気だし」

真姫「っ! どうして私がにこちゃんとデートなんてしないといけないのよ///」

にこ「にこがしたいからよ。真姫ちゃんとデートするとにこは嬉しい。真姫ちゃんの機嫌も直る。一石二鳥でしょう?」ニッコニッコニー♪

真姫「人前で恥ずかしい発言とそのポーズ止めなさいよ。私の方が恥ずかしいじゃない」カァァ

にこ「で、どうなの?」

真姫「にこちゃんがそこまで言うなら……家に泊まりに着てもいいわよ」カミノケクルクル

にこ「泊まり!? スケールがグレードアップしてるんだけど」

真姫「いいじゃない。どうせ明日も一緒に秋葉に来ることになるんだし。それなら泊まりにきた方がいいわ」

にこ「先に着替えとか必要だから家に寄ってもいい?」

真姫「別にそれくらい買うわ。買っておいて家に置いておけばいつでも泊まりにこれるでしょう?」

にこ「それは普通に悪いからいいわよ。にこの家は秋葉だからここから歩いても近いし」

真姫「いいから! いくら秋葉とはいえ服くらい売ってるでしょ?」ガシッ

にこ「秋葉で買う服って……! そんなことよりデートを」

真姫「買い物も立派なデートよ」

にこ「にこすっごい嫌な予感がするにこ~~~」ズルズル

──ようこそ、西木野家へ


にこ「同じ部活でお世話になってます。音ノ木坂学院三年の矢澤にこです。本日はお世話になります」

真姫ママ「高校生になってから真姫ちゃんがお友達を連れてくるなんて初めてだわ。それもお泊りだなんて。くすっ、最近機嫌がいいのは貴女のお陰なのかしら?」フフフ

真姫「ちょっと、ママは引っ込んでてよ!」

真姫ママ「あら? くすくすっ。恥ずかしがり屋なのと素直になれないのは誰に似たのかしらねぇ?」

真姫「ママでないのだけは確かよ! さ、にこちゃん私の部屋に行きましょう」

にこ「では、失礼します」ペコリ

真姫ママ「仲良くしてあげてね」ニコリ

真姫「全く! ママってば余計なことばかり言うんだから」ツンツン

にこ「でも、綺麗なお母さんね」

にこ(にこのお母さんとはやっぱ全然違うわね。美容に掛ける金額の違いかしら? ……元々の差という気もするけど。顔立ちは真姫ちゃんそっくりだし)

真姫「」ムスッ

にこ「将来の真姫ちゃんを見たって感じね」

真姫「そう? 別に綺麗って程でもないと思うけどね///」

にこ「十分綺麗よ」

真姫「さ、ここが私の部屋よ」

にこ「……想像はしてたけど広いわね。というか、一人で寝てるのよね? なんであんなにベッドが大きいの?」

真姫「大きい? あれくらい普通でしょ」

にこ「にこの家族全員寝られるサイズが普通な訳ないでしょ」

真姫「ふふっ。にこちゃんは面白いこと言うのね」

にこ「ジョークじゃないわよ! 意外とお嬢様思考だったのね」

真姫「クッション居る?」

にこ「これだけ柔らかい絨毯ならそのままでいいわ」ストン

真姫「それでにこちゃん……あの男って誰だったの?」

にこ「あの男? あぁ、佐藤のことね」

真姫「また佐藤」

にこ「何怖い顔してるの? 真姫ちゃんには涼しい笑顔が似合ってるわよ」

真姫「にこちゃんと佐藤の関係は?」

にこ「う~ん、言葉にすると難しいわねぇ。アイツって秋葉のスクールアイドルショップの店員なんだけどね。出会ったのは三月。春休みの時にね」

にこ「いきなりムカついたこと言われたからぶっ飛ばしたくなったけど、でもね……一応アイツのいうことは正しかった。真姫ちゃんとこうして友達になれたのもアイツのアドバイスがあったから」

にこ「前にも言ったけど、にこって一人ぼっちだったから、素直になるのが苦手だったんだけどね。ま、お陰でなんか穂乃果やことりにはにこにクラスの友達が普通に居ると思われてるんだけどね」

真姫「にこちゃん」

にこ「怪しい奴だけど悪いやつじゃないわ。それはにこが保障する」

真姫「結局佐藤はにこちゃんのファンなの?」

にこ「………………絢瀬のファンっぽいわ」ケッ

真姫「絢瀬? 絢瀬なんて苗字いたかしら?」

にこ「生徒会長の絢瀬よ。男は巨乳で金髪に弱いっていう典型的なやつね」

真姫「そうなの。ふぅん、あっ別に私はにこちゃんが男と付き合えるなんて最初から思ってなかったけどね」

にこ「付き合うって、突然何の話よ?」

真姫「なんでもないわ」フフッ

にこ「おかしな真姫ちゃんね。そもそもアイドルは恋愛禁止よ?」

真姫「そうよね、《男性とのスキャンダル》で失脚するアイドルっているものね」

にこ(今やけに男性とのスキャンダルの部分を強調された気がするけど……)

にこ「そうだ、泊めてもらう訳だしにこが晩御飯作ろうか?」

真姫「料理人が作るからにこちゃんは私と一緒に居ればいいのよ」

にこ「料理人!? ま、真姫ちゃんの家には料理人まで居るの?」

真姫「ええ、だから私は一切料理が出来ないわね。尤も、ピアノが趣味だから料理人が居なかったとしても料理はしなかったと思うけど」

にこ「そうね、真姫ちゃんにはピアノがあるものね。μ'sって有能キャラが多いわよね」

真姫「にこちゃんだってその一人じゃない」

にこ「有能だったら昔から一人ぼっちじゃないわよ」

真姫「私だって一人だったけど?」

にこ「でもさっきのお母さんの話し方だと中学では友達を家に連れてきたりとかしてたんでしょ?」

真姫「違うわよ。あれはお金持ちの家って見てみたいとかくだらないこと言って押し切られたのよ。その一回をずっと言ってるだけ。友達ではなかったわ」

にこ(この話題は色々とにこが傷つくから話題を変えましょう)

にこ「それよりも……」

──にこがパジャマに着替えたら


にこ「どうしてよりによって……クルミ」

真姫「元が何か分からないけど、にこちゃんに似合いそうだったから。実際に似合ってるわ!」

にこ「こんなの似合ってるって言われても嬉しくないわよ! しかも、下着用意してないとか嫌がらせ以外のなんでもないわ!///」

真姫「それでこれはどんなキャラの衣装なの?」

にこ「言いたくない……」

にこ(原作そんなに知らないけど、確か高校に飛び級した中学生とかそんな感じのキャラだった筈よ。天才13歳だったっけ? ロリキャラであるのは確かね)

カシャッ!

にこ「何でにこのこんな姿を携帯で写してるのよ!」

真姫「いいじゃない。減るもんじゃないし」

にこ「こんな格好撮られたら魂が擦り減るわ! アイドル衣装ならいいけど、コスプレはNGよ!」

真姫「あっ、でもμ'sの皆に送っちゃったから」ニコリ

にこ「なんてことしてくれてんのよぉ~!!」////

真姫「にこちゃんが家に泊まりに着てるってこれで皆に知れ渡ったわね。勿論下着なしってことも伝えておいたから安心して」

にこ「にこ~~~~!?」カァァァァ

真姫「ふふっ、冗談よ。下着穿いてないなんてことは伝えてないわ」

にこ「送ったことが冗談にして欲しかったわ……」

真姫「にこちゃんって普段は年上って感じするけど、こうして弄ると年下みたいよね」フフッ

にこ「今のアイドルは需要があればバラエティにも進出しないといけないのよ。だからよ、別ににこが子どもっぽい訳じゃないわよ」ムスッ

真姫「ふふふっ。本当ににこちゃんは可愛いわね。にこちゃんの所為でもう一人には戻れそうにないわ」

にこ「戻らなくていいわよ。私や穂乃果達が卒業したって真姫には凛と花陽が残るんだし。一人になることなんてないわ。なんせ一クラスしかないしね」

真姫「……卒業。にこちゃんは卒業したらどうするか決めてるの?」

にこ「勿論! 卒業と同時に芸能界入りしてアイドルデビューにこっ♪」

真姫「もしもなれなかったらって考えたりしない?」

にこ「そういうのは考え事にしてるわ。だって、暗い考え持ってたらファンに見抜かれちゃうもの」

真姫「アンバランスよね。強かったり弱かったり。にこちゃんの実態ってまだまだ分からないわ」

にこ「それはそうよ。にこは奥が深い女なんだから」フフーン

真姫(成長途中の女の子って感じしかしないけど、得意気に胸を張るにこちゃんが可愛いから黙ってましょ)

──魔法少女の夜


にこ「これだけ広いベッドで二人くっついて眠る必要ってあるの?」

真姫「嫌なの?」

にこ「嫌じゃないけど、なんだか贅沢を無駄遣いっていうか……」

真姫「いいじゃない。誰かに寄りかかる経験なんて今までしたことなかったんだから」

にこ「私の小さい身体でいいのなら好きなだけ寄りかかりなさい」

真姫「……うん」ギュッ!

にこ(どう見てもアンバランスなのは真姫ちゃんよね)ナデナデ

真姫「ねぇ、にこちゃん」

にこ「んー?」

真姫「キスしましょう////」

にこ「…………真姫ちゃんって、キス好きよね」

真姫「好きでもない相手とキスなんてできないわよ」ポツリ

にこ「にこぉぉぉぉ!」カァァァァ

真姫「私も同じよ。好きな相手としかキスしたくないわ」ポッ

にこ「キスよりその台詞でにこは恥ずかしさで死にそうよ。……ほら、目を瞑って」

真姫「うん」

にこ「お姫様へのキスよ……///」チュッ

真姫「んっ」チュッ

にこ「一体何度目のキスなのやら分からないわね」

真姫「出逢って二ヶ月も経たないのに、にこちゃんが私の胸の中でどんどん大きくなっていくんだもの」ギューッ

にこ「その言い方だと恋みたいに聞こえちゃうわよ」

真姫「……そうね。もうにこ病は末期みたい。海未の穂乃果病と同じでもう後戻りなんて出来ないわ」

にこ「にこ病? 穂乃果病? え、なにμ's内にイジメがあるの?」

真姫「もう一回キスよ!」

にこ「え、その前ににこの質問を答え──んぅ!?」チュッ

真姫「ちゅっ!////」

にこ「……いや、だからキスの前にね、っん!」チュー

真姫「にこちゃん大好き! んーっ!」チュチュッ

にこ「はぁはぁ……。ちょっと、冷静になりましょう?」

真姫「私は冷静よ。冷静じゃなかったらキスなんて出来ないわよ!」

にこ「いや、真姫ちゃんの性格的に冷静だとキスとか出来なさそうなんだけど」

真姫「これから作曲が大変になるから、にこちゃんが何でも手伝うって言ってたわよね? 作曲にはにこちゃんのキスが必要なのよっ!」

にこ「言ってることが滅茶苦茶ニコッ!?」

真姫「いいの。もう我慢しないの! 今度はにこちゃんからキスして!」

にこ「しょうがないわねぇ。うちの妹達より甘えん坊なんだから。……真姫ちゃん、好きよ。ちゅぅ~」///

真姫「にこちゃん……んぅっ、んん!」////

──真夜中の魔法少女


真姫「スー……スー……」zzz

にこ「まさか50回もキスすることになるとは思わなかった。キス魔過ぎよ。せめて半分で25回でにことかにしなさいよねぇ」ナデナデ

にこ(随分と懐かれたわね。お互い少し前まで一人ぼっちだったのに、不思議だわ。偶然にも将来のことしか考えてなかった二人だったのに)

にこ(誰かと一緒に居ることがこんなにも嬉しいだなんてね。もう、どうするのよ。私はこの先芸能界に入って、一人に戻ったら寂しくて死んじゃうわよ)

にこ(μ'sの仲間もだけど、やっぱり真姫ちゃんのことが好きで仕方なくなっちゃってるわね。キスは反則よ)

真姫「……ンー……スーハー……」zzz

にこ「寝顔は年齢より幼く見えるわね。可愛い……。はぁ~、今人生で一番幸せだから相手が女の子でもいいかなと思っちゃうわね」ナデナデ

にこ「元々アイドルだから男性はNGだしね。あはは、私も寝ましょう。おやすみー真姫ちゃん」チュッ

──それからの日々


にこ(ことりの新曲ワンダーゾーンに路上ライブ。中間テストを難無くクリアーして次のPVは花陽と凛のWセンター。穂乃果とことりには次の海未のセンターの歌詞を考えてもらいながら慌しい日々が続いた)

にこ(路上ライブと間を余り空けないPVの連続で遂にμ'sは21位まで上がり、ラブライブの開催が発表されたわ!)

にこ「海未。今日は問答無用よ」

海未「……うぅ///」

ことほの「海未ちゃん」

凛「どうして海未ちゃんはそんなに恥ずかしがり屋なのー?」

花陽「最初は恥ずかしいと思うけど、これだけやってれば普通慣れる……と思うんだけどね」

真姫「人には当たり前のようにPVでにこちゃんとキスさせておいて、自分は路上ライブで自分のセンターの新曲披露出来ないとかないでしょ?」カミノケクルクル

海未「……そ、そうなんですが。昨日路上ライブ終えるときに今日もすると宣伝したから、集まるお客さんは昨日より多いじゃないですか! それも今日は土曜日なんですよ?」

にこ「だから昨日歌っておけって言ったでしょ」

穂乃果「にこちゃん耳が痛くなるくらい言ってたねー」

ことり「そうだねぇ」

花陽「ラブライブ出場圏内に居ますから、きちんと人前で歌うことに慣れておかないと駄目ですっ!」クワッ

凛「かよちんが燃えてるにゃー」

海未「で、ですがまだ出場が決まったわけでもないですし」

真姫「縁起悪いこと言うのはなしよ。にこちゃんが言ってたでしょ? 今を楽しめって。恥ずかしいと思う前に楽しんでみなさいよ」

にこ「さっすが真姫ちゃんね。いいこと言うわ」ニッコリ

真姫「////」

にこ「ラブライブの前にどこかで普通にライブを経験するつもりだし、路上ライブくらいは慣れて貰わないと困るわ」

海未「……すいません。分かってはいるのですが、どうしても恥ずかしくなってしまって」

ことり「いつもは凛々しいんだけどねぇ」

凛「何か緊張しない方法とかないのかな?」

花陽「手の平に人という字を三回書いて飲み込めば……」

海未「それは昔に意味がないと実践済みです」

穂乃果「その割に弓道は得意なんだよね。私は弓道の方が難しいと思うんだけど」

にこ「何かいい手がないかしらねぇ。……このままムリに歌わせて失敗したら今後に響くし。ちょっとトイレに行ってくるから皆で何か案を考えておいて」スタスタッ

にこ「という訳なんだけど、何かいい方法はないかしら?」

佐藤『ドラえもんに頼るのび太君じゃないんだから。少しは自分で考えよう』

にこ「佐藤今日休みでしょ?」

佐藤『休みだと考えて当然ってのは理不尽だけど……。海未ちゃんのあがり症を治すとか無理だよ。キャラ崩壊しちゃうし』

にこ「キャラ崩壊って……あんたねぇ」

佐藤『冗談抜きでこればかりは海未ちゃん自身に慣れてもらうしかないよ』

にこ「頼りにならないわね。佐藤のくせに~」

佐藤『ジャイアン並みの理不尽になってきた。そうだなー……単純だけど、歌うより前にもっと恥ずかしいことを体験させればいいんじゃない?』

にこ「そうね。精神は鍛えてるから泣き崩れて歌えなくなる心配は無さそうだし。何させるのがいいのかしら?」

佐藤『リーダーである穂乃果ちゃんを使うのはどうかな?』

にこ「穂乃果を?」

佐藤『海未ちゃんを抱きしめて、両の頬にキスして頬擦りすれば良いんじゃない?』

にこ「……あんたの案ってトリッキーなのが多いわね」

佐藤『一時間も惚気話する奴にトリッキーとか言われたくない』

にこ「真姫ちゃんと仲良くなったのは佐藤が起因なんだから、責任取って話を聞くのが当然でしょ」

佐藤『仲良い百合は美しき哉。でも行き過ぎるとウザイけどね』

にこ「ウザイ言うんじゃないわよ」

佐藤『にこにーが幸せならいいよ。穂乃果ちゃんなら協力してくれるだろうから海未ちゃんの件は良いとして、ラブライブの出場許可を理事長に取っておいてね』

にこ「本当にこんな作戦で大丈夫なのかしら?」

佐藤『ぼっち告白から仲良くなるよりは現実的だと思うけど?』

にこ「うっさい!」

プツッ!

にこ「……そう言えば、あの時混乱してたし押し切られて流したけど、海未の穂乃果病とか真姫ちゃんが言ってたわよね。ならこの作戦は有効なのかも」

──路上ライブ前のテロ行為


にこ(着替え終わって尚、海未の緊張は解けてないわね)

にこ「穂乃果、あれお願いね」ボソボソ

穂乃果「んふふ~♪ 任せてっ!」ニヤニヤ

真姫(にこちゃんが何か企んでる顔してるわね)カミノケイジイジ

ことり(穂乃果ちゃんが悪戯する時の顔になってる。こういう顔は小さい頃から変わらないなぁ)

にこ「海未。顔を上げて立ちなさい。いつもの海未らしくないわよ」

海未「……うぅ。あの歌詞を人前で歌うだなんて、恥ずかしさでへそで茶が沸かせます」

花陽「大和撫子の海未ちゃんが諺を間違えちゃってるよぉ!?」

凛「海未ちゃんがセンターの『海色の少女』は乙女ソングだもんね」

真姫「根は乙女思考が強いから似合ってると思うけど」

穂乃果「う~みちゃんっ♪」ギュッ!

海未「ひゃっ! ほ、穂乃果っ?」

穂乃果「あのね海未ちゃん……。ほのかとことりちゃんの作った歌詞は海未ちゃんの重荷になっちゃったかな?」

海未「いいえっ! そんなことある筈がありません。二人が私の為に考えてくれた物が重荷な筈がありません。私の勇気がないだけで……」

穂乃果「そんな海未ちゃんに穂乃果の勇気を上げるね♪」ニコッ

海未「え?」

穂乃果「まずは左頬に……ちゅっ」

海未「──」

ことり「」

穂乃果「右頬にも……ちゅぅ」

海未「────」

ことり「」

真姫(これはことりに取ってはテロに近い行為よね)

凛(穂乃果ちゃん。幼馴染だからってもう少し感情を汲み取ってあげるべきだよ)

花陽(この後ライブなのに……。だ、大丈夫なのかな?)

穂乃果「えへへっ。海未ちゃん、勇気出た?」ニッコニコ

海未「/////」プシュー!

ことり「ホノカチャンホノカチャン...」ズーン

エリチー加入はまだなのか

穂乃果「これでみんな元気いっぱいだよね!」

海未「////」

ことり「ふぇ~♪」

凛「元気を通り過ぎて、完全に二人が行動不能になってるよー!」

にこ「……まだ時間があるわ。それまでに復活させましょう」

真姫「はぁ~。まったく、順位が上がっても締まらないわねぇ」

花陽「でも、ここがμ'sの魅力なんだって、私は思うよ」

真姫「そうかしら?」

花陽「うん! だって、先輩後輩気にするなって言われても、他の先輩達だったら絶対に緊張してたと思うから」

凛「確かにそうだよね。こういうドタバタがあるから気軽にやれるんだよ」

真姫「ま、そうかもね」フフッ

凛「特に真姫ちゃんは某先輩とは深い仲みたいだし」ニシシシ

真姫「ヴェェェェ!? にこちゃんとはまだそこまでしてないわよ!!」カァァァァ!

凛「古典的な形式は略すけど、真姫ちゃんの望む関係が分かったにゃー」

花陽「真姫ちゃんは本当ににこちゃんと仲がいいんだね」

真姫「モォォォォ! シラナイッ!」プイッ

>>139 エリーチカはにこまきのイチャラブが予定より長くなった為、次回送りにされました。

──路上ライブの終わりに...


海未「本日は足を止めていただきありがとうございました! 中には昨日も聞いてくれた方の顔もあったりと嬉しい限りです」

にこ「いつも言ってますが、私達音ノ木坂学院アイドル研究部μ'sはA-RISEが憧れであり、勝手なライバルだと思ってます。ラブライブ開催が決まった今の目標は、ラブライブに出場して憧れを乗り越えて私達μ'sが優勝してみせることです!」

穂乃果「ありがとうございましたー!」

ことり「応援ありがとうございました」

凛「凛達頑張るよー!」

花陽「本当にありがとうございました」

真姫「μ'sの曲聴いたんだから、良い週末を過ごしなさいよ」

パチパチパチパチパチ

にこ「着替えて反省会よ」

ツバサ「さ、μ'sの皆さんの後は一曲だけど、私達A-RISEが歌わせてもらうよ」

にこ「──綺羅、ツバサ?」

花陽「あんじゅさんに英玲奈さんも。ほ、ほんものの……A-RISE」

にこ「どうし、て?」

ツバサ「人が集まりすぎると怒られちゃうから。じゃあ、いくよ!」

ワァーーーーー!

↑訂正 >>138 でした。

──その頂は今は遠く


にこ(にこ達が全曲披露しても届かない。A-RISEの凄さを目の当たりにして、控え室に戻ってきても誰も何も言わない)

にこ(綺羅ツバサの別れ際の一言がみんなの口を閉ざさせたトドメなのは確実ね)

ツバサ『私達A-RISEをライバルだと思うのなら、もっと死ぬ気で練習してきなさい』

にこ(過剰な言葉なんかじゃない。制服のままだっていうのに、衣装を着ている私達より惹き付けていた。それはファンだけでなく、ライバルを自称している私達も惹き込まれていた)

にこ(ラブライブの開催が決まったばかりだっていうのに、これはヤバイわ。一気にモチベーションが落ちた。ラブライブ出場なんて夢のまた夢になってしまう)

にこ(あの明るい穂乃果ですら黙り込むのだから、誰がみんなを元気付けられるのよ。部長である私? それが出来たらやってるわ)

にこ(でも、時間が経てば経つほど実力の差が心に染みていく。まるで感染症みたい。特効薬のない今は死に至る病)

♪愛してるばんざーい

にこ(電話? 着信が佐藤。…………出たくない)

『泥船に乗りながら、信じれば向こう岸まで渡れると妄言を平気で吐けるくらいのメンタルの強さが必要だ』

にこ(くっ! こんな時になんであんなどうでもいい言葉が思い出されるのよ! 出ればいいんでしょ! でも、みんなの前では話すものも話せないし、トイレに行きましょう)スタッ

タッタッタッ

にこ「もしもし」

佐藤『さっきのライブ観てたよ。それから、おめでとう』

にこ「何がめでたいのよ!」

佐藤『あのA-RISEがμ'sをライバルと認めた』

にこ「嫌味? あんた、本気で言ってるんだとしたら蹴り倒すわよ!!」

佐藤『本気だよ。何で怒ってるのか分からないんだけど?』

にこ「スクールアイドル好きでなくても目に分かる明確な実力差があったじゃない! おまけに綺羅ツバサに『死ぬ程練習してこい』とか言われるし。どこがライバルなのよ! ふざけたこと言ってるんじゃないわよ!」

佐藤『ツバサは仙道みたいなやつだな。でも、感じてる通り今はまだ確かな実力差があるのは否定しない』

にこ「つまりバカにしてるってことよね! 一生懸命頑張って、ラブライブに出場出来そうなくらい人気も出た。でも、結局……そんなの、A-RISEの盛り上げる要員にしかならない」

佐藤『悲観的だなー。前に言ったろ? メンタルも鍛えろって。これはA-RISEなりの愛情表現だよ。この僕が保障する』

にこ「あんたの保障なんて………………本当なの?」

佐藤『電話が遅くなった理由がね、過去にA-RISEが路上ライブをしたことがあったかなんだ。UTX学院はライブ会場を完備してるから、当然の事ながら今日が初めて』

にこ「……それで」

佐藤『いくら路上ライブするようになってからA-RISEのお膝元で毎回A-RISEをライバルだっていってもだよ、可能性がなければこんな無茶してまで接触してこないよ』

にこ「無茶?」

佐藤『ラブライブ開催が決定したから一つのパフォーマンスとも言える免罪符がなければ学院側に怒られるような無茶だよ』

にこ「……」

佐藤『それでもμ'sを知って可能性を見たんだろうね。A-RISEにはライバルがいない。出来レースでないのに優勝が決まってる。これは冷静に見れるスクールアイドルファンなら誰でも導き出せる答えだ』

にこ「確かに、そうかもね」

佐藤『好敵手。つまりはライバル。自分達を高めるには最高の存在。それを欲してるんじゃないかな。ライバルがいればA-RISEは頂から更に天を目指せる』

にこ「……貪欲ねぇ」

佐藤『故にA-RISEは磐石の人気を誇ってる。でも、僕は九人の歌姫ならA-RISEをも超えられるって信じてる』

にこ「神話は歌の女神でしょ」

佐藤『君達には女神より歌姫の方が似合ってるよ。リーダーも部長も女神には程通いでしょ?』

にこ「うっさい!」

佐藤『あはは。調子出てきたみたいだね』

にこ「ふんっ! あんたが言いたいのはこういうことでしょ? 希と……絢瀬をμ'sに引き込めって」

佐藤『その通り。絢瀬さんは元々バレエをしてたからね。人を惹き付ける術を自然と身につけている。近くに居てどういう仕草が魅力的に映るのか、どういう動きが滑らかなのか。よく学ぶべきだ』

↑訂正:佐藤『君達には女神より歌姫の方が似合ってるよ。リーダーも部長も女神には程遠いでしょ?』



にこ「ただ単にあんたの好みなんじゃないの?」

佐藤『正に女神だからな! 柔軟とかで柔らかくするように指示だしてはいたけど、本格的な練習となると彼女の力が必要なんだ。女性人気も抜群だしね』

にこ「まっ、にこじゃ逆立ちしたって勝てそうもないプロポーションなのは確かね」

佐藤『当たり前だ! 赤子と女優を比べるよりも浅はかだ!』

にこ「そこは普通絢瀬にはなくて、にこにしかない魅力を語るところでしょうが!」

佐藤『そんなものはない!!』キッパリ

にこ「ふっざけんじゃないわよ!!」

佐藤『ま、冗談はともかく。ちなみに、その答えは真姫ちゃんなら満足いくまで答えてくれるよ。それで十分だろう?』

にこ「…………///」

佐藤『希ちゃんは間違いなく男性人気が集まるね。アイドルにおいてソレは正に武器だよ。それに、落ち込んでたみたいだけど、そういう時に希ちゃんはきっと皆を優しく支えてくれる』

にこ「あんた希に会ったことあるの?」

佐藤『スピリチュアルだよ。会ったことはない』

にこ「希も使うけど、スピリチュアルって何なのよ?」

佐藤『さてね』

にこ「本当に佐藤は謎キャラよね。でも、敵である絢瀬がμ's入りするとは思えないわ。希だって絢瀬の見方だろうし。今度はどんな作戦で仲間にするの?」

佐藤『──』

にこ「佐藤?」

佐藤(ヤバイ……今の今までこの面倒掛かるにこにーの所為で見逃していた。致命的過ぎるミス。のんたんの活躍をにこにーがほとんど奪ってきた。あと、穂乃果の活躍も)

佐藤(本来なら海未が亜里沙ちゃんに出会ってからバレエの動画を見る筈だったのに、色々急ぎすぎて海未が亜里沙ちゃんと出会うフラグがきちんと立つのかどうかすっごく怪しい)

佐藤(それににこにーも言ったけどのんたんはエリーチカ派だ。本来ののんたんならばμ'sを九人にすることが廃校を阻止して、明るい未来を掴む為にμ'sよりで行動してくれていた)

佐藤(が、エリーチカが入らなければ必然的に接触が少なかったのんたんがμ's入りするフラグも消滅しているかもしれない。現状のフラグが模糊だ。どうすればいいんだ)

にこ「佐藤聞いてるの?」

佐藤『にこにーなんて無視してエリーチカ助けてれば良かったー!』

にこ「うるさいわね。耳がキーンとしたじゃない。そもそもエリーチカって誰よ?」

佐藤『エリーチカ:歌姫。優れた智を持ち、かしこい。美麗、かわいい・女神属性・エリーチカ科。通称KKE』

にこ「何バグってるのよ。戻ってきなさい!」

佐藤『はっ! そうだ、逃げても現実は変わらない。それはあの日知った筈だ。よし、相手が相手だけに作戦を立てるのが難しい。夜に連絡するから今は落ち込んでる大切な仲間を救ってあげて』

にこ「分かった。あ、佐藤」

佐藤『ん?』

にこ「ありがとう。正直、今回は危なかったわ」

佐藤『いいさ。次の作戦が思いつかなかったら真正面から挑んでもらうことになるし、先行投資ってやつ』

にこ「それでもいいわよ。助かったし、それに絢瀬とはぶつかり合う運命の気がするし」

佐藤『なるべく頭を捻る。じゃあ』

にこ「うん、それじゃあ」

佐藤『あ、最後に一つ。

《九人揃ってμ's》

これがこの世で一番美しい言葉だ』

──この瞬間を楽しむということ


にこ「みんな! 何を見当違いのことで落ち込んでるのよ」

にこ「暗い暗い! さ、反省会を始めるわよ。といっても、今のμ'sでは最高の出来だったと誇れるくらい完璧だったわ」

海未「それでも、A-RISEには到底及びません」ポツリ

にこ「μ'sって九人の歌の女神から付けられた名前でしょ? だったら足りないのよ」

凛「なにがなの?」ボソッ

にこ「人数。私達はまだ七人。二人足りてない。だからまだA-RISEに届かない。でもね、A-RISEは私達をライバルと認めてくれた」

穂乃果「どこが? 全然だよ。認められてるわけないよ」

にこ「まったく……。リーダーがそんな調子でどうするのよ。相手にもしてないグループの路上ライブに乱入し、終わった後にあんなこと言うと思う? 花陽、アイドル好きとしてどう思う?」

花陽「……言わない、かな。そもそも、アイドルは上を目指す存在だから。下を見る必要はないんじゃないかな?」

にこ「そうよ。アイドルは常に上を目指すの。今というこの瞬間を楽しんで笑顔を浮かべる。その笑顔がファンの笑顔を生む。そして、だからこそより輝いていける。最高の循環よね」

ことり「今この瞬間を、楽しむ」

穂乃果「にこちゃんがいつも言ってる言葉だよね」

にこ「皆は今この瞬間を楽しんでるようには見えないわ。真姫ちゃんに暗い顔似合わない。そんな顔してたらもうキスしてあげないわよ?」フフーン

真姫「ヴェェェ! なに言ってるのよにこちゃん!」カァァァ

にこ「その調子よ。元気出しましょう。取り合えずみんな立ちなさい。きりーつ!」

……スタッ

にこ「元気になる魔法いくわよ。魔法少女のにこにーの真似をしなさい。いっくわよ~!」

にこ「にっこにっこにー♪」

穂乃果「にっこにっこにー♪」

海未「うっみうみっうー♪」///

ことり「にっこにっこにー♪」

凛「にっこにっこにー♪」

真姫「まっきまっきまー♪」

花陽「にっこにっこにー♪」

にこ「……みんながやってくれた。感動だわ。にこ、部長やっててよかった。今日でμ'sが解散してもいいかも」ウルウル

穂乃果「待ってよにこちゃん! 穂乃果がリーダーやってる内は解散なんてさせないよ!」

ことり「そうだよっ。解散したら穂乃果ちゃんに可愛い衣装着せられなくなっちゃうよぉ」

海未「途中で投げ出すなんて私が許しません」

花陽「ラブライブを前にして辞めるなんてありえません!」

凛「可愛い衣装着るのって恥ずかしかったけど、今は楽しいから解散なんてなしだよ!」

真姫「にこちゃんは今日は私の家に泊りでキス一杯ね」

穂乃果「……あれ? 何か真姫ちゃんだけ他のこと言ってなかった?」

にこ「にこには『解散なんてさせないわ!』って聞こえたにこっ」アセアセ

海未「私の耳にも他のこと言ってるように聞こえましたが……」

ことり「くすっ。ねー、穂乃果ちゃん? 今日はお泊りに行ってもいいかなぁ?」

海未「でしたら私も一緒に泊まりたいです」

穂乃果「いいよ! 今日はいっぱい三人でお話しよう」

凛「この流れだと凛はかよちんのお家にお泊りだにゃー♪」

花陽「うん! えへへ。A-RISEの動きを勉強して、みんなの力になろうね」

ことり「ということは、にこちゃんは真姫ちゃんのお家でキスだねっ♪」

にこ「ななななんでキスになるのよ!」カァァ

真姫「(ことりに聞かれてた!)////」

ピッ!

『にこは好きでもない相手とキスなんてできないわよ!!』

にこ「ことり! いい加減それ消しなさいよね!!」クワッ

ことり「ちゅん♪」ニッコリ

穂乃果「ね、海未ちゃん」

海未「なんですか、穂乃果?」

穂乃果「やっぱりさ、μ'sは今を楽しんで笑ってるのが似合ってるよね」

海未「ええ、本当に。にこのお陰ですね」

穂乃果「うん。ほのかもあんな風になりたいな」

にこ「これは部長命令よ! 消さないとことりをメンバーから排除するわよ!」

凛「あーっにこちゃんってば大人げなーい☆」

花陽「くすくすっ。真姫ちゃんすごい赤いよ」

真姫「イワナイデ!!///」

ことり「ちゅん♪」

海未「ふふふっ。後はにこの様に揺るがない自信を持ってくれれば」

穂乃果「なれるかな?」

海未「なれますよ、絶対に。少なくとも私とことりはそう信じてます。……ですが、にこは本当に強い」

にこ「人語喋りなさいよ、この鳥類人間ことりんがー!」

花陽「もうスクールアイドルを超えて不思議物体になっちゃってるよぉ!?」

凛「にこちゃんはネーミングセンスが壊滅的だよねー」

ことり「ガガガガガ! ことりんがーだちゅん♪ ことりんがーのおやつにしちゃうぞっ♪」ギギギギ

花陽「ことりちゃんが機械人間ニナッチャッタノォォォ!?」

凛「にこちゃんだけじゃ勝てないから凛が力を貸してあげるよ!」シャー!

にこ「何の戦いが始まったのよ!? って、また誤魔化されるところだった。除去しなさい!」

ことり「ギギギ……それはムリだちゅん。魔法少女マッキー。にこちゃんと凛ちゃんをやっつけるのだぁ!」ウキウキ

真姫「わ、私は魔法少女マッキーよ////」

にこ「ムリして参加しなくていいから! か、可愛いけど///」

凛「見事に誤魔化されてるにゃー」ボソボソ

花陽「くすっ。そこがにこちゃんらしいよね」ボソボソ

穂乃果「皆が暗くなっちゃった時にこうして笑顔にさせられる。それってにこちゃんが目指してるアイドルそのものなんだよね」

海未「そうですね。にこならきっと素晴らしいアイドルになれそうです」

穂乃果「アイドルに……。そう、だね。にこちゃんなら…………」

海未「ん? どうかしましたか?」

穂乃果「ううん。A-RISEもアイドルを目指してるんだよね?」

海未「それはそうでしょう。でなければあの完成度は誇れないと思います」

穂乃果「そうだよね。にこちゃんもA-RISEも凄いなぁ」

海未「……穂乃果?」

──週明け 部室


海未「ラブライブの出場条件が赤点を取らないこと。これを見越してにこはずっと勉強もするように言ってた訳ですね。流石にこです」

穂乃果「じゃあ今度の期末を終えたらもう勉強しなくていいんだ!」パァァ

凛「それならもう少しだけ頑張れるね!」キラキラ

ことり「勉強に終わりはないよぅ?」

花陽「そうです。どこかで活動するにしろ、成績が下がった所為でライブを中止とかになるかもだし。これからも勉強はしていこう」

穂乃果「やる気が~」

凛「なくなったにゃ~」

海未「だらしないですよ。この瞬間を楽しむのがμ'sじゃないですか。勉強も楽しんでやればそこまで嫌うことはない筈です」

穂乃果「苦痛なものは苦痛だよ~」

凛「そうだよ~それに英語なんて海外に行く人だけ覚えればいいんだよ」

海未「英語の歌詞が入ったらどうするんですか? 凛だけその歌の時はマラカスでも振ってますか?」

凛「凛はマラカスでいいよ~」シャカシャカ♪><

ことり「それってとってもかわいいかもっ♪」

花陽「ふふふっ。マラカスの凛ちゃんも可愛いけど、花陽は一緒に歌いたいな」

凛「……はぁ~。頑張る」

ことり「穂乃果ちゃんも後輩の凛ちゃんが頑張るんだから、頑張らないとねっ♪」

穂乃果「ほむぅ」

海未「穂乃果。やっぱりソレを流行らせようとしてませんか?」

──同時刻 生徒会室


絵里「何の用なの? 用がない生徒の生徒会室への出入りは禁止なのだけど」

希「まぁまぁ。えりちそんな威嚇せんでも」

真姫「用がなければこないわよ。こんな所!」フンッ

にこ「スクールアイドルμ'sの代表として、二人に話があるの」

絵里「私達に? 見ての通り忙しいのだけど」

希「今日中にしなくちゃいけないものはないんだし、話聞いてあげよう」

絵里「……手短にね」

にこ「単刀直入に言うわ。μ'sに入って欲しいの。二人がいないとダメなの。A-RISEに届かない」

絵里「戯言を言うのなら身内同士ですることね。もう用がないんでしょ、出て行きなさい」

真姫「そんな言い方ないでしょっ!」キッ!

絵里「話にならないのだからしょうがないでしょ?」

にこ「だからこそ必要なのよ」

絵里「冗談じゃないわ。生徒会はね、ただでさえ人数が少ないの。廃校を阻止する為の準備だって必要で、逆にこっちが人員を借りたいくらいよ」

真姫「廃校問題なら私達μ'sが活躍すれば学院の注目も集まるし、そっちの方が確実じゃない」

絵里「そんな雲の上を歩くようなプランに確実性を求めるなんてどうかしてるわ。現実は絵本の中じゃないのよ? 地に足着けて生きなさい」

希「μ'sに入るのウチはいいよ」ニコリ

にこ「希っ!」

絵里「希っ!?」

希「ラブライブが開催されることになって、現在19位まで順位を上げてるμ's。ウチは雲の上を歩く趣味はないけど、叩いても落ちない石橋の上なら渡れるんやで」

絵里「考え直しなさい。この子達のやってることは素人がアイドルを真似てるだけの代物なのよ? 希が手を貸す事なんてないじゃない」

真姫「言いたいことばかり言って!!」ギリッ

にこ「真姫ちゃんダメっ!」ガシッ

真姫「離して!」

にこ「これくらいで腹を立ててたらアイドル失格よ。世の中ネット弁慶が多いんだから」

真姫「訂正しなさいよ!」

絵里「訂正する部分なんて一つもないわ」フンッ

希「えりち」

絵里「邪魔が入ったし、今日はもういいわ。私はこれで帰る。希、後悔しないことね」

希「ウチは信じてるから大丈夫や」

絵里「…………」スタスタッ

ピシャッ!

真姫「なんであんな性格悪いのが生徒会長なんてやってるのよ!!」

希「普段はいい子なんやけどね。にこっちと関わるとああなるんよ」

にこ「とんだ女神もいたもんね」

真姫「女神?」

にこ「女神属性エリーチカ科って、何でもないわ」

希「ところで二人はいつまでも抱き合ってるん?」ンフフ

にこ「にこはさっきから両手を離してるんだけど、不思議と離れないのよ」パタパタ

真姫「不思議ね///」ギュッ

希「本当に仲いいんだね」

にこ「うっさい!」クワッ!

希「……信じてるからね、えりち」ポツリ

凛「にこちゃんと真姫ちゃんのイチャラブの所為で凛とかよちんの活躍が短縮されて割を食ったよ! にこちゃんの無駄なパジャマシーン割いて凛達に活躍の場くれてもいいじゃんか!」プンプン

花陽「で、でも海未ちゃんも同じなんだし。我慢しよう……ね?」

凛「海未ちゃんは絶対この先見せ場があるに決まってるにゃ!」

花陽(た、確かにそうかも……)

凛「凛達は皆の引き立て役じゃないのにぃ~」

絵里「引き立て役でも出番が多いんだからいいじゃない!!」

凛「だ、誰だっけ?」ボソボソ

花陽「生徒会長さんだよ」ボソボソ

絵里「そうよ! 私なんて他のメンバーの前に出たのはファーストライブの時くらいよ!! 女神が何よ! ヒロインって何よ! おまけに今は一人ぼっちよ!!」

りんぱな「ひ、悲惨……」

絵里「それから希! 信じればいいって訳じゃないのよ! 信じるくらいなら一緒にきなさいよ! アニメと違って淡白過ぎよ!! A-RISEのツバサなんて出番一つなのに私よりインパクトあるし! エリチカおうちかえる!」

これから物語は夏(イチャラブ)から秋(シリアス?)に向け動き始める。全てはラブライブに向けて。

そして、佐藤は遂に女神と……!? 穂乃果はことりのあの問題と……。 次回は同時刻の佐藤へ続く!

乙ー
でも、百合分はもっと少ないと良いかなぁ。
原作並みに

乙です
ここまでレズありノンケほぼなし
ノンケ分の全てはこれからの佐藤くんにかかっている・・・!

※矛盾を発見。前回の西木野家に泊まった時ににこが『春休み』と言ってましたが、四月の間違いです。ごめんなさい!

>>159 ……ごめんなさい。今回も百合ワールドです。

>>160 佐藤君が恋愛……!?


──同日 某小さな教会:懺悔室 ミラクル・ハイテンション

佐藤「ということで僕は女神を蔑ろにしてしまったのです。自殺物の大罪ですよ。神父さんの必殺技とかで滅ぼされる存在ですねっ」

佐藤「でよく考えると女神は穂乃果ちゃんに救われるまでけっこう空回りキャラだったりするんだけど。活動許可が出てやったのがまさかの学院の歴史。穂乃果達すら最初に断念した残念な発想とかね」

『そうですか』

佐藤「かしこいかわいいエリーチカ。歌姫であり女神であるエリーチカ。何故にこにーの為に。マジで泣ける。これが世に言うありふれた悲しみの果てってやつなのかな?」

佐藤「あの変のギャップが可愛いんですが。賢いのだけど、どこか抜けてるというか。合宿ではまさかの超音速枕に沈められるという。落ち武者……絶対に許さないよ」

『そうなのですか』

佐藤「確かにこの太っている身体をエリーチカに見られたら恥ずかしくして死ねるけど。でも、働いて分かったんだ。ダイエットする時間がちょっと取りにくいし、疲れてると運動しようとする気もおきないですしね?」

佐藤「飲めば贅肉が落ちる薬でも開発しませんかね? 黒ずくめの逆に現代では浮いてるファッションで、コードネームが酒の種類名組織とか。あははっ、んな組織ないって話ですか。いやいや、毒薬と間違えてそんな薬が出来て新薬で大当り」

『色々と大変そうですね』

佐藤「ストレスと運動不足が重なると悲惨になると気付いていれば……。これでよくお百度出来たと思います。いや、ここから考えるべきだったのかなってね? 何べんも考えたんすよね」

佐藤「もしかしてお百度の途中で倒れて階段から転げ落ちて死んで、ここは走馬灯みたいな感じで見てる最期の奇跡なんじゃないのかなって思ってるくらいで。だっておかしいっすもんね?」

『そうなのですね』

佐藤「だったらもう僕がぴょんっ♪ と、高層ビルの窓から飛べばこの世界の歪みは強制的になかったことに出来るんじゃないかな~なんてね。どう思います? 神の使い的な神父さんなら何でも知ってるんじゃないですか?」

『ところで、失礼ながら一つ質問を。告解の意味を分かっていますか?』

佐藤「国会くらい知ってます。物事を決める重要な役割を……僕が安易に原作に介入してなければっ。にこにーが店に来たあの時も普通に接客すればよかったんだ! そうすれば原作がこんなことにならずに! ああっ、ちくしょう!」ガクガク

『原作……? ぐっ、ううぅぅっ』バタン!!

佐藤「全部僕の所為っ! て、え? 神父さん? もしも~し?」

『ぐぅっ、ぐあぁっ!』

佐藤「ちょっと! あのスイマセン! 誰かーったぶん神父さんが倒れました!! 警察! いや、犯人にされる。救急車! 救急車早く!」

──懺悔室にて... 向き合う罪 ※ちょっと鬱なのでここだけ流し読み推奨


佐藤「……どうして、こうなった」

佐藤「シスターが一人しか居なくて、倒れた神父さんの付き添いで救急車に乗って行くことになった。おかしくない?」

佐藤「帰ったらお礼をするから懺悔室の聞く側に入って待ってるとかさ。誰もこないとかじゃないよ」

佐藤「意味が分からない。にこにーの為にエリーチカが不憫な扱いにあってるくらい意味が分からない。今一人になりたくなくて、誰かに話を聞いて欲しくて。それでここに辿り着いたのに!」

佐藤「……」

佐藤「……」

佐藤「…………はぁ」

佐藤「ヤバイ。一人が嫌で怖くて逃げ出した結果がここだったのに。まさかの逃げられない袋小路に変わってしまった。無理に上げていたテンションも強制的に戻される」

佐藤「真実に気付いてから現状を良い方向に行くように何度も作戦を考えたさ! のんたんだけど、原作と条件が同じならばエリーチカを仲間に出来れば必然的に仲間に出来る」

佐藤「逆に言えば、だ。エリーチカを仲間に出来ないと仲間にならない。こう考えるとのんたんはμ'sで一番強い子だな。漫画だと最初にこにーポジションだけど一人で全く平気だしな」

佐藤「現状は全てエリーチカに掛かってる。といっても、原作の《穂乃果の差し出した手》は神展開の素晴らしい物だ。あれ以外でエリーチカを仲間にする方法なんて思いつけない」

佐藤「そんなことを思いつけたら僕はこの世界の神になれるレベルだ。いや、本当にね。屋上から一人戻って行って、後ろからのんたんに呼び止められるところから、穂乃果に誘われて教室を出ようとするシーンまで何度リプレイしたか」

佐藤「冷静になってしまうと明確に詰んでいることを理解してしまうんだ。μ'sがラブライブに出場出来る未来を見たいというエゴで介入し、九人揃えない状態にした!!」

佐藤「どう贖えばいい!! いくら懺悔しても……もう原作通りには戻らない。ヤバイ、泣きそうだ。にこにーを救えたことで調子に乗ってた。七人で出場出来ても意味がない」

佐藤「エリーチカにどう言えばいい? 何をすればいい? もう、ダメだ……。僕はエリーチカを苦しめにきたんじゃない。笑顔でいて欲しかったのに。もっと物事を深く考えていれば…………ちくしょう!」

佐藤「失敗したんだ。僕は間違えた。見逃した。調子に乗った。油断した。よりによって最大の過ち。なんで冷静に考えられなかったんだ。時間ならあった筈だ! ダイエットに身体を鍛えるのは無理でも考える時間は十分にあった!」

佐藤「生徒会側はのんたんと接触すれば和解の道も絶対にあった。そうすれば納得いく形でエリーチカをμ's入りさせることも出来た! 予想以上ににこにーが上手く動いてくれたから」

佐藤「にこにーと出会いさえしなければ。にこにーがあの店を利用しなければ。…………もう、どうすればいいんだ。何も考えたくない。全てを忘れて眠りにつきたい」

佐藤「」

佐藤「」

佐藤「」

「……あの、懺悔を聞いてもらってもよろしいですか?」

佐藤「──」

佐藤「あ、はっい! どっどぞ!」

「失礼します」

佐藤「────」

──裏・エリーチカ


穂乃果「えぇぇぇっ! μ'sって希ちゃんが付けてくれたの!?」

真姫「そう言えば私が『START:DASHI!!』を作曲してその渡す方法のアドバイスをくれたのが希先輩だったわ」

にこ「にこの頼まれ事も軽い条件で承諾してくれたわね」

希「ああ、あのにこっちの浮気写真のことやね」

真姫「その話ゆっくりと聞かせてもらえるかしら?」ゴゴゴ

にこ「いだっ! ちょっと待って真姫ちゃん。にこの小さな肩をそんな強く握らないで! 踊れない身体になっちゃうにこ~!」オロオロ

海未「真姫という人がありながら浮気なんて……見損ないました!」

凛「そうだよ! にこちゃんに浮気出来る解消なんてないと信じてたのに!」

ことり「ことりはにこちゃんが浮気なんて出来ないと思うなぁ」

花陽「私もそう思う。にこちゃんって、人の気持ちを踏みにじるなんて、絶対にしないもの」

穂乃果「私もことりちゃんと花陽ちゃんに同意権」

希「その通り。ただ単に他の人の為にえりちの写真を撮るように頼まれただけだよ」

真姫「……にこちゃん、ごめんなさい」ギュッ

にこ「いいわよ。いきなり疑われるのも愛情として受け止めてあげるから」

海未「大きい、実に大きいです。そんなにこを私は言われただけで疑うなんて。最低です……。私は最低ですっ!」

にこ「そんな自分を責めるんじゃないわよ。海未は真面目ねぇ。でも、罰として穂乃果! 海未の前髪上げてデコピン一発よ」

穂乃果「えぇっ! どうして私が!?」

にこ「見ての通りにこは今動けないのよ」

穂乃果「えぇ~……でも」

海未「お願いします、穂乃果!」

ことり「やってあげなよ。罰がないと海未ちゃんって逆に沈んでいっちゃうから」

穂乃果「分かったよ。じゃあ、海未ちゃん」ファサッ

海未「思い切りやってください」

凛「何故かドキドキするよ?」

花陽「ドキドキシチャウノォォォ!?」

にこ「見えない部分とはいえ顔だから手加減するに決まってるでしょうが。あんたはスクールアイドルの自覚がないの? 穂乃果、輪ゴムが当たるくらいの力加減でやりなさい」

穂乃果「……ていっ!」ビシッ

海未「うっ……これでは全然痛くありませんよ」

にこ「罰が執行されたんだから罪はなくなったの。諦めなさい」

希「そもそもウチの冗談が原因やん? だからそれくらいで十分だよ」

真姫「にこちゃんにこちゃん」

にこ「真姫ちゃんもいい加減立ち直りなさいってば。一人で平気とか言ってた逞しい真姫ちゃんはどこ行っちゃったのよ」

花陽「あぁ……そういえば、にこちゃんが来るまでは真姫ちゃんって、一人行動ばかりだったよね」

凛「もう思い出せないくらいだけど。にこちゃんにくっついてるイメージしかないよね」

ことり「話を戻しちゃいますけどぉ、希先輩はどうしてμ'sって名付けたんですか?」

希「ウチもにこっちみたいに敬語も先輩も要らないよ。カードがそう告げてたから。ウチらは九人になって初めて成功するって」

海未「カード、ですか?」

希「ウチはスピリチュアルの申し子。タロットカードの僕なんよ」

凛「なんかカッコ良いにゃ~♪」キラキラ

希「んふっ。冗談や。ただ、占いが得意でね。その導きにしたがってたんや。……最初の内は」

花陽「今は従ってないってことかな?」

希「見えていた未来が見えなくなってな。丁度μ'sのファーストライブが行われた日からやね。にこっちとその後ろにいる存在が原因だと思ってるんやけど」

にこ「にこと佐藤っ、ぐぇっ! ちょっ、なんで佐藤の名前出したらきつく締めるにごぉっ!?」グエッ

ことり「佐藤さん?」

穂乃果「三年生なの?」

真姫「ことりは見てないけど、メイド喫茶に行くことになる前ににこちゃんが男と歩いてたでしょ? あれが佐藤よ」

穂乃果「あぁっ! ……って、そんなことあったっけ?」キョトン

海未「ありましたよ。あの時の穂乃果は食べるのに夢中でしたから記憶にないのでしょう」

ことり「ほぇ~そんなことがあったんだぁ」

希「でも、今朝占ってみたらずっと途絶えていた道が見えた」

穂乃果「ほぉほぉ。それで何て出てたの?」

希「信じて待つこと。だからウチはえりちに付いて行かずにこっちに残った。えりちがμ'sに入るって信じてね」

真姫「あんな性格悪いのが入ったらμ'sの空気が悪くなるわよ!」

凛「……あぁ~、なんだか怖そうだったのは覚えてる」

花陽「綺麗な人ってそう見えちゃうもんね」

にこ「A-RISEに届くには絶対に必要な存在よ。それに真姫ちゃん。スクールアイドルは学校の代表なんだから、生徒会長を嫌っちゃダメよ」

希「真姫ちゃんもにこっちに言われたくないと思うんやけど」

穂乃果「私は是非入って欲しいな~。ちょっと怖そうなところは確かにあったけど、そういうのは海未ちゃんで慣れてるし」

海未「わ、私は穂乃果に怖いと思われてるんですか?」ガーン

穂乃果「普段は優しいしカッコ良いし素敵だって思ってるよ? でも、勉強の時は……」

ことり「厳しさも愛の鞭だよぉ」

花陽「会長さんって雰囲気がA-RISEに似て惹き付けるものを感じるから、あれを取り入れられたらμ'sは今以上に輝くよね」

にこ「流石花陽ね。私と同じ事を考えられるなんて。その通りなの。みんな、絢瀬からいい部分を全部盗むの。それがラブライブでスクールアイドルの頂を手にする唯一の可能性」

希「ウチも頑張らないとね」

にこ「ただ、どうして絢瀬がにこを目の仇にするのか分からないんだけど」

真姫「嫉妬してるのよ! にこちゃんの可愛さに!!」キッパリ

海未「……え?」

穂乃果「……おぉ~」

ことり「ちゅん?」

凛「……んー?」

花陽「……ふむっ」

希「言い切ったなぁ」

にこ「自分でこんなこと言いたくないけど、絶対にソレはないわ」

希「でも、嫉妬という部分は間違ってないのかもしれない」

にこ「絢瀬がにこの何に嫉妬するっていうのよ?」

海未「生徒会長がどれくらいなのか分かりませんが、にこはスペックが高いですからね」

穂乃果「人を明るくする最高の魅力を持ってるしね」

ことり「好きなことを純粋に楽しめるしねぇ♪」

花陽「アイドルへの愛情は誰にも負けないくらいだし」

凛「二歳差とは思えないくらい万能にゃー」

真姫「にこちゃんに敵う存在なんてこの世に存在しないわ!」キリッ

にこ(にこには下の子がいるから学校で孤独でも家では寂しくないけど、真姫ちゃんはもしかしたら違ったのかもしれないわね。だから、依存率がバリバリ高いのかもしれないわ)

希「真姫ちゃんはヤンデレやね」

真姫「何よ、それ?」

にこ(ドンピシャね。否定出来ないし、否定したら嘘になる)

希「えりちは元々バレエをしてたらしいんよ。実際にその動画も見せて貰ったこともある。でも、結果が残せずにその道を諦めた」

海未「穂乃果、凛。先に言っておきます。希が今述べたのはバレーボールではなく踊る方のバレエのことですからね。勘違いしないように」

ほのりん「おぉー!」スゴーイ

希「本心では諦めたくなかったんじゃないかな。その時のえりちの瞳はそういう目をしてた。まるで情熱だけが残された感じやね」

にこ「……その辛さは分かるわ」

希「そうやね。にこっちも一度諦めてる人間。だけど、自分から動いてにこっちはμ'sに入った」

海未「生徒会長の目の前ででしたね」

希「自分と同じ側の人間であるにこっちが自分とは違う道を目指して歩き出した。関係はなかったのに、取り残されるような不安が生まれたのかもしれない。だからにこっちが関わってる時のえりちは反応が荒くなる」

にこ「……」

希「ああ見えてえりちって頭より身体が先に動いたりするところあってな、時にその所為でおっちょこちょいな面も見せてくれるんだけど……。もし、生徒会長という重みがなければμ's入りを真っ先にしてたかもしれない」

穂乃果「生徒会長の重み」

希「廃校をどうにかして撤回させたい。でも、その義務感から動こうとするえりちに対して理事長は生徒会として動く許可を出してくれない。なのに、μ'sに対しては許可がおりる」

海未「……くる物がありますね」

希「そうやね。生徒会が何も出来てない間にμ'sは注目度の高い存在になった。それこそ本当に撤回させられる可能性が十分にある存在に」

凛「なんだか生徒会長が可哀想」

希「カードの導きがなくなって、ウチも臆病になってた。導きがなくとも常にえりちの手を取ってμ's入りへ行動すべきだった。でも、結局……こうしてえりちが戻ってきてくれるのを待つしか出来なくなった」

花陽「……それは」

希「えりちの一番の友人でありながら何もしてあげられない。支えてあげることも出来なかった。それどころか、えりちを追い詰めてしまったんはウチや」

ことり「そんなっ!」

希「副会長失格や」

真姫「何を検討違いのこと言ってるの? 誰かが傍に居てくれるだけで人間って一人の時とは段違いに救われるのよ」

にこ「真姫ちゃんの言う通りね。自分の辛い過去を話せる友人が居る以上に救いになることはないわ。私は真姫ちゃんとμ'sのメンバーに出逢ってソレを知ったわ」

真姫「にこちゃんの一人称が私もいいかも///」

にこ「…………。こほんっ! 絢瀬を一番救っていた存在は間違いなく希、あんたよ。その無駄にデカイ胸を張んなさいよね、ケッ!」

希「ぼっちーず」

にこまき「誰がぼっちーずよ!!」クワッ

希「ありがとうな」ニコリ

穂乃果「難しいことよく分かんないけど一件落着だよね!」

海未「リーダーなんですから人間関係の機微に敏感になってください」

ことり「そこが穂乃果ちゃんの色あせない魅力だから」

穂乃果「ということで、部長のにこちゃん。元気付けにアレをやろうよ!」

にこ「アレって何よ?」

穂乃果「みんなきりーつ!」スタッ

海未「……うわぁ」

凛「……恥ずかしいにゃー」

花陽「花陽はμ'sといえばこれって気がしてきたよ!」

ことり「ちゅん♪」

真姫「にこちゃんの恥ずかしい遺伝子がμ'sに根付きそうよ」

にこ「恥ずかしい言うんじゃないわよ!!」

希「それで、何をするん?」

穂乃果「にこちゃん。初めての希ちゃんに見本を見せてあげて☆」

にこ「絢瀬が帰ってくることを祈願して……。にっこにっこにー♪」

穂乃果「じゃあ、みんなでいっくよー!」

にこのぞほのぱな「にっこにっこにー♪」

海未「うっみうっみうー♪」///

真姫「マッキマッキマー♪」

凛「にっこにっこにゃー♪」

ことり「にっこにっこちゅーん♪」

にこ「どんどんオリジナル要素が入ってくることを喜ぶべきか、それとも悲しむべきか分かんないわね!!」

──じぶたれな神様と不器用な女神


絵里「廃校になるかもしれないと生徒会長として努力してきたつもりです。ですが、結局何一つ出来ないまま。それなのにしたいことをして結果を残そうとしている子達がいる」

絵里「その中に自分と同じ諦めたと思っていた子がいた。自分と同じ傷を持ってたのに。今は光の中で笑っている。私はこうして暗い所で動けないままなのに」

絵里「自分ではそういう感情だって制御できると思ってた。でも、全然無理だった。不器用な自分がそんな器用なこと出来るわけがなくて、会う度にきつくあたってしまって」

絵里「それなのに向こうはそんなの気にしてないみたいに、私に手をさし伸ばしてきた。私にその手を握る資格はなかった。おまけに、一番の友達はその手を握った。今の私なんかの傍に居ても意味がないってことなのかな」

佐藤「それは絶対にありません」

絵里「いえ、愛想を尽かれても仕方ないと思ってますから」

佐藤「違います。絶対に違うんです。全て……違うんです。貴女は何も悪くない。全ては他に原因があるんです」

絵里「運命説は信じてないんです。私の一番の友達はそういうのが好きですけどって、教会でこういうこと言うのは失礼かもしれませんが」

佐藤「運命じゃない。むしろその運命を壊してしまった。逃げられない悲しみの渦に巻き込んだ存在がいるんです」

絵里「……渦? 友達が似たようなこと以前言ってたような。確か、運命の渦とか大きな折の中に閉じ込められたとか。あ、そうそう。新しい道を作る者がなんとか」

佐藤「それです! 全てはそいつの存在が貴女を苦しめたんです。貴女は被害者です。苦しんでるのは全部そいつが失敗した所為なんです」

絵里「失敗を人の所為には出来ません。それは昔、好きな事を諦めた時に誓ったんです」

佐藤(本当に僕が悪いんだ。それなのに伝わらない。どうすれば伝わる? どうすればエリーチカが希望に向かってくれる? ここだ、ここだけを考えろ。この先もう何も考えられなくなってもいい)

佐藤(μ'sに入れば運命は最高の状態に戻れる。ここを失敗すればエリーチカに一生の傷が残る。考えろ。考えろ。お願いだから、何か考えつけ)

絵里「それに友達が入れば華が出る。私は彼女の分の生徒会の仕事をすれば結果的に恩を返すことが出来る。それでいいんです」

佐藤(────)

絵里「ふぅ~。色々聞いてもらってありがとうございました。自分の中で整理も出来たのでこれで帰ろうと思います」

佐藤「おねがい、ちょっとだけ待って」

絵里「どうかしたんですか?」

佐藤「僕も貴女と同じ諦めた人間なんです。大学受験で失敗して、今までの自分を全部否定された気がして。自分の世界に入り込んで。そんな時に僕を救ってくれた存在があるんです」

佐藤「九人の歌姫達が織り成す物語。お互いにお互いを高め、助け合い、光り輝く。そんな物語を見て、訳も分からずに泣いてました。自分の世界から元の世界に戻れる蜘蛛の糸を掴んだみたいな気持ちで」

佐藤「結果的に少し立ち直ることが出来て、そんな時女神の声が聞こえたんです。ありえない筈の導き。それを信じて行動したら世界が変わった。生まれ変わったつもりで頑張った」

佐藤「上手くいってると思ってた。完璧だと思ってた。それがただの勘違いで、本来よりも最悪な状況になってた。気付いたのが遅すぎて修正が出来ないくらいに」

佐藤「僕も凄い不器用なんです。でも、記憶力には自信があったから勉強をしてたんです。でも、調子に乗ってその記憶力すら馬鹿になってて……完全な袋小路。女神をより光輝かせたかったのに、闇に堕とすような結果に……」

絵里「その、九人の歌姫っていうのは?」

佐藤「μ'sという神話から名前を取ったアイドルグループです」

絵里「偶然ですね。私の学校のスクールアイドルもμ'sって名前です」

佐藤「九人揃ってμ'sなんです」

絵里「え?」

佐藤「ごめんなさい。もう、自分が何を言ってるのか分からなくて。自分がやりたいことがもう見えなくて」

絵里「自分のやりたいこと……」

佐藤「ただ、一つだけ我が侭を言わせてください。僕は貴女に救われた。だから貴女には光り輝いて欲しい。その綺麗な声で歌って欲しい。人を惹き付けるその姿で踊って欲しい」

佐藤「不器用だと行き難い世界だけど、不器用だからこそ人の優しさを実感出来ると思うんだ。器用でこけたことがない人間には、こけてから差し伸べられる温もりを知りえない。勿論比喩で、こけたことがない人間はいないと思います」

佐藤「えっと、ごめんなさい。やっぱり言いたいことが分かんない。ただ、一人は辛いです。とっても辛いんです。差し伸べてくれる人がいたのなら掴んでください。一人にならないで下さい」

佐藤「お願いです。不器用でも強くなることを諦めないで、前に進むことを止めないで。差し出された手を振り払ってしまったのなら自分から追いかけて掴んでください」

佐藤「追いつくまでに何度も転ぶかもしれない。でも、怖がる心に負けないで立ち上がって、また走り出してください。それで光の中でみんなと笑いあって、支え合って笑顔をください」

佐藤「こんな所にこないで済むように自分に正直に、真っ直ぐに生きてください。九人の歌姫が歌ってました。真っ直ぐな心が皆を結ぶんだって。困ったことがあったら友達に相談してください」

佐藤「貴女の友達は貴女に愛想を尽けるような器用な人間ではない筈です。きっと、今貴女を一人にしてしまった自分を責めていると思います。光の中で待ってると思います。走り出して下さい」

絵里「────」

佐藤「お願いです。行ってください。僕は輝く貴女を応援したい。貴女のファンなんです。暗い部分があっても、不器用でも、情けなくても……僕は貴女のファンなんです。これからもファンでいさせてください。その為にも走って!」

絵里「滅茶苦茶言ってますよ?」

佐藤「知ってます。今は頭が真っ白だけど、冷静になれたら頭抱えてのた打ち回ること言いまくりました。後悔します。泣きながら羞恥に悶える。でも、胸を張れると自信持っていえます」

絵里「……私とどこかで会ったことがありましたっけ?」

佐藤「夢で逢ったことがあるんです。こうして壁を隔てて再会出来たのもスピリチュアルな導きがあったのでしょう」

絵里「ハラショー。希と似たようなことを言うのね」

佐藤「懺悔の時間は終わりです。途中から僕の所為で意味不明になりましたが、ちゃっちゃっと行ってください。店じまいです。閉店です。蛍の光です。……スタート切ってダッシュしてください」

絵里「戻ったらなんて言えばいいのかしら?」

佐藤「言いたいことを言えばいいんです。だって僕らは頑張ったって器用には出来ないから。だから全部言わないと伝えられない。恥ずかしさは残ったとしても、いつか仲間と笑い話になれるのなら宝物ですよ」

絵里「素敵な宝物ね。じゃあ、笑われてこようかしら。バレエは諦めてしまったけどやっぱり踊りたい。それが皆と一緒ならきっとバレエ以上に楽しめると思うし」

佐藤「間違いないですね。それは僕が保障しましょう」キッパリ!

絵里「随分と自信満々に言い切るのね」

佐藤「この世界で僕程これを言い切れる人間は居ません。そして、僕が感じてる可能性以上を見たい。その為に僕はここに居る」

絵里「……不思議な人。あなたは一体誰なの?」

佐藤「己の馬鹿さ加減に絶望してたけど、女神が自分から飛び込んできてくれて助かった……そうですね、神とでも言っておきましょうか」

絵里「前置きの時点で神様じゃないのだけれど。それに大学受験に失敗する神様なんていないでしょう?」フフッ

佐藤「学問の神様を祭ってる神社にお参りしても合格率は変わらないのは、意外と神様は馬鹿だからですよ。ま、僕ほど馬鹿な神も他にいないですけど」

絵里「──また、会うことはあるのかしら?」

佐藤「ないですね。間違いない。神様と人間は出逢えぬ運命なんですよ。これは偶然が生んだ奇跡の時間。ほら、心配させてるんですから早く仲間の元へ行ってください。もう頭が冷静になってて、恥ずかしさで死にそうなんですよ」

絵里「私が嫉妬してた子が言ってたの『失敗を知ってる人間がいることで守ってあげられる』って、凄く眩しかった。私も守れる側になりたい。不器用でも胸張ってね。……だから、ありがとうございました!」スタスタッ

佐藤「……いってらっしゃい。あ~……死にたい。僕何を言ったけ? 独り言をグダグダ言ってて、突然エリーチカが来て……それで、懺悔を聞いた後に頭真っ白のまま一人大暴走」

佐藤「はぁ~…………死にたい。でも、生きててよかった。後はにこにーに任せた。僕に出来ることはもうないかな? あーいや、不器用なりにやっぱり頑張らないとな。お詫びにならないかもだけど、九人揃ったらあの曲を早く聴きたい」

佐藤「こうしてまた一つ、海未ちゃんの活躍を奪ってしまうけど……今回のことでエリーチカに枕ぶつけたことを許してやろう!」

佐藤「しかし、どうしてのんたんが先にμ's入りしたのか全く分からないな。その辺は後でにこにーに訊こう。今は不器用だけど一生懸命で傷だらけで走る女神に祈るとしよう」

佐藤「修正出来た代わりにエリーチカ(μ's)との対面フラグは消滅しちゃった。……せめて生エリーチカの顔を見たかったなー。なんとしてもラブライブ決勝のチケットは手に入れてファンの一人として拝見させていただこう」

佐藤「がんばれ、僕の女神エリーチカ」

佐藤「…………嗚呼、恥ずかしくて死にたい」

──真・やりたいことは


ガラガラッ!!

絵里「はぁはぁはぁ……っく、はぁはぁ~」

希「えりちっ!」パァァ

真姫「何をしにきたのよ?」

にこ「真姫ちゃん。喧嘩腰にならないの。それで、そんなに汗掻いてどうかしたの?」

絵里「はぁ~ふぅ~。言いたいことがあったのよ。私ね、矢澤にこが大嫌い! 失敗して一人何もしてなかった癖に今は光の真ん中で笑ってて」

真姫「やっぱり喧嘩──」

にこ「──似たようなことを前にどっかの店員に言われたわね。さすがに嫌いとは言われなかったけど」ギュッ! マキチャンオチツイテ

絵里「こっちは廃校阻止する為だけに動こうとしてるのに何もさせてもらえないのに、あんた達はやりたいことだけやって成果を上げてて……ふざけんじゃないわよ!」ニッコリ

海未「満面の笑みで喧嘩売ってますね」

穂乃果「すごいね」

ことり「ほぇー」

絵里「私だってね、やりたいことして目的を果たせる方がいいに決まってるでしょ! 私は不器用だしドジなところあるし自分の夢から一度逃げ出した人間よ。それでも、もう一度輝きたい。一生懸命頑張りたい」

希「えりち、信じてたよ……」

絵里「だから私をμ'sの九人目に入れてください!!」ペコリ

にこ「本当に不器用ね。って、私も人のこと言えないけどね。頭下げてたら握手出来ないでしょ。顔見せなさい」

絵里「矢澤さん」

にこ「二つ言っておくわ。μ'sは廃校撤回の為に頑張るのでも、A-RISEに勝つ為に努力するものでもないの。今この瞬間を楽しむ為に頑張るのよ。もう一つは……九人揃ってμ'sなんだってさ。だから、これからよろしく」

絵里「神様と同じ言葉」

にこ「は?」

絵里「何でもないの。よろしくお願いします」

真姫「絵里! 私のにこちゃんに何かしたら私が許さないからね」キッ!

絵里「ふふっ。何もしないわよ。それから希、心配掛けてごめんね」

希「心配させた分はきっちり払ってもらうつもりや」

絵里「それは大変そうね」

穂乃果「なんだか盛り上がってきたね!」

海未「ええ、そうですね。九人になったので新しい曲も作らないとですね」

ことり「その前に練習もしないとだねぇ」

凛「ふぅ~。緊張して喋れなかったよー」

花陽「胸がドキドキしちゃったね」

にこ「それから、絵里。μ'sは敬語も先輩もないからね」

絵里「ええ、にこ。分かったわ」

希「ハラショーってところやね」

絵里「それは私の台詞よ」

穂乃果「九人で全員なら何かしたいよね。号令みたいな感じでさ☆」

にこ「いい案ね。後で考えましょう。さ、メンバーも揃ったし練習開始よ。って、真姫ちゃん。不機嫌そうな顔しないの」

海未「これを纏め上げるのはリーダーである穂乃果の仕事ですね」

穂乃果「えー……ねぇ、絵里ちゃん。私の代わりにリーダーにならない?」

絵里「新人にいきなりそんな無茶言わないの」

にこ「さぁ、練習頑張るわよ!」

──夏の始まり 開放感溢れる佐藤と最終回風のにこ


にこ「ふっふーん! 見たかしら? 見たわよね?」ドヤァ

佐藤「ただでさえ暑いのに、その顔が更に温度を上昇させるよ」

にこ「相変わらずうっさいわね! 素直に褒め称えることが出来ないの?」

佐藤「エリーチカが素晴らしいことは口に出すまでもない真理だし。今更感想を述べろというのならバイト終わってから明日の朝まで語り続けよう。覚悟はいいかい?」フッ

にこ「何でμ's=絵里になってるのよ! そんな覚悟一生出来ないわよ!」

佐藤「それは残念だよ。冗談はともかくとして、二曲連続リリースとはいえ5位とはねー。予想以上に伸びたね」

にこ「あんたの作詞した『僕らの僕らのLIVE 君とのLIFE』『きっと青春が聞こえる』両方とも文句の付けようのないくらい良い出来だったわ。海未が『私の仕事が……』とか嘆いてたけどね。振り付けも絵里に取られたし」

佐藤「話を聞く限り海未ちゃんは頑張り過ぎてるし、楽させるのは良い事だよ。その分、穂乃果ちゃんの勉強教える時間に回せるしね。不安材料は全部取り除くに限る」

にこ「そうね。もうテスト直前だし。逆に言えばこれを超えれば夏休みとラブライブ予選の最終スパートね。5位でも油断は出来ない。ううん、寧ろここからまだ上を目指さないとね」

佐藤「うん、その意気だ。夏と言えば合宿かな?」

にこ「合宿? いいわね、でも……お金が掛かるからムリそうね」

佐藤「真姫ちゃんに別荘使わせてもらえばいいんじゃない? そうすれば移動費と食材とかは割り勘でそこまで掛からないでしょ」

にこ「あんた相変わらず良い事言うわね」

佐藤「行くと決まったら合宿先の練習メニューとか作っておいた方がいいかも。きちんと休憩時間や遊ぶ時間も入れてるやつね。海を目の前に練習からだとテンション下がるし集中できないだろうから、まずは遊びからがいいと思う」

にこ「そういうをわざわざ作るのって嫌われたりしない?」

佐藤「部長なんだからそういうのを率先して作るべきだよ。今のにこにーを嫌うメンバーはいないでしょ」

にこ「そ、そう? まっ、まだ先の話だけどね」ニヤニヤ

佐藤「アッと言う間だよ。夏なんて気が付いてたら終わってるって。少なくとも僕の夏はそうなるに決まってる」

にこ「寂しいやつね。少しは痩せたんだし青春してみたら?」

佐藤「そんな余裕はないかな。もう後悔したくないからね。で、買い物終わったんだから帰ったら?」

にこ「この後、真姫ちゃんと待ち合わせしてるのよ。だからそれまで時間潰してるの」

佐藤「いい迷惑だ。エリーチカは女神だけど、にこにーは疫病神だよね?」

にこ「その喧嘩買ってあげてもいいわよ」

佐藤「残念ながら喧嘩は売り切れだよ。七月が終わる前にもう一曲書くからさ、真姫ちゃんに作曲よろしく言っておいて」

にこ「佐藤ってまるでμ'sの10人目みたいよね」

佐藤「最高の褒め言葉だよ。それにしても、暑いなぁ……」

にこ「そりゃもう夏本番だものね」

佐藤「秋がくれば学園祭に本戦決勝がその少し先」

にこ「学園祭で一気にテンションを盛り上げたいわね」

佐藤「うん。その前にあの問題があるな。……穂乃果ちゃんは元気?」

にこ「ええ、元気よ。今日は海未とことりに勉強見てもらってる話だから、今頃は奇声でも上げてるんじゃないかしら?」

佐藤「それくらいが一番いいけどね。あ、そういえば少し早いけど誕生日プレゼントでもあげようか? 何か欲しい商品ある?」

にこ「やっぱりあんたにこの──」

佐藤「──三度も言わせねぇよ! 僕は普通の人間には興味がない!」

にこ「もはやロリもペドも超越したわね。……てか、どんだけ絵里があんたの中では神格化してるのよ?」

佐藤「思ってた以上に素敵だった。心に闇があって、不器用で、だからこそ光の中でより輝くことが出来る。本物の女神とは意外とそういう人間を神格化して出来たものだったのかもしれないね」キラキラ

にこ「佐藤、あんた絵里と会ったの?」

佐藤「いいや、ないよ。女神と会うなんてことは今までもこの先もありえないよ」

にこ「そんだけ好きなのに?」

佐藤「……で、何が欲しいって? 真姫ちゃん関係のアイテムでも取り繕うか?」

にこ「なっ! 真姫ちゃんのグッズは自分で買うわよ///」

佐藤「じゃあ、出会った日のようにA-RISEの物にしておく?」

にこ「あの日からたった三ヶ月でこうも変わるとはね。佐藤には本当に感謝してるわ」

佐藤「最終回っぽい清々しい台詞の連発ありがとう。こないだちょっと鬱入った時に僕がにこにーの事をどれだけ恨んだ事か、なんていうのは些細なことだよね。あはははっ」

にこ「何笑いながら人のこと恨んだとか抜かしてるのよ! にこは人に恨まれるような性格してないわよ。なんせ生まれ持ってのアイドル体質なんだから。にっこにっこにー♪」

佐藤「アイドル体質? ぷっ!」

にこ「何噴き出してるのよ!」

佐藤「ぼっち体質もしくはぼっち属性の間違えだし! あはははははっ!」

にこ「ぐぬぬ! あんたの方がよっぽど人から恨まれる性格じゃない!」

佐藤「……いやぁ、本当に夏本番って感じだなー」

にこ「にこの話を聞きなさいよ! このバカ店員!!」

佐藤「だからそのお詫びも込めて誕生日プレゼントを上げるって言ってるじゃないか」

にこ「さっきはお詫びなんて一言も言ってなかったでしょ! こうなったら無駄に高い物にしてやるわ」

佐藤「えーあなたはですね、以前ご自分でこんな発言をしました。覚えておいででしょうか? 『いくらムカつく相手でもお金が関わることで無駄遣いなんてしない』と」

にこ「変な喋り方して誤魔化そうとしてもムダよ! 佐藤は女神エリーチカの使途だから人にカウントしないから高価なものでもいいの!」

佐藤「高価なものでもいいよ。本当にごめん」ペコッ

にこ「にこは心が広いんだから許してやるわよ。どっかの女神よりも心が広いアイドルなのよ?」フフーン

佐藤「今軽く殺意が沸いたけど、自称心が広いんだから許してね。はははっ」

にこ「あんたの絵里推しは本当にどんだけなのよ!!」クワッ!

──その頃のことほのうみ


穂乃果「勉強もう飽きた~!」

海未「叫ぶ元気があるなら次の問題をやってください。それとも数学の方がいいですか?」

穂乃果「数学はもっと飽きた~!」

ことり「ほら穂乃果ちゃん。息抜きにことり特製七色マカロン食べて元気出してっ♪」ニッコリ

穂乃果「あ~んっ!」

ことり「ちゅん♪ はい、どうぞ」ヒョイ

穂乃果「モグモグ……くぅ~っ! ことりちゃんのマカロン美味しいっ!」

海未「ほら、食べたのなら今度は集中してください」

穂乃果「えぇ~。もうちょっと休憩しようよ。ほら、海未ちゃんも食べて落ち着こう? ほのかが食べさせてあげるね。あ~ん♪」

海未「……/// あ、あ~ん。モグ……モグモグ。さ、さすが伝説のメイドことりです。とても美味しいですよ////」

ことり「メイドなのはミナリンスキーだよぉ」

穂乃果「そういえばミナリンスキーってどういう意味があるの?」

ことり「秘密っ♪」チュン

海未「ことりは私達二年生組では一番目覚しい活躍をしていますよね」

ことり「そんなことないよ! ことりには何もないから……」

穂乃果「もーぅ。まだそんなこと言ってるの? 衣装担当だけじゃなくて作詞だって経験あるじゃない。お菓子だってこんなに美味しいの作れるし」

海未「……二人が作った海色の少女は乙女過ぎて未だに歌う度に恥ずかしさで倒れそうになりますが///」

ことり「穂乃果ちゃんの手助けがあったからだよぉ」

穂乃果「他にも秋葉で伝説って言われるくらいの知名度のあるメイドさんだし」

海未「そうですね。あの経験は二度としたくないですが、凄いことです。ことりが持っている魅力の一つがあってこそですね」

ことり「そうかなぁ?」

穂乃果「そうだよ! ほのかの方が立ち上げ以外全然何も出来てないくらいだもん」

海未「そんなことはないのですが、言うまでもなくにこが万能すぎるだけです」

ことり「穂乃果ちゃんも来年はあんな感じになってそうだよねっ♪」

海未「寧ろそうなっていてくれないと困ります」

穂乃果「勉強だけで精一杯なのに」

海未「同じ三年生の希に訊いたところ、にこも勉強は得意ではないというか、不得意な方らしいですよ」

穂乃果「え、そうなの? そんなこと初耳だよ!」

海未「弱いところを見せないで自信を見せているからですね。穂乃果も弱音を吐かずに影で頑張るくらいの事をしてみせてください」

ことり「そうだね。穂乃果ちゃん、ふぁいとだちゅん♪」

穂乃果「……うん。そうだね、今この瞬間を楽しむんだもんね! そうじゃないといつまで経ってもにこちゃんには追いつけないもん!」

海未「ええ、その調子です。それこそが穂乃果です」

ことり「そうだね。あ、そうだぁ。今日のノルマまで終えられたらことりのバイト先で好きなの一つ奢ってあげるねぇ」

穂乃果「うぉぉぉしっ! やる気が燃えがってきたよ!」

海未「現金な人ですね」フフフ

──同日 女神とスピリチュアル


絵里「これって、どういうことだと思う?」

希「スピリチュアルやね」

絵里「真面目な回答が欲しいんだけど……」

希「と、言っても。えりちが懺悔に行ったあの日のあの時間には神父さんは病院に運ばれてて、教会には誰もいなかったって話やろ? これを真面目に言うとえりちの妄想になるよ?」

絵里「確かにあの日はショック受けてたけど、妄想と会話出来る程想像力逞しくないわよ。海未じゃないんだから」

希「海未ちゃんに失礼や。シスターの話では付き添いに行ったから教会は空だったって話だし。懺悔室の聞く方の部屋も鍵が掛けてたって話だし」

絵里「そんなことないのよ。確かに神様が居たのよ!」

希「……そりゃ教会なんだし、神様はいるでしょ?」

絵里「違うの、大学受験に落ちるような神様なの! きっとシスターの人が記憶違いしてるのよ」

希「そんなに気になるならどうしてこんなに間を空けたん? 翌日にでも行けば良かったやん」

絵里「私も神様も色々と恥ずかしいこと言ったから、冷却期間が必要だったの!」///

希「やっぱりスピリチュアルってことだね」

絵里「本当にどういうことなのよ、これは……?」

──期末テストと好敵手からの贈り物


海未「穂乃果はどうでしたか?」

穂乃果「音ノ木坂に入って一番だったよ~! 見てみて。一番苦手な数学で68点!」

海未「……あれだけ一所懸命教えたのにこの点数。私に教える才能はないみたいです」

ことり「そんなことないよぉ。それに今回の目標は赤点を取らないことなんだし~バッチリだよっ♪」

凛「凛も苦手な英語も74点で楽勝だったよー♪」

にこ「これでラブライブ出場の条件は予選終了までの20位以内のキープだけね」

真姫「今のままなら十分いけるわね。勿論気は抜かないわ」

花陽「今でも夢見たいです。スクールアイドルの祭典に出場出来るかもしれないだなんて……」キラキラ

ガチャッ

絵里「ごめんね。生徒会の仕事で遅くなったわ」

希「それでな、先生からにこっち宛にってこれを渡されたんやけど」ハイ

にこ「なにこれ? 見覚えもないんだけど。まぁいいわ、開けてみましょう。──え?」

真姫「どうしたの、にこちゃん?」

にこ「このメッセージが本物ならA-RISEのツバサから。練習の様子が撮ってあるって、DVD-Rが入ってるって」

花陽「A-RISEの練習がっ!? 今すぐ見ましょう!!」クワッ

海未「挑戦状でしょうか。粋なことをしますね」

凛「本当にライバル認定されてるってことかな?」

穂乃果「取り敢えず見てみようよ。今よりよくなる為のヒントが映ってるかもしれないし」

絵里「そうね。私たちはA-RISEより圧倒的に経験の差があるわけだし、得られるものは少なくない筈よ」

希「でも、どうしてわざわざA-RISEがこんな物を送ってくるの?」

にこ「希と絵里は入ってなかったから知らないけど、以前にこ達が路上ライブを終えた時に乱入してきてね、一曲だけ歌ったことがあるのよ」

にこ「その時の別れ際にリーダーの綺羅ツバサに『私たちをライバルに思うのなら死ぬ程練習してきな』みたいなこと言われたの。つまりはライバルに成り得るμ'sへの招待状ってところかしらね」フンッ

絵里「へぇ。それは素敵じゃない。だったら舞踏会に参加出来るように魔法を掛けてもらわないと駄目ね」

真姫「魔法といえば魔法少女のにこちゃんよ!」

ことり「丁度A-RISEのライブを見て落ち込んでた時に、にこちゃん本人が言ってよねっ♪」

穂乃果「これはうっみうっみうー! の流れかな?」

海未「お願いですからやめてください!」////

凛「絵里ちゃんのにっこにっこにゃーを見たことがないね?」

花陽「そういえばそうかも。でも今はそんなことよりA-RISEの練習を見ることが何よりも最優先! 他に何かをするなんて今は考えられないよ!!」

にこ「今花陽が良い事を言ったわ! 魔法を掛ける為にもまずは盗める所を盗んでからよ。絵里、A-RISEの振り付けに集中して。希、見逃しそうな細かいところに気をつけて。海未、足の動きを観察して」

にこ「穂乃果、他に気づいたことがあったら後で教えて。ことりは衣装を重点的に見ておいて。花陽、どこに一番惹かれるのかを愛情で見つけ出しなさい。そして最後に真姫ちゃん、μ'sとA-RISEの歌い方の差を見つけて」

凛「あれ?」

にこ「……あ、凛は本能的に何かを探して!」

凛「どうして凛だけ扱いが悪いの~!」

にこ「場を和ませようとした冗談よ。にこは全体を通した流れを確認するわ。取り敢えず三回程見れば何かあると思うの。これを機に練習メニューを一新するかもしれないから、みんな覚悟しておいて」

穂乃果(こういう時のにこちゃんって輝いてる。あの日見たA-RISEを思い出すくらいに。ほのかも頑張らないと!)

にこ「さ、再生するわよ」


にこ(本当に練習している姿が淡々と映し出されているだけのものだったけど、これを欲しがるマニアはどれくらいいるのか。勿論これを複製することも世に出すことも当然しないわ)

にこ(私たちの頂はこんなに近づいてもまだまだ遠くに感じられる。でも、九人揃ったμ'sに届かない場所なんてない。登りきってみせようじゃない)

にこ(それに、あの時のようにショックを受けているメンバーはいない。寧ろ逆にやる気を出してる。メンタル面でも強くなってる。A-RISEより成長している)

にこ(それに綺羅ツバサ。μ'sをライバルと認めてこんなプレゼントを渡したこと第二位という結果で返してあげる。最高のアイドルの姿を魅せてね。だから今は、その頂で待ってなさいよ)

──原作なら10話だよっ!


海未「練習メニューを組んできました。これです!」バーン!

絵里「ハラショー」

穂乃果「……遠泳10キロ」

凛「その後、マラソン10キロもあるよ~?」

花陽「休憩時間すら、ないよぉ……」

絵里「あの精神統一が休憩代わりなのかしら?」

海未「最近はA-RISEのDVDのお陰で皆さんやる気が出てましたし、今回は更に磐石な物にする為にも特訓に継ぐ特訓をするべきですからね!」キリッ!

ことり「海未ちゃんのやる気スイッチが入っちゃってるよぉ」

希「ウチな、帰ったら神田明神でお祈りするんや」

穂乃果「希ちゃん。それは死亡フラグだよ~」

にこ「はぁ~。海未のプランは却下よ、却下! あんたのプランやってたら腹筋の割れてる上に、足腰が筋肉なマッチョアイドルが誕生するわよ」

海未「マッチョ?!」

にこ「それかどこかの筋をおかしくするわね。にこがみんなの為にきちんとした練習メニュー用意したから。こんな感じでどうかしら? 意見があるなら少しくらい変更するけど」

穂乃果「おぉ~♪ きちんと自由時間があるよ!」パァァ!

凛「夜に花火って書いてあるよ~♪」

花陽「苦手を克服する為の時間まで、きちんとあるね」

絵里「練習もきちんと組んである。流石にこね」

希「二日目には新曲PVの撮影まであるんだね。ウチはこれでいいと思う」

海未「…………どうせ私なんて一人で暴走して失敗するしかないんです。海の中で若布みたいに漂ってればいいんです」ズーン

にこ「落ち込んでる暇なんかないわよ。さぁさ、練習メニューを頭に叩き込んだのならまずやることは一つよ! 柔軟体操して海にでも突入してきなさい! 自由時間からにしたのはやる気を起こさせる為なんだから」

ほのりん「おー♪」

絵里「さっきから気になってたんだけど真姫はどうしたのかしら?」

にこ「真姫ちゃんには部屋の中で何か足りないものがないか確認してもらってるの。この後、スーパーまで買い物してくるから何か欲しいものあったら言ってね」

希「ウチも行こうか?」

絵里「しっ! 希それは野暮ってものよ。二人で海岸脇を買い物しに歩く。ロマンチックなデートの一つよ」ボソボソ

希「あっ……なるほどなー。聞かんかったことにしておいて」ニコニコ

にこ「変な気回すくらい暇なら、この子達が足でも攣らないか丹念に柔軟手伝ってなさい。あと、穂乃果とことりは海未のケアをよろしくね」

穂乃果「任せて!」

ことり「了解だよ~♪」

海未「」ズーン

──開放的な夏の熱に誘われて 海岸沿い


真姫「んっ……ちゅぅ、んふぅ」

にこ「ぅんっ、ん……ちゅっ」

真姫「にこちゃん大好き///」

にこ「こ、ここ思いっきり外なんだけど!」カァァァ

真姫「皆に見られる訳じゃないんだからいいでしょ?」

にこ「スクールアイドル同士がキスしてたって噂になったらどうするのよ!」

真姫「大丈夫よ。この辺ってあまり人がいないから」

にこ「ま、まぁ……確かに。車も走ってないみたいだし。大分静かよね」

真姫「同意を得たし、今度はにこちゃんからキスして」

にこ「たった状態だと思いっきり背伸びしないといけないから大変なんだけど」

真姫「そこがいいんじゃない。頑張ってキスしようとしてくれるところに感じるのよ!」

にこ「……も、もぅ。仕方ないわねー。真姫ちゃんはにこのこと好き過ぎなんだから///」

真姫「大好きよ。この世の誰よりも愛してる」

にこ「…………にこぉ////」

真姫「照れ屋なにこちゃんが最高に可愛い」

にこ「真姫ちゃんの方が照れ屋でしょ! ほら、背伸びしてもそこだとまだ届かないんだからもうちょっと屈んで目を瞑りなさい!」

真姫「んふっ♪」

にこ「にこだって、真姫ちゃんのこと愛してるわ。……ちゅっ」

真姫「んっ……ちゅ」ギュッ!

にこ「ちゅ、ん、んふぅ」ギューッ

真姫「はぁはぁ。ねぇ、にこちゃん」

にこ「なぁに?」

真姫「にこちゃんって大人よね?」

にこ「まぁね。ついこないだ誕生日祝ってもらったばかりじゃない。もう18よ!」

真姫「そうよね。にこちゃんはもう大人よね?」

にこ「ど、どうしたの? 二度も訊くなんて……」

真姫「大人なら大人としてのキスのやり方があるんじゃない?」

にこ「──え?」

真姫「ほら、ディープキスっていうの? 大人のキスって言うじゃない。にこちゃん大人なんだし……するのが礼儀でしょ?」////

にこ「え、あの、だって!」オロオロ

真姫「それともあれなの。にこちゃんにとって私は大人の遊びなの?」

にこ「そんな訳ないじゃない! でもね、ほら……ここって道端だし。こんな所でそんなこと出来る訳ないっていうか」

真姫「にこちゃんってμ'sの活動の時は自分から動くくせに、こういう事は自分から動こうとしないわよね」

にこ「……ぇ、だって///」ウルウル

真姫「王子様なのにいつもお姫様の私からよね?」///

にこ「ほら、王子と言ってもにこは……ぼっち属性だし」

真姫「もう一人ぼっちじゃないでしょ!」

にこ「うぅ~///」

真姫「こういう恥ずかしくて堪らないって表情のにこちゃんも可愛いんだけど、たまにはお姫様気分を味わいたいのよ」

にこ「わ、分かったわよ! でもここじゃムリ!」

真姫「そういうと思った。だからね、私の小さい頃に見つけた秘密の場所があるの。そこに行きましょう?」

にこ「秘密の場所?」

真姫「そうよ。誰も知らない二人だけの……エデン」

にこ「……恥ずかしくないの?」

真姫「キカナイデ!」カァァァ!

にこ「お姫様。どうか王子の私を二人だけの楽園へ連れてって」

真姫「に、にこちゃんも恥ずかしいこと言ってるじゃない!!」////

にこ「太陽が熱いのが悪いのよ! さぁ、早く行きましょう!」///

──練習メニューの意味 勘違い探偵エリーチカ


海未「買い物に行ったきり、にこと真姫が帰ってこないのですが……」

絵里「念のため連絡を入れた方がいいわ。考えたくはないけど、万が一ということもありえるのだし」

海未「では私が連絡を入れます」

トゥルルルル...

海未「もしもし、にこですか?」

真姫『な、何かしら?』

海未「あれ、真姫ですか? あの、二人が帰ってこないので皆心配しているのですが何かありましたか?」

真姫『……もう少し休憩したら帰るから。心配しないで、それじゃ』ピッ

海未「切られましたね。……何故かにこの携帯に真姫が出ましたが、もう少し休憩してから帰るそうです」

花陽「そんなに遠いスーパーだったのかな?」

凛「遠かったのなら凛も手伝ったのに」

絵里「希はどう思う?」

希「間違いなくイチャついてるだけだと思うけど、えりちは?」

絵里「私も同意見よ」

穂乃果「お腹空いてきたんだけどなー」

ことり「お菓子持ってきたから安心してっ♪」

海未「とはいえ、穂乃果。予定ではこれからダンスの練習ですからまだお昼は先ですよ」

絵里「…………待って、にこはあの時なんて言ったかしら?」

希「あの時っていつのこと?」

絵里「ほら、海未の予定を否定して自分のを出した時よ」

穂乃果「おかしなこと言ってたかな?」

ことり「確かねぇ、みんなの為にきちんとした練習メニュー用意した、だったと思うけど」

穂乃果「流石ことりちゃん頭良い!」

絵里「ええ、そうなの。みんなのって言ったわよね。提案したのを差し出す時に自分を含めない言い方としても《みんな》って使えるわよね」

海未「そうですね。その場合なら作った人以外をみんなとして使いますからね」

凛「確かに。というか、みんなの《為》って強調してるからそういう意味にしか意味に聞こえないかも」

絵里「あの時に居なかった人物が一人居たわ」

花陽「真姫ちゃんだけ……居なかった?」

絵里「そう。つまり最初からにこ自身と真姫はこの練習メニューから外れる予定だったってことよ。これは綿密に計画されていたと考えるべきね」

穂乃果「本当ににこちゃんは万能だねっ」

希「ぼっちーず恐るべしやね」フフッ

ことり「ほぇ~♪ 二人きりの時間を作る為に計画立てたなんて素敵だよぉ~♪」ポワポワ

海未「その為に……私の立てた練習メニューが……」ガーン

凛「動機は不純だとしても、海未ちゃんよりは計画がきちんとしてるにゃー」

海未「」

穂乃果「海未ちゃん! ほら、ふぁいとだよ♪」ギュッ

海未「ほ、穂乃果っ!」////

希「真姫ちゃんの別荘を使うっていう提案もその為だったんやね」

絵里「こんな些細な計画まで完璧に立てるとか、にこってどれだけ完璧な人間なのかしらね」

希「悪知恵も動機次第ではロマンチックになるんだね」

花陽「はぁ~ん! にこちゃんってとっても素敵です!」キラキラ

海未「にこは元々皆のことを引っ張ってきましたし、真姫はμ'sに入る前から作曲を頑張ってくれてますから、これくらい良いんじゃないですか?」ツヤツヤ

絵里「それもそうね。私たちは練習して二人が帰ってくるのを待ちましょう」

穂乃果「はーい♪」

──犯人扱いされたにこは被害者


にこ「ぷはぁっ……ハァハァ……そ、ろそろ買い物に行かないと、怪しまれるわよ」

真姫「へ、平気よ……。だって、ほら……王子様とお姫様な訳だし?」

にこ「思考がおかしくなってるわよ。それにいくら洞窟って言ったって、外から丸見えじゃない」

真姫「だから言ってるでしょ? こっちからは見えても、明るい所から暗い所は見えないんだって」

にこ「……万が一ってこともあるじゃない」

真姫「ないわよ」

にこ「狭いけど見えそうな所でっていうのが、イケナイ事してる感が強くてより恥ずかしいのよぉ~///」

真姫「その割には激しく舌を入れてきたのに?」

にこ「捏造よ! にこは恐る恐る真姫ちゃんの口に舌を入れたら、一気ににこの……舌を……あんなに////」

真姫「でも大人のキスはにこちゃんからしてきたっていう事実は一生残るわ」

にこ「なんで嬉しそうなのよ」

真姫「だって嬉しいもの。明日の休憩時間は水着で来たいわね」

にこ「身の危険を感じるわ」

真姫「大丈夫よ。そういうことはラブライブが終わるまでは我慢するって決め手あるから」

にこ「逆に言うとラブライブが終わったらどうなるの!?」

真姫「さぁ、安心したのなら続きをしましょう」

にこ「安心してないわよ。別に嫌ってことじゃないんだけど……あぁ~、もういいわ。でも、本当にあっちから見えないのか確認しないと不安なの」

真姫「さっきまでずっとキスしてたのに?」

にこ「冷静になったら不安が蘇ったのよ。にこは腰が抜けて動けないから、真姫ちゃんが一度外に出て、こっちを写してみて」

真姫「私携帯忘れてきちゃったのよ。にこちゃんの貸してくれる?」

にこ「いいわよ。はい、お願いね」

真姫「分かったわ。中が見えなかったらまたにこちゃんからしてね」

にこ「///」

真姫「返事は?」

にこ「分かったわよ! にこのラブニコな舌遣いで腰抜かしてもしらないからね!」

真姫「それはそれで楽しみね」スタスタ

真姫「あ、待ちうけが私ね/// じゃあ撮るわよ」

カシャ! ♪愛してるばんざーい

真姫「海未からね。にこちゃーん! その中じゃ電波怪しいから代わりに出るわよ?」

にこ「いいわよ~」

海未『もしもし、にこですか?』

真姫「何かしら?」

海未『あれ、真姫ですか? あの、二人が帰ってこないので皆心配しているのですが何かありましたか?』

真姫「……もう少し休憩したら帰るから。心配しないで、それじゃ」ピッ

にこ「海未ちゃん何だって?」

真姫「無事かどうかの確認だって。それよりも……」スタスタ

真姫「見てにこちゃん。外からだと見えないでしょ?」

にこ「確かに見えてないわね。というかあんなにキスしたのにまだしたいの?」

真姫「いつも言ってるじゃない。それを訊くのはマナー違反よ」

にこ「……もう、本当に真姫ちゃんは甘えん坊よね。ほら、屈んで」

真姫「うん」ズズッ

にこ「口を小さく開けなさい」

真姫「にこちゃんの可愛い舌食べさせて///」

──合宿一日目・夜半


ことり「穂乃果ちゃん」

穂乃果「あ、ことりちゃんも起きちゃったの?」

ことり「うん。そしたら穂乃果ちゃんが居なかったから、どこに行ったのかなって」

穂乃果「なんだか眠りが浅くて目が覚めちゃった。夜の海が見たいなーって思ってね」

ことり「隣座ってもいいかなぁ?」

穂乃果「うん、勿論だよ!」

ことり「ありがとう」ストン

穂乃果「海は真っ暗だけど、そのお陰で星が綺麗に見えるね」

ことり「本当だねっ。すごく綺麗♪」

穂乃果「本物のアイドルのステージから見たサイリュームはこんな風に綺麗に見えるのかな?」

ことり「ふふっ♪ 穂乃果ちゃんって面白いことを考えるね。どうなのかなぁ?」

穂乃果「ファーストライブの時に絵里ちゃんに言われた時、思わず講堂を満員にしてみせるって言った時、にこちゃんが目標が小さいって言ったよね」

ことり「うん。あの時はアイドル研究部のこと知らなかったから驚いちゃった」

穂乃果「ほのかも驚いたよ。……あの時、ただスクールアイドルを続けたいっていう意思から出たのがあの言葉だったんだー」

ことり「知ってるよ。だってことりは穂乃果ちゃんのことずっと見てきたんだもん」

穂乃果「さすがことりちゃんだね。ほのかの事よりほのかの事を分かってるかも」

ことり「そこまでは自信ないよぉ///」

穂乃果「ラブライブに出場できたらさ、以前見たあの場所で歌えるんだよね」

ことり「可愛いステージだよね。ラブライブに出られた時の衣装を考えると胸がドキドキして眠れなくなっちゃいそう」

穂乃果「全国のスクールアイドル・スクールアイドルファンが注目する中でライブをする。にこちゃんが言ってた言葉は最初からここを目指せってことだったのかな?」

ことり「どうかなぁ? でも、にこちゃんならありえるかも」

穂乃果「今この瞬間を楽しめば廃校撤回も後から付いてくる……。自信満々に言ってたにこちゃんの言葉が本当になりそうで、本当ににこちゃんって魔法が使えるみたい」

ことり「うん」

穂乃果「以前海未ちゃんがね、ほのかがにこちゃんみたいに自信を付ければあんな風になれるって言ったんだ。だけど、魔法までは使えそうにないなー」

ことり「ううん、そんなことないよ。穂乃果ちゃんはことりにとっては魔法使いだよ!」

穂乃果「ほのかが?」

ことり「例えばいまこの瞬間。こんな綺麗な夜空を見れたのは穂乃果ちゃんが起きてたからだよ」

穂乃果「それって魔法じゃないんじゃないかな?」

ことり「魔法だよ。だって、ことりの胸はこんなにもドキドキしてるんだもん。穂乃果ちゃんにしか掛けられない魔法なのっ♪」

穂乃果「……ことりちゃん」

ことり「いつまでも新しい魔法をことりに掛け続けて欲しいなぁ」

穂乃果「魔法を掛けられるっていうのなら、いつまでも掛けるよ! だって、ほのかはことりちゃんとずっと先まで一緒に居たいもん」

ことり「海未ちゃんも一緒にね?」

穂乃果「うん! 海未ちゃんも一緒に見たいけど……」

ことり「……海未ちゃんは寝てる時に起こすとアレだからね」

穂乃果「そ、そうだよね。触るな危険だもんね」

ことり「ふふふ♪」

穂乃果「ことりちゃん」

ことり「なぁに?」

穂乃果「…………。ううん、何でもない。綺麗だね」

ことり「うん、でももう少しだけ見たら眠ろうね? 明日に響いちゃうから」

穂乃果「そうだね。明日はPV撮影があるから寝不足の顔じゃ怒られちゃうもんね」

ことり「穂乃果ちゃん」

穂乃果「なに?」

ことり「呼んでみただけっ♪」

穂乃果「あはは。まるで漫画の恋人同士みたいだよ」

ことり「ふふっ♪ ことりはいつでも穂乃果ちゃんの味方だから、何かあったら何でも言ってね?」

穂乃果「うん、ありがとう。ほのかもことりちゃんの味方だよっ」

ことり「うんっ♪ ねぇ、穂乃果ちゃん。手を繋いでもいいかなぁ?」

穂乃果「はい、どうぞ」

ことり「ありがとう。……穂乃果ちゃんの手は昔から安心するなぁ」

穂乃果「幼稚園のお昼寝の時はいつも手を握って寝てたよね」

ことり「うん! 今日は昔みたいに手を繋いだまま寝ちゃってもいい?」

穂乃果「勿論だよっ。何か昔の夢を見れそうだよね」

ことり「じゃあ、後十分くらいしたら戻って寝ようね」

穂乃果「うん」

──二日目 平等主義


海未「水着はなしです! 絶対になしです!」///

ことり「でも、最初からそうしようって決めてたよねぇ?」キョトン

穂乃果「海未ちゃん我がままはダメだよ~!」

海未「我がままじゃありません。私は水着でPVを撮るだなんて聞いてません!」

真姫「そう言えばあの時って、海未は弓道部に行ってて居なかったわね」カミノケクルクル

希「そうやね。偶然いなかったっけ」

海未「それは明らかに私が居ないタイミングで話し合ったんじゃないですか! 水着でするのなら私は今回のPVには参加しませんからねっ」

絵里「駄目よ、海未。……九人揃ってμ'sなんだから」

海未「でしたら話し合いも最初から九人でやるべきだったんです!」

凛「そうすると海未ちゃんが絶対に反対するよねって」

花陽「ご、ごめんなさい」

海未「私だけが仲間外れですか……。こんな事をする人達だとは思いませんでした。あなた達は最低です!」ダッタッタ...

穂乃果「ほら~。こんな風に言ったら海未ちゃんが怒っちゃうって言ったのに」

ことり「仲間外れなんて海未ちゃんが一番嫌う事だもの」

絵里「にこどういうことなの? ……これからPVの撮影だっていうのに」

にこ「今回はにこの提案じゃないわ。真姫ちゃんが言ったことよ」

希「真姫ちゃんが?」

真姫「昨夜ちょっとしたことを目撃してね。ピンときたのよ」

絵里「それってもしかして……。逆に海未ににことの事情を目撃されて、とか?」

真姫「そんな訳ないでしょ!」

花陽(昨夜おトイレ行きたくなって夜中に起きた時、真姫ちゃんとにこちゃんだけ居なかったことは黙っておこっと)

真姫「穂乃果は海未を追いかけて謝ってきて」

穂乃果「え、話が全く見えないんだけど」

真姫「いいから行って! 穂乃果じゃないと意味ないのよ。それから話し合いなんて嘘で、私が今朝皆に口を合わさせた事伝えなさい」

穂乃果「帰ってきたら説明してね。私、行ってくる!」タッタッタ...

ことり「それでこれはどういうことなのかなぁ?」チュン

凛「まったく分からないにゃー」

絵里「どうするの? これで穂乃果が海未を説得出来なかったら解散の危機よ。九人いないとμ'sじゃないんだから」

真姫「予言するわ。海未が帰ってきたら私に感謝するってね」フフン

ことり「…………ちゅん」

──海未と穂乃果


穂乃果「海未ちゃん! 待ってよ~!」

海未「こないでください! 私はこのまま帰ります!」

穂乃果「歩いて帰る気なの?」

海未「電車で帰ります。当然じゃないですかっ!」

穂乃果「お財布持ってないでしょ」

海未「……あ」

穂乃果「捕まえた!」ギュッ!

海未「はっ離してください。どうせ私はアイドルに向いてない恥ずかしがり屋なんです!」

穂乃果「そんなことないよ。確かに恥ずかしがり屋だけど」

海未「だから皆に蚊帳の外にされても仕方ないんです!」

穂乃果「それは誤解だよ!」

海未「誤解なんかじゃないです。私は穂乃果やことりと違って何もないんです!」

穂乃果「どうしてそんなこと考えるの? 確かに海未ちゃんに足りない物があるけど」

海未「もう! 穂乃果、あなたはさっきから何なんですか! 止めにきたんですか? それとも追い討ちしに来たんですかっ!?」

穂乃果「止めに来たに決まってるよ」

海未「だったらもう少し考えて言葉を発してください。それに私に足りない物ってなんですか?」

穂乃果「海未ちゃんに足りないのはアイドルに必要なサインだよ!」

海未「あるではないですか」

穂乃果「あんなの普通に名前書いてるだけじゃない」

海未「そんなサインがあっても良いではないですかっ」

穂乃果「よくないって!」ギューッ

海未「ちょっ、苦しいです!」

穂乃果「海未ちゃんが悪いのっ! 分かってくれるまで離さないからね!」

海未「わ、分かりました。分かりましたから……離してください///」

穂乃果「絶対分かってないよ!」

海未「……本当に分かりましたから///」

穂乃果「あのね、今朝真姫ちゃんが提案しただけで、海未ちゃんが部活の時にそんな提案してないんだよ」

海未「では衣装はきちんとあるんですか?」

穂乃果「午前中に届くように手配されてるって真姫ちゃんが言ってたよ」

海未「……だったら真姫は何がしたかったんです。わけが分かりません」

穂乃果「ほのかも分からないよ。でも、謝りに行くのはほのかじゃないと意味がないって」

海未「…………っ!」カァァァ

穂乃果「どうかしたの?」

海未「はははっ離してくださいっ!」////

穂乃果「うわぁぁあ~っ」スポン

海未「はぁはぁはぁ……真姫はなんてお節介な///」

穂乃果「イタタタ……」

海未「あ、すいません」

穂乃果「ともかくさ~海未ちゃんがどうしても水着が嫌って言うなら衣装でしようってほのかも同意するから皆の所に帰ろうよ」

海未「」

穂乃果「じゃあにこちゃんに伝授された元気になる魔法いくよ! 右頬にちゅっ♪ 左のほっぺにもちゅっ♪」

海未「──」カァァァァ!

穂乃果「海未ちゃん、ふぁいとだよ!」ニッコリ

海未「ほっ、穂乃果は無防備過ぎです!」

穂乃果「えっ?」

海未「こないだといい今といい……もうっ、水着でいいですよ! やればいいのでしょう、やれば!」

穂乃果「元気だけじゃなくてやる気も出たね☆」

海未「それから穂乃果! この魔法は今後禁止です!!」

──五分後

海未「真姫! お節介過ぎです。元々は貴女の所為なんですから、お礼なんて言いませんからね!」

真姫「素直じゃないわねぇ」カミノケクルクル

にこ「何がなんだか分からないけど、この曲に似合う水着でPV撮るってことでいいのよね?」

海未「ええ、にこに似て真姫は策士ですね」キッ!

真姫「最高の褒め言葉よ」

ことり「ちゅん」

真姫「」

絵里「……なんだか私たち置いてけぼりだったわね」

希「ウチは全部まるっとお見通しやけどね」

花陽「私もなんとなく分かったよ」

凛「凛はサッパリ」

穂乃果「とにかく気合入れてやろう!」

真姫「そうね。でも、にこちゃんは凄いわよね。作詞まで出来るんだもの」

にこ「──え?」

真姫「だって『夏色えがおで1,2,Jump!』を作詞したのもにこちゃんでしょ?」

にこ「前にこれ書いたのは佐藤だって言ったじゃない。もう、夏の暑さで忘れちゃったの? 仕方ない真姫ちゃんね~」

真姫「佐藤? 誰それ?」キョトン

にこ「え? いくら嫌いだからって存在から忘れなくてもいいでしょ。流石に佐藤が可哀想よ」

真姫「本当に知らないんだけど、その佐藤さんって人に私会ったことあったかしら?」

にこ「…………」

──終わりの始まり


佐藤「やっぱり……。何も出来ない内に夏が終わっていた」

にこ「可哀想ね」

佐藤「元ぼっちに同情の眼差しされるのが一番可哀想だよね」

にこ「ふっふーん♪」

佐藤「幸せそうで何よりだけど、学園祭の事はきちんと考えてる?」

にこ「現在3位でラストスパートという意味でも重要よね」

佐藤「そういえば全然気にしてなかったけど、廃校問題はどうなの?」

にこ「入学案内の取り寄せが多く寄せられてるらしいわ。絵里の言葉からもう心配はないだろうってことよ」

佐藤「学園祭で実際に学院とμ'sを見に来る生徒は多そうだ。ということは、講堂で是非ともライブをさせたいけど……講堂の利用はガラガラでの抽選なんだよな」

にこ「は?」

佐藤「音ノ木坂学院の学園祭の時、講堂の使用許可は昔から抽選で決まってるって話だよ」

にこ「そんなバカな話があるわけ!?」

佐藤「あるんだよ。こればかりは運次第なんだけど……にこにーは不幸体質というか、芸人体質だから絶対に外れる運命なんだ」

にこ「嫌な体質過ぎるわよ!」

佐藤「だからと言ってエリーチカに引かせて失敗したら傷付けちゃうから却下。一年生は遠慮するだろう。ラッキーガールの希ちゃんか二年生組か」

にこ「絵里に関しての突っ込みはスルーするとして、運なのに責任重大って性質が悪いわね」

佐藤(原作でにこにーの前に引いた部が三時から一時間講堂の許可を得たんだけど、思い出せない。確か講堂使う必要がなさそうなくらい地味だったのは覚えてるんだけどなー)

にこ「希ってこういう責任ある事を決める時は裏方に回る性格だし、ことりも似た感じよね。海未は何気にメンタル強そうに見えて脆い部分があるし……。やっぱりリーダーの穂乃果にお願いするべきかしら」

佐藤「話し合ってからがいいかもね。外れが出ても全員の責任であって、引いた人の責任じゃないってことを最初に決めておこう」

にこ「そうね。そんなことでグループの空気が悪くなったら嫌だしね」

佐藤「その言葉で思い出した。最近ことりちゃんの様子はどう?」

にこ「ことり? そう言えばなんかちょっと元気がないみたいだけど」

佐藤「部長命令発令だ。抽選を受けた日でいいかな、穂乃果ちゃんにことりの話を聞くように言っておいて。学園祭問題より重要なことだから」

にこ「よく分かんないけど佐藤がそう言うならそう言っておくわ」

佐藤「あ、そうだ。学園祭は『START:DASH!!』の九人ヴァージョンやるんでしょ?」

にこ「μ'sの始まりを今度は全員で歌うの」

佐藤「最高のライブになるといいね」

にこ「なるに決まってるじゃない。男性は家族だけしか入れないから招待出来ないけどね」

佐藤「それは残念。で、衣装なんだけど今回は制服でやるべきだと思う」

にこ「制服で? 絵里の制服姿で歌ってるのが見たいとか言う理由じゃないでしょうね?」

佐藤「そんな邪な考えで発案しないよ。ことりちゃんにはもうラブライブの衣装作りに集中して欲しいし、入学を考えてる中学生達にアピールするんだよ」

にこ「なるほどね。衣装が制服でも魅了出来るっていうのはライバルに目の前で証明されたことだしね」

佐藤「後はもう抽選の問題だけだね。僕がアドバイス出来るのもこれが最後かな」

にこ「秋になったからってしんみりしてるんじゃないわ」

佐藤「そうだね。もう、秋だもんね」

にこ「そんなんだから真姫ちゃんに忘れられるのよ」

佐藤「黒子は居ても居ないみたいな存在だから」

にこ「やっぱりさ、ラブライブ終わったら打ち上げにきなさいよ」

佐藤「…………。誰が引くのか決まったら教えてね。秘策が思い浮かんだら連絡するから。ただ最後にひとつだけ」

にこ「なに?」

佐藤「学園祭は雨になる。風邪の潜伏期間を考えると予選が始まるのと同時くらいに病状が現れる可能性がある」

にこ「風邪って直ぐに出て直ぐ治らない?」

佐藤「一週間から十日くらい潜伏する場合が普通なんだよ。アピールよりも体調優先で考えた方がいい。講堂が使えるに越したことがないけど」

にこ「そうね。努力の結果に運が付いてくることを祈る限りね」

──運命を託す相手


にこ「ということで、伝統という弊害が今にこ達を拒んでいるわけ!」

絵里「忘れてたわね」

海未「抽選というのは知りませんでした」

希「誰が引くのかが重要やね」

花陽「ここは先輩達にお任せしたいなぁ」

にこ「先輩後輩なしで引きたいという人いるかしら?」

μ's「…………」

にこ「ということで生徒会長の絵里かリーダーの穂乃果にお願いしたいけど」

穂乃果「ちょっと待って! 部長のにこちゃんが抜けてるよ」

絵里「μ'sだけで言うなら生徒会長より部長が優先でしょ!」

にこ「同時に突っ込まなくてもいいじゃない。責任を追及しないことを条件にして、運が良さそうな希かことりに任せるのもいいと思う」

凛「確かに希ちゃんかことりちゃんなら当てられそうかも」

希「ウチはどうかな?」

ことり「ことりはこういうのは無理です」

真姫「私はここぞという時はにこちゃんがいいけど」カミノケクルクル

海未「難しい問題ですね」

希「投票で決める方がいいんじゃない?」

にこ「じゃあ投票ってことで一人一票で多い人に決めましょう。同票の場合はジャンケンでいいわね」

絵里「そうね、じゃあ私はこの紙を切るから希はペンを皆に渡しておいて」

希「了解や」

──五分後

凛「やっぱりにこちゃんかなって」

花陽「私は……穂乃果ちゃん」

真姫「私は言うまでもないわね」

穂乃果「私もにこちゃん!」

ことり「私は勿論穂乃果ちゃんだよぉ」

海未「私も穂乃果です」

にこ「にこは絵里ね」

希「ウチはにこっち信じてるよ」

絵里「私はにこね」

海未「五票入ったにこで決まりですね」

にこ「え、にこ?」

絵里「妥当よね」

穂乃果「にこちゃんなら安心だよね。ここぞという所は本当に頼りになるし」

にこ(ど、どうしよう。絶対に外れる運命なんだとか不吉な事を佐藤に言われてるのよね)

真姫「にこちゃんなら任せられるわ」

凛「頑張るにゃー」

にこ(自分で言い出したから撤回出来ないし。学園祭で講堂を使えなくなるのはテンションに繋がるわ……。それに、観客の居るステージでライブをする経験があるかどうかはラブライブに大きく影響がある。ここは佐藤に連絡を)

にこ「──」

にこ(ううん。皆に選ばれたんだもの。いつまでも頼ってばかりじゃダメね。アイドルというのはここぞという時に魅せられてこそ。今のにこなら……皆に信用されてるにこなら!)

にこ「にこ一人の想いじゃ当てられないと思う。でも、皆の想いがあるのならやってみせるわ!」

──学園祭講堂使用抽選教室 フラグに立ち向かう勇気


「ではアイドル研究部どうぞ」

絵里「にこ、お願いね。講堂が使えるかどうかでライブのアピール度は大きく変わるわ!」

穂乃果「にこちゃん! ふぁいとだよ!」

真姫「……にこちゃん。お願い」

にこ「…………んぅっ!」

ガラガラ……

にこ(九人の歌の女神! お願いっ!)

ガラガラ……コロン

にこ「──」

「残念! アイドル研究部。学園祭で講堂は使用出来ません」

穂乃果「」

絵里「」

真姫「」

にこ「…………にこぉ」ガーン

──屋上

にこ(絶対に外れる運命なんだ。佐藤……あんたの言葉が本当に正しかったわ。部長でありながら部のここぞという活躍の場を奪ってしまった。佐藤が絵里を選ばせたくないと言った気持ちが痛感させられるわ)

にこ「みんなごめん」

希「にこっちが謝る必要はないよ。皆で決めた結果だもの」

絵里「希の言う通りよ。今はどこでライブをするかを決めましょう」

穂乃果「そうだね。講堂じゃなくなったってライブが出来ればアピール出来るもん!」

海未「体育館とグランドは運動部が使ってしまいますから広い場所となると限られてきますね」

凛「部室だと狭いし」

花陽「空き教室でも同じ、だよね……」

ことり「どこか広い場所」

真姫「広い場所……ここはどうかしら? ここならどれだけ人が集まっても狭いということはないだろうし。いつも練習している場所だし」

穂乃果「それだよ!」

にこ「待って! 確かにそれはいい案なんだけど、雨が降った時の事を考えると止した方がいいわ」

穂乃果「大丈夫だよ! ほら、野外ライブって言えば雨だし。それくらいほのか達ならなんともないよ!」

凛「そうだよ! むしろ雨が降った方が盛り上がるにゃー!」

にこ「ダメよ!! にこ達は今日燃え尽きればいいってものじゃないわ。ラブライブの予選で風邪が発病したとかなったら意味がないの。だからって、勿論学園祭をないがしろにしたいって訳じゃないわ。ただ、そこを踏まえて考えて欲しいのよ」

絵里「にこの考えの方が正しいわ。今日一日は軽い運動で終えて、明日までにいい案がないか考えてみましょうか」

希「そうやね。下手に考え過ぎても煮詰まるだけやからね」

海未「確かに一理あります。私は練習が終わったら弓道部にいきます。……あ、穂乃果ちょっといいですか?」

穂乃果「ムムッどこかいい場所が……え、海未ちゃんなぁに?」

海未「耳を借りますよ。……ことりの様子が最近おかしいと思いませんか?」ボソボソ

穂乃果「そうかな?」ボソボソ

海未「弓道の練習もあって最近話せてないのですが、穂乃果の方で気にしてあげてください」ボソボソ

穂乃果「うん、分かった」ボソボソ

絵里「じゃあ、気持ちを切り替えて練習を始めるわ。まずは柔軟から。気を抜いて怪我をしたらライブどころじゃないからね!」

──真・ともだち


にこ「ちょっと穂乃果に話があるんだけど」

穂乃果「真姫ちゃんと何かあったとか?」

にこ「何かあってもわざわざ穂乃果に話したりはしないわ」

穂乃果「えー話してくれてもいいのに。じゃあ、さっきのライブ会場探しでもするの?」

にこ「それも大切だけど、もっと大切なことよ。最近ことりの様子がおかしくない? 元気ないっていうか悩んでる感じがするのよ」

穂乃果「そうかな? あ、でも海未ちゃんも 練習始まる前に同じこと言ってた」

にこ「だったら気にしてやりなさいよ。あんたの一番の友達でしょ。これからことりと帰って話を聞いてあげなさい」

穂乃果「にこちゃんがそういうなら分かったよ」

にこ「頼んだわよ、リーダー」ニコッ

穂乃果「任せて!」

にこ「学園祭のライブの場所のことは考えないでいいから」

穂乃果「分かった。そっちはにこちゃんに任せたよ!」ニッコリ

──帰り道

穂乃果「最近元気がなかったみたいだけど何かあったの? 悩み事なら聞くよ!」

ことり「うん。穂乃果ちゃんに真っ先に相談に乗ってもらいたいって思ってたの。聞いてもらってもいいかなぁ?」

穂乃果「うん、聞かせて欲しい」

ことり「海外の装飾関係のプロの方からことりに本場で学ばないかって誘ってもらえて。でも、留学すれば最低でも高校卒業までは戻れないと思うの」

穂乃果「そんなに長く……」

ことり「将来の夢の為なら留学するのが一番だと思う。でも……」

穂乃果「……」

ことり「穂乃果ちゃん。ことりはどうすればいいのかな?」

穂乃果「ほのかも海未ちゃんもね、昔からことりちゃんに色々な物を貰ってるんだ。いっつも助けられてばかり」

ことり「穂乃果ちゃん?」

穂乃果「特に記憶に残ってるのは海未ちゃんの家の壷を割っちゃった時かな」

ことり「小学生の時のことりが風邪で休んでた時の話だよね」

穂乃果「うん。ことりちゃんが風邪でお休みでお見舞いした後、海未ちゃんの家で遊んでた時。海未ちゃんが離れてた時にほのかがこけて壷を割っちゃって。怖くなって逃げちゃって」

穂乃果「家に帰った後に勇気振り絞って海未ちゃんの家に謝りに戻ったけど、だけど外からでも聞こえる海未ちゃんの泣き声に足が震えてまた逃げちゃって。ことりちゃんの所に夢中で走ってた」

ことり「帰った筈の穂乃果ちゃんが泣きながら来るんだもん。熱にうなされてて夢見てたのかなって思っちゃったよ」

穂乃果「あの日、ことりちゃんがほのかの背中を押してくれなかったら……海未ちゃんに完全に嫌われてた。今のほのかはなかったよ」

ことり「穂乃果ちゃん」

穂乃果「といっても、これはことりちゃんに救われた一つに過ぎないんだけど。一番最初の友達で、ずっと一緒に居ることが当たり前で、大切な存在」

ことり「それはことりも同じだよ」

穂乃果「それでね、相談に答える前に一つほのかの話を聞いて欲しいの」

ことり「うん、聞かせて」

穂乃果「A-RISEは本当に凄いよね。初めて見た時、路上ライブで目の前で見た時、練習してるDVD。どれをとっても魅力的で胸が震えて」

ことり「本当にすごいよねぇ」

穂乃果「穂乃果もあんな風になりたい。その気持ちがもう止められなくなってきちゃってるの」

ことり「え?」

穂乃果「ラブライブで同じ舞台に立てたらその時はもうこの気持ちを抑えきれないと思うの。絶対に止められない」

ことり「穂乃果ちゃん」

穂乃果「それでね、その時はことりちゃんと海未ちゃんも一緒に居て欲しい。μ'sを始めた時みたいに」

ことり「……」

穂乃果「ことりちゃんには夢があって、海未ちゃんにはほのか以上に家を継がないといけない立場だって分かってる。でも……」

ことり「くすっ♪ ね、穂乃果ちゃん。その思いが今はまだきちんとした形になってなくてもいいよ。いつもみたいに我がまま言って欲しいな」ニコリ

穂乃果「ことりちゃん! 留学なんてしないで、穂乃果と一緒に同じ夢を見て欲しい!」

ことり「はいっ!」

穂乃果「えっと……本当にいいの?」

ことり「昔からね、海未ちゃんと二人でよく言ってたの。穂乃果ちゃんにはよく振り回されてるばかりだよねって。でもね、穂乃果ちゃんはいつも連れてってくれるの。ことりや海未ちゃんだけじゃ絶対に辿り着けない高みへ」

穂乃果「……ことりちゃん」

ことり「ことりはもう将来も全部穂乃果ちゃんに任せちゃう♪」

穂乃果「ことりちゃ~ん! 大好きだよっ!」ギューッ!

ことり「ことりも穂乃果ちゃんが大好きだよっ!」ギュッ

穂乃果「ずっと一緒に歩いていこうね」

ことり「形になったら真っ先に伝えてね」

穂乃果「勿論だよ!」

ことり「海未ちゃんも絶対に説得してね? 私たちは三人一緒だよ」

穂乃果「うん♪」

ことり「でも、穂乃果ちゃんは渡さないから♪」チュン♪

穂乃果「え? 今何か言った?」

ことり「何でもないよ?」ニッコリ

──同日・部室 もう一つの宝物


絵里「まだ残ってたの?」

にこ「そりゃあね。ちょっと穂乃果は別件に当たってるから、この問題は部長であるにこが解決しないと」

絵里「凄いわよね。去年まで一人でいじけてた人間とは思えないわ」

にこ「茶化しにきたのなら帰りなさいよ」

絵里「別に茶化しにきた訳じゃないわ。アクシデントが起こった時は新人が残るのは当然でしょ?」

にこ「とんだ態度のデカイ新人もいたものだわ。ま、一人で考えるよりはマシね」

絵里「三人よればって言いたいけど希は神社の方に顔を出すみたい。真姫は?」

にこ「真姫ちゃんも今日は病院にって、どうして真姫ちゃんの事をにこに訊くのよ!」

絵里「だって二人は付き合ってるんでしょ?」

にこ「なっ、ちがっ、んぁ……にこぉ」カァァァ

絵里「女の子同士っていうのはありえないことだって考えなんだけど、にこと真姫だけは特別って感じに思えるから不思議ね」

にこ「さっ、さっきも言ったでしょ。茶化すなら帰りなさい!」フンッ

絵里「だから茶化してないわ。……それで、どこでライブをする予定なの?」

にこ「雨でなければ屋上でいいんだけどね」

絵里「雨かもって話でしょ?」

にこ「ううん、雨が降るのよ。知り合いに預言者がいるのよ。そいつが学園祭の日に雨が降るって言ってたの」

絵里「胡散臭い知り合いがいるのね」

にこ「でも頼りになるのよ。時々ムカつくけど、言ってることはけっこう正しいことがないでもないし。まぁ、ちょっと女神推しが強すぎてウザいけど」

絵里「女神?」

にこ「あんたのファンなのよ。以前希があんたの写真を撮ったことあったと思うけど、そいつからの依頼だったのよ。そのお願いの為に一度だけ生徒会の仕事を手伝ったの」

絵里「ああ。あったわね。あの時は悪かったわ……。でも、ちょっと待って! その相手って男性なの?」

にこ「ええ、男よ。多分二十歳前後かしらね。年齢までわざわざ訊いたことないけど」

絵里「希ぃぃぃ! そういうことは先に言いなさいよ。あんなポーズを男性に……」ズーン

にこ「どんなポーズか知らないけど、ネットにあげるとかは絶対にしないってにこが約束出来るわ。あいつの絵里推しは神格化してるから。自分以外の誰かに見せるなんて冒涜以外の何でもないだろうし」

絵里「それはそれでちょっと……」

にこ「ま、あいつの話はいいわ。今は雨の日でも出来る場所を考えるないと」

絵里「そうね。といっても、正直手詰まりなのよね」

にこ「分かってるわ。だから一日置くって言ってくれたのは助かったわ。あのままだと皆のテンションが下がったままで切り替えが上手くいかなかった」

絵里「でも、逆に明日の放課後までに打開策を考え付かないといけなくなったわ」

にこ「どうしようかしら」

絵里「……最悪は部室でするしかないわ。曲数を絞って、時間毎に入れ替える感じにすれば最悪可能だし。ただ、体力面をきちんと配慮しないとダメね」

にこ「流石生徒会長ね。確かに、それなら少なくとも回すことは出来る」

絵里「ただし、これだとライブという感覚とはちょっと違う気がするのが難点ね」

にこ「やっぱりあんたも同じ考えか」

絵里「ステージの上で歌ったことがあるのは穂乃果達二年生組だけだものね」

にこ「ラブライブ前に一度ステージというものを体験させてあげたいわ。特に一年生組にはね」

絵里「……正直厳しいわね」

にこ「A-RISEは七日間連続でライブだし。経験の差は圧倒的」

絵里「……現実は厳しい、か。それでも守ってあげたいわ」

にこ「同感ね。魔法が使えたら雨を晴れに変えるのに」

絵里「でも、みんなにとってはにこは魔法使いなんでしょ? 穂乃果達が魔法少女だって言ってたわよ」フフッ

にこ「流石に本物の魔法は使えないわよ」

絵里「どうかしら? にこなら本当の魔法だって使えそうな気がするけど」

にこ「買いかぶり過ぎ」

絵里「気分転換に一度やってみましょうよ。にこのアレ」

にこ「あんたと二人なのに?」

絵里「知ってた? 私だけやったことないのよ」

にこ「それはあんたのキャラに合ってないからでしょ」ケッ

絵里「仲間外れは嫌なのよ。ほら、やりましょう」スタッ

にこ「しょうがないわねぇ。元気いっぱいにやるわよ~!」スタッ

絵里「ええ」

にこえり「にっこにっこにー♪」

絵里「くすっ。思っていた以上に恥ずかしいわね、これ」フフッ

にこ「うっさい!」

コンコン……

にこ「誰かしら? どうぞ、入ってもいいわよ」

「失礼します……。ここってアイドル研究部、μ'sの部室でいいんですよね?」

絵里「そうだけど、貴女は?」

「初めまして。私は書道部の副部長をしてます、二年の物申と言います」

絵里「物申さんね。それで今日はどういった用件かしら?」

「はい。今日の抽選で書道部は三時から一時間の講堂許可をもらったんです」

にこ「……ふぅん。それで?」ムスッ

「二時からの行動許可を得たのが映画研究部だったんです。それで、向こうの部長さんとうちの部長がμ'sのファンで。あ、私もファンなんですけど」

絵里「えっと、話が見えてこないのだけれど?」

「すいません、話下手で。それでですね、話し合ってお互いの部を30分ずつで使用して、三時からの使用許可をアイドル研究部に譲ろうって話になったんです」

にこ「それって本当なの!?」クワッ!

「ひっ! ほ、本当です」

にこ「絵里! こういうのは学園祭のルールとして大丈夫?」

絵里「譲歩は禁止されていないから大丈夫よ! だけど、本当にいいの?」

「はい! μ'sの皆さんの活躍で廃校の撤回を確実にして欲しいっていう欲もあります。私達もライブを見たいというのが本音なんですけど」ニコリ

にこ「……ありがとう。書道部の提案を受け入れさせてもらうわ」

絵里「本当にありがとう。明日にでも全員で挨拶に行かせてもらうわね」

「はっはい! みんな喜びます。それから、ライブの方頑張ってくださいね」

にこ「ええ、最高のライブにしてみせるわ」

「それではこれで失礼します」ガラガラ...

絵里「ハラショー。本当に魔法使いなんじゃないの?」

にこ「そうね、もしかしたら魔法使いなのかもしれないわ。なんて本当に思っちゃったわよ」

絵里「早くみんなに教えてあげないとね」

にこ「二年生組は後でにこが教えておくわ」

絵里「じゃあ、希と凛と花陽は私が連絡しておくわね」

にこ「本当にあんたお節介ね」

絵里「馬に蹴られたくないだけよ。それじゃ、解決したことだし私は帰るわ。途中まで一緒に帰る?」

にこ「にこはもう少し休んでから帰るから」

絵里「それじゃあ、また明日」

にこ「ええ、今日はありがとう」

絵里「こういう嬉しいこともまた、いつかみんなと笑い合って話したいものね。最高の宝物として」スタスタ...

──刺さった棘


にこ「最高の宝物……ね。臭い台詞。まるで佐藤みたいだわ」

♪愛してるばんざーい

にこ「って、噂をしたら佐藤からだし」ピッ

佐藤『もしもし、今大丈夫?』

にこ「ええ、大丈夫よ」

佐藤『作戦を思いついた。上手くいくか分からないけど、書道部の直ぐ前に引けば当たりを引ける可能性が高い!』

にこ「遅いわよ! しかももう解決したし! 役に立たないわねー」

佐藤『酷い。漸く何部か思い出したっていうのに……。で、どういう流れなの?』

にこ「多数決でにこに決まって。引いてダメだったんだけど、書道部が譲ってくれて三時から一時間講堂を使えるようになったの」

佐藤『……順位が三位だからこその変動か。だったらポスターも美術部とかに頼めないかな?』

にこ「…………えぇ゙」

佐藤『なんでそんなに嫌そうなの?』

にこ「美術部の現在の部長ってのは……にこが一年の頃に立ち上げたスクールアイドルのメンバーなのよ」

佐藤『なるほど。それは頼み難いね』

にこ「絵を描くだけだと太るから、身体を好きな音楽聴いて踊って運動不足解消したいって理由だったのよ」

佐藤『ってことは絵のクオリティは期待出来そうだ』

にこ「ちょっと、あんた人の話を聞いてる?」

佐藤『にこにーは女の子だから知らないと思うけど、少年誌の不良漫画とかだとね、かつて仲たがいした仲間と共闘するっていうのは燃える展開なんだよ』

にこ「はぁ?」

佐藤『ライバルが一度だけ手を貸してくれるとかもあるね。胸が熱くなる』

にこ「ここ女子高なんだけど」

佐藤『あくまで例え話だよ。手を貸してくれるかどうかも分からない。でも、前に言ったけどことりちゃんには衣装作りに集中して欲しい』

にこ「……はぁ~。それはつまりにこに美術部に行って頭下げてこいってこと?」

佐藤『それ以外に聞こえたのなら耳鼻科に行くべきだよ。それか女神エリーチカの美声をエンドレスで聴くか』

にこ「あんたの女神推しは本当に……。あ、一応言っておくけど、絵里の写真はネットとかに絶対UPしないでよ?」

佐藤『そんなことをこの僕がする訳がない!』キッパリ

にこ「でしょうね。それだけはにこも確信が持てるわ」

佐藤『あの写真の素晴らしさを語っていては携帯の電池が切れるから、取り敢えず美術部にまだ人が居るかどうか確認して。居たらポスターの件をお願いして』

にこ「さ、作戦とかはあるの?」

佐藤『こういう燃える展開の時に小細工は必要ない! 大丈夫。熱いハートがあれば!!』

にこ「すっごい冷めてるんだけど」

佐藤『アイドルになる時のことを考えてさ、棘は抜いておこう』

にこ「棘?」

佐藤『スクールアイドルを解散したこと。全員とかは無理でも、一人だけでも和解出来れば棘は抜けるよ』

にこ「そんな簡単にトラウマはなくならないわよ」

佐藤『どうかな? やる前から結論を出すのはダメな人間の言い訳だ』

にこ「刺さってる棘がより増える可能性だってあるじゃない」

佐藤『そうなったら真姫ちゃんが癒してくれるよ』

にこ「……あんたって本当にムカつくやつね。秋なんだからこないだみたいにしんみりしてなさいよね」フンッ

佐藤『悪いね。ラブライブで歌う姿を目の前で見る為に頑張ってもらわないといけないからね。あ、ちなみに最終日である決勝のチケットしか買えなかった』

にこ「本当に佐藤は最低よね。こんな可愛いにこに鞭打ってばかりで」

佐藤『僕が最低だっていうのは以前死にたくなるくらいに痛感したよ。主ににこにーの所為で。だから今度はにこにーが謝罪を!』

にこ「謝罪するのはそっちでしょうが!」

佐藤『ま、冗談はともかく、いつまでもぐだぐだ言ってないで行ってきなさい』

にこ「簡単に言うわね……まったく」

佐藤『じゃあ、そろそろ切るね』

にこ「……行ってくればいいんでしょ」

佐藤『過去と向き合うのは恥ずかしかったり怖かったりすると思う。僕にはちょっと無理だけど、にこにーなら出来るよ。支えてくれる人がいるにこにーならね』

にこ「自分に出来ないことを人に求めるとか本当に最低よ。……でも、自分の為に棘を抜く努力をしてくるわ」

佐藤『昔の事を思い出して体が震えなくなれば棘は抜けたと言えるよ。失敗した時は僕を恨んでくれていいから』

にこ「恨まないわよ。前にも言ったでしょ? にこの心は広いんだって」

佐藤『エリーチカよりは狭いけどね。期待してるよ』

にこ「女神推しがうっざいわねー。ま、頑張って説得してみせるわ。いつか真姫ちゃんに解散したグループの時のことを笑って語れるようになりたいし、最高の自分になりたいから」

──学園祭前日 最高のライフ


花陽「はぁぁぁ~んっ!」キラキラ

凛「すっごいカッコ良いにゃ~!」キラキラ

希「これは見事やね」

絵里「これがにこの言っていた秘策っていうことね。素敵なポスターだわ」

穂乃果「以前までのことりちゃんの絵も可愛いけど、こういうカッコ良いデザインもいいねっ!」

ことり「これってμ'sの旗だよね? ほぇ~すっごい素敵だよぉ」ポケー

海未「こうしてクオリティの高い物が仕上がっていては、否応でも最高のライブにしないといけませんね」

真姫「にこちゃん最高よ!」ギュッ!

にこ「ちょっと真姫ちゃん。人前っ! ……これは美術部の部長に依頼して描いてもらったのよ」

希「えりち。美術部の部長って、にこっちがスクールアイドル立ち上げた時の元メンバーやったよね?」ボソボソ

絵里「にこ……。無理したんじゃないの?」ボソボソ

にこ「聞こえてるわよ。無理なんてしてないし。解散しても元メンバーなのよ? 絆は砕けても、想いはそこに残り続けてる。そう、にこは信じていたわ」キリッ!

凛「あっれ~? この変な絵とへにょへにょな字でμ'sって描いてる紙は何かな?」

花陽「失敗作……なのかな?」

海未「それにしては壊滅的なくらい似てませんが」

穂乃果「これならほのかが描いた方が百倍上手いよっ!」

凛「凛だってこんなのよりは上手く描けるよ!」

ことり「誰かの悪戯描きじゃないのかなぁ?」

にこ(い、言えないわ。ことりには絶対に大丈夫だからって言い切ったのに、あの女に何度も何度も断られて……泣く泣く自分でポスターを描いたやつがそれだって)

真姫「ねぇ、あのへろへろの字ってにこちゃんが書いたんじゃないの?」ポツリ

にこ「にこっ! さ、流石真姫ちゃんね。でも、内緒にしておいて」ボソッ

真姫「にこちゃん。変わらない絆も想いもここにはあるんだから、無理しないでよね?」ボソボソ

絵里(良かったわね、にこ。失敗した関係すら今に繋げられるなんて、最高の人生よ)

希「ほな、ウチがポスターコピーしてくるわ。張るの手伝ってくれる人は付いてきて」

穂乃果「はいはーいっ! 一杯張っちゃうよ!」

海未「今の穂乃果は壁どころか、ドアにすら張りそうなので付いていきます」

ことり「くすっ。じゃあ私も行きます♪」

希「じゃあ穂乃果ちゃん達に頼もうかな。ウチに付いてきて無事に天竺に辿りつくんや」スタスタ...

海未「どうして西遊記なんですか」スタスタ...

ことり「どちらかと言うとヘンデルとグレーテルだよねぇ」スタスタ...

穂乃果「あの変なポスターだったらお菓子の家に逆戻りしてたかも」スタスタ...

にこ(どうせにこの絵は下手よ! 悪かったわね!)

絵里「じゃあ、残りのメンバーで明日のライブの最終確認をしておきましょう」

にこ「そうね。確認は何度しても足りないということはないわ」

真姫「来てくれたお客さんに満足してもらわないとね」

凛「そうだね! 来てくれた中学生の皆が音ノ木坂に入りたいって思ってもらえないとね!」

花陽「……がんばらないと」

にこ「花陽、前にも言ったけどこの瞬間を楽しんでれば結果として付いてくるんだから、気負わないようにね」

花陽「う、うん」

絵里「花陽。思い出して、貴女達はにこが言った通りに楽しんでここまで来たのでしょう? 舞台の大きさが変わっても、お客さんの人数が変わっても、今まで通りやれば結果が付いてくるわ。だから余り緊張しないで、ね?」ニコリ

花陽「はいっ! そうだよね。私達は変わってないんだもん」

凛「かよちんの言う通り! 凛達がすることはμ'sに入った時から変わってないよ♪」

絵里「もしもの時は魔法使いのにこに魔法を使ってもらえばいいしね」パチッ♪

にこ「ウインクが上手いのがムカつくわね」

凛「凛がすると両目を瞑っちゃう時があるんだよね」

花陽「わ、私も……。だけどウインクはアイドルの技の一つだから、完璧にならないとね」

にこ「それはともかく、まずは明日のことよ。他の部に応援されたのだから失敗は出来ないわ。さぁ、気合入れて確認していくわよ!」

──学園祭当日 真・最高のライブ


穂乃果「ねぇ~! みんな見た見た見た!?」

ことり「すごいよぉ♪」

海未「二人して興奮してどうかしたのですか?」

凛「何を見たの? 真姫ちゃんとにこちゃんがキスしてたのはさっき見たにゃー」

花陽「ココデバラシチャウノォォォ!?」

にこ「なぁっ!?」///

真姫「ヴェェェェ!?」カァァァ

穂乃果「そんなことじゃないよ!」

にこ「そんなこと扱いされてるしっ!」

絵里「といっても週一程度で目撃するしね」

希「場を気にしないカップル。通称バカップルって言うやつや」

海未「その解釈は少し違うと思いますが……。ただ、意味が合っているところがすごいですね」

真姫「誰がバカップルよ! それに、にこちゃんが恥ずかしがるから場はきちんと弁えてるわよ!////」

花陽「やっぱり、真姫ちゃんが攻めなんだ……」ゴクリ

絵里「場を弁えてるって、校内でしてるのにも関わらず言い切ったわね」

にこ「それでっ! 穂乃果は何を見たって訊いてたの?」アセアセ

穂乃果「うん、見に来てる子達が凄く多いんだよ!」

ことり「地元の中学校だけじゃなくて、見たことない制服の子も多かったのっ♪」

絵里「それだけ注目されているということね」

凛「このライブ次第ではその子達が凛達の後輩になるんだよね!」

希「そういうことや。にこっちが頑張ってを依頼したポスターの効果もあるやろうね」

にこ「にこ達は皆に支えられて今日この日を迎えた。次はにこ達が最高のライブで見に来てくれた子達を笑顔にさせるのよ。それがにこ達の出来る恩返し」

真姫「そうね。もうすぐ出番だし、こないだ決めたアレをやらない?」

凛「さんせーにゃー!」

絵里「じゃあ、部長のにこに何か一言もらってからしましょう」

にこ「決めた後にもう一言なのっ!?」

花陽「アンコールされるのはアイドルとしての最高の喜びです!」キラキラ

海未「これはちょっと違う気がしますが」

にこ「こほんっ。……にこ達が着ているこの制服は昔から続いてるものよ。ことりが作ってくれる衣装とは別の意味で最高の衣装ね。この制服に誇れるライブで皆を魅せましょう!」

穂乃果「いちっ!」

ことり「にっ!」

海未「さんっ!」

にこ「よんっ!」

真姫「ごっ!」

花陽「ろくっ!」

凛「ななっ!」

希「はちっ!」

絵里「きゅうっ!」

穂乃果「いつもの様に今この瞬間を楽しもう! そうすれば最高のライブになるから。私達も全身で楽しもうっ!」

μ's「おーっ!」

物語はついにラブライブの舞台へ!

花陽「はぁぁぁぁ~~んっ! ラブライブの聖地。ここで本当にライブをする日がくるだなんてっ!」

凛「緊張してないのが嘘みたい!」

絵里「にこの魔法の成果ね」

ライバルグループ達との対決!

「馬鹿にしてるのっ!? ふざけないでっ!」

「μ'sの皆さんと同じ舞台に立てて幸せです!」

ツバサ「こうして会うのは路上ライブ以来だね」

そして、佐藤とにこ最後の時

にこ「なんでこんな所に来てるのよ」

佐藤「僕のすべきことを見届けたから、かな」

それぞれが未来を見つめ進んでいく……



穂乃果「今回は特に色々ごめんね。ここまで辿り着いてないかもだけど本当にごめんね! 絵里ちゃんを仲間にするのはやっぱりほのかが一番だよねっ♪ あ、ちなみに関係ないけど穂乃果はのんけだよ?」

ことり(弄ばれた?)

海未(穂乃果は時々悪女です)

佐藤とにこが織り成すこのぶたくさな邪道物語も次で最終回! 佐藤とエリーチカは出逢うのか……?

※ラブライブ会場はOPのステージだと色々な問題があるので、どこかのホールであのセットがあるという設定です。

※二期まだ観てないのでラブライブ本戦の仕様はオリジナルです。特典小説は何故ほのまきなの?

前回までのラブライブ……ではなく! 言い訳! 今回でラストーっ!

穂乃果「大分間が空いてごめんね! 忙しくて。その分最後も量だけは多いから許してね!」

にこ「出てくるグループ全員標準語喋ってるけど、そこは色々とスルーよ!」

穂乃果「あとね、前回で一期のシナリオ全部通過したから見せ場とかないから気をつけてね!」

にこ「今までも見せ場とかあった? 全部アニメ一期におんぶに抱っこだっただけでしょ」

穂乃果「うーん、見せ場はにこちゃんと真姫ちゃんの百合劇場があったよ♪」ヌフフ

にこ「うっさいわね! 佐藤ほとんど不在でライブシーン(スレルールに従い歌詞は消してあるから脳内保管で)ほぼスキップの最終回を始めるわよ! って、ラブライブ本戦なのにこれって!」

穂乃果「ラストだからやっぱりにこまきキスがあるんだけど……。百合嫌いな人はふぁいとだよ!」ニッコリ

──予選終了!

にこ「で、何かあったの?」

佐藤「何が?」

にこ「バイト辞めたみたいだから。店員に聞いても佐藤なんて知らぬ存ぜぬだったし」

佐藤「ちょっと色々あってね。それより予選堂々の2位通過おめでとう」

にこ「ふっふーん! 文化祭でのアピールが大きかったわね。制服っていうのは良いアイディアだったわ」

佐藤「後はラブライブ本戦だね。もう何もアドバイス出来ることもないけどね」

にこ「十分よ。ここまでこれた……。夢の舞台で歌える」

佐藤「A-RISEに借りを返すのは決勝までいけた時だけか」

にこ「1位と2位はトーナメントの端と端って決まってるからね。最高の展開よ」

佐藤「全国の上位20位が集まってるんだから足元掬われないようにね」

にこ「ええ、油断なんてないわ。楽しんで結果を残すだけ」

佐藤「今更だったね。で、これが最後の作詞したやつ」

にこ「『僕らは今の中で』ね。あんた曲名に僕を入れるの好きねぇ」

佐藤(それは僕が作った訳じゃないから)

にこ「『愛してるばんざーい!』と一緒にラブライブ本戦での初披露となるから有利ね」

佐藤「その分覚えるのが半端なく大変だろうけどね」

にこ「やる気は十分だもの。特にあんたの女神は大張りきりよ」

佐藤「最高に輝いてるんだろうなぁ……。想像だけでご馳走様だ」

にこ「キモイ」

佐藤「うっさい!」

にこ「冗談よ」フフッ

佐藤「スクールアイドルとしての注目度はこれから最高潮になるだろうから、こうしてにこにーに会うのもこれで最後かな」

にこ「はぁ? 何言ってるのよ。にこと佐藤で勘違いなんてされる訳ないじゃない」

佐藤「僕ならエリーチカと二人きりで食事したりしてる男が居たら、どんな容姿でも年齢でもショックだ!!」

にこ「……盛大なファン代表の意見をありがとう。でも、大げさ過ぎよ」

佐藤「アイドル目指すなら小さなところから変えていかないと、マスコミに騒がれでもしたら終わりだよ」

にこ「でも、前にも言ったけど打ち上げにはきなさいよ。μ'sメンバー全員と会える男なんてあんた以外いないわよ」

佐藤「そんなこと考える前に、最後のアドバイス。本当に大きな舞台になる訳だし、部長とリーダーで引っ張っていきな」

にこ「そのつもりよ」

佐藤「こういう場での穂乃果ちゃんの勢いはμ'sで一番だからね」

にこ「バカだから勢いが止まらないことも多々あるけど」

佐藤「それくらいでいいんだよ。お祭りだもの。僕もPCの前と決勝のみ会場で応援してるから」

にこ「声が枯れるくらい応援しておきなさい」

佐藤「会場の時だけね。壁が厚いとはいえ怒られるから」

にこ「穂乃果だったら関係なく叫びそうだけど」

佐藤「常識持ってるから無理」

にこ「素朴な質問なんだけどさ、あんた何歳なの?」

佐藤「にこにーより一つ上」

にこ「老けてるわね」

佐藤「いやいやいや! にこにーが若すぎるだけだから!」

にこ「それで、決勝なんだけどさ」

佐藤「どうかした?」

にこ「……感動して泣くんじゃないわよ?」

佐藤「は?」

にこ「楽しみにしてなさいってことよ! じゃあね!」

──ラブライブ会場

絵里「ここでライブをするのね」

花陽「はぁ~~~~っ! 正にここはラブライブの聖地。ここで私達が本当にっ!」キラキラ

凛「すっごいにゃ~!」

海未「本戦は一回戦もネットで生配信されるんですよね」

花陽「うん、そうだよ!」

穂乃果「すっごい可愛いね! ほのかやる気がズバーッと込み上げてきたよっ♪」

ことり「くすっ。穂乃果ちゃんの目が輝いてるぅ♪」

希「ウチらの青春の舞台になるんやね」

にこ「ほらほら、皆してはしゃがないの。広さやどんな感じなのかを確かめるわよ。下見の時間は五分しかないんだから」

真姫「浮かれる気持ちも分かるけど」カミノケクルクル

花陽「緊張してないのが嘘みたいっ!」

絵里「にこが掛けてきた魔法の成果ね」

希「この瞬間を楽しむ、やね」

凛「スクールアイドルの頂点がこの場所で決まるんだよね!」

穂乃果「決勝までいけばA-RISEと一緒の舞台で戦えるんだねっ」

にこ「借りは絶対に返すわよ。借りたままだなんてこのにこにーには我慢ならないわ」

真姫「気持ちは分かるけど、にこちゃんそうじゃないでしょ?」

にこ「え?」

真姫「することはこの後のライブに集中すること」

絵里「真姫の言う通りよ。A-RISEのことは一旦忘れて、今日これからに集中しましょう」

にこ「あっ、相手グループに失礼だったわね。さぁ! 声出しを振り付けありでやってみましょう」

穂乃果「よーしっ! 頑張るぞーっ!」

ことり「くすっ」

──愛してるばんざーい!

佐藤「こうして画面越しとはいえラブライブに出場するμ'sを観れるなんてね。全部にこにーの頑張りのお陰だ」

佐藤(自分では出来ないことを強要して、傷ついても皆を引っ張ってきたにこにー。僕の知らないところでも問題とかあったと思う)

佐藤(それでもここまでこれた。僕が望んだ光景を観れる。決勝まで行けるのか。いけたとしてA-RISEに借りを返せるのか……)

佐藤(相手グループは予選12位での通過だったけど、下手なアイドルグループより断然上手い。アイドルファンの中ではスクールアイドルなんて高校生の部活)

佐藤(お遊びの延長上に過ぎないっていうけど、そんなことはない。見に来た沢山の観客の前でライブをする)

佐藤(今歌っているスクールアイドルとアイドルの差なんてない。寧ろ、本格的な指導を受けていないのにこれほど魅せることが出来るのが凄いと思う)

佐藤(どのグループも、それこそ予選でかなり下位にいたグループもそうだ。遊びでやってた子なんていない)

佐藤(本気で頑張って、時には悔しい思いをして……。それでも努力していたんだ)

佐藤(μ's推しなのは当然だけど、自然と相手グループにも頑張れって声援を送っている自分がいた)

── 一回戦モニター観戦中

穂乃果「す、すごいね」

にこ「ここで歌えるのは凄いやつしかいないわ」

凛「あんなにお客さんが入ってる」

花陽「当然だよ! 本戦一回戦とはいえラブライブはスクールアイドルの甲子園!」

希「ほんなら、土を持って帰ることにならないようにしないとね」

穂乃果「この胸の想い全部をお客さんに伝えたい」

ことり「皆が笑顔になれるように伝えようね♪」

海未「私達も楽しむという気持ちを伝えるのには最高の選曲でしたね」

絵里「にこの私情による推しかと思ったけどね」フフッ

真姫「そんな訳ないでしょ!」///

にこ「これが普通のライブだったら新曲披露はお客さんとしては嬉しい反面ノリ難いんだけどね。ここに見にきてくれているお客さんは全てがμ'sのファンって訳じゃないから効果的」

穂乃果「初めてを聴けるっていうお得感が勝るってことだね」

にこ「そういうこと」

希「ウチの参謀は奇襲が好きやね」

海未「お陰で振り付けを覚えるのが大変でしたけどね」

凛「勉強より疲れたにゃー」

穂乃果「でも、すっごく楽しかった!」

絵里「穂乃果のそのやる気は本当に凄いわね。……私も見習わないと」

ことり「絵里ちゃんが穂乃果ちゃんみたいなやる気を出したら……ぴぃっ!」

真姫「地獄を見ることになるわね」

花陽「アイドルには地獄の練習が時に付き物です」

希「……ウチ、死んでまう」

凛「死にたくないよー」

絵里「私ってどんな目で見られてるのよ!」

にこ「はいはい。皆して女神属性エリーチカをからかわない。そろそろ出番よ。足を特に念入りに解しておきなさい。楽しむ為には失敗しないこと!」

穂乃果「はーいっ!」ニッコリ

にこ「じゃあ、アレをやって頭を切り替えるわよ。少しは緊張しなさいよね!」

ことり「アレって言うのはにっこにっこにーですよね」ピィィ♪

にこ「違うわよ! そっち今やったらリラックスし過ぎて締まらないでしょう。冗談言ってないで、穂乃果やりなさい!」

穂乃果「いちっ!」

ことり「にっ!」

── 一回戦終了 控え室に向かう廊下にて

絵里「大勢の前で歌うっていうのはこういう気分になるものなのね」

穂乃果「はぁ~っ! すっごく楽しかったー!」

海未「恥ずかしさを感じる暇もなく、時間が流れていました」

ことり「最高だったぁ♪」

凛「おまけに勝利もついてきたね!」

花陽「……あのラブライブで一回戦通過。夢みたいっ」

真姫「ま、当然の結果よね」

希「少し快感になりそうな熱気だったね」

にこ「明日もあるんだから気を抜かないのよ」

穂乃果「えぇ~。にこちゃんももっと喜ぼうよっ!」

にこ「水を差したくないんだけど、にこ達が勝ったっていうことは当然相手グループは負けたってことなのよ。声が届くとは思わないけど、万が一があるから」

穂乃果「……そうだね」

にこ「喜ぶなとは言わないけど、秋葉に着いてからにしなさい」

絵里「そうね。にこの言う通りだわ。私も浮かれていたわ」

海未「廊下で喜ぶなんて失礼でした」

穂乃果「ね、にこちゃん。一つ提案があるんだけどいいかな?」

にこ「嫌な予感がするんだけど、言ってみなさい」

穂乃果「あのね、この後の路上ライブなんだけど……。さっきのMelodyのみんなを誘ったらどうかな?」

ことり「穂乃果ちゃん、それは流石に……」

海未「嫌味を通り越してトドメですよ」

絵里「今回ばかりは非常識すぎるわ」

穂乃果「でもね、私一緒に歌いたいの! すっごい素敵だった。胸がグッとしたの!」キラキラ☆

海未「あー……これは」ヤレヤレ

ことり「もう、止まらないねぇ」チュンチュン

にこ「嫌な予感ドンピシャね」ハァー

凛「リーダーの恨みは皆の恨みになるにゃー」

花陽「ただでさえ、勝ったことで悪感情を持たれてるこの状況で……」

真姫「μ'sの始まりもこんな感じだったんでしょ? だったららしくていいんじゃない」

希「そうやね。穂乃果ちゃんらしい」

絵里「皆で一緒にここまで来たんだし、一緒に行くところまで行きましょう」

穂乃果「私誘ってくるね!」

にこ「待ちなさい!」

穂乃果「待てないよ!」

にこ「にこも一緒に行くわ! 部長として当然でしょ?」パチッ

穂乃果「にこちゃん……ありがとう」

にこ「来年はあんたが皆を支えていくんだからね。やりたいって気持ちを素直に出来るのは魅力だけど──」
穂乃果「──ほら、早く行こう!!」ギュッ

真姫「あっ、こら! 何にこちゃんの手を握ってるのよ!」

穂乃果「いってきま~す!」タッタッタッ...

にこ「にこぉ~~~~っ」ズルズルズル...

──Melody 控え室前

穂乃果「いざとなると緊張しちゃうね」ドキドキ

にこ「今更よ。先に言っておくと相手のリーダーは三年生。この意味分かるわよね?」

穂乃果「にこちゃんと同い年ってことだよね!」

にこ「あんたねぇ……。つまり、ラブライブで優勝するという夢は終わったってことよ」

穂乃果「あっ」

にこ「穂乃果の提案はそんな相手に対して誘うってことよ」

穂乃果「」

にこ「さっき遮られたけど、来年は穂乃果がアイドル研究部を引っ張っていくの。冷静に考えることも覚えなさいよ?」

穂乃果「うん、ごめん」

にこ「でもさ、穂乃果の魅力はこうやって行動出来ることでもある。せっかくの魅力なんだから、きちんと武器にしなさい」

穂乃果「武器に?」

にこ「失敗するかどうか一歩目を踏み出す前に少しだけ考えられれば穂乃果の武器になる。他の人が持ちたくても持てない最強の武器よ」ニッコリ

穂乃果「…………それって、アイドルに必要かな?」

にこ「羨ましいくらいに必要ね」

穂乃果「そっか……。にこちゃん、ありがとう!」

にこ「別にいいわよ。さて、穂乃果の覚悟も決まったことだしノックするわよ」

穂乃果「うん!」

トントン...

  「はい、どなたですか?」

にこ「μ'sの矢澤にこと」

穂乃果「高坂穂乃果です!」

  「……え。μ'sさんがなんでここに?」

にこ「ちょっと提案がってね。失礼は承知でそちらのリーダーを呼んでもらえるかしら?」

  「え、でも……」

にこ「非常識なのは分かってるわ。でも、うちのリーダーは大バカなのよ」

  「少々お待ちください」バタン

穂乃果「バカは酷いよぉ」

にこ「バカって言われたくないなら、さっき言ったにこの言葉を忘れないようにしなさいよ」

穂乃果「分かってるよ」

にこ「ま、あんたには止めてくれる幼馴染が二人もいるから心配はしてないけど」

穂乃果「ことりちゃんと海未ちゃんは私の大切な友達だからねっ♪」

にこ「逆に言えば、絶対に二人の意見を蔑ろにするようなことがないようにね」

穂乃果「はーい!」

にこ「μ'sを立ち上げた行動力。これは本当に誰よりも評価してるし、尊敬もしてる」

穂乃果「なんかにこちゃん最近は特に凄いよね」

にこ「悔いを残したくないのよ。それから、最後の新曲を聞かせてやりたいから」

穂乃果「真姫ちゃんに?」

にこ「μ'sのシークレットメンバーってやつかしら。十人目」

──バンッ!!

  「負かした相手に何の用? あざ笑いにでも来たの?」ギロッ!

にこ「そんな訳ないでしょ。面と向かっての挨拶は初めてね。山本綾さん。私は三年の矢澤にこ」

穂乃果「二年の、高坂、穂乃果……です」オズオズ

綾「私は何の用かって聞いてるのよ!」

穂乃果(目が赤いし、まぶたが少し腫れてる。泣いてたんだ)

にこ「私達ね、この後秋葉で路上ライブするのよ。それで、もしよかったら一緒に歌ってくれないかなってね」

綾「笑い者にしたいって訳ね。東京人って陰険ね」

にこ「提案は私じゃなくてリーダーの穂乃果。陰険がこの世で尤も似合わない部類のタイプよ」

綾「どっちにしろお断り。常識考えて物を言いなさいよ」

にこ「まぁね。他のメンバーは常識考えて反対してたわ」

綾「当たり前でしょ。それなのになんで着てんのよ」

にこ「私達スクールアイドルはそれぞれがライバルだけど、憎しみ合う為にしてる訳じゃないでしょ?」

綾「綺麗事語って自己陶酔したいのなら自分たちのメンバーの前だけでやってな」

にこ「辛口ね。……ほら、穂乃果。思いの丈をぶつけてやりなさい。何かあっても私が守ってあげるから」ニコッ

穂乃果「あの! 私、Melodyさんのライブすっごい感動しました!」

綾「ハァ!?」ムカッ

穂乃果「私はA-RISEのライブに憧れてスクールアイドルを始めたんですけど、その時に胸の中でドキドキが生まれたんです!」

綾「馬鹿にしてるのっ!? ふざけないでっ! そういうのはファンの前でMCの時にでも──」
穂乃果「──私もこんな演奏したいって思ったんです。Melodyさんのさっきのライブでも同じ気持ちが沸いてきました!!」

綾「……チッ。だから何? いい加減帰ってもらえる?」

穂乃果「一緒に歌いたいって思ったんです!」

綾「うるさいってのよ!!」

 「綾ちゃん。それ以上は失礼だよ」

綾「……琴音」

琴音「μ'sの皆さん初めまして。副リーダーの貝谷琴音です。出てくるのが遅れてごめんなさい」

にこ(完全な鼻声。目が綾さんより充血してるのをみると、私達が来なければ今も泣いてたわね)

穂乃果「二年の高坂穂乃果です!」

にこ「三年の矢澤にこ。押しかけちゃってごめんなさいね」

綾「琴音は部屋に居ていいから」

琴音「何を話してたか分からないけど、綾ちゃんの大きな声が聞こえてきたよ」

綾「だって、こいつらが!」

琴音「綾ちゃん。目を瞑って三つ数えて」

綾「……いち……に……さん」

琴音「はい、目を開けて冷静に」

綾「……うん」

琴音「ごめんなさいね。それで、μ'sさんはどうしてここへ?」

穂乃果「えっと……その」

にこ「私達はよく秋葉で路上ライブしててね、この後も路上ライブをしに行くんだけど一緒にどうかなって誘いに来たの」

琴音「……」

にこ「うちのリーダーであるこの子がね、初めてA-RISE見た時みたいにドキドキしたって言うのよ。だから一緒に演奏したいってね」

綾「冷静に考えてもやっぱり嫌味じゃない!」

琴音「綾ちゃん。最高の褒め言葉だよ」

綾「どこがよ!?」

琴音「だってA-RISEは今年の一位通過じゃない。最高の褒め言葉だよ」

綾「でも逆に言えばそんなグループに勝った自分達が一番最高だって言いたいだけでしょ!」

琴音「綾ちゃん!!」

綾「っ!」

琴音「にこさんと穂乃果さんに謝って!」

穂乃果「私達は別に」

琴音「駄目です。綾ちゃんはスクールアイドル以前に人間として言ってはいけない事を言いましたから」

綾「」

琴音「早く謝って!」

綾「……ごめんなさい」ペコリ

穂乃果「こ、こちらこそ」アセアセ

にこ「綾さん。この子はね、人を疑えるのかってくらい馬鹿なのよ。少なくとも心を偽って言葉に出せる器用さはないの」

穂乃果「馬鹿って酷いよ~」

にこ「スクールアイドルをA-RISEのライブを見て知ったのにも関わらず、雑誌知識だけでμ'sを立ち上げた奴を馬鹿って言うのよ」ニコッ

穂乃果「だって可能性感じたんだもん」

琴音「ふふっ、あはははっ! ご、ごめんなさい」

にこ「精一杯笑ってあげて」

綾「……」

琴音「あははっ。はぁ~……くよくよするより笑ってる方がいいよね」

綾「そうだけど」

琴音「心の整理完了! 今日からは来年のラブライブで優勝できるように教えていこう」

綾「来年」

琴音「私達三年生が自分の為に歌うのは今日が最後。だったらμ'sさんと一緒に歌わせてもらおうよ!」

綾「…………うん」

琴音「そういう訳で、提案の方を受けさせて頂きます」ニッコリ

穂乃果「ありがとうございます!」ペコリ

にこ「色々あると思うし、先に秋葉で待ってるから。連絡先交換しても平気?」

琴音「はい、どうぞ。赤外線大丈夫ですよね?」

にこ「ええ、大丈夫よ。……ありがとう。じゃあ、秋葉に着いたら連絡して。迎えに行くから」

琴音「少し、お時間頂くかも」

にこ「行きつけのメイド喫茶があるから、そこで待ってるから時間は気にしないで」

琴音「分かりました。それじゃあ、また」

綾「……」

にこ「ええ、失礼したわね。本当に、ありがとう」

穂乃果「」

にこ「ほら、穂乃果。ボーっとしてないで戻るわよ」

穂乃果「二人共、泣いてたね」

にこ「あんたが居なかったら今でも泣いてたわよ。泣いてた子を笑わせたんだから、やっぱりアイドルの素質があるわ」パチン☆

穂乃果「にこちゃん……両目瞑ってた」

にこ「っ! ほら、早く戻るって言ってるでしょ!」///

穂乃果「くすっ。はぁい♪」

──μ's メイド喫茶

海未「しかし、本当に来てくれるんでしょうか?」

凛「鳥取にそのまま帰っちゃったんじゃないかな?」

にこ「そんな心配はしなくても平気よ。だって、私達はスクールアイドルなんだから」

希「清々しいくらいに理由になってないなー」

絵里「でも、何故か心にストンっと落ちるものがあるわ」

穂乃果「来てくれるよ。ただ、泣いてたから声が落ち着くのを待ってるんだと思う」

にこ「最高の状態でライブをするのはアイドルの最低条件だもの」

ことり「でも凄いメンタルの強さだよね。自分達を破った相手が来て、来年のことを口に出来るなんて」

真姫「そうね。にこちゃんみたい」

にこ「買いかぶり過ぎよ。でも、ラブライブが終わったら穂乃果達二年生が主体になるから、責任ある行動を心掛けなさいよ」

海未「わ、私達が主体ですか?」

ことり「穂乃果ちゃんパスっ!」

穂乃果「えぇっ!? ことりちゃん責任をパスしちゃダメだよぉ」

絵里「アイドル研究部の部長は誰が継ぐの? μ'sのリーダーは穂乃果だけど」

真姫「私しかいないわ!」

凛「真姫ちゃんの目が燃えてるにゃー」

ことり「アイドル研究部はにこちゃんが立ち上げた部だから、かなぁ」

真姫「異論はある!?」

海未「誰もありませんよ。真姫は本当ににこが好きなんですね」

真姫「ヴェェェェ!? に、にこちゃんは今は関係ないじゃない!」////

♪愛してるばんざーい

絵里「くすっ! にこの携帯で告白なんて凄いわね」フフフッ

真姫「ち、違うわよ!」カァァァ

海未「運命を感じるタイミングですね」クスッ

にこ「もしもし、着いた? どっちの改札……うん、分かったわ。今から迎えに行くから。そこで待ってて」

穂乃果「良かった! 来てくれたんだ♪」

にこ「ええ。それじゃあ、にこが迎えに行ってくるから」

穂乃果「待って! 言い出したのは私だから。にこちゃんは休んでて」

にこ「でも、」

穂乃果「さっきはにこちゃんに助けられたから。少しでも恩返ししたいの!」ニッコリ

にこ「……分かったわ。電気街の方の出口に居るって」

穂乃果「ありがとう。じゃあ、迎えに行ってくるね」

ことり「待って穂乃果ちゃん。私も行ってきますっ!」

海未「……あ」

凛「海未ちゃん流れに乗り遅れたねー」

花陽「運命って言葉に浸ってたから」

希「相変わらずそういう言葉が好きやねぇ」

海未「///」

絵里「だけど、本当にあの提案が受け入れられるとは思ってなかったわ」

にこ「にこもよ。絶対に無理だと思ってた」

希「それでも止めんかったよね?」

にこ「そんな無理を可能にしちゃえるのがμ'sのリーダーの魅力なのよ」

希「にこっちも大概やけどね」

絵里「そうね。私がこんな風にμ'sに入ったこと自体ありえないもの」

花陽「そうですね! 選ばれた者しか手に入れられない伝伝伝を二つも所持してるくらいですから!」キラキラ

凛「たまにだけど、家で自主的に勉強するようになったのもにこちゃんの所為だよ」

真姫「私なんてにこちゃんに全てを奪われたわ!」キリッ!

にこ「ヴェェェ!?」////

絵里「あ、反応が真姫そっくり」

希「夫婦は似るいうけど、女の子同士でも似るんだね」

にこ「ま、まだ最後まではしてないでしょ!」

りんぱな「……?」

うみのぞえり「……///」

真姫「ラブライブが終わるまで我慢してるだけじゃない」

にこ「待ちなさいよ! それ真姫ちゃんが言った台詞でしょ!」///

絵里「何故か私達の方が恥ずかしいわね」

希「本格的に進んでるやねぇ」

海未(来年穂乃果と……

海未『だ、駄目です! 穂乃果、今はラブライブに出場するのですから』

穂乃果『海未ちゃん……。でも、穂乃果はもう我慢出来ないよ』

海未『嗚呼! ですが、ラブライブに集中しないと』

穂乃果『海未ちゃんは穂乃果とラブライブどっちが大切なの?』

海未『そんなの比べるまでもありません!!』キッパリ!

穂乃果『だったら……ね?』

海未『ほ、穂乃果……はい。ひとつになりましょう』

……って! 私は何を淫らなことを考えてるんですかっ!!)////

──μ's&Melody 路上ライブ!

琴音・にこ「輝く想い~風に乗せて届けた~私の恋の歌」

綾・花陽「夜明け前の暗闇に~花咲く君の笑顔~」

琴音・にこ「貰った笑顔の数だけ~今の私の力に変わる」

パチパチパチパチ!!

穂乃果「にこちゃんも花陽ちゃんも凄いね。向こうの曲全部知ってるみたい」

凛「アイドルファンだったら当然です! って、かよちんならいいそうだにゃー」

ことり「くすっ。二人共心の底からアイドルを愛してるもんねっ」

絵里「……バレエとは違うのよね。それなのに、恥ずかしくなるわ」

希「以前にこっちに言ってたことかいな?」

絵里「ええ。にこの言うとおり、玄人気取りだったわ」

希「今のにこっちなら絶対にそんなこと言わないよ」

絵里「そうね。にこは凄いわ。それに、穂乃果も凄い」

海未「相手のメンバー全員が笑顔ですね」

希「お客さんの前やからって訳やない。本物の笑顔やね」

絵里「にこの言うとおり、これが穂乃果の魅力なのよね」

海未「はい! 穂乃果は昔から惹き付け、元気にさせる魅力の持ち主です」

ことり「私も海未ちゃんも穂乃果ちゃんの魅力に惹き付けられて出逢ったから♪」

絵里「正直羨ましいわ。私にもその魅力があればバレエを続けられたのに……」

希「せやったらその魅力をえりちに授けなかった神様に感謝せなあかんな」

絵里「え?」

希「転勤ばかりで本当の友達が出来んかったウチに最高の友達と出逢わせてくれたやん?」

絵里「希」

希「バレエ続けてて日本に来てなかったら……。だから感謝や」ニコリ

海未「そうですね。お陰でこうして出逢えて、スクールアイドルの頂点を目指せるんですから」

ことり「んふっ♪ 可愛い衣装も着せられるし」

絵里「……もう、みんな馬鹿なんだから」ウルウル

凛(かよちんかぁわいいにゃー♪)

希「せやけど、今のえりちならバレエでも成功すると思うよ」

絵里「ありがとう。でも、私は最近新しい夢を見つけたから」

海未「夢、ですか?」

絵里「それと目標。その為にこの街を離れるつもりはないの。卒業したら希はどうするの?」

希「ウチ? そうやね、うーん……カードの導き次第、かな?」ニコリ

ことり「カードの僕だねぇ☆」

希「そうや♪」

にこ「あんたたちー! 次はμ'sがいくわよ。準決勝の練習の意味を込めて、ぼらららいくわよ!」

  「あ、あの! 私も一緒に歌ってもいいでしょうか? あの曲大好きで!」

にこ「勿論よ! 綾! あんたも歌いなさい」

綾「なんで私を指名するのよ。あんた達の曲なんて知らないわよ!」パチン

琴音「綾ちゃんは嘘を吐くとき右目だけ閉じてウインクするんだよ」

綾「くっ……いいわよ! 歌えばいいんでしょ? 歌えば!!」カァァ

にこ「そうそう。人間素直が一番よ。……でも、最近素直過ぎるのも体力的にキツイって思うけど」

綾「……?」

うみのぞえり「あぁ~」チラッ

真姫「な、何よ?」///

ことり「ちゅん♪」

穂乃果「さぁ! みんなで一緒に歌うよ~♪」

──路上ライブ終了後

琴音「本当にありがとうございました! お陰で明日からの目標が出来ました」

にこ「こっちこそありがとう。一番辛い時にこんな我がまま。……私だったら受け入れられなかったと思う」

綾「琴音が特別に優しかったことに感謝しなさい!」

穂乃果「綾さんも優しかった~♪」キラキラ

花陽「サインまで頂きました!」キラキラ

ことり「衣装のアドバイスで盛り上がりましたぁ♪」チュン

綾「……ゔ」

琴音「来年はうちの子達がラブライブの王座を掴ませてもらいます」

にこ「やれるものならやってみなさい! 二年のA-RISEは来年もいるわ。激戦の予感ね」

綾「……A-RISEか。一度も本物を拝むことがなかった」

絵里「東京に居ても一度しか会ったことないもの。……もしかして、ファンだった?」

綾「だっ、誰が!」

海未「ふふふっ。やっぱりアイドルファンは根っこの部分が繋がってるんですね」

凛「スクールアイドルに悪い人なんていないよ!」

花陽「その通りだよ! 沢山の人を笑顔に出来るのは優しい証拠だもの♪」

琴音「あ、そうだにこさん。少々内緒話があるんですけど、よろしいですか?」

真姫「だっ!!もごむぐっ!!」ジタバタ

希「は~い黙ってようなー。愛も一途も誉れやけど、時と場合ってもんがあるんよ」

絵里「ナイス判断よ!」

ことり「スペックは凄いけど、見た目で惚れるってことはまずないから安心しようねぇ」

真姫「もぐもごご~!」

穂乃果「でも、内緒話ってなんだろ? 綾さんしってるんですか?」

綾「いや……。というか、知ってても教えないって」

海未「にこから後で話を聞かせてくれるでしょう」

  「あ、あの。絵里さん! これにサインを貰ってもいいでしょうか?」

絵里「え? わ、私?」

  「はい!」

絵里「私のサインなんて価値は出ないけど……はい、どうぞ」

  「ありがとうございます!!」ペコリ

  「わ、私は海未さんにお願いしたいんですが……。お願い出来ますか?」

海未「わたっしですか?」////

  「元々A-RISEの英玲奈さんのファンだったんですけど、μ'sが上位に入ってから海未さんのファンになりまして……って、すいません!」

海未「いえ、いいんです。嬉しいですから。…………はい、どうぞ」

  「宝物にします! 本当にありがとうございました!!」ペコペコ

穂乃果「にひひひ♪ ほら、サインの練習してて良かったでしょ?」

海未「そ、そうですけど……。その勝ち誇った顔が微妙に腹立たしいです」

穂乃果「普通に名前だけだったらあの子ガッカリしてた筈だよ~♪」

海未「分かりました。きちんとサインの練習もします。しますが、その時は穂乃果は勉強ですからね!」

穂乃果「ひぃっ! 藪を突っついたら寝ていた海未ちゃんが居た!!」ヒィィ

ことり「的確だけど海未ちゃんに失礼だよぉ」

海未「的確ってなんですか! それも失礼ですよ!」

──Melody 新幹線内

綾「……やっぱり、あの時私がリーダーになるんじゃなくて、琴音がしてれば」

琴音「ううん。私じゃラブライブに出るなんて夢は叶わなかったよ」

綾「そんなことない。私だけじゃ纏めることすら出来ないもの」

琴音「どうして綾ちゃんは自分に自信持てないの?」

綾「……だって、結局負けちゃったじゃない。一回戦敗退」

琴音「でも、私達の想いはμ'sに託されたよ」

綾「想いだけじゃ、意味ないよ」

琴音「そんなことない。他のスクールアイドルとあんなに楽しく歌える日がくるなんて思ってなかったよ」

綾「それは……関係ないでしょ」

琴音「ラブライブまでこれなかったら、こんな経験出来なかった」

綾「こんな経験意味なんてない」

琴音「そんなことないよ。それにね、にこさんに約束してもらったの」

綾「そういえば内緒話ってなんだったの?」

琴音「もし、μ'sが決勝に行ったらの話しなんだけど、応援歌を歌わせて欲しいって」

綾「決勝3グループまでが参加出来るアレ?」

琴音「ええ。来年の為に、もう一度あの舞台で歌えるチャンス」

綾「にこはなんて?」

琴音「我がままを聞いてくれた御礼に、チャンスを絶対に与えてくれるって」

綾「あいつも大きく出たわね。ま、伊達や酔狂で二位通過は出来ない、か」

琴音「打算抜きで優勝して欲しい。A-RISEファンの綾ちゃんには悪いけどね♪」

綾「……ううん。私も、μ'sに勝って欲しい」

琴音「μ'sのファンになっちゃった?」

綾「まさか! ……もう戦えないけど、ライバルだよ。絶対に忘れないライバル」

琴音「ふふっ。戦えないって言うけど、卒業まで長いよ? 機会があればまた一緒に歌えばいいんだよ」

綾「あははっ! はぁ~あ。スクールアイドルの祭典に負けたっていうのに、悔しくて仕方ないのに。どうして私は今笑ってるのかな」

琴音「ラブライブは終わったけど、私達のスクールアイドルはまだ終わってないって分かってるからだよ」

綾「そうだなー。後輩を仕上げながら、もう一度μ'sとっての目標にして頑張ろう」

琴音「うん! 甲子園のように砂は持って帰れないけど、それ以上に大切な物を持って帰れたね」ニッコリ

綾「ふん! 砂の方がマシだよ。頼まれてないサインを押し付けるなっての」

琴音「その割にはすんなり受け取ってたじゃない。本当に嫌なら絶対に受け取らない綾ちゃんが」

綾「あ~もう煩い! 泣きつかれた。私は寝る!」

琴音「ふふふ。おやすみ……。ふぁ、私も……泣いて歌って疲れちゃった。でも、いい夢みられそう」

──路上ライブ解散後 海未の着替え待ち……カバの着ぐるみなんて着ませんからね!(特に意味なし)

穂乃果「ね、ことりちゃん」

ことり「どうかしたの? 何か真剣な顔してるよ?」キョトン

穂乃果「一番に言う約束だったよね? ほのか、もう決めた!」

ことり「そっか……。うん! 後は海未ちゃんの説得だけだね」

穂乃果「絶対に説得するよ。琴音さんや綾さんの歌……本当に胸がギュッと締め付けられるくらいドキドキしたんだー♪」

ことり「穂乃果ちゃんにとって歌う場所やファンの数は関係ないんだねぇ」

穂乃果「あはは、そうかも」

ことり「ことりは穂乃果ちゃんのそういうところが好き♪」

穂乃果「えぇ~? なんか照れちゃうな~♪」

海未「お待たせしました」

ことり「あ、海未ちゃん。あのね、ことり今日はこれからお母さんと映画見に行くことになっちゃって!」

海未「映画……ですか?」

ことり「そうなのっ! トップをオペレーションっていう古いような新しいような映画なんだけどお母さんが大好きでぇ」

海未「そういえば、昔はことりの家に泊まりに行くと映画をよく見せてもらいましたね」

穂乃果「懐かしいね♪」

海未「ただ、子どもには少々怖すぎるホラー物を見て、その翌朝穂乃果が──」
穂乃果「──わわわっ! その話はなしって約束だよ!」

ことり「ふふっ。そういうことなので、ことりは行きます♪」

海未「気をつけてくださいね」

ことり「うん。……穂乃果ちゃん。頑張ってね♪」タッタッ...

穂乃果「ありがとう、ことりちゃん!」ニコッ

海未「今度三人で映画を観に行くというのもいいですね」

穂乃果「そうだね。じゃあ、一緒に帰ろう」

海未「ええ。思えば、こうして二人だけで帰るのは久しぶりかもしれませんね」

穂乃果「そうかも。海未ちゃんは弓道部との掛け持ちで忙しいから」

海未「大変ではありますが、最近は作詞の方はにこがしてくれますから」

穂乃果「そうだよね。本当ににこちゃんは万能。今日もね、誘いに行った時に助けてもらったんだー」

海未「言ってましたね」

穂乃果「綾さんの時はどうにか言えたんだけど、琴音さんが出てきた時は誘いの言葉を言い出せなくて」

海未「どうしてです?」

穂乃果「声も鼻声で瞼も少し腫れてて……。にこちゃんに言われるまで三年生のラブライブに負ける意味教えられて」

海未「そうですか」

穂乃果「にこちゃんはほのかの代わりに誘ってくれたの」

海未「そういえば以前……そう、確か絵里がμ'sに入る前にこんなこと言ってましたね」

穂乃果「え?」

海未「いい部分を全部盗む。それがスクールアイドルの頂を手にする手段とかなんとか」

穂乃果「それが、どうしたの?」

海未「穂乃果はにこを意識し過ぎですよ。もう少し肩の力を抜いてください」

穂乃果「でも、にこちゃんって何でも本当に出来るし」

海未「卒業までまだあるんです。一つ一つ盗んでいきましょう」

穂乃果「……そう思っても、やっぱり不安だよ」

海未「にこは穂乃果より一年早く生まれたんです。来年きっと二年生の誰かが穂乃果に同じような気持ちを抱くかもしれません」

穂乃果「ほのかに? ほのかはリーダーだけど、何も出来ないよ」

海未「そんなことありません。その証拠に、今日だって絵里が穂乃果の持っている魅力を羨ましいって言ってました」

穂乃果「ほのかの魅力……」

海未「それに本当に何もないのなら、あのにこがリーダーを穂乃果のままにしておく訳ないじゃないですか。アイドル関係には妥協を許さない人ですよ?」

穂乃果「にこちゃん…………あっ」

海未「どうしました?」

穂乃果「そういえば今日ね、にこちゃんにも直接言われたんだった。魅力があって、もう少し考えられれば武器になるって」ニコニコ

海未「そうでしょう? 私やことりにとって穂乃果以上に魅力ある存在はいないんです。もう少し胸を張ってください」

穂乃果「はぁい♪」ニッコリ

海未「ふふっ。それでいいんです。穂乃果には笑顔でいてもらわないと心配になってしまいます」

穂乃果「……ね、海未ちゃん。とっても重要なことを言ってもいい?」

海未「唐突ですね。どのくらい重要なんですか? 明日から穂乃果の家のご飯がパンメインになるくらいですか? あ、ご飯なのにパンっておかしいですね」クスッ

穂乃果「」

海未「あ、すいません。本当に重要なことのようですね。あの公園のベンチにでも座って話を聞きます」

──こうさかほのか と そのだうみ

海未「それで、重要なことはなんですか?」

穂乃果「うん。あのね、穂乃果はにこちゃんみたいにファンの人達を笑顔にするアイドルになりたいの。もうこの気持ちを止められない!」

海未「そうですか……。ええ、穂乃果なら絶対に人気のアイドルになれると思います。勿論、私も応援します」

穂乃果「ううん、そうじゃなくてね。ことりちゃんにはOK貰ってあるんだけど」

海未「ことり、ですか?」

穂乃果「うん。装飾系の職業を諦めて、穂乃果と一緒にアイドルになってくれるって」

海未「……え、ことりがですか!?」

穂乃果「うん」

穂乃果「それでね──」
海未「──待ってください! その先は言ってはいけません!」

穂乃果「海未ちゃん」

海未「お願いですから言わないでください」

穂乃果「ごめんね! でも、ほのかは我がままだから言っちゃう。海未ちゃんも一緒にアイドルになって! 一緒にファンの人達を笑顔にしよう!」

海未「……」

穂乃果「……」

海未「……」

穂乃果「……」

海未「…………はぁ~。本当に穂乃果は昔から思い立ったら止まりませんね」

穂乃果「うん、それがほのかだから」

海未「アイドルはスクールアイドル以上に厳しい世界です」

穂乃果「そうだと思う」

海未「スクールアイドルのようになりたいからなる! なんて通用しません」

穂乃果「うん」

海未「どこかの芸能事務所に入らないといけません」

穂乃果「その辺はきちんと勉強してるよ」

海未「アイドルになれた=それだけで生活出来るという訳ではありません」

穂乃果「厳しい世界だもんね」

海未「コネのない私達が芸能事務所にスカウトされるには来年のラブライブで結果を、つまりは優勝しないといけません」

穂乃果「来年のラブライブ」

海未「そうです。皆を引っ張ってくれるにこも優しさで包み込む希もレッスンに一切の妥協を許さない絵里もいない状態でです」

穂乃果「来年はほのかがにこちゃんの役割を果たしてみせる! だから海未ちゃんは絵里ちゃんみたいになって!」

海未「……それで、一番の問題なんですけど」

穂乃果「うん!」

海未「私、絶対に勘当されますよ?」

穂乃果「そうなったら狭いけど、穂乃果の部屋で一緒に暮らそうよ!」

海未「そんなの無理ですっ! 私が死んでしまいます////」

穂乃果「え、どうして?」

海未「言わせたがりですか!」カァァァ

穂乃果「えっと?」キョトン

海未「……あ、いえ、間違えました。高坂家に迷惑を掛けることになるのなら勘当以前に絶対に許可されません。説得出来るように計画立てないと駄目です」

穂乃果「ほのかが今から家の手伝いでお小遣い貯めて、どこかに部屋を借りて一緒に住もうよ!」

海未「そこまでして私にもアイドルになって欲しいってことなんですか?」

穂乃果「うん! ほのかはこれから先も海未ちゃんとことりちゃんと一緒に居たいんだ!」

海未「……好きな人にプロポーズされる女性の気持ちとはこういう気持ちなんですね////」ポツリ

穂乃果「え?」

海未「まったく……。昔から穂乃果には敵わないですね」

穂乃果「それじゃあ?」

海未「弓道部の方は辞めて、私もアルバイトをしてお金を貯めようと思います。絶対に両親を説得してみせます。穂乃果の為にも、私自身の為にも」

穂乃果「海未ちゃん♪」

海未「まったく。ラブライブが始まったばかりだというのに、普通どんな形であれ決勝まで終わってから話す内容じゃないですか?」

穂乃果「ふふーん! だって、排水溝の染みだっけ? 追い詰められた方が気合入るんだよ!」

海未「それを言うのなら背水の陣です」

穂乃果「えっへへへ」

海未「留年されても困りますから、これからは今まで以上に勉強に厳しくしますからね」

穂乃果「……はぁい」

海未「頼りになるのかならないのか。穂乃果は不思議ですね」

穂乃果「あ、そうだ。気になったんだけど、それだと来年はA-RISEとの席の取り合いってことになっちゃうの?」

海未「いいえ。UTX自体が一種の養成所みたいなものですから。A-RISEはアイドルになれる筈です」

穂乃果「よかった」

海未「ふふっ。もう来年のラブライブで優勝した気でいるのですか?」

穂乃果「……あ。気が早かったね」

海未「そうですね。でも、今年も来年のラブライブの後も、同じよかったが聞ければ良いなと思います」

穂乃果「そうだね! ほのかもまた言いたい。その時は海未ちゃんとことりちゃんが居て欲しい」

海未「ええ、私もそう思います。ですが、未来に焦って空回りするのではなく、この瞬間を楽しみながら精進ですよ?」

穂乃果「うん♪ ほのかは海未ちゃんとことりちゃんとずっと歩んで行きたいから。楽しんで結果を出すよ」ニッコリ

海未「ええ、この先三人一緒です。……穂乃果は渡しませんが」

穂乃果「え、何か言った?」

海未「なんでもありませんよ」ニコリ

穂乃果「そっか。あ~、何だか真剣に話したらお腹空いちゃった」

海未「もう遅いですし、帰りましょう。はい、穂乃果」

穂乃果「海未ちゃんの手をゲット♪」

海未「一々声に出さないで下さい///」

穂乃果「こうして海未ちゃんと手を繋いで帰るのも何年振りだろう?」

海未「……恥ずかしいですが、でも今日くらいはいいでしょう?」

穂乃果「ほのかはいつでも恥ずかしくないよ? だからいつでもしたくなったら繋いでね♪」

海未「そうですね。……ずっと、ずっと未来でも、こうして歩いていたいです」

──ブレデレラ

にこ「真姫ちゃん?」

真姫「」

にこ「真姫ちゃ~ん?」

真姫「あ゙?」

にこ(ひぃぃっ! 真姫ちゃんがレディースみたいな声出したぁ)

にこ「どうしてそんなに怒ってるの?」

真姫「……内緒話って何?」

にこ「え、あ……ああぁっ! なんだ、そんなことで怒ってたのね」

真姫「そんなことって何よ! 私がどれだけ心配したと思ってるのよ!」

にこ(心配っていうか嫉妬よね、これ)

真姫「今日会ったばかりの……相手がスクールアイドルだからって」

にこ「あぁ~っもう! 何度も言うけど、出会った頃の三年間一人で平気系真姫はどこ行ったのよ」

真姫「にこちゃんが悪いの! 私を弱くしたんだから。責任取って守るべきでしょ。私の王子様でしょ!」

にこ「そうよ。にこは皆にとってはアイドルだけど、真姫ちゃんだけには王子よ」

真姫「だったら目の前で内緒話とかしないで!」ウルウル

にこ「……ごめんね。にこが悪かったわね。悪いにこは私がやっつけたから」ナデナデ

真姫「どっちもにこちゃんじゃない。でも、一人称私のにこちゃんはやっぱり良い///」

にこ「拗ねるか照れるかどっちかにしなさいよねぇ」

真姫「じゃあ拗ねる~」

にこ「もう、仕方のない子ねぇ。今日は私が泊まりに行ってあげるから、機嫌直して欲しいニコ♪」

真姫「本当?」

にこ「にこは真姫ちゃんに嘘吐かないわよ」

真姫「そうね。……そういえば、メンバーになった翌日のお昼」

にこ「えっと?」

真姫「授業が長引いて五分過ぎてもにこちゃんが来なくて、一人ぼっちとか全部嘘だったんだって疑ったことがあったわ」

にこ「……あぁっ! あの日ね。にこの方も授業が長引いてたのよね」

真姫「教室に行ったら本当に一人でお弁当食べてて。疑った自分に罪悪感を感じたくらい」

にこ「仕方ないでしょ。本当にぼっちだったんだから。今更なによ」

真姫「にこちゃんは嘘吐かないって、あの時にこちゃんを信じたのに。直ぐに心がブレちゃう」

にこ「心が揺れ動くのは成長に必要なのよ。ソレが顕著になるのが恋なんだけど」

真姫「恋ならにこちゃんしてるわよ」

にこ「知ってるわよ。世界の誰よりも実感してる」

真姫「……にこちゃんも、私に……」

にこ「不安がられると困るじゃない。ことりが何度も再生してるでしょ。好きじゃない相手とキスなんて出来ないわよ」

真姫「言葉で聞きたいの」

にこ「矢澤にこは西木野真姫に恋してる。……口にすると恥ずかしいわね///」

真姫「ふふっ♪」

にこ「現金ねぇ。さっきまで不貞腐れてたのに」

真姫「いいじゃない。素直な女の子って魅力的でしょ?」

にこ「そうだけど、真姫ちゃんは素直過ぎよ。もう少し抑える時は抑えましょう」

真姫「だって初めてなんだもの。制御出来ない気持ちがあるなんて知らなかった」

にこ「最後まですれば落ち着くのかしらね」

真姫「ヴェェェェ!」////

にこ「なんで照れてるのよ!」

真姫「いや、だって……実際ににこちゃんからそういう発言されるの初めてだし」

にこ「真姫ちゃんって相当に面倒な子よね」ナデナデ

真姫「ごめんね」

にこ「本気で言ってるんじゃないんだから謝らないでよ」

真姫「……うん」

にこ「どうしたの? いつになく感情がブレてるわよ」

真姫「にこちゃんが好き過ぎてよく分からなくなっちゃってる」

にこ「今日は眠るまでずっと一緒に居てあげるんだから。だから安心して」

真姫「……キスしてくれたら安心出来るわ」

にこ「はぁっ!? 待ちなさいよ。海の時と違って、まだ秋葉よ?」

真姫「大丈夫。最近凛と花陽に教えてもらった物があるの」

にこ「あーなんだか嫌な予感しかしないわ」

真姫「あそこ、入りましょう!」

にこ「ゲーセン?」

にこ(半分くらいラブホテルなんじゃないかと思ってたけど、少し安心したわ)

──これはプリクラシーンですか? いいえ、キスキスキスです

真姫「これよ!」ドヤァ

にこ(真姫ちゃんのドヤ顔可愛い。それに超希少価値ね)

にこ「プリクラを最近知ったのね」

真姫「ええ。恋人同士はまずこれを撮るんだって聞いたわ!」

にこ「まぁ、そうね」

真姫「しかも……恋人同士が二人きりになれるのよ」

にこ「まぁ……そうね」

にこ(其れが原因で男性立ち入り禁止の女性限定コーナーのゲーセンもあるみたいだけど)

真姫「ここなら平気でしょ?」

にこ「平気だろうけど、もう既に真姫ちゃん元気一杯よね?」

真姫「にこちゃんは私が元気じゃキスしたくないの?」

にこ「言い方が悪かったわね。お詫びににこが奢ってあげるから撮りましょう」スッ

真姫「ええ」スッ

にこ「それから、この中見ての通りテントじゃないんだから声は漏れるからね」

真姫「にこちゃん。テントも声は筒抜けよ?」

にこ「……にこぉ」

真姫「ふふふっ。でも嬉しいわね。ラブライブ一回戦突破と初プリクラが重なるなんて」

にこ「そうね。ただ、なんか誰も知らない二人だけのエデンを思い出すわね」チャリンチャリン

真姫「イワナイデ!」カァァァ!

にこ「くすっ。ほらお姫様。好きなフレームを選んでって言ってるわよ」

真姫「これ!」

にこ(ハートマークってベタベタね)

真姫「それで後はキスしてればいいのね!」キリッ!

にこ「にこも初プリクラなのよ? 最初だけでも普通のプリク、んぅ!?」

真姫「ちゅぅ~っ、ンン、チュルッ、んふっ」

にこ「んんっ、ンック、ぢゅるっ、んっ!」

真姫「にこちゃん大好き」トローン

にこ「真姫ちゃんのこと大好きよ」

真姫「にこちゃんからもして」

にこ「にこぉ……しょ、しょうがががないわね。いくわよ? ちゅっ、ぺちゅ……ちゅる」レロ

真姫「んんっ、ちゅぅ~……にこふぁん」レロレロ

にこ「ぁんっ、ちゅう……レロレロ、ちゅっちゅ……きもふぃい?」

真姫「ちゅっちゅ、チューッ……ゴクッ、ンック……きもふぃい////」

にこ「んんぅっ……ハァハァ……真姫ちゃん」トロン

真姫「ぷはっ……。にこちゃんの唾液熱くて、胸が苦しくて」

にこ「にこも……気持ちいい、わ///」

真姫「今度は私から入れるから、強く吸ってみせて」

にこ「……真姫ちゃん、きてぇ」

真姫「にこちゃん大好きよ……チュッ、ジュブブッ」

にこ「ジュルルッ、ンッンッ、ゴクッ、ヂューッ!」

真姫「ちゅっちゅ……ンン、あっ、にこちゃん零しちゃダメよ」レロレロ

にこ「ひゃぁっ! ばっ、声が漏れちゃうじゃない。口周りを嘗め回さないでっ」

真姫「レロレロ……可愛い。にこちゃん可愛い!」ギュッ!

にこ「ぁんっ! ……もう。真姫ちゃんだって零してるわよ」レロレロ

真姫「あっん!」////

──お婆様との電話中はお嬢様口調になるのですわ♪

絵里「ええ、お婆様。こちらは元気にしておりますわ」

絵里「ふふっ、そうですわね。ですが、バレエとは違うのですがとても楽しいです」

絵里「もう! お婆様ったら意地悪ですわ。そんな泣いたりしてませんでしたわ」

絵里「はい。仲間達のお陰で少なくとも一年間は廃校問題はなくなりました」

絵里「亜里沙も来年は音ノ木坂学院に入学するって張り切ってますわ」

絵里「あ、お婆様。最後に一つだけよろしいですか?」

絵里「お婆様は……その、神様って本当に居ると思いますか?」

絵里「え、今度八端十字架を送る……ですか? いえ、そういう神様ではなくてですね」

絵里「はい、大学受験を失敗した神様の話とか知りませんか?」

絵里「いえ、おやすみなさい」

絵里「……はぁ~。当然、そんな神様をお婆様が知ってる訳ないわよね」

絵里「でも、だったら何だったのかしら?」

絵里「……」

絵里「…………やっぱり、なるしかないわね」

──30分経過ちゅー 店員さんを呼ばないでください!

真姫「ちゅぶっ……んんーっ、ジュルルッ……ッ」

にこ「ンック、ンー……チュチュ、ンッ……ヂュル」

真姫「……はぁはぁ」

にこ「は、はぁ……あうっ!」グラッ

真姫「にこちゃん! 大丈夫?」ガシッ

にこ「こ、……はぁはぁ……腰が抜けたわ」

真姫「ふふふっ! アイドルがこれくらいで腰を抜かしてどうするの?」

にこ「にこ1の真姫ちゃん3の割合で攻められたらこうなるわよ!」

真姫「にこちゃんの舌や口のどこが一番感じるとか熟知してるからね」

にこ「頭の良さをムダに使ってるんじゃないわ」

真姫「んふふっ♪」

にこ「でも、本気で足に力が入れられない」

真姫「私が肩を貸すからタクシーで帰りましょう」

にこ「あ、その前に……機械の外に付いてるプリントされた物を絶対に忘れちゃダメよ。一大スキャンダルにこぉ」

真姫「ええ、当然よ! 誰にもえっちな顔のにこちゃんは見せないわ!」キリッ!

にこ「///」

真姫「あ、それとね? にこちゃんの為にってこないだまた新しいパジャマ買ってきたの」

にこ「激しく嫌な予感しかしないんだけど。最近にこの嫌な予感って当たるのよ」

真姫「にこちゃんに絶対に似合ってるわ」

にこ「はぁ~……もう好きにして」

真姫「ええ、好きにするわ。王子様を好きに出来るのはお姫様の特権だもの」

にこ「絵本の中のお姫様達に謝るべき発言よぉ」

真姫「さ、帰りましょう。私達の家に」

にこ「……恥ずかしいんだけど///」

真姫「私は恥ずかしくないわ。今は全てが愛おしいくらいだもの」

にこ「弱くなったり逞しくなったり忙しいわね」

真姫「弱さがなくなる頃には心は完全に矢澤真姫になってるわ」

にこ「」

真姫「」

にこ「……」

真姫「……」

にこ「…………」

真姫「…………あ゙ぁ゙~っ! 今のはなし! 流石に恥ずかしすぎる!!」カァァァァ!

にこ(にこの方がもっと恥ずかしいわよ! 矢澤真姫って……矢澤真姫…………にこぉ!!)///

──二回戦前 控え室

にこ「次の相手は……ある意味で一番強敵かもしれないわ」

絵里「グループ名はgeorge。名古屋の学校ね」

凛「通過順位は20位だけど?」

穂乃果「はっ! もしや、にこちゃんの親戚がいるとか?」

ことり「それかぁ、中学生の時に同じアイドル好きとして、良きライバルだった子がいるとか?」

花陽「卒業の際に約束した《ラブライブの舞台で再会》が実現するんですねっ!」

海未「花陽は興奮すると敬語に戻りますね」

にこ「勝手に盛り上がってるところ悪いけど、この学校の子達はオール一年生よ」

希「一年生だけで通過って確かに強敵やね」

花陽「あっ、そうだった。今回の予選唯一の一年生だけのグループなんだよね……」

にこ「一回戦でgirlish seasonを破ってるのよ」

花陽「girlish seasonって北海道の今年の優勝可能性グループの一つだったんです!」

ことり「えっとぉ、北海道の学校は……えっ! 予選三位通過だったの!?」

にこ「どこよりも勢いに乗ってるという意味で最強の刺客よ」

花陽「そうですね! 一年生ですから若さもあります!」

希「つまり全員が今のテンションの花陽ちゃんに凛ちゃんの元気さを合わせた感じやろうか?」

海未「全員が凛やアイドル関係で燃えている花陽のテンションと考えると……ソレはゾッとしますね」

凛「あれ? 今さりげなく酷いこと言われた?」

真姫「的確な表現だったじゃない」フフッ

花陽「わ、私……そんなにテンション上がっちゃうのかな?」

希「あれも花陽ちゃんの立派な魅力やよ」ニコッ

花陽「よかった」ホッ

絵里「貶してから褒める……ジゴロってやつね」ポツリ

穂乃果「二年生のA-RISEは来年も残るけど、花陽ちゃん達が3年生になった時のラブライブの一番のライバルになりそうだね」

ことり「それって素敵ぃ!」キラキラ

絵里(それは音ノ木坂が続けばの話なんだけど、訂正はしない方がいいわね)

海未「それは音ノ木もごもご」

希「海未ちゃんはもうちょっとだけ空気読もうなー」

絵里(希、ナイスよ!)

凛「凛達が三年生の時のライバル」

にこ「ま、一番可能性があるわね。今だって十分の脅威よ」

真姫「気合、入れなおさないとね」

コンコン...

花陽「あれ、誰だろう? 私、出ますね。はーい!」

  「すいません。予選前に会いに来るなんて失礼かもしれませんが、私はgeorgeのリーダー岡本楓と申します」

花陽「george? って、えぇっ!? ダレカタスケテー!」

真姫「助けるもなにもないでしょう」カミノケクルクル

絵里「二回戦開始前に何かあったの?」

楓「はっはい! 私がリーダーなので代表として来たんです。お願いがありまして」

穂乃果「お願い?」

楓「はっはい! 一回戦の後に相手グループと秋葉原で路上ライブをやったとお聞きしまして」

絵里「ラブライブ開催中ってこともあって、大いに盛り上がったわ」

希「会場とは違った熱気やったね」

にこ「それが何かお願いというのと関係あるの?」

楓「はい! 私達メンバーはμ'sさんのファンで。μ'sさんとあたりたくて、根性で一回戦を乗り切ったんです!!」キラキラ

花陽「……す、凄いです」

凛「努力と根性は乙女の武器にゃー!」

ことり「お母さん」

海未「は? ことりどうかしましたか?」

ことり「ウウン! ナンデモナイノヨナンデモ!」アセアセ

楓「それでですね! 是非二回戦が終わった後に、私達とも路上ライブをして欲しいんです! それをお願いにきました!!」キラキラキラ

穂乃果「勿論だよ! 是非一緒に歌おうね☆」

楓「ありがとうございます! 光栄です! 皆喜びます♪」ニコニコ

にこ「でも、その前に二回戦よ。見に来てくれた人達全員を笑顔にしてみなさい」

楓「はいっ! それでは、お時間の方取らせて申し訳ありませんでした」ペコリ

穂乃果「ううん! 全然平気だよ。お互いに頑張ろうね! ふぁいとだよ!」

楓「はい! μ'sの皆さんと同じ舞台に立てて幸せです!」バタン...

絵里「随分と可愛らしい子だったわね。私の妹に似てるわ」

希「あれ? えりちって妹いたん?」

絵里「すっごい可愛い子なの。来年音ノ木坂に入るからよろしくね」

にこ「お姉ちゃんキャラだったの? にこと違って母性が出てないから気付かなかったわ」

凛「にこちゃんが母性?」

ことり「それはちょっとぉ」

希「無理があるんやない」

真姫「失礼ね! にこちゃんの母性は凄いんだから!」

海未「誰か一人に向けての母性……。ある意味では母親向きと言えますが」

絵里「海未も穂乃果とことりには甘いわよね」

凛「でも、やっぱり一番の母性は希ちゃんだよ」

花陽「あ、それは花陽もそう思う」

真姫「にこちゃんよ!」キッ!

穂乃果「私はことりちゃんかなって思うけど」

海未「穂乃果、新しい意見を出してどうするんですか」

にこ「これから名誉あるラブライブの二回戦なのよ? Melodyの想いを背負ってるんだから、もう少し緊張しなさいよねー」

絵里「でもまぁ、これこそがいつものμ'sって気がするけどね」

真姫「仕方ないわね。この話の決着は二回戦の後にしましょう」

海未「二回戦の後で続ける気なんですね。……にこ、来年以降の為にも真姫の教育をお願いします」

にこ「海未が穂乃果を躾けられたら考えてあげるわ」

ことり「どっちかというと、海未ちゃんの方が調教されてそうかも♪」チュンチュン

穂乃果「私は調教なんて出来ないよー。ペット飼ったことないし」

海未(穂乃果にペットとして調教される、ですか?)キュン♪

にこ「ん? 海未どうかしたの?」

海未(なんでしょうか。この未知の感覚。胸がキュッと締め付けられて息苦しくて。でも、その情景を思い浮かべると……あぁっ!)////

穂乃果「海未ちゃん顔が真っ赤だよ。大丈夫?」ヒョコッ

海未「ひゃっ! ほ、ほのかっ! 顔が近すぎますっ」アセアセ

希「海未ちゃんの中で何かが目覚めたってところやね」

凛「μ'sに常識人っていないよねー」

花陽(わ、私も常識人の枠からはみ出しちゃってるのぉ!?)

そして、μ'sは緊張感の欠片もないリラックスした状態で二回戦を迎えた。

歌ったのは『僕らは今の中で』

A-RISEファンですら見惚れる程の最高のライブだった。

──同日 秋葉μ's+george

george「大好き!」

パチパチパチ!!

絵里「ハラショー」

希「人数居ない分をカバーして見事に再現してたね」

にこ「ファンっていうのは疑う余地なしって感じの仕上がりね」

凛「あの子達が……三年生の時のライバル」

花陽「一年生だけでラブライブ本戦までこれただけあるね……」

真姫「ライバルが居る方が盛り上がるでしょ? 上等よ!」フフッ

海未「そうですね。私達にとってのライバルがA-RISEであるように」

穂乃果「いやぁ~すっごい良かったよー♪」

ことり「上手だったぁ♪」

楓「えへへ♪ ありがとうございます!」ペコッ

にこ「ラブライブ本戦で貴重な一勝を得る経験をしたんだし。もしかしたら……来年はA-RISEレベルになるかもしれないわね」

楓「そんな! 褒めすぎです!」アセアセ

絵里「一年生なのに試合前に挨拶にこれる度胸も評価に値するわ」

希「そうやね。にこっちの言うとおり来年が大いに楽しみや」

凛「むぅ~同じ一年生なのに相手ばかりべた褒めしてる~」

花陽「しょうがないよ。実際に今は私達より動きがいいと……思うし」

真姫「そんなことないわ。花陽はもっと自信つけなさい」

海未「真姫の言う通りですよ」

ことり「あれは健闘を讃えてる半面、私達に遠まわしの発破掛けてるんだよ」

穂乃果「それに……。来年の予選が20位ギリギリだったとしても、負けが確実じゃないってことを教えてくれてるんだと思う」

海未「ああ、そうですね。諦めから入ったら勝てるモノも勝てなくなりますから」

真姫「その逆をあの子達はしてみせたものね」

花陽「そう、だよね。自信を付けなきゃ駄目だよね」

凛「よぉ~し! 今度はμ'sが凛とかよちんのWセンターの勇気のシグナル歌うにゃー♪」

楓「頑張ってください!!」

花陽「あ、ありがとうございます。頑張りますっ」

二年後のラブライブで花陽がリーダーを務める予選20位通過の音ノ木坂学院アイドル研究部は予選1位通過のgeorgeと準決勝の舞台で再会することになる。

楓「去年と違ってまたお会いできて光栄です」

花陽「私もだよ。でも、どうせなら決勝で会いたかったな」

楓「そうですね」

花陽「予選の順位なんて関係ないから。通してもらうね」

楓「強気ですね。ですが……決勝への道は私達が通らせてもらいます」

それはまだ二年後の未来図。

楓「それでですね、μ'sの皆さんがよろしければなんですが、決勝の応援歌を歌わせて欲しいのですが!」キラキラ

にこ「勿論よ。あなた達の想いもあればA-RISEにだって勝てるわ」

楓「ありがとうございます! 明日の準決勝頑張ってください!!」ペコリ

──翌日 昼 ミーティング

にこ「今日の準決勝に勝てば明日の優勝戦よ」

絵里「体力的よりも精神にくるわね」

希「確かにそうやね」

凛「緊張はしないんだけどにゃー」

海未「それで、今回の相手ですが……」

花陽「Luckyだね。沖縄の四人グループ。予選は5位通過」

にこ「名前とは裏腹にダンスにより力を入れてる強敵ね」

ことり「リーダーの名前。これって愛愛……あいあい?」

花陽「あいめぐみです。元々生まれは鹿児島の喜界島だそうです」

海未「苗字で愛があるなんて初耳です」

希「喜界島は珍しい苗字の人多いんよ」

絵里「住んでたことあるの?」

希「三ヶ月だけやったけど」

穂乃果「すっご~い! 私なんて飛行機にすら乗ったことないのに。すごいなぁ」

凛「凛も! そんな島があるなんて、驚きだよ」

海未「あの、穂乃果、凛。まさかと思いますが機械の島と思ってるんじゃないですか?」

ほのりん「違うの?」キョトン

海未「そんな島ありません! 鹿児島本土から離れた島の一つです」

ことり「機械の島。くすっ……ちょっと行ってみたいかも♪」

花陽「はっ! その島にはもしかしてことりんがーがっ!?」

真姫「……? あぁ、そんなのもあったわね」

にこ「もはや緊張しろっていう方が難しくなったわね」

絵里「にこの魔法は薬よりも高価があるみたいね」

希「そうやね。ある意味にこっち自身が既にスピリチュアルな存在や」

にこ「スピリチュアルっていうのも、春から色々あったからすっごく身近に感じられるわ」

絵里「私もよ。まぁ、私が探してるのは神様だけど」

にこ「神様? 絵里ってそっち系だったっけ?」

希「普通の神様と違うんだって」

絵里「大学受験に失敗した経験のある神様なのよ」

にこ「……どんな神様よ」

絵里「それでも私にとっては御利益のある神様なの! 悪い?」ジロッ

にこ「いや、別に貶した訳じゃないわ」

希「くすっ。えりち、そんな過剰反応したらあかんよ?」

絵里「あ、ごめんなさい///」

穂乃果「それでね、そこの機械山には伝説があってね」

花陽「伝説! その響きだけで最近ご飯が美味しく食べられるよ!」

海未「なんなんですか、その『驚愕!! 日本列島の機械で出来た島の奥地で伝説の巨大生物を見た!?』的な話は」ヤレヤレ

ことり「機械山はことりんがーの巣だったんだよぉ。ガガガガ」

真姫「随分と安っぽい伝説の真相ね」

海未「って、ことりも真姫も……。今はそんなことより真っ先に考えるべきことがあるでしょうに」

穂乃果「そうだね! 船の事故でそんな島に辿り着いてしまった私達μ'sの九人!」

海未「それならば穂乃果は私が守ります!」キッパリ

絵里「ふふっ。生徒会長として頑張って廃校撤回しようとか思ってたのが馬鹿みたい」

にこ「おまけににこに嫉妬して突っかかってきたしね」

希「あの頃は力になれなくて本当にごめんね」

絵里「希は傍に居てくれただけで力になってたわ」

にこ「寧ろ被害者はにこだけ」

絵里「お陰で人生が変わったもの」

にこ「にこを無視してないで謝罪しなさいよね!」

絵里「や~だ。にこに謝罪なんてしないわ。ふふっ♪」ベー

にこ「なんでよ! このロシア語ハラショーしか出てこない似非ロシア人が!!」

希「あ、それは確かに!」

絵里「にこ」

にこ「何よ?」

絵里「Я не могу говорить по-русски.」(ロシア語が話せません)

希「おぉ~。見事な巻き舌やね」

にこ「なに? 今なんて言ったの?」

絵里「さぁね? 私はハラショーしか言えない似非ロシア人らしいから分からないわ」フサァ

にこ「くぅ~! これ見よがしに前髪かき上げて。様になるのがムカつくわ!」

希「にこっち大人気ない反応やん」クスッ

にこ「どうせ変なこと言ったに違いないわ! きちんとロシア語で謝ってみなさいよ!」

絵里「Я не могу говорить по-русски.」(トイレはどこですか)

にこ「ふっふーん! 分かればいいのよ☆」ニッコリ

絵里「にこは心が広いわね」フフッ

希(このえりちの笑顔。絶対に変なこと言ったんに違いない)

にこ「そうよ。私は女神よりも心が広いんだから!」ドヤァ

絵里「そうね。さ、そろそろ真面目に最終チェックしましょう」

にこ「ええ。今回は私達九人が揃って初めての曲。『僕らのLIVE 君とのLIFE』だから気合入れてくのよ」

真姫「勿論よ! にこちゃんが作詞した曲だものね」

にこ(本当は佐藤が作詞したんだけど。一体どうなってるのかしらね)

穂乃果「ほのかはぼらららが一番好き!」

海未「羨ましいくらいに素敵な歌詞です」

ことり「海未ちゃんの作詞も最高だよぉ♪」

穂乃果「うん、ほのかも! 海未ちゃんの作詞もキラキラしてて可愛いもん♪」

海未「あ、ありがとうございます///」

──準決勝 μ'sを見守る人達

ツバサ「動きが抜群に良い。きちんと練習してる証拠だね」

あんじゅ「本当にツバサちゃんはμ'sが好きなんだね?」

英玲奈「お節介焼きすぎだと思うけど」

ツバサ「いいじゃない。普通に勝つより、最高の相手との勝負で勝ちたい」

英玲奈「アイドルっていうより、スポーツ選手みたい」

あんじゅ「私はいいと思うけどなぁ」

ツバサ「μ'sが今日勝てば、後は私達A-RISEが勝ちあがるだけ」

あんじゅ「本当にいい動きしてるね」

英玲奈「それは否定しない。歌の方もあの路上ライブの時とは比べ物にならないし」

ツバサ「最高のステージになりそうだよ」

あんじゅ「妙な親心で失敗とかしないでね?」

ツバサ「失敗って誰に言ってるの?」

英玲奈「ふふっ。ツバサに失敗なんてある訳ないわよ」

あんじゅ「うん、そうだね!」

──Melody

琴音「のびのびとしてるけど、動きは一つ一つが綺麗」

綾「癪だけど、このライブ映像は勉強になる」

琴音「九人で一つになるような光景だね」

綾「うん。悔しいけど……私達が負けたのは当然かな」

琴音「綾ちゃんがそんなこと言うの珍しいね」

綾「事実から目を逸らしたら、再戦する時にまた負けるでしょ?」

琴音「そうだね! 次は来年の為にも勝って弾みを付けさせてもらわないと」

綾「この調子ならチケットも無駄にならなくて済みそうだ」

琴音「心配なんてしてなかったんでしょ?」

綾「すっごい不安で心配してた」パチン

琴音「あははっ。そっかそか。心配してなかったんだー」

綾「何その棒読み!」

琴音「私達も緊張をしないで望めるように路上ライブとか沢山経験しようね」

綾「そうね。大きな舞台になると、小さな経験の積み重ねも重要になるって分かったものね」

琴音「明日の舞台で、他にも拾えるものは全部拾いましょう」

綾「うん。私達のラブライブが終わるのは後輩達に全部を与えてから」

──george

楓「ふぁ~! 凄い! にこさん可愛い!」

 「とっても素敵! 特に絵里さん!」

 「真姫さんのあのクールな笑顔が胸にくる!」

 「海未さんの投げキスがズキューン!」

楓「見惚れてるだけじゃ駄目だよ。来年、再来年と私達のライバルになるんだから」

 「リーダー! 目を輝かせながら言っても説得力ないよ」

 「あはははっ! 確かに。誰よりもμ'sファンだし」

 「だからこそ近づきたいって気持ちは分かるよ。でも、初見で冷静に見るのは無理!」

 「今茜ちゃんはいいこと言った! 初見絶対無理!」

 「明日はTシャツ持って行って大きくサイン書いてもらわなきゃ!」

楓「も~! いえぇ~い♪」

 「やっぱりリーダーが一番ノリノリだよ☆」

──穂むら

雪穂「ほらお母さん! 今お姉ちゃんが歌ってるんだよ!」

穂乃果ママ「一緒に見てるんだから分かってるわよ。……モグモグ」

雪穂「お姉ちゃんのいつもの思いつきでこんなことになるなんて」

穂乃果ママ「ふぁたひの……ゴクン。血を継いでるんだもの、これくらい出来るわよ」

雪穂「お母さんはただの生徒会長だっただけでしょ?」

穂乃果ママ「ただのって、あの頃は生徒数が凄く多かったのよ?」

雪穂「スクールアイドルの祭典で準決勝で歌う方が断然上だよ!」

穂乃果ママ「なによぉ。音ノ木坂はなくなるから受けないって言ってたのに……モグモグ……入学案内取り寄せてたわよね?」

雪穂「それ、は……だって。お姉ちゃん達の活躍で存続することになったんだし」

穂乃果ママ「存続っていっても一年間猶予が生まれただけでしょ?」

雪穂「ラブライブの舞台でこれだけ結果を残せば今年からグッと入学希望者が増えるよ!」

穂乃果ママ「続いてくれれば嬉しいけどね」

雪穂「続いていくよ……。だって、来年もお姉ちゃんが音ノ木坂には居るんだから」

穂乃果ママ「ふふっ。あんたも何だかんだ言ってお姉ちゃんっ子よね」

雪穂「なぁっ!? そんな訳ないじゃん///」

穂乃果ママ「お母さんとしてはアイドルやるより家の手伝いして欲しいんだけどねぇ」

雪穂「別に私はスクールアイドルやるなんて言ってないし!」

穂乃果ママ「あら? お母さんは穂乃果のことを言ったんだけど?」ニヤニヤ

雪穂「うぅ~!」カァァァ

──もはやただの痛い人

佐藤「同じ画面越しなのに、全然迫力が違う」

佐藤「僕が見たいと望んだμ'sがラブライブで歌う姿も三回目」

佐藤「そして、いよいよ明日が決勝戦」

佐藤「μ's! 決勝進出おめでとう!」パチパチパチ

佐藤「後は決勝戦を見届けるだけ」

佐藤「僕がすべきこと、やれることは全て終わる。明日で、お別れだ」

佐藤「……あぁ~! でも、やっぱりあの教会のことを思い出すと死ねる! 寧ろエリーチカに殺されたい!」

佐藤「まさにこれが黒歴史! 僕はラブライバーなんですよー! 冬の宮殿で眠らせて! ユニバース!!」

──ラブライブ本戦決勝 朝 神田明神 《最終日》

希「あれ? にこっちやん」

にこ「こんな日も朝は神社のお手伝いなの?」

希「なんか、そわそわして。自分からお願いしたんよ」

にこ「流石に今日は緊張するわね」

希「せやね。人生で一番緊張してるかもしれんなー」

にこ「あー……私はそうでもないわ」

希「およ?」

にこ「ほ、ほら。うちのお姫様との色々の方が……その、ね?」///

希「あははっ。朝から惚気られた」

にこ「私としては今夜の打ち上げの後が本番なのよ」

希「なるほど。二つの意味で今日が本番なんやね」フフフ

にこ「はぁ~そっちが緊張して仕方ないわ」

希「本当ににこっちは変わったなぁ」

にこ「ええ、そうね。一人でいじけていた時間が勿体無かったわね」

希「そう感じられるのは今が幸せな証拠やね」

にこ「そうね。……希、色々ありがとうね」

希「なんのこと?」

にこ「今更だけど、私と絵里の仲が悪い頃さ、仲を取り持とうとしててくれたでしょ?」

希「結果に繋がらなかったけど」

にこ「結果なんて関係ない。きっと希のその優しさはこれから多くの人を救っていく気がするわ」

希「ウチはそんな大きい人間やないって」

にこ「何なら賭けてもいいわよ?」

希「どこからその自信が生まれるのか謎やね」

にこ「カードも大事だけど、希自身の方が魅力的よ。あ、うちのお姫様には内緒ね?」

希「刺されたくないから言わないよ」

にこ「真姫ちゃんは刺したりしないわよ!」

希「そうだね。どちらかと言うと刺されるのって……」ジィー

にこ「にこぉっ!?」ビクッ

希「冗談や」ケラケラ

にこ「不吉な冗談言うんじゃないわ。……」

希「どうしたん?」

にこ「誰かに呼ばれてここに来た気がするんだけど」

希「ウチは呼んでないよ」

にこ「それは知ってる。ま、いいわ。それじゃあ、また後で会いましょう」

希「ほな~」

──最終対決! にこVSエリーチカ

絵里「あら、にこもお参りに来てたの?」

にこ「どちらかと言うと希と話してただけよ」

絵里「そう、希もいるのね」

にこ「絵里は緊張してる?」

絵里「言うほど緊張はしてないわね。こう見えてもオーディションを受けて受けて受け続けた時期があるんだから」

にこ「バレエ時代の話よね」

絵里「ええ。それで落選する度にいつもお婆様に泣きついてたわ。そして優しく言ってくれるの」

にこ「」

絵里「駄目だったのね。けど大丈夫よ。あなたはかしこいかわいいエリーチカなんだからってね」

にこ「……はっ、KKE!?」

絵里「えっ?」

にこ「KKEってこのことだったのね! 唯一残ってた女神の謎が解けたわ!」

絵里「え、え? 何の話?」

にこ「ううん、なんでもない。解けたけど、どうでもいいことだったわ」

絵里「にこは緊張してるみたいね。にこが緊張してたら皆も緊張するから気をつけてね」

にこ「緊張してないわよ!」

絵里「強がることないわよ」フフッ

にこ「強がってないわよ!」

絵里「そうだ、嫌ってた私をμ'sに誘ってくれてありがとう」

にこ「このタイミング言われてもからかわれてるとしか思えないわよ!」

絵里「九人だからμ'sって言葉を私達だけじゃなくて、全国の人達に教えてあげましょう」

にこ「そうね。スクールアイドルの歴史にも刻みましょう。九人の歌姫の名前を」

絵里「九人の女神でしょ?」

にこ「私達は女神っていうより歌姫でしょ?」パチン☆

絵里「何かにこがウインクが決まるとムカッとするわ」

にこ「なんでよ!」

絵里「くすっ。冗談よ、冗談♪」

にこ「あ、さっきの絵里の言葉を一つ訂正しておくわ」

絵里「なに?」

にこ「全国じゃ狭いわ。μ'sの活躍を世界に轟かせるわよ……。あんたのお婆様ってのが居るロシアまでね」

絵里「……にこ」

にこ「成長した絵里が大舞台で結果を残すところを見せてやりましょう。せっかくのライブ生中継だもの」

絵里「…………っ」ウルウル

にこ「泣き顔じゃなくて笑顔と一緒にね。にっこにっこにー♪」

絵里「とっ、当然よ」グスッ

にこ「それじゃあ、にこはこれから愛しのお姫様のところに行くから」

絵里「にこ!」

にこ「何よ?」

絵里「Спасибо большое.」ニッコリ

にこ「はいはい。あんたがロシア語を話せるって信じたから」

絵里「じゃあ、またね☆」スタスタ...

にこ「…………なんて言ったのか通訳してから行きなさいよね」ケッ

──穂乃果と雪穂

穂乃果「くぅ~今日もパンが美味い♪」

雪穂「今日は決勝戦だっていうのに、ご飯の方がお腹に溜まるよ?」

穂乃果「パンが珍しいんだからいいでしょ?」

雪穂「とか言ってるけど、最近は朝食いつもパン食べてるじゃん」

穂乃果「いままでがず~っとご飯だったんだからいいの」

雪穂「こんなんでμ'sのリーダーっていうんだから不思議で仕方ないよ」

穂乃果「何よー」プクー

雪穂「他の人の方が絶対にしっかりしてるし」

穂乃果「それは……確かにそうだけどねぇ」

雪穂「私はチケット取れなかったんだけど、友達が私の分まで取っててくれたから。会場に応援しに行くからね」

穂乃果「本当? 凄いね。花陽ちゃんの話だと最終日って即完売ってくらいに人気だって聞いたのに」

雪穂「何を隠そう、その友達っていうのがμ'sの絢瀬絵里さんの妹なんだよ」

穂乃果「絵里ちゃんの? そういえば妹が居るって言ってたっけ」

雪穂「これがまた絵里さんに似て綺麗なんだから」

穂乃果「へぇ~。その子って音ノ木坂に入るって聞いたよ。雪穂も音ノ木坂受ければいいのに」

雪穂「……そうしよっかなーて思ってる///」ポツリ

穂乃果「モグモグ……パン美味しいなー♪」

雪穂「打ち上げするんでしょ? その時私達も顔出してもいい?」

穂乃果「うん、いいよ。他のスクールアイドルの子達も居るけど」

雪穂「楽しみにしてるね」

穂乃果「んぐっ!? ごほっごほっ! 雪穂さっき音ノ木坂受けるって言った!?」グイッ

雪穂「顔近いし! 時間差過ぎだよ!」

穂乃果「お母さんおか~さ~ん!」

穂乃果ママ「何よ、朝から煩い子ね」

穂乃果「雪穂が音ノ木坂受けるって!」

穂乃果ママ「聞いてるわよ」

穂乃果「やったー! これでお婆ちゃんもお母さんも私も雪穂もみ~んなっ音ノ木坂だー♪」バンザーイ!

雪穂「お姉ちゃん。まだ入試は先なんだから」

穂乃果「大丈夫大丈夫。雪穂って私より勉強できるから」

雪穂「μ'sのお陰で倍率が凄いことになりそうだからなぁ」

穂乃果「勉強なら海未ちゃんやことりちゃんが教えてくれるから!」

雪穂「そこで自分の名前を挙げない辺りが私のお姉ちゃんだよ」ハァー

──ラストにこまき え、にこちゃんとの初夜は? 真姫ちゃん!!///

にこ「おはよう、真姫ちゃん」

真姫「にこちゃん、おはよう」

にこ「しっかり眠れた?」

真姫「ええ、だから今日は貫徹も上等よ!」キリッ!

にこ「ま、待って! 体格差もあるし、運動する体力とアレってちょっと違うっていうか」

真姫「大丈夫よ、にこちゃん。私達はスクールアイドルだもの!」

にこ「関係ないわよ!」

真姫「今回はベッドの上だから腰が抜けても安心して」

にこ「より恐ろしいわ!」

真姫「今夜はにこちゃんの魔法のお陰なのか、両親いないから安心して」

にこ「……追い出したんじゃないでしょうね?」

真姫「そんなこと出来る筈ないじゃない」

にこ「覚悟は十分って感じね」

真姫「にこちゃんが最高の気分で夜ここに居られるように、きちんとラブライブも全力を出すわ」

にこ「既にラブライブがおまけになってるにこぉ」

真姫「この瞬間を楽しめば結果がって言うのがにこちゃんの流儀じゃない」

にこ「ブレてない時の真姫ちゃんは強いわね」

真姫「にこちゃんが居てくれれば硝子の剣でだって戦ってみせるわ」

にこ「危険だから戦わないで」

真姫「それでにこちゃん……真剣な話があるの」

にこ「ん、なぁに?」

真姫「どっちが先にえっちするか」

にこ「ぶほっ! ごほっごほ……。何を真剣に話すつもりよ」///

真姫「一生の問題よ?」キリッ!

にこ「そ、そうね。確かにそうだけど」

真姫「にこちゃんに決めて欲しいの」

にこ「」

真姫「」

にこ「……む、難しい問題ね」

真姫「でしょ? 昨日の夜も考えてたんだけどね、答えが出なかったわ」

にこ「うーん、そうね。にこからがいいのかしらね。王子だし」

真姫「じゃあ、私が先に大人になるのね///」

にこ「そういうことになるわね///」

真姫「決めたことだし。じゃあ、キスしましょう!」ガバッ

にこ「にこっ! って、朝よ朝。朝っぱらからキスって」

真姫「私はにこちゃんと二十四時間いつでもキスしたいわよ。にこちゃんは違うの?」

にこ「……その手の質問は卑怯よぉ」///

真姫「女って好きな人と結ばれる為には卑怯にもなれるの」ズイッ

にこ(にこも女なんだけど……)

真姫「初めてはにこちゃんからするって決まったし、今日のキスもにこちゃんから」

にこ「押し倒されてる状況でにこからって」

真姫「じゃあ、にこちゃんが私を押し倒す?」

にこ「それは夜まで取っておくわ」

真姫「だったら早くして」

にこ「……真姫ちゃん。その……あれよ、うん」

真姫「ん?」

にこ「何度言っても慣れないけど…………愛してるわ」////

真姫「////」カァァァ

にこ「ちゅっ!」ギュッ

真姫「んっ!」チュッ

にこ「チューッ! ンッンンッ、ジュプッ……ちゅるるっ」

真姫「ンフッ、チュッ、ぢゅーっ……んっく、ちゅっ」

にこ「まきちゃん、大好きだいすき!」チュー

真姫「わたしもっ、にこちゃんが大好きなの!」チュッ

にこ「んぅ、ゴクッゴクッ……まき、ちゃ……ちゅっ、ぢゅっ」

真姫「ハァン、ンッウゥ……ぢゅぶっ、ん、チュチュッ……にこちゃん、もっとぉ」////

にこ「ヂュルルルッ! ちゅぅ~! ンンッ、ヂュヂュッ、おいしい……ぁんぅ」///

真姫「ンック、ゴクン、ゥンッ……すき、すきぃ……ちゅぅ、ちゅっ」

にこ「はぁはぁ……はぁ」

真姫「はぁ~……私、幸せよ。にこちゃん」

にこ「ふふっ、私もよ。……あのね、真姫ちゃんに誓うわ。私は卒業後二年でなんとしても成果を出すって」

真姫「え?」

にこ「だから……。真姫ちゃんが音ノ木坂を卒業したら二人で暮らしましょう。過ごせる時間は少ないかもだけど、傍に居て欲しい」

真姫「……にこちゃん」

にこ「アイドルは人間の前にアイドルじゃないとダメだけど、真姫ちゃんの前では人間の矢澤にこで居たいから」

真姫「私だってにこちゃんと一緒に居たい!」ギュッ!

にこ「私の仕送りだけで実家が生活出来るようにすれば、お母さんが働きに出なくてよくなるから、妹達の心配はなくなるし」ナデナデ

真姫「にこちゃんはいつも大人よね」

にこ「にこなんてまだまだよ。一歳しか変わらないのに凄いやつだっているわ」

真姫「?」

にこ「ううん。一緒に暮らす内に……真姫ちゃんの心を矢澤真姫にしてあげる」///

真姫「うん! にこちゃん愛してる!!」スリスリ

にこ(真姫ちゃんが甘えてくると普段と見た目のギャップで破壊力あり過ぎよぉ///)

真姫「にこちゃんはアイドルだから付けられないけど、その時は指輪が欲しい。安いのでいいから。私がにこちゃんの物なんだって証が欲しい」

にこ「安物なんて言わないわ。仕送りあるから給料三ヶ月分とは言えないけど、立派なやつ買ってあげる」

真姫「……う、んっ」グスッ

にこ「なぁに泣いてるのよ。やっと青春の始まりってところなのよ?」

真姫「だってぇ」

にこ「私と真姫ちゃんで青春の音楽を奏でましょう。ずーっとね♪」

真姫「……うん、うん」

にこ「真姫ちゃんの音楽はにこが絶対に終わらせないニコ♪」

真姫「うん! ……ひっぐ、うっゔっ……にこちゃぁん」ギューッ

──ラブライブ会場 ツバサとの再会

ツバサ「こうして会うのは路上ライブ以来だね」ニコリ

にこ「お久しぶりね。死ぬ程練習して来たわよ」ニコッ

ツバサ「うん。準決勝のライブは凄かった。見惚れたよ」

にこ「それはこちらも同じ。本当はお礼に行こうと思ったんだけどね……。こうして会えると思ったから止めたの」

ツバサ「いい判断だよ。お陰で最高のシチュエーションになったからね」

にこ「そうね。スクールアイドル史上最高と謳われるA-RISEを超えるμ'sの物語」

ツバサ「簡単に超えさせる訳にはいかないよ」

「あの、そろそろよろしいでしょうか?」

ツバサ「あ、すいません」

「応援歌の最中にお呼びしましたのは、どちらが先にライブをするのかを決めて頂く為です」

ツバサ「A-RISEはどっちでもいいよ。そちらに任せる」

にこ「そんなに余裕ぶってもいいの?」

ツバサ「余裕は実力の証だからね」

にこ「……言うわね。じゃあ、後を選ばせてもらうわ」

「では、A-RISE先行ですね。ありがとうございます」

ツバサ「後で良かったの? 普通なら後の方が有利だけど、A-RISEの後となると不利になるよ」

にこ「こっちの三曲目がちょっと特別なの。だから、先行にならなくて良かったわ」

ツバサ「へぇー。じゃあ、その三曲目を期待してるよ」

にこ「受けた恩は結果で返すわ。A-RISE……私、あんた達の大ファンだったのよ」

ツバサ「今は違うのかな?」

にこ「どうかしらね。μ'sに勝ったら教えてあげる」

ツバサ「君はとっても面白いね。是非、終わった後に聞かせてもらうよ」

にこ「終わった後にこちらから打ち上げに招待するわ」

ツバサ「ふふっ。……お互いに全力で魅せよう」

にこ「ええ、全力で。約束するわ」

──A-RISEライブ中 μ's控え室

にこ「A-RISEはカッコ良いわね」

花陽「パフォーマンスが絶妙です! キレがいつも以上に凄いです!」キラキラ

海未「想像以上に完璧ですね」

穂乃果「これこそがA-RISEだよね」ドキドキ

ことり「魅入られちゃうね」

真姫「……」

希「海未ちゃんの言うとおり、完璧やね」

絵里「ふふっ。完璧が一番ってことではないわよ?」

穂乃果「完璧なのに?」

にこ「アイドルっていうのはね、完璧なだけじゃ駄目なの」

花陽「心に響く想いは別ですから!」

凛「つまりはどういうことなの?」

海未「簡単です。私達の最高を出せばいいんです」

にこ「九人揃ったμ'sに届けられない想いなんてないわ」

真姫「結局は楽しむだけって話でしょ?」クスッ

ことり「だったら簡単だね♪」

花陽「モニターを見る限り、会場内の熱気は応援歌の時からボルテージは最高! 一曲目をあの曲にしたのは正解でした」

絵里「計算通りってやつよ」フフーン

希「誰かさんが怒ってたけどなー」ニヤニヤ

にこ「くっ!」

穂乃果「あっ! 思い出した!!」

ことり「どうしたの、穂乃果ちゃん?」

穂乃果「μ'sになる前の産声をね☆」

海未「なんですかそれは?」

穂乃果「A-RISEのライブを映像を観てスクールアイドルを目指すことにした時、にこちゃんが隣に居たことを思い出したの」

にこ「……あぁっ! A-RISEのことも知らない馬鹿は穂乃果だったわね」

絵里「ハラショー」

希「運命ってやつやね」

穂乃果「そうだね! あの日から全て始まったんだ!」

花陽「素敵です! その運命とっても羨ましいですっ!」←その場にいた

凛「なんだか最高に盛り上がってきたにゃー!」

真姫「私とにこちゃんの愛の始まりは……。にこちゃんが私に会いに来たあの日からね」

海未「は、張り合ってます」

ことり「素敵ぃ~♪」チュン

にこ「ファーストライブの翌日でしょ? きちんと覚えてるわよ」ニコッ

真姫「ふふっ♪」

絵里「結局最後はこの二人の惚気に全て持っていかれるのね」

希「若い時の青春に勝てるもの無しや」

穂乃果「さぁ、そろそろ時間だよ! あれ、やろう!」

絵里「では、部長のにこ。一言お願いね」パチン

にこ「μ'sに関わりを持ってくれた人達。その全員に今日を迎えさせてくれたことを感動で返すわよ!!」

穂乃果「いちっ!」

ことり「にっ!」

海未「さんっ!」

にこ「よんっ!」

真姫「ごっ!」

花陽「ろくっ!」

凛「ななっ!」

希「はちっ!」

絵里「きゅうっ!」

穂乃果「いつまで経っても色あせない。そんな最高のライブにしよう! μ'sミュージック!」

μ's「スタート♪」

──ラブライブ決勝μ's 一曲目『夏色えがおで1,2,Jump!』

μ's『サマーウィー!』


にこ「はぁ? 一曲目に夏色えがおって秋なのよ? 季節感が合わないでしょ!」

凛「にこちゃんがセンターの曲だからね!」

海未「決勝一曲目はにこから始めるのは自然の流れです」

ことり「これまでの実績を考えれば当然だよねぇ♪」

穂乃果「あの日からずっとほのか達を引っ張ってきてくれたんだもん!」

にこ「にこが歌うより他の子のセンター曲の方がいいでしょ! にこは正直そんな歌が上手い訳じゃないし」

絵里「私はにこの歌が好きよ。心に染み込んでくるもの」

希「ウチも大好きや」

花陽「私もにこちゃんの歌は元気が出て大好き」

凛「かよちんの言う通り! すっごい元気が沸いてくるよ!」

真姫「アイドルは歌手と違って笑顔にさせられるかが問題でしょ? だったらにこちゃんがμ'sで一番よ」


にこ『♪~』

穂乃果「アイドル研究部部長の責任として一曲目は決定だよ!」ニッコリ

にこ「ただでさえにこは三曲目に我がまま言ったのよ? それに優勝と準優勝じゃ再来年以降の音ノ木坂の存続にも大きな影響が出るわ」

海未「にこが自分で言ったのではありませんか。高校生の私達には廃校問題は荷が重いって」

ことり「それに、再来年のことは来年三年生のことり達に任せて欲しいなぁ♪」

花陽「その翌年は……私達に任せてっ!」

凛「アイドル研究部も音ノ木坂も守ってみせるよ!」

真姫「そういうことよ。にこちゃんは何でもかんでも一人で背負う必要ないの」


μ's『♪~』


絵里「それに、私達をこうして繋げてくれたのはにこの功績でもあるんだから。我がままの一つなんてないも同じよ」

海未「そうですね。穂乃果もにこくらい我がままに対して責任を感じてくれると助かるんですが」

穂乃果「あははっ」

ことり「でも、穂乃果ちゃんに我がまま言われて嬉しいんだよね?」

海未「……ひ、否定はしません///」


μ's『♪~』

真姫「そういうことだから。未来のアイドルの晴れ舞台を飾りなさいよ」

希「好きな人にここまで言われたら断れないやろ?」

にこ「ぐぬぬ! なんて卑怯な!!」

絵里「アイドルを目指す人間がチャンスを捨てるなんてありえないわよね?」

花陽「そうです! そして、そのチャンスを活かせるのがアイドルの最大の魅力!!」

穂乃果「にこちゃん☆ ふぁいとだよ♪」


にこ『♪~』


にこ「分かったわよ! お節介焼きのメンバーね!」

希「μ'sのみんなにこっちのこと好きなんや。真姫ちゃんと違う意味で」

絵里「私ね、矢澤にこが大嫌い!」

穂乃果「それって絵里ちゃんがμ'sに入る時に言った台詞だねっ」

絵里「今ではにこのことが好きよ。真姫とは違う意味で」

海未「私も好きです。勿論真姫とは違う意味で」

真姫「さっきからどうして私の名前を出すのよ!!」///

希「女の嫉妬は怖いから」クスクス

絵里「要らない恨みは買いたくないものね」フフッ

海未「誤解されると面倒なので」

真姫「なんなのよぉ!」

にこ「私もみんなのこと好きよ。真姫ちゃんだけ違う意味で大好きニコっ♪」

真姫「も~! にこちゃんまで////」


μ's『サマーウィー!』

──ラブライブ決勝μ's 二曲目『きっと青春が聞こえる』

μ's『♪~』


絵里(にこの言うとおり、ロシアのお婆様まで届いてるかしら?)

絵里(泣き虫で甘えん坊だったエリチカは、今は沢山の仲間と輝くステージで頑張ってます)

絵里(バレエとは違うけど、心から楽しんでやってます)

絵里(お婆様がいなかったら踊ること自体が嫌いになっていた)

絵里(仲間への大好きとお婆様への感謝。どうか届いて!)


μ's『♪~』


穂乃果(自分達の歌声が会場中を広がって伝わっていく)

穂乃果(A-RISEに憧れて始めたスクールアイドル。やっぱりもう止められないね!)

穂乃果(ことりちゃんと海未ちゃんと一緒にアイドルとして絶対に成功させる!)

穂乃果(だって、こんなにも気持ちいいんだもん! こんなにもドキドキするんだもん!)

穂乃果(ありがとう! そして、大好き!)


μ's『♪~』


真姫(最初はアイドルなんてありえないって思ってた)

真姫(それなのに……。にこちゃんがあんな風に私の心の中にズカズカと入ってきて)

真姫(今じゃ歌うこと以上ににこちゃんが好きで、大好きで。自分でも止められないくらい好きで)

真姫(だからこそ、こうして皆と歌うのも大好き)

真姫(ずっと一人でやってきた。これからもそうだと思ってた)

真姫(全部にこちゃんのお陰。だからこの感謝は沢山の愛情で返していくわ。覚悟してね!)


μ's『~♪』

──ラブライブ決勝μ's 三曲目『歌姫より...』

絵里『伝えたい~この気持ち届けて歌声に乗せて』


にこ(佐藤。これはあんたの為に私が我がまま言って作った曲よ)

にこ(出会いは最低最悪。絵里より最低だったわ!)

にこ(でもね、あんたがいなかったら私は今でも一人だったかもしれない)

にこ(もしかしたら穂乃果達がアイドル研究部の扉をノックしたのかもしれないけど、きっと受け入れられなかった)

にこ(感謝の想いを込めて拙いけど、私が作詞したのよ)


絵里『夢より幸せな今~あなたがくれた最高のプレゼント』


佐藤「…………」

佐藤(会場先ほどまで盛り上がっていた会場が水を打ったように静かになった)

佐藤(観客全員がμ'sが奏でるこの曲に魅入られている)

佐藤(センターがエリーチカの聴いたことのない曲)

佐藤(どこかたどたどしい歌詞の筈なのに、胸をグッと締め付ける)


μ's『羽根を持たない私だから~歌声があなたに届きますように』

にこ(あんたの途方もない言葉を信じた所為で、初めて好きになったのが女の子になったわ!)

にこ(全部の初めてを真姫ちゃんに染められちゃうわよ)

にこ(……全部全部佐藤のお陰。だから、きちんと伝わりなさいよ)

にこ(九人揃ってμ's。本当に世界で一番美しい言葉よ)

にこ(ありがとう! 私がこの舞台で歌えるのはあんたのお陰。ありがとう!)


絵里『消えぬ傷跡に震える夜を越えて~見えない未来に怯える朝を越えて』


佐藤「……っ……ぅ」

佐藤(せっかくの、最初で最後の生エリーチカの姿なのに)

佐藤(涙が溢れてきて止まらない。なんだこれ)

佐藤(神田明神で聞いたエリーチカの声に導かれてここに来て)

佐藤(気持ちの整理も付いてない内ににこにーが来ちゃって、それからは流れるような日々)

佐藤(調子に乗って一番しちゃいけない失敗をして、エリーチカに恥ずかしいところ見られて)

佐藤(でも、だけどありがとう。にこにーのお陰で僕のみたかった未来が今に繋がった)

佐藤(僕自身じゃ出来ないことをやり遂げるにこにーは僕にとって憧れになっていたよ)

佐藤「ひっぐ……ぅうっ」

にこ『ありがとうの気持ちが歌になって届きますように』


にこ(絶対にアイドルになってみせるから)

佐藤(僕も勇気を出してまたやり直してみせるよ)

にこ(本当にありがとう)

佐藤(口にしても足りないくらい、ありがとう)


μ's『伝えたい~この気持ち届けて歌声に乗せて』


佐藤「μ'sのみんな、ありがとう。そして、おめでとう!」

こうして、僕の夢が叶ったラブライブはμ'sの優勝で幕を閉じた。

──ラストエピソード 神田明神 佐藤とにこ

にこ「見つけたわ!」

佐藤「どうしてここに? ラブライブ終了後は打ち上げって言ってなかったけ?」

にこ「呼ばれた気がしたのよ。朝も来たんだけど、夜だったのね」

佐藤「スクールアイドルの頂点が夜に来るような場所じゃないよ」

にこ「あんたこそ打ち上げに来ずになんでこんな所に来てんのよ?」

佐藤「僕のすべきことを見届けたから、かな」

にこ「どういうこと?」

佐藤「僕の夢は見せてもらったから。すっごい感動した」

にこ「佐藤の夢?」

佐藤「唐突にこんな事を言うと変に思うかもしれないけど、この世界が元々はアニメの世界だって言ったら信じる?」

にこ「そんなことはあるわけないじゃない」

佐藤「……そうだよね」

にこ「あんた、本気で言ってるの?」

佐藤「うん」

にこ「」

佐藤「」

にこ「……はぁ~。ま、佐藤がそうだっていうなら信じるわ。それくらいは信用してるしね」フンッ

佐藤「ありがとう。この世界はアニメでね、僕はソレを観る側の人間だったんだ」

にこ「信じるって言葉は方便だったんだけど、妙に色々と知ってたことを考えると本気っぽいわね」

佐藤「性格悪いなー。素直に信じてよ」

にこ「いきなりこの世界はアニメなんだよって言われて、本気で信じられるわけないでしょ。……で、本当なの?」ジロッ

佐藤「本当だよ。μ'sメンバーの簡単なプロフィールなら言えるよ」

にこ「……にこの身長は?」

佐藤「154cm」

にこ「絵里の3サイズは?」

佐藤「上から88/60/84」キリッ!

にこ「うわぁ」

佐藤「自分で質問して何を引いてるんだよ」

にこ「本当に答えられるとは思わなかったし」

佐藤「信じてもらえた?」

にこ「女神ストーカー罪で逮捕ね。……それで、アニメだったならどんな風になってたの?」

佐藤「本来のμ'sはラブライブに出場することは出来なかったんだ」

にこ「どうして出れなかったのよ?」

佐藤「予選の最中ではきちんと19位に入ってたんだけど、学園祭のライブ1曲目で穂乃果ちゃんが倒れてね」

佐藤「廃校撤回とラブライブ出場が掛かってたから気合が空回りしてね」

にこ「穂乃果だものね」

佐藤「夜もトレーニングして、寝不足も重なって。トドメは小雨の中でもトレーニングした結果。風邪を引いて学園祭当日熱を出して」

佐藤「それが原因で理事長から叱られてエントリーを自主的に取り消したんだ」

にこ「廃校問題が高校生には重過ぎるって言葉が妙に真実味があったのはその所為だったわけね」

佐藤「その後、主人公である穂乃果ちゃんに追い討ち掛けるようにことりちゃんの留学問題が発生してね」

にこ「穂乃果が主人公……。μ'sの産みの親だものね」

佐藤「にこにーはボケ担当で立派に弄られてたよ」

にこ「なんですってー!?」

佐藤「変な格好をするし、リーダーの座を狙うも役者不足。インタビューに答えるもスルーされて置いてけぼり」

にこ「ハァ~?」

佐藤「情報を持ってきたら既に皆知ってる。水鉄砲や超音速枕で倒される……。他にも色々沢山あった」

にこ「にこって一体どんな扱いなのよぉ」グスッ

佐藤「穂乃果ちゃんがスクールアイドルを辞めるって言い出して、海未ちゃんと喧嘩した結果、エリーチカがμ'sを休止させてね」

にこ「μ'sが休止? 滅茶苦茶な展開ね」

佐藤「そこからにこにーが大活躍してさ。裏の主人公って言えるくらいにカッコ良かったよ」

にこ「ふっふーん! なるほどね。真の主人公ってそういうものよね。にっこにっこにー♪」

佐藤「ま、穂乃果を立ち直させたのはエリーチカの言葉なんだけどね」

にこ「上げて落とすんじゃないわよ!」クワッ

佐藤「あはは。その後、海未ちゃんが穂乃果ちゃんの背中を押してことりちゃんを空港まで引き止めに行って、戻ってきたらギリギリライブ開始する前に着くんだ」

にこ「……更に展開がハチャメチャね。どうして休止してたスクールアイドルがそんなギリギリの日にライブするのよ」

にこ「しかも、その流れだと穂乃果とことりは確実にライブの練習してないんでしょ? お客さんを満足出来る内容になるとはとても──」
佐藤「──うるさい黙れ!」ギロッ!

にこ「にこぉっ!」ビクッ!

佐藤「あの神展開を汚すような発言をするな!」クワッ!

にこ「な、何を怒ってるのよ。普通に思ったこと言っただけじゃない」

佐藤「アニメなんだから細かい所を突っ込むのはクズの所業なんだよ」

にこ「なんとも理不尽ねー」

佐藤「にこにーはその理不尽な世界の住人なんだけどね」

にこ「信じたくないけど、信じてあげる。でもそう考えると絵里と会ってアドバイスしていけば恋愛に発展とかもありえたんじゃないの?」

佐藤「人間は女神に恋することは出来ても、恋愛をすることは出来ないんだよ」

にこ「本当にどんだけ絵里が好きなのよ」

佐藤「ぶっちゃけね、最初会った時ににこにーに酷いこと言ったでしょ?」

にこ「アレは本気でムカついたわ」

佐藤「嫌われてもμ'sがラブライブに出場できるようになればって思って言ったんだ」

にこ「……佐藤」ウルッ

佐藤「でも、あれがエリーチカだったら絶対に嫌われたくないから言えなかったよ」キリッ!

にこ「あんたほんっっっとに! 最悪ね!」ムカッ!

佐藤「あはははっ!」

にこ「笑ってんじゃないわよ! ……はぁ~。それで、にこがあの店に行かなかったらどうするつもりだったのよ?」

佐藤「裏で手を回すつもりだったよ。μ'sのメンバーとは会わないでね」

にこ「だったら、あの日あの店に行ったのは正解だったわけね」

佐藤「……どうかな? 僕が深く介入しない方がもっと上手くいってた気もするし」

にこ「そんなことないわよ。それで話を戻すけど、満足したから元の世界に戻るって訳?」

佐藤「もう僕のやれることは完全になくなったから」

にこ「まだやれることあるじゃないの。打ち上げにくればあんたの大好きな絵里にも会わせてやるし。μ'sの十人目として紹介してやるわよ」

佐藤「ううん。それなら以前言ったろ? エリーチカに会うことはないって。それにさ、色々やったから世界に拒まれてるみたいでね」

にこ「世界に拒まれてるって何よ?」

佐藤「僕が関わってきた人間全てに忘れられてるんだ。この世界でまだ僕を覚えてるのはにこにーだけだよ」

にこ「──あ、そういうことなのね。真姫ちゃんが忘れてたのも、店の人が知らなかったのも」

佐藤「そういうこと。……にこにーには本当に感謝してるんだよ。挫折から立ち直る姿は勇気をもらえた。僕はもう現実から逃げない。目を逸らさない」

にこ「うそ臭いわよ」

佐藤「本当だって。当面の目標として、明日の自分を笑顔に出来るように頑張って日々を生きる」

にこ「ちっちゃい目標ねぇ」

佐藤「今の僕にはまだそれが精一杯なんだよ。なんせ大学受験に失敗してから引きこもってたからさ」

にこ「にこには散々大きいこと言ってきた癖して引きこもりって、あんた最低ね!」

佐藤「あはは! ぐうの音も出ない」

にこ「まったく。憎めないやつだわ」

佐藤「……それじゃあ真姫ちゃんと末永く仲良くね。立派なアイドルになることを祈ってる」

にこ「祈られなくてもアイドルの頂点に君臨してみせるわ」

佐藤「エリーチカがアイドルになったら頂点は間違いなく女神エリーチカの物だがな!」

にこ「最後の最後まであんたの女神推しはブレないわね」

佐藤「当然! …………それじゃ、元気で」

にこ「佐藤もね。ただ、これで帰れなかったら大笑いよ」

佐藤「世界が拒んでるんだから追い出されるさ。この先は何があるか分からない。でも、九人だからμ'sってことだけは忘れないように」

にこ「世界で一番美しい言葉ってことを今日実感したわ。それで佐藤、最後に聞いておきたいんだけど、目標じゃなくて向こうに戻ったらやりたいことってあるの?」

佐藤「大学落ちてから引き篭もって両親に心配させたことを謝りたい。それから、もう一度大学を受け直したい。やりたいことっていうより、やり残したって方が正しいかな」

にこ「だったら、やり残したこと終えたら戻ってきなさいよ。佐藤が自分から賭けを申しだしたんだから、その結果をきちんと確認しなさい!」

佐藤「女神の導きに二度目はないと思うよ。賭けの結果は残念だけどね」

にこ「諦めるんじゃないわよ。女神より心の広いトップアイドルになってるにこが導いてやるわ。だから、帰ってきなさい。あんたには返せてない大きな借りがあるんだから」

佐藤「にこにーは強いね。君の強さに救われたよ。元気でね」

にこ「誤魔化さないできちんと帰ってくるって言いなさいよ!」クワッ!

佐藤「……じゃあ、呼ばれる日がくることを待ってるよ」

にこ「ええ、待ってなさい」

佐藤「僕にとってエリーチカは理想の女神。そして、にこにーは理想の人間だった。これからはにこにーの様な強さを追い求めて生きていくよ」

にこ「臭い台詞好きよね。これが本当の最後……。あんたって私にとっては神様だったわ」

佐藤「にこにーも臭い台詞言ってるよ。だけど、神様ってすっごいトラウマがあるからヤメ──」

僕に最後まで言わせることなく、真っ白な光に包まれて意識を失った……。

○エピローグ○ 時系列はバラバラです。

──高坂穂乃果

トントン・・・

穂乃果「雪穂入ってもいい?」

雪穂『いいよー』

穂乃果「じゃあ、お邪魔するね」

ギィィ・・・

雪穂「どうしたの? いつもはノックなんてしないくせに」

穂乃果「うん。今日は雪穂にお願いがあるの」

雪穂「お願い? お金なら貸さないよー。逆に私が貸して欲しいくらいだし」

穂乃果「そんなんじゃないよ」

雪穂「じゃあ何?」

穂乃果「私ね、アイドルになりたいの! スクールアイドルだけじゃ満足できない。にこちゃんみたいになりたいの!」

雪穂「ふぅん。いいよ、穂むらは私が継ぐから。お姉ちゃんはアイドルになんなよ」

穂乃果「えぇっ!? そんな簡単に返事していいの?」

雪穂「だってお姉ちゃんがそういう顔した時は昔から何言っても聞かないもん」

穂乃果「うっ!」

雪穂「それにお姉ちゃんが頑張ってきたのは知ってるから。妹として一人のファンとして応援してあげる」

穂乃果「雪穂ぉ~」

雪穂「その代わり、お母さんとお父さんの説得は自分でしなよ?」

穂乃果「うん、頑張って説得する! あぁ~もうっ雪穂大好き~! ほのかの自慢の妹だよーっ!」ギューッ

雪穂「ぐぇ! ちょっと、苦しいっ」

穂乃果「愛してるばんざーい!」

雪穂「うるさいし! 夜に歌いださないで、とにかく離して」

穂乃果「雪穂は恥ずかしがり屋さんだなぁ。海未ちゃんみたい。でも、本当にありがとうね♪」

──南ことり

大好きな幼馴染である穂乃果と同じ夢を歩む為、キッパリと装飾系の仕事につく夢を捨てたことり。今は暇さえあれば料理の勉強に余念がない。

理事長「ほら、そこはそうじゃないでしょ?」

ことり「間違えちゃったぁ」

理事長「お菓子作りは私より上手なのにね」

ことり「でもお母さんの料理全部作れるようになるからね」

理事長「そこまでの時間を作れるかしら」

ことり「穂乃果ちゃんに美味しく食べてもらう為なんだから、何があっても時間作ってね、お母さん♪」

理事長「はいはい。本当に穂乃果ちゃんが好きなのねぇ」

ことり「当然だよ! だってことりは穂乃果ちゃんの奥さんになるのが夢なんだからぁ♪」

理事長「……アイドルじゃないの?」

ことり「アイドルは女の子の夢。穂乃果ちゃんの奥さんになることは女の夢なの!」

──園田海未

家元の娘である海未がアイドルを目指すと言った時の両親の如く怒りを露にした。毎日諦めることなく頼み込むが否決。大好きな幼馴染が動く。

穂乃果「海未ちゃんのお母さん、お父さん。もし卒業までに許可がいただけないのでしたら、この高坂穂乃果が海未ちゃんを誘拐します!」

海未「ちょっと穂乃果! 話が全然違うではないですか! 誘拐じゃ犯罪になってしまいます」

穂乃果「誘拐じゃなくて駆け落ちです!」キリッ!

海未「……/// って、それも違うでしょう!」

穂乃果「とにかく、海未ちゃんを園田家から連れ出させてもらいます」

  「良い友を得たことで結果、娘を失うことになるとは……。あの時、壷を割ったことを許すのではなかったかな」

穂乃果「あの時はすいませんでしたーっ!」ペコー

  「進むべき道は変われど、道が困難であることに変わりはない。努力を惜しまず、怠惰にならず、慢心せず、日々精進しなさい。卒業後、成功を収めるまでこの家の敷居を跨ぐことを禁ずる」

海未「ありがとうございます! 園田海未、必ずこの家の敷居を再び跨いでみせます!」

穂乃果「ありがとうございます。卒業後は私と海未ちゃんとことりちゃんの三人で部屋を借りて暮らすから心配しないでください」

海未「そういう報告は私がすると言ったではありませんか!」

穂乃果「あれ、そうだったっけ?」

海未「……まったく。穂乃果は頼りになるのかならないのか。この調子では一生目が離せないではないですか」

穂乃果「だったら一生ほのかに付いてきて。アイドルを引退して、新しい夢をみつけた時も一緒にいよう」

海未「父と母の前で何を言ってるんですかっ!?」カァァァ!

──小泉花陽

小さい頃からアイドルに憧れていた花陽。スクールアイドル時代、三年生でリーダーを務めてギリギリ20位での予選通過。

後に事実上の決勝戦と言われる準決勝でライバルグループに敗北。そんな落ち込む中で一人の幼稚園生に出会った。

拙く歌詞も滅茶苦茶だったけど、自分たちの歌を目の前で歌ってくれたその姿を見て、アイドル以外の夢を初めて見つけた。

リーダーとしてしっかりしないといけないと張り詰めていた糸が切れ、花陽は本来の穏やかな顔を見せる少女に戻った。

花陽「はーい! それでは今日も元気に挨拶しましょう。朝はなんて挨拶するんだったかなぁ?」

  「「「おはよーございます」」」

花陽「あれれ? ちょっと元気ないよ。もう一回!」

  「「「おはよーございますっ!」」」

花陽「はい、おはようございます。元気に挨拶出来たね。花陽先生嬉しいです。今日はとっても天気がいいので、お外で遊ぶ時は怪我をしないようにしましょうね」

  「はーい♪」

花陽「今日もお休みの子はいないね。みんなえらいえらい。じゃあ、元気よくお歌を歌いましょう♪」

ファンとは違う別の笑顔に囲まれながら、わんぱくな子ども達と日々を幸せに過ごしていく……。歌の上手な先生としてお母さん達にも知られる。

──星空凛

『スカートなんて持ってたのか?』

そんな一言が棘となり、μ'sに入るまで女の子としての自信を持てなかった凛。身長が伸び、髪を伸ばして、グッと女らしさに磨きが掛かったことでその棘はもう完全に過去の物となった。

凛「うぅ~……ウェストがギリギリにゃー」

 「またラーメンを食べ歩いたんですか?」

凛「凛はラーメンが大好きなの。だから沢山食べちゃうのは仕方ないよ」

 「モデルとして少しは自覚を持ってくださいといつも言ってるでしょう? ラーメンは脂っこいのだから──」

凛「──それはそれ。これはこれなの! モデルを続けることでラーメンを食べられなくなるのなら、その時は潔くモデルを辞めるから!」

 「そんなこと言わないでください。中高生からの人気は今一番なんですから」

凛「うぅ~どうせならラーメン専門のレポーターになればよかったぁ」

 「そんなレポーターいませんよ。評論家ならまだしも」

凛「そうそう、それにゃ! 凛はこれから評論家になってラーメンを好きなだけ食べ歩くの!」

 「さ、希望を語るのはそれくらいにして、そろそろ撮影の時間ですよ」

凛「はいはい。今日も頑張ろーっ!」

残念ながら彼女が評論家になることはない。凛はモデルから女優の道を歩み、多くのファンに親しまれることになる。全てはスクールアイドル時代で得た経験と応援してくれるファンのお陰だとインタビューで語るのがお約束となる。

──東條希

卒業後、カードの導きにより東京を出て関西へ向かう。そこで変わり者の女性と出会い、行動を共にしていく。

希「今回は青森の八甲田山に出ると噂の悪霊を退治しにきた訳やけど、寒いなぁ」

 「あの子ならこの寒さでも裸足で表情一つ変えないけどね」

希「お嬢は特別やよ。ウチは寒いの苦手だし」

 「胸に無駄な脂肪あるんだから平気でしょ」

希「この寒さを前にして関係ないって。マッチを使った技で暖かくとかできんの?」

 「指が冷たくてマッチが使えないから、今回は全部あんたに任せるわ」

希「悪霊追い出す希望の幽霊が他人任せはダメやろ」

 「いいのよ。適材適所。何の為の仲間よ」

希「普段は仲間とか言わない癖して。そういう不器用なところウチの親友にそっくりや」クスッ

 「私に似てるなんて御愁傷様ね。一生誰にも愛されることがないことを保障するわ」フンッ

希「残念ながらメッチャ美人やよ」

 「それは私の顔が悪いといいたい訳ね。……燃やすわよ?」ジロッ

希「今はメイクの所為で怖くなってるけど、メイク落とせば美人さんやん」

 「元スクールアイドルに言われると皮肉にしか聞こえないわ」

希「本当に面倒臭い性格やな~」

日本各地を巡りながら、ある時は子ども達に、ある時は村人達に、多くの感謝をされながら仲間と共にその名を残していくことになる。スピリチュアルマスター希、と人は呼ぶ。

──真姫

卒業後、決められていた女子医大に合格し、自分の意思で医者を目指す。一人でも多くの命を救い、笑顔にさせる為に。

今は約束通り家を出て好きな人と一緒に暮らしている。ピアノ部屋まで用意してある。これを用意するのにかなり無理をしたことを私は知っている。

相手の仕事が忙しい為、会える時間は少ないが愛に陰りはない。

真姫「今日はにこちゃん早く帰ってくるって言ってたし、料理を作って待ってたら驚くわよね」

真姫「こないだのはたまたま失敗しただけで、レシピ通りに作れば時間が掛かってもきちんと食べれる物が出来るって、ことりが言ってたもの」

真姫「そう、肝心なのは愛情だし。食べれる物さえ作れば美味しい物になるに決まってるわ!」

真姫「……ふふっ。でも、指を怪我したらピアノが弾けなくなるからって、料理なんてしないと思ってたのに。未来は分からないものね」

真姫「もし、音ノ木坂ににこちゃんがいなかったら……。私は親の言いなりの為に医者を目指し、好きな音楽に未練を残したまま、ただただ日々を生きてた筈ね」

真姫「にこちゃん曰く、大学受験に落ちた引きこもりの神様が導いたとか言ってたけど、何のことなのかしら? 絵里も同じこと言ってたけど」

真姫「あ゙……。さて、今日の夕ご飯は外食にしましょう。そうしろって運命が囁いてるわ! きっと引きこもりの神様ってやつの所為よ」

言い訳を口にしながら左手の薬指を撫でる。正確には指に嵌めてある美しい愛の証を。これが私《矢澤真姫》の最近の癖である。

──矢澤にこ

音ノ木坂学院の廃校を撤回させたスクールアイドルμ'sの活躍は一つの伝説となった。そんなμ'sの中で輝き続けた少女はアイドル界に入っても、瞬く間に注目を集め大ブレイクを果たす。

にこ「にっこにっにー♪」

「「「「「にっこにっこにー♪」」」」」

にこ「みんなー元気な声をありがとう。にこは目がいいから一人一人の笑顔がきちんと見えてるよー!」

にこ「さて、今日は次の曲に入る前に一つお知らせがあるので聞いてね! スクールアイドルμ'sを知ってる人手を挙げて!」

「「「「「はーい!」」」」」

にこ「おー凄い。って、まぁ去年の話しだし知ってて当然と言えば当然だけど、やっぱり嬉しいものね。ありがとう! でね、我が事務所に本日付けで三人の後輩が入ったの」

にこ「それでね、今日は事務所に内緒でその三人を連れて来ちゃった! 後で怒られるけど、その三人はにこにとって特別なの。じゃあ、名前を呼ぶからみんなも続けて呼んであげてね! いっくよ~♪」

にこ「高坂穂乃果! 南ことり! 園田海未!」

実際にこのライブの後にこってりと事務所に怒られるにこだが、お陰で穂乃果達三人は最高のスタートダッシュをすることが出来た。この後、アイドルになったA-RISEといくつもの伝説を築いていくことになる。

──穂むら

雪穂「モグモグッ! ──いらっしゃいませー!」

母に似た自由の性格の雪穂は姉の代わりに店を継ぐ為、日夜勉強中であるがその顔は笑顔。

雪穂「ありがとうございました! またきてくださいね♪」

彼女を目的としたリピーターも多いのだが、

穂乃果ママ「穂乃果がアイドルになって恋愛出来ない分、あんたに期待してるんだから早く孫の顔を見せてよ」

雪穂「ムリムリムリ! 出会いなんてないし、お父さんからみっちり教え込まれてる最中だから、恋愛の入り込む余地ないし」

穂乃果ママ「そんなこと言って。明らかにあんた目当ての客が何人もいるじゃないの」

雪穂「あの人達は絶対お姉ちゃんのファンだよ」

穂乃果ママ「……はぁ~。この調子じゃ孫の顔を拝めるのは随分と遠そうね。長生きしないと」

雪穂「大丈夫大丈夫。お母さんは絶対長生きするタイプだから」

──音ノ木坂学院

スクールアイドルμ'sの活躍で今も続いている。μ'sに魅入られた少女や、制服の可愛さ、伝統のある学院だから。理由は様々だが、年々希望者が増えている。

一人の少女が守り続けた音ノ木坂学院アイドル研究部もまた、時に笑顔を、時には喧嘩を、時に涙を見せながら、色々な生徒達によって受け継がれている。

理事長「やれやれ……。今年もこんなに入学希望者が。ゆっくりと旅行に行けるのはいつになるのかしら?」


季節は巡る

ココロ「あった! ココロもココアも合格だよ!」

ココア「えへへ~♪ これで音ノ木坂学院に通えるね。お姉様が通った学院に!」

ココロ「スクールアイドルになってお姉様みたいになるにこ!」

ココア「そうだね! お姉様みたいに笑顔にするスクールアイドルになる!」

ココロ「ココロがお姉様の伝説を再び蘇らせるにこっ!」


   「ふぅん。あれが伝説のμ'sのまとめ役でトップアイドルの矢澤にこの妹達か。実力はどうなのかしらね?」

   「姉ちゃんを倒したμ'sが通った音ノ木坂。A-RISEの方が優れてたことを内部から崩壊させて証明してやるんだから。待ってなさいよ、アイドル研究部!」

   「くっ! 家が裕福ならUTXに入れたのに。何とかして絶対にUTXに編入してみせるわ。こんな環境悪いところでアイドルなんかになれないんだから」

   「ここがお師匠の通った音ノ木坂。無事に合格は出来たけど、スピリチュアルな出来事が本当に待ってるんかな? ……ま、楽しみにしておこう」

   「はんっ! どいつもこいつも煩いったらありゃしない。これだからガキは……。バァちゃんもバァちゃんよ。留年したからって何もこんなオンボロ学校に編入させることないじゃんか。最悪だ!」

   「合格……。真姫先生の母校、受かったんだ。入学式までに完治させて、私もスクールアイドルになりたいな」

   「はぁ~♪ ここをあのμ'sが守ったのね。早く来月にならないかしら。新聞部に入ってμ'sが残した出来事とかチェキしたいわね!」

音ノ木坂学院を舞台に、再びスクールアイドルの伝説を築く少女達が集い、新しい物語を始めるのはもう少しだけ先の話。

──絢瀬絵里

神田明神には金髪の綺麗な巫女が居る。元スクールアイドルであり、ラブライブ優勝経験もある彼女は実に愛想が良い。

「どうして巫女になったんですか?」

この手の質問をされるのが彼女の日常とも言える。辟易することなく気さくに答えてくれる。

「昔、壁越しとはいえ神様と話したことがあるの。ただ、会ったのはここじゃなくて教会だったんだけどね」

この事を聞くと皆口を揃えて「なぜシスターではなく巫女になったんですか?」と訊いてくる。はにかみながら続ける。

「ここは私がスクールアイドル時代にも縁が深く、そのメンバーが占いをしてくれてね。

 とっても当たるのよ。……それで、ここに居ればいつか良い事があるって出たから」

ここで納得して話を終える人もいれば、好奇心を刺激されて続ける人もいる。

「神様とはどんな話をしたのですか?」

この質問をされた時に浮かべる彼女の笑顔はとても美しい。

「秘密♪ ただ、どんな神様だったかは教えられるわ。大学受験に落ちた神様なのよ。

 それでね、懺悔室で会ったのだけど、後日訪れた時はその時誰も教会にはいなかったって話だった。

 悪戯かとも思ったのだけど、懺悔を聞く方の部屋は外から鍵を掛けていたってことなの」

瞳を爛々と輝かせ、口元を緩めてるその得意げな顔は、まるで子どもが宝物を見せるみたいに思える。

ある日、いつの間にか境内に居た青年がその話を聞いた後、こう答えた。

「もしかしたら、その神様は世界に嫌われ始めていたのかもしれませんね。

 だから、そこに居た筈なのに忘れられて鍵を掛けていたという記憶に書き換えられていた。……なんて、これだとSFですね」

春──物語の始まる季節   おしまい

おまけ ラブライブの打ち上げ! 特別営業某メイド喫茶より

──にこまき&ツバサ・あんじゅ ※A-RISEの設定オリジナル特盛り

ツバサ「悔しい悔しい悔しい! でも、本当に感動した!」

にこ「ツバサはスポーツマンみたいにカラッとしてるわね」

あんじゅ「ツバサちゃんのお父さんが昔バスケットボールで有名な選手だったから」

ツバサ「物心着いた頃から小学校まではずっとバスケやってたんだけどね、ほら……身長が伸びなくてね」

真姫「私のにこちゃんの方が小柄だけど」

にこ「小柄対決じゃないから!」

ツバサ「あははっ」

あんじゅ「でも残念。来年もまたラブライブで今のμ'sと戦えないのが」

にこ「こっちは三年が三人居るからねぇ」

真姫「にこちゃんの遺伝子継いでるんだから、来年も私達が勝つけどね」

ツバサ「それは絶対に阻止させてもらうよ」ニコッ

にこ「来年よりも今年がまだ終わってないもの。ね、提案があるんだけど」

ツバサ「面白い提案なら絶対に乗るよ」

あんじゅ「ツバサちゃん生き生きしてるよー♪」

にこ「冬休みを利用して、有志集めてライブやりましょうよ」

ツバサ「乗った! 会場はUTXを使わせてもらえるように私が責任を持って交渉するよ」

真姫「流石にこちゃん。素敵なことを言うわね」フフッ

あんじゅ「面白そう♪」

にこ「ラブライブみたいに争うよりもお祭りみたいな感じで」

ツバサ「だったら私は生で『眠り姫』みたい!」

真姫「ツバサ! あなた良い人ね。そのリクエストを受けるわ!」ツヤツヤ

にこ「……真姫ちゃん。気合入れすぎにこぉ」///

あんじゅ「眠り姫は素敵だよねっ♪ 最初は王子様がにこちゃんでミスキャストって思ったけど。最後はもうこれしかないって思ったもの」キラキラ☆

ツバサ「劇場仕立てっていう発想がね。スクールアイドルの一つの新しい歴史って感じだよ」

にこ「誰もしたことのないものは必然的に注目を浴びるからね」

真姫「私のにこちゃんは策士なのよ!」ドヤァ

にこ(あ、希少価値の真姫ちゃんのドヤ顔ゲットー♪)

ツバサ「決勝の三曲目も今までとは毛色の違うものだったね」

あんじゅ「会場もそうだったけど、私達も思わずモニター見ながら無言だったもんねー」

真姫「にこちゃんは作詞も出来るのよ!」フフーン

にこ「ある意味、神様への感謝を伝える歌だったから」

にこ(あれ? 大学に落ちた神様!? もしかして絵里が言ってたのは佐藤のこと? 後で確認してみましょう)

にこ「それに今回はA-RISEに大きな借りがあったから。フェアではなかったわ」

ツバサ「ううん、そんなことないよ。十分フェアだった」

あんじゅ「そもそもフェアかどうか言うと、ステージで歌い慣れてる私達は卑怯だもの」

真姫「環境の問題は関係ないじゃない」

にこ「そうそう。音ノ木坂にだって講堂くらいはあるもの」

ツバサ「設備が違い過ぎる」

にこ「こっちには一人で音響とライトを操る超ハイスペックスタッフがいるのよ?」フッフーン

真姫「ああ、穂乃果の友達の……。あれは凄いわよね」

ツバサ「あははっ。音ノ木坂は面白いなー」

あんじゅ「冬にする時はA-RISEとμ'sの曲入れ替えて歌うのとかもしたいなー♪」

にこ「面白そうね!」

真姫「A-RISEに合わせてにこちゃんと私と絵里の三人で歌うのもありね」

──りんぱな・英玲奈・琴音

花陽「実家が花屋さんなんですか!」

英玲奈「小さいけどね」

琴音「キリッとしてるけど、花とか似合いそうですものね」

凛「ラーメン屋さんだったら食べに行ったのに」

花陽「り、りんちゃん」

英玲奈「くすっ。お父さんがラーメン好きだから隠れた名店とか知ってるわよ」

凛「おぉ~♪ 今度是非一緒に食べに行こう!」ニャー♪

花陽「わっ、私も是非御一緒させてください!」キラキラ☆

英玲奈「うん、いいよ」

琴音「学校が近く同士だとそういう交流も持てていいですね」

凛「鳥取からラーメンを食べに東京までも有りだ!」

花陽「さすがにないよぉ!」

琴音「ふふふっ」

英玲奈「でも、ラーメンばかりだと太るから注意しないと駄目よ?」

凛「ゔ……。凛のウェストはラーメンの所為で運動してるのに太めなのにゃ」シュン

花陽「それを言ったら花陽のご飯の所為でのウェストの方が……」ズーン

琴音「そんなに気にする程ないわよ」

英玲奈「意識してセーブすることは大切だけどね」

花陽「意識はしてるんですが……炊き立ての白銀に輝く一粒一粒が立ったお米を見ると制御ががが!」ハァーン!

凛「まだ凛達はこれから身長も伸びる筈だし、食欲は必要なんだよ!」

英玲奈「言い訳ばかりしてたら将来困る」

琴音「でも、若さっていいものですね」クスッ

──ほのうみこと・雪穂・楓

ことり「お待たせしました~♪ ミナリンスキー特製七色マカロンですっ♪」

穂乃果「うわぁ~♪ 待ってたよ! ミナリンスキーさん☆」

海未「というか何故ことりが支給をしてるのですか」

ことり「今はミナリンスキーだよ?」

海未(面倒らしく、名前表示がことりのままなのですが……)

雪穂「それにしてもあのA-RISEにお姉ちゃん達が勝っちゃうなんてねー」

楓「流石μ'sの皆さんです! 特に一曲目のにこさんが可愛かったです!」

ことり「季節感があってないからって、にこちゃんが止めようとかしたんだよぉ」

穂乃果「だから私達が全力で止めたんだ」

楓「素晴らしい判断です!!」

雪穂「あぁ~あ。でも、これで今年の音ノ木坂の入学者はかなり多そうだよ」

穂乃果「何よー。いいことじゃない」

ことり「うん! 最高のことだよねっ」

海未「なんでしたら私が雪穂の勉強を教えましょうか?」

雪穂「いえ、普段は何かと忙しいでしょうし。本当の追い込みの時に力を貸していただければ大丈夫です!」

楓「穂乃果さんの妹さんってことは来年、再来年のライバルになる訳ですね!」

雪穂「いやぁ……私はスクールアイドルとか、興味ないし?」

穂乃果「うっそだー。そもそも私がA-RISE知った切っ掛けは雪穂のUTXのパンフレットだし」

ことり「そうだったんだ。じゃあ、責任持って来年仲間になってもらわないとねぇ♪」チュン

海未「そうですね。楓もこの顔をしっかりと覚えていてくださいね」

雪穂「ひぃ~い! 受験すらする前からハードル上げないでよ!」

楓「スクールアイドルはやる気と努力と根性と愛情があればなれます!」

海未「全員一年生なのに本戦まで勝ち抜いた楓が言うと説得力があります」

ことり「スクールアイドルと一緒に音ノ木坂がずっと続いていけば最高だねっ♪」

穂乃果「続いていくよ。だって……音ノ木坂学院には未来のトップアイドルが通った学校として有名になるんだから♪」


にこ「はっくしゅん!」

真姫「にこちゃん大丈夫? 風邪は汗を沢山掻くといいから。だから今夜は安心してね!」

にこ「打ち上げ後がやっぱり不安になってきたにこ~!」 にこまきふうふエンド★

穂乃果「改めてすっごい遅れちゃってごめんね!! レスやコメントくれた方ありがとっ! キャラ崩壊佐藤君が主人公なのに羽根布団みたいにぽかぽかな反応ばかりで感動したよ♪」

穂乃果「にこちゃん・絵里ちゃん推しのラブライバーさんごめんなさい! 最後まで読んでくれてありがとうね! にこまき分は十分だったかなっ? ほのかはお腹いっぱいになったけど」

穂乃果「今度の12日はみんなカップラーメン食べようね☆ 夢なき夢は夢じゃない♪」

穂乃果「あ、オリジナル佐藤君はピーマンが嫌いで、遅刻常習犯で、ウインクとお母さんに弱い、(ぼっち?)男子高校生だよ! 何もせずに夏が終わっちゃう系属性なんだって! それじゃあ、バイバイ☆」


にこ「最後ににこから! 保守してくれてたラブライバーに幸せがあるように……いっくわよー☆ にっこにっこにー♪ 本当にありがとうね! 真姫ちゃんとは別の意味で好きニコ~☆」

凛「ウェストって何なの?」

花陽「間違いなくウエストの間違いだよね」

凛「英語の苦手な凛だってこんな失態しないよー?」

花陽「同情の眼差しで見てあげよう!」

凛「だね! 本編で凛とかよちんは冷遇だったから同情より蔑むよ!!」

花陽「……でも、この作品で活躍の場を与えられても余り嬉しくないような」

凛「あ……それもそっか! なら、蔑むのは許してあげる!」

花陽「あと、絵里ちゃんのことを《似非ロシア人》ってにこちゃんが言ってたけど……あれも間違えなんじゃ」

希「それはおまけに続く伏線やったんやけど、時間がなくて入れ忘れてただけなんよ?」ヤッホー

凛「希ちゃん! これで冷遇三人集が揃ったー! テンション上がるにゃー!」

花陽「テンションアガッチャウノォ!?」

希「(冷遇されたんじゃなくて、穂乃果ちゃんに活躍の場を与える為にウチら三人の見せ場を奪われちゃっただけなんやけど。あれ? それを人は冷遇言うんと違う? ま、いっかなのだ!)

希「……ということで本当は入れる筈やったショートネタのロシア人いくよー。おまけパワー注入、は~いぷしゅっ!」

おまけ2【ロシア人 ~空気の読めないうみみちゃん~ 】

にこ「そういえば、決勝の朝会った時にロシア語でなんて言ったのよ?」

絵里「え? そんな些細なこと覚えてないわ」ニヤー

にこ「嘘吐きなさい! その顔は絶対に覚えてるじゃない。犯人顔してるわ!」

絵里「にこは酷いわねぇ。このかしこいかわいいエリーチカを犯人顔だなんて」

希(ふふっ。でも、にこっちの言ってることは正しいけど)

にこ「あっ! さてはあれもロシア語に見せた適当なエリーチカ語だったんじゃないの? やーい! この似非ロシア人!」

海未「似非って。そもそも、絵里はクォーターであってロシア人ではないじゃないですか」

にこ「は?」

絵里「あ~あ」

希「海未ちゃんは本当に空気を読まない子やねぇ」ヤレヤレ

海未「どうして本当のことを言っただけでそんな事を言われるんですか! 理不尽ですよ!」

絵里「にこが勝手に勘違いしてたから、そのままロシア人ってことにしてたのに」

にこ「待ってよ。だって前に似非ロシア人って言った時、希もにこの言葉に同意したじゃない!」

希「ウチが同意したんはえりちが『ハラショーしかロシア語を使わない』って意味で同意したんよ?」

にこ「なん、ですって!?」

絵里「そもそも私の名前は絢瀬絵里なのよ? どう聞いても読んでも純日本人じゃない」

にこ「…………!?」

にこ(思い込みもあったけど、佐藤のやつが洗脳するかのように散々エリーチカエリーチカ言うから単純なことを見落としてたにこぉ!!)

希「ほんまににこっちは面白いなー」フフッ

絵里「本当に。頼りになるんだからならないんだか」

真姫「なに私のにこちゃんをイジメてるのよ! 大丈夫よ、にこちゃん!」ギュッ!

にこ「真姫ちゃんっ!」

真姫「たまに抜けてる部分がにこちゃんの魅力だから!」キリッ!

にこ「……にこぉ」ズーン

希「トドメさされたなぁ」

絵里「流石は真姫ね」

海未「あの、どう考えても私悪くないじゃないですか!!」 チャンチャン★

希「とまぁ、こんな感じやね」

花陽「なるほど」

凛「じゃあ、もしかして! 他の変な箇所も何かの伏線なのかにゃ?」

希「…………他のおかしい所は全部時間が足りなかったのが原因や! ウチのスピリチュアルパワーでもどうにも出来んかった」

花陽「運命ってやつだね」

凛「そんな時もあるよ」

希「ということで、おまけ終了や! 読んでくれてありがとう。ほな~♪」


にこ「ちょっと待ちなさい! 今日はオリジナル佐藤を生み出した絵里先生ことナンジョルノの誕生日よ!」

穂乃果「南條さんお誕生日おめでとうございます♪」

にこ「そういうことでもう一つ記念に挙げておくわね」

穂乃果「正真正銘のラストだよっ!」

にこ「記念がこれってどうなのかしらね?」

真姫「いいじゃない! これぞ私とにこちゃんの偽りのない愛の日常よ!」キリッ!

にこ「いつの間にか穂乃果が消えてて真姫ちゃんが居た!!」

おまけファイナル【にこまきの特別ではない同棲後のただの一コマ】

にこ「真姫ちゃん♪」

真姫「なぁに?」

にこ「んふっ……ちゅぅ~♪」

真姫「ぁんっ、ちゅっ///」

にこ「呼んでみただけニコ♪」

真姫「そう言いながらキスしてるじゃないの」

にこ「何のことだかにこ分からな~い☆」

真姫「もう、にこちゃんったら」

(三分後……)

真姫「にこちゃん」

にこ「んー?」

真姫「チュッ、チュチューッ、ジュルルルッ!! ゴクッゴクン、ンーッ、チュポッ」

にこ「んぐぅ!? んっ、ンンンッ、ングンッ……ぷはぁっ!」////

真姫「呼んでみただけ♪」

にこ「にこの口の中から唾液全部飲み干したでしょうが!」

真姫「マッキー分からな~い☆」パチン

にこ「真姫ちゃんにはぶりっ子は似合わないわよ!」///

真姫「そんなこと言って、頬真っ赤にして悦んでるじゃない」

にこ「あんなことされたら赤くなるに決まってるでしょ!?」

真姫「にこちゃんは意地っ張りね」フフッ

にこ「事実よ!」

(五分後……)

にこ「マッキー♪」

真姫「な~にっ?」

にこ「チュッ! ンチュッ、ゴクン、まきちゃんっ、チュップッ、チュー」///

真姫「アッンゥー、チュッチュゥ、にこちゃっ、ぁっ、ンッグ、チュー」////

にこ「よ~んでみただけ♪」

真姫「思いっきり激しくキスしてたわよ?」

にこ「にこはぁ~そぉ~んなことしてないわよーっ♪」ニッコニッコニー♪

真姫「ふぅん?」キラーン☆

この一分後、ベッドまで行かずにソファで襲われるにこであった……。

にこ「にこぉ///」

真姫「さ、にこちゃん! 本番はベッドの上でするわよ♪」

にこ「今まで散々やったでしょうが!!」////

にこと真姫の奏でる青春の音楽に陰りという文字はなし。 お粗末★

コメントで初夜を期待する声がありましたが、これで勘弁してあげてください!

海未「マッチを使う女性? コスプレ幽霊というものが居るそうです。クリスマスに死んだ女性の霊とか」

にこ「あんな臭いこと言う青年なんて佐藤以外いないわね。このトップアイドルのにこにーが保障するわ!」

穂乃果「少しだけNHKへようこそかリアル鬼ごっこに行ったオチにするか迷ったらしいよ。……なんの話かな?」

にこ「ということで、やり残したことはないと思うので、これにて本当の完結! 感想ありがとうニコ!!」

真姫「つまり、初夜の初々しいにこちゃんを見られたのは私だけってことね」フフーン

にこ(真姫ちゃんの初々しい姿を見られたのはにこだけって言うと照れるだろうから黙っててあげましょう☆)

乙ー

ああ、普段は教師のか
スクールアイドルになったココアとココロの話とかやらないんですか?(チラッ

>>408

海未「にこ推しじゃないからココアとココロをSSでしか見たことないそうですよ」

穂乃果「それにメンバーがちょっと個性過ぎるかなって」

にこ「次回作はにこが貧乏なのになぜ部室にあんなにアイドルグッズがあるのか。スクールアイドルを結成できるくらいだったのに三年生では完全にぼっちになっていたのか。伝伝伝二つ所持の理由。とかの謎を独自解明する予定らしいわ」

真姫「一年生の今よりも更に身長の少ないにこちゃん♪」

海未「今度は友情のにこまきらしいです。一年生にこと中二の真姫が出会い、メンバーを集めていくとかなんとか」

穂乃果「だからごめんね! 縁があったら他の作品で!」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年06月02日 (月) 06:16:22   ID: yU8gJoJG

佐藤とかいう奴抜きにしてもおもろないな

2 :  SS好きの774さん   2014年06月12日 (木) 11:48:25   ID: yV9-NrVF

にこまき素晴らしい…!

もっと続いて欲しい(;_;)

3 :  SS好きの774さん   2014年06月29日 (日) 13:31:22   ID: rUptyz-z

にこまき、ゔぇええわー

4 :  SS好きの774さん   2014年07月11日 (金) 01:47:44   ID: 7qbcwDGt

最高でした!!!
お疲れさまです!

実は密かににこまき初夜期待してました←
書いて頂けたら泣いて喜びます…w

5 :  SS好きの774さん   2014年07月23日 (水) 09:01:24   ID: VGPUsy6z

GJ

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