アセム「お前ら、ラブライブに出場しろ」(75)

フリット「新しく発見されたEXA-DBの断片か」

アセム「正直言って、こいつが連邦軍に知られるのも厄介なことになる」

キオ「破壊するしか無いの?」

ナトーラ「利用できる情報なら勿体ない気もしますけどね…」

フリット「ううむ… せめて中身を確認するくらいなら」

アセム「黒歴史時代のテクノロジーは封印された。そうする理由があったからさ」

キオ「人が手にしてはいけないものなのかな……」

 『……』

キオ「なんだ!? なにか聞こえたよね?」

アセム「ああ、俺にも聞こえた… 回収したEXA-DBに何かあったのか?」

ナトーラ「これ、もしかして」

『ソレゾレノスーキナ コ ト 』

キオ「歌だ……」

フリット「何も聞こえないぞ」

アセム「それは年のせいだろ」

フリット「なんだとアセム! わたしはまだ64だぞ!」

ナトーラ「静かにしてなさい!」

アセム(回収したEXA-DBに歌が記録されていた)

フリット「これが軍事技術だったとは思えんな」

キオ「EXA-DBを作った人にも、遊び心があったんじゃないの?」

アセム「いや、違うな……」

『コワガルクセハステチャエ』

アセム「おそらくこの歌が気に入ったからに違いない」

キオ「どうしてわかるの?」

『トンデ トンデ タカク』

アセム「これを作った彼らも、おそらくは俺と同じ……」

『ヨワキナボクニサヨナラ』

アセム「アイドルオタクだ」キリッ

——格納庫——

 シャッコシャッコシャッコ
キノコ「アセムをこのところ見かけないな。またどこかへ行っているのか?」

 シャッコシャッコシャッコ
キオ「この間見つけたEXA-DBの研究と言って、こもりきりなんですよ」

ロディ「大方、他のアイドルにでもハマっているんだろう」

キノコ「この間までAKBナントカっていうのに夢中だったのが、もう鞍替えしたのか」

キオ(バレてる……)

 フラリ
アセム「キオ……」

キオ「父さん!? やつれてるよ!」

キノコ「食事くらいとったらどうだ……」

アセム「キオ、ディーヴァを降りて学校に戻る気はないか?」

キオ「なにをいきなり? 勉強ならディーヴァでちゃんとしてるよ」

アセム「ああ、それは知ってる…… だがな」




ウェンディ「スクールアイドル……?」

キオ「いや、そんなの僕の学校になかったよ」

キノコ「あんなのが各学校にいたのか」

ウッドピット「黒歴史時代の学校っていうのは、すごいところだったんだなぁ」

アセム「ああ、軍事技術ではないがロストテクノロジーとは言えるな」

ウェンディ「私たちが学校に戻っても、そのイベントに出場するのはちょっと無理そうね……」

アセム「そうだな… すまない、無理な期待をしてしまった」

キオ「そういうことなら、あの人達に頼んでみればいいんじゃない?」

アセム「それしかなさそうだな……」

——秋葉星——

凪沙「まさか私たちが……?」

アセム「そうだ。お前ら、ラブライブに出場しろ」

彼方「でも、大昔の地球でやるんですよね? どうやって」

アセム「お前らイベントで何度かその当時の地球に行ってるじゃないか」

アセム「全国から強豪が集うとはいえ、素人の大会だ。お前らならそうそう負けはしないだろう」

智恵理「そんな大会に出ていいのかな」

ツバサ「反対に、アマチュアとはいえ黒歴史時代の強豪が集うのよ。あなたたちにもいい刺激になるでしょう」

智恵理「あの、そこじゃなくて……」

アセム「では早速出発するぞ!」

——秋葉原——

フリット「本物の秋葉原は初めてだな」

アセム「活気があっていい所じゃないか」

凪沙「アイドルグッズのお店とかもあるみたいだね」

楚方「見てみようよ!」

彼方「その前にラブライブの参加申し込みをしないと」

鈴子「寄っていきましょう! 少しだけでもいいですから!」

彼方(どうしよう鈴子がこわい)

——店内——

にこ(見えない…)

穂乃果「μ'sって書いてあるよ!なに?石鹸売ってるの!?」

にこ(ん~っ!!)

アセム「失礼、そこにあるのはみんなμ'sのグッズなのかい?」

一同「!!」

海未(どどどどうしましょう見知らぬ男性が)

花陽(もしかして私たちのファン!?)

穂乃果「そうですよ~!」

他全員(行った!?)

アセム「よし! それならちょっとグッズを探させてくれ」

穂乃果・花陽「ど、どうぞどうぞ!」ササッ

穂乃果(初めて遭う、μ'sグッズを買いに来たお客さん)ドキドキ

絵里(誰のグッズを探しに?)

にこ(当然にこのグッズが選ばれるはずよね!)

アセム「お、あった!」スッ

海未(ことりのうちわとブロマイドと缶バッジ……!)

凛(ガッチガチなことり先輩推しニャー!)

智恵理「……私たちをラブライブに出させようとした理由はそれですか」

彼方「関係者席で見たかったわけね……」

穂乃果「へっ?」

にこ「ラブライブに出るの?」

花陽「それじゃあ、あなたたちもスクールアイドル!?」

智恵理「そういうわけではないのだけど……」

楚方「スクールアイドルってなに?」

にこ「知らないのにラブライブに出る気だったの!?」

凪沙「どうしよう、何か悪いこと言っちゃったのかな」

彼方「私たち、スクールアイドルっていうのもどんなのだかよくわかってなくて」

鈴子「あの… もしよかったら、この時代のアイドルについて教えていただけませんか?」

鈴子「μ'sのみなさんならきっと詳しいでしょうから」

凛「凛たちを知ってるニャ!?」

美森「だってそこのグッズに」

アセム「この子達がμ's……?」

智恵理「どうして気付かなかったの!」

アセム「まだ覚えたばかりの顔ぶれだからさ。イチ推しのことりちゃんならともかく」

アセム「他のメンバーの、しかもプライベートな時となると意外に見分けがつかないもんだぞ」

穂乃果「おじさん、よっぽどことりちゃんが好きなんですね」

アセム「俺たちの活動は愛によってできているからな!」

穂乃果「ことりちゃんもいれば面白かったのになぁ   お?」

ことり「あれはダメなんです! 早くなくしてください!」

店員「そう言われましても……」

海未「…ことり?」

智恵理「あそこの写真のことで揉めてるみたいね」

にこ(! あの写真って、ミナリンスキー!?)

アセム「おいそこの店員」

店員「は、はい!っ?」

凛(オジさん、怒ると怖いんだニャ~)ヒソヒソ

智恵理(本業ヤクザみたいなもんだからね……)

アセム「その写真を売り物にしては困ると本人も言ってるじゃないか」

ことり「そうなんです! お店では写真撮影禁止なのに」

アセム「この場はとりあえず俺が買い占めるということで手打ちにしないか」

ことり「……解決になってないですよね」

フリット(それ以前に法的な意味でどうなんだこの店は……?)

——喫茶店——

にこ「ミナリンスキーの正体が身近なところにいたのも衝撃だったけど」

花陽「わざわざ未来から参加希望のグループが来るなんて、さすがラブライブ……」

彼方「参加資格なしってことで出られないみたいだけどね」

アセム「勢いで来てみたものの、参加資格なしは辛いな」

智恵理「学校に通ってない私たちがスクールアイドルの大会にはね…」

凪沙「学校かぁ、もう藍花星で勉強してたこととか忘れちゃったよ」←小卒

友歌「中学くらいは出たかったかな」←小卒

楚方「そなたも学校行ってみたかったなぁ…」←故郷に学校があったかどうかも怪しい

穂乃果「なんだか未来の世界は大変そうだね…」

絵里「それであなたたち、これからどうするの?」

彼方「ラブライブには出られなくても、この時代を少し見学して行きたいと思っています」

凪沙「わたしたちの時代じゃ考えられないようなことが、まだまだ沢山ありそうだもんね」

穂乃果「なら一緒に練習しない? 本物のアイドルに教わってみたいよ!」

彼方「いいの? 私たちまだ見習いだけど」

にこ「動画で見たりするより勉強になるわね」

絵里「とはいえ、部外者だから学校で練習するのは手続きが面倒よ」

穂乃果「ま~たカタいこと言う…」

凛「運動部だって他の学校と練習試合したりしてるニャー」

絵里「でも、今回のようなケースは、その……」チラッ

アセム「素性の知れない俺たちじゃ申請しても簡単には通らないだろう」

智恵理「主に誰のせいだと思ってるのよ」

にこ「どこかみんなで出来そうな場所は… いつもの神社しかなさそう?」

凪沙「そんなとこで練習してていの?」

海未「μ'sを始めた頃からずっとしてますよ」

穂乃果「せっかくだから合宿しようよ」

にこ「いきなり何言ってるの?」

穂乃果「この人数でしょ? せっかくだから海にでも行ってさ!」

彼方「場所はあるの?」

海未「費用もどうするんですか」

アセム「金ならこの時代で換金できそうなものがあるぞ」

穂乃果「ホントに!?」

凛「オジさん、ありがとニャー!」

フリット「そういえば先日、粛正委員会で差し押さえた賄賂があったな」

花陽(なに? 差し押さえって……)

凪沙「あんまりこの人たちからお金借りない方がいいよ」ヒソヒソ

友歌「どこから手に入れたかわからないしね…」

——東京駅——

彼方「ありがとう、真姫さん」

美森「おかげで全員揃って合宿ができましたね」

真姫「ああするしかなかったでしょ……」

凛「真姫ちゃんのお家がお金持ちでよかったニャー」

楚方「智恵理の家もお金もちだよね?」

智恵理「そのせいで総選挙の時は大変だったわ」

花陽「未来の方でも総選挙はやってるんだね」

美森「私と智恵理はベスト10に入って、おかげでずいぶん注目されましたわ」

アセム「あの時は俺たちも会場の警備で大変だったんだぞ」

凛「オジさん普段は警備員さんニャ?」

アセム「俺たちは戦闘専門のメンバーなんだ」

フリット「ライブ会場が襲撃された時はモビルスーツで戦うのだよ」

にこ「モビルスーツ…?」

楚方「でっかいロボットだよ!」

にこ「未来の人はそんなのに乗ってるんだ」

フリット「君たちもサンライズなのにロボットを見たことがないのか」

絵里「身も蓋もないことを言わないでください」

ことり「ウチの学校にロボット部ならあったような…」

アセム「懐かしいな」




ゼハート「兄さん、偵察部隊からの報告です」

デシル「おぅ、来てたか?」

ゼハート「はい。μ'sは今日から夏合宿に入るようです」

デシル「EXA-DBの記録通りだな。むこうにXラウンダーがいれば場所も特定できる」

ゼハート「Xラウンダーといえば、フリット・アスノも同行しているようです」

デシル「どうしてアイツが!?」

ゼハート「目的は不明ですが、アセム・アスノとAKB0048も確認されています」

デシル「まさかμ'sの護衛じゃねぇだろうな……」

ゼハート「あまり警戒してはいないものと思われます。日中は海で遊んでいたようですから」

デシル「……それはアレか、無防備にか」

ゼハート「ええ、それはもうあられもなく」

デシル「……」

デシル「…念のため、自室で検証してくる。画像ファイルをピックアップして送ってくれ」

ゼハート「zipで良いのですね」

デシル「わかってるじゃないか」

穂乃果「さっすが真姫ちゃんの別荘、お風呂も広い!」

凛「広いお風呂ってワクワクしてくるニャー」

真姫「ちゃんと体洗ってから入りなよ」

楚方「ねぇ泳いでいい?」

海未「おふろは静かに入らないといけませんよ」

彼方「昼間さんざん泳いだでしょうが。結局練習しなかったし…」

海未「そうですね。明日こそは頑張りましょう!」

美森「でもまずはせっかくの広い露店風呂ですもの。楽しみましょう」キラキラ

ことり「いいよねぇ、みんなで広いお風呂って」ニコニコ

鈴子「ええ、とっても……」キラキラ

彼方「そこのゲス顔で輝いてる二人ちょっと来なさい」

ことり「え? ええと…… わたし?」(ちがうのかな…)

彼方「よその家で変なことしないでよ! しかも今回私たちは一緒に合宿させてもらってる立場なんだからね」

凛「彼方ちゃん、お風呂の時くらいカタいことなしニャー」

彼方「そ、そうは言ったって…」

楚方「きいてるきいてる! 凛、もっと言って!」

絵里「00の子たちは仲良さそうでいいわね」

真姫「…あれはいいの?」

にこ「昼間もあれだけ遊んだのに、元気が有り余ってる感じね」

友歌「こう見えても、いつも戦闘訓練してるからね!」

花陽「未来のアイドルは戦わなきゃいけないんだ……」




デシル「ふぅ、いい汗かいたぜ… やつらはどうしている?」

ゼハート「もう寝てしまいました」

デシル「早いな」

ゼハート「明日は朝早くから練習するそうです」

ギーラ・ゾイ「敵戦力はガンダム二体とLASが9体。デシルよ、ここは」

デシル「わかってる。寝込みを襲うチャンスは逃さないぜ。行くぞ、二人とも!」

ゼハート(年代設定メチャクチャだなもう……)

デシル「対空砲火もなく近づけるとはラクでいいな」

ギーラ「μ'sの寝室は……」

ゼハート「あの大部屋ですね。うっすらと灯りがついています」

デシル「よし、機体をここに置いて近づくぞ」

ゼハート「ガンダムも来ているのですよ。危険です」

ギーラ「モビルスーツで近づいたら起きてしまうだろう」

デシル「その通りだ。ゼハートも肝心なところがわかってねぇな」

ゼハート「……」

デシル「この窓の向こうにμ'sが」

ギーラ「デシル、目的を忘れるなよ」

ゼハート「黒歴史時代にいたとされる地球種のXラウンダー」

デシル「そいつを連れ帰れば……」

 ガサッ
フリット「お前たち、そこで何をしている」

アセム「どうした父さん、誰かいたのか?」

ゼハート「アセム!」

デシル「おい大声をだすな」

フリット「ゼハート・ガレット! するともう片方はデシルだな?」

デシル「しまった…」

アセム「父さん、あまり大声をだすな。μ'sのみんなが起きちゃうだろう」

デシル(……やっぱり寝てるのか? するとこの二人もまさか……)

フリット「しかしヤツらを放ってはおけん」

デシル「待てフリット。ここで騒ぎを起こすつもりはない」

ゼハート「兄さん!?」

フリット「なんだと……」

アセム「父さん、ここはひとまず交渉に応じようじゃないか」

アセム(ここで邪魔されてはことりちゃんの寝顔を拝みに行けないからな……)

デシル「いいな? ゼハートも迂闊に手出しするんじゃないぞ」

デシル(ついでにかよちんの寝顔を拝むチャンスだからな……)

デシル「μ'sの夏合宿についてきただと……」

アセム「いいだろ。しかも夕飯はにこにーの手料理だぞ」

ギーラ「妻子もある男がそんなものに夢中になるなど、地球種は愚かな…」

フリット「黙れ、ヤーク・ドレ」

アセム「しかも風呂は彼女達の後に入った… この意味はわかるな?」

デシル「久々に人を殺したくなった」

フリット「それはそうと、お前らは一体何をしに来たんだ」

デシル「…それはだな……」

アセム「μ'sを狙ってきたようだ。大方EXA-DBで見て気になったんだろう」

ギーラ「失われたエデンの文化を取り戻すのも、我らの使命だからな」

ゼハート「もっともらしいことを言いながら、覗きをやっているではありませんか……」

デシル「まぁそう言うなよ。覗きもまたプリミティブな衝動の発現だぜ」

アセム「違いないな。そうだ、俺のコレクションを…」

 カッ

デシル「うおっ まぶしっ!」

フリット「このスポットライト、まさか!」

彼方「AKB0048、参上!」キラッ

アセム「LASだ! 全員逃げろ!」

智恵理「侵入者め、私たちから逃げられるわけないのに!」

デシル「おいゼハート! お目当てのXラウンダーだけでも」

ゼハート「モビルスーツで強行しましょう。ここは撤退です!」




アセム「ふぅ… あいつらに追われるとは厄介なことになったな」

フリット「思わず逃げてしまったが、我々は必要なかったのではないか?」

アセム「……冷静に考えればそんな気もするな」

アセム「問題は、なぜあの場にいたか追求されたらどうするかだな」

フリット「侵入者を感知して先回りしてたことにしよう。幸い、むこうもXラウンダーだ」

アセム「それがいいか… ん?」

 ゴゴゴゴゴゴゴ……

アセム「あれはクロノス!? デシルか!」

フリット「一体だけということはないはず! 我々もガンダムで出るぞ!」

——クロノス コックピット内——

にこ「海未が怖いから逃げてきたら、あの騒ぎ」

にこ「思わずここへ隠れちゃったけど、何なのよ、これ!? 運転席みたいな…」

デシル(通信)『おい誰だ!? 俺のモビルスーツに乗ってるのは!』

にこ「モビルスーツ… あのオッサンたちが言ってたヤツだ!」

ギーラ「機体を奪われたか」

ゼハート「スタンバイさせたまま置いておくからですよ!」

デシル「そうするのがエデンの伝統だって聞いたから、つい」

ギーラ「うむ。珍しくもないことよ」

にこ「どうしよう、とにかく安全なところへ… これかな」グイッ

にこ「おお~ 走ってる!? さっすがにこ!」

デシル「おい、普通に乗りこなしそうだぞ…」

ギーラ「μ'sの矢澤にこ… 黒歴史時代のXラウンダーという記録は本当かもしれんな」

ゼハート「我々も早く! ギラーガとデファースだけでも取り返さなくては」

 ザッ!
楚方「こっちもいた!」

鈴子「逃がしませんよ!」

デシル「ちっ! ここは俺が食い止める。お前らは行け!」

ギーラ「すまない、デシル!」

デシル(白兵戦は不慣れだが、相手があのLASとかいうロボットでなくてよかったぜ……)

にこ「! 向こうにもモビルスーツ!?」

にこ「もしかして、にこを追いかけてきたの…?」

ゼハート「聞こえているか? 早くその機体から降りろ!」

ギーラ「Xラウンダーといえど素人が扱うのは危険だ」

にこ「そうしたいんだけど…」

 ピピピピピピ……
にこ「今度はなに? 警報!?」

 バシュッ!
にこ「ぎゃああああっ!!」

アセム「外したか。だが白兵戦でケリをつける!」

にこ「こっちに来るよ!」

ゼハート「よせ、アセム! これに乗っているのは」

アセム「Xラウンダーとの戦い方は!」

 キュピンッ
フリット「! この感覚、デシルではない…? おい待て!」

アセム「ウルフ隊長に仕込まれたぜ!」

 ドシュッ!




海未「こんな夜中に、何の騒ぎですか……」

穂乃果「う、うみちゃん、落ち着いて」オロオロ

鈴子「ごめんなさい。私たちもつい盛り上がってしまって…」

真姫「どうせ悪いのはあのオッサンたちなんでしょ?」

絵里「捕まって良かったじゃない」

デシル「…ん? もしかして俺が悪い流れ?」

にこ「元はといえばあんたらのせいで死にかけたんだからね!」

ゼハート「大体、なぜ兄さんがあっさり捕まってるんですか……」

ギーラ「お前が人質になったせいで全員捕まってしまったではないか」

デシル「しょうがねーだろ! こいつらけっこう強いんだぞ!」

ことり「うん… みんなすごいよね」

アセム「0048の子たちは全員超人みたいなもんだ。知らなかったとはいえよく挑んだな」

にこ「普段どんな鍛え方してんのよ……」

穂乃果「ねぇ、オジさんたちもアセムさんたちと同じ未来から来たの?」

凛「悪い海賊なの?」

デシル「いい質問だが俺はオジさんじゃない」

ゼハート「兄さんは諦めるべきだがわたしは海賊ではない」

フリット「しかしお前らがどうしてμ’sに狙いをつけたのかは気になるな」

アセム「やはりEXA-DBか」

ギーラ「知っていたのか。地球種にしてはやるな」

デシル「だがそいつはヴェイガンの機密情報だ。譲れねぇな」

フリット「お前の口を割るなどたやすいことだ」

凪沙「フリットさん! こんなところで…」

フリット「かよちんと10秒間握手できるチケットを三枚やろう」

花陽「そ、そんなのないですよ!」

アセム「すまないが協力してくれ。俺たちの世界では重要な情報源かもしれないんだ」

花陽「…それなら、いいですけど……」

アセム「ついでにことりちゃんのチケットも発行するよう呼びかけてくれないか」

花陽「本人に言ってください」

ことり(わりと本気でやだなぁ…)

デシル「……せめてもう一枚」

ゼハート「兄さん!?」

フリット「欲ばりめ。ならば40秒だ」

ギーラ「待て、デシル!」

デシル「いや止めるな! あんたもかよちん推しならわかるはずだ!」

ギーラ「わかるとも… スクールアイドルはエデンの至宝なのだ」

ギーラ「…記念写真もつけてもらおう」

絵里「いいの?」

花陽「え、ええと… わた私で良ければお願いします!」

彼方「大丈夫? イヤならちゃんと言った方がいいよ」




ギーラ「そうして我々は矢澤にこの記録を追い、この時代にたどり着いたのだ」

にこ「どうしてそんな時代に、にこの記録が残ってるのよ……」

真姫「未来人ってバカなんじゃないの?」

彼方「そういうこと言わないでよ」

真姫「にこにそんな才能があるなんて信じられないんだけど」

フリット「しかしクロノスを乗りこなしたのは事実だ」

凪沙「初めてでよく乗れたね」

にこ「我ながら意外な才能に感心するわ」

アセム「まぁ、サンライズユニバースではいくつか前例のあることさ」

それより希が一切出てきてない事の方が気になるわ

デシル「黒歴史時代のXラウンダーを味方に付ければ心強いと思ったんだけどな」

ギーラ「我々が間違っていたようだ… たかが軍務でμ'sの活動を阻害するなど」

フリット「さぁ、それがわかったら元に時代に戻るんだ」

デシル「仕方ないか。握手して帰ろう」

穂乃果「あの…… さっきから気になってたんだけど」

フリット「なんだい?」

穂乃果「そんな簡単に未来の世界と行ったり来たりできるもんなの?」

凪沙「私たちはイベントとかで何度か来たことあるよ」

楚方「そなたもまたそういうの出たいなぁ……」

穂乃果「じゃあ私たちも行こうよ!」

ことり「ほのかちゃん、もしかして」

真姫「…一応聞いとくけど、どこに行く気?」

穂乃果「火星だよ! 地球をエデンって呼んだ人たちがいるんでしょう?」

ことり「しかも、その人たちは今もマーズ・レイで苦しんでいる……」

にこ「EXA-DBの話を聞くと、未来の世界にもμ'sの熱心なファンがいたみたいだしね」

デシル(EXA-DBのことはヴェイガンの一般人も知らないんだけど、この際黙っとこう)

——フライングゲット——

穂乃果「窓の外は火星か… 思ったより赤くないね」

鈴子「ここは火星の地表ではなく、衛星軌道上のコロニーですから」

凛「まだ火星に着かないの?」

智恵理「あなたたち、何を聞いてたの……」

絵里「コロニーって宇宙船みたいなのを想像してたけど、本当に街があるのね」

デシル「地球にいたお前らから見たら物足りない街だろう」

彼方「前に来た時も思ったけど、なんか懐かしくなる光景だね…」

楚方「…うん……」

デシル「お前らも苦労してたんだな」

にこ「でも今日はみんなで火星の人たちを笑顔にするのよ!」

智恵理「気をつけてね。まだヴェイガンは完全に地球の文化流入を受け入れてるわけじゃないから」

美森「何事も急激に変わってしまうのは怖いことなのですわね」

穂乃果「怖がるクセは捨てちゃえ~♪」

デシル「なぁ? ゼハートやあのジイさんみたいなのがトップだから、いつまでたってもカタいんだよ」

フリット「市街地上空ではイゼルカントの親衛隊も出るかもしれん」

凛「ちょうど9人ずつだから、LASに二人乗りできるてよかったニャー」

真琴「あれに二人乗りって狭くないスか?」

アセム「ロボットというのは、相手が女の子なら急に二人乗りになれるようにできてるんだ」

にこ「……そういうもんなの?」

絵里「μ'sと0048で9人ずつ、合計18人なんて壮観ね」

恵「ボクもいれて19人だよ!」

楚方「めぐみ! 公演はいいの?」

スペード「私もいるよ!」

智恵理「恵さんはともかく、あなたは帰りなさいよ」

ことり「智恵理ちゃんそっくり…」

海未「双子だったんですか?」

智恵理「双子というか… 偽物?」

スペード「ひどいなもう! お姉ちゃんがいない間、代わりをやってたのに!」

穂乃果「智恵理ちゃん、妹さんとは仲良くしなきゃダメじゃない!」

智恵理「妹じゃないんだって!」

フリット「複雑な立場にいるようだが、今日は君も思う存分に歌ってくれ」

スペード「はい!」

デシル「護衛は俺たちが務める。この世界最強の組み合わせだ。安心していいぜ」

鈴子「地球とヴェイガンの歴史に残りますね、これは……」

ことり「そこまで大事なの?」

デシル「かよちん握手権がなければこうはいかなかったさ」

花陽「わたしなんかのために、そんな……」

凛「かよちんはもっと自信もっていいニャー」

フリット「うむ。ヴェイガンの民に君たちの歌を届けるのだ! 本物のエデンを見せてやれ!」

——それから——

穂乃果「…にじゅう…… にい……?」カタカタ

海未「私たちが火星へ行ってる間に…」

ことり「火星のライブ、あんなに盛り上がったのに」

真姫「あそこの人たちはこのランキングに関係してないからね……」

にこ「ヴェイガンの人たちが喜んでくれたのはいいけど、これはこれ! なんとしてでも取り返すよ!」

絵里「火星で見た笑顔を励みにすれば、このくらいどうということはないわね!」

——ラ・グラミス——

 ガラッ
アセム「よぅ、相変わらず忙しそうだな」

ゼハート「お前が余計な仕事を増やしたからだろ」

ジラード「まぁ楽しかったけどさ。また今度やる時は教えてよ」

ザナルド「おかしなことを焚き付けるな」

アセム「またやりたいよな。でも今日はデシルに用事があるんだ。いるだろ?」

ゼハート「兄さんならまた自室にこもっている」

ジラード「この間歌ってた子たちがよっぽど気に入ったみたいだな」

アセム「入るぞ」

デシル「できたか?」

アセム「ああ。この間のセカンドムーンライブの記録映像」

デシル「こいつは歴史に残るぜ! さっそく上映会だ!」

アセム「俺も出来上がったのを通して見るのは初めてなんだ」

デシル「それと、昨日発見したEXA-DBからいいものを見つけたぞ。これも後で見よう」

アセム「μ'sの未発見映像か?」

デシル「いや、あの時代に開催されたラブライブの映像だ」

デシル「しかも俺たちが行った時よりもうちょっと後らしい」

アセム「……それは当然」

デシル「参戦リストにμ'sも載っているぞ」

アセム「それはぜひ見よう ……いや、やめておこう」

デシル「なんでよ!?」

アセム「決まってるじゃないか。最初に見るのは本物がいいだろ?」

デシル「……ああ、そうだな……」

アセム「またあの時代へ行くぞ。今度は彼女たちがラブライブに出る時にな!」

   完


アセムたちがまたあの時代へ行ける日は来るのか

>>59
関西弁がハードル高かったんだ……

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