「勇者様、勇者様！」

「ん？　なに？」

兵士１「そんなところに登ったら、落ちて怪我をしてしまいます！」ｱｾｱｾ

勇者「おれは勇者だぞ。勇者が怪我なんてするものか♪」ﾃｸﾃｸ

兵士１「駄目です！　言う事を聞いてください！！　もしものことがあったらどうするのですか！？」ｱｾｱｾ

勇者「うるさいなあ。ぼくの邪魔をしないでよ！」ﾋｮｲ

兵士１「ああ！　あぶない…！！　は、はあ～…、勇者様お願いですから…」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

勇者「ねえ！　今のみた？　もう一回やるよ？　ほら！」

スカ

勇者「うわ！」

ドス！

勇者「う、うう……、うわ～～～～～～ん！！」

兵士１「勇者様！！　た、大変だーー！！　勇者様が塀から落ちたぞ～！！」

「なに！　勇者様が！？」

「勇者様！　大丈夫ですか！！」

「勇者様にすぐ手当てを！！」

――――

――

国王「勇者が怪我をしたのか？」

大臣「は！　誠に申し訳ありませんでした…！　私どもの完全な不届きが原因です…」

国王「いいんだ。自分のせいで怪我をしたのだろう？　誰が謝る必要がある？」

大臣「しかし、それでは国王様に申し訳が立ちませぬ…」

国王「いいと言っておろう！　おぬしらは勇者に甘すぎるのだ！　そもそもきちんと叱ったのか？」

大臣「そのようなことは恐れ多くも…」

国王「何を言っている！？　あやつはまだ子供だぞ！？　勇者として育て上げる前に、まず人として育て上げないでどうする！！」ｶﾞﾝ!

大臣「も、申し訳ありませぬ…！！」

国王「厳しく躾よ！！」

大臣「はは！　仰せの通りに！！」ﾀﾞｯ！


国王（大臣め、これで何回目だと思ってる！　どいつもこいつもわたしに敬服しすぎなのだ！　馬鹿馬鹿しいことよ！！）


国王「だれか勇者と対等に接せれる者はおらぬのか…」ﾊｱ…


――――

――

「ここはどこ？　父さん？」


兵士長「ん？　ここは偉い人が住んでるお家だよ」

少年「えらいひと？」

兵士長「そう。例えば父さんはお前のことしか見てやれないけども、その人はここにいる人たち全員のことを見てくれてるんだ」

少年「すごい！！　すごいねそのひと！！」ﾜｸﾜｸ

兵士長「いいかい？　その人のことを呼ぶときは『こくおうさま』と言うんだぞ？」

少年「うん、『コクオウサマ』だね！」

兵士長「よし！　いい子だ」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ




「ﾕｳｼｬｻﾏ！　ﾕｳｼｬｻﾏ！」

「ﾕｳｼｬﾄﾞﾉｵﾏﾁｸﾀﾞｻｲ!」

ﾜｰﾜｰ


兵士長（ん？　あれは……）

少年「ねえ？　あれなに？」

兵士長「ああ、あれか？　どうやらあれは…あの子が勇者らしい」

少年「ええ、勇者！？　あの子が？！　あの子が勇者なの!?」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

兵士長「そうだ。どうやらお前と同じくらいの歳の子のようだな」

少年「ねえ！　行っていい！？　ぼく、勇者とお話したい！！」

兵士長「ん？　そうだな…」

兵士長（まあ、子供同士だから問題もないだろう…）

兵士長「いいぞ。行ってきなさい」

少年「やったー！！　じゃあ行ってくるね！！」ﾀﾞｯ

兵士長「ちゃんと自己紹介するんだぞ！」

少年「はーい！」ﾀｯﾀ…


兵士長「さてと…、国王様に挨拶してくるか」ｽﾀｽﾀ



――――

――

勇者「おれは遊ぶの！　だれがべんきょうなんてするものか！！」ﾋｮｲ

ダッ！

兵士２「勇者様！　お待ち下さい！！」ﾊｱ…ﾊｱ…

大臣「ええい！　だれも勇者様を捕まえられないのか！」ｶﾞﾝｶﾞﾝ!




勇者「はは！　みんなおそすぎ！！」ﾊﾞｲﾊﾞｰｲ


ダッダッ―


勇者「っと、ここまで来ればあんぜんだな！　へへっ♪」

少年「勇者くん！」ﾋｮｲ

勇者「うわ！　だ、だれだおまえは！！」ﾋﾞｸ！

少年「ねえ！　きみが、きみがあの勇者なの！？」ｷﾗｷﾗ

勇者「は？　あ、ああ！　そうだ！！　おれが勇者さまだ！！」ｴﾍﾝ

少年「すごい！！　ああ！　ぼく勇者さまの目の前にいるよ！！　どうしよう！！」ﾜｸﾜｸ

勇者「おい！！　ところでおまえはだれなんだ！！」

少年「あ！　しまった！！　じこしょうかいしないと…」ﾊﾟｼﾊﾟｼ

勇者「そうだ！　だれなんだ？」

少年「ぼくは　　って言います。父さんがここにおつとめになるからつれてきてもらったの」


勇者「はあ？　なんだ、へいしのこどもかよ。おまえだれにむかってくちきいてるんだ？」


少年「え…？　きみ、いまなんていったの…？」

勇者「へいしのこどもががきやすくおれにはなしかけるなっていってるんだよ！！」ｶﾞﾝ！

少年「いてっ！！　なにするんだ！！」

勇者「おまえはんげきするのか！？　そんなことしたらただですまないぞ！！」

少年「きみになにができるってんだ！！」ｸﾞｵ!

勇者「うわ！　お、おまえ！！　くそ！　おまえのちちおやなんてクビにしてやる！！」ｶﾞｼ!

少年「ぐっ……！」ﾊﾞ!

勇者「ハア…、ハア…、おい！　あやまれよ！」

少年「うう…、す、すいませんでした…」ｸﾞｽ

勇者「ふん！　たいしたちからもないのにでしゃばるからだ。おまえのちちおやもどうせバカだろ？」ｹﾗｹﾗ

少年「うう！！　父さんを！　父さんをばかにするなあ！！！」ｶﾞﾝ!

勇者「いて！！　おまえやったなあ！！！」ｸﾞﾜ!


「うわーーーーー！！」ﾊﾞｼ！ｶﾞｼ!

「わーーー！！」

「ー！」


―――

―

うう…書いててとても二番煎じな気がする。
だれかご指摘下さい。思いだせない…。

はやくかけ

―国王の間



兵士長「お久しぶりです。コクオウサマ」ﾍﾟｺ

兵士長（！？　しまった！！）ﾋﾞｸ

国王「ん？　どうした？」

兵士長「い、いえ！　なんでもございません！！　今日はいい天気ですね！！」ﾊﾊﾊ

大臣「こら！　国王様になんていう態度だ！！」

国王「よいよい！　そんなつまらぬことで取り乱すな馬鹿者が」

大臣「も、申し訳ありません…！」

兵士長「？」

国王「ゴホン！　ところで兵士長よ。そなたの名声は聞いておるぞ。このあいだの北の砦での功績、見事であった」

兵士長「はは！　お褒めに預かり、光栄でございます！」

国王「うむ。して、この度そなたをここに遣わしたのは、他でもない、一つ頼みがあったからなのだ」

兵士長「はい！　どのようなご用件でもなんなりと！」

国王「すまないな。実はそなたに頼みたいこととは、勇者のことでな…」

兵士長「勇者様…ですか！？」

国王「うむ。そなたには、勇者に剣術を教えてもらおうと思ってたのだ」

兵士長「え？　し、しかし勇者様はまだ子供です！　私の息子と同じくらいの歳しかないではないですか！？　それは無理です！」

大臣「そなたなんという口の利き方だ！！　図々しいぞ！！」ｶﾞﾝ!

国王「だまれ大臣！！　貴様が出しゃばる筋合いなどないわ！！　今すぐここから出て行け！！！」ﾊﾞｯ！

大臣「こ、国王様！　なぜ！！？」ｱﾜｱﾜ

国王「貴様のせいで私の計画が台無しになったからだ！！　今すぐこいつをつまみ出せ！！！」

兵士３・４「はは！！」ｸﾞｲ!

大臣「な、なぜですか！？　国王様！！　コクオウサマー！！」ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ



兵士長「？？」



国王「…すまなかった兵士長よ。そなたの言うとおりだ。今の勇者に剣術なぞ教えられるわけがあるまい…」

兵士長「え…？」

国王「私が甘かったのだ…。あの子を…いや、勇者は生まれた村で育てさせるよりもここに連れてきたほうが、安全で、そして立派に成長させてやれる。そう思っていた…」

兵士長「……」

国王「しかし現実は正反対だ。皆がわたしを敬服するように、勇者に対しても皆敬服するようになってしまった…」

兵士長「そうなのですか…」

国王「ああ。誰も叱らぬ、そして誰からも甘やかされてしまった勇者は、誰の言うことも聞かぬ愚かな悪童に育ってしまった。全て私の責任じゃ！」ｶﾞｼｶﾞｼ

兵士長「それほどなのですか…！？」

国王「……」ｺｸ

兵士長「しかしそれでは、私はどうすれば良いのですか…？」

国王「…すまぬな。少し考えさせてくれぬか？　その間、お主には城の警備長でも務めていて欲しい…」

兵士長「それはかまいませんが…。先ほども申したように、そもそも子供に剣術を教えることなどできませんよ？」

国王「わかった。それも踏まえて考えよう…」

兵士長「申し訳ありません、国王様」ﾍﾟｺ

とりあえず、今日は落ちます。
気づいたことがあれば教えてください。

今日の分、投稿始めます。

ザワザワ…


「わーーー！！」

「はなせー！！」


国王「…ん？　なんの騒ぎだ」

警備長「こ、国王様！　大変です！！」ダッ

国王「どうしたのだ！」

警備長「申し訳ありませぬ…！　城の中に不届き者が潜んでおりました…！」

国王「して、なにがあったのだ？」

警備長「は！　…おい！　連れてこい！！」ﾊﾞｯ

兵士５「は！」


グイ！


少年「はなせー！！　ぼくはわﾞるくなﾞい！！　あﾞいつが…ぜんぶあﾞいつのせいなんだあ！！！」ﾎﾞﾛ…


兵士長「お前は！？　一体これはどういうことだ！！」


少年「！？　と、父さん！！　ぼくはわるくないんだ！！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

「いや！　こいつがわるい！！」


兵士長「！？　勇者…！？」

勇者「あん？　だれだおまえ？　まあいい。それよりも義父さん！　こいつ勝手に城のなかにはいってきたんだ！！」ｸﾞｲ

少年「ちがう！！　ぼくは父さんにつれられてここにきたんだ！！　くそ！　なんなんだこいつ！！　おまえなんか勇者じゃない！！」

警備長「…このガキ！！　黙れ！！」ｶﾞﾝ!


少年「……う！！？」…ｶﾞｸ


兵士長「な！？　何をする！！」ｿﾞｸ


勇者「ああ！　くそ！　ほんとうにはらがたつ！！　義父さん！！　こいつがぼくのこと殴ってきたんだ！　ころしてよ！！」

兵士長「なんだと！？　貴様！！」

ジャキ！

警備長「おい？　誰に対する口の聞き方だ？」

兵士長「貴様…、俺に剣を向けたな…！？」ﾁｬｷ

国王「やめんか！！　いい加減にせい！！！」ガン！


警備長「は！　失礼いたしました！！」ﾁｯ

兵士長「…ぐ！　…申し訳ありませんでした」ｻﾞ


勇者「なあ！　義父さん！！　はやくこいつをころしてくれよ！！　…そうだ！！　こいつのちちおやもいるみたいなんだ！　ころそう！！」

兵士長「…この餓鬼！！」ｸﾞｸﾞ…

国王「落ち着け、兵士長！」

勇者「さあ！　はやくやろうぜ！！」ﾜｸﾜｸ

兵士長「……っ！」ｸﾞｸﾞｸﾞ!

国王「……」

勇者「どうしたの？　さあ！！」

国王「……勇者よ。まずは何があったのか話せ」

勇者「…は？　なんでそんなこと聞くんだよ？」

国王「いいから話すのだ」

勇者「チッ！　おれがあそんでたらこいつが邪魔をしてきた。くちのききかたがわるかったから殴ってやったんだよ！」ﾌﾝ

国王「……それだけか？」

勇者「ん？　みればわかるだろ？　こいつ、おれさまにはんげきしてきたんだ。おかげでぼくも怪我をした」ﾊｱ…

国王「…そうか。すまなかったの。さあ勇者よ、こちらに来るのだ」

勇者「はは！　義父さん！　じゃあころしてくれるんだね！！」ﾀﾞｯ



バキッ！！


勇者「ぐ…！！」ﾄﾞｽ!


兵士長「！？」

警備長「国王様！！　なぜ！！？」



ドガッ！


勇者「ぎゃ！！」


ドゴ！


勇者「いたい！！　やめて！！！」


国王「だまれ！！　この悪童が！！」ﾌﾞｵﾝ!


ドガッ！


バキッ！


ズカッ！


……

…

ザワザワ…


勇者「うわﾞ～～～ん！！　いたいﾞよお～～～！！」ｶﾞｸｶﾞｸ


警備長「国王様…！？　ど、どうして…」ｱﾜｱﾜ

兵士長「……」ｺﾞｸ


警備長「す、すぐに手当てを！」ﾊﾞ!


国王「いらん！！！」


警備長「しかしこの怪我は！！」


国王「自業自得だ！！　それにだれだ！！　こやつにこんな汚い言葉を覚えさせたのは！！！」ｶﾞﾝ!


警備長「！！」ﾋﾞｸ


国王「もう我慢ならん！！　いいか！　私は決めたぞ！！　命令を下す！！」


ザワザワ…


国王「まずは勇者！！　こやつを牢獄に連れて行け！！　１週間の投獄を命ずる！！」

勇者「！！？　な、なんでだよﾞ！！」ﾖﾛ

国王「今すぐ連れて行け！！」ﾊﾞ!

兵士「は…はは！！」ｸﾞｲ!

勇者「は、はなせ！　はなせ～～！！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

警備長「こ、国王様！　何故ですか！？」

国王「貴様もだ！！　貴様、あろうことか私の大事な客人に手を出しおったな！？　その子の傷は勇者が付けられるようなものではないぞ！！」ｶﾞﾝ!

警備長「こ、これはこの子供が勇者様に手を出したから！！」

国王「黙れ！！　子供同士の喧嘩に手を出す大人があるか！！　貴様の仕事はそんなことではない！！」

警備長「こ、国王様！　お許しを！！」

国王「うるさい！！　貴様は解任だ！！　警備長の任を解く！！」

警備長「そ、そんな！！　国王様！！」

国王「ええい！　今すぐ立ち去れい！！」ﾊﾞ!

警備長「ぐ……！」ﾀﾞｯ

―――

―

兵士長「……国王様」

国王「…兵士長よ、すまなかった。すべて私の責任だ…」ﾊｱ…

兵士長「それより…」ﾁﾗ


少年「……」ｸﾞﾃ


国王「！？　ああ、すまなかった！　おい！　今すぐこの子に手当てを！！」

兵士「はは！」ﾀﾞｯ


――


兵士長「恐れ入ります…」ﾍﾟｺ

国王「いいのだ、謝る必要などない。本当に申し訳なかった…」ﾍﾟｺﾘ

兵士長「！？　国王様、おやめ下さい！」

国王「いや、本当に許して欲しいのだ。私が頭を下げて済む問題でもないが、この通りだ、許してくれ！！」ﾊﾞ!

『こ、国王様！！』


ザワザワ…


兵士長「わ、わかりました。わかりましたから…！　もう…頭を上げてください！」

国王「……うむ」ﾖﾛ

兵士長「……」ｺﾞｸ

国王「……兵士長よ、先ほど私は、お主に警備長を依頼したな？」

兵士長「は、はい…。先ほどの者がそうだったみたいですが…」

国王「あやつはもういい。所詮邪魔者よ。私の計画の足枷にしかならん…」

兵士長「そうですか…」

国王「ああ。よいか？　話を続けるぞ？」

兵士長「ええ。問題ありません」

国王「……お主にな、この城の警備の全権を与えようと思う」


兵士長「……は？」


国王「いや、なんなら街の警備も好きにしてもらってかまわん。いや、そうしよう」ｺｸ

兵士長「ちょ…ちょっと待ってください！　どういうことですか！？」

国王「驚かせてしまってすまぬな。だが、言葉の通りだ。お主に全て任せる」

兵士長「そ、そんな！　私には荷が重すぎます！　無理です！！」

国王「正直者だな…。ますます気に入ったぞ」ﾊﾊ

兵士長「国王様…！」

国王「いいか？　この城には今、お主のような者が必要なのだ。自分の考えをはっきりと言える者がな」

兵士長「そ、それがわたしだと…？」ｺﾞｸ

国王「そうだ。だから、お主には是非この役を引き受けて欲しい。だめか…？」

兵士長「い、いえ…、国王様がそこまで仰るのであれば、断ることもできません」

国王「そうか…、すまぬな。では頼むぞ」

兵士長「はは！　全身全霊を持ってお応えいたします！！」ﾊﾞ!

国王「はは、なに、そんなに気張る必要もない。なにせあのような体たらくな輩にも勤まる仕事だ。いいか？　お主の好きなようにして構わぬからな」

兵士長「かしこまりました。それでは…」ｸﾙ

国王「…すまぬ。もうひとついいか？」

兵士長「はい…？　なんでしょうか？」ﾋﾟﾀ

国王「事があった直後で言い難いのだが………」


「………」


兵士長「それは…！」

国王「…頼めぬか？」

兵士長「…すいません。さすがにそれは…」

国王「ふむ…。まあ仕方が無いな。すまなかった。聞かなかったことにしてくれ」

兵士長「……いえ、違うんです。少し…考えさせてもらえませんか？」

国王「ん？　そうか。構わんぞ。時間ならあるからな」

兵士長「ありがとうございます。それでは、今日はこれにて」ﾍﾟｺ

国王「ああ。大変不憫な思いをさせてしまい申し訳なかったな」


――――

――

主要な人物以外は適当に番号割り振ってますのであしからず。(同一人物とは限りません)

「う…うん？」


ガバ！


ダッダッ


「おう、起きたか」


少年「父さん！　ここは！？」ﾊ!

兵士長「ここか？　ここは今日から俺達が住む家だ」ハハハ

少年「ここが！？　うそ！　こんなにひろいおうち見たことないよ！！」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

兵士長「そうだろ～？　お父さんのおかげだぞ？」

少年「うん！　すごいよ父さん！！」ｷﾗｷﾗ

兵士長「ところで体は大丈夫か？」

少年「ん？　……ああ！？　いたっ……くない？」

兵士長「ふむ。大丈夫そうだな」ｷﾞｭｯｷﾞｭｯ

少年「あれ？　あれれ？　ぼく怪我したよね？　ねえ？」

兵士長「ああそうだ。痛かったろう、ごめんな。お前の怪我は、王様が治してくれたんだよ」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

少年「コクオウサマが！？　すごい！！」

兵士長「ああ。悪いやつらも、みんなお仕置きしてあげたぞ」

少年「ああ！？　そうだ！　勇者だ！　あいつめ！！　あんなのは勇者じゃない！！」ﾀﾞﾝﾀﾞﾝ!

兵士長「ああ、そうだな」

少年「でしょ！？　なんであんなやつが勇者なんだ！！」ﾌﾟﾝﾌﾟﾝ

兵士長「でもな。あれは勇者一人の問題でもないんだ…」ﾎﾟﾝ

少年「？　意味がわからないよ…」

兵士長「お前には難しい話だ。気にするな」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

少年「？」

兵士長「…なあ、息子よ。お前は勇者のことを許してやることはできないか？」

少年「……は？　そんなのむりだ！　ぼくはあいつをゆるさない！！」ﾌﾟﾝﾌﾟﾝ

兵士長「だよなあ…」

少年「ぼくだけじゃなく、父さんのことまでばかにしてきたんだ！　ぜったいにゆるすものか！」ﾌﾝ

兵士長「そうか…」

兵士長（はあ…、今の状態じゃ、絶対に無理だねこりゃ）ｶﾞｼｶﾞｼ

少年「…？　さっきからどうしたの？」


――――

――

――翌日


スタスタ…


警備兵１「こちらが兵の宿直所です」

兵士長「ほう。さすが王都だな。こんなところまであるのか」ｶﾂｶﾂ

警備兵１「はい。この先には、兵の訓練場も用意してあります」

兵士長「へえ、ここで日夜訓練に励めるわけか。どんな兵がいるのか見てみたいな」

警備兵１「それでしたらご案内いたします。今はちょうど、多くの兵が訓練している時間帯ですし」

兵士長「そりゃあ良かった。早速行こう♪」ﾜｸﾜｸ

警備兵１「それではこちらに」ｽﾀｽﾀ

――城内訓練場


「うおーーーーー！」ｶﾞｷ!

「せやーーーーー！」ﾊﾞｷ!

「ーーーーー！」


兵士長「おお！　いいね！　さすが王都。武術の方は優れた者が多いみたいだな」

警備兵１「はい。この都市の兵は国中から選ばれたつわものばかりですので」

兵士長「ふーん…、こんな内陸の都市にそんなに強い奴らが必要なのかねえ…」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

警備兵１「ここは王都です。万が一に備えて十分な兵力は不可欠では？」

兵士長「叩き上げならともかく、無駄な時間と費用を使ってまでつわものを集める必要はないんじゃないか？　削ろう」

警備兵１「な！　今言ったことを聞いてましたか！？」

兵士長「ここの安全を確保したいなら、まず地方の拠点の防備を固めるべきだろ」

警備兵１「昨日来たばかりのあなたに何がわかるのですか！！」


ガッ


警備兵１「う……！」ｿﾞｸ

兵士長「いいか？　この城を守ってるのはここにいるやつらじゃない、国境で今も必死になって魔物と戦ってる地方の兵士たちだ」ｸﾞｲ!

警備兵１「く、苦しい…！」ｶﾞｸｶﾞｸ

兵士長「温室で育った獣が野生で生きていけるはずがない。これは憂うべき事態だな」ｶﾞ!

警備兵１「が…！　は、はい…！」ｸﾞｸﾞ…

兵士長「お前がリストをまとめろ。すぐに地方に転属させるんだ。ここに残るのは新兵と数名の実力者だけでいい」ﾊﾞ!

警備兵１「は、はい…仰せのままに」ｹﾞﾎｹﾞﾎ

兵士長「こんなにいい施設があるんだ。若いやつらに使わせなければ勿体無いぞ」

警備兵１「りょ、了解しました…」ｾﾞｴ…ｾﾞｴ…

「ぐわ！」

バタン！


兵士長「ん？」


「うおーーー！」ﾌﾞﾝ!

カッ！

ブオン！！

「ぐはあ！」ﾄﾞｶ!

？「チッ、あいかわらずここのやつらは大したことねーな！」


兵士長（あれは…？）


兵士「きさまあ！　なめるな！！」ﾀﾞｯ

？「おっと！」ﾋｮｲ

バキッ！

兵士「が……！」ﾊﾞﾀ

？「あー、弱い！　弱すぎるよあんたら！」

「くそ！　またあいつか！」

「女のくせになめやがって…！！」

ザワザワ…

兵士長「どうしたんだ？」ｽﾀｽﾀ

「あ、あなたは…！？」

「どうしてここに？」

女兵士「あん？　誰だあんた？」ｼﾞﾛ

兵士長「ん？　いや、君が騒ぎを起こしていたからつい」

女兵士「騒ぎ？　違うだろ。みんな自分が弱すぎてピーピーとひよこみたいに泣き叫んでるだけだろ？」ｹﾗｹﾗ

兵士長「そうみたいだな。君は強そうだ。しかし、相手に対する敬意がなっていない」

女兵士「あん？　戦いにそんなもの必要あるのかよ？」ﾍﾟｯ

兵士長「必要だと思うぞ。相手の痛みを分かってやることも戦士の心得だ」

女兵士「偉そうなことをぺちゃくちゃと…。おっさん、じゃあそれを私に教えてくれよ」ﾆﾔ

兵士長「そうか。俺もちょうど体を動かしたいと思ってたところだし、お相手願おうか」ﾆｺ

女兵士「チッ、そのにやけ面ボコボコにしてやるよ」ｼﾞｬｷ!

兵士長「剣術は内面だ。表情は関係ないぞ」ﾁｬｷ

女兵士「だからさっきからうるせえんだよ！！」ﾀﾞｯ

ガキ！


女兵士（あたしの初手を受け止めた！？　まさか！？）ﾊﾞｯ！

兵士長「早いね！　こんなに早い一撃は初めてだ！！」ｸﾞｲ!


ガッ！！


女兵士「ぐ……！！」ｷﾞﾘ

兵士長「やはり女か。力では押されるようだな…」ｽﾞ!

女兵士「くそ！」ﾊﾞｯ!

ドガッ！


兵士長「おふ！！」

兵士長（蹴りかよ…！　みぞおちに…！）ｸﾞﾗ


女兵士「隙あり！！」ﾀﾞｯ


ガキン！！


兵士長「甘い！！」ｸﾞｸﾞ

女兵士「入ってたのに…！　動けるのかよ…！？　なんてタフな奴だ」ﾊﾞｯ！


「あたりまえだろ！」

「だれだと思ってやがる！」


女兵士「野次馬どもめ！　うるさい！　黙ってろ！！」ｷﾞﾛ

兵士長「余所見してていいのか？」


ゾク


女兵士「……は？」ｼﾞｬｷ



ガキッ！！！



……



カラン！


…ドサ！


兵士長「勝負あり。だな」ﾎﾟﾝ


女兵士（は、早すぎて見えなかった…）ｶﾞｸｶﾞｸ


兵士長「すまない。これ君の剣？　折ってしまった」

女兵士「お、お前、一体何者なんだ……」

兵士長「ん？　まあ、その前にほら、これ着ろ」ﾊﾞｯ

女兵士「！？　――――！！！」ﾊﾞﾊﾞｯ



女兵士（こいつあたしの服まで！！！！）////


――――

――

兵士長「さてと、では改めて自己紹介しようか。わたしは　　　って言うんだ。よろしく」

女兵士「なんか聞いたことある名前だな…。私は　　。適当に呼んでくれ」ｼﾗ

警備兵１「おい！　貴様！　誰に対して口を聞いている！！　この方は警備兵長であらせられるぞ！！」

女兵士「あんたが？　私の知ってる兵長殿はもっと陰険臭いおっさんだったぞ？」ﾍﾟｯ

警備兵１「き、貴様～、口を慎めと言ってるだろうが！！」ｸﾞｸﾞ

兵士長「よせ！　いいんだ！」

警備兵１「す、すいませんでした…」

兵士長（はあ…、まったく、どうして此処のやつらはこう気が短いんかね…）ｶｼｶｼ

女兵士「おう、おっさん。あんた本当に警備長になったのか？」ｽﾞｲ

兵士長「あ、ああ。そうだ。今日からこの城の警備を一任することになったんだ。そういうわけだから、よろしくな」ﾊﾞ

女兵士「！？」ﾋﾞｸ

兵士長「どうした？　握手嫌か？」

女兵士「い、いや、この城にこんなフレンドリーなお偉いさんなんていなかったからな。お、驚いただけだ！」ｶﾞｼ

兵士長「みたいだなあ。ところで君は？　剣に相当な腕を持つようだが、役職は？」

警備兵１「兵長殿！　この女の話など聞く必要ありません！　この女はただの雑兵です！　なんの役職も持ってないゴロツキです！！」

兵士長「はあ？　なんだそりゃ！？　おい、どういうことだ。本当なのか？」

女兵士「……ああ、そうさ。あたしはここでは邪魔者。なんの仕事も与えられない根無し草さ」ﾌﾟｲ

兵士長「なんでだ？　なにかあったのか？」

女兵士「あたしがあの生意気な糞餓鬼を殴ったからさ。…あの餓鬼、人に対する礼儀がなってない」ﾍﾟｯ

警備兵１「それをお前がいうな！」

兵士長「…そうか、すまなかったな。では、君に新しい任を与えるとしよう。君は私の補佐になれ」


女兵士「……は？」

警備兵１「……え？」


兵士長「ん？　そうだ。役名も与えなくちゃな。ん～、私の補佐役だから警備副長でいっか。よかったな、一気に昇進だぞ」ﾆｯ


女兵士「はあーーーーーーーー！！？？」


――――

――

副長「え～…、一体これはどういうことでしょうか…？」ﾃｸﾃｸ

兵士長「ん？　まだ言っているのか？」

副長「当たり前です！　一体全体どうしてこんなことに…」ﾊｱ…

兵士長「もしかして…、嫌…なのか？」

副長「い、いえ、滅相もございません！　ただ、あなたと剣を交えただけでこんなことになろうとは…」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

兵士長「違うよ。剣術だけでなく、君のその度胸が気に入った。性格はともあれ、行動にも間違いはないしな」ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ

副長「あ、あたしが、ですか…？　あたしはただのゴロツキですよ、本当に…」

兵士長「いや、君の力が必要だ。君こそがこの環境を変えられると、僕は信じてる！」ｽﾞｲ

副長「う…、わ、わかりました。…やります。いえ！　やらしてください！！」ﾋﾞｼ!

兵士長「そうか！　では、よろしくな、副長！」

副長「はい！　隊長！！」ｷﾗｷﾗ

兵士長（隊長？　まあいいか）

――――

――

今日はここまでです。副長は前スレの兵士２です。

本日分の投稿を始めます。意外と長くなりそうなので自分でもびっくり。

――１週間後


ガシャン！


勇者「くそ！！　やっと…、やっと出られた！！」


テク…、テク…


勇者「ゆるさねえ…、おれさまをあんなところにぶち込んだのはあのガキのせいだ！！　ぜったいにふくしゅうしてやる！！」ｷﾞﾘ


ぶつぶつ……


ドン！


勇者「いて！！　おい、きさま！　どこ見てあるいてやがる！！」ｷﾞﾛ


「あん？　今、なんか言ったか？」


勇者「！？」

副長「なんだ、勇者の糞餓鬼か。そうか、今日だったな」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

勇者「お、おまえは…！　おまえがなんでここにいる！！？」ｶﾞｸｶﾞｸ

副長「おー、そうだったー。こいつ知らないんだったな」ｹﾗｹﾗ

勇者「きさま！！　勇者にたいしてなんていう態度だ！！」

副長「あん？　勇者の前にガキだろ。てめえのどこに勇者の威厳がある？　性根腐った糞餓鬼にしか見えねえよ」ﾍﾟｯ

勇者「ぐ……！　だれか！！　だれかこいつをつまみ出せ！！　ふとどきものだ！！」


「………」ｼｰﾝ


勇者「お…おい！！　はやくだれかこい！！　勇者のめいれいだぞ！！！？」ｱｾｱｾ


「………」ｼｰﾝ

副長「残念！！　もうここには、かわいいかわいい勇者様を庇ってくれる者は誰もいませ～ん♪」ﾆﾔ

勇者「な！？　どういうことだ！！　け、けいびちょう！　けいびちょうは！？」ｷｮﾛｷｮﾛ

副長「あのおっさんももういねえよ。降格だ降格。今は下の街で門番やってまーす♪」

勇者「はあ！？　そ、そもそもなんでおまえがここにいるんだ！！」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

副長「テヘ♪　自己紹介がまだだったか♪　わたしはこの城の新しい警備兵長の補佐を勤める副長だよ♪　よろしくね♪」ｷｬﾋﾟ

勇者「はあ～～！？　なんで！！？」

副長「なんでもかんでも、決まったことだし？　今は私の好きなようにこの城の人間を教育しなおしてるの♪　わかる～？」

勇者「この…！　ふざけんな！！！」ﾊﾞｯ

副長「だから、もうここにはお前の味方なんていないよ～♪」ﾋｮｲ

勇者「よけんな！！　くそ…！　勇者のめいれいだ！！　おまえはでていけ！！」ﾊﾞｯ！

副長「ふむ…。そろそろこんな糞餓鬼相手にすんのも疲れてきたな…。仕事あるし」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

勇者「きさまあ！　むしするな！！」ｶﾞｼ!

副長「あん！？　ってえな！！」ﾌﾞﾝ！


ドガ！


勇者「ぐわ！」

副長「おい。餓鬼」ｽﾞｲ


勇者「な、なんで…！？　お、おまえまた殴りやがったな…！」ｶﾞｸｶﾞｸ

副長「ああ、殴ったぞ？　文句あんのか」ｶﾞｼ!

勇者「ぐ……！　そんなことしていいとおもってるのか…！」ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ


副長「……いいんだよ。それがあたしの仕事だからね」


勇者「！！？」ｶﾞｸｶﾞｸ

副長「ぷ！　ぷははははははは！！！」ｶﾞｼｶﾞｼ

勇者「うう～！！」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

副長「あら～、泣かせちゃった？　でもやっと悪餓鬼らしい振る舞いをみせたじゃないか。糞餓鬼から一歩前進だな？」ｹﾗｹﾗ


勇者「はなせ！　はなせ～～！！！」ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ

副長「おっと！」ﾎﾟｲ

ドサ！

勇者「うう…、うわ～～～～～～ん！！！！」ﾀﾞｯ


副長「あらあら。行ってしまいやがりましたか、あの悪餓鬼め」ﾊﾟﾝﾊﾟﾝ

「…さっそくやってくれたな。副長」



副長「あ！　た、隊長！！　ご苦労様であります！！」ﾋﾞｼ!

兵士長「…言葉遣いが間違ってるぞ。…まあいい」

副長「失礼しました！！　あ、あの…、やりすぎましたかね…？」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

兵士長「いや、実に見事であった。合格だよ合格」ﾎﾟﾝ

副長「そ、そうですか///」ﾃﾚ

兵士長「ん？　まあ、ともあれ一発目はあれでいいよ」

副長「はい！」

兵士長「君はいつもどおりの態度で皆に接したらいい。勇者に対してだけは不公平だ。その方がみなの気合も入るだろう？」

副長「はい！　肝に銘じておきます！！」ﾋﾞｼ!

兵士長「ただ、目上のものに対する口の利き方だけは気をつけてくれ。特に国王様の御前ではな」ﾊｱ…

副長「は、はい！　気をつけます！！」

兵士長「よし、その意気だ。じゃあ、仕事に戻ろう」

副長「了解しました♪」ﾀｯ


――――

――

――城内書庫


勇者「うう…！　いったいどうなってるんだ！？」ｸﾞｽ

勇者「知ってるやつが一人もいない！！　どこに行ったんだ！？　義父さんまでいないじゃないか！！」ｶﾞﾝｶﾞﾝ!

勇者「だれもおれさまの味方になろうとしない…！　ちくしょう、ちくしょう…！！」ｸﾞｸﾞ



パシュン！


スタ！


勇者「！？　だ、だれだ！！」ﾋﾞｸ!




少女「…あら。誰もいないと思ってたのに…」ｽ


勇者「おんな！？　だれだおまえ！」ｸﾞ

少女「別にだれでもいいじゃない。あなたには関係ない」ｼﾚ

勇者「は？　こ、ここはぼくの家だぞ！！　おまえはぶがいしゃだ！！」

少女「ここが？　あなたの？」ｼﾞﾄ

勇者「そ、そうだ！　ここはぼくの家だ！！　そしてぼくは勇者だぞ！！　ずがたかい！！」

少女「…はいはい」ｼﾚ

勇者「おい！　むしするな！！　きこえなかったのか！！　ぼくは勇者だぞ！！」ｽﾞｲ

少女「……あなたのどこが勇者なのよ？」

勇者「う…！」ﾋﾞｸ

少女「あなた、さっきから自分のことを勇者勇者って言ってるけど、その証拠はどこにあるの？」

勇者「そ、それは…！」

少女「勇者なら勇者にしかできないことがあるわよね？　見せてよ？」

勇者「う、うるさい！　だまれ！！」

少女「あら、できないの？　あきれた。あなたうそつきね」

勇者「な、なんだと！？　いいか！　この城の人間はみんな俺のこと勇者さまって言うんだ！！　それが証拠だ！！」

少女「じゃあ、それを見せてよ？　待っててあげるからここに連れてきなさいな」

勇者「う、うそつけ！！　そう言ってにげるつもりだろ！？　だまされないぞ！！」

少女「あら、見た目以上に頭ははたらくのね。まあバカには変わりないけど…」ｼﾚ

勇者「こ、この～！　バカって言うなあ！！」ｸﾞﾜ!

ガシ！

少女「きゃっ！」

勇者「ふん！　つかまえたぞ！　にがさないからな！！」ｸﾞｲ!


少女「…ないで」ﾎﾞｿ


勇者「うん？　なんだ？」

少女「気安くさわらないで！！」ﾊﾞｼ！

勇者「う、うわ！！」ﾋﾞｸ


少女「あなた、子供にしてはかなり素早い動きするわね。気に食わないけど勇者って認めてあげるわ」

勇者「…は！　そ、そうだろ！？　勇者だからな！！」

少女「でも、わたしにさわったことはゆるさない。覚悟なさい！」ﾎﾟｳ

勇者「……へ？」

少女「焼けてしまえ！」ﾎﾞｵ！


――――

――

兵士長「ここの警備はもう少し人数を付けようか」ｶﾂｶﾂ

副長「はい！　では先日手配した新兵を数名配置いたします」ｽﾀｽﾀ

兵士長「うむ。次はこの先だな……」


「うわ～～～！！」


兵士長「ん？」


勇者「あついよ～～～！！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ


副長「はい？」

兵士長「勇者！？　何をやっているんだ！！」ﾀﾞｯ


バサバサ…


勇者「うう……、いたい…、いたいよ～～！！」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

兵士長「泣くな！　馬鹿者め！！　おい！　書庫の火を消すんだ！！」ﾊﾞ!

副長「は、はい！」ﾀﾞｯ



―――――

副長「隊長。書庫の火は鎮火しました。ボヤで済みそうです」ﾊｱ…

兵士長「……わかった。おい、勇者！　お前なにをした！？」

勇者「う、うう…。ぼくはなにもしてない！　おんなが、おんなが火をつけたんだ！！」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

兵士長「おんな…？　ここには女なんて…」ﾁﾗ

副長「ええ？？　何言ってるんですか！　あ、あたしは隊長と一緒にいましたよ！？」ｱﾜｱﾜ

兵士長「だよなあ…。おい、嘘を付くのはよくないぞ」

勇者「ち、ちがう…！　子供だ！　ぼくとおなじくらいの…！」

副長「はあ？　この城にガキが入り込めるわけないだろう？　何言ってんだ！？」ｽﾞｲ

勇者「ひ…！！」ﾋﾞｸ!

兵士長「よせ！　……勇者、君は本当に嘘はついてないのか？」

勇者「……！」ｺｸｺｸ!


―――


兵士長「……勇者は？」

副長「ちゃんと医務室に連れて行きましたよ。私が抱いたら気絶しましたけど…」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

兵士長「……そうか」

副長「しかし隊長、あんな糞餓鬼のこと信用するんですか？」

兵士長「いや、信じられないよ…」

副長「でしょ？　どうせ腹いせに火遊びでもしたに決まってますって！！」

兵士長「……そうだな。でも、それでも信じてやることは、時には必要だと思うんだ…」

副長「……まあ、隊長がそう言うのであれば、私は文句ありませんけど…」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

兵士長「すまないな。いずれにせよ、あそこにも警備の人員を振るとしようか」

副長「…はい。そうですね」


――――

――

少年（ふふふ、今日は父さんに内緒でお城に遊びに来たんだ！）ﾜｸﾜｸ

少年「ああ！　やっぱりひろいな～。こくおうさまのおしろは！！」


少年「？　そういえば前よりも人が少ない気がする…」


テクテク…


少年（！！）


勇者「うう…、今日はほんとうにわるいことだらけだ……」ﾃｸﾃｸ


少年（あいつは勇者！！）ﾑｶ


少年（あれ？　でも怪我してる…）ﾎﾟｶｰﾝ


勇者「ほんとうにぼくじゃないのに…、おとなはしんじてくれない…！」ｷﾞﾘ

「勇者くん！！」

勇者「ひ……！！」ﾋﾞｸ

少年「勇者くん！　おぼえてる！？　ひさしぶりだね！」ﾋｮｺ

勇者「お、おまえは…あのときの！！」ﾑｶ

少年「あ、覚えててくれた！？　そう　　だよ！」

勇者「お、おまえ…よくもぬけぬけと…」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

少年「ねえ？　怪我してるみたいだけど、だいじょうぶ？」

勇者「ああ！？　おまにはかんけいない！！」

少年「…なんでおこってるのさ？　ひとがしんぱいしてあげてるのに…」

勇者「うるさい！　おまえにしんぱいされるすじあいなんてない！　おれはお前のせいでこんなめにあってるんだ！！」

少年「む！　なんだいきなり！！　ぼくだってきみのせいでひどいめにあったんだぞ！！　おたがいさまでしょ！！」ﾌﾟﾝﾌﾟﾝ

勇者「ちがう！　ぼくは勇者だ！！　勇者のぼくがこんな目にあうのはまちがっているんだ！！」

少年「な！？　まだそんなこといってるのか！　きみはこどもだろ！？　きみになにができるってんだ！！」ｽﾞｲ

勇者「うるさいうるさい！！　とにかくぜんぶ…！　ぜんぶおまえのせいだ！！」ｸﾞﾜ!

パシ！


「てめえ…、まだそんなこと言ってるのか？」


ドン！


勇者「ぐわ！！」ﾊﾞｷ!

少年「勇者くん！」ｱﾜｱﾜ


副長「ったく…！　騒がしいと思って来てみれば…。やっぱりお前か！！」ﾊﾟﾝﾊﾟﾝ

勇者「う…うう」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

副長「泣くんじゃねえ！！　てめえは勇者だろ！？　自分でいつも言ってるんじゃねえか！？」

勇者「うわ～～～ん！！」

少年「勇者くん！」ｵﾛｵﾛ


副長「おい、そこのガキ！　お前もだ！　お前はだれだ！？　どうやってここに入った？」ｷﾞﾛ


少年「！！」ﾋﾞｸ

副長「聞こえなかったのか？　お前だよお前。どこのどいつだ？　答えろ」ｽﾞｲ

少年「ぼ、ぼくは　　って言います。と、父さんがこ、ここで働いているんです」ｶﾞｸｶﾞｸ

副長「　　？　……どこかできいたような……？」

少年「と、父さんはけ、けいびへいちょうなんです…！」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

副長「……おまえまさか！！　た、隊長殿の！！？」ｽﾞｲ

少年「た、たいちょう…？　た、たぶんそうだと…」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

副長「おお！？　よ、よく見れば似ている…。それにしゃべり方も…！」ｺﾞｸ

少年「は、はは…。お、おねえさんはなにをしているんですか？」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

副長「『お姉さん』！？」ﾊﾞﾊﾞ!

少年「うわ！！」ﾋﾞｸ!


副長「い、今なんて言った？　少年？」ｿﾞｸｿﾞｸ

少年「え…？　お、おねえさんですよね？　まちがえてましたか…？」ｱｾｱｾ

副長「お、おお！？　うおおおおおおおお！！！　なんていい子なんだ！！！！！」ｸﾞｽ

少年「！！」ﾋﾞｸ

副長「さすが隊長殿のご子息！！　可愛いすぎる！！」ﾀﾞｷ!

少年「え、えへへ…」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

副長「…いいか、少年！　これからも私のことは『お姉さん』と言うんだぞ。わかったね？」ｷﾗｷﾗ

少年「は、はい！　おねえさん！　と、ところでおねえさんはな、なにをしてるんですか…？」

副長「おお、すまなかった！　私は君のお父様の補佐…、いや、お手伝いをしているんだ。よろしく！」ｴﾍﾝ

少年「おお！　おねえさんすごい！！」ｷﾗｷﾗ

副長「だろ？　よし！　じゃあ、これからお姉さんがこの城の案内をしてあげよう。付いてきな！」ｸｲ!

少年「はい！　おねえさん！！」ﾀﾞｯ！


勇者「……」ﾌﾞｸﾌﾞｸ


――――

――

副長「ここが調理場だ！　ここで城の人たちみんなのご飯を作るんだぜ」

少年「おお！　ひろい！！　こんなひろいキッチンみたことないよ！！」ｷﾗｷﾗ

勇者「……」ﾃｸﾃｸ

副長「んで、この先が食堂。ここでみんなで一緒にご飯を食べるんだ」ｶﾂｶﾂ

少年「うわあ…、みんなで食べるごはんって楽しいだろうなあ！」ｷﾗｷﾗ

勇者「……」ﾃｸﾃｸ

副長「……、ちょうど食堂まで来たし、おやつでも食べるか！！」

少年「いいの！！？　やったーーー！！」ﾀﾞｯ

勇者「……」


副長「……はあ。いい加減、機嫌を直したらどうだ勇者？」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

勇者「……べつに」ﾎﾞｿ

副長「……かわいくねえなあ。もっと素直に生きろよ素直に。黙ってりゃそれなりに良いガキに見えるんだけどなあ」ﾊｱ…

勇者「……わるかったな」

副長「……なあ、もう水に流そうぜ？　お互い反発しあってたらなんの得にもなんねえぞ？　あの子はもうお前のこと許してくれてるじゃないか？」

勇者「……」ｷﾞﾘ

副長「……はあ。ほら、お前もお腹すいてるだろ？　何か食べよう」ﾊﾞｼ

勇者「……」ｺｸ

副長（…可愛くねえやつ）

カチャカチャ


少年「うん！！　おいしい！　こんなに美味しいもの久々だよ！！」ﾙﾝﾙﾝ♪

副長「だろ～？　ここには凄腕の料理人がたくさんいるからな！！　デザートも一級品だぜ？」ﾊﾟｸ!

勇者「……こんなの毎日食ってら」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

少年「ええ！？　勇者くんこんな美味しいの毎日食べてるの！？　うらやましいな～！」

勇者「こんなもの美味しいなんて言えるなんて、お前貧乏なんだな」ｶﾁｬｶﾁｬ

副長「……」

少年「そんなことないよ！　父さんはすごいんだぞ！　どんなものだって美味しく作れるんだ！　まあ、デザートはないけど…」ｱﾊﾊ…

勇者「ふ～ん…」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

副長「……なあ勇者」

勇者「……なに？」

副長「お前は、ここの料理がどうやって作られているのか知っているのか？」ｶﾀ…

勇者「……どういういみだよ？」

少年「？」

副長「…ここに出てくる料理はな。全部国のなかで育てられたものでできてるんだよ。お前はそれがわかっているのか？」

勇者「……さあ」

副長「…この国はなあ、私たち兵隊が命を掛けて魔物達からの侵攻を防ぎ、穀物を育てる土地、生活する空間を確保しているんだ！」　

副長「それが分かってるのかって聞いてるんだよ！」ﾄﾞﾝ!

少年「！！」ﾋﾞｸ!

勇者「な、なんだよきゅうに…」ﾋﾞｸ!

副長「……いいか。お前にははっきり言うぞ。お前はな、勇者としての自覚が足りないんだ！」

勇者「じ、じかくって…！」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

副長「チッ…！　てめえは今街の外に放り出されたら生きていけるのか？　なあ勇者様よ！？」

勇者「そ、そんなの知るものか！」

副長「はん！　無理だね！　無理無理！！　お前なんか一日で魔物に食われてお陀仏だ。なんせなにもできない糞餓鬼だからな！」

勇者「ぐ……！」ｷﾞﾘ

少年「……！」ｵﾛｵﾛ

副長「……お前は本当に勇者なのか？」

勇者「な……！」


副長「……なあ。今お前がしなくちゃいけないことを、お前はわかっているのか？」

勇者「……そんなの！　そんなのしらないよ！！」ﾄﾞﾝ!

副長「そうだよ。お前は知らねえ、ただ、勇者という言葉に踊らされている糞餓鬼だからな！」

勇者「ぐ……！」ｸﾞｸﾞ


副長「……もっと勇者らしくなれよ、お前」

勇者「……じゃあ、じゃあぼくはなにをすればいいんだ…！」ｸﾞｽ

副長「……そうだな。まずはみんなに感謝しろ。お前は一人で生きているわけじゃない。そうだろ？」

勇者「うう…！」ｺｸ

副長「そうだ。言えばわかるじゃないか…。いい子だ。糞餓鬼卒業だな」ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ

勇者「うう……うああ！」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

少年「勇者くん…」

カシャカシャ


副長「さてと、私はまだ仕事があるからな。わるいけど二人で片付けといてくれるか？」

少年「うん！　ごちそうさまでした、おねえさん！」

勇者「……」ｺｸ

副長「きゃ！　お姉さんだなんて恥ずかしい♪　あたしを口説くにはまだまだ早いぞ～？」ｷｬﾋﾟ

勇者「ぷ……！」

副長「んん！？　なんだその反応は！？」

勇者「お、おばさんだろ。どうみても」ﾌﾟﾌﾟ

副長「！！　き、きさま～！！」ｸﾞｵ!

勇者「おっと！」ﾋｮｲ

副長「！？　チッ！　ちょこざいな！」ﾊﾞ!

スカ！

副長「ぐ……！」

勇者「へへ！　よし！　一緒に逃げるぞ！！」ｸﾞｲ!

少年「うわ！　ちょ、ちょっと！　片づけが…！！」ｱﾜﾜ

勇者「いいって！　あいつにまかせちまおう！！」ﾀﾞﾀﾞｯ

少年「わわ…！　お、おねえさんごめんなさい～！」ﾀﾞﾀﾞﾀﾞｯ


副長「おい！　待ちやがれ～～！！」


――――

――

カタカタ


副長「ったく…！　やっぱり悪ガキだな…」ﾊｱ…


兵士長「たった一日であの子達と打ち解けるなんて大したものだな、お姉さん」


副長「た、隊長！　見ておられたのですか！！」ｱﾜｱﾜ

兵士長「人が少ないからな。まる聞こえだったよ」ﾊﾊﾊ

副長「うう…。らしくもないことを言ってしまったのに…///」

兵士長「そんなことはないさ。やはり、君を選んで本当に良かったみたいだ」

副長「…で、できれば忘れて欲しいんですけど…」ｵﾛｵﾛ

兵士長「なんで？　すごく君らしかったじゃないか」

副長「隊長にだけは聞かれたくなかった…」ﾎﾞｿ

兵士長「？」

副長「い、いえ、なんでもありません！　あはは、あははははは…！」ﾎﾟﾛ!

兵士長「おっと…！　わたしも手伝うよ」ｶﾀ

副長「あ！　す…すいません///」


――――

――

――数日後


兵士長「……というわけで、今はあの子と一緒に勇者を教育している次第です」

国王「うむ…。そういうことであれば問題ない。私がいない間、ご苦労であった」

兵士長「…は」ﾍﾟｺ

国王「しかし、勇者はずいぶんと物聞きがよくなったな。一体なにがあったのだ…？」

兵士長「ん～…、すばらしい教育者が現れたからではないでしょうか？」

国王「？」




ダダッ

　
副長「おら！　あぶないから走るな！」

勇者「ちっ、見つかったか！」

副長「今なんか言ったか？」ｼﾞﾛ

勇者「いえ、なんでもありません！」

副長「よろしい。じゃあ、これ運ぶの手伝え」ﾄﾞｽ!

勇者「ぐえ！　お、重すぎる…！」ｶﾞｸｶﾞｸ


少年「ぼくも手伝うよ！」ﾀﾀｯ

副長「おお！　悪いなあ。さすが、できる男の子供もデキが違うねえ」ﾁﾗ

勇者「ぐ……！　なにかとつけてひかくすんな…！」ｶﾞｸｶﾞｸ

少年「半分持つよ！」ﾋｮｲ

副長「おう！　じゃあ、あの部屋まで行くぞ」

勇者・少年「はーい」


――――

――

副長「ふい～、疲れた～」ｶﾞﾀﾝ

兵士長「ちょっといいか、副長」ｶﾞﾁｬ

副長「う、うわ！　隊長！」ｶﾞﾀﾀ

兵士長「ひとつ…、頼みがあるんだが…」

副長「へ…？　わ、わたしにですか？　な、なんの用でしょうか？」ﾄﾞｷﾄﾞｷ


兵士長「実はな……、一緒に暮らして欲しいんだ」


副長「え？　ええ～～～～～～～～～～！！！？」ｶﾞﾀﾀ!




副長「…………！」//////


副長（な、なんだ勇者とか！　まじでやばかった！！　本当に告白されたかと思った！！）///

副長（……しかし、これはチャンス！　隊長殿に近づく絶好のチャンスだぞ！！）ｺﾞｸ


兵士長「…大丈夫か？　すごい汗だけど…」

副長「いいいいい、いえ！　だいじょうぶ、大丈夫ですから！！」ｱｾｱｾ

兵士長「そうか？　これはあくまでもお願いだから、君が嫌なら断ってもいいんだ」

副長「そそそ、そんなわけありません！！　だれが断るものですか！！！」ｽﾞｲ！

兵士長「？　本当にいいのか？」

副長「え、ええ！　なにせ隊長殿と同居できるのですから！！」ｶﾞｼ!

副長（！？　しまった！！）ｸﾞﾑ

兵士長「？」

副長「ち、違うんです！　その…！　私も勇者の教育の力になれることがうれしいんです！！」

兵士長「おお！　そうか！！　そこまで君は勇者のことを！！　私は本当にうれしいよ！！」ﾆｺ

副長（ちくしょ～～～～！！　なにを言ってるんだわたし！！）ｶﾞｼｶﾞｼ



兵士長「では、先ほど申したとおり、明日からさっそく勇者と君は僕の家で暮らしてもらうよ。いいね？」

副長「はい…」ｼｮﾎﾞｰﾝ

兵士長「私は、早速国王様に報告してくるよ。君は今日は疲れただろ？　準備もあるだろうし、先に帰っててくれ」

副長「はい…」…ｶﾞｸ


――――

――

国王「おお！！　では私の願いを聞き入れてくれるのか！？」

兵士長「はい！　今の状況なら、勇者もそして私の息子も家族としてやっていけるでしょう！」

国王「うむうむ！　すまなかった！　本当に助かるぞ兵士長殿！！」

兵士長「いえ…。国王様のお考えは正しいです。今の勇者に必要なのは、教育よりも人の温もり、家族を知ることです」

国王「うむ…！　多忙の私ではそれを叶える事ができなかった。苦肉の策とはいえ、本当にすまぬお願いをしてしまったな…」

兵士長「大丈夫です。同じ考えの者は国王と私だけではありませんでしたから。彼女がいれば、母親の温かみも知ることができましょう」

国王「おお！　そうなのか！？　そなたそこまでこの国のために…！！」ｸﾞｽ

兵士長「いえ…。お礼なら彼女…、いや副長に申してください。　彼女は本当に良くやってくれています！」

国王「副長か…。うむ。彼女のことは是非覚えておこう！　今度ここに連れてくるがよい！」

兵士長「かしこまりました。彼女も光栄でしょう！」


――――

――

ストックが無くなったので、今日はここまでにします。
明日は投稿できるか微妙なので、数日空くかもです。

おふ！　訂正したいところがあった…もうおそいか…orz

進行のなかで組み込むのが難しいので補足として付け足してもよろしいでしょうか…？

――翌日


勇者「…ここが、家？」

少年「うん！　そうだよ！！　ひろいでしょ！？」ﾙﾝﾙﾝ

勇者「いや…、物置のまちがいじゃないか？」ﾎﾟｶｰﾝ

少年「なんですと！？？」

副長「か～～～！！　これだから貴族まがいのお坊ちゃまは！！」

勇者「な、なんだ！　その言い方は！？」ﾋﾞｸ!

副長「お前がいかに世間知らずなのかよくわかるな！」ﾔﾚﾔﾚ

勇者「なんかすごくむかつく…」ﾑｽ


ガタ！


兵士長「雑談はそのへんにしといてさっさと残りの荷物を運んでくれ！　もうすぐ日がくれるぞ」ﾜｻﾜｻ

少年「あ！　ごめんなさい父さん！！」ﾋｮｲ

勇者「おれの荷物なんてほとんどないぞ！　なんだこれは！？」ｹﾞｼｹﾞｼ

副長「き、きさまあ！　わたしの荷物を足蹴にするなあ！！」ﾀﾞﾀﾞｯ

兵士長「…よいしょっと！　ふう…、これで終わりだな」ｸﾞｲ

少年「つかれた～」ｸﾃ

副長「お疲れ様です。荷物が多くてすいませんでした///」ﾃﾍ

勇者「お、おお…」ﾎﾞﾛ…


兵士長「みんな、今日はすまなかった。お腹もすいたろう？　私が料理をするから、みんなくつろいでいてくれ」

副長「おお！　隊長殿が料理を！？　わ、わたしも手伝います！！」ｷﾗｷﾗ

兵士長「ん？　そうか！　助かるよ！」


勇者「おい…、あのばばあ、おまえの親父にだけたいどがおかしくないか？」ﾎﾞｿ

少年「…？　さあ、なんでだろうね？」

副長「聞こえてたぞ勇者！！」ｽﾞｲ

勇者「ひ…！！」ﾌﾞﾙ

副長「私はまだ２０代だ！！　教育しなおしてやる！！　お姉さんと呼べ～～！！」ｸﾞｵ!

勇者「うわーーーーー！！！」


―――

―

『いただきます！』


副長「……」ｺﾞｸ

少年「モグモグ…　うん！　おいしい！！」

兵士長「…うん。今日のは上出来だ。副長のおかげだな」ﾆｺ


勇者「……おいしい」ﾓｸﾞ


少年「でしょ！？　だからいったじゃないか、父さんの料理はおいしいって♪」

兵士長「そうか勇者くんの口にも合って良かった」ﾆｺ

副長「……」

勇者「…うん、すごく…、すごくおいしいです！」ﾊﾟｸ！

少年「へへへ♪　勇者くんがこんなに喜んでくれるなんて、ぼくまでうれしいな♪」

兵士長「ふふ。おかわりはあるから、どんどん食べてくれよ」

勇者「…はい！　ありがとうございます！」ｶﾞﾂｶﾞﾂ

兵士長「……！」


兵士長（なんだ、本当は素直でいい子じゃないか）ｸｽ

副長「……」ｿｰ…


パク…


副長「……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ…


少年「おねえさん…？」

勇者「…どうした？」

兵士長「ん？」


ゴク



副長「……」


兵士長・少年・勇者「……？」




副長「うまい！！！！」ｶﾞﾊﾞ!


兵士長・少年・勇者「！？」ﾋﾞｸ!


副長「おおお…！！　こ、こんな美味しい料理食べたのなんて初めてです！！　ああ、これが隊長の手料理…！！」ﾌﾙﾌﾙ


兵士長・少年・勇者「……へ？」ﾎﾟｶｰﾝ


副長「うおおおお！！！　美味い！！　美味すぎる！！！」ｶﾞﾂｶﾞﾂ

兵士長「そ、それは良かったな。は…はははは…！」


副長（こ、これから毎日隊長殿の手作り料理を…！　ヤバ過ぎるでしょ…！）ｳﾙｳﾙ


少年「おねえさんなんで泣いてるの…？」

勇者「……」


兵士長「み、みんなに美味しいって言ってもらえてよかったよ。今度は副長に料理してもらおうかな？」ﾆｺ

副長「！？」ﾋﾞｸ!

兵士長「ど、どうかしたかい？」

副長「あ、あの～…、死にたくなければ止めた方がいいと思います…」ｼｮﾎﾞﾝ

兵士長「」



勇者「…おい、お前の親父にぶすぎるだろ…」ﾎﾞｿ

少年「…？　にぶ？　なんのこと？」


勇者（この親子は……）ﾊｱ…


少年「？」

―――


副長「ほら！　飯食ったらさっさと風呂入れ！　隊長殿が入れないだろう！？」ｹﾞｼｹﾞｼ

勇者「ちょ…！　なんでへいしちょーばっかり…！　さっきからおかしくない？」ｼﾞﾛ

副長「う…！　うるさい！　つべこべ言わず入れ！」ｸﾞｲ!

勇者「うわ！　ちきしょ…！　はなせ！！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ


副長「ほら、お前も勇者と一緒に入って来い」ｸｲ

少年「はーい」ﾀﾀｯ


ザバーン…

――

勇者「……つかれた」ﾀﾌﾟ…

少年「そうだね～、こんなに騒がしく動いたのなんて初めてだよ♪」ﾀﾌﾟﾀﾌﾟ

勇者「……楽しかったな」

少年「うん！」ﾆｺ

勇者「……あのさ」ﾁﾗ

少年「ん？　なーに？」

勇者「い、今まで悪かったな…」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

少年「……ぷふ！」ｸｽ

勇者「…おい、わらうな」///

少年「だって勇者くんがあやまるところはじめて見たんだもん」ｸｽｸｽ

勇者「お、おかしいかよ？」

少年「ん、ぜんぜん。わらってごめんね。ぼくはもう怒ってないよ。だからね…、うん。ぼくはきみのことをゆるすよ」ﾆｺ

勇者「……いいやつだな、おまえ」ｸｽ



ドガン！


勇者・少年「！？」ﾋﾞｸ!


副長「てめえら！！　おせえぞ！！　まだ入ってんのか！？」ｽﾞｶｽﾞｶ


勇者「お…おおおお、おま…！」ｱﾜｱﾜ

少年「おねえさん！　ビックリさせないでよ！」

副長「わりいな！　だが、お前らが遅いからだ。もう私も入るぞ。いいな？」ｻﾞﾊﾞｰﾝ

少年「うん！　いいよ！」

勇者「お、おま…おまえ！」ｶﾞｸｶﾞｸ

副長「あん？　てめえは文句あんのか？」ｽﾞｲ


勇者「なんで裸なんだぁ！！！　かくせ～～～～～！！！！！！」


――――

――

――数ヵ月後


副長「起きろ！　ガキども！！」ﾊﾞｻ!

勇者「うう！　さむい！！」ｶﾞﾀｶﾞﾀ

少年「さ、さむ！！」ｶﾞﾀｶﾞﾀ

副長「風邪引きたくなけりゃあ、さっさと起きるんだな。飯も冷めるぞ」

勇者「こ、子供は寝るのがしごただ…」ｶﾞｸｶﾞｸ

副長「ぷ！　口がかじかんでるぞ。さっさと起きろ」


タッタッ


少年「おはよう！　父さん！」ｶﾞﾀ

兵士長「おはよう。しかし、勇者と一緒になってから寝ぼすけくんになってしまったな」ﾎﾟﾝ

少年「ごめんなさい！　でも勇者と一緒に寝るの楽しいんだ！」

副長「うるさくてこっちまで寝ぼすけになりますけど…」ﾌｱｱ…

勇者「ふああ……」ﾊﾟｼﾊﾟｼ

兵士長「ほら、勇者、いつまでも寝ぼけてないで顔を洗いなさい」

勇者「は～い…」ﾀｯﾀ

副長「…あの子も随分素直になりましたね。隊長」

兵士長「そうだな。なんだかんだあってもやはり子供。彼に必要だったのは家族の優しさだったのさ」

副長「そうですね、隊長。私も今となってはそれが良くわかります」

兵士長「ああ、ありがとう。君には本当に感謝している」

副長「」////////

副長（私も、こんな家族で育ったらもっと素直になれたのかな…）

兵士長「おっと、のんびりしてると私たちが遅刻をしてしまうぞ。さあ、食事だ」

副長「はい！」


ワイワイ…


兵士長「…では私たちは城に行くからな。お前達は今日は何も無いんだろう？　おとなしく留守番してろよ」

少年「うん！　街のみんなと遊んでくるよ！！」

勇者「そうします」ｺｸ

副長「いたずらすんなよ？　じゃあな」

勇者「しないって！」


―――


勇者「さてと、どうする？」

少年「う～ん。あ！　そうだ！　街の外をみにいかない？」

勇者「外を？　外はきけんだぞ」

少年「ううん。そとにはでないよ。街壁から外をみるんだ」

勇者「…いいね。おもしろそうだな。いこう！」


ダッタ…

（あれからもう数ヶ月…、くそ！　何で俺が今もこんな仕事をしなきゃならんのだ！！）

元警備長「すべてあいつの…、あの親子どものせいだ！！」ｷﾞﾘ!


ぶつぶつ…


門兵「少ししずかにしてくれないか！　仕事中だぞ！」

元警備長「あ？　貴様だれに向かって口を利いている！？　俺を誰だがわかっているのか！？」

門兵「知らねえよ。お前が何を昔やってようが今は関係ないだろう？　与えられた仕事をやれよ！」

門兵「お前の態度が怖いって、街の住民から苦情が来てるんだぞ！？」

元警備長「なんだと貴様！！」


「おい、またあいつかよ」

「なんであんなやつがここにいるんだよ」

ざわざわ…


元警備長「チッ！　あとで覚悟しておけよ！」ﾍﾟｯ

門兵「ああそうかよ？　あとで上に報告しといてやるからな」

門兵（ちっ！　いつもいつもうるさいやつだ。プライドしかない能無しめ）

「おお！　よく見えるよ勇者！！」

「そうだなあ！　そうぞういじょうだ！！」


門兵「ん？」


「あ、あそこにまものがいるよ！」

「あれはスライムだろ？　たいしたことねーよ」

ワイワイ


門兵「きみたち！　どうやって登った？　そこはあぶないから早く降りなさい」

勇者「あ…、みつかっちった…」

少年「しかたないね。おりよう」


ノソノソ…


門兵「いいかい？　このなかは安全だからといって、なんでもしていいわけじゃないんだ。あそこは君たちの遊び場じゃない。いいね？」

勇者・少年「はーい！」

タッタ…


元警備長（あれは勇者！？　しかもあの時の餓鬼も…！）

元警備長（勇者は俺が教育してきたことを忘れたのか？　よりにもよってなんであんな餓鬼と…！）ｷﾞﾘ


元警備長「おい…。さっきの子供達は？」

門兵「ああ？　知らないのか？　勇者様じゃないか。今は兵士長殿と一緒に暮らしているんだ。さっきのは兵士長殿の息子さんだろう？」

元警備長「ああそうか」ﾌﾟｲ

門兵「質問に答えたのに礼もなしかよ！　ったく！」


元警備長（勇者は今城にいない…？　なんでだ？　まさか家族の温もりとやらを教えるためか？　くだらん！）

元警備長（国王はなにを考えている！　魔王軍がいつ襲ってくるかもわからないのにのんきに生活させている暇があるか！？）

元警備長（これは国の一大事だな、私がどうにかしないと…）

ぶつぶつ…

門兵（うう…、こいつと早く分かれたい）


―――――

――

――城内


警備兵「お疲れ様です姉さん！！」ﾋﾞｼ

副長「おう！　おつかれ！！」

城内兵士「姉さん！　先日の書類の作成が終わりました！」

副長「じゃあ、私の部屋に回しておいてくれ。あとで見とくよ」

城内兵士「かしこまりました！！」

「姉さん！」

「姉御！」

ワイワイ…


兵士長（……どうしてこうなった )


副長「隊長？　どうしました？」

兵士長「い、いや…、だいぶこの城の空気も変わったなと…」

副長「そうですね！　これもすべて隊長の功績であります！！」ﾋﾞｼ!

兵士長（ちがうと思う…）ﾎﾞｿ

副長「？」

兵士長「い、いやー、若い新兵ばかりになったからな。君みたいな姉御肌の先輩がいるのはいいことなのかもしれんな！　たぶん…」

副長「そうですか？　それよりもほら、今日は国王に謁見する日ですよ！　行きましょう！」ｸﾞｲ

兵士長「おお！？」ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ…


――――


国王「待っておったぞ。して、勇者の状況はどうだ？」

副長「はい！　だいぶ私たち、いえ、大人の言うことを聞くようになってくれました」

国王「おお！　そうかそうか！　やはり姉さんの教育はすばらしいな！！」

副長「えへへ♪　そうですか～？」

兵士長「」


兵士長（一番影響されちゃいけない人まで…）ｶﾞｸ


――――

――

更新が滞りすいません。コメントいただき凄く励みになります。
もう少し続きますが、お付き合い頂けると幸いです。

タタタッ


少年「んん？　勇者が見当たんないなあ？」ｷｮﾛ

ガサ！

少年「ん？　そこか！」ｸﾙ!

街の子供「しまった…！」ﾊﾞｯ！

少年「見つけた！　待て～！！」ﾀﾞﾀﾞｯ

「おにがきたぞ～！」

「にげろ～！」

ワー


――

少年（はあ、はあ…、やはり勇者だけが見つかんない…）


少年「さすがだな～」ﾃｸﾃｸ


「きみ？　ちょっといいかい？」


少年「ん？　へいしさん？　どうしたの？」ｷｮﾄﾝ

兵士？「君は兵士長殿の息子さんだよね？」

少年「はい…？」

少年（なんで顔をかくしてるんだろう…？）


兵士？「よかった…！　すまないが、兵士長殿を見かけなかったか？」

少年「え…？　今日は一日おしろにいるはずですけど…？」

兵士？「いや、それがお城の中にはいなかったんだ…、もしかして君は知らないのか…？」ｽﾞｲ

少年「え？　え？　なんのことですか！？」ｿﾞｸ

兵士？「街の外に魔物が出たんだ…。先ほど討伐隊が出撃したのだけど、その後の連絡がない。その中に兵士長もいたはずなんだ…」

少年「ええ！！　父さんは！？　本当に父さんがそこに！？」ｸﾞｲ

兵士？「だからまさかと思って、街中を探しまわってるんじゃないか！！　しかし、君も知らないとなると…！」ｸﾞ

少年「父さんは！？　父さんたちはどこに行ったんですか！！？」ｸﾞｽ

兵士？「討伐隊が向かったのは西の森の奥の洞窟の中だ。でも危ないから君は絶対に行くな！　これから我々が後を追うから！！」

少年「うう！！　わ、わかりました…！」ｸﾞｸﾞ

兵士？「それじゃあ私はひとまず城に報告に行くから、くれぐれも無謀な行動はするなよ！！」

ダッダッ…

少年「は、はい…」



少年（い、いかなきゃ…）

少年（ぼくがいかなきゃ！！）


ダッ…

ザッ…


兵士？（…ちょろいな。やっぱり餓鬼は餓鬼か…）ｶｼｬ!


元警備長（早ければ明日。遅くても数日中に…）ｸｸ

元警備長「ふふ…！　さて…、持ち場に戻るかな」ﾊﾊﾊ！


―――

タタタッ


勇者（へへへ！　おれさまが簡単にみつかるかよ♪）ｻｻｯ

勇者（あいつの気配は…）ｷｮﾛｷｮﾛ


ダダッ！


勇者（っと、あぶねえ！）ｻｯ


タッタ…


勇者（んん？　…なんだあいつ？　あっちはぜんぜんかくれるところなんてないぞ？）

勇者（なにやってんだ。おわらす気ないのかよ…）


勇者「ったく…、おいかけるか」ﾊｱ…


ダッタ…


――――

――

ザッザッ…


門兵「遅いぞ！　任務中に持ち場を離れていけないのはわかってるだろう！？」

元警備長「悪かったな。年をとるとどうもね…」ﾆﾔ

門兵「ちっ…、分かったからさっさと場所に戻れよ！」

元警備長「はいはい…」ｼﾚ

――夜



ドガン！



兵士長「息子はどこだ！！！」ｶﾞﾝ!


兵士『！！』ﾋﾞｸ!


副長「お、落ち着いてください！！　今探してるじゃないですか！！」ﾋﾞｸﾋﾞｸ


兵士長「うるさい！！　どこなんだ！！　何故見つからない！？」ﾄﾞｶ!

副長「ぜ、全員…！　兵士どころか街の住民も総出で探しています！！　わかってるでしょう！？」

兵士長「もう5時間以上経つんだぞ！？　おかしいだろ！？」

副長「子供達の話を聞いて探してますが、見つからないんですよ！！　外だってずっと探してます！！」

ガシ！


副長「ぐ…！」ﾋﾞｸ！

兵士長「言い訳をするな！！」ｶﾞﾝ!

副長「……めてくだ…！」ｹﾞﾎ!

兵士長「見つからないならもっと人員を増やせ！！」ｸﾞｲ!

副長「……！」

兵士「兵士長！　落ち着いてください！！」ｶﾞｼ!

兵士長「うるさい！！　お前らがもっと真面目に探さないからこうなってるんだろう！！　なにやってるんだ！！」ﾄﾞｶﾞｯ！

兵士「う…！！」ｶﾞﾀﾝ!

副長「やめてください！！」


パシ！


兵士長「ぐ…！」ｶﾞｼｬﾝ!


副長「はあ…！はあ…！　…いい加減にしてください！！　…隊長！」ｹﾎ!


兵士長「う……」ｶﾞﾀ…


副長「あなたが…、あなたがしっかりしなくてどうするんですか！！」


兵士長「うう……」ﾖﾛ…


副長「隊長！」ｸﾞｲ!


兵士長「…なら副長、…俺は、俺はどうしたらいいんだ…」ｸﾞｸﾞ


副長「しっかりしてください！　２人を探すんでしょう！？　ここで暴れて何ができるんですか！！」ﾊﾟｼ!


兵士長「ぐ……！」


副長「……門兵の一人が勇者と少年らしき子供を見たと言っていました…！」


副長「もう…、外を中心に探すしかないんです……！　違いますか！！」ｸﾞｸﾞ!


兵士長「……」

副長「…お願いです！　あなたが指揮を…。命令を…、我々に命令してください！」ﾊﾟｼ!


ドス！


兵士長「……」


副長「こんな隊長見たくありません…！！　いつもの…、いつもの私の好きな隊長はどこに行ったんですか！！」ｸﾞｽ


兵士長「……！」


副長「うう…！　うああ…」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ


兵士長「……っ！！」


兵士長「……すまなかった」ﾖﾛ…


副長「隊長…」ｸﾞｽ



ザワザワ……


――

……ガタ


兵士長「…よく聞け。これより捜索隊を再編成する…」


副長「……」ｸﾞｽ


兵士長「…まずは部隊を４つに分けろ。東西南北、それぞれ子供達が行きそうな場所にまずは狙いを定めて探せ」

兵士『りょ、了解しました…！』ﾋﾞｼ


タッタ…


副長「…では隊長…、私も…」ｸﾙ



兵士長「……待ってくれ」


副長「……！」ﾋﾞｸ


兵士長「……本当にすまなかった」


副長「…いえ、お気持ちはわかります…」


兵士長「…俺がしっかりしないといけないのにな…。全部お前の言うとおりだ」


兵士長「勇者もいるのに…、俺は自分の息子のことしか考えてなかった。…最低だな」


副長「…自分を責めないで下さい」


兵士長「…君のおかげで目が覚めたよ。迷惑を掛けた」


副長「…大丈夫です、隊長。…それに荒くれ者の扱いには慣れてますから」ﾆｺ


兵士長「……そうか」


副長「……はい」


兵士長「……」


副長「……」

兵士長「……副長」


副長「……はい」


兵士長「……君に話したいことがある」


副長「……！」


兵士長「だからその前に…、まず謝りたかった」


副長「……いえ、もういいんです」

兵士長「……僕は君が本当に優秀な部下だと思ってたんだ」


副長「え…？」


兵士長「でもそれは間違ってた」


副長「……っ！」ｷﾞﾘ


兵士長「妻のことを思い出したよ。彼女はいつも僕のことを鈍感だって言ってた」


副長「……？」


兵士長「本当にそのとおりだ。だって、今になってようやく君の気持ちが分かったんだから」


副長「……え？」ﾄﾞｷ


兵士長「でも、ごめん。答えがまだ出ないんだ…」


副長「……！」


兵士長「すまない、今はこんなこと話しているときじゃないのに…」


副長「……いいんです」

兵士長「１つだけ、お願いがあるんだ」


副長「……はい？」


兵士長「さっきのは訂正する。ここに残ってくれ…、いや、残って欲しい。今は君に…そばにいて欲しいんだ」


副長「それって…！」


兵士長「だめ…かな？」


副長「い、いえ！　そばにいさせてください！！」


兵士長「良かった…。じゃあ、僕らはここで再度情報を整理しよう。頼めるかい？」


副長「は…はい！！」///


―――

門兵「……一度彼らを見ていたのに…！　私の責任です…！！　私が止めていれば…！！」ｸﾞｸﾞ

兵士長「…もういいんだ、状況はわかった。夜分遅くに呼び出してすまなかったな。下がっていいぞ」

門兵「え…？」

兵士長「ん？」

門兵「わ、わたしを…罰に問わないのですか…？」

兵士長「…問わないよ。一日に何百人と出入りのある場所で君にそこまでの責任は問えないさ」

門兵「うう…！　本当に申し訳ありませんでした！！」

兵士長「気にするな。それより、君にも捜索をお願いしていいかな？」

門兵「は、はい！　直ちに！！」ﾋﾞｼ!


副長「隊長、ちょっといいですか？」


兵士長「どうした？」

副長「たしか門の警備は２人のはず。もう１人の門兵はそのときどこにいたんですか？」

門兵「そ、それは先程申した通りです…。彼はその時厠に行っていました」

副長「それです。ちょうど２人が居なくなったときに門兵が一人になっていました。少し怪しくないですか？」

兵士長「うむ…。そういえばそうだが…」

門兵「…あ！」


兵士長「どうした…？」


門兵「…そ、そういえば、あいつ厠から戻ってきた後、妙にニヤついていました…。それまでは気持ち悪いくらいにブツクサと呟いてたのに…」ｺﾞｸ


兵士長「あいつ…？」

副長「おい…、一体誰なんだそいつは？」


門兵「も、元警備兵長です！　普段から態度が悪くて…、おかしい奴なんです！」


『！？』ｶﾞﾀ!

門兵「！」ﾋﾞｸ


兵士長「まさか…！！」ｿﾞｸ

副長「クソ！　あの変態野郎がいたんだった！！」ｶﾞﾝ!

ドンドン！


兵士長「なんだ！？」


兵士「兵士長殿！　報告があります！！」

兵士長「いいぞ。入れ！」


ガチャ！


兵士「兵長！　西に捜索に出ていた部隊から息子殿の物と見られる靴が見つかりました！！」

兵士長「！！」

副長「子供達は！？」


兵士「い、いえ…靴以外は何も…。ですが足跡が２人分、おそらく勇者殿も一緒に行動していると思います！」

兵士長「…そうか。よくやった！　子供達がどこに向かったかは分かるか？」

兵士「はい。足跡の方向から彼らは迷いの森に向かったと思われます！」

副長「迷いの森！？　あそこは魔物も出るし危険だぞ！？」

兵士長「くそ！　…しかしだいぶ範囲は絞れたか？」

副長「隊長！　すぐに部隊を！！」

兵士長「ああ！　今から捜索隊を再編成する！　すぐに部隊を集めなおせ！！」

兵士「は！！」ﾋﾞｼ！


ダッタ…

副長「隊長。元警備長の方は…？」

兵士長「俺が行く。副長、君は捜索隊を指揮し２人の捜索に当たってくれ」

副長「了解しました！」ﾋﾞｼ!

兵士長「門兵、元警備長がどこにいるかわかるか？」

門兵「は、はい。おそらく自宅にいるかと…」

兵士長「なら君に案内を頼みたい。いいか？」

門兵「はい、大丈夫です！！」

兵士長「よし！　ではすぐに向かうぞ！」ｶﾞﾀ!


副長「隊長！」


兵士長「…副長、なんだ？」

副長「…あいつは危険な男です。油断しないで下さい」

兵士長「そのようだな。一度剣を向けられたことがあるが、かなりの太刀筋だったな…」

副長「はい、私も何度か手を合わせたことがありますが、剣術は相当です…。ただ…」

兵士長「…ただ？」

副長「あいつはプライドの塊です。私に少しでも押されるとすぐ試合を終わらせて勝負をつけませんでした。あいつが本気を出したのを見たことがないんです…。だから…、だから気をつけてください！」


兵士長「そうか」

副長「へ？　隊長？」

兵士長「いや、逆に楽しみになったよ」ﾌﾌ

副長「い、今はそんなこと言ってる場合じゃ…！！」

兵士長「…大丈夫だ。俺があいつのプライドとやらをへし折って、必ずこの報いを受けさせてやる」ｸﾞｸﾞ!

副長「……！」ｿﾞｸ


―――――

――

早ければ、明日の夜、続きを投稿します。

――王都西側迷いの森


「うう……」ｸﾞｽ


勇者「泣くな！　俺さまがいるんだぞ？　しんぱいするな！」ｻﾞｯｻﾞｯ…

少年「うう…、ぼくのせいで…」ｸﾞｽ

勇者「ちがう！　おまえのせいじゃない！！」

少年「ごめん…、勇者くん本当にごめん…！」

勇者「だからあやまるなって！　今はそれどころじゃないんだ」ｻﾞｯ

少年「うう……」ｸﾞｽ


勇者「…くそ！」


勇者（まいったな…、かんぜんにまよってる…。さっきから歩きっぱなしで体もげんかいだ…）


ガサガサ


少年「ひ……！」ｶﾞｸｶﾞｸ

勇者「ちっ！！　逃げるぞ！！　走れるか！？」ｸﾞｲ!

少年「う…、うわ～～～！！」ﾀﾞﾀﾞｯ

勇者「まて！　ひとりで逃げるな！！　おい！！」ﾀﾞｯ


――――

――

ハア…、ハア…


少年「うう…、勇者くん、もう歩けないよ…」ﾖﾛ…

勇者「はあ……、くそ…！　俺もだ…」ﾄﾞｻ!



少年「ここはいったいどこなんだろうね…。ぜんぜん出られない…」ｸﾞｽ

勇者「…ここはまよいの森だよ」ﾊｱ…ﾊｱ…

少年「まよいのもり…？」

勇者「ああ。なまえのとおりさ、おれたちはまよったんだ」

少年「そんな…」ｸﾞｽ

勇者「いいか？　もうこれ以上走りまわるのはきけんだ。おまえももう泣くなよ、体力がなくなるぞ」

少年「……うん」ｺｸ

ぐう～


勇者「…くそ！　はらがへったな…」

少年「…うん」

勇者「おれたちこんなところでしぬのかな…」

少年「うう…、いやだよう…」

勇者「……みんな気づいてるかな…」

少年「……！　父さん…」ｸﾞｽ

勇者「…おまえのおやじが一番しんぱいしてるさ、いまごろおれたちのことさがしてくれてるって」

少年「ぼくがだまされなければ…」ｸﾞｸﾞ

勇者「それはもういい。それよりも今だろ？　寒いし…、なによりもたべものを…」ぐう～

少年「グス…、ぼくもううごけないよ…」

勇者「……わかった。おまえはここにいろ。おれがなにかないかさがしてくる…」ｽｸ

少年「こわいよ…！　いかないで…！」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

勇者「……ごめんな。ぜったいにもどるから…」

少年「うう…。ぜったい…、ぜったいだよ？　勇者くん」

勇者「ああ…、おれにまかせろ！」ｷﾞﾘ


ダッ…


――――

――

――王都城下街、元警備長の屋敷前


兵士長「準備はいいか？」

兵士「は、全員配置に着きました」


兵士長「…よし、では突入する！！」ﾊﾞｯ！

兵士『おお！！』ﾀﾞｯ!!


ドガ！！


兵士長「元警備長！！　出てこい！！」ﾄﾞﾝ!!


ダダダダッ！！


「こちらの部屋には居ません！！」

「こっちも居ません！！」

兵士長「油断するな！！　どこかに潜んでる可能性がある！！　注意して探すんだ！！」ｻﾞｯ


バン！！


兵士長「元警備長！！　いるんだろ！！　出てこい！！」ﾁｬｷ


「この部屋は見たか！？」

「上の階に行くぞ！！　着いて来い！！」


バキ！！


ダダダッ！！

兵士長（広いな…。話には聞いていたがここまでとは…、しかし…）

兵士長「こんなに広いのに他に人が居ないのか？」

門兵「…ええ。警備長の任を解かれてからほとんどの使用人を解雇したそうです。今となっては夜にはあいつしかいません」

兵士長「…そうか」



『居たぞ！！　ここだ！！』


兵士長「！」


「上だ！！　上へ行け！！」

「兵士長がくるまで手を出すな！！」


ダダダ！！


兵士長「見つけたか…、行くぞ！」ﾀﾞｯ!

門兵「は！！」ﾀﾞﾀﾞｯ!


――――

――

ぐう～…


少年（おなかすいた……）

少年（勇者くんがいなくなってからどのくらいたったんだろう…）

少年「うう……」


ガサ…


少年「！！」ﾋﾞｸ!


ガサガサ


少年「ううう…！！」ﾋﾞｸﾋﾞｸ


少年（こわいこわいこわいこわいこわい……！！）


ガサ！


少年「く、くるな…！！」ｶﾞｸｶﾞｸ


勇者「おちつけ、おれだ」


少年「ゆ、勇者くん！！」

勇者「よかった、なにもなかったみたいだな…」ﾎ…

少年「ど、どうだったの…？」


勇者「ごめん…、くらくて…。このくらいしか見つけられなかった…」ﾎﾟﾛ(木の実)


少年「え！？　す、すごい！　すごいよ勇者くん！！」

勇者「そうか？　…へへ。じゃあ少しだけどわけようぜ」ﾄﾞｻ

少年「うん！」

モグモグ…


勇者「…あっちのほうに洞窟があったんだ」ﾊﾟｸ

少年「！」

勇者「たぶんお前が言われたばしょだとおもう」

少年「と、父さんは！？」

勇者「いや…、だれもいなかったよ。入り口しかみてないけど…」

少年「そ、そう…」ｼｭﾝ

勇者「…でもこのままここにいてもきけんだ、いかないか？」

少年「う…うん、そうだね」ｺｸ


――――

――

すいません。明日投稿します。

ありがとうございます！　遅れましたが続きを投稿します。

「おおおおお！！」ﾀﾞﾀﾞｯ!

「うああああ！！」ﾊﾞｯ!


ブオン！


ガッ！

「な！？」ｸﾞｸﾞ

「こ、この…！」ｸﾞｸﾞ!


元警備長「ふん…！　雑魚が！！」ｼｭｯ!!


ズババ！


「ぐわああ！！」ﾌﾞｼｭｯ!

「ぐ……！！」ｶﾞｸ!


「くそ！　なんて奴だ…！」ｼﾞﾘ…


元警備長「さあ…、次はどいつだ？」ｽ…


「く…！」ｼﾞﾘ

「こいつ…！！」ｸﾞｸﾞ


兵士長「止せ！　こいつは手ごわい、俺がやる！」ｻﾞｯ


「兵士長…！　すいません！！」

「みんな下がれ！　負傷者を下に！！」


ザザッ…

元警備長「ふん！　やっときたか…」

兵士長「ためらいも無く味方を斬り付けるとはな…！　クズめ…！」ｷﾞﾘ

元警備長「フハハハ！　貴様のような奴が指揮官だと兵士が弱くてたまらんなあ？　切り応えが無い！」ﾊﾊﾊﾊ!


兵士長「……覚悟はできているみたいだな」ﾁｬｷ


元警備長「はん！　やってみろよ？」


兵士長「……いくぞ！」ｽ…

元警備長「ククク…どちらが強いかはっきりさせようじゃないか…」ｼﾞｬｷ


ダダッ！


兵士長「おお！」


ガッ！


元警備長「ふん！」ﾌﾞﾝ!


キン！


兵士長「はああ！！」ﾀﾞﾀﾞｯ


ガガガガッ！！


元警備長「フハハ！！」ﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞ!


兵士長「おおおおおお！！」


ガガガガッ！！！


元警備長「ハハハ！！」ﾖﾛ


兵士長「そこだ！！」ｼｭﾝ!


スパッ！


元警備長「あん！？　切られた…？」ﾊﾞｯ


タッ……

兵士長「……どうやら剣術は俺の方が上みたいだな」ﾁｬｷ

元警備長「クソが！　舐めやがって！！」ﾂｰ…

兵士長「どうしてこんなことをした…？」ｽ

元警備長「…ふん　餓鬼のことか？　あれはお前のせいだ。責任を取ってもらったんだよ」ｸﾞｲ

兵士長「やはり復讐か…」

元警備長「復讐などではない。これは粛清だ。この国を変えるためのな。そのためには貴様という存在が邪魔なのだ」

兵士長「意味がわからんな…」

元警備長「無能な奴め…。貴様がいるからいつまで経っても勇者が強くならないのだ…」

兵士長「勇者？」

元警備長「そうだ、貴様が国王をたぶらかしたんだろう？　呑気に家族ごっこなどさせおって…！　貴様は勇者を戦士に仕立て上げるつもりはないのか？」

兵士長「言いがかりも甚だしいな。それにあんな小さな子に何ができる？」

元警備長「いつ魔王が攻め込んでくるかもわからんのに何もできないままにしておく奴がいるか！！　戦えるようにするべきなのだ！！」ｶﾞｯ!

兵士長「今はそれより先に学ばせることがある！」

元警備長「はん！　知るか！！　あのガキに戦闘術以外になにを教える必要がある！？　さっさと戦えるようにすればいいんだよ！！」

兵士長「そうか…、お前とはこれ以上話しても無駄なようだな」

元警備長「そうだな！！　貴様は本当に邪魔だと良くわかったよ！　勇者の成長を妨げる弊害だ！！」


兵士長「だったら今勇者はどこにいる？」ｷﾞﾘ


元警備長「…なんだと！？」ﾋﾟｸ

兵士長「勇者も息子の後を追って森に入り込んだんだよ。このままだと２人とも死ぬぞ？　これもお前の計画の内か？」

元警備長「勇者が…？　ちっ！　貴様がそういうふうにたぶらかしたからだ！！　まさか雑魚を助けに行くほど落ちぶれるとはな！」

兵士長「…お前のせいだ」

元警備長「違う！！　貴様がここに来なければこんなことにはならなかったんだ！！　勇者が死んだらお前のせいだぞ！！」ﾋﾞｼ!!

兵士長「…お前には全ての責任を取ってもらう」ﾕﾗ…

元警備長「知らん！！　貴様が勇者に何も教えてやらないからだろう！！　俺だったらこんなことにはならなかった！！」ﾊﾞｯ

兵士長「もう黙れ…、終わりにしてやる」ﾁｬｷ

元警備長「糞が糞が糞が！！　俺に…、この俺に歯向かったことを後悔するがいい！！」ｼﾞｬｷ！

バッ！！


元警備長「ああああああ！！」ﾌﾞｵﾝ!!


ガキッ！！


キン！！


ガガッ！！


兵士長「はああああ！！」ｼｭﾝｼｭﾝ!


ガガガガ！！


元警備長「く……！！」ﾌﾞﾝ!


カッ！


兵士長「遅い！」ｽ!


スパッ！


元警備長「クソ！！」ﾊﾞｯ！


兵士長「ふん！！」ｸｲ!


ドガッ！！


元警備長「ぐ……！！」ｶﾞｼｬﾝ!!


兵士長「……」ﾕﾗ…


元警備長（気持ちわるい動き方しやがる！　あのクソ女よりも早い…！　だけどな…！！）


兵士長「おおおお！！」ｸﾞﾝ!!


ガキッ！！

元警備長「剣の腕は素晴らしいのに…、なぜ勇者に教えてやらん…！！」ｸﾞｸﾞ

兵士長「子供だからだ」

元警備長「…甘いんだよ！　それでこの国が救えるようになると思うのか！？」ｸﾞｸﾞｸﾞ!

兵士長「なるさ！　今、勇者は自分に一番必要なものを得て、立派に成長しているんだ！！！」ｸﾞｲ!


ザシュ！！


元警備長「ぐ…！！　糞が！！」ﾌﾞﾝ!!


兵士長「当たらん！」ﾊﾞｼ!


元警備長「チッ！！　俺はこんなところで死ぬわけにはいかんのだ！！　邪魔するな！！」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ!


兵士長「…まだ言っているのか？　お前が招いた事だろう？　ここでお前の人生が終わるんだ」ﾁｬｷ!


元警備長「ぐ…！！　来るな！！　止めろ！！」ｶﾞｸｶﾞｸ


兵士長「死ね！！」ｸﾞｵ!

バッ！！


元警備長「なんてな！！」ﾆﾀｧ

パパパパパパパ！！


兵士長「な！？」


ボガーン！！！！


兵士長「ぐっ！！？」ﾄﾞｶﾞｯ!!


ドカーン！！

ガシャーン！！


「ぐわああああ！！」

「うあああああ！！」


ガガガガガガ！


兵士長「……っ！！　魔法だと…！？」ｸﾞｸﾞ…


ドカン！！


「うああ！！」

「い、痛い！　腕があ…！！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ


兵士長「おい…！！　全員逃げろ！！　ここは危険だ！！」ﾊﾞｯ!!


ドガ！！


「了解…！」ﾖﾛ

「掴まれ！　行くぞ！！」


ボガーン！！

「全員退避！！」

ダッダッ…

パラ…


元警備長「はは！　ふははははは！！　どうだ！？　見たか！！？」ｽｸ…


兵士長「……まさか仕込み魔法とはな」ｸﾞｲ…


元警備長「そうだ！！　俺は魔法が使えるんだよ！！　名家出身だからな！！　かつての大賢者の血が流れているのさ！！」ﾊﾊﾊ!


兵士長「先祖も悲しいことだろうな……お前みたいな奴が生まれるなんて」ｹﾞﾎ!


元警備長「…ほざいていられるのも今のうちだぞ？　貴様はこれから処刑されるのだ」ﾁｬｷ


兵士長「…それだけか？」ﾖﾛ…


元警備長「……あ？　なんだと！？」


兵士長「今ので俺をやれなかったこと、後悔するんだな…」ﾁｬｷ


元警備長「ふは！　そんなボロボロの体でなに強気になっている！？　今の貴様が俺に勝てるはずが無い！！」ｼﾞｬｷ!


兵士長「…この程度の傷、戦場では幾度と無く経験している。…お前を殺すには十分すぎる体力だ」ｽ…


元警備長「チッ！　このカスが！　私を舐めるな！！」ｸﾞｵ!

ガキン！！


ガッ！！


元警備長「はははは！　どうした！？　俺を殺すんだろ！？」ﾌﾞﾝ!


キン！


ガキ！！


カカカカ！！


兵士長「……！！」ｸﾞｸﾞｸﾞ!


チッ！！


兵士長「……っ！」ﾂｰ…


元警備長「くははは！！　抵抗が弱いぞ！？」ｸﾞｲ!


ドガッ！


兵士長「ぐ……！」ﾖﾛ…

元警備長「ふん！！　もう終わりだな！　死ぬがいい！！」ｽﾞｲ!


兵士長「…まだ！！」ﾊﾞｯ!


ガキッ！


元警備長「しぶといぞ？　いい加減死ね！！」ｸﾞｸﾞ!

兵士長「まだ…だ！！！！」ｸﾞｸﾞ!


ガバッ！


ダダッ


元警備長「おおおおおおおおおお！！！」ｸﾞｵ!

兵士長「あああああああああああ！！！」ﾕﾗ！


ブオン！


スカ！


元警備長「な…！！」


シュン！


ズバッ！！


元警備長「ぐはっ！！」ﾄﾞｼｭ!

チャキ…


兵士長「…終わりだ」ｽ…


元警備長「な…、なぜだ……？　なんで…」ｶﾞｸｶﾞｸ


兵士長「…経験の差だ。お前の剣は生きてないんだよ。明らかな実践不足だ。肝心の魔法も一発だけで全く剣術とかみ合っていない。努力を怠ったな。


元警備長「くそが…！　なめるな…！！」ﾊｱ…、ﾊｱ…


兵士長「唯一誇れるのはそのプライドの高さだけ。…ふん、役に立たんな」ｻﾞｯ…


元警備長「こ、殺す…、貴様を…」ｶﾞｸｶﾞｸ


ザシュ！


元警備長「ぐ……！」…ｶﾞｸ


キン！


兵士長「……」ﾁｬｷ


兵士長（頼む…、みんな無事でいてくれ…）ｻﾞｯ…



――――

――

間隔が滞ってしまい申し訳ありませんでした。続きはほぼできているので近日中には…！

続き投稿します！いよいよ佳境です。

ヒュウウー…


ザッ…ザッ…


ピチャ


少年「！？」ﾋﾞｸ!


勇者「おちつけよ、水だ」

少年「水？　のめるかな…」

勇者「うん…、ちょっとまってろ…」ｽｸ


ペロ


勇者「…だいじょうぶだな。のめる」

少年「や、やった！」ｽｸ!


ゴクゴク…！


勇者「ぷは…！　水がのめただけでもすくいだな」ﾄﾞｻ

少年「うん。風もよわいからこっちのほうがいいね」ﾍﾟﾀ

勇者「…しばらくここで休もうぜ」

少年「うん！」ｺｸ



―――

少年「すぅ…」zzz

勇者「……」


勇者（もうどのくらいたつんだろ…。おれたちがここにいるってだれかきづいてるのかな…）


勇者（おれたちたすかるのかな…）ｼﾞﾜ


がっ！


勇者（くそ…！　おれがちゃんとくんれんしてたらこんなことにならずにすんだかもしれないのに…！！）ｸﾞｽ

ﾞﾙﾙ…


勇者「！？」ﾋﾞｸ!


勇者（なんだ…？）ｷｮﾛｷｮﾛ


ﾄﾞｼ…


勇者（！？　なにかいる…！！）ｶﾞﾊﾞ!


ユサユサ！


少年「う、ううん…」ﾑﾆｬ

勇者「おきろ！！　なにかくる！！」ﾎﾞｿ

少年「ん…、え？　なに…？」

勇者「シ！　しずかに！！　きづかれる！」ｶﾞｼ!

少年「んん？　…ムグ！？」ﾋﾞｸ!

勇者「うごくな！！」ｷﾞｭ!



ザッ…、ザッ…


？「グルルル…」


少年「！！！！？」ｶﾞｸｶﾞｸ!

勇者（ああ…！　まずいまずいまずいまずいまずい！！）ｿﾞｸ


？「……」ｸﾝｸﾝ


勇者（グリズリーだ！！　ばれる！！）ｸﾞｲ!

少年「んん！！」ｽｸ！

勇者「にげるぞ！　本当にやばい！！」ﾎﾞｿ

少年「……！！」ｺｸｺｸ

勇者「いいか？　あいずしたら全力ではしれ！！　もうそれしかない！」ﾎﾞｿ

少年「ううう…！」ｶﾞｸｶﾞｸ！

勇者「く…！」ﾁﾗ

グリズリー「……」ｸﾝｸﾝ


勇者「…おれが時間をかせぐから、おまえはさきににげろ」

少年「…！　そんなのダメだよ…！！」ｷﾞｭ!

勇者「ちがう！　おれは足がはやいんだ、おまえがさきにいかないとつかまるだろ！？」

少年「それじゃあ勇者くんが…！！」ｶﾞｸｶﾞｸ


グリズリー「……！」ﾋﾟｸ


勇者「！」ｿﾞ…


勇者「だめだ！　もうやるしかない！！」ﾊﾞｯ!

少年「勇者くん！！」


ヒュ！


コン！


カラカラ…


グリズリー「！？」ﾊﾞｯ!


「グオオオオオオオオ！！！」ﾄﾞｽﾄﾞｽ!



勇者「今だ！！　走れ！！！」ﾄﾞﾝ!

少年「………うう！！！」ﾀﾞｯ!!

グリズリー「ガアアアアア！！」ｶﾞｽｶﾞｽ!!


勇者（いいぞ！　そのままでいろ…！）ｷﾞﾘ


タッタ…


グリズリー「……！」ﾋﾟｸ

勇者（くそ！　きづかれた！）ｷﾞﾘ

グリズリー「グオオオオオオオ！！」ﾄﾞｽﾄﾞｽ


ヒュン！


カツ！


勇者「おい！！　こっちだ！！　きやがれ！！！」ﾊﾞｯ!!


グリズリー「ガルルルルル！！！」ﾄﾞｼﾄﾞｼ!

少年「！？　う、うわああああああああ！！」ﾀﾞｯﾀﾞｯ


勇者「な！？　ちがう！！　そっちじゃない！！　こっちだ！！」ﾋｭﾝ!!


ガツ！


グリズリー「ガアアアアア！！」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ!


ドスドス！！


少年「ああああああああああ！！！！」ﾄﾞﾀ！


勇者「くそ！！　とまれ！！　とまれよ！！」

グリズリー「ガルルルルルルル！！」ﾄﾞｽﾄﾞｽ!!


勇者「いくな！！　とまれ！！　とまれえ！！！」ﾀﾞﾀﾞｯ!!


グリズリー「グオオオオオオ！！」ﾄﾞｽﾄﾞｽ!


少年「やだ…！！　いやだあああああ！！！」ｶﾞｸｶﾞｸ


グリズリー「！！！」ｶﾞﾊﾞｯ!!


少年「うわあああああああああ！！！！」


勇者「やめろ！！　やめろーーーーー！！！！」ﾊﾞｯ!


カッ！！


バチッ！


グリズリー「ガ！？」ﾋﾞﾘ!


勇者「うわあああああああああ！！！！」ﾊﾞﾁﾁｯ!!


ピカッ！！


バリバリバリバリ！！！


グリズリー「ガアアアアアアア！！」ﾋﾞｸﾋﾞｸ!


勇者「ああああああああああ！！！！」ﾊﾞﾁﾊﾞﾁ！


バリバリバリ…！


グリズリー「グオ……」ﾋﾞﾘﾋﾞﾘ


ドスーン


バリ……


グリズリー「……」

勇者「はあ…！　はあ…！　なんだ…これ…？」ﾖﾛ…


少年「……」ｸﾞﾃ…


勇者「！？」ｽｸ


ダッ…


ユサユサ！


勇者「おい…！　おい！！」ﾕｻﾕｻ


少年「うう…」ﾖﾛ…


勇者「！？　だいじょうぶか！？」ｸﾞｲ!

少年「う、うん…。どう…なったの？」

勇者「まものはたおれた。…たぶん」ﾁﾗ

少年「え…？　うわ！？　…なんで！？　どうして！？」ｷｮﾛｷｮﾛ

勇者「それが…、おれにもよく…」


バチ…


少年「…へ？　勇者くんのうで…、なにこれ…？」

勇者「かみなり…、だよな？」ﾊﾞﾁﾊﾞﾁ

少年「…もしかしてそれで？」

勇者「うん…。みたいなんだ…」ｺｸ

少年「す…すごい！　すごいよ勇者くん！！」ｶﾞｼ!

勇者「え…？」

少年「ぼくたちたすかったんだよ！？　勇者くん！！　きみのおかげだよ！！」ｷﾞｭ!

勇者「おまえ……、へへ！　ありがとうな…」ｶﾞｼ

少年「…とりあえず、もうここを出ようよ」ｽｸ…

勇者「うん。そうだな」


「ガルル…」


少年・勇者「！？」ﾋﾞｸ


グリズリー「ウウウウウ…！」ﾖﾛ…


勇者「ま、まだ生きてたのか…！」

少年「に、逃げよう！！」ｸﾞｲ


グリズリー「…ガアアア！」ﾀﾞｯ


勇者「う、うわあああああ！！」ﾊﾞｯ


ビリ…


勇者「へ…？　あ、ああああやばい！！」ｶﾞｸｶﾞｸ

少年「勇者くんあぶない！！」


グリズリー「ガオオオオオオ！！」ｶﾞﾊﾞ!


勇者「わあああああああ！！！」ﾊﾞｯ!


「やめろおおおおおおお！！！」ﾀﾞﾀﾞｯ!


ズバッ！！


グリズリー「ガアアアアアア……！！」


勇者・少年「！！？」


ドスン…


グリズリー「」


副長「大丈夫か！！」ｻﾞｯ!


少年「！！　お、おねえちゃん！！」ｶﾞｯ!

勇者「あ…うあああああﾞあﾞ！！！！」ﾀﾞｯ


ガシ！！


副長「ああ…！！　良かった！！　２人とも無事なんだな！！　間に合った…！！」ｷﾞｭ!!


勇者「あﾞあ！！　こわかったよおおお！！」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

少年「うわああああああん」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

副長「ゴメン…、本当にゴメンな…！！」ｸﾞｽ


勇者「おそいﾞ！　おそいよお！！」ｸﾞｽ


副長「許してくれ…！　もう大丈夫…、大丈夫だから…！！」ｷﾞｭ!!


わあああああん……



――――

――

タッタ

兵士「副長。部隊の準備が整いました」

副長「よし。２人の応急処置は施したが憔悴が激しい。早く戻ろう」

兵士「はい！」


ザッ…


少年「……」zzz

勇者「……」zzz


副長「ふふ……」ﾆｺ


スク…


副長「……」ｽﾀｽﾀ


グリズリー「」


副長（光が見えたから急いで来たが…、やはりこれは…）ｺﾞｸ


「副長。行きましょう」


副長「あ、ああ。じゃあ２人を馬に乗せるのを手伝ってくれ」ｻﾞｯ



―――――

―――

今回はここまでです。だんだん終わりが近づいてきました。
また数日投稿が空くと思います。遅筆で申し訳ありません。

書き進めは順調ですが、落ち着いて見直しと投稿できる時間が作れそうなのが金曜になりそうなので、金曜日の夜に
続きを投稿します。

今更ですが、この作品には日常系パートが多く入ります。個人的にシリアスな話を書くよりもほのぼの系の方が楽しいし
次への話も書きやすいので。そういった意味でみんなに楽しんでいただけたらなと思います。
というわけで、以降今作にシリアスな話はもうありません。あとはどう前作に、そして今後に繋がるかです。

お待たせしました。今日はかなりの量が投稿できそうです。これまでで一番長いかも(笑)

――翌日




ザッ…


兵士長・副長「……」


国王「…昨日は大変だったな」

兵士長「はい。この度はご心配をお掛けし誠に申し訳ありませんでした…！」

国王「よいのだ。此度の元警備長の乱行の原因は私にもある…。苦労をかけてしまったな」　

兵士長「そのようなことはありません、昨日起きたことは全て私の責任です。
　　　　私の考えと指揮が甘かったばかりに多くの兵が傷つき、子供達を危険に晒してしまいました…」

国王「…自分を責めるな。お主の働きがなければ、もっと深刻な事態になっていただろう」

兵士長「お心遣い、感謝致します。しかしあいつを野晒しにしてしまったのは私です。本当に申し訳ありませんでした…」

副長「隊長……」

国王「兵士長、私は誰の責任も問うつもりなどない。皆が無事であったのであれば、もうそれで良いではないか」

兵士長「国王がそうおっしゃるのであれば…」

国王「気にしなくてよい。お主には感謝しているのだ。これからもよろしく頼むぞ」

兵士長「…厚いご好意、感謝の言葉もありません」

――


国王「して、勇者が力に目覚めたのは本当なのか？」

副長「はい。洞窟で襲撃された魔物にもその痕跡が残っていました」

国王「そうか…。、不本意な状況ではあったが、ついに聖雷の力を使えるようになったのか…」

兵士長「ええ。そのようです」

国王「…うむ。ところで２人の様子はどうだ？」

兵士長「昨日の晩に戻ってからこちらの医務室で休ませています。傷の処理は施しましたが、やはり疲れがあるようで…、まだ２人とも眠っています」

国王「そうか、しかし本当に無事で良かった。お主達も疲れているだろう。あとはゆっくり休むといい」

兵士長・副長「はは！」ｻﾞｯ


―――

―

スタスタ…


副長「…終わりましたね」

兵士長「ああ…。すまなかったな」ｶﾂ…、ｶﾂ…


副長「…ああ！　良かった～！！　本当に良かった…！」

兵士長「…そうだな」

副長「隊長！　私すごく心配してたんですよ？　もしかしたら隊長の責任を問われるんじゃないかって…」

兵士長「…俺もそう思っていたんだけど」

副長「ダメですよ！！　絶対自分から責任取るとか言わないで下さいね！？　王様も良いって言ってたんですから！！」ｷﾞｭ!

兵士長「……うん」

副長「絶対に辞めさせませんよ？！　隊長がここに居ないんだったら私も辞めます！」

兵士長「副長…」

副長「隊長の性格がわかってるから心配なんです…！」

兵士長「……わかったよ、ありがとう」

副長「約束ですからね！！」ｷﾞｭ!

兵士長「…ああ、続けるよ。俺がやらなくちゃダメだよな」

副長「そうです！　その意気です！！」

兵士長「うん。本当にありがとう。君のおかげだ」

副長「いいんですって、気にしないでください♪」ﾆｺ

兵士長「…ああ！」

スタスタ…


副長「ところで隊長…、昨日のことなんですけど…、あの…その…」///


兵士長「……わかってる。悪いけど、もう少し時間をくれないか？」

副長「う……、そうですよね…」ｼｭﾝ…


タッタ


警備兵1「兵士長！！」


副長「！！」ﾋﾞｸ!

兵士長「ん？　どうした？」


警備兵１「大丈夫でしたか！？　まさかクビだなんてことは…！」


ダダダッ


警備兵２「兵士長！　辞めないでください！！　お願いします！！」ﾊｱﾊｱ…!


副長「な、なんだお前ら…！？」


警備兵３「俺達が悪かったんです！　もっと注意深く警備していればこんなことにならなかったのに！！」ｷﾞﾘ!

警備兵４「みんなで署名集めたんです！　絶対にここに残ってもらいたくて！」



兵士長「君達…」


「兵士長！」

「警備長！」


兵士長「ふふ…、悪かったな。心配掛けた。でも大丈夫だよ、俺は辞めない」


「本当ですか！？」

「良かった！！」


ワーワー！


副長「…なんだよお前ら。私だけかと思ってたのに…」ｸﾞｽ

兵士長「そうみたいだな。俺は本当に良い部下に巡り会えたよ」ﾌﾌ

副長「そうですね」ﾆｺ


――――

――

ダダッ！


医者「これ！　待たんか！」ﾊﾞｯ!


ヒョイ！


勇者「へ！　もうだいじょうぶだって！　ここにいてもつまんないんだよー」ﾀﾀｯ

少年「勇者くん！」ｱﾀﾌﾀ


医者「まだ終わっておらん！　待ちなさ…！　ウッ！」ｺﾞｷ!

少年「！！　おじいちゃん！？」ｱﾜｱﾜ

勇者「うわ…！　やべ…」ｿﾞｰ…



――



副長「ったく！　昨日の今日でもうこれかよ！？　元気すぎんだろ？！」


勇者「ごめんなひゃい…」ﾋﾘﾋﾘ

少年「だからいったのに…」

副長「ちゃんと先生に謝っておけよ？　あの様子じゃ当分起きれなそうだからな！」ｽﾞｲ!

少年「……！」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

勇者「はひ！」ﾋﾞｼ!

副長「それと…、お前は今日ここに泊まれ。罰だ」

勇者「ひどい…！」

副長「当たり前だ。さっきまでずっと寝てたくせに。まだ疲れてるんだよ。怪我だって治ってないだろ」

勇者（それはあんたのせいだろ！）ｸﾞ!

副長「ん？　なんか言ったか？」ｽﾞｲ

勇者「いえ！　よろこんでとまります！」ﾋﾞｼ!

副長「よろしい。じゃあ私達は家に戻るからな、お前は大人しくしてるんだぞ。いいな？」

勇者「は～い…」ｼｮﾎﾞ…

副長「ほら、行くぞ」

少年「勇者くん…」

勇者「…いけよ。隊長のおいしいごはんがまってるぞ」ｸﾞｲ

少年「うん。…ごめんね」

勇者「いいって、ぶっちゃけ体がだるいのはたしかだしな。ここで寝るのもなれてるからだいじょうぶさ」

副長「そういうことだ。さ、行くぞ」ｽﾀｽﾀ

少年「…はい！」ﾀﾀｯ

勇者「じゃーなー」ﾊﾞｲﾊﾞｲ

――




ギシ…



勇者（……）



ビリ…



勇者（これがおれのちから…）ﾊﾞﾁ


ビリリ


勇者（おれってほんとうに勇者だったんだな）ﾊﾞﾁﾁ




勇者「……」




…スク




スタ




テクテク…



ガチャ



テクテク…




――

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　　　　　　　　ゴガギーン
　　　　　　　　　　　　　ドッカン
　　　　　　　　　ｍ　　　　ドッカン
　　＝＝＝＝＝）　）)　　　　　　　　　☆
　　　　　 ∧_∧ |　|　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　　　（　　　）|　|＿＿＿＿＿　　　　∧＿∧　　　＜　　おらっ！出てこい>>1
　　　　　「　⌒￣　|　　　|　　　　||　　　（´Д｀　）　　　　＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

　　　　　|　　　/ ￣　　　|　　　　|/　 　 「 　　　＼
　　　　　|　　　|　|　　　　|　　　　||　　　 ||　　 /＼＼
　　　　　|　　　 | |　　　　|　　　　|　　へ//|　　|　　| |
　　　　　|　　　 | | 　　　ﾛ|ﾛ　　　|／,へ ＼|　　|　 | |
　　　　　|　∧　| |　　　　|　　　　|／　　＼　　/　（　）

　　　　　|　|　|　|〈　　　　|　　　　|　　　　　|　|

　　　　 / /　/ / |　　/ 　|　　　 〈|　　　　　|　|
　　　 / /　 / /　|　　　　|　　　　||　　　　　 |　|
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　:||:: ＼なんだ、こいつは！！　　　　／　＼みんな～　　　　　／
　:|| :: 　￣￣￣￣￣￣￣￣￣∨￣￣　　　　￣￣￣∨￣￣￣

　:||:: 　 ＿＿＿　　　　 　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　　 ／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　:||　　|　　　　 |　　　　　　|￣￣∧_∧ ||　　＿＿＿＿＿||::　　　 ∧＿∧　＜ うわっ！ 出て来た！！
　:||　　|＿＿＿|　　　　　　|＿..（　´Д｀） ／　　＿＿＿ 　＼:　 　（｀Д´　）　 ＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　:||　　|＿＿＿|　　　　　　|／⌒　　　 ／　　　|´･ω･`.|　　 ＼　/ 「 　 　＼ ::.
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１の母です１の父です１の兄です１の弟です１の姉です１の妹です１の祖父です
１の祖母です１の伯父です１の伯母です１の叔父です１の叔母です１の曾祖父です
１の甥です１の姪です１の従兄です１の従姉です１の従弟です１の従妹です
１の曾祖母です１の息子です１の娘です１の孫です１の曾孫です１の玄孫です
１の消防時のｸﾗｽﾒｲﾄです１の消防時の担任です１の卒業消学校の校長です
１の今（厨房時）のｸﾗｽﾒｲﾄです１の今の担任です１の現厨学校の校長です
１の家臣です１の御家人です１の右大臣です１の左大臣です
１の主治医です１の看護婦です１の入院している病院の院長です
１の背後霊です１の家に居る呪縛霊です１の先祖です１の家の仏壇です
１の使用ストⅡキャラです１がやってるDQの主人公です１がやってるFFの主人公です
１のエクソシストです１の占い師です１の体内に金属片を埋めた宇宙人です
１のPCです１のMOです１のマウスです１のキーボードです１のプリンターです
１の精子です１のﾃｨﾑﾎﾟです１のチン毛です１のﾃｨﾑﾎﾟの皮です１のﾃｨﾝｶｽです
１が毎日ｵﾅｰﾆする時に使っている布です１の胸毛です１の脇毛です１の鼻毛です
１のツアー添乗員です１を泊めた宿の主人です１を泊めた宿の女将です
１の先輩です１の後輩です１を轢いたトラックです１を中央線三鷹駅で轢いた電車の運転士です

　今　回　は　1　が　こ　の　よ　う　な　ス　レ　ッ　ド　を　立　て　て　し　ま　い　誠　に　申　し　訳

　ご　ざ　い　ま　せ　ん。　こ　の　板　の　住　人　の　方　々　に　深　く　お　詫　び　し　ま　す。

ガチャ





スタスタ




勇者「……」




トントン



勇者「…いるんだろ？」







勇者「でてこいよ」







「……」





カタ




「……だれかと思ったら、またあなた？」




勇者「ひさしぶりだな」

アフィカスってさあ、生きてる価値無いよな、人に依存してだらけで自分じゃ何も出来ない、まさに人間のクズみたいなものじゃないか
依存する人間は自分が無いとか言うけどこの場合っていうのは自分が無いと言い訳して楽してるだけだよね依存生活楽しいですか？
本当にアフィカスという人種は生きてる意味すらもないような奴らだよね自分じゃ何も生まないし、その癖他人のものをさも自分のもののように扱う
何度も繰り返してるようで悪いけれどもアフィっていうのはやっぱりそういう劣等人種なんだと思う劣等っていうか生まれつき劣ってるっていうか
そう、いわゆる障害者なんだよ自分で稼ごうとしても稼げないみたいなアイディアが無いみたいな哀しい哀しい生きてる価値もない障害者
つまらない人間と言い換える事もできるね、とにかく幼い頃からきっと他人に依存しないといけないみたいな障害に悩まされてきたんだよ
一種の青春病であってそこを責める事は出来ないとも最近思い始めてきたよそういう病気だもん、そういう人種だもん、クズだもん、そういう障害者だもの
そうでもなきゃこんな事考え付かないでしょ、「人の会話をコピペしてブログにまとめて金儲けする」とか普通は考えないよ
昔から日本には他人の褌で相撲を取るとかあるけど、そんな次元じゃない、他人の会話で金儲けするとか流石に無いですわ
ほら最近忍者の里の新ルールだとか何だとかで「転載禁止言えといわれても書かなかったら水遁」とか出来たじゃん
いや実はそのルールの議論の中心人物俺なんだけど、だけど早く実施してほしいもんだよ、まだまともに聞かれてないみたいだから
バカは死ななきゃ治らないだとか言うだろ？アフィは水遁でもされて痛い目でも見なきゃ判らないんだよ、●持ってるだろうからVIP二度といきたくなるぐらい絶望の淵に叩き落されるぐらい
だから何十回でも何百回でも水遁されて何百回でも何千回でも後悔して何千回でも何万回でも金銭難の地獄に叩き落せ
クソアフィブログはそうしてついに潰えるんだよ、「ブログ読者の皆さん……クリック……して」といいながら哀しく死ぬんだ、それがアイツらの遺言にしてアイツらにふさわしい最後だ
悪いが俺はクソアフィには人権なんてないと思ってる、アフィは死んでも永遠に浄化されないとも思ってる、クソアフィは生きてても価値なし死んでも価値無し、つまり永劫価値なしな奴らだから
どんなに悪行をしてきたことか、どんなに人の迷惑だったことかお前らも考えてみろ
アフィカスが全滅したらきっと世の中はより平和になることだろうなあ、と常日頃から考えてるよ俺は、アフィの全滅について真剣に考えてるよ俺は
大体自演とかしてまでスレ作って何が楽しいのかが判らないよ、俺ぐらいになると何個ものクソアフィスレと対立してきたわけだが
そのたびにクソアフィの自演とクソアフィの自演とクソアフィの自演とあからさまなクソアフィが出てきてうんざりするわ、クソアフィは生きる楽しみもしらないのか
自演は俺も何百回とやったことあるから言えるけどあれは全然つまらないよ、正直何が楽しいのかわからないまっとうな人間なら拒否反応しめすレベルのつまらなさだよあれは
そんなことをしちゃうあたりやっぱり人間から外れた人権が通用しないような障害者なんだなあ、と思うよクソアフィ管理人は
ほら、このスレからもひしひしと伝わってくるだろ、このスレに巣食うクソアフィのキチガイさが、異常者ってことが
アイツらはやっぱり人間じゃないんだよ、他の人間を金儲けの道具ぐらいに考えてるキチガイなんだよ、金の亡者なんだよ、それすなわちクズね
とりあえず俺らに出来る事はクソアフィカスを発見次第水遁の報告にする事と全力で潰す事だと俺は思うね、やっぱりクソアフィは粘りっぽいから、生活かかってるからこっちも本気で行こう
向こうが生活かけてるならこっちは命とか魂とかかかえてクソアフィを潰すために全力で突撃しよう、そうでもしなければクソアフィは潰せない
いまこのVIPにどれだけのクソアフィカスが潜伏してるとか全く知らないけどこれだけはわかる、このVIPはいつのまにかクソアフィの巣窟に変わっていたということ、それはわかるんだこんな俺にも
だからそれら全部全部摘んでクズカゴに捨てるのはとても哀しくてとても長い長い凄まじく長い作業だとは思うが、どうにかしてクソアフィカスを追い出そう
それが俺らがVIPのために出来ることの一つで、水遁なんかよりもよっぽど大切な事だ、クソアフィを破壊する、そういうことに意気込んでいこうぜ
そしてクソアフィが全部潰滅してアフィブログも解散してクソアフィの生活難報告でも出されたりしたらみんなで祝おうじゃんよ
いっぱい苦労した分だけその時の喜びは大きい、この文章も4096文字ぴったり、埋め立てに最適

ス…


少女「そうね。火遊びに厭きてもう来ないかと思ったのに」ｽﾀｽﾀ…


勇者「いや、今はここにすんでないからな。きたくてもこれなかっただけだし」


少女「…ふーん。で？　わたしになんのようかしら？」


勇者「きまってるだろ。かりをかえしにきた」


少女「あら。また痛い目に会いたいの？」


勇者「ちがうよ。けんかするつもりなんかない。どうせ勝てないし」


少女「そうね。じゃあどうするつもり？」


勇者「…おまえ、なまえは？」


少女「教える必要はないわ」


勇者「…じゃあいいや」


少女「…ずいぶんと落ち着いたわね？　前と印象が違う」


勇者「そうだろうね。…わかったんだよ」


少女「わかった？　なにが？」


勇者「……おれは勇者だ」


少女「また…？　変わってないじゃない」

勇者「……」ｽ…



…バチ



ビリリ…！



少女「！！　それは…！？」


勇者「…おれのちからだ。これが勇者のしょうこだ」


少女「……」


勇者「どうだ。おどろいたろ？」ﾊﾞﾁﾁ


少女「……」


少女「…そうね。あなたが勇者だって、本当に認めてあげるわ。くやしいけどそんな魔法私も知らない」


勇者「へへ！　そうか。じゃあこれでかりはなしだな！　おあいこだ」ﾆｯ

アフィカスってさあ、生きてる価値無いよな、人に依存してだらけで自分じゃ何も出来ない、まさに人間のクズみたいなものじゃないか
依存する人間は自分が無いとか言うけどこの場合っていうのは自分が無いと言い訳して楽してるだけだよね依存生活楽しいですか？
本当にアフィカスという人種は生きてる意味すらもないような奴らだよね自分じゃ何も生まないし、その癖他人のものをさも自分のもののように扱う
何度も繰り返してるようで悪いけれどもアフィっていうのはやっぱりそういう劣等人種なんだと思う劣等っていうか生まれつき劣ってるっていうか
そう、いわゆる障害者なんだよ自分で稼ごうとしても稼げないみたいなアイディアが無いみたいな哀しい哀しい生きてる価値もない障害者
つまらない人間と言い換える事もできるね、とにかく幼い頃からきっと他人に依存しないといけないみたいな障害に悩まされてきたんだよ
一種の青春病であってそこを責める事は出来ないとも最近思い始めてきたよそういう病気だもん、そういう人種だもん、クズだもん、そういう障害者だもの
そうでもなきゃこんな事考え付かないでしょ、「人の会話をコピペしてブログにまとめて金儲けする」とか普通は考えないよ
昔から日本には他人の褌で相撲を取るとかあるけど、そんな次元じゃない、他人の会話で金儲けするとか流石に無いですわ
ほら最近忍者の里の新ルールだとか何だとかで「転載禁止言えといわれても書かなかったら水遁」とか出来たじゃん
いや実はそのルールの議論の中心人物俺なんだけど、だけど早く実施してほしいもんだよ、まだまともに聞かれてないみたいだから
バカは死ななきゃ治らないだとか言うだろ？アフィは水遁でもされて痛い目でも見なきゃ判らないんだよ、●持ってるだろうからVIP二度といきたくなるぐらい絶望の淵に叩き落されるぐらい
だから何十回でも何百回でも水遁されて何百回でも何千回でも後悔して何千回でも何万回でも金銭難の地獄に叩き落せ
クソアフィブログはそうしてついに潰えるんだよ、「ブログ読者の皆さん……クリック……して」といいながら哀しく死ぬんだ、それがアイツらの遺言にしてアイツらにふさわしい最後だ
悪いが俺はクソアフィには人権なんてないと思ってる、アフィは死んでも永遠に浄化されないとも思ってる、クソアフィは生きてても価値なし死んでも価値無し、つまり永劫価値なしな奴らだから
どんなに悪行をしてきたことか、どんなに人の迷惑だったことかお前らも考えてみろ
アフィカスが全滅したらきっと世の中はより平和になることだろうなあ、と常日頃から考えてるよ俺は、アフィの全滅について真剣に考えてるよ俺は
大体自演とかしてまでスレ作って何が楽しいのかが判らないよ、俺ぐらいになると何個ものクソアフィスレと対立してきたわけだが
そのたびにクソアフィの自演とクソアフィの自演とクソアフィの自演とあからさまなクソアフィが出てきてうんざりするわ、クソアフィは生きる楽しみもしらないのか
自演は俺も何百回とやったことあるから言えるけどあれは全然つまらないよ、正直何が楽しいのかわからないまっとうな人間なら拒否反応しめすレベルのつまらなさだよあれは
そんなことをしちゃうあたりやっぱり人間から外れた人権が通用しないような障害者なんだなあ、と思うよクソアフィ管理人は
ほら、このスレからもひしひしと伝わってくるだろ、このスレに巣食うクソアフィのキチガイさが、異常者ってことが
アイツらはやっぱり人間じゃないんだよ、他の人間を金儲けの道具ぐらいに考えてるキチガイなんだよ、金の亡者なんだよ、それすなわちクズね
とりあえず俺らに出来る事はクソアフィカスを発見次第水遁の報告にする事と全力で潰す事だと俺は思うね、やっぱりクソアフィは粘りっぽいから、生活かかってるからこっちも本気で行こう
向こうが生活かけてるならこっちは命とか魂とかかかえてクソアフィを潰すために全力で突撃しよう、そうでもしなければクソアフィは潰せない
いまこのVIPにどれだけのクソアフィカスが潜伏してるとか全く知らないけどこれだけはわかる、このVIPはいつのまにかクソアフィの巣窟に変わっていたということ、それはわかるんだこんな俺にも
だからそれら全部全部摘んでクズカゴに捨てるのはとても哀しくてとても長い長い凄まじく長い作業だとは思うが、どうにかしてクソアフィカスを追い出そう
それが俺らがVIPのために出来ることの一つで、水遁なんかよりもよっぽど大切な事だ、クソアフィを破壊する、そういうことに意気込んでいこうぜ
そしてクソアフィが全部潰滅してアフィブログも解散してクソアフィの生活難報告でも出されたりしたらみんなで祝おうじゃんよ
いっぱい苦労した分だけその時の喜びは大きい、この文章も4096文字ぴったり、埋め立てに最適

少女「…怒ってるかと思ったけど、あなた変わったのね」


勇者「だから言ってるだろ。わかったんだって」

少女「ふーん…。それを言うためだけにわざわざここに来たの？」

勇者「だってここはおれのほんとうの家だぞ？　おまえがほんらいはぶがいしゃじゃないか」

少女「それもそうね」

勇者「べつにおまえがだれでももういいよ。わるいやつじゃなさそうだし」

少女「あら。ありがとう。じゃあこれからもここは利用させてもらうわね」

勇者「おすきに。おれは本なんてきょうみないし」

少女「もったいない。本ほど知識の探求に秀でた道具はないわよ？　なによりも一人の時間を作れる」


勇者「……おまえほんとうにこどもか？　ともだちいないのかよ」

少女「ともだち？　そんなもの必要ない。あなたとも"お友達"になるつもりなんてないから」ｼﾗ


勇者「…そうかよ。かってにしろ」

少女「そうさせてもらう。じゃあ私もう帰るから。この本借りていくわ」ｽ

勇者「どーぞ」


ポウ…


少女「じゃあね」ﾊﾟｱ


パシュン！


……



勇者（あいつほんとうになにものなんだ…？）



――

……ーン


スタ！


テクテク…



ポス！



少女「……」ｶﾞﾀ



ス…



ペラペラ…



少女（参ったわね…。あまり関わりたくないのに…）



ペラペラ…



少女（もうあいつに出会わないようにしないと…。めんどくさいわ）ﾊｱ…



ペラペラ…



ピタ



少女（…この魔法は使えそうね。あのくらいの頭なら簡単に掛かりそうだわ）ｽ…



カキカキ……




……




…トン




少女（友達か…）



少女「友達なんていらない…」ﾎﾞｿ



――――

――

――数日後


バリリ…！


ピシャ！


『おお！！？』ｻﾞﾜ!


国王「すごいな…！　まさかこの年でここまでの力を発揮できるとは…！」

兵士長「まだ大人一人を気絶させる位の威力しかありませんが、それでも大したものです」


勇者「へへ！！　見たか！！」ﾌﾞｲ!


「すごいぞ勇者！」

「いいぞー！！　もっとやれー！！」


ヒューヒュー！


副長「さすがに城中大騒ぎですね。既に他の街にも勇者の噂は広まっているみたいですよ」

兵士長「そうだろうな。みんなの希望が、本当に現実のものになりそうなんだから」

国王「うむ。これが各地の兵達の鼓舞に繋がるのであれば大変良いことだ」

副長「さすが国王！　わかってますね！」

国王「そうだろう？　私だって皆の気持ちくらい理解しているんだ。それなのに…」ﾊｱ…

兵士長「国王…」

副長「それなら私が国王の相談にのります！　悩んでばかりじゃ体に悪いですよ」

兵士長「…え？」

国王「おお…、そうかそうか…。私に畏縮せずに話してくれるのはお主達くらいだ。本当に良い臣下が来てくれた。うれしいぞ」

副長「そんなことはありません。私なんて兵士長がいなければただの生意気な雑兵ですよ？」

兵士長「ちょ、ちょっと…」

国王「いやいや、冗談ではない。お主は剣の腕も立つし部下からの信頼も厚い。立派な臣下だ。おまけにべっぴんさんだしな」ﾊﾊﾊ

副長「やだ！　照れるじゃないですか！」ﾊﾟｼ

国王「はははは！　もっと早くに姉ちゃんが来てくれてたらな。こんなに楽しいのは久々だぞ！」ｶﾞｼ

副長「はい！　私でよければいつでもお力になります！　今日は飲みましょう！」ｷﾝ

国王「おお！　すまんな！　今日は無礼講だ、姉ちゃんも気にせず飲め！」

副長「国王！　私をなめないで下さい？　酒の席で失敗したことはないですよー？」

国王「本当か？　じゃあ、私と勝負するか？　こう見えて酒には強いぞ？」

副長「いいですねえ！　どっちが最後まで酔いつぶれないか、勝負です！！」

国王「ふふふ。若いもんには負けんよ」ﾆﾔ

副長「後悔させてあげましょう」ﾌﾌﾌ


カンパーイ！


ワイワイ…、ハハハ！


兵士長「……」ﾁｰﾝ

ザワザワ…


勇者「ふー、つかれた～」ｸﾞﾃｰ

少年「おつかれさま！　はいこれ」ｺﾄ

勇者「さんきゅー」ｶｼ！　ﾓｸﾞﾓｸﾞ

少年「きょうはほんとうにお祭りみたいだね。街のみんなも集まってるよ」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

勇者「そうだなー。まさかここまでもりあがるなんておもってなかったよ。おれってここまで人をよろこばせることができるんだな…」

少年「うん。そうだよ！　よかったね」ﾆｺ

勇者「ああ。……ふふ、こればっかりはあいつに感謝しないとだな」ﾆﾔ

少年「そうだね。…ふふ、あはは！」

勇者「はははは！」


ケラケラ

「ちょっといいかしら？」



勇者「ん？」ｸﾙ

少年「？　…だれ？」ｷｮﾄﾝ


少女「それ、わたしにもくれない？」


勇者「おまえか。いいよ、ほら」ｽ…

少年「？？」


パシ


少女「…ありがと」ｶﾀ


パク


少女「……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ


勇者「どうだ、うまいだろ？」

少年「？？？」


…ゴクン


少女「……まあまあね」ﾊﾟｸ


勇者「そう言いながら食べてるじゃん」


少年「…勇者くん。しりあい？」

勇者「そんなとこ。なまえはしらないけど」

少年「なんで？？」

勇者「それはあれだ。こいつにきいてくれ」ｸｲ

少女「……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ


少年「ね、ねえ…？」


少女「……」ﾊﾟｸ　ﾓｸﾞﾓｸﾞ…


少年「ぼく　　っていうんだ。きみ、なまえは？」


少女「……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ


少年「あのー…」


少女「…じゃま」ｼﾞﾛ


少年「う……！」


勇者（こいつでもだめだったか…）

少年「ううう…、この子こわいよ勇者くん…」ｸﾞｽ


勇者「おい。おれのしんゆうをむしすんなよ。本かさないぞ？」


少女「……あら、そうだったの。それはごめんなさい。あやまるわ」ﾍﾟｺﾘ


勇者「…ひでえたいど、まるでだれかさんみたいだな」ﾊｱ…

少年「それじぶんのことだよ……」ﾎﾞｿ


少女「ところであなた。ここでなにしてるの？」


少年「……ぼく！？」ﾋﾞｸ

勇者「ええ！？　それはじぶんのほうでしょ？！　ぶかいしゃじゃん！」


少女「そんなことはどうでもいい。あなただれ？」ｽﾞｲ


少年「…うう！　さっき言ったのに…！　…ぼくは　　だよ！　父さんがここでけいびへいちょうをやっているんだ」


少女「兵長？　じゃあお偉いさんの子供ってこと？　なんだ、ただの子供じゃない」


少年「うう！！」ｶﾞｸ…


勇者「おい！　父親はかんけいないぞ！　こいつはおれのしんゆう！　それだけでじゅうぶんだろ！」


少年「ううう…」ｸﾞｽ

勇者「おれのともだちになんてたいどだ！　あやまれ！」


少女「……やだ」ﾌﾟｲ


勇者「な…！　おまえなあ！　なにがしたくてここにきたんだよ？」


少女「…おなかがすいただけよ。たまたま来たらパーティーをやってるんだもの」


勇者「どうやって入ったかはしらないが、ここにいるならルールはまもれ！　おれのしんゆうをばかにするな」


少女「はあ…。そう、じゃあそうするわ。ここの本を借りづらくされるのは私もいやだし。…謝るわよ」


勇者「はじめからそうしろ」

少年「うう……」

ス…


少女「　　って言ったわね？　悪かったわ。許して」


少年「……え？」ﾋﾞｸ


少女「…ほら。握手。仲直りしないの？」

勇者「たちばがぎゃくだろ…」


少年「う、うん…」ｽ…


パシ！


少年「！」ﾋﾞｸ!


少女「はい。これで仲直り。彼も許してくれたって」ﾊﾟﾝﾊﾟﾝ…


少年「えええ？」

勇者「……」ｼﾞｰ


少女「…なによ？」


少年「勇者くん…？」


勇者「…すなおじゃねえな」


少女「それが？」


勇者「…ほんとうはたのしいんだろ？」


少女「…え！」ﾋﾞｸ


勇者「こんなに人がおおいのにわざわざおれたちのところにくるなんてな…、さがしてきたんだろ？」


少女「な、なに言ってるの！？　たまたまって言ったじゃない！」


勇者「今日はずいぶんとおしゃべりだな？」


少女「ち、ちがう！　わたしはお腹がすいていただけ！　そこにあなたたちがいただけよ！」


勇者「そうか？　こんなにひろいのに?　くいものならそこらじゅうに用意されてるぞ。そもそもおれからもらわなくても自分でとれたはずだろ？」ﾆﾔ


ギク！


少女「だからたまたまだって！！　ああ！　もう！！」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

少年「…どうしたの？　だいじょうぶ？」


少女「うるさい！　あなたはだまってなさい！！」ｷﾞﾛ!


少年「ひ……！」ﾋﾞｸ


勇者「だ～か～ら～！　すなおじゃねえなあ！　あそびたいならあそびたいっていえよ！」


少女「……っ！」


勇者「……あそぼうぜ」ﾆｯ


少女「……」


勇者「な？」ｽ


少女「……い」ﾎﾞｿ


勇者「ん？」


少女「……るさい」


勇者「きこえねえよ？　はっきりいえ」

少女「うるさい！！　うるさいうるさいうるさいうるさい！！」ﾊﾞｯ!!


勇者「へ？」


カッ！！


勇者「うわ！！」

少年「勇者くん！？」


少女「わたしに構わないで！！」ﾊﾟｱ!


勇者「うお！！　ああ！？　　あ、あれ……？」ｶﾞｸ


勇者「あ……、…」ｸﾞﾃ


勇者「…zzz」


少年「勇者くん！？　どうしたの！？　ねえ！！」ﾕｻﾕｻ!


少女「はあ…、はあ…、寝てるだけよ。安心して」ｸﾞｸﾞ


少年「きみが！？　どうやって！？」ｸﾙ

少女「…あなたには関係ない。わたしはもう疲れた…。帰る」ｸﾙ


少年「まって！！」ﾀﾞｯ


パシ！


少女「さわらないで！　あなたも眠らせるわよ！？」ｷﾞ…


少年「……！　な、なんでこんなことするんだ！　勇者くんはわるくない！！」ﾋﾞｸﾋﾞｸ


少女「うるさい！　あなたと話す筋合いなんて私にはないわ！！　気安く話しかけないで！！」


少年「……！　なに言ってるかぜんぜんわからないよ！！　どうしてそうおとなぶるんだ！！」


少女「……っ！！」ｸﾞ…!


少年「きみはどうみたってぼくたちとおなじくらいじゃないか！！　ぼくたちとはなしてなにがいやなんだよ！？」


少女「……そんなのどうでもいいでしょ！」


少年「よくない！！　勇者くんにあやまれ！！」


少女「いや…！　絶対に謝らない！！」


少年「だめだ！！」


少女「じゃまするなら容赦しない！」ｸﾞｸﾞ!


少年「！！」ﾀﾞｯ


ガシ！！


少女「きゃ！？」ﾊﾞﾀﾝ


少年「つかまえた！！　なにをしたかわからないけど、おなじことはさせない！！」ｸﾞｸﾞ!


少女「く…！　離しなさい！！　離して！！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ


少年「ぐ…！　…いやだ！！」ｷﾞｭ!


少女（魔法がつかえない…！　状態が不安定すぎる…！）ｷﾞﾘ…!


――

少女「ううう……」ｸﾞｽ…


少年「…はあ、…はあ」ｸﾞｸﾞ


少女「もう…ゆるして、あやまるから…」


少年「……ほんとうに？」ﾊｱ…


少女「……！」ｺｸ


少年「……わかった」ｽｸ


パッ…



少女「……」ｸﾞｽ



少年「……」



少女「……」ｸﾞｽ



少年「……ごめん」


少女「……？　なんであなたがあやまるのよ…？」ｺﾞｼｺﾞｼ


少年「……ごめんなさい、なかせるつもりなんてなかったのに…」


少女「……ちがう。立場が逆でしょ？　悪いのはわたしよ…」ｽｸ…


少年「……勇者を起こせる？」


少女「……いいえ、起こし方はわからない…。ただ、彼はふつうに寝ているだけよ。いつか起きる」

少年「……そう。いったいなにをしたの？」


少女「……魔法よ」


少年「まほう？　うそだ。じゅもんを言ってないじゃないか」


少女「わたしには呪文の詠唱なんて必要ない。…それだけの力があるから。そこの勇者のようにね」


少年「……！！　そうだ、勇者くんも…！」


少女「…そういうことよ」


少年「！！　じゃあきみはいつでも…！？」ﾊﾞｯ


少女「その必要はない…。体力を使い果たした…。あなたのせいでね…」ﾖﾛ…


少年「！！　だいじょうぶ！？」ｶﾞｼ!


少女「ふふ…。あなたおかしな子ね？　直前までの行動と真逆のことしてる…」ﾊｱ…


少年「？？　…よくわからないよ。ぼくはきみがつらそうだからたすけるんだ」


少女「……そう。その性格、うらやましいな…」ｸﾞｽ…


少年「？」


――――

――

勇者「う…ううん……」ﾉｿ


……ムク


勇者「………」ﾎﾞｰ


「…あっ、おきた！？」ﾀﾞﾀﾞｯ


勇者「………？」ﾎﾞｹｰ


少年「勇者くんだいじょうぶ？！」ﾕｻﾕｻ


勇者「ん…、ううん…」ｳﾂﾗｳﾂﾗ


少年「しっかり！」ﾄﾝﾄﾝ！


勇者「ん…、んん。　…あ、あれえ？　ここはあ…？」ｼﾊﾟｼﾊﾟ…


少年「わかる？　きみは寝てたんだよ？」


勇者「寝て…た？　なんで…って！？　　あ！　ああ！？」ﾊﾟﾁ!


少年「思い出した？」


勇者「ああ！！　くそ！！　あんのやろ～～！！」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

少年「やっぱり怒ってる…よね？」


勇者「あたりまえだあ！！　逃げたのかあいつ！？」ｸﾞｵ!


少女「……ごめんなさい、勇者」ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ


勇者「てんめえ～～！！　よくやってくれたな…って！？　…え！？」ﾋﾞｸ


少女「……」ｳﾂﾑｷ


勇者「え？　ええ！！？」ｷｮﾛｷｮﾛ

少年「勇者くん。彼女があやまりたんだって」


勇者「な、なんで…？？　てっきりにげたのかと…」ｷｮﾄﾝ


少女「許して…ください」ﾎﾞｿ


勇者「！！」ﾋﾞｸ!


少女「……うう」


勇者「……」


少女「……っ！　やっぱり帰る！！」ｸﾙ!


少年「だめだよ！　ちゃんと許してもらうんだ！！」ｶﾞｼ!


少女「うう…！」


勇者（なんで……？　どうしてこんなことに？）ｷｮﾄﾝ

勇者「…なにがあったんだ？」


少年「…ぼくが彼女をひきとめたんだよ」


勇者「おまえが！？　どうやって？」


少年「え…？　ふつうにつかまえて…」


勇者「だいじょうぶだったのか？」


少年「う、うん…」ｺｸ


勇者「すげえ…」ｺﾞｸ


少年「？　ねえ、それよりも…」ｸﾞｲ


少女「……」ｸﾞｽ


勇者「！！　あ、ああ…」ｽ


スタスタ


ガシ


少女「！」ﾋﾞｸ


勇者「…ほら。なかなおりの握手」ﾊﾟｼ


少女「……え？」


勇者「じぶんから言ったんだろ？」ｷﾞｭ


少女「…いいの？」


勇者「あたりまえだろ？　あやまってくれたんだから」


少年「勇者くん…！」


少女「……ありがとう」


勇者「いいって。きにすんな」


少女「……うん」ｺｸ

勇者「へへ。まさかこんなことになるなんてな」ﾁﾗ

少年「ん？　ぼく？」

勇者「そうだよ。どうやったらこいつをひきとめられるんだよ？」

少年「だからふつうにつかまえたんだって」

勇者「いや、ぜったいむりだろ…、おれもやったのに…」

少年「？」


少女「…私の力不足よ。感情に流されすぎて魔力が上手く練れなかっただけ」


勇者「え？　そうなんだ…。…そうか、だからいつも冷たいのか」

少年「そうなの？」

少女「……違う」

勇者「だよね。でもすごいなあおまえ。なんでそんなにまほうつかえんだよ？」

少女「……きづいたら使えた」

少年「もしかして勇者くんと同じ？」

少女「……さあ」

勇者「ふーん。じゃあ、もしかしたらおまえもかみさまにえらばれたのかもな」

少女「……」

少年「え！　じゃあ彼女も魔王をたおすために？」

少女「……っ！　冗談じゃないわ！」

少年「！！」ﾋﾞｸ

勇者「…なんで？」

少女「この力は私のものよ。私の好きなように使う。魔物を倒すつもりなんてないわ」

勇者「ひどいな。おれがいるのに」

少女「関係ない。あなたと私は違う。わたしはそんなめんどくさいことしたくない」ﾌﾟｲ

勇者「…そうかよ」

少女「ええ、そうね。魔王討伐なんて危険なこと誰が好き好んで…。あなたはわかってて言っているの？」

勇者「ん？　しらね。うんめいだろ？」

少女「……バカね」ﾊｱ…

少年「ふたりともやめようよ…。ね？」ｵﾛｵﾛ

少女「わたしは勉強しているから知ってるの。魔王は強い。人間が勝てるような相手じゃない」

勇者「それこそかんけいないね。おれは勇者だ。これから強くなる」

少女「強くなっても、仲間は死ぬわよ？」


勇者「…させねーよ！」ｶﾞﾝ!


少年「もうやめようよ！　せっかく仲直りしたのにこれじゃあいみがない！！」


少女「…そうね。話しても無駄だわ。馬鹿らしい」

勇者「こっちのはなしだ！」


プイ！


少年「もう！」

少女「はあ…。私ほんとうに疲れたわ。もう帰る…」

勇者「…そうだな。もう暗い。はやく帰んないと親におこられるぜ？」ﾍｯ


少女「…親なんていない」


少年「え…？」


勇者「……ごめん、わるかった」


少女「気にしないで。もうずっと前のことだから。私はもともと一人よ」ｽ


ポウ…


少年「ね、ねえ？　また会えるかな？」

少女「そうね…、私の気が向いたら会えるかもね」

勇者「かってにもっていく気か？」

少女「文句ある？」

勇者「…はいはい。どーぞおすきに」

少女「ふふ。そうさせてもらうわ」


シュンシュン…


少年「こんどは一緒にあそぼうね！」

勇者「またこいよ！」


少女「…うん。ありがとう」ﾆｺ


パシューン！！


……

少年「す、すごい…！　とんでっちゃった…」ｺﾞｸ

勇者「あんなまほうがあるんだな…」


少年「ねえ？　あんな子このまちにいたっけ？」

勇者「わかんない。もしかしたらずっとこもってるのかもな」

少年「…じゃあ、ぼくたちでさがそうよ！　あの子がかわいそうだよ」

勇者「うーん…。そうだけどな…」

少年「…どうしたの？」

勇者「なんかみつけられる気がしないんだよな。それに、むこうからくるだろうし…」

少年「でも、ひとりでどうやってくらすの？　たいへんだよ？」

勇者「まほうだろうな…」

少年「もしかしてあれで…！？」

勇者「……」ｺｸ

少年「そんな…、それじゃあほんとうにひとりじゃないか…」

勇者「だからおれたちがいるんだろ？」

少年「え？　勇者くん？」

勇者「おれたちはあいつのともだちだろ？　もうひとりじゃないさ」

少年「……！」

勇者「あいつだってうれしそうだったじゃん。また来るよ。いつかあえるさ」

少年「…うん。そうだね！」

勇者「さてと…、そろそろパーティーもおわりだな。兵士長のところにもどろうぜ」

少年「うん！」ｺｸ

――――

――

今日の投稿はここまでです。終わらせるつもりで書いているのですが、全然終わらないですね。
おそらくあと数回の投稿で終わる……はずですorz

火曜日の夜に投稿します。創作が順調なんで次回が最終回になるかもです。

始めます。一応、物語としての話は今回で終了です。長くなってしまいましたが、お付き合いありがとうございました。

スタスタ…



兵士長(子供達が見当たらないが…)ｷｮﾛｷｮﾛ



兵士長「ん？」



副長「」ｸﾞﾃｰ



兵士長（はあ…、そこにいたか）ｶﾂｶﾂ…



トントン



兵士長「…探したぞ。なかなか戻ってこないと思ったら、まさかこんなところまで来てるとは…」


副長「ふぁ…？　らいひょうれすかあ？」ｸﾞﾃ


兵士長「そんなところで寝てると風邪引くぞ？」ﾊﾟｻ


副長「ふぇ…、ふみません…」ｱｳｳ…


兵士長「大丈夫か…？」


副長「ふぁい…」ﾌﾗﾌﾗ…


兵士長「はあ…。飲みすぎだよ…」


副長「うう…、ふみまへ……うぷ？！」ｵﾛ…


兵士長「え？　お、おい！？　まて！　ここはまずい！！」ﾀﾞﾀﾞｯ!

オロロロロ…





副長「う～…」ｸﾞﾃ…


兵士長「はあ…、間一髪…」ｶﾎﾟ(花瓶)




……


サスサス…



副長「ううう…」


兵士長「よくなるまでしばらく休もう…」ｻｽｻｽ


副長「ありがおうござうぃまう…らいひょう」ﾌﾗﾌﾗ…


兵士長「まああれだけ飲めばな…」ｻｽｻｽ


副長「ふぁい…」ｼｮﾎﾞﾝ

兵士長「君も凄かったけど、国王もまさかあそこまで飲むとは…」


副長「ふぁ？　こくほーさまわ…？」


兵士長「さっき寝室に運んだよ。ほとんど君と同じ状態だったぞ？」


副長「そうれすかあ。…じゃあろっちのかちれすかれえ？」


兵士長「…引き分けだな。２人とも強かったよ」


副長「しょんなあ…、くやしいれすう…」ｸﾞｽ


兵士長「…泣くなよ、またやればいいじゃないか」


副長「うう、…ふぁい」ｸﾞｽ

兵士長「……」ｻｽｻｽ


副長「……」


兵士長「…どう、良くなったか？」


副長「はい…。だいぶらくに…」


兵士長「…うん。顔色も良くなってきたな」ｻｽｻｽ


副長「ありがとうございます…」


兵士長「そろそろもどろう。動けるか？」


副長「はい…」ﾑｸ…



ヨロ…



副長「あ…」ﾌﾗ



ガシ…



兵士長「……仕方ない」



グイ



副長「ふぁ？　た、たいちょう？」ﾌﾜ


兵士長「おぶってくぞ？」ﾕｻ!


副長「ふぇ？　ふええ！？」///

カツ、カツ…



副長「た、たいちょう？」ﾕｻ


兵士長「ん？」ｶﾂ、ｶﾂ…


副長「そ、その…、おもくない…ですか？」


兵士長「……大丈夫、軽いよ」ｸｽ


副長「そう…ですか…」///

ユサユサ…



副長「…隊長、ありがとうございます」


兵士長「…気にするな。それよりも今日は楽しかったよ、ありがとう」


副長「…はい」///

カツ、カツ…



副長「たいちょう…」ﾕｻﾕｻ


兵士長「うん？」


副長「しずかですね…」


兵士長「ああ。さすがに今日は静かだな…」ｶﾂ、ｶﾂ…


副長「……」ｷﾞｭ


兵士長「……ここは良い場所だな」


副長「……」ｺｸ

カツ、カツ…



副長「たいちょう…」


兵士長「ん？」






副長「……すきです」



ピタ



副長「…わたしじゃ、だめですか？」

兵士長「……」






副長「たいちょう…？」ｼﾞﾜ…



兵士長「……」



副長「……」ｸﾞｽ

兵士長「……聞いてくれないか？」



副長「……！」



兵士長「……妻がいたんだ」



副長「……はい」



兵士長「彼女は息子が小さい頃に病気でなくなった…」



副長「……」



兵士長「だから息子は母親のことをあまり覚えていない…」



副長「……」ｺｸ

兵士長「……それでも、あの子の母親は昔の記憶の彼女なんだ」



副長「……っ」



兵士長「……あの子にはまだ理解できないと思う。いや、理解できないだろう」



副長「……っ！　ふぇええ…！」ｸﾞｽ



兵士長「ごめん……。だから……」



副長「うう…！　うあああああ…！！」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ












兵士長「だから、待ってて欲しい」

副長「うう…！　うぇ…ふぇえ……？」ｸﾞｽ




兵士長「……君の気持ちに応えたいから」




副長「え？　うええ…？」ｸﾞｽ…



兵士長「あの子が大きくなるまで待ってて欲しいんだ…」



副長「た、たいちょう……？」ﾎﾟﾛ…



兵士長「……だめ…かな？」



副長「う、ううん…！！」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ



兵士長「……本当に？」



副長「……っ！」ｺｸｺｸ!



兵士長「……良かった…ありがとう」



副長「うう…！　うぁああああ…！！」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ



兵士長「……これが俺の答えだよ」



副長「……っ！　隊長！！」ｷﾞｭ!



兵士長「……しばらく、ここにいようか」



副長「……」ｷﾞｭ…



――――

――

勇者「あ！　きたきた！！」


少年「いた～！　どこ行ってたの父さん！？」


タタッ！


兵士長「すまなかったな。…ちょっとあってね」ｶﾂｶﾂ…


勇者「ん？　おんぶしてるの副長？」


副長「…zzz」ﾕｻﾕｻ…


少年「寝ちゃってる…」ｷｮﾄﾝ


兵士長「ああ…、疲れてるんだ。このまま家まで連れてこう」


勇者「のみすぎただけでしょ」ﾌﾟﾌﾟ


兵士長「…そうだな。でも今日くらいはいいだろ？」


少年「ぼくはべつに…？　ね、勇者くん」ﾊﾟｼ

勇者「そうだな。おれらもかなりたのしめたし♪」ﾆｯ


兵士長「ふふ…、そうか、それは良かったな。…じゃあ俺達も帰るとしようか」


少年・勇者「は～い！」


タタッ…


――――

――

――数ヵ月後



ドサ！


副長「よし！　準備完了！」ﾌｲｰ


勇者「おう…、あいかわらず…」ﾁﾗ


副長「な、なんだその目は！？」ﾋﾞｸ


勇者「さあ、なんのことでしょ…？」ﾌﾟｯ…


副長「むむ～！」ｷﾞﾘ


パンパン！


兵士長「ほら、まだ休むには早いぞ。馬車への積み込みが残ってるんだから」

少年「そうだよ～。早くこっちきてよー！」ﾌﾟﾝﾌﾟﾝ


副長・勇者「すみません…」ｼｮﾎﾞﾝ

――


勇者「うおお…！！」ｸﾞｲ!


ドシ！


副長「おお！　がんばったなあ！」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ


勇者「うう～～…」ｸﾞﾃｰ


兵士長「おつかれ。これで本当に最後だよ。よくやったな勇者」

少年「勇者くんちからもち！」


勇者「おせじはいいよ、つかれた…」ﾍﾛﾍﾛ…


兵士長「そうだな、それじゃあ休憩にしよう」


『はーい！』

コト…


勇者「いよいよ最後かあ…」

少年「うん…」

副長「寂しくなるな…」


勇者「……」

少年「……」

副長「……」


勇者「…ところでさ」

少年「ん？　なに？」

副長「なんだ勇者？」


勇者「なんであんたまでついていくんだよ？」ｸﾙ


副長「あたし？」ｷｮﾄﾝ

勇者「きまってんだろ！」ﾊﾟｼ!

少年「……」ｽﾞｽﾞ…

副長「言っただろ？　あたしは隊長の下で働きたいんだって。…だから勇者、悪いがここまでだな！」ﾄﾞﾔ!


勇者「ひっでえ～！　このはくじょうもの～！」

副長「なんとでも言えば～？　もう決まったことだからね～」ｷｬﾋﾟ


勇者・少年「はくじょうもの～！」

副長「聞こえなーい」ｼﾚｰ


勇者「ちっくしょ～！！」ﾀﾞﾝﾀﾞﾝ!

コンコン


兵士長「あまり調子にのるなよ…」ﾊｱ…

副長「あ！　おかえりなさい隊長！」ｶﾞﾀ


兵士長「報告も終わったし、もう出発できるぞ」ｶﾂｶﾂ

副長「お疲れ様です！」


勇者「兵士長！　こいつひどすぎる！　しかってくれよ！！」ｶﾞｼｶﾞｼ

副長「ごめんごめん。わるかったって」ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ

兵士長「君はまったく……」ﾊｱ…

副長「う……」ｼｮﾎﾞｰﾝ…


勇者「くっそ～、なんで俺だけ……！」ｶﾞｸ

兵士長「そう言わないでくれ勇者。君はまだここでやらなくちゃいけないことがあるんだ。私達と一緒には居られないよ」

副長「そうだぜ、説明したろ？　魔王軍に苦戦している北方部隊の指揮に隊長が選ばれた。だから遊びに行くわけじゃないんだよ」

勇者「…そうだけどさあ」


少年「勇者くん、ごめんね」

勇者「おまえといっしょにいられなくなるのはなあ…」


兵士長「……っ」

副長「勇者……」

少年「勇者くん……」

……



兵士長「……残るか？」



少年「……え？」




兵士長「……おまえはここに残ってもいいんだぞ？」


少年「父さん…！？」

勇者「……じょうだんでしょ？」


兵士長「…本気だ。……思えば、お前まで着いてくる必要はないんだからな」


副長「ち、ちょっと待ってください。いきなりなにを…！」


兵士長「お前には選ぶ権利がある」


少年「え？　ええ…？」ｵﾄﾞｵﾄﾞ


副長「隊長…！　さすがにそれは無理ですよ…！」


兵士長「…そうかもな。でも時間ならある。なんなら今日一日延期したっていい」


勇者「おれそんなつもりは…！」


兵士長「わかってるよ…。これは私と息子の問題なんだ」


副長「隊長…」

勇者「……っ」



少年「……」



兵士長「…選んでくれ」




――――

――

ギシ…



兵士長「……」







勇者「ごめん…」

副長「謝んなくっていい…。話の種を作ったのはあたしなんだから」

勇者「……あいつへやにこもったきりだね」

副長「……子供には難しすぎる選択だよ」

勇者「あんなつもりでいったわけじゃないのに…」


副長「知ってるよ…。気にすんな」


勇者「……」


副長「……」



副長（さすがに酷ですよ、隊長…）

――




ガチャ


勇者・副長「！」ｶﾞﾀ



少年「……」ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ



兵士長「……決まったか？」ｶﾀ



少年「……うん」ｺｸ




兵士長「……どうする？」




勇者・副長「……」ｺﾞｸ

少年「……」






少年「ぼくは…」






少年「ぼくは父さんといっしょにいきたい」

勇者「……！」




兵士長「……本当にいいんだな？」




少年「……うん」ｺｸ



兵士長「そうか。……わかった」…ｽｸ




副長「……隊長！」

兵士長「…なんだ？」



副長「……ひどいと思います」


兵士長「……わかってる」


副長「わかってません！　ならどうしてこんなこと聞くんですか！？」



兵士長「悪かった……、ただ本気で考えて欲しかっただけなんだ。……だから、答えが出なくてもよかった」



副長「それじゃあ始めから……？」


コク


兵士長「……３人とも、すまなかった」


少年「……」

勇者「……」

兵士長「俺は最低の父親なのかもしれないな……」


副長「……っ」


兵士長「子供のために、本当に必要なことをしてやれないんだから…」


副長「隊長……」


兵士長「自分のエゴのために、俺は息子を連れ回すんだ……」


副長「……もういいです、いいですから！」


兵士長「……」


少年「父さん…」


兵士長「……悪いな、せっかく友達ができたのに。……許してくれ」


少年「……」ｸﾞｽ…

ス…


兵士長「勇者、最後に話したいことがある」


勇者「……はい？」


兵士長「君はこれから強くならなくてはいけない…。誰よりも、私や副長よりもっともっと強くだ」


勇者「……っ」


兵士長「……わかるな？　お前は死んではいけない。だから…、努力しろ。人一倍の努力をするんだ」


勇者「……！」ｺｸ


兵士長「そうしてどんな魔物にも勝てるくらいの力を得ても、……魔王には勝てないかもしれない」


勇者「……！？」


兵士長「誰も君のつらさを理解できないだろう。それでも君は…戦わなくてはならない…、苦しまなくてはいけないんだ…」


勇者「うう…！」ｸﾞｽ


兵士長「だけど…あきらめるな。どんなときでも希望を捨てないでくれ…」ｶﾞｼ


勇者「うう！　うああ！！」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ


兵士長「良い仲間に巡り合えるといいな…」ﾆｺ


勇者「うあああああああん！！」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ


兵士長「時が来たら、俺が鍛えてやる…。それまで…、頑張れ……頑張るんだぞ…勇者！」ｷﾞｭ!


勇者「あああああああ！！」ｶﾞｼ!



少年「ううう…」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

副長「勇者……っ！」ｸﾞｽ




――――

――

ザワザワ…


国王「短い間であったが、本当に助かったぞ」


兵士長「いいえ。こちらこそかけがえのない、多くのものを得ることができました。感謝いたします」


少年「……」ｸﾞｽ

副長「……」


勇者「……」


国王「……そうか。気をつけて行くのだぞ」


兵士長「はい。わざわざ御見送りいただきありがとうございました」ﾍﾟｺﾘ


国王「……本当に寂しくなってしまうな」


兵士長「いいえ、またご縁があれば、そのときは…」


国王「うむ。よろしくたのむぞ」ｶﾞｼ


兵士長「はい！」



兵士「兵士長！　副長！　ありがとうございました！！」

兵士２「僕達もお二方のように強くなります！！」

兵士３「ここで学んだことは絶対に忘れません！！」



兵士長「ありがとう！　君達も頑張るんだぞ！！」


『はい！！』ﾋﾞｼ!


副長「ううう……」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ


兵士長「……あいさつできるか？」


副長「うう…！　すみません…！！」ﾌﾘﾌﾘ


兵士長「そうか……、戻ってきたらちゃんとお礼を言うんだぞ？」


副長「……！」ｺｸ!




兵士長「……さあ、出発だ」ﾊﾞｯ

カラ…



カララ…



勇者「ありがとうな！！」


少年「！」


勇者「ぜったい忘れないから！！」


少年「勇者くん！！」ｸﾞｲ


勇者「おれ、強くなるから！！」ﾀﾞｯ!


副長「……っ勇者！」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ


勇者「お前も…！　お前も強くなれよ！！」ﾀﾞｯﾀﾞｯ


少年「……！」


勇者「いっしょに…魔王たおそうぜ！！」


少年「！！」


兵士長「……っ！」


勇者「まってるからな！！　おまえがくるの！！」ｽ…


少年「勇者くん！！」ﾊﾞｯ



ガシ！



副長「お、お前ら……！」ｸﾞｽ

兵士長「ふふ…」ﾆｺ

少年「ぼく…、ぼくつよくなるよ！！」ｷﾞｭ!


勇者「ああ！！　ぜったいだぞ！！」ｷﾞｭ!


少年「うん！！」ｺｸ!


勇者「……へへ、約束だ！！」ｸﾞ


少年「勇者くんもだよ！！」ｸﾞ!



パシ！



勇者「……はは！」


少年「あははは！」




副長「うわああああ……」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

兵士長「きみが泣くなよ…」

副長「…だって、……だってえ」ｸﾞｽ

兵士長「……仕方ないなあ」ｽ…



ガシ



副長「たい…ちょう…？」ｸﾞｽ

兵士長「ん？　どうした？」


副長「いいえ…、なんでも///」ｷﾞｭ




勇者「じゃあな！！　またいつかあおう！！」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ


少年「うん！！　またね！！」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ


勇者「さようなら！！」


少年「さようなら…！　さようなら勇者くん！！」


少年（きみのこと、ぜったいにわすれないから！）


――――

――

ありがとうございました。一応はここで、この話は終わりです。この後の話は前作に続きます。

最後に、前作の後の２人の出会いと、もう１エピソード書いて終わりにします。

長編になってしまいましたが、お付き合いいただき、ありがとうございました。