高木「プロダクション社長のわたしがこんなに空気なわけがない」 (30)





高木「今晩は。わたしは765プロダクションという芸能事務所で社長をしている」






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高木「はっきり言えば、わたしはお飾りだ。わがプロダクションで実際に働いているのは
   わが宝ともいえる12名の所属アイドル、2名しかいないが本当に優秀なプロデューサー達、
   そしてたった1名で事務処理をさばいてくれる、これまた… 優秀… な事務員だ」



高木「しかし、だからと言ってだ」

高木「最近、アイドル達のわたしに対する態度はあまりなものではないかと思う」

高木「たとえばこんな調子だ」



春香「おはよー、千早ちゃん!」

高木「おお、おはよう、天海君、如月君も」

千早「おはよう春香。あら、今日はまだ春香だけ?」



高木「泣けてきてしまうね」



あずさ「あの、律子さん、スケジュールの調整のご相談なんですけどぉ…」

高木「うむ、最近は竜宮小町の活躍に伴い、各メンバーの個々の人気も上昇中だからね。
   その分三浦君も忙しくなるのは仕方のないことだ、なあ律子君」

律子「そうですねー。んー、握手会とミニライブが2連発か… あずささん、
   大変ですけどここが踏ん張りどころと思ってがんばってみません?」



高木「少しでも反応してもらえただけマシと思うべきか」



亜美「あーちょっと真美ぃ!? 回復薬ぜんぶ持ってっちゃうとかそりゃないっしょー!」

高木「ん、亜美君と真美君はまたゲームか。前から聞いてみたかったのだが、どんなゲームなのかね、それは」

真美「もーうるさいなぁ、集中できないじゃん。こーゆーのは早い者勝ちって決まってるんだよーだ!」



高木「…うん、すまなかった」



伊織「なーにが『まっこまっこりーん』よ! 努力するのは悪いこっちゃないけどもっと考えなさいよ!」

高木「み、水瀬君、菊地君も一生懸命に考えて思いついたんだ、頭ごなしの否定はよくない。
   そして菊地君、君の努力はすばらしいと思う… が、水瀬君の言うように、君に合う方向性を」

真「イケメン路線とかそういうのボクはもううんざりなんだよ! 元はと言えば入社したときに社長が… ぁ」

伊織「…っ!」



高木「…確かに、わたしの責任だな。ただ… 信じて欲しい、これがベストだと思ったのだ」



雪歩「えーと… あ、いけない、いつものお茶っ葉切らしちゃってる…」

高木「大丈夫だろう萩原君、君の煎れてくれるお茶の美味しさは皆知っている。
   わたしは最近いただけていないがね、はは」

雪歩「あ、そっか、社長の分煎れないからいつもと切れるタイミングがずれるんだ…」



高木「煎れてくれるのであればぜひとも頂戴したいのだがね…」



やよい「…ふぅ、お掃除、これでおしまいです! えへへー、ぴかぴかになりました!」

高木「やよい君… 君は本当に良い子だ、きっと素晴らしいアイドルに…」

やよい「あ、あと社長室も… でも、そっか… お掃除は必要ないよね」



高木「泣いていない、わたしは泣いていないぞ」



響「なぁ美希、ここに置いてあった台本知らない? 自分の次の舞台のヤツ」

高木「ああ我那覇君、抜擢で主演女優を務めることになったんだったな。
   実は台本を読ませてもらったよ、素晴らしかった。美希君も読んだかね?」

美希「んー、ミキはキョーミないの… あ、そうそう、確か小鳥が預かってるって」



高木「そうか、興味ないか… わたしにも興味がないのだろうね…」



小鳥「おはようございます、プロデューサーさん。
   あの、変なこと聞きますけど、社長室に用事とかありました?」

高木「待ちたまえ音無君… 社長室に用事があるのが変とはどういうことだね!
   まったく、キミからも何か言ってやってくれんか」

P「いえ、特にないですが」

高木「…そうかね。キミもそういう態度をとるのか」

P「なにか問題でもあったんですか?」

高木「…アイドルだけならいざ知らず、ここまでされると流石に辛いものがある」

小鳥「いや、そんなに大したことじゃないですよ」

高木「ッ…! わたしも聖人ではないのだ。すまない、失礼する」






小鳥「実は… 響ちゃんの台本があったんです。社長室の、机の上に」



貴音「…」

高木「おや、四条君、なぜ社長室に? …と、いかん、つい話しかけてしまった。
   わたしと極力口をきかないということでは、きっと君も皆と同じなのだろう」

貴音「 ! もし、高木殿」



高木「…よいのかね、四条君。わたしに話しかけたりして」

貴音「高木殿。失礼ですが、あれをご覧いただけますか」

高木「ん…?」










高木「わたしの、白黒の、写真?」





小鳥「もう、1ヶ月にもなるんですね」

P「ええ、未だに信じられないんです」











P「高木社長が、亡くなってしまったなんて」






高木「…そう、だったのか。わたしは」

貴音「高木殿。貴方が逝ってしまわれてから、
   皆がどれだけ悲しんだか、貴方は御存知ないでしょう」

高木「ああ、恥ずかしながら。意識がはっきりしているのはここ最近だけだ」

貴音「ようやく皆、少しずつながら落ち着いてきています。
   わずかずつでも、また前進しようとしているところです」

高木「はは… は、そうだったのか、そうだったか…
   わたしは、皆に避けられていたのでも… 疎んじられていたのでもなく…」




高木「四条君… わたしは、君達に何か、してあげられていただろうか」


貴音「貴方が遺してくださったものは、わたくしたちの中に確かに息づいております。
   いうなれば、貴方は765ぷろの空気のようなもの。そこに在るのが自然なのです」




高木「我ながら女々しいものだ… ずっとこうして、未練がましくうろついているとは」

貴音「そんなことはありません。貴方がわたくしたちのことを、
   心から案じてくださっていることの何よりの証左ではありませんか」

高木「わたしは… ここにいても、よいのだろうか」

貴音「それはわたくしが決めることではないように思います。
   …ですが、見守っていてくださるなら、心強いのは確かかと」

高木「そうか」










やよい「やっぱり、社長室も綺麗にしておかないといけない気がしますー…
    社長が天国から見てるかもしれないし… あれ、貴音さん?」

貴音「ああ、やよい。どうしました」

やよい「えっと、社長室をお掃除しようと思ったんです」

貴音「それはよき考えです。わたくしも手伝いましょう」



やよい「えへへ、ありがとうございますー。 …あれ?」

貴音「おや、なにか?」

やよい「貴音さん、ほら、あの社長の写真」







やよい「なんだか、ちょっと笑ってるように見えませんか?」







おしまい。


社長の死因はなんだったのか?

・エイプリルフールなので、人死にネタを混ぜても許されると思った。
・エイプリルフールなので、お姫ちんが幽霊と平然と会話しても許されると思った。
・エイプリルフールなので、ぱっと思いついたネタを書き溜め全投下しても許されると思った。


※今更の注:幽霊なので会話に入れているようで入れてない、という何億番煎じかわからないネタです。

乙! こういう感じにかけるようになりたいな

高木社長に恨みはない。でも事務所内で人死にネタとなると消去法で彼しかいなかったのだ

>>22
全体の流れ決めただけで詳細は全然考えてませんでした
Pも小鳥さんも信じられないって言ってるあたり事故死かなぁという気がします

>>24
ありがとう、そう言ってもらえると嬉しいです

そしてsage忘れだよごめんなさい

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