進撃の巨人 料理バトル編 ―世界を救う味を求めて― (34)

※原作のネタバレ、キャラ崩壊、設定崩壊あり

基本的にノリだけで進みます



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―――とある小さな村

サシャ(4)「お母さーん、お腹空いたー!」

サシャ母「こら、さっきご飯食べたばかりでしょう」

サシャ父「わしらはその日、手にいれたもんしか食えんのや。贅沢言うなサシャ」

サシャ(4)「う~…」

サシャ母「ほら、遅いしもう寝るわよ。今日も寝るまで絵本読んであげるからね」

サシャ(4)「うん!」


――それはこの村に伝わる伝説が描かれてる絵本。私はそれが好きだった。
そしてその本にはこんな事が描かれていた。


美味しい食べ物は人から悪感情を取り除き、争い合う人々を止め平和を導く事が出来ると。
そして、美味しい料理を食べた巨人が泣き出したと…

本当の事かはわからない。でも美味しいものを食べると幸せなのは…本当の事だと思った。

仕事あるので遅くなります

―――数年後 冬

サシャ(10)「はあ…肉食いたいわ……肉……なんで肉取れんのや」

サシャ父「んな事言ったってしゃあないやろ。土地も減ってきて冬の備蓄に残す分までは獲れなくなってきている。冬が越すまでは野菜で我慢しろ」

サシャ(10)「んん~……芋も美味いけどいい加減飽きてきたわ…」

サシャ母「サシャ…お腹空いたんでしょ?これ食べてみなさい」

サシャ(10)「また芋?」

サシャ母「ふふ、今日はちょっと違うわよ」

サシャ(10)「なんやこれ、薄っぺらいなぁ…美味いん?」

サシャ母「食べてみて」

サシャ(10)「うん」パリッパリッ

サシャ(10)「…ん?」パリッパリッ

サシャ(10)「んん!?」パリッパリッ

サシャ(10)「なんやこれ、美味い!癖になりそう!なんて食い物なんこれ!」パリッパリッパリッ

サシャ母「それはね、芋を薄く切って、揚げて、塩をかけただけなのよ。サシャが飽きないように工夫してみたの」

サシャ(10)「すごい、ちょっと手を加えただけで違う食べ物みたいや!」パリッパリッ

サシャ母「芋はね、ただ蒸かして食べても美味しいけど、それ以外にも様々な食べ方があるわ。これからも色々作ってあげるからね」

サシャ(10)「すごい、私も料理覚えてみたい!!」


それから私は料理に興味を持ち始めた…
食材に少し手を加えるだけで、その先には無限の可能性が広がっている。
そう考えるだけでもお腹が空いてくる。



そしてここから、私の料理人生が始まる……

―――その頃、ウォール・マリアの山奥で一人の少女が料理人として覚醒しようとしていた…



アッカーマン家

強盗「動くな、死にたくなかったらな」

ミカサ「あ…あぁ…」ブルブル

ミカサ父「妻と娘だけは…」

強盗「そうはいかねえ、目的はその妻と娘だからな」

ミカサ母「ミカサ、逃げなさい!」

「待て!!」バタンッ

強盗「誰だ!?」

エレン「俺だ!!」

強盗「いや誰だよ!?」

エレン「おい、お前…ミカサだな!」

ミカサ「!」

エレン「怯えても何もならない……戦え!戦わなければ…勝てない!!」

ミカサ「!!」


戦え……戦え!


戦え!!


ミカサ「調理場に行ってくる!」タッタッタ


強盗「なんで!?」

十分後…


ミカサ「出来ました」

強盗「なんだ…そりゃ」

ミカサ母「ミカサ…どういうつもりなの?」

ミカサ「お母さん…これが、私の戦い」

強盗「おい、なんだそのへんちくりんな食い物は」

ミカサ「東洋の食べ物……“オスシ”です。このオショーユを付けて食べてみてください」

強盗「はぁ?まぁ、よくわからんがいただいてやるぜ。ただしその後は大人しくついてこいよ」

ミカサ「出来るものなら」

強盗「何だその自信満々な面は」

強盗「不味かったらテメェ痛い目にあうぞ…」パクッ

ミカサ「…」

ミカサ母「…」ドキドキ

ミカサ父「…」ドキドキ

エレン「…」

強盗「…」モグモグ

強盗「こ…これは!?」ガタンッ

強盗「この丁度いい歯ごたえ…新鮮な魚の生きた味、そして米がとても美味い!!」

強盗「ただの米に魚を乗せただけじゃねぇ…神秘的な何かを感じるぜ!!」

ミカサ「これが…オスシです。いかがですか?」

強盗「くそ…っ、何だか自分のやってる事が馬鹿馬鹿しくなって来たぜ」

強盗「憲兵に自首しよう」

強盗「俺たちの完敗だぜ…お嬢さん」

ミカサ「はい、この味を忘れず…これからはまっとうに生きてください」

ミカサ父「ミカサ!」

ミカサ母「うう…良かった…」

エレン「お前の戦い…見せてもらったぜ!」

ミカサ「あなたのおかげ、ありがとう」


ウォール・シーナ レイス家


カチャカチャ カチャカチャ


ヒストリア「…」モグモグ

ヒストリア母「…」イライラ


ヒストリア母「…」バンッ!!!

ヒストリア「!?」ビクッ

ヒストリア母「このっ!呑気にモグモグ食ってんじゃないわよ!!」ガチャーンッ!!

ヒストリア「あっ…」

ヒストリア母「お前と食ってると不愉快だわ。さっさとどこかでのたれ死にでもすればいいのに」

ヒストリア「…」

ヒストリア母「落ちた食器片付けなさいよ」

ヒストリア「うん……」

ヒストリア「…」カチャカチャ

ヒストリア「……」グスッ


サシャ「あらまぁっ!!何てもったいない事を!!!」

ヒストリア「!?」ビクッ

サシャ「ああ~食べ物がめちゃくちゃになってるじゃないですか…」

ヒストリア「え…え?誰?」オロオロ

サシャ「あ、申し遅れました。私はサシャ・ブラウスです」

ヒストリア「…」オロオロ


サシャ「お父さんが王政の関係者と話があると呼ばれてましてね。それで、私も村以外の場所を見といた方がいいと言われて一緒にこの街に来たんですよ」

ヒストリア「…」

サシャ「そしたら通りががったこの屋敷からいい匂いがするではないか!!という事でついつい忍び込んでしまった訳です。狩人の性ですね」

ヒストリア「えっと……他の人に見つかったら…」

サシャ「大丈夫ですよ!あははは!」

ヒストリア(元気な子だなぁ)

サシャ「それよりこれ…落としちゃったんですか?」カチャカチャ

ヒストリア「…ううん、お母さんが…落とした」

サシャ「な!?何でこんな事を…酷いですね」

ヒストリア「…いいの、私が悪いんだから」

サシャ「え?何かしちゃったんですか?」

ヒストリア「…何もしてないけど…私が産まれたのが悪いの。私は悪い子だから」

サシャ「いやいや、意味がわかりませんよ!何もしてないなら貴女は何も悪くないじゃないですか!!」

ヒストリア「…」

サシャ「はぁ…食べ物を粗末にする人間にはろくな人がいません…」モグモグ

ヒストリア「え…ちょ、下に落ちたの食べて平気なの?」

サシャ「そりゃ、もったいないですからね。命を分けてもらってるんですからちゃんと食べなきゃ食材に失礼です」モグモグ

ヒストリア「…」

サシャ「いいお肉を使ってますね。美味しいです……が、何か足りませんねぇ…何か満たされない」モグモグ

サシャ「…貴女は普段、ご飯が美味しいですか?」

ヒストリア「………わからない」

サシャ「でしょうねぇ……ギスギスした空気で食べても味気が無いでしょう。なんとなく料理からも伝わりますよ。こんないい食材を使ってるのにもったいないです」

ヒストリア「…」

サシャ「そういえば、名前はなんて言うんですか?」

ヒストリア「ヒストリア・レイス…」

サシャ「ヒストリア!私が美味しい料理を食べさせてあげましょう!!」

ヒストリア「え?」

―――調理場


サシャ「さてさて、食材を見せてもらいましょうか」ガチャッ

ヒストリア「さっき食事だったから…今はもうそんなに残って無いと思うけど……」

サシャ「ええと、お肉が少し、芋、玉ねぎ、卵、小麦粉、パン粉……」

サシャ「これだけあれば充分ですね、では使わせてもらいますよ!!」

ヒストリア「うん…でも、早くしなきゃ帰ってくるよ…」

サシャ「大丈夫、任せてください!」

ヒストリア「……作るとこ見ててもいい?」

サシャ「ははは、わざわざ聞かなくても見ればいいじゃないですか!」

サシャ「芋を茹でて~…玉ねぎ刻んで…」

ヒストリア(…)

サシャ「ああ、お肉…美味しそう…かぶりつきたいけど、駄目だ…我慢しなきゃ……ええっと、挽き肉にして…」

ヒストリア(凄く楽しそうだなぁ…目が輝いてる)

サシャ「ヒストリアも手伝ってみますか?」

ヒストリア「え?」

サシャ「一緒に作ると美味さ倍増ですよ!」

ヒストリア「…うん」

―――――


サシャ「…出来ました!!」

ヒストリア「これは……」


サシャ「コロッケです!!」バーンッ

ヒストリア「…美味しそう」

サシャ「ささ、温かい内に一緒に食べましょう」

ヒストリア「うん」

サシャ「いただきまーす!」

モグモグ

ヒストリア「…」モグモグ

ヒストリア「…美味しい…」

サシャ「でしょう!ヒストリアに美味しい料理を食べて貰いたいという気持ちを込めて作りましたから。いくらいい食材使った料理を作っても、愛情が込もってなきゃ味は劣化してしまいます。それなら愛情の込もった一般家庭の料理の方が美味いってもんですよ!!」

サシャ「そして何より…楽しく食べる事。これが一番ですからね!」

ヒストリア「うん」

料理長「誰だ貴様は!?」バタン

サシャ「むむ、誰ですかあなたは!?」

ヒストリア「あ、料理長さん」

料理長「…何を食っている」

サシャ「コロッケをヒストリアに食べさせてあげてたんですよ」モグモグ

ヒストリア「…」モグモグ

料理長「貴様…部外者が勝手に忍び込んでこんな事してもいいと思ってるのか?」

サシャ「ええ、ヒストリアの助けを呼ぶ声が聞こえましたから」

ヒストリア(いい匂いがしたから忍び込んだって言ってたじゃん……)

サシャ「まぁ、ヒストリアが満足そうな顔してるからいいじゃないですか!あははは!」

料理長「ふん、こんな妾の娘なんか知らんわ」

ヒストリア「…」

サシャ「む…妾という言葉の意味は知りませんが、見下した言い方だというのは何となくわかりましたよ。そんな気持ちで作ってるからヒストリアも食べてて楽しくないんです!!」

料理長「貴様には関係ない事だ」

サシャ「いえ、貴方みたいな人は大嫌いです。こんな大人ばかりに囲まれてヒストリアが可哀想ですよ!!」ザッ

料理長「なんだ…やる気か?」

サシャ「ええ、私は貴方に決闘を申し込みます」


サシャ「料理勝負をね!!」

ヒストリア(え?なんでそうなるの?)

料理長「いいだろう、審査員はヒストリアだ」

ヒストリア「え!?」

―――調理場

サシャ「牛乳…卵…砂糖…この屋敷は色々な食材があって楽しいですね。貴重なものもあるし…見たことない物まである。」

料理長「ふん、何を作る気かは知らんが…小娘が俺に敵うと思うな」

ヒストリア(…何でこんな事になってるんだろう…)

サシャ(前に一度だけお母さんが作ってくれた…私も作ってみよう!)

サシャ「えっと、確か卵黄だけを使うんだっけ……」シャカシャカ

ヒストリア「…」

料理長「ふふ、見よ小娘…」

サシャ「!」

料理長「さっき買い出ししてきた、この超高級牛肉を!!焼いてステーキにしてやるのさ!!!」ジュウウゥゥゥッ

ヒストリア(…)

サシャ「美味しそうですね…いや、確実に美味いです。匂いでわかります」ジュルッ

サシャ「…が、これで貴方の負けは決定しました」

料理長「な!?」

料理長「どういう事だ貴様、まさか愛情が無いとか抜かすんじゃないだろうな?」

サシャ「いえ、それ以前の問題です。貴方は大事な事を忘れてますよ」シャカシャカ

料理長「どういう事だ!?」ジュウウゥゥゥッ

ヒストリア「…」



―――完成

サシャ「さて、食べてもらいましょうか、ヒストリア!」

料理長「ふん、貴様が作ったのはただのプリンじゃねぇか。てか、田舎のガキっぽいのに良くそんなの知ってたな」

サシャ「昔、誕生日にお母さんが一度だけ作ってくれましたから」

料理長「まぁいい。ヒストリア、先に俺のステーキを食え」

ヒストリア「うん」モグモグ

料理長「…どうだ?」

ヒストリア「とても美味しいです」

料理長「だろう!?」

サシャ「ええ、とても美味しいでしょうね。私も今すぐかぶりつきたいですから」

料理長「…じゃあ、貴様のあの自信は何だったんだ?」

サシャ「見てれば分かりますよ」

ヒストリア「美味しい…けど、もういいかな」カチャッ

料理長「な!?何故だ、美味しいならもっと食えよ!?」

ヒストリア「ごめんなさい、でも、もう…」

サシャ「…言ったでしょう、貴方は大事な事を忘れてるって」

料理長「な…」

サシャ「ヒストリアはさっきまで……コロッケを食べてたんですよ?」


料理長「……はっ、まさか!!?」

サシャ「では、次はプリンを食べてください」

ヒストリア「うん」モグモグ

サシャ「どうですか?」

ヒストリア「美味しい…」モグモグ

サシャ「ふふ、幸せそうな顔で嬉しいです」

料理長「そ、そうか…俺とした事が、うっかりしていた」

サシャ「やっと気づきましたか…そう、ヒストリアは既にお腹いっぱいだったんですよ!!」

ヒストリア(プリン美味しい)モグモグ

サシャ「今のヒストリアにステーキなんて食わせたらお腹が苦しくなっちゃいますよ。いくら美味くてもそれじゃあ食事どころじゃありません」

サシャ「ですが、プリンはお腹にならないしデザートとして食べられる。料理人ならば、そういった所まで考えなければいけませんね!!」

料理長「ぐっ……俺の、完敗だぜ…」

サシャ「…見てください…あのヒストリアの表情を」

ヒストリア(あぁ、何だか嫌な事もどうでも良くなって来ちゃった…)モグモグ

サシャ「幸せそうで……可愛いでしょう」

料理長「ああ……結婚したい」

サシャ「それは犯罪です」

料理長「ふっ…目が覚めたぜ。妾の娘だって見下すのは…馬鹿馬鹿しい事だな…」

サシャ「ええ、食べた人にその瞬間だけでも幸福な時間を与える……それが料理人の使命ですよ」

ヒストリア「おかわり」

サシャ「それは無いです」

サシャ「そう言えば1つ気になった事があるんですが……」

料理長「なんだ?」

サシャ「何だかこの屋敷に置いてある塩……私の知ってる塩の味と何か違う気がするんですが」

料理長「………塩の違いなんかが分かるのかよ」

サシャ「ええ、私の村の近くには塩の取れる山があって…たまに食べてましたからね」

料理長「…」

サシャ「この屋敷の塩は何だかそれとは違う気がするんですよ………これ、どこで取れた塩ですか?」

料理長「それは………触れない方がいい」

サシャ「え?」

料理長「いいか、気にするな、他の人間にもそんな事を言うんじゃない。その事は忘れろ」

サシャ「は、はぁ…」

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