このSSでは上条はベツレヘムの星での特攻後に死んでいます。
上条×御坂 その他etc...
急展開有り(かもしれない)です。
頼んでもいないのにノブナガンの原作を数冊送りつけられた(しかも着払い)>>1が突然書き始めます。
転生後の上条達は今より100年程先の未来で、しお達と遭遇します。(学園都市の外にて)
※不定期ですができるだけの頻度でカキコします。
それでも良い方は是非お付き合いのほどを。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1396196623
───────ベツレヘムの星内部
「……これで、終わりか」
命の終わりを察した少年の脳裏を過るのは、今までの16年という短い人生を観ていた。走馬灯というやつだ。
そして。最後に目に浮かぶのは、
「………御坂」
戦闘機をハイジャックしてまで追いかけてきてくれた茶髪の少女だった。
「ハハ、また泣きそうな顔してたな…最後に気持ちくらい伝えとけばよかったぜ」
目を閉じると鮮明に思い出す日々。
そのどれにもその少女は現れた。
「幸せにな…ってやべぇ涙出てきたハハ…」
そして、愛しくて仕方のなかった彼女の平和な日常を守る為に、命という対価を支払って少年はこれから世界を救う。
「そう、御坂との出会いは文字通り電撃的なものだった…なんて」
『そうか。それは良かったね』
「あぁ…不幸なはずの俺にとっては正直幸せな人生だったかもしれねぇよ……ん?」
『上条当麻だな?』
「」
『お前の命をもらいたい』
「…今更こんなことで驚く上条さんじゃありませんよ、お前は誰だ?」
『私は…そうだな星の海を渡って来た船乗りさ』
突然どこからとも無く現れた、土偶という言葉が一番似合う風貌の人物が仰向けで倒れたままの上条の頭上に立っていた。
「…瀕死の上条さんを助けてくれに来たのか死神なのかどっちかくらいは教えてくれよ」
『どちらでもない。私は未来から来た為に過去の人物に影響を出すことは許されない』
「未来、ね。まぁどうでもいいけどな…それでそんな未来人が俺に何の用だ?」
『世界を右手一本で救ってみせたその能力を買い、君を傑物と認める。君のチカラを未来の地球を守る為に譲り受けたい』
少年には言っている事の意味が分からなかった。
「能力ってのは…この【幻想殺し】の事だよな?」
『その通りだ』
「これが欲しいのか?」
『あぁ』
「……なら、条件がある」
助けてくれ、なんて言うつもりは無い。
たった一つのほんのささやかな願い。
「……御坂の顔を、最後に見たい」
『……それはできない』
「不幸だ…最後まで…」
『だが、御坂美琴という人物であれば未来で会えるかもしれない』
「!?ど、どういう事だ!!」
その言葉に反応して飛び起きた上条は、土偶の頭を掴む。
『彼女も傑物と認めている。順番は変えることができないが、いずれ命の二重螺旋を受け取りに行く』
「…それがどう関係あるってんだ」
『転生…というのかな。能力を引き継いだ者は記憶と人格を引継ぎ易い。そういう意味では、もしかしたら会えるかもしれないということだ』
「…よくわからねぇけど、御坂にまた会えるんなら…持ってけよ俺の幻想殺し」
言葉を吐き出すと同時に、土偶の手の内に現れたガラス球のようなものが一部分だけ形を変え、針のように少年の腹に突き刺さる。
『確かに受け取った』
───────時は流れて60年。
「……ゴホッ、ゴホッ」
「お姉様お気を確かに…!」
「…ごめんね黒子、少し一人になりたいの。席を外してくれないかしら」
「ですが!っ…分かりましたわ…」
「黒子は外に出て行ったわよ。そこの不審者、出て来なさい」
誰からも返事は無い。
しかしベットで弱々しく呼吸をしていた老婆には、何者かの気配を察知できていた。
「電磁レーダーの感度は死ぬ前でも健在よ。残念だったわね」
ベットからふらふらと起き上がり、部屋の窓を見つめると、手をかざす。
指の間からバチバチと放電現象が起こり、空気を伝って電撃が走る。
『…!』
「…こいつはまた…魔術関連かしら…?」
電撃が当たった空間から、景色を歪めて土偶のようなものが現れた。
『…さすがは御坂美琴だな』
「アタシを知ってるのね。何者か白状しないと痺れさすわよ」
『そう身構えるな。君の能力が欲しいだけだ…未来の地球の為に』
「未来の地球…?」
土偶から吐き出される胡散臭い単語にピクリと反応した。
『細かい話をすると長くなる。今回は少し急いでいてね』
「はぁ?何言って…」
『対価は、上条当麻ともう一度再開するチャンスでどうだ』
「っ!」
老婆は部屋の隅に置かれたカエルのようなマスコットキャラクター、通称ゲコ太のストラップを見つめた。
「……アイツと、会えるのね?」
『保証はできないがね』
「いいわ。持って行きなさい」
『理解が早くて助かるよ』
「アイツとまた会えるチャンスと引き換えなら安いものよ」
,
ここまでちゃっちゃと駆け足で来てしまいまして申し訳ないです
さっさと本編に入りたくてやりました反省してます
明日に書きダメしてから投下しますのでご容赦。。。m(_ _)m
明日というか今日でしたすいません
すみません寝起き脳みそでスレを立てていたようでしてミスが多々(美琴一人称とか)あったようで…
書き始めます
時刻は朝の7:00。
テレビの向こう側ではニュースキャスターや各分野の評論家達が議論を重ねていた。
上条「へぇー、DOGOOねぇ」
数週間前、台湾が謎の巨大生物達の被害に会い、そこに謎の組織が現れて解決するというなんともSFチックな大事件がありその頃から報道はそのネタで持ちきりである。
上条「まぁ流石にこっちは大丈夫だろ」
もぐもぐと食堂で食事を取りながらテレビを見つめるツンツン頭の少年の名は上条当麻。
東京にある高校から修学旅行で北海道を訪れて来た、なんの変哲もない、”ちょっと不運な”ただの高校生である。
「上条ー!」
「眠ぃにゃー…」
上条「おぉ、青日に土見か。おはよう」
食堂の入り口に現れた2人組に返事を返す。
青日「何で起こしてくれへんの!僕愛しの小椋しおちゃんのニュース見れんかったやんか!!」
上条「小椋しお…あぁ、台湾の事件の女の子か。今日のニュースには出てなかったぞ………ご馳走様でした」
最後の味噌汁を飲み干すと、食器と橋をお盆にのせて食堂の返却口に持って行く。
土見「まーたご飯粒残してるぜぃ上条。唐翌揚げにはてもつけてないにゃー…」
上条「あんまり美味しくなかったぞコレ」
青日「いやいや食べ物粗末にしたらアカンて上条」
上条「いいだろ別に、俺ん家に帰ればこんくらいの飯なんてゴミ以下だぞ」
吐き捨てる様にゴミ箱へ料理を捨てていく上条。
しかしこのホテルの食堂はそこそこ美味しいと評判の食堂。今食堂には上条らと食堂のおばちゃんを含めて4人しかいない。
悲しそうにこちら見ているおばちゃんとそれに気づいていない上条を交互に見て、友人2人は呆れるようにため息をこぼした。
青日「上条ん家は超絶お金持ちだからやけどな、ここもそこそこ美味しいんやで?」
土見「昨日の夜のメニューも美味しかったにゃー」
上条「そうかねぇ?…ちっとコンビニにでも行って来るわ」
青日「…根は、いいやつなんやけどね」
土見「家の問題にあっぷあっぷしてた鬱憤だと思うぜぃ。…まぁ食べ物を大切にしなかったのは昔からだけどにゃー」
上条「オイ、コンビニ無いじゃねーかここ」
厚着に厚着を重ねて寒さ対策万全の状態で歩き出したものの、行けども行けども雪ばかり。修学旅行のしおりをよく確認して無く、かつ昨日北海道に着いたばかりの上条はバスで移動中ずっと眠っていた。
青日と土見曰く、何時間もかかって着いたそうである。
察するにここのスキー場は相当山奥のようだ。
上条「クソが…ふざけんなよマジで……アレ?財布が無い!さっき持ったのに!?……あぁぁぁ不運過ぎる…」
尻ポケットに突っ込んだ筈の長財布がなくなっている事にようやく気付いた上条はその場に膝から崩れ落ちた。
落としたのは恐らく約3分程前。小さな川にかかった橋を渡る時に何かドボンと音がしたのを思い出した。
上条「あー寒そうだな…取りに行かないとダメか…あぁもう腹立つ…」
「あっ!そこのおにーさーん!!」
上条「?」
背後からした大声に振り向くと、遠くから少女が1人、こっちに走って来ているのが見えた。
上条「え?俺…だよな?誰だあの子」
「はぁっ、はぁっ、あーやっと追いついたー!」
上条「え、あ、おう。やっぱり俺か」
「これっ、はぁ、落としましたよ…っ!」
差し出されたのはビショビショに濡れてしまっている見慣れた長財布。
確かに上条自身のものであった。
上条「……マジで?これ拾って来てくれたの?」
「丁度、見えたので…!はぁ、はぁっ…」
上条「おいおい…俺川に落とした筈だぞ」
「はいっ、だから取って来たんです。おにーさんこれ無くしたら困るでしょう?」
上条「」
一点の曇りもない笑顔についに呆気に取られた。
そこそこの名家に生まれた上条にとって、自分に寄ってくる女という生き物は、金や名声目当てばかりだと判断してきたからである。
女という人種については過去にロクなことがなかった。お陰様で、人の嘘や心の濁りを見透かす直感が鍛えられてしまった事が何より不運だった。
しかしその直感が久しく「この少女はいい人だ」と叫んでいるのだ。
上条「……お前、名前は?」
「私、御坂美琴っていいます!」
御坂の、腰まで伸ばした茶色の髪が揺れる。
それが上条にはひどく幻想的に見えた。
上条「御坂さん、ね。と、とりあえずタオル貸すから手とか足とか拭けよ…見てるこっちが凍えるわ」
つい目を逸らした上条の目線の先にあった、財布を持つ手も靴もビショビショだったのがまず気に障った。
上条(なんかイライラする…!!)
御坂「えへへ、すみません…はっくしゅ!」
上条「薄着だな…他に上着とか無かったのか?」
御坂「あー…ごめんなさい。ウチ、あんまりお金無くてコレくらいしかはっくしゅ!せめて修学旅行くらいはって親がっくしゅ!!」
上条「」
秋物ですかと言わんばかりの薄着レベル。
こんな土地で、下手すれば凍死しかね無い程薄着だった。
いたたまれない。
何故かとってもいたたまれない。
上条「…こんなコートでよければ着てろ。カシミアだけど悪く思うなよ」
御坂「カシミア…?わっ、温かい…」
上条「とりあえず礼言っとくわ。財布拾ってくれてありが」
財布を持つ手と受け取る手が、触れる。
上条「!?」
御坂「!?」
よくわからない電撃のような感覚が、2人の間を走った。
それは懐かしいような、恋しいような感覚。
上条「……美琴っ!」
御坂「……当麻、私…っ」
上条「…ん?」
御坂「…あれ?」
上条「……」
御坂「……」
上条「どぅわぁぁぁぁぁーーーっ!!?」
何の流れか、どういうテンションがそうさせたのか、上条と御坂は抱き合っていた。
しかし上条よりも、同じく修学旅行生である御坂の方がリアクションは大きかったようで。
御坂「き、ききききゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
上条「ぶべらっ!!?」
咄嗟に出た御坂のパンチが上条の右頬を撃ち抜き、吹き飛ばした。
御坂「あぁっ⁉︎ご、ごめんなさいっ!」
上条「おい…俺って一応格闘技にはそこそこ通じてるぞ……ぐふっ…強過ぎだろお前…っ」
御坂「あ、う、お父さんが空手の先生で…でもあんまり門下生がいなくてあうあう…」
上条「わかった、分かったから落ち着け…」
御坂「ほ、本当にごめんなさい!」
何度も何度も頭を下げる御坂のポケットから、緑色の手帳のようなものがこぼれ落ちた。
上条「なんだこれ生徒手帳か?」
御坂「あーうー!写真写り最悪なんです見ーーなーーいーーでーー!!!」
上条「ほうほうそれは楽しみだ。見てやろうではないか」
御坂「やめてぇぇぇーーーっ!!」
上条「なんだ、お前も東京から来てんのか…って家が俺ん家の近くじゃねーかよ」
御坂「え…もしかしてオレンジ色の、大きなお家って…」
上条「あぁ、俺ん家」
御坂「」
上条「常盤中学…あぁ、俺ん家の持ってる私立高か」
御坂「」
上条「ふーん…、どうした?」
御坂「……いや、なんか凄い人なんだな…って」
叩けば叩く程出てくる超お金持ち発言。
だが、当の本人は御坂の言葉に少しだけ暗くなり、
上条「そうでもねーよ。…全部親父の力だし」
御坂「は、はぁ…」
上条「…おい、お前なんか顔赤いぞ」
御坂の身体がさっきからフラフラと揺れ、足元がおぼつかない。
御坂「え…はぇ…あ…」
そしてよくわからない言葉をつぶやいた後、ばったりとその場に倒れこんだ。
上条「オイオイオイオイ!大丈夫か……酷い熱じゃねーかよこのバカ!!」
御坂「えへへ…すいませ……」
上条「おい、しっかりしろ!おい!」
上条は、荒い呼吸を繰り返して苦しそうに呻いている御坂を担ぐと、来た道を全速力で走って戻り始めた。
上条(俺、なにやってんだ?こんな、会って何時間の女の子なんて背負って…)
意識が曖昧な御坂に教えられた通りの道を10分程走ると、少し小さめのホテルが見えてきた。
生徒らしき人影も何人か入り口に見える。
上条「っ!オイ!そこの女!!」
女生徒1「え、う、ウチ!?」
女生徒2「うわ、何か走って来てるんですけど何あれ」
ガラス製の扉を蹴破り、ホテルに入る。
少し化粧がキツめの女生徒が2人、おどおどと上条に話しかけた。
上条「…はぁ、はぁ。」
女生徒1「えーっと、大丈夫?的な」
女生徒2「何か担いで……げっ、御坂じゃん」
露骨に引いたような顔をしたのが一瞬上条の目に映ったが、今は気にしなかった。
上条「…ち、丁度よかった知り合いか。コイツちょっと熱が」
女生徒2「御坂ぁ、お菓子は?」
明らかに場違いな発言。
それが上条の脳を瞬間的にフリーズさせた。
上条「は…?」
女生徒1「コスメもお願いしたじゃーん。どこあんのー」
上条「な、何を…」
御坂「えへへ、ご、ごめんね。どこにもコンビニが見当たらなくて…げほっ」
背中越しに低姿勢で謝る声が上条には聞こえた。御坂である。
上条「おいお前ら何言って…」
女生徒1「もう友達じゃないわーお願いしたのに買って来れないとかマジないわー」
御坂「ごめん、ごめんね…」
女生徒2「もー行こー。御坂なんて知らねーわー」
そう吐き捨てるように言って、女生徒達はその場から立ち去った。
数秒遅れて自体を理解した上条が、ふつふつと腹の奥に燃え始めた感情を押し殺して、こちらをチラチラと見ていた教師と思しき男を呼び止める。
「…」
しかし、その男も何も言わずにその場から立ち去ってしまった。
上条「…御坂、どういうことだ」
御坂「あはは、あんまり皆には好かれてないのかもしれないですね…」
上条「…」
御坂「とりあえずここで降ろし」
上条「行くぞ」
御坂「え…?」
上条「…」
,
上条「…」
青日「上条ー!遅かったや…ない、か…?」
土見「…上条、何があったんだ」
上条が向かったのは、自分達が宿泊施設として使っているホテルであった。
上条「…」
青日「とりあえず僕、先生呼んでくるわ!」
土見「酷い熱だな…一体どうしたんだ?」
青日が階段を駆け上がり、土見が駆け寄る。
上条「すまん、話すと長い。今は聞かないでくれ」
土見「……わかった、とりあえず俺は氷と毛布借りてくるからその子を俺達の部屋に運んでおいてくれ」
土見のかけているサングラスが光る。
いつもの巫山戯た調子が表情から消え、真剣な顔で上条に話しかけた。
上条「助かる、いつも悪い」
土見「こういう時の上条は間違った事はしない、それは幼馴染の俺と青日が1番知ってる事なんだぜぃ?」
上条「……ありがとよ」
,
上条は、駆けつけた女担任と養護教諭の教師に御坂を任せ、土見達と共にロビーで待機していた。
上条「…」
口から流れ込む水が、珈琲のように苦く感じた。
青日「…なぁ上条。あの子どーしたんや?」
重苦しい雰囲気の中で、なんとか上条から説明をしてもらおうと、口火を切って上条に話しかける青日。
しかし期待していた返事は無い。
上条「…すまん」
土見「……まーたお父上関連かにゃー?」
上条「っ!」
土見「やっぱりか…さっきあの子の生徒手帳を見たぜよ。常盤中学って上条のお父上の持ってる中学だった筈だぜぃ」
青日「…さっきから黙ってたって事は訳ありって訳なんやね、上条」
淡々と土見の口走るヒントを基に、事態を曖昧ではあるものの把握した青日が詰め寄る。
土見「…とりあえず話せるようになったら話して欲しいにゃー。青日、行くぜよ」
青日「……オーケー。上条、僕等ちょっとあの子の様子を見てくるわ」
上条「……あぁ」
青日と土見がロビーから姿を消して数分、空になったコップが宙を舞い、壁に激突した。
上条(俺はいつまでたっても親父の呪縛にまとわりつかれたまんまなのかよ…!!)
椅子を蹴り、机をひっくり返しても心に残るのは虚無感と何かに負けたままである敗北感。
上条「……誰か、この幻想を殺してくれよ…」
ソファに倒れこむと、あたかもボソリと呟いたその言葉が引き金であるかのように、ホテル内に幾つもの轟音が鳴り響いた。
,
という具合にプロローグを終えてみたりしちゃいますてへぺろ(棒
一応次から進化侵略体と交えてしおやアダムを登場させたいと思います。
それではまた明日ということでおやすみなさいでございます。
酉はコレでということで
上条「な、なんだテロか!?」
数秒起きにどこからともなく響いてくる地鳴りに飛び起きると、丁度ロビーの窓を突き破って飛び込んできた謎の物体が上条の後頭部にクリーンヒットした。
上条「…、痛っつつ……なんだよこれ」
地面とキスを強要された上条が、顔を上げると鈍く黒光りする球体が転がっていた。
上条「どっかで見たことある気が」
既視感と直感が脳内でけたたましくアラームを鳴らしていた。それは明らかに危険信号だったが、
上条「…爆弾だったらやばいからな、とりあえず爆発する前に逃げ……っ!?」
手遅れだった。
その球のような物体はぐにゃぐにゃと歪に姿を変え、やがて、破裂する。
中から現れたのは魚のような、4足で立っている謎の生物。
上条(───────ッ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎)
その生物がこちらに背中を向けていた事が幸いだった。
上条は、その生物から死角になる大きめのソファの影に音を立てずに息を殺して転がり込む。
なぜならソレは、最近話題の”あの生物”だったからである。
上条(アレって…!”進化侵略体”じゃねぇかよ!!どうしてこんな雪山にッッ!!!)
上条らの高校は、台湾での一件により元々の修学旅行先であった沖縄から、身の安全を考慮して急遽北海道に行き先を変更してやって来ていた。
しかしその努力も水の泡。
人類にとって最も恐れていた事態が、上条達を追いかけて来てしまった。
上条(あぁぁぁ不運だ、不運すぎるっっ!)
心臓の動悸がより一層激しくなる。
全身から嫌な汗が止まらなかった。
上条(……普通の人間じゃ、勝てないんだよな。逃げられるのか俺…)
脳みそを駆け抜けるのは、あの生物の顔についている突起で命を落としたという台湾からのニュース。
上条「け、携帯で助けを…」
ポケットに手を突っ込んだ瞬間、携帯電話が震えだした。
上条「おいおい嘘」
不運にも、マナーモードにはしておらず。
上条(あ、俺死んだ)
上条が死を覚悟したその瞬間、意外にも耳に届いたのは、上条の身が貫かれるぐちゃっとした音ではなく一発分の銃声だった。
上条「…?俺、生きてる?」
「そこ、誰かいるの?」
上条「へ?あ、はい…」
不意に、ロビーに響いた声に驚いた上条がソファの陰から顔を覗かせると、ショートヘアの少女が立っている。
そして、その少女とその右手に付いた異様なそれには見覚えがあった。それもごく最近。
上条「…あっ!TVの!!」
しお「あちゃー…もうそこまで有名になってたかー…」
修学旅行中に、E遺伝子が覚醒して台湾を救ってみせたという、今やインターネットの検索数1位に輝く話題の少女。小椋しおその人である。
上条「小椋しお…さん?」
しお「あ、ははははい、よよよろしくお願いします…」
上条「…」
あたふたと右手の機関銃のような銃器を振り回すその反応が、人付き合い初心者とでも言うべき感じである。
つけ込むべき弱点を見つけた上条が先に動く。
上条「……これは一体どういう事か、説明してくれるんだよな?」
しお「」
上条が家の都合で鍛えられたスキルの一つ、”人の良さそうな愛想笑い”につい騙されていたしおの血の気が一気に引いた。
笑顔一転、肉食獣のような鋭い眼光が全身を縛り付けられる錯覚を見せたのだ。
しお「う、あ、これはですね私達の不注意といいますか…」
上条「不注意…だと…?」
わざわざロビーの扉を開けて入って来たしおを更に威圧する上条。
しお「ひぃっ、違くて!空飛んでヒューンって北海道に上陸しようとした進化侵略体を撃ち落としたらその瞬間にこのホテルの上から卵をばら撒かれて…」
上条「…何個?」
しお「……10個くらいデス…」
上条「おいおい…じゃあこのホテルにはあと9体もこんなのがいるのかよ!」
頭を正確に撃ち抜かれ、既に息の無い進化侵略体の体を怒りに任せて蹴り飛ばす。その乱暴さにひっ、としおはビクついた。
上条「…とりあえず何とかしてくれよ、ここには俺の知り合いもいるんだからさ」
しお「…え?」
上条「あ?」
しお「ま、任せとけー!あはははは…」
しお(人は見かけによらないなぁ…ははは…)
上条「今、人は見かけによらないなぁとか思っただろオイ」
しお「」
上条「まぁいいや。とっととこいつらぶっ殺して帰ってくれよ」
しお「ハイ…」
しお「くらえっ!!」
しおの銃が3体目の進化侵略体を撃ち抜く。ここまで生徒を誰一人として見かけなかったのは異変に気付いた誰かが避難を促したのだろう、そう信じたかった。
しお「…って」
上条「ん?」
しお「何で着いて来てんのあんたーーっ!!?」
上条「アホか、お前のそばが1番安全だろうが」
しお「たしかにそうだけど…ほら、避難するとかさぁ…」
上条「どこにだよ」
しお「……外とか」
上条「外に進化侵略体がいないって保証は?」
しお「………」
上条「早く歩けよ」
しお(なんで私がこんな目に…!!)
上条「余計な事考えてないで、早く行けって」
しお「うわぁぁぁぁん」
上条には、未だに生徒や教師がどこに避難したのかは分かっていない。
何故なら、通信手段である携帯を鳴らしてしまえば、そこに進化侵略体を引きつける恐れがある。
それだけは避けたかったからだ。
上条「つーか…お前一人で来たの?」
しお「アダムも一緒よ」
上条「アダム?」
しお「同じチームの……あぁもうなんでもない!」
上条「もう何分か歩いてるけど見かけねぇな、そのアダムって奴」
3体目を倒してから、既に10分程過ぎていたが、進化侵略体はおろか人影すら見かけていない。
しお「進化侵略体を一体でも倒しててくれればいいんだけど…」
上条「…なぁ」
しお「ひっ!お、驚かせんな!!」
上条「なんでだよ……ちょっと気になる所があるんだけど、一緒に来てもらえないか?」
しお「こんな時に何言って」
上条「来てもらえないか?」
しお「こんな時」
上条「来いよ」
しお「」
上条「土見!青日!!」
しお「くそぅ、こんなやつ…こんなやつ!!」
上条がしおを連れて(引きずって)来たのは、昨日から宿泊していた部屋。
振り返る土見と青日、そして2人の教師。
布団に寝かされた御坂も無事らしい。
土見「上条!……そっちは?」
上条「あぁ、小ぐ」
青日「あーーー!!小椋しおたんやないかーー!!?」
小椋「ひっ」
上条「やっぱりか…」
まず誰よりも早くに最初にしおを認識したのはやはり青日。
いつの間に設立されたのか、『世界の為に戦っている小椋しおちゃんを愛でる会』通称【ワールドしおたんhshs会】という組織があるらしい。
そこの会員No.00000020というわけのわからない金色のプレートを数日前に見せつけられた事を上条は思い出していた。
青日「本物!本物なん上条!?本物の小椋しおたんがここにおるんか!!?」
上条「よかったなペロペロさせてもらえよ青日」
しお「ペロペ…!?」
青日「ええの!?しおたんええの!!?」
しお「な、何言ってんだアンタ!」
上条「…」
しお「無視すんなーー!!近づくな、近づいたら撃ちますからね関西弁の人!!」
青日「そんな殺生なぁぁ…せめて写真だけでも」
しお「だから近づくなーー!!」
じりじりと開け放した扉に向かって下がっていくしお。
突然その背後に現れた脅威をいち早くしおに伝えようとしたのは、目を覚ましたばかりの御坂だった。
御坂「危ないです!!」
しお「え………きゃあっ!!」
鈍い音が部屋の全員に聞こえた後、部屋の隅まで吹っ飛ばされたしおが、こめかみを強打して意識を失った。
上条「はぁぁぁぁぁぁ!!?ちょ、銃が!銃がなんか玉になってる!!」
土見「や、やばいぜぃ…やっこさん入ってきたにゃー…」
青日「しかも後ろにあと1匹いるような気がするのは気のせいなんなろ?気のせいなんやろ!?」
ゆっくりと部屋に入ってくる進化侵略体。
そしてチャンスとばかりにしおのあらぬ格好を携帯で撮りまくっている青日。
上条は、とりあえず青日を殴ってから携帯を操作して、その後どうするか考えた。
上条(武器…何か武器は…)
──────────どこかの施設
アラームが広い広間に所狭しと並べられた機械群から鳴り響く。
『【ノブナガン】E遺伝子シグナル消失‼︎25号ボール沈黙しました‼︎』
「共に降下した【切り裂きジャック】をカバーに回しなさい!」
『それが…【切り裂きジャック】の13号ボールもシグナルをロストしています‼︎』
「くっ、ここで彼等を失う訳には…」
司令と思わしき老婆が拳を握りしめ、顔を顰めた。
《…壱与》
背後にそびえ立つ、液体の入った筒のようなものからくぐもった声が話しかけた。
そのシルエットは、”土偶”に酷似している。
「…こちらに他のE遺伝子ホルダーを回すことは…間に合わないでしょう」
《……》
「…」
『25号ボールに反応!再起動です‼︎』
「!……【ノブナガン】は無事のようね、至急【切り裂きジャック】の支援に…」
『この反応…未登録のE遺伝子シグナルです!』
「未知のホルダーですって?遺伝子紀元は?」
『2013年です』
《!!》
,
《確かに受け取ったぞ、お前の幻想殺し》
「…しっかし未来は大変な事になってんだなぁ、宇宙生物なんて想像もできないぜ」
《この時代は都合がいい。傑物で溢れている》
「…科学サイドと魔術サイドの事か」
《…まぁこの時代かつ君達の言語でいうならそちらのほうが多いだろうね。しかしこちらの都合もあってね、限られた人数分しか傑物の”命の二重螺旋”はもっていけないのだよ》
「へぇ、一方通行とかソレっぽいな」
《無論、彼にも協力してもらうつもりだ》
「そうか。………はぁ、次の俺も上手く幻想殺しと付き合っていけるかねぇ…心配だ」
《君のソレは100年後にお前の生まれ変わりというべき「戦士」に託される。…この球は「戦士達」にだけ反応し、彼等の望む兵器を形成する核となるのだ》
「その兵器を使って、地球を守る…て話か」
《あぁ。お前の生まれ変わりならどんな兵器を望むかな》
「望む以前に幻想殺しだし……多分右手に現れるんじゃないかな」
《そうか?》
「…あ、でもこれだけは分かる気がするよ」
《?》
「次の俺が幻想殺しを呼び起こす時は、
───────”大事な誰かを護る為に幻想を[ピーーー]時”だって事だよ」
,
《確かに受け取ったぞ、お前の幻想殺し》
「…しっかし未来は大変な事になってんだなぁ、宇宙生物なんて想像もできないぜ」
《この時代は都合がいい。傑物で溢れている》
「…科学サイドと魔術サイドの事か」
《…まぁこの時代かつ君達の言語でいうならそちらのほうが多いだろうね。しかしこちらの都合もあってね、限られた人数分しか傑物の”命の二重螺旋”はもっていけないのだよ》
「へぇ、一方通行とかソレっぽいな」
《無論、彼にも協力してもらうつもりだ》
「そうか。………はぁ、次の俺も上手く幻想殺しと付き合っていけるかねぇ…心配だ」
《君のソレは100年後にお前の生まれ変わりというべき「戦士」に託される。…この球は「戦士達」にだけ反応し、彼等の望む兵器を形成する核となるのだ》
「その兵器を使って、地球を守る…て話か」
《あぁ。お前の生まれ変わりならどんな兵器を望むかな》
「望む以前に幻想殺しだし……多分右手に現れるんじゃないかな」
《そうか?》
「…あ、でもこれだけは分かる気がするよ」
《?》
「次の俺が幻想殺しを呼び起こす時は、
───────”大事な誰かを護る為に幻想を殺す時”だって事だよ」
《……これからお前の、いや。次のお前の物語が、我々と交差していくようだよ、上条当麻》
上条「そうだった…俺は大事な誰か………御坂を探す為に、守る為に…」
土見「上、条」
上条「土御門…か?」
土見「お、俺は土見だ…お前、大丈夫か…?」
上条「あぁ、そうだったな…すまない」
上条は右の手を握る。
ただ、右手の様子がいつもより少しだけ違った。
投下ミスがありましたすみませんでした
今の今までsage投下だと気づいていませんでした…m(_ _)m
とりあえず今回はここまでです故
また今夜やって参ります
上条「これが、【幻想殺し】…!」
指の先から肩までを、黒い手甲のようなものがすっぽりと覆っていた。それもスマートに手甲というわけではなく、所々謎のゴツいパーツがくっついているのだが、不思議と重くは感じない。
上条「これなら、……やれる!」
土見「来るぞ上条!」
上条「しゃらくせぇっ!!」
土見の声に反応した上条が、正拳突きの容量で、反射的に【幻想殺し】を前方に突き出す。
すると、面にクリーンヒットした拳を中心に、飛び掛かってきた侵略体の面にヒビが入り…
上条「…!」
その数秒後爆散した。
上は誤爆です↑
,
上条「これが、【幻想殺し】…!」
指の先から肩までを、黒い手甲のようなものが隙間なくすっぽりと覆っていた。それもスマートに手甲というわけではなく、所々謎のゴツいパーツがくっついているのだが、不思議と重くは感じない。
上条「これなら……やれる!」
土見「来るぞ上条!」
上条「負けるかぁぁっ!!」
土見の声に反応した上条が、正拳突きの容量で、反射的に【幻想殺し】を前方に突き出す。
すると、クリーンヒットした拳を中心に、飛び掛かってきた侵略体の頭部全体にヒビが入り…
上条「…!」
その数秒後爆散した。
上条「す、げぇ…」
御坂「上条さんっ!前!!」
上条「御坂…!どぅわ!?」
もう一体の侵略体がこちらに飛ばして来たのは、鱗のようなモノ。とっさに右手を持ち上げると、その一瞬で【幻想殺し】は姿を変えた。
上条「パーツって…こういう事かよ」
二の腕に付いていた円形のパーツが外れ、手の平の前に浮かんでいた。それが飛来する脅威を受け止めたのだった。
上条「よぉ、進化侵略体…」
再び鱗を飛ばす侵略体。リベンジとばかりに何発も何発も撃ちだすものの、宙に舞う【幻想殺し】の盾にことごとくはじかれる。
上条「お前等が人類を滅亡させようってんなら、…何より御坂を傷つけようなんて少しでも考えたんだとしたら!!」
鱗の弾幕の隙をついて疾駆する上条。
恐ろしい速さで背後に回ると、侵略体が振り向き切る時も与えず、かつての”上条当麻”がしたように右手を大きく振り上げた。
─────それは、今も昔も、大切な者を護る為。
上条「その幻想をブチ[ピーーー]!!!」
飛び上がった上条は、ようやくとも感じられる時間をかけて振り向いた侵略体の横っ面を、その右手で力の限り撃ち抜いた。
上条「御坂…髪、伸ばしたんだな」
侵略体が爆散するのを見届けた後、振り返るとともに御坂を抱きしめた上条。
その目は、とても愛おしく、恋しい者を見つめる眼。
幾年の時を越えて、ようやく会えた愛しい人を見つけた眼。
御坂「ふぇ⁉︎な、なん、なぁ!?」
雰囲気に飲まれた御坂は、随分動く事が出来るようになったにもかかわらず抵抗できないでいた。
上条「俺、お前に伝えたかった事が………あ……っ、て……?」
しかし、そうは問屋が降ろさない。
簡単には回らないように運命というものはできている。
上条「…おぅふ」
いい感じのムードに包まれた途端、上条はその場にばったりと倒れこんでしまったのだ。
御坂「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
御坂を巻き込んで。
土見「さすがは上条だにゃー」
御坂「見てないで助けてくださいよってぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!どこに鼻を押し付けてるんですか上条さん!!?」
上条「う、うーん……硬い…」
土見「あ」
御坂「」
ピシッ、と御坂の頭の中で何かにヒビが入ったような音がした。
しお「…うーん?」
しおが目覚めた時には既に、頬に紅葉形のビンタ痕を作り、頭に「?」を大量に作っている上条と頬を膨らませてそっぽを向く御坂というよくわからない状況が出来上がっていたのだった。
御坂「真っ平らですみませんね!悪かったですね!!」
再び【ノブナガン】を右手に展開したしおを筆頭に、廊下を進む一行。
まだ御坂は怒っていた。
上条「なんで怒ってるんだよ御坂…」
土見「上条のせいだぜぃ」
上条「なんで!?」
御坂「男なんて…男なんて…!!」
ワナワナと怒りに身を震えさせる御坂をなだめようと、しおは話しかけるものの
しお「御坂…ちゃん?そんなに気を落とさなくても…」
御坂「近づかないでください…小椋さんは、敵です」
しお「!?」
あっさりフられてしまった。
どうやら相当ご立腹らしい。
御坂「…私はまだまた成長期、なんせ中学2年生ですからね…!見てなさいよ全国の男共!!」
暗い炎のオーラを身に纏い、黒く笑いを浮かべる御坂にその場の全員が冷や汗を流した。
土見「しっかし上条がE遺伝子ホルダーだったとはにゃー」
土見のふとした発言が全員のなにかを刺激する。
上条「正直俺が1番驚いてる」
上条(もしかして家の事をしばらく放ってられる?え、コレマジ幸運拾っちまった?基本ステータス不運の俺が?ラッキー!!)
しお(私こんなやつと仕事しないといけなくなるの…!?)
御坂(凄い人ってどこをとっても凄いんだなぁ……それに比べて私って…)
しお&御坂「「はぁ…」」
歓喜に満ち溢れる上条とは正反対に、意味は違えど”ずーん”の効果音を出して、共に落ち込んでしまう2人だった。
御坂「……それにしても」
上条「ん?」
御坂「………うーん」
考えるそぶりと目を真っ直ぐに見据えるそぶりを交互に繰り返して上条をじっくり観察し始めた御坂。
上条「な、なんだよ。あんまり見んなよ照れんだろうが」
御坂「…上条さん、私に会った事ありますか?」
上条「…奇遇だな。俺もさっきからそれを考えてた。いや嘘ついた、ちょっと前から考えてた」
御坂「嘘つきは泥棒の始まりですよ!」
上条「泥棒とかする必要ねーわー」
御坂「んー…確かにそうですね」
上条「だべ?」
御坂「ふふっ、変な上条さん」
不思議な既視感よりも、弾む会話の方に意識が行っている上条と御坂の2人が土見にとっては、とても微笑ましく映った。
しお「……アダム!?」
「「「!?」」」
唐突に声をあげて走り出すしお。
残された3人もその後を追いかけると、そこには白髪の青年が壁寄りかかっているのが見えた。
腹部からは夥しい量の血が流れている。
アダム「…よぉ半人前。大丈夫か」
しお「半人前言うな!…AUウェポンは?その怪我どうしたの!?」
アダム「馬鹿!静かにしろ、あいつらに気づかれるだろうが」
アダムは力無い指で、新年会などに使われる宴会場の襖を指差した。
しお「……うわぁ」
そーっと覗き込んだしおの反応はもっともな反応だった。
そこには2匹の進化侵略体が蠢いており、どちらも魚のようなタイプではなく触手のようなシルエットであり、独自に進化したようである。しかも変な粘液が触手から分泌されている。
アダム「俺のボールが、あそこの紙の扉から10mくらいの所に転がってるんだが……ちと厄介でな」
上条「紙の扉…あぁ襖か」
アダム「………、その部屋ですらめちゃくちゃ広いだろ?死角もねぇもんだから入った途端に気づかれちまう…俺の足じゃ無理だった」
しお「じゃあ私の銃で…」
アダム「お前、30m先の敵を撃ち抜けるようになったなら先に言えよ」
しお「うっ…」
御坂「じゃあ、あの怪物に攻撃される前にその…ボール?みたいなのを取れればいいんですか?」
顎に手を当てて真面目に考え始める御坂。
穴が空くほどに自分の脚を見つめた後、宙に視線を漂わせる事を何度か繰り返して
御坂「……よし」
何故かヘアゴムで髪をポニーテールに縛り始めた。
アダム「……さっきから誰なんだこいつら」
ジト目でしおに尋ねた。
お前また余計な事しでかしたんじゃねぇだろうな、と目が物語っている。
しお「…えー、新しいE遺伝子ホルダーとその友達デス…はい」
アダム「!?」
上条「あ、ども…えーっとアダムさん?」
アダム「…ジャパニーズってのは傑物が多いのか…?」
ヒクヒクと頬をがひきつるアダム。
そしてようやく上条が御坂の異変に気付く。
御坂「せーのっ!…からのダッシュ!」
上条「!?みみみみ御坂さぁん!?」
しかし、襖を回し蹴りで蹴破って走り出している今の御坂に制止などかけても無駄。侵略体の魔の手にかかるだけである。
アダム「おいおい止めろノブナガン!!!」
しお「くっ!……ってあの子速っ!?」
上条「は?!……どぶぁ!!?」
御坂「きゃあ!?ご、ごめんなさい!」
宴会場を覗いた途端に、茶髪の尾を引いて御坂の頭が上条の腹部に突っ込んで来た。しかも、その左手にはしっかりとボールが握られている。
───────この間、約2秒。
御坂美琴という女子中学生は、行き帰り20mを2秒という驚異的な、超人的な、神懸かり的な速さで戻って来たのだった。
そしてその速度が上乗せされた御坂に突っ込まれた一高校生の体は、尋常でない力で背中から階段を転げ落ちる羽目になった。
しお「御坂ちゃん…速い、いや速すぎるよ!?」
白目向いている上条を起こそうと、胸部をばしばし叩いている御坂に話しかけるしお。
そう褒められた(?)ことが嬉しいのか、にぱっと笑顔で振り返って照れる御坂。
御坂「えへへ…行き帰り18mしかなかったから早かったです」
しお「え…走っただけでわかるの?ていうか9m1秒も相当だと思うけどな」
御坂「陸上部ですから!」
しお「…どうしよう陸上部入りたくなって来た」
御坂「大歓迎ですよ!……えへへ、私しかいないので…」
しお「御坂ちゃん!!友達になろう!!?」
御坂「え、あ、はい!よろしくお願いします!」
戸惑う御坂き泣きながら抱きつくしおの間に、(主に一方的かつ同情的な)友情が生まれた。
そんな空気をぶち壊したのは御坂の一言。
御坂「この球…どこかで…」
しおの背中越しに、左手に持ったボールを凝視しながらボソリと呟いた。
アダム「………まさかそのガキもE遺伝子ホルダーとかいうんじゃねぇだろうな…?お前がソレ持った時に言ったセリフと同じだぞおい!」
しお「いや流石に御坂ちゃんは違うよ………違うよね?違うよね御坂ちゃん?じーっとボール見つめてるけど違うよね!?」
土見「あのー。取り込み中申し訳ないんだけどにゃー」
相変わらずのテンションのまま、おずおずと話に割って入ろうとする土見。
アダム「…なんだよ、今大事な話してんだから少し待て」
土見「でもそちらさんは待ってくれないみたいぜぃ…」
だらだらと冷や汗をかきながら指さしたのはアダムの背後。丁度、襖の奥から伸びた触手がそこにいる全員に巻きついてきた。
土見「うぎゃぁぁぁ男の触手プレイなんて需要はないぜよおぉお!!!」
アダム「くっ……」
上条「ん?おぶぉ?もがもがーーっ!?」
しお「うひゃぁぁぁぁぁ!!?」
アダム「おいそこのガキはウチのにナニしてやがる!!」
上条「ごふぁいふぁーー?!(誤解だーー?!)」
触手はもちあげたしおと上条を掴み上げた後、まとめて巻きつく。
結果、またも上条は他人(女性)の胸に顔をうずめる事となったのは言うまでもない。
しお「ひゃ!こらちょ、胸ーーーー!!!」
土見「上条のラッキースケベがこんな状況でも発動するとはにゃー…」
上条(なっ…しかしこれはなかなかデカいサイズ…!」
しお「あんたは何言ってんだーー!!!」
「……ほう?」
バチリ、と。
宴会場と廊下との空間に何かがはしった。
それは一瞬の出来事ではあったが、正確に的確に必然的に上条の顔付近の触手に触れ、焼き焦がした。
上条「……へ?」
頭を押さえつけていた触手に解放され、顔をもち上げる事が可能になった上条が見たものは、怒髪天の茶髪な少女だった。
御坂「…アンタはぁ……
いつになってもその調子かゴルァァぁぁぁ!!!!!」
上条「え、ちょ御さ」
雷撃の槍。そう呼ぶにふさわしいものが御坂の前髪から飛んだ。
ズバチバチバチィッ‼︎という強烈な炸裂音が触手系侵略体の1体に叩きつけられる。
侵略体の粘液は電気抵抗率が異常に高いのか理由は謎だが、少なくとも億を超えると推測される電圧の雷撃を、粘液を伝って感電した上条らが「「「あばbbbbbbb」」」で済んでいるのは何より幸いだった。
上条「み、御坂……さん…?」
御坂「よくも”あの時私の手を振り払ってくれた”わねぇ?あァん?」
触手が燃え上がり、上条としおが地面に叩きつけられると、御坂は真っ先に上条を膝十字固めで痛めつけ始めた。
御坂「しかもこんな乳でか女をはべらせて…私に対する当て付けかぁぁーーーっ!!!」
上条「痛い痛い痛いって!!おいやめろやめてくださいお願いします!!!」
御坂「…あら?アンタ、当麻……よね?そのワックスで立たせたウニ頭とか雰囲気とか顔とか」
土見「上条のソレは地毛だにゃー…」
焦げ目がついた土見が力なく呟いた。
上条「ってかお前どうしたんだよ!正確変わりすぎだろ!!」
御坂「はぁ?アンタ何言って……あ、もしかしてまだ思い出して無いの?」
上条「思い出す事なんて何も………、ビリビリ?」
御坂「ビリビリ言うな!!」
上条「痛たたたたた!!俺の!上条さんの膝の可動域が増えてしま」
ゴキィッ、と何かが嫌な音を立てた。
上条「ゴキって!今嫌な感じにゴキっていったから!!」
アダム「……E遺伝子が覚醒したら人格や性格にも変化が出るってのは良くあるけどよ…」
上条「ひぃぃぃ御坂やめろぉぉぉ!!」
御坂「うっさい!思い出してくれるまで罰ゲームよん♪」
アダム「…変わりすぎどころじゃねぇぞ。色々と異常だ」
そこへ、水をさすように2体目の触手系侵略体が触手を伸ばして来た。狙いはもちろん御坂だ。
御坂「あん?何よアンタ、やる気?私を学園都市第3位の超電磁砲と知っての狼藉かしら?……まぁ、知ってる筈ないわね」
上条「ぐぁぁぁ膝が…」
上条を解放するとスッとその場に立ち上がり、誰かの財布から落ちたのか、床に転がっていた100円玉を拾い上げる。
御坂「…折角だから見せてあげる」
100円玉を親指で弾くように構え、触手系侵略体に狙いを定める。
御坂「しっかり目に…あるのかしらないけど焼き付けなさい!!」
刹那。一筋の光が侵略体とホテルの壁を貫いて空に…とまではいかなかったものの、ホテル裏の森にまで貫通した。
御坂「…ふぅ、久しぶりに撃ったからスッキリしたー!」
上条のやったのとは違う様に爆発四散した侵略体を背後に、御坂は上機嫌にその場でくるーんと一回転。
新しい服を買ってもらった子供のように上機嫌である。
上条「…御坂、だよな」
御坂「何よ。アンタまだはっきりしてないの?」
上条「いや、そのだな。そもそも何だよその服…」
御坂「…?常盤台の制服でしょ?」
上条「…そんなの着てたっけか」
しお「あー…もしかしてそれが御坂ちゃんのAUウェポンなんじゃ…」
上条「服だぞ!?そんなのもあるのか!?」
アダム「…まぁ、椅子とかのやつもいるしな…」
上条「マジか…」
御坂「とりあえずアンタはとっとと私を思い…………だ、しなさ…い?」
上条「おっと」
御坂が急に意識を手放すと、慌てて上条がそれを両腕で支える。
初めてAUウェポンを使った事による反動だろうか、数分前の上条と同じような現象だった。
上条「………御坂」
御坂「…んぅ」
上条「…」
御坂「あれ…上条さん…?」
上条「」
御坂「わたし…一体何を…」
上条「…え?戻ったの?」
御坂「…あっ!ご、ごめんなさい!ごめんなさい!膝十字固めなんて…お父さんにしかしたことなかったのに…!!!」
,
今ジーパンのチャック全開でジョイフルに行っていた事に気付かなければ2時間前の自分を殴りたくなったりしなかったことでしょう。
ということでおやすみなさいませ。。。
今夜は来ないのかな 次回投下を楽しみにしてる
>>75
いますぞすみませぬ
一体どういう家庭なんだ、とツっこむのは他人の家庭の事情に土足で踏み込むようなものだったのでやめておいた。
上条「……記憶はあるんだな…」
土見「上条はないのか?…お前は俺の名前を一回間違えたんだぜぃ?」
上条「…土御門、だったか」
土見「……」
上条「んー…よく分からん」
不思議な感覚が上条の頭の中に渦巻いていた。うっすらと記憶を辿るような感覚が残ってはいるが、もやがかかっている。
アダム「……おいノブナガン。E遺伝子ホルダーじゃねぇかそのガキも」
しお「そんなこと言われても…」
しおとアダムが小声で話をしているところへ、どこからか通信が入った。
『【ノブナガン】!【切り裂きジャック】!応答してください!!』
しお「うひぃ!」
アダム「…後輩のお前が説明しろ」
しお「そ、そんなぁ…」
先輩風の壁で逃げたアダムを恨めしそうに見つめ、やがて通信に応える。
しお「うぅ…はい、【ノブナガン】です…」
『一体どういうことです!2度のシグナルロストから2度の新しいE遺伝子反応なんて…‼︎』
しお「ひぃ司令⁉︎…こ、これには深い訳が…‼︎‼︎」
耳元に手を当て、壁に向かってペコペコと頭を下げているしおの様子が、とても様になっていた。
上条「アニメみたいだな…本当に耳元に手を当ててるぜ」
御坂「実際に見ると正直微妙ですね…」
しお「うぅぅぅ…」
『【ノブナガン】!説明なさい!【切り裂きジャック】は?新しいE遺伝子ホルダーは?』
しお「うわぁぁぁぁ不幸だぁぁぁぁぁ!!!」
,
数時間後。ホテル内とホテル周辺の散策を終え、進化侵略体の反応が無いことを確認した上で、今度はアダムが通信に入っていた。
ばつの悪そうな顔で通信を終えると、開き直った表情で、ロビーにいる4人に話かける。
アダム「おいお前等。あと数分でDOGOOから迎えが来るそうだ」
上条「そうか、よかったな小椋」
しお「う、うん…」
上条「おい人と話す時は目を合わせるのが基本だろ」
しお(怖い怖い怖いって!早く帰りたいよぅ…)
上条「まぁお疲れさんだったな、とっとと帰ってくれよ」
しお「くっ…ぅぅ!何でこいつ上から目線なの…!!」
土見「……上条はどうするんだ?」
上条「とりあえず修学旅行を満喫するに決まってんだろ?」
アダム「あ?お前も来るに決まってんだろ」
上条「は?」
アダム「は?じゃねぇよ。E遺伝子ホルダーと分かった以上、一度DOGOO本部に出頭してもらう」
上条「ふざけ倒しとけよこの野郎。明日の為にわざわざもってきたこのスノボ無駄になるだろうが」
どこから取り出したのか、水色のスノーボードを片手で持ち上げると、迷いなくアダムに向けて投擲した。
アダム「ごっは!!?」
しお「アダム!?」
上条「だ、大丈夫かチャーリー!ごめんな、つい投げちまっ……うわぁぁぁぁぁぁぶっ壊れてるぅぅぅぅぅ!!!」
スノーボードだった欠片を掻き集めると、胸に抱いて大げさに涙を流しつつロビー据え置きのゴミ箱に捨てる。
上条「で、なんだっけ?」
アダム「テメェェ…殺ス…!!」
しお「鼻血!鼻血出てるから!」
清々しいほどの笑顔で振り返る上条に、【切り裂きジャック】のナイフで斬りかかろうとするアダムの鼻にポケットティシュを当て、しがみ付いて制止を促すしお。
上条「つーことで…スノボがあの殺人鬼(笑)のせいで壊れちまったからちょっくら世界救ってくるわ。土見、あとよろしくな」
土見「…」
アダム「放せ!放せ【ノブナガン】!あの腐れジャップはこの手で殺してやらなきゃならねぇ!さもなくば【切り裂きジャック】の名が泣く!!」
しお「落ち着いてってぇぇ!!」
土見「なぁそこの可愛いお嬢さん」
しお「……え?私?」
押し黙っていた土見が、ふと思いつくようにしおに話しかける。
土見「その、さっきのボールみたいなの…俺にも貸して欲しいにゃー」
アダム「お゛ぃ…これ以上E遺伝子ホルダーが出るのは精神的に耐えられねーぞ…」
上条「土見」
土見「ただのお試しぜよ。気にしないで欲しいぜぃ……、頼む。貸してくれ」
しお「ど、どぞ……うひゃぁ!?」
露骨な他人行儀でボールを差し出すと突然奇声をあげて、逃げるようにアダムの背中に隠れた。
しお「う、うー!うー!!」
アダム「どうしたよ半人前。ここでも人見知りか?」
しお「お、おおお、お尻触られたー!ここに来てから、もうロクなことが無いよもうっっ!!」
アダム「」
土見「結構なお手前でしたにゃー」
崇めるようにワキワキと動かす右手を天に掲げる土見に突き刺さる軽蔑の視線。
御坂「…」
土見「おぅっ、御坂ちゃんのドン引きな眼差しが刺さって興奮するぜぃ!」
上条「おい、そこのおかっぱ重機関銃はどうなってもいいけど御坂に手は出すなよ」
しお「おかっぱ重機関銃!?」
そんなこんなで土見がボールを手にしてから数分。
各々が土見の様子を伺っていたが、何の変化も無く。外からヘリの降りてくる音が聞こえた辺りでようやく上条が言葉を吐いた。
上条「…さすがに土見は違う、か」
土見「みたいぜよ。残念だぜぃ」
アダム「ちょっとだけホッとしてる自分がいるんだが」
しお「奇遇。私も」
御坂「右に同じく」
上条以外が三者三様で胸を撫で下ろしていた。
上条「ま、がんばってくるわ。これで一時は家の事も言われんで済むだろうしな」
土見「おう、頑張るんだぜぃカミやん」
上条「カミやん?」
土見「なんとなくだにゃー。俺達はせいぜい後ろからお前達を見ててやるぜよ」
上条「おう」
土見「だから死ぬなよ」
上条「…おう!」
投下遅くなりました
数時間後にまた席につきます
アダム「おい、終わったんなら行くぞ」
アダムは既に扉をくぐり、夕日にボディを照らされた大きめの輸送ヘリに乗り込もうとしていた。
上条「黙れ指揮んなリーダーは俺だ」
アダム「あぁ?新人のクセに生意気なんだよ…!ちょっと表出ろや…!!」
上条「上等だこのクソ厨2野郎…!ブチ殺すぞ…!!」
しお「…」
御坂「…」
「「大丈夫かなぁ…」」
土見「んー心配だにゃー」
「「!?」」
同時にため息をつく御坂としおの背後にいつの間にか立っている土見。軽く犯罪者の線を越えていそうな域である。
御坂「き、来てみなさい!わたしの正拳突きは結構痛いですよ!」
土見「HAHAHA☆そう身構えなくてもいいぜぃ御坂ちゃん…ただ、カミやんと一緒に行くんなら。お願いがあるぜよー」
御坂「お願い…ですか?」
かけていたサングラスを外し、嘘偽り無く、本心から御坂に語りかける。
そこにはおちゃらけた痴漢魔の言葉でなく親友を想う幼馴染としての土見の言葉がある。
土見「───────────、────────────。だから、よろしく頼むぜい」
御坂「……はい!」
吹き付けた突風にかき消されかけた言葉は、確かに御坂の耳に届いたのだった。
御坂「…お名前を聞いても良いですか」
土見「俺の名前は、土見 本春だにゃー」
御坂「もとはるさん、私、今のお願い…絶対に成し遂げますから」
上条の”親友の”土見の目を真っ直ぐ見つめ返すと、ヘリの中でアダムと殴り合っている上条の元に駆け出した。
土見「頼んだぞ、御坂美琴。…………、てことでペローン!」
しお「うひゃぁ!?こっここここの痴漢魔!変態!!うわぁぁぁぁもうお嫁に行けないまたお尻触られたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
シリアスな場面をその場で目撃していたしおの油断した隙を突いて、再び痴漢魔に戻った土見の手が乙女の尻を撫で上げた。
土見「あっはっは!油断は禁物だにゃー!」
しお「うぉぉぉぉぉ覚えてろぉぉおぉ!!!」
浮かぶ上がるヘリの扉越しに雑魚キャラっぽい捨て台詞を叫ぶしおに向かって、土見は大げさに尻を撫でるジェスチャーで返した。
しお「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
上条「残念。ボールはこっちだ」
しお「うえぇぇぇぇぇぇん!!!」
御坂「上条さん、いじめちゃダメですよ」
上条「御坂が言うなら…ほれ」
アダム「何で俺に返すんだよ…おい、半人前」
しお「うっ、うっ、本当にお嫁に行けないよぅ…」
当の本人は既にガチ泣きしていた。
上条「土見!行ってくるぜ!!青日によろしくな!!!」
青日「いるんやけど」
上条「いつからいたんだ!?とにかく行ってくる!!」
土見「おう!元気に帰って来いよ!!!」
青日「お見上げよろしく頼むでー!!!」
窓から叫ぶ上条と、親指を立てて返事を返す土見と青日。そこには十年以上も変わらない、唯一無二の親友達がいた。
上条「…ふぅ」
上条はどっかりと席に腰を降ろすと、ニヤニヤと笑いながら窓の外に目を向けた。
御坂「友達っていいですね。……私も欲しいなぁ…」
その言葉に反応して振り返るのも、やはり上条。
上条「何言ってんだよ御坂。俺達もう友達だろ?」
御坂「ホントですか!?……あ、でもなんだろう…少し複雑です…」
上条「?」
しお「み、御坂ちゃん…私は…?」
鼻をティッシュでかんで、おずおずと名乗りを上げるしおに優しく御坂は微笑んだ。
御坂「勿論、友だ」
いつ傷がついていたのか、誰も知らない。
個室で侵略体にぶつけられた時だろうか。それすらも分からない。
しかし、裂けたスーツから飛び出したブラジャー付きの胸という物質は、御坂の言葉と和やか空間を一瞬で引き裂いた。
御坂「天敵です」
しお「」
上条「おぉぉぉ…」
アダム「お前…意外とデカいんだな」
しお「ふ、ふこ、ふここ…」
凍りついて何かの言葉を呟くしおの姿を写真に収めようと、上条がポケットから携帯電話を取り出す。
上条「…ん?」
しかしその右手は、ニコニコと太陽のようでありながら死を連想させる氷のような笑顔の少女の、その細くて小さな手でがっしりと掴まれており。
御坂「かぁぁぁみじょぉぉぉーーさん?」
上条「」
御坂「うふ、うふふふふふふふふ」
もう片方の手が、何か武器になるものは無いかと席の下や壁の機材等から探し当てたものは黒くて小さな箱のようなモノ。
御坂「うふふふふ」
動かした中指が突起に触れると、軽めの機械音の後に先の部分から放電が始まった。
上条「何それ本物初めて見」
御坂「えいっ❤︎」
上条「あばbbbbbbbbbbb‼︎‼︎」
しお「ふ、ふこ、ふここ…」
凍りついて何かの言葉を呟くしおの姿を写真に収めようと、上条がポケットから携帯電話を取り出す。
上条「…ん?」
しかしその右手は、ニコニコと太陽のようでありながら死を連想させる氷のような笑顔の少女の、その細くて小さな手でがっしりと掴まれており。
御坂「かぁぁぁみじょぉぉぉーーさん?」
上条「」
御坂「うふ、うふふふふふふふふ」
もう片方の手が、何か武器になるものは無いかと席の下や壁の機材等から探し当てたものは黒くて小さな箱のようなモノ。
御坂「うふふふふ」
動かした中指が突起に触れると、軽めの機械音の後に先の部分から放電が始まった。
上条「何それ本物初めて見」
御坂「えいっ(はぁと)」
上条「あばbbbbbbbbbbb‼︎‼︎」
上条が床に崩れ落ちるのと同タイミングでしおが吠えた。
しお「不幸だぁぁぁぁっっ!!!!」
アダム「どぶぁっ!?」
目線をしおの顔より30cm下に彷徨わせていたアダムもしおの鉄拳制裁を顔面に喰らい、上条共々床で動かなくなったのだった。
,
また明日参上します
御坂「あの大きな船かなぁ」
上条「どれどれ……おぉ、さすが超国家機関だな。無駄にでかい」
窓の外、太平洋上に航海している巨大船を見てはしゃぐ上条と御坂。そんな2人にやれやれ顔でアダムが話しかける。
アダム「あの船がDOGOOの特務艦C・フォレスターだ。今から司令達と会ってもらう」
御坂「はい!」
上条「司令、ねぇ。さぞかしゴツいオッさんなんだろうな」
上条「…なんて思ってた頃もあった訳よ。まさかTVに出てた婆さんが司令やってるとは思わなかったわ」
アダム「オイ、テメェ失礼だろうが」
壱与「いいですよ、アダム・ミューアヘッド。…私は壱与。DOGOOの司令を務めています」
巨大なスクリーン越しに言葉を返す人物が、上条には見覚えはあった。そのお陰か緊張の欠片も感じさせることなく通常運転である。
上条「あー俺は上条当麻です。【幻想殺し】ってE遺伝子?を引き継いでます」
御坂「わ、私は御坂美琴でしゅ!【超電磁砲】のE遺伝子って説明してもらいましたっ!………み、見ないでください…!」
大事な自己紹介で初っ端から噛んでしまった御坂をニヤニヤと横目で見る上条の視線に、ようやく気付いたようである。
壱与「貴方達は同時にその場に現れ、同時に覚醒した数少ないケースのE遺伝子ホルダーで、全世界で現在26人目のE遺伝子ホルダーです」
上条「…あーそれなんだけど。その、覚醒ってのをすると性格とか変わったりするのか?」
壱与「別段、珍しいことではないですよ上条当麻。……DOGOOに参加するとなると、家庭には帰る機会が殆ど得られません。もう一度言わせてもらうと、参加意思は尊重しますからね。一旦帰宅することをお勧めします」
壱与(誰しもこの選択は辛い筈。今回も最後まで本人達の決意に任せておきましょう)
日常との決別を選んで世界と戦うか否か、という今更に厳しい現実を突きつける壱与。
淡々と告げる裏腹では、眉を顰め、当人達を思いやっての一時帰宅なのだが。
上条「あー俺イイやパスパス」
その厚意をもぶち[ピーーー]のは上条当麻である。
御坂「あの大きな船かなぁ」
上条「どれどれ……おぉ、さすが超国家機関だな。無駄にでかい」
窓の外、太平洋上に航海している巨大船を見てはしゃぐ上条と御坂。そんな2人にやれやれ顔でアダムが話しかける。
アダム「あの船がDOGOOの特務艦C・フォレスターだ。今から司令達と会ってもらう」
御坂「はい!」
上条「司令、ねぇ。さぞかしゴツいオッさんなんだろうな」
上条「…なんて思ってた頃もあった訳よ。まさかTVに出てた婆さんが司令やってるとは思わなかったわ」
アダム「オイ、テメェ失礼だろうが」
壱与「いいですよ、アダム・ミューアヘッド。…私は壱与。DOGOOの司令を務めています」
巨大なスクリーン越しに言葉を返す人物が、上条には見覚えはあった。そのお陰か緊張の欠片も感じさせることなく通常運転である。
上条「あー俺は上条当麻です。【幻想殺し】ってE遺伝子?を引き継いでます」
御坂「わ、私は御坂美琴でしゅ!【超電磁砲】のE遺伝子って説明してもらいましたっ!………み、見ないでください…!」
大事な自己紹介で初っ端から噛んでしまった御坂をニヤニヤと横目で見る上条の視線に、ようやく気付いたようである。
壱与「貴方達は同時にその場に現れ、同時に覚醒した数少ないケースのE遺伝子ホルダーで、全世界で現在26人目のE遺伝子ホルダーです」
上条「…あーそれなんだけど。その、覚醒ってのをすると性格とか変わったりするのか?」
壱与「別段、珍しいことではないですよ上条当麻。……DOGOOに参加するとなると、家庭には帰る機会が殆ど得られません。もう一度言わせてもらうと、参加意思は尊重しますからね。一旦帰宅することをお勧めします」
壱与(誰しもこの選択は辛い筈。今回も最後まで本人達の決意に任せておきましょう)
日常との決別を選んで世界と戦うか否か、という今更に厳しい現実を突きつける壱与。
淡々と告げる裏腹では、眉を顰め、当人達を思いやっての一時帰宅なのだが。
上条「あー俺イイやパスパス」
その厚意をもぶち殺すのは上条当麻である。
上条「家帰ったらめんどくさい事になるし、俺はここに残るわ。御坂だけ帰してやってくれ」
露骨に嫌な顔でひらひらと手を振る。どんな家庭で育ったのかと、無粋な事を壱与に考えさせる程にサッパリとした帰宅拒否だった。
壱与「…よろしい。では上条当麻、貴方には【幻想殺し】として第2班兼第6班に所属してもらいます」
アダム「あ?第6班?そんなモンありましたかね司令」
上条を差し置き、一歩前に出るアダム。
壱与の返答はこうだった。
壱与「新生班ですよ【切り裂きジャック】。完全ではありませんが、解析にかけた結果、新たな班の中心としても申し分の無い能力だと判明しました。故に新たなメンバーが集まるまで、もっと言えば一人前になるまで第2班と行動を共にする事を命じます」
アダム「……新生班、ねぇ。それまでこいつのオモリをしろって事ですか」
壱与「【ロバート・キャパ】にも監督役を務めて貰います。【ノブナガン】も基礎的な事はなるべく教えるよう、協力しなさい」
しお「……さようなら、私の平穏」
上条「よろしくな、玩具共」
親指を立てて、一応の先輩達に失礼極まりない事を口走った。
主に、小椋しおという少女に向けて。
御坂「わ、私も残ります!」
上条「駄目だ帰れ」
なぜか壱与ではなく上条が即答であった。
御坂「」
上条「俺ん家はどうでもいいけどお前んとこは心配するだろ。それに俺的にはお前には戦って欲しくない」
御坂「な、なんでですか?私、強いですよ?」
上条「……、なんでだろ」
御坂「?」
上条「?」
上条の心に生まれて初めて浮かんだモヤモヤは、『御坂を危険に晒すわけにはいかない』と告げていた。
それは、未だに自覚の芽生えない気持ちの現れである。
御坂「と、に、か、く!私は残りますから!司令、私残りますから!!」
壱与「辛い道になるわ。それでも耐えられる?」
上条「おい婆さん何言っbbbbbbbb⁉︎……フッ、刺激的…だぜ…」
そろそろ怒りが蓄積してきた御坂がヘリで拾った改造スタンガンを白シャツの背中に押し付けて、上条の意識を無理矢理闇に放り投げた。
御坂「いいです。我が家の家訓にも”1度決めた事は死んでも貫け”とあります。パパとママも分かってくれる筈です」
壱与「……いいのね?」
御坂「はい」
壱与「わかりました。では御坂美琴を【超電磁砲】として第2班兼第6班に所属を命じ、人数の確保並びに【幻想殺し】の成長が確認され次第第6班を正式に発足させる事をここで宣言しておきます。勿論、最初は【幻想殺し】と共に特訓に励んでもらいますよ」
しお・アダム「「…」」
しおとアダムには、淡々と告げているようであるものの、紡ぐ言葉の端々には感情的で悲観的な心が読み取れていた。
御坂「はい!」
そうして、上条の説得虚しく、御坂美琴という少女はDOGOOに正式に加入する。
司令室からアダム等によって運び出された上条が、会議室で目を覚ましたのは約30分後。
言うまでもなく、不機嫌なオーラが表情と態度からダダ漏れている。
上条「…」
御坂「…そんなに怒らないでくださいよ…」
上条「別に怒ってねーし。は?お前何言ってんの?」
御坂「うー…」
机に突っ伏したまま子供のような言葉で跳ね除ける上条。それに振り回されて、あたふたそわそわと落ち着かない御坂が若干涙目であった。
御坂「ていうか…なんで上条さんがそんなに怒ってるんですかー…」
上条「……」
御坂「ふぇぇ…無視はやめてください…」
しお「…か、上条くん。その辺にしといてあげなよ…」
上条「うるせーよふんわりちびまる子」
しお「ふんわりちびまる子って何!?」
不意打ちとも言える容赦ない精神攻撃に、しおはあっさりとその場に崩れ落ちた。
アダム「情けねぇな。そのガキが傷つくのが嫌ならお前がキチンと守ってやればいいだけの話だろうが」
ついに見かねたアダムが話に入って来た。
上条「…」
アダム「まぁこんなとこでぐだぐだやってる軟弱野郎には無理か。悪かったな」
上条「おいテメェちっと表出ろや誰が軟弱だとこの厨二野郎」
アダムは軽く煽ったつもりだったが、上条は予想以上にキレ易いのか、あっさりと釣り針に引っかかった。
アダム「そんな日本語はしらねぇよウニ野郎。とっとと訓練始める位の脳みそは持ってねぇのか?あぁ?」
上条「その訓練とやらでテメェを最初に殺してやるぜ厨二野郎。さっさと連れてけや”先輩”」
アダム「途中で音を上げんじゃねぇぞ”後輩”」
ニヤリ、と両者共に爽やかなな笑顔(with殺意)で火花を散らした後、何事もなかったように会議室から出て行ってしまった。
しお「…今までの流れって必要だったのかな…?私が傷を受けただけのような気がするんだ…」
御坂「す、すいませんでした…」
しお「いいの…こんなふんわりちびまる子なんてほっといて…」
御坂(……こんどは小椋さんかぁ…)
部屋の隅でめそめそと泣きべそをかく女子高生とまたもオロオロしだす女子中学生だけが部屋に残った。
そしてその数分後、2人共しおも鍛えられた事のある白人男性の怒号によって呼び出されることとなる。
しお「…今までの流れって必要だったのかな…?私が傷を受けただけのような気がするんだ…」
御坂「す、すいませんでした…」
しお「いいの…こんなふんわりちびまる子なんてほっといて…」
御坂(……こんどは小椋さんかぁ…)
部屋の隅でめそめそと泣きべそをかく女子高生とまたもオロオロしだす女子中学生だけが会議室に残った。
そしてその数分後、しおも鍛えられた事のある白人男性の怒号によって呼び出されることとなる。
「【ノブナガン】!何をちんたらやってたんだ!【切り裂きジャック】も新米も何分も前に来てたんだがなぁ!?」
しお「……すいませんでした…ふんわりでごめんなさい…」
車椅子に乗った白人の男性の怒りの咆哮に対する返事は心底暗いものであった。
「……そこの。何があった」
御坂「…えーっと……」
「……まぁいい、俺の名はアヌシュ。E遺伝子は【ロバートキャパ】だ。呼ぶ時はキャパでいい」
ロバートキャパ。本名はフリードマン・エンドレ・エレネー。デビュー作「崩れ落ちる兵士」で一躍有名になったカメラマンである。
彼は数々の戦場を命がけで取材し、撮影して回りその悲惨さや過酷さを全世界に訴え、最後は地雷によってその命を落とした。傑物と言ってもなんら過言では無い人物である。
上条「地雷踏み抜いて死んだんだっけか(笑)」
キャパのこめかみ辺りで血管的なものが高速でブチ切れる音がした。
上条「…あだだだだだだだだ!!!?」
ビシ、ビシ、ビシビシビシビシビシィッと上条の体…主に顔面の部分に細い光線が何度も直撃する。
それは確かにキャパの背後にあるAUウェポンらしきものから放たれたものだった。
キャパ「…そこのガキは特別メニューだクソッタレ」
車椅子を反転させたタイミングで、上条の顔面に異変が起きた。
上条「ど、どういう意…みみみみみみみみっ?!」
御坂「ひ…ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
上条の顔面が何度も何度も剥がれ流ように大きく波打ち、ぷくっと膨らみ、やがて幾人もの上条が這い出て来たのだ。軽く…いや、十分ホラー。
上条「うっ…うぅ…?お、俺がひぃふぅみぃの……30人!?」
しお「数えるの早っ!…あれ一発でも結構痛かったんだけどなぁ……」
アダム「初っ端で30人ってのは、ちと多すぎねぇかキャパ」
キャパ「知るか。おいウニ、とっととAUウェポンを起動しねぇと死ぬ…怪我するぞ」
上条「今死ぬって言ったな!?ってうひょおあ」
ズドンと轟音。
それは上条の分身のうち数体が右手のAUウェポンで瞬間前まで上条の居た場所をぶん殴ってヒビを入れた音であった。
上条「オイオイ死ぬ死ぬこれは死ぬッ!」
キャパ「オラオラよけねぇとまた痛ぇぞ。また」
上条「あいだぁ!?おれれれれれれれの顔になんか恨みでもあんのか!?」
文句を言いつつ顔から分身を吐き出す上条。その産んだばかりの分身に腹パンを食らうところまでキャパは見届けた。
キャパ「お嬢ちゃんは外でもっと易しいメニューからだ。着いて来な…【切り裂きジャック】はそのガキのオモリだ」
アダム「あいよ」
御坂「よ、よろしくお願いしますっ!」
キャパ「てめぇと違って良い子だねぇ【ノブナガン】。お嬢ちゃんはおじさんが手際良く優しく教えてやろうな」
しお(女子中学生にデレデレしてるんですけどこの人…)
数分後。
上条「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
アダム「逃げてばっかじゃ死ぬ…怪我するぞー。とっととAUウェポン起動しろー」
大勢の自分に追いかけられながら、上条は訓練所内という狭い空間を走り回っている。
無防備で。
上条「起動できたら苦労しねぇよ!このボールうんともすんとも言わねぇんだよ!故障してんじゃねーのかくっぱぁ!!!!」
アダム「なら俺のを使え、ほらよ!」
上条「おぉ厨二!たまには良いやつだぜ見直し……起動しねぇえぇぇぇ!!!」
何度ボールを変えても、右手は変わらず。
上条「なんでだよ!」
何度ボールを叩きつけても、右手は変わらず。
上条「このクソ!…ひでぶっ!」
何度ボールに噛み付いても、右手は変わらず。
上条「んががががっは!」
何度ボールに土下座しても、右手は変わらなかった。
上条「お願いしますボールさぶべらっ!!」
その度に隙を疲れて集団リンチに会うだけであった。
上条「何故…何故だ…昨日まで使えてたのに…」
アダム「…心の何処かにスイッチでもあるんじゃねーか?(適当」
上条「言ってる意味が分かオブァ…てめぇ何優雅に紅茶なんか飲んでんだよ!」
アダム「お前が初めてAUウェポン使った時、何考えてたんだ?」
分身達が急に動きを止め、上条を見つめた。
上条には、どの分身も自分では無い人物の分身であるかのような錯覚を感じた。
上条「……」
─────それは確かな違和感。
今にも「不幸だー!」と叫び出しそうな”別人”である。
上条「俺は、土見も青日もそうだったけどよ………1番は御坂を守りたかった」
その”別人”に語りかけるように、宣誓するように言葉を続ける。
上条「今の俺は、お前みたいなヘマはしない。絶対に御坂を泣かせないし、絶対に1人にしない」
分身が驚いたような、そして優しく微笑むような表情を浮かべた。
上条「俺はこれからもあいつの世界を脅かす幻想を殺し続けてやる。だから、精々お前の事を待ってた”御坂”に土下座でもして見守ってやがれ」
ボールを持つ右手を前に突き出す。
本来意思を持たない分身が、上条と同じように軽く口角を上げて、手甲付きの拳を突き出された右手に合わせる。
『ハハッ…好き勝手言いやがって、覚えてろよ』
上条「!?」
ボールが輝き上条の右腕を覆い始める。
あの時と同じ、紫色の西洋甲冑のような手甲がそこに現れた。
上条「……お前今喋った?」
『……』
無表情で無感情な分身が合わせていた右手を振りかぶり、上条に殴りかかった。
上条「不意打ちは卑怯だろ!」
それを受け流すように払い、更に横に跳んだ上条は、叫ぶ。
上条「俺は『上条当麻』を越えてみせるぶべらぁッッ!!!」
されど、無慈悲な2体目の拳。
…最後まで格好がつかなかった。
────────────
───────
キャパ「さーてお嬢ちゃん、始めようか」
御坂「はいっ!…えっと……」
キャパ「どうかしたかい?」
御坂「その、ブルマーって初めて着たんですけど、なんか恥ずかしい…です」
現在はUMAと同じくらい、殆ど確認されることなき伝説の衣服、それがブルマーだった。
陸上部とはいえ普段は短パンやジャージが普通であり、違和感と羞恥が御坂の頭に渦を巻いていた。
キャパ(かわいい)
てれてれ御坂と変態紳士がしおの視界に居る。
しお「私の時は普通のジャージだったよ御坂ちゃん」
御坂「そうなんですか?」
しお「そこのオッさんは変態だから気をつけてね…!ジャージ脱がされそうになったよ私…!!」
御坂「ひぃ…!?ほほんとですか…?」
キャパ「嘘だって嘘嘘!”こいつのジャージ”なんて下ろそうとしてないよ!おじさん嘘はつかないよ!!!」
御坂「よかった…やっぱりいい人ですよねっ」
キャパ「アハハー…」
キャパ(嘘ではない。下ろそうとしたのは”分身の”だからな)
真実のみで御坂に弁明しきったキャパは、しおに10発程AUウェポンの光線を撃ち込んだ。
しお「ちょ、なんで私」
キャパ「お前もそっちで基礎練やってろ半人前。聞くところによると侵略体から一発食らっただけでのされたそうだなぁ?」
しお「うっ…それを言われると…、御坂ちゃん気をつけてね!」
御坂「はいっ!よーし、頑張るぞー!!」
えいえいおー!と意気込む御坂を、終始ニヤニヤと見つめるキャパ。それを周囲の兵士が引いた目で見つめていた。
キャパ「よし、お嬢ちゃんの基礎力をまず見せてもらおうか」
御坂「何をすればいいですか?」
キャパ「ここから、あそこまで200mある。お嬢ちゃんにはキツいかもしれないけど全速力で走ってくれるかい?」
コートの端を指差す反対の手には拳大の小型カメラ。ストップウォッチは兵士の1人が握っている。
御坂「はいっ!!」
キャパ「よし…」
ロバートキャパの名と魂が、今まで同様狙った被写体(エモノ)は逃すまいと、御坂には見えない角度に小型カメラを構えた。
だが、致命的にも彼は知らなかった。
キャパ「よーい!」
────20mをたった2秒で走りきることのできる、神懸かり的な女子中学生が存在することを───────。
キャパ「ドン!」
カメラのシャッターを切ろうとする瞬間には、御坂の姿はそこには既に無く。
キャパ「えっ…」
ストップウォッチのボタンの音だけがキャパの脳に届いた。
御坂「よぉし!今回は調子いい!何秒でした?」
キャパ「…、あ…?」
コートの端ではぴょんぴょん飛び跳ねる御坂が兵士に記録を訪ねている。
キャパ「…もう、ゴールしたのか…?」
しお「フフフ…ざまぁ見なさい変態オヤジ。御坂ちゃんをあなどってたわね」
キャパ「!」
いつの間にか、キャパの背後にはほどほどに汗をかいたしおが仁王立ちしていた。
しお「彼女は往復10mを2秒で走りきる子よ。鼻の下伸ばしたアンタなんかに撮れるわけ無いじゃない……あと、私のコピーは片付いたから。良い運動になりました」
キャパ「」
しお「あと、御坂ちゃんのコピーなんて出させないから。使うなら私のコピー以外認めない。何に使われるか分かったもんじゃないわ」
キャパ「な、お、お前にそんな権利が」
しお「じゃないと司令にチクる」
キャパ「」
御坂「あっ!小椋さーーん!聞いてください!私、200m初めて8秒切りましたよー!!!」
ニコニコ笑顔で手を振って、とてとてと御坂は歩いてくる。しかし話す内容は、もはや人外チックなそれだった。
御坂「よぉし!今回は調子いい!何秒でした?」
キャパ「…、あ…?」
コートの端ではぴょんぴょん飛び跳ねる御坂が兵士に記録を訪ねている。
キャパ「…もう、ゴールしたのか…?」
しお「フフフ…ざまぁ見なさい変態オヤジ。御坂ちゃんをあなどってたわね」
キャパ「!」
いつの間にか、キャパの背後にはほどほどに汗をかいたしおが仁王立ちしていた。
しお「彼女は往復10mを2秒で走りきる子よ。鼻の下伸ばしたアンタなんかに撮れるわけ無いじゃない……あと、私のコピーは片付いたから。良い運動になりました」
キャパ「」
しお「あと、御坂ちゃんのコピーなんて出させないから。使うなら私のコピー以外認めない。何に使われるか分かったもんじゃないわ」
キャパ「な、お、お前にそんな権利が」
しお「じゃないと司令にチクる」
キャパ「」
御坂「あっ!小椋さーーん!聞いてください!私、200m初めて8秒切りましたよー!!!」
ニコニコ笑顔で手を振って、とてとてと御坂は歩いてくる。しかし話す内容は、もはや人外チックなそれだった。
御坂「よぉし!今回は調子いい!何秒でした?」
キャパ「…、あ…?」
コートの端ではぴょんぴょん飛び跳ねる御坂が兵士に記録を訪ねている。
キャパ「…もう、ゴールしたのか…?」
しお「フフフ…ざまぁ見なさい変態オヤジ。御坂ちゃんをあなどってたわね」
キャパ「!」
いつの間にか、キャパの背後にはほどほどに汗をかいたしおが仁王立ちしていた。
しお「彼女は往復10mを2秒で走りきる子よ。鼻の下伸ばしたアンタなんかに撮れるわけ無いじゃない……あと、私のコピーは片付いたから。良い運動になりました」
キャパ「」
しお「あと、御坂ちゃんのコピーなんて出させないから。使うなら私のコピー以外認めない。何に使われるか分かったもんじゃないわ」
キャパ「な、お、お前にそんな権利が」
しお「じゃないと司令にチクる」
キャパ「」
御坂「あっ!小椋さーーん!聞いてください!私、200m初めて18秒切りましたよー!!!」
ニコニコ笑顔で手を振って、とてとてと御坂は歩いてくる。しかし話す内容は、もはや人外チックなそれだった。
何度も投下すいません
18秒って打ちたかったんですすいません
その後も、キャパの出す課題に対して予想の遥か上を行く結果で全員の度肝を抜きとる御坂。
御坂「せいやっ!…あわ!?ご、ごめんなさい!!」
パンチ力を測る為の機械を壊したり、蹴りの力を測るミットを吹き飛ばしたり、用意された20枚重ねの瓦を手刀で粉々にしたりした。それも素手で。
キャパ「…即戦力ってレベルじゃあねぇな」
しお「…私も今更現実味が無くなってきた」
御坂「えへへ、ぶいっ!」
自分の結果に満足したのか、御坂は計測用のビデオと遠くで話をしている2人に向かって満開の笑顔でピースしたのだ。
キャパ「と、このような結果になりましたとさ」
上条達は記録映像を見ている間も唖然として立ち尽くしていた。
上条「…お前……」
御坂「え…」
しお(やっぱり引いちゃうか…)
上条「お前すげぇな!俺とスパーリングしてくれ!!」
しお「うん、この人達と私の住む世界は違うみたいだー」
棒読みであった。
壱与「……」
しお「司令?」
壱与「なんでもありませんよ。その調子でAUウェポンの訓練にも励んでくださいね御坂美琴さん」
御坂「はいっ!」
アダム「負けてらんねーよなぁ?上条」
上条の肩に手を置き、意味ありげに口角を上げるアダム。その意図を察して、上条も言葉を返す。
上条「あたぼうよ。司令、訓練行ってくるわ」
壱与「もう夜も深い、ゆっくり休んでもかまいませんよ」
上条「そこはアレだ」
アダム「アレ、ですよ」
「「男の意地」」
2人が出て行った後の会議室は、それはもう独特な雰囲気だった。
しお「あいつらいつの間に仲良くなったんだろ」
御坂「男の意地、か。パパも良く言ってたなぁ」
壱与「男という生き物は不思議ですね」
「「「ねー」」」
上条「ッショォア!負けられっかよオラァァァァ!!!!」
アダム「次!AUウェポン起動したまま腕立て2000!終わったらミット打ち・蹴り共に1000!3セット!!目標は今から3時間!!」
上条「うおおぉぉぉおぉ!!!」
アダム「もっと熱くなれよぉぉおおぉぉ!!今日からお前はエアーズロックだ!!!」
上条「うぉっしゃァァァァァ!!!!」
しお(思った以上にキツいメニューをこなしてるーーー!!!!?)
御坂「パパの朝の体操と同じくらいの量だけど大丈夫かなぁ…」
しお「!?……というかアダムのキャラがブレてる…」
少しだけ開いたトレーニングルームのドアからこっそりと中を覗き込む2つの影。
その手にはお弁当と思しきものを大事そうに抱えていた。
御坂「これはちょっと渡すタイミングが見つからないですね…」
しお「う、うん。もうちょっとだけ見てよっか」
御坂「はい」
上条「だらっしゃァァァァァァァッッ」
アダム「オォォォォォォォォォォォッッ」
御坂「いいな、いいなぁ…私もシたいなぁ…」
しお「ダメだよ御坂ちゃん色んな意味で」
火照った顔で体をもぞもぞとさせる御坂が、大変危ない。もちろん色んな意味で。
しお「…上条君って怖くない?」
御坂「え?優しくてカッコ良くて背中が広くて(ry…だし全然怖くないですよ?」
しお(うっわーベタ惚れだー)
可愛らしい笑顔でサラッと言ってのける御坂を、少しだけ、しおは羨ましく思った。
しお「私も言いたいことを堂々と言えるようになれればなぁ…ハハ…」
御坂「?…まぁ、私とは釣り合わないですよね」
しお「……そそそれはどういう…?(意外と性悪!?)」
御坂「だって…上条さんは大企業の御曹司です。家柄も顔も性格も……貧乏道場の娘とじゃ釣り合わないですよ」
しお「え、ちょっと待って。上条君っておぼっちゃまなの!?」
御坂「アンタ、玉の輿なんて狙ってるんなら……焦がすわよ?」
バチィ、としおの真横で炸裂音がした。
しお「…………へ?」
御坂「え?あれ?能力…?何で??」
酉いれるの忘れてました
髪の先から全身まで、いたるところから放電させる御坂。しかし当の本人は頭に「?」マークを浮かべている。
御坂「おかしいわね…この身体は何のカリキュラムも通してない筈なのに」
しお「……御坂ちゃん?」
御坂「遺伝子が当時の私の能力を記憶していた…?そんなばかなことが…能力者同士で子供を作っても多重能力者は何故か産まれなかったしそもそも染色体にまで影響しうる事が証明されてなかったわ。そもそもAIM拡散力場や自分だけの現実も」
しお「み、御坂さん…?」
御坂「………狙ってるの?」
殺意。嫉妬。憎悪。
そのどれにも良く似た感情のオーラが、御坂の背後からしおを包み込んでいく。
しお「…!……!!」
圧倒的なプレッシャーを前に、声が上手く出てきてくれない。
全身から冷や汗を吹き出すしおが自分の命を守る為に唯一できた最善の一手は、ひたすらに首を横に振ることだった。
御坂「……………………………………………そう。ならいいわ」
鬼のような形相から一転。
ニッコリと常盤台中学お嬢様お得意のお上品な微笑みを浮かべて視線を前に戻す。
しお「」
御坂「まーたアイツは無茶ばかりしちゃってもー。心配するこっちの身にもなりなさいっての」
ビシバシドゴバキ以下略。よく分からないし、しおにしては聞きなれない破砕音が響くトレーニングルームを御坂と共に再び覗き見た。今度は一歩下がって遠慮がちに。
しお(二重人格…?こっちの御坂ちゃんは怖いなぁ……)
少しばかり的外れの疑問を残しながら。
上条「まだだ!まだ俺達なら越えられるッッ!!!」
アダム「次のメニュー行くぞオラァァァア!!!!」
上条「おぉぉぉおぉおおぉおぉ!!!!」
御坂「…やっぱり少し暑苦しいわ」
しお「………やっぱ…り?」
外に零れる熱気にあてられ、トレーニングルーム前を通る職員達も一瞬で汗をかいていく。
そんなサウナも真っ青になるような熱血空間の前で待機している2人は着ている服が滝のような汗で濡れ、しおについては塩をふられた青野菜のようにぐったりとしている。
しお「御坂ちゃ…御坂さんはなんでそんなに元気なの…」
御坂「別に元気ってわけでもないわよ。ホラ、汗もかいてるし」
そう言ってシャツを全部脱いでみせたタイミングで、トレーニングルームの扉が全開になる。
上条「ランニング50しゅ………」
ブラを無防備にさらけ出した御坂の姿が目を見開いた上条の脳味噌に焼き付いていく。
御坂「…………」
上条「ああはは…御坂さん、ご機嫌いかがですの?」
御坂「このセクハラ魔がァーーーーっ!!」
上条「うわぁぁぁあぉあぉお何でお前デフォルトで能力使えてんだよ不幸だァァーーーッ!!!!」
───────────
──────
ロシア・バイカル湖畔、朝。
「……なンだありゃァ」
白髪の”少女”が、ログハウスの窓から外を見ていた。
何の因果か、目の前の海で炎をあげて沈みかかっているのは外装に『DOGOO』の5文字が表記されている軍用輸送機。
「墜ちて来たのかァ?……どこに連絡すりゃいいンですかねェオイ」
簡単な雪かき機で除雪しながら湖まで足早に歩いて行く。湖より数メートル離れた辺りから、いたるところに輸送機のパーツの鉄板やビス、乗組員の私物と思われる物までが飛散していた。
ふと、
「あン?」
つま先に何かがあたった。
「…………なんだったかねェ。どっかで見たような気がするンだが……」
赤い瞳で見つめるソレは、異様な模様で装飾されたボール。
今から少女が拾うであろう3秒先で、一方通行な物語が上条達と交差して、新たな物語に昇華する─────────。
お待たせいたしました。
今日から再び投下していきます。
お付き合いいただければ幸いです。
上条「……」
上条当麻は考えた。
今まで考えた事もなかった、新たなジャンルに深く考え込んでいた。
御坂「あ゛~。もうちょっと左…行き過ぎ!そこそこ!ふぃ~~……」
肩を揉むにあたって、最も気持ち良いところはどこなのか。そんなジャンル。
上条「……まだトレーニングは終わってないのになぁ…」
御坂「ボソッと何言ってんのよ、覗き魔。ちゃんと奉仕なさい」
上条「う、うるせぇな!きちんとご奉仕させて頂きます!!!」
御坂「奉仕…ご奉仕……ま、まだ私達には早いってば!!」
上条「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
勝手に反応。勝手に紅潮。勝手に電撃。
理不尽極まりない10万ボルトが上条を襲う。
夕方ごろまた来ます
上条「そろそろ勘弁してくれ…眠い」
とうとう上条が弱音を吐き出した時、アダムとしおの両名が同時にあくびをしながらミーティングルームにやってきた。
アダム「なんだお前等、まだやったのか」
御坂「まだ6時間しかマッサージしてもらってないわよ。ほら、まだ朝の5時だし」
上条「もう朝の5時なんだよ!!!たかが下着を見たぐらいで鬼すぎる……」
しお「最低」
上条「黙れ。そもそも基本的に俺は幼女にしか萌えねぇ」
原爆級の爆弾発言に世界が凍った。
御坂「」
アダム「……」
上条「何か文句あっか」
しお「……アダム、言ってやって」
アダム「あぁ。……はっきり言わせてもらうぞ上条」
いつも以上に真顔で真剣な眼差しのアダムに全員の本音を代弁してもらうように促すしお。
アダムは上条の手をガッチリと握り、端的かつ本気の言葉を吐き出す。
アダム「同士よ」
またもや第二次氷河期がミーティングルームに訪れたのだった。
しお「」
御坂「」
上条「同志…だと?」
アダム「あぁ。お前とは分かり合える、そんな気はしてたんだ」
上条「……Yes,ロリータ」
アダム「Noタッチ」
上条「幼女とは」
アダム「常に世界の中心だ」
上条「同志(とも)よ!」
アダム「語ろうぜ親友!」
今日は世にも奇妙な絆が生まれた日。
2人の眼には一片の曇りも無く、純粋に澄んだ瞳で互いを親友と認めた。
御坂「」
しお「」
ついでに言うなら、話に置いていかれた2名の瞳は濁っていた。
上条「すまねぇ御坂、ちょっと用事ができたぜ」
アダム「俺もだ半人前、少し席を外すぜ」
しお「…………あ、はい(御坂ちゃんの瞳孔が開いている件について)」
御坂「」
そんなこんなで上条とアダムは出て行った。
御坂「……」
しお「……御坂ちゃん」
御坂「…………人を呪わば穴二つ」
しお「⁉︎」
御坂「ふ、ふふふ。ふふふふふふふふふ」
しお(怖い!笑顔が怖いよ御坂ちゃん!!)
上条「俺さ、お風呂から出てきた幼女をバスタオルで受け止めるのが夢なんだ」
アダム「素敵な夢だ、叶うといいな」
上条「あぁ…」
アダム「俺は…曲がり角で幼女とぶつかりたい」
上条「素敵だな…」
アダム「あぁ…」
遠い目で明後日の方向に視線を飛ばしているロリコン×2。
そんな2人にロリコンの神は微笑んだ。
上条「オブぅ!?」
「⁉︎」
アダム「上じょ……Oh」
上条「っ…てぇな…!!オイ!!!ちゃんと前みて歩けよアh」
「ひぅっ!ごめ、ごめなさ…ぁ」
曲がり角の死角から飛び出してきた小さな人影が上条の脇腹に突き刺さった。
はだけたフードから顔をのぞかせたのはリスペクト通りの、幼女。わ
白髪紅眼、アホ毛にタレ目という珍オプションのバーゲンセールの、まさに幼女だった。
上条「前見て歩けよアダム!!!!!(すまねぇ相棒分かってくれ…!!)」
アダム「す、すまねぇ上条!!(いいさ、気にすんな相棒)」
上条「っとによぉ…!……あっ、大丈夫かいお嬢さん(忍びねぇな)」
アダム「ごめんな、ケガなかったか?(かまわんよ)」
「あ、だいじょぶ、です。えへへ…」
上条「」
アダム「」
ようじょのほほえみ!
上条に9999のダメージ(クリティカル)!!
アダムに9999のダメージ(クリティカル)!!
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