お嬢様「......」ジーッ(877)

男「なんだよ」

嬢「・・・」ジーッ

男「(相変わらず顔が近い...)」

嬢「男」

男「何だ?」

嬢「一緒に帰りましょ」

男「おう」

男「雨、降らなかったなー」

嬢「...」ウンウン

男「傘持って来なかったのか?」

嬢「...」コクン

男「忘れたんだろ」

嬢「っ」ピク

男「怒るな怒るな」

嬢「...」ガサガサ

男「な、何を出すつもり.....ってレインコートすか」

嬢「いる?」

男「要らん かさばるから次からは折り畳み傘にしておけ」

嬢「む」

嬢「男」

男「どうした?」

嬢「午後はお暇?」

男「んー」

嬢「...」

男「一緒に勉強するか?」

嬢「っ......」コクン

男「どこでするか」

嬢「私の家」

男「えっ」

嬢「私の家」

男「いやそれはわかった」

嬢「今から」

男「今から!?」

嬢「...」

男「午前授業のみで飯もまだだし」

嬢「ご馳走する」

男「いや、遠慮しておく」

嬢「何故?」

男「昼間からご馳走されるなんてちょっと......」

嬢「...なら夜」

男「いやまあそういう問題じゃなかったんだけど」

嬢「来て」

男「いきなりお邪魔しても大丈夫なんか?」

嬢「平気」

男「嬢の家、相当広いらしいな」

嬢「...」コクン

男「認めるんかい」

嬢「校庭くらいある」

男「広すぎんだろ」

嬢「この国は資本主義だからしょうがない」

男「急に変な事言うな」

嬢「お昼 2人分頼めば作ってくれる」

男「誰が?母親はロンドンなんだろ?」

嬢「お手伝いさん」

男「おお、使用人雇っているんか...すげえな...」

嬢「来て」


ーーーー邸宅

男「城みたいなのかと思ったら和でした」

嬢「お爺様の趣味」

男「成る程...庭がとてつもなく広いな あれは池か」

嬢「錦鯉を放しているの」

男「金持ちの趣味としては無難だな」

嬢「そう」

男「お、あれ庭師さんだろ」

嬢「うん」

男「こんだけ広けりゃ手入れも大変だろうな」

男「ここが玄関か」

嬢「ん」

男「・・・?鍵穴がないな」

嬢「センサー」

男「ハイテクだな」

【番号を入力してください】

嬢「...」ピッピッピッピッピッピッ

男「フムフム」

【エラーです(ビビー 番号が違います】

嬢「間違えた」

男「おい」

嬢「...」ピッピッピッピッピッピッ

【確認しました 掌紋をかざしてください】

男「おぉー」

嬢「...」

【読み込めません 正しくかざしてください】

男「おい」

嬢「む...」

【確認しました】ピー ガチャ

男「お、開いたのか?」

嬢「ここに指紋を着ける」ピッ

ウィーン

男「ここまでくると回りくどいな」

嬢「うん」

男「入力失敗してたし」

嬢「今日は一回しかしてない」

男「一回"しか"って・・・」

男「靴は脱ぐんだな」

嬢「はい スリッパ」

男「ご丁寧にどうも」

嬢「これは男の」

男「?」

嬢「貴方専用の」

男「あ、ありがとう...」

嬢「あっ」

男「ん?どうした?」

嬢「今日、お手伝いさん居なかった」

男「どうりで静かすぎると」

嬢「お茶菓子ならあったはず」

男「とりあえず鞄とか置きたいんだが」

嬢「ん こっち」グイッ

男「ひひひ引っ張るなっ」

嬢「...」スタスタ

男「部屋のドア横にあるのなんだ?」

嬢「網膜センサー」

男「!?」

嬢「ここは父の書斎」

男「成る程...本人しか入れないようにね」

嬢「ここが私の部屋」

男「ここにもあるんだな」

嬢「...」ピッ

ガチャ

嬢「ちょっと待って」

男「?」

【管理者メニューです 12桁の番号を入力してください】

嬢「...」ピピピピッ......

【網膜を入力します】

男「?」

嬢「眼を近付けて」

男「はっ??」

嬢「貴方の」

男「な、何で俺のなんだよっ」

嬢「...」

男「いや、入力したってしょうがないだろ...」

嬢「私と貴方のだけ」

男「・・・、家族のみんなは?」

嬢「私の部屋と父の部屋は自分だけのしか入力してない」

男「ふーん」

嬢「早く」グイッ

男「わかったよ...」ピッ

嬢「ん」

【2人目の入力を完了しました】

男「俺の入力しても意味ないだろ...」

嬢「...」ガチャ

男「ッッすげえな...」

嬢「入って」

男「広いな そしてベッドがデカい」

嬢「ここに鞄置いといていい」

男「わかった」

嬢「どう?」

男「何がだ?」

嬢「私の部屋」

男「んー?んんー」

嬢「...」ジーッ

男「質素というか...そこまで女の子らしくもないと言うか」

嬢「ん」

男「もっとぬいぐるみに囲まれてたりするイメージがあった...かな?」

嬢「...」

男「ま、落ち着いてていいと思うけどな」

嬢「必要最低限のものでいい」

男「それでこの広さなら余るワケだな」

嬢「ん」

嬢「ご飯」

男「作るのか?」

嬢「んーん」ブンブン

男「そもそも......作れるのか?」

嬢「っ...」

男「ふむ」

嬢「やればできる子」

男「自分で言うなや」

嬢「取りあえず厨房に行けば何かある」

男「キッチンじゃなくて厨房と言うんか...」

ーーーー厨房

男「確かにこりゃ厨房だな」

嬢「使用人さん達全員のご飯も作るから」

男「成る程な」

嬢「土日月は住み込みの爺や以外お休み」

男「爺や!? 爺いるのか?」

嬢「ん 多分今お祖父様側の家で将棋でもしてるはず」

男「爺執事かあ テンプレっすな」

男「いつも使用人さんがいない時は何食べてるんだ?」

嬢「爺が作ったり、お祖父様宅で頂いたりしてる」

男「作らんのか?」

嬢「...」

男「固まるな」

嬢「これが冷蔵庫 業務用と家庭用」

男「開けていいか?」

嬢「ん」

男「・・・んー、あるっちゃあるけどな」

男「ん?このタッパーに入っているのは?」

嬢「使用人さんがもしもの為に作って置いといてくれてる」

男「いやじゃあこれ食べろよ」

嬢「確かに」

男「あのなあ...」

嬢「食べる」

男「んじゃあこれ温めるか」

嬢「ん」

男「電子レンジでいいか」

嬢「ん」

男「電子レンジどこ」

嬢「...ん これかこれ?」

男「こっちはオーブンか?何か見たこと無い機材ばっかだな...」

嬢「私もあまり厨房には入らない」

男「取りあえずこのボタンで間違いないだろ」ポチー

男「普段料理とかしないのか」

嬢「しない」

男「こんだけ機材やら使用人さんやらがいるのに勿体無いな」

嬢「何故?」

男「教わるにこしたことはないだろ」

嬢「確かに」

男「お母さんは料理作らないのか?」

嬢「作る」

男「へぇー」

嬢「男は?」

男「まあ、人並み程度にな」

嬢「・・・そう」

男「何でガッカリするんだよ」

嬢「私はできないから」

男「あんまりしたこと無いだけだろ?」

嬢「...」

男「すぐできるようになるって 悲観しすぎだ」

嬢「ん」

男「そもそも高校生で料理が得意な奴って実はそういないとは思う」

嬢「私は不得意ではなくできない」

男「なら経験を積むのみだな」




男「さて、昼飯も食べたし」

嬢「お勉強?」

男「タッパーとか洗わないとな」

嬢「ん」

男「これ、オートシンクだろ?」

嬢「???」

男「自動食洗機だよ 手で洗わなくてもこの中に入れるだけで汚れが落ちる機械」

嬢「すごい」

男「業務用だぞこれ」

嬢「すごいの?」

男「凄いだろ」

男「さて、洗い物終わり」

嬢「ありがとう」

男「楽だな 普通は手洗いなんだぞ」

嬢「ん」

男「で、勉強は嬢の部屋でするのか?」

嬢「うん」

男「勉強っても俺はテキストなんざ鞄に入ってないけどな」

嬢「私に教える」

男「おう」


ーーー部屋

男「勉強机は狭いんだな・・・」

嬢「...」

男「手が止まってるぞ」

嬢「...」

男「わからんのか?」

嬢「ん」コクン

男「まずはこの式から考えてみ」カキカキ

嬢「む......!」




男「結構机に向かってしまったな...」

嬢「うん」

男「今何時だ......ってもう18時か」

嬢「...」

男「そろそろ帰ろうかな」

嬢「......」

男「こんな時間までいたら悪いだろ」

嬢「んーん」ブルブル

男「そもそも爺やはどうした」

嬢「多分お祖父様に捕まっている お祖父様は負けず嫌いだから」

男「やれやれ とは言えどうすれば」

嬢「泊まればいい」

男「ブフッー」

嬢「不都合?」

男「い、いや急に泊まれと言われても」

嬢「明日は日曜日」

男「そうだな」

嬢「学校はお休み」

男「うん そうだな」

嬢「貴方の明日の予定は?」

男「特には...無いが......」

嬢「......」ジーッ

男「そ、そもそもどこで寝れば...」

嬢「? ここ」

男「こことは?」

嬢「私の部屋のベッド」

男「嬢は何処で寝るんだ?」

嬢「一緒に寝る」

男「(誘ってるというより...)」

嬢「?」

男「(天然なだけか)」

嬢「男」

男「ん?」

嬢「帰る?」

男「・・・俺が帰ったら一応は一人になるのか」

嬢「ん」

男「とりあえず残るよ 泊まるかは別として」

嬢「......嬉しい」

男「っ」

嬢「?」

男「な、何でもない(クッ!不覚にもドキッとしてしまった!)」

男「とりあえず晩飯どうにかしないとな」

嬢「ん」

ーーコンコン

爺や=執事で

執事「お嬢様」

嬢「ん」スタスタ......ピーッ

ガチャ

執事「・・・おや?」

男「あ、お邪魔してます」

執事「ほほう この殿方はもしや...」

嬢「男 私の恋人」

執事「ほほう」

男「はじめまして」

執事「こちらこそ...いつもお嬢様がお世話になっているようですね」

嬢「執事 だから夜ご飯は男の分も」 

執事「かしこまりました」

嬢「宜しく」

男「な、なんかスイマセン」

執事「それでは準備が出来次第お声をお掛けしますので...」

嬢「うん」

執事「それでは失礼いたします」

バタン

男「・・・思ったよりセバスチャンって感じでは無かった」

嬢「?」

男「外、雨降りそうだな...」

嬢「泊まるなら関係無い」

男「まだ決まってないぞ」

嬢「......」

男「じゃあ賭けるか」

嬢「賭ける?」

男「この降り出しそうな天気 晩飯ができるまでに降るか降らないか」

嬢「んん」

男「嬢の勝ちなら泊まるよ」

嬢「降らない」

男「OK なら俺は降る方な」

ーーーコンコン

執事「お二人共、御飯ができました」

男「えええー」

嬢「男」

男「何だよ...」

嬢「降ってない」

男「見りゃわかるわっ!」

嬢「男の負け」

男「泊まるって言っても...」

嬢「?」

男「た、例えば着替える服も無いわけだし」

嬢「用意する」

男「用意って...」

嬢「兄が使っていた部屋に行けば何かしらある」

男「いいのかよ勝手に」

嬢「一年に数回も帰って来ないから平気」


ーー嬢兄の部屋

嬢「...」

男「ここがお兄さんの部屋か サンドバックあるし」

嬢「お着替えどこ」

男「俺が知るか」

嬢「...」

男「適当に探すのもデリカシーに欠けるよなあ」

嬢「ここ」

男「へ?そのタンスか?」

嬢「・・・多分」ガサゴソ

男「勘かよ」

嬢「・・・」ガサゴソ

男「どうだ?」

嬢「.........雑誌?」

男「うほぉぃ!!それは見ちゃ駄目な雑誌だ!」

嬢「む...」

男「な、何だよ」

嬢「......」ジーッ

嬢「男はこういうの興味ある?」

男「無い」キッパリ

嬢「そう」

男「見てわかるだろう この雑誌......裸の漢しか載ってないじゃんか」

嬢「兄は、両刀使い...?らしい」

男「何処でそんな言葉を覚えてきたっ」

嬢「私に言ってきた」

男「・・・」

嬢「このジャージでいい?」

男「あ、ああ それと雑誌は元の場所へ戻しておけよ」

嬢「ん」

男「(てか坂口憲二のポスターとか貼ってあるな...)」

嬢「でも確か、今の兄の恋人は女性」

男「 今は か」

嬢「ん」

男「まあ人には人の生き方があるからな」

嬢「うん」




リビング

執事「では男様はこちらへ」

男「あ、はい てか様とかいらないですよ」

執事「そう恐縮なさらずに...」

嬢「お刺身」

執事「大旦那様から頂いたものです 盛り付けるだけでしたのですぐにできました」

男「クッ!だからあんな早かったんか...!」

嬢「男、お刺身好き?」

男「ああ 大好物だ」

嬢「良かった」

嬢「私、わさびいらない」

男「お子様だなー」

嬢「む」

男「お刺身にわさびは黄金タッグだぞ?」

嬢「鼻にくるの」

男「それがいいんだよ」

嬢「変」

男「変ではない」





男「ご馳走様でした」

嬢「ご馳走様」

執事「お粗末様でございました」

男「あ、あの食器は」

執事「私が片付けておきますので」

男「でも」

執事「男様 これが私の仕事でございます」

男「な、なんかスイマセン...」

執事「お気遣い無く」

嬢「男」

男「ん?」

嬢「お風呂は?」

男「え?あ、あぁ...風呂か...」

執事「どうぞご遠慮なさらずに 使用人用の浴室もございますので...」

男「わ、わかりました」

嬢「入る?」

男「んー 食事の後だからもう少し後にするよ」

嬢「そう」

男「親に連絡しないとな」

嬢「電話貸す」

男「いや普通に携帯でかける」

嬢「ん」

男「......あ、、もしもし?」

嬢「...」ジーッ

男「さっきメールした通りで今日は帰らないから」

男「え?誰んとこ泊まるかって?」

男「そ、そりゃ友だ......」

嬢「......」ジーッ

男「...彼女の家に......泊まる感じかなー(か、顔近いって!)」

嬢「む」

男「へ、変なことなんてしないって」

男「んじゃそういうことだからー」

男「顔近いって」

嬢「......」クンクン

男「やめんか」

嬢「無臭」

男「それは何よりだ」

嬢「ズボンは...」クンクン

男「どこに顔近づけてんだっ!」

嬢「......ズボンは、うん」

男「臭くないだろっ!」

嬢「......」

男「えっ?臭かった?」

嬢「無臭」

男「ホッ...」

男「にしてもやること無いな」

嬢「ゲームする」

男「ゲーム?」

嬢「部屋にある」

男「ま、いいけどさ」


ーーー嬢の部屋

男「箱から出されてすらいないとは......」

嬢「どうせやらない」

男「初代PSすら箱に入ったままかよ」

嬢「ん」




男「ていうかソフトがないと遊べないよな」

嬢「ソフト...無い」

男「だよな」

嬢「むう」

男「回線ケーブルも無いとな...」

嬢「むう」

男「Blu-rayとかなら見れるんだがな」

嬢「DVD?」

男「そうそう あるのか?」

嬢「ん」

嬢「これ見たい」

男「(コテコテのラブロマンスかよ)」

嬢「見れる?」

男「わかったわかった」

嬢「楽しみ」

男「今セットするよ」




男「うむ 終わったな」

嬢「ん」

男「王道っちゃ王道の作品だったな」

嬢「ん」

男「(ベッドシーンから「ん」しな言わねえ......こっちが恥ずかしくなるっての)」

月末まで検便間に合いました!寝ます!

男「まだ九時前か」

嬢「ん お風呂」

男「じゃあお言葉に甘えて入ろうかな」

嬢「着いてきて」

男「ま、待てって!着替え着替え......」


ーーーー

男「ん?・・・こ、ここ使用人用の?随分豪勢だな...」

嬢「家族用」

男「ですよね」

男「俺使用人さん用のでいいんだが......」

嬢「だめ 男は使用人じゃない」

男「このくらい大きな屋敷だと客人用のとかもありそうだが」

嬢「だめ 客人用のは客人用」

男「俺はどうなんだ...」

嬢「家族用」

男「・・・ハァ」

嬢「ゆっくり浸かって」

男「わ、わかったよ......」

嬢「ドライヤーはこれ」

男「おう」

嬢「男専用バスタオル」

男「さんきゅ」

嬢「男専用の歯ブラシ」

男「わ、わかったありがとう......」

嬢「ん」

男「さて(脱ぐか・・・)」

嬢「......」ジーッ

男「......」

嬢「......」ジーッ

男「おい」

嬢「?」

男「いつまでいる気だ」

嬢「むぅ」

男「着替えられんだろ」

嬢「平気」

男「何がどう平気なんだ......」

嬢「私は平気」

男「そうかななら着替える」

嬢「ッッッ......」

男「ほらフリーズするなら出てけって」

嬢「し、してない」

男「出てかないと帰るぞ」

嬢「む......しょうがない」

男「まったく...」

ーーー

男「浴槽は案外普通なんだな」

男「(落ち着けそうだ......)」

嬢「男」ガチャン!

男「うっほほぉぉい!」

嬢「制服は洗う?」

男「い、いいよ汚れてないだろうし てかいきなり開けるなよっ!」

嬢「......」ジーッ

男「聞けよ!」

嬢「ん」バタム!

男「ったく・・・急に入ってくるとは・・・」




男「ふう 上がったぞ」

嬢「ん」

男「それは?」

嬢「リンゴ あげる」

男「ま、丸ごとかい......」

嬢「食べて」

男「毒入りじゃないだろーな」パクッ

嬢「...」

男「何故黙る」

嬢「......」ジーッ

男「うん、うまい」

嬢「良かった」

男「嬢は風呂入らないのか?」

嬢「今入る」

男「そうか」

嬢「ついて来ちゃだめ」

男「覗かねーって」

嬢「男」

男「なんだよ?」

嬢「......えっち」

男「いやなんかすごいムカつく」

嬢「入ってくるからテレビ見て待ってて」

男「おう」




男「ハァ......」

TV「どうしたんだ!佐伯!何のための前進守備だー!!」

男「泊まり......すか」

TV「これはいけませーん!」

男「いや流石にそういう事態にはならないような......」

執事「なるような......」

男「っ!? い、いたんですか執事さん」

執事「まさかお嬢様が・・・恋人を連れてこられるとは・・・ウゥ」

男「なっ、なに泣いてるんですか...」

執事「これは失礼 ショックで泣いてしまいました」

男「ショックの涙でしたか」

執事「執事ショック 執Gショック・・・ちなみに私の腕時計は」

男「......」

執事「ロレックスにございます」

男「(面倒くさいタイプの人だった...)」

執事「お嬢様とはやはり高校からのお知り合いですか?」

男「いや、そういうワケじゃ無いですな」

執事「ほう」

男「嬢が女子中に通ってる時に何度か......まあ......」

執事「な、なんと!そんな前からお嬢様をたぶらかしていたとは...いやはや...」

男「いやはや じゃなくてっ」

執事「まあ...お嬢様はあまり自身の事について多くは語られないので...」

男「口数少ないですからね」

執事「男様が口説かれたのですか?」

男「丁寧語ではなく受け身の意味で口説かれました」

執事「ぬぁ、ぬぁんと...お、お、お嬢様のほうから...」

男「いや めっちゃしつこかったですよ」

執事「!!?」

男「うんこ」

ーーガチャッ

嬢「上がった」

執事「ほほ それではホットミルクのほうをお持ちします」

嬢「男の分も」

執事「かしこまりました」

嬢「......」

男「何だよ」

嬢「何話してたの?」

男「と、特に何も...」

執事「男様とお嬢様の馴れ初めについてでございます」

男「ふごっ」

執事「ホットミルクでございます」

嬢「ふーん」

男「な、なんだよ」

嬢「男から告白した」

男「ち、違うだろっ!」

嬢「違くない」

執事「ホッホッホッホッ」





んでもって嬢の部屋

男「やっぱり広いベッドだな」

嬢「ん これ」

男「枕?」

嬢「男専用」

男「うむ じゃあこれを使わせてもらうな」

嬢「今度からこれ使って」

男「(今度から.........)」

嬢「ん」

男「で、その、寝るんか...?」

嬢「? まだ寝ないの?」

男「いや...その...」

嬢「.........嫌?」

男「嫌ではない!断じて嫌ではない!!」

嬢「そう」

男「倫理的にさ」

嬢「倫理?」

男「男女が同じベッドで一晩過ごすわけだし」

嬢「平気」

男「へ、平気なんか...?」

嬢「恋人同士だから」

男「だから変に意識してしまうんだが」

嬢「......」ジーッ

男「ハァ...」

嬢「男は、そういうのしたいの?」

男「そ、そういうのって?」

嬢「夜の営み」

男「あぁ随分ストレートで来ましたね」

嬢「どうなの?」

男「そりゃしたくないって言ったら嘘になるだろ」

嬢「...ん」

男「お互い好きで恋人なんだし」

嬢「ん」

男「お前言わせておいて黙るなや こっちが恥ずかしいだろ」

嬢「ん」

男「俺達はまだ手を繋いですらいないしな」

嬢「ん」ギュッ

男「今握るな」

嬢「...ゴツゴツ」

男「まったくロマンチックではないな」

嬢「手汗すごい」

男「いいだろ別に...」

嬢「緊張でもしてる?」

男「...」

嬢「...」

男「そりゃするだろ」

嬢「私もしてる」

男「ポーカーフェイスだから分かりづらい」

嬢「ドキドキしてる」

男「(可愛いなおい)」

男「ま、めでたく手を繋いだところで本当に寝るか」

嬢「ん」

男「すっげえ質のいいベッドなんだな...」

嬢「ウール」

男「弾力あるなあ」

嬢「ん」

男「いつもこんな広いベッドを独り占めしてんのか」

嬢「ん」

男「起きたら床に降りるまで若干這わないといけないな...ここまで広いと」

嬢「転がるのをお薦めする」

男「いつもはそうしてんのか」

嬢「ん」

男「っしかしまあ俺普段は布団だから寝れるかね......」

嬢「男なら平気」

男「客用の布団とか無いのか?」

嬢「ある」

男「なら俺はそれで......」

嬢「......」ジーッ

男「はいベッドにします」

嬢「よっ」ボフン

男「(ぁぁあぁぁいかん緊張してきた!)」

嬢「カモカモ」

男「お、おう...」

嬢「男は普段どちら向きに寝るの?」

男「仰向けか右だなあ」

嬢「わかった なら私はこっち」

男「(向かい合わせになる感じですか)」

嬢「......」ジーッ

男「顔近ぇよ」

嬢「いい匂いがする」

男「君ん家のボディソープの匂いです」

嬢「むう」クンクン

男「やめーや」

嬢「男の制服はもっと男の匂いがした」

男「何嗅いでんだよっ!」

嬢「特にズボン」グッド!

男「やめろ!」

嬢「......ぺへテロ」

男「てへぺろ だこのテロリスト」

嬢「ねえ」

男「なんだよ」

嬢「腕」

男「腕?」

嬢「こっちに頂戴」

男「(こ、これはまさか......)」

嬢「一度してみたかった」

男「(腕枕!)」

嬢「落ち着く」

男「......」

嬢「どうしたの?」

男「......固まってるんだよ」

嬢「そう」ガバッ

男「脚乗っけるな」

嬢「自分の脚を相手に乗っけると安心するらしい」

男「...で、乗せ心地は?」

嬢「凄く凄くいい」

男「そーですかっ......」

嬢「落ち着く」

男「脚乗せながら落ち着かれても......」

嬢「......」

男「どうした?」

嬢「お願いがあるの」

男「何だ?」

嬢「頭を撫でてほしい」

男「撫でるのか?......しょうがないなっ」ナデナデ

嬢「...おぉ......」

男「な、何だよ」

嬢「これは、癖になるかも......」

男「そんなにいいもんか?撫でてるだけで」

嬢「ん 好き」

男「好きって...」

嬢「私は男が好き」

男「お、おう 急にどうした」

嬢「男は?」

男「お、俺?もちろん・・・まあ・・・sきだけど」

嬢「む 声小さい 聞こえない」

男「っ、......好きだよ」

嬢「誰を?」

男「嬢さんです」

嬢「......男はツンデレ」

男「なんでだよっ!」

嬢「絶対そう」

男「素直じゃないか うん、とても素直だな」

嬢「言動は素直じゃない」

男「ぐッ・・・」

嬢「けど、言動とは裏腹にとても優しい」

男「落として上げてきたな?」

嬢「だからあなたを好きになった」

男「・・・・・・」



数年前

男 嬢 共に中学生


男友「よう帰宅部!放課後暇?」

男「暇じゃないよ 道場だし」

男友「弓道だっけ?実際どうなの?楽しい?」

男「んんー まあ集中力はつくかもなー?くらい?」

男友「で、水泳に柔道にそろばんに書道・・・よくやるわな」

男「いいだろ別に」

男友「柔道、初戦負けだろ?」

男「それは前の大会だ!今年は三回戦まで行ったし!」

男友「ナルホド・・・弱いんだな」

男「うっせえな!柔道は好きでやってるわけじゃないわぼけ!」

男友「まあ放課後用事あるならしゃーないわな!」

男「すまんな」




ーーー夕方 帰宅中

男「帰りにジャンプ買ったし、いつもの公園で読むか」

男「・・・ん?」

嬢「............」キーコ キーコ

男「(ッチ、ブランコ誰か使ってやがるな......)」

男「(あぁぁ、でもベンチはカップルが使ってるし...隣のブランコでいいか)」

嬢「......」キーコ キーコ

男「(よっと)」

嬢「......」キーコ

男「......」チラッ

嬢「......」キーコ

男「(近所の△△女子中の制服か・・・)」

嬢「...」

男「(......美人だな)」






男「(・・・そろそろ暗くなってきたな)」

嬢「......」キーコ キーコ

男「(まだいるよ・・・)」

男「な、なあ」

嬢「......」キーコ ピタッ

男「そろそろ暗くなってきたけど...帰らんの?」

嬢「......ん」

男「あー、いや、その......ここらへん暗くなると危ないしさ...」

嬢「貴方には関係ない」

男「あーはいそーですねー(人が心配してんのに・・・クソ)」

嬢「話しかけないで」

男「親御さん心配してんじゃないのか?」

嬢「......」

男「?」

嬢「......」

男「ま、まあ余計なお世話かもしれんが暗くなると多少は物騒だからさ」

嬢「だから......何...」

男「いや、そりゃ迎えにくるってんなら話は別だけどさ...」

嬢「...」

男「さっきから何もしないでずーっと俯いたまんまじゃん」

嬢「だから何?」

男「変だろ だから声かけただけだ」

嬢「あなたこそブランコに座っていた だから変」

男「いやいや俺は毎日帰りはここの公園で時間潰してんだよ」

嬢「...毎日?」

男「おおそうだよ悪いか?」

嬢「変」

男「・・・(なんだこいつ)」

男「それにその制服、△△女子だろ?」

嬢「ん」

男「そんなお嬢様中学生が夜にほっつき歩いてるなんて良くないぞ」

嬢「......好きで通ってない」

男「?」

嬢「何も知らないくせに......話しかけないで」

男「す、すまんすまん...」

嬢「...」

男「お節介なんだ 悪く思わないでくれ」

嬢「......」キーコ ピーコ

男「いつまでいる気なんだ?」

嬢「あなたに関係ない」

男「...そうだな、関係ないな」

嬢「?」

男「俺ももう少ししたら帰る」

嬢「...」

男「お前んちドコだよ」キーコ

嬢「教えない」キーコ

男「っけ」

男「今何年生?」

嬢「...3」
      
男「なんだダメか」

嬢「...」

男「△△中ってエスカレーターだろ?いいなー」

嬢「...」

男「何だよ?」

嬢「よくない」

男「どうしてだ?」

嬢「...」

男「好きで通ってないってさっき言ってたし...」

嬢「あなたに関係ない」

男「関係ないなら別に喋ってもいいじゃん」

嬢「...む」

男「今の学校嫌なのか?」

嬢「ん」

男「まあ女子中ってなると色々難しそうだもんなあ」

嬢「...ん」

男「まあ俺にはわからんが...」

嬢「...帰る」

男「お?」

嬢「......」

男「よしっ 俺も帰るか」

嬢「付いて来ないで」

男「なんでそーなるんだよ」

嬢「ストーカー」

男「俺の家はすぐそこなんだよ」

嬢「......」

男「そっちがどういう経緯でこんな丘の公園に来たのかは知らんが、大通りまでは送る」

嬢「....ストーカー」

男「もう知らんっ」スタスタ

嬢「......」

男「(勝手にしてろってんだよ!)」スタスタスタスタ


ーーー10分後

男「(ま、まだいる!)」←気になって戻ってきた

嬢「...」

男「お、おい......」

嬢「む」

男「迎えでも来るのか?」

嬢「...」

男「来ないのか?」

嬢「ん」

男「来ないのに何で突っ立ってるんだよ」

嬢「...」

男「帰る道わからんのか?」

嬢「わかっ............ゴニョゴニョ...」

男「ハァ...家どこらへんだよ」

嬢「○○駅からバスで」

男「○○駅!?」

嬢「ん」

男「(おいおい電車通学だったんかい...!通りで見ない顔だと)」

男「とりあえず○○駅ってんなら電車通学だろ?」

嬢「ん」コクン

男「△△駅から来てるのか?」

嬢「ん」コクン

男「なんで正反対のこっちの公園に来たんだよ?」

嬢「......」

男「(よくわからんやっちゃな)」

嬢「ただ」

男「?」

嬢「ただ、なんとなく......来た...」

男「そっか...」

嬢「...」

男「ま、この公園は景色綺麗だからな」

嬢「ん」

男「とりあえず帰ろうぜ?それとも帰りたくない理由でもあったか?」

嬢「ない」

男「そうか なら早く行こう」





ーーー△△駅

男「(結局帰り道分からなかっただけか)」

嬢「...」スタスタ

男「あっー.........行っちまいやがった」

男「(ま、いいか)」




翌日 放課後

男「(...ま、またいる!!)」

男「(スルーするべきか...?)」

嬢「......」キョロキョロ

男「っと...(目が合ってしまった)」

嬢「む」

男「で、なんでまたいるんだ?」

嬢「私の勝手」

男「そーでしたねー」

男「本を読むわけでもなく携帯弄くるわけでもなく」

嬢「...」

男「ずーっと景色眺めてブランコ乗ってたら誰だって気になる」

嬢「...」

男「魅せろー トニ・ブランコー」

嬢「...私の、勝手」

男「じゃあ俺がこっちに座ろうが俺の勝手だな」

嬢「む」

男「なんでまたこんな寂れた公園に来るんだ?」

嬢「...なんとなく」

男「ふーん」

嬢「......」キーコ キーコ

男「まあこの丘から見える夕陽はこの街一番の絶景だからな」

嬢「ん」

男「なんとなくでたどり着いた割にはセンスあるなっ」

嬢「ん」

男「(黙ってばっかやん)」

嬢「...」

男「それでも放課後にこんな場所で1人でブランコだなんて......もっとこう女の子なら友達とカラオケやらプリクラやら」

嬢「...っ」

男「?」

嬢「興味無い」

男「そ、そうか」

嬢「...」キーコ キーコ

男「ふむ...」

嬢「......」ジーッ

男「ん?あ、あぁコレか?」

嬢「...」

男「柔道着入ってんだよ 好きじゃないんだけどな」

嬢「ん」

男「好きで通ってないんだよ 親の知り合いが師範だから行ってるだけでさ」

嬢「ん」

男「俺なんて弱いし この間初めて公式戦に勝ったばっかりだからな」

嬢「ん」

男「親が行け行けうるさいから通ってるだけだし」

嬢「ん」

男「...なあ、名前なんて言うんだ?」

嬢「......」

男「いいだろ 名前くらい教えてくれたって」

嬢「...嬢」

男「おぉ 俺は男な」

嬢「ん」

男「でさ、嬢は何か習い事とかやってないのか?」

嬢「してない」

男「そうか」

男「部活とかは?」

嬢「入ってない」

男「ふーむ そうか」

嬢「...」

男「塾は?」

嬢「行ってない」

男「ふむ でも△△女子は名門お嬢様私立だもんなあ」

嬢「......好きで通ってない」

男「(学校の話題出すと露骨に嫌がるな)」

男「あー、親に行けって言われて通ってる・・・みたいなアレか?」

嬢「ん」

男「そうか」

嬢「......ハァ」

男「そろそろ暗くなってきたな」

嬢「ん」

男「帰るなら駅まで送るぞ」

嬢「必要無い」スタッ

男「あっ おいっ」

嬢「帰る...」スタスタスタスタ

男「お、おいって!駅は逆だぞっ!」

嬢「ッ... 」ピタッ

男「...ハァ たまたま俺は駅まで用事ができた」

嬢「?」

男「ついて来るなら勝手にしろ」

嬢「ん ......勝手にする」




帰路

男「ッゲ」

嬢「?」

男友「あぁれ?男じゃん」

男「よ、よう」

男友「んん?その隣の女子は...」

男「あ、あぁこの子は」

男友「彼女か!!」

嬢「違う」キッパリ

男友「え?」

男「ただの知り合いだよ」

嬢「知り合いですらない」

男友「ええ?」

嬢「他人」

男「随分と酷い言いようだな......」

嬢「事実だから」

男友「ま、まあよくわからないけど・・・じゃあな」

男「おう・・・」


ーーー△△駅

男「着いたな」

嬢「......」スタスタ

男「(馬鹿みてえだな俺...お節介にしては)」



翌日

男「またいる...」

嬢「...」キーコ キーコ

男「毎日いるな」

嬢「私の勝手」

男「そうですね」

男「本でも読めばいいのに」

嬢「...」

男「図書館ならあるじゃん」

嬢「む」

男「な、なんだよ...」

嬢「あなたは何故、毎日ここに来る」

男「何故って通り道だからだよ 通学路だし」

嬢「わざわざ寄る必要は無いはず」

男「確かにそうだな」

嬢「なら何故来るの?」

男「正直に言うと......気になるからだ」

嬢「?」

男「急にお前さんがこんな公園に来るようになった理由だよ」

嬢「......」

男「無いなら無いでいいし 言いたくないなら言わなくてもいいけどさ」

嬢「あなたはお節介」

男「そうだなー よく言われる」

嬢「変」

男「そっちも十分なくらい変だ」

嬢「...ん んん、うん」

男「どうした?」

嬢「何でも無い」

男「?」

嬢「そろそろ帰る」

男「おっ もうこんな時間か」

嬢「ん」

男「流石に駅までも道は覚えただろ」

嬢「......むう」

男「流石に...な?」

嬢「むう」

男「......とりあえず今日はちゃんと教えるからな」

嬢「お節介」

男「迷ったりして事件に巻き込まれたら寝付きが悪い」

嬢「...」




帰路

男「んで、この道を使えば△△中の通りに出る」

嬢「ん」

男「ほら、丁度あそこに△△中の生徒がッーー」

嬢「ッッ!」ガバッ

男「んなっ!? ちょ、おい...!」

嬢「シーッ」

男「...?」

△女「でねー」
△女「えーっ?」キャッキャッ

男「ど、どうしたんだ?」

嬢「......」

男「そ、そんな背中に張り付かれても...(柔らかい感触が!!)」

嬢「......」

男「っと......行っちまったぞあの子達」

嬢「むっ」

男「どうしたんだよ急に......」

嬢「......何でもない」

男「会いたくない連中だったのか?」

嬢「...」

男「ふむ」

嬢「......近いっ」

男「ぐぇっ!そっちが引っ付いてきたんだろっ」

嬢「違う」

男「違わない」

嬢「断じて」

男「......ったく、行くぞ」

嬢「......」

ーーー駅

男「着いたな」

嬢「ん」

男「じゃあ気をつっーー」

嬢「...」スタスタスタスタ

男「......いっそのこと転んで怪我でもしろ」




男宅

男姉「ねえ」

男「ん?」

男姉「あんた、あれ彼女?」

男「えっ!?」

男姉「フッフッフッフッ やるじゃん」

男「ちちちちがう断じて違う」

男姉「ふうん」

男「友達ですらない!」

男姉「えー?でも一緒に帰ってるじゃん」

男「い、いやあれは...その......」

男姉「あれ、△△女子の制服でしょー?えらいお嬢様狙うのねー」

男「だ、だーからー!」

男姉「フッフッフッフッ」


ーーーー翌週

男「よう」

嬢「......」キーコ

男「早く帰れよ」

嬢「...」

男「雨降るぞ」

嬢「ッ.....」

男「傘、持ってないのか?」

嬢「ん」

男「天気予報で午後から雨って言ってただろ」

嬢「知らない」

男「知っとけ」

嬢「......」

男「ほら、傘やるから」

嬢「いらない」

男「持ってないんだろ?」

嬢「ん」

男「見るからに一雨きそうな天気だろうに」

嬢「ん」ビシッ

男「なに指差して......ってあの中で雨宿りするとか言い出すんじゃねーだろうな」

嬢「する」

男「寒いだろ」

嬢「私の勝手」

適当にドーム状で中に入れる遊具みたいなもんだと思ってくだぱい


男「こ、ここに入るのか?」

嬢「ん」コクン

男「...(付き合ってられん)」

嬢「先、入って」

男「えっ?」

嬢「早く」

男「ス、スマン(いや待て何で俺も入るんだ?)」

男「真っ暗だな」

嬢「ん」

--ゴロゴロ ピカッ

男「おっ 降り出してきた」

嬢「む」

男「かなり降りそうだな…」

--ゴロゴロ ピカッ(パキャァァン

嬢「ツッッ」

男「うぉっ!?・・・びびったな

嬢「うぅ」

男「ま、弱くなるまでここで雨宿りするか...」

嬢「む」

男「ガキのころは広く感じたけど......狭いもんだなあ」

嬢「まだ子供」

男「お互い様だろ」

嬢「私は大人」

男「あー、はいはい」

嬢「む」

男「雷怖いですねー大人さん」

嬢「か、雷なんて平気...」

男「どうだか」

嬢「へーき」

男「さっき怖がってたじゃんかよ」

ーッゴロゴロ  

嬢「ヘ、ヘイキ......」

男「面白い奴だな」
 
嬢「あぅぅ」





ある日  放課後 公園

男「よう」

嬢「......」

男「今日は一段と機嫌が悪そうでなによりだ」

嬢「ん」

男「(......泣きそうなんか?)」

嬢「......」

男「(気のせいか)」




一時間後

男「(話しかけてもずーっと無反応でやんの......)」

嬢「......」

男「ったく、俺はもう帰るぞ」

嬢「......」

男「1人で帰れるんだろうなー?」

嬢「......」

男「......ハァ じゃあな」

ーーー公園入口

男姉「こらっ」

男「ゲッ 姉ちゃん...!」

男姉「あんたねえ...女の子が泣いてるのほったらかしにして帰るなんて何してんのよっ!」

男「はい?」

男姉「泣かせたの?」

男「な、泣かせてねーし泣いてもねーよっ......」

男姉「バカねぇ あれは涙を流してないだけで泣いてるのよ」

男「いや意味がッー痛たたタッ!」

男姉「乙女心くらいわかんなさいよ」

男「姉ちゃんか乙女心とか語ると何言って痛ッーわかった!わあったよ!」

男姉「まったくもう......」

男「(こっちのセリフじゃボケ)」

男姉「ん?何か言ったかしら?」

男「い、いえ...」

男姉「まあアンタが女の子泣かすような奴じゃないのは分かってるけど」

男「嬢の奴 今日はずっとあんな調子なんだよ」

男姉「ふぅーん 嬢ちゃんって言うんだ...男の彼女」ニヤニヤ

男「彼女なんかじゃねーよっ」

男姉「またまたあー!」

男姉「まっ、とりあえず慰めてあげなよっ!」

男「ハァ...」

男姉「話聞いてあげなって」

男「んー、・・・話さないんだよ」

男姉「男ならもっと“俺にはなしてみろ!”くらいの勢いでさ」

男「いやぁ...」

男姉「じゃあ私は先に家に戻るからっっ!」

男「えー」

男姉「結果次第だとアンタの関節外れるからねっ!じゃあねー!」

男「さらっと恐ろしい事を...」

男「...って言ったってな」



男「よっと」

嬢「...ッ」キーコ キーコ

男「えーっと... な、なんかあったのか?」

嬢「......」

男「学校で嫌なこと...とか......?」

嬢「......」ピクッ

男「んー 図星だろ?」

嬢「知らない」

男「知らないってなんだよ」

男「学校の話題出すと露骨に態度に出るし」

嬢「......ん」

男「嫌な奴でもいるんか?」

嬢「...」

男「その、心配......なんだよ...」

嬢「へ?」

男「心配なんだってば!」

嬢「......最近、父の具合が悪い」

男「具合?」

嬢「身体の具合と会社の経営も......芳しくない」

男「そうだっんか...」

嬢「母も家にいないし 使用人さん達も見切りをつけて殆どいなくなった」

男「(使用人さん達!?・・・どんだけやねん)」

嬢「どーせ来年には高校にすら行けないと思う」

男「いやいや公立があるじゃんかっ」

嬢「むう」

男「家に帰っても誰もいないのか」

嬢「ん いても父の病院」

男「そうか...」

嬢「......」

男「放課後は学校に残らないのか?」

嬢「居心地が悪い」

男「あー、もしかして......」

嬢「多分...イジメられている」

男「多分?」

嬢「露骨にはしてこない」

男「?」

嬢「来年にはどーせいないから......無視されたり...グスッ...」

男「わっ、わっわかった!!」

男「もう言わなくてもいいからっ!(や、やべえ泣かれてしまった!)」

嬢「ッ........」

男「・・・に、にしてもイジメか 頭のいいお嬢様高校だけにやり方も上手というか、狡いな」

嬢「私の家がダメになるから・・・だから無視される」

男「それは違うだろ」

嬢「グスッ...」

男「“どんな理由があっても虐める奴が絶対悪い!” 俺の親父がいってた言葉だよ 俺もその通りだと思う」

嬢「ん...」

男「どんだけ辛い思いをしたかなんて嬢にしかわからないし、俺が...こう励ましても力にはなれんけどさ」

嬢「ありがとう」

男「何も力にはなれてないけどね...」

嬢「この公園に来てよかった」

男「 ? どーしてだ?」

嬢「あなたに会えたから」

男「っ、そ、そうですか...」ドキッ

嬢「今日はもう帰る」

男「へっ?もう帰るんか?」

嬢「ん」

男「そ、そうか」

嬢「送ってほしい」

男「おう」


ーーー帰路

男「明日も来るのか?」

嬢「ん」

男「学校...平気なのかよ」

嬢「実害は無いから平気」

男「それって平気なんか...?」

嬢「ん」

男「......」

嬢「だから明日も来て」

男「おう わかったよ」




1ヶ月後

男「え?退院したのか?」

嬢「ん 回復した」

男「良かったな!」 

嬢「会社の方も多分平気」

男「そっかそっか...ていうか本当に良かったな」

嬢「父が退院したから私はこの公園には来ない」

男「......まあ、そうはなるよな」

嬢「ん」

嬢「けど私はあなたと友達でいたい」

男「お、おう」ドキッ

嬢「......」ジーッ

男「ど、どうした?」

嬢「あなたは?」

男「俺?そ、そりゃもちろん友達でいたいよ」

嬢「そう」

男「ここに来なくなるからって友達じゃなくなるわけではないだろ?」

嬢「ん」

男「まあ寂しくはなるな」

嬢「そう それ」

男「?」

嬢「私はきっと寂しい」

男「たまには来ればいいじゃんか この公園」

嬢「...ん」

男「俺もよく通るし」

嬢「ん」

男「そうだ!...... 」カキカキ

嬢「?」

男「これ、俺のメアドだ」

嬢「め......あ...ど?」

男「メアドだよ メアド」

嬢「メルギブソン?」

男「メールアドレスッ!」

嬢「む メールアドレス...」

男「携帯持ってないんだっけか」

嬢「ん」

男「まあ...いつか携帯買ったんならこのアドレスにメールしてくれ」

嬢「...」ポカーン

男「(もしかしてメールとかアドレスとかわからんのか?)」

嬢「よくわからないけど貰っておく」

男「お、おう...」

嬢「そろそろ帰る時間」

男「そうか」

嬢「......ん」ツン

男「な、なんだよ」

嬢「......」ツンツンツン

男「ツンツンするなよっ(可愛いじゃんかチクショウ...)」

嬢「...帰る」

男「駅まで送るよ」

嬢「......うんっ」




1ヶ月後

男友「え?お前柔道辞めたの?」

男「あぁ 俺には向いてない」

男友「細いもんな...そりゃ勝てませんわ」

男「たまには勝つし!」

男友「水泳も辞めたんだろ?」

男「うむ てか塾に行かなきゃだからさ」

男友「だよなあー 俺らも夏の大会終わったら引退だわ」

男「推薦とか貰えないのか?」

男友「そんな話あるわけねーだろ...」


ーーー公園

男「っ、あれは...」

嬢「...」キーコ

男「よっ!」

嬢「...ッ」

男「久しぶりだな」

嬢「ん 久しぶり」

男「って、その手に持ってるのはスマホか?」

嬢「そう スマホ」

男「なんだよ 買ったのか」

嬢「ん...だけど...」

男「あー、使い方がわからんのか」

嬢「画面が真っ暗なまま」

男「へ?」

嬢「いくら時間を置いても画面が真っ暗」

男「そりゃ電源入れないと...」

嬢「???」

男「(どんだけ疎いんだ)」




男「で、これで俺のメアドが登録されたわけだな」

嬢「おぉ」

男「ちょっとメールしてみるか?」

嬢「ん」



男「そそ、 でこうやって送信を押せば...」

嬢「あなたの携帯に届く」

男「そう」ブブブ

嬢「! スマホが蠢いて...」

男「いやこれはマナーモードって言ってな」

嬢「??」

男「と、とりあえず一から色々説明したやるよ...」




夕方

男「そろそろ暗くなってきたな」

嬢「ん」

男「あー」

嬢「?」

男「明日から塾に通わなきゃなんだ...」

嬢「塾?」

男「俺らは受験だからさ お勉強しなきゃなんですよ」

嬢「......そう」

男「嬢はそのまま高校は」

嬢「私も受験する」

男「?」

嬢「決めた」

男「決めたって...付属の高校行かないのか?」

嬢「ん 今決めた」

男「今かよ!」

嬢「ん」

男「そもそも親御さんが許してくれるかどうかもわからんのに...」

嬢「平気」

男「平気なのか?」

嬢「お勉強する」

男「そ、そうか...」

嬢「......」ジーッ

男「な、何...?(顔が近いっ!)」

嬢「どこ?」

男「何が?」

嬢「あなたの通っている塾」

男「えっ…?そんなの聞いて......」

嬢「私も通う」

男「いやいやさっきから色々決断早すぎだろっ!」

嬢「むぅ」

男「ま、まずは高校受験の話を親にしてからさ...」

嬢「......ん」

男「...」

嬢「...」

男「......YDKって塾だよ」

嬢「ッ... ん わかった」

男「嬢の家の最寄り駅にも塾や予備校なんてたくさんあるとは思うけどな」

嬢「あなたがいたほうがいい」

男「ほぇっ!?」ドキッ

嬢「知り合いがいるのは心強いから」

男「あ、あぁそういう事ね...」

嬢「とりあえず、今日は帰る」

男「おう」


ーーーその夜

男母「男ー、明日から塾でしょ?」

男「あぁ」

男母「彼女作るのもいいけど勉強しなさいよ?」

男「わかっーて何だよ彼女って」

男母「まーたとぼけちゃってー!オホホホ」

男「な、何だよ急に!」

男母「見たわよ?公園で仲良く...オホホホ」

男「あ、あれはまだ彼女じゃ...!」

男母「まだ?」

男「いや、そういうワケじゃ」

男姉「あんなお人形さんみたいに可愛い子逃がしたら駄目よー?」

男「グッ!馬鹿姉まで...」



『あなたがいたほうがいい』

男「......」ドキドキ

男「あ、あんな顔であんな台詞言われたらそりゃ惚れるわ...!クソッ!」

男「...寝よ」



翌週

塾友「なあなあ、Aクラスにめっちゃ美人な子入ってきたらしいよ!」

男「Maji?」

塾友「マジマジ!俺もさっきチラッと見たけどすげえ可愛かった!」

男「可愛いのか美人なのかどっちだよ...」

塾友「△△女子の子だってよ」

男「ん?」ピクッ

塾友「いいなあーAクラス」

男「(まさか...)」

塾友「ま、俺らCクラスじゃあ相手にされねーか」

男「...確かにな」


ーーーAクラス

塾生「へぇー 嬢さんって言うんだ」

嬢「ん」コクン

塾生「よろしくー」
塾女「よろしくー」
池面「よろしくー」

嬢「よろしく」ペコリ

塾生「よろしく」
熟女「よろしく」
武士「よらしく」
忍者「よそしく」


ーーーAクラス前

嬢「む」

男「おっ やっぱり...」

嬢「ひょっとして」

男「?」

嬢「あなたはあまり成績がよくない?」

男「グッ・・・そ、そうだとも・・・」

嬢「何クラス?」

男「Cです...」

嬢「ん やっぱり良くない」

男「悪かったな」

嬢「もっともっと勉強するべき」

男「わ、わかってるわそんなこと!」

池面「嬢さん、こんなところにいたんだ」

嬢「?」

池面「もう授業始まるよ?早く教室戻らなきゃ」

嬢「そう わかった」

男「またな」

嬢「ん」

池面「塾でナンパとか...ハァ......」

嬢「難破?」

男「いやナンパ違うって」

池面「ここは勉強しに来るところだよ?」

嬢「その通り」

男「いやだから...」

池面「ほら、行こう嬢さん」

嬢「ん」

男「あ、ちょッー...・・・」

男「......クソッ!なんか悔しい!」

塾友「ナンパ失敗?」

男「知り合いだっての!てか見てたんかい!」

塾友「ま、Aクラスの池面とは違って俺らは凡クラスの凡人だからな...」

男「グッ・・・ガッデム!」

塾友「お?やる気でもスイッチ入ったか?」

男「・・・決めた」

塾友「?」

男「俺は夏・・・いや、秋までに必ずAクラスに上がる」

塾友「おおーやる気スイッチ入ったな!」

男「・・・や、やっぱり冬期講習までに上がる」

塾友「そうそう計画的にね」






期末テスト返却

男「んんん!」

男友「ど、どうしたんだ...って96点!?」

男「(ぶっちゃけ100点取れる自信あったが...)」

男友「おいおい進研ゼミでも始めたのか?」

男「めっちゃ勉強したからな」

男友「その割には数学の返却の時は静かだったじゃねーか」

男「...まあ、96点とは逆さまの点数でしてね」

男友「69点かあ 苦手科目にしてみれば及第点だろ」

男「いや... まあ...」


ーーー塾内

講師「おう!これなら一学期の成績はAクラスの連中に引けをとらんな!」

男「はい!」

講師「理数系の苦手がまんま点数に出ているな...」

男「はひ......」

講師「ウチは科目ごとにレベル分けしてないからな...だけど夏期講習からはBクラスで受けろ」

男「は、はい」

講師「ここで理数がこなせれば、お前化けるぞ」

男「頑張ります」

ーーー自習室

男「(っても英語も微妙なんだよなあ)」

男「ハァ...」

男「(やるしかないか...!)」

講師『本当に悩むのは勉強しても結果が出ない時だ。お前はまだまだその域にはいないから死ぬ気でやれ!』

男「ウシ!」

塾友「牛?」

ロブ・ゾンビ監督のハロウィンはブギーマン映画で一番だったわ

ーーー夏期講習中 塾内

男「ハァ......」

塾友「どうした?」

男「いや、次の模擬が憂鬱だなあって」

塾友「お前...真面目なんだな」

男「うっせえな」

塾友「じゃ、俺らCクラスは午前までなんでー」

男「おいおい帰るのかよ」

塾友「今晩の夏祭りの手伝いがあるんだよ」

男「ナルホド」

塾友「お前もたまにはリフレッシュしろよー じゃな」ノシ

男「おう」

男「夏祭りかあ」

男「とりあえず自習室で勉強するか......ん?」


池面「嬢さんさ、その、今日午後暇?」

嬢「......何故?」 

池面「いやー暇かなーって」

嬢「暇」

池面「マジで!?」

嬢「...?」

池面「じゃ、じゃあ今晩一緒に夏祭りに」


男「(おぉ?池面の奴が誘ってるのか....)」

男「(まあいいや...気付いてないフリして自習室入ろ)」

嬢「む」スタスタ

男「っ(目が合った...)」

嬢「ねえ」

池面「行かなッ・・・へ?ちょ、嬢さんどこ行くの!?」

男「な、なんだよ......」

嬢「彼、しつこい」

男「バカ聞こえるだろっ」

池面「嬢さんまだ話は終わってないよー って.....君もしつこいね、男・・・だっけ?」

嬢「どうにかして」

男「どうにかって」

嬢「......」ジーッ

男「(わかったよ!顔近いんだよっ!!)」

池面「おい離れろよっ」

男「あーその、えっと、嬢...」

嬢「なに?」

男「......今晩は俺と予定があったよな?」

嬢「?」

池面「また何を言ってッー」

嬢「初耳」

男「(オイイイイイ!!?)」

池面「嬢さん もう行こう」

男「(話合わせろやテメェ...!)」

嬢「覚えがない」

男「いや、もう何でもない......」

嬢「予定って何?」

男「いやだから」

嬢「なに?」ジーッ

男「夏まつ......勉強だよ 夜まで一緒に勉強するって話だったろ?」

嬢「...?」

男「つかもう勉強するぞ な?」

嬢「ん」コクリ

池面「えっ? えっ!?」

男「えっと じゃあそういうワケだから」

池面「・・・」ポカーン

嬢「じゃあ」

池面「あ、う、うん...」


嬢「どこ行くの?」

男「どこって自習室だよ」

嬢「私もお勉強する」

男「おう」


池面「そんな・・・この僕を差し置いて・・・」

女子「池面君!」

池面「馬鹿な・・・」

女子「池面君!今夜夏祭り行かない!?」

池面「いいともさっ」キラッ

女子「ヤッター!」


ーーー自習室 

嬢「助かった」

男「話を合わせろよ」

嬢「急だから」

男「そこはアドリブだろー」

嬢「でも助かった」

男「感謝しろよ?」

嬢「ん」


ーーーー

男「ふぃー もう19時か...」

嬢「ん」 

男「外はまだ明るいな」

嬢「帰るの?」

男「そうだなー 集中力も途切れたし」

嬢「ねえ」

男「?」

嬢「夏祭りって何?」

男「夏祭りは夏祭りだろ」

嬢「夏を祀るの?」

男「(うーむこの世間知らずというか浮き世離れというか)」

嬢「みんな今日口にしていた 夏祭り」

男「夏にやるお祭りだよ だから夏祭り 屋台とかがたくさん出てさ」

嬢「屋台......」

男「初詣とか行ったことあるか?」

嬢「無い」

男「お祭りとかは?」

嬢「パーティー?」

男「うん無いな」

嬢「男は行かないの?」

男「俺?俺は行かないけど」

嬢「何故?」

男「何故って行かない理由を問われても......」

嬢「興味がある」

男「夏祭りにか?」

嬢「ん」

男「じゃあ行ってくればいいだろ」

嬢「......」ジーッ

男「な、何ですかね?」

嬢「......」

男「......ハァ 俺も行ってみようかな」

嬢「む」

男「たまにはリフレッシュに」

嬢「本当?」

男「あぁ なんならついでに来るか?」

嬢「ん 行ってあげてもいい」

男「あのなぁ...」


ーーー夏祭り

男「これが夏祭りだよ」

嬢「? 誰か歌ってる?」

男「あぁこれは盆踊りの歌を流してるだけだ」

嬢「盆踊り 聞いたことはある」

男「とりあえず出店見てこうぜ」

嬢「クンクン あれは......?」

男「たこ焼きだよ」 

嬢「たこ焼き...聞いたことはある」

男「食べるか?」

嬢「ん」コクリ

男「買ってくるからちょっと待ってろ」

嬢「待って」

男「ん?どーした」

嬢「お金は私が払う」サッ

男「・・・いや、Suicaは使えんぞ」

嬢「むう Edyでいい」

男「現金オンリーだぞ」

嬢「...何故?」

男「屋台では現金が基本だろ」

嬢「...むう」

男「300円くらい俺が出すって」

嬢「ん ありがとう」



男「ほれ、これがたこ焼きだ」

嬢「おおぉ」

男「爪楊枝で刺して食べるんだよ」

嬢「......あむ」パクッ

男「どうだ?」

嬢「...... んんん」

嬢「美味しい......!」

男「そうだろ?」

嬢「男も食べる」

男「い、いやあの......」

嬢「?」

男「その...」

嬢「お口、開けて?」

男「は、はい.........んむ」

嬢「美味しい?」

男「色んな意味でな... 」

嬢「?」

男「どうした?」

嬢「なぜ、金魚?」

男「あぁ金魚すくいか」

嬢「すくって食べるの?」

男「いや、持って帰って育てたりな...」

嬢「......」

男「気になるのか?」

嬢「ん」

子供「てぁ!!」シュバッ!(バリッ

オヤジ「グヘヘヘ 金魚の勝ちだ」

子供「クソッ!」

オヤジ「ほら、残念賞」

少女「ホァァー!」(バリッ

オヤジ「はい残念」

少年「てぃ!」(バリッ

オヤジ「はい残念」

影武者「シャァ!」(バリッ

オヤジ「はい残念」

男「おいおいめっちゃ難易度高いじゃねーか」

嬢「男」クイクイ

男「ど、どうした?」

嬢「私もやりたい」

男「えぇ?やったことあるのか?」

嬢「無い けどやりたいっ」

男「(目が輝いている・・・)」

オヤジ「お?」

男「オヤジさん 2人分」

オヤジ「ウヘヘ 安い分手ごわいぞ?」

男「どーせ紙が破れやすいんでしょ...」

嬢「んー んー......」

男「おまっ デメキン狙ってんのかっ」

嬢「目が可愛い」

男「そーっとやるんだぞ?」(バリッ

嬢「あ」

男「クッ!(格好いいところ見せたかったのに!)」

オヤジ「あーお兄ちゃん下手だねえ」

男「グヌヌヌ」

嬢「よ........」ヒョイッ

男「何っ!?」

オヤジ「!!」

嬢「穫れた」

男「バ、バカな......」

嬢「男」

男「お おう」

嬢「穫れた」

男「ドヤ顔やめーや」

オヤジ「とったのは持って帰ってええよ グヘヘヘ」

嬢「ん」

男「持って帰るのか?」

嬢「池で育てる」

男「池あるのかよ...」

嬢「!!」

男「今度はどうしたっ?」

嬢「あの子が食べているのは......」

子供「綿飴うめうめ」

嬢「......雲?」

男「綿飴だよ」

嬢「わたあめ?」



男「ほらっ」←結局買ってあげた

嬢「おぉ 綿」

男「そうだ綿だ」

嬢「見たところザラメが原料」

男「まあよくわからんけど砂糖を綿にしてんだろ?」

嬢「恐らくあの機械で遠心力を使いながら溶かした砂糖を冷やして個体の糸状にしていると思われる」

男「お、お?おう・・・(やっぱ頭いいいんだよなあ)」

嬢「おいしい」

男「定番だからなー綿飴」

嬢「初めて食べた」

男「そうか それは良かった」

嬢「ん あむっ」

男「時間大丈夫なのか?」

嬢「ん」

男「ん って...」

嬢「あなたといると伝えてある」

男「......はい?」

嬢「まだ時間は平気」

男「ま、まあそれならいいとして・・・もうすぐ花火の時間だからな」

嬢「花火」

男「見たことあるか?」

嬢「ある」

男「おお」

嬢「子供のころ ロンドンで見た」

男「ロンドン?えらく遠いな」

嬢「多分日本の花火とは違うけど綺麗だった」

男「そうか」

アナウンス「花火上がるよー」

  ヒュー......

男「お」

嬢「......」

ドォォン パラパラチンチン...

男「結構迫力あるな」

嬢「ん」




男「いやー 花火も終わったしそろそろ帰るか」

嬢「そうする」

男「駅まで送るよ」

嬢「ん」

男「ロンドンの花火と比べてどうだった?」

嬢「......丸かった?」

男「そ、そうか」

嬢「よく覚えてない」

男「そっか」

嬢「今日見た花火のほうが綺麗だった」

男「おお ロンドンに勝ったか」




男「じゃな」

嬢「......」

男「どうした?」

嬢「......(ボソボソ」

男「えっ?えっ?」

嬢「また明日」クルッ

男「えー」

嬢「......」スタスタスタ

男「(行ってしまった...)」

男「(てかこれってデートみたいなもんだよな)」




夏期講習終盤

講師「てなわけで来週からAクラスで頑張れ」

男「はい!」

講師「Aクラスでも成績は上位の結果だっからな 気を抜かず頑張れよ」

男「おっぱい」



ーーー二学期中 自習室

嬢「ねえ」

男「ん?」カキカキ

嬢「.....志望校、決めた?」

男「んんん、まだ......かな?」

嬢「そう」

男「嬢は?」

嬢「まだ」

男「本当に公立狙うのか?」

嬢「ん」

男「いいとこの私立なんていっぱいあるだろ」

嬢「私立も公立も関係無い」

男「どうだか かなり差があるとは思うけどなあ」

嬢「......」

男「まあ俺の親は金のかからない公立に受かってくれと思ってるだろうし」

嬢「むう」

男「そういう意味ではかなり差があるんだよ」

嬢「...」

男「だから俺は絶対に落ちたくない 絶対合格したい」

嬢「ん」

男「...まあ みんなそうだけどね」

嬢「男はきっと受かる」

男「さんきゅ」




12月

男「......」

嬢「ねえ」

男「......」

嬢「......」ジーッ

男「......ん? うぉわっ!?」

嬢「?」

男「びびびっくりした......顔近ぇよ...!」

嬢「呼びかけた」

男「そ、そうなの?」

嬢「ずっと怖い顔で考え事してた」

男「スマソ」

嬢「志望校?」

男「まあ」

嬢「ねえ」

男「何だ?」

嬢「......」

男「何だよ」

嬢「......ねえ」

男「だから何だってば」

嬢「今日、お暇?」

男「暇じゃねーってこれから授業じゃん」

嬢「その後」

男「暇?ってか暇だから自習はするけど」

嬢「そう」

男「なんかあったのか?」

嬢「んん」フルフル

男「?」




授業後 夜

男「おい」

嬢「何?」

男「このまま自習するのか?」

嬢「......しない」

男「そっか」

嬢「ねえ」

男「ん?」

嬢「今から少し付き合ってほしい」

男「お、おぅ いいけど...」




男「? ここ、いつもの公園じゃねーか」

嬢「私は久々に来た」

男「そうかもな」

嬢「ここは誰もいない」

男「そりゃ12月でこの時間だし寒いからな......」ブルブル

嬢「ねえ」

男「どうした? 寒っ......」

嬢「私と結婚してほしい」

男「そうだな寒いな…」

嬢「ねえ」

男「結婚な......けっ、けっ?」

嬢「あ、まだ中学生同士だから結婚できない」

男「いや年齢のもももも問題じゃ」

嬢「?」

男「お前なんだよいきなり結婚ってっ......!」

嬢「何って告白した あなたに」

男「こっ、くはく......」ドキドキ

嬢「そう 告白」

男「あ、あのさ...告白で結婚っておかしいと思うけど」

嬢「? 告白すると結婚する」

男「違う違う違う!どこで覚えたんだそんな間違った知識!」

嬢「この間みた映画ではそうだった」

男「映画の話だろっ!」

嬢「?」

男「普通はいきなり結婚なんてないの!」

嬢「そうなの?」

男「男女ってのはまずは恋人になってから結婚を考えるんだよ」

嬢「恋人になったら結婚するんじゃないの?」

男「しないって! お前それじゃ学生のカップルでも皆結婚してることになるだろ......」

嬢「む 確かに」

男「結婚なんて10年早いわ」

嬢「そんなに?」

男「お前このあいだ社会で習ったろ?晩婚化が進んでるって」

嬢「習った」

男「結婚てのは書類上の儀式みたいなもんだよ」

嬢「そうなの?」

男「そうだよ 夫婦とカップルってのは籍の入れてる入れてないの違いみたいなもんだろ」

嬢「......ならカップルになってほしい」

男「えっと、いや、その...」

嬢「書類はいらないはず」

男「あっ、えと...その......」

嬢「嫌?」

男「これってつまりその告白ですよね?」

嬢「そう告白 さっきも言った」

男「き、き、気持ちは嬉しいけど......」

嬢「......(ションボリ」

男「受験が終わるまではその恋愛は控えたい...かな......」

嬢「ん」

男「......別に他に好きな奴がいるとか、嬢のことが好きじゃないとか そういうワケじゃないんだよ」

嬢「じゃあ受験が終わったら?」

男「......(な、何か男らしいこと言わなきゃ!)」

嬢「ねぇ」

男「そ、その時は俺から告白するっ!」

嬢「......本当?」

男「俺が志望校受かったらな」

嬢「志望校はどこ?」

男「○▼○高校」

嬢「そう 私と一緒」

男「えっ?」

嬢「一緒に頑張る」

男「お、おぅ...」

嬢「受かったらあなたが私に告白をする」

男「えっとまあ確かにそうはなりますね......」

嬢「なら今は恋愛をしている場合ではない」

男「......」

嬢「でしょ?」

男「(...してしまったよお前のせいで)」

嬢「?」

男「そうだな 受からなきゃな」





試験日前夜

男「明日かー」

池面「緊張してるのかい?」

男「そりゃね センター試験とかだともっと緊張するんだろうなー」

池面「この比ではないだろうね でも、僕たちはこの壁を共に乗り越えなければ!」

男「(いちいち言い回しがウザイな)」

池面「僕はもう帰るよ」

男「あ、これ俺からの餞別だよ」

池面「......ストッパ?」

男「池面お腹弱いじゃん」

池面「余計なお世話だ」

嬢「男」

男「ん?帰るか?」

嬢「はい」サッ

男「おっ?これは?」

嬢「御守り」

男「くれるのか?」

嬢「ん」コクリ

男「高そうなやつだな......」

嬢「男ならきっと受かる」

男「嬢のがしれっと合格しそうだよなあ」

嬢「頑張ろう」

男「おう 頑張ろうな」



ーーー試験当日

男「(この問題、進研ゼミでやったことないぞ!?)」

男「(いやつか俺進研ゼミやってなかった!)」テヘペロッ

ーーー-

池面「うぅ...」ピーゴロゴロ

池面「(ま、まさか僕が腹痛で......ハッ!)」ピーゴロゴロ

池面「(男君から貰ったストッパ!ありがとう心の友よ!!)」

池面「(よしっ!いける!)」ブリュチチチブチチチイイィィ!!モリモリ

ストッパもトメダインも信用ならねえんだよなあ





合格発表の日


の夕方  ーーあの公園ーー


男「良かったな二人とも合格して」

嬢「お互い勉強頑張ったから」

男「良かった良かった うんうん」

嬢「......」

男「...うん...うん......」

嬢「............」

男「えっと、その、俺と付き合ってくだ...さい......?」

嬢「...ん」

男「う、俯いてちゃわかんねーって」

嬢「ん」

男「 ん ってなんだよ...」

嬢「しょんなこと言われても」

男「噛んだ?」

嬢「噛んでぁない」

男「プッ また噛んだ」

嬢「むぅ」

男「返事 貰ってないぞ」

嬢「今日から私達は恋人」

男「はい OKってことね」






>>88の続きというか現在に戻ってから

男「......眠いのか?」

嬢「あまり眠くない」

男「ふむ」

嬢「あなたは?」

男「それが眠くないんだな」

嬢「そう じゃあお話する」

男「お話?」

嬢「男が隣の席の女さんに話し掛けられたらお話」

男「あー女か」

嬢「仲良さそうに話してた」

男「いや、小学校のころ一緒だったから...」

嬢「む」

男「もし変な誤解をしているなら訂正しておくからな」

嬢「私が隣が良かった」

男「そりゃあな でも同じクラスになれただけでも良かったじゃんか」

嬢「ん」

男「俺が前の席で嬢が後ろだとなんか気のせいか視線を感じるんだよなぁ......」

嬢「ん 見ている」

男「微妙に視界に入るからさ」

嬢「男が女さんのほうを向いて喋ると視界に入るはず」

男「ですよね」

嬢「......」

男「どうした?」

嬢「きっと私は嫉妬深い女」

男「本当にどうした??」

男「ていうか嫉妬くらい俺だってするって」

嬢「そうなの?」

男「それに女とは知り合いだから話し方にしても少し距離感が近かったしな」

嬢「ん」

男「そんな距離感で嬢が男子と話してたら嫉妬するよ ごめんな」

嬢「私はしないから平気」

男「俺以外の男子とは喋ったことないのか?」

嬢「んん... 会話という会話はしたことない」

男「そっか まあ嬢は物静かだからな」

嬢「ん 煩いの苦手」

男「でも隣の男子からとかも話しかけられないのか?」

嬢「特には無い」

男「隣誰だっけ?」

嬢「むぅ 地味男君」

男「あぁ 地味男君か」

嬢「彼女の隣の席の男子くらい知っているべき」

男「ス、スイマセン 地味だったからつい......」

嬢「外、雨が降ってきた」

男「みたいだなー」

嬢「あなたはいつ帰るの?」

男「明日?とりあえず朝起きてから...」

嬢「...」

男「ひ、昼前!」

嬢「......」

男「ご、午後!」

嬢「.........」

男「流石に夜には帰るからな?」

嬢「むぅ」

男「まあこのまま寝れないと昼くらいまでは寝ちゃいそうだが」

嬢「それは好都合」

男「何がだ」

嬢「にゃんでもない」

男「寝てる時に悪戯するんじゃないだろーな?」

嬢「ししししないっ」

男「どんだけ分かりやすい動揺の仕方なんだよ」

嬢「男だって私にする」

男「おっ俺!?し、しないよ多分......」

嬢「多分なの?」

男「しないって...!」

嬢「......」ジーッ

男「な、何だよ」

嬢「してもいいのに」

男「おふっ」

嬢「?」

男「そういう言葉は破壊力高いんだよ......」

嬢「でも本当」

男「な、ならまあ俺にもしてもいいけどな」

嬢「本当?」

男「する気満々やん」

嬢「早く寝て」

男「寝れると思うか?」

嬢「なら頭を撫でてあげる」ナデナデ

男「あぉぅ...これは......」

嬢「どう?」

男「結構落ち着く...かも......」

嬢「なんと」

男「どうだ?」ナデナデ

嬢「んん...」

男「髪ツヤツヤだな」

嬢「はぅ...」

男「(それでいてサラサラ)」

嬢「もっと」

男「はいはい」

嬢「ん」ジーッ

男「どうした?」

嬢「頭撫でるの上手」 

男「そ、そうなのか?」

嬢「きっと他の女で練習を......」

男「なんじゃそりゃ」

嬢「ねぇ」

男「ん?」

嬢「眠くなってきた」

男「なら寝ろ」

嬢「私が先に寝たら駄目」

男「何でだよっ」

嬢「男が先に寝ないと駄目」

男「そんなこと言われても......」

嬢「眠くないの?」

男「多少は眠くはなってきたかな?」

嬢「そう」

男「でもやっぱり彼女の家だし、普段とは違うベッドだし緊張するしで簡単には寝れないよ」

嬢「ん 確かに」

男「ふーむ」

嬢「あ、あの薬......」

男「?」

嬢「ん なんでもない」

男「薬って聞こえたぞ」

嬢「お父様の書斎の薬品庫にあるすごく眠れる薬があった」

男「や、薬品庫って......」

嬢「でも書斎には入れなかった」

男「どんな薬なんだよそれ」

嬢「効き目が良すぎて市販での流通は厳禁らしい」

男「やべーだろそれ」

嬢「飲んだら半日はノンレム睡眠らしい」

男「うん頑張って寝るから大丈夫だぞ」

嬢「そう また今度」

男「いや飲まないからなっ」

ーーーゴロゴロ

男「雷鳴ってきたな」

嬢「ん......」グイッ

男「うぉっ ひ、引っ張るなよ」

嬢「苦手」

男「雷か」

嬢「ん」

雷「オラァッッ!!」ピキャァァ!!

男「うおっ」

嬢「ぴぇっ」ガシッ

男「!?」

嬢「......」プルプル

男「(密着しすぎィィ!)」

男「(いかん冷静になれ!)近くに落ちたかな...」

嬢「んん あの音が苦手......」

男「枯れ木割ったような音だろ?みんな苦手だよ」

嬢「ん」クンクン

男「おい」

嬢「なに?」

男「どさくさに紛れて嗅いだろ」

嬢「恋人の私には嗅ぐ権利がある」

男「ノーノー 嗅がせない権利もある」

嬢「嗅いでも減るものではない」

男「そういう問題じゃねーんすよ」

嬢「ケチ」

男「ッ」

嬢「男はケチ」

男「なっ、そっちはどうなんだよ!俺が嗅いできたら拒むくせに!」

嬢「のーのー それはセクハラ」

男「セクハラじゃねー!」

嬢「嫌がる女性の匂い行為は嗅ぐのはセクハラ」

男「恋人だしっ 権利だ権利」

嬢「義務を果たして初めて権利を掴めるもの」

男「ギム?義務?」

嬢「そう 義務」

男「俺の義務?」

嬢「ん」

男「俺は義務を果たしていないと?」

嬢「ん?んー......んんん、んん?」

男「ほう?嬢は俺に恋人としての義務を果たしていると?」

嬢「う、うん......」

男「ふーん」

嬢「む その反応」


>>259
匂い行為は嗅ぐのはセクハラ・・・日本語だった

男「恋人としての義務か......」

嬢「男は果たしてる」

男「どっちだよ...」

嬢「私は男が好き」

男「お、おう」

嬢「......」

男「俺も嬢が好きだよ」

嬢「ん」

男「嬢といると毎日楽しいしな」

嬢「それは私の台詞」

男「それに恋人の家にお泊まりだなんていきなり過ぎる」

嬢「遅かれ早かれ」

男「いや、まあそうかもしれんけどさ」

嬢「私は男の匂いが好き」

男「だからさ、コレ君のお兄さんの服だから」

嬢「んーん 男の匂いがする」

男「ハァ...... じゃあそれでいいよもう」

嬢「少し汗かいてる」

男「緊張してるからな」

嬢「まだ緊張?」

男「悪いかよ」

嬢「余裕の無い男も好き」

男「はいはい そんでもって悪いんだが」

嬢「?」

男「腕....痺れてきた」

嬢「ん じゃあもういい」

男「腕枕で寝るってこれ無理だろ めっちゃ痺れるぞ」

嬢「抱き枕にすればいい」ギュッ

男「ッタォ!?」

嬢「たお?」

男「(おぱ、おぱぱぱ)」

嬢「まだ腕痺れるの?」

男「あ、あぁ」

嬢「?」

男「(多分......ノーブラだ......)」

嬢「平気?」

男「い、いきなり腕に抱きつかれたからビックリしただけだよ」

嬢「嫌だった?」

男「ノーノー 柔らくて最高ッ.......あ......」

嬢「むっ... あなたはすけべ」

男「えっちにセクハラに変態にスケベですか 役満だな」

嬢「実際そう」

男「そうかなあ?」

嬢「私もいずれ汚される」

男「な、なんだよその言い方」

嬢「まああなたも思春期だからしょうがない」ハァ

男「うわすっげえムカつく」

嬢「む 怒った?」

男「いや怒らないけどさ」

嬢「怒ったのならごめんなさい」

男「怒ってないって」

嬢「............」ジーッ

男「な、なんだよ」

嬢「でもいずれは私に手を出すの?」

男「......そ、そ、そういう質問をされてもさ.........」

嬢「...」

男「えっとさ」

嬢「......」

男「そ、そりゃ出すよ...」

嬢「ん」

男「ていうか現にお互いに向かい合って寝てるって状況もすごいとは思うんだが」

嬢「ん 確かに」

男「俺だってそれなりに理性保つ努力してるんだぞ?」

嬢「が......我慢してるってこと?」

男「そりゃ......まあ」

嬢「ん」

男「好きな人と向かい合って我慢しない奴なんていないだろ」

嬢「ん」

男「な?」

嬢「ん」

男「嬢さ、恥ずかしくなったら『ん』って返事だけになるよな」

嬢「む は、恥ずかしいわけではない」

男「じゃあ何だよ...」

嬢「こ、これは......」

男「?」

嬢「嬉しいって気持ち? うん」

男「そか」

嬢「上手く言葉には出来ないけど......あなたが隣にいてくれるだけで安心する」

男「恥ずかしい台詞を言ってくれますな」

嬢「ん」

男「なあ」

嬢「何ッ......」

男「......」チュ

嬢「...............」

男「ふむ」

嬢「......」

男「どうした黙って」

嬢「ん......キス...された......」

男「(あれ?やべえ怒ってる?)」

嬢「キス...した?」

男「お、おう した」

嬢「初めて?」

男「当たり前だろ」

嬢「......ミートゥー」

男「だろうな」

嬢「......」

男「えっと、その、嫌......だったり?」

嬢「んーん」フルフル

男「そか」

嬢「だからもう一回」

男「っ」

嬢「不意打ちだっから もう一回」

男「は、はい」

嬢「......」ジーッ

男「え、えと」

嬢「?」

男「その、目を瞑ってくれると...」

嬢「ん」

男「......(なんやかんや素直に言うこと聞くのが可愛い)」

男「(人形みたいな顔してるよなあホント)」

嬢「まだ?」チラッ

男「スマン 見惚れていた」

嬢「......」

男「ん」チュ

嬢「ッ......だから不意打ち禁止」

男「そうか ならもう一回な」

嬢「ん」

男「...」
嬢「...」

男「唇って柔らかいんだな」

嬢「ダイヤモンドよりも壊れない」

男「?」

嬢「にゃんでもない」

男「フゥァ......眠くなってきた」

嬢「ん 電気消す」ピッ

男「外、まだ大雨だな」

嬢「やむまでいればいい」

男「ま...朝には止んでいるだろ」

嬢「むぅ」

男「......おやすみ」

嬢「フフフ おやすみ」

男「(今笑ったのか?...つか暗くて見えなかったし!)」

嬢「......zzz」

男「寝るの早」



ーーー翌朝

男「......zzz zzz(ん...?体が重...)」

嬢「あっ!」

男「ぐぉっ!?」

嬢「起きるの早い...」

男「いや何してた?」

嬢「なななんにもしてにゃい......」

男「お前何で携帯片手に持ってるんだ?」

嬢「......」サッ

男「幼稚園児並の誤魔化しかただな...」

嬢「ただ持ってただけ」

男「嘘付け!どーせ寝顔でも撮ってたんだろっ」

嬢「む まだ撮って無かった」

男「ほら撮る気だったんじゃねーか」

嬢「はぅ」

男「恥ずかしいだろ」

嬢「男の寝顔は可愛い」

男「うるさい」

嬢「ケチ」

男「な、なんでだよ」

嬢「男はケチ」

男「また始まった......」

嬢「む」

男「そこまで言うなら嬢のほうこそ寝顔撮らせてくれるんだろうな?」

嬢「............」

男「いや冗談だよ」

嬢「すっぴんだから駄目」

男「殆ど化粧してないだろ」

嬢「む ちょっとしてる」

男「へぇ そうだったのか」

嬢「男は鈍感」

男「......かもな」

嬢「昨日のお風呂上がりからお化粧は落としてた」

男「あっ、でも確かにお肌に変化があったような無かったような...」

嬢「男はケチ」

男「ケチじゃねーし!てか今はケチ関係ねーし!」

男「ていうか そ、それにさ」

嬢「?」

男「まあ素でもそんな美人なのは、うん.....彼氏として誇らしいです」

嬢「そう」

男「おおおい 今すっげぇ恥ずかしい台詞言ったのにー」

嬢「ん」クイクイ

男「? あぁ...」

嬢「......」

男「......っふむ これがおはようのキスの味...」

嬢「私はさっきもした」

男「おい」

嬢「してもいいか聞いた」

男「寝てた俺にか」

嬢「ん OKだった」

男「...」

嬢「そろそろ朝ご飯のお時間」

男「おぉ」

嬢「先にリビングに行ってる」スタスタ

男「(上手く誤魔化された...)」





帰宅の時間

男「すいませんお世話になりまして」

爺「いえいえ いつでもいらしてください」

嬢「送っていく」

男「いいってば もう暗いんだし」

嬢「そう なら泊まればいい」

男「アホか」

嬢「私は構わない」

男「流石に俺が帰らないとマズいんだって 親がうるさいし」

嬢「......」

男「月曜日学校で会えるだろ?」

嬢「ん」

男「それにいつでも遊びに行くって」

嬢「本当?」

男「あぁ」

嬢「じゃあ来週も」

男「あ、あぁ...」

嬢「というか毎週」

男「ちょ、いや、まぁ...」

嬢「嬉しい」

男「(駄目だ可愛ぇぇ)」





ーーーある日 学校

女「男、おはよー」

男「ん おはよ」

女「てか今日放課後皆でカラオケ行くんだけど男も来なよ!」

男「へ?俺?」

女「2組の美女さんも来るってさ」

男「いや誰だよ」

女「で、来ないの?来るんでしょ?」

男「俺は行かないって」チラッ

嬢「......」ジーッ

女「えぇ!?」

男「んなビックリされても......」

女「彼女できるチャンスだよ!?」

男「...いや、つかもういる......わけなんだが」

女「はい?」

男「いやだから俺彼女いるから」

女「美女さんもカラオケ来るんだよ!?」

男「いや誰だよ」

女「2組の!」

男「知らねーし.....」

女「男子の比率の方が少ないからチャンスなのになぁ」

男「だから彼女持ちの俺には関係無いってば」

女「そんなつまらない嘘までたいて維持張ってさ.......」

男「信じて無いんかい」

女「えぇー?本当にいるのー?」

男「うむ」

女「うちの学校?」

男「あぁ ついでに言うと同じクラス」

女「........」

男「わかるのか?」

女「...わ、私だなんて そんな....///」

男「違ぇよ!」

嬢「男」ヒョイ

男「うぉ!ビックリした!」

女「?」

嬢「....」ジーッ

男「ん?あぁお昼な」

嬢「ん 一緒に食べる」

女「...?」

男「じゃ、また後でな女」

女「う、うん.... ポカーン」

女「........」

女「....やけに仲良いなああの2人」

女「まさか...男が嬢さんとお付き合いってのは........」

女「無いなぁ」


ーーー昼 屋上

嬢「はい、あなたの分」

男「あ、ありがとう...」

嬢「? どうしたの?」

男「重箱ですか」

嬢「ん 兄が使っていたやつ」

男「お兄さんめっちゃ食べるのか」

嬢「?」

男「いやこれ2.5人前は入る箱だぞ」

嬢「男性はそれくらい食べるものかと」

男「いやいやいやこれはデカすぎ!」

嬢「知らなかった」

男「嬢の弁当箱は流石に小さいけど、それより少し大きいくらいのが普通だぞ」

嬢「ん ならあなた専用のお弁当箱を用意しておく」

男「いやそこまでしなくても」

嬢「駄目っ」

男「はい」

嬢「さあどうぞ」

男「じゃあいただきます」

男「(量は多いけど変に豪勢じゃない分気が楽だ)」

嬢「どう?」

男「うむ、美味しいに決まってるだろ」

嬢「そう」

男「モグモグ....っ、な、なんだよ」

嬢「何でもない」ジーッ

男「(やたらと弁当見てくるな...)」

嬢「........」ジーッ

男「....わかった」

嬢「何?」

男「これ、嬢が作ったおかずが入ってるとかいうオチだろ」

嬢「ッッ、」

男「図星か」

嬢「男はケチ」

男「はいはい で、どれ作ったんだ?」

嬢「秘密」

男「いや秘密にしてたら駄目だろ」

嬢「当ててみて?」

男「この鳥天プラ」

嬢「はぅッ」

男「フッフッフッ」モグモグ

嬢「...何でわかったの?」

男「中身が微妙に生なんだもん」モグモグ

嬢「あぅ」

男「何か...こう.....火が通ってない......」モグモグ

嬢「あなたな天プラの脅威を知らない」

男「何だよ脅威って...」

嬢「ものすごいはねる」

男「油がな 当たり前だろ」

嬢「私は知らなかった」

男「知れて良かったじゃないか」

嬢「けど生だったのは知らなかった」

男「普通味見しないもんかね」

嬢「...迂闊」

男「まああんまり料理しないんだからしょうがないか」

嬢「む」

男「そんな顔するなよ」

嬢「...」

男「見た目も綺麗だし、生だったってだけじゃんか」

嬢「ん」

男「次は期待してるよ」

嬢「任せて」

男「ていうかお手伝いさんに教えてもらえるんだろ?」

嬢「ん 私は覚えが早いからすぐ良くなる」

男「自分で言うなや」

嬢「ところで」

男「ん?」

嬢「さっき女さんと何話してたの?」

男「あぁなんか放課後皆でカラオケ行かない?って聞かれただけだよ」

嬢「そう......」

男「まあ勿論断ったけどさ」

嬢「ん」

男「嬢はそういうお誘い受けないのか?」

嬢「受けた」

男「!?」

嬢「2組に従姉妹がいる」

男「従姉妹かよ 初耳だし」

嬢「ん 言う必要は無いものかと」

男「向こうは俺のこと知ってるのか?」

嬢「ん 教えた」

男「で、2組の誰さん?」

嬢「美女」

男「ん?んんー、んんん、そうか」

美女→従姉

男「なんかさっき女が言ってたような.....」

嬢「従姉も行くらしい」

男「へえ ま、俺らには関係の無い話だけどさ」

嬢「行かなくていいの?」

男「いいよ 俺カラオケとか好きじゃないし」

嬢「男は音痴」

男「音痴じゃねーッ...と思う、うん思いたい」

男「嬢はカラオケ行かないのか?家族とかでさ」

嬢「行かない」

男「そうか」

嬢「男は音痴でケチ」

男「あーはいはい」

嬢「む」

男「嬢はカラオケ行かないのか?家族とかでさ」

嬢「行かない」

男「そうか」

嬢「男は音痴でケチ」

男「あーはいはい」

嬢「む」

嬢「カラオケならお家にある」

男「あ、そういうことね」

嬢「それに私は歌が上手い」

男「ほう」

嬢「自慢じゃないけど」

男「自慢だろ」

嬢「む」

男「てか恥ずかしがって歌わないだろ、嬢の場合」

嬢「うっ」

男「図星かい」

嬢「......あまり大勢の前で歌ったりとかは........」

男「それは俺も苦手だよ」

嬢「音痴だから?」

男「うん、もう俺が音痴な設定なんですね」

嬢「ん」

男「さて、そろそろ教室戻るか」

嬢「ん」

美女「あら?」

嬢「ん」

男「? 知り合いか?」

嬢「さっき言っていた私の従姉」

美女「......そちらは嬢の恋人?」

男「えっ?っと、まあはじめまして」

美女「フフフ はじめまして」

男「(なる程美人だな)」

美女「まさか本当に恋人ができたなんて....あの嬢が」

男「2人とも従姉とは言え、それなりに似てるね」

美女「私の母と嬢のお母様は双子なの」

嬢「ん」

男「おぉ、通りで」

嬢「性格は似てない」

男「?」

美女「フ、フフフ」

嬢「私は大人しくおしとやか」

男「また自分で言うんかい」

嬢「けど中身は欲張り」

男「欲張り?....まあ確かにそんな気はしなくもないけど」

嬢「美女はがさつで負けず嫌いでうるさい」

男「えっ」

美女「ちょ」

嬢「カラオケではマイクを離さないタイプ と言うか離さない」

美女「ストップ!シャラァァップ!」

男「っ!?」

嬢「む」

美女「あ、あんたそんな事周りに言いふらして無いでしょうね!?」

嬢「言ってない」

美女「だ、だいたいマイクを離さないってのはねぇ」

嬢「私より点数が低いから」

美女「違うわよっ あれは機械がおかしいの!」

嬢「む 素直に負けを認めない」

美女「ふんっ!お料理なら私の方が上よ」

嬢「むっ」

美女「女はカラオケじゃなくて割烹なのよ!」

男「(なんだこの言い争い)」

嬢「私は今日お弁当を作った」

美女「!?」

嬢「愛妻弁当」

男「愛妻!?」

美女「クッ!こ、恋人と2人きりでお弁当だなんて....」

嬢「(失敗の唐揚げ以外は使用人さんが作ってくれたのは内緒)」

美女「全然羨ましくない....羨ましくないんだからっ!」

男「........」ポカーン

美女「っと、....フフフフ 男さんでしたっけ?」

男「あ、う、うん」

美女「どうぞこれからも嬢を宜しくね?」

男「まあ...こちらこそ」

美女「それじゃ、2人ともご機嫌よう」

男「........」

嬢「むう」

男「猫被ってるのか?」

嬢「まあ」

ーーー放課後

美女「あなたは来ないの?」

嬢「ん 男と本を買いに行く」

美女「そう、お買い物なのね」

嬢「デート」

美女「フフフフ」

嬢「デート」

美女「いちいち強調しなくていいわよっ!もう!」

嬢「美女はカラオケ?」

美女「まっ、誘われたからには行かないとノリの悪い女だと思われるでしょう?」

嬢「そう」

美女「それにこういった場で交友を深めるだなんていかにも高校生らしいわ 素敵」

嬢「そう」

美女「全くよくわからないけど って顔してるわね」

嬢「きっと美女はモテる」

美女「ま、当然でしょう」

嬢「悪い男に引っかからないか心配」

美女「グッ、そ、それはこっちのセリフのはずなのに....!」

嬢「私は間に合っている」

美女「はいはいそうだったわねー」アッカンベー

嬢「これからデート」

美女「何も聞こえませーん」

美女「私だってきっといい彼氏ゲットするんだから」

嬢「ん せいぜい頑張る」フッ

美女「ムキー!何よその上から目線!」

嬢「当然の余裕」

美女「わ、私の方が胸大きいもん!」

嬢「大き過ぎずがベスト」

美女「むっ!」

嬢「私のほうがお尻は小さい」

美女「私くらいの方が色気があるんですぅー!」

美女「てか、その...男君だっけ?」

嬢「ん」

美女「知り合うまでは別として  ど、どうやって恋人になったの?」

嬢「どうやって?その方法は一つ!陰我あるオブジェをゲートに、この世界にやってくるのさ!」

美女「なるほど....」

美女「てか、その....男君だっけ?」

嬢「ん」

美女「知り合うまでは別として ど、どうやって恋人になったの?」

嬢「かくかくしかじか」

美女「なるほど....」

美女「まあ........あなたほどのルックスなら恋人がいてもおかしくはないけど」

嬢「そう?」

美女「けどまさか先を越されるなんて....嬢に......」

嬢「恋は予想外」

美女「大人しくて内気なあなたに先を......」

嬢「私には男運があったと言う事」

美女「まるで私に無いみたいに言わないでっ」

嬢「心配」

美女「余計なお世話ですーっ」

嬢「ん」

美女「それで....」

嬢「?」

美女「あ、あなた達はどこまで行ったの?」

嬢「どこ?」

美女「....こ、恋人ならその....す、することあるでしょ?」

嬢「むぅ そっち」

美女「まあどうせ貴女のことだから、手を繋いだくらいー」

嬢「この間、男が泊まりに来た時に」

美女「ゴフッッ」

嬢「ちょっ」

美女「今なんかとんでもない聞き間違いをしてしまって....」

嬢「聞き間違い?」

美女「い、いやあなたの恋人が家に泊まりに来たと言う風に聞こえてしまったから」

嬢「? そう言ったけど...?」

美女「泊まったの!?」

嬢「ん 一緒に寝た」

美女「ギャフッ」

嬢「腕枕した」

美女「腕枕って....他にもしたんでしょ?」

嬢「......添い寝とか?」

美女「ほ、他には!?」

嬢「あ、あと....」

美女「あと?」

嬢「お勉強をした」

美女「............そう(やっぱりそこは嬢ね)」ホッ

嬢「あとキス」

美女「ッーー」

嬢「ちょっ 平気?」

美女「ついでにみたいに言うから....」

嬢「キス.....」

美女「ちょっ、何にやけそうになってんのよ」

嬢「む したこのないの?」

美女「な....ないわよ あるわけ無いでしょっ」

嬢「そう」フッ

美女「クッ!その余裕がいちいちムカツクわね!」

嬢「キスをすると......気持ちがフワフワする」

美女「あぁぁぁもう何も聞こえませーんー!」

嬢「フッ」

男「嬢」

嬢「む 遅い」

男「すまん ゆっくりしていたら遅れた」

嬢「男はケチ」

美女「あぐっ....あら、ご機嫌よう」ニコッ

男「あ、ども....」

嬢「じゃあ私達は帰る」

男「いいのか?」

嬢「ん 美女は美女でこのあと合コンがある」

美女「ゴッ、合コンだなんて...皆さんとカラオケに親睦を深めに行くだけですよ?フフフフ」

男「女が言っていたやつか」

嬢「ん 美女は歌が上手い」

男「へえ」

美女「そ、そんな上手くは....」

嬢「私より少し下くらい」

美女「フフフフ それはあなたの得意な歌オンリーの話かしら?」

嬢「この前も96対95だった」

美女「95.9よ!あの時は調子がイマイチだっただけでねぇ」

男「お、おぅ....」

美女「っと....フフフフ」ニコニコ

男「仲ええな」

美女「どうでしょう?」ニコニコ

嬢「男、そろそろ行く」

男「そだな じゃあ俺たちはこれで」

嬢「また今度」

美女「えぇ ご機嫌よう」




美女「あれが恋人....そして放課後にお買い物....お泊まり......」

美女「あの子に先を行かれるなんて............」

女「あっ、美女さん」

美女「女さん」

女「これからカラオケ行くんだよねっ」

美女「えぇ」

女「一緒に行こっ?」

美女「もちろんです」


ーーーカラオケルーム 大部屋

美女「........(つまらん)」

周り「ワイワイキャッキャッ」

周り「ねねね!美女さんって彼氏とかいないの!?」

美女「そ、そんないないですよっ」

周り「おおぉおぉぉぉ!」

美女「お付き合いとかはまだ....」

周り「美人なのに...」

女「恋人の有無に美人関係なぁぁい」

美女「(その通り)」ウンウン

女「美女さんは好きな人いないの?」

美女「いたことないですね」

女「告られた事は?」

美女「な、無いです」

周り「えぇぇぇ!?」

女「あぁぁ、美女さん女子中だったんだっけ?」

美女「えぇ」

女「これからどんどん告白されまくるでしょうなあ」

美女「そ、そんなことには...ならないかと」





その後 美女さん宅

美女「....ふぅ なんかどっと疲れたわね」

美女「まあこの程度の人付き合いをこなせないようでは....ね」

美女「とりあえず皆に勧められたら通りにこのラインとかいうアプリを....」

数十分後

美女「な、なんか知らない人からも通知がたくさん....」

美女「一気に返信できないっつーの!」

美女「クッ!でもこの程度の人付き合いをこなせない私じゃないわよ!」ポチポチポチ

美女「.......そういえば」



嬢「「何?」」

美女「「まだデート中だったかしら?」」

嬢「「さっきバイバイした」」

美女「「そう、ねぇ貴女 ラインっていうのやってる?」」

嬢「「らいん?SNSの?」」

美女「「そうそう」」

嬢「「やってない メールとお電話だけ」」

美女「「そっ 男君も?」」

嬢「「ん 私も男も携帯はあまり使わない」」 

美女「「そう....いいカップルですこと」」

嬢「「やってるの?」」

美女「「んんー、なーんか私もこういうのは性に合わないみたい」」

嬢「「なら無理してやる必要は無い」」

美女「「その通りかもね 悪いわね、こんな事で呼び出して」」

嬢「「ん また明日」」

美女「「ええ」」

正直LINEとかやってねえからヨクワカンネ





翌朝 学校

男「よう 朝練か?」

男友「おぅ 土曜日の朝は早起きに限る」

男「お前は昨日のカラオケの大集会に......って柄じゃないよな」

男友「あー なんか誘われたけど」

男「結構な人数が参加したみたいだからさ」

男友「ふーん」

男友「で、お前は彼女と一緒じゃないのか?」

男「あぁなんか今日は従姉妹と一緒に登校してるんだよ」

男友「従姉妹?」

男「ああ 二組に美女さんっているだろ?」

男友「....いやそれは知らんが」

男「お前とは同じクラスだろ!めっちゃ美人の!」

男友「そ、そうなのか....今度よく見てみるよ」


ーーー

美女「てなワケよ」

嬢「ん 猫を被るから疲れる」

美女「失礼ね 社交的な態度で周りと接しているだけよ?」

嬢「それを猫を被るという」

美女「いいのよ私は 猫は猫でも西表山猫のように貴重に扱われるべきだわ」

嬢「....」

美女「何よその目は」

嬢「普段の美女のほうが好き」

美女「うっ」

嬢「遠慮しないほうが貴女らしい」

美女「クッ!そんな可愛い顔で素直な事言われたら照れるじゃない!」

嬢「言うほど素直じゃない」

美女「可愛いは否定しないところは素直ね」

嬢「む」

男「嬢」

嬢「ん おはよう」

男「おはようさん」

美女「あら、男君 おはようございます」フフフ

男「あ、はい、おはようございます」

美女「そちらはご友人様ですか?」

男友「この人が美女さん?」

男「あぁ 一応お前と一緒のクラスなんだぞ」

男友「....だそうですが知ってました?」

美女「え、えぇもちろん...フフフ」

男友「(この人嘘つくの下手だな)」

男友「まあ何かあったら宜しくお願いしますね」

美女「はいこちらこそ フフフフ」





昼休み

嬢「男」

男「ん?どうした?」

嬢「男はラインをする?」

男「ライン?アプリのか?」

嬢「ん」

男「いや、してないけど....やりたいのか?」

嬢「聞いただけ」

男「周りは殆どやってるみたいだけどな」

嬢「ん」

男「俺も一時期やってたんだよ 嬢とメールする前に」

嬢「ん」

男「けどなーんか合わないと言うか...すぐ返信しなきゃみたいな風潮についていけなくてさ」

嬢「あなたはマイペース」

男「嬢には負けるけどな」

嬢「む」

男「クラスメートとはメールとかしてないのか?」

嬢「してない」

男「(まぁ、そりゃそーか)」

嬢「必要無い」

男「でも聞かれたらちゃんとメアドくらいは教えてやるんだぞ?」

嬢「相手が殿方でも?」

男「そっ......れは、まあ.......うん」

嬢「どうなの?」

男「か、彼氏がいるってことをまず伝えるんだぞ?わかったな?」

嬢「焦る男も可愛い」

男「焦ってねーしー!」

うんこまん





ある日

嬢「ねぇ」トントン

男「ん?どうした?」

嬢「これ」ピラッ

男「んん....?それ、チケットか?」

嬢「ん」

男「おぉ いつ行く?」

嬢「!」

男「ど、どうした?」

嬢「てっきり断られるかと思った」

男「いや普通断らないだろ」

嬢「あなたはこういう場所に行きたがらないと思った」

男「まあ.....でも流石に恋人がチケットまで持ってきたら“行くか!”ってなるだろ」

嬢「そう?」 

男「そうだよ そっちこそ遊園地だなんて興味無さそうに見えるが」

嬢「もらった」

男「でしょーね」

嬢「いつ行くの?」

男「いつがいいか....」

嬢「明後日」

男「早っ!金曜日だぞ?」

嬢「ん 学校が終わってから」

男「いや確かに今週は午前授業だけど....着替えや移動時間考えたら着くので夕方になるかもしれんし.......」

嬢「? 泊まるから平気」

男「あ、あぁなるほどね」

嬢「ん」

男「いやちょっと待て」

嬢「?」

男「泊まるんですか?」

嬢「ん」

男「いや、そ....そっか........」

嬢「隣接しているホテルに一泊する」

男「いやでも今から部屋を取れるもんなのか?」

嬢「平気」

男「キッパリ言ったな」

嬢「父にお願いしてある」

男「親父さん公認かよ」

嬢「ん」

男「そういや俺まだ嬢の親父さんに会ったことないな」

嬢「あまり家に居ない」

男「忙しいからな」

嬢「恋人がいると話した時は鼻血を出していた」

男「えっ」

嬢「多分怒って....いた?」

男「えっ?えっ? それって大丈夫だよな?」

嬢「けど付き合うまでの経緯や爺の説得聞いたら納得した」

男「ほほほ本当に納得したんか?俺会ってすらないのに....」

嬢「大丈夫 ワインのボトルを手刀で両断していたけど」

男「はい俺死にましたー」

嬢「そんな話はどうでもいい」

男「どうでもよくねー....」

嬢「平気」

男「そうなのか?」

嬢「あなたが私を好きでいてくれたら」

男「....い、いや、好きですよそりゃ」

嬢「誰にも邪魔はさせない」

男「そ....うだな(頼もしいような怖いような....)」

嬢「私はきっとメ、メレンゲ?と言うやつ」

男「メンヘラと言いたいのか?」

嬢「そうそれ」

男「メンヘラでも無いだろ 俺は今の嬢は好きだぞ」

嬢「む」

男「波長が合うっていうかさ」

嬢「男はずるい」

男「えっ?」

嬢「........」クイクイッ

男「な、なんだよ」

嬢「........」クイッ

男「(や、やけに積極的だな....)」チュ

嬢「....ん」

男「これで満足か?」

嬢「まあ」

男「まあって....」

嬢「ねえ」

男「ん?」

嬢「貴方はそんなに私の事が好き?」

男「お、おう.... てかどうした今日」

嬢「きっと私はハイテンション........という気分」

男「明後日が楽しみなのか?」

嬢「ん」

男「遠足の前日に寝れなくなるタイプだな」

嬢「遠足....おやつは300種類まで」

男「種類!?すげえな!」

嬢「豚レバーは......おやつ」

男「おにく だ」

嬢「けど中学の修学旅行には行けなかった」

男「そうなのか?」

嬢「ん 父の会社の件もあったし」

男「そうか....どこ行く予定だったんだ?」

嬢「沖縄」

男「おぉ 中学で沖縄か」

嬢「ん 高等部はヨーロッパ」

男「おおぉ.... けどこの高校は確か修学旅行は国内だろ 公立だし」

嬢「海外には興味が無い」

男「俺もないや」

嬢「そう」

男「沖縄かー まあ一度は行ってみたいよな」

嬢「ん」

男「俺らの代は何処になるんだろ」

嬢「そんなことより」

男「?」

嬢「明後日の金曜日」

男「わかってるって」

じゅん氏の書いたのって
このSSと
ゴキブリこわい
正直どうでもいい
隣空いてるわよね
傘忘れちゃった
お互いツン

あと初期に書いたっていうハルヒ

他にあるの?

>>380
あー、コテ付けたり付けなかったりで覚えてないけど似たようなの書いてるよ
複合ジャンルとか超王道ジャンルとか

まあ僕のオナニーみたいなのもんですから志向傾向は偏るんですよね!

嬢「また詳細は明日伝える」

男「詳細必要なんか....?」

嬢「ん」





美女「そう」

嬢「ん」

美女「貴女のような人を世間ではリア充と呼ぶのね」

嬢「?」

美女「リアル、つまり現実が充実している人のことよ」

嬢「それは個人の気の持ち方次第」

美女「確かにそうね けど学生間の定義では恋人の有無が最重要なのよ?」

嬢「何故?」

美女「知らないわよそんなの」 

嬢「美女はリア充にならないの?」

美女「ま、まあ私はなろうと思えば恋人の1人や2人余裕だけどね」

嬢「好きになった人でないと意味が無い」

美女「......本当に...貴女が羨ましいわね」

嬢「ん」 

美女「恋愛ね 誰かに恋をするだなんて........私にはまだ縁が無いもの」

嬢「それは突然」

美女「そう できればロマンチックであってほしいわね」





先生「席替えすんぞー」

美女「(席替え?)」

先生「尺の都合もあるからな
はい席替え完了!」

ーーーー

男友「あ、美女さんだっけ?」

美女「えっと、嬢の彼氏の友達の....」

男友「男友 宜しく」

美女「えぇ お隣同士宜しくね フフフ」

美女「男友さんは何か部活動に入ってらっしゃるんですか?」

男友「弓道部だよ それと男友でいいし、タメ語でいいって」

美女「弓道部....」

男友「うん アーチェリーもやるけどね」

美女「アーチェリーと弓道って実際何か違うんですか?」

男友「全然違うよー アーチェリーはもっと正確だし」

美女「へぇ...」


ーーーお昼

美女「(彼のお弁当....)」

男友「頂きます」

美女「(普段は部室で食べるらしいけど....あんな小さなおにぎりだけ?)」

男友「ご馳走様でした」

美女「早っ!」

男友「え?」

美女「あっえっと、その、それだけで足りるのかなーって....」

男友「アハハ まあ足りないかもだけど貧乏なもので」

美女「そ、そうなの....」





嬢「それで?」

美女「やっぱり恋人に求めるモノとしては経済力よね」

嬢「何故急に?」

美女「え?だってデートとかでお金無いから....みたいな流れになったら嫌じゃない」

嬢「どっちかが払えばいい」

美女「んー そういう問題じゃなくてー!」

美女「その男友君って人 未だにガラケーなの」

嬢「それが?」

美女「スマホにしないの?って聞いたら『お金の問題とかあるし....』って」

嬢「それは人それぞれ」

美女「まあそこは卑下しないわよ ただ恋人にするなら論外ってだけ」

嬢「ガラケーでも連絡が取れる」

美女「け、けど私は恋人にガラケーパカパカやってほしくないの!」

嬢「パカパカ?」

美女「理想の恋人っていうのはカフェのテラスでタブレットでExcelを使って....」

嬢「そういう人は苦手」

美女「........まあ確かに、いしきたかじん とバカにされる傾向もあるわね」

嬢「私はガラケーでも全く問題無いと思う」

美女「ふうん」

嬢「にしても、その男友君?」

美女「えぇ どうかした?」

嬢「何故そこまで気になるの?」

美女「........簡単な話よ この私を差し置いて学年一位だったからよ」

嬢「なるほど」

美女「塾には通ってない アルバイトはしているどころか、複数掛け持ちの噂まであるし」

嬢「きっと容量がいい」

美女「それにしても許せないのよ まるで私が容量悪いみたいじゃない」

嬢「そうはならない」

美女「........とにかく」

嬢「悔しいのは見てわかる」

美女「流石私の従姉妹ね」

嬢「貴女は自慢の従姉妹 学力だけは私より上だから」

美女「さらっと“だけは”とか言ってんじゃないわよっ」

嬢「カラオケは私の方が上」

美女「だーかーらー!」





翌朝

美女「おはよう、男友君」

男友「ファ....おはよう」

美女「あら、眠そうね?」

男友「んー まあ眠いですな」

美女「今日は現代史でテストがあるみたいだけど平気かしら?」

男友「んー まあ大丈夫でしょう」

美女「大丈夫?どういう大丈夫なのかしら?」

男友「んん......300問あるんだっけ?」

美女「330問よ ○×が200問、5択が100問、筆記が30問......基本的には時間内に間に合わない人が殆どみたいよ」

男友「330問かぁ......なら大丈夫かな」

美女「大丈夫って?」

男友「へ?まあミスしないように頑張るって意味ですよ」

美女「........自信満々ね」

男友「うん 負けないよ」

美女「........なんですって?」

男友「美女さん頭良いからさ」

美女「あなたより上はいないけど」

男友「今現在ではね」

美女「眠くなるほど勉強していたのかしら?」

男友「んー、バイトが22時までだからその後やらないとね」

美女「ふうん....」

男友「んぐぁぁ....眠.......」

美女「(今回ばかりは負かせてやるわよ)」



男「とにかくミスしないようにゆっくりやるか」

嬢「私はとにかく問題をこなす」

男「減点法だぞ?やめとけって」

嬢「む」

男「問題飛ばしたりしたらダメージデカいぞ?」

嬢「私はスピード重視」

男「一問間違えたら実質-2点なんだぞ?」

嬢「と、とにかく問題を」

男「ミスってズラしてマークシート記入してたらどうするんだ?」

嬢「あう........」

男「ミスしないようにな」

嬢「ん」


一位 男友 324点
二位 美女 312点

男友「........ホッ っても間違えてたか」

美女「........」

男友「案外できたと思っててもやっぱりミスしてるもんだね」

美女「そうね」

男友「どうかしたの?」

美女「あなた、塾などには通ってないんでしょう?」

男友「うん」

美女「そう....」

男友「あくまで学校内でのテストは出題範囲とかわかるから、塾はハンデにはならないけどさ」

美女「確かにそうね」

男友「美女さんは通ってるの?」

美女「いいえ 通ってないわ」

男友「それに俺、理系だったらあまり得意では無いし」

美女「それでも上位じゃない」

男友「いやあ自身無いけどね」

美女「(........)」



男「うぉぉぉぉ!」

嬢「何点?」

男「コラッ見るなっっ!」

嬢「....この点数は」

男「ど、どうやらどこかでマークがズレていたらしい」

嬢「......フッ」

男「言い返せねぇ」

嬢「私の勝ち」

男「なんたる不覚」

嬢「罰ゲーム」

男「はぇ?」

嬢「負けた方が罰ゲーム」

男「いや待て待てなんだその後付け設定」

嬢「これは常識」ウンウン

男「どうせろくな事考えてないんだろ」

嬢「む」

嬢「今日1日だけの罰ゲーム」

男「........なんだよそれ」

嬢「今日1日は私のことをお嬢様と呼ぶ もちろん敬語で」

男「え、えぇ....」

嬢「ん」

男「お嬢様扱いしろと」

嬢「罰ゲームだから仕方の無いこと」

男「そっちが勝手に後付けで」

嬢「お嬢様」

男「ッグ......」

嬢「罰ゲーム」

男「お嬢様が勝手に言いやがったでございますよ?」

嬢「問題ありませんことよ」

男「どんな口調だよでございます」

嬢「ふむふむふむ」

男「どうかなさいましたか?うぉぉお嬢様?」

嬢「何でもありませんことよ」

男「なんだこの会話」

嬢「む」

男「おっとこれは質問こきましたでございます」

嬢「ねえ」

男「なんでしょう?」

嬢「コレ」

男「? チロルチョコ?」

嬢「開けてほしい」

男「そんなん自分で....かしこまりました、んぐうぉお嬢様」

嬢「あーん」

男「何故口を開けてらっしゃるのですか?」

嬢「食べたいから あーん」

男「....食べてくださいやがれお嬢様」

嬢「あむ........ん、甘い」

男「そりゃチョコなんだから甘いでしょう」

嬢「はい」

男「っ」

嬢「あーん」

男「い、いや」

嬢「あーん」

男「あ、あーッんっぐぉ」

嬢「甘い?」

男「ムグモグモグ........甘いです、はい」

嬢「ん」

嬢「はい もう一個」

男「んぐっ」

嬢「おいしい?」

男「....小生、あまりチョコは好まないのです」

嬢「む」

男「西洋菓子よりも煎餅派なのですであります」

嬢「私のあげたチョコが食べれないと申すか?」

男「い、いえそんな事は滅相ございま........って何だよこの会話」

嬢「主従関係」

男「はい罰ゲーム終わり」

嬢「だめ まだ」

男「マジかよ」

嬢「結構面白い」

男「俺は無性にムズムズするんだが」

嬢「....ドえむ?」

男「そういうムズムズじゃねーよ!」

嬢「敬語を使いなさい」

男「そういうムズムズじゃねーですよ!お・嬢・様!」

嬢「ねぇ」

男「........」

嬢「ねぇねぇ」ツンツン

男「何でしょう....」

嬢「お口が寂しい」

男「........はあ?」

嬢「ね?」

男「いや “ね?” とか言われましても....」

嬢「言われなくても言うとおりにして」

男「何故目を瞑ってらっしゃるのですか?」

嬢「どうぞ」

男「か、顔を近づけてどうしました?」

嬢「........」

男「(....だ、誰もいないよな?)」

男「........」

嬢「ん........」

美女「あっ、嬢!探しッ........」

男「っ!?」

嬢「....っむ」

美女「あ、あらお邪魔しちゃったかしらっっ?オホホホ」

嬢「邪魔」

美女「クッ!見せつけちゃって!悪かったわね!」

男「ぐ....(恥ずかしい....)」

嬢「何か用?」

美女「はいコレ、借りていたやつよ」

嬢「ん」

美女「にしても.......」チラッ

男「(うっ」

美女「あなた達も見かけによらず、やることをやっているのね....ハァ」

嬢「羨ましいくせに」

美女「う、羨ましくなんてなくないわよ!」

男「(なくねーのかよ)」

美女「........ったく」チラッ

男「ナンカスイマセン」

美女「オホホホ それでは男君、ごきげんよう」

男「あ、どうも....」

嬢「ねえ」

男「なんだ?」

嬢「む 罰ゲームは?」

男「なんでございましょう?お嬢様?」

嬢「お口が寂しッンム........」

男「........フゥ ほら、罰ゲームはこれまでな」

嬢「はい」

男「やれやれ」





翌日 夕方 ゲスミーランド

男「おぉぉ....人多いな」

嬢「ん」

男「まあそりゃそうか」

嬢「人ごみ苦手」

男「おいおい平気か?」

嬢「ん」

男「........ま、はぐれると困るからな」ギュッ

嬢「!」

男「(ってもカップルはみんな手を繋いでるから違和感無いか)」

嬢「ん 男に迷子になられても困るし」

男「こっちのセリフだ」

嬢「男はここに来たことある?」

男「まあ小学生のころな」

嬢「そう」

男「ゲスミーランドは人気だからなあ」

ゲス「ゲスゲスゲスゲス!」

客「うわぁー本物の畜生だぁー!(歓喜)」

ゲス「嫁が実家に帰りました」

客「わあぁぁぁ!」パチパチパチ

男「す、すごい人気だな」

嬢「ん 可愛い」

客「あ!プーさん!」

男「お?」

プー太郎「ぼく、クマのプーさん」

男「すごいお腹出てるな」

プー「お酒と女が大好きなんだぁー」

客「可愛いー!」パチパチパチ

男「蜂蜜どこいったんだ」

嬢「可愛い」

プー「ふぁぁ インスリン打たなきゃー」

男「糖尿病かよ!」

客「あのー」

キャスト「どうかなさいましたか?」

客「ドウナルノ・○ァックって........」

キャスト「あぁドウナルノなら昨日付けで出荷しました!」

客「そうだったんだー」

キャスト「今は上海の精肉工場にいると思います!」

男「まさに外道....」

客「そろそろパレードの時間だね!」

男「パレードか....見に行くか?」

嬢「ん」


ーーーー

男「....?パレード始まらないな」

嬢「....、あれ」

男「んんん?」

ゾロゾロゾロゾロ

客「キャー!」

ゾロゾロゾロゾロ

男「えっ?着ぐるみから普通に顔出てるんだが....」

放送『お客様へお知らせします 今晩は暑いので、着ぐるみを着用していないキャラクターもいますのでご了承ください』

男「........」

ゲッスー「だりー」ハナホジー

客「こっち向いてー!」

ゲッスー「早よ帰れや....」ボソッ

客「キャァァ!」パチパチパチ

プー「なんかすいません....」

男「うおっ!プーさんは中身もオッサンかよ!!」

プー「痛風で上手く歩けなくて....」

客「キャァァ!」

魔女「リンゴはいかがかえ?」

白雪姫「全部寄越せ!」

魔女「あっちょッ!」

白雪姫「ムシャムシャ....ゲップ」

魔女「フェフェフェ........」

白雪姫「悪いけど........毒、効かないんだよね」ニヤリ

魔女「!?」

白雪姫「お代は払わなくていいんだよね?じゃっ!」

魔女「ちょッ....」

王子「誰でもいいからキスさせてやらせて」

男「総じてゲスだな」

嬢「可愛い」

シンデレラ「クッソ!私もパーティー行きたい!」

魔女「こんちゃー ビビデバビデブーやでー?」

シンデレラ「おっ」

魔女「パーティー行きたいんか?」

シンデレラ「せや」

魔女「行かせたってもええで」

シンデレラ「!?」

魔女「た、だ、し」電卓ポチー

シンデレラ「なんじゃこの値段!?払えるわけないやん!」

魔女「またそこんとこはビビデバビデブーやからなあ」

シンデレラ「こんな金あれば普通に暮らせるわ!」

魔女「玉の輿のチャンスやん!」

シンデレラ「金無いんじゃ!」

魔女「この家のモン金に換えたらええやん ビビデバビデブーできるで?」

シンデレラ「は?家のもん魔法で現金に出来るんか?」

魔女「せや シンデレラちゃんの家は.......どや¥?」

シンデレラ「........」

魔女「どないすんねん」

シンデレラ「これ、普通に現金化してトンズラすればええやん」

魔女「おっ?」

シンデレラ「頼むわ 一割でどや?」 

魔女「賢いなシンデレラちゃん ビビデバビデブー」

シンデレラ「おひょー!」

ナレーション「こうしてシンデレラは遊び呆けて暮らしましたとさ めでたしめでたし」

男「うーむ ゲスい」

嬢「素敵なお話」





閉園後 ホテル

男「いやあー すごい人気なんだなゲスミーランド」

嬢「ん 楽しい」

男「俺も想像以上だった」

嬢「明日はアトラクションに乗る」

男「嬢は絶叫系平気なのか?」

嬢「....乗ったことない」

男「そか まあゲスミーの絶叫系はそんなハードじゃないみたいだから平気だろ」

嬢「ん」

男「眠いのか?」

嬢「んん 眠くない」

男「めっちゃ眠そうやん....」

嬢「せっかくの外泊 勿体無い」

男「ていうかよく許可出たな」

嬢「ん」

男「嬢の家ってそこんとこ緩いのか?」

嬢「....?多分、....緩い?」

男「まあ実際緩いもんな」

嬢「あなたの家こそどうなの?」

男「俺の家は緩いだろうなー 姉ちゃんも大学行ってからたまに帰らない時あるし」

嬢「親は?」

男「んー........多少なりとも心配はしてるだろうけど....何か事件に巻き込まれたこともないし」

嬢「ん」

男「俺としては姉が家にいないと静かで嬉しいんだがな」

嬢「そうなの?」

男「そうだよ 注文ばっかで自己中で馬鹿力だし」
 
嬢「........は」

男「は?」

嬢「私はあなたの家にお邪魔したことがない」

男「まあそりゃないな」

嬢「いつ」

男「?」

嬢「いつお邪魔すればいい?」

男「いやいつとか言われましても」

嬢「むう」

男「まあ、そのうちな」

嬢「貴方の部屋に行きたい」

男「やめて」

嬢「きっと散らかっている」

男「い、意外と綺麗な方だぞ!」

嬢「........んぅ、」

男「眠いんだろ」

嬢「ん そんなことはない」

男「目を擦りながら言うな」

嬢「........昨晩はあまり寝れなかった」

男「....ほう、どうしてだ?」

嬢「あなたと外泊すると考えていたら何故か眠れなかった」

男「あー、それは遠足の前日に寝れなくなっちゃう症候群ですな」

>>441
あんま参考にならないと思う
あまりにも普通な設定、展開、会話が嫌だっただけだから

ここみたいに、日常だらだらな話ならそんな気にならないけど
明確な終わり(成仏&女と付き合う)がある話でそれだと
別に最後まで読まなくてもいいかってなる

>>442
なるほど!全然参考にならなかったよ!ありがとう!!

と、言うのは嘘でゴールが決まっちまってると展開受け付けなくなっちゃうよね(@_@)
俺もトイレまであと2フロア階段上がらなきゃって考えただけでその場で漏らすもん うん

嬢「遠足は何をする?」

男「な、何って言われても....」

嬢「気になる 少し」

男「まあ学年の皆で遠出して友達増やしましょう....みたいなもん?」

嬢「....」

男「つってもあんまり良いもんじゃないぞ」

嬢「.......何故?」

男「暑い中登山したり、バスに酔ってゲロ吐く奴いたり」

嬢「でも楽しそう」

男「ま、前日の夜はそりゃワクワクしたよ」

嬢「楽しみだから?」

男「あぁ けど当日になるとそんなに楽しくなかったりな」

嬢「遠足は本当に家に帰るまでが遠足なの?」

男「またそんなの誰に聞いたんだよ....」

あぼん

嬢「労災は家に帰るまでが労災らしい」

男「知らんがな....」

嬢「んぅ....」

男「おら寝るぞ」

嬢「ま、まだ起きれます隊長」

男「誰が隊長だ 明日起きれなくなるぞ」

嬢「む それは困るであります」

嬢「ここのベッドは狭い」

男「これが普通のサイズだけどな」

嬢「それに....」

男「どうした?」

嬢「何故ベッドが2つもあるの?」

男「そりゃツインルームだからだろ」

嬢「一つでいいはず」

男「........まあ、はい」

嬢「む」

男「えーと....ね、寝ますか」

嬢「ん」

男「........」

嬢「........」

男「........わかったよ俺がそっち行きますよ」

嬢「んっ」

男「(っても一緒に寝るだけだしな....)」

男「枕だけそっち持ってくか」

嬢「かもかも」

男「電気も消すぞ」

嬢「ん」

男「........なんか違うな、いつもと」

嬢「ベッドが狭いから」

男「十分な広さなんだよ 嬢の部屋のベッドが異常に広いだけだからな」

嬢「むぅ」

嬢「........」

男「どうした?」

嬢「枕が変」

男「んー?いつもと違うからじゃないか?」

嬢「ん」グイグイ

男「な、なんだよっ....」

嬢「腕」

男「へっ?あぅっ、腕枕ってことか?」

嬢「....まあ」

男「なら最初からそう言う」

嬢「すいませんであります隊長」

男「うむ」

嬢「腕頂戴であります」ギュウ

男「(枕にはしねえのかよ!)」

嬢「ねぇ」ギュウ

男「なっ、どした....?(右腕に幸せな感触が....)」

嬢「明日は....たくさん、乗....る....」

男「うむ 乗ろう」

嬢「にゃむ........」

男「そして寝るぞ」

嬢「........」

男「............ツ(チュ」

嬢「ん........」

そのころホテルのフロントでは

役員「な、なぜこの金額で駄目なのです!?」

白人「ノーノー プライスの問題チガイマース」

役員「え........?(ゴクリ」

白人「ミーは知りたいのデース」

役員「サ、サンスラックスさん....?(ま、まさかこの男....!)」

白人「アナタ達が密かに研究している“MSP”について....ネ!」ニヤリ

役員「(や....やはり!)」



ーーー翌朝

男「起きろ」

嬢「........?」

男「朝だぞ」

嬢「....朝?」

男「朝だよ ってもまだ7時だけどな」

嬢「ムニャ.... 何故....」

男「何故?」

嬢「....ニャ.......んで私より先に起きてるの?」

男「そっちが寝坊したんだろ」

嬢「しかも着替えている」

男「早起きしたからな」

嬢「男はズルい」

男「何故そうなる」

嬢「........」

男「どうした?寝付けなかったのか?」

嬢「んーん」

男「そか」

嬢「何だか新鮮」

男「だなー どことなく落ち着かない」

嬢「........シャワーに入りたい」

男「そか 入ってこい」



朝ご飯


嬢「食堂?」

男「あぁ」

嬢「たくさん人がいる」

男「朝はバイキングだからな まあホテルの朝食としては定番だよ」

嬢「あそこから選ぶの?」

男「そうだよ とりあえず席を確保しないとな」


嬢「........」ジーッ

男「(めっちゃ悩んでる........)」

嬢「............」

男「俺は白米にして和で攻めよう」

嬢「む」

男「嬢はパンだろ?」

嬢「ん そうする」

男「クロワッサンはもう残り少ないな」

嬢「ん」

オヤジ「お!ラスイチもーらい!」

嬢「っ......」

男「あっ」

嬢「.........」ジーッ

男「何故俺を睨むんだ」

嬢「トーストにする 最初からそのつもりだった」

男「ふーん」

嬢「むぅ」

男「次はおかずだな」

嬢「ん」

男「すげぇ 冷しゃぶとかまであるのか......」

嬢「ん」

男「フルーツコーナーまでちゃんと専用であるのな」

嬢「私はそっちへ行ってくる」

男「わかった 席で集合な」

嬢「ん」

ーーー スイーツコーナー ーーー

嬢「!!」

嬢「..........(....迷う)」

客「グラノーラにしよー」

嬢「んー......む!(キウイ....最後の一つ)」

嬢「(間に合っ....)」サッ

オバサン「あらやだキウイじゃなーい!」パシッ!

嬢「ッ!」

オバサン「キウイィィィ!!」

スタッフ「お客様、素手で掴まないでください!」

オバサン「ラスイチなんだからいいじゃなぃぃキウイィィィ!」

嬢「むぅ....」

オバサン「ウイッ!」チラッ

嬢「ッ!?」

オバサン「フッ......」

この時、嬢は本能で理解した
ここは戦場である
躊躇、迷い、欲、すべてが敗北に繋がるのだと......

嬢「ッッ.........」ブワッ

オバサン「!?」

スタッフ「!?」

ーーー厨房

料理長「!?」

見習い「ど、どうかなさいましたか?」

料理長「......この感じッー!」

見習い「?」

料理長「(また一人、目覚めたか......)」


嬢「むぅぅ」ジーッ!

スタッフ「!?」

スタッフ「あ、あれは!」

嬢「......」ジーッ

スタッフ「い、一瞬で広範囲を見渡している!」

スタンリッジ「それだけじゃない!」

スタルヒン「残りの個数や鮮度からバランス、距離、時間まですべて計算している眼だ!」

スタップ「そ、そんな一瞬でッ......」

嬢「.........」ジーッ

オバサン「見届けさせてもらおうじゃない」

嬢「んむむむ」ジーッ

男「おいっ」ペシッ

嬢「んにっ......!?」

男「なにボケッと突っ立てるんだよ」

嬢「わ、私は開眼したの」

男「はぁ?」

嬢「この眼で見渡せないものなどない」

男「あーはいはい」

嬢「む」

男「足りなかったりしたらまた取りに行けばいいだろ」

嬢「そしたら無くなる」

男「補充されるだろ まだ朝食が終わるまで2時間もあるんだぞ」

嬢「......むぅ」

スタッフ「新鮮なキウイフルーツ!まだまだありますよー!」ドサッ

嬢「あぅ」

男「あっ キウイが無くて呆然としてたのか」

嬢「ちち違う」

男「もしくはあのオバサンの皿に乗ってるキウイが最後のだったとか?」

嬢「むぅ........」




嬢「もうご馳走様なの?」

男「あぁ 食べ過ぎないくらいにしておく」

嬢「そう」

男「そっちこそエッグトーストとキウイだけじゃんか」

嬢「飲むヨーグルトも」

男「どちらにせよ少食だな」

嬢「ん」





ゲスミーランド

男「朝からすごい人だな」

嬢「男」

男「なんだ?」

嬢「あれに乗る」

男「お、ジェットコースターか 良かったな」

嬢「? 乗る」

男「おう!良かったな!」ガクブル

嬢「む」

男「でも結構並んでるんだなあ.......こりゃ他のしたほうが」

嬢「これがある」ジャーン!

男「....なんだコレ」

嬢「VIPパス」

男「これ確か買うと別で5000円くらいするやつじゃないのか?」

嬢「事前に貰っておいた」

男「資本主義万歳!お金で時間は買えたのか!!畜生!」

嬢「さ、乗る」

男「こここここころの準備がッ!」

嬢「じゃあ3秒あげる」

男「短ぇー」

嬢「はい3秒」

男「早ぇー」 

嬢「乗る」グイッ

男「ちょっ!(腕組むんすかっ!?)」

嬢「........♪」

男「(ま、いっか)」





 ーーーー数ヶ月後

学校


嬢「男、帰る」

男「おう」

ーーー

美女「........」

女子「ねぇ!帰りにサイゼ寄ってこ!」
男子「いいよ!奢っちゃる!」
女子「やったぁー!」ダキー

美女「........」

男子「ヨウ!帰りにサウナ行くゾ!」
男子「オウ!負けたほうがウケだゾ!」

美女「........」

美女「............(二学期に入って....)」

男子「キャッキャッ」
女子「ウフフ」

美女「(文化祭が終わって......)」

美女「(増えたわね.......)」

男友「何してんの?」

美女「ウギョッ!?」

男友「残って勉強?」

美女「ま、まあ....そうよ」

男友「ふーん」

美女「あなたこそ....確か部活でしょ?」

男友「胴着忘れちゃってさ」

美女「あぁ、弓道部だったかしら?」

男友「同好会だけどね」

美女「ふーん....弓道とかアーチェリーとか、何が面白いのかしら」

男友「結局自分との勝負ってところ?」

美女「全く面白さが伝わってこないわね」

男友「うーむ ならやってみればいいのに」

美女「は?」

男友「暇なんでしょ?」

美女「ひ、暇じゃないわよっ」

男友「.......? そうには見えないけど」

美女「それに私 汗をかくのは趣味じゃないの」 

男友「そこまで汗かくと思う?」

美女「........ッチ」





美女「今更ながら....校舎の裏側には初めて来たわね」

男友「女子は柔道の授業無いんだっけ?第二体育館は武道場なんだよ」

美女「確かに男子はどこで柔道の授業をやっているのかと思っていたけど....」

男友「地下が柔道場だよ 声が聞こえるでしょ?」

美女「....まるで猛獣の檻ね」

男友「一階も武道場 こっちは合気道同好会とかも使うよ」

美女「合気道........ってたまに聞くけど柔道とかと何が違うのかしらね」

男友「まあ....そこはそっとしておいてあげよう」

美女「それで、上の階はどうなっているの?」

男友「その上の階こそが弓道場って話だよ」

美女「そう」


ーーーー

美女「結構な設備じゃない....これで同好会なのね」

男「昔は人数揃ってて、男子と女子で別々で部が成立してたらしい」

美女「ふーん 確かにトロフィーとかが飾ってあるわね」

先輩(女)「おう!男友!」

男友「あ、こんにちは」

先輩「おう!お前何だ横の美少女は!あれか?あれなのか?」

美女「あっ、えっと......」

男友「クラスメイトです 美女って名前ね」

美女「まあ、はい......」

先輩「うーん あれじゃないのかぁ」

男友「またちょっとした見学です」

先輩「おぉ!見学かぁ!」

美女「まぁ...そんなところでして......」

先輩「気品あるなぁ 弓道似合うよー絶対!な!?」

男友「そうですねー」

美女「(ムカつく棒読みね...)」

先輩「今入部届け持ってくるから!」

美女「!?」

男友「えっ」

先輩「確かあそこの棚に......」スタスタ

美女「えっちょっ!? 」

男友「あの人のペースにはまるとまずいよー」

美女「何で他人事なのよ!どうにかしてしなさいよっ!」

男友「わわわわかったって...」

先輩「あったどー!」

美女「あの」

先輩「印鑑ある?って無いよねぇー」

美女「あのっ!」

先輩「んお?」

美女「私そのまだ入部をするわけじゃ......」

先輩「仮入部ね!」

美女「いやだから」

先輩「胴着!胴着はー......あっ!男友が持ってきてたやつあるね!」

男友「......、あれすか」

先輩「いいか?一応は “ 大切な ” もんなんだろ?」

男友「まあ、処分するよりか誰かに再利用してもらえたらなーって感じで寄付したんで」

先輩「おぉ!なら早速着替えるか!」

美女「えっちょっっ!」

先輩「かまーん!」

男友「(なんちゅう強引なペースなんだ......)」

ーーーー

先輩「どうだ!?」

美女「えっ、あぁ、まぁ、はい」

先輩「うーん.....いいなぁ....あれだなぁ」

男友「お、サイズぴったし?」

美女「どうかしら?(胸が少しキツい....)」

先輩「おっぱいキツそうだな!平気かっ?」

男友「っ」

美女「へっ、平気ですっ!」

先輩「そうかぁ」

美女「今、チラ見したでしょ」

男友「断じてまだしてない」

美女「まだ じゃないわよ変態」

男友は友の表記にします

先輩「にしてもいいなぁ ポニテ」

美女「そこですか」

先輩「髪も艶々でサラサラで纏め甲斐があるなぁ」

美女「はぁ」

友「汚すなよ」

美女「汚さないわよ」

先輩「よっし、着替えたところで私達だけでも始めるか!」





2時間後

先輩「どう?面白いでしょ?」

美女「ま、まぁ....」

友「微妙って顔してるけど」

美女「してないわよっ 失礼ね」

先輩「よーし 着替えるかあ」

友「結局三人でしたね」

先輩「今日はしょうがない!ナッハッハハハハ」

ーーー着替え終わって

先輩「じゃ!私は帰る!」

友「お疲れ様でーす」

美女「あ、ありがとうございました!」

先輩「バイバイ美女ちゃん!センスあるよー!」

友「......鍵は俺が職員室に返すのか」

美女「........」

友「メンドクサ」

美女「あっ」

友「?」

美女「胴着はきちんとクリーニングして返すわね」

友「いや、いいよ別に」

美女「少し汗もかいてしまったし」

友「平気だって」

美女「あなたねぇ 乙女と言うものはそういうのを嫌がるものなのよ?」

友「えぇ....」

美女「....とは言っても、さっきの先輩との会話だとこの胴着は大切なものらしいけど........御姉妹でもいらっしゃるのかし?」

友「............」

美女「胴着はきちんとクリーニングして返すわね」

友「いや、いいよ別に」

美女「少し汗もかいてしまったし」

友「平気だって」

美女「あなたねぇ 乙女と言うものはそういうのを嫌がるものなのよ?」

友「えぇ....」

美女「....とは言っても、さっきの先輩との会話だとこの胴着は大切なものらしいけど........御姉妹でもいらっしゃるのかしら?」

友「............」

美女「........?」

美女「明日には返すわよ」

友「....わかったよ」

美女「........にしても、あなた」

友「?」

美女「前までは私に敬語だったのに......随分と馴れ馴れしいわね」

友「あー そうだっけ?」

美女「えぇそうよ」

友「まあそんなことはどうでもいいよ」

美女「なっ」

友「とりあえず胴着よろしく」

美女「.......(やっぱり、どうしても気にくわないわね)」





その日の夜

美女「さて、胴着を洗わないと........」

母親「あらあら?それは....」

美女「ちょっと弓道部に体験入部したの 借りた胴着だから洗って返さないとね」

母親「女性用なのねぇ」

美女「それはもちろっ....ん........(待て待て、なんで友の奴が女性用の胴着を持ってるのよ)」

美女「(確か内側に名前を書く欄とかがあるはず........)」

美女「........」

美女「滲んで読めないけど........」

美女「名字はあいつと一緒ね......」

美女「(妹か姉ってところでしょうね)」

美女「ま、明日返せばいいだけだし」


ーーー翌日

男「ふぁぁ....」

美女「あら男君 ごきげんよう」

男「あぁ美女さん、ごきげんよう」

美女「嬢は一緒じゃ無いのですか?」

男「敬語じゃなくていいよ....嬢なら職員室だよ」

美女「そう....あなた達、二人仲良くゲスミーランドに行ったそうね」

男「ん、嬢から聞いたの?」

美女「えぇもちろん」

男「やっぱりゲスミーはすごね 興味無い俺でも楽しかったもん」

美女「そのようね 嬢が何度も何度も自慢してきて....」

男「そんな露骨にイラッとされても」

美女「けど嬉しいわ 嬢にちゃんと面倒見が良くて素敵な恋人が出来たことは」

男「はぁ」

美女「絶叫マシンが苦手であまり乗りたがらないなんて素敵じゃない」

男「うぐっ....(あいつ喋ったな....)」

美女「あ、そうそう男君 友君見なかった?」

男「友....?見てないなぁ」

美女「そう」 

男「何で?」

美女「昨日、流れで弓道部の体験に行ったのよ」

男「ほほう」

美女「それで借りた胴着を洗ったから返そうと思っていたの」

男「なるほど....変な先輩いなかった?」

美女「とても陽気な女性の先輩なら....」

男「あの先輩には気をつけた方がいいよー」

美女「な、何故?」

男「あの人のペースは人を巻き込む何かがあるからね....」

美女「それは言えているわね 私なんて流れで入部させられそうになったもの」

男「俺も一応入部?入会?届けは書いたけど幽霊部員だなー」

美女「書いたのでは無く、まんまと書かされたんでしょう」

男「まあ」

美女「友君は経験者なのかしら?」

男「んー ........そりゃあね」

美女「? どうかしたの?」

男「友から聞いてないの?」

美女「....あまり変な勘違いをされても困るけど、私は別に彼と仲が良いというわけでは無いのよ?」

男「そか(あいつ、話してないのか....)」

美女「私の理想はまず第一に経済力なの」

男「経済力ですか」

美女「未だにガラケーを使っていて、お昼ご飯もまともに買えない殿方は論外なの、わかる?」

男「そ、それはまあ友には友なりの事情があるんじゃないかなー?(大有りなんですがね)」

美女「まぁそれは誰にだってある事よね」

男「節約しているだけかもしれないし」

美女「確かに無駄使いは関心しないわよ」

男「友の奴はしっかりしてるからさ その、お金無いなりに考えてるんだよ」

美女「....どちらにせよ経済力に乏しいのは明白でしょう」

男「なんだかなー」

美女「な、何....?別に私は男性にカネカネ言いたいわけじゃないのよ?」

男「美女さんの求める経済力のある男性像ってどんな感じなの?」

嬢「デートは男の奢りが基本」

男「うおっ!?きゅ、急に出てくるなよっ...」

美女「ちょっと!また変なこと言わないでくださる?」

嬢「いつも言ってるくせに」

美女「あ、あくまで理想の話なのっ!」

嬢「恋人に車で送り迎えしてほしいくせに」

美女「い、いいじゃないっ!」

嬢「高校生には無理」

美女「うるさいわね」

嬢「夜景の見えるレストランで告白されたいとか言ってた」

男「へぇー」

美女「ちょっ」

嬢「初めては結婚するって決めた人としかモゴッー!?」

美女「オッホホホホ ん嬢さんってばぁー」

嬢「モゴゴゴ」

男「仲良えな.......」

嬢「ンハッ....美女は変なところの理想が高い」

美女「理想高くてこそ理想なのよ?」

男「確かに」

美女「そういえば、男君の理想ってどんな女性なのかしら」

男「えっ」

嬢「む」

美女「ウフフフ 気になるわねぇ」ニヤリ

男「え、えぇ....(クソ、上手く話を切り替えられた!)」

美女「どうなの?」

男「そ、そりゃあ、ねえ」チラッ

嬢「む」

美女「誤魔化さないの 具体的によ具体的にっ!」

男「いやまあ....嬢さんのようなですね....」

美女「嬢のような?」

男「え、えと....」

美女「具体的にどのような?」

嬢「........」ジーッ

男「あわわ」

美女「あら?あらら?具体的には何も無いようね....」

嬢「むぅ........」ジーッ

男「あ、あるっ!あるってば!」

美女「どんな」
嬢「ところ?」

男「えとえとえーっと(ええい頭がグワングワンしてきた!)」

男「(もう思ったこと全部言ったるわ!)」

男「えと、まずが細くて柔らかくて光を浴びると赤茶に映える髪がすごくいい
それに伸ばしっぱなのもいいけどたまに髪を後ろで束ねたりお下げにしたりするのがまた凄い似合うから最高
線が綺麗で切れ長な二重なのにジト目見つめてくるのがたまらん というか瞳が本当に綺麗
艶のある唇を尖らせて小さく溜め息するあの仕草も好きだ
肌も色白できめ細やかで、手とか握ると冷たくてスベスベで小さいのに力強く握り返してくるところも嬉しい
運動が苦手な見た目で本当に運動音痴なところも男からしてみれば可愛いし、線が細い体だけど出るところは出てるし....
それと勉強も出来るし一度聞けば大抵のことは覚えられるのは本当に凄いと思う なにより上達が早い
料理とか最初はダメダメだったよにいつの間にか出来るようになってきて、味も俺好みに合わせてくれるとかはっきりいっていい嫁になれると思うそれとッー」

美女「あぁぁぁもういいっ!もういいでーっす!」

嬢「........」

男「ハァハァ....え?」

美女「もうお腹いっぱいだから!なんか聞いてるこっちが恥ずかしいわよっ!もう!」

美女「ほら見なさい!嬢なんてフリーズしちゃってるじゃない!」

嬢「にょ」

男「そっちが言わせたくせに.......」

美女「まったく羨ましい限りのカップルですこと」

男「あ、やっぱり羨ましいんだ」

美女「......あなた達に関しては、ね」

男「?」

美女「見ていて不快になるカップルと、そうでないカップルっていないかしら?」

男「それはわかる気がする」

美女「あなた方は断然後者ね 公衆の面前で見せびらかすようにイチャイチャはしないし」

男「普通に接してるだけなんだけどなあ」

美女「嬢も言っていたけど、あなたのような雰囲気は嬢に合っている気がするわ」

男「それ、なんとなくでしょ?」

美女「えぇなんとなく だけれどその“なんとなく”って....きっと重要なんでしょうね」







嬢「ねえ」

男「ん?」

嬢「あなたの家に行きたい」

男「えっ」

嬢「明日」

男「あぁあぁぁぁしたぁ!?」

嬢「ん」

男「あ、明日とか急に言われても」

嬢「いつ」

男「えぇ...っと.....」

嬢「じゃあ来週」

男「来週すか」

嬢「ん」

男「わ、わかった...」

─────翌週

嬢「今日」

男「わかってるって」

嬢「ねえ」

男「どうした?」

嬢「たくさん荷物がある」

男「何故」

嬢「何を持っていくか吟味していくうちに持ちきれないくらいになった」

男「必要なモノだけでいいんだぞ?」

嬢「枕 パジャマ 歯ブラシ」

男「うんうん」

嬢「お勉強道具 それと洗濯機に掃除機とお暇ができたらいけないからゲーム機」

男「えっ」

嬢「それと簡易型プラネタリウム あとお料理用具とあっ、なら電子レンジとかオーブンとかも」

男「え何引っ越し???洗濯機??掃除機???」

嬢「ないと困るかも」

男「困らねぇって!」

嬢「むう でも」

男「とりあえず嬢の家に迎えに行くからな」

嬢「ん」

男「(洗濯機なんて持ってこられても...)」

今日は寝ます チマチマ更新していくんでケツ毛密林で

よっしゃ






男「ハァ....」

嬢「男の家」

男「まあ」

嬢「? 入らないの?」

男「い、いやまぁその......(あぁなんか緊張するし)」

嬢「?」

男「......じゃ、入るか」

嬢「ん」

男「ただいまー」

嬢「お邪魔します」

男母「あっらー!いらっしゃぁぁぁいい!!!」

男「(案の定のテンションですよ...)」

男姉「遅いじゃないのヘタレー!」

男「うげっ(帰ってきてんのかよ...!)」

嬢「初めまして 嬢と申します」ペコリ

男母「うふふ」

男姉「うふふふ」

嬢「?」

男「な、なに笑ってんだよ二人とも」

男姉「初めまして嬢ちゃん 私は男姉でーす!」

嬢「男のお姉様」

男姉「お、お姉様だなんて!」

男「ほ、ほらとりあえず荷物置きに行くぞ」

嬢「ん」


男の部屋

嬢「......!」

男「な、なんだよ」

嬢「男の部屋」クンクン

男「え、く、臭い?」

嬢「んーん」ブンブン

男「そ、そうか」ホッ

嬢「男の匂いがする」スンスン

男「??」

嬢「うん」グッ

男「いやグッじゃなくて」

嬢「男もベッド」

男「前までは布団だったけどな」

嬢「ベッドの下にはイケナイ物があると聞いた」

男「ねーよ」

嬢「むう 机の引き出し?下から二段目?」

男「ねーって てかなんだその無駄に鋭い勘は!」

嬢「興奮する」

男「そ、そうなの」

嬢「今晩はこのベッドで寝る」

男「ま.....まぁ....そりゃあな....」

嬢「楽しみ」

男「.....おう」

男母「さささ!食べて食べて!」

男姉「いただきまーす!」
嬢「頂きます」ペコッ
男「イタダキマス....」

男姉「っにしても男にこんな可愛い彼女ができるとはねえ」

男「っぐ」

男母「もう宝くじとか絶対当たらないわよねぇ」

男姉「嬢ちゃんさー、後で一緒にお風呂入ろうよ!」

男「うぉぃ!」

嬢「いいんですか?」

男姉「もっちろん!うちはお風呂だけは広いんだよ!」

男「(嬢の家と比べたら広くはないけどな...)」

嬢「わかりました」


食後

男姉「おっ風っ呂 おっふろー!」

男「変なことするなよ」

男姉「っへ!そっちはいつもしてるくせに」

男「してないんだなそれが」

男姉「げに?(マジ?)」

男「嬢の奴だってそっちの耐性無いんだからあんまり変なことしないでくれよ?」

男姉「はぇー.....今日がロスバージンというわけですか.....」

男「いやいやちょっと待て」

男姉「ほらほら覗きはダメですよー!あっち行った行った!」

男「ハァ.....」

久しぶり

男「......な、なんか緊張してきた」

男「.....................」

男「いやいや流石にないよな 今まで嬢の家で何も無かったわけだし」

男「.............」

男「...............ゴクリ」

男「.............あるかな...........」


━━━━━━浴場

男姉「へぇー ふぅぅぅぅん」ジーッ

嬢「?」

男姉「嬢ちゃんスタイルええのぉ」

嬢「ありがとうございます」

男姉「(私より胸大きいのにお尻小さい....)」

嬢「?」

男姉「にしても男にもこんな可愛い彼女がねぇ.....男にねぇ.....」

嬢「可愛い....」

男姉「嬢ちゃんって女子中だったんだよね?」

嬢「はい」

男姉「そっかそっか 嬢ちゃんから告ったんだっけ?」

嬢「いえ 男からです」

男姉「はぇー...男も身の程知らずだね」

━━━━━居間

男「ブエックショ!ックション!」

男姉「で、嬢ちゃんがOKしたのね」

嬢「まぁ」

男姉「どんな告白っだったの???」

嬢「むぅ....私がいないと駄目.....みたいな」

男姉「ブッフォッ!」


男「ックション!ブェックショイ!ハックショ!!」


男姉「ちょ、、、それマジ!?」

嬢「男は私のことが好き です」

男姉「うんうん」

嬢「だから男は私がいないと駄目」

男姉「うん...うん?」

嬢「です」

男姉「(あー、この娘ちょっとアレなのね.....まぁ男なら大丈夫か)」

嬢「」

あぁーケツ毛剃ったらめっちゃ痒いすまんチクチク痒いわごめん



男姉「っしゃー!」

男「お」

嬢「お待たせ」

男「随分と長かったな」

男姉「色々話していたからねえ」

嬢「ん」コクリ

男「えぇ」

男姉「ヌッフフフフフ 男もやるねぇ」ニヤニヤ

男「な、なんだよその顔」

男姉「まぁ嬢ちゃんを大事にしなよ」ニヤニヤ

男「ック......ムカつく顔しやがって」

嬢「お義姉様、ドライヤーを貸してください」

男姉「あいよっ!」

男「ギギ義??」

男「ったく 俺も入ってこよ」


━━━━脱衣所

男「.............」ヌギヌギ

男「(あぁぁぁああぁぁぁっぁもうこれ上がったら寝るんだよな)」

男「(嬢の家の時とまったく雰囲気が違う!!)」ヌギ

男「(一緒に寝泊まりなんて嬢の家でしてたじゃねーか!)」ヌギ

男「(.....な、なんか変な妄想しちまう)」ムク

男「(だが......嬢はそういうのに耐性無いだろうし...てか絶対無いだろ)」ヌギヌギ

嬢「ねえ」ガチャ

男「」

嬢「!」

男「」

嬢「......」ジーッ

漢「」

嬢「お風呂上がりに梨食べる?」ジーッ

男「」コクン

嬢「ん」ジーッ

男「なに」

嬢「男、服着てない」

男「あい」

嬢「風邪ひく」

男「あい 入る」ガチャ

嬢「むぅ」






男「はいあがりました」

男姉「おっそーい」

男「あい」

嬢「ん」

男「梨か、ありがとう」

嬢「ん」ジーッ

男姉「なーに?のぼせたの?」

男「....少し」

嬢「平気?」

男「へーきへーき!」ヤケクソ





男姉「んぐあぁぁぁ 眠ッ.....そろそろ寝るよ私は....」

男「もうこんな時間か」

嬢「ん」

男姉「そんじゃお二人さんまた明日.....」

嬢「お休みなさいませお義姉様」

男姉「お休み嬢ちゃん.....明日はお化粧について色々やろうね」

嬢「はい」

男「とっとと寝ろ」

男姉「ンニャ.....痛かったら途中でもやめるんだよ?」

嬢「?」

男姉「男も優しく丁寧ねぇー ムニャ....」

男「あぁもう!いいからほら部屋戻れって!」


な、わけで私も寝ます  キンタマカユイ

いつも保守ありがとう!うぅぅぅん......ダァー!!!

男「さて.......」

嬢「?」

男「俺たちも部屋戻るか」

嬢「ん そういえば」

男「ん?親父か?」

嬢「ん」コクン

男「出張中なんだなコレが」

嬢「そう」

男「一家を支えるために飛んで回るんですよ」

嬢「男もそうなる?」

男「お、俺!?」

嬢「どこかに行ってしまう?」

男「い、いや......仕事は仕事なんだろうし...」

嬢「そう......」ションボリ

男「どどどこにも行かないって」

嬢「!」

男「ていうかただの出張だし」

嬢「むぅ」

男「単身赴任ならまだしも週末家空けてるだけだぞ」

男「それに母さんも『今週はあの人家いないからいいわぁー』って言う始末だし」

嬢「私は男がいないと寂しい」

男「はい」

嬢「だから何処にも行かないでほしい」

男「う、うんわかった わかった......」

男姉「プークスクスwwwwwwwwwwwwwww」ジーッ

男「嬢もう部屋戻ろう!なっ!」グイ

嬢「あぅ」

男の部屋

男「ふう」

嬢「男の部屋」

男「改めまして俺の部屋です」

嬢「んん」スンスン

男「嗅ぐな」

嬢「男の部屋の匂いがする」

男「今日初めて来たくせに」

嬢「.......あれは?」キョロキョロ

男「あれは野球選手のサインだ」

嬢「落書きかと思った」

男「.......」

嬢「あれは?賞状?」

男「あれは俺が小学生3年生のころ100Mを2分以内で泳ぎきった時に貰ったやつ」

嬢「? すごいの?」

男「三年生にしてはな!」

嬢「そう」

男「えぇ別に対してすごくは無いですよ」

嬢「!!!」

男「ど、どうした」

嬢「あれは?」

男「うっ(卒アル発見しやがった)」

嬢「ねぇ」

男「.....卒...アル...です」

嬢「見たい」

男「えぇちょ、待っー」

嬢「駄目?」ジーッ

男「いやぁ恥ずかしいだろ なんか」

嬢「?」

男「なんだよその目は」

嬢「男でも恥ずかしい時がある?」

男「当たり前だろ」

嬢「そう」

男「さっきの風呂場の時といいめっちゃ恥ずかしかったわ」

嬢「ん」

男「固まるなよ」

嬢「見る」

男「わかったわかったわかったよ.....ほら」

嬢「小学生の男...」ゴクリ

男「溜飲すな」

男「えっと俺は」

嬢「めっ 私が見つける」

男「(こ、この女....!)」

嬢「必ず見つけ出す...!」

男「(いつに無くマジだぜ....!!)」
嬢「..........................................」
男「......」
嬢「..........................................」
男「(さっきから2組見てるけど俺3組......)」

嬢「男」

男「どうした」

嬢「男はもしかしてその...不登校.....?」

男「次も見ろ!」ペラッ

嬢「!」

男「3クラスあるんだって」

嬢「むう 初耳」

男「そりゃそうでしょう」

嬢「!」

男「はい」

嬢「男?」トントン

男「そうだよ俺だよ」

嬢「......可愛い」

男「やめろ」

嬢「これは......女さん?」

男「あぁ小中高って一緒だからな」

嬢「羨ましい」

男「はい?」

嬢「小さい頃の男を知ってる」

男「あぁ.....なるほど」

男「ま、俺も嬢が小学生の時どうだったか気になるけどな」

嬢「む」

男「(きっと天使だったんだろうな...)」

嬢「この写真」

男「ん?」

嬢「女の子と二人三脚してる」ジロッ

男「小6の時の運動会だな」

嬢「.....好きだった子?」

男「なんでそうなる」

嬢「二人三脚は....夫婦!」

男「あぁもう別にこの子とは何も無いって!」

嬢「ん」





男「えっと、そろそろ寝るか?」

嬢「ん まだ」

男「眠そうだぞ」

嬢「......夜はこれから」

男「え、えぇ?」

嬢「ンニャ...」

男「(ま、俺もちょっと期待したけど)」

嬢「.....じぇん然眠くにゃう」

男「今にも落ちそうだぞ」ナデナデ

嬢「んぅ ずるい」

男「風邪ひくからベッド入ろうぜ」

嬢「あい」




男「(ベエエエエエエエエエエッドイン!)」

嬢「zzz」

男「(ま、こんな時間じゃ寝ますよね)」

嬢「zzz」

男「(クッ...バカみたいに緊張したせいで眠れん...)」

嬢「寝れない?」パチクリ

男「っっー!.....い、いきなりびっくりするだろ」

嬢「むぅ 私も寝付けない」

男「そりゃ嬢の家のベッドと質が違うからな」

嬢「んーん なんか、......ソワソワ?する」

男「ソワソワしますか」

嬢「ん する」

嬢「昨晩も眠れなかった」

男「何でだよ」

嬢「男の家にお泊まりするから......」

男「(おいおい遠足かよ)」

嬢「色々想像していたらあまり眠れなかった」

男「想像?」

嬢「......ん」ジーッ

男「(暗くてよく見えないが物凄く見られている気が...)」

嬢「.......」ジーッ

男「なんだよ」

嬢「てっきり」

男「?」

嬢「襲われるものだと」

男「あぁ......はい......」

嬢「覚悟していた」

男「いや、まぁ、うーん、はい」

嬢「動揺してる」

男「してますよ はい」

連休中に終わらせると言ったな あれは嘘だ

嬢「..........」

男「..........」

嬢「..........」

男「(こ、ここはやはり俺から手を出すべき場面なのか....!)」

嬢「..........」

男「(え、え、えっとやっぱりまずキスから?だよな)」

嬢「.......zzz.....zzz.......」

男「.........えっ?」

嬢「スゥー.....zzz.....スゥー....zzz....」

男「...........ブフッ 寝てやんの」

嬢「ムニャ......」

男「(心の底から可愛い奴...)」

男「ま、急ぐ必要なんてないからな」

嬢「....男......ンニャ.....」グイッ

男「(胸が腕に!!)」
男「これが....生殺し.....」

嬢「ムニャ......」

男「おやすみ」ナデナデ

嬢「オッケーイ!!セカンショート!ゲッツー体制よ!!!」

男「俺も眠くなってきた....」


翌朝

男「嬢」

嬢「...........ッ.........にょ.....」

男「朝だ」

嬢「............なぜ?」

男「何故?何故って朝だから朝なんだが」

嬢「また、先に起きられてしまった」

男「まあ俺の家だし」

嬢「寝顔 見た?」

男「たっぷりな」

嬢「あぅ」

男「そう不貞腐れないでくれよ」

嬢「なら貴方も今ここで寝顔を晒すべき」

男「いやそんなこと言われても...」

嬢「不公平不平等の撤廃にはそれしか方法は無い」

男「これは実力で勝ち取った寝顔なんだ」

嬢「むう」

男「嬢の家では嬢の方が早く起きれること多いじゃん」

嬢「恥ずかしい」

男「可愛かったぞ」

嬢「涎垂れてなかった?」

男「ナイナイ」

嬢「寝言は?」

男「ナイナイ」

嬢「変な所触った?」

男「ナ・・・・イナイ」

嬢「む」

嬢「セクシャルハラスメント」

男「違っ」

嬢「寝込みを襲われてしまった」

男「嬢が俺の腕に抱き着いてきたんだろ」

嬢「む」

男「不可抗力だ」

嬢「......もう朝」

男「寝ちゃったからな」

嬢「....男はしたかった?」

男「ゴッフォ!?な、なにをだ?」

嬢「そういうこと」

男「したくないって言ったらウソになるけどな」

嬢「ん」

男「別に焦って早歩きする必要、俺達には無いだろ」

嬢「ん」

男「これからもまた泊まりに来るんだろ?」

嬢「.......貴方は、」

男「?」

嬢「貴方は私の事が好き」

男「そ、そうですね」

嬢「困ったものです」

寝るわ 全然更新できねぇよ なんでこうなってしまったんだスマホ解除してくれ








嬢「ショッピングモール?」

男「そ、暇つぶしにはちょうどいいかなーって」

嬢「買い物をするの?」

男「デパートってわかるだろ」

嬢「ん」

男「それのまぁもっと規模の大きい施設と言えばわかりやすいな」

嬢「聞いたことはある 田舎唯一の娯楽施設」

男「おいやめろ怒られるぞ」


・・・・バスの中

男「そういや嬢って服とかはどこで買うんだ?」

嬢「たまに母と買いに行く」

男「へぇ(きっと高いところなんだろうな)

嬢「男は?」

男「俺?俺は適当に...」

嬢「私が貴方に似合う服を買う」

男「い、いやいいよ」

嬢「任せて」

男「いやいい」

嬢「男はケチ」


男「ここが去年できたイヲンモールだよ」

嬢「学校より大きい」

男「そりゃあな」

嬢「人が多い」

男「土曜日ですから」

嬢「ん」

男「じゃ、行こうぜ」ギュ

嬢「.....!」

男「はぐれたら面倒だからな」

嬢「確かに男はすぐ迷子になる」

男「君がね」

男「ここらへんはアパレルが多いな」

嬢「ん」

男「こっちはー って........ん?」

嬢「....」ジーッ

男「気になるのか?」

嬢「ここは何?」

男「無印良品だよ」

嬢「むじるし?」

男「雑貨メーカー?みたいなもんだ 見た目が質素なのが売りの店だよ」

嬢「ん」

男「気になるのか?」

嬢「ん」

嬢「このクッションは何?」

男「これか?このクッションに座るとケツと体重に合わせて沈むんだよ」

嬢「....?」

男「だからー これに腰を掛けると変形してイスみたいになるんだって」

嬢「座ってみて」

男「えっ」

嬢「ん 実演」

男「(結構周りに人がいて...)」

嬢「早く」ワクワク

男「.....見てろよチクショウ それっ ボフッ」

嬢「.....」

男「.....」

周り「......」

男「.....ま、こういうことです」

嬢「男」

男「なんだ」

嬢「早く立ち上がったほうがいいと思う」

男「......知ってる」


お昼

嬢「食堂?」

男「あぁ 二階はフードコートなんだよ」

嬢「?」

男「レストランなら一階にあるけど」

嬢「んん こっちがいい」

男「へ そうなんか?」

嬢「楽しそう」

男「ならいいけど...」

夕方

男「もうこんな時間か」

嬢「....」

男「そろそろ帰らないとな」

嬢「....」

男「ほらこれ」

嬢「?」

男「ちょっと早いけどマフラーだよ 買っておいた」

嬢「私に?」

男「他に誰がいるんだよ」

嬢「ん」

男「まだこれが必要になるのは先だけどさ」

嬢「嬉しい」

嬢「私は貴方に何も買ってあげていない」

男「いやいいって 俺がいつものお礼に買っただけだし」

嬢「....」

男「そろそろ帰らないとさ」

嬢「なら貴方が私の家に泊まりにくればいい」

男「いやそうはいかないでしょう嬢さん...」

嬢「明日は日曜日」

男「急すぎますよ」

嬢「貴方のお母様とお姉様にはライン送る」

男「そうは言っても.....ッッッッえ?」

嬢「?」

男「今何?らいん?えっ?おっおおおっお送る?」

嬢「ん 昨日交換した」

男「おま、ラインやってないだろ」

嬢「お姉様が何やら設定していた」

男「グッッ!!!!くそめ!!」

嬢「おーけーをもらった」

男「早ッ!!!」

嬢「これは確かに便利」

男「あーはいはい素晴らしいですね」

嬢「......」

男「どうした?」

嬢「怒った?」

男「怒ってないよ 驚いたけど」

嬢「」

ねる

いくぞ

男「で」

嬢「上がって」

男「(結局嬢の家に来てしまった)」

嬢「早く」

男「あい」






嬢「男」

男「どうした」

嬢「ご飯」

男「ご飯?」

嬢「ん 作る」

男「.......?」

嬢「れっつ くっきん」

男「あぁ!嬢が作るというわけか」

嬢「あなたも」

男「おっけーおーけー」


━━━━厨房

嬢「何もなかったので作る」

男「............」

嬢「?」

男「エプロン似合うな」

嬢「むう」

男「からかってるわけじゃなくって」

嬢「男はスケベさん」

男「何だよそれ しかも謎のさん付け」

嬢「男はケチ」

男「はいはい で、何を作るんだ?」

嬢「?」

男「え?」

嬢「決めていない?」

男「こっちのセリフなんですが」

嬢「!」

男「どうした」

嬢「私があなたに食べられる?」

男「んんんん、一応聞いておくがカニバリズム的な意味なのか情交的な意味なのか」

嬢「卵はたくさんある 赤魚とメリケン粉とかもある」

男「スルーすんな」

嬢「卵焼き、好き?」

男「好きだよ」

嬢「?」

男「好きだって」

嬢「好き?」

男「さっきから言ってるだろ」

嬢「ん 男は私が好き」

男「......」

嬢「赤魚は煮る」

男「できるのか?」

嬢「ん」

男「煮魚できるってすごいな」

嬢「しょ、それほどでもにゃい」

男「料理教わってるんだっけ」

嬢「ん」

男「ま、嬢は覚えが早いし悔しいけど器用なところはあるからな」

嬢「才能の塊」

男「すぐ調子に乗るけど」

嬢「む」

だめだねむい また夜中に更新します今日の夜中ね 幼馴染のほうをはやく更新しなきゃいけないんだけどこれまた

ーーーー高校3年に進級前の春休み

【嬢の家】

男「よし、宿題終わり」

嬢「頑張った」エッヘン

男「途中俺の答え写すだけだったよな」

嬢「?」

男「ったく」

嬢「ねえ」

男「何だ?」

嬢「今日は帰るの?」

男「えっ、と……」

嬢「……」ジーッ

男「泊まるよ…」

嬢「ん」

男「いやーでも宿題終わったし一段落だわ」

嬢「まだ」

男「へ?他に何かあったか?」

嬢「ん、これ」ペラッ

男「あぁ 進路希望のやつか」

嬢「まだ書いてない」

男「進学だよそりゃ」

嬢「どこ?」

男「大学だけど」

嬢「どこ?」

男「ま、まだ具体的には決まってないよ」

嬢「そう」

男「嬢も進学だろ?」

嬢「うん」

男「お互い希望が叶うといいな」

嬢「叶える」

男「頑張ろうな」

嬢「ん、これからも男と一緒にいる」

男「っ」

嬢「それが私の叶えたい希望」

男「あ、あのまあ、はい…恥ずかしいです」

嬢「男は私が」

男「好きだよ」

嬢「む、被せた」

男「嬢は?」

嬢「ん」

男「ん?」

嬢「ん」

男「逃げたか」

嬢「ん」

男「(そこで目を瞑るのは反則だろ)」チュ

嬢「……勝っっんむッー!?」

男「はい俺の勝ち」




その頃 春休みの高校
【図書室】

教師「図書室をご利用の皆さん、間もなく15時になります」

友「げっ」

教師「貸出を希望の方はー」かくかく然々

友「(早いな……もう15時か)」

美女「ねえ」

友「うわっ」

美女「む! うわっ とは何よ」

友「いやビックリしただけだよ」

美女「彼女の気配に気づかない何て……」

友「ごめんって」

美女「(ま、たっぷり横顔堪能させて貰ったからいいけど)」

友「それでどうした?」

美女「あ、えっと、その、あの……」

友「?」

美女「こ、これからその、宜しければウチに来ない……?かしら……一緒に勉強とか……」

友「ごめん」

美女「ぐっ」

友「帰らなきゃなんだ」

美女「はぅ、そう……」

友「洗濯物仕舞わないといけないし」

美女「(洗濯物に負けたのね…)」ガックシ

友「ていうか勉強なら俺の家でもできるけど」

美女「そうね……」ガックシ

友「そうねって」

美女「あなたの家でもできるものね……」ショボーン

友「じゃあ帰ろっか」

美女「そうね……」






美女「それじゃ…」

友「それじゃって、俺の乗る電車はこっちだよ」

美女「え、えぇ」

友「?」

美女「?」

友「ん?一緒に勉強するんじゃないの?」

美女「…………!!! す、するっ!!するわよっ!!!」

友「き、急に大声だね」

美女「オ,オホン」

友「何か考え事してたの?」

美女「ええ、でも取るに足らない憂いだったわ」

友「そ、そうなんだ(さっきとテンション違いすぎないか?)」

美女「(まままって緊張してきたわ私)」

友「美女、顔赤いけど平気か?」

美女「気にしないで」

友「?」

美女「少し暑いだけよ」

友「そ、そか」

美女「ねえ」

友「どうしたの?」

美女「本当にお邪魔していいの?」

友「言うて俺独り暮らしだし」

美女「ええ存じ上げているわ」

友「美女と一緒のが捗るし」

美女「でしょうね」

友「ていうか」

美女「?」

友「これなら最初から俺の家で一緒に勉強していればよかったのか」

美女「!」

友「でもそれだと美女が面倒だもんな」

美女「いいえ」

友「へ?」

美女「もっと早くからそうしておくべきだったわ」

友「え、えぇっと勉強?」

美女「そう勉強。これからも朝から貴方の家ですればいいのよ」

友「朝から!?」

美女「あら?アルバイトだってもう殆どしてないでしょう?」

友「まあそうだけど」

美女 「迷惑かしら?」

友「いや全然」

美女「……あなた、これから恋人を家に招くわりには冷静ね」

友「え?結構緊張してるけど…」

美女「本物かしら?」

友「なんかまだこう実感が湧かないというか」

美女「ふうん」





いくらか前のこと 二年生前の春休み

先輩「美女ちゃんすらっとしてて姿勢いいよねえ」さわさわ

美女「ちょっ」

先輩「モテるでしょ?」

美女「いや、別にそんな…」

「美女さんはかなり人気ありますからねー」
「うんうん」
「この間も3年の先輩に告白されてましたよね!」

美女「い、いやその」

先輩「美女ちゃん美人だけど可愛いからねえ」

美女「あぅ」

先輩「ね、友くん!」

友「え?あーはい」

先輩「またまた興味無さそうなフリしてー!」

友「いや別にそういうわけでは」

先輩「美女ちゃん可愛いよね?」

美女「も、もう先輩ってば」

友「まあ美人だとは思いますけど」

美女「っ」

先輩「そこは可愛いと言いなさい可愛いと!」

友「さ、俺はバイトに行くんで」

先輩「はーい、お疲れ様」

友「お先に失礼します」

先輩「行っちゃった」

美女「……」

先輩「友くんはあれかな?ツンデレ?」

美女「あの方は単純に無愛想なだけだと思いますけど」

先輩「えー?そうかなあ」

美女「そうですよ」

先輩「でも結構美女ちゃんのこと気にかけてるんだよ?」

美女「いやいやそれは無いと思いますが」

先輩「うちは同好会で無理に人引っ張ってきてるところあるけど」

美女「(無理に引っ張ってるのは貴女だけです)」

先輩「美女ちゃん辞めないかなー?とか無理して同好会来てないかな?とか気にかけてるんだよ」

美女「あの人が?ですか?」

先輩「友くんは本当は優しいからね」

美女「あまりそうは思えませんが…」

先輩「……あー」

美女「?」

先輩「美女ちゃんってさ、友くんのことどこまで知ってるの?」

美女「ど、どこまで?と言われましても…ただのクラスメイトなだけで……」

先輩「なるなる」

美女「知ってるというなら、憎いことに私よりも成績が良い」

美女「家があまり裕福ではない」

美女「くらいでしょうか?」

先輩「あー、うん」

美女「まあ裕福で無いというのは少し卑下した言い方だったかもしれません」

先輩「裕福じゃないわけじゃない……って言ったら良いのかな?」

美女「?」

先輩「……んー、そか、美女ちゃんはそんなに友くんとは話さないんだね」

美女「えぇ、まあ」

先輩「うーん……うーん……」

美女「何かこう、ワケ有りな方なのですか?」

先輩「まぁ…」

男「どもー」

先輩「やあやあ男くん」

男「あれ?友います?」

先輩「友くんならさっきバイトに行っちゃった」

男「マジか、入れ違いだなこりゃ」

美女「……」

男「あ」

美女「ご機嫌よう」

男「猫だ」

美女「どういう意味かしら?」ギロリ

男「ひえっ、そういう意味です…」

先輩「あっそうだ男くん」

男「? 何でしょか?」

先輩「そのー、美女ちゃんに友くんのこと話してあげてよ」

男「友のこと?」

先輩「うん、というか話していいのかなって」

男「あー…」

美女「ちょ、ちょっとそこまで言われるともうすごく気になるのだけど」

男「まあそうだよね」

美女「別に彼に興味が有るというわけではなくてね?」

男「えぇー?かなりライバル視してるじゃん」

美女「それはあくまで学力テストでの話でしょう?」

男「友もかなり美女さんの事ライバル視してるからね」

美女「本当!?」

男「う、うん(露骨に)」

先輩「嬉しいそうだね」

美女「ッ、オホン」

男「まあでもこういうのって俺から話していいもんなのかなーって思うんだよね」

先輩「まあね」

美女「もう!そこまで言われると余計気になるんですが!」

男「友に直接聞けば?」

美女「えっ」

先輩「ま、それが一番いいかもね」

男「俺とかにも普通に話してくれたし」

美女「別に何も直接聞くほど……興味があるわけでは……」

男「友のバイト先教えようか?」

美女「結構です」

男「そんな事言わずにさ」

美女「……」




美女「ハァ……」

美女「(結局来てしまった…)」

美女「喫茶店とは聞いていたけど……」

美女「チェーン店じゃないわよねこれ。個人経営かしら?」

美女「…………」ドキドキ

美女「(何ためらってるのよ!)」カランカラン

友「いらっしゃッー……まぁせ……」

美女「……」

友「……」

美女「…………」

友「お一人様?」

美女「ん!」コクン

友「じゃこちらへどうぞ」

美女「ん!」ツカツカツカ

店主「おや」

友「俺の同級生」

店主「これまたべっぴんさんですね」

美女「し、失礼します…」

友「えーと……何か飲むの?」

美女「え、えと、んーと」

友「ぶふっ、何でキョドってるの?」

美女「えっ?えっ!?えっと……」

友「甘いの好き?」

美女「は、はい……」

友「それじゃ作ってくる」

美女「はい……」

美女「(裏に行っちゃった……)」

店主「フフフ」

美女「どどどうも」

店主「友くんの同級生が来るのは男君以来だね」

美女「そう、なんですか」

店主「一応聞くけど、どういう関係かな?」

美女「ど!同級生です!」

店主「フフフ そうかい」

美女「ごめんなさい大きな声出しちゃって」

店主「まあ友くんは貴婦人からも人気あるからね」

美女「はぁ……」

店主「どうしたの?」

美女「いや、その……彼の笑った顔初めて見たので」

店主「フフフ 言われて見れば私も久しぶりに見たかもしれないな」

美女「そうですか」

店主「嬉しかったんじゃないのかな?同級生さんがお店に来て」

美女「そう……いう仲では無いし、むしろ迷惑かなー?って」

友「お待たせ」

美女「あっ」

友「俺特製のキャラメルスチーマー」コト

美女「ん」

店主「さて、今日は夕方営業はやらないから閉めようかな」

美女「えっ」

店主「私は用事があるから友くん戸締まりお願いね」

友「はい」

店主「床は汚れてないし、シンクだけやっといてね」

友「はい」

店主「それじゃ美女さん、ごゆっくり」

美女「あ、はい」

美女「……」

友「コーヒー飲も」

美女「……」

友「それ、甘すぎたりしてない?」

美女「ん……美味しい……です」

友「何故敬語」

美女「あの」

友「男から聞いたの?」

美女「聞いたんじゃなくて、聞いてもないのに教えてきたのよ!」

友「そっか」

美女「め、迷惑だったわよね」

友「いやビックリはしたけど……」

美女「これはあれよ、偵察!そう偵察なの」

友「??」

美女「別にストーキングとかそんなじゃないですからね!」

友「う、うん」

美女「ちょっと気にかかっただけよ」

友「宿敵のバイト先が?」

美女「それもあるけど」

友「?」

美女「貴方ってどこか掴めないところがあるのよね」

友「そうかな?」

美女「そうよ」

友「美女さんもなかなか掴めないところあると思うけど」

美女「っ、女性はそのくらいが丁度いいのよ」

友「そう、かな?」

美女「……美味しい、コレ」

友「でしょ?糖分補給の切り札なんだよね」

美女「男君がね」

友「?」

美女「何か気にかかるような事を言ってきたの」

友「?」

美女「貴方について」

友「あー……なんとなく理解した」

美女「そう」

友「男から何て聞いたの?」

美女「何も聞かされてないから とてつもなく引っ掛かってるのよ」

友「…そっか」

美女「そ、そのごめんなさい。男君も何か気をつかって話してこなかったみたいだし」

友「いや、別に気をつかわれるのもアレなんだけど」

美女「貴方の触れられたくないトコロに迂闊に入り込んだのなら謝るわ」

友「別にそういうのじゃないよ」

美女「じゃあどういうのかしら?」

友「まあでも男以外には殆ど話してないか……」

美女「先輩は?」

友「先輩は俺の事を前から知ってたからね」

美女「そう」

友「隣いいかな?」

美女「ど、どうぞ」

友「えっと、やっぱりその、あんまり周りに言いふらしてほしくない、かな?」

美女「断じて洩らさないと誓うわ」

友「気をつかわれると逆に疲れるからさ」

美女「ええ」

友「なんかいざ誰かに話すってなると緊張するな…」

美女「貴方でも緊張するのね」

友「するよそりゃ……まあ、俺さ」

美女「えぇ」

友「こっちに来る前は宮城に住んでた」

美女「宮城県に?あっ……」

友「察しが早いと話が進めやすいね」

美女「震災ね」

友「うん」

美女「……」

友「あの日家も学校も全部流されたんだ」

美女「貴方は無事だったのね」

友「俺さ、アーチェリーの強化指定選手に選ばれる予定だったんだ」

友「たまたまあの日に試験というか試合があってさ。学校休んでそっちに行ってたんだよね」

友「そしたら地震がきて……」

美女「そうだったのね」

友「後はよく覚えてない。家が あったはずの場所 には辿り着けたけど」

友「親も妹も近所の家も学校も」

友「どっか行っちゃったんだ」

美女「……」

友「月に1回はカウンセリング受けたりとかもしてるけど」

美女「あ、あの胴着って」

友「妹のだよ。アーチェリーの一式は別の体育館に置いてあってさ」

美女「そそそれ形見みたいなものじゃない!」

友「まあ……そっか」

美女「そっか、って……」

友「受け入れられてないんだよ」

美女「……」

友「そりゃ国から何やら見舞金とか入ってきたよ。でも手を付けてないんだよね」

美女「受け入れられないから……ね」

友「うん」

美女「それで過度な節約をしたりしていた、ということね」

友「その通り」

友「別にお金がどうこうっていうより……とにかく考える暇もなく動いてないと……何か駄目でさ」

美女「でも無理は良くないわよ」

友「うん」

美女「まあ確かにこの話を聞いたら下手に気を使われるのは間違いないわね」

友「でしょ?何かそういうのも駄目というか嫌でさ」

美女「でも私はこの話を聞けて良かったわ」

友「そう?なら俺も良かった」

美女「あなたは勉学に勤しんでいるけれども、何か目指すところはあって?」

友「まだそういうのは見えてこないかな?美女さんな?」

美女「私のことは別にいいのよ」

美女「さっき店主さん?が仰っていたけどここにはクラスメイトさんは来ないの?」

友「あぁ、叔父さんなんだあの人」

美女「親戚の方なのね」

友「うん。うちの学校は男くらいかなあ?先輩も知ってるけど来たことないよ」

美女「そう」

友「お客さんが来ない時は勉強できるし」

美女「なるほどね…あ、店じまいなんでしょう?お幾らかしら」

友「あぁお金はいいよ。だから叔父さんも出掛けたわけだし」

美女「それはいけないわ!こんなに美味しい飲み物を頂いておきながら…!」

友「いいっていいって 俺が勝手に出したんだし」

美女「な、ならせめて洗い物くらいはさせて頂戴?いいわよね?」

友「いや……と断ってもあれか」

美女「わかってるじゃない」





翌日(春休み中)

ーーー嬢の家

美女「と、いうわけ」

嬢「押しかけ」

美女「違うわよ。男くんに無理矢理行けって言われたのよ!(嘘)」

嬢「戦果は?」

美女「まあ手強きライバルの強さの源を知ることができたわね…」

嬢「まだライバルなんだ」

美女「まだとは何よ」

嬢「私はてっきり付き合っているのかと思った」

美女「はぁ?私と彼が?」

嬢「ん」

美女「付き合うどころか好きでもなければ恋愛対象外よ」

嬢「そうかな?」

美女「私の理想とはかけ離れているわ」

嬢「また出た……」ハァ

美女「な、何よ」

嬢「漫画の見すぎ」

美女「っさいわね!悪い!?」

嬢「今日も例の喫茶店行くくせに」

美女「何で知ってるの!?」

嬢「ほら」

美女「ッ!何言わせるのよっ」

嬢「美女は素直な方が可愛い」

美女「間抜けな方がって言いたいんでしょ!」

嬢「私はそっちの美女のほうが好き」ツン

美女「あん ツンツンしないで」

嬢「ツンデレ」

美女「誰が?」

嬢「あなた」

美女「ツンとしてる?」

嬢「してる。実は押しに弱いくせに」ツンツン

美女「ひゃん!も、もうやめなさいってばぁッ……」


ーーー喫茶店

嬢「何故私も」
美女「いいじゃない」

カランカラン

友「いらっしゃ……ませ」

美女「……」
嬢「二人」ぺこ

友「じゃあこっちのテーブル席でいい?」

美女「え、えぇ」
嬢「……」

友「ほい、ご注文は決まってる?」

美女「そそれじゃ昨日のやつ……」
嬢「私はホットのココア」

友「かしこまりました」

嬢「昨日のやつ?」

美女「キャラメルスチーマーよ。昨日彼が淹れてくれたの」

嬢「そう」

美女「なによ」

嬢「別に、それよりもあれ」

美女「あれ?」

嬢「カウンター席、女性ばっかり」

美女「……む」

「あら?お知り合い?」
「彼女?」
「まさか……」

友「同級生です」

「姉妹?ですか?めちゃくちゃ可愛いですね」
「てっきり彼女さんかと」
「珍しいですのね、同級生さんがたがいらっしゃるなんて」

美女「なんか」
嬢「敵視されている」

友「はい、お待ちどうさま」

美女「あ、ありがとう」
嬢「ありがとう」

友「そういえばもうすぐ男が来るよ」

嬢「!!」

友「元々昨日会う予定だったんだけどさ」

美女「そう、良かったわねぇ」
嬢「ん」

「友くーん、珈琲おかわりいい?」

友「はい!」

美女「何テンション上がってるのよ」
嬢「上がってない」
美女「バレバレよ?」
嬢「むう」

ーーーカランカラン

友「あ」

男「よっ」

友「よ」チラッ

男「ん?」

嬢「……」ジーッ
美女「ハァ」

男「あれ?何してんの?」

嬢「コーヒーブレイク」
美女「ココアでしょ」

友「男はどっち座るんだ?」

男「え?あぁ、嬢隣いいか?」

嬢「ん」

友「アイスコーヒーガムシロ1でいいよな?」

男「さんくす」

「あ、友くんのお友達じゃなくて?」
「男くんでしたっけ?」

友「彼はあっちの恋人と一緒の席です」

「えぇ!?」
「……!!」

嬢「……」

男「昨日教えたから来たの?」

美女「き、昨日伺ったのよ」

男「おぉ連チャンですか」

美女「素敵な雰囲気の喫茶店だわ」

男「友は看板フットマンだからな」

美女「何やらそれ目当てのお客さんもいるみたいね」

男「俺も何度かここ来てるけど結構ファン多いみたいだからな」

美女「あら?あなたも他人事では無いんでなくて?」

男「はい?」

嬢「男」

男「何だ?」

嬢「今度からこのお店に一人で来ちゃ駄目」

男「えっ何で?」

嬢「悪い虫がつく」

男「つかねーよ」

嬢「駄目」

男「いやいや……」

嬢「返事は……?」ジーッ

男「は……はい……(顔近い!)」

美女「チッ!」

男「いやそんな露骨な」

美女「あなた、嬢には弱いのね」

嬢「それでいい」

男「クッ,言い返せない」

友「お待たせ」コト

男「おおサンキュー」

友「おかわりあったら呼んでくれ」

男「あー美味しっ」

美女「ねぇ、貴方はどうしてここに?」

男「いや友の叔父さんに本借りてたから返しにきた」

美女「そう」

男「んで友から色々話聞いた?」

美女「えぇ、まあ」

男「まあそういうことです」

美女「えぇ……」

男「どうかした?」

美女「あの眼鏡」

男「?」

美女「あの眼鏡の子は何?」

「えー?友くんは珈琲飲まないのねー」

男「あー……まあ友ファンってとこだね」

美女「ふぅん」

男「もしかして友に仲良く話しかけてるから」

美女「違うわよ」

嬢「敵視してくる」

男「敵視?」

美女「さっきからこっちにガン垂れてくんのよあの眼鏡が」

嬢「美女、言葉」

美女「あらやだ!私ったらお下品なこと!」

男「ま、友は眼中にないでしょ」

美女「ふぅん」

ーーーーーーーーー

美女「それじゃ、貴方は嬢を送っていってあげてね」

男「もちろん」

美女「じゃあね、嬢」

嬢「うん」

男「……なあ」

嬢「なに?」

男「美女さんは友の事好きなのかな?」

嬢「んーー……私からみるとそういう感情は無いように見える」

男「そうかなあ」

嬢「だけどあるようにも見える」

嬢「美女は負けず嫌いだから」

男「嬢と似てるな」

嬢「む……まあよく言われる」

男「俺はお似合いだと思うんだけどなあ」

嬢「男は私が好き」

男「な、なんだよ急に」

嬢「男は誰が好き?」

男「嬢だよ……」

嬢「フ、私の勝ち」

男「何だよそれ」

嬢「ご褒美」ピト

男「ぬおっ!?(う、うう腕を組んだらおっぺぇが!おっぺぇが!!)」
嬢「帰ろ?」
男「あ、うん」
嬢「泊まる?」
男「いやいやいや……」



(過去編)新学期が始まり 二年生

友「うーん」

美女「あら?どうかしたの?」

友「なんかケータイが調子悪いみたいでさ、すぐ電源落ちるし」

美女「そろそろ買い換えたらどうかしら?」

友「寿命かね」

美女「スマホに替えるべきね」

友「ケータイ屋さんに行けばいいのかなこれ」

美女「あら?貴方にも疎いところがあるのね」

友「あんまりケータイ自体使わないし……」

美女「ケータイ会社の販売店に行けばいいのよ」

友「直してくれるかな」

美女「スマホにした方が安いわよ」

友「そうなの?」

美女「何も知らないのね……私が付き添ってあげてもいいけど」

友「え?助かる」

美女「っ、感謝してほしいところね」

友「何もわからんからさ」

ーーーー

友「スマホか」

美女「慣れればガラケーより使い易いわよ」

友「だろうね」

友「うーん……」タップスワップ

店員「どちらの機種になさいますか?」

友「うーん」

美女「ね、ねえ」

友「?」

美女「その、どうせなら私と同じ機種にしたら
……どうかしら」

友「美女さんのと?」

美女「そしたらわからない事とか教えやすいでしょう?」

友「言われてみれば…」

店員「でしたら彼女さんと同じ機種にされますか?」

友「っ、っ、あ、じゃ、はい」
美女「っ」

店員「ではこちらご用意させて頂きますね」

美女「……」

友「……」

友「ご、ごめんその流れで」
美女「オホン」





購入後、カフェ

美女「どう?」

友「すごいね、これがスマホ…」

美女「あなた、SDカードは持っていたのね」

友「え?あぁうん」

美女「何かデータでもあるの?」

友「見られるんだっけ?」

美女「画像とかなら入ってるのは見られるわよ」

友「そっか」

友「…………」

美女「データ、あったの?」

友「…………うん」

美女「?」

友「いや、ごめん 妹の写真とかあったから」

美女「っ、そう……」

友「これってデジカメとかのも見られるのかな」

美女「SDカードのは見られるわよ」チラッ

友「そっか」

美女「……それ、妹さん?」

友「うん」

美女「あなたに似て利発そうね」

友「利発だけどうるさいくらい活発だったな」

美女「妹さんの画像たくさんあるわね」

友「撮って撮って煩かったからね」

美女「そう」

友「でも、撮っておいて良かったのかなって……まあ、思う」

美女「……こちらの方は?」

友「っ」

美女「?」

友「恋人」

美女「ッー!?」

友「隣に住んでた幼馴染でさ」

美女「隣に……ってことは」

友「うん、そういうこと」

友「結構画像あるな……」

美女「……」

友「ありがとう、美女さん」

美女「え?わ、私何もしてないけど…」

友「そう?……かな? いやでもなんかお礼言いたかったから」

美女「ね、ねえ」

友「ん?」

美女「その、えっと……連絡先!」

友「あっ美女さんの知らないもんな」

美女「そ、そうね せっかくスマホにしたのだし」

友「えっと……これはどうすれば……」

美女「貸してみて」

※タイムパラドクスなところがあるが許してください




美女「はい」

友「これでOKなの?」

美女「えぇ、大体はこのLINEというアプリでみんな交流するのよ」

友「うわ、なんか一杯きた」

美女「貴方の電話帳にいる人に情報がいったのよ、貴方がLINEを始めたって登録している人にお知らせがいくの」

友「あ、男だ」

美女「お互いに自動的に友達登録されていくのよ」

友「これは眼鏡さんか」

美女「めっ!?」

友「うちの常連のお客さん」

美女「あ、あら連絡先を交換する仲だったのね」

友「なんか前に交換したんだよね」

美女「ふぅん……」

友「これスタンプってやつ?」

美女「えぇ、連打すると煙たがられるやつ」

友「通話もできるんだ」

美女「LINE同士は無料なのよ」

友「なんか文字打つの……難しいね」

美女「フフフ、そのうち慣れるわよ」

友「慣れるかぁ」

美女「ね、ねぇ」

友「?」

美女「貴方はここでの生活に、その、慣れた…?」

友「んんん……慣れないよ、そりゃ」

美女「……そう」

友「というかあっという間に時間が過ぎてる感じかな」

美女「そういえば先月、地元には帰られたの?」

友「んーん、帰ってない」

美女「そう」

友「帰るにしても……まあ、帰る場所というか家があるわけでもないし」

美女「そうよね……」

友「……最近さ」

美女「?」

友「少し、楽しいよ」

美女「あら、それはいいことだわ」

友「だからさっき美女さんにありがとうって言ったのかな?」

美女「わわわ私は別に何もしてないと思うけど……」

友「いやいや、こうしてスマホの扱いも教えてくれる」シュシュシュシュ

美女「(打つの早ッッ!)」

友「まあテストじゃ負けないけどね」

美女「あら?それは宣戦布告かしら?」

友「ふふ、負けたくないからね」

美女「私こそ(あっ、笑った…)」

友「おっと結構いい時間だな」

美女「! 本当だわ」

友「送るよ」

美女「わわ悪いわよそんな」

友「とりあえず駅まで」

美女「あう」





翌日(土曜日)

美女「あれ……?うーん……」ガサゴソ

美女「どこにやったかしら……」ピロン

美女「? 友君から?……ハッ!」

LINE「これ美女さんの?」

美女「うぅ、やっぱり置いてきてしまったのね……私のポーチ……」

LINE「お店に置いておく?明後日学校に持っていく?」

美女「ッッッ、たたたたしかあのポーチにはナプキンが入ってたはずッ……」

LINE「俺は夜まで店にいるからいつでもOK」
LINE「スタンプ」

美女「うっ、意外とファンシーなの使うじゃない」

美女「迂闊すぎたわ…」

美女「はぁおまけに家にあるものじゃ殆どメークできないじゃない」

美女「かと言って万が一中開けられるような事があっても……うぅ……恥ずかしい」

美女「嬢が置いていったものが洗面所にあったっけ?」

LINE「来るのね?」

美女「あるものでなんとかするしかないわね」

美女「せっかく友君に会いに行くのに……」

美女「…………」

美女「ポーチ取りに行くだけよ、そう」

美女「…………」





店の前

美女「さ、ポーチ貰ったらすぐ帰るのよ」

美女「うん!……そうよ!」

美女「……」カランカラン

店主「おや?」

美女「……どうも」ペコリ

店主「いらっしゃい美女さん」

美女「えっと、あの……」キョロキョロ

店主「友君かな?」

美女「あ、はい 私ここに忘れ物をしてしまって」

店主「? そうなの?」

美女「友君に今日取りに行くってご連絡をしたのですが…」

店主「友君ならすぐ帰ってくると思うよ。ちょっと買い出しを頼んでいるからね」

美女「そうですか……(あう、気まずい)」

店主「フフフ、それまで中で待っていてね」

美女「は、はい!失礼しますっ」

店主「美女さんはこの後予定あるの?」

美女「へ?いや、特にはございませんけど……」

店主「それならちょっとうちで働いていかない?」

美女「!?」

店主「今日は昼で閉めるからそれまででいいんだけど……お願いできないかな?」

美女「い、いきなりですか!?」

店主「注文取ってメニュー運ぶだけでいいんだ」

美女「わ、わわわたし接客とかしたことないですし…」

店主「へーきへーき!すぐに慣れますよ」

美女「で、でも……」

友「ただいまー」カランカランチンポロン

美女「あっ」

店主「お帰り。ご苦労様」

友「うおっ」

美女「む」

友「ご、ごめんまさかこんなに早く来るとは…」

美女「わ、悪かったわね……」

店主「友くんさ、今日は雨でお客さんも少ないと思うんだ」

友「確かに……昼閉めまでに何人来るやら」

店主「来たとしても●●さんや▲▲さんが新聞読みに来るくらいかな」

友「フード系は出なさそうだね」

店主「フフフ」

友「その顔、抜けるつもりでしょ」

店主「フフフ ご名答」

友「まあ別に俺一人でも」

店主「フフフ」チラッ

美女「っ、……えぇ……」

友「?」

店主「さっきね、美女さんに手伝ってもらえないかお願いしたんだよ」

友「えぇ」

美女「ででででも私その接客とかアルバイト経験無いですし……!」アセアセ

店主「オーダー伺って友君に伝えるだけでいいからさ」

友「まあ職場体験の中学生でもできることだからね」

美女「むぅ」




美女「ありがとうございました」

客「美人さんの淹れた珈琲は美味しかったよ!」

友「入れたのは俺ですよ」

客「アハハ!そうだった!ご馳走さまね!」カランカラン

美女「ふぅ…」

友「どう?」

美女「ま、この程度の事なんて造作も無いわね」

友「緊張してたくせに」

美女「してないわよ」

友「いらっしゃいませの時噛んでたじゃん」

美女「うっ、噛んでないわよ…」

友「さてと……そろそろ閉めようかな」

美女「洗い物させてちょうだい」

友「いいって」

美女「お給金まで頂いたんだし それくらいさせてちょうだいよ」

友「それじゃお願いします」






友「ゴメンね、忘れ物ついででお店まで手伝ってもらって」

美女「ううん、いい経験をさせてもらったわ」

友「まあでも楽しかったよ」

美女「あら?貴方もそんな事言うのね」

友「一人で店回すより退屈しないし」

美女「意外と寂しがり屋さんなのかしら?」

友「ふふっ、そうかも」

美女「あっ、(また笑った……)」ドキドキ

友「?」

美女「あ、えっと、その」

友「……?どうかした?」

美女「いや 笑ったなーって」

友「え?」

美女「貴方が笑ったから……」

友「あー、う、うん」

美女「これで3回目」

友「数えてるの!?」

美女「!!!」

友「……(なんか恥ずかしいな)」

美女「…………」

美女「数えているわよ」

友「な、何でまた」

美女「ウフフ、何でかって?」

友「何でよ…」

美女「あなたに……、惚れたのよ……」ニコッ

友「…………」ドクン

美女「…………えっと……」

友「…………」ドクンドクン ドクン

美女「…………友……くん……?」

友「…………」ドクン……

「私がね、友くんに惚れたんだよっ!」

友「……ッ」

美女「(泣ッーー!?)」

友「………あれ?……ッ、なんだこれ……」ゴシゴシ

美女「ごごごめんなさい私が急に変な事言うから」

友「違うよ……」ゴシゴシ

美女「へ、平気?」

友「少し……昔の事思い出したから……」

美女「……そう」

美女「ねぇ友君?」

友「……(ゴシゴシ)、……なに?」

美女「貴方の事、もっと教えてください」

友「……」

美女「話せる事でいいから……私、貴方の事をもっと知りたいの」

友「…………」

美女「えっとそのあの……あんな事言っておいてなんか気まずいけど……」

友「フゥ……長くなるよ?」

美女「!! えぇ、たくさん聞かせてほしいの」

友「……ふふっ、甘いものでも淹れよっか」

美女「フフフ、そうね」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年02月24日 (火) 07:19:50   ID: ZQLs3_V4

うぉーーー
更新待ってます!!!

2 :  SS好きの774さん   2015年08月15日 (土) 21:11:59   ID: 4zFUOp1L

楽しみにしてます!

3 :  SS好きの774さん   2015年11月11日 (水) 05:29:17   ID: QGtAYy16

更新はよ

4 :  SS好きの774さん   2015年12月02日 (水) 01:30:38   ID: TQQq06bW

12月分まってます!

5 :  SS好きの774さん   2015年12月26日 (土) 01:32:35   ID: 2pQppJAT

今月の更新待ってます!!!

6 :  SS好きの774さん   2016年01月20日 (水) 01:59:19   ID: tXH-5Uc5

ぐおぉ、次もまっとるやで!

7 :  SS好きの774さん   2016年03月04日 (金) 04:37:12   ID: 8nl0UpQs

今月も更新まっとるで!!

8 :  SS好きの774さん   2018年01月11日 (木) 18:05:38   ID: sbWpioOw

更新待ち

9 :  SS好きの774さん   2018年01月13日 (土) 19:49:33   ID: anN4PGmP

私はいつまでもあなたのことを待ち続けています

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