春香「fish」 (27)


立ったら投下していきます。

かなり地の文多め、尚且つ処女作なので、苦手な方はお気を付けください。

当方、2ch等含めて色々と不慣れですので、その点御迷惑をかけることも多々あるでしょうがご容赦を。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1395409648

雪歩「プロデューサー、わ、わ、私……こんなこと言うの、生まれて、はじめてです」

雪歩「ライブの前以上に、どきどきしてます。け、けど……言います!」

雪歩「私、今日まで、一生懸命頑張ってきました。だから……」

雪歩「トップになれた“ごほうび”、プロデューサーから、もらいたいんですっ」

雪歩「あぅ、い、言っちゃいました……。意味、わかってもらえましたか?」

P「あぁ、多分な。……おいで、雪歩」






この瞬間、私の恋は、終わってしまいました。

 アリーナでのライブを終え、765プロの私達はとうとう「トップアイドル」と呼ばれる存在になりました。公園で一人、好き勝手歌っていたあの頃からずっと見てきた夢が、現実になったのです。アンコールを終え着替えてしまった今も、あのステージの余韻が体中をまだ包んで離れません。


ステージ衣装を片付けながら、さっきまでの風景を振り返ります。
本当にあっという間の時間だったなぁ…。
終わった後、達成感やら感動やらで、みんなして泣きながら抱き合ってました。
あの千早ちゃんですら、鼻水と涙で顔がぐしゃぐしゃだったんですよ?


そういえば、プロデューサーさんも「お前達、本当によく頑張った」ってボロボロ泣いてたっけ。そんなに泣くことないのに、って思ったけど、それもあの人らしいかな。

プロデューサーさん。
私の大好きな、プロデューサーさん。



私がここまでこれたのは、あなたがいたからなんですよ?



何でも、ライブ数日前の話では、私達はここで一旦「一区切り」なのだそうで。
美希はニューヨーク、千早ちゃんはロンドンへ旅立つし、残りのメンバーもそれぞれが、また新たな一歩を踏み出していくことになっています。
そして、プロデューサーさんも…
明日には、海外研修に旅立ってしまいます。


ということは、プロデューサーさんとまともに話せるチャンスは、今しかありません。



プロデューサーさんに言いたいことは沢山あります。
ライブの感想ももっと聞きたいし、これまでのお礼もまだちゃんと伝えてません。
そして何より…


今日は、その気持ちをちゃんと伝えるつもりです。
正直、沢山のファンの前で歌うことよりこっちの方がよっぽど緊張しちゃうなぁ。


でも、今しかないよ。ここで言わずにいつ言うの、春香!!


忘れ物がないか確認しつつ、そう自分を叱咤します。


他の皆も、ちらほら帰り支度が整いつつあるようで。
律子さんの「気を付けて帰りなさいよー」という言葉が控え室に響きます。
あれ?そういえば、雪歩がいない…。もう帰っちゃったのかな。





ってそれどころじゃなかった。早くプロデューサーさんの所に行かなくちゃ。
これが、最後のチャンスなんだから。



「お疲れ様でしたー!!」とみんなに声をかけ、プロデューサーさんを探します。
確か男性関係者の控室はあっちだから・・・

角を曲がると、見慣れた顔が遠くに見えました。
あれ、でも、誰かと話してるみたい。



あれは、雪歩だ。
酷く緊張した様子で、モジモジモジモジしています。
一方のプロデューサーさんは、さっきとは違ってもうすっかり落ち着いていて。



軽く会話を交わした二人は、そのまま向こうへいってしまいました。




……なんだろう、嫌な予感がする。
あの雪歩の表情は、多分「そう」だ。



何だか悪い気もするけれど、このままプロデューサーさんを見失う訳にはいかないので、後をつけることに。



どうか、この予感は、当たりませんように…

前を歩く二人はほとんど会話を交わすことなく、街灯が照らす夜道に辿り着きました。
そのまま止まることなく進んでいくので、もしかしたら一緒に帰っているのかもしれません。



それだと私が困っちゃうんだけどなぁ……



こっそりこっそり後をつけ、二人の会話がなんとか聞き取れそうな位置に近づけました。
丁度その直後、雪歩がポツリ、ポツリと話し始めます。

「プロデューサーと、こうして並んで歩けるのって……とっても、楽しいです」



「私、アリーナであれだけのライブが出来て、すっかり自信がつきました」



「もう、なにもこわくありません。強くなった私はどんな歌だって歌えるし……」








「それに……これまで絶対言えなかったようなことだって……口に出して、言えます」






絶対、言えなかったこと?
それって、もしかして…………


あぁ、間違いない。
雪歩のこの表情は、やっぱり「そう」じゃないか。悪い予感、的中。



「絶対に、言えなかったことって?」


何のことか見当もつかない様子で、プロデューサーさんはそう返します。




私のことじゃないのに、とてもじれったくなる。
こんな雰囲気で、目の前に頬を赤らめた女の子。そんなの、もう、「それ」しかないじゃないですか。



私があそこにいたら、今の雪歩と同じようにしどろもどろになってるはず。


分かるよ雪歩。今、とっても緊張してるでしょ?
「なにもこわくない」ってさっき言ってたけど、それ、失敗するの、こわいでしょ?
私もおんなじだから。すっごくよく分かる。だから、すっごい応援したい。

でもね、ごめん、雪歩。今はダメなの。

お願いだから、今だけは、その人だけは、その人だけは……

私の……








「プロデューサー、わ、わ、私……こんなこと言うの、生まれて、はじめてです」



止めて



「ライブの前以上に、どきどきしてます。け、けど……言います!」



雪歩、お願い。止めて……



「私、今日まで、一生懸命頑張ってきました。だから……」



ダメ、ダメだよ……












「トップになれた“ごほうび”、プロデューサーから、もらいたいんですっ」









「あぅ、い、言っちゃいました……」



プロデューサーさんっ…………





私、今日、プロデューサーさんが「似合ってるぞ」って言ってくれたスカート、穿いてきました。


リボンも一番のお気に入りを、つけてきました。



誰よりも、プロデューサーさんに、私の輝いてるとこ、見て欲しくて、アイドル、ここまで頑張ってきました……



だから、私を……






「意味、分かってもらえましたか?プロデューサー…」






プロデューサーさんの口が開きます。



嫌だ、聞きたくない、聞きたくない。
お願い……。


















「あぁ、多分な。……おいで、雪歩」





























その先の光景は、涙が滲んで、よく、見えませんでした。





その後、二人はネオンがきらきら輝く市街地に向かって歩き出しました。

もう、後はつけません。というより、つけられません。




光っているのかどうかもあやしい星の元、私は一人、動けずにいます。

今でも、「春香」と私を呼ぶ優しい声が、頭の中をぐるぐる回って離れません。




雪歩、プロデューサーさん。

今なら、まだ間に合うから。

戻ってきて、「ドッキリでしたっ!」って言ってほしい。

そうして、私を騙した罰として、プロデューサーさんと二人の時間をもらって、そうして、そうして……














お願い、プロデューサーさん







私の、震える肩を、抱きしめてよ……




翌日、プロデューサーさんを見送るため、皆で空港へ。

雪歩の様子を眺めると、やっぱり寂しそう。




……こんなに可愛かったら、プロデューサーさんも惚れちゃうよなぁ。
雪歩みたいに笑えて、泣けて。雪歩みたいに可愛ければ、プロデューサーさんの隣にいたのは私だったのかな?



また、涙が溢れてきそうになります。




…ううん。それはないよね。ダメダメ、春香。
今は、プロデューサーさんを、笑顔で見送らなきゃ。



さぁ、とうとう出発直前。

皆、涙を流しながら別れの言葉を口にしています。
あら、千早ちゃんまで泣いちゃって。可愛いんだから。




その中で、雪歩だけは泣いていません。
寂しそうな表情は変わっていないけれど、でも、優しい笑顔でプロデューサーさんを見つめています。
その姿に私は思わず、見惚れてしまいました。



やっぱり、この子には敵わないなぁ……





「じゃあ、時間だから、もう行くぞ」

そう言ってプロデューサーさんは歩き出します。



さぁ、とうとう出発直前。

皆、涙を流しながら別れの言葉を口にしています。
あら、千早ちゃんまで泣いちゃって。可愛いんだから。




その中で、雪歩だけは泣いていません。
寂しそうな表情は変わっていないけれど、でも、優しい笑顔でプロデューサーさんを見つめています。
その姿に私は思わず、見惚れてしまいました。



やっぱり、この子には敵わないなぁ……





「じゃあ、時間だから、もう行くぞ」

そう言ってプロデューサーさんは歩き出します。



よーし、最後はビシッと、「天海春香」らしく見送りますか!




「プロデューサーさーん!!」



「わ、ちょ、春香、そんな大声出すなって!」



「みーんな、プロデューサーさんが帰ってくるの、ずーっと、待ってますからねー!!」






私の言葉を聞くと、グッとサムズアップ。
あっという間に、いなくなってしまいました。







プロデューサーさん、立派に成長して、帰ってきてくださいね。

遠くにいるからって、雪歩を悲しませるようなことしちゃだめですよ?







私の、甘酸っぱい恋物語は、これでおしまい。
続きは、心の中にしまっておきます。






それじゃあ、



「さよなら、プロデューサーさん」





END




いかがだったでしょうか?


一応、元ネタはback numberの「fish」という曲です。
元は恐らく恋人からフラれた曲ですが、相当曲解致しましてこのような形になりました。

キャラ崩壊、文才の欠如、ストーリーのおかしさ等ツッコミどころが満載ですが、誰か一人でも最後まで目を通して貰えたとしたら、どういう感想を持たれたとしても、非常に嬉しく思います。

とても良かった、乙
ハッピーエンドも書いていいのよ?

>>21
ありがとうございます!
只の公開自慰にならないかビクビクしておりましたのでそう言ってもらえてとてもありがたいです。

そうですね、実際自分は雪歩Pですが、あの春香edの不憫さには涙しましたので、時間があればハッピーエンドの方向で
書きたいですね。

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