春香「安価でスタンドバトル?」 (309)

春香「新しいお仕事…ですか?」
小鳥「ええ、765プロ全員での久々のお仕事が決まったの!」

 ある日、いつもどおりに事務所に行くと、目を輝かせた小鳥さんが。
開口一番に私に言ってきました。
最近は、ソロのお仕事もたくさん増えてきて。
なかなか昔のように皆で会う機会も少なくなってきたので、ちょっと楽しみかも。

春香「で、どんなお仕事ですか?バラエティか何か?」

小鳥「ええっと。ヴァーチャルゲームのモニターなんだけど…。
   春香ちゃん。【ジョジョの奇妙な冒険】って知ってる?」

春香「え?」

小鳥「とあるコアな人に人気な漫画なんだけど。もちろん私も全巻持ってるわ」

春香「漫画…ですか?」

 その漫画は聞いたことはあったんだけど、中身はよく知らない。
絵柄がすっごく独特だってイメージがあるし、元々漫画をあんまり読まないから…。

小鳥「その漫画がね。超能力的な能力で戦うバトル漫画なんだけど」

春香「は…はぁ…」


 ちょっと予測が出来た気がする…。
もしかして。それをモチーフにしたヴァーチャルゲームか何かかな?

小鳥「その超能力をゲーム内のアバターが所持して、実際に戦うゲームで。
   なんだか、最新のテクノロジー?を駆使して作った超先進的ゲームらしいの。
   来年あたりにゲームセンターで稼働する予定で。
   765プロのアイドルで宣伝も兼ねてお願いしてきたみたいよ」


春香「ええ?ヴァーチャルゲームで戦うんですか!?
   格闘ゲームみたいにボタン押すんじゃなくて?」

小鳥「うん。ゲームだから痛みとかは一切ないし、微弱振動で伝わるだけらしいけど。
   実際に歩いたり動いたりしてるような感覚で出来るみたいよ?」

 なんだか、凄いゲームってのは分かったけど。
正直、ちょっと怖いな…。それ。
でも。お仕事だから頑張らなくちゃ!


小鳥「で、お仕事自体は2週間後のお昼から。
   それまでに、【予習】をお願いね」

春香「予習…?」

小鳥「はい。事務所に置いておくから…。
   やっぱり原作知らないと面白みがないから、向こうの会社からのサービスでもらったの」


 見ると、机の上にずらっと漫画が並べられてました…。
多い。一言で多い。
そしてすっごく紫色です…。途中からタイトル変わってるし…。
これを2週間で読めと?


小鳥「あ、今1部は千早ちゃんが持っていったから。春香ちゃんは3部あたりから読むといいよ」

春香「え?1巻から読まなくていいんですか!?」

小鳥「大丈夫大丈夫。最初は「ん?」ってなるかもしれないけど、基本、違う話だから」

春香「そんな漫画なんですか?」

小鳥「うん。そんな漫画よ。まあ、さわりでもいいから2週間以内にお願いね」


 ううん。なんだか大きなお仕事だけど。不安しかないよぉ……。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1379373854

【ジョジョの奇妙な冒険・杜王町に巣食う闇】
・多人数体験型ヴァーチャルゲーム。

・1人で街中を歩き、杜王町の謎を解いていくストーリーモードと、
同時にマッチングされた13人で対戦するロワイヤルモードの2種類。

・自分のスタンドは、最初の性格診断と、生年月日でランダムに決定される。
 原作のスタンド能力の中から選ばれる。

・ゲーム自体はガンダム・戦場の絆のような筐体で、プラネタリウム状に映し出される。

・ダメージ表記はその人の頭上にゲージ表記され、ゼロになるとゲームからログアウトとなる。

真「ねー。ストーンオーシャン9巻誰か持ってる!?
  FFがどうなったか気になるから貸して!」

響「あ、自分が持ってるぞ!ちょっと待つさー!そろそろ読み終わるから」

美希「あふぅ…絵柄が気持ち悪くて読みにくいの…」

律子「コラッ!美希!寝るんじゃないわよ!しっかり読まないと、宣伝もできないでしょ!」

やよい「うわあああああん!可哀想です…。涙が止まりません…」

伊織「また誰か死んだところ?やよいはすぐ泣くんだから…もう。
   今度は誰が死んだの?って…。ここ5部の最初じゃない」

やよい「ナランチャさん。私より年上なのに、2ケタの掛け算が出来ないなんて。
    私より可哀想な生活だったんですよ?助けてあげたくなりますぅ…」

伊織「…………」



 あれから事務所が漫画喫茶になりました…。
かくいう私も、最初こそ絵柄に抵抗があったけど、今ではこっそりジョジョ立ちの練習をしちゃうほどハマっちゃってます!
こんな能力を疑似的に体験できるなんて。不安以上に期待が高まってきちゃった!


千早「タタミカケロー…ブツブツ…。ダイジョウブカヨー…ブツブツ…。」

春香「千早ちゃん?何してるの?」

千早「え?いえ、なんでもないわ。ちょっと別でお仕事があって、その練習をしてただけよ」


亜美「んっふっふー…亜美は確実にキングクリムゾンだね!」

真美「じゃあ真美はメイドインヘブンだね!」

亜美「えー…。それはズルすぎっしょ!ゲームにならないよ」

小鳥「どうやら、【メイドインヘブン】は使用不可能みたいね。
   多分、もし出たらゲームバランス崩壊じゃすまなさそうね…」



 そして、2週間後…。

バンナム「どうも、今回はモニターを引き受けてくださって、ありがとうございます。
    えっと、これで全員ですかね?」

律子「ええ、全員揃っています。
   今日はよろしくお願いします」

765プロ「お願いしまーす!」


バンナム「えっと、早速プレイしてもらいたいんですが。何点かご説明させていただきます。
   このゲームは既に我々がテストプレイを行っていますので、事故やバグはありません。
   それと、最初は数分のチュートリアルモードを行っていただいて。実際のプレイとなります。時間は30分~1時間半が目安です。
その間に、何かしらの不具合や気分がすぐれなくなった場合、後ろ側に強制終了ボタンがありますので、そちらを押してください。」


亜美「ねーねー。早く始めたいんだけどー!」
真美「百聞はシーケンサーにあらずって言うじゃん!とりあえずプレイしたいよ!」

春香「多分、百聞は一見に如かずだよね?」


バンナム「嬉しい事ですね。我々のゲームを楽しみにしてくれるのは。
   では、早速やってみましょうか。お手洗いなどは済ませ、お好きな筐体にお入りください」


真「強いスタンドだといいなー!」
雪歩「あうぅ。長く生き残れるように頑張ろう…」
伊織「まあ、私が一番になるのは目に見えてるでしょうけどね!」



 各々が筐体に入る。うわー。すっごく楽しみ!
あ、私も筐体に入らなくちゃ!











 春香「中はこんな風なんだ…」

 丸い空間が全面モニター。そこに椅子も何もないってことは、立ってやるんだろうな。
私が入って扉を閉めたら、モニターが起動した。

 一言で言うと、外でした。
まるで外にいるかのような感覚。360度景色。
本当に杜王町にいるような感じ。すごいなあ、ゲームってこと忘れそう。


 目の前に文字が出てきた…。えっと。生年月日?
あ、そうか。これと診断テストで私のスタンドが決まるんだ…。うわー…ドキドキしてきた!

ピピピピピピピピピピピ……。

スタンド ガ。 ケッテイ。 シマシタ。

プレイヤーネーム:ハルカ
スタンド:>>8

ヒキツヅキ。ロワイヤルモード。【勝利条件残り1名になる】を、オタノシミクダサイ。

※スタンドは、メイドインヘブンやGER等のゲームバランス崩壊物や、
 水を熱湯にするスタンド。オリジナルスタンド、小説版のスタンドはご遠慮ください。

スパイス・ガール

春香さんのスタンドは【スパイスガール】になりました。

今後、地の文が春香の主観から状況描写に変わりますあしからず。

あと、能力のパラメーターや、詳細を記載することはしないので。
分からない人はググるか雰囲気で察してね!

春香「スパイスガールか…。確か5部のトリッシュのスタンドだったよね。
   物体を柔らかくする能力。なんだか使い勝手が良いような悪いような…」

 春香の横に、スパイスガールが発言する。
女性のようなフォルムで、まっすぐ前を見つめるスタンドを、春香はまじまじと見つめる。

春香「すごいな…。本当に目の前にいるみたい。
   ちょっと、試してみようかな…。
   えっと、どうすれば動いてくれるんだろう…。
   スパイスちゃん、ちょっとあそこの電柱を柔らかくしてもらえますか?」

 春香がまるで目上の人にお願いするように尋ねると、スパイスガールは電柱を殴りつけた。
 その直後、電柱がグニャリと曲がり、文字通り『柔らかく』なった。

春香「凄い!本当になった!
   え、でもゲームだからこれもプログラムなのか…。いや、でも凄いな。
   えへへ。本当にトリッシュになったみたいだよ。
   『一味違うのね…』なーんて!あ、誰か倒す時、『わなびぃ』って言わなきゃいけないのかな…」

春香「あ、それじゃ早速捜索しないとね!
   自分以外倒すなんて、出来るかな…。どこにいるんだろう」

 現在地は、道路のど真ん中。
各キャラクターは、適当なポイントに割り振られる。
ステージは駅周辺の半径数キロの円状。


春香「とりあえず、歩いてみよう。なんだか、杜王町を散策するだけでも楽しいな」

 あてのない散策を続ける。すると、1人のアイドルに出会う。
ゲーム的にいえばプログラムの一環なのだが、ここはあえて、スタンド使いは惹かれあう
という表現が正しいのだろう。
彼女は当たり前だがよく知る仲で、春香の方へ歩み寄ってきた。

やよい「うっうー!春香さーん!」

春香「あ!やよいちゃーん!」

※やよいのスタンド:>>14

クレイジーD

これってFFはありなの?

エアロスミス

>>13
うーん。
フーファイターズ自体が、プランクトンの集合思念って感じの能力だから。
正直使いようがない。
疑似的な解釈で『プランクトンを操る』って能力って感じにしていいなら使えるけど…。

他にもノトーリアスBIGとか。性質的に不可能なものは再安価させてもらうつもりです。

やよい「意外と春香さんと位置近かったんですね!
    よかったです!近くにいるのが春香さんで安心しました!」

春香「えへへ、私もやよいちゃんで安心したよ。でも、これって仲良くしていいのかな…」

やよい「うーん。ですよね…。ゲーム的には、戦わなくちゃいけないんですよね」

春香「所で、やよいちゃんのスタンドって何だった?興味あるかも。
   私はスパイスガール!」

やよい「私ですか?私は…。」


 いつもと変わらぬ日常会話だった。
しかし、やよいが一瞬言い淀む。そして、満面の笑みを浮かべながら。

 ここがゲームの世界。
スタンドバトルの世界だという事を思い知らされる。


やよい「もう、出してますよ?」

 パパパパパパパパパパパパパパパ!!

 春香の後方。そこからの銃撃が春香を襲う。
やよいのスタンドは【エアロスミス】。


 既にやよいは探知していた。春香がいる事を。それ故潜伏させていたのだ。
春香に気づかれない位置に。自分のスタンドを。
彼女の後方にッ!


春香「ッア…!」


やよい「ごめんなさい。勝負ですから!恨みっこなしですよ!
    うっうー!まずは一勝です!」


 春香が前のめりに倒れる。
奇襲によって、全身を銃撃されたのだ。再起不能は間違いない。
やよいは倒れる春香を見て確信したッ!

しかし、このスタンドバトルは、そんな甘いものではなかった。

春香「ううん。恨みはしないよ。
   私だって…」

やよい「え?」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 春香は立ち上がる。それは、リタイアをしていない証。
そして、笑みをやよいに返し、言い放つ。

春香「スタンド能力を使ってたから…」


 ポロポロと銃弾が春香からとれるように落ちた。
まるで、体そのものがクッションのように柔らかくなっていたようだった。

それこそ、春香の、スパイスガールの能力。
やよいにあった瞬間、体を柔らかくし、奇襲に先手を打っていた。



春香「やよいちゃんが、『覚悟』しているのは十分伝わったよ。
   でも、知ってる?倒そうとしてるってことは、逆に倒されるかもしれないって『覚悟』がいるんだよ?」

やよい「うっうー…。そんなの、ジョルノさんからキッチリ教わってますぅ!」


 改めて二人は対峙する。
ゲームにより、持ち得るスタンド能力。
それを使用するこのゲームに対する高揚感と、緊張感が漂った。

やよい「自分の体を柔らかくしちゃ、その場から動けません!
    だから、私がこのまま動かなければ春香さんは何もできないですよ?」

春香「そうだね…。動こうとして私が能力を解いたら、文字通りハチの巣にされちゃうね…」


 二人は一歩も動けない。一種の硬直状態だった。

 二人ともジョジョの原作を読破して、この作品に対する愛が芽生えていた。
少しでも生き残り、このゲームを堪能したいという気持ちが、たがいに一歩も譲らなかった。


春香「そうだ!ねぇ、やよいちゃん。一時休戦にしない?
   二人でペアを組んで他の人を倒して…。
   最後に二人でもう一度戦おうよ!そうしたら長く生き残れるし!」

やよい「うっうー!騙されませんよ!
    伊織ちゃんに言われたんです。ゲームの中でペアを作るなって!
    ゲーム外での約束ならまだしも、ゲーム内の約束は作戦の範疇。
    伊織ちゃんが、あなたは騙されやすいからって忠告されました!」

春香「あらら。伊織に先手を打たれちゃってたか…やれやれって感じ」

 春香は手のひらを空に向けて、ため息をつく。
しかし、この硬直が続く限り、第三者に見つかった場合、二人とも再起不能になる可能性は高い。


春香「でも、やよいちゃん。素直なのは良い事だと思うよ。現にホラ…。
   時 間 稼 ぎ のおしゃべりに付き合ってくれたんだもん」

やよいは気付く。気付いた時には。遅かった。


 スパイスガールは。能力を使用する。
柔らかくした。

 地面ごと。地盤そのものを。


 やよいは後ろに倒れこむ。地面がゴムのようにグニィとやよいの足を引きずった。

やよい「うわぁああ!」

 視界が空を仰ぐ。それこそが春香の狙いだった。
エアロスミスでいくら銃を乱射させようと、それは前方攻撃のみ。
左右に避けて接近し、パンチをたたきこめば再起不能である。


パパパパパパパパパパ。

やよいがエアロスミスを乱射するが、春香に当たったような手ごたえはない。

春香「当たらないよ!ごめんねやよいちゃん!再起不能にさせてもらうよ!」

 春香はやよいに向かってスパイスガールを発現させ拳を振りおろす。
待ってましたと言わんばかりの、奇声をあげながら…。

はるか「WAAAAAANNAAAABッキャァア!!!!!」

 その奇声は、寸前で制止する。
簡潔に結論づけるなら。コケた。

綺麗にコケた。


 柔らかくなった地面を蹴ろうとして、やよいの隣に綺麗にコケた。

やよい「え?」

 やよいの真横に春香が倒れこんできた。やよい自身、理解するのに時間がかかった。

 春香は下を向いたまま。一向に動く気配はない。

やよい「……春香…さん?」

 やよいはなんとか体を起こし、座った姿勢で春香を見つめる。
攻撃していいのかと、躊躇するレベルで。カッコ悪かった。

春香「私は今、体すべてを柔らかくしています」

 前のめりに倒れたまま、春香は喋る。

春香「この状態から私は当分動きません。攻撃もしません。
   ここはいったんおあずけにしてくれませんか…やよいちゃん」

やよい「えええええええ!?」

春香「私は今、顔をあげれそうにありません。お願いします」

 やよいは春香を攻撃する事が出来なかった。
倒そうと思えば、この距離なら爆撃でダメージを与えることが可能だ。
しかし。
ゲーム内でお互い敵とはいえ、友達だ。その友達の醜態を今、目の前で見てしまっている。
やよいの優しさが、ここは退けと告げていた。

やよい「わ…わかりました。でも!
    次に会ったら絶対に倒しますからね!」

春香「ごめんなさい…」


 前のめりで顔は見えないが、赤面していると分かる春香を横目に。
やよいはその場から去っていった。




 1人、取り残された春香は。ゆっくり。徐にたちがあり、スパイスガールを眺めた。

春香「地面を柔らかくしちゃったら、私も巻き込まれるのは当たり前だよね…。
   あはははは…。もう、凄くカッコ悪い。意気揚々とキメ台詞言っちゃったのに…」

 そして、首を大きく左右に振り、立ち上がる。

春香「うん!駄目駄目!悩んでる暇はない!頑張らなきゃ!
   ううん。でも、即興でやよいちゃんの奇襲に対応できた私って結構才能ある?」

 立ち直りが早いのも春香の性格。
春香は、気を取り直して、『1人目』の敵を捜索する。

春香はやよいに「ちゃん」はつけないよ

>>21

マジか。すまない…。完全に知識不足でしたわ…。
以後気をつけます。

―同時刻・千早―

千早「杜王町。漫画で見たときはどこも戦う場所だったけど。素敵な場所ね。
   戦わず、散策するだけでも楽しそう…」

 千早は、道を歩き続ける。本当に屋外にいるかのような景色に、胸を躍らせながら。

千早「あ~るこう~はて~ないみち~」

 歌を口ずさみながら、目的は1つ。
春香を探すことだった。


 元々、千早はゲームでの優劣に興味がなかった。
自分が一位になりたいという思いもない。別に、真っ先に再起不能になっても。
外からの観戦で皆が楽しむ姿が見れたら満足だった。

 しかし、先日、春香との雑談で、そうも言えなくなっていた。

―数日前―

春香「千早ちゃん!楽しみだね!ジョジョ!」

千早「ええ、そうね。どのように杜王町が再現されているのか、興味があるわ」

春香「そこじゃくて…実際にスタンド使いになれて戦えるんだよ?面白そう!」

千早「うーん。私はあまり得意じゃないから…」

春香「でも、私は絶対勝ちたいなー。せっかくの勝負だもん…」

千早「じゃあ、ゲーム内で一緒になったら。春香をサポートするわ」

春香「え?でもそれじゃあ勝負にならないよ」

千早「いいの。ゲームだとしても、春香の手助けが出来たら嬉しいから」

春香「えへへ。嬉しいな。じゃあ、手助けじゃなくて共闘ね!
   勝ち残っても最後は絶対私と戦う事!」

千早「約束はできかねないけど、じゃあもし会ったらよろしくね」

春香「うん!楽しみだなー。楽しみ楽しみ!」

―ゲーム内・杜王町―

千早「春香を探さないと…。春香と会う前に再起不能になってしまったら大変だもの」

 千早のこのゲームでの目的は、雑談の時点で春香の手助けと決めていたのだ。
願わくば、他のアイドルたちと出会う前に会いたいのだが…。


千早「あ…春香!」

 春香が見えた。が。しかしそれは。
見たくはない光景だった。

 春香が前のめりになって倒れている。
そして、走り去っていくやよいの姿。

 千早の目には、やよいが春香を倒し、去った後にしか見えなかった。

 愕然と、その光景を見つめ、気付いたら、やよいに向かって走っていた。
横目に、自らに発現したスタンド【>>27】を出現させて…。

ソフトマシーン

そういえば安価スタンドは原作限定?
八部はどこまで?

回転の力(鉄球)はスタンドに入りませんかー?
いや技術なのはわかってるけどさ……

>>28
自分は単行本派なので、本誌連載中のスタンドは無理です…。
単行本4巻までで、既出のスタンドなら大丈夫です。

でも、ペイズリーパークやスーパーフライのような、
破壊力の皆無なスタンドはご遠慮ください。

ホワイトスネイクはセーフなのか?
てか、チートの基準ってどこら辺だろう……

>>30
一応スタンドバトルって事だから…。
今回は遠慮してください。すません。
同じ理由で波紋や石仮面もなしの方向で。

まあ、爪act3とかは黄金回転っていう技術あってのものだけど。
そこらへんはスタンド能力の一環としてとらえるつもり。

>>32
ホワイトスネイクはセーフ。
メイドインヘブンに杜王町じゃあ成り得ないしね。

チートの基準は。
発現=勝利確定な能力。かな。
いわゆる、勝ち目が【全く】ないスタンド。


最終的には個人の解釈だけど、あまりにも無理難題スタンドはやめてってことっす。

チートじゃないけど例えてあげるならキリがないけど。
ボーイⅡマンはじゃんけん拒否すりゃ勝負ありだし、そもそもすべてのスタンドをアイドルたちが理解してるから
勝つことは100パーセント不可能だったり。
同じ理由でスーパーフライも鉄塔に近づかなければ発現者が再起不能なだけだし。

まあ、あまりにも無理ってのはすいませんが再安価させてもらいます。

逆にいえば、ザ・ワールドとか、キンクリみたいな普通に強い能力だったりは全然オッケーっす。
そんなんばっかりだと興ざめだけど?まあ、安価ですし。そうなったらそうなったで。

本編・続き

千早は、やよいが見える範囲内で尾行する。
自分のスタンド、ソフトマシーンは、超近距離型。
自分が手を伸ばせる範囲しか射程距離の無いスタンド能力。

 それ故、不用意に近づいては返り討ちにあうことは明らかだった。
しかし、春香の敵は取らなくてはいけない。

 やよいに気づかれないように、狙える場所にやよいが行く瞬間を狙っていた。


千早「春香…。ごめんなさい。私がもう少し早くあなたを見つけていれば、こんな事にはならなかったのに…」

 ゲームとはいえ、春香が倒されたことに自責の念を感じてしまいながら。
唇をキュッと噛みしめた。

 まるで日常のように、おはよう。と、近づけば。
やよいとの距離を詰められるかもしれない。そう思う事もあるが…。
やよいの頭上の体力ゲージは満タン。すなわち、無傷で春香を倒したことを意味する。

 高槻さんはこのゲームにおいて真面目に勝負をしている。

 千早はこの作戦は不可能という結論に至っていた。

 何度目かの曲がり角をやよいが曲がり、少し待って曲がり角を覗き込むことを繰り返す。
そこで…。

 気付くべきだった。


 やよいが執拗に交差点で曲がっている事を…。


千早「あれ?高槻さんが…いない?」

 曲がり角を覗き込むと、そこに姿は見えなかった。
同時に、千早の足に数発の銃弾が突き刺さる。

パパパパパパ!!


エアロスミスの、弾丸である。

やよい「ごめんなさぁい。分かってました。ついてきている事は…。
    でも、千早さんだったんですね」

 スカウターのような、エアロスミスの二酸化炭素探知レーダを目に取り付けて。
追っている方向と逆方向に、やよいは立っていた。

千早「くっ…。あなたのスタンド、エアロスミスだったのね…」

 探知できるスタンドである可能性を考えなかった時点で、千早のミスだった。
ゲーム故、足に痛みはないが、ゲーム内でのダメージ表示方法なのか、
足が重たく、動かしづらくなった。頭上の体力ゲージも1~2割減っている。


やよい「多分。尾行してきたってことは、千早さん、直接触れないと効果の薄いスタンドなんですよね?なら…。私の勝ちです!」

 やよいは千早との距離を数メートルに保ったまま、エアロスミスを構える。

直後、千早の頭上から、エアロスミスは小型ミサイルを発射ッ!。
爆撃での再起不能を図った。

 千早には避ける時間も動ける状態も無かった。
しかし、千早のスタンドは、この状況で助かる方法を生み出せるスタンド…。

 千早は、目の目に来たミサイルを、フェンシングのような針で正確に…。
突き刺したッ!


千早「高槻さん。勝利を確信するのは早計よ?
   私の能力も知らないままに攻撃を仕掛けてもよかったのかしら?」


 ミサイルから質量が消え去り、ミサイルの形をした紙のような薄さになり、
ミサイルはゆっくりと地面に落下した。
着地の衝撃によって爆発するミサイルは、落ちる速度がスローになった事で、事実上の
不発弾になってしまった。

やよい「えっと…。そのスタンド…。【ソフトマシーン】…ですか?」

千早「ええ、その通りよ。流石高槻さん。予習には余念がないようね」

やよい「でも、千早さんは今動きづらい状況には変わりありません。
    ソフトマシーンの射程距離は確かすっごく短いハズです!
    なら、やっぱり私の勝ちです!」


 エアロスミスは千早の頭上に位置を制止させ、下を向く。
ガチャリと、エアロスミスから小型のマシンガンが顔をのぞかせた。

やよい「エアロスミス!メッタ打ちですぅううう!
    ぼらぼらぼらぼらららぁあああ!!」

 舌ったらずに掛け声をあげ、雨のように銃弾を、千早へと浴びせるッ!

千早「あら…。高槻さん。
   見くびっているようね…。」

千早はエアロスミスが撃ち始めた瞬間、徐にスタンドの切っ先を自分に向ける。

千早「ソフトマシーンは、結構強いのよ?」


 刺す対象は自分自身、千早の質量は消え去り、割れた風船のようにしぼんでペラペラに
なる。
強風でも揺るがないその胸は、微風で吹き飛ぶ全身へと変貌する。

エアロスミスの着弾点は地面。
地面に穴が空き、千早に多少のダメージは入る。
が、千早は攻撃を避けるために自分をしぼませたのではない。

『逃走』ではなく、『攻撃』の一手。


 地面への着弾の一部が、先ほどしぼませたエアロスミスの小型ミサイルに接触する。
場所は千早から2M離れた地点。
ミサイルは、しぼんでいてもミサイルだ。衝撃を受けて爆発する。

 そして、しぼんだ千早が、爆風に乗って、一瞬で空中に浮かびあがる。
爆風によるダメージも、距離によって緩和。
風圧で上昇する最中に受ける銃撃も、薄さゆえに最小限。


 再起不能にはならない。それが重要である。

 そして、逆に一瞬である。
乱打に次ぐ乱打で、体力を削るエアロスミスと違って。

 ソフトマシーンは一瞬。


千早「ごめんなさい…」


 空中で体を元に戻し、エアロスミスとの距離はゼロ。つまり射程圏内。
エアロスミスが動く前に、その1刺しは……貫くッ!

千早「勝ちです…とか、そんな言葉はアイドルは使っちゃいけないのよ?
   そう思った時、行動は既に終了していなくちゃいけないの。
   【勝った!】なら!使ってもいい!」

やよい「えっと…。そのスタンド…。【ソフトマシーン】…ですか?」

千早「ええ、その通りよ。流石高槻さん。予習には余念がないようね」

やよい「でも、千早さんは今動きづらい状況には変わりありません。
    ソフトマシーンの射程距離は確かすっごく短いハズです!
    なら、やっぱり私の勝ちです!」


 エアロスミスは千早の頭上に位置を制止させ、下を向く。
ガチャリと、エアロスミスから小型のマシンガンが顔をのぞかせた。

やよい「エアロスミス!メッタ打ちですぅううう!
    ぼらぼらぼらぼらららぁあああ!!」

 舌ったらずに掛け声をあげ、雨のように銃弾を、千早へと浴びせるッ!

千早「あら…。高槻さん。
   見くびっているようね…。」

千早はエアロスミスが撃ち始めた瞬間、徐にスタンドの切っ先を自分に向ける。

千早「ソフトマシーンは、結構強いのよ?」


 刺す対象は自分自身、千早の質量は消え去り、割れた風船のようにしぼんでペラペラに
なる。
強風でも揺るがないその胸は、微風で吹き飛ぶ全身へと変貌する。

エアロスミスの着弾点は地面。
地面に穴が空き、千早に多少のダメージは入る。
が、千早は攻撃を避けるために自分をしぼませたのではない。

『逃走』ではなく、『攻撃』の一手。


 地面への着弾の一部が、先ほどしぼませたエアロスミスの小型ミサイルに接触する。
場所は千早から2M離れた地点。
ミサイルは、しぼんでいてもミサイルだ。衝撃を受けて爆発する。

 そして、しぼんだ千早が、爆風に乗って、一瞬で空中に浮かびあがる。
爆風によるダメージも、距離によって緩和。
風圧で上昇する最中に受ける銃撃も、薄さゆえに最小限。


 再起不能にはならない。それが重要である。

 そして、逆に一瞬である。
乱打に次ぐ乱打で、体力を削るエアロスミスと違って。

 ソフトマシーンは一瞬。


千早「ごめんなさい…」


 空中で体を元に戻し、エアロスミスとの距離はゼロ。つまり射程圏内。
エアロスミスが動く前に、その1刺しは……貫くッ!

千早「勝ちです…とか、そんな言葉はアイドルは使っちゃいけないのよ?
   そう思った時、行動は既に終了していなくちゃいけないの。
   【勝った!】なら!使ってもいい!」

 千早の体力ゲージは赤点滅。対してやよいの体力ゲージはフル。
しかし。

 エアロスミスは紙のようにペラペラに。薄くしぼんでしまっていた。
動くことも不可能である。

 すなわち。
瀕死だが、スタンド使いの人間と、
健康だが、生身の人間。

 勝負は、決定した。




千早「これで、あなた自身に能力を使えば、高槻さんは再起不能。
    これで終了よ。悪く思わないで」


やよい「素直に負けを認めますぅ…。
     残念ですけど、千早さんの方が一枚も二枚も上手でした…」

千早「ありがとう。後は、向こうで春香と観戦しててね」

やよい「え?春香さんはまだゲーム内にいますよー?」

千早「え?」

やよい「えっとぉ…。私と戦ったんですけど。
    その、ちょっとした事故があって、お互い一度見逃しあったんです。
    多分このあたりにまだいますよ?」

千早「そ、そうなの…?それはごめんなさい。高槻さんが春香を再起不能にしたのだと思って…。
早とちりだったみたいだわ。エアロスミスは元に戻してあげる。
元々私はこのゲームで勝つつもりはないの。ただ、春香の手助けをするなら春香を倒した人は倒そうと思っただけで…」

やよい「え?見逃してくれるってことですか?再起不能にせず?」

千早「ええ、そうy…」
やよい「駄目です!!」

 一瞬千早が固まる。
温厚なやよい…といっても先ほどはボラボラ言っていたのだが。
日常では温厚なやよいが、声を荒げた。
目が点になる。

やよい「私は今、確実に勝負に負けました!ゲームとはいえ、ここはジョジョの世界です!
    私はやられる覚悟を持って!千早さんと勝負をしました!
    なのに!千早さんはその【オーゴンのセーシン】を汚すんですか!?
    それは嫌です!私はここで生き残りたくありません!」


 千早は見た。
幼い彼女の、無垢な瞳の中に存在する物を…。
アイドルであり、少女だが。

彼女には確かに…。

 黄金の精神が宿っていた。



千早「ごめんなさい。侮辱する気も蔑む気もなかったの。
   ええ、じゃあ倒させてもらうわ。
   ありがとう、高槻さん」

やよい「うっうー!千早さんは頑張ってください!観戦で応援してます!」



 ソフトマシーンが、優しく撫でるように、やよいの肩を突き刺す。

 しぼんでいくやよいは、行動が不可能になると同時に。
空中に
【ヤヨイ:エアロスミス
再起不能】
の文字が浮かび上がる。


 千早は、アイドルの仲間を倒し、前を見据える。
千早の、目的が1つ。
増える。

春香の手助けをすると同時に。

やよいの強さを、自分の強さを持って証明する事。


千早「両方やらなくちゃあならないのが、私のつらいところよね。
   覚悟は出来てるの?」


 自問自答のように、見知った原作の格言を言い聞かせる。



一歩、春香を探すため、歩きだす。

千早「私は出来てる」

すいません。>>37>>38は重複です。

―ゲームスタート間際―

 時は多少戻り、響。
皆と同じく、生年月日と簡単な診断テストを行ってスタンドを得る最中である。


響「ふーん!完璧な自分だから、きっと完璧なスタンドがもらえるさー!
  スタープラチナとかストーンフリーとか主人公が使うスタンドとかかなー。
  それともザ・ワールドとかキングクリムゾンみたいなラスボスのスタンドかな?
  なんにしても楽しみさー!早く教えろー!」



ピピピピピピピピピピピ……。

スタンド ガ。 ケッテイ。 シマシタ。

プレイヤーネーム:ヒビキ
スタンド:>>45

ゴールド・エクスペリエンス

5部ばっかだな…

そういやGEやエコーズ、タスクみたいに能力やスペックが変化or進化するスタンドはどの状態で貰えるんだろう?
初期状態からスタートなら進化するんだろうか

>>46
舞台をイタリアにした方がよかったかしら?
なんつって。まあ、まだ4人。半分もないよ。

>>47
エコーズはなんか原作で使い分けてるからact3まで使えるってする予定。
GEはそれで打ち止め。
タスクは絶対に殺すマンは無理ゲーだからact3までかな…。と考えている

響「本当かー!本当にゴールドエクスペリエンスなのか!
  わーい!勝ったぞ!自分!これは勝ったぞー!ヤッター!」

 スタンドの決定直後から、まるで何かの大会で優勝したかのように声高らかに叫ぶ。
心の中での、(サバイバーとかだったらどうしよう)という不安が解消された故の喜びである。

響「それにしても、『生命を与える』なんて、動物と家族の自分にピッタリな能力さー!
  さーて!まずは誰を倒そうかなー!…………っとそういえば」


 響が一歩前へ踏み出そうとした瞬間、彼女は何かを思いついた。
この能力になったからには試さなければならない事。


響「そこらへんの小石をカエルにでもしてっと…」


 道端に落ちている小石をゴールドエクスペリエンスで殴り、カエルへと生命を与えた。

響「で、カエル吉ごめんよ…ちょっと抓らせてね…」

 響はそのカエルを手に乗せて、指で軽くつまんだ。


響「自分にダメージは帰ってこない…か…。
  うーん。どうやら初期のダメージが跳ね返る能力は反映されてないみたいだぞ。
  純粋に『生命を与える』能力だけかもな…。
  多分、これがないなら、人を殴って精神が暴走するのも出来ないんだろうな…。
  そこまでチートじゃないか…」


 原作において、初期にはあったが、中盤以降全く見せなくなった能力の検証だ。
響はしっかりとした予習で、某掲示板などでも、『あれはなかったことになった』という
話が多いのも知っていた。
それ故、今回のこのゲームでも、ジョルノの初期の、素敵解釈な能力は使用できるのか否かは、必要な判断だった。


響「まあ、このままでも十分強いし!よーし!改めて敵を探すぞー!」


 早速、アイドルに出会った。

響「あ!美希がいる…」

※美希のスタンド>>52

美希のスタンドは【ソフト&ウェット】。

単行本の能力が本誌で修正追加されてる場合はご了承くださいね…。

では、とりあえず今はこの辺で一旦休憩。

また今日中か明日くらいに書きます。

 響は、目の前に美希を見つける。
美希のいる場所は、駅前近くの公園。
そこのベンチの上だった。

 いつも通りといえばいつもどおりに、美希はベンチに横たわり眠っていた。


響「いつも通りすぎるぞ…。このゲームに興味ないのかな…。
  ううん…。どうしよう。
  このまま倒すのも気が引けるけど、自分のスタンドを使ってみたい気もする」

響は悩んでいた…。

1・プロジェクトフェアリーということもあり。
仲間にするため話しかける

2・先手必勝!寝ているすきにパンチをたたきこむッ!


>>59

響「ごめんな!美希!
  自分このゲーム勝ちたいし!寝るのは向こう(観戦席)でも出来るもんな!」

 響は隠れていた草村を静かに脱し、そのまま自らの足で走り寄る。
取り出すスタンドは『ゴールドエクスペリエンス』。
近距離パワー型のそのラッシュを与えれば、美希は20thセンチュリーボーイでもない限り。
再起不能は免れない。

拳が届く距離まで、あと数歩。勇み足で縮める最中。
事は起こったッ。

響「うぎゃー!!」


 そこは砂利。公園は砂利になっている。
春香でもない限り、ここでコケるような事はありえない。
いや、正確にはコケるというより…。

 滑ったッ!

 まるで。摩擦。反発し留まる摩擦力がなくなったようだった。


響「すべッ!滑るぞ!しまったぁああ!」


美希「あふぅ…。
   ツルッツルなの…」


 ソフト&ウェット。能力は、何かを奪う能力。
美希は、自分の周りの地面から…。既にッ!摩擦を奪っていたッ!

 まるでカーリングのような状態の響は、ベルトコンベアのように、規則的に美希の方へと運ばれる。


 待ち構えていたかのように、美希のスタンドが顔をのぞかせる。

美希「寝込みを襲うのは、卑怯だと思うな…。
   響…。歯ァくいしばるの!」


 ドグシャッ!


 スタンドで反撃するには、時間が足りなかった。
腹部に、まるでディアボロのような容赦のない一撃が響を襲うッ!

響「ウッ!」

 元々隠れていた草村の方まで距離を離される。
ダメージは多い。半分が既に削られる。

美希「美希の能力はソフト&ウェット。
   美希、流しでしか読んでないけど8部はしっかり読んだの!
   この能力なら、多分響くらいになら勝てるって思うな。
   めんどくさいの嫌だから。速攻で終わらせてもらうの!」


 響は体制を起こし、立ち上がる。

響「成程…。自分、美希を甘く見ていたぞ…。
  殴った瞬間か…。前が…。見えないッ!」

 美希はソフト&ウェットで、響の視界を。
奪ったッ!

美希「美希。流石にやるからには勝ちたいって思うな。
   そしてね。今近づいても危ないかもってのも分かるの。
   響のスタンド能力、まだ美希は知らないし…」

響「言うわけないぞ?バレたら襲ってこられるからな!」

美希「……え?」

響「?」

美希「ううん。響って…やっぱりバカなの」


 響自身、自分の発言の意味に気付いていない。
美希は、響のスタンドが、エボニーデビルや、アヌビス神のような。
カウンター系統のスタンドだった場合を恐れて、視力を奪った響への特攻をためらった。
そもそも、美希はジョジョの原作を流しでしか読んでいない。
ヴィジョンを確認してさえも、分かるかどうかという程度。

 しかし、響の口ぶりと、ファーストアタックで近距離まで近づこうとした点から。
その美希の不安は払しょくされたに等しい。

 現状、響は自分の能力をばらしたのと同義。


美希「響。ごめんね、恨むなら、美希とあたってしまったゲームシステムを恨んでほしいって思うな!
   ソフト&ウェット!」


 ソフト&ウェットの拳がッ!響をッ!貫くッ!


 ガキィィンン!




美希「なの!? スタンドが受け止めたの!
   視界は真っ暗のはずなのに!?」

響「危ない危ない。普通に殴りかかってくれて助かったぞ。
  ゲームシステムを恨むのは、美希の方だぞ?
  自分の親友も…。このゲームに参加させてもらってるからな…」

ハム蔵「キュ!キュゥキュキュ!」


 意外!それはハムスター!!

響「ありがとな…。ハム蔵。
視界が見えなくても、ハム蔵が全部自分に教えてくれるぞ!」

 我那覇 響。彼女はこのゲームで、スタンドを所持した。
しかし。それだけではない。超能力ではなく『技術』。
波紋のように、鉄球の回転のように…。
彼女は既に…。スデに持っているッ!!
その、超人的能力をッ!!

響「自分は、すべての動物と意思疎通が出来る!
  この事を忘れてもらっちゃあ。困るぞ?美希」

 ゴゴゴゴゴゴゴ

美希「なんだか…ズルイって…思うな。
   でも、だからと言ってこの状況は改善しないの!」

 お互い面と向かう。距離は数十センチ。
ラッシュが入る距離。

響「それは違うぞ?
  状況は既に2対1…。
  スタンドを所持しているのは、このゲームのプレイヤー…。
  人間以外も、このゲームに参加すればプレイヤーだぞ?」

※ハム蔵のスタンド>>67

愚者

美希「もしかして…ハム蔵ちゃんも…スタンドを?」

響「さーどうだろうな。これは自分の最後の奥の手のつもりだ…。
  何も言わないぞ?」
ハム蔵「キュキュ!」

 瞬間…。美希の後方に人影が現れる。
敵か味方か…。美希は確かめるために確認。そして、大きく振りかえる。


美希「ハ…ハニー!?」

P「……」

 そこにいたのは、今まで一度も出てこなかった、765プロのプロデューサー。
美希が恋をする、男性だった。

美希「わーい!ハニーも参加してたんだっ!」

 響を後方に放置し、プロデューサーの方に走るッ!
飛びつこうと、足を踏ん張った瞬間。


 ドグシャッ!

 拳のクリーンヒットした音が公園に響いた。


ハム蔵「キュッキュッキュ…!」
響「それはザ・フールで作った【偽のP】さー…。
  不用意に近づき過ぎだぞ…?敵スタンドなのに」

 卑劣…。響は、美希の心を逆手に、ハム蔵を利用しての…。『攻撃』!

美希「ううん…。しってるの…。
   不用意なのはそっちなの…。
   美希が、プロデューサーを見間違えるなんて…あるハズないの!」


 偽のPの殴った拳は、美希のスタンド、ソフト&ウェットがガード。


美希は、敢えてッ!殴られるためにッ!偽のPに接近したッ!


美希「ソフト&ウェット…。やってみたら意外とできるものなの!
   『偽のハニー』のコントロールを!シャボン玉で美希が!奪ったッ!」

 バァーン!

響「知っていたっていうのか?ハム蔵の能力!」

美希「知らなかったよ?そもそも、偽物を作るスタンドがあるってことも知らなかった。
   でも…。このハニーはハニーじゃない…。なら。
   響かハム蔵ちゃんが呼び出したものなんでしょ…?」


ハム蔵「キュ!ギュゥーーー!」

 ハム蔵は、自らのザ・フールを操ろうとするが、操作はおろか解除すらできない。
響の視界もいまだ闇ッ!
対して美希は、ソフト&ウェットに加え、砂でつくられたプロデューサーを手中に加える。


美希「勝負…あったの…!
   AAAAAAFUUUUUUUUUUUUU!!!!」

 プロデューサーと、ソフト&ウェットの拳が、響を襲う!


※響はどうする!?

1…完璧な響は突如反撃のアイディアが浮かぶ
2…仲間が助けにきてくれる
3…かわせない。現実は非情である
>>72

この選択肢なら3を選ばざるを得ないww

答えー③…③…③…。


美希「AAAAAAAFUUUUUUUU!!!!」

 ゲージが削れるッ!乱打に次ぐ乱打ッ!

ドガバキグシャァッ!


 ピピピピピピ…再起不能…。


 データの文字が空中に表示される。
それは、ゲームの終わりを告げる証。


響「うぅ…グズ…グズゥ…」

 涙を浮かべる響。
そして、息を吐き、拳を止める美希。

ピピピピピ…。
【ハムゾー:ザ・フール
 再起不能】

美希「なの!?」

 再起不能者は…。なんと…ッ!
ハム蔵ッ!!
表示機の故障ではない。それは。紛れもない!
事実ッ!

響「ハム蔵…。自分が負けそうになったってハム蔵が犠牲にならなくても…。
  ハム蔵…。お前もこのゲームを楽しみにしてたんだよな…。
  ハム蔵…。お前もスタンドを使って一緒にゲームを楽しみたかったよな…。」

ハム蔵「ニヤリ」

響「カッコつけやがって…」

 防いでいた。響ではなく…。ハム蔵が。自らを盾にして。
それは、響に対する、飼い主に対する動物と人間を超えた愛情なのか…。
ハム蔵は、自らの命と引き換えに…。

美希「あふぅ…」
響「でも…。今の自分には、悲しみで泣いている時間なんかないぞ!」


 起き上がる響。
ラッシュは防いだ。コントロールされた砂は、イギー…。否、ハム蔵の再起不能と同時に崩れ去った。
状況は振り出し、1対1…。

響「原作にも同じ状況があったぞ?
  この先の展開…。美希は知ってるか?」
美希「知らないの。だからこそ。美希が勝つしかないって思うな」

 行動したのは…。響ッ!


響「ゴールドエクスペリエンス!」


 あたりめがけて拳を打ち出す。
前はいまだ見えていない故の四方八方への乱れ打ち。
ベンチに…街頭に…。公園のあらゆる物へゴールドエクスペリエンスは拳を打ちつける。


美希「そんな攻撃…。当たるわけないの!」

響「そうさー。当たるわけがないさー。
  だって、当てる気がないからね…」

美希「どういうことなの?」


 殴るものは、すべて…。生命を与える。
それが…。ゴールドエクスペリエンスッ!

 美希は、知らない。何故なら。
美希はまだ、響のスタンドを知らないままだったッ!それ故!対応しようと考えた瞬間ッ!
行動は終わっていた!


 ベンチは虎にッ!街頭はコブラにッ!柵はシマウマにッ!
ワニにッ!モモンガにッ!ブタにッ!牛にッ!

 生命をもって動き出していた!

響「飛び出せどうぶつワールド…出張版だぞ!
  いくぞー!皆ー!!」

響は目の前が見えない。だが、動物たちに頼むことはできる。
目の前の敵を、目の前の美希を、倒せと。
頼む事、話すことはできる。
スタンド能力ではなく、それは…。響の『技術』ッ!


美希「四面楚歌なの…。はぁ~あ…。もう少し楽しめると思ったのに…。」


響「HAAAAAIIIISAAAAAAI(はいさーい)!!!!」


 ゲームの外。現実世界だったらR指定が入りそうな映像になること間違いなしの。
動物たちの攻撃が、四方八方から美希を襲った…。

美希は、これに対抗する手段と時間を…。持ってはいない。



………。



ピピピピピピピ…。

【ミキ:ソフト&ウェット
 再起不能】


響「なんくる…ないさー!」

美希「負けちゃったの…。でも、元々ハム蔵がいなかったら勝ってたって思うな…。
   ううん。違うね。それも含めて響。美希は、響に負けたの!」

響「自分は完璧さ。美希、胸をはっていいぞ!美希は【優勝者】に負けたんだ!」

美希「勝たなかったら…承知しないの!
   ハム蔵ちゃんと観戦席で応援してるから、絶対勝つの!」


 響はその返答を言葉に出さず、消えかかる美希を背中に向け。
手を振った。「当たり前だぞ」と言うかのように…。


響「さーて。次の相手はどいつだー!?」

―同時刻・某所―

亜美「居た!」
真美「居た!」

 響が美希を倒し、千早がやよいを倒したのとほぼ同時刻。
双海亜美と双海真美はお互いを見つけた。

亜美「探したよー真美。ここまでに何人かに見つかりそうだったけど。
   なんとか無事だよー」
真美「真美だって同じだよー。でも、やっぱり息ぴったりだね!
   思ったより早く見つけられた!」


 元々、亜美と真美は、ゲーム前に共闘の約束をしていた。
二人で勝ち残って、最後に決勝戦をしようと。
それ故、皆から逃げながら、互いを探していたのだ。

亜美「んっふっふ~!さてさて真美殿?スタンドをお互いに公開しようかのう!」
真美「お主も気が早いのう亜美殿。それでは、せーのでいきますかの?」
亜美真美「せーの!!」

亜美「>>79 !!」
真美「>>81 !!」

※スタンド安価

オアシス

ホワイトアルバム

亜美は【オアシス】
真美は【ホワイトアルバム】
で、決定しましたー。


装着型のスタンドって他にあったか?
なんにせよ、このスレ、安価が空気を読み過ぎてヤバい。

>>87
イエローテンパランス

二十世紀少年

後、マンダムも装着型と言えるか?

>>88
20thは自分も思ったけど。節制も装着型っぽいね。


本編の続き↓

 二人は同時にスタンドを出現させる。
しかし、お互いがお互いの想像と違っていた。
お互い、すぐ横にスタンドが出現すると思っていたからだ。

亜美「あれ?真美!!それホワイトアルバムじゃん!」
真美「え?亜美はオアシスじゃん!」

 お互い、装着型のスタンド。
スタンドには、様々な種類がある。
群衆だったり、機械のようだったり、意識があったり。

 しかし、装着型のスタンドは、ごく僅か。
しかも、純粋に戦闘力があると言えばこの2つ。

 さすが双子というべきか…。似たスタンドを発現させていた。

亜美「んっふっふ~。亜美のスタンドでなんでもドロドロだよ~!」
真美「んっふっふ~。真美のスタンドでなんでもカチコチだよ~!」


 二人は満面の笑みを浮かべる。
凄く面白そうなスタンドだと、お互いのスタンドを装着する。

亜美「さ~て、真美!
   敵を探しに行くよー!」

真美「もっちろーん!さっきあっちでお姫ちん見つけた!」

亜美「ぬぁにぃ!それは行くしかないじゃないか!」


 真美は地面を凍らせ、そこに適当な葉っぱでつくったソリを滑らせる。
スケートが出来ない真美は、ミスタのようにソリでの移動を選んだ。

 真美は、地面を泥化させ、真美の横に着くように。手をつなぎ、着水した。

 そして、相談もしていないのに、お互い分かっていたかのように。
氷に滑る真美に、まるでバイクのサイドカーのように手をつないで地上を泳ぐ真美。


 この二人での、最速の行動スピード。
真美が見つけた、四条貴音が居た場所まで、時速60キロで走りぬけるッ!

先にお姫ちんのスタンド安価

コードネーム:タカネ
スタンド:>>93

シビルウォー

真美「みっけ!お姫ちん!」
亜美「本当だ!」


 二人は移動を辞めて、オアシスで二人地面に潜る。
目から上だけ生やして、四条貴音を見張る。


 貴音は、きょろきょろとあたりを見回しながら、ひとつの廃墟へと入っていく。

真美「廃墟だね…。どうみても廃墟…」
亜美「この杜王町。さっき工場っぽいのも見えたし。
   色んな戦闘を考えて作られてるっぽいね」


 貴音が完全に廃墟に入ったのを見届けると。
亜美と真美は再び地上へ浮かび上がる。


亜美「でもでも。あえて室内に入ったという事は?」

真美「バッドカンパニー?」
亜美「クリーム?」
真美「ティナーサックス?」

亜美「うあうあー。それは殺傷能力なさすぎっしょー!」

真美「じゃあパープルヘイズ?」

亜美「……それだと亜美たち速攻終わるんじゃない?」

真美「凍らせたら余裕っしょ!」

亜美「まあ、なんにせよ。
   室内で戦うのに向いたスタンドってことだね?」

 亜美と真美は、お互いが本音であり、お互いが代弁のように。
ピンポンのラリーのように対話する。

真美「すなわち!真美のホワイトアルバムで、廃墟ごとカチンコチン?」

亜美「それともそれともー?亜美のオアシスで、地盤ごとドッロドロ?」

真美「でもー?」
亜美「それだとー?」
真美「面白くー?」

亜美真美「なぁーーーーーい!!!!」

 亜美と真美は。
勝ちにこだわるのではなかった。
これはゲーム。亜美と真美の好きなゲーム。
もしこれがRPGで、最初の村に「ちからのみ」が無限採取できるスポットがあったら。
おそらく彼女達は無視して先に行くだろう。
もしこれが2D格闘ゲームで、ジャンプ攻撃のみでホッピング永久コンボが出来たら?
おそらく彼女達はそれを使用しないだろう。


 彼女達は、確実な勝ちを望まない。
あくまでもそれは遊戯。遊びッ!戯れるッ!
それが必要不可欠なのだ。

 その行為…。本来は暴挙であるが。
こと貴音のスタンドに関しては、図らずも正解の一手かもしれない。

亜美「鉄砲玉の亜美!オアシスで潜伏任務!開始します!」
真美「了解!飽きたら叫んで知らせてくれ!同時に、氷の魔女、真美は、外から凍らせる!」
亜美「同時に亜美は、オアシスで地中から逃げ出す!」
真美「ラックを!」
亜美「プラックを!」

 相談はしていない。ただ、お互いは分かっていた。
今自分が何をするべきかをッ!


亜美「泳ぐの苦手じゃないけど得意でもないんだよねー…。
   これで溺れたら負けちゃうのかな?ありゃりゃ?そんなのドラえもんで見たような…」

 能天気に貴音とは明後日の方向なことを考えながら…。
ドアを開けず、地中から廃墟へと潜入を開始する。


 オアシスの効果範囲を自らの周囲数センチにすることで、地盤の変動を防ぐ。
そして、2階への階段がないことから。この廃墟は平屋。
すなわち…。このどこかに四条貴音がいるッ!


 ガサ…。

亜美は横にあるゴミに、ふと…。目が行った。
そこには、廃墟のはずなのに、目新しい…。
何かしらの容器ッ!!

亜美「なんだろ…これ…」

 それに触れた瞬間ッ!
ビデオテープのようにッ!。脳裏に思いだされるッ!

……(美希)亜美―!美希のイケイケファンシーゼリーまた食べたの!?…
……(響)それはひどいぞ亜美!自分も食べたいから美希に頼んで2個買ってもらったのに!…
……(亜美)うあうあー。ごめんなさい!……


亜美「これ、私がミキミキとひびきんのを勝手に食べたゼリーの容器…?」


 ズルリ…。


亜美「うあうあー!なにこれ!ひっついてく…る…」


 亜美は驚きのけぞった。しかし、尻もちをついた場所にもッ!


……(亜美)やよいっち!後ろからいきなりのぉー!ハイタッチィ!……
……(やよい)うわぁああ!ベチャ……
……(亜美)あれ?手に持ってたの…ケーキ?……
……(やよい)グスン…うぇぇん!せっかくプロデューサーにご褒美で貰ったケーキがぁ!…

亜美「あの時の…落としちゃったケーキ…」


亜美「これはあの時のいおりんぬいぐるみ…」
亜美「これはあの時のりっちゃんのメガネ…」


 まとわりつく物。それは全て。
亜美が罪悪感を得るもの…。


 どこからか…聞こえる。皆の声。その声は口々に言う…。

「サイテー」「信じられない」「バカ」「最悪」
「考えなし」「ふざけるな」

 今まで言われた事のなかった罵詈雑言。

亜美「うあうあ……ごめん…なさい…」



 バキン!!バキバキン!!

 体に膜のようなものが張りつく。
痛みはないが、体がポキリと折れる…。
まるで、今の亜美の心のように…。

 同時に…気付くッ!


亜美「まさか…お姫ちんのスタンドは……」


ゴゴゴゴゴゴ


亜美「シビル・ウォー!!!!」


 気付くッ!だが!だがしかし!
今の亜美に、対抗手段はないッ!
地中に潜っても…。スタンド攻撃は続くッ。


貴音「ご名答…と申しましょうか。わたくしの「すたんど」は、【しびる・うぉお】です。
   なんとも面妖な能力ですが、この能力。意外と気に入っております…」

 瓦礫の陰から、貴音は、姿を現す
彼女の横には、シビルウォーが座っている。

貴音「すたんど能力とはいえ、双海亜美…。あなたにこのような事を体験させるのは。
   いささか【罪悪感】があるものですが…。
   この罪悪感そのものが、今回のげぇむではわたくしの武器!」


 同情と興奮を併せ持つまなざしで。
再起不能になっていく亜美を見つめる貴音。

亜美の体に、数多の『捨ててきたもの』が張り付いて来る。
同時に心が折れて、体がそれに押しつぶされようとしている。


亜美「ちょっと本気で心折れかけたよ…。
   でも、残念だね!お姫ちん!」

貴音「何が出来るというのですか?双海亜美!」

亜美「確かに亜美はなーんにもできない…。
   でも!」
真美「真美なら可能だよん!」


亜美の横には、いつのまにかッ!真美の姿がッ!
真美は、亜美の作った泥のトンネルを泳いで、廃墟に侵入したのだッ!

 叫んで合図が送られたわけではない。
完結に言えば、勘である。嫌な予感…。それが真美の脳裏をよぎったのだ。

 双子故のシンパシー。波長を受け取り、亜美を助けるべく予定外の行動で…。
助けに来たッ!


真美「ふっふっふ~ん!どうやら真美のスタンドは。
   お姫ちんのスタンドと、めっっちゃ相性よさそうだね!」

 着用するホワイトアルバム、して能力を、シビルウォーの攻撃を食らう。
亜美に使用!

 亜美の周りを凍らせ、氷の棺を一瞬で作り上げる。


貴音「そのすたんど…【ほわいと・あるばむ】!」


 シビルウォー。
それは、捨て置いたものを利用し、その罪悪感で押しつぶす能力。
発動したら最後の最強で最悪な能力だが。
唯一つ。唯一。

 弱点があった。

 それは…。『清い水』!


 そして、ホワイトアルバムでつくりだした氷は、純度100パーセントの氷。
それが、体に触れた瞬間。体温で溶け、『水』に変わるッ!
すなわち!

真美「お姫ちん。あなたは…。戦う敵を!間違えたッ!ドジャァアアン!」

 亜美の捨てたものが…。浄化され!消える!

亜美「ふぃ~。真美!今のめっちゃカッコよかったよ!」
真美「どう?サイキョーの登場シーンでしょ!」


貴音「成程…。清き水は氷を作る事により…
   解消されたという事ですか」


 亜美と真美はスタンドを被り、貴音の前で体制をとる。
しかし。攻撃はできない…。

真美「言い聞かせるんだよ亜美!今からする攻撃は、正当なる防衛だよ!」
亜美「モチのツモっしょ!!罪悪感を持ってお姫ちんを倒しちゃうと。
   究極生命体状態で復活されちゃうもん!」


貴音「ふふふ…残念ながらそうはいきません!
   わたくし。このジョジョの奇妙な冒険のげぇむ。まこと楽しみでした。
   どのようなすたんどで戯れる事が出来るのか。
   あなたたちもそのはずです。
   倒されたら、もうこのげぇむに参加することは不可能…。
   もしも、正当なる防衛でも、倒した者はもうげぇむが出来ない…。
   それにお二方は、罪悪感を感じずにいられるのでしょうか」

 不敵な笑みを浮かべる。
貴音は、何故今。目の前に姿を現したのか。
それは。倒されるため。罪悪感を持って、倒されるため。
もし二人の前に顔を出さないままでいれば、二人は攻撃に対する正当な防衛故。
罪悪感を感じず倒せただろう。

 だが、貴音が語ることによって。今ッ!
亜美と真美の心に芽生えるッ!倒すことへの罪悪感ッ!

亜美「うあうあー。そんなこと言うのは酷いよお姫ちん!」
真美「真美たちだってめっちゃ楽しみだったんだもん!」

貴音「言い返させていただきます。
   双海亜美。双海真美。二人は、戦う敵を間違えたッ!」


 貴音は『来いよ』と、手のひらを上に、指を曲げポーズをとる。
誰にでもわかる挑発。

亜美「むっかー!お姫ちん!亜美たちが攻撃できないのを良い事に!」

真美「でもさでもさ…真美思ったんだけど…」

亜美「!!確かにそうっしょ!」

 

 実際には何も言っていないのだが、2人には通じる。
そして、解説するようにジョジョ立ちを決め、二人は貴音に言い放つ。

亜美「んっふっふ~。お姫ち~ん!
   お姫ちんを倒して罪をおっ被るってことは!」
真美「真美たちに、お姫ちんのトラウマがばれちゃうってコトだよ~!」
亜美「【とっぷしぃくれっと】が、亜美たちにバレるのって。
   めっちゃヤバいことっしょー?」

貴音「ッ!!」

 貴音は身を硬直させ。
その事実に身震いをする。


貴音「それは!あってはなりません!」

亜美「だっしょだっしょ?」
真美「じゃあ大人しく自滅でもしてくださいよ~お代官様~!」

貴音「いえ、それもなりません」

亜美「え~わがままが過ぎるっしょ!」
真美「じゃあどうするのさー!」


貴音「簡単です。わたくしが二人を、倒せばいいのです!」

 貴音はそばにあった瓦礫を、シビルウォーで蹴り飛ばす。
しかしそこに威力はなく。
埃が部屋中に蔓延するだけである。

亜美「ゲホッゲホッ!お姫ちん何するのさー!」
真美「ヤキが回ったんっしょー!」


 それを繰り返し、埃が空気中に散布する。

貴音「これでいいのです。
   清き水が、いかほどの純度を保てばいいのかはいささか不明ですが。
   埃被った空気を凍らせた『ほわいとあるばむ』の水滴は。
   果たして…【清き水】なのでしょうか?」

亜美「ぬぁにぃ~!」
真美「まさか貴様ァ!これが狙いなのかぁあああ!」

 オーバーリアクションで二人は驚く。
そして、ホワイトアルバムで作り続けていた氷から流れる水滴が。
暗い色へと変色していく。

亜美「うあうあー!ヤバいっしょ!」
真美「捨てたものが…体に!」
亜美「もう皆から怒られる記憶思い出したくないっしょー!」

 再びシビルウォーの攻撃が再開される。
それを洗い流す、清き水から、清らかさが消えた証だった。

貴音「私は二人を倒せません。
   この能力の発動は、わたくしにも有効です。
   わたくしが【悪い事】をすれば、わたくしの罪悪感の中で蘇るのですから。
   逆に二人が、わたくしを倒せば、わたくしはあなた方の罪悪感の中で蘇ります」

淡々と告げる。

貴音「ですが。この能力で心を折られた場合…。
   それは二人が自分自身の【罪悪感】により押しつぶされるのです。
   確かにわたくし、【しびる・うぉお】の能力ですが。
   わたくしはただ、【罪悪感】を利用するだけ。
   双海亜美。双海真美の二人に対して、罪の意識はあっても。
   おっ被る正真正銘の【罪】は存在しないのです!」


 それが数少ない。このシビルウォーのもとで倒せる方法。
自滅。

シビルウォーの罪悪感での心の膜。それによって押しつぶされる事は。
いわば自滅。攻撃ではない。攻撃はその膜を嗾ける事…。

 故に。このシビルウォーの能力で倒される時。
それは、おっ被りの蘇りを防ぐ方法だった。

 バキン!バキキン!


 罪の意識が、亜美と真美を襲う…。
逃れる方法はない。
射程圏外にでようにも、今の状態では。オアシスで沈もうとも、ホワイトアルバムで滑ろうにも。
体の身動きが取れないのだ。


真美「ねぇ…亜美…?」
亜美「え…?」

真美「ホワイトアルバムで、亜美を凍らせて倒せば…」
亜美「…!?」

真美「真美の罪悪感で、亜美は守られるって…ことっしょ…?」
亜美「だったら亜美のオアシスで、泥をつららにして真美を倒すっしょ!
   そうすれば真美は亜美の罪悪感の中で守られるっしょ?」
真美「ううん……」


貴音「…………」


真美「真美はお姉ちゃんだから…!亜美の罪も、亜美自身もぜーんぶ!おっ被るっしょ!」
亜美「真美………。まみぃいいいいいいいい!!!!!!」


 亜美の叫び声は、ピタリと止んだ。
全身が氷漬けになった証だ。

 刹那。亜美のゲージはゼロへと一瞬で切り替わる。
そしてまた瞬間的に、ゲージはフル回復する。


亜美「真美…。真美の覚悟がッ!言葉でなく!心で『理解』出来た!
   お姫ちん。亜美たちの力!舐めないでよね!」

 蘇った亜美に、罪悪感は存在しない。
それは全て真美がおっ被ったからだ。

 真美は心の膜にギチギチに縛られて、体もほぼ球体になっている。
ゲージが等速で、さらに言えばおっ被った事で速くなり。
もってあと数10秒の命だった…。

貴音「これで双海亜美は、わたくしでは【絶対】に倒せない相手になってしまいました…。
   しかし、双海真美はおっ被りました。もう幾許かの時間が過ぎれば再起不能です」


亜美「でも。今シビルウォーの効かない亜美は…。
   スタンド攻撃をお姫ちんに繰り出してたおしちゃうよ?
   そしたら、お姫ちんのトラウマ…ばれちゃうよ?」

貴音「それは……なりません……」


 亜美は拳を構える。
貴音は唇を噛み一歩後ずさりをする。

貴音「しかし…。わたくしも負けることは嫌なのです…。
   せっかくのげぇむ。もっと楽しみたく思います!」

亜美「うあうあー。往生際が悪いなー…。
   じゃあ、倒してトラウマおっ被っちゃうよ?」

貴音「なりません!」

真美「らぁめん…ボソ」

亜美「そうだ!ラーメン!ゲーム終わったらラーメン食べに行こうよ!
   それを奢ってあげる!」

貴音「買収する気ですか…!」

亜美「だぁって~。このままだと進展なしっしょ!
   だから、このゲームは亜美たちに花を持たせて、あとでお姫ちんにもお礼するってこと!」


 貴音は、数秒下を向き思考する。
そして。出した結論は…ッ!

貴音は振り向き。押す…。強制終了ボタンをッ!

貴音「約束は守ってください。ジュルリ…。」

亜美「んっふっふ~。もちろん!お姫ちん!
   最強の敵だったYO!」


【強制終了ボタンが押されました。
 タカネ:シビルウォー
 再起不能】


 貴音が涎を拭きながら、手を振り目の前から消える。
貴音は、自らを貫き。秘密を守る事を選んだ。
相手が貴音だからこその、勝利だったッ!

 もしもシビルウォーを発現したのが貴音ではなかったら。
そう思うと、心底身が冷える。亜美だった…。

亜美「真美は!間に合った!?」

亜美は真美の方を振り向く。
おっ被った罪によってダメージを断続的に受けていた真美。

そのダメージは、体力がゼロになる前に止まったのか。
ゼロになる方が早かったのか…ッ!


真美はッ!

※真美はどうなった?
1・ギリギリで持ちこたえた。真美は生きている。
2・再起不能。
  亜美の目の前には【再起不能】の文字だけが浮かぶ
>>115 ~ >>119
で、多かった選択肢

選択肢が見るまでもなく1のオンパレードなので。
119を待たず、1に決定っす。

真美「なんとか…持ちこたえたぜ!」
亜美「危ない所っしょ!ちょっとこのまま休憩して、次の敵を探そうよ!」
真美「そうだね…。急がばマーガレットだね!」
亜美「違うよ真美!イソギンチャクまわれだよ!」

急がば回れという意味合いを、双方とも間違った言葉で表し、二人はしばしの間。
廃墟に居続けることにした。


 双子の力は無限大である。
元々味方を作りにくいのが、バトルロワイヤル方式の戦闘であるが故。
二人は他のプレイヤーにとっての猛威になる事は、間違いなかった…。

とりあえず今まで出てきたキャラとスタンドは…。
春香…スパイスガール
千早…ソフトマシーン
やよい…エアロスミス(再起不能)
響…GE
ハム蔵…ザ・フール(再起不能)
美希…ソフト&ウェット(再起不能)
亜美…オアシス
真美…ホワイトアルバム
貴音…シビル・ウォー(再起不能)


んで、次は律子とあずさと伊織の予定なんで。
先に一気に安価でスタンド決めちゃいます。

共闘ではなく。みつどもえでの対戦です。

順番に1つずつ。
まず律子

【プレイヤーネーム:リッチャン
 スタンド>>124

ストーンフリー

続いて。

【プレイヤーネーム:アズサ
 スタンド>>127

キンクリ

キンクリはいいんだっけ?

まじ…かよ…。

まぁ、最後ー。

【プレイヤーネーム:イオリチャン
 スタンド>>130

イエローテンバランス

>>128

キンクリは許可してるつもりー。
チートの範囲【発現=勝利】じゃあないからね。

多分キンクリを却下しちゃうと、シビルウォーも却下だと思うの…。

そんで。

リッチャン…ストーンフリー
アズサ…キングクリムゾン
イオリチャン…イエローテンパランス

に決定しやしたー。

 ついに時間操作が来たか…。


そんで、今日はこの辺で!
続きは明日中に投下します!

乙です~!

―杜王町・駅周辺―


律子「うーん…。
   使い勝手はいいんだけど。罠を張るには不十分よね…。
   糸の結界を張るだけだと、マジシャンズレッドとかにもし来られると私自身に大打撃だわ…」

 律子は、自身に発現した【ストーンフリー】を見つめながら。
駅にいた。


 律子の出現位置から多少離れた駅に居を構えるのは、自身のスタンドが。
屋外より屋内向きだと知っているからである。

 律子は、ジョジョの奇妙な冒険を2週間で3周読破した。

 1週目は3日で読み切り。2週目は細かな点を10日で読み切り。
最後に1日で流すようにおさらい。
ネット上でのよくあるスタンド議論も須らく目を通した。

 彼女にとって、このモニターは仕事。
すなわち。全力を持って臨んでいる。

律子「チームワークを使ってこられるとまずいわね…。
   この場所ならホームの入り口以外からの侵入経路は無し…。
   おっと、時間操作系や幻覚系の対策しなくちゃ…」

律子はまず。
駅の中の駅員室へと移動。
ここからなら、侵入経路はホームの入り口のみ。更にドアをくぐらなければいけない。

水道の蛇口を2つ。別々のペースで少しだけ捻る。
キングクリムゾンやマンダムへの対策。音のリズムの変化に気を配る。

しかしその蛇口には近づき過ぎない位置に座る。これは、クラッシュへの対策。

鏡は全てカーテンやテープで隠した。マンインザミラーやハングドマンへの対策。

更に駅員室には冷房を聞かせ、小型の冷蔵に氷があることを確認。
グレイトフルデッドへの対策。

アクトンベイビーや、ベイビィフェイスのように。隠れながら侵入される事を防ぐために。
糸の結界も張り巡らせる。

 更にバステト女神等の、触れる事で発動するスタンドも警戒して。物には触れない。
更にブラックサバス対策に蛍光灯を照らし影を無くす。


律子「完全要塞の完成よ!
   みんなが敵を探すだろうから。私は待ってれば罠にかかる…。
   完璧な計画じゃない?」

 返答の無いストーンフリーと会話する。
律子は、向こうからの死角になる位置で。
ホームの入り口をじっと見つめる。



秋月律子。彼女にこのゲームにおいて、精神的動揺によるミスは、決して無いッ!
と、思っていただこう!

 律子が待ち続ける事十数分。
彼女はひと時も気を緩めず、真剣なまなざしでホームの入り口を見つめる。

律子「来たッ!」


 ホームの入り口の人影を察知する。
しかし、その影は、参加するアイドルのいずれかでもなかった。
彼は一度だけ見覚えがある人間…。

律子「……バンナムの…ゲーム会社さん?」


 律子たちが、このゲームをする直前に、説明をしてくれた男性の姿だった。
その男性は、誰に言うでもなく、あたりをきょろきょろしながら大きな声で叫ぶ。


バンナム「プレイヤーの皆様!緊急事態です!隠れている方もお聞きください!」

 血相を変えたように、あわてながら、口に手を当て叫ぶ。
それを見た律子は、同じく目を見開かせ、駅員室から飛び出した。


律子「えっと!どうなさったんですか?」

バンナム「あ、律子さん!すいません…。突然のアクシデントが発生して…。
    ゲーム側のアクセスと強制終了ボタンが効かなくなってしまいました…。
    このままでは、さらなるアクシデントの恐れがあるので、すみません。
    そちらの後ろ側の強制終了ボタンを押していただけますか?」


律子「え…そんな!わかりました!」


 それは、ゲームの不慮の事故の知らせだった。
元々モニターとして行ったゲームだ。このようなアクシデントも起こりうるということだった。
律子は疑うそぶりもなく、従順に従う。


バンナム「では…。そちらのボタンを…」
律子「はいッ!」


 律子は振り向き、自分の後方にある強制終了ボタンへと手を伸ばす。

バンナム「ニヤリ」


律子「所でバンナムさん?後ろから急接近する自販機には…
   お気づきですか?」

バンナム「何ですってッ!?」


 ストーンフリーは、社員の後方へ糸を伸ばし…。
自販機を…ッ!手繰り寄せるッ!


 ドッグォン!!


バンナム「………」

 社員は、首を多少曲げたままで制止。
自販機は、まるで低反発枕から離れるように、ゆっくり地べたに落ちる。


バンナム?「いつから?」


 社員は、人が変わったように、睨みを聞かせて、一歩後ろに歩をとる。

律子は既に知っていたッ!彼は社員ではないということをッ!スタンド能力で変身しているという事をッ!
そして、自販機をぶつけたのにダメージがないという事は。その変身はガードも兼ねている…。

 それが可能なスタンドは、3~8部含めて唯一つ!


律子「そうね。色々あるけれど。
   このゲームって。別に意識を飛ばすなんて言う物じゃなくて。
プラネタリウムのように写して遊んでいるのよ?
それなら、こうやって面倒くさい方法をとらなくても、主電源を落とせば話が早いわ
それに、社員さんは私の事、秋月さんって呼ぶし。
あなたは誰?イエローテンパランスさん!!」

イエローテンパランスのみッ!!


 バンナム「バレてしまったのならしょうがないわね…」


 社員の顔が、まるでスナック菓子の袋のようにバリバリと破れる。その中から顔を出す。
スタンド使いのアイドルッ!


伊織「これが本体の…プリティーフェイスよッ!」


バァーーーーン!!

律子「あら、伊織だったのね?」

 律子は振り向きざまに距離をとる。
敵のスタンドはイエローテンパランス。
すなわち、その肉片に触れると吸収される恐れがあるのだ。

 律子はそれを知っており、距離をとる。


伊織「そうよ?あーこの肉片…?とっても趣味が悪いわ…。
   正直こんなのよりシンデレラとかの方が伊織ちゃんらしくない?」

律子「はぁ……。シンデレラでどう戦うつもりなのよ」

伊織「何にせよ。見破った事に関しては褒めてあげるわ」

 伊織は得意満面の笑みで、再びイエローテンパランスを被る。
今回は人型ではなく、まるで宇宙服のような形をまとって。

 伊織は、出来るだけこの肉片を地肌にひっつけたくはないが故の、使用方法。

律子「その方法。やるじゃない…。ダメージは吸収するし、叩けば肉片がつく。
   使いこなしてる…って、褒めるべきかしら?プロデューサーとして…?」


律子「でも。大丈夫。私のデータベースには。
   しっかりと載っている…」

律子は自らの頭を指差し、笑みを切り返す。
彼女はほぼすべてのスタンド能力に対する対応策を、数パターンずつ準備していた。
イエローテンパランスも、例外ではなかった…ッ!


律子「オラオラオラオラオラァ!!」


 律子はストーンフリーで殴りつけるッ!矛先はッ!天井ッ!
狙いは天井の崩壊。すなわち…。天井の落下を意味するッ!


律子「そのスーツを着たままで俊敏には動けない。
   この瓦礫の落下に、伊織は対応できないッ!」

伊織「あら、残念ね…。この伊織ちゃんのスタンドなら、そんな瓦礫は養分としていただくわよ?」


律子「ええ、それも知ってる。だから…」


 律子は瓦礫が落ちるさらに上へと浮上し、瓦礫と共に下へ急降下する。
その両拳を、瓦礫にめがけて。

律子「吸収される前に!重力でッ!圧力でッ!押しつぶすッ!
   オラオラオラオラオラオラオラァ!」




 瓦礫が地面にめり込むッ!囲むように!逃げる暇を与えず!

伊織「え?」
律子「あら?」


 そして、二人は気付く。
伊織は先ほどから数歩歩いた位置に逃げている。

律子も、思った以上に乱打しており、瓦礫が砂のように小さくなっている。



伊織「私はいつ…ここまで逃げたの?」
律子「私はいつ…ここまで殴ったの?」


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!

伊織「なによこれ…」
律子「ハッ!」


 その疑問に対する答えを、律子は一瞬で見つけた。


律子「伊織ッ!一時避難よ!ここは危ない!」
伊織「え?ちょっと待ちなさいよ!」

律子「いいからッ!このままじゃあ二人とも仲良く再起不能よ!」

伊織「ちょっとー!どういう事か説明くらいしなさいよー!!!!」



 律子はただひたすらに走る。
ホームの入り口しか出入り口がないなら…ッ!

逆に思いっきり中へと入った!

地下のプラットホームへ逃げるッ!地下なら。屋内ならまだ、
ストーンフリーで勝ち目があるッ!
そう、律子は考えた。

 そして、意味も分からぬまま伊織もそれについていく…。





そして、その逃げる二人を遠目に。

駅の入り口ではひとり。アイドルがスタンドを出し、ため息をつく。


???「あらあら…。逃げられてしまいました…。うふふふふ」

 今日は色々ドタバタしてて、書き溜めもこんくらいだし。
今から別件があるんでまた明日っす。

乙です。

律子「はぁ…はぁ…」

 律子は地下鉄の乗り場へ走り、到着。
息を切らせ、膝に手をつき、後方を確認する。
伊織が同じく息を切らしながらついて来るのみで、他の敵の姿はない。


伊織「ちょ…ちょっと…。
   私に勝てないからって逃げるなんてそれはないんじゃないの!?」

律子「違うわ…」

伊織「え…?」


 伊織の質問に、一言だけで返答する。
律子には余裕がない。
律子的危険度Sクラスのスタンドと対峙しているのだから…。

律子「誰かは分からないけど。何のスタンドが近くにいるかわ分かってる…
   伊織…。今は私たちが戦うべきじゃあない…」

伊織「やっぱりさっきのは…。スタンドなの?」

律子「えぇ、あなたも一通り原作を読んでるならさっきので理解するべきよ?
   敵のスタンドは…キン…」



 言葉が途切れる。

律子は、今の今の瞬間まで、伊織と向き合って喋っていた。

何故なら、律子たちが下って来た階段。敵はそこから来る。そう考えていたからだ。
後ろの伊織の方をずっと向いていたはずなのだ。

なのに…。


律子「ねぇ、伊織はいつ、私の後ろに回ったの…?」


 伊織が、律子の後方へいつまにか移動。律子は目の前から伊織が消え、再び振り向き。
伊織を見た。

伊織「違う。私じゃないわ…。違うの…。
   後ろに行ったのは私じゃない…。私じゃない…」


伊織は声を震わせる。
伊織の目には映っている。恐怖の対象、畏怖の対象のスタンド。恐ろしいスタンド。

律子の後ろに。

伊織「律子…。アンタよ。振り向いたのは…。アンタ…。
   逃げてぇえええええええ!!」


あずさ「キングクリムゾン…。時は吹き飛び、結果だけが残ります。
    あらあら。うふふふふふ…」



 一瞬、空間がひずんだようだった。キングクリムゾンが時間を消し飛ばした証。
伊織の目に映ったのは、律子が再び振り向いた瞬間、倒れこむ律子だった…。


律子「どこから入って………来たの……」
伊織「律子ぉおおおおおおおお!!!」

 階段からではなかった。
三浦あずさ。彼女は…。地下鉄のレールから入って来たッ!


 本来ならその道を選ぶことなどあり得ない場所。
隠れながら進むと言えば正解だが。
そもそもプラットホームに逃げた事すら分からないあずさにとって。
その方法を選べる選択肢などなかった。

 すなわち彼女は。真剣に二人を追った結果なのだ…。
追った結果。迷ってしまった。



 あずさは、迷ってしまったという失敗を。
成功にッ!奇襲にッ!変えたッ!

伊織「あずさ…そのスタンド…」

あずさ「ええ、なんだか。とっても頼もしいスタンドが出てしまいました。
    キングクリムゾンです。ごめんなさい。
    なんだか、これが出たのなら優勝しなくては申し訳ない気がして」


 律子の傍にあずさは立つ。
余裕の表れではなく、スタンド能力のとしての優劣を勝ちほこり、示すかのように。
三浦あずさ。彼女のスタンドは…。キングクリムゾン。
時間を消し飛ばす能力。



伊織「…………」

あずさ「伊織ちゃんのスタンドは、イエローテンパランスですか?
    あらあら…それでは攻撃すれば養分に吸収されてしまいますね…」

伊織は何も言えない。今の状況では、伊織は有意なはずである。
時間を消し飛ばそうとも、伊織を殴ったという結果は残る。
故に、あずさがおいそれと伊織を直接たたくことはできない状況である。

 しかし、伊織には、あずさの笑みが。恐怖の対象として張り付いてしまった。
本能的に悟った、彼女のスタンドには…。勝てない…。と…。

あずさ「でも…。さっき律子さんがやったように。天井ごと圧殺すれば。
    伊織ちゃんも倒せますよね…」
伊織「…………」


 あずさが一歩。近寄る。
伊織が一歩後ろに下がる。

 何歩かそれを続けて、伊織は壁に手をついた。
道の終わりとともに、伊織はゲームの終わりを悟る。
声ともいえない音が…。喉から出る。


伊織「あっ……」
あずさ「あらあら」



 あずさのキングクリムゾンが、天井を向いた。
拳に力が入る。

 刹那。


律子「糸は既に…進行させたッ!かわせるかしら!?」


 あずさの足元に、伸ばされていたのは、ストーンフリーの糸。
時間を消し飛ばそうと、かわせない。
足を糸でつかめば、【確実に攻撃が当たる】。
下から足元を糸でからめ捕り、上から両腕でラッシュを叩きこむッ!

 結果は残ってしまうキングクリムゾンなら。
ダメージはッ!結果としてッ!残る!


 律子は、倒れながらに…。既にッ!
ストーンフリーを地面に潜行させていたッ!!



律子「攻撃された事すら…。計算内よッ!オラオラオラオラオラァ!!」

 再びだった。
再びラッシュが空を切った。
気付いたら、目の前にあずさの姿はなかった。

律子「なぜ…?」

あずさ「あらあら。糸を伸ばさせた事すら、計算内だとしたらどうでしょうか?」


あずさの声の方向は、律子の…。後ろからッ!


あずさ「お忘れですか?キングクリムゾンの副産物のような能力…。
    未来予知の…【エピタフ】!!」

律子「強すぎる…!!想……定……外……」


 ドゴッ!!

伊織「律子ッ!」


 ドサリと。
律子が地面に落ちる。
通常のダメージは無いのだが、まるで命を落としたかのように。


あずさ「まず一人ですね…。律子さん、あなたが早めに倒せてよかったです…。
    もっと別の場所だったら、勝てそうにありませんでしたから…」


律子「そうね…。あずさ。あなたはとても強いわ…。
   もう少し健闘したかったのだけど…。伊織、ごめんなさい」

【リッチャン:ストーンフリー
 再起不能】



あずさ「次は…伊織ちゃん。あなたですよ?
    倒されるのが嫌でしたら、逃げてもかまいませんよ?
    一度にたくさん倒してしまうのは気がひけますし。
    1対1では伊織ちゃんに勝ち目がないと思いますもの…」

伊織「ギリ…」


 伊織は、歯を噛み。甘い囁きに耳を傾ける。
今なら…今なら見逃してもらえる…ッ!

伊織が出した言葉…それは…。


1・伊織「ふざけないでよ!私は逃げないッ!律子のためにも、アンタを倒す!」

2・伊織「こ…今回だけは、負けを認めてあげる。でも待ってなさい!仲間を増やして
     絶対にあなたを倒すわ!」

3・何も言わない

安価
>>160

1

伊織「ふざけないでよ!私は逃げないッ!律子のためにも、アンタを倒す!」

 伊織は啖呵を切る。
ただ、唯一つ。悔しかった。認めたくなかった。
運だけで、どのスタンドが選ばれたか。その選択だけでこのゲームの勝敗がきまる事を。

 伊織は知っている。
律子の努力を…。


【律子「あーもぅ違うわよ!ここで隣の世界から連れてきたDioと出会ったのがウェカピポで…」】

【伊織「あーややこしいわね!もうヤメ!」】

【律子「駄目よ!伊織の目の前にD4Cが出てきたらどうするつもりよ!
   ゲームのモニターって言っても仕事よ!竜宮小町が目立たなかったらどうするの!?」】


 律子は今まで微塵も理解がなかった原作を読みこみ、スタンド一つ一つを調べることを。
決して怠らなかった。

 そうまでしても。勝てないのが。
ただの運。どのスタンドが選ばれるかどうかという事のみに依存するという事は。
伊織は認めたくなかった。


伊織「あずさ…。アンタのスタンドは確かに強い。でも…。
   【覚悟】はあるの?」






伊織は壁から一歩、前へ前進する。

あずさ「覚悟?それはありますよ?
    最年長ですから。やはりしっかりしているところをアピールしないと…」

伊織「違うわ…。違うわよあずさ…。
   私が言いたいのは…。
   【仲 間 を 乗 り 越 え る】覚悟よ!」



 伊織は実のところ。このイエローテンパランスが嫌いだった。
肉片が体に絡みつき、まるで生温かいスライムのような感触。
出来る事ならあまり触りたくない。

 しかし、伊織の律子の再起不能に対する【覚悟】が。
その事を忘れさせた。


伊織「未来を知った頃には。もう手遅れよ。
   律子…。アンタは勝ったのよ…。アンタは…」



あずさ「あら?この未来は……ッ!
    既にッ!」


 あずさのエピタフに映る姿。それは再起不能の自分自身ッ!
その理由、根源を変えなければ未来は変わらない。しかし…ッ!


振り向くと。人間一人分の養分を吸収し、肥大化したイエローテンパランスの姿ッ!
飲み込まれる未来を…ッ!あずさのエピタフは示すッ!



 伊織は、イエローテンパランスを再起不能間際の律子に使用し、律子の養分を吸収。
律子の再起不能は、あずさの攻撃ではなく。養分吸収に寄る再起不能だった。

 イエローテンパランスは、養分。生命力の養分を吸収すればするほど肥大化することが可能。
あずさと伊織の後ろに、既にイエローテンパランスは肥大化して、繭のように。
壁のように存在していた。


 あずさが未来を見て気付いたころには、逃げ場はなかった。


伊織「触れることはできない。アンタが脱出するには…。私を倒すしかない。
   でも、私にも触れられない。じゃあどうする?
   天井でも破壊する?そうしたら私のテンパランスが崩れて結局あなたは飲み込まれる」


伊織の口角があがる。


伊織「どの再起不能の未来を…あずさ…?
   あなたは選択するのかしら?」

あずさ「あら…あらあらあらあら」

時間を吹き飛ばす能力。未来を予知する能力。
勝ち目はない。律子のように奇襲をかけても無意味だった。
ならば、どうすれば勝てるのか…。

 エピタフの見れる未来は、数十秒。すなわち。
詰みの状態に気づかれず、そのままの状態で維持していれば。
エピタフを封じたのは同義。

 更に、触れると養分として吸収され、ダメージすらも吸収するイエローテンパランスは。
原作でいったように。本来なら…。


伊織「弱点は………無いッ!
   Do? You? Understand?」

 原作よりネイティブに、伊織は肉片のスーツを身にまとい、ポーズを決める。

―ゲームの数日前―

伊織「あずさ。あんたトロいんだから。すぐ再起不能になって活躍なしってのは勘弁しなさいよ?」

律子「それはあなたにも言える事よ伊織!能力が面白くないから適当に~。
   とか言いそうだけど?」

亜美「んっふっふ~。あずさお姉ちゃんはティナーサックスで亜空間迷子ォ!とかしそうっしょー」

あずさ「私だって頑張りますよー。でも、確かに杜王町は広いので迷ってしまいそうですけど…」

伊織「あずさが道に迷ってうろうろしてたら皆戦っていつのまにか残り一人で。
   生き残ってあずさが優勝とか、笑えないわね」

あずさ(あら?…)

亜美「あずさお姉ちゃんはそんなことしないよ。
   きっと、ザ・ワールドで時を止めて、攻撃しようとするも。
   「なんだか悪い気がするわ…」っていって結局何にもできないっぽい?」

あずさ(あらあら?…)


律子「んもー!何言ってんのよ!変なこと言ってないで原作読みなさい?
   このお仕事はバンナムさんの大きなお仕事。今後の様々にも絶対響くわよ?
   あずささんもとりあえずゲーム中はしっかりしてくださいね?」

あずさ(ゲーム中【は】?…カチン)


あずさ「うふふふふふふふふふふふふふ…」










―現在・プラットホーム―


あずさ(覚悟ならあります…。
   私は、確かに律子さんのように頭が切れるわけではないですし。
   伊織ちゃんのように、自分の心を素直に言いだせることも少ないですし。
   亜美ちゃんのように、行動力もありません…)

あずさ(でも、そんな私だからこそ。
    いえ、そんな私でも。このゲームでなら優勝が出来る。
    私はこのスタンドだと知った時。
    優勝しなくちゃいけないって。思ったんですよ?)


あずさ「優勝者はッ!この三浦あずさですッ!以前変わりなくッ!」

あずさ「キングクリムゾン…。時は吹き飛ぶ…。
    残るのは結果だけ…。勝者だけが残る!!」
伊織「そうね…。アンタが私の養分になってる結果だけがね!」


 あずさは時を吹き飛ばす。
そこで自由に動けるのはあずさのみ。

 未来を読み、正解の行動は既に知っている。
あずさが勝者になりうる最善、唯一、それは…。



 弱点を突く。イエローテンパランスの。
イエローテンパランスは確かに無敵のスタンド。成長し、養分を吸収すればするほど手がつけられなくなる。
もしも、この世界が現実ならば。プラットホームにたくさんの一般人がいれば。
数多の養分で肥大化して単純な物量で負けたかもしれないのはあずさ。

 しかし、退路を防がれた今は。伊織自身自らにかぶせる宇宙服のような量で精いっぱい。


 ならば…。

あずさ「呼吸をするその瞬間…。
    そこを叩くッ!」




 伊織のスーツが、酸素を取り込むために、一瞬だけ、首の後ろが開閉する。
その間を、キングクリムゾンで。

 気付かれるはずはない。何故ならそれは【過程】なのだ。
結果だけが残るキングクリムゾンにとって。それは一方的。圧倒的ッ!




グシャッ!!



伊織「ウッ…………」


 バタリ…。

伊織「……残念ね…」
あずさ「ええ、本当に……」



 倒れこむ伊織。それは、ダメージが通った証拠。
伊織には結果だけが映った。

 自分が倒れる結果だけ。首の後ろの呼吸口から攻撃された事。
その結果だけが示された。


伊織「残念よ…すごく残念…」
あずさ「ごめんなさい…」
伊織「違うのよ…あずさ…」
あずさ「?」


伊織は、最後の体力で顔をあげて、ニヤリと笑って見せた。


伊織「私が原作で分かる弱点を、そのまま原作の方法でカバーすると思う?
   ホワイトアルバムの呼吸方法よ?それくらいあずさも知ってるはず。
   逆にいえば、その方法を、【とってるように見せれば】、疑うわけもない」


あずさ「…………」


伊織「呼吸口なんて飾りよ。その奥、膜のように既に…。私の体には張り付いているのよ。
   イエローテンパランスがね?」


あずさは自分の拳を、正確にはキングクリムゾンの拳を改めて見やる。
その拳には、肉片のような、ソレが付着。
イエローテンパランスの肉片。燃やそうとも冷やそうとも取れないダメージが。


伊織「私にはそもそも勝ち目はなかった。
   強すぎるのよ…。その能力。
   でも、だからこそ私は相撃ちを狙った…」

 伊織にとって、既に目標は、竜宮小町の誰かが上位に立つ事ではない。
目の前のあまりにも強すぎる敵を、平凡なスタンドである自分が倒す事。
才能に勝る努力を証明したかった。

 それ故、伊織は攻撃される事を望んでいた。
受け身にならなければ、キングクリムゾンを相手に攻撃は当たらない。
予測され、確実な回避を行われるスタンドなのだから。

 しかし、この方法なら、自分にダメージが与えられた結果を残すと同時に。
肉片が付着という結果も残る。

 自らの再起不能と引き換えに、あずさをも再起不能にする方法だった。

あずさ「うふふ…。ええ、知ってました」


伊織「!?」



 そして、あずさからの意外な返答。


あずさ「エピタフで、既にこの未来は読めていましたから…」

伊織「え?何でよ…。じゃあなんで攻撃したのよ…」


 伊織自身もその可能性は考えていた。エピタフで読まれて敬遠された場合。
しかし、自らに降りかかった結果から、読めなかったのだと判断した。


あずさ「いえ、私が読んだ未来の可能性は。伊織ちゃんを再起不能にするものは。
    この方法以外はなく。
    逆に、私が再起不能にならないためには、線路をひた走って逃げるしか…。
    ありませんでした」


 あの瞬間。伊織は、完全にあずさを詰ませていた。


伊織「でも、それなら逃げればよかったじゃない。場所を変えれば、多分私は…」

あずさ「いえ、逃げる事だけはしたくありませんでした。
    伊織ちゃんが、私から逃げなかったのに。私が逃げたら…。
    年上としての威厳以前に、人としての、伊織ちゃんも言う、【覚悟】が。
    見せられないんじゃないかと…」


伊織「それで?敢えて知っていながら相撃ちを選んだっていうの?
   バッカみたい…」

あずさ「ええ、バカですね。うふふ。でも、私は伊織ちゃんに勝ちました」


伊織「まあね。確かに負けたわ。私の体力ゲージはゼロ。
   対してあずさの体力ゲージはまだ残っている。
   時間差といえど、私の負けね」


 伊織の姿が薄くなる。ゲームログアウトのサイン。

伊織「んじゃ、先に律子の所へ戻ってるわ。また…あとでね」


【イオリ:イエローテンパランス
 再起不能】

あずさ「はぁ…。優勝できませんでした…。
    でも、何故でしょう」


 いまだに肉片は残る。
イエローテンパランスのスタンドが、伊織が再起不能になってもあずさのゲージを断続的に奪う。


あずさ「満足感でいっぱいです。
    あとは、亜美ちゃんに頑張ってもらいましょう…」


 勝利に等しい敗北。
それは、あずさ自身が、ゲームの中だけでなく。アイドルとして成長した証かもしれない。

【アズサ:キングクリムゾン
 再起不能】



 誰もいないプラットホームで、静かに。
風が吹いた。

 はいさーい。
というわけで、残り出ていないキャラは2キャラとなりました。

とりあえず今までのキャラ。

春香…スパイスガール
千早…ソフトマシーン
やよい…エアロスミス(再起不能)VS千早
響…GE
ハム蔵…ザ・フール(再起不能) VS美希
美希…ソフト&ウェット(再起不能) VS響
亜美…オアシス
真美…ホワイトアルバム
貴音…シビル・ウォー(再起不能) VS亜美真美
律子…ストーンフリー(再起不能)VSあずさ
伊織…イエローテンパランス(再起不能)VSあずさ
あずさ…キングクリムゾン(再起不能)VS伊織

で、残りの雪歩と真のスタンド安価とります。
時間的にどうだろうか…?

まず雪歩

>>177

スター・プラチナ・ザ・ワールド

スタプラ了解。

でも、時を止めれるスタープラチナは。
承太郎の成長の末…って感じだから。

 ひとまずは普通のスタープラチナって事にする…でいいかな?

真のスタンド

>>182

クレイジーD

雪歩…スタプラ
真…クレイジーD

に決定しました。
勝手に雪歩がアンダーワールドとかにならないかなと考えてたー。

結局。タスク以外の主人公スタンドが出そろった…。
ジョニィ…。

んで、さっきの質問だけど。
アンケート安価とる。

スタプラはどうしよう…。
1・3部のスタプラ
2・3部後半の絶頂期のスタプラ
3・4部以降の完成されたスタプラ

>>191~197
で、多い奴にしようと思います

はじめは1で成長するとかかな
無理そうなら1

んじゃぁ3で決定です。

大体、数秒だったよね?止められるの。

んじゃぁ書き次第アゲます。

おや?2票投稿あったか。
すまない確認不足だ…。

まぁ、でも…。ほぼ3or1だし。
1だったら再安価になっちゃうから。
今回は3でいかせてもらうことにする。
一応、最初に重複不可とは言ってなかったしね…。

ー杜王町・橋の下ー


雪歩「あうぅうぅぅぅ…。どうしようどうしよう。
   私がこんなスタンドもらっちゃっていいのかな…。
   【スタープラチナ】ですぐ死んじゃったりしたらカッコ悪いよね…。
   でも、誰か倒しちゃうと申し訳ないし…」


 雪歩は橋の下の陰でひっそりと身を潜めながら。
挙動不審にあたりを見回していた。



雪歩「時は止まるみたい…。でも、ものの3秒程度かな…。
   これがあれば。襲われてもなんとか逃げられるね!うん!」


 雪歩に戦闘意欲は…まるで…ない…。
残念というべきか、しかしながら。彼女にとっては戦いとは恐怖そのもの。
故に皆と違い雪歩隠れる事を選択しているのだ。



 やよいが再起不能になっても。
美希が再起不能になっても雪歩はそこにいた。

 じっと。じっと待つ。

 漁夫の利を得ようというのではない。
ただ、自分が戦うというヴィジョンがあまりにも見えないでいたのだ。




真「あれ?雪歩…?」
雪歩「きゃぁあ!
   真…ちゃん…?」



 隠れるお姫様を見つけたのは、王子様だった。


真「なんで隠れてるの?」


 真は首をかしげながら、雪歩の隣へと近づいた。
雪歩も真も、奇襲をかけるでもなく。まるで街中でばったり会ったように。
警戒心も何もなく、近づいた。

雪歩「えっと…戦える自信がなくて」
真「そんな事だろうと思ったよ。で?雪歩のスタンドは?
  僕は【クレイジーダイヤモンド】!。
  優しい能力って、女の子っぽくて良いと思わない?」


雪歩「えっと…私はね…」


 自信満々に真がスタンドを出した横で、雪歩もスタンドを見せる。
【スタープラチナ】が、威風堂々と、凛々しく出現し。
雪歩と対極的なまなざしで、真を見やる。

真「……スタープラチナ…って。雪歩!最強のスタンドじゃないか!」

雪歩「ええぇ!最強って。ただ一番有名なスタンドってだけだよぉ…。
   そもそも私自身が強くないのに、こんなに強いスタンドもらっちゃって…。
   なんだか他の人に申し訳ないよ…」

真「そんなことないさ!心理テストの結果なんだから。
  雪歩がスタープラチナを選んだってことだよ?」


 真が励ますように雪歩を諭すと。
雪歩はえへへと照れるように笑う。

雪歩「そ…そぉかな…」

真「そうだよ!だから、ボクと戦おう!」

雪歩「ふぇ?」

真「ボクと戦おう!」

雪歩「……」

真「戦おう!」


 雪歩が青ざめる。
真はウズウズして、今にも戦いたいのだ。
真自身。皆が先頭に享受する間、敵探しに奔放してたのだ。

 このゲームを早くプレイしたい。その興奮が積もり積もっているのだ。

 しかし、雪歩にそれは通じなかった。

雪歩「無理だよ!無理!私なんて戦えないよ!
   それも真ちゃんとなんて!無理無理無理無理無理無理!」


ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!

 雪歩はスタープラチナで、地面を乱打し連打ッ!
スコップが無いゲーム内での、穴を掘る方法だった。
半泣きで挙動不審でスタープラチナに穴を掘らせる雪歩は。
知らぬ人から見たら発狂した人間にしか見えない光景だった。


真「チョッ!雪歩!落ち着いて!落ち着いてってば!」


雪歩「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理ぃ!」

※真の行動安価

真はどうする?

1・とりあえず。らちが明かないので一発ぶんなぐる

2・仲間になろうと提案する

3・後ろに別の人間の気配を感じて、振り向くッ!

>>206

1(説教という名の荒治療)のあと2をしようとしたが3

あ、ちなみに1も2も出来ずにという意味で

真(大変だ。このままだと地球の裏側まで掘る勢いだッ!)

真「雪歩!ごめんっ!」

 ドグシャァ!

雪歩「ふぎゃっ!」


 気付いていたら。といった本能的な意味合いが正しいが。
真は全力で雪歩に拳を入れた。

 そうでもしないと、この状態の雪歩と会話が出来そうになかったからだ…。

真「安心して、攻撃と同時に、治しているから。体力は減っていないよ?」

雪歩「あうぅ…真ちゃん。ごめんね。でも、やっぱり私…戦うなんてっ!」
真「うん」


 そっと。真は雪歩の口元に指をあてて言葉を止めた。
そして、そのまま雪歩の頭に手を回し、ぽんぽんと撫でながら笑顔で言う。

真「雪歩が戦いたくないのは十分わかったよ。
  じゃあ、ボクと一緒に居てよ」


 雪歩の心の奥が躍った。

雪歩「…はい」


真「ボクが雪歩を守るよ。怪我をしても。雪歩を治してあげる。
  だから、もしボクが危なくなったら、助けてくれる?」

雪歩「うん!」

真「へへっ!決まりだね!
  じゃあ皆を探しに行こうっ!」




???「いいわぁ~。ゆきまこいいわぁ~。やっぱりどんなシチュでも出来あがっちゃうから。
  このカップリングは人気なのよね…。うふふふふふふふ」


真「誰だっ!?」

>>207

ごめん。見る前に書いちゃった…。

???「いいわぁ~。ゆきまこいいわぁ~。やっぱりどんなシチュでも出来あがっちゃうから。
  このカップリングは人気なのよね…。うふふふふふふふ」


真「誰だっ!?」


???「ある時は、アイドルたちを陰で支える事務員。
   またある時は、1人アイドルたちの秘め事を妄想する変態。
   そしてまたある時は、1人の男性に好意を寄せる慎ましい女性。
   そして…。今は…。
   孤高のスタンド使い。

   そうだよ、私。音無…小鳥よぉおおおお!」



 並々ならぬ興奮した声で、真と雪歩の目の前に。
事務員が…現れたッ!


小鳥「社長に土下座してお願いしたの!私にもこのモニターをやらせてくださいって!
   だって私。連載開始から読んでるのよ!ジョジョが大好きな生粋のジョジョラーなの!」


真「小鳥さん…歳がバレちゃうよ…」
雪歩「うわぁ……戦わなくちゃいけない雰囲気だよぉ…」


小鳥「公平さ…スタンドで戦うことに必要なのは公平さよ?
   盗み見する気はなかったのだけど。二人のスタンドを見てしまった。
   だから、私も二人に教えてあげるわ。
   そう、それが公平さ。それがフェアなの…。
   私のスタンドは…【>>215】」

※小鳥さんのスタンドは?
>>215

キラー・クイーン

 小鳥さんはキラークィーンに決定しました。
元々小鳥さんどっかで出そうとは思ってたんだが、ゆきまこが戦闘する
ヴィジョンが見えなかったんだ…。 

続きはまた明日以降書こうと思います。
ひとまず乙です

小鳥「【キラクィーン】。YesYesYes…。
   すべてを爆弾に帰る凶悪かつ残忍かつ冷徹な殺人鬼ぃいいい!
   それがわ・た・し!
   音無し小鳥が所持するスタンドよぉおおお!」

 既にキャラ崩壊のレベルではない程に、鼻息を荒立てて小鳥はポーズを決める。
彼女は、スタンド能力の差を抜いて。グンバツ。
グンバツの知識量と愛がそこにある。


小鳥「さーてっと。まずは小手調べ。というよりも検定かしら?
   二人の能力なら攻略なんて、すぐでしょうけど。
   どうかわす?シア・ハート・アタックをぉおおおお!」


 小鳥は片手を突き出した。
そこから射出されるのは、第2の爆弾、シア・ハート・アタック。
熱を感知して、敵を抹殺する自動追尾スタンド。その硬さは、どんなスタンドでも破壊できないほど。


真「うわわっ!早速攻撃してきた!どうしよ!」
雪歩「えっと!私が時を止めてる間に破壊する!」

真「無理だよ!承太郎さんが破壊出ずに自身がコナゴナになるほど頑丈なんだよ!
  破壊は無理だ!」

雪歩「えぇ!でも。原作だとエコーズで重くして動けなくさせたんだよね?
   どうしよう。重くなんて出来ないし…」


小鳥「あらあら~?その程度なの?2人のジョジョ愛は?
   こんな攻撃すら対処できないんじゃあ、さっさとリタイアしたほうが身のためよ!」

コッチヲ…ミロォオオオオ!!


雪歩「えっと…えっと…」


 二人がおろおろと、あたりを見回す間にも、シアハートアタックはキャタピラを転がし接近する。
近くに火種はない。真と雪歩の体温を勝る温度のものはここにはない。

 壊す事も出来ない。逃げても追いつかれる。


小鳥「あっけない…。とてもあっけないわ真ちゃん。
   雪歩ちゃんを守る王子様になるのなら…。
   こんなイージー問題で躓いてちゃダメ…。ダメダメよ?」


真「ハッ!そうか!」


 真は思いついたように地面を蹴る。
そして、クレイジーダイヤモンドの拳を、シアハートアタックにぶつける。

 メキョッ!!

雪歩「無理だよ真ちゃん!壊せないってば!」
真「分かってる。破壊できないから、ボクが治した…」

小鳥「ほぅ?」

真「治したんだ。シアハートアタックを。
  元いた場所に…治してあげた!」


ミロ…コッチヲ…コッチヲミロ…


 ギリギリと音を立てて、一瞬シアハートアタックの動きが止まる。

 そして、次の瞬間。
シアハートアタックが、小鳥のもとへ一直線に吹き飛ぶ。

キラークィーンの右手の位置へ、シアハートアタックが帰還する。
逆再生のように。

小鳥「正解よ。大正解!
   クレイジーダイヤモンドの治す能力なら、簡単にシアハートアタックを看破できる。
   よくできた。と、褒めると同時に。こんな問題に時間がかかったことに対して。
   少々憐みの目を向けさせてもらおうかしら?」


真「雪歩…。小鳥さんは、完全にボクたちを舐めている。
  にわか共が生粋のジョジョラーに刃向かうんじゃねぇって…。そう言ってる」
雪歩「でも、その通りだよ真ちゃん。
   私たちが、小鳥さんなんかに勝てっこないよぉ…」


小鳥「さてと。今から橋の下に降りてあげる」


 橋の手すりに足をかけて、飛び降りるサインを示す。

真「チャンスだ!このままこっちに降りてくれれば…。
  舐めてるからこそ。スキが生まれるんだ!」

小鳥「うふふふふ…。
   真ちゃんのその顔。何を考えているか読めちゃうわよ?
   雪歩ちゃんがさっき掘ってしまった穴。それを利用する気でしょ?」

真「ギクリ」


小鳥「私が降りると同時に。雪歩ちゃんが掘った穴をクレイジーダイヤモンドで攻撃。
   そうすると、辺り一帯に飛び散った土が、穴に戻る。
   私は落下する最中身動きが取れずに穴に飲み込まれ再起不能…。
   大抵そういうプランでしょ?」


真「お見通しって…事ですか?」


小鳥「ええ、残念ながら。
っというより。舐めてるのは私じゃなくて、真ちゃんの方じゃないの?
よいしょっと…」


 小鳥は橋からジャンプ。
いや、正確には宙返り。橋の前から、真たちの目の前に立つのではなく。
橋の後ろから、真たちに距離をとる形で下に降りる。


小鳥「この距離。この距離があれば、落とし穴に巻き込まれないし。
   雪歩ちゃんのスタープラチナを使った踏み込みでも届かない。
   さーて、どうしますか?」


 余裕の表情で、真と雪歩を、下から舐めるように観察。
舌で唇を潤わせながら、つま先を垂直に向ける。


真「何か来る…気をつけて!」
雪歩「えッ!?」




小鳥「キラークィーン!足で触れた土を爆弾に変えて!
   いっくわよぉおおおおお!!」

足で土を大きく蹴りあげ、土が真たちへ飛びかかるッ!
そして、その土は触れた爆弾。キラークィーンがスイッチを押す。

小鳥「粉塵爆発ァアアアアアアアアッッッッッッッッッッ!!!」

敗者復活戦はない?

>>223

うーん。欲しい?
今のところ考えてはいない…。

要望が多ければ1人くらい安価で復活させるかも。

ないわ

覚悟して戦ってきたアイドル達に泥を塗るなよ

安価もまともにできないやつ相手にすんなよ

>>226
>>227

だよなー。すまん。
やっぱり敗者復活は無しで…。

あと、続きは明日以降になりそう。

>>228
把握
楽しみに待ってます

個人的には、他のアイマス(765プロ以外)やモバマスのメンバーで、杜王町以外のフィールドで戦って欲しい
新規ゲーム的な感じで
イタリアとかGDSt刑務所とか、候補はいっぱいあるし

モバマスはいいわ…

今のままが一番いいな

追加するにしてもジュピターか876勢だけでいい
モバグリまで出したら収集つかない

>>229
これが終わったら、また別の作品で安価でスタンドバトルしようかなと考えてる。

>>230 >>231
安心してくれ。
モバマスは杏とヒナくらいしか分からないから…。まず出す気はないよ。

 出すとしたら、赤羽根P、小鳥、黒井社長、あまとうのどれか1人と思っていたから。
もう追加で出すつもりはないっす。

小鳥さんってたしか29歳のはずだよね?

>>234

気付かれましたか…。
29歳なら2歳から読んでる計算になっちゃうんすよね…。
でも、一応このアイマスの時系列はみんな売れっ子状態。
すなわちアイマス2の更に未来と考えてでっちあげました…。

3部から読んでるの!って言っても。ジョジョ愛に対しての説明が中途半端かなと思って。
目を瞑ってください…。

真「くっ!避けきれないぞ!雪歩!僕の後ろに下がってて!」

 真は自分の後ろの手を伸ばし、雪歩をかばう…。が…。


真「あれ?雪歩…?」


 真の気付かぬうち、否。一瞬。
時が動かぬその間に、雪歩は真の前方へ。

 王子様を守るお姫様が、仁王立ちで土の乱打を受け取ったッ!


雪歩「うっ…グゥウ…」


小鳥「……。やるじゃない?」



 真はいまだ無傷のまま、土煙の先に視界へ映ったのは。
ゲージを減らし、傷だらけの雪歩の姿ッ…。


真「雪歩ッ!」

雪歩「はぁ…はぁ…。大丈夫。痛くはないみたいだよ。やっぱりゲームだし。
   よかった。真ちゃんを守れて」

真「なんで…!!」


雪歩「だって…。真ちゃんのクレイジーダイヤモンドは、自分の怪我は治せないでしょ?
   だから私がダメージを庇えば、真ちゃんが治してくれるって思ったから…」


小鳥「麗しき由利百合しさ…。盾となるべき王子を逆にかばうお姫様。
   その姿はもう主従関係のソレではなく。二人の間には対等な…。
   そうっ!【愛】が、芽生えているのねッ!」


真「クレイジーダイヤモンド!雪歩を治して!」


 気づだらけの痛々しいヴィジョンになる雪歩を、綺麗な体へと瞬時に復元。
粉塵爆発を使用した小鳥の攻撃が、無へと還る。

真「全く…。無茶するんだから雪歩は…」
雪歩「とっさだったから…。怖いとかじゃなくて。
   目の前で真ちゃんがやられるのは見たくなかったし…」

真「ボクだってそうにきまってるじゃないか…」



小鳥「うーん。でも雪歩ちゃんが出張ってくるのはちょっと計算外ね…。
   攻撃を仕掛けても、雪歩ちゃんが時を止めてかばっちゃえば、すぐに体力戻っちゃうし」



 小鳥は指を口元に充て、思考するポーズをとる。


真「ボクたちの能力を駆使すれば、きっと小鳥さんに勝てるよ!」
雪歩「うん!にわかなんて関係ないよ!
   アニメから知ろうが、二次創作から知ろうが原作から知ろうがゲームから知ろうが…。
   ジョジョを愛する気持ちは、一緒なんだよ!!」



 対して二人もポーズをとる。


 この戦いの中で。
お互いの関係は意味をなさない。むしろ、考えてはいない。
事務員だろうがアイドルだろうが。全く関係ない。

 ただそこには、スタンド使いが3人。ジョジョラーが三人。


小鳥「妄想は現実よりも強し…。ンッン~。名言ね、これは」
真「グレートだね」
雪歩「やれやれだよ…」

小鳥「さて、そこは先輩として。私から三度攻撃を仕掛けさせてもらいますか…。
   お次はこれ…。さて、かわせるかしら?」



 小鳥は地面を静かに触れる。
一瞬だけ、そこにキラークィーンが反映される。


真「…ッ!」

小鳥「粉塵爆発は、ダメージよりも、その風圧が要…!」


 ドッグォン!


 小鳥の足元が爆発。まるで地雷を踏んだように。
小鳥は自分の足元を爆弾に変えてスイッチを押した。

 それはどう考えても自滅のためではない。
移動するために。人間スピードをはるかに超えた一瞬。
小鳥は、爆風に乗り、真と雪歩の距離をゼロにッ!


小鳥「ウォラァアアアア!対応できるかしら!?このスピードに!」



真「しまッ…!!」

 真は一手遅れた。
予想外。爆風を攻撃ではなく、移動に使う事は思考の外。
拳を突き出すよりも先に、距離がゼロになる方が早かった。
真は。真は一手遅れた。が…。


雪歩「小鳥さん。私は弱虫の私じゃあありません。
   その攻撃…。私の射程圏内に…。
   入りましたッ!」


 世界の暗転。モノクロに止まる。
時計の針が、風が、水が。絵のように、写真のように止まる。


雪歩「私が時を止めた…。
   私だけの時間です。小鳥さん。あなたは私を甘く見た…」



 拳が真に触れる直前、雪歩の真横。
小鳥は動けない時間を感じることもないまま。制止。

雪歩のスタープラチナが、小鳥に叩きこむ…乱打ッ!

雪歩「オラオラオラオラオラオラァ!!
   時は動き出す…」




小鳥「こ…このダメージは…ッ!雪歩ちゃんッ!!」



 時間が再び刻み始めたと同時に、小鳥は大きく吹き飛ばされる。
目の前にあった穴へ。雪歩が最初に掘った穴へ、小鳥は吹き飛ばされる。


雪歩「穴ァ掘って…埋まってて下さいッ!」


 バァーーーーーン!!!

真「雪歩ッ!」
雪歩「えへへ…。私も…戦えたよ!」
真「すごいよ雪歩!」



 真と雪歩はハイタッチで喜びを表す。
対して、埋められた小鳥は、ゆっくりと重い体で起き上がる。


小鳥「さすが…。さすがよ雪歩ちゃん。
   でもね…。それこそが敗因。あなたは優しすぎた。
   私を…再起不能にしなかった事。それよ。それが敗因」


真は改めて小鳥を見やる。小鳥のゲージはあと僅か。
それは、とどめを刺しきることに、無意識に躊躇した雪歩の表れ。
しかし。その僅かな残りのゲージは。小鳥の行動には十分だった。


真「……小鳥さん。まさか…」


小鳥「察しが良いわね…。
   そう。私は雪歩ちゃん。あなたに触れた。
   攻撃は食らう事を前提だった…。あなたに触れた。それが大切…。」

雪歩「え…?」
真「小鳥さん…やめろ…やめろぉおお!」

小鳥「キラークィーン…第一の爆弾。触れたものを爆弾にかえる。
   そのスイッチを…!」


真は小鳥を再起不能にすべく、拳を叩きこもうとする。


真「押させるかぁあああああ!」


小鳥「いいや限界だ…!押すねッ!!」



 カチリ…。

 爆発音が聞こえた…。
それはスイッチを押せた合図。






 小鳥は、雪歩を爆弾に変えていた。
そのスイッチを押したという事は…。




小鳥「やった…やったわ…。私は二人に勝ったッ!」





 爆風で辺りが一瞬視界を奪われる。
しかし。だがしかしッ!


小鳥は二度と…。晴れた視界を拝む事はなかった…。





小鳥「…ッ…何ですって…。私は…確かに…起爆させた…。
   なのにどうして…あなたが…時を…止められるの…ッ!」


【ピヨコ:キラークィーン
 再起不能】




小鳥に最後の一撃を与えたのは。
雪歩。



萩原雪歩だった。彼女は時を止め、最後の一撃を与えた…。


雪歩「ええ、私は確かにあの時再起不能になるハズだった…。
   彼女が助けてくれなければ…」


【マコト:クレイジーダイヤモンド
 再起不能】

雪歩「真ちゃんは、踵を返して私に近寄った。
   爆弾になってしまった私に近づけば、真ちゃん自身再起不能になるのに…。
   でも、私が爆発して受けるダメージを、同時に彼女は治した。
   
   私のせい。私が小鳥さんにとどめを刺せなかった弱さ。それが真ちゃんの再起不能を招いた」



雪歩は、無傷。
爆弾による飛散のダメージを、真は雪歩に密着して。
傷を治した。

 真自身が、爆弾によるダメージを受けることを受け入れながら。
彼女は、雪歩を助けた。


雪歩「ごめんなさい。真ちゃん。
   私は弱い。でも…。あなたの【覚悟】。言葉ではなく…心で理解出来た。
   『通じた』んだよ…真ちゃんを理解出来たと、体で感じるッ!」


 真は再起不能。だからもう、このゲーム内で彼女の言葉聞こえない。
しかし、ジョースター家の血のように。雪歩は真から受け継いだ。
その意志を。その愛を…ッ!


雪歩「やらなくちゃ…。私が。誰でもない私が…。
   もう躊躇わない…。この能力で、私は優勝しますッ!」



 雪歩の目は変わる。
音無小鳥と、菊地真の再起不能を背負い。


雪歩「…………!!」


雪歩「真ちゃんは、踵を返して私に近寄った。
   爆弾になってしまった私に近づけば、真ちゃん自身再起不能になるのに…。
   でも、私が爆発して受けるダメージを、同時に彼女は治した。
   
   私のせい。私が小鳥さんにとどめを刺せなかった弱さ。それが真ちゃんの再起不能を招いた」



雪歩は、無傷。
爆弾による飛散のダメージを、真は雪歩に密着して。
傷を治した。

 真自身が、爆弾によるダメージを受けることを受け入れながら。
彼女は、雪歩を助けた。


雪歩「ごめんなさい。真ちゃん。
   私は弱い。でも…。あなたの【覚悟】。言葉ではなく…心で理解出来た。
   『通じた』んだよ…真ちゃんを理解出来たと、体で感じるッ!」


 真は再起不能。だからもう、このゲーム内で彼女の言葉聞こえない。
しかし、ジョースター家の血のように。雪歩は真から受け継いだ。
その意志を。その愛を…ッ!


雪歩「やらなくちゃ…。私が。誰でもない私が…。
   もう躊躇わない…。この能力で、私は優勝しますッ!」



 雪歩の目は変わる。
音無小鳥と、菊地真の再起不能を背負い。


雪歩「…………!!」


うあうあー。また重複しちまいました。すいません…。

ちなみに今までの戦績。
生存6名

春香…スパイスガール
千早…ソフトマシーン
響…GE
亜美…オアシス
真美…ホワイトアルバム
雪歩…スタープラチナ

再起不能者

やよい…エアロスミス(再起不能)VS千早
ハム蔵…ザ・フール(再起不能) VS美希
美希…ソフト&ウェット(再起不能) VS響
貴音…シビル・ウォー(再起不能) VS亜美真美
律子…ストーンフリー(再起不能)VSあずさ
伊織…イエローテンパランス(再起不能)VSあずさ
あずさ…キングクリムゾン(再起不能)VS伊織
真…クレイジーD(再起不能)VS小鳥
小鳥…キラークィーン(再起不能)VS真・雪歩

こっからは既出のキャラの2戦目以降になります。
次の焦点を当てるキャラを、安価で選ぼうと思います。

※キャラ名安価。生存の6名から選んでください。
>>248

雪歩

じゃあ雪歩続投で、次は雪歩から書こうと思います。

今日中にかけたらアゲます。

 時間は過ぎ…。
総勢14名と一匹のスタンド使いは、6名までに減った。

 彼女。萩原雪歩は前者。生存者だった。
しかしながら。生存者のカーストの中で、雪歩はかなり下の方に存在する。

 亜美と真美は二人で行動を共にし。
春香と千早は合流次第。共闘態勢に入る事が考えられる。
更に、響は生命を与えた動物たちと、歩く動物園状態である。


 その中で雪歩は正真正銘の1人。孤独だった。


しかしッ!彼女の目は生きている!

覚悟。何度となく、アイドルたちはその言葉を口にしてきた。
それは、雪歩にも言える言葉だった。

 彼女にも、仲間はいた。
音無小鳥と菊地真。その二人を背負っている。


雪歩「誰が生きてようが関係ない…。
   私がみんな再起不能にする…。今までの私じゃあない。
   私は雪歩。スタンドが成長するように、私も成長するの…。
   雪歩…。私の名前は…。雪歩Act2!」


 バァーーーーーーン!!






 雪歩は、駅前に来ていた。
崩壊した駅。そこには静けさと何かが終わった虚無感が漂っていた。

雪歩「ここでも、誰かが戦ったのかな…。
   駅がボロボロだよ…。現実だったら大損害だね…」


 雪歩がぼんやりと駅を眺める。
実際には、律子が伊織を倒すために天井から崩壊させたのだ。
しかし、その現場を知らない雪歩にとって、惨劇の結果しか想像にない。


雪歩「こんなことになるかもしれないのかな…私も…。
   ううん。こんな事で怖がってちゃダメだよね!」


 敵が来るかもしれない。そう思うと心がキュッと締まった。
緊張を解かずに、その場から離れようと、歩を進める。



雪歩「ん…あれは…>>252

※キャラ名安価 生存者から選んでください

ごめんなさい。sage投稿しちゃった…。

再安価…。

>>253

千早

雪歩「あれは千早ちゃん?
   1人…かな…?」


 周りを見渡しても千早しかいない。
1人で駅の踏切の横で佇んでいる。

 周りは見通しのいい場所で、すぐ近くで隠れているという可能性はない。


雪歩「ううん。なんだか警戒心が薄そう…。
   まるで、攻撃される事を待っているみたいだよ…。
   でも、私が時を止めて攻めていけば、確実に仕留められる距離…
   どうしようかな…」


※行動安価
雪歩はどうする?

1・先手必勝!スタプラで時を止めて一撃で仕留める。

2・近くのものを叩いて、向こうに敢えて存在を気付かせる。

3・逆に日常風景のように近づいてみる。

>>257

雪歩「いや、そもそも攻撃が当たるかどうかすら分からないもんね…。
   こういうときは、慎重に行き過ぎて駄目ってことはないよね…」


 雪歩は隠れていた木を殴った。
木は大きく音を立てて揺れ、ガサガサと周りに知らせた。

千早「誰ッ!?」

雪歩「やあ…千早ちゃん」

千早「雪歩…」


千早は雪歩に気づく。顔だけを向けて、体は一切動かさない。


雪歩「どうして千早ちゃんは立ち上がらないの?
   もしかして、立ち上がれないの…かな?」


雪歩は中距離。スタープラチナで瞬時に再起不能にできるギリギリの距離で。
笑顔を見せる。

千早「既に雪歩も、誰かと戦ってるみたいね…。
   流石にこんな罠には引っ掛からないかしら?」


千早「ごめんなさい。私のスタンドは【スパイスガール】。
   柔らかくするスタンドよ…。
   それで私は自分自身を柔らかくしてたの…。
   攻撃されたらあなたの足でも何でも柔らかくして攻撃しようと考えてたの。
   私が甘かったわ……」


 千早は、自分の体を元に戻して。
まっすぐ前に向き直った。雪歩を改めて見据える。


雪歩「確かに…。このゲームを始めた時の私なら。引っ掛かってたかもしれない。
   でも、引っかからないよ?」

千早「ええ、そうみたいね…」


雪歩「小鳥さんが言ってたの…」

千早「?」

雪歩「公平さ、フェアな精神がスタンドバトルには必要だって。
   だから、私のスタンドを知っているなら分かるんだけど…。
   なんで?」

千早「何が言いたいのかしら…」

雪歩「何で千早ちゃんは、自分から我先に能力を披露したのかな?」

千早「………」

雪歩が手を目の前にだし、二本指を立てる。

雪歩「理由は二つ、考えられるね。
1つは、慢心か自惚れか自信の表れかで、自分の能力を披露した。
そして2つ目は…。
まだ私に罠を張っている…」


雪歩「前者は、千早ちゃんの性格からは考えられないね。スタンドから考えても…。
   なら答えは1つ…」

千早「くッ…」



雪歩「アクトンベイビーで透明にしたの?
   それともバッドカンパニーでもあたりに配置してるの?」


 千早は右腕に左手を回し、唇をかんだ。
彼女は思った…。

 私たちの知っている彼女ではない。雪歩は、一回りも。
否、それ以上。確かに成長していると…。


千早「ごめんなさい。見くびっていたわ…
   でも…。だから何かしら?」



千早は1つ息を吐いて。体勢を立て直す。
このままでは、完全に雪歩の流れ。その流れを許してしまってはいけないと。
千早がやよいからもらった【黄金の精神】がそう言っている。


雪歩「そうだね。確かに、スパイスガールだとしてもそうじゃないとしても。
   私はうかつに攻めれらない状況であることは確か」


 千早とて、やよいと戦った。
雪歩だけではないのだ。このゲームで『戦闘』というものを学んだのは。

 二人は対峙し続ける。
まるで、先にしびれを切らした方が負けと言わんばかりのこう着状態。

待ちガイルと待ちガイルの戦闘のような。互いが互いにカウンターを狙う状況。


 それもそのはず。
対峙しているにもかかわらず。二人は能力を知らないのだ。
否、千早の場合はスパイスガールという可能性があるのだが。
信憑性は無に等しい。

 更に、攻撃すればヴィジョンが見られ、バレる。
雪歩は、時を止めれば、ザ・ワールドかスタープラチナかキングクリムゾンあたりに絞られてしまう。

雪歩「さて…と…」

 雪歩はふと一歩前に出る。
自分なら。何か不穏な行動をされたと同時に。
スタープラチナで時を止めて観察や逃避が出来る。

 かなりのアドバンテージのはずだった。
故に、相手の出方をうかがうためにも、雪歩は前に出る。

 向こうがキングクリムゾンやザ・ワールのという。
自分と似たような能力である事はほぼ否定されている。
何故なら、そのような能力の場合。2重3重の罠を張っている意味がない。

 向こうはカウンターに強いスタンド。
そして、向こうはその罠を『張っていた』のだ。屋外で。
それ故、屋内よりも屋外の方が有利だという事だ。

 絞られる。雪歩の脳裏で、敵の能力の可能性が…。


千早「近づいて来る…。どうする?」
「ゴニョゴニョ…」



 もう一歩。もう一歩と、ゆっくりと、にじり寄る。


千早「それ以上は…近づかせないッ!」


 千早は服の中から、紙を吹き戻しのように丸めたような『何か』を取り出す。
それは黒く淀んだ色で、それの先端を握り。
レッドカーペットのように目の前に広げた。


雪歩「何?」


千早「瞬時にッ!戻すッ!」


 瞬間。雪歩の頭上に、倒れかかるようにッ!
電柱が姿を現すッ!

雪歩「これは…電柱!?」


千早「潰れなさいッ!」


 時を止める。
時間が刻むのをやめる。

 雪歩は一歩だけ右に逸れて、思考する。

雪歩「…。千早ちゃんが出した電柱が、紙のように薄くなっていた…。
   薄くするスタンド…?グーグードールズ…やリトルフィートは…。
   小さくするんだっけ。あーそうか。
   クラフトワークだ。多分。千早ちゃんのスタンド…」


 再び時は動き始める。

千早「ッ!…一瞬で動いた?
   まさか…雪歩のスタンドは…ザ・ワールド!?」


雪歩「うーん。おしいかな。
   でも、千早ちゃんのスタンドがクラフトワークって分かっちゃったから。
   私も教えてあげないとフェアじゃないって小鳥さんに怒られそうだよね…。
   私は【スタープラチナ】」


千早「成程。一瞬で動いた理由はそれね…。
   そう、私はクラフトワーク。瞬時に薄くし、逆に瞬時に戻せるスタンド。
   今のを避けられたのは、ちょっと残念だけれども…」


 雪歩は、いまだ思考をやめない。
理解が出来ないでいた。

 何故…。何故なのか。
スパイスガールという嘘はどこから来たのか。
更に。
その能力で屋外で佇んでいたのは何故か。


 その答えを見つけられずにいた。


千早「でも、時間を止められると言っても、ものの数秒みたいね…。
   ザ・ワールドだったらもっと止められたのかもしれないけど…。
   なら、まだチャンスはある」


雪歩「このまま時を止めても、謎が残る以上。返り討ちにあう可能性も否定はできないよね…」


千早「これならッ!かわせるかしらッ!」



 瞬間。千早が電柱に変わるッ!
否。正確には、千早が居た場所に突然電柱が生えてきた。

 足元に薄くした電柱を置き、それを瞬時に戻す。
それ故、目の前では千早が電柱に変わったように見えたのだ。

 ならば、千早は何処へ。それは空中。
空高く跳びあがるッ!千早は空中から対空砲火ばりの攻撃を実行。


 服のあちこちから薄くした電柱が顔をのぞかせ、それを地面に向かって投げつける。
同時に能力を解除。

 それは電柱の雨。数多の電柱が雪歩を襲うッ!
十数本の電柱が地面へと加速度的に降り注ぐ。


雪歩「そんな攻撃…時を止めて避けるのは…簡単だよ?」


 時を止めて、雪歩は電柱の当たらない位置へと移動する…。
そして、再び。時を刻む。

グニィイイイ!

雪歩「えッ…!」

 時を刻み始めたその瞬間。
地面がマシュマロのように…。変形したッ!


雪歩「ここに…私は…ッ!」

千早「そう!そこに誘ったのよ!こけたら雪歩は電柱に当たるッ!
   時は連続で止められない!勝負あったわ!」


雪歩「まだ…まだ負けらないよッ!」

 雪歩は一心不乱にスタープラチナで前方を乱打ッ!
電柱は破壊され、破片によるダメージを食らうも、直撃を防いだ。


そのまま、千早は柔らかい地面に落ちる。
雪歩も起き上がり、破片を体から払い落す。


千早「とっさの判断力はあるようね…。
   流石だわ。でも、ダメージは確かに入った!」


雪歩「ここ周辺の地面だけ、柔らかい…ってことは。スタンド能力。
   スパイスガールだね。謎が解けたよ…。
   仲間がいるのにそばに気配はない。それもそのはずだよね…。
   目の前に居るんだから!」

千早「ばれたのならもう隠す意味はないわね…
   春香…」

千早の背中から、紙のような人影が姿を見せる。
それは瞬時に空気が入ったように膨らみ、雪歩を見やる。

春香「ご名答だよ!私の能力で、そこの地面は、柔らかくした!」


 春香の姿。
春香は最初からずっと。千早の背中に。
クラフトワークで薄くなり、張り付いていたッ!


雪歩「柔らかくする能力と薄くする能力。
   ちょっと面倒な能力コンビだね…。でも。
   時を止める能力の方が。
   もっと強いよ?」



春香「ごめんね千早ちゃん。私の考えた作戦バレちゃって」

千早「いいえ、結果的にダメージは入ったわ。
   それに敵はスタープラチナ。回復する方法はない。
   このまま押し切るわよ!」

春香「あ、そうだ。地面戻しとかないと。
   また私がこけちゃうよ…」

 春香が慌てながら、地面を殴りつける。
そして、地面が元に戻るのを確認すると、春香は安堵したような顔を見せる。


雪歩「春香ちゃん…。なんだか、その…。緊張感がないね…」

春香「えぇっ!?本当!?そんなことないよ!
   私はいつでも本気だよ!かかってこい!」


千早「はぁ…。春香。こんな事を言うのもなんだけど、
私の背中にひっついていたほうがよかったのかしら…」


春香「えぇええ!?
   千早ちゃんまで……」


雪歩「まあ、気を取り直して…。
   いくよ!」

雪歩はスタープラチナを出し、拳に力を入れる。

千早「春香…。どうする?
   私は電柱をすべて出し切ってしまったわ」

春香「うーん。雪歩はスタープラチナだもんね。
   慎重に行かないとだけど…。
   そうだッ!」

 春香が千早の手を握って。後方ッ!
踏切に跨ぐようにかかる陸橋へと走るッ!


雪歩「登ってどうする気かな…?」

※行動安価 雪歩はどうする?

1・誘いに乗り、陸橋についていく
2・誘いに乗らず、その場で立ち止まる
3・そもそも陸橋に行かせない。後ろを向いている今がチャンス。時を止めて殴る

>>266

1

千早は雪歩のこと萩原さんって呼ぶよ

>>267

ごめん…寝ぼけ眼で書くもんじゃねーな。
気をつける…。

雪歩「いいよ…その誘い!乗ってあげる!」

 雪歩は誘いに乗る形で陸橋についていく。


春香「ついてきたよ!」
千早「なにをするつもりなの…?」

春香「作戦があるの…。まかせて!」



 陸橋に走り、その上で。春香と早は改めて振り向く。
雪歩はしっかりと追跡し、陸橋の上でにらみ合う形をとる。


雪歩「さて…。どうするのかな?」


春香「それはね…こうするの!」


 春香は全力の一手。
スパイスガールをッ!陸橋そのものにッ!


 陸橋は、その自分自身を柔らかく形を変える。
両隣の階段に支えられていた陸橋は。中心から。グニャリと…曲がるッ!

千早「きゃぁあ!」


 3人は、まるで引き寄せられるように。
その陸橋の中心へと滑るッ!アリ地獄のように…3人は引き寄せ会う。


雪歩「成程…。これで強制的に距離を詰めて、ゼロ距離でソフトマシーンを
   千早ちゃんが当てる気だね?」


春香「いくよーー!」



その引き寄せあう瞬間ッ!
雪歩は時を止めるッ!


雪歩「残念…。時を止めてしまえば、地面の柔らかさは無意味…。
   その間に…。春香ちゃん。あなたを叩くッ!
   オラオラオラオラァ!」


 雪歩は斜めに曲がった陸橋を真横に蹴って、春香にラッシュを叩きこむッ!


雪歩「時は…動き出す…」


 春香が地面にめり込むッ!めり込むッ!
めり…込む…。


春香「ぅうぅぅぅぅぅぅ」


 陸橋は柔らかい。
すなわち、春香はボクシングのロープのように地面にめり込んだッ!


雪歩「しまった…ッ!」

春香「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅうううううう!」


そして、その地面が臨界点を超えた時。
発射台のように。春香が…。

跳ね返るッ!


春香「わっほいぃいいいいい!!」



 ドグシャァ!!


 核弾頭のように、春香が千早にタックル。
スタンドの攻撃ではなく、本体そのものの攻撃ッ!



春香「スーパー春香アタック!大!成!!功!!!」


雪歩「カ…ハッ!」



 大きく吹き飛ばされ、雪歩は同じく陸橋にめり込む。
しかし、それは既にクッションのように柔らかくはなく。かたい鉄の陸橋に戻っている。
地面に勢いよくめり込んだッ!


春香「千早ちゃんッ!今だよ!ソフトマシーンを!」


千早「えぇ!ソフトマシーン!!
   萩原さんに!トドメを!」


雪歩「負けるわけには…いか…ないっ!」



 だが、時を止めるには、時間が足りない…。
雪歩は力を振り絞り、拳に力を入れるッ!

千早「………!!」


 破壊するのは…。陸橋そのもの!
千早に攻撃すれば、相撃ちと言わんばかりに自分自身をペラペラにされてしまう。
ならば、雪歩は。逆にッ!

 陸橋を破壊したッ!



 ガラガラと音を立てて陸橋が崩れ去る。
千早と春香は足場を無くし、地面に…踏切の線路に落下ッ!

春香は地面を柔らかく、千早は自分自身を薄くペラペラにして。
それぞれ落下の衝撃を無くす。

 しかし雪歩にそれはできない。地面から受ける反動をもろに食らい。
雪歩の頭上のダメージゲージは赤点滅まで下がる。

春香「間一髪避けられたって感じだね…」
千早「ええ。でも、本当に萩原さんは変わった…。
   既に甘く見ているつもりはなかったけど、彼女は違う。
   【漆黒の意志】を持っているわ。
   黄金の精神とは逆…。絶対的な殺意…」


雪歩「真ちゃん…。小鳥さん…。私はその精神を受け取っている…。
   負けるわけにはいかないよ…。
   そしてどうやら…。【成長】するみたいだね…。戦いの中で…」



春香「千早ちゃんッ!危ない!」
千早「来るッ!」


雪歩「スタープラチナ……ここからは、私だけの…時間…」


 時が止まる。
その時間は、空条承太郎がDIOに向けてはなった瞬間と同じ。
最高潮の時間。
完成された、完全なスタープラチナ。


雪歩「覚悟してッ!
  オラオラオラオラオラオラオラオラ
  オラオラオラオラオラオラオラオラァ!」




 時間が刻み始めた瞬間。
春香は見た…。大きなクレーターを…。

春香「あ…あ…」

 クレーターは、スタープラチナの乱打の結果。
そして、そのクレーターの中心に居るのは…。

如月千早ッ!



春香「千早ちゃんッ!!」


雪歩「やれやれだよ…。私はもう…負けない…」


千早「長すぎる…。時を止められる時間が…。
   ごめんなさい…春香…そして高槻さん…。
   私はあなたたちを…。
   未来への遺産を…残せなかった…」


 涙とともに千早は消える。
その儚い光を、春香は抱きしめる。


【チハヤ:ソフトマシーン
 再起不能】

春香「雪歩…。強くなったね…」

雪歩「ありがとう…。そしてこの距離…。
   春香ちゃん…。あなたにもハズさない距離だよ」

春香「そう…だね。でも、私、元気だけが取り柄なんだ。
   どんな逆境でもチェックメイトでも。諦めない事が、取り柄なんだ…」


 春香は恐怖し、畏怖した。
雪歩の瞳の奥に浮かぶ。漆黒の意思に。

 しかし、躊躇ってはいけない。
負けるわけにはいかない…。

 それは雪歩も同じ…。


二人は対峙する。春香にも既に…。
黄金の精神と。漆黒の意思がぶつかり合う。

 拳1つ。
その攻撃が入ってしまえば再起不能。
すでに精神の強さの勝負…。

春香「VAAAAAAAAIIIIIIII(ヴァィィィイイイイイ)!!」
雪歩「DIGDUUUGGGGGGG(ディグダグ)!!」


 拳が命中したのは…ッ!

※どちらの攻撃が当たったのか…。

>>273>>279
で、春香or雪歩
多い方

雪歩

雪歩!

うーん。連投だしなー。

ちょっと再安価する。

雪歩 or 春香

>>284

雪歩

春香「強かった…。でも。
   私だって…負けられないんだ…」


―さかのぼる事数十分前―


春香「あ!千早ちゃん!」

千早「春香…!会えてよかった!」


春香「千早ちゃん。なんだか澄んだ眼してる」

千早「え?えぇ、ついさっき。高槻さんと戦ったわ」

春香「やよいと!?
   え、じゃあ…」

千早「ええ、このゲーム内に、もう高槻さんはいない。
   だから…ちょっと春香に謝る事があるの」

春香「え?何何?」

千早「ゲームの前に、私は手助けをするっていったと思うんだけど…」

春香「うん」

千早「ごめんなさい。手助けはできない。協力を、改めてお願いするわ」

春香「えぇ?うん!!モチロン!」

千早「私、このゲームと真剣に向き合おうと思うの…。
   だから…勝ちたいッ!」

春香「うん!よっしゃー!頑張りましょー!!」


―今―


春香「私だって…。千早ちゃんのその目を見たら…。
   勝たなきゃって。昨日だった気がするあの日みたいだった。
   IA賞を、皆で目指したあの日みたいな…。
   仲間であり敵であり好敵手だった…。
   そんな風に…思えたんだよ…」

雪歩「うん。私…勝つから…。
   春香ちゃん。ごめんなs…ううん。ありがとう」


 雪歩だった。春香はダメージを受けて、雪歩に体を預ける形で倒れこむ。
雪歩はいつもの笑顔で。春香を撫でる。


雪歩「今日は、今回だけは。私が春香ちゃん達を超えて、背負っていくよ」

春香「うん。えへへへ。ちょっと私も疲れちゃった。
   あとはよろしくね…」


雪歩「うん…」


【ハルカ:スパイスガール
再起不能】






 To be continued→

ごめんよ…。

ちょっと安価もう少し考える。

続きはまた明日書こうと思うんで。
一旦乙。

響「よしッ!行くぞトラ吉!ヘビ丸!ウマ蔵!ワニ之介!ブタ山!牛太郎!モモ市!」

 響は動物たちを杜王町を闊歩していた。
虎に乗っかり、横にはシマウマとワニが陣取り、後方にヘビ。
前方にブタと牛。そして上空をモモンガが飛んでいる。

 まるで動物の王様のように、堂々と歩いている。

響「誰が来ても、なんくないさー。
  モモ市ー!前方に敵はいるかー?」

モモ市「キュゥキュゥ!」

響「おっけーだぞ!そのまま気を配っててね!」


 このゲーム内で、プレイヤー以外の生物は本来存在しないが。
響の能力のみ。生み出す事が出来る。
響はスタンドを扱うのではなく。スタンドを利用している。

 しかし。
出会う敵は、それと同等。いや、それ以上にスタンドをうまく扱える…。


 響の丁度前方の曲がり角を歩く彼女達は…。
笑みを絶やさず…。


モモ市「キュゥキュキュゥ!!」

響「何だって!? 一旦停止だぞ!敵だ!」


 曲がり角を曲がり、二人。姿を現す。


亜美「うあうあー!動物がいっぱいだよ!」
真美「ひびきんだぁー!」


 亜美と真美は、既にスタンドを発現させている。
二人に、能力がばれることへの弊害という高尚な駆け引きは必要ない。
というよりも、不可能に近かった。

 しかし、それは響にも言える事。
響は常にゴールドエクスペリエンスを出現させている。
それは、自身の慢心によるものに他ならない。


響「うがー!亜美と真美かぁー…。
  律子とかだともっとこう…アレなバトルできそうだったけど…」

亜美「なんか見るからにガッカリしてるっぽいよー?」
真美「あまりにも舐められてるよー!それはダメっしょー!」



 通路で3人は対峙。

響「さっそくいくぞー!
  自分。戦いたくってウズウズしてんだ!」

亜美「真美ッ!来るよッ!」
真美「あっちが来るならこっちもいくべきっしょー!」

響「ブタ山!牛太郎!
  ツインターボアタックだ!」

 響の怒号によって、豚と牛が全力で走りだすッ!


亜美「真美ッ!」
真美「オッケーオッケー!余裕だよーん!
   ホワイトアルバム!表面化の世界へ!」

 氷点下の世界へ…。
真美のホワイトアルバムがあたりを誘った。


 足元が…。凍るッ!ブタと牛は足を取られその場で停止…。
更に他の動物たちも足元もろとも凍らせたッ!


響「うぎゃー!しまったッ!自分のゴールドエクスペリエンスは…。
  氷点下の世界じゃまともな生物を生み出せないぞ!
  動物たちも凍っちゃったし…。
  原作通り…。いや、それ以上にキツい相手だぞ…」



ブタ山「ぷぎぃ!プギギィ!」
牛太郎「モモモー!」


響「皆!能力を解除してあげるからな!」


 動物たちが電柱やベンチに姿を戻す。
響にとって、動物たちが苦しむ姿は見たくないものだった。

 それがたとえ、自分の戦力を大幅に削減する事であっても…。


亜美「ひびきん!大人しく負けを認めてよー」
真美「そうだよー。原作でもこの組み合わせはそっちが不利っしょー!」

響「……本当にそうかなー?
  確かに、自分の能力じゃあ、新たに生物を生み出すことは難しいさー。
  原作みたいな草をチョコチョコ生やすのがやっと」

亜美「そうだよー。だから負けを認めてよ!
   今だとひびきんは何も出来なくて氷漬けにされちゃう一方。
   亜美もドロドロにしちゃうから動けないし」

真美「意味ないっしょー」



響「本当に…本当にそうかなー?」


 響の目は、何かを企んでいる目。

亜美「うーん。もしかして何かしてくるのかな…」

真美「でも、いまさっきひびきんは自分から動物たちを物に戻してたじゃん。
   だから、足を凍らされたひびきんが何かできるはずないっぽくない?」


 亜美と真美は、うかつに攻められない。
それは、真美の体力。

 真美は、貴音とのシビルウォー戦で、体力を大幅に削られていた。
うかつに攻め込めば、一撃でやられる体力。
亜美もまた、真美の傍から離れられず、膠着状態が続く…。



響「時間稼ぎ完了さー。
  ヘビ丸が…二人の後ろに回り込むまでのねッ!」

亜美「え?」

真美「亜美!後ろォ!」


 亜美と真美の後方にいたッ!回り込んでいたのは…。
ヘビッ!毒もった牙を、亜美めがけて飛びかかって来たッ!

 それは響が生み出した動物。

 響は、牛やウマ。自分の傍にいた動物たちを物に戻す事で。あえてッ!

 後方のヘビ丸の存在を消したッ!


響「そのヘビはサンゴヘビ…。噛まれた瞬間の神経毒で…一撃必殺さー!」


真美「亜美ッ!危ない!」


 亜美に飛びかかる毒蛇を、真美は亜美を突き飛ばし。
自らに噛ませたッ!

 真美には装甲があり、ヘビの歯は通らない。
故に、ノーダメージで回避することが可能ッ!

 そして、更にッ!真美のホワイトアルバムをゼロ距離で発動し。
ヘビはまるで理科室の標本のようにッ!瞬間的にッ!凍りつく!


亜美「うあうあー。助かったよ…真美」
真美「危なかったね!亜美!」


響「そこまでだぞ…。自分の方が一手上だったな!」


 ドスンッ!


亜美「…ッ!!」

真美「カ…カハッ!」

 それは電柱のボルト…。
電柱のボルトが、急降下して来ていた。空高くから。

 ホワイトアルバムの、首の後ろの空気穴にめがけてッ!

 それに気づかず、ヘビと対峙する真美は下を向いていた。
つまり…。

 空気穴をあけた状態だったッ!


響「自分の仲間はもう一人いたんだぞ?モモンガのモモ市だ!
  元々は電柱のボルト…。それを、今ッ!空中から滑空して物に戻した!
  自分なりの『弾丸』ってことだ!」


 響の解説は、亜美と真美の耳には届かない。
真美は、足から崩れ落ちる。

 同時に、凍りついた世界が蒸発する。

 この二つが意味する事は、亜美には理解しがたい事実だった。


亜美「真美―ッ!!!」

真美「ごめん…亜美…。
   油断しちゃってたよ…」

亜美「まみぃいいいいいいいいいい!!!!」


響「まず…1人さー」


【マミ:ホワイトアルバム
 再起不能】

響「これで、ゴールドエクスペリエンスの能力が使えるぞ…ッ!
  …ッ!うぎゃー!」

 グラリと…。地面が揺れる。
地盤沈下。という方が正しいのか。
響の足元が、何かにとられる。


亜美「真美をやっつけたからって調子に乗んないでよ!ひびきん!
   亜美のオアシスを…舐めないでよね!!」


 氷点下の世界が無くなったと思えば、今度は亜美がオアシスで地盤を緩める。
地盤を泥化させる。

響「柄にもなく叫んじゃったぞ…。
でも…。そのオアシスで足場を泥化させる対処法も…もう出来てる」


 響は、地面がまるで沼のように柔らかくなるにもかかわらず。
いまだ。直立不動で立っている…。

響「ゴールドエクスペリエンスで、左右の壁に張り付くツタを生み出した。
  まるでつり橋のよーに。完璧な…完璧な足場を作ったぞ!」


亜美「やるじゃん…ひびきん!」


 ツタは地面に触れていない。故に泥化はしない。
響は、そのつり橋のようなツタの上を歩き、一歩前進する。


亜美「でもねーひびきん。近距離のパワーとスピードは、亜美ケッコー強いし…。
   直接触れたらひびきんそのものを泥化できるんだよ?」


響「なら…触れなければいい。これ以上近づかず…倒せば…なんくるないさー!」


 響は、自らッ!拳を泥化した地面に叩きつけたッ!
そしてそれを繰り返す!乱打に次ぐ乱打ッ!

亜美「そんなことしたら…。ひびきんの手がドロドロになっちゃうだけっしょ!」

響「どっちが先かな?自分の手がドロドロになるのと…。
  亜美が『ピラニア』に食べられるのはッ!」

亜美「まさかーッ!」


 泥化した地面の中で、泳ぐ音が聞こえる。
亜美の周りに、それらは陣取る。

響「泥を生命を与えてピラニアに変えた。
  亜美を四方八方から…噛みつけぇええええ!」


 瞬間ッ!亜美はジャンプッ!
地面から飛び上がり、地面が泥化を止めるッ!

 亜美は地上に立ち、地面を元に戻した。

 ピラニア達は、出口をふさがれて、元の地面に戻る。

響「そう簡単にはいかないか…。
  でも、これで易々と地面は泥化できないぞ?」

亜美「そっちこそ…。泥化した地面を使って生命を生み出せば…。
   その都度ひびきんの腕がドロドロになるだけっしょ!」


 互いが互いに一歩を譲らない。
曲がりなりにも一戦を交え、勝者となった二人だ。

 自分のスタンドを完全に我が物としている。

亜美「でも、何もドロドロになるのは地面じゃなくてもいいんだよ!
   こうやってッ!」

 亜美は横のブロック塀を泥化させて、響に投げ付けるッ!
その泥は、亜美の手を離れた瞬間に元に戻りッ!

 皿のような形をとったコンクリートに変化し、響に襲いかかるッ!

響「自分のスタンドは近距離パワー型。
  そんな攻撃ッ!返り討ちだぞ!」

 ゴールドエクスペリエンスが、飛んでくるコンクリートを粉砕ッ!

亜美「でもでもー!連続攻撃なら間に合わないっしょ!」

 亜美は続けざまにブロック塀を響めがけて投げるッ!
数多の円盤型のコンクリートが、響めがけて飛んでくるッ!

響「いくら飛んできたところでッ!なんくるないさー!
  オラオラオラオラァ!」


 響も負けじと粉砕を繰り返すッ!

 そして、その瞬間だった。


響「オラオラオ…うぎゃー!」


 ドギャンッ!


 飛んできた…。

 飛んできたのは…。亜美自身ッ!


 飛びかかって来たのではなく。
それはまるで。

 吹き飛ばされたようだった…。


亜美「いててて…」
響「亜美自身が飛んでくるなんて…」

亜美「ハッ!」


 亜美は咄嗟に振り向く。
それは、自分が吹き飛ばされたのが、ダメージのよるものだと知っていたからだ。
どこからか分からない。
謎のダメージに。

 一瞬で攻撃されたのだ…。見えない誰かに…。否、見ていないうちにッ!



雪歩「私も仲間に入れてほしいな…なんて…」


響「雪歩ッ!」
亜美「ゆきぴょんッ!」

萩原雪歩。彼女は、スタープラチナで時を止め、亜美の後方から近づき…。
一撃を喰らわせた。


響「いまは亜美と戦ってるんだぞ!邪魔しないでほしいぞ!」
亜美「そうだよー!横やり入れるのは卑怯だよー!」

雪歩「おかしいな…。すごくおかしいよ…。
   これは『戦い』なんだよ?どこに誰が居るか分からない戦い。
   それなのに、二人だけで戦ってるって言い訳は通じないんじゃないかな。
   カーズさんも言ってたよ?」


 雪歩は時を止めて、足元にある。亜美の砕いたコンクリートを持ち上げて、響の目の前に投げ付ける。

 再び時を刻んだ瞬間。
響の目の前にはコンクリートが一瞬で現れたように見えるッ!
不可避の攻撃ッ!

響「うぎゃぁああ!」


雪歩「【勝てばよかろうなのだ】って!」


 雪歩の目は輝く。
しかし、それは黄金の精神ではない。漆黒の意思。
勝利のためにすべてを犠牲にする覚悟をもった。黒い決意。

 悪いとか、邪悪とか、卑怯とかそういうものではない。
勝利への渇望そのもの。

 雪歩の目には、それが輝いているッ!


亜美「うあうあー。ゆきぴょんじゃないみたいだよ…なんか怖いよ」

響「いててて…もー!邪魔するなら!容赦しないぞー!」


雪歩「もちろん…。2対1でもいいんだよ?
   さっきもそうだったし…。私…負ける気がしないんだ」

 響と亜美は、互いを見る。
言葉で交わさなくとも、それは長年を共にしたアイドルたちの友情。
言いたい事は分かった。

亜美「オアシスッ!地面をドロドロにしちゃってー!」
響「ゴールドエクスペリエンス!ピラニア達!頼んだぞー!」

 亜美が紙面を泥化して地面の深くから雪歩に接近ッ!
同時に響がピラニアを大量に生み出すッ!

 雪歩を地中に飲み込み更にピラニアで攻撃を目論むッ!しかし…ッ!


雪歩「今、私のスタープラチナは完成されているの…。
   時は止まる…。そして、止まった時の中では泥も地面と一緒…。
   響ちゃんに近づく事は…簡単なんだよ?」


 時が再び刻まれる。
響が後方へ…飛ぶッ!


響「ウギャッ!!」

亜美「ひびきん!」

雪歩「響ちゃんを気にしている場合かな?
   この距離は既に、亜美ちゃんは私の射程圏内なんだよ?」

 雪歩は立っている。
それは響が先ほど生み出したツタの上。

 故に泥化した地面に触れず、ピラニアの攻撃も受けないッ!
そのまま、雪歩は亜美にめがけてラッシュを叩きこむッ!


雪歩「オラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」

亜美「近距離なら…負けないっしょ!ウリャリャリャリャリャリャ!!」


 真美も負けじと、ラッシュにかぶせる形でラッシュを叩きこむ。
二人のスタンドの拳がぶつかり合う。


 しかし、パワーとスピードも最強のスタンド。
スタープラチナ。

 それに勝るオアシスではなかった…。

 ゆっくりと、一撃。また一撃と。
亜美の懐へ重たい打撃が入る。


亜美「グッ…や…ヤバいっぽい…」

雪歩「オラオラオラオラァ!」


雪歩にためらいはない。再起不能に落とし込む。
その目に躊躇はないッ!敵がだれであろうとッ!その拳のスピードが留まる事はないッ!



 そして、最後の一撃が…亜美の懐が空いたッ!

雪歩「これで終わりだよ!亜美ちゃん!オオオラァアアア!!」

 瞬間ッ!足場が崩れるッ!

雪歩「しまったッ!時よ止まって下さい!」

 瞬時に時を止める。
オアシスが、横のブロック塀もろとも泥化させているので。
ツタが支えきれず千切れたのだ。

 しかし、雪歩は動じなかった。
即座に時を止めて体勢を立て直す。

 そして、亜美の体力ゲージを見やると、あと一撃…。
この拳が入れば再起不能。

 飛び上がり、空中から一撃を入れる。
そうすれば、地上に降りた時には地面は既に泥化を止める。

 飛び上がって、拳を入れる瞬間ッ!


雪歩「時は…動き出すッ!!」

 ドゴォッ!


拳の音は、雪歩のスタープラチナ……。

否ッ!

響「やれやれ…間に合ったぞ…!」

 ゴールドエクスペリエンスの拳ッ!

雪歩「そんなッ!さっき向こうに吹き飛ばしたのに…。
   何で上からッ!」


 響は鷹を生みだして、自分を即座に雪歩の真上へと運んだ。
ゴールドエクスペリエンスは、生み出す生物を自由に決める事が可能。
響の動物に対する知識は、その時々で、最善の動物を味方にできるッ!


響「今、時を止めてたな?なら、もう少しの間は止められない…。
  その間に…やれやれ、雪歩…。雪歩の負けだァアア!」

雪歩「ッ!スタープラチ…」
響「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
  無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
  無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」

泥化した地面が波打つように。
沼が水しぶきを上げるほどの大打撃ッ!



 雪歩「……ッッ!!!!」


 響「自分はやっぱり…完璧さー!」


 雪歩が地面に倒れる。

雪歩「そんな…私が…負けるなんて…」

響「雪歩は確かに強かったぞ。でも、自分が相手だったのが最後だな。
  なんたって自分は…完璧だからなッ!」



 雪歩の体力はほぼゼロ…。だがしかし…。


雪歩「完璧なら、さっき私が地面にぶつかったときのしぶき…。
   私は体ごと叩きつけられてしぶきをあげた…。そのしぶき…!
   空中にとんだ瞬間その泥は…亜美ちゃんから離れた泥はッ!」


 つららッ!
つらら状にッ!響の頭上に泥だった地面が降り注ぐッ!


響「何…だって…ッ!」


 響が上を見上げた瞬間。すでに目の前につららがあった。
確実に響に突き刺さるッ!
そして、それが突き刺されば、勝者は…ッ!

亜美「いけぇえええええ!」




雪歩「勘違いしないでね…亜美ちゃん。
   別に負けた腹いせじゃあないんだよ。これは【敬意】なんだよ。
   私に勝った人への【敬意】。敬う気持ち。
   だから最後の力で、時を止めて響ちゃんを襲うつららを破壊する。
   もう一度言うよ…。腹いせだとかかき回すんだとか、そんな弱い考えじゃないの。
   これは【敬意】の表れ…。
   私に勝った。響ちゃんへの敬意なの」



 つららが響を貫く事はなかった…。
目の前で飛散する。スタープラチナの最後の攻撃だった。
そのまま、雪歩の体は白く、薄く。そして消えていく…。

【ユキホ:スタープラチナ
 再起不能】

響「亜美…。今までありがとう。良い戦いだったぞ…」

亜美「最後の最後まで、負けると分かっている勝負でも…。
   亜美は諦めるわけにはいかないよ!」


 ゲーム内でのこされた二人。
亜美は瀕死。響も重傷。

 しかし、その射程距離は。響のスタンド分離れている。

一撃を喰らわせられるのは、明確な結果。


響「HAAAAISAAAAAI(はいさーい!)」
亜美「うりゃぁああああああ!」


 拳が入るッ!
すべてが終わる。それが…ッ!

最後の一撃ッ!

【再起不能】


文字が浮かび上がる。

亜美「ひびきん…楽しかったよ」

【アミ:オアシス】


響「自分もだぞ!
  亜美や雪歩だけじゃない…。美希も。ハム蔵も…。
  みんなすっごく強かったぞ…でも…」



 そして、響の目の前に文字列が浮かぶ。

響「自分はやっぱり……
  最強の完璧の完全さーーーーー!!!」

【You Win!!
 ヒビキ:ゴールドエクスペリエンス】



響「やったぁあああああああ!勝ったぞー!!!」

―ゲームの外。現実世界―


皆はゲームを終え、思い思いに口にしていた。




やよい「もっと活躍したかったのに…最初の敵が千早さんで…。
    強すぎましたぁ…」

千早「ごめんなさい。春香を倒したのだと勘違いしてたから…。
   でも、高槻さんのおかげで覚悟が出来てゲームを楽しめたわ」

春香「千早ちゃん。ゲーム内で会ったら目つきが違うんだもん。
   ちょっと最初怖かったな…なーんて」



伊織「私なんてあずさと律子よ?キングクリムゾンとか卑怯よ卑怯!」

あずさ「あらあら。でも、その強い能力に伊織ちゃんは相撃ちまで持っていたのですから。
    伊織ちゃんは賢いってことなんじゃないかしら」

律子「っていうか伊織、私の体を養分にしてくれちゃって…。
   機転はきいてるけど正直どうなの?気持ち悪いとか言ってたくせに…」

伊織「あ、あれはあーするしかなかったんだからしょうがないじゃない!
   律子も再起不能になっても役に立てたんだから感謝しなさいよね!」



亜美「うあうあー。ごめんよ真美―。まけちった」
真美「勝ち負けなんてどーでもいいっしょー!楽しめたんだからオッケーだよん!」
亜美「それもそーだね!」

貴音「所でお二方。約束の方は…」

亜美「あ!そーだった!うー。でも約束は守んないとね…お姫ちん!この後ラーメン!」

貴音「ええ、是非。お二人にも食べてもらいたい絶品のらぁめんがあるのですよ」



美希「あふぅ…頑張った分すっごく疲れたの」

真「でも、美希も最初の敵…響だっけ?すぐに負けたんでしょ?
  本当に頑張ったのー?」

美希「むう、それは心外なの…。偽のハニーも見破って、大奮闘したの
   ってか、それこそ雪歩を守れず早々に再起不能になった真クンに言われたくないって思うな」

真「えー!?そういう言い方よくないってば!僕だって相手が小鳥さんじゃなかったらもっと…」




伊織「あ、来るわよ!優勝者が」

 皆は一斉に前を向く。
そこには、このゲームで優勝した響と、ゲーム開発を行ったバンナムの二人が立っていた。


バンナム「えー。このたびはモニターを引き受けてくださってありがとうございます。
   まず、我々一同お礼を言いたいと思います。
   皆様が、ゲームと思えないほどの死闘や激闘を繰り広げてくださった事で。
   このゲームの楽しさや奥深さを伝える宣伝、に大きく貢献してくださったと思います。
   また、皆さま自身も楽しんでいただけたようで。
   開発者冥利に尽きます。

   それでは、今回の戦いで、最後まで生き残った。我那覇 響 さんに。
   優勝者の言葉をいただきたいと思います」


 響にマイクが渡される。


響「皆…。まずはありがとう!
  このゲームはジョジョの奇妙な冒険ってことで。
  漫画をついこの間読み始めたんだけど。最初は絵柄のタッチが正直苦手で…。
  でもでも。読めば読むほどハマっちゃって…。
  本当にこの作品って素晴らしいなって思う漫画だと思うぞ!

  そして、このゲームも。とっても再現度高くて。
  本当に自分。ジョルノになった気分だった!
  すっごく楽しくて、また。プレイしたくなるし。絶対絶対!
  沖縄の友達と一緒にやろうって思うぞ!


  そして、最後に!優勝した自分から、勝利の言葉で締めくくろうと思うぞ!

  せーの!なんくぅどぅるるるるる……」


響「…ッ!違うぞ!今のは違くて!」


 パチパチパチと拍手が響いた。

バンナム「はーい。なにやら盛大な噛み方をしていただいたので。
   これが彼女のメッセージという事で…。
   それでは、今日はありがとうございましたー!」

765プロ一同「ありがとうございましたー!」

響「いや、違うぞ!ちょっとやりなおさせてほしいぞ!」





 こうして、数時間に及ぶ戦いは幕を閉じた。
最初は皆、ゲームとして、モニターとして楽しんでいた事が。

 気付けば友情を超えた敵へと、仲間へと変わっていた。


 今ここで響が優勝したのはただの運かもしれない。
再びやれば結果が変わるかもしれない。

 つまり。優勝者などどうでもいいのだ。
アイドルたちの戦い。それ、そのものが結果としては重要だった。


 765プロは、このゲームを通して。
またひとつ。成長したッ!




~Fin~

―後日―

真「ねーねー雪歩。この服どうかな?」

雪歩「駄目…全然駄目だよ。なんでわかんないの?真ちゃん…。
   あなたに求められる属性はそうじゃないの。
   どうして分かってくれないの?」

真「え…うぅん。ごめん…」

春香「ねぇ、真…」

真「いや、言わなくても分かるよ。多分同じ気持ち…」

春香「あのゲーム以来。雪歩、たまに目の奥が黒く輝くよね…」

真「うん…。皆ゲームの中ではそれっぽい事言ってたけど。
  実際ゲームが終わったら皆元に戻ってたけど…」

春香「雪歩の【漆黒の意思】は、どうやら彼女自身に根付いちゃったみたいだね…」

真「今日の生ッすかTVの新企画、『菊地真改造計画』って。
  ボクと雪歩がペアでやるんだよね…?」

春香「う…うん。真!いざとなったら逃げなよ!」

真「えー!そんな大事になるかもしれない感じ!?」


雪歩「何…話してるの?」


真「いやいやいやいや!なぁーんでもないよー!」
春香「のワの…」


 ~本当にFin~

というわけで終わりです。

拙いながらも読んでくださった方は、ありがとうございました。

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