妹「お兄ちゃんとの日々」 (24)

既に完結していて、20レスくらいで終わります。

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兄「・・・!どうしたんだ?妹」

妹「ううん、特に用事はないよ」

兄「そうか、危ないから戻ろう」

妹「うん!」

兄「さ、おいで」

妹「うんっ」ギュッ

兄「どうしてここがわかったんだい?」

妹「お兄ちゃんの匂いがしたの!柑橘系の甘い匂い!」スリスリ

兄「・・・・・・そうか」

妹「お兄ちゃん、いい匂い!」

兄「ま、とにかく一旦戻ろう」

兄「ほら、早く入っておいで」

妹「うん、ちょっと眠くなってきた・・・」

兄「もうすぐで先生の回診があるっていうのに・・・」

妹「ねぇ、お兄ちゃん・・・」

兄「どうした?」

妹「私の目、良くなるの?」

兄「あぁ、なるさ・・・」

妹「でも!・・・子供の時から視えなかったんだよ?」

兄「・・・・・・大丈夫」

妹「うん、お兄ちゃん・・・抱きしめて?」

兄「・・・・・・あぁ、いいぞ」

妹「ふわぁ・・・、あったかい・・・」ギュッ

兄「・・・そうだな・・・」

──────────コンコン

兄「先生がきたみたいだな」

妹「うん」スッ

兄「しっかり診てもらうんだぞ」

妹「うんっ!」

医師「やぁ、妹ちゃん。・・・それと、兄君」

妹「先生こんにちはっ!」

兄「どうも」

医師「今日は大事な話をしにきたんだ・・・」

兄「!」

妹「大事な話、ですか・・・」

医師「あぁ、妹ちゃんの視力が元に戻るかもしれない」

妹「ほ、本当ですか!?」

兄「!・・・やっとか」ボソッ

医師「その手術を行うために、妹ちゃんのサインが必要なんだ・・・。何分、難しい手術でね・・・。患者の許可なしには出来ないんだ」

兄「それで、本当に治るんですね?」

医師「もちろんだ」

妹「・・・その手術、どれくらい大変なんですか?」

医師「そうだね・・・、目を瞑ったまま針の穴に毛糸を通すことくらいかな」

兄「それは・・・!ほぼ不可能じゃないですか!」

医師「それでも!君の望みを、未練を断ち切るためには、これしかないんだ・・・!」

兄「・・・・・・・・・、妹。どうしたい?」

妹「私は・・・、お兄ちゃんの顔が見たい!そのためなら少しの可能性であってもかけてみたい!」

兄「・・・・・・そうか」

医師「それなら、・・・っと。この紙に指印を押してほしい」

妹「んっ・・・」スッ

医師「よし、これで手術が可能になった」

兄「それは、いつ行うんですか?」

医師「我々の都合で申し訳ないが、一週間後に行う。教授たちがこの病院を訪れる日なんだ」

兄「その手術を見せるために、ですか?」

医師「あぁ、そうだ」

妹「かまいません。それで目が視えるようになるなら!」

医師「それでは一週間、やりたいことを好きなだけ楽しんでおきなさい」

兄「・・・・・・はい」

医師「失礼するよ」ガラガラ

妹「やったよ!お兄ちゃん!」

兄「・・・・・・っ!そうだな・・・」

妹「嬉しい!ねぇ、さっきの続き!」

兄「あぁ、わかってる・・・」

妹「・・・!お兄ちゃん・・・!」ダキッ

兄「明日は海に行こう」

妹「え?うん、いいけど・・・」

兄「よし、なら早速準備だ」

妹「うんっ!」

残り6日


妹「きゃっ、冷たい!」

兄「そうだな、冷たい・・・な」

妹「どうしたの?声に元気ないよ?」

兄「いや、なんでもない」

妹「そう?えいっ!」ピシャッ

兄「・・・・・・・・・」

妹「お、お兄ちゃん?怒っちゃった?」

兄「いや、怒ってないよ・・・」

妹「わぷっ!そ、そういうことか・・・。ならさらに仕返しっ!」ピシャッ

兄「こら、危ないからもうやめなさい」

妹「ちぇー、もう少し遊びたかったなー」

残り5日


妹「肌が痛い・・・」ヒリヒリ

兄「長時間日を浴びたから日焼けしてるな・・・」

妹「どうしてお兄ちゃんは痛がってないの?」

兄「そっ、それは・・・まぁな・・・」

妹「んー、えいっ!」

?「ひゃっ!」ヒリヒリ

妹「えっ?だ、誰!?」

兄「い、いや!俺だよ、いきなり叩くなよ・・・。我慢してるんだぞ?」

妹「でも、今の声って完全に女の人の・・・」

兄「びっくりして声が裏返ったんだよ!」

妹「そ、そうなんだ・・・。ごめんね?」

兄「いや、いいよ・・・」

残り4日


妹「今日は何をするの?」

兄「そうだなぁ・・・、本でも読み聞かせるか?」

妹「何の本を読むの?」

兄「あーっと、赤ずきんとか?」

妹「むーっ、そんなに子供じゃないよ!」

兄「うーん、それ以外だと探さなきゃないしなー」

妹「だったら今日はお兄ちゃんとたくさんお話がしたいな」

兄「そ、そうか・・・。じゃあ、そうしよう」

妹「うんっ!」

残り3日


兄「妹?寝てるか・・・」

?「あと3日なんですね・・・」

兄「元々、そういう契約でしたし」

?「兄さん、本当にそれでいいんですか?」

兄「・・・いいわけないですよ。でも、仕方ないんです」

妹「んぅ・・・お兄ちゃん・・・?」

兄「どうした?寝ててもいいんだぞ?」

妹「ん・・・」

?「残り3日間、出来る限りのことはやってみます」

兄「ありがとうございます。よろしくお願いします」

残り2日


妹「二日後には手術して、少ししたら視えるようになるんだよね!」

兄「ん、成功したらな・・・」

妹「やっとお兄ちゃんの顔が見れる!」

兄「・・・・・・・・・・・・」

妹「もしイケメンじゃなくても、私は問題ないよ!」

兄「どういう意味だ、それは」

妹「でもきっと、お兄ちゃんはイケメンだよね!」

兄「・・・・・・・・・・・・」

妹「お兄ちゃん?」

残り1日


妹「ついに明日だね・・・」

兄「・・・・・・あぁ」

妹「包帯をとるのは二日後だって・・・」

兄「・・・・・・そうか」

妹「成功・・・するよね?」

兄「・・・・・・成功するさ」

妹「うんっ!」

兄「・・・・・・明日に備えてもう寝とけ」

妹「うん・・・」

兄「おやすみ」

妹「おやすみ」

当日


医師「それでは、これから妹さんの視力回復手術を開始する」

医師A「はい」

医師「メス」

医師B「はい」

───────────────

──────────

─────

医師「・・・ふぅ。手術成功だ」

医師AB「おおっ!」

教授「素晴らしい・・・!」

医師「兄君、手術は無事成功だよ・・・」

兄「本当ですか!?よかった・・・!」

?「兄さん・・・、契約内容は妹さんの目が光を取り戻すまでですよね?」

兄「はい、そうですけど・・・それが?」

医師「恐らくだが、包帯を取るまではまだ光は戻らない。それまでに妹ちゃんに何か言葉を遺してあげなさい」

兄「・・・・・・はい」

妹「お、兄ちゃん・・・?」

兄「目が覚めたか・・・」

妹「どれくらい寝てたの?」

兄「一時間後に先生が包帯を外しにくるよ」

妹「そんなに寝ちゃってたんだ・・・」

兄「妹。妹はかわいい。だから、きっといい人が見つかる」

妹「え・・・?急にどうしたの?」

兄「その人はお前のことを支えてくれるだろう。俺には出来ないことだ」

妹「お兄ちゃん・・・?」

兄「妹、幸せになれよ・・・」

妹「お兄ちゃん!」

兄「俺はお前のことを愛してる。だから、いつまでも俺のことを忘れないでくれ。それじゃあな、妹」

妹「お兄ちゃん!」

医師「妹ちゃん、包帯を外しにきたよ」

妹「あの、お兄ちゃん知りませんか?」

医師「・・・・・・包帯を外すよ」シュル

妹「先生?お兄ちゃんは・・・?」

医師「・・・・・・・・・・・・」シュルシュル、パサッ

妹「・・・・・・・・・・・・」

医師「ゆっくり、ゆっくりでいいから目を開けてごらん?」

妹「・・・・・・はい」スゥ

医師「そう、ゆっくりね・・・」

妹「・・・・・・」スッ

医師「どうだい?これは何かな?」

妹「手・・・です」


医師「妹ちゃん、おめでとう」

妹「あの、お兄ちゃんは?」

医師「それを説明するために、行かなければならない場所がある・・・」

妹「あの・・・ここは?」

医師「お墓だよ」

妹「いえ、それはわかってるんです」

医師「つまり、そういうことだ」

妹「え・・・?」

医師「どうして君はここがお墓だと知っているんだい?」

妹「それは、墓石が建ってるから・・・っ!」

医師「君は生まれつきの盲目ではない。とある事故がきっかけで視力をなくし、思い出記憶もなくした」

妹「そう・・・だったの・・・?」

医師「そして、その事故で君の両親は亡くなった。君の兄も、亡くなった」

妹「えっ?じゃ、じゃあ私が話してたお兄ちゃんは・・・?」

医師「私にも理解し難いのだけど、強い未練を遺していたので閻魔大王と契約してこの世に幽体として存在していたようなんだ」

妹「わ、私はお兄ちゃんと手を繋いだり抱きしめあったりしました!それはどういう理屈ですか!?」

?「私がかわりに受けていたの」

妹「あなたは・・・?」

?「あなたが入院していた病院のナースです」

妹「ナース・・・?」

ナース「ほら、この匂いが証拠よ」スッ

妹「・・・!」クンクン

ナース「兄さんのかわりに私が温もりを与えていた」

妹「それじゃ、あの時の声は・・・」

ナース「びっくりしたわ、急に叩かれるんですもの」

妹「お兄ちゃんはもう死んでる・・・。それじゃ生きてる意味なんて・・・」


──────────「それは違う」

医師「なっ!」

ナース「うそ・・・!」

妹「お兄ちゃん・・・?」

兄「妹、ごめんな?少ししか時間がないから早速本題にはいるけど、お前が死んだら俺は二度とあの世へいけない。それは死よりつらいことだ」

妹「お兄ちゃん・・・」

兄「だから、命は大切にしてくれ」

妹「お兄ちゃん・・・!」

兄「もう時間だ・・・。本当に最後だ。幸せに、な」

妹「お兄ちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」

──────────20年後


少女「ねぇねぇ、お母さん」

母「どうしたの?」

少女「このお墓には誰が寝てるのー?」

母「ママのママと、パパと、大好きなお兄ちゃんが寝てるのよ」

少女「大好きー?お母さんはパパのこと好きなんじゃないの?」

母「パパも好きよ。でも、この人はもっと好きだった」

少女「うわき?はだめだよー!」

母「今はパパのことが好きよ?」

少女「そうなの?よかったー!」

母「ふふ、それじゃ帰りましょう」

少女「うん!・・・?」

母「どうしたの?」

少女「いまねー、お母さんのことをずっと好きであげてね、って言われた気がしたの」

母「!・・・ふふ、ありがとう」

以上です。

明日、HTML化依頼をします。

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