P「私立面妖高校!」(126)

P「ん? 今日はこれだけしかいないのか?」

雪歩「? そうみたいですよ」

伊織「何その紙の束……何を持っているのよ」

P「あぁ、実は企画書とかプレゼンをこなしていくうちに
  ある出版社の目になぜか止まったらしく」

『君ぃ、文才あるねぇ。ちょっとさ、うちで小説とか書いてみない? ピーンときたんだ』

P「って言われてね」

響「どことなく社長に似ているような」

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千早「それで書いてきたって訳なんですか?」

P「あぁ、だがだけどさ。ちょっと自信がないんだよなぁ」

小鳥「そういうことでしたら私達でちょっと読んでみてもいいですよ」

P「本当ですか?」

伊織「すごい嫌な予感しかしないんだけど」

雪歩「あ、じゃあ私お茶淹れてきますね」

響「自分、結構ラノベとかも読むから小説にはうるさいぞ」

千早「ラノ……ベ?」

P「なんかその人が言うには君はアイドルのプロデューサーをしているそうだから
  どうかその経験も活かしてくれ、とのことなんだ」

千早「あの……ラノベってなんですか」

小鳥「なるほど。それじゃあさっそく読んでいきましょうか」

千早(誰も聞いてくれない)




俺は今日から面妖高校に転校する青羽根ケンヂ。
さっそくなんだけど、遅刻しています。



伊織「何よこの文章!! あんた馬鹿じゃないの!?」


P「うおっ!? な、なんだよ。まだ読み始めたばっかりじゃねえか!」

伊織「あぁ、もう読む気なくしたわ。完全に糞作品です本当にどうもありがとうございました」

雪歩「ま、まぁまぁ。まだたったの二行だし」

真「そうだよ。いきなり決めつけるのはよくないよ」

千早「プロデューサーという経験を活かしたんじゃ……ところでラノベって」

小鳥「まだまだこれからよ! さあ続きに行きましょう!」

伊織「もう嫌な予感しかしないわこれ」




「いっけねぇ~! 遅刻遅刻~!
 早く学校のあるイスカンダルに急がないと! ってそれは異国~~!」


伊織「………………!!!!」

P「待て、待って! 無言で破こうとしないでください」

伊織「なにこれ」

P「いや、ほら。キャッチーな主人公の方がいいかなって思ってさ」

P「ほら、でも見ろよ千早を」

千早「ぷふ……ふ、ふふふ。い、いえ、全然おもしろくないでふひゅふふふ」

小鳥「まぁ千早ちゃんだし」

伊織「どうせ千早はこんな時のための出落ちなんでしょうし帰っていいわよ」

千早「ひどいっ」

雪歩「プロデューサー……あっついお茶が入りましたよー」

P「ゆ、雪歩さん? なんでお茶構えてるの?
  なんで投球フォームで渡そうとしてるの?」

響「み、みんな待ってよ。在り来りな設定かもしれないけど
  これはもしかしたら不屈の名作もしれないんだぞ!」

響「だ、だって……見てよ。この面妖高校って」

響「……ちょっとワクワクするよね」

雪歩「…………」バシャァ

響「あっつぅ!? 熱ッッ!?  えぇ!? え!?」

響「何するんだよ!」

雪歩「プロデューサーも……分かってますよね」

P「えぇ!? 俺も!?」

P「書き終わってるから内容全部知ってるから分かるけど
  その分だとあと10リットル以上熱いお茶被らないといけないけど!?」

P「普通にお風呂がいっぱいになるくらいだけど」

小鳥「もしかしたらここから巻き返すかもしれないのだから」

響「そ、そうだね。とにかく次に行こう!」
 





俺は一生懸命、通学路を走った。だが、走ってなかった。
通常人間は走ると思いこむことによって走っていると感じることがあるが、
今の俺は自分が走っているのではないか、と思い込むことで
走っているという錯覚に陥ることによってつまりはなんかもうよくわからない。




伊織「長い割に意味分からない上に最終的に本当に理解できなかったじゃない!」

千早「まったく必要とされない長文が入ったわね」

響「これは救いようがないぞ」

小鳥「新人の編集者でも容赦なくカット入れるわよね」

P「ボロクソじゃないっすか」

伊織「と、とにかく、次に行くわよ」




俺は飛ぶ鳥を堕とす勢いで玄関を開け外の世界へ飛び出した。
なんということでしょう。太陽が眩しいではありませんか。


「わたくしとしたことが朝寝坊をモグモグ……」

「うわぁッ!」


玄関を出た先で俺は俺と同じように急いでいる女の子に轢かれた。
ぶつかった拍子に俺は尻餅をつき、
同じようにぶつかった女の子も尻餅をついて尻でバウンドしていた。




伊織「ストップ! ストップ!」

伊織「家出てなかったの!?」

伊織「意味不明な表現が多すぎるのよ! 馬鹿!」

小鳥「明らかに途中で匠になってるし」

響「女の子とぶつかるってまた王道だけど
  轢かれるってなんだよ! どんな女子だよ! ダンプカーじゃあるまいし」

P「その辺はほら。女の子、尻でバウンドしてるし」

P「バウンドモンスターだし」

雪歩「…………」バッシャァ

P「あっっつぅ!? 熱ッッ!! 何これ!? 熱っ!!」

小鳥「ヒロインが尻でバウンドするような体型……」

雪歩「ま、まだこの子がヒロインって決まったわけじゃないですし」

響「っていうか玄関先でぶつかるってなんだよ。集合住宅か何かか?」

千早「私も前に人様のマンションの中を駆け巡る鬼ごっこをしたことがあるけど
    その時ちょうど家から出てきた人にぶつかったことがあるわ」

P「そんなやんちゃな時代が千早にもあったのね」

小鳥「そしてそのまま謝罪要求され部屋に連れ込まれてフフフ腐」

響「描写が足らなすぎてわからなかったけど多分集合住宅なんだよね」

伊織「そういうことにしておきましょう」





女の子は尻餅をついた拍子にこぼして手にかかったおでん缶の汁を
音をたててすすっていた。


「ハフッ、ハフッ。じゅるるりゅ」


俺はドン引きした。



伊織「 そりゃドン引きするわよ!! 」

伊織「いくら異国~~!とか言ってふざけてる奴でもそんな女子ドン引きするわよ!」

千早「季節もわからないのにおでん缶を朝から食べてるって」

響「そんなんだからきっとデブなんだぞ」

P「やめろ! それ以上言うな!」





でもここは俺も悪いと思いすぐに立ち上がって手を差し伸べて

「すみません。大丈夫でしたか!?」

と尋ねた。



伊織「あら、意外に紳士?」

千早「落ち着いて水瀬さんこの小説……この展開。
    ただで終わるとは思えないわ」

P「みんな色々勘ぐりすぎだよ。別に大したことは起きないって」





「大丈夫です。ありがとうございます」


そう言って俺の手を取り立ち上がった。
おでん缶の汁でベトベトになった手で。


俺は潔癖症な部分もあるので怒り狂いそうになったが、
初対面の女の子に対して俺の必殺技のP波でブチのめすのは
気の毒なのでやめてあげた。



伊織「何その必殺技!? 地震か!!」

P「おお、よく分かったなぁ。実はこの主人公はグラグラの実の」

雪歩「……」バッシャァ

P「熱ッ! 熱いって! やめてください死んでしまいます!」

響「色々アウトすぎるだろその能力」

小鳥「大体能力とかもいきなりすぎるし」




しかし、この女……。





よく見るとすげえデブだ。




響「言うなよ!! それは言ったらだめなんじゃなかったの!?」

伊織「あんたってデブ専なの……?」

P「違う。ここから驚きの展開がちゃんと待ってるんだよ」

雪歩「ある意味全部が驚きです……」




待てよ。この女の制服……。よく見たら俺が今
日から行く学校のと似てないか!?



伊織「改行下手くそ!?」

P「うわちゃー。それは凡ミスだわ」

千早「その前にも色々ミスがありすぎると思うのだけど」

響「でも内容は本当に王道だな」

小鳥「内容というか大筋はね」

P「っていうか俺はこのためにいろいろ研究したんぞ?」

P「王道の少女マンガってのは何なのかってのをな」

千早「少女マンガを目指してたんですか?」

P「行く行くはコミカライズ化をだな」

雪歩「取らぬ狸の皮算用とはこのことですね」

P「でも俺の読んだ少女マンガはなんか知らんが
  主人公の髪の毛に芋けんぴついてたり意味わかんなかったから」

P「やっぱそれぐらいがいいのかと思って」

伊織「いや常識的に考えなさいよ」




「ごめんなさい。わたくし、急いでいますので」


と言いその女の子は靴の裏についたローラーで
滑るようにして去っていった。


「な、なんだったんだ……あの子。
 って、俺も遅刻しちまう! 急げ! もう3限が終わっちまう!」



伊織「どんなレベルで遅刻してんのよ!?」

響「とても初日とは思えないぞ……」

千早「さっき朝って言っちゃったじゃないですか」

雪歩「朝ですらなかったんですね」

小鳥「今時ローラシューズで投稿してるってさくらちゃんもびっくりですよ」

P「木之本さくらはいいんだよ可愛いから!」




俺はなんとか学校にたどり着くことができた。
途中で変なおっさんから未知の力を得たが、こいつはまだ使うときじゃない。




伊織「そこを省くんじゃないわよ!!」

響「割りと重要そうなシーン端折ったぞ!?」

小鳥「確かに……大体こういうのって主人公が後々ピンチになった時に
    そのおじさんとかがもう一度現れて助けてくれたりするものよね」

P「え? いや、なんかそういう思わせぶりを」

伊織「主人公の妄想!? 書くんじゃないわよ!そんなもの!」





ここが面妖高校か。今日から俺の新しいスクールライフが始まるぜ。


前の学校ではアダ名が亡霊かメダパニだったからな。
今回こそは失敗しないような自己紹介にしないと……。




響「前の学校っていじめられでもしたのか……」

小鳥「メダパニって……ピヨるんですか? 見たらピヨるとかそういうことでピヨ?」

P「あんたがピヨってるじゃないですか」

千早「待ってみんな新たなことがここで推測されるわ」

雪歩「どうしたの千早ちゃん」

千早「自己紹介で失敗したと見られる文章。
    つまりは自己紹介後に転校しているから少なくとも夏前であることが分かるわ」

伊織「憶測すぎて根拠ゼロじゃないのよ」

P「ある意味ゼロの使い魔だな」

雪歩「…………」バッシャァ

P「ぎゃあああ!! あっついいいい!」




肛門を乗り越え



雪歩「……」バシャァ


P「アッチィ!! 熱ッッついってば!! 誤変換だってば! ミスなんだってば!」

伊織「っていうかこれ乗り越えってことは門は閉まっていたのね」

千早「遅刻どころじゃないわね」





るのにちょうどいい具合の踏み台があったので使用したが、
その際になんか「あ、あの……何を。わたくしは踏み台では……イタタタタタ」
とかって声が聞こえたが気にはならなかった。



伊織「最低か! 気にしないさいよ」

響「前代未聞のヒロインを踏み台にする主人公……」

小鳥「……ある意味ご褒美あ、嘘、雪歩ちゃんお茶構えないで!」





その後、校内のクリアリングを終えて、
新しくきた学校にテンションがMACSになり誰もいない廊下を
クロスステップで移動していると、



伊織「余計な動きばっかり、一体何がしたいのよ……」

響「っていうかMAXのスペル間違ってるし……」

P「おお、よく分かったな響」

小鳥「ほんとだ。あれMAXのスペルミスだったのね。何? マッチュス?」

千早「挙動がいちいちただの不審者なんですけど大丈夫なんですか」




「ヒィィイイイ……ふ、不審者ですぅ……!!」


どうやら見られていたようだ。
振り返ると肌の白く透き通って、ワイシャツのブラが若干透けてて、
とても可憐で弱々しく守ってあげたく、ブラの色は薄いピンクで
髪はショートのボブで、二冊くらいノートを大事そうに抱えていた。



響「紛れも無いただの不審者だったぞ」

小鳥「でもその目線には同意してしまうかもしれないわね」

雪歩「……プロデューサー?」

P「はいッ! なんでしょうか!」

雪歩「これ、私っぽいんですけど、私の自意識過剰ですか?」

P「は、ははは……そ、そうだよきっと」




「おお、すまない。そこの可憐なレディー。
 職員室ってどこですか?」



響「迷子だったのかよ!!」


千早「初めてきた学校で浮かれて遊んでた訳じゃなくてただの迷子だったのね」

小鳥「というか突然紳士オーラだしてきたけど何なのこの人。
    さっきまでメインヒロインっぽい子を踏み台にしてた人ですけど」

伊織「主人公のキャラが謎すぎるわね」





「えっ!? しょ、職員室ですか? それならこことは全く逆方面の二階になりますよ」

「センキュー、マドモアゼル。それじゃ、アリーヴェデルチ!」



伊織「英語使うんだかフランス語使うんだかイタリア語使うんだか統一しなさいよ」

千早「主人公が一番謎な小説なのね」

響「主人公が一番謎なラノベって」

千早「あのだからラノベって何」

小鳥「もうそろそろこれが埋もれた名作だとか言ってられないくらいですね」

雪歩「逆に地中に埋めたくなるくらいの駄作です」

P「お前ら本当に酷い奴らだなぁ」

P「結構頑張って考えたんだぞ?」

伊織「だとしたら頑張りすぎよ!馬鹿!」

P「っていうかなんで今の出会いがフラグだってことに誰も気づかないんだ!?」

響「今の子そうだったのか!? まだ名前も出てきてないのに!?」

P「まぁ落ち着け。次に行こうじゃないか」




「おーっと。そうだ。そこのセクシービューティーワンダフォーレディ。
 お名前を聞かせてくれないかい?」

「えぇ!? お、荻原白歩ですぅ」



雪歩「やっぱり私がモデルになってるじゃないですかぁぁあ!」

P「なんでスコップ持ってるの!? お茶でいいから! お茶かけていいから!
  スコップ投げるのはやめて!」

千早「さっきから気になっていたんだけどMAXの綴り間違えてから
    英語をカタカナで書くようになってるわね」

伊織「かっこ悪……」




「そうか。白歩ちゃんか。あとアドレスと携帯の番号も聞かせて」


そう言いかけた途端、セクシービューティーワンダフォーレディの
お、……小笠原さん? だっけ? は走り去ってしまった。



伊織「 痴呆か! 今聞いたばかりじゃん! 自分で聞いといてちゃんと聞きなさいよ!」

響「セクシービューティーなんとかってのは覚えてたのにね」

小鳥「さり気なく名前意外にもいろいろ聞こうとしてるし」

P「まぁ最初は照れ隠しもあってこうなるんだが、あとあともうベタぼれの展開になるといいなぁ」

小鳥「願望!?」






仕方ない。俺ももう行くとするか。
そうして俺は廊下を再び走りだした。
しかし、廊下も走り出していた。


「な、なんだ!? 廊下が……動いている!?」

「これじゃあ前に進めない!! ふっ、なるほど。これが面妖高校の真髄ってわけか」



響「 面妖すぎるだろ!! どんな学校だよ! 怖すぎるよ!」

伊織「突然の超展開ね」

小鳥「というかこの主人公キャラがブレ過ぎててどうしたらいいんですか」




こうして俺は数々のトラップを今朝もらったおっさんの力で掻い潜り
ようやくして職員室にたどり着いた。



伊織「だからそこを省くんじゃないわよ!」

響「どんな力なんだよ。すごい気になるよ」

雪歩「トラップって……完全にもう仕掛けられてるじゃないですか。
    狙われてるじゃないですか」

小鳥「この職員室からするただならぬオーラ……」




「失礼しまーす」


職員室の扉を開けると、髭面の身体のめちゃくデカイおっさんが出迎えてくれた。
まるでこの男。青龍偃月刀が似合いそうだ。

「どうした。む、そうか。貴様が兄者の言っていた亡命生とやらか」

「おい、孔明」

そのおっさんが次に読んだ先生は大きな羽の扇子で仰ぎながらこっちにやって


「どうしました。おや、この方が。なるほど」


どうやらここは職員室ではなく蜀員室だったようだ。



響「意味分かんないよ!! なんで!? なんでこうなったの!?」

伊織「もうどうしたらいいのよこの作品。面妖すぎるっていうか馬鹿すぎる」

伊織「っていうか何よ亡命生って転校生って言いなさいよ」

小鳥「この主人公の無駄な悟ったモノローグがまた腹立たしいわね」

千早「ぶふゥッ!? しょ、蜀ふひゅフフフ熱ッ!! は、萩原さんお茶は熱いから!! 熱いってば!」




髭面のおっさんとしばし団欒していると眼鏡の美人の
如何にもキャリアウーマンな感じの先生がきた。


俺の担任の先生は冬月律子先生だったがまさかこの人が……。


「あ、あのもしかして冬月先生ですか?」

「あら、あなたもしかして今日亡命してくるはずだった青羽根くん?」

「兄者! よくぞ無事で」

「えぇ、厳しい戦いだったわ」




伊織「これは完全に律子よね」

P「そんなことはない! はずだ」

響「っていうかなんで蜀の人達と打ち解けてるんだよ」

雪歩「この蜀員室はもしかしてそのまま押し通すつもりなんですか?」

P「だって学校にいくつもいくつも職員室あったらおかしいだろ」

千早「それはそうですけど……」




その後、俺は律子先生にみっちり怒られた。
律子先生は優しい笑顔だったけれど結構な勢いで遅刻に対してブチ切れていて
ペンを持ってはへし曲げてを繰り返していた。
でもこの美人な先生に怒られるならHEAD-CHA-LAさ!

こうして俺は4時限目から授業に参加することになったんだZ。



小鳥「また急にウザイキャラになりましたね……」

千早「ヘッド……チャ……ラ? どこの外国の言葉なのかしら」

伊織「最後のZは何よ。ドラゴンボール繋がりなんでしょうけど腹立つわね」

P「じゃあ言うなよ。恥ずかしいだろうが」

響「この文章で人に見せるほうが恥ずかしいぞ」




「えー、みなさん。今日から転校してきた青羽根くんです。
 前の学校でのアダ名は亡霊かメダパニだけど、絶対に、絶ッッ対に呼ばないようにしてくださいね!」

「おい!!」


俺はこの瞬間心に決めた。この女教師、いつかぶちころがす。
あの動く廊下でころがしてやるからな。




千早「色々と自業自得なような気もするけど」

響「でもちょっとかわいそうだぞ。もし本当にいじめられて亡命あ、転校してきたなら
   また繰り返しになって同じ目にあうかもしれないぞ」

雪歩「プロデューサーももしかしてこういう目にあったことが」

P「ねえよ! やめろよ! 違うから。断じて違うから」




「じゃあメダパ、青羽根くんはあそこの一番後ろの席が空いてるからそこね」

「お前マジで覚えとけよこの野郎!」


俺は悪態つきながらも教室の窓際の一番後ろの席に座った。
しかし、先生は俺に対して言った。

「メダ羽根くん、そこは五条さんの席だから」

「先生。俺、青羽根です。……ってここじゃないんですか?
 あともう席ないですよ」

「何言ってるの? そこよ」


そう言って先生は掃除用具入れのロッカーを指差した。

「酷い教師だなぁお前!!」



響「 本当だよ!!! プロデューサーがかわいそうだろ!」

P「おい、俺じゃねえ」

雪歩「プロデューサー。さっきはお茶かけてごめんなさい。
    はい、温かいお茶です」

P「急に優しくなった!?」

小鳥「今日は早退しても大丈夫ですよ」

P「いや、まだ仕事あるし」

P「だからあれは俺じゃないってば」

伊織「私あれ律子に同じことやられてるプロデューサー見たことあるわ」

P「………………」

千早・小鳥・響・雪歩「………………」

P「……次行こうか。うん」

お疲れ様です。

今日はここまでにします。
さすがにボケが多すぎて書くのも読むの疲れるとおもいますし。
各方面に対し本当にすみませんでした。




こうして俺はやっとの思いで机を手に入れて一番後ろに座った。
するとそこにどすどすと響かせながら教室に入ってきた子が。


「おくれました。すみません」

「……タカネ。また遅刻?」

「すみません。校門で踏み台にされていまして」

「は? 全くそんな意味不明な言い訳が通ると思ったの?
 もういいわ。早く席つきなさい」




伊織「かわいそうすぎるわね」

響「もしかして不憫枠なのかなぁ」

雪歩「というかこの子、四条さんですよね?
    もしかしてプロデューサー四条さんのこと太ってるって思って」

P「違う違う違う! そんなこと思ってないから!」

響「貴音なのは認めるんだな……」




俺は正直このクラスでやっていけるのか不安に駆られていた。
例えるなら、電車でよく始めて行く駅で降りなくちゃいけないのに
イヤホンして大音量で音楽聞いて車掌の声をあえて遮断している時
くらいに不安だった。



響「何この中途半端な例え!?」

千早「もう少しいいものはあったと思うのだけど」

小鳥「どうしてこう時折無茶をするのかしら」

伊織「確かに不安かもしれないけどっていうかイヤホンして音楽聞くのやめなさいよ」

P「垂れ流せと?」

伊織「そうじゃないわよ! どうしてそう両極端なのよ!」




俺は次の授業が始まるまでさっそくぼっちで机に座っていると
一人の女の子がこちらに話しかけてきた。


「ねえねえ、どこから来たの?」

「あ、えっと……隣町の……」

「あー、無面妖町!」

「あ、うん」




小鳥「ただのコミュ障じゃないですか」

響「せっかく話しかけてもらってるのに!」

P「いや、普通に緊張してるんだよ!」

伊織「一人で異国~!とか言ってるやつが
   こんな所で緊張するようには思えないのだけど」

P「うるせえコミュ障は一人の時と親には最強なんだよ!」

伊織「だめだこいつ……」

千早「というか無面妖町ってなんですか?」

伊織「確かに安直すぎるわね」

小鳥「でもそしたら今主人公たちがいる町が面妖町な訳ですよね?」

P「ああ、そうだよ。面妖町の面妖高校だな」

小鳥「だとしたらこの町の面妖具合からして
    町の名前は的を射ているのかもしれないわね」

伊織「いやそんな訳ないでしょうが」




「私、天海(アマウミ)ハルカって言うんだよろしくね」

「あ、うん。……よろしく」

「えっと、何くんだっけ?」

「あ、青田くんだっけ?」

「え、あ、いや」

「青田くんは五条さんと知り合いなのかな?」

「あ、いや、あの」



伊織「 コミュ障すぎるでしょこいつ! 」

伊織「自分の名前間違われてるんだからちゃんと否定しなさいよ」

響「春香みたいな気さくに話しかけてこれちゃう子に慣れてないんだな」

小鳥「どうみても童貞ですね」

P「鳥コラ。俺とその文章を見比べるな。やめろ」

小鳥「小説家は主人公を自分に当てはめる時もあるということは
    もしかしたらプロデューサーももしかするかもしれないわね。
    あわよくばハメることもあるかもしれないわね」

P「考察をするんじゃない。 うまいこと言ったつもりかもしれんが
  かもしれないわね、じゃねえよ。ねーよそんなこと」




「なんかさっきからすごいこっち見てるよ?」

なかなか俺が青羽根だってことを切り出せずにいた。
しかしまぁそんなことをこの女が言うもんだからちらっと見てみると
例のあの五条とかいう女はピザを食いながら
ビンのコーラを片手に持ってこちらを見ていた。



千早「なかなかどうして本当に面妖なメンツが揃ってますね」

響「っていうか春香は話聞きなよ……」

P「こら、お前、まだ春香って決まった訳じゃ」

千早「どう考えてもモデルが春香なんですが」

雪歩「ハルカって名乗ってますし」

伊織「というかどうして貴音はそんなアメリカナイズな食事を今してるわけなの」

小鳥「さっきまでおでん缶でおでん食べてたんじゃなかったの……」




するとピザ女は立ち上がりこちらにずかずかとやってきた。
無論ピザを食いながら。
そして、

「何やら先ほどから卑しい目でこちらを見てきているのですが、
 このピザが欲しいのですね?」

さすがの俺は堪忍袋の緒が切れたので
ブチころがそうと決意した。

「欲しくねえんだよ!! このデブ!!」



響「いやブチ切れすぎだろ! 何か恨みでもあんのか!?」

伊織「っていうか教室でピザ食うって教室中がピザ臭くなるわよね」

小鳥「しかも登校してきたのがお昼前の3限……飯テロにも程があるわね」

千早「というかこの四条さんはどこからピザを出したのかしら」




「ふふ、苛々するのはお腹の空いた証ですよ。さあ、お食べ」

「うっせえ! 食いかけのピザ近づけんな!」

「ふふふ、怖くない怖くない」

「おめーが一番こえーんだよ! や、やめrもがッ、もがががが」



響「これ無理やり押し込んでるよね!?」

伊織「これを間近で見る春香はドン引きしてるんでしょうね」

小鳥「きっとこれナウシカばりの微笑みで口に突っ込んでますよね」

雪歩「それは余計質が悪い気がします」










「ところで、今しがた『でぶ』と言いましたか? ……ハルカのことを」

「え? 私?」



伊織「なすりつけた!?」

伊織「絶対分かってて春香のことにしようとしたわ!」

響「春香も貴音もでぶなんかじゃないぞプロデューサー!」

P「だからいい加減分かってくれ。実在する人物団体とは一切関係ありません!」




「いや君のことだよ」

「許しませんよ。わたくしの悪口はいくら言っても構いません。ですが!
 級友であるハルカの悪口、五条タカネ、許しませんよ!」

「話を聞け。お前のことだ」

そう逆ギレしだした五条は尋常ではないオーラを放っていた。
これほどまで奴のバトルコストだと?



響「完全に春香のことにしてるな」

小鳥「バトルコストってなんですか。ここに来てまた新しい意味不明な設定ですか」

P「いや、なんか気とか霊圧とかチャクラとかそんなような」

伊織「なんかぶっ飛んだ内容だってことは理解できわね」




「あの……タタネさん、今のは私のことじゃなくタタネさんのことじゃ」

「……!?」

ようやく気がついたようだ。
急に涙目になったその女はあまりの衝撃に
持っていた食いかけのピザを落とし、また拾って全部口に詰め込んだ。



響「拾って食うなよ! いじ汚いよ!」

伊織「この春香も容赦ないわよね」

雪歩「うぅ……先行きが不安になる展開です」

小鳥「開幕当時から不安だったわ」




「わたくしが……で、でbぽっちゃり系……」

この女。若干美化しやがったな。
もう一度言うがこの女は誰がどう見ても
一番最初に思いつく悪口はデブだ。

「わたくし……痩せて見せます! そして魔女の力も取り戻して見せます!」




小鳥「ど偉い展開に転んでいった!?」

響「で、でもここでデブだった子が痩せてメインヒロインになるんだよね!?」

伊織「そう考えると主人公の好感度は無茶苦茶低いわよね。
   デブ扱いしたり踏み台にしたり」

雪歩「未だに学園物意外にも匂うジャンルが何なのかわからないですよね」




馬鹿な……! この女が魔女だというのか?
魔女は俺が登校中に全滅させたはず……。



伊織「やっぱり大事な所だったじゃない!
    なんで省いたのよ! むしろそこで全部話しが書けるくらいじゃない」

響「学校行くだけでどれだけ濃密な時間過ごしたんだよ」

小鳥「これは学園魔法物ということでジャンルがやっと見えてきたということ?」




「次に会うときは必ずや痩せて舞い戻ってあなたを虜にしてみせます!」

「えぇ!? タカネさんとケンヂくんってそういう関係だったの!?」

そんな風に驚く天海を殺す勢いで睨みつける。
滅多なことは口にしないほうがいいずレッドリボン。


こうして五条は何故か天海にボディを入れて出て行った。



伊織「なんで!? 八つ当たり!?」


響「貴音は不思議な奴だけどこんな意味不明な奴じゃないぞ」

小鳥「というかこのプロデューサーの春香ちゃんの扱いも相当に酷いわね」

千早「どうしてこの作品の中の登場人物は挙動不審なのかしら」




天海は立てなくなり、膝をついて腹を抱えてうずくまった。
俺はそれが何か可笑しなことでもあったのかと不思議に思ったが
とりあえずはこいつが何に対して笑おうが知ったことではないので
黙って席についた。



伊織「いや、心配くらいしてやりなさいよ!!」

響「さっきの律子といいどうして下衆な連中しか出てこないんだよ」

小鳥「こ、このクールな対応が腐女子界隈で人気になるかもしれないわ!」

雪歩「小鳥さん。熱いお茶がはいりましたよ~」

小鳥「ぎゃあああ! 雪歩ちゃん私の両手は湯のみじゃないのよ!?
    両手に注いでもどんどん溢れるだけなんだからね!?」




「大丈夫、春香ちゃん……ハぅッ!?」

「ん? き、君は! 先ほどのセクシービューティーワンダフォーレディ!」

「ぐ、ぐはッ……し、白歩。この人と知り合いなの?」

「え? えっと……。ううん……知らない」



響「知らない人にされてる!」



伊織「仮にもこれから同じクラスになるというのにこの心の閉ざしっぷりは
    関わりたくないという意思が丸見えすぎるわね」

小鳥「たぶん、この主人公は春香ちゃんよりも雪歩ちゃんが好みということね?」

雪歩「……うぅ。嬉しいような悲しいような」




まさか……もう魔女の手先が彼女の記憶をいじったというのか?
おのれ、奴ら、許せんな。



小鳥「ものすごいポジティブだった!?」

伊織「このポジティブさは中々に厄介なものよ……」

P「確かに反省して欲しい時に凹みもせずに、
  大丈夫! 次がんばろうっ! なんて言われてもなぁ」

響「プロデューサーがそれを言うな」

千早「確かにこの手のタイプの人って自分の非を認めることは中々しないですからね」




こうして色々あって次の日。



伊織「だからなんでカットしたの!?」

伊織「どれだけ学習しないつもりなのよ!」

P「いや、書き終わってる俺に言われても」

響「都合のいいところばっかりカットしてるような……」

雪歩「かけるお茶ももったいないくらいです」

千早「……それは最初からもったいないんじゃ」

P「大丈夫、次がんばろうっ!」

響「次って何!?」




俺の目の前には銀髪の、それは見たこともないくらい美しい女がいた。
その女は俺を見下すように見て、言った。

「わたくし、貴方様と一つ屋根の下で暮らすことにいたしました」




小鳥「ラブコメ展開キターーーーーーーー!」

千早「きゃっ!? ど、どうしたんですか!?」

響「ふふん、確かにこれは王道的な展開だけど良い感じだね!」

P「はっはっは、だろ?」

伊織「とてもそう上手くいくとは思えないのだけど」

雪歩「私もそう思います」

千早「これってプロポーズとかそういう類の言葉じゃないんですか?」




この女は何を言っているんだ。
ふざけてやがる。一体何様のつもりなんだ。
土足で俺の家に上がり込みやがって。

「人様の家に土足で侵入するとは、何様なんだこの豚野郎」

俺はそのあと可能な限りその女を罵倒し続けた。



響「なんでだよ! 別にそこまで言うことないだろ!」

伊織「これ絶対貴音泣くわね」

響「貴音はいつも強がってるからなぁ。たまに泣きながら電話かかってくるぞ」

小鳥「ちょっとそれ詳しく!」

小鳥「あー、っていうか私もプロデューサーさんに罵倒されたいなー!ちらっちらっ」

P「おーい、雪歩! 茶ぁ持って来い!」



その女は涙目になりながらも

「よく見てくださいまし」

よく見ろ? 一体何をだ。
そのブランド物っぽい高そうな靴のことか?
ん? いや、待て……。なんだこいつ……。



……こいつちょっと浮いてる!?




伊織「 面妖すぎるわよ!! 」

伊織「何ちょっと浮いてるって! ドラえもんか!!」

小鳥「一体どんなダイエットの効果が……」

千早「えぇ!? ……したことないから知らなかったけれどダイエットって怖いのね」

響「いやいやいや」




俺が浮いてることに気がついた様子を見てその銀髪の女は
不敵に笑ってみせた。

「これが……ダイエットの効果です」

完全に人体改造してるじゃねえか。
ちょっと浮くってどんなダイエットだ馬鹿野郎。
と言いたかったが、俺はとりあえず学校に行く支度を始めた。




小鳥「無視!? 散々罵倒したら気分でもよくなったのかしら」

伊織「どんなサディストよ」

響「ぷ、プロデューサーってそういう趣味が……」

響「やっぱり765プロは変態事務所だったのか」

P「違うって! またお前そんなこと言うと純粋なのがいるかr」

千早「765プロって変態事務所だったんですか……どおりで」チラッ

小鳥「なんでこっち見るの!?」




「わたくしは貴方様にお仕えする身。
 昨日の言葉はわたくしにとってはぷろぽーず、求婚にも等しい行為」

どこをどう取ったらそうなるんだ。
人体改造の際にネジを閉め忘れすぎだこの女。




小鳥「王道的なラブコメ展開! このあとのくんずほぐれつはまだですかぁ!?」

伊織「落ち着きなさいよ! うるさいわねぇ!」

雪歩「……」バシャァ

小鳥「あぁぁ! あぁぁぁ~~!!」

雪歩「 効いてない!? むしろ痛みを快楽に変換している! 」

P「どんな高度な変態!?」

千早「やっぱり変態事務所だったんだ……」




「って、お前まさか昨日のピザ女か!?」

そこまで思考してようやく気がついた俺は布団から飛び出した。
同時に昨日下半身丸出しで寝ていたせいで俺の象さんも飛び出した。



雪歩「……」バシャァ

P「あっちゃぁぁ!? 熱ッッ! ちょっ、え!?」

雪歩「私のお茶は間違いなく効いてる……なのに」

P「俺で試すな俺で」

小鳥「ぱお~~~ん!!」

伊織「ちょっと、うるさい!!」

響「どうしてこんな意味不明な文でここまで興奮できるんだよ」




すると五条は目から謎の光線を俺の下半身に当てて俺の下半身の形態をスキャンした。

「でーたなるものは収集完了いたしました」



伊織「なんで!? 何に使うのそのデータ!?」

小鳥「何ってもちろんナニに」

雪歩「……」ザックザック

小鳥「きゃああ! 埋めないで! ごめんなさい! ごめんなさい~~~!」




こうして俺と五条の奇妙な五畳半の家の生活が始まった。




響「つ、ついに物語が動き出したぞ……!」

伊織「やっぱりジャンルはラブコメだったのね」

千早「ラブ……コメ? お米なんて出てきたかしら」

小鳥「ハァ……はぁ。これでようやくラッキースケベの椀飯振舞が!」

千早「どんなお米の銘柄ですかそれ!」

伊織「違うから!」

響「っていうか五畳半がどうとかうまいこと言ったつもりなのがムカつくぞ」

千早「え? お米だけにってこと?」

雪歩「千早ちゃん、ちょっとお茶飲んで落ち着いて」

千早「あ、ありがとう……」




とりあえず彼女を玄関の外に待たし、
着替えてから俺は窓から出て学校に行った。




響「いや置いていくなよ!」

伊織「あくまでも一緒にはいたくないといった感じなのね」

小鳥「まぁそりゃあちょっと浮いてるからね」

伊織「ある意味学校行っても浮いてたけどね」


雪歩「あの、ちょっと気になったんですけどいいですか?」

P「ん? なんだ?」

雪歩「一緒に暮らすってご両親の許可は取らないんですか?」

小鳥「それは大丈夫よ。大抵この手の作品の場合、
    主人公の両親は海外でお仕事してるとか、何故か全く触れられないとか、
    妹と暮らしてる、なんてのが多いから細かいことは気にしちゃだめよ」

雪歩「そうなんですか」

千早「私も一人暮らしだし、別に気になる所は特にないと思ってたけど」

響「自分もそうだしこのぐらいの年齢の子が一人暮らししていても不思議じゃないぞ」




学校でさっそく天海に話しかけられる。

「おはよう! ケンヂくん」

「あぁ、おはよう」

「あ、あのね、私お昼ごはん多めに作っちゃったんだけど
 今日良かったらどう? ちょっともらってくれない?」

「え? いいんですか?」

俺は思わず敬語になってしまった。この人は女神か何かなのか。
いや、よく見るとただの天海だ。




響「なるほど。だんだんジャンルが分かってきたな!」

千早「どういうものなの?」

小鳥「つまり学園ラブコメのしかもハーレムものよ!」


伊織「あー、あのなんか手の施しようがないくらい出尽くされたジャンルね」

千早「……それは豊作ね」

響「ま、まぁある意味でね」

伊織「こうやって着々と、さり気なく女の子を口説き落としていく……」

伊織「あまりいい思いのするジャンルではないわね、私は」

P「なんで?」

伊織「なんかラッキースケベとかそういうの好きじゃないのよ馬鹿らしくって」

小鳥「真っ先にラッキースケベの餌食になりそうなのに」

伊織「うるさい!」




「うん、いいよ! えへへ」

そんな風に俺と天海を取り巻く空気はほんのり甘酸っぱくなっていた。
しかし、神様はどうやら俺のことが嫌いらしく、
その空気が保っていられたのは長くはない。

「貴方様!」

「げぇっ!? 五条……」

「置いていくなんて酷いではありませんか」

五条が教室になだれ込んできたのだった。
無論、窓からである。




伊織「どこのエージェントよ!」

響「っていうかこれ絶対空とんでるよね」

小鳥「加速装置ね!?」

P「小鳥さん……世代が」

小鳥「はぅ! た、タケコプターね!?」

雪歩「そういえば真ちゃんがこの前こんな感じで
    窓から中に突入するアクションをやったとか」




こ、こいつ……窓から飛んで入ってきやがった。

「え、えぇぇぇえ~~!?」

天海は突然窓ガラスを突き破って登校してきた五条に驚いて尻餅をついた。
その際に俺は見てしまった。天海のおパンティを。



小鳥「ラッキースケベキタァァッァッァァアアアーーーーーーー!!」

小鳥「あぁ! 嘘、ごめんなさい! 雪歩ちゃんスコップを構えるのはやめて!
   どうして投擲のフォームなの!? 投げる気!?」

響「でも確かにこれは驚くよな」


千早「学校ってこんなに怖い所だったかしら」

P「いやそんな訳ないだろ」

伊織「書いた本人がそんな訳ないとか言わないでよ」

P「えぇ~、じゃあどうすりゃいいんだよ。
  学校はこういうこともあり得る場所だぞ?」

千早「がっこうこわい!」

P「えぇぇ~~~~……」




彼女のパンツはそれは純白で汚れなど一切なく、
この世のどんな白よりも白く、俺の心の汚れまでも白く浄化してくれるようだった。
パンツの生地は実に柔らかそうな素晴らしいもので、




雪歩「……どうしてこんなに描写が細かいんですか」バシャァ

P「ぎゃああああっ! 熱ッッ! あつぅぅ!
  く、首の後ろから服の中に流し込むのはやめてぇぇ!! 」

響「しかもまだ続いているし」

小鳥「そ、それでそれでーー!?」




それはまるでシャングリ・ラ。いやさ、アルカディア。
そして、可愛らしくおへその下にあたりのパンツの真ん中には
リボンが申し訳程度に付いている。これも実にGood!である。
だが、注目したいのはそれだけではない。
パンツから生えている、その太ももである。
それはそれは美しく、健康的な肌色で。
触れればそれは病み付きになるほどの弾力があるのではないかと思うほどである。



P「雪歩さん! ポットから直接は火傷じゃ済まないから! ぎゃああああああ!!」

小鳥「大いなる神よ。われはそなたに恐れを抱き、今ここにひれ伏せようぞ」

響「 なんか悟りひらいてる!? 」

伊織「どうしてこっちまで負けず劣らずの乱痴気騒ぎになってるのよ!」

千早「ぱんつこわい!」




「きゃあっ」

俺があまりに見ているのがわかったのかとうとうスカートを慌てて抑える天海。
そして、顔を赤らめて頬を膨らましていた。

「そ、その……ごめん」

俺はその天海が何故か可愛く思えてしまいつい謝ってしまった。




雪歩「何か言い残すことは?」

小鳥「偉大なる我らがエロスよ。そなたの光が我に世の根幹を照らし与える時ry」

P「俺……この小説が賞を取ったら、結婚するんだ」

伊織「死亡フラグ!? って誰とすんのよ!」

小鳥「私と」

響「ピヨコとかよ!」

千早「みんながこわい!」

お疲れ様です。
今日はこの辺にしときます。




「貴方様貴方様」

俺と天海の様子を見ていた五条が肩を軽く叩いてきた。
なんだよ、と振り返るとそこにはスカートを目一杯たくし上げた五条がいた。


その中身はよくわかからないメーターが動いていたり
ここから絶対何か出てくるだろ、という謎の発射口まであった。
そして股間には大きなガトリング砲が。



千早「あの……人の身体にはそんなものはついてはいないと思います」

小鳥「何言ってるの千早ちゃん男の人の身体には
    ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲が
    誰にだってついているのよ!!」

千早「で、でもこの四条さんは女の子じゃ……」


響「千早……もうわかってくれ。この物語に常識は通用しない」

千早「常識の壁を超えた作品ということ……つまりはこれは傑作?」

伊織「いや、その壁の超え方が穴をくぐるという方法であって……つまりは欠陥品よ」

雪歩「しかも穴だらけです」

P「大まかな話の流れに矛盾はないと思うんだけどなぁ~」

伊織「あぁん?」

P「ご、ごめんなさい」




俺はさっきのからいっぺんして顔が真っ青になっていた。
これは脅しか何かなのか。俺は殺されるのか。


「貴方様の……すけべ」


バッ、とスカートを降ろしそう頬を赤らめて五条は言った。
こんなにも穏やかな気持ちで人を殺そうと思ったのは初めてだ。



小鳥「フォローができないくらい意味不明な行動ですね」

千早「あの……どうしてわざわざ下着なんて見せる行動を」

響「もう! 千早はまったくにぶちんなんだから!」

伊織「いや、さすがの私もこれは意味不明だわ」

小鳥「響ちゃんの言うとおりよ。そんなんだから
    プロデューサーさんへの普段のお礼のつもりで買った
    ケーキを渡しそびれて家で一人で食べる羽目になるのよ!」

千早「なんで知ってるんですか!?」

伊織「ふふ~ん、千早ってもしかして」

雪歩「……で、響ちゃん。これって結局どういうことだったの?」

千早「ちがうんだからね!? もうっ!」

響「だから、つまりは好意を寄せている男子にかまって欲しいから
  わざとこういう行動を取ったってことだろう!?」

千早「また無視!? ひどいっ」

伊織「何そのポジティブシンキング……」




だがしかし、そこで天海は気づいていはいけないものに気がついてしまった。


「あ……あの……五条さん。浮いてませんか?」

「気のせいですよ」

なぜ誤魔化したんだ。





小鳥「なるほど。どうやらここで春香ちゃんが一歩リードするわけですね」

千早「え? どうしてですか?」

小鳥「こんな明らかなサイボーグと人間が付き合う訳がないという点から
    春香ちゃんには心の余裕が生まれてプロデューサーさんに
    アプローチできるようになるということよ!」

伊織「あんた達のそのプラス思考すぎる解釈が恐ろしいわ」




不穏な空気が流れる中、このあと天海はどう話題を切り出すのか。
また五条はそれをどう切り抜けるつもりなのか。
そんなことを考えたがチャイムがなってしまったので
二人共そのまま黙って席についてしまった。




小鳥「な、なんというか修羅場なんだろうけど、修羅場の演出が下手!!」

響「結局どういうことなんだよ」

雪歩「つまりは二人はそのあと見つめ合ったまま得に会話もせずに
    気まずい空気ばかりが流れたということ……でしょうか?」

千早「なるほ……ど?」

P「俺の文章力不足だよバカヤロー! ごめんなさいでしたー!」




「はーい、席ついてー。あれ? メダパニがいるんですけど……なんでいるの?」

よし、あいつを殺ろう。
そう思っていると再び冬月先生は口元を手で覆うようにして
こっちを見ながら言った。

「あれー? なんか教室の隅から使用後の
 ナプキンの匂いがするんだけど、え? 誰ぇ~?」

なんなの? 俺の時間は巻き戻りすぎてママンの経血にまで戻ったの?




小鳥「プロデューサーさん、私ももしかしたらプロデューサーさんとの子供がお腹に」

P「じゃあ今すぐ脳みそのお医者さんの所に行ってくださいね」

伊織「ゆ、雪歩? 何を書いているの?」

雪歩「ん? なんでもないいよ。学校の宿題の人一人を
    コンクリート漬けにして東京湾に捨てた時の海底に着く速度を計算してたの」

P「沈めるの!?」 



冬月先生は教室に入ってくるなりそんなことを言うもんだから
俺は手に持っていたハサミを冬月先生の眼鏡に向かって投げ、
いや、手が滑ってハサミが飛んでいってしまった。




響「怖いよ! 確実に殺す勢いだったよねこれ!?」

伊織「っていうか主人公の席って一番後ろよりも後ろなんでしょ?」

雪歩「だとしたら手が滑ったというよりか完全に投げてるわよね」

小鳥「最近の子供っておそろしい!」

千早「こどもこわい!」




それからあの教師が後ろを振り向くたびに俺は
手元にあるシャーペンを刺さるように投げたがことごとく避けられた。
そんなこんなでHRが終わり……。



伊織「またカット入れたわね!?」

小鳥「というか律子さんはプロデューサーさんの猛攻を全部凌いだということかしら」

P「まぁ彼女は眼鏡してるからなぁ」

千早「眼鏡にそんな効果があるんですか!?」

小鳥「最近のは双眼鏡になってたりしてズームアウトが可能なのよ」

千早「めがねすごい!」

伊織「それコナン君だけだからね!?」




「は、春香ちゃん、次は実験だから理科室移動しよう」

「うん、待って白歩ー」

なるほど。次は理科室か。さて、俺も行くか。
俺は危うくこの二人の会話を聞いていなければ
次の教室がどこかもわからなかった。
本当にこの学校は転校生に次の授業の場所も教えないとは……恐ろしいぜ。




響「完全にぼっちの道を切り開いたぞ」

小鳥「そんなことないわ。これはハーレムものよ。貴音ちゃんが助けてくれるわ!」

伊織「それが逆に問題にもなってるじゃない」

千早「確かに。あの四条さんは四条さんではないと思います」

雪歩「それはみんなずっと思っていたんだけど……」


P「おいおい、お前らいい加減ケチをつけ続けるのを辞めたらどうなんだ?」

伊織「あんたがこの意味不明な話を書いてきたからでしょうが」

千早「そうですよ。大体見て欲しいって言ったのはプロデューサーですよ」

響「そうだぞー」

P「分かった分かった。じゃあちょっとお前ら試しに
  この物語を読んでどれぐらいツッコミを我慢できるかやってみてくれよ」

伊織「イヤよ。無理だもの」

千早「私は怖いからあまり一人で読みたくないのだけど……」

P「じゃあ一番最初にツッコミを我慢できなくなって入れた奴は罰ゲームな」

響「えぇ~~! む、無理だぞ……」

小鳥「罰ゲーム……ウェルカム、え? ちょっと、なんですかあなた達!?
    まさか雪歩ちゃんのお家の!? きゃあっ、放して!
    東京湾のリトルマーメイドになりたくないーー!」




「はい、行きましょう貴方様」

「なんで着いてくる」

「配偶者です故」

「です故じゃねえよ。違うし」

「あ、待ってください! 止まらないと足を切断しますよ!」

「やめろよ! こえーよ! うるせえ着いてくるな!」

俺は五条がついてくるのを振り払って走りだした。
だがすぐに廊下で人とぶつかってしまった。




「うわぁ!」

「きゃあっ!」

この甘いにおい、女の子か?
俺とそのぶつかってきた子は倒れこんでしまった。

「い、いてて……ん? な、なんだこの毛」

「きゃああああっ!?」

「ど、どこ顔突っ込んでるですか!?」

「ぐわぁぁーっ!」

俺はどうやら倒れこんだ拍子にその女の子のスカートの中では事足らず
挙句パンツの中に顔面を突っ込んでいたのだった。


伊織「 ToLOVEるを通り越して、ミラクルなんですけど!? 」

P「伊織……早かったな」

伊織「ぐっ、しまった……。ぐぬぬ」

小鳥「というかこれは……結城リトも裸足で逃げ出す程のトラブルメーカーですね」

千早「あの、物理的に無理があるんじゃ。
    どうやったら下着の中に顔が入るのかという事とry」

響「千早……理屈じゃあないんだよ」

雪歩「プロデューサー、はい。穴ですよ」

P「……何が?」

雪歩「どうぞ?」

P「お邪魔します」

響「でもみんな落ち着いて欲しいのはこれが誰かってことだ」

小鳥「まさかこれにもモデルになった子が……」

D「まぁ……いることはいるなぁ」

響「プロデューサー身体半分埋められてるぞ!?」

雪歩「私はもう出てきてるから一応安心です」

小鳥「ま、まぁプロデューサーさんでしたら、そんな雪歩ちゃんの堀った穴じゃなくて
    私の穴に入っていただいても結構なんですけども」

P「ちょっと、小鳥さんこの穴一人用なんですから入ってこないでくださいよ!」

短めで申し訳ないです。
このへんにしたいと思います。
お疲れ様です。




そしてすぐにその女の子から空中コンボ×3、
邪王破斬拳、烈風滅脚、超金的粒子級爆散掌を喰らった。



響「技が禍々しいよ!」

P「特に三番目はこう、またの間がひゅうっ、ってなる感じのだな」

千早「全くこの絵が想像できないのですけど」

小鳥「私が今、絵にしてあげるからちょっと待っててね!」

伊織「ちょっと何よこの絵! 頭おかしいんじゃないの!」

P「まぁ三番目に関してはご想像通り、
  ゴールデンボールが粒子単位に爆散する技だ」





「いててて……ん? あ、あれは死んだ爺ちゃん?
 何してるんだそんな所で。え? こっちへこいって?」

「う、うわぁぁ! ぼ、ボクまた……あ、いや、ついに?
 殺っちゃったよ……! どうしよう!」






小鳥「こやつ、殺り慣れておるわ!」

響「何回か人を殺ってるよね」

千早「今回の犠牲者は真だったのね」

P「これが少し前に開拓されかけていたジャンルのボコデレだ」

伊織「何よそれ」

P「恥ずかしさのあまり他人に危害を加えてしまう
  悪魔超人もびっくりのジャンルだ」

雪歩「じゃあ私もボコデレに入るんでしょうか?」

P「いや、君のはただの暴力であり、犯罪だ」





「あなた様! そちらの川は川下りできません!
 どうかこちらへお戻りになってください!」

「はっ!? こ、ここは? 五条? ふう、助かったぜ」

どうやら俺は先程の女の子の必殺技で死にかけたようだ。
ここは呼び戻してくれた五条に例を言わなくてはなるまい。




小鳥「着々と貴音ちゃんとプロデューサーさんの溝が埋まっていきますね!」

伊織「それと比例して私達とプロデューサーの溝は深まっていくけどね」

P「そして雪歩の掘る穴も深まっていくけどね」




「あなた様! まだ意識が戻られてない……! 
 その証拠にこんなにも不細工な顔をしてる!」

前言撤回、こいつを三途の川へ送ってやろう。
俺は五条の首を締めあげた。

「それはいつもでしたか、あ、あひぃ、はひぃいん! く、くるぴぃよぉ」



響「これ絶対喜んでるだろ」

千早「首を締められて喜ぶ人がいるの!?」

小鳥「そうよ! 世の中には熱いムチを打たれることが好きな人もいるのだから!」

千早「もう、何も考えたくないわ」

P「千早は帰りたいと思っても帰れないので、考えるのをやめた」




五条は若干嬉しそうにしていたのがまた腹立つ。
しかし、さっきはよくも俺に凄まじいコンボ技をくれたな。
ん? あれ? スカートを履いた……男かこいつ?




小鳥「最近では女子でもズボンを履いていいという学校があるらしいですよ」

P「……まじかよ。この世の終わりじゃねえか」

雪歩「ぷ、プロデューサー、もしかしてこれはカッコイイ真ちゃんなんですか!?」

伊織「あれ!? 唯一の良心に変なスイッチが入った!」

雪歩「これはイケメンな真ちゃんなのか
    それともプリティーな真ちゃんなのかどっちなんですか!?」

P「……ジョブで言うならばファイターだよ」

響「なんで職業で答えたんだ!? 学生じゃないの!?」



「お前男なのになんでスカート履いてるんだ。変態さんか」

「違う! ボクは女の子だ! 喰らえ大紅蓮怒龍脚!」





伊織「というかこの中途半端なネーミングセンスの技はなんなの?」

響「触れてあげないでおこうよ。きっとかっこいいと思ってるから」

P「え?」

小鳥「まぁあれですよね。卍解しそうな名前ですよね」

響「おしゃれ先生でももっとお洒落だぞ」




どうやらこの子は女の子だったらしい。
俺は再び蹴り技を食らうまいとしてその大技である蹴りを避けた。
というかスキだらけの意味わからん技だったので後ろに回りこんで
膝カックンしてやった。



伊織「無駄な回避スキルがあるのね」

小鳥「この手の主人公は実は無駄に戦闘力が高いっていうのが定石ね。
    姉が暴力的で鍛えられてた、とかありがちよね」

響「それにしても膝かっくんする必要は特にはないと思うけど」



「なっ!? ぼ、ボクの攻撃を避けただけじゃなく……反撃まで!?」

「こ、こんな屈辱恥辱陵辱は初めてだよ」

そう言いながらいやんいやんと言わんばかりにくねくねし、
顔を真っ赤にしだした。




小鳥「変なフラグが立った!?」

伊織「どこに!? どこにそんな要素があったの!?」

響「くっ……意味わかんねえ……」

千早「それは最初から全部よ」

P「そう、君たちの予想通りここで真は膝だけでなく恋にも落ちたのさ」

小鳥「何上手いこと言ったつもりになってるんですか」

響「全然うまくないぞ」

千早「落第点ですね」

雪歩「穴掘ってそれを埋めるの繰り返して欲しいくらいです」

P「」




「え、えっと……とりあえずごめん」

俺は無難に謝ることにした。
本当は女の子のパンツの中に頭を突っ込むなんて
記者会見でも開いたほうがいいんじゃないかというレベルで謝罪したかったが
あいにく俺にはそんな金も財力も資産もない。






伊織「全部お金のことじゃないのよ!」

千早「言い回しがくどいですよね」

響「プロデューサーの説教と同じだぞ」

P「え? まじで?」

雪歩「残念ながら……否定はできません」

P「そ、そうだったのか……」




「あ、ううん。こっちこそ廊下を走ってたのはボクの方だし」

「俺は青羽根。このクラスに昨日転向したきたんだ」

「へぇ~、冬月先生のクラスにか~。
 ボクは菊池(キクイケ)真。よくプリティな女子って言われるんだ」

「ははっ、嘘はよくないぜ」

「ははは、もう一度宙を舞うかい?」

「いやいや、遠慮しとくよ」


こうして俺はのちのライバルである真と運命の出会いを果たしたのだった。





響「なんの!? 今までにそんなライバルが出てくる要素とかゼロだったけど」

伊織「一体どんな関係になるつもりなのよ」

響「というかこの二人たぶんすごい笑顔だけど
  絶対目は笑ってないぞ」

千早「真のナルシストのような発言も気になるけれど」

小鳥「というか相変わらずこの伏線の張り方も雑よね」





真とわかれたあと俺は五条とともにある教室の前に立っていた。
その教室には理科室、なんて看板は下がっておらず、
『密林室』と書かれている教室だった。




小鳥「うわ~、なんか久々にとびっきり面妖なのがでてきたわね」

響「どんな教室なんだよ……音楽室とか美術室、理科室に並ぶ新たな教室なのかな?」

雪歩「……なんの授業をするんですか」

伊織「嫌な予感しかしないのは今に始まったことじゃないけれど」

千早「私の学校にもあるのかしら」



「おい、五条。なんだこの教室。
 こんな密林室なんて見たこと無いぞ」

「えぇ、確かにわたくしの下着の中は密林ですが」





P「……」ビクビク

P「……お茶がこない」

P「ふぅ、さすがの雪歩も慣れたのかな?」

伊織「何ぼさっとしてるのプロデューサー早く止めなさいよ!!」

P「へ?」

響「うぎゃああ! 雪歩、自分の顔の穴という穴にお茶を入れるのはやめるんだああ!」

小鳥「つ、ついに手に負えなさすぎる外界の情報を
    シャットアウトする手段に出たのね……」

千早「はぎわらさんがこわい!」




「そんなことは聞いてない。この教室はなんだ」

「はて。わたくしも初めてみたもので」

「俺もこんな教室は初めてみたな」

「わたくしもあなた様と
 こんな趣のある部屋で一夜を過ごすなんて初めてです」

「お前何言ってんの」





雪歩「ガボボギャババゴババ!!」

P「雪歩、バケツ一杯のお茶に顔面を突っ込むのをやめるんだ!」

千早「おうちかえる~~~!」

響「あぁ!? コラ、千早! 逃げるな~~!」

小鳥「雪歩ちゃんバケツに顔突っ込んでからすでに2分経過してるんですけど」

雪歩「……ふぅ、全部飲んじゃって死ねませんでした」

伊織「飲んだんかい!!」




「まぁ、いい。百聞は一見にしかずだ」

俺は教室のドアを開けた。
そこの教室は静寂で、聞けるものは、
木々が揺れる音、風の音、そして獣や鳥の鳴き声。
まさに教室の中はジャングルになっていた。





伊織「面妖すぎるとしか言いようがない!」

響「一体なんの授業に使うんだよ」

千早「もしかしたら美術のスケッチだけのための部屋なのかも」

雪歩「きっと茶道部ですよ」

小鳥「……雪歩ちゃんの若干ネジが外れ始めてる」

小鳥「……まぁ私は頭のネジもお股も締めることも開くことも可能なんですけどね」

P「聞こえてんぞ鳥」




「なんと……」

「なんだと? ここは学校の中だろ?」

俺と五条は一歩だけ教室に踏み込んであたりを見回してると
遠くの方からガサガサとすごい音で木々を飛んで
こちらに近づいてくるものが見えた。

「あなた様、何かきます!」

「に、逃げろ五条! 教室の扉を閉めるんだ!」


「はいさい! あ、待っ」

ぴしゃ! と、
俺と五条は急いで教室を出てすぐに教室の扉を閉めた。
今しがた上裸の女の子が見えたような気がしたが……
見なかったことにしよう。


伊織「……」

響「こっち見ないで。あれは自分じゃないから」

小鳥「……」

響「絵に描かないで。あれは自分じゃないから」

雪歩「……」スッ

響「お茶出して優しくしないで。あれは自分じゃないから」

千早「……」ガタガタ

響「怯えて泣かないで。あれは自分じゃないから」

逃げ出したいくらい着地点が見えないですが、
今日はこの辺にしておきます。
お疲れ様でした。

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