上条「虹色の最終日」(282)


前スレ
上条「白いワンピース」
上条「白いワンピース」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1349278514/)

注意
・口調など、気をつけていますが多分ミス多いです。また、誤字もなかなか多いです、気をつけます
・前スレ、原作を読んでいないと分からないところもいくつか
・基本上条さんの一人称視点です
ごく稀に3主人公の一人称になったりするかもですが、まだ分かりません。なった時は、その時にちゃんと言います

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1371470610



主な登場人物
上条当麻
近所の兄ちゃんのようなさっぱりした性格の学園都市第六位。
ただ、その兄ちゃん的な性格によって、人をからかうようなこともしばしば。
主に敵にはウザい話し方をするらしい。

インデックス
この作品のメインヒロイン、多分。
上条さんとは、夫婦にも兄妹にもどんな関係にも見えるような「上条さんとインデックス」な関係。
料理を手伝ったりする。最近は一人で作れるよう修行中。
上条さんの事情を知っていて、さらに実際上条さんも戦いで怪我をしないためか、原作よりもだいぶ強い信頼と理解力がある。その強さは姫神に変人と言われるほど。

一方通行
妹達といろいろあった学園都市第一位。
上条さんには弟のように、また、普通の友達のように対応されるので、割と性格は丸くなってるかもしれない。
上条さんとの会話、ミサカ10032号との会話から、少し妹達に対する考え方も変わったかな?

ミサカ10032号
ただの天然ボケ、かわいいけど上条さんとインデックスがやたら苦労する

打ち止め
これから出てくる、禁書において重要な人。

御坂美琴
電撃ビリビリしない、上条さんはいい友達、異性として好きなわけではないと思っている学園都市第三位。
原作と同じところは自販機を蹴るところくらいかも。
それくらいアイデンティティの抜けた人。



上条家
ほのぼのとした生活を送ることのできる家。
夜になると、ご飯とおかずのいい香りがし、楽しそうな声がいくつも聞こえる。
上条さんとインデックスは、すっかりお泊まり会にはまってしまったご様子。色んな人を受け入れ、泊めている。

よく流暢な英語とたどたどしい英語が交互に聞こえてきたりするらしい。


お泊まり会開催結果
第一回 一方通行とミサカ10032号(一泊)
第二回 姫神秋沙(三泊)
第三回 みてい


始めての人も、前スレからの人もいらっしゃいです
いろいろミスったのでたて直させてもらいました

このスレは原作5巻からです
それまでを知りたい方は、前スレへどうぞ

では、また投下する時までー

なんか面白そうなのが始まったぞ

虹色かぁ exciting!!

キターイ!!


追いついた。
前スレから一気読みしたよ。
楽しみだ。

自分も、最近だけど前スレ全読みした
気長に待つお オリアナ編が楽しみ

立て乙

まだかな

まだかな


こんばんはー
どうも、お久しぶりです

前回の書き込みの後本当に忙しくて、一回もSS速報に来れていませんでした
いつもだったらレス返しにはこれる程度だったのに……
読んでる途中のSSも、100件以上の未読レスやスレ自体変わっているものまで、今凄いことになってます

本題ですが、今さっき書き始めてちょうど一回の投下分くらい(15KB)は書けたので、明日というか今日投下したいと思います

今度こそ、毎週末来れるといいなあ

では次でレスを返させていただきます


>>5
ありがとうございます!
よかったら前スレもどうぞ!

>>7
>>10
ありがとうございます!

>>8
>>9
追いついたとかそういうのは本当に嬉しいです、ありがとうございます!
なんか毎回そういったレスの度に言ってる気がしないでもないけど

>>11
>>12
お待たせしてすいませんでした、頑張って早く来ます!

>>6
ありがとうございます!
個人的に気に入っています
最初は普通にタイトル考えてたんだけど、最後完結する時のスレのタイトルがふっと考えついてしまって、それが色に関係していたので、どうせなら全部色にしてしまおうと思って考えた時思いついた色が虹色でした
なんかいろんなことがいろんなところで起こる感じが虹色っぽいなと思ったわけです



以上でレス返しを終わります、今日の投下をお待ちください


ではー

乙待ってる

もう前スレの依頼は出しといた方がいいぞい


こんばんはー
投下にやってきました

>>15
ありがとうございます、完璧に忘れてました

依頼が終わったら始めたいと思います

ではー



鼻血が出た。
深夜、この時間になぜ同じように鼻血が出るのか。
そんなとこは別に同じにならなくても良かったのにーなんて考えながら、寝床であるユニットバスを後にする。

「うう、ティッシュティッシュ」

インデックスが寝ている、リビング兼寝室にティッシュを探しに入った途端。
ぐしゃ、という音が鳴り響いて。
これまたいつかと同じようにティッシュの箱を踏み潰していた。



「……おいおい、別にここまで一緒じゃなくた……ッ」

チラッとベッドが目に入っただけなのに。
俺の頭に強烈に残っているあの寝姿は、またもや俺の脳に強烈な印象を与えた。

「っと……ヤバイヤバイ。起こしちまったらまた面倒なことになる」

と、そこで。
ゴソ……という音が聞こえた。

ヤバッと思ってベッドを見ると、特に何も起こっていない。……はず。


「危ねえ危ねえ」

二度と同じ過ちを繰り返さないと決めた俺は、ティッシュを何枚か持ったままベランダへ出た。
汗(冷汗)も今少しかいてしまったので、ちょうど良い。
風は少し生暖かいけど。

止まるまでゆっくりしよう。

そう思って目の前の手すりに手をかける。


と、同時に俺の肩に手が置かれた。


「!?」

「……何してたのかな、とうま」

「あ、いや別に……」

「ふーん……?」

「いや、本当何もしてないからな!?」

「分かってるよ、分かってるよとうま。とうまはそんなことする人じゃないもんね」

「……とか何とか言いつつ信じてねえだろその目」

「一緒に寝たいなら言ってくれればいいのに。しょうがないんだから」

「だから誰もそんなこと言ってねえだろ!!」

「しー。とうま、今何時だと思ってるのかな」

「わ、悪かったよ」

「ほら、そんなにうるさくするからあそこ歩いてる白い人もこっち見てるよ」

「あー、そりゃ悪いことしたな。知ってる人だったら今度謝っておこう」


白い人、というのは、服が白いのだと思っていた。
この学生の街、白髪なんてなかなかいない。

ただ。



ただ、学園都市第一位はどうも違うようで。

今まさに下を歩いているのはその人だった。

「……ああ、一方通行か」

「白いお友達かあ。……あれ、その後ろの裸の女の子は?」

「は!? 女の子が裸って何だよ!?」

「ほら、後ろ。裸に布巻いただけの子が何か言ってるでしょ?」

「どれだよ……」

インデックスには見えているらしいが、もうちょっと明るいところに出てくれないことには見えない。


「どうして無視するのかな、ってミサカはミサカは憤慨してみたり!!」



「……あー」


見えなくたって分かる。
一度聞いたら忘れないあの話し方は。

「打ち止めか」

「打ち止め?」

「御坂妹の姉で妹みたいなやつだよ」

「ふーん?」

「まあ、分からねえだろうな。俺もよく分かってないし。……って、うぉっ!!」

「どうしたの?」

「本当に裸じゃねえか……。一方通行は何してんだよ」

「どうするの?」

「どうするってなあ……。あのまま人に見つかったらヤバイだろ」

「じゃあ……」

「やるか?」

「うん!!」

「「第三回!! お泊まり会開催!!!」」


俺たちはつまり、夏休みウチに誰かを泊めることにすっかりハマっていた。



インデックスとともに外へ出ると、未だにミサカはミサカはと聞こえてくる。
一方通行はまた音も反射してるのだろうか。
なんかかわいそうになったので、とりあえず二人のところへ行こうと思ったところで。
一方通行が打ち止めの方を振り返った。

深夜、誰もいない道。
声がよく通るから、俺達にも会話が聞こえてきた。


「────いやーなんというかここまで完全完璧無反応だとむしろ清々しいというかでも悪意を持って無視しているにしては歩いているペースとか普通っぽいしこれはもしかして究極の天然さんなのかなーってミサカはミサカは首を傾げてみたり」

「……、くっだらねェ」

「ブツクサ言ってる間にどんどん距離が開いていくんだけどミサカの事は見えてないの妖精さん扱いなのほらミサカはここにいるよー、ってミサカはミサカは自己の存在を激しくアピールしているのに存在全否定?」

「……」

「おーい、だからミサカはここにいるんだって───あれ、ひょっとしてなかった事にされてる? ってミサカの首をミサカらしく傾げて……む? 今、何回ミサカって言ったっけ、ってミサカはミサカは思考の泥沼にはまってみる」

「待て。……、ミサカだと?」

「おおっ、ようやくミサカの存在が認められたよわーい、ってミサカはミサカは自画自賛してみたり。我思う故に我ありなんて言葉は嘘っぱちだねやっぱり主観だけでなく客観で何者かに存在を認めてもらわない限り自己なんてありえないね、ってミサカはミサカは間違った知ったかぶり知識でコギト=エルゴ=スムを全否定してみる」

「ちょっと待てコラ今すぐ黙れ。オマエのその頭から被ってる毛布取っ払って顔見せてみろ」

「って、え? えと、えっと、えーっとまさかこんな往来で女性に衣服を脱げというのは些か大胆が過ぎるというか要求として無茶があるというか───って、あのー、ミサカはミサカは尋ねてみるけど。ほんき?」

「……、」

「わあ黙った。本気と書いてマジと読む目だよこの人ってやめて毛布を引っ張らないで。この下はちょっと色々まずいんだからってミサカはミサカは言ってるのにぎゃああ!?」

「……。あァ?何だこりゃあ、───ってか何だァそりゃあ!?」


「はい、そこの人。おとなしくしてねー」

「動かない、動かないでねー」

「少女を往来で脱がすような人は逮捕です」

「早く毛布も返してあげるんだよ」

「……あァ?」

「早く毛布返して、ってミサカはミサカはギャラリーが増えたことに危機感を抱いてみる」

「……チッ」


ぽすん。


毛布は打ち止めの頭へと投げ返される。


「……で? 何の用だァ?」

「誰かさんが裸の女の子を従えながらウチのベランダを凝視してたら怪しいと思うに決まってるだろ?」

「……ハァ。めンどくせェ」

「……。初めまして、打ち止め」

「あれ、何でミサカの名前を知ってるのでもよくよく顔を見てみたらこの人ははヒーローさんそれでもミサカの事を知ってるのは……、ってミサカはミサカは混乱してみたり」

「はは。俺は上条当麻ってんだ。そんでこっちがインデックス。よろしくな」

「よろしくなんだよ」

「よろしくー、ってあれ一方通行は? ってミサカはミサカは一方通行がいつの間にかいなくなってることに驚いてみたり」

「あ!? ……っと、もうあんなとこにいやがる。ちょっと連れ戻してくる」


そう言って一方通行の元へ駆け寄る。


「おい、どこ行くんだよ」

「どこってオマエ、アホ? 今何時だと思ってやがる。帰ンだよ」

「何で?」

「ハァ?」

「何で帰んの?」

「……何か変なもンでも食ったか?」

「はいはい言い訳はしなくていい。お前は毛布一枚の女の子を引き連れ、さらに道端で脱がせた。これは犯罪だ。この時間警備員や風紀委員なんてそうそう動かない。だからそれまで俺が話を聞く。……つまり、今日は俺ん家でお泊まり会だ! って言ってなかったっけ?」

「オマエ本当に頭大丈夫なのかよ」


────────
──────
────
──



なんだかんだで、今は全員リビングに居る。

全員とは、もちろん
俺、インデックス、打ち止め、一方通行
のことだ。



「こ、これが今ミサカネットワークで話題のお泊まり会なんだねってミサカはミサカは目を輝かせてみたり!」

「……何で俺まで」

「どうせ帰っても寝るだけだったんだろ? しかも脱がせた女の子と二人で。ふいー危ない危ない」

「ぶっ殺すぞ」

「おー怖い」

「あれー、ミサカネットワークに今のこと自慢したいのに能力が出せないや、ってミサカはミサカは割と危機的状況なのに呑気に言ってみたり」

「つまりそういうことだ、一方通行」

「……チッ」


「あ、そういえば自己紹介してもらってないんだよ。あなたの」

「そうだったそうだった」

「えーと、ミサカの検体番号は二○○○一号で、『妹達』の最終ロットとして製造されたんだけど、ってミサカはミサカは事情の説明を始めるけど。コードもまんま『打ち止め』で本来は『実験』に使用されるはずだったんだけど、ってミサカはミサカは愚痴ってみたり。ところがどっこい見ての通り『実験』が途中で終わっちゃったからミサカはまだ体の調整が終わってないのね、ってミサカはミサカはさらに説明を続けたり。製造途中で培養器から放り出されちゃって何だかチンマリしちゃってるの、ってミサカはミサカは……聞いてる?」

「……」

「オウ、キイテルヨ」

「?? ……んーと、とりあえずよろしくね、打ち止め!」

「おっと後半二人聞いてなかったのね、ってミサカはミサカは憤慨してみたり!」



「何を言うか、ちゃんと聞いてたさ。な、インデックス? ほら、やってやれ」

「えーと、ミサカの検体番号は二○○○一号で、『妹達』の最終ロットとして製造されたんだけど、ってミサカはミサカは事情の説明を始めるけど。コードもまんま『打ち止め』で本来は『実験』に使用されるはずだったんだけど、ってミサカはミサカは愚痴ってみたり。ところがどっこい見ての通り『実験』が途中で終わっちゃったからミサカはまだ体の調整が終わってないのね、ってミサカはミサカはさらに説明を続けたり。製造途中で培養器から放り出されちゃって何だかチンマリしちゃってるの、ってミサカはミサカは……聞いてる?」

「す、すごい……。完璧なんだけどなんか棒読みじゃないかな、ってミサカはミサカは……」

「で?」

「……本当に理解してるのか疑問に思ってみたり───い?」

「それで俺にどォしろってンだ」

「アナタは『実験』のカナメであるはずなので研究者さんとの繫がりもあると思うから、できうる事なら研究者さんとコンタクトを取ってもらいたいかな、ってミサカはミサカは考えてる訳。今のミサカは肉体も人格も製造途中の不安定な状態なので、希望を言うならもう一回培養器に入れてもらって『完成』させて欲しい訳なの、ってミサカはミサカは両手を合わせて小首を傾げて可愛らしくお願いしてみるんだけど」

「他ァ当たれ」

「いえーい即答速攻大否定、ってミサカはミサカはヤケクソ気味に叫んでみたり。でも他に行くアテもないのでミサカはミサカは諦められないんだから」


「……、何なンだコイツは……。この頭のおかしいヤツにでも頼めよ」

「え、でも俺研究者とか知り合いにいな……いぜ?」

「何なンだよ今の間は」


……思い出したのは、後から脱ぎ女と噂されるあの人物。


「というかよ」

「あン?」

「打ち止めは途中で放り出されたんじゃなくて、それで完成だとかいう事はない訳?」

「どうして、ってミサカはミサカは尋ねてみる」

「だって『実験』はあの樹形図の設計者の演算の元で行われてたんだろ? だったら打ち止めみたいな二○○○一号───つまり予備を作る必要はないんじゃないか? それに予備が一つだけってのもおかしい。あの時点で一万近く残ってたのに予備はいらないだろ」

「ふむ……そう言われるとそうなんだけどじゃあ何でミサカが作られたのかって話になるわけで、ってミサカはミサカは疑問を感じてみたり」

「それは……司令塔的な何かじゃないのか? 例えば二万のミサカが実験を拒否して研究者に反逆しそうになったらそれを止めるための命令を出せるヤツが必要だろ?」

「じゃあミサカがちんまりとしちゃってるのは?」

「それは……、何でだ?」


ここまで自慢げに語ってきたのは、過去の経験から大体分かっていることと、打ち止め本人が言っていたこと。
打ち止めが小さい理由なんてのは知らない。
だから困らせてやろうと一方通行に話を振った。


「……オマエの話が本当なら、その司令塔が反抗できるレベルで強かったら意味ねェだろォが」


……はずだったのに、すんなりと答えられてしまった。


「つまりそれはミサカがちんちくりんで弱っちいって言ってるのかな、ってミサカはミサカは地団駄を踏んでみたり!」

「めンどくせェ……」

「ま、自己紹介も終わったんだし、寝るか。俺も明日はちょっと忙しいからな」


「……待て。俺"も"だと?」

「お前も研究者に連絡取ったりで忙しくなるだろ?」

「オイコラもう一回言ってみろ」

「おやすみー」

「おやすみー、ってミサカはミサカは一方通行の優しさに感動しつつ布団に入ってみたり」

「おやすみー、ってインデックスはインデックスは今まで無視され続けてきたことにちょっと怒りを覚えつつでも別に今の会話覚えてるからいっかって無理やり納得してみたり」

「……明日の夜は外食にしよう」

「わーいとうま大好きー、おやすみ」



「……クソがああああ!」


「「「うっさい」」」

「……」


ゴソゴソという布団の音が聞こえる。
虹色の最終日が、始まった。


いじょー

書いてて気になったのが、インデックスが打ち止めをどう呼ぶか
原作でまだ呼んだことなかったよね? あったなら教えてくださると嬉しいです

ただ、インデックスは外国人ですから、よく見かける"らすとおーだー"はちょっと違うんじゃないかと思ってそのまま"打ち止め"にしました
今思えば"ラストオーダー"が一番よかったのかも
自分の中では、彼女は実際は"Last Order"って言ってるんだろうなあとか思っています

とりあえず、次早めに来れるよう頑張ります
またよろしくお願いします

ではー

おつ

乙です。

名シーンっすなぁww
いぃ!

学園都市最強ですらも抵抗できないほのぼのパワー……
さすがだぜ上条さん。

乙でした

ここは上条さん無干渉だったからオリジナル入るか?

あぁ、そういやここの上条さんはタイムリープ?してきた的なことになってるんだったか

前スレから一気読みしてきたが
こんな良作があって何故気づかなかったのか……

一方通行と打ち止めの出会いについては上条さんは詳しくは知らないはずだから、
今回は「未来を知っている」というアドバンテージは生かせそうにないな。

なるほど、全く別路線も良い


こんにちはー

今日の夜、投下に来ます
ちょっと忙しいので今のうちに予告しておこうと

海原編をやる予定です


ではー

待ちくたびれたぞ

楽しみに舞ってる

舞ってる


こんばんはー

投下にやってきました
先ほど書いたとおり海原編をやります
だいたい12.4KBほどです

ちょっと展開が早いのが自分では納得いきませんが、楽しんでいただければ

ではー



朝06:00。
俺は目を覚ました。

今日はやることがある。
早めに全て終わらせられるなら、それに越したことはない。

さて、朝飯でも作っておくか。
キッチンへ足を運ぶ。

眠気はどうもまだ抜け切っていないが、問題ない。
毎日やってきたことだから、難なく出来る。


三十分後。
四人分の朝飯を作った俺は、インデックスだけを起こした。

「おーい、インデックス。朝だぞ」

「んにゃ……?」

「ほい、おはよう」

「ああとうま……おはよ」

「朝飯できてるぞ」

「ふわあ……。早いんだね」

「今日は忙しいからな。早くできるならそっちの方がいいだろ?」

「そうかもー……」

「眠そうだな……。とりあえず食え。食ったら何とかなるだろ」

「そーするんだよ……」


案の定。
インデックスはインデックスであった。


「ごちそうさま! で、とうまは今日はどう忙しいの?」

「んー、二人魔術師と戦うことになるのかな」

「二人!? それは同時に?」

「いやいや。それにどっちも悪い奴じゃないんだ。もしかしたら戦うことはないかもしれない」

「そっか……。ちゃんと助けてあげてね」

「誰を?」

「それは、とうまの助けたい方を」

「ああ、もちろん。俺は、どっちもきっと助けてみせる」

「ふふ、とうまらしいね」

「そうか?」

「うん。……じゃあ、もう出るの?」

「ああ、行ってくるよ」

「行ってらっしゃい」

「行ってきます」

そんな会話をして、俺は家の外へと出た。


「じー……」

「どうしたの?」

「今の会話、何だか夫婦みたい、ってミサカはミサカは感想を述べてみたり」

「えへへー。起きてるなら顔洗って朝ご飯食べるといいかも。とうまのご飯はおいしいんだよ?」

「そーするねー、ってミサカはミサカは今のさりげない惚気も気にせず洗面所へ向かってみるけど……洗面所どこ?」

「じゃあ私も行くよ。歯磨きしないとね」


暑い。
まだ朝も早いのに、意外と暑かった。
夏はまだ終わっていないようだ。

行き先は常盤台中学女子寮。
家からはそんなに遠くないから、多分すぐに着くだろう。
もしかしたら、早すぎたかもしれない。





でも。


……そんな心配は完全に無駄となった。

07:00過ぎ、目的地に到着したのだが。
何と、あの男はもうスタンバイしている。

ちょっと早すぎやしないか?
前ここを通った時は08:00過ぎた頃だったと思うんだけど……。

まあいいか、とりあえず話しかけてみることにした。


「おはようっす」

「おはようございます。あの、ええと、申し訳ありません。自分たち知り合いでしたっけ?」

「ああ、覚えてないのか?」

「……す、すいません」

「ま、嘘だけど」

「なっ……」

「自分の顔見知りかそうでないかくらい覚えとけよ。もし知り合いだったらお前の事別人みたく思われるぜ?」

「は、はあ……。ところでどうして自分に話しかけてきたんです?」

「いや、こんな朝っぱらから誰もいない中歩いてたらたまたま見つけたもんで」

「なるほど。見た感じ年も近そうですし、これも何かの縁です。あなたの名は、何と呼べば良いのですか?」

「俺は上条当麻。よろしく」

「自分は海原光貴と言います」


「それでよ、その海原光貴さんはこんなとこで何してる訳?」

「少し、人を待ってるんですよ」

「へえ、お嬢様の知り合いか。俺も三人ほどここには知り合いがいるけど、お嬢様っぽいのは一人だけだな。もう一人はありゃお嬢様って感じではねえし、元気だけど。残りは……、あいつは今どこで何してんだか。久しぶりに会ってみたいんだけどなあ」

「たくさんの方をご存知のようですね。自分が待っているのは、御坂さんという方なんですが」

「御坂ねえ。あいつと今日約束でもしてんの?」

「御坂さんが知り合いの一人でしたか。いや、待ち合わせというわけではないんですがね、近所に魚料理が美味しいお店があるので、良かったら誘ってみようかと」

「朝飯のあとすぐ飯に誘うのはどうかと思うぞ」

「……それもそうですね」

「でも何で御坂なんだ? あいつ今日暇なの?」

「さあ、どうでしょう? それも含めて確認しようと思っています」

「ふーん」

「……」

「……」

「……」

「……あのさ」


「はい」

「初対面でこんな事聞くのもあれなんだけどさ、……海原はさ、御坂のことが好きなの?」

「ええ、まあ」

「ふーん」

「どうしたんです?」

「本当にか?」

「はい?」

「本当に、"偽りのない自分"が御坂のことを好きなのか?」

「何です? 自分たちは初対面のはずでしょう?」

「いいから答えてくれ、どうなんだ?」

「ええ、そうです。確かに自分は御坂さんが好きですよ」

「あいつを守るためなら何だって敵にまわせるぐらいに好きか?」



とあるクラスメイトを思い浮かべながら言う。


「それは……。彼女はこの街のLevel5です。自分ではとても」

「そんな弱気であいつが誰かに取られちまったらどうするんだよ?」

「弱気なわけではないです。彼女が幸せならそれでいい。好きな人の幸せは自分の幸せでもあり、彼女が幸せなら、彼女を守れる人が現れたならそれでいい。と、そう考えているだけです」

「そうか、本当にあいつが好きなんだな。なら俺も手伝うよ」

「いえ、悪いですよ。今朝会ったばかりの人にそこまでしてもらうわけには」

「今朝会ったばかりの人にいろいろ話しちゃったんだから仕方ないだろ?」

「……なるほど」

「で、何が必要なんだ?」

「何が、とは?」








「例えば、"俺を殺そうと全力を尽くしたけど邪魔が入って失敗した"って大義名分とか、そういう感じの奴」


「あなた、まさか……!!」

「ああ、お前が海原光貴じゃないってこともちゃんと分かってるさ」





パキン。




心地よい音の後に現れたのは浅黒い肌の色をした少年だった。



「……なんだ。海原の顔じゃなくたって全然かっこいいじゃねえか。あいつが面食いかどうか分からねえけど十分いける、うん」

「……何を、したんです?」

「あん? 組織か何だか知らねえけど、お前らが敵視する"上条勢力"ってやつのボスにお前の本当の顔を知られちゃいけないだろ?」

「……仕方ない。あなたは最後にしたかったんですが」


「無駄だ」

「何がですか?」

「武器を出そうとしてるんだろうが、意味ないぜ」

「……」

海原のポケットから出てきたのは、黒曜石の砂。
それらは太陽やら何やらの───たぶん金星も、の光を受けてキラキラと光っていたが、もはや何も起こらない。


こんなにも簡単に、組織とかいうやつへの大義名分は出来てしまった。
本当はいい奴なのは分かってるから、殴り合いをせずに済むならそれが一番いい。




後はこいつ次第だ。




こいつの選択で、俺の行動も変わる。

───敵となるか、味方となるか。




「さて、これでお前は自由に選択できるわけだ」



「……無理ですよ」

「あん?」

「自分では、無理です」

「……」

「……この街に来て、あなたの監視を始めて、御坂さんを好きになって。それでも、組織の命令に逆らえず御坂さんに手をかけようとした自分には、とても選べません」

「いや別に組織の命令ってのを逆らうのが正しいと思わないし、逆らえとも言わないけどさ。お前がこれからあいつのために頑張るってなら俺はそれを全力で応援するし、どうしても命令に逆らえないってなら俺はお前と戦い続けるよ」

「……」

「……」




「……分かりました。完全に負けですね、自分の。あなたは強い」

「俺にはお前の方が強く見えるけどな」




好きな人の為にこんなにも真剣に悩めることが、ひどく眩しく感じた。


「いいえ。自分はまだまだです、彼女の隣に立つためには。それに、ここまで来てまだ組織の命令に逆らうことにためらいを覚えている」

「そんな簡単に決められることじゃないさ」

「だからお願いがあります。守ってもらえますか、彼女を。いつでも、どこでも、誰からも、何度でも。このような事になるたびに、まるで都合の良いヒーローのように駆けつけて彼女を守ってくれると、約束してくれますか」


……改めて、こいつのまっすぐな気持ちを知って思った。






「そんなものはお断りだ」


と。


「な……!?」

「もちろんあいつが困ってたりピンチの時は助けにいくし、助けてみせるさ。でも、違うんだ。俺じゃ足りないんだよ。御坂のことを本気で好きなお前が、そんな奴があいつのピンチの時隣に立ってやらなくて誰がそこに立つって言うんだよ」

「……」

「だから、この約束は期限付きだ。お前がいつか本気で自分であいつを守りたいってそう思った時は。その時はそのヒーローってのを喜んでお前に譲る」

「……敵いませんね、本当に」

「……」

「分かりましたよ。少し自分の気持ちを大切にしてみます。いつか、必ずあなたの場所を奪いにいきますから、そのつもりで」

「へいへい」


奪うってなあ、こっちは喜んで渡すっつってんのに。
なんていうか、本当に羨ましい。


「では、自分はこの辺で。あなたに負けたことを報告しなければなりませんし、何より今この格好で彼女に会ったところで何を話せばいいのやら」

「はは、確かにな。まあ俺もこのまま帰るよ、特に用事もないし」

「そうなんですか? では自分の報告が終わり次第どうです? 食事でも」

「だから朝飯のあとすぐ飯に誘うのはどうかと思うぞってのに」

「言ってませんでしたが、自分はまだ何も食べてないんですよ」

「じゃあさっさと食べに行ってこいよ、御坂出てくるかもしらねえぞ?」

「ですから、あなたも一緒に」

「……」

「……」


「……分かった分かった、行けばいいんだろ?」

「ありがとうございます、それでは行きましょう。あ、御坂さんのこと色々と教えてくださいね」

「……最初からそれが目的か。お金は払わないからな」

「分かっていますよ」

「よし、じゃあ行くか」

「ええ」

「あ」

「どうしました?」

「ところでさ、お前本名は何て言うんだ?」

「本名ですか、エツァリと言います」

「そっか。改めてよろしくな、エツァリ」

「次会う時も、また敵かもしれませんよ?」

「それでも今は、友達だ」

「……よろしくお願いします、上条当麻」


今度こそ、こいつともちゃんと友達になれるような気がする。
次会う時は、「その場所を早く自分と交代しろ」と言ってくる、そんな敵であって欲しいと思った。





(あー、えっと……。今日は暇だし立ち読みにでも行こうと思ったんだけど……状況がよく分からない……。んーと、ナニコレ?)






会話に夢中になっていた現在絶賛お友達中の俺達は、第三者───よりによってご本人、の存在に全く気付くことはなかった。


いじょー

そこそこ短かった
原作では御坂が上条さんを好きだからあれなんだけど、自分的には上条さんにはこれくらい言って欲しかったんだよなあ
本当に守りたい人がいるっていうのは、あの原作の"生まれたて"の上条さんにとっては凄く羨ましいものであるのではないかと思いました

このSSでは記憶は取り戻してはいますが、どうしてもこう言って欲しかったので書きました


次の投下分も、少し書き始めているので、早めに来れるかと思います

では次でレス返しをー

>>35
>>36
>>38
ありがとうございます!
名シーンとはどこのことでしょう……?
一方通行と打ち止めのあの出会った場面のことなのかね
テンポがいいので自分も結構好きです

>>37
次の投下分にもそのほのぼのパワーが発揮される箇所があります

>>39
前スレ読んでくださっているのなら、自分のレス返しのどこかを読んでいただければわかると思いますが、バリバリ関わっていきます

>>40
してます、それが一番重要なとこです!

>>41
ありがとうございます!!
一巻とか書き始めた頃とかは、まさか自分の書いたものが良作と言ってもらえるようになるとは思っていませんでした
嬉しいです

>>42
いかせませんね
ですが、芳川さんが……。
これ以上はネタバレですのでやめます
芳川さんと上条さんが関わるわけではないですよ

>>43
ありがとうございます!
最初の方はまだ近かったんですけどね……

>>45->>47
ごめんなさい、お待たせしました!




さて、上条さんのセリフで気になるところがあったのではないのでしょうか?
ああ言っとけば、『原作』と『このSSでのアレイスターとの電話』との矛盾は減ったのではないかと思います
旧約一巻のとこだけはどうしても矛盾になってしまいますが

彼女は次の投下にも(間接的にですが)出て来ますのでお楽しみに!


次は早めに来ます、絶対です!

ではー

乙でしたー!
記憶あると、トントン拍子に進んでいくなぁ



だが、エツァリはショチトルと派な俺
もちろん上イン派でもあるけど


読んでいて気持ちいいです。

>>69
>>36です。あの場面ですよ~

乙でした

インさんの正妻としての貫禄がぱないっす


知っている限りじゃインデックスの扱いが
良いのはこのスレだけなんだよな……
だからこれからも頑張って欲しい訳よ

乙!
なんか上条さんのセリフがしっくりきたな

おつ
まじで兄条さんだな、いい意味で


おはようございます、こんにちはー

変な時間ですが、今時間があるので投下します

今回長いです、32.3KBくらい
いつもの投下分の2,3回分です

ではー


────────
──────
────
──


すっかり遅くなってしまった。

確かに魚は美味しかったけど、そんなに何時間も食べ続けていたわけではない。


……会話が弾んでしまったのだ。


それは、御坂が普段どんな生活を送っているのかだったり、
魔術とはどういうものなのかを聞いてみたり。
インデックスとは違う観点から話を聞くのもなかなか面白いものだった。

後は学園都市の技術とかも話した。
あいつはこっちにスパイに来たと言うだけあって、そういった兵器や発明品などにも詳しかった。

話を聞いているうちに、どうして御坂に近づくために海原という人物になったのかと疑問に思ったので聞いてみた。
取り戻した記憶の中にも、俺の知り合いに海原という人物はいないはずなのだ。


……何と、海原は常盤台のおぼっちゃんらしい。
御坂とは会ったら話す程度の仲はあったらしく、それでちょうどいいと思ったようだ。


「……ちょっとストップ。なあエツァリ」

「何です?」

「……本物海原は今どこなわけ?」

「……あ」

「……」

「……」

「……」

「……後で何とかします」

「忘れてたのかよ……」


おぼっちゃんを調べたなら常盤台についても調べたのだろうと聞いてみると、やっぱりそうらしい。
だから、今どこで何やってるのか全くわからないあいつについて聞いてみた。

「ああ、彼女ですか。実は自分もよく分かっていません。なんせ彼女は御坂さん達と違って学舎の園の方の学生寮ですから。学校もそちらにありますし、滅多に出てこないそうです。さらにどうも情報が隠蔽されているようで。……多分あなたが求めるような情報はありません。それを聞くくらいなら直接会う機会を待つ方がいいかもしれませんね」

「なるほどね……」



あの(男子が)危険なゾーンで情報まで隠蔽されてるとなると、なかなか会うことはないだろう。

大覇星祭の時にでも会えたらラッキーってことにしておこう。
ま、あいつのことだし元気にしてるだろう。


……というわけで、今はもう昼を過ぎているのだ。
時刻にして13:30。

そろそろインデックスがヤバイであろう時間だ。


おそるおそる自宅のドアを開ける。

「た、ただいま……」

「あ、おかえりとうま。先にご飯食べてるんだよー」

「お……、そっか」


どうやらそんな心配は必要なかったようだ。


「そのご飯、インデックスが作ったのか?」

「もちろんなんだよ」

「へー。どうだ、うまいか?」

「おいしいよ、ってミサカはミサカはヒーローさんがいただきますの時に帰ってこなかったことにむくれてみたり」

「悪かったよ」

「ごちそうさまは一緒にするんだから!」

「はいはい」

「はいは一回! ってミサカはミサカはお母さんっぽく注意してみたり」

「いただきまーす」

「どうぞなんだよー」

「無視!?」

「……飯くらい黙って食え、クソガキ」

「なんだかんだあなたはこの家に馴染んでるのね、ってミサカはミサカは生暖かい視線を一方通行に送ってみたり」

「馴染ンでねェ!」

「「飯ぐらい黙って食え」」

「……」

「……あはは、面白ーい、ってミサカはミサカはこの家じゃすっかり弟な一方通行を笑ってみるけど痛い痛い叩くのはダメ! しかも無言はダメなんか怖いんだってば!」




平和だ。

その後も(主に俺とインデックスが)一方通行をいじりながら昼食の時間は過ぎていった。


「……さて。俺も食べ終わったぞ」

「じゃあ手を合わせて……」

「合わせたんだよ」

「ごちそうさま、ってミサカはミサカは元気よく初めての挨拶をしてみたり!」

「「ごちそうさま」」

「……」


「じゃあ後片付けするか、手伝うぞ」

「ありがと、とうま」

「ミサカもミサカもー!」

「……いや、打ち止めは頼むから休んでてくれ!」

「何でなの、ってミサカはミサカはぶーたれてみたり」

「……嫌な記憶が蘇る」

「あー、あれはお疲れだったね」

「何々、ミサカが知らないところで一体何が!?」

「後でミサカネットワークでも覗いたら分かると思うぞ」

「じゃ、片付けに行くんだよ」

「分かった」

「ラストオーダーはアクセラレータと遊んでるといいかも」

「もう寝てるけどな」

「嘘!? 早すぎるんだよ……」

「まあとりあえず打ち止めは休んどいてくれ、すぐ終わるからさ」

「はーい、ってミサカはミサカは渋々引き下がってみる」


「……何だか家族になったみたいだね」

インデックスは皿を洗いながら言う。

「だな。打ち止めは俺らの子供ってとこか?」

「手のかかる子供だね」

「はは、そうだな。一方通行は弟って感じかね」

「うーん、なかなか難しいんだよ。なんかそういう関係にも見えなくはないけど、あの人ととうまに関しては友達の方がしっくりくるんだよ」

「そうかい」

「うん」


何気無い会話で皿洗いや片付けた俺達は。


「おーい元気かお前らー」

「……」

「……」

「……二人ともぐっすりだね」

「そうだ……な? あれ?」

「どうしたの、とうま?」

「打ち止めの顔赤くないか?」

「言われてみたらそうかもだけど……」

「おい、打ち止め! 大丈夫か!?」

「はあ……はあ。……培養器から早く出たのがやっぱり原因かな。……あなた達はこれで……完成って言ったけど…………、どうも調子が悪いや、ってミサカはミサカは……」

「おい、しっかりしろ! クソ、一方通行起きろ!!」

「……あァ?」

「打ち止めの様子がおかしいんだ。研究者に知り合いいるんだろ? 連絡してくれ!」

「……はァ。俺は帰る」

「はあ!? お前何言って……」

「……。ついでにその研究所とかいうのに寄ってやるかもしれねェからよォ、用件があるならさっさと言え」

「そっか、じゃあ打ち止めの今の状態を伝えてくれるとありがたい。俺もどうすればいいか分からないし、研究者の人に任せるよ」

「じゃァな」

「おう、またなんかあったら電話する」

「……」


「さて、と……」

「はあ……はあ……」

「だ、大丈夫なのかな……?」

「分からねえけど、風邪ではなさそうっぽいし俺らが特に出来ることがないんだよな」

「連絡を待つだけ……だね」

「ああ」




ピンポーン


「ん?」

「アクセラレータが帰ってきたのかな?」


会話をしていたら、突然来客の知らせがあった。
インデックスの言う通り、一方通行かもしれない。

どうでもいいけどインデックスが一方通行のことをいつの間にか名前で呼ぶようになった。
あれは名前と言えるのかは怪しいところではあるけど。

俺がいない間に何かあったのだろうか。


「はいはいーい、どうした? 忘れ物……」

「こんにちは」



バタン!


勢いよくドアを閉める。


やってきたのは、白いのは白いけど格好だけ───つまり白衣を来た人物だった。


「すまない、突然で申し訳ないのは分かってるんだ。開けてくれないか」

「はいはい今やってる途中だよ」



今度はチェーンをしてからもう一度開ける。


「……で、誰だ? 一方通行に言われて来たのか?」

「そうだ」

「それは本人に確認しても構わないな?」

「ああ、もちろんさ」

「ちょっと待っとけ」



一旦ドアを閉めて、ポケットから携帯を取り出す。


「……あ。おい、名前何て言うんだ?」

「……、"芳川"だよ」

「そっか、芳川だな。分かった」


一方通行に電話をかける。


「……ンだァ?」

「あ、もしもし一方通行か?」

「……オマエ誰のとこに電話掛けたンだよ」

「その調子なら一方通行だな。あのさ、もう研究所ついたか?」

「はァ? 家出てから何分だと思ってンだ? そンな早く着くはずがねェだろォが」

「なるほど……。じゃあ研究所に連絡はしたか?」

「したがそれがなンだってンだ」

「実は今家にその研究者が来てるんだ。打ち止めを預けちまっていい人なのか聞いておこうと思って」

「……名前を言え、そいつの」

「芳川さんだってよ、今も玄関にいる」

「俺が連絡したのも芳川なンだが」

「じゃあ預けて大丈夫だな?」

「あァ。……仕方ねェ。待つのもダルイしドアぶち壊すしかねェか」

「あん? 何の話だ?」

「何でもねェよ。とりあえずガキは芳川に預けておけ」

「分かった、じゃあな」




電話を切る。


「電話終わったぞ、まだ居るのか?」

「もちろん。時間を割いてもらって済まなかったね」

「じゃ、打ち止め連れてくるからもうちょい待っとけ」




リビングの方へ行く。


「打ち止め、研究者の人が来たぞ」

「あ……あの人が……連絡つけて…………くれたのかな……?」

「おう、だから心配はいらないぞ」



打ち止めを担ぎ上げる。



「あ、インデックス。ドア開けるのだけ手伝ってくれ」

「了解なんだよ」



ガチャ


「ふい、お待たせ」

「いや、こちらこそわざわざ預かってもらって済まない」

「じゃ、一方通行もそろそろ研究所に着く頃だろうから、早く行ってやってくれ」

「分かったよ、では」

「ああ、打ち止めを頼む」




バタン




「……これでひと段落ついたかな」

「ちゃんと治るといいね」

「大丈夫だろ、研究者も一方通行もいるんだし」

「そうだといいけど……」

「あ、一応あいつに連絡だけしておくか」

「それがいいかも」


「……もしもし」

「あァ?」

「今どこに居る」

「……」


ドゴォッッ!!


「ああ、研究所着いたのか。ドアくらいゆっくり開けろよ、壊すにしてもさ」

「今ので平然としてるオマエもオマエだ」

「まあいいや、とりあえず打ち止めは芳川さんに預けておいた。それだけ連絡しておこうと思って」

「分かった。他に用はねェ……なら……。あァ?」

「? どうした?」


「オイ」

「ん?何だ?」

「オマエよォ、いつから能力者になったンだ?」

「は?」

「わたしが能力者に? 馬鹿おっしゃいな、そんなわけないでしょうに」



どうやら電話の向こうで話しているようだった。



「嘘ついてンじゃねェ。じゃあどうやってここまで来た。いくらなンでも早すぎるだろォが」

「何の話?」

「あァ? とぼけるンじゃねェよ、あの打ち止めとか言うガキを連れてくるには早すぎンだろ」

「あら、最終信号を知っているのね。それでここに?」


何だ、何の話だ?
何で一方通行はこんなことを言っている?
打ち止めは今運ばれている途中のはずだ。
"この女の人が誰かは知らない"が、この人には連絡がいってないだけだろう。


「オイ」

「……」

「……オイ、上条」

「……ああ俺か」

「今の話聞こえたか?」

「一応な。でもお前何言ってんだ? 打ち止めはまだ運ばれている途中だろ?」

「じゃあその運ンでいるヤツは誰だ」

「何でそんなこと……」

「いいから答えろ」

「特に特徴はないけど、まあいかにも研究者って感じで白衣を着ていた芳川って"男の人"だよ」

「……なるほど、そォ言う訳か」

「はあ?」

「……俺が連絡したのは芳川。オマエも聞こえているだろォが、今会話していた"女"───こいつが芳川だ」

「な……に? それじゃ……」


「……チッ。面倒くせェ。オイ芳川! オマエの名前を使ってガキを連れ去った男がいる。そンなことをやりそォなヤツを教えろ」

「男……。多分一人しかいないでしょうね。天井亜雄よ」

「あのクソヤロウ……」

「ちょうどいいわ、話をしましょう。あなたがいるなら心強いわ。お友達にも聞いておいてもらってちょうだいな。どうせ実験のことを知っている彼なのでしょう?」



どうやらこの女の人───芳川さんは俺のことを知っているようだった。
さっき一回名前が出てきたという程度なのに、それでピンとくるのだからかなりこの実験には詳しいのだろう。
打ち止めのことも分かるかもしれない。


……ふとインデックスに袖を引っ張られている事に気がついた。


(どうした?)

(私にも聞かせて欲しいんだよ)


確かに俺が今打ち止めがどういう状態にあるのか新たに聞いたところで理解できないだろう。

それならばインデックスに覚えておいてもらうだけでもしておいた方がマシだと思ったので、机に携帯を置いてスピーカーにした。


「さて、本題に入りましょうか。天井かもしれない男が、私の名前を使って最終信号を連れて行った。これでいいのかしら、上条くん?」

「はい、まあ多分」

「アイツの目的は何なンだ」

「それは今わたしがやっていることを見れば分かるでしょうに。彼女の人格データの中からバグを洗い出してるところよ。いえ、正確には人為的な命令文だからウィルスとでも呼ぶべきかもしれないけど」

「なるほどね……」

「あら、ずいぶんと理解がいいのね」

「面倒くせェくらいの世話焼きがベラベラしゃべりやがったンだよ、ガキのことについてな」

「へえ、やっぱりキミの存在はどうも掴めないわね」

「あ、あはは……そりゃどうも」


「で、あのガキについてたバグってのは? っつか、ウィルスだっけか?」

「『実験』終了後も最終信号はここの培養器で秘密裏に預かっていたのだけど、一週間ほど前に突然異常な脳波が計測されてね。慌てて培養器のある建物に行ってみれば、もう設備は内側から破壊されてあの子は逃亡した後だった、という訳。その時は、何が起きたか分からなかったわ。原因不明の暴走という方向で、とりあえずウチのスタッフが捜索する事になったの」

「あァ? 警備員や風紀委員には通報しなかったンかよ」

「それはできないんじゃねえの? よく分からんけどクローンとかってダメなんだろ?」

「確かにそれもあるけど、わたし達の『実験』自体上層部に黙認されていたものの、大っぴらに公言して良いものではないから」

「その結果、今の今まで取り逃がしてたって訳だ。って一週間もかァ!? いくら何でも危機感がなさすぎだろ。あのガキは一万の妹達を統括する管理者じゃねェのかよ」

「作ったシステムの完成度に自信があった故に油断していたのね。まさか逃げ出すなんて思っていなかったのよ。元々あの子は培養器の外では生きていけないはずなのだから、甘くみていたところもあったかもしれないわね。……まったく、この七日間を生き延びていたというのがすでに誤算だわ。そんなに強く作ったつもりはないはずなのに……やはり情が移ってしまったのかしらね」

「ふン、情ねェ……」


「今にして思えば、あれはあの子の一種の防衛本能だったのでしょうね。何者か───おそらく天井が最終信号の頭に不正なプログラムを上書きした。それを防ごうとした行為が、研究所からの逃亡。おそらくあの子自身は自分が何故研究所から離れる事になったのか、その理由に気づいていないのでしょうけれど」

「……そして俺に会いにきたと。ただまァ、アイツ自身は研究員とコンタクトが取りたいと思ってたよォだが」

「……でさあ、結局その不正なプログラムってのは何な訳? ロクなモンではなさそうだけど」

「そう。あの子の逃亡の原因や行き先を探るために、わたしは人格データを出力してみた訳だけれど、良く見るとラクガキみたいなコードがちりばめられていたの。ある程度はピックアップしているけれど、ダミーを含めて結構あちこちに散っているので完全に除去できるかどうかは怪しいところといった具合でしょうね。そして、不正プログラムの内容の方は」

「内容の方は?」

「まだ完全に解析していないから何とも言えないのだけれど。記述の傾向を追う限り予測できる症状は、人間に対する無差別な攻撃という所かしらね」

「何だよそれ!?」


「ウィルス起動までのカウントダウンは掴めている。九月一日午前00時00分00秒。定刻と共ウィルス起動準備に入り、以後一◯分で起動完了。ミサカネットワークを介し現存する全妹達へ感染、そして暴走を開始。そうなったらもう誰にも止められないわ。キミほどではないけれど、鋼鉄破りすら軽々と操るあの子達が一万も集まれば相当の戦力になってしまう」

「……、オイ。それって」

「そう。その先に待っているものは、キミの思っている通りよ」

「待った待った、一ついいかな」

「なあに?」

「何だってその天井ってヤツは今日までリミットを待ってたんだ? 別にその反乱、というか破滅がやりたいだけならウィルスを仕込んだその日に終わらせれば良いはずなのに」

「それはわたしでなく彼に問うべきではないかしらね。まぁ、わたしが敢えて打算的な予想をするならば、治療を待つ妹達が『外』の施設に馴染むのを待った、というのが妥当かしら。『今まで安全だと思っていた者が突如暴走する』───このシチュエーションを用意するためには、まずは妹達とは信頼できる存在である、という意識を周りに植え付けなければならないでしょう?」

「……。で、結局オマエはここでナニやってンだ? ガキの頭ン中に入ってるウィルスはどう止める?」

「それを今調べているのでしょう」

「……」


俺にはやっぱり難しい話なんてさっぱりだけど、これだけは分かる。
リミットまではあと十時間もない。
その時間の中でワクチンプログラムを作って打ち止めに注入する。しかも彼女を見つけることもしなくてはならない。

芳川さんがどれくらい凄いのかは分からないけど、これを一人でやるのは。
───正直、絶望的状況ではないのかと思う。


「……、そうならないために努力をしているのよ。もちろん、キミにだって何かはできる」


一瞬、こちらの心を読まれているのかと思った。
……一方通行も同じようなことを考えていたということか。


「誰にモノ言ってっか分かってンのかオマエ。俺ァアイツらを一万人ほどぶっ殺した張本人だぜ? そんな悪人に誰を救えって? 殺す事ァできても救う事なンかできねェよ」

「おい、それは……」

「それを仕向けたのはわたし達だった、って答えさせてもらうわ。確かにキミはあの時、一万人強もの妹達に手をかけてしまった。でも、もしも『妹達を使わなくても絶対能力者へ進化できる方法』を見つける事ができれば、キミは誰も殺さずに済んだのだから」

「そンな一言だけで、オマエを信じて従えって?」

「やりたくないのなら、仕方がないわね。わたしにキミを拘束するだけの力はないもの。最後に残った時間を、ご自由に過ごしなさいな。そして祈りなさい。願わくば、ウィルスが起動する前にあの子の肉体が限界を迎えて破滅しますようにって」

「……、」


「わたしにはあの子を捕まえることはできない。『研究員を見たら無意識に逃げる』というあの子の特性は、わたし達の体から放出される微弱な電磁場のパターンに強く依存している。たとえあの子の視界に入らなくても電磁場を検知して逃げてしまうのね。逆に言えばそこさえクリアすればわたしにもあの子に接近するチャンスが生まれてくるのだけど……ウィルスコードを解析する片手間で追撃できるとも思えないもの。だけど、キミ達がいるなら話も変わる。三人で手を組めば何とか道は開けるかもしれないの」

「……、クソったれが」

「今キミにできる事は二つ。一つは街の中に潜伏している犯人・天井亜雄を捕らえてウィルスの仕組みを吐かせる事。そしてもう一つは起動前のウィルスを抱えた最終信号を保護する事。好きな方を選びなさいな。もっとも、彼が最終信号をさらったのなら目指すべき場所は同じなのだろうし、キミは守るより壊す方が得意でしょうけれど」


「……よく分かってンじゃねェか。まァ、そォだよなァ。どっちを取りゃイイかなンざ誰でも分かンじゃねェか」

「おい、一方通行!」

「……、ハッ、蔑めクソガキ。どォせ俺にァこっちしか選べねェよ」

「待てよおい!」

「で、ヤツが行きそうな場所の見当はついてンのか?」

「ええ、幾つかはね。ただ、この見つかったら終わりという危機的な状況の中でそんな分かりやすい場所に……」

「普通行かない、ってか? けど、今状況は普通じゃねェンだ。人間ってのは余裕を失うたびドンドン行動が単純になってくモンなンだぜ」


そう言って一方通行は一つ建物の名前を言った。
聞いたことはある、確か研究所だったはずだ。



……それより今は一方通行だ。


「一方通行」

「……オイ、上条に芳川。笑えよ。どォやら俺は、この期に及ンでまだ救いが欲しいみてェだぜ」

「は?」

「ええ、それは多いに笑って差し上げましょう」

「キミの中にまだそんな感情が残っているとすれば、それは笑みをもって祝福すべき事よ。だから安心して証明なさいな。キミの力は、大切な誰かを守れるという事を」

「俺はオマエ達、研究者のために働く。だからそれに見合った報酬は用意してもらうぜ」

「ええ。あの子の肉体の再調整ならわたしに任せなさい」


芳川さんがそう言ったのを最後に、電話は切れた。


「……」


なるほどね、全部俺の勘違いだったって訳か。
それは確かに笑みをもって祝福すべきことだ。


「なにニヤニヤしてるの」

「え? 今の話聞いてたら何となく分かるだろ」

「まあね。で、その建物には行くの?」

「……行くよ。俺にだって何かできるかもしれない」

「どれくらいかかりそう?」

「分かんねえけど、こっから研究所までは走ったらそんなかかんねえし、お前との晩飯の約束は絶対破らない」

「ほんと?」

「ああ、ほんとほんと。……それにしてもインデックスは飯が大好きだな」

「むう! 違うんだよ! ……だって、その研究者っていうのはとうまの能力が関係ない人たちなんでしょ!」

「分かってる分かってる、冗談言っただけだ。それじゃ、行ってくるよ」

「はい、いってらっしゃい。ちゃんと帰って来てね」

「ああ」





ドアを開けて、家を出る。
向かう先は、一方通行の告げた研究所。

頑張ってくれ、打ち止め。
……それに、一方通行も。




────────
──────
────
──


研究所へは着いた。

「……どこにいるんだ、アイツ」


その研究所は今は跡地になっているようで、物音があれば聞こえるであろう静かさだった。
しかし一方通行はどこにもいない。


まさか……。


アイツは基本的に他人を巻き込みたくないタイプなんだろう。
するとさっきの電話での情報はダミーかもしれない訳で。

本当は違う場所である可能性もあるということだ。


「クソ……」


連絡するか、と思って携帯を開いて気づく。
……俺を巻き込みたくないのなら、俺の電話に出るはずがない。

どうすればいい。
考えろ、上条当麻。


……ダメだ、何も思いつかない。
この建物の中を片っ端から探すのもアリだけど、それで居なかったのなら違う建物を片っ端から探さなければいけなくなる。

そもそもこんな研究所、しかも跡地だったらいくらでも隠れられるところはある。
人工衛星の目もごまかせるであろうこんな空間を普通の高校生一人だけで探すのは難しいだろう。




……ん? 人工衛星?


そうか、GPSだ。
何故今までそれに気づかなかったのか。
携帯も開いていたというのに。


開きっぱなしにしていたために画面が真っ暗になっていた携帯を操作して、一方通行の場所を特定する。



「……よし」





居場所は分かった。
俺が今いる場所と、研究所を挟んで真反対のちょっとした空きスペースにいるらしい。



ベコッ!! という轟音を目的地から聞いた俺は、早速そこへ向かって走っていった。


到着してまず目についたのは、スポーツカー。
それが、グシャグシャになっている光景だった。

あんなことできるのは一方通行くらいなもんだろう。
ありゃ修理できんのかね、と思わず気が抜けてしまった。


次に見つけたのは運転席のドアに挟まったオジサン。
芳川さん、ではなく天井亜雄。多分。

そして最後に見つけたのが、隠れていて見えなかった一方通行と打ち止めだった。


何をしているんだ、あいつは?

そう思って近づいてみるものの、一方通行は俺に全く気づく様子もなく打ち止めのおでこを熱心に触っている。

また音でも反射しているのかもしれない、もう少し近づいてみた。
そして気づいた。





……"何であいつが汗をかいている"?





つまりどういうことだ?
今あいつは反射を使っていない?
じゃあそれは何故?

疑問は増える。


「……残りコード数は五万九八◯二。いける」


一方通行がボソリと呟いた。
コード……?
どこかで聞いたことのある単語だった。
そう、さっきまで分からないなりに頑張って理解しようとしたあの芳川さんの話に何度も出てきた単語。


と、いうことは……。


そこまで考えたところで、思考は強制的に遮られた。


「邪魔を……す、るな」


運転席のドアに挟まれた男が声を発した。
そして聞こえてきたカチャリという音。

一方通行に向かって何やってんだか。


……いや、そうか。一方通行は今反射を切っているんだっけか。


「く……っ!?」

「邪魔を、するな」


一方通行が予想以上に焦った顔をしたのを見た俺は。












「はいどーん」










オジサンの頭に華麗な飛び蹴りをお見舞いした。


そしてこれまた華麗に着地を決めた俺は、一方通行の方を見た。
文字通り、目が点になっていた。
そして、オジサンは完全に意識を失っていた。


「あー、悪りぃな。ムチャクチャ地味な倒し方で。つか揃いも揃って何で俺の存在に気づかないんだか」

「Error.Break_code_No000001_to_No357081.不正な処理により上位命令文は中断されました。通常記述に従い検体番号二◯◯◯一号は再覚醒します」

「……それより何でオマエは一字一句同じセリフなンだよ」

「あん?」

「何でもねェよ」


「ああ、そんなことよりお疲れ様。どうも打ち止めの様子を見る限り、守ることができたみたいだな」

「別にそう言うンじゃねェ。俺や天井のようなクズがこのガキが抱えてるモンを巻き込んで踏みにじっても良い理由にはならねェ。だからやっただけだ」

「今はそれでいいんじゃねえの? 理由は何にしろ、守りたい奴を守った。これで十分だろ」

「よく言うぜ。このガキ一人すら俺の力だけじゃァ助けられなかったンだ。オマエみたいなヒーローに言われたって皮肉にしか聞こえねェよ」

「むしろ俺だけだったらもっと打ち止めを助けられなかったけどな。それぞれがそれぞれの役割を果たしたってことで何の問題もないさ」

「……チッ。今回は一応オマエに感謝しておいてやるよ」

「はいよ、そりゃどーも」


「一方通行!」

「あン?」

「ああ、よかった。無事なのね。……キミが上条くん?」

この声はずっと電話で聞いてきた声。
本物の芳川さんなんだろう。

「はい、っていうか顔知らなかったんですか」

「書類上の情報だけではどうしてもね。それよりこの子を助けたくれたみたいね、ありがとう」

「あれ、何で知っているんだ?」

「この子の携帯、ずっと通話中だったの。本当にこの子の言う通り一字一句同じセリフだったわ」

「……? いや、まあそんなことは俺じゃなくても出来たんです。ただ、一方通行はこいつにしかできないことをやってのけたんですよ」

「……そうね。一方通行、キミ、やればできるじゃない」

「ケッ……」

「じゃあキミ達は帰りなさいな。わたしも最終信号を培養器に入れ、準備が整い次第天井を連れて帰るわ。キミ達には最終信号のその後をまた連絡するつもりよ」

「はいよ、じゃあ行くか一方通行」

「……」


……しばらく足を進めていると、ふと一方通行が足を止めた。

「? どうした?」

「……先帰っておけ。寄り道だ」

「ふーん。じゃ、気をつけて帰って来いよ」

「……」


一方通行は"今来た道をそのまま引き返して行った"。


……芳川さんに言い忘れたことでもあったのだろうか。
あまり気にせず、家へ向かって再び歩き出す。











パンパン! という二つの銃声に似た音が聞こえたと思ったら、白衣の女性を抱えた白い髪の少年が猛スピードで俺を追い越して行ったのは、そのすぐ後の出来事だった。


いじょー

打ち止め編終わり

ついにインデックスが一方通行を名前で呼びましたが、上条さんの予想は外れて二人の間に特に何があったわけではないです
この場面で白いお友達ってのが違和感だらけだったのでそうしてもらいました

あと一方通行も上条さんを名前で呼んでます
でも違和感あるんだよなあ
新約になってから関わりが結構あるのに、名前呼んでないよね?
浜面も浜面でアンタってのが多くて上条だったり大将だったり
今後どうしましょう


さて、今回も名前すら出てこない彼女が出てきました
いつ登場してくれるのやら

では次レス返しします

御坂でさえ上条をアンタとしか言わないもんな
ただ一方さんが上条を名前で呼ぶのは二次創作じゃ結構あるから違和感を感じなくなってきた

乙です。
一方さん特に違和感ないですww

はい、どーん!て、軽いw……


>>70
ありがとうございます、トントン拍子に進むというのは、トントン拍子に進んでしまう、とも言い換えられるわけで……

>>71
エツァリはショチトル派です、自分も
ただ、エツァリの恋は応援したい
凄く真っ直ぐというか、命をかけてるというか

>>72
>>73
ありがとうございます!

>>74
ですねー
上条さんがくっつくなら誰だろうって考えたんですけど、長くなりそうなのでまた今度時間があれば

>>75
上インスレを探すんだ、いろいろあるよ多分

>>76
ありがとうございます!
セリフを思い切り変えている自分としては、その言葉が嬉しいです

>>77
ええ、面倒見がいいですよね、この上条さん



今回は凄く難しかったですね
本来芳川さんと一方通行の二人だけの会話に上条さんを割り込ませたり、一方通行が芳川さんのところに行った時点での彼が持っている情報が違ったりで、ただ原作のセリフを持ってくるだけでは矛盾になるので
ですから、原作のセリフを変えたり、順序を変えたり
凄く大変でした
何かおかしいところがあったら言ってください


次は何も書けてないのでいつになるやら




ではー


>>127
御坂は名前を知らないのに上条さんを追っかけてましたからね、そのままなんでしょう
一方通行に関しては上条さんの名前覚えてるのかな

>>128
上条さんは基本的にお茶目です
今まで読んでいただいているなら分かると思いますが、シリアスにギャグを持ってくるのが得意です


そうですか、違和感ないですか
ではこれからもこのままでいきましょう

>>130
アニメ1期19話で一方さんが
「上条って奴との一戦以来、どうやら俺は学園都市最強ではなくなっちまったらしい」
という地の文があるから、誰かから聞いて知っているのかもしれない
原作は読んでないから知らんが

乙です。

常盤台。基本的に学舎の園から出ない。上条さんの知り合い。


食蜂?

乙!
あいかわらずここの上条さんは良い仕事してるなww

原作の一方通行は上条を崇拝してるレベルだから気安く名前なんて呼べないのさ

なんという頼りになる上条さんなんだ・・・

でも、芳川までは助けられなかったか。
代わりに無傷の一方通行が助けてくれたから良かったけど。
というか、芳川と天井が銃を撃ち合うことをどうやって予測したんだろう。
これが第一位の展開予測能力なのだろうか。

いつの間にか50レス以上更新されてたからきてみたら天井君がやられてたでござる

とりあえず乙でござる

乙でした

続きまだ?

待ちなさいって


こんばんはー

実は今週は忙しいのでこれないはずだったんですが、一応一週間に一回は来ておきたいのと、少し待たせてるみたいなので投下します

数レスしかないのと、テキストファイルを共有出来てないために今から手で打つのでスピードが遅いので申し訳ないのですが


ごめんなさいね

ではー

作者はリアルいそがしいんだ。
まとうで、、、


ひと仕事終えた俺は、完全に気が抜けてしまっていた。





「ただいまー」

お願いします




……ん?



「ただいま、インデックス。……寝てんのか?」


相変わらず、インデックスからの返事はない。
それもそうだ、寝てるなら返事なんてあるわけない。

聞こえるのは、"窓を全開にした時のようなビュービューという音だけ"




……まさか!!


「おい、インデックス!」


俺が家を出るまで騒がしかったリビングには、誰もいなかった。



「クソ、遅かったか……」


居場所は分かってる。
なかなかに遠い場所にあるので、早く行かなければならない。

が、とりあえず家の中のガラスの破片がひどい。
業者に電話した後、ドアを開けて家を出た。




……おそらくインデックスは大丈夫だろうが、アイツがやばい。
早く行かないと、アイツはきっと死んでしまう。


頼むからまだ術式の準備中であってくれ。


そう思って、俺はバカを助けるために全力で走り出した。


────────
──────
────
──



prrrrrr……


電話が掛かってきた。
掛けたのはインデックス。


「……もしもし?」


インデックスは出ない。

ただ、前のように布で覆われたような音はしていないため、多分自分で意図的に掛けたのだろう。
聞こえるかどうかは分からないけど、一応言いたいことを言ってみる。


「インデックス、聞こえてるか聞こえてないかは分かんねえけど一応言っておく。そいつはインデックスに特別危害を与えるような奴ではない、大丈夫だ。何もされない限り大人しくしておいてくれ。場所は分かってるから、俺が着くまでの辛抱だ。ごめんな、間に合わなくて。今はもう向かってるから。それと」





もう一つだけ。






「……出来ればソイツを助けてあげてくれ」







「分かったんだよ」











返事が、聞こえた。


いじょー

短くてごめんなさいね
さらに出先なもんで回線もWi-Fiじゃなくて遅いし


短いけど分かると思います、恐らくインデックスが活躍してくれます
まだ微妙にしか決まってないので分かりませんが

では次でレス返しますか

途中入っちゃってごめんね。


>>132
ネタバレはダメなんだゾ☆

>>133
一方通行を知らぬ間に無傷で助けてるんですから流石です

>>134
あー、確かに自分では辿り着けない位置にいる人物って認識してる部分あるよね

>>136
>>137
ありがとうございますでござる

>>138
すいません

>>139
ありがとうございます


>>149
いえ、大丈夫です
>>141>>143の方ですか?

あのレス達がどうもよく分からないので、どういうことか教えてくれるとありがたいです







>>135

上条さんは芳川さんと初対面なのに対し、一方通行はだからこの女は嫌いだ、とかなんとか思える程度には交流があった訳で

彼女の"甘い"という今までの性格なら倒れている天井を助けるわけでも、とどめを刺すわけでもなく、ただ放っておくはずです
そんな彼女がわざわざ"天井は連れて帰る"と言ってるんです
放っておくなら天井のことに触れる必要はないのにね

だから何かあると思った一方通行は、上条さんに帰ろうかと言われた時から怪しいと思っています


何でそんな些細なセリフに気づいたか、ですが、電話の時に芳川さんが最終信号に情が移ったって言葉を一方通行はバカにしていますよね
こいつは甘い奴だと一方通行が再認識しています
その後のあんなセリフですから、違和感があったのでしょう


以上です、こんな説明で大丈夫でしょうかね?



質問や意見、矛盾などの指摘があればどんどんどうぞ


ではー

>>141は続きまだーに対して。
そしたら、投下予告とかぶった

>>143は投下予告に対して。
そしたら、投下とかぶった。

申し訳ないです。
投下乙です。

いや、まとうで
ってのが何かと

待とうで
かな?

ID変わってんな、>>1です

>>153 Oh!That's right!

待とうでした(汗)

前スレから一気読み~
>>1よろしくね?
これは良作ですな~
そもそもあんまタイムスリップ系は見たことなかったからちょっと新鮮
このアクセロリータは電極いらなくなったのかな?

ちなみに絹旗はおれも好きです。
1.上条
2.絹旗
3.御坂 ってかんじ

次はシェリーか

乙!
>>1のペースでいいのよ

期限までまだ余裕があるのに、定期的に投下してくれる>>1感謝&乙

打ち止め編で一方や芳川が言っている"一字一句同じセリフ"というのは一体何のことなのか馬鹿に教えてくれ

>>159
探せばあるけど、上条さんのセリフのここ
「あー、悪りぃな。ムチャクチャ地味な倒し方で。つか揃いも揃って何で俺の存在に気づかないんだか」

ってセリフの前半部分が原作で一方通行が天井を車のドアで気絶させたときのセリフと全く同じだから...のはず

大覇星祭で本気出す上条さんが見たい

>>160
なるほど
原作は持ってないから分からんかった

続きまだですか?

>>163
待て。
ここの>>1は更新が遅いので通ってるんだ

そんな>>1を私は応援してる

結局、私はいつまでも>>1を待つって訳よ!!

うっわ気持ち悪ッ…

うまれてからいちどもかいたことのないぼくよりずっとはやいとおもいます。

>>1待ってる
風切に会ったらヒューズのこと話すのかな

>>1はまだ来ないのかにゃーん?


超お久しぶりです
投下します
5巻終わります


「……あなたは。どうして私をここに連れて来たのかな?」

「それを君に言ってどうする」

「言って。私をここに連れてきたってことはそれなりの理由があるはず」

「……、ふん」

「何が狙い? イギリス清教、それとも私の魔道書? ……まあおそらく後者なんだろうけどね」

「だったらどうと言うのだ。状況は変わらないだろう」

「この神楽舞台のような儀式場に、あなたの梓弓。それで私の心でも読もうってことでしょ」

「素晴らしい。日本の文化圏もカバーしているのか、その魔道書図書館」


「なら私はあなたを止めなくちゃならない」

「何故だ?」

「まず一つ。私の役目はこの頭の中にある禁書を守ること。それを果たさなければならない」

「ふむ」

「そしてもう一つ。あなたが一般人とは違う特別な魔術師であっても。それでも三十冊だって耐えられない。それなら私はそれを止めなくちゃならない」

「……なるほど。禁書目録というには随分と優しいものだな。君の様子を見る限りではどうも後者が本音のように見える」

「……だったら何? どんな理由であれ私はそれを止めるだけだよ」

「しかし今君はどういう状況にあるのか分かっているか?」

「もちろん。私では残念だけど何もできない」

「……」

「……でも。こうやって時間を稼ぐことならできる」

「何……?」

「聞かせてよ、あなたの理由を」

「……話す必要もないな」




カチャリ、と何かを構える音が聞こえた。
音だけでは何とも言えないが、おそらくあれが"梓弓"なんだろう。


「……やめて」

「聞く理由がないな」

「さっきも言ったでしょ? 私の頭に何冊魔道書が入ってると思ってるの!」

「だからと言って止まる理由もない」

「この頑固者……」

「結構。私は私の目的を果たすのみ。その過程で私がどうなろうと私、ましてや君には関係がない」

「あるもん。あなたを傷つけてしまうであろうこの魔道書の持ち主は私なんだから」

「君もなかなかに頑固なものだな」

「……ふん」

「……」

「……」


「……分かった。では一つ質問をしてもいいか?」

「……何?」

「君は時間稼ぎはできると言ったが、時間を稼いでどうする? 意味はあるのか? どうやらこの学園都市も私を全く危険視していないように思える」

「意味なら……、ちゃんとあるよ」

「……?」

「とうまは。……とうまなら必ず来てくれるもん」

「何?」

「バレているかもしれないけど、私がこっそり電話した人。とうまは必ず来るよ」

「どうして分かる」

「とうまだからだよ」

「言っていることが理解しがたいな」


「……。とうまは、困っている人なら誰でも助けに行っちゃうんだよ。私がどれだけ行かないでって思ったところでとうまは行っちゃうし、私自身とうまに助けられた一人だから何も言えないんだよ。それに何より、私の言葉で行くことをやめちゃうような人なら私はとうまを好きにはならない。とうまには助けたい人がいて、その人を助けたらちゃんと戻ってきてくれる。いつだってそうだったんだよ。それが私達だと思うし、私はとうまを信じてる」

「……、羨ましいものだな」

「……」

「いつでも最後には自分の元へ帰ってきてくれるヒーロー、か。……なれないものは仕方が無い」

「……?」

「そんな不思議な顔をしないでくれ。何もない」

「……」

「では、その彼が来る前に始めようか」





「……ねえ」


「何だ? 種明かしをされた以上もう時間稼ぎをされるとまずいと分かってしまった、早速始めたいのだが」

「……もしかして、あなたも誰かを守りたいの?」

「……、」

「そっか……。そうだよね。私や魔道書を悪用するような人には見えないし、とうまもそう言ってたもんね」

「……関係ない。ここに侵入し君を攫っている以上私は君達にとって悪者でしかない」

「でもまだあなたは引き返せるところにいる」

「引き返すつもりはない。これ以上の挫折はしないと誓ったんだ」

「あなたが守りたい人は誰? その人はあなたの何?」

「違う、関係ない! 私は彼女を守りたいから君を攫ったのではない。ここに来るまでの犠牲、自分の欲望のためだけに行動を起こした。それだけだ」

「違わないよ。とうまの話をした時のあなたの顔、私はしっかり覚えているんだよ。嫉妬のような、それでいてどこか諦めたような顔」

「諦めない、挫折しない為に来たと言っているだろう!!」


「……」

「あんな女、どうだっていい。あんなつまらない女のために何でも出来る魔術師という夢を壊されてたまるものか」

「……嘘つき」

「何……?」

「何でもできる魔術師は、自分を傷付けずにその女の人を助けることができるはずなんだよ。あなたが目指しているのは、何?」

「……」

「私には記憶がないけど。……それでも知識として残ってる。貴方のさっきの顔がどういう表情なのかってことをね。何年も何年も見てきた、はずなんだよ。この間だってそう。とうまの横にいたあの人たちは二人ともそんな顔をしていたんだよ!」

「それはその彼らの話であって私とは……」

「関係あるもん!! あなたには分からないの!? 自分で何もできないために大切な人を失う辛さを! 私はあの二人が辛そうな表情をするのを見るととても悲しくなるんだよ。何でそうなるのか分からないのに、胸の痛みだけはしっかりと知識として残ってる。私はもしかしてとても大切な人を失ってしまったんじゃないか、って悩んで。それでも失ったものはもう戻ってこなくて。今度はとうまも失って、私はまたそれに気づかずに過ごすかもしれない、そんな痛みが、恐怖が! あなたには分からないって言うの!?」


「……」

「私はもう戻れないんだよ! でもあなたは違うでしょう? まだ自分もその人も失わずに済むところにあなたはいるの」

「……。分かるに、決まっているだろう」

「……え?」

「私がわざわざここに来たのは、そうだ、認めよう。彼女を守りたいと、そう思ったからだ。だから、分かるに決まっているだろう、君の言う痛みが!」

「だったらその痛みを今度はあなたの助けたい人に押し付けちゃダメだって分からないの!? 違うでしょう? 分かるから、分かってしまったからこそ。……あなたは罪の責任をその女の人に押し付けたくなかったんでしょ? お前のせいで罪を犯し、傷付いたんだって思われたくないから! あなたはそうやって自分の為っていう言い訳を並べて、その女の人を守ろうとした」

「……」

「……」


「……、それは悪いことなのか」

「……」

「たとえ、この命と引き換えにしてでも、誰かを守りたいと思うのは、悪いことなのか」

「悪いに……、決まってるんだよ」

「そうか。……いや、最期に君のような考えを持つ者と話せて良かった。挫折ばかりのこの人生、それでも私には諦められないものが、あるのだ。すまないな、そしてありがとう」

「……待って」

「……何だ、まだ何か?」

「ようやくあなたの本音を聞けた気がするんだよ、こちらこそありがとう」

「……」


「……ついでに聞かせて欲しいんだけど、その女の人を助けるのにどうして魔道書がいるの? ここのお医者さんは死ななければ治してもらえるってとうまが言ってたよ?」

「だったら私が生きていたら、私をそこへ運んでくれると有難い。残念ながら彼女は病やケガの類いではないのでね」

「ふーん。呪いか何か?」

「流石だ」

「だったらさ、こんな薄汚い本に頼らずともその人を救える方法はいくらでもあるんだよ。例えば歌。完全に呪いを消すことは出来なくても、術を上手い具合に噛み合わなくする事なら出来る」

「……」

「でも、それ以上に簡単な方法がこの世界にはあるんだよ。さっきも言ったでしょう、人助けばかりしている人がいるって。つまり……」







「俺がその人の呪いを壊せばいいんだろ?」








「とうま!」

「おっす。悪かったな、遅くなっちまって。二人とも無事のようで何よりだ」

「とうま、聞いてた?」

「ああ、もちろん。ほら、呆然としてないで早くその女の人のところまで連れて行ってくれよ」

「……」

「あん?」

「……何かと思えば、君は魔術師でもなさそうだが」


「……まあ俺は魔術師じゃねえよ」

「学園都市の能力は、呪いも解けるのか?」

「いいや、今のところそんなのは聞いたこともないな」

「だったら……」

「そうだよ、俺はただの人助けが好きなお節介野郎かもしれない。でもな」

「……」

「……こういうことが、出来るんだ」








その瞬間。
解き放った力は、儀式場を跡形もなく壊した。


「は……?」

「分かったろ? 俺は魔術師でも学園都市の能力者でもないけど、確かに能力は持ってる。幻想殺しっていう、魔術も超能力も、呪いだって壊してしまう力をな」

「ぅ、あ……」

「だから早く俺を連れてけ。その女の人のところへは、アンタがいないと行けない。正真正銘、アンタ自身にしか助けられないんだ。……その途中で魔道書を使おうと他人を使おうと同じ。自分自身の手で助けたいって、そう思うなら。俺をどこへでも連れていけよ、な?」

「ぁ……。……あ、有難い。わかった。すぐ、行こう……」




そう言うと闇咲は安心したのか、膝から崩れ落ちた。


「……全く。すぐ行くんじゃねえのかよ」

「ふふ、まあいいんじゃない?」

「焦ることもないか」

「うん」

「そうだ、久々に外で飯食うか」

「もちろんそのつもりなんだよ」

「相変わらずだな」

「ありがとう」

「別に褒めてねえよ」



「褒め言葉だよ、私にとって"相変わらず"ってのはね」



「……そっか」

「……うん」




こうして。
インデックスは闇咲を、闇咲は女の人を。
それぞれ助けた事で、一日が終わった。






明日からは、いよいよ学校が始まる。
さて、どんな色の日々になるのだろうか。


いじょー5巻おわり!

ホントごめんなさい、マジで忙しいんです
もう開き直って書きたい時に書こうかな、とも思ってます
それでも書けしだい来るようにはしますが

なんかインデックスにもっと言わせたいことあったんだけど、途中でデータ飛んだり時間が空いたりでしっくりこなかったかなあ
残念


では次レス返します

乙です!

ところでエンデュミオン編はやるんですか?


>>156
はじめましてなのかな?
いらっしゃいです
一方通行は無傷で助かりました
自分は
1絹旗、フロリス
あとはまんべんなく好きって感じです
滝壺とか心理定規とかかわいいと思う

>>157
ありがとうございます!

>>158
今回は定期で出来なくて申し訳ない……

>>159>>162
>>160の通りです
あー、悪ィな。ムチャクチャ地味な倒し方で。
が一緒です

>>161
大覇星祭は自分も楽しみです、構想は決まってるんで

>>163
ごめんなさい、お待たせしました

>>164
ごめんなさい、早いで通したいんですがね……

>>165>>166
超ありがとうございます!

>>169
どうでしょう、風斬シェリーのとこは何も浮かばないんですよね

>>170
超お待たせしました

>>189
やらないと思います
超電磁砲も飛ばしてますし、もしかするとSS1巻も危ういかも
浜面はどうにかして暗部落ちしたとこやりたいんだけど、上条さんLevel5なんだよね


ではー

乙!!
なんだこの二人…カッコイイじゃない

>>186
ミスだ

「そうだ、久々に外で飯食うか」

「そうだ、久々に"外"で飯食うか」

学園都市の外って意味です

インデックスの真骨頂を見た

上条さんの説教スキルをインデックスさんが継承している……だと!?

更新してた 乙

シェリーの話は特になぁ…
上条さんか風斬が人間じゃないことを知ってるぐらいか?

法の書事件が簡単に終わりそうなのは気のせい…?

大変なことに気づいた。

原作では上条さんの幻想殺しは右手で触れたものにしか効果がないけど、
このSSでは幻想殺し能力を放出できるのでそれがアドバンテージになってるのに、
風斬がいる状態でそれやっちゃうと風斬死ぬんじゃね?

>>197
ヒント:作者補正

>>197
ヒント2 所詮SS。

上条さんには風斬に右手で触れたらアカンて記憶があるんだからどうにかするでそ

放出しなければいいだけの話

>>201
これが一番

まだかな?
期待


こんばんはー

遅くなりました、6巻も結構進められましたので明日投下します
明日の進行具合では6巻終わっちゃうかもです

では続いてレスを返しましょうか


>>191
ありがとうございます!

>>192
>>194
>>195
インデックスって実は禁書本編でもなかなかかっこいいと思うんですよね、どうでしょう
普段があれなだけに目立たないかもしれないけど、真面目なときは大人びた考え方をするというか達観してるというか

>>196
なんとか6巻の方向は決まりました
法の書はなあ……というか上条さんや周りに都合つけて延ばし延ばしやってきたけど実際ほとんどの巻すぐ終わっちゃうんだよね
1巻と4巻とロシアがやりたいためだけにこのスレたてたので
6巻にも露骨な延ばしがございます


>>197->>202
幻想殺しは基本的に右手だけ、上条さんの能力はきぬはたのような自動展開ではないので
放出の際も(特に学園都市では)遠距離防御以外は全身幻想殺しでとどめてるので大丈夫です(理由は6巻投下時に)

>>203
お待たせでござんす



・新刊手に入れたものの、未だ1ページも読めていない……
暇な時間はいつあるのでしょうか

・次の投下は明日って書いたけど今日だね、25~30KBを予定してます


ではではー
次の投下までー

まってるよ

待とうか。

楽しみです!


こんばんはー

さて、投下しますか
今日は一文字も書けていないので、25KBのままです
そして6巻も終わっていません

とりあえず行きましょうか





九月一日、朝。


いつかとは違って昨日はぐっすり眠れたので、寝不足ということもない。
全てが順調に進んで、今は6:00。
全て、というのはもちろん"朝起きて顔洗って飯作って学校の用意して後はインデックス起こして飯食って歯磨いて家出るだけの状態"のことだ。

早い、いや早すぎるとは俺も思う。
ただ、今日に関しては少し考えがある。

こっちではまだ始業式をサボったことはないのでそのことで小萌先生を怒らせたことはないが、自分にとっては今日サボってしまうと二回目となってしまうので気分的にそれは避けたい。
そもそも俺は小萌先生を悲しませることを喜んでするような性格ではないのだ。
だからこそ今日は考えがある。


とりあえずそれは置いといて、インデックスを起こす。


「おーい、インデックス。起きろよ」

「……おはようございます」

「は?」

「あ、ごはん」

「お、おい」

「いただきまーす」

「待て、待て!」

「……何」

「それはこっちのセリフだっつの。どうしたんだ今日は」

「……」

「……俺なんかしちゃったっけ。それなら悪かったけど言ってくれねえと分からねえからさ」

「……ない」

「ん?」

「……とうまはわるくない」

「お、おう。そっか……」

「ただ……」

「ただ?」

「昨日、ね。ちょっと。あの……」

「はっきりしねえな」

「は、恥ずかしいこと言っちゃったなあと。よくよく考えてみたらとんでもないこと言ってたんじゃ……」


そう言うインデックスの顔は真っ赤で。
何か恥ずかしいセリフあったかなあと電話越しの会話を思い出す。

……。


ない。

よくよく考えてみれば昨日のインデックスのセリフが恥ずかしいなら俺のいままでのセリフはもう見てられないくらい恥ずかしく思えてくる。
だからインデックスのセリフが恥ずかしくあってはならない。
あってたまるか。


「……そんなことはないな、うん」


ブチ。


何かが切れるような音を前方から聞いた俺が前を向くと、泣きそうな顔で一心不乱に飯を掻き込むインデックスがいた。


「そうだよね、とうまはそういう人だったってすっかり忘れてたんだよ! あーもードキドキして損したかも!」


……俺、何か悪いことしたかなあ。


っと、そだ。

「なあ、インデックス」

「何?」

「そ、そんな睨まないでくれよ……」

「……ふん」

「はあ。……せっかく今日学校の後インデックスと遊ぼうと思ったのになあ」

「ごちそうさまごめんなさいどこに遊びに行くの?」

「ん、まあその辺ぶらぶらすることになるだろうな。ついでに学校は昼までだから飯も食いに行く」

「外食多いね、最近」

「そうだな。……あ」

「どうしたの?」

「外食が連日ってので言おうと思ってたこと思い出した。連日なのは外食だけじゃないぞ」

「何かあるの?」

「魔術師がやってくること、かな」

「またあ!?」


「そう、また」

「とうまはまた行っちゃうの?」

「ああ、でも今日は一人では行かない」

「誰!? 女?」

「まあ女の子かね」

「はあ、もう呆れた……」

「何言ってんだよインデックス。お前に決まってんだろ?」

「え? いつも進んでそういうのから私を遠ざけるのに?」

「まあな」

「……?」

「ま、今は分からなくていいさ。今日はインデックスにいろいろしてもらいたい事があるからな、今分かっちゃつまらない」

「……何それ」

「ネタバレしたら面白くなくなっちまうってのはどこの世界にもあるんだ。まあとりあえず俺の考えを聞いてくれ」

「分かったんだよ」

「俺は今日インデックスを早く起こした。OK?」

「うん」

「そしてもう俺も学校行く準備は出来てるから歯磨きしたらいつでも行ける」

「そうだね」


「サプライズその一。インデックスを学校に連れて行く」

「……」

「……」

「……え?」

「っつってもまあその格好にその容姿だったらそれは難しいけどな」

「じゃあ無理なんじゃ……」

「いや、出来る。そのために俺は今日全てを早く終わらせたんだ」

「どういうこと?」

「つまり。先生とかが来るまでに屋上行って見つからないようにしようぜって事」

「とうま、シギョーシキとかいうのサボるの?」

「いいや、ちゃんと出るよ」

「そ、そしたら! 私一人になっちゃうんだよ」

「大丈夫。そこでサプライズその二が待ってるはずだから」

「はず?」

「ああ、そのサプライズは俺が用意するわけではないからな。ただ、お前にそのサプライズが届くに違いないと思ってる」

「ふーん……」

「で、学校終わったら遊びに行くと」

「なるほど」

「うまくいったらその後ももう一個あるぞ」


「……」

「なんだよ」

「別にー。何かうまく行ったらとかあやふやなものしかないなーとか結局確実なサプライズはバラしてもはやサプライズになってないんじゃ……とか思ってないよー」

「ぐ……」

「とりあえず用意してきたら? お皿は洗っておくから。……楽しみにしておくんだよ」

「……おう!」


「「いってきまーす」」

「もう九月なのに、朝から暑いな」

「そうだね」

「よし、戸締まりもしたし行くか」

「ねえねえ、一つ疑問に思ったこと言っていい?」

「? なんだよ」

「朝早すぎたらさ、屋上どころか学校も空いてないんじゃないの?」

「ふっふっふ、インデックスさん。何で俺がこんなに早くに用意したのか。別にインデックスを屋上に連れて行くだけならもうちょっと遅く行って隠れながら屋上に行けばいいんだ」

「うん」

「ただ、それでは見つかるリスクもある上に、屋上が空いてない可能性が大いにある」

「ほら、やっぱり屋上は……」

「しかし! 上条さんは夏休みでそんな時に対策できる能力を手に入れた」

「まさか……」






「そう、飛んで行くんだ」


「……それで見つからないように先生よりも早くってこと?」

「そういうこと」

「落とさないでね」

「俺の翼に聞くんだな」

「似合ってないんだよ、そのセリフ」

「……自覚はあるさ、ほっとけ」

「じゃあ行こ」

「ああ。……あ、もちろん学校に着くまでは普通に歩きだからな?」

「分かってるよそんなことは」


学校に着いたが、やっぱり人は誰もいなかった。
当然だ、学校はまだ開いてすらない。

通学路で他の学校の生徒達に会うこともなかった。



「やっぱり早すぎみたいだな」

「そうだね。もうちょっとガッコウの雰囲気を楽しめるかと思ったけど」

「授業じゃなくてクラスの打ち上げとかなら来ればいいさ。それでもクラスの雰囲気なら十分味わえる、ウチのクラスなら特にな。普段から騒がしいクラスだし」

「ありがとうね、楽しみにしておくんだよ」

「俺としてもインデックスには色々と経験してほしいからな、礼を言うことはねえよ」

「……、じゃあ行こっか。大丈夫? 翼出せる?」

「そこは問題ないぞ」



バサ、と大きな翼が広がる。


「何回見てもこの光景に私は慣れそうもないんだよ」

「俺もだよ」

「というかそこ"は"大丈夫ってどういうことなの」

「まあまあ、大丈夫。何とかなる」

「私はこれまでにない恐怖を感じているんだよ」

「ほれ、行くぞ」

「あ、うん」



インデックスを抱き上げると屋上を目指して宙に浮かぶ。
どちらかと言うと飛ぶというよりは浮くイメージなのだ。


スタ、と屋上に着地を決めてインデックスを降ろす。


「どうだよ」

「あの、えーっと……。す、凄かったよ!」

「そうだろそうだろ」


インデックスはまた顔を真っ赤にしているが、これはまた怒られるフラグに決まっている。


「全く、またとうまは……」


独り言をブツブツと言っているインデックスには構わないほうが身のためだ。


「まだ朝休みも長いししばらくここで駄弁ってるか」

「うん、そうじゃないと私はどうしようもなく暇になるんだよ」

「俺も今行っても何も出来ねえしな。行ったら行ったでどうせ勉強しなきゃならねえし、そもそも行けない」

「勉強……」


あ、これはいらぬことを言ってしまった気がする。


「よし、英語しよう、とうま。どうせ夏休み明けテストとかいうのがあったり無かったりするんでしょう? それに英語に関してはとうまが話せるようにとか何とか言ったんだからね」

「教えるって先に言ったのはそっちだろ」

「何か言った?」

「なんでもございませーん」

「全くもう、はじめるよ」

「おう」


非常に眠たい。


……何が嬉しくて朝から勉強をしなくてはならないのか。

まあはじめより確実に成長したのが分かるから意外と苦痛ではないんだけどさ。


そんなわけで俺は今教室にいる。
登校のピークに屋上から降りるのは見つかる可能性もあるので見つからないうちに早めに降りたのだが、現在数人教室にいる。
真面目な生徒もいたもんだ。
……俺も真面目だけど。


ウトウトとしていると、突然横から話しかけられた。


「朝から何寝ぼけた顔してんのよ貴様は」

「悪かったなこんな顔でよ。朝から珍しく勉強したらこうなったの」

「……雨とか槍とか降んないでしょうね」

「今日の天気予報は生憎超快晴だぞ」

「そういう意味じゃないわよバカ」

「それは悪うござんしたー。お、そだ」

「何よ」

「今日ウチのクラスに転校生くるぞ。お前といい友達になれそうな奴だから先言っとくけど」

「それは本当なの!?」

「ああ、多分」

「多分って……。先生に聞いたわけではないのかしら?」


「転校生本人に聞いた。そっちの学校にお世話になりますって」

「ふーん。……何か訳ありとか」

「……なかなか鋭いな。俺と一緒だよ」

「どう一緒なのよ」

「能力開発不可能って意味でかな」

「ということは能力も一緒とか?」

「いいや、違う。あいつの能力は────、まあ抑えておく必要があるんだよ。だから無能力者としてここにくるわけ」

「もったいないじゃない」

「……世の中は広いってことだよ」

「そ。まあ詳しくは聞かないであげる。あたし約束は破らないから」

「ありがとな」


そうこうしている間に朝休みも終わりかけていた。
……俺は寝ていただけだったけど。

起きたら久々に見る顔がたくさんあったのでびっくりした。


「やっと起きたかカミやん。何やの、昨日徹夜したとか?」

「朝から勉強して眠いの、ほっとけ」

「……雨とか槍とか降るんかな」

「どいつもこいつもバカにしやがって」

「あっはっは。カミやんやからしゃーないって。それより宿題はちゃんとしてきたん? それか今日の朝やったのが宿題とか」

「したよ。ちゃんと早めにやっといた」

「……槍だけでは済まんかも」

「……そういうお前はどうなんだよ。わざと家に全部置いてきたとか言うなよ」

「よく分かったなあカミやん。勉強効果か知らんけど冴えてるねー」

「せめて先生に言われる前に席に着いとけよ。ほら行った行った」

「何や眠たいとテンション低いんやね、つまらんなー」


やがてチャイムは鳴り、先生が入ってきた。


「はいはーい、それじゃさっさとホームルーム始めますよー。始業式まで時間が押しちゃってるのでテキパキ進めちゃいますからねー」

「先生、土御門は?」


今回は俺の代わりに誰かが言った。


「お休みの連絡は受けてませんー。もしかしたらお寝坊さんかもしれませんー」




どうせ仕事か何かだろう。
今回のシェリーのことかもしれない。


「えー、出席を取る前にクラスのみんなにビッグニュースですー。なんと今日から転入生追加ですー」


おお、とみんなが小萌先生に注目する中、吹寄だけがこちらを向いてきた。

ビンゴ、と。


「ちなみにその子は女の子ですー。おめでとう野郎どもー、残念でした子猫ちゃん達─」

「「「「おおおおお!」」」」



今回はインデックスが乱入してきたりなんてことは……ないよな?



「とりあえず顔見せだけですー。詳しい自己紹介とかは始業式が終わった後にしますからねー。さあ転入生ちゃん、どーぞー」



教室の引き戸を開け、入り口に立っていたのは。









「こんにちは。転入生の姫神秋沙。よろしく」









「よ、良かった……。姫神で良かった、いやマジで」

「何かあったの」


姫神はどこか嬉しそうな顔をしている。


「インデックスやその他諸々がそこにいたらどうしようかと考えてたんだよ」

「それだけ?」

「うん」

「そう」


姫神はどこか残念そうな顔をしていた。








「またテメェか」

クラスの野郎どもに言われてしまったのは言うまでもない。

……またってのが大分気になるところではあるけれど。


────────
──────
────
──


学校が終わった。
放課後が終わるや否や、俺は屋上へ向かった。

と、その前に廊下を歩く姫神を見た。


「おーっす姫神」

「……。人が転校してきたというのに。その淡白な反応は何?」

「だってお前がここに転校するってメール送ってきたんだろ。驚きも何もねえよ。まあ同じクラスで良かったとは思うけどさ」

「そう……」

「ん? 顔赤くないか?」

「何でもない。それより。相変わらず忙しいの?」

「……今日もテロリストさんと遊ぶ予定だけど」

「やっぱり相変わらずで安心した。でも心配」

「ありがとう、でも大丈夫だ。アウレオルスみたいなタイプの奴だからな」

「魔術師?」

「おう。学園都市の警備はザルなのかね」

「かも」


「お、そうだ姫神。その後インデックスと遊ぼうと考えてるんだけど、お前もどうだ?」

「……。でも魔術師と戦うのにどれくらいかかるか分からないでしょ」

「あー……。それもそうか」

「まあいい。私もついて行く」

「ついていくって、誘っといてなんだがお前それは……」




「守ってくれるのよね」




「……。じゃあ行くか!」

「うん。ありがとう。よろしく」


今回は姫神も用事はなかったようだった。


「おーい、インデックス!」

「あ、とうま! とあいさ」

「私はおまけ扱い。ふふ……」

「ご、ごめんそういうわけじゃ……」



屋上への扉を開けると、インデックスともう一人いた。



「サプライズは成功みたいだな」

「凄くビックリしたかも。だって屋上なのに突然話しかけられたんだもん」

「あ、あの……」

「あ、ごめんね。今紹介するんだよ。こっちがとうまで、こっちがあいさっていうんだよ」

「わ、私は……風斬氷華って、言います……。よ、よろしくお願いします」

「俺は上条当麻だ、よろしく」

「私は姫神秋沙」


一通り自己紹介を終えたところで、姫神が俺の袖を引っ張っていることに気がつく。


「ん?」

「ねえ。彼女。風斬氷華っていった?」

「言ったな」

「……。聞いたことある?」

「姫神が持ってるくらいの情報は持ってる」

「例えば」

「……鍵、とか」

「気をつけてね」

「分かってるよ、ありがとな」


「何二人でこそこそしてるの? あやしい雰囲気かも」

「私達。秘密の関係」

「おいぃ!! ちょっと待てなんか誤解受けてる絶対!! 違う、違うぞインデックス!」

「そこまで否定しなくても……」

「はあ……。結局とうまはとうまか」

「……何かもう慣れたぞそれ」




「あ、あの……」

風斬は困った、という表情で俺達三人を眺めていた。


街へ出るとそこは大勢の中高生でごった返していた。

「人も多いな、どこ行きたい? まずは飯食うとこ探さないとなんねえけど」

「どうせすぐいなくなるのだから。早く軽く食べられる所でいい」

「あれ? あいさには言ったの?」

「ん、まあな。で、お前はどうよ」

「私もそれでいいんだよ。なんか今日のとうまは私も出番があるみたいなことを言ってたからね」

「風斬は?」

「わ、私は……みんなと一緒で、いい」

「んー。ほんじゃまだちょっと早いけどそこのファストフード店でいっか」

「うん」

「流石に混んでんな……食うのはこの辺のベンチでいいよな?」

「そうだね」

「じゃあ場所取りと買い出しに分かれるか」

「わ、私ひょうかとがいい!」

「お、じゃあ買い出しな。ほら」


お金を渡す。
風斬と行きたいと言ったのは、風斬があまり馴染めていないのを察してくれたからだろう。
こればかりは仕方ない、俺達はこれからゆっくり仲良くなっていくしかない。


「帰り。女の子に荷物持ちさせることになるけど。それと。まさかお昼に一万円ポンと渡すとは思わなかった」

「風斬に持たせるくらいなら自分で持つさあいつは。変なところで気を使うからな。だから大金渡しても自分で持てる分くらいしか買ってこないだろうし。結局そっちの方が安く上がることもあるんだよ」

「なるほど」

「でもまあ、インデックスが買うモン悩んで、風斬が私持つから両方買ったら? とか言って結局いっぱい買ってくる未来も見えなくはないけど」

「簡単に想像できるのがなんとも残念」









そして。




ドカッ! と眩いばかりの閃光が視界を覆った。



「これは……」

「どうするの?」

「一応行く。魔術師だったらそのまま行くし、違ったら逃げるよ」

「分かった。私はあの子たちのところへ行けばいい?」

「悪いな、連絡はお前にいれさせてもらうよ」

「そ。じゃあ気をつけて」

「ああ」



姫神と別れ、戦場へ向かう。
閃光と共に聞こえた音は少し遠かったので、少し急ぐ。


戦場が近くになるにつれ見えてきたのは、割れた地面と大きな腕。
さらに近づいて見えたのは、とある中学校の女の子。


見ると、足を地面に取られて動けないようだった。
苦痛の表情を浮かべた彼女は、複雑な計算が出来なくなっているのだろう。

「さて……」


さらに近づいて地べたに寝転がる魔術師を確認して、能力を全身に。


そして、白井の足元に足でそっと触れ、彼女を抱きかかえる。


「お待たせいたしました、お嬢様」

「……なんですの、そのキャラは」

「真面目に助けたところで嫌がられると思ったんだよ。それと、悪かったな、お姉様じゃなくて」

「別にあなたを嫌がる必要もございませんのに……、そのあとのセリフで減点ですわよ」

「はは、それは手厳しいな」

「!! ちょ! あなた後ろ!!」



パキン、と。
何かが壊れる音のあとに聞こえたのは大小の石が崩れる音。


「は……?」

「どうした白井? 何かあったか?」

「い、いえ。これは一体……? あなた何者ですの?」

「ただの人間のつもりだけど。ところでお前立てるか?」

「そ、そうでしたわね。わたくしったらいつまでも殿方の胸に……」


何かブツブツと言っている白井を降ろすと、下にいる魔術師に話しかける。


「よう。俺が標的なのによくも全く関係ない一般人に手を出したな」

「な……。一般人はあなたの方でしょう!」

「ちょっと白井はストップ。おい、何か言えよ」

「標的が無防備に目の前にいることを喜べばいいのか?」

「それでもいいさ。俺が今お前を殴ればそれで終わるからな」

「チッ。別にお前でなくてもいいか」


言うと、俺が能力を放出する前に彼女は消えてしまった。



逃げる準備はいつでもできていたということか。

何故最初から能力を放出しておかなかったのか、だけど、能力者が近くにいる時にはあまり能力を放出しておきたくないからだ。
能力者───特に高位の能力者は能力に依存することが多いので、能力が出せなかったことによるパニックが非常に大きくなってしまうことがある。
そもそも人前でポンポン使っていい能力でもないし、何より白井を巻き込むわけにもいかない。


「逃げられたか……」

「あ、あの……」

「おう白井。大丈夫だったか?」

「ええ、まあおかげさまで。ありがとうございます」

「いやいや。じゃあ俺はもう行くよ、あんま風紀委員の仕事から外れたことすんじゃねえぞー」

「あなたこそ一般人なのに出しゃばるのはいけませんわよ」

「今回に関しちゃそれは無理だ。あいつの言葉聞いただろ、狙われてるのは俺なんだよ」

「それじゃなおさら関わらずに逃げてくださいな」

「多分何があってもあいつは追いかけてくると思うけどなあ」

「……それじゃあ仕方ないですの。連絡先を渡しておくので何かあったら知らせてくださいませ」



白井が携帯電話を出したので、俺も携帯を出して彼女に渡す。


「完了ですの。ではわたくしはまた侵入者を追いかけますので」

「はいよ。気をつけてな。お前も何かあったら連絡しろよ」

「余計なお世話ですわ。いいですの? これはあなたの連絡用に仕方なく交換しただけなのですから、こちらからわざわざ連絡して差し上げるなど期待しないでいただきたいですの」

「分かってますよーだ、相変わらずの皮肉っぷりで」

「あ、いや、別にあなたが憎くてこういう口のきき方をしているわけではございませんのよ! あの、えと……。し、失礼いたしますわ!」



何やら焦って何処かへ行ってしまった。
計算ミスって壁とかに埋まってなければいいけど。


「おっすただいま」

「あ、とうまおかえり」

「これはこれは……、初めて姫神にあった時を思い出すなあ」

「ふふ。そうかもしれない」


持ち帰りの予定だったけど、姫神が機転を効かせてくれたようだ。
そして机にはハンバーガーの包み紙が大量にあった。



「ごめんね、とうま。みんなで食べようと思ったんだけどどうしてもお腹減っちゃって……」

「それでも一緒に食べたいと思ってくれたからまだ二つ残してあるんだろ?」


包み紙の他に机の上には、まだ手をつけられていない四つのトレイがあった。


「そうだけど……」

「こっちこそ遅くなって悪かったな。冷めちまってるけど、早めに食べようぜ」


飯を食い終わって、しばらくブラブラしていると、インデックスが言った。

「結局魔術師はどうなったの?」

「逃げられたよ。でも標的は俺らしいから絶対に戻ってくるさ」

「そっか」














「───見ぃつっけた」

声が聞こえ、視界の端に何か動く岩が見えた。


「危ない!」

とりあえず三人を伏せさせるために押し倒そうとして。



右手が、風斬に。



そして、とっさに引っ込めた右手のせいで彼女に触れることができず。




岩は、彼女の頭をえぐって行った。






「ひょう……か…………?」


いじょー
今回の引き延ばしはシェリーが逃げちゃうところです
本来ならあっこでオイルパステル壊して終わりなんですけどね

あとなんだかんだ姫神&黒子回になってしまった
おかしいな、この巻は風斬がいっぱい出てくるはずなのに

この世界では御坂が上条さんのことを異性として好きでないので、それで黒子はどうなるかと考えてたらこうなりました
女子寮での御坂との会話で、
「あ、あんなヤツどうだっていいのよ!」
と好きなために恥ずかしさを隠して言ってそうな感じですが、そうではなく
「アイツは私の恩人で、こうこうこういうところがかっこいいのよ」
と素直に友人のかっこよさを自慢するように言えば、憧れの御坂が憧れる上条さんに黒子はある程度の憧れを持つのではないかと思ったわけです
そんな人に助けられたのでああなっちゃう黒子でした


あと、姫神って事務的というか簡素というか、そんな話し方だと思ってたんだけど、意外と女の子っぽい話し方で可愛かった
姫神が好きになりました


ではレス返しを

>>206->>208
お待たせしました!



さて
次回はいつになるか分かりませんが、インデックスが活躍してくれる予定です
してくれるといいなあ

あと今回の黒子は、次の黒子巻のところでどう関わってくるのでしょうか

そして姫神は完全に日常要因
今後出てくる機会はあるかな
大覇星祭のくだりはどうしようか



まあこれからも書いた時に思いついたその場のノリだけで書いていくので矛盾とかだらけですが、どうにかして読んで楽しんでもらえると嬉しいです
それでは次の投下まで



ではー

乙!きてた!
相変わらずの女子率の高さww
流石上条さんやでえ

乙。
上条ちゃん無双だな
スゴく面白い。期待

乙でした。
さて、自分の正体を悟ってしまった風斬はどうなってしまうのか・・・

乙!
次回が楽しみだ!

神スレハケーン

何かこの上条さん
翼出した時と同じ要領で足から幻想殺し噴出して音速挙動とかできそうだな

乙!おっ、更新してた

風斬…
さっそくだなぁ…

法の書は原作通りにオルソラに会って、アニェーゼのとこ連れて行って、アニェーゼと1対1で会話して、核心つきそうだなぁ…
シスターと天草式の戦闘なさそうなんだが…
五和も惚れないかも?

>>230
放課後になるや否や

>>244の最初に
姫神に連絡を入れ、俺はファストフード店に戻っていった

変更と訂正は以上

コツコツ書いてるので、今週末にはいけるかもしれない
ただ、今週すごく忙しいので、来週の火曜あたりになるかも

ではー

待ちますとも

報告乙!
待ってる

乙です!

>>254
五和惚れないのはありえますね
そもそも五和の惚れ方って他と少し違う気がしますし

もしかしなくても今夜かな(チラッチラッ

今夜...かな...

来るか…?

来ませんなぁ・・・・

sageて?

フッ、今日来るだろう

はやく~

縺ゅ£繧薙↑

>>1忙しいんだなきっと

無理はしないでほしいんだよ~

待ってるぞー

がんばれ~

お願いですからsage位は覚えて下さいよォ

まだかなまだかな

sageはメール欄に
sage
トイレるだけだよ

まだかァ?

まだか?

理由はどうあれ
更新できるかもしれない日に更新されないまま何日も経ってるということは
更新できない理由があるか、更新するのをやめたかのどちらかだな
完全に後者だろうけどな

やっはろ~

マダー?

今から書きます
すいませんでした

>>1?

偽物臭いな

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