エド「来いよド三流ッ!」 エレン「格の違いってやつを見せつけてやる!」(384)

★進撃とハガレンのクロス

★他の方にインスパイアされたものですが、パクっているつもりはありませんごめんなさい

★カップリングは主にありませんが、展開は原作と異なります

★ハガレンのキャラは主要キャラのみ出ます

★地の文あり

★何かあれば指摘お願いします

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1372916046

845年、シガンシナ区

人類は忘れていた。
平和な世界を享受することで。

アルミン「おーい!エレン!」

エレン「アルミン!こっちだ、早く来いよ!」

アルミン「待ってよみんなー!」

エド「遅ぇぞアルミン!」

ミカサ「アルミンはやはり体を鍛えるべき」

友人との何気ない日常。

しかし、ここは……。

エド「全くだ!鍛えてやろうか」

俺の知らない、壁に囲まれた世界。見ず知らずの土地で弟を探す日々。

ピシャァァァン!

ミカサ「っ!?」

エド「な、なんだ!?」

エレン「あ、あれは……」

「き、巨人……?でかすぎる……」

「か、壁は50mあるんだろ……!?」

ザワザワ……ザワザワ……

「に、逃げろぉーっ!!」

俺たちは忘れていた。
ヤツらの恐怖を。人類がこの壁に囲まれて住まう理由を。

この残酷な世界を、俺はまだ知らなかった。


<<OP>>
ttps://www.youtube.com/watch?v=zlQ2y-Y7cMI&feature=youtube_gdata_player

>>2
>俺たちは忘れていた。
間違い

人類は忘れていた。に変更

俺たちが衝撃に打ち震えていたその瞬間、ヤツはゆっくりと体を動かした。

ミカサ「っ!巨人が動く!」

エド「な、何をする気だ……?」

アルミン「ハッ……!か、壁を蹴破るのかっ!?」

高さ50m、厚さ10mの大壁、ウォール・マリアを蹴破る?
いくら賢いアルミンでも冗談を言うんだな。

エド「な、何言ってんだ。壁は10mの厚さがあるんだぜ?まさかそんな」

ドゴォォォオオッ

壁は砕けた。
いや、正しくは扉を蹴破られた。

「か、壁が!」

「みんな逃げろ!瓦礫が飛んでくるぞ!」

アルミン「ぼ、僕たちも逃げよう!」

エレン「だ、だめだ」

アルミン「えっ?」

エレン「母さんが……」

エレンの家はここからまっすぐ壁に向かって走って、角を曲がったところにある。
確かに危険だ。カルラおばさんがまだ避難できていなければ……、もしかしたら……。

ミカサ「行こう」

エレン「え!?」

エド「おばさんが避難してりゃあそれでいいっ、確認しにいくぞ!」

もう"母親"を失うのはごめんだ……!

アルミン「み、みんな……!行くな……行っちゃダメだ……!」

ハンネス「くっそ、みんな早く避難しろ!死んじまうぞ!走れぇっ!」

アルミン「……死ぬなよ、みんな……。僕は僕ができることを……。ハンネスさぁぁんっ!」

エレンの家は、瓦礫によって圧壊していた。

エレン「ぁ……あぁぁ…」

ミカサ「!エレン、あそこにおばさんが!」

エレン「っ、母さんっ!母さん!!」

カルラ「エレ……ン……。来ちゃ、だめ……逃げて……」

カルラおばさんは脚を潰されていた。頭から流血し、おそらく……そう長くはない。

エレン「ミカサ手伝え!瓦礫を持ち上げるぞ」

ミカサ「うん!」

エド「……俺も手伝う!いくぞっ、せーのっ……!」

木造の家は上に乗った瓦礫の重みもあって、子ども3人の力じゃ持ち上がらない。

エド「くっそぉっ!助けられないのかよ!?」

エレン「ど、どうするんだ……!」

ドシン、ドシン

カルラ「な、何の音……?」

ミカサ「巨人……!」

カルラ「に、逃げてっ!早く!」

エレン「嫌だ!」

カルラ「どうしてこんな時まで言う事を聞いてくれないの!!」

エレン「母さんが死んだら!父さんが帰る場所が無くなっちまう!!」

エド「!!!」

今まで使えなかった。
だからどうした。

エド「今、試さないで後悔はしたくねぇよな……」

ミカサ「?」

エド何歳?エレン達と同じ10?

ハンネス「おい!助けに来たぞ!」

エレン「!」

カルラ「ハンネスさん!エレンたちを連れて逃げて!早く!」

ハンネス「恩人の嫁さん助けられないで何が兵士だ!」

ハンネスさん。壁の中を守る駐屯兵団の一員で、いつも町の入口で飲んだくれている大人。

カルラ「ハンネスさん!?やめて!」

ハンネス「ヘッ、それは聞けねえな……エド!」

エド「!?」

ハンネス「何をやるのか知らんが、望みがあるならお前に任せる!時間稼ぎは任せ……ろ……」

ニタァァア

巨人の口角が引き上がり、唾液が糸を引く。
勇ましく走ったハンネスさんは急に立ち止まり、青い顔をして振り返った。

ハンネス「エ、エド……なるべく早く、頼む……!」

エド「なぁに……うまくいけばすぐ終わるさ……、うまくいけばな」

エレン「は、早く!」

胸の前で両手を合わせる。

パァンッ!

ミカサ「祈りを捧げている暇はッ……!?」

木を構成している物質は主に炭素と水素と酸素、そして塩素や窒素、リン……。

理解、分解、再構築。

木を理解し、分解。そして再構築する。
一は全。全は一。腕と体で円環を描き、体に眠るエネルギーを解き放つだけ。

エド「簡単なことじゃねぇか、こんなの……よ!」

俺の手が瓦礫と化した家に触れた。

辺りは青白く眩い閃光に包まれた。

>>6
11歳です
作中で語られるかはわかりませんが、3人の良き兄貴分であったようです。
エレンらと暮らすようになった経緯については後々明らかになる予定です

SSは文章を読むもんなんだからBGMを用意するのはやめといた方がいいんじゃないかな。

楽しみ!完走目指して頑張っていただきたい

パキパキと音を立て、瓦礫の山がその形を変える。
カルラおばさんを覆っていた材木はカルラおばさんを支える屋根となり、巨大な破片を持ち上げた。

カルラ「!?」

エレン「な、なんだ……?何が起きた……?」

ミカサ「わ、解らない……私の理解を超えた事象……!」

ハンネス「何をしたんだエド!?」

エド「……今はそんなことより、おばさんを助けるんだろ?」

ハンネス「あ、ああ、そうだった!カルラさん、立てるか?」

カルラ「いいえ、脚が……。ありがとう、エド」

エド「……おう」

錬金術の概念を、今ここで説明できる気はしない。
それに、これまでの生活で理解したことがある。

この世界に、錬金術は存在しない。

エレン「母さんを背負ってくれ!走るぞハンネスさん!」

ハンネス「っし……行くぞ、逃げろぉっ!」

ドシン、ドシン、ドシッドシッ

ミカサ「危ない!」

パァンッ

おばさんを背負いあげたハンネスさんに狙いを定めた巨人が、気持ちの悪いニヤケた顔で剛腕をふり抜いた。
ミカサが悲鳴をあげる中、青白い閃光に包まれた巨大な石柱が巨人を吹き飛ばした。

エド「ったく、時間稼ぎはハンネスさんがしてくれるんじゃなかったっけかな?」

ハンネス「うるせぇ!だが助かったぜエド!みんな、走れ!」

845年、シガンシナ区は壊滅した。
しかし俺たちはハンネスさんの助けもあり、ウォール・マリア内へと逃げ込み、巨人の恐怖から一時の休息を得ることとなった。

>>9
すまん、ただOPだけは入れたかった。
ドイツ語歌詞書くのもアレだったし。

これからは入れないことは約束します。


>>10
ありがとうございます。
まだ落としどころが見つかっていませんがどうにかします。

エド無双でもする気?

>>13
錬金術無双にはならない予定

期待

続きはよ

お母さん助かったらエレン駆逐系男子にならないしグリシャさんも狂わないんじゃないの?知らんけど

─ウォール・マリア内

ハンネス「どけ!負傷者と子どもだ!……よし、さあ船に乗れ」

駐屯兵「ハンネス!無事だったか!」

ハンネス「ああ、このチビ助のおかげさんでな!」

ハンネスさんが俺の頭をワシワシと撫でる。

……んん?んーッ?……あああんッッ!?
チ・ビ・ス・ケだぁーッ!?

エド「どわぁぁぁれがミニマム豆粒ドチビ矮人かーッ!」

ハンネス「そこまで言ってねぇーッ!!」

駐屯兵「ギャーッ!!」

アルミン「ほら、どうどう、落ち着いてよエドワード」

エド「グルルルル……!!」

アルミン「獣かっ!」

ハンネス「はは、元気になったみてぇだな。……それじゃ、俺は任務に戻る」

カルラ「……ありがとう、ハンネスさん」

ハンネス「なあに、礼ならエドに言うんだな。俺は運んだだけさ」

カルラ「えぇ……死なないでね」

ハンネス「ははは、バカ言わないでくれ!じゃあなガキども!」

俺たちが乗せられた脱出船は運河を通って最寄りの港町まで移動する予定になっている。

船長「隊長、出航するぞ!?」

隊長「まだだ、まだ積めんか!?」

船長「無理だ!喫水線を越している!」

隊長「……クッ、出航ッ!出航ォーッ!」

「ま、待てよ!俺たちを乗せろ!」

「母さん!母さんっ!」

「行かないで……!」

エド「……地獄だ」

ミカサ「ええ……」

船が船着き場を離れる。何人かが勢い余って運河に転落し、水音を立てた。

伝令「伝令ッ!ウォール・マリア防衛隊より、港湾防衛隊へ!」

隊長「なんだ、どうした!」

伝令「蹴破られた扉前に謎の巨人が現れ、ウォール・マリアへと侵攻しています!」

隊長「ッ、先程のやつか?」

伝令「いえッ、体高はおよそ15m!全身を甲殻のようなものに覆われています!」

隊長「甲殻……だと?」


ドゴォォォォンッッ


鎧の巨人「グゥオオオオオオーーーッ!!」


隊長「なッ……!?何が起きたァーッ!」

ハンネス「た、隊長!早く撤収しないとダメだ!」

隊長「しかしハンネス!」

ハンネス「馬車を用意して、できるだけ多くの市民を避難させるんだよ!」

駐屯兵「最後の運搬船が来た!みんな乗り込めェーッ!」

「どけぇ!どきやがれ!」

「いてえな!ブチ殺すぞクソガキが!」

「うわぁぁぁんお母さぁぁん」

ハンネス「ヘッ……地獄だな、こりゃあ……」

エドは公式でも異世界にいってたっけなぁ

─船上

エド「アルミン」

アルミン「何?」

エド「ハンネスさんを呼んでくれたのはお前だろ?ありがとな」

アルミン「……エドには敵わないや。でも、僕は僕にできることをしただけだよ」

エド「アルミンのおかげで俺たちは助かったんだ。胸を張れ。前を向け。お前には正解を導き出す力がある」

アルミン「ははっ、なんだいそれ」


カルラ「ちょっといいかしら、エドワード」

エド「なんだよ、おばさん?」

カルラ「あの力、どういうものかは知らないけれど、誰にも言うんじゃないよ」

おばさんの目は真剣そのものだ。
俺の本質を射抜くかのように、俺を見据えていた。

エド「わかってるよ、大丈夫さ」



\ グゥオオオオオオーーーッ /


エレン「うわあッ!?」

ミカサ「あっ、ウォール・マリアが!」

エド「マジかよ……」

アルミン「まずい……まずいよ!」

エレン「な、なにがだよ!」

アルミン「ウォール・マリア内に、人の住処は……なくなる……!」


この日、人類は100年に及ぶ平和を失した。
巨人の進撃を止められる力は、この世界には存在しなかった。

携帯の電池が切れそうなので、とりあえずここまで。

>>15
ありがとう
飽きない内に完結させます

>>16
そこら辺はどうにかします

>>19
シャンバラですよね。
ある種あの世界に近い設定かもしれないです。
まあ、こちらでは11歳から異世界にいますがね

ハガレン側の主要キャラは出ると言ったな?
……ありゃ嘘かもしれん(´・ω・`)

あと、セリフが微妙に違うのは、ミスです。
個人的に原作の台詞回しはあまり好きじゃないというのもありますが。
はじめてのSSなのでご了承。

ってなわけでまた寝る前に書き込む予定です。

こんなところで妄想かね、鋼の。まぁ確かに君は巨人に憧れてしまうのかもしれんなハッハッハ。

─850年

教官「100年の平和は、かの惨劇により失われた」

教官「当時の配備では、突然の襲撃に抗う術はなかった」

教官「結果! 我々人類の活動域は、このウォール・ローゼまで後退せざるを得なかった!」

教官「次、いつ壁が破られるとも知れぬ!」

教官「諸君!諸君らは何故この3年もの間辛酸を舐め続けたか思い出せッ!」

エレン(何故だ?そんなの……決まってる)

教官「心臓を捧げよ!」

「ハッ」

エレン(俺たちの家を取り返す!ただそれだけだ!)

最近ハガレン多いな インスパイアされたっていうのは禁書目録とのやつかね

教官「本日、諸君らは訓練兵団より、人類の守護者たるべく巣立ってゆく」

教官「本日を以て新兵となる諸君らには、3つの選択肢がある」

教官「壁の強化・防衛及び各町の守護に努める駐屯兵団」

教官「壁外……つまりは巨人の領域へと出陣し、外の世界や巨人の探求に努める調査兵団」

教官「そして、総勢218名の中で、上位10名のみが入団を許される、王の守護者たる憲兵団!」

教官「その10名を、これより発表する!名前を呼ばれた者は前に出て一列横隊にて整列せよ!」

教官「首席ッ!ミカサ・アッカーマン!前へ!」

ミカサ「ハッ」

教官「第二位!エドワード・エルリック!」

エド「ハッ」

教官「第三位!ライナー・ブラウン!」

ライナー「ハッ」

教官「第四位!ベルトルト・フーバー!」

ベルトルト「ハッ」

教官「第五位!アニ・レオンハート!」

アニ「はっ」

教官「第六位!エレン・イェーガー!」

エレン「ハッ!」

教官「第七位!ジャン・キルシュタイン!」

ジャン「はっ!」

教官「第八位!マルコ・ボット!」

マルコ「ハッ」

教官「第九位!リン・ヤオ!」

リン「ハッ」

教官「第十位!クリスタ・レンズ!」

クリスタ「ハ、ハッ」

教官「以上10名!敬礼!」

─夜、訓練所食堂

俺はエレンたちと共に兵士となった。
身寄りもないし、飯に困らないからだ。
カルラさんには相当反対されたが、それを押し切っての入団だ。

アルミン「みんなすごいや!」

ミカサ「アルミンは体を鍛えていれば首位も狙えたはず」

アルミン「えぇぇ……」

エド「ははは、ミカサがいる限りそれはねぇな!」

ジャン「ミ、ミカサは最高だからな、うん!」

ミカサ「……? どうも」

エド(コイツも報われねぇなぁ……)

エレン「あー、チクショウ、六位かー」

ライナー「ははは、エドとミカサの前じゃどれだけ頑張っても無理があるさ」

ベルトルト「そうだね、二人は天才だよ」

ライナー「うちの姫様もなかなか上位に食い込んでるんだがなぁ」

アニ「ライナー、アンタそんなに蹴られたいのかい?」

エド「おいおい、恐い顔するなよ。折角の美人が台無しだぜ」

アニ「えっ!?」

ライナー(あ、あのアニが赤面しているだと!?)

ベルトルト(ご、ごちそうさまです!?)

アルミン(エドが女の子を口説いた……!?)

ミーナ(小柄金髪カップル!?アリ!!)

エド「あ、あぁあ!? 別にそういうつもりじゃなかったんだ!すまん!」

アニ「あ、いや、そんなのわかってるさ、当たり前でしょ?」

エレン「2人とも顔が赤いぜ、どうしたんだ?」

コニー「熱でもあるのかー?」

サシャ「食あたりでしょうか?」

ユミル「ハイハイ、3馬鹿は黙ってようなー」

エド「そういうのじゃねえっての!ったく、年上をからかうなよ!」

ジャン「チビだから年上には思えなフゴァッ!」

エド「よォ、馬面ァ……。だ、誰が豆粒級超小型矮人だってェェ?」

ジャン「イヤそこまでは言ってねェよ……」

フランツ「ハイみんなそこまで!」

サムエル「もういい時間だ、そろそろ解散しようじゃないか」

ジャン「あぁ、もうそんな時間か。ま、俺は快適な内地勤務を約束された身だから、何も悩むことは無いが……てめぇらはそうもいかないからな」

ザワッ

ミカサ「……ジャン、ここも5年前までは内地だった」

ジャン「ああ、そうだな。何が言いたいんだ?」

エド「まあ、つまりよ。俺たちが言いたいのはさ、内地なんかに行かなくてもな」

エレン「てめぇの脳内は、"快適"だと思うぜ?」

ザワザワ

ライナー「ブッフォ!?」

ジャン「はっ、俺が頭のめでたいヤツだと、そう言いたいんだな?」

エレン「ああ、そうなるな」

ジャン「そりゃ違うな。俺は現実を直視できる。巨人を倒すに人間は30人は必要だとされる」

ジャン「つまりその戦力比から察するに、てめえみたいにわざわざ死ににいくのはナンセンスなんだよ」

シ-ン……

ジャン「ったく、お前が妙に突っかかるから、まるでお通夜だぜ……勘弁してくれ」

俺はジャンの言いたいこともわからないでもない。
死から逃れるための権利を得るために努力を惜しまなかった彼に、それを非難されるいわれはない。

でも、俺の親友は

エレン「それで?」

ジャン「は、はぁ?話聞いてたのか?」

エレン「"勝てないと思うから諦める"ってとこまでは聞いた」

こういうやつだ。

>>28
別ので進撃とハガレンのクロスもあるよ

とりあえずここまで

寝る前にまた少し書きます

>>26
誰が超小型矮人か!逆さ照る照る坊主吊るすぞ無能め!
出番がなさそうだからって卑屈にならなくていいのよ、焔の大佐。

>>28
>>34です。それに触発されて同じネタで始めちゃいました

エレン「なぁ、ジャン。わざわざ希望を捨てることはないだろ? 俺たちはなんのために訓練を積んだんだよ……生き残るためだろ?」

「!!」

「確かにエレンの言う通りだな……」

ライナー「ほぉ……」

アニ「やるじゃない……」

ベルトルト「……」

エレン「そもそも、個体数の知れない巨人相手に、物量戦で挑もうなんて考えてることこそがナンセンスだろ」

ジャン「ッ!」

エレン「俺には目的がある。だから憲兵団には行かない」

俺の幼馴染みは、みんな強いんだ。

アルミン「エレン……!」

エレン「シガンシナ区を奪還して、またあの家に帰る。そして壁の外の世界を探検して、遠い彼方にある炎の水や、氷の大地、砂の雪原を見にいくんだ」


リン「砂の雪原……砂漠のことカ……」

エド「……ん?」

リン「おっと危なイ。お先に失礼~っト」

リンのやつ、砂漠って言ったか?

エド「もしかしてあいつ……?」


エレン「だからさ、俺は調査兵団に入って、巨人や壁について調べたいんだ」

ジャン「はっ、どうやら快適なのはお前の頭の中らしいな」

エレン「……あ?」

ジャン「周りを見てみろよ。誰がお前についていく? 」

エレン「……それでも、俺は……」

ジャン「あーあー、好きにしろよ、俺はお前の武勇伝を内地で待つとするさ。……誰が喰われた、とかな」

マルコ「おいジャンよせ!」

エレン「てめぇ今なんつったァ!?」

ライナー「おいジャン、やめとけ。忘れたのか?エレンの対人格闘の成績は今期のトップだぞ」

ジャン「チッ……つまり、誰もお前みたいに強くはないってことだ。……まぁ、チビ3人で仲良くお外に出掛けるこったな」

エド「あ?」

アルミン(あ、3人って僕もか……っていうかまずい)


エド「誰が豆粒ドチビの訓練兵じゃぁぁぁぁ!!」

ジャン「そこまで言っどわぁぁぁ!!」

ライナー「……エドが一位だったか?」

ミカサ「そこまで。やめなさいエド」

エド「ミカサ!てめえ離せっ!」

ライナー「いや……ミカサが一位だったな……」

─食堂前

ミカサは軽々俺を担ぎ上げ、食堂の前にあるベンチへと降ろした。

エド「ミカサてめぇ!」

ミカサ「器が小さいわエド」

エド「」

エレン「ミカサやめてやれよ……」

エド「ぐぎぎ……」

器が小さいとか、なんて反応すりゃいいんだよ……。そりゃ体は、ち、ちいさ、ちいさいけどさ……。

エレン「ところで2人とも、兵団は決めたか?」

エド「ん?俺は調査兵団だな」

エレン「本当か!? 俺もだ!」

ミカサ「なら私も調査兵団にする」

エレン「はぁ?お前せっかく首席なんだから憲兵団いけよ!」

ミカサ「私はあなたとともに在りたい」

エレン「」

エド「ヒュ~……お前の負けだよ、エレン」

アルミン「ここにいたのか。……ん?あっ、3人とも調査兵団に決めた、違う?」

ミカサ「さすがはアルミン。素晴らしい洞察力」

エド「お前はどうするんだ?」

アルミン「僕かい?僕は、調査兵団にする」

エレン「えっ!でもお前……」

アルミン「皆まで言うな!僕だって自覚くらいある。……でも、足手まといには絶対ならない!」

エド「ほらエレン、またお前の負けだ」

ミカサ「今日のエレンはなんだか可愛い」

エレン「やめろよ!」

エレン「ったく、2人には敵わねえや」

エド「フフン、そうだろ?」

エレン「イヤ違うよ、ミカサとアルミンだよ」

エド「ニャんだとーッ!?」

ミカサ「エド。あなたは頼りになるお兄さん」

アルミン「そうだよ。エドはいつも僕たちをま見守ってくれてるじゃないか」

エド「お前ら……」

エレン「まあチビだけどな」

エド「」

アルミン「頼むから空気を読んでくれバカエレン……」

エレン「バカっていうなよ!」

ミカサ「ふふ……明日も早い。宿舎に戻ったほうがいい」

アルミン「ははは……そうだね、もう寝ないと。おやすみ!」

ミカサ「おやすみなさい」

エレン「おう、おやすみ」

エド「ああ、おやすみ」

─同刻、???

?????「やぁ先生。"彼ら"は明日動くらしいよ」

先生?「もうやめよう、こんなことは」

???「何言ってるのかしら……アナタ、もう引き返せないのよ?」

?????「ねぇラスト、こいつ食べていい?」

ラスト「ダメよグラトニー。エンヴィーの大事なお客様だもの」

エンヴィー「あっはっは、おチビの錬金術師さんと会うのが楽しみだよ。ねぇ、イェーガー先生」

グリシャ「ぐ……外道め……!」

????「何とでも言えよ、俺たちはあんたらを利用して元の世界に帰るだけさ」

ラスト「あらグリード、来ていたの」

グリード「おう。大先生の顔を拝みにな」

グリシャ「……クッ、エレン……エドワード……!」

─深夜、訓練所倉庫裏

アニ「は?」

ベルトルト「だから、明日やるんだ!」

ライナー「マジで言ってんのか?」

ベルトルト「ふざけてるのか?あの隻眼の男から言われたろ?」

アニ「"故郷に帰りたければ、この力を使え"、かい?」

ライナー「だがな、ベルトルト……」

ベルトルト「……失望したよ」

ライナー「!?」

アニ「!?」

ベルトルト「君らは戦士じゃなくなったんだ……。僕だけでやる」

ライナー「おいおい、落ち着けよ」

アニ「いいさ、好きにするといい」

ライナー「おいアニ!」

アニ「私はエドワードやエレンたちと共に闘う。闘わなければ、未来は開けない」

ライナー「はぁ……俺もだ。彼らに情が移っちまったかな」

ベルトルト「君たちはっ……!もういい!もう君らと会うことはないよ!」


ライナー「……行っちまったな」

アニ「うん……ねぇライナー」

ライナー「うん?」

アニ「……雨が降り始めたね」

ライナー「何のこと……っ、ああ、今夜は冷えそうだ。おいで」

アニ「らいなぁ……っ!……っ!」

ライナー「……ベルトルトのバカ野郎……」

今更だけど
>>7
ミカサ「祈りを捧げている暇は……!」

ミカサ「祈ったところで何も……!」
に変更。

氏名 エレン・イェーガー
年齢 15歳 身長170cm 体重63kg
外の世界を夢見る少年。血気盛んで、仲間を救う為なら自らの犠牲も厭わない。
持ち前の精神力で訓練兵団を第六位で卒業。

氏名 ミカサ・アッカーマン
年齢 15歳 身長170cm 体重68kg
エレンの幼馴染み。超人的な身体能力を持ち、訓練兵団を首席で卒業した。
エレンに心酔し、他人からの好意には興味がない。
また話術が苦手で、感情をあまり表に出そうとしない。数少ない東洋人の末裔。

氏名 エドワード・エルリック
年齢 16歳 身長164cm 体重62kg
エレンらの幼馴染みだが、出自は不明。錬金術という技術を用い、その特殊性ゆえに公表は避けている。
小柄な体躯を気にしているものの、体術などに長け高い身体能力を誇るほか、座学でもトップクラスの成績で訓練兵団を第二位で卒業。

氏名 アルミン・アルレルト
年齢 15歳 身長163cm 体重55kg
エレンの幼馴染み。4年前の反抗作戦で両親を失い、軍部に不信感を抱いている。
体力では兵士の基準に達していないが、明晰な頭脳は同期生から厚い信頼を得ている。
女性に勘違いされがちな愛らしいルックスをしているが、男性である。

氏名 ライナー・ブラウン
年齢 16歳 身長185cm 体重95kg
同期生から厚い信頼を得る兄貴分。
訓練兵団を第三位で卒業する実力者であり、周囲から理不尽な扱いを受けた際もそれを笑って許す広い心の持ち主である。

氏名 アニ・レオンハート
年齢 15歳 身長153cm 体重54kg
ライナーの幼馴染み。普段はあまり接さないが、その実彼を信頼している。
小柄な体躯と美しい顔立ちから、陰で男性陣からの人気は高い。
訓練兵団を第五位で卒業。父親に教わったという体術はミカサやエドを圧倒するほど。

氏名 ベルトルト・フーバー
年齢 17歳 身長192cm 体重81kg
ライナーの幼馴染み。「戦士」であることに誇りを抱いている。
寡黙かつ自己主張が少ないため、受け手になりがち。
訓練兵団を第四位で卒業した。

氏名 ジャン・キルシュタイン
年齢 15歳 身長175cm 体重65kg
訓練兵団を第七位で卒業した実力者。
立体機動に長けるほか、状況理解や作戦指揮に優れた適性を持つが、本人は自覚していない。
思ったことは口にしないではいられない性質で、それが軋轢を生んでしまう。

氏名 マルコ・ボット
年齢 15歳 身長178cm 体重70kg
ジャンの唯一の友人で、周囲からはジャンのブレーキ役かつ全体の保護者のように扱われている。
憲兵団に入り王に仕えることを目標とし、訓練兵団を第八位で卒業した。

氏名 リン・ヤオ
年齢 16歳 身長172cm 体重67kg
東洋人。妙に訛った言葉で話す。
非常に大食いで、訓練所内で食い倒れているのが度々発見された。
訓練兵団を第九位で卒業した、古代東洋武術の使い手。

氏名 クリスタ・レンズ
年齢 15歳 身長145cm 体重42kg
金髪碧眼の美少女。周囲への細やかな気遣いからついたあだ名は「女神」「天使」。しかし、その善行にはなにやら裏があるとされ、それには彼女の出自が関係しているという。
訓練兵団を第十位で卒業したが、本人はその成績に疑問を抱いている。

氏名 サシャ・ブラウス
年齢 15歳 身長168cm 体重55kg
大食い女。入団式において芋を食べていたため、芋女と呼ばれた。
狩猟部族の出身で痩せた土地に住んでいたために、食料に異常な執着をみせる。
方言を恥じており、常に敬語で話す。

氏名 コニー・スプリンガー
年齢 15歳 身長158cm 体重58kg
バカ。入団式において敬礼を左右逆にしていたため、周囲からバカ認定された。
天性のセンスで立体機動に長ける。

氏名 ミーナ・カロライナ
年齢 15歳 身長162cm 体重52kg
大勢に感化されやすい、普通の女の子で、同室のアニとは仲がいい。
エドワードやエレンの話す夢に興味を抱く。

氏名 ユミル(家名不明)
年齢 16歳 身長172cm 体重63kg
クリスタを気にかける長身の少女。
裏があるらしく、その素性は明らかではない。

─1910年

エド「準備はできたか、アルフォンス?」

アル「うん、兄さん」

ゴクリ、と生唾を飲み込む。
ようやくだ。
6年かかった。

エド「錬成陣に誤りは?」

アル「ない!」

エド「よし、母さんに会うんだ……いけぇっ!」

パチッ
バチバチバチバチバリバリバリ!

アル「ねぇ兄さん……?」

エド「な、なんだよ?」

青白い錬成反応が、赤黒い光へと変わる。

アル「兄さんっ、おかしいよ!」

エド「わかってる!……まさかっ、リバウンドか!?」

そう悟った瞬間だった。
俺の指先が飛んだ。

アル「うわぁぁぁ!?兄さんっ!行かないでっ!兄さん!!」

アルが言う意味を理解した時、俺は白い世界にいた。

??「いらっしゃい」

エド「なんだ……ここは?」

??「世界の中心、ってとこかね」

エド「アンタ、誰だ?」

??「俺か?俺は」

ニタァ

??「お前だ」

悪寒が走る。

??「俺は一、俺は全。俺の名は、真理」

エド「真理……!?」

真理「さぁ、オチビさん。あちらでお呼びだ。行ってきな」

エド「え、おい!待てよ!アルは!アルフォンスはどうした!?」

巨大な扉から無数の手が伸び、俺を捕まえた。

エド「やめろっ、離せぇ!アルフォンス!アルフォンスッ!チクショォーッ!」


バタン


真理「まぁ、どこに飛ばされるのかは知らねえがな」

─844年、草原

──おい!起きろ!

なんだ……?

──アンタ、大丈夫か!?

エド「う、うぅん……?」

少年「目を覚ました!」

少女「よかった!」

エド「んん……俺は、何を……」

少年「ミカサ、父さんを呼んできてくれ!」

ミカサ「わかった、待っていてエレン」

エレン「アンタ、名前は?」

エド「エドワード……エルリック」

エレン「エドワードか……立てるか?」

エド「あ……うん」

グリシャ「エレン!その子かい!」

エレン「父さん!診てやってくれよ!」

医者の息子なのか……。
だめだ、頭が回らない。

グリシャ「君、名前は?」

エド「エドワード・エルリック」

グリシャ「エドワードくん、君はどこの町の子だ?」

エド「リゼンブール……」

グリシャ「リゼ……聞いたことないな……」

聞いたことがない、だと?羊毛の名産地だぞ?本気で言ってんのか……?

エド「今は…大陸暦1910年4月16日で合ってるよな?」

グリシャ「は?……いや、844年の4月15日だな」

意味がわからん……そもそも何なんだ、あのバカデカイ壁は!?

グリシャ「エドワード。君は何者だ……?」

エド「え……?」

グリシャ「ふむ……私が思うに、どうやら君はこの世界の人間じゃないらしい」

は?
いやいやいやいや……、どうやったらそんな考えに至るんだよ。

エド「ちょっ……、おじさん!言ってる意味がわかんねえ……」

グリシャ「今はわからなくてもいい。身寄りもないだろう、うちに住むといい」

エド「いや、でも……」

エレン「! よろしくな、エド!」

ミカサ「エレンが嬉しそう……。よろしく、私はミカサ」

エド「……おう……よ、よろしく」

ここは、どこなんだ?
俺は、どこにいる?
お前は、どこにいっちまったんだ?

エド「アルフォンス……ウィンリィ……」

ミカサ「……?」


グリシャ「二人とも。エドは記憶喪失なんだ。だからこの町のことをしっかり教えてあげてほしい」

エレン「キオクソーシツ?」

ミカサ「記憶がないことだよ、エレン」

エレン「あぁ!わかった!任せてよ父さん!」

─同刻、巨大樹の森

男「エド……お前もこっちに来ちゃったかぁ……。」

隻眼の男「……ヴァン・ホーエンハイム」

ホーエンハイム「おや、ラースじゃないか」

ラース「キング・ブラッドレイ、とお呼びいただきたい」

ホーエンハイム「いや、それはできないかな」

ブラッドレイ「この最強の眼を前に、貴方に何ができると?」

ホーエンハイム「ははは、冗談は止せよ、ラース」

突如盛り上がった大地が、鋭き矛となりブラッドレイの体を貫く。

ブラッドレイ「な、なんと……ノーモーションで錬成をしたと言うのか?」

眼帯がはらりと剥がれ、隠された瞳がギロリ、ホーエンハイムを睨みつけた。

ホーエンハイム「そいつは中々折れないだろうさ。しばらくここにいるんだな」

ブラッドレイ「く……くくく……」

ホーエンハイム「うん?」

ブラッドレイ「もう遅い……!もう遅いのだ、ヴァン・ホーエンハイム!!」

ホーエンハイム「……?……っ、まさかっ!」

─850年、トロスト区 壁上

サシャ「えへへ……」

コニー「なんだよきもちわりいな」

サシャ「教官の食料庫から、肉盗んできちゃいました……後で皆さんで分けましょう!」

コニー「」

エド「」

エレン「」

ミーナ「」

サムエル「」

トーマス「」

サシャ「?」

コニー「バカって怖ぇ……」

エド「お前が言うな」

エレン「肉は貴重なんだ、また罰走させられる……いや、次は開拓地送りだぞ」

サシャ「いいじゃないですか、ウォール・マリアを取り戻せば、また家畜を育てられます」

トーマス「ははは、なるほどな。乗った!」

コニー「?」

サムエル「ウォール・マリア奪還の前祝いってことか、悪くないな」

ミーナ「私も乗った!」

エレン「えっ?えっ?」

エド「お前の夢がみんなを動かしたんだよ、エレン・イェーガー」

エレン「みんな……!」

ミーナ「ほら、早く!配置に戻らないと見つかっちゃう!」

コニー「んー?未だによくわかってないんだけど、これは、あれか、俺がバカだからか?」

サムエル「そうだよバカコニー。いいから配置戻るぞ」

ライナー「おーい、エド!」

エド「ん?ライナー!それにアニも。どうした?」

アニ「ベルトルト見てないかな」

ライナー「朝から姿が見えないんだ」

エド「さぁ……。俺は見てないな。みんな知らないか?」

ミーナ「朝方に倉庫の方に歩いてくの見たかなぁ……」

ライナー「倉庫って……」

アニ「外に抜ける下水道だね」

エド「なんだ、どうかしたのか?」

アニ「ん、ちょっとね」

エド「ふぅん……ま、配置に戻れよな」

ライナー「わかったわかった。あ、サシャ!その肉取っとけ、俺らも頂く!」

アニ「私もね!それじゃあ」



エド「アニってあんなにライナーと仲良かったっけ?」


ミーナ(エドにライバル出現!?イイ!!)

なんか時間を空けて変なあげ方してますが、日中の部はここまでで。

思ったよりホムンクルスさんたちがそのまんまだった。

あと、
>>41 のグリードのセリフ
「あんたを利用して元の世界に帰る」を
「あんたを利用して新しい世界を創る」に変更

思いつきで書くとロクなことにならないね。

そういえば、危惧されていたエレンが駆逐系男子にならない問題。
家帰りたい系男子になりました。解決かな?

巨人化についてはこれから。
あと、この先の展開。お気づきかと思いますが、ベルトルトとアニの立ち位置や立場が大きく変わります。
アニ好きなんですよね。可愛い。

モブのサムエルやトーマスはどうなるか知りません。
フランツ、ハンナのバカ夫婦は未だ出てきてませんね。ダズも。多分このまま死ぬんじゃないかな……。
サシャやコニーが上位組から外れてモブに降格しちゃいました、好きな方ゴメンナサイ。

暫くしたら書き始めます。

外に出たい。
そんな言葉を言えば白い目で見られた。

エド「どうだ、エレン。あれから5年……お前の夢は叶いそうか?」

エレン「ああ。人類の反撃はこれからだ……!」


実感をもてた。
俺たちはシガンシナ区に帰れる、と。

でも、


ピシャァァァァァァァンッッ!


現実はそう甘くなかった。


エレン「超大型!?」

エド「熱ッ!?」

コニー「なんじゃこりゃぁぁぁ!!」

ライナー「ッ!?」

アニ「きゃぁッ!?」

エレン「な、何が……ハッ!みんな、立体機動に移れェッ!」

パシュッ! パシュッ! パシュッ!

ミーナ「サムエルが気を失ってる!」

サシャ「サムエルッ!」

エド「おいサシャ!?」

サシャ「サムエルは私に任せてくたさいっ!」

サシャがアンカーをサムエルの脚に突き刺し、なんとかサムエルの落下を止める。

エレン「……ハッ!?」

エド「超大型が現れたってことは……!」

みんな、足元の扉を凝視していた。
破られる。トロスト区はまた地獄になる。

エド「チックショォーッ!」

エレン「!! 固定砲整備4班!戦闘用意ッ、エドに続け!目標ォッ、超大型巨人ッ!!」

ドクン

ドクン

ライナー「バカ野郎……ッ!」

アニ「ライナー!?」

俺に続いて、エレンとライナーが続いた。

エレン「これはチャンスだ!逃がしはしない!」

でも、動き出すのが遅かった。


ドゴォォォォォォンッッ


扉を蹴破る轟音が響き渡る。

壁の上に立った俺たちは、超大型巨人を睨めつけた。

エド「よぉ……5年振りだな」

エレン「あの時の借りを返しに来たぜ……」

ライナー「……」

アニ「……」


エド「行くぞッ」

ライナー「おう!」

アニ「ああ!」

エレン「削いでやるよ!てめえの急所を!!」

パシュ-ッ! パシュッ! パシュ-ッ!!

立体機動で四人が同時に肉薄し、巨大な項を目指す。

ライナー(目を覚まさせてやるよ……バカ野郎ッ!)

全員が項に到達した瞬間。

ブッシュゥゥゥ…………

エレン「熱ッ……!」

エド「手応えがなくなった!」

アニ「くっ!」

ライナー「逃げたか!?」


超大型巨人は、消えた。

エド「……ッ、逃がしたか……」

ライナー「すまん、出遅れた……」

遅れてミーナたちが壁上に上がってくる。

ミーナ「た、倒したの?」

エレン「いや、スマン……逃がした」

トーマス「何言ってんだ、俺たちは動くことすらできなかったんだ、謝るのはこっちさ」

コニー「そんな話してる場合じゃねえよ! 壁は壊されちまった! 巨人が入ってきちまう!」

兵士「訓練兵!何を呆けているか!超大型巨人出現時の対応は開始している!」

エレン「ハッ」

兵士「超大型巨人を見た者はいるかッ?」

エド「固定砲整備4班、全員目撃しております!」

兵士「ならば固定砲整備4班、全員本部に向かい、報告されたし!」

エレン「ハッ、了解しました!先遣隊のご武運をお祈りします!」

先遣隊。もちろん生きて帰るやつはほとんどいないだろう。

エド「さて、ライナー」

ライナー「なんだ、エド?」

エド「吐けよ、知ってること」

ライナー「ッ!?……な、なんのことだ?」

エド「超大型巨人について、だ」

アニ「!!」

エド「移動しながらでいい。何なら本部には報告しないでやる」

だから。

エド「だから、話せよ……!俺たちに!」

ライナー「ッ」

エド「お前らが知っていることをよォ!」

ライナーの胸ぐらを掴んで声を張り上げる。
こいつは知っているはずだ。
ヤツの、正体を……!

アニ「やめて、エド!」

コニー「お、おい、よせよ」

トーマス「何してるんだよ!」

エレン「……どういう意味だ、エド?」

エレンの双眸が俺を捉える。

エレン「ライナーたちが、裏切り者だっていうのか?」

アニ「ッ……!ちがっ」

ライナー「ああ、そうだ」

アニ「らいなぁっ!?」

エレン「なっ!?」

ライナー「俺は、あの巨人の秘密を知っている」

アニ「ライナー!」

エド「そう、か……。やっぱりな」

エレン「お前……裏切ったのか……!?」

ライナー「ああ。俺たちは裏切った」

アニ「……そうさ、裏切った」

ライナー「親友を」

アニ「へっ?」

エレン「?」

ライナー「超大型巨人。あれは、ベルトルトだ」

コニー「ベル……誰?」

エド「バカって怖ぇ……」

途中間あきましたが、今日はここまで。

毎土日は朝から夕方までバイトなので、通勤中に一本、帰宅中・後に少し、更新予定です。

ベロベロバーさんの心中や如何に。

次回、トロスト区防衛戦

─トロスト区

エレン「ライナーッ!」

ライナー「なんだッ、エレン?」

エレン「さっきの話だけどよ!」

ライナー「ああッ」

立体機動でウォール・ローゼ内の前線基地へと向かいながら口を交わす。

エレン「この戦いが無事終息した時に、詳しく聞かせてもらうぜ!」

ライナー「もちろんだ!それで手打ちでいいな?」

エレン「ああ!」


エド「おいアニ、……さっきは声を荒らげて、その……悪かった」

アニ「いや、しかたないよ。……私だって同じ立場ならああなると思うよ……」

アニは寂しそうな目で笑ってみせた。

エド「そう、かな……」

俺は何も言えなかった。



壁を越え前線基地に到着するや否や、上官方からガスの補給を促され、補給室へと駆け込む。
既に第104期訓練兵団の面々は集まっており、その中にはミカサやアルミンの姿もあった。

ミカサ「エレン!エド!」

アルミン「2人とも無事だったか!」

ジャン「んッ?おいエレン!サムエルとサシャはどうした?」

エレン「サムエルが負傷したから任せた!さっきまで一緒にいたから無事は確認してる!」

ジャン「了解だ!」

ガスを補給し、立体機動装置を着けなおす。

俺の脳裏では、シガンシナ区の壁がぶち破られた時の記憶がフラッシュバックしていた。

人が、死ぬ。
命が、消える。

エド「許せねぇ……」

ライナー「……」
アニ「……」

続きはまた、夕方に。

何か疑問点あれば、できる限りお答えします。
なお、進撃世界は原作と大きく変わりはないです。

それと、ここから原作十巻あたりのネタバレあります。アニメ派の方はお気をつけください。

個人的には、途端にライナーが巨人について知っていると言ったエドに疑問
>>55の>エド「アニってあんなにライナーと仲良かったっけ?」じゃ少し根拠が薄いような気がする……
描写的にエドがハッタリかましたわけじゃなくて根拠があって言っているみたいだけど……


つまり、エドがなぜ「ライナーが超大型巨人の秘密ついて知っている」と思ったのか真面目な根拠を出して欲しい

>>71
確かに文中では希薄ですね。
納得いただけるかはわかりませんが、以下に記載しますね。

>>55から
> アニ「ベルトルト見てないかな」
> ライナー「朝から姿が見えないんだ」
> ミーナ「朝方に倉庫の方に歩いてくの見たかなぁ……」
> ライナー「倉庫って……」
> アニ「外に抜ける下水道だね」
> エド「なんだ、どうかしたのか?
> アニ「ん、ちょっとね」

>>61から
> エレン「熱ッ……!」
> エド「手応えがなくなった!」
> アニ「くっ!」
> ライナー「逃げたか!?」

以上の二点から、"何か訳あり"らしいこと、"超大型巨人が逃げた"と考えたこと。
そしてそれまでにも、エレンがシガンシナ区や巨人について語る際に沈黙していたことなどを観察していたエドの推察、ということになります。
ついでに言えば、エドは超大型巨人の正体についても察している、という状況。

確かに根拠弱すぎたので、今日にでも補足エピソード追加します。


どうせなら、エド(ライナーとアニは何か隠しているんじゃねぇだろうな……)ぐらいは入れて欲しかったな
エドが考える描写がないから途端すぎると思ってしまう

>>74
なるほど、確かにそうですね……
頭の中で出来上がった映像を推敲する必要がありそうです
ご意見感謝であります

>>63>>64の間に追加

ライナー「知らんな……」

エド「へぇ、あくまでシラを切るか」

アニ「エド、あんた……ライナーを疑ってるの?」

アニの表情がみるみる険しいものになる。

エド「ああ。俺はライナーが関わっていると睨んでいるわけだ」

アニ「どうして?」

エド「理由は主に二つある」

エド「まず一つ。おめーらは、ミーナが"倉庫裏"としか言っていないにも関わらず、出口にアタリをつけた。訳ありなんだってことはわかるぜ」

エド「そしてもう一つ。ライナーは、超大型巨人が蒸気を巻き上げただけでヤツが"逃げた"と考えた。それは超大型巨人の特質を知らなければ言い得ない言葉じゃあないか?」

ライナー「……!」

アニ「だから?」

エド「俺はお前らが怪しいと思ったわけだ。……俺が間違ってるなら謝罪する。確かに根拠は弱いしな」

アニ「なら」

エド「でもよ、アニ。俺はお前を信頼している。信頼したい」

アニ「ならライナーを信じてよ」

エド「俺はお前らを信じたい。だからこそ、無実だっていう確証がほしい」

歯を食いしばり、アニとライナーを見据える。

エド「俺に、信じさせてくれ。……二人のことを……!」

ライナー「……」

アニ「……っ」

─???

ベルトルト「これでいいんでしょう?」

ブラッドレイ「うむ、上等だよ」

ベルトルト「さぁ、僕の故郷を返してくれ」

ブラッドレイ「ふ、ふふふ」

ベルトルト「何がおかしいッ」

ラスト「アナタ、誤解しているんじゃなくって?」

エンヴィー「おチビさんたちを連れてきてほしいってお願いしなかったかなぁ?」

グリード「そんなんじゃあ、お前さんの故郷は返せないなァ」

ベルトルト「クソ……外道め!」

エンヴィー「何とでも言いなよ。君たち人間と違って、僕たちは傷ついたりしないんだから」

ベルトルト「なっ……」

エンヴィー「あっ、君も人間じゃなかったね!あっはっはっはっは!」

ベルトルト「殺してやる……よくも僕を騙したな!」

エンヴィー「"殺す"?……できるのかい、君に?」

ベルトルト「もうこの手は血に染まっている!」

エンヴィー「違ェよ……、アンタの力でボクたちを殺せるのか、って聞いてンだよ……!」

─ウォール・ローゼ前線基地

キッツ「わ、我々はァ!人類の、せ、尖兵として!ウォール・ローゼの突破を許してはならないィッ!」

ザワザワ

キッツ「しっ、死してなお人類を守るのだ!よいなぁぁっ!?」

キッツ・ヴェールマン。デカい図体をしながらに、小鹿のように繊細な心を持つ、駐屯兵団トロスト区指揮官。

情けねぇやつだ。声は裏返り、目は恐怖に見開かれている。

キッツ「し、心臓を捧げよォ!各自持ち場につけ!別れィ!」


ザワザワ……

訓練兵はみな、卒業を控えた最後の勤務日に実戦を目の当たりにするとは思いもしなかった。

ダズ「おぅえええぇぇえ…………」

クリスタ「ダズ!大丈夫っ?」

ユミル「やめとけよクリスタ。そいつは死ぬクチだ」

クリスタ「そんなこといわないで!」

ユミル「へぃへぃ、女神クリスタ様は優しいこって」

クリスタ「茶化さないでよ、バカッ!」

ユミル「」

エド「中衛34班、みんないるか?」

ライナー「ああ、問題ない」

アニ「エドが班長?不安だね」

エレン「俺は二人がいるだけで心強いぜ」

エドワード・エルリック
エレン・イェーガー
ライナー・ブラウン
アニ・レオンハート
アルミン・アルレルト
ミーナ・カロライナ
トーマス・ワグナー
ナック・ティアス
ミリウス・ゼルムスキー

調査兵団内でも、第二位、第三位、第五位、第六位の実力者が集結した、トップクラスの戦力を誇る班だった。



ミカサ「エレン」

別班のミカサがエレンを呼び止め、何か小声で語りかける。
すると、エレンは顔を顰めてミカサを睨みつけた。

エレン「はぁ?お前何言って……?」

ミカサ「戦闘に混乱はつきもの」

エレン「そういう話をしてんじゃねえよ!」

イアン「アッカーマン訓練兵!」

ミカサ「ハッ」

イアン「貴様は精鋭部隊の後衛ディートリッヒ班に加われ」

ザワッ

ミカサ「!?」

今日は少なかったですが、ここまで。
あすもバイトの都合上、今日と同じくらいの更新回数になるかと思います。

皆様おやすみなさい。

次回
エレン、死す

アルミン「(前略)
お願いだ、死なないでくれエレン!君が今ここで倒れたら、僕やミカサとの約束はどうなるんだ? ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、超巨大巨人に勝てるんだから!

次回「エレン死す」。デュエルスタンバイ!」

エレン「ミカサ……いい加減にしろ」

ミカサ「っ」

エレン「上官からの指示に従うのは兵士の義務だ」

ミカサ「……わかった。ごめんなさい、私は冷静ではなかった」

イアン「よし、ついてこい。難民を守るぞ」

ミカサ「ハッ!……エレン。お願い。……死なないで……」

エレン「おう」

エレン「……[ピーーー]るわけねーだろ……俺の戦いは始まったばかりなんだぞ……」

エド「……」

ミス(´・ω・`)

死ねるわけないだろ(´・ω・`)

─トロスト区中央区

エレン「なぁアルミン」

エレンが、遠く見えるトロスト区の壁を見つめて口を開く。

アルミン「うん?」

エレン「チャンスだと思わねえか?」

アルミン「チャンス?」

エド「俺たちは訓練兵でありながら実戦を生き延びた強者と言われる。つまり……」

エレン「出世のチャンスだ」

にやり、とアルミンを見やる。

アルミン「ああ、そうだな、よし!」

ミーナ「ちょっとー!今期は調査兵団大人気なんだからね!」

トーマス「俺たちを忘れるなよ、首位陣!」

ライナー「へへ、なぁに、簡単なことさ。な、アニ」

アニ「翔んで、奔って、削ぐ。……ただ、それだけ」

エド「よおっし!」

頬を張り、気合を入れる。
スチールブレードの状態とガス残量を改めて確認して、俺はエレンを待った。



エレン「行くぞ……! 中衛34班ッ、進撃!!」

「おうっ!」

それではまた夕方に……

「saga」とメール欄に入れれば禁止用語が普通に使えるようになるから投稿中はしたほうがいいよ

ミーナ「巨人を目視で確認っ!」

トーマス「よし、いくぞ!」

エド「あっ、待てトーマス!」

ガプン

トーマス「えっ」

メキメキ……ゴキンッ

トーマス「ぁ……あぁ……たす、助けて……」

エレン「ッ!チクショウ!今助け……」

エド「やめとけ、エレン」

エレン「なんで!」

トーマス「」

エド「もう、死んでる」

ブチッ……ゴクン

エレン「ぁ……あぁぁあッ!!」

ニヤァァァ

ミーナ「トーマス……!」

アニ「行くよ、ライナー」

ライナー「ああッ、項は任せた!」

ライナーが目にアンカーを突き立て、接敵。
目をブレードで切り刻むと同時に、アニが項を切欠く。
見事な連携を前に15m級の巨人は崩れ落ちた。

エド「……チクショウ」

俺は駆け出していた。
目の前で友を失った怒り、悲しみ。
そんなどす黒い感情に突き動かされるように、俺は駆け出していた。
そしてそれは俺だけではなく、エレンも同じだった。

エレン「エドッ」

エド「ああ!」

アンカーを打ち出し、ガスを吹かす。
体にかかる負荷を強引に打ち消し、歯を食いしばって空を疾走った。

その時、視界からエレンが消えた。

エレンは左足を喰われ、家屋に墜落した。

体中血まみれで、目は虚ろ。
俺と目が合って初めて自分の状況に気づいた、そんな表情だった。

ミーナ「ああ……エレン!!」

アニ「あのバカ……!」

ライナー「死に急いでんじゃないぞ!」

ナック「あのエレンが殺られた……」

ミリウス「もうだめだぁ……」

アルミン「エレンッ」

エド「来るなアルミンッ」

アルミンは絶望的な表情で俺を見た。

改めてエレンを見るに、その左足は失われ、行き場を失った血液はだくだくと溢れ出している。
頭を打ったのか額の切り傷からも血が流れ、まさに絶望的な状態だった。

アルミン「え、エレン……。エレン……!」

アルミンは俺の制止も聞かず、こちらに飛ぶ。それを下から巨人が丸呑みにした。

アルミン「あッ?……あぁあッ?あぁぁぁぁ!!!!」

巨人の唾液が体にまとわりつき、ひどいにおいに眩暈がする。
舌に巻かれ、喉へ送り込まれそうになり、アルミンは力の限り絶叫した。


エレン「アル……ミン」

朧な意識の中に、走馬灯のように彼との記憶が蘇る。

外の世界への憧れを自分に語る彼との、
殴られても意志を捨てなかった彼との、
尋常なき精神で調査兵団を志す彼との、記憶。

エレンは、翔んだ。
片足を失ってなお、迸るその熱意に火がついたように。

エレン「アルミィィィンッッ!!」

エド「ッ、エレン!?どこに……!」


尋かずとも解っていた。

エレンは、死ぬだろう。

友を救うために。

気づけば、巨人の喉で自らの体は止まっていた。
アルミンは右手に握られている感覚があり、更に言えばそれは親友の手だった。

アルミン「エレン……?」

エレン「アルミン……」

アルミン「エレン……!」

エレンの手が確とアルミンの手を掴み、勢いのままにその体を宙に放った。

エレン「こんな、ところで……」

アルミン「痛……ッ、エレン!」

エレン「こんなところで、死ねるか……」

エレンの左手が、アルミンを求めてさまよう。

エレン「なぁ……アルミン」

アルミンの頬を涙が伝う。

エレン「お前が、お前が教えてくれたから、俺は、外の世界に……っ」

アルミン「エレンッ、早く!!」

─同刻、トロスト区後衛部隊

ミカサ「……!」

イアン「どうした、アッカーマン」

ミカサ「……いえ……」

ミカサ(エレン……嫌、私を独りにしないで……)

─巨人の腹の中

エレン「意識が……薄れ……っ」

──エレン!これ、じいちゃんが隠し持ってた本なんだ!

──外の世界についてかかれてるんだっ!

エレン「死にたく……ない……!」

──この本によるとね、この世界の大半は、塩の水に覆われているらしい!

──しかも、塩が山ほどあるだけじゃない!

──炎の水!

──氷の大地!

──砂の雪原!

エレン「こんなの……認めねぇ……!」

──きっとこの世界は、壁の中の何倍も広いんだよ!

──エレン!いつか、外の世界を探検できるといいね!

エレン「俺……は……!」

とりあえずここまで。
深夜にまた更新するかもしれないです。

エドワードがここで脚食われて機械鎧になると思っていた方いらっしゃるかな。残念。

おはようございます。
次回予告してなかった。

地の文アリとか書いてましたが、あまり入ってこないですね。

なお、文頭に─が付く時は場所や時間
文頭に──が付く場合は、意識が遠い時や過去の会話を表しています。


次回、進撃の嚆矢

─トロスト区

巨人「グウォォォォォォッ!!!!」




エド「!?」

巨人の腹が裂け、黒髪の巨人が現れた。
その光景はまるで爆誕。
迅雷の如き爆音と燃え滾るような蒸気を巻き起こし、"彼"は誕生れた。

アニ「エレン……!」

ライナー「お前の意志が、お前を導く……!」

巨人は立ち上がり、アルミンを見つめる。

ミーナ「危ない!」

ミリウス「アルミン!立て!」

ナック「巨人が!」

アニ「……落ち着きな」

ライナー「……大丈夫だ、みんな」

ナック「でも!」

エド「見てろよ」

黒髪の巨人は、アルミンに手を伸ばし、優しく持ち上げた。

ミーナ「えっ?」

アニ「ほらね」

そして俺たちがいる屋根に彼を下ろし、無数の巨人を睨めつけた。

ナック「奇行種か……助かった」

エド「ライナー」

ライナー「ああ、後で話すさ、全て」

アニ「……」

ナック「チクショウ……エレンは喰われちまったし、アルミンはこの始末……」

ミリウス「どうする?」

エド「あの黒髪の巨人は、巨人を襲っている」

アニ「……なるほどね」

ミーナ「どうするの?」

エド「ここにいても危険なだけだ、ヤツについていくぞ」

ナック「じ、冗談じゃねぇぜ、ヤツは殺すべきだ」

ライナー「バカ言うな、お前が15m級を一人で討伐できるならいいがな」

アニ「無理だろうね」

ナック「ッ、このアマ!」

アニ「あ?」

アニが脚を持ち上げてみせる。
スラリと長い脚は、とても兵士の体には見えない。

ナック「ヒィッ!?」

しかし、アニ・レオンハートの黄金の脚は、木々をへし折るとさえ言われた。

ナック「いや。わるかった、アンタが大将だエドワード」

アニ「フン」

エド「よし、いいか?」

支給されてあるトロスト区の地図を広げ、ナイフを現在地に突き立てる。

エド「今いるのがここ。ガスの補給所になっている旧司令部はここ」

エド「そして俺たちは住民の避難が完了したことを告げる煙弾および鐘が鳴るまで撤退は許されない」

アニ「つまり、ガスを確保しないといけない」

エド「そうだ」

ライナー「だが、旧司令部は南側にある。今じゃ巨人の巣窟だぞ」

エド「ああ、だからあの巨人を利用する。俺たちで周りの巨人を駆逐し、司令部まで真っすぐ向かうように仕向けるんだ」

ミーナ「なるほど!」

ミリウス「希望が見えてきたよ」

─トロスト区 北門前

「おい、早く進め!」

「何やってんだ、荷物をどけろ!」

ミカサ「何を……しているの?」

商人「なんだ貴様!わしに歯向かうのか?」

ミカサ「何をしているの、と聞いているの」

商人「見りゃわかろう!わしの大事な商品を動かしてんのよ!」

ミカサ「避難が遅れているのは、貴方達のせい?」

商人「うるさい!貴様ら兵士は、わしら住民の安全のために心臓を捧げたのだろう!?ならばわしらのために死ね!!」

ミカサ「人が人のために死ぬのが当然と思っているなら、理解してもらえるだろう」

ミカサが抜刀し、民衆をかき分けて商人を睨む。

ミカサ「貴方という尊い命を奪うことで、ここにいる他の命が助かるなら、私は何一つ迷いはしない」

商人「やれるものならやってみろ! わしはこの街のボスだぞ!貴様の進退も冗談で決まるぞ!」

ミカサ「? 死体がどうやって喋るの?」

商人「」

男「会長……」

商人「に、荷台を引けェ!」

ミカサ「最初からそうしていればよかった」

商人「チッ……」

それではまた夜に

質問あれば随時返信します

乙です
地の文入れるなら、一人称なのか三人称なのか統一した方が

>>114
エドがいる場合はエドの一人称になっているはず、です……
ただ統一できていないのは確かなので、これからはより心がけます

イアン「アッカーマン、見事なものだな」

ミカサ「いえ……」

カン、カン、カン

イアン「避難完了の鐘か。帰るぞ」

ミカサ「……前衛の撤収を支援してきます!」

イアン「あッ、おい!……行ってしまったか」

ミタビ「なんとも扱いづらいじゃじゃ馬だな」

イアン「ああ……」

─トロスト区 中心部

ミカサ「撤収の鐘は聞こえているはず……どうして……」

気づいて、ミカサは愕然とした。

ミカサ「ガス欠なの?……ならば補給所に……、っ!」

視界の隅に見慣れた同期生たちを見かけ、彼女は屋上に着地した。

コニー「あれっ、ミカサ?お前後衛じゃ」

ミカサ「みんなここにいたのね」

ジャン「ああ、ミカサか……補給所が巨人に囲まれちまってな」

マルコ「エドたちもいなくなってしまったし、どうしたものか、ってね……」

ミカサ「エドたちが? 確かライナーとアニも一緒のはず。彼らが一人残らず喰われるとは思えない」

ユミル「いねぇもんはいねぇんだよ、腹筋女」

クリスタ「ユミル!」

コニー「てめぇ!」

ユミル「よせよ、ハゲ」

クリスタ「いい加減にしてっ!」

クリスタの表情を見て、ユミルは何も言えなくなったようで、頬をかいて黙りこくった。

ミカサ「……私は、強い。貴方達より、強い。すっごく強い!」

ミカサ「ので、私は、あそこに群がる巨人どもを、蹴散らすこともできる。たとえ、一人でも」

マルコ「ミカサ……何を……」

ミカサ「貴方達は腰抜けだ。とても残念。私が討伐を重ねるのを、指をくわえて見ているといい」

ハンナ「ミカサ!あの数の巨人を一人で相手にするつもり!?」

フランツ「そんなのできるわけ……」

ミカサ「できなければ死ぬだけ」

ダズ「!」

ミカサ「でも。……戦わなければ、勝てない」

ミカサ「だから、私は行く。それじゃ」

コニー「あっ、おい!」


ジャン「……残念なのはお前だよ……」

サシャ「はい?」

ジャン「ミカサの残念なところは、エレンにしか興味がないところと、あの言語力だよ、全く」

ユミル「ああ、あれはないわ」

ジャン「ははっ、あれで発破かけたつもりでいやがる。空振りにも程があるぜ……」

ジャン「よぉ、野郎ども!俺たちは仲間に一人で行かせろなんてダセェこと教えられたか!?このままじゃ本当の腰抜けになっちまうぞ!!」

マルコ「はぁ……そいつは心外だな」

コニー「言ってくれるじゃねーかよ……」

ダズ「おぇぇぇ」

ユミル「ちっ、仕方ねーなぁ……。おい!馬面ジャンにあんなこと言われたら黙ってられねぇよなぁお前ら!」

フランツ「あいつら……」

サシャ「や、やーい、腰抜けー、弱虫ー、アホー」

クリスタ「……みんな!行こう!」

「ったく、あいつら!」

「行くぞ!」

「22班、俺に続け!」

「3班、来い!」

ジャン「あー、くそ!エレン!お前のせいだぞ、チクショウ!」

「急げ!」

「ミカサに続け!」

ジャン「とにかく短期決戦だ!俺たちのガスがなくなる前に補給所に突っ込めぇっ!」

コニー「しかしすげーな、ミカサは!」

サシャ「えぇ、どうやったらあんなに速く飛べるんでしょうね」

ジャン (いや、あれはガスを蒸かし過ぎだ。あんな使い方してたら……じきに……)

ミカサ「ッ」

ジャン「っ!! ミカサァァァ!!!」

マルコ「行けジャン! 指揮はおれが引き継ぐ!」

ジャン「すまねぇマルコ!!」

マルコ「ミカサが墜ちた!僕たちが彼女に頼りすぎたからガスが切れたんだ!」

サシャ「ええっ!?」

マルコ「僕たちは何の訓練をしてきた!?」

コニー「生き残る訓練だ!」

マルコ「そうだ!」

クリスタ「みんなで力を合わせよう!!」

「おう!」

「天使を守るぞ野郎ども!」

ユミル「それは私に任せて死ね!」

「不公平だー!」

─墜落地点

ミカサ(ガスが無くなるまで気付かないなんて。私は冷静じゃなかった)

ミカサ(また、この痛み。また、家族を失った。また、ここから始めないといけないと言うの)

ジャン「ミカサッ、助けにきたぞ!」

ミカサ(この世界は残酷だ)

──やるよ、これ。……あったかいだろ?

ミカサ(そして……)

──ほら、早く帰ろうぜ。……俺達の家に。

ミカサ(とても美しい)

ジャン「ミカサ!おい、立てよ!早くッ!」

ミカサ(いい人生だった……)


──戦え!!

──戦え!!

──戦わなければ死ぬ……。

ジャン「戦わなければ、勝てないッ!そうじゃないのか、ミカサ!」

ミカサ「ッ!」

ミカサ(ごめんなさい、エレン。私はもう諦めない)

ミカサ(死んでしまったらもう、あなたのことを思い出すことさえ……)

ミカサ「ぅあ……ああああぁああ!」

ミカサ(だから、何としてでも、勝つ!何としてでも、生きるッ!)

ドゴォォッ!!

ジャン「い、一体、何なんだチクショウ!」

ミカサ「巨人が……巨人を……殺してる?」

エド「ミカサ!ジャン!無事か!?」

エドたちが2人を見つけた時、彼らは15m級の巨人と対峙していた。

ミカサ「エド!これは何?どういうこと?私の理解を超えた事象!」

ジャン「生きてたのかエド!」

ライナー「エドだけじゃないぜ」

ミーナ「やっほ!」

アニ「こらミーナ」

アルミン「ミカサ!怪我はない?」

ミカサ「みんな……、っ?エレンは?どこ?ねぇアルミン?エレンは?」

そう問われて、アルミンは無言で黒髪の巨人を指さした。

ミカサ「エレン……!うわぁぁぁあああん!!!」

エド「ちょ、ちょっ!待て待て!泣くなミカサ!おい!」

ミカサ「エレンが死んでしまった!エレンが!あぁぁ!」

アルミン「ミカサッッッ!!!」

ミカサ「ッ」

アルミン「最後まで話を聞けッ、このバカミカサ!!」

ジャン「大体話を理解しちまった俺が辛い」

ミカサ「……どう……いう、こと?」

エド「あの巨人は、エレンだ」

─時は遡って、黒髪の巨人が現れた直後

ライナー「まずは補給所を目指す、か」

エド「ああ。行くぞ!」

ミーナ「でもみんな、どうして平然としていられるの?」

アニ「ミーナ。あんたはまだ解らなくていいさ。知れば私達を信じられなくなる」

ミーナ「何言ってんのアニ。私はあなたのこと大好き。だから信じられる!」

アニ「……ありがとう。でも話せない。ごめんね」

ミーナ「後でちゃんと話してくれるんだね?」

ライナー「補給所についたら、俺から話そう」

アルミン「ぁ……あぁ……」

エド「アルミン、怪我は?」

アルミン「……大丈夫」

エド「よかった。さ、手貸すよ」

アルミン「エレンが……エレンが……」

エド「落ち着けよ。今は感傷的になってる場合じゃねぇ」

ライナー「補給所に着けば俺が全てを話す。だからアルミン、いくぞ」

アルミン「……わかった」

エド「ん?今のはミカサか?」

ナック「うん、そうだな」

ミーナ「なんでここに……」

ライナー「まあいい、まずは俺たちにできることをしよう」

アニ「みんなで生きて帰る、だっけ」

ミリウス「よし!いくぞ!」

エド「あっ、待……」

ゴシャァッ

勇んで飛び出したミリウスの半身が、粉みじんに吹き飛んだ。

巨人「」

ニタァァァ

エド「揃いも揃って、面白い顔しやがって」

ナック「うっ、うわぁぁぁ!!」

ライナー「おいナック!」

焦りが34班を襲った。
みなが静止する間もなく、ミリウス・ゼルムスキーに続きナック・ティアスもまた死んだ。

ミーナ「まずい、まずいよ!」

ライナー「俺とエド、アニで巨人を討伐し、突破口を開く!アルミンとミーナはそこを抜けろ!」

ミーナ「わかった、お願い!」

アニ「孤独だった私に構ってくれたあんたを、死なすわけにはいかないからね」

ライナー「ははっ、泣かせるなぁ!」

エド「ぉ……っらぁぁぁ!!」ザシュッ

ライナー「……むんッ!」ザンッ

アニ「はぁッ!」ブシャァッ

三人が連携し二体の巨人を斬り伏せ、そこにひとつの道が開ける。

アルミン「道が……開けた!」

ミーナ「いこう!」パシュッ、パシュ-ッ


エド「こっちだ!黒髪の巨人を追うぞ!」

アルミン「うん!」ダッ

─現在、ミカサ墜落地点

エド「斯々然々、そんなわけで今に至る!」

ミカサ「……なるほど。じゃあ今は補給所を解放するのが最優先。こちらの攻撃に加わってほしい」

ライナー「元よりそのつもりだ」

アニ「馬面が焚き付けたってのも意外だけどね」

ジャン「なにぃっ」

アルミン「ほらアニ、喧嘩売ってないで、行こう!」

ミーナ「喧嘩売ってるんじゃなくて、遠回しに褒めてるんだよね、アーニ!」

アニ「っ、うるさい!」ペシン

ミーナ「あいたぁっ」


ミカサ「その、ジャン。ありがとう。危険を冒してまで、私を助けに来てくれた」ペコ

ジャン「……気にすんな、大切な……仲間、なんだからよ」

エド「言わねーのか?」

ジャン「ああ……アイツには勝てねーさ」フッ

ミカサ「?」

ミーナ「報われねー……」

アニ「やれやれ」

ミカサ「私は、弱い。すっごく弱い」

ミカサ「ので、私は貴方達に頼ろうと思う」

ミカサ「大切な、仲間に」ニコッ

ジャン「ああ。そうしてくれ。……行くぞ野郎ども!」パシュ-ッ

アニ「か弱い乙女もかい?」

ライナー「俺を負かす時点でか弱くはないさ!冗談言ってないで行くぞ!」パシュッ

アニ「蹴る」パシュ-ッ

ミカサ「行こう、みんな!」パシュ-ッ

─補給所近郊

マルコ「……ジャンが戻ってこない」

コニー「ヤられちまったのか……?」

クリスタ「そんな……」グスッ

ユミル「馬面……無茶しやがってバカ野郎……」

ジャン「誰が馬面だ、ソバカス!」スタッ

ユミル「ジャ……馬面!生きてたのか!」

ミカサ「エドたちが助けてくれた」スタッ

アルミン「僕のガスはミカサに渡して、ミーナとジャンに運んでもらったんだ!」

クリスタ「アルミン!みんな!生きてたんだね!よかった……」グスッ

マルコ(可愛過ぎる)

アルミン(天使やで)

ライナー(結婚しよ)

ジャン(俺にはミカサが)

エド(なーんて考えてんだろなー)

リン「無事だったカ、エド!」

エド「リン!お前には聞きたいことがあった、無事でよかったよ」

リン「……果たしてこれが無事と言えるかナ……?」ハァ

エド「なに、問題ないさ」

リン「ハ……?」


黒髪の巨人「ウゥゥオオオオオォォォォォッッ」ドンッ

エド「ほら来たァ!」

リン「な、なんだありゃア……!」ビリビリ

アルミン「あの巨人は、巨人を襲う奇行種だ!」

ジャン「だからみんな!ヤツに巨人どもが引きつけられてる間に、突っ込めェェ!!」パシュッ!

ユミル「……行くぞ!」プシュッ

クリスタ「うん!」パシュ

─旧司令部

パリィィンッ!

ジャン「……へ、へへ、何人死んだ……?」

マルコ「ジャン?」

ジャン「俺の合図で、何人死んだっ……?」

「……」

ジャン「……?おい、てめぇら……補給隊か?」

訓練兵「う、うん」

ジャン「てめぇ!」ボコッ

アニ「よしなよ、ジャン」

ジャン「止めてくれるな!こいつらをボコらねぇと気が済まねえんだ!」

女訓練兵「やめてよジャン!どうしてこんなこと!」

ジャン「どうしてだァ? てめぇらがこんなとこに引きこもってっから、俺達が死んだんだろうがァッ!」バキッ

女訓練兵「仕方ないのよ! 補給所に巨人が入ってきたんだから!」

エド「それをどうにかすんのがてめぇらの仕事だろうがバカ野郎!」

クリスタ「仲間同士でしょっ!争うのはやめて!」

ライナー「全く、補給隊は役立たずだった、それでいいだろ」

アルミン「ライナー」キッ

アニ「ホントのコトさ」フゥ

アルミン「アニまで!」


ライナー「エド、ちょっと話がある」コソッ

エド「あのことか?それならここを脱してからに変更だな」コソッ

ライナー「すまん、助かる」コソッ

アルミン「それで、下の巨人は何体?」

訓練兵「七体だ……」

アルミン「……よし、作戦会議だ。」

アルミン「……よし、作戦会議だ。まずアニ、マルコ、ミーナはこの建物の見取り図を探してくれ」

マルコ「わかった、行こう」タッ

ミーナ「うん!」タッ

アルミン「ジャンたちはみんなで、散弾銃を探してきてくれ。人数分だ」

ジャン「よし、わかった!建物内にある弾薬と散弾銃集めろ!」ダッ

エド「策があるんだな?」

アルミン「ああ。任せて……とは言えないけど、僕が思うに、この案が最善だ」

エド「わかった、信じるぜ」ニカッ

─五分後

アニ「アルミン!見つけたよ」ダッ

アルミン「ありがとう三人とも!」

エド「散弾銃も見つかったぜ」ゴトッ

コニー「数も十分らしい」ガチャッ

アルミン「らしいって……。じゃあ、みんな集まってくれ」バサッ

アルミンは卓上に見取り図を広げ、現在地を指さした。

アルミン「今いるのはここ。巨人は補給室に七体いる。いずれも3~4m級だろう」ピッ

アルミン「だけど、立体機動装置はガス欠で使えない。だから、生身で戦うしかない」

アルミン「そこで、散弾銃の出番だ。補給室に降りるリフトにみんなで乗り、大勢に反応して集まってきた巨人を、撃つ」ダンッ

ジャン「だがよ、それじゃ殺せないぞ」

アルミン「うん。僕は残酷なことを君達に強いる」

アルミン「七人を除いて、全員がリフトに乗り、囮になる。そして十二分に引きつけて、目を潰すんだ」

マルコ「なるほど、じゃあその七人は?」

アルミン「天井に梁が通ってるだろう?そこに登って、発砲と同時に斬りかかる」

アルミン「この作戦は、一回の攻撃に全員の命をかける、決死作戦だ」

アルミン「その七人は、ミカサ、エド、ライナー、アニ、ジャン、リン、サシャに頼みたい」

ミカサ「わかった、任せて」

エド「呼ばれると思ったぜ」

アルミン「運動能力的に優れた七人だ。……全員の命を背負わせてしまって、ごめん」

ライナー「問題ないね」

アニ「誰がやっても、失敗すれば死ぬ。なら成功率が高いヤツに任せるのは当然だよ」

ジャン「ま、そういうこったな」

リン「やれやレ……貧乏くじ引いちゃったかネ……」

サシャ「あわわわわ」

マルコ「さて。行こうかみんな!」

ミーナ「リフトの準備完了!」

アルミン「よし!幸運を祈る!」

マルコ「まず七人をリフトで下ろす!途中で止めるから、梁に飛び移ってくれ!」

エド「わかった。下ろしてくれ」

ジャン「はー、しかし立体機動装置もなしに巨人を屠ることになるとはな」ゴウン…

ライナー「なに、いけるさ!」ゴウン…

ミカサ「相手は3~4m級。的は狙いやすい」ゴウン…

リン「あァ。大きさに拘わらず頭より下、項にかけてノ」ゴウン…

サシャ「縦1m、幅10cm!」ゴウン…

ライナー「もしくはこの刃をヤツらのケツにブチ込む!弱点はこの二つのみ!」ゴウン…

サシャ「知りませんでした!そんな手が!」ゴウン…

エド「俺も今初めて知ったよ……」ゴウン…

アニ「ライナー、あんたそれが最期の言葉にならないといいけどね」ゴウン…ガタンッ

ミカサ「よし、それじゃ、みんな無事で」タッ

ライナー「ああ」ダッ

マルコ「よし、おれ達も下りよう。みんな乗って!乗れなかったやつはこのフロアで待機だ!」

アルミン「……よし、ミーナ、下ろしてくれ!」

ミーナ「わかった、無事で!」

アルミン(……大丈夫、数は増えてない)ゴウン…

アルミン(作戦を、続行する!)ゴウン…ガタッ

巨人「」ニヤァ

ダズ「うおっ……」ビクッ

マルコ「落ち着け、十二分に引き付けるんだ!」ドクン

アルミン「待て……」ドクン

コニー「待て……」ドクン

マルコ「……用意!撃てェッ!」

バンッ!バンッ!バンッ!


エド(不利な戦闘は避けるんだ。一人も死なせたくないならば……)タッタッタッ

エド(この一撃で……)バッ

エド(決めるッ)ザシュッ

ライナー(とったッ)ドシュッ

アニ(よしッ)ズバッ

ジャン(いけるッ)ザンッ

ミカサ(捉えたッ)シュッ

リン「あラ……ッ!?」ドサァッ

サシャ「ウゲェッ!」ビタァンッ


マルコ「さ、サシャとリンだ!!」

ミカサ「!」ダッ

アニ「!」ダッ


サシャ「あ、あの……後ろから、とつ、突然、大変失礼……しました……」ゾワッ

巨人「」ドザァッ

サシャ「うひゃぁぁ!!すいませんでしたァァ!!」ドザァァ

ミカサ「ふんッ」スパッ

アニ「たァッ!」ザンッ

サシャ「ミカサぁぁぁ、助かりましたぁぁぁ!」ブワッ

ミカサ「怪我はない?」

サシャ「おかげさまでぇぇぇ!!」

ミカサ「なら立って!」


リン「……すまン。助かっタ」

アニ「どうも……」

ライナー「アニ、無事だったな。怪我がなくてよかったぜ」

ジャン「全体!仕留めたぞ!リフトにガス缶積んで上に揚げるぞ!」

マルコ「早く積み込めー!撤収だ!」

アルミン「補給が済み次第、各自安全なルートで撤収するんだ!」

ミーナ「アニ!無事だった!よかった!」

アニ「!……ありがと、ホラ行くよ」

ミーナ「アニのいけず!」

ミカサ「!?」パシュウッ

アルミン「? どうしたミカサ?」パシュッ

ミカサ「エレン……」

アルミン「ウッ!?」

ミカサが見つめる先には、巨人に喰われながらに暴れ続ける黒髪の巨人がいた。

ジャン「どうした……うわッ、なんだこりゃ!」

ライナー「ひどいな……」

アニ「……共食いか……」

エド「ッチ、まずいな。あの謎さえ解れば、人類にとって反撃の嚆矢になったかも知れねえのに」

ユミル「同感だ。ヤツを延命させて連れ帰るべきだな」

コニー「お前、マジで言ってんのか?」

マルコ「やっと、帰れるんだぜ?」

アニ「……たとえば、あの巨人が味方になるかもしれないとしたら?」

マルコ「味方……!?」

アルミン「あッ、あれは!」

ミーナ「トーマスを喰った奇行種!」ギリッ


黒髪の巨人「グゥォオオッ!」ガブッ


アルミン「やっぱり……!やっぱり君はエレンなんだね!?」

ライナー「……ああ、間違いないだろうな」


黒髪の巨人「コロ……シテヤル……!」ハァ、ハァ


ミカサ「エレンを助けないと!」

ライナー「待つんだ……」


黒髪の巨人「イッピキ、ノコラズ……」ドシン、ズシン


黒髪の巨人「クチク、シテヤル!」ブチィッ


アルミン「奇行種の首を噛み切った!!」

アニ「……っ」

ライナー「強いな……お前は」

エド「た、倒れるぞ!」


黒髪の巨人「ウ……オォォ……」ズダァンッ


地に伏す黒髪の巨人。
巻き上がる蒸気の中に、人影がチラついた。

ミカサ「やっぱり……」ダッ

コニー「マジかよ……」

ユミル「エレン……?」

マルコ「なんてことだ……」ガクッ


アルミン「やっぱり……エレンだったのか」

ミーナ「切断されたはずの手足が……」

エド「巨人の再生力ってか……」

リン「なぁエド」

エド「なんだ?」

リン「死屍累々ってヤツだガ……、これをエレンがやったのかヨ……」

エド「……ああ」

リン「巨人もさることながラ、あいつもよっぽどバケモノだゼ……」

ライナー「……」

アニ「……」

続く

ここまで。

なんか整合性取れてない気がしてきました。
エレンが駆逐系男子になったのは何で?→あとあと説明
ミカサが焦ったのは何で?→第六感


考え出したら切りがないので、そのうち>>1は考えるのをやめた。
次回、トロスト区奪還作戦

トロスト区奪還作戦

─ウォール・ローゼ門前街

エレン「モット……殺シテヤル……」ボソッ

ミカサ「ッ!」

エレン「ハッ!?俺は何を……夢か?」

アルミン「エレンッ、意識はっ?体に異常はっ?」

エレン「なんだよアルミン……どういう……」ハッ

囲まれていた。
十数名の兵士がエレンを恐怖に負けそうな目で見る。

「聞いたか」ザワザワ

「あぁ、殺してやるって……」ザワザワ

「きっと俺達のことだ……」ザワザワ

キッツ「お、遅いお目覚めだなァッ!?」

??「見苦しい。代われ」ザッ

キッツ「しかし、将軍!」

??「代われと言っている」ギロリ

キッツ「……はっ」

キッツ・ヴェールマン隊長に代わって、黒髪の男が前に出る。

??「イェーガー訓練兵だったな!」

エレン「え、あっ、ハッ」

??「ふむ、良い返事だ。忠実な兵士は素晴らしい」フッ

エレン「あの、アナタは……」

ロイ「ああ、すまんな。申し遅れた、私はロイ・マスタング将軍だ」

アルミン「!」

ロイ「さて、イェーガー訓練兵。君は知っていることを話した方がいいぞ?」

エレン(な、何を言っているんだ?俺は……何かしたのか?)

キッツ「貴様ァッ、だんまりかァァァッ?」

ロイ「黙れキッツ」ギロッ

キッツ「はっ……」

エレン(さっき見たのは、夢……だよな?)ハッ

自らの左手を見て愕然とするエレン。

エレン(袖が……無い?……まさかっ、さっきのは、現実っ……?)

ロイ「さて、イェーガー訓練兵。現在君が行っていることは、人類に対する反逆行為といっても過言でない」

ロイ「まあ周りを見てもらえば解るとは思うが、貴官らの処遇を問わんとす……というわけだ」

エレン「あ、あの」

ロイ「おい待て。誰がそこを動いていいと?壁上の榴弾砲が貴官らを捉えている。死にたくなければ正直に答えるんだな」

エレン「は……、は?」

ロイ「率直に問う。エレン、君は人間か?巨人か?」

エレン(な、なんだそりゃ?まるで人をバケモノみたいに……!)

エレン「し、質問の意味がわかりませんッ!」

ロイ「ほう、そう来るかね。ならばこう聞こうか? 君は、どう在りたい?」


そんなの、決まってる。
エレンは決意を込めた目でマスタングを見つめた。


エレン「俺はっ、人間ですッ!!」

ロイ「……」

エレン「……」ゴクリ

ミカサ「……」ゴクリ

アルミン「……」ゴクリ


ロイ「ハッハッハ!よく言った!」

金髪の男「大……将軍、このガキンチョども、どうするんすか?」

小太りの男「厄介事はゴメンですよ、大……将軍」

銀髪の男「大……将軍、彼らの処遇は?」

眼鏡の男「憲兵団が身柄の明け渡しを要求していますよ、大……将軍」

金髪の女「大佐……じゃなかった、将軍。ピクシス司令がいらっしゃいました」

ロイ「リザ!君なんて最後まで言っているじゃないか、気をつけてくれ!」

ホークアイ「そう言われましても……。ね、ブレダ駐屯兵」

ブレダ「そうですね。なぁ、ハボック」

ハボック「そッスねー。な、ファルマン」

ファルマン「そうですね。な、フュリー」

フュリー「ははは、そうですね。ってわけです、大……将軍!」

ロイ「ってわけじゃなかろう!全く!」


エレン(なんなんだこの茶番は)

アルミン(エドがいたら暴れてたな……)

ミカサ(……)イラッ

ピクシス「茶番は終わったかね、マスタング」
ロイ「はは、司令までお戯れを」

ピクシス「なに、たまには部下との交流をな。して、その訓練兵が、件の?」

ロイ「は、エレン・イェーガー訓練兵であります。そしてその隣は、ミカサ・アッカーマン訓練兵とアルミン・アルレルト訓練兵です」


ドット・ピクシス。
トロスト区を含めた、南側の全領土を任された、事実上の軍最高司令官である。
そして。


ピクシス「幼馴染み、というやつか。ふむ、実に羨ましい」

生来の変人としても知られる。

ピクシス「さて、キッツよ」

キッツ「ハッ」

ピクシス「貴様は全軍に号令をかけて半刻後、門前に十列縦隊で待機させよ」

キッツ「……? は、ハッ!」バッ

ピクシス「解らずともよい。わしがみなに説明しよう」フッ


ロイ「さぁ、立て、巨人の」

エレン「巨人の、って……俺ですか?」

ロイ「他に誰がいる。私は君を信頼した、そういうことだよ」

エレン「……あのっ、マスタング将軍」

ロイ「何だね」

エレン「実は俺、巨人になっている間の記憶が……」

ロイ「何? ……それは本当か」コソッ

エレン「え、あ、はい。何か思い出せそうなんですが……中々」

ロイ「ほぉ……なるほど、それは私以外に言わない方がいいな」

エレン「……了解です」

寝ちまってたのでとりあえずここまで
誰が読んでるんだコレって不安なんですが、読みにくいとかあれば教えてくださいね。善処します

思い付きでリンと大佐一行出したら話が止まっちゃいましたチクショウ
グランとかグラマンとかコマンチとか出したいけど、出番がないのよね
エドの精神成長には大事な事件ですが…

タイトル回収はまだまだ先の予定

ロイ「さて巨人の。私は二、三、君に聞きたいことがあるんだが」

エレン「はい、何でしょうか」

ロイ「君の巨人化能力は、自由に扱えるモノなのかね?」

エレン「……わかりません。俺は、意識して使ったことは……」

ロイ「……ふむ、次だ。君はその力、我ら人類に尽くすつもりは?」

エレン「あります。ありますけど、この力が役に立つとは……」

ロイ「それは我々上層部が決めることだよ。……最後の問いだ、君は何故戦う?」

エレン「! それは……、巨人をブッ殺して、母さんたちと家に帰るためです!」

ロイ「フッ……ハッハッハッ!」

エレン「」ビクッ

ロイ「巨人の」

エレン「……ハイ」

ロイ「君は、私の駒となれ」ニヤリ

巨人のってひどいなエレンは巨人が一番嫌いなのにな

エレン「は?イヤ、お断りします」

ロイ「即答かッ」

エレン「俺は、調査兵団に入って、外の世界を見るんです」

ロイ「ほう、世界を臨むことを選ぶかね」

エレン「違う。夢を選ぶんだ!」

ロイ「!」

エレン「あっ……失礼しました、俺、無礼な物言いを……」

ロイ「……イヤ、いいんだ。……そうか、夢か」

ロイ「だそうだよ、豆の」

エド「誰が豆粒ドチビの訓練兵かーッ!」ド-ン

ロイ「ははは、君だ君。さあエドワード。君の進言通りにしたわけだが?」

エド「ああ、ありがとな無能中佐」ケッ

ロイ「せめて大佐と呼びたまえこの豆粒」ケッ

ホークアイ「同族嫌悪かしら……」ハァ

エレン(状況が全くわからねえ)ポケ-

─壁上

ビュォォオオオオオッ

エド「俺が立案した作戦がある。エレン、やるか?」

アルミン「作戦?」

エレン「……俺は、何をすりゃいい?」

エド「お前が巨人になり、壁を塞ぐ」ビシィッ

エレン「壁を……」

アルミン「塞ぐ?」

ミカサ「何を言っているのエド?」

ピクシス「イェーガー訓練兵よ、ヌシの力で例の大岩を持ち上げることは可能か?」

エレン「大岩……?」

アルミン「例の大岩って……、門付近にある、巨大な?」

ロイ「そうだ。巨人の力ならあれを利用することも可能ではないかと、我々も考えている」

エド「ってなわけだ。どうだ、できるか?」

エレン「わかんねぇ……」

ピクシス「ならばこう聞くかの。やるか、やらぬか?」

ロイ「……」

ピクシス「トロスト区を取り戻す、意志はあるか?」



エレン「……やりますッ! 俺が人類に貢献できるなら!」

ピクシス「よう言った! ヌシは男じゃ!」

ピクシス「では、行こうか。イェーガー訓練兵のみ着いてきたまえ」

エレン「え、行くって……」

ピクシス「既に隊列は組ませてある」

エレン「えぇぇ……!?」

ピクシス「ヌシはワシの横に立てばよい。紹介したら敬礼じゃ、よいな?」

エレン「えっ、あっ、ハイ!」




ピクシス「さて、やるかの。 ……注!!!もおおおおおおく!!!!」

エレン(なんてデカイ声だ……!)ビリビリ

ピクシス「これより!! トロスト区奪還作戦について話す!! 心して聞くがよい!!」

ピクシス「この作戦の目標はァーッ!! 超大型巨人により壁に穿たれた穴を、塞ぐッ!! ことである!!」

ザワザワ……

ピクシス「穴を塞ぐ手段じゃが、まずは彼を紹介しようッ!!」

エレン「!」バッ

ピクシス「うむ、見事な敬礼じゃ。こちらは! エレン・イェーガー訓練兵ッ!!」

ザワザワ

ピクシス「彼は! 我々軍部が極秘に研究していたッ、巨人化生体実験の成功者であるッ!!」

ザワザワ

ピクシス「彼は! 巨人の体を精製しッ、意のままに操る力を持つッ!!」

ピクシス「その力を以て、前門近くにある大岩を運び、穴を塞ぐッ!!奪われたトロスト区を奪還せしめんとす!!!」

ザワザワ

ピクシス「諸君らの仕事は一つ!イェーガー訓練兵が大岩を輸送する間、彼を護衛することであるッ!」

─隊列

ダズ「な、なぁ、エレンがなんだって?」ヒソヒソ

ユミル「あ?聞こえなかったかゲロ男。巨人化だ巨人化」ギロリ

ダズ「ひっ、おぷっ……」

クリスタ「ひっ!?」ビクッ

フランツ「どうなってんだ……」

ハンナ「エレンは敵なのぉ~?」グスッ

コニー(黙ってろバカップル)イラッ

ハンネス「……記憶喪失の原因は……巨人化能力に関係するのか……?」

リン(エレンはまだしも、エドたちはどこへ……)

ミス
>>162 修整
─隊列

ダズ「な、なぁ、エレンがなんだって?」ヒソヒソ

ユミル「あ?聞こえなかったかゲロ男。巨人化だ巨人化」ギロリ

ダズ「ひっ、おぷっ……」

クリスタ「ひっ!?」ビクッ

フランツ「どうなってんだ……」

ハンナ「意味わかんなぃ……エレンは敵なのぉ~……?」グスッ

コニー(黙ってろバカップル)イラッ

ハンネス「……記憶喪失の原因は……巨人化能力に関係するのか……?」

リン(エレンはまだしモ、エドたちはどこへ行ったんダ……?)

─壁上

髭の男「よォ、ロイ!そいつらが噂の訓練兵か!」

ロイ「ん? おぉ、ヒューズ!来ていたのか!」

ヒューズ「ハハハ! 今はお前よりそいつらに用があるんだ、退け!」

ロイ「」イラッ

ヒューズ「聞いたぜ、ルーキー! アンタが一騎当千のアッカーマンだな? そんでそっちが智将アルレルトだったかァ?」

アルミン「なんですかそれ……」ゲンナリ

ヒューズ「エドから聞いたぞ!ハッハッハァー!」ヘラヘラ

ロイ「……」イライラ

ヒューズ「ハハハハ!……さて、本題だが」

ロイ「」ホッ

ヒューズ「何だっけ?」ヘラッ

ロイ「えぇぇぇい、ブン殴ってやろうかこの親バカ顎ヒゲクソメガネェェェェ!!!」クワッ

ヒューズ「うぉっ、落ち着けよ、焔の」ニヤリ

ロイ「誰のせいだ、誰のっ」ゼェゼェ



アルミン(茶番好きだなこの人達)

ミカサ()イラッ

ヒューズ「さて」

ロイ「」チ-ン

ヒューズ「ロイも力尽きたところで本題だ」

ヒューズ参謀が机上に地図を広げ、穴の位置にナイフを突き立てた。

ヒューズ「穴は、ここだな」ビシッ

エド「わりィ中佐、待たせた!」タタッ

アルミン「エド!」

エド「あれ? マッチ棒はシケちまったのか?」

ロイ「何を言っているんだね、エドワード・エルリック。私はそもそもマッチ棒ではない」ガバッ

エド「誰もアンタとは言ってねーよ……」ニヤリ

ヒューズ「まあシケたマッチとイキった豆は無視して話を進めよう」

二人「誰がだッ!!」ガ-ッ

ヒューズ「エドの案では、エレンが岩を運ぶ間、精鋭班を結成し、接近する巨人を駆逐。壁内の掃討に全軍を使う、となっている。アルミン、どうだ」

アルミン「……巨人と戦う必要はないと思います」

ヒューズ「戦う必要が、ない?」

アルミン「一介の訓練兵が口を挟んで申しわけないんですが、その通りです」

エド「俺も訓練兵だけどな。んで、どういうことだ?」

アルミン「うん、まず精鋭班を結成し、エレンの護衛に当たらせるのは同じです」

ヒューズ「おう」

アルミン「残りは全員で、ウォール・ローゼの一角に集まり、巨人の"大勢に反応する"性質を利用し、前門付近をできるだけ手薄にしよう、という作戦です」

ロイ「なるほど……見事なものだな……」

明日も明日とてバイトなのでこれで。

マース・ヒューズ参謀
ロイ・マスタング将軍
リザ・ホークアイ補佐
以下軍部勢
登場しました。
ってことはあの特盛筋肉の旦那も……?
バッテン傷男や白スーツの変態も……?
出ます。(多分)

感想頂けると嬉しいです。
終わりのタイミングがいつもあやふやで申し訳ないですが。

暑が夏いので皆様お気をつけくださいまし(´・ω・`)
エド溶けちゃうね。

鋼の義手がないとロイからの呼称が豆になるのかwwww

【溶ける】

エド「あちー……溶けるー……」ダラダラ

サシャ「!! 溶けた豆って美味しいんですかね!!?」ヨダレダラダラ

コニー「ん?俺がバカだから話についてけないのか? エドは豆じゃねーだろ」

エド「誰が……ッて、おぉお!コニー!さすがコニーだぜ、解ってんじゃねーか!」ガバッ

サシャ「おぉぅ、なんか私……ごめんなさい……」ペコリ


ライナー(秀才がバカ二人と対等に話すシュールな映像はコチラ)

ベルトルト(ちなみにコニーもチビだよね)

アニ(私は153cmだから豆チビより小さい、豆粒ちんちくりん女かい) イライラ

【夏休み】

ベルトルト「さぁ、訓練兵にも1週間の夏休みが与えられたよ! みんなは何をするのかな?」

エレン「俺? 俺は訓練を……」

ミカサ「街に行こうエレン、さあ今すぐ、禁断の家族愛を、さあ」クワッ

エレン「待ってお前怖いわ」ビクビク

ミカサ「怖がる必要はない、優しくする、さあ」ズイッ

サシャ(都会の子は進んどるんやねぇ……)ゾッ

エド(俺の幼馴染みが壊れていく……)ブワッ

アルミン(むしろ昔からこんな感じだけどね……)ハァ

>>156
このエレンは駆逐系というよりは外界系?なので、それほど巨人を憎んではいません。
むしろエドのが巨人への憎悪は強い、というウラ設定。
もちろん煽る目的もあるんでしょうね、マスタングには。

ちなみに次第に呼び方を変える予定。

>>169
呼び方に困ったので豆の、をチョイス。
多分途中で変わります。

ハガレン原作では、二人は人体錬成前に出会っていなかった気はするのですが、未確認のまま更新に踏み切りました。
後からフォロー設定入れます……(´・ω・`)


それでは皆様おやすみなさい。
アームストロング少佐の胸板に飛び込むとグッスリ眠れますよ。

アームストロング少将の谷間からおはようございます。(注・これを書いた時点では朝5時半)
ロイや周囲からのエドやエレンへの呼び名をどうするのか悩んでいるんですが、何かいいのないですかねぇ……。
流石に豆の呼ばわりは可哀想だ。

今日は帰宅後に更新すると思います。

出したいキャラと出せるキャラが一致しないんですよね……。
アームストロング少将とグラマン中将、グラン准将、コマンチ、マダム・クリスマス、ヨキあたりを出したいけど……。うーん。

書く書く詐欺になっちまった申しわけない

今日は少しだけでも書きます

アルミン「もちろん、壁の穴から入ってくる巨人との交戦は避けられないので、作戦の成否は精鋭班の実力とエレンに任されることになりますが……」

ヒューズ「なるほどな。よしわかった!」

ロイ「これでいくしかあるまいな」

アルミン「そして、もうひとつ……」

ロイ「うん?なんだね」

アルミン「104期訓練兵のライナー・ブラウン、アニ・レオンハート、エドワード・エルリック、ミカサ・アッカーマンの精鋭班への帯同を提案します」

ミカサ(!!)

ヒューズ「104期の上位陣か、理由は?」

アルミン「ハッ、ブラウン、レオンハート両訓練兵はエレンからの信頼が厚く、またなんらかの巨人化の秘密を知っていることを自供しています。そしてミカサはご存知の実力を誇り、エドは……お二方の方がおわかりかと」

ロイ「フッ、なるほどな」

ヒューズ「よしわかった、手配しておこう」

アルミン「ありがとうございます!」ペコリ

─隊列

ダズ「ちくしょぉ……、やってられるか……」ボソッ

マルコ「ダズ?」

ダズ「やってられるかぁぁ!! 巨人化兵器だかなんだか知らねーが、んなわけわからんもんの為に命張れるかぁぁ!!?」

ザワッ

「そうだそうだ! 俺は家に帰って、娘を抱きしめる方を選ぶね!」

キッツ「ま、待て貴様ら! 逃亡は死罪だぞ!」

ダズ「どうせ死ぬならここで死にますよ、俺はね!!」チャキッ

マルコ「抜刀!? おいやめろダズ!」ガシッ

ダズ「うるせー! もうやってられるか!」バッ

キッツ「き、貴様ァァ!!」チャキッ

ユミル(あーあー、めんどくせー男どもだ)


ピクシス「ワシが命ずる!!! 今、この場から去る者の罪を免除する!」


ダズ「へへ、わかってんじゃねーか……」

ピクシス「巨人の脅威に屈した者が再び彼奴らと会いまみえるは困難じゃ!よい、逃げ出すがよい!!」

ダズ「何……?」ギリッ

ピクシス「そしてその恐怖を家族や友人らに味わわせたい者も立ち去るがよい!!」

ザワッ

ピクシス「この壁を破られては、我等に生きる道はない!!すまぬが、皆の命、ワシに預けてもらえんか!!!」

サシャ「……そうやね、エレンと約束しよるもんね……」ガクガク

サシャ「領地奪還……しないといけませんもんね……!」グッ


ハンナ「そうだよ……、みんな怖いんだ、私だけじゃない……」フルフル

フランツ「うん、ハンナ。それに、君には僕がいる……ね?」


ユミル「はぁ、やれやれ。また地獄を見に行くかね」

クリスタ「もう、またそんな憎まれ口」フルフル

ユミル「怖いんだろ? 強がるなよ」ヘッ

クリスタ「ううん、大丈夫。私は独りじゃない」

ユミル「あぁ、そうかい」

ミタビ「ライナー・ブラウン、アニ・レオンハート両訓練兵ッ、隊列から外れ精鋭班に合流せよ!」

ライナー「えっ、は、ハッ!」ビシッ

アニ「了解しました」ビシッ


キッツ「ふむ、ふむ……なるほど、了解した。ご苦労」ビシッ

伝令「ハッ」ビシッ

キッツ「それではッ、作戦内容を伝達する!!」

キッツ「我々は、全軍を以て巨人を集結させッ、彼奴らをトロスト区の片隅に引き付ける!!」

ザワッ

キッツ「イェーガー訓練兵らが大岩へと向かい穴を塞ぐまでの間、彼奴らを引き付け、精鋭班の負担を軽減するのだ!!」

キッツ「ではッ、各班長集合ッ! 細かい指示を伝達する!」

サムエル?「極秘に行った、巨人化生体実験、ね……クク、プライドも面白いことを考えるじゃないか」

マルコ「どうした、サムエル?」

サムエル?「おっと、……いや、なんでもないよ」ニコッ






サムエル?(さぁて、このエンヴィーを裏切ったんだ)

エンヴィー(ライナー・ブラウン、アニ・レオンハート……どうしてくれようか……)ニタァ

─壁上

イアン「よし、イェーガー、準備はいいか」

エレン「ハイ!」

エド「気負うな、いつも通りやれ、それがお前の力になる……そうだろ?」ニカッ

ミカサ「エレン、落ち着いて……」

アニ「なに、いざって時は私達もいる。頼りなよ」ポン

ライナー「親友、だろ」ポン

エレン「ああ……」ググッ

イアン「壁上を走り、大岩の近くから立体機動に移行する。いいな?」

リコ「やるしかないさ、行こう」ダッ

──巨人の出現以来、我ら人類が巨人に勝利した事は一度たりともない。

──巨人が進んだ分だけ人類は下がり、領土を奪われ続けてきた。

──しかし、この作戦が成功すれば、我ら人類は初めて巨人から領土を奪還することとなる。

──即ちそれは、我ら人類が、初めて巨人に勝利する時である。

──重ねて言おう。皆の命、ここで捨ててくれ。

──人類が初めて勝利するために、皆、ここで死んでくれ。

──その勝利は、我ら人類の損害と比して、究めて小さなものに過ぎない。

──しかし、その一歩こそが、我ら人類の──反撃の嚆矢となるであろう!

──別れッ!!

エレン「人類が勝つために、俺は戦う。人類が勝てば、世界を視られるッ……」

イアン「ここだッ、各員立体機動に移行しろッ!!」バッ パシュッ

エレン「了解ッ!」パシュ-ッ チャリン

──エレン、この鍵を肌身離さず持っていろ……。

ズキッ

エレン「ぐッ!?」パシュ-ッ

──そして、この鍵を見る度思い出すんだ。

ズキンッ

エレン「ぐっ、がァっ……!」パシュッ

──お前が地下室に行かねばならないことを。

ズキズキ

エレン「父……さんっ……」プシュ-ッ

──この注射のせいで、記憶障害が発生する。だから、今説明してもダメなんだ。

ズキッズキッ

エレン「う、おッ……」ギュゥ-ンッ

──だがいつか地下室に行けば真実がわかる……。そのためにお前はウォール・マリアを奪還しなければならない。

ズキッズキンッ

エレン「ぐぁぁ……!」パシュ-ッ

──その時、この"力"が役に立つ筈だ……。

ドクンッ

エレン「力ッ……」ハァハァ プシュ-ッ

──使い方は、"彼等"の記憶が教えてくれる。

ドクンッ

──打ち克て、エレンッ!

ドクンッ

──大エリクシルにッ!!

ドクンッ

エレン「……ッ!!」ガリッ

ピカッ


黒髪の巨人「……グゥゥウウオォォォオオオオオオッッ!!!!」ズダァァンッ


続く。

次回、勝利

ようやくここまで進みました。

放たれた反撃の嚆矢。
暗躍する人造人間。
果たして世界を望む少年は、世界を救えるのか。

ところどころ描写が甘く、解りにくいかもしれませんが、ご愛嬌で。

エレンに「……変身……ッ!」と叫ばせかけてやめましたww
白騎士とのクロス、誰かやってください。

大エリクシルとは、ハガレンファンならご存知と思いますが、あの"赤い石"のことです。

それではまた。

白騎士物語たぁ懐かしいな!
変身シーンが仮面ライダーみたいだったなあ…

ssなんだけど、場面説明…地の文が少しでもあると想像しやすくなると思うんだ

>>190
エレン「古の大壁を打ち破りし強き狩人エーレよ、我に力を……!」

エレン「変身ッ!」シャキッ

カッ!

巨人「行くぞ、アニ!」ゴォッ


地の文ナシだと確かに、原作未読者にはわかりづらいですよね。
完結したら改めて再編しようかと

ライナー「いけたかッ!」スタッ

アニ「エレンッ!」スタッ

黒髪の巨人「…………」ジロッ

屋根に降り立った精鋭班を、黒髪の巨人が睨めつける。
その刹那、背中に走る悪寒に突き動かされるようにして、ライナーとアニは跳んだ。

黒髪の巨人「グォッ!」ブンッ

ドゴォッ

それまで二人が立っていた位置には大穴が開口され、妖しく光る双眸は立ち尽くすミカサを捉えた。

ミカサ「え、えれ……!?」ハッ

黒髪の巨人「グァッ」ゴォッ

ミカサより大きな拳がふり上げられ、ミカサへと振り下ろされた。

ミカサ「エレン! 私はミカサ! あなたの……こ、恋……家族!! そう家族っ!」

黒髪の巨人「オォオォォ……」ギロリ

ミカサ「エレンっ? 聞こえてないの? ねぇエレン!」

ミカサの呼び掛けに応える様子もなく、黒髪の巨人はその眼で彼女を見据えて動かない。

イアン「下がれアッカーマン!」

ライナー「ちくしょう、あのバカタレ……」

アニ「やるのかい?」

ライナー「いや、まだだ……どうしようもなくなったら、ヤる……!」ギリッ

リコ「は、何をやる気だかしらないがな、いらんことをするんじゃないぞ」ジロ

黒髪の巨人の暴走は止まらず、遂にリコは煙弾を装填した。

リコ「……ああ、わかってたさ。極秘人間兵器なんてまやかしだって……ね」カチャッ パヒュ-ッ

打ち上げられた赤い煙弾が意味するのは、作戦の失敗。

─壁上

ピクシス「煙弾か。ヒューズよ、確認を」

ヒューズ「は、……どうやら作戦は失敗」

ロイ「撤収させましょう、司令」

ピクシス「……いや、現場での指揮はイアンに一任してある。彼の判断に任せよう」

ヒューズ「では……」

ピクシス「うむ、状況続行」

ロイ「ハッ、状況続行ッ!!」

─大岩前

ライナー「エド、俺達の力、見ても引くなよな」

アニ「特にライナーのはね」

エド「……な、なにを」

急な言葉に動揺を見せたエドに、アニが近寄って笑う。

アニ「女の子には、秘密があるのさ。アンタのこと、嫌いじゃなかったよ」

エド「え、おい、待て……待てよ!!」

ライナー「アニ、お前……」

目尻に輝く雫をぬぐい去り、アニが黒髪の巨人を睨んだ。

アニ「ライナーッ!!」パチン グサッ

ライナー「ああ、やるんだな、今ッ、ここでッ!!」ガリッ

自称行為。
それは、巨人への変身。

鎧の巨人「ウゥオオオオォォォッ!!!」ドォンッ

女型の巨人「アァァァアアァァァァッ!!」ダァンッ

エド「ア、ァァ……テメェは……!」

蘇る五年前の記憶。

エド「テメェは……っ!!」

エド「ライナァァァァァァァッ!!!」

鎧の巨人「グゥアッ!!」ドォンッ

鎧の巨人のタックルによろける黒髪の巨人。

女型の巨人「ハァァッ!!」ズアッ

よろけた黒髪の巨人を女型の巨人の足技が襲う。

黒髪の巨人「ブァッ!!?」ズシャァァ


リコ「……なんだこりゃ」

イアン「どうすりゃいいんだ……」

ミタビ「うわぁ……」

エド「……(冷静になってみたら、どうすんだこれ)」

ミカサ「これでは……これでは……大怪獣バトル……!」フルフル

眠たいかつ手元に原作がないのでまた夜にでも。
大怪獣バトルとか何言わせてんだ……。

細かいけど「自傷行為」な

>>201
本当だ、校生すらできてませんでした…申しわけない

>>203
ほんとごめん、誤爆した

>>204
こちらこそややこしいスレ立てて申しわけないです。

>>198訂正

鎧の巨人「グゥアッ!!」ドォンッ

鎧の巨人のタックルによろける黒髪の巨人。

女型の巨人「ハァァッ!!」ズアッ

よろけた黒髪の巨人を女型の巨人の足技が襲う。

黒髪の巨人「ブァッ!!?」ズシャァァ



リコ「……なんだこりゃ」

イアン「どうすりゃいいんだ……」

ミタビ「うわぁ……」

エド「……(冷静になってみたら、どうすんだこれ)」

ミカサ「これでは……これでは……エレンが死んでしまう……!」フルフル

──目を覚ませよ、バカ野郎!

エレン(目? 覚めてるよ……)

──あんた、故郷に帰るんじゃないの!?

エレン(故郷? 何言ってんだ……)

──お袋さんと一緒に帰るんだろう、家に!

エレン(母さん? 母さんならココにいるだろ)

──俺はお前を見捨てたりはしないぞ、エレン!

エレン(何言ってんだライナー)

──私だってあんたを見捨てたりはしない!

エレン(アニか? こんな可愛かったっけ、なんてな)

また休憩の際に書き込みますね。

エレン(母さんなら、ここに……)

手を伸ばし、目前の母に触れようとするエレン。

スカッ

エレン(え?)

スカッ

いくら手を伸ばしても母には届かず、遠ざかっていく。

エレン(え、なんで、やだ、やだよ母さん!!)

ミカサも、父グリシャも、どんどん立ち去っていく。

エレン(待ってよみんな! 嫌だ! 嫌だ!)


──お前は、何やってんだよ!

エレン(エド!?)

──君らしくないぞ、エレン!

エレン(アルミン!?)

──私はあなたと共に在る!

エレン(ミカサ!?)


みんなの声が、聞こえる。
呼んでる。

エレン(世界が俺を、必要だって、言ってるじゃねぇか)

エレン(俺は、誰だ?)

──エレン!

エレン(みんな)

──イェーガー訓練兵!

エレン(先輩方)

──お前は、何やってんだ、エレン!

エレン(エド)

──闘え!

──闘え!

──闘え!

──闘え!

──闘え!

──闘え!

──闘え!

──闘え!

エド「闘わなけりゃ、勝てないんだ!!」


黒髪の巨人「ウゥゥオオオオォォォォォォォォォォオオゥッ!!!」

鎧の巨人「グォッ?」ザッ

女型の巨人「アッ!?」ザッ


跪いていた黒髪の巨人がおもむろに立ち上がる。
女型の巨人が放った蹴りにより消失していた頭部は修復され、双眸が妖しい眼光を湛える。

黒髪の巨人「グ……ゥ、オォァッ!!」ガッ

大岩を掴み、渾身の力で持ち上げる。
膂力は足りず、筋肉が断裂する音が一面に響く。

ブチッ、ブチブチッ

黒髪の巨人「ガァ、ガァァァ……!」ズシン ズシン

エレン(身体が、どうにかなっちまいそうだ……!)ギリギリ

ブチンッ、ブチッ!

エレン(ちく、しょう……)

黒髪の巨人「グ、ァ……」フラッ


ググッ

斃れようとした黒髪の巨人を、鎧の巨人が支える。

エレン(ライナー……)

鎧の巨人「グッ、オオゥ!」


ドゴォッ

近寄る巨人を蹴り飛ばし、女型が振り返った。その背中は、まさに行けと、進めと語った。

女型の巨人「アァーッ!」


巨人は二人がかりで岩を担ぎ上げ、穴へと突き進む。


ミカサ「いけ……!!」

リコ「いけーっ!!」

イアン「いけっ……!」

ミタビ「いけっ!!」

エド「いっけぇぇぇぇぇっっ!!」

──エレェーンッ!!!!

ズズンッ……!

岩が大穴に嵌り、巨人の進入を妨げる防壁と化す。


リコ「やった、のか」

イアン「は、ははは……」

ミタビ「すんげぇな、オイ……」

ミカサ「エレン……!」ダッ

エド「エレン!!」ダッ


鎧の巨人のうなじから姿を現したライナー、女型の巨人の同じくうなじから姿を現したアニと違い、エレンは姿を現さないでいた。

ミカサとエドは駆け寄り、様子を窺う。

ミカサ「アニ、どうなっているの?」

アニ「わからない。私達と違ってエレンは力を使いこなせていないのかも」

ライナー「そのようだな……」

エド「くっそぉ……」

浅黒い男「どけ」ザッ

ミカサ「あなたは、誰」ギロリ

浅黒い男「どけと言っている」ジロ

ミカサ「っ」ゾワッ

浅黒い肌をし、赤い瞳を持つ男。
髪は茶色がかった銀髪で、その額には、大きな傷があった。

傷の男「なに、巨人の体を破壊すればよいのだろう」スッ

男が黒髪の巨人に手を触れる。

エド「……イシュヴァール人……!?」

傷の男「な、に……!?」

エド「おい、あんた、何者だ? なぁ、何者だ!?」ガッ

詰め寄り襟首をつかみあげる。
詰問するエドの表情はまさに迫真。
あまりの剣幕に、傷の男さえもたじろいでいた。

ライナー「エド、落ち着け! 今はエレンだ!」

感想感謝。

完走はします。
今は落としどころを模索中w

あくまでオープニングテーマは紅蓮の弓矢ですからね!

行き当たりばったりなのでちょっとスカーの出しどころ間違えた感も。
とりあえず少し書きます。

エド「ハッ、そうだった、すまねぇ……」パッ

傷の男「……後で話を聞かせろ、アメストリス人……」ギロリ

エド「あぁ、俺もあんたに聞きたいことがあるしな」ジロ

改めて黒髪の巨人に向き直る傷の男。
右手を振りかざし、黒髪の巨人に触れた。

パキパキパキ…

ミカサは思い出した。
あの日、エドが使った奇術を。

ミカサ「……!」

エド「ッ!?」

ライナー「なッ……!」

アニ「……マジ……?」

リコ(頭が追いつかないわ)

ミタビ(何が起こってんだの万国博覧会かよ)

イアン(報告書にどうかけというのか)ハァ

パキパキと音をたてたのは黒髪の巨人の体。
傷の男が触れた箇所が、文字通り分解されていた。

エド(錬金術なのか?……いや、錬成反応はなかった。じゃあこりゃ一体……)ブツブツ

傷の男「うなじを破壊すればいいのか」

ライナー「えっ、あっ、ああ、うん」

傷の男「……」スッ

パキンッ!

エレン「」ドサッ

うなじが分解されると、そこからエレンがずるりと滑り落ちた。

ミカサ「エレン!」

ズシン

ズシン

あまりの出来事に忘れていたが、今は巨人に囲まれていたのである。
五体の15m級が歩み近付いてくる。
自らより巨大な生き物に対する、根源的な恐怖が一同をその場に釘付けにした。

エド「……へ、ヘビに睨まれたカエルって言葉知ってるか」

ミカサ「母さんから、き、聞いたことがある」

ライナー「はは、今みたいな状況なんだな……」

アニ「……わかりやすい講義をどうも」

ミタビ「……ガ、ガス切れか……!」カチッ カチッ

イアン「……リコ!煙弾撃て!死ぬ前に作戦成功だけでも伝えるんだ!」

リコ「死にたくはないんだけどな……」カチャカチャ ポシュ-ッ

黄色の煙弾が空を突き抜ける。
皆が死を覚悟したその瞬間。


夕暮れに奔る黒い影。


斃れる巨人を背に舞い立った人影は、

「おい……」ジロッ

「一体どういう状況で、何が起こっていやがる。説明しやがれ、クソガキども」



自由の翼をはためかせる英雄だった。



続く

マルコ「一番遅い僕が囮になってみんなに討伐してもらおう、とか……どうしても実戦のことを考えてしまうんだ」

エレン「なるほどな、つまりお前は指揮役なんだよ」

ミカサ「適役だと思う。効率的な考えやよく気が回るところとか、あなたの指揮ならエレンも死にはしないと思う」

エド「はは、俺ならマルコの班に入りたいな」

サシャ「私もです! 生き残れそうですね」

ジャン「トロスト区の襲撃想定訓練のことか」

コニー「なら俺もマルコにあやかりたいぜ」

ジャン「間違っても死に急ぎ野郎の班だけはゴメンだな。十秒も生きていられねぇや」

エレン「ちょっと待て。それは誰のことを言ってんだ?」

エド「心当たりはあるんだな、くくっ」

マルコ「こらこら、みんな……」

コニー「?」

サシャ「ま~た始まりましたか、ジャンの遠回しな愛情表現が」

ジャン「あぁん? 黙ってろよお前」ジロッ

サシャ「ひぃっ、ゴメンナサイ!」

コニー「んー? なぁ、"死に急ぎ野郎"なんて名前のヤツいたっけ?」

ジャン「テメーも黙ってろ……」ハァ

マルコ「ねぇジャン」

ジャン「はぁ、疲れた。 なんだ?」

マルコ「僕は、ジャンのが指揮役に向いてるんじゃないかなって」

ジャン「俺が? 冗談よせよ」

マルコ「冗談じゃなくって」

ジャン「じゃあなんでそう思うんだ?」

マルコ「怒らずに聞いて欲しいんだけどね、君はエレンみたいに"強い人"じゃないから、"弱い人"の気持ちが理解できる」

ジャン「……なんだそりゃ」

マルコ「それでいて、君は状況認識力が高いから、何をすべきかが明確にわかるはずだ」

ジャン「……」

マルコ「まぁ、僕も多くの"弱い人"のうちだし、君を馬鹿にしてるわけじゃないんだ」

マルコ「ただ、それと同じ目線から放たれた指示なら聞きやすいし届きやすいんじゃないかってね」

ジャン「ま、まぁ一理あるな、うん……」

─トロスト区

ジャン「おい、まさか……」

マルコなのか?そう言葉を継げず、ジャン・キルシュタインは立ち尽くした。

衛生兵「オイ、訓練兵。そいつが誰か知っているのか」

ジャン「……憲兵団に行くんじゃ……ねえのかよ……オイ……」ガクガク

衛生兵「オイ、訓練兵……穴を塞いでから二日になる。死体を媒介する伝染病は脅威だ。言ってる意味はわかるな?」

ジャン「……ま、マルコ・ボット……104期訓練兵……第19班班長……です……」ガクガク

衛生兵「よし、わかった。作業に戻れ」

─晩、火葬場

アルミン「兵站行進……」

クリスタ「馬術……」

ユミル「格闘術……」

ミーナ「兵法講義……」

コニー「技巧術……」

サシャ「立体機動……」

コニー「あんなに頑張ったのに」

ミーナ「あんなにやったのに」

クリスタ「全部、無駄だったのかな……」

ジャン「……」

ジャン(チクショウ。コイツらと出会わなけりゃ、次は誰の番かなんて下衆なこと考えずにいられたんだ……兵士なんかにならなけりゃ……)

──わざわざ希望を捨てることはないだろ?

──なんのために訓練を積んだんだよ、生き残るためだろ?

ジャン(テメーに教えてもらわんでもわかってんだよ……んなことは)

地面に転がる骨片を握り締めて燃え盛る火を見つめた。

ジャン(でもよ、俺らみんな、お前みたいに強くないんだ……)

──何をすべきかが明確にわかるはずだ。

ジャン(よぅ、ジャン・キルシュタイン。お前は今……何をするべきだ……?)

立ち上がり、仲間達の元へと歩く。

ジャン「お前ら……所属兵団は決めたか……?」

ジャン「俺は、決めたぞ……」

ジャン「俺は……」フルフル


ジャン「俺は……」ガクガク


ジャン「調査兵団に入る……!」

ここまで。

エドやリン、スカーはロイの元に。
エレンやアニ、ライナーはエルヴィンの元にお呼び出しです。

続く、のタイミングミスったなぁ、とかスカー出すタイミングミスったなぁ、とか色々後悔。

起承転結でいう承ですので、そろそろ転じます。

─トロスト区奪還翌日、司令部

ロイ「まずは、ありがとう。よくやってくれた」

エド「今俺に言うことじゃねーだろ」

ドカッとソファに腰を下ろし、エドが言った。

エド「エレンの身柄はどうなる?」

ロイ「うむ、その件だが、一週間後に審議会が開かれることになった。君にも証言してもらうよ、黄金の」

エド「それについてはわかった。が、コガネノ? なんだそりゃ」

ロイ「ほら、君の頭髪は見事な金髪だろう? だから、黄金色の君、という意味たよ」フッ

リザ「奪還作戦が終わってから、大佐ったら必死に考えてたのよ。エドワード君の呼び方どうしよう、ってね」クスッ

ロイ「わ、わぁ、中尉っ! あることないこと話すんじゃない!」ワタワタ

リザ「リザ、とお呼びになるのでは?」

ロイ「……リザ」

リザ「全くもう……あら? エドワード君、どうしたの? 苦豆を噛み潰したみたいな顔をして……」

ロイ「ブフッ」

エド「苦豆ってなんだよ……いや、こりゃいい嫁さんになるんだろうなってね……」ゲンナリ

エド「んで?」

ロイ「ん?」

エド「アンタらはどうやってコッチに?」

マスタングの表情が曇る。

ロイ「君が失踪してから様々な事件があった」

ロイ「アルフォンス・エルリックはリバウンドで右腕を失い、機械鎧を装着するようになった。君の知人ピナコ・ロックベル氏のものだ」

エド「アル……すまねぇ……」

ロイ「そして四年後、アルフォンス・エルリックは国家錬金術師となった」

エド「なッ!?」ガタッ

ロイ「渾名は…………」


エド「……」ゴクリッ


ロイ「鋼の、錬金術師」

少しでしたが、今はここまで。
昼過ぎにでもまた。

アルフォンス・エルリック、自らの弟は元の世界で国の狗と詰られる国家錬金術師となっていた。
驚愕の事実に言葉を失うエドワード。
彼に真理は言った。「あちらでお呼びだ」と──。

次回、弟

エド「おい、焔の錬金術師さんよォ……、ナマ言ってんじゃあねえぞッ」ガタン

ロイ「君が信じないならばそれで結構」

エド「……それで?」ストン

立ち上がり啖呵を切るも、マスタングの眼は真実であると雄弁に語った。
信じる以外なく、エドは再び腰を下ろす。

ロイ「実はこちらに飛ばされたのは、私達東方司令部の面々だけではない。というより、東方司令部の面々ではない」

エド「?」

ロイ「今こちらにいる皆は、中央司令部勤務となったのだよ」

マスタングが言う皆とは、ホークアイ、ハボック、ファルマン、フュリー、ブレダのことであり、傷の男を含まない。

ロイ「中央司令部は酷かったよ。我々に情報はなかったんだが、セントラルシティは荒廃していた」

エド「ハァッ!? アメストリス最大都市だぞ!」

ロイ「ああ、私も目を疑った。が、現実だった」

ロイ「軍部は機能していなかった。街では犯罪が横行し、市内に血の流れない場所は中央司令部くらいのものだったよ……」

リザ「あれは酷かったわ。私も赴任初日に暴漢に襲われてね」

エド「なッ!? 大丈夫だったのか!?」ガタッ

リザ「まぁ、これでも軍人だからね」クスッ

ロイ「局部に銃創があったらしいぞ……」ガタガタ

エド「!!! ……おっかねぇ……」ガタガタ

リザ「何か?」ニコッ

エド「何でもございませんんんんんっっ!」ピシッ

ロイ「ゴホン。……まぁ、それがな、私には理解の外だったんだが、鋼のに言わせると、セントラル市を巨大な錬成陣にしたのではないか、というんだ」

エド「街を……錬成陣……に……?」

巨大な都市。対価は街の悪漢達と先進技術。
一部の優秀な人材をこちらに送り込んだ、と仮定すれば、或いは。

エド「……なるほど……だがそんなことをすれば……でも……いや……だからって……」ブツブツ

ロイ「黄金の。おい。黄金の」

エド「……ッ、わかっちまったぜオイ……」

ロイ「ッ」

エド「おそらく主犯は大規模な組織。しかも生半可な錬金術師じゃない」

ロイ「ああ、鋼のは "ウロボロスを見た" と……」

エド「ウロボロス? 錬金術においては不死の存在を意味する……。不死者の集団? まさかな……」

エド「まぁ、そのウロボロスが狙うのは、おそらく国家転覆なんてチャチなモンじゃない。……新世界の創造だ」

ロイ「新世界の、創造?」

エド「ああ。セントラル市にはちょっとした外壁があるだろ?」

ロイ「うむ。真円形だな」

エド「それを錬成陣にした……と考えれば?」

ロイ「……ッ!」ゴクリ

マスタングの脳裏をある考えが過る。

ロイ「血で、錬成陣を描いたのか……!?」

エド「おそらくその通りだ。外壁を円。殺人で流れた血は錬成陣となる。そして悪漢たちや先進技術を対価に……くそ、とんだ下衆野郎だぜ……」

ロイ「は、はは……まったく恐ろしいよ……君の頭脳もな……」

エド「ところで、アルは?アルフォンスはどうしてる?」

ロイ「っ……そのことなんだがね……、鋼のとははぐれてしまったんだよ」

マスタングの言葉がすぐに頭に入らず、唖然とするエド。

エド「…………、な、なにいってんだ?アンタ……じ、じゃあ、アルフォンスは今、どこに……!?」

ロイ「……わからない……」

エド「わ、わからないってこたぁないだろ、なぁ……?」

ロイ「…………」

エド「な、なぁ中尉?」

リザ「っ…………」

エド「お、おい……何か言えよ……やめろって、クソ……冗談はよせよ……なぁ!!」バンッ

ロイ「……事実だよ、黄金の……」

エド「テメェッ!!」グッ

マスタングの胸ぐらを掴み立ち上がるエド。

ロイ「ぐっ……! すまなかった……私が目を離した瞬間にはいなくなっていたんだ」

エド「目を離した、瞬間……?」パッ

ロイ「あ、あぁ。ほんの数秒の出来事だった」

エド(ほんの、数秒? ……それで人が消える? 何かが腑に落ちねぇ……)

エド(何か、重大なことを忘れてんじゃないか……?)

エド(まるで、そう……んッ?)

エド「こっちに来たってことは、大佐も扉をくぐったのか?」

ロイ「扉?」

エド「真理の扉だよ!」

ロイ「いや、知らんな……」

エド「どうなってんだ……」

エド(そういや、真理の扉を開いた時、俺は対価を払ったか?)

エド(あれだけの情報量だ。きっと対価は莫大。例えば……人体の一部……とか)

エド(アルは右腕を失ったらしい。その時に真理の扉を開いたハズ……。なら俺は?どうなってる?どうなってるんだ?)

エド(俺は何を以て扉を開いた? 俺は"何を持っていかれた"?)

エド(恨むぜ、真理。俺に何か教えてくれてもいいだろうよ。何だ、何を奪った?)

思考は堂々巡り。答えは出ない。

エド(いや待て。もし、何も支払わなかった、とすれば? なら俺は何を対価に──)

ロイ「黄金の!黄金の!おい豆!」

エド「だぁぁれが豆粒どチビの錬金術師じゃぁぁぁぁぁぁぁあいいっっっ!!!」ドバ-ン

ロイ「うむ、君だよ」

リザ「自覚があるのね、エドワード君」

エド「」

ロイ「リザ。君のトドメはえげつないね」

リザ「何か?」ニッコリ

ロイ「なんでもないさ、あぁ」

エド「で、なんだよ大佐」

ロイ「額に傷のあるイシュヴァール人だが……」

エド「ん?あぁ、あの分解の」

ロイ「セントラル市で我々を襲撃してきた徒党のひとりなのだよ」

エド「なに?それは本当か?」

ロイ「ああ。どうやら巻き込まれたようだな……」

エド「しかしなんで軍部の襲撃を?」

ロイ「イシュヴァール人だぞ。理由は明白だろう」

エド「いや、そうだけどよ……」

ロイ「気持ちはわかる。納得がいかないのもな。たが、そういうものなんだよ……」

話が思いつかないのでここまで。
age忘れてたことに今気付いた次第。

今日はsage更新でちょっとずつ書きます。

コンコン

ロイ「誰だ」

ハボック「ハボックでありまーす」

ロイ「入れ」

ハボック「失礼します」ガチャ

エドの見慣れない、金髪で長身の男性。
おそらく初めてマスタングと会った際にはいなかったのだろう。

ロイ「こちら、ジャン・ハボックだ」

ハボック「よろしくな、エドワード君」

エド「どうも」ペコ

ハボック「早速だけどエドワード君、話がある」

エド「え、俺?」

ハボック「そう。……人造人間(ホムンクルス)って、知ってるか?」

エド「ん、あぁ、実在するのかは知らねーが」

ハボック「実在する、らしい」

エド「!!」

ロイ「実はな、先程調査兵団から報告があった。兵士が一人、矛のようなもので心臓を貫かれて死んだ」

ハボック「最期の一言は、"蛇の女" だったらしい」

エド「蛇……ウロボロスか!?」ガタッ

ウロボロスは自らの尾を喰らう大蛇。
その図柄は永遠を表す。

ロイ「ウロボロスは不死の印、だったな」

エド「あぁ。……矛を使う武人か……」

リザ「わからないわよ」

エド「えっ?」

リザ「例えば体を変質させる能力を持っているかもしれないわ」

ロイ「なるほどな……ホムンクルス、未知の存在故に何があっても不思議じゃない……か」

鋼の面子の話だけで風呂敷が……

そもそもエルリック兄弟がマスタングに会うのは人体練成失敗後だろ
人体練成失敗時に転移してんならマスタングにはいつ会ったんだよっていう

─同刻、調査兵団本部

エルヴィン「ライナー・ブラウン」

ライナー「ハッ」

エルヴィン「君は、何者だ?」

ライナー「っ、兵士、です……!」

調査兵団長 エルヴィン・スミス。
その名の通り、三兵団がひとつ調査兵団を率いる兵団長である。

エルヴィン「ならば、アニ・レオンハート。君は?」

アニ「……兵士、です」

エルヴィン「ほぉ……」



エルヴィン「ではエレン・イェーガー。君はどうだ?」

エレン「俺は……」グッ

緊張が走る。

エレン「俺は……!」ググッ

エレン「人間、です……!!」


エルヴィン「ふむ、悪くない。君達は我ら人類種の希望の光となるだろう」

人類は巨人に勝てない、と言われ続けてきた。
しかし、予期せぬ形で最終兵器は生まれた。
それは偶然か、あるいは。

エルヴィン「君達を審問会にかけねばならない。もちろん、我々は君達の存在を歓迎したいのだが、実際問題そうもいかん」

ライナー「と、言いますと?」

エルヴィン「内地のやつらは黙っていないんだよ。やれバケモノだ、やれ倫理性だ……彼らは新たな存在を認めたがらないんだよ」

アニ「は、馬鹿馬鹿しい」

>>251
ほんともうどうしようね

>>252
まぁそんなわけで変わってます

エルヴィン「だからこそ君達に問いたい。特に二人はよく知っているんだろう、巨人の秘密を」

アニ「私は覚えていない」

ライナー「わかった、俺が話そう」

アニ「任せたよ」

エルヴィンが目で促すと、ライナーが口を開いた。

ライナー「まず、俺とアニ、そしてベルトルト・フーバーの三名は同じ村落の出身で、幼馴染みだ」

ライナー「シガンシナ区陥落の二週間前、俺達は医者のティム・マルコーに呼び出されて、赤い液体を注射された」

エレン「赤い液体?」

ライナー「ああ。血のように赤い液体だ。それを打ち込まれた途端、体が燃えるように熱くなり、血反吐を吐いて転げ回ったよ」

エルヴィン「それで?」

ライナー「それで、気が付けば俺達は壁外に運び出されていた……そしてマルコー先生の姿はなかったが、俺は見知らぬ医者に診察されて……」

アニ「そこからは私も覚えてるよ。医者は私の幼い体に杭を打って笑った。 "真のバケモノの誕生だ" ってね」

ギリ、とエレンが歯を食い縛る。彼は幼い少年少女にそんなことをした医者が許せなかった。

アニ「自分の手を口に突っ込まれて、医者に言われたよ。"私を殺すと念じながら手を食いちぎれ"」

エルヴィン「……ふむ」

アニ「私達は、医者を殺していた」

エレン「!!」

アニ「正確には、医者は巻き込まれて死んでいた。私達の巨人化によってね」

夏休み入ったのでちょっとずつ書くよ。

>>254修正
─同刻、地下牢

エルヴィン「ライナー・ブラウン」

ライナー「ハ」

エルヴィン「君は、何者だ?」

ライナー「っ、兵士、です……!」

調査兵団第13代団長 エルヴィン・スミス。
その名の通り、三兵団がひとつ調査兵団を率いる兵団長である。

エルヴィン「ならば、アニ・レオンハート。君は?」

アニ「……兵士、です」

エルヴィン「ほぉ……」



エルヴィン「ではエレン・イェーガー。君はどうだ?」

エレン「俺は……」グッ

緊張が走る。

エレン「俺は……!」ググッ

今度は間違えない。

エレン「人間、です……!!」


エルヴィン「ふむ、悪くない。君達は我ら人類種の希望の光となるだろう」

人類は巨人に勝てない、と言われ続けてきた。
しかし、予期せぬ形で最終兵器は生まれた。
それは偶然か、あるいは。

エルヴィン「君達を審問会にかけねばならない。もちろん、我々は君達の存在を歓迎したいのだが、実際問題そうもいかん」

ライナー「……と、言うと?」

エルヴィン「内地のやつらは黙っていないんだよ。やれバケモノだ、やれ倫理性だ……彼らは新たな存在を認めたがらないんだよ」

アニ「は、馬鹿馬鹿しい……」

>>256訂正

エルヴィン「だからこそ君達に問いたい。特に二人はよく知っているんだろう、巨人の秘密を」

アニ「私は覚えていないね」

ライナー「わかった、俺が話そう」

アニ「任せたよ」

エルヴィンが目で促すと、ライナーが口を開いた。

ライナー「まず、俺とアニ、そしてベルトルト・フーバーの三名は同じ村落の出身で、幼馴染みだ」

ライナー「シガンシナ区陥落の二週間前、俺達は医者のティム・マルコーに呼び出されて、赤い液体を注射された」

エレン「赤い液体?」

ライナー「ああ。血のように赤い液体だ。それを打ち込まれた途端、体が燃えるように熱くなり、血反吐を吐いて転げ回ったよ」

エルヴィン「それで?」

ライナー「それで、気が付けば俺達は壁外に運び出されていた……そしてマルコー先生の姿はなかったが、俺は見知らぬ医者に診察されて……」

アニ「そこからは私も覚えてるよ。医者は私の幼い体に杭を打って笑った。 『真のバケモノの誕生だ』」

ぎりり、とエレンが歯を食い縛る。彼は幼い少年少女にそんなことをした医者が許せなかった。

アニ「私の手を無理やり口に押し込んできて、医者は言った。『私を憎め。憎しみを以て手を噛みちぎれ!』って。狂人じみた笑みを浮かべて、ね」

エルヴィン「……ふむ」

アニ「医者は死んだよ」

エレン「!!」

アニ「正確には、気が付いた時には死んでいた。私達の巨人化に巻き込まれてね」

エルヴィン「ふむ。では、その医者らに注射された液体こそが、巨人化の秘密だ、と」

ライナー「はい、俺達が知っているのはそれくらいです」

エルヴィン「自傷行為が覚醒の主因となっているんだったな?」

アニ「はい」

ふむ、とエルヴィンが黙り込む。

エルヴィン「その力、使いこなせるんだな」

ライナー「エレンとは、年季が違うんでね」ニヤリ

─一週間後、審議所

陪審員「これより、エレン・イェーガー、ライナー・ブラウン、アニ・レオンハートら三名の処遇について、審議を行う」


ザワザワ

「あれが、巨人兵か……」

「三人とも、化物みてぇな目付きしてやがるぜ」

「あぁ怖いねぇ。あんな悪魔が壁の中にいたなんて!」

ザワザワ

エレン「……」ギリッ

ライナー「抑えろ……」

アニ「チッ……」


陪審員「では、総統、司令ら四名は審議所へ」

陪審員「貴殿らは、公民に対し公正に審議に参することを誓うか」

ダリス「うむ」

ピクシス「うむ」

ロイ「えぇ」

ブラッドレイ「ああ」


ザワッ

陪審員「では後は、ダリス・ザックレー総統に委任したします」

ダリス「うむ、さぁ……始めようか」

ダリス・ザックレー。
三兵団をまとめる、実質上の最高司令者。

ダリス「三名ともに問う。諸君は公のために命を捧ぐと誓った兵士である、違わないな?」

エレン「は、はい」

アニ「……はい」

ライナー「はい、違いません」

ダリス「さて、聞いての通り、この審議は全て私に委ねられた。……君らの生死も、だ」

アニ「なっ……」

ダリス「異論はあるかね?」

ライナー「……ありません」

ダリス「察しがよくて助かるよ。異例の事態ゆえに通常法が適用されんでな……」

さて、とザックレーが三人をじろと見る。

ダリス「ある者は君達を『破滅に導く悪魔』といい、またある者は『希望へと導く救世主だ』という。君達の存在は、隠匿するには巨大過ぎた。この審議において決するは、君達の処遇をどちらの兵団に委ねるか、だ」

ナイル「……」

ダリス「憲兵団か」

エルヴィン「……」

ダリス「調査兵団か、だ」

ダリス「では、憲兵団から聞こうかな」

ナイル「は、憲兵団師団長 ナイル・ドークより、提案させていただきます」


ナイル・ドーク。
憲兵団師団長で、明晰な頭脳を持つ。
王の守護者の長たる実力者である。


ナイル「我々は、彼らの人体を徹底的に調査し、その後速やかに処分すべき、と考えております」

ダリス「ほう」

ナイル「彼らの存在はあまりに大きすぎます。よって、彼らの存在を公表するにあたり、研究中の事故による死亡と発表し、波紋を鎮めます。もちろん、できる限りの情報を残してもらった後に」

ダリス「ふむ……なるほどな」


ニック「その必要はない!あやつらは神からの授かりものである壁を欺いた重罪人だ。今すぐ処刑すべきだ!」

ダリス「司祭」

ニック「なんだね、総統!」

ダリス「静粛に、願いますぞ」ギロ

ニック「ッ……」



ライナー「宗教、だったか?」ボソ

アニ「あぁ。意地汚いやつらだよ」ボソボソ

エレン「五年前までは異端者だったのにな」ボソボソ


アニ(……あんたも、ね)クスッ

ダリス「では次は、調査兵団」

エルヴィン「は、調査兵団第13代団長 エルヴィン・スミスより進言します」


──その力、使いこなせるんだな?

──ならば、我々は諸君を──

──盲信しよう。


エルヴィン「我々調査兵団は、彼らを正式に団員として迎え入れ、巨人の力を利用し、ウォール・マリアを奪還します、──以上です」

ダリス「ん? 終わりかね」

エルヴィン「はい。概要としてはそれだけで十分かと判断しました」

ダリス「ふむ、面白い」

エルヴィン「彼らの力を借りれば、ウォール・マリアは奪還できます。何を優先すべきか、──閣下ならお間違えにはならないかと」

ダリス「……そうか」ジロ

エルヴィン「なお、トロスト区の壁は完全に封鎖されたため、東のカラネス区からの出発を希望します」

ダリス「ふむ、いけるのかね、ドット?」

ピクシス「彼らを信ずるしかあるまいな」

エルヴィン「いくら元は壁内とはいえ、五年も経てば景観も変わりましょう。シガンシナ区までのルートは模索しなおすことになります」

ダリス「そうか……まぁ、それについては大した問題ではない、か」

ピクシス「うむ、彼ら調査兵団は精鋭じゃて、憲兵団にも劣らん実力者集団じゃよ」

平民「ちょ、ちょっと待った! 今度こそ全ての扉を封鎖すべきじゃないのかっ?」

ダリス「……発言を許可しよう」

平民「ありがとう、総統! 超大型巨人が破壊できるのは、扉だけなんだろう? それさえ塞いじまえば、これ以上攻めいられることはないはずだ!」

エルヴィン「しかし、増え続ける人口を今の領土内に収めるのは、じきに難が生じます」

平民「こッの……! そこまで土地が欲しいか、商会の犬め!」


ライナー「保守派、か……」ボソ

アニ「気持ち悪い豚め……」ボソ

エレン「うるせぇオッサンだ……」ボソ


平民「お、おまえらは、出来もしない理想を語って、私達市民を破滅に追いやるだけだ! これ以上おまえらの英雄ごっこには付き合ってられん!」


リヴァイ「よく喋るなァ……豚野郎」ギロリ

平民「ひぇっ!?」ビク

リヴァイ「扉を埋め固めてる間に巨人が待ってくれる保証がどこにある?」

平民「わ、私達は扉さえ封鎖しちまえば助かる、って話しただけで……」

リヴァイ「てめぇらの言う『私達』ってのは、『オトモダチ』の話だろう? 土地が足りずにその日のメシにも困ってる人間はてめぇらには見えないだろうさ……」

平民「そ、そんなつもりは……」


エレン「なんなんだよさっきから……」ボソ

ライナー「人間ってのはさ、こういうものなんだよ」ボソボソ

アニ「私達が命を張ってても、やつらにとっちゃ利益が一番心配なのさ」ボソボソ

エレン「どうして俺達を信じてくれねぇんだ……」ボソッ

ダリス「やれやれ……静粛に。話を進める」

リヴァイ「は、失礼しました」

ダリス「次に、エレン。君に聞きたい」

エレン「ハイ」

ダリス「君は兵士として人類に忠誠を誓い、巨人の力を人類に捧げられるか?」

エレン「は?……はい、できます!」

ダリス「ほーぅ?」ジト

エレン(えっ? なんかマズったか……?)

ダリス「今回の報告書には『巨人化の直後、アニ・レオンハート、ライナー・ブラウンに対し拳を振り抜き暴走。その後ミカサ・アッカーマンに対しても拳を振り抜いたため、アニ・レオンハートとライナー・ブラウンが巨人化し、暴走を鎮圧した』と」


エレン「……?」


エレン「えっ?」


証人席にミカサやイアンらがいるのを認め、目で詰問する。
ミカサは苦々しげに首肯し、イアンを睨みつけた。

イアン「ほ、報告書にウソを書けってのか? この事実を隠すのは人類のためにならないんだよ……!」


エレン「ほ、本当、か?」ボソ

ライナー「あぁ、死にかけた」ボソ

アニ「やっぱり、記憶にないんだね」ボソ


ダリス「ミカサ・アッカーマン」

ミカサ「はい」

ダリス「君がそうか、綺麗な黒髪だ。東洋系だね?」

ミカサ「……どうも」

ダリス「さて。この報告は事実か?」

ミタビ「ごまかさずに答えないと、彼のためにもならんぞ」ボソッ

ミカサ「……は、事実です」

ミカサ「で、ですが、彼が巨人を撃滅、また壁を封印したのも事実です! そして彼は巨人化能力に不慣れなはずです、これらも考慮ください!」

ナイル「それはどうだろう。君がエレンに肩入れする理由がわかる以上、君の発言は客観性・公平性に欠けるのではないか? 君の素性を調べたら、六年前のとある事件の記録が見つかった」

ミカサ「!」

ナイル「驚くべきことに、エレンとミカサの二人は、当時九歳にして強盗殺人犯であり誘拐犯でもある、三人の悪漢を刺殺しております」

ザワッ

ナイル「うち一人は喉を一掻きで。 もう一人は胸部を挽肉のように。もう一人は後ろから心臓を一突きで、いずれも一振りのナイフで殺害しています」

ザワザワ

ナイル「ミカサは両親を殺され自身も拐われていますので、衝動的な行動と思われますが、エレンは……本人はたまたまだ、と言い張ったようですが、非常に計画的な行動です」

ナイル「よって、一部理解できる面もありますが、根本的人間性に疑問を感じます。彼に人類の命運を託すべきか……と」

平民「やっぱり化物じゃねーか……。ガキのフリしてやがるが、凶暴な本性は隠しきれなかったんだろ……」

ザワザワ

平民「あの女もそうだ、人間かどうか疑わしい!」


エレン「!! 違うッ」

ライナー「おい抑えろ!今は……!」ボソボソ

エレン「俺は化物かもしれませんが……、アイツは関係ありません!」

ミカサ「エレン……」

エレン「それにそうやって自分に都合のいい憶測で話を進めるのは勝手ですが、現実とかけ離れた議論は……無駄なんじゃないですか」

ナイル「こいつ……」

エレン「だ、大体あなた方は、見たこともない巨人の、何が怖いんですか?」

アニ「これ以上はマズイって……!」ボソ

ライナー「イヤ、言ってやれ……煮えくり返った腹の中身全部を……」ボソッ

エレン「力を持ってる人が戦わなくてどうするんですか! 生きるために戦うのが怖いってんなら、力を貸してくださいよ!」

平民「ひぃ……」

エレン「この、腰抜けどもが……!」

ナイル「!」

エレン「いいから黙って、全部俺達に投資しろォッ!!!」ガチャッ


鳴り響いた手枷の音に冷静さを取り戻したエレンは周囲を見渡して、後悔した。


エレン(マズイ……やっちまったか……?)


ナイル「構え!」

憲兵「ハッ!」カチャ

ドゴォッ!


エレン「ヴェッ」ドザァァッ


エレンの口から白い小粒が吹き飛び、床を転がる。
リヴァイの強烈な一蹴りがエレンの頬を打ったのだ。


ミカサ「歯ァ!!!!!!???」ガタッ

イアン「ちょ、待て!」ガシッ

イアン(なんて力だこの女ぁ……!?)プルプル


リヴァイ「躾に一番効くのは、痛みだと思う。持論だがな」ゲシッ ゲシッ

エレン「ブァッ、オブゥ」ドサッ

ライナー「」ビクッ

アニ「」ブワッ

リヴァイ「今、てめぇに一番必要なのは、『教育』ではなく『教訓』だ。おイタをすりゃ、俺に殺される──っていうな」ドゴッ

エレン「フーッ、フーッ……」ギロ


ナイル「!! ……待て、リヴァイ」

リヴァイ「あ?」ドカッ

ナイル「き、危険だ」

リヴァイ「は? 『危険だ』?」

ナイル「恨みを買って、そいつが巨人化したらどうするんだ……」

リヴァイ「何を言ってる? お前らはコイツを解剖するんだろう」

ナイル「え……」

リヴァイ「はっ……こいつをいじめたヤツもよく考えておけ。こいつは巨人化した時に二十もの巨人を駆逐したらしい。もしコイツが力を使いこなし始めりゃ、知恵がある分厄介だろう」


ニック「!」

ナイル「!」

平民「!」


リヴァイ「お前らは、本当にコイツを殺せるのか? まぁ俺の敵じゃねぇがな……」フン

エルヴィン「……と、ここで提案があります」

ダリス「ほう、想像はつくが、聞こう」

エルヴィン「エレンの力は非常に不確定な要素があり、その危険はライナーやアニの比ではありません。そこで、彼が我々の管理下に置かれた場合、リヴァイ兵士長を対策としてつけます」

ダリス「つまり、ブレーキ役に、ということかね」

エルヴィン「はい。彼は間違いなく人類最強の兵士。いざ、という時は彼がエレンを」

ダリス「できるのか、リヴァイ?」


リヴァイ「勿論。……殺すことに関しては。問題は、生け捕りにできるかはわからない、ということです」


ライナー(服従しよ)ガタガタ

アニ(もうやだ故郷に帰りたい)グスン


ダリス「議論も尽くされたな。さぁ、結論を出そう」


ロイ「お待ちください、総統閣下」

ダリス「マスタング将軍か、許可する」

ロイ「ハッ、ありがとうございます。 エルヴィン・スミス」

エルヴィン「ハッ」

ロイ「君は、内地の問題はどうするつもりかね?」

エルヴィン「はい、マスタング閣下。我々は決して内地の問題を軽んじているわけではありません」

ロイ「と、いうと? 何か案があるんだな?」

エルヴィン「はい。事態の沈静化を図るため、次回の壁外調査において彼らが人類にとって有益であることを証明します。証明された暁には彼らも文句は言えますまい」
けど
ロイ「なるほど、面白い。……とのことです、総統閣下」

ダリス「うむ、あいわかった」


ダリス「異論のある者は挙手せよ!」


シ-ン


ダリス「決まりだな」

ザワッ

ダリス「ダリス・ザックレーが命ず。エレン・イェーガーは調査兵団に託す! ただし、成果次第では調査兵団の立場も危ういことを努々忘れるでないぞ」

エルヴィン「ハッ」ビシッ

ダリス「では、審議を終了とする。 解散!」

>>271
ダリスのセリフ
ダリス「ダリス・ザックレーが命ず。エレン・イェーガーは調査兵団に託す!」


ダリス「ダリス・ザックレーが命ず。エレン・イェーガー、ライナー・ブラウン、アニ・レオンハートの三名の身柄は、調査兵団に託す! ただし、成果次第では調査兵団の立場も危ういことを努々忘れるでないぞ」

に修正で。

努々 は ゆめゆめ と読みます。
意味は大体わかるよね?
努々忘れるでない = よく覚えておけ
です!

─医務室

エレン「いてて……」

アニ「エレン、大丈夫かい?」グスッ

エレン「泣くなよ、大丈夫さ大丈夫」ハハ

アニ「な、泣いてない!」ベシッ

エレン「いてえっ!」

アニ「あっ、ゴメッ……」

ライナー(爆発しないかなー)


エルヴィン「ちょっと、エレン。すまなかったな」

エレン「あっ、団長……いえ、そんな……」

エルヴィン「しかし、君の本心を総統や有力者に伝えられた。効果的なタイミングで用意してあったカードを切れたのも、君のおかげだよ」ニコ

エレン「は、はぁ……」ゾク

エルヴィン「君に敬意を。これからもよろしく」スッ

エルヴィンは手を差し出し握手を求める。

エレン「は、はい、よろしくお願いします」グッ

エレンは思った。エルヴィン・スミスは怖い男だと。


リヴァイ「なあエレン」ドカッ

エレン「ふぉっ!?」ビクッ

リヴァイ「なんだその声……。 なぁ、俺を憎んでいるか?」

エレン「い、いえ!! 必要な演出だったと、判断してますっ……」ビクビク

リヴァイ「……ならいいんだ。すまなかったな」ポン

エレン「! ……いえ、よろしくお願いします!」

リヴァイ「ケッ、うるせえガキだ……」プイッ

ハンジ(ふふ、リヴァイ可愛いなぁ。さり気なくないけどさり気なく確認した気でいる! 可愛いなぁコイツ!)


ライナー「でも、限度ってもんが……」

ハンジ「ホントだよ。歯が折れちゃったんだよ、ホラ!」

リヴァイ「オイ、歯なんて拾ってくんな」

ハンジ「貴重な研究材料としてだよ~」

アニ「いや、歯が折れたことは大して問題じゃないんだけど……」

ハンジ「えぇー? 左の奥歯だよコレ。食べづらいじゃないか」

ライナー「……まぁ、見てもらえりゃわかりますよ」

一同がエレンの口を注視する。
僅かに湯気が立ち上っていることに気付いて、ハンジは飛びついた。

ハンジ「湯気が……く、口の中見せて!?」

エレン「ぇ、あーっ」

ハンジ「歯が……生えてる……」

ライナー「ホラ、ね」

リヴァイ「はっ、便利じゃねぇか……オイ……」


続く。

─翌日、古城

オルオ「旧調査兵団本部……古城を改装しただけあって趣ってやつは一人前だが、川や壁から離れているせいで廃棄されているワケだ」

エレン「……じゃあ今は……」

オルオ「あぁ、結成当初はこのお飾りがピッタリだった。……ま、これがてめぇらを囲うのに最適な物件になるとは、お上も思っていらっしゃらなかっただろうさ」ハッ

ペトラ「こらオルオ。鞍上であまり喋ると舌噛むよ」

オルオ「フッ、俺を束縛するつもりか、ペトラ? 女房を気取るにはまだ早いぜ」フッ

ペトラ「……ねぇ、昔はそんな喋り方してなかったよね? ……気持ち悪いからヤメテくれない?」

オルオ「なんだと? 調子に乗るなよ女ァ! 新兵テメェらもだ!」ズイッ

エレン「うぇっ?」ビクッ

アニ「めんどくさ……」ハァ

オルオ「巨人だかなんだか知らねーが、お前らみたいなションベン臭いガキどもにリヴァイ兵士長が付きっきりになるなんて──」ブチッ

息巻いたオルオの口元から血が滴る。割と激しく舌を噛んだらしい。

ペトラ「ほら見たことか。みんなも気を付けてね」ニコ

ライナー「はい!(結婚しよ)」

アニ「(ライナー兄ぃのスカタン、馬から落ちろ)」

ライナー「っ!?」ゾクッ

ペトラ「?」

ペトラ「さ、みんな。着いたよ! 馬から降りて!」スタッ

グンタ「あちゃぁ……」

エルド「うん?」

グンタ「久しく使われてなかったんで、……少々荒れてますね」

エルド「少々、ねぇ……」チラッ

調査兵団結成から幾数年経って廃棄された古城は、今や荒れ放題だった。

リヴァイ「そりゃあ重大な問題だな、チクショウめ。早急に取り掛かるぞ」バサッ


エレン「これが、リヴァイ班……」

アニ「あの舌噛んだヤツ以外は納得の人選ってカンジだね」

ライナー「ペトラさんも素敵な方だしな」ウンウン

アニ「削ぐよ? 蹴りで」

エレン「うわぁ……」


リヴァイ「バカやってないでお前らも来い。早く終わらせるぞ」

ライナー(掃除かよ……)パタパタ

ペトラ「ありがとう、ライナー。あなた背が高いから助かるわ!」

ライナー「あ、いえ、俺は図体のデカさくらいしか取り柄がないもんですから……」ハハ

ペトラ「ううん、少し話しただけでもわかる、君は優しい子だね!」

ライナー「ぐはっ」

ペトラ「えっ」ビクッ

ライナー「」

ペトラ「え、ライナー……?」アタフタ

アニ「削ごか?」ボソッ

ライナー「ハッ! スイマセンペトラさん! 最近疲れが溜まってたみたいでウトウトしてました!」シャキッ

ペトラ「うわっ、びっくりした! これからはちゃんと休みを取るようにね」クス

ライナー「はい!」

エレン「あ、兵長。上の階終わりました」ガチャ

リヴァイ「わかった、見てこよう」

エレン「お願いします」


エルド「失望したか?」

エレン「あっ、えっと」

エルド「あぁ、スマン。エルドだ、ヨロシクな」

エレン「こちらこそよろしくお願いします、エルドさん」

エルド「おう。で、だ。兵長はとんでもなく小柄だし、潔癖症だし、言葉遣いも汚いだろ?」

エレン「あぁ、確かに……」

エルド「そういうところに思うところはなかったか、ってな」ハハッ

エレン「イヤ……それよりも、上層部の取り決めに従順なんだな、って」

エルド「ん? あぁ、最強の兵士だから、お上の言うことなんざ聞かない、ってか」

エレン「ハイ。なんか、意外と従順だったので……」

エルド「昔はそのイメージに近かったのかもな」

エレン「えっ?」

エルド「スラム街育ちらしいんだ。それでエルヴィン団長が引き抜いたとかなんとか──」


リヴァイ「オイ」


エルド「っっっっ!!?」ビクッ

リヴァイ「? ……全然できてない。やり直しだ、エレン」

エレン「へ、ぁ、ハイ!」ダッ


エルド「」ホッ

リヴァイ「無駄口叩いてる暇あったら手を動かしたらどうだ?」ジロ

エルド「!? ハッ!!」

─夜

エルド「我々への待機命令はあと数日続くが、一月後には大規模な壁外調査があると聞いた」

グンタ「そりゃ本当か? ずいぶん急だな」

リヴァイ「立案は俺の担当じゃないが……ヤツのことだ、俺達よりずっと多くのことを考えているだろう」

エルド「確かに、これまでとはだいぶ状況が異なりますからね……」


オルオ「なぁ、未だに信じられんのだが、『巨人になる』ってのはマジなのか、気になるんだが?」オズオズ

グンタ「そりゃ俺もだ。詳しく本人から聞きたいね」

エレン「……なんていうか……うーん?」

リヴァイ「エレンからは何も聞き出せねぇよ。ソイツはついこの間力を使えるようになったらしいからな」

エレン「スイマセン……なにもお話できなくて……」

リヴァイ「イヤ、いい。そんなことより早く寝ちまえ。アイツが来たらお前寝れねぇぞ」

アニ「え、アイツって……」


ガチャッ!

ハンジ「ハァイ、リヴァイ班の皆さんこんばんは!!」



エレン「アー……」

アニ「おやすみ、エレン」ガタッ

ライナー「俺らもう寝るよ」カタッ

エレン「ちょ、待てよ! 俺も寝るって!」ドタバタ



ハンジ「……おろろ?リヴァイだけ?」

リヴァイ「就寝だ」

ハンジ「あちゃー、じゃあもう戻るねー」


ガチャ、バタンッ!




リヴァイ「……何しに来たんだアイツ……」

─巨大樹の森

ベルトルト「……俺は、何人殺したんだ……?」

エンヴィー「さーてね。訓練兵まで駆り出されて、可哀想にねえ……」ヘラヘラ

ベルトルト「ふ、ふざける、な……!」フルフル

ラスト「あら、震えてるの? 怖かったのね……」クスクス

ベルトルト「ふざけるなっ! 俺は……僕は、友達を、仲間を裏切ったんだ! 君達の指示を守って! それを他人事みたいにっ……」バンッ

エンヴィー「は?」ギロ

ベルトルト「ッ」ビク

エンヴィー「アンタさァ……、カンチガイしてない? 自分の意思でヤったんじゃないの?」

ラスト「それを私達に責任転嫁するなんて……ちょっとねぇ」

エンヴィー「デカい図体して、日和ったコト言ってんじゃないよ、アンタが選んだんだろ? 独りでもやり遂げる、ってさ」

ベルトルト「……そう、だね。すまない、頭を冷やしてくるよ……」

ラスト「物分かりがよくて助かるわ、いってらっしゃい」



エンヴィー「はー、しっかしまぁ、よりによってなんでアイツだけが残ったかねぇ、メンドくさいんだよね」

ラスト「いいじゃない。私はあのコ、嫌いじゃないわよ」

エンヴィー「従順な駒は嫌いじゃない、って?」

ラスト「そんなトコロ」クスッ

─古城地下

アニ「……」

ライナー「……」

エレン「……?」



アニライ「なんで一部屋しかないんだ……」


エレン「いいじゃねぇか、一緒に寝ようぜ」

ライナー「えっ」

エレン「え?」

ライナー「いや、俺は野郎だから構わないんだぜ? だがな……」

アニ「エレンと相部屋……エレンと相部屋……エレンと相部屋……エレンと相部屋……?」ブツブツ

ライナー「アニは女の子だぞ、エレン?(なんか真顔でブツブツ言ってるけど)」

エレン「? 俺ミカサと寝てたぜ?」

ライナー「いや俺もアニと一緒に寝たことはあるけども!」

エレン「ライナーは変なコト言うんだな」ハハッ

ライナー「コイツ、タックルしてやろうか……」イラッ

アニ「……私が異性として意識されてないのはよーくわかったよ、ウン……」ハァ

エレン「?」

─新兵勧誘式会場

エルド「果たして調査兵団に入団する酔狂なヤツがどれほどいるかな」

グンタ「なぁエレン。お前の同期に志願者はいたか?」

エレン「いますよ」

言い切って、エレンは逡巡した。
あの戦い、あの熾烈を極めた戦いで、巨人の脅威を目の当たりにした者は、もう戦えないのではないか、と。

エレン「いえ、いましたが、今はどうだか……」

グンタ「だよなぁ……」

サシャ「ジャン」

ジャン「あん?」

サシャ「どうして突然調査兵団に入るなんて言い出したんです? 怖く、ないんですか?」

ジャン「は? んなもん怖いに決まってんだろバカいうなバカ」

コニー「え? じゃあお前なんで?」

ジャン「別に巨人が怖くないから調査兵団に入るわけじゃねぇ。そんで、エレンのバカみたいに、強いやつが調査兵団に入るべきだ、なんて言わないぜ」

アルミン「……」

ジャン「いいか、くれぐれもだな、エレンみたいな死に急ぎ野郎と一緒にしてくれるなよ?」


駐屯兵「訓練兵整列! 壇上正面に倣え!」


クリスタ「行こ、ユミル」

ユミル「ん、あぁ」


ジャン「俺はな、誰かに説得されて命を懸けるんじゃねぇ。こればかりは、自分で決めずにゃやれねぇさ……。さぁ、いくぞ」

サシャ「……自分で、か……」

アニはエドとフラグ建っているかと思ったらそんなことはなかった

エルヴィン「私は調査兵団団長、エルヴィン・スミス。調査兵団の活動について、王より託された立場にある」


エルヴィン「諸君らは先日巨人の襲撃により、壁外調査に匹敵する経験を強いられた。かつて例がないことだ。巨人の恐怖も、己が力の限界も知ってしまっただろう」


エルヴィン「しかし、失った物も大きいが、我々はかつてない前進を得た。それは周知の通り、巨人化能力を持つ三名の存在だ」


エルヴィン「彼らや、諸君らの活躍により、我々は巨人の進撃を阻止し勝利せしめた。これの意味するところは、我々が百年に亘る巨人の支配から脱却する手がかりを掴んだ、ということである」


エルヴィン「我々調査兵団の使命は今や、壁外の未知を調査することではない。ウォール・マリアを奪還すること。そして壁内から巨人を駆逐することだ」


エルヴィン「トロスト区の扉が封じられたことにより、かつて四年を賭して作り上げたウォール・マリア シガンシナ区への道程は全て無駄になった。……その四年で、調査兵団の九割が死んだ」


エルヴィン「調査兵団は常に人員が不足している。壁外調査によるものだ。隠すことはしない。今期の新兵にも一ヶ月後の調査に参加してもらうことになるが、その死亡率は五割ほどだ。それを乗り越えた者こそが優秀な兵士となるのだ」


エルヴィン「この惨状を知ってなお、自らの命を賭してでも闘うという者は、この場に残ってくれ。自問してほしい、人類のために心臓を捧げる覚悟があるか、と」


エルヴィン「以上だ。……他兵団の志願者は解散したまえ」





エルヴィン「君達は、『死ね』と命ぜられれば、死ねるのかい?」



エルヴィン「……いや、いい。……あぁ、皆、いい表情だ」


立ち尽くし、敬礼を捧げたのは二十一名。


エルヴィン「ここにいる、総勢二十一名を新たな団員として迎える! これが本物の敬礼だ!」バッ


ザッ

エルヴィン「心臓を捧げよ!!」

一同「ハッ!」

ミカサ「…………」


アルミン「……、皆……」フルフル


エド「…………」シレッ


ジャン「あぁ、クソったれ……最悪だぜ、ジャン・キルシュタイン……お前の選択はよ。調査兵団なんて……チクショウ」


サシャ「嫌だよぉ……村に、帰りたい……」エグッ エグッ


コニー「村の連中見返してやろうと思ったんだがなぁ……もう何も考えないでいい、よな」


クリスタ「…………」フルフル


ユミル「泣くくらいなら、よしとけってんだ……」ハァ


ミーナ「エドもエレンも闘ってるんだ……アニだって……」グッ


フランツ「すまない、ハンナ。……俺は男なんだな……」グスッ


リン「俺も、ヤキが回ったかナ……」



エルヴィン「よく、恐怖に耐えてくれた。……心より、君達を尊敬する」


頭を振って彼は微笑んだ。




エルヴィン「地獄へ、ようこそ」フッ

木曜日、甲子園見てたら忘れてました、お久しぶりです。
今日はここまで。

明日は地元高?も出るので尚更更新減るかもです。ごめんなさい。

エルヴィンが怖い。
彼には潜在的に恐怖を覚えます。
そこを重点的に描きたい所存。

それでは次回予告だけ出して、おやすみなさい。


>>295,296
>>1に明言したとおり、カップリングはナシですからw
アニは2人ともに対して、『私にないモノを持っているヒト』という、ある種特別な感情を抱いている、ということで。

恋愛感情とかではないものの、今まで感情を殺してきたアニに芽生えたキモチに戸惑っている様子を描きたかったんですが、そんなモン無理でした。

ただ単にアニが好きなだけなんですがね。

【次回予告】


調査兵団に入ったのは、たったの二十一名。

一ヶ月後に控えた壁外遠征で彼らは生き延びることができるのか。

そして、壁の外で調査兵団を待ち構える脅威とは、『ただの巨人だけ』なのか……。

自由への進撃が、始まる。


次回、地獄の旅路。

ああ、エレアニ・エドアニについて、ちゃんと説明できてませんでした。

アニは、エレンとエドに対し、自分にないモノを持っている「意志の強いヒト」というイメージを抱いている。
エドやエレンに対してデレたりするのは、恋愛感情ではなく、友人・仲間として。

エドの口説き文句(偶然)に照れたのは、急に尊敬する友人から慣れないコトを言われた為。

エレンに対して「異性として~」と言ったのは、ただ単に彼に呆れてのこと。


以上です。

>>301
>アニ「女の子には、秘密があるのさ。アンタのこと、嫌いじゃなかったよ」


このセリフで勘違いするわ……
せめて「アンタみたいな人間に憧れていたよ」みたいならまだ勘違いしていなかったが……

>>303
アニに直接的なセリフを言わせるのは『なんか違う』気がしたので、妙にボカした物言いにさせてます。

まぁ素直なアニもかわいいんですがね

─ 一ヶ月後、カラネス区。

人類の尖兵たる戦士達が、門前に集まっていた。

調査兵「団長、間もなく!」


ロイ「付近の巨人はあらかた片付けたな」

リザ「そうです……ねッ」タ-ン


調査兵「開門三十秒前ェーッ!」


エルヴィン「往こうか、諸君! 我々は何の為に訓練してきたのか、よく思い出すことだ!」


調査兵「開門ッ!」


エルヴィン「第五十七回壁外遠征を開始する! 全軍、全速前進!!」


ドドドドドドドドド


エルヴィン「巨人が接近しても怯まず隊列を維持しろ!」


エルヴィン「目標ッ! シガンシナ区!!!」

─二日前

エレン「ほ、本気なんですか」

グンタ「ああ、そうらしいぜ」

エレン「俺達が、中心に配置される、って……」

アニ「安全でいいじゃないか」

ライナー「裏がありそうで怖いがな」

オルオ「ハッ、俺としちゃあ、貴様らみてぇな新兵が軍勢の中核ってのが一番怖いんだが?」

ペトラ「うるさい舌噛んで死ね」

オルオ「ペトラてめぇどういうつンモッ」ガチン

ペトラ「…………」フッ

オルオ「──~~っっ!!」ジタバタ

エルド「なんにせよ、俺達は上を信じるしかないさ」

ペトラ「そうそ。仕方ないのよ」

エレン「すごい信頼だ……俺も心底の信頼を置ける仲間が……ンッ?」

見覚えのある人影を見て顔を綻ばせるエレン。

ライナー「! あいつら……みんな調査兵団に入ったのか……」

オルオ「……同期か?」

エレン「えっ、ハイ」

オルオ「……さっさと行ってこい」

エレン「ハイ!!」


ペトラ「どーいう風の吹き回しぃ?」

オルオ「……新兵の死亡率は五割。エレンの同期も半分は死んじまう。……だからよ、俺だってたまにゃシッカリ考えてんだぜ……」

ペトラ「……割り切りなさいよ。じゃないと、死ぬわ」

オルオ「……ああ、わかってるさ」

エレン「おい、お前ら!」

アルミン「エレン!」

エド「お、久しぶり」

ミカサ「な、何かひどいことは、されなかった? 体を隅々まで調べ尽くされたとか精神的な苦痛を与えられたとか」ズイッ

エレン「寧ろ今お前から苦痛を与えられてるから。怖いからお前」ハァ

ミカサ「!?」ガンッ

エド「……とまぁ、俺らはいつも通りだ。お前らは元気でやってるか?」

アニ「そっちもこっちも、相変わらずだね」フゥ

ライナー「変わりないなー」

エド「いいことなんだか、悪いことなんだかな」ニシシ



ジャン「よぉ」

エレン「ジャン! お前も調査兵団に入ったのか?」

アニ「じゃあ、憲兵団に入ったのはマルコだけかい」

ミーナ「マルコは、死んだ」

アルミン「あぁ、死んでた」

アニ「……そう、かい」

コニー「マルコはまだいいよ。ベルトルトは死体すら出なかったってさ。……ホントに死んじまったのかなぁ」

ミーナ「……!」

アルミン「……コニー、この話はやめよう、ね?」

クリスタ「そうだよ、折角ライナー達と再会できたのに」

ライナー「天使だ」

クリスタ「へ?」

アニ「ライナー、ちょっとこっち」チョイチョイ

ライナー「ハイ」


バシィィィィイイインッッ


ライナー「ありがとうございますゥーッ!!」

アニ「ったく、クリスタを困らせてんじゃないよ木偶の坊」ゲシゲシ

ライナー「ホントごめんクリスタ」ドゲザ

クリスタ「う、うん」


エド「……相変わらず、だな」

アルミン「……相変わらず、だね」

ミカサ「チッ、何故エレンがあの女と……」

エレン「この間アニが昼寝してたから一緒に昼寝したら蹴られたんだけど、なんでだろうな」

アルミン「……なんでだろうね」ハァ

エレン「あいつだって、夜たまにベッドに潜り込んでくるのに、理不尽だよな」

エド「……リフジンだなー」ハァ

ミカサ「」

アニ「ああぁあ、アンタは何の話してんだいッ!!?」ドゲシッ

エレン「いてぇ!」


ライナー「アニは甘えん坊だか──ら?」メキョッ

エド「ライナァァァァッッ!!!!!」

アニ「甘えん坊じゃないっ! ライナー死ねっ」カァァァ

ライナー(何この子……可……愛い……)ガクッ

ミーナ(可愛い)

クリスタ(可愛い)

ユミル(おっかねぇ)

アルミン(怖い)

エレン(理不尽だ)



ミカサ「」

ユミル「あ、ミカサが息してない」

ミカサ「……エレン、どうして……」ブワッ

ユミル「…………」ポン

ジャン「ところでエレン。お前、巨人になった時、ミカサを殺そうとしたらしいな?」

エレン「……あぁ、本当らしい」

ライナー「そのことだが……エレンは巨人の力をまだ掌握しきれていない。巨人時の記憶がないってのは俺も経験があるからな、早く慣れちまうこった」

ジャン「……つまり、まだ使いこなせないし、自分でもよくかっていない、と」

エレン「……ああ、そうだな」

エド「聞いたかお前ら。これが現状らしいぜ」

ジャン「俺達と人類の行く末は、コイツらにかかってる。こんな不確定な力にな」

ミカサ「二人とも。 今ここでエレンを追い詰めることに、一体何の意味があるの?」

エド「あのなぁ、俺達はお前みたいに、エレンなら無条件で信じられるワケじゃないんだ」

ジャン「そういうことだ、だからな、俺達もエレン達も知っておかなければならないんだよ」

アルミン「僕達が何の為に命を使うのか、だね」

ジャン「ああ。じゃねぇと、いざって時に迷っちまう」


ジャン「だから、きっちり値踏みさせてもらうぜ。自分の命に見合うかどうかをな」

エド「ってわけだから、お前ら……死ぬなよ」ガシッ


エレン「あ、あぁ……」

アニ「アンタは私らが死なせやしないさ、安心しな」ポン

ライナー「任せろ」ワシワシ

エレン「うわぁぁぁ、縮むっ」


ジャン「はっ、まぁそんなわけでよ、頼むぜ」

エレン「あぁ、ありがとな!」

ジャン「な……、なんのことだかサッパリだ。ホラ早く行け!」プイ

エレン「ははは、またな!」

ジャン「おう、またな!」


サシャ「ジャンはホントにエレンが大好きですよね~……うわぁごめんな……さい?」

ジャン「わるいかよ、芋女」ニッ

サシャ「……わぉ……」

また今度。

アニ大好き。

─現在

ドドドドドドドドドドドド!!

エレン「オルオさんッ、俺の同期は、生き延びられますかね?」

オルオ「あぁ? んなコト知るか! 今回の壁外遠征は異常事態なんだよ!!」


 通常、壁外遠征においては巨人と激突せず、損害をなるべく抑える手段を取る。

 翻って今回は、巨人を発見次第、立体機動や火器で駆逐する。

 旅程は三日。

 たった三日でシガンシナ区へと到達し、巨人を駆逐する。

 それが今回の壁外遠征の目的であり、先遣隊が到着次第次の軍団を送り込む、総力戦であった。


エルヴィン「全軍! 長距離探索陣形、展開!! 南に突き進むぞ!」バッ


ドドドドドドドドドドドド!!


──これは今回の作戦のためにエルヴィン団長が考案した理論だ!

──ただただ全軍を密集させることで、巨人と遭遇次第撃滅し、突き進むための陣形である。

──そして索敵班の報告を受けて進路を逐次変更し、いち早く目的地へ到達する。

──お前達新兵には、この新たな陣形を熟知してもらう!


「巨人だーッ!」

「信号弾用意ッ、撃ェーッ!!」

カチャ、ドォォ!


──巨人を確認次第、赤い信号弾を用いて後続に伝達。

──撃破した際は、後続に対して安全を連絡するために黄色の信号弾を撃つ。


パシューッ、ザクッ!

「10m級巨人、一体撃破ァ!」

「後続に伝達しろォーッ」

カチャカチャ、ドォーンッ!


──障害に突き当たった際は、広範に展開した索敵班が黒い信号弾で団長に知らせる。


パカラッ、パカラッ!

「巨大樹の森か!」

「信号弾、撃ちますッ!」

カチャッ、シュドォォォ!


エルヴィン「ムッ、障害か!」

ハンジ「進路を変えよう」

エルヴィン「うむ。進路変更!!」

カチャンッ、ボォーッ!


──そして団長が緑の信号弾で進路変更を伝達。確認した班は広範に伝達するため緑の信号弾を撃つこと。

──遠征二日目


「!! 壁が見えた! 団長に早馬!!」

「了解、壁が見えた!」バッ



エルヴィン「ンッ、早馬か!」

伝令「伝令です! 壁が見えました!!」

エルヴィン「予定より早いな、幸先がいい! 全軍に伝達、壁に到達次第、壁沿いにシガンシナ区を目指す!」


リヴァイ「ペトラ、伝令頼む」

ペトラ「はい!」バッ


アニ「もう壁かい」

ライナー「早いな」

エレン「いいことじゃねぇか」

ライナー「どうだかな……」

──未明、壁上


エンヴィー「来てる来てる……」ニヤニヤ

スロウス「……めんどくせぇ……」

プライド「さて、私は地下に戻りますかね」

ラスト「私もパス。地下で朗報を待つわ」

グラトニー「じゃあ、おれも地下!」ダッ

グリード「仕方ねぇな、地下はてめぇらに任せた。もし俺達が負けたら……なんてな」ニヤリ

ブラッドレイ「うむ、では私も地下で待たせてもらおうか」

エンヴィー「はいはい、このエンヴィーにお任せあれ、ってね」バッ


 エンヴィーは、跳んだ。


エンヴィー「うっはぁー、風圧すげぇ!」

グリード「頼むぜ、エンヴィー!」

エンヴィー「はいよ!」ピカッ


 そして、着地の間際、その着地点に真紅の稲妻が墜ちた。


黒い巨人「さぁて、ひと暴れしますかね」ニィッ

グリード「っおー! 怖ぇー!」ゲラゲラ


 黒い巨人は、まだ日も明けない東の大地を見据えて、嗤った。

 黒い巨人、と言った。

 しかしそれは必ずしも正しくはない。

 爬虫類のような鱗を持ち、頭は黒髪を湛えた怪物のようだった。ギロと剥かれた目はまさに人のものではなく、突き出した口吻から覗く舌はざらざらとした質感をしているのが見て取れる。

 言わば、蜥蜴の巨人。『ナリ』は人型だが、それは巨人とは違う『ナニか』だった。

──遠征三日目、港湾区近郊

エド「なぁ、ジャン」

ジャン「あ?」

エド「なんか、おかしくねぇか」

 要領を得ない問に、ジャンは顔を顰めた。

ジャン「何が言いたいか、全くわからんね」

エド「……アレだよ。……もしかして20m級の巨人じゃないか、アレ……」

 エドが指さしたのは、黒い岩山のような隆起。ジャンは笑い飛ばした。

ジャン「は?……はっは、ありゃ岩山だろ! 馬鹿言うなよエド!」ゲラゲラ

エド「……この五年間、大きな地震はあったか?」

ジャン「? いや、ないな」

エド「地図を見てみろ。……ここは港の近くだ、倉庫しかないハズなんだよ……!」

ジャン「え……」

 そういいながら、岩山を通り過ぎる。


「おチビさん、大正かァ~い♪」


エド「……誰がチビだ、デカブツ」ギロ

ジャン「……マジかよ……」



リヴァイ「ケッ……ナメた真似しやがるぜ……」

オルオ「な、なんなんだアレ……デカい……デカいって……」


蜥蜴の巨人「ハァ~イ、調査兵団の皆さん。シガンシナ区をお探しのトコ悪いんだけど、僕の相手をしてもらうよ!」ニタァァ


蜥蜴の巨人「ま、死んでもらうんだけどサ」

エレン「!!」

ライナー「なんだよ、アレ……!」

アニ「やるしかないよ!」

リヴァイ「あぁ、やれッ!」


ガリッ

 三人が手を噛み、馬から跳ぶ。辺りには雷鳴が響き渡り、赤い稲妻が天を裂いた。


鎧の巨人「オォーッッ!」ドンッ

女型の巨人「アァーッ」ドンッ

黒髪の巨人「ウゥォォーッ!」ズンッ


蜥蜴の巨人「くく、いただけないなァ、そういうの。……正義ぶっちゃって……!」ギロ


蜥蜴の巨人「妬いちゃうよ、君達の愚かしさ! まるで自分達は正義だ、って言わんばかりのさ……」


エレン(なに言ってんだ、こいつ……! 理不尽に人を殺してるのは巨人だろうが……ッ!)


蜥蜴の巨人「世界を『こう』したのは、君達……人類だっていうのに」


エレン(!?)


蜥蜴の巨人「エレン……動揺してるんだ? やっぱり知らなかったんだ? くくっ、滑稽だなァ……。 もしかしてこの場で真実を知るのは──」


エルヴィン「……」


蜥蜴の巨人「──アナタだけ、なんじゃないかな? ……エルヴィン・スミス団長」ニヤァ



ザワ、ザワザワ

リヴァイ「エルヴィン」

エルヴィン「……なん、だ?」


リヴァイ「知っていることを、話せ」チャキ


 エルヴィンは当初、答える気など毛頭なかった。
 しかし、うなじに押し当てられたブレードの薄ら寒い恐怖が、彼の口を自然と開かせた。


エルヴィン「……き、巨人を生み出したのは、百年前の人類だ。クセルクセスという国で、不老不死の研究が行われていた、その過程で生じた──『廃棄物』だったらしい」

ザワッ

蜥蜴の巨人「みんな、聞いたかい? エルヴィン団長は全て知ってたんだ! ……何故か。 それは、彼こそが──」

エルヴィン「やめろっ!」




蜥蜴の巨人「──クセルクセスの民の、末裔だから、サ」ニヤッ


ザワザワザワザワ


エド(くせる、くせす……だと?)

リン(……異世界だと思っていたが、どうやら本格的にワケがわからんゾ……)


蜥蜴の巨人「あ、そうそう」


ザワ……



蜥蜴の巨人「この『壁』を築いたのは、クセルクセスの民だ。巨人の特性を利用して、ね」

グリード「おい、喋りすぎだぞ馬鹿」ノソッ

蜥蜴の巨人「うわ、耳元で喋らないでよ。くすぐったくて仕方ない。……『お父様』に怒られちゃうから、ボクからのお話はここまでだ」


蜥蜴の巨人「で、どうする?」

グリード「戦うか、帰るか……、選べよ。ニンゲン」ニィッ


エレン(んなもん、決まってんだろ……!)ジリッ

「に、逃げよう」

エレン(えッ)


「だ、団長は俺達に大事な秘密を隠してたんだ!」

「まだいくつ隠してるか、わかったもんじゃない……!」


エレン(なん、で……? 巨人から、逃げるのか?)



クリスタ「あわわ……ど、どうしよ……」

ユミル「チッ、余計なことしてくれやがって……」ザッ

ミカサ「! ユミル?」


蜥蜴の巨人「……ん? おや、ユミルじゃないか」


ユミル「やぁ、久しぶりだね、『嫉妬』」


クリスタ「ユミル!?」

ミカサ「黙って……」ボソ


ユミル「相変わらずネチネチと、うざったいヤツだなアンタは!!」


蜥蜴の巨人「……あ?」ギロ


ユミル「ここで堂々発表させてもらうがな、私ゃ巨人になれる! ついでに私もクセルクセスの民だ!」


ザワッ


ユミル「何故隠していたかって? そりゃ私にとってこの二つこそ、最後の切り札だからだ!」


蜥蜴の巨人「ふぅん……」


ユミル「調査兵団の団長ともなりゃ、数多くの手札があるはずだろ! すなわち、有効なタイミングでカードを切るためにゃ、私らに公開しない方がいいってこともあるはずじゃないのか!」


ユミル「アンタらは誰に心臓を捧げた!? 誰を信じて心臓を捧げた!?」


クリスタ「!! だめっ、ユミル!」ダッ


ユミル「甘ったれたこと、抜かしてんじゃねーよッッ!」ガリッ


 眩い閃光に包まれ、そこに現れたのは──


黒目の巨人「ハァ-、ハァ-!」ノシッ


 ──4mほどの大きさの頭を持つ、10m級の中型巨人だった。

蜥蜴の巨人「あっれぇ~? ユミル、『死に過ぎた』んじゃない?」


黒目の巨人「ウル……サイ」


蜥蜴の巨人「『昔』はもっと、スレンダーな体してたような気がするんだけど」クスクス


黒目の巨人「ウル、サイ!」ギロ


エド(『死に過ぎた』……つまり、やつら巨人は『不死身』じゃなくて、『何度も死ぬことができる』と考えられる)

エド(それとも、あのバケモノによる情報攪乱……その可能性はある……が、信じるしかねえよな)


蜥蜴の巨人「すっかりブスになっちゃってさァ、あんなに可愛かった王女様が」


黒目の巨人「ンッ、アアッ! うるせーっつってんだろーがッッ!」バキィ


 黒目の巨人はその不格好な体躯から出されるには予想外な瞬発力で、蜥蜴の巨人に肉薄し、その脚を払った。


蜥蜴の巨人「調子に乗るなよ、ニンゲン風情が……!」


黒目の巨人「ア、あ……!!」


蜥蜴の巨人「僕の、私の、俺の、一部になりなよ。まだ、足りてないんだ」

色々謎だな……
これ、アルフォンスが最終回辺りぐらいしか出てこれなさそう

蜥蜴の巨人「クセルクセスの民……生き残ったヤツで、まだ『食べて』ないの、キミだけなんだよねェ……!!」


黒目の巨人「ア……ァ……!!」ガタガタ


 黒目の巨人の体が、ボロボロと崩れ落ちる。
 ズルリ、とうなじから転げ落ちたユミルは、普段の不敵な表情ではなく、恐怖を、ただただ恐怖を、その顔に浮かべていた。


ユミル「く、来るな……やめ、やめろ……」

ユミル「こ、腰が抜け……て……ッ!」ズリ…ズリ…


蜥蜴の巨人「さぁーて」グパァ


ユミル「ひぃぃぃ……、やだよ、助けてくれ! 誰かぁ……クリスタ! エレン! エドぉッ!」

ユミル「私が何したってんだよ、ちくしょぉ、誰か、助けてよぉ……」ガタガタ



クリスタ「ゆみ、ゆみる……!」ガタガタ

コニー「助けろって、どうしろっつーんだよ……」

ジャン「き、巨人なんか助けられるかよ……今まで隠してた癖に……」

ジャン「つ、つーか、なんでエレンたちは動かない? 何してんだアイツら……」ガタガタ

エド「女によォ、ジャン」

ジャン「あ?」

エド「……助けてくれ、なんて言われちまったらさ」

ジャン「えっ?」

クリスタ「エド!?」



エド「いかねーわけにゃ、ならねえよな」ニィッ


ジャン「なるなるなるなるなる!!」

エド「はぁ!?」

ジャン「お、俺は行かねぇ! 死ぬのはゴメンだ!」

エド「好きにしろ、オレはやるぜ」



蜥蜴の巨人「いっただっきまぁぁーす」ゴァッ

─軍部

ロイ「リザ、どう思う」

リザ「はい?」

ロイ「あぁ、すまない。エドワード・エルリックのことだよ」

リザ「エドワードくんの、というと?」

ロイ「こちらの世界は、錬金術は使えんだろう?」

リザ「そのよう、ですね」

 だからだ、とマスタングは言葉を継ぐ。

ロイ「カルラ・イェーガーを救出した際、彼は錬金術を用いた」

ロイ「彼は何か、我々……並の錬金術師には到れない境地に達していたのではないか」

リザ「……」

ロイ「それが、大総統の言っていた『真理の扉』なのではないか……と考えていてね。君の意見も聞きたかったんだが、錬金術には明るくなかったな」

リザ「いえ。……ただ、その考え方はひとつ、大きな穴があります」

ロイ「はて?」

リザ「エドワードくんは、この五年間に一度も錬金術を使えていません。何か『コツ』を掴んだなら、今日まで使っていることでしょう」


 確かに、それはロイとて考えなかったではない。
 しかし、仮に、仮にだ、『火事場の馬鹿力』で『それ』が適ったのだとすれば……。


ロイ「確かに、な。……全く、果たしてどうなるやら、一切読めんよ」

リザ「でも、ロイ……愉しそうだわ」クス

ロイ「この世の終焉を迎えるやもしれんのだ、愉しまずにはいられんさ」フッ

─港湾区近郊

蜥蜴の巨人「いっただっきまぁぁーす」ゴァッ


エド「待てよ」ザッ

ユミル「ぁ……」


蜥蜴の巨人「なんだよ」


エド「来いよ、バケモノ」ニヤリ


蜥蜴の巨人「え? なになに? キミさ、まさか生身で『ヤろう』なんて思ってないよね?」


エド「だったらどうした?」


蜥蜴の巨人「バッカじゃないのー? フッ、フフフ、アーッハッハッハ!!」


エド「お前よりは、賢いと思うぜ」ニイッ


蜥蜴の巨人「……調子に乗ってくれちゃって」


 パンッ!!


蜥蜴の巨人「いッ!? まさか錬成できるの!?」



エド「なーんてな」



 ドゴォッ!!!


蜥蜴の巨人「ふぇヴッ!!!?」ズドォン



黒髪の巨人「オゥァァァーッ!」


エド「ナイスだエレン!」グッ

エド「だから言ったろ、お前より俺のが賢いってよ」

蜥蜴の巨人「クソが……」



蜥蜴の巨人「ナメてんじゃねーぞォ、ニンゲンがァァァーッ!!!」ゴォッ


 ドゴォォッ!!


蜥蜴の巨人「サマーソルトォ!?」ドゴ-ッ


女型の巨人「……」ニヤリ



蜥蜴の巨人「クソったれ! お前アニか! 許さn」


 ズドゴォーンッ!

蜥蜴の巨人「タックルしかできないじゃんお前ーッ!!」ビタ-ン


鎧の巨人「ゴァーッ!」



蜥蜴の巨人「……もぅ……やだ……」ピクピク


エド(……かわいそうになってきたわ……)


エド(……つーかお前ら今まで何してたんだよ……)

クリスタ「ユ、ユミル! 怪我はない!?」

ユミル「あ、ああ……」

コニー「ほら、肩貸すからこい」

ユミル「ぁ……ありがとう……」ボソッ



ジャン「後ろッ!!」


 ユラァ……


蜥蜴の巨人「けってーい。 キミたちはー……」


 蜥蜴の巨人が、人の体へと戻っていく。


エド(エレンみたいな巨人化人間じゃない……コイツ、変身能力があるのか?)


エンヴィー「死刑ね」ギロ


グリード「へへ、付き合うぜ兄弟」

エンヴィー「下がれ、『強欲』……! コイツらは、このエンヴィーがブチコロスんだ……!」


グリード「! ……ハッ、好きにしな」


グリード「じゃあ……まぁ、アバヨ」


エンヴィー「殺す、殺してやる、エドワード・エルリック……!」

エンヴィー「このエンヴィーを、このエンヴィーをっ、こ、虚仮にしやがって……!!」


エンヴィー「ブ……ブ、ブチ殺してやるよォーーッ!!!」


エド「っひゃー、怖ェ……」



リヴァイ「おいエド。誰が呼んだか知らんが、通常種の巨人が大量発生した。この場は任せるぞ」

エド「了解……!」

ついに本性を表した『嫉妬』!!
立ち向かうは、生身のエドたち!!
不死身のホムンクルスを、打ち倒す術はあるのか?

そして蠕く陰謀。

世界が終わる時が来る。


次回『終わりの始まり』

なんか久々にあとがきというかシメをつけました。
しかも次回サブタイは中二病定番の『終わりの始まり』


お久しぶりですゴメンナサイ。
FF14が楽しいのでチョット間が空いてます。


なんか間が空きすぎて、自分の中で描いてた展開を忘れてしまいました。
そして何を血迷ったか、ユミルがクセルクセスの姫だった説を展開。
百年前に滅んでんだからありえねーだろオイ!

ヤバイ続かない。
しかも大佐いないからエンヴィー焼けない燃やせない。
どうしよう。

また後日続きを書きます。

質問あれば、自分の理解できてる範囲内で随時お答えします……。

>>326
なんか着々と話は終わりに向かってる感があるのに、アル出せなくてヤバイです

あとキャラ出し過ぎて全員空気。

─十分後、港湾区近郊

「まだまだヌルいね。百人くらいなんてコトないよ……」


「さ、おいでよ」



「ボク達と『ニンゲン』の格の違いってーのを」



「たくさん教えてアゲルからさぁ!!」ニタァ


アニ「なんだい、『アレ』……」ゾワ

ライナー「何やってんだよ、普段威張り散らしてる先輩方は……!」


 死屍累々。砕け散った闘志が荒野を紅く染める様に、新兵はただただ恐怖した。


エド「……ッチ、やってみるっきゃないな!」

ミカサ「エド!?」

アルミン「エド! やるんだね、今、ここで!」


エンヴィー「さあ、次は君達だよ、新米さん達」


エド「今できなきゃ、いつできるんだよ……!」パァンッ


 シーン……


ライナー「な、なにをやるんだ!?」

アルミン「……無理、か」

アニ「何が!!」


エンヴィー「プフッ! なんだよ、やっぱりできないんじゃないか!」ノシッ、ノシッ



 ドクン。ドクン。

エド「!」

エド(やべえ……死っ……!!)ゴク…

エンヴィー「さぁ、死んでよ!」ゴォッ






 ズドン!

 大地から生まれた矛がエンヴィーの腹を貫く。


エンヴィー「ぐッ!?」グシャッ


「俺の息子が世話になったな、『嫉妬』」


「遅くなってすまない」


エンヴィー「ア、アンタは……!」ゲホッ


 ズドンッ!!


エンヴィー「ォヴッ!!」ゴハッ


エド「あ……アンタは……!!」

「うん……久しぶりだな、エドワード」ニコリ

エド「ヴァン・ホーエンハイム……ッ!!!」ギロ

ホーエンハイム「…………」

エド「な、なんだよ」


ホーエンハイム「……父さん、って呼んではくれないのか……」ガ-ン


エド(何言ってんだコイツ……!)ゴ-ン

>>340
ミス。
エド「ア、アンタは……」

エド「!! ……お前は……ッ!」

エド「ホームレスッッ…!!」

>>342

ホーエンハイム「…………」

エド(言いやがった、言ってはいけないことを)ニヤニヤ

エンヴィー(やばい、これこのエンヴィーに八つ当たりくる)ガタガタ

ホーエンハイム「まぁ確かに家はないしな」ハァ

エド「!?」


ホーエンハイム「エドがこっち来た直後にアルが焼いたよ」ショボン


エド「おぎゃぁぁぁ!!?」


~~~~~~~



アル「へっくし!!」


アル「うーん、風邪ひいたかなぁ」ズビビ

ついでに>>1がsageつけてるってことは上げたくないってことだから、その気持ちも汲み取ってやれ

>>348
ホームレスのやつはネタだからsageつけたけど、基本はage更新してるよ!
何はともあれありがとうね

あくまで343はネタなので、原作で言うところの巻末四コマ的な扱い。
本編ではホーエンハイムは家焼いたの知らないよ!

少しだけ書く。

ホーエンハイム「何はともあれ、だ」

エド「ああ」ザッ

ホーエンハイム「手を貸せ、エドワード!」

エド「任せろ!」ダッ


ホーエンハイム「あっ、ちょっとストップ」


エド「ほぎゃァァ!!?」ドザァァ


ホーエンハイム「手を貸せってのは、文字通り『手を触らせろ』って意味だバカ息子め」

エド「ハァ!? なんだそりゃ気持ちわりぃ!」

ホーエンハイム「いいからッ! ……たまには、父さんの言う事を聞いておくれ」ニコッ



エド「…………」スッ

ホーエンハイム「ん。 ありがとうな」


 ホーエンハイムはエドの手を両の手で握り、確かめるように触った。
 そして手を離すと、自らの掌を合わせ、エドの胸に手を添えた。


エド「なッ、何をした」


ホーエンハイム「試してみなさい」


エド「……な、何をだ?」


 エドは全くわからなかった、父の言うことが。
 いや、理解はしていたのかもしれない。
 しかし、現実と結び付けられなかった。


ホーエンハイム「使ってみなさい、錬金術を」

エド「…………」スッ


 パァンッ!

 無言で合掌し、目を瞑る。


エンヴィー「おいおいおい……」ヨロッ


エンヴィー「このエンヴィーを置いて感動の再会かよ……」フラッ


エンヴィー「ナメんな、ニンゲン……ッ」ギリッ


エンヴィー「あぁぁあぁああッッ!!」ダッ



 両の手で大地を掴み、イメージした。

 鉾が『嫉妬』を貫く様を。



 ズドンッッ!!



エンヴィー「グぁ!!」

エンヴィー「……うぁぁ……ちくしょお、ちくしょおォォオォオ…………」


ホーエンハイム「エンヴィー。君は人間に『嫉妬』しているんだろ?」


エンヴィー「……わかったような口を……」


ホーエンハイム「わかるさ。俺だってバケモノだ。妻と共に年を重ねたかった」

エド「…………」


エンヴィー「うるさいッ、ボクみたいな『造られたバケモノ』と、アンタみたいな『バケモノになってしまったヒト』は違うッ!」


ホーエンハイム「……そう、だな」


エンヴィー「わかったような口を利いてッ! ……ヴァン・ホーエンハイム……オマエは──」ギロ


 エンヴィーが伸ばした腕は、確実にホーエンハイムの胸を抉り、紅く光る石を取り出した。


ホーエンハイム「ぐっ……!」


エンヴィー「──死んじゃいなよ」ニタァ

エド「てめぇっ!!」パンッ

 エドの激昂に合わせたように大地が唸り、再びエンヴィーの腹に岩の槍が突き刺さる。


エド「ホーエンハイムッ!」

 父の元へ駆け寄りその身を抱くと、その胸を貫いた穴から赤い鮮血がこぼれ落ちた。

ホーエンハイム「……エド」

エド「なんだ!?」

ホーエンハイム「俺は、お前の望む未来を望む……」ゴプッ

エド「意味がわからねぇよ!」

ホーエンハイム「じきにわかるさ……だって──」

 ヴァン・ホーエンハイムがニヤリと笑みを浮かべて、エドワードの胸を小突いた。

ホーエンハイム「──お前はこの俺、ヴァン・ホーエンハイムの息子だろ」ニッ

エド「意味がわからねえって!!」

ホーエンハイム「『あっち』に帰れたらトリシャとピノコばあさんに伝えてくれ」

エド「……親父……?」

ホーエンハイム「『世話をかけた』って」

エド「待て、死ぬな」

ホーエンハイム「ようやく親父って言ってくれたか、不甲斐ない父で、悪かった……」

エド「最期みたいな言い方するんじゃねえッ!」

ホーエンハイム「ありがとう」



エド「…………おい」


エド「目ェ閉じんなコラ!!」

エド「なに幸せそうなツラしていやがる……クソ親父……!」

 突如背中を襲った高笑いにエドワードは振り返り、声の主を睨めつけた。

エンヴィー「あーっはっはっは! ……さっきから黙って聞いてりゃ、随分感動ごっこが好きなんだ──」ゴシャッ

エド「うるせぇぞ、三下……」ギロッ

エンヴィー「──ふふ、やってくれるなあ」ペッ


エド「言っておくが、おめーは、俺を、怒らせたぜ。……エンヴィー!!」

エンヴィー「それはこっちのセリフさ、……エドワード・エルリ──ッッ!?」ドグシャア


エド「エドワード・ホーエンハイムだ、二度と間違えんなッ!!!」



 ザシュッ!



ミカサ「そして、あなたは後ろに気を使うべきだった」


エンヴィー「あ……?」グラッ


ミカサ「うなじが弱点なのは人間も同じ。……なら、ヒト型のあなたも体の作りは違わないはず」スタッ



ミカサ「違った?」


エンヴィー「……大……正解……」ドサッ


ミカサ「エドを──私の『家族』を侮辱し、彼のお父さんを殺したあなたを、私は許さない。ただ、それだけ」

ごちゃごちゃしてるけど今回はここまで。
sage外し忘れてましたので今ageとく。


進撃組が空気過ぎる……
エレンとかどこいったよ

─総統邸

ダリス「それで? 君がここに乗り込み、私に刃を向ける理由──」



 自らに刃を向けて仁王が如く戸口に立ち塞がった男を見て、ダリス・ザックレーは吐き捨てるように言った。



ダリス「──詳しく……聞かせてもらえるかな、 キング・ブラッドレイ?」


ブラッドレイ「ダリス……焦ることはない。なに、冥土の土産に教えてやる。今は聞かず──」

 眼帯をめくり、引きちぎる。眼帯に覆われていた片目に刻まれているのは、ウロボロス。
 自らを食べ、永遠に生き続ける『不死の証』。

ブラッドレイ「斬られろ」

 ガチャリ、と浴室の扉を開けて出てきた女は、真っ赤な唇を歪めて、嗤った。

ラスト「あらぁ~? あらあらあらァ? もしかしてアナタ……末弟の……ラースかしらァ~?」

ブラッドレイ「ッ!」


ダリス「おぉ、ラストか」


ブラッドレイ「……ラスト……女狐め」

ラスト「ひどい言い様ね、ラース。しかしまぁ……『お父様』はどう思うかしらね? 末っ子の裏切り。……なかなか最低よ、アナタ。最高にね」

ブラッドレイ「ふん、何とでも言うがいい」

ラスト「最強の眼と、最強の矛。……どちらが強いかしらね」

ブラッドレイ「減らず口を……」

ラスト「うふふ、『死者』に何を言っても……言うのはタダでしょ?」クスッ


 ダリスに近寄り頬に口付けをしたラストの目は、笑ってなどいない。
 その瞳は、裏切り者の末弟──『憤怒』のラースへの侮蔑に満ち溢れていた。

ブラッドレイ「ぐッ!!?」


 ラスト──『色欲』のホムンクルスは、『最強の矛』の字を持つ。
 その名に違わぬ漆黒の矛は、キング・ブラッドレイの頬を掠めた。

ブラッドレイ(油断していたか……!)

 舞い散る鮮血。張り詰めた空気の中、ダリス・ザックレーは悠々と退室する。


ダリス「後はよろしく、ラスト」

ラスト「ええ、オジサマ」クスッ


ラスト「さぁ、はじめましょうか──」



ラスト「──ラース。死んで、償いなさいな」


ブラッドレイ「我が名は、キング。キング・ブラッドレイ」

 ブラッドレイは腰に提げたブレードを抜き放ち、ラストの胸元を睨む。
 そこに在るは忌々しきウロボロスの印。我が人生を決めつけた狂気。

ブラッドレイ「この腹を煮え滾らせて打ち震える感情こそ、我が『憤怒』。貴様に怨みはないが、死んでもらおうか……『色欲』」

───────
─────
───



ラスト「アナタ、弱いのね」

ブラッドレイ「ああ、私は貴様と違って、『人間』だからな……」


 身体中に穿たれた傷から鮮血を流しながら、憤怒の王は色欲を睨めた。


ラスト「ワタシを殺す、なんて……やだ、笑っちゃうわ」クスクス

ブラッドレイ「貴様は化け物で、私は人間だった」



ブラッドレイ「私は人間だ。孤高の存在ではない」

ラスト「何を言いたいのよ」イラ


ブラッドレイ「『仲間』を募ったまでよ」



マスタング「確保!」

ラスト「焔の坊や!?」


 マスタングの号令に合わせ、四方八方から杭が撃たれ、ラストの体を床に磔にした。
巨人捕獲用の杭は巨大で、ラストの体を押し留めるには、3本で十分だった。

ナイル「ブラッドレイ閣下、お怪我が!」

ブラッドレイ「なに、私とて化け物の端くれ。急所は外してある。時間はかかるが、治療を受ければよくなる」



マスタング「やつは指先を矛にするぞ!油断するな!」

ラスト「なんッ……で、この杭……にはっ、『返し』がついて……るの……よッ……」

マスタング「貴様のような不死の存在を逃がさないためだよ、化け物」


ブラッドレイ「わかったかね、ラスト」

ラスト「狡い真似を……アナタ、本当に最低ね」

ブラッドレイ「何とでも。人間というのは、弱き故に策謀を巡らすものだ」

ラスト「だから人間は嫌いなのよ……」

ブラッドレイ「こやつを逃がすな! 憲兵諸君の協力に感謝する!」


ダリス「終わったかね?」ヒョコッ

ブラッドレイ「ああ、ダリス。ありがとう」

ラスト「オジサマ!? クソッ!」

ダリス「レディーがそんな言葉を使うんじゃない」

ラスト「『お父様』……ごめんなさい……」

お久しぶりです
迷走しちゃってるどうしよう

正直オチの付け所が行方不明で、ちょっとどうしよう

不定期の極みなので次いつ書くやらわからないごめんなさい

>>365 訂正

ナイル「ブラッドレイ閣下、お怪我が!」

ブラッドレイ「なに、私とて化け物の端くれ。急所は外してある、構わずともよい」

ナイル「はあ……、かしこまりました」




マスタング「こいつは指先を矛にするぞ! 油断するな!」

ナイル「手首の腱を断てー!」

ラスト「ちょっ、やめなさい! レディーの体に何するの!」グッグッ

 抵抗を試みるが、深く刺さった杭は体の自由を一切奪っており、ラストの体は微動だにしなかった。

ラスト「なんで、この杭にはっ、『返し』がついてるのよ……」

マスタング「なんで、だと? 貴様のような不死の存在を逃がさないためだよ、化け物」


ブラッドレイ「わかったかね、ラスト。これが人間だ」

ラスト「狡い真似を……アナタ、本当に最低だわ。本当に……」ギリッ

ブラッドレイ「何とでも。人間というのは、弱き故に策謀を巡らすものだ」

ラスト「フン、だから人間は嫌いなのよ……」

ブラッドレイ「私は人間が好きだよ……この人造人間を逃がすな! 憲兵諸君の協力に感謝する!」


ダリス「はて、終わったのかな?」ヒョコッ

ブラッドレイ「ああ、ダリス。協力に感謝するよ」

ダリス「なに、私と君の仲だろう」

ラスト「ザックレー!? 裏切ったの!?」

ダリス「裏切った? 何を言っているんだ。私は元々表だ。裏に見せかけていたのを、表がえっただけだよ、人造人間」

ラスト「……クソ、最低な気分だわ」

ブラッドレイ「淑女が使う言葉には聞こえんな、『姉君』?」

ラスト「アンタ、覚えてなさいよ」ギロッ

─シガンシナ区、エレンの生家前

サシャ「うはぁ……なんですか、これ」

 大岩を持ち上げる木の足場を見て、みなが笑う。

エレン「いや……当時は気にしなかったけど……これ……っはは!」



エド「…………」

ミカサ「エド。私は素敵だと思う」

エド「……おう」


 悪魔的デザインの木柱は、色こそついていないものの、悪魔崇拝の神殿のような趣で。

ジャン「ぶわーっははははは! なんだよこりゃ!!」

ハンジ「最っ高だぁー! なにこれ! なんなの? このブットんだセンス! うはー!」

リヴァイ「クソみてぇな柱だな……」

ミケ「……」フッ

ライナー「ははは、エドらしいじゃないか、なぁアニ」

アニ「そ、そうだ、ね…………っ、っ!」プルプル


エド「アニの反応が一番クるぜ……」ゲッソリ




「おやおや、敵地の真っ只中だというのに、随分と楽しそうではありませんか」




エド「……ん? っ、お前は!!」



キンブリー「ふむ? あなたとは以前どこかで? 私はお仕事で『お相手』した方の顔は必ず忘れないのですが、はて……?」

エド「いや、知らないのも無理はねえな。だが、俺はアンタを知ってるぜ。……ゾルフ・ジャジャジャジャーン・キンブリー……!」

キンブリー「」

ライナー「」ブォッフ

サシャ「」フッ

アニ「」プッ

ジャン「」ブファウフッ



キンブリー「……オホン。改めまして……みなさん、お初お目にかかります、わたくし……ゾルフ・J・キンブリーと申します」

エド「え、ジャジャジャジャーンじゃないのか?」

キンブリー「ゾルフ・J・キンブリーだと言ったでしょう……はははは」

エド「ジャジャジャj」

キンブリー「違うと言った!!」クワッ

エド「ゴメンナサイ!」

エド「アンタの悪名は、俺の田舎まで届いてるぜ……紅蓮の錬金術師ッ!」

キンブリー「! ……ほう」

エド「大方、『お父様』の命令で俺達を消しにきた、ってところだろ?」

キンブリー「……そうだ、と言えば?」

エド「ツブす……!」



キンブリー「……ククッ、クククク!!」


ミカサ「!?」

エレン「……なぁ、あの人、何が面白いんだ?」ボソ

アルミン「エレンは黙ってて!」ボソ


エド「……何がおかしい」

キンブリー「何が、ですか……そうですねぇ……」




キンブリー「全て、可笑しいのだよ、エドワード・エルリック……」

エド「……な~んだ……」


エド「俺のこと、知ってんじゃねえか」


キンブリー「嫌でも、聞こえてきますよ。……優秀な訓練兵がいる、だとか──」



キンブリー「──行方不明の弟を、探している……だとか、ね?」ニヤァァ


エド「テメェ……知ってることを話しやがれ!」


キンブリー「ふむ、思っていたより激情家のようだ」

エド「……気取りやがって」

最初から仕切り直したい衝動に駆られるイェーガー。


キンブリー「はて?」

エド「あ?」

ニィ、とキンブリーが笑う

キンブリー「貴方は反抗的な態度をとるべきではない。何故かわかるか?」

エド「わからねぇな」

キンブリー「愛しい幼馴染みに会えなくなるかもしれない、と言ったら?」


──なん、だと?

──今、なんつった?


キンブリー「おや、聞こえませんでしたか? ならばもう一度、ハッキリと申し上げましょう」


「貴方の愛しい幼馴染み──ロックベルさんでした、か?」

「私を怒らせると、彼女がどうなっても……保証はできませんよ、ということです」

──この白スーツ、慇懃無礼なクソ野郎とは思ったが

エド「とんだゲス野郎だぜ……アンタ」

キンブリー「ふむ、褒め言葉として頂戴いたしましょうかね」


ジャン「エド、こいつは」


エド「爆弾魔だ」

ゾルフ・キンブリー。
紅蓮の錬金術師。
人殺しに『矜持』を抱いている、狂人。


キンブリー「なに、ただ貴方を連れ帰ればそれで我々は満足なのですよ」



キンブリー「つまり、他の皆々様の命は」

ニィッ

キンブリー「要らないのです、くくく」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年02月18日 (火) 00:16:58   ID: Gjw1p7D1

更新ないな~

2 :  SS好きの774さん   2016年08月13日 (土) 03:50:28   ID: Q8oWEc6l

早く続きかけよゴミ作者

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