春香「ゲッターロボですよ、ゲッターロボ!」 (708)

注意書き
・アイドルマスターとゲッターロボのクロスです。なぜアイマスでやったって思うかもしれません
・ストーリーや設定はマンガ、アニメ、OVAのゲッターロボをミックスし、更に筆者の独自解釈が入っています
・作品の内容上、アイドルが死亡する可能性があります
・長いです。全13話を予定しています
・ss初心者の作品です


以上、平気な方は是非お付き合いください


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1394527173

第一話「春香が行く」

今、肩を落としてトボトボと歩く彼女の名は天海春香。お菓子作りが得意ということ以外は、極々普通の女の子である。

春香「はぁ、またダメだったかぁ」

 そんな彼女の夢は、アイドルになって世界中の人々を笑顔にする事。しかし、世の中なかなか上手くいかないもので、この日も事務所のオーディションに落選した帰りであった。

春香「あ、こんなとこに神社があったんだ。気分転換にお参りしてこうかな」

春香「えっと、二礼二拍手一礼っと。アイドルになれますようにアイドルになれますよう
にアイドルになれますように! あれ? 三度言うのは流れ星だっけ? まいっか。さーて、お参りも済んだしそろそろ帰ろっと」

 さて、そんな普通の彼女にも、一つ普通でない個性がある。それは……

春香「うわぁっ!」ドンガラゴロゴロ

 何もないところでよくこけることである。そして、彼女の身体はこけた勢いのまま、眼下の長い長い階段に放り出された。

春香「痛たた……またやっちゃったよぉ」

 100段はあろうかと言う階段を上から下まで転げ落ちておいて痛たたで済むのを個性に加えるのであれば、これが3つ目の特徴である。

??「き、君ィ! 大丈夫かね!?」

春香「あ、大丈夫です! 私、一日一回は転んじゃうんで、慣れっこなんですよ」

??「ま、毎日かね!? あれを毎日……」

春香「いやー、今日は特別盛大でしたけどね。それでは、お騒がせしました!」

 声をかけてきた親切そうな初老の男性にぺこりと頭を下げてその場を去る春香。この時点では知る由もないが……

~翌日~
春香「いってきまーす!」

 休みの日は事務所のオーディションを受けている春香も、当然ながら平日は普通に女子高生をやっている。

春香「うっわぁ……これじゃ遅刻だよぉ。ううん、諦めちゃダメ! なせばなる! 天海
春香、行っきまーs」

 決意を固めた瞬間、何処からか飛んできたロープが春香の身体をがんじがらめにした。

春香「うわっ! 何なのこれー!?」

??「さっき自分で名乗ってたから聞く必要は無いと思うけれど、あなたが天海春香ね?」

春香が振り返ると、彼女にからみついているロープの先を手に持った女の子が立っている。

春香「そ、そうだけど……というかあなたは?」

??「私の名前はどうでもいいの。天海春香、一緒に来てもらうわよ」

 そう言うと、ロープを持った女の子は春香を車に押し込んだ。

??「あずささん、出して下さい」

あずさ「あらあら、ダメよ千早ちゃん。女の子はもっと丁寧に扱わなきゃ」

千早「任務遂行が第一です」

あずさ「もぅ、相変わらずなんだから。ごめんなさいね春香ちゃん。じゃ、出発するわよ~」ブルン

 断わっておくが、何かが揺れる音ではない。車のエンジン音である。

春香「あ、あのぉ……」

千早「……」

春香「あのぉ、千早ちゃん?」

千早「……」ギロリ

春香「ひっ……」

あずさ「なぁに、春香ちゃん? 千早ちゃんもお返事してあげなきゃ」

春香「あ、すみません。突然名前呼んじゃって……」

千早「まあ、どっちでもいいけど……」

春香(さっきのは絶対よくない顔だったよ!)

千早「それで、何の用?」

春香「えっとぉ、用って言うか何というか……私、これからどうなっちゃうの?」

千早「あなたは博士に選ばれたの」

春香「は、博士ぇ?」

あずさ「千早ちゃん、それじゃ解らないと思うわよ? あのね春香ちゃん、私たちは『高
木ゲッター線研究所』の人間なの」

『高木ゲッター線研究所』なら、春香も聞いたことがある。確か、宇宙から降り注ぐ新しいエネルギーを研究する国家機関だったはずだ。春香がまだ小さい頃、ロケットを打ち上げて失敗したと聞いた覚えがある。

あずさ「それでね、私と春香ちゃんの隣にいる子。如月千早ちゃんって言うんだけど、私たちはその研究所が作ってるロボットのパイロットなの」

春香「ろ、ロボットですか!?」

千早「正式名称『ゲッターロボ』。名目上は宇宙開発の為、しかしその本当の建造目的は……」

あずさ「……私たち。いいえ、人類全ての敵と戦うためのロボットよ~」

春香「し、信じられませんよそんなこと! だって、現に世界じゃ何も起こって無いじゃないですか」

千早「単純で羨ましいわ。天海春香、世界はあなたが見てるよりももっともっと広いのよ」

あずさ「今はまだ、表だった行動はしてないの。今は仲間集めに必死。敵も、私たちもね。でも、それも多分もうすぐ終わるわ。一ヶ月後……いいえ、今日にだって、戦いは始まるかもしれないわ」

春香「……正直、二人の言ってること全然分かんないです。けど、何で私なんですか? 突然ロボットがどうのって言われても、私原付の免許も持ってないのに……」

千早「それは私も気になります。あずささん、どうしてこんな鈍くさそうな子が、イーグル号のパイロットに?」

春香「間違ってないけど酷いよぅ」

あずさ「ごめんなさいねぇ、それは私にも分からないの。まぁ、いつも通り博士が……」

 あずさがそこまで言うと、千早も諦めた表情であぁと呟いた。

千早「『ティンと来た』ですね……」

あずさ「そうなのよ~」

 困ったものですと呟いたきり、千早は黙ってしまい、あずさもあ、あら~と言いながらしきりにナビを見つめているため、春香もそれ以上は何も聞けなかった。

~7時間後~
あずさ「さぁ、着いたわよ~。時間がかかっちゃってごめんなさいね。途中で道を間違えちゃって」

千早「行きも同じこと行ってましたよあずささん。さ、天海春香、来なさい」

春香「え、うわぁっ!」

 いきなり引っ張られた春香は、車から降りるなりこけてしまった。しかも、両手は縛られて使えないので、頭から思いっきりだ。

千早「!? ごめんなさい! あの、大丈夫?」

 あれ、キツそうな子だと思ったけど、千早ちゃんって案外優しいんだなぁ。とか思えるくらいには余裕があったのは、伊達に毎日こけてないということだろうか?

春香「うん、大丈夫だよ! 私、自慢じゃないけど毎日こけてるからね!」

千早「ホントに自慢じゃないわね」

 呆れた感じで言いつつも、千早の顔には安堵の表情が浮かんでる。

??「ハハハ、いやぁ相変わらずだねぇ天海君!」

春香「? あ、おじさんはあの時の!」

高木「いや、申し遅れたね。私がこの研究所の所長、高木順二郎だよ」

 そう言って手を差し出してくるが、あいにく春香は絶賛縛られ中だ。

あずさ「博士、春香ちゃん縛られてるから、握手は無理ですよ~」

高木「ん? いやぁ、あっはっは。確かにその通りだな。こりゃ一本取られた」

 高木博士はそう言いながら、まだ愉快そうに笑っている。

高木「さて、如月君。天海君の拘束を解いてあげたまえ。早速だが君たちに見せたいものがあるんだよ」

あずさ「あらあら~。じゃあ、とうとう完成したんですね?」

高木「そう! 我が研究所の誇るスーパーロボット、ゲッターロボ軍団がね!」



第一話おわり





ゲッターロボ大解剖!!
ゲッター線:宇宙から無尽蔵に降り注ぐ謎のエネルギー。

ゲッターロボ:ゲッター線を動力源としたスーパーロボット。合体の方法で三種の姿になる事が出来る。原作では早乙女ゲッター線研究所で作られた。

ゲットマシン:ゲッターロボが三つの戦闘機に分離した姿。イーグル号、ジャガー号、ベア―号の三機がある。武装として機銃を装備している。

本日はここまでです

最終的に千早が「よくもこんな巨乳にしてくれたのう!最高じゃ!」とか言い出すのか

1です
>>24
極道兵器未読なんですよね・・・ゼノグラシアを見る限り千早はロボットに乗ると巨乳化するっぽいんで、ゲッター線の影響で進化するかもしれないですね

予定より早く帰宅できたので、第2話やります

後、誤解を招いたかもしれませんが、話の内容自体はオリジナルで、設定がマンガやアニメ、OVA準拠です
解りづらくてすみません・・・

第二話「チェンジ! ゲッターロボ」

OP https://www.youtube.com/watch?v=a9LBWczFN8c

春香「うわぁ……大きな研究所だなぁ」

あずさ「うふふ、そうよねぇ。私なんて、一人じゃ未だに迷っちゃうもの」

千早「あずささんだけですよ、未だに迷うの」

あずさ「もぅ、千早ちゃんの意地悪~」

高木「さあさあ諸君! お待ちかねのゲッターロボだよ! いやぁ、秘密裏に開発していたプロトタイプの頃を思い出すねぇ」

 そう言って博士の指さした先には、真っ赤な身体をした巨大な二体のロボットがそびえたっていた。

春香「か、格好いい……」

 突然さらわれ、連れてこられた衝撃も忘れ、その真紅の機体に見惚れてしまう春香。

高木「気にいったようで何よりだよ。これが高木研究所の開発したゲッター線利用最新型ロボット、ゲッターロボとゲッターロボGだよ!」

春香「ゲッターロボとゲッターロボGは違うんですか?」

高木「よく聞いてくれた! ゲッターロボとゲッターロボG、見た目はさることながら、一番の違いh」

千早「一番の違いは開発コンセプト。宇宙開発を目的に建造し、途中から戦闘装備を追加したゲッターロボと違って、ゲッターロボGは最初から戦闘を目的に作ったロボットよ」

春香「へぇ~」

 嬉々とした目でゲッターロボを見つめながら、先ほどとは打って変わって明るく説明する千早。一方、出番を取られた高木博士は隅で泣いている。

あずさ「博士、泣きやんでください。今日は春香ちゃんの適性を見るんでしょう?」

高木「あ、ああ。そうだったね。早速だが天海君! このゲッターロボに乗ってみてくれないか!」

春香「えぇっ! 無理ですよ! ていうか、何で私なんですか?」

高木「それはだね、ゲッターロボはその性能故、パイロットが非常に限られてくるのだよ。今まで数多のテストパイロットが挑んだんだが、皆ゲッターを乗りこなすには至らなかった。そんな時! 君を見てティンと来たんだよ! 長い階段を転げ落ちても、顔面から地面にぶつかっても、怪我ひとつなくピンピンしてる君に!」

春香「そんな無茶苦茶な……」

高木「まぁまぁ、いいから乗ってみたまえ。大丈夫! 死にはしないから!」タブン……

春香「そんなこと言われても……」

千早「天海春香、乗りなさい。これはあなた一人じゃなく、地球全体の問題なのよ」

春香「千早ちゃん……あ、そう言えば、敵って一体何なんですか?」

高木「ああ、そう言えば説明していなかったね。我々が倒すべき敵、それは『新人類』と呼ばれる連中だ」

春香「新人類?」

あずさ「新人類は、見た目は人間と変わらないんだけど、その身体能力は私たちを遥かに超えているのよ~」

千早「その上、奴等は頭を潰さない限り、何度でも再生するわ」

高木「うむ。その新人類が、この地球を支配せんと企んでいるのだよ。どうかお願いだ。地球の為、人類の為、ゲッターに乗ってもらえないだろうか?」

春香「……正直、まだ信じられないことばかりです。ゲッターロボとか、新人類だとか。でも、何のとりえもない私が役に立てるのなら……私、乗ってみます!」

高木「ありがとう天海君! じゃあ、準備をするからちょっと待っていてくれたまえ」

 そう言うと、博士は白衣から通信機を取り出した。

高木「秋月君、ゲッターの分離作業に入ってくれたまえ」

律子『了解しました!』

 指示を出すと、返事と共に壁から固定の為のアームが三本伸び、それぞれがゲッターロボをつかむ。

律子『オープンゲット作業、開始します』

 アナウンスで、先程の通信機の相手と同じ声が響いたと思った、次の瞬間……

春香「え、ええぇぇぇええっ!?」

 ゲッターロボは、どう考えても物理的にあり得ない方法で、三つのマシンに分離した。

高木「言い忘れていたね。ゲッターロボが真の力を発揮するには三人の操縦士が必要でねぇ。この三つの乗り物『ゲットマシン』に三人のパイロットが乗り込み、操縦するのだよ。君に操縦してもらうのはこのマシン『イーグル号』。そして、その後ろにある『ジャガー号』に搭乗するのが」

千早「私よ、天海春香。あらためて名乗るわね。私は如月千早、ジャガー号のパイロットよ。よろしく」

あずさ「私はあっちのゲッターロボGのパイロットで、三浦あずさって言うのよ。よろしくね~」

高木「どちらも未だパイロットが全員揃っていないんだがね。今日のところは、ベア―号は自動操縦にしておくよ」

 朝起きた時には想像もできなかった世界が広がっていた。春香は、SF映画でしか見たことない様なマシン『イーグル号』に乗り込み、気がつけば発進も秒読みだ。

律子『ゲットマシン発射まで5秒前。4,3,2,1』

 小さいころから、アイドルが夢だった。テレビに映るその人たちを観ていると、元気が出て、笑顔になる。そんな人に……世界中の人々を幸せにできる人になりたかったから、天海春香はアイドルを目指す様になった。目指したステージとは違う武骨なシートの上で、彼女はふとそんなことを思い出した。

律子『ゲットマシン、発進!』

 風を切る音が聞こえる。青い空が見える。この日、天海春香はゲッターと出会った。



第2話 おわり

ゲッターロボ大解剖!!
ゲッター1:イーグル号、ジャガー号、ベア―号の順に合体した姿で、主に空戦を行う形態。主な武装は、ゲッターウイング、ゲッタートマホーク、ゲッタービーム等。原作では流竜馬がメインパイロット。

1です
こんなにコメントいただいたの初めてで恐縮です
皆さんの期待に応えられるかわかりませんが、頑張って書きますが、あんまり期待せずにお付き合いください
ということで、三話始めます

第三話「対決! ゲッターvsゲッター」

OP  https://www.youtube.com/watch?v=a9LBWczFN8c


春香「凄い……凄いよ千早ちゃん! 地面があんなに遠いよ!」ギューン

千早「くっ……この加速の中でそんなことが言えるなんて……博士のカンも大したものね」

高木『楽しんでいるようで何よりだよ。さて、それではこれより合体訓練に移る』

 イーグル号の通信装置から、高木博士の声が聞こえる。

春香「が、合体ですか? 飛んだまま?」

あずさ『そうよ、春香ちゃん。まずはイーグル号、ジャガー号、ベア―号の順番に合体する対空形態「ゲッター1」に合体してちょうだいね』

千早「了解しました。天海春香、ゲッター1はあなたのイーグル号がメインとなる形態よ。まず、私のジャガー号と自動操縦のベア―号が合体するから。その後イーグル号に後ろから衝突するわ! バランスとタイミングを間違えると空中衝突だから、気をつけてね」

春香「え、えぇ! ちょっと待t」

千早「行くわよ! 私にタイミングを合わせて。チェェェエンジ! ゲッター1! スイッチオンっ!!!」

 千早が物凄い声量でそう叫ぶと、ジャガー号の後ろにいたベア―号が、千早の乗るジャガー号に突っ込んだ。一瞬目を覆いかけた春香だが、そんな間もなくジャガー号とベア―号は見る見るうちに合体し、先程研究所で見た赤いロボットの身体へと変わっていく。

千早「来て! 春香ぁ!」

春香「う、うん! チェンジ! ゲッタァァアアアアア……ヴァイ!」

博士(噛んだ)

律子(噛んだわ)

あずさ(噛みましたね~)

 緊張のあまり噛みはしたが、上手くジャガー号の先とぶつかることが出来た。液晶に映るジャガー号コックピットでは、千早が一生懸命笑いをかみ殺している。

春香「凄い衝撃……これは確かに人を選ぶのも分かるなぁ」

春香「これが……ゲッター1」

高木『おお、見事な合体だったよ二人とも! 天海君、合体の衝撃は大丈夫だったかね?』

春香「はい! ちょっとぐらっと来ましたけど、問題ありません!」

高木『そうかそうか! やはり私のカンは間違っていなかったみたいだねぇ。じゃあそのまま色々と動いてみてくれないかね?』

はるちは「「了解です!」」

 博士の指示通り、空を飛んだり手足を動かしたりしてみる。

春香「凄い! 私、今ホントにロボットを動かしてるんだなぁ」

千早「今更ね。それよりちょっとオープンゲットしてゲッター2に……」

 千早が何か言っているのを遮る様に、通信装置から、そして眼下の研究所から爆発音と叫び声が聞こえてくる。

千早「!? どうしたんですか博士! あずささん!」

 必死に呼びかけるも、通信機はバリバリと不愉快な音を立てるばかりで、何も言葉を運んでこない。

春香「い、一体何が起こってるの? 研究室はどうなっちゃったんだろ」

 呼びかけを続ける千早を尻目に、春香は早々に通信機からの返答を諦め、研究所を眺める。

春香「……?! ち、千早ちゃん、ゲッターロボGだよ、ゲッターロボG!」

千早「何ですって!?」

 空を飛ぶこちらのゲッター1と相対するように、研究所の天井をブチ抜いて現れたのは、紛れもなく先程ゲッター1の隣に鎮座していたゲッタードラゴン。

千早「ゲッタードラゴン……亜美なの?」

 千早が、ゲッタードラゴンのパイロットらしき子の名前を呼ぶ。しかし、帰ってきたのは返答でなく、突如として装備された巨大な斧による攻撃だった。

春香「うわぁっ!」

 ギリギリでゲッタードラゴンの腕を受け止め、空中で四つに組んだ状態になる。

千早「くっ! 亜美、あずささん! 返事して!」

『……み君! 天海君!』

春香「博士ですか! どうなってるんですかこれ!? どうしてゲッタードラゴンが攻撃を……」

博士『新人類の攻撃だ! 研究所内の敵はこちらが制圧したのだが、ゲッターロボGは奪われてしまった。その際、ゲッターを守ろうとして三浦君と亜美君は……』

千早「ま、まさか……」

博士『……すまない。全て私の責任だ』

千早「いや……まただと言うの? また……奪われた」

 そう言ったきり、うつむいて動かなくなる千早。

博士『……天海君、今日来てもらっただけの君に頼むのは心苦しいのだが、やってもらいたいことがある』

春香「……はい」

博士『うむ、ありがとう。もう分かってると思うが、君が今組み合っているゲッターロボG、破壊して貰えないかね?』

春香「……解りました。敵が持ってるような武器はどうやって使うんですか?」

博士『ゲッターの武装は大半が操作と音声認識によって使用可能となっている。まずは敵と同じく、ゲッタートマホークで応戦してくれたまえ』

春香「了解です! ゲッタァァァ……トマホーク!!」ジャキンッ

 ゲッタードラゴンに頭突きをして一度離れ、指示の通り叫ぶと、ゲッター1の肩から巨大な斧が飛び出てくる。

春香「ええええぇぇぇいっ!」ガキン

 ゲッタードラゴンも負けじと斧を振るい、二つの巨斧が激しい金属音をたててぶつかりあう。

春香「嘘! 押し負けてる!?」

博士『天海君! パワーはドラゴンの方が十倍近く上だ! まともな打ちあいじゃかなわんよ』

春香「そんな~。じゃあどうするんですか!」

博士『ゲッターロボはパイロット達の力を合わせることで本当の力を発揮する。ドラゴンに乗っている新人類は一人だけだ! 我々が勝つとすれば、天海君と如月君。君たち二人が力を合わせるしか道は無い!』

春香「だって千早ちゃん! 一緒に戦おう!」

 千早が顔を上げる。せっかくの綺麗な顔は涙でぐしゃぐしゃだ。

千早「……そうね。皆の仇、討たないと。私にはもう、ゲッターしかないんだから……」

春香「千早ちゃん……」

千早「悪かったわね、春香。ここからはあなただけに戦わせたりなんかしないわ」

春香「うん! 力を貸してね、千早ちゃん」

 千早が涙をぬぐい、操縦桿を握る。それだけで、ゲッターの出力がグンと上がった気がした。

千早「失ったものは戻らない……なら、あなたたちから同じだけ奪ってみせるわ! 新人類!」

春香「凄い。ホントにパイロットが揃うだけでこんなに違うんだ……これならやれるよ!」

 ドラゴンのトマホークを押し返し、そのままゲッタードラゴンを弾き飛ばす。

千早「春香! トマホークブーメランよ! ゲッタートマホークを投げて!」

春香「分かったよ千早ちゃん。トマホォオオオク、ブーメランっ!」

 投擲されたトマホークはうなりを上げてゲッタードラゴンに迫り、その両手を斬り落とした。

千早「とどめよ春香! ゲッタービームを使って!」

春香「よぉおおし、ゲッタァアアアア、ビィイイイイイイッムっ!!!」

 ゲッター1の腹部から放たれたビームは正確にゲッタードラゴンの上半身を射ぬき、爆散させた。

はるちは「「やった!」」

博士『御苦労だったね諸君! 研究所に帰還したまえ』

千早「了解しました。春香、オープンゲットするわよ」

春香「オープンゲット?」

千早「合体の逆よ。ゲットマシンに分離することね。敵に捕まった時や緊急回避にも使えるから、覚えておきなさい。これから、奴等を根絶やしにするまで戦いは続くんだから……」

春香「千早ちゃん……」

帰還後、研究所内
春香「うわぁ、研究所がボロボロだぁ……」

博士「研究所はまた直せば良いんだが、死んでしまった人々はもう生き返らない。研究所に侵入されるとは、私もどこか甘かったようだね」

千早「博士のせいではありません。それに、ゲッターを奪われず済んだことが一番です。それ以外のことは……どうでもいいことです」

 そう言う千早は、言葉とは裏腹にとても悲しそうな目をしていた。

千早「……すみません。少し疲れたので、自分の部屋で休んでます。失礼します」バタン

春香「……千早ちゃん、大丈夫でしょうか?」

博士「彼女は、家族を新人類に奪われてね。それからは三浦君と暮らしていたんだ。彼女からしてみれば、家族を二度も殺されたようなものだろうね」

春香「そうだったんですか……」

博士「天海君。こんな目にあった直後に聞くのもどうかと思うが、聞かせてほしい。君はこれからどうするかね? 人類の為、ここに残って戦うか、それともここであったことを全て忘れ、今までの日常に戻るか。まぁ、その日常も新人類が動き出した今、どれだけ今まで通りかは分からないが……」

春香「……私、争いごととか、そういうのはあまり好きじゃないんです。だから、本当は戦いたくなんてないです」

博士「そうか。では……」

春香「でも! あんな状態の千早ちゃんを放っておけないし、街の皆だって守りたいです!」

春香「だから、教えてください。私たちの敵の事を、そしてゲッターのことを!」

 博士は顎に手をあて、一言「ふむ」と呟いた後、優しい目で春香を見つめる。

博士「辛い戦いが続くことになるだろう。時には大切な仲間を失うこともあるかもしれない。それでも君は戦うのかね?」

春香「何もしないで失うよりは……やれるだけのことはやってみたいです」

博士「よくいったね。今日より天海君は我が高木研究所のメンバーだ。であるからして、教えようじゃないか。ここのこと、そして我々の敵の事を」

 そう言って、博士は語り始めた。





第三話 おわり

ゲッターロボ大解剖!!
ゲッタートマホーク:ゲッター1の主要武器である片刃の手斧。普段は肩に収納されている。

トマホークブーメラン:ゲッタートマホークを敵に向けて投擲する技。偶に帰ってこないことがあるが、それでも肩からは新たなトマホークが出てくる。ゲッター線の神秘である。

ゲッタービーム:ゲッター線を凝縮して放つ、ゲッター1の必殺技。アニメ版では恐竜帝国のゲッター線防御装置のせいであまり強そうには見えなかった。

ゲッターウイング:ゲッター1が飛行の為に装備する赤いマント。OVA版では、これを利用してゲッタービームを拡散させたりと大活躍であった。

本日は以上です。ありがとうございました

しかし72だけはゲットして外出します

必殺技が一話ですでに対策されてるとか予想だにしねえよ

>>74
アニメ版だけ観ると貧弱な攻撃に見えますよね。まあ、人類にとっての放射線みたいなもんですから、対策されてるのもある意味当然かと

スパロボはやったことないので分かりませんが、あれにゲッタービームフルパワーって登場するんですかね?


唐突に1です。本日は用事が入ったため、更新できないかもしれません
というわけで、今のうちに第四話行きます

第四話「秘密」

OP  https://www.youtube.com/watch?v=a9LBWczFN8c


博士「全ての始まりは今から10年ほど昔のことだ。私は当時、ある男と共にゲッター線と、それを強く放出するある場所について研究していた」

博士「懐かしいねぇ……一度は彼と元祖ゲッターチームで、まだプロトタイプだったゲッターロボを使って秘密裏に地球を救った事もあったんだが……おっと、話が逸れてしまったね」コホン

博士「男の名は黒井崇夫。私のかつての……私自身は今もそうだと思っているのだが、親友だった男だ。私と黒井はゲッター線を研究する過程で、ゲッター線を強く放出する空間が不規則に発生していることを突きとめた。私と黒井はそれを追い、そして黒井はついにその空間を見つけた」

博士「かつての研究所に黒井が戻ってきた途端、彼はこう言ったんだ。ゲッター線研究は中止すべきだと。そして、彼はこうも言った」

博士「自分は人類を超越した……とね」

春香「それって……」

博士「うむ、それが最初の新人類にして、奴等の頭目『黒井崇男』誕生の瞬間だったのだよ」

博士「黒井は、彼ら新人類こそ、無秩序な人類を支配、管理するに相応しいと言って、何処かへ消えてしまった。それからしばらくしてから、この国では何件もの失踪事件が起こる様になった。巧妙に隠されてはいるが、私はそれが黒井の仕業であること、そして、彼らが新人類に作りかえられている事に気づいたんだよ」

春香「つまり……私たちの敵って言うのは、私がさっき倒したのは……」

博士「そう、元は我々と同じ人間だった」

春香「そんな……」

博士「新人類は、彼らが新世界と呼ぶものによって人体が作りかえられた結果生みだされる新生物なのだよ。その塩基配列は地球上の既存の生物とは大きくかけ離れている。そして彼らは自分を、選ばれし者であると主張し、我々人類を支配しようとしているのだ。戦わぬわけには、いかないだろうね」

春香「……」

博士「すまないね、辛い話だったろう?」

春香「確かにショックです。守りたいものも、倒すべき敵も、どちらも人間なんですから」

博士「元は、だがね」

春香「正直、よく分からないです……何が正しくて、何が間違ってるのか」

博士「うむ、そうだろうね。私にしたところで、この戦いが本当に正しい事だとはおもってはいない。年をとると、正しくも間違ってもいない選択ばかりする様になってしまっていかんねぇ……」

博士「さて、どうするかね? 戦いたくなければ、今からでも撤回して構わんよ。なにぶん、強制するような話でもないからね」

春香「私……戦うことが正しいのかどうかはまだ分かりません。でも、ここで千早ちゃんを見捨てて、たった独りで戦わせるのが間違ってることだけは分かります!」

博士「ふむ。つまり君は、如月君個人を守るために戦う、ということかね?」

春香「そうですね……だめでしょうか?」

博士「いや、今はそれで十分過ぎるさ。さて、難しい話はこれくらいにしよう。ご両親が心配するだろうし、今日のところはもう帰りなさい。何かあれば、こちらから人をよこすよ」

春香「分かりました。失礼します」




 春香が千早と一緒に戦うと決意した翌日から、ゲッターロボの戦闘訓練が始まった。しかし、思いもしなかった壁が、彼女たちの前に立ちはだかった。

千早「嘘……何で動かないの?」カチャカチャ

 ゲッターロボの各合体形態の訓練中、千早がメインパイロットとなる「ゲッター2」になった時、異変は起きた。

春香「博士! どういうことなんですか? ゲッター2になった途端、全然操縦が効かなくなっちゃいましたよ」

博士『もしかしたらとは思っていたが……やはりそうか』

千早「一人で納得しないで教えてください! 私には一刻の猶予も無いというのに……」

博士『ゲッターロボはその性能がパイロットの精神状態に大きく左右されるのだよ。それ故、先日の戦闘で受けたショックが原因で、一時的にゲッター2の運転性能が下がるとは思っていたが……まさか完全に起動しなくなるとはね』

千早「そんな……一時的にって、一体いつ治るんですか!?」

博士『厳しい事を言うようだが、それは君次第だ。君かゲッターのどちらかが、戦うことを拒否している。そういうことだ』

千早「……私にはもうゲッターしか無いって言うのに、そのゲッターまで私から離れてしまうというの?」

春香「千早ちゃん……」

千早「……ごめんなさい、春香。今日はこれで終わりにさせてもらえないかしら」

春香「う、うん」

―研究所―
春香「あの……千早ちゃん、ホントに何ともならないんですか?」

博士「うむ、さっき言った通り、如月君の精神状態の問題だからねぇ。何とかできるとすれば……」

春香「ほ、方法があるんですか!? 教えてください! 私、あんな状態の千早ちゃん、見ていられないです……」

博士「一言で言えば、元気づけてあげることだよ天海君。彼女の心は今、大切なものを二度も奪われたことで疲弊しきっているからねぇ」

春香「わ、私千早ちゃんのところに行ってきます!」タッタッタッ

博士「……ふむ、若さとはいいものだねぇ。道が見えずに迷うことも、暗闇の中を恐れず突き進むことも、若さの特権と言えるだろうね。そう思わんかね音無君?」

小鳥「……何で私に振ったんですか博士?」




春香(扉に『あずさ&千早』ってプレートがかかってる。ここが千早ちゃんの……)トントン

千早「……誰ですか?」

春香「千早ちゃん? 私。春香だよ。入っていいかな?」

千早「……何か用?」

 扉を開ける春香。

春香「いやぁ、用事って訳じゃないんだけどさ。心配になって」

千早「……」

春香「あのさ、千早ちゃん。今から私、凄く図々しい事言っちゃうと思うけど、聞いてね」

春香「千早ちゃんは、どうしてゲッターロボに乗っているの?」

千早「そんなの……奴らのやっていることが許せないからにきまってるじゃない」

春香「本当にそれだけ?」

千早「何が言いたいの? 要領を得ないわね」

春香「家族の復讐の為じゃなくて?」

千早「!? ……そう、博士がしゃべったのね。まぁいいわ。チームメイト同士だし、いずれは分かることね」

千早「そうね。正直に言えば、奴らに復讐するため。ただそれだけの為に、私はゲッターに乗っているわ。復讐の為に、私にはゲッターが必要なの。もしかしてあなた、復讐は虚しいだけなんて悟ったような事を言いに来たんじゃないでしょうね?」

春香「ううん。復讐も、立派……とは言えないと思うけど、ゲッターロボに乗る理由としては十分だと思うよ」

春香「でもね、だとしたら、あずささん達の死は千早ちゃんを更に駆り立てる事になると思うんだ」

千早「何を言い出すかと思ったら……春香、いくらチームメイトでも、言っていい事と悪い事があるわ!」

春香「だって、復讐の為だけならそうでしょ! 恨みだけなら、今どうして千早ちゃんは戦えないの!?」

千早「それは……」

春香「千早ちゃんはきっと、復讐だけじゃなくて、もっと大事な……色んな事の為に戦ってたんじゃないかな?」

千早「色んな……」

春香「それが何なのかは、千早ちゃん以外の誰にも分からないけれど……それが何なのか気付いた時、ゲッターはきっと応えてくれると思うんだ」

千早「私の、大事なもの?」

春香「じゃあ、私もう行くね。後は千早ちゃんが考えるべきだと思うから。また明日、訓練で会おうね」バタン

春香(これでいいのかな……私には千早ちゃんの受けた心の傷を治す事は出来ない。きっと、千早ちゃんを救えるのは千早ちゃん自身だから)

春香「信じて待ってるよ。千早ちゃんならきっと、千早ちゃんの中の『答え』を見つけられるって」






第四話 おわり

ゲッターロボ大解剖!!
ゲッター2:ジャガー号、ベア―号、イーグル号の順に合体する陸戦形態。三形態中最速を誇る。主な武装は、ドリルアーム、ペンチアーム。原作におけるメインパイロットは神隼人。

あれ、ゲッターロボGとゲッタードラゴンって同じ物?

正式名称がゲッターロボGで各形態の名前がゲッタードラゴン、ジャガー、ポセイドンらしい

おはようございます。1です
地震で部屋がぐっちゃぐちゃです


>>98
説明不足ですみません。
>>99の方がおっしゃる通り、
形態を問わない呼称:ゲッターロボ、ゲッターロボGなど
形態ごとの呼称:ゲッター1、ゲッタードラゴンなど
となってます
本作では、ゲッターロボをご存じない方のためにゲッターロボ大解剖!!なるものを最後につけてますが、Gは敵としての登場だったため、解説を忘れてました

ということで、解説


ゲッターロボ大解剖!!
ゲッターロボG:通常のゲッターロボと違い、初めから戦闘用に作られたスーパーロボット。ゲッター炉心のほかに、ゲッター線増幅装置を内蔵しており、旧式のゲッターロボの10倍のパワーを誇る。ゲッタードラゴン、ゲッターライガー、ゲッターポセイドンの三形態に変形合体する。
ゲットマシン(G):ゲッターロボGのゲットマシンには、ドラゴン号、ライガー号、ポセイドン号があり、それぞれがイーグル号、ジャガー号、ベアー号に相当する。
ゲッタードラゴン:ドラゴン号、ライガー号、ポセイドン号の順に合体した形態。空戦に優れた汎用性の高い機体で、おもな武装はダブルトマホーク、スピンカッター、ゲッタービーム、シャインスパークなど
ゲッターライガー:ライガー号、ポセイドン号、ドラゴン号の順に合体した形態。陸戦に優れ、スピードは三形態随一。おもな武装はドリルアーム、ライガーミサイル、チェーンアタックなど。
ゲッターポセイドン:ポセイドン号、ドラゴン号、ライガー号の順に合体した形態。水中戦に優れ、パワーは三形態随一。また、ゲッター3タイプのロボとしては珍しい二足型であるが、キャタピラオンでキャタピラモードにもなれる。おもな武装はフィンガーネット、ゲッターサイクロン、ストロングミサイルなど。

では、第五話を始めます

第五話「推参、菊地真」

OP  https://www.youtube.com/watch?v=a9LBWczFN8c


春香(次の日、ゲッターの訓練に千早ちゃんは現れませんでした。なんでも、『しばらくゆっくり戦う理由を考えてみたい』とのことらしいです)

春香(ただ、毎日お部屋にお邪魔してお菓子を食べながら私の事、千早ちゃんの事、ゲッターのことなんかのおしゃべりをしてると、ちょっとずつ元気になってくれてるみたいでうれしいです)

ギャーギャー

春香「さーてと、今日も訓練頑張らなきゃ! ん?」

博士「おや、天海君じゃないか」

春香「あ、博士! こんにちは! あの、なんだか入口のあたりが騒がしいですけど、どうしたんですか?」

博士「ああ。実はだねぇ、さっき研究所に侵入者があってだね」

春香「えぇっ!? また新人類ですか!?」

博士「いや、一般人だったんだが……せっかく研究所の警備態勢を強化したというのに、警備員が10人も倒されてしまってね」

春香「それ、ホントに一般人なんですか?」

博士「ああ、それは間違いない。ただ、少々変わった子ではあるがね」

春香「で、入口のところで職員さんと口論してる彼がその人ってわけですか」

真「あ、博士! 早くボクをゲッターロボに乗せて下さいよ!」

春香「へ?」

博士「彼女、菊地真君というらしいんだがね。こないだのキミの戦いを見て、ゲッターロボに一目ぼれしてしまったらしくてねぇ。ゲッターに乗せてくれと、ここまで押しかけてきたのだよ」

春香(女の子だったんだ……)

真「君の戦い……てことは、もしかして君がこないだ乗ってたパイロットなのかい?」

春香「う、うん」

真「くぅー! 本人に会えるなんて感激だなぁ! ねぇ、ボクも一緒に戦わせてくれよ!」

春香「え、一緒に!? 博士、丁度いいじゃないですか! 探し求めてた三人目ですよ、三人目!」

博士「うぅむ……そうは言うがねぇ」

真「何が問題なんですか! 自慢じゃないですけどボク、結構強いですよ! 北は北海道から南は沖縄までを武者修行して身に付けた必殺奥義、大雪山おろしがありますからね!」

春香「有望そうじゃないですか。何か問題があるんですか?」

博士「……ぃのだよ」



春香「え、何ですって?」

博士「ティンと……来ないのだよ」

春香「そんな理由なんですか!?」ガクッ

博士「そうは言うがね天海君。私のカンはあたるのだよ。現に君だって、私のカンでパイロットになったんじゃないか」

春香「それはそうですけど……」

博士「とにかく菊地君。悪いことは言わないから帰りなさい。ご家族が心配するよ」

真「ボクに家族なんていませんよ。唯一の家族だった父さんも、技が危険すぎるという理由で武道界から追放されたショックで倒れて、そのまま死んでしまった」

博士「……すまない事を言ったね。何にしても、ゲッターに乗ることが、君のためになると私には思えないんだ」

春香(私よりゲッター1のパイロットっぽい気がするけど)

真「何でだよ! どうせボクには失うものなんてないんだ。なら、どうしようとボクの勝手だろ!?」

千早「そんな心構えだからよ」

真「っ! 誰だ!?」

春香「千早ちゃん!」

千早「まったく、外が騒がしいと思って出て見たらこんなことになってるなんてね。いい、そんな無鉄砲な考え方でゲッターに乗られては、皆のいい迷惑よ」

真「誰だか知らないけど、関係ないヤツは黙っててくれないかな」

千早「あら、関係なくないわよ。私もゲッターのパイロットだもの」

博士「あー、如月君。このコは菊地真君と言って……」

千早「博士はちょっと黙っててください」

博士「ガーン」

春香「博士、いじけないで下さいよ……」

真「ちょうどいいや。ってことは、君を倒しちゃえば、パイロットに欠員が出るわけだ」

千早「もう出てるけれども……やれるものならやってみたら?」

真「んじゃ、遠慮なく。てりゃあ!」ビュッ

 直後、真が千早に殴りかかる。

春香「は、博士! 千早ちゃんが!」

博士「んぅ……なんだね?」イジイジ

春香「いじけてる場合じゃないですよぉ! このままじゃ千早ちゃんが」

博士「ああ、如月君なら大丈夫だよ」

千早「はっ!」シュッ

 それを容易く受ける千早。

千早「所詮お遊びでパイロットになろうとしている人間ね」

真「くぅ……やるじゃないか」

千早「ゲッターチームは特殊な訓練を受けてるからね。あなたでは相手にならないわ」

真「相手になるかならないか、教えてあげるよ!」ブンッ

千早「甘い! 目よ」ビュッ

真「ぐぁ!」

千早「耳よ」シュパッ

真「うっ!」

千早「鼻!」ゴスッ

真「がはっ!!」ドサッ

春香「つ、強い!」

千早「相手どころか、お話にすらならないわね。早く帰りなさい。カッコよさだけで戦おうとする人間なんて、私達ゲッターチームには必要ないの」

真「ま、まだまだぁ」

千早「しつこいわね。いいわ、これで最後にしてあげる。しばらく眠ってなさい!」ビュン

真「そこだぁ!」パシッ

春香(千早ちゃんが腕を取られた!)

真「必殺! 大雪山おろし!!」ズワォォ

千早「な、きゃぁあ!!」

春香「な、千早ちゃんがあんなに高く放り投げられるなんて!」

ドサッ!

千早「くっ、何て力なの……体がバラバラになりそうな程の遠心力ね」

真「へへ、やーりぃ! 博士、これでボクがパイロットですよね!」

博士「私はそんな約束していないんだが……」

ガチャッ

律子「博士! こんな所にいたんですか!? 小鳥さんが館内放送しても見つからなかったわけだわ。すぐに研究所に戻って下さい。春香、千早、あなた達もよ」

春香「どうしたんですか、律子さん?」

律子「東京都内に敵兵器と思われる巨大ロボットが出現したわ! 急いで現場に急行して頂戴!」

博士「何だって!? よし、ゲッターチーム、出撃だ!」

三人「「「了解!」」」

―研究所、ゲットマシン格納庫―
小鳥「ゲットマシン発進準備完了です」

博士「うむ。天海君、如月君、準備はいいね?」

春香「はい! ……千早ちゃん、大丈夫?」

千早「ええ、まだ少し、ここにいると胸が苦しくなるけれど……春香一人を戦わせるわけにはいかないわ」

春香「千早ちゃん……」

ベア―号「……」

博士「よし、ゲットマシン、発進だ!」

―東京都某所―
春香「見えた! あれが新人類のロボット兵器……」

千早「見た目はまるで怪獣みたいね。春香、ゲッター1に合体よ」

春香「うん、任せて! チェエエエエエンジ! ゲッター1、スイッチオン!!」ガシャン

?「うわぁああ! ぶつかる!?」

千早「!? ベア―号に誰かいるの?」

真「痛たた……こないだの戦いで合体するのは知ってたけど、まさかこんなに迫力があるなんてなぁ」

春香「あなたはさっきの!?」

千早「あなた、何をやってるか解ってるの!?」

真「へへーん、今更降りろなんて言わないよね? もう合体しちゃったわけだし」

千早「くっ。博士! 指示をお願いします!」

博士『うぅむ、菊地君がベア―号に忍び込んでいたとは。事ここに至っては仕方あるまい。菊地君、今はただそのレバーを握っているだけで良い。皮肉なことだが、これで三人のパイロットが揃い、ゲッターは真の力を発揮できるわけだ』

真「さっすが博士、話が分かりますね! よーし化け物め! このボクが相手だ!」

―研究室―
小鳥「博士、真の力を発揮できるとおっしゃいましたけど……」

博士「うむ、確かに。ゲッターは三人のパイロットがただ揃えばいいというものではない事は、音無君が一番良く知っているだろうね」

小鳥「三つの心が一つになった時。その時こそ、ゲッターロボは無敵のマシンとなる……」

博士「今は信じるしかない。絆の力を……新しい世代の戦士たちをね」

―再び都内某所―
春香「いっくよー! ゲッタートマホーク!」ジャキン

春香「とりゃあ!」

新人類「フン、その武器は先日の戦闘データで解析済みだ! 喰らえ!」

千早「春香、後ろよ!」

春香(ロボットの尻尾がゲッターの足にからみついた!?)

新人類「ふふふ、そのまま俺様の機械獣と一緒に海水浴と洒落込もうじゃないか」ザブン

千早「くっ、海に引きずり込まれたわね」

春香「尻尾がゲッター1の体中に巻きついてる上に、水中だからよけいに身動きがとりにくいよ!」

真「どうするんだよ! 絶体絶命じゃないか!」

千早「黙っていなさい菊地真! 仕方がないわね。一度オープンゲットして、ゲッター3になるしかないわ」

春香「分かった! オープンゲット!」バシュ

新人類「くぅ、逃げやがったか。しかし水中戦なら負けん!」

千早「菊地真、あなたに頼るのはしゃくだけど、ここは戦略上仕方がないわ。あなたがコントロール権を持つ水中戦用形態、ゲッター3に合体するわ」

真「お、やっとボクの出番なわけだね。待ってました!」

春香「真、私と千早ちゃんが先に合体するから、真は私のイーグル号に続けて合体して!」

千早「来て、春香!」

春香「うん!」ガシャン

真「よく分からないけど分かったよ! いっくぞー! チェーンジ! ゲッター3!!!」

ドガン!

春香「きゃあ!」ドテッ

真「うわぁっ!」

千早「くっ……合体失敗!? 何をやっているの!?」

真「わ、悪かったよ……初めてで少し緊張しちゃってさ」

千早「遊んでるんじゃないの! あなたの双肩に、人類の運命がかかっているのよ!」

真「分かったよ、そんなに怒鳴らなくてもいいだろ!」

千早「全然分かって……きゃぁ!」ドガッ

新人類「逃げ回って何をするかと思えば仲間割れか? ゲッターロボ、こんなにつまらん相手だとは思わなかったぜ。そろそろ終わりにしてやる!」シュルシュル

春香「ま、またあの尻尾だよ!」

千早「くっ、合体途中のイーグル号とジャガー号が捕まった……菊地真! 男なら最後までキチンとやり遂げなさい!」

真「ボクは……女だぁぁああああああ! チェエエンッジゲッタァアアアアアアア3! スイッチオン!!!!」ポチ

春香「入った!!」ガシャン

千早「合体成功よ!」

真「こ……これがボクのゲッター3」

春香「やったね真!」

真「か、カッコ悪い!」

春香「えぇ~!」ガクッ

千早「……貴女、ふざけているの? 伸縮自在の腕、三形態中最大出力、高い火力。そしてあらゆる地形と水中を走破するキャタピラ……こんなに素敵なゲッター3を、よりにもよってカッコ悪いなんて」

真「だってさぁ、ゲッター1は二足歩行でスラっとしてるのに、このゲッター3は背が低いしホームベースみたいな形だし、何より何で脚がキャタピラなんだよ!」

千早「愚かね。ソコが良いというのが分からないの!? 感性を疑うわ。そもそもg」

春香「ち、千早ちゃん! 真! そんな事言ってる場合じゃないよぉ。絞めつけられてる胴体(イーグル号部分)がミシミシ言ってるよぉ!」ミシミシ

新人類「その通りだ! 合体したところで、俺の尻尾に捕まっている事には変わりないぞ!」

真「くぅ、そうだった。博士! どうすればいいですか?」

博士『ここはゲッターミサイルを使いたまえ』

真「了解! くらえ、ゲッターミサイル!!」バシュッ

新人類「ぐわぁ!」ドカーン

春香「尻尾が離れた!」

真「よぉしっ! くらえ、ゲッタースマッシュ!」ブンッ

新人類「フン、さっきは油断しておくれをとったが、こんなトロいパンチあたるものか! こっちもミサイルをお見舞いしてやる!」

春香「うわっ、機械獣の口からミサイルが!!」

千早「オープンゲットよ!」

真「よーっし」ポチ

ドワォォォォ!

新人類「目標命中!」

千早「くっ……菊地真! どうしてオープンゲットしなかったの!?」

真「痛てて……悪い悪い、どうもスイッチを間違えたみたいでさ」

千早「貴女と言う人は……」

新人類「トドメだ!」シュルシュル

春香「わわっ、また尻尾が来たよ!」

千早「菊地真! オープンゲットして春香に代わりなさい!」

真「へへっ、お断りだよ」

千早「何ですって!? 貴女、こんな時に……」

真「だってこの戦い、ボクが勝つからね!」パシッ

春香(機械獣の尻尾をキャッチした!)

新人類「むっ、尻尾をつかまれたか。構うものか、掴まれたのならこのまま投げ飛ばして……」

真「投げ飛ばす? ボクを? それは無理ってものだね。何故なら……」

真「投げ飛ばされるのはキミのほうさ! 必殺! 大雪山おろぉおおおおし!!」

新人類「な、このパワーは!? ぐわぁああああ!!」バリバリッ

春香「やった! 機械獣がバラバラになったよ!」

千早「生身でも相当だったけれど、凄まじい遠心力ね……」

博士『素晴らしい逆転劇だったねぇ菊地君』

真「博士、見てましたよね! どうです、これでもボクをゲッターチームに入れてくれませんか?」

博士『うーむ、そうだね。本来二足で行う筈の投げ技を、キャタピラ駆動のゲッター3でこんな高レベルに再現して見せられては断れないねぇ。良かろう、今日から君は、三人目のゲッターチームだ!』

真「やーりぃ! これからよろしくお願いします!」

春香「おめでとう、真!」

千早「……」

小鳥『ゲッターロボは三人の心が一つになった時、本当の力を発揮することが出来るの。辛い戦いになるかもしれないけど、三人で団結して頑張ってね』

春香「はい!」

真「まっかせてください!」

千早「……分かりました」

 かくして、ここにゲッターチームの三人が集まった。しかし、三つの心が一つにならねば、ゲッターロボは真の力を発揮できない。果たして、彼女達の心が一つになる日は来るのであろうか。



第五話 おわり

ゲッターロボ大解剖!!
ゲッター3:ベア―号、イーグル号、ジャガー号の順に合体する水中戦形態。三形態最高のパワーを持つ。主な武装は、ゲッターミサイル。原作のメインパイロットは巴武蔵。作品によっては出て来すらしない影の薄い存在。

ゲッタースマッシュ:ゲッター3のパンチの事。

ゲッターミサイル:ゲッター3の肩部にある二発のミサイルのこと。

大雪山おろし:巴武蔵が北海道は大雪山で編み出したという柔道技。アニメ版ではグルグル振りまわしてぶん投げる技だったが、OVA版では両手の伸縮と回転を利用した技になっている。今作では、真が北海道にて考案し、沖縄にて完成させたという設定。

本日は以上です


毎日この量更新とか凄いな
俺遅筆だから裏山


今一気に読んだが面白いな
真ゲッターとかゲッター號もでるんだろうか

>>161
実は書き溜めたんまりしてからスタートしてます
私も超遅筆で、とりあえず9話まで書き溜めが完成してからスレ立てしました。今10話を書いてます
明日からちょっとリアルが忙しくなるので、今後は毎日投下はむずかしくなってくるかもしれません
ゆっくりですが更新していきますので、気長にお付き合いいただければ嬉しいです

>>162
ありがとうございます
ss二作目でまだ慣れないのと、長編は今回が初めてなので途中グダらないか心配ですが、初心者のことと温かく見守ってもらえればうれしいです
実は三部構成の予定で、ゲッターロボ、Gの第一部(現行)、號(ゴウがいないので、名前は変わるかもしれません)の二部、真ゲッターの三部にしたいなーなどと無謀なことを考えてます
一応プロットは三部通して完成してるので、第一部を書き終えたら、次作にとりかかりたいと思ってます

二作目って、過去作何だ?

>>165
HTML依頼を出し忘れてて、先ほど申請してきたのですが、一作目は
亜美「765プロ!」真美「七不思議!」
亜美「765プロ!」真美「七不思議!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1392766800/)
という作品です
先ほど同スレに
響「貴音に面妖なと言わせとけばいいという風潮?」
という短編をもう一つ投下したので、駄作ながら、併せてご覧いただければ幸いです

1です
先日書いたとおり、少々リアルが忙しくなったため、明後日まで投下をお休みさせていただきます。せっかく読んでくださる方々には申し訳ないのですが、虚無ったりはしないようにするので、今しばらくお待ちください
今書き溜めが11話までになりました。相変わらずの遅筆でいやになっちゃいます

1です
今夜8時くらいから、第六話をやります
よろしくおねがいします

応ッ!待ってるぜ!

所でインベーダーって出てくる?

1です
ちょっと用事が入ったので、今の内に投下を行います

>>172
モデルにしたものは三部で出す予定ですが、まだ一部(ゲッターロボ、G)段階なのでちょっと未定です・・・チェンゲ好きなのでそれっぽいのは出したいなと考えてます

第六話「二人の壁」

OP  https://www.youtube.com/watch?v=a9LBWczFN8c


 菊地真がゲッターチームに加わって数日がたった。その間も、連日のように新人類の駆る機械獣が攻めてくる。今日もまた、ゲッターチームは機械獣と激しい戦闘を繰り広げていた。

春香「ゲッタービーム!」

機械獣「」シュウン

真「なっ、こいつゲッタービームを吸収した!?」

 今回の敵はスライム状の身体を持つ機械獣だ。

千早「どうやら外部からエネルギーを吸収する力を持ってるみたいね。春香、一旦オープンゲットして。実弾兵器を使いましょう」

春香「うん! オープンゲット!」ポチ

真「チェーンジ! ゲッター3!」

真「よぉっし、ゲッターミサイル!」バシュン

 千早の読み通り、ゲッターミサイルのような実弾攻撃であれば通用するようで、スライム状の機械獣は命中した部分がえぐれている。

真「トドメだ! 大雪山おろし!」

千早「菊地さん、待ちなs」

 ゲッター3の手が機械獣を捉えんとしたその時、伸ばした腕を伝って、逆に機械獣に囚われてしまう。

真「わわっ、何だこれ!?」

春香「完全に閉じ込められちゃったみたいだね。全然動けないよ……」ガチャガチャ

真「オープンゲットもできないや」

千早「だから待ちなさいと言ったのよ」

真「もっと早く言っ……ん? このスライム、何か光ってない?」

 ゲッター3を覆った機械獣の身体が突如発光した次の瞬間、三人を強い痛みが襲った。

春香「きゃあああああ!!」バリバリ

真「うわあああ!! な、何だこれは!?」ビリビリ

千早「くっ……どう、やら……ゲッタービームを吸収したエネルギーを……電撃に変えてるみたいね」バリバリ

真「こ、このままじゃやられちゃうじゃないか! こうなったら」

千早「早まった真似はやめなさい!」

真「やられる前にやるっきゃないだろ! ゲッターミサイル全弾発射!!」ピッ

 菊地真の判断は半分は正解であったが、もう半分は致命的な失敗であった。正解というのは、今すぐ手を打たねば、先に大破するのは確実にこちらであったと言う事。失敗と言うのは、覆われているゲッターもまた、その強力な爆風を全て受ける事になる点であった。

博士「秋月君! すぐに救助部隊を出撃させるんだ! 音無君は医療スタッフの準備を!」

りつことり「「り、了解!」」

 結果、ゲッター3は、自らの兵器によって半壊。パイロットは三人とも軽症で済んだものの、ゲッターロボ以外に戦う術を持たぬ人類側にとっては、致命的な損害であった。

真「……」

千早「……」

ガチャッ

 病室を支配していた沈黙は、高木博士の来訪によってようやく崩れた。

博士「いやぁ、良かった。あの爆風に巻き込まれてこの程度の傷で済むだなんて奇跡的といえるだろうねぇ」ハハハハ

真「……」

千早「……」

博士「ハハハ、ハハ……」

春香「……博士、ゲッターはどうなったんですか?」

博士「……端的に言おう。ゲッターロボは半壊。今は秋月君達が不眠不休で頑張ってくれてはいるが、どう急いでも後10日間はゲッターは出撃出来ないだろう」

春香「そんな……じゃあ、その間機械獣とは誰が……街の人達は誰が守るんですか!?」

博士「政府にはすでに連絡しているから、自衛隊と米軍が対応してくれるらしい。それから、アメリカにあるゲッター線研究所N.Y.支部から、研究中のロボットを何体か送ってもらえるらしいが……正直、戦果は期待できないだろうね」

博士「今の我々にできる事は、ただただ敵が現れない事を祈るだけだ……さて、そろそろ私も研究所に戻るとするよ。修理を手伝わねばならんからね。君達は、久しぶりの休暇を楽しんでいてくれたまえ」バタン

真「……」

千早「何とか言ったらどうなの?」

真「……今の、もしかしてボクにいったのかい?」

千早「貴女以外に誰がいると言うの! 私の制止を聞かずに勝手な行動をした上、ゲッターまで破壊するなんて。音無さんが言っていたでしょう? ゲッターは三つの心を一つにしなければダメなの。勝手な行動をされては迷惑よ」

春香「ち、千早ちゃ」

真「ボクは間違った事をしたとは思ってないよ」

千早「……何ですって?」

真「確かに、あそこで大雪山おろしを使おうとしたのはボクの失敗だった。だけど、その後のミサイル攻撃は、あの場では最善手だった」

真「どの道あの時はああしなけりゃ半壊どころじゃ済まなかった。それとも、千早には他の方法があったっていうのかい?」

千早「それは……」

真「大体さ、千早はゲッター2を動かせないらしいじゃないか。ボクらばかりに戦わせて、自分は上から命令ばかりだなんていい御身分だね!」

千早「!!」ガタッ

真「!!」バッ

春香「ストーーーップ!!!」

 殴りかかろうとした千早と、それを迎え撃たんとする真の間に入る春香。

春香「真、ゲッター2を動かせなくて一番つらい思いをしてるのは千早ちゃんだって解ってるんでしょ? それに千早ちゃん、らしくないよ。頭に血が上っちゃって、全然話し合いになってない!」

真「……ボク、ちょっと飲み物買ってくるよ。春香は何か欲しいものある?」





1です
まだ六話の途中ですが、時間がきてしまったのでここで一度切らせていただきます
早めに帰れたら、また続きを投下させて頂きます






真はアニメでも誰かと衝突するポジションだったからなぁ…

てかトリつけないの?つけてもらったら分かりやすいんだけど

1です

これより昨日の続きを投下します

>>195
酉ってよく分からないんですが、どうやるんでしょうか?

春香「……じゃあ、ミルクティお願いできるかな?」

真「了解。誰かさんも、そんな言い方なら良いんだけどね」テクテク

 真が退室し、再び病室内にしばし沈黙が戻る。

春香「……千早ちゃん。最近の千早ちゃん。ううん、正確には、真が来てからの千早ちゃん、何だか変だよ。真と何かあったの?」

 重い空気に抗って口を開いた春香は、言葉を選ぶ様にしてゆっくりと尋ねる。

千早「……何もないわ。ただ、どうしても菊地さんを受け入れられないの」

千早「私は、未だに自分が何のために戦うのか、何のためにゲッターに乗るのか解らないでいる。それなのに、ゲッターに乗ることについて、戦うことについて何も考えていない、ただ戦いたいから戦ってるあの人のことが、どうしても許せないの」

春香「真は多分、何も考えてないわけじゃないと思うな」

千早「そうかしら? カッコよさだけで押し掛けたり、無茶苦茶な戦い方をしているのに」

春香「確かに戦い方はちょっと乱暴かもしれないけど……真は真なりに考えてるよ。ただ、気持ちが強すぎて、身体が先に動いちゃうだけ」

春香「戦い方も、私やいつも冷静な千早ちゃんと違うから受け入れにくいかもしれないけど、私でも千早ちゃんでもどうにもできない時、それを何とかしてくれるのは、真みたいな人だと思うんだ」

千早「……そうね。私、菊地さんのことが羨ましかったのかもしれないわ。だけど、それでもやはり……いえ、だからこそなのかもしれないけど、私はあの人とは相いれないと思うの。同じ気持ちになんて、なれそうにないわ」

春香「私ね、思うんだけど……小鳥さんの言ってた、三つの心を一つにするって、三人が同じことを考えるってこととは違うんじゃないかな?」

千早「どういうこと?」

春香「音楽がパートごとに全然違っても、合わせれば一つのメロディになるみたいに、三人が三通りの考え方を持ってても、それを重ねて一つの強い想いにする。そう言うことじゃないかな?」

春香「迷わず進む真がいて、じっくり考える千早ちゃんがいて……そんな二人を守りたい私がいる。私達、きっといいチームになれるよ!」

真「……そうだね」

千早「!? 菊地さん、いつの間に……」

真「自販機くらい病院の中にあるからね。千早がボクを考えなしって言ってるとこからいたよ。はい、春香のミルクティ」

春香「ありがと」

千早「……」

真「……」ツカツカ

 真は、黙って真を見つめる千早に近づくと、ポケットから取り出した物を首筋に当てた。

千早「きゃっ! ……これは」

真「何が良いか分かんなかったから、ボクのイメージで選ばせてもらったよ」

 真が千早に差しだしたのは無糖のブラックコーヒーだった。

千早「……あり、がとう」

真「へへっ、どういたしまして」

千早「ねぇ菊地さん。この際だから聞かせてもらえないかしら。貴女はどうしてゲッターに乗るの?」

真「う~ん、考えたこともないや。だって、ボクらの敵がいて、ボクに戦えるだけの力があるんだからね。むしろ、二人はどうしてゲッターに乗ってるのさ?」

春香「私は、まだ新人類と……元は人間だった人達と戦う事が正しい事だって思えないんだ。だけど、戦わなきゃ他の皆を守れないし、何より傷ついてる千早ちゃんを一人で戦わせるなんて出来なかったから」

千早「春香……」

真「千早は?」

千早「私は……最初は家族を、大事な人達を奪われた復讐の為に戦ってたはずだった。けれども、再び大切な人達を亡くして、自分の戦っていた理由が判らなくなってしまった」

千早「むしろ私が聞きたいの。私はいったい何のために戦っていたの? これから先、何のために戦えば良いの?」

真「そんなに難しく考えなくてもいいんじゃないかなぁ? 乗りたいから乗る、戦いたいから戦う。それでもいいじゃないか」

千早「そんな風にはとてもじゃないけど考えられないわ」

真「カタブツだなぁ。ま、春香の言ってた通り、千早はそれくらいでちょうどいいのかもね! ボクや春香は、難しいコト考えるのは向いてないし」

春香「ちょ、なんで私まで~」

千早「……」クスクス

春香「……千早ちゃん、久しぶりに笑ってくれたね」

千早「そうだったかしら。何だか、二人を見てると悩んでた自分がバカらしくなって」

真「うんうん。いっつも考え込んでたら、いざって時に疲れちゃうよ。時には頭の中空っぽにしなきゃ!」

春香「ねぇ、どうせしばらくゲッターに乗れないんだし、三人で遊びに行かない?」

真「それいいね! 親睦を深めるのも大事な任務だよ」

千早「もう、いつ敵が来るかも分からないのに……でもそうね。こうして病室に籠ってても、何も始まらないものね」

春香「ぃよーし! そうと決まれば早速出発!」



~カラオケ~
真「踊ろ! 踊ろ! 仮初の~ロンドを♪」 https://www.youtube.com/watch?v=aBBJQl_rRb0

千早「カラオケなんて初めてだわ……」

春香「そうなの? 千早ちゃん、喉強いからきっと上手だと思うな!」

千早「じゃあ……これ、歌ってみるわ」ピピ

真「ふぅ、身体動かすのもいいけど、久しぶりに思いっきり歌うと気持ちが良いね!」ハイ、マイク

千早「え、ええ」ドキドキ

ジャーン♪

春香「千早ちゃん、始まったよ!」

千早「じゃあ、歌うわ。『地上の星』」 https://www.youtube.com/watch?v=qljMf7q-jhM

……

真「上手いじゃないか!」

春香「凄いよ千早ちゃん!」

千早「そ、そうかしら。自分ではよく分からないわ……」

春香「そのレベルなら、アイドルだって夢じゃないよ!」

千早「褒めすぎよ/// それより春香、次はアナタの番じゃない? 伴奏始まってるわよ」

春香「あ、ホントだ! よぉ~し、千早ちゃんに負けないように頑張るぞ~」

……

真「何て言うか……」

千早「ええ、うん」

春香「な、何なの?」

真「なかなか、個性的な歌い方だね」

千早「嫌いじゃ……ないわ」メソラシ

春香「えぇ~」

~ゲームセンター~
真「破っ!!」バゴン

パンチングマシン「堪忍して……」ボロッ

春香「わ! 壊れちゃった?」

真「何だコレ、脆いなぁ」

千早「太鼓の鉄人……最近はこんなゲームがあるのね」ドンドンカッ

……

真「ふぅ、遊んだ遊んだ!」

春香「最近訓練と戦いばっかしだったから、こういうのなんか新鮮だなぁ」

千早「そうね」

真「あ、プリクラがあるよ! 記念に撮ってこうよ!」

春香「いいね! ほら、行こ千早ちゃん」

カシャッ

千早「ププッ……春香、何て顔してるのよ」

春香「きゅ、急に真が押すから」

春香『のヮの』

真「あははは、ごめんごめん。でも押したんじゃないよ。肩を組んだだけさ」
           
春香「……こんな日が、続けばいいのにね」

真「どうしたんだよ突然」

春香「……ううん、何でもない! さ、しばらくお休みなんだから、しっかり羽を伸ばさなきゃ!」

 厳しい戦いの中忘れていた日常を取り戻す三人。しかし、敵はこちらの都合に合わせてはくれない。果たして、人類の守護者ゲッターロボは間に合うのだろうか。



第六話 おわり

本日は以上です。ありがとうございました

酉=トリップは2chやこういうとこで使える本人識別用の文字列
名前欄に半角の#と適当な文字列を入れると表示されるもの

例えば俺の名前欄に

#ゲッターロボ

と書き込むとこうなる



六話のタイトル、二人の壁って千早と真の間の心の壁のことか。てっきり…

1です。酉をつけてみました。できてるかな?

>>225,226
ありがとうございますお陰さまで酉について理解できました
今後はこの酉で書き込みさせて頂きます

>>228
他意はありません。決して千早と真の胸囲的な話ではありません


次回の投下は明後日のお昼頃を予定しております

1です
これより七話を投下します

第七話「如月千早、立つ」

OP https://www.youtube.com/watch?v=a9LBWczFN8c

 数日、三人は色々なところをめぐった。ウィンドウショッピングで真の意外な趣味を知ったり、ファミレスで何をするでもなくだべったり、千早の部屋に三人で泊まって夜ふかししたり……年相応の女の子がそうするように、三人は存分に羽を伸ばした。

~10日後~
千早「それにしても不思議ね」

真「何が?」

千早「あれから、一体も機械獣が攻めてこないじゃない。今まで一週間と開けず襲ってきてたのに」

春香「敵も新しい機械獣を作るのに手間取ってたりして」

真「あはは、案外そうかもね」

博士「おお、君達。ここにいたのかね」

春香「あ、博士! こんにちは!」

博士「うん? そうか、もう昼だったのか」

千早「博士、目の下に酷いクマが……」

博士「なに、いつも君達に命を懸けさせているんだ。こんな時ぐらい頑張らねば、大人としての面目がたたんじゃないか。それより、良い知らせだ!」

博士「今日、ついにゲッターロボの修理が完了する!」

真「ホントですか! やーりぃ!」

春香「良かったぁ。今日まで機械獣が攻めてこなくて」

千早「そうね……」

 その時、突如研究所内にサイレンが鳴り響く。10日前までは頻繁に耳にしていたその音に、慌てて立ち上がるゲッターチーム。

千早「この音は」

真「機械獣か!」

春香「どうしよう、後ちょっとで修理完了って時に」

高木「私の方にも音無君から通信があった。敵は東京都内に出現。軍とスーパーロボット軍団が向かったそうだ」

春香「皆、作戦司令室に行こう!」

千早「そうね。あそこなら現地の映像が見られるわ」




~高木研究所内、作戦司令室~
小鳥「春香ちゃん達、来てたのね」

真「小鳥さん、戦況は?」

小鳥「よくないわね……軍の戦闘機はゴジラと戦う自衛隊並みにあっという間に全滅。スーパーロボット軍団も頑張ってはいるけど……」

春香「この機械獣、モグラ型?」

小鳥「そうね、頭についてるドリルで地中を動き回るせいで、なかなか攻撃できないでいるの。その上……」

 突如、画面の中心にいたはずの機械獣の姿が消える。

真「き、消えた!?」

千早「いいえ、これは……」

小鳥「超高速移動によるものよ。あの機械獣、とんでもないスピードね」

春香「ゲッターがあったところで、あんなの捕らえられるのかなぁ」

千早「……そう言うことだったのね」ギリ

小鳥「千早ちゃん……今あなたが考えてる通りだと思うわ」

春香「?」

真「どういうことだい?」

千早「今まで敵が襲ってこなかったのは、ゲッターを確実に葬れる機械獣を作っていたからだった」

千早「敵は、ゲッターロボが何らかの理由でゲッター2になれない事を看破していた。そして、そこを突いてゲッター2でしか勝てない機械獣を製作し、確実にゲッターロボを……私達の息の根を止めるつもりなのよ」

真「なるほど。雑魚を量産して政府を落とすより、強いの一体作って唯一の抵抗手段を奪いに来たのか」

千早「……ごめんなさい」

春香「千早ちゃん?」

千早「私が戦えないばかりに、付け込まれることになって……」

春香「千早ちゃんのせいじゃないよ!」

真「そうさ。それに、あれをボクらが止められないなんて、ちょっと早計じゃないかな?」

春香「そうだよ、私達のゲッター1とゲッター3で、あんなモグラなんてやっつけちゃうんだから!」

千早「二人とも……」

小鳥「!? まずいわ。スーパーロボット軍団、残り3体しかいない!」

真「何だって!? くっそー、何とかして時間を稼がないと!」

小鳥「……」

千早「私に考えがあるわ」

小鳥「っ! 千早ちゃん?」





小鳥・春香・真「「「し、新人類と交渉!?」」」

千早「ええ、それで時間を稼ぐしかないと思うの」

小鳥「そんな、無理よ。だって向こうの求めているのは私達人類の全面降伏よ。交渉の余地もないわ」

千早「そうじゃなくて、私達ゲッターチームの機密情報を渡す代わりに、一度退いてもらうんです」

小鳥「なるほど、敵が時間をかけてまで潰したがってるゲッターチームの機密を餌に、できるだけ時間を稼ぐってわけね」

千早「はい」

真「よーっし、そうと決まればその交渉、ボクが」

小鳥「あー、真ちゃんはそう言うの向いてないんじゃ……」

春香「そうだよ!」

真「どういう意味だよ!?」

千早「そのままの意味よ。その交渉、私が行くわ」

小鳥「!? そんな、そう言うのはオペレーターの私が……」

千早「いえ、敵も機密が本物かどうか疑う筈です。そんなところに小鳥さんが向かうよりは、実際のパイロットである私が行った方が、相手が興味を持つ分交渉を受けて貰い易いと思います」

春香「……それで行こう」

真「春香!?」

千早「ありがとう、春香」

春香「信じてるからね、千早ちゃん」

千早「ええ、またコックピットで会いましょう」




千早「新人類!!」

機械獣「……?」

千早「私は如月千早。貴方達の敵、ゲッターロボのパイロットよ!」

 機械獣のコックピットが開き、パイロットらしき新人類が現れる。

新人類「ほぅ、そのパイロットの如月さんが、一人で俺に何の用だね?」

千早「交渉をしにきたのよ」

新人類「交渉だと? 貴様らにその余地があると思っているのか? 我等新人類の目的は貴様ら旧人類の管理! 貴様らと話し合う必要など皆無よ」

千早「そうかしら? 案外、話し合えばもっといい方法も見つかるかも知れないわよ」

新人類「そんなものがあるのなら、是非とも聞いてみたいモノだな。現実として存在しないからこそ、こうして貴様らを蹂躙しているのさ」

千早「短気は感心しないわね」



……

真「千早の奴、なかなか本題に入らないけど大丈夫かなぁ?」

春香「ワザとだよ。いきなり本題に入っちゃったら時間稼ぎにならないじゃない!」

小鳥「やっぱり真ちゃんを行かせなかったのは正解ね……」

春香「私達にも何かできることないかなぁ」

真「そうだ、修理の手伝いに行こうよ!」

小鳥「ダメよ。真ちゃんがいじったら、直るどころか余計に壊れちゃうわ」

真「小鳥さんのボクへの評価がキツい気がする……」

春香「でも、何もしないではいられません! 真、ドックにいって博士たちの様子をみようよ。荷物運びとか、手伝えることはあるかもしれないし」

真「そうだね!」


~研究所、ゲッターロボ修理所~
律子「ちょっと、モタモタしないで! それ終わったら装甲板のチェックに行きなさーい!」

ギャオーン

春香「ははは、まるで戦場みたいだね……」

真「よく分かんない機械がいっぱいだね。こりゃ確かに足手まといかも……」

博士「ん? おや、天海君と菊地君じゃないか」

春香「博士! 私達、じっとしてられなくて……何か手伝えることはありませんか?」

博士「うぅむ、そう言われてもねぇ。パーツの製造は完了して、後は重機を使って取り付けするだけだからねぇ」

真「うーん、焦っちゃうなぁ……千早が一人で頑張ってるって時に」

博士「ん? 如月君がどうかしたのかね?」

真「実は……」カクカクシカジカ

博士「何!? 如月君がそんな無謀な真似を!?」

博士「こうしちゃおれん! 私も全力で作業せねば!」

春香「は、博士! ちょっと待って下さい!」

博士「む? 何だね?」

春香「何か……何か私にできる事はありませんか!?」

真「戦うことでも、雑用でも、何でもいいんです! ボク達ゲッターチームは……」

春香・真「「仲間の為に何かしたいんです!!」」

博士「……うむ。ならば、アレを使うと良いだろう」

真「アレ?」

博士「ゲッター1の為に秋月君が開発した追加装備『ゲッターマシンガン』だ。これなら、機械獣相手にダメージを与えることもできるだろう」

 博士の指さす方には、ゲットマシン二台分程の巨大なマシンガンがあった。

春香「こ、これが……」

真「こんな大きいの、どうやって使えばいいんだろ?」

博士「……如何に如月君が鋭利な知性の持ち主であろうと、新人類と交渉など、とても長持ちはしないだろう。事を起こすならば、急いだ方が……」

律子「博士! 何遊んでんですか! こっちきて手伝って下さい!!」

博士「おやおや、秋月君がお怒りの様だ……さて、これで君達が何をするか。それは君達の自由だ。悔いの無いようにしたまえ」

春香・真「「はい!!」」



千早サイド
新人類「……いいかげん、貴様との問答ももう飽きたわ。早くその機密資料とやらをこっちに渡してもらおうか」

千早「待って。これを渡した後、貴方が撤退すると言う証拠は?」

新人類「そんなものあるわけ無かろうが! そもそも、それを言うならそちらの機密とやらの真偽すら怪しいではないか!」

千早「話にならないわね。こちらは貴方に退いてもらいたいだけ。だと言うのに、交渉の信ぴょう性を下げる様な資料を提供すると思う?」

新人類「話にならないのはそちらではないか! もう結構だ。機密等無くとも、この機械獣があればゲッターロボなどモノの数ではないわ! そんな紙屑、貴様ごと貫いてくれる!!」

千早(ごめんなさい、春香。約束、守れなさそう)

新人類「死ねぃ!」

千早(こんなことなら、一度くらい菊地さんの事を……)

ババババババッ!!

千早(っ! ……生き、てる?)

真「へへっ、やりぃ!」

千早「菊地さん!?」

春香「千早ちゃん! 無事だった?」

千早「春香も……それより、ソレは?」

みれば、春香と真が巨大なマシンガンの傍らに立っている。

春香「律子さんが作った、ゲッターロボの追加装備だって!」

真「自衛隊の人に無理言って運んでもらったんだ。千早だけにいいカッコさせないよ!」

千早「……真ったら、相変わらず格好ばかり気にして」

真「別にそう言う意味で言ったんじゃ……って、今ボクを真って!?」

新人類「ぐっ……てめぇら、よくもやってくれたな!」

真「ちっ、やっぱあれだけじゃ倒せないか」

春香「真! もう一回やろう!」

真「よーっし! くらえ!」バババババ

新人類「ふん、さっきは油断していたが、集中していればこの程度避けることなど造作もないわ!」シュンッ

真「は、速い!」

春香「カメラで見てた以上だよぉ……」

真「負けるかぁ! このこのこのー!」バババババ

新人類「無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」

 ゲッターマシンガンの打ちだす無数の弾丸を軽々とかわし、一気に春香達の元に接近する機械獣。

春香「わわっ、真!」

真「くぅ、回避は無理か! 春香、飛び降りるんだ!」タッ

 二人がゲッターマシンガンから離れた直後、機械獣のドリルがマシンガンを粉砕した。

千早「春香、真!」

真「うわぁ……ギリギリだったなぁ」

春香「痛ててて……お尻打っちゃったよ」

千早「二人とも、無事だったのね」ホッ

新人類「ゲッターチームが揃ったか。これは好都合! ここで纏めて粉微塵にしてくれる!」

 機械獣は方向を変え、三人の方に鋼鉄のマシンガンすら砕く巨大なドリルを向ける。

千早「くっ」

春香「わわわっ、逃げなきゃ!」

真「逃げれたら、ね」タハハ

新人類「終わりだ! 死ねェ!!」

小鳥『みんなー!!』ババババ

新人類「ぐぁっ!! こ、今度は何だ!?」

千早「あ、あれは……」

真「ゲットマシン!」

春香「小鳥さん? 小鳥さんなんですか!?」

小鳥「お待たせ! 直したてホヤホヤのゲットマシン、お届けに来たわよ!」

真「やりぃ! これであんなヤツ返り討ちにしてやりますよ! 行こう、春香、千早!」

春香「うん!」

千早「行きましょう!」


新人類「クソ! 我ながら油断が過ぎたか……っ!? あれは」

春香「チェェェエエエエエンジ! ゲッタァァァアアアアアッ……ゥワンッ!」

新人類「ようやく現れたか、ゲッターロボ! 小娘二人に小僧一人では手柄にもならんと思ってたところよ!」

真「……春香、ちょっとオープンゲットしない?」ビキビキ

千早「ダメよ! スピードの遅いゲッター3じゃすぐやられてしまうわ!」

春香「あ、後で何か奢るよ……よーっし、ゲッターウイング!」バサァッ

 地上は不利とみて、上空へと飛翔するゲッター1。

新人類「ふむ、その判断自体は間違いではないが……」

春香「ゲッタービーム!」

新人類「遅い!」シュッ

真「ダメだ、さっきとおんなじで全然当たんないや!」

春香「で、でも、向こうだってこっちに攻撃できないんじゃ……」

新人類「そいつぁ間違いだな。くらえ、ドリルミサイル!」ポチッ

 空中に浮かぶゲッター1に向かって、突如頭部のドリルを発射する。

春香「なっ!?」

真「春香! オープンゲットするんだ!」

春香「う、うん。オープンゲット!」ポチ

 あわやというところで分離し、ドリルがゲッターのいたところを通過する。

千早「春香、もう一度ゲッター1よ!」

春香「うん! チェンジ! ゲッター1!」

春香「これならどうだ! 拡散ゲッタービーム!」

 ゲッター1がゲッターウイングを纏い、ゲッタービームを放つ。ゲッターウイングで覆われたビームは四方へ散らばり、大地の機械獣へと向かう。

新人類「甘い!」

 しかし機械獣は、いつの間にか生えてきたドリルで地中に潜り、これをかわしてしまう。

春香「どうしよぅ、地面に潜っちゃったみたい……」

真「これじゃこっちの攻撃が当たんないよ。どうする千早!?」

千早「こっち(ゲッター1)じゃダメならゲッター3よ!」

春香「オッケイ! オープンゲット!」

真「よぉーし! チェェエンッジ!! ゲッタアァァアア3!!!」

千早「真、ヤツが潜った穴に向かってミサイルを撃って!」

真「オーケー! くらえ、ゲッターミサイル! 全弾発射ァ!!」

 ゲッター3の放ったミサイルが、機械獣の掘った穴の中で爆発する。自然、爆風は穴の中に広がり……

新人類「ぐわぁっ!! く、小癪な真似を……」

 機械獣は、たどり着いた爆風に堪らず地上に出て来た。

千早「くっ、爆風で大したダメージを受けてないなんて……やはりとんでもない速さね」

新人類「だが、地を這う鈍間なゲッター3なんぞ的でしかないわ! くらえ!」

 ドリルをうならせ、ゲッター3に突進する。

千早「!? オープンゲットを!」

真「もう間に合わない! こなくそおぉぉっ!」ガシッ

 真は、一瞬の判断でオープンゲットでは避けきれないことを悟ると、機械獣のドリルを強引に二本の腕で掴んだ。パワーなら無敵を誇るゲッター3だが、回転するドリルを掴んで止めるという無茶なやり方に、腕部パーツは徐々に削り取られていく。

真「ぐっ……何とかギリギリ止めたけど」ガリガリガリ

千早「こ、これじゃジリ貧じゃない。この状態からじゃ何も出来ないわ……」

春香「……あるよ」

春香「私と真が機械獣を止めてる内に、キャタピラ部のジャガー号(千早ちゃん)だけ分離して、ゲッター3の上から合体するんだよ!」

真「そ、そんな無茶苦茶なぁ……」ギャリギャリギャリ

千早「り、理論上は可能だけれども……」

春香「やろう、千早ちゃん! もうそれしかないよ!」

千早「だけど! 私に代わって、もしゲッター2が動かなかったら……」

春香「大丈夫だよ」

千早「だって、私はまだ答えをだしていないわ!」

春香「ううん。答えなら、ずっとあったんだよ」
    ナカ
春香「例え見失っても、答えは最初からずっと千早ちゃんの心にあったんだよ!」

千早「私の……心の中に……」

春香「行こう! 千早ちゃんなら、きっと大丈夫」

真「千早ぁ! 大丈夫、ボクにだって出来たんだ! 千早も上手くいくさ!」バリバリバリ

千早「春香……真……」

千早「……私、やるわ」

真「よぉぉおおおおっし! ジャガー号、分離!」ポチ

千早(春香に出会うまで、殺された人達の為に戦ってると思ってた。だけど本当はそれだけじゃなかったみたいで、自分のことなのに全然分からなくて……今も、これという答えを見つけたわけじゃない)

千早(でも今は……今だけは!!)

千早(二人と一緒に戦いたい。ただそれだけの為に!!)

千早「お父さん、お母さん、優……亜美、あずささん……ごめんなさい、私は先へ進みます!」

千早「チェェェエエエエエエンジ!!! ゲッタァァアアアアアアアアア2! スイッチオン!」ポチ

千早「歩んできた過去の為に! 寄り添う人のいる今の為に! 皆と進む未来の為に! 動きなさい! ゲッター2!」グッ

 ゲッター2は、左手のドリルで機械獣のドリルを受け流すと、音速を超えるスピードで後ろに回り込んだ。

新人類「なっ、ゲッター2!? バカな! 報告では変形できないと……」

千早「訂正しなさい……変形『できなかった』よ! ドリルアーム!」ギュイィィィン

新人類「ぐっ、奇しくもドリル対ドリルというわけか……こちらも負けるわけにはいかん!」ギュルルルル

 二つのドリルが、火花を散らしながらぶつかりあう。

新人類「く、パワーは互角の様だな……ならばスピードはどうだ!」ダッ

春香「に、逃げた!?」

千早「そうはさせないわ!」ダッ

新人類「ふっ、スピードも互角の様だな……ならばこの勝負、先に相手のスキを突いた方の勝ちということだ」

 そう言うと、機械獣は突如無軌道に走り出す。

春香「わわっ、これじゃ相手に攻撃を当てられないよぉ」

真「っていうか、相手を目で追うのも一苦労だよ……」

千早「ふふっ、アナタ達に、音速の戦いというのがどういうものか、教えてあげるわ」

 千早の駆るゲッター2もまた、機械獣を追って移動する。

新人類「追ってくるか……だが、同じスピードであれば、先に動いた方に追いつくことなど不可能!」

千早「そうね。ただそれは、直線であればの話よ」

 機械獣の真正面に、突如ゲッター2が立ちふさがる。

新人類「なっ!? 何故ゲッターが正面に!」

千早「貴方は機体の性能を引き出し切れていない……無駄の多い雑な動き、機体速度に追いついていないパイロットの手腕、動体視力、反応速度。そのどれもが本来のスピードを殺しているわ」

新人類「クソ! 訳のわからん説教を……死ねェ! ドリルアタック!!」

千早「見せてあげるわ。本当の速さというものを……マッハスペシャル!」シュババババ

 新人類の目に、無数のゲッター2が現れる。機械獣の攻撃が当たったかと思えば、また別の場所に新たに一体現れ、際限がない。

新人類「こ、これは……幻覚か!?」

千早「終わりにしましょう。ドリル……ハリケェェェエエエエエエエン!!」

 ゲッター2のドリルの回転が、強力な風を巻き起こす。

新人類「き、貴様ァァァアアアアアアアアア!」

 最後のあがきとばかりに、吹き飛ばされる間際にゲッターに向けてドリルミサイルを打ち出す機械獣。

千早「そういえば、貴方のそれもドリルミサイルと言うのね。丁度いいわ。ドリル対ドリルの決着をつけましょう! ドリルミサイル!!」

 それに向かって、避けずに真正面からドリルミサイルを打ち出すゲッター2。二つのドリルがぶつかり合う。一つは爆ぜ、もうひとつは直進し、相手を捉え、貫いた。

 直後、爆発音が響く。

千早「……終わったわね」

真「ふぅ、最後避けずに真正面からドリルミサイルの打ち合いをした時は心臓が止まるかと思ったよ」

千早「あら、私だって真にはいつもひやひやさせられっぱなしだもの。偶には私が皆を驚かせてもいいんじゃないかしら」

 そういってくすりと悪戯っぽく微笑む千早の姿に、同性ながらドキリとする真。

春香「千早ちゃん、変わったね」

千早「や、やっぱり変かしら……」

 そう言って少々不安そうに首を傾けるしぐさも、先日までと違って自然である。

春香「ううん! 良い方に、だよ。さ、帰って博士達と、ゲッターロボ復活パーティしようよ! 私、ケーキ作っちゃうよ!」

真「お、いいねぇ!」

千早「ふふ、そうね。帰りましょうか、私達の研究所へ!」




……

??「クソ! 忌々しいゲッターロボめが……」

??「おっさん、どうすんだよ? そろそろ俺達の出番じゃねぇの?」

黒井「……何だ、キサマか」

冬馬「キサマじゃねぇ! 冬馬だ! ……ふん、俺だけじゃねぇ。『木星連』全員いるぜ」

北斗「チャオ、ボス。出撃準備が出来たらいつでも言って下さいよ」

翔太「僕達、出番無くて退屈してんだよね~」

黒井「貴様らの出番はもう少し先だ。命令があるまで黙って待機しておけ」

冬馬「へっ、弱気だな。人間ごとき、俺がぱぱっとぶっ倒してきてやるぜ!」

北斗「落ちつけよ冬馬。ボスにも何か考えがあるんだろう」

翔太「そーそー。機械獣貰えなくても困るし、ここは黒ちゃんの言うとおりにしとこうよ」

冬馬「……ふん。早く俺を戦わせろよな!」

翔太「旧式の人類なんかにそんなに期待しない方がいーんじゃないかなぁ」

 三人が退出し、後には新人類が頭目、黒井崇男のみが残された。

黒井「……フン、支配することしか能の無い俗物めが」

黒井「……高木よ、ゲッターを人類の希望などと思いこむ貴様に目に物見せてやろう。そして気付くが良い! ゲッターの、ゲッター線の恐ろしさを……偽りの身に魂を与えた我らの愚かしさを!」



第七話 おわり

本日は以上です

次回はおそらく25日の夜ごろになるかと思います。よろしければお付き合いください

1です

これより第八話を投下します

もしかすると途中で切るかもしれませんが、切った場合は明日もしくは明後日再度投下します

1です

これより第八話を投下します

もしかすると途中で切るかもしれませんが、切った場合は明日もしくは明後日再度投下します

第八話「意地」

OP https://www.youtube.com/watch?v=hHsvnJ1NqO8

 如月千早がパイロットとして完全復活してからというもの、ゲッターチームはこれまで以上に実力を伸ばし、最早機械獣に後れをとることも無くなっていった。

真「大雪山おろぉおおおおおし!」

ズワォォォォン!!

~研究所、千早の部屋~
春香「やったね真!」

千早「相変わらず凄まじい技ね、大雪山おろし」

真「へへ、ありがとう! 苦労して身に付けた技だからなぁ」

千早「私も格闘訓練の時に真似てみようと思ったんだけど、なかなか難しいのよね」

春香「大雪山おろしって、どうやって身につけたの?」

真「よく聞いてくれました! 大雪山おろしはね、父さんが死んじゃってから日本一周の武者修行の旅に出た時、北海道は大雪山で考案した技なんだ!」

千早「そういえば、初めて会った時にそんなこと言ってたわね」

真「考案したのはいいんだけど、なかなか理想通りの技に仕上がらなくてね。それからも旅を続けて、ゴールにしてた沖縄の離島で、初めて納得のいくものが出来たんだ! ……ん? これは」ピラッ

春香「どうしたの?」

真「これ、ゲッターが半壊した時に、三人で撮ったプリクラじゃないか。千早、貼ってなかったのかい?」

千早「私、こういうの初めてで……どこに貼ればいいのか分からなかったから」

真「こういうのはね、携帯の蓋裏につけるのが伝統なんだよ!」

千早「プリクラに伝統なんてあったのね……」

春香「千早ちゃん、携帯貸して! ……よし、貼れた!」

真「しっかし、この時の春香の顔ったら。ぷふっ」

千早「ふふっ、そうね」

春香『のヮの』

春香「だからあれは真が!」

真「あーハイハイ。ボクが悪うございましたよー」

春香「もー、そんな棒読みじゃ許さないんだからね!」

 じゃれあう二人を見つめながら、さみしそうな顔をする千早。

春香「……千早ちゃん、どうしたの?」

千早「え、ううん。何でもないわ。ただ、また三人であんな風に遊べたらって思って」

真「千早……」

春香「大丈夫だよ! この戦いが終わったら、三人でまたいっぱい遊ぼうね!」

千早「……そうね。そう考えれば、厳しい戦いも耐えられそうね」

真「うんうん、ボクらの思い出の詰まった街を、新人類なんかに渡すもんか!」

真「最近じゃボクらの腕も上がって、そんじょそこらの機械獣なら瞬殺できるしね。この調子なら、近いうちにまた遊びにいけるよ! ボク、今度こそあのフリフリの服が欲しいんだ!」

千早「アレはちょっと……」

真「な、何だよぉ。春香! 春香はいいと思うよね?」

春香「のヮの」

真「ちょっ!? 目をそらさないでよ!」

千早「あははは」

 三人の笑い声を遮る様に、けたたましいサイレンが所内に響き渡る。

千早「っ!? これは」

春香「機械獣出現の音だよ!」

真「一日に二度も来るなんて珍しいね。とにかく出撃しよう!」




高木「来てくれたか、ゲッターチームの諸君」

真「博士、またですか?」

高木「ああ。今まで一日に二度も現れることなどなかった。これは何かの作戦なのかもしれん。三人とも、用心するように!」

三人「「「はい!」」」

高木「うむ。では、ゲッターチーム、出撃!!」


……

千早「目標確認。春香、ゲッター1で行くわよ」

春香「うん、チェンジゲッター1!」

春香「ゲッターウイング!」バサ

翔太「お、ようやく来たね、ゲッターチーム!」

春香「くらえ、ゲッタービーム!!」

翔太「へへーん、無駄無駄!」シュゥゥゥ

真「なっ!? ゲッタービームが四散した!?」

翔太「僕ら『木星連』の機械獣は特製だからね。この程度のゲッター線は、防護装置がかき消してくれるのさ!」

春香「ゲッタービームがダメなら、これでどうだ! ゲッターマシンガン!」バババババ

翔太「あははは、何やってんの? そんな豆鉄砲でこの僕、木星連の御手洗翔太がどうこうできると思ってんの?」

春香「くぅ……じゃ、じゃあこれならどう? ゲッタートマホーク!」シャキンッ

春香「トマホークブーメラン!」

ガキンッ!

翔太「無駄だって言ってるのが分かんないのかなぁ?」

春香「そ、そんな……」

真「春香! 今度はボクに任せてよ!」

春香「う、うん……オープンゲット!」ポチ

真「チェンジゲッター3!」

真「ゲッターミサイル!!」

ドドドドオォォオン

真「やったか!?」

翔太「そういうの、フラグって言うんだよ」シュウン

真「な、無傷だって!?」

千早「真、後ろよ!」

翔太「くらえっ」

真「ぐはっ!」ドガッ

真「ぐっ、あんなに頑丈なくせして、こんなに素早いなんて反則だろ……」

千早「スピードなら私が行くわ! 真!」

真「了解。オープンゲット!」ポチ

千早「チェンジゲッター2!」

千早「マッハスペシャル!」シュババババ

翔太「へぇ、聞いてはいたけど、ホントに分身するんだ。面白い技だね~」

千早「ヘラヘラしてられるのも今のうちよ。くらいなさい、ドリルアーム!」

翔太「ほいそこ」

千早「きゃあ!」ドガッ

翔太「いくら分身しても、結局本物は一体だけなんだから。そんなんじゃ僕には通用しないよ」ヘヘーン

千早「くっ、ドリルハリケーン!」

翔太「そんなそよ風聞かないよ~。パンチでお返しだ!」シュンッ

千早「なっ、速!?」ドガッ

真「ゲッター2が避けきれないだって!?」

春香「は、八方塞がり……なのかな?」

翔太「何、もう終わり? つまんないのー。じゃあいいや。これがとどめね」

 翔太の機械獣のツノに、強い光が集まっていく。

真「これは……」

春香「ちょっとマズそうだね……」

千早「退避するわよ!」

翔太「バイバイ、ゲッターチーム」バシュゥゥゥン!

 機械獣が光線を発射すると、その進行方向にあったビル群が光線の形にえぐれ、その先に地平線が見えた。




翔太「……あ~あ、逃げられちゃったかな」

~研究所~
真「何だよアレ!?」

千早「とてもでないけど、敵いそうにないわね……」

春香「木星連って言ってたね。新人類の幹部なのかなぁ」

ガチャッ

博士「諸君」

三人「「「博士!」」」

真「どうしましょう! あんなのどうやって倒せばいいんですか!?」

千早「パワー、装甲、スピード……全てにおいて私達の遥か上を言っています。不甲斐ないですが、私たちだけでは何も思いつかないんです」

春香「何か、良い案はありませんか、博士?」

博士「……ないわけでは、ない」

三人「「「っ!! 何ですか!?」」」

博士「ゲッターロボGだよ」

博士「天海君と如月君が倒したゲッターロボGは、あの後我々の方で改修、修復作業をおこなっていたんだ」

博士「ただ、どうしても既存のゲッターロボのメンテナンスの方に比重を取られて、未だ完全には復旧していないがね」

今更だけどゲッター2ならドリルストームとゲッタービジョンじゃないの?

博士「通常のゲッターロボの10倍の性能を誇るゲッターロボG。そこに君達三人のパイロットが揃えば、あの木星連とやらにもきっと勝てる筈だよ」

真「ど、どれくらいで完成するんですか?」

博士「後一日。後一日だけ時間があれば、必ず」

春香「そんな……一日あれば、あの機械獣が東京を破壊しつくすのに十分じゃないですか! それじゃあ街の皆が」

千早「いいえ、東京だけじゃ済まないでしょうね。あのパワーとスピード。最悪、一日あれば関東圏は全滅……」

>>342
ゲッターを知らない人には区別がつかないと思ったので、ややこしくならないようにライガーに統一してました
説明不足ですみません

いまさらですが、このssにおいてはゲッター2タイプのロボが分身する技をマッハスペシャル。ドリルから風を起こす技をドリルハリケーンに統一しています

博士「いや、更に悪ければ、ココが直接狙われることも考えられる。黒井はどうも、ゲッターロボを完全に破壊することに執念を燃やしてるみたいだからね」

春香「そんな、ゲッターロボGが完成していない今攻撃されたら……」

千早「だというのに、時間を稼ぎたくても、現状ゲッターロボだけでは時間稼ぎにもならないわね……」

博士「済まないが、君たちはここで英気を養っていてくれたまえ。ゲッターロボGが完成した時、全力を出せるようにね。後は、我々が死に物狂いで修復作業に臨むよ。もしそれまでに奴らが攻めて来るようなら……その時は私も最後まで戦おう」

真「……」

博士「では、私はこれで失礼するよ。私の様な老骨も、作業の一助にはなるからね」ガチャッ

春香「……本当に、何も出来ないのかな。今この瞬間も、誰かが殺されてるのに」

千早「仕方がないわ。博士の提案が一番現実的かつ勝率が高いもの。悔しいけれど、東京は切り捨てることを覚悟して、ここでじっとしていましょう」

真「……」スッ

春香「真、何処行くの?」

真「……ちょっとトイレにね。緊張しちゃってさ」アハハ

千早「もう少し恥じらった方がいいんじゃないの? 女の子らしくなりたいんでしょ?」フフッ

真「あはは、そうだね。そうだった。うん、その通りだ……」

真「あ、千早」

千早「何?」

真「ちょっと、ボクが帰ってくるまでこの携帯預かっといてくれない?」ポイ

千早「きゃっ。ちょっと、投げて渡さないでよ」

真「悪い悪い。じゃ、頼んだよ……」バタン


~研究所 ゲッターロボG修理場所~

真「わぁ、これがゲッタードラゴンかぁ」

博士「菊地君? どうしたのかね」

真「博士、仮になんですけど、ゲッターロボの動力に使われているゲッター線まで、全部使ったとして、あの機械獣に勝てると思いますか?」

博士「キミ、一体何を……」

真「答えてください!」

博士「……勝てる。だがそれは相討ちという形でだ。それを勝利と言って良いのなら、それで十分勝つ事が出来るだろう」

真「そうですか」

博士「菊地君、キミは一体……」

真「いえ、ゲッタードラゴンはゲッターロボの10倍のパワーなんでしょ? ゲッターロボ一体分でギリギリ勝てるなら、ゲッタードラゴンなら勝てるだろうなと思いまして」

博士「そ、そうかい? 菊地君、くれぐれも言っておくが、早まった真似だけは……」

真「じゃ、ボクは二人のところに戻りますね! ありがとうございました!」タッタッ

……

小鳥「パイロット候補?」

真「はい。ボクら三人だけだと、やっぱり心細いじゃないですか」

小鳥「そうね、一応いるにはいるわ。でも、すぐに操縦できるのは一人だけね」

真「へぇ、そうなんですか」

小鳥「ええ。元々ゲッターロボGのパイロット候補だったんだけど、妹にその席を譲って、自分は研究の道に進んだ子がいるわ。今はアメリカの支部に勤めてるけれど、その……妹の亜美ちゃんの訃報を聞いて、近々こっちに戻ってくるそうよ」

真「そっか、丁度良かった」

小鳥「? 何が良かったの?」

真「いえ、これから戦いも佳境ですし、戦力は多いに越したことないじゃないですか!」アハハ

小鳥「そうね。交替できる人がいると思うだけでも、随分余裕があるものね」

真「……ありがとうございました。小鳥さん、妄想はほどほどにした方がいいですよ」

小鳥「ぴよ!? な、何でそれを」

真「へへ、偶に一人でぼんやりしながらブツブツ言ってるの見ちゃいまして」

小鳥「ま、真ちゃん。お願いだからこの事は秘密にしておいて……」

真「あはは、分かりましたよ! では」

……

律子「あら、真じゃない。こんな所でなにしてるの?」

真「え、いやぁ何でもないさ。ちょっと落ち着かなくて散歩してただけだよ」

律子「散歩ってアンタ……ここ、ゲットマシンの格納庫よ? こんなとこ歩いたって面白くもないでしょうに」

「律子ねえちゃ―ん、この図面なんだけど」タッタッタッ

ドン

?「わわっ!」

真「おっと、大丈夫かい?」ダキッ

?「は、はい! すみません///」

真「いいよ。君軽いから、全然痛くなかったし。可愛いね。律子の妹さん?」

?「い、妹……」シクシク

真「?」

律子「あはは、その子は私の従弟よ」

真「ああ、従妹なんだ」

律子「ええ、従弟」

真「? 従妹だろ?」

?「あ! それより律子姉ちゃん! この図面なんだけど……」

律子「ああそれね。あー、これは……私が現地に行くっきゃないわね。ほら、涼も着いてきなさい!」

涼「うん!」

真「あ、律子!」

律子「何?」クルッ

真「いつもありがと。ボク、結構荒っぽい操縦だったから大変だったろ?」

律子「なーに今更そんなこと言ってんのよ。それが私たちの仕事なんだから、気にしない気にしない!」

真「涼ちゃん……でいいのかな? 君もありがとう」

涼「へ、僕?」

真「そんな細い腕で修理、大変だったろう? ありがとね」

涼「そ、そんな。とんでもないです! 僕も、皆さんの力になれて嬉しいです!」

真「そう言ってもらえるとうれしいよ。あ、そうそう。女の子でも、もう少し鍛えた方がいいと思うよ。呼びとめて悪かったね」

律子「気にしてないわ。さ、行くわよ涼!」タッタッタッ

真「……ごめん、律子。ゲッターロボ、今までで一番ボロボロにしちゃうかも」

真「行こうか、ゲッターロボ。ボクらの街を、研究所のみんなを守るために……いや、人間(ボク)の意地を見せるために」


……

千早「真ったら遅いわね」

春香「……」ガクガク

千早「どうしたの、春香? 寒いの?」

春香「な、何でだろう千早ちゃん……私、さっきから嫌な予感が止まらなくって……」ガクガク

千早「そうね、人類は今絶体絶命だもの。そう思うのも仕方g」

春香「そうじゃないの! もちろんそれもあるんだけど……何だろう、何か、すっごく悲しい事が起こりそうな……」

千早「春香?」

 その時、研究所内にサイレンが鳴り響く。それは、彼女達がいつも聞いてきた機械獣出現を知らせるものとはまた違った音だ。

千早「!? この音は……」

春香「な、何? 千早ちゃん、このサイレンは?」

千早「そんな、おかしいわ……」

春香「ねぇ千早ちゃん! 教えて! このサイレンは何なの?」

千早「私達はゲットマシンの中にいるから聞きなれないだろうけど、これは」




千早「ゲッターロボの発進を知らせるサイレンよ」

春香「……真」ボソッ

千早「え?」

春香「いや、行っちゃダメ……ダメだよ真」

千早「ちょっ、ちょっと春香!? 落ちついて」

春香「いやぁぁぁあああああああっ!」


……

翔太「あーあ、ゲッターチームも逃げちゃうし、自衛隊の兵器じゃ全然相手にならないし……これだから人類って嫌になっちゃうなぁ。クロちゃんには、地球侵略はゲッターを始末してからって言われてるけど、退屈で死にそうだし、高木研究所に行く前にもうこの辺全部ふっ飛ばしちゃっていいかなぁ」

真「そうはいかないよ! トマホークブーメラン!!」

翔太「あ、ゲッター1じゃん! 丁度良かった、僕ヒマしてたんだよー」ガキン

真「相変わらずノ―ダメージ、か。嫌になっちゃうなぁ」

翔太「あれ、さっきより動きが鈍いね。ビームが当たっちゃったのかな?」

真「ヒマつぶしに人の命を奪うようなヤツに負けてたまるか! チェンジゲッター2!」

ビューーン

真「くっ、何て加速だ……こんなのを千早は操縦してたのか」

真「くらえ、ドリルミサイル!」

翔太「遅すぎるよ」ヒラッ

真(隙が出来た!)「チェンジゲッター3! ゲッターミサイル!」バシュッ

翔太「あんな見え見えのおとりに引っ掛かるわけないじゃん」シュウン

真「かわしたね」

翔太「かわしたけどそれがどうか……はっ!?」ガシッ

 ミサイルの爆煙にまぎれて伸ばしていた腕で、翔太の機械獣を捉える。

真「くらえ、大雪山おろぉおおおおおおおおし!!!」グイーン

 すかさず、真の必殺技「大雪山おろし」をかけ、敵を天高く放りあげる。

翔太「ぐっ、凄い回転っ。けど、この程度のパワーじゃ僕の機械獣は破壊できないよ!」

真「それも、織り込み済みだよ! チェンジゲッター1! ゲッターウイング!!」バサッ

ガシッ!

翔太「!? 何何? 何で抱きついてくるの?」

真「さぁ、悪いけど一緒に地獄に行ってもらうよ」グリグリグリ

翔太「じ、自分で胸を抉った!?」

 ゲッター1の手には、ゲッターロボの動力源たるゲッター炉心が握られている。炉心は青白くゆらゆらと不気味な輝きを発し、どんどんその温度を上げていく。

翔太「ま、まさか自爆!? 冗談じゃない、旧式の人類なんかに付き合って死んでらんないよ!」ジタバタ

真「流石の木星連も、空中じゃ最高性能は発揮できないだろう。残念だけど時間だ。さあ、逝こうか!!」キィィン

翔太「や、やめ……」

真(春香、千早……後の事は頼んだよ)

真「くたばれ、新人類!!」カッ

 その日、東京上空はまばゆい光に包まれた。

第八話 おわり

とりあえず途中やめにならなくてよかったです

ゲッター知らない人、アイマス知らない人、両方に見てもらえるssを書きたいな……と思ったりしてます

次回はちょっと開いて4月1日の夜になるかと思いますので、よろしければお付き合いお願いします


あ、やよい誕生日おめでとう! やよいも出したいなぁ……

エイプリルフールネタで一本書きたかったけどネタが思いつかなかった1です
これより第九話を投下します

今回はちょい短めです

エイプリルフールネタで一本書きたかったけどネタが思いつかなかった1です
これより第九話を投下します

今回はちょい短めです

第九話「アメリカから来た少女」

OP https://www.youtube.com/watch?v=KjuphZ5F2sg

春香「ううぅぅ……」グスグス

千早(真がゲッター1で自爆してから一日が経った……)

千早(真が部屋を出て行った瞬間から何かを察していたらしい春香は、あれからずっと半狂乱のまま)

千早(当然、私もすごく悲しい。できる事なら、春香のように現実から逃げだしてしまいたい。真には、言葉ではなく行動で色々な事を教えてもらったから……)

千早「けど、傷ついた私の為に戦ってくれていた春香を放っておくなんて、私には出来ない……」

千早(そういう意味では、春香が酷く気落ちしているのは結果的には良かったのかもしれないわね)

千早(中途半端に二人とも落ち込んで、それで結局二人揃ってやられるのが最悪のパターン)

千早(冷たいかもしれないけれど、私は感情には振りまわされないようにしなければ。それが、ここまで繋いでくれた真への返礼)

千早(それに、それが真が信じてくれた私らしい私、だもの)

ガチャッ

博士「如月君」

千早「博士ですか」

博士「天海君は……相変わらずのようだね」

千早「ええ」

博士「こんな時に申し訳ないんだが、今後の事について話しておきたい」

千早「お願いします。私も、その方が落ちつきますので」

博士「まず、先程アメリカから双海真美君が帰国した」

千早「真美が!?」

博士「うむ、亜美君の訃報を連絡してから、ずっと帰りたがっていたんだが、アチラのお偉いさんがなかなか彼女を手放さなくてねぇ。それで、色々と片付けていたら帰国が今になったというわけだ」

博士「そして、ゲッターロボGの完全修復が完了したよ。我が高木研究所、そして人類としては、真美君を新たなパイロットに加え、残りの戦いを完遂して欲しい」

千早「……真美はその件については?」

博士「既に了承してくれているよ」

千早「そうですか……博士」

博士「何だね?」

千早「私と春香を、真美にあわせてもらえませんか?」


……

ガチャッ

真美「あ、千早お姉ちゃん! Hello!」ヒラヒラ

千早「へ!? へ、へろぉ」ヒラヒラ

真美「あはは、日本語でいいよ→」ケラケラ

千早「……コホン、久しぶりね、真美」

真美「千早お姉ちゃんもね」

千早「紹介するわね、こっちが、私と一緒にゲッターロボのパイロットをやってる天海春香」

真美「話には聞→てるYO ! 博士からビデオメールも貰ってたしね」

春香「……」

真美「ありゃ、はるるんはご機嫌斜めみたいだね」

真美「ま、いっか。私は双海真美。高木ゲッター線研究所N.W.支部の客員研究者やってたケド、妹の亜美が死んじゃったって聞いて慌てて帰って来たんだ」

真美「真美としては、亜美の仇打ちがしたいんだよね→。だからさ……」

真美「パイロット、換わってくれないかな。はるるん」ギロッ

春香「!?」ビクッ

真美「まこちんの件は聞いたよ。残念だったね」

真美「けどさ、その程度で……仲間が一人死んじゃった位で投げだす使命なら、最初から抱え込まない方が良かったんじゃないの?」

千早「真美! アナタ何て事を……」

真美「千早お姉ちゃんは黙ってて!!」ドン

真美「これは、真美とはるるんの……ドラゴン号のパイロット候補による話し合いなんだかんね」

春香「……無理だよ」

真美「! ふーん、やっとしゃべったね。何がどー無理なのさ?」

春香「真美が乗っても、ゲッターは応えてくれない。今は、私がいるから……」

真美「はるるん、何言ってんの? ショックで頭おかしくなっちゃった?」

春香「私、解るの……何でかは分からないし、そんなにはっきりとはしてないんだけど。でも、解るの」

真美「……お話になんないね。じゃ、真美ドラゴン号のテストしてくるかんね」クルッ

春香「……」ガシッ

真美「……はるるん、何なのこの手。放して欲しいんだけど」

春香「ドラゴン号には、私が乗る。私じゃなきゃ、いけないの」

真美「はぁ……あのさ、はるるん。はるるんは元々、高木ハカセの気まぐれでパイロットになったんしょ? で、その後も傷ついた千早お姉ちゃんをほっとけなかったからって理由でパイロットを続けてきてた。でもさ」

真美「こないだの戦い以降、千早お姉ちゃんはトラウマを乗り越えて、パイロットとして復帰してる。今だって、はるるんよりよっぽどしっかり現実を見据えてる。もう、はるるんの戦う理由なんてないじゃん? 逆に、真美はどうしても亜美の乗ってたドラゴン号で仇を討ちたいんだよね」

春香「あ……う」パッ

真美「放してくれてありがと。そんじゃ」ガチャッ バタン

千早「……春香」

春香「ははは、私ダメだなぁ……千早ちゃんに偉そうなこと言ったくせに、自分の戦う理由も亡くしちゃうなんて」

千早「春香、アナタは駄目なんかじゃないわ。何も見えなくなっていた私を助け、導いてくれたじゃない」

春香「……千早ちゃんの戦う理由、教えてもらえないかな?」

千早「私の戦う理由、それは今までと、これからの大切な人々の為よ」

千早「今まで散っていった人達の想いを継いで、次へと受け渡す。それが、今の私の戦う理由……いえ、その行為自体が、私の戦いよ」

春香「千早ちゃんは凄いなぁ。私なんて……」

千早「だから、春香は駄目じゃないわ! アナタがいたから私は立ち直れた! アナタがいたから真と仲間になれた! アナタだったから……だから、そんなに自分を卑下しないで」

春香「でもね、千早ちゃん。私、今本当に戦う気力が起きないの。何だか、地面がいきなり無くなっちゃったみたいな気分。どうしたらいいか分かんないよ……」

春香「ねぇ、私はこれから何のために戦わなきゃいけないの? この戦いに本当に終わりはあるの?」

千早「は、春香?」

春香「あの世界は……私があの時見た光景は……ぅうっ」バタッ

千早「春香!?」


……

小鳥「おそらく、ストレスによる一時的な昏睡状態らしいわ」

千早「そうですか……」

小鳥「ねぇ千早ちゃん。春香ちゃんは今、真ちゃんのことで自分の夢を見失っているの。どうか同じゲッターチームとして、道に迷ってる春香ちゃんの事を助けてあげて」

千早「もちろんです。けど……」

小鳥「けど?」

千早「最後の春香の言葉……あれは一体……」



……

春香「んぅ……」

春香「あ、あれ? ここは……」

千早「あら、やっと起きたのね」

春香「ち、千早ちゃん!? あれ、私、どうして……」

千早「覚えていないの?」

春香「ぼんやりと、真美に会ったことは覚えてるんだけど……」

千早「……無理に思いだそうとしない方がいいわ。それより、体調はどう?」

春香「体調は問題ないんだけど……私、どうしてゲッターに乗ってるのかな?」

千早「え?」

春香「私が最初にゲッターロボに乗ったのは、弱ってた千早ちゃんを放っておけなかったからだったけど……こうして千早ちゃんが立ち直った今、私はどうしてゲッターロボに乗ってるんだろう……」

千早「春香が……春香がもう戦いたくないと言うのなら、私は強制はしないし、できないわ」

春香「……」

千早「けど、私個人としては、これから先も春香と共に戦いたい。そして、人類の守護者としては……アナタにまだまだ戦って欲しいわ」

春香「……私は」

千早「ねえ春香。春香は、アイドルになりたいって言ってたわよね? その夢、詳しく教えてもらえない?」

千早(小鳥さんの言っていた春香の『夢』。私のカンが正しければ、答えはここにあるはず……)

春香「……私ね、小さい頃にあるアイドル事務所のオールスターライブに行ったの」

春香「その事務所はあんまし大きなところじゃなくて、1グループだけ看板アイドルユニットがいたんだけど、他の人達はほとんど無名でさ」

春香「なのにライブ当日、その肝心のユニットが、トラブルで時間までに来られなくなっちゃったの」

春香「当然、そのユニット目当てに来てたお客さん達は皆不満顔でさ……そんな中で歌うって、考えただけでも気分が滅入っちゃうでしょ?」

千早「ええ、そうね」

春香「なのにその事務所のアイドル達は、会場の空気に負けず、本当に楽しそうに一生懸命歌って、踊って……そしたらね、会場のお客さん達も、いつの間にか皆笑顔になってて」

春香「それで私、思ったの。私もこんな風に、折れずに、くじけずに、めげずに……誰かを……高望みするなら、世界中の皆を笑顔に、幸せにできたらいいな、って」

春香「それが、私の夢の始まり」

千早「……そう。そうだったのね。そこがアナタの根源、天海春香の始まりの場所」

千早「アナタはその時から、誰かの幸せを願い、全力を尽くす人になったのね……」

千早「ねぇ、春香」

春香「なぁに、千早ちゃん」

千早「アナタがゲッターに乗った理由、解った気がするわ。アナタは優しすぎる程に優しい人だから。自分に出来ると言われたら、その細い腕で世界を抱え込むことも厭わない」

千早「自分の正義の為に迷わず戦った真。自分のこれまでと、これからの為に戦う私。そして春香は……」

春香「私は……」

春香(私は、街の皆を守りたくて……こんな私にでも、誰かを幸せにできる力があるってことがうれしくて……)

春香「……そうだよ、私は、自分自身の為に、自分の大切な人達を守るために。人々の笑顔を守る為に!」

春香「私の戦いは、私を含めた世界中の人々の笑顔を守る為の戦いだよ!」

春香「間違ってても、失敗しても、戦わない理由にはならないよね。私は、ゲッターロボで人類を守るよ!」

千早「思い出したのね、アナタの戦う理由を……」

春香「うん! 行こう、千早ちゃん。この戦いに、決着をつけに!」


第九話 おわり

以上です

第九話……何度も手直ししたのにコレだよ……シリアス物は難しいですね。説得力のある作品を書ける人がうらやましいです

次回十話の投下ですが、五日を考えています

具体的な時間帯についてはまたこちらでご連絡させていただきます
よろしければお付き合いください

春香の誕生日も仕事で何もできなかった……

とりあえず、これより第十話を投下します
よろしければおつきあいお願いします

第十話「真美の戦い」

OP https://www.youtube.com/watch?v=maGo746WoLE

真美「何で……」カチャカチャ

真美「何で動かないのさ! ドラゴン号!」ドン!

博士「真美君……」

真美「博士、ライガー号もポセイドン号も動かせるのに、どうしてドラゴン号だけ動かないの? 何か不備があるんじゃないの?」

博士「それは真美君なら見れば解るはずだろう……ドラゴン号の状態は完璧だ」

真美「……はるるんの言う事はホントだったんだ。私には、亜美の仇も討てないの?」

春香「それは違うよ、真美」

博士「!? 天海君!」

春香「博士、御心配をおかけしました。私をドラゴン号に乗せてください!」

博士「それはいいんだが……」

真美「何さ、まこちんの事はもう吹っ切れたの?」

春香「真は、真の意地を私達に見せてくれた。だから、真には私の意地を見せなきゃいけないの! 真美、お願い。ポセイドン号に乗って、私達と一緒に戦って!」

真美「真美は……」

春香「真美、私は亜美と会ったことはないんだけど、真美と亜美は全くおんなじ子だったの?」

真美「っ!? それは違うよ! 亜美はパイロットとしては天才的で……誰よりも上手にゲッタードラゴンを操縦できたんだから!」

春香「そうなんだぁ……じゃあ、真美はどんな子なの?」

真美「真美はね! パイロットとしても勿論凄いんだけど、亜美と違って研究者としても一流なんだかんね! アメリカで飛び級して、今じゃ向こうでゲッターエネルギー開発の権威って言ったら真美の事なんだから! それに、ココの律っちゃんも、真美にとってはコーハイなんだかんね!」

春香「わぁ、真美ってすごいんだね!」

真美「ま→ね! それ程でもあるけどね!」

春香「亜美と真美……双子だけど、こんなに違う人間なんだからさ」

春香「亜美の影を追い続けるよりも、真美は真美のやり方で行った方が、良い結果が出せるんじゃないかな?」

真美「真美の、やり方……」

春香「仇を討つのは、それはそれで一つの目的だとは思うけど、そのやり方は真美らしくってもいいと思うんだ」

真美「……そうだね。そうかもしんないね」

真美「やっぱ、研究者な真美さんとしては、その時出来る最善手を打つべきっしょ!」

春香「じゃあ……」

真美「うん、ポセイドン号パイロット、双海真美! 今日からよろちく頼むよ!」






博士「うんうん、流石は天海君だ」

千早「博士……」

博士「ん? どうかしたのかね、如月君。そんなに難しい顔をして」

千早「乗り手を選ぶ件といい、乗り手の精神状態に左右される点と言い……」

千早「決定的なのは、春香自身は忘れているみたいですけど、春香の未来予知に似た現象……」

千早「教えてください。『ゲッター』とは……『ゲッター線』とは、一体何なんですか?」

博士「……よかろう。ただし、私も全てを知るわけではないのでね。私に分かる限りで教えてあげよう」


……

博士「ゲッター線……それは、宇宙から無尽蔵に降り注ぐ未知なるエネルギー。しかし、それだけではない事が、これまでの調査で判っている」

博士「ゲッター線は生物の進化を促し、我々人類を現在の姿へと導いた」

博士「ゲッター線は『選んだ』のだよ。人類を進化させることを」

千早「そんな!? 博士は、ゲッター線が意思を持つとでもおっしゃるんですか!?」

博士「それは分からない。だが、そう考えざるを得ないのだ」

博士「まだ黒井が人間だった頃、彼はゲッター線と進化について研究を行っていた。ゲッター線について、私は工学的にアプローチし、彼は生物学的にアプローチしていたわけだね」

博士「その結果、黒井は特定の種においては、ゲッター線で強制的に進化した末出来た生命体にとって、ゲッター線が毒となる場合があることを突きとめたのだ」

千早「私達人類にとっては無害なゲッター線が毒に?」

博士「そう。黒井はこの結果について、彼らはゲッター線に選ばれなかったと判断した」

博士「また、黒井はこうも言っていた。ゲッター線は戦いを求める、と」

千早「どういうことでしょうか?」

博士「解らないね。あの頃の黒井は既に新世界の研究に取り憑かれ、言動にも不審な点が多かったからね。ただ、知能の高い生物は確かに互いに競い合い、戦う傾向にある。黒井はその事を言いたかったのかもしれん」

千早(新人類の頭目、黒井崇男も、ゲッター線と深く関わる内に不審な言動が見られるようになっていた……春香のアレももしかして?)

千早「博士、私、ゲッター線について調べてみたいのですが」

博士「ああ、構わないよ。如月君のIDからも、この研究所のデータベースにアクセスできるようにしておこう。正直、まだまだ解らないことの多いゲッター線だからね。共にゲッター線の平和利用を目指して頑張ろうじゃないか!」

千早「はい……」

千早(平和利用……ゲッター線とは、本当にそんなことに使えるものなのかしら?)






 春香と真美の和解後、新生ゲッターチームは合体訓練を行うこととなった。

春香「うぅぅ……凄いパワー。ゲットマシンの状態で、こんなに違うなんて」ギュゥゥゥン

千早「くっ……」ビューーン

真美「ちょっとこれはシャレんなんないね……」グイィィィン

春香「行くよ皆!」

千早「ええ!」

真美「いつでもOKだYO!」

春香「チェェエエエエエンジ……ドラゴォオオオオオンッ!! スイッチオン!」ポチ

ガシンッ!!

千早「やった、成功ね!」

真美「うげぇ、アメリカじゃデスクワークばっかだったから、身体なまってるな→」

春香「ちょっと動かしてみるね。スピンカッター!」ギュィイイイイン

千早「ゲッター1で言う、ゲッターレザーみたいなものね」

真美「破壊力はその比じゃないけどね→」

春香「ダブルトマホーク!」ジャキンッ

春香「うん、良い感じ! 次は千早ちゃん、お願いね! オープンゲット!」

千早「行くわよ。チェェェェンジッライガァァアアア!!!! スイッチオーン!!」

千早「マッハスペシャル!!」ブゥゥン

千早「チェーンアタック!」ギュィィン

千早「ドリルハリケェェェエエエン!!」ビュィィイイイイン

千早「流石はライガーね。真美、出番よ! オープンゲット!」

真美「よぉーし! チェーーーーンジポセイドン!! スイッチオン!」

真美「フィンガーネット!」シュバッ

真美「キャタピラオン!」ガション

キュラキュラキュラ……

真美「……時々思うんだけど、ゲッターポセイドンのキャタピラ機能って必要なのかな?」

千早「何を言ってるの! ゲッター3やポセイドンはキャタピラが素敵なんじゃない!」

春香「あはは、千早ちゃんは相変わらずゲッターの事となると人が変わっちゃうなぁ……」

博士『どうだね諸君。ゲッターロボGの乗り心地は』

春香「はい、良い感じですよ!」

千早「性能も今までのゲッターロボの10倍なだけありますね。これならあの木星連とも戦えます!」

真美「真美はもうちょい身体を慣らしときたいかな→」

博士『ふむ、だが戦闘でもないのにゲッターロボGを乗り回すわけにも……』


ビーッビーッ

千早「っ!! 博士、この音は……」

博士『う、うむ。東京都内に、またもや機械獣が出現した! ゲッターチームはそのまま現場に急行してくれたまえ!』

ゲッターチーム「「「了解!!」」」

千早「急ぎましょう。私のライガーに任せて」

真美「了解! オープンゲット!」

千早「チェンジライガー!! スイッチオン!!」ガシャン

千早「飛ばすわよ! 二人とも、しっかり座ってて!」シュンッ!



……

春香「着いた!」

千早「こないだの木星連は鬼の形だったけど……今度のは、ゴーレム?」

北斗「おや、本日はお早いお付きで」

千早「春香、まずはゲッタードラゴンで行きましょう!」

春香「うん!」

千早「オープンゲット!」

春香「チェンジドラゴン! スイッチオン!」ガシャン

北斗「チャオ、ゲッターチームのお嬢さん方。俺の名は伊集院北斗。木星連の一人さ」

春香「……木星連!」

千早「真の仇、討たせてもらうわよ」

北斗「おいおい、僕らだって君達には数多くの同胞を殺されてるんだぜ?」

真美「うるさいやい! 最初からそっちが仕掛けてこなけりゃいーじゃんかYO!」

北斗「これは手厳しいな。君達も新世界に選ばれれば、こんな無意味な争いもなくなるんだけどね」

春香「私達は人類であることに誇りを持ってるんです! 真が見せた人間の意地、もう一度見せてあげます! ダブルトマホーク! ブゥゥメランッ!」


ガキンッ

北斗「俺の機械獣は翔太のと違ってパワーと装甲に特化してるからね。ゲッターロボGの攻撃だろうと、その程度じゃ傷一つつかないよ。今度はこっちの番さ!」

 ゴーレム型機械獣の口が大きく開き、そこから雨あられの如くミサイルが発射される。

春香「わわっ、避けきれn」ドワォォォォ!

北斗「おや、ちょっとやり過ぎちゃったかな?」

千早「まだ終わりじゃないわよ! チェェェエンジライガー!! スイッチオン!!」ガション

真美「流石ゲッターロボGだ、何とも無いぜ!」

春香「何とも無くないよぉ……ヘルメットにヒビが……」

千早「戦いはパワーだけじゃない事を教えてあげるわ! マッハスペシャル!」

北斗「やれやれ、俺だって戦いがパワーだけじゃないことぐらい分かってるさ。ただ……」

千早「ドリルアーム!!」

北斗「それを覆すくらいのパワーなら、話は別だろう?」

 ドリルアームで装甲を貫こうとしたライガーを、機械獣の身体から放射された電撃が襲った。

千早「きゃあああああああっ!!!」バリバリバリ

 殺虫剤をうけた虫のように、力なく地面に落下するゲッターライガー。

千早「くっ……近づこうとすれば電撃。遠ざかれば無数のミサイル。これは厄介な相手ね」

春香「まずい……これ以上はもたないよ!」

真美「ここは真美に任せて!」

千早「そうね、お願いするわ。オープンゲット!」ポチ

真美「いっくよ→!! チェェェンッジポセイドン!! スイッチオン!」ガション

真美「見せてあげるよ、双海真美の底力!」

 一旦機械獣から離れ、距離をとるゲッターポセイドン。

北斗「どうやら、もう一度俺の熱いミサイルを受け取りたいみたいだね、エンジェルちゃん達。御期待にそって、ミサイル攻撃だ!」

 機械獣の口から、再度無数のミサイルが発射される。

真美「んふふ~、この真美をそんじょそこらのパイロットと一緒にされちゃ困りますな→」

真美「ゲッターサイクロン!」

 ゲッターポセイドンは、迫りくるミサイルに向かって首元のファンを回転させ、強烈な風を起こす。すると、ミサイルの雨は全て風によって吹き飛ばされ、あろうことか発射元の機械獣に突き返された。

北斗「なっ!?」

ドワォォォォ!

 むろん、パワーと装甲に重点をおいたゴーレム型機械獣にこれを避けられる筈もなく、自らのミサイルの爆風に呑みこまれる。

真美「Do-dai? To much high powerな自分のミサイルのお味は?」

北斗「ふっ、やるじゃないか。ただの子猫ちゃんかと思ったら、とんだ女豹だ」

北斗「どうやら、俺も本気を出さなきゃいけないみたいだな」

 そう言うと、今まで一か所に鎮座していたゴーレム型機械獣は立ち上がり、ゲッターポセイドンに襲いかかった。

真美「おおっと」パシッ

北斗「どうだいエンジェルちゃん。一つ力比べと行こうじゃないか」グイッ

真美「ふふ→ん、せーせーどーどーだね! 負けないよ!」ググッ

 お互いがっぷり四つに組み、激しく押しあう。

千早「くっ、この機械獣、何てパワーなの。他の形態なら、一瞬でスクラップにされてるわね」

春香「ゲッターポセイドンならパワーだけは拮抗してるけど……これじゃ決着がつかないよ」

北斗「おや、ドラゴン号のエンジェルちゃんもそう思うかい? 奇遇だね。俺もそう思ってたところさ」

北斗「というわけだから、悪く思わないでくれよ」カパッ

 北斗の駆る機械獣が、組み合ったまま口を開く。そこからは、先程のミサイルが何発も覗いている。

春香「こ、これじゃ避けられないよ!?」

真美「あちゃ→、こりゃ参った」

千早「ま、真美!?」

北斗「すまないね、エンジェルちゃん達。勝負はいつも非情なのさ」


真美「謝る事ないよ→。だって、全部真美の作戦通りだもん!」

 そう言うと、ゲッターポセイドンも組み合ったまま、背中のミサイルを機械獣の口に向けて構える。

真美「いくら頑丈でも、内側からふっ飛ばされればDoかな? ストロングミサイル!!」

北斗「なっ!?」

ドワォォォォオオオオオオオオン!

 土煙が晴れた時、そこに立っていたのは、双海真美の駆るゲッターポセイドンであった。

真美「大成功!」

春香「はぁ~、びっくりしたぁ……」

千早「流石は戦闘の天才、双海亜美の姉といったところかしら?」

真美「チッチッチ。違うよ千早お姉ちゃん」

真美「真美は、いたずら大好き双海姉妹のセクチー担当、双海真美だかんね!」

春香「うんうん! 真美の戦い方、カッコよかったよ!」

真美「そう褒めるでないよはるるん。ま→真美にかかればお猪口を売買だけどNE!」

千早「……それ、もしかしてお茶の子さいさい?」

真美「mmm……日本語はやっぱ難ちーなぁ」

 斯くして、新生ゲッターチームは動き出した。しかし、彼女らの前に木星連最後の一人、天ヶ瀬竜馬が立ちふさがる。果たして、彼女らは人類の勝利を掴む事が出来るのであろうか!







第十話 おわり

パソコンが調子悪い……

以上です
冒頭にも書いたとおり、ゲッター線に関する解釈はあくまで1の独自解釈です


次回11話の投下は、おそらく9日になるかと思います
よろしければ是非是非お付き合いください

それでは、十一話の投下を開始いたします

第十一話「ゲッターの意思」

OP https://www.youtube.com/watch?v=qaJw6lqGFew

冬馬(こないだのナレーター俺の名前間違ってなかったか?)

黒井「全く、貴様ら揃いも揃って使えん奴らだ! オイ、聞いているのか冬馬!」ドン

冬馬「……チッ、うっせぇな。結果を出しゃいいんだろ、結果を。俺は翔太や北斗みたいにはいかねぇぜ!」

黒井「フン、どうだかな。ゲッターロボGは強力だ。貴様らに与えた機械獣と、総合的な性能で言えばほぼ互角だろう。後は、パイロットの腕で勝負が決まるのだ」

冬馬「俺が旧式の人類どもに負けるわけないだろ! そろそろ出撃だ。行ってくるぜ!」バタン

黒井「……奴らと私の目的の乖離。吉と出るか、凶と出るか。フン、運命に絶望した私が運に頼るなど……らしくも無いな」





……

小鳥「はい。ゲッター線については人体に無害で……え、設計図の公開? それはちょっと応じかねますが……」トゥルルルル

ガチャッ

律子「はい、高木ゲッター線研究所です。はい、すみませんが取材はちょっとお断りしておりまして……ええ、ゲッターロボGの写真撮影まででしたら可能ですが、それ以上は……」トゥルルルル

春香「うわぁ……コール音の嵐だねぇ……」

千早「今までもある程度取材依頼が来てたけど、先日の東京都上空での真の件で、世論が抑えきれなくなってしまったわね」

真美「見てよ、今じゃこんなネトゲもあるんだってさ」

春香「なになに……ゲッターロボ大決戦?」

真美「どっかの会社が、取材した操縦シミュレーションシステムを再現したゲームだってさ。意外と出来が良くってビックリしたよ」

千早「馬鹿馬鹿しい。実戦では爆音や振動、衝撃なんかが加わるんだから、ゲームで再現できるわけないじゃない」

真美「千早お姉ちゃんは相変わらずカタブツですな→」

春香「それも千早ちゃんのいいとこだよ」

千早「ですって」ドヤァ

真美「何でそんなドヤ顔なのさ。全軍撤退! 千早お姉ちゃん、変わったね→」

春香「全軍撤退?」

千早「もしかして、前言撤回の事かしら?」

真美「そーとも言う→」

千早「そうとしか言わないわ」

真美「前言撤回!」

春香「何回撤回する気!?」


ヴーッ! ヴーッ!

はるちはまみ「「「!!」」」

律子「っ!? 三人とも、機械獣よ!」ガチャンッ

小鳥「敵は東京都上空です!」ガチャンッ

真美(いきなり電話切って良かったのかな?)

博士『揃っているかね、ゲッターチームの諸君!』

三人「「「はい!!」」」

博士『よろしい。ゲッターチーム、出撃だ!』

三人「「「了解!」」」


……

真美「いたYO!」

千早「まずはライガーで慎重に様子をみてみましょうか」

はるまみ「「O.K.!」」

千早「チェンジライガー!! スイッチオン!」ガション

冬馬「お、来たか! この木星連筆頭、天ヶ瀬冬馬が相手だぜ!」

千早「貴方の名前なんて聞いていないわ……マッハスペシャル!」

冬馬「けっ、そんな小細工で俺に勝てると思うなよ!」ガンッ

 冬馬の機械獣が放ったパンチが、正確に分身体を避けて本物のゲッターライガーに命中する。

千早「なっ!? 分身を見破ったですって!?」

冬馬「フン、俺達新人類はてめぇら旧式より格段に優れてるという事を忘れたのか? 中でも俺は黒井のおっさん曰く、最高の身体性能らしいからな! この程度見破る事なんて朝飯前だぜ!」

千早「くっ……」

冬馬「俺は翔太や北斗みてぇに射撃武器は使わねぇぜ。男ならやっぱコレ(拳)で勝負だ!」ガゴンッ

千早「うぐっ……何て重い攻撃なの。ダメージが内部まで浸透してくるなんて」

冬馬「まだまだこんなもんじゃねぇぞ!」ドガドガドガッ

 冬馬の機械獣のラッシュに、為すすべもなく崩れ落ちるゲッターライガー。

春香「千早ちゃん!」

真美「千早お姉ちゃん!」

千早「くっ……ぅぅう」

冬馬「けっ。所詮旧式なんてこの程度か」

真美「何を→! 千早お姉ちゃん、オープンゲットして!」

千早「分かったわ。オープンゲット!」

真美「チェンジポセイドン!!」ガション

真美「ゲッターサイクロン!」ブワァアアアア

冬馬「うわっ!?」フワッ

真美「今だ、ストロングミサイル!」

冬馬「男なら……」

冬馬「拳で勝負だぁっ!!」ゴンッ

真美「す、ストロングミサイルを殴り返した!?」

ドワォォォォオオオオオン!

真美「ぐっ……なんて無茶苦茶な戦い方するんだよぅ……アイツ絶対脳筋だよぉ」

冬馬「へっ、精神的にも肉体的にも、てめぇら旧式とじゃ比較にならねぇな! 所詮お前らじゃ、イタチの最後っ屁みてぇな自爆行為のような汚ぇやり方でもしなきゃ俺達木星連には勝てやしねえんだよ!」

真美「なっ!?」

千早「貴方、真の事を……真美、私g」

春香「私に行かせて!」

千早「春香……」

真美「了解! オープンゲット!」

春香「チェンジドラゴン!!」ガション

春香「ゲッタービーム!!」ビュイィィィンッ

冬馬「当たるか! くらえ!」ブン

 冬馬の振るった拳が、ゲッタードラゴンの腹部に命中する。

千早「きゃあ!! は、春香……大丈夫?」

春香「……」バサッ

 体勢を立て直すと、ゲッタードラゴンは素早くジェットを噴射し、空へと飛び立つ。

冬馬「ふん、逃げようったってそうはいかねぇぜ!」キーン

春香「ダブルトマホーク!」ジャキンッ

冬馬「やっとまともな格闘戦が出来そうだな。来い!」

 二体は互いに取っ組み合い、拳と斧を激しくぶつけあう。

真美「うあうあー! はるるん、ちょっと戦い方が乱暴過ぎるよ!」グラグラ

千早「春香? 一体どうしたっていうの?」

春香「……」ガンッガンッ

冬馬「いいぜいいぜぇ! もっとだ、もっと熱くなりやがれぇっ!」ガンッガンッ

春香「スピンカッタァァアアアア!」キュィィイイイン

冬馬「うおっ!?」

 ダブルトマホークを防いだ隙を突き、スピンカッターが機械獣の腕を切断する。

冬馬「ちっ、やりやがったな。こいつでおあいこだ!」ドスッ

 残る腕で、ゲッタードラゴンの顔面を殴り飛ばす。すると、ゲッタードラゴンの口部を覆っていたマスクが外れ、口が露出される。

春香「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!!!」

 ドラゴンは、露出した鋭い牙で機械獣に噛みついた。

千早「春香!? 春香ぁぁぁ!!」

真美「な、何? コックピットが……」

 真美の発言で千早も、コックピットが緑色の光に包まれていることに気づく。

 否、コックピットだけではない。ゲッタードラゴン自体が、緑色の光に包まれている。

千早「な、何だと言うの?」

冬馬「うわああああああああああああああああああっ! クソ、離れろぉぉおおおおおお!!」

春香「う゛ぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」グググググ

 冬馬は、尚も機械獣に噛みつくドラゴンを死に物狂いで振り払い、何とか距離をとった。

冬馬「ハァ……ハァ……な、何てパワーだ。ちっ、俺の機械獣がボロボロじゃねぇか」

千早「光が……消えた?」

冬馬「そっちも妙な光が消えたし、ここはお互い引き分けってとこだな。覚えてやがれ!」バッ

 冬馬の機械獣が飛び去り、その場には力尽きて沈黙したゲッタードラゴンだけが残された。

千早「……ギリギリの戦いだったわね。大丈夫、春香?」

真美「……!? ち、千早お姉ちゃん!!」

千早「どうしたの、真美?」

真美「ドラゴン号のコックピット画面に切り替えてよ! はるるんが……はるるんが」

千早「(ピッ)……!? 何よこれ!? 春香が……」

 ライガー号の液晶で、ドラゴン号のコックピットを確認した千早は、映し出された映像に驚愕した。

千早「……春香が、いない?」







……

博士「うーむ……」ガチャッ

千早「博士、春香は……春香は一体何処へ行ってしまったんでしょうか!?」ダッ

博士「それがだねぇ……いるみたいなんだよ」

千早「いるって、何処にですか?」

博士「天海君は、ドラゴン号内部に存在する。これは間違いない。彼女の生体反応が、ドラゴン号の内部からキャッチされたからね」

千早「じゃ、じゃあどうして春香はいないって言うんですか!?」

博士「……取り込まれた」

千早「取り込まれた?」

博士「そう考えるしかないだろうね。天海君は今、ゲッタードラゴンの中に取り込まれている」

千早「そんな……春香は助かるんですか!?」

博士「現状、分からないとしかいえないね。ただ、過去に例がないわけではないんだよ」

千早「……その人は、どうなったんですか?」

博士「それは、音無君に聞いてみたまえ」

千早「音無さんに?」


……

小鳥「ゲッターに取り込まれた人間がどうなるか?」

千早「ええ、博士に聞いたら、小鳥さんが詳しいと」

小鳥「……そうね。過去にもそういう事があったわ」

小鳥「その人の名は、日高舞。かつて、私と一緒にプロトゲッターロボに乗っていた人よ」

千早「音無さんも、ゲッターチームだったんですか!?」

小鳥「そうよ、元祖ゲッターチームで、プロトタイプベア―号のパイロットをしていたわ」

千早「そうだったんですか……道理で、あの時(七話)ゲットマシンを操縦できたわけですね。ところで、その人は……」

小鳥「舞さんは、かつて月で起きた戦い……月面戦争で、敵のアジトを破壊した際、いつの間にかコックピットから消えていたわ」

小鳥「そして、舞さんは……そのまま帰ってこなかった」

千早「そんな……それじゃその人が助かったかどうか判らないじゃないですか!」

小鳥「あ、ごめんなさい。研究所に帰ってはこなかったんだけど、本人から後で暑中お見舞いが届いたの」

千早「」ガクッ

千早「それ……結局のところ、春香を助ける手掛かりはないってことですか?」

小鳥「手掛かりは……ないといえばないんだけど……」

小鳥「舞さんの時は、生体反応がなかったから、舞さんは既にゲッターから解放されて何処かへ送られてしまったと考えたわけだけど……春香ちゃんの場合は未だドラゴン号の中で生きてることは間違いないんだもの。必ず助け出せるわ」

小鳥「そして、あの時も今回も、取り込まれる時は決まって戦っている時……なら、もしかすると鍵はそこにあるのかもしれないわ」

千早「ゲッターで戦っている時、春香が戻ってくるかもしれないということでしょうか?」

小鳥「あくまで推測の域をでないけど、今はそう信じるしかないわね」

千早「そうですね……ありがとうございました」


……

 夜、千早は自室の端末から、過去のゲッター線研究に関するデータを閲覧していた。

千早(ゲッター線……生物を進化させ、また滅ぼす力を持つ謎のエネルギー)カチャカチャ

千早(ゲッター線をエネルギーとして見る高木博士。そして、ゲッター線を進化の可能性として見る黒井博士……ゲッター線研究は、この二人から始まったのね。そして、黒井博士……新人類頭目、黒井崇男は、ゲッター線の根源たる新世界で何かを見た)

千早「……一体、ゲッター線とは、ゲッターロボとは何なのかしら?」




第十一話 おわり

この辺からもう独自解釈どころの騒ぎじゃなくなってきます。ゲッターに関する設定は1のご都合主義的解釈によるものです

あ、次回第十二話については、13日の夜に投下予定です
よろしければ是非是非おつきあいください

途中投下しつれいしました

オリジナル要素って省いた方が良かったりしますかね……と13話後半まで書き終えた後に聞いてみたり……
いまさら変えられないけど、今後の参考までに聞いてみたいです

1です

これより、本日の投下を開始します

第十二話「戦いの未来」

OP  https://www.youtube.com/watch?v=a9LBWczFN8c

 春香がゲッタードラゴンに取り込まれた翌日。千早達は小鳥の言葉を信じ、再びゲッターロボGで戦うべく、撤退した木星連筆頭、天ヶ瀬冬馬の再来を待っていた。

真美「もー、新人類の奴らめ! 来なくていい時はボカスカ来る癖に、来てほしい時だけちっとも来ないんだから→」

千早「仕方ないわ。私達に出来ることは、今はただ英気を養うだけ……」

 そういいながらライガー号の縁に腰掛け、カロリィメィトを齧る。

真美「千早お姉ちゃ→ん……英気を養うなら、もっとマシなもの食べよ→YO。真美、口の中がパッサパサになっちゃったYO」

 同じようにしてポセイドン号の縁に腰掛ける真美は、千早から渡されたカロリィメィトフルーツ味を齧りながら不満を告げる。

千早「パッサパサならポ力リスウェットを飲めばいいじゃない」

真美「Boo! Boo! そゆことじゃないのにぃ。そんなこと言ってたら処刑されちゃうYO!」

千早「文句を言わないの。春香は今、ドラゴン号の中で一人きりだと言うのに……」

真美「……それなんだけどさ、千早お姉ちゃん」

真美「はるるん、ホントにゲットマシンの中にいるのかな? 真美、どっちかって言うとゲッター線のエネルギー利用分野が専門だから、いまいち分かんないんだけど……」

千早「いるわ、きっとね。春香はゲッターに『選ばれた』のよ、きっと」

真美「ゲッターに、選ばれた?」

千早「私もまだよく分からないのだけど……ゲッター線は、何らかの意思を持っているわ」

真美「えぇ……そんなわけないと思うんだけどなぁ。あ、でも……」

千早「でも?」

真美「アメリカにいた時、そんなこと言いだした博士がいたなぁ」

千早「その人の名前は?」

真美「えーっと、確かぁ……コーウェン博士と、スティンガー博士……だったかな?」

小鳥『千早ちゃん、真美ちゃん! 機械獣出たわよ!』

 小鳥からの通信が入るや否や、するりとゲットマシンに乗り込み、発進体制をとる。

小鳥『二人とも、準備は良いかしら?』

千早「ライガー号、いつでも行けます」  真美「ポセイドン号、O.K.だYO!」

博士『ドラゴン号は自動操縦に設定してある。二人とも、頼んだよ』

千早「違いますよ、博士」

博士『んむ?』

千早「私達は今も、『三人』ですから」

真美「……ま、そうだよね→」

小鳥『千早ちゃん、真美ちゃん。春香ちゃんの事、お願いするわね……ゲットマシン、発進!』

……

冬馬「来たか、ゲッターロボG! 今度こそケリをつけてやるぜ!」

真美「出たな脳筋新人類め→!」

千早「私達が相手よ!」

千早(春香の『同化』も戦いが過熱したことで起こった……なら、もう一度あの状態になれば……)

千早「行くわよ! チェェェェェエエエエエンジライガァァアアアアアアアっ!!!」ガション

千早「ドリルハリケーン!!」ビュォォオオオオオ

冬馬「また風の攻撃か! だが、こないだも似たようなのを受けといて、対策してないと思うなよ!」

 冬馬の機械獣からワイヤーが打ち出され、ライガーにまとわりつく。

冬馬「飛ぶならもろとも……だぜ!」

千早「きゃっ! あいつの機械獣に引っ張られて……」ブワッ

真美「ち、千早お姉ちゃん! ドリルハリケーンを止めてワイヤーを切って!」

千早「え、ええ!」スパッ

冬馬「次はこっちから行かせてもらうぜ! オラオラオラオラァッ!」ババババッ

千早「くっ……」

 千早はライガーを後退させ、何とか冬馬のラッシュを凌ぐ。

冬馬「どうした! 逃げてばっかじゃ勝てねぇぜ!」

千早「言われるまでもないわ。ライガーミサイル!」

 ゲッターライガーの左腕が花のように開き、そこからミサイルが打ち出される。

冬馬「んなもの……当たるかぁァアアア!!」

 冬馬は、ライガーを追撃しつつもアクロバティックな動きでこれを回避する。

真美「も→!! 何なのあの脳筋!!」ジダンダ

千早「とんでもない反応速度ねっ……くっ、追いつかれはしないけど、このままじゃジリ貧ね……」

冬馬「がっかりさせるなよゲッターチーム! こないだの気迫を見せてみやがれ!」

真美「千早お姉ちゃん! 一旦地中に逃げよう!」

千早「その手があったわね! ドリルアーム!」ギュィィイイイイン

 ドリルで大地を掘り進み、地中へと逃避するゲッターライガー。しかし……

冬馬「逃がすかぁあああああああ!!!」ドドドドドド

 ライガーの掘った穴に躊躇なく突貫し、なおもライガーを追う冬馬の機械獣。

真美「うあうあー、何なのコイツ! 理屈も何もあったもんじゃないYO!」

千早「追ってくる……ならば!」

 千早はドリルをうならせ、地中を緩やかな螺旋状に掘り進んでいく。そうとは気付かぬ冬馬は、愚直にライガーの後を追う。螺旋が徐々に中心に向かい、そして……

千早「今よ!!」ボコッ

冬馬「なっ!! 俺の後ろからだと!?」

 千早は既に掘った穴に進路をつなげることで冬馬の後ろに回り込む事に成功した。

千早「くらいなさい、ドリルアァァァァアアアム!!!」ギュィィィイイイン

冬馬「ちっ、こんにゃろぉおおおおおお!!」ガシッ

 千早のドリルが冬馬の機械獣を貫かんとしたその時、かつて真がそうした様に、機械獣はライガーのドリルをがっしりと掴み、受け止めた。ただし、真の時とは違って、冬馬の機械獣の圧倒的なパワーと腕部の強度のお陰で、ドリルは完全に回転を止めてしまっている。

千早「くっ……これじゃお互いに身動きが取れないわね」

冬馬「ちっ、先に根負けした方が死ぬって事か……面倒くせぇ勝負だが、勝負は勝負だ! 俺はどんな事だろうが、旧人類なんかに負けはしねぇ!!」ググッ

真美「お、押し返されてるYO!」

千早「やっぱり二人じゃ出力が足りないわ!!」

冬馬「これでェ……俺の勝ちだァアアアアア!!」バッ

 渾身の力でドリルを押し込むライガーの腕をかち上げ、素早く懐に入り込む冬馬。

冬馬「喰らいやがれぇぇええええええッ!」

 冬馬の拳がライガーの頭部を粉砕せんとしたまさにその瞬間、突如としてライガーの脚部、即ちドラゴン号のみが分離し、冬馬の機械獣に激突した。

冬馬「ぐぁああ!!?」ドガガガガガッ

千早「これは……」

真美「な、何が起こってんの?」

 ドラゴン号は機械獣を弾き飛ばすと、その勢いのまま地中から地上へと躍り出る。

千早「真美、春香よ! 春香が帰って来たんだわ!」

真美「へ?」

千早「ゲッタードラゴンに合体するわよ、着いてきなさい!」バシュン

 ドラゴン号の後を追い、分離して地上へ向かうライガー号。

真美「ちょ、ちょっと千早お姉ちゃ……えぇい、こうなりゃヤケだYO !」

 突然の事に戸惑いつつも、真美のポセイドン号も地上へと飛び出す。

千早「行くわよ春香ぁあああ!! チェェェェエエエエエンジドラゴォォオオオオオンッ!!」

 空中で三機のゲットマシンが合体し、ゲッタードラゴンへと姿を変える。

 千早の発言に半信半疑であった真美が、表示画面をドラゴン号内部にすると……

真美「は、はるるん!!」

 果たしてそこには、行方知れずになっていた少女、天海春香が、パイロット姿のままドラゴン号コックピットに鎮座していた。

春香「ただいま、二人とも」

千早「おかえりなさい、春香」

真美「お、おかえりって……そんなことよりはるるん、今まで何処へ!?」

春香「それより、今は目の前の敵を倒そう!」

千早「そうね」

冬馬「ぐっ……こないだの形態じゃねぇか。丁度良いぜ! あの時の借りを返してやる!」

 そう言うと、機械獣はゲッタードラゴンに向かって急接近しだした。

春香「二人とも、ライガー号とポセイドン号のエネルギー、全部私に預けて貰えないかな?」

千早「いいけれど、一体何をするつもりなの?」

真美「生半可な攻撃じゃ、あの機械獣には効かないYO!」

春香「大丈夫。私を信じて!」

千早「……ええ、春香がそう言うなら」

真美「……しょうがないですなぁ」

ちはまみ「「私達の命、春香(はるるん)に預ける!」」ポチ

春香「ありがとう、二人とも……」スゥ…ハァァ…

春香「ゲッタァァァアァァアアァァアアアアア! シャァァアアアアイイイイイイン!!」キュィィィン

冬馬「こ、この光は!!」

千早「あの時と同じ、緑色の光……」

真美「ど、どうなっちゃうの!?」

春香「シャイィィィィイイイイイイインッ! スパァァァアアアアアアアアアクッ!!!」

 強い光をその身から放ちながら、ゲッタードラゴンは冬馬の駆る機械獣へと突撃する。

冬馬「なっ!? これh」

ズワォォォオオオオオオン!!

 ゲッタードラゴンの放ったまばゆい光は冬馬の機械獣を貫通し、爆散させる。

真美「や、やった→!」

千早「春香、今の技は? こんなの、設計当初には存在しなかったと思うんだけど」

真美「すんごいpowerだけど、ゲッターのエネルギーをほとんど使いきっちゃったYO! もうほとんど動けないかな」

春香「これは、私が『ゲッターの中』で見た技だよ」

真美「げ、ゲッターの中!?」

春香「詳しくは、研究所で話すよ。さ、帰ろう」






~研究所~

博士「天海君、無事で何よりだ!」

春香「皆さん、ご心配をおかけしました」

真美「それで……はるるんは一体ドコへ言ってたんだい?」

春香「何処って言われると難しいんだけど……強いて言うなら、さっきも言った通り『ゲッターの中』になるのかなぁ?」

春香「私、あの木星連のリーダーの人との戦いに必死になって、そして気がついたら……宇宙みたいなところにいて、そこで、色んな世界に……うーん何て言えばいいのかなぁ」

春香「これまでのこととか、これからのこと、ゲッターが教えてくれたと言うか、何と言うか……」

千早「それで、春香はゲッターから何を聞いたの?」

春香「聞いたって言うのもまた違うんだけど……とにかく、戦いはまだまだ続くみたいってことが、何となく分かったというか……」

博士「ふむ……ゲッター線はまだまだ未知の部分が多いが、ゲッターが人類に何かを伝えたということは、やはり何かしらの意思を持っていると言うことだろうかねぇ」

真美「そんなのおかしーYO! エネルギーが意思を持ってるなんてありえなくない?」

律子「私も真美先輩と同意見ですね。それって、言ってみれば熱や電気が意思を持ってるってのと同じじゃないですか」

真美「律っちゃん、先輩は止めてってば」

小鳥「で、でも! 状況を鑑みるに、ゲッター線に意思があると考えた方がいいんじゃないですかね?」

千早「私もそう思います。ゲッターは機械としては異質すぎます」

博士「うむ。確かにその通りだ。例えば先日ゲッタードラゴンが牙で機械獣に噛みついたが、設計段階において、ドラゴンに牙など無かったんだ。即ち……」

千早「ゲッター線は、人類のみでなく、ゲッターロボ自身も進化させている……」

春香「だとすると、ゲッター線の、ゲッターロボの行き着く先は一体……」

全員「……」

春香「と、とにかく! 戦いが続けば続くほど地球の人々が困っちゃうんだから、今は一刻も早くこの戦いを終わらせるように皆で頑張るしかないと思います!」ハイッ

小鳥「……そうよね。今はゲッターが何なのかより、人類の運命の方が大事よね」

真美「ま、むずかちーお話は新人類をブッ飛ばしてからにしよっか!」

博士「うむ、全てはこの戦いに決着をつけてからだ!」

春香「はい! 戦いを早く終わらせる為にも、皆で力を合わせて頑張りましょう!」

第十二話 おわり

本日は以上です。最終話となる第十三話は、15日に投下予定です

ということで、これより最終回の投下を開始します

第十三話「ゲッターロボよ永遠に」









黒井「この役立たずが!!」ドンッ

冬馬「うっ……返す言葉もねぇよ」

黒井「まったく、この私が脱出装置を起動してやらねば、今頃他の能無し共と仲良くゲッター線の中で眠っていた事だろうに」

冬馬「頼む! 俺に挽回のチャンスをくれ!! 今度こそ二度と旧人類なんかに負けたりしねぇぜ!」

黒井「フン、チャンスが二度も三度もあると思っている時点で、貴様なんぞ負け犬に過ぎん! ……が、私とて鬼ではない。もう一度だけ機会をやらんこともない」

冬馬「ほ、本当か!?」

黒井「ただし! それをチャンスにするか、単なる死への片道切符となるか……栄光か死か。選ぶのは貴様自身だ!」

冬馬「上等だ! 必ず栄光をつかみ取ってやるぜ!」

黒井「ならば、貴様にはこの機械獣をくれてやろう!」

冬馬「こ、これは……」





……

~研究所~

真美「はるる~ん」

春香「何、どしたの真美?」

真美「ヒマだよぉ~」ゴロゴロ

千早「何言ってるの。暇なら訓練をすればいいじゃない」

真美「そうじゃなくってぇ~」ゴロゴロ

小鳥「意気込んだはいいけど、あの日以来全然来ないわね、機械獣。はい皆、お茶どうぞ」コトッ

春香「平和なことはいいことですよ! あ、そうだ。今日、家でクッキー作ってきたんです! 皆で食べましょう!」

真美「わーい! はるるん印のクッキーだ!」ヒョイ

千早「ありがとう。モグモグ……相変わらず美味しいわね。どうやったらこんなに上手にできるのかしら?」

春香「うーん、やっぱり基本は分量をしっかり計ることかなぁ。あ、小鳥さんもどうぞ!」

小鳥「あら、良いの? それじゃ遠慮なく……」

 小鳥が手をクッキーに伸ばしかけたその時、研究所にけたたましいサイレンが鳴り響く。

真美「これは!?」

千早「機械獣ね! 二人とも、行きましょう!」

あまみ「「了解!」」

春香「あ、小鳥さん! クッキーの感想、後で聞かせて下さいねー!」タッタッタ

小鳥「ええ、分かったわ。気をつけてね~」ヒラヒラ

 今の時点では誰も知るよしもないが、小鳥がこのクッキーを食べることは……

小鳥「……せっかくだし、春香ちゃん達が帰ってから一緒に食べよっと」テクテク

 永遠に、ないのである。


……

 ゲッタードラゴンで現場へ急行する三人の視界に、街を破壊する機械獣の姿が映る。

春香「止めなさーい! ゲッタービーム!」

 機械獣はゲッタービームをひらりとかわし、着地したドラゴンと対峙する。

??「ちっ、こいつの性能じゃかわすので精一杯か……」

真美「そ、その声は!?」

??「そう、俺は木星連筆頭……」

真美「流竜馬!!」

冬馬「違ぁああああう! 天ヶ瀬冬馬だ!」

冬馬「さぁ来いゲッターロボ! 今度こそギッタギタにしてやるぜ!」

千早「春香! 同じ敵が二度襲ってくるなんて、何か裏があるのかもしれないわ。ここはまずはライガーで様子を見させてもらえるかしら?」

春香「うん、分かったよ! オープンゲット!」

千早「チェンジライガー!」ガション

千早(ああは言ったけれど、私の真意は別にある……)

千早(これ以上、春香とゲッターロボを交わらせるのは、あまり良くない気がする……今のところ、ただのカンにすぎないけれど、用心するに越したことはないわね)

千早「くらいなさい! ライガーミサイル!」

ドカァアアアン!!

冬馬「ぐわぁあああ!!」

真美「Yeah! バッチシ命中だね!」

千早「……おかしいわ」

春香「何がおかしいの?」

千早「先日戦った時とは、機動力が雲泥の差なのよ」

冬馬「へっ、ばれちまったか。今回の俺の役目は、お前らゲッターチームをおびき寄せるための『おとり』なのさ。この機械獣も急造品のポンコツだ」

真美「お、おとり!? ってことは……」

冬馬「今頃お前らの研究所は、黒井のおっさんに占拠されてるだろうな」

春香「大変! 早く戻らなきゃ……」

冬馬「おっと、そうはいかねぇぜ。どうしても行きてぇなら、俺を倒してからにしな!」

千早「あなた……囮にされたと分かってるのに、どうして命がけで戦うの?」

冬馬「へっ、てめぇら旧式には一生解んねぇよ! でぁあああ!!」バッ

千早「それがあなたの望みだというのなら……ゲッターライガーパイロット如月千早、受けて立つわ!」ガキンッ

胸だ!胸だ!胸!

冬馬「……はっ! 面白ぇ、勝負だ!」







……

黒井「ふん、相も変わらず湿気た趣味をしているな、高木」

 ここは高木研究所内部。そこに、新人類が首魁、黒井崇男が悠々と立っている。

高木「黒井……」

>>598
そんな削るところが無い……

 一方、この研究所の本来の主たる高木順二郎博士は、後ろ手に縛られ、無造作に床に転がされている。

黒井「さて、ここで貴様を殺すのは容易いのだが……その前に、貴様には自らの罪深さを思い知ってもらわねばならん」

高木「黒井、お前は一体何を言っているんだ?」

黒井「ゲッター線という器持たぬ者に『身体』を与えたこと、それが貴様と……この私の罪なのだ」

黒井「ゲッターは進化を止めないだろう。全てを飲み込み、支配せんとその版図を銀河系に、宇宙全域に拡げ、果てにはこの世のすべてを燃やしつくす……我々がやったこととは、そういうことだ」

高木「そんなことはさせはしない! 私は、ゲッター線を使って人類の平和と発展を……」

黒井「まだそんな甘ったるい夢を見ているのか!」ドン

高木「思い出せ黒井! 君もまた、その夢に向かって共に歩む友だっただろう! 私達はあの日誓った筈だ、人類の平和と発展の為、ゲッター線研究を続けていくと」

黒井「相変わらずの模範回答だなぁ高木。いいか、正しい事をするのは容易い。答えのあることなら誰でも出来るのだ! 真に難しいのは、誰にも認められぬ、答え無き道を歩むこと……故に、王者は常に孤独なのだ! それが王者の、ゲッター線に選ばれてしまった私の責務なのだ!」


バキュゥゥン!

 銃声と共に、黒井の肩から血が飛び散った。

黒井「……何の真似だ、音無小鳥」

小鳥「て、抵抗は辞めてください! 次は頭を撃ち抜きますよ!」ガタガタ

黒井「ノン、辞めるのは君の方だ。かつての戦いで心に深い傷を負った君に、今更戦うことなど出来る筈がない」

小鳥「わ、私は本気です! だから……」ポロポロ

黒井「フン、泣き虫はあの頃から治っていないか……」

小鳥「黒井、博士……」ポロポロ

黒井「だから甘いと言っている」ドンッ

小鳥「きゃっ」バタッ

 黒井は、人間離れした速度で小鳥に迫り、素早く銃を叩き落とす。

黒井「本当に撃つ気なら、最初から頭を撃っている。所詮、君に私を撃つことなど出来ん」

小鳥「あ……う……」

黒井「さて、全ての過去を清算し、全ての罪を購う時が来た……」





……

冬馬「ぐっ……ぅ」ヨロッ

千早「もう諦めなさい! アナタは黒井に利用されていただけじゃない。どうして立ちあがるの!?」

冬馬「へっ……泥臭ぇと思うだろうがなぁ、俺にはこれしかできねぇんだよ! 俺は俺自身の為に……俺の信じる俺の為に、てめぇらなんかには絶対負けねぇ!」

 気勢を上げ、何とか立ちあがるも、既に冬馬の機械獣はボロボロで、そこかしこから火花が上がっている。

千早「そんな状態で何をしようっていうのよ! いいからもう……」

春香「千早ちゃん、ここは私にやらせてもらえないかな?」

千早「春香?」

春香「ね、お願い」

千早「え、ええ、解ったわ。オープンゲット!」

春香「チェェェェエエンジドラゴォオオオンッ!」ガション

冬馬「でたな、ゲッタードラゴン。くたばる前に、一度てめぇをブッ飛ばさなきゃって思ってたところだぜ」

春香「行きますよ! ダブルトマホーク!」ジャキン

冬馬「でやぁぁああああああ!!」

春香「たあぁぁぁぁあああああ!!」

 二体のロボットが交差し、一時、戦場に静寂が広がる。

冬馬「ぐはっ!!」ドザッ

 そして、倒れたのは冬馬の機械獣であった。

冬馬「ハァ……ハァ……感謝するぜ、ゲッタードラゴン。こんな俺に全力、出してくれてよぉ……」

春香「冬馬さん……」

冬馬「けっ、止めろ。旧人類風情が軽々しく俺の名を呼ぶんじゃねぇよ」

真美「むー、負けたくせに生意気だぞ→」

冬馬「はっ。俺が諦めなけりゃ、まだ負けじゃねぇんだよ」ピッピッピッ

千早「? この音は……」

 直後、冬馬の機械獣が光に包まれる。

千早「っ!? 春香、逃げ……」

冬馬「ふん、犬死も……悪くねぇかもな」ピカッ


ドワォォオオオオオン!!

真美「うぅぅ……はるるん、千早お姉ちゃん、大丈夫?」

千早「ええ……何とかね。春香は?」

春香「うん、大丈夫だよ。けど……」

 冬馬の命をかけた自爆は、ゲッタードラゴンをボロボロにしていた。

真美「うーん、機体ダメージが結構ヤバめだね→」

千早「真美、この状態でどれくらい戦える?」

真美「全力を出さなきゃ普通に活動できるケド……こないだのアレ『シャインスパーク』を使っちゃったら、もう一ミリも動けないだろーね……」

春香「とにかく、今は早く皆のところへ行こう!」

千早「なら、私に任せて! ライガーで一気に行きましょう」

春香「オッケー、オープンゲット!」

千早「チェンジライガー! 行くわよ、二人とも!」

はるまみ「「うん!」」



……

千早「着いたけれど……」

真美「何コレ……」

 ゲッターチームの視界に、研究所と、その上にのしかかる様に着陸した漆黒の巨大な円盤、そして、両者を覆うエネルギーの膜らしきものが映る。

春香「見た感じ、バリアか何かだよね? 私達を入れないつもりなのかな?」

千早「研究所ごと吹き飛ばしてはいけないし、とりあえずドリルアームで攻撃してみるわね」ギュィィイン

千早「てやぁああああ!!」

ガキンッ!

 しかし、千早の放ったドリルは、エネルギー障壁によってあえなくはじき返されてしまった。

千早「くっ、ならば地中からならどうかしら!」

 ドリルで地中を掘り進み、研究所の真下から侵入を試みる千早。しかし……

ガキンッ!

千早「な、こっちも塞がれているの!?」

真美「まぁ、敵さんもゲッターとは嫌ってホド戦ってるしね。地中から来ること位ソーテー内でしょ」

千早「どうすればいいかしら……」

真美「さっきのドリルとの衝突時の反応から計算して……」カチャカチャ

真美「はるるんの使ったあの技……シャインスパークなら、このbarrierを破ってもお釣りが来ちゃうlevelだね」

春香「で、でもシャインスパークはただでさえ一気にエネルギーを消耗するのに……」

真美「さっきも言った通り、今撃ったら戦闘行為はもちろん、もうホントに1mmも動けなくなるかんね」

千早「一体どうすれば……」

??『ザザ……って! 応答して、ゲッターチーム!』

春香「この声は……」

真美「律っちゃん!」

律子『ザザ……るか……はや、真美。三人とも無事だったのね!』

真美「何とかね。ケド、今度は研究所に入れなくて困ってんだYO」

律子『どうやら、このバリアは今研究所にのしかかってる円盤……どうやら、これが敵の根城らしいんだけど、この円盤から発生してるみたいなの』

千早「バリアを何とかしなければ中には入れないと言うのに、それには中の円盤を破壊しなければならないのね……」

律子『方法がないわけじゃないわ。私がさっき開発した、エネルギー対消滅光線を使って、三人も中に入ってきて!』

春香「流石律子さん! 早速お願いします!」

律子『ただね……時間と出力的な問題で、光線を当ててる間、しかも人間サイズしか穴を開けられないのよ』

真美「えー、それじゃ真美達パイロットしか入れないじゃん!」

律子『いいから入ってきて。詳しい作戦は後で話すわ!』





……

千早「敵の強襲を受けた割には、内部はあまり傷ついていないわね」

律子「警備をしてた人達は皆やられちゃったみたいだけどね。敵の親玉の目的は、研究所の破壊じゃないのかもしれないわ。さて、時間も無いし、手短に作戦を説明するわよ」

律子「作戦内容は簡単よ。私達四人であの円盤に侵入して、この、私が開発した小型ゲッターエネルギー爆弾を各所に配置。一気に起爆してあの円盤を吹っ飛ばす!」

真美「おぉぉ、流石律っちゃん。発明も発想もブっ飛んでるねぇ」

律子「そんなに褒めないでよ///」

真美「たまに可愛い顔したと思ったらこんな時だよ……ダメだこの律っちゃん」

律子「さ、行くわよ。円盤を破壊したら、三人はすぐにゲッターに戻って、中に囚われてる博士達を助けてあげて!」

はるちはまみ「「「了解!」」」


……

高木「なぁ黒井、教えてくれ。あの時お前は新世界で……ゲッター線の先に一体何を見たんだ?」

黒井「フン、砂糖漬けの貴様の脳みそも、少しはマシな質問もできるようだな。いいだろう、教えてやろう、私があそこで見た絶望を……」

634かわいいよ634
偽書……

黒井「あそこで私が見たもの……それは、戦い、滅ぼし、また戦う。さながら修羅道の様な未来」

黒井「気付け高木! 貴様が平和利用などとほざいているソレは、この宇宙を支配せんとする巨大な意思なのだ!」

高木「黒井、お前一体何を……」

黒井「信じられなければそれでも構わん。どの道アレを見なければ、私とて信じはしなかっただろう。だが、見てしまった……知ってしまったからには、私にはそれに抗う義務があるのだ! たとえ逃れ得ぬ運命だろうとしても、私は最後まで己の力を信じ抜く。それが王者、黒井崇男の生き様なのだ! 私は支配されんぞ。支配するのは私の方だ!」

高木「黒井?」

黒井「そうだ、ゲッターよ。地球を貴様らの戦場にはさせんぞ。私がこの星の屑共を、正しく導いてやるのだ!」

高木「黒井、それは許されないことだ。生きとし生ける者達を支配する権利など、誰にもないんだよ」

黒井「まだ言うか! もういい、貴様の甘ったれたセリフは聞き飽きた! 一足先に、ゲッター線に還るがいい!」ジャキ

 そう言うと黒井は、先程小鳥から奪った銃を高木に向ける。

黒井「さらばだ、我が尊敬すべき宿敵よ!」

 黒井がトリガーを引かんとしたその時、爆音と共に研究所に激震が奔った。



……

 時間は戻って円盤内。ゲッターチームと律子は、手分けして爆弾をセットすべく行動していた。

春香『ち、千早ちゃぁぁん、私の爆弾は何処にセットすればいいんだっけ?』

千早「あずささんみたいなこと言わないでよ……今春香がいる地点から真直ぐ行って左の壁面よ」

春香『えーと。あっ、あそこか! ありがとう千早ちゃん!』

千早「まったく、緊張感があるんだか無いんだか……あら?」

 円盤内を歩む千早の前に、巨大なディスプレイが鎮座している。

千早「これは……パソコンか何かかしら? だとすると、もしかすると黒井のゲッター線に関する研究データもあるかもしれないわね」カチャカチャ

千早「……開けた! 何々、プラズマボムス? 機械獣のエネルギー源かしら? これ、凄い発明ね。上手く使えば、短時間ならゲッター線以上のパワーが出せるんじゃ……そんなことより、ゲッター線に関するデータは……」カチャカチャ

律子『千早、何やってんの! 全ての爆弾のセットを確認したから、これから起爆させるわよ。円盤内から降りて頂戴!』

千早「ご、ごめんなさい。今すぐ降りるわ」

千早「……仕方がないわね、今は一刻を争うし」

 そう言うと、千早は名残惜しそうに振り返りつつ、その場を後にする。

真美「あ、千早お姉ちゃんだ! 遅いよ→」

千早「ごめんなさいね。ちょっと気になるものがあって……」

春香「気になるもの?」

千早「いえ、気にする様なことではないわ。それより律子、よろしくお願いするわ」

律子「ふっふっふ……それじゃ、この秋月律子博士が開発したゲッターエネルギー爆弾の威力、とくとご覧あれ!」ポチッ

ドワォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!

 巨大な爆音が上がると同時に研究所を包んでいたバリアが消え、その上砕けた円盤の破片がそこかしこに落下し、研究所に大穴を開け始める。

真美「……ねぇ律っちゃん、これ、どー考えてもやり過ぎだよね」

律子「あ、あはははは……ヤッチャッタ」

春香「あわわっ、こっちにも破片が……うわぁ!?」スッテンコロリン

千早「春香! とにかくここにいては危ないわね。律子、アナタは安全な場所に隠れていて。私達はゲッターに戻るわ」

律子「それじゃ、後のことは任せたわよ」

はるちはまみ「「「了解!」」」





……

黒井「ぬぅぅ、先程の爆音は、やはりゲッターのせいか。何処までも私の前に立ちふさがる……今ここに押し入られても厄介だ。先にあのくたばり損ない共に引導を渡してやろう」シュタッ



千早「……!! 崩れる円盤から何か出て来るわ!」

春香「あれは……」

真美「機械獣!」

黒井「へっぽこ高木研究所の諸君、貴様らに直接恨みがあるわけではないが、私の創造する理想郷の為の人柱となってもらうぞ」ゴゴゴゴゴ

真美「ほとばしる?」

千早「人柱! 生贄みたいなものよ」

真美「そんなのなってたまるか→」

千早「同意見よ。ライガーミサイル!」バシュゥン

ドカァアアアン!!

春香「やった!」

 しかし、爆煙の晴れた先には毛程の傷も付いていない黒井の機械獣の姿があった。

黒井「フン、この程度の攻撃など避ける価値も無いわ!」

千早「くっ、ならばこれならどう? マッハスペシャル!」

 ライガーはドリルをうならせつつ、数多の幻影を生みだし、黒井を包囲する。

黒井「無駄だ」

 ライガーのドリルが黒井の機械獣を貫かんとしたその時、先ほど円盤を攻撃したとき同様、表面に現れた膜によってドリルが弾かれる。

千早「これはっ!?」

春香「さっきのバリア!?」

真美「ってコトは、シャインスパークじゃなきゃ倒せないってコトじゃん!」

黒井「ふはははは、私もかつてはゲッターロボを設計した人間の一人。貴様らの武装でこの機械獣が破れぬのは計算ずくだ!」

千早「シャインスパークさえ当てれば、貴方なんて……」

黒井「それが不可能だと言っているのだ! ライガーレベルならまだしも、ゲッタードラゴン、それも直進するだけの単純な技を避けられんと思っているのかァ? 答えはノンだ!」

千早「くっ、確かにその通りね。ならば、動きを封じるまでよ! 真美!」バシュン

真美「任せて千早お姉ちゃん、チェンジポセイドン! スイッチオン!」ガション

真美「ゲッターサイクロン!」ブォォオオオ

 ゲッターサイクロンの突風で、空中に放り上げられる黒井機。

黒井「ふむ、パワーで破れぬならば絡め手で来る……単純だがまぁ悪くない手だ」

真美「褒めたって風とシャインスパーク以外出さないかんね!」ビュォォォオオ

黒井「結構。出すのはこちらだからな」

 言葉通り、黒井の機械獣からも風が噴射される。

真美「その程度の風じゃ、ゲッターポセイドンは吹き飛ばないよ!」

黒井「誰が貴様を飛ばすと言った。飛ぶのは私だ」

 ゲッターサイクロンで吹き飛ぶ黒井機は、自らの風で方向を調節し、そのまま風に乗ってまんまとゲッターから距離を取ることに成功する。

千早「真美、これじゃ相手を逃がしてるだけじゃない!」

真美「Shit! このぉ、これでもくらえ、フィンガーネット!」シュパァ

 ポセイドンの指先から発射された網は黒井の機械獣にからみつき、身動きを封じる。

黒井「ふむ、風が効かねば今度は網か。まぁ悪くない。が、やはり甘いな! ハァッ!」

 黒井の気合いと共に、ネットは脆くも破られてしまう。

真美「な、これかなりガンジョーなのに……」

黒井「私の機械獣は木星連3人の特性全てを併せ持っているのだよ。翔太の機動力、北斗のパワー。そして冬馬の戦闘能力だ」

 黒井機は一気にポセイドンに近づき、冬馬同様猛ラッシュを打ち込む。

真美「うぐっ!」バタッ

 冬馬のそれを遙かに凌駕するパワーに耐えきれず、大地に倒れ伏すポセイドン。

春香「真美!」

黒井「さて、そろそろ終止符を打つか」

 そういうと黒井はゲッターポセイドンの巨体を持ち上げ、その腕をミシミシと音を立てて引きちぎった。

真美「っぐぁぁああああっ!!」

はるちは「「真美!!」」

春香「真美、大丈夫!?」

真美「ぅぅ……なんとか意識はあるケド、もうjokeを言う元気もないよぉ」

春香「真美、お疲れさま。後は私に任せて!」

真美「んじゃ、シャインスパークの時まで休ませて貰うよ……オープンゲット!」

春香「チェェェエエエエエンジ! ドラゴォォオオオンッ!」ガションッ

春香「ダブルトマホォォオオク、ブゥゥメランッ!」ビュゥンッ

黒井「ムダだ、バリアの存在を忘れたか!」パキンッ

春香「ゲッタービィィイイイイイイムッ!!」

黒井「ええい、ムダだというのが解らんのか!」ドガッ

春香「ぐはぁっ!」

黒井「貴様ら人類はいつもそうだ。無駄な事にダラダラと無駄な時間を費やし、挙げ句の果てには人にすがって仲間だ団結だと安い台詞で誤魔化す。時に優秀な人間が現れたと思えば、自己満足の陳腐な道徳観で大義を見失い、世界を食いつぶす……貴様らのような愚鈍には、私のような超越者の管理が必要なのだ!」

春香「勝手な事を……言わないでください!」


黒井「何?」

春香「確かに、人類が今までやってきた事は、正しいことばかりじゃありません。後から見れば、結果的に間違ってることもいっぱいありました。でも……」

春香「悩んで、間違って、遠回りして……そうやって歩むのが、生き物じゃないですか! そこに善悪なんて、あるわけないんです!」

春香「私は、あなたの管理なんて望んでません! 間違ってても、悩んでも、時に心が折れようと、大切な人々を想って戦い続けたい……それが、私だから! 天海春香だから!」キィィイン

黒井「なっ、この光は……」

春香「千早ちゃん、真美! 力を貸して!」

千早「やるのね、春香!」

真美「待ってたYO!」

黒井「馬鹿か!? この状況で当てられる筈が……」
 その時、研究所の割れ目から突如何かが黒井の機械獣にからみつき、その動きを止める。

黒井「なっ!?」

真美「アレは!」

千早「ゲッター3!? いいえ、でも形が……」

黒井「これは、プロトゲッター3!? 高木め、まだこんな物を残していたのか……」グググッ

 研究所から突如現れたのは、かつて高木博士と黒井が共に人類の平和と発展を願って開発したゲッター線を使用した宇宙開発用ロボットのプロトタイプ、プロトゲッター3。その長く伸びた腕が、黒井の機械獣を締め付けていた。

小鳥『黒井博士! もう止めて下さい!』

黒井「やはりキミか、音無君」

小鳥『っ、黒井博士……』

千早「今よ、春香!」

春香「ゲッタァァアアアアアアシャァァアアイイイイイイイイインッ!!」

春香・千早・真美「シャァアィィイイイイインッ スパァァアアアアアアアアアアアクッ!!!」カッ

黒井「ふんっ、これまでか。音無君、さらばだ」ピカァァァ

ドワォォォオオオオオオオオオオオオン!!!!!

 ゲッター線の光に包まれ、新人類が頭目、黒井崇夫とその機械獣は、跡形もなく消滅した。

春香「……」

千早「終わった、のね」

真美「もう、ゲッターも真美たちも1mmも動けないよ……」

小鳥「……」

春香「さぁ、帰りましょう」

千早「ええ、そうね。研究所、片付けなきゃ」

真美「うぇぇ……ゲッターも動かないし、真美たち歩いて帰んなきゃだよ→」

小鳥「……私が迎えに行ってあげるわ。腕はシャインスパークで一緒になくなっちゃったけど、まだこの子は動くから」

千早「助かります。流石に……歩いて帰る気力が……」

小鳥「そうよね。貴女たち3人は、世界を救ったんだもの。少しくらい、お休みしたっていいわよね」

真美「でも、ピヨちゃんが来てくれて助かったYO!」

小鳥「ええ……」

 にこやかに勝利を称え合うゲッターチームの三人と違い、暗い表情を浮かべる小鳥。

小鳥(ゲッターポセイドンの腕を易々と引きちぎるパワーなら、このプロトゲッター3の締め付けなんて物ともしない筈……)

小鳥「黒井博士、貴方は……」

春香「あ、小鳥さん! 帰ったら、さっきのクッキーの感想聞かせて下さいね!」

小鳥「え? あ、ああっ! クッキー、あの崩れた研究所の中だわ!」

春香「ええっ!? 食べてなかったんですか?」

小鳥「ええ、みんなが帰ってきたら一緒に食べようと思って……あ!!」

千早「今度はどうしたんですか?」

小鳥「私たち、高木博士のことをすっかり忘れてるわ!」

春香「……」

千早「……」

真美「……」

ゲッターチーム「「「ああーっ!!?」」」

 こうして、ゲッターチームと高木研究所の面々の活躍により、新人類、黒井崇男の野望は打ち砕かれた。しかし、この青い地球を狙う魔の手はきっとまた訪れるであろう。世界が真の平和をつかむその日まで、戦えゲッターロボ! 行け、ゲッターチーム!

ED:https://www.youtube.com/watch?v=Yh85Tslvq28



ゲッターロボ~完~

くぅ疲
これにて第一部終了です。以降の投稿は蛇足ですので、観たり観なかったりしてください



P「いやぁ、皆お疲れ様」

春香「あ、プロデューサーさん! どうでした、私の演技?」

P「うん、春香らしさが出てて良かったと思うぞ」

真美「兄ちゃん兄ちゃん! 真美、カッコ良かったっしょ!」

P「真美はちょっと意外な役どころだったな。まさか天才博士で、律子の先輩とは」ゼノグラシアミタイダナ

亜美「ずーん……」

P「ど、どうした亜美。口でずーんなんて言って……」

亜美「亜美、気付いたら……」ズーン

あずさ「私もあっという間に死んじゃって……」ズーン

P「い、いやぁ……竜宮小町の二人が序盤で退場することで、作品のシビアな世界観が伝わったと思いますよ……」

真「あーあ、せっかく主役メンバーって聞いてたのに、全然女の子らしくない上に途中退場だもんなぁ」

冬馬「何言ってんだ菊地! 人類の為に一人立ち向かう姿……俺は感動したぜ!!」

翔太「相変わらず冬馬君は暑苦しいなぁ……ま、そのおかげでボクもあっという間にやられちゃったけどね」

北斗「というより、961組で目立ったのって、社長か冬馬くらいじゃないか?」

黒井「フン、所詮貴様らへなちょこと私とでは、潜り抜けてきた修羅場が違うからな」

冬馬「俺としちゃ、ジュピターでゲッターチームをやりたかったんだけどな」

高木「おや、尼崎君もゲッターロボが好きなのかね?」

冬馬「そりゃ兵庫県だ! 天ヶ瀬だよ、天ヶ瀬! ……あーあ、おっさんからゲッターの実写化って聞いたから、張り切ってOVA観なおしたってのに」

黒井「OVA? ハッ、だから貴様は中ボス止まりなのだ冬馬よ! 真のゲッターマニアなら、漫画版に決まっているだろう」

高木「おや、アニメ版も捨てがたいと思うがねぇ」

黒井「ウィ。隼人のキャラが迷走していたが、キャプテンラドラーや地竜一族は認めざるを得ないな」

冬馬「何だよ、チェンゲ面白ぇじゃねぇか!」

高木「チェwwンwwwwゲwwww」

黒井「ゲッターをwwww信じろwwwww」

冬馬「だぁああっ! てめぇら喧嘩売ってんのか!」

高木「そんなことないよねwww黒井君wwww」

黒井「うwwwwうんwwwwwそうだねwwwww高木君wwwww」

冬馬「詳しいじゃねぇか! てめぇら実は好きなんだろ!」

P「落ちつけ冬馬! 社長たちも、あおるのは止めて下さいよ……」

真「でも、ゲッターロボ、ちょっといいかもね」

真美「うんうん。最初はかっちょ悪いと思ってたんだけど……」

亜美「何度も観てる内に、なんとなーくカッコよく思えてくるからふちぎだよね→」

あずさ「次があったら、是非私もゲッターロボに乗りたいわ~」



やっと寝れるぜ

春香「あれ? そう言えば千早ちゃんは?」

亜美「そいや、ピヨちゃんもいないね→」

あずさ「あらぁ、律子さんもいないわね~」

P「ああ、三人なら今『次』を撮影中だよ」

>>696
遅くまでお付き合いありがとうございます!

亜美「えぇ~!」

あずさ「ぞ、続編があるんですかぁ……」

P「ええ、今度は876プロの子達と一緒らしいですよ」

真美「真美達も」

春香「ちょっと出るんだよね~」アハハ

高木「おほん。私もs亜美「ずるいずるい! 亜美なんて、本編に一回も出てないのにー!」

P「我慢してくれよ……監督側からの指示なんだから。ま、この後何処かに飯でも食いに行くか?」

亜美「ホント!? よーし、こうなりゃヤケ食いだ!」

あずさ「お供するわよ、亜美ちゃん~」

P「ちょ、手加減してくれよぉ」


高木「……ひどくね?」

黒井「……飲みに行くか? 奢るぞ?」

~くぅ疲本終~

ということで、アイマスゲッターサーガ第一部、
春香「ゲッターロボですよ、ゲッターロボ!」
はこれにて完結です

次回作は、
愛「ゲッター!!!」絵理「ロボ?」涼「ぎゃおぉぉぉん!」
を予定しております。今作よりは短くしたいです……

よろしければ、次回もお付き合い下さい!

次は新ゲか?

>>703
第一部で、ゲッター&パイロット(真)の死、大雪山おろしといったやりたかったことをやりきってしまったので、ここから先、内容が完全オリジナルになります

一応参考にしてるのはゲッターロボ號と真ゲッターvsネオゲッターです

第二部はまだ第三話の途中までしか書きためてないので、少し時間が空くかもしれません
第二部が済んでないくせに、何故か第三部を書き出し、更にそっちの方が筆が進むという謎……

第二部を始めるときは、またどこかで予告させていただくことになると思います。その時はどうぞよろしくお願いします

また、

亜美「765プロ!」真美「七不思議!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1392766800
同スレの
響「貴音に面妖なと言わせとけばいいという風潮?」

貴音「響、こんなところにいたのですか」
貴音「響、こんなところにいたのですか」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1397488629/)

の三作も、併せてお読みいただければ幸いです

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