吉良「この私がアイドルのプロデューサー、か…」 (32)

上司「吉良くん。 君クビね」

吉良「は?」



ーーー
ーー


吉良「クソッ! あの糞野郎よりにもよってこの私をクビにしやがって!」

吉良「この不況に自分の能力を抑えてたのが仇になったか…。 それに先々月頼まれた出張、これを断わったのもマズかった」

吉良「あれを受けていれば…いや、私の平穏な生活はこの杜王町でしかあり得ない。
この町を離れるては本末転倒だ」

吉良「フー…今日は飲もう…明日から仕事を探そう…」

今は考えがまとまりそうもない。 なら今夜はたっぷり飲もう。 幸い蓄えはある。
これからのことはじっくり考えれば良い…


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吉良「っ~~ブハッ! もう一杯頼む!」

「お客さん…もうそこまでにしといた方が…」

吉良「うるさい。 たまの酒だ好きに飲ませろ。
それともこの店は客の注文を受け付けないのか?」

「はぁ…はいよ」

吉良「ふんっ」

全く。 こんなに酔うとは私らしくもない。
思った以上にあのクズにクビにされたことが効いてるようだ

吉良(いや、クビにされたことはどうでも良い、仕事なんてまた探せば良い。
問題はあのクズにこの私が『いなくてもいい』などと判断されたことだ忌々しい!)

「……」

「随分と、荒れているようだね何かあったのかい?」

吉良「誰かね? 人のことを聞きたいなら先ずは自分から言うのが礼儀というものではないかね?」

「これは失礼。 私はこういう者だ」スッ

吉良「高木順一郎…765プロ? 芸能事務所の社長なのか」

高木「まだまだ売り出し中だけどね。 君は?」

吉良「…吉良だ、吉良吉影。きちりょうで「吉良」。大吉の吉とシャドウの影で「吉影」だ。
仕事は…しがないサラリーマンだったよ」

高木「だった?」

吉良「リストラさ。 この不況だ珍しくもない」

吉良「で、私に何の用があるんだ」

高木「ふむ。 君は、プロデューサーというものに興味はないかい?」

吉良「は?」

何を言っているのだこの男は。 いや、これはもしかしてあれか

吉良「もしかして。スカウト、とかいうやつかこれは」

高木「まぁそうなるね。 残念ながらアイドルではなくプロデューサーとしてだが」

吉良「…疑問があるのだが、何故私なのだ? いや、そもそもプロデューサーなどという裏方は面接なりなんなりして雇えば良いだろう。 こんな酒場で出会った男をいきなりスカウトするなぞどうかしてるぞ」

高木「君の顔を見た途端ティンと来た。 じゃ駄目かな?」

吉良「悪いがもう帰らせてもらうよ」

なんなのだこの男は。何がしかの詐欺だろうか。 いや、詐欺ならもっと上手くやるだろう。

例え詐欺ではなくとも人事を自分の直感で行う社長が経営する事務所なとこちらから願い下げだ

すいませんご飯食べてくるので少し遅れます

ボスの人?

高木「あぁっいや、ちょっと待ってくれないかい? 真面目に話すから」

吉良「……5分だけだ。 5分したら私はもう帰るぞ」

高木「ふぅ。 すまないね。 先ず、君の時計、趣味が良い。 それに服もちゃんとしたブランドの物を選んでる。 シャネルやグッチといった名前に惑わされず自分に合う物を選んでるんだろうね。
なおかつそれが嫌味に見えない。 以上から君には見る目があることが分かる」

吉良「…」

高木「それにスーツには汚れやシワが一切ない。 新品というふうでも無さそうなのに、これで君がいい加減な人間ではなくキチンとした人物だということが分かった」

吉良「言いたいことは分かった。 だがそれだけじゃまだ私が良いという根拠には弱いんじゃないか?」

高木「確かにそうだね。 だからこれから言うことが一番大きいんだが君は今とても酔ってるね?」

吉良「確かに今の私はとても酔ってるな。 だがそれが? そんな事酒を飲んだことない中学生でも分かることだぞ」

高木「だからだよ、今の君は誰が見ても分かるくらい酔っている。
だけど君の目には一切の『隙』がない。
君の頬はリンゴのように赤くなってるのにその挙動はベテランの刑事のように研ぎ澄んでいる」

吉良「っ…」

>>11
ボスの人じゃないっすね

あんなすごいの俺にはちょっと無理

高木「芸能界というのはね、始めはみな理想とか夢というものを持って入るんだ」

吉良「…」

高木「だけどね、いつの間にか皆そういうものを忘れてしまうんだ。 ……それは仕方ないことだと思う」

高木「だけど、今私の事務所にいる子たちは違う。 彼女らは皆本物の輝きを持っている。 その輝きを守る為に君のような人間が必要なんだ。
決して自分を見失わない人間が」

吉良「この私がその、理想だとか夢だとかを持ってる奴らを守る? 下らない冗談か何かか?」

高木「とんでもない! 冗談なんかじゃないさ。 君なら出来ると信じてるのさ。 世の中の悪意や不幸といったものに打ち勝てるとね」

吉良「結局殆ど根拠のない直感だな」

高木「私の直感は外れたことがないんだよ?」

吉良「フーっ……」

全くこの男は人を見る目があるのか無いのか分からないな。
人を殺さずにはいられな性(さが)を持つ私に夢や理想を守れと? 全く笑える。

だが…

吉良「正直言ってあなたのその青臭い持論には全く共感できませんね」

高木「…」

吉良「だが人の『能力』を正しく計る目は持ってるようだ。
そんな上司の下で働くのも悪くはないだろう」

高木「ということは!」

吉良「あぁ、働くことにしよう。 その765プロとやらで」

高木「! ありがとう! 歓迎す「だが一つ条件がある」

高木「条…件…?」

吉良「もし、私が辞めたいと言えば詮索せずにその日のうちに了承してほしい」

高木「……」

吉良「この条件が飲めないのならこの話しは無かったことにしてもらいたい」

高木「いや。 分かったよ条件を飲もう。 これからもよろしく頼むよ」

吉良「ふふ。 交渉成立だな。
祝杯でもあげるか?」

高木「あぁ。 君の入社を祝して」

吉良「祝して」

「「乾杯」」

ーーー
ーー


~帰り道~

吉良(この私がアイドル事務所のプロデューサーとはな)

吉良(リストラされ酒を飲んだ最悪な日でもなければとてもじゃないが引き受けなかったな)

吉良(しかしこれも運命か…人の出会いは『引力』だと何かの本に書いてあったな…よく言ったものだ)

吉良(だがアイドル事務所というくらいだ、私の目にかなう『手首』を持った女もいるだろう…)

吉良(なぁに我慢出来なくなれば辞めれば良い。 そのための約束もこぎ着けた)

吉良「しかし」



吉良「この私がアイドルのプロデューサー、か…」

一旦ここまで

ボスのssみたいに良い話し風にするかやっぱり我慢できなかったよっていう話にするか悩み中

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