梓「けいおん!after story?」(1000)

このスレはCLANNADとけいおんのクロスSSです。

クロス物が苦手な人には向かないので回れ右してください。

また、元々vipで投下してたんですが忍法帳リセットに巻き込まれVIPで続投不可能と判断しこちらに移動した形になります。

話自体はまた始めから投下するのでそこもよろしくです。

今夜にでも一気に投下するつもりです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1347356964

4月5日 月曜日


春休みの事だ。
短期のバイトをしていた。が、気に入らない客と言い争いになり、
やがて取っ組み合いの喧嘩をした。

取っ組み合いの理由は単純なものだった。
ガラの悪い男の客が、中学生の女の子にちょっかいをかけていた。
それを見ていたら、気づいた時には男を殴っていた。

その行動は、正義感からきたものではない。
ただ、イライラしていただけだった。

行き場のないストレスをただ何かにぶつけたかった。
その客はたまたま、目の前で殴ってもいい相手として認識出来、自分の鬱憤を晴らすためのサンドバッグになった。
だが、殴った相手が暴力的な性格だったため、取っ組み合いへと事態は発展し……。

もちろん、店のアルバイトが客を殴るなど言語道断。
よって、クビをきられた。
当然だ。
自分の感情も制御できない、
甘ったれた高校生を雇い続けるほど世間は優しくなかった。
出来事といえばそれだけの、クソッタレな春休みが終わった。

「………う…ん」

目を覚ませば4月の始まりの日

出会いと別れの季節、春

高校生になってから、365日の9割以上はほぼ不変であり
出会いも別れも彼にとっては縁のないものだった

「……もう、9時過ぎか」

一般的な高校生の起きる時刻からはかなり遅れている。
が、彼はとりたてて急いだ様子もなく学校へ行く支度を始めた。
歯を磨いて顔を洗い、寝癖直しにはワックスを使い髪を整え、トイレを済まし、家を出る。

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  l_|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄! |    |  |                            l;;iil|   |;;;|i;;|         |;i;;il;;;|
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学校までは徒歩30分だ。
都会と呼ぶ程発展してはいない。
が、決して田舎というわけでもないこの静かな町を歩く。

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  l. .:.:!...:| .l.|..:::::l.、::. ..:ヽ\.:ヽ >、\` ー--、:::...:::::,. _..:::.

  |. :/!..::|.::リ..::::::l::l\:. .:\ \イ{:::ノ},ベ      ヽヾ/ -ヽ::::
  レ' !. .:!. .:l.:::::::lリ __\::::::ヽ  ゞ ´          ,::l ,〈::: ' }::::
    |. .::、.:::ヽ::::ハ´ ,.-、` ー`           リ //ノ::::
    l. :. .:ト、.::\:::ヽヘソ                     /:::::::    「……面倒くせぇ」
     V.: :| ヽ:::::::ト.ハく                   / ´ヽ:::::::::
     ヽ::|  \::l ヾ丶                 ,    !::::::::
          ヾ  ヽ  ,. -‐            /   レVi:::
                  \              /    ,. ┴
                   \          ´   ,. '´
                __,ゝ、 _ . 、     ,. ´       ,.
              /(__r<_r<ヽヽ, /        /
            __⊥ -―'ー-'ー-<r'ヘ        /
          /  ´       /'⌒ヽ     , ′
      __/_,.           {.:. .:..:::\  /
   _/___  `丶、        ,l.:. .:.::::ノ V
  /       `丶、  \,.--‐イ/{へ、/  /


彼は学校が嫌いだった。
光坂高校という、地元では中々優秀な進学校が彼の学び舎である。
運動部はどこも力を入れていて強く、都内の大学への進学率も高いというのがこの高校の特徴だった。

将来有望な生徒は学業を。
自分の青春を精一杯楽しみたい生徒は部活を。
余裕があるならその両方を楽しむのがこの学校の生徒の特徴であった。

この高校は、そんな有意義な、充実とした毎日を送りたい学生にとって大変魅力のある高校であった。
が、そんな高校生にとっては楽園のような場であるこの高校が


岡崎朋也は大嫌いだった。

「……クラス替え、どうなってっかな」

学校では基本的に話す相手のいない彼ではあるが、
唯一、友達……ではなく声を交わす程度には知り合い…な男がいる
名前は春原陽平

                       _ _ __ _
                 ,.  '"´       ``ヽ
              ,.  '´              ``ヽ
            / /  //   /   / ハVハ     ヽ
           /  /    l l  l   / !ミミV彡! l  l ヽ 
             /  / ! !  l l  l  /  !   l /  l  l  
          l  / ! ! __」_l /l / l .!   l_/L__/  l  l
          l: /l  ! !   Nメ、l/  |ヽ|<__l/ l /   l  /
          l/! ヽ ヽ  l: :::〒 \|  〒:::</ l  /l. /
           !/\\\|辷ソ      l:.:.:.:.ノノ l / く/
                l/  \\|   '       ̄   l/ l       
                 ',   マ ̄ ̄ノ    __ ノ

                  ヽ、  ` ー‐'   / l/
                   `丶、 ___,. '´  L

                    r-ィ´l    ,. -‐┘l
                __,. ィ´/  /  rく     L
            ,. '´    /  ∠__ノ  l    / `ヽ

ひょんな事から彼が一年の頃に出会った、少々変わった金髪の目立つ生徒であった。

(…あいついなかったら…もう卒業まで教師以外の奴と話す機会もないかもな)

彼はそんな思考を頭に巡らせながら、自嘲の溜息をついた。

教師とは嫌でも話さなければならないだろう。
だが、春原以外の生徒とは、基本的には彼は話さなかった。
話しかけられれば話し返すが、会話は1分も続かない。

そして、三年生になるまでの二年間は、彼のそんなコミュニケーション能力の低さを回りに示すにはあまりにも
十分な時間であり、自然と彼に話しかけるものもいなくなっていた。

「…はぁ」

これから向かう教室のことを考えるとそうため息をつかずにはいられなかった。

……岡崎朋也は教室が嫌いだった
周りと比べて、あまりにも自分が浮いてしまうから。

二年の後半、1月からだっただろうか。

受験勉強や、引退試合に向けて、生徒達は各々情熱を燃やす季節になり、クラスの雰囲気は徐々に変わり始めた。
そんな空気が何の目標もなく、ただ怠惰な毎日を送る彼には辛かった。

何か目標をもつもの。
自分には可能性があることを信じる事ができる者。
そんな生徒達の中にいても、自分自身には劣等感しか出てこない。




だから、岡崎朋也は教室が大嫌いだった。

学校もやめて、働く事も何度か彼は考えた。

彼の最も嫌悪する、【彼】から早く自立したかったからだ。

が、小遣い稼ぎに働いたアルバイトや短期の力仕事のアルバイトの数々は彼に、

「まだ、高校生なんだから、楽をしていたい」

という思考を植えつけるには十分だった。

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" ⌒ ` ⌒ ` ヽ 、⌒ `⌒  ^ヽ `. `  __ ⌒ヽ  ," (⌒ ,, " ⌒` " `,,) 、.ノ ヘvノf" 、_ノ_...-・'"~Π_...-・'"~
  "  ⌒) " ) '', " ⌒) " ) , " (⌒i)  ") ⌒` ''(" 、(__ 、_ノ` ⌒)  ``'_,...-・'"~Π_...-・'"~|」_...-・'"~
"  ⌒` "   )   ⌒` " ` ,) ` ⌒` |「  ,,)  、_ノ` ゝ_ノ、ヘトノf" _...-・'"~Π_,...-・'"~|」_...-・'"~´_/_/_/_/_/_

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.ノヘvjノ/" 、_ノ'' 、ノヘトjィ/" 、_ノ  、 ヘvソ/||、_ノ _...-・''"~Π_...-・'"~|」_..-・'"~´_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_
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この町は自然がまだ多く残っており、彼の通学路も左右を見渡せば緑が溢れている。
そんな道を20分程歩けば町といっても支障のない通りに着き、そこから5分歩けば学校に続く、桜の木に囲まれた登り坂につき、学校は目の前となる。

……彼はイライラしたまま歩く。。
3年になったというのに灰色の世界を生きている自分自身に、
なにも変わらない毎日に。

…桜並木に囲まれた、春の香りが一面に漂う坂道に到着した。
これを登りきれば学校だ。

時計の針は生徒が普通に登校する時刻を指していない。
だから、坂道を登る生徒は自分だけだ。


桜舞い散る世界に自分ひとりが取り残されている気分になるこの坂道。

それは、これまでの一年生、二年生の頃にも見た春の始まりの景色

今年もそんな胸糞悪い初登校日を迎えるはずだった
だって、岡崎朋也の世界はなにも変わらない毎日で作られていたから

だが
4月5日
その坂の下には1人の少女がいた

         ,. . :´ : : : : : : : : : : : : : `ヽ、
      . . -: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ

.    /: : : : : : : : : : : : : : : : : -: :、 : : : :、: ::ヽ    _ ,
    / : : : : : /: : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ : : :ヽ:i: レ-: ´: /
.   /: : :/: : : l: : : : : /   : : : : : : -=-->`⌒/: : : -='、
  /: : :/: : : : | : : : : {   }: : : : : : : ::/ //: : : : : : : ヽ
  !/{: :! /: : : !:`ー: :ゝ- .': : :一 ´: / ,/ 〃: : : : : : : :、 : ヽ

.  j .ヘ: l/ : : : |: : : : : : : : : : : : :/: { 〃 /i: / : : : : : : : ',: 、:ヘ
.    `| ::: : ::ハ -:-: : : : : : : : ´: : : :ゝ、,イ !:' : /: : : : : : :}: :}`ヾ、
     l:,、:: : lrヘ : : : : : : : : : : : :/: ,: : | l:l: /: : :/: : : : :! ;'
     lハ::: ハ ヽ:__:/: : : : : :´: : / /l,ハ!/:i : /: : : : : l/
      /ヽ' ノ _ハ : : : : : : : : //::/::::::::::| ::l .::: : : :、: : !
.      八   し'´ .ヘ: ::::::::::::/::::::/:::::::/!/'i ::::: : :ハ: :!
      ヽ    i ヽ、::::::::::::::::::::::::,イ´ / l ,、 : /  V
        ヽ   .:.   ヽ彡'゛゛゛`/       l/ ヽ'
            ー― !       ト、
            l      _/´ヽ
                ノ_,,,  <´    人



「この学校は好きですか?」

ひらひらと空を舞う桜の花びらを眺めながら、彼女は1人つぶやいた

「…?」

どうやら俺に話しかけたわけではないようだ
独り言…なのだろう
桜を見て感傷にでも浸っているんだろうか
しかし、現時刻は10時前
クラス替え後、初のHRが終わり、始業式がそろそろ始まる時間だ。
なのに、彼女は急ぐ様子もなく桜を眺め、桜の木に話しかけていた。

「私は…とってもとっても好きです…大事な人と過ごしていた場所だから」

「でも、何もかも変わらずにはいられないです」

「それでも、あなたはこの場所が好きでいられますか?」

…不思議な気分だった
普通なら、ぶつぶつ独り言を呟いてる奴なんて黙って見ないふりをして通り過ぎる。

なのに



「見つければいいだろ」

「………?」

こんな変なことを1人で言ってる奴に、
話しかけてしまった。

      / : : ://: : : /: : : : : : : : : : : : : : `: 、

     /: : : //: : : /: :/: : : : : : : : : : : : : : : : \
    /: : : : く / : : : : /: :/: : : : : : /: : : : : !: : : : : : : : \
  /: /: : :〃: : : l : / : : : : : / : : /: : :/ : : ハ |: : : : : : : : :\

 ―- ァ: :/:/!|: : :V: : : : : : / : : /: : :/|: : /||: : : :| : : : : : : \

    !: : l:.{ |: | !: :/:/ : : : : /: :/| : :ム|: :/ l: !'、: : |: : : : : : : :|⌒
    !: : | L!: : ヽ:! l : : : : : : :斗 1:/   !:/ |!ヽ!: :|l : : : : : |: |
    !: /| : ':ヽ : :|/| : : : : ! /  _.|'-、  !'   リ  |: :ト|: : : : :|:|
    V !: :ハ: :\!|: : : :.|/,x芹芸ヾ      _-∨|: : : : :!: |
.      j /ヽ}: |: :/|: |: : :小,イノ:::゜}      ,芸芯 | : : : : ハ |
     /   |: !:/Λ !、: : | 之Zソ       {.ノ:::ハ}/|: : / / |!
        V ヾ { ( \!    、、、     、ゞソ ハ:|/|/
             \_                 `` ハ/  /
              !ヽ       , 、    ′
              _|  \             イ
           r-く >、   .         ゛
           /::::::::\   >、  ¨7 "´
.           rく、:::::::::::::::\   \/
        /::::::::::\::::::::::::::\   〉、
      /:::::::::::::::::::::::\::::::::::::::\/ア} 、
     .::::::::::::―:::::::::、::::::::ヽ::::::::::::::ヽ{ ! ヾ:.、
    /:::::::::::::::::::::::::::::::\::::::ヽ:::::::::::::::ヽ|l、 l ';::::、
.   i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\::::::ー::ァ:::::::',{ }| ヽ:::l
.  〔::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::/:::::::::::', |ヘ }::::}


「……?」

彼女がこちらを振り向いた。

目が、合った。


……長くもなく、短すぎることもない、茶髪のポニーテールが印象的な女の子だった
制服のリボンは……赤
どうやら同い年の女子生徒のようだ

「えと…あなたは…?」

驚いた声をあげてるところを見ると、
俺が後ろにいたことに気づいていなかったようだ

「見つければいいだろ」

疑問には答えずもう一度いう。

「次の新しいこととか、うれしいこととか、見つければいいだけだろ」

俺は…自分のことを棚にあげて何を言っているんだろう…

「あんたのそういうのは、一つだけなのか?……ちがうだろ」

俺らしくもなく、見ず知らずの奴にエールを送ってしまった。
でも、見た目や雰囲気から、この子は俺とは違う奴だと思った。
そんな奴が儚げな、弱っている様子だったから、ただ背中をおしてやろうと思っただけだ。

「あの……」

「つーか、あんた、HRどころか、始業式も遅れるぞ?…いいのかよ、こんなとこでのんびりしてて」


なにか話したげな様子だったのはわかったが、こちらは言いたいことは全て言ってしまった。
もう、特に話すこともないので一方的にしゃべる。


「…さっさと行こうぜ。あんたもこれ以上遅れると始業式、マジで間に合わないぞ」

「あ…は、はいっ!」

俺達は登り始める


長い


長い


坂道を

坂を登りきると校舎が姿を見せた。

今日から卒業までのことを考えるとこの校舎を見てるだけで億劫になる
玄関に着き、上履きに履き替え一階の廊下にある掲示板の元へと向かう。

生徒達は皆教室にいるようで、廊下はとても静かだった。
掲示板にはクラス替えの結果が張り出されている。

「…俺のクラスは……2組ね。…担任は幸村のじじいか」

幸村のじじい。
これから一年間の俺のクラスの担任。
一年の頃にとある事件がおきて知り合い、
その後、学校にて、これまたとある事件が起きた時、退学の危機から救ってくれた恩人である。

「幸村なら…ま、いっか」

自分の担任は誰かという心の悩みが一つ解決し、次に春原の名前を探す。

「…あった。同じクラスか」

担任が幸村で、春原が同じクラスか…
都合がよすぎる……幸村本人か、さわこ先生辺りが気をつかったに違いない。
その気遣いが嬉しくはあったけれども、なんとなく、自分が子供扱いされてる気がしてちょっとだけ…少しだけ複雑だった。

「……」

「あんた、名前は?」

「あ……えっ!?は、はいっ!?」

坂道を登り始めてから、今まで一言も話すことなく黙ってついて来ていた女子に話しかけた。

「私は平沢憂です。…あなたは?」

ぺこりと可愛らしくおじぎし、聞き返してきた。

「…俺は岡崎朋也。よろしく」

「はい。よろしくおねがいします」

「クラスは?」

「二組です」

「…一緒だ」

「本当ですか?なら、一緒に教室に…」

「別々でいくぞ」

「…あの、なんで?」

「理由なんてない、あんた、さっさといけ」

「…?」

疑問に思っているのだろうか。首をかしげている。
が、聞き分けはいい方なのか、特に反論もせずに黙って先にいってくれた。

これでいい。
不良と仲良く遅刻して一緒に登校なんてさせたくない。

今日の学校の流れは…

始業式前のクラス替えの顔合わせの目的も兼ねたHR

始業式

その後、またHRとなって今日の学校は終了……だったはずだ。

始業式は……だるいな、さぼろう。
始業式後のHRまでは資料室にでもいって寝てよう。

___________________________

………

………

………

「……」

始業式が終わる頃を見計らって、資料室から教室へ移動する。

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__  ̄丁⌒ヽ. ──‐f´ ̄ ̄ ̄ ヽ ̄¨二ニ=----――-- ニ二_f´ }  j__ __,!  l_---_--_-_
‐う   !   {--_―亠―――‐亠‐亠‐- 二._丁 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄,二--―く____ヽ  }―--- ニ
_____,,..ュ.{    ヘ¬ー-ニ._ー-- ---------‐‐‐―`―‐‐ァ--r,-―――‐‐-、 ̄_ー----___
 ̄¨¨´ !    }ハ..._ { }   ̄iT ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 「{ l|j{{        }-- .}} ̄
     j    }¨し; ̄` 丶 、 l|.__________に_ ̄ .._ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`¨¨
___,,,...ノ___,,.....厂`     _____`_ヽ_________l_ |_!| r‐-   ̄二_‐-  .._
------------‐‐___―‐f' o          o}  | |..._    ̄丁 ‐-  ̄.二二二二二二
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     |l            |  | |   ̄ ¬‐ .._     i |


始業式も終わり残すところは帰りのHRだけとなった。
新しいクラスメイトに浮かれている者が多いのか教室はざわざわとにぎやかだった。
俺が教室のドアを開けると一瞬だけシンッとなるが、
すぐに何事もなかったかのように皆自分達の会話に戻っていった。

教卓の上に置いてある座席表を確認し、自分の席を確認し荷を降ろした。
自分の席はお約束のごとく、窓際の一番後ろの席だ。
……その際、隣からチラチラとこちらを見る視線を感じたが無視した。

「……」

席に座り、両腕をクロスさせてそこに顔をうずめて目を閉じる。

今日は初日だし、後はホームルームだけか…。…今更だけど、サボってもよかったな

………

寝るか。

_________________________

………

………

………

「岡崎!」

「……」

夢を見ていた
内容は覚えていないが、優しい景色が広がっているのに、なぜか胸糞悪くなる、懐かしくて最悪な夢だった。

「こらっ。岡崎、…起きなさいっ」

ゴツンと頭を殴られて現実世界に引き戻される。

「てて…なんだ、さわこ先生か」

               / : : : : :/ : : : : /: /.  ', : :l : : : ', : : : ;', : : ヽ
              ./ : : : : : :/ :/ : : イ : '    ',: :|ヽ : : ' : : : : ' : : :ヽ
              /: : : : : : :, : l : : :/.| ,'     ',: | ',: : :! : : : : ', : : : ',
             , : : : : : : :,':: :| : :/ |:|,     ! |‐-', : ト,: :| : : | : : : :l
              ':: : : : : : ::|: : |: / ̄ リ       | !   ',: | l: :! : : ! : : : :|
            |: : : : : :| : | :/レ         !'   .V ', | : : |: : : : :!
            |: : : : : :| : |/ xテチミ、       テチミ.z、 i : : :!: : : : :|
            |: : : : : :l : | { .|:::し:::i 、,   , - l:::し:::l } | : /:: : : : ::|
            |: : : : : : ', l ` ヽ,__ノ  oi.==i   ヽ, _.ノ  ,' :/ : : : :| : !
            |: : : : : : :`|  ヽ,   _ ノ ,  ヽ __ ノ /:/ : : i: : :!: :|
            |: : : : ',: : : |    ̄           /´|: : : :l: : :| : |
            |: i : : : ,: : :',                , : : :,' : : :!: :!

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            ,' : ! : : : : ヽ :',               ,': :;/ : : : : |: :|
           .,: : | : : : : : :ヽ|.\            /:/ :/ : : : :!: :!

           /: : :l : : : : : : : |`,: :` , 、      , t´/´: : / : : : : ,' : ',
          , : : ::i: : : : : : : : ! : : _|_` __  '´,.-┴‐‐' / : : : : : ' : : :',
          ,' : : : | : : : : : : : :|: f      ̄ ´ ̄   /, ' : : : : : / : : : : ,
         /: : : : ! : : : : : : : :|r´、 :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :/ : : : : : : :/ : : : : : :i

        , ´  ̄ ` |: : : : : : : : :! :: :`ヽ :: :: :: :: :: :: :: :: / : : : : : : :/─ ‐-- | _



「なんだ…じゃないわよ。朝姿が見えないからさぼりかと思ってたのに…」

「なんでこんなホームルームの時間だけ来てるのよ」

「…ん、もうホームルーム終わったのか?」

周りを見回すと生徒達は皆自分の目的地…おそらく塾とか部室とかだろう……
それらに向かって移動を始めている。

「終わったわよ」

「てか、なんで先生がこの教室にいるんだ?担任は幸村のじじいだろ?」

「あんたねぇ…じじいじゃなくて、幸村先生って呼びなさい。失礼よ。私はこのクラスの副担任なの。…どこかのお馬鹿2人のためにね」

「そりゃ、迷惑な馬鹿もいたもんだ」

「そうね、だから今年は問題起こすんじゃないわよ。お馬鹿の片割れ」

「手厳しいっすね。…それじゃ、帰るよ」

「ちょっと待った岡崎、今学期始めの掃除当番はあんたと憂ちゃんよ」

「げ…」

憂ちゃんってのはやっぱり…。

「……」

「……」ペコリ

さっきからこっちを見てる…この子……だよな。

「はぁ…」

掃除当番
最後のHR後に教室をさっと箒で掃き、
ちりとりと小箒でゴミを集めて捨てる。そんなどこの学校にだってある当番だ。

「なんでだ…一番後ろの席から当番なんてありえないだろ…」

「あんたがクラスに早く馴染めるようにという先生のおせっかいよ。掃除でもして少しは人と関わりなさい。憂ちゃん、いい子よ」

「…わかったよ」

この人にはあまり逆らってはいけない事を知っているので素直に言う事をきいた。

「ああ、それと春原は今日さぼり?あんた、なにか聞いてない?」

「…何も聞いてないけど…多分サボりだろ」

_______________________________


            , ': : : : : : : ; : : : : : ; : : : : ヾ丶,

           ,..': : : i: : : : : :ハ: :ハ; : : :ハ: : : i:ヾ; `.
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            |:i !: |; : :.|`;彳ミ     んハ:ミ} i : |': :ハ|
         |'i: : ヽ; :|,ソ心少    弋匕ノ i: ハ;,ハ| 「あの…岡崎君だよね?」

            i ヾヽ'、:{, ""   ,   ,, ,,  y' }  i
           ` ヾ;.i` '' ''            レ '
              `' ,    rっ    ,. '!|

                ヽ、      /   i
                  `; . , /.;;;|

                 ,....i 丶, ,. -'  〉、
           __ /::::::|  .小ミ,   / 丶 . __
         /::::::::::::::|:::::::::::| ,{川ハミ`. /:::::::::|::::::::::::::::::::`.,

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           i:::::::::|::::::::::: \:::::::! ミツ!,i.ツ.y:::::::/.::::::::::::::::!::::::::::|
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「…」

掃除用具入れから箒を出すと、ちりとりを持った隣の席の女子改め先ほど共に遅刻した女子改め平沢憂がはなしかけてきた。
このこが、いい子……か。

「まさか、隣の席だなんて思わなかった」

「そうだね。わたしもびっくりしちゃった」

「……そっか」

「…う、うん」

「……」

「……」

会話がまるで続かない。
俺の方に続けるつもりもないのだからこうもなる。

俺があまりにも無愛想な態度を取ってるから、こいつも距離感をうまく図れないのだろう。

「こらー、憂っ!さっさと片づけろー。先に部室いってるぞー」

「あ、純ちゃん待ってよ~………ねぇ、掃除手伝って?」

「断る!人に甘えてはいけませんっ」

「…それを純ちゃんがいうの?」

「うぐぐっ…さらばっ」

「あ、待ってよ~」

にぎやかな声の持ち主と、平沢が何か話している。
どうやらあいつと平沢は同じ部活のようだ。

…部活、ね

その言葉が嫌いだった
かつては自分もやっていたが、
今となってはどんなにあがいても、手の届かないものになってしまったから。

「平沢、俺が箒でゴミ集めるからお前はちりとりでゴミ回収してくれ」

胸に涌く様々な思いを飲み込み、もう今日はさっさと掃除を済まして学校を出ることにした

「あ、う…うん!頑張ろうね!」

こちらから話しかけたからだろうか。顔をぱっと輝かせ、気合を入れて小箒でちりとりにゴミを集め始めた
…平沢は機敏にゴミをせっせと集めている

…掃除に慣れているのか見事な動きだった

「岡崎君。やるからには私達の当番の一週間で、教室をピカピカにしようね!」
 

ちりとりにたまったゴミをいったんゴミ箱に放り、
こちらを振り向くとぐっと拳を握り控えめなドヤ顔でこちらに視線をむけてきた。

「…なんで俺がそんな気合入れなきゃいけないんだ」

「だって、ピカピカにした方がクラスの皆だって気分がいいよ」

「…真面目なんだな」

「岡崎君からはやる気を感じとれないよ…」

「…そりゃ、ないもんは感じ取れないだろ」

「も~、ちゃんとやってくれないと困っちゃうよ」

メッっと怒られてしまった。
こういう奴、少し、苦手だ。こっちの態度の意味を汲み取らず、悪意もなく接っされるととてもやりづらい

こちらはあくまでそっけない仕草を貫いてやる気なさげにゴミをはいた。

「あっ!岡崎君、ゴミはちゃんと分別しなくちゃ駄目だよ」

「…へいへい」

………

………

………


後になって……まったくおせっかいで真面目な奴と隣あってしまったと思った。

______________________________


掃除を終えて帰宅の準備をすると平沢が声を投げかけてきた。
あれだけ冷たく接したのにまだこいつは積極的な姿勢を崩さない。

「岡崎君もう帰るの?」

「ああ」

普通の生徒とは違い、放課後になればもうやることもない。

「部活はなにかやっていないの?」

何でこいつはこんなに突っ込んでくる?

「……」

これ以上話すのはよくないと思った。

「やってねえよ」

会話する気がもう起きないよう冷たく答えた。

「あ、うん、そっか」

「ああ…」

「……」

「……」

「それじゃ、岡崎君にお願いがあるんだけど……」

……それでも平沢は話しかけてきた。
なんでこんなに人と話すことに必死になっているんだ。

「あのね」

彼女は何か言おうとした。
が、俺は空っぽの鞄を掴んで生徒達のあいだを通り抜け、さっさと教室を出た。

「あ……」

教室から出る直前、背中からは小さく落胆した声が聞こえた。

ふぅ……

これなら明日からは話しかけてくることもなくなるだろう。
掃除の時間も無言になるかもしれないが、こっちとしてはそちらの方が気楽だ。


「……」

これでいい。

ああいう奴は俺みたいなクズとは関わらずに高校生活を送るべきだ。

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                                            | :.:.::::|

春の暖かい日差しが傾き、徐々に冷たい空気が辺りを覆っている。
そんな中、校舎を後にし家に向かう。

.
.
.
.
.


結局変わり映えのしない一日だった。
二年の時と比べて変わった事といえば隣の柔らかい笑顔が印象的な平沢という女子と話した事くらいだ。

ああ、でも…

…春原以外の生徒と話したのは随分久しぶりだったな

.
.
.
.
.
.
.



……家に帰ってもこの時間帯は誰もいない。


もとより母親はいなかった。


俺が小さい頃に、交通事故で亡くなったそうだ。
物ごころつく以前に逝ってしまったから、顔すら覚えていなかった。



……母を亡くしたショックでだろうか、残された父は堕落していった。
アルコールを絶やす事なく飲み続け、賭けごとで暇を潰す生活。


少年時代の俺の暮らしは、そんな父との言い争いにより埋め尽くされた。

……それでも、片親の父と自分は、それなりにうまくやっていってると思っていた。

あの事件が起きるまでは。

.
.
.
.
.

「ただいま……」

帰宅し、まだ食べていなかった昼をカップラーメンで済ます。
そして、親父が帰ってくる前に折り返し家を出る。
それが体に染みついた日常だった。

.
.
.
.
.


そして今日もあてもなく町をうろつく。

「…あなたはこの場所が好きですか…ね」

ぼんやりと眺めていた空はオレンジに染まりつつある。

「俺は……嫌いだね」

そんな空の下、結局最後に行き着く場所はいつもと同じ所だった。

______________________________________


向かう先は光坂高校の坂を下った場所にある学生寮だ。
この高校は運動部にも力を入れているので遠くから入学してくる生徒も多い。
そうした運動部の生徒のためにこの寮は存在している。
のだが、例外の奴が1人ここに寄生している。

「さてっと…」

その例外が住む部屋の扉の前まで到着し、ドンドンと扉をノックした。

「おい、春原。入るぞ」

「ああ…っ!ちょ、ちょっと待ってっ」

扉の向こうから随分と慌てた声が聞こえる。

「おい、どうした?さっさと鍵開けろよ」

「ちょ、ちょっと待ってろ!…1分待てっ」

「なんで俺がそんなに待たなきゃいけないんだ。さっさと開けろっ!」

どんどんどんっ寮内に響くよう強くドアをノックする

「うわぁっ。やめろって!やめろ岡崎っ!隣の部屋のラグビー部がまたきれるぞっ!?」

「怒りの矛先はお前だけだしな。開けるぞ」

「だぁ~っ。もぉっ!!」

これ以上騒ぎを大きくしたくないのか大急ぎで春原は出てきた。
…ズボンをはかずにシャツにパンツ一丁の格好で

「なあ春原。ズボン下ろした格好でいったいなにしてたんだ?気になるな」

「あぁっ!?…こ、これは……」

「こ、股間をね!!ちょっと整備してたんだよ」

「………」

「………」

「そっか、整備は大事だよな。いざって時に使えないのは虚しいもんな」

「だ、だよねっ」

「まあ、お前には使う機会なんて一生こないかもしれないけどな」

「あ、ああん!?んなもん一生を終えるまでわからねえだろ!?」

「せめて30までにはわかって欲しいもんだ」

「……」

「……はあ、で?今日は何しにきたわけ?僕これでも忙しいんですけどねえ」

「何も用事なんてねえよ。それじゃあな」

「いったいなんだったんだよっ!?」 

クロスものが苦手って訳じゃないんだけど、憂が渚ポジションというところに不安を感じる。
それに、けいおん!とCLANNADのクロスものって以前にも結構あっただろうに。
まあ、頑張れ。

「実は、お前の困った顔が見たかったんだ」

「あんた性格最悪ですねぇっ!!」

「部屋イカ臭くねえだろうな」

「表現きついわ!!そもそも臭くなる前に中途半端に終わっちまったよ!!」

「きたないな。手、洗えよ」

「洗うさ。洗うけど……ひでぇよ」

「別に、自覚してるぞ」

「なら改善してほしいんですけどねえ!!」

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         /     \l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l         \\:::::::::::::::::::::::;;;;
         \      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\         \\:::::::::::::::::;;;;
         \   /                   \         \\::::::::::;;;;
          \ソ______ニ______,ン         \\::::;;;;

冬も過ぎたのに未だに出しっぱなしのコタツ。
申し訳程度についている窓
古ぼけたベッド
そして漫画や雑誌が並んだ本棚
その横にある棚にはCDケースとカセットケース
それが、春原の部屋の全てだ。

.
.
.
.


「春原。茶」

「でねえよ」

「……」

「………」

「茶ぁだせよっ!」ドンッ

「脅したってでねえよっ!?」

「………」

「………」

「拝むからっ!」

「拝んだってでねえよっ!!」

「…気のきかないやつだな。突っ込みも個性を感じない。お前の性格くらい捻った表現を使えよ」

「お前っ!僕の事なんだと思ってんだよっ!」

「干されかけ寸前の芸人…とか?」

「なった覚えねえよ。そもそも僕よりも、岡崎の方が絶対捻くれてますから……」

「……」

「……」

「こんな晴れた日に、野郎2人でなにやってんですかね、僕らは」

「……」

本当に、何やってんだろうな。俺達。

__________________________

時計が19時を回った

「腹減ったな…なんか飯でも買いに行く?」

「…そうだな」

「あ、そうそう。ちょっと遠いとこにさ、新しいラーメン屋できたんだよ」

「それで?」

「高校生は学生料金で一杯450円なんだって!超安くない?行くしかないよねっ!

「そいつは……いいな」

最近のラーメン屋は値段が高い所ばかりだというのになんて良心的な価格なんだ。
まあ、あまり味に期待してはいけなさそうだが…

「だろっ?よーし、そうと決まれば出発だ」

「会計は全部お前持ちな」

「意味がわかりません」

_____________________________

そうして春原と共にでかけ、ラーメンを食べたのだが…


.
.
.
.
.


「微妙だったな……」

まずくはない、まずくはないが決して美味くもない辺りが450円の麺の正体であった。

「ああ…安いからか、量は少ないし……味も特別美味くはなかったな…」

「ま、にんにくを自分で適量入れられるのは素晴らしいと思ったけどねっ。2個分はいれちゃったよ」

「ああ、だからか。この部屋が臭くなってんの……早く出てってくれ」

「ここ僕の部屋だぞっ!?」

.
.
.
.
.



その後は言葉もないまま時間が過ぎていった。
いつも通りの風景だ。

…テレビもないこの部屋じゃ、やることといえば雑誌や漫画を読むか、CDや時代遅れなカセットテープで音楽をきくくらいだ。
一年の時にこいつと会ってからは、殆ど毎日はこんな堕落した日常の繰返しだった。


だけど、この時間は……割と嫌いだが、大嫌いではなかった。

ラクヲセズー ツキルー コトノナイー♪

ジョウネツハー♪

「岡崎に言いたい事がある」

「なんだよ」

ドコカラクールーノー? ドコカニー♪

ネムッテ イ ル ノ カナ♪

CDで、緒方理奈の曲を流し、部屋に置いてあったポテチを食べながら、
そこら辺に置いてあった少年○ャンプを読みつつ答えた。

「この部屋、誰のものだと思ってるんですかねぇっ!!」

「え?俺の部屋だろ?」

「僕の部屋だよっ!!ってかこのやり取りもうめんどくせえよ!いつも思ってたけど、いくらなんでもくつろぎすぎだっ!」

「…悪い悪い。春原、茶」

「もうツッコム気にもならねえよっ!!」

「そのセリフがもうツッコミだからな」

それからも春原の部屋で生産性のない時間を過ごす事数時間が過ぎた。

「僕、そろそろ眠るからもう電気消すぞ。…泊まってくなら別に構わないけど」

不満そうな顔をして俺に抗議のまなざしをむけてくる。
遠まわしに帰れと言っているのだろう。
部屋の時計を見ればもう日付が変わっていた。

もう、大丈夫だ。

「そろそろ帰るわ」

「そうですか」

この時間なら、あいつはもう寝ている。

「それじゃ、また明日」

「お前と会うのやだし明日学校行くのやめようかな」

「もうさっさと帰れよッ!…ぐすん」
__________________________________________

「言われなくても帰るっての……」

春原の部屋を出て、家へと足を向ける。もう春だというのに、息を吐けば白い煙があがる程に外は冷えていた。

「さむっ」

……あの人はもう寝てくれただろうか。

____________________

「ただいま」

誰からの返事も期待してなんかいない。
それなのに、心だけは何かを求めて口が勝手に開いた。
…その言葉は無音の玄関に飲まれていく。

「……ただいま、父さん」

新学期の初日が、終わった。
____________________

_________________________________


出会いと別れの季節
私にとって、それは悲しい季節
私にとって、それは再出発の季節

私を引っ張ってくれた、沢山の幸せな思い出をくれた、大好きな人たち。

そんな4人の先輩達はもう卒業してしまった。

私を入れて5人だったけいおん部は…悲しいけどもう戻らない。

でも、5人から1人になってしまっても、

私には、思い出せばこれからも頑張っていける。そう思える沢山の思い出があった。

そして、私には私を支えてくれる友達がいた。

この春から私のけいおん部は5人から1人へと。

そして、その後すぐに1人から3人になった。

だから、私は力を貸してくれた二人のために、この部を作った先輩達のために、なによりも私のために…!

そして、これから来るかもしれない、まだ見ぬ新入部員のためにも頑張らなきゃ!!

__________________________________

______________

4月5日 月曜日

唯先輩、お元気ですか?
今年の桜は咲くのが遅かったのか、
新学期の始まった今でも、校舎の至る所にピンクの雨を降らせています。

今日から私も三年生です。

…先輩達のけいおん部をしっかり継いでいけるよう、
心機一転がんばっていくつもりです。

そのため、まずはイメージチェンジをしてみました。
ツインテールはそろそろ子供っぽいかと思ったので上級生らしく、
今年からは髪を下ろしてみよう…なんて考えてます。
早速今日から実行してるんですけど……皆はどう思うかな?

「おーい、梓~」

「あ、純おはよ~」
         -───-   、
     , <:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ

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  /:::::::::::::!::::::l:::::::::::::::/´!::::::::::: ::::::|:::::::::::::::ハ
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 {::::::::::::::|::::::::|:::::l:::/ 一l::∧!::::::::::レ、:::|::::|:::::::}

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 i:::::|::::::|::::::::::l:::::!'      ゝ':::/ ヘ::}:::::|:::::::!

 ∨:|::::r|::::::::ハ::::|イニ=x ヽ   }:/ =zゝ|::::jレ:::i
  i::::!:::i |::|::::::ヘ::{ ヒチハj     ヒチノ》/|:::∥::/
.  |::"::ゝ!:|::::::::ヽ!           ':::!://|ノ
  !:::::::::|:::}::::::::::|  ```   '  `` j:::レ:/
  }::::::::::|::|::::::::::|      _    ノ::::::l

  ∧:::::::::|:|::::::::::ト         ィ:::::::::::!
. ハ:::::::::ヘj::::::::::i  > 、   イ::|:::::::::::::i
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「……あれ?また髪結び忘れた?」

「………」

「もしかして、始業式の日から寝坊?」

でも、純にはこの意気込みは伝わらなかったようです……

「……もしかして…イメチェン?」

「そうだよっ!!」

「ごめん、ぷんぷんしないであずさ~」

「これは…今年はがんばるぞっっていう、心の表れというか!」

「ふ~ん、でも……」

「澪先輩そっくり」

「え…?」ギクリ

「大方、澪先輩の真似したかっただけじゃないの?」

「……やっぱり戻す」シュルシュル

「あ、もしかして図星だった?」

「うぅ……」

「あはは、悪い悪い」

「って、あ…」

「お?」

廊下に張ってあるクラス替えの掲示板を見れば
3年2組におなじみの名前を3つ発見した

「純も憂も同じクラスだ」

「担任は幸村先生か。ラッキー……って……」

「どうしたの?」

「うわっちゃ~…岡崎に春原とついにクラス被っちゃったかぁ…ってか2人とも同じクラスとは…」

「誰?その2人?」

「あたしもよく知らないんだけど、一年の頃から問題起こしまくってる不良なんだって」

「不良?」

「そう、不良。なんでも暴力事件を二人で起こしまくってるとか下級生脅してるとか色々悪い噂が絶えない二人なんだよね」

「へ~…。こんな学校にもそういう人いるんだね」

__________________________________


純と2人で新しい教室に移動し、教卓の上のプリントで席を確認し各々の席に荷物を下ろした。

「しっかし…参ったね~。高校生活も後一年しかないよ」

「うん。…今までの二年間、あっという間だったな…」

「梓、けいおん部を超エンジョイしてたもんね」

「うん、凄く……すっごく、楽しかった」

そのぶん、お別れも辛かったのだけれど

「…べ、別にうらやましくなんかないんだからねっ」

「あはは…なにそのキャラ」

ありがと、純。

そのままHRが始まる直前まで純と話していたのだけれど……

「憂遅いね…珍しいな」

普段共に行動をしている三人組のもう一人、憂がこの時間になってもまだ登校してこない。

「本当だ。こんな時間まで遅れてくるなんて滅多にないのに」

「唯先輩がいなくなった反動で、寂しくなって調子を崩してるんじゃ!」

「ありえそうで怖い……」

_________________

「梓ちゃ~ん、純ちゃ~ん」

生徒達の自己紹介も兼ねたHRが終わり、そろそろ始業式に向けて皆が移動する。
…そんな時間に憂は登校してきた。

「遅いよ憂、始業式ギリギリだよ?てかHRは遅刻だし」

「どうしたの?憂が遅刻なんて……」

「あはは…春休みで体がなまっちゃったのかも…」

「うわっ!危険だよ憂っ!…環境が変わることで人は一気に堕落してくんだからっ」

「普段から堕落しきった純には言われたくないよね」

「なんですとぉっ!?」

「あはは…二人とも。私は大丈夫だから」

「そ、そう…?」

「うん。それじゃ、そろそろ入学式いこっか」

_____________________

眠いだなんて、思っちゃいけないのだけど
それでもやっぱり眠くなってしまう校長先生のお話をうとうとしながら聞き、式が終わった。

………

式が終わり、憂と純と教室へと向かっていると途中でさわこ先生が話しかけてきた。

「皆、おはよう」

「おはようございます先生」

「今日から三人も三年生ね~…梓ちゃんがけいおん部に入ったのももう二年も前になるのね」

「あっという間でした」

「せんせ!あと一年ですけど、これからは、顧問として、副担任としてよろしくお願いします」

「ふふ…こちらこそよろしくね」

「……今年はけいおん部大変そうだけど、頑張ってね?」

「大丈夫ですよっ!私と憂で梓を助けますからっ!」

「から!」

2人とも……

口には出さないけど…ジーン…っと感動した。

わたし…いい友達もったな……。

「それじゃ、そろそろわたし達行きますねっ!放課後一緒にお茶しましょうね~!」

.
.
.
.
.


(梓ちゃん達気楽に構えてるけど…4人以上いないと廃部になるってまだ知らないのかしら?)

~教室~
「…だから、まずは新入生に向けてのチラシとポスターを作ろうかなって……」

「それじゃ、私と純ちゃんで今日の放課後にでも……」

「いいねぇ~、それじゃあさ……」

ガラリ

と、突然乱暴に教室のドアが開けられ教室中の会話がぴたりと一度止まる。


    /.: /.:.././..:::!:. .:::{:. .ヽ:..::::. ヽ.、..::::... .:. .:. ..:::::::::::.. .:. :::.. .
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  |. :/!..::|.::リ..::::::l::l\:. .:\ \イ{:::ノ},ベ      ヽヾ/ -ヽ::::
  レ' !. .:!. .:l.:::::::lリ __\::::::ヽ  ゞ ´          ,::l ,〈::: ' }::::
    |. .::、.:::ヽ::::ハ´ ,.-、` ー`           リ //ノ::::
    l. :. .:ト、.::\:::ヽヘソ                     /:::::::  「………」
     V.: :| ヽ:::::::ト.ハく                   / ´ヽ:::::::::
     ヽ::|  \::l ヾ丶                 ,    !::::::::
          ヾ  ヽ  ,. -‐            /   レVi:::
                  \              /    ,. ┴
                   \          ´   ,. '´
                __,ゝ、 _ . 、     ,. ´       ,.
              /(__r<_r<ヽヽ, /        /
            __⊥ -―'ー-'ー-<r'ヘ        /
          /  ´       /'⌒ヽ     , ′
      __/_,.           {.:. .:..:::\  /
   _/___  `丶、        ,l.:. .:.::::ノ V

「あっ……」

そして、再び何事もなかったのように教室はまたざわざわと会話の音に包まれていった。
遅刻して教室に入ってきた男子生徒は特に気にした様子もなく教卓へむかい、
自分の席を確認するとこちらの隣の席まで来てすぐに座って顔を伏せた。


「こ、怖い……流石岡崎。雰囲気だけで周りを黙らすとは流石……」

純はすぐ隣で顔を伏せて眠っている彼に聞こえないよう小さな声で話し始めた。

因みに席の配置図は……

        
        黒板

            ○
            ↑
窓   ○←梓     純  廊
側 ○ ○←憂        下
  ↑岡崎           側



である。

「彼が、岡崎君?」

「うん。気をつけてね梓。…気に入られたら襲われちゃうかもよ」

「え…?あはは…まさか」

チラリと左後ろにいる彼を見てみると……

「あ…」

「……?」

顔を丁度上げた岡崎君と目が合ってしまった。

岡崎「……?」

梓「……」

岡崎「……」ガクッ

梓「あ……」

彼はすぐに顔を伏せてしまった。

「今梓がまさに襲われるのかと思ってちょっとひやっとした…」

純がひそひそと話す。これ、岡崎君に聞こえてたら相当失礼なんじゃ…。

「あのね純。目が合った人を片っぱしから襲ってる人なんていないと思うんだけど」

「そりゃそうだけど…」

まだどんな人かはわからないけど見た限り無害な人に見える。

「ねえ2人とも……岡崎君、いい人だったよ?」

純と岡崎君について話しているとおもいがけない所から彼の話題がとび出した。

「へ?憂、岡崎と話したことあるの?」

「うん。今日、始業式の前にちょっとだけ話したんだ」

「え、ええ!?…憂!その話詳しく!」

日ごろ異性に関する話題が出ないだけあって純も私もつい興奮してしまう。

「もしかして、HR遅刻した理由は岡崎君にあったり?」

「え、ええと…遅刻したのはあたしの自己責任なんだけど……」

「本当に、ちょっと話しただけ。クラス一緒だね、とか…軽い自己紹介とか」

「なんだ、つまんない…」

「もう、どんな話なら面白かったの?」

「それはやっぱさ~。惚れちゃった~とか告白されました!とか?」

「もう…。純ちゃんだってそういう話ないくせに」

「うぐっ。そこを突かれると辛い…」

「………?」

(憂と会ってたって事は始業式前には学校にいたってこと?それならなんでわざわざ今来たんだろう…)

左後ろに座っている彼をもう一度ちらりと見てみる。
先ほど伏せていた顔をあげ、ぶっきらぼうな表情をしながら右手で頬杖をついて、左側にある窓から空をぼんやりと見上げていた。

不良……か

______________________________

そして、帰りのHRも終わり……

「よーし、放課後だーっ!」ガタッ

待ってました!といわんばかりに純が部活への情熱を持って立ちあがった。こういうノリ…少しうれしいかも。

「梓!あずさ!早く部室にいこっ!」

「憂は?」

「悲しい事に…憂は岡崎と掃除当番の刑に」

「そ、それは…」

「しょうがないし先いってよっか。出発!私あの音楽室で早くお茶飲みたい!」

「…あのさ、テンション上がってるところ悪いんだけど…」

「なに?」

「ティーセット、多分ムギ先輩が持ち帰ったからもうお茶会できないと思うよ?」

「……ええ!?帰ろうかな…今日は……」

「私を助けてくれるんでしょ?…はい、連行!」

私はずるずるずる……っと純を、帰宅する生徒が闊歩する廊下にひきずりながら音楽室へと向かった

.
.
.

廊下を歩く事二分。

「梓、ふと思ったんだけど…ギターは?」

「あっ…教室に忘れた!!」

「おいおい~、新学期早々大丈夫?」

「純、なにも音楽室の目の前に来てから言わなくてももっと早くいってくれればいいのに」

「うぐ、でも元々梓が忘れなければよかっただけじゃん!」

「う…」

確かにその通りだ。

どうしたんだろ、新学期で私もちょっと気が緩んでるのかなぁ?
初日から純にミスを指摘されるなんて……不覚。

「…とってくる」

「それなら私も戻るよ。そろそろ憂も掃除終わってるかもだしやっぱ三人でいこっか」

と、
ここまでがVIPで投下したぶんですね。

ここから下が続きです。

~教室前廊下~

「………」ソワソワ

なぜだろう。純が教室の扉を少しだけ開けて中をのぞいている。

「どしたの純?早く入ろうよ」

「梓……。教室で憂と岡崎が掃除してますっ!」

ビシッと何故か敬礼のポーズを取りながら純はつらつらと話す。

「それで?」

「…岡崎怖い」

「純……なんて駄目な奴……」

「しょ、しょうがないじゃん。それに、なんか二人で話してるみたいだし邪魔するのもどうかと思ってさ」

「それじゃ、掃除終わるまでここで待ってよっか」

______________________________

「あ、掃除終わったみたいだよ?」

ちょっと怖い顔をした岡崎君が教室から出て行ったのを確認し、ほっとしながら純と二人で教室に入る。

「あ、純ちゃん。梓ちゃん。先行ってたはずじゃなかったの?」

「梓が教室にギター忘れててね。取りに来たんだ」

「…お恥ずかしい事に」

「そうだったんだ。それじゃ、結局三人で行く事になっちゃったね」

「始めから憂を待ってればよかったかも」

そんな事を話ながら、教室の隅においてある目当てのものに手を伸ばす。

ムッたん……。置いてってごめんね…。

新学期からギターを教室に忘れてしまうなんて私らしくないミスだ。

…やっぱり、どこか調子が出ないなぁ

って!

駄目駄目!先輩達もいないんだから私、しっかりしなきゃなのにっ!


「それじゃ、行こっか」

「……」

「憂?」

「あ、うんっ!」

(憂も梓もぼーっとしてるけど大丈夫かな)

_________________________
~廊下~

「それにしても~…。…お茶……出来ないんだ」

「も~。いい加減あきらめなよ」

「…まさか、本当にお茶会だけが目当てだったの?」

「そういう訳じゃないけど……」

「でも…何か…憧れるじゃんっ!昼下がりの優雅なお茶会っ!」

~~~~純イメージ~~~~

「あはははは……」
        ,.....::::─:::::-....._
      /:::::::::::::::::::::::::!:::::::::丶、

      /:::::::/:::::/::::::::::::::ト::::::::::::::::ヽ
     ':::::::::'::::::;'::::::::::::;;:::! \::::::::::::::.
     |::::::::::|::::::|:::::::::::ハ:|:|   lハ::::|:::::::.
     |::::::::::|::::::|::::|:::厂|| !   ! T::ハ:::!::::、
     |::::::::::|::::::|;;ル'  リノ  ノ l/_j:::|:::l゙ヽ、
.    ‘;::::::::l:::::::kテミx     ィ心゙!レ'::::i
     i:::fニi::::::::代:::ソ    弋:ソ ,':::::|
     |:人r゙i゙\|  ,,,    ,  ,,, !::T~
     |:::::::`:i::::::!    ._ _,    从l
     |:::::::::::!:::个i 、     /::::;’
     |:::::::::::|:::::!´ト、>- ,ィ´:::::::::;’ ryV'i
     |:::::/:|::::i=j \  |ヌニ:(⌒=⌒゙┴ミ、
    ノ:'´ 三|::::!=|   \゙X.\ハ     /斗
   ,イ:=三三i::::|:=! __ 斗xヽ|ムミ个=ニz=イ ,ィ
  { =三三三|:::|=´三\〈 l| >!:=!:::!=入_ノ=|

.  !:=三三三|:::!三三三ム゙ ||/ |=i:::|(=三三ハ、
  ム=三三三|::|=|三三三\  !ニ!::!=|三三三}
  |::l::三三三|::|ニ|三三三三∨:ニ|::!X!三三=リ
  |:::ヽ:=三三!::!ニ|三三三三三:ニ|ノニ|三三ニ{

「うふふふふ……」
            _ _..r ー::. -::. ..

         . :: ";: .;    . 、   `: . 、
       /  .: .::i!.    .::';  ヽ::.  \
.      ,:' . ::,   i!:.    .: ';..:.  ';  '; 、 ' ,
     /. .:/.:::   ';:::.    .::}  .:i   ; ヽ ':,
.    / . ;    ∧::::.  .: :ト、 :!\:. i!::. i:. i!

    i . ::j  . ::./  ';::::. ;: .. i! ,ィー: .、:: ;  !:. i
     !  {:  ,イ⌒ヽ ';:::. !:::.. ! (_,,ィー-ヘ::. };'::. :i!
     i! .::i!: . (_,ィ⌒"  \ト、:.|  yxz=x、V::.!::. !
    i  .::|::.   ;' y'斥ミ、  V    rVリ ,` !: |::. |
.    '; . . !::.  i!"、rVリ       ` "~  i!:.i:. ;'
.     ''; .i:::. :i  ~` "   ,    """"ノノ::.. i!
      i! ';:. .八 """      ,     /"::::. i!
.     i .:i!:;'::i:__:ヽ    `      /j!::.. i:. i
     ,':.ji.:::';レ' /⌒`j^Y' ̄ ̄ ̄`:!::.. i! : |:. |:. i!

      / ;':: ∧::/  ,'ニヽ!     ::::r'⌒`ヽ!::.i!:: |
    ,':/:::/"::i:{    r-八    :::ノr-- 、 } ̄:::ヽ
.   /:;:':. {:::::::!i!   ノ'∧ `ー―‐"/:r-.、 j:::::::::::::}

   i!:j:::.. ';::::::::i!  j:::::>:::V∥|し'j/::<`-  i!::::::::::::;、
   |:;'::... !::::「:::: ̄::::7\:::Vj `~/:::/「:::: ̄:::7:::::::j ',
   i;'::...  i::j::::::::::::::::i::::::::\V //:::::::i!::::::::::::::j!::::i! .!
   ';:::...... i!:!:::::::::::::::i!::::::::::::::`'i":::::::::::::i!:::::::::::::::!::7 .:i!


「あはは…純、それ幻だから」

実際は……

~~~現実~~~~~

「ぼりぼりぼり」

.       /    /\,ハ{     l \                \
       ′ / i <\/  lヘ.   |   \     . : / . : : : 厂`ヽ
     i V . i  Y´ ⌒{`ヽ.  |  ⌒ヽ  } . : /  !ヽ \{
     |/: . :i  {    ヽ \l       )ハ. :/  j j: . ヽ
     l/{ : :八 ヘ  _   ヽ   _    〉.:{  /イ. : : : : !
     / j   : : ヽ∧ =≠ミ     =≠ミ  /.::人∧/ : : i`ヽj
.      ,′ : : : : : ハ       ,       /イ: : / : : : : ノ'⌒ヽ
       : : : : : : : : } ///      ////  八:/: :ハ/:::::::::::::〉
.     { :/`ヽ) : : ゝ...,.へ.、___゚,/`ヽイ. : : /.:丿::::::〃::::::\

       ヽ{:::::::::::{ : : : :/ ⌒ヽ;;;;;(__ノ,.ヘ V : :/:::::::::::::::,′::::::::::::.
.        \::::::::ヽハ: :{  ⌒ソ;;;:;:;;;ゝー 、 V/:::::/::::::/::::::::::::::::::::.
         }ヽ.:::::::::::ゝヘ.  く;.:.;.:;;.:;.:.フ>   j::::::/::/:::::::::::::::::::::::::
       /::::::::\:/{:::::::\ 厂仄「V    /`丶く:::::::::::_.:.:.:::::::`ヽ
.      〈:::::::`ヽ/::::j:::::::::::::Y\{ }八    〉::::::::::\´::::::::::::::::::::::::

「ずっずずずず…zzzzzz…うまいなこの茶」
              , -― ――- 、
            イ:.:.:.:.:_ -‐==== ミヽ、
          /:.:.:.:.:.:.:.|'"ヽ:.:.:.:.:ソ:.:.:.:.:ハ:.:\
.         /:.:.:.:.: /:.:.:.レ'"~ ̄"  ̄` ヾ、:l:.:.:.:!
         f:.:.:.:.:./:.:l:.:.|          }:.:.:.:|

         l:.:.:.:.レ:.:.:|:.:.|  _... _    , - 、 !:.:.:.:l
         |:.:.:.:.|:.:.:.:|:. | '"  、`  ,    !|:.:.: {
         |:.:.:.:.|:.:l:. ! ,'   __    __  ,':!:.:.:.:!
         ハ:.: イ:.:l:.:V =='    == ハ.|:.:.: |
        ./:.:|:.ヽ!:.ヽ.:\"        ゛ ハ|:.:.:.:l\
       / '^V:.:.l:.:.:弋:ゝ-、_ィ´ ̄` ヽ ノ:.:.l.:.:.:,'

           〉 入 /, -<z弋     ノイ、::.ハ/
            イV  ニミ゙`¬‐-〈:>、/__
       _, -‐'":::::::|   r┘>ム  |::\'::::::`>、

       f:::::\::::::::,ィj   人 / i Lド、 !::::::〉:::::::::::::::',
       |:::::::::::\/::::ト、 /:::y'/7「代j 1! く::::::::::/::::: ',
       }:::::::::::::./::::ヽ \! K〈//| .ト、ノ !::::\::/:/:::::::!
      ハ:::::::::/:::::::::::\/ |:ヽイ | | !  !::::: /::| j:::::::::ヘ
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      〈:::/:::::::::::::::::::::::: /::::ヽ| ヽ' !'   |:::::::::::|:::::<:::::l

~~~~~~~~~~~~~~

「お茶ぁ……お菓子……」

「純ちゃん。私今度何か作ってくるよ」

「憂っ!大好きっ!」ギュッ

「あはは、純ちゃんあったかい~」

「…それにしても音楽室も久しぶりだな。なんだか行けばまたお姉ちゃんに会える気がする」

「さすがに今日も部室に唯先輩いたらびっくりだよ。間違えて高校にきちゃった!!しかも制服で!!みたいな?」

「それは流石に笑えないんじゃ…」

「……って」

「あれっ!?」

「どしたの梓」

「音楽室に…誰かいるみたい」

「まさかお姉ちゃん!?」

「落ち着いて憂!それはない!」

「…あの子、音楽室のティーセットを持ちあげようとしてるんだけど」

「ティーセット!?なんだぁ、まだ残ってるんじゃんあずさ~」

「あ、あれ?」

「っていうか…あの子誰?」

_______________
~音楽室~


「…う~~~んっ」

3年生になって初の部活の日。
音楽室にいたのは唯先輩でも律先輩でもなく、当然、澪先輩でもムギ先輩でもなく

「…う~~~~んっ!!!」

私達の目の前に現れたのは

「………っは!」

         、    , イ  ̄ ̄ `¨¨ミ  .
       、__jー’  ,. チ    丶  \   `≧ 、
      __)    / .′   {   ヽ.   ヽ      \
       )   .    |    ヽ   ‘.   ∨   . . : ヽ
     `j  / ,   {     ! 廴      ∨  : : . .∧
         / /    ハ ノ   |  ト`  ー一  ∨   : ∧
        i /   __,ムイ∨    } \ i     ‘,    i ‘.   見つかった!?
        }′′  /  ヽ   ′ ァ示ミy、   ‘.、    ’
        | i   iノァ==ミi } / 〃ト';;| l i}     i ヽ  i  i
        | l   | { ト';;. } /′   乂_|ソ’   i  ト }   .  |
       .    { |人.乂_ソ}′    7 爪′| | ム ノ     :
        八 i   |ハ '/7´/, // /  |  j i /イ/ ノ i { |
    ィ    ‘} | 小.i /           }  | }′厶イ一ミ. {
   / しヘ  || |从 u     ノ ⌒ヽ/イ .' / / ....:.:.:.:... \
       / | ハ|公 .    (   _/ | '/ // ....:.:.:.:.:.:.:.... ヽ
     /   }′‘.| ∧ }>...    / . /! / // ...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:... ト、
    o   ノ  }ハ.∧ __r― ミ7爪/ } / ′..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.... }ハ
        /ノ.:.:.}_人r┴'   ヽ /   .′ ...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.  | ‘.
        { ..:.r‐く ∨ヽ     ∨/  ' ..:} /...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.... |   i
        } ..八、 Y´`       ‘'{ / { ..:j/ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:... /}  |
       / ..:.:{ `¨ ヽ        斗‐v| ../ ...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. /. |i i {
      / ..:.:.:八   \   / ..:.:.:.:.∨ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:  /  }! ト乂


謎の金髪の女の子でした。

「あれ?この子…制服はうちのだけど……」

「が、外国の子じゃない?」

「ちょ、ちょっと、純。何か話してみてよ」

「え!?わたし!?」

「えっと……ホ…ホワット……アーユースピーキングぅ……」




        ,.  ァ'  ̄ ̄ ミ 、        (  イ   イ   ス  ア  え
        /  /    ヽ   \       )  ン  :  ピ      |
   ⊂丶/   i  i | ’ ヽ   ヽ     (.  グ  :  |  ア  っ
   c- .' ′ ,{ {l |、 ! ∨  ’       ) リ      ク  .イ  と
     i |  /\ハ { .斗  {.   |     (  ッ        キ  :
     | .i イ  N`uヽ|' uト!   レ‐v|     ). シ         ャ.  :
     | .|i :}⊂⊃  ⊂⊃   |/) } ′    ノ  ュ        ン
      ‘ |∨ / / / / / / | iムィ7 {  -っ ⌒)             ト
      V人   r~ー~ぅ } /} //:ハ っ   乂
    r一}ハ.|≧i┬一 .斤}/ jイ/≦ニミ:      ` ~~~~~~~~
     {.:.:.∧ {  | ヽ / {ノ  /:/:.:.:.:.:.|
    }.:.:.:ハ. i_ iムv父yn ln./:/.:.:..:.:.:.:.:|

    {.:.:.:.:.:.}/ }/,ノ)!( {j V,ム:/.:.:.:.:.:.:.:.:.j
    V:.:.::./ー‐.、/(ヽ /.:.:.:.∨.:.:.:.:.:.:.′

      }:.:./.:.:.:.:.:.:.:`く|く.:.:.:.:.:.:.:.:.廴:.:.:.::/  っ
      |:./:.:.:.:.:.:.:.:.: /{_{、:.:.:.:.:.:.:.:.:廴ミ:{
      {/:.:.:.:.:.:.:.:∨:.:.:.ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:}


(喋れないのかいっ!)

「あ、梓ちゃん。この子のリボン青だ。…新入生の子かな?」

「あ、はい。そうです」

先輩達のつけてたリボン……今は一年生の色なんだなぁ……何か変な感じ……

「なんだ、日本語喋れるんじゃん。無理して英語なんか使うんじゃなかった」

「私達、けいおん部なんだけど…もしかして入部希望の子?」

「さっきはなにやってたの?」

「いや、あの……実はこの食器棚を持っていこうと思ってて……」

……!?

ええっと…今のはなんだろう。泥棒宣言?

「えっと…あれは一応けいおん部の備品なんだよ?」

「あそこの茶を立派に入れられないと入部できないのさ!」

「……そしたら純は退部だね…」

「お茶…ですか?それじゃ……」

そういって彼女はいそいそとティーセットをいじり始めた。

「?」 

.
.
.
.
.


「えーっと…淹れました」

「はやっ!」

お茶を入れる姿がなんだかだれかと被った気がするけど…。

……ここらへんキャラの名前ないとだれが何言ってるのか分かりづらいな。
ここからちょいと書き方変えます

さわこ「こ、これはっ!」

さわこ「これはお茶の葉のジャンピングが起きる95度ジャストのお湯じゃないと出せないまさに絶妙のお茶…」

梓「って先生いつの間にっ!?」

音楽室におかれている椅子にいつの間にか座っていたさわこ先生が彼女のいれてくれたお茶をうっとりと飲んでいた。

さわこ「ああ…」トロン

純「せ、先生が…こんなになるなんて……」

憂「すごーい!どこで習ったの!?」

純「その金髪!地毛だよね!?目も藍いし!」

音楽室に突如現れた謎の存在の彼女に二人のテンションが上がり、まるで転校生に質問攻めをするクラスメイトのようになっている。

金髪の後輩「あ、あわわわわわ………」

まずい!憂と純の質問攻めにテンパッテる!
もし入部希望者だったとしても逃げてしまうかも…

梓「まあまあ2人とも、おちついて……」

純「う、うん。そうだね」

憂「あ、ごめんね。え…っと」

梓「名前はなんていうの?」

菫「あの…斉藤菫といいます」

普通の日本人名だなぁ…。

って駄目駄目!今は勧誘しないと!

梓「ねえねえ斎藤さんっ!けいおん部、どうかなぁ!?」

梓「私達の部、今部員少なくって…」

菫「あ、あの…申し訳ないですけど……」

さわこ「金髪…碧眼……そうねぇ…」

さわこ「着せ替えしがいがあるわぁ~…もっと顔見せてちょうだい…っふふ」

             /~ _r'"   ヽ'~
           / /_.. 丶_,,,、ノ     / /          ヽ       ヽ

           (  __,,-=) / /      / /      / ,  ,    i    ',   ',
           }  _,, r^) ,f      / /  /   /  ハ   i    i     ',   ,
           }   ,、. ,) {      i  i  /   / /:::::i  |ヽ   |     ,   .i
           ヽ, 'ノ (/ ノ      |  |  /|  ./| |:::::::::i  |::ヽ   |     |:::.  i
         _,,,  -`-ー-=ー{ヽ____   |  |  ! | /:::| .|::::::::::::i |:::::ヽ  |       |:::.  |
     _, r ´           ` ー 、丶|_,.:!、 |`| /、::::| |:::::::::::::| |:::::::_,', ト     .|:::. ', |
   , ´                  `'´  ヾ::|/::::\|:::::::::いレ-'''"::::ヽ|:i |  ,  |::::::. '、!
 /                         ヽー==、`:::::}::{:::::::/_,===ァ|  i  | i:::.  ヽ
/                            }`ー┸`::::::::::::::::::ー┸ー':::| /|   | |:::::::.  ',
        斉藤                      'i:::::::::::::::    :::::::::::::::::/ / |  | |::::::::::. ',
                                   ',    i       / / |  | !::::::::::_,,,,_!
                           .      ',           //  .|   |ヽ/   ~ 丶
      ..:::::::::::..               ::.  :.    i    < ̄ ヽ    /  |   |/
     ..:::::::::::::::::::::..              :::  ::.  .| i \   ̄   , イ/   |  /
    ...::::::::::::::::::::::::::::::::...            ::::  ::: .ト、| | ヽ _,  '   i .:
   .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...           :::::  :^ | ` ヽ._       _,,|:.:

菫「ひ、ひぃ~~~!?」ダッ

憂「あっ!斉藤さんっ!待って!」

梓「もぉっ!先生っ!?」

さわこ「あ、ああ…ごめんなさい……つい禁断症状が…」

_____________________________

梓「もう~~~、先生があんなことしなければ入部してくれたかもしれないのに~」

さわこ「だから謝ってるじゃないのっ」

純「…ま、いっか。もし誰も来なくてもわたし達、3ピースバンドやればいいんだし!」

純「私ギターかベースね!」

憂「ドラムとかどうしよっか……シンセを使うとか…?」

梓「うーん…打ち込みかぁ……でもやっぱそれって……」

さわこ「あの……みんな?」

さわこ「クラブって4人いないと廃部になるって…知ってるわよね?」

一同「………」

唯先輩。

私は早くもけいおん部、廃部の危機に襲われてしまいました。。

梓「……」

さわこ「あ、梓ちゃん?」

梓「先生があんなことしなかったら入部してくれたのかもしれないのにっ!!」

さわこ「ごめんなさぁーいっ!!」

_________________________

梓「とにかくっ!必要なのは新入部員!一名以上っ!」

梓「その目標に向けて……今日の部活内容は新入生向けのポスター作りっ!」

憂「それを廊下中に貼ってけばいいんだよね?」

梓「その通りっ!それじゃ、憂、純、新学期早々地味な作業だけど、頑張ろっ!」

純「ラジャっ☆」

憂「任せてっ♪」

___________________________

憂「それじゃ、また明日ね~」

純「うん、それじゃね~!」

学校中に作ったポスターを貼り皆で憂がいれてくれたお茶を飲んでのんびりした所で下校時間になった。

そのまま帰路につき、途中で憂と純と別れて1人歩く。

あ、そういえば……ムッたんの弦、そろそろ新しくしとかないと……

予備の弦は…もう、家になかったな。ちょっと面倒だけど楽器屋さんに買いにいかないと。

____________________
.
.
.
.
.


ありがとうございましたー。



これでよし……ピックも可愛いのあったからつい買っちゃった…。
家帰ったらムッタンの弦を変えて、明日以降の活動も考えないと…。

………

………

………

そんなあれこれを考えながら歩いていると、帰り道の途中にある新しく出来たラーメン屋に目がとまった。

理由は、今日学校で見たとある人物がその店から出てきて視界に入ってきたからだ。

.
.
.
.
.



「だから言ってやったよね。僕の名前を言ってみろってね!」

「そりゃよかったな…ザギ様」

「ははっ!誰だよザギって。ジャギ様と間違えてるぜ?」

「だって、お前、ザコっぽいだろ?だからザギなんだよ」

「ちょっと無理やりすぎませんかねえ?」

「黙れよザギ様。お前に明日を生きる資格はねえ」

「なんだとお!?…羅漢撃するぞ?」

「あぁん!?有情破顔拳するぞ!?」テレッテー

「その動きはっ…トキ!?」.
.
.
.
.


あれは……確か、岡崎君と……もう1人は……誰だろう?



prrrrrrrrprrrrrrr

梓「わわっ?」

ぼんやりと男子二人を見つめながら歩いていると、不意に携帯電話が鳴りだして間抜けな声を上げてしまった。
慌てて携帯の画面をみると親からの電話だった。おそらくはそろそろ帰ってこいとの電話だろう。


梓「あ、うん。もうすぐ家に着くから。うん。うん。はぁい」

梓「…」ピッ

梓「…あ」

電話を終えた時にはもう男子二人の姿は見えなくなっていた。
見た目は怖かったけど、そんなに悪い生徒という雰囲気は特に感じられなかった。

どんな人達なのだろう。そんな疑問を浮かべながら、家に帰った。

_______________________


私の高校3年生の初日は、こうして幕を閉じました。

先輩達がいなくなり、少し寂しい新学期。

けれど、憂や純という二人の友人のおかげで前向きに新しいけいおん部を始める事が出来ました。

先輩達が卒業したら二人は入部してくれるんじゃないかなって、実はちょっぴり期待していて、その予想は当たりました。

そんな私の一方的な期待にこたえてくれた、二人と私の間に出来た、なんだか出来レースっぽいけれど三人の大切な友情。

後一年…か。頑張っていかなきゃ!……そうですよね、唯先輩!!

少し休憩。
書き溜めしててもそれをコピペして見直して…ってやるとかなり時間がかかるもんなんだなぁ…

>>43
ありがとう、頑張る


応援してる

支援

支援

乙と支援の文字を見るだけで投下モチベーションがダンチだ。
>>89
>>90
>>91
>>92ありがとう。

____________________________

4月6日 火曜日


「……」

時刻は7時40分
珍しく早起きをした。といっても一般的な高校生では遅刻ぎりぎりの時間なのだろうが。
慣れない時間に起きたせいか頭が重い。
二度寝するのもありかもしれない。

「いっそのこと……学校、しけようかな」

そう考えた時、頭に何故かちりとりを持った平沢の顔が浮かんだ。
…俺がさぼったら、あいつ1人で掃除するのか。

…俺がいなくたって、あいつの友達の誰かが助けるだろう。
それに、昨日あれだけ無愛想な態度をとったんだ。普通ならもう話しかけてこないだろう。





岡崎君。やるからには私達の当番の一週間で、教室をピカピカにしようね!



…くそっ

どうせ、もう話すこともない。
なら、別にいかなくたって、気にしなくたっていいじゃないか。

______________________________________

「………」

結局学校へ来てしまった。
たまには学校に早くくるのもいい。
そう思っただけだ。

ガラッ

「あ、おはよ、岡崎君」

こちらに気づいたのか平沢は笑顔で挨拶をしてきた。
あれだけ、非友好的な態度を取ったのに、まだ話しかけてくるのか。


           _ -‐'' ´ ̄`¨ 丶、
.     ィー-ト/: : : /: : : : : : : : : : :丶/7イー‐ァ
.     /: :::/: : :/: : l: : : : : : : : : : : : : :\ : : : : \
   r‐': : : :/: : : ': : /| |: : : : |: : :| : : : :ヽ : : : : : : : 「
   `7: : : ' /: : !: :ム! |: : : :ハ: ム: :|: : : |: :|: : : :丶廴

    レ: : :| !: : :|: / ∨: : :/ |::ハ: |: : : |/ |: : : : :.ノ   「それでさー、その時にあっちゃんがさー」
   <: : : ::!:|: : :| L__ 、Ⅵ_」  斗.弌|: : : !::/: : : : :」
.     ̄'、:ぃ: : |'¨7うト     イてiヽ!: : :j:ハ;‐' ̄`
      '^ トヘlj 辷ノ    弋ノ レレ^i

.         \ハ     ,       / ノ
         `’           /¨
          丶、  マフ   イ

            >.、 _ .. ィ´ /ト- 、__

          /:/:| ヽ  / /:: !::.::.::.::.`''ー-、
.       -‐ '"::.::/::.:|  Y   /::.::.|::.::.::.::.::/.::.::.::.
      /::.::.::.::.::./::.::.:レフ'〈\./::.::.::.!::.::.::.::/.::.::.::.:: |
      !::.::.::.::.::.l::.::.:: l/ハ.i ! /::.::.::__|::.::.::./::.::.::.::.::.:!
      |::.::.::.::.::.`7::.:|`ハ|j|.'::.::.::「.::.::.::.:/:.::.::.::.::.::.:ト.
     |::.::.::.::.::.|::.::.イ| !ィ'::.::.::.ノ:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:|:.i

.      }::.::.::.::.::.:ヽ.::.|」 |j::.::./::.::.:|:.::.::.::.::.::.::.::.::/.::|
       !::.::.::.::.::.::.::\.| /::/.::.::.::.::.|::l.::.::.::.::.::.::.::.::.::|

俺の席には髪がぼんぼんしている女が座り、平沢と談笑していた。

「……」

無言でどけと訴えかける。

「あ、ほら純ちゃん。純ちゃんが座ってる席、岡崎君の席だよ」

「…岡崎!?」

女が慌てて立ち上がったので入れ替わりに着席した

「来てたのね、気づかなかった……お、おはよう」

「……ああ」

睨みつけながら返事をする

「こ、怖っ!なんで睨むのよっ」

ぼんぼん女は両腕をひっこめ怯えたポーズをとった。

「…純ちゃん!もう、失礼だよっ?」

「……」

これ以上付き合うのは面倒くさかった
机に両腕を乗せて枕にして顔を伏せる

「も~…岡崎君。ごめんね?」

「……」

平沢は謝ってきたが、眠ったふりで無視した

「…憂、寝たふりだよあれ。本当は絶対起きてr」

「ちょ、ちょっと純ちゃん」

「……」ギロリ

「ご、ごめんなしゃい」

ようやく隣が静かになった
後はもう、目を閉じて眠るだけだ

………

………

………

伏せている間、隣からはやがて3っつの声が聞こえてきた
軽音部が…、新入部員が…などといった話が聞こえる。

伏せていた顔を横に上げチラリと様子を見る
平沢とぼんぼんの女子の他にも、
いつの間にか登校してきていた黒髪の小さい女子がいて、平沢達と談笑していた

             ,  ´:::::::::::::::::::::::`   、
              /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶
             , ':::::::::/::::::/:::::::::!::::::::::::::::::::i::::::::ヽ
            /:::::::::::/::::::::i:::::::::::|::::l:::::::::::::::|:::::::::::ヽ
        , ‐i::::::::/::i:::::::::::l::::::l:/|::::!::::::::::::::l、:::|::::::::i
      /::::::!:::::::l::::|:::::::::::!:::::l/|:l:::::::::::::: ハ:::l:::::::::|

      ,′::::|::::::::!:::|:::::::::::!-┼ -、l、::::::::::/_⊥ハ::::::::!
       !::::::::::!:::::::|::::!::::::::::|ヽl__- 、{ ヽ::::/  l/ !:::::,′ 「ポスターは昨日貼ったし今日はどうしっよか」
     l:::::::::::ハ::::::!:::::ヽ::::::l/!_,ノ`iヽ  V' ィ'フiヽハ::/
      !:::::::::::! ヽ:{ヽ:::::::\{ ヒ_ソ      ヒ.ソ /:::!'i
     l:::::::::::::!  丶i:::::::::::|        .   i:::::l::|
     イ::::::::::::l    l:::::::::::! ""       " ,′:l::l
    l::::/::::::l    l::::::::::ト、      o  ,.イ:::::::l/
     l::/::::::::!   ,.イ!:ハ:::::!、`  、 _, ヘ:::::::::::::!
     !′::::/ /:.:.:l.:′i::::| `丶_ノiヽ/:::::::ヽ:::::i::|
   /::::::, -‐':.:.:.:.:.:.:!:.:.:.:.ヽ! /゙介i !:.iヽ:::::::;ハ:::N

  ,/:::/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:i///l i.ヽ:.!:.:ヽ/ ヽ!

…そういえば昨日もこいついたな。
ぼんぼんとこいつと平沢の三人でいわゆる仲良しグループってやつなのだろう。

………

……寝よ。

―――――――――――――――――――――

本当、早起きするんじゃなかった。1限も2限も寝たのにまだ眠いし体がだりぃ。

3限が終わったあと、あまりの眠気に体に限界を感じ始めた。

(…次の時間は……体育かよ。…眠いままの体を起こすにはちょうどいいけど……)

体を動かすのは好きだが今日は春原がいないため、授業中にペアを組むスポーツがきたらアウトだ。
あの気まずさは尋常じゃない。なによりダサい。

…サボるか。

着替えのために生徒は各々移動を始めている。
それに混ざって移動して…もう帰るかな…。

「岡崎君、鞄持ってどこ行くの?」

「げ…平沢」

こいつはさぼりに関してはうるさそうだな…。

「次は体育だよ?」

「……」

適当に誤魔化せば人のいい平沢は信じてくれる気がする…。

「眠くて体が動かないんだ。保健室いってくる」

「なら、保健室まで送ってくね?はい、鞄は机においてね」

「……」

平沢は子供をしかる親のような目つきで俺を見ている。

「サボりは駄目だよ?」

「…わかったよ」

当たり前だが誤魔化せる訳もなかった。

「…はぁ」

サボリは断念することにした。けれど…いい機会だと思った。
ここではっきり平沢に言いたい事をいっておこう。

「あのさ、平沢」

「なあに?」

「あんまり、俺に話しかけるな」

「へ?」

「俺の評判知ってるだろ。俺と話してるとお前まで周りに変な目で見られるぞ」

今朝のぼんぼん頭の女子もいい例だ。
岡崎って名前はこの学校じゃ聞いただけで一々反応される。
それはあまり気分のいいものじゃない。

が、それでも俺がぼろくそに言われるのはまだ我慢できる。

けれど、俺と話してれば平沢にまで変な噂がたつかもしれない。
それは嫌だった。

「……どうして?」

「は?」

「岡崎君はいい人だよ?坂の下にいた、私の背中を押してくれたよ?」

それは、昨日の初登校の、坂の下の事だろうか。

「あんなの偶々だ。なんとなく、同じ遅刻仲間に声かけてみただけだよ」

「…でも」

「ういーっ!早く行かないと遅刻するよ」

「あ、ごめんね。そろそろ移動して着替えないと」

「…俺もだ」

「それじゃ、また後でね」

「…ああ」

結局話はお互いにうやむやになってしまった。

_______________________________________________________


体育が終わり昼休みとなる。

俺は昼飯の調達へと購買へとむかった。

________________________________________________________
~廊下~

「あの~~…」

どこかのんびりとした、しかし上品な声が後ろから聞こえる。

「あ、あの!」

その声がまさか自分にかけられているなんて考える事もなくすたすたと足は購買へと進む。

「…あ、あのっ!岡崎先輩っ!!」

「あ?俺?」

部活にも所属していないのでこの高校で俺を先輩と呼ぶ知り合いなんていない
そのはずなのだが……

「あ、あの……私、斉藤菫といいます」

振り向けば金髪碧眼のモデルのような女の子が立っていた。

……………この子

「岡崎だけど、あんたは?」

「あ、あのっ!!頼みごとがあって話しかけました」

「あ?」

なんだ、このシチュエーションは……訳がわからない

「頼みごと?…俺に?」

「はい。岡崎先輩は、聞けばこの高校に2人しかいない不良の片割れだって」

「……」イラッ

リボンの色からして一年生、つまり新入生だろう。

…口の聞き方を知らないのだろうか。

「………」ギロリ

失礼な物言いなので睨んでみた。

「不良という事はきっと力もあると思って。それでですねっ」

だが効果はなかった。鈍いのか、舐められているのか…どっちだろう。

しかし、不良だから力があるとはこいつはどういう思考をしてるんだ
見た感じ、外人っぽいしジャパニーズの俺とは色々感性が違うのだろうか?

「力仕事を頼みたいんですっ!」

何故俺に頼むんだ…。

「断る」

「そ、そんな」

ガーンとショックを受けた顔をしている。が、そんな顔をされたって気は変わらない

「じゃあな」

…昨日からおかしな奴とばかりあう。
出会いの季節だからか?そりゃま、確かにクラス替えに新入生の入学とすれ違う人間に変化は出たが…。

「お、お話だけでも~」

どたどたと後を追ってくる金髪外人。
無視しよう…とも考えたが俺の心の奥底にある良心がたまたまではあるが相手をしてやれと語りかけてきたのでそれは踏みとどまった。

「…はぁ、大体なんだよ、頼みごとって。まさか、彼氏のふりをしろとかそんなべたな話じゃないだろうな」

「ち、違います。……それじゃ、力仕事じゃないじゃないですか」

「…じゃあなんだよ」

「その、荷物運びを手伝ってもらいたくて……」

「荷物運び?」

「けいおん部の部室にあるティーセットと食器棚!…それが、元々私の……お姉ちゃんの私物なんです」

「それで?」

「お姉ちゃんに、あ、お姉ちゃんってこの高校のOGなんですけど…回収してこいって言われてて……でも、量は多いし重いしで」

「私1人ではとても…そこで誰か手伝ってくれないかな……と」

「そのけいおん部の奴らに手伝ってもらえばいいじゃないか」

「それが……あの部の先輩達、ちょっとだけ怖くて…」

「怖い…?」

自分を怖い奴だ。と断言する訳ではないけど、俺には話しかけられるのにけいおん部の奴らには声をかけられないって……。

女性視点だとけいおん部って結構やばい奴らなのだろうか。

「って…あれ?」

そういえば、平沢がけいおん部だったような……。
あいつそんな怖いか?

なんだか少しだけ興味がわいてきた。

「よく分からんが……見返りはあったりするか?」

「え、ええと……私のお小遣いとか…」

あるのかよ。

「ご、五千円までなら……」

「ぶっ!!ご、五千円!?運ぶだけで!?」

高校生からしてみれば、魅力的過ぎるな額だ。
というか手伝いだけでそれはもはや非常識な金額だ。

「……」

後輩から五千円もらうとか人としてどうなんだ。
だからといってただで手伝うのもそんなのはお断りだ。

「……今日の昼飯」

「え?」

「今日の昼飯。奢ってくれたら手伝ってやる」

「ほ、本当ですかっ!?」

「ああ」

荷物運びで一食うくなら安いものだ。
この一年生も人をだますって言葉を知らないようなキラキラした見かけだし、
きっと他意もないだろう。

…良心がチクチク痛んだが、向こうから進んで奢ってくれるのだから別にいいよな?

「それじゃ先輩、学食いきましょうか。あ、それとも購買でパンですか?」

「…ああ、でもでも私まだどっちも使ったことないです。え~と」

「…落ち着け。そんじゃ、学食行くか」

元々パンを買う予定だったが、
奢ってくれるなら学食のがお得だろう。

「は、はいっ!」

見た目はいいとこのお嬢様で美人なのに、ころころと表情が変わる様を見てると
ギャップが中々に面白い奴だった。

それにしても……

後輩ってのもあるんだろうが、見た目の割には気安くて一緒にいて落ち着く奴だ…。

と、後になって思った。

………

………

………

そのまま飯をご馳走になり……


「それじゃ、放課後にけいおん部室の前でお願いします!」

「なるべく早くきてくださいね?先輩達が来る前に片付けておきたいので」

そんなにけいおん部の連中が苦手なのだろうか。

「奢ってもらったのになんだが…掃除当番だから少し遅れるぞ」

「……そ、そうですか…」シュン

「…なるべく早くいくよ」

「お願いします」パアッ

…犬みたいに表情が変わる奴だな。

「それじゃ、また後でな」

「はい。それでは」

「掃除も二日目か。ね、岡崎君。床を掃くだけじゃなくて窓とかもピカピカにしない?」

午後の授業も終わり放課後になった。


あの後輩に頼まれごともされた。
さっさと掃除を終わらせなくてはいけない。

「誰が窓拭くんだよ」

「もちろん一緒に」

「断る」

窓なんて掃除したら時間がかかりすぎる。
流石にそこまでは付き合えない。

「ピカピカにするの気持ちいいんだけどな…」

「……」

相変わらずよく話しかけてくる。
こんな会話べたな男に何が楽しくて話しかけてくるのだろう
人と会話する事が好きなんだろうか…

「岡崎君って掃除丁寧だねー。綺麗好き?」

「丁寧だからといって綺麗好きってわけじゃないだろ。…こんなの普通だって」

「普通にやって綺麗に出来るならそれはいい事なんじゃないかな」

すごく無理やりに褒められてしまった。

「そっかよ」

…悪い気はしなかった。

…平沢はきっと、人の悪い所よりも、いい所を見つけて褒めることが出来る。そんな性格の奴なんだろう。
だから、こんな俺ともまだ話してくれているんだ。

_____________________________

「後はゴミ袋もってくだけだね」

「そうだな」

清掃は教室の埃などを集めてゴミ袋に捨てて、ゴミ袋が溢れだしそうなら新しいものと交換して完了する。

「燃えるゴミも燃えないゴミも、もうぱんぱんだな。新しい袋に変えよう」

「うん、そうだね」

「…ゴミ溜まった袋は両方とも俺が持ってく。平沢はゴミ袋を新しいのに張り替えといてくれ」

「軽いのくらい、私も持ってくよ?」

別に、大して重くもなかったから効率重視で指示したのだけど、変なところでこいつは気をつかってくる。

「それじゃ、こっちもってくね」

ゴミ袋の片方を持つと平沢は歩きだした。

「平気か?両方俺が持ってもいいんだぞ」

「へっちゃらだよっ。いこ?」

感想ありがとう。嬉しいなり。

―――――――――――――――――――――
~廊下~

二人してゴミ袋を持ちせっせと廊下を歩く。
笑える事にこうして平沢と一緒に歩いていると俺も周りの奴らと変わらないように見えた。

「よいっしょっと…あとちょっとだね…」

俺に振り向きながら言う。
その時…

「わっ?」

「おわっ…」

ばさっ、と平沢の抱えていた袋が落ちて、中に入っていたゴミが床に散らばった。

俺の方を向いたのと、向かいから来た男子生徒が天上を眺めていたタイミングが重なってのことのようだった。

「てめえ!!…前見て歩けよな!!……ってあれ?」

「そこにいんのは岡崎じゃん。はは、お前なにゴミ袋なんて運んでるの?そうやってると真面目な生徒にみえるね」

平沢とぶつかった生徒は面倒な事に春原だった。

「…お前はなにしにこんな時間に登校してるんだ」

もう放課後だ。授業は全て終わっている


「寮に電話きてさ、僕に話しがあるって」

「…誰から?」

「さわちゃん」

「マジか」

「もしかして告白されちゃったりして?いやー、もてる男はつらいよ。そんなわけで職員室にいかなきゃなんだ」

「職員室で告白とかロマンチックにも程があるだろ。…現実は厳しいものだぞ」

「……」

「……」

「何言われんだろ…。僕」

「9割説教だな」

「…うげ」



「あ…あの…ごめんなさい」

「うん?」

2人してあの人になにを言われるのだろうかと黙って考えていると、平沢が口を開き、謝罪した。
さっきぶつかった事に対してだろう。

「ああ~、いいよいいよ、謝らなくて。それより、こいつに変な事されてない?」

……っ

「変な事…ですか?」

「…おい」

…平沢と春原にはあまり、あってほしくなかった。

「ああ~、しかし、岡崎にもついに春がきちまったか……」

「僕にもなにか運命的な出会い、ないもんかねぇ」

「あ、ち、違うよ?今一緒にいるのは掃除当番だからで…」

平沢は慌てて否定した。
馬鹿、そんな態度じゃ余計疑われるだけだってのに…


「お前の考えてるような関係じゃないよ」


こういうのにははっきりと言ってやった方がいい。
別に、何も嘘なんかついていないのだから。

「……ふーん、ま、どうでもいいんですけどね」

意味ありげに笑いながら春原は廊下をさっさと歩いていく。

「それじゃ」

ピッっと親指を立ててその場を去っていく。

「…おいっ!お前もゴミ拾ってけよっ!」

「それじゃぁねっ!」

「おいっ!!」

逃げ足だけは速いやつだ
後でしばいてやる

「ちっ」

しばらくの間、場を静寂が支配した
が、先に口を開いたのは平沢だった

「私、散らかったゴミ片付けるね」

そういってひとり、素手で散らばったゴミを集め始める平沢。

「………」

「女子が…素手でゴミなんか拾うな」

「え…?」

「俺がやる。平沢はもういけ」

「ううん、駄目。私が落としたんだから私も拾うよ」

「…わかったよ」

一緒にゴミ拾いをしているうちに春原への恨みは不思議となくなっていた。

―――――――――――――――――――――

ゴミ袋をゴミ捨て場へと運び捨て、平沢とはそこで解散した。

飯を奢ってもらったてまえ、斉藤との約束を果たさないわけにはいかない。

________________________
~音楽室前~

「あ、やっときました」

「悪い。掃除が思ったよりも長引いてな」

「それで、俺が運べばいい物ってのは?」

「音楽室の中にあります。そこにあるティーセットを運んでくれれば」

「……」

さっきも言ってたが、ティーセットに食器棚ってこんな高校生二人…しかも一人は女、に気軽に運べるもんなのだろうか。
一人じゃ無理だから俺に頼みにきたっぽいけど…。

「あの……何か?」

「なあ、ティーセットってさ、男手が必要なくらいにはでかいよな」

「はい。この音楽室のドアをぎりぎり通るかくらいには」

そんなでかいものを俺と…こいつ二人で運ぶのか。
そもそも動かす事自体出来るだろうか。

「…なあ、運ぶったってどこまで運べばいいんだよ」

「それは勿論私の家までです」

「…まじか?」

「マジですけど…?」

きょとんとした顔でこちらを見返されても困るんだが…。
もしかして俺、地雷を踏んじまったのか?

「さ~…今日も部活部活……って!!あれ?昨日の…確か斉藤さんに……岡崎!?」

「…お前は」

「!?」ビクッ

「ど、どうしたの斉藤さん!?まさか岡崎に脅されてるんじゃ…」

「…」イラ

「あ、あのあのあのあのあの」ガクガク

「おい、どうした?何いきなり慌てだしt」

「ごめんなさーい!!」ダッ

「あ!お、おい!」

「あ、あれ?もしかして、私から逃げた…の?」

「知るか!」

訳がわからない。
手伝っておけといいながらいきなり逃げるとは…。
俺一人でティーセットを運ぼうにもどれをどこに運べばいいのかもわからん。

…帰るか。

「岡崎。あんた何であの子と音楽室の前にいたの?」

「……」スタスタ

「あ、こら、無視すんな!!」

「……」スタスタ

「岡崎ぃ~っ!なんだその態度はぁっ!」

岡崎と会話してるのは梓?純?

_________________
~教室~




「いた!岡崎くん」

鞄を取りに教室に戻ってくると、平沢に声をかけられた。
…俺が戻ってくるのを待っていたのだろうか。

「なんだよ」

「さっき、いい忘れちゃったから。ゴミ、一緒に拾ってくれてありがとう」

「…そりゃどうも」

わざわざ律儀な奴だ。
別に、あんなの礼を言うような事じゃないのに。

「岡崎君、その…ね?」

「なんだよ。言いたい事あるなら言ってくれて構わないぞ」

「気を悪くしないでね…。…不良だって友達から聞いたんだけど」

「……まあな」

「…岡崎君が不良だとしても、岡崎君には優しくて素敵なところが沢山あると思うんだ」

「…褒めたって何もでないぞ。…嬉しくもない。」

「私はね、坂の下で励ましてくれたの、本当にうれしかったんだ」

「……」

昨日のこと、そんなに感謝されても正直困った。
だって、本当にただの気まぐれでしかなかったんだ。ただ、遅刻仲間に声をかけた。それだけなんだ。

>>120

すまん、俺の力不足でわかりにくくて申し訳ない。
>>119で岡崎と話してるのは純。

岡崎の事を純は岡崎。
憂と梓は岡崎君と呼ぶから区別つくかとおもってな。

やっぱ名前あったほうがわかりやすいかな。
ここからは統一で「」の前に名前いれてくわ。

岡崎(……?)

そういえば、こんなに明るくて真面目な奴がどうして入学式に遅刻しかけてまであんなに思いつめていたのだろう。

岡崎「……」

憂「…?」

岡崎「なぁ、何であの時あんなにへこんでたんだ?」

別に、気になったわけじゃない
ただ、なんとなく、そう、どうせ放課後は暇だから、その時に今日を振り返ってみて、
こいつの悩みの種を思い返してもいい。
そう思っただけだ。

憂「……昨日はね」


春原「あれ?岡崎まだいたの?なら帰ろうぜ」 ガラッ

平沢が口を開きかけた瞬間教室に春原が入ってきた。
なんて間の悪い奴なんだ。

岡崎「……春原、お前は本当に空気が読めない奴だ」

春原「あん?…ああ、もしかして、この子とお楽しみ中だった?…そりゃ悪か…」

岡崎「おまけに洞察力もない。最悪だよ。…テンションダダ下がりだよ」

春原「…僕、帰りますね」

岡崎「二度と学校来なくていいからな」

春原「あんた本当に容赦ないっすねぇっ!!」

それだけ言って春原はすごすごと帰っていった
その間、平沢はぽかーんとして俺達のやり取りを見ていた

岡崎「それで?」

春原とのやり取りなんざなかった。
そういう事にして気を取り直して聞きなおす

憂「あ、うん?」

岡崎「昨日、坂の下で泣いてた理由」

憂「…泣いてた?」

岡崎「あ、いや……」

出会った坂の下。別にこいつは泣いてなんてなかった。だから、疑問に思われてしまったのかもしれない

でも、坂の下にいた平沢の姿は後ろから見ると泣いてるように見えたんだ。

岡崎「ニュアンスで気づいてほしかった」

我ながらそうとうな無茶な要求だった。

憂「ふふっ、岡崎君…。ニュアンスの使い方、多分違うよ。日本語になってない」

くすくすと笑われてしまった。
しょうがないだろ…。自分でも何言ってんのかわかんなくなってきたんだから。

岡崎「あ~…はは…悪い。俺、馬鹿なんだ。自分でも何を言ってるのやら」

憂「…あはは、変なの」


そのままなんとなく2人で笑っていた
不思議だった。こいつといると、心があまりささくれない

________________

憂「あのね」

憂「最近ね、大好きな人とお別れしちゃったんだ」

生徒は皆帰り…2人だけしかいない教室で、
平沢はぽつりぽつりと自分の事を語りだした。

岡崎「大好きな人…ね」

過去形ではない辺り、まだ好きなんだろう
口ぶりからもそれがわかる

岡崎「そんなに好きなやつだったのか?」

憂「うん、大好き。世界で一番好き…って言ってもいいかも」

そいつとのいろいろな思い出を頭に浮かべているのだろう
幸せそうにニコニコしながら話を続けている。

憂「一つ年上の人でね、3月までは学校にその人と一緒に来てたんだ。でも、昨日から朝一人ぼっちになっちゃって……ああ、もう一緒に登校出来ないんだって実感したら立ち止まっちゃってたんだ」

話ながら、少しずつ悲しそうな顔になる平沢。
今まさにその人との思い出を振り返っているのだろう。

平沢は言葉を続ける。

憂「もうあの人と一緒の制服を着て学校に来る事もないんだなぁ……ってあの時はずっと考えちゃって」

岡崎「それであんな時間まで桜見てノスタルジーしてた…っと」

憂「あはは、ノスタルジーしてたって言い方は間違いだよ?正しい使い方は…桜を見てノスタルジーに浸ってた、とか桜を見てノスタルジーな気分になる…って感じかな?」

岡崎「…ったく、さっきから細けぇなぁ…。言いたい事が伝わればそんなの気にしなくたっていいだろ…」

憂「ごめんね。…でも、うん、そうなのかもしれない。私は昨日、坂の下でノスタルジーしてたんだ」

岡崎「…ふん」

見た目と雰囲気に反して地味に意地悪な奴だ。

憂「……私の話はそんな感じかなぁ」

岡崎「…なるほどね」

好きな奴と離れた事で、学校生活や身の回りが変わってしまうのではと不安に思っていたんだろう。

岡崎「だから…なにもかも変わらずにはいられない…か。」

憂「…うん」

岡崎「…そっか」

憂「…うん」

岡崎「……」

岡崎「……お前、強いよ」

出かけるんで続きはまた深夜にでも

正直菫たそが一番可愛いとおもた

>>131
菫たそは後輩属性だから萌えやすいと思った。
逆に後輩属性を失ったあずにゃんはある意味新キャラのように書いてて感じる。

憂「ええ!?岡崎君…急にどうしたの?」

岡崎「いや、だって」

教室にいるときのこいつはそんな弱った姿をおくびにも出さない。
今日も友達と話しているのを見たが、その姿には陰りなんてまるでない
きっと、友達に心配させないよう、弱気な心は隠しているのだろう。

…その性格は器用というべきなのか、不器用というべきか……

ただ、嫌いにはなれない奴だった。

岡崎「なあ、お前、けいおん部だよな?」

憂「うん。けいおん部だよ」

岡崎「ならさ、そいつの事は次に会うまで置いといて……まずは部活に励んでみろよ」

俺は何を言ってるんだ
こんな……人を励ますようなキャラじゃなかったはずなのに……

憂「部活を……」

岡崎「ああ、何かに一生懸命になってればあっという間に時間なんて過ぎる」

嫌な事があってもバスケで体を動かせばそれを忘れられた。
体を動かし汗を流す事で心も軽くなれた。
そんな、中学の時の思い出が頭をよぎった。

…が、すぐにそれは頭の隅に追い払う

今は目の前の女の子に自分に出来るアドバイスをしなくては。

岡崎「GWとか夏休みになればそいつもこの町にちょっとは戻ってくるだろ?それまでは楽器にでも打ち込んでみろよ」

楽器とバスケじゃだいぶ勝手は違うだろうが、熱中することさえできれば運動系も文化系も関係ない。
きっと、何もしないよりはマシになるはずだ。

憂「……」ポカーン

俺が励ましの言葉を発するのが平沢から見ても少し意外だったのか口をあんぐりと開けてこちらを驚くように見ている。

…俺だって、らしくないこと言ってる事位わかってる。
けど放っておいて欲しい。

憂「うん…そうだね、ありがとう。…部にね、困ってる友達もいるからその人の力になって、それで楽器もがんばってみるね」

岡崎「ああ、そうしろ」

憂「うん。…あはは」

憂「ぁ……」

平沢は俺に笑いかけると何かを思い出したかのように無言で俺の目をじっと見つめてきた。

岡崎「……なんだよ」

憂「岡崎君、また励ましてくれたね」

岡崎「……暇だからな。…目の前で困ってる奴がいればエールくらい送るさ」

憂「本当にありがとう。…それじゃ、私そろそろ部活行かなくちゃ」

岡崎「…それじゃな」

憂「うん!また明日ね!」

そういってパタパタと平沢は教室を出て行った

また、明日…か。

………

元気…でただろうか

ちゃんと、俺の言葉、伝わっただろうか

岡崎「…俺って、意外にきき上手だったのな」

はは…笑える

ああ、でも



憂「大好きな人が~」





…あいつ、彼氏いたんだな

岡崎「……」

だからなんだっていうんだ

別に、ショックだったわけじゃない。普通の女子高校生なら彼氏の1人いるものだろう

岡崎「…はぁ」

…今度こそ帰るか。

____________________

夕方からは今日も春原の部屋だ。
時間をただでつぶせる場なんてここくらいしか思い浮かばないのだからしょうがない

春原「それで?教室のあの子はなんなの?」

岡崎「……なんのことだ」

春原「とぼけんなよ。僕が廊下でぶつかった女子と教室でもしゃべってたじゃんか。ほら、あのポニテの子だよ」

…やっぱり聞いてきやがった

岡崎「たまたま席が隣でな。だから少し話しただけだ」

春原「本当に?なぁーんか怪しいな」

岡崎「ぶっ殺すぞ」

春原「Why!?」

岡崎「英語つかってんじゃねえよ」

岡崎「…きもい発音にぞくっとしてきた。体が溶けちまう」

春原「人の発音を毒みたいにいうなっ!」


………

別に、平沢なんてなんとも思っちゃいない
ただ、きまぐれで話してただけだ

__________________________________________
~帰り道~

春原と生産性のない時を過ごし、今日もいつもと同じ帰路につく。

時刻はもう深夜1時だ。
外はすっかり真っ暗になり、突き刺すような冷気が体に染み込む。

岡崎「春なのに…夜はまだ寒いな」

帰宅途中、色々なことが頭に浮かんだ。

それは、自分のこと 

それは、昨日、今日と話した平沢の事

そして、そいつの現状と自分の現状の事

岡崎「なにもかも変わらずにはいられない……か」

あいつが言った言葉を思い出す。

………

その通りだと思う。

時間は残酷だ。

……時間は…人を変えてしまう。

そこそこには仲のよかった家族を他人へと。

……時間は記憶を塗り替える。

優しかった、思い出せば温かかったはずの思い出を、そこへはもう戻れないのだと自分に思い知らせる絶望的な記憶へと

________________________
~岡崎家前~

家に近づけば近づく程気分は重くなる。

気分が重くなれば重くなる程余計な事を考えてしまう。

そして…考えれば考えるほど負の思考に心が飲み込まれていく。

いつしか自分の歩く世界は時が止まった灰色の世界にさえ見えてきた。

岡崎「……ついちまった」

…自分の家の前に立つ。

時刻は1時30分になるのに一階の電気はついている

…まだ、あの人が起きている。

電気が消えるまで外で待とうか悩んだ。
でも、今日は早起きしたこともあってもう眠い。
これ以上外をうろうろする体力もない。

…さっさと二階にあがれば顔を合わせる事もないだろう

岡崎「…ただいま」

返事がしない事を願って、小さくそういう。

岡崎「……」

親父の返事は聞こえない。
さっさと寝てしまおう。風呂も歯を磨くのも明日の朝でいい
気配を殺して居間を通り過ぎる。

直幸「……」

通り際に横目でみた居間では親父…岡崎直幸が眠っていた。
酒に潰れ、TVを眺めているうちにそのまま床で眠ってしまったのであろう。
部屋からはテレビとラジオの音が耳に障るほど大きく垂れ流され、酒の匂いが充満している

岡崎「…~っ!!」

無視は出来なかった

だって、俺は一応…だけど、この人の息子だから

血は……つながっているから。この人を心配したっていいはずだから。

「親父、寝るなら布団しいて、電気も消して寝ろよ」

テレビとラジオの音を消し、彼の両脇の下に両腕を通して立ち上がらせる。

岡崎「~っ」

酒の匂いがやけに鼻についた。

どちらを話の軸として置いてるんだ?

つか、この作品をクロスしても仕方なくないか?

何書こうが自由とかいう擁護が沸きそうだが

直幸「ああ……申し訳ないね…」

目が覚めたのか親父はぼそぼそと口を開いた。

直幸「……今日も遅かったねぇ」

岡崎(やめろ……)

直幸「ああ…また……」

直幸「朋也君に」

岡崎(やめてくれ………)

直幸「…迷惑をかけてしまったかな?」

消えてしまいそうな程小さく、情けない声でそう言われた

岡崎「…~~っ!!!」

親父を立たせると今日も、無言でその場を後にする。
背中からはすがるような声が自分の名を呼び続けていた。

……君付けで。

>>141
もし光坂高校にけいおんのキャラがいたら~的なノリで見てくれると嬉しい。

何故この作品をクロスさせたかといえば……、まあ、それは一区切りついてから書きます。多分

________________________________

4月7日 水曜日

一言で言えば、最悪の目覚めだった
昨日は寝るのが4時になってしまった事もあり、当然時計の針は遅刻確定の数字を指している。
もう、3限が始まっている時間だった。

岡崎「どうすっかな……」

もう気分が乗らないので学校を休むのもいいかもしれない
と、考えたところでせっせと一人で掃除をしている平沢の姿がまたも頭をよぎった。

岡崎「……はぁ」

_________________________
~教室~

ガラッと教室のドアを開け、自分の席に座った。

憂「おはよう、岡崎君」

岡崎「おはよう。…まあ、もうそんな時間でもないけどな」

憂「もう、遅刻はよくないよ?」

岡崎「その台詞は一昨日坂の下でぼーっとしてた誰かさんに言ってくれ」

憂「…むぅ」

岡崎「…なんだよ」

憂「……ふふ」

岡崎「……急に笑うな。怖いからな」

憂「えへへ、今日はあいさつに返事してくれたから」

…チクリ、と胸に言葉のトゲがささった。

岡崎「……しなかった時なんてあるか?」

憂「昨日の朝……無視された」

ぶすっとした顔でこちらに非難の視線をぶつける平沢

岡崎「……」

憂「おとといも、帰り際無視されたよ」

俺にされた仕打ちを思い出しているのかムッとした顔になり表情で俺に抗議してくる。

岡崎「…そんな事あったか?」

憂「岡崎君なんて知らないっ!」

岡崎「……悪かったよ」

憂「……」

ブスッとした顔で沈黙する平沢。
こいつは真面目でしっかり者なイメージだった。
が、意外にも我儘な子供のような素振りを見せられて少し困惑してしまう。

こういう時、どうすればいいのか俺にはわからない。

岡崎「…怒ったか?」

憂「怒った。岡崎君のばか」

…参った。誰か俺に怒った女子の取り扱い説明書を貸してくれ。

岡崎「……」

憂「……」

岡崎「本当、ごめんな」

憂「……」

憂「…反省した?」

岡崎「した……ひどい罪悪感を感じた。もう無視はやめる」

憂「うん、えへへ…約束だよ?」

そう言って、平沢はニコッと笑った。
その笑顔は俺には少し眩しすぎた。

岡崎「……あぁ。約束する」

こいつと会ってからだ。俺のキャラがぶれている
おかしい、俺はこんな情けない男だったろうか

純「うーい、今日の部活のことなんだけど……って岡崎がいる。休みかと思ったけど来てたのね」

岡崎「……きちゃまずいか」

ギロリ、とにらみつけた

純「ちょっとちょっと、なんで憂とは普通に話してるくせに私は邪険に扱うのよっ」

岡崎「……ふん」

純「…まあいいわ。そういえばまだ自己紹介してなかったわね」

純「あたしは鈴木純。憂と後もう1人、中野梓って子とけいおん部やってるの」

岡崎「…岡崎朋也だ」

純「うぐっ。壁を感じる言い方だなぁ…」

憂「まあまあ、純ちゃん。岡崎君、照れ屋なんだよ。本当はとっても優しい人だから」

岡崎「…勝手に言ってろ」

憂「あ、照れてる?」

岡崎「…照れてねえっ!」

純「ぷぷっ…岡崎うける…」

岡崎「お前ら……笑うんじゃねぇよっ」

憂「あはは、ごめんね、岡崎君」

岡崎「ったく…」


梓「あ、じゅーん、うーいー、ちょっと来てー」

平沢とぼんぼん女が俺を笑っていると、廊下から女子生徒の声が聞こえてきた。
きっともう1人の部員だろう。

純「はーい。それじゃね、岡崎」

憂「また後でねー」

岡崎「……」

腹が立ったので無視したのだが…

憂「…岡崎君?」

約束やぶっちゃうの…?
とでもいいたそうな目で平沢は態度で抗議してきた。

岡崎「…また後でな」

憂「…っ!!」

憂「うん!」


………

ふう…と溜息をつく

一体、俺、どうしちまったんだよ……。

春原「へぇ…なるほどねぇ」

岡崎「~~っ!?」

春原「…部活なんかしてる連中とは関わりたくもないって、そういう奴だと思ってたんだけど」

後ろから声をかけられ、はっとして振り向いた。

岡崎「…きてたのか」

春原「…最初に僕たちが意気投合したのもそんな感じだったきがするんですけどねぇ」

岡崎「あいつらとは……そんなお前が思ってるようなもんじゃねえよ」

春原「ふーん、まあどうでもいいんですけどねえ」

特に興味なさそうにして、春原は席についた。

春原「岡崎、4限終わったらおこしてくれ」

そういうと春原は眠りについた。

岡崎「…ああ、任せとけ」

_________________________________________________

4限が終わり生徒がそれぞれ移動し始める。

…俺は春原をそっと無視して学食へと移動した。

__________________________________
~学食~

斉藤「あっ!」

岡崎「……お前は」

斉藤「岡崎先輩、こんにちは」ペコリ

岡崎「斉藤か。昨日急にどこかに走ってくもんだからどうすりゃいいのか悩んでたんだ」

菫「あぅ…昨日は途中で逃げたりしてすみません。…やっぱり、あの部の先輩達がちょっと怖くて…」

岡崎「そういえば、そんな事言ってたな。お前も変わってる奴だな」

女性視点だとあの三人組の一人に怖く見える奴がいたりするんだろうか。
昨日はぼんぼん頭…鈴木だったか?…におびえていたが。

菫「それでですね!今日こそはティーセットを回収したいんです!…そうしなきゃお嬢様に怒られちゃう…」

岡崎「あ?お嬢様?」

菫「ひ!?」ビクッ

岡崎「…急にビビりだすなよ。軽く傷ついたぞ…」

菫「ご、ごめんなさいごめんなさい!」

岡崎「…はぁ。今日も放課後音楽室に顔出すよ。昨日奢ってもらった分は働くから。それでいいか?」

菫「……」チラッ

岡崎「そんな不安そうに見んな。…ちゃんと、まあ、やるからな」

菫「…!」

菫「おねがいしますね、先輩」パアッ

岡崎「…あんま気は進まんが、任せておけといっておこう」

______________________

食堂で昼食を終えて斉藤と別れて教室へと戻ってきた。

その時だった。

春原「おーかーざーきぃぃぃぃぃぃっ!!!!」

岡崎「…なんだよ」

春原「…なんだよ…っじゃねえよっ!四限終わったら起こせって言っただろ?もうこんな時間じゃ、購買のパンは売り切れだろうし,学食行って食う時間もねえよっ」

岡崎「ハハッ。そうなるといいなって思ってたんだ。よかったよかった」

春原「あんた腹マジ黒いっすねぇっ!?」

岡崎「餓死しろよ」

春原「まだいいますかっ!?」

____________________________
~放課後 教室~

HR後、三日目となる教室掃除を始めた。

憂「それじゃ、今日は岡崎君にちりとりお願いしていいかな。今日は私が箒でゴミを集めるね」

岡崎「ん?まあ、いいけど」

憂「それじゃ、がんばろうね」

岡崎「…ああ。そうだな」

_________________


二人して生真面目に掃除をしていると教室に残っている生徒達が俺の事を奇異の目で見てくる。
どいつもこいつもむかつく奴らだ。

………

………

憂「よし、これで今日は終わりだね」

岡崎「…だな。あ~、疲れた」

周りの視線を気にせずせっせとチリトリでゴミを回収していると5分もせずに掃除は終わった。
斉藤をあまり待たせるのも悪いので音楽室に行こうと思ったのだが…。

岡崎「平沢」

少し気になる事があるので彼女に質問してみよう。

平沢「わあ……」

岡崎「なんだよ」

平沢「あ、その…初めて岡崎君から話しかけてきてくれたから嬉しくて」

岡崎「…坂の下の時だって俺から話しかけたろ」

憂「そうだけどぉ…」

岡崎「…言わんとしてる事はわかったよ。んでさ」

憂「なあに?」

岡崎「けいおん部の部室にさ、ティーセットってあるか?」

憂「うん。一年前までいた先輩が残していったものがあるよ」

岡崎「なるほど。なあ、その先輩ってさ、名字が斉藤だったりするか?」

憂「斉藤?ううん。寿って名字だったけど」

岡崎「マジか?」

憂「うん。どうしてそんな事聞いたの?」

岡崎「いや、なんでもない。へんな事聞いちまったな」

憂「…?」

おかしいな。斉藤は姉ちゃんの私物を取りに来た~って言ってたが…。
どういう事だ?

つか、斉藤ってけいおん部からしたら部外者だよな。
ティーセットは姉さんの私物って言ってたけど平沢がいうには斉藤なんて人OGにはいないみたいだ。
そうなると斉藤は部外者なのにティーセットを持ってこうとしてる事になる。

岡崎「…」

憂「岡崎君?」

岡崎「なあ、平沢。お前、今から部活か?」

憂「うん。そうだよ」

岡崎「なら俺も一緒にいっていいか?」

憂「本当に!?もしかして……入部希望!?大歓迎だよ!!」

岡崎「そういう訳じゃないんだけどな」

憂「そうなんだ……」ガクッ

岡崎「期待させて悪かったな。ちょっと野暮用が出来てな」

憂「音楽室に?」

岡崎「まあな」

ここらで休憩。

寝なければもうちょっと今夜は投下する。


続き期待

>>158
ありがとう。
その一言がとっても嬉しいねぇ

_______________________
~音楽室~

梓「……」ボーゼン

純「……」ポカン

岡崎「邪魔するぞ」

憂「二人とももう知ってるよね?同じクラスの岡崎君。音楽室に用事があるみたいだから連れてきたんだけど…」

梓「…えと、岡崎君…だよね?」

岡崎「ああ」

梓「その…何の用事で音楽室に?」

純「まさかの入部希望!?」

岡崎「実はな…」

岡崎「そこにあるティーセットを回収しに来た」

純「な、なんですとお!?」

梓「ええ!?ど、どういう事!?」

岡崎「どうもこうも、人に頼まれてそれを回収してほしいと言われたんだ」

梓「もしかしてムギ先輩に頼まれたの?」

岡崎「ムギ?誰だそれ」

憂「さっきも言ったけど、ティーセットは寿紬先輩の私物なんだよ。つむぎ…だからムギ先輩って呼ばれてたんだ」

ああ、さっきの平沢がいってた人か。

岡崎「いや、頼んできたのはその先輩じゃない。俺に頼んできたのは…」

菫「わ、わーッ!!」

ガラッ!!と音楽室の扉を開けて大声とともに斉藤が俺に向かって突撃してきた。

梓「さ、斉藤さん!?」

憂「また来てくれたんだね!」

菫「あ、いえ、そ、その……この人借りていきます!!」

憂「え、え!?」

岡崎「丁度いいタイミングできたな。俺に頼んできたのはこいt」

菫「そ、それでは!!」ダッ

岡崎「あ、おい待てこらどこ連れてく気だよっ!!」

憂「あ、ちょっと二人とも!!」


………

………

憂「いっちゃった…」

梓「…結局なんだったの?」

純「さ、さあ…。…てかあの二人どういう関係なんだろ?」

____________________
~音楽室から少し離れた廊下~

斉藤「先輩!なにやってるんですか!」

岡崎「お前が運べって言ったんだろ。だからあそこにある物を運んでやろうと思ってな」

菫「確かに頼みましたけど!…せめて私と会ってから始めてほしかったです」

岡崎「…なんでだよ」

菫「それは…その…」

岡崎「…平沢に聞いたんだけどな、あの部屋にあるティーセット、お前の姉さんのものじゃないんじゃないか?」

菫「ええ!?ど、どういう事ですか!?」

岡崎「けいおん部に斉藤って名字のOGなんざいないって言ってたぞ。お前、なんか勘違いしてんじゃないのか?」

菫「あ、あう…」

岡崎「もしかして、俺、下手したら盗人扱いされるとこだったんじゃ」

菫「そ、その…。色々家庭の事情がありまして」

………~っ。

岡崎「……家庭の事情…ね」

そう言われると何も言えなくなってしまう自分に少しいらついた。
聞き出す事が出来ない。

岡崎「はぁ……。あ~、わかったわかった。別に教えてくれなくていいから」

菫「え?で、でも」

岡崎「…とりあえず音楽室もう一回行こうぜ。そこで堂々と宣言しよう。斉藤の姉ちゃんに頼まれてティーセットを回収しに来たってさ」

菫「え、ええ!?でも私には~」

岡崎「おら、いくぞ」

菫「あぅぅ……」

_____________________
~音楽室~

岡崎「邪魔するぞ」

純「岡崎!また来たの!?いったい何しに…って後ろにいるのは…」

憂「斉藤さんも?」

菫「こ、こんにちは。さっきはいきなり入っていきなり帰ってすみません」

梓「それは別に平気だけど…」

純「もしかしてやっぱり入部希望!?あ、岡崎には聞いてないからね」

岡崎「…入る気もないから安心しろ」

憂(入るつもりないのか…)シュン

菫「あ、そ、その…」

岡崎「ほら。言いたい事言えよ。それでさっさと用事を済ますぞ」

菫「あの、実はですね」

岡崎「斉藤の姉ちゃんに頼まれてティーセットを回収しにきた」

菫「って、あ…あ~~っ!!!」

岡崎「悪い。やっぱ俺が言った方が早いと思ってな」

梓「さっきも言ってたけど…ティーセットの回収…ってなんで?」

純「そもそも斉藤さんのお姉さんに頼まれてって意味がわからないんだけど!!」

憂「あの、岡崎君。斉藤さんのお姉さんって言われても何がなんだか…」

岡崎「…だってよ」

菫「えっと…。えぇっと…」

斉藤が必死に何かを訴えかけようてしていると…

ガラっ

さわこ「皆、やってる~?って岡崎!?それに斉藤さんまで…」

先生が音楽室に入ってきた。

岡崎「…なんだか騒がしくなってきたな」

梓「あぁ…もう何が何だか……」

______________________

………

………

岡崎「……そんな訳があって斉藤とティーセットを回収に来たんだ」

さわこ「ああ~…そういう事。なら話は簡単ね」

梓「どういう事ですか?」

さわこ「斉藤さんってムギちゃんと同じ家に住んでたのよ。だから、お姉さんってムギちゃんの事よね?」

純「な、なんだって!?」

梓「そうなの!?」

斉藤「な、何で知ってるんですか!?」

さわこ「そりゃ教師だし、こないだ会った生徒の事調べたらムギちゃんと同じ住所だったから…」

純「…名字違うけど同じ家に住んでたってこと?」

憂「…どうして?」

菫「それは…、ええと、私とお嬢様は…義理の姉妹のようなもので…あの…」

…今、変な単語が耳に入ってきたぞ。

憂「ええ!?先輩と姉妹なの!?その話詳しく!!」

菫「ぁ…え!?」

姉妹と聞いてなにか思う所があったのか平沢が興奮して斉藤に話しかけている。

対する斉藤は…言いにくい事でもあるんだろうか。
わたわたと慌てていた。

岡崎(…てか、俺は結局どうすりゃいいんだ)


岡崎「なあ、斉藤の事情はよくわからんが、和解したって事でいいのか?なら俺はとっとと運びたいんだが…」

助け舟を出すってわけでもないが、空気を読まず話を一刀両断し自分がやるべき事がまだあるのかを確認した。

菫「……えぇっと…」

純「ちょっと岡崎、いいとこなんだから邪魔すんな!」

…うぜぇ

梓「…それじゃ。斉藤さんの事は今はおいておくとして…、ちょっと気になったんだけどなんで岡崎君は斉藤さんの事手伝ってるの?」

岡崎(……)




岡崎「奢ってもらったからな!!!」


なんて言える訳もない。
後輩にたかったみたいでそんなの情けないじゃいか。
いや、事実情けないのだがそれをわざわざ自分で宣言するのもどうなんだ。


隠すのはもっとどうなんだという突っ込みはなしだ。

菫「あ、私が頼んだんです。力ありそうだったから…」

と斉藤の割とナイスなフォローが入った。

純「駄目だよ斉藤さん。新入生だから知らないのも無理ないけどあの人とっても怖いお兄ちゃんなんだから」

菫「あの、不良だから頼んだんです」

梓「ど、どういうこと!?」

菫「だってほら、不良の男性って力持ちですよね。それに実はいい人っていうのがお決まりじゃないですか」

さわこ「ぷ、ぷぷ……岡崎が……いい人……」

岡崎「生徒を笑うのはどうかと思うぞ…」

純「でも、斉藤さん。考え方変えなきゃ駄目だよ?世の中には悪い不良の方がいっぱいいるんだから」

さわこ「岡崎みたいなね」

岡崎「……」

ノーコメントだ。

____________________

脱線した話も一周して元の話題に戻る。

梓「それで斉藤さん。ティーセット…持って帰っちゃうの?これがないと私達ちょっと…」

純(なくなったらこの部の存在意義がなくなっちゃうよ!!梓!なんとかして!!)ヒソヒソ

梓「ええと…だからね、その……もう一回ムギ先輩に聞いてもらっても駄目……かな?」

菫「…どうしても、ですか?」

純「どうしても!!必要なの!!」

菫「それなら……」

さわこ「ああ、それなんだけどね……三人とも、別にティーセット、多分片づけなくても平気よ?もうムギちゃんの許可取ってあるもの」

菫「ど、どういう意味ですか!?」

さわこ「あ、そのね。ムギちゃんが卒業する時に」

~回想~

            ___
          ´      `  、
      /           \

      ′    /    l     ヽ
         /  /l    l   ヽ   .
     l i /  / ! l   ||   l ハ i
     | |   /ィ≠N   |八   |  } |
     l N   |  l   \|  }  j /
     |  |   |x≠ミ    rxミハ′ |
     |  |   |"""     """/  /
     l  |   |    __'    /   ∧
     }  l  人    ー'    /  / ∧
    ′ 八  Vト ..__,,..≦{  ′{ ∧

   / / ∧  V  久_人 l  |  / !
.  / -──∧  ∨ ニ}  〉l  ├ 、|
  /丨    | ∧ {   r}l / |   |  ∨
. / .|      \ヘ|   リ / l|   |   l\
/  |      /Y^\ノ / r'|  }   |  }
   }     〈 |   \| /ノ   ′ / /

紬「先生。新学期になったら一年生に私の妹が入学してくるんです」

紬「私はけいおん部からたくさんの素敵な思い出をもらったんです。だから、出来ればその子にも私のような楽しい事を体験してもらいたくて…」

紬「消極的な子なので私がけいおん部に向かう口実を作りますからよかったらさわこ先生が捕まえて上げて下さいね」


さわこ「なんて事があったのよ。寿って名字の子がいなかったからあれ?とは思ってたんだけど」

純「な、なんだってー!」

菫「ティーセット片づけに行きなさいって……つまり、私がここに来るための口実…だったって事…ですか?」

さわこ「きっとそうだと思うわ」

…あれ?つまり俺、いらねえじゃん。

梓「それはつまり…」

憂「斉藤さん!!けいおん部、入るよね!?」

菫「え、えええ!?」

純「だってほら、ムギ先輩もお勧めなんだよ!?」

梓「入ってくれたら嬉しいな」

さわこ「明日からムギちゃんのようにケーキとかお菓子を持ってきてくれればなおグーよ」

…先生、それは脅迫だ。しかもお姉さんの事を引用してお願いするあたりせこいぞ。

菫「そ、その~…」

菫「ごめんなさい!!」ダッ

梓「あ、待って斉藤さん!!……うぅ…新部員確保のチャンスがぁ」

梓「先生!ムギ先輩に頼まれたんならちゃんと捕まえて下さいよ!」

さわこ「ええ~…そんなこと言われても…結局本人にやる気がないとこういうのは駄目だしぃ…」

純「あの子がいないと美味しいお茶は飲めませんよ?」

さわこ「梓ちゃん。やっぱり、絶対に彼女は確保するわよ」

梓「…先生」

………

………

岡崎「……」

…これ以上ここに俺がいる理由はなさそうだ。

岡崎「……」ガタッ

憂「あ、岡崎君。帰っちゃうの?」

岡崎「これ以上いても俺にはなんも意味なさそうだ。邪魔したな」

憂「待って。ねえ、折角だから見学していかない?お茶もだすよ?」

岡崎「いや、いいって。それじゃぁ…」

さわこ「待ちなさい岡崎」

岡崎「…なんだよ、先生」

さわこ「あんた、新歓ライブまでこの部を手伝いなさい。人と協力して何かをする事を覚えるいい機会だわ」

岡崎「…ギャグだよな」

さわこ「教師がギャグでこんな台詞をいうもんですか」

さわこ「と、いう訳だからあなた達。今日から岡崎をパシリにしていいわよ」

梓「……」

話についていけてないのか黒髪の女子生徒はボーゼンと固まってしまった。
しばらくシン…とした空気が流れたが助け舟を出すかのように平沢が口をひらいた。

憂「チラシ配りとかポスター貼りを手伝ってくれると助かるけど…岡崎君。いいの?」

岡崎「いや、手伝わないから」

さわこ「あら、岡崎は卒業したくないの?あんたを今まで助けてきたのは誰だったか胸に手をあてて考えてみる事ね」

岡崎「ぐっ…卑怯だぞ」

純「岡崎、せっかくだし手伝ってよ。あ、なんなら幽霊部員として入部してもいいわよ」

梓「ちょっと純。幽霊部員は困るって!」

純「ええ~、でも今は廃部しないようにすることが先決じゃん」

梓「だからそうならないよう今は新歓ライブを成功させないと」

さわこ「と、いう訳。だからあんたも手伝いなさい」

岡崎「どういう流れだ。……はぁ」

本当は面倒だが先生の頼みを断るのは後が怖い。
ここは従っておこう。どうせ新歓までの間だけで終わるんだ。

岡崎「わかった。チラシ配りやら機材運びぐらいならやってやる」

憂「本当?ありがとう!!」

岡崎「……そんな感謝されても困るぞ」

梓「それじゃ…岡崎君」

岡崎「…なんだ?…えっと」

梓「あ、自己紹介まだだったね。私は中野梓。けいおん部の部長です」

岡崎「…岡崎朋也だ」

梓「知ってるよ。有名人だもん。…これからよろしく」


岡崎「……短い間になるだろうが、よろしく」

________________________

………

………

あの後、新歓ライブの時刻を書いたポスターを学校中に貼りつけ、その後はすぐに解散となった。

いつもよりも時間が遅いので今日はそのまままっすぐ春原の部屋へと向かった。


______________________________


春原「最近何かやってる?」

岡崎「なんだよいきなり」

春原「だってさ、放課後いつもはさっさと帰ってるのに今日は遅くまで学校にいたでしょ」

岡崎「なんでお前がそんな事知ってるんだよ」

春原「一緒に帰ろうと思って下駄箱で待ってたけどいつまでもお前が来なかったとかそんな訳ないからな!!」

存在が全く嬉しくないツンデレ野郎がそこにいた。

今日はここまで、明日も暇な時間見つけては更新予定。

書き溜め投下するだけでこんなに時間かかるとは思わなんだ。

今のところ、悪くないんだが、ムギの名字間違っているぞ。
「寿」じゃなく、「琴吹」な。


乙、憂ちゃん可愛い

>>177
やらかした感が半端ない。
教えてくれてありがとうでござる。

>>178
>>179
ありがとう

______________________

~4月8日 木曜日~

春休みがあけて四日目の平日。
新しいクラスに周りの生徒たちも慣れ始めたのか初日よりもクラスの雰囲気はにぎやかになっている。

……進学校なので、休み時間に受験勉強をせっせと始める生徒も何人か見受けられるようになっていた。

大学受験…か。
俺の家に貯金があるとは思えないし、そもそも俺に大学に入る程の頭もない。
一年死ぬ気で努力すれば何か変わるかもしれないが、その努力をする才能が俺には無い。

……そんな、暗い考えを頭に浮かべたまま今日の時計の針は進み、気がつけば放課後になっていた。

____________________


幸村「春原、帰る前に山中先生のとこに顔を出していけ」

…珍しく、担任である幸村の爺さんが春原に声をかけてきた。

春原「あん?さわちゃんとこに?…もしかして、また説教食らわせる気じゃ…」

幸村「ワシもよくはわからんが呼んでいたのでな。ああ、岡崎、お前も一緒にいきなさい」

岡崎「…俺も?」

幸村「うむ」

岡崎「…春原、先いってろ。掃除したら俺も行くから」

春原「ははっ、掃除なんてわざわざ真面目にやらなくていいだろ?行こうぜ岡崎」

岡崎「春原」

春原「あん?なんだよ」

岡崎「消えろ」

春原「消えないよ!?いきなりなんだよ!?僕怒らせる事言ったか!?」

岡崎「視界に入るだけで目障りだ。早めに逝ってくれないと視力下がりそうだ…」

春原「逝くって表記に悪意感じるんですけど!?それに僕の姿はどれだけお前の目に負担かけてるんだよ!?」

岡崎「一々突っ込まなくていいからな。ほら、早く行け」

春原「わかったよ…」

.
.
.
.

平沢「岡崎君、友達にあんまり酷い事言っちゃ駄目だよ」

春原を先に職員室に行かせ、四日目となる掃除を始めた。
今日は俺が箒、平沢がチリトリの役だった。

岡崎「あいつは友達じゃない。…親友なんだ」

平沢「そうなの!?…だったらなおさら優しくするべきなんじゃ…」

岡崎「違うな。平沢。親友だからこそ俺達は心の底に思っている気持ちを言い合えるんだよ。言いたい事も言えない奴らのどこが親友なんだ」

平沢「なんだか凄いへ理屈だよ…」

岡崎「へ理屈だって理屈だろ?ってよく言うだろ。…あいつの事なんていいからさっさと終わらせようぜ」

平沢「えっと…うん?」

納得していないのか平沢の返事は疑問系だった。

…当然だが春原は親友なんかではない。ただの悪友だ。

.
.
.
.
.

平沢の掃除の手際は見事なもので、今日も数分で掃除は終わった。
こころなしか、教室が数日前と比べたら綺麗になってきた気がする。

平沢「岡崎君、これから職員室に行くんだよね。今日は音楽室には来るの?」

岡崎「そのつもりだ」

平沢「えへへ、ありがとう」

岡崎「卒業がかかってるしな」

平沢「私達の部の延命もかかってるよ!」

岡崎「延命って……大げさだな」

俺一人いてもいなくても大して変わらんだろうに…

_____________________

掃除を終えて職員室へと移動する。

職員室の扉をあけると教師達がこちらに

「またあいつは何かしたのか…?」

とでも言いたげなクソったれな視線をくれてきた。
そんな視線を無視してさわこ先生と春原の待つ机まできた。

さわこ「遅いわよ、岡崎」

岡崎「掃除してたから遅くなったんだよ。俺は悪くねえ」

さわこ「あら、そうだったの。ならいいわ」

春原「岡崎が掃除ねぇ…」

さわこ「春原も手伝っていいのよ」

春原「僕ほこりがつく事なんてしたくないからやらないよ」

部屋はほこりだらけの奴がよくいう。

さわこ「それじゃ今更ながらの本題に入るけど…どうして一昨日、始業式に来なかったの?それに、昨日も今日も二人は遅刻よね。理由は?」

岡崎&春原「「だるかったから」」

さわこ「こんな時だけ息合わせないでちょうだい……」

さわこ「それでね、今日集まってもらったのは……そろそろ本格的に、あんた達やばいわよって警告のため」

春原「……もしかして、僕ら、卒業相当やばいっすか?」

さわこ「……一年二年の時のペースで遅刻と欠席をしてたらもう無理ね」

さわこ「ていうかね……三年にもなって始業式バックレが他の先生方の反感を買ったわ…。職員会議でも幸村先生いなかったらあんたらやばかったんだからね」

庇ってくれるのはうれしいが…あの爺さんはなに考えてんだ。

さわこ「あの人あんた達の前では絶対そういうの見せないけど感謝した方がいいわよ」

岡崎「……」

さわこ「といっても、あんた達の事をよくない目で見てる先生が多いのも事実。どうせ卒業出来ないのなら問題起きる前に退学させた方がいいって思ってる先生もいるのよ」

春原「…っけ」

さわこ「もちろん私はそうは思わない。あんた達はちゃんと卒業するべきだと思ってる」

さわこ「もちろん私はそうは思わない。あんた達はちゃんと卒業するべきだと思ってる」

岡崎「…それで?何がいいたいんだよ」

さわこ「……あんた達が態度を改めるっていうのはもう無理だと思うから……」

酷い言われようだ

春原「まあ、無理だよねぇ」

その通りだが

さわこ「いろいろ雑用を手伝ってもらって、この学校に貢献してもらう事にしました」

岡崎&春原「「はあっ!?」」

春原とまたかぶってしまった

岡崎「…声被せんなよ。耳が腐る」

春原「人の声を毒みたいにいうなっ!」

さわこ「…話を進めるわよ」

さわこ「それで、今度中庭の掃除と倉庫の片づけ、および新歓の出し物の片づけの手伝いをしてもらうわね。それと、とある部活の雑用をやってもらうわね」

岡崎「前者は他の教師の印象をよくするためだよな?……だけど、後者のはもしかして」

さわこ「けいおん部の事ね。岡崎は昨日いたし知ってると思うけど…今けいおん部、メンバー不足で廃部になっちゃいそうなの」

春原「あん?なんの事だよ岡崎」

岡崎「野暮用があっては昨日けいおん部に顔出したんだ」

春原「……ふーん。部活に?お前が?」

岡崎「……」

春原「なるほどねぇ」

岡崎「…こっち見てんじゃねえよ」

さわこ「話を戻すわよ。あんた達にはそこの新部員勧誘と、あと、新歓ライブの機材運びの手伝いをしてもらうわ」

春原「学校の手伝いをするのはいいけどさ。何で僕までそんな一つの部を手伝わなきゃいけないのさ」

さわこ「あら、私がけいおん部の顧問だからよ。あんた達、一年二年の頃さんざんわたしに世話になったんだから、こっちも手伝ってもらうわよ」

春原「え~…でも僕ら、好きで世話になったんじゃなくてそっちが勝手に……」

さわこ「ああぁんっ!?」

本性をついに出してきやがった。
この人の眼力には目を見張るものがある。

春原「やります」

岡崎「…そもそも昨日の時点で俺はやるって約束しちまったからな。俺もやるよ」

春原「…約束?…ふーん」

岡崎「だからこっち見んなよ。その目ん玉くりぬくぞ」

春原「…想像しただけで痛いんでそういう事言わないで下さい」

さわこ「それじゃ、早速けいおん部の手伝いと、その他もろもろ雑用よろしくね」

岡崎「その他の雑用って何があるんだ?」

さわこ「さっき言った中庭の掃除と校庭のゴミ拾いetc。ま、それは新歓終わってからでいいわ」

岡崎「……まずはけいおん部の手伝い…か」

春原と……か。
面倒な事になってきたな…果てしなく不安だ。

さわこ「…それじゃ、他に質問もないわね早速音楽室いくわよ」

岡崎「なあ、あんた本当は俺達を自分の部のパシリにしたいだけなんじゃないのか」

さわこ「おほほ、そんな事あるわけないじゃない」


春原「……」

岡崎「…どうする?」

春原「どうする?ったって、やんなきゃまずいならやるしかねえし……」

俺としてはこいつの手伝いは不安にしかならないので辞退してくれても構わなかったのだが…

春原「は~…だるいなぁ……それじゃ、行くか。音楽室でいいんだよね」

岡崎「……はぁ」

_______________________________

さわ子「みんな、やってるぅ?」

ガラッと音楽室の扉を開き、手馴れた様子で部室の真ん中にある椅子に座るさわこ先生

梓「あ、先生…と岡崎君に……えっと?」

純「あ、岡崎本当にきた。…って、え!?…春原もいる!?」

さわ子「今日から晴れて私のパシリのAとBよ。岡崎だけじゃ人手足りないでしょ?梓ちゃんは明日の新勧ライブへの練習で忙しいだろうし、この二人にチラシ配りと明日の機材運びは手伝ってもらうことにしたの」

春原「…ふん」

さわこ「というわけで、新部員獲得に向けて気合いれてよね、あんたたち。ここ、最低でも1人は新部員入らないと廃部だから」

岡崎「斉藤じゃ駄目なのか?」

さわこ「無理やり入れるのもどうかと思うしあの子はまだ未定なのよ。入ったとしても、人数は多い方がにぎやかでいいじゃない?」

岡崎「…そりゃまあ…そうなんだろうけど」

春原「……」

純「……」

憂「……」

梓「……」

音楽室の空気が地味に重い。
部長もなんだか困惑気味に俺と、特に春原の様子をみている。

梓「……えーっと?」

菫「あ、岡崎せんぱーいっ!」

ただ1人、その空気を破壊してパタパタと小犬のように近づいてくる女子生徒がいた

岡崎「ああ、斉藤。きてたのか」

菫「鈴木先輩に捕まって…」

ぐすんとなみだ目になりながら何かを訴えかけてきている

純「たはは、菫のいれるお茶美味しいからついね…。見つけてつれてきちゃった」

なんと哀れな…。
日本の年功序列社会の理不尽さの暴力だ。

梓「……岡崎君と……あと、そっちは名前なんだっけ?」

春原「あん!?春原だよ春原っ。覚えとけよな…っち」

梓「!?」ビクッ

純「な!?あんたその態度は何よっ!?」

いつものことながら春原の非友好的態度は絶好調だった
…こんなんでやっていけるんだろうか

梓「…それにしても、同じクラスの金髪の人が春原君だったんだ……色々噂は聞いてるけど」

岡崎「ああ、それはとんでもない耳汚しを……」

春原「なんだとぉっ!?」

純「てか、そもそも春原の悪い噂には基本岡崎もセットでなにかやらかして……」

ギロリ

純「ふえぇ…」

梓「純も相手選んでものいいなよ……」

なんだかぐだぐだだ…。

憂「それにしても……岡崎くん、本当に来てくれたんだね」

岡崎「ん?…ああ、まあ、先生と色々話した末に、やっぱり手伝うことになった」

憂「本当!?」

平沢は両手を合わせて喜びを表している。

純「……しかし、追加の助っ人が春原とはまた…」

春原「あん?そこのマリモツイン。文句あんのかよ」

純「ま、マリモツインっ!?なんですとぉっ!?」

憂「まぁまぁ、純ちゃん。せっかく手伝ってくれるんだから感謝しようよ」

純「うぐぐぐ………反対っ!こんな口の悪いのが部にいると思われたら誰も来ないよっ!」

春原「おうおういいねぇ!手伝わないで済むなら僕もそっちのほうが楽なんだけ……」

ぼかっ

春原「ど…っていってぇっ!」

さわこ「春原、あんたはもう黙ってなさい」

春原「…はい」

純「うわぁ…男のくせに情けな」

春原「ああん!?」

さわこ「もう死んでなさい春原」

春原「………あ、ああん」

弱者に強く強者に弱い春原の姿は情けなかった

梓「ねえ純。純は悪く言うけど教室じゃこの二人、特に問題起こしてないよ?そりゃ、遅刻はしてるみたいだけど」

チラリとこちらに視線をやる中野。

さわこ「ま、この2人に色々あったのは本当。でも、根は悪くない奴らだから平気よ。私には逆らえないし」

岡崎「おい」

さわこ「ま、だからこきつかってやって」

純「う~本当かなぁ…。…怒らせたら襲われるかも……こわっ」

春原「てめえ……さっきから好き放題言いやがって…」

岡崎「その通りだ。こいつはともかく俺はそんな事はしない」

春原「僕だってしねえよっ!?」

しかし、どうしたもんだろう。
なんだかあまりよろしくない空気だ。

さわこ「あんた達、まずは自己紹介しなさい。岡崎ももう一回ね。それで、それやったら各々のやることやって今日は解散。いいわね?」

純「先生が言うなら…従いますけど」

梓「異論ないです。早く私も明日の新歓ライブの練習しないと」

部長はやる気を見せている。

……斉藤を除けば部員は3人の全員女子
こんな俺達でも、駆り出された理由は、この人手の足りなさからなのかもしれない。

岡崎「それじゃ改めて。岡崎朋也だ」

我ながらなんてつまらない自己紹介だろう

春原「…春原陽平」

岡崎「へたれ担当だ」

春原「余計なこと言わないでくれませんかねぇ」

憂「それじゃあ次は私から……平沢憂です」

純「えーっと、楽器は…多分ギター?かキーボード?しっかりもの担当です」

何故か鈴木が解説を始めた

純「次、わたし。鈴木純です」

純「担当は……多分ベース?トーク担当です。次は……」

梓「中野梓です」

純「中野梓。この部の部長です。担当はギターと…ボーカル?突っ込み担当です」

岡崎「なんだ。その?は」

憂「実は私達、まだ楽器も名前も決まってないバンドなの」

……それは、大丈夫なのか?

純「あ、そうだ。斉藤さんも自己紹介しようよ。もう入部したようなものじゃん」

菫「え、ええっ?私まだそんなつもりじゃ……」

純「斉藤菫です。担当は後輩属性です。わたしの願望では楽器担当はドラムかキーボードです」

菫「あ、あのあのあのあの」

…なんとなく斉藤がこいつらを苦手にする理由がわかった。

春原「それじゃ、自己紹介も終わったしチラシ配りに行こうぜ。さっさと終わらせて帰りたいんだよね」

純「ちょっとちょっと、春原。あんたさっきからその態度はなんなのよっ」

春原「あん?このワイルドなスタイルが僕なんだよ。文句あんのかマリモ」

純「マリモっていうなっ!へタレっ!」

春原「僕のへタレ具合の何をしってんだてめえはっ!!」

へたれなのは認めている辺り情けなさすぎた。

憂「まあまあ純ちゃん。ほら、春原君もやめよう?」

純「…うぅ、憂ー、あいつ嫌いー」

春原「っけ」

岡崎「おら、春原、さっさと配りにいくぞ」

春原「へん…わかってるよ」

憂「…それじゃ、純ちゃん。私達も一緒に配りにいこ?」

純「ええー…春原と行くのはいやだよー、わたしは梓の歌の練習みてるー!」

憂「もう…しょうがないなぁ……。梓ちゃん、先生、それじゃ行ってきますね」

純「憂、気をつけてね。春原に襲われそうになったらすぐ携帯に電話するんだよ?」

春原「…だから僕を獣みたいに言わないでほしいね」

岡崎「全くだ。獣に失礼だよな」

春原「僕獣以下っすかっ?」

岡崎「当たり前だ。食物連鎖の最下層生物、それ以下の以下がお前だ」

春原「それもう存在してないレベルですよねぇっ?」




さわこ「…ちょっと、心配になってきたわ」

_______________________

岡崎「それで」

岡崎「なんでお前までついてくるんだ?」

俺達の後ろをついて歩く斉藤に問いかける。

菫「…だって、あのまま一人残ってたら純先輩に強引勧誘されて…断れなくなっちゃいます」

岡崎「入ればいいじゃないか。お前の姉さんだってそれを望んでたんだろ?」

菫「でも私は…音楽に興味がないんです」

岡崎「そりゃまた…えらく言い切るな」

菫「流行りの曲は聞きますし、好きなアーティストだっていますよ?でも、自分でやるとなると…」

岡崎「まあ、普通はそうだよなぁ」

俺もバンドやってる奴らの気持ちなんてわからない。
わかろうとも思わない。

春原「なあ、さっきから何の話してんのさ」

説明するのも面倒なので無視する

岡崎「平沢、それでさ、このチラシどこで配ればいい?」

憂「えっと……玄関前と、校門の前とかが人が集まるしいいかな?」

春原「岡崎ぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」

岡崎「……」

春原「無視……しないでくれよぉっ……」

岡崎「泣くな、きめえよ」

春原「あんた本当に血も涙もないっすねぇ!?」

岡崎「あるよ?お前のためには1滴だって流さないだけだ」

春原「よけいひでえよっ!!」

菫「ぷぷっ…」

春原「斉藤も笑うなっ!」

憂「……2人とも、それは仕込み無しでやってるの?」

春原「…あん?はは、たりめえだろ。僕のアドリブ力なめんな」

岡崎「舐めたら舌の先から腐っていくから気をつけろよ」

春原「意味ちげえよっ!?」

憂「ぷぷ……」

春原「平沢まで笑うなっ!」

憂「ご、ごめんなさい……」

岡崎「こいつの顔見て笑うなとか無茶いうなって話だよな」

憂「あははっ!…あ…ご、ごめんね、春原君っ!」

春原「岡崎ももう黙ってましょうねっ!」

.
.
.
.
.


岡崎「それじゃ、俺と春原で校門で配ってくる。お前らは玄関のとこで頼むな」

憂「はーい」

菫「わかりました」

春原「っけ!さっさと配っちまおう」

岡崎「ああ、そうだな…」

_________________________

けいおん部です
よろしくお願いします
よろしくお願いします

………

………

チラシを配る事20分、後少しでノルマの数を配り終えられる。
バイトでチラシ配りをした時は通りすがる人々のあまりにも冷たい態度にまいった事もあった。
が、校内でのチラシ配りはなんと楽なことか。

…それでも、同級生等の奇異の目だけは相も変わらずうっとおしかったけどな。

………

………


春原「でもさ、本当にどうしたのさ」

もうそろそろ全てが配り終わる、といった所で春原が不満そうに話しかけてきた。

岡崎「ん?何がだよ」

春原「とぼけんなよ。岡崎、基本的に誰とも関わらなかったじゃん。…それなのに、あの平沢って子といい、斉藤って子といいなんで
仲良くしてるわけ?」

岡崎「………」

春原「斉藤はまだわかるさ。新入生で可愛いし、言う事何でも聞いてくれそうだし、男なら放っておくなんて無理な話だよね」

やけに褒めるな。こいつの琴線にふれるものでもあったのだろうか。

春原「何よりも、同じ金髪仲間として好感度MAXだよね。ははっ」

そんな理由でかよ…。

春原「男なら、あれだけレベルの高い女子いたら挑戦したくもなるよ。まあ、岡崎の初挑戦がエベレストなのは
どうかと思うけど、あれだけ立派な二つの山があったら登りたくもなるよね」

…なんてアホな例えなんだ。

春原「…なにより、あの子は部活入ってるってわけでもないみたいだしね」

岡崎「…~っ!」

春原「でもさ、平沢はどうしたのさ。ああいう、真面目でいい子ちゃんで、部活もこれから頑張ってこう~って奴なんてさ」

春原「僕らが一番嫌うタイプの子じゃなかったっけ?」

岡崎「………」

…考えても、自分でもよくわからなかった。
いい加減認める。俺は平沢の事をよく思ってる。
でも、だからといって胸の中にあるもやもやとしたこの高校の生徒等に対する劣等感や嫉妬等の気持ちは今もくすぶっている。
だけど……

岡崎「あいつはさ、違うんだよ」

結局そんな曖昧な言葉でしか俺のあいつへの思いをあらわせなかった。

春原「惚れたわけ?」

岡崎「違う。なんですぐそういう惚れたはれたの話になるんだ」

春原「…ふ~ん」

含みのある笑いをむけてくる。最近のこいつはこんな顔ばかりだ。
ああ、面倒くせえ。そんなんじゃないってのに。

休憩に入る。
続きは今日中にはまた投下する予定。

数分ほど経つと両手に持っていたチラシも配り終わった。

それと同時に平沢と斉藤が校門までやってくる。

憂「あ、そっちも終わったんだね?」

岡崎「ああ、こいつのオーラのせいでお前らより時間かかっちまったみたいだな」

春原「岡崎にびびって離れてった奴もたくさんいただろっ?僕だけのせいにするなっ」

岡崎「………」

これは本当の事なのでなにも言い返せない。

憂「あはは……」

平沢もなんだかぎこちない笑顔を浮かべている

菫「お、岡崎先輩っ」

岡崎「なんだよ」

菫「私は話しかけることっ!出来ましたっ」

両手を握り締め前面にだしぐっとポーズをとった

岡崎「…だから、なに?」

菫「え、ええと…大丈夫ですっ。岡崎先輩、怖い人じゃないです」

よくわかないが斉藤は必死に俺に言う。

岡崎(というか…なんで俺は年下に励まされてるんだ)

岡崎「いや、へこんでないから」

菫「…そうですか?」

岡崎「ああ」

岡崎「………」

ぼかっ

春原「いてえっ!なにすんだよっ!?」

岡崎「お前が余計な事いうから2人とも気を使いはじめちまったろ」

岡崎「よって殴られの刑に処す」

春原「異議ありっ」

岡崎「なら死刑だ」

春原「反論しただけでかよっ!?重くなりすぎだっ!!」

憂「あ、あはは……」

______________________________________________

四人で音楽室に戻るために廊下を歩く。
……俺に春原、平沢に斉藤の集団は周りから見たら相当変な集まりに見えるのかいつもよりもさらに通り際の生徒の視線が突き刺さる気がした。


岡崎「なあ、平沢」

憂「……」パアッ

俺が声をかけると平沢は嬉しそうに笑った。

岡崎「……なんか、うれしそうだな」

憂「だって、岡崎君がまた話しかけてきてくれたんだもん」

岡崎「…それは…。じゃなくて」

岡崎「新刊ライブ、三人で何やるんだ?音楽室、ドラムもないしどうすんだよ。ジャズ研にでも借りるとか?」

憂「えっとね。私がオルガンでメロディを弾いて梓ちゃんがギター、純ちゃんがベースで去年までいた先輩達の曲をやるつもりだったんだけど…」

岡崎「…それだと凄く地味でしかも中途半端だな」

憂「あう…はっきり言うね…。でも、そうなの。どうしようか決まってなくて…」

岡崎「せめてボーカルとドラムはなきゃけいおん部って感じは出せないと思うんだが」

憂「うん。だから梓ちゃんをギターボーカルにした方がいいかな?って思って今本人が練習中」

岡崎「色々大変なんだな…。部長は歌上手いのか?」

憂「……そういえば、一緒にカラオケ行った事なかった」

意外だ。女子高生が遊びにいく場所のイメージとして初めに浮かぶ場所なんだが。

岡崎「けいおん部なのにか」

憂「うーん、私も純ちゃんも実は新入部員みたいなもので」

岡崎「?」

憂「実はね…」

岡崎「…・?」

………

………

憂「という訳なの」

岡崎「……そっか」

どうやら平沢と鈴木は今年の春から一人ぼっちになった部長を助けるためにけいおん部に入った訳で、以前からいた正規の部員は部長だけだそうだ。
と、いってもこいつも鈴木も元々けいおん部だった奴らと仲がよく、楽器も出来るらしい。

岡崎「…それじゃ、廃部させたくないだろうなぁ…部長も」

____________________________________________

その後、音楽室まで続く廊下を春原とだべりながら歩き、目的地までついたので扉を開けた。

のだが……

純「……」

梓「……」

さわこ「……」

岡崎「なんだこの雰囲気…」

春原「何かあったの?」

純「う、憂…どうしよう」

顔を真っ青にして鈴木が頭を抱えている

純「あ、梓が……梓が……」

岡崎「部長がどうかしたのか?」

梓「………」

当の中野本人はギターを抱きしめて部室の隅で縮こまっていた。
何か問題でも起きたのだろうか。

純「梓が……」

純「超、音痴だったっ!!」

                __
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       l::::::l::::::|:i::::l:::::l:/  l:::::::::::::}ハ::|:::::::::li::::::l  梓「…」グサッ
        !:::::lヽ:::!:!::::!:::::!--‐'!:,::::::::/ー|::|:::::::::!l::::::l
     |:::l  `!:|::::l、:::|  、 lハW, - l/|::::::/ l::::::l
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さわこ「まいったわねぇ。先代は唯ちゃんと澪ちゃん2人で歌ってたから、他の子の歌聞く機会もなくて知らなかったけど……ここまでとは」

梓「……」

部長は気丈な奴だと思っていたが、意外にも豆腐メンタルなのだろうか。
先ほどから言葉が一言もでないようだ。
……もしくは、気丈な奴でも恥ずかしさでこんなになるレベルで酷い音痴なのか?

岡崎「なあ、ならとりあえず歌ってみてくれよ。俺と春原は音楽に関しては素人だからリアルな観客の声を提供できるぞ」

春原「ふんっ。ボンバヘ以外を聞くのなんていやなんですだけどね。しょうがねえから聞いてやるよ」

といいながらも春原はニヤニヤしている
こいつ…音痴な部長を見て笑いたいだけなんじゃ…。

梓「…そ、それじゃぁ」

気を取り直したのか部長は頭をぶるぶるふり、その後深呼吸して体の調子を整えている

                <´ ̄ ̄ ̄`>、
          /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
          ′:::::::::::::i:::::::::::::::: !:::::::::::::`、
         i::::::l::::::::::::|:::::::::::::::::ト、::::::::::::::::.
       /|:::: |:::::::: ∧:::::::::::::::| ∨::::::::::::',     「聞いてもらっていい…かな。曲名は、【ふわふわ時間】です」                       
.       /:::: |:::: |:::::: /ヽ∨::::::::: !/∨:::::::::::ト、
.        |::: : |:::: |:::::/ __ ∨:::: : |´  Ⅵ::::::: |:∧
.        |:: :: |Ⅵ{: /イc:心∨::},/ ん心マ:::::: !:::∧
.        |:: :: | (/:::|`乂しソ }/  弋_ソ }:::::: |:::::: i
.        |:: :: | |:::八  ゛゛    ,    ハ::::: |:::::: |
        八::: ! ∨::∧   、   ,   ′:: 八::::::|
.       / .|:: |.  ∨::::|\      /}::::: / ∨::|                 {}{}{} {} {}{}
      /  |:: |  /∨: !‘,>─≦´{.:/:::::/  .}:: ト、            厂 丁丁 ̄{
.     ′  |:: |/.:.:.∨|.:∧ \xイ .|,′∧  .|::::|∧            }_|//廴ノ
     i    |, ´.:.:.:.:.:. V.:.:.∧ y介、/{:::::{.:}ハ  .|::::|::::|             _x≦}//
     |   ./.:.:.:.、.:.:.:.:.:.:.L__.:.∨/ jト、)乂/.:}}∧...|::::|::::|          _x≦ニ≫一'
        |.:.:.:.:.:.\.:.:.:.:..:/.:.:.乂/{ ハ.:.:.:..:}:}.: ∨::/! ::!      _x≦三:≫´
        |.:.:.:.:.:.:.:. \.:. |\\ {∨:/〉:.:.:.:}:}.:.:.:∨ {::::|   _x≦三=≫´
        ∧.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ヽ|.:.:.`マ\//.:./ ̄`7:.:厂ヾ|_x≦三三≫´}
.      /::∧.:.:.:.:.:.:.:.:.: : ト、.:.:.:.:\{0/   /:.:/:. _≦三三=≫{ ト-'
     /: / ∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:∧.:.:.:.:./    ./.:.;x≦:三三_≫´}_/ノ
.    /:::;′  Ⅵ.:.:.:.:.:.:.:.|.:.:.|.:./ _厂\ムイ三三ニ≫´:.:.:フ´
   イ:::::i   /::∧.:.:.:.:.:.:j.:.:.j───-<ヘ三三三≫´|‐一 ´
.  /{::::: |  ./::/ィ∨.:.:.:.:.:.:´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.} }三_≫´ /: ′
  / !::::::| //  ∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.;ムノ≫´   /:/
 ′ .!::::::| !′   ≧=─一 ´ ̄ ̄   {__  /:/

. i  八::::::、.|       /{丁/      /}  У
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. 乂_, ..|八_    .乂//<=/_ ,イ! |_|
      |/oマ \     /<=/ / / l_j/

憂「梓ちゃん、頑張って!」

純「梓……その、頑張ってね…」

平沢と鈴木が部長を応援している。…一体どのような歌声聞けるのだろう。

…それにしても…随分独特な曲名だな。

.
.
.
.
.


ノリのいいリフが部長のエレキギターから波のように発せられる。
素人耳ながらも中々いい音を出している事がわかった。
なんだ、ギターの腕ならなにも問題はないじゃないか。

問題は……

梓「君を見~てるといつも~ハートドキドキ~~~~~~~~♪」

歌唱力だった
完璧なまでに駄目だった

音程はめちゃくちゃに高くなったり低くなったり、ギターのリズムと歌声がまるでシンクロしてなかったり、
それなのにギターだけは完璧というギャップがギャグにしか見えない光景を生み出している

……俺は、笑いをこらえるのに必死になってしまった。

ふと隣で聞いている春原を見る。
こいつのことだから一生懸命歌っている部長の気持ちを無視して罵声を飛ばしてしまうかもしれない。
それだけはいくらなんでもいけない。
そうなったらとめなくては。
…っと思っていたんだが……

春原「……ぐすん」

春原はなんと泣いていた!

感動して泣いたという可能性は限りなく低い
おそらく、こいつが泣くほどに同情してしまうレベルで、部長の歌は凄まじく下手くそだった

梓「~~♪」

それにしても
ここまでとは想像していなかった。
.
.
.

菫「ジャイアンリサイタル…?」ボソ

岡崎「~っ!」

あやうく吹きだしてしまうところだった。

_____________________________


そして、嵐のような4分間が終わった

梓「ど、どうも、ありがとうございました」

部長が遠い目をしながら挨拶をする

岡崎「……」

春原「……」

斉藤「……」

憂(そういえば梓ちゃん、お姉ちゃんと弾き語りしてた時もあんまり…うまくなかったけど…ソロだとここまで酷いなんて)

しん……とした静寂が辺りを包む。

……誰か、部長に声をかけてやってくれ。

梓「……ぐすん、あははは、わたしって……音痴だったんだね…」

空気に耐えきれなかったのか部長が崩れ落ちた。

憂「あ、梓ちゃん!」

平沢が中野の両肩に手を乗せ励ましている、がそれも今の中野には届かない

梓「弾いて歌うのが、こんなに難しいなんて思わなかった……もう、唯先輩の事叱れない……」

唯というのが誰かはわからなかった、が、恐らく先代の先輩だろう。

春原「ははっ。ギター弾く弾かない関係なしに壊滅的なまでに音痴なだけっしょ」

梓「……やっぱりそう…だよね」

梓「…あはは…自分ではね、わたし、大丈夫かな?とか思ってたんだ……自分では……」

部長はずーんと、どんどん負のスパイラル思考に陥っていった

純「このあほーっ!!!」

ばしぃっと鈴木が春原を叩く

春原「なにすんだっ」

純「あんたどんだけ空気読めないのっ!?」

春原「あんだとおっ!?」

純「梓の気持ち考えろっ」

春原「はんっ、他人の気持ちなんてわかる訳ないだろっ?」

純「せめて気遣いぐらいはしろっ」

春原「っち…へいへい」

岡崎「……でも、これはまずいんじゃないか」

楽器こそ完璧だが、この歌声では明日部長は一生ものの黒歴史をこの学校に刻むことになる
それはあんまりだ。
それに、これを聞いて新入生達がけいおん部に興味を持つかは置いといて、入りたいと思うだろうか。
…思わないだろう。
でも、だからといって、辞退したら宣伝の場がなくなる。

さわこ「うーん、こうなったら憂ちゃんか、純ちゃんにボーカルを任せるしかないかしら」

純「ええっ!?む、むむむむりですよっ。あたしなんてっ。大体歌詞とか覚えられないし、恥ずかしいし…」

憂「うーん、ボーカル…ボーカル…かぁ……」

二人してうんうん悩んでいる。
明日が本番なのにこんなんでこいつらは大丈夫なのか?

________________________
.
.
.

あれから10分。
いまだにどうするかの議論は続いているのか平沢と部長と鈴木は三人で話しあっている。
結論が出るまで待つのもどうかと思ったのでそろそろ帰ろうとしたのだが……。

菫「先輩たちも食べませんか?」

斉藤が俺と春原に紅茶とケーキを出してきた。

春原「えっ?なにこれ、超デリシャスな匂いするんですけどっ!」

慣れない洋風のカップとそこから香る紅茶の匂いに春原は感動と興奮を覚えている。

菫「私のお姉ちゃんが持ってきていた紅茶と、…わたしが作ったケーキです」

岡崎「け、ケーキなんてわざわざ作って持ってきたのか!?」

菫「はい、昨日先生が持ってきなさいっていってたから……それで一応…」

岡崎「あんた、生徒になにやらせてんだ」

さわこ「ち、違うのよっ!まさか手作りが来るなんて私だって思ってなくて……」

先生は斉藤の家が琴吹家と同じ住所なことを知っていた。
なので、前年度の教え子と同じく斉藤もただでもらい物のケーキや茶菓子を持ってきてくれるのではと期待し昨日の


さわこ「明日からムギちゃんのようにケーキとかお菓子を持ってきてくれればなおグーよ」


という発言に至ったらしい。

が、斉藤家はあくまでも執事であり、斉藤は仕える相手のもらい物のケーキやお茶菓子を持ってくることなど当然出来ず、わざわざ自分で作って持ってきたそうだ

_____________________________________


春原「もぐっもぐっ!う、うめえっ!このケーキ美味いぞ岡崎っ」

岡崎「…おい、食べながら喋るなよ…うわ、こっちにつば飛んできた」

岡崎「…ったく」

春原に続いてこちらも一口食べる。


岡崎「………これは」

菫「ど、どうですか?」

岡崎「う、うまい……」

甘いものには男の癖にうるさい方なのだが、
文句なしの、店で売って金がとれるレベルの美味さだった。

.
.
.


憂「それじゃぁ……明日は私がやろうかな」

そして、斉藤のケーキに夢中で喰らいついてるうちにあちらもボーカルが決まったようだ。

梓「ほ、本当に!?いいの!?…でも、嬉しいけど…憂って歌、うまかったっけ?」

憂「えっと、お姉ちゃんには上手いって言われた事あるけど…どうなんだろ」

純「あ、それじゃあさ、梓の弾ける簡単な曲で憂が歌えるのとかないかな?それで審査してみようよ」

梓「えっと…それじゃあ…」

がやがやがや


岡崎「向こうは難航してそうだな」

春原「でも、平沢が何か歌うみたいだよ。これで部長レベルだったら面白いんだけどねぇ」

岡崎「流石に笑えないぞそれは」

休憩する。


あずにゃん可愛すぎ

乙にゃん


ハイペースで読みやすいな

vipでやってたやつか
落ちたと思ってたらここにいたか

支援

>>212
>>213
>>214
ありがとう

>>215
vipから継続してみてくれてる人がいるのは嬉しいっす
ありがとう

………

………

………

岡崎「それで?何を弾くんだ」

梓「ちょっと季節外れだけど…弾くのも歌うのも簡単だから、powder snowを」

春原「powder snow?聞いた事ないなぁ」

岡崎「あ~…っと……確か緒方里奈がカバーしてた曲でそんなのがあったような…」

憂「曲自体はもう10年以上も昔に出たんだよ。最近はそのカバーでまたちょこっと有名になったんだ」

緒方理奈。

天才ミュージシャン、緒方英二の妹
緒方プロダクションの看板であり、音楽祭で「sound of destiny」を歌い、優勝経験のある実力派のアーティスト
最近では国外でも人気が出てさらにブレイクしている。
確か、アルバムもこないだ出てたはずだ。

さわこ「懐かしい曲ねぇ…。私も振られた時なんかに聞いてたわぁ」

春原「ははっ!A○Bの総選挙の結果くらい必要ない情報だね」

岡崎「そういう事はファンに失礼だからいうな」

さわこ「あんた達ねぇ…」

梓「それじゃ憂、いくよ」

憂「うん…。みんな、聞いてください」

憂「powder snow です」

………

………

powder snow か……。
どんな曲だったっけ?俺が知ってるのは緒方理奈の……
http://www.youtube.com/watch?v=viHUpl3X1Gk
これだったけど……
※水樹奈々ver

これを平沢が歌うとどうなるんだろう。
てか、弾き語りになるとこの曲、どんな感じになるんだろうな。


憂「粉雪が空から~♪」

憂「いくつも降り注ぐ~♪」

http://www.youtube.com/watch?v=eRnuhEkiejI
※米澤円 ver

………

岡崎「……」

春原「……」

斉藤「……」

さわこ「…驚いたわね」

純「……」

憂「あ。…えっと、もしかして…駄目…だったかな?」

岡崎「駄目っていうか……」

春原「…神がかってる?」

純「憂…本当何でもできるんだなぁ」

憂「ええと…それじゃあ?」

梓「憂!!……すっごいよかったよ!!!」

憂「!?」

梓「これなら大丈夫、明日のボーカルお願いしていい!?」

憂「う、うん。私頑張るねっ!」

梓「憂ありがとう~っ!」ギュッ

憂「でも…キーボード弾きながらは歌うのは無理かも」

純「そうなると私がベースの梓がギター。憂がボーカル?」

岡崎「…果たしてそれはバンドと言えるのか?」

純「う…確かに」

梓「打ち込みには頼りたくないし、そもそも明日までに打ち込み完成させるなんてどう考えても間に合わないし…」

純「…いっそ、梓がギターで憂がボーカルの二人だけの方がいいかもね。へんにベース混ぜるよりかは」

憂「そうかなぁ。私は純ちゃんも一緒で三人でやりたいけど」

純「私はやってもやらなくてもいいよ。どちらかと言えば見栄えの問題でやんない方がいいと思うけど…ってか、いっそもうpowder snowやって終わりでいい気がしてきた」

憂「うーん…どうしよっか」

純「そうだなぁ…ねえ、そこの馬鹿二人」

岡崎「……」

春原「……」

岡崎「呼ばれてるぞ」

春原「馬鹿は岡崎もだろ」

純「自覚あるならさっさと返事してよね…」

酷い扱いだ。

岡崎「…なんだよ」

純「今からベースありとベースなしで梓が歌ってたふわふわ時間演奏するから感想よろしく」

拒否権はなさそうだ。

岡崎「わかった。素人意見でいいなら」

春原「僕の判定は厳しいよ?」

純「よし、なら最初はベースありバージョンでいこっか。ほら、梓も憂も準備して」

憂「え?またここで歌うの?」

純「うん。明日本番なんだし間に合わないじゃん」

梓「…純の言うとおりかも。憂、早速あわせよ」

憂「そうだ。梓ちゃん、私ふわふわ時間の歌詞全部覚えてないよ。歌詞をメモ帳に書いてもらっていい?」

梓「あ、そっか。わかった。ちょっと待ってて」

_____________________


………


………


………


憂「それじゃ、改めて…ふわふわ時間です」

改めて、そのネーミングセンスはやっぱりおかしいと思った。

………

………

………

そして、三人の演奏が終わった。

梓「…どう、だったかな?」

岡崎「………」

春原「………」

岡崎「なんつうか」

春原「うん」

岡崎「平沢、歌上手いな」

春原「だね」

純「一緒に演奏した私達もビックリかも…」

梓「憂って本当に何でもできるんだなぁ……私何だか惨めになってきた…」

憂「あ、梓ちゃん落ち込まないで!ギターは梓ちゃんの方が全然上手いし!」

梓「ありがとう、憂。…でも憂が本気でギターやったらすぐに抜かれる気がするのは何故?」

憂「梓ちゃん…そんなに落ち込まないでよぉ…」

純「そこの二人、ほら、さっさと次の演奏の準備をしてよ!」

憂「はーい」

梓「うん!」

そうして今度は二人verのふわふわ時間をきくことになった。

………

………

………


梓「え…っと、どうだったかな?」

岡崎「…見栄えは二人のがいいな。なんだか駅前とかにいそうなコンビに見えた」

春原「ベースの音聞くとどうしてもドラムの音が欲しくなるしねぇ…。こっちのがいいんじゃない」

さわこ「…そうねぇ。新入生に部活のピンチアピールをして誰でも入れる空気を出すなら三人でちょっと不完全なくらいの演奏するってのもありだと思ったけど…」

憂「ねえ、斉藤さんはどうだったかな?」

菫「え!?わたしですか!?」

憂「うん。新入生の子の意見は一番重要だと思うから」

菫「えっと…先輩達、皆素敵でした」

梓「ほ…本当!?」

部長がとびっきりの笑顔で喜んでいる。
斉藤の言葉がそれほどに嬉しかったのだろう。

菫「わ、私は三人でやってた方が音に厚みがあっていいと思ったんですけど…」

憂「そっかぁ…」

菫「は、はい!…しゅ、主観ですが…」

憂「……」

梓「…それじゃ、三人でやろっか」

憂「そうだね」

純「ってええ!?そんな簡単に決めていいの!?」

梓「だって、斉藤さんがそう言うんだし…」

憂「それに、やっぱり私も三人でやりたい…かな?」

純「……そうだね。今のけいおん部はこの三人だし三人で出来る演奏にしよっか!実は私も本当は舞台に立ちたかったしね!」

憂「うん!!なら明日は三人で!」

梓「頑張ろっか!!」

_____________________
その後は三人が明日に向けて練習を始めたので俺と春原は帰る事にした。

夕暮れに染まる廊下を春原と2人で歩く。

春原「……しかし、なんだか危なっかしい連中だったね」

…あいつらもお前には言われたくないと思う。

春原「なんか、この高校の生徒とは思えなかったね。ゆるい空気、流れてたし」

岡崎「…そうだな」

思えばあの音楽室は不思議な場所だった。
元は斉藤の姉さんの私物、らしいティーセットや冷蔵庫の数々。
根はみな真面目なのだろうけど、どこかふわふわした部員3名と謎のおまけ1名。
そして顧問は俺達を二年以上きにかけてくれているさわこ先生。
それらが集まっていた部室。
思えば全く不思議な空間だった。



でも、
それだからこそ
俺は、あそこにいるのが少し辛かった。

胸の底にある嫉妬心。
あいつらはそれを向けるべき相手じゃないのはわかってる。
それでも、今日平沢達3人が見せたミニライブは俺にとっては眩しすぎて、眩しすぎて仕方なかった。

___________________________________________________

その後、家に帰り着替え、また今日も春原の部屋へと来ていた。

岡崎「なあ、春原」

春原「ん~?」

春原はベッドの上で雑誌を読みながら答える

岡崎「あいつら……なんなんだろうな」

春原「…どうしたのさ、いきなり」

あいつらでわかる程には春原もけいおん部の連中の事を意識しているのだろう。

春原「…まあ、悪い奴らじゃないよね。僕らの悪評知ってるみたいだけど、割と普通に接してくるし」

岡崎「……」

春原「なに?…もしかして、あいつらの事、気に入ったの?」

岡崎「…まさか」

春原「ふーん。そうですか」

岡崎「…なんだよ」

春原「あのさ、岡崎」

春原「あんな適当にやってる部の奴らでも、結局、僕らとは違うと思うよ?…岡崎はさ…」

岡崎「…んなの、わかってる」

春原「…なら、いいんですけどね」

__________________________________________________________
深夜の1時
もやもやした気持ちのまま自宅の前へと戻る。

冷たい風は、相変わらず体を芯から冷やし、
この場に立ち止まるのを厭わせる

けれど、だからといって中々家に入るという気にもなれない。

…まだ、一階の明かりがついてる。

最近はあの人はやけに遅くまで起きている。
しかも、家からはテレビか、ラジオだろうか。
その音が外にまで漏れて聞こえていた。
…不安だった。胃がちくちくと痛み始め、頭には気だるさが溜まり一気に重くなった。



岡崎「ただいま……」

返事はもちろんない。
居間からは、テレビの音がダダもれになり、耳にうるさく響く。

岡崎「なあ、親父。…テレビの音、でかすぎだ。もっと近所の事とか……」

渋々ながらも居間に顔をだし、注意をする。
が、居間に入った瞬間に顔が蒼白になってしまう。
部屋は以前にも増して思わず鼻をつまんでしまうほど、酒の匂いが密集していた。
そして、床にはアルコールで顔を真っ赤に染めた彼が倒れていた。

岡崎「親父……」

床に散らばった缶ビールと空の日本酒の瓶はいつもよりもさらに多い……

直幸「…………………」

岡崎「…………親父…」

直幸「…………」

岡崎「父さん……」

直幸「…………」

テレビとラジオの電源を消した。
家が、静寂に包まれた。
居間には声を返さない情けない姿の…
かつては……きっと俺の父だった人の……

岡崎「なんなんだよ……」

あんた、なんで……こんなになっちまったんだよ……

岡崎「………とうさんっ!!」

叫びはただ虚しく部屋にこだまする
でも、
叫ばずにはいられない

岡崎「なあっ!!…起きてんだろっ!?親父っ!!」

直幸「………すぅ…すぅ…」

酒に強く飲まれているのだろうか
何一つ反応さえしてくれなかった

昔の…あの頃だったなら……例え酒にのまれていても……


「親にむかってなんだその言葉はっ!」


て言ってくれたのに……


「暴言を吐くなと言っただろうっ!」



って…叱って……くれたのに……


岡崎「~っ」


もうこの人は何一つ俺に干渉してこない。きっと無関心だ。

だって……きっと……この人にとって俺は………

俺達の関係は、もう……



「~~~っ!!」

__________________________________________________________

4月9日 金曜日


岡崎「…………」

最悪の目覚めだ。
当然だ、昨日は……明け方に寝たばかりだから。
胸糞悪さが胸の中で膨れあがり、眠る事なんて出来なかった。
だからだろうか、頭の疲れもまるで取れていない。
顔からは寝汗が気持ち悪いくらいに噴き出している


あいつも、俺も、なんでこんな家にいる?

なんで、こんな関係が続いている?


岡崎「…くそっ」

考えたって答えがでないのはわかってる
今は、起きて学校にいく準備をしないと……

.
.
.


肌に貼りついたTシャツとパンツを強引に脱ぎ捨て風呂場に向かう。
出始めの冷水も設定温度になる直前の噴き出す熱湯も気にせず頭から思いっきり被った。

その都度、肌から受ける強烈な刺激が俺の思考を奪い去っていく。

…三年前
親父と俺は大喧嘩をした。
きっかけは大した事じゃなかった。
でも、不幸が重なって取り返しのつかない事態になった。

それいらい、親父は俺を


「朋也君」


と君づけで呼ぶようになり俺を叱る事も殴る事も成績を聞いてくる事もなくなった。

それは、家族が他人へと変わっていく過程。


岡崎「………」


………

………

~~~~~~~~~

「朋也」

「キャプテンっ!」

「よくやったな。岡崎」

「全国めざしていくぜ!?」


「ああっ!」

………

………

~~~~~~~~~~~~~

「推薦、決まったんだってな」

「…まぁな」

「よかったな。朋也」

「…ああ。……父さん」


………

………

~~~~~~~~~~~~~

「残念だが、君の肩はもう……」

「………嘘…ですよね?」

………

………

~~~~~~~~~~~~~

「朋也君」

岡崎「~~~~~~~~っ!!」

シャワーを浴びても浴びても、心だけはあの頃から帰ってきてくれない
帰りたかった、もうもどれないあの頃に

ただ前だけを向いていたあの頃に

岡崎「くそ……」



ふと、さわこ先生の言葉を思い出した。

さわこ「あんたたち、卒業やばいわよ?」


そろそろ、各授業への出席日数も計算していかないと、まずいかもしれない。
卒業はしたいから
せめて、前には進んでいきたいから
今は停滞しきった毎日だとしても……行かなくてはならない

________________________________________


憂「岡崎君…おはよう。遅刻は駄目だよ?」

教室へ入り自分の席に腰をかける。
すると平沢がニコニコしながらぺこりと頭を下げて挨拶をし、小言を言ってきた。

……だんだんこのやり取りが日常になってきた気がする。
だけど、その笑顔が今は辛かった。

岡崎「……ああ」

こいつは笑顔で俺に話しかけてくれるのに、あの人は…




「朋也、おはよう」

「父さん」

「父さん、おはよう」




「朋也君」


「ああ朋也君、今起きたのかい?」





どうして…。あの人は……あの人と俺は……。こんなにも……

憂「…岡崎君、昨日よりも反応が冷たいよ?」

不安そうな顔をしてこちらを覗き込んでくる平沢

岡崎「……そっかよ」

…だって、辛いことがあったんだ

憂「…昨日の夜、何かあったの?」


…あった。…だから、全部がうざいんだ


岡崎「別に、なにも……ない」


…嘘だ。それなら、こんなガキみたいなみっともない態度なんて取らない


憂「何か悩みがあったら聞かせて?わたしに出来ることだったら……」


岡崎「……話しかけないでくれ」


憂「……え、おかざ……」


岡崎「話しかけんなっ!」

憂「あ……ごめん…なさい」


岡崎「……」

…やってしまった。せっかく、こいつとは……友達になれそうだったのに。

昨日まで、仲良くやれてたはずなのに

周りの生徒は

「また岡崎がなにかやらかしたのか…」

という目で俺に沈黙という名の非難を浴びせてきている

教室が一瞬で静寂に包まれていく

最悪だ。平沢に嫌な思いをさせてしまった。

春休みの時とも、三年前の時とも同じだ……一時の感情ですぐに我を忘れて周りを傷つける。

もう、…何度目かもわからないのに、今日は……こいつまで傷つけてしまった。

……やっぱり俺は、どこまでも馬鹿で、ガキで、救いようがないままだった。

岡崎「……放っておいてくれ」


憂「岡崎…くん…」

ここまで突き放した態度をとっているのに、それを謝罪もしていないのに

それでも、こいつは

憂「……岡崎君、あのね」

…なんで、まだ話しかけてくるんだろう。

やめてほしい。普通なら、責めるとこだろ?

文句、言う場面だろ?

岡崎「……」

憂「ううん……なんでもない。ごめんね?」

完膚なきまでに会話を拒否する俺の態度に結局平沢は折れた。

…平沢は俺を責めもしなかった。
逆にそれが辛かった。

誰がどう見ても、俺が悪いのに。
いっそ罵倒してくれれば楽になれたのに……

岡崎(……は…はは……)

心の中で、自分のした最低の選択に自嘲を浮かべる。
平沢への後ろめたさ
ガキ過ぎる自分への嫌悪
それらの感情が、錘を揉み込むように心に突き刺さった。

____________________________________________________
.
.
.
.
.


自己嫌悪
負の思考のスパイラル
それらが頭の中をぐるぐるとめぐり、気分は最悪になっていった

そもそも…俺は元からそんな人間だった。
人付き合いをしているうちに、いずれこうなるのはわかっていた。
向こうが勝手に傷ついただけじゃないか。

俺は忠告したはずだ。ロクでもない不良だって。
そういう事を簡単に言ってしまう人間だって。

ああ……それでも……
それを知っていて、それでも何の用もないのに話しかけてきたのが、あいつだったんだ。
そんな奴、平沢しかいなかったんだ。


俺、これからどんな顔して音楽室に顔出せばいいんだろう。
けいおん部の手伝いはもう、春原に全て押し付けて、
自分には他の仕事を回してもらえばさわこ先生は納得してくれるだろうか。

きりーつ

ありがとうございましたー



四時間目が終わる。


憂「あの…岡崎君」

平沢は少ししゅんとした態度をとりながらも、なお話しかけてきた。

岡崎「………」

けれど、俺は黙ったまま

「もう話しかけるな」

という意味を視線に込めて平沢に返した。

が、それでも平沢はめげなかった。

憂「お昼、一緒に食べよ?」

手に弁当箱と思われる物をぶら下げて、にこりと笑ってあろうことか昼飯の同席を申し出た。

岡崎「…なんでだよ」

俺が、自分勝手でわがままで、人を傷つける言葉だって平気でいう奴だって、

わかってるはずだろ?

憂「仲直り、しよ?」

平沢がじっと俺を見つめている

岡崎「別に、そもそも喧嘩なんてしてない」

けれど俺はその優しい視線を受け止めることが出来ず、
ただじっと、床に視線をむけたまま平沢を見ることが出来ない、

だって、きっとこいつの顔を一度見れば理解してしまう

憂「なら、友達として、一緒にお昼食べよ?」

こいつがまだ、俺を見捨てないで、許して、

…まだ、手を差し伸べてくれることを。

この三日間でそういう事が出来る優しい奴だって

わかってしまうほど、こいつと話していたことも…

岡崎「……断る。そもそも、学食か購買いかないと俺は飯がない。だから、弁当のお前にはつき合わせられない」

憂「…それじゃ、これ」

岡崎「……?」

憂「朝ごはんの残りで作ったもう一つのお弁当。お昼代も浮くし、それに、料理には自信があるから、岡崎君にはお得な話だよ?」

岡崎「なんで、そんな都合よく弁当がでてくる」

憂「岡崎君、昨日も一昨日も購買と学食の方に行ってた。だから、今日もそうかなって思ったの」

憂「だから、作ってくれば、無駄にはならないってわかってたから持ってきちゃった。…同席してくれるなら、これをプレゼントします」

憂「あ、でもお弁当箱はちゃんと返してね?」

岡崎「……あのさ」

憂「…なあに?」

岡崎「……」

岡崎「お前、俺のこと好きなの?」

憂「……え、え………ええええぇっ!?」

岡崎「なんで、こんなに俺に構うんだ」

憂「あ、あと……えと…ら、likeの意味でなら、好きだよ?」

平沢は顔を真っ赤にして困ったようにしている。

岡崎「…そっかよ」

それもそうだ。loveな訳がない

……だって、こいつには東京に彼氏がいるんだから
大体、俺は、何を期待してたのだろう

憂「…岡崎君は?」

岡崎「へ?」

憂「岡崎君は…私の事、好き?」

岡崎(な……んなっ!?)

予想外の切り返しに言葉をつまらせてしまう。

…早く答えないと……こんな態度じゃそれこそ好きですといってるようなものじゃないか。

岡崎「……嫌いじゃない」

憂「そ、そっか」

岡崎「………」

憂「………」

憂「そっか………うん、それじゃあ、仲直り…しよ?」

岡崎「…なんでそうなる」

憂「だって、私達、お互いに好きだもん。なら、友達」

憂「だから、もうさっきの事も忘れて仲良くしよ?…はい、お弁当」

岡崎「……」

憂「岡崎君?」

岡崎「……」

憂「…私一人で食べたら太っちゃうよ」

岡崎「……」

憂「……」

岡崎「……昼飯代が浮くからもらうだけだ。それだけだからな」

憂「……」パアッ

憂「ありがとう。岡崎君」

岡崎「…ふん」

岡崎「……」

俺は黙ったまますっと手を伸ばした
こういうときは握手をする気がしたからだ

憂「…?」

きょとんとして首をかしげる平沢
こちらの意図が伝わらなかったようだ

岡崎「…あのさ、仲直り」

憂「あ…」

中々握手を求めている事に気づいてくれなかったため、強引に平沢の手を取って握手をした。

憂「岡崎君の手、おっきいね」

岡崎「…まぁな」

握手して仲直りなんて…いつ以来だろう
さかのぼれば小学生の時代までいってしまう気がする。

憂「ね、岡崎君。仲直りっていうのもあるけど、…改めて、これからよろしくね」

岡崎「…ああ、よろしく」

憂「うんっ!」

強く頷いて平沢は笑った。

…そうやって改めてお互いを認め合った瞬間

初めて、本当の意味で彼女の笑顔に触れることが出来た気がした。

岡崎「……」

憂「岡崎君?どうしたの?」

岡崎「…なんでもないんだ。弁当もらっていいか?」


………

………


………もう、三年間も認め合う事が出来ず、他人から家族に戻れないどこかの二人を嘲笑うかのように

和解の瞬間はあっさりとやってきた。

相手が平沢だったからこそ出来たのはある。
きっと、俺が出会ってきた人物の中で、彼女程出来た女性はいない…と思う。

…でも

こんな簡単なことが…
こんな、あっという間のことが…

誰にたいしてでも出来たのならば
今の俺と、今のあの人は…一体どんな関係になっていたのだろう

ちょいと休憩。
寝なければ今夜はもうちょっと投下します

書きだめって最後まであるの?
あるなら一ヶ月放置とかってのがなさそうで安心できるんだが

う・・うううう・・憂たそ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!おおお゛゛゛゛゛゛゛お゛お゛お゛お゛!!!!

これ結構長編になりそうだよな
結構楽しみにしてるから>>1は無理せず頑張ってくだしあ

もし、岡崎が憂の好きな相手が唯だと知ったらどういう態度をとるんだろう?
CLANNADの世界には同性愛はおろか、近親相姦(これは違うかな)を嫌悪していてもおかしくなさそうだし。

>>249
一区切りするまでの書き溜めはあるんで一カ月放置とかはないんで安心してくだせえ。

>>250
そういう反応実は超嬉しい

>>251
ありがとう。
多分自分が書くSSの中で最長になると思う。
一区切りつくまでは多少無理してでも投下してくお!

>>252
近親相姦とかは正直あんまり考えてなかった…
岡崎の憂への思いは結構複雑になってくんで楽しみにして待ってて欲しい。

.
.
.


岡崎「美味い……」

玉子焼きに、ハンバーグ、それに、野菜炒めの残りと思われる野菜にウサギの形のりんご
一般生徒が食べる普通の弁当というのがどんなものかは知らないが、
おかずがほぼ手料理でバランスが取れているあたり、これはいいお弁当なのだろう。

憂「よかったぁ…」

と、ほっとした顔で弁当箱をつつく平沢

岡崎「なんだよこの美味さは……お前、料理人にでも習っているのか?」

憂「大げさだよ……ただ、昔から、お母さんとお父さんは家を開ける事が多かったから…それで上手になったのかも」

岡崎「へえ……そりゃすごいな」

憂「ねえ岡崎君、好きなおかずある?」

岡崎「……」

おかずと聞いて、エロイ意味の方を連想してしまった。
…いけない。寝不足だからか、俺は疲れているのかもしれない

岡崎「肉じゃが」

憂「……ふむふむ」

岡崎「麻婆豆腐」

憂「……ふむふむ」

岡崎「から揚げ」

憂「……ふむふむ」

岡崎「…なあ、もしかして、今度作ってきてくれんのか?」

憂「うん、いいよ。最近はおねえちゃんのお弁当作ってなかったから、時間余っちゃってたし」

岡崎「………お前、姉ちゃんいたの?」

そういえば昨日も部室で姉の存在がある事をほのめかす言葉があったようななかったような…

憂「うん、あれ?前に言わなかったっけ?東京に行っちゃったお話」

岡崎「……は」

あ?それってつまり……どういうことだ?

憂「………?」

東京へいった大事な人って……あ?

岡崎「………」

岡崎「……なっ!?」

憂「?」

岡崎「あ。あああ…あれね。ああ、うん。そう、そうだよな。そういえばそうだったな」

俺はなんて恥ずかしい一方的な勘違いをしていたんだ。
なんだよ、東京にいっちまった人って平沢の姉さんだったのか。
俺はてっきり……


憂「あはは、岡崎君へんなの…」

憂「……」

憂「…もしかして、彼氏だと思った?」

まるで、いたずらを思いついたような顔をしてこちらを上目遣いでのぞいてくる。

岡崎「…ぅ、うるせえ」

反応に困って、そう返すだけで精一杯だった。
何やってるんだろう俺は。
こんな、ただのクラスメイトだったはずの女の子に心を揺さぶられて……
どぎまぎして……

___________________________________________________


その後、弁当をつつきながらとりとめのない話をしていた。
が、五分程立った際に平沢は意を決したかのようにコクリと頷くと改まってこちらを見直してきた。

憂「ねぇ」

岡崎「ん…?」

なんだかあまりよろしくない話をされると本能的にわかり、先ほどよりもローテンションで答える。

憂「不良…なんだよね?」

岡崎「そうだけど…」

憂「そんな風には見えないよ?」

岡崎「見た目で人を判断するなって親に言われなかったっか?」

憂「そうだけど……」

進むけれど、いまいち弾まない会話。
互いにそこまであがらないテンション。
この話題に入り、交差しない瞳。

憂「それでも、それでもね。私は岡崎君はいい人だって思うの」

岡崎「いい奴なんかじゃない、現にさっきだって…」

憂「あ、その話題は禁止だよ岡崎くん!…朝の事は忘れた事にしようっていったよね?」

岡崎「…はぁ」

憂「でも、今見たいに…どうして自分を悪者みたいにいうの?」

岡崎「だって、悪い奴なんだよ。自制心が弱くて、喧嘩っ早くて、学校だって毎日遅刻だ」

俺は平沢の足ばかりを見つめ、決してその顔を見ようとはしない
こういう話は…辛い。

憂「喧嘩は……いけないね」

岡崎「そうだ、いけない事してるんだよ。俺は」

俺自身はこいつともっと話をしたっていいって今は思ってる。

…だけど

憂「なら、喧嘩はもうしちゃいけません。暴力は駄目…だよ」

教室にいる、周りの奴らには…俺は、こいつの事好きでも何でもないという態度を見せないといけない。
そんなアピールを、今更過ぎるけど、体裁だけでもとって置きたかった。

岡崎「…はいはい」

憂「もぉ~…ハイは一回!」

岡崎「…はい」

…平沢は…俺なんかと関わってて大丈夫なのだろうか。
他の生徒達に、あらぬ噂を立てられたりはしていないだろうか

憂「遅刻も…なにか理由があるの?」

岡崎「…毎日寝るのが遅いんだ。不良だからな。遅くまで外を出歩いてんだよ」

憂「…それは…どうして?」

岡崎「どうしてって……」

これ以上、話してもいいのだろうか?
こいつなら……こいつになら……

純「ねえーねえー、さっきから何の話してるのさ」

岡崎「………」

憂「あっ、純ちゃん…駄目だよ~。今大事な話してたのに」

純「ひ、酷い…憂に邪魔者扱いされたぁ…」

梓「こっちきなよ、純。だから首突っ込むなって言ったのに……」

紙パックのジュースをずず…と飲みながら中野がこちらをつまらなそうに眺めている。

純「ええ~?だって気になるんだもーん」

岡崎「お前ら…見世物じゃないんだぞ」

純「いや、そんなこと言われても……目立ちまくってるよ、2人とも」

憂「そうかなぁ?」

岡崎「………」

梓「ま、丁度いいや。岡崎君。そろそろ憂借りていいかな?ライブの練習しないと」

岡崎「…別に、元々俺のものじゃない」

丁度食べ終えた弁当箱を平沢に渡した。

岡崎「…その、美味かった。ごちそうさん」

憂「お粗末さまでした」

ぺこり、とお辞儀をする平沢

純「それじゃ、音楽室いこっか!」

憂「ああ~、待って。私もいくよ~」

岡崎「………」

そのまま慌しい三人組を黙って見送った

岡崎「助かった……」

それは何に対してだ?
言わなくてよかったからか?
それとも……

__________________________________________

春原「おっはよう!岡崎!」

岡崎「…登校するなりテンション高い奴だな。それと、もうおはようなんて時間じゃねえよ」

春原「ま、細かい事は気にすんなって」

春原「そ、れ、にー、テンション高いのはお前の方だろー?平沢といちゃいちゃしやがって」

なるほど…こいつはからかうネタを掴んでこんなニヤニヤしてるんだ。

岡崎「…楽しそうだな。他人事だと思いやがって」

春原「他人事じゃないさ。…とも事?あ、これ友と朋かけてるからね。エンタテイナー感じるだろ?」

岡崎「…いっとくけど全然上手くないからな」

そもそもエンターテイナーは感じるものじゃない。感じるのはエンターテイメントだ

春原「でもさ、お前らはたから見ると仲良くしてるってよりはいちゃついてるようにしか見えないぜ?」

岡崎「女子と話したらそれだけでいちゃついてるようにみえんのか?お前」

異性としゃべるだけでいちゃついてるだなんてあんまりだ。

春原「んー…岡崎の場合に限ってはね。お前、この二年間女子となんて話したことなかったろ?それが最近になって…ねえ」

岡崎「あいつが勝手に話しかけてくるだけだ。」

春原「お前、それだと俺に勝手に平沢がよってくるだけだって言ってるようなもんだぞ」

岡崎「あいつは俺だけじゃなくて他の奴らにもそんなだよ」

春原「そうかねえ。……すくなくとも岡崎はあの子の事嫌いじゃないだろ」

岡崎「あ、春原。死んで」

春原「凄いハンドル捌きの話題転換ですねぇっ!?」

岡崎「悪かったよ。…死んでくれねえかな」

春原「言い方変えたって死なねえよ!てか謝ってねえだろ!」

岡崎「だって…お前がここにいると空間歪んじまうから…」

春原「空間が!?歪むっ!?…WHY!?」

岡崎「何がWHY!?っだよ。流行らせたいのか?それ…つまんないからやめろよな」

春原「……」

こいつもこっちの気がたってるのを読んだのだろうか。それ以上は平沢の事は追求してこなかった。

春原「ぐすん。ひでえよ。岡崎」

ただ傷ついているだけだった

…後でフォローしたほうがいいだろうか


……必要ないな

___________________________________________________

HRが終わり、放課後が訪れると教室にさわこ先生が入ってきた。

さわこ「岡崎、春原、あんた達出番よ」

岡崎「…今日はなにすりゃいいんだ?」

さわこ「何ってもちろん新勧ライブの準備よ準備。それで、梓ちゃん」

梓「なんですか?」

さわこ「音楽室にあるアンプとマイクは全部こいつらに運ばせればいいから」

さわこ「あなた達は本番まで少しでも練習しときなさい」

梓「…いいんですか?」

ちらりとこちらに視線をやる中野。

岡崎「まあ、別に構わない」

春原「異議なし。逆らってもさわちゃんにしばかれるだけだしね」

梓「…それじゃ、機材はお願いするね。じゅーん、行くよー」

純「…うーん、私はぶっつけ本番でいいや。アンプつながなきゃベースなんてあってないようなもんだしミスするつもりもないし」

梓「…純が珍しく頼りになる」

純「珍しくとはなにさ!!……そこの二人、ぷらぷらしてないでさっさと機材運びにいくわよ!」

岡崎&春原「「……へーい」」

_____________________________________________

岡崎「よっと……」

アンプを体育館ステージ裏まで運び一息つく。
ライブをやるたびに機材を運ばなければなれないってのは中々面倒かもしれない。
今日はギターとボーカル、ベースの3人なのでそこまで苦労しなかったが、ここにドラムやキーボードの機材まで加わるとなると大変そうだ。

春原「ま、こんなもんですかね」

春原もマイクスタンドやシールド、楽譜立を運んできた。
文句をいいつつも、こいつもなんだかんだで協力しておりそんな姿が珍しかった。

純「2人ともご苦労っ」

春原「てめえっ、見てないで手伝えばよかっただろ?マイクスタンドくらいもってくれたってよかっただろっ!」

純「ええ~、それ持っちゃったらあんたの仕事が少なすぎてなんのために手伝いにきてもらってるかわからないよ~」

春原「ふん、ぱしりやってんのも卒業するためなんだぞ。お前のためなんかじゃない。卒業確定したら覚悟しとけよごらぁ」

純「おお~、こわっ…これだから金髪は……」

春原「金髪なめんなっ!…それに、斉藤だってパツキンだろうがっ」

純「あの子はいいの。お人形みたいで可愛いし」

春原「なんだよその理屈はっ!」

岡崎「お前の髪の色、歪んでるもんな。文句の一つも言いたくはなる」

春原「また歪みかよっ!?ってか歪みってなんだよっ!?大体普通の金髪だよっ!?」

岡崎「穢れきった金髪にしか見えないぞ」

春原「どんな金髪だよ!?もう訳わかんねえよっ!!」

涙を流しながら突っ込み続ける春原
こいつの突っ込み魂には正直感心するものがある

梓「……あ、2人とも、ありがとう」

春原と言い合っているとギターを片手に中野と平沢がやってきた。
どこか空き教室辺りで練習でもしていたのだろう。

岡崎「礼なんざいい。卒業したいだけだしな」

春原「ふん、ここまで協力してやったんだから成功させろよな」

梓「言われなくてもそのつもり……2人とも、憂の歌聞いたらびっくりするよ?」

もう知っている。

憂「梓ちゃんのギターもね」

純「私のベースだって負けてないもん」

………

………

一つ前の部の新歓ライブが終わり、いよいよけいおん部の出番となった。


純「もうそろそろだよね。ここは部長!いっちょ気が締まる一言を!!」

憂「を!!」

梓「え、ええと…そうだなぁ」

                  ... -――-.....
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           ′.. ..:/′..:..:./l.::.. ....:.:: ::..:.:.::..:.:... ...:.:.:.. '.

            i  .. .: i′_i:.../ .l.:::.. .. ..:. :i!ハ . : l. ..:.ヽ:. .i
            | ../ ..:.i{ .. |¨ト、|:.i ::... ..:.: 仏-イ´ | i:..: i:..: 「ミ 、
            |..:|..:.:.:.:|..:.,|:ノ-x Ⅵ...:.:. / ,ィr=ミ, 乂 .: |:...:.|:::.:..\ 「目指すは新入部員いっぱい加入のための宣伝!」
           /|..:|..:.:.:.:|:〃¨ 心` ヽ. :/ 'ん:::ハ 》 }:.:...}:...:.l:::::.:.:. 丶
         /..:.::l ..!:!:..:..j ゞ V_ソ   V   込_ソ ノ .:.,'.:.: ..ハ::::::.:.:.. ヽ
        /..:/..:ハ.从::.:.{. `¨´         ``¨  }ノ'::/::.{  '.;::::::..... '. 「やってやるですっ!」
.       /..:/..:.:, r!..:.\{  , ,     '     , ,   }ィイ:.:. |}   V:::.:.:.... '.
      /..:/..:.:::  {|..:.:ハ`        ,_、      小:.. |   i:::::.:.::... l
     .′'..:.::/  |..:.:.:::::.      ,'::::i       /:.:..... !    ';:::::.:.::.. l
     |/..:.::/   l...:.:.:.:入      ゝ-゙     /}::.:.:.... ′   i:::::::.:.:. |
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春原「はは、なにその気合の入れ方」

梓「いいのっ!去年も一昨年もこんな感じで気合いれてきたんだもん!」

梓「…先輩達、力、貸してくださいね……」

左手を胸に当てて何かを念じるように目を閉じている
去年までいたという先輩達を思い出しているのかもしれない。
きっと、こいつにとっていい人達だったのだろう。


憂「そろそろ出番だね。行こっ?」

純「あ、よ、よしっ」

梓「2人とも、緊張しないでいこうね」

純「大丈夫だもんっ!」

憂「岡崎君と春原君も聞いてってね!」

………

………

3人がステージへと向かう。
その後ろ姿を俺と春原はぼーっと眺めていた。

春原「………うまくいくといいね」

岡崎「………まあ、そうだね」

春原「…どうする?」

岡崎「…どうせなら下からみようぜ。…ここからじゃ音しか聞こえないし」

_________________________________________________


梓「皆さん!ご入学おめでとうございます!」

梓「次は、けいおん部の発表をさせていただきます」

梓「……私達けいおん部は、今部員が足りなくてこのままでは廃部してしまいます」

梓「…ですので、今日演奏する曲も実はドラムがなくて、ちょっぴり迫力にかけてしまってます」

梓「でも、一生懸命演奏するので是非楽しんで聞いていただけたらと思っています」

梓「そしてもし、バンドや楽器に興味を持っていただけたなら是非来てください!」

梓「もちろん、初心者の方も大歓迎です!」

…スピーチは中々上手いな
あれで歌も上手ければ完璧だったろうに

憂「…それでは、時間も迫っていますので、そろそろ始めます」

憂「今から演奏する曲は皆が知らない曲かもしれません」

憂「…かももなにもないですね。去年までけいおん部にいた先輩達とここにいるギターの部長が作ったけいおん部オリジナルの曲です」

梓(正確には私は作曲に参加してないんだけどね…)

憂「聞いてください。タイトルは【ふわふわ時間】です!!」」

平沢が曲のタイトル名を告げた瞬間体育館が音の波に飲み込まれた。

………

………

………

春原「なあ、岡崎…」

岡崎「ああ……」

ライブハウスでバイトしてた時に何度も色んなバンドを見てきたけれど
こう、学校でやるライブは随分違って見える。

岡崎(中野……ギター、すげえ上手いな)

不思議な気分だった。生で集中して聞く舞台演奏はこうも心に響くものなのか。

………

平沢の歌声が体育館を飲み込んだ

平沢の歌声は……拙い言葉の表現になるが、一言でいえば綺麗な声だった。


素人のバンドのライブというのは殆どが楽器の爆音にボーカルの声が飲み込まれ、
会場にあまり声が届かずよさが消えてしまう。
スタジオハウスで短期間だがバイトをしていたのでそんなバンドをいくつも見てきた。
それが普通。
なので、実を言えば、そんなに期待していなかった部長達のライブなのだが……

「~♪」

3人の歌と演奏は完璧だった。

昨日の練習での演奏の時から思っていたが、あの三人の技術は見た目からは考えられない程しっかりしていた。


平沢は音を外すことも、声だけが大きくなりすぎることもなく、丁寧に中野のギターと寄り添うように歌っている。
鈴木のベースは二人の音を導き安定させていくように、聞いていて安心できる低音を響かせていた。
そして、中野もやはりまた丁寧に、そして、感情を込めてギターを奏でる。
3人の演奏と歌声は、プロと比べれば、劣るかもしれない。が、ライブ慣れしている者や、
音楽に深く関わっている者以外からは、

つまり、一般大衆な俺達学校の観客からすれば、完璧なライブだった。

………ドラムの音がないがゆえにくる迫力のなさとなんとなく感じる物足りなさ以外は。


…カラオケに行ったときに1人だけ上手すぎて場を圧倒してしまう者がたまにいる。
平沢はそんなレベルの歌唱力だった。
まあ、カラオケなんて中学を卒業してからはめっきり行かなくなっているのだけど。

何がいいたいかと言えば、プロには及ばない。
が、少なくとも体育館にいた生徒は皆魅了されるレベルの歌声で平沢は歌っていた。

岡崎「お前は…すごいな。平沢」

____________________________________________________

平沢の歌声が消え、やがて中野のギターと鈴木のベースの音色も小さくなっていく。

憂「以上、【ふわふわ時間】でした」

ぺこり、と平沢は汗を流しながら、少し恍惚とした表情でおじぎをした。

それと同時に会場が拍手に包まれた。
当然だ。それほどに、この3人の演奏はよかった。
そんな陳腐な表現でしかこのライブを表せない自分の語彙力が少し惨めだった。

梓「ありがとうございます!ええと、喜んでもらえて凄くうれしいですっ!」

先輩うまーい!!
可愛い―!!
アンコールはー!?


などと新入生の声

憂「ごめんなさい、アンコールはありませーん!!皆さん!けいおん部に興味をお持ち頂けたなら、是非部室へ遊びに来てくださいっ!」

純「おいしいお茶も今なら飲めるよ!!」

梓「純!余計な事言わない!…では、ありがとうございましたっ!」

………

………

………


こうして……けいおん部の初陣は喝采を浴びてのカーテンフォールとなった。

岡崎「……」

春原「大盛況じゃん…あいつら……」

岡崎「…そうだな」

春原「…ははッ…は…すっげえな……なんだよさっきの拍手は」

春原「はは……っち……なんなんだよ……」

岡崎「……そうだな」

俺たちはステージの下、輝くあいつらを…ただ見てるだけだった
何もせずに見ている。それだけだった

岡崎「………」

…頑張って…それが皆に認められて…輝いているあいつら。
それを黙ってみているだけの俺たち。
その姿に拍手も声援も送れなかった俺たち。

あいつらと俺達の間には大きな壁がある。

そんな思いが強く、胸に刺さった。

岡崎「そろそろステージ裏、行くぞ……俺らには機材運びが残ってる」

春原「…僕、便所いってからいくわ…先行ってて」

岡崎「わかった」

さ、いつまでも暗い顔をしていられない。とっとと片づけを手伝いに行こう。

______________________________

………

………

舞台裏に顔をだしてみたのだがそこには部長しかいなかった。

岡崎「部長」

梓「きゃっ!?」

演奏が終わり、ぼうっとして座っていた部長の頬に自販機で買ったコーラを押し付けた。

梓「お、岡崎君?」

岡崎「よかったな、新観ライブ…大成功だ」

驚きの声をあげた後、部長は何故かきょとんとしてこちらを見返していたが、

梓「…もう、子供みたいな事しないでよ」

すぐにぷんぷんと怒りはじめた。
こうして膨れている所を見ると、見た目の幼さも重なって後輩のような気分だ。

岡崎「悪い悪い。…お疲れ」

梓「あ、どうも」

押し付けたコーラをそのまま部長に手渡す。

梓「ごく…ごく……」

演奏の際に汗をかいた事もあり、よっぽど喉が渇いていたのかえらい勢いで飲み始めた。

梓「んく……んく……ぅン!?」

梓「げほっ!けほっ…」

岡崎「ぷっ…、炭酸飲料をそんな慌てて飲むから……」

梓「わ…笑わないでよっ!」

岡崎「悪い悪い」

梓「岡崎君、本当に思ってる?…それに、バンドマンへの差し入れは喉を傷めないような飲み物って決まってるのに…コーラなんて」

岡崎「いや、部長は別に、喉に負担かかる飲み物でもいっかなあって思ったんだよ」

梓「お か ざ き く ん ?」

岡崎「冗談だ」

梓「冗談って言えば、なんでも許されるって思ってない?」

岡崎「…」

平沢と違って部長は面倒くさいタイプの説教魔人だった。

梓「自分でいった言葉には責任があるんだよ。それを、言ってから冗談で誤魔化すなんていけないと思う」

岡崎「自分、不器用っすから」

梓「もう。…そうやってふざけて誤魔化さないで」

岡崎「……はいはい」

こうして子供みたいにぷんぷん怒っている部長でも……
俺とは違って、自分に出来る事を見つけて、それに打ち込んでいる。



岡崎「…本当に…凄かったよ」

梓「…?。何か言った?」

岡崎「いや、別に…。…平沢達は?あいつらにもコーラをやろうと思ってな」

梓「純はライブ終わったら慌ててトイレに。憂はステージの上から斉藤さんを見つけたみたいでライブの後声をかけに」

岡崎「ふーん…」

斉藤の奴も見てたのか。
……あいつはこのライブを見て何を感じたのだろう。

梓「岡崎君って…」

岡崎「あ?」

梓「気がきくんだね。飲み物買ってきてくれて、ちょっと嬉しかった」

岡崎「……まあ、お前ら汗かいてたしな」

汗かいた時に飲む冷たいコーラの美味しさときたら表現する事が難しい程だ。


…中学の時に、バスケの都大会で優勝した後にマネージャーがくれたコーラの美味しさは今でも……


岡崎「~っ」


梓「岡崎君?」

岡崎「…悪い、なんでもない」

梓「?」

_______________________________

さわこ「皆、お疲れ様」

数分すると全員が舞台裏にあつまった……

梓「あ、先生…見てましたか!?」

さわこ「うん、3人ともばっちりだったわよ!」

先生は親指を立ててぐっとポーズを取った。

さわこ「でも本当知らなかったわぁ。憂ちゃん、あんなに歌上手かったなんて。初の舞台でこれって平沢家の度胸は本当たいしたものね」

憂「そんな事ありませんよ。…お姉ちゃんと比べたら私なんてまだまだで……」

純「唯先輩とどっちが上手いんだろ?個人的には憂も負けてないと思うんだけど」

梓「…うーん、唯先輩と憂じゃ、声のタイプが違うから、比べるのも難しいね」

さわこ「あ、岡崎、春原、機材の片付けは頼むわよっ!」

岡崎「まぁ、そのために来たんだしな……」

春原「さわちゃんも人使いが荒いね~…」

さわこ「文句言わないっ」

岡崎&春原「「へ~い」」

憂「……岡崎君、春原君」

春原「あん?」

岡崎「なんだよ?」

憂「昨日と今日ね、ありがとう。人がいっぱい見に来てくれたのも、2人がチラシ配ってくれたからだよ?」

憂「だから、ありがとう」

春原「……」

岡崎「……」

春原「悪い気はしないし、その言葉受取っておくよ」

岡崎「どういたしまして…それじゃ、後片付けと行きますか」

純「あ、帰りは私も手伝うよ」

春原「あん?マリモは引っ込んでろよ。力仕事なんて僕と岡崎で十分だ」

純「っか~!…マリモがなければ結構かっこいい事いってんのに!」

春原「ふんっ!お前なんかにかっこいいだなんて思われる必要ないね」

純「あんたねぇ~~」

春原「ああん?」

岡崎「じゃれてんなよ。さっさと運ぶぞクソ原」

春原「クソってなんだよっ!?」

純「早くいってよクソ原」

春原「マリモぉぉぉぉぉぉぉ!!」

____________________________________________________________

そして機材運びが終わり場は音楽室。
一仕事終えた俺達は部室の椅子に座りながら二人してぼんやりと天井を眺めていた。

春原「にしても、やっぱあいつら…僕らとは違うよね」

春原「なんかさ、ライブ見るまでは、ぐーたらそうな連中って思ってたけど…」

春原「ああやって、何かに一生懸命になってるとこを見ると……色々思う所があるよねぇ」

岡崎「………」

春原の言うとおりだ。
結局、平沢達けいおん部は、他の部の連中と同じで、今を楽しんで、自分達に出来る何かで
この青春に大切な思い出を築いている。
そんな幸せの欠片を大事に刻んでいく様子がまぶしくて、うらやましくて……

…そして、自分達が情けなかった

本当なら、俺達にもあったはずの青春時代。


それは、様々な要素が重なってあきらめたもの。

それは、再び手に入れようとしても…もう戻らないもの。

………俺達が望んだもの。


そして……それらを掴む事が出来るあいつら。
それに、妬みを感じる自分の心。
そんな心が自分にあることを認めたくないと思う…矛盾した心。

岡崎「…ままならねえなぁ」

春原「ほんと、ままならないよねぇ…」

風呂入ってくるんで休憩。
とぎれとぎれな更新ですまん

http://www.youtube.com/watch?v=CV9zLHch8_I#start=0:00;end=1:46;autoreplay=true;showoptions=false
クソ原ワロタwwwwwwww

>>280
リンク先の、いい曲だよな。
ここら辺の場面はその曲のイメージあるかも

………

………

そのまましばらく春原とぼ~っとしていると突如

ガラっ!と音楽室の扉が開き……

短髪の男子「あ、あのっ!俺達…けいおん部に体験入部したいんですけど…」

いきなり入部希望者と思われる男子二人組がやってきた。

春原「あ、もう来た。やっぱ効果あったんだねぇ。部長達のライブ」

岡崎「そりゃ、あんだけの演奏聞かされりゃ、憧れる生徒は出てくるだろ」

長髪の男子「…あ、あの?」

岡崎「ああ、悪い悪い、俺達2人はここの部員じゃないだ」

長髪の男子「はぁ…」

岡崎「すぐにけいおん部の奴ら、戻ってくるからそこら辺に座って待っててくれ」

短髪の男子「わ、わかりましたっ」

_______________________________________________

長髪の男子「先輩達はけいおん部じゃないのに、なんで音楽室にいるんです?」

岡崎「悪い教師に目をつけられててね。文化部専門の機材運びのスペシャリストに任命されちまってるんだ」

岡崎「今日はけいおん部の手伝いって訳だな」

短髪の男子「はぁ…あ、そうだ。先輩達はさっきの演奏聞きましたか?」

岡崎「ああ、聞いたけど」

短髪の男子「凄かったっすよね!ギターもベースも歌もすっげえ上手かったっす!」

岡崎「…そうだな」

岡崎「やっぱり、お前らもああいうの、憧れるのか?」

短髪の男子「そりゃあ…はいっ!…高校生なら一度はステージの上でライブ、したいですよっ!」

岡崎「そりゃそっか」

短髪の男子「…あと、思ったんですけど」

岡崎「なんだよ」

てか、部長達、遅いな……まだ戻ってこないのかよ。
いつまでこんな目をキラキラさせた後輩と話してなくちゃいけないんだ。

長髪の男子「平沢先輩と、中野先輩…」

長髪の男子「マジ、かわうぃーっすよねっ!?」

短髪の男子「だよなっ!あんな可愛い先輩達がいたら、そりゃ来るしかないじゃないですかっ」

長髪の男子「ああ、マジお近づきになりたいっ!中野先輩きたら俺、メアド聞くんだっ!」

短髪の男子「なら、俺は平沢さんに聞くぜっ!」


岡崎「……」


春原「ははっ。下半身で動くとかこいつら駄目駄目だな」

今だけはこいつに同意だ。


          ,. :::´:::::;::::/:::::::::::::::::::::::`丶、

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       |::/ V:::l ゞ'  \! T仡フ7ヾ ヽ::|ヽ::::/
       |/  \l  /     ` ´    ,. リ// 「てめえら帰れ」
              ヽ             〃//
              ヽ ‐-     //:::/
              ヽ    ..  ´  l-〈
           __,.ィ'´ 八´    /   !\
      ,. '  ̄    /   !  \_∠     |  ト、 ̄   ‐-   _
     ,イ       /   |  /  ̄`',    |  l \      iヽ
     / |      /   | ハ:.:.:.:.:.∧  /|   ,        l '
    ,′l      /    |V }=:.:./ ∧/ .l   ヽ         !  i
    i  l      /    |  /:.:.:.:V   l   ハ     i /  l
    /!  ヽ  i  /      ! l:.:.:.:.:.:l   ,′    !    l /   l
   {  ヽ  ' l. /      | !.:.:.:.:.:.:!  /     |    l'     |


長髪の男子「え…?」

短髪の男子「はい…?」

_________________________________________________________________
梓「もお~っ……っ!」

部長はなみだ目になりながら俺達に非難のまなざしを向けた。

岡崎「……すまん」

自分でもなにやってるんだと今更に後悔する。
別に、動機なんて不純でもなんでもいいじゃないか。
他人のそれを俺達が否定する権利なんてないのに。
そもそも、こいつらは部員を集めてたのだから、追い返す事なんてなかったのに。
俺、どうしちまったんだ。

春原「いやー、あいつら気に入らなくてさ。ちょっとガンとばしちゃったよね」

梓「~っ!この2人が不良なの忘れてた…」

部長が頭を抱え、そのまま椅子に座った。
悩みの原因はせっかく来た体験入部の生徒が俺と春原のせいで帰ってしまったせいだ。

憂「まあまあ、梓ちゃん。まだ廃部って決まるまで一週間以上あるから。のんびり構えよう?」

純「そうそう。あんだけやったんだから1人位またくるって」

梓「うぅ…大丈夫かなぁ……」

純「とにかくそこの馬鹿2人っ。今後新入部員来ても追い出しちゃ駄目だからねっ!」

春原「…了解」

岡崎「…あいさー」

菫「あの、皆さんお茶飲みますか?」

いつの間に来てたのか斉藤がティーセットに手を出し茶を入れている。
ティーセット…もう回収しなくていいのかな。

岡崎「俺、緑茶で頼む」

春原「僕なんでもいいよ」

菫「はいっ♪」

まあ、本人もなにもいってこないのでいいのかもしれない
それにしても…上手い茶が飲めて、時間をつぶせるのだから、そこに関してはここはいい場所だ

………

………

梓「…はぁ…。なんだかこうして大勢でお茶飲んでると一年前とあんまり変わらない気がする…」

憂「それっていい事だと思うけど…」

梓「…うん、でも…私の描く新生けいおん部は練習漬けの真面目な部だったんだけどなぁ」

純「あ、そうなったら私速攻でここやめるね」

梓「ちょ、純!?」

純「あはは~、冗談だよ梓。…でも、今日位皆でのんびりしようよ」

梓「……」

梓「そうだね。そうしよっか」

さわこ「それじゃ、今日は新観ライブ成功の打ち上げって事でパーッと飲み食いしちゃいましょっ」

梓「先生がしたいだけでしょ……」

_________________________________________

………

………

平沢と鈴木が斉藤に絡み、それを春原がニヤニヤしながら眺めている
そんな様子を先生は満足気な顔をして見守っており、部長は部長で隅の方でなにやら作業をしていた。

岡崎「部長。手伝うか?」

梓「岡崎君、いいの?」

岡崎「暇なんだ。ちゃんとやるから」

梓「……」

岡崎「……なんだよ。顔になんかついてるか?」

梓「…岡崎君って」

岡崎「ん?」


         ...::´::::::::::::::::::::::::::::::::::`丶::::::\

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     |::::::::::::::::::,′ }::::::::::::::l  ,ィfう冬ヘ:::::::::|j ):::::::::::|
     |::li::::::::::::::|   j:八:::::::::l  弋ぃツ j:::::::::| .ノ|:::::::::::| 梓「変な不良だよね」
     |::}l::::::::::::::| jfう゚心\:::|   ..,,,,, |:::::::::|/ .|:::::::::::|

     }/ハ:::::::::::入 乂ぅツ          |:::::::::|、_ |:::::::::::|
       }:::::::::::::::.丶  .,,,   ′       }:::::::/  `ヽ:::::|
       |::::::::::::::::/ ハ      - '   /::::::/     \|
       |:::::::::::::::′x个 、.. __    ィ:::::::/        ヽ
       |::::::::::::::| /     ヽ\ ヽl:::::::|          '.
       |::::::::::::::| }       八 ノl::::::|          .
       |八:::::::::| |   、   ヽ二八::::|          l
        }::::\:::j ∧   \      \〉      /   |


岡崎「…なんだそりゃ」

俺は部長の横に座って、気がつけば2人して来週やる予定の部活説明会の日時が書いてあるポスターを作製していった。

.
.
.

岡崎「それにしてもさ」

梓「どうしたの?」

俺はポスターに下書きされた線と絵をマジックできゅっきゅとなぞりながら話す。

岡崎「部長、凄えかっこよかった。…正直舐めてたんだ。こんなちっこいけいおん部だからさ、あんまりうまくないんじゃないかなって思ってた」

祭りの後って事で俺も少しはテンションが上がっていたのだろう
珍しく人を心から褒めていた

梓「か、かか、カッコいい!?…本当!?」

余程嬉しかったのか目を輝かせてこちらに視線を送ってきた。
そういえば昨日斉藤に褒められた時もとても喜んでいた。
褒められる事が少ないのだろうか。真面目そうなやつだからそんな機会いくらでもありそうなものだが。

岡崎「ああ…それと、見た目どおり、真面目な奴なんだなあとも思った。…なんとなく、ギターの音からも、堅物っぽい音がしてたし。でも、だからかな。音が乱れることもなくてよかった」

梓「あはは、岡崎君、音楽のことなんてわかるの?」

岡崎「いや、そういうわけじゃないんだけどな。…ただ、前にライブハウスでバイトしててな。だから、演奏する人によって、同じギターでも全然違う音が出るって事は知ってるんだ」

梓「そうそう、不思議なんだよね。楽器ってさ、上手くなればなるほどその人の個性を表す音に変化していくから」

岡崎「それで、お前は真面目な音色を鳴らしているわけだ」

梓「…む、真面目って言葉がどちらかといえば悪いイメージになってるのが納得いかない」

梓「…皆もっと真面目になるべきだよ。確かに場の空気を読む能力も大事だけどさ」

岡崎「はは……場の空気を読むのも真面目なのも、俺は両方欠けちまってるな」

梓「岡崎君はそういう卑屈な態度が駄目だよ。自覚してるなら直さなきゃなんじゃない?」

岡崎「無理なんだ、不良だからな」

梓「……不良」

岡崎「ああ、校内じゃ有名なんだ。夜遊びが過ぎて、遅刻の常習犯」

梓「……本当?」

岡崎「夕べも家に帰ったの、深夜の4時だ」

梓「タバコとか、吸うの?」

岡崎「いや、タバコは吸わない不良なんだ」

梓「ふーん…」

………

………

梓「岡崎君」

岡崎「ん?」

梓「岡崎君は、この学校は好き?」

岡崎「…別に、取り立てては」

梓「そっか…」

梓「私は、この学校…凄い好きだった」

岡崎「なんで過去形なんだよ?…今は嫌いなのか?」

なんだかこの会話にデジャブを感じる。

梓「ううん……好き…なんだけど……今までの二年間が楽しすぎたのかなあ」

梓「だから、ずっとぽっかりと胸に穴が開いてた」

岡崎「?」

梓「今までの二年間、私はずっと一個上の先輩達とバンド組んでて……」

梓「ずっと……ずっと、その人たちとお祭り騒ぎをしてたんだ」

梓「……振り返ってみれば、私よりも高校生活を楽しんでいる生徒はいないんじゃないかなって位、楽しかった」

岡崎「そりゃ……すげえ自信だ」

梓「あはは、そうだよね。自分でもよくこんな風に考えられるなぁって思うけど…」

梓「でも、それだけ楽しくて………楽しすぎたから………」

梓「………だからこそ、お別れが辛かった…」

岡崎「……」

梓「だけどね、今日、二人とライブして思ったんだ。…やっぱり私はステージが大好きだって」

梓「憂の声にあわせて、演奏して、純が私達のリズムを作って、それを観客が真剣に聞いてくれて、最後には拍手ももらって……凄く気持ちよかった」

梓「だから、またこの場所で、また新しいメンバーを作って、とびっきりのけいおん部を作りたいって思った」

梓「そしたらきっと、新しい再出発したけいおん部でも、絶対にまた、楽しい青春を送れると思うから」

岡崎「……それで…結局けいおん部の部長様は俺に何を言いたいんだ?」

梓「…岡崎君は…不良ってさっきも自分で言ってたけど」

岡崎「またその話か…」」

梓「そんな人には全然みえない」

岡崎「…あのさ、お前も平沢もなんなんだ?…なんか根拠でもあんのかよ」

平沢はともかく、ぶちょうにまで上げられる意味がまるでわからない

梓「理由なんてないけど……そう思ったから」

岡崎「なんだよそれ、真面目なくせに随分感覚的だ」

梓「アーティストだもん」

岡崎「はは…CDの一つでも出してからいえよな」

梓「もう、ああいえばこういう……」

岡崎「ほっぺ膨らますなって」

梓「話を戻します、これが一番大事な話なんだけど……」

岡崎「なんだよ改まって」

梓「けいおん部に入れないかな?…勿論春原君も」

岡崎「……なんだって?」

梓「きっと、一緒に楽器を頑張って、皆で心を一つにしてライブをやれば、もっと毎日が楽しくなるから」

グッとガッツポーズを取る中野

梓「ううん、絶対に楽しくなるよ!それは私が保証するから!!」

梓「駄目……かな?」


岡崎「あのな、部長」

岡崎「春原も俺も、楽器なんて弾けないし、興味ないんだ。だから、それは無理だよ」

梓「でも………それでも!」

岡崎「悪い……」

梓「2人とも帰宅部だよね?…そ、その……最悪ここでお茶飲んでお菓子食べてるだけでも構わないからっ!」

純「あ、梓がこんなことをいうなんて…」

俺と部長の会話がヒートアップしていったことから他の奴らも会話に首を突っ込み始めた。

梓「だって、部がなくなるのはやっぱり嫌だもんっ!…人数あわせで名前だけ貸してくれるだけでもいいのっ!駄目…?」

岡崎「……俺は」

春原「だめだめ、僕ら部活なんてだいっ嫌いだからね」

今まで黙々と菓子を食っていた春原が大声で口を挟んだ。

憂「春原君?」

春原「いちいち理由は説明しないよ。でも、僕らは部活はやらないの」

淡々と語る春原の様子は先ほどまでのおちゃらけた雰囲気ではない。
そんなあいつの様子に鈴木と平沢は驚いていた。

岡崎「…春原」

梓「…そっか。ごめんね、変な事聞いちゃって」

梓「…菫はどうかな?…やっぱり、駄目?」

菫「ご、ごめんなさい。私もやっぱり…入部は…」

梓「…そっか」

梓「……うあ~、どこかに新入部員落ちていないかな~」ガクッ

憂「梓ちゃん……」

純(相当参ってるな~)

岡崎「…あのさ」

梓「?」

岡崎「…やる」

梓「え!?」

岡崎「…部活には入らない。…でもさ、部員集めは…これからも手伝ってやるよ」

岡崎「幸いな事に俺らは受験勉強もしなければ部活もやってない。暇なんだ」

岡崎「だから、部員が集まってあんたが立派な部長になれるまで、手伝ってやる」

梓「お、岡崎君…」

春原「ま、それくらいでいいなら僕もやるけどね…ただで菓子と茶が出てくるのは魅力的だしね」

純「あ、あんたは……」

鈴木はあきれていた。

憂「でも、純ちゃんだってお茶会にあこがれてここに来たんじゃ…」

純「わー、ストップ憂!この金髪にはそういう事教えないでっ!」

春原「あん?てめえも似たような考えなら文句いうなよなっ」

純「私はあんたたちと違ってベースちゃんと弾けるもーん」

春原「はっ!僕だってギター弾けるんだぜ?…部長、そのマスタング貸して」

…ムスタングだからな。

梓「貸しません」

春原「あの…話が続かないから貸してくれませんね」

梓「……壊されそうだからいやです」

春原「別に壊さねえよっ!どんなプレイすると思ってるんだ!!」

_________________________________________

………

………

岡崎「…そろそろ帰るわ」

音楽室から窓の外を眺めれば、練習をやめて撤収を始めた運動部の姿と、
そろそろ赤から藍へと色を染めていく空。

梓「そう?」

岡崎「ああ」

新観ライブとやらも終わった。
その打ち上げとして、茶と菓子ももらった。
色々と話もした。
十分だろう。
もう…ここにいる理由がない

岡崎「今日は世話になったな。部長、部員早く見つかるといいな」

岡崎「ああ、それと平沢、歌上手かったよ」

憂「岡崎君…」

岡崎「それじゃな。おらっ春原もいくぞ」

春原「へいへい」

純「待って!岡崎っ!」

岡崎「なんだ?」

純「わ、私にも何か一言……」

岡崎「………(すたすた)」

純「私のあつかい~~っ!!」

_______________________________________
バタンっ

梓「…行っちゃった」

純「不良って聞いてたけど…そんな悪い奴らじゃなかったね」

憂「………岡崎君」

梓「憂?…もしかして、やっぱり気になってた?岡崎の事」

憂「ううん……なんだろ……気になるっていうよりも……」

憂「放っておけない……のかなぁ?」

純「ああ~…憂が駄目男にひっかっかっちゃった……」

憂「違うよ~…そういうのじゃなくて……」

さわこ「唯ちゃんとは違う意味で、世話のやきがいがあるのかもね、あいつらは」

さわこ「だから、憂ちゃんの世話焼きたい~って性格が反応してるのかしら」

憂「うーん…。なんなんだろう……この感じ」

………

………

すみませーん

梓「あ、誰かきたみたい……どうぞ~!」

メガネっ子「体験入部したいんですけど…」

純「あ、新入生きたきた!やっぱり私達のライブよかったんだよっ」

メガネっ子「あ、いえ、私は色んな部に体験入部して回ってるだけで…」

梓(ガーン…)

メガネっ子「あ、でも歌…凄く上手かったです」

憂「えへへ、ありがとう」

梓「う~、わたしもギター頑張ったのに…」

メガネっ子「すみません、ギターも上手かったです」

梓「取ってつけたように言われたっ!?」

純「ベースは!?」

メガネっ子「ベースってなんですか?」

純「…そういう人、結構多いよね…」

__________________________________________

………

………

梓「う~ん……あの後も何人か来たけど……」

純「脈ありそうな人はいなかったねぇ…。あのメガネっ子も保留とは言ってたけどどうなる事やら…」

梓「斉藤さんもいつの間にかいなくなってるし……」

梓「どうしよう……本当に1人も入らなくて廃部になっちゃったら……」

純「そうなったら春原に無理やり入部届け出させてさ、それであいつは無視して3ピースバンドで頑張ろうよ」

梓「…じゃあ、純ドラムやってね」

純「やだ!あたしはベースって決めてるのっ!澪先輩みたいに弾けたらいいなぁ」

梓「憂ぃ…」

憂「うーん…ごめんね、私もドラムはちょっと…」

梓「憂ならなんだって出来るよ!!お願い!!」

憂「…で、でも」

梓「どうしても駄目!?」

憂「……」


              . . . : : : : : : : : <- 、: : :\
           _/: : : : : : : : : : : : : :\ \: : :
       /: : : : /|、: : : : : : : : : :ヽ: : : ヽ ノ : : ',
    _彡 : : : l: :| ! ヽ: :l: : : : : : : : : : :/ハ、: : : :',

.       /: : : : :|: | |  ヽ:l\: : : : : : : V:/: :} ヽ: ト ゝ
.       l: : { : /! l !  、.j}__>、: ',: : : :レ : /}、_}:/ 「腕が太くなっちゃいそうだし」
.       |: : : : | ',| ヽ     __\l: : : !: /:/: :/
.       |: : : : レ´ヽ    "テく`>! :/リヽ/}/
.       人: : : :| ,斗<.    Vソ  l/ ) }
        ヽlヽヘ` Vリ    ´///  _/
          `ヽ /// ' ,-、    /´
            八    t'_}  /|、    ___
.            ,--=≧ュ 、   _.<  ハ`T´ ̄    ヽ
            /  、   /¨「 \/ } !   /   l
.           j   ヽ V  .| / Ti、 /    /   .!
        ノ、    } l ァム∠.´ハヽ-、_ V    .}
        | ヽ   / {   [ニ]   Vヘ      〕
        |   /  八   ヾ- ァ  /     /
.         〉  /      ヘ___ ヽT/,- '   ヽ、 〈
        |  /   ○   /ノ.\L/l ○    }\|

梓(そ、そんな理由で駄目なの!?)ガーン

梓「よく考えたら新入部員が入っても、楽器担当とか考えなきゃだし、前途多難かも…」

純「梓、元気出して~」

憂「今日が駄目でも明日があるって!」

純「そうそう、私という逸材が入部したけいおん部がなくなるはずないって!」

憂「頑張ってやってこっ!中野部長!」

純「そうだよっ!中野部長っ!」

梓(部長……わたしが……そうだ……頑張らないとっ!)

梓「うんっ!…とにかく、前向きに考えていこうっ!」

純&憂「おー!!」

__________________________

下校時刻を過ぎたので、その後、純と憂と別れ、今日はまっすぐ家に帰った。

梓(ライブうまく行ったのに……中々新入生来ないなぁ…)

梓(体験したいって人に、ギターとベースしか弾かせられなかったのがまずかったかなぁ…)

考えてみれば、けいおん部なのに、部室にはあるのはアンプとシールド、ティーセットその他ムギ先輩の残したもろもろくらいだ。
先輩達とやってた時は皆それぞれ自分の楽器を持ってたし、ドラマーは基本的には自分のドラムを持っていない人ばかりなのに、
律先輩は、自分のドラムセットを持っていて、学校に持ちこんでいた。

梓(先生に頼んで…部室に楽器を増やせないかな…せめてドラムは必要だし…)

梓(うん、まずは先生に聞いてみよう。…そういえば、部費とかってどうなってるんだろう?)


色々な思いが頭をぐるぐると巡る。
が、結論として、もう今日出来る事はないので明日から頑張ろう…と決意する。

梓(それでも…やっぱり不安だな)

もし、唯先輩達が作ってきたけいおん部がなくなったら…先輩達はきっと悲しむ。
それは、私だって絶対に嫌だ。

梓(ちょっとだけ………ちょっとだけ、先輩に頼っちゃおうかな)

prrrr
prrrr

梓「あ…もしもし、唯先輩、今大丈夫ですか?」

唯「やっほーあずにゃん、どうしたのー?」

懐かしい声が聞こえる。
週に何回かは電話しているのだけれど。
最近までは、それこそ毎日聞いていた声だから、
こうしてたまにしか聞けないという現実に、胸を痛める気持ちを抱いてしまう

梓「部員が思ったように集まらなくて…唯先輩にコツ教えてもらおうと思って…」

唯「え~?コツって言っても何もやってなかったし!」

唯「あずにゃんはあずにゃんのやりたいようにやればいいんだよっ!」

梓「私の…やりたいように……」

梓「…やっぱり唯先輩は唯先輩ですね」

唯「え~…なにそれー!」

唯「あ、そういえば聞いてあずにゃん!今日大学でねー」

梓「はあ……はあ。…へー!凄いですねっ………」

唯「うん……それでねっ……」

………

………

_______________________________________

俺は音楽室を後にすると、その日はそのまま春原の部屋にいくことにした。

春原「にしても岡崎があんなこと言うなんて思わなかった」

岡崎「お前だって、手伝ってもいいって言うとは思わなかったぞ」

春原「はは、お互いそう思ってたのかよ」

岡崎「…だな」

春原「ま、ただで菓子食えて茶が飲めるんだし、この部屋以外にも時間が潰せて遊べる場所が出来たんだ!前向きに行こうぜ?ふふん」

岡崎「…そうだな」

考えてる事がこいつと殆ど同じなのか…俺。

春原「…にしても…明日からはどこの手伝いやらされんだろうね」

岡崎「さあな。…文化部の新観も今日で最後だし…どこかの掃除でもやらされるんじゃないのか?」

確か、新歓が終わったら中庭の掃除をしろとか言われた気もする。

春原「うっへ……面倒くせぇ……」

岡崎「いうな。…後もう少しやってけば卒業出来るんだし、適当にやってこうぜ」

春原「卒業……ねぇ……」

岡崎「欠席回数、俺らやばいらしいし、遅刻はともかく丸一日サボりはもうしない方がいいだろうな」

春原「ふあ~あ…いっそ退学しちまうって手もあるのかねぇ……」

岡崎「……それは」

春原「…冗談だよ」

岡崎「冗談といって自分の言った言葉を誤魔化しちゃいけないらしいぞ?」

春原「あん?なんだよそれ」

岡崎「部長にそう言われた」

春原「あ~…あの子、真面目そうだもんね」

春原「ま、でもさ、退学なんてしないよ」

春原「僕もまだ、あと一年間だけは、馬鹿やっていたいからさ」

岡崎「…それは…同感だ」

岡崎「社会に出て、毎日毎日へこへこして働くなんて…絶対にごめんだ」

それでも…いつかは、俺も春原も働いて、ひとり立ちしなければならなくなるのだろう。
でも、だからこそ今は…高校生が終わるまでは…楽な生き方を選択していたかった。

今日はここまでで。

続きはまた明日にでも

乙!やべぇなんか本格的に楽しみになってきた

おつん。俺も憂ちゃんに世話やかれたい

取り敢えず乙。
この菫は頑なだな。
まさか、このまま菫直抜きで話が進んでいくとか?

最初はどうなるかと思ったけど、なかなか面白いじゃないか。

乙。

>>304
>>305
>>307
ありがとう

>>306
そこは楽しみにしててほしい。
ただ一つ困ったことがある。

直のAAがない。

__________________________________________________
~4月10日 土曜日~

始業式から早5日。
普通なら土曜日は休みなのだが、
来週の月曜日が学校の何かの記念日らしく、休みなのでかわりに今日も授業がある。

………

………

………

憂「岡崎君、おそよう」

岡崎「…おそようってなんだよ…」

憂「だって、今日も遅刻だよ?……おはよう、って時間じゃないなって」

今は三時間目と四時間目の間の休み時間だ。
周りの生徒もだいぶ眠そうな顔をしている

憂「…遅刻はよくないって言ったのに」

岡崎「いいんだよ。不真面目なんだって言ったろ」

憂「またそうやって言い訳を……」

岡崎「言い訳じゃない。事実だ」

憂「そうやって理屈で誤魔化してるのが言い訳なの」

岡崎「でも、事実は事実だ。不良なんだ。遅刻したっていいんだよ」

憂「ちがうもん!岡崎君不良じゃないよ。優しい人だもん!」

岡崎「あのな…またそれか」

なんだかこのやり取りもデジャブだ。

憂「坂の下で…声かけてくれた」

岡崎「…あれはっ」

憂「私の悩み、聞いてくれた」

岡崎「………」

俺の言葉など聞く耳もたないといった様子で、
平沢は次々と言葉を紡ぐ。

憂「ゴミ、一緒に拾ってくれたよ?」

岡崎「……はぁ」

岡崎「…いいか、平沢。ドラマとかで不良が猫にミルク上げてたら、なぜかそれだけで、いい奴だって思うだろ?」

岡崎「お前が俺に思うのはそういうやつだ」

大体、あんな行動をしただけでいい奴認定されたらこの世の中殆どいいやつしかいない

憂「…そうなのかな」

岡崎「ああ…ほら、この話はもう終わりにするぞ」

憂「…うん」

_______________________________________________________

………

………
そのまま寝て四限目を過ごし、昼休みとなる。

岡崎「おい、春原。学食いくぞ」

春原「んあ?…もう四限目終わったの?」

岡崎「ああ、見事な爆睡だったぞ。永眠してたのかと思った」

春原「…それ、あんたの願望だったりしないっすかねぇ」

岡崎「……さっさと飯食いに行くぞ」

春原「否定しろよ!!……ったく」

………

………

春原と二人で廊下に出ると…。

幸村「これ、春原」

春原「んあ?…なんだ、じじいかよ」

幸村が俺達に話しかけてきた。…嫌な予感しかしない。

幸村「じじいではない…全く、お前という奴は」

春原「なに?…なんか用?…今急いでるんだよね」

幸村「お前…わしの授業に後5回休んだら卒業出来んぞ」

春原「……マジ?」

幸村「嘘などつくか。…それと、他の授業についても言いたい事があっての…」

春原「えぇ…後でじゃ駄目ですかね?…説教なら飯食ってからにしてくれよ。なあ、おかざ……」

春原「っていねえしっ!」

____________
………

………


岡崎(悪いな、春原。…あのままじゃ俺も一緒にお説教だ…そんなのは嫌だからな)

…学食にでもいくかね。

______________________________________

今日も食堂は賑わっている。
適当な席にポケットから出した席取り用のプリントを乗せ、学食へと向かう。
その途中……


菫「岡崎せんぱーい」

最近のこの時間、もはやお約束のごとく現れる斉藤と会った。

岡崎「…お前か」

菫「先輩、昨日は学食にいなかったから今日も来ないかと思いました」

岡崎「…昨日は昼に色々あったんだ。…にしても、お前友達いないのな。いつもここに一人で来てるじゃん」

菫「そ、そんな事ないです」

菫「ただ、この髪と目のせいで……まだ周りの人が異国人扱いするから親睦深まっていないだけですから…多分」

目をうるうるさせ必死に抗議してくる

岡崎「そっかよ」

岡崎「………」

岡崎「……なあ」

菫「なんですか?」

岡崎「……」

岡崎「俺って…優しい奴なのかな」

菫「~ぶっ!」

岡崎「…なんで吹いてんだ」

菫「…すみません。まさか、先輩の口からそんな言葉が出るなんて……」

菫「あの…どうしたんですか?……遅れてきた思春期ですか?」

岡崎「……このごろやけに俺を優しい奴にしたがるのがいてな」

岡崎「だから、なんとなく、聞いてみた」

菫「……客観的に見れば、冷たい、というより表情が怖い人だと思います」

岡崎「だよな。俺もそう思うんだよ」

菫(…なんでそこで喜ぶんですか)

菫「でも…」

菫「……私の主観では先輩は悪い人じゃないと思います」

菫「…いい人でもないですけど。後輩にお昼、たかってきましたから」

岡崎「…あれは…そういう約束だったからだろ」

菫「でも、結局ティーセットの回収は出来てませんよ~」

岡崎「それはお前とお前の姉さんに原因がある。俺のせいじゃないし、知らないな」

菫「やっぱり、主観でも駄目な先輩でした」

岡崎「…ふん…その言葉が聞きたかったんだ」

菫「…先輩はツンデレなんですか?」

岡崎「…お前みたいな奴でもその言葉は知ってるんだな」

菫「こう見えて、私は普通の子なんですよ?」

ぶすっとした表情でこちらに視線をくれる斉藤。

岡崎「……」

岡崎「…魅力のない後輩だ」

菫「そ、そんなっ!?」

______________________________________

………

………
そのまま斉藤は俺にくっついて歩き、同じテーブルに座り飯を共にした。

………

………

黙々と食事を済ましたところで話しかけてみた。

岡崎「なあ、お前は……けいおん部入らないのか?」

確か、一人でも入れば部として成立する。
平沢は友達を助けたいと言っていた。
多分、それは部長の事だろう。

遠目に見ていても、部長のけいおん部に対する情熱はひしひしと感じる。

あんなに頑張ってるんだから、廃部なんてしたら、報われなさすぎる。

岡崎「お前入れば、部長も平沢も、お前の姉ちゃんだって喜ぶだろ」

菫「あの、なんで鈴木先輩の名前があがらないんですか?」

岡崎「そんな奴もいたな」

菫「……」

菫「この間のライブ、岡崎先輩も見ましたよね?」

岡崎「ああ、あいつら、凄かったな」

菫「だからです」

菫「あんな凄いライブ、私には出来ません……楽器も…経験ないので…足を引っ張ってしまいます」

菫「…それは…嫌ですから」

岡崎「…なるほどな」

________________________________________________________

………

………

そうして適当な話をしているうちにそのまま解散となった

岡崎「……はぁ」

それにしても…変な奴に懐かれたかもしれない……

________________________________

………

………

HRが終わり、休日が始まる。
…前に、俺にはやる事があるのだけれど。


憂「…今日で掃除当番も最後だね」

岡崎「やっとこの面倒な作業から開放されると思うと胸が躍るな」

憂「…岡崎君、大げさだなぁ」

岡崎「ほら、さっさと終わらせようぜ」

憂「昨日は新歓ライブのせいで出来なかったし、最後だからいつも以上に丁寧にやろうね」

岡崎「……げ」

………

………

憂「はい、これでおしまい」

平沢がチリトリに集まったゴミをゴミ箱に捨て、俺達の最後の掃除が終わった。
先生にやれと言われた時はひどく面倒な気持ちを抱いたが、今ではそんな気持ちは消し飛んでいた。

憂「……」

岡崎「どうした?急に黙って」

憂「……岡崎君と掃除当番になってよかったな」

岡崎「……!」

岡崎「…なんだよ、いきなり、訳分からん…」

平沢は時々急にストレートに好意を現してくる。
やめてほしい。
こっちはかなり……焦るから。

憂「だって、そうじゃなかったら、きっとこんなに喋る事もなかったと思うから」

岡崎「……そうだな。掃除当番じゃなかったら俺は…」

今でも遅刻はしてるが…もっと酷い遅刻と欠席を繰り返していたと思う。
朝、学校をさぼろうと思うたびに、今目の前にある平沢がチリトリを持っている姿が浮かんだから。

岡崎「…ありがとな」

憂「…?」

いきなりお礼を言ったからか、平沢は少しだけ驚いたような顔をした後…

憂「ふふ…もう、今度はこっちが訳分からないよ」

と言って、笑った。

岡崎「はは、悪い…。」

こいつとこんな風に話せるのなら、これからも掃除をしてもいい、と思えた。

___________________


掃除も終わり放課後からは晴れて休日が始まる。
といっても、やることなんて…ない。
バイトをやめたばかりなので、金はまだあるが、せっかく貯めた金を暇つぶしの為だけに使いつぶすのもどうかと思う。
なら、することといえば、春原の部屋に転がり込み、そこにある音楽CDやカセットテープを楽しむか、もう何度読んだかもわからない程に読み過ぎた漫画や雑誌をまた読み直す事くらいだ。
…久しぶりにランニングや筋力トレーニングに励むのもいいかもしれない。

などと考えていたのだが、しかし、今日に限っては学校はまだ俺を解放してはくれなかった。



さわこ「岡崎、春原、今日は中庭の掃除よっ!」



またも先生に呼び出され、俺と春原は新たな任務を授けられてしまった。

春原「うっへ……僕たち本格的に学校のパシリじゃん」

さわこ「文句言わないのっ!…あんた達、珍しく今週は問題を起こしていないみたいじゃない」

さわこ「だから、このまま手伝いをしながら、何事もなく過ごせばすぐにこんなのからも解放されるわよ」

岡崎「なら、いいんだけどな」

さわこ「ほら、なら、さっさと済ませちゃいなさいっ」

岡崎「あいよ」

_________________________________


春原「中庭の掃除って言われても……僕ら、どこまで掃除すればいいんですかね」

中庭
この高校の中庭は簡単に表すなら、とても広い。

一般的な小学校の校庭の半分程の面積はある。
先生はそんな中庭を掃除しろとおっしゃった。
やる前はたいした事じゃないと思ったがその認識が甘すぎた事に掃除し始めてから気づく。

岡崎「とりあえず、日数わけてやってくぞ…こんなの一日で終わらせようとするだけ無駄だろ」

さわこ「そうね、いったあたしが言うのもあれだけど……ちょっと無茶ぶりが過ぎたわね」

春原「自覚してるんなら撤回してくれませんかねえ」

さわこ「やーよ。他の先生方にあんた達に責任もってやらせるって言っちゃったんだから」

春原「僕らの許可なしでやめてくれませんかねえっ!?」

さわこ「あら、あんた達のためを思ってやってるんだから文句なんて言わせないわよ」

岡崎「…それを言われると俺らなにも言い返せないぞ」

さわこ「あんた達もどうせ暇なんでしょ?なら、後もうちょっと頑張って学校に尽くしてちょうだい。今日は30分くらいやってくれればいいから」

岡崎「…はぁ…」

____________________________________

………

………

春原「あ~……今日のノルマはこんなもんだよね…?……終わった終わった」

岡崎「これだけ広い所を掃除するとなると……結構疲れるもんなのな…」

掃除しおわるころには空はもう赤く染まり始めていた。
我ながら随分真面目に掃除をしたと思う。

春原「そんじゃ、帰ろ帰ろ。…僕もう肩ゴリゴリだよ」

岡崎「……」

昨日、けいおん部を手伝う…と言ったので、今日も音楽室に顔を出すべきか迷ったが…

岡崎「帰るか」

廃部までの猶予はまだ来週まであると言っていた。
今日くらい顔を出さなくとも平気だろう。

春原「そうだね……あーあ、やっと休日だねぇ。なんだか三年最初の一週間はやけに長く感じたよ」

岡崎「ま、とにかく帰ろうぜ。…一回着替えてからお前の部屋いくな」

春原「…たまには菓子の土産ぐらいもってきてほしいね」

岡崎「溜まりにたまったゴミ袋持ってってやるよ」

春原「いらねえよっ!それぐらい自分で処分しろっ!」

_____________

春原と別れて帰路につく。

時刻は4時30分。
赤く染まった空を見上げて一人歩いていると、この一週間の事が次々と頭に思い浮かんだ。

…凄い、沢山の事があった。
坂の下で平沢と会って、購買で変な後輩に声をかけられて、そのままけいおん部の奴らと知り合って、手伝って……

岡崎「………」

俺の今までの二年間を振り返っても、こんなにたくさんの事、あっただろうか。

岡崎「………」

……悪くない、一週間だった。

………

………

___________________


男性「おい!そこの君っ!…ちょっとこっち来てくれっ!」

岡崎「…俺ですか?」

ぼーっと歩きながら家に帰る途中、見知らぬ男性に声をかけられた。
年は25前後にみえる。見た感じはなにやらイライラしているようだが…。

男性「いいからっ…証人になってほしいんだ」

岡崎「はあ……証人?」

………

………

男性「…という事があったんだ」

岡崎「なるほど……わかりました」


男性の話を簡単にまとめよう

1 男性が道に車を駐車し、少し離れている間に車のフロントに大きなへこみが出来ていた。
2 駐車する前にこんなへこみはなかった。
3 つまり、男性が車から離れている間に何かが起きてこのくぼみは出来た。
4 辺りを見渡せば10m程離れた所の電柱の上の方で作業をしている電気工のお兄さん。
5 この兄さんが何かをミスって落としてこの車にへこみを作ったのでは?
6 君、証人になって!

岡崎「こういう事ですか……はぁ」


面倒な事にまきこまれた…とため息をつく。
どうしてこうなった…。

電気工「他人を巻き込むのは感心しないな」

男性「あんたのスパナが俺の車を巻き込んだからだっ」



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        {、   `丶、            __.. -‐ 、         l  「何度も言うが、俺はそんなミスをしない…」
      〉丶     ` ー      { , -‐- 、_   V       l
      |:::::::` ー- __      r‐ '´      \  V ̄  ‐ ハ
       l:::i:::::V |:::::::::::` ー- 、/ ゝ-‐ ⌒ ‐- 、\ V     ヽ
        レ'|::::/,-V::::|:::::://  `(´    ,.-- ..__      V___   ハ
        |:::ハ 、V::|::::/リ `==,ゝ‐ ´ __        }:/::::::/リ ̄´
        |ハ::::\ V!::/     ` ̄//`i      l//:::/
        レヘ:::::ヽリ、l               l       |//
           \:!:::|ヽ          l      /
            >ゝ \      , --l      {
            / \    丶、     ̄´!      ヽャ、
          /   丶、    `i 、__.イヽ     / }
         _/       `丶、L」  /  ヽ  /   ヽ
       ,. '′\  、      /´}|::::l ,′ / > '      ヽ
  , - ´ , '´ ̄\ \    /  l!::::l_」ゝ/,/          ノ`T ー--
´   ,.  '´      \ ヽ /  ||:::::l::::/           /   ヾー-、

電気工「仮に、ミスをしても、絶対に誤魔化したりはしない」

男性「口だけならどうとでも言えるよなぁっ!」

電気工「……参ったな」

岡崎「……あれ…」

車のフロントを体を斜めにして目を凝らしてみてみれば、…動物の足跡がうっすらと見える。
多分、へこみの原因はこれだろう。

岡崎「あの~…」

男性「なんだい?」

岡崎「ちょっとこうやって見て下さい」

男性「ん~?………あっ」

この人も原因に気付いたのだろう。

男性「で、でもっ。まだそうだと決まった訳じゃ…」

なお~~~~

岡崎「?」

タイミングを狙っていたかのように車の横のフェンスの上から猫の鳴き声が聞こえた。

壁を見上げてみれば……。

       ___ _, -rュ‐- ,.._ __
       マ::7'´'┘   └' `マ7
       V 彡     ミ _ヽ

      -/-‐  ー=ー'    ―-ヘ
      //          \::彡
.     /  /          :.:.:::彡  な~~~ご
.      ,'ミ      ー-     :.:.::::彡
    /              :.:.:.::::::ヽ

    fミ                :.:.:.::::::::',
    {                :.:.:::::::彡、
    lミ                :.:.:::::::::;;ヽ
    |                 :.:.:::::::::=彡
    |                 :.:.:.::::::::::::::}
    ',                 :.:.::::::::::::_,′
.    ヽ               .. :.:.::::::::=彡∧
      \           . .:.:.:::::::::(こ7Tーiヘノ
       ヽ、:::::.:.::.:... . .. :.:.:.:.::::::.:::::::::`フ┴┴'
         `ー ‐∨∨───一 '´

男性「あ……」

おそらくは原因であるそれが座ってこちらを見ていた。

とびっきりに太った猫が

男性「…はあ」

ばつの悪そうな顔をして彼は電気工に向き直った。

男性「すまん……こちらの勘違いだったみたいだ」

電気工「…そうか…疑いも解け、原因もわかったようでよかったよ」

男性「はぁ~……君も、勘違いに巻き込んで悪かったね」

岡崎「全くです」

男性「はは…言うねえ……修理代…いくらだろ…とほほ…」

______________________________

.
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              _...‐ '" . . . :.:.:.:.:.:.:.:. . . `ヽ、

           _. ‐ "   . .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ヽ
         _.-'"    . .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. .`ヽ
       / /.:.  .: .:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :.:.:ヽ
      / /:.:  :.: :.:.:.:.:ヽ`ヽ;.:.:.:.i:.:.ヽ:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:.:.:V:.:.:.:.:. ヽ
    /  /:.: :. :.: :.:.:.:.:_:.:.ヽ `゙l:.:.ヽ:.:.ヽ:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.: ',
       /:./: :.:.: :_/ \ |  |:.:ト;.iヽ;.:.ヽ:.:.:.l:.:.:.:.:.:.l:.:.:/:.:.:. l
       //l:.:l :_.y \l>  ヽ  l:.l_..-''"ヽ\:.:l:.:.:.:.:.:l:.:/:.:.:.:. l
        l/ l:/l l  \      l:.:l  ―-‐' ヽl:.:.:.:.:.l:/_:.:.:.:.:.l
        l  |. l :〉        ト‐ヽ     |l:.:.:.:.:/^ |:.:.:/:|
         ';:.:|         ,'  `     l:.:.:/ l:/ l:.:.ハl 「ありがとう。助かったよ」
             ゙y          ,'         l:.:/_ /ハ/
          l         ,'  _ ...     / / Y:/
          l         / ´       /  l/
           ヽ  _ ...... _ |\      /   |
           /"´    `ヽ、\__.... '´   / ̄ ` ゙ ''―-i
            l"       ├l       ,'  l        |
           l _..-‐  ヽ.、 l. 'l _ __..ノ ._l    _.-''゙ヽ......__
           l/       `ヽ_...|  |   / |  ./        _.`二ヽ、
            /          ヽl  |    l /      _... - '"´   ` ゙ヽ
         /            |  |    ´ /:   /           ',
       _..-'|             | /     /:  /                 |
    _..-'"   l             l./      |:::: /     _ .. - '"       |
  _. ''"       |             |         l::_... ― '' "´           |
 /          l             ヽ.. _    |"                 l
./          l              ヽ `ヽ、 l                    l


岡崎「いえ、よかったですね。疑いも晴れて」

電気工「ああ。誤解とは…悲しいものだ。人の心をすれ違わせる」

電気工「だが…人は誤解なくして生きていく事は出来ない…悲しい生物だ」

電気工「言葉があるのに……いや、言葉があるからこそ人はすれ違い……傷ついてしまう事も多い」

電気工「そんな世の中でも,希望を探し続けて生きていくんだぞ……少年よ」

岡崎「は、はあ……」

なにか急に語り始めてしまった。
ちょっと変な人だな……見た目はかっこいいのに。
…てか、どこかで見た事ある気がする……。

電気工「…まずいな…時間をずいぶん取られた」

電気工「………」

電気工「……なあ、君。少しバイトをしていかないか?…礼は弾む」

岡崎「…急ですね」

電気工「ああ。だが、見たところ暇なんだろう?…用事もないならどうだ」

岡崎「…」

どうせ春原の家にいっても無駄な時間をもてあますだけだ…
それなら……

岡崎「それじゃ、稼がせてもらいます」

見たところ、この人はそんなに怖い人じゃなさそうだし、そんなにきつい事もやらされないだろう。

電気工「威勢がいいな…俺好みの奴だ。よしっ。あっちに荷台がある。そこからヘルメット持って俺についてこい」

岡崎「はいっ」

_________________________

………

………

岡崎「はあっ!…はあっ!……ふ、ふぅ……は、はぁ~~~っ………。」

電気工「なんだ。もうばてたのか。若いのに情けないぞ」

岡崎「ま、まだ……まだいけます…っ!」

電気工「根性だけは中々な奴だな。よし、次の現場いくぞ」

岡崎「あの……同じ作業後どれくらいあります?」

電気工「二つだ。さ、報酬は弾むんだから、気合いれてもらうぞ」

岡崎「うげっ……」

_____________________________

………

………


電気工「それじゃ、今日はこれで終わりだ。助かったぞ」

岡崎「ぜぇ…ぜぇ……き、きっつ……」

電気工「思ったよりも、全然いい動きだった。……これが今回の分だ」

岡崎「ぜぇ…ぜぇ……ど、どうも……って!」

渡された額に驚愕する。
7千円もくれた……たった3時間とちょっと働いただけなのに……。
時給二千円以上!?

電気工「ま、一日の臨時に渡せる額としてはそんなもんだ。…親方には一日分も渡せるかっ!と言われたんでな」

電気工「…少しだが俺の感謝代も入っている。大事に使えよ」

岡崎「…い、いえ……こんなに…ありがとうございますっ!」

電気工「ま、人手なんて常に足りてない世界だ。もしまたバイトしたくなったらよかったら連絡をくれ」

電気工「この名刺はそのための手段と……今日の誤解を解いてくれた礼だ」

電気工「家、どこら辺だ?…遠くまで連れてきてしまったな。送ってやる」

岡崎「あ、ども。……あ、光坂高校まで送ってってもらっていいですか?家、あそこの近くなんです」

もう時刻は20時を過ぎている。家に帰れば親父と顔を合わせることになる。
着替えてから春原の部屋に行こうと思ったが、もう制服のままあいつの部屋に入り浸ろう。

電気工「そうか。わかった」

___________________________

………

………

岡崎「それで、これがその時貰った名刺だ」

春原「なっ………」

岡崎「どうしたんだよ」

春原「その人……どんな事言ってた?」

岡崎「…すれ違いがどうとか…希望がどうとか…なんか熱く語ってたぞ」

春原「間違いない…伝説のMC…芳野佑介だっ!!」

岡崎「芳野…?」

春原「知らないのかよッ!?当時は売れまくってただろっ!?」

岡崎「し、しらねえよ……でも、マジか。…曲聞けばわかるかも」

春原「……ちょ、ちょっと待ってろ」

春原「あ、あったあった。これこれ」

岡崎「なんだよ…そのカセットテープは」

春原「…妹が作った芳野スペシャルテープだよ。ま、聞いてみてよ」

岡崎「………」

__________________________

………

………

岡崎「これは……」

春原「どうだった!?」

岡崎「すげえよかった……」

芳野佑介の……叫び……とでもいうのだろうか
自分の中にある何かを弾け飛ばすかのように、感情を爆発させている。そんな叫びのような歌声。
……それなのにとても澄んだ声で、力づよくたくましいボーカルだった。
耳に響くはそれに合わさって曲を織り成すギターの音色。その熱く激しい音の波は哀愁と情熱とが混じりあい、化学反応をいい意味で起こしていた。

……気がつけば、一瞬のうちに全ての曲を聞き終えたかのような錯覚さえ起きるほどに、これらの曲にのめりこんでいた。

こんな曲を生み出してた人だったんだ…あの電気工の人。

春原「一時期本当にすっげえブレイクしてたんだけどね。ちょっと訳ありで…めっきりTVにでなくなっちゃったんだよね」

岡崎「もったいないな…こんなにいい曲作れる人なのに…」

春原「そんな芳野佑介がなんでこんなちっちゃな町で電気工なんてやってんだろ……やべっ!名刺もらったって芽衣に自慢しよう」

岡崎「おい…名刺は俺がもらったんだぞ」

岡崎「それと……芽衣って、前に言ってた妹か?」

春原「ああ、全然僕に似てないけどね」

岡崎「……春原の妹ね」

きっと、酷い顔してるんだろうな。

岡崎「ひぃっ!」

春原「…何変な声上げてんのさ」

________________________

………

………

そして、親父が眠るまでの残りの時間はいつも通り春原の部屋で過ごした。
長い一週間の終わりとしてはなんとあっけのないことだろうか。
でも、この生活を変えようと何かをする気にもなれない俺には結局こんな生活がお似合いなのだろう。

春原「なあ、岡崎」

そんな考えに一人ふけていると春原が不意に話しかけてきた。

岡崎「なんだよ?」

また面倒臭い事言いださなきゃいいんだが……

春原「僕らの学園生活、後一年だけだよね」

岡崎「…そうだな」

春原「………」

春原「よろしく」

岡崎「………」

岡崎「改まってなんだよ。…気持ち悪いな。やべっ、寒気してきた」

春原「春なのに寒気感じる訳あるか!!」

岡崎「俺、お前といる時は常に寒いよ」

春原「なんだとぉっ!!!」

岡崎「……」

春原「……」

岡崎「…ぷ、はは、悪かった。……よろしくな」

春原「……」

春原「……ふん」

岡崎「それじゃな」

春原「…気をつけて帰ってよね」

岡崎「ああ」

_________________________________________


そうして長い一週間が終わった。

始まりの一週間。

序章は終わった。

そして

最後の一年間が幕を開ける。

……一生に一度限りの

…高校三年の季節が




………後になって振り返れば、

あっという間に過ぎ去っていく

…甘くて、ほろ苦くて。

……俺にとって人生で一番の宝物になる、一生鮮明に思い出せる日々の始まり。

そんな季節だった。



~けいおん! after story~

序章 ~高3 桜舞い散る坂道で~ fin

はい。

という訳で序章終わりです。

まず初めにここまで読んでくれた人ありがとう。
感謝です。

序章だけで今まで書いたSSの中で最長になってワロタ。
書き溜めは3章まである感じ。
全体の構想としては5章で終わる予定です

次の一章でライトノベルで言えば一巻が終わるようなすっきりした終わり方になります。

ただ諸々のリアル事情で一章投下は一週間から二週間位あけますんでそこはご理解をお願いします。

では

乙。楽しみにしてるで

乙。
けいおん!キャラに他作品の男性キャラが絡んでくるだけで拒絶反応示す輩もいる様だが、めげずに頑張ってくれ。

おっつー。
次の投下が楽しみだ。


続き楽しみだ

>>334
>>335
>>336
>>337
ありがとう。

一章の投下は月曜日か火曜日辺りになりそうです。

その前にちょっとした番外編だけ投下します。

~番外編 体験入部のメガネっ子~

                  ,. . : ' : : : : : : : : : : : : :`: . 、

                ,. :': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
              / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : '.,
                / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :'.,
            /: : : : : : /\ : : : : : : : : : : :l : : : : : : : : : : : :'.,

            ,': : : : : : /     \ : : : : : : : : l: : : : : :l: : : : : : : :',
           ,' : ;': : : /        \: : : : :∥:l : : : : :l: : : : : : : : :',
           |: :,' : : / ̄`       '"\: :∥: :l : : : : :l : : l : : : : : i
           |: : : : /             \: : :l: : : : : l : : l : : : : : l
           |: : : / x=zx`      ´ ,xz==xヽl : : : : :l : : : : : : : : l
           |: : : l 《´{::う      イん::う`》: : : : : l'ヽ: : l: : : : :l
           |: : : ',.{. 辷リ f=={   辷ソ l: : : : : l.、 l: : l: : : : l

           | : : : l弋__ノ   弋__     ノ l: : : : : l丿} : l: : : : l
           |: : : : l    ,       ̄   l : : : : l,.イ: : : : : : /   「すみません、奥田 直っていいます。
           |: : : :人             l: : : : l: : : : :/: : :/   
           |: : : : : :ヽ   `  ´       ィ : : : l: : : : /: /       体験入部したいんですけど…」
.           | : : :l|: : l: : ヽ       <  l : : :イ: : : //
.           |: : : l.|: :l.l: / ` -r ´     l: : / l :/
            | : :/ .|;/ ´   //'l     /l: /l:ヾ
.            レ'   _,-‐':::/ l __,、イ´  レ/::::::ヽ
                  ,、-´::::::/:::::l.、/!´    /:::::::::::::::冫.、
             ,.:'::::::::::::::/::::::/r{゙'‐t   /:::::::::::::::::/:::::::::ヽ
           ,'::::::::::::::::/:::::::/ j lΤ}',/::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::ヽ



                  -─……‐-    __ノ}_
                   / : : : : : : : : : : : : : : `⌒\ : : : :}_
             . : : : : : : : : : : : : : : :\ : : : : : :\: : : :<
           _  /: : : : : : :/: : : :/: : : : : : :}: : : ヽ : : :ヽ: : : 〔
     <⌒: : : \{ : /: : : : : : : : : : : : : : : : :| : : : : : : : : ∨: :く

     / : : : : : : : : : |: : : : : |: : : :.|: : : : : : : :i∧: : :| : : : : | :/ 「あ、入部希望者だ!!」
    ∠: : : : : : : : : : :/:| :i : : : |i: : :/|: : : : : : : :⌒ヽ: :}: :|: : : : 〉
    ∨: : : : : : : :ヘ : | :i : : : |i: :/ V{: : L 八|   |:/∨ : : |/        「やっぱ私達のライブよかったんだよ!!」
     厶; : : : : : : : : ミ| :i : : : |∨    \|    x‐ミ  | :八|
      厶 : : : : : : : : :|从 : : :|    __       〃⌒  iイ
      く: : : : : : : : /´∧ : :|  x=ミ       ::::::: {ノ
       \/`ー'∨ { (\|   ::::::::      '     |
                    `ー-ヘ      _     人
                   \    ` ’  /}⌒>──-
               ___ /个:=-  .._ イ /        ヽ

              /   / /│ \  //    /
            /       〉 |    }/ /  |          }
                     〈  \/けト. /  | l {         |
              |      ハ. //L八∨  /   |         |
              |    ∨ _〉 // /| lい  〈   l |        ,′
               \  | | { {ノ/|│J |  〉  ∨ /      〈




        ....:::::: ̄ ̄::::::‐-..
      /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
     /:::::::::::::/:::::::::/ \:::::::::::::‘,

     ′:::::::::|::::/‐   \∥::!::}
     |::::::::|::::::|/        \::}::!
     |::::::::|::::::|  ●    ● リ::|   「いえ、私は色んな部に体験入部して回ってるだけで……」
     | :::::r| ::::|  ⊂⊃─⊂⊃ {::|
     | ::::ヽ|:::::|      ▽     }::|
     ヽ:::::::トf⌒ト.      ィ⌒ヽ
       l `` .`ー'ー===-‐`ー/ ‐- 、
      |              ゝ!─、 l
        !              ノ、_j j
      ',             ゝ_ノノ
       ゝ、          /




                 ,. -──‐-.、
              , . .: ´. : : : : : : : : : :`ヽ、
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              |: l: : |: :ム: :l: : : :l: :|ー\: : :.|: :レイ:∧: :.',
              |: l: : Ⅳ  Vヽ: :∧/   i: : :|: :レ:.//:./: : :',    (ガーン…)
           V: : .{ r=r.テ V  rテ テ V.:/: :.レ'/.:∧: : : :',
           V: :ハヽヒソ     トヒ辷ツV: : :.ハ::::l::::ト、: : : ',
            i: :i:::} ,,,      .,,,,  /l: : : レ'::::l:: | ',: : :.i
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       r'´.::.::.::.::.::.::.:ゝ-\/介\/..::ノ.::.::.::.::.::.:: ゙̄::ュ、
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           / :/ /: : :/⌒/:/ l :|\: : : l│ : | : ∧〉:
            | : : : : :.:/:| :/l/  : |⌒ヽ : :│ : |:.:/:人:|  「本当!?
            |/|: :|: :/ |/    \  ': :.リ: : :彡: : : :|    ……えへへ、ありがとう」
           厶イ j{ ,z=ミ    _ _   ∨ : :/: : : : :八
                乂}       ⌒ヾY | : /斗vl/
                  '       厶イ ノ
              八   、_       /
               丶、       ィ^´
                 \__...   ´ ∧
                 /∧   ´ ̄ノ:\
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          /: : : : /: : : :./: : : :l: : : :.}: : : : : : :ヽ
           ,.イ:.:i: : :.:l: : : :/:.:ハ: :l: : : ハ: : :ヽ: ヽ:.ヽ
         /: :l:.:.i: : :.:l: : :/`メ、 V: : : :レく : : :|: : :|: :|
       /: : /V:i : : :l: :/ l/ \ |: : /:}/ ',: :|: : :|: :|   「う~、わたしもギター頑張ったのに…」
        /: : / Vi: : : l/   - 、 |/l/ , - V }: /: ∧
     /: : /  ハ: :.:.l  三ミヽ   彡三  l/: : i: : ',

      /: : :′  ヽ '; : :l              ハ: : :.|.: : :',     ノ⌒)
    /: : : ′   `i: : |   ' ' '     ' ' ' j: l: : ∧: : :|  `ーく     )
   /: : : :,′      i: : ト、     )_ノ    ,.イ: l:: ::| i: : |     ヽ __)
  ./: : : :.:′  , .:.´ ̄\|.:.:7> 、 __ ,. イ l:./.: / _」: :.|
  i: : : : :;′ /:.::::::::::::::::::::/:::i \   /i::::::l:::::l//:\l: :./
  |: : : : i   l.:.:::::::::::::::::::/:::: |  \_/ l::::::l:::::::::::::::::::.\
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  |: : : : |   |::::::::::::::::::V::::::ヽ| // l V::::::〉::::::::|::::::::::::::::::::::l
  ト、: :.: |  ∧.::::::::::::::/ r'つ/ ´ ̄ ̄` V.::::::::::::|.:::::::::::::::::::::!
  |: ∧: |  |: :ヽ.:::::.,.イ´ _ }  ∧ ∧ 彡'⌒ヽノ:::::_::::::::::::::,′
  |/ ヽ{  |.:.::´.::`7´{  _ }  (*゚ー゚){ _`   }.::´.:::`.:::::::/
       /.:.:::::::::/:.:.:.{   ノゝ-----く    ノ.:::::::::::::::ノ


        ....:::::: ̄ ̄::::::‐-..
      /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
     /:::::::::::::/:::::::::/ \:::::::::::::‘,

     ′:::::::::|::::/‐   \∥::!::}
     |::::::::|::::::|/        \::}::!
     |::::::::|::::::|  ●    ● リ::|  「すみません、ギターも上手かったです」
     | :::::r| ::::|  ⊂⊃─⊂⊃ {::|
     | ::::ヽ|:::::|      ▽     }::|
     ヽ:::::::トf⌒ト.      ィ⌒ヽ
       l `` .`ー'ー===-‐`ー/ ‐- 、
      |              ゝ!─、 l
        !              ノ、_j j
      ',             ゝ_ノノ
       ゝ、          /




――――‐-  、
:::::::::::::::::::::::::::::::: `丶、

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`:::ー _z―   /|_
:::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::\    く  ∠__
::::::::::::::/::::::::::::::::::!:::::::::::::::::::::: \   ヽ  /
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:::::::::::::|::::::::::::::::::::|::::::::::::∧:::::::::::::::'.     ̄`
:::::::::::::|::::::::::::::::::::l::::::::::/ーヘ::::::::::::::|

:::::::::::::|::::::::::::::::::::l::::::./     !::::::::::::!
――‐!:::::::::::::::::::::::::/, -、 、| ::::|:::/
`丶、:::!:::::::::::::::::::::!::!l:f うゝ |::::::!/
::::::::::: ハ::::::::::::::::::::!ハ! ト::| |:::/|  「取ってつけたように言われたっ!?」

::::::::: | ∨::::::::::::::::!   ヾノ ヒ
:::::::::∧ ',::::::::::::::::::!       |
::::::::::::::ヽ」::::::::::::::::::!////    ,′
:::::::::::/ V::::::::::::::::!       ,
::>'´    ∨:::::::::::::!  _ / _r-、r┐
――- 、  ぃ.:::::::::| ` ̄/  > > .」 !
_      ><廴!::::::l二 ̄  ,ゝ /7_ノ

/ ̄>―ァ´/  ̄  `ヽ  l '´ /



           _ .. -―――- 、
.        ,  '´: /: : : :|: : : : : : : \
     、 /: : : : ::!: : : : !::| : ∨: : : : ヽ/¨ ¬‐-、

    _」`Y: : : / :/|: : : : : :ト、: :∨: : : :ィ: : : : : : : :ゝ

  -_‐'´: :./: : : :l / _!:|: : : : :| ‐: : |: : : : :!ノl: : : : : : ヽ
.   /: : ::!: : |: ::!レ´ l: : : : :l ∨ハ: ::||/!: : : : : : : :>
   !: : : :|: : :!: :|!|   `'ー'´     !: :! l//: : : : : : : ┘
.  |_: : : |: : :!: :|   _;;    'r_-.、∨|: ::ハ : : : : : r' 「ベースはどうだった?」
   └;: :lヘ: :!ヽゝィ'´''′    ....`  仁〈 `ヘ_ノレ′
.    ' ¨'勹乂ハ  :::::::  ′  ''''''  } ノ
        ヾ '.     , 、    ,ー '´
         `ヽ    `ー′   .′
.       _  `丶、 _   イ
       /::.::.::.¨' ーr:.'.丶   /ト、 _
     /::.::.::.::.::.::.::.::.|::.::',\/ _レ'´`'¬‐、
     !::.::.::.::.::.::.::.::.::!::.::.:ヽイy'´     ,、_ト、
     ∨::.::.::.::.::.::.::.::\:./::.`ヽ、__ . -'´' /::.!
     |::.::.::.::.::.::.::.::.::|::/::.::.::.::.::.::',  . -'´.::.:|
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                   __

              ,     ´:: :: :: :: :: :` .. ..、
          ,  '´:: 、 :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: \
         /:: /:: :: :: ヽ :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :ヽ
       , ':: :: ::!:: :: :: :: :: ', :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ',

      /:: :: :: :λ:: :: :: :: :: :';: :: :: :: :: :::i:: :;' :: :: :: :: :: :.

       i:: :: /::/ \::\:: ',:: ! :: :: :: :: :: ! / / :: :: :: :: :::i
       |:: ::l:: :!  ' ´ \|ヽ,i:: :: :: :: :: :::├、´:: :: :: :: :: :::| 「………?」
       |:: ::|::|     `ヽ',:: :: :: :: :: :: !r ヽ:: : :: :: :: :::|  
       |: :: ', :|     行ハ ' :: :: :: :: :: :| } / :: :: :: :: :: :|
      ',:: :: ト,!    ヾノ ),:: :: :: :: :: :|_/:: :: :: :: :: :: ::|

        ヽ::|: ',ミx==(   / , :: :: :: :: ::| :: :: :: :: :: :: :: :!   「ベースってなんですか?」
         `!:: ヽ/  ` ̄   ':: :: :: :: :::|,::: :: :: :: :: ::: :::|
        |:: ヽ,       ' :: :: :: :: | ',:: :: :: :: :: :: /
        |:: :: :: 、_ ノ    |:: :: :: :: :! ヽ、:: :: :: ::/
        |:: :: :: ::` ,    |:: i:: ::|レ' , -‐ヽ─ ´

        |:: :: :: :: :: ヽ -‐.i´レ|/- ´    /'、
         ヽ、__ノ、__|   |r‐´    ,  ´:. :./:\
          ,ヘ__     ノu.!   ./:. :. :. :./ :. :. \
        _r_‐- ヽ',.   ///.| ', /:. :. :. :. :/ :. :. , -‐-` 、
       ノ- 、`! |/.,'  ,.////.i | , ':. :. :. \ ̄:. :./:. :. :. :. :. l
      } ‐-、l }/ ' /{ `////´:. :. :. :. :. :.〉:. :/:. :. :. :. :. :. :..|

      l   `´ ./ |:. ///ヾ, ´:. :. :. ,  ´ :. :, ':. :. :. :. :. :. :. :. ',
        {    /、 |:.////:. ,  ' ´:. :. :. :./ :. :. :. :. :. :. :. :. :. ..,
     _ }、_ノ /:. | }//,',  ´ :. :. :. :. :. :. :.i :. :. :./:. :. :. :. :. :. :. :i
    /r、__./:. :,'/|/´ :. :. :. :. :. :. :. :. :. :.|:. :. :/:. :. :. :. :. :. :. :. |

    }:.` ‐ ´:. :. :!':. | :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. |:. :.,':. :. :. :. :. :. :. :. :..|
    |o:. :. :. :. :. | O!:. :. :. :. :. :. :. :. ヽ;. :. :.!:. , :. :. :. :. :. :. :. :. :. |

                _ ... -―- ...     .ィ
.          ト、    , .´: : : : : : :: : : :`丶-、/:└―‐ァ
      ィ―┘: ヽ/: : : : : : : : : : : : : : : : : : :\: : : : `ヽ_

.     丿: : : : :/: : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : :∨: : : : :〈
   __/: : : : : :/: /: : : : : : : イ: :!: : : : :∧: :ヽ: : : : : : : : :<
   `ァ: : : : /!: :l: : :|: |: : :/ |: :|: : : : :l '. : :|: : : |: :ト: : : : :\
    7 : : /: : レ:!: :|:|: : i⌒l :|: : :!: :|⌒'.: :|: : : |: :|: : : : :「´
     }: : : : : : !: :|: : :l: |: :.′、Ⅵ: : |: :j,  '∧: : :!: :! : r‐┘
.     ̄フ: : : ',: :l: :: :!:从| _-!|: : ハ/ =--_L !: /: //:ノ 「…そういう人、結構多いよね…」
      7.イ: :ハ_!: : :! 'ラヮ¬  ̄  Tフ T´!/ 仆v'
         ∨^{ ,.ト、l '.弋_ノ      弋_ノ 彳 l
.          l ぃ `            ! ノ

           丶、 ’.  ""      ""  '´
             `¨ヽ     r┐    ノ
                丶、  丶'   . イ、
.                  > ‐ </  ∧___
                 ハ    /  /::.:l::.::丶、
               // ヽ /   /::.::.!:.::.::.::.:`丶、
.             /:: /| .f>-、   /::.::.::|::.::.::.::.::.::.::.::\
.             /::.::.::/: ! // !い. /::.::.::.:|:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.\
            l::.::.:/::.::レ l 「! |. ∨::.::.::.:ノ:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.l

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        |.:.:.:l.:.:.:.l:.:lll:.:.:.|:.:.:ll:.:.l x===ミ、\l | :.:.///... j/ `∨:.:..:.|:.:.:.:.:|  「ええと…遅れちゃったけど…けいおん部へようこそ」

        |.:.:ll.:.:.:ハ:lll:.l:.:| :.:lll: 〃〃::○lヽ  // /x===ミ、 |:.:.:.:.l.:.:.:.:.ハ       
        |:.:ll.:.:/|  :ll:l:.:.:, :.lハ:、 {{o:::::リ  /    ll::::○l }} ハ:.:.:.:l.:.:.:.:,'.:.:    「とりあえず……ギターとか弾いてみる?」
        |:lll.:.:.:.:|  ハl:.:.:.∨:.:.ヽ ゛¨¨´          lb_::::リ /.:|:.:./.:.:.:∧.:.:
        ∨.:l.:.:.|  、l:.:.:l:.:.:.:.:| ////    ′      :.:.:|.:/|:.:.:/.:.:∨
        /.:.:ll.:.:.|  |:.:.:ll, :.:.:.|         _    /// |:l:|/:.:|:/:.:.:.:.:|
          .:.:.::ll:.:.:.|   |.:.::l:.:, :.:.|       〈  `ヽ/      .:ll..:.:.:.| :.:.:.:.:.:|
        :.:.:.:lll.:.:.:|  |:l.:.:.:.:, :.:ト、        、_/     /:lll:.:.:.:.:| :.:.:.:.:.:l
        :.:.:.l:ll:.:.:.|  |:ll:.:.:.:.:, :.l > .          |:.:lll.:.:.,':.:.:|:.:.:.:.:.:.:l
       |:.:.:l:.ll:.:.:.|  |八:.:.:.:.:, :l   |  `   _,. r<   |:ll:.:.:.:ハ:.:.:|l:.:.:.:.:.:.:.
       |:.:.l:.:ll:.:.:.|     \:.:.:, :lΓ- .,_      ト、   ノl:.:.:./ |:.:| l:.:.:.:.:.:.:.:
       |:.:.l:.:.l:.:.:.|      \:, リ   ´‐ ,_ / ト  ,:.:.:/  |.:|  l:.:.:.l.:.:.:.:.
       |:.:.:.:.:.l :.:.|     /「 \:,      〕   ∨,:/    /   l:.:.ll:.:.:.:.:,
       |:.:.:.:.:. :.:.:|  /   」  〈     >〔_〕 \ ∨∧\_       l:ll.:.:.:.:.:.,
        :.:.:.:.:.:l:.:.|/     |   ∨// / | 「|\\/ ∧ ´'   .,_    lll:.:.:.:.:.:.,
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        :.:.|   丶         |   \/ //||  |   |     ′ :,   l:.:.:.:.:.:.:.:,
        |:.:|     \     |     ∨/ ||  |   ヽ      ;,  l:.:.:.:.:.:.:.:l
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            .:.:.:.:.:.:,     \   ∨〈       :, i |    /     / / |l   |:.:.:.:.:.:.|
           八:.:.:.:.:.:,      \ │ \      ′i |    /     / /| |  |:.:.:.:.:.l
        /  \\|ハ        \|   \     、l |   /     /  |     |:.:.:.:.:/
              \|∧         \   \   |/   /|    /   /     |:.:.:./
              | ∧        ヽ   \  |  / |    /    /     ノ/
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                   __

              ,     ´:: :: :: :: :: :` .. ..、
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       , ':: :: ::!:: :: :: :: :: ', :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ',

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       |:: ::l:: :!  ' ´ \|ヽ,i:: :: :: :: :: :::├、´:: :: :: :: :: :::|
       |:: ::|::|     `ヽ',:: :: :: :: :: :: !r ヽ:: : :: :: :: :::|  「…こうですか?」
       |: :: ', :|     行ハ ' :: :: :: :: :: :| } / :: :: :: :: :: :|
      ',:: :: ト,!    ヾノ ),:: :: :: :: :: :|_/:: :: :: :: :: :: ::|

        ヽ::|: ',ミx==(   / , :: :: :: :: ::| :: :: :: :: :: :: :: :!
         `!:: ヽ/  ` ̄   ':: :: :: :: :::|,::: :: :: :: :: ::: :::|
        |:: ヽ,       ' :: :: :: :: | ',:: :: :: :: :: :: /
        |:: :: :: 、_ ノ    |:: :: :: :: :! ヽ、:: :: :: ::/
        |:: :: :: ::` ,    |:: i:: ::|レ' , -‐ヽ─ ´

        |:: :: :: :: :: ヽ -‐.i´レ|/- ´    /'、
         ヽ、__ノ、__|   |r‐´    ,  ´:. :./:\
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      ハ:::l:::l |::ヽ:::::! : : : :il/::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::! /l: : Λ: ! 「お、奥田さん!!それバイオリンの持ち方だよ!?」
.      /ノi `ヘ: : :>ヘ; : : ll:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l/:::!: / V
       i:_:ノヽ/ l⌒ト、: l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/l/

.       ´    ヽ 'ヽ ヽ|            :::::::::::/ ′
              ` -、                 i
                `ヘ     ,-=,       八
                `ト、    ー'     イ
                 ,r{__ > - -r_  ´
                  _/  `><  ̄´ ト、
           _. : ´: :ト、 /,イ {ヽ  ノ: :`: . 、
         ,r .T´: : : : : ::/〃/! l}、 V、 `: : : : : : `:>、
       / l___!: : : : : : / ム/.ムl .l{ヘ } :ヽ: : : : : : :/、 /ヽ

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       |:: ::l:: :!  ' ´ \|ヽ,i:: :: :: :: :: :::├、´:: :: :: :: :: :::|
       |:: ::|::|     `ヽ',:: :: :: :: :: :: !r ヽ:: : :: :: :: :::|  「………?」
       |: :: ', :|     行ハ ' :: :: :: :: :: :| } / :: :: :: :: :: :|
      ',:: :: ト,!    ヾノ ),:: :: :: :: :: :|_/:: :: :: :: :: :: ::|   「わかりました!!ギターですもんね!!」

        ヽ::|: ',ミx==(   / , :: :: :: :: ::| :: :: :: :: :: :: :: :!
         `!:: ヽ/  ` ̄   ':: :: :: :: :::|,::: :: :: :: :: ::: :::|   「それなら……ってあれ…?」
        |:: ヽ,       ' :: :: :: :: | ',:: :: :: :: :: :: /
        |:: :: :: 、_ ノ    |:: :: :: :: :! ヽ、:: :: :: ::/
        |:: :: :: ::` ,    |:: i:: ::|レ' , -‐ヽ─ ´

        |:: :: :: :: :: ヽ -‐.i´レ|/- ´    /'、
         ヽ、__ノ、__|   |r‐´    ,  ´:. :./:\
          ,ヘ__     ノu.!   ./:. :. :. :./ :. :. \
        _r_‐- ヽ',.   ///.| ', /:. :. :. :. :/ :. :. , -‐-` 、
       ノ- 、`! |/.,'  ,.////.i | , ':. :. :. \ ̄:. :./:. :. :. :. :. l
      } ‐-、l }/ ' /{ `////´:. :. :. :. :. :.〉:. :/:. :. :. :. :. :. :..|

      l   `´ ./ |:. ///ヾ, ´:. :. :. ,  ´ :. :, ':. :. :. :. :. :. :. :. ',
        {    /、 |:.////:. ,  ' ´:. :. :. :./ :. :. :. :. :. :. :. :. :. ..,
     _ }、_ノ /:. | }//,',  ´ :. :. :. :. :. :. :.i :. :. :./:. :. :. :. :. :. :. :i
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     i´)   |,i レ
     i |   くヾ、
       i |    ヽ、\.
      i_,!    ,..>i
              /´ /
         イ´| /

             i/  ,..ンフ
          くニニゝ //
            ./ /
             r´/
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/!|., ′    /   イ     /  !  ヽ
. ! ∨   /./  /./ ,     /  |    ’,
. /    〈/ / // ィ    /!   /     i
.ィ′   /、!/ 、/_l / |   / |  / |      !
.´   /  |`丶、.!'´ |  .X |/  !    ∧  「って弦が切れたーーーっ!!」
.   /.. _    `  !/ `ー!'‐--l   .ハ \_
   l   `` '' ‐   ′ ''==-、 |   /| |    (こないだ張り替えたばかりなのにぃーーっ!!)
    |          、、_   /|  ./ ! !
.  ハ    /`'‐- 、   ``/  イ  l|

ハ ! |ヽ.   /     /      !    /|   ! !
∧ | | \/__   /    _ノ ,  /|  ! !
! V |   >-`≠ァ 'T ̄| /  /ヽ.!  |!
\  レ-‐ニニ、 /  !  |ィ  / / !    !|
// ィ 7 i_/、\ /    |/ / .|   |!
 ! r'´.レ'´/ .| Ⅳヽ\   /   /  .!    l
.∧ヽイ/  | lヽノ ノ \/    )   |    |

         、    , イ  ̄ ̄ `¨¨ミ  .
       、__jー’  ,. チ    丶  \   `≧ 、
      __)    / .′   {   ヽ.   ヽ      \
       )   .    |    ヽ   ‘.   ∨   . . : ヽ
     `j  / ,   {     ! 廴      ∨  : : . .∧
         / /    ハ ノ   |  ト`  ー一  ∨   : ∧
        i /   __,ムイ∨    } \ i     ‘,    i ‘.  「わっ!弦が飛んできましたっ!!」
        }′′  /  ヽ   ′ ァ示ミy、   ‘.、    ’
        | i   iノァ==ミi } / 〃ト';;| l i}     i ヽ  i  i
        | l   | { ト';;. } /′   乂_|ソ’   i  ト }   .  |
       .    { |人.乂_ソ}′    7 爪′| | ム ノ     :
        八 i   |ハ '/7´/, // /  |  j i /イ/ ノ i { |
    ィ    ‘} | 小.i /           }  | }′厶イ一ミ. {
   / しヘ  || |从 u     ノ ⌒ヽ/イ .' / / ....:.:.:.:... \
       / | ハ|公 .    (   _/ | '/ // ....:.:.:.:.:.:.:.... ヽ
     /   }′‘.| ∧ }>...    / . /! / // ...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:... ト、
    o   ノ  }ハ.∧ __r― ミ7爪/ } / ′..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.... }ハ
        /ノ.:.:.}_人r┴'   ヽ /   .′ ...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.  | ‘.
        { ..:.r‐く ∨ヽ     ∨/  ' ..:} /...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.... |   i
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              ト、_ ,  ' ´: : : : : : :`丶、   ィ_
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          /: : :イ: : ::/: : :/: : !: : :ハ: : :l: : ::l|: : : : : : : : ゞ
          Z: :.//: :/::|: ::Ⅳ: :|: : :! ∨::!: : :|!: : : : : : : :}
.          ∨彳|:/: :!!: ::| l: : !: : |  V.!: ::八 : r v-√ _  「奥田さん!!ストップ!!ストップ!!」
           }:/: :!: : :|ヽ:廴\|レL. イ!|: ::レ' ヽl | |/ l
           ´\: :ヘ | r_‐ミ   ィ_-ュL/ n:7 j レ' / ┐    (梓のギターがいかれる!!)
              ヽ火_ :: `  ,  :::: Jr‐ノ |'     / /
.               __ヽ  r_-_っ  .イ¬ ヽ    /

 .           -‐ ''::.::.::/::> 、 _  < |::.::|      ハ
           /::.::.::.::.::.:/::.::.::! `、/   /::.::|>、 __ノ!::ヽ
.          l::.::.:|::.::.:〈_::.::.::.', /¨ヽ、 /::.::.」、\-‐' /::.::.!

         /::.::.::|::.:|::.::.>::.:∨7..!lヽV::.</::\:ヽ'´::.::.::./
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       r'´.::.::.::.::.::.::.:ゝ-\/介\/..::ノ.::.::.::.::.::.:: ゙̄::ュ、





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        __ . '"´: : : :/: : : : : : : : : \_/{_
      _>:/: : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : `⌒ゝ

      /: : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/: : : : : : : : : :\
    厂: : : :/: : : : ─-: : : : : :.-──…: : :{: : : : : : : : : : : : >
  /: : : : : |: : : : : 三ミ : : : : ‐=彡: : : : : : |: : : : : : : : : : : :〈
  フ : : : : |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ∨: : :/: : : : : : : ハ

.  / : : : : : |: : : : : : : : : :{: : : : : : : : : : : : : /: :/: : : : : : : l/
 ムイ: : : : :{: : : : : : : : : :l: : : : : : : : : : : : : :⌒| : : : : : : : : |
    Ⅵ: : : ヘ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :|: : :}: : : :/∨  (嵐のような新入生だったけど……)
    } : : : :∧: : : : : : : :|: : : : : : : : : : : : : : ∧/V⌒"     (でも、脈なさそうだったな…)

     レ'⌒V ヽ: : : : : : :|: : : : : : : : /: : /Y´
          \ヽ: : :ヽ: : : : : :/: : /   }
           \_, -─- 、: :/"´   ノ

            /-───- 、./   /
           /   ____\ /
          /⌒     -──‐\
       , ─く                  >-、
     イ                        \



~番外編 fin~

というわけで菫に続く新キャラの直でした。

たまにこういった番外編も混ぜていこうかななんて考えてます。
AA見れない人がいたらすみません。では、月曜日に会いましょう。

乙。
死ねたやらなければ何やってもいいよ。

>>351
死ネタは扱わないっすよ~。空気的にけいおんにそういうのは基本合わないと思うんで

それじゃ投下していきます。

_____________________________________________________________
4月11日日曜日

学校が始まり初の完全な休日だ
だが、休日…といっても特にすることもない
目を開いた時には太陽が高くのぼり、春のちょっとした肌寒さを忘れるには十分な気温の時間になっていた。
こんな晴れた日に何もないとは我ながら虚しい休日だ。

岡崎「腹、へったな」

飯は…カップラーメンでいいな。
朝飯食ったら……どうすっかな。
……起きていきなり春原の部屋ってのはあまりいい気分じゃない。
_________________________________

………

………

………

結局夕方になるまでは何を求めるでもなく町をふらふらと放浪していた
ブックオフで漫画を読み、CDショップに入って最近の曲を試聴し、これじゃないと非難しつつも楽しみ
牛丼屋で遅すぎる二食目を済ませ、その後またも町をふらふらする。

我ながらなんとも面白みのない休日を過ごしていた。

_________________________________________

夕方になれば結局春原の部屋に来ることとなった。
もはや我が家のように親しんでいる春原の部屋だ。


春原「え~っとなになに………」

岡崎「………このせんべえ美味いな」

金を使わずに楽に時間が過ぎるのを待つならやはりこの部屋しか考えられない。
こたつの上においてあったせんべえをあけてそれをむさぼる。
春原はやることもないのか暇そうに雑誌のクロスワードを解いている。

春原「縦の一。元旦から三日までをなんていうか……」

春原「ははっ、余裕なんですけど。……三連休っと」


先生、ここにアホがいます。

………

………

………


春原「あっれ~?…おかしいな。答えとマスが合わないんだよ」

春原「この問題絶対間違えてるよね」

しばらく黙々とクロスワードに興じていた春原だったが行き詰ったのか問題に対して文句を言い始めた。

岡崎「間違ってるのはお前の頭だ」

せんべえをかじりながら俺は春原に言った。

春原「岡崎、そのせんべえ、あんまり食べないで欲しいんですけど。この部屋にあるものだって金かかってんだぞ」

岡崎「………」ボリボリ

俺は聞き流して次のせんべえに手を出す。
そのまま先ほどまで呼んでいた雑誌に目を移して春原を無視した。

春原「…そもそも、前にも僕の部屋でくつろぎすぎだって言いましたよねえ!」

岡崎「寂しい事いうなよ…」

岡崎「……あ、春原。茶ぁ入れてくんない?氷も入れてな」

春原「だから出さねえよっ!?このやり取り僕もういやだからな!!」

岡崎「……」

岡崎「茶」

春原「あんたメッチャしつこいっすねえっ!?」

岡崎「…はあ、わかったよ」

春原「わかってくれたか…」

岡崎「お前は俺の小間使い」

岡崎「…だろ?」

春原「全然わかってないですよねぇ!?」

岡崎「か~ら~の~!?」

春原「なんで飲み会のノリなんだよっ!!」

岡崎「………」

春原「………」

岡崎「………」

春原「僕、日が変わる前には寝るからね」

岡崎「そっか。それじゃ、そろそろ帰る」

春原「それじゃな」

岡崎「また明日くるよ」

春原「もう来ないでほしいんすけどねぇ…」

______________________

:::::::::  "  `)  "⌒ 、 ^ヽ)               `              `    ________ _「'、..:::ノ」
ヽ  r ー-, f  ..::...._,.イ  ノ゛ `                         `             |            ||j ̄ ̄ ̄ ̄|
 "⌒ヽ  )、"⌒ヘ:::::... .)ー'’      `                               | {[二i二i二i二]] ||j [/_li/_] |
::..` _、 )  )`__ノ ^)"               `                      |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||j ~~~~~~ |
iiiy/::..ノ"::...`  ..:、_ノ”        `                         ┌‐ー―‐`| {[二i二i二i二]] ||j [/_li/_] |
ノ/jiiii...::..)"`⌒)ノ                                          |  :  : ::::|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ` ~~~~~~ |
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"⌒:::.、_ノ"  `  、、..―-=‐'''''"" ⌒^^''' =ー=-- 、、、._           ! r `´ ⌒ " ⌒\  /"⌒ `、(⌒i) "ヽ
ノー''"`) ー ''' ""~~ :: :::  :::  :::    : :` ::  ::  :::  :: ~'' ー- ...,,,_ /"⌒ `、  ⌒ "ヽ(   ` ,." |「  ^
  `ノ ::::::::::  :::::::::: :::::::   ::::::::::::: : : : ::: ::: ::::  :::::: r`´⌒⌒ " ⌒\    `  ,"  ` ") ⌒ ,, " ⌒ ||"  `
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 "~ "  ⌒\ r "~ " ⌒\r'  "~ " ⌒\ `、 ⌒ (   `  ,"  ` ")  、(__ 、_ノ` ⌒)  `、,ノ _...-・'"~
" ⌒ ` ⌒ ` ヽ 、⌒ `⌒  ^ヽ `. `  __ ⌒ヽ  ," (⌒ ,, " ⌒` " `,,) 、.ノ ヘvノf" 、_ノ_...-・'"~Π_...-・'"~
  "  ⌒) " ) '', " ⌒) " ) , " (⌒i)  ") ⌒` ''(" 、(__ 、_ノ` ⌒)  ``'_,...-・'"~Π_...-・'"~|」_...-・'"~
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` (__ 、_` ⌒" ) 、 `(__ 、_` ⌒")(__,,,、_ノ||⌒~)  トノ/"、_ノ''_...-・'"~Π_...-・'"~|」_...-・'"~´_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
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外は、寒かった。
真夜中の空は静かに凍てついて、4月になったという事で油断して薄着でいた俺の肌を容赦なく突き刺してくる。

岡崎「もう、あの人は寝たかな…」

………

………

………

深夜3時。この時間になると小さなこの町では外には殆ど誰もいなくなる。
それでも俺は目の前にある家に入ることが出来ず、一人この夜の道に、なにも考えずに突っ立っていた。

体を夜の風が冷やしきる長い時間、白い息を吐きながらぼうっと空を眺める。

岡崎「さむ…」

……一階の明かりが消えるまで、ずっと、眺めていた。

______________________

4月12日 月曜日


土曜日の授業と引き換えに学校の何かの記念日だかなんかで今日は休日となっている。

目を覚ますのはいつもと変わらず昼過ぎだ。
なのに、気だるさは取れない。

岡崎「どっか適当にぶらつくか」

………

………

………

そうして朝から昼にかけては商店街をぶらぶらと彷徨っていたのだが……

梓「あ、岡崎君」

岡崎「……部長か」

ばったりと見知った顔の奴と会ってしまった…。
制服を着ているので部活の帰りかなにかだろうか。

……休日に春原以外の同級生と話すなんて、いつぶりだろうか。

_____________________

梓「何してるんですか?こんなところで」

岡崎「……」

岡崎「見ての通りだ。ぶらついてんだよ」

少し、言い方がそっけなくなってしまった。

こうして町で知り合いとばったり会った時、コミュニケーション能力の高い奴はどんな話をするのだろう。

……そんな事を考えているからロクに気のきいた言葉も出てこないのかもしれない。

梓「………」

部長は黙ってこちらを数秒じっと見つめてくるとふいに

梓「暇なの?」

と、尋ねてきた。

岡崎「……まあな」

梓「うーん、丁度いいかな」

岡崎「………」

部長は何かぶつぶつと言っているが、その間こちらにはある考えが頭をよぎった。


中野梓は……おそらく……


①真面目な委員長タイプの人間。しっかり者。

②けいおん部の部長。多分、練習熱心。、ギターがうまい。

彼女に関して俺の知る情報はこんなものだ。

岡崎「……」

……なんで今まで気づかなかったんだろう。こいつ、俺の一番嫌いなタイプの人間だ。
なのに、今もこうして普通に同級生の知り合いとして話をしている。

梓「…実はね、新入部員があまりにも来なくて」

中野は困ったように笑いながら話し始めた。

岡崎「……一昨日も来なかったのか。そりゃ、まずいな」

先日、部長や平沢目当ての男達が何人も来てたが睨みつけて帰してしまった。
今更ながらあんな事をしなければよかったと思った。
……なら、なんであんな事をしたんだよという突っ込みはしないで欲しい。

梓「うん…だから明日の部活説明会ではなんとかして新入生の気を引こうと思って」

岡崎「そのために何かを買出しに来てるってとこか?」

梓「うん、そうなんだけど……はぁ」

中野が深く溜息をつく。何か困っているのかもしれない。
不思議な感じだ
以前の俺ならこんな奴とは話もせず、関わろうともしなかった。
なのに、なんでだ。

平沢と話したから?

けいおん部と少し関わりを持ったから?

……わからない。

自分の事なのに、何も分からなかった。

判らないけど

……こいつを手伝ってやりたい。

今は、そう思った自分の気持ちに従ってみようと思った。
だって、俺は、こいつに三日前手伝ってやると言ったんだから。

岡崎「何か、手伝ってほしいことでもあるのか?」

梓「……!!」

俺がそういうと、その言葉を待ってました!

と言わんばかりの顔つきで部長は期待してこちらを見始めた。

岡崎「……」

無言でさっさと用件を言えと俺は部長に促す。

                 ______

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    | :::::::::: | ::::|:::::::/ |/  八:::::::::|/   |::/ ヽ:::|::::::::::|:::::/|:::::::::::::|
    |::::::::::::::|:::::l :::/ィ芍≧ミ∧::::::|  ,ィ≦芯ヾ|::::::::::|∨ :|:::::::::::::|

    | :::::::::::::| : | :::{ヽ 込ー'フ  \|   込ー'フ /j ::::::: ' }  | :::::::::: | 「…頼みがあるんだけどいいかな?」
    {:::::::::::::∧::|::::::  、、、      、、、 / ::::::/ノ │:::::::::: }

     ハ::::::::::::|ハ|:::::∧             イ ::::::/   :|::::::::::::八
.    /八::::::::::| r'Y^Y^Yヽ┐   r::, ┌y^Y^'ト、_:厶---、 |:::::::::∧::}
──'─┴─┴ヘ ヽ││ {┴‐───┴'し| / /,x┴

`  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄‐ヘJー'ー′ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ー'ー'´

部長は頼みごとのポーズをとっている。
体が小さいからか、子供がおねだりをしているように見えて可愛らしかった。

岡崎「…答えはノーだ。それじゃあな」

梓「え、えええ!?こ、ここは普通聞いてくれる場面じゃ……!?」

岡崎「そんな人に頼る考えは甘いぞ部長。どら焼きよりも甘い」

梓「……馬鹿にしてる?」

岡崎「…冗談だ。はは」

梓「む……。冗談っていって誤魔化すのは嫌いって言ったよね」

岡崎「……」

岡崎「…悪い。ふざけすぎた」

梓「岡崎君ってさ」

岡崎「うん?」

梓「変わってるって言われない?悪い意味で」

なんとも嫌味っぽい聞き方だ。

岡崎「言われることに俺は誇りを持ってるよ」

嫌味には開き直った態度で接するに限る。

梓「……」

なんか、こうすごい軽蔑のまなざしで部長が俺のことを見ている。

岡崎「で…俺は何をすればいい?」

これ以上ふざけるのも後が怖いのでそろそろ真面目に話そう。

梓「…その、荷物運びなんだけど」

_________________

………

………

………

子連れやカップル、友人同士で買い物に興じる者たち。
休日だからだろう。今日は人が多い。
そんなこの商店街を部長と二人歩く。

岡崎(人とショッピングなんざ久しぶりだな)

……真面目で、部活に情熱を燃やしている部長。
そんな彼女のお願いを受けて結局そのまま手伝っている。

そんな自分が不思議だった。
俺とは真逆の性格の女の子と休日に二人で歩く。
この現状が数日前の自分からは考えられなかった。
この間、手伝うと言ったからには何か頼まれたら断るわけにもいかなかった。ってのはある。

けれど、

どうして俺は、そもそもこいつに手伝ってやるなんていったんだ。

岡崎「……」

三年になってから自分の中の何かが変わってきている
だって、俺はこんな人助けみたいな真似をするような性格ではなかった。



岡崎「んで、一体何買って運べばいいんだ?あんまり多いと恨むぞ」

梓「ん~、そうだなぁ」

梓「上映会に必要な小道具とかかな」

岡崎「……?」

………

………

………

岡崎「なる程。音楽室で上映ね……」

梓「うん。…卒業しちゃった先輩たちと撮ったけいおん部のドキュメンタリー風の紹介ビデオがあるんだ。だからそれをね」

岡崎「部活説明会に来た新入生達に見せると」

梓「うん。ちょっとグータラなイメージを持たれちゃうかもしれないけど、私たちが過ごした二年間のいい所、しっかり撮れてると思うんだ」

部長がいうには火曜日の部活説明会の際に、去年までいたという先輩達と録画したけいおん部の活動風景を記録したビデオを新入生にみせてどんな部かの説明をするとのことだ。

岡崎「そういえば、前に言ってたな。大好きな先輩達がいたって」

梓「うん。その人達といた時間を見れば、きっと誰か興味をもってくれると思うんだけど……」

岡崎「そっか」

その人達といた時間…ね。

岡崎「そうなるといいな」

梓「…うん!!」

上映……か。

岡崎「なあ、今日暇なんだ。後でそのビデオ、俺にも見せてくれないか?」

休日の暇つぶしに部長達の先輩方がどんな人だったのか見てみよう。
それに、こいつらがどんな過去を過ごしていたのかが気になった。

梓「え?いいけど、なんだかちょっと……」

岡崎「あ?なんだよ」

梓「その…私も出てるから恥ずかしい。…それに、岡崎君が興味を持つなんて意外かも」

岡崎「恥ずかしいってお前な。俺だけじゃなくてそのうちもっとたくさんの人に見せんだからいいだろ。リハーサルだと思ってくれ」

梓「…そうだね。うん、それじゃ目当てのもの集まったら学校に行こっか」

岡崎「ああ」

_______________________


部長に連れられてドン○ホーテ、100円ショップ、家電売り場等をまわる。
必要なものを買い集めていくと二時間もしないうちに目当てのものがそろったようだ。
なので、買ったものを音楽室へと運ぶため、そしてビデオを見るために二人で学校へと向かい歩いた。

岡崎「なあ、それって部長の自腹か?」

梓「うん、そうだけど…どうして?」

しばらく二人で無言のまま歩いていたが、ずっと黙っているのもどうかと思い、疑問に思ってた事を尋ねてみた。

岡崎「部費とか出ないのか?仮にも今までやってきたんだろ?」

音楽ってのはやる以上金がかかるだろう。
最も素人同然の俺には細かくはよくわからないのだが……。

梓「あ…そうだ…部費」

岡崎「?」

梓「この二年間出したことも使ったこともないや」

岡崎「……えっと?」

部費を出した事……ない……だと?

なんだそりゃ?

岡崎「合宿とか行かなかったのか?楽器とか楽譜とかは?」

梓「楽器も楽譜も全部皆それぞれ持ってきてたし。そもそもオリジナルの曲ばかりやってたからなぁ…合宿は先輩の別荘でやってたからお金もかからなくて……」

岡崎「別荘……ってマジか」

梓「びっくりだよね。私も入部したばかりのころは驚いたな」

岡崎「そりゃそうだ。そもそも音楽室に冷蔵庫とティーセットがあることがおかしい」

梓「あ、やっぱり岡崎君もそう思うよね!?…私もはいったばかりのころはさ……」

岡崎「……へぇー…そんな事が……」

………

………

そうして音楽室につくまでは部長の思い出話をきいていた。

そして、聞いていて思った。…自分でも言っていたが、こいつは本当に、去年までいた先輩達の事が心の底から大好きなんだ。

…きっと、今でも。

____________________________


岡崎君はどんな男の子なんだろう。

彼と音楽室に向かっている途中、そんな事を考えた。

………

………

岡崎「………」

梓「………」

買ってきた機材を音楽室の棚に置き、二人でそのまま音楽室の椅子に座った。

買い物のために何時間も外を歩いたからか、一度座ると中々動き出せない。

…岡崎君は先ほどから特になにも喋ろうとしない。
その目には今何がうつっているのだろう。

………

………

………


…彼は少し変わっている。

一般的男子と比べてどこがどのように変わっている!!

…と言える程、色んな男の人と話したことなんてないけれど。
それでもなんとなく他の男子と比べると、体から出ている雰囲気が違う。

岡崎「あのさ」

梓「なに?」

岡崎「疲れたりしないか?…部長って」

彼は机に右肘をつけて頬杖をつきぼんやりと天井を眺めると気だるそうに口を開いた。
…その一連の仕草が妙に様になっていた。

梓「私から見れば岡崎君の方が疲れる生き方をしてるように見えるけど」

岡崎「どこがだよ。俺なんて、なんにも縛られない、自由な男だぞ?毎日毎日だらだらだらだら。疲れる事なんかこれっぽっちもない」

梓「だからこそかな…って」

岡崎「あ?」

梓「目標がないと、どこまでもぐうたらしちゃうから。でも、それって絶対満たされないと思うんだ。余計疲れそう」

梓「…少なくとも、私だったら」

岡崎「…怠惰な毎日も楽しいもんだぞ」

梓「…とてもそうは見えないけど」

本心からそう思った。
岡崎君はいつもちっとも楽しそうじゃない。
春原君をからかっている時くらいにしか彼の笑顔を見たことがない。
それはつまり、春原君以外には心を開いていないって事なのだと思う。

岡崎「……ふん、説法なんざ教師共のだけで十分だっての」

梓「それが駄目なんだよ。そういう言葉づかいと態度はやめなきゃ!」

岡崎「なんでだよ……。お前は俺の保護者か」

梓「常識を注意してるだけです」

岡崎「悪い、俺アウトローな男なんだ。かっけーだろ?」

梓「そうやってふざけて誤魔化そうとするのも岡崎君の癖だよね。あと、岡崎くん、全然カッコ良くないから」

岡崎「……」

岡崎「…マジか」

梓「…うん」

岡崎「……そっか」

梓「うん」



………

………


岡崎「……」

二人の間に会話もなくなって数分、まだ、岡崎君はしゃべらない。

岡崎「……はぁ。そっか、俺、カッコ良よくないか」

彼はそうため息をつくと音楽室の窓を見て、そこから見える空をぼんやりと眺めはじめた。

梓「……もしかして、傷ついたの?」

岡崎「……まあな」

梓(ちょっと意外かも…)

……彼は変わっている。
一番他の生徒達と変わっているのはその冷たい目つき。
世界の全てを敵に回したようなその悲しい瞳。
さっきのように話している時は悪戯好きな子供のような目をするのに、少しでも目を離すとすぐに目つきを悪くしてぶすっとしている。

そして、時たまに、信じられない程、悲しそうな瞳を見せる。

梓(それは岡崎君が不良だから?)

……親や先生に深い意味もなく楯突いてみたりする時期は誰にでもあると聞くことがある。
それの程度は大なり小なり個人で変わるとも。
つまり、誰にだってそんな瞳をする時期はくるのかもしれない。

…私の周りには今までそういう人はいなかったけれど

梓(私、何考えてるんだろ)

……だから、彼の目にも大した意味はないのかもしれない。

なのに、何故かあの目が気になった。

梓(本当、なんでだろ)

岡崎「…なんだよ、さっきからジロジロみやがって」

梓「……」

梓「なんでもない」

岡崎「…そっかよ」

_______________________


………

………


梓「あ、そういえば…」

二人してぼーっとしているとふと思い出したように部長は言った。

梓「…今日はありがとう。岡崎君のおかげで一日で買い物片付いちゃった」

岡崎「別にいい。…暇だからな」

春原の部屋でぐうたらしているよりは何倍も有意義な時間を過ごせたと思う。

梓「それじゃ、今度から何かあった時は岡崎君に頼んでいい?」

岡崎「まあ、俺に出来る事ならやってやるよ。……新入生があまり来ないの俺のせいかもしれないからな」

梓「そんな事は……」

岡崎「あるんだよ。……悪い、チラシ配り、俺たちがやるべきじゃなかったかもしれない」

なんて、今更過ぎる事を謝った。
あの時は何も考えずに手伝っていたが、校内でよく思われていない生徒二人が部員募集のチラシを配っていたらくる者も来なくなる可能性がある。
それくらい、考えればすぐにわかる事だったってのに……俺ってやつは。

梓「…でもね、配ってくれたこと、迷惑だなんて思ってないから」

岡崎「でも、事実だ。お前達がどう思ってても、俺と春原はこの学校じゃ腫れもの扱いなんだ」

岡崎「新入生にももう、俺らの噂くらい耳に入ってる奴がいたのかもしれない」

岡崎「…なによりも、せっかくきた新入生を追い返しちまった」

梓「そこは擁護しないよ。私、怒ってるもん」

岡崎「…手厳しいな」

…こうして不満を隠さずに言ってくれる奴だから、俺もなんとなく部長とは安心して話せるのかもしれないな。

梓「不真面目な人には厳しくするから。だから早く改善してね、不良の岡崎君」

岡崎「……」

梓「…な、なに?そんな黙って」

岡崎「…変なやつ」

梓「……」

梓「岡崎君がそれを言いますか」

岡崎「はは……ほんとだよな」

…しかし、これからどうするか。

岡崎「……まだ、16時か」

帰るには早すぎる時間だった。

岡崎「……なあ、部長」

梓「ん?どうかした?」

だから、ある提案をしてみた。

岡崎「ビデオ、今見せてくれないか?」

梓「あ……」

部長はビデオの事を忘却の彼方へ吹き飛ばしていたようだ。

梓「うーん……」

あまり乗り気ではない顔を見せてきたが、
それでもここで引く訳にはいかない。
暇な時間を減らすためにもなるべく長く時間を潰したいんだ。

梓「……ねえ、本当にみるの?」

顔を下に向けて、もじもじしながら尋ねてきた。

岡崎「ここまで来て見せないとかお預けにも程があるだろ。いいだろ?減るものでもないし」

梓「その…笑わないでね…」

岡崎「あ~…それはビデオの内容によるな」

梓「…やっぱりあんま見せたくないな」

そこまで言われるとむしろどうしても見たくなってくるのは人間の性だ。
そのまま俺は10分かけて部長を説得した。

………

………

梓「でも、DVD見るにしてもどうやってみよっか」

岡崎「へ?ここ、何か再生出来るものないのか?明日の上映に使う機材は?」

梓「上映用のプレイヤーは先生に明日持ってきてもらうから…」

岡崎「それじゃちっさくていいからなんかないのか?」

梓「あったような…なかったような……」

なんだその曖昧な言葉は。

岡崎「…お前、部長だろ。なんでそんな」

梓「去年まで何かあった気がするけど今はあるかわからないんだもん!…物置もごちゃごちゃしててあんまりあけたくないし」

梓(…あ、そういえば去年は先輩達と大掃除とかもしたなぁ)

岡崎「はぁ…。どんだけ自由な部活だったんだ……」

梓「それはDVD見てくれればわかると思うんだけど……」

そうだ。その緩さを持っていた去年の部活風景を俺はみたいと思ったんだ。

岡崎「……そうだな。それじゃあ」

………

………

梓「生徒会室……?」

岡崎「ああ、前にあそこにDVDプレイヤーがあったのを覚えてる。誰も使ってないだろうし借りようぜ」

梓「……なんで、岡崎君が生徒会室にあるものを知ってるの?」

岡崎「一年前にやたら厳しい生徒会長がいてな。春原と馬鹿やった時によく呼び出されて反省文を書かされた。そん時に生徒会室にプレイヤーおいてあんのみた」

梓「…一年前の生徒会長……ってまさか」

岡崎「ええっと…真鍋…だったっけな。確か」

梓(初めて岡崎君の世界と私の世界で共通した人物が出てきた…)

岡崎「ひでえ先輩だったな。両手の指で数えきれない程呼び出されて反省文かかされたよ」

………

………

………

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    /_ ッ::. ',::. ::. :||     |:|=== |:|      |:||::./.l::. ::|`ヽ 「岡崎君、春原君。二人とも何回注意されれば反省するのよ」
      i::. _ i',::. ::.ヾ____ソ   ヾ_____ソレ´ .|/`‐ヽ 「もう立派な作家さんになれるわよ?反省文の」
        ヽYヽソ! ̄ ̄ ̄       ̄ ̄ ̄ l  ,イ
          \_|        '         i_/:/
           ',::l               /::. /
             l::.ヽ、     -     / ::. ::\
          /::. ::. ::.へ 、       /-,::. :i‐ --\
         ∠-‐ ´ノ/|:', ` - ´ , / |ヽヾ
              / ヽ  ,  '´    ヽ,
            ./i   _ Y'´        ノ ヽ、
          _/ / /示ヽ      /     ヽ、
        ,  '´  //,'/|.| il |l    /        `ヽ
      /     /,.イ./,'i.| |.| ',ヽ , '            ヽ,

………

………

………

岡崎「あの人苦手だったな。…嫌いじゃなかったけど」

梓「あ、あはは……」

________________

………

………

………

梓「ありがとうございます」

教師A「休日にわざわざお疲れ様」


………

職員室の中から部長の声が聞こえる。
俺は廊下で部長を待っていた。

梓「お待たせ。生徒会室のカギ貸してもらえた」

岡崎「マジか。なんて説明したんだよ」

梓「生徒会室にあるプレイヤーを貸してくれませんか?って言っただけだよ?」

岡崎「そんなんで貸してくれんのかよ。…意外に優しいのな。この学校は」

…きっと、ちゃんとしてる生徒には、な。

梓「それじゃ、プレイヤーとって音楽室にもどろっか」

岡崎「だな」

出かける事になったのでここで休憩。
続きは深夜にまた投下します。

乙。読んでで思い出したんだけど
もしかして>>1は2年前ぐらいに唯と朋也が遠距離恋愛エンドで終わるSS書いた人?

乙。
>>352
わかってくれる人がいて嬉しい。
それだけで安心した。

乙くれる人達ありがとう。
>>375
あれは名作だった。
ちなみに>>1とその作家さんは関係ナッシング
>>378
>>1は人と人との関係をじっくりかけたらなぁと思ってます。

__________________


岡崎「……」

梓「……」

音楽室には再生機から音声が流れ、部長と俺はその再生機から映し出される映像を二人で黙々と眺めている。

岡崎「部長」

梓「なに?」

岡崎「ここ、何部だっけ?」

映像を眺めているうちに、つい尋ねてしまった。

梓「けいおん部」

部長は何を今更といった口で俺に素っ気なく返した。

岡崎「だよな」

梓「…」

岡崎「なんで俺はカメの世話をする映像を見ているんだ。なんかこう、俺のイメージではけいおん部ってのは、レッツ、ロックンロール!ってイメージなんだが」

けいおん部の活動記録…と聞いていたのでてっきり去年までいた先輩方のライブ映像が流れるのではと期待していたのだが、
予想に反して俺の目に映ったものはカメの飼育をする女子高生5人の姿だった。

梓「むぅ、文句言わないで最後まで見てから決めてよ。ちゃんとロックもするもん」

岡崎「……マジか」

梓「……多分」

……多分って……マジか?

………

………

………

それから5分が経過した。

岡崎「なあ、部長」

梓「なに?」

岡崎「ここ、何部だっけ?」

梓「けいおん部」

岡崎「だよな」

梓「なんですか、いったい」

岡崎「なんで俺はケーキを巡って争う女子高生の日常のワンシーンを見ているんだ」

カメの飼育映像に続き俺の目に入った光景は女子高生5人がケーキを食べて談笑している場面だった。

梓「これもけいおん部のモチベーション上げの一環として必要な儀式だったから……」

岡崎「……マジか」

梓「……きっと」

……きっとって……マジか?

………

………

………

さらに映像を見る事五分が過ぎた。

岡崎「なあ部長」

梓「……なんですか」

岡崎「ここ、何部だっけ」

梓「……けいおん部」

岡崎「いつになったら軽音楽が始まるんだ」

梓「もお~~~~!!!文句言わないで最後までみてよ!!」

岡崎「……」

………

………

………

部長の言った通り、後半からは普通のドキュメンタリー映像が流れた。
正直始めの15分程の映像はカットした方がいいだろう。

と、部長に提案したのだが、部長はそれを断固拒否した。

「全部必要なことだもん」

とは彼女の言ったセリフである。
…共に過ごしているうちに部長の当初の生真面目そうなイメージは段々と崩れていった。

………

………

岡崎「へぇ……」

途中、余計なシーンはあったが通して見ればよく出来たビデオだった。
日常、練習、文化祭の映像。そして、彼女達を知る人達のけいおん部への一言を集めたインタビュー。

 「「けいおん部でお待ちしてます!!」」

そして、締めのあいさつ。

梓「……」

部長は後半になってからは喋る事なくじっと画面を見つめていた。
彼女の瞳には今、何が映っているのだろう。

岡崎「……」

岡崎「…いいんじゃないか?これ」

心からそう思った。
去年のけいおん部を知らない俺でも、けいおん部が一体どのようなところだったかを知ることが出来た。
そのレベルには完璧に届いている。

梓「そ、そうかな!?よかったぁ…」

俺が褒めると素直に部長は喜んだ。
部長、気にいってたんだな。このDVD。

岡崎「……ん?これは……」

一度画面が真っ暗になったのでもう終わったと思っていたのだが、まだ続きがあるようだ。
おまけパートでも流れるのだろうか。

梓「……あ」

梓「…あ…あ、ああああ、お、岡崎君!!DVDの再生止めて!!」

突如部長が慌てて声を上げたので少し驚いた。

岡崎「なんでだよ。おまけパートかこれ?見ようぜ」

梓「そ、そこから先はだめ!!!だめ!!」

急に態度を変えた部長の姿を見て逆に続きが気になった。

岡崎「…そう言われたら意地でも見たくなるな」

梓「お、岡崎君!?」

岡崎「どれどれ」

梓「だ、駄目ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

………

………

………


梓「ええ?ちょっとそんな……急に言われても……」

締めのあいさつをしていた屋上から場面は映り、映像に映っている場所は音楽室だった。

そこにはカメラの前に立つ部長の姿。

梓「ええっと……」


                    ___

                     .:.´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`丶、
                    .::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:\
                _/::::::::/:::::::::::::/:::::::::::::::::::::::ヽ
               /::| :::: /:::::: //|:::::::::::::| ::::::: ハ
                 /::: |:::::::|::::: /'⌒ |:::::::::::∧::::::::|:::|
            /:::::∧:::::|::::/   、|八::::⌒| :::::::::::|
             |::::::」(|:::::∨二    ∨ |/::/::::リ
             |/ヽヽ ::::|'⌒ヾ    x=ミ |∨::イ   「け、けいおん部にようこそにゃん♪」
               / 、ヽ_}ノ)::::|u    .  、、 イ/ ::|
            ト`ー'´`ァ1 :::ト  (::::>   人|::::::::::|
         _/{`二了八::::|\>─ァ≦⌒八:::::::iト、

         ト--'´   V /\|   >< |  l∨ /}:::::小::ヽ
.          /|     ;〈  ∧/爪∨ │∨斗く }ハ:::ヽ
         /::::::〉     ∨> / /ノ|ハ 〉< 〈 / ,`ヽj:::::::'.
.        /::::::∧      | \人ノ| |し /  (つ-(_/_人::::::|
       |::::::〈        ノ  \l│|.l/   ∨`ーニ二} 〉:::|


そして、映像は途切れた。

………

………

………

岡崎「ぷ、…ぷぷ……」

梓「……(ふるふる)」

岡崎「ようこそ……にゃん♪……だって!!!??」

岡崎「ぷ、ぷぷ……だぁーっはっはっはははっは!!ぷぷっは…ははっ!!ひ、ひぃっ…は、腹いてえっ!!!」

梓「……」ワナワナ

梓「岡崎君の……っ」

岡崎「はは…は?」

梓「馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


ばっちぃぃぃぃぃぃぃん!!!


と、いう音が休日の音楽室に響いた。

________________

岡崎「……」

梓「…どうだったかな?」

岡崎「どうって言っても……。そうだな、平手打ちが効いたかな」

梓「…ご、ごめん、って、そうじゃなくって!」

岡崎「…DVDの感想だろ?…そうだな」

ビデオから映し出された映像を見て思った事といえば、
出てくる生徒やその他大勢の登場人物全員が活き活きとして、笑っている人達だった。
皆が充実した生活を送っていた事がわかる。
それはけいおん部だけじゃない。
けいおん部を知るその他多くの登場人物によるけいおん部をどんな部か紹介するシーンがあったのだが……。
その場面に出てきたものも全員が笑っていた。
きっと、心の底から。

岡崎「皆、幸せそうだって思った」

梓「……なんだか、色々な意味が含まれてそうな言い方」

岡崎「単にそう思っただけだ。別に含みなんてない」

梓「そ、そう?他には?」

岡崎「そうだな……平沢の姉さんが平沢そっくりでびびった」

梓「あ、そっか。岡崎君は唯先輩とまだ会った事ないんだね」

岡崎「唯っていうのか、あいつの姉さん」

梓「うん」

平沢の姉さん。
彼女が東京へ行った事で平沢はへこんでいた。

岡崎「…どんな人だったんだ?」

だから、だろうか。気になってしまった。
あいつが慕っていた姉さんってのはどんな人だったのか。
どんな姉を持ったらあんなに性格のいい妹が出来るのか。
映像を見た限りは妹の平沢とはずいぶん性格が異なっていると思った。
しかし、見た目自体は妹の平沢とそっくりだ。
髪型で区別がつくが同じにしたらもう判断が出来ない気がする。
ビデオを見る限りはアホっぽいオーラが出てたが…

梓「そうだなぁ……唯先輩は」

うんうんとうなりながら部長はその人の事を思い出している。

梓「だらしない人だったな…」

梓「いつもいつもぐうたらで…」

梓「練習しないでお菓子を食べて、お茶を飲んでばかりで…」

梓「それなのに、ここ一番の時にはびっくりする程ちゃんとギターを弾いちゃってさ…」

梓「全然練習してないんだよ?楽譜の見方もギターの知識もなんにもないんだよ?」

梓「それなのに、感覚だけでギターを弄って、凄い楽しそうに演奏してて…」

梓「私を見るとすぐに抱きついてきて鬱陶しくて…」

梓「でも、温かくて、優しくて、嬉しくて…」

梓「……唯先輩は…」

梓「…そうだなぁ」

梓「…私にとって、とっても大切な先輩…かな?」

そう言うと部長は…すっきりしたように笑った。

岡崎「……そっか。そりゃ」

きっと。部長にとっても平沢にとっても

岡崎「いい先輩だったんだろうな」

梓「……うん。私の大好きなとっても大切な先輩」

岡崎「…そっか」

梓「……」

何か思う所があるのか急に黙ってしまった。
そのまま部長は窓の近くまで歩くとそれを開けて顔を出すと夕暮れに染まる空を眺めはじめた。

岡崎「…どうかしたのか?」

梓「…急にね、皆でここから外を見ていた時の事を思い出しちゃったんだ」

夕日に照らされどこか懐かしそうに笑う部長はとても絵になっていた。
皆…というのはきっと、平沢や鈴木ではなくこの部のOG達の事だろう。

梓「なんでだろ。岡崎君には普段言えない事も話せちゃうな」

岡崎「そりゃ光栄なこった。……俺、やっぱ聞き上手だったのな。うける」

梓「あはは、見た目怖いのに、意外にそうかも」

岡崎「……部長は意外に口が悪いよな」

俗っぽい言い方だがロリ顔な割には結構強い物言いをしてくる。

梓「そんなことないもん。見た目も言葉も悪い岡崎君には何も言われたくない」

岡崎「…口からでる言葉通り、意地の悪いやつだ」

梓「……む」

また怒らせてしまったようだ。
…怒ると黙ってほっぺを膨らますのは彼女の癖だろうか。

岡崎「……冗談だ。怒るなって」

梓「冗談は嫌いって言ったよね」

岡崎「……そんな事、言われたっけか」

わざとらしく、すっとぼけてみた。

梓「見た目通りお馬鹿なんですね。三日前に言った事も忘れちゃうなんて」

岡崎「……」

ああ言えばこういう部長とのやり取りは…

梓「……」

岡崎「…ぷ」

岡崎「はは……なんか笑えてきた」

梓「ふふ…なんだか言いたい事が言いあえるっていいね」

俺にとって、心地よかった。

岡崎「…だな…そろそろ帰るか」

梓「うん…そうだね」

___________________________
学校の坂の下まで二人で歩いた時、
日は沈みかけて町は濃いオレンジに染まり、
まだ少し肌寒くさせる春風が容赦なく顔をうちつけた。

岡崎「なぁ、そういえば気になってたんだけど…」

梓「ん?」

岡崎「音楽室の隅にいる…あのカメはなんなんだ?」

梓「あ、そういえば紹介してなかった。あの子はね、トンちゃんっていうんだ。品種はスッポンモドキ」

岡崎「スッポン?」

梓「スッポンモドキ!」

岡崎「…ふーん」

何故音楽室にいるのか気になった。
が、途中で大した理由もないのだろうと思いなおし、その疑問は頭の隅においやった。


梓「わ、もうこんな時間か…」

携帯の画面を見て部長は驚いている。

岡崎「もうそんなか」

大分時間、潰せたな。
でもまだ18時か。
まだ…あいつが寝る時間にはまだまだある。

岡崎「なあ、飯食いに行かないか?」

あんなビデオを見たせいだろうか。
このまま別れてしまうのは寂しいと思った。
…もう少し誰かと話していたい。

梓「え、ええ?…そ、それって……ふ、2人で?」

岡崎「ああ、学校帰りに飯食って帰るんだ。不良っぽいだろ?」

少しおどけた仕草をして俺はそう言った。

梓「………うーん」

梓「今日は休日だしそんなことないと思うけど」

はは…気にするのはそこかよ。

岡崎「…返事は?」

梓「その…ごめん…家で家族がもうご飯作ってると思うから」

岡崎「わかった。…それじゃな」

飯の相手がいなくなったのは残念だが無理やり誘う事もない。
今日も春原の部屋にカップラーメンを持ち込むだけの事だ。

梓「…待って。岡崎君は?」

岡崎「…は?」

梓「岡崎君は…家でご飯食べないの?」

平沢といい、部長といい、どうしてどいつもこいつも……

岡崎「………」

梓「………」

梓「岡崎くんは、親とは……」

こんなに俺に…優しくするんだ…。

岡崎「………」

岡崎「…片親だからな」

梓「…え?」

岡崎「母親の顔は覚えてもいないな。…物心つくまえに死んだから」

梓「あ……」

岡崎「親父とは……もう何年も前から話していないな。…ま、男同士仲いいのも気持ち悪いだろ」

岡崎「親父は仕事から帰ってきてから飯を作る体力もないみたいだし、俺も作る気なんて勿論ない」

梓「………」

梓「だから夜遅くまでふらふらしてるの?…親と顔を合わせたくないから」

岡崎「…」

岡崎「…もう、この話はやめにしよう。部長も待ってる人がいるなら帰れ」

梓「岡崎君…」

岡崎「部長。あのな」

梓「……?」

岡崎「なにか手伝う事があったら声、かけろ。手伝うって言ったいじょうはなんだってやってやるから」

梓「あ……」

岡崎「変な空気にして悪かったな。…あんま気にしないで明日からはまたいつも通りにしてくれよな」

梓「…あ、うん」

______________________________________

………

………

その後は春原の部屋にいき時間を過ごした。

…結局なにもせずにただただ生産性のない休日の締めとなった。

………

………


そして、建物や街頭の光も殆どが消えうせた深夜の町

俺は暖かい場所を探す事もなく、あてもなく道端のガードレールに腰掛けた。

岡崎「…もう、春なのに、夜は中々温かくならないな」

独り言を呟きながら真っ暗な空を見上げる。

深夜の町は音一つなく、人が佇むには辛すぎる夜だった。

星が一つ一つ輝きを発している。
あの数えきれない程の星を人に例えるなら、俺はきっと地球まで光を殆ど届けることの出来ない6等星だ
そんな、ばかみたいな例えをしては1人で自嘲の笑みを浮かべた。



……明日から、大きく日常が揺れ動くことも知らずに。

今日の投下はここまでで。

明日には一章が終わるかと思います。
では

でもやっぱモップはいらねぇ!!!!!!!!!

>>395
モップが誰の事か一瞬わからなかった。

ちなみに誰ルートになるかはお楽しみにとしか言えぬ。すまぬ、すまぬ

では投下します。

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4月12日 火曜日 

梓「先生、朝から呼び出しなんて何か用ですか?」

さわこ「……まずい事になったの」

それは、先生のこの台詞から始まった。

さわこ「落ち着いて聞いてね?」

さわこ「あのね、梓ちゃん。…けいおん部、ちょっとピンチかもしれない」


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朝 教室

梓「はぁ~…」

純「どしたの梓」

憂「なんだか元気ない?」

梓「憂、純…今日の放課後の説明会2人にお願いしていい?」

純「…お、おろ?梓、先週まで自分でやるって気合入れてなかった?」

憂「私達は勿論いいけど…でも、何かあったの?それを教えて欲しいな」

梓「実はね……」


………

………

………

さわこ「あのね、梓ちゃん。…けいおん部、ちょっとピンチかもしれない」

梓「え、」

梓「ええっ!?」

梓「ちょ、ちょっと待って下さいっ!!」

梓「そんな、確かにまだ部員はそろってないですけど……どうしてっ?」

さわこ「今、二年生の子達が合唱部を作ろうとしていてね」

さわこ「…それで、音楽室を使いたいっていってるのよ」

梓「!!」

さわこ「けいおん部は今、人数不足で同好会のようなもので、扱いは合唱部のその子達と同じなの」

さわこ「ううん、向こうは人数がそろってる分だけこっちが不利かもしれない」

梓「そんな……」

さわこ「とにかく、一度二年の仁科さんって子と話し合ってくれない?」

さわこ「…彼女と直接話して今後の事を決めて欲しいの」

梓「はい…。わかりました」

さわこ「ごめんね、力になってあげたいけど…立場上あなた達だけに肩入れすること、出来ないのよ」

梓「いえ!そんな……放課後、仁科さんと話してみます!」

………

………

………


純「ま、マジで!?」

憂「困ったね…」

梓「うん。ただ、放課後話にいくって言っちゃったけど、説明会があるの忘れてたんだよね…」

憂「うーん、それならやっぱり放課後の説明会は私と純ちゃんでやるね。梓ちゃんはお話してきたら?」

梓「やっぱりそれが一番かなぁ?」

梓「…でも、2人で平気?」

純「だいじょうぶだいじょうぶ。オールラウンダーの憂になんとかしてもらいますさ!」

憂「もお~、純ちゃんも手伝ってくれなきゃ困るよ」

純「ごめんごめん、私も頑張るさー」

_______________

………

………

純「…という話があったのよ」

珍しく俺も春原も朝から登校し、二人で卒業までどの授業を何回休んでもいいのか

…そんな計算を行っていると鈴木がそんな話をしてきた。

岡崎「…それで?」

春原「なんで僕達に話したのさ」

純「梓1人で話合いに行かせるのは心細いでしょ?だからこんな時くらいあんた達役にたってってこと」

春原「酷い言われようですね…」

純「こないだからただで部室のもの飲み食いしてたんだから文句は言わせないからね!」

岡崎「話を聞く限りもうお前らだけの部室じゃなさそうだが…」

純「だあっ!そんなどうでもいいとこ突っ込むな岡崎!!」

正論を言っただけだぞ…。
だが、まぁ…

岡崎「ようは部長についてって二年の話を聞いてくればいいんだな?それくらいお安い御用だ」

いくら後輩が相手とはいえ部長一人じゃ心細いってのは確かにあるだろう。
もし合唱部に男がいればそれこそ部長も怯んでしまうかもしれない。

春原「ま、僕も異論なし。…そのかわり、後で茶と菓子ちょうだいね」

純「あ、あんたって奴は…」

憂「まあまあ純ちゃん。…うん、説明会終わったら皆でお茶会しよっか。今日ね、ケーキいっぱい作ってきたの。だから楽しみにしててね♪」

平沢の作ったケーキ…か。それが褒美ならやる気もひとしおだ。

純「か~っ、憂は本っ当にいい子だな~。あんた達感謝しなさいよ」

春原「へいへい」

岡崎「そんじゃま、行こうぜ。部長様」

梓「…皆、ありがとう」

__________________

………

………

………

放課後になったので春原と部長と並び二年の教室を目指す。

岡崎「なあ部長。その合唱部の部長さんはなんて名前なんだ?」

梓「ええと…。仁科さんだったかな?」

春原「おーけいおーけい。そいつに音楽室を譲れって脅せばいいんだろ?ははっ、楽勝じゃん♪」

岡崎「………(ばきっ!!)」

何も分かっていなかったのでとりあえず殴った。

春原「いってえ!何すんだよっ!?」

岡崎「いいか、お前は余計な事するな。絶対にだからな。フリじゃないからな」

春原「あん?…なんでだよ」

岡崎「お前が絡んだら話がややこしくなるからに決まってんだろ!」

春原「…へいへい」

梓(…もしかして私…人選ミスしたかな)

岡崎「って顔してるぞ部長。心配すんな。俺達は黙ってお前が話をつけるのを見てるだけだ」

梓「勝手に人の心の声を読まないでよ…。ってそれじゃぁ後ろにいるだけで役に立ってないじゃん!」

岡崎「はは、部長は俺達に何を期待してるんだ」

梓「…岡崎君、今すっごい情けないからね」

岡崎「そういわれても、俺らに他人との話し合いなんて期待されても困る」

梓「もう、頼りにしていいって昨日言ってたのは何だったの?」

岡崎「そうは言ったけどな…」

人には向き不向きがある。
力仕事やその他雑用なんかは俺や春原向きの作業だがコミュニケーションが必要になってくると話は別になる。
…まぁ、それでもいないよりはマシだと思ってはいる。

春原「なになに、何の話?」

岡崎「…なんでもねえよ。お前は黙ってろ」

春原「…そうですか」


………

………

梓「すみませ~ん。仁科さんはいますか?」




「あ、中野先輩だ!!」

「くぁわいいな~~!!」

「新歓ライブも見ました!ギターカッコよかったです!先輩!!」


二年の教室に来て部長が後輩に声をかけると多くの声がかえってきた。



岡崎「…お前、人気なのな」

梓「ちょ、ちょっと嬉しい。えへへ…」





「なぁ、あの後ろにいる二人ってやっぱ…」

「…やべえ、マジであの二人組だ」

「おー、こわ」



岡崎(よくない声もちらほら聞こえるが……まぁ、無視だ無視)ヒソヒソ

春原(けっ。あいつら覚えてろよ…)ヒソヒソ

仁科「あの、私が仁科ですが…何か?」

梓「いきなり呼び出しちゃってごめんね。…ちょっと話があって」

仁科「あの、話というのはもしかして…」

梓「うん、音楽室のことでちょっとね。けいおん部の中野梓って言います」

仁科「私は仁科りえです。よろしくお願いします」

春原「てめえかぁ!?音楽室を強奪しようって後輩はぁ!!ああん!?」

仁科「きゃっ!?」

岡崎「……(ボカッ)」

春原「げぼおあっ!!」

岡崎「すまん、こいつは俺らに一切関係ない他人だ。話を進めてくれ」

仁科「は、はぁ…。あの、隣の空き教室でお話しませんか?立ったままというのも…」

梓「あ、それもそだね」

梓「2人はここで待ってて」

岡崎「うまく話が進むといいな」

梓「うん!」

仁科の友人「りえちゃん…」

仁科「平気だよ、ちょっと話してくるだけだから。杉坂さんもここで待ってて?」

杉坂「う、うん…」

………

………

春原「しっかし合唱部、ねぇ」

岡崎「お前さ、これ以上余計な事するんじゃねえぞ」

果てしなく不安だ。

春原「余計な事ってなんだよ」

春原「ま、そんなら裏で上級生の恐ろしさを思い知らせてやってもいいけどねっ!」

岡崎「…それが余計だっつってんだろ」

岡崎「あいつらはそういうやり方は気に入らないだろ」

春原「……」

春原「よくも悪くもまっすぐだよね、あの子達って」

杉坂「……あんた達もけいおん部なの?」

今までこちらを見ていた杉坂…という後輩の女子がこちらに声をかけてきた。

春原「あん?てめえ先輩にむかってあんたとはなんだごらあ」

岡崎「…何回このやり取りやらせるつもりだ。(ぼかっ)」

春原「いってえ!!…毎回殴る事ないとおもうんですけどねぇ。それに、今回は僕よりも向こうに非があると思うんですがねぇ」

岡崎「もう頼むから黙ってろって…。質問の答えだが、俺達はけいおん部じゃない」

岡崎「けいおん部が廃部しないでやってけるように、お手伝いという名のパシリをやってるんだ」

杉坂「…あんた達…。不良で有名な岡崎と春原だよね?」

春原「てめえ…。さっきから何が言いたいんだよ?…いい加減僕ぶちきれるよ?」

既にこいつはぶちぎれている。
…やっぱり連れてくるべきじゃなかったかもしれない。
頭が痛くなってきた。

岡崎「お前は黙ってろっていっただろ…。…あんたの言ってる事は事実だよ。俺たちは不良とかなんとか言われてる岡崎と春原で間違いない」

杉坂「ふーん、なるほどね」

岡崎「何がいいたいんだ」

杉坂「けいおん部ってのは最低だね。あんた達みたいな不良をけしかけて私達を脅そうってわけ?」

岡崎「………」

まずい。俺までぶちぎれそうだ


春原「…てめえ、その言葉だけは撤回しろよ。本気でぶっ飛ばすぞ」

岡崎「……落ち着け春原。ここでお前が問題を起こしたらそれこそけいおん部の問題につながる」

口ではそう言うものの、内心春原に感謝する。
情けない話だが、春原が落ち着きをなくしている様子を見たおかげで自分は冷静さを保てたのだ。

しかし、俺もどちらかと言えば喧嘩っ早いほうだ。
あまりこの態度の悪い後輩と一緒の空間にいるとまずいかもしれない。

春原「はんっ!僕部員じゃないから関係ねえし?」

岡崎「待てっ。部長が来るまではもうなにも喋るな」

岡崎「お前もだ杉坂。俺らの事は不良とでもなんとでも呼べばいい。でも、これ以上あいつらを侮辱するような事口にしたら俺も我慢出来ないぞ」

杉坂「………わかりました」

春原「はん」

…部長、早く戻ってきてくれ…。


………

………

………

梓「…困りました」

岡崎「どうなったんだ?」

梓「それが……」

………

………

………


…話をまとめるとこうなる。

仁科達は合唱部を新しく立ち上げたい。
合唱部としてはピアノがある音楽室を使いたい。

しかし、放課後の音楽室はけいおん部が既に使っている。
だが、けいおん部は部員3人で現在は部として認められていない。

仁科さん達合唱部はメンバーが4人いる。
なので、今部活設立の申請をすれば、音楽室は合唱部のものとして認められ部も無事設立できる。
が、それでは今まで3年間頑張ってきたけいおん部が自動的に廃部確定となる。
しかし、それではあんまりなので、話し合ってほしいと学校側(おそらくさわこ先生だと思うが)に言われた。

春原「はんっ。そんなの簡単な話だろ?…お前ら、音楽室は僕らに譲れよ」

岡崎「おい、春原っ!」

春原「後輩なんだからさ。別に合唱なんて空き教室でやりゃ十分だろ?」

杉坂「はあっ!?年上だからってなんですかその態度はっ!?」

春原「てめえこそ後輩の癖に生意気なんだよっ!!」

梓「春原君っ!!やめてっ!!」

春原「……なんだよ、部長」

梓「そんなことを言うために話に来たんじゃないから。…仁科さん。ちょっと考える時間、もらってもいいかな?」

仁科「はい、一緒にどうやっていけば一番いいか考えましょう」

杉坂「………」

岡崎「それじゃ、今日のとこは俺達はこれで」

………

………

………


春原「あ~…っ!!たく、なんだよあの杉坂とかいう後輩はぁっ!!むかつくぅぅぅぅぅ!!!」

岡崎「はぁ…ま、手を出さなかっただけマシな方か」

梓「………」

岡崎「部長、これからどうするんだ?」

梓「どうしよっか…」

岡崎「……ま、とりあえず部室いこうぜ。なにはともあれ、問題を平沢と鈴木にも報告しよう」

梓「…うん」

見たところ大分へこんでいるが、大丈夫だろうか。
気丈に見えるけれど、ときどき部長はふっと寂しそうな顔をする時がある。
…心配だ。

_____________________________________

音楽室の前に行くと何人かの生徒が丁度扉を開けて出てきた。

どうやら今説明会が終わったのだろう。

.
.
.



「けいおん部面白そうだったね~」

「うん、でもなんだかイメージしてたのとはちょっと違うんだよね~」

「そうそう、もっとこう……ロックな感じだと思ったけど~…ゆるすぎ?みたいな」

「ああ~、そんな感じ!…ビデオもよく出来てたけど…やっぱり私は吹奏楽部にしようかな?」

「私も!!」

「女の子だけの中に男はちょっと入りにくいな……」

「でも、女の子皆可愛くない?…俺、入部しようかな…」

「バッカ!やめとけって。こないだ楽器弾けない奴が体験入部したらボディガードが出てきてつまみだされたとかいってたぜ?」

「ちえっ…はあ、でも平沢先輩可愛かったなぁ」

.
.
.
.
.

そして場面は変わり音楽室。

梓「…うぅ~!!そりゃ!!緩すぎる所はあっても、そこがいいとこなのに~!!」

純「梓からそんな言葉が出てくるとは…。去年はだらけすぎ不真面目すぎ不満点が多すぎとか文句ばっか言ってたくせに~」

梓「う、うぐぐ……」

岡崎「…しっかし、俺らのせいで変な噂も広まっちまってんな…。悪い」

梓「そこは本当に反省してね、岡崎君」

岡崎「言葉もございません」

憂「……?」

憂(岡崎君と梓ちゃん…なんだか…)


純「しっかしまいったね~…。ビデオの出来も憂の説明も問題なかったと思うんだけどな…」

純「せっかく憂のケーキも出したのに皆酷いよっ!」

岡崎「…そのケーキを出したのはマイナスだったんじゃないのか?」

岡崎「さっき音楽室の前ですれ違った女の子の中に、あんなにまったりしてお菓子食べたら太っちゃう~とか言ってた奴もいたぞ」

純「ええ~!?この部活からケーキとお茶をとったらどうなっちゃうのさ!!」

……楽器が残るわけだが

岡崎「軽音楽だろ」

純「そうだけど!!」

純「ってあんた達はどうだったの?仁科さんと話してきたんでしょ?」

梓「それが……」

………

………

………


憂「合唱部、か」

純「困ったな~…。もし人数が集まっても今度は音楽室の取り合いなんて…」

純「先生……。先生ならひいきしてくれますよね…?」

さわこ「任せてっ☆…て言いたいんだけど…。ごめんね。特定の部だけを贔屓するのはね…」

いつの間にか現れた先生に鈴木が頼みこんでいるが、立場上何とかしてもらうってのは厳しいだろう。

さわこ「せめて、部員が足りてれば違ったんだけど…」

純「ああ~!!そこのアホ二人!!なんで入ってくれないのよ!?」

春原「僕らにきれるのかよ!?」

純「当たり前でしょ!?部員でもないのにな~に茶なんてすすってケーキ食べてるのよ!!」

岡崎「それを言われると俺ら何も言い返せないな…」

憂「まあまあ。まだ廃部が決まるまでは一週間もあるんだからのんびり考えようよ」

梓「うん…」

梓「はあ~。今年は問題ばっかり起きるなぁ…。ぐすん」

純「今まで苦労しなさすぎただけだよ!でも安心して梓!……私が入ったからにはけいおん部、絶対潰させないからね!!」

梓「………」

梓「…じゃあ純、音楽室もう一つ用意して」

純「いきなりとんでもない無茶ぶり!?」


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結局なんの答えも出ないまま、
生徒五人と先生一人でだらだらと茶を飲んで菓子を食べていた。
…気がつけば夕日が沈む時間になっている。

そういえば、斉藤が今日は顔を見せない。
あいつもやっぱりけいおん部には入らないのだろうか。


梓「…そろそろ帰ろっか」


部長は困ったように笑うとそういって解散を促した。



………

………

………

春原「それじゃ僕はここで」

坂の下まで来ると春原はそういって寮の方へと歩いて行った。

純「あれ?春原あの寮に住んでんの?」

春原「あん?僕が寮暮らししてたら悪いのかよ」

純「だって、ここスポ選で来た人たちの寮でしょ?…あんた部活なんて…」

春原は顔を歪めた。

岡崎「おい、鈴木」

春原「いいよ、岡崎」

春原「それじゃね」

そのまま振り返る事なく行ってしまった。


純「なによ、あいつ」

岡崎「…その話題、あんまり出さないでやってくれ。色々あるんだ」

純「なにさ、色々って」

岡崎「……色々だよ」

純「………」

梓「………?」

そのまましばらくは言葉もなく俺達は歩き続けた。

………

………

………

純「それじゃ私はこの辺で」

憂「純ちゃん、また明日ね」

梓「また明日」

純「うん!…岡崎、一応言っておくけど二人に手、出すんじゃないわよ」

岡崎「俺が手を出すような男に見えるのかよ」

純「…見えないけどさ」

梓「私には見えるけどね…」

岡崎「部長はやけにつっかかるな…。少なくとも、部長には手は出さん」

純「え?…それじゃ憂には手を出すかもって事?」

憂「岡崎君…そんな事言われると…困っちゃうよ」

岡崎「ば…!!馬鹿!!そんなつもりで言ったんじゃねえよ!!」

憂「……そうなの?」

岡崎「何故残念そうな眼をするんだ…」

梓「……」ダンッ

岡崎「いって!!靴踏むな部長!」


___________________________
4月15日 木曜日 
朝 教室


梓「………」

憂「………」

純「まいったねぇ…」

岡崎「タイムリミットは明日……か」

梓「どうしよう、もし何もできないままけいおん部がなくなっちゃったら…」

純「お、落ち込むなって梓!…もしなくなったらジャズ研に入部して夏に優勝トロフィー目指そう!」

梓「私がやりたいのはけいおん部だよぉ…。そういえば、純はジャズ研はいいの?」

純「うん、今は梓の方が大事だから」

梓「…純」

純「梓…」

梓「って気色悪い!」パンッ

純「あいた!」

憂「いま…二人の間に薔薇が見えそうだったね…」ハアハア

岡崎「…ひ、平沢?」

憂「へ?あ、ああっ!ごめんねっ」

春原「………しかし、明日ねぇ」

岡崎「あれ以来合唱部は何もいってこないが…」

春原「このまま僕らであの部屋使っちゃっていいんじゃないの?」

梓「うやむやにはしたくない。あの子達、真剣な目をしてたから…」

春原「真面目だねえ。部長はさ」

梓「…茶化さないでよ」

春原「へいへい」

_____________

2限目 体育 校庭


春原「へいっ!岡崎っ!パスっ!!サッカーなら僕に不可能はないぜ!?」

岡崎「……春原、いくぞぉ!」

春原「へいっマイボッマイボッ!!」

岡崎「オラよぉっ!!!」


             /!'´/!´ヾヽi.、                   l
             /i´,.!-‐''''^'''''ヽ,!`!,、      | ヽヽ ‐┼-┐ヽヽ
              i(./       ヽ/!       |ヽ、     |  |   ヽヽ /
              t,i          'i,ノ      .|     /  /      /
            O,            ノ'
             ヽ、  ,__._,  ,ノ
              ,..r`'K. /,,!,`ソヽ、
           ,..r;''´ ヽ `( )'  / `'ヽ,.,_
        ,..r''´ \  `--y'"__,ノ _ /  \
      r''´   .,:r:''""`ヽ., i'o~   i´ i´    ヽ、
     /    /      `i.o   `'ヽ;!ゝ 、,   ヽi
    /    r'´ '      !, o     ,`ミ;、ヽ、  i'、
    /   __,,r=-k、  :,   ;'ヽ   ,:r=ヾy~^'>';   ヽ
  <   /  ~`ヾ`ヽ、 ';  ./t/^ヽ/  ヾ`'Y" '.,   ヽ
 ノ'ゝk_/        ヾ, ヽ '; / i !         \ 'i_,,/t
/    ,i       il .lヽl i"‐‐ゝ‐--         \`l"´  't,,、
!.| / λ(i|       ll .! ヽノ‐‐‐‐‐‐-;___      ミヽ、 、ゝ_'´

.ヾゝ,'iゝi';       ll  | .i       \       `!ゝ_ゝ-^
   `  ';      |i .l.r'´         ヽ、      i'-
      y     ヾ, .l'            r'"ゝ、   ノ
      i      ';i~'i        , r"      ,イ
       '、     i!.ノ        ( t_   __,ノ!
       ヽ、    ノ'´        ヽ_ ~~,r-‐‐-Y
         `'''''"´           ゝヾ ヽ,_丿.i
                        'i i      .i
                         ヾ:、    .!
                          ヾ;,___,,ノ

春原「ぶっへぇ!!?」

岡崎「あ、悪い。でもお前のせいだからな?」

春原「今のどこら辺に僕に非があるんですかねえ!?」

岡崎「え、だってお前の声、うるさかったから…」

春原「だから顔面狙って黙らせたんですか!?」

岡崎「はは、違う違う。息の根止めようとしたんだ」

春原「笑いながら怖い事いうなよっ!!」

岡崎「本当はな、たまたま顔の方にボールが行っただけなんだ。普通にパスしようとしただけなんだけどな」

春原「最初からそういってくれませんかねえ!!」

_________________________

体育が終わり春原と教室へ向かって歩く。

春原「ふい~…いい運動だったぁ」

岡崎「お前、サッカーの時だけは元気になるよな」

春原「あん?別に悪い事じゃないだろ?」

春原「知ってるか?スポーツしてる時の真剣な横顔に女は惚れるんだぜ?」

岡崎「ああ、水を失った魚のように最高にグロテスクな動きだったぞ」

春原「それ褒め言葉なのか!?」

岡崎「いや、だって褒めてねえし」

春原「はぁ…。僕、岡崎には一生口で勝てる気がしないよ」

岡崎「負ける気もねえよ………ん?」

春原「なに?どしたの?」

岡崎「いや、教室に部長がいるんだが…なにか様子が変だ」

………

………

………


春原「部長ー。なーに読んでんの?もしかしてラブレター?」

がさっ

梓「あっ」

ひょいっと春原が部長から紙をとりあげ中身を確認する。

春原「なになに……」




おんがくしつはあきらめろ。さもないといたいめにあうぞ




春原「……は?なにこれ」

普段はおちゃらかな顔しか見せない表情がみるみる険しくなっていく。

岡崎「脅迫状か…!?」

梓「体育が終わって教室に入ったら…机に入ってて…」

部長は真っ青な顔をしている。
…きっと、他人の悪意をここまで身に受けた事がないのだろう。

岡崎「舐めた事してくれるじゃねえか」

梓「ぁ……二人とも、憂と純にはこのこと絶対いわないで」

梓「…心配かけたくない」

梓「……」

岡崎「…わかった。あの二人には黙っておく」

春原「…まあ、いいけどさ。でも、あいつらやっぱクソだね。こりゃ叩き潰すしかないか」

岡崎「春原、あんま騒ぎを大きくしないほうがいい。俺とお前が騒ぐと余計面倒になる」

春原「…ちっ。やってられないね。何でここまでされてさ」

梓「こんなの…誰が……」


春原「は!?そんなの合唱部の奴らにきまってんじゃん!」

梓「証拠もないのに決めつけたら駄目だよっ!!」

梓「あの子は……あの子たちはそんな事するような人たちじゃなかったもんっ」

梓「皆で歌…一生懸命歌おうとしてた!…そんな事…するはずないっ!」

岡崎「お前……」

春原「…はんっ。甘すぎるよ部長さん。目的の為ならなにする奴だっているんだよ?」

梓「仁科さん達はそんな人たちじゃ……」

春原「果たしてそうかねぇ?……僕なりにちょっと調べてくるよ。昼休みには報告できると思うから、楽しみにしててね」

岡崎「おい。お前、何するつもりだ」

春原「心配すんなって!…手荒な事はしないからさっ」

春原「…僕は女の子には優しいからね」

岡崎「…」

春原「それじゃねっ」

………

梓「岡崎君も……仁科さん達がしたことだと思う?」

岡崎「………」

何も答えられなかった

でも、そんな態度は無言の肯定にも等しい。
部長の期待する答えを俺は返せなかった。

___________________________________

………

………

………

春原「二年生を何人か捕まえて話を聞いたけど、犯人は案の定あの杉坂ってやつだったよ」

岡崎「…確証はあるのか?」

春原「ああ、2限の時間に杉坂ってやつは遅刻して授業にでたらしい。僕らの体育の時間も2限だった。僕らの教室の生徒が体育のためにいなくなるのを待って、それから脅迫状を入れた。たから遅れたんだろうねぇ」

梓「そんな、でもまだ決まったわけじゃ……」

春原「はぁ?…ったく、まだそんな甘い事いってんの?部長は」

岡崎「おい、春原っ!!」

春原「皆汚い手段使って自分だけいい目を見ようと頑張ってんだよ」

岡崎「…黙れ」

春原「自分だけが真面目にやってたら馬鹿をみるだけだよ…。なあ部長。部長が言ってくれれば今すぐにでも僕が部を勝ち取ってきてやるよ?」

岡崎「いい加減に黙れよお前…っ!!」

春原「…はぁ?何怒ってんだよ岡崎」

春原「お前だってそう思ってんだろ?あいつらがやったってさ」

岡崎「……」

その通りだ。
何も言い返せなくなる。

梓「岡崎君…」

春原「ふん…」

春原「それでさ…杉坂を呼び出してやったよ。放課後に中庭にね」

岡崎「お前…」

春原「ま、僕は100%あいつらだと思うけど、違うと思うなら自分できいてみなよ」

梓「……」

梓「…わ、私は…私は」

岡崎「…あんま心配すんな。俺もついてくから」

梓「あ……」

梓「岡崎君…ありがと」

________________________

………

………

放課後となった。
部長は平沢と鈴木には

「今日は部活はなし!」

とだけ伝えるとこちらに目をやって、

「いこう」

と訴えかけてきた。
平沢と鈴木は戸惑っていたが場のl空気を読んだのか心配そうな顔こそしたものの何も聞かずに帰宅した。

春原「それじゃ、僕もいくよ。呼び出した本人がいかない訳にもいかないだろ?」

岡崎「……」

俺としては部長と二人でそのまま中庭に向かった方がいい気がした。
が、結局こないだ二年の教室に向かった時と同じ3人で今は中庭に突っ立っている。

………

………

春原「きやがったな…」

校舎から一人の女子生徒がこちらに近づいてくるのを見ると春原は顔つきを変えその者をにらんだ。

彼女もこちらを確認すると寄ってきて、正面でたちどまる。

杉坂「杉坂です」

俺と春原の無粋な目に晒されながらも務めて冷静に彼女はあいさつをした。

春原「…お前には言いたい事が沢山あるんだよ」

春原が誰よりも早く反応し杉坂に近づいた。

梓「春原君!待って!」

部長が、その腕を掴んだ。

梓「お願い、ここは私に任せて」

春原「……」

春原「…ふん、わかったよ」

梓「……」

梓「杉坂さん。また…会ったね」

杉坂「…はい、その…勝手な事を承知で今日は先に私の話を聞いてくれませんか?」

梓「それは…合唱部の話…だよね?」

杉坂「…はい」

梓「私、あなた達の事をもっと知りたい。知って、これからどうするか決めなきゃいけない。だから…お願い」

杉坂「今から話す事は…仁科さんにあまり言うなと言われてる事なんです。…他の人には話さないと、はじめに誓ってくれますか?」

梓「うん。口は固いから、大丈夫」

杉坂「…」

杉坂は次に俺に目をむけた。

岡崎「大丈夫だ。俺もこいつも言ったりしない」

春原「…ふん」

杉坂「…はじめに、脅迫状を書いた事は謝ります。ですが、あれは私が勝手にやったことです」

杉坂「そうしないと…合唱部をつくれなくなると思ったので……すみませんでした」

梓「ちょっとびっくりしたけど…平気。続けて」

…春原の拳は、ぎりぎりと震えていた。

杉坂「仁科さんは……りえちゃんは、凄く才能のある子なんです」

杉坂「それは…音楽の才能です」

杉坂「彼女はずっと昔から…ヴァイオリンを弾いていました。…コンクールにも何度も入賞していて」

杉坂「ものすごく大きな会場で、沢山の人達の前で演奏をしていました」

杉坂「すごく、堂々としていて、ものすごく綺麗で…本当にカッコよかったんです」

杉坂「りえちゃんは、沢山の人からその将来を期待されていました」

杉坂「…外国のハイスクールにも通う予定もありました」

杉坂「私もそんなりえちゃんが大好きで、誇らしくて、一生懸命応援してました」

杉坂「……」

杉坂「……それなのに……それが決まる直前に……」

彼女は…顔を伏せた。

…俺は、嫌な予感がした。
そこから先の話を何故か知っている気がした。

杉坂「…事故に……あって…」

聞きたくない。もう、そこから先は

杉坂「握力が……弱くなってしまったんです」

だって……



「君の右肩は…肩の高さから上にはもう二度と……上がらないんだ」






……まるで俺と同じじゃないか。

あの時の記憶

あの時の気持ち

あの時の環境

その時に感じた情が入り混じっては、今の俺の心に押し寄せた



杉坂「…りえちゃん、ヴァイオリン…弾けなくなって……ハイスクールにもいけなくなって……」

杉坂「それで…この学校に来たんです。私のそばでなら頑張るって……そういってくれて…」

杉坂「だけど…やっぱり……全然笑ってくれなくて…いつもいつもつまらなそうで……見てて辛くて……っ」

梓「……」

杉坂「でも、ある時素敵な出会いがあったんです」

杉坂「古文の…幸村先生です」

岡崎「……」

春原「……じじい」

杉坂「幸村先生は、りえちゃんにもう一度、音楽を始めてみようといってくれて…」

杉坂「先生は…楽器がなくても音楽は出来る…そう言って、歌ってくれたんです」

杉坂「しわがれて…滅茶苦茶な音程で…それなのに…その歌は、とってもとっても心がこもっていました」

杉坂「その歌に影響されて…りえちゃんも歌い始めました」

杉坂「その姿は……昔の元気でかっこよかったりえちゃんでした」

岡崎「……」

杉坂「りえちゃんは…そうして自分を救ってくれた歌をもっと色んな人に伝えていきたいって……それで…」

杉坂「それで、今年からは、合唱部を作ろうって……幸村先生と…一緒に」

杉坂「だから……だから…私は…っ!!」

杉坂「だから……っ!!お願いしますっ!!りえちゃんの邪魔をしないでっ!!」

泣きながら……彼女は深く、深く頭を下げた。

梓「……」

部長は…じっと固まってしまっていた。

梓「私は……」








春原「こんな奴らの言う事なんか、ぜっっっったいに聞くな…っ!!!!」






春原が…叫んでいた。


梓「春原……くん?」



春原「そんな風に人の同情を誘うような奴は……卑怯者だっ!!」



岡崎「…お前」



春原「そんなハンデで贔屓されたいなんて考えがっ!!」




春原「甘すぎんだよっ!!」

岡崎「…春原」




春原「そんなハンデでっ!!」




春原 「そんな言い訳でっ!!」




春原「~っ!!」



ガンッっと春原が拳を壁に叩きつけた。
行き場のない怒りがそうさせたのだろう。

春原の罵倒に晒されても彼女は頭を下げたままだった。
…身じろぎひとつしなかった。

梓「あなたの願いを…私は……」

梓「私は…断れないよ」

岡崎「部長!?」

春原「部長は何も悪くないっ!。さっきのこいつの言った事は忘れろ!」

梓「でも……もう知っちゃったから」

岡崎 「……っ」

梓「元々…けいおん部を続けたかったのは私のエゴだから」

梓「憂と純は私が一人になったから入ってくれた」

梓「それで、三人だった」

梓「でも、仁科さん達合唱部は…もう人数は4人いて……なによりもまだ、二年生で」

梓「私達三年だけのけいおん部とは違って……これから、二年間も部活が出来るなら、そっちの方が…」

岡崎「~~っ!!」

岡崎「そんなの関係ないだろっ!?後一年しかないからっ!!だからこそ一生懸命やりたいんじゃないのかよっ!?」

岡崎「…お前、また新しいメンバーで、再出発するんだって意気込んでただろっ!?」

杉坂「……」

梓「…合唱部の人たちは皆が本気で音楽をやろうとしてる」

梓「なのに、けいおん部は……けいおん部は……」

岡崎「部長っ!!」

梓「…だから、もういいんだ」

梓「杉坂さん、けいおん部、あきらめます」

杉坂「………」

岡崎「部長っ!…いいのかっ!?」

梓「…だから、……だから、仁科さん達と素敵な合唱部、つくってね」

岡崎「おい…………。中野ぉっ!!」

梓「……」

梓「ごめんね、岡崎君も春原君も…一生懸命手伝ってくれたのに……」

梓「……っ」

梓「ごめんね…」

そして部長は寂しそうに俯いた。

が、すぐに泣きそうな瞳をこちらに向けると口の端をちょっとだけ上げた悲しい笑顔を見せた

春原「~っ!!」

岡崎「おい、春原っ!!」

この場に耐えきれなかったのか、春原は走り去って行った。歯をかみしめて

梓「もう、行っていいよ、杉坂さん。急に呼び出して…ごめんね」

杉坂「本当に……心の底から、感謝します。ありがとうございます」

礼を言うと顔をあげて彼女は立ち去って行った。

…澄んだ表情で。

俺はもう、何も言えなかった。

今回の投下はここまで。

今夜にでも続きは投下します。

レスと乙ありがとう。


それでは投下していきます。

____________________________________

………

………

………

春原が走り去り、杉坂が立ち去った中庭には

元けいおん部の部長と

……元バスケ部の部長が残っていた。


元…といっても俺の場合は三年前の事だ。

岡崎「……」

梓「……」

そして、中庭のベンチに座り、二人でしばらく無言の時間を過ごした。

岡崎「……」

一人にしてやるべきだろうか。
そっとしておいた方が正解なのだろうか。
人づきあいの経験があまりない俺だから、なんて声をかけるべきかもわからない。
こんな時、気のきいた言葉が言えればどんなに……

梓「岡崎君」

岡崎「……なんだ?」

沈黙に耐えかねたのか中野から口を開いた。
それに対して、俺なりになるべく優しく応える。

梓「春原君は…昔、何かあったの?」

岡崎「……」

なんとなくそれを聞かれる気はした。
普段おちゃらけているあいつの見せた怒りに何か思う所があったのだろう。

岡崎「あいつもさ……俺と一緒なんだ」

だから、俺も彼女の要望にこたえる。
あいつの事情を説明すれば、すくなくとも今は中野もその話題に考えを集中出来るだろうから

岡崎「サッカー部だったんだ。あいつ」

岡崎「だけど、一年の頃に色々あって、他校の生徒と顔がぼこぼこになるまで喧嘩してな」

岡崎「それで、その喧嘩のせいで、二年前のサッカー部は停部くらって……」

岡崎「この学校のサッカー部ってさ、かなり強い事で有名だろ?…そのときの3年生は大学への推薦もかかってる大事な試合を潰されちまって…」

岡崎「他にも、元々のあいつの性格とかなんやらが重なって、あいつはサッカー部をやめざるを得なくなったんだ」

岡崎「……俺も、あいつもスポーツ推薦でここに来た」

梓「岡崎君も?」

岡崎「まあな。…今はその話はおいとくぞ」

岡崎「だから、勉強なんて周りの奴らについていけなかった。正直、辛かった」

岡崎「そんな時期に俺とあいつは会ったんだ。…意気投合して他の生徒や、部活を楽しくしてる奴らを憎むようになった」

岡崎「……あいつは、ハンデを盾に説得しにかかった杉坂を許せなかったんだろうな」

梓 「そっか」

岡崎「……ああ」

梓「そんな事があったんだね………」


岡崎「……」

梓「……」

再び中庭が静寂に包まれる。

俺は、何を言えば、こいつを……

梓「岡崎君、今までありがとう」

不意に中野はすっきりしたような口調で礼を告げた。

岡崎「……は?」

梓「……ごめんね、部員勧誘とか、機材運びとか色々、手伝ってもらったのに…」

梓「あは……無駄になっちゃった……やだな、こんなはずじゃなかったんだけど」

強くあるために、きっと、わざとらしくでもすっきりした口調で話していたのだろう

…だが、話しているうちに彼女の顔はすぐに涙でくしゃくしゃになってしまった。

岡崎「中野……」

梓「やだな……先輩達…きっと悲しむ………私の…せいで……」

梓「トンちゃん……どこで飼えばいっかな……それも考えなきゃだね」

梓「憂と純に……なんて言えばいいかな……?」

岡崎 「……中野…お前…」

梓 「あ…」

ぽつり

と、中野の瞳から涙が零れた。

梓 「……~っ!」

ぽたり

ぽたりと涙が地面に落ちる

梓「あれ……?…あれ…?」

中野の目から、頬から流れ落ちる涙は止まらない。
自分で自分に起きている現象が理解できていないのだろう。
泣いて顔をひきつらせながら不自然過ぎる笑みを浮かべ戸惑っている。

岡崎「中野……」

こんな光景を俺は知っていた。

…三年前の自分

バスケをもう二度と出来ないと告げられたあの日


そうだ

あの日の俺なんだ。今目の前にいる女の子は

だから、だろうか

見てられなかった

何とかしてやりたいって、強く思ったんだ


岡崎「中野っ!!」

気づけば叫んでいた。
周りの生徒達も気にしないままに。
自分には似合わなさすぎても
それでも、叫ばずにはいられなかった。

岡崎「俺っ……入るよっ!…俺も春原もっ、けいおん部入るから……っ!」

……それは、今更過ぎる決意。
先週にでも言えばよかったと。今では強く思った。
いつもそうだ。
いつだって、俺は後になってから後悔する。
さっさと言えば、もう少し何か違ったのかもしれないのに…




「岡崎君」

「ん?」

「岡崎君は、この学校は好き?」




岡崎「だからっ………だからあきらめんなっ!」

梓「無理だよ……あの子達の未来と私達の一年じゃ……だれが見たってあっちを優先させるべきっていうもん!」

岡崎「そんなの誰が決めたんだっ!!…俺が神様ならけいおん部を優先させるぞっ!?」

梓「~~~~っ!!」

「私は、この学校…凄い好きだった」

「なんで過去形なんだよ…今は嫌いなのか?」








岡崎「おまえっ!またライブ楽しみたいって言ってただろ!?また、新しいメンバーで沢山の思い出作るんだろっ!?」





「でもね、今日、二人とライブして思ったんだ。…やっぱり私はステージが大好きだって」

「憂の声にあわせて、演奏して、純が私達のリズムを作って、それを観客が真剣に聞いてくれて、最後には拍手ももらって……凄く気持ちよかった」







岡崎「後輩作って!一緒に練習して!…一緒に茶を飲んでさぁっ!!」






「だから、またこの場所で、また新しいメンバーを作って、とびっきりのけいおん部を作りたいって思った」

「そしたらきっと、新しい再出発したけいおん部でも、絶対にまた、去年のような楽しい青春を送れると思うから」






岡崎「メンバー全員で…っ!!ビデオに映ってたような馬鹿を、もう一度やるんじゃなかったのかよっ!?」

梓「~っ!!!」

パンッ

と耳に衝撃音がはしった。
何が起きたか始めはわからなかった。

岡崎「なか……の」

頬をビンタされたんだ…俺。

こないだの休日に叩かれた時とは全く違う。
本気の…女の子の怒りの平手打ち。

梓「そんなの……言われなくてもわかってるよっ!!」

梓「でも、しょうがないんだよっ!もうっ!!」

岡崎「……っ!!」

岡崎「しょうがなくなんかないっ!」

岡崎「俺と春原が入れば5人だろっ!?部員足りてんだろ!?なら、あいつらと同じ土俵で戦える!」

岡崎「…違う、俺らの方が有利だ!あっちは4人、こっちは5人だ!しかも、今実質音楽室を使ってんのは俺たちだ!!」

岡崎「これなら神様だって、人数多いこっちの味方してくれるだろ!?」

梓「ちがうよっ!!全然違う!!」

梓「仁科さんたちは全員が歌いたがってた!!皆が本気で音楽に取り組もうとしてたっ!」

梓「でも、私が望むのはっ~」

梓「私が大好きなけいおん部は……本当は…そういう真面目なものじゃないんだよぉ」

梓「皆でお茶して…だらだらして…でも、たまに練習すると…嘘みたいにうまく演奏してて…息ぴったり…」

梓「そういうけいおん部をまた作りたかった…そんなけいおん部が好きだったから…」

梓「でも……そんな考えで、部を作りたい私の思いなんかじゃ全員が本気のあの子たちとは……」

岡崎「そんなの関係ねえっ!!」

岡崎「…だって…お前の二年間は本物だったはずだろ……っ!?」

岡崎「本気で遊んでっ!本気でだらだらしてっ!本気で練習してっ!」

岡崎「世界で一番幸せな時間過ごしてきたんじゃないのかよっ!?」

梓「~~~っ」

岡崎「その気持ちが嘘じゃないならあきらめんなっ!!」

だって……だってさ………

岡崎「お前はっ!!俺達とは違って……まだ……まだっ!!」



岡崎「………諦めるには早すぎるんだよ……っ!」

梓「あ、…あ……う……うっ……えくっ………うぅ……~っ」

岡崎「なか…」

梓「…~っ」

俺の伸ばした手を払い、彼女はそのまま泣きながら校舎の中へ走っていった。

……涙をこぼし続けながら。

………

………

………

そのまま俺は中庭に茫然と立ちつくしていた。


岡崎「………」

もう、放っておいた方がいいのかもしれない。
人は一人でいたい時だってある。
だから、あいつにだって、心を整理する時間が必要なのかもしれない。
辛い気分の状態の相手に自分の生の感情をぶつけるなんて、よく考えれば地雷を踏むような行為だ。

なに、やってんだろう、俺は。

岡崎「……」

もう、自分に似合わないお節介をやく必要なんて……

……そんな、必要あるわけ……


岡崎「………くそっ」


気がつけば体が勝手に走りだしていた。
中野を追いかけてなにか言わなくちゃいけないって、何故か思ったんだ。

…らしくないってわかってる。
放っておいた方が楽になれる人がいるのも知っている。
だから、もしかしたら俺の追いかけるという選択は間違った行動なのかもしれない。


でも、あいつと知り合ってからのこの短い期間だけでわかってしまったんだ
中野は……寂しがり屋な奴だって
誰かといる事に楽しみを見つけて、救われていく奴なんだって。

だってそうだろ?

ビデオで見たライブ映像の中、今はいない先輩と楽器を弾いていたあいつの顔は、幸せな女の子のそれだった。
先輩達に抱きつかれて、口では嫌だといいながら、その顔は笑っていた。

そんな、誰かと寄りそって今を生きていく事に幸せを感じるやつの、

一人で泣く姿なんて考えたくもないんだ…っ!


だから、だからさっ



岡崎「放っておけるわけ……ないだろ……っ!!」

………

………

教室に戻ったが中野と春原の姿は見えなかった。

…春原はもう帰ったのだろう。
だが、中野の席にはまだあいつの鞄が置いてあった。
つまり、まだ校内のどこかにいるってことだ。

………

………

音楽室へと続く廊下を走る。
中野がいるとすればどう考えたってあそこだ。

岡崎「……?」

ふいに、何かの音が聞こえてきた。

岡崎「これは……楽器と……誰かの歌声?」

………

………

ねえ♪

思い出の欠片に♪

名前をつけて保存するなら♪

宝物がぴったりだね♪



音楽室の近くまでくると、中からは楽器の音と歌声が聞こえてきた。
やっぱり、あいつは音楽室にいるようだ

岡崎(……?)

けいおん部の演奏の音?

何でそんなものが聞こえてくる?

いま、まともに演奏できるのなんて中野と鈴木と平沢の三人だけだ

なのに……ドラム、ベース、ギター、しかもキーボードの音まで聞こえる。

それに……聞いた事のないこの歌声は?

岡崎「この声は………確か」

音楽室の入り口の扉の前に立つ。

これを開けばきっと中野に会える。

けれど、扉はなかなか開かなかった。
いや、開ける事ができなかった。

……会って、俺は何をすればいいんだろう

励ませばいいのか?

それとも……同情して慰めの言葉をかければいいのか?

…どちらも違う気がする。



結局俺は、頭に明確な答えも思い浮かばないまま重い、重い扉を開けた。

_________________

岡崎「~~~~っ」

扉を開ければ耳を強く刺激する爆音の嵐

信じられない音量で楽器の演奏が音楽室に響いている

俺は慌てて入り口の扉を閉めた

岡崎「中野……」

中野は……いた。

音楽室に用意されている机に両肘をつけ、両手で顔を隠しながら嗚咽をあげている。

梓「せん……ぱい……ヒック……せん…ぱ…ぃ………うぅっ………~っ」

岡崎「………」

人が大泣きしているのを見るのは久しぶりだった
中野の両手は溢れ出る涙を抑えきれず、びしょびしょになっている
中野自身もしゃっくりをあげているかのように、何度も何度も体を痙攣させていた

岡崎「この曲は……」

駅のホーム

河原の道

離れてても

同じ空見上げて

ユニゾンで歌おう~♪


知らない歌声がいくつも重なって優しいメロディを奏でている
…温かくて、ちょっと寂しい、そんな曲だと思った

梓「あ…………」


中野も俺に気づいたのだろう。
…まるで壊れたロボットのように顔をあげこちらを見る

泣き崩れてくしゃくしゃになった顔はいつもの…ちょっとむっとしていて今にもお説教を始めそうな、そんな奴の顔とはかけ離れていた。
目は真っ赤になり、頬に残る涙の跡が今の中野の状態を簡単に示している。

そんな弱りきった猫のような中野を何も言えずに見つめているうちに、
曲の間奏が終わり、恐らくは最後となるサビが流れ始める


でもね、会えたよ

素敵な天使に

卒業は終わりじゃない

これからも仲間だから

大好きって言うなら

大大好きって返すよ

忘れ物、もうないよね

ずっと、永遠に一緒だよ




耳に残るは心地よいメロディ。

胸に響くは歌っている人たちの温かい気持ち。

…それは、おそらくは愛情とか友情とか…俺にはよくわからないのだけど

きっと、多分それらを構成しているなにかの結晶。

中野という女の子を世界一幸せにした人達が、その女の子ただ1人の為に送ったお別れの歌。

別れても

離れても…ずっと一緒だという願いと誓いを歌った曲。

そんな曲なんだって、俺でもすぐに理解できた。

…最後のサビが終わり、演奏が終わった。

音楽室が静寂に包まれる

岡崎「中野……」


梓「岡崎君………そこのカセットテープさ、一番大きい音量で流してくれない?」

涙でかすれた声をしぼり出しながら俺に指示する中野
俺は、ただそれに従う事しか出来なかった。

岡崎「これか?」

棚に置かれたカセットテープを手に取って中野に見せる
コクリと頷いたので先ほどの曲を爆音で再生させていた機材に俺は近づいて、セットに取り掛かった。

梓「………」

カセットテープのラベルには「放課後ティータイム」と書かれていた
このテープの名前なのか、バンド名か少し悩んだが、なんとなく、後者だろうと思った

岡崎「音量マックスっと……いいんだな?」

梓「うん…。…ありがと」

岡崎「それじゃ、流すぞ」

______________
ガチャっ!


紬「この時間も録音しておかない?」

唯「おおっ!?」

律「つまり、放課後ティータイムっていうのはなぁ、今を生きる高校生のロックスピリッツをあつーく、はげしーく表現するロックバンドっつうかさぁ!」

澪「いいこと言おうとしているだろ?」

律「だって…後に残るんだよ?これ」

______________

カセットテープから聞こえてきたのはそんなやり取りだった。
きっと、彼女達が中野の先輩達なんだろう

これだけの短いやり取りでも仲のよさは窺えた。
きっと、本当に、本当に仲のいいメンバーだったのだろう。


_______________


唯「では、部長のりっちゃん!あなたにとって、放課後とは?」

律「そうだな……人生の…無駄遣い…かな?」

唯「へぇー」

澪「確かにな」

梓「本当ですよね」

唯「ちょっと聞いてみよっ」

ガチャッ

ガチャッ


梓「やめてくださいっ!」

ガチャッ
_____________

ちょっと興奮しながら録音をしている。そんな当時の中野の声が聞こえた
…この反応から中野はメンバーの中ではいじられ担当なのだろうとなんとなく感じた

_____________
ガチャッ

律「はーい、皆スタンバーイ♪」

澪「いきなりぃ?」

紬「ああ、待って待って!」

唯「あ…そっか」

ガチャッ

______________

どうやら曲が始まるようだ。
そんな時でも彼女達はのんびりと準備をしている
声だけのやり取りでもどのような人たちかがわかってきた

______________
ガチャッ


唯「ほいっ、入りましたー」

唯「ほっほっほっ………よいっしょっと」

律「いいかぁ?」

澪「いいよー」

紬「いいよー?」

梓「いいですっ♪」

唯「はいはい♪」


________________

そして……曲が始まった。

ギターのノリのよいリフから始まり、やがて歌声も流れはじめる。



~君を見てるといつもハートどきどき♪


岡崎「この曲…平沢たちがこないだやってた…」


ボーカルの声はのんびりというか、女子高生っぽいというべきか
拙い言い方になるが簡単に言えば、可愛らしい…そんな歌声だった。
ビデオで見た楽器を弾く彼女たちの明るく朗らかな笑顔が録音越しに見えてくる。

岡崎「………」

~~~♪

一曲目が…終わった。

ノリのいいリフに元気の出るメロディ。そして、聞いていて何故か微笑ましくなるボーカルの声。
こないだの新歓ライブで平沢達が演奏していた曲の完成版。
気に入る人には凄くいい曲なのではないだろうか。

……少なくとも俺は、気にいった。



唯「ふぅ~……終わったぁ~」

梓「まだ一曲目ですよ?」

唯「えへへへ……そうだっけ?」

唯「よっと……」


ガチャッ

ガチャッ


唯「ほい」

律「はい、次カレー♪」

澪「カレーな」

唯「甘口で!」

律「カツカレーで!」

紬「ラッキョ好き~♪」

唯「ラッキョ―!!」

梓「意味不明です……」

澪「おい、行くぞ?」

唯「はいはい♪」

1!2!!

1234!!

ドラムの女子生徒がカウントし、曲が始まった。


二曲目はカレーがどうたらこうたらと言ったちょっとふざけた感じの曲だった。
キーボードのノリのよいメロディとドラムの刻むリズムが心地よいテンポで展開して聞いていて楽しい。

岡崎(独特なバンドだったのか?ちょっと変わった曲だ)

………

………


カーレーちょっぴり♪

ライス

「「「たっぷり!!!」」」


でも、聞こえてくるメロディ達は楽しそうに踊っていた。

………

………


唯「ふぅ~、か~れ~ちょっぴりライスたっぷり♪」

「「たっぷり!!」」

「お腹いっぱい~」

………

不思議なやり取りだった。
俺の知っているこの学校に、こんな呑気な人達がいたという事実が。
優しい世界が広がっていた事が。
そして、こんなにも楽しそうな風景は、俺にとっては妬みの対象だったはずなのに、聞いていて不愉快な思いがまるで湧いてこない。
むしろ、温かい気持ちで満たされていく。

……中野はずっと泣いていた。

曲と曲の合間に流れるは、先輩たちとその中で唯一後輩であった中野とのやり取り

それは、彼女たちの青春時代の思い出

きっと、楽しいことや、悲しい事

それら全てを乗り越えとびっきりの高校時代を生きた先代けいおん部の全てだった。


それは、中野達が望んだもの

中野達が選んだもの

中野達が過ごしてきたもの

…過ぎていく時の中で、彼女達が大事に作り上げていったもの

そんな中で得ていった、きっと、絆だとか、友情だとか、思い出だとか。

そして、そんな幸せの日々の中…過ぎていく季節の中に取り残されていったもの






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そんな、彼女達の全てが詰まった、たった一つのカセットテープ。

梓「せん……ぱ………ごめん……なさい…~っ…ごめ……なさっ……~っ」


…カセットテープの曲が全て流れきるまで……中野の涙はとまることはなかった。



ずっと、止まらなかった。


.
.
.
.
.

唯「おわったぁ~~~~あはは……よかった、取れて~えへへ~」

澪「そうだな」

紬「お疲れさまっ♪」

梓「終わりましたねっ♪」

唯「あ、ねえねえ、メンバー紹介しなくていい?」

律「あ、じゃあ各自名前っ!!」


「田井中律っ!」

「琴吹紬!」

「秋山澪!」

「中野梓っ!」

「平沢唯っ!」




全員「 放課後ティータイムでしたっ!! 」




ガチャッ

.
.
.


音楽室が静寂に包まれる
先ほどまで流れていた過去の音楽室の喧騒とはうって変わって、寂しすぎる空気が流れた。

部屋には中野の泣き声だけがいつまでもこだましている


岡崎「これが、中野の二年間か」

…が、意を決して俺は話しかける。

岡崎「すげえいい曲ばっかだったな。…たまに、変な曲あったけどさ。…はは、なんだよご飯はおかずって……なんか、お前らの先輩達は変わってる人なんだなって思ったよ」

岡崎「メロディ的には……そうだな、ホッチキスが~とか言ってたのが好みだったかな?…でも、ラストの曲が締めなだけあってやっぱ一番よかった、うん」

梓「……」

岡崎「にしても、ダブルボーカルって聞いてはいたけど驚いた。2人とも、すっげえ歌上手いじゃん。…中野もこれくらい上手かったらよかったのにな………はは、嘘だよ」

1人でずっと喋り続ける

無視されていたって関係ない

だって、今はこうすることしか出来ない

_____________

私は……

ずっとある事を考えていた。
でも、それを考えるのはいけない事だと思った。

…私の中にはある答えが春を迎える前に浮かんでいた


きっと、先輩達との時間を超えるバンドは作れない。


どんなに上手なギタリストがいても、
どんなに上手いボーカルがいても、
この二年間を超えるような、

楽しくて、

笑えて、

ちょっぴり寂しくて、

それだけど、やっぱり楽しくて

でも、悲しくて、

それでも驚く事ばかりで、



…そんな誰よりも幸せだったこの二年間は絶対に越えられないって。

だから、そんな考えは間違っているって思い込みたくて、
それは事実じゃないんだって証明したくて

新しいけいおん部を作って、頑張っていきたかった。
止まることなく駆け抜けていきたかった。
そして、先輩達を安心させたかった。

1人でもちゃんとやっていってますって

新しい素敵なメンバーを見つけましたって

だから、綺麗過ぎて、幸せ過ぎたあの時間はあまり思い出さないようにしていた

だから、放課後ティータイムの全てが詰まった、皆で取ったカセットテープは一人では聞かないようにしていた

だって、先輩達と取ったテープを聞けば、

唯先輩と出会ってからの膨大な記憶、経験、思い出

直接には関係ないいくつもの断片が、なにかのちょっとしたきっかけで 一瞬のうちに、数珠繋ぎに連結していくから。

悲しいことや苦しいこともあった。

だけど、それらさえ懐かしく、愛おしく思える程に、楽しいこと、嬉しかったことがあった。

そんな、時間も場所もでたらめに並んでいる、それらを雑誌を読み飛ばすように辿っていくと その最後は、なぜかたいてい涙腺に繋がってしまった。

…あの頃に帰りたくなる。

今を生きて行かなくちゃいけないのに、ずっと過去に引っ張られてしまう。

「あずにゃーん!!」


この学校ではいまではもう誰も呼ばないそのあだ名。

嫌だ嫌だと言ってはいたけど心の奥底ではそんな事、全然思っていなかった。

「梓はいい子だな」

「なかのう!!」

「あずさちゃーん」


目を閉じればあの頃に帰れた。

帰りたかった。

だから、ずっと目を閉じていた


そうして

このテープが流れている間、私はずっと過去へと飛び立っていた。


今…目の前で私を探しにきてくれた、たった一人の男の子をずっと無視しながら。

………

………

全員「「 放課後ティータイムでした!! 」」





テープが流れ終わった。

それでもまだ、現実には帰りたくなかった。

だから、ずっと、ずっと、下を向いたままあの頃へと思いを飛ばしていた。

____________________________________





………

………


いくら話していても中野はずっと目を閉じて俯いているだけだ。

流石に無視されっぱなしは辛いものがある。
…自分は散々人を無視してきたくせに、なんて勝手な俺の思考だ

……だが、今だけはエゴイストで構わないから、こいつの気をこちらに引かせよう

……悪戯を思いついた


.
.
.
.
.
.




岡崎「中野」

梓「……ぁっ!!」

ピタッと中野の頬にホットココアをあてる。
いきなり温度の高い物をあてられ彼女の体がビクンと痙攣した。

…ちょっとしたショック療法だ。

梓「…もう…びっくりさせないでよ…」

涙で潰れた喉から恨み声をあげる中野
泣き疲れたのか彼女の様子は少し落ち着いてきたようだ

梓「……」

ジッとこちらに非難の目を向けてくる。
きっと、自分の世界を無理やりこじあけられた事に不満をもっているのだろう

岡崎「そんな怖い顔すんなって。ほら、これ飲めよ」

梓「……ありがと」

梓「………」

梓「あ、…これ、あったかい」

岡崎「お前には暖かいものが必要だと思ってな」

わざわざ今自販機までいったんだ。喜んでくれてよかった。

梓「あはは、岡崎君キザ過ぎ……でも、優しいね」

岡崎「ばーか、そんな事ねえよ」

梓「…けいおん部に岡崎君より馬鹿はいません」

ぐあ…

岡崎「……ったく」

梓「あはは…」

岡崎「はは…」

やっと笑ってくれた
それが、ただ嬉しかった

梓「あは…」

梓「ココア、おいし………~っ?」

岡崎「中野…」

でも、やっと笑ったその顔も、すぐに涙でひしゃげてしまった。
笑ったことで気が緩み、涙腺まで緩くなってしまったのだろうか。

梓「ご、ごめ……なさ………えくっ………ひっく……」

岡崎「おまえ……」

梓「ごめん……ね…?…今、優しくされちゃうとね……ちょっと、まずいんだ……」

中野は椅子に座ったまままた涙をこぼし始めた。
…せっかく泣き止んだのに…俺はなにやってんだ……。

梓「岡崎君、…やっぱり1人に……してほしい。こんな顔、誰にも見せられないよ……」

岡崎「………」

梓「ぁ…うあぁぁ………せん、ぱい………せん……ぱい………」

岡崎「なかの……」

俺はどうすればいいんだろう。
抱きしめたいと思った。
中野を抱きしめて、お前は頑張ったんだって言えばそれが正解なんだと思う。
きっと、一般的にはそれが正解だ。

抱きしめて、安心させてやりたい。
そして、慰めてやりたい。

…そして、そんな思いとは別にもうひとつ、胸の奥底の男としての本能、そんな心が
今抱きしめればきっと彼女を自分のものに出来ると呼びかけていた。

それはとても魅力的な…俺にとっても中野にとっても一般的には最適な選択だ。


岡崎「……」

梓「…うぇっく………ひっく、……~っ」


…目の前で夢を今まさに失ってしまった中野の姿はまるで自分を見ているようだった。



自分のしてきた事

自分のしたかった事

友達としてきた事

友達としていきたかった事


それら全てを失い…希望が見えなくなる事


全部が三年前の俺と重なって見えた。

そんな中野と俺なら、うまくやっていけるんじゃないだろうか。
何かに負けた者同士、傷をなめあって慰めあい、寄りそっていけるのではないだろうか。

きっと、それは一番楽になれる選択肢。

でも……だけど


俺は、こいつを助けたいって思った。
それは同情して慰めて助けるって意味じゃない。
男と女の関係に逃げ道を作るって意味なんかじゃ当然ない。


俺は、こいつに諦めて欲しくなかった。


カセットテープから流れ、曲の合間にたまに聞こえてくるこいつの声は幸せな女の子のそれだった。


そう、幸せな女の子だったんだ。
こいつはそうでなくちゃいけない奴なんだ


なら今は?…幸せじゃなくなってしまっているのか?
幸せにはもうなれないのか?


…そんな事はない。


そんな事は認めない。


だって、こいつは……こいつは俺とは違って、まだ、手遅れじゃない。

俺はバスケをもう出来ない。

でも、彼女はギターをまだまだ弾けるんだ。

俺の周りには春原ぐらいしかいない。

だけど、中野の側には支えてくれる人たちが沢山いる。

なら、諦めるなんて許さない。
彼女が…幸せにもうなれない悲劇的な女の子だなんて認めない。

……だって、そうだろ?

こいつは悲劇的な男を気取った、クソッタレでろくでなしのような俺に、

シャキッとしろと尻を叩いてくるような、本当はそんな強い奴なんだから。



…こいつの何かを必死に求めていた右手は、この春が始まってから



まだ、何も掴んではいないのだから。

……でも、わかっている事もあった。
こいつは優しいから、きっと他の人の幸せをぶち壊してまで自分の望みを叶えようとはしないだろう。

なら、俺はどうすればいい?


岡崎(答えなんて……もう出てるんだけどな…)



坂の下で平沢と会った。

あいつと出会ってから、世界のなにもかもが大嫌いだった俺は、けいおん部という新しい世界を見た。
その世界は、俺が思っていたよりも少しだけ…いや、ずっと優しい世界だった。

そんな世界で出会った、真面目で融通が利かなくて、ギターがとても上手で、だけど音痴で…寂しがりやな、本当はとても弱い女の子。
そいつが今まさに希望をなくしてしまうかもしれない。
俺と春原のように、灰色の日常を過ごすことになるかもしれない。

そんな中野の姿を俺は……絶対に見たくない。

なら

俺が、何とかするしかないだろ?


自分に何が出来るかもわからない。
それでも、彼女を助けてやりたいって思った。
平沢だってせっかく気合いれてけいおん部に取り組もうとしていたんだ
なら、ここを潰すわけになんていかない。

なら、考えるんだ。
まずは自分に出来る、中野の為になる行動を。

どうせ俺の小さな脳みそなんて今後ろくに使う事もないだろう。
それなら、一生分使う勢いで、こいつの為に何が出来るかを考えるんだ。

休憩します。

一時間後くらいに再開予定。

一時間休憩と言ったがあれは嘘だ。

投下開始します。

………

………

4月16日 金曜日

タイムリミットの日だ。
現在時刻は午前8時15分
万年遅刻のおれからすればありえない時間だ。

岡崎「おい、仁科はいるか?」

だからといって不思議と眠気はない。やらなくてはいけない事がある。そんな気持ちが俺の脳を働かせている。

下級生の教室という慣れない環境に一人緊張しつつも歩いていた生徒に声をかけ尋ねた。

岡崎「あんた、このクラスの生徒か。仁科って奴を呼んできてくれないか?」

「…えっ…あ、はい…仁科さんですね、ちょっと待ってください……」





「おい…あれ、三年の岡崎先輩だぜ?」

「うっわ、怖~、ねえねえ、先生呼んだほうがいいんじゃない?」

「………」

もうこんな反応にも慣れている

それでも、やはり気分のいいものじゃない。



………

………



仁科「あの、おはようございます。仁科です」

岡崎「ああ、あんたか。悪いな、朝っぱらから」

仁科「いえ、……あの、けいおん部の方ですね?」

岡崎「まあ、な」

仁科「それで今日は一体なんでしょうか?」

岡崎「……話があるんだ」

仁科「はぁ…」

杉坂「…私もその話には同席させてもらいますが…構いませんか?」

岡崎「ああ、むしろいてくれた方がいいくらいだ」

_____________________________________

………

………

場所はこないだ中野が仁科と話していた空き教室だ。

仁科「それは……本当に申し訳ないことをしました」

岡崎「いや、それはもういいんだ。終わったことだしな」

仁科に昨日の杉坂とのやりとりの内容を説明すると、
彼女は杉坂をチラリと見た後、申し訳ないとでもいいたそうな顔をしてこちらに向き直った。

岡崎「それで、ここからが本題なんだけどさ。お前らさ…どうしても、あの音楽室じゃなきゃ駄目なのか?」

仁科「…?。合唱部としては、歌う場所がないと活動が…」

岡崎「そうじゃなくて…どこかさ、空いてる教室があれば、そこで練習とか出来ないのか?」

杉坂「なっ!?…あんたっ!やっぱりまだ諦めてないんじゃないっ!!」

岡崎「当たり前だろっ!?」

杉坂「なっ!?」

岡崎「あの部室は……中野が二年間、先輩達と過ごしてきた場所なんだよっ!!」

岡崎「だからっ!絶対譲りたくなんかないんだ…」

杉坂「ちょっと!怒鳴らないでよっ!!」

岡崎「…なあっ!駄目なのか…?」

岡崎「あそこじゃなきゃ……駄目なのかよ……っ!!」

岡崎「あそこは…っ!!あいつの、大切な思い出が沢山つまった…大事なっ、大事な場所なんだ…っ!!」

岡崎「だから……っ!!」

仁科「…ごめんなさい。音楽室にあるピアノがないと、色々と不都合なことがあるんです。やっぱり、音合わせにも使うので」

岡崎「……ピアノだな?」

岡崎「ピアノがあれば……いいんだな?」

杉坂「あ、あんたっ!!」

仁科「はい、ピアノさえあれば、後は空き教室でも構いません…でも、設置するにしても、学校からの許可が……」

杉坂「りえちゃんっ!こんな話聞かなくたって……」

岡崎「わかった……なら、少し待ってくれ…俺が、用意するから」

杉坂「あんたねえっ!?…あんたみたいな不良に何が出来るって言うのよっ!?」

岡崎「…~っ!!!」

岡崎「なんとか…するから!…だから、待ってくれ!!」


仁科「はい、待ちます。先輩が納得のいくまでは」

岡崎「……!」

仁科「ですが…5月に創立者祭もあります。練習を始めなければいけないので今から一週間以内には決めていただければ…」

岡崎「それだけくれれば…十分だ」

………

………

………

菫「…あんな事言って……どうするんですか?」

話を終えて、空き教室を出るとそこには一週間ちかく見ていなかった姿が俺を待っていた。

岡崎「…久しぶりだな。…てか、聞いてたのかよ……趣味悪いな」

菫「先輩を朝見かけたんですけど……凄い怖い顔してましたから」

岡崎「はっ…、不良っぽいだろ?」

菫「…その、色々と話、聞かせてくれませんか?」

………

………

一限目は斉藤も俺もサボることにして屋上で二人、この一週間の話をした。

岡崎「……って事があったんだ。だから、何とかして代わりの部屋とピアノを探すことになったんだ」

菫「…そうですか……そんな事が…」

斉藤は、きっと、俺と同じで、もっと早く入部すればよかった……

そんな事を考えている気がした。

菫「……先輩。ピアノ、ですけど…私がなんとかします」

岡崎「は…?」

菫「私が早く入っていれば、もっと違ったかもしれないから……」

菫「だから、私にも今回のこと責任ありますよね?…それくらいは私が見繕ってきます」

それくらいは見繕ってくるって……

菫「あの、ですから部室として使える部屋は先輩が探して下さいね?」

菫「そればっかりは…私、何も手伝えません…えと、多分ですけど」

岡崎「おい、お前、何言って……」

菫「それじゃ、お疲れ様です」

そう言うとすぐに歩いてどこかにいってしまった。

…なんなんだ、あいつは。

………

………

………

そして時間は流れ昼休み……

俺は旧校舎をうろついていた。

憂「岡崎君」

岡崎「おわっ!?…平沢……?」

憂「今日、朝に鞄を置いたきり、授業に出てないよね?」

岡崎「あ~…今だけは、サボり、許してくれないか?」

わざわざこんなとこまで探しにきてくれたのか…。

憂「お話、聞かせてくれたらいいよ?」

岡崎「……」

憂「…なんてね、春原君から、色々もう聞いたんだ。私も協力する。…梓ちゃんのためだもん」

岡崎「あの野郎……」

憂「今日の梓ちゃん、見てられなかった。だから、私も手伝うね」

岡崎「そっか……。それじゃぁ…頼んでいいか?」

憂「うん!」

こうして二人での部活に使える空き教室探しが始まった。

_____________________

………

………

………

放課後になり俺は職員室に向かった。

相変わらず俺が職員室に入ると教師達はいい顔をしない。
また、何か問題を起こしたのかあいつはとでもいいたげなむかつく視線をこちらに送ってくる

でも、今だけはそれにむかついている暇もない

岡崎「先生、お願いがあります」

さわこ「岡崎……あんたが真面目な顔なんてどうしたのよ」

茶化さないでくれ。

岡崎「あの、合唱部とけいおん部の事でのお話です」

さわこ「…岡崎、あんた」

憂「合唱部の部室として、提案があるんです」

岡崎「旧校舎の三階には昔演劇部が使ってた今は空き教室があるって聞いた」

岡崎「そこに、ピアノを置けないか?」

さわこ「…珍しく自分から来ると思ったら…岡崎、憂ちゃんも、話いろいろ聞かせなさい」

憂「実は……」

____________________

岡崎「それで、どうにかしてこっちでここにピアノを用意すれば、争うこともなく問題解決できるんだけどさ」

さわこ「あら、なら後はピアノを手に入れれば問題なしじゃない?」

岡崎「…そうなのか?…学校に備品置くのってなんか色々手続きが必要なんじゃ……」

さわこ「そんな事ないわよ。現にムギちゃん…あ、去年までけいおん部だった子の事ね?その子が持ってきたティーセットや冷蔵庫なんていまだに音楽室で使ってるしね」

岡崎「……」

岡崎「それじゃあ、ピアノをこっちで勝手に空き教室に持ち込んで……」

さわこ「そうね、後は仁科さん達にその部屋で了解してもらえればオッケーなんじゃない?」

憂「あの、先生。あそこの空き教室って…その、音とかは平気でしょうか?…ピアノを弾いたり歌ったりしても」

そこが最後の難点だ。
空き教室に防音機能なんて当然ない。
けいおん部ほど音は大きくないが、ピアノと合唱は普通に廊下や上下の階まで響いていくだろう。

さわこ「あの空き教室、元々は演劇部が使っていたんでしょう?なら平気だと思うわ」

岡崎「…大丈夫って事なんだな?」

さわこ「まあ、そうなるわね。でも、ピアノなんてあんた用意できるの?……中古でも驚くほど高いわよ?」

岡崎「そこは……大丈夫って言うやつがいたんで」

さわこ「…?」

さわこ「…よくわからないけど…なんとかなりそうってこと?」

岡崎「ああ…多分、だけどな」

さわこ「そ」

さわこ「……」

岡崎「なんだよ?」

さわこ「岡崎、ありがとうね。あの子達を…梓ちゃんを助けてくれて」


岡崎「…別に、助けてなんかない」

岡崎「ただ、暇だからやってるだけだ」

そうだ。どうせ暇なら誰かのために何かをやった方がいいと思ってるだけだ。

きっとそうだ。

さわこ「はいはい」

岡崎「…ったく」

さわこ「それと…あんたと春原も入部って事でいいのね?人数は揃ったわけだから、これで廃部は免れるわ」

岡崎「…ああ」

さわこ「これで…問題は解決ってことでいいのかしら?」

岡崎「…金髪の後輩が本当にピアノを入手してきたらな」

さわこ「あら…ならあんまり心配しないですみそうね」








さわこ「ほんと……あんたたちとあの子達をひき合わせてよかったわ」

__________________________

その日の夜、琴吹邸

菫「あ、あのね!パパ達にお願いがあるのっ!!」

斉藤「どうしたんだ?」

紬父「いってごらん?」

__________________________

そして、週が明け4月19日 月曜日。 空き教室には…

岡崎「こ、これは……」

       ______

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菫「ど、どうでしょうか?」

とんでもなく立派なピアノが設置されていた。

純「す、すっご……。このピアノ、型は古いけど、ヤ○ハの中でも超いいモデルじゃん…!!」

憂「でも、これなら合唱部の人もきっと!」

岡崎「…なんだか、いざ始めてみればあっけなく問題解決するもんだな」

こんな風に、いつまでたっても問題を解決出来ないどこかの誰か達の関係も楽に解決できたなら……
っと、今はそんなこと考えてる暇はない

純「でもよかった~、今日も梓、ずっと下向いてて話しかけてもスルーされるしきつかったんだよね」

憂「これで、また再出発できるかな?」

春原「ふん…それじゃ、まずは合唱部の驚く顔を拝んでやろうぜ」

岡崎「おい、せっかくまとまりそうなんだから合唱部に変な挑発するのはやめろよ」

春原「へいへい」

岡崎「……」

__________________________

放課後になった。

もう、音楽室ともお別れだ…。

梓「後一年間は、ここにいたかったんだけどな」

でも、丁度いいのかもしれない。
結局、先輩達のいたけいおん部は……もう戻ってはこない。

…学校じゃなくてもバンドは出来るし、楽器だって練習出来る。

だから、悲しい事なんて…ない。

梓「……あれ?」

ぽたり



枯れ果てたはずの涙がまた零れた。

梓「…う、うぅ……ぁ」

でも、

それでもやっぱり

この部屋での思い出があまりにも多かったから

あまりにも多すぎたから

辛くて

胸が苦しくて


心がひび割れていくように、痛い。

梓「痛い。…痛いよ…唯先輩…」

胸が痛くて痛くてたまらない。

あきらめたくなんてなかった。

唯先輩達の残したものをなくしたくなんてなかった。

だけど……もう……


梓「…?」

廊下から、誰かの足音が近づいてくるのが聞こえる。
数秒後、突如ガラっ!と音楽室の扉が開いた。



梓「…あ」

岡崎「中野…」

__________________________________________________________________

………

………

………




    /:::::/:::::::::::::::::::::::::::l:::::::::ハ:::::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::::|::::/⌒ヽ
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  |:::i::::::::::/:::::: /   /:////l / リV:::::::::: |:::l:l:::::|::::::::::l彡|:::::::l:: |
  |:::|:::::::/::::r'´   /' イノ/ニノ   Y:::::::/::::ll:::::|::::::::::| ハ|:::::::l:: |  「お、岡崎……くん?」
  |:::|::::::i:::::/ `ー‐''   |/ ̄ヽー‐' /:::/:八::::|::: |::::::::::|::::l::::::: |:::|
  |:::|::::::l::::ハ     ヽ      /´// リ  ∨::/:::::::::::|∨::::: ∧:l
  リ´ヽ::|:::l :ム (ア云テ、ヽ    ,チムテニニミx ∨:::::::::::: |ノ:::::::/::::|∧
     Y ::l::l::ハ とうzり        'とうzツハ/ |::::::::::::::/::|::::::ハ:: |:::∧
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.     |::: |:l::|:::ハ NW/  `    M/W     |::::::: /:://:::::/::.::.::.::.:\
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   l:::|人:::::: |::.::.:>..    z =ニ'      イ |::::::: //::|::::|::.::.::.::.::.::.::.::.
    Y:::::::ト、::{::.::.::.::.::.::.>     </ / |:::::://::. |::::|::.::.::.::.::.::.::.::.:
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.    |:: /::.::.::.::ヽ::.::.::r‐、::.:|  γYヽ   /::.::.::.::{:.i::.::.::.|::::|::.::.::.::.::.::.::.::.:
.    / /::.::.::.::.:イ´ ⌒ゝ、ヽ: /-、r‐'⌒ヽー、〈l :.::.::.::.|::::|::.::.::.::.::.::.::.::.::
   / ::ハ::.:/::./ ´  ‐{´::Y{  ー<  |::.::.:\ .::.::.:: |::::|::.::.::.::.:/::.::.::
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  i :://::.::.::. 人__  ,イ {、 `     |::.::.::.::.::.::.:、 |::::|_/::.::.::.::.::.::.::
  |:::| |::.:/ ´      ヽ::.::.::>  ´ ̄` <::.::.::.::.::.::.::.::.:|::::|:ヽ ̄:\::.::.::.::.:
  |:::| |/          Y         ヽ( )::.::.::.::.::|::::|::.::.::.::.::.::ヽ



予想通り中野はここにいた。

そして、

予想通りにこいつは泣いていた。


だから………


岡崎「中野っ、あのな……。この音楽室」


岡崎「今日からな…」

岡崎「一週間毎日使い放題だ。後365日……いや、それは言いすぎだけど…でも、お前がいるこの一年間はもうお前のもんだ」

だから、予定通りに



              , イ ´:  ̄ ̄:: `: : :::ヽ、

             / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
            ': : : : : : : : : : : : :|: : : : : : : : : :: : : :、
           /: : : : : : : : : : : :.:.:.:|: : : : : : : : : : : : : :ヽ
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          {: : : : : : : : :./ }:.:.:.:.::.::|:/ヽ: : : : : : :: : : : ::.ヘ,.--、
        /: : : : : : : : :/ ,斗: : : : :::ト-|: : ∧: :::| : : : : : i: : ::ヽ   「…え?」
         /:::|: : : : : : .|/  |: : : : :/  ヽ: | ∨:::.| : : : : : :|: : ::ヘ
       /:.:. :|: : : : : :/_=≧ レヽ:.::::| ´,≦i  ∨:| : : : : ::/: :.:::.:|
     ∧ :::.:|: : : : :|〃ん。ヽ   \|  ん。:ハ` ∨ : : : :/|: : :.:::.:|
      ∧: : ::|: : :∨ ゝ ヒ::::ソ      `ヒ::::ソノo〉: :: ::/ i: : ::... :|
      |: : : : :}: : : :: i              i: : ::|ノ   }: : : : .|
      |: : : : :|: : :::∧  """   '   """  /: : : /'  |: : : ::.:|
      |: : : : :|: : ::::小             i: : : : |    }: : : :::|
      }: : : : :|: : : ::::|人    r ー_っ   , イ|: : ::/    i : : : :i
      ∨: ::::'|: : : : :i  `>       イ /: ::::/    }: : : : |
     ヽ:: :::ハ: : : ::/、/ヽ  l` ≦  ' ,_ //|/    /: : : :/|
      ∨/ レ'ヽ/ ヽ   \ -‐<彡  ヽ ̄  ヽ、: : :∧i
      ハ         ミ       /        i::/ |
       {           ` ー‐ ´          |


岡崎「合唱部に空き教室とピアノを用意したんだよっ!場所とピアノがあればいいってあいつら言ってたから…だからもう……」


こいつを……笑わせてやるんだ。

岡崎「けいおん部、廃部はなしだ。…新けいおん部、始められるんだよ」


これできっとこいつも笑って……。


梓「う……うぅ……~っ」


岡崎「な、中野?」

笑って……




梓「うわああああああああああああああああああん!!!」


岡崎「な、おい……。中野!?」

…また泣かしてしまった。

何でだ。

こんなの予想外だ。

絶対に笑って喜んでくれると思ったのに。

岡崎「なぁ、泣くなよ。頼むから…。……その、泣かれると色々困るぞ……」

慌てて駆け寄って背中をさすってやった。

梓「…ぐずっ……お、おか…おか…おあざきくん………ヒック……あ、ありが……あ、あり…」

岡崎「……」

岡崎「……もういい。泣いてもいいから……もう喋んな」

梓「…ぐすっ……」

そして…
中野は涙をいっぱいに溜めた瞳を上げると、猫が甘えてくるように、すがるような、そんな目で俺を見上げてきた。

岡崎「……お、おい」

ドキリ

胸に強く甘い衝撃が走って…こちらも身動きがとれなくなる。
まるで金縛りにあったみたいに動けなくて、中野から目をそらせない。

これ…まずいかもしれない。

岡崎「な、かの……」

梓「岡崎君……」

ジッと、見つめてくる中野

こうして至近距離で見つめあい、今更ながら気づいた。

岡崎「………な、なか……の……」

こいつ、すっげえ可愛い…

彼女の黒く艶やかな二つに結ばれた髪がふわりと流れた。


綺麗だった。
触って、撫でてみたいと、匂いをかいで、そのまま抱きしめたいと思った

梓「……あ」

岡崎「……」

梓「お、岡崎君……?」

気づいた時、俺は自分の両手を中野の両肩においていた。
後少し顔を近づければ…中野の唇と自分のそれが触れあってしまう………。

梓「……ぁぅ」

中野が、そっと目を閉じた。

ごくり、と俺は唾を呑んだ。

今の音、聞こえてないだろうか。聞こえていたら死ぬほど恥ずかしい。

岡崎「……」

時間が、止まった。

心臓は、破裂しそうだ。

なんだか、甘い空気が

二人の間に……。


「岡崎く……ん」

「中…野……」


ガラッ!


純「梓、梓っ!やったよ!!合唱部も空き部屋で文句ないってさ!問題解決したよ~って……!?」

岡崎&梓「!?」

殆ど密着していた体を互いに一気に離した。

まずい

まずい事なんてなにもしていなかったけれど、

いや、これからしてしまう所だったかもしれなかったが、これは非常にまずい気がする。


春原「ぶ、部長がああああああ……!?」

純「お、岡崎にいいいい……!?」

憂「お、襲われてるぅぅぅぅぅぅ!?」


岡崎「ち、ちっがあああああああああう!!!!」

梓「……」

このパニック状態にも関わらず中野は沈黙を保ったままで皆の誤解を解く事もしない。

岡崎「お、おい、中野もなんか言ってくれよ!これじゃ俺達………って、あ?」

中野は下を向いたまま何かをこらえるようにぷるぷると震えている。

岡崎「ど、どうかしたか?」

梓「…ぷ、……あは」

岡崎「…な、中野?」

梓「……ぷっ~…あ、あはは………あは、あははははははは」

憂「あ、梓ちゃんが……」

純「壊れた……?」

岡崎「……?」

梓「あはは……」

梓「…皆、本当にありがとう…。大好き!」

純「……」

憂「……」

春原「……」

岡崎「……」

憂「…えへへ」

純「はっはっは、私にかかればこんなものさ!」

春原「マリモ何もしてねえじゃん」

純「……く、言い返せないのがつらい」

菫「…っほ」

岡崎「……はぁ」

なんだか、ちょっともったいない事したな…







さわこ「無事解決ってとこかしら。…よかったわね。皆」

………

………

………

春原「あ~っと。それじゃ改めまして、新しくけいおん部に入部する事になりました、春原陽平です」

岡崎「趣味はエロ本収集だ」

春原「そうそう…ってちがうわっ!」

岡崎「特技は反復横とびです」

春原「まあね。人は僕の事を神速のインパルスって……ちげえよっ!?」

岡崎「好きな女の子のタイプは妹です」

春原「芽衣の奴最近どんどん女らしくなってってよぉ…………って僕そんな危ない野郎じゃねえよっ!!」

岡崎「嫌いなものは……」

梓「ってもういいって!!」

岡崎「そうか?…それじゃ俺な」

岡崎「岡崎朋也だ」

岡崎「よろしく」

春原「自分の時は随分短いっすねえ!?」

岡崎「…趣味はこいつの苦しむ顔を見ることだ」

春原「あんた悪魔っすか!?」

岡崎「どちらかといえば死神系男子だ」

春原「ブリーチかよ!!」

岡崎「特技は……」

梓「だからもういいですから!!」

岡崎「だそうだ。もうつまらないマネしないでいいってよ」

春原「お前が僕にふったんでしょ!?」


岡崎「好きなタイプは……」


             /~ _r'"   ヽ'~
           / /_.. 丶_,,,、ノ     / /          ヽ       ヽ

           (  __,,-=) / /      / /      / ,  ,    i    ',   ',             }  _,, r^) ,f      / /  /   /  ハ   i    i     ',   ,
           }   ,、. ,) {      i  i  /   / /:::::i  |ヽ   |     ,   .i
           ヽ, 'ノ (/ ノ      |  |  /|  ./| |:::::::::i  |::ヽ   |     |:::.  i
         _,,,  -`-ー-=ー{ヽ____   |  |  ! | /:::| .|::::::::::::i |:::::ヽ  |       |:::.  | 「もういいっての」
     _, r ´           ` ー 、丶|_,.:!、 |`| /、::::| |:::::::::::::| |:::::::_,', ト     .|:::. ', |
   , ´                  `'´  ヾ::|/::::\|:::::::::いレ-'''"::::ヽ|:i |  ,  |::::::. '、!
 /                         ヽー==、`:::::}::{:::::::/_,===ァ|  i  | i:::.  ヽ
/                            }`ー┸`::::::::::::::::::ー┸ー':::| /|   | |:::::::.  ',
                                'i:::::::::::::::    :::::::::::::::::/ / |  | |::::::::::. ',
                岡崎                ',    i       / / |  | !::::::::::_,,,,_!
                           .      ',           //  .|   |ヽ/   ~ 丶
      ..:::::::::::..               ::.  :.    i    < ̄ ヽ    /  |   |/
     ..:::::::::::::::::::::..              :::  ::.  .| i \   ̄   , イ/   |  /
    ...::::::::::::::::::::::::::::::::...            ::::  ::: .ト、| | ヽ _,  '   i .:
   .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...           :::::  :^ | ` ヽ._       _,,|:.:


「すみません。次、斉藤、頼む」


菫「えと…斉藤菫です。…その、やっぱりここに入部させていただこうかと思います」

菫「先輩たち、演奏とても上手でした。…だから、やっていけるか不安で、決断するのに時間がかかってしまってすみませんでした」

梓「ありがとう菫。憂以外まともな人がいなくて困ってたんだ」

純「あの…部長さん?」

憂「でも、どうして入部を決意してくれたの?」

菫「そ、それは……」

菫(言えない…、面白そうな人たちばかりだから興味を持ったなんて……)


ガラッ!


眼鏡っ娘「あの…けいおん部に入部したいんですけど」

純「あなたはこの間の…って、ええ!?このタイミング!?」

菫(ほ、助かった)

春原「なんだよ。いきなり運が巡ってきたんじゃん?」

梓(出来ればもっと早く来てほしかったな……なんて、それは私のわがままかな?)

憂「あ、この子、前に体験入部にきた…」

直「はい、奥田直です。ここが一番上手く出来るかなって思ったので」

梓「あ、あれで!?」

直「はい」

岡崎「?」

純「まあまあ梓、人数は多い方がいいって」

純(部費も増えるだろうし)

憂「うん。大歓迎だよ、奥田さん」

岡崎「…なんだかぐだぐだになっちまったな…」

梓「でもそこがけいおん部らしい…かな?」

直「あの…私は入部しても…?」

梓「うん…平気だよ。…それじゃ」

純「新しく入った三人に向けて…あいさつさせてもらいます」

憂「せーのっ!」

梓、憂、純「「 ようこそけいおん部へ!! 」」



~けいおん!! after story~

第一章 ~廃部 涙の後で、もう一度~  fin

はい、という訳で一章が終わりとなります。
最後シリアス多めになったのがちょっとあれかな。

もう少し緩くするはずだったのにどうしてこうなった。
でも、自分では満足な出来になったと思ってるのでよかったよかった。

~4月20日 火曜日~

唯先輩、澪先輩、律先輩、ムギ先輩

先輩方は大学生活はどうですか?

こちらでは四月も中盤になると高校に咲いていた桜の花びらも殆どが枯れ落ちて、緑の葉をつけはじめました。

そんな、四月になってまだ半月と少しの時期ですが、そんな短い中でも私の高校生活最大のピンチが起きたり、変な不良の生徒二人と知り合ったりとてんてこまいな毎日を送っています。
でも、憂や純、新しく入った1年生の子や、その変な二人組のおかげで廃部のピンチも切り抜けようやく落ち着いたところです。


……新けいおん部、やっとスタートが切れそうです。

唯先輩。

今日はやっとの思いで集まった、新メンバーが全員揃って初のけいおん部です。

楽しみで楽しみで仕方がありません。
…どんな部になっていくのでしょうか。
新メンバーの4人はどの楽器を選んでいくのでしょうか。
とにかく新しい門出に期待が止まりません。


そう思ってたんですが………





    /://::::::::: /:::::::::::::::::::::::::::::::!::::::::::|:::::|:::::\::::::::\::::ヽ:::::::::::',

    /:/ /:::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::| ::::::: |:::::|::::::::::ヽ:::::::::ヽ:::::':::::::::::l
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      l:::::::::::::::::::::::::::::::::i::::::::, '|:::!::::::::::|、:::'、:::::::::::::::'::::::::::l:::::l:::::::::l
      |:::::::/:::::::::::::::::::::::|:::::/ レヘ :::::: |、Vハヽ.==:::l:::::::::|:::::l::::::::'
      |::::/::::::::::::::::::::::::∧/ `二' ':::::::|  ヾ _\:::::lヽ:::::ト、::|::::/
      l::/|:::i:::::::::::::::::::::トrT下〒  V:::|   Tテ下フ ':::| ハ:l:/ 「斉藤、茶。緑茶な」
      レ' |:::|、::::::::::!:::::::| 弋zク   ヽ|   弋zク  , リ,./::リ
       、| V:::::::|、:::::l       i         /´/:/

         \:::| \トゝ        、          /-':::/
              ヽl    ヽ                  , ':::/
                   \     ‐ ―     / |/
                       丶、       /  |ハ-、
                        」 、 __.. ´  .  ´ 〉 \
                   ハl    ,.  '´   /   \
                    /l ,ヘ∠、       /      \
               ,. '/  l ,:.:.:.:.:.:.:.l     /
            ,  '´ /    l |:.:.:.:.:.:.:.:l    /
          ,.  '´   /     N.:.:.:.:.:.:.∧  /





               -―‐へ―- 、
         ´        ヽ   \
         /  /  / ,   !   ヽ\._ _,
        ./   /  /  /|    |ヽ    ', ヽ ̄
       |  !   /―/- |   | -┼',  | .|
      |  l  | /  l | リ   l.ハ | | 「どうぞ」
      |  |   |./ ● `レ  ● ',/ ,'
        | r|  | ⊂⊃     ⊂⊃  |
       / ヽ|  |     △    |  |
       //  i f⌒ト       ィ⌒ヽ
     ̄ ̄ ̄ ̄`ー'  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ー'  ̄

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          . ´   ∧::|:::::∧:::i::::::::/T无/イT     |:::/ ´込ノ/ l:::ハ::::::::/  レ' 「サンキュー♪」
       /     /  V:::|、_|::|::::::::|`弋辷ク      レ'   ´ ̄` l/ |:::::/
     /       !   ヽト、:Nヽ::::l           、      /  |:::/      
    /         l    ∨リ `ヽ|           /    . ′  レi
  /          ',    V   \            _  /     /  !
/             ',    ヽ    丶、      ̄  / l    /  /
               ',     ヽ      > 、   ,ィ ´  l   /   ,′
               ',     ヽ     ,ヘ_Vヘ. ´ |    l  /    ヽ
              ',       ヽ    /.:.:.:.:.:.:ト、l|     ∨     /
              ',      ヽ ∧.:.:.:.:.:..| V|     |/   /{
                    ',       ∨ }=:.:.:{ /      /       i



           .  ´            `丶
          ,. ´      ,.-、   _   \  
      /     /  /   ヽ / ;    ヽ
     /  / //    /   ,ヘV、  l     ヽ
   / ,  /  〃'    l   /ミVハ. |        '   「菫ちゃーん、僕紅茶」
  /  /  /  / l |   ! ! /    } |   、   l
  l /  l  ‐!-ト l   ! l |   . -l‐ }-l.、|.i   l
  |./|   l  l ' |  {、ハ | ´  | イ /  l |  l i |
  l' !   l  |、人|、 !   ヾ      lイ  / l / ハ!
    | i  、  l ,. = 、ヾ      ==:、 | / /ヽ./リ- 、
    レ'\ lヽ、ゝ""  ,      "" ヾ|イ /') }    `ヽ
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      |   | .|      .    u  |  |  |    ちょっと待っててくださいね。
     .|1  | |i           ,イ |  .|     
     | |  ヽ | ゝ    r丶   / | /  |    
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/:、: : : : : : : :| ヽ   | ,ヘxヘ ,| |  !|:|: : : : : :/ ̄




           /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\  ヽ: : ヽ
.        /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.∧  }: : : :}
        /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ: :.:/: : vく: : :V
.       / /: : : /: : /: : : : ∧: : : : : : : : : : : : : : : : : : :',: : : : : ', ',: : :',
      / /: : : /: : /: : : : /  \: : : :: : : : : : : : : : : : :.:.レ:./: : :| |: : : {
.     / /: : : /: : /: : : : /     \\: : : : : : : ヽ: : : : |: /: : : :| |: : : :}
   ムイ: /: :.i : 斗-‐‐く      -─‐- 、:.: : : : :.|:.:.:.!: レ': :./ : レ':.:.ト、{
.    |: |:.:. :|: : ,'i: :/′          \}:.: :. : :.|:.:.:.| :|:.: /.:.:./: : / `
.    |: |:.:. :|.:.:.| V           ___ ヽ:.:. : :.|:.:.:.| :rv′:∧/
     V:. : : ',: :i ,ィfてミx       斤てミx∨.:.:.|:.:.:.|.:.! .}: /
.     |: : ,ヘ: V {{ {kッィハ      { {kッィ'ハ}}∨:∧:.∧ハ レ′ 「皆、今日はケーキ作ってきたよ♪」
.      j/  ヽ:', ヾV//}       ゝVx.ソ′j/ j/ /      
         j∧  `¨´           ̄    r=‐'
              ', ´´´   '     ´´´     /
                    丶  ノ     /
              `             イ
        -─-      >   __ .  '´  .ハ
     /: : : : : : : :. ̄| ̄ |   \    _/ i\___
   /: : : : :、: : : : : : :.|:.:.:.:|    ヽ/   .|: : |: : : : : :  `

.  /: : : : : : :ヽ:. : : : :.|:.:.:.:|   />‐<入  .|: : |: : : : : : : : : : :ヽ
  {: : : : : : : : : ',:. : : :.|:.:.:.:| / // ハ ヽ ヽ /:.:.:.|: : : : : : : : : : : : :',

                _ ... -―- ...     .ィ
.          ト、    , .´: : : : : : :: : : :`丶-、/:└―‐ァ
      ィ―┘: ヽ/: : : : : : : : : : : : : : : : : : :\: : : : `ヽ_

.     丿: : : : :/: : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : :∨: : : : :〈
   __/: : : : : :/: /: : : : : : : イ: :!: : : : :∧: :ヽ: : : : : : : : :<
   `ァ: : : : /!: :l: : :|: |: : :/ |: :|: : : : :l '. : :|: : : |: :ト: : : : :\
    7 : : /: : レ:!: :|:|: : i⌒l :|: : :!: :|⌒'.: :|: : : |: :|: : : : :「´
     }: : : : : : !: :|: : :l: |: :.′、Ⅵ: : |: :j,  '∧: : :!: :! : r‐┘
.     ̄フ: : : ',: :l: :: :!:从| _-!|: : ハ/ =--_L !: /: //:ノ
      7.イ: :ハ_!: : :! 'ラヮ¬  ̄  Tフ T´!/ 仆v'  「きたきた♪これの為に来てるといっても過言ではないよねん♪あ、ほら奥田さんも食べな~♪」
         ∨^{ ,.ト、l '.弋_ノ      弋_ノ 彳 l
.          l ぃ `            ! ノ

           丶、 ’.  ""      ""  '´
             `¨ヽ     r┐    ノ
                丶、  丶'   . イ、
.                  > ‐ </  ∧___
                 ハ    /  /::.:l::.::丶、
               // ヽ /   /::.::.!:.::.::.::.:`丶、
.             /:: /| .f>-、   /::.::.::|::.::.::.::.::.::.::.::\
.             /::.::.::/: ! // !い. /::.::.::.:|:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.\
            l::.::.:/::.::レ l 「! |. ∨::.::.::.:ノ:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.l

            |::.::.::\:l 〃ハ ぃ ∨.::r'.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::!


        ....:::::: ̄ ̄::::::‐-..
      /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
     /:::::::::::::/:::::::::/ \:::::::::::::‘,

     ′:::::::::|::::/‐   \∥::!::}
     |::::::::|::::::|/        \::}::!
     |::::::::|::::::|  ●    ● リ::|  「平沢先輩、料理上手なんですね。おいしいです」
     | :::::r| ::::|  ⊂⊃─⊂⊃ {::|
     | ::::ヽ|:::::|      ▽     }::|
     ヽ:::::::トf⌒ト.      ィ⌒ヽ
       l `` .`ー'ー===-‐`ー/ ‐- 、
      |              ゝ!─、 l
        !              ノ、_j j
      ',             ゝ_ノノ
       ゝ、          /


/   /    /  /      \
/!|., ′    /   イ     /  !  ヽ
. ! ∨   /./  /./ ,     /  |    ’,  「ってなんですかこれはー!?」
. /    〈/ / // ィ    /!   /     i
.ィ′   /、!/ 、/_l / |   / |  / |      !
.´   /  |`丶、.!'´ |  .X |/  !    ∧
.   /.. _    `  !/ `ー!'‐--l   .ハ \_
   l   `` '' ‐   ′ ''==-、 |   /| |
    |          、、_   /|  ./ ! !
.  ハ    /`'‐- 、   ``/  イ  l|

ハ ! |ヽ.   /     /      !    /|   ! !
∧ | | \/__   /    _ノ ,  /|  ! !
! V |   >-`≠ァ 'T ̄| /  /ヽ.!  |!
\  レ-‐ニニ、 /  !  |ィ  / / !    !|
// ィ 7 i_/、\ /    |/ / .|   |!
 ! r'´.レ'´/ .| Ⅳヽ\   /   /  .!    l
.∧ヽイ/  | lヽノ ノ \/    )   |    |


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放課後 ~音楽室~

              /:::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\::::\
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           l:::::::::::::::/:::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::: /:::::::::::::|:::::::::::::|::::、:::::::::::::::ヽ:::::::ヽヾ
         ':::::::::::/:::/::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::: /:::::::::/:::|:::::::::::::|::::::ヽ:::::::::::::::ヽ:::::::',

          ∨::/:::/|:::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::/::::::l:::::::::::∧|:::::::':::::::::::::::::':::::::::!
            V:::/:::|:::::::|::::::::::::::::::::::::::::::;/:::::::/|:::::/::::::::::/ _!L_:::::!::::::::::::::::l::::::::|
           |/::::::|:::::::|:::::::::::::::::::::::;∠/:::::/  l::∧::::::::/ ´ リヽ::::|::::::::::::::∧::::::|
          /∧:::::|:::::::|:::::::::::::::::/  /:/  リ |:::::/ ,.斗ヤフ::|:::::::::::/  |:::/
          . ´   ∧::|:::::∧:::i::::::::/T无/イT     |:::/ ´込ノ/ l:::ハ::::::::/  レ'  「遅かったな、中野」
       /     /  V:::|、_|::|::::::::|`弋辷ク      レ'   ´ ̄` l/ |:::::/
     /       !   ヽト、:Nヽ::::l           、      /  |:::/
    /         l    ∨リ `ヽ|           /    . ′  レi
  /          ',    V   \            _  /     /  !
/             ',    ヽ    丶、      ̄  / l    /  /
               ',     ヽ      > 、   ,ィ ´  l   /   ,′
               ',     ヽ     ,ヘ_Vヘ. ´ |    l  /    ヽ
              ',       ヽ    /.:.:.:.:.:.:ト、l|     ∨     /
              ',      ヽ ∧.:.:.:.:.:..| V|     |/   /{



.           , : ´: : : : : : : : : : : : : : ` 、 \ : \
         /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ .! : : :\
        / : : : : : : : : : ハ : : : : : ヽ : : : : : ヾ: ヽ: :r`-
.       /: : /: : : : : :/: :/.l.', : ヽ : : : ヽ: : : : : ヘ : ヾ!
      /: : /: : : : : :/|: / !. ',: : ト、 : : : ヽ: : : : : ト, :ハ
.     i: : / : : : : :/__|:;'  l  ',: :l__V : : : |!: : : :l } V i
.      l: : : : / : :/´ |'  l  ヽ|. `V : : l! : : : l | .j: l
.      |: :|: : |: :/ ___.!.  l.   ヽ.__ ヽ: :l|: : !: :!.:!y^ヾ
.     !: ,! : :!: l .,イ'乞ミ、    ,イ乞ミ、ヽ! : :l //'

.      | ハ: ヘ l l{ ん ハ       .ん .ハ.l} l!: :リ'イ
.      |'  f`、:`ゞ弋__メ     乂zメ.' ! :ハ!
          ヽ ヘト        ,        .j/ /
           `ハ.  ""        ""  ./イ 「梓ちゃんも食べる?今日はチョコケーキを作ってきたんだけど…」
.           ヘ     ー‐'    ,イ
            >. _       ., イ
                  _ハ` -  ´ ト、__
               /リ.〈!    / .} \
          /: : :!  ゝ、__/   / : : }\
       ,. : ´j : : : : | //|\  ./: : : :ヘ : :`ヽ、
     /: : : :/ : : : : :V /7 l i、 V / : : : : : ヽ: : : : :`:、
     {: : : : : :ヽ: : : : :/ // .l| !ヽV: : : : : : : /: : : : : : : :ヽ
    !: : : : : : :/: : : :ヘ `' /||、`'/: : : : : : : :ヽ: : : : : : : : :}

                         ____

                      .  : : .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : .
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         /:.:.:.:.:.:, :.:l:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:./ :.:.:.:.:.:| |:.:ll:.:.:.:.:|:.:.:.|:.:.: |.:.:.:.:.:.:ll.:.:.:.:.|

            .:.:.:.:.:.:.: :.:ll:.:.:.l:.:.:.:.:.:_.:/ -┼:.:.:‐ト|:l:.:.:.:.:.|:._∧:.:.:|:.:.:.:.:.:.:ll :.:.:.:|
          :.:.:.:.:.:.:.l :.lll:.:.:.l:.:.:.l:.:.:/ .... |∧:.: l | :.:.:.:.:./:./ `ト:∧.:.:/:.:.:|:.:.:.:.:|
        |.:.:.:l.:.:.:.l:.:lll:.:.:.|:.:.:ll:.:.l x===ミ、\l | :.:.///... j/ `∨:.:..:.|:.:.:.:.:|

        |.:.:ll.:.:.:ハ:lll:.l:.:| :.:lll: 〃〃::○lヽ  // /x===ミ、 |:.:.:.:.l.:.:.:.:.ハ
        |:.:ll.:.:/|  :ll:l:.:.:, :.lハ:、 {{o:::::リ  /    ll::::○l }} ハ:.:.:.:l.:.:.:.:,'.:.: 「あ、おいしそう……」
        |:lll.:.:.:.:|  ハl:.:.:.∨:.:.ヽ ゛¨¨´          lb_::::リ /.:|:.:./.:.:.:∧.:.:
        ∨.:l.:.:.|  、l:.:.:l:.:.:.:.:| ////    ′      :.:.:|.:/|:.:.:/.:.:∨
        /.:.:ll.:.:.|  |:.:.:ll, :.:.:.|         _    /// |:l:|/:.:|:/:.:.:.:.:|
          .:.:.::ll:.:.:.|   |.:.::l:.:, :.:.|       〈  `ヽ/      .:ll..:.:.:.| :.:.:.:.:.:|
        :.:.:.:lll.:.:.:|  |:l.:.:.:.:, :.:ト、        、_/     /:lll:.:.:.:.:| :.:.:.:.:.:l
        :.:.:.l:ll:.:.:.|  |:ll:.:.:.:.:, :.l > .          |:.:lll.:.:.,':.:.:|:.:.:.:.:.:.:l
       |:.:.:l:.ll:.:.:.|  |八:.:.:.:.:, :l   |  `   _,. r<   |:ll:.:.:.:ハ:.:.:|l:.:.:.:.:.:.:.
       |:.:.l:.:ll:.:.:.|     \:.:.:, :lΓ- .,_      ト、   ノl:.:.:./ |:.:| l:.:.:.:.:.:.:.:
       |:.:.l:.:.l:.:.:.|      \:, リ   ´‐ ,_ / ト  ,:.:.:/  |.:|  l:.:.:.l.:.:.:.:.
       |:.:.:.:.:.l :.:.|     /「 \:,      〕   ∨,:/    /   l:.:.ll:.:.:.:.:,
       |:.:.:.:.:. :.:.:|  /   」  〈     >〔_〕 \ ∨∧\_       l:ll.:.:.:.:.:.,
        :.:.:.:.:.:l:.:.|/     |   ∨// / | 「|\\/ ∧ ´'   .,_    lll:.:.:.:.:.:.,
          |:.:.:.:.:/         |    ∨/ / /| | |\\\ ∧      \   l.:.:.:.:.:.:.:.
        |:.:.:/           |   〈 V ∧| | |  \_/  |     ハ  l:.:.:.:.:.:.:.:
        :.:.|   丶         |   \/ //||  |   |     ′ :,   l:.:.:.:.:.:.:.:,



                    ,.. .-──‐‐-. 、
               , . :´: : : : : : : : : : : : :.`ヽ、

              /. : : : : : : : : : : : : : : : : : .: .\
            ,ィ´. : : : : /: :/: : : : : : : : : : : : : : :.ヽ
            //. . .:.:.:./.:.:.:./.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.: : : : : :.:.i : :.ヽ  ,. -‐─ ─‐- 、
        / /. . :.:.:.:/: : : 〃.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.:.: : : : :|.:.:.:ノ.:'´.: : : : : :: : : : : : :`丶、

      ,  . :´./. ..:.:.:.:./: : : / i: :.|:.:.:.|: }: : :.|:.:.:.:.:. : : |.:.:.{.:.:.,.  -‐──- 、: : : : :

     /. : : :/. . .:.:.:./: :`メ、 」: :|:.:.:.|∧.:.:.:|: : ヽ: :.:.:レ': :ハ{          \: : :
    /: : :, '´ i. : : , イ: :.:/  ヽl: /. :. ト、__ ノ.:.: : i: :.:.:レ'.:.:.:/           \:
  /. : :/    レ'´.:.:{: :/     l∧:.:./   ';:ト、 .:.|.:.:.:.レ'//
  /: : /      /:/: : : :l/.i ,rニミヽ  V     リ }::.|:.:.V^)/L              「っじゃなくて!」
. /: :./     /:/: : : : : :ノ⊂つ      ,r=≡ミ ハ.:|: :.:V/: :l `7´ ̄`ヽ
/: ::/      {/i: : : : / r{     ,     ⊂つ {.:.:|.:.:.:V: : :l /     '.
: :./       / ヽ:.:/  i \  r= 、     /:.:.:.:.:.:.:',: :.l,′      i
.:/           V  /|  ト、丶 ヽ_ノ    イ.-‐{.:.:.:.:.:.:.i: ,′     /
;′           {∧ ト、   >=< /:/__フ.:}.:.:.:.:.:./:,′    /`´ ̄`ヽ
{             ゝ \\ /: :/ {.:.:}.:.:.:,. イ.:.:.ノV: :i       /     l
ト、              {   \| {.:.:{ /:「 `¨´   ¨´ l: : :l  / /      /
              ',     | ト、:ト、:.ト、       l: : :l    /      /

                _ ... -―- ...     .ィ
.          ト、    , .´: : : : : : :: : : :`丶-、/:└―‐ァ
      ィ―┘: ヽ/: : : : : : : : : : : : : : : : : : :\: : : : `ヽ_

.     丿: : : : :/: : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : :∨: : : : :〈
   __/: : : : : :/: /: : : : : : : イ: :!: : : : :∧: :ヽ: : : : : : : : :<
   `ァ: : : : /!: :l: : :|: |: : :/ |: :|: : : : :l '. : :|: : : |: :ト: : : : :\
    7 : : /: : レ:!: :|:|: : i⌒l :|: : :!: :|⌒'.: :|: : : |: :|: : : : :「´
     }: : : : : : !: :|: : :l: |: :.′、Ⅵ: : |: :j,  '∧: : :!: :! : r‐┘
.     ̄フ: : : ',: :l: :: :!:从| _-!|: : ハ/ =--_L !: /: //:ノ
      7.イ: :ハ_!: : :! 'ラヮ¬  ̄  Tフ T´!/ 仆v'   「どしたのさ、梓」
         ∨^{ ,.ト、l '.弋_ノ      弋_ノ 彳 l   (なんとなく言いたい事はわかるけど)
.          l ぃ `            ! ノ

           丶、 ’.  ""      ""  '´
             `¨ヽ     r┐    ノ
                丶、  丶'   . イ、
.                  > ‐ </  ∧___
                 ハ    /  /::.:l::.::丶、
               // ヽ /   /::.::.!:.::.::.::.:`丶、
.             /:: /| .f>-、   /::.::.::|::.::.::.::.::.::.::.::\
.             /::.::.::/: ! // !い. /::.::.::.:|:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.\
            l::.::.:/::.::レ l 「! |. ∨::.::.::.:ノ:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.l





           _..   ´  ̄ ̄ ` . : : :.、
         /    . : :./ : : ヘ : : : : : : : :\
        /.: : / : : : 〃 : : : : : ', : : : : :、 : : :ヽ
       / .: .:/: : : : :.li : :∧ : : :|: : : : : : \: : :.',
     /. .: : : :∧.: : : : :|i :/_ノ',: :.ハ: : : : : : : : : : : :. 「こんなんじゃ駄目!!」
     ,′/ : :./ ! : : : : li/    V ヽ. : : :ヽ : : : : : r‐..、
      l : : :l  レ'ヽ: : :/ ´,ィf笊ミx、V.:. .:.|.: .: .: : :|: : : \  「いい!?私達はけいおん部なんだよ!?」
   i : : :| : : :! ,ィ示、',: l{   lr'゙::,ハ ' i: : :∧ : : : :∧: : : : :\ 「なのにこのだらけきった空気はなに!?」

   }l 、 :l : : :〃ir'゙,ハ V    ゝ--'っ !: :/: : : : ::/  \: : : : :\
    〉:.V : :从` `ー´ ,      """  ムィ:.:|: : :.∨    ヽ : : : : :\
   ,′:l :/ : :.', ""    ___         |:.:i : : : |      \: : : : :
   /.:. .:|/.: : : :i     /ー‐ 'ヽ      V′: : :!        \: : :
  ,' : : :イ.: : : :人     l/    }      イヽ: : :./            \
   : : :/}l : : : l : iヽ   ` ー ´   / / |: :./`ー‐' ¨ ̄`ヽ
 ,' : : / | l : : | :.l  ,>        /  }l∧      /  ',
 il: :.{   |卜、.:l :.|-‐´ .i  |', ̄  /     /  ',      /   ハ
 |l : i   |ノ ∧l :.|    l  | ヽ /    /    :     ,′ /  {
 |:. :.|    | ヽ:|    |  ', /V{ヽ    /    〉    l      |
 l:. :.|    |l      l   Y}__ {  \/ l  <´    |      |
 |:. :.|    ',       \ 〃|| ||\  /   /           ヽ
 |:. :.l    ヽ       /  ,l| l|  ヽ,/   /      |      |


                  /::/::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::V:::ヽ:::::::::::::::..
            /::/:::::::::::::;:::::::::::::;::::::::/::::::::::::::::::::Vヽ:::::::::::.

             /::::/::::::::::::::/:::::::::/::::::;/:::::::::::\::::::::ヽ::\::::::::.
          /:/7::::::/:::::/::::::::::::/:::: //:::::::: ハ:::::ヽ:::::::::::::::::、::::::.
            〃 /::::::/:::::/::::::::::::/::: / ,./::::::::: l:::l:::::::ヽ::::::::::::::::ヽ:::::.
        /'  /::::::/:::::/::::::::::::/:::〃 //::::::::::::::!:::l::::::::::';:::::::::::::::::':::::::
             /::::::/:::::::l::::::::::::/::/〃`l::::::::::::::::|::::l:::::::::::':::::::::::::::::l:::::::
          l::::::::l:::::::::|::::::::::ハ/ /  l:::!::::::::::ハ:::|、::::::::l::::::::::::::::|:::::::
          |:::::::;l:::::::::l::::::::::'ヾT¬‐、lハ::::::::| ヽ| ヽ::::::;ヽ::::::::::::|:::::::
          |::::/ |::::::i::';::::::::l  f^ーり`  V::::|   .ィ‐\:|-ヽ ::::: |:::::::
          レ′ l::::::|::::ヽ:::ハ  ゞー'   V:l   {イ、_ハ} ∧:::::::l:::::/
              ∨:|;::::::|\',   ""   ノ  ヾ  丶._,ノ  ';::::/:;イ: 「え?だって、お前、
             ヽ| \l ハ       !     ""     V::/ レ  茶を飲んでだらだらしたいって言ってたじゃん」
                     ヽ                    }:/ノ
                   _ゝ、  r‐ 、        , 'ァ‐ リ
                  / { { \  `      ,. '/
                 _/  l ヽ \    .  '//
            . -‐ ´ /     l   \ ` ´  ,イ'|、
        ,.  ´     {    !    \   /} | ト、



――――‐-  、
:::::::::::::::::::::::::::::::: `丶、

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`:::ー _z―   /|_
:::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::\    く  ∠__
::::::::::::::/::::::::::::::::::!:::::::::::::::::::::: \   ヽ  /
:::::::::::::l::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::: ',  }  >
:::::::::::::|::::::::::::::::::::|::::::::::::∧:::::::::::::::'.     ̄`
:::::::::::::|::::::::::::::::::::l::::::::::/ーヘ::::::::::::::|

:::::::::::::|::::::::::::::::::::l::::::./     !::::::::::::!
――‐!:::::::::::::::::::::::::/, -、 、| ::::|:::/
`丶、:::!:::::::::::::::::::::!::!l:f うゝ |::::::!/
::::::::::: ハ::::::::::::::::::::!ハ! ト::| |:::/| 「あ、…あれは……っ。確かにそうも言ったけど…っ!

::::::::: | ∨::::::::::::::::!   ヾノ ヒ
:::::::::∧ ',::::::::::::::::::!       |     岡崎君に都合のいいとこだけ飲み込まないでっ!」
::::::::::::::ヽ」::::::::::::::::::!////    ,′
:::::::::::/ V::::::::::::::::!       ,
::>'´    ∨:::::::::::::!  _ / _r-、r┐
――- 、  ぃ.:::::::::| ` ̄/  > > .」 !
_      ><廴!::::::l二 ̄  ,ゝ /7_ノ

/ ̄>―ァ´/  ̄  `ヽ  l '´ /


          . . : : : : : : : : : : : : . .__

.         / : : : : / : :ハ: :i : : : : : \<`
.         / : : : : : : l: : / !! :ト;: : ',: : : : ヽ:ヽ
        / : : : : : : : /|: / l',: | ',: : ',: : : : : ',: ヽ
.       / : : /: / :j!/ .l:l  | ',:| -'、: :',: : : :i: ': : :\
     /!: : : !: :|: ,´|  ',l   | '{  ヽ i: : : :|: ': :ヾ ̄
    j/!: : : l : !/ ! _ '    _   ';|: : : :!: }: : :ヽ
     |: : : l: :/,x≡ミ     ,ィ≡x、 .| : : / /: :} ̄`
     |:l、 : ViY ん:ハ     .ん:ハ Yl : / /: :/ (梓ちゃんがそんな事を……)
     i:l ヽ ハ 弋zソ    弋zソ l :/lハ:/

.     ヽ {`、ゝ ,,,,   '   ,,,,  .レ' / ′
.        ヽハ           //
          八       。     人
            > 、      <
           ,-/'} ` ー ´{ハ、
.         /::::{ `ーv一´ }:::\
        ,...:::::l::::::::l /Y_jヾ、 .j:::::i:::`::..、
    ,..::::::::::::::::::{:::::::::V /l | .| } ヽ/::::::l:::::::::::::::...、
.   i:::::::::::i:::::::::ヽ:::::/./ノ/! ハヾ, }:::::_:j:::::::::::::::::::::ヽ
.   {:::::::::::l::::::::/::::::ヘ__,イ | !ヘ /:::::::ヽ::::::::::::,:::::::::}


       /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ

      /::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
     /:::::::::::::/::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::ヘ
.    /:::::::::::::/::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::∧
   /:::::::::::::/::::::::::::::::::/|:::::::::::::::|:|::::::::::::::::::ヽl:::::::::::|:::::::::::::::::}

   l::/:::::::::/:::::::::::::::/ !:l:::::::::::::リ,:::::::ヽ:::::::::ゞ:::::::::::|::::::::::::::::|       「とにかく、入部した以上は岡崎君と
   レ:::::::::::{:::::::::::/`-、_l::|::::::::::::::|_\:::::li::::::::::|:::::::::::|::::::::::::γ‐-....、        春原君にもちゃんと音楽にかかわってもらいます!」
   |:::::::::::::|:::::::/     i:|ヘ::::::::::::!  ヽ:::!l:::::::::|:::::::::::|:::::::::::::!::::::::::::::\
  ,/|:::::::/:|::::/.      レ ハ::::::::::|   ヘ:::|:::::::::|:::::::l::|::::::::::/ヾ:::::::::::::::::::ヽ      「絶対、絶対だからね!!」
. /::::|::::/:::::::!:〈    - 、  \::::|   丶|7:::::|:::::::!リ_::::::/  \::::::::::::::::::\

.:::::::::l::/::::::ヘ::|:. ミ≡=.     ヽ!'  ̄ ,  |:::::::!:::::::| l::/     \::::::::::::::::::ヽ
::::::::/ 〉::::::::::リ::l / / /       =≡≡ミf:\:|::::::ハ ノ'         \::::::::::::::
:::::/. ∧:::::::::::::::!       ,    / / /   !::::::::::::::::ハ'          \:::::::::
::/  l:::::::::::::::::λ      γニヽ       |:::::::::::::::::::|           \::::
/.   !::l:::::::::::/ ゝ     l   ハ      l:::::::::::::::::::!            ヽ
   |:l::::::::::'    ヽ、  !    .ノ     イ l:::::::::::::::::l     _
   レヽ::::::l   _ ,->  ゝ-‐ '  イ  /  !:::::::::::::::/`ー─/ >、
     ゝ_::>/ ^l‐-   `. ‐ 、´   /  j::::::::::/:/:.:.:.:.:.:.:.l  / ヽ
          ∧  !    ´|  ヽ、,イ    /::::::;ノ:/:.:.:.:.:.:.:.:/ ./   )

               /:::://::::::::/:::::::/:::::::l:::::::::\:::\:::::::::::::::::::ヽ
                 /:〃:::/::::::::::/:::::::/: /::::::::::l::::::::::::::ヽ::::\::::::::::::::::::',
             /' /::::/::::::::::/::::::: /:::':::::::::::::!::'::::::::::::::ヽ:::::ヽ::::::::::::::::',
                 /::::/::::::::::/:::::::/::::;|:::::::::::::|::::l::::::::::::::::':::::::::'::::::::::::::::|
             l::::::|:::::::::::|::::::://::レ i::::::::::|;::::l\:::::::::::l:::::::::l:::::::::::::::l

              |::::::|:::::::::::|::::/リ__\∧ ::::::| ',::|斗\:::::l、:::::::l::::::::::::/
      . - 、      |::::∧:::::::::レ':トハ::fiヽ ヽ:::::l V   \| \::|ヽ:::::/
     /   l     |::/ ヽ::::::l::::ヽ弋少  \|  x==:、   ヘ| l::/
     |   ',    |/   \::|\ト    ,           /´//
       、   l           ヾ  {    〈          ,-‐':/
  ,. --‐ ´ ̄ ̄ ヽ          ヽ            , ' l:::/    「それじゃ、俺観客1な。安心しろ。
 i´          }            \  ` 二 ´    /  |ハ    amazonレビューも真っ青なすんげえ批評をしてやるからな」
 }   -―――- 、l              ゝ、    ,.  ´  /   !、
/          }      ,. - =ニ二´ -ハ`T    .  ´    〉\
ヽ  ____ ノ     ,イ        /  ヽ} /        /ヽ \
 {         }    /  !          /| ∠LY^l       //  丶
 ヽ _ ..  -- 、ハ   /  、         l /!.:.:.:.:.ヾ!      , ' /
  !         } ||  /   ヽ          リ l:.:.:.:.:/´l   /  /
  {ハー、---‐ ニイ/.| '  ヽ  \      | ト、_, ′ l  /



'´  : /   : / : /  : ∧j ∧: .ヽ  丶 \
/ : :// : :,′: ! : :!  : /ヾVル'ヘ:  ',:ヽ ヽ ヽ
 : :| |: : :| : : :| : :|: : : |     | : : }: | : |: jl│
 : :| |: : :|._:_:∧ : :l: : : |     | :-/:│: !: Ⅳ
 : :| | : イ⌒l`>厶: : |   /| :/: :/ : ハ |

ヽ: :l∧ : l\:|_斗トヽ\{   /x=ミ}: :/:.| :/ j/     -- 、
: :∨- ヘ | ィ圦::と      '´ ノイ/|/      /   ヽ 「それじゃ僕は観客2ね。…あ、菫ちゃん。おかわり」
: : {{ rヘⅥ  辷少     、   |            |     i
ヽ∧_ゝ_ヾ           _,   ノ           _|     }
   \个 、   ` ̄    /         /ノ     イ
    f'Z|,_  > 、    _,   '´           ノ _  -―┴‐‐-、
   /    ̄`ー‐`下 \             /           }
  /⌒>‐-,、    | | /|_        {             ノ
/  /     \  / ヽ∨ `ー- 、      }   ニ=ー一   ̄`ヽ
´` ̄\      ∨  O}|    l     __{            _ノ
     \  ヽY      《.     |  / 八 _   ー=ニ二 ̄`}
       \ !|     |0    | / /|  ヘ         _xく
        Ⅵ!       |    lⅣ /│/ {          '´   )

              __
          ., - '      `  .、
        ,. ' ,   ./        \
       / /    i        ヽ ヽ
      ./ /    |    ト  ヽ  ヽ ヽ  っ
      / ./    __L   | ヽ_ヽ  `  `,   っ
     i  i  , ' / |  |  l  \ ヽ  i  i    
     |  .|    / ヽ | /   ヽ .|  |  .|     
     |  .| |   /うテxヽ| ./ ,xぅ=xヽi  | .| |    
     .|  |イ  《 l:::::リ  ソ   l::::リ.》.|  .| ||     
      |   |  |,,, ` '      ` ' ,,, |  |  |      
      |   | .|      .    u  |  |  |    「あ、は、はい!」
     .|1  | |i           ,イ |  .|     
     | |  ヽ | ゝ    r丶   / | /  |    
     ハ  ヽ| |  >  _ '  </|  |' |  |    
      .| | | | |  .|      |' | / ,イ .|    
      .|/ | |   ト、    イ   /ヽ! .|
  ._,. .-‐‐': :iヽ|   | \__/ .|   .i i: `.‐‐. . 、
/:、: : : : : : : :| ヽ   | ,ヘxヘ ,| |  !|:|: : : : : :/ ̄


                         , -──--─‐-.、
                       /:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iヽ.
                     , ′:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ハ

                    ,ノ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:,
                  .ノ/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i}
                 ´ 丿:i:i:i:i:i:i:i:i:i:∧∧:i:i:i:i:i:∧:i∧:i:i:i:i:i:i:i:i:iト、
                /:|:i:,イ:i:i:i:i:i:i/\'  、:i:i:i:/ V ,.ヘ:i:i:i:i:i:i:i:|:i:i:\
               /:i:i:i:レ:〉|:i:i:i:i:/   ヽ.〈:i:i:i〉 ー'´  ヽ:i:i:i:i:il:i:i:i:i:i:ヽ
              ,.':i:i:i:i:i:/ ヽ:i:〈 二二ニ ∨ ニニ二 ∨:i:ij.ヘ:i:i:i:i:i:i:、
             /:i:i:i:i:i:i/    〉:i:1 / l      | 〈  {:i:i:i{  ヽ:i:i:i:i:i:ヽ  「あ~~~も~~~~っ!!」
            /:i:i:i:i:i:, ′   ノ:i:ハ /  |  ___  l  l ,:i:i:i{   .、:i:i:i:i:i:i:、
           /:i:i:i:i:i:i/   /ヽ_イ:i:i:ハ.|  | ト'`'`'`ヘ l  ∨:i:i:iトヘ..  ヽ:i:i:i:i:i:ヽ
          /:i:i:i:i:i:i/   rJ:..:..:.|:i:i:i:iヘ._ .| レ、r、r、,j l .ノ〉:i:iノ:..:..\  、:i:i:i:i:i:、
         ./:i:i:i:i:i:/  _丿:..:..:..:.∨:..li〉:..:フーr-、___,--r'ヘ:..:..∨:..:..:..:..:..:.}.  ヽ:i:i:i:i:'、
        /:i:i:i:i:i:/  /:..:..:..ヽ:..:..:..:..:..:..:/:..:..ハ__,∧___j:..:.,ゝ:..:..:..:..ノ:..:..:..:ヽ  ヽ:i:i:i:ヘ

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    r--ヘ:..:..:..:..:..:./        .〉:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..{        \:..:..:..:..:..:rー‐ヘ
    / __  ヽ:..:., ´         .∧:..:..:..:..:..:..:..:.○:..:..:..:..:..:..:..:..:.|          ヽ、:..:.〈_ー 〉
    `ー─/`´           /:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..|            ー′ハ ̄
    /:i:i:i:i:,′           .j:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:.|             |:i:i:i:i|


           ,ゞ`:⌒> '':´ : : : : : : : : : :`:丶 、
            /: : /´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
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     _/: ; :〃: : : : : : : : : :/ : : / |: : ∧: : i: : : : : : : :ヽ

      `¨7/ /ヘ : / : : : : / /: /   l: :/ ト、 | : : : : : : : : ',
         ':{ ∧: : :/ : : : : / / :/   ,:/   | l|\: : : ヽ : : :
       { :〉l : ヽ l: : : : :/: :l :/   〃   !、:|  ヽ: : : : : : :、  「二人とも、梓ちゃんを困らせちゃだめだよ」
         }:| | : : : |: : : : |: /j/ー‐=/″   j゙'=j‐- ': : :i: : :、: \ 
       ノィ |\ : l: : : : |/ ,斗ミ:、      ,斗ミ、 ' :/: : : } `¨
        | |: : ヽヘ: : : :| ん:::::ハ      ん::::j 〉 j/: : : ;′
        lJ: ;ヘ{  ヽ : |  Vーク      ト-ク ′/: :i :/
          V ヽ  \:、゚ `¨´         `¨´°/: /j/
             \.__   """    '   "" ハ:/
                  _ヽ
                 /7T\    ⌒ ¨   ノ
    x< ̄¨''ー-‐イ:::::{ ヽ  丶 、      <
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:::::::/:::::::::l::::::/|::l:::::::::::|::: ト、::::::|:::::::::::::::::i::::::::::ヽ::/
::::::l:::::::::∧::メ、|∧:::::::::!、:!斗::七、::::::::::::|:::::::、::::ヾ      「……中野の困った顔見るの楽しいからついな」

::::::|:::::::::|-レ' 、   V:::::| リ ヽ::| レヽ::::::::|::l__:::ヽ::::'  
::::::l:::::::::|∨f卞  V:::|   ィリ无7フヽ::::|::!ハ:::∧ハ
∨:ト、::::::!弋.ク     ヽ|   辷zノ   l:::!:|) レ'  ヾ
. V| \::ゝ     i         `   レリ' /
 ヾ    !    、             /ヤ′
       ヽ.              /ハ
     , '/ 丶、 ー--(    / l  ヽ 、
_ - ´ /  |  \    ,  '/  |   l  ` 丶 、
      /   .| __\ ¨´,  '´     |   .l       `丶、
    /   l/: : : `7;::;;:7ー-、   ,'     l         `丶、
    ,    |: : : : :/;;;;;;/ : : : }  /    l             ハ
   /    ,.、{ : : : /;;;;::/ : : :/- 、/      l             / l
  /    l /: : : /;;;;;;/: : : :{   !       l            /   l
  /    / /: : : /;;;;;;;/: : : :,.ゝ、 l      l          /   .l


               _, -、.―- ..∠: :‘ー―: - 、
           . ´ ̄: {: : : : : : : : : : : :>: 、: : :__: :ヽ
         / : : : : : : : l!: : : : : : : : : : : : : : : ヽ\\:`\
.         /: : : : : : : : : /{: l : : : : : : : : : : : : 、: : ヽ:\\: ハ
        /: : : : : : : : : / l: l: : : : : : : : : : : : : :ヾ: : :寸_,/',: ヘ  
.       /: : : : : : : : : /   l: l\: : : : : : : : :.ヽ: : :', : : ',: : :ハ: :ヘ
.     ′/: : : : : ハ: {.   l: l  ヽ: : :\: : : :.|: : :.!: : :ハ: : : }゙ー’  「……」
      ’ /: : : : :.斗z七   ゞ   \: : }、: : :.! : : |/: : :} : : {     「岡崎君、そういうのはよくないと思うな」
     ムイ: ′: : : /      \ 斤≠x∨:∧: : !: / リ: : :,'
        |: |: : : : :| ,ィfてミ       ん心∨:/: :/_/:./: : :/
        |: |: : : i :| { {:::::::|      { {::::::::! j/ : /^ヽ/: : :/
.        Vヘ: : :V  乂::ノ       ゞ-'’ j: / Yノ: /{
        ヽ: :ヘ       ′       '"辷∧: {
           ゞ∧             /!-'’ ゞ
            '      ―      /|
            ゝ          /  !
                 > 、 _.   ´ .<ヽ
                  Y   .<    入_
                  /ヽ才       /  `

             . .:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:丶、

              / .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. \
             .:′:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:,′.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
          / .:.:/:.:.:.:.:.:.:.:./ .:|:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ::.:.:.:.:.
           .′::/ :.:.:.:.:.:.:.:.i.:.:.:|:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
            i .::::′:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.∧ :|:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.|:.:.:.:.:ハ:.:.l:.:.:.:.: |
            |.:::::|:.:.:.:.:.|:.:. : 'i:..′{ :|.:.:.:.:.:.:.:.∧ .:ト、:.:.:.:.|:.:.|:.:.:.:.:lト、
        /|::::::|::.:.:.:.:|:.:.:/ |:.|  '. l:.:.:.:.:.:.:/ l: l| '. .:.:|:.:.|:.:.:.: リ:.:i
          / :|::::::|:::.:.:.:.|:.:,′|:.|   ∨l:.:.:.:.:| |リ  } .:.|:.:.|:.:./|:. ト.   「………」
       ′:|::::::l ::::: ∧{ ̄ヽト--┤|:.:.:.:.jー‐j/´ ̄∨|:.:.l:. |:.: l:.:.|:|

        i .:.:|::::!::V :.:| ,.ィf行うy.  レト、:.:/  ,ィf示うy_j: ,′!::/:.: l l
        l ::::l::::|::::∨:l〈{ {トrイjト゛    V   {トrイハ j/l/:.:.:.| |:.:.: l |
        | ::::l:: |:::::八|  (⌒)-r')       (⌒)‐r') |: :.:.:.lノ!:.:. l:.|
        |:::::八l:::::::::.:.   /レl//        /l/レl/   | :.:.:.:| |:.:.:.l:.|
        l:::::::::::|:::::.::.::.:.        '         j : :.:.:| |:. /:.:l
      /j :::::::: |::::.:.:.:.:.j、                   / :.:.:.:.| |:/:.:.:.l
      /|:::::::::l!::::.:.:.: 从       ‐- -‐     .イ:.:.:.:.:.:.| |::::.:.:.:l
     .′|:::::::::::|l::::.:.:.:.:|  丶.           イ | :.:.:.:.:.l| |::::.:.:.:ト、
      i  |:::::::::::||::::.:.:.: |  ,r∧> 、  ,. <ハ、  .| : :.:.:.:リ |::::.:.:.:| |
      |  |::::::::::八::::.: : しイ : |  \_ `¨´ _/ |::\_! : :.:.:/ l:::.:.:.:.l |
     / ̄ ̄ ̄::.\:::. |::.::.::.:|    `¨¨´   |::.::.: | :.:,.イ'ー┴…┴、!
    /  ::.::.::.::.::.::.::.::. \{::.::.::.:|   /V^Vi     |::.::.::j/::.::.::.::.::.::.::.::.::.:ヽ
   .′::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:: ,′::.: l   /: :_j_: : '.   l ::.::.:{::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:: l
    i .::.::.::.::.{::.::.::.::.::.::.::./.::.::.::.::{ /.:/:| |:.:|:.: V .,′::.::.:V::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:: |

   /:::::::::::::::/:::::::/:::::::/::::::::ヽ::::、::\:::::\:::\::::\
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  |.:':::::/::::::::/:::::::::::::;.: /:::::::::::|::::::::::::|:;::::':::::::::l::::::::ヽ::::'::::l、::|
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::::::;/:::::/::::/::::://::::::/l:::::|:::::::::イ:l  ,∠.‐ァ|、::::::::|::::ト、|  「………(今の、失言だったか)」
//::/::l::イ::::::::/‐/::/= -|::/|::::::/、l:|ィ刋} /リ |::::::/::::'  
 〃 レ'|| |::::::/ /ヘ圦ノ}`'|' |:::/  リ弋ク   l l:::/|:::/
/'   リ |:::/     ゞー'   |/       ,'/イヽ!/
      V ∧            i   u /  | /' 丶.
      |   \            '     , ′ |     ` ー- ..
      |   ハ丶、    r 三ソ  /′  |ヽ‐- 、       ` 丶 、
      |     ',、丶、       / /     |       ‐- _       `ヽ、
      |     i ヽ   >-- ´ , ′    |         ` 丶、  / ヽ
      | /l\ | ,ハヽ.      /        |            ヽ/    ハ
      | / l  | ∧    _.//ヽ.     |             /      i
      |′   |  ハ   '´//   \    l               /       l




               __

     _ _',、_ ,  '´ : : : : : : : :` .‐- __
      ノ: : : : : / : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ,` ' ‐-、
   ,-‐´ : : : : :/ : : : : : : : / : : : : i : : : : : : : : : ' : : : :ヽ
   |; ; ; ; ; //: : : : : : : : ,i : : : : : l : i : ', : : : : : :', : : :l`
   レ': : /: :,' :' : : : :l: : :/.|: i: : : : :|、 |',: :', : : : : : :i : : :\
   ./: :/:: : :|:,' : : : :,i: :/ |: |,: : : : | i:| ',: :i, : : : : : | : : : :、!
  ,イ: / : : : |:|: : : :,' リ  V ヽ, : / .リ |: | , : :|: : :| : :i: :|

  '´ i : : : : :l:l : : i   `' ‐   V ‐ '´ V i: :,' : : | : ,'V 
    |: :l: : : :','、 : |              レ' : :/リ、/   (岡崎ってたまに春原とのやり取りみたいなのを
    レ´Vリヽ,i´ヽ,! ≡≡     ≡≡  ,'レ´V         他の人にも振ってくるんだよねぇ…
        '、  |         ,        '  |            やっぱ根本的には馬鹿なんだろうな…)
         ヽ_', U           ,'_/
           ヽ     _     ./
             ヽ,   ´ `   /
           r-- _ | `  -  ' |_ - 、
     , -─ ‐ ´ r ' ´       ` ‐i `─-- ,
    /     |  .l           .l  |    `


   l i  .::::l  .:::::::::::::ヽ :::::lヽ::::|  __\:::::::::l::\:::::::::::::::::::::::::::::::r‐丶:::
   |イ .::/l .:::::  ::::∧ :`|`ヽ:l ̄    :::::\:::::|::::::\:::::::::::::::::::::::::r:::::::l:::
    | /  | ::: /| ::::| lヽ :l ::ヽl    _ _:\l:::::::::::ヽ/::::::::/:::::|::::::ノ::::
    l′  l : / l ::l | ヽ| :  ̄  ̄   ::::::::::::::::::::::::/:::::::::/:、::::l:/::::::
       ヽ /  ヽ:|  l           :::::::::::i::::::/::/l:/::;-∨::::ハ::::
        /    ヽ ノ           ::::::::::u://::;;;/─'''\::/ |/  「その……すまん」
              l            ::::::::::::::::/: : : :/ ̄⌒```
              \      _,,, -‐っ::::::::/.: : :/ : : : : /..: : :
               `ヽ、、   ヽ-‐''' ̄::::/..: : : :/: : : : /.. : : : : :
                 /`>ー----、:::ヾ:、: : : :/: : : : / .:: : : : : :

                /  .:l: \: : : l/`::::l: ヽ: /: : : : / .:: : : :/: :
                l  .: :|: : :/>: :|_,,,,ノ : :∨ : : : :l : : :/: : : :
                | :. : : l: // : : l;;;、''´ : : : : : : : :/ .:/: : : : : :
                > :ヽ: l/: :\: :l;;;ヽ: : : : : : : : :( ''': : : : : : : : :
               r''′ : :ヽ : : : : :`ヽ、l : : : : : : : : :|  : : : : : : : :
              ノ    : :ヽ: : : : : : :(:: : : : : : : :l: :l : : : : : : : : :

              /    : : : :\: : : : : :ヽ : : : : : : :∨ : : : : : : : :
             /    : : : : : : ヽ: : : : :ヽ : : : : : : :l .  : : : : : : : :
             /    : : : : : : : :丶 : : : :ヽ : : : : : :l :: : : : : : : : :

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………

                   _ _____
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             /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 丶、

             .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
              /.:.:.:.:.:/.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:. /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
          /::.::.::.:/::.::.::./.::.::.::.::.::.: {:.::.::.::.::..::.::.ヽ.::.::.::.::.::.::.::.:.

             {::.::.::..::.::.::.::/::.::.::.::.::.::.::.::|:.::.::.::.::.::.::.::.:}:.::.::.::.::.::.::.::.::.
         ⌒Y<::.::i:.::.::.|:.::.::.::.::.::.::./|::.::.::.::.::.::}:.::|ヽ :.::.::.::.::.::.: |
       /:::::::::}:::::::::::|::::::::| :::::::: // .ィ:::::::::::::::八_:| ::::::|::::::::|:::::|
.      /:::::::: 小: \:|::::::::|:::::::::/´ ̄ │:i:::::::::/  j:厂∨:! ::::::|:::::|
      .:::::::::::/{:::::::::: |:::::::i| ::: /   - :|:∧::::/ -     レ|:::::::リ::::;    「はい、それじゃ気を取り直して
.     ,′::::::/八::::::::::| ::::八 :y气存芋ミ   ∨ テ存芋ミ |::: /:: /     奥田さんの自己紹介から始めよっか」
     {/::::: /  ヾ :::::| ::::::::i小 トィ゚//}      トィ//}  リ∨:|:/
    /:::::::::      \| ::::::::i::|   込::ソ       込::ソ /:/::::l{
.   / :::::::::       (| ::::::::i:::  、、、    .    、、,'::i:::::小
   / :::::::::;'       | ::::::::i:::|              u j:::i:::::::|::::.
  .:::::::::::::         | :::::: i:::ト、       - ‐      人 :::::/::::::'.
  ,::::::::::::::i:         八:::::::::::::':介ト          <|/:::: ∧:::::::::.
. i::::::::::::: |        ヽ:::::::::::∨\ `  ー<ノ |  ∨:::: /  ':::::::::'.
. | ::::::::::: |         /∨\::::|  \ ___/ :|  |:::::/ \ i:::::::::|
. |::::::::::::i:|      イ///|./ ヽ|   ィ父ト、       |∨   丶、i|
. |::::::::::::i:|   〃  |///八   |//,ハ\\/  │      \
. | :::::: /|:|   {{.   |///  〉 ,/ / //⌒|{. ∨   /     /    }}
. |::::::::{ リ    :|    |//| /  〈 〈ノノ  | ∨ 〉 〈    ∨    リ



                  ,. . : ' : : : : : : : : : : : : :`: . 、

                ,. :': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
              / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : '.,
                / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :'.,
            /: : : : : : /\ : : : : : : : : : : :l : : : : : : : : : : : :'.,

            ,': : : : : : /     \ : : : : : : : : l: : : : : :l: : : : : : : :',
           ,' : ;': : : /        \: : : : :∥:l : : : : :l: : : : : : : : :',
           |: :,' : : / ̄`       '"\: :∥: :l : : : : :l : : l : : : : : i
           |: : : : /             \: : :l: : : : : l : : l : : : : : l 「では、改めて、一年生の奥田直です。よろしくお願いします」
           |: : : / x=zx`      ´ ,xz==xヽl : : : : :l : : : : : : : : l
           |: : : l 《´{::う      イん::う`》: : : : : l'ヽ: : l: : : : :l
           |: : : ',.{. 辷リ f=={   辷ソ l: : : : : l.、 l: : l: : : : l

           | : : : l弋__ノ   弋__     ノ l: : : : : l丿} : l: : : : l
           |: : : : l    ,       ̄   l : : : : l,.イ: : : : : : /   
           |: : : :人             l: : : : l: : : : :/: : :/   
           |: : : : : :ヽ   `  ´       ィ : : : l: : : : /: /     
.           | : : :l|: : l: : ヽ       <  l : : :イ: : : //
.           |: : : l.|: :l.l: / ` -r ´     l: : / l :/
            | : :/ .|;/ ´   //'l     /l: /l:ヾ
.            レ'   _,-‐':::/ l __,、イ´  レ/::::::ヽ
                  ,、-´::::::/:::::l.、/!´    /:::::::::::::::冫.、
             ,.:'::::::::::::::/::::::/r{゙'‐t   /:::::::::::::::::/:::::::::ヽ
           ,'::::::::::::::::/:::::::/ j lΤ}',/::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::ヽ

                         __

                     ,   ´     `  、
                     , ' /  /    、  ヽ
                  /  /  /    ./   ',   ヽ
                     /  /  , '.!    /|  |   '
                 '  /  / |    / ヽ |  | .i
                  '  /  ,' ノ !  ., ' ` ‐-',.| i  !
                |   ' / ,'x=x | /   x==xヽ|  | .| 「ちなみに私と奥田さんは同じクラスなんですよ」
                |  l ,' l{ んハV    んハ .'!   | .|
                |  |,'  ! 弋_ノ.    弋_:ノ / .,' ' |
                |  !   l     ,     // '  !
                |  |   |',           /イ.  ,'  '
                     ノ |  | \   ` ´  /  / /.|
                /   '   .|  `.i .‐-‐ ´.|   / / !
             , ´   ,_', |   |.     ._! /  ,' |
              , '    /: : : :ヽ, |   |`ヽ,  /|'  .├- ,!
         , ' /   , : : : : : :l`   |  ,Y、 .!'.   !: : : :',
           / /     |: : : : : : :ヽ i | i Uヽ |_r-, .|: : : :i\
        ' /.    /|: : : : : : : : `,|  !ヽ,' |||.i 〉-、`ヽ,|: : :i: :|  ' ,
        ' ,'i   ./   ', : /: : : : : : :! .| ||.|| ヽ`    i__ : V!   ヽ
       | .!.|   /|.  !lノ: : : : : : : :i', ! ! |.|| V'、__ -´: |: : |`,   i
      



          ,. : : : : : : : : : : : : ` : 、_
.      / : :/: : !: : ハ: :、 : : : : : ヽ: :ニ=-

.     / : : :/: : /l: :/  ',: ト、 : : : : : ヽ、:ヽ
     / : : : : :l: : ,'_.!:/   ', |.__',: : ', : : : ',ヽ{
    ,':/ : : : : !: / ll.    l:|   ', : |: : : :ハノヽ
    i ! : : / /!/__ !!    !:!__  ',: l: : : : :! :r ゝ
    | !: : :| j .,rェェ、 !     j/,ェェx、',:! : : | :!V
.   八l : : レy''だ:ハ     ム:ハ,ヽl : :/: l! | 「そうなんだ。一緒のクラスだと色々心強いね」
    ヘ: : l ヘ弋_ク      .弋_ク.j' l :/: :リ| l
     |ヽ{   ̄   '     ̄  .l;イ |/Vリ
.       ゝ、lト """       """ '}' /
       ヘ      , ‐、     ハイ
          ヽ    ‘--’   ,イ
.          >.、     ,.ィ'
         ___,r'| ` - ´.|、_
   ____, /: :リ \  ./ !:ヽ、____

.. , ´: : : : : : /: : :l   〉-〈   } : ヽ: : : : : : :` 、
. { : : : : : : :/: : : :ヘ /{ 介 }.、 j: : : :',: : : : : : : : l
. l : : :ヽ : く : : : : :/ /.リ,イ ハ ヽ/: : : : 〉: : , : : : : !
/|: : : : ',: : : ` x: :l レ/ |、l .} y : : / : /: : : : : j
{ ! : : : : ',: : : :/ : ヘ__/| |ヘV/: : : :ヽ: : : : : : : : ;{
.}: : : : : : ヽ: 〈: : : : : | | | !': : : :://: : : : : : :/:l




                            { < L | / )

                             >、 ヽ  ./
                            {  \ _/::ヽ
                            /::::::::::::::::::::::/

                __       /i  i:::::::::::::::::::::::}
             , . : : : : : : : : : : ヽ 、 /: : : i::::::::::::::::::::::::i 「それじゃ、よろしく~♪」
           /: : : : : : : : i : : :ヽ: : ヽ/: : : : i:::::::::::::::::::::::i
      _> フ: : : /i : : : :|: : / : : : :i: : ヽ: : : : i:::::::::::::::::::::::i
     /: : : : /: : : :/ |: : : : |: / .V: : : |: : : 丶: : i:::::::::::::::::::::::i
   <: : : : / : : : / |: : : : |::// V: : : |: : : :|ニ i:::::::::::::::::::::::i

    ./: : : : i: : i : i   |: : : : |./  .Vヽ/|: : : :|/Vi:::::::::::::::::::::i
   .{: : : : :|: : : : :|  ヽ|.\i   V  |: : : : |/.i::::::::::::::::::::i
    ノ: : : :|: : : : |ヽ      ィ=ミ |: : /Vヽ|::::::::::::::::::::i   _人_

    iノ レ) レへ: :| r=ミ        i/ )/i::::::::::::::::::::i.   `V´
         ヘ ヽ     `  "" ´ ├/::: i:::::::::::::::::::i
          ヽiヽi. ""  く }   / ./::::::|:::::::::::::::::::i
            ヘ.    `´  />/:::::::|:::::::::::::::::::i
              `> --  < //:::::::::|:::::::::::::::::::|
             __ /i く ./  /ゝ::::::::::::::::::::::::::i
 _人_        /::::::::::::::::::|   \i:::::::ヽ::|::::::::::::::::::i
 `V´       {:::::::::::::::r=ニ 介=ヽ::::::::>::|::::::::::::::::::i    _人_

           |:::::::::::::<< |/ i |i\\/:::::|:::::::::::::::::|     `Y´





             /::;::::::::::::::::::::::::::::::::::::;、{::::::::` 丶:::::\:::::::::::::::::',
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       /::/::: /:::::::/::/::::::::::: /:::::l:::::::';::::ヽ::::::::::::::::\::\::::::::!
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     // /:::::::/:::::::/::/:::::::::::/::::::: /:::::::|:::::';::::::::::\::::::::::::::ヾ:、::\

     〃 /::::::/::!::::::|::::|::::::::::/:::::: /|:::::::::l:::::::ヽ::::::::::::\::::::::::::ヾ\::\
     /   ! ::: |:::l:::::::|::::|:::::::/::::::: /::|::::::::::::::::、:::\::::::::::::\:::::::::ヾ、ヽ:::ヽ
       l:::::::|:::l:::::::|::::l:::::::l::::::/::: ハ::::::::::::::::::ヽ:::::\:::::::::::ヽ:::::::ハ  ヾ::|
      . !:::/l::ハ::::::|:::::';:::::|:::/ レ' ハ::::::::::::::lヾ \:::\:::::::::ヾ 、::',   \

    ..  ´ レ' |' l:::::l:::::::';:下 f辷弌:/\::::::::l  ュ辷7フ\::::::'  ヾ  「…………」
 /         V{ヽ:::::ハ|  `¨ ´    \:::',  ` ¨´  /\ハ
/            ヾ /\ヽ       i \    ,イ   l l
ヘ                l   | 丶      l       / .l     l l
 ヽ             |   l   丶、  - -       l    | l
  ヽ       l   |   V    >r-- ,ヘ´     /     | |
    \       l    |    V   /ヾ´ ̄ ̄7\  /    | l
     \     l    !    ヽ/  ハ: : : : /  ヽ/       !  /
      \   l   l|       \ l }ー―{    /       |  !   /

        /.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.       /.:::::::::/::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
       '.:::::::::/::::::::::::/:::::::|:::::::::::::::::::::}:::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::i
     l::::::::/::::::::::::/」:::::::{::::::::::::::::::/ ハ:::::::∧::::::::::::::::::::l::::::::::|

      i::::::/::::::l:::::i´八::::∧:::::::::::::/-‐|::::/. ハ::::::::::'::::::ト.、:::}_
      i:::::::::::::::l:::::|   ∨ ∨::::::/  |::/  ヽ }:::::/:::::::!:::::::/:::::ヽ
     ∧::{:::::::八:::|ァ==ミ  ::::::/   j/    ハ!/:::::::::|///::::::::::::.
.    /::∧ト、:::::::|Kl rし.::ハ   ∨  xァテミメ.ノ::|::::::::::::|//ハ::::::::::::::  「岡崎君、どうかしたの?」
   /::/:::::i:::::ヽ::ゝ V:::::゚ノ        rし.:::::}ヽ刈:::::::::从::/∧:::::::::::::.
.  /::/::::::::|:::::::::ト  ,,,          ヽ:::゚ソ  ノイイ:::::/   ',:::::::::::::.
  i::::::::::::从::::::::j       '    ,,,     /::::::::::::/    l::::::::::::::l
  |:::::::::::/ハ::::人                  /::::::::::::/     l::::::::::::::l
  |::::::::::'  ',:::::::::`ト .    、          .イ::::::::::::/      l::::::::::::::l
  |:::::::::!   V:::::::::l斗へ、          .イヘ|::::::::::/        l::::::::::::::l
  |:::::::::i  /}:::::::八: : : :/ヽ. __   <    ノ:::::::/\        !::::::::::::::l
  |::::::::::V: : ∧::/: : : : :/  }       /イ:::/: : : :\    j:::::::::::::::!

  ',::::::::/: : //∧: : : : :,′        /: :ノイ: : : : : : :\  ,:::::::::::::::∧
   ∨/: :.://∧∧: : : i`ヽ       / : : : : : : : : : : : /〉 /::::::::::::::/ }




           /::::::/:::::::/::::::::::://:::::::::::::::l::::::::::、:::::::::::::
        /::::::::/::::::::::/::::::::::: /:::|:::::::::::::::::|:::::::::::ヽ::::::::::

          /::::::::/:::::::::: /:::::::::::::|:::::|::::i::::::::::::|::、:::::::::::':::::::::
       /::::::::イ::::::::::/:::::::::::::/|::: イ::∧::::::::::l:::|\::::::::',:::::::
       |::::::/ l::::::::::|::::::::::::/ レ' |/ V::::::::!、|_ヽ::::::ヽ:::
       l:::/  |::::::i::|:::::::::::l´ ̄ ̄ ` V::::::|´    \_\ 「大変な事に気づいてしまった」
       レ′ |::::::|::l:::::::::::KT亢卞  \:ハ  仡f刋 /、
             |::::∧ト、::::::| 弋匕ク     ヾ  弋ヒク '
             l::::| リ \:::l       i         ,
          ヽ|  /´ `ヾ,        l         ,'
             /  Y、_∧                 /_イ
               {   ´ `丶.\    ‐―    /},ハ
       ,. - ―‐{`        ` 丶、       / / |
       /¨`ヽ   ヽ.         丶、  , ´ ,. ′i|
     /    ヽ   \   ,        }_´ _/    l|
     ,′      ヽ     `ヽj      ∧∨ ヘ    |
     !       ハ   __,/      /ヘ'´ ̄`T:、  |
     l         ハ∠´_⊥ -―  ´7, {:.:.:.:.:.:.}ハ  l
    l  /     ,.-|        ,.  '´/、ヽ__/  lヽ./
    l/      /、__|_.. -‐ ´   /   /i:.:.:ハ  ! /
    /       i              ∧ /:/.:.:.:.ハ /
  /        l              / ∧ !:.:.:.:.:.:.:.:レ′


                _..  -――‐- 、
              _.  ´   /. -、    `¨`丶.
          _.  ´     / /   ヽ / ヽ   \
         / /  / / / /    /ミV,へ  '    ヽ
        ///   / / ./  !   /ー-- ‐ !  !    ',  「あん?どういうことさ岡崎」
       / // /   / .l |   |   !      |  } i    !
      // l  l  | !   !  i ! 、、.__|__//   l l
        | l  |  |   ,.-‐ ´ハ  リ       |イ/`   /  l
        | !  |   ,  l  ,ヽ{、 V{.    イ⌒ヽ.|   /、   !
        lハ  ト   V ! イ、:::::! ヾ     ト:::::::} レ'/ー } ハ
       V | \ ヽ{ V辷  ,    ゞzノ /イ) ノ/

         ヽ|  \_ヽ              /_/ハ{
              ヽ、    cっ       / /
                丶、         .イ/
                  `丶、 _.   ´ j、
                  r、}   __..  ´ ハ
             ,- 、  /l ヘ_/ヘ   /   }` 丶、
                /  ヽ' |/{:::::::::ハ  , ′  |    `  ‐-  _





         //  _.... - ―‐''フ
―‐-- 、__   /./ヽ/\ _.-'"
        フ      l...__
        /        \\
    __/⌒          ヽ \
  //              ヽ \

/            l:.       ',  ヽ   「今この部には中野、平沢、鈴木、斉藤、奥田の五人がいる」
       /      |:.:.     ',:.  ヽ
      /.l      ハ:.:      ';.:.  ヽ、 「…つまり、この五人でバンドが組める。ここから導き出される答えとしては…」
     /:.:|      / |:.:    ハ |:.:l.ト、 ヽ
  /  /:.:.:| ー-=-.../ __.|:.:   .,':.:l l:.:.| ヽ ヽ
. /  /:.:.:.l     / ̄ |:.  ,' ./:.:.:l|:.:.|  \ ',
.イ /:.:.:./|  / /__  リl ./ /:.:.:.:リ:.:.:|    ヽl
.;:|. /:.:.:/ l /// lol    l/ /:.:.:.:./:.:.:.l     ヽ
. |./:.:./  |/|l/   、_ソl  /. /:.:.:.:.:./ ';.:.:|
. |,':.:/   l l/      // `'‐y  ';.:|
(.l:./               /   .リ
'‐l/                  / i'ヽ
ヽ-.、           _..ノ .l  |
   l           /__   |  l
   ヽ、          /  / /
     `  、      l  /  /
      /  ̄''‐- .._ノ  /  /-'´ヽ
     /           / ''´ _..-''゙ヽ
    /           l     、___ヽ
ヽ、/           |         `l
  ` 'ヽ、             |       y .ノ
     \         |      l/
       ヽ        |      |
       ヽ       |      |

                 ,. -──‐-.、
              , . .: ´. : : : : : : : : : :`ヽ、
             , .:.´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:...:.:.::...:.:.:.:.::.:.:.:\
           /. : : : : :/: : : : : : i: : : : : ::、:ヽ: : :\

             /: : : /: :/: : : : : : :.:|: : : : : : |: :i: : : : :ト、
              i: : :.:.|: : {.:.:.:l: : : :l: :ト、: : : : :.|: :|: : : ,.イ: :',
              |: l: : |: :ム: :l: : : :l: :|ー\: : :.|: :レイ:∧: :.', 「?」
              |: l: : Ⅳ  Vヽ: :∧/   i: : :|: :レ:.//:./: : :',     
           V: : .{ r=r.テ V  rテ テ V.:/: :.レ'/.:∧: : : :',
           V: :ハヽヒソ     トヒ辷ツV: : :.ハ::::l::::ト、: : : ',
            i: :i:::} ,,,      .,,,,  /l: : : レ'::::l:: | ',: : :.i
           ∧:l:::i    __    u l/: : :/: l::::l:::|  l: : :.|
           /: ∧ :ゝ、   `   ,. イ: :.:./、:::l::::l:.:|  l: :.:.:|
             /. : i ',.:.:.:| >r- <  /: : /: :i:丶、: :|  l: : : |
            ,': :.:.:l  \:|イ: :/.:/\ /l : /: : :|: : : :\. l: : : |
            i:.:.:.:.:| ,.イ::::,':/: : レ芥ヽ.l:/. : : :.|: : : : : :\: : : |
            |.:.:.:::.レ': :i::::i:〈: :./ /.ハト、V: : : : : |: : : : : : : .ヽ: :|
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  |.:':::::/::::::::/:::::::::::::;.: /:::::::::::|::::::::::::|:;::::':::::::::l::::::::ヽ::::'::::l、::|
/:::::::/:::::::/::::::::::/:: /::::::l::::::|::::::::::::l:|:::::|、::::::l::::::::::':::::l::::| リ

:::::::: /::::::/:::::::/::::;:/:::::::::|:::::|:::::::::::/lヾ::| >、::l:::::::::::!::::!:::| 「俺たち、別にこの部にいらなくねえか?」
::::::;/:::::/::::/::::://::::::/l:::::|:::::::::イ:l  ,∠.‐ァ|、::::::::|::::ト、| 「俺と春原で出来ることなんて手拍子と腹太鼓くらいだぞ!?」
//::/::l::イ::::::::/‐/::/= -|::/|::::::/、l:|ィ刋} /リ |::::::/::::'

 〃 レ'|| |::::::/ /ヘ圦ノ}`'|' |:::/  リ弋ク   l l:::/|:::/
/'   リ |:::/     ゞー'   |/       ,'/イヽ!/
      V ∧            i   u /  | /' 丶.
      |   \            '     , ′ |     ` ー- ..
      |   ハ丶、    r 三ソ  /′  |ヽ‐- 、       ` 丶 、
      |     ',、丶、       / /     |       ‐- _       `ヽ、
      |     i ヽ   >-- ´ , ′    |         ` 丶、  / ヽ
      | /l\ | ,ハヽ.      /        |            ヽ/    ハ
      | / l  | ∧    _.//ヽ.     |             /      i
      |′   |  ハ   '´//   \    l               /       l
             |  ハ  / !/   i   V  /       /     /         l
           ` 丶、 ∨  |    l  | /       /     /       |
               /   l   |  |./       /     /      /   |

               -─…──- 、
        __ . '"´: : : :/: : : : : : : : : \_/{_
      _>:/: : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : `⌒ゝ

      /: : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/: : : : : : : : : :\
    厂: : : :/: : : : ─-: : : : : :.-──…: : :{: : : : : : : : : : : : >
  /: : : : : |: : : : : 三ミ : : : : ‐=彡: : : : : : |: : : : : : : : : : : :〈 (楽器ですらないじゃん)
  フ : : : : |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ∨: : :/: : : : : : : ハ

.  / : : : : : |: : : : : : : : : :{: : : : : : : : : : : : : /: :/: : : : : : : l/
 ムイ: : : : :{: : : : : : : : : :l: : : : : : : : : : : : : :⌒| : : : : : : : : |
    Ⅵ: : : ヘ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :|: : :}: : : :/∨
    } : : : :∧: : : : : : : :|: : : : : : : : : : : : : : ∧/V⌒"

     レ'⌒V ヽ: : : : : : :|: : : : : : : : /: : /Y´
          \ヽ: : :ヽ: : : : : :/: : /   }
           \_, -─- 、: :/"´   ノ

            /-───- 、./   /
           /   ____\ /
          /⌒     -──‐\
       , ─く                  >-、











.           , : ´: : : : : : : : : : : : : : ` 、 \ : \
         /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ .! : : :\
        / : : : : : : : : : ハ : : : : : ヽ : : : : : ヾ: ヽ: :r`-
.       /: : /: : : : : :/: :/.l.', : ヽ : : : ヽ: : : : : ヘ : ヾ!
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